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2014年8月22日 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第44回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年8月22日(金)9:56~11:15


○場所

中央労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

松尾部会長、田極部会長代理、亀岡委員、斎藤委員、高瀬委員、富田委員、山口委員

○議事

(以下、議事録)

○松尾部会長

 皆さんおはようございます。定刻より若干早いのですが、委員の皆様方がおそろいになられましたので、ただいまから独立行政法人評価委員会国立病院部会の第44回を開催いたします。今日は大変暑いのですが、委員の皆様方におかれましては、本当に御多忙中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、あらかじめ申し上げておきますが、亀岡委員が所用により1120分ぐらいに中座されるということです。

 それでは、議事に入りたいと思います。議事について、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、御説明の前に、本年722日付けで、情報政策・政策評価審議官の交代がありましたので、御紹介いたします。安藤情報政策・政策評価審議官です。

 

○情報政策・政策評価審議官

 安藤でございます。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事ですが、お手元の議事次第のとおり、3項目ありまして、1つ目が平成25年度の業務実績に係る総合評価、2つ目が中期目標期間の業務実績評価、いわゆる最終評価といわれるものです。3つ目が役員の退職金に係る業績勘案率の決定についてを予定しております。簡単にそれらの概要について御説明しますと、まず総合評価についてですが、こちらの前回までに付けていただいた委員の皆様方の評定等を踏まえまして、起草委員で作成していただいた評価書()について御審議いただく形になります。なお、委員各自の評定及び本部会の評定については、お手元に配布しております評価結果集計表という横の表のとおりとなっております。次に最終評価ですが、こちらは平成25年度に中期目標期間が終了した法人の中期目標期間の全体の業務実績について評価を行うもので、独法通則法第34条の規定に基づき行う評価となります。

 なお、最終評価については、本部会で御審議いただいたあと、826日に予定しております総会の決議をもって最終的に決定される審議事項となります。なお、役員退職金に係る業績勘案率については後ほど御説明したいと思います。事務局からは以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。まず、1番目の議題ですが、国立病院機構の平成25年度業務実績評価(総合評価)についてです。まず初めに、田極委員から起草を頂きました評価書について御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○田極部会長代理

 それでは、起草委員を務めさせていただきました田極です。資料1-1は平成25年度業務実績の評価結果()です。国立病院機構の平成25年度の評価結果について私から講評いたします。まず、評価に当たりましては委員の皆様の評定を集計した結果、それから各委員の評定コメント、前回724日の議論の内容などを踏まえまして、平成25年度の業務実績について中期計画の達成度等に照らして総合評価書()を取りまとめております。全体の評価としましては、独立行政法人への移行後10年目に当たる平成25年度も、業務進行状況の迅速な把握と業務改善に努めており、特に積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組は、中期目標に掲げる経常収支に係る目標を10期連続して達成するなど特段の実績を上げてきました。

 また、診療事業については、引き続き地域連携クリティカルパスの実施や紹介率・逆紹介率の着実な向上、地域医療支援病院の増加など地域医療への取組を一層強化し、地域医療に大きく貢献しましたほか、質の高い医療を提供するため、医療の標準化の推進や臨床評価指標の改善と公表に取り組み、重症心身障害や筋ジストロフィー、結核などの政策医療にも着実に取り組みました。こうしたセーフティネットとしての重要な役割も果たしましたことを評価しております。

 また、臨床研究事業におきましては、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動やEBMの推進に向けた取組が確実に進捗しているほか、質の高い治験の推進に向けた取組も大いに実績を上げました。

 次に、教育研修事業ですが、こちらについては高度な看護実践能力を持ち、スキルミックスによりチーム医療を提供していくことのできる看護師を養成するため、医師が臨床教授として指導するなど国立病院機構の医療現場を最大限に活用した教育を行い、クリティカル領域の診療看護師の育成に取り組みました。こうした取組を評価した内容となっております。これらを踏まえ、第2期中期目標期間の最終年度に当たる平成25年度の業務実績については、全体として国立病院機構の設立目的に沿って適正に業務を実施したことや、中期目標の達成に向けて着実な進展が見られたことを評価する内容となっております。今後とも患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスが取れた一層の取組など国立病院機構の役割等を踏まえ、そのネットワークを活用して積極的に国の医療政策として国立病院機構が担うべきものの向上を図る姿勢を期待したいと思います。以上が私からの講評です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいまご報告の評価書()について、委員の皆様方から御意見、御質問等よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 

○富田委員

 少し各論に入ってしまうのですが、グループ全体としての医療収益と医療収支、経常収支等の目的を達したという評価にはなっていますが、実際に日本の病院の全体の傾向と日本の医療の今の現状を見ると、目的を達したどころではないのですね。病院グループの中でこれほど効率のいい経営をしているグループは日本の中でほかにはないものですから、表現の仕方が難しいのですが、目的を達したということ以上のことなのですね。そういう、ほかの病院グループと比べてどのぐらいの価値があるのかということの表現がなかなかできないのですが、少し評価として申し添えたいと思います。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。確かに国立病院機構は「国立」と名前が付いているのですが、本当に目覚ましい実績を上げておられると思います。余り書きすぎるのもいかがかと思うのですが、そういったニュアンスが伝わるような表現ということで、私がこれを見させていただいたところでは、十分その辺りのところは評価して書かれているのかと思いますが、いかがですか。

 

○斎藤委員

 私も心情的にもうちょっと強調したいという気持ちがあります。「高く評価する」というのが幾つか書かれていまして、それは思いとして伝わっているのかなという気がします。その「高く評価する」を更に高めるとどういう表現になるのかなと実は先ほど考えておりました。

 

○田極部会長代理

 評価書()の中で「高く評価する」というコメントについてですが、皆様の評定の結果「S」が付いたところは、非常に皆様のコメントも高く評価された内容でしたので、それが分かるように「高く」という表現を斎藤委員がおっしゃるように付けたところですが、これ以上の表現となるとなかなか難しいところが正直ございます。

 

○亀岡委員

 私も同じような意見ですが、文章の全体に非常に高揚するような表現が多いのですね。大きな成果であるとか、大いに実績を上げているとか、最後にその上で「高く評価する」ということですから、私はこれ以上の表現はなかなか浮かびません。この文章を読むだけでも、見る人によると非常に過大評価をしているのかなという人もいるかもしれませんが、私はこの表現は適切な表現かなと思っています。きちんとした表現はされているかと私は感じております。

 

○松尾部会長

 ほかに御意見はいかがでしょうか。

 

○山口委員

 前回欠席いたしましたが、その後いろいろ資料も拝見し、説明もお聞きし、今の御報告をお聞きしていまして私も抱いているイメージにぴったりかなという気がいたします。確かに本当に素晴らしい実績というか、143もある病院の中で全体としても毎年毎年目標を達成し続けているということは素晴らしいなと思っていますので、富田委員がおっしゃるように、そこをどう表現するのかというのはあるかもしれませんが、十分伝わる内容ではないかなと私も思います。

 

○松尾部会長

 ありがとうございます。これは行政的に「S」だったらこういう表現とか、そういうのはあるのですか。それはないのですね。今、大体御意見をお伺いしましたが、表現の仕方が十分フィットしているかどうかは分からないのですが、何人かの委員から御意見を頂きましたように、おおむねこの表現で皆様方の思いは盛り込まれているのかなと思いますので、よろしければ本部会としては、作っていただきました評価結果の案をこのまま決定としたいと思います。もし、誤字脱字等ある場合には御指摘いただければいいのですが、私でもチェックをいたしまして最終的に対応したいと思います。ということで部会長に一任をさせていただいてよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。そのように決定をさせていただきます。

 続いて2つ目の議題、国立病院機構の中期目標期間の業務実績評価(最終評価)についてです。最初に法人から報告をしていただき、次に起草委員の田極委員から最終評価書()を報告していただき、その後、皆様方の御意見を頂きます。それでは、まず法人から報告をお願いします。

 

○国立病院機構病院支援部長

 資料1-3、それから1-5が最終評価に関わる資料です。資料1-5の最終評価シートのまとめ、サマリーが資料1-3になっております。この資料1-3「最終評価説明資料(平成2141日~平成26331)」で説明させていただきます。

1ページ目は診療事業です。患者の目線に立った医療の提供であります。中期計画の概要は大きく3つの柱があります。1つ目の柱は、分かりやすい説明と相談しやすい環境作りです。以後、主な改善項目についてのみ、抜粋して御説明させていただきます。

 この項目に関しては、下の取組状況の2つ目にありますように、分かりやすい説明と相談しやすい環境作りを可能にするための1つの方策として、医療ソーシャルワーカーの配置の数を大きく増やしております。質的な面では、全病院で接遇研修やコミュニケーション研修を実施し、質の改善に努めております。

2つ目の柱のセカンドオピニオン制度の充実は、中期計画期間に全病院でセカンドオピニオンの受入体制を整備することにしております。平成25年度中に全病院で窓口設置が完了いたしまして、中期計画を達成することができました。質的な面では、セカンドオピニオンの周知の仕方、セカンドオピニオンを受けた患者の声など、取組状況を病院間で水平展開し、共有化することとしております。患者の価値観の尊重では、待ち時間対策の取組など、いろいろな工夫をすることで、患者満足度調査での評価も、結果として改善・向上しております。全患者への個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書に関してですが、平成25年度末時点で全143病院が対応済みになりまして、目標を達成しております。

2ページは安心・安全な医療の提供です。医療倫理の確立という観点では、プライバシーに配慮し、相談窓口の個室化、病棟面談室を増設しております。倫理審査委員会では全病院の倫理審査委員会の運営状況や情報公開の状況を本部で把握し、倫理委員会に関する人材の養成も行っております。医療安全の充実については、全病院に医療安全管理室が設置されております。そこに配置されている専任の医療安全管理者を中心に継続的に医療安全に取り組んでおります。医療事故報告の情報共有、医療安全対策について、機構で病院間の水平展開を図るために、病院間の医療安全相互チェック体制を整備しております。平成23年度の3病院から始めまして、平成24年度には18病院、その結果を踏まえて実施要綱を作成し、平成25年度には43病院で医療安全相互チェックを本格実施することができております。更に医療安全白書を毎年公表し、我が国の医療安全対策の充実に資する取組を継続的に行っております。

3ページを御覧ください。質の高い医療の提供です。クリティカルパスの活用の推進は、中期目標期間中に実施件数を10%以上増加するという目標に対し、平成25年度には平成20年度に比べ18%増になっております。EBMの推進では、臨床評価指標の充実を図り、また機構以外の病院でも同じように指標を作成できるマニュアルを作成して公表しております。更に平成25年度からは本格的に臨床評価指標を用いたPDCAサイクルに基づく医療の質改善に取り組んでおります。平成24年度は急性期病院2病院で実施しましたが、平成25年度は更にセーフティネット医療を中心とした3病院を新たに追加し、実施をしております。

 介護サービス提供体制の強化に関しては、法律に基づく療養介護についてです。療養介助に当たるスタッフを増やし、また老朽化した病棟の整備などにより、患者のQOLの向上に努めております。在宅で長期療養をしている重症心身障害者の方の通院事業や重症難病患者の入院支援確保事業なども行っております。

4ページを御覧ください。個別病院に期待される機能の発揮です。地域医療への一層の貢献では地域連携クリティカルパスの実施を行っている病院数が大きく増えております。紹介率・逆紹介率も中期計画の期間中にそれぞれ5%上回ることを目的としておりましたが、平成25年度実績で紹介率は10.8ポイント、逆紹介率は9.9ポイントと、ともにベースラインの平成20年度に比べ、大幅に上回っております。救急医療体制の強化も救急車による受入数と、救急受診後の入院患者数を5%以上増やすことを目標にしておりましたが、それぞれ18.8%、8.3%増えております。医療計画における5疾病・5事業に対応した様々な分野での機構の病院の位置付けも4ページの下段に示されております。

5ページを御覧ください。国家的な危機管理の対応では、これまでも地震や災害時に機構の病院が活動してきました。この中期計画の期間中に起こったものとして、平成21年度の新型インフルエンザの発生のときは、水際対策の一環として、検疫所・停留施設に医師・看護師を派遣しております。これはどのようなウイルスの病原性か分からない早期から、いち早くほかの医療機関に先駆けて医師237名、看護師282名、最大規模の人員を国立病院機構から派遣したものです。また、大規模災害時にDMATを指揮する事務局が平成22年度に国立病院機構の災害医療センターに設置されておりますが、平成25年度には、大阪医療センターにも、首都直下型地震等の対応を考え、新たに事務局が設置され、運営されております。国立病院機構として、先の東日本大震災の発生時には、医療班等、延べ1万人日の職員を被災地に派遣しております。その主なものを5ページの下の表に示しております。

6ページを御覧ください。その災害関係では、東日本大震災の経験を検証し、その検証結果を防災業務計画の修正に活かしたり、新たに設置した初動医療班を含めた訓練や研修に活かす活動を行っております。

 政策医療の適切な実施の項目では、重症心身障害者医療については、新しい法律制定に伴う制度変更に円滑に対応しつつ、療養スタッフの充実など、サービスの充実に努めてきております。精神科医療においては、心神喪失者等医療観察法に基づく医療の主導的な役割を我が国において担っております。結核については都道府県のほとんどにおいて、入院医療機関としての中心的役割を担っております。

 重点施策の受皿となるモデル事業に関してです。医療の質の評価・公表事業を平成22年度の厚生労働省の事業に参加した後、継続的に計測を実施し、公開しております。更に、厚生労働省の看護師特定行為・業務試行事業で指定を受けた診療看護師も各病院で活動しており、国で行われている新たな制度の検討に寄与する報告も更に行っております。さらには、後発医薬品の利用促進にも取り組んでおります。国の目標であります数量ベース30%に対して、33.5%と上回ることができました。

7ページを御覧ください。臨床研究事業に関してです。ネットワークを活用し、大規模な臨床研究を行っております。EBM推進のための診療情報分析で、全143病院のDPC・レセプトデータを基にした診療情報データベースを用いた臨床評価指標、各病院の診療情報分析レポートを作成し、公表しております。政策決定に寄与する大規模臨床研究では、平成21年度に新型インフルエンザが発生したときに、このインフルエンザワクチンの臨床試験を迅速に実施し、接種回数の政策決定に寄与しております。更に引き続き、ワクチンに関する臨床研究試験を継続的に実施しているところです。

8ページを御覧ください。臨床研究事業の続きです。国が実施する臨床研究中核病院整備事業に名古屋医療センターが選定され、国立病院機構全体として取り組んでいくための体制を構築しております。治験に関しては、治験活性化のための体制整備に取り組みました。治験の推進の実績としては、平成25年度は症例数が中期計画中の5%以上に達しませんでしたが、中期目標期間の平均では5.2%増となっており、目標は達成できております。高度先進医療技術の臨床導入については、理化学研究所が保有する基礎研究の成果を実際に臨床で応用するため基本協定を結び、平成24年度からは肺がんの新しい治療法を開始し、今年度は先進医療のBに申請しております。

9ページを御覧ください。教育・研修事業です。医師に関しては、平成22年度から開始した良質な医師を育てる研修の内容の充実と件数の増加を進めているところです。更に、医師・看護師、事務職を含めた多職種のリーダーを育成する研修を平成23年度から開始しており、平成25年度は更に就任後3年から8年経過された院長の病院運営支援のための研修も新たに開始しております。また、若手医師の機構内留学制度であるNHOフェローシップを平成25年度から実施し、既に3名の医師がこの制度を活用して、国内留学をしております。

10ページを御覧ください。教育・研修事業の続きです。東京医療保健大学との連携により、チーム医療を提供できる高度な実践能力のある看護師の育成に取り組んでおります。同大学院の特定行為を行う看護師育成のプログラム作成、講師派遣、実習の場の提供などを積極的に行っております。その卒業生が平成24年度から各病院で活躍しておりますが、教育指導体制を整備するため、国立病院機構診療看護師研修病院指定要項を作成し、支援を行っております。一番下に示しました地域の医療従事者を対象とした研修会については、目標としては、平成20年度より15%以上開催件数が増えることを目指しておりましたが、結果として平成25年度は55.3%増となっております。

11ページを御覧ください。総合的事項です。個々の病院ごとの総合的な検証については、各病院の機能や、地域医療事情、経営状況を検証し、公表しております。労災病院との連携に関しても、医薬品・医療機器の共同購入や、研修への相互乗り入れが軌道に乗っております。医療機器の共同利用など、更に様々な取組も進めているところであります。エイズについては、エイズブロック拠点病院を中心に全科対応による診療、臨床研究、人材育成の取組を進めております。総合研究センターについては平成22年度本部に総合研究センターを設置し、診療情報データバンクを構築した上で、全143病院について分析を実施、その結果を公表しているところであります。

 

○国立病院機構企画経営部長

 続きまして12ページ、評価項目8の効率的な業務運営体制です。本部機能については、職員削減を図りつつ、業務監査室、総合研究センターの設置をするなど、機能強化を図っているところです。また、職員の配置については、139病院の地域医療連携室と全病院の医療安全管理室に専任職員を配置するなどの取組を実施しております。内部統制については、全病院を対象とする内部監査、会計監査人による監査等を実施しているところです。さらに、日本医療機能評価機構による病院評価など、外部評価の実施も進めているところです。

13ページ、評価項目9、病院運営の見直しや効率化による収支改善です。収支改善については、赤字病院の数が減少しておりまして、年度別推移のグラフにありますとおり、平成25年度においては29病院となっており、平成20年度の39病院から減少しております。また、スケールメリットを活かしました共同入札を医薬品等について実施をしております。人件費と委託費を合計した率の抑制ですが、平成25年度は55.4%になっておりまして、対平成20年度、1.6ポイント減となっております。一般管理費ですが、これは対平成20年度で15%以上節減するという目標になっておりました。平成25年度において、23.5%の節減になっております。

 評価項目10は、医療資源の有効活用等です。CTMRIといった高額医療機器の稼動率、共同利用指数の向上を図っているところです。共同利用については、対平成20年度で10%以上増という目標でしたが、平成25年度は対平成20年度、21%増ということで目標を達成しております。また、病床の効率的な利用の推進は、病棟の稼動状況に応じた集約・整理を各年度で実施しているところです。看護師等養成所の運営については、入学者充足率、就職・進学率、国家試験合格率が全国平均を上回る高い水準を維持しているところです。IT化の推進については、医事会計システムの標準化の取組も進めてきたところです。

15ページは評価項目11、収入の確保等です。医業未収金の発生防止については、未収金比率について、0.11%未満という目標になっておりましたが、平成25年度は0.04%ということで、目標を達成しているところです。また、診療報酬請求業務の改善については研修、チェックシートの作成、医事業務の委託業者とは別の業者による点検などの取組を進めております。

16ページは評価項目12です。経営の改善については、機構の経常収支率については、各年度で経常収支率100%以上という目標を達成しております。個別病院ごとについては、再生プラン、リスタートプランという経営改善計画を作成して、個別に経営改善を進めているところです。

17ページは評価項目13の固定負債割合の改善等です。効率的な投資を行いながら、グラフにありますように年々、長期借入金の残高の縮減を図ってきております。平成25年度は対平成20年度で1,677億円の減、28.1%の減ということで、1割減という目標でしたが、目標を達成しております。

18ページは評価項目14、人事・広報に関する事項です。医療従事者については、医療を取り巻く状況を踏まえまして、対応してきています。患者のQOL向上のための療養介助職の増員等を図るほか、介護福祉士としての専門性を活かす療養介助専門員を新たに位置付けるといった取組を実施しております。技能職については、離職後の後補充を行わず、平成25年度までの累計で875名の削減を図っているところです。人材育成や医師・看護師確保対策についても、推進を図っております。広報・情報発信については、臨床評価指標を公表するなど、機構の成果の積極的な発信に努めてきております。以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、続きまして、田極委員から起草を頂きました最終評価書()について、報告をお願いいたします。

 

○田極部会長代理

 資料1-4は、最終評価結果()です。私からは資料1-4に基づきまして、平成21年度から平成25年度までの最終評価について講評したいと思います。この評価は平成212月に厚生労働大臣が定めました中期目標期間であります平成21年度から平成25年度の業務実績について評価を行うものです。

1ページは、1番として中期目標期間についてということで、(1)評価の視点と(2)中期目標期間の業務実績全般の評価について記載しております。2ページは具体的な評価内容を記載しております。評価の視点ですが、この委員会では厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準等に基づいて平成24年度までの業務実績の評価において示した課題等のほか、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会、政・独委ですが、そこから示されました独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点を踏まえて最終評価を実施しております。

 国立病院機構の設立目的ですが、これは委員の皆様御承知のとおり、医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療、その他の医療であって国の医療政策として国立病院機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与するとなっております。当委員会におきましては国立病院機構の設立目的に照らして、国立病院機構が独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が公衆衛生の向上及び増進にどの程度寄与したか、また、効率性・有効性等の観点から適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってきました。

 全体の評価ですが、独法化の狙いや期待に応え医療・経営の両面において中期目標の水準を満たし、また、大きな成果を上げているものと評価しております。中期目標の業務全般の評価に関しては、ただいま法人側から説明があった部分を取り出して評価をいたします。本日はこのうち7つある「S」評価について重点的に述べたいと思います。先ほど法人から説明がありました資料1-3の目次の所ですが、最終評価が「S」となっている項目が7つあります。この項目を中心に私から講評したいと思います。

 「S」評価について補足ですが、平成21年度から平成25年度の評定結果を集計したもので4.5を超えているものが「S」となっており、「S」というのは極めて高い評価を5年間通して取ってこないとなかなか付かないというものです。

3ページですが、質の高い医療の提供です。クリティカルパスの実施件数について、中期計画に掲げた目標を達成していることを高く評価しております。また、臨床評価指標の開発・充実、そしてマニュアルを含めた公表などEBMの推進に向けた取組、あるいは療養介助職の増員や老朽化した建物の改修など、長期療養者をはじめとする患者QOLの向上など質の高い医療の提供に向けた取組を高く評価しております。

3ページの4は、個別病院に期待される機能の発揮等です。地域の医療機関との連携について一層の強化・推進を図り、紹介率・逆紹介率や救急受診後の入院患者数などについて中期計画に掲げる目標を達成していることを高く評価しております。また、新型インフルエンザ発生時の対応、東日本大震災への対応など国家の危機管理への多大なる貢献を高く評価しております。

4ページの(2)は臨床研究事業です。治験の実施症例数について中期計画に掲げる目標を達成していることを高く評価しております。このほか国立病院機構のネットワークを活用した大規模臨床研究を推進するなどの取組を評価しております。こうした国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究や治験の推進は、日本の医療の向上への貢献が期待される分野であり、国立病院機構のこれまでの実績を高く評価するとともに、今後とも積極的・継続的な取組を期待したいと思います。

5ページの(3)教育研修事業です。ここも「S」が付いておりますが、地域医療の貢献について地域の医療従事者を対象とした研究会等を積極的に実施し、中期計画に掲げる目標を達成していることを高く評価します。また、クリティカル領域における診療看護師の育成や若手医師のためのNHOフェローシップ、また、医師・看護師のキャリアパス制度の確立に向けた取組など様々な取組をされてきたことを高く評価します。

7ページは、医療資源の有効活用です。下から4行目の2医療資源の有効活用となっている所ですが、ここも「S」が付いております。積極的な広報活動等の努力により、医療機器の共同利用について中期計画に掲げる目標を達成していることを評価しております。このほか医事会計システムの標準化を推進してきたことを評価しますが、今後も全病院での標準化に向けた取組を期待しております。

8ページの(7)経営の改善ですが、本部と病院の収支改善に向けた努力により、経常収支率について中期計画に掲げる目標を達成したことを高く評価しております。このほか個別病院ごとに視点を向けても赤字病院数の減少など、着実な経営改善を高く評価しております。

9ページの(8)固定負債割合の改善ですが、国立病院機構発足時に承継した国時代の膨大な負債と老朽化した建物を数多く抱えながらの経営の中で、約定どおりの償還を確実に行った結果、毎年着実に固定負債を削減し、中期計画に掲げる目標を達成していることを高く評価しております。一方、耐用年数を超える老朽建物が数多く存在しているため、患者の療養環境改善の観点から計画的に投資を行い、建物整備を進めていくことが、今後の課題と考えております。こうした第2期中期目標期間における5年間の成果は、理事長、本部、各病院の全ての職員が一丸となって現状に満足することなく医療・経営の両面において不断の努力を行ってきたものと高く評価します。

 こうした5年間の成果を踏まえますと、世界に冠たる日本の医療システムにおいて143の全国的な病院ネットワークを活かして、国の政策医療として担うべき医療等を提供している国立病院機構が果たしてきた役割は、極めて大きく意義が深いものと考えております。国立病院機構が今後とも引き続きその役割を担っていくためには、患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスに配慮することはもとより、医療技術の発展や新たな疾病への対応などの社会的な要請に迅速かつ的確に対応できるよう、病院機能の拡充に向けた不断の見直しを自発的に行っていくことを期待します。

 なお、その見直しに当たっては、当然のことながら国立病院機構が果たすことが期待される責任は今後、一層増していくことが想定されることから、長期的に安定的な運営が確保できる十分な見通しをもった上で実施されるべきことに留意していただきたいと考えております。私からは以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ただいまの法人からの説明と起草いただいた最終評価書()について委員の皆様方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

 

○斎藤委員

 今コメントの中で皆様が一丸となってというお言葉がありましたが、正にそうだと思います。経営の改善という項目はオール5を取っているという素晴しい結果なのですが、こういうことができるのはトップマネジメントだけではなくて、組織の意識改革をきちんとなさって企業風土、組織風土というのですか、それをきちんとなさったからこそ、現場からの声が出てきて、それを実施なさっているということなのだろうと思います。

 ですから、どこかで付け加えていただきたいのは、組織の意識改革が徹底して非常によくできているということ、現場の人たちが率先して考える風土になっていることなどです。お食事で手間が掛かるバイキングのサービスをなさるというのは、トップマネジメントが指示したことではなくて現場がいろいろ工夫しているということの表れだと思いますので、そういうことを付け加えていただけたらと思います。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。今の点に関連しまして、これは多分、起草の文章の1ページの一番下の所だと思うのですが、私は今の御意見に加えまして、こういうことができたのは、トップマネジメントといいますか理事長の強力なリーダーシップがないと、まずできなかったので是非加えていただきたいなと思うのですね。

 具体的には、例えば理事長の強力なリーダーシップの下、本部及び各病院の全職員の、先ほどここに意識改革ということも入れて努力の結果であるという文書にしていただくと、もう少し正しくなるのかなと。実際問題としては説明資料の中に、理事長御本人の個人のことなので、なかなか難しいのですが、やはり強力なリーダーシップがあってできたのかなと思いますので、是非。

 

○亀岡委員

 先ほどの部会長の話とも重なるかもしれませんが、「中期目標期間の業務実績全般の評価」の1ページの一番最後の2行、「こうした全体としての大きな成果は、本部及び各病院の全職員の的確な努力の結果であると高く評価する」という所ですが、先ほど御説明を頂いた「具体的な評価内容」の中では、「経営の改善」の所しか、こういう表現はありません。それと「平成25年度の業務実績全般の評価」では、始めに総括的な内容を記載している部分に「こうした全体としての大きな成果は、本部及び各病院の全職員の的確な努力の結果であり・・・・・・高く評価する」という文章が入っているのですね。

 確認を含めてですが、ここでいう「こうした」というのは、すぐ上の「業務運営の効率化と収支改善に向けた取組については、中期目標に掲げる経常収支に係る目標を5期連続して達成した」ことをさしているようですが、今の皆様のお話を聞くと、全てに対してこれが言えるのかなと。もし、この3行の中のうちの上の1行半に対して「こうした全体」というと文章としても唐突かなと思いますので、こうした全体としての大きな成果は全てに対することだということであれば、「こうした全体」の部分から改行して全体に掛かる文章にされたほうが、よろしいのかと思います。そこで、この辺はどちらの趣旨で書かれたのかも含めて確認させて下さい。

 

○田極部会長代理

 いろいろと御指摘ありがとうございます。まず、医療全般についても経営改善においても全職員の方の努力によって大きな改善を達成することができたということで、本来、医療の面でも経営の面でも、どちらにも書いた上で全体としての話として書くほうがいいと私も思いましたので、この点修正いたします。

 

○松尾部会長

 今、御提案いただきましたように、ここの所を改行して1字空けて、多分その次の文章と一緒にしても大丈夫ですね。

 

○亀岡委員

 そうですね。

 

○松尾部会長

 ほかにいかがですか。

 

○山口委員

5年間を通して非常に素晴しい実績で、例えば4.04という数字を見ると低く感じてしまうぐらい、もう5に近くて当然のような感じになっている気がしました。患者の立場としてここに関わらせていただいていることから言いますと、患者の目線に立った医療の提供という所が、全体としてはまだ低い点数になっています。ただし、このことについては、なかなか数値目標が出てくるわけでもなく見えにくい部分でもあると思います。2ページの2つ目のセンテンスの5行目から「患者の目線に立った良質な医療と健全な経営」とさらっと書いてくださっていて、どうしても「S」評価をした所が中心になっていると思うのですが、特に143病院あって職員の数もとても多いことを考えますと、患者の対応に常に努力をしていかないと高い評価にならないと思います。もちろん漫然となることはないと思うのですが、さらに、常に努力をしていただくという観点からしますと、「患者の目線に立った」という前に、例えば常に改善点を見いだす努力を続けながらとか、もう一歩踏み込んで常に努力を続けていただきたいという思いを込めた一言を入れていただけたらいいかなと思いました。それからもう一つ、その行に「バランスに配意する」とあるのですが、さっき配慮するとおっしゃったのですが、これは配意のままでよろしいでしょうか。

 

○田極部会長代理

 はい。

 

○山口委員

 その確認と意見です、以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。私から細かい所なのですが、先ほどの機構から説明がありました説明資料です。赤字病院が着実に減っているというお話は、13ページのグラフを見ると確かに順調に減っていたのですが、平成25年度は赤字病院の数が10個ぐらい増えていること、16ページの経常収益・費用、一番左のグラフを見ますと、収益から費用を引いた額が、平成25年度は幅が黒字ではあるのですが減っているということで、これも赤字病院が増えたからかと思うのですが、増えた原因として例えば、この年には設備投資を集中的に行ったなど、何か理由はございますか。この絵を見ると着実に減りましたと書くには若干、抵抗があるかなと。最後にちょっと増えてしまったので、その辺の所を説明していただければと思います。

 

○国立病院機構企画経営部長

 経常収支率については、前回も委員から御質問があったかと思いますが、1つは建替え等設備投資を相当第2期中期目標期間中においても後半から増やしていることもありまして、減価償却の状況について、減価償却費率も相当低い状況から最近7%ぐらいまで上がっているということで、経費が上がっている要因としてあるのかなと思っております。

 各年度の赤字病院の数、これは診療報酬の改定も大きく影響を受けておりますし、平成25年度で若干増えている分について、建替えに対応する病院については、一時的に収益は悪化する所もあるということで、いずれにしても平成20年度から見ますと、全体的には収支については改善をしているところです。ただ、平成26年度以降について申し上げますと、今回の診療報酬改定は非常に厳しい内容でして、また、これから投資をしっかりやっていかなくてはいけないということで言いますと、経営改善は更にやらなくてはいけないですし、非常に経営的にも厳しい環境の中で対応していかなくてはいけない状況にあります。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ほかにお気付きになられたことはございませんか。私から評果結果()1ページで、先ほどの質問とも関係するのですが、(2)2つ目のパラグラフの3行目です。「しているほか」という所で、「質の高い医療を提供するため」とあるのですが、ここに是非、これも評価が「A」だったので入っていないのかもしれませんが、キーワードとしては患者目線と安全というのは、先ほどの報告でも非常に強調されておられたので、できればここに「患者目線に立った安全で質の高い医療を提供するため」と付け加えていただくといいかなと思います。細かい所で申し訳ないです。

 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。大体、御意見も出尽くしたようですので、今、頂きました御意見を反映して修正をいたしまして、中期目標期間の業務実績の評価結果については、本部会として決定したいと思います。具体的な修正については、部会長と事務局で調整して決めるという形で進めますが、それでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○松尾部会長

 それでは、そのようにいたします。この案については、826日の委員会総会に報告をいたします。

 本日、3番目の議題ですが、国立病院機構の役員の退職金に係る業績勘案率の決定についてです。最初に事務局から、続いて法人から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは事務局から業績勘案率の決定方法について説明をいたします。資料は資料1-6と参考資料1を使って説明いたします。参考資料111ページですが、別添7を御覧ください。独立行政法人の役員の退職金については、平成1512月の閣議決定で、独立行政法人、特殊法人及び認可法人の役員の退職金は、在職期間に応じて算出した額に独立行政法人評価委員会が02.0の範囲で業績に応じて決定する業績勘案率を乗じた金額とすることになっております。

 本日は、本年331日付けで退職した稲垣理事に係る業績勘案率について、法人から本委員会宛てに算定の依頼があったため、次の12ページの別添8にあります本委員会で決められた独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法についてという決定方法に基づきまして、事務局で試算した業績勘案率()について御審議していただくこととしております。なお、決定した業績勘案率については後日、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に通知し、同委員会から意見が付されて、再審議が必要になった場合におかれましては、本部会において再度審議していただくこととなり、意見がない場合、あるいは意見はあったが修正意見ではなく再審議が必要ない場合については、事務局から部会長に報告し最終決定とする流れです。

 また、本議題の配布資料1-6ですが、参考資料115ページの別添9にあります厚生労働省独立行政法人評価委員会の会議の公開に関する規程の第2条第1号に該当して非公開の取扱いとなりますので、机上に配布しております資料のうち退職金見込み額等の個人情報については御発言されないようにお願いいたします。また、資料1-6については本部会終了後に回収いたしますので、持ち帰らず机上に置いたままにしてお帰りいただくようにお願いいたします。

 資料1-6に沿って説明いたします。併せて参考資料112ページにあります別添8も御覧ください。役員の退職金に係る業績勘案率については、先ほど御説明しました別添8にあります評価委員会として定めた方法に従って計算を進めていきます。まずは資料1-6の上段です。稲垣理事の在職期間ですが、平成2241日から平成26331日までの4年間となりますので、平成22年度から平成25年度までの4年間の年度評価の結果について、各年度末の評価委員会で委員の皆様に付けていただいた「S」「A」「B」「C」「D」の評価を数値化して、まずはその平均を取ります。

 評価の数値化については、参考資料1の別添8の表1にありますとおり、「S」は2.0、「A」は1.5、「B」は1.0に換算して平均値を出していきます。その過程は資料1-67ページにあります。更に参考資料1の別添8の一番下の表2にありますとおり、平均値が1.5以上の場合は1.50.511.49の場合は1.00.5以下の場合は0.5として置き換えます。今回の場合は資料1-61枚目の2(1)のとおり、平成22年度から平成24年度までが1.75、平成25年度が1.71ですので、いずれの年度も1.5という結果です。これに在職期間48か月の加重平均を算出した結果、資料1-62(2)のとおり1.5となります。

 法人の業績に基づく計算では、1.5の範囲で業績勘案率の算定は可能となりますが、1.0以上の業績勘案率を算定する場合については、参考資料113ページの中段の4の所に書いてありますとおり、当該役員の在職期間における目的積立金の状況等に照らして適切であるかを考慮することとされております。そこで、役員の在職期間における目的積立金の状況及び退職役員に係る職責事項について勘案しますと、まず、目的積立金ですが、平成22年度決算における495億円の剰余、平成25年度決算における18億円の剰余について積立金としております。

 また、職責事項については特に法人から申出はありませんが、稲垣理事については国立病院機構の理財担当理事として、業務運営の見直しや効率化による収支改善など法人及び個別病院の財務管理の安定強化に向けて尽力し、法人の業績に貢献したことなどを踏まえまして、あるいは資料1-6の最終ページにあります過去の厚生労働省所管の法人の業績勘案率の実績などと比較、考慮しまして事務局としては最終的に業績勘案率を1.1として試算しております。

 事務局からは以上ですが、続いて退職役員の在任期間中の担当職務等について、法人から説明をお願いいたします。

 

○国立病院機構総務部長

 簡単に説明いたします。別添1、資料2ページを見ていただきたいのですが、稲垣理事の略歴です。国立病院機構については、平成224月から4年間にわたって在任されております。職務内容ですが、独立行政法人国立病院機構の資金調達と施設整備に関する業務に御尽力されております。次のページの業績ですが、全体的には、これまで機構の実績について御説明いたしておりますので省かせていただきますが、別紙の真ん中、中段の少し下に「稲垣理事においては」と書いてありますが、業務運営の効率化を図りながら固定負債については先ほど来、御説明しておりますように第2期中期計画の長期借入金の1割削減をはるかに上回る21.5%を削減しております。

 再生プラン、リスタートプランの実施による経営の安定化、法人の実績に貢献されております。その中で建物整備については、国時代の建築コストの50%を抑えつつ、第2期中期目標期間中の見込み額の2,240億円に対して、86%の1,918億円の投資を実現しております。特に平成25年度におきましては、設計仕様の標準化、入札条件の緩和を行いながら急激な建築コスト上昇の影響を受けながらも効率的な整備を行っております。東日本大震災により被災した29病院について災害復旧を実施しております。

 次のページを御覧ください。医療機器についても第2期中期目標期間中の見込み額の1,130億円に対して、1,338億円の投資を実施しております。大型医療機器の共同入札は、平成22年度以降品目を拡大しておりまして、低コストで市場価格を大幅に下回る価格での購入を実現しております。平成24215日に取りまとめられました国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会における報告を受けまして、平成24年度から労働者健康福祉機構と共同入札を実施しております。

 次のページを御覧ください。医療機器の効率的な利用促進です。各病院のCTMRIも稼働率を上げており、平成20年度実績に対して平成25年度においては、198,998件稼働件数が増加しております。CTMRIの共同利用についても平成20年度実績に対して30%と大幅に増加しております。保有資産の有効活用については、平成24年度から土地及び建物の利用状況を定期的に把握して見直しを実施しております。この結果、老朽化した宿舎、建替えのための使用しない病棟の減損処理を適切に実施しております。個別病院の経営改善の状況ですが、先ほど来から御説明しているとおり、確実に経営改善を実施しておりますので、今回は御説明を省かせていただきます。

6ページですが、内部資金を活用した固定負債の改善ということで、内部資金の活用、建築コストの合理化により平成21年度末に固定負債残高5,469億円に対して、21.5%を削減しております。最後ですが、在職時に受けた役員報酬です。役員報酬への役員の業績範囲については、機構発足以来、前年度における増減率100分の100として取り扱ってきたところです。説明は以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ただいま説明がありました国立病院機構の役員の退職金に関わる業績勘案率につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

 

○亀岡委員

 よく分からないので教えてもらいたいのです。資料1-62(2)48か月×1.5という、これは何となく分かったのですが、最後の(5)の所になって過去の実績と比較したということで、数字が変更になっているのはどうしてでしょうか。御説明いただければと思います。

 

○松尾部会長

 これは別添3に過去のものがあって、今の質問は1.5だったものがどうして1.1になったのか。多分、別添3の一番後ろを見ますと、過去もそうしてきたのだと思いますが、この辺りについて説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 業績勘案率の算定に当たりましては、法人の業績、目的積立金の状況、個人の業績を総合的に勘案する形になっております。法人の業績は非常に高いという状況ですが、それに個人が貢献してきたことをどう反映するか、その上で、過去の算定状況も1つの目線になるわけですが、厚生労働省の所管の法人が20以上ある中で、現在、業績勘案率で1.0以上取れているのは国病機構と年金・健康保健福祉施設整理機構で、かなり評価されているということで、その中で一番高いのが国病機構の立ち上げから8年間にわたりリーダーシップを取ってこられた理事長の1.3です。

 さすがにここと同じというのはなかなか難しいところで、そうすると1.2以下でどのように考えていくのかです。これまで理事の方々、立ち上げ当初からいらっしゃった方々は1.2を取っておりまして、それ以降、直近では1.1で算定しており、1.11つの目線になります。そういう状況で個人の業績をどのように考えるのかということなのですが、法人の経営成績は非常にいい、最終評価の表にもありましたとおり、平成21年から平成25年までずっといい成績を取ってこられています。これに、この役員の方がどのように貢献してきたのかというと、例えば法人から説明がありました功績については、法人が過去から続けている取組もあり、当然それを継続していくという努力、あるいは新しい試みもあるのですが、1.1からもう一歩引き上げるというところまでは、事務局としては判断できる材料がないのではないかということで1.1と提案しております。

 

○松尾部会長

 どうもありがとうございました。

 

○亀岡委員

 そうすると資料1-6の表がありますね、1.751.5と書いてある。これは個人ではなくて法人の評価ですか。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。法人です。

 

○亀岡委員

 法人の評価として1.5、それに対して理事の方がどれぐらい貢献度があったかというのを勘案したら、1.5ではなくて1.1であった。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。

 

○亀岡委員

 それから、さっき言われた厚生労働省の所管で1以上あるのが2つの法人だけで、過去、最高の方がその中で1.3だったということも考えると、1.1だと。こういうことですね。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。

 

○松尾部会長

 よろしいですか。多分この法人の評価が1.5という評価に対して、考え方としては理事の方がほぼ100%これに貢献したのならば1.5になるのですね。

 

○田極部会長代理

 私は委員の中でも長く、この業績勘案率の問題を毎回毎回聞いて、いつも毎回悩むのです。先ほど政策評価官室から御説明があったように全体とのバランスを考えて、斟酌せざるを得ない部分が正直あるのかなと、1.1が妥当かというところなのです。非常に難しい判断で、過去の立ち上げの頃から関わってらっしゃった方で、4年間務めた方が1.2、直近では長い方が理事長、それからその前を除くとそれほどいらっしゃらない中で、1.2でいくかどうかで、多分皆様1.1はいいだろう、1.11.2かというところで、非常に難しい判断だなと正直思っています。これが1.15とかが許されるのであれば、恐らくそのぐらいなのかなというところで1.11.2、どの辺りが妥当かという話になるのかなと思うのです。

 

○松尾部会長

 経験豊富な田極委員から説明がございましたが、よろしいですか。複雑なようですが、大体、理解できたように思います。そのほか、もしないようでしたら修正意見はこれでないと思いますので、申請がありました国立病院機構の役員の退職金に関わる業績勘案率については原案のとおり決定することとしたいと思います。よろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○松尾部会長

 ありがとうございます。それでは最後に法人の理事長から一言、御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○国立病院機構理事長

 一言、御挨拶を申し上げます。本日は平成25年度の総合評価、第2期中期目標期間の最終評価、退職金の勘案率の決定につきまして御審議いただきまして、誠にありがとうございました。松尾部会長、起草委員をお引き受けいただきました田極委員には、評価書の作成について御尽力いただきまして誠にありがとうございます。私どもといたしましては、本日の評価結果を踏まえまして今後とも努力をしていきたいと考えております。

 国立病院機構については良い評価を頂いておりますが、今後のことを考えるといろいろな課題もたくさんあります。一番大きいのは建物の老朽化が随分進んでいまして、投資を増やしていかなくてはいけないということであります。赤字病院が少し増えたり、利益の幅が少し薄くなっているのは、大きく言えば投資を今、一生懸命やっているということでありまして、ある意味では本来の姿に近づいていると、個人的には考えております。

 前向きに考えていかないといけないのは、国立病院機構は1つの組織体として病院を運営している者としては、日本最大に近い、ほぼ最大だと思いますので、そこから出てくる診療情報を今後どのように活用するかというのは非常に大きな課題です。DPCレベルでは既にこれが実現し、更に診療情報を含めて活用できる方法を、これは自力でやっていかなくてはいけないのでなかなか大変なのですが、今後とも是非やっていきたいということと、国立病院機構の非常に大きな役割として医療関係の人材育成がありまして、個人的には国立病院機構で一生懸命育った人が、他の医療機関に引き抜かれて、そこで頑張っていくということも含めて、日本の全体の医療人のレベル向上のためにも努力していく必要があると考えている次第です。本日は非常に詳しく評価をしていただきまして、どうもありがとうございました。

 

○松尾部会長

 どうもありがとうございました。本日の議事は以上となります。事務局から今後の予定について連絡事項等をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、御審議いただきました評価書()等については、頂いた御意見などを踏まえまして起草委員、部会長、事務局で調整をして必要な見直しを行いたいと思います。その上で平成25年度の業務実績の評価結果については、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知するとともに公表いたします。後日、委員の皆様には決定版をお送りいたします。また、最終評価書()については、この後826日に予定されております総会の審議に付されることとなります。こちらも決定した評価結果については後日、委員の皆様にお送りいたします。

 なお、正委員の皆様におかれましては、826()14時から厚生労働省9階の省議室におきまして第36回独立行政法人評価委員会総会が予定されておりますので、御出席のほどよろしくお願いします。事務局からは以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。予定されていた時間よりは少し早いのですが、大変活発な議論をこの間、頂きまして心より感謝いたします。それでは、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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