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2014年7月24日 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第43回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年7月24日(木)13:26~16:17


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂7階


○出席者

松尾部会長、田極部会長代理、亀岡委員、斎藤委員、富田委員

○議事

(以下、議事録)

○松尾部会長

 ただいまから、第43回厚生労働省独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催したいと思います。今日は東京だけではなく、全国的に大変暑く、湿度も高いのですけれども、委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。中は非常に快適ですので、ゆっくりディスカッションをしていただけるかと思います。それでは本日の議事等について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 説明の前に御挨拶をさせていただきます。私は、41日付けで政策評価官室に参りました藤澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それから、711日付けで医政局国立病院課の所掌が変わり、名称が医療経営支援課に変更されました。また、同日付で課長が交替され、新しく佐藤課長が着任されました。

 

○医政局医療経営支援課長

711日付けで医療経営支援課長を拝命しました佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 それでは、本日の議事について御説明させていただきます。議事次第にお示ししてあるとおり、今日は2点です。国立病院機構の平成25年度の業務実績に係る個別評価が1点目、長期借入金の実績報告が2点目です。皆様御承知のとおりかと思いますが、参考資料1を御覧ください。一番上に書いてありますように、独立行政法人は通則法32条の規定により、各事業年度における業務の実績について、独法評価委員会の評価を受けなければならないとされております。

 厚労省の独立行政法人評価委員会においては、この評価を、各法人の中期計画等に基づき設定いただいている評価項目毎に5段階(SD)の評定を付ける「個別評価」と、業務実績全体の状況について記述による評価を行う「総合評価」とに分けて実施しております。今日、この場では「個別評価」の実施をお願いしております。その「個別評価」の具体的な進め方について、和田補佐から説明申し上げます。

 

○政策評価官室長補佐

 参考資料2という表を御覧ください。こちらの「平成25年度業務実績に係る自己評定」一覧表の一番左端に、「説明グループ区分」という欄があります。「個別評価」についてはこのグループ区分に従い、法人の評価項目をグループ毎に、業務実績・自己評定についての説明を行い、これに対する質疑応答と評定記入用紙、【資料1-4】への御記入を行っていただきます。今回であればグループが5つありますので、この作業を5回繰り返していただきます。

 なお、評定についてはSD5段階評価となっており、各委員におかれましては法人の説明を踏まえ、中期計画どおりであれば「B」、上回っていれば「A」、大幅に上回っていれば「S」、下回る場合は「C」あるいは「D」を記入していただきます。評定には原則として理由を付けていただきます。特に「計画を大幅に上回ったS」、あるいは「計画を大幅に下回ったD」の評定を付ける場合は、そのように御判断した理由を具体的に記載いただくようお願いいたします。法人におかれましても自己評定で「S」を付けた項目については、説明の際にその理由を明確に御説明いただくようお願いいたします。また、参考資料2の右側の欄には「平成25年度業務実績に係る法人の自己評定」、昨年の委員会の「評定結果」と昨年の「自己評定」を記載しておりますので、こちらは評定を付ける際の御参考としていただきますようお願いいたします。

 なお、委員の皆様方には評定記入用紙に、評定と評定理由を記入しながら議事を進めていただくことになりますが、会議時間内に記入が終わらない場合は、資料を持ち帰って御記入いただくか、本日、評定記入用紙の電子媒体をメールでお送りいたしますので、そちらに記入の上、提出いただければと思います。その場合はお忙しい中、大変恐縮ですが、729日の火曜日までに、事務局に提出していただけますようお願いいたします。

 

○松尾部会長

 それでは、議事に入りたいと思います。まず冒頭に理事長から御挨拶と、平成25年度における業務実績のポイントをお願いしたいと思います。

 

○国立病院機構理事長

 桐野でございます。委員の先生方には常々、国立病院機構に多大な御指導、御支援をいただいておりまして、心より感謝申し上げます。資料1-1に従って、平成25年度の実績を掻い摘んで御説明いたします。

 平成25年度は第二期中期計画の最終年度に当たり、着実に成果を上げることができたと考えております。資料1-1の表の一番下、「診療事業」についてです。左から2つ目の「安心・安全な医療の提供」について、病院同士での医療安全相互チェックを本格的に開始し、全国43病院において別の病院の眼で136項目をチェックするという事業を行いました。その右側の「質の高い医療の提供」については、臨床評価指標について、本部病院が協力して「PDCAサイクル」に基づく取組を実施し、結果を公表しております。なお、臨床評価指標については、診療機能分析レポートの本物を壇上に全部持って来ておりますので、たくさんになりますけれども、御覧いただければ有り難いと思います。

 裏面左上の「臨床研究事業」については、全国15の「臨床研究中核病院」の1つに名古屋医療センターが選定され、国立病院機構全体で推進する体制を構築いたしました。上段の中ほどの「教育研修事業」については、高度な看護実践能力を持ち、スキルミックスによるチーム医療を提供できる診療看護師(JNP)の育成を行っており、平成25年度には28名が14病院で活動しております。また、医師の人材育成の観点から、新たにNHOフェローシップ、若手医師フォーラム、トップマネジメント研修といった取組を開始しております。

 一番下の段ですが、経営状況について、ごく概略を説明いたします。法人全体の経常収支は317億円、経常収支率は103.5%となり、引き続き中期計画における目標値を上回る水準を維持しております。機構発足時に約7,600億円あった長期借入金は、4,300億円を下回る水準まで減少し、中期計画を達成しております。

 最後に全体的なことについて、一言申し上げます。平成30年度までに耐用年数を経過する老朽建物が多数存在しており、これらを比較的短期間で建て替えることが必要な状況です。このため、医療の提供と業務効率化により生み出した成果を再投資することで、患者にとってクリーンで快適な療養環境を、早急に整備してまいりたいと考えております。また、国立病院機構のネットワークを活用して集められた診療情報等を分析・研究するための取組に力を入れ、これまで以上に我が国の医療水準の向上に貢献できる法人となることを目指していきたいと考えております。

 

○松尾部会長

 それでは今から5つのグループ毎に、国立病院機構の「個別評価」を行っていきたいと思います。まず、グループ1です。評価項目14について評価をいたします。所要時間は法人の説明が20分、質疑と評定の記入に20分、合計40分です。それでは法人から、「平成25年度の業務実績」と「自己評定」について、説明をお願いしたいと思います。

 

○国立病院機構病院支援部長

 それでは資料1-3を御参照ください。まずグループ1-(1)、診療事業1149ページまでの業務実績について御説明いたします。最初に1ページの(1)、「患者の目線に立った医療の提供、分かりやすい説明と相談しやすい環境づくり」です。患者の満足度調査を平成16年度から実施しており、平成25年度も本音を引き出しやすいネガティブな設問形式を用いて、プライバシーに配慮して実施しております。結果として「総合評価」を初め、分かりやすい説明、相談しやすい環境づくりについて、入院・外来ともに前年度平均値を上回る結果となりました。

2ページを御覧ください。そこに機構全体の数値を記載しております。各病院ではそれぞれの調査結果を踏まえた取組を進め、特に前年度平均値の低かった病院において、多くの病院で改善が進んでいるところです。例えばクリティカルパスの積極的な活用や、3ページにありますように、患者家族を対象とした勉強会、相談会も実施しているほか、図書コーナー、情報室の設置も更に進めております。また、全ての病院で職員に対し、説明コミュニケーションの研修を実施しております。更に4ページにありますように、医療ソーシャルワーカーについても、平成25年度は44名の増員を行いました。

5ページを御覧ください。2の「セカンドオピニオン」についてです。平成25年度は全143病院においてセカンドオピニオン窓口を設置し、中期計画を達成することができました。設置病院においては制度充実の工夫を行い、セカンドオピニオンの提供者、情報提供書の作成数ともに増加しております。

6ページを御覧ください。3の「患者の価値観の尊重」です。患者の利便性を考慮した結果、「多様な診療時間の設定」「待ち時間対策」のいずれについても、患者満足度調査で改善が見られました。待ち時間対策では7ページにありますように、インターネット予約やスタッフの配置を含む取組を行った結果、特に前年度の平均値が低かった多くの病院で改善が見られております。また、8ページにありますように、「個別診療報酬の算定項目の分かる明細書の発行」についても、平成25年度末までに全143病院が全患者に対して対応することができ、中期計画を達成いたしました。

 そのほかに9ページの最後の記載にありますように、新たに3病院が助産師外来を開設し、妊産婦、家族のニーズに合わせたお産や育児の支援を充実させております。

10ページが「自己評定」です。患者満足度調査について各病院が結果を分析し、様々な改善を図った結果、「総合評価」を初めとする入院外来の項目で前年度平均値を上回り、着実に満足度の向上を果たしております。MSWの増員を更に進めたほか、クリティカルパスの実施数の増加、セカンドオピニオン窓口の全病院への設置、あるいは診療時間の設定、待ち時間対策の工夫など、患者ニーズに対し、きめ細かい対応を進めたところです。以上の取組などを踏まえ、評定「A」を計上しております。

 引き続き12ページを御覧ください。(2)の「安全な医療の提供、医療倫理の確立」です。病院内の相談窓口の個室化のほか、建替を行った病院では、プライバシーに配慮した外来ブースの設置、面談室の増設などを行い、患者満足度調査においてもプライバシーの配慮に関わる満足度が、入院・外来ともに前年度を上回る水準を維持することができました。カルテ開示請求については、開示することが治療の妨げになるなどのケースを除き、全て開示を行っております。

13ページ、「倫理の遵守」についてです。全ての病院に設置している倫理審査委員会の審査件数は前年を上回り、活発に活動しております。更に倫理委員会、治験委員会の委員を対象とした研修会を開催し、倫理的な問題についても医療従事者へ助言することのできる体制の基礎となる人材養成に努め、受講人数も増加しております。また審議内容については、本部に設置している臨床研究中央倫理審査委員会、中央治験審査委員会と同様に、各病院においてもホームページに掲載するなどして公開しております。

15ページは医療安全対策の充実に関してです。2.「病院間相互チェック」は、3つの病院同士で相互に訪問し合い、チェックをすることで医療安全対策の質の標準化・向上を図るものですが、平成25年度はこれまでの試行実績を基に、病院間における医療安全相互チェック実施要綱の発出と、全国43病院で本格的に相互チェック体制をスタートさせました。この相互チェックを通じて、病院間で医療安全に関する情報交換、意見交換が活発に行われ、国立病院機構全体の医療安全対策の向上のため、来年度以降も引き続き実施していく予定です。

16ページの「院内感染防止」についてを御覧ください。全病院で院内サーベイランスを実施しており、院内感染対策チームなどによる院内ラウンドも行っております。また、感染管理認定看護師を配置している病院数、人数ともに増加し、院内感染防止体制を強化しております。

 「4.医療事故等の報告」については、日本医療機能評価機構が行う医療事故情報収集事業に積極的に協力するとともに、17ページに掲載しましたように、国立病院機構においても「警鐘的な事例」について、発生原因や再発防止策を含めた事故の情報を、医療安全白書として公表し、我が国の医療安全対策の充実に資する取組を引き続き行っております。また、長期療養患者の使用する人工呼吸器については、医療安全の観点から機種選定のための基本7要件を通知しております。これを基に各病院において、要件に該当する機種を選定し、標準化が更に進んでおります。

18ページが「転倒・転落事故防止」についてです。アセスメントシートの改良の研究を行うなど、平成20年度から2年間プロジェクトを行っておりましたが、この終了後も取組を継続し、平成25年度では延べ入院患者数に対する転倒・転落の発生率は、前年度より減少しました。

19ページを御覧ください。医療安全に係る委員会開催や研修も、引き続き実施しているところです。

20ページが「自己評定」です。医療倫理についてはプライバシーに配慮した取組を進めるとともに、全病院に設置された倫理審査委員会などが外部に情報公開をしながら活動しております。医療安全については病院間相互チェックを本格的に開始し、全国43病院で本格実施に入っております。医療安全対策の標準化の取組を進めるとともに、感染管理、認定看護師の配置増員、研修を通じた対策の質の向上、更には我が国の医療安全対策の充実に貢献すべく、積極的な情報発信を行っております。以上の取組を踏まえ、評定「A」を計上しております。

23ページを御覧ください。「質の高い医療の提供」です。1の「クリティカルパスの活用」については2ページでも触れましたが、クリティカルパスの普及が更に進み、実施件数は288,404件となり、平成20年度に比べて18.3%増加しております。地域連携クリティカルパスについても実施病院数、実施件数ともに増加いたしました。

24ページが「EBMの推進」です。エビデンスに基づく更なる医療の質の向上を目指し、引き続き「診療情報データバンク」により全病院を対象に、70項目の臨床評価指標を作成し公表しております。現在、70指標の計測・分析が3年目を迎えておりますので、病院間でのベンチマーク、改善傾向を明示するために、ヒストグラムなどの表示方法を工夫しております。これにより、各病院の臨床現場で使いやすい形態に改善しております。なお、国立病院機構以外の医療機関でも同様の指標を作成し、ベンチマークあるいは経年比較ができるように、計測マニュアルを最新のものに改訂し、本年度も公表しております。

 更に昨年度から開始した臨床評価指標を用いた医療の質改善「PDCAサイクル」の取組についてです。先行実施を急性期2病院で行っておりましたが、平成25年度は重症心身障害者などのセーフティネット系の医療を中心とする3病院を、新たにモデル病院として追加いたしました。この取組では本部と各病院の医療の質改善チームが協同し、分析改善に向けた活動を通じて、国立病院機構全体の医療の質の向上につなげるノウハウの蓄積を行っております。

25ページの「EBM推進のための大規模臨床研究」については、関連学会などで成果の公表を行うとともに、平成25年度は新たに1課題を採択し、医学的根拠を臨床に反映させるよう着実に推進しております。

26ページの「長期療養者をはじめとする患者のQOL(生活の質)の向上」では、ボランティアを積極的に受け入れ、重症心身障害者患者などの日常生活支援、行事の支援などを行っており、患者のQOL向上に寄与しております。また、在宅療養支援では重症心身障害者などの通園事業を実施しているほか、在宅の重症難病患者の入院受入れを通じて、都道府県の重症難病患者入院施設確保事業について、多くの病院が拠点病院、協力病院としての役割などを担うなど、難病医療体制の充実に積極的に協力しております。更に療養介助職を1,154名に増員し、介護サービスを充実させるとともに、平成25年度は新たに介護の視点から、より質の高い患者サービスを実現していくための療養介助専門員の導入に向けた検討も行っております。また、各病院の看護師、療養介助職、児童指導員を対象とした療養介護サービス研修を実施し、技術の向上を図りました。

27ページの老朽化した病棟については、平成25年度末で37病院が完成、16病院が工事中、18病院が設計中など、耐震化と療養環境の改善に積極的に取り組んでいるところです。

29ページが「職種間の協働、チーム医療の推進」です。チーム医療の推進のための取組として各病院でNSTICTなどの多職種による協働チームや病棟薬剤師、診療看護師、専門・認定看護師の配置を進めているほか、平成21年度より開始したチーム医療推進のための研修は、【栄養サポートチーム】【がん化学療法】【輸血】の3つの分野において、複数の職種が合同で必要な知識と職種間連携業務の修得を図っております。

31ページが「自己評定」です。平成25年度は全143病院を対象とした臨床評価指標の計測を続けるとともに、結果の公表を行っております。更に臨床評価指標を用いた医療の質改善の「PDCAサイクル」の取組については、モデル病院を増やし、更に推進し、我が国の医療の標準化に貢献する試みを続けております。クリティカルパスは実施件数が更に増加し、中期計画の目標を大きく上回る達成状況にあります。長期療養患者のQOL向上に関しては、療養介助専門員の業務内容の検討、研修の実施による質の確保、老朽化した病棟整備を進めております。チーム医療の研修も、他職種間の協働を推進しております。以上の取組などを踏まえ、評定「S」を計上させていただいております。

34ページが「個別病院に期待される機能の発揮など」です。地域医療の貢献は、地域連携クリティカルパスを実施している病院数、実施件数ともに増加しております。更に紹介率も着実に増加し、平成25年度には新たに5病院が地域医療支援病院として指定されるなど、地域医療機関との連携が一層進展しております。平成25年度からの新たな都道府県医療計画においても、多くの病院がそれぞれの機能に応じて、実施医療機関として記載されております。特に平成25年度は新たに基幹災害拠点病院、地域災害拠点病院に合わせて3つの病院が指定を受けております。

35ページを御覧ください。5.「東日本大震災の経験を踏まえた災害対策の対応」についてです。防災業務計画を改正し、昨年度から「初動医療班研修」を開催しておりますが、これに本部職員も参加し、現地における連携のシミュレーションを実施しております。

36ページの「国際緊急援助隊医療チームへの参加」については、台風被害を受けたフィリピンにおいて職員が参加し、チームの一員として活躍しております。また、平成2510月に大阪医療センターにDMAT事務局が設置され、首都直下型地震等の国の災害対応体制の充実にも貢献しております。

37ページでは災害医療に関する各種研修について記載させていただいております。

38ページは平成254月に施行された新型インフルエンザ等の特別措置法において、国立病院機構が指定公共機関に指定されたことから、平成261月に「国立病院機構新型インフルエンザ等対策に関する業務計画」を作成するとともに、全病院において業務継続計画を作成しております。

 救急の患者受入数は前年度よりも減少しておりますが、救急受診後の入院患者数は増加しております。また、より重症度の高い救急患者を表す救急車による入院患者数は増加し、受入後の入院患者数も増加しております。

41ページが「政策医療の適切な実施」です。重症心身障害者医療については全国の病床の約4割を占めており、26ページで示しましたように、在宅療養支援のための通園事業やNICUの後方病床として、患者の受入れを引き続き行っております。

42ページが「心神喪失者等医療観察法に基づく医療の実施」についてです。制度発足時より主体的な役割を担っており、全国の半数以上の病床を運用しております。医療観察法関連職種研修会の実施や、新たに医療観察法病棟を立ち上げる病院に対する研修・指導など、国立病院機構が中心的な役割を担っております。

43ページの認知症に関しては、8病院が認知症疾患医療センターに指定され、地域に貢献しております。更に結核医療においては国立病院機構の病院が、ほとんどの都道府県で結核の入院医療機関として指定されており、中でも多剤耐性結核などの難易度の高い患者の診療を担うことで、地域の結核医療の最終拠点となっております。

45ページの「重点施策の受け皿となるモデル事業」においては、平成22年度より東京医療保健大学と連携し、救急などのクリティカル領域における「診療看護師(JNP)」の育成に、引き続き取り組んでおります。平成25年度は診療の補助における特定行為に係る医師の指示に基づくプロトコール試行事業に、国立病院機構の3病院が指定を受け実施しております。

46ページの「後発医薬品の利用促進」では、国の目標値を超える水準となっており、平成254月に示された新たな目標の達成に向けて、引き続き取組を行っているところです。

47ページが「自己評定」です。改正防災業務計画に基づく体制整備、研修の実施など、より効果的な災害対応体制を充実させました。更に地域クリティカルパス件数、地域医療支援病院数、紹介率、地域医療に関する委員会などの参加病院数、地域の各拠点病院に指定された病院数も、いずれも更に増加しており、地域医療の中で積極的に求められる役割を果たしております。更に、ほかの設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療観察法病床の53.2%、筋ジストロフィー病床の96.5%、重心病床の37.6%、結核病床の37%を国立病院機構の病院が占めており、引き続きセーフティネットとしての機能を担っております。チーム医療の推進に関しても、看護師の特定行為のプロトコール試行事業、後発医薬品の利用促進など、国の重要施策の受け皿となる事業に率先して取り組んでおります。以上の取組などを踏まえ、評定「S」を計上させていただいております。グループ1の説明は以上です。

 

○松尾部会長

 委員の皆様におかれましては評定記入用紙の評価項目、14に評定結果及び評定理由の記入をしながら、御質問等がございましたら、適宜御発言を頂きたいと思います。

 

○田極部会長代理

43ページの「認知症疾患への対応」で、認知症疾患医療センター指定病院が8病院になったということは、非常に努力された結果だと思いますし、大変評価すべきことだと思います。この中で関係者への研修等を行っているということで、「117名が参加し」とあるのですけれども、この117名というのは地域医療従事者でしょうか。それとも国立病院機構の職員でしょうか。その辺りを教えていただければと思います。

 

○国立病院機構病院支援部長

 地域の関係者が主体で、地域医療に向けて認知症の部分も貢献しようということです。

 

○田極部会長代理

 早期の認知症の発見と言いますか、鑑別診断につなげるまでの早期の発見は非常に重要なことなので、こういった取組はどんどん、これからも積極的にやっていただけるといいかと思います。

 

○国立病院機構病院支援部長

 職種も看護が主体ではありますが、そのほかにもケアマネージャーであったり、理学療法士であったり、作業療法の方であったりいろいろな職種の方も参加されているので、そういう意味では偏りなく参加されております。

 

○田極部会長代理

 今、1か所の医療機関で研修をされて、平成25年度は117名ということですが、今後も地域医療従事者に対して、こういった研修をやる予定はあるのでしょうか。

 

○国立病院機構病院支援部長

 我々のミッションとしての地域医療というものがはっきり出てきております。もちろん認知症の研修もそういう方向性で進めるのですが、実はほかの領域においても、地域の先生方や地域包括医療センター等の研修も積極的にやろうということで、今動いております。ですから自病院だけでできるものではないということを基本に考えて、地域の医療機関あるいはスタッフを含めた啓蒙や研修が取り組まれているところです。認知症に関しては今言われた数字が、平成25年度の実績として出ているものです。

 

○松尾部会長

 ほかにいかがですか。

○斎藤委員

 全般的に全て改善なさっていて、この改善を継続するというのは大変なことだと思うのです。そのモチベーションをどうやって維持していらっしゃるのか、それを伺いたいと思いました。特に19ページの御説明で、研修の受講者が平成25年度は52%アップです。通常の努力でしたら、なかなか達成できないことをやっていらっしゃいます。素晴らしいなと思ったのですけれども、その辺りはどういう御努力、あるいは御苦労をなさったのか、もう少し教えていただけたらと思います。

 

○国立病院機構病院支援部長

 個別的なことは難しいので、全般的なお話になる部分もあるのですが、医療系の場合、参加される方はかなり看護が多いとか、職種毎に差が出やすいということがあります。そこで、参加した後は当然チェックもしますから、参加者が増えるように、各部署で周知をします。もう1つはチェックをする中で、研修回数を何回かに分けるという形で、勤務状況によっても参加しやすいような工夫をするとか、医療系においてはそれなりの方法があって、各病院とも取り組まれていると思います。それから、ここには書いていないわけですけれども、ビデオを撮って、DVDに落としたものを見るという方法も、医療系においては行われていることではあります。また、病院においてはいわゆる交替制を採っている職種も多く、全職種が一度に参加するのはなかなか難しい環境にあることは事実です。

 

○富田委員

42ページの精神科医療のことです。病院数も減らず、むしろベッド数も増えているように見えるのです。一般に「総合病院」と言われる所では、精神科病棟は不採算なのでどこも減らす傾向にあるにもかわらずこの5年間減らさずにいるのは、本当に素晴らしいと思うのです。この病棟は、いわゆる総合病院にある精神科病棟の数ですか。それとも精神科病院なのでしょうか。

 

○国立病院機構病院支援部長

42ページにベッド数が書いてあるのは、医療観察法の病床です。法律を犯した方の中で精神疾患であることが判明し、治療が必要な方のためにつくられた病床ですので、これ自体は国の計画があって推進しておりますから維持されておりますし、それなりの仕組みが作られております。ただ、先生が御質問されたのは、精神科全体の病床のお話も含まれていると思います。そちらに関しては当方も、精神科領域においても地域に帰すという形が非常に進んでおりますので、精神科病棟そのものは減っている傾向にあります。ここに書いてある数字はそれとは別に、医療観察法ですので維持できているという形になります。

 

○富田委員

 では、救命センターで精神科病棟を持っていらっしゃる病院は幾つぐらいあるのですか。むしろ高度救急には精神科病棟は必須であるというように、国も大きく方針を出しましたので。

 

○国立病院機構病院支援部長

 実数は今確認します。実際に我々の所でも、救急病院においての精神科病床は非常に重要になっていますし、精神科病床のない所でも精神科医のいる所はかなり増えております。当然、救急で来られる方の中で精神科の合併症を持った方は非常に増えておりますから、ベッド数は増えないのですが、そこは精神科に対応できるところを積極的に増やそうと思っています。ただ、問題は精神科医を総合病院で確保するのが非常に難しいので、目指してはいますが、実質うまく増えているかというと、かなり厳しい状況ではあります。救命救急センターで精神科病床を持っているのは、我々のところでは8か所です。

 

○富田委員

 実は私、ほかの病院グループも調べたのです。救命救急センターを持っている病院で精神科病棟を持っている病院グループは、やはり少ないのです。国立病院機構は多いと思いますので、先見の明があると思います。

 

○松尾部会長

 では、私のほうから医療安全と感染対策の2つについてお伺いしたいと思います。この間、両分野ともシステムの整備を進めてこられていることがよく分かりました。その結果、医療安全ですとヒヤリハットも含めた医療事故などの報告ですが、よく問題にされるのは、医師からの報告は非常に重症例が多く、深刻なものが多いということで、医師からの報告がどれぐらい増えるかというのは、医療安全には結構関係するわけです。こういう取組をされた結果、ドクターからのそういう報告が増えたのかどうか。また、医療安全に関しては病院毎に大分レベルの差があるかもしれないので、その辺りのところです。

2つ目の感染については、こういう例があったら教えていただきたいのです。深刻なアウトブレイクなどがあったときに、機構全体でどういうように対応されているかということです。この2つをお聞きしたいのです。

 

○国立病院機構病院支援部長

 最初の医療安全に関しては、医師の報告に関しては、どこの組織でも非常に問題になることです。やはり一番圧倒的に多いのは、看護からのヒヤリハット、あるいは事故の報告です。うちでも医師からできるだけ出す方向ではやっていますが、具体的に増えたという効果は、医師に関してはまだ余り出ておりません。病院間のばらつきは本部で取りまとめているので分かるのですが、かなり大きい所があります。たくさん出てくる病院もあれば、かなり頑張っていらっしゃるのに思ったより報告数が少ない所もあって、それぞれフィードバックとしてお返ししています。問題なのは、必ずしも発生が全て報告と11になるわけではないので。そういう意味では報告が多いからその病院で事故が多いと必ずしも言えないので、やはり内容などをできるだけ精査して、警鐘的事例等でフィードバックするようにしております。

 感染に関してですが、アウトブレイクは当然公表というか、発表もされ、メディアにも出していますので、我々の所でも何件か、アウトブレイクを経験しております。その部分に関しては発生が確認され、病院が対応を始めると同時に、本部へも報告が来て、ブロックも同じように情報共有が行われるというか、共有されるような仕組みになっております。大阪医療センターで最近起こった例では、大阪大学あるいは感染症研究所等、それなりの機関と同時にタイアップし、入っていただきながら対応するという形で行っております。もう1つは、本部から必ず通知として全病院に対してお知らせするという形で、アウトブレイク自体を隠すのではなく、共有することによって次なるアウトブレイクの発生を防ぐという仕組みになっております。

 

○松尾部会長

 医療安全については多分、1件事故が起こると医師、看護師、その他いろいろな人が報告をすると全部1件に数えられるので、私はむしろ件数は多いほうがいいのではないかと思います。そういうものが出てきたときにどういうようにレビューをして、どういうように迅速に対応するかというシステムです。これは作られていると思うのですが、今後はそういったところも努力していただければと思います。ほかにいかがですか。

 

○亀岡委員

39ページの15.「地域のニーズに応じた救急医療体制の強化」の(3)重症心身障害児に対するNICUの後方支援病床についてです。昨年に比べて12病院から16病院に上がって、人数が著しく上昇しているということで、大変素晴らしいと思っているのですけれども、もともと受け入れる許容ということを考えたときに、増えているからいいと言っていいのか、それとも今後、更にもっともっと増やす幅があるのかどうか。この辺の評価はどうお考えでしょうか。

 

○国立病院機構病院支援部長

 大幅に増えた所ですが、これは単位が人日ですので、11人の人数ではないので、大きく見えるところがあるということは、まず最初にお断りしておきます。ただ、増加していることは事実です。

 実はNICUの後方支援としては、当然NICU自体に重症のまま残ったり、後方支援に行くべき人が残ったりすることによって、NICUの機能が落ちてしまうという問題が今あります。実際にニーズはたくさんあるはずです。ただ、我々の所でも重心病床とか、NICUにおいて管理が必要な方をいろいろな所で受けるので、一定のレベルまでであればある程度、例えばレスピレーターが付いているだけであればすぐに受けられるのですけれども、そのほかの合併症があったり、いろいろな管理が必要なときには受けられないというか、受けるまでの能力が当方の施設にまだ十分でないケースがあります。あるいは患者さん自身が重症すぎるというケースもあります。今はニーズに対して受けられるほうがまだ少ない状況ですので、そういう意味ではニーズ自体はもっとあると考えられ、できるだけ対応できるように、こちらとしても医師の数、医療レベルと器材、あるいは建物の設備の問題など、いろいろなもので少しずつ改善する努力をしている現状だと思います。

 

○松尾部会長

 ほかにはよろしいですか。ないようでしたら、お手元の記入用紙に評価を記入いただきたいと思います。

(評価シート記入中)

 

○松尾部会長

 続いてグループ2にいきたいと思います。グループ2は、評価項目の57について評価をいたします。所要時間は法人の説明が15分、質疑と評定の記入に15分程度、合計30分程度で行いたいと思います。それでは、法人から「平成25年度の業務実績」と「自己評定」について説明をお願いします。

 

○国立病院機構病院支援部長

 グループ25099ページまでの業務実績について説明いたします。50ページの2は、「臨床研究事業」です。1一般臨床に役立つ独自の臨床研究の推進、EBM推進研究事業について、国立病院機構の全国的なネットワークと豊富な症例数を活かして、大規模な臨床研究を推進しております。平成21年度までに選定した23課題は、全て患者登録を終了しております。得られた成果も国内外の学会誌に発表するとともに、平成22年度から平成24年度に採択した課題については現在、患者登録が進捗しております。平成25年度には新たに1課題を選定しております。研究により得られた成果については、論文投稿や学会発表により情報発信を行っております。

52ページは、我が国の政策決定に寄与する大規模臨床研究の実施として「沈降インフルエンザワクチン」に関する研究を行い、国のワクチンの備蓄方針決定に不可欠な情報収集を実施いたしました。55ページは、政策医療ネットワークを活かした臨床研究の推進です。国が実施する臨床研究中核病院整備事業において、名古屋医療センターが選定され、名古屋医療センターに「臨床研究事業部」を創設するとともに、「臨床研究中核病院事業運営委員会」「臨床研究企画調整委員会」を設置し、国立病院機構全体で一体的に取り組んでいくための体制を構築いたしました。

 ネットワークを活かした研究体制については、研究分野ごとに各病院の実績を点数化し、高い実績を有する病院を主たるメンバーとする研究ネットワークグループを形成しております。各病院内の臨床研究組織の研究活動実績の総ポイント数は前年度よりさらに増加し、国際学会発表数などの情報発信の件数は、前年をさらに上回りました。56ページは、EBM推進のための診療情報分析です。総合研究センターの診療情報分析部において、レセプトデータ、DPCデータなどの診療情報の収集、分析を行うシステム、診療情報データバンクにより収集した各病院のデータを活用し、臨床評価指標を作成、測定、公表しております。

 更に平成24年度から開始したPDCAサイクルに基づく医療の質の改善の取組については、セーフティネット系の医療を中心とする3病院も新たに加え5病院で実施し、その結果を公表しております。57ページは、診療機能分析レポートです。先ほど理事長がお示しされましたように診療機能分析レポートを昨年度に引き続き全病院を対象として、病院特性の評価とそれぞれの地域における役割機能などをソフト分析などにより可視化して示しております。更に抗菌薬、血液製剤の適正使用なども診療レセプトデータ分析を行っております。平成25年度の作成に当たっては、病院の意見もヒアリング等で取り入れ、診療内容のより詳細な分析、外来に関わる分析の充実、3年分のデータの経年変化を新たに導入いたしました。更に多角的視点で分析を行い結果はベンチマークをできるように、診療情報分析レポートとしてまとめて全病院にフィードバックをしております。

59ページは、治験の推進です。国が策定した「新たな治験活性化5カ年計画」を受け、治験コストの適正化のための治験管理システムの再構築、治験の人材確保育成のための研修会の実施。更には治験実施体制整備の一環として中央治験審査委員会での審議による治験依頼者と治験実施施設の業務の効率化等が図れるよう努めております。

60ページは、常勤の治験コーディネーター配置人数はさらに増加いたしました。また、治験に関係する研修会を延べ350人以上に実施し、その内容には国際共同治験に必要な知識、能力の習得も含んでおります。61ページは、治験に関するパンフレットを改訂し病院に配付し、広く治験の普及、啓発を進めております。平成25年度の治験実績は4,207例となり、平成20年度比1%減でした。第2期中期目標期間中の年間平均症例数は4,469例で、平成20年度比5%増となっております。

 医師が自ら主導する治験については、平成22年度に開始したパーキンソン病に合併する精神症状に対する治験薬の多施設共同治験で、順調に症例登録を行い投与を開始して追跡調査を行っております。また、糖尿病性腎症の進展阻止のための抗血小板薬については、症例登録が終わり現在モニタリング結果を踏まえてデータのクリーニングを行っております。

63ページは、高度・先進医療技術の臨床導入の推進です。理化学研究所が保有する高度先端医療技術を国立病院機構において臨床応用するという連携協力の推進に関する基本協定を締結しておりますが、この協定に基づいてNKT細胞を活性化する肺がん治療の開発のため細胞培養施設を整備し、症例登録を開始しております。本研究については、平成263月に先進医療Bへの申請をしております。高度先進医療技術の臨床導入の推進、職務発明の権利化の推進についても積極的に取り組んでおります。

65ページは、研究倫理の確立です。研究倫理については各病院の倫理審査委員会及び治験審査委員会、本部の臨床研究、中央倫理審査委員会、中央治験審査委員会が活発に活動し外部への情報発信に努めております。

67ページは、「自己評定」です。理化学研究所との協定に基づき本研究の要となる細胞培養施設を整備するとともに症例登録を開始しており、先進医療へ申請しております。また、臨床研究中核病院として名古屋医療センターが選定され、国立病院機構として一体的に取り組んでいくための体制も整備しております。新型インフルエンザワクチンの研究で国のワクチン政策決定に必要なエビデンスを提供したほか、質の高い治験を効率的に実施する取組を進めつつ、医師主導の治験を進捗させております。

 また、全143病院を対象とした診療情報の分析を進め、診療情報分析レポート、臨床評価指標等の成果を公表し、医療の質向上に取り組んでおります。以上の取組などを踏まえ評定「S」を計上しております。

72ページは、教育研修事業です。質の高い医師の育成においては平成25年度は初期臨床研修医676名、協力型を含めますと725名を受け入れました。機構独自の後期臨床研修制度である専修医制度においては、新たに25コース44プログラムを制定、充実を図っております。平成25年度は3年コース72名、5年コース21名の専修医の修了認定も行うことができました。

73ページは、研修医、専修医を対象にして平成22年度より開始をした「良質な医師を育てる研修」についてです。内容回数ともに充実を図り一般急性期医療のみならず、神経難病などのセーフティネット分野についても機構病院の多くの指導医が参加し、知識、技術の修得に加え医師として在るべき姿を学ぶ機会を設け、全人的な医療を推進できる医師の育成に努めております。特に平成25年度は総合内科を持った病院のネットワークを構築し、懸案であった総合内科診療をターゲットとした研修を新たに開始することができました。

 また、キャリアパスの構築の観点から若手医師だけでなく、医師を中心とした中間管理職クラスのリーダー育成研修を平成23年度から進め、延べ60名の医師、36名の看護師、36名の事務職が参加し、その中から着実に病院幹部が育ってきています。更に、平成25年度より新たに就任後3年以上の院長を対象とした病院経営における運営能力、管理能力のさらなる向上と充実を図るための「トップマネジメント研修」も開始しております。

74ページは、初期臨床研修において急性期の病院のみならず、結核、精神、障害者医療などセーフティネット分野の研修も機構病院の強みを活かした連携プログラムを組み込んでおり、幅広い能力を有する医師を育成することに努めております。特に平成25年度からは、機構ネットワークを活用した国内留学制度であります連携プログラムにNHOフェローシップという名前を付けました。資料1-5326ページの『NHO NEW WAVE』の資料も御参考にいただければと思うのですが、実際に運用を開始しまして、既に3名の若手医師が成育医療、小児アレルギー、神経難病の先進病院で学んでおりますし、また、3名が現在登録され準備を行っております。

 更に、海外留学制度は平成25年度に10名が海外の米国VAホスピタルに短期研修として留学いたしました。また、多くの若手医師に海外の臨床を学んでもらうために、平成22年度からは留学受入先から臨床教授を招聘し、平成25年度は4病院において臨床、講義、教育回診などを通じて、米国流のEBMに基づく診断法、治療決定のプロセスを学びました。このプログラムが一昨年は10病院だった所が4病院に減っておりますが、平成25年度から新たに若手医師が研究の発表等ができる場所を若手医師フォーラムとして、国立病院総合医学会に開設いたしました。

 全国の病院から若い医師が45演題登録されまして、その中から6演題を優秀演題として選びました。6演題に関しては、米国の臨床教授も参加したシンポジウム形式の発表会場において英語で発表していただき、ディスカッションも全て英語で行うという形で情報の共有も行われるようになりました。これがありますので、実際に行っていただく病院が4病院に減ったという経緯があります。

75ページは、「地域医療再生計画等に基づいた地域との連携による人材育成」についてです。平成25年度は新たに九州大学に開設された寄付講座から指宿医療センターに産婦人科医師が派遣されることになり、地域の周産期医療の確保に貢献しております。76ページは質の高い看護師などの育成です。附属看護師養成所の教員の質の向上を図るため、研究活動を奨励することを目的とした研究費の助成を実施しております。更に、学会への積極的な参加も推進しております。平成224月に開設した東京医療保健大学との連携による新構想看護学部、大学院では、全国に先駆けてクリティカル領域の診療看護師(JNP)の養成を大学院で行っております。機構の医師が臨床教授として指導するほか、平成25年度は機構の複数の病院で実習を受け入れました。

 平成263月には第3期生が課程を終了し、所属病院で活躍しております。附属看護学校については77ページの中段に記載しましたように、第三者評価を参考にカリキュラムの充実を図っており、看護教育の質の向上に努めております。また、78ページ下段に記載しましたように、看護師の国家試験合格率は98.9%と全国平均を上回る高い実績を上げております。

79ページは、医師のキャリアパス制度の構築です。キャリア支援のために平成22年度より医師キャリア支援検討委員会、その下部組織の研修指導責任者部会を開設しており、継続的に医師の育成、キャリア支援、処遇等の課題について対策の検討を行い改善を図っております。80ページは、様々な医師の育成キャリア支援の取組を周知し、活用していただく目的で先ほども示しました研修医や専修医など若手医師を対象にした情報誌、『NHO NEW WAVE』の企画発行を行っており情報の発信をしております。81ページは、看護師のキャリアパス制度の充実については、専任の教育担当看護師長ですが、配置病院が前年度より4病院増えて103病院になったほか、専門看護師、認定看護師の配置病院数も増加しており、配置数は94名増の686名となりました。

82ページは、2.「キャリアパスに基づく研修の実施」です。管理、退院調整、医療安全など看護師を対象とした様々な研修を継続的に行い看護師のキャリアパスの支援に努めております。84ページは、「医療従事者研修の充実」です。医療において重要になってきている診療情報の質の向上を図るため、IT化の進む診療情報管理士を対象とした診療情報分析研修を平成24年度から推進し、平成25年度は67名が参加し研修の内容も質の向上、標準化を目標に見直し改良を進めております。多様な医療関係職種を対象とした研修では、平成21年度から新たにチーム医療推進のための研修を開始しております。職種ごとではなく職種を横断的に専門知識の修得を進めております。平成25年度は、栄養サポートチームの研修は59名、がん化学療法研修は145名、輸血研修は133名が参加しチーム医療の要となる人材育成を行いました。

 また、質の高い治験を推進するCRCの研修では、初級CRCについては国立病院機構以外の病院からも参加を受け入れ、我が国の治験活性化に貢献しております。86ページは、地域医療に貢献する研修事業です。地域の医療従事者を対象とした研究会や一般向け講習会などを地域のニーズを踏まえ活発に開催した結果、平成20年度に対して15%増とした中期計画の目標を上回る55.3%の増加となっております。

87ページは、「自己評定」です。良質な医師の育成については、機構の指導医ネットワークを活用したテーマ別の実地研修を更に充実させ、新たにトップマネジメントセミナー、あるいは各自治体、大学との連携による寄付講座の設置、更には、若手医師を対象とした国内留学制度であるNHOフェローシップを開設、実施するなど医師のキャリア支援を行っております。

 また、治験推進の核となる人材育成や看護においては東京医療保健大学と連携した看護学部、大学院の開設により特に大学院では全国に先駆けてクリティカル領域の診療看護師の養成に取り組んでおります。また、地域の医療従事者を対象とした研究会なども開催件数が大幅に増加しており、以上の取組などを踏まえ評定「S」を計上しております。

91ページは、総合的事項です。個別病院ごとの総合的な検証・改善など本部においては個別病院ごとの政策医療に係る機能、地域医療事情、経営状況について総合的に検証を実施し、その結果は平成243月に開催された第36回独立行政法人評価委員会国立病院部会において説明いたしましたとおり公表しております。労災病院との関係においては、平成23年度に国立病院、労災病院の在り方検討会が設置され報告書がまとめられたところですが、本部及び病院レベルでそれぞれ連携を進めております。

92ページは、「エイズへの取組推進」です。エイズについての取組では、全国8ブロック中4つのブロックでブロック拠点病院に指定されている国立病院機構の病院が、全科対応による診療と臨床研究、HIVに係る医療従事者の育成を実施しております。各都道府県のエイズ中核病院や拠点病院の医療従事者を対象とした研修会議も、この拠点病院が積極的に実施し、エイズ医療の普及、向上、病院間の連携推進を図っております。

95ページは、「調査、研究機能の強化」です。平成25年度は総合研究センターが設置されて4年目であり、初年度に構築した診療情報データバンクを用いて機構全病院のデータの収集、解析その成果として臨床評価指標「PDCAサイクル」をもった改善運動、診療情報分析レポートとして全病院に周知しております。臨床評価指標と計測マニュアルも公表し広く情報発信を行っており、我が国の医療の質の均てん化に努めております。

98ページは、「自己評定」です。各病院ごとの総合的な検証を実施し、その結果を公表しました。エイズについては、ブロック拠点病院を中心にエイズ医療の充実に努めました。総合研究センターにおいても収集した診療情報を基に、臨床評価指標、診療情報分析レポートの公表などを行い情報発信、更には国の医療の質の向上、均てん化に努めております。以上の取組などを踏まえ評定「A」を計上しております。グループ2の説明は以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは委員の皆様、評定記入用紙に記入をしていただきながら御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○田極部会長代理

2点お伺いしたい点があります。まず、61ページの治験の実施症例数が減っているという所なのですが、5年間の第2期中期目標期間を平均すれば目標を超えた、平成20年度比5%増となったということですが、平成25年度単独でみると前年に比べて減っている状況であり、この辺りはどういった背景があるのかということをお伺いしたいのと、66ページに研究利益相反審査委員会を設けて、平成25年度は2391,736件審査をしたということですが、この審査委員会はどういったメンバーで、どういう形で行われているのかを教えていただければと思います。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 治験の多くは、治験施設支援機関により支援された診療所などの民間医療機関で行われまして、私どもが知る限り、現在の治験の7割以上が民間ベースで行われていると思っております。例えば、先頃多くなっております配合剤や糖尿病、脂質異常症の治験薬について私どもは取扱っておりません。国立病院機構による治験は大学病院などと同じように診療所などでは対応が難しい、がん、心筋梗塞などの入院を伴う治験や、てんかんなどの希少疾病の治療薬に限られてきております。そういう意味で必要とされる対象治験の症例数が限られてきているのではないかと思います。それが全体の症例数が減っていることの大きな原因だと思っております。

 もう1点のCOIの委員会ですが、COIは責任医師の人たちが、どういった企業の方々と関係をもっているかということを明らかにすることですので、国会議員のように自分の収入について、すべて公開するとかしないとかというよりは、特定の研究との関係を問題にすることですので、治験審査委員会や臨床研究の審査をする委員会の前段階として、研究内容に応じた研究者個人の評価をしています。取分け厚生労働科学研究費はCOIの委員会で管理することを要請されておりますので、各医療機関で実施しております。

 

○松尾部会長

 ほかにいかがですか。

 

○斎藤委員

 今の治験のことで引き続き教えていただきたいのですが、経営という意味では収入減になるわけですよね。医師が主導してというのは増えているけれども、治験のほうが減っているのは、マネジメントの立場からすると何とかして収入を増やそうと思うところですが、そういう努力はなさったのでしょうか。それと、もし私の記憶が間違っていなかったら確かITとかテクノロジーの関係の方は昨年人数を減らしていたと思うのですが、それにもかかわらずタブレットを導入したり、ビデオコンファランスをやったり新しい取組を次々とやってらっしゃるように見受けられます。これは、どういう努力をなさったのか、その辺りをもう少し教えていただけたらと思います。通常の医療の会議でSWOT分析がでてくるのは初めて拝見しました。ので、トップマネジメント講習を心掛けてらっしゃるというのが本当に実を結びつつあるなと実感いたしました。以上です。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 おっしゃるとおり経営努力はしておりまして、私自身も企業に伺って治験を持ってきていただくようにお願いをしております。ただ、如何せん、私どもに頂ける治験そのものの数が減ってきているのが現状ではないかと思っております。

ITやタブレットに関しては、基本的に契約に基づいてアウトソーシングしておりますので、私どもの中で内製化しておりません。私どものデータセンターも外部に委託しております。内部人材ではなく委託費で取扱っております。ITを使って、例えば私どもの診療情報分析部から、全国でどういう患者さんがどこの病院に何人ぐらいいらっしゃるかというデータは常にもらっておりまして、データに基づいてどの病院で治験ができると製薬企業に情報提供した上で受託しておりますが、残念ながら現状の治験実績はこういう状況になっております。

 ちなみに、CRCの人件費というものも確かに掛かっておりますが、臨床研究を実施するに当たっては、臨床研究コーディネーターの存在は不可欠と考えております。私どもの内部の研究費の半分は臨床研究を支えてくれる人件費に充てることを前提にしておりますので、外部からの治験の資金が得られなかったとしても内部の臨床研究体制の縮小については考えておりません。

 

○亀岡委員

 私のほうは2つあるのですが、1つは57ページです。PDCAサイクルに基づいた改善事例ということで3つあるのですが、それぞれ目標の所ですが、最初の所は70%以上となっているのですが、あとの2つは何%という%は途中で切れている、つまり以上という表現がないということなのですが、更に3つ目の外来糖尿病患者に対する管理栄養士による栄養指導の施行率30%ということですが、かなりそれよりも達成していない。10%弱ぐらい低いということがあるので、この辺をどのように評価されているかという点が1つです。

 併せて、77ページなのですが、奨学金制度の運用で改正を行われたということで、78ページに奨学金の対応状況があると思います。一応、貸与ということですので基本的な回収を予定されているのでしょうが、括弧書きの所で卒業生のほとんどの方が機構病院に勤務ということで、多分確認ですが、勤務することによって免除という形になるのかということと、実際に金額的にはどの程度を人数に合わせて貸与されているのかということを教えていただければと思います。

 

○国立病院機構病院支援部長

 まず、最初のPDCAサイクルのことですが、目標値に以上と以上が付いていないのがあるとの指摘ですが、どちらも以上を目指すということで、用語が統一できていませんでした。それから、もう1つは実は目標値を設定するのはかなり大変というか難しくて、最初の委員会でさんざん議論をして決めた数字ですが、実際に運用してみると、やはりちょっと不適切であったりというところもでてきます。3番目の指標は、全外来に来たときに栄養指導するわけではなく、必要なときに栄養指導することもあって100%になっていません。では、なぜ30%か。これはなかなか難しくて、ある程度のモニタリングをすることによって、例えば1回目2回目ぐらいの所でやるだろうということであれば、10回来るのであればこの程度行うだろうということで目標値としては3割を設定しました。ただ、30%は高過ぎた可能性もあるということで、実際には目標値も含めて3年とかデータを見ながら、もう1回見直そうということで、今年度から指標そのものと目標値を含めた再検討に入る委員会を立ち上げました。ですから、不適切な目標値である場合も、3年たってみると出ております。設定方法は、委員会で専門委員に集まっていただいて検討の上決定するようになっています。

 奨学金は、貸与した期間勤務すると免除というルールになります。金額的には授業料相当ということで我々の学校では、およそ4060万円ぐらいの金額で学校の授業料によって変わります。

 

○亀岡委員

 今の4060万円というのは1年間ですか。

 

○国立病院機構病院支援部長

 年間です。

 

○亀岡委員

 そうすると何年間かなると、それの何倍ということですか。

 

○国立病院機構病院支援部長

 そうですね。貸与期間が3年であれば3倍ということです。

 

○亀岡委員

 分かりました、ありがとうございます。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ほかにありますか。先ほどの糖尿病の指導の割合等は、もしできればほかの例えば、リーディングホスピタルでどの程度実施されているか、ベンチマークしていただくと多分委員の皆さん分かりやすいのではないかと思います。またよろしくお願いいたします。もしほかにないようでしたら、よろしいですか。23分で記入をお願いしたいと思います。それではよろしいですか。続きまして、グループ3は評価項目8です。所要時間は、法人の説明10分、質疑評定の記入10分を当てております。それでは法人から説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 それでは100ページからです。グループ3(1)1「本部ブロック機能の強化」についてです。平成25年度におきましても、本部の5部、1131センター体制で決算、年度計画、また労務管理等の管理業務を実施するとともに、医療機器等の共同入札、また治験の推進、診療情報の分析等を行うことにより、各病院の業務を支援しているところです。また、ブロック事務所については、平成22年度12月の閣議決定に基づいて、平成25年度末に廃止をしております。

101ページ、経営改善の取組について、経常収支、又は減価償却前収支が赤字となっている病院を対象として、平成24年度から3年間のうちに収支相償を実現することを目的とした「機構病院リスタートプラン」を実施しており、平成25年度も引き続き実施したところです。このプランに基づいて、対象病院について、地域との連携強化や診療組織体制の見直しなどの病院改革に取り組み、早期に経営の再建・改善を図るための経営改善計画を作成して実行しているところです。また、本部としても各病院に対して、月次決算における進捗管理、助言指導を行っております。

 こうした結果、減価償却費等の費用増の影響がある中で、経常収支が黒字化した病院が3病院、経常収支等が前年度実績を上回った病院は5病院となっております。

102ページ、効率的な管理組織体制について、本部と6ブロック体制の下、国立病院機構全体の事務職員の効率的な配置を行っております。国家公務員の再就職については、平成25年度においては、国家公務員の再就職はありません。また、嘱託ポストや非人件費ポストも設置しておりません。

103ページ、内部統制の充実について、平成25年度も引き続き内部監査やコンプライアンスの推進に対応しており、全病院で書面監査を実施しております。

104ページ、実地監査については、平成25年度は3年をかけて全病院に対して行う実地監査の1年目に当たりまして44病院、本部及び2ブロック事務所を対象に実施したところです。また、内部監査計画で実地監査を計画した病院に限らず、会計処理の不適切な事案が認められた5病院に対しても、臨時の内部監査を実施しております。コンプライアンスの徹底については、新規採用職員の研修時の職員への周知に加えて、各病院のホームページや院内掲示等により、取引業者等への周知も行っております。

105ページ、院内組織の効率的・効果的な構築については、福祉・介護サービスの向上に取り組むために、身体介助等の業務に加えて、介護福祉士としての専門性を総合的に活用して、介護計画の作成等、介護過程を展開し、患者個々の状態に応じた適切な介護を提供する「療養介助専門員」を新たに位置付けております。

 また、副院長複数制については10病院で導入するとともに、機能に応じて特命事項を担う副院長を新たに3病院において設置し、病院経営・地域医療連携、看護師確保の特命事項にそれぞれ取り組んでおります。

106ページ、地域連携部門の体制強化については、全ての病院に地域医療連携室を設置した上で、平成25年度は78名を増員して、139病院で専任職員577名を設置して、紹介率等の向上を図っております。

 医療安全管理部門の強化については、平成23年度までに全ての病院の医療安全管理室に専任の職員を配置済みです。看護部門の体制強化については、病棟部門には必要な職員数は常勤職員を配置して、外来部門には外来受付時間や外来診療時間帯に合わせた非常勤職員の配置を極力行うなど、効率的・効果的な看護師配置を行っております。また、看護師のキャリアパス制度の充実のために、専任の教育担当師長、認定看護師、専門看護師を配置して体制の充実を図っております。

107ページ、事務部門の改革については、診療報酬請求事務の改善等を目的とした医事専門職の複数配置を37病院から39病院に増やしております。また、診療情報管理士を158名から207名に増員して、DPC対象病院等へ重点的に配置しております。人材育成、教育研修機能の強化の1については先ほど御説明したとおりです。2については、新たに教育研修部を2病院、教育研修室を1病院に設置して、累計で教育研修部設置が32病院、教育研修室設置が13病院となっております。

108ページ、「組織のスリム化・適正化に向けた取組」のうち、2.職員の給与水準、諸手当についてです。給与水準については、国の給与制度等を踏まえて、通則法に則って適切に対応しております。また、諸手当についても、国の給与水準を踏まえた対応を行っており、国と異なる一部の手当については医師の確保対策や国の補助制度に対応するなど、専門化、高度化した病院を運営する当機構の特性を考慮したものとして、その趣旨及び目的を明確にしたものです。

109ページ、職員の配置については、各病院において、業務量の変化に対応した柔軟な配置としております。また、育児短時間勤務については平成19年度から導入しておりますが、平成25年度は対前年度102人増の535名が取得しております。技能職常勤職員の離職後の不補充について、平成25年度は技能職について、87名の純減となっております。なお、平成25年度から開始された雇用と年金の接続のための再任用により、81名が再任用されており、これを合わせると168名ということで、例年と同程度の純減数となっております。

110ページ、その他のアウトソーシングについては、検査部門におけるブランチラボを7病院、また、給食業務の全面委託を17病院でそれぞれ実施しております。

111ページ、職員の業績評価等の適切な実施については、平成25年度においても引き続き業績評価を実施しており、賞与等に反映しております。また運用の改善策として、各病院の業績評価の運用状況を確認して、参考となる取組事例を全病院に周知するとともに、各ブロック事務所の業績評価担当者を本部に集めて、病院における問題や取組について情報共有をしております。また、業績評価に係る研修については、テキストブックをブラッシュアップするなど、研修時間の短縮、また研修内容の充実に努めるとともに、参考となる目標設定事例の情報提供など、制度の一層の周知、運用の向上・充実を図るための策を講じております。

 また、評価の質の向上のために新たに評価者となった職員、既に評価者となっている者に対して研修を実施しております。

112ページ、監事監査、外部監査等の充実については、評価委員会における評価結果については、各病院に周知徹底を行い、病院運営に反映させるための意識付けを行っております。会計監査人による監査については、平成25年度も本部及びブロック事務所並びに全病院を対象に現地監査を実施し、業務改善を図っております。

 併せて、ITの利用に関する統制状況の評価も、会計監査人によって行われております。その他、会計制度に関する説明会の実施や、会計監査人からの指摘に対する対応についても平成25年度も引き続き取り組んでおります。

113ページ、監事機能との連携の強化については、平成25年度においても8病院で抜打ち監査を実施しており、抜打ち監査においては、契約に係る監査に加えて、抜打ち監査に最も有効と思われる現金の取扱い等についても監査を実施しております。

114ページ、外部評価の活用について、日本医療機能評価機構の病院評価認定病院が新たに2病院追加されて、合計で50病院となっております。また、平成25年度から導入された機能種別による病院機能評価については6病院が受審して、最新の評価体系で認定されております。このほかISO-9001など、様々な外部評価の認定を受けております。

115ページ、再編成業務等の実施について、旧国立病院・療養所の再編成業務については、平成2551日に善通寺病院と香川小児病院を統合して「四国こどもとおとなの医療センター」を開設しております。

116ページ、「自己評定」です。各評価項目についての実績については御説明したとおりですが、特に地域医療連携室への専任職員の配置を着実に進めるとともに、全病院の医療安全管理室への専任職員の配置は中期計画を達成しております。また、全病院を対象とした会計監査の実施などについても、中期計画を達成しております。以上の取組により、「A」評価で自己評定をしております。以上です。

 

○松尾部会長

 それでは委員の皆様におかれましては、評定書に記入をお願いします。御質問、御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。

 

○亀岡委員

1つお聞きしたいのですが、101ページの「個別病院毎の経営改善計画の実施及び支援」のところで、収支相償という表現を使われております。よく読むと、収支相償でプラスになったから良くなってきていますみたいなことですが、公益法人等でいう収支相償というのは、費用が収益を超えない、賄うという。逆に収益が超えると収支相償をクリアしていないと言われているのです。むしろ、相償というのは、収益と費用がトントンという概念を通常言うのでしょうが、プラスになるから良かったみたいな説明になっているのですが、この辺の概念を教えていただきたいと思います。

 あと108ページの「組織のスリム化・適正化に向けた取組」で、1.(2)事務部門、「収益と費用を一元管理する企画課」とありますが、この「一元管理」の意味を教えていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○松尾部会長

 では簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

1点目は、リスタートプランについては、病院を2つに分けて、当然その収支が悪い病院ですが、そもそも経常収支が赤字の病院を要改善病院として、これは13病院あります。さらに5病院については減価償却前の収支でも赤字で、そこを重点改善病院ということで重点的に改善指導していく。まさに医業収入で再投資をして、いろいろな費用を賄っていくというのが病院経営の基本ですが、なかなか立ち行かないので、短期的に資金が不足することになりますし、将来の投資もできませんので、本部がいろいろな経営改善を求め、また、こういった病院については一定の支援といいますか、なかなか医療機器の投資などができませんので、支援をして何とかここから卒業させることを進めております。

2点目が聞き取れなかったのですが、何ページですか。

 

○亀岡委員

 収益と費用の一元管理という、どういうことをもって一元管理としていると。

 

○国立病院機構企画経営部長

 組織の改変という意味で、従前、収入を医事の担当部門が見ていて、支出を経理部門が見たわけですが、そこを一元的に見るということで、収入と支出を併せて把握するという見直しを行ったということです。

 

○亀岡委員

 その場合、なぜそういうふうにされたかということです。そういうふうに一元管理したほうがいいのではないかということだったと思うのです。従来はこうだったので、こういう目的で一元管理して良くなったというお話を伺えるといいのですが。

 

○国立病院機構副理事長

 ここでは、10年前にこのような形にして、それを維持していると書いてあるわけですが、従前は医事課ということで、診療報酬点数のことだけしか知らない、あるいは契約のほうは契約のことしか知らない。それぞればらばらで、国の組織によくありがちな、収入は収入、支出は支出、とばらばらに考えた。それを統括するのは、事務部長がそうあるべきであるかもしれないが、1人の人間がなかなかできなかったという形でした。やはり、事業体は入りと出双方見渡しながら、もちろん事務部門だけではできませんが、ドクター、ナース、様々な職種の協力、共通理解がないとできないわけですが、そこが一元管理して、今月は収入が増えたが、それ以上に材料費が増えているとか、そういう会話ができるようにしたということです。

 

○松尾部会長

 よろしいですか。

 

○富田委員

105ページの「副院長複数制の導入」のところですが、近年大規模病院では機能がすごく複雑になってきて、副院長を2名どころか、一番多い所は7名置いている所もある時代になっています。この副院長複数制の導入のスピードも遅そうに見えるのですが、機構としてはどんなふうに複数制について考えているのですか。

 

○国立病院機構医療担当理事

 複数制のところですが、ブロック担当理事がいる各ブロックの中核的な機能の病院には副院長を複数配置しております。統合病院の場合も一定期間複数配置です。さらに、急性期病院で患者数が多く、規模も大きい所では、病院の機能と副院長の役割分担を確認しながら複数配置を段階的に進めてきたところです。ただ、副院長をたくさん置くかどうかというと、私どもは副院長を任期制や持ち回りといったフレキシブルなポストとはしておらず、むしろ幹部として院内をまとめ、いずれその病院を院長として継いでいただく候補と位置付けておりますので、機能ごとに配置するというよりも、全体を統括、束ねて、院長の片腕をしながらその病院を支えていく実績を重視しています。先生が御指摘のように、臨機応変に、今、これだけ医療環境がどんどん変わる中で、強化すべき部分をタイミングを捉えて伸ばしていくために副院長導入が必要ではないかという観点があろうかと思います。

 それについては、特命副院長という位置づけがあり、期間限定、タスク限定で、特定分野の機能、例えば救命救急部門をより活性化する、地域医療をさらに進めるなどのタスクをお願いして、特命副院長という形で活躍をしていただくという考え方で進めております。また、病院の機能によっては、院内に疾患領域ごとのセンター長が選任されている場合があります。

 

○富田委員

 国立病院機構では副院長は必ず院長にするという決志のもとにポジションを作っているように伺ったのですが、今、副院長で一生を終える人はたくさんいるのです。ですから、余りそこまで固く考えなくてもいいのではないかと。病院の機構が複雑になってきて、横断的な機能を持っている医者たちが強く求められています。管理能力の高い医者たちは多いので、是非そのような考え方もしたらいかがかとの提案です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございます。今の点に関しては、多分、これからますます病院長のリーダーシップ、理事長も非常によくとられているのですが、リーダーシップとガバナンスが非常に重要になってくるので、それを補佐する意味で、特に大きな病院などでは、複数の副病院長をそれも専任で置いて、そうすると、病院長のガバナンスは格段に高くなるのではないかという気もしますので、是非、よろしくお願いします。

 

○斉藤委員

104ページを拝見して大変気になったのですが、「水増し請求の事案」が2つあります。そして、お金がなくなったことも発覚したということですが、これがどういう経緯なのか、もう少し詳しく教えていただけますか。水増し請求をされたというのは、犯罪に等しいという印象を持ったのですが、それがどのぐらいの件数があるのか、金額がどれぐらいなのか。それがなぜ今まで発覚しなかったのか。あるいは割合よく見られることなのか。どのぐらい管理が徹底しているのか。この3行で疑問詞がたくさん出てきました。

112ページでも残高の不一致があったということでした。この辺を拝見すると、管理体制が疑問に思われます。それは、人数を減らしてきたという努力が、逆に出ているのかどうなのか。質問ばかり羅列して申し訳ないのですが、もう少し詳しくこの管理体制について教えてください。

 

○国立病院機構業務監査室長

104ページで指摘された事例ですが、検査試薬、医療機器も同じようなやり方です。物品を納入したとき、業者は納品書を現場の人に提出するわけですが、普通であれば、納品書を受け取った者が、そのまま自ら自分の組織の事務部に持って行く形をとります。ところが、このケースでは職員が納品書をもらった後に、業務が忙しいこともあるのですが、業者に事務所に持って行ってくれと納品書を回付していました。そのため、業者が納品数、例えば「1」という数字を「4」に変えて請求していたことが見つかったというものです。

 これらについて、金額の質問がされましたが、試薬が約3,000万円、医療機器が約3億円です。なお、これらについては業者から返還されています。

 もう1つ、会計監査人からの指摘のところで、残高が一致しないという部分についてですが、管理簿、いわゆる補助帳簿みたいなものがあるのですが、それとシステム上の数字が合っていないということでした。これは監査に入った時期がたまたまそうであっただけで、後から監査法人から聞いたのですが、その後改善されて残高が一致していたということでした。以上です。

 

○斉藤委員

 現金がなくなったという金額はどのぐらいですか。

 

○国立病院機構業務監査室長

 これは25万円です。

 

○松尾部会長

 よろしいですか。それでは、また23分で御記入をお願いします。よろしいようですので、グループ4に行きます。グループ4は、評価項目の911です。所要時間、説明が20分、質疑、評定記入が20分ということで、合計40分で行ってまいります。法人から説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 グループ4119ページからです。収支改善の推進ですが、職員の適正配置等により、診療報酬上の上位の基準を取得するとともに、材料費等のコスト抑制に努めまして、個々の病院における収支改善を推進しました。その結果、平成25年度の経常収支は317億円、経常収支率で103.5%でして、機構全体といたしまして収支相償を達成いたしまして、高い水準を維持しております。

2.年度末賞与の実施ですが、医業収支が特に良好な92病院で支給をいたしました。

3.個別病院の関係については、先ほど説明したとおりです。120ページをお願いいたします。QC活動に関する取組ですが、「できることから始めよう」をスローガンといたしまして、全職員の自主的な取組を推奨、評価いたしまして、優秀な取組について表彰を行っております。事務・事業の見直しですが、全国一斉の患者満足度調査の実施、全病院での意見箱の設置と、これらの意見を参考にした業務改善などを行っています。また、業務改善に取り組む職員を人事評価で適正に評価するとともに、国民のニーズとずれている事務・事業や費用に対する効果が少なく、継続する必要性が乏しい事務・事業の見直しを推進しておりまして、121ページにありますが、平成25年度においては、病棟の稼働状況に応じた整理・集約によりまして、6病院267床の病床を集約いたしました。

 福利厚生費の見直しの関係ですが、法定外福利費については、業務運営上必要不可欠なものに限定しております。平成25年度も引き続きまして、レクリエーション費用は支出しておりません。弔電等については、厚生労働省に準じた基準で実施をしております。健康診断等については、労働安全衛生法に基づくものと、感染防止を目的としたワクチン接種を実施しております。表彰制度についても、厚生労働省の基準を踏まえて実施しているもの、また、先ほどのQC活動の奨励のための表彰を実施しております。

122ページです。経営力の向上ですが、平成25年度も引き続きまして、医事業務研修を実施しております。この研修では、医事担当の職員に加えまして、新規採用事務職員、医事経験のない若手職員、経営企画担当職員も対象といたしまして、診療部門に対して経営的視点から積極的に助言を行える人材の育成を図っています。

 また、病院経営研修といたしまして、各病院の経営企画担当職員を対象といたしまして、経営分析、診療情報分析、経営改善スキームに関する手法の習得等を目的とした研修を実施しております。さらに、適切な診療報酬請求事務処理体制の確立を図るために、新たに委託業者以外の業者によるレセプト点検による指摘内容や、病院が請求漏れ防止のために取り組んだ好事例を全病院へ情報提供いたしました。

123ページです。政策医療に係るコスト分析ですが、本部の経営情報分析部門において、政策医療等の実施に係る経営上の課題について、個別病院の経営情報、レセプトデータ、DPCデータの詳細な分析を行うとともに、病院幹部とのディスカッションを経て、経営改善方策、効率的な運営体制等の指導を行いました。

124ページ、業務運営コストの節減です。医薬品等について、共同入札を実施しております。医薬品については、平成2511月に市場価格の状況等を踏まえて契約価格の見直しを行い、さらに医薬品費の抑制を図りました。また、検査試薬については、平成257月に国立高度専門医療研究センターと共同入札を実施するなどの対応を行っております。

125ページを御覧ください。適正な在庫管理です。SPDの導入等を引き続き推進いたしまして、また、共同入札の実施による経費節減と併せまして、抗がん剤をはじめとする後発医薬品の使用が増加する中で、材料費の抑制に努めております。また、後発医薬品の利用促進についてですが、薬効区別の状況や、各ブロック別・病院別の導入状況などの分析、また、採用率の高い病院の取組状況や比較的採用頻度の高い後発医薬品をリスト化いたしまして、各病院へ情報提供を行うなどの取組を行っております。こうした取組の結果、後発医薬品の採用率については、数量ベースで33.5%となっており、平成24年度の30.5%より向上しておりまして、高い水準となっております。

126ページ、人件費率等です。業務委託契約の検証ですが、全病院における業務委託契約の契約額等について調査を行いまして、各病院において自院と同規模の病院との比較検討ができるよう、その結果についてフィードバックを行っております。人件費率と委託費率を合計した率については、各種取組によりまして、平成25年度も55.4%と昨年度と同水準に抑制することができております。

127ページです。人件費の見直しについては、技能職の離職後の不補充、あるいは非常勤職員への切替え、アウトソーシング化、先ほど申しました病棟の整理・集約等によりまして、収益に見合った職員配置を進めております。こうした取組によりまして、27億円の人件費の削減を行いました。一方で、政策的な面から、障害者総合支援法に基づく重症心身障害者病棟等における療養介護事業など、国の制度に対応いたしました人材確保、地域医療計画を踏まえた救急医療等への対応や、政策医療の推進、医療安全対策の確保などで人材確保を行った結果といたしまして128億円が増加しており、平成25年度の常勤職員への人件費は、前年と比較して101億円増となっております。引き続き非効率となっている病棟の整理・集約等により、人件費削減を図っていくとともに、患者の目線に立った良質な医療を提供して、国立病院機構に求められる役割を着実に果たすために必要な人材確保を行っていくこととしております。

6.職員の給与水準ですが、通則法に則って適切に対応しております。また、平成236月の閣議決定に基づき国家公務員の給与減額支給措置への対応については、医師や看護師等の人材確保は困難となっている状況におきまして、適切な医療水準を確保する必要がありますことから、本部の全職員及び病院の幹部職員を対象といたしまして、国に勤務する職員と同様に職位に応じて7.8%の給与の引下げを実施しています。

128ページ、国と異なる手当です。民間医療機関等の給与実態を踏まえまして、救急医療・深夜勤等に応ずる手当については、職務の困難性を考慮したものや、国における勤務医の処遇改善を支援する補助制度の創設に対応するものとなっております。それから、独立行政法人に求められる能力実績主義を踏まえた手当及び俸給の調整額についても、独法における給与制度の趣旨に則って独立行政法人移行時に設けたものなどがありまして、こうした点で国と異なる諸手当となっております。

129ページ、投資の効率化です。平成25年度においては、全面建替が2病院、病棟等建替が2病院、外来棟の建替が1病院ということで、建替整備の決定をいたしました。建設コストの削減ですが、整備単価の見直しや入札情報の早期の情報提供などを引き続き推進しています。大型医療機器の共同入札の実施については、平成25年度入札分においては平成24年度のうちに手続に着手をいたしまして、早期整備を図るとともに、新たに外科用イメージを追加いたしまして、10品目を対象に実施いたしました。これによりスケールメリットを活かした保守費用も含めた総コストで市場価格を大幅に下回る購入価格となるなど、効率的な設備整備を行っております。また、平成25年度入札分についても、引き続き労働者健康福祉機構と合同で実施をいたしました。

130ページを御覧ください。医療機器の価格情報等の共有については、平成25年度も引き続きまして65種類の対象医療機器について、毎月、各病院に価格情報を提供いたしました。

131ページ、適正な契約事務の実施です。競争性のない随意契約2,541件等について、監事や外部有識者による「契約監視委員会」による点検を実施いたしました。また、フォローアップですが、この「契約監視委員会」において、平成25年度に締結する契約を事前点検いたしまして、真に随意契約によらざるを得ないものを除きまして、一般競争契約への移行を進めております。

132ページ、適正な契約事務の徹底です。総務省の事務連絡を踏まえまして、2か年連続いたしまして一者応募となった案件について、1件ごとに改善に向けた取組内容を記載した個票を「契約監視委員会」で点検し、本部ホームページで公表をしております。契約情報の公表についても、引き続き行っております。事務フローですが、事務フローについても一部改正をいたしまして、フローの内容、活用方法について周知をしております。

133ページ、市場化テストの実施です。各病院共通の事務消耗品等の物品調達業務を、市場化テストにより実施することについては、官民競争入札等監視委員会の結果を踏まえまして、更なる事業費の削減を図るために、参加病院、対象品目を拡大いたしまして、平成2511月から第2期事業を開始いたしております。

134ページ、一般管理費の削減です。光熱費の削減など、経費の縮減・見直しを行いまして、平成25年度の一般管理費は56,700万円と平成20年度に比べまして17,800万円、23.8%の削減となっております。

135ページです。冗費の点検・削減の取組等々については、全病院についての取組状況の調査及び継続的な指導、各種研修による周知徹底などを引き続き実施しています。

 契約適正化については説明したとおりですので、138ページからが「自己評定」です。後発品の採用率の向上を着実に進め、また、一般管理費の削減について、中期計画を大きく上回る削減をしております。その他、大型医療機器等の共同入札の拡充、また、様々な収支改善策に取り組んでおります。こうした取組を踏まえまして、「A」評価で自己評定をしております。

 医療資源の有効活用については、財務部長から説明いたします。

 

○国立病院機構財務部長

147ページを御覧ください。2の医療資源の有効活用です。「医療機器の効率的な利用の促進としまして、稼働率の向上ですが、CTMRIについては、平成20年度の実績に対しましてプラスで198,998件、15%増ということで稼働件数の増加を図っております。また、共同利用の推進ですが、こちらも平成20年度の実績に対しましてプラス16,634件、29.7%増ということで共同利用も大幅に利用数が増加しています。

 次のページをお願いいたします。病床の効率的な利用の推進です。病棟の稼働状況に応じた整理・集約といたしまして、病床稼働が非効率になっている部分について、病棟等の整理・集約などを図りまして効率化を図っております。平成25年度は、一般、結核、合計6病院について対応しています。

149ページをお願いいたします。医療の質の向上を伴った収支の改善ですが、各病院においては、地域医療連携の活動強化によりまして、病床の効率的な利用や新規患者数の増加等を図っています。また、紹介率・逆紹介率の向上やクリティカルパスの推進等のほか、診療報酬上の上位基準の積極的な取得、あるいは地域医療支援病院の新規指定を受けるなど、医療の質の向上を伴う形での収支改善に努めてきました。具体的な指標はそれぞれ御覧のとおりですが、例えば紹介率、2つ目ですが、61.6%から64.7%となるなど、各指標は御覧のとおりです。

150ページをお願いいたします。保有資産の有効活用です。こちらについても、平成25年度も取組を進めていまして、例えばですが、下総精神医療センターの敷地について、社会福祉法人が行います障害者の方の関係の短期入所事業、あるいは就労継続支援事業B型についての貸付なども行ったりしています。

151ページをお願いいたします。教育研修事業です。附属看護師養成所の入学者充足率ですが、100%以上を推移しておりまして、全体として充足している状況です。また、2にあります就職率ですが、こちらも卒業生の就職・進学率は98.8%となっておりまして、全国の95.5%を上回っている状況です。

152ページをお願いいたします。附属看護師養成所の国家試験の合格率です。こちらの合格率についても98.9%ということで、全国の95.1%を上回っています。助産師についても上回っている状況です。4の附属看護師養成所の適正な運営ですが、こちらについても「養成所評価指標」を作成いたしまして、年度末に評価などを行いまして、適正運営に努めています。

153ページをお願いいたします。IT化の推進です。財務会計システムと経営分析システムを整備しております。また、3にあります評価会ですが、全ての病院において、毎月25日を目途として、経営状況の分析を行うための「評価会」を開催いたしまして、こうした分析なども行いながら、病院全体が一丸となって経営改善を推進している状況です。4の医事会計システムの標準化ですが、各病院のシステム更新時に標準仕様の導入を進め平成25年度末時点においては120病院において導入をされています。

154ページをお願いいたします。総合研究センターにおける取組です。こちらも臨床評価指標について、「診療情報データバンク」によりまして70指標の計測などを行いますとともに、計測マニュアルも作成するなどをしています。また、下のほうの(2)診療機能分析レポートといったものも整備をいたしまして、ホームページにて公表等も行っています。

155ページをお願いいたします。中ほどの(3)外部競争的資金をもとにした研究活動1~4の研究行いますとともに、(4)成果の発表と情報発信も行っています。

156ページをお願いいたします。6のシステムの最適化ですが、平成23年度に策定いたしました次期最適化計画によりまして、HOSPnetのシステムについて整備を行い、平成26年度から稼働しています。また、7のペイジー(Pay-easy)とか、e-Taxといった電子政府への協力も行っています。

157ページをお願いいたします。「評定」です。総合的な評定の欄にありますように、CTMRIの高額医療機器の共同利用については、平成20年度に比べまして29.7%増で、数値目標は上回っています。また、看護学校についても、国家試験合格率は全国平均を大きく上回っている状況です。また、医事会計システムについても、120病院が導入をし、また、病診・病々連携による紹介率、あるいは逆紹介率の向上、新入院患者の増加といった一方で、平均在院日数の短縮等によりまして、病棟の整理・集約して効率化を行っていまして、自己評定「S」として挙げさせていただいています。

 

○国立病院機構企画経営部長

159ページですが、収入の確保です。未収金対策の徹底については、事務担当者に加えて看護師、医療ソーシャルワーカー等の連携・協力による退院時の未精算の防止などにより、未収金の縮減に努めたところです。平成25年度においては、未収金債権のうちで破算更生債権を除いた医業未収金については、前年度と比較して600万円減少いたしまして、医業収益に対する医療未収金の比率は0.04%でして、中期計画の数値目標と比べても大きく低減しております。

160ページ、2のレセプト点検体制の確立です。レセプトチェックシート()を本部において作成し各病院に周知するなどの取組を進めました。

161ページ、臨床研究事業です。これまでに引き続き競争的資金の獲得に努めまして、平成25年度においては27億円の競争的研究費を獲得しております。

162ページは既に説明したとおりです。

163ページからの「自己評定」ですが、医業未収金比率の低減について、中期計画を上回る実績を上げていることなどを踏まえまして「A」評定で自己評定をしております。

 

○松尾部会長

 委員の皆様方には、評定書の記入をしていただきながら御質問、御意見をお願いします。いかがですか。

 

○亀岡委員

119ページですが、これは収支相償を目指して改善されたことになっているのですが、1つお聞きしたいのは、その結果なのか分からないのですが、年度末賞与の実施ということで、ここでは「医療収支が特に良好な92病院の職員に対し年度末賞与を支給した」と書いていますので、支給した病院と支給しない病院があると思うのですが、ここで見ると黒字病院数が結構あるのですが、その中から92病院を更に選んでいることになるのかと思うのですが、この辺の基準はどのように選ばれたのかという点です。

 もう1つは、125ページですが、適正な在庫管理があると思います。ここで在庫が平成24年と平成25年を比べると、医薬品としては在庫が増えてはいると思うのです。これはいろいろな理由があると思うのですが。「必要最低限な保有在庫日数となる」と。ここで「必要最低限」ということを書かれていますが、実際は日数が11.8日から13.2日と増えていますが、この辺はどのように認識をされているかという点についてお聞きしたいと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 年度末賞与については私からお話申し上げますが、黒字だから出すということだけではなくて、幾つかの要件を掛けています。当然、黒字幅が前年より良いとか、それなりの水準であるかとか、人件費率が上がっていないかとか、そういう幾つかの要件を掛けた黒字病院のうち、そういうふるいに掛けた結果が92病院だったということです。また、余りにも財源が少額で、数百万円ぐらいですと、これは職員に年末賞与として出すよりは、将来の投資のために取っておこうという判断をする院長先生もいらっしゃるということで、それらの結果が92病院です。

 

○松尾部会長

 簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 在庫管理については、医療に支障を来すことは避けなくてはいけないということで、これも各病院はいろいろSPDを導入するとか、いろいろ材料も含めまして苦慮しています。卸からの供給が遅れることも想定いたしまして、各病院のいろいろな取組はあろうかと思いますが、極力短いほうが効率的ではあるわけですが、そういう医療に支障を生じさせないということで、ややバッファー、リスクも見て若干抱える形になっておりますが、両立させていく、非常に難しい課題ですが、更に研究してまいりたいと思っております。

 

○亀岡委員

 結論として、「縮減を努めている」と書いていますが、延びていることに対してはやむを得ないという判断でよろしいですか、それとも延びてしまったということですか。努力の結果ですか、その辺だけ。

 

○国立病院機構企画経営部長

 当然、縮減すべく努力をしておりますが、それは各病院の事情もあろうかと思いますので、委員の御指摘も踏まえて、状況をそれぞれ更に精査をいたしまして、方向性といたしましては、先ほど申しましたように医療に支障が生じないのは大原則ですが、そうした中で効率的に在庫管理できるように更に努力してまいりたいと考えております。

 

○松尾部会長

 私から、収入の確保ですが、先ほどの説明で未収金対策とか、請求漏れ等という話があったのですが、例えば疾病別の在院日数管理とか、そういったもう少しきめ細かい、多分、対応しておられると思うのですが、その辺の取組状況について教えていただきたいのですが。

 

○国立病院機構企画経営部長

 部会長が御指摘のように、在院日数は非常に経営に影響を与えるわけです。急性期の病院は国立病院機構に限らず、全体的に在院日数を短縮していくわけですが、一方でそういう空床が出てくるわけですので、それに伴ってその稼働率をどうやって上げていくかは、常に管理していかなくてはいけません。御指摘のようにそれを経営にどう結び付けていくかで言いますと、例えばDPCなどは、在院日数は非常に明確に出るわけですが、さらに重症度との関係で、疾病とか、そういうものとの関連がありますので、そういうところを、私どもも先ほど申しましたように、そういうものを経営に活かしているわけですが、更にDPC病院も拡大するわけですし、DPC以外のデータも含めまして経営管理を更に進めていかなくてはいけないと考えています。

 

○田極部会長代理

143ページですが、評価の視点として、下から2つ目の枠の中に「給与水準が適正に設定されているかどうか」という項目がありまして、「ラスパイレス指数が100を上回る場合にはその適切性を厳格に検証し」ということが求められているわけですが、医師・看護師については非常に人材確保が困難ということで、高くなるのはやむを得ないのかとは思うのですが、事務・技術職という結構大くくりの中で100を上回っている状況となっています。この背景として、例えば国家公務員の方の給与が引き下げられたことで相対的に高くなってしまったのかどうか、この辺りが、なぜ事務・技術職でも100を超えたのか教えていただければと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 御指摘のとおりです。国は全職員を7.8%引き下げたわけです。ただ、私どもの国立病院機構は臨床の現場が大事ということで、デスクワークをやっております本部ブロックの職員は引き下げましたが、病院の中におります職員で引き下げたのは、院長、副院長、事務部長、看護部長、薬剤科長、それだけの人間に限定させていただきました。ですから、それ以外の人間の給与の絶対額は変わらなかったわけですが、結果的に国との比較で高くなったということです。

 

○田極部会長代理

 分かりました。ありがとうございました。

 

○松尾部会長

 よろしいですか。それでは、また23分で評定書に記入をお願いします。よろしいでしょうか。それでは最後のグループ5に行きたいと思います。評価項目1214について評価致します。法人側からの説明15分、質疑と評定の記入に15分、計30分を予定しております。それでは、法人から説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 グループ5165ページを御覧ください。予算、収支計画及び資金計画です。経常収支につきましては、経常利益が317億円、経常収支率103.5%となっております。中期計画における各年度の目標の損益計算において、経常収支率は100%とするという目標を上回っております。又、総収支は21億円となっており、黒字を維持しているところです。

166ページ、「自己評定」ですけれども、このようにこの収支についても中期計画を大きく上回る実績を踏まえ、自己評定については「S」評価とさせていただいております。

 

○国立病院機構財務部長

 続きまして168ページを御覧ください。2の固定負債割合の改善です。建物及び医療機器整備の効率化ですが、建物整備につきましては設計仕様の標準化等を行うとともに、各種入札条件の緩和等による競争環境の創出なども行い、整備の効率化を図ったところです。医療機器整備につきましても共同入札を実施するなど効率化を図っております。

(2)の内部資金の活用ですが、こうした投資には内部資金を活用しているということです。又、固定負債残高の推移については中ほど下の方に推移の数字が記載されておりますが、固定負債残高の推移として平成20年度期末は5,971億円ですが、その下、平成25年度期末においては4,294億円と返済を行っているということです。

 次の169ページ、医療機器・建物整備に関する計画です。医療機器整備については、表にありますように平成25年度は387億円の投資を行っており、累計では1,338億円で計画の1,130億円に対し上回っているというところです。

2.の施設整備ですが、平成25年度に病棟等の建替整備を投資決定した病院は5病院です。投資額ですが、平成25年度に整備申請したものは498億円です。累計としては1,918億円です。医療機器と施設の合計で見てみますと、計画値はトータル3,370億円となっているわけですが、建物と医療機器トータルでの投資額を見ますと3,256億円ということになっております。計画値、トータル全体で見ますとほぼ同水準というところです。

170ページですが、建替整備等を行ったものにつきましては償還性のフォローアップなどを行っており、継続的な検証に努めているところです。又、4にございますように自己資金の積極的な活用を進めております。

171ページ、機構が承継する債務の償還です。約定どおりの償還を行っており、平成25年度におきましては元金・利息合計で4807,1194,000円を返済しております。

172ページ、短期借入金の限度額の所につきましては短期借入金はありません。

173ページ、重要な財産譲渡等の対応です。国庫納付の関係ですが、過去の閣議決定に基づきまして7病院決まっております。そのうち5病院は終了しておりまして、平成25年度は2病院について国庫納付に向けて関係機関と調整等を進めているという状況です。

174ページ、剰余金の使途です。平成25年度の決算における利益剰余金は18億円ということで、将来の投資あるいは償還に充てるための積立金とすることとしております。

175ページ、「評定」です。総合的な評定の欄にありますように、固定負債につきましては5年間での累計で1,677億円の削減を行っており、目標を大幅に上回るペースでの縮減を図っております。又、医療機器・建物の投資につきましては3,255億円の投資となっており、トータルで見ますと初期計画の目標を概ね達成しているという状況です。以上を踏まえ、「自己評定」としては「S」とさせていただいております。

 

○国立病院機構総務部長

 引き続き、その他主務省令で定める業務運営に関する事項について御説明させていただきます。まず人事に関する計画です。177ページ、患者さんのQOLの向上のためということで、看護師の指示の下、入浴、食事、排泄等のボディータッチができる「療養介助職」を平成17年度に導入しております。平成25年度については新たに5病院で導入し、全体で68病院、1,154名で療養介護職の業務を担っております。

 それから、平成25年度については新たに重症心身障害あるいは筋ジストロフィー患者の高齢化、あるいは介護サービスの向上といったものを考え、介護福祉士を中心とした介護計画を作成して、PDCAサイクルに則った介護計画に基づく介護が適切にできるよう療養介助専門員を新たに位置づけて平成26年度から導入することとしております。

2の技能職の関係ですが、先ほど来ありますように後補充を行わずアウトソーシング化を図り、あるいは検査部門や給食部門について全面委託を進めております。スケールメリットを活かして良質な人材の確保を図るため、ブロック単位での看護師あるいは事務職員等の採用を行っております。

4の研修を御覧ください。毎年度、国立病院機構の研修委員会を本部で設けております。これまでの実施状況や効果について検証し、翌年度の研修計画について定めるとなっていますけれども、平成25年度について主に実施した研修についてはそこに書いてあるとおりです。新たにトップマネジメント研修をはじめ、あるいは広報担当者の研修を実施しております。

178ページをお開きください、医師を中心としたリーダー育成研修は先ほど御説明しましたので省略させていただきます。

6の障害者雇用に対する取組です。平成25年度から障害者の法定雇用率が2.1%から2.3%に引き上げられました。この基準日であります平成2561日現在では2.11%ということで、2.3%に達しなかった状況です。これについては、各病院に対して積極的に雇用を図るよう指導を徹底するとともに、その結果として平成263月時点では2.28%という形で徐々に向上してきている状況です。今後の病院評価に当たって、こういった障害者の雇用状況について医療面、経営面の評価制度をいま導入していますが、その項目に障害者雇用を更に促進するために評価項目として入れているところです。

179ページ、その他医師確保が困難な機構病院における医師確保の関係です。定年退職65歳を超えて、勤務延長が3年間認められているわけですけれども、重心や医師確保が困難な病院について、勤務延長を活用しつつ定年退職予定者4名、再延長者3名、再々延長1名、計8名についてシニアフロンティア制度を導入して医師確保に努めているところです。

 精神科医師の確保についても課題ですが、精神科レジデントフォーラム等の開催を行い、機構病院の医師、機構外の若手精神科医師やレジデント等と交流を行うことにより、機構の行っている業務について理解を求め、医師確保に努めているところです。

180ページ、看護師の確保についてもまだ課題がありますが、こういった全国版の看護師確保のパンフレットを作成、約5万部関係の医療機関、地域といった所に配っております。

181ページ、これが先ほど来ありました、技能職の純減を図っております。

182ページは広報関係です。国立病院機構としての情報発信は極めて重要と認識しており、まず機構全体の総合パンフレットの配布、それからホームページにも掲載しております。研修医や専修医向けの情報誌として『NHO NEW WAVE』実際に臨床研修などで来られている医師の対談形式の情報をいただきながら、各病院の取組といったものについて広報を行っております。

 ホームページを活用して積極的な情報発信ということで、各病院がきちんと自分の特性を活かした広報ができるように、それから新たに平成25年度から取り組んでおりますけれども、「英語版」のホームページを作成していくという取組を行っています。最後、自病院の特性に併せて広報ができるような人材育成ということで広報担当者の研修を行っています。

183ページ、「自己評定」ですが、今申し上げたように技能職の純減、あるいは障害者雇用の取組も徐々に改善し、積極的に広報活動を行っていること等を総合して「A」評価とさせていただいています。以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方にはまた評定書の記入を行っていただきながら御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○斎藤委員

 どこかで拝見したか、伺ったかもしれませんがすぐ出てこないので教えてください。減価償却の金額の推移について、もしページ数が分かったら教えていただきたいのですが。もし、ここに記載がなかったら過去3年位で結構ですが教えていただけますか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 お手元の資料も併せて御参照いただければと思います。業務実績の概要、資料1-2ですけれども、そちらの10ページに各財務諸表の費用の項目が出ております。平成25年度実績で644億円、24年度実績が569億円、23年度実績は533億円、22年度503億円ということで若干増加していると。

 

○斎藤委員

1-2の何ページですか、申し訳ありません。

 

○国立病院機構企画経営部長

10ページです。

 

○斎藤委員

 分かりました、ありがとうございます。

 

○亀岡委員

2点あります。一つは169ページ、いわゆる医療機器・建物整備に関する計画です。医療機器の整備につきましては当初、計画が1,130億円ということに対して、最終的には1,338億円、200億円以上多く計画以上に投資をされている。この時、超える場合には何らかの手当を打たれたのかどうか。

 あと、施設の方なのですが、逆に施設が随分、300億以上設備投資が少ないのですが、この辺はなぜ計画とうまく合わなかったのかという点が1つです。

 もう1つ、これはそれほど難しくないかと思うのですが、182ページで最後の広報に関する事項、(4)で広報担当者研修ということで、全国143病院が所属する広報担当者を対象に研修を行ったとあります。広報担当者というのは何名ぐらいおられるのかを併せて教えていただければと思います。

 

○国立病院機構財務部長

 まず医療機器整備の関係のお尋ねですが、平成25年度はかなりサービス基盤整備を進めようということで取り組んできた経緯がございます。この医療機器整備の中にはベッドであるとか、いろいろ小物の医療機器も含まれてございます。従来、かなり投資を抑えてきたということもありましたので、サービス基盤を整えようと、ある意味キャンペーン的な形で相当投資を促してきたところもあります。そうしたところもあって、かなり計画値を上回ったのではないかと考えています。

 建物につきましては支出ベースの数字で計上しております。昨今、いろいろな建築労働者不足の問題などもあって、建物の工事が遅延したり、あるいは地中障害などいろいろな要因によって、当初見込んでいた工期よりも相当延びてしまうケースが起きております。こういったものが非常に大きな要因となって、平成25年度については当初見込まれていた支出に至らなかったものと考えております。

 

○亀岡委員

 その時、特に医療機器の場合に今回随分出ているのですが、当初計画を大きく上回る場合は承認をもらっているということでよろしいのでしょうか。

 

○国立病院機構財務部長

 はい、そのような承認を行って投資を進めているということです。

 

○国立病院機構総務部長

 先ほど御指摘の広報担当者、143名の関係です。広報担当者ということで何か発令をしているわけではありません。各病院で広報を担当する人の役割を決めて行っています。平成25年度、実際に機構本部に来られた研修の方の役職を見ますと、管理課長や庶務班長といった方がほとんどになっています。

 

○亀岡委員

 人数は何名ほどですか。

 

○国立病院機構総務部長

143名です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました、ほかにいかがですか。

 

○田極部会長代理

177ページ、良質な人材の確保及び有効活用というところで、看護師・事務職員等の職員については、ブロック単位で職員一括採用を行うほか、ブロック内での人事交流を促進する、という形で書かれています。平成25年度まではブロック事務所があって、そこが音頭を取ってされているということだと思います。参考までに教えていただきたいのは平成26年度以降、こういったことは本部でされるのか、あるいはある程度ブロックという意識の中で、本部の中でどこどこブロック担当という形で連携を取ってやられているのでしょうか。教えていただければと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 従前、ブロック事務所で行っていた業務のうち、相当なものは本部に引き上げたわけですけれども、やはり人事調整などは地元において行うことが適切である、というお話の上での閣議決定であったと私も理解しておりますので、そのような地域単位での人事調整などの機能は、ブロックといいますか、グループと申しておりますけれども、大きな病院。院長兼本部の理事とか、そういう大きな病院にそのような業務を依頼して、そこと本部が相談しながらいろいろとやってもらっている。そういうことで適宜行っているところです。

 

○田極部会長代理

 ありがとうございます。

 

○松尾部会長

 ほかにいかがでしょうか。私から二つお伺いします。必要な人員の確保と不必要とは言いませんが、その他の人員の縮減というのはよく分かりました。例えば、名古屋医療センターが新しく臨床中核病院になった。そうすると、いわゆるRegulartory Science関連の新しい職種、こういった人たちをかなり大量に採用しないといけないと思います。その辺の記載がなかったのですが、若干方針などお聞かせいただければと思います。いかがでしょうか。

 

○国立病院機構副理事長

 病院の方からお話を本部にいただきまして、最初のうちはだいぶ多いようなお話でしたけれども、よくいろいろ話をしていく上で相当程度絞り込んだり、あるいは常勤をという最初のお考えを非常勤でといった話を何回かした上で、最終的に、必要最低限の人員増ということで決着したところです。

 

○松尾部会長

 多分、名古屋医療センターが病院機構の中でネットワークを作って臨床研究をやられるので、モニタリングや監査など相当大変だと思います。ですから、今、臨床研究がずいぶん問題になっているので、是非一定の人数はきちんと配置しておかないと。その辺、是非よろしくお願いしたいと思います。

 あと、これは前のところで医長以上の方の年俸制が出てきました。年俸制で待遇を決める時、経営的な観点と医療的な観点がある。経営的な観点というのは比較的分かりやすいかと思うのですが、医療的な観点での評価でインセンティブを付けたり付けなかったりする。これは結構モチベーションにも関わる所なので、医療的な観点での付け方というのは具体的にはどうされているのですか。例えば、先ほどクリニカル・インディケーターというのが出てきましたが、あのようなものの達成状況などでしょうか。

 

○国立病院機構副理事長

 全ての例を承知しているわけではありませんが、院長たちから聞いているお話としてはやはり臨床医としてどれだけやっているかどうかというのは大体上のドクターから見れば分かります。部長から院長が話を聞いたり、あるいは直接若いドクターから院長が話を聞くといったような形でやっています。

 また、看護学校で授業を持っていたりということも反映します。大きい病院であっても、医師の人数は100数十人ですから、様々な観点で院長が直接、あるいは副院長を何人か使ってみるということで行っておられるように聞いております。

 

○斎藤委員

181ページ、技能職の削減の数字の読み方を教えてください。平成25年のところで87名純減とありますけれども、再任用の方を合わせると168名ということは、再任用の方81名もお辞めいただいたということなのでしょうか。そうすると、再任用ということは平成25年以前の所で81名が一応純減と数えられていて、ダブルカウントになっているのでしょうか。数字の読み方が分からないので教えてください。

 

○国立病院機構副理事長

 平成24年度以前につきましては再任用という制度自身がございません。

この制度ができましたのは、公的年金の支給開始年齢が徐々に延びていく。2年に1歳ずつ延びていくというオールジャパンで、どこの職場でも再任用をするということになっているからです。平成25年度から始まるということです。

従って、平成25年度の技能職について御説明しますと、基本的に60歳定年で168名の方に退職辞令が出て、退職金も支払って、そのうち希望されて能力もある81名の方、給料は従前より低くなり、若い方の初任給程度の給料ですが、それで1年間だけ働いていただくという形です。それを年金につなぐ、1年働いていただいたら次に年金が出るということです。

 

○斎藤委員

 ありがとうございます。

 

○松尾部会長

 よろしいですか。

 

○富田委員

 今回の評価とは離れるのですが、今年度の診療報酬改定で地域医療ビジョンと病床の大きな再編が目の前に現れてきました。国立病院機構として今、どのように考えたり準備されているのか、この審査とは全く無関係なのですが同じような病院を運営する者として伺いたいのです。

 私たちは幾つか問題を抱えています。まず、国立病院機構では71病床がどのぐらい維持できると想定されているか。それから、様々な地方の県庁所在地でホールディング・カンパニーの動きが出てきています。機構の病院にも声がかかっていると思うのですが、我々の病院にも声がかかってきています。そこに参加できるかどうかに関して、いつも問合せが来るものですから回答に窮しているところです。

 もう1つ、昨今、高度急性期という病床数が非常に絞り込まれてくるのですが、そこに残れるだろうと思われる病院がどのぐらい想定されているのか。

 最後に、医療政策的に障害者病棟をたくさん持っていらっしゃる。この障害者病棟というのは今後、医療の中に残るのかどのように予想されているのか。たくさん伺いましたけれども答えられる範囲で結構です、私たちも参考にしたいのでお願いします。

 

○松尾部会長

 では、簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構医療担当理事

 まず地域医療ビジョン、病床再編に関連して病棟ごとの病床機能報告制度が始まることに対する対応は、各病院がそれぞれ考え、我々も病院とコミュニケーションを取っています。具体的には、地域単位でディスカッションされる協議の場が地域で持たれますので、そういう所に参画することが重要だというメッセージを本部からも送ったり、都道府県と病院がディスカッションする場を設定して、我々も同席し、意見交換・情報交換をする場を設けたりということがあります。

 もう1つ、今回の地域医療ビジョンで大事なのはデータに基づくという点です。これを私ども、いま壇上に並べておりますが、各病院1冊ずつ診療情報分析レポートを作成しており、自院の強み・弱みをきちんと客観的に把握する。それから、地域の中でほかのDPCの病院等のデータもありますので比較をして、何を連携し、何を伸ばしていくか、各病院がどのような機能で地域医療に貢献すべきか検討するためのデータを出しています。まだ、具体的にどの病院がどの機能で報告するかというところは今しばらく時間があるので、現時点では正確なデータは持っておりませんが、幾つかの病院から71のところに一部地域包括ケア病棟も入れるという御相談があったりします。数字的なものは未確定で申し上げられないのですが、各病院が検討することを推奨し、データ分析などの支援をしているという状況です。

 高度急性期も幾つ残るかという試算までは今の時点ではありません。それにつきましても、どういう条件が満たされなければいけないかということを情報共有し、特に高機能の高度急性期的な機能を持つと想定される病院の院長先生方をメンバーとする会議を開き、地域の状況、それぞれの病院の工夫や取組を水平展開、情報共有するということをやらせていただいています。

 障害者病棟についてですが、これは今般の国の制度で病床が病棟毎に機能分類される四つの中では慢性期に該当します。その慢性期の中に2種類あり、1つは一般的な長期療養、もう1つは重症心身障害や筋ジストロフィー、難病などの患者さんの医療の提供ということです。後者の障害者病棟について、経過は慢性ですが、人工呼吸器を付けた重篤な方々も多くいらっしゃる。そこは国の今の方針でも一定の御理解をいただいているのではないかと思います。今後もそのような機能がないと、地域において医療依存度の高い患者さんの受け皿がなくなってしまうということがあっては困りますので、引き続き私どもが適切に役割を果たせるようきちんとデータをお示しさせていただいて、各都道府県、地域での検討に際し、議論に貢献させていただければと考えております。

 

○国立病院機構理事長

 今、梅田理事が答えたとおりだと思います。かつて、国立病院機構の病院は国の病院ということで、都道府県との関係が非常に希薄であったということがあります。しかし、今後、地域医療は言ってみれば特に都道府県の影響が非常に強くなりますので、国立病院機構としてはもう既にそれぞれの病院、個々の病院が今後どういう計画で病床機能を割り当てていくかの調査をすぐ開始するとともに、それぞれの県との協議を早く始めるように促している。

 かつては公的病院という言葉があって、労災もそう、あるいは国立大学の附属病院もそうですが、国立病院機構は公的病院ではないという位置づけになっていて変でした。そういうこともあって、今後県との関係を強化していく必要があるだろうということを考えてやっています。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ほぼ意見も出尽くしたかと思います。各委員におかれましては23分で記入をお願いしたいと思います。そろそろ集中力も限界になってきました。

 よろしいようですので、以上で国立病院機構に関わる個別評価は終了致します。続きまして、国立病院機構の長期借入金実績報告についてという議題に入りたいと思います。こちらの方は本部会で既に了承していただいておりますが、長期借入金計画に基づく実績報告となります。法人から報告をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 資料1-7を御覧いただければと思います。平成25年度の長期借入金の実績についてですが、25年度は291億円の借入れを計画しておりましたけれども、資金繰り等を考慮して平成26328日に116億円を財政投融資金から借入れを行ったところです。償還期間につきましては25年うち据置5年となっております。借入れの利率につきましては借入れから10年毎に金利の見直しのある条件で、当初10年間の利率は年0.6%となっております。これにより、借入後の債務残高については平成25年度末において4,294億円ということです。以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、報告を承ったということでこの議題については終了させていただきます。大変長時間にわたりましたけれども、本日の議事はこれで全て終了ということになります。最後に事務局から、今後の流れと次回の開催等についてよろしくお願い致します。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御説明致します。評定記入用紙の全ての項目について、評定の記入が終わっている場合につきましては用紙を部会終了後に回収致しますので、机上にそのままにしてお帰りいただくようお願い致します。また、記入が終わっていない場合につきましては冒頭でも申し上げたとおり、評定記入用紙をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは本日、評定記入用紙の電子媒体をメールでお送りしますので、その電子媒体の方に御記入の上、729()までに事務局に御提出いただきますようお願い致します。なお、御提出いただきました各委員の評定につきましては事務局で集計し、本部会の評定結果を確定させていただきます。その後、各委員の評定等を踏まえ、起草委員である田極委員と所管課において御調整いただき、評価書()の作成を行います。こちらは次回、総合評価を行う部会において御審議いただくこととなります。

 続いて、本年3月及び6月に書面にて御意見をいただいた案件についての御報告になります。参考資料3として通知の写しを付けています、こちらを御覧いただければと思います。国立病院機構の不要財産の国庫納付、それから平成25年度財務諸表等、中期目標期間終了時の積立金の処分につきましては、325日付と627日付でそれぞれ本部会において了承されましたことを御報告致します。

 次に、次回の開催日程について御連絡致します。次回は822()10時から、場所は本日と同様中央労働委員会講堂を予定しております。議題としては、平成25年度の業務実績に係る総合評価に加え中期目標期間の業務実績評価(いわゆる最終評価)と役員の退職金に係る業績勘案率の決定に関する審議を行う予定としております。

 最後に、本日配布した資料の送付を御希望される場合につきましては、事務局より送付致しますので机上にそのままにしておいて、本日は御退席いただきますようお願い致します。事務局からは以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。何か今後の手順について御質問はございますか、よろしいですか。ないようでしたら、本日はこれで全て終了とさせていただきます。長時間にわたり、誠に熱心な御審議や御意見等をありがとうございました。これで終わらせていただきます。


(了)

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