ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会労働部会)> 独立行政法人評価委員会労働部会(第89回) 議事録(2014年7月30日)




2014年7月30日 独立行政法人評価委員会労働部会(第89回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年7月30日(水)13:30~15:29


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

今村部会長、高田部会長代理、小西委員、志藤委員、柴田委員、松浦委員、宮崎委員

○議事

(以下、議事録)

○今村部会長

 定刻になりましたので、ただいまから第89回厚生労働省独立行政法人評価委員会労働部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、お暑い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、松尾委員、関口委員が御欠席です。

 それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、1つ目としては、勤労者退職金共済機構の平成25年度業務実績に係る個別評価、2つ目としては、勤労者退職金共済機構の長期借入金及び債券発行の実績報告についてです。なお、個別評価については、これまでと同様に委員の皆様方には資料1-4の評定記入用紙に、評定と評定理由を記入しながら議事を進めていただくことになりますが、会議時間内に記入が終わらない場合については、資料をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、本日評定記入用紙の電子媒体をメールにて送付させていただきますので、そちらに御記入の上、御提出いただければと思います。その場合には、大変恐縮ですが、84()までに事務局へ御提出いただきますようよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村部会長

 それでは、議事に入ります。最初に理事長から御挨拶と、平成25年度における業務実績のポイントをお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 皆さん、こんにちは。理事長の額賀です。本日は御多忙のところ、御出席賜りまして誠にありがとうございます。どうか、よろしく御審議のほどお願いいたします。

 資料1-1の業務実績に関する説明資料を御覧ください。表紙をめくっていただきますと、事業体系図が出てまいります。私どもの機構は、金融業務を行う中期目標管理法人として整理されておりますが、業務は1の勤労者等の退職金共済制度の運営と、2の財形制度の運営の2本柱で成り立っております。平成25年度は、第3期中期計画の初年度に当たりますが、以下業務の流れに沿いましてポイントを説明いたします。

 1は、入口となります加入促進です。機構全体として、加入目標に対する達成率は、平成25年度は約100%となりました。中退共では、厚生年金基金解散後の受け皿としての対応も、同年度から前広に進めております。2は、お預かりいたしました資産の運用と、累積欠損金解消のための取組です。平成25年度は、全ての給付経理で大きな当期利益を計上いたしました。特に中退共では、8年ぶりに付加退職金の支給を実施したほか、制度的にも財務の健全性が図られたところです。また、林退共の累積欠損金も解消目標額を上回りました。こうした実績には、市場環境の改善も当然大きく寄与しているわけですが、適切な委託先の選定により、委託をいたしました全ての経理で、ベンチマークを上回る運用が実現したことや、地道な経費削減の努力が効いてきた面もあります。

 3は出口となります退職金支給です。アは、災害時における事業継続性を強化するための取組で、バックアップ機能の強化が実現いたしました。退職金未請求者を縮減するための取組については、業務の工夫によりコストパフォーマンスを悪化させることなく、未請求率を1.59%と過去最高まで縮減することができております。長期未更新者に対する対応としては、こちらも着実に実施をいたしました。4は、財形持家融資制度の普及促進等です。サービス向上のための取組を進めた結果、貸付件数は1,000件を超え、前年度は758件でしたが、前年度の実績を大きく上回ることができております。退職金共済制度との連携に係る取組としては、中小企業向けの浸透を図ったところです。

 5は、内部統制を強化するための取組です。具体的には、反社会的勢力に対する対応を進めたところですが、やはり内部統制強化のためには、風通しをよくすることが大切です。私自身、毎年2月に管理職が50数名いるわけですが、そういう方々と1名ずつ面談をしておりますが、今年で4回目となりました。時間を長くいたしまして、職場環境の課題を中心に、意思疎通を図ったところです。

2ページの表で、退職金共済事業の数字で説明いたします。左から2列目の被共済者数ですが、4共済の合計数字が630万人を超えました。一番右端の期末資産残高ですが、3月末で52,000億円を超えており、このいずれの数字も既往のピークを更新しております。私どもとしては、確かな業務と健全財務を目指し、今後とも努力を続けていきたいと考えております。私からは以上です。

 

○今村部会長

 それでは、4つのグループごとに勤労者退職金共済機構の個別評価を行っていきます。まずグループ1、評価項目15について評価いたします。所要時間は、法人の説明15分、質疑と評定の記入に10分の合計25分です。それでは、法人から平成25年度の業務実績と自己評定について説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 勤労者退職金共済機構総務部長の川口と申します。パワーポイントの資料を使って説明いたします。4ページ、評価項目1「効率的な業務実施体制の確立等」について説明いたします。評価の視点については、ここに書いてあるとおりですので、次の5ページを御覧ください。これについては、業務実施体制の効率化及び人員・経費の縮減と、それ以外の取組の2つに分けて御紹介したいと思います。まず、最初の効率化及び人員・経費の縮減については、平成24年度末で「業務・システム最適化計画」が終了していることから、総務部の「最適化推進室」を廃止しております。また、それに代わり、機構には複数の情報システムがありますので、情報システムの管理等を行う「システム管理室」を、総務部ではなくシステム管理部に設置いたしました。

2つ目は、建退共事業本部において、これまでは特別事業も含めた執行体制の効率化を図る観点から、特別事業に係る事務を行う「特別事業調査役」を廃止し、それに代わって加入・履行促進対策について中小企業者から大手企業者までを一元的に扱う「加入・履行促進対策調査役」を設置いたしました。これは建設業ですので、重層的な下請関係ということで、元請、下請、孫請といった構造がありますので、それを重層的に一元的に取り扱おうということで設置したものです。また、長期未更新者調査により、一層効率的に推進するため、「業務調査役」を設置いたしました。長期未更新者調査については、昨年度から始まった第3期中期計画において、重点的に実施することとなっておりますので、それを狙ってこの業務調査役を設置して、長期未更新者調査を重点的にやっていこうという考えです。

 続いて、それ以外の取組です。1つは、中退共事業における退職金未請求者への請求手続の要請業務について、全体の効率的かつ円滑化を一層進める観点から、作業手順をマニュアル化した上で、外部委託を実施しております。この外部委託の実施により、従前3か月ごとに行っていた請求要請業務等を毎月実施するとともに、未請求者の在宅時間に合わせたテレホンアプローチを行いました。今までは平日の日中しかできなかったものについて、例えばそれを夜間あるいは土日など、在宅している時間に合わせてテレホンアプローチを実施するようなことも行っております。そうした未請求者対策の強化を図った結果、経費の圧縮にもつながったと考えております。

 以上の取組について、平成24年度に比べて、定員を2名削減しており、それ以外に今申したような加入・履行促進対策について、中小企業者から大手企業者まで一元的に扱うことにより、効率化を図ったこと、加えて、テレホンアプローチに関する外部委託を行ったことにより、夕方、休日でも退職金を請求できるようお願いすることが可能となったということで、事務処理を大きく効率化することができたことから、「A」評価とさせていただきました。

 続いて、6ページの評価項目2を御覧ください。「中期計画の定期的な進行管理」です。評価の視点は、こちらに書いてあるとおりです。7ページを御覧ください。中期計画の定期的な進行管理ということで、右側に「各本部の進行管理」と書いてあります。こちらには、毎月開催する幹部会あるいは部内会議といった各事業本部内の会議において、事業本部内の意思統一を図るとともに、上にありますが、中小企業退職金共済事業、建退共事業においては、各4回加入促進対策委員会を開催し、委員会での議論を踏まえ、積極的な加入勧奨を実施しているところです。

 こうした各本部の進行管理に加え、機構全体の進行管理を左側に書いております。各部バラバラにならないように、機構全体の進行管理として、毎月開催する理事会において、業務運営状況の把握、運営方針の決定等を行うほか、四半期に1回、業務推進委員会を開催し、各事業本部の業務進捗状況を把握、検証し、適宜業務運営の方針を指示しています。こうした中、こういった会議を通じて職員の意識向上を図っておりますが、それ以外に職員一人一人について、年度計画に基づく目標管理表を作成しており、年度末にはその達成度の評価も実施しております。

 以上の取組については、自己評価を「B」とさせていただきました。

 続いて、評価項目3です。8ページを御覧ください。「内部統制の強化」「情報セキュリティ対策の推進」ということで、2つの項目をまとめて説明いたします。資料は、9ページになります。まず、内部統制の強化です。内部統制については、計画策定ということで、全役員、全部長が入った理事会で、業務運営方針等を決定し、事業本部ごとに幹部会あるいは部内会議等を毎月開催し、実行に移しております。また、各事業本部の取組については、四半期ごとに開催する業務推進委員会のほか、年3回の資産運用評価委員会を設定しており、これは、外部の専門家に入っていただき、資産運用実績の評価をいただいております。加えて、契約監視委員会においても、外部の委員が3名入っておりますので、その中で様々な御指摘もいただいております。

 これらの評価を得まして、業務改善を行いながら、このPDCAサイクルを回して、内部統制の強化に取り組んでいるところです。

 内部統制の強化に向けた新たな取組も御覧ください。当機構にはコンプライアンス推進委員会があり、そこで平成2511月に反社会的勢力排除に関する取組ということで、政府が定めた指針に基づき、新たに当機構としての「反社会的勢力に対する基本方針」及び「反社会的勢力対応規程」を策定しました。また、それとともに、共済約款、契約申込書についても改訂をしております。

 最後に、情報セキュリティ対策推進のための取組です。これは、政府の方針が定められておりますが、それに基づき、当機構においては、個人情報保護管理規程、情報セキュリティのための対策基準を策定しております。また、当機構は共済に係るもので、共済契約者あるいは被共済者についてのいろいろな情報を持っているわけですが、そういった情報については個人情報にアクセスする権限を有する者を必要最小限の職員に限定しており、またアクセス記録の保存も行っております。更に、最新のセキュリティ・パッチ、ウイルスパターンファイルの適用、フィルタリングへのアクセス制御、アクセスログの検証も定期的に実施しております。加えて、職員に対する意識啓発や研修会の実施も行っており、情報セキュリティ対策については万全を期しております。

 以上の取組について、平成25年度においては、先ほど申しましたような反社会的勢力に関するいろいろな方針等を策定したことに加え、法令遵守対策の徹底にも取り組んだことも評価し、「A」評価とさせていただきました。

 続いて、評価項目4です。ここは、「業務運営の効率化に伴う経費節減」ということで、一般管理費及び業務経費、更には人件費について説明いたします。10ページに数値目標、評価の視点が設けられております。11ページを御覧ください。最初に、一般管理費及び業務経費の節減です。左側に、一般管理費(人件費を除く)部分についての比較のグラフが出ております。平成24年度予算額と平成25年度決算額を比較した結果、人件費を除く一般管理費については、15%以上の削減目標が設定されているのに対し、32.2%の削減となりました。また、右側の業務経費についても、5%以上の削減目標に対し、21.0%の減少となっております。また、この表の下にあります人件費の節減ですが、「給与水準の検証」として地域勘案指数101.1と出ておりますし、地域・学歴勘案指数は102.6となっております。これは、平成24年度と比較しますと、地域勘案指数については104.0が平成24年度の数字ですので、2.9ポイントの減少、次の地域・学歴勘案指数については、102.6に対して105.0が平成24年度の数字ですので、2.4ポイントの減少となっております。

 一方、総人件費の見直しですが、超過勤務管理の徹底等の取組も従前から行っております。この結果、年間の超過勤務額については、前年度比23.2%の減少ということで、総人件費自体も前年度に比べて2.6%削減した結果になりました。

 こうした取組については、数値目標はいずれも達成したことと、人件費節減についても、平成24年度よりも下回ったことから、「A」評価とさせていただきました。

 最後に、評価項目5です。契約の適正化の推進です。12ページを御覧ください。評価の視点は、こちらに書いております。13ページに移ります。下に監査の実施が書いてあります。契約の適正化の推進については、四半期ごとに監事、外部有識者から構成する契約監視委員会において、競争性のない随意契約及び一者応札・一者応募等の点検、見直しを実施し、仮に随意契約する際には価格交渉等を行うことによるコストの削減を図るなど、締結された契約についての改善状況を定期的にフォローアップもしておりますし、審議概要についてはホームページでも公表をしているところです。

 随意契約以外の契約も含めた競争性・透明性の確保です。この取組については、新たな取組として、入札参加機会の拡大を図るために、平成264月の全省庁統一資格導入のための競争参加資格基準の見直し及び規程の改正等を、平成25年度に実施いたしました。

 このような取組について、今申し上げたような新たな全省庁統一資格導入のための競争参加資格基準の見直し、またそれに伴う規程の改正を行ったこと。また、随意契約等見直し計画のフォローアップ等についても適正に行っていると考え、「A」評価とさせていただきました。評価項目15の説明は以上です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

○今村部会長

 委員の皆様は、評定記入用紙の評価項目15に評定結果及び評定理由の記入をお願いいたします。御質問等ありましたら、適宜、御発言をお願いいたします。

 

○宮崎委員

 御説明ありがとうございました。2点ほど教えていただきたいのですが、1点目は9ページの内部統制強化の中で、反社会的勢力への対応規程の整備の取組の説明をいただいております。私の記憶では、この反社会的勢力への対応みたいなものは、各地方自治体の条令の改正などは、昨年、一昨年ぐらいからあったような記憶があるのですが、平成25年から取り組まれたというのは、何か個別の事案が生じたからなのか、そうではなくて、一般的な世の中の情勢を踏まえて自主的に対応されたのかを教えていただきたいと思います。

 もう1点は、13ページの全省庁統一資格導入に係る入札参加機会の拡大ですが、これは文字どおり全省庁統一資格ですので、ランクABCDという区分は全省庁で同じだと思っているところですが、この「基準の見直し」とあえて書かれているのは、当機構独自で何か基準を見直されたものがあるのかを教えていただければと思います。以上、2点です。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 最初の御質問ですが、反社会的勢力に対する基本方針、反社会的勢力対応規程については、これはある金融機関の事案があったことを踏まえて、それに適正に対応するために策定したと聞いております。

 もう1つは、全省庁入札参加資格拡大については、少しでもこういった統一的な基準を設定することにより、基準を満たす企業が当機構の入札に対応できるようにするということで、この取組を進めた経緯があります。

 

○宮崎委員

1点目は、そういう意味では、当機構としては何か特定の事案があったのではないという理解でよろしいですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 そのとおりです。

 

○柴田委員

 私も、入札参加資格の拡大については、若干本当にいいのかなという気がしています。機会を拡大するのはいいのですが、私の記憶ですと、全省庁統一資格ですと、業務の健全性や事業の健全性を図る指標が余りないですよね。継続的にこの会社は大丈夫だという財務分析的な視点がないのです。こういう大切なお金を扱うような所で、入札だけで外注先を選ぶのですか。それとも、そうではないのでしょうか。ただ、余り緩くするのもいかがなものかなとも思うのですが。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 総務担当の東です。今、柴田委員がおっしゃったことは、誠にごもっともだと思います。従来は、先ほど説明いたしましたように、私どもの規格で個別に審査しており、なるべく参加機会を拡大ということで、今回全省庁統一資格を今年度から導入しております。おっしゃるような観点も非常に重要だと思いますので、今年度から導入いたしますので、その動向を見つつ、また検討させていただきたいと思っております。

 

○高田部会長代理

11ページの管理費の節減に関してですが、非常に大きな削減がなされたことの背景といいますか、どういう点が大きな削減につながったのかを説明いただけると幸いです。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 資料には、削減要因として、契約状況の点検・見直しを行いと書いてありますが、具体的に申し上げますと、当機構は退職金について取り扱っているものですが、退職金あるいは解約手当金というものがあり、その請求書自動読取システムがあります。その賃貸借について、以前は不落随意契約だったものを、今回一般競争入札による契約となったことで、これが相当程度の削減につながったと捉えております。また、新規事業で加入証明書発行システムを設けていますが、これについても一般競争入札を行った結果、非常に額としては適正なものになったといったことで、業務経費の節減につながったと捉えております。

 

○高田部会長代理

 もう1点ですが、13ページの随意契約の適正化の問題で、数値として随意契約がこれだけ減ったというようなデータは取っていらっしゃるのですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 数字は入れませんでしたが、随意契約については、平成20年度の実績に比べて、平成25年度については44件減少しております。

 

○今村部会長

 今の随意契約ですが、金額的には大きなものはもうなくなっていますが、以前はレガシーシステムということでかなり大きな随意契約がありましたが、それは金額的には大きなものは残っていないということですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 大きなものは残っていないと承知しております。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 その内容については、前回も申し上げましたが、郵便や官報掲載など、ほとんどほかに競争しようがない業務が大部分と、もう一部分はシステムの改修について、やはりシステムを構築した所でないと分からないというような規模の小さい改修等があり、それについては随意契約をしているという2通りだけです。

 

○小西委員

11ページの人件費の節減の所で、総人件費の見直しです。計画的な定員削減を行われたということなのですが、これはもう少し具体的にどのようなことが計画として設定されているのかを御教授いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

2名削減の所については、総務部において定員を2名減らしたことになります。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

2名については、平成25年度は総務部で総務課1名、会計課1名という計画的な削減です。その削減については、第2期中期計画が平成24年度で終了しているのですが、その間社宅を全廃したり、私どもが持っている機構ビルを売却した等で、業務が縮小した部分があり、それを担当していたセクションの2名を廃止したものが計画的な削減です。

 もう1つは、超過勤務について、計画的な人員の配置により、大幅に超過勤務手当を削減しています。この2つを合わせて、人件費を削減できたというものです。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 補足いたしますと、今、東から説明したのは、平成25年度に限定して説明をしているのですが、計画的ということで少し期間を長くしてご説明しますと、適年移行終了に伴い、適年の移行に関わっていた人員7名分を削減しており、その7名削減に対応する形で、平成23年度は新規の採用を0名といたしました。そういう意味で、長い期間をきちんと展望しながら業務の中身に合わせて人員の削減を図ってきたと私どもは考えております。

 

○今村部会長

 もしほかにないようでしたら、技術的なことで大変興味があるのですが、11ページの人件費の節減の指数で、類似業務である民間の保険業との比較90%という賃金水準が出ているのですが、これはどの程度類似性の下で比較可能な形で検証されたのかを、もし分かる範囲で簡単で結構ですので、御説明いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 全国の保険業の統計を使って試算をしているということだそうです。

 

○今村部会長

 保険業の統計というのは、いわゆる公的な賃金構造基本統計調査ではなく、業界内の賃金データですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 人事院で行っている業種ごとの賃金のデータがあるそうで、それを使って試算をしているというようなことです。

 

○今村部会長

 そうすると、このような資金運用を引き受けている組織と、それからそれ以外にいろいろな多様な業務をやっている保険業とかいろいろありますが、そこは余り厳密には区別していないということですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 そうですね。

 

○今村部会長

 分かりました。皆さん、御記入はよろしいでしょうか。

 それでは、グループ2、評価項目67について評価いたします。所要時間は、法人の説明が10分、質疑と評定の記入に10分の合計20分を予定しております。それでは、法人から平成25年度の業務実績と自己評定について説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 それでは、評価項目6から御説明いたします。資料の14ページに数値目標、評価の視点というのが出ております。ここでは一般の中小企業退職金共済(中退共)における退職金未請求者に対する取組についての数値目標、評価の視点についての説明です。

15ページです。幾つか四角がありますが、右下に「調査・分析」というのがあります。この「調査・分析」では、未請求の原因を調査・分析するために、未請求対策についての加入者の考えを把握するとともに、調査回答を踏まえて、これまでの周知活動に加えて、「掛金振替結果のお知らせ」というのがありますが、それに加入通知書を従業員に渡す旨を明記するという取組をしております。

 左側の下の大きな箱ですが、「新たな未請求退職金の発生を防止するための対策」です。こちらでは中退共事業における退職金未請求者に対する取組として「制度加入周知」を当然やっておりますが、それに加えて、平成25年度、新たに取り組んだものを御紹介したいと思います。

 ◎の1つ目は、脱退後2年経過前の未請求者で、請求勧奨文書を受け取らなかった者及びテレホンアプローチで応答がなかった方に対して、再度請求手続を要請したほか、作業手順をマニュアル化した上で外部委託を行い、今までですと、3か月ごとに行っていた請求要請業務等を毎月実施するとともに、未請求者の在宅時間に合わせたテレホンアプローチを実施するなど、未請求対策の強化を図ったところです。また、外部委託を実施した結果、経費の圧縮にもつながったということです。具体的に言いますと、経費の圧縮については、330万円ほどの削減だったということです。

 右側にありますが、累積した未請求退職者に対する取組は、こちらに書いてあるとおりですし、その下の「未請求者縮減のための周知の効果的な実施」については、ここに書いてあるようなホームページの加入事業所名検索システムがありますが、新規加入事業所名を追加掲載したとか、ホームページや「中退共だより」(機関誌)等、事業所への送付書類において、引き続き未請求退職金に関する注意喚起も行いました。

 こうした取組の結果、未請求率の縮減が推移として出ております。一番右側に平成25年度(脱退年度23年度)ということで、平成25年度の数値を出しておりますが、1.59%で、過去最高の数値だということです。このため、私どもとしては自己評価を「A」とさせていただきました。

 続きまして、評価項目7、「確実な退職金支給のための取組」のうちの特定業種退職金共済事業(特退共)における長期未更新者への取組です。16ページに数値目標、評価の視点がありますので、御確認いただきたいと思います。

 続きまして17ページ以降で、その実際の取組等について記載をしてあります。初めに、改めて定義的なことを申し上げますが、「長期未更新者」というのが特退共における言い方です。先ほどの中退共においては「未請求者」と申し上げましたが、こちらでは「長期未更新者」と言っております。これは中退共事業とは異なり、事業所から退職するだけではなく、それぞれの業界から引退の意思を表明した方に対して、退職金を支払う制度が建退共事業ということで、それぞれの業界から引退の意思を表明した方に対して退職金を支払う制度であることから、これらの被共済者に対して「共済手帳」を発行し、この「共済手帳」に、1日働くごとに1枚の証紙を貼付する制度という仕組みになっています。1年分の証紙を貼りましたら、手帳を更新するわけですが、通常は大体2年近くで共済手帳を更新するわけです。2年を超えて3年間手帳の更新がないということは、建設業界から引退している、建設に限らず特定の業界から引退をしている可能性があるということで「長期未更新者」と言っております。この調査結果については、17ページに書いてあるように、各事業において、左側から、長期未更新者がそれぞれの数、それと就労していることを確認した数が真ん中にある数字、そのうちの退職金を請求した方はこれだけということになっています。

 この調査結果に加えて、特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組として、過去2年間、若しくは2年間以上、手帳更新のない被共済者の住所については、調査・把握をし、手帳更新・退職金請求の手続を取るように要請をしているところです。

18ページに「確実な退職金支給のための取組」があります。この取組としては、平成25年度新規加入被共済者住所について、住所を把握して、データベース化を図る等の取組を行ったほか、平成25年度新規加入被共済者に対して、機構から直接共済制度へ加入したことを通知したという取組を行っています。また、「累積した長期未更新者を縮減するための対策」がありますが、ここにあるようなプログラムの開発等を通じた取組を行っています。

 最後に18ページに「建退共事業における共済証紙の適正な貼付に向けた取組」です。これについては、平成25年度末において、共済証紙販売額と貼付確認額の差額が、平成24年度末と比較して27億円増加しています。

 以上のような調査結果、それに対する取組・対策、貼付に向けた取組の全体を見て、特に貼付確認、共済証紙と販売額と確認額の差額で増額が出たということも考えて、全体的には自己評価を「B」とさせていただきました。以上が評価項目6、評価項目7についての説明です。

 

○今村部会長

 それでは、評定記入用紙の評価項目67に評定結果及び評定理由の記入をお願いいたします。御質問等がありましたら、適宜、御発言をお願いします。

 

○高田部会長代理

 業務委託をして未請求を減らす努力をされていると伺ったわけですが、業務の受け皿の会社というのは、どういう基準で選ばれたのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 中退共本部業務運営部長の藤岡でございます。よろしくお願いします。その件に関しましては、一般競争入札で業者を決めさせていただきました。

 

○高田部会長代理

 競争入札ができるぐらい、たくさんそういう業務をやっておられるのですか。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 そうですね。いわゆるコールセンターとか、こういった請負に関しては、かなりの業者が外資も含めてありますので、一般競争入札をさせていただいたということです。

 

○高田部会長代理

 マニュアルを作られたということですが、アウトソーシングをしますと、不正の問題とか、いろいろ出てくるおそれもあるかと思いますが、その辺の御配慮はどのようにされていますか。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

入札する際の企画書に、それなりの個人情報なりをちゃんと遵守できる業者であるかといった条件をきちんとした上での入札という形になっております。

 

○宮崎委員

 教えていただきたいのですが、16ページの評価基準で数値目標が、前中期目標期間末から累計の差額が100億円程度減少しているかと、これが目標だと理解しました。18ページの平成24年度、前年度と比較して、27億円増加したという記述ですが、そうしますと、おおむね中期計画どおりに達成できる状況なのかと理解したいところなのですが、これは初年度ですね。前年度がどうだったか伺いたかったのですが、トレンドとして増加傾向にあるのか。例えば、第二期の最後の年度では、少し減少する傾向も見受けられたのかというところを教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 建設業事業部長の稲見でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。トレンドとしては、徐々に減少はしてきておりました。ただ、平成25年度はある意味で増加してしまったのですが、この背景には政権交代後、震災復興事業の本格化やアベノミクス効果、あるいは東京オリンピックの招致が決定したということで、平成25年度は対前年度に比べて、公共工事投資が非常に増加しております。数値で言いますと、公共事業だけで対前年比19.6%、民間事業を含めても14.4%ほど投資が増えております。

 先ほど総務部長から説明がありましたように、建退共制度の場合は証紙を毎日貼付して、その掛金を納めていただくという制度ですが、公共工事については工事を受注してから1か月以内に、その工事期間に係る全ての証紙を購入して、その際に発行される掛金収納書を受注先の発注者に提出するというルールがありまして、平成25年度においては、平成25年度から平成27年度に係る工事についても、全て平成25年度に購入されているのが実態です。ですから、一時的に平成25年度は金額的に27億円ほど増加しておりますが、これらの額、これまでの額についても、平成26年度以降、工事が進むにつれて順次消化されて、手帳の更新が1冊平均19か月ほど掛かっていますので、そちらが満杯になれば、私どものほうでも貼付の確認ができると認識しております。そういう背景がある中でも、これまで以上の努力をし、適正な貼付あるいは適正な購入に努めるよう周知を図りたいと考えております。

 

○松浦委員

 御説明いただきまして、ありがとうございます。特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組ですが、公共工事が増えたこともありますし、そもそも移動性が非常に高い方々を追跡しなければいけないということで、大変なご努力をされているとお見受けします。既に手を尽くされているようにも見えるのですが、今後の展開として、更に打つ手があるのかどうか、長期的な展望を含めて教えていただけますか。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 今後の展望ですが、委員がおっしゃいましたように、いろいろな手を尽くして、いろいろ調べております。1つは、過去において生年月日をまだ登録されていない方がおりまして、これを平成28年までに全て登録を終えますと、長期無更新の調査対象者にその方が当たった場合、これも法改正が必要ですが、住基ネット等の活用が可能となれば、多少その方々の現住所の把握がなされるかと考えております。そういう手立てを使って、先ほどの資料にありましたように、昨年度ですと、28,000人の調査に対して、7,000人強の不明者が出ておりますので、こちらはなるべくそういう手立てを使って縮減を図りたいと思っております。

 それから、マイナンバー法が通りましたので、あの辺ももし活用ができるようであれば活用して、不明者について、なるべく手立てを使って、その方々を探し出し、その実態を把握した上で、働いていれば、ちゃんと更新してくださいとか、退職しているのであれば請求してくださいという働き掛けを行おうと考えております。

 

○今村部会長

 今の後半の中退共以外の、その他ですが、要望として、被共済者と共済契約者と二通りあると思います。そのそれぞれにアプローチが必要かと思いますが、例えば質問として、被共済者に対して、情報はデータベース化しているのですが、この場合は電話のアプローチが取れるかどうか。電話の情報があるのかどうかということと、共済契約者に対して、受払簿を厳格に管理・審査するということについて、もう少し具体的にどんなことをやっておられるのか、御説明いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 最初の御質問ですが、被共済者の電話の登録は加入時に取っていませんので、ありません。

 

○今村部会長

 それは中小企業とは違うわけですね。中小企業の場合はテレホンアプローチをしていらっしゃるのだけどということですね。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 一般の中退共は、一応会社の電話番号は必須項目というわけではありませんが、大体書かれておりますし、調べようと思えば書いてなくても調べられます。事業所にテレホンアプローチは当然できるのですが、被共済者はそういった情報が基本的にないので、未請求になって2か月を経過したところで、調査票を事業所に送りまして、そのときにもし分かれば被共済者の住所のほかに電話番号も聞いております。

 

○今村部会長

 特定業種の場合は、一切そういう情報はないということですね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 特定業種の場合は、契約者の電話番号は当然分かっておりますので、最初に文書によって調査を行いまして、回答がなかった所、あるいは不明と回答した所については、再度事業主に直接電話を入れて、より詳しく調査を行い、住所を把握した場合は、被共済者に直接調査を行います。事業所を転々とする労働者ですので、お辞めになって3年経過しておりますので、その場に現在もいらっしゃれば問題はないのですが、既にお辞めになった方の電話、情報等については、個人情報ということで、なかなか教えていただけないのが現状です。

 

○今村部会長

 あと、共済契約者に対して、中小企業に比べて特定業種の場合の問題の難しさがあると思いますが、その辺の御努力はかなり厳しいと思います。特に未貼付の証紙そのものの管理は、もう少し可能性があるという印象を持っているのですが、その辺は、これ以上は不可能なのでしょうね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 数値目標でもありますので、未貼付についても逐一努力はいしますが、手帳に貼られて更新が上がってきて初めて確認が取れるというのが現状で、今回、数値目標として掲げている100億円の減は、あくまでも確認された証紙ということで、現在お手元に持っている手帳にどの程度証紙が貼られているかは、この数値の中には盛り込まれておりませんので、これから上がってくるもの、例えば工事が今年度をもってピタッと終わった場合に、向こう3年とか5年の間に上がってくるかとは思いますが、そこの把握は非常に厳しいところです。とは言いましても、やはりそれなりの努力はしなければいけないという認識はあります。

 

○今村部会長

 分かりました。共済契約者だけではなくて、被共済者がどの状態にあるかということも関係するので、なかなか把握は難しいということですね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 はい。そこが中退共事業との大きな違いかと思います。中退共ですと、必ず社員ですので、事業所がある程度の情報を持っていますが、建設業の場合、現場、現場で動く方が大半を占めますので、移った方々まで元いた事業所が把握しているかというと、なかなか厳しい面があります。

 

○今村部会長

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。続いてグループの3、評価項目811について評価をいたします。所要時間は法人の説明が15分、質疑と評定の記入で約10分の合計25分を予定しております。それでは、法人から平成25年度の業務実績と自己評定について説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 初めに、評価項目8について御説明したいと思います。サービスの向上、業務処理の簡素化・迅速化です。資料19ページに数値目標、中退共については、受付から25日以内の業務処理、建退共等については30以内という数値目標が書かれております。評価の視点については、ここに書いてあるとおりです。

20ページ、主な改善実績が最初に書いてあります。ここにありますように、掛金預金口座振替に係る業務委託先とのデータ授受の伝送化を実施している、あるいは報告書システムの見直し、あとは広報の取組といった、利用している方に対して、制度を十分理解していただこうという観点から、今もサイト内に掲載していますが、いわゆるコマーシャル及び制度内容については、You Tubeという動画サイトに掲載をして、いつでも見られるような取組をしております。これに加えて、中退共ホームページ上から、加入者が直接加入証明書を発行できるようなシステムも開発して、実際に稼働させています。

 そういった取組の結果、退職金等支給に係る処理期間は、中退共については数値目標である25日以内が維持されているという確認ができています。同じように建退共、清退共、林退共においても30日以内ということで、いずれも検証した結果、数値目標の30日以内に支払われていることを確認しました。

 以上の取組について、25日以内、あるいは30日以内という数値目標を達成しているほか、先ほど御紹介した公共工事の入札に参加する際に必要となる「加入証明書」を、中退共ホームページ上で作成可能とするなど、新たな取組も行っていることを考えて、「A」評価とさせていただきました。

 続きまして、評価項目9、資料21ページです。情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等ということで、評価の視点が幾つか出ています。22ページに箱が4つあり、左上に「ホームページの活用による情報提供の充実」です。先ほども御紹介しましたが、サイト内に掲載していた中退共の制度説明動画、30CM、建退共の制度説明の動画についても、You Tube、動画サイトに掲載してあります。また、建退共モバイルサイトを開設して、その中でQRコードによるアクセスがでるようにして、利便性の向上も図っております。

 こうした取組をした結果、ここには書いてありませんが、ホームページのアクセス件数が、平成24年度は242万件だったものが、256万件に増加をしたという結果にも表れていると考えています。

 右側のサービス向上のための取組ということで、中退共事業においては、コールセンターを活用しておりますが、コールセンターにおいて、マニュアルの見直し及び関係部署とのヒアリングを実施して、顧客のニーズに即した相談対応、情報提供の充実を図り、より丁寧な対応、サービスの更なる向上に努めるなどの努力をしました。

 ホームページからの「ご意見・ご質問」を基にした相談業務満足度集計とありますが、「参考になった」が87%という結果が出ております。こうした取組の全体を見て、評価としては「B」とさせていただきました。

 続きまして評価項目1023ページです。積極的な情報の収集及び活用ということで、評価の視点が23ページに出ています。

24ページです。箱が4つありますが、左側に情報収集があります。当機構においては、左上に参与会と書いてあります。これは外部の有識者で構成するもので、定期的に開催をし、事業概要、今回のような評価委員会での評価結果等について報告するとともに、様々な御要望、御意見を拝聴する場として設けております。また、平成25年度、新たな取組として、退職金制度の実態調査、退職金制度の実態調査自体は例年行っておりますが、その中で、冒頭の理事長の御挨拶にもありましたが、厚生年金基金加入事業所の関係ということで、厚生年金基金加入事業所を意識した設問を設けました。具体的には、退職金制度の現状等を把握するために、「中退共制度が厚生年金基金解散後の移行先となっていることを御存じですか」というのを設問として設けているわけですが、そういった調査も行ったということです。そうした参与会の取組、あるいは実態調査における新たな設問の設定等を通じて、外部有識者の御意見、更には利用する方からの意見を踏まえた取組をしており、それが右側の各本部の業務運営に反映したということです。こうした取組については、自己評価を「B」といたしました。

 続きまして、評価項目11「加入促進対策の効果的実施」です。資料25ページに数値目標、評価の視点が書いてあり、数値目標については、こちらに書いてあるとおりです。26ページに加入促進対策の前提となる各事業を取り巻く環境を書いています。それと加入促進対策の重点項目が下に書いてあります。簡単に申し上げますと、加入促進対策重点項目としてラジオや新聞等のマスメディアを活用して、様々な広報をしています。全てについては、テレビのCMもその中に含まれておりますし、生活情報誌、新聞に絡むようないろいろな形で広報をしたということ、あとはYou Tube、動画サイトを使った広報等も行っています。

 そうした中で、加入目標数に対する加入実績が26ページの右下に出ています。これを見ますと、中退共の達成率は97.4%、一番下の林退共が82.7%ということで、達成率100%をやや下回っており、林退共についてはかなり下回っているという状況がある一方、建退共、清退共については目標を上回る結果ということで、総じて見ますと、約100%の加入実績を得たというところです。

 そうした結果、全体としてはほぼ目標を達成したと考えています。更に、加入促進ということで、ここに書いてあるような取組をしたことも踏まえて、自己評価については「B」といたしました。評価項目811の説明は以上です。

 

○今村部会長

 委員の皆様は、評定記入用紙の評価項目811に評定結果及び評定理由の記入をお願いいたします。この間、御質問等がございましたら、適宜、御発言をお願いいたします。

 

○志藤委員

   評価項目の820ページ、事務処理を改善したという中の「主な改善実績」の上から2番目ですが、ほかの所は、このように改善がなされたのであろうというイメージが付くのですが、2つ目、私の読解力がないのと、こちらの厚いほうを見ても、理解が行き届かず、何をどのようになさって、どういうことが改善されたのかということを、もう少し具体的に分かれば教えていただきたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 第三期中期計画から加入促進に関しては、拠点化ということで、例えば首都圏あるいは東海地域、近畿地域というブロックに相談コーナーがあって、一般の中退共の場合は名古屋コーナーと大阪コーナーがあります。そこには特別相談員がおりまして、第二期までは相談業務に特化しておりました。ところが、事務も簡素化したり、加入促進の方法を拠点化のほうに振り分けましたので、今までは相談業務に特化していた特別相談員が、これからは加入促進もやっていく。そうすると、普及推進員と同じような業務になってくる。訪問件数や未加入企業に何件行った、あるいは関係機関に何所行ったというデータをきちんとこちらで把握しておいて、足りない所があれば、特別相談員がそれを指導していくという形で業務の内容が変わりましたので、それをシステム化したということです。

 

○志藤委員

 分かりました。ありがとうございました。

 

○今村部会長

 ほかにはいかがでしょうか。ちょっとお伺いしたいのは、24ページの調査ですが、これは中退共のみで、特退共に関しての調査は特にしてないということでよろしいでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 はい、しておりません。

 

○今村部会長

 例えば、You TubeとかQRコード、QRコードは建退共ですが、まだ漠然とした質問で、QRコードなどは面白いアイディアだと思います。例えば建設業者とか、目標を達成できていない林業の方たちが、どういう年齢で、どういう情報環境というか、最近は皆さんスマホとか携帯を持っておられる方が少なくないでしょう。そうすると、そういうチャネルを通じてアクセスするとしたら、どのぐらい効果的かというのは昔と大分変わっているのではないか。

 つまり、建設業の人はほとんど情報などにアクセスしないというよりは、むしろスマホがお友達みたいな人も中にはいるかもしれませんし、そういう調査は、先ほどの未貼付率や未請求者のためにも情報アクセシビリティをより多様化して改善するために必要だと思いますが、その辺の把握はどうされているか。それは1つの情報ネットワーク的なICT的な視点からのアクセシビリティと、もう1つは伝統的な、トラディショナルなほうで、例えばお酒の杜氏の組合とか、ネットワークとか、業界団体も公的なもの以外に、自分たちで自主的に作っているものとかいろいろあるでしょうし、そういうものへの把握みたいなもの、つまり、制度の変更を知っているかどうかということよりも、そもそも対象者のより具体的な質というか、把握のための可能性みたいな調査はいかがなものかと思うのですが、その辺は現状ではどのように検討しておられるのでしょうか。

 ちなみに資料1-314ページを見ますと、中退共は756件ですが、建退共は308件と、加入者数のわりには建退共の御相談件数が多いと思うのですが、これは問題の煩雑さに起因するのかと思います。ニーズとしては多分あると思いますが、そういうニーズに合わせて、しかも環境に合わせてアクセスすることによって、更に掘り起こしの可能性があると思うのですが、いかがですか。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 御指摘ありがとうございます。調査につきましては、中退共の場合は毎年のように調査を行っていますが、建退共の場合は5年に1度実態調査を行うことになっています。来年度がその5年目に当たりますので、来年度、実態調査を行うことで、ただいま準備中です。その実態調査の調査内容については、主務官庁と中身を検討して、御指摘のあったような調査項目に事業所向け調査と、その事業所で働いている労働者向け調査という2本立ての調査を行いますので、労働者向け調査あるいは事業者向け調査の中に、モバイルサイトとか、今のこういうものをどのように使っているかとか、労働者調査の中で、ここまで聞けるかどうは別として、「スマホ等の活用はしていますか」という項目を設けることにします。それを踏まえて、そういうものが、もっと今のソーシャルメディアの中ではあるかと思いますので、活用を検討したいと思います。

 それと、現在のQRコードを入れたのは、体感的に現場の方々が、結構スマホをいじっていると支部の方々から現場研修等で報告を頂いていました。私どもは事業主に直接アクセスというのは媒体を持っていますが、労働者へのアクセス媒体がありませんので、そういうのをお聞きしていましたので、昨年度から試しということで、いろいろなパンフレット、ポスターにQRコードを入れて、簡単に労働者が見られる、あるいは建設業ではない方にも、そういうのを見ていただければ、自分の友達に建設業の方がいれば「こんなのがあるよ」とアピールしていただけるのかなということも踏まえて、QRコードを入れたというのが実態でした。特段調査をして、これだけの実効が上がるだろうという推定でQRコードを設けたのではなくて、体感的なもので設けたと。今後は部会長の御指摘のとおり、来年度行う実態調査には、その項目を是非追加して、どの程度の普及が予測されるかを把握したいと考えております。

 

○今村部会長

 既存の建設業や林業関係で、まだアプローチしていない団体というか、伝統的なそういうグループはありますか。ただ、全てアプローチし尽くされているかどうかという単純な質問です。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 アプローチという形がどういうものかというがちょっとあれなのですが、取りあえず既存の建設業関係現場労働者の方々が入るような企業が入っている産業別団体とか、そういう所には、全てアプローチというか、建退共については周知を図っております。なおかつ、今年度は建退共制度発足50周年ですので、それを前面に出して、皆様に支えられてここまで建退共がありますので、建退共は非常にいい制度ですので、これからもどうぞ御利用いただきたいというのを、これから秋に向かって全面的に打ち出していこうという考えがあります。あとは毎年秋には建設産業別団体53団体全てに声を掛けて、制度の周知等々を図っていく所存です。

 

○今村部会長

 少しだけ付け加えて申し上げますと、独法はどの独法でも、雇主からの発想になって、トップダウンなのですが、むしろそれはグラスルーツに自主的に、それこそ極端な話、フェイスブックなどで、働く人たちの側で作っている組織がもしかしたらあるかもしれませんから、そういう所ももしあればですが。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 その辺も来年度の調査等に盛り込みまして、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 林退共についてですが、林退共につきましても、アプローチについては国有林野受託事業体というのがあるわけです。こちらについては当然全てアプローチを行っております。それ以外については、各事業団体がありまして、その事業団体の傘下の事業体にアプローチしています。更には、各種会議があるわけですが、そちらでも必ず時間を頂いて説明しておりますので、アプローチはできていると考えています。

 

○今村部会長

 そうですね。意外と職安の窓口で林業にいた人が把握できたりということもあるかと思います。そこはなかなか難しいかしもしれませんが、是非、働く側からの草の根的な発想がもしかしたら有効かもしれないなと。これは単なる思いつきですが、是非、御検討いただけたらと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 御指摘ありがとうございます。今の部会長のお話ですが、草の根ということではないのかもしれませんが、資料24ページの参与会で、私の説明が不十分だったのですが、こちらは外部の有識者で構成と申し上げましたが、労使ということで、労働組合の代表の方が出ていらっしゃる場でもありますので、私どもとしては参与会、外部有識者の中で働く側の代表のお声はお聞きしているのですが、グラスルーツというところでいくと、そういったことも踏まえて、併せていろいろな御要望に対応していくという姿かなと思います。

 

○今村部会長

 何かNPOとか、そういうのがもしかしたらあるかもしれませんね。是非、御検討いただきたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 御指摘ありがとうございました。

 

○今村部会長

 次に、グループ4、評価項目1218です。所要時間は、法人の説明20分、質疑と評定の記入に15分の合計35分を予定しております。法人から平成25年度の業務実績と自己評価について説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 評価項目12から御説明します。資料27ページを御覧ください。ここでは「財産形成促進事業」の融資業務、周知、勤労者財産形成システムの再構築についての数値目標及び評価の視点を御説明します。

28ページ、「融資業務」です。融資業務については、通信講座の受講等により、担当者の融資の審査能力の向上に努めたこと、また、貸付金利の設定について、基準金融機関の短期プライムレート及び5年利付国債の入札結果を基に設定した貸付金利を確定するため、関係機関との調整を毎月行うということで、適正な貸付金利の設定を行うなどの取組を行っております。ほかにも幾つかありますが、このような取組を行った結果、貸付システムの処理日数については、数値目標である16日以内に全てを処理したということです。

29ページ、「周知」です。財形融資制度の周知については、1利用者の視点に立ったホームページの見直しに加え、パンフレット等の作成も行っていること、更には5外部委託、広告会社を使っているのですが、広報の充実をさせていること、関係機関との連携もより強化し、効果的な周知、利用の促進等を図っております。

 また、「勤労者財産形成システムの再構築」ですが、レガシーシステムにより運用している勤労者財産形成システムの刷新を行うため、平成25年度については基本設計に向けた準備作業を行ったということです。以上の取組については、自己評価を「B」としております。

 続いて、評価項目13、累積欠損金の処理です。30ページに数値目標、評価の視点が出ております。数値目標については、林退共における9,200万円の解消目安額が達成されているかどうかという目標となっております。

31ページです。ここでは、各事業別に給付経理の累積欠損金解消及び利益剰余金積立状況を設定しております。中退共においては、平成24年度末に累積欠損金を解消し、平成25年度の当期利益金は1,606億円ということで、3事業年度連続で当期利益金を計上しております。これは労働政策審議会中小企業退職金共済部会が定めた単年度積立目標額600億円を大きく上回った大きな数値でした。その結果、平成25年度末の利益剰余金は2,145億円となっております。こうした結果を受け、平成26年度において8年ぶりとなる付加退職金の支給率が定められたということです。

32ページ、林退共の給付経理です。林退共については、平成25年度の当期利益金が9,300万円ということで、グラフにもありますが、3事業年度連続で当期利益金を計上し、累積欠損金解消目安額である毎年9,200万円を3年連続で上回る結果を出しました。この結果、平成25年度末時点での累積欠損金は10億円であり、3年間で約4億円、累積欠損金が減少するといった着実な歩みを示しております。

 中退共、林退共については以上のとおりですが、繰り返しますと、中退共事業においては当期利益金を1,606億円計上し、8年ぶりの付加退職金の支給率を設定するという結果につながったということで、被共済者に対する利益還元を図ることができたこと、林退共事業においても累積欠損金が10300万円残っておりますが、3年連続で目安となる9,200億円を上回って、累積欠損金を削減することができたこと、更にこれを3年間で見ると、削減額は4600万円ということで、大きな削減額となりました。平成22年度末の14900万円から4分の1以上の削減となっております。このような中期目標を大きく上回った数字が出たものですから、私どもとしては、自己評価を「S」としたいと考えております。

 評価項目14、「健全な資産運用等」です。資料33ページに数値目標、評価の視点が出ております。33ページですが、数値目標については、委託運用についておおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたかどうかということです。

34ページ以降です。これはポンチ絵ではなく、評価報告書の抜粋です。冒頭に申し上げた外部有識者等で構成する資産運用評価委員会においてまとめていただいた、平成25事業年度に係る資産運用結果に対する運用目標等の部分に関する評価報告書の抜粋です。この資産運用評価委員会においては、資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうかの評価をしていただいたわけですが、平成25年度の4共済事業の資産運用結果については、全体として運用の目標達成に向けて基本ポートフォリオに定める資産配分割合を維持した上で、全体としては各経理ともベンチマークを上回るパフォーマンスを実現できたといった評価がされております。

 ほかにも、資産運用評価においては、全体としては金融市場の状況を踏まえながら、安全かつ効率的な運用を実施する体制の下、各事業ともにベンチマークとほぼ同等のパフォーマンスの収益を確保した点は評価できるといったコメントも頂いております。説明は省略しますが、このような資産運用評価委員会の評価にもあるように、平成25年度は委託運用を行っている各経理4事業において、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券それぞれベンチマークを下回ったものはあるものの、各経理全体としてはいずれもベンチマークを上回ったということです。ベンチマークをいずれも上回ったということは、過去10年間で平成17年度に次いで2回目で、8年ぶりの成果です。こうした成果を踏まえ、自己評価は「A」としました。

 評価項目15「財産形成促進事業、雇用促進融資事業の財務内容改善に関する事項」です。資料39ページに評価の視点が書いてあります。

40ページです。ここでは、財産形成促進事業、雇用促進融資事業それぞれの取組について記載しております。財産形成促進事業の1「効率的な財政運営」については、制度の普及活動を行うとともに、財形融資ALMリスク管理委員会を平成25年度に開催しており、安定的かつ効率的な財政運営に努めたということです。こうした中、財形融資については5年ぶりに1,000件を超えて、平成25年度は1,142件、額にすると約199億円の貸付決定を行いました。運営費交付金が平成24年度は約39,000万円あったものが、現在廃止になっておりますが、そうした自立的な財政規律の下、当期利益34億円を計上したという結果になりました。

 雇用促進融資事業についてですが、債権者及び抵当物件に係る情報収集及び現状把握等、債権の適切な管理を行い、リスク管理債権については現状の把握等適切な管理に努めるとともに、債権の回収・処理に努めました。このような財産形成促進事業、雇用促進融資事業、いずれの取組において、今申し上げたように、財形については運営費交付金が廃止されたにもかかわらず、債権管理、回収、一般管理費の2,900万円の削減により、当期利益を計上することができたことを踏まえ、自己評価は「A」としました。

41ページ、評価項目16「その他業務運営に関する事項」ということで、数値目標、評価の視点が出ております。数値目標については、中退共事業に既に加入している事業所の事業主のうち、一定規模以上の事業主に対して財産形成促進事業の資料を毎年3,000件以上送付していること、中小企業事業主に対して中退共事業、財産形成促進事業の資料を毎年度1,000件以上送付しているかという数値目標と、評価の視点が出ております。

42ページです。退職金共済事業・財産形成促進事業の連携ということで、幾つかの取組が出ております。ここに書いてあるのは、中退共で実施している様々な情報ツールに財形の広告を掲載するとか、同じように財形の情報ツールに中退共の広告を掲載するといった取組、更にはいろいろな形での情報提供をお互いのチャンネルを使ってやっていったという取組を行っております。このような周知の連携を両者間で図っているということです。

 もう1つ、災害時における事業継続性ということで、42ページに事業継続性の強化の取組について記載しております。災害時における事業継続性の強化については、中退共事業で金融機関に対する振込依頼を行うために作成していただいたファイルを、西日本地域にてバックアップするシステムを構築しました。このバックアップシステム構築により、退職金の支払いのお知らせ等をした被共済者に対して、災害時でも滞ることなく支払いができるようにしたということです。さらに、建退共、清退共、林退共においても、被共済者に対する振込通知、金融機関に対する振込依頼を同日に行うようになるような処理手順の見直しを行いました。このような事業継続性、災害時における事業継続性強化のための対策を実施しておりますが、それに加えて中退共のバックアップシステムの構築、財産形成促進事業におけるバックアップシステムの準備作業等を踏まえ、「A」評価としました。

 評価項目17「予算、収支計画及び資金計画」、「短期借入金の限度額」、「重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画」、「剰余金の使途」です。資料43ページに評価の視点が出ております。

44ページです。第5「予算、収支計画及び資金計画」ということで、平成24年度、平成25年度それぞれの予算と決算の比較が出ております。これについては、既存の経費を見直すとともに、随意契約によらざるを得ない場合を除き、原則として全て競争入札とする、随意契約の適正化の推進を図るなど予算の範囲内で適正に執行する等の取組を行った結果、平成25年度は平成25年度の予算に対して約16億円の減少を見ました。また、「短期借入金の限度額」ですが、財形融資事業において資金繰り上発生した資金不足に対するつなぎ資金として、借入限度額の範囲内で借入れを行いました。以上のような取組について、競争契約の拡大、総人件費の見直し等を行ったことにより、平成25年度の決算額は平成25年度の予算に対して約16億円減少したことを踏まえ、自己評価を「A」としました。

45ページ、評価項目18「職員の人事に関する計画」です。評価の視点は、ここに書いてあるとおりです。

46ページです。第9「職員の人事に関する計画」ということで、意識の向上、研修の実績、職員の採用とあります。意識の向上については、冒頭の理事長の挨拶にもありましたとおり、理事長と管理職員の個別面談を実施し、理事長からは業務上の問題点の把握、管理職員の側からは業務遂行における役割等を明らかにし、そういった形で意識の向上、意思の疎通を図ったということです。

 研修実績については右に表が出ていますが、毎年度、機構において職員研修計画を策定しており、その職員研修計画に基づいて各職務に応じた研修をこのような形で行っています。資産運用の関係ですが、資産運用の業務に携わる職員については、資金運用部で年度ごとに策定する実務研修のほか、金融機関等が実施する各種セミナーにも積極的に参加する形で、必要な最新の知識の習得に努めております。

 職員の採用ですが、平成26年度の採用については428名の応募があり、合計7名を採用したという実績になっております。以上のようなことで、理事長と管理職員の個別面談、研修についても様々な取組を積極的に行っていることを踏まえ、自己評価を「A」としました。評価項目1218についての説明は以上です。

 

○今村部会長

 それでは、委員の皆様は評定記入用紙の評価項目1218に評定結果及び評定理由の記入をお願いします。この間、御質問等がありましたら、適宜、御発言をお願いします。

 

○宮崎委員

 資料の34ページで、前回、評価の視点の設定についてもこの委員会の中で同じことを伺っておりますが、「資産運用の基本方針に従った運用がなされているか」という評価の視点になっていて、公的な年金ですから、いろいろなものに関して運用の方針を見直す動きがあるかと思いますが、当機構の運用方針に関して、何か第3期中期目標期間内で方針の見直しなどが行われているのであれば、その内容を教えていただきたいと思います。

 また、そういった重要な動きがあるのであれば、少し前後しますが、情報の開示や加入者への周知の強化といったところも、是非、意識していただければと思いますので、運用方針で何か動きがあるのか、参考までに教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 今、宮崎委員から御質問いただいた、運用の基本方針の一番重要なものは、「基本ポートフォリオ」、どのように資産配分を行っていくかというものです。私どもは5つ経理がありますが、平成25年度については、清退共について基本ポートフォリオの変更を行いました。これは国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4資産で運用を行っていましたが、資産規模が非常に小さくなって、外国債券と外国株式の資産配分がそれぞれ1億円という非常に小さい金額で、外貨建てであり、海外に預けておくCustody fee(保管料)が随分高くて、非常に効率性が悪い。したがって、清退共については国内債券と国内株式の2資産に運用を減らすということに変更しました。

 それ以外のものですが、平成25年度については、結果としては基本ポートフォリオの変更は行っておりません。ただ、建退共、林退共、清退共、これらを特退共と呼んでおりますが、こちらは平成26年度がいわゆる中退法第85条に定められている5年ごとの財政検証の年に当たっているので、秋以降に労働政策審議会で予定運用利回りを含めて財政検証が行われるということです。基本ポートフォリオは、最初に被共済者にお約束している予定運用利回りがベースにあって、それからどういうポートフォリオがよいかということになるので、特退共についてはその財政検証の結果を見て、基本ポートフォリオについて検討していくことになろうかと考えております。

 一番大きな中退共ですが、先ほどの財政検証が平成24年度に行われ、平成253月の労働政策審議会で、現時点では予定運用利回り、1%ですが、この見直しをする必要はないという結論を頂いております。平成25年度について、中退共の基本ポートフォリオの検証結果としては、効率的なポートフォリオであるという結論を得たので、そのまま継続しているということです。ただ、毎年度検証を行っていますが、昨今の有識者会議の報告書等々もありますので、それらを踏まえてベンチマークの多様化、技術的なものではスマートベータの導入といった新しい動きもあるので、そちらは公募でコンサルティング会社を採用し、現在、調査・研究中という状況です。

 

○宮崎委員

 先ほどもお伝えしましたが、何か重要な変更がある際には、加入者への周知や情報開示を是非お願いしたいと思います。

 また、ほかの公的年金などでも、健全な資産運用というテーマなので、運用を委ねる会社のガバナンスやスチュワードシップ・コード等いろいろな動きがあるので、どこを設定するかの動きなども参考にしていただいて、より健全な良い運用になるように、是非、前向きに検討いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 心してまいります。1点だけ、基本ポートフォリオを含めた基本方針の変更の場合には、外部有識者で構成しているALM委員会で御審議いただき、その審議結果も含めてホームページで公表するということで透明性を確保しております。更には、委託会社についても公募を通じて採用し、四半期ごとにヒアリングを行って管理しております。成績が悪い運用会社については、解約ということを通じて管理を行っております。その結果として、平成25年度については、5つの経理全てでベンチマークを上回るという結果を実現できたと考えております。

 

○志藤委員

46ページですが、研修について少しお伺いします。とにかく人材がどこの組織にとっても大事で、その方々の能力をということで、今、いろいろなさっておられることを拝見していたのですが、当初計画31回を上回る86回という3倍近い回数になって、なってしまったのか意識的に、最初はこうだけれども、もっとやらなければいけないということか、その辺りは分かりませんが、その理由を教えていただきたいと思います。

 また、能力開発プログラムの概要ということで、基本研修と実務研修と自己啓発に対する支援と、幾つかに分かれていますが、大事な部分は自分たちの中で計画をして、総務部と各部が連携を取りながらやっておられると。また、専門能力等の研修のところは、多分、外部の力をお借りになっているのだと思いますが、回数の件と中身、なぜ増えたか、どの部分が増えたかについても教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 回数ですが、大きく増えている部分は資産運用についてです。資産運用については、内部で若手を研修するものと、無料のセミナーですが、委託会社等が行っている各種セミナーに参加するという二本立てでやっており、参加すべきセミナーが多々あったということで、その部分について増えたというのが増加要因の主なものです。それ以外に人事課で計画している研修は、新人研修、中堅、部長クラスと、それぞれ職位が1つ上がるごとに研修するシステムでやっているのです。新人については内部と外部ですが、それより上の職階が上がる度の研修は外部で行っています。それ以外に個別テーマでセクハラ研修等の研修も、外部の研修に参加する、あるいは私どもの所に講師として来ていただいて行っているという形態でやっております。

 

○志藤委員

 そうすると、資産運用の部分は、やってみたら、これはちゃんとやらなければいけないということで数が増えたと、非常に単純に理解しますが、ここは外部の研修になるわけですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 外部が大部分です。

 

○志藤委員

 そうすると、予算的に割いていたお金よりは、かなり支出が多くなったと理解してよろしいですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 資産運用業界の特色ですが、いわゆる無料セミナーというか、いろいろなテーマで、特に昨今は新しい動きが多々あるので、そういったテーマを元に、外部で私どものような機関投資家を無料で招待して行われるセミナーは非常に数が増えてきております。私どもとしては、それらの中でこれは参加すべきだというセミナーに、選択的に参加しています。そういう意味で、コスト的には掛かっていないということです。

 

○今村部会長

 今の質問の逆の発想なのですが、46ページを見ると、「顧客へのサービス向上等に関する民間企業との意識の違いについて考えさせるべく、民間企業の職員が参加する」ということで、かなり民間企業を意識されていますが、逆に機構の職員の中でどのぐらい民間企業で通用する人材が育成されているかどうか。つまり、日本の労働市場は内部労働市場的で、労働移動率が低いわけです。金融に関してはかなり移動率は高いと思います。機構にとっては余り望ましい数字ではありませんが、例えば外部から純粋に役職や機構の立場ではなく、個人の能力としてスカウトされている人材がどのぐらいいるかという一種の指標にはなると思うのです。

 先ほど、民間の保険業務と比べて90%の賃金水準だということで、賃金水準で比較されましたが、実はあれに職務の質や人材のクオリティみたいなものが関わってくるわけで、それと掛け合わせて、機構の持っている人材構成がきちんとコストに合った市場で、外部労働市場で評価される人材になっているかどうかというのは重要なポイントではないかと思いますし、金融の場合にはとりわけ重要な視点ではないかと思います。その辺りはどのように捉まえておられるかだけでも結構ですので、教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 特に機構の中でも、資金運用の関係は非常に高度な能力が必要だということで、内部職員の研修、先ほど総務担当理事から話があったようなこともしていますが、一部専門高度的な業務に携わるポストがあって、課長級ですが、そこに金融機関から、スカウトではないのですが、出向の形で一定期間その方の能力を活用するということはしています。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 部会長の御質問は、当機構の職員がどの程度民間の企業で役に立ち得るかと、そういう御質問ですね。私は、職員といっても、管理職と直接話をするということで管理職の適応能力について考えることがあるのですが、潜在的な力はかなりあると思います。また、業務に対する取組姿勢を見ると、大変真面目なのです。そういう潜在的な能力と、業務に対する真摯な取組姿勢を勘案しますと、民間企業に行ってもそれなりの活躍をできる人は少なからず存在していると判断します。

 ただ、仕事の仕方についてですが、機構の仕事はどうしても関連部署との連絡調整や、監督官庁との折衝といったところに非常に力が掛かっています。また、皆さんのいわゆるExpertiseの点についても、そういう面で非常に配慮が多くなってしまう傾向があるのです。したがって、潜在的に仕事をする力はあるとは思いますが、即戦力としてすぐに活躍できるかというと、時間は掛かるのではないかと思います。

 繰り返しになりますが、たまたまここの職場での仕事の仕方をトレーニングされて管理職になってきたことが原因で、即戦力として働きにくいということであって、業務の本質的な資質、あるいは仕事に対する取組姿勢はなかなか良いものがあると判断しています。

 

○今村部会長

 期待どおりのお答えをいただいて、ありがとうございます。実は次の質問が用意されているのですが、42ページにある退職金共済事業と財産形成促進事業の連携についてです。ポテンシャルとしては高いということは、私も採用の需要などを拝見してそのとおりだと思いますが、縦割りの組織が本来の持っているポテンシャルを、場合によっては曲げるというか、方向付けてしまうと思うのです。特にこの場合、情報媒体の交換といったことに限定されているので、以前あったシナジー効果、財産形成促進事業を統合して、勤労者の老後の生活を含めた財産形成という機構の持つ1つのコンピテンス、置かれた立場の利点を生かすというところに、そういった立派な人材を生かすようになっていないと。

 具体的な質問としては、両組織が依然として縦割りのまま共存しているのか、両組織が共有して常に経常的に勤労者のニーズを掴んで、民間企業で言えば商品開発をするような体制になっているかどうか等も含めて、有能な人材を生かすためには組織も工夫が必要だし、シナジー効果という点ではまだまだ十分ではないという印象があるのですが、いかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 部会長のおっしゃるとおりだと思います。まず、数値目標として、パンフレット送付3,000件以上等の数値目標を掲げていることから、なかなか具体的なシナジー効果が発揮できない状況にあると認識しており、いかにしてシナジー効果を具体化するかも踏まえて、目標設定について厚生労働省と相談させていただきたいと思います。

 

○今村部会長

 目標については、これは件数だけですから、こういう報告しかできないので。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 そうですね。シナジー効果の発揮という観点からの目標設定について検討したいと考えております。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 補足ですが、本年の2月に一般の中退共の制度説明会をさいたま市で行いました。その際に、試みとして、財形事業本部の当時の高橋次長、今ここにおられる高橋部長と係長と中退共の職員と、一緒に説明会を行いました。制度の説明は中退共のみだったのですが、個別相談会がその後にあって、個別の事業主、あるいは労務担当者と、退職金制度についての質問や導入に当たっての留意点などを相談を行って、そこにも来ていただきました。一定規模の事業所ですと、財形制度に御興味を示されて、そこで直接パンフレットを手渡すといったことをして、今年度においては中退共の説明会に全て参加していただこうと、お互いにシナジーを求めていけることを今後も模索していこうと思っております。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 先生にシナジー効果ということを昨年度も御指摘いただいたものですから、ずっと考えてきているわけです。件数ベースだけで見るとシナジーを余り検証しにくい状況だと思います。ただ、あえて言いますと、財形というのは厚生労働省の調査でもはっきりしているのですが、圧倒的に大企業の制度になっているわけです。しかし、本来別に大企業の人たちのためだけのものではなくて、むしろ中小企業の方にとって必要な面が高いわけです。数字の上では出ませんが、中退共と一緒に、先ほどご説明したような対応を進めることによって、これまで財形制度の普及が遅れがちだった中小企業の方々にこの広報が周知徹底されていくことは、質的なシナジー効果ではないかと思っており、統合したことの大変重要な効果ではないかと私は思っています。そういう意味で、質的なシナジー効果も是非推進したいと思っております。

 

○宮崎委員

2点ほど御質問というか、要望に近いものですが、資料を拝見すると、40ページの財形事業のところで、財形の健全化ということで当期利益が出ています。これは非常に結構なことだと思いますが、後の長期借入金の利率などを見ると、情勢を見ると、もう少し調達の金利を下げるとか、もし金利をもっと下げることによって、貸付をするときの貸出利率も下げられるとか、より普及できるとか、工夫の余地があるのであれば、借入機関の参加資格要件が厳しすぎるとか、何か金利が高くなっている要因があるのであれば、いろいろな方策を検討いただいて、より良い制度として財形が普及するように検討をいただければと思います。それが1点です。

2点目は、42ページの災害復旧のバックアップですが、よくある話として、データのバックアップを取られた後に、実際にバックアップデータを使って立上げをしてみて、本当に動くのか。やってみると、予備電源がないので、データはあったけれども、動かないとか、実務上いろいろな課題があることに新たに気付くこともあるので、そこは防災訓練や災害訓練などと同じように、実際にデータバックアップを取られたものを使って立ち上げてみる取組も徐々に強化していっていただけると、災害対応強化がより一層推進すると思いますので、それは是非お願いしたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 財形事業本部の高橋です。1点目の質問ですが、私どもの貸付金利には調達金利に一定の上乗せ金利を乗せており、その上乗せ金利で金利変動や事務費を負担しております。もともとの調達金利は、平成11年のときから国債の5年債と短プラで82の割合でやるということで、152の財形取扱機関と合意をしており、これを変えるとなると、財形貯蓄をやっている機関にもデメリットやメリットが出てくるということで、ここについては今のところはハードルが大きいかと思っております。

 上乗せ金利については、平成2410月に累積欠損金が解消するということで、還元しなければならないということで厚生労働省の承認を得て引き下げたと。その効果が平成25年度に、5年ぶりに1,000件を超え、その都度その都度、どういう形がいいのかという部分のスプレッドの在り方なり、委員がおっしゃった制度改正をすればより利用していただけるかということについては検討しており、その都度厚生労働省にお願いするなりして検討しております。

 また、ALMリスク委員会で、現状の民間の金利や中長期的な財務状況を見ながら検討する機会を持っておりますので、その場で、委員が御指摘の点について今後とも検討していきたいと思っております。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 もう1つのBCPの関係については、先生の御指摘のとおりだと思いますので、防災訓練等の中で活用できないかどうかも含めて検討したいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 補足します。バックアップシステムについては、当然稼働時に検証しておりますが、委員がおっしゃるように、危機管理の要諦は訓練だと考えておりますので、今後とも定期的に訓練を行って、そのときに備えたいと考えております。

 

○今村部会長

 よろしいですか。以上で勤労者退職金共済機構の個別評価を終了します。

 続いて、勤労者退職金共済機構の長期借入金・債券発行の実績報告についてです。こちらは本部会で既に了承している長期借入金及び債券発行計画に基づく実績報告となります。法人から報告を願いします。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 資料1-5を御覧ください。勤労者退職金共済機構の長期借入金と債券発行の実績について御報告します。

 当機構で行っている財形融資のため、毎年度6月期、9月期、12月期、3月期の年4回、資金調達を行っております。平成263月期の資金調達の実績ですが、長期借入金により475億円を平成26320日に、償還期限平成27323日、借入利率1.594%、満期一括償還で調達しております。

 また、財形住宅債券については、330億円を平成26328日に、償還期限平成31328日、借入利率0.2%、満期一括償還で調達しております。

3月期の長期借入金及び財形住宅債券の調達については、それぞれ313日に厚生労働省から認可を頂いております。これにより、平成25年度においては、長期借入金は年度計画額831億円に対して807億円の借入、財形住宅債券は年度計画額895億円に対して847億円の発行となり、それぞれ年度計画額の範囲内となっております。

 次に、平成266月期の資金調達実績です。平成266月期においては、長期借入金により106億円を平成26623日に、償還期限平成27623日、借入利率1.594%、満期一括償還で調達しております。また、財形住宅債券については、123億円を平成26626日に、償還期限平成31626日、借入率0.2%、満期一括償還で調達しております。6月期の長期借入金及び財形住宅債券の調達については、平成26611日に厚生労働省から認可を頂いております。

 平成26年度の長期借入金及び債券発行の計画に対する実績は、4.のとおりとなっております。以上をもちまして、御報告とさせていただきます。

 

○今村部会長

 それでは、当委員会として報告を承ったということで、本議題は終了します。

 本日の議事は以上となります。事務局から、今後の流れと次回の開催等について連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御説明します。会議の冒頭でも御説明しましたが、全ての評価項目について評定等の記入が終わっている場合は、評定記入用紙を部会終了後に回収しますので、机上にそのままにして御退席いただきますようよろしくお願いいたします。記入が終わっていない場合は、評定記入用紙をお持ち帰りになって御記入いただくか、本日、評定記入用紙の電子媒体をメールいたしますので、そちらに御記入の上、84()までに事務局へ御提出いただきますようよろしくお願いいたします。

 次回の開催は、86()10時からを予定しております。場所は、厚生労働省18階の専用第22会議室を予定しております。議題としては、労働者健康福祉機構の平成25年度業務実績に係る個別評価を行うこととしております。

 最後に、本日配布しました資料の送付を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようよろしくお願いいたします。以上です。

 

○今村部会長

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心な御審議をいただきまして、誠にありがとうございました。どうもお疲れさまでした。





(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会労働部会)> 独立行政法人評価委員会労働部会(第89回) 議事録(2014年7月30日)

ページの先頭へ戻る