ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会)> 独立行政法人評価委員会総会(第36回) 議事録(2014年8月26日)
2014年8月26日 独立行政法人評価委員会総会(第36回) 議事録
政策統括官付政策評価官室
○日時
平成26年8月26日(火)13時58分~18時14分
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○出席者
山口委員長、永井委員長代理、五十嵐委員、今村委員、内山委員、亀岡委員、川北委員、酒井委員、坂井委員、柴田委員、清水委員、高瀬委員、田極委員、田宮委員平井委員、福井委員、藤川委員、松尾委員、真野委員、丸山委員、宮崎委員、安浪委員 |
○議事
(以下、議事録)
○山口委員長
少し定刻の前ですけれども、皆様お揃いになりましたので、ただいまから第36回厚生労働省独立行政法人評価委員会総会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集りいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は石渡委員、尾崎委員、金倉委員、祖父江委員、高田委員、古米委員、三田委員が御欠席です。
まず、本日の議事について事務局から御説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
本日の議事について、事務局から説明いたします。本日の議事はお手元の議事次第のとおり3点です。1点目が「年金積立金管理運用独立行政法人」、「医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所」、「国立高度専門医療研究センター6法人」の中期目標期間の業務実績評価、いわゆる暫定評価について。
2点目が、「年金積立金管理運用独立行政法人」、「医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所」、「国立高度専門医療研究センター6法人」の組織・業務全般の見直し当初案について。
3点目が、「国立病院機構」、「医薬品医療機器総合機構」、「労働者健康福祉機構」、「年金・健康保険福祉施設整理機構」の中期目標期間の業績実績評価、いわゆる最終評価について、でございます。
まず初めに、それぞれの概要について簡単に御説明いたします。暫定評価につきましては、本年度が中期目標期間の最終年度に当たる法人の中期目標期間の初年度から最終年度の前年度まで、具体的には、平成22年度から平成25年度までの4年間の業務実績について評価を行うものでございます。このあとに御説明させていただく中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しや、次期中期目標等の策定に評価結果を反映することを目的としております。なお、国立健康・栄養研究所につきましては、本年5月に成立した独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律に基づきまして、平成27年4月1日から医薬基盤研究所と統合することが予定されております。そのため、平成27年3月31日をもちまして、中期目標期間が終了することになります。したがって、中期目標期間の4年目に当たる本年度において、平成23年度から平成25年度までの3年間の業務実績に係る暫定評価を行うこととしております。
続いて、組織・業務全般の見直し当初案についてでございます。こちらは通則法第35条の規定を根拠としまして、中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて、平成15年8月1日の閣議決定に基づき行うもので、主務大臣が中期目標期間の終了時において、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方、その他、その組織及び業務の全般にわたる検討を行い所要の見直しを講じるものでございます。主務大臣が当該検討を行うにあたりましては、通則法第35条第2項の規定により、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますので、本年度が中期目標期間の最終年度に当たる「年金積立金管理運用独立行政法人」、「医薬基盤研究所」、「国立高度専門医療研究センター6法人」に加え、先ほど御説明しましたとおり、「国立健康・栄養研究所」についても、「医薬基盤研究所」との統合に伴い平成27年3月31日をもって中期目標期間が終了することとなるため、併せて本委員会の御意見を賜ることとしております。
最後に、中期目標期間の業務実績評価、いわゆる最終評価についてでございます。こちらは、平成25年度に中期目標期間が終了した法人の中期目標期間全体の業務実績について評価を行うものでございまして、通則法第34条の規定に基づく評価となります。本日は、平成25年度に中期目標期間が終了した「国立病院機構」、「医薬品医療機器総合機構」、「労働者健康福祉機構」、「年金・健康保険福祉施設整理機構」について御審議いただくこととしております。なお、「年金・健康保険福祉施設整理機構」につきましては、本年4月に改組し、新たに「地域医療機能推進機構」が設立されておりますが、本日御審議いただく最終評価につきましては、改組前の「年金・健康保険福祉施設整理機構」に係る平成25年度までの業務実績評価となります。事務局からは以上です。
○山口委員長
それでは議事に入ります。初めに、年金積立金管理運用独立行政法人の暫定評価について審議いたします。最初に年金部会において検討した暫定評価書(案)について、私から御報告させていただき、その後に質疑応答という流れで進めてまいりたいと思います。
年金積立金管理運用独立行政法人の第二期中期目標期間の暫定評価書(案)について御報告いたします。暫定評価書(案)は、「中期目標期間の業務実績について」と「具体的な評価内容」の構成としています。平成22年度から平成25年度までの評価の視点としては、各年度の評価委員会において指摘した事項等を踏まえて評価を実施することとしています。なお、年金積立金の運用は長期的な観点からの運用が求められていることから、5年間の中期目標期間の評価に当たりましても、より長期的な視点で評価することが重要である旨付記しています。報告については、暫定評価書(案)の概要として、中期目標期間の業務実績全般の報告を中心に資料1-1に沿って御説明をさせていただきます。
最初に評価項目1の、年金積立金の運用実績は、平成22年度から平成25年度において経済状況が大きく変化し、市場も大きく変化する中で、管理運用法人の収益率は平成22年度においてはマイナスだったものの、残りの3年間についてはプラスの収益率となっています。また、市場平均を示す指標でありますベンチマークとの比較をしましても、暫定評価期間において、おおむねベンチマーク並の収益率を確保できています。
続いて、リスク管理ですが、管理運用法人においては、運用受託機関との定期的なミーティング等、リスク管理のための適切な取組を実施しています。特に平成24年度と平成25年度において、国内債券が基本ポートフォリオの乖離許容幅を一時的に超過した状況がありましたが、市場に影響を与えることなく、リバランスを実施し、基本ポートフォリオの適切な管理が行われています。
少し飛びますが、評価項目の5の基本ポートフォリオ。また、会計検査院の報告をきっかけとして平成25年度に、より効率的な基本ポートフォリオへ変更がなされていることも評価することができます。
評価項目の7は、更に流動性の確保の取組として、キャッシュ・アウトと、対応ファンドを設置し、キャッシュ・アウトに対応する等、適切な対応を行ってきたということも評価できるということです。
評価項目の8以下に関わりますけれども、業務の質の向上に関する事項の取組では、内部統制の一層の強化に向けた体制整備等として、内部統制の基本方針を策定し、理事長による重要事項の適時・適切な把握及び役職員への周知徹底のための体制の整備とか、運用リスクの適切な管理及び法人運営のリスクの洗い出しと自己評価等の取組を行ってきたところです。
少し飛びますが、評価項目11の、業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置として、マネジャー・ストラクチャーの見直しの際に、管理運用委託手数料等の更なる引き下げを図った結果、平成21年度と比較して、4年度にわたり年平均で約20億円の管理運用委託手数料額の引き下げを実践しており、一般競争入札等の実施や随意契約における価格交渉等の見直しにより、コスト削減に努めてきたことは評価できるところです。簡単ですが、暫定評価書(案)の概要に関する報告は以上です。なお、今後、更に積極的な取組を期待する事項についてはその旨指摘をしているところです。私からの報告は以上です。
ただいま御報告いたしました暫定評価書(案)について、御意見、御質問等がありましたら各委員の皆様からよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。修正意見はないようですので、年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果につきましては、本委員会として決定したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案について審議をいたします。最初に法人所管課から説明していただきまして、その後に私から年金部会での各委員の御意見を報告させていただき、最後に質疑応答という流れで進めてまいりたいと思います。それではまず、法人所管課より説明をお願いいたします。
○大臣官房参事官(資金運用担当)
GPIFを所管いたします参事官の森と申します。資料につきましては、資料1-4と資料1-5とありますが、資料1-4で説明させていただきます。表題「年金積立金管理運用独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案」についてです。1ページの、年金積立金管理運用独立行政法人は長いので「GPIF」と言っていますけれども、GPIFの概要について書いています。積立金については運用資産額約127兆円ということで、世界でも最大規模です。これを職員75名、運用経験者等4割ぐらい配置しまして、非常に少数の人数でやっているのが実態です。
2ページ以降が事務及び事業の見直し当初案です。先ほど事務局から御説明いただきましたように、独法通則法35条において、5年ごとの見直しについてはまず当該法人の事業を継続させる必要性、そして組織の在り方に関する検討について主務大臣のほうで検討することになっています。事業を継続させる必要性ですが、最初の事務・事業の見直しの方針の1段落目ですが、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定化に資することを目的としていますので、私どもとしてはこの長期的な経済運用環境の変化に則して、必要な取組を行いつつ、継続すべき事業だと考えています。組織の在り方に関する話ですが、これは見直し当初案ですので、昨年末に独法については独立行政法人改革等に関する基本的方針を閣議決定したところですので、それらの閣議決定に則してまとめさせていただきました。
その閣議決定とはどんなものがあるかを先に説明させていただきます。前後して恐縮ですが、資料の5ページ以下です。まずは、昨6月に「日本再興戦略」がまとめられまして、その中でGPIFについても取り上げられています。公的・準公的資金の運用等の見直しですが、GPIFをはじめとする公的・準公的資金の運用については必要な施策及び迅速かつ着実に実施すべく所要の対応を行う。
次の段落ですが、GPIFの基本ポートフォリオにつきまして、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行などを踏まえて、適切な見直しをできるだけ速やかに実施する。また、ものを言う株主といいますか、機関投資家から企業に対する働きかけが重要ということで、金融庁のほうで日本版スチュワードシップ・コードというのがまとめられましたけれども、これらを踏まえた対応というものも実施していくということが書かれています。また、ガバナンスについては、フォワードルッキングの観点からのリスク管理体制の再構築、若しくは運用委員会の強化や高度で専門的な人材の確保、それと厚生労働省において所要な対応を検討等を行っていくことが閣議決定されています。
次のページの、その元となります先ほど申しました独法に関するところの基本方針、参考2です。重複しますので説明は省略しますが、一番最初の中期目標管理型法人、つまり今回、独法制度改革に基づいて、独法の分類ができたわけですが、GPIFについては独立行政法人の一形態である中期目標管理型法人に来年の4月からなることに決定されています。
7ページ目です。これは年金制度の一部で資金運用していまして、今年が財政検証ということで、いろいろ経済前提等、社会保障審議会の専門委員会で検討したところですが、それと併せて積立金の運用についても検討結果が出ています。特に今回の御審議に関係する部分としては、中段のポートフォリオの在り方ということで、ポートフォリオは長期的な観点から設定するけれども、機動的な運用ができるように明示。また、運用手法については、資金運用について一般的に認められた知見に基づき、基本的にはGPIFに検討を委ねるという形で報告が出されているところです。
8ページ目です。これはむしろ法律でありますが、一昨年の8月に被用者年金一元化、GPIFにおきましては、サラリーマンや自営業者の年金について運用しているところですが、その他の国家公務員や地方公務員、あと、私学の教職員の方については別途運用しているところですが、ただ、そういう制度についても被用者部分について、2階建て部分については一元化ということで、来年の10月、この被用者年金の一元化が決まっています。ですので、運用についても共通の指針等で運用する形の仕組みが定まっています。このような閣議決定を受けまして、戻っていただいて恐縮ですが、2ページ目の事務・事業の見直しに係る具体的な措置ということです。事務・事業の見直しについては先ほども閣議決定等にありましたが、基本ポートフォリオの見直し及び機動的な対応ということで、平成26年度の財政検証を受けまして、基本ポートフォリオについてはその見直しを実施するとともに、必要に応じて中期目標期間であっても機動的に見直しをする。GPIFからいうと、経済状況がどうなるか、いろいろリスクシナリオがありますけれども、そういう検証を今までも行っていましたが、より複数のシナリオでフォワードルッキングのような形で行うなど、リスク管理体制の一層の高度化を図る。今御紹介しましたように、一元化という形になりますと、各運用主体での共通のモデルポートフォリオというのを作りますので、そういうモデルポートフォリオを作り、基本ポートフォリオを定めていくというのが一番最初の○に書いています。
このような機動的な運用ということで、その中には専門性を活かした運用手法の見直し、若しくは運用受託機関等の選定・管理を求められているところです。運用対象の多様化、今までの伝統的資産以外のものということですが、そのようなものについても年金資金の運用の観点から被保険者の利益に資することを前提に継続的に検討していくことが1つ目の○に書いています。
2つ目の○は、スチュワードシップ・コードについても被保険者の利益のためにということで、検討していくことを書いています。また、このような機動的な運用を行うためには、やはり調査・分析等が必要ですので、このような調査・分析の能力の向上について一番最後の○で書いています。
次のページは組織の見直し当初案ですが、組織体制の整備についてはGPIF、ガバナンス体制の強化を求められていまして、先ほど御覧いただいたような運用委員会の強化等がありますし、また、厚生労働省のほうでも今後、検討していくことになりますが、そのことを含め、所要の見直しを行うということです。支部・事業所の見直しでは、専門人材の確保等が言われていますが、今の事務所については大体50名程度を前提に考えられており、非常に手狭ですので、やはりこの事務所については拡充ということで移転を検討しています。
また法律上、GPIFについては本拠地を神奈川県に置くということになっていまして、ただ、いろいろ御議論がありまして、今、暫定的に東京都という形になっていますが、むしろ、閣議決定等に基づきますと、主たる事務所については引き続き東京都に置いて、具体的な事務所については、高度で専門的な人材の確保等を踏まえて検討することを考えています。
あと、専門人材の確保については、先ほども申しました閣議決定等で言われているところですが、職員数や給与水準については、より専門的な人材を採るためには弾力化せよという話がありますので、その所要な対応を行い、高度な専門的な人材を確保して、体制を強化することを書いています。
次のページは運営の効率化及び財務内容の改善に係る当初案です。業務運営体制の整備ですが、基本方針等に基づいて、繰り返しになりますが、高度で専門的な人材を確保するとともに、システム、GPIFの場合には各運用受託機関の取引を日次ベースで整理し、一体、自分たちがどのぐらい各社の株式を持っているか、そういうことを把握する、かなり高度なシステムを持っていますが、これもやはり陳腐化してきましたので、そのシステムの機能拡充等も含め、更に運用高度化のための基盤整備、若しくは強化を図ることを具体的に書いています。
随意契約の見直しにつきまして、GPIFについては、一般競争入札は一定の条件の中で一番価格の低いものを選ぶ、そういう仕組みですが、むしろ収益性が高いものを選ぶということで、なかなか一般競争入札にそぐわない部分もあるのですが、これは政府全体の取り決めですので、この取組を促進し、契約に係る透明性、公平性の確保を図るということです。特に、一者応札・一者応募、これは契約監視委員会において重点的に点検していく。また、企画競争についても、総合評価方式というもので一般競争入札に移行できないか、若しくは、応募者を増やすということで、公告期間の確保や仕様書の明瞭化、入札参加資格の緩和等そのような政策を取っていきたいと考えております。以上です。
○山口委員長
続きまして、私のほうから年金部会での各委員の検討を御報告させていただきます。年金積立金管理運用独立行政法人の見直し当初案については、8月18日に開かれた年金部会に諮られまして了承されています。ただいま、法人所管課から説明がありましたように、年金積立金管理運用法人は、厚生労働大臣から寄託された積立金の管理・運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としており、次期中期目標期間においても、適度なインフレ環境への移行など、長期的な経済運用環境の変化に則して、必要な取組を行う必要があります。ただいま御説明がありました見直し当初案の内容について、年金部会委員からの意見は特段ありませんでした。以上です。
ただいま御説明いただきました、組織・業務全般の見直し当初案について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。
○高瀬委員
来年、10月からの年金一元化ですけれども、各共済が持っている積立金というのは、それぞれこの組織で運用するのではなくて、別々に運用するわけですか。
○大臣官房参事官(資金運用担当)
私から御説明させていただきます。被用者年金一元化については、私学共済、若しくは公務員共済の方々についても2階部分については来年度10月から厚生年金に加入する仕組みになっています。実施についてはそれぞれの組織を活用する。これは例えば、国家共済組合などで言いますと、医療の保険料も徴収していますので、その短期と長期の掛金について効率的に徴収する観点等から、それぞれ組織を活用することになっています。ということで、運用についても各組織、例えば国家公務員ですと国共連でして、地共済ですとその下のほうの警察や都道府県、若しくは市町村等で組織が分かれているのですが、そこで運用する。あるいは、私学事業団については、私学事業団で運用することですが、ただ、運用についても共通のルールでやらなければいけないということで、先ほど参考4で申しましたように、基本指針やモデルポートフォリオということで、統一性をもってやっていくというのがこの法律の趣旨です。
○高瀬委員
そこで運用に利益が出た場合、それは基本的にはGPIFのほうで取り扱うことになるのでしょうか。
○大臣官房参事官(資金運用担当)
これは、厚生年金の共通の財源でして、GPIFで利益が出ても公務員のほうで利益が出ても、一緒くたに厚生年金、つまり今度は厚生年金というと、公務員もサラリーマンも一緒なわけですが、そこの共通の財源として使われるということです。どこか得するとかどこか損するということにはなっておりません。
○高瀬委員
いわゆるこれからの少子高齢化で、年金積立金を取り崩していく方向になると思うのですが、その取り崩し方も同じ比率でやっていくということになるのでしょうか。
○大臣官房参事官(資金運用担当)
これはルールとしては、まず、最初に申しましたように、厚生年金の共通の財源ですので、例えば極端な話、こういうことは考えにくいですけれども、どこかの積立金が著しく少なくなったらそこのグループだけ非常に不利益を被るとか、そういうことはありません。年金積立金の取り崩しについても、平成26年度からですが、財政検証中で、このような公務員の積立金も含めまして、全体で財政検証をやっていますけれども、その中である種一様に取り崩されていく。又はもう少し時期が経ちますと、厚生年金については年金積立金が増えていくフェイズになるわけですが、その場合には増えていくという形になっています。
○高瀬委員
ありがとうございました。
○山口委員長
ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは特に修正意見はなかったと思いますので、年金積立金管理運用独立行政法人の組織業務全般の見直し当初案については、本委員会として了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
最後に、法人の理事長及び法人所管課より、一言頂ければと思います。よろしくお願いします。
○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
理事長の三谷でございます。本日は私どもの第二期中期目標期間の業務実績についての暫定評価及び組織・業務全般の見直し当初案について、御審議いただきありがとうございました。
御承知のとおり、経済再生担当大臣の下に設置されました「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」が、昨年の11月に報告書を公表し、その中で、私どもを念頭に様々な提言が出されています。そのうち、先ほども説明がありましたが、ガバナンスに関する事項のような、法律改正等を伴うものは、政府において検討されるものと思われますが、私どもにとって、特に大きいのは職員数や給与水準の弾力化が提言され、それが昨年末の閣議決定で認められたということでございます。私どもではこれまでも退職者見合いで、民間金融機関での運用業務経験者等を中心に、中途採用を行うとともに、これまでも職員の能力向上のための研修などに努めてまいりましたが、職員の絶対数が制限されていることや処遇面での問題から、運用の高度化、多様化等を進める上で、大きな制約になってきたところであります。
現在、外部のコンサルタント会社に新たな給与体系の在り方について調査・検討を依頼しているところですが、その結果も踏まえまして、今後、高度で専門的な人材の採用を進め、運用の高度化、多様化やリスク管理の強化等に活かしていきたいと考えております。
また、本年3月に社会保障審議会年金部会から示されました、年金財政における経済前提と、積立金運用の在り方についての検討結果の報告や、6月に厚生労働省から公表されました、平成26年度財政検証結果を受けて、現在、基本ポートフォリオの見直し作業を鋭意行っているところでありますが、そのほか、有識者会議から示された様々な提言も踏まえつつ、年金積立金の運用は専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から行われるものであるとの目的に沿って、体制の整備や所要の対応を進めるとともに、引き続き、分散投資を基本に適切なリスク管理の下で経済運用環境の変化に即して、安全かつ効率的な年金積立金の管理・運用に努めていきたいと考えております。以上、私からの御挨拶とさせていただきます。
○大臣官房参事官(資金運用担当)
法人所管課の森でございます。本日は組織業務全般の見直し当初案につきまして、御審議ありがとうございました。
このあと、総務省の政・独委のほうに、案がまいりまして、また見直しの方向性等の案が出ましたら、そのあと、見直し当初案ではなく、案をまた御審議いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替を行いますので、皆様はしばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入替)
○山口委員長
続きまして、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の暫定評価について、審議を行いたいと思います。最初に、調査研究部会において検討した暫定評価書(案)について、酒井部会長から御報告を頂きまして、その後に質疑応答をするという流れで進めていきたいと思います。それでは、御報告をお願いいたします。
○酒井部会長
御報告させていただきます。医薬基盤研究所/国立健康・栄養研究所の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果について、ポイントを絞って御報告します。なお、国立健康・栄養研究所につきましては、冒頭、事務局から御説明がありましたとおり、平成27年4月に医薬基盤研究所と統合して新しい法人となる予定であることから、平成26年度を最終年度として中期目標期間の4年目に暫定評価を実施するものです。最初に、医薬基盤研究所について御報告いたします。お手元の資料2-2-1、医薬基盤研究所の暫定評価結果(案)を御覧いただきながらお聞きください。
まず、評価の視点についてです。当該研究所の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3事業を行うことにより、製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、最新の生命科学の成果や最先端の技術を活用した画期的な医薬品等の研究開発を促進することであり、業績評価に当たりましては当該研究所が提供するそれらの事業が、中長期的に医薬品等の研究開発に役立つものになっているかという観点から、評価を行っています。
中期目標期間の業務実績全般の評価について、御説明させていただきます。当該研究所の中期目標期間全般については、先に述べました観点から評価を行った結果、次のとおり適正で、しかも高い水準で業務を実施してきたと評価できると思います。
次に、評価内容について主な事項のみ御報告します。戦略的事業展開及び研究成果の普及等については、大規模トキシコゲノミクスデータベースを活用した新規安全性バイオマーカーの開発、薬用植物の人工水耕栽培及びヒトiPS細胞から分化誘導した肝臓細胞の製品化について、内閣府の産学官連携功労者表彰を3年連続で受賞していること。査読付き論文発表数が各年度とも目標を上回り、また、インパクトファクター2以上のものが各年度6割以上と、質的にも非常に高い水準にあること。研究所一般公開の開催等により、研究成果の一般の人々への公開に努めていること。特許出願数が中期計画における目標を大きく上回っていること等から、部会としては高く評価させていただきました。
次世代ワクチンの研究開発については、核酸アジュバントを用いたマラリアワクチンが、医師主導治験を実施するところまで進んでいること等、高く評価できます。また、医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究については、先に述べたヒトiPS細胞から肝臓細胞への高効率分化誘導技術を構築したこと等、高く評価できると思います。薬用植物につきましては、先に述べましたカンゾウの人工水耕栽培の件のほか、薬用植物に関連する各種情報を網羅的に閲覧できる薬用植物総合情報データベースの構築を行った等から、高く評価できると思います。さらに創薬支援につきましては、平成25年度に開始された業務ではありますが、多面的で実践的な目利き評価、助言等が適切に行われていること等から、高く評価しました。
主な事項については以上ですが、その他の事項におきましても、おおむね中期目標、中期計画を上回る成果が得られたものと評価させていただきました。
最後に、当該研究所の業績全般につきましては、先ほどまでの報告のとおり全体的に高く評価できますが、多くの優れた成果が得られており、これらの事業を引き続き推進していくことを部会として強く望みたいと思っています。
次に、国立健康・栄養研究所について御報告いたします。お手元の資料2-2-2の業務実績の暫定評価結果(案)を御覧になりながら、お聞きください。
まず、評価の視点です。当該研究所は、厚生労働省の附属機関であった国立健康・栄養研究所が、平成13年4月に新たに独立行政法人として発足したものです。
当該研究所の目的は、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることであり、業務実績に当たっては、その目的に照らし、どの程度寄与するものであったか。学術的成果の価値及び調査結果等の国民の健康増進施策への有効性、業務の効率性の観点から適正に業務を実施したかどうかの視点に立って評価を行っています。
業務実績全般の評価について説明いたします。当該研究所の中期目標期間全般については、先に述べた観点から評価を行った結果、次のとおり適正に業務を行ってきたものと評価できます。
次に、評価内容について主な事項のみ御報告させていただきます。研究の具体的な成果としては、身体活動量等の基準の妥当性について検討するための大規模無作為割り付け介入研究を継続し、研究成果を出すとともに、アクティブガイドの策定の根拠となる研究成果をあげていること。また、全ゲノム関連解析により、新規の2型糖尿病感受性遺伝子の同定や、それらが東アジア民族に特有の遺伝子であることを明らかにしたこと。さらには、食事摂取基準の策定において日本人で不足しているエビデンスを創出するため、国民健康・栄養調査プールデータを用いた再解析を実施し、超高齢化社会に対応する科学的根拠を示したことなどは評価できると思います。国民の関心の高い「健康食品」について、安全性・有効性について信頼の高いデータを提供するなど、国民の期待に応える役割を果たしていることは高く評価できると思います。
健康増進法に基づく「国民健康・栄養調査の集計業務」については、毎年、正確かつ効率的な集計ができたことは高く評価できると思います。特に公平性、中立性が高く求められる特別用途表示の許可に関わる申請に基づく試験業務については、適切に実施されており評価できます。研究成果の公表につきましては、インパクトファクターの高い原著論文の採択数や論文引用数、引用度が数値目標を達成しており、評価できます。
その他、国際協力につきまして、WHO協力センターとして正式に承認されたことはとても評価できることだと思います。なお、具体的な評価項目内容の報告については割愛させていただきますが、それぞれの事項につきましては、おおむね高い評価を私たち部会としてはしています。
当該研究所の業績全般につきましては、先ほどまでの報告のとおり全体的に高く評価できますが、取り分け国の政策への寄与、開かれた研究所である点、及び情報発信の推進については、当該研究所に対する国民の期待の反映でもあるので、引き続き推進していくことを強く望みたいと思っています。
最後に、来年の法人統合に向けて2つの研究所の高度な専門性をいかしつつ、統合によるシナジー効果が上がるような中期目標の策定につながることを期待して、両法人の暫定評価に関わる報告としたいと思っています。以上です。
○山口委員長
ありがとうございました。ただいま御報告を頂きました暫定評価書(案)につきまして、委員の皆様から御意見あるいは御質問がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
○松尾委員
この第二期の中期計画の中で出てくる創薬支援ですが、これは今後の計画としては創薬支援を強めるために、理研とか産総研といった所も一緒に支援するというスキームになっているかと思います。そのようなところというのはどうなのでしょうか。
○医薬基盤研究所理事
医薬基盤研究所の樽林でございます。創薬支援戦略室長を務めています。今の御質問ですけれども、理研、産総研との連携体制がどのようになっているかという御質問ですね。
○松尾委員
はい。
○医薬基盤研究所理事
これは創薬支援ネットワークを構築する機関として、医薬基盤研究所、理研、産総研の3独法、御案内のとおりです。その中で創薬支援戦略室が医薬基盤研究所に設置されていて、ここを中心として3独法が密接に連携する体制を作っています。具体的には、各独法の代表者から成る運営会議を作り、3独法が持つ創薬支援の技術、設備といったものを最大限に活用するための運営を図っています。
○山口委員長
よろしいでしょうか。ほかに御意見あるいは御質問はございますか。それでは、修正意見は特にないようですので、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果については、本委員会として決定したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
それでは、そのようにさせていただきます。続きまして、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し当初案について、審議を行いたいと思います。最初に、法人所管課のほうから御説明いただき、その後に酒井部会長から調査研究部会での各委員の御意見を御報告いただきまして、最後に質疑応答といった流れで進めてまいりたいと思います。まず、法人所管課より説明をお願いいたします。
○大臣官房厚生科学課長
厚生科学課長の椎葉でございます。私のほうから、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所の統合等につきまして御説明させていただきます。資料2-4の1ページです。独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律の概要を説明させていただきます。上の囲みですが、独法改革に関する閣議決定や、日本再興戦略に基づく「新たな医療分野の研究開発体制」を踏まえ、医薬基盤研究所と健康・栄養研究所を統合し、医薬品及び健康・栄養に関する研究統合を実施する独立行政法人とするという内容です。※の1つ目にありますが、この2つの法人の統合により、医薬品等に関する専門性、食品と栄養に関する専門性の融合が図られ、生活習慣病対策への応用、医薬品と食品の相互作用による研究の促進等の効果が期待されるものです。
改正の概要が真ん中です。新法人の概要ですが、名称は「独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所」とし、主たる事務所の所在地は大阪府とする。2つ目ですが、新法人は、現在の2つの研究所の業務を基本的に引き継ぐものとして、次の※にありますが、医薬基盤研究所の研究開発に係る研究費の配分と評価業務及び創薬支援業務については、新たにできる、独立行政法人日本医療研究開発機構法に基づき設置される同機構に移管されるということです。施行の時期が※に書いてありますが、来年の4月1日を予定しています。新しくできる日本医療開発研究機構についても同日に設立予定です。
2ページで、新たにできる医薬基盤・健康・栄養研究所の業務についてです。左が現行の2つの研究所、右が統合されて新しくできるものです。基本的に左の国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究、健康増進法に基づく業務については、新法人にもそのまま移行されます。医薬基盤研究所で行っている医薬品の基盤的技術研究、難病・疾患資源研究、創薬支援スクリーニングについてはそのままいきますが、医薬品等の開発振興において、希少疾病用医療機器の開発支援等については、新しい法人のほうにいくということです。アカデミアに対する研究支援(ファンディング)や創薬支援については、日本医療研究開発機構に引き継ぐということです。これが大きな概要です。
3ページです。両法人が統合によって3つの基本方針をまとめています。1つ目はインハウス研究の推進です。この試験研究機関が運営費交付金で行う試験研究ですが、これについて健康・栄養に係る我が国の公衆衛生推進のためのエビデンスの構築、医薬品・食品の信頼性の確保、医薬品開発に共通的なプラットホームの確立など、公的研究機関ならではのインハウス研究を着実に推進していくというものです。2つ目は組織体制の見直しです。総務部門、企画・立案部門については体制を整備する。場所が大阪と東京に分かれますので、連携を図るためのITの活用と体制強化などにより、効率的な運営を実現させていく。3つ目はシナジー効果に基づく共同研究の実施で、このシナジー効果を最大限発揮するための共同研究の実施という、この3本柱です。
4ページです。両研究所が統合後、具体的にどのような取組をしていくかですが、3つの柱を掲げています。1つ目に、従来の研究を継続的に推進する。2つ目に、統合効果を最大化するための取組を図る。3つ目に、研究成果の情報発信を推進するというものです。
1つ目の従来の研究を継続的に推進ですが、食と運動の健康科学研究については、これまでどおり推進していく。創薬技術研究や創薬技術支援についても、引き続き推進していく。2つ目の統合効果を最適化するための取組ですが、シナジー効果を最大限発揮するための共同研究の実施、研究支援業務の強化と管理、企画部門の効率化を図っていく。ITを活用した事務連絡会議及び研究者間の情報交換を図っていく。競争的資金については積極的な獲得を狙っていく。限られた財源の中で2つの独法が1つになるということで、最大限の研究成果を発揮していきたいということです。3つ目の研究成果の情報発信の推進ですが、国民に向けた医薬品、食品、栄養及び運動の研究成果の情報提供をしていく。WHO協力センターとして、世界に向けた栄養と運動の情報発信を強化していく。創薬支援ネットワークの中核としての情報提供をしていくということです。
5ページです。2つの研究所の統合によるシナジー効果の例ですが、右に健栄研の強み、基盤研の強みをそれぞれ書いています。この強みをいかして3つのテーマ、医薬品と食品の相互作用に関する研究、生活習慣病の新しい予防法に関する研究、健康に関する機能性表示食品の品質評価、こういったものを強めていくということです。以上が両研究所の統合です。
資料2-5-1です。医薬基盤研究所の組織・業務全般の見直し当初案を御説明させていただきます。1ページで、中期目標期間の主な取組と成果の概要です。1の事務・事業の見直しですが、平成23年度に実用化研究支援事業を廃止し、平成25年度にはヒューマンサイエンス振興財団と共同で実施していたバンク事業を単独実施します。また、創薬支援ネットワークの本部機能としての創薬支援及び抗体・人工核酸のスクリーニング等の開始を、平成25年度に始めています。2の組織・運営の見直しについては、薬用植物資源研究センター筑波研究部和歌山圃場を平成24年度に廃止しています。3の主な成果ですが、繰り返しになりますけれども、産学官連携功労者表彰を3年連続受賞していて、その中でも世界一が2つあり、薬用植物のカンゾウの人工水耕栽培に成功したことと、ヒトiPS細胞から分化誘導した肝臓細胞の製品化を図ったことです。最後の○の希少疾病用医療機器の開発ですが、22品目が製造販売承認を獲得しているところです。
2ページで、事務及び事業の見直し当初案です。基盤的技術研究及び生物資源研究については、健康・医療戦略を踏まえ、世界最高水準の医療の提供に寄与する革新的な医薬品等の開発に資する事業の実施ということで、1つ目のポツですが、新設される日本医療研究開発機構や理研及び産総研と連携して、創薬支援ネットワークの中核を担い、革新的な医薬品の創出を目指すための様々なスクリーニング、疾患モデル動物等の提供等の創薬技術支援を行うこととしています。2つ目のポツですが、引き続き、1創薬を目指した実践的な研究、2ワクチン、難病・希少疾病等を対象とした基盤技術研究、3スクリーニング技術や新規の生物資源の開発など創薬支援技術の開発に取り組むということです。
3ページです。創薬支援ネットワークにおいて中核を担うとともに、自ら行う創薬技術研究や創薬技術支援について、企業、アカデミア、医療機関等と連携を図っていくということです。次の○ですが、シナジー効果ということで先ほど御説明した3点について研究を行うということです。
4ページです。研究開発振興の分野については、患者さんの数が極めて限られる希少疾病について、いわゆるウルトラオーファンドラッグについては支援の強化、相談業務の充実等を図っていくこととしています。次の○の実用化研究支援事業の既採択案件のフォローや、成果の創出等や承継事業についても、引き続き適切に取り組むこととしています。
5ページです。組織形態については、4月1日に栄養研究所と統合することとしています。体制の整備ですが、これも御説明したように総務部門、企画・立案部門を合理化し、総合的に運営する本部機能を確立することと、研究者が自ら行う創薬技術研究と支援を一体的に行うことができる体制整備をしたいということです。
6ページです。引き続き、業務運営体制の整備については、本部機能をきちんとすることや電子化の推進を図るということです。財務内容の改善の見直し当初案について、保有資産の見直しですが、平成23年度で廃止した和歌山圃場について、土地建物等を不要財産として現物で国庫納付するため関係機関と協議を進める。また、自己収入の拡大については競争的研究資金、受託研究等の獲得に向けた取組を積極的に行うこととしています。
資料2-5-2です。健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し当初案について御説明させていただきます。1ページで、中期目標期間の主な取組と成果の概要です。1の事務・事業の見直しですが、平成25年度に特別用途食品の表示許可試験及び収去試験に係る役割分担の見直しを図るとともに、特別用途食品の表示許可試験手数料の見直しを図っています。また、来年の7月予定ですが、栄養情報担当者(NR)認定制度を廃止する予定です。3の主な成果ですが、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究、日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究、「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究、これは重点3分野ですけれども、これについても身体活動基準指針の策定などにつながる研究をしていて、成果が見られているところです。情報の発信、国際協力についてはWHO協力センターの指定を受け、引き続き発展していく予定です。
2ページで、事務及び事業の見直しのポイントです。1国の生活習慣病対策等の施策として、より効果的な反映が見込まれる研究ですが、先ほど言いました重点3分野の研究については、引き続きこれらの研究を実施していく予定です。また、シナジー効果を最大限発揮するための3つの研究を実施していくことと、国の公衆衛生施策に寄与する研究者を育成するため、課題克服、エビデンス創出等を目指した若手研究者等による関連研究領域の基礎的・独創的・萌芽的研究を実施していくことにしています。
3ページで、2健康増進法に基づく業務です。国民健康・栄養調査の集計業務は、引き続き実施していく予定です。特別用途表示の許可試験及び収去試験業務を確実に実施するため、体制の確保・強化を行うとともに、分析技術の確立した試験については、登録試験機関における検査の精度管理に引き続き努めていくこととしています。民間の試験機関が実施することが可能となった栄養表示に係る収去試験については、消費者庁の検討状況を踏まえつつ、業務の重点化を図る予定です。
4ページで、国際協力・産学連携等対外的な業務です。WHO協力センターとして、アジア地域を中心に国際協力活動を推進していくことや、産学連携による大学や企業等との共同研究や受託研究等を引き続き推進していく。食育についても研究・普及啓発活動を引き続き実施していくということです。
5ページで、4栄養情報担当者(NR)制度については、NR新規資格取得試験を平成24年6月で終了し、この後は一般社団法人日本臨床栄養協会の「NR・サプリメントアドバイザー」制度に移管することにしています。既存のNR資格取得者に対しては、3年間の更新期間(平成27年7月に完了)までに順次移管予定です。6ページの組織の見直しは省略させていただきます。
7ページで、運営の効率化のポイントは基盤研と同じです。財務内容の改善のポイントは、こちらも自己収入の増大ということで競争的研究資金、受託研究等の獲得に向けた取組を積極的に行いたいということです。
資料2-6-1、資料2-6-2について整理表に整理しています。以上です。
○山口委員長
続きまして、酒井部会長のほうから、調査研究部会での各委員の意見等について御報告をお願いいたします。
○酒井部会長
医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の見直し当初案については、8月21日の調査研究部会において非常に活発な議論が行われ、基本的に了承されたことを御報告致します。
これらの法人は、先の通常国会で医薬基盤研究所法の一部改正法が成立したことを受け、平成27年4月1日に統合する予定となっておりまして、今般の組織・業務全般の見直しにつきましては、統合効果を最大限発揮できることが期待できるものであること、7月に閣議決定された健康・医療戦略等を踏まえたものであること、とする必要があると考えております。
このため、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の見直し当初案をベースにしまして、両研究所の統合案について、従来の研究も継続的に推進していくこと、統合効果について効率化だけでなく、研究成果が最大限になるように取り組むこと、情報発信が引き続き適切に行われること等を含め、調査研究部会の各委員より多数の意見が出されたところでございます。これらの意見を踏まえまして、本日の資料2-4の4ページ目が、調査研究部会における当初の説明資料から更に追加され、先程、法人所管課のほうから御説明のあったような形に、見直し当初案に必要な修正が行われていることを御報告させていただきます。以上です。
○山口委員長
ありがとうございました。ただいま御説明いただきました組織・業務全般の見直し当初案について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
○川北委員
部会のほうで既に議論があったのかもしれませんが、お聞きしたい点が2点あります。1点は、資料2-4の2ページで、今後、どういうふうに統合していくのかということで見取図が書かれています。これを見る限り、あとのほうでシナジー効果とかいろいろうたわれていて、全ての業務が移行されるような感じに受け取れますけれども、統合することによってどこかを重点化していくとか、そういうことが行われるのかどうか。それが1点です。もう1点は、大阪府に主たる事務所を置いて、その後東京とITで相互にやり取りするということですけれども、これは、むしろどちらか1か所に集めたほうがいいのではないかという気もするのです。そのあたりはどういうふうにお考えなのか、その2点です。
○大臣官房厚生科学課長
厚生科学課長でございます。1点目ですが、資料の2ページ目は分かりやすく書いたものです。そのまま並ぶということではなく、これが一つになって例えば4ページの2です。統合効果を最大化するための取組ということで、「シナジー効果を最大限発揮するための共同研究の実施」とあります。これまで共同研究はなかったのですが、こういった研究をやるとか、研究支援業務を強化していく。管理、企画部門は2つあったら無駄なので効率化していく。ITを活用した事務連絡、研究者間の情報交換、共同して競争資金をゲットしていくとか、限られた財源の中で最大限の研究成果を発揮していくということで、単に2つが並ぶのではなく掛け算、若しくは有機核融合みたいなことが起こって新しいものが生まれると、そういうイメージで頑張りたいということです。
それと、東京と大阪に分かれますけれども、基本的に今、両研究所が東京と大阪に分かれていますので、主たる事務所は大阪に置きますけれども、引き続き両者はITなどを使ってタイムラグがないように、更に積極的に魂で連携しながらやっていきたいということです。
○川北委員
それは、東京と大阪の2か所にあったほうが、いろいろな意味で他の機関や民間との連携が図りやすいという御判断があったと理解して、よろしいのでしょうか。
○大臣官房厚生科学課長
実際、国立健康・栄養研究所の中には様々な施設があり、例えばヒューマンカロリーメーターという、日本ではそこでしか測れない施設もあります。そういうのを有効に使いながら大阪と東京で連携してやっていくということです。
○山口委員長
川北委員、よろしいでしょうか。ほかに、どうぞ。
○松尾委員
今の資料2-4の同じポンチ絵ですが、日本医療研究開発機構のほうにということで、これは多分、白い囲みか何かで下が一緒になっているのかなと思いますけれども、そうですよね。ファンディング機能を切り離すというのは分かるのですが、上に創薬支援スクリーニングがあって、下に創薬支援、これはネットワークのことですね。これを分けないほうが、むしろ効率的にいくのではないかと思うのですが、この分かれることの意味はどういうことでしょうか。
○大臣官房厚生科学課研究企画官
日本医療研究開発機構に行く「創薬支援」と書いてある部分については、オールジャパンでの創薬支援をやるための指令塔機能を移管させることになっていて、引き続き基盤研の研究所に残る創薬支援スクリーニングというのは、いわゆるウェットと言いますか、実験を行って創薬支援を行うタイプのものであり、そうしたものは、先ほど話題にも挙がった理研や産総研といった研究所にも残っている形をとっています。したがって、ドライの指令塔部分については日本医療研究開発機構に、その他、ウェットで研究することによって支援していく部門は各研究所に置かれるということで整理されています。
○松尾委員
ありがとうございます。よく分かりました。
○真野委員
WHOのコラボレートセンターの話がありますが、これは何をされていたのか。基本的な質問で恐縮ですが、教えていただきたいのと、合併するわけですね。合併したほうにも同じような文言があるのですが、これは恐らく旧栄養のほうでやられる話で、逆に基盤研として国際的な取組というのは何かされるのでしょうか。
○国立健康・栄養研究所理事
健康・栄養研究所理事の丸山でございます。WHO協力センターにつきましては、実は今年の3月に、栄養と身体活動に関する協力センターということで指定を受けたばかりで、活動はむしろこれからやっていくということです。当然、協力センターとしては特にアジア地域におけるNCD対策を中心とした様々な疾患に関して、栄養及び身体活動面からサポートしていくということになろうかと思います。栄養研に関しては以上です。
○医薬基盤研究所理事長
医薬基盤研究所の米田と申します。医薬基盤研究所につきましては、これまで既にいろいろな形で世界に向けた研究開発を進めています。特に、1つの例としては結核感染症に対するワクチンの開発であるとか、結核予防・撲滅に向けた取組なども既にスタートしています。そういうものを更に発展させるという意味で、もちろん、WHOとも関係してきますが、そういう活動を医薬基盤研究所として既にやっているということを御理解いただければと思います。
○真野委員
ありがとうございました。
○山口委員長
ほかには、御意見、御質問はございますか。
○平井委員
ちょっと教えていただきたいのですが、2-5-2の3ページで事務及び事業の見直しのポイントの一番下にある、「民間試験機関が実施することが可能となった栄養表示に係る」うんぬんというところです。ここの具体的な活動というのはどういうことなのでしょうか。今、表示できるようになったということですが、それが本機関が認定したり承認したりするという意味ですか。
○国立健康・栄養研究所理事
これは栄養表示に関する様々な健康食品に関して、厚生労働省が持っていたときは保健所などが実際の販売店からそのものを収去して、その収去されたものが表示のカテゴリーにあるものがあるかどうか分析をするわけですが、その分析の機能が、従前は私どもの研究所で法律の業務ということで行っていたわけです。それが今後、いわゆる規制緩和という流れの中で民間機関にも検査に関しては実施できるようになったと。ただ、そういう中で民間に移行するとなると、精度管理や様々な試験法の問題など、ある意味、私どものような個別機関がコミットしなければいけない課題も当然あるということで、そういうものについては消費者庁の動きを見ながら、今後、またどういう形で私どもの役割を果たしていくか検討していく流れになっているということです。
○平井委員
そういたしますと、いろいろ相談とかも対応していただけるということになるのですか。
○国立健康・栄養研究所理事
相談というのが、どういうものか。例えば消費生活センターなどでやっている相談とはまた若干違うのかもしれませんが、ただ、私どものほうには健康情報センターという所があって、そういう所で様々なエビデンスの紹介、あるいは必要に応じた相談などは現在でも受けていますので、そういう私どもの業務の範囲の中で対応できるものは、今後とも対応していくことになろうかと思います。
○山口委員長
ほかは、いかがでしょうか。
○藤川委員
2つの合併というか統合に関しては、国民にとって広く影響がある分野ということで非常に重要なことかなと思っていますが、委員の方々の間でも情報提供が重要なのではないかという御発言があったというところで、両方の評価を拝見しますと、健康・栄養研究所のほうの情報発信はSが付いていて、基盤研究所のほうはAとなっています。単純に点数だけですけれども、そういうところで、より国民への発信力が強い健康・栄養研究所のほうのSが両方にいきれば、シナジー効果もあろうというところだと思いますが、ただ、情報提供というのは何でもすればいいということではなくて、ニーズやいろいろなことを踏まえてのことであることを考えると、他方、ニーズをどう把握しているかという9番目の評価がB評価ということなので、そのあたり、しっかりニーズなどを把握した上での情報提供を国民にやっていただくような、そういう方針をしっかり立てていただきたいと思いました。
○山口委員長
何かコメントはありますか。
○医薬基盤研究所理事長
非常に貴重な御意見、ありがとうございました。私どもは常に情報発信することに努めないといけないということで、地域で市民に研究所を公開するといったこともやっています。今、御指摘いただきましたように、健康・栄養研究所のこれまでのノウハウをいかした形で更に情報公開、社会に分かるような研究所を目指したいと思います。ありがとうございます。
○山口委員長
ほかの委員の方、いかがでしょうか。
○田宮委員
今すぐにということではないのですが、この統合について部会でも少しお話させていただきましたけれども、総会ではほかの部会の先生もいらっしゃるので申し上げます。薬というのは薬の飲み方や食事との関係なども大きいと思います。今のシナジーの例の中にはそういう部分は入っていなかったのですが、これからは行動科学としての食事と薬の問題などを、どこかで是非、検討していただきたいという要望を述べさせていただきました。例えば高齢者は食事を1日に1回か2回しか食べなくても、分3で薬が出ていて大量に余っているといった現象が起きています。どこがきちんとそういう市場にでたあとの薬の実態を把握するのだろうとなると、なかなか特定の場所がない状況であることが部会の議論で分かりました。今すぐということではないですけれども、統合を機会にそういう隙間になっている部分について、食と薬の関係というところも、特に今後、考えていただければと思っていますので発言させていただきました。
○医薬基盤研究所理事長
貴重な御意見、ありがとうございます。私どもはシナジー効果の例を大きく3つほど挙げていますが、今、御指摘のあったのは1つ目で、少し分かりにくい言葉になっていますけれども、我々としましては御指摘の点を踏まえたような研究ができればいいなと思っていて、薬と食べ物というのは切っても切れない関係にあると思います。そこはきちっとお互いが連携して研究できればと思っています。是非、やりたいと思っています。ありがとうございます。
○山口委員長
ほかは、いかがでしょうか。よろしいですか。いろいろ御意見、御質問を頂きましてありがとうございました。特に修正というような内容ではなかったように考えますので、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し当初案については、本委員会として了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に、法人の理事長及び法人所管課から一言、お願いいたします。
○医薬基盤研究所理事長
医薬基盤研究所の米田と申します。一言、お礼を申し上げたいと思います。私どもの医薬基盤研究所は本年度が第二期中期計画の最終年度ということで、これまでの活動に対しまして暫定評価をしていただきました。ありがとうございます。全般的に非常に高く評価していただきましたことを嬉しく思っています。併せて、これまでの研究を踏まえた上で、更に強く今後の活動について期待と励ましを頂いたというふうに考えています。その御期待に沿えるように、これからも努力していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。また、組織の見直し当初案につきましても、非常に多くの貴重な御意見を頂きましたことに大変感謝いたします。この御意見を吟味しながら、2つの研究所を統合して本当によかった、意義あるものだったというふうに高く評価していただけるように、今後、努力していきたいと思いますので、よろしく御支援をお願いいたします。
○国立健康・栄養研究所理事長
国立健康・栄養研究所理事長の古野です。膨大な資料を小まめに見ていただき、大変有り難い御意見を頂き感謝しております。来年以降統合しますけれども、統合以降も国民のために役立つ研究が行われるという観点から、是非とも建設的な御意見を頂きたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。
○大臣官房厚生科学課長
大臣官房厚生科学課長の椎葉でございます。励ましの言葉も頂くような評価を頂きまして本当に有り難く思っています。統合ということで特に日本人の健康、世界もそうですけれども、食と薬というのは一番大事なものです。その2つが統合されるということですし、世界一の長寿国ということで、この研究所をコアに頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替を行います。なお、ここで10分程度休憩をとりたいと思います。15時30分から再開したいと思いますので、委員の皆様は時間になりましたら御着席いただきますようお願いします。
(法人及び所管課入替)
○山口委員長
続きまして、国立高度専門医療研究センター6法人の暫定評価について、審議したいと思います。最初に高度専門医療研究部会において検討した暫定評価書(案)について、永井委員長代理から御報告をいただきまして、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、永井先生お願いいたします。
○永井委員長代理
それでは、先日の高度専門医療研究部会において国立高度専門医療研究センターの平成22年度から平成25年度までの暫定評価を行いましたので、報告いたします。この評価は平成22年4月に厚生労働大臣が定めた中期目標期間、平成22年度から平成26年度のうち、中期目標期間終了の前年度までの業務実績について評価を行うもので、評価結果を次期、中長期目標等へ反映させる観点から中期目標期間の最終年度に暫定的に実施するものであります。
当部会においては、国立高度専門医療研究センターの設立目的に照らし、各センターが独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が公衆衛生の向上及び増進にどの程度寄与したか。また、業務運営の効率化等の観点から適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってまいりました。
6センター全体の評価ですが、それぞれのセンターは独法化の狙いや期待に応え研究・開発や高度かつ専門的な医療の提供等において、中期目標の水準を満たし大きな成果を上げているものと評価できます。続いて、個々のセンターの具体的な成果のうち主なものについて紹介いたします。
国立がん研究センターについては、研究・開発に関する事項として共同研究件数、治験実施件数及び国際共同治験実施件数について中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか独立行政法人化に際し、研究所の組織再編、先端医療開発推進会議の設置、学際的研究支援室の設置等、トランスレーショナルリサーチを推進する体制を整備するほか、新たに包括同意書により全初診患者から血液検体を採取、保存する取組を始めるなど、バイオバンクの充実に向けた取組など病院における研究・開発の推進の取組を行ったこと。医療の提供に関する事項ですが、小児若年成人発症肉腫サルコーマに対する集学的治療や頭頸部腫瘍などが適応対象であります先進医療の陽子線治療センターなど限られた施設でのみ受けられる高度先駆的な医療を行っていること。
人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、センター外の医療従事者等を対象とした研修プログラムの延べ受講者数について、中期計画に掲げる目標を達成していること。このほか、平成25年度におきましては第3次、対がん総合戦略について事業全体を総括し、研究事業の基本的な国際比較を行った結果、平成26年度からの新たな総合的がん研究戦略への提言を行い、報告書「がん研究の今後の在り方について」をまとめるとともに、がん登録推進法について参議院、法制局等との意見交換を継続的に実施し、法律の成立に寄与したことなど、これらの成果について評価をいたします。
次に、国立循環器病研究センターについては、研究・開発に関する事項として研究所と病院の共同研究件数や企業との共同研究件数について、中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、心房性ナトリウムペプチド(ANP)のがん転移予防効果の発見、心臓レプリカプロジェクトの国際特許取得と製品の販売開始、低侵襲かつ高精度の心不全自動診断装置開発におけるパイロット試験の実施など、大きな研究成果を上げたこと。医療の提供に関する事項ですが、診療チームによる回診について中期計画に掲げる目標を達成していること。
このほか、植込み型補助人工心臓へのブリッジ例への保険償還が認められ、在宅管理が増加したため人工心臓外来を開設するとともに、心移植実施患者の冠動脈狭窄へのバイパス手術に国内で初めて成功し、移植後の治療も充実させたこと。人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、教育、臨床プログラム数について中期目標に掲げる目標を達成していること。このほか、国民的な課題であります高血圧の予防と治療について、平成23年に東日本大震災の被災地の循環器病予防目的でスタートした国循の減塩プロジェクトは、国民減塩を目指して全国展開し、その手段の1つとして国循病院食レシピ本を平成24年に市販化するなど、その後も継続して医療の均てん化と情報発信を図ったことなど、これらの成果について評価をいたします。
次に、国立精神・神経医療研究センターについてですが、研究・開発に関する事項として、研究所と病院との共同研究や他の研究機関等との共同研究について中期計画に掲げた目標数値を達成していること。その他、早期探索的臨床試験として、企業との共同開発として、エクソン53スキップを標的としたデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤の世界初の臨床試験の推進。医師主導の多発性硬化症に対するOCHを用いたFirst in Human試験を開始するなど、研究成果の実用化に向けた産官連携による画期的な実績につながったこと。また、Remedyや患者バイオリソースの構築、TMC、IBIC専門疾病センターの設置など、研究基盤、支援体制整備を推進したこと。
医療の提供に関する事項ですが、セカンドオピニオン外来実施件数や紹介率及び逆紹介率について中期計画に掲げる目標を達成していること。その他、最新の治験に基づいた医療の提供等のため、多部門、多職種が連携して研究及び医療の提供等を行う専門疾病センター(MS、筋疾患、てんかん、PMD、地域精神科モデル、睡眠障害)を運営し、更に平成25年度には新たに統合失調症早期診断治療センターを設置して、医療の提供とともに臨床研究を推進したこと。
人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、センター外の医療従事者等に対する研修について中期計画に掲げる目標を達成していること。その他、「危険ドラッグ」「指定薬物」について、依存性、細胞毒性等を評価しデータを提出するとともに、国策としての薬物使用の禁止及び制限についての提案を行い、麻薬規制に関しては、麻薬規制の根拠になる科学的データを厚生労働省に提供し、飲酒、喫煙、薬物使用に関する全国調査において危険ドラッグの使用実態を初めて明らかにしたことなど、これらの成果について評価いたします。
国立国際医療研究センターについては、研究・開発に関する事項として、共同研究件数、掲載論文数について中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、新型インフルエンザH1N1について、他の季節性A型インフルエンザから新型インフルエンザH1N1感染例を識別可能な迅速検査キットを開発したこと。C型肝炎について、インターフェロン治療による服作用である貧血の予知のためのITPAスニプスの測定についてキット化を行ったこと。
医療の提供に関する事項ですが、HIV・エイズ患者に対する個々人の病態に則した医療の提供数について中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、連続血糖測定が可能なシステムを活用し治療方針を策定するテーラーメイドの糖尿病治療を実施していることなど、高度先駆的な医療を行っていること。
人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、開発途上国おける保健システムの強化を目的とした専門家の派遣数、研修生の受入数について中期計画に掲げる目標を達成していること。このほか国際的な感染症に対応できる人材を養成するための総合感染症レジデントプログラムを実施していること。HIV・エイズについて、国内施設で唯一アメリカ合州国主催の無作為割付多施設共同国際臨床治験に参加したことなど、これらの成果について評価をいたします。
国立成育医療研究センターについては研究・開発に関する事項として、臨床研究及び治験実施件数、論文発表数について中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、新たに発見された遺伝物質として注目されているマイクロRNAが、骨格形成や慢性関節炎等の難治性疾患の原因となることを世界に先駆けて発表したこと。ES細胞由来の最終製品「アンモニア分解酵素活性を有するES細胞由来の肝臓細胞」を作製することに成功したこと。
医療の提供に関する事項ですが、小児肝移植を世界トップレベルで実施し平成25年度における生存率は100%で、生体ドナーに合併症を認めなかったこと。小児希少疾患であります重症型オルニチントランスカルバニラーゼ欠損症患児に対して、生体肝移植ドナー手術の際の余剰肝から分離、凍結保存した肝細胞を使用した世界初の肝細胞移植を実施したことなどの高度先駆的な医療を行っていること。
人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、センター外の医療従事者等に向けた各種研修、講演会の開催数について、中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、内閣府の第2期少子化危機突破タスクフォースの中心的な役割を果たし、これまでの議論と成果、今後に向けた提言からなる少子化危機突破タスクフォース第2期まとめを作成し、少子化社会対策会議に提言したことなど、これらの成果について評価をいたします。
国立長寿医療研究センターについてですが、研究・開発に関する事項として、研究所と病院、多機関や企業との共同研究について中期計画に掲げた目標数値を達成していること。このほか、アルツハイマー病の早期診断マーカーの測定に利用できる高感度高速バイオチップの画期的基盤技術の開発に成功したこと。軽度認知障害高齢者の効果的スクリーニング法を始め、認知機能低下を抑制する多重課題方式による運動、コグニサイズの開発を行ったこと。アルツハイマー病の先制治療薬の開発についても積極的な取組を行ったこと。
治療の提供に関する事項ですが、大腿骨骨折における再骨折を防ぐ方法として、大腿骨近位部骨強度を補強する手術法を開発したこと。サルコペニア診断の基礎であります筋肉量評価法として信頼性のある二重エネルギーX線吸収法を導入したこと。褥瘡の病態診断の臨床応用などの高度先駆的な医療を行っていること。
人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、医療従事者等に向けた研修会及び修了者数について、中期計画に掲げた目標を達成していること。このほか、社会保障制度改革国民会議で提言された医療と介護の連携と、地域包括ケアシステムというネットワークの構築を実現させるため、各自治体における在宅医療、介護連携の推進の手引書として、在宅医療介護連携のための市町村ハンドブックを作成し、その普及活動及び均てん化を推進したことなど、これらの成果について評価をいたします。
最後に、各センター共通していえることですが、業務運営の効率化に関する事項等として、一般管理費の削減について中期計画に掲げる目標を達成したこと。このほか、独立行政法人化に際し法人経営の重要事項を審議する理事会を設置し、監事が出席するとともに業務全体を横断的に審査することのできる監査室を設置し、監事、外部監査人と連携強化を図り、法人内の問題抽出及び業務改善に向けた提案を実施し、内部統制のための組織構築を図るとともに、6センターの監事連絡会議を開催し情報共有及び監査水準の向上に努め、ガバナンス及び法令遵守等の内部統制のための業務効率化等を推進したことなど、これらの成果について評価をいたします。
このように第一期中期目標期間における4年間の成果を踏まえますと、各センターが担う疾患に係る医療に関し調査、研究及び技術の開発並びに、これらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与するなど各センターが果たしてきた役割は極めて大きく、意義深いものと考えます。
一方、近年の科学技術の進歩により、世界的に見ても革新的な医療技術が相次いで開発されるなど、医療分野の研究・開発を取り巻く環境は大きく進展しております。その中で、今後とも各センターがその役割を担っていくためには、その時々の課題に対応できるような患者や社会のニーズ、医療上及び経済上のニーズをも十分に意識しつつ、先制医療や新たな医薬品や診断治療方法の開発、医療機器の開発が推進される社会の実現に貢献することが期待されます。また、国の研究・開発に関する戦略を踏まえつつ国立研究開発法人として、研究・開発成果の最大化を目指す体制の確保を図ることが重要であり、十分な見通しを持った上で運営されるべきであることに留意する必要があると考えられます。以上です。
○山口委員長
ありがとうございました。ただいま御報告いただきました暫定評価書(案)について、御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
○亀岡委員
資料3-1-3の17ページ、国立精神・神経医療研究センターの経常収支の推移ですが、経常収支率は平成22年度から平成25年度の累計で97.6%となっています。一方で、説明文では経常収支は改善していると記載されています。見ると改善はされていることになっているのですが、平成25年度の段階でも経常収支は、2億2,200万円ほどまだ赤字なのですが、この主な原因というのはどういうものがあるのでしょうか。それと改善の可能性はどの程度あるのでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
ありがとうございます。確かに御指摘のように、この間、経常収支がまだ平成25年度決算においても2億なにがしほどのマイナスになっておりまして、一番大きな原因は、病院の医業収支が平成23年度までマイナスで、それが累積されたところがあります。幸いなことに、まだ計画には達成しておりませんが、平成24年度、平成25年度と収支としてはプラスに転じてまいりましたので今後、病院の計画を達成できるようにすることによって、収支の改善が見込めると考えております。
そのほかには、例えば平成25年度でいえば退職金が予定よりも多く出たとか、多少そういうことが影響した部分がありますが、いずれにしても医業収支の所の改善が一番大きなファクターになろうかと思っております。
○山口委員長
ほかの委員の皆さんいかがでしょうか。
○松尾委員
評価の指標なのですが、もちろんナショナルセンターの扱う分野によっても違っているとは思うのですが、例えば研究の成果について論文数は大体書いてあるのですが被引用回数等について、一部は書いてあって一部は書いていない。それから、こういう成果を実際に実用化していこうと思うと知財戦略が非常に重要になると思うのですが、知財確保の体制を実用化していくための様々な、いわゆるレギュラトリーサイエンスというのでしょうか、それだけにとどまらず、支援体制について、評価の指標と支援体制について、お伺いしたいのですが、いかがでしょうか。これは全般的なことになるので、どなたでも。
○永井委員長代理
今の評価の指標の引用数ですが、全ナショナルセンターから出していただいて、論文数とHigh-impact Jurnalsの論文の数、また、それだけではなくてどの雑誌でもいいので、引用数がどのように推移しているのかということで評価しております。おおむね非常に改善していると思います。
○国立循環器病研究センター理事長
国立循環器病研究センターの橋本です。今の御質問の正確な答えになるか分かりませんが、例えば私どものセンターでは病院と研究所がありましたが、独法化に合わせて研究開発基盤センターを作りました。そこで知財管理等を、かなり集まりにくい部分もありましたが人材を集めてまいりました。また、特に早期探索的臨床拠点整備事業の中で、知財に対しての人の補給と、そこでの養成ということで、いろいろな人材を集めることができたと思っております。
ただ、問題は、そういうものが事業として5年等で終わってしまったときに、独法の中でそういう人材をどのように確保して維持していくかは大変、大きな問題だと思っておりますので、今後第二期を検討していく上では、せっかく積み上げてきた人材育成を含めて、お金がなくなったために霧散してしまったということがないように是非、各方面の御理解をいただきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
私どもも知的財産の管理強化に関しましては、平成22年度の独法化とともに非常に意識をしてきておりまして、私どもの資料の中にも書いてありますが、そのための仕組みとして、病院と研究所をつなぐ、介在する組織としてトランスレーショナルメディカルセンターを立ち上げてまいりました。その中に、ビジネスデベロップメント室を設置しております。なかなか常勤で人を雇う力を持っておりませんので非常勤ですが、専任のアドバイザーを複数名配置いたしまして、知財の管理や相談体制等を整備してまいりました。今のところ、職務発明委員会で審査する件数は、当初の平成22年度が10件ぐらいでありましたが、現在16件と少しずつ伸びてきております。以上です。
○国立がん研究センター企画戦略局長
堀田が今日所用で参っておりませんので、代理でお話いたします。知財の管理ですが、独法化になりまして私どものセンターにも知財管理室を設けまして、民間企業出身の知財をやっている方々を現在は4人ほど抱えておりますし、特許庁との人材交流もしております。レギュラトリーサイエンスについては、ナショセン共通の貢献が長くありまして、1997年に医薬品医療機器審査センターといいまして、今のPMDAの前身のときから各ナショセンは大体1~2名の医薬品に関する審査官の去出をしてしまったという歴史がありまして、これは各大学に比べて非常に早い取組をこれまでナショセンはしてきたと思います。
がんセンターについて言えば、PMDAにはこれまで医師だけでも14名ほどの審査官を2年おきぐらいに出しておりまして、毎年、計画的にやっておりますし、各ナショセンさんもそういうのもやってらっしゃいますので、かなりナショセンとしてはレギュラトリーサイエンスには貢献してきたと思いますし、現在のPMDAの理事長は国際医療センターの前の病院長の近藤先生がされていますので、その面でも交流は非常に深いものがあると思います。
○山口委員長
ただ今の知財の管理について、ほかの法人から何か追加して御発言はありますか。よろしいですか。ほかに委員の皆さんから御意見、御質問はございますか。
○真野委員
ちょっと時間もあるようですので、各法人の方にお聞きしたいのですが、医師とか看護師、ほかの職員もかもしれませんが、医師、看護師の最近の確保に対しての状況と考え方を教えていただけますか。
○山口委員長
それでは、がん研究センターから順番にお願いします。
○国立がん研究センター企画戦略局長
がん研究センターでは、医師、看護師、薬剤師については、医師についてはこれまでどおり、いろいろな病院、各大学さんやいろいろな施設からの人事交流もありますし、レジデント制度を長らくしておりますので、レジデントも全国からいろいろな方々がレジデント、あるいは、がん専門修練医というチーフレジデントと呼びますが、そういう方々が来ておりまして、その中から優秀な人たちをスタッフとして登用してキャリアトラックとして上に上げていくということもしております。
看護師、薬剤師、臨床検査技師というメディカルスタッフについては、従来からNHOとの交流人事も基本にしておりましたが、独法化になりまして、前理事長のときに少しNHOからの独立性を主張しましょうということから、半分ぐらいに関してはNHOの交流人事から独立して進めていこうと試みております。その場合には、キャリアトラックをどう整備するかが課題になると思います。一方、薬剤師、臨床検査技師については、まだ私どもの施設は以前からかなりの数おりますが、看護師については都内であることから、ほかの病院との待遇の齟齬というか、がんセンターは余りよくないので、平成22年度に独法化になったときに、三交替性から二交替性にしたり、夜勤手当を上げたりとかして、都内の大きな病院との競合ができるように体制整備をしておりますが、まだまだこれからどうなるかというのは少し分からないところがあります。
7対1が今後、維持できていく体制にするためには、優秀な看護師を確保して、その人たちのキャリアトラックを準備して、出産とか結婚を期に退職している人が私どもの病院だと大体3~4年で75%の看護師が替わってしまいますので、その辺りをどのようにしていくかが今後の課題と考えております。
○国立循環器病研究センター理事長
重複を避けたいと思いますので、簡単に申し上げます。医師の確保について特にレジデントについては、レジデントプログラムを横断的なものを作って日本一のレジデントプログラムを作ろうという合言葉の下に、かなりいい方向にきていると思います。医師の確保についても、基本的にナショナルセンターですのでオールジャパンでいこうということで、具体的な話になりますが、例えば心臓内科の部長を4人替わっていただいてトップを熊本から、2番手を東北から、3番手を慶応から、4番手を中から上げるということで、非常にオールジャパンの体制を作ったのが、若い人たちにも大変インセンティブになっていると理解しております。
看護師についても、また具体的なことですが国立看護大学校がありますが、東京ですのでなかなか大阪には来てくれないのではないかと思いましたが、100人の卒業生のうち17人、20人、17人、今度は14人ぐらい。かなりの看護師希望者が東京からも来てくれる、となっておりますので、悪い方向にはないと思っております。それ以外の臨床検査技師等については、新たにレジデントプログラムを作って専門家を育てようという試みをやっております。以上です。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
重複を避けて私どもの所の特徴なり問題なりを申し上げます。レジデントに関しては、毎年夏に大規模なセミナーをやりまして、全国から見学に来られる方が年々増えてきております。それによってレジデントは充足しております。最近の傾向としては、ナショナルセンターでのレジデントは研究志向といいますか、研究・開発を行うセンターであるということは大分浸透してきて、臨床のトレーニングを受けるとともに研究の手ほどきを受けたいという若い人たちが少しずつ増えてきているという、これは大変好ましい傾向ではないかと思っております。
一方で、医師といいますか、私どもの研究所にもMDがおりまして、基本的にはある程度の割合でMDの研究者が欲しいわけですが、領域によって非常に偏りがありまして、例えば先ほどありました危険ドラッグを扱っている薬物依存の研究の部については、全国的にみても非常に専門家が少ない。ですから、そういう人たちを求めるというのは非常に段々厳しくなってきております。そういうことは児童の関係でもございまして、社会的なニーズにちゃんと応えられる体制を作っていくにはどうするかというのは、ナショセンだけの問題だけではなくて日本全国の共通する問題ではないかと思っております。
薬剤師、看護師、臨床検査技師ですが、今のところNHO(国立病院機構)との人事交流を基本的に進めておりますので、独自に採用する分野も少しずつは出ておりますが、今のところはそれで回していくことが可能となっております。以上です。
○国立国際医療研究センター理事長
重複を避けて説明したいと思いますが、私どもは6つのナショナルセンターで唯一、初期研修医を採っております。初期研修医ですが、第1志望をされる方と定員の比で見た場合に、私どもは常に全国で2位か3位、あるいは1位という非常に人気があるといいますか、多くの方に応募をしていただいております。実際にいろいろ面接等をしましても、非常に優秀な方を毎年45人ずつ今まで採っております。このうち半数ぐらいがレジデントとして残りまして、半数はまた全国公募をして大体45人ぐらいがフェローとして残るということで、その中で更に優秀な方にずっと残っていただくということにしております。また、欠員ができた場合は全国公募で、オールジャパンで最適な人を選ぶようにしております。
看護師さんに関しましては、先ほどお話がありましたが国立看護大学校がありまして、1学年定員100人ですが、大体毎年95人とかその程度、新しく卒業された看護師さんがナショナルセンターに就職をされております。以上です。
○国立成育医療研究センター理事長
私どもの所は小児の総合診療部がありまして、医師になった3年目からのドクターを3年間にわたって教育するシステムですが、毎年14名受け入れておりますが、最近非常に要望が強くて3~4倍の倍率で14名を選んでおります。その方たちの教育は、単に臨床のトレーニングをするだけではなくて、研究センターもありますので、そちらにも行くシステムに最近になって変えました。
各診療部、レジデント、フェローを募集しておりまして、これも非常に専門性が高いですので日本全国から若いドクターが研修を希望されて赴任してきていただいております。医長を含めまして原則的に公募制にいたしました。そのためにオールジャパン体制で従来は関東地方からの出身者が多かったのですが、大阪や名古屋、遠い所からも医長として来てくださる方が今増えているところです。
看護に関しましては、今、既にお話をいただきましたが、国立看護大学校から毎年5~10人ぐらい新しい看護師さんが入りますが、それ以外に経験のある方たちも含めまして毎年40~50人ぐらいのナースが赴任して来ていただいております。幸いに欠員になることは非常に少なくて、医師、看護師とも人を切って採用している状況で大変恵まれている状況にあると考えております。以上です。
○国立長寿医療センター理事長
国立長寿医療センターの鳥羽です。重複を避けてというか、ほとんど重複することはないという、大分昔のことになったので忘れてきたことですが、リハビリテーションも麻酔科も常勤員がいない状態で非常に大変でした。とにかくお医者さんを探して、活性化してくるにつれて大学の教授が就職していただいたり、かなり多くのレジデントや紹介があって、最近ではいい人材をようやく選べるようになってきたところです。
看護師さんはもっと厳しく、看護師不足のために病棟1年目は閉鎖せざるを得ませんでした。大変で看護師集めもようやく軌動に乗って7対1にしたのですが、最近は看護部長の全員面接などの努力がありまして、離職率が当初十数%あったのが8%まで減りまして、その間、看護宿舎の建替え、夜間保育の充実、給与の改善、看護研究の充実など、あらゆる手を打ってようやく看護師さんも選べる環境になってきました。ですから医師確保、看護師確保については、この5年間相当苦しかったということです。以上です。
○山口委員長
よろしいですか。ほかの委員から何か御質問等はありますか。
○柴田委員
私は労働部会を担当しており、余り医療のことが分かっていないので、少し的外れなことを申し上げるかもしれません。国立がん研究センターの11ページの「療養生活の質の向上」の所に、「ハローワーク、社会保険労務士と連携し、長期にわたる治療等のために離職を余儀なくされた求職者や、病気を抱えながら仕事をしている患者のために、個々の希望や治療状況を踏まえた就職支援を行った」と書いてあります。これはとてもすばらしいことだと思います。今、仕事の現場では鬱病がとても多くなっていますし、糖尿病、心臓疾患、それから、がんも多く、皆さんがやっておられる治療の対象者が大変多いのです。
一方で、皆さんは、もっと最先端のこともやっている中で、1人1人の患者へのきめ細やかな対応というのはとても大変なことだと思いますが、労働の関係では、後ほどお話がある労働者健康福祉機構や、私が担当している高齢・障害・求職者雇用支援機構などでは、こういった病気を持つ方の職場復帰や就職支援等もやっていて、多少こういう所と連携されると、点ではなく、面として日本全国の患者に対して職場復帰等の支援ができると思います。
各独法において随分連携をされていると思いますが、治療から職場復帰までを通して援助するような連携はまだできていないように思います。高齢・障害・求職者雇用支援機構などが職場復帰後のフォローアップをしながら、労働者がどういうところで壁にぶち当たって、うまくいかないで辞めていくかという研究もされているので、ここに書いてなかっただけなのかもしれませんが、是非連携していただきたいと思います。職場では鬱病や他の病気復帰後の方々に、どう対応したらいいか分からない人事担当や上司がたくさんいて、本当に困ったことがたくさん起こっているので、連携を今後ますますしていただければと思います。
○山口委員長
よろしいでしょうか。
それでは、ただいま御報告いただいた暫定評価書(案)については、修正の意見はないようですので、国立高度専門医療研究センター6法人の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果については、本委員会として決定したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認等による修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
続きまして、国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し当初案について審議を行います。最初に法人所管課から御説明いただき、その後に永井委員長代理から高度専門医療研究部会での各委員の意見等を御報告いただきまして、最後に質疑応答という流れで進めていきます。それでは、法人所管課より説明をお願いします。
○医政局医療経営支援課長
資料3-4で説明いたしますが、資料3-5が政・独委の様式です。したがって、資料3-4で簡単に取りまとめをしておりますので、そちらで御説明します。
国立高度専門医療研究センター(NC)は、平成27年度から独立行政法人通則法の改正に伴い、国立研究開発法人となります。この法人は、研究開発成果の最大化に資するよう、第二期中長期計画においてもしっかりとNCの業務に取り組んでいくこととしております。そのため、これまで高度専門医療研究部会で御審議いただいた点や国の関係施策等を踏まえ、どのように見直しをするかについて、政・独委の提出資料は資料3-5になりますが、資料3-4で御説明します。
1ページです。これまでのNCの成果として、第一期中期目標期間中の主な研究成果についてセンターごとに記載しておりますが、時間の関係上省略します。
2ページです。「事務事業の見直しに係る当初案の概要」です。研究事業・臨床研究事業ということで1から6まで書いてありますが、1~5については6センター共通です。1NCが担う疾患について症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治療に要するコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層の強化をする。
2NCを拠点とした施設間ネットワークや患者登録システムの構築をより推進し、他の施設に対するサポート体制の確立に資する研究開発成果の最大化を目指す。1・2は、平成26年7月22日の健康医療戦略推進本部で決定された「医療分野研究開発推進計画」においてもNCに求められている点です。
3難治性・希少性疾患の原因解明や創薬に資する治験・臨床研究を推進するために、詳細な臨床情報が付帯された良質なバイオリソースを収集・保存するバイオバンク体制のより一層の充実を図る。
4First in human試験をはじめとする治験・臨床研究体制を整備し、診療部門や企業等との連携を図り、これまで以上に、より多くの治験・臨床研究を実施する。
5医薬品や医療機器の実用化に向けた出口戦略機能の強化や、新たな視点や発想に基づく研究等の推進のため、PMDAや諸外国を含めた他の施設との人事交流を、これまで以上に推進する。ここまでが6センター共通です。
6は国立がん研究センターのがん登録推進法に基づくものです。がん登録等の推進に関する法律に基づき、「全国がん登録データベース」の運用と院内がん登録情報等の収集を通じて、国のがん対策の企画立案又は実施に必要な調査研究を行う。
3ページです。診療事業ですが、これについては6センター共通です。1点目は、国内外の研究施設及び医療機関等の知見を集約しつつ研究部門と密接な連携を図り、その研究成果を活用し、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供の充実を図る。
2点目は、医師及びその他医療従事者等、それぞれの特性を生かした、多職種連携かつ診療科横断によるチーム医療を推進し、特定の職種への過度な負担を軽減するとともに、継続して質の高い医療の提供を行う。
3点目は、医療安全管理の体制をより強化し、全職員を対象とした医療安全や感染対策のための研修会を開催するなど、医療事故防止、感染管理及び医療機器等の安全管理に努める。
教育研修事業ですが、これも6センター共通です。1点目は、国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、各NCが担う疾病に対する医療及び研究を推進するに当たり、リーダーとして活躍できる人材の育成を継続して実施する。2点目は、モデル的な研修及び講習を実施し、普及に努める。
4ページです。情報発信事業ですが、2点あります。1点目は、国内外の各NCが担う疾患に関する知見を収集し、整理及び評価し、科学的根拠に基づく診断及び治療法等について、国民向け及び医療機関向けの情報提供の充実を図る。2点目は、当該疾患に係る中核的な医療機関間のネットワーク化を推進し、高度かつ専門的な医療の普及を図り、医療の標準化に努める。
5ページです。国際協力事業ですが、これは国際医療研究センターの分です。2点あります。1点目は、緊急援助等の支援活動を行うとともに、開発途上国における保健システムの向上を推進するため、専門家の派遣や研修生の受け入れを行う。2点目は、国際機関やJICA等の依頼に応じ調査研究・評価事業を実施し、また、国際医療協力を実施している機関とのネットワークを構築し、開発途上国等において保健医療分野の共同研究や人材育成等の諸協力を実施する。
次に、国立看護大学校事業です。これも国際医療研究センターの事業ですが、2点あります。1点目は、NCに必要な人材を養成するため、看護学部及び研究課程部における教育の充実を図るとともに、研究課程部に後期課程(博士課程相当)を設置する。2点目は、NC等に勤務する看護師等を対象に、専門性の高い研修を実施する。
6ページです。ここから、組織の見直しに係る当初案の概要です。組織の見直しに係る当初案は、平成25年12月24日に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的方針」において、分野横断的な疾患や未知の疾患など、その時々の政策課題により柔軟に対応し、研究開発力の一層の向上を図る観点から、将来的には6法人の統合など国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方について検討を行うとされております。そのため、今年度は第一期中期計画の最終年度なので、これまでの5年間について丁寧な検証が必要であると考えております。その上で、研究開発力の一層の向上を図る観点から、NC全体としての組織の在り方について検討を行う必要があると考えております。
医療の国際展開です。国立国際医療研究センターは、平成26年7月22日に閣議決定された「健康・医療戦略」、平成26年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略(改訂)2014」に同様の記載があります。このことから、医療の国際展開の観点から、保健医療分野における国際貢献、国際協力を行うグローバル医療戦略を推進し、センター全体による取組を実施することを記載しております。
運営の効率化に係る当初案の概要です。業務運営体制の整備の項目では、組織の見直しに係る当初案同様、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、6法人で共同して実施したほうが、効率的・効果的な業務の共同化や人事交流を更に推進するとされております。そのため、NCにおける医療安全相互チェックや事務用消耗品の共同購入を進め、事務部門に加え、看護師等の人事交流についても更に進めることを考えております。また、電子化の推進の項目では、セキュリティ対策の強化のため、法人の業務計画(年度計画等)の1つとして情報のセキュリティ対策を位置付けるなど、情報セキュリティ対策を推進することを考えております。
7ページです。財務内容の改善に係る当初案ですが、随意契約の見直しの項目では、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、調達の合理化の取組を促進する記載があります。このため、研究開発等に係る物品及び役務調達に関する契約等に係る仕組の改善を踏まえ、一般競争入札を原則としつつも研究開発業務を考慮し、随意契約によることができる事由を規程等において明確化し、公正性・透明性を確保しつつ、合理的な調達に努めることを記載しております。また、自己収入の増大の項目では、外部資金の獲得についてこれまで以上に努力が求められているということですので、日本医療研究開発機構等から競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得を更に進めることを記載しております。以上です。
○山口委員長
続いて、永井委員長代理から高度専門医療研究部会での各委員の意見等について御報告をお願いします。
○永井委員長代理
国立高度専門医療研究センターの組織・業務全般の見直し当初案については、8月22日の高度専門医療研究部会で議論が行われ、基本的に了承されたことを御報告申し上げます。
なお、高度専門医療研究部会における議論の中で、各委員から頂戴した御意見は大きく3つあります。1点目は、国立高度専門医療研究センターは、平成27年度に研究開発成果の最大化を目的とした国立研究開発法人となることを踏まえると、研究及び臨床研究事業に対する人事や予算等のリソースを最大限活用できるような中長期目標とすべきではないかということです。
2点目は、これまで以上に国民の健康の増進は重要であり、各センターが担う疾患の予防に対する取組の強化を図るべきではないかということです。
3点目は、国は各センターに多くのミッションを求めているが、運営費交付金予算が年々減少している状況下では、近いうちに限界が来るのではないか。国は、各センターに何をどこまで求め、そのための支援をどのようにしていくのか示すべきではないかということです。以上、3点の意見がありましたことを付け加えて御報告いたします。以上です。
○山口委員長
それでは、ただいま御説明いただいた「組織・業務全般の見直し当初案」について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたらお願いします。
○宮崎委員
1点、財務の観点からこの6センターを見ると、利益がしっかり上がっている所と欠損が蓄積されている所と、少しばらつきがあるように思います。資料3-4の中では、運営の効率化や財務の改善に関しては調達の共同購入や調達の見直しのような記載がありますが、その他にも経費の削減や収入確保の経営管理をうまく取り込んだという記載もあるので、具体的な経営管理等に関しても、情報の共有化や具体的な取組事例の共有化を6センターの中で今後もより進めていって、具体的な要因分析や取組の強化を是非お願いしたいと思っております。
○医政局医療経営支援課長
現在でも情報の共有化は進めておりますので、引き続き進めていきたいと考えております。
○松尾委員
2点あります。非常に成果も上がっていて、頑張ってやっておられると、全般的に思いますが、この業務の見直し案の中で、NCは研究開発が最も大きな事業の1つだとすると、今、世の中で言われている臨床研究や研究倫理の問題について、この業務の見直しのどこで読み取ればいいのかなと思いました。強いて言うと、3ページの教育研修事業の「モデル的な研修・講習を実施し、普及に努める」というところから読み取るのかと思いますが、研究倫理の徹底と教育・研修の観点から、是非盛り込んでいただきたいというのが1点です。
また、先ほど永井先生も少しおっしゃったかと思いますが、6ページの上の四角で、NCは6つあるわけですが、組織間の連携や在り方について、「NC全体としての組織の在り方について検討を行う」とあります。これは具体的にどういうことを指しているのかをお聞きしたいと思います。
○医政局医療経営支援課長
1点目については、資料3-4は資料3-5の全体の当初案の見直しについて主なものを抜き出しているので、御指摘のあった研究倫理のことまでは詳しく触れていませんが、この見直し当初案の後に、センターごとに中長期目標を作っていきますので、その中で触れていく形になるのではないかと考えております。
組織形態の見直しについては、具体的には1法人化のような議論があります。ただ、これも先ほど申し上げたとおり、今年度が中期目標期間の最終年度なので、そこをしっかりと検証した上で、今後の組織の在り方について検討していきたいということです。
○山口委員長
研究倫理の問題は、修正ということでなくてもよろしいですか。各センターの計画の中で今後触れていくということですが。
○松尾委員
そうですね。こういう時代なので、一言は入れていただいたほうがいいのかなという気がしますが。
○医政局医療経営支援課長補佐
研究倫理の点で御指摘いただきました。今回の資料の整理ですが、事務局から御説明があったように、主務大臣が中期目標期間終了時において、法人の業務を継続させる必要性や法人の在り方、その他組織・業務の全般にわたる検討を行うということで、主にこういうところを検討したほうが良いのではないかという視点で取りまとめをした資料です。中長期目標を作る際には、松尾委員が御指摘のような点も含めて中長期目標は整理していくことになるかと思います。
○川北委員
今まで出た御意見とも関係しますが、資料3-4の6ページの組織形態の見直しについて、説明では将来的に統合も念頭に置いて組織の在り方を検討するということですが、その場合に少し気になっている点を御質問させていただきます。今まで、それぞれのセンターの間でお互いに協力関係を構築されたとか、そういうことがあるのかどうなのか、その点を教えていただきたいと思います。部会でリソースを最大限活用したほうがいいのではないかという御意見があったということですが、リソースを最大限活用しようとすると、一緒にやるべき所は一緒にやっていくという方向性が見えたほうがいいのではないかと思っていることもあって、質問をさせていただきました。
○医政局医療経営支援課長
現状でも、ここでは記載をしておりませんが、医薬品の共同購入や人事の面では、これは事務職になりますが、人事交流等も進めております。ここで御指摘をされているのは、組織の統合も含めたということになっているので、そういう視点も含めて第1期中期目標期間の内容をよく検証した上で検討していきたいと考えております。
○田宮委員
質問ですが、今後、国立研究開発法人に向けてのビジョンについてお伺いします。臨床治験や疾病のメカニズムといった医学を前に進める研究が、まず、第一だということは周知のことと思います。ただ、私はヘルスサービスリサーチという分野をずっとやっているのですが、いかに質の高い医療を均てん化して皆に届けるかとか、そういうリサーチも重要だと考えます。皆様が考えておられる、これからのリサーチの中にこうした研究も入っているのか、そこを教えていただければと思います。
○医政局医療経営支援課長
今、NCは6法人ともコホート研究という、例えば均てん化していくような研究もしていますので、そういうことも引き続き行っていくものと承知しております。
○田宮委員
コホート研究といっても、いわゆる治療効果をバイオロジカルに見るだけではなく、アウトカムとして、QOL(Quality Of Life)や社会的な点、医療のコスト、提供している医療の質の高さといったことも踏まえてやっていただければと思いまして御質問させていただきました。いわゆる新しい治療法を見出すだけのものではなく、コホート研究でもいろいろなやり方や目的があると思いますので、より良い医療を幅広く提供するためのリサーチも考えに入れていただき、医療を前に進める研究のみではなく、今ある医療を幅広く、質も高く、必要な人に届けるための研究もありますので、そういうことも含まれているのかということも含めて伺えればと思います。
○国立長寿医療研究センター理事長
ほかのNCも同じことをやっていますが、例えば長寿では認知症のサポート研修を5年間やって、3,000人以上の修了者を出しています。その方が医師会に帰って、かかりつけ医対応力向上研修をやっていて、その人たちの能力の調査を第三者に、かかりつけ医の機能や暴言等の周辺症状の対応機能を調査していただいて、はるかに教育した効果があることを確かめるような質の均てん化の教育事業及びその効果研究もしています。これは認知症だけでなく、在宅医療でもしておりますが、ほかのNCも各々の臓器において同じような教育事業、あるいは均てん化の効果判定をされていると思っております。
○田宮委員
教育からのリサーチにということで嬉しく思いますが、広くリサーチとしても、是非そういうところに更に取り組んでいただければと思います。
○真野委員
先ほどからの議論に戻りますが、成育医療センターについて、お金だけでものを言うわけではありませんが、小児科は一般的に利益等々が大変だと聞いています。成育の場合は非常に順調のようにも見えますが、どんな努力をされているのか、先ほどの情報の共有化ということにもつながりますので、お教えいただければと思います。
○国立成育医療研究センター理事長
はっきり申し上げると、小児医療は今の保険医療制度の中では大変恵まれていない分野に入っておりましたが、様々な関係者の御努力で、7対1看護も含めて小児医療に対する加算もこの数年間の間で頂けて、大分収支が良くなってきた状況にあります。しかし、その後、更に新しい医療をやるには非常にお金もかかるので、だんだん余力がなくなってきている状況にあるのは確かだと思います。特に当センターはできてから12年たって、そろそろ施設整備等も含めて老朽化しており、それに対するお金も注ぎ込まなければいけないということで、昨年度も少し赤字になりましたが、今年度から今のままでは赤字が増えていく可能性が十分ありますので、その辺りについてはいろいろな面から検討して、収支の改善に向けて努力したいと考えております。
○亀岡委員
資料3-4の7ページで、これは全てのNCに該当することですが、随意契約の見直しの最初に「研究開発等に係る物品及び役務の調達に関する契約等に係る仕組みの改善を踏まえ」とあります。仕組みが改善されたがゆえに、一般競争入札を原則としつつも、随意契約によることができる事由を規程等において明確にしましょうという文章だと思うのですが、どのように仕組みを改善したがゆえに随意契約をしていいのかを教えていただければと思います。
○医政局医療経営支援課長補佐
これは独立行政法人改革の議論の中で出てきた議論で、独立行政法人の中でも3つに類型化するということで、その1つが国立研究開発法人という類型になります。国立研究開発法人の特徴として、研究業務を行うということがありますが、研究業務に使うような材料や物品は、一般競争入札に付しても外国から取り入れなければいけないという事例も多々あるという議論があったので、外国から取り入れる等の特別な事情がある場合は、きちんとルールを作った上で随意契約をしてもいいという方向に、議論がこれから進んでいくと認識しております。
○亀岡委員
今のお話では、「仕組みの改善を踏まえ」というのは、改善されたのだからという意味ではなくて、これから改善をするということですか。
○医政局医療経営支援課長補佐
はい。これから方向性が明確になってくると思いますので、それを踏まえて対応していきたいと思います。
○山口委員長
ほかはよろしいでしょうか。
いろいろ御意見を頂きましてありがとうございました。修正意見はないようですので、国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し当初案については、当委員会として了承したいと思います。なお、誤字脱字、事実誤認等により修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
最後に、法人及び法人所管課から一言頂ければと思います。法人から順番にお願いします。
○国立がん研究センター企画戦略局長
今日は、第一期中期目標期間の最終年度となって4年分の暫定評価をしていただきまして、また、組織・業務の見直し当初案についてもいろいろ御審議いただきまして、非常に参考になる御意見も頂きましたので、今後に生かしてまいりたいと思います。
さらに、途中でも御発言いただきましたが、来年度から私どもは研究開発型独立行政法人になります。その中で、大学や民間とは全然違った切り口で、私どもNCが、仕事ができることについて、がん研究センターの中でも議論しており、皆さんの御期待に沿いたいと考えております。厚生労働省を中心として、今年の4月から、がんについては「がん研究10か年戦略」が新しく制定され、私どももそれに従って粛々とリファインをしているところですが、税金を使っていただいて、運営費交付金も頂いている身ですので、これまで以上に身を律して仕事に邁進していきたいと思います。今日はありがとうございました。
○国立循環器病研究センター理事長
国立循環器病研究センターの橋本です。評価委員の先生方におかれましては、大変な業務をこなされて、4回評価を受ける中で大変厳しい御意見も頂きましたが、多くが建設的でした。委員の先生方の御意見を聴いた上で、次の年度頑張るということをやってきたつもりです。
その結果、順調に来たと思いますが、暫定評価が果たして中期計画の第一期全体を評価するのに各年度の点数を平均化して、それで評価するのかということは大変疑問に思います。これは委員の先生方もそう思っておられると思いますが、例えば中期計画を立てるときに、この5年間で何をしようかというときに、初年度はシステムを作る、あるいは組織を作る、意識を改革すると。そこでスタートして、我々の場合は、2年目はかなり先行投資をして体力を付けて、やるべきことをやるために、赤字になってもいいから先行投資をして、5年間でやるべきことができるような体制を作ってきたつもりです。
評価委員の先生方には大変深く見ていただいて、御判断を頂いたと思いますが、そういう中では、1年目は、方向性はよく見える。しかし、成果はまだこれからと。成果でものを見るとなると、どうしても点数が低くなるだろうと思います。結果として、そういう御評価を頂きながら3年目、4年目とくると、結果的には大変高い評価を頂いたと思っていますが、全体を平均して暫定評価、あるいは最終評価となると、これは今回の評価がどうであったからということよりも、第二期ということをお考えいただく際に、単年度を単に平均したものであれば、単年度評価の直近5年間を見たことになってしまうわけです。何のために中期目標があって中期計画があるかというと、その中期の間にしっかり計画を立てて、その中でやるべきことをやるためのステップアップの時期もあるし、最終的に到達するところまで頑張らなければいけないときもありますし、それぞれステージがあると思うのですが、全体を評価できるようなシステムを是非お考えいただいてやっていただきたいと思います。受ける側とするとそれが励みになり、大胆なプランを立てて、それに向かってやっていくと。ところが、単年度ずつの評価になると、どうしても小さなステップしか踏めないことになるので、是非その点についてお考えいただきたいと思います。
もう1点は、これも申し上げる必要はないと思いますが、中期目標、中期計画を立てるときの運営費交付金が、5年間を想定していたものよりもはるかに減額された中での運営を迫られる。もちろん、そういうことをする中で効率化できるところはかなりやったつもりですし、6センターが協力して情報交換をして、やれる部分はやったと思いますが、これも限度だろうと思います。研究開発を主眼にするのであれば、お金のことだけを考えて研究が矮小化してしまうのは、国家にとっても大変な損失です。交付金は、私どもの所では平成25年度、病院は9億円ぐらいのプラスでしたが、センター全体となるとそうはいかない。消費税の増税や電気代の値上がり等を考えると、同じだけのことをやろうと思うと12億ぐらいの増収を図らなければできないという、蟻地獄のような状況になってしまいます。NCとしてのミッションを達成するのがそれぞれのセンターの仕事だと思いますので、そういう所でつまずくことのないように、いろいろ御配慮いただき、御意見を頂けたら有り難いと思います。よろしくお願いします。そして、ありがとうございました。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
本日は貴重な時間をお作りいただきまして、御評価いただきありがとうございました。第一期の暫定評価ということで頂戴し、残る期間、第一期は残すところ半年余りですが、この御評価を心の支えにしながら、今後できる限りのミッションを果たすよう、職員一同で頑張っていきたいと思っております。
今日、私が一番安心したのは、永井先生から後半の組織・業務全般の見直しについて部会で議論があったというところの3点目、ミッションはどんどん広がって、こういうことを新たにやりなさいということが特別枠の形で広がっていく。一方では、交付金が年々10%レベルで減っていくということで、一体、私たちにはどこまでのことを求められているのか。このままでいくと、恐らくかなりギリギリのところに来て、ミッションというよりも、どうやってクオリティを落とさないようにするかを考えなければならない時期が来るのではないかと思っておりました。そういったことを、果たして皆様に御理解いただいているのだろうかと思っていましたが、永井先生の報告にありましたように、委員の皆様には十分に理解をしていただいているということで、ほっとした次第です。是非、第二期に向けて私どもも精いっぱい努力をしてまいりますが、引き続き御理解と御支援よろしくお願いいたします。
○国立国際医療研究センター理事長
国立国際医療研究センターの春日です。先ほど橋本理事長、樋口理事長から御指摘があった評価の問題、あるいは運営費交付金の問題については同じような思いを持っており、それは既にお二人の理事長からお話いただいたので、私は省略させていただきます。
評価委員の先生方には本当に多くの時間を割いていただきまして、詳しく御検討いただき、また、貴重な御助言を頂きまして本当にありがとうございました。この御評価、御助言を基に、あと半年余りですが、国立国際医療研究センターの職員一同、改善に向かって努力したいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
○国立成育医療研究センター理事長
成育医療研究センターの五十嵐です。ただいま他のNCの先生から御指摘いただいたことについては、私も全く同意見ですので、あえてこれ以上お話はしないつもりです。評価の回を通じていろいろ大変重要な御指摘を頂きましたことを感謝いたします。
成育医療は、胎児から小児期、あるいは思春期を経て、若年成人に至るまでの非常に長いスパンに関係する様々な医療問題について診療、研究するものですが、成育医療に関する診療、研究、人材育成について、これまで御指摘いただいた点を踏まえて今後も努力していきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター理事長
国立長寿医療研究センターの鳥羽です。ミッションを果たすためにということは、今までの他の総長と同じです。ただ、インフラについては各NC、病院、研究所の建てられた時期が違って、うちのビルはそろそろ築50年、夏にクーラーが壊れたのが2回、冬に暖房が壊れました。つい先日も夏にクーラーが壊れて、患者の移動で非常に困難なことがありました。
それをもって、新病院を建てるために経営では爪に火をともし、鞭をくれながら病院で頑張ってもらっているわけですが、先ほど申し上げたように、安定した運営費交付金の下で、またしっかりとしたインフラの下で、より業務、使命を果たしたいと思っております。その使命に書かれていないインフラの部分についても、是非、目を向けていただければと思います。いずれにしても、度重なる何回もの評価、ありがとうございました。通知表をもらう度に反省して頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○医政局医療経営支援課長
医政局医療経営支援課長です。本日は、御評価ありがとうございました。暫定評価にもありましたとおり、NCは平成22年の独法化以降、多くの研究成果を上げてきております。平成27年度から新たに国立研究開発法人になるわけですが、先ほど永井部会長からも報告がありましたとおり、部会の各委員から様々な見直しの意見を頂いております。また、本日、委員の皆様にも御意見を頂いております。そのような意見をしっかり踏まえながら所管課としてもやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○山口委員長
ありがとうございました。先ほど、国立循環器病研究センターの橋本理事長から、単年度評価の単純な平均で中期目標期間の評価をする方法について、適切でない場合もあるのではないかという趣旨の御発言がございましたが、実は、私の担当している部会においても同じようなケースがあり、当委員会としても今後の検討課題の1つとしていく必要があろうかと感じたところです。どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に入る前に法人及び法人所管課の入替を行いますので、しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替)
○山口委員長
続きまして、国立病院機構の最終評価について審議を行います。最初に、国立病院部会において検討していただいた最終評価書(案)につきまして、松尾部会長から御報告いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは松尾部会長、よろしくお願いします。
○松尾部会長
それでは、国立病院機構の最終評価について報告します。まず、この評価ですが、第二期中期目標期間として、平成21~25年度の5年間の業績評価となります。また、評価の視点としては、国立病院機構の設立目的を踏まえまして、業務で得られた成果がどのように寄与しているか、また、効率性・有効性等の観点から適正に実施されたかという点、厚生労働省所管、独立行政法人の業務実績に関する評価の基準、及び、総務省政策評価、独立行政法人評価委員会から示された、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」に基づき評価を行いました。
まず、全体の評価としては、独法化の狙いや期待に応えまして、医療・経営の両面において中期目標の水準を十分に満たし、大きな成果を挙げているものと評価しました。こうした大きな成果は、理事長の強力なリーダーシップの下で組織の意識改革が徹底されたことにより、本部及び各病院の全職員が一丸となって、創意工夫をしながら行った努力の結果であると高く評価しています。中期目標の業務全般の評価に関しましては、お手元の資料4-1、最終評価説明資料において、14の評価項目のうち、平成21~25年度の評価の平均が4.5以上となり、S評価となった項目は7項目ありましたので、時間の関係からこのうちの一部を紹介します。
資料4-2を御覧ください。中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)です。まず初めに、3ページですが、「質の高い医療の提供」です。クリティカルパスの実施件数について、中期計画に掲げた目標を達成していること、また、EBM推進に向けた取組として、臨床研究指標の充実、そして、他の医療機関においても活用できるようなマニュアル等を含めた公表、あるいは、療養介助職の増員や老朽化した建物の改修など、長期療養者をはじめとする患者QOLの向上など、質の高い医療の提供に向けた取組を高く評価しております。
続きまして、同じ資料の4ページの(2)臨床研究事業です。治療の体制を確保するとともに、実施症例数についても増加していること、そして、国立病院機構のネットワークを活用した大規模臨床研究を推進するなどの取組を高く評価しています。こうした、国立病院機構のネットワークを生かした臨床研究や治験の推進は、日本の医療の向上への貢献が期待される分野であり、これまでの国立病院機構の実績を高く評価するとともに、今後とも積極的、そして、継続的な取組をお伝えしたいと思います。
次に5ページ、(3)教育研修事業です。クリティカル領域における「診療看護師」の育成や若手医師のためのNHOフェローシップ、医師・看護師のキャリアパス制度の確立に向けた取組など、様々な取組を行ったことや、地域医療への貢献について、地域の医療従事者を対象とした研究会を積極的に実施し、中期計画に掲げる目標を達成していることなどを高く評価しております。
次に、8ページの(7)経営の改善です。これにつきましては、本部と病院の収支改善に向けた努力によって、経常収支率について、中期計画に掲げる目標を達成するとともに、再生プランやリスタートプランにより、個別病院ごとに視点を向けた対策を行いまして、赤字病院数の減少など、着実な経営改善を高く評価しています。
最後に、9ページの(8)固定負債割合の改善です。国立病院機構発足時に継承した国時代の膨大な負債と、そしてまた、老朽化した建物を数多く抱えながらの経営の中で約定どおりの償還を確実に行った結果、毎年着実に固定負債を削減し、中期計画に掲げる目標を達成していることを高く評価しています。一方、耐用年数を抱える老朽建物が数多く存在しているため、患者の療養環境改善の観点から計画的に投資を行い、建物整備を進めていくことは今後の課題であると考えております。
こうした、5年間の全体の成果を踏まえますと、世界に冠たる日本の医療システムにおいて、ちょっと言過ぎかもしれませんが、143の全国的な病院ネットワークを生かして、国の政策医療として担うべき医療等を提供している国立病院機構が果たしてきた役割は極めて大きく意義が深いと考えます。国立病院機構が今後とも引き続きその役割を担っていくためには、患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスに配慮することはもとより、医療技術の発展、新たな疾病への対応など、社会的要請に迅速かつ的確に対応できるよう、病院機構の拡充に向けた不断の見直しを自発的に行っていくことを期待します。なお、その見直しに当たりましては、当然のことながら、国立病院機構が果たすことが期待される責任は一層増していると考えられます。長期的に安定的な経営が確保できるような、十分な見通しを持った上で実施されるべきであることに留意していただきたいと思います。以上でございます。
○山口委員長
ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただきました、最終評価書(案)について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたらお願いします。
○丸山委員
教育研究、研修事業等におきまして、特に医師と看護師に焦点を当てて御説明がなされていますが、実際、報告書の内容には、チーム医療を推進するということで、一方では様々なことに取り組んだということも書かれております。実際に、医療を行っていくには、院内の様々なスタッフの質の向上が非常に重要だと思いますし、それに、質が担保されるとより質の高い医療ができるだろうと思いますが、医師・看護師以外のスタッフに対する教育研修事業、あるいは、それらの内容の向上などに対する取組等についての評価をどのようにやっておりますか。
○国立病院機構病院支援部長
機構のほうから説明します。こちらの資料の中では、今、部会長のほうから御説明いただいた医師・看護師を中心に書いていますが、メディカルスタッフに関しては、当機構の場合は6グループという形で全国に地区があり、それぞれの職種の専門職が置かれております。そこで医師・看護師以外の職種の方々のスキルアップを図る研修をグループ単位で行っております。さらに、チーム医療ということになるので、本部においては各職種の方を集めて、例えばNSTであるとか、褥瘡であるとか、いろいろなテーマを決めて、チーム医療の研修をやっており、そのような形でチームとしての全体のスキルアップを図っています。それから、まだモデルケースだったのですが、小児救急においては、病院の中だけでなく、例えば救急隊員とか、あるいは地域の保健師さんとか、そういう方々を含めたチームが必要になりますので、平成25年度からは、そういう方々を含めた研修も行っております。
○松尾部会長
私のほうから少し補足させていただきます。資料4-1の9、10ページに、様々な研修が行われていて、ここには、人数は「医師ほか686名」とか、こういう書き方がされているのですが、実際、これを見ると、例えば、栄養士さんとか事務の方とか、様々な職種に対して研修が行われていると考えて評価させていただいた次第です。
○山口委員長
よろしいでしょうか。ほかの委員の方、どうでしょうか。
○国立病院機構理事長
今のお話に追加いたします。国立病院機構は本部の近くに研修施設を持っており、そこで宿泊できるようになっておりますので、泊まりがけで様々な職種の研修を多様に実施しております。それから、初期の頃からQC活動という、職員が自発的に様々な取組を行うという活動が非常に盛んで、毎年ほとんどの病院がQC活動に参加して、コンテストをして、優秀な活動は表彰するという取組も行っており、多様な教育研修を実施している状況です。
○医政局医療経営支援課国立病院機構管理室長
具体的な数字についてですが、資料4-3の52ページを御覧ください。52ページの5医療従事者研修の充実という欄に、今申し上げたようなチーム医療の中で、例えば、NST(栄養サポートチーム)の研修ですが、平成21~25年度の参加人数としては、看護師140名、薬剤師81名、臨床検査技師23名、縷々書いています。次のページですが、がん化学療法研修、輸血研修、それから、1個飛ばして、4.の技術研修実施体制は、これはシミュレーターを72病院で有しており、それを用いた研修で、一応こういったことも具体的にやっている状況です。
○丸山委員
ありがとうございました。積極的にしていただいていることはよく理解できました。そうだとしますと、非常によいアイデアであって、研修の方法についても、いろいろな成果が蓄積されてくると思います。全国の病院などが参考にできるような情報を発信していただけると、また役に立つかと思いますので、是非よろしくお願いします。
○山口委員長
ほかに御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、修正意見はないようですので、国立病院機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果につきましては、本委員会として決定したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に、法人の理事長から一言お願いします。
○国立病院機構理事長
本日は、中期目標期間の最終評価について御審議をいただき、ありがとうございました。私どもとしましては、本日いただいた様々な評価結果を踏まえて、今後とも努力をしていく所存です。どうぞよろしくお願いします。当機構は本年度から第3期の中期目標期間に入っておりまして、今後とも従来どおり、今まで取り組んできた、良質の医療の提供や経営改善等に取り組んでいく所存ですが、先ほども松尾部会長からお話があったように、私どもは非常に数多くの老朽化した施設を抱えておりまして、この施設を一つ一つ、全て更新していくことが必要になります。このためには相当な額の資金が必要ですし、様々な財政上の工夫が必要ですが、これをやっていかなければ今後の持続力が失われてしまうので、重視してやっていきたいと思います。また、診療情報の蓄積をして、その分析を行い、発信するのは今後の医療にとって極めて重要であることは周知のことで、それはなかなか進んでおりませんが、我々としては、是非その面で、従来のDPC情報を中心とする分析を更に超える、診療情報の集積と分析の力をつけていきたいと考えます。本日はどうもありがとうございました。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、皆様、しばらくお待ちください。どうもありがとうございました。
(法人及び法人所管課入替)
○山口委員長
続きまして、医薬品医療機器総合機構の最終評価について審議を行います。最初に、医療・福祉部会において検討していただきました最終評価書(案)につきまして、真野部会長から御報告をいただきまして、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、真野部会長、よろしくお願いします。
○真野部会長
医薬品医療機器総合機構の最終評価書(案)について御報告申し上げます。まず、評価結果(案)の1ページ目ですが、PMDAは、医薬品の副作用に加え、生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して、迅速な救済を図る健康被害救済業務。医薬品や医療機器などの品質・有効性・安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査する審査業務。更に市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う安全対策業務の3つの業務を一体となって行っておられるわけですが、今回の業務実績の評価に当たりましては、業務の効率化及び質の向上により、3つの業務がどの程度効果的に適切に実施されたのかという視点で、評価させていただきました。まず、評価結果の総論としては、平成21年度~25年度までの5年間の業務実績について、各種経費の節減、あるいは医薬品医療機器の審査期間の大幅な短縮など、中期目標・中期計画における目標を上回る業務の効率化を実現しておられますので、おおむね適切に業務を実施されてきたと評価いたしました。
具体的な内容は、(案)の4ページほどからですが、まず、健康被害の救済業務におきましては、請求件数が増加したにも関わらず、事務処理期間6か月以内を60%以上処理するという中期計画目標を達成することができておりまして、評価させていただきます。また、広報に関しては、シンポジウム、テレビ中継、テレビCM、ラジオ番組などの活用を積極的に行われまして、副作用被害救済の請求件数が増加しておりまして、ここは評価させていただきました。また、一方では、制度に係る国民の確実な認知度については目標が達成できず、ここについては、より一層の努力が必要なのかと考えております。
審査業務の新医薬品の審査についてですが、総審査期間の目標を上回って短縮されておりまして、非常に高く評価させていただきました。また、審査期間の短縮のために、事前治験相談の実施についても目標達成に向けた進捗が認められまして、日米欧の規制当局とも迅速に対応できるようなリソース確保の企業への要請といった対応も含め、今後のさらなる期待がもたれるところであります。更に平成23年度から実施されている薬事戦略相談の拡充というところで、申請者側の期間の短縮にも期待しております。医療機器ですが、新医療機器の総審査期間が目標を大きく上回りまして、審査承認件数も着実に増加しております。また、改良医療機器の審査についてですが、審査が長期化していても目標の処理を精力的に進められて、更に第三期中期目標期間においても、さらなる進歩が期待されます。更に後発医療機器の審査もバディー制という形で、熟練者と新人が2人1組で審査を行う方法を取られまして、審査期間の短縮が進み、総審査期間の目標を達成することができて、評価させていただきます。
更に安全対策に関しては、当然「車の両輪」として、審査と安全対策ということになるわけですが、第二期の中期目標期間においては、患者からの副作用報告を受けるための制度を試行的に実施するなど、体制構築の準備が更に進められておりまして、収集された医療機関からの報告について、PMDA自らも調査を実施する体制を作られた。あるいは、安全対策充実強化といったところを積極的に実施されていると評価させていただいております。また、医療情報のデータベース基盤整備事業ということで、平成23年度から10医療機関を拠点としてやっておられますし、システム開発も着実にしておられます。また、副作用報告や添付文書の改訂指示についても迅速な公表が行われています。また、企業や医療関係者、患者、一般消費者に対しての安全情報の提供について、PMDAメディナビといったことを使って、情報発信していることを評価させていただいております。
続いて、若干順番が前後しますが、組織体制、財務状況及び全般、(案)でいくと2~4ページになります。組織体制につきましては、以前からお話させていただいておりますが、理事長のトップマネージメントにより、経営判断が迅速に業務運営に反映できる体制が確立されておりまして、業務の効率化・公正性・透明性の確保もできていることが高く評価させていただいております。
また、科学的側面に関する事項を審議する科学委員会、あるいは積極的な国際活動のための国際戦略会議。PMDA関西支部を設置されることで、PMDAを取り巻く環境の変化に適切に対応するための創意工夫が図られておられ、ここも評価させていただきました。財務も、コスト削減や競争入札の一層の促進で、目標を大きく上回る経費削減がなされました。また、平成22年度ですと、審査等勘定における当期利益28億円のうち、経営努力による部分が6.2億円といったところにおいて、業務改善及び職員の資質向上に当てるための積立金として国に申請し、承認を受けることで、財務内容も改善しているのですが、更にそれを有効に活用することで、十分な評価をさせていただけると思っております。
ということで、全般的には、医薬品の副作用及び生物由来製品を介した感染等に対する健康被害の迅速な救済、並びに医薬品等の品質・有効性及び安全性の向上に資する審査の業務などを迅速に行って、国民健康の、国民保健の向上に資することを目的とするという、PMDAの設立目的に従って適切に運営されていると評価させていただいております。以上が最終評価の(案)の概要でございますが、医療・福祉部会においては、このことについて、特段の意見は出されず、原案のとおり了承されました。また、昨年6月に「日本再興戦略」において、PMDAを強化し、世界に先駆けて革新的医薬品・医療機器を再生医療製品の実用化を促進するため、市販後の製品の品質確保や、安全対策にも留意しつつ、さらなる審査の迅速化としての向上を図ることとされておりまして、これを踏まえ、平成26年の3月に第三期の中期計画・中期目標が策定されたところです。今後、第三期中期目標・中期計画を踏まえ、引き続きPMDAの体制強化を図り、国民の期待に応えるために安全対策に留意しつつ、さらなる審査の迅速化、質の向上が図られることを強く期待したいと思っております。以上です。
○山口委員長
ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただきました最終評価書(案)につきまして、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。
○安浪委員
資料5-2の(案)の6ページなのですが、この真ん中辺りの新医療機器の審査期間が通常品目では、目標値が14か月のものが実績としては6.3か月に大きく改善したというお話なのですが、半分以下になっているので、目標設定値が長すぎたのではないかという気もするし、半分以下に下がった点について、その事情、理由がございましたら、教えていただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構理事
新医療機器でございますが、品目数が大体年間20~30です。それで、年によっては、同じような品目がたくさん出てきて、1つ通すと、他もわりと審査が早く進むというケースがあります。ちょうどこの年は、同じような品目、具体的に言えば、MRI対応のペースメーカーみたいなものが各社から一斉に出されたということもあって、そうしますと、全体の審査期間も早くなることになります。品目20~30のところ、その品目の種類や、そういったことによって、この年は早く審査が進んだものも多く出たということであります。
○安浪委員
審査が短いものがたくさんあって、それが早く進んだということですか。
○医薬品医療機器総合機構理事
はい。
○山口委員長
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、修正意見はないようですので、医薬品医療機器総合機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果につきましては、本委員会として決定いたします。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に法人の理事長から一言お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構理事長
本日は、第二期中期目標期間の最終評価につきまして、御議論いただきまして、誠にありがとうございます。PMDAは国民の命と健康を守るという絶対的な使命観に基づきまして、より有効で、より安全な医薬品医療機器を迅速に医療の現場、国民の皆様に届けるという重要な理念の下で、国民の皆様からの高い期待に応えるべく、日々の業務を行っているところです。本日いただきました第二期の中期目標期間の最終評価につきましては、第一期中期目標期間において、2つあったBが今回は無くなりました。2つのBというのは、医療機器の審査と治験相談という項目でした。今回は全てA以上ということです。その中で、経費節減、医薬品の審査、この2点につきましては、Sという評価をいただきました。誠に有難いことでございまして、私どもの事業運営を正しく評価いただいたことを感謝申し上げたいと思います。私どもといたしましては、本日いただきました御評価を1つの励みといたしまして、常に倫理観を持って、社会や国民に適応するレギュラトリーサイエンスに基づきまして、今年度からの第三期中期計画におきましても、目標達成に向けて、役職員一丸となって業務に励んで参る所存でございます。このレギュラトリーサイエンスとは、PMDAが中心となって、世界に向かって発信してきたものですが、今、日米欧共にこれを基準にして、医薬品医療機器の評価をしていく流れができ、科学的で絶対的な価値観になって参りまして、日米欧の中でも、日本の役割が非常に重要だと改めて感じるところです。今後とも、このようにさらなる発展を目指して、国民のために、世界のために貢献していきたいと思っております。引き続き、御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替を行いますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入替)
○山口委員長
続いて、労働者健康福祉機構の最終評価について審議を行います。最初に、労働部会において検討した最終評価書(案)について、今村部会長から御報告いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、今村部会長、よろしくお願いします。
○今村部会長
報告いたします。この委員会が始まるときには圧倒されました机の資料の山ですが、残り2法人となりました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
詳細な評価結果については、お手元の資料6-1にありますが、資料6-2の最終評価結果(案)に基づき、ポイントを絞って報告いたします。本文1ページ1.第二期中期目標期間の業務実績についての(2)第二期中期目標期間の業務実績全般の評価についてです。全般的な評価を説明しますと、第二期中期目標期間の業務運営に関しては、「勤労者医療の地域支援の推進」の分野において、労災病院の患者の紹介率等が一貫して上昇したことや、「労災疾病等に係る研究・開発」の分野において、研究及びその成果の普及を積極的に進めたことなどは高く評価できます。また、急性期医療に対応した診療体制の構築等に取り組んだ「高度・専門的医療の提供」の分野、アスベスト関連疾患に係る対応等に積極的に取り組んだ「行政機関等への貢献」の分野をはじめ、各分野において独法としての役割を着実に果たしたものと評価できます。
一方、最終年度であります平成25年度において、平成21年度以来となる経常損失を生じ、繰越欠損金が拡大したことは遺憾ですが、対応として各病院に対し、患者の確保対策に関し指導を行うなどの対策を取ったことは、一定の評価ができます。その他の実績も踏まえ、全体を総括したところ、第二期中期目標期間の各種業務運営は、機構の設立目的に沿って適正に行われたものであり、その実績は全体として中期計画を達成したものとして評価できます。
平成26年度から始まる第三期中期目標期間においては、引き続き勤労者医療の中核的な医療機関としての使命を果たすため、労災疾病研究の成果である労災疾病等への診断法等について、地域の医療機関への普及活動等を更に進めることが必要であるとともに、今後、独立行政法人労働安全衛生総合研究所との統合が予定されていることから、両者の研究機能の一体化による効果を最大限に発揮できる体制を構築する観点から、組織・業務の在り方について検討することを期待します。また、機構本部のガバナンスの徹底により、損益の改善及び繰越欠損金の解消に向けた業務運営の一層の効率化に取り組むことを強く期待します。業務実績全般の評価については以上です。
以下、具体的な評価内容について申し上げます。2ページの2.具体的な評価内容については、ポイントのみ簡単に申し上げます。4ページの1労災疾病等に係る研究開発の推進等を御覧ください。研究各分野全般において、労災病院の臨床データ等を基礎として、積極的に特色ある研究に取り組むとともに、中期目標期間を通じ、目標の10倍近くの件数の学会発表を行うなど、研究及び成果普及のための取組は高く評価されます。2勤労者医療の中核的役割の推進を御覧ください。アとして、高度・専門的医療の提供については、平成25年度において、地域医療支援病院が25施設、地域がん診療連携拠点病院が11施設となったことが評価できます。また、医療の質の向上の面では、医療の標準化等を図るため、平成25年度までに4,397件のクリニカルパスを作成しており、評価できます。
次に、5ページのイは勤労者医療の地域支援についてです。労災指定病院の医師等を対象とした症例検討会等を積極的に開催し、参加人員が合計で13万人弱となったことなどが高く評価できます。また、労災病院に対する紹介元である労災指定病院等に対する有用度調査を行い、「診療や産業医活動を実施する上で有用であった」旨の評価が一貫して上昇しており、評価できます。
ウは行政機関等への貢献です。福島第一原発における労働者の健康管理等のため、Jヴィレッジ内の診療所に対して、平成23年5月から平成25年6月までの間、延べ119名の医師を継続的に派遣したほか、福島労災病院にホールボディカウンタを設置し、除染等従業者の内部被ばく線量の測定を実施するなど、震災対応に関する貢献等が評価できます。
その他の具体的な内容については、時間の制約上口頭での説明は省略いたしますが、記載のとおりです。以上が、労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果概要です。
○山口委員長
ありがとうございました。ただいま報告を頂きました最終評価書(案)について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
○川北委員
1つ教えていただきたいのですが、7ページから続く財務状況について、8ページの第2パラグラフですが、「機構が果たすべきミッションを考慮しつつ、徹底した経営改善により損益の改善を図るとともに、厚生年金基金の見直しによる退職給付費用の削減等」と書いてあるのですが、これは年金や退職金を下げていくという1つの方向性を考えられているということでよろしいのでしょうか。
○労働者健康福祉機構総務部長
ただいまお尋ねの厚生年金基金の見直しによる退職給付費用の削減の所なのですが、これは今年の4月に法律の改正があり、厚生年金基金については一定の存続要件などを満たさない所については解散することになっており、それについて今、検討しているところです。代行返上などをすることにより、退職給付費用を削減していくということで、欠損金も減らしていくことを対応していこうと思っております。
○川北委員
そのとおりだと思います。職員の方にすれば、減るということですね。
○労働者健康福祉機構総務部長
職員数ですか。
○川北委員
基金からの給付をもらえなくなるということですね。
○労働者健康福祉機構総務部長
代行返上をしていくことで、併せて給付水準を下げるかどうかもこれから検討していくことになるかと思います。
○川北委員
分かりました。
○山口委員長
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、修正意見はないようですので、労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果については、本委員会として決定いたします。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などにより修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
では、そのようにいたします。
最後に、法人の理事長から一言お願いいたします。
○労働者健康福祉機構理事長
理事長の武谷です。委員の先生方には、多面的にいろいろな観点から御指摘を頂き、大変有り難く思っております。私どもは、平成25年度は全力を尽して業務に当りましたが、結果として至らぬ点もあったことを真摯に受け止めており、今日御指摘いただいたことを何とか鋭意改善していきたいと思っております。
この評価は、第二期中期目標期間という過去の我々のアクティビティに対してなされたものですが、この評価の本当の意義は今日の先生方の御意見を未来に活かすことだと思っております。今日、先生方が御指摘になられた点は、これから私どもの歩むべき方向、あるいはそれにおけるいろいろな英知を与えていただいたものと考えております。また、私どもは日々、労働者の健康や安全に奉仕しておりますが、私たちの活動に対する励まし、あるいは情熱、意欲、活力等につながるものであり、大変有り難く受け止めている次第です。いろいろと的確な御指摘をありがとうございました。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替を行いますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入替)
○山口委員長
最後になりますが、年金・健康保険福祉施設整理機構の最終評価について、審議を行います。最初に、年金部会において検討した最終評価書(案)について、私のほうから報告し、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。
それでは、御報告致します。まず資料7-1が全体の説明資料です。これについては、最初の1ページだけを御覧いただき、最終評価についてSが5つとなっていることを見ていただきたいと思います。その上で、資料7-2に沿って説明いたします。
1ページの評価の視点です。この機構は、社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設等の譲渡又は廃止をすることを目的とし、平成17年10月に設立された5年有期の独立行政法人でしたが、平成22年8月公布の法改正により、残存期限が2年間延長され、平成23年6月公布の法改正により、平成26年4月に社会保険病院等の運営・管理を目的とした地域医療機能推進機構へ改組されることになったという特異な経緯を辿っていることを踏まえ、最終評価をすることを特記しております。
続いて、2ページの(2)中期目標期間の業務実績全般の評価です。平成17年10月の機構発足以来、平成22年9月までの5年間で、社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設等の譲渡又は廃止を行う機構の当初の使命に照らして、評価を行ってまいりました。また、平成24、25年度については、地域医療推進機構への移行準備が主たる業務となったことを考慮した評価を行ってまいりました。評価結果の総論ですが、このように施設整理機構の置かれた環境変化に応じた評価を行ってきたところですが、全体としては高い業績を実現したと評価しております。
3ページの中段以降に、総論を記載しております。1年金福祉施設等の譲渡は、平成22年9月までに社会保険病院等を除く全ての施設の譲渡を完了し、売却実績は2,185億円で、出資価格比で184億円のプラス、比率で109.2%となっており、出資価格総額を上回る売却額を確保しております。これは、資産価値向上のための様々な取組の成果であり、高く評価できます。また、単に施設譲渡の目標を達成するだけでなく、雇用と公共性への配慮を実現するため、基本方針として、事業継続を原則として、入札参加者への雇用継続依頼や、各地方公共団体への事業継続に向けた支援依頼など様々な工夫を取り入れながら両立の実現を目指した結果、施設譲渡時に事業を行っていた258施設のうち、74%に当たる192施設において事業が継続され、72%に当たる187施設において雇用の継続も図られております。これらの結果、機構が目的としてきた「時価を上回り売却すること」、「出資価格を毀損しないこと」を達成しつつ、設立から5年間という目標年度内に社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設等を譲渡したことは大いに評価できます。
2つ目に、社会保険病院等の譲渡については、所在する地方公共団体等への移行も踏まえつつ、地域医療が損なわれることがないよう十分に配慮した譲渡条件を設定し、適切に譲渡が行われていることを認め、これについても大いに評価しております。平成23年3月11日に発生した東日本大震災の対応についても、直ちに被災状況を把握し、迅速に被災病院の復旧工事に着手し、同年11月末までに工事を完了し、地域医療の機能等を継続して提供したことは評価できます。新機構への改組に向けた準備については、移行準備作業を限られた職員体制で確実に処理するため、業務運営体制の効率化に努め、極めて広汎かつ大量な業務を適確に実施した結果、平成26年3月までの限られた時間内に、移行準備作業を完了させ、大きな混乱を生ずることもなく、平成26年4月の新機構発足を果たすことができたのは、極めて高く評価しております。
7ページの中段の2.具体的な評価内容については、ただいま説明したことと重複するものがありますので、省略いたします。以上が、年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績の評価概要です。なお、先の年金部会においては、本評価書について特段の意見は出されず、ほぼ原案どおり了承されたところです。
ただいま私から報告いたしました最終評価書(案)について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは修正意見はないようですので、年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果については、本委員会として決定いたします。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)
○山口委員長
ありがとうございます。それでは、そのようにいたします。
最後に、法人の理事長から一言お願いいたします。
○地域医療機能推進機構理事長
JCHO理事長の尾身です。RFOからJCHOへの改組は、歴史、組織文化、事業体系の異なる3つの団体を1つにするということで、正直に申し上げて極めて困難なプロセスでした。私自身は、職員が本当に頑張ってくれたと思っております。本日、このような高い評価を頂き、心よりお礼を申し上げます。
今年の4月に発足したJCHOについても、この得た高い評価を糧に職員一同これからの地域医療の発展のために全力を尽すつもりですので、これからも御指導のほどお願いいたします。今日は、本当にありがとうございました。
○山口委員長
ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課が退席いたしますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課退席)
○山口委員長
続いて、本日最後の議事です。事務局から報告事項がありますので、お願いいたします。
○政策評価官
長時間の御審議をどうもありがとうございました。お疲れのところ恐縮ですが、少しだけお時間を頂き、独法通則法の改正に関して現状を報告いたします。
資料は、8-1です。法案の段階から、委員の皆様方には情報提供をさせていただいておりますが、本年6月に改正法が成立し、6月13日に公布され、来年4月1日に施行される予定です。この改正法の趣旨は、点線囲みにあるとおりでして、昨年12月に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」に基づいて行われたものでございまして、独立行政法人が制度導入の本来の趣旨に則り、国民に対する説明責任を果たしつつ、政策実施機能を最大限発揮できるよう、法人運営の基本となる共通制度について見直しを行ったものでございます。
今回の法改正において、本委員会に特に関係のある点は2つあり、その2つについて説明いたします。1つは、法人の分類についてです。1枚目の1の(1)に書いてありますように、それぞれの独法の業務の特性を踏まえて、今後、法人が3つの類型に分類されます。一つは中期目標管理型、法律で言いますと中期目標管理法人、続いて、単年度管理型、法律の中では「行政執行法人」と言っております。最後は、研究開発型、これは法律の中では「国立研究開発法人」とされております。
次のペーパーを御覧ください。左側にあるように、現在、厚労省が単独で所管している19法人については、右側にあるように、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所が統合されますので、トータルで18法人になります。その中で、統合される医薬基盤・健康・栄養研究所と、ナショナルセンター6法人が国立研究開発法人に分類され、それ以外のものは、中期目標管理法人に分類されます。
もう1枚おめくりいただきまして、独法制度改革関連法の骨子の1の(1)の1、2に、それぞれの法人の位置付けについて少し書いてありますので、御紹介いたします。(1)1の中期目標管理法人ですが、これは、3~5年間の中期的な期間について目標・計画を策定し、公共の利益増進を目的として事務・事業を行う法人でございます。大括りな言い方をすれば、今までと大体同じ形態での業務運営を行っていく法人となります。次に、2の国立研究開発法人についてですが、こちらは研究開発に係る業務を主要な業務として、5~7年間の中長期的な期間について目標・計画を策定し、研究開発の最大限の成果の確保を目的として、業務運営を行っていく法人になります。
それから、皆様方に関係のある点の2つ目ですが、評価に関してです。同じペーパーの1の(2)の1にありますように、これまでは先生方、各府省の独立行政法人評価委員会に実施していただいた法人の業績評価について、来年度以降、具体的には今年度の業績評価からは、法人に対して目標を設定し、指示する主務大臣が毎事業年度の業績評価等を実施することに改正されております。なお、評価主体が主務大臣に変わることに伴いまして、現行の独立行政法人評価委員会につきましては、法律上の規定から削除されて、なくなることになっております。
同じく、(2)の2の最初のポツにありますように、法人の目標策定、評価に関しては総務大臣がその指針を策定することになっており、主務大臣が評価する際には、この指針に基づき評価を実施することとされております。また、3つ目のポツにありますように、国立研究開発法人の評価に関しましては、総務大臣の指針を踏まえるほか、主務大臣が設置する研究開発に関する審議会の意見も聴くことになっております。なお、この総務大臣が策定する指針につきましては、現在、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会において審議中でございまして、先月開催されました政策評価・独立行政法人評価委員会分科会で配布された指針案、においては、各府省の主務大臣が評価する際に、その評価の実効性を確保するための手法の1つとして、外部有識者の知見を活用することなどが挙げられております。
以上について、参考までに独法通則法改正後の評価のイメージとして、中間目標管理法人を例に、各事業年度の業績評価の仕組みを現行と改正後とで比較したものが、次のページのペーパーになります。現行は、3の評価主体が独立行政法人評価委員会であるのに対し、改正後は、左にありますように、厚生労働大臣が評価主体となり、独法の評価を行うことになっております。ただし、左側※にありますように、現在、総務省が策定している指針案においては、評価の実効性を確保するために、必要に応じて、外部有識者の知見を活用することなどが挙げられておりますので、そのことも踏まえて、今後、厚労省としての来年度以降の評価の体制や実施方法等について、今後、決められていく総務省の指針、その他諸々の関係規定の内容なども踏まえながら、検討を進めていきたいと思っております。
併せて、本日の委員会あるいはこれまでの部会の中において、委員の方々から評価に関していろいろと御指摘いただいた点もございます。いずれにしても、来年度からの評価に関しましては、制度改正に伴い、見直しを行うことになりますが、これらの検討に際しては、有識者の皆様方の御指導や御鞭撻を賜ることもあろうかと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。
また、今般の制度改正に関連した情報につきましては、今後も状況に応じて情報提供をさせていただきたいと思いますので、重ねてよろしくお願いいたします。報告は以上です。
○山口委員長
今の報告について、何か御質問等はありますか。
○高瀬委員
例えば、中期目標管理法人の場合は、評価委員会がなくなるのですか。
○政策評価官
各府省に設置されている評価委員会は、中期目標管理法人のみならず、そもそもなくなるということです。
○高瀬委員
そもそも、なくなるということですか。
○政策評価官
法律上規定が削除されておりますので、評価委員会という形はなくなります。ただし、先程、御説明致しましたとおり、現時点の総務省の指針案においては、評価の実効性を確保するために、必要に応じて、外部有識者の知見を活用することなどが挙げられておりますので、また、その仕組みなどにつきましては、鋭意、検討を進めていきたいと思っております。
○山口委員長
よろしいでしょうか。それでは、本日の議事は以上となります。事務局から、今後の予定についての連絡をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
本日決定いたしました中期目標期間の業務実績の暫定評価結果及び中期目標期間の業務実績の最終評価結果につきましては、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知させていただくとともに、公表させていただきます。また、委員の皆様方には、後日決定版をお送りさせていただきます。さらに、本日御審議いただきました年金積立金管理運用独立行政法人、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所、国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し当初案につきましては、本委員会でいただいた御意見を踏まえ、この後、その内容を厚生労働大臣が決定させていただき、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ提出いたします。その後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の審議を経て、本年12月に、再度、本委員会において組織・業務全般の見直し案として御審議いただくことを予定しております。
最後に、本日配布いたしました資料の送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございますが、本委員会の閉会に当たりまして、情報政策・政策評価審議官の安藤から御挨拶させていただきます。
○情報政策・政策評価審議官
山口委員長はじめ、先生方におかれましては、本日は大変お忙しいところ長時間にわたり熱心に御議論いただき、誠にありがとうございます。お陰様をもちまして、本日は4法人の最終評価、それから9法人の暫定評価をまとめていただきました。また、9法人の見直し当初案についても御意見を賜り、誠にありがとうございました。
当委員会のこの夏のセッションですが、先月の14日、大変暑い中に始まり、6つの部会で、全部で23回、総時間約65時間の御議論でした。もちろん、これ以外の時間にも資料に目を通していただくなど、この数倍の時間をおかけいただいたことと存じます。お陰様で、「平成25年度の業績評価」及び「中期目標期間の業績評価」を各部会、総会において決定させていただいております。
この委員会は先程説明いたしましたとおり、今年度で少し役割を終える形になります。そうは言いましても、独法の役割は引き続き重要なものになりますし、また、その重要な役割に応じた法改正でございます。これからは、その評価を個々の独法を所管する大臣が行っていくことにはなりますが、総務省の指針案にもございますように、評価の実効性を確保するために、外部有識者の知見を必要に応じて活用することなどが挙げられておりますので、引き続き、有識者の皆様方の御指導や御鞭撻を賜ることもあろうかと思います。
先生方は、長い方で10年近くにわたり当委員会に御尽力いただきましたが、年末、年度末にも、当委員会において御議論いただくことと存じますので、これまでの御礼を申し上げるのはもう少し先にさせていただき、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○山口委員長
それでは、今年の夏の委員会の審議は以上となります。長時間にわたり、どうもありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会)> 独立行政法人評価委員会総会(第36回) 議事録(2014年8月26日)