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2018年8月8日 第7回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会議事録

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室

○日時

平成30年8月8日(水)10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省 専用第22会議室

○出席者

今村聡委員、宇都由美子委員、川口陽子委員、新村和哉委員、永井良三委員、
中釜斉委員、林玲子委員、康永秀生委員、矢冨裕委員<五十音順>

○議題

(1)部会長の選出について
(2)第6回疾病、傷害及び死因分類部会以降のICD-10の動向について
(3)国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)の公表について
(4)ICD-11の日本への適用について
(5)その他

○議事

 

○ 事務局
では予定の時間になりましたので、第7回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、お忙しいところご出席賜り誠にありがとうございます。
本日部会長が選出されるまでの間、進行を務めさせていただきます国際分類情報管理室高橋でございます。どうぞ宜しくお願い致します。
まず、お手元の資料確認をさせていただきます。

○ 事務局
資料の確認をさせていただきます。
資料1:第6回ICD部会以降のICD-10の動向について
資料2:ICD-11の概要
資料3-1:ICD-11の日本への適用について(案)
資料3-2:、ICD-11の日本への適用の検討用資料
資料3-3:ICD-11の和訳について(案)
参考資料1-1:疾病・傷害及び死因分類部会運営要綱(案)
参考資料1-2:疾病・傷害及び死因分類部会委員名簿
参考資料1-3:厚生労働省設置法、社会保障審議会令、社会保障審議会運営規則
参考資料2:国際疾病分類(ICD)について
参考資料3:疾病・傷害及び死因の統計分類に係る部会審議の際に出された
意見に基づく報告
机上配布資料1:厚生労働省の報道発表資料、平成30年6月18日付、
ICD-11の公表の資料
机上配布資料2:ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類10回改訂分類)の一部改正の適用による死因統計への影響について。第23回社会保障審議会統計分科会資料として出されたもの。
机上配布資料3:疾病・傷害及び死因の統計分類の改正について。総務省告示第35号、基本分類の一部抜粋。
机上配布資料4:同じく告示の疾病分類表、大中小の分類及び死因分類表。
机上配布資料5:前回部会以降に開催されましたICD専門委員会及び死因統計のワーキンググループの開催状況。1点、一番上に、最新の回数21回と書いてございますが、これは20回の誤りですので、訂正いたします。

○ 事務局
資料の確認は以上でございます。
本部会はWHOから勧告されている国際疾病分類ICDの日本国内への適用についてご審議いただくことを目的として部会を開催させていただくこととなりました。
続いて、議事に入る前に、平成28年6月に私どもの組織に変更がありましたので簡単にご報告させていただきます。本委員会の事務局を担当しております国際分類情報管理室ですが、従来、統計情報部企画課の下に組織されておりましたけれども、統計情報部が情報政策担当部局と統合しまして、統計及び情報政策を一体的に扱う組織として政策統括官が発足することになりました。これに伴いまして、当室は企画調整を担当する参事官の下に組織されることになり、組織名称は政策統括官付参事官付国際分類情報管理室となりました。所管する事務はこれまで通りで変更はございません。また、この組織名称の変更に伴いまして、参考資料1-1にある本部会運営要綱第4条にある組織名称も統計情報部企画課から政策統括官付参事官付に事務的な修正をさせていただきましたので、併せてご報告いたします。
続いて事務局を紹介させていただきます。政策統括官の大西です。参事官の中井です。国際分類情報管理室長の森です。室長補佐の阿部です。国際生活機能分類分析官の及川です。事務局の紹介は以上になります。最初に事務局を代表して大西政策統括官よりご挨拶させていただきます。

○ 大西政策統括官
政策統括官の大西でございます。宜しくお願い致します。7月31日付で着任いたしました。本日は、大変お忙しい中、しかも台風接近でお天気の悪い中ご参集いただきましてありがとうございます。また、この部会の開催にあたりまして、委員のご承認につきまして本当にご快諾いただきまして、改めて御礼申し上げます。
本日の議題になりますこのICDというのは、私から申すまでもなく、いわゆる統計に使われているという基準ではございますけれども、それを越えて非常に幅広い分野で、使われているというような実態があるわけでございます。現在は、このICD-10が使われておるわけでございますが、このたびICD-11が、出来つつあるということでございます。WHOの下で、日本の医学の専門家の方々にも貢献をして頂いて、非常に長い年月をかけて、この開発に取り組んできたと聞いておるところでございます。しかもその内容につきましては、医学的知見とか研究の成果とかそういったものをいろいろ盛り込んで、かなり大幅なモデルチェンジが成されておるわけでございまして、これが広く活用されることによって、医療の質が一層向上されるのではないかと期待されているところでございます。ただ、逆に非常に大きな改訂ということで、やはり現場での活用というのをしっかり、うまく回るようにしていただかないと大変なことになるというような心配もあると聞いております。本日の会議を皮切りに、そういったことが上手くいくように、是非検討して参りたいと考えております。
本日は大変限られた時間ではございますが、専門的な見地から忌憚のないご意見を頂戴できれば大変有難いと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

○ 事務局
続きまして本日は新たな委員による部会の開催となりますので、最初に委員の皆様をご紹介させていただきます。
参考資料の1-2をご覧ください。では、50音順にご紹介いたします。
日本医師会副会長の今村委員です。

○ 今村委員
今村でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
鹿児島大学の宇都委員です。

○ 宇都委員
宇都でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
東京大学の大江委員、本日ご欠席のご連絡をいただいております。
東京医科歯科大学、川口委員です。

○ 川口委員
川口です。宜しくお願い致します。

○ 事務局
国立保健医療科学院長、新村委員です。

○ 新村委員
新村です。宜しくお願い致します。

○ 事務局
自治医科大学長、永井委員です。

○ 永井委員
永井でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
国立がん研究センター理事長、中釜委員です。

○ 中釜委員
中釜でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
国立社会保障・人口問題研究所、林委員です。

○ 林委員
林でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
東京大学、康永委員です。

○ 康永委員
康永でございます。宜しくお願い致します。

○ 事務局
最後に、同じく東京大学矢冨委員です。

○ 矢冨委員
矢冨です。宜しくお願いします。

○ 事務局
ありがとうございました。円滑な議事進行のため、前撮りはここまでとさせていただきます。ご協力お願い致します。
では、本部会の運営についてご説明いたします。本部会の運営については、参考資料1-3にある社会保障審議会令、社会保障審議会運営規則のほかに参考資料1-1、疾病・傷害及び死因分類部会運営要綱に則る事としております。部会は原則公開であること、議事録も原則公開されること、出席委員は全委員数の三分の一を超えておりますので、会議は成立しておりますことをご報告いたします。
それでは、議事1に入ります。
部会長の選出についてです。社会保障審議会運営規則第9条に、部会にあっては当該部会に属する委員となっております。ここでいう委員でございますが、社会保障審議会の本委員を指しておりますので、今回該当するのは永井委員となります。
永井委員、部会長をお引き受けいただけますでしょうか。

○ 永井委員
了解致します。

○ 事務局
ありがとうございます。
では、部会長席へお席を移動お願い致します。

○ 永井部会長
部会長を務めさせていただきます永井でございます。どうぞ宜しくお願い致します。

○ 永井部会長
最初にまず議事の資料について、事務局から説明をお願いいたします。

○ 事務局
社会保障審議会令第6条第5項に、部会長に事故がある時は当該部会に属する委員、または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名するものが、その職務を代理するとございます。部会長代理を永井部会長にご指名いただきたいのですが、どなたかご指名をお願い頂けますでしょうか。

○ 永井部会長
新村委員を部会長代理に指名させていただきたいと思いますが宜しいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、部会長代理の席へご移動をお願いいたします。
では、議事の2に入ります。第6回疾病・傷害及び死因分類部会以降のICD-10の動向についてということでございます。事務局から説明をお願いいたします。

○ 事務局
資料1の方をお開きになってください。資料1といたしまして、第6回ICD部会、平成26年に行われておりますけれども、これ以降のICD-10の動向につきまして報告させていただきます。

○ 事務局
失礼しました。資料1のご説明をします前に、新しい先生方もいらっしゃいますので、参考資料2を先に説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。お手元の参考資料2をご覧ください。
そもそもICDとはについて、ご承知の内容も多いかと思いますが簡単に説明をさせていただきます。ICDはInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems、疾病及び関連保健問題の国際統計分類という名称の略になります。これは異なる国や地域から異なる時点で集計された死亡や疾病のデータを、体系的に記録して比較を行うために、世界保健機関WHOが作成した分類になります。
スライドの2をご覧ください。こちら世界保健機関憲章の条文を掲載しておりますが、第64条各加盟国は保健総会が決定した方法によって統計的及び疫学的報告を提出しなければならないとあります。ICDはWHO保健総会において採択され、国の死亡統計や疾病統計の作成報告に用いられております。
スライド3をご覧ください。ICD改訂の歴史をまとめております。ICD-1、こちら1990年に承認をされまして、当時から日本でも導入をしております。WHOにおいて約10年ごとに改訂を行われ、日本でもその都度適用し、現行のICD-10は1990年に承認をされました。日本では1995年に適用されております。さらにICD-10の中で何年版、何年版ということで順次改正を行っておりまして、現在日本で適用しているものはICD-10の2013年版というものになります。この2013年版は、本部会にお諮りをしまして、平成28年に公的統計において適用となっております。
スライド4をご覧ください。具体的に日本での適用と申し上げますと、ICDに準拠した「疾病・傷害及び死因の統計分類」という名称で統計法に基づく統計基準として定めております。この統計基準に定めますと、人口動態統計や患者調査などの公的統計に使用されることになります。また、この疾病・傷害及び死因の統計分類は、公的統計とは別に、医療機関などにおける診療録の管理等においても広く活用されているということでございます。
スライド5をご覧ください。WHOでは、継続的にICDを含め国際統計分類について議論をしておりますが、WHOが指定しました協力センターが核となりまして議論を進めております。日本協力センターは、国立保健医療科学院、国立がん研究センターなど8つの組織で構成されまして、これらの組織を中心に日本の多数の専門家の先生方が参加をしております。
スライド6をご覧ください。ICDの検討体制の全体をまとめたイメージ図になります。厚生労働省の審議会としまして、統計分科会の下にこの本部会が設置されております。こちらは主にICDの国内適用について議論を頂く場としております。その横にありますICD専門委員会とありますが、各学会の代表からご参加いただきまして、個別の専門分野における取り扱いやWHOへの意見提出の議論をいただいております。ICD専門委員会の座長としまして、矢冨委員がこの本部会に参加をいただいております。そのほか、日本内科学会などの関係学会や関係団体、研究の場でもご意見ご支援を頂きまして、日本協力センターとしてWHOの審議組織に参加することとしておりまして、我が国の意見を反映したり、フィードバックを得ているというような状況でございます。
参考資料2の説明については以上になります。

○ 事務局
次に、資料1をお開き頂きます。第6回のICD部会、それ以降のICD-10の動向につきましてご報告させていただきます。動向としましては、大きく4つ報告させていただきます。
1番のICD-10の2013年版の告示及び国内適用について、二つ目がICD-10の改正の審議について、三つ目が死亡統計データ、死因情報の利活用について、もう一つはその他と報告させていただきます。
まず一つ目ですが、ICD-10の2013年版の告示及び国内の適用についてです。2015年平成27年に疾病・傷害及び死因の統計分類が告示されまして、平成28年の1月1日より施行されております。国内で主に人口動態統計、患者統計について運用されますけれども、その人口動態統計につきましては2017年の平成29年のデータから適用されております。これによりまして2003年版と2013年版、新旧の分類による比較が必要となりまして、これにつきましては2018年平成30年6月22日に社会保障審議会統計分科会に報告を行っております。もうひとつ患者統計、これにつきましては3年毎に報告しておりますけれども、2017年平成29年のデータから適用されておりまして、今年2018年の平成30年度内にこれについての結果を公布予定としております。
二つ目に移ります。ICD-10の改正の審議についての動向です。これにつきましては、ICD-10は大改正が毎年、3年毎に行われまして、小改正は毎年行っております。詳しくはこの別紙のですね5ページから16ページに細かい内容が、詳細が記入されております。捲りにくいのですが、5ページから16ページですね。この中に各年ごとに提案されまして採択されております小改正と大改正の一覧となっております。大きい項目としましては、主だったものとしましてはですね、3ページ目のところに三つ主な改正内容を挙げております。一つ目としましては、死亡診断書の国際様式の改正です。死亡診断書につきましては、次の4ページのところに実際のものが掲載されております。見ていただきますように、ある程度国内では見慣れたタイプなのですけれども、上の2番ですね、アドミニストレーションデータとフレームAにつきましては、元々WHOの死亡診断書の国際様式に適用がございましたが、2016年からフレームBの枠につきましても適用が追加になっております。これによりまして、実は見慣れた国内のものと奇しくも似たような形のものが採用となっております。3ページ目に戻っていただきます。主だったものの改正項目の二つ目の2ですけれども、これは原死因の選択ルールの改正になります。これにつきましては、こちらにございます緑色のICDの本のですね、総論のところに詳しく書いてある内容ですけれども、原死因を選択するにあたりまして、基本ルールがございます。このルールにつきましては、これまではですね、一般原則選択ルールの1から3、修正ルールのAからDというようなステップを踏んで原死因を選択していたわけですけれども、これがステップのSP1から8、Mの1から4というような項目立てに変わっております。大きな内容としましては、中身の内容としましては変わっておりません。もう一つですね、3ですけれども、ウィルス性肝炎のキャリアの移動です。これにつきましては、ウィルス性肝炎のキャリアについての項目が、一時WHOの方で削除という形になったわけですけれども、日本からの提案により、行政上未だ分類するニーズがあるということと、その概念が日本の中にあるということで復活を申し立てまして採用になっております。この項目大きなものを、3つを含めまして、先ほどご説明しました4ページ以降、5ページ以降のところの細かい項目のところに欄の中に記載されております。
最初のページにお戻りいただきます。資料1の1ページ目になります。今ご説明しました通りで、我が国からの改正の意見につきましてもございますけれども、これにつきましては、2013年から17年の間に新規に11件提出しておりまして、9件について採択されております。改正の意見につきましては、各学会からの提案を受けてICD専門委員会にて審議しまして、日本WHO-FIC協力センターとしてWHOへ提出という形になっております。今後のですね、ICD-10の改正、現行ですけれども、2019年適用分をおきまして終了予定となっております。
次に3の死亡統計データ、死因情報の利活用についての動向について移らせていただきます。我が国にふさわしい原死因選択の報告について検討し、死亡統計の精度向上に貢献するため、ICD専門委員会の下に死因選択検討ワーキンググループを設置し、死亡統計の比較的大きな影響のある事例を中心に審議を行っております。これは例えばここに例が挙がっております、摂食障害の取り扱いですけれども、摂食障害という病名がついておりましても、これが嚥下の機能による障害なのか、あるいは精神的な原因によるものなのかというのはなかなか判断が難しいところで、具体的にはですね、ワーキンググループの方で、50歳未満の場合であれば精神的要因、50歳以上の方でとくに精神的要因が付言されていない場合は、機能障害というように判断すると。このような事をワーキンググループの方で議論しております。
三つ目です。死亡統計データの利活用の促進のため、統計法第33条に基づく人口動態調査表情報の二次利用について新たに文字情報のデータ提供を開始しました。これにつきましては、後ろの方ですけれども、参考資料の3を出して頂きたいと思います。下の方にございまして、参考資料の3の3ページ目ですが、下の方に死亡データの利活用についてということが書いてあります。死亡データ、死亡統計の人口動態調査のデータは、それ自体が医療や公衆衛生の向上のために重要な情報であるが、というくだりでございますけれども、ここの決定事項ですね、これを受けまして今回の報告に繋がっております。
資料1の1ページ目の方に戻ります。頁をめくっていただきまして2ページ目になります。がん登録などの推進に関する法律の施行、平成28年1月1日に伴い、人口動態調査における死亡表について、全国がん登録にも用いられるように運用上の連携を図っております。また、厚生労働省、厚生労働科学研究において、諸外国における先進的な複合支援分析の事例調査や文献レビューを行っております。これも先ほどご覧いただきました資料3のやはり3ページ目にございますけれども、3ページ目のややページの下の方の中期的課題というところの2ポツ目の3行目のあたりに、複合的な要因を把握できるような分析がなされることが望ましいというようなことが述べられておりまして、これを受けまして今回の報告となっております。
4のその他に移ります。ICD-10対応、標準病名マスター、傷病名マスターについて2017年平成29年1月よりICD-10、2013年版に対応したマスターをリリースされております。また、2015年平成27年5月から2017年平成29年4月までの間に新規修正分2,068件についてICD専門委員会から120件の意見がありまして、51件の変更が反映されております。こちらからの報告は以上になります。

○ 永井部会長
ただいまのご説明にご質問、ご意見お願い致します。

○ 宇都委員
よろしいでしょうか。
今最後にご説明してくださいましたICD対応標準病名マスターとこのICD-10のその関係性ですが、私たちの病院からもどんどん標準病名マスターに追加してほしいということで要望を出して、標準病名マスターには掲載されている病名がICD-10のこの本体の方には反映していないものもあるということになるのでしょうか。

○ 事務局
お尋ねのありました標準病名マスターですけれども、こちらはもともと医療情報の連携を進めていくということで、この統計とは別に整備をされてきたものになります。ご承知かと思いますが、まず病名のリストがあって、そこにICDを付与しており、よく医療機関ではよくお使いいただいているかと思いますが、日本の医療現場に合わせて作られたマスターになります。このマスターの病名には、ICD-10に明示されていないものも確かにありまして、もし分類として入れる必要があれば統計学的な観点からWHOに提案をしていくというステップが必要ということになります。病名マスターというのは、医療機関が扱う病名リストがあった上で、それにICD-10を付けているというものになりますので、ICD-10にあるから入れるとかないから入れないとか、そのような関係にはなっていないものになります。

○ 宇都委員
そうすると今後、そのICD-10からICD-11に変更する時に、医療機関としてはこの標準病名マスターで認められたコードというのが実際あって、それを今度ICD-11に変える時にICD-11でははっきり言ってもうそういうものが反映していない可能性もあるというふうに考えていた方がいいわけですね。

○ 事務局
マスター上には現行のICD-10コードが付いているかと思うのですが、これをICD-11対応にすることに関しては、現在マスターを維持管理しているところで考えていかなければならないものと考えております。病名そのものがICD上に載っていなくても、疾病・傷害であればどこかに分類をされるはずですので、なんらかのICD-11コードが付くと。WHOでは、後程ご紹介しようと思いますが、分類と分類のマッピング、対応表を提供しておりますので、それを参考にしながら、この病名はどのICD-11コードに該当するかというのを検証していく作業が必要になってくるかと思います。

○ 宇都委員
ありがとうございます。

○ 永井部会長
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事の3に参ります。議事3、国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)の公表についてということでございます。事務局から説明をお願いいたします。

○ 事務局
それでは、お手元の資料2をご覧ください。ICD-11の概要について説明を致します。
スライド1になりますけれども、これまでの開発経緯をまとめたものになります。ICD-11は2007年に改訂作業の開始が発表されまして、以降WHOに組織されました専門分野別の部会などで、日本の専門家、団体も多く貢献して参りました。具体的には内科や整形、眼科、伝統医学分野の共同議長をはじめとしまして、メンバーとして多数貢献をしてまいりました。2016年東京にてICD-11の改訂会議が開催されまして、加盟国によるレビューが実施されました。我が国でも日本医学会や日本歯科医学会、ICD専門委員会等の意見を取りまとめましてWHOへ提出をしております。このような過程を経まして、各加盟国が自国での適用、導入に向けて準備を開始するために、本年2018年6月18日、ICD-11 version for implementationを公表されました。こちらは机上配布1にありますけれども、厚生労働省でも同日付のプレスをしております。WHOは2019年5月世界保健総会へ正式に提出する予定で、2022年にICD-11が発行されるというような説明がなされております。この発行という趣旨につきましては、WHOにおける公式な文章にてICD-10からICD-11へ移行すると聞いております。
スライド2になりますが、これは先ほどの参考資料2と同じ資料ですので割愛をさせていただきます。
スライド3にICD-11の主な特徴をまとめております。ICD-10が承認されましたのが1990年、それから約30年経っておりまして、多くの医学の専門家を中心としまして検討を経まして新しい知見が盛り込まれております。また、ICDが幅広く活用されている現状を踏まえまして、従来の疾病、死亡統計の国際比較に加えて、臨床や研究など様々な場面での使用を想定し、より多様な病態を表現できるようコード体系が整備されております。また、新たな分野としまして、伝統医学が導入されまして、その一つ目として日中韓の伝統医学、漢方医学が盛り込まれました。また、電子環境での活用を前提としましたシステムの構築が進められまして、ウェブサイトでの分類の提供やコーディングツールなどが開発されました。電子環境において多くの量の情報を扱えるようになり、病名コードだけではなく分類項目に係る説明や多数の病名など、たくさんの情報が追加をされております。
スライド4と5をご覧ください。こちらはICD-10とICD-11の構成を並べたものになります。以降のスライドにつきましては、本日の議論においてわかりやすく理解するために、WHOが公表した英語の原文を、ICD-10の訳語を参考にしながら事務局にて仮訳したものであり、この仮訳が決定というものではないことについてご承知おきください。構造全体は大きくは変わってはおりませんが、下線部の章が新しく追加、加わっております。コード数は約14,000から約18,000に増えております。
スライド6をご覧ください。具体的にいくつかご紹介をしたいと思います。まず、分類の詳細化として、例えばパーキンソン病を例示しておりますけれども、最新の知見を基に左側ICD-10、右側がICD-11と詳細な分類に変わっております。
スライド7をご覧ください。分類軸の変更としまして、例えば気管支または肺炎の悪性新生物に係る分類と例示をしておりますが、左ICD-10では解剖学的な部位を軸とした分類となっておりますが、左ICD-11では組織系を軸とした分類に変更がされております。
スライド8をご覧ください。以降、新しい章のご紹介をいたします。一つ目、免疫系の疾患としましてICD-10で血液や筋骨格系、外因にまたがっていたものを、ICD-11では免疫系の疾患としてまとめられました。二つ目、睡眠・覚醒障害になりますが、ICD-10では代謝疾患や精神及び行動の障害、神経系にまたがっていたものが睡眠・覚醒障害としてまとめられました。三つ目、性保健健康関連の病態としまして、精神及び行動の障害、腎尿路系、尿路生殖系の疾患にまたがっていたものが再構成されまして、性保健健康関連の病態に多くがまとめられております。四つ目、伝統医学の病態モジュール1としまして、日中韓の伝統医学が盛り込まれました。世界には日中韓の伝統医学だけではなく、様々な地域の医学があります。この一つ目として今回、日中韓の伝統医学、漢方医学が盛り込まれました。ただ、こちらの章に関しましては、WHOの説明文から抜粋をしておりますけれども、死亡報告では使用をしない、また、通常の医学的概念と明確に区別できるよう、この章の分類項目には右上にTM1と付されているなどの説明がなされております。五つ目、生活機能評価に関する補助セクションとしまして、ICDとは別にWHOが策定をしております国際生活機能分類、ICFの分類項目の一部が盛り込まれております。
スライド13をご覧ください。こちらは新設の章ではございませんが、脳卒中について大きな移動がありましたのでご紹介いたします。ICD-10では循環器系の疾患に位置付けられておりました脳卒中ですけれども、この分類項目が国際的な議論を経ましてICD-11では神経系の疾患に移動となっております。
スライド14をご覧ください。エクステンションコードとは、重症度や急性慢性と言った時間軸、原因となる菌や解剖学的部位など、横断的に用いられる情報をこの章にまとめましてコードを付加することができるようになっております。
スライド15をご覧ください。URI、ユニークIDと呼ばれるものになりますが、ICD-11では分類項目の下に多数の病名が例示をされております。より詳細な、分類よりもっと細かいデータを把握したいという時に固有のIDが付されております。
スライド16をご覧ください。こちらはWHOがウェブサイトにて公表しておりますICD-11の全体のイメージ図になります。左側をクリックしますと、左側に章のタイトルやカテゴリのタイトルがあります。それを一つ一つクリックしますと、右側に分類項目の情報が表示されます。上から1のICDコードと分類名、2下の方になりますけれども索引用語としまして、この分類項目に入る例示とて病名が多数入っております。34に分類項目の内容や範囲が分かりやすく理解できるような解説文が追加となっております。5に除外される用語が掲載されております。
スライド17をご覧ください。最後にICD-11のコード体系、コードになりますけれども、ICD-10と異なりまして、一桁目は英字と数字が並びます。二桁目に英字、三桁目に数字、四桁目に英数字といったようなもので、ICD-10とは見た目が異なるようなコード体系となっております。
最後にスライドの18をご覧ください。WHOはICD-11を継続して今後もアップデートをしていくことを予定しておりまして、内容によって頻度が異なるということの説明がなされております。例えば、索引用語の追加などは1年毎、国際報告に影響の大きい変更については5年毎、疾病や死亡統計に影響のあるルールの変更は10年毎というような説明がなされております。資料の説明については以上になります。

○ 永井部会長
ありがとうございます。大変膨大な改訂がされておりますがいかがでしょうか。
全貌を分かっていらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

○ 事務局
どこまでが全貌かというところですが、日本の専門家、内科や外科、眼科など、多数の専門家がこれまで10年にかけて携わってきたということがありますので、かなり多くの先生方がICD-11について理解されているかと思います。ただ、ご自身の専門分野には詳しいけれども、全体としてはというところはあるかと思いますので、我々としてもわかりやすい説明をこれからもしていきたいなというふうに考えております。

○ 永井部会長
今村委員どうぞ。

○ 今村委員
ご説明で十分理解できなかったところをもう一度繰り返しお願いしたいと思うのですが、資料の5ページのICD-10とICD-11の対照になっているところで、最後の26章以下の三つのこの取り扱いというのはどのようになるかもう一度ご説明いただけますか。伝統医学の所と生活機能評価に関する部分です。

○ 事務局
まさしくこちらはICD-10にはなかった新しい章であり、概念になります。WHOでは、伝統医学は1章から続く26章として並べておりますけれども、まず死亡統計には使用しないというような説明がなされております。ただ、疾病統計や研究の場であ使用することを想定してこちらに載せておりまして、使い方としては任意と申しますか、国や現場に任せられているというようなものになります。生活機能については切り口が違う分類ですので、ICDそのものとは軸が異なります。WHOは、従来から健康や保健のデータを包括的に集めていくというような構想を元々お持ちでして、その際にはICDやICFなど様々な分類項目を使っていきたいというような構想が以前からありました。その先駆けとしまして、ICDはまさしく疾病や外傷の分類ですけれども、それを違う軸から人の健康や保健を、データとして記録していく際に補助的に使うものとして生活機能評価が導入されたと聞いております。従いまして、こちらも任意で使っていくものと理解をしております。エクステンションコードも任意になりますけれども、これは横断的に第1章から26章までの疾病や外傷のコードに情報を付加し、多様な病態を表現していく際に必要なものをまとめたものですので、これは研究の場などではよく使われるのではないかなと想定はしておりますけれども、こちらについても任意という理解でおります。これも国によってどこまでエクステンションコードを使うのかというのは、裁量に任せられていると理解しております。

○ 今村委員
任意ということはその医療現場でたとえば伝統医学に従事されている先生たちはこのコードを使っていろいろデータを採っていくと。それ以外の方はまったく使わない方は使わないというそういう意味での任意ということでよろしいのですよね。日中韓がとりあえずは今ここにWHOの中にこういう26章がたった。他の国はそれぞれ個別の伝統医学を持っていて、じゃあうちの医学はこれを入れてください、うちの医学はこれも大事ですというふうにして、どんどんこのICD-11の中身が変わるっていう理解でよろしいのですか。先ほどのご説明だとこれからもこういうものが広がっていくという話だったのですけれども。

○ 事務局
これまでの開発の中で、この伝統医学につきましては、現在モジュール1で漢方医学が入っておりますけれども、モジュール2、モジュール3として、例えばインドのアーユルヴェーダであったり、アフリカの伝統医学であったり、様々な医学というものが世界に存在するということをWHOは認識をして、それを追加していきたいとの説明がなされております。まさしくこれは任意というものでして、ICDそのもの、ICD-11の目的として公的な統計だけでなく、研究の場でも使えるように様々な分野や病態に対して準備したいという思想がありましたので、このような任意の内容が入り込んできているというふうに理解をしております。

○ 今村委員
そうすると将来的にも何かこれを死亡統計に使うなんてことはもちろんなくて、各国世界標準としてのICDというものがあるけれども、それぞれの各国個別のいろんなデータを採れるようにこの別の章立てでこういうものがこれからどんどん増えていくというそういう理解でよろしいでしょうか。

○ 事務局
ICD-11がICD-10と異なる点として、まさしく国際比較するような公的統計を主眼にしたものから少し活動の場を広げて、いろんな現場で使っていただくことを想定して開発されてきました。伝統医学でデータを集めていただく場合には、この章を使っていただくと国際比較がしやすくなり、データを標準的に集めやすくなるということでWHOが整備をしたというものになるかと思っております。

○ 今村委員
ありがとうございます。

○ 永井部会長
他にいかがでしょうか。
むしろ次の日本への適用のところでいろいろご意見が出るかと思いますので、そちらでさらに議論を深めていただければと思います。
それでは議事の4、ICD-11の日本への適用についてということで事務局から説明をお願いいたします。

○ 事務局
それでは、お手元の資料3-1をご覧ください。このICD-11が公表されたことを受けて、日本への適用についてということで、事務局で作成した案になります。
まず、ICDの位置付けを改めて確認をいたしますけれども、ICDにつきましては、我が国では統計法に基づく統計基準として、ICDに準拠した「疾病・傷害及び死因の統計分類」を告示にしまして、統計法に基づく統計調査に使用をしております。並行しまして資料の3-2もご覧いただきたいと思いますが、資料3-2に告示改正の流れというものを示しております。現在この本部会、ICD部会になりますけれども、告示改正の諮問答申をこちらのICD部会ですると考えております。統計分科会の下、ICD部会で諮問答申を行いますが、専門的な個別分野の内容に関しましてはICD専門委員会の方でも議論をしまして、その報告を踏まえてICD部会で答申をしていく。厚生労働大臣に答申をしました後、統計法自体は総務省の管轄になりますので、総務省統計委員会で審議を行いまして、こちらでも諮問答申を行いまして、告示の改正に至るというような流れになっております。具体的に告示とは何かというところですが、机上配布資料3をご覧ください。こちらは平成27年2月13日付の官報で、ICD-10の2013年版を告示改正したものになります。最初は告示についての説明がなされておりまして、2ページ目から一部抜粋ということで告示のイメージを掴んでいただければと思います。ICDコードと分類項目のタイトル名が並ぶといったようなものになります。これは基本分類と呼ばれるものでして、WHOが示した基本的な一番細かい分類が並んでおります。告示にはこれと併せまして机上配布資料の4をご覧ください。こちらは日本の統計として、基本分類ではかなり細かすぎることから、公的統計において表章する際に使う分類として疾病分類表、大中小分類、及び死因分類表というものを告示しております。こちらは基本分類を基礎としまして、例えば一番上のA00からB99をまとめて感染症及び寄生虫症というような大分類にまとめるといったような形で、ある一定の範囲をカテゴライズしまして、わかりやすく傾向を把握するための分類になります。大中小とありますが、大が一番大きくて小になるともう少し細かい分類になっていきます。死因分類表に関しましても同じようなものになります。基本分類、そして大中小の疾病分類表そして死因分類表がICD-10の告示となっております。
それでは資料3-1にお戻りください。これから日本適用にあたっていくつか検証しなくてはならない論点といったものを事務局で挙げさせていただきました。まず一つ目に2.1とありますけれども、告示対象範囲および和訳対象範囲とあります。このICD部会は、まず告示内容について審議の対象となっておりますので、まずそもそも告示対象をどこまでとするかというのを決める必要があります。ただ、統計を運用として動かしていくためには、今見ていただきました分類名だけの告示だけでは不十分で、分類項目以外の情報というのも必要となってきますので、少し幅広い範囲で和訳というものを進めていくということも必要かと考えております。従いまして、この告示対象および和訳対象範囲については、範囲がきっちりと固まっておりませんけれども、まずは優先的に行うもの、そしてそれ以降に対応を検討するものということで候補を挙げさせていただきました。
一つ目はICD-10で告示内容に該当します死亡・疾病統計分類の分類項目名、章ブロック名を含めて約32,000あります。また、この分類項目の下にぶら下がります索引用語、こちらは分類名を含んで約10万語というふうになっております。三つ目にICD-10では第2巻の総論に該当しますレファレンスガイドというものが同時に公表されております。また、この電子環境で使っていくために、ウェブサイト上のユーザーガイドやインターフェイス上の情報も和訳をしていく必要があるということで挙げさせていただいております。この優先的な事項の次に対応を検討するものの候補としまして、例えば分類項目の解説文や、ファウンデーションと呼ばれる別の分類体系に含まれるその他の情報を挙げております。2ページ目に進んでいただきまして、このICD-11の告示につきましては、死亡・疾病統計分類の分類表を基本と考えておりますけれども、例えば、第V章の生活機能評価の補助セクションや、X章エクステンションコードなどICD-10の取り扱いとは異なる分類項目も盛り込まれております。WHO等からの情報収集を今後も進めつつ、分類項目の取り扱いや和訳を確認した上で、改めて告示範囲について検討してはどうかと考えております。
二つ目になりますが、分類の利用環境の整備です。統計を運用していく、そしてここの審議の対象は統計になりますけれども、ICDが統計以外でも活用されているような現状も踏まえまして、利用するような環境を整備していくことも重要と考えております。一つ目にICD-11のウェブサイト、また分類項目レベルのエクセルファイルがWHOから提供されておりますので、こちらについても提供は出来るような環境。また、コーディングツールと申しましてICD-10では索引と呼ばれる本になっておりますが、これが電子的なウェブサイト上で用語が検索できるシステムがあります。こういったツールも活用出来るようにしてはどうかと考えております。その他提供されているものが諸々ありまして、先ほど申し上げましたICD-10とICD-11のマッピングというものもWHOで提供されておりますので、そのファイルも日本語でも使えるようにしてはどうか。また、WHOから現時点では提供されておりませんが、トレーニングツールというものがWHOの方でも提供したいと言われておりますので、これが提供され次第準備してはどうかと考えております。また、紙媒体に関しましては、現段階ではWHOからは未公表となっておりまして、この取り扱いをどうするかといったものが一つの論点であるかと思います。WHOでは、まず電子環境での活用を前提に多言語対応であるICD-11のウェブサイトを提供しておりますので、ICD-11の和訳を作成し、ウェブサイトに登録していく、オンライン上で使用できるようにしてはどうかと考えております。また、その他のツールや書籍等の取り扱いについては、WHOが提供する内容などを踏まえまして検討してはどうかと考えております。
参考としまして、資料3-2を合わせてご覧ください。説明を先に申し上げてしまいましたが、資料3-2のスライド2が、先ほど説明をしましたICD-11の分類項目の中の情報になります。スライド3は、こちらファウンデーションと申しまして疾病・死亡統計用に表示される情報のほかに、基盤情報として裏に様々な情報を有しておりますので、こちらも参考に掲載をさせていただきました。スライド4になりますけれども、こちらはWHOの方でシステムを提供しております翻訳プラットフォームになります。多言語対応が出来るということで、こういったプラットフォームで、裏で用語に対する日本語を入力していくと、表でも日本語で見られるようになるというような仕組みになっております。スライド5はレファレンスガイド、ICD-10でいう第2巻の総論になります。これは従来からあります死因選択のルールや、ICD-11のコードの表記方法、用語の解説といったものがあります。スライド6枚目になりますけれども、マッピングテーブルになります。これはエクセル形式で提供されておりまして、ICD-10とICD-11の対応、またICD-11からICD-10に対する対応といったものが提供をされております。
それでは、資料の3-1にまた戻りまして説明を続けたいと思いますが、3ページ目3つ目に疾病分類表、大中小分類及び死因分類表の見直しというものを挙げております。我が国では、先ほどご紹介しました基本分類の他に基本分類を集約した形での疾病分類表や死因分類表を定めておりまして、公的統計の表章で使用しております。このような分類表については、推定患者数を基準に疾病分類表を策定、また死因分類表については、死亡数や社会的重要度を考慮して設定をされております。今後ICD-11を導入していくにあたっては、日本における疾病構造の変化やICD-11の変更点を踏まえまして、疾病分類表及び死因分類表の見直しを検討してはどうかと考えております。見直しに当たっては疾病構造や国際比較の可能性、現在の分類表の継続性といったもの、また横断的なデータ利用に配慮して整合性や公的統計で使用されているその他の統計表などを考慮してはどうかと考えております。日本で適用していくにあたって、このような論点を挙げさせていただきましたが、是非先生方からご意見を頂きたいのと、この論点を念頭に先ずはICD-11の和訳というものを進めたいと考えております。和訳につきましては、専門的な内容になってきますので、日本医学会や日本歯科医学会等々と連携をいたしましてICD専門委員会において案を作成し、来年5月WHO総会において提出されるICD-11を確認した上でICD部会に諮りたいというふうに考えております。
4ページ目にスケジュールを示しております。これはあくまで現時点での予定として示したものになります。本日ICD部会を開催しておりますが、方針について先生方からご意見を頂きましたら、秋以降ICD専門委員会を開きまして、和訳方針について詳細に確認をした上で日本医学会、日本歯科医学会等への和訳の依頼をしたいと考えております。来年WHO総会での承認されたものを確認しまして、厚生労働大臣から社会保障審議会へ諮問を頂き、ICD部会そして個別には専門委員会において和訳の検証や取りまとめをしたいと考えております。またその他にICD-10からICD-11の変換表や、疾病分類表、死因分類表の作成といったものを考えておりまして、これらの作業は情報量が多いということもありまして、1年2年というものを念頭に置いておりますが、作業の効率化を進めれば短く、調整が長引けば少し長くなるかと考えております。このような取りまとめを経まして厚生労働大臣へ答申しましたら、総務省での審議を経まして告示改正、周知を経まして施行といったような流れで考えております。
併せて和訳の方針について説明をしたいと思います。資料の3-3をご覧ください。詳細につきましては専門委員会の方でも議論を頂きたいと思いますが、大きな方針としまして、この場で先生からもご意見を頂きたいと思います。和訳に当たっての基本方針としまして、こちらは事務局としての案になります。一つ目、ICD-11の分類全体に共通する定型的な用語は一貫性のある和訳としてはどうかと考えております。二つ目に、直訳がふさわしくない、または一般的でない場合は意訳を検討してはどうかと考えております。ただ、ICD-11の原文が基本であり、意訳をあてる場合はとくに一貫性があるかどうか配慮する必要があるかと考えております。また、分類名そして病名といったものは社会的にも大きな影響があると考えており、その方面についても考慮する一方で、用語の概念や範囲が変わらないよう十分に配慮していくということが必要かと考えております。三つ目に、訳語が複数ある場合は同意語として追加していくことを検討してはどうかと考えております。4つ目に直訳が臨床現場等で使用されておらず、翻訳することがかえって混乱を招く可能性がある場合は、無理に日本語にするのではなく、英語のまま残すということも検討してはどうかと考えております。参考を下に載せておりますけれども、英語、例えばcertain, other specified, unspecified、このようなものは一貫的性をもって和訳してはどうか、またdisease, disorder, condition、これらも日本語にすると様々な訳が出てくるのですが、なかなか一対一にならないようなものもあります。こういったところを、全体の整合性を持って和訳するにはどうしたら良いか、また、社会的影響を含めてどういったバランスを取っていけばといったところを検討していくことになるかと思います。二つ目の例としましては、これは上皮内導管癌の訳になりますけれども、一般的には非浸潤性乳管癌が使用されているということで、意訳を検討してはどうかということの例示として挙げております。2ページ目に移りますけれども、例示としまして地方性非性病性梅毒には同義語がいくつかあるというような例示を示しておりますけれども、日本語にしづらいものについては無理にカタカナ語にせずに、英語のまま残すことも検討してはどうかと考えております。このようなものについては、書籍ベースでは出来なかった難しいことでありましたが、電子環境であればこのようなものについても効率的に情報を残していってはどうかと考えているところです。大きな二つ目としまして、既存の訳語との調整についてです。一つ目にICD-11の既存訳を踏襲するか見直すか、また表記方法、例えばICD-10ですと山括弧を利用した代替用語というのを使っておりましたけれども、電子的に用語を検索する際は、山括弧があることで難しくなることもありますので、このようなものも見直してはどうかと考えております。また、二つ目になりますけれども、用語としましては日本医学会医学用語辞典、また各学会がまとめている用語集といったものもあります。このような学術的な用語との整合性にも配慮をして仮訳作成の際の参考としてはどうか。また三つ目に、標準病名マスターが日本の医療機関、現場ではよく使われておりますので、用語の使い方も参考としてはどうかと考えております。資料の説明については以上になります。

○ 永井部会長
いろいろと影響が出そうなお話がありましたけれども、いかがでしょうか。

○ 林委員
細かいことから大きなことまでいろいろと質問があるのですけども。

○ 永井部会長
手短にお願いします。

○ 林委員
はい、手短に。まず、ウェブについて、WHOのサーバーの中に日本語版ができるのか、それとも厚労省の中に何か作るのかということが1点と、それから、告示について今回すごくコードが多くなるので、それが本当に告示に何百ページもある様なかたちになるのかどうか、そして、それから先ほどのご発言とも関係すると思うのですが、告示には入れないが日本語訳を付けたほうが良い部分があるかということを、おいおい決めていった方がいいなと思うこと、その際に、やはりICFの専門委員会もありますし、このⅤ分類については是非やはり日本語化をして、告示に載せるかどうかということはまた検討するとしても、やはり日本語訳をつけて頂きたいなというふうに思います。
それから、日本語訳を作ってから実際に使われるまでにはまだ時間があると思うのですが、諸外国ではコード化のやり方が変わる度に前のコード化と今のコード化を同じ死亡個票を使って、それぞれコード化してみてどのぐらい変化が出たかという検証を、かなり大きなサンプルで行い、ブリッジングリポートとして作成しているので、そういうことについても日本でもおいおい対応していって頂きたいなというふうに思いました。
それから、ドクターに対して死亡診断表の書き方マニュアルに、どこまで反映させるか、ICD-10を入れたときには、その前に心不全とは書くなということでガクッと、死因データが変わってしまったということがありましたので、そういったようなことが今回あるのかどうか。あとは死因分類表について、おっしゃられましたけれども、過去から時系列の死因変化を分析するための死因年次推移分類表など、そういったものもきちんと見ていったら良いだろうし、あとは国際比較が可能になるように、例えばガンは部位別に分類表項目とするようWHOは言っていますが、日本はひとつにまとめているとか、そういったところもどのように摺合せをWHOとしていくのかとか、今後検討していっていただければ良いなというふうには思いました。以上です。

○ 永井部会長
事務局いかかでしょうか。

○ 事務局
まず、一つ目のウェブサイトの件ですけれども、WHOでは英語の原文を載せ、そこに裏で日本語や韓国語、中国語やアラビア語など入力するプラットフォームを用意しており、そこに翻訳を入れていくと、自動的にその語でウェブサイトが見られる仕組みを準備しております。現時点では、日本語を裏で入力して、WHOの準備しているシステムに我々がアクセスして見るということを想定しております。日本で別のサーバーやシステムを用意するということはひとつの案だとは思うのですけれども、せっかくWHOがそのようなシステムを準備してくださっており、世界各国からアクセスするとかなり負荷がかかるのではないかとの心配はあるのですが、いまのところそこは大丈夫とWHOも説明しているので、現状ではWHOに直接アクセスすることを考えております。ただ状況が変わってきましたら、その都度検討をしていくということは大事な視点かというふうに考えております。
二つ目の告示につきましては、ICD-10は今14,000語くらいでICD-11になると18,000語くらいになりますが、資料2に戻っていただきまして、資料2の5ページをご覧いただけますでしょうか。ここにコード数を見せておりますが、これは1章から26章のコードが18,000。V章は100くらいでX章とあわせて14,000くらい。18,000の外側に14,000があるというような状況です。現時点で14,000を告示にしており、長い告示であるのはICD-10でもその通りですので、これを18,000語に増やすことは大丈夫かと考えております。ただし、告示に載せる意義や統計分類になるということでの視点に鑑みてどこまでを告示するかという議論は必要かと考えております。先ほど申し上げましたように、告示の意義に照らしてどこまでを範囲とするか、告示にならなくてもICDとして、統計分類だけではなく様々な現場で使うということをWHOは想定して開発をした経緯がありますので、そういったところも視野に入れながら、日本語化の範囲についてはもう少ししていくということがあるのであれば、その範囲をこのICD部会やICF専門委員会でもご議論をしていくことが必要かと考えております。さらに、ICF専門委員会の方でもご意見をいただくことが必要かと考えております。
ここで一回切った方がよろしいでしょうか。まだあるかと思いますが。続けてブリッジコーディングに関しましては、ICD-10からICD-11でどれくらい影響があるか見ないといけないなと思っておりまして、告示や統計に適用する前段階で出来るものと、適用したあとにできるものと二つあるのかなと思っております。全部やるとかなり大変な作業になると思いますが、海外の情報も集めながらサンプリングや、適用した後の検証や、先生方にもご意見をいただきながらしていきたいと考えております。
心不全の例を挙げておりましたが、現時点では、死亡統計に大きく影響を与える様なルールの変更はないと聞いております。ただ、先ほど申し上げたように、分類の軸が変わるなど細かく見ていくとあるので、今まで、採れていたデータが採れなくなったり、逆に採れるようになったり、分類の軸が変わるとデータの継続性を確認する必要があるのかなと思っています。このような細部の検証については、和訳をしながらそのような論点を挙げていくことになるのかなと考えております。時系列に関しましても、そのような分類が細部でどのように変わっていくか、大中小、死因分類として集約したときに継続性が保てるのか、もしくは新しいものとして捉えるべきなのか。これから具体的なものをもって本部会や専門委員会でご審議をしていきたいなと考えております。

○ 永井部会長
今村委員

○ 今村委員
確認ですけども、先程の資料の3-1ですか、優先事項これからの検討のどの範囲を告示にするかっていうのをこのICD部会で決定するということでよろしいのでしょうか。

○ 事務局
告示に関しましてはここで決定いたします。

○ 今村委員
そうすると、改めて告示の意味っていうか意義。これ法律みたいのものですよね、その中に書き込むっていうことの意味というのは、何に重きをおいて告示をするかどうかというのを決めることになるのですか。

○ 事務局
まず、その告示そのものの説明で重複になってしまいますが、机上配布資料3が告示になります。こちらの冒頭の説明になりますけれども、こちらに総務省告示第35号とありまして、統計法の規定に基づき法第2条に規定する統計基準としてこの分類を定めますとなります。この統計基準に定められますと、公的、いわゆる国や都道府県、自治体などが作成する統計はこの基準によるということになりますので、公的統計にかかる義務であり、公的統計に関してはこの統計基準を使ってくださいというものになります。

○ 今村委員
そうだとすると、まず先ほどのところで私が伺った26章は、死亡統計には使わないというのがWHOの考え方だとすると、そういうその死亡統計にも使わないものを告示に載せるのかとそういう話しになりますよね。その辺がいかがでしょうか。その先ほどのコード数が、ICD-10の14,000から11では18,000まで26章で増えているということですけれども、告示についてはできるだけ必要最低限のものにしないと、ものすごく膨大な量にどんどんなっていくわけですから、その辺の整理も必要だと思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○ 事務局
まさしくご指摘は重要な点でして、公的統計でこの統計基準を使っている大きなものの一つは人口動態統計、死亡統計になります。ただ、公的統計はその他にもありまして、患者調査と言われる疾病統計もあり、他の省庁でやっている疾病関係に関する統計についてもこの統計基準を用いております。死亡統計がかなり大きな統計の一つではありますが、他の統計についても少し視野にいれながら告示の単位、範囲というものを議論させていただければと考えております。

○ 今村委員
優先事項ではあるけれども、何を告示にするのかというのは今後のまだ議論、これからの議論だという理解でよろしいでしょうか。

○ 事務局
今回はまず、論点を示させていただいただけで、和訳をしていくと我々も気づいていない論点というのも出てくるのかなというふうに考えておりまして、和訳もかなりボリュームがあるので、最小限にと思うのですけれども、そうは言っても告示の範囲を決めるためにはそうではないところも少し和訳に手をつけながら審議をお願いしたいと考えております。次の部会なり、次次の部会に、和訳の作業の過程で出てきた論点を含めて皆様にお示しながら、まさしく告示の範囲をどのようにするのかご意見を頂きたいなと考えております。

○永井部会長
康永委員。

○ 康永委員
私、普段ICD-10コードを日常的に使っているものですから、ICD-11の改善も非常に重大な関心を持ってウォッチングをしておったのですけども、やっぱり疾病統計の要素もだいぶ入ってきたというふうに思います。もともとは死因統計ですけれども、普段私もDPCデータとか臨床研究で疾病統計として使いますので、そういった意味ではICD-11でWHOの考え方からするとやはりその疾病統計の要素というのをかなり入れてきた感じがしますので、26章もそうだと思うのです。告示に入れるかどうかというのは別途議論が必要と思いますけども、考え方としては、疾病統計を重視という考え方があって、翻訳についての一つだけ意見ですけども、私ICD-10を普段使っていてですね、既存の訳について特段不便を感じたことはあまりなく、大変既に良い訳だと思っておりまして、ICD-11で、例えば分類の軸を変えているところとかは、重点的に和訳し直す必要があると思うのですが、多くの部分はそんなに変わってないですよね。ICD-10とICD-11とで。ですから、ここにICD-10の既存訳と表記方法も含めて見直しを行うというふうに書いてあるのですが、どういった点を見直しが必要とお感じになっているでしょうか。僕はあまり必要ないと思っているのですけども。

○ 事務局
もちろん、既存訳がこれまで慣れ親しんだものであり、30年くらい使われてきたものも踏まえてと考えております。具体的な例をここでお示し出来なくて申し訳ないのですけど、それでも、直訳になって分かりづらいものというのも確かにあると聞いておりますので、そのような点は少し見直しても良いのではないか。一方で、先生方が慣れ親しんでいるというものもきっとあるかと思いますので、バランスを持って専門委員会でも議論していきたいなというふうに考えております。

○ 康永委員
具体的な作業としては、専門委員会の先生がやられると。この部会としてはそれを承認というかそういう感じですか。

○ 事務局
そうですね。すべてをまたここで確認していただくというのは、かなり膨大な作業になってしまいますので、最終的な承認をこちらでしていただきたいと思っております。その時には、我々の方で主だった変更や考え方を整理した上で、先生方に説明をしていければと思っております。ただそういった時に、先生がおっしゃられたように、事前に注意して欲しい視点や、こうしたところは考慮してほしいというものがあれば頂けますと、和訳の際に我々も気をつけていきたいと思います。

○康永委員
さっきも申し上げたのですが、分類の軸が変わっていて考え方が全然変わっているところは重点的に注意して、他はさほど注意はいらないじゃないかなというところです。

○永井部会長
いまの点はこの部会の委員が問い合わせをすれば、進捗状況や和訳について意見を申し述べることはできるのでしょうか。

○ 事務局
そうですね。随時こちらの事務局にお問い合わせいただけましたら、事務局の方で各学会と和訳のやりとりしていくことを想定していますので、その都度お問い合わせいただけたらお答えをしますし、もし調整が難航して長引くようであれば、節目節目でこの部会も開いて、中間的な報告というのも考えていかなくてはいけないのかなと考えております。

○ 永井部会長
宇部委員

○ 宇都委員
これがICD-11に変わるときに、私、疾病統計とか死因統計だと思っていたんですけど、結局、臨床現場が大きく変わると思うのですが、影響ということで前回ICD-9からICD-10に変わるときは、まだ電子レセプトじゃなかったので、レセプトを、提供をするときに漢字名称で良かったものですから、レベルアップの時にシステムレベルアップに合わせて各医療機関はICD-9からICD-10に変わって、その間のその統計はICD-9からICD-10へはほとんど手作業でやれていたのです。だけど今回、もう電子レセプトになっていますし、いくら統計とはいえこの標準病名マスターとか、そういうものも必ず影響受けますよね。ICD-11でということになると病院としてはある年に一斉に変えないといけないというそういうタイトなスケジュールの中で乗り換えをしないといけないということになるのでしょうか。出来るのかなというのが少し恐ろしくなって、桁数も違うからシステムかなり影響を受けるなと思って。

○ 永井部会長
それは覚悟の上でやらざるを得ないのではないでしょうか。
いかがでしょうか。

○ 事務局
マスターを維持管理しているところは、統計とは別なところになりますが、我々もマスターが医療機関に与える影響は大きいと認識しておりますので、事前に情報提供しつつ、医療機関の現場でのご負担もありますでしょうし、そのようなことを考慮しながら切り替えのスケジュールを組んでいただく必要があるのかなと考えております。

○ 宇都委員
康永先生がおっしゃるように、これはもう国としてWHOに従わないといけないので、覚悟を決めると思うのですが、例えばうちは診療情報管理士がまたいるので多分そういう人たちの力を借りればそこまで混乱はないと思うのですが、全ての医療機関がほぼ電子レセプトですから、そういう診療上管理士さんとか、専門的にやってくださる人がいない医療機関というのが多分大変じゃないかなという気がいたしました。

○ 永井部会長
いかがでしょうか。はいどうぞ。

○ 林委員
今の点ですけれども。国としてWHOに従わなければいけないっておっしゃられましたけれども、やっぱり日本は日本であるので、これはここのところは違うとか、そういったことは別にあっても良いと思いますし、それをWHOに提言するなどすればよいと思います。例えば職業分類は日本の職業分類として決めていて国連の分類をそのまま取り入れるとはしていないように決めているものもあります。それと事前に聞いていたのですが、そのマスターとICDとの対応は、もうマスターを作る側にお任せするというそういった対応もあるというふうに聞いていまして、ただ、やはりその医政局なり、あとは保険局なりそういったところとの、もう少しシステマティックな連携の場をもったほうがやはり良いのではないかなというふうに聞いていて思いました。

○ 永井部会長
はい。

○ 事務局
ご指摘の点は、我々も重々認識をしておりまして、統計の世界でマスターを使うということではないのですが、医療機関にかなり大きなご負担もありますし、影響が大きいというのは重々承知しておりますので、関係する局とは常に情報を共有しながら、連携できるところがあれば連携していきたいと考えています。

○ 永井部会長
はいどうぞ。

○ 今村委員
私のところのように、診療所は10万くらいあるのですが、先生のような大きな大学病院だとかそういうところはまさしくICD-10、ICD-11で病名をレセプトでも入力をすることになるのでしょうけれど、私の所のような診療所では正直、保険もいわゆるレセプトの病名と必ずしも連動してなくて、電子化はされているけれども手で病名入力していきますから、自分で入力した病名がこのICD今現在だとICD-10に一致したものかどうかなんていう確認は誰もほとんどの診療所ではしてないと思うので。そういうふうにレセコン自体が例えばこういう病名って入れたら、ICD-10の病名が出てくるような形にはまったくなっていませんので、別々に保険で何か認められないなんてこともないので、現実的にはこういう国際的な分類と、臨床現場で病名を入れているのとまったく乖離しているではないかなと思うのです。その辺いま保険局との連携ってお話もあったのですが、将来的になにか一緒にしていくっていうような方向性をお考えですか。

○ 事務局
現場でのお話に関しては具体的に何かあるものではありません。先生がおっしゃる通り、医療機関の現場では、ICDコードを入力されているわけでなく病名を入力されていて、裏でそのマスターを使って病名をコードに変換しているのではないかと思います。保険診療ではICDコードが必須というものではなく、病名が基本かと思いますので、ICDの変更が影響するということではないのかなと思います。ただ、裏で変換して病院の中で集計をして、研究で使われているとなると、ICD-10からICD-11の移行に伴う影響は出てくるのかなと考えております。

○ 永井部会長
はい、他にいかがでしょうか。

○ 中釜委員
私自身はICD-10、ICD-11には詳しくないのですが、ICD-11の中で例えばエクステンションコードのように、その中に病理分類や、その新コードがあります。病理分類に関してもICDO-O-3の今後の転換ではICD-11を意識したユニバーサルな対応表を作ろうとしています。そうするとグローバルな観点からその疾患の分類、病態の把握という意味で、ある程度その国際基準に従う必要性があるのではないか、それと現場の問題は少し分けて考える必要があるのではというふうに少し感じました。現場を踏まえた上でこのグローバルな視点というのはある程度従う方が、従いながら取り入れていくのが良いのかなというふうに感じました。

○ 永井部会長
これはがん登録のシステムにも影響はありますでしょうか。

○ 中釜委員
おそらくあると思いますね。

○ 永井部会長
他にいかがでしょうか。矢冨委員どうぞ。

○ 矢冨委員
さきほど和訳の基本方針を4つまとめていただきましたが、それは基本的にはICD-10の時と同じと理解してよろしいでしょうか。それとも新しく何か加わったことはあるのでしょうか。

○ 事務局
実はそのICD-10の作業自体は30年以上前で、詳しい資料が残っていないっていうところがありまして、ICD-10の時どうだったか定かではないのですが、これまでに見聞きする中では、英語に忠実な訳語をあてているのかなと思っております。そのような点では意訳や英語のまま残すというような方針は新しい案になっているのかなと思います。これらは、電子的な環境で用語管理ができるということを考えて、こういう方が使いやすいのではないかということでの提案になります。

○ 永井部会長
はい。

○ 川口委員
私は歯科医師です。この会議でいまさら言ってもおかしいと思いますが、そもそもICDの分類の中では、歯や口腔領域の疾患は最初の章立ての表には出てなくて、消化器系の疾患の中に位置付けられています。よく一般の人から、「目や耳の疾患は独立して章立てされていますが、歯って別なところに分類されているのですか?」と聞かれる場合があります。もともと世界基準の分類の中で歯科というのがあまり大きな分類として出ていないこと、また、これまでもそういう意見がでてこなかったのかなと思いました。ここで話し合うものではないとは思いますが、いつも不思議に思っておりました。
それから、例えば歯周病を取り上げた場合に、これまでは初期の段階と非常に重症の場合のように、歯周病を重症度で分類することができませんでした。いろいろ全身の他の病気と歯周病との関連をみたい時に、初期の軽い症状のものから全身の病気に影響があるぐらいの本当に重傷なもの、歯周病とを、重症度で分けられるようになることはよいと思いました。以上、質問と言うよりは意見を述べさせて頂きました。

○ 永井部会長
実際に伝統的に日本で行われている統計調査に使えるように、これを活用すれば良いのだとは思いますけども。いかがでしょうか。

○ 中釜委員
関連してですが、このICD-10の改訂の際に、改訂委員の中に日本のメンバーを入れていくって動きはこれまであったのでしょうか。日本の現状を把握するようなメンバーの参画はなかったのでしょうか。

○ 事務局
ICD-11の改訂組織の中には日本から個別の専門家の先生方が多数入っております。例えば内科学分野や、眼科、整形、伝統医学、精神など、各個別の専門の先生方が多数参加されてきた経緯はあります。

○ 中釜委員
そういうところで議論すればいいのではないかと思うのです。少し気になったのが、例えば今後細かい点では病理分類とのリンクの時に、日本でいう上皮内がんの取り扱いが大きく異なるところがあるみたいですので、そういうところでも日本の意見を言えるようなところというのは、今後是非検討していただければというふうに思います。

○ 事務局
ICD-11の開発に携わった組織は解散になり、組織変えがありまして、これから維持管理のフェーズになります。最初に説明しました審議過程には、協力センターとして日本が参加していけますので、例えばそういった改正提案については、WHOに随時意見を提出していくことになるのではないかと思います。先ほどの歯科の話も、新しく章立てという議論は国際的な議論としてはあまり聞いてはなかったのですが、例えばそういう提案というのも一つの候補としてありえるかもしれず、WHOの中で審議をしていただくことになるかと思います。ただし、大きな影響になるかと思いますので改正時期も合わせての議論になるかと思います。あとは国内での使用に際して、先ほど申し上げた大中小の疾病分類表や死因分類表で、例えば歯の部分を取り出していただくなどの使い方もあるのかなと思います。

○ 川口委員
消化器系の疾患の中に歯、口腔の病気が組み入れられていて、歯は食べ物を細かく噛み砕くということでわかるのですが、歯周病が消化器系の疾患の中に分類されているので、どうしてだろうとずっと個人的に思っていたので、意見を出させていただきました。

○ 永井部会長
これは、伝統的に法医学とか死因分類の方から、病理学的な分類が始まったというような印象がありますね。臨床の分類とは少し違う流れの中できて、それが今になって臨床的な概念を取り入れようとしているということではないかと思います。

○ 新村委員
一つ質問したいのですが、日本における疾病構造の変化とか、ICD-11の変更点を踏まえて分類表を見直すっていうことですが、その変更点を踏まえるということはよく分かるのですが、疾病構造の変化というのは具体的にどういったことを意味しているのか伺いたいと思います。先ほどご意見にあったように、心不全の部分が変わってしまうとかそういうことがないように、継続性を保たなければいけないということがあって、これはICD-11自体にそういった問題がないにしても、日本のその疾病構造の変化ということで何か分類を変えて、そこの継続性が保たれないということもまた困るので、何かICD-10の時とICD-11の時と比べて疾病構造の変化というのは何か意味をもって書いてあるのか聞きたいと思います。

○ 永井部会長
今の点、特に影響が出るのはたぶん脳卒中だと思います。循環器疾患が減って神経疾患がこれから死因として増えるという図になると思うのですけど、その辺はうまく従来の分類と連続性を持たせるようにすべきと思うのですがいかがでしょう。

○ 事務局
疾病構造の変化とありますのは、大きなテーマとしては高齢化があり、脳卒中や肺炎が増加するなど、そのような傾向を継続的に捉えていくということはすごく大事な視点だと思います。そのような中で、永井部会長からもありましたように、例えば脳卒中が移動したときに、従来の神経系、循環器系の集約で数字を捉えてしまうと、大幅にデータが変わってしまう可能性があります。例えば日本の死因分類表や大中小分類においては、何か工夫をして継続的に捉えていくこともあるかもしれないと考えております。ただこれは一案でありまして、継続的に傾向を捉えていけるような日本の分類表を考えていくにはどうしたらよいかという視点でこちらを書かせていただきました。

○ 永井部会長
はい

○ 新村委員
希少疾患の関係ですけども、日本は難病法があって、ひとつ日本としてのいわば政策的な目的もあった分類もあるのですが、世界的にこの希少疾患の、分類についての国際的な動きとか、コンセンサスもあるのかもしれませんけれども、それとこういった分類表との関係というのはどうなるのかなと。もちろん希少疾患ものすごく多いわけですので、いちいち対応できないのでしょうけれども、それは別の問題として整理するのか、この疾病分類として考えるのか聞きたいです。

○ 事務局
ありがとうございます。希少疾患、難病に関して、ICD-11でかなり沢山の病名が例示をされてきていますので、どの難病がどの分類項目に入るのか割と分かりやすくなってきたのかと思います。それをどのように統計的に見せていくかといった時に、大中小疾病分類表や死因分類表と関わってくるかと思いますが、社会的なインパクトや、数的なインパクトなども考えながら日本の分類表というのも作っていく必要があるかと考えており、そのような視点を踏まえながらこれから議論を進めたいと考えております。

○ 永井部会長
他にいかがでしょうか。よろしいいでしょうか。
もしよろしければ、本日の議題以上でございますが、その他ということで全体を通じてここでご意見、何かを頂ければと思いますが。
今後の進め方はまた後でお話があるかもしれませんが、先ほどの康永委員のご意見のようにいろいろ問い合わせをしたい、あるいはたぶん学会からいろんな要望書が出てくると思いますけれども、そうした情報はこの部会には伝わるのでしょうか。

○ 事務局
問い合わせ頂きましたら、個別に我々もその時その時の情報をお伝えしたいと思います。また、この部会全体に伝えるべきこと、伝えた方が良い事がある程度溜りましたら、開催というかたちが良いのか、その都度先生方への個別の説明が良いのか、先生方にご相談しながらと思いますが、節目で情報提供はしていければと考えております。

○ 永井部会長
林委員

○ 林委員
その点で今もメールで折に触れて送ってきていただいていて、あれはすごく私としては有難いなと思っていますので、専門委員会を開かれた時とかも、やったことをメールしていただいてリンクを入れていただければそこに資料とかウェブにあるものが見られるわけですよね。それは続けていただければと思いました。

○ 永井部会長
これかなり大きな反響があると思いますので、委員の皆様も所属している学会とか団体で、いろいろ窓口を作られて意見を収集されるほうがよろしいかと思います。是非そのご意見を委員会、部会に反映させていただければと思います。
よろしいでしょうか。それでは最後に事務局から連絡事項等お願い致します。

○ 事務局
本日は活発なご議論いただきましてありがとうございました。次回部会の開催につきましては、来年5月のWHO総会でICD-11が提出される予定でございますので、その正式な承認を踏まえた上で次回の開催を考えております。その際にはまた事務局より日程調整のご連絡をさせて頂きますのでご協力の程よろしくお願いいたします。

○ 永井部会長
よろしいでしょうか。
それでは本日はこれで終了いたします。お忙しい中ありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

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疾病傷害死因分類係:03-5253-1111 内線7493

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