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2014年9月12日 平成26年度第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年9月12日(金) 10:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○議事

○高村化学物質情報管理官 定刻になりましたので、第3回「化学物質による労働者の健康障害防止に係る検討会」を開催させていただきます。本日は、大変お忙しい中を御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は、小野委員が所用により欠席との御連絡を頂いております。以降の議事進行は菅野先生にお願いいたします。

○菅野座長 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。議事の前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 資料の確認をさせていただきます。本日は資料の一綴りを用意させていただきました。右上に資料1-1と打っております一綴りです。資料1-1「ナフタレンの検討シート」です。右下に通し番号を打っておりますので、そちらのほうでページは御案内いたします。1ページが資料1-111ページ目からが資料1-2「ナフタレンに関する関係事業者・団体への意見照会結果」です。17ページ目は資料1-3「ナフタレンの措置検討等の経過」です。19ページ目は資料2-1「リフラクトリーセラミックファイバーの検討シート」です。29ページ目は資料2-2「リフラクトリーセラミックファイバーの関係事業者・団体への意見照会結果」です。37ページ目に資料2-2の別紙として「事業者の自主的な取組」をまとめたものです。資料3は非公開の資料ということで机上配布とさせていただいておりますが、これは先生方の資料においては39ページ目に付けております。最後の1枚は資料4で「今後の予定」です。先生方の机には、前回資料で、今回付いていないものを参考までに席に置いておりますので、議論の際に参考にしていただければと思います。資料は以上です。

○菅野座長 本日の議題ですが、ナフタレンの措置の検討に移ります。事務局から、ナフタレンに関する資料の説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 ナフタレンについては資料1-1から資料1-3まで用意しております。資料3として、前回先生方から御質問のありました、ナフタレンの熱媒体の使用状況等についてのデータを事業者から頂いておりますので、そちらを付けております。資料1-1と資料1-2については、前回から変更点はありません。私から、資料3で頂いております熱媒体に用いるナフタレンに関する資料について御紹介させていただきます。

39ページ目ですが、誘導体の種類ということでデータを頂いております。熱媒体中のナフタレン誘導体の含有量についての情報も頂いております。熱媒体として用いる場合の使用温度、耐用年数について情報を頂いております。この情報は、誘導体ごとで異なるということで、それについても3つ目のポツの下の表で頂いております。

 最後に、熱媒体として用いた場合の熱履歴と誘導体の分解ということで、業者のほうでフォローされているデータということです。39ページ目の一番下の表と、40ページ目にある表と、それぞれ使用温度ごと、それから熱媒体の種類ごとで、実際に測ったナフタレンの量の推移を頂いております。なお数字、誘導体の種類については、製品の情報ということで非公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。資料3については以上です。資料1-3については、室長からお願いします。

○角田化学物質評価室長 17ページの、資料1-3は横長の一枚紙です。これは、これまでのリスク評価書の概要ですが、これまで2回検討会を開催しておりますので、その議論の概要を参考までに整理したものです。詳細は、お手元に前回の資料等を配布しておりますので、細かい正確なところはそちらを御覧ください。

 左側は、リスク評価書の抜粋です。「測定結果」として、2年間のデータをまとめております。線を引いておりますが、平成24及び25年度の全測定データ(測定値が定量下限値を下回ったものを除く22データ)から、統計手法による区間推定上側限界値を求めたところ、17.3ppmになりました。個人ばく露のTWA値は最大7.55ppmということで二次評価値を下回っていますけれども、区間推定が二次評価値を上回ったというところです。

 「リスクの判定及び今後の対応」が2番目の○にあります。第2パラグラフに線を引いておりますけれども、この場合、作業別に見ると、ナフタレンを含有する製剤の包装・充填作業において比較的高いばく露が確認されておりますが、原料投入、清掃等他の作業も含む全データによる区間推定により得られた、先ほどの17.3ppmですが、ばく露最大値を高いリスクと判定していることから、包装・充填以外の作業も含めて健康障害防止措置を検討する必要がある。リスク評価書ではこのような整理を行いました。あとは、経皮毒性なり皮膚刺激性があるということも付記しております。参考として、ばく露作業報告の事業場数なり、実態調査の事業場数も下にまとめております。

 その隣の真ん中ですが、「措置検討会での御意見等」ということで、抜粋してまとめております。第1回の725日に、温度によるナフタレンの蒸気圧の変化ということで御質問がありました。これは2回目で御報告させていただいておりますけれども、30℃は20℃の2.53倍ぐらいの変化がありますということです。作業ごとにばく露実態が異なるという御意見が出ておりましたので、中身で規制内容を変えるべきではないかという御意見です。

 これに合わせて作業ごとに区間推定上側限界値の算出はできるのかというお話があり、第2回で御報告させていただきましたが、その下に書いてある数字のとおりです。ナフタレンを含む含有製剤の製造だと19.54ppmという区間推定値です。隣の括弧書きに(7.55)とありますが、これは個人ばく露の最大値です。その横に鉤括弧で書いているのは、区間推定を出した際の事業場数とデータ数を参考に載せております。ナフタレンを反応させて、他の製剤を製造するような所では、区間推定値は0.08ppmです。その他の部分で1.81ppmです。このような形で御報告させていただいております。

 分けて区間推定したほうがいいけれども、データ数が少ないという御意見も一部出ておりました。製造については、かなりの部分が密閉系であることを考えたらどうか、考慮すべきではないかという御意見も出ておりました。ばく露の作業報告のうち、ナフタレンの製造事業所数が、全体の報告のうち幾つぐらいかという御質問もありましたので、それについても前回お答えしましたが、22事業場で46作業です。ばく露実態調査は1事業場を実施しています。以上が第1回です。

 第2回の概要ですが、828日に業界団体の皆さんからの聴き取りということでヒアリングを実施しました。1つ目は化成品関係の団体の御意見ということで、その中から抜粋したものです。ナフタレン誘導体製品(熱媒体)から高温下でナフタレンが副生してくるということで、濃度が経時変化することに考慮が必要ではないかという御意見が出ました。屋外で容器の詰め替え作業などもありますということもありました。

 芳香族工業関係の団体からの御意見ということで、コールタールを精製して液状ナフタレンを製造しているが、密閉系でばく露の懸念はなくて、サンプリング、出荷時の配管脱着は屋外で短時間であることなどから措置は不要ではないかという御意見が出てきました。

 防虫剤の関係団体は、ヒアリングという形ではありませんが、資料で提示していたただきました。局排を設置し、作業環境測定を実施し、管理区分1を維持しておりますので、管理区分に応じた措置が適当ではないかという御意見が出てきております。これは抜粋ですので、冒頭に申し上げましたとおり、詳細は資料で御確認いただければと思います。

 こうしたことを受け、一番右に参考として、「措置検討に当たっての視点等」ということで、若干項目整理をしております。1つは、「業務ごとのばく露実態」ということで測定等データ、これは今御説明したような個人ばく露の最大値とか区間推定値等を踏まえて考えていく必要がある。

 作業実態としては、取扱い形態が固体であるか液体であるか、また、その量。御意見等が出ておりました工程の密閉状況ということで、原料精製による液状ナフタレン製造は密閉系で行っているという話です。熱媒体としての利用も同じですけれども、こうしたものが密閉系で行われているということです。作業場所も、屋内なり屋外等ということで、いろいろとそのパターンがあるということです。作業頻度とか、作業時間もポイントになってくるということです。

 「追加調査が必要な事項等」ということで書いておりますのは、前回の議論を踏まえて熱媒体としての利用実態ということで、誘導体の種類なり処理温度等について、業界の御意見、データを頂きました。これは、先ほど御説明した中身です。こういうことを踏まえて検討していくのかと考えています。資料の説明は以上です。

○菅野座長 ただいまの説明について、御意見を頂きます。まず、39ページの資料3、ナフタレン誘導体の熱媒体としての使用について、御質問がありましたらお願いいたします。1つお聞きしますが、これを実際に購入して使用している企業にとっては、もし特化物になると仮定してという話ですけれども、1%以下なので特定化学物質ではなくて、例えば5年たったら特定化学物質になるということですが、これを規制の対象にすることは可能なのですか。規則として全く問題ないということですね。

○高村化学物質情報管理官 規制の考え方としては、1%の裾切り値を設けた場合に、その1%を超える製剤を取り扱う場合に、規則の適用が発生します。購入時には特にそれについてはなくても、その後実際に1%を超えた状態を把握し、かつそれを取り扱う場合は、規則の考え方としては規制の適用になると考えていただいています。

○保利委員 そうすると、測定しなければ分からないということですね。定期的に測っていかないと。

○角田化学物質評価室長 そうです、定期的に見ていかないと、要するに置換基などが付いているようなものだと、最初は違うわけですけれども、熱処理等でだんだんそういうのが外れてきたりして、生成してくると該当するというような、ちょっとややこしい形になります。それは、定時的にある程度中身を把握しないとできないことになります。

○保利委員 そういうことならば、定期的にチェックしろというようなことを決めておかないと、現実的には確認するのは難しいということですね。

○角田化学物質評価室長 そういうことで把握していただくということが前提になるかと思います。

○菅野座長 実際的には、使用置換基を密閉しているものだと思いますので、交換するときに測定してということでしょうかね。ナフタレンのリスク評価書で、ACGIHSTEL15ppmは廃止したとなっておりました。前の資料で、ナフタレンのリスク評価書というのがありました。つまり、サンプリング等の短時間作業ではばく露が少ないので、規制は要らないのではないかという御意見があります。時間が短いので、ばく露自体は小さくても、濃度が高くなることはあり得ると思うのです。STELが廃止されたという点は余り考慮しなくてもいいということになっているのでしょうか。リスク評価書別冊63ページですが。

○高村化学物質情報管理官 本日の資料には付いていないと思います。

○菅野座長 NIOSHOSHASTEL15ppmというのがまだ有効だと思うのです。ACGIH2014年にSTELを削除したという説明があります。

○高村化学物質情報管理官 そうです。リスク評価書のほうで、今回の評価値を考える際の、有害性評価の所のデータとして、許容濃度等をお示ししております。ACGIHTWAについては10ppmということです。当時有害性評価を行った際の情報として、STEL値ということで15ppmと載せているのですけれども、実際にACGIHにおいては、2013年に変更提案ということで、2014年版のTLVにおいては、STEL値は削除されていることを評価書のほうに記載させていただきました。

○菅野座長 すみません、資料3と言っておきながら、資料3でないものを言ってしまいました。引き続き全体についてお願いいたします。

○保利委員 17ページにあるリスク評価書の測定結果で上限を区間推定したところに関しては、定量下限値を下回ったものは除いてやられています。この資料1ページの「対象物質の製造」については、「定量下限値以下」となっているのですけれども、これも区間推定上側限界値が17.3となっているのですが、これは区間推定のデータから除かれていないのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 資料1-1(3)のデータということですね。

○保利委員 はい。対象物の製造の所で、最大値が「定量下限値以下」となっています。だけど、区間推定上側限界値は17.3ppmとなっています。この17.3ppmを出したもとのリスク評価書だと、「定量下限値を除く」と書いてあるのですが、これは除かれたのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 除かれた後の17.3ppmです。ただ、上の最大値については、測定最大値を載せておりますので、そういう意味で対象物の製造については、全て定量下限値だったということになります。

○保利委員 そうですよね。ということは、このデータは区間推定には使っていないのですね。

○高村化学物質情報管理官 使っていません。

○保利委員 であれば、17.3ppmという区間推定上限値は「対象物の製造」を除いた推定値ですので、ここは、そこで切って区別しておかないとまずいのではないかと思うのです。

○高村化学物質情報管理官 分かりづらいということですね。

○保利委員 はい。

○高村化学物質情報管理官 そうしましたら、最大値の前に「測定最大値」ということで、測定を入れさせていただきます。

○菅野座長 本日は、少量取扱いとか、短時間ということでリスクが低いと業界団体から御意見が出ている作業について、対象から外すことができるのかできないのかについて御意見を頂きます。

○名古屋委員 今までどおりだと、要因分析の中で、リスク評価のときは比較的ばく露が高かったのだけれども評価値は超えていないが、区間推定値を超えていた場合には、リスク対象物質を取り扱っている全部を対象にしましょうということです。例えばエチルベンゼンのように、エチルベンゼンを取り扱っている所を全部測ってみて、曝露濃度の一番高いところをずっと並べると塗装が高く、ガソリンは測定数が多くあるが、著しく低いので、要因分析の結果リスクは低いとして、高かった塗装作業だけを対象作業にしたという形にしたのです。

 今回、対象となっている低いところは比較的少なかったので、前のリスク委員会では個別の評価をしなかったのです。ここで区間推定値を見ていくと、やはり含有製剤の製造以外はかなり低いので、ここではやはり要因分析として分けてあげたほうがいいのかと。前はそれをしなかったので申し訳なかったのですが、ここでは要因分析をしてみると、オーダーが全然違いますので、きちんとしてあげたほうがいいのかなと。ここでいうと、ナフタレン含有の製造の包装だとか、充填作業は比較的高いので、ここはしようがないと思いますけれども、他の所は比較的小さいのと、密閉系とか液体が多いので、やはり分けてあげたほうがいいのかなと今は思っています。

○保利委員 問題は、今回の測定で低かったところでも高くなるような作業が考えられるかどうかです。

○名古屋委員 そこなのです。測定数が少ないので何とも言えないのです。そこでその区間推定値が生きてくるのですが、それでもかなり低いのでどうなのだろうというのは分かりません。

○保利委員 対象物質の製造のところでは定量下限値以下になっていますけれども、基本的には蒸留ですので、密閉でやるしかないはずなのです。そうすると、そのようなリスク自体がそもそも少ないと考えられるので、外してもいのではないかと思うのです。サンプリングするぐらいのときしか、恐らくばく露を受けないということですので、そこさえ注意しておけばいいということだと思うのです。基本的に環境中に発生するようなものでなければ、これは別のグループとして分けたほうがいいのではないかと思います。そのようにして中身を精査したほうがいいのかという気がします。

○名古屋委員 中災防さんが実際に測定に行かれたときに、比較的低いような所もあり、作業形態としてばく露が高そうだというのがあったのか、保利先生が言われたようになかったら外せると思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。現場へ行った感想だけでも。

○中災防 液体で取扱っているような所は、ある程度密閉系というのは進んでいました。そのような所は確かに取扱い、それから分析するような所については、今後もばく露は少ないのかという気はいたします。通常作業であればです。それ以外の所については、まだ我々も見ていない所があるかもしれませんので言えませんが、私どもが調査した所では密閉系の所が非常に多かったです。ただ、粉体については、やはりそこまでのコントロールはできていないような気がいたしました。

○菅野座長 先ほど、STELがなくなったというのをお聞きしたのは、短時間ならばある程度高濃度でも余り問題がないのかどうかという点なのです。サンプリング作業は数分とか、長くても10分ぐらいだと思いますので、それが可能なのかどうかということを伺いたかったのです。

○名古屋委員 リスクのときもそうだったのですけれども、そうは言ってもSTELの値は別にしても、スポットは結構高かった作業がありました。短い値でも評価値の2に近いものがあるから、そういう意味では短時間でも危ないです。落ちてきているので、有る無しにかかわらず取扱いによっては短時間でも高いばく露をする作業場はあるということで、その時にはSTELを考えずに、スポットだけで、それが比較的2次評価値に近かったから危ないと評価したのだと思うのです。

○唐沢委員 3ページの(4)「特殊な作業の概要」の所に、分析業務、サンプリング、ストレーナー掃除、屋外における密閉配管に関わる作業、これは作業頻度からすれば少ない、あるいは取扱量も非常に少ないということではあるのでしょうけれども、それなりのちゃんとした呼吸保護具を使用するとか、保護手袋とか、保護衣、保護メガネを使用するという措置はやはりやっていただく必要はあろうかと思います。ただ、従来の特化則のような組合せの規制が必要かどうかということになると、(4)のような作業は、そこまでは必要ないのかなという感じがいたします。

○菅野座長 特定の作業を規制から除外することになると、完全に企業の自主管理に任せることになるということですね。

○高村化学物質情報管理官 規則の適用除外ということになると自主管理をやっていただくことになります。

○菅野座長 何か他で今御指摘のありました防毒マスクを付けてくださいとか、これこれの作業のときにはこのような対策をしたほうがいいというようなことはできるのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 それが必要という御結論を頂いた場合は、それができるように我々としてその規制の内容を考えていくことになります。

○菅野座長 規制の対象から外したとしても、何らかの対策はしてくださいというガイドラインみたいなものは可能であるということですか。

○高村化学物質情報管理官 ガイドライン等でも可能ですし、そこは必要な措置、必要な範囲をお示しいただければ、それに合わせ、我々のほうで措置の内容そのものを考えていくことになります。

○保利委員 物質名は規則の中に入れておいて、規則の中のどれを適用するかというところをこれから決めていくわけですね。

○高村化学物質情報管理官 そうです。今すぐに方法はパッと浮かびませんが、そういう方向に向かって検討していくことになります。

○名古屋委員 もしそのときにマスクだったらどうでしょうか。これは経皮毒性が結構あるので、そこのところもきちんとしてあげないと、意外とないと手とか……、それも併せて付けていただければ有り難いと思います。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 1つ気になるのは、ナフタレンの場合、屋外作業であるから大丈夫という御意見が結構多いので、その点が気になるところなのです。

○名古屋委員 屋外というのは、パイプだから屋外が多いということなのでしょうか。屋外の作業の多さというのはどうですか。

○中災防 今回調査した所は、コールタールとかそういうものから抽出して、蒸留してという所でしたので、大体が海沿いにあって、なおかつパイプラインで持ってくるという形ですから、配管されて持ってくるという形の所が多かったのです。そういう意味で、屋外であれば、いつも風が吹いているような立地条件の場所だということが前提にあるのではないかと想像いたします。

○唐沢委員 屋外作業だからばく露がゼロになるという話ではないと思うのです。風向きの問題もありますし、場合によっては配管を一時的に外すような場合でも、高濃度の蒸気が出る場合があります。その辺はイコール安全だという話にはならないということは留意すべきだと思います。

○名古屋委員 今言われたように溶接だとか、例えば今回の、岩石研磨は屋外でも全部マスクを付けるようになりましたから、屋外でもばく露が高い所は措置が要るのではないかと思います。

○菅野座長 防虫剤等の製造に関しては、規制は必要でないとお考えの方はいらっしゃらないと理解してよろしいですか。

○名古屋委員 1点気になったのは、中災防さんが言ったように、例えばナフタレンを製造する包装、充填以外の作業のときに、固体を扱っているときにはちょっと気になります。リスク評価の測定を行っていないので、ちょっとそれは気になります。水溶性はいいのですけれども、これ以外の作業の中で、他の所で確かにリスクは低かった。それは、もし固体を使っているときには、また違った状況のときにはちょっと気になりますが、今の状況はそれが分かりませんから何とも言えません。固体で取り扱う所はちょっと違うかもしれません。

○菅野座長 防虫剤は、最終的には固体ではないのですか。

○名古屋委員 製造のときに、今回は水溶性が多かったので液体が多かったのですけれども、固体のときはまだやっていないので分からないです。中災防の方、作業場として。

○中災防 防虫剤以外では。

○名古屋委員 防虫剤以外の所。

○菅野座長 以外の所でね。

○保利委員 前回の参考資料2-13ページに事業場Gの所で、局排で「フード式」と書いてあるのですが、これは外付けか、囲いかだと思うのですが、そこのところは分かりますか。

○角田化学物質評価室長 局排の種類でしょうか。

○保利委員 はい、局排の種類です。フード式と書いてありますが、囲い式も外付式もフードなのです。吸込口がフードなのです。吸込口全体を覆っているような囲い式なのか、それとも外付け式なのかどちらかだと思うのです。他の所は外付けか囲いかと書いてあるのですけれども、ここだけが「フード式」と書いてあるので。

○中災防 これは私どもはやっていないのですけれども、その前の年に私どもがやっています。その上のF事業場と同じ事業場を。次の年に他の機関がされています。

○高村化学物質情報管理官 Aと一緒なのはHだけです。

○保利委員 違いますか。

○中災防 失礼しました。私どもがやっておりました。申し訳ございません。外付式のようです。

○中災防 GAと同じではないのだ。Hはコハク酸ソーダ、違うんだ。GAは違うんだ。

○高村化学物質情報管理官 AHが一緒です。

○中災防 AHが一緒で、Gはこっちですか。

○高村化学物質情報管理官 今、Gの調査の詳細については手元にないので申し訳ありません。

○保利委員 はい。

○菅野座長 現場の測定については、11月から1月の間の測定が多いと思いますけれども、前に櫻井先生からナフタレン蒸気圧の温度変化について御指摘があって、なおかつ全体換気で空調が余りされていないという会社からの御報告があったと思います。そうすると、気温の違いによって濃度が違う可能性は考えられます。冬期間の濃度は夏より大分小さい可能性はあると思います。もう1つは、全ての会社といいますか、該当する会社を全部合わせて、区間の最大値を求めると17ですけれども、個々の会社では、全て0ppm以下という状況があり得ないわけではないというところをどう判断するかです。私自身は、防虫剤製造は規制の必要があると思います。

 現に、環境がうまくコントロールされているから規制の必要はないという業種に規制を行った場合に、現に自主規制している状況に付加して行わなければならなくなる事項にはどういうものがあるのでしょうか。先ほどの健診とかそういうのはあると思うのですけれども、他に何かありますか。

○高村化学物質情報管理官 パッケージで、特定化学物質ということで指定して、かつ特定第2類という形で規制をした場合には、漏えい防止措置ということで、床の整備とか、そういう設備面で、発散抑制措置以外のところの設備面がかかってくる可能性があるということ。

 あとは、作業主任者の選任ということで、そういうものが必要になる。それから、健康診断についても、これは別途検討することになります。特殊健診が義務付けられることになれば、それは個別の項目等があれば付加という形に、追加しての措置になろうかと思います。

○菅野座長 そうすると、非常に耐え難い経費がかかるというようなことではないような気もいたします。

○高村化学物質情報管理官 その辺りは、仮に新たな設備ということになると、それはそれで経費がかかるとは思います。

○菅野座長 ナフタレンに関するものは、ここで一旦打ち切り、リフラクトリーセラミックファイバーの措置の検討に移ります。事務局から資料の説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 リフラクトリーセラミックファイバーについては、資料2-1と資料2-2にまとめております。資料2-119ページ、資料2-229ページからです。まず、今回新たにもう1つの事業者団体さんから調査票の回答結果を頂きましたので、それを中心に資料2を用いて説明いたします。資料2-229ページを御覧ください。

 「関係事業者・団体への意見照会結果」をまとめたものです。1つ目、今回新たに調査票の回答を頂いた団体は工業炉の関係団体で、2.日本工業炉協会様に回答を頂いております。こちらから頂いているものを中心に意見紹介結果を説明いたします。

 「業界としての取組」ということで、2が工業炉関係団体から頂いているものです。1つ目に国からの通達に関して、会員さんにリフラクトリーセラミックファイバーに関する取扱いに関する情報を発信していること。リフラクトリーセラミックファイバーの取扱いに関するマニュアルは協会としては作成していないということで、こういった取扱いについては各企業の自主管理をされているということです。

 「事業者の自主的な取組」ということで、会員企業におけるばく露作業に関する健康障害防止措置の状況を御回答いただいており、そちらを資料2-2の別紙の丸数字2、38ページにまとめております。今回、11社から御回答を頂きまして、その中で屋内作業があるということで御回答を頂いたのが10社、屋外作業があるということで御回答を頂いたのが2社です。かつ、1社はそういった取扱いについて、通常作業がないということだと思いますが、「なし」ということで御回答されております。2社においては、屋内作業、屋外作業の両方があるということです。

 実際の措置の取組み状況ですが、作業数で示している会社の数を入れております。屋内作業、屋外作業の両方ともそれぞれ1社ということで、実際にはダブルカウントしているような形になっております。

 措置の実施率のところが、全体作業数分の実際に措置を取り組んでいる作業数ということで、単位はパーセントで示しております。

 工業炉協会の会員企業の実際にやられている作業というのは、工業炉の製造ということで、工業炉の断熱材等でリフラクトリーセラミックファイバーの加工品等を使って、炉の製造の際にそういったものを取り扱うということで御回答を頂いております。実際にはその後の製品として表示をするというのは1社でしかしていないということです。リフラクトリーセラミックファイバーに係る文書の交付については3社でされているということです。リフラクトリーセラミックファイバーに関する有害性の提示については5社でされているということです。衛生教育については7社でされていたということです。

 発散抑制措置については、製造工程の密閉化については1社、局排の整備については4社、全体換気については7社で取り組まれているということです。また、作業環境の改善のところで、休憩室の設置、洗浄設備の整備ということで、全て実際に作業があると回答された所では、全て取り組まれているということでした。ただ、洗浄設備の所については手洗い場所のみというところが半数ほどありました。設備の改修等の作業時の措置ということで取り組まれているのが5社です。また、不浸透性の床の整備については1社で整備がされているということです。

 次に「作業管理」については、作業主任者の選任をされているところが6社、作業記録について記録を取られているところが4社、立入禁止措置については2社、飲食等の禁止をされているのが11社、適切な容器等の使用と保管については9社、用後処理については11社、ぼろ等の処理については9社、有効な保護具の使用については12社。こちら呼吸用保護具の防毒マスク、送気マスクという質問でしたので、こちらは6社、3社で取り組まれているということです。不浸透性の手袋、防護眼鏡については9社で使用されているということです。作業環境についてはどちらも実際にされておらず、特殊健診については、じん肺健診が中心になりますが、実施されているところが6社ということです。

29ページの3つ目のところで、「健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項」ということで質問させていただいたものへの御回答です。今回御回答いただいた工業炉関係団体の御意見としては、30ページの614まで御意見を頂いております。考慮を要する事項として発散抑制措置ということで、発散源に対する局排設備の増強のみで対応したいということでした。工業炉建設におけるリフラクトリーセラミックファイバーの使用では、切断及び固定が主要作業であり、発散量が限定的であることに加え、客先での現場作業であることから、作業区画の気密化は技術的に難しいということで、呼吸用保護具による作業者の吸引防止を主要対策とすることでよいのではないかということです。

7の洗浄設備の整備については、作業後の手洗い・うがいの励行でいいのではないかということです。その理由として、経皮毒性がないので、手洗い・うがいで十分ではないかということです。

8の特定健康診断については、じん肺健診の受診で代替していただきたいということ、現行、業界内のリフラクトリーセラミックファイバーの取扱者はじん肺健診をしているということで、これもじん肺健診で代替可能ではないかということです。仮に特化の健診とする場合、どのような項目を追加するのかというところの明確化が必要ではないかという御意見を頂いております。なお、特定健康診断に関する検討は別のところでいたしますので、こういった御意見があったということは、そちらの検討会にきちんと伝えていきたいと思います。

 次に、作業環境測定については、安価で、簡単に測定できる方法があればよいという御意見です。PCM(顕微鏡法)では、現場での測定結果の確認ができないということで、実務では同一現場でリフラクトリーセラミックファイバーを扱うのが、実際には1週間程度であるということから、簡易的な測定でないと対応できないのではないかという御意見を頂いております。また、同じような御意見ですが、顕微鏡法では測定に多大な時間と装置が必要であるということで、現場で濃度レベルを確認できないので、迅速な対策がしにくいということで、安価でかつリアルタイムの濃度レベルを把握できる簡易測定方法の確立が望まれるということです。

10の作業環境の整備については、工業炉の断熱材取付け程度の作業ということで、防じんマスク、洗面設備の設置程度で問題ないのではないかということです。

11の作業主任者については、現行の特化物作業主任者の資格取得教育内容は、リフラクトリーセラミックファイバー取扱いとはかけ離れていること。受講に2日間かかることから、リフラクトリーセラミックファイバー対象に教育時間・内容を考慮したものでなければ作業主任者の意味をなさなくなるのではないか。そのためリフラクトリーセラミックファイバー用に作業主任者教育の整備をしてもらいたいということで御意見を頂いております。現行のリフラクトリーセラミックファイバーの取扱い者は、粉じん特別教育の受講者が多く存在するということで、粉じん特別教育にリフラクトリーセラミックファイバーの関連項目を追加実施することで、作業主任者の講習と代替できないかということを検討していただきたいということです。

12の作業環境については、こちらの会社のほうでは試験時に使用するだけなので、装置などの導入は考えていないということで、使用時に手袋とマスク装着など必要な処置を明確にしたいということです。また、使用しない際の保管方法についても明確にしたいということです。

31ページ、13の解体、施工に関して、御意見を頂いております。措置を講じれば費用が発生するため、契約先、ユーザーにも十分理解してもらい、費用負担の分担、費用回収がしやすい環境づくりが必要ということです。濃度、作業時間等のばく露の程度により、措置内容もランク付けを行ってもらいたいということです。

14の製造者と取扱い者の分離については、こちらの会社ではリフラクトリーセラミックファイバーの製造をしておらず、工業炉組立て、工事等に取り扱っているのみであるということで、取扱者の場合は、健康障害防止措置への対応レベルが大きく異なると考えられるため、製造者とは明確に分けて措置の検討をしていただきたいということです。

31ページ、「技術的課題及び措置導入の可能性」ということで質問したものについての御回答をまとめております。今回、工業炉関係団体からいただいた回答は、3番目から11番目です。3番目として、技術的な課題が考えられる措置と、それに関する技術的課題ということで、技術的課題がある措置として密閉化ということでいただいております。その課題内容としては、ユーザーでの補修や更新の場合、密閉化・発散抑制措置にはメーカー、施工業者としてはその対応に限界があると。それは客先でのということだと思います。

4番目のところで、技術的課題のある措置として、発散抑制措置を挙げていただいております。4番目から8番目が全てそちらになりますので、順に技術的課題について読み上げていきます。1つ目は、ばく露規制値を満足できるかどうかの判断が難しい。発散抑制措置を設けてもということだと思いますが、設けた場合にもばく露の規制値を満足できるかどうかの判断が難しいということです。2つ目、大きな設備投資が必要であるということと、それに対する効果がどれぐらいあるのかという判断、技術的課題があるということです。3つ目、試験時に使用するだけなので、装置の導入は考えていないということです。

32ページ、発散抑制措置に関する御意見として、4つ目、現状の取扱者としての施工環境からすると、局所排気装置の設置は可能であるが、それ以上の設備となると根本的な作業内容の変更が必要となるいうことで、課題を挙げていただいております。その際にはかなりの費用負担が必要になるということです。発散抑制措置の5つ目、大きな設備投資を伴うが、投資の結果、ばく露規制値を満足できるかどうかの判断が難しいということで、1つ目の御意見と同様です。

 次に、技術的実績課題のあるものということで、密閉化、発散抑制措置ということで挙げていただいて、技術的課題についての御意見を頂いているものが3つあります。最終ユーザーでの補修の場合に規制に基づく密閉化や発散抑制措置を施工業者として確保できないのではないか。工業炉及び作業区域全体を密閉化する必要があることから、密閉化の範囲が非常に広範囲となると。客先での作業となる場合が多く、作業スペースが変則的であり、密閉化、発散抑制措置についての対応が難しいということです。

 最後に、ユーザーの耐火物補修や更新の場合、密閉化や発散抑制措置にはメーカー、施工業者としてはその対応に限界があるのではないかということです。

 次に、「特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)の概要と意見」ということで頂いているものです。工業炉関係団体からいただいているのが26までです。特殊な作業として挙げていただいているのが、工業炉へのリフラクトリーセラミックファイバーの取付けということで、実際の作業概要、事業者によるリスクの見積り、措置の状況について頂いているのが、1つ目、炉の内部へのリフラクトリーセラミックファイバーの取付けであり、定形の現場でのリフラクトリーセラミックファイバーのカット、固定作業が主となる。発じんは掃除機などで吸引していて、ばく露の程度は低いと判断します。2つ目として、主に電気炉、ガス炉への取付けをしているということで、リフラクトリーセラミックファイバーへの取付け、解体をしており、ばく露の程度は低いということです。これはそれぞれの会社からいただいているものを併記しているものです。リフラクトリーセラミックファイバーの切断加工及び固定作業であるため、ばく露の程度は低く、経皮毒性もないため、防じんマスク等での対応で十分ということです。4つ目として、炉や燃焼装置の内部へのリフラクトリーセラミックファイバーの取付けであり、定形の現場でのリフラクトリーセラミックファイバーの解体、カット、固定作業が主ですが、比較的ばく露の程度は低いということです。

33ページ、3の工業炉への施工については、あらかじめ規格寸法化されたリフラクトリーセラミックファイバーを工業炉内部に断熱材などの目的で施工しているのみで、防じんマスクとゴーグル、防護服の着用を徹底させているということで、ばく露の危険性は低いということです。

4のリフラクトリーセラミックファイバー成形品の取扱いということで、これは前回、製造業関係団体からいただいているものと同じですが、バインダー等で固められているリフラクトリーセラミックファイバー成形品、湿潤した製品は単なる取扱いでは発じんの可能性は低いということで、実際のモデル実験時の測定結果からも発じんが少ないことが確認されているため、ばく露の可能性は低いということでいただいております。

5のブランケットの取扱いとして、加熱試験時に耐熱素材として使用し、加工などは実施しないので、比較的ばく露の程度は低い。実際の使用者は技術者となるので、管理責任を明確にすることも可能ではないかということです。

6の解体、施工に関しては、施工では成形品(主にボード、ブランケット)を使用することが多いですが、バルクの施工と比較するとばく露の程度は低いと考えられます。また、解体時については、乾式で行う場合はばく露程度が大きいと思われるということで、扱うもの、作業形態でばく露の度合が変わると思われるということです。

6番目として、「産業活動への影響や公正競争の観点からの意見」を伺ったところ、34ページに御意見をまとめております。工業炉を扱う弊社として、リフラクトリーセラミックファイバー製品の過大な措置を取られた場合は、経営に多大な影響を及ぼすので、適切な措置をとってほしいということです。2つ目として、健康被害の予防措置という観点から、使用する物質の科学的評価等の規制はある程度仕方ないと思うが、加え、過度な規制は各産業に必要な工業炉製造業界に大きな影響を与える結果となると思われるということです。3つ目、リフラクトリーセラミックファイバーは工業用断熱材として主要な素材であり、代替品の普及も進んでいないことから、工業炉全般のコストアップにつながり、設備投資減少が危惧される。また、省エネに対する影響も考えられ、従来と同等のコストで建設できる熱効率が悪い設備へ移行する懸念があり、二酸化炭素削減に甚大な影響が危惧されるということです。

4つ目、リフラクトリーセラミックファイバー製品は、工業炉の断熱材として広く普及しており、もしリフラクトリーセラミックファイバーの使用制限で過大な措置を取られた場合、企業の経営にも甚大な損失になり、かつ、社会ニーズである省エネに対する影響等が危惧されるということです。

5つ目は、リフラクトリーセラミックファイバー製品は高耐熱性、高断熱性を有し、省エネルギーに貢献している。この製品の使用制限で過大な措置の場合、省エネルギーに影響を及ぼす危惧がある。また、2次加工業者としては中小企業が多くあり、今回の規制措置は費用負担増加となり、作業活動の停滞のおそれがあるので、十分な施工猶予期間を配慮してもらいたいということです。

6つ目、当社でのリフラクトリーセラミックファイバー製品の使用は限定的なので、使用制限が明確になれば使用時に考慮可能ということですが、使用制限が既存技術で対応不可能な場合、産業活動にも影響するということです。7つ目、製造業者、施工者に一方的に規制をかけられ、費用負担を余儀なくされると企業活動に支障が出ると思います。契約先、ユーザーにも認識していただき、役割分担、費用負担を明確にする必要があると思います。

 最後に、8つ目、特別規則にかからない実用的な代替品の普及が進まないうちに大きな措置となった場合、取扱いの現場で大幅な工期増・コスト増が予想され、事業展開への影響が非常に大きいものと想定されるため、丁寧な対応をお願いしたいということです。

 次に、措置の対象となる業務については、全ての取扱い業務とする見込みということで御質問したところ、それに対する意見を頂いております。34ページの下の表の2番です。炉の内部へのリフラクトリーセラミックファイバーの取付けであり、定形のリフラクトリーセラミックファイバーの固定とカット作業が主ですが、比較的ばく露の程度が低いと判断しますので、特別な規制対象外としてくださいということです。ここの御意見は、基本的には先ほど御説明した「特殊な作業等について」の御意見と重なる部分が多いかと思います。「技術的課題」のところも引用した形でこういった課題があるということで、規制の範囲についてそういったものを考慮してほしいという御意見が中心になっておりました。

 次に、8番目「その他の意見」ということで頂いております。35ページの22つほどいただいております。企業論理を優先して、労働者の健康被害をないがしろにすることがあってはならないと思いますが、反面、あまりに過度の規制と対象範囲を設定することで、産業界に大きな影響を与えることもあり得るということです。一定の規制は仕方ないにしても、その対象範囲を広げ過ぎることで、企業の業績にも影響が出る可能性があり、結果として産業の発展を阻害することになると思われるということです。

 こちらの業界の情報については、資料2-1、「検討シート」の21ページに業界団体の情報をまとめております。(1)、前回ヒアリングで御対応いただいたリフラクトリーセラミックファイバー工業会の下のところに書いてある、一般社団法人日本工業炉協会は正会員が112社、参助会員が48社ということです。正会員のうち90%、100社程度リフラクトリーセラミックファイバーの取扱いがあるということです。こちらの協会の活動の概要としては、先ほどの活動内容と同様ですが、団体の性格としては、主に工業炉及び燃焼機器の製造販売事業者の団体の集まりということです。これが今回新たに出てきた調査票の回答結果についての御説明です。

 資料2-1の「検討シート」は、今、御説明したものと、前回ヒアリングでセラミックファイバー工業会からいただいた御意見等を、先ほどの資料は御意見の羅列ということで重なったもの等も含めて御紹介しましたが、少しまとめた形で入れております。

22ページの「健康障害防止措置の導入にあたって考慮が必要な事項」については、考慮を要する事項についてそれぞれ項目でまとめて、御意見については各団体からの御意見を併記する形にしております。

 「特殊な作業」のところについても、重なる部分は資料としてまとめております。そのほかの更新事項は、資料2-1については特にありません。資料についての御説明は以上です。

○菅野座長 ありがとうございました。リフラクトリーセラミックファイバーの措置につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○藤間委員 自主的な取組の所で、屋内、屋外の作業それぞれあると思うのですが、屋内でも多分、工業炉、自社の工場の中で作るために取り扱っている所と、あるいは客先で扱っている所、いずれも大きく分かれてくると思うのですね。定常的に1つの作業場で作業をしている所とそうではない所、そういう区分けが知りたいところではあります。

○高村化学物質情報管理官 今回、頂いた回答票では屋内作業、屋外作業の別での措置の内容についての回答を頂いておりませんので、その辺りについて、もし可能であれば次回までに準備をいたします。

○名古屋委員 重要なことは、施工するときに濃度が低いと書いてあるのですが、アスベストとほとんど変わらない0.2f/ccというかなり厳しい濃度です。本当に切断したときに濃度が低いのかどうか。何もないから低いよと言われても、目に見えないものは当然、粒子が小さいですから、目に見えないものがあるわけですから、本当に低いのかどうかという検証データがないと何も言えないのかなと。濃度が高ければいいですよ、10ミリとか20ミリだったらそれは問題ないと思うのですね。てもアスベストで0.15で、これは0.2ですからね。かなり低い濃度のときにどうなのだろうかという部分が1点あります。

 もう1点お聞かせ願いたいのは、リフラクトリーセラミックスがかかったときに解体も規制対象に入ってくるのかどうかをお聞かせください。要するに、これは今解体作業がありますと、解体作業も、物が変わってしまうのですが、長時間の加熱によりリフラクトセラミックスがクリストバラストに変わってしまうのですが、リフラクトリーセラミックそのもの自体は解体作業も含まれてくるという形の検討になるのか分からないです。要するに施工するときはリフラクトリーセラミックですが、解体の時は多分リフラクトとクリストバライトが混存するのか、あるいはクリストバラストに全て変ってしまっているのか。クリストバライトになった時はそこで発生したのは粉じん則で扱うのか、そうではなくて特化則で扱うのかというその辺の住み分けは、どうされるのかをお聞きしたいです。

○角田化学物質評価室長 変わってしまうというのは、物質自体が変わるということですか。

○名古屋委員 はい。かなり高い濃度で長時間やっていると、リフラクトリーセラミックがクリストバラストに変わりますよということが分かっています。ただ、施工、解体するまで、どのぐらい時間が掛かるかによって分からないのですが、そのときに変わる部分と混存する部分があったときに、そのときは特化則で扱うのか粉じん則で扱うのか、その辺は微妙なのかと思って。

○角田化学物質評価室長 物質自体が変わってしまうと、規制対象から外れてくるという可能性があります。あと、先ほどのばく露の程度が低いと書いてあるが本当にそうなのかということについては、今のところ頂いた資料の32ページの中にありますが、発じんを掃除機などで吸引していると書かれていますが、ここももう少しその辺の根拠を確認できれば、したいとは思います。

○名古屋委員 有害性の高いやつは、目に見えないほうが多いと思いますので、きちんと機器で測ってみないと分からないと思います。

○菅野座長 どこかで模擬試験をされたと記載があったと思うのですが。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。前回のヒアリングでお答えをいただいたセラミックファイバー工業会から出していただいている資料の中で、前回資料のままのページですと資料230ページです。

○藤間委員 12ページではないですか。

○高村化学物質情報管理官 12ページです、申し訳ありません。

○菅野座長 この模擬試験は、今日御説明いただいた炉の製造業とは違うのですか。

○高村化学物質情報管理官 これは、セラミックファイバー工業会で作業内容ごとに。

○菅野座長 全部やっているのですか。

○高村化学物質情報管理官 そうです。やっていただいているデータを御提示いただいているものです。

○名古屋委員 これを見ると0.2に比べると、施工は0.63.4ですから決して低くないですよね。

○高村化学物質情報管理官 評価値に対して、はい。

○菅野座長 アンケートのときには、0.2ファイバーというのはお示ししていないということですか。

○高村化学物質情報管理官 リスク評価書については、お示しをした上でということではあります。

○菅野座長 してあるのですね。

○高村化学物質情報管理官 はい。あとは頻度とか、客先であれば短期間でこういう御意見を頂いていると想像しております。

○名古屋委員 あと、そこにありました測定の所は、簡易測定の話ですよね。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○名古屋委員 今のPCM法では、なかなか難しいようで、ここを今私どもと業者の中で開発していますので、対応できると思っていますから、できるだけ早急に対応したいと思っていますのでそこのところは問題ないと思います。

 余分な話で聞いていいですか。例えばリフラクトリーセラミックが特化則になったとき、せっかくアスベストが抜けて特化物になったのですが、「等」が付いてしまうという形になります。資格としては粉じんの資格でやるという、全く前のアスベストと同じ扱いになるのですか。そこは先の話だと思うのですが、特化則に入ってくると扱いが違ってきて、資格として、測定士は一種の資格、粉じんの資格の中で見なくてはいけないという前回のアスベストと同じ扱いになるのかと思いました。

○高村化学物質情報管理官 取り扱う、若しくは測定をする対象ごとで資格も含めて規制の内容を考えていく必要があると思います。

○唐沢委員 工業炉関係の資料を今日、初めて御説明を受けたわけですが、30ページの6、発散抑制措置で、丸数字2で工業炉関係団体の御意見が記載されていまして、確かに工業炉の内部での作業は多いのでしょうから、そういう意味では密閉とか局所排気装置の設置が必ずしも馴染まないケースがあるという感じがしますが、ただ、名古屋先生が御指摘になったように今日の別の資料、12ページにあります炉の施工でも繊維数0.6とか3.4となっています。

 それから、製造工場でも成形品の取扱いでも繊維数が0.05とか0.06になっているので、繊維数がないわけではないということがあるのと、それなりの発散抑制設備とか密閉設備の対策は馴染まないかもしれないが、きちんとした呼吸用保護具を使うとか防護衣を使うとかいう措置はやっぱりいずれも必要だろうという気がします。

 今一つは、7の洗浄設備の整備ですが、丸数字2、丸数字1もそうですが、手洗い・うがいの励行と書いてありますが、作業服に恐らく繊維が付くのだと思います。その作業服を着脱するときに発じんするのだと思います。しかも、0.2という基準値ですから石綿並に考えないといけないので、作業服を脱ぐ場合に必ず防じんマスクをしたままで脱ぎなさいとか、そういう対策が必要なのではないですかね。あとは、汚染した作業服をどう取り扱うかという措置も考えなくてはいけないと思うので、7の洗浄設備の整備で書いていることだけでは不十分なのではないかという気がしますので、申し上げておきます。

○名古屋委員 炉に関してですが、発散抑制措置という所の中で、今、粉じん則に当てはめてみると確かに粉じん則の別表1の対象になります。でも、別表2のように対策がなかなかできないので別表2には入れない。でも、別表3は入れましょう、マスクはしましょうという施工はできるのではないのでしょうか。要するに、あれだけのものの中でやっていて密閉だと局排を使って、なかなか対策することは難しい、費用も大変。でも、やっぱり有害性が高いからマスクを付ける別表3で扱うことによって、労働者を守ってあげるという措置はできるのではないかと思います。

○菅野座長 どうでしょうか。炉の製造作業については、保護具としてはマスクしか考えられないですか。

○名古屋委員 EPFにしましょう。

○田中委員 資料の37ページ、作業管理の所の呼吸用保護具、防毒マスクの使用、これは防じんマスクという記載がなかったから、ゼロということなのです。その後の送気マスクの使用もゼロというのがあるのですが、現場を見ていないので分からないのですが、炉の中での施工としたら送気マスクも1つの選択肢にはならないのでしょうか。

○名古屋委員 付いているの。

○田中委員 電動ファンね、もちろんね。

○高村化学物質情報管理官 送気マスク、38ページでは炉の製造の所では送気マスクは3社でされているとのことです。

○田中委員 分かりました。そういう意味でも今の電動ファンとともにね。

○名古屋委員 この送気といっても、多分この送気は下手をすると今PAPRの中で、腰に付けているカンが付いている送気があるでしょ。

○田中委員 はい。

○名古屋委員 普通、引っ張っていくとあの送気ではなくて、多分カンの付いているのも送気と思っていらっしゃる。

○田中委員 取り入れてということでしょうかね。

○名古屋委員 そう、多分そちらの送気ではないかなと思います。多分、引っ張らないでしょう、長いラインを引っ張って向こうに残す、あの送気は作業性が悪いのではないですか。これは推測なのです。

○菅野座長 アスベストでは、解体作業のときにPAPRを使うように指定してありますよね。アスベストの解体作業ほど高濃度になるかどうかは分かりませんが、実際に使われているのか、使い捨て式防じんマスクという記載もありますので、これでは足りないという。使い捨て式防じんマスクでは、防護係数が5とかそのぐらいだと思いますので、足りないかと思います。

○角田化学物質評価室長 使い捨て式と書いてあるページは何ページですか。

○菅野座長 参考資料2-2のリフラクトリーセラミックファイバーの現場の測定の表です。DS2というのは防護係数で幾つですか。

○田中委員 一応10ですね。

○菅野座長 10ですか。

○田中委員 ですから、これ全部A社もB社もC社も使い捨て式の防じんマスクを使用しているということですね。

○保利委員 C社もそうなのですか。

○田中委員 C社はDS2と書いてるね、ディスポーザブルのということですので。

○菅野座長 入ってますか。

○藤間委員 実際これ発散抑制を炉の解体とか施工に導入するとなると、結果的に多分ほとんどアスベストと同じようなことになって、代替品が経済的なところであるかないかという話になった場合、非常にその他への影響が大きいような気がするので、その辺りの配慮は考えなくてはいけないと思います。

○菅野座長 具体的にどういう対策ということはまだ分かりませんが、保護具等の使用については現に使用されていると思います。

○藤間委員 実際に発じんを防ぐという意味で、どのような対策を取りうるのかと、クローズドで取り扱うということが本当に可能なのかどうかというところかと思います。アスベストですとほとんど解体という形になって、今後施工は余りないところだと思うので、例えば実際、これから使う炉の中でどういう対策を取ってという、そこが非常に難しいところではないかという気がいたします。

○高村化学物質情報管理官 例えばアスベストやほかの粉じんの発じんを抑える措置として湿式などの方法が考えられると思うのですが、炉の周りの断熱材の解体で炉自体はまだ使うのにという御質問ですか。

○藤間委員 そういうことです。簡単に散水ができるようなところとは思えませんし。

○高村化学物質情報管理官 そういったもので、どういう配慮が必要かということですね。

○菅野座長 ほかにいかがでしょうか。セラミックファイバーについては、現時点では特定の作業を除外するとは考えていないように思われるのですが、除外できる作業があるとお考えの方がいらっしゃるのですか。

○角田化学物質評価室長 資料の21ページに特種な作業という所で、少量取扱い等リスクが低い作業で、シートにはこの形でまとめています。

○高村化学物質情報管理官 本日頂いた御意見で施工を伴うものについては、リスクが低い、ばく露が低いとはなかなか言い切れないのではないかという御意見を頂いておりますが、1つ成形品の取扱いで、バインダーをのり等で固めたられたものを成形品、湿潤した製品についてが、まだ残っていると考えております。

○唐沢委員 RCF成形品等の取扱い、21ページの今御指摘があった所なのですが、発じんの可能性が低いという、可能性の話であって、やはり実証する必要がありますよね。

○菅野座長 先ほど御紹介があった模擬試験のデータが唯一のデータではないかと思いますので。

○高村化学物質情報管理官 手元にある資料としては、先ほどのセラミックファイバーの工業会から出していただいた資料のうちの12ページで、一番上で成形品の取扱いの所の繊維数濃度をいただいております。

○__ もう少し細かいデータはありますか。

○高村化学物質情報管理官 可能な範囲で、実際にその場でどういう測定がされたのかという情報を入手可能な範囲でお願いしたいと思いますので、次回までに御提示したいと思います。

○菅野座長 成形品の取扱いに本当に切断が全く入っていないのかということが、やはり疑問として残ると思うのです。

○高村化学物質情報管理官 現場での微調整がないのかという点ですか。

○菅野座長 その点を御確認いただいて、実際には形状は。

○名古屋委員 多分、切断は意外となかったでしょ、きちっとしているときには発電の……ことありますから。

○菅野座長 そういう場合もあるとは思いますが。

○名古屋委員 見たところはなかったということで、見ていない所はいろいろ問題ありますので。私が見たところはなかったですね。低かったですねというデータです。

○菅野座長 あるいは現場でないとすると、成形品を作っている所では必ずあるということも考えられますので。

○名古屋委員 多分、作って加工するときに用途に応じて切断していくので、その工程はあまり発じんはしていなかったわけですね。要するにブロックにしますよね、例えば炉材としてこのくらいの大きさにします。それをカットしていきますよね。あともう少し小さくしていきたいですよというときは、あんまりは出なかったですね。そのデータは、測定したことはありますから。ただ、それが全てこの製品の取扱いに該当するかは分かりませんが、私が見た範囲ではそうだったですね。

○菅野座長 切断では必ず発じんすると思うのですが。

○保利委員 現場で微調整するのに切ったりすることがあったとすると。

○名古屋委員 その工場だと多分のこぎりのような形で結構刃が切れるから、すっといきますよ。では、施工する現場はいいやつを使っているかどうかと、ぎざぎざな刃物を使ってると多分、それは出てしまうということはあるかもしれないけれど、やはり製造過程の中でやっている所では、きちんと粉じんが出ないカッターとか回転式ののこぎりを使っていました。

○菅野座長 このセラミックファイバーの場合、健診はじん肺健診でよろしいのですか。

○高村化学物質情報管理官 健康診断の件ですか。

○菅野座長 別の委員会で検討されるということですか。

○高村化学物質情報管理官 はい。健康診断については、こういう御意見があったということで、伝えた上で健康診断の検討会で御検討いただくことにしたいと思います。

○唐沢委員 リフラクトリーセラミックファイバーの代替品は、近い将来、その可能性はあるのですか。かなり耐熱材料としては非常に幅広く用いられているようですから。

○藤間委員 それに関しては生体分解性のものについてあるようですが、その安定度、温度条件とか若干いろいろあるようです。

○菅野座長 これは値段が高いということですか。

○藤間委員 かなりお値段は高いので、直接、代替にはならないという話は聞いております。先ほどの生体分解性は1,260度ぐらいまでしか使えないという話があるようです。

○菅野座長 セラミックファイバーについては、耐性物質の巻取り梱包を除いて0.2より全部測定値が低いというのが1つもないということでいいのですよね。ほかにはいかがでしょうか。それでは、これでセラミックファイバー措置の検討を終わります。最後にその他ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 今後の予定といたしまして、その他の所です。次回の検討会の予定ですが、時間が、平成26930日の午後130分~午後330分まで、場所が、こちらの合同庁舎5号館の16階の労働基準局第1、第2会議室で会議を予定しております。次回の会議には、措置の内容等の案を事務局()ということで、出したいと考えておりますが、次回でまとめるのが難しい可能性がありますので、大変申し訳ありませんが、第5回以降の予備日について事務局において日程調整をいたしたいと考えております。平成2610月から平成2612月ぐらいまでの間で、数日、予備日ということで御予定を伺わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○菅野座長 それでは、第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を終わります。本日はありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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