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2014年8月28日 平成26年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年8月28日(木) 10:00~


○場所

経済産業省別館11階1111会議室


○議事

○高村化学物質情報管理官 平成26年度 第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。菅野先生に座長をお願いしておりますので、以下の議事進行につきましてはお願いいたします。

○菅野座長 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。事務局から資料の確認をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 「議事次第」の1枚紙の裏面が「配布資料一覧」です。資料については、本日は物質ごとで2つに分けております。

1つ目ですが、右上に「資料1-1」と書いてあるものと、右上に「資料2-1」と書いているものを1部御用意しております。資料1-1から順に確認させていただきます。

 資料1-11ページからですが、こちらはナフタレンの健康障害防止措置の検討シートです。11ページ目からは資料1-2で「関係事業者・団体への意見照会結果」としてつづっております。15ページ目に資料1-2の別紙として、1枚用意しています。17ページからの資料3-1は、化成品工業協会様から御提出いただいた調査票です。27ページ目からの資料3-2は、日本芳香族工業会様から頂いている調査票です。こちらがナフタレン関連の資料です。1つづりごとに通しで番号を振っているので、ページを御紹介するときはそういった形でさせていただきます。

 資料2-1のつづりです。こちらはリフラクトリーセラミックファイバー関係の資料です。資料2-11ページ目からが、リフラクトリーセラミックファイバーの措置の検討シートです。11ページ目からの資料2-2は、今回セラミックファイバー工業会様から頂いたアンケート調査票です。19ページ目からの資料3-3は、セラミックファイバー工業会様からヒアリングの際に御説明いただく資料です。資料4は、今後の予定についての1枚紙です。

 続いて、参考資料です。参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4と、それぞれつづっております。「配布資料一覧」に参考資料1ということで付けているのですが、こちらは委員限りの資料です。820日、825日に公布されている改正政令、改正省令で、特化則等の対象が変わっていますので、その特化則の部分だけですが、49ページ目以降に、今回の特化則の新旧対照表を付けております。改正事項はこちらで御確認いただければと思います。

 参考資料2は、リスク評価の検討の際に資料として用いていた2物質に関するばく露実態調査の結果です。こちらは、事業場等の情報が入っていますので、机上配布、委員限りの資料とさせていただいております。最初につづっていた資料で、少し文章が飛んでいる部分がありましたので、追加で配布させていただいておりますので、そちらで御確認ください。参考資料31枚物です。ナフタレンの用途ごとに算出した区間推定値の参考値をまとめた資料です。参考資料4は、ナフタレンの蒸気圧のデータについて、グラフでお示したものを1枚付けています。

 参考資料3にミスがあります。それぞれの箱の中の2段目に「暫定二次評価値」と書いているのですが、こちらは暫定ではなく「二次評価値」ということで、「暫定」を消していただければと思います。申し訳ありません。よろしくお願いいたします。資料については以上です。

○菅野座長 本日の議題に入ります。まず、ナフタレンの措置の検討です。関係事業者団体からのヒアリングを行いたいと思いますが、事務局から説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 本日、ナフタレンについては、2つの関係事業者団体様に来ていただいております。まず最初に、化成品工業協会様から御説明とヒアリング対応をしていただきます。

○化成品工業協会上村氏 化成品工業協会の上村でございます、今日はよろしくお願いいたします。化成品工業協会としての回答は資料3-1です。こちらに従ってお話させていただきます。17ページから26ページまでの10ページです。

 化成品工業協会の団体の特徴として、17ページの中段の質問2の「活動内容」の所に書いています。「所管製品」の所ですが、合成染料、有機顔料、有機ゴム薬品、医薬中間体、農薬中間体、有機写真薬品、その他の有機中間物、フェノール、無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロベンゼン類、熱媒体と、有機化合物が主体で、非常に多岐にわたる製品です。だから、業務分野も広うございまして、統一したヒアリングは難しいという特徴がありますので、データとして、もしかしたらほかの団体さんと比べると分かりにくくなっているかもしれません。できる限り会員の意見を聴いて、まとめてみた結果を御報告申し上げます。

 報告の前に全体像を分かりやすくするために、26ページを御覧ください。我々の会員数は126社で、そのうち20社ぐらいが商社や、情報サービスの方々ですので、実際の製造者は100社ちょっとぐらいです。今回、回答を得た会社数は49社ですので、製造の会社の半分ぐらいは聴けたデータだと考えています。

49社の内訳は、全てがナフタレンの使用や製造に関与しているわけではなく、「製造又は取扱いなし」は49社中30社です。日本芳香族工業会からも、後で報告があると思いますが、回答を予定されているうち(化成協)の会員が3社ありました。あと機器分析検定用試薬としての使用ということで、この2社はヒアリングの対象からは外していますが、そういうのを含めて35社あり、回答を得た49社から35社を引いた残りの14社は詳細ヒアリングをしております。そのうちの11社から、具体的には質問4の票ですが、作業ごとのマトリックスのデータを得て、それをこのページの中段のA社からN社と会社名は伏せ字にしていますが、14社のうちでヒアリングをできたのが11社ということで、マトリックスに再度まとめております。

 具体的にはA社とB社が製造と思われるのですが、製造と思われるものも含めて、C社からE社は主原料としてナフタレンを使っておられる所で、F社以下K社までは、ナフタレンは純度の低いものですが、副原料等あるいは溶媒等で、製品をフォーミュレーションされていると思われる企業です。L社、M社、N社というのは、ナフタレンの誘導体で商売をなさっている所です。そういう会社からのヒアリング結果を得ているということです。

 整理のために、ばく露作業コード、年間での有害物ばく露作業報告があると思うのですが、その手引の中の別表2でコードが30から50に分かれていまして、その中の該当すると思われるコードの各社のデータを割り付けた結果は、この表に示したとおりです。●の部分は屋外の作業で、○の部分は屋内の作業です。

 例えば31であれば、回収、ストレーナー掃除だと考えています。それを行っているのがA社であるとかD社であるとか、N社であれば室内と屋外の両方があった。そのような整理をした上で、質問4で、作業のマトリックスで、どれがやられれていて、どれがやられていないかというのが分かりますので、各社においてそのマトリックスを整理し、右端のカラムの「対応状況」ですが、α、ベータ、γと整理しています。その考え方、対応は十分可能というのがα、対応は一部できていないが、ほぼ可能だと思われるのがベータ、ほとんど対応できていないので緊急に措置は取られる等の対応は難しいと思われる企業群がγです。γについては下にコメントを入れましたが、重複を避けるために前の資料に戻り、全体の中で話をします。

1821ページまでの4ページにわたって、個別の企業ではなく、データを回収できている11企業のマトリックスを再配分した表です。屋外作業が18ページと19ページに分けて書いています。屋内作業はばく露作業のコードでいうと6種類で、3149番です。こういう内容の回答を得ています。

 押しなべて1つに整理するのは難しいのですが、言うなれば、例えば18ページだと情報提供以下に、各種の措置の有無があるのですが、その中の分数というのは、3社の回答企業の中で措置対応ができているのが1社なので1/3と読むわけです。こういった数字が入っているところは、少なくとも1社は対応しているということです。分母に対して分子が上がっているのであれば、更に多くの企業が対応しているということで見ていただければいいと思います。

 これでいくと、4/43/3など、全社が対応できているというのは少ないのですが、ほぼ対応できているというのが全体の流れかと思います。特に屋内はそう思われます。屋外については、一部の所にばく露作業等があるのですが、必ずしも屋内ほどは大手の企業さんだけではなく、中小の企業さんも入っておられることもあって、一部に措置が十分でないところも出てきています。本当は個別で整理しなければいけないのでしょうけれども、押しなべて話をしてしまうと、そういう感じになっております。

22ページ目以降ですが、個別の案件として情報提供しています。今日は化成協の1233つほど挙げているのですが、22ページは化成協としての「個別案件1」ということです。作業としては「ライン液抜き、液張り作業」と、「ラインストレーナー点検作業」をしています。共に屋外の作業であるというのは、マトリックスを読んでいただくとそうなっています。それ以下のマトリックスは、こういうところ(×)が対応できていないという表です。これらについて1つの御相談をしているということです。

23ページは、「化成協2&3」です。それぞれサンプリングとポンプストレーナー掃除で、個別の2がサンプリングで、個別の3はポンプストレーナーの掃除ということで、作業のマトリックスはそこに示したとおりです。

24ページ以降は個別の案件を文書にして書いていますので、そこを読んで確認していきます。質問5については、「健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項」として、2つほど書かせていただきました。1つは、考慮を要する事項としては「ナフタレン濃度の経時変化を伴う製品の規制について」どう考えるかということです。内容は先ほどヒアリングをした1社さんですが、製品の一部グレードがナフタレン誘導体で、お客様の使用温度条件下で熱履歴により置換基が外れてナフタレンが副生してきます。熱履歴で外れますので、温度が高いほど、あるいは時間が経つほど、その濃度は増加して、条件によって1重量%を超える可能性があります。出荷時には1重量%を切っておりますので、そういう意識なく出荷しているのですが、こういう状況であり、ばく露について特別な管理を行っていないものの、こういう状況を気にして情報が上がってきております。発散抑制や作業環境対策は急に求められると、困難かつ時間を要するという業態の会社さんです。

 もう1つは、「屋外における詰め替え作業への規制について」どう考えるかです。これは別の会員会社さんです。ナフタレンを1%を超えて含有する原料等の詰め替え、具体的にはドラム缶から18Lの容器に詰め替え作業をしています。作業量は、ナフタレン1%を超えて含有する原料として、600700Lの詰め替えの作業をしており、1日の作業で終わってしまうということです。この作業は屋外の作業で、局排などの適用除外ではあるのですが、当該作業場の外に、休憩室やシャワー設備を持っています。しかし更に、不浸透性の床の設備や作業主任者への対応が求められると、急に対応のできる形ではないということです。

 質問7は、特殊な作業についてのコメントです。4つほど書いています。分析業務は、2つ書いていますが、1つは分析機器点検用の内部標準としての指標です。製品としてナフタレンを扱っているのではなく、測定機器の検定用としてのナフタレン使用ということです。量も年間に数グラム程度ですし、年間に数回程度です。検定をするためだけで、保護メガネ、手袋を着けて作業をしていることを考えると、リスクは十分に排除できていると考えています。

 あと操業分析もあります。ナフタレン製造におけるナフタレンの操業分析についても、現場でのサンプリング時に呼吸用保護具、不浸透性手袋、防護メガネ等を適切に着用していますので、部屋に持ち帰り分析するときに、上のような分析室の中で、きちんと保護メガネ等を掛けて作業をしていれば、同じようにばく露のリスクは十分に排除できていると考えております。

 次に、サンプリング作業があります。これは1つの例なのですが、月に1回程度、500cc程度の頻度で行っています。屋外作業で、保護具はゴム手袋、保護メガネ、作業服で対応しています。ここは作業主任者の選任を行っている作業現場ですが、作業環境測定はしていません。健康診断実施は、ナフタレンではないのですが、特化則対応で、ほかの例でやっていると理解しています。

 あとはストレーナー掃除で、ラインのフィルター部分の掃除です。頻度は、23か月に1回程度やっている内容です。掃除をする前に窒素により除外を行います。クローズで液を抜き、クローズ系で窒素パージをしているということで、場所は屋外です。保護具はゴム手袋、保護メガネ、作業服です。作業主任者を選任しており、作業環境の測定はしていません。健康診断は他のサブスタンスですが、やっているということです。

 屋外における密閉配管に関わる作業は、ナフタレンが扱われているラインがあるわけなので、ときとして、そういう密閉配管を、ここに「年に10回以内」と書いていますが、1回で1時間程度の作業だということです。作業としては液を抜く、液を張る、ストレーナーの点検をするということなので、そこの段階で開放します。ただ、ばく露は短期間と考えていまして、低リスクの事例だと思うので、御検討いただきたいという要望です。

 あとは細かいところになります。質問9は、難しい内容だと思いますが、現場サイドとして、措置の対象で、特に製造と言えば分かりやすいのですが、取扱いという感覚はヒアリングのときには難しいようで、「取扱いの対象となる場合は条件を明示してほしい」という要望がありました。具体的には、何キロ以上とか、裾切りの条件を設定できないかという希望です。裾切りをする場合に前提条件や考え方を明示していただければ非常に助かるという意見です。

 最後に質問10ですが、その他の意見として、先ほど参考として挙げたナフタレンが経時劣化で出てくるケースです。具体的に品物が書いてありますが、熱媒体という製品があります。熱劣化によりナフタレンが発生しますが、使用温度により発生量が少ない場合もあるため措置の対象である「製造又は取扱う業務」に該当しないと思う。しかし、使用者のプラント内でナフタレンが発生する可能性があるため、今回はあえて報告しましたという意見です。我々としてのヒアリングの結果は以上です。

○菅野座長 ただいまの報告について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○名古屋委員 26ページの表の中で、屋内作業のH社の所に2つの○が付いています。この2つは、その中で作業が分かれたので2つ付いているのですか。多くの場合は、屋内と屋外で1つずつなのですが、ここだけは屋内だけで2つ付いている理由は何かあるのですか。

○化成品工業協会上村氏 ばく露コードの何番辺りですか。

○名古屋委員 33番は2つ付いていますよね、35番も。この理由が分からないのです。35番の充填と収缶を分けたのか、そうではなくて、ほかは、いろいろな作業があるのに屋内と屋外で○が1つしか付いていないのですが、ここだけ屋内に2つ付いているのです。

○化成品工業協会上村氏 これは2つの違った現場から、それぞれ仕込作業、収缶作業ということで、別計上が上がってきているので、1社当たりで2つの○を付けています。

○名古屋委員 作業が違うわけではなくて、場所が。

○化成品工業協会上村氏 作業が全く同じかどうかというのは、製品まで確認しておりませんので分からないのですが、作業としては、ばく露の環境としては同じであると確認しております。

○菅野座長 先ほど温度によって、置換基が外れてナフタレンが生成するという御説明がありましたが、具体的には物質名はお分かりですか。元のナフタレン誘導体の物質名です。

○化成品工業協会上村氏 現在、私自身は把握できていませんが、事業者からヒアリングは可能なので、事務局を通じて先生方に御報告することは可能だと思います。

○保利委員 18ページから21ページで、そもそものところで、空欄の所は記述がない部分なのでしょうか。

○化成品工業協会上村氏 質問4の表の所でしょうか。

○保利委員 はい。○×で措置の有無があって、ここでは回答数に対する措置数ということで書かれているのですが、空欄の所は回答がなかったということでしょうか。

○化成品工業協会上村氏 例えば22ページは×が付けてあったり、「該当なし」というコメントが入っていますが、その他の所は、例えば20ページだと○だけであったり、数字だけであったり、ブランクがあります。ブランクの部分については、×と付けていないだけで、やっていないという認識でおります。

○唐沢委員 資料の24ページ、質問7の表の一番最後に「屋内における密閉配管に関わる作業」というところで、液抜きと液張りのイメージは分かるのですが、その次のストレーナー点検作業は屋外かつ年10回以内、1時間ということになっていますが、この場合のストレーナー点検作業については、別件になっているのではなくて、上に「ストレーナー掃除」というのがあります。ですから、それと同じような防護措置をなさっているのでしょうか。つまり、保護具はゴム手袋、保護メガネ、作業服など、その点はいかがでしょうか。

○化成品工業協会上村氏 これは先生がおっしゃるように、作業用保護具を着用して対応している通常の作業です。現場のライン配管の外しといった感覚の作業です。ただ、作業者はヒアリングのときに、ばく露の機会であると捉えて回答してきたものです。

○唐沢委員 上と同じような防護策は講じておられるということですか。

○化成品工業協会上村氏 はい。

○菅野座長 ほかにいかがですか。

○小野委員 質問5のナフタレンを経時的に発生するというものなのですが、量的には合成ということで、かなり大量に使うようなことになっているのでしょうか。

○化成品工業協会上村氏 使用の条件というのは熱媒体なので、プラントの中の熱交換器の中の流体として使うので、量はそこそこあります。ただ、完全に密閉系での取扱いになるので、ばく露機会は少ないと考えております。業界でもばく露がないように、シールでやるとか、そこら辺は注意して使うように、使用者に指導しています。

○藤間委員 同じく質問5の熱媒体なのですが、通常は熱媒体を1回仕込んで、ライフは結構長いでしょうから、その間は使うと、交換の頻度は大体どのぐらいになるものなのでしょうか。

○化成品工業協会上村氏 私自身は具体的に数字は把握できていないのですが、数年で交換するというのが多いです。1年未満というのは、よほどひどい条件下か、トラブルがない限り。何年かしていくうちに、徐々にアキュームレイトしていくというのは傾向として認められます。

○藤間委員 そういう意味では、ばく露の機会は数年に1回ぐらいと考えるのが妥当ですね。

○化成品工業協会上村氏 そうです。そのときも作業の保護具は当然対応しますので、その辺りは完全ばく露かと言われたら、非常に管理されたばく露状況です。基本的に屋外作業です。

○菅野座長 内容が多岐にわたるので難しいところですが、すぐに御質問がなければ、これで化成品工業協会様からの御意見の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○化成品工業協会上村氏 ありがとうございました。

○菅野座長 続きまして、日本芳香族工業会からのヒアリングを行います。

○高村化学物質情報管理官 次に、日本芳香族工業会様からのヒアリングを行います。本日は、日本芳香族工業会から、有村様、吉武様にお越しいただいております。まず、資料は3-227ページです。まず事務局から説明をさせていただいた上で、補足説明ということで工業会様から御説明を頂きたいと思います。

 資料の27ページ、資料3-2を御覧ください。芳香族工業会様の会員企業数は、正会員15社、賛助会員33社です。その中でナフタレンを使用している会員企業数は3社で、こちらは皆さんナフタレンの製造を行っているという御回答を頂いております。工業会さんの活動内容については、正会員は芳香族タール製品の製造業者及びその製造に関係ある団体です。賛助会員は芳香族製品及びタール製品の販売業者、需要者並びに芳香族工業、タール工業に関係ある業者及び団体です。

 芳香族工業及びタール工業に関する生産、流通、消費等の調査、製品並びに製造に関する技術、労働、環境・安全等に係る諸問題の調査・研究・開発に関する事業を行っているということで、化学製品の基本原料である芳香族及びタール製品の高品質で安定的、効率的、安全な生産・供給の確保を通じて、国民生活の安定・向上・豊かさの増進に貢献することを目的として活動されているということです。

 質問3のところで、業界団体としての安全、健康障害防止のための取組みということで、モデルSDSの作成をされているという御回答を頂いております。

 続きまして、28ページの質問4、実際にナフタレンを取り扱う主な作業ごとに、事業者の自主的な取組みについて御回答いただいております。3つの作業についての取組み状況の御回答を頂いております。作業としてはサンプリング、分析、出荷が、ばく露の可能性のある作業だと御回答いただいております。サンプリング、出荷については屋外作業。分析については屋内作業という御回答です。

 それぞれの措置の状況については、屋外作業においての密閉化、局排等の発散抑制措置については、屋外であるため措置をしていないと御回答いただいております。また、分析業務においては、密閉化については該当なし、プッシュプルについても該当はないという御回答を頂いております。

 作業管理のところの「用後処理(除塵)」の取組み状況については、ナフタレンの状態が液体ということで、該当はないと御回答を頂いております。「防毒マスク」については措置をされているということですが、「送気マスク」については措置はされていないということで、全ての作業について×を付けております。また、作業環境測定、特殊健診についても、現在は実施はされていないということです。

29ページの質問5です。健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項ということで、質問をしたところ、下のような形で御回答いただいております。読み上げさせていただきます。以下の理由により、新たな健康障害防止措置は必要ないと考える。丸数字1取扱いは液状ナフタレンの製造から出荷であり、全て密閉機器・配管内の移送である。丸数字2一企業のみ固体ナフタレン(粉体状)製品を袋詰め、貯蔵、出荷をしていたが、平成22年をもって終了したため、現在では全社とも製品は、液状ナフタレンのみである。丸数字3また、液状製品ナフタレンのサンプリング、出荷時の出荷配管の脱着に要する時間(ばく露時間)は極めて短時間であり、また、屋外の環境下で行われるものである。丸数字4分析作業は局所排気下での作業であり、ばく露はほぼ無いと考える。

 質問6については、「特に無し」ということです。

 質問7は、特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)の概要と意見という質問をしたところ、3つの作業について御回答いただいております。作業名のサンプリングについては、ばく露作業とされているが、屋外作業であること。ブロー及びサンプリングはそれぞれ約1分以内で終了すること。サンプリング頻度は1日に1回以下であることから、特殊な作業ということで挙げていただいております。

 分析作業については、分析用サンプリング液の取扱い量は極めて少量であり、全て換気設備の整った分析室の局所排気下の作業であることから、ばく露はほとんど考えられない。また、局所排気の吸気能力は定期的に測定し、確認を行っているということで、特殊な作業ということで御説明いただいております。

 出荷については、ローリー出荷場は開放空間であり、屋外作業環境である。また、ナフタレンばく露は、出荷用配管のローリーとの脱着時のみであり、ナフタレン付着面が外気に曝されるのは数分のことである。また、頻度は1日に数回のことであるということで、今回、ばく露の可能性のある作業は全て少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業であるという御回答を頂いております。

30ページの質問8については、「特に無し」ということです。質問9は、措置の方針についての意見ということで、ナフタレンを製造している会員会社は、全て液状ナフタレンの製造及び出荷だけである。固体のナフタレン製品の製造、梱包、貯蔵、出荷は行っていない。このために、ナフタレンの製造、出荷ほかにおけるナフタレンは全て密閉系内の取扱い作業であり、特別の措置は不要であると考える。

 最後に、質問10として「その他の意見」にいただいている回答を読み上げます。「繰り返して述べさせていただくが、弊会会員でナフタレンを製造している会員会社においては、ナフタレン製品の取扱いは全て液体である。固体(粉体)製品の製造、出荷はない。製品ナフタレンの取扱い温度も100℃前後であり、高温物質取扱い上の注意の観点、及び製品の液状確保の観点からの保温等で、既に密閉及び漏えい対策等が十分に確保されている。また、前述のとおり、サンプリング、分析、出荷等の取扱い作業においても、ばく露はほとんどない状況と考える。実際の作業現場における作業員のばく露の実測値において、全て二次評価値を超えているような実態はないと認識している。このような状況でありながらも、新たな措置対象となる作業である、というのであれば、改めて根拠の確認及び意見を述べさせていただきたい」と御回答いただいております。調査票については以上です。補足がありましたら、よろしくお願いします。

○日本芳香族工業会有村氏 一応、3社と言うのは三菱化学、JFEケミカル、シーケムの3社です。シーケムというのは、新日鉄住金化学、ガス会社であるエア・ウォーター・ケミカルの合弁会社で、出資比率は新日鉄住金化学が65%、エア・ウォーターが35%の会社です。いずれもこの3社とも、コールタールを蒸留して精製してナフタレンを製造しております。業界としての取組みということで、「モデルMSDSの作成」と記載しておりますが、これは芳香族工業会のホームページにアップしております。関連している製品は約20弱ですが、JISの改定、法令改定の都度、改定する形にしております。

 ばく露の状況については、「ナフタレンのリスク評価書」ということで、平成24年度、平成25年度のリスク評価書の中で、ナフタレンの製造というところで、対象事業者は1事業者ですが、測定数が11ということで、ばく露の測定結果として0.008ppmと、評価値を大幅に下回っており、ほぼ検出限界に近いところだと認識しております。

 以前、粉状のものを製造していた会社があるのですが、これはシーケムの九州工場です。本当に設備を撤去しているのかどうかということに関して、今週の月曜日にシーケムの本社の担当者に確認に行かせました。粉状の設備というのは、通常、ナフタレンをさらに晶析によって精製するのですが、その設備をも撤去しておりました。よって、ナフタレンの梱包作業はないという認識になっております。

 シーケムの九州製造所については、平成22年、中災防の九州衛生サービスセンターによってそれぞれ環境測定、個人のばく露測定を実施しており、そのときは梱包作業等がありました。確かに倉庫等はナフタレンの臭いがするということで、2ppmほど個人ばく露の値が示されていたのですが、分析においては0.4ppmということで、極めて低い値のデータを中災防から頂いております。私からは以上です。

○菅野座長 ただいまの御説明について、御質問、御意見等がありましたら、よろしくお願いします。出荷というのは、直接パイプラインで繋がれて行われている状況ですか。

○日本芳香族工業会有村氏 メインの用途としては、塩化ビニル樹脂の可塑剤の無水フタル酸を系内で自消しております。それはパイプラインで液状で運んでおり、その他の外部の出荷は、ローリーや船というのが出荷になっておりますので、全てパイプラインで閉鎖系で行っている形です。

○菅野座長 ローリーの出荷もあるということですか。

○日本芳香族工業会有村氏 はい、あります。

○菅野座長 分かりました。

○唐沢委員 今の関連で補足的に伺います。液状ナフタレンのみということで、確かナフタレンは融点80℃ですから、例えばタンクローリーで出荷する場合、タンクローリーは80℃以上に加熱されていることになるのですか。

○日本芳香族工業会吉武氏 基本的には120℃~110℃です。距離によって温度が下がってきますので、ローリー自体に加熱する能力もあります。例えば私どもの工場の一つは倉敷にありますので、倉敷から富山へ出すときには少し高めに出しますし、岡山とか大阪ぐらいだと低目に出します。

○唐沢委員 余り冷えないで、そのまま運べるという意味ですか。

○日本芳香族工業会吉武氏 そうです。お客さんの所へ持っていっても液体の状況です。

○藤間委員 ローリーで、充填なり何なり、移送ということだと思いますが、そういうときのベントなどの処理はどうなっているのでしょうか。

○日本芳香族工業会吉武氏 基本的には屋外ですので、ベントをやっている所とやっていない所がありまして、ベントをやっている所はそのまま引くには引きますが、それをやりますと固結することがあるのです。ですから、現実的には余り強く引けないので、ベントはそれほど強く引っ張っていないのが実状です。固化すると詰まってしまいますので。

○藤間委員 もう1点ですが、蒸溜、乾溜などの装置のメンテナンスとか、釜残の処理とか、スラッジの処理というところで、ばく露する作業の可能性はないでしょうか。

○日本芳香族工業会吉武氏 一応、ゼロではありません。基本的には年に1回程度やる開放点検があります。蒸溜塔の例ですと1度、中を洗って、窒素置換して、それから空気置換しますから、ほとんどナフタレンとしてのガス状態というのはありません。ただし固体として付着しているのが少しあります。これについては、先ほど化成品工業協会さんからお話があったストレーナーの掃除のような作業が年に1回ぐらいはあります。。

○藤間委員 非定常作業と。

○日本芳香族工業会吉武氏 もちろん非定常作業です。

○保利委員 ローリーで出荷する場合、出荷中は多分問題ないと思いますが、下ろすときは密閉系は、どう動かすようになっているのですか。

○日本芳香族工業会吉武氏 ローリーで下ろす場合は、基本的には私どもではなく運送会社又はお客さんのほうが担当になりますので、基本的には出荷と同じ状態ですが、お客さんの状況によります。

○保利委員 そこでばく露する可能性はないとは言えないという。

○日本芳香族工業会吉武氏 ゼロではないですよ。必ず接続したりというのがありますから、全くゼロではないです。

○名古屋委員 このデータを見ると、スポットで1.1ありますので、結構高いことは高いですよね。ばく露濃度も0.04ですから、タンクローリーも、上げているときの風によって違うのです。データとしては、ほかのものよりは決して低くはないのです。

○日本芳香族工業会吉武氏 今の1.1というのは、このデータですか。

○名古屋委員 ローリーの受入れということで、参考資料2-1のところにあります。これは前の委員会でも議論したのですが、ローリーで出すときに風下と風上では違うのです。スポットのときはかなり高くなりますよと。ただ時間が長いからスポットで、ばく露になると0.04になりますが、スポットは高いですよという話をしたのです。決して低くはないですよ。

○保利委員 作業所E、事業所Eのところですね。

○名古屋委員 ローリーというのは、スポットは決して短くないのです。ただ、事業所は違うからね。

○菅野座長 どうもありがとうございました。これで日本芳香族工業会からのヒアリングは終わります。続きまして、その他の団体からの意見内容と、それらを踏まえた健康障害防止措置の検討シートの更新状況について御説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 資料1-1の中の11ページの資料1-2を御覧ください。今、ヒアリングの対応を頂いた2つの団体のほかに、もう1つの団体からもアンケート調査の結果を提出していただいておりますので、そちらの内容を中心に説明いたします。

 もう1つの団体は防虫剤関係の団体ということで、1の業界としての取組みというところです。こちらの団体は、行政からの指針、取組み等の情報提供、事業者の自主的な管理推進の指導を団体として行っています。

2つ目の事業者の自主的な取組みですが、今回3団体からいただいている作業での取組み状況については、15ページの資料1-2の別紙に概数をまとめておりますので、そちらを御覧ください。今回のアンケート調査結果で御回答いただいた作業の数としては、屋内が19作業、屋外が17作業ということで、それぞれの取組み状況についてまとめております。左側が屋内作業における各措置の取組みの割合です。単位はパーセントです。右側が、屋外作業における措置の取組み状況ということで、同じく単位はパーセントです。

 発散抑制措置について、製造工程の密閉化は、屋内は61%、屋外は47%です。それから、局所排気装置の整備は、屋内作業が約8割、屋外は6%の局排の整備がされております。また、全体換気装置は、屋内では半分ぐらいの所が全体換気装置を整備しているということでした。作業環境の改善ということで休憩室の設置、洗浄設備の整備等は約7割~8割の作業において既に措置が取られているということです。設備の改修等作業時の措置については、屋外・屋内ともに4割程度の所で措置がされております。また、漏えい防止措置として、不浸透性の床の整備は、屋内・屋外ともに4分の3程度の所で措置がとられているということです。

 作業主任者の選任等の作業管理ですが、おおむね保護具の使用に関しては、呼吸用保護具の使用以外は、6割から100%という措置が取られております。作業環境の測定については、屋内作業においては半分程度の所が測定及び記録の保存もされているということです。結果の評価についても記録の保存はされているということです。

 特殊健診(独自)については、屋内・屋外ともに1割~2割程度の所で措置が取られているということです。特殊健康診断は6か月に1度、こちらは特定診断ということでアンケートではお聞きしております。特定健康診断については、屋内・屋外とも半分程度の所で既に実施されているということです。以上が、今回頂いた作業についての自主的な取組み状況です。

11ページに戻って、3の健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項です。防虫剤の関係団体から頂いているのが、2のところで、3つの事項について考慮を要するということです。1つ目の発散抑制措置については、措置の内容は作業環境測定結果に応じたものとする。こちらの会社では、粉体及び錠剤の搬送経路の覆いと局所排気装置により二次評価値より十分低いレベルまで発散抑制できています。よって、一律の措置内容ではなく、管理区分別の段階的措置内容が望ましいと考えるということです。2つ目の作業管理については、発散抑制措置の内容と同様に、二次評価値よりも十分低いレベルに管理されている場合は、通常作業においては簡易的マスクでも可とするいうことです。

3つ目の、健康障害防止措置の導入については、作業従事者の健康を守るためという点は十二分に理解はできるが、作業環境測定、特殊健康診断、保護具の着用へとコスト増への懸念が生じる。電気料金・消費増税の影響も鑑み、製品単価への価格転嫁も視野に入れなければならないということで御意見を頂いております。

4 技術的課題及び措置導入の可能性についても、防虫剤関係団体から御意見を頂いております。技術的課題及び措置導入の可能性については、発散源の密閉化、全体換気装置、梱包作業の換気装置について、技術的課題を挙げていただいております。発散源の密閉化については、設備の特性上、錠剤搬送、包装機の完全密閉は困難であるということです。全体換気装置については、作業場が完全に空調化されておらず、冬季の作業に関しては排気装置を停止しているということで、技術的な課題があるということです。梱包作業の換気装置については、製品の需要期を考慮すると冬季の生産が常であり、また製造場所が北海道ということで、換気効率と暖房効率を両立させる点が課題であるという技術的課題を挙げていただいております。特殊な作業については、特に防虫剤の団体からは頂いておりません。

13ページの6 産業活動への影響や公正競争の観点からの意見です。特別規則の措置の対応に設備投資、人件費などの追加投資が過大となれば、製品価格への転嫁や、状況に応じては、生産活動の継続ができなくなる可能性があるということです。

7 措置の方針についての御意見です。14ページの2つ目のところが防虫剤関係団体から頂いている御意見です。「現状の抑制措置で二次評価値より十分低いレベルに管理できていることから、作業工程共通のリスクとは考え難く、よって法令による対策ではなく、指針に基づく自主的・適切な管理を行うことの周知が望ましいと考えます。また、仮に装置内容を指定する場合でも、一律ではなく管理区分に応じたものであることが適当と考えます」ということです。

 最後に、8 その他の意見です。2つ目のところが防虫剤関係団体から頂いている御意見です。「平成17年度より年2回作業環境測定を実施しています。測定結果に基づいた改善を継続的に行い、平成22年以降は『管理区分1』を維持しております。環境濃度の低減を目指した改善や作業者への安全衛生教育も継続しております。特別規則による措置の検討に際しては、現状以上の発散抑制措置や作業管理を要しない範囲での措置内容の検討をお願いしたいと思います」ということです。その他の関係団体からの御意見については、以上です。

 続いて、資料1-1の措置の検討シートに、今回のヒアリング結果等の内容を、該当する所に入れ込むという形で更新しております。更新している内容については、これまで説明した内容と全て重複しますので、こちらについては、アンケート調査結果を現時点では入れ込んでいるということで、説明は割愛させていただきます。

1点だけ、今御説明した防虫剤関係団体で、3ページの業界団体名の一番下にある団体から御回答いただいております。「日本繊維製品防虫剤工業会」です。会員企業数は14、うちナフタレンを取り扱っている会社は2社で、こちらから御回答いただいております。

 ナフタレンに関しては、前回の検討会で幾つか宿題事項がありましたので、そちらの説明を少しさせていただきます。1つ目は、ばく露作業報告において、ナフタレンの製造を用途として報告した事業場数の全体像については、口頭で申し訳ありませんが、ナフタレンそのものの製造ということで、その用途の報告を頂いた事業場数は22でした。そちらでされている関連作業は46作業の報告がありました。ナフタレンのリスク評価結果の中で、区間推定値が二次評価値を超えているということで、用途ごとに少しグループ化して区間推定値を出して見られたら見てもらいたいという御意見を頂いていました。こちらについては、参考資料3を用意しております。

 なかなかグループ化するのが難しい面もあり、ばく露作業報告上の用途ごとに、ばく露実態調査結果をグループ化して、それぞれのグループごとに区間推定値(参考値)を算出した結果です。参考資料3の表紙の1と書いてある所の上の値は、ナフタレンそのものを含有する製剤等を製造する用途のグループの区間推定値です。こちらの用途における作業のばく露実態調査結果については測定データ数が10あります。こちらについては、コレモゴロフ・スミルノフ検定の結果、対数正規分布を否定できないということでしたので、区間推定の上側限界値を算出したところ、信頼率90%、上側5%で算定したところ19.54ppmということです。また、この測定データの最大値は7.55ppmということです。

2つ目の四角の値は、ナフタレン以外の製剤等の製造の原料とする用途ということで、ナフタレンを原料として反応させて、別の物質の製剤を製造する目的での作業についてグループ化して区間推定値を参考値として出したものです。こちらについては、測定データ数が7、同じくKS検定の結果、対数正規分布を否定できないということで、区間推定上側限界値を算出したところ0.08ppmになっております。

 裏の3つ目の値については、「その他」ということで、漠然としたものをグループ化したものです。今挙げたもの以外でグループ化したところ、測定できているデータとしては5つあり、KS検定の結果、やはり、対数正規分布を否定できないとなりましたので、区間推定上側限界値を算出したところ1.81ppmになっております。参考資料3については、以上です。

 もう1点、ナフタレンの温度と蒸気圧との関係については、参考資料4にグラフでお示ししております。横軸の温度は絶対温度のケルビン(K)、縦軸は蒸気圧のキロパスカル(kPa)です。右側の太線のグラフが米国化学会で出しているデータをグラフ化したものです。左側の線は化学便覧のデータをグラフ化したものです。ナフタレンについて、事務局からの説明は以上です。

○菅野座長 ただいまの御説明について、御質問、御意見がありましたらお願いします。蛇足ですが、ナフタレンの蒸気圧は20℃と30℃を比較しますと、2.5倍から3倍程度高くなるということです。いかがですか。時間が甚だ短くて恐縮ですが、一旦ここでナフタレンの検討を終わらせていただきます。

 それでは、「リフラクトリーセラミックファイバー」の措置の検討に移ります。まず、関係事業団体からのヒアリングを行いますので、事務局から御説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 「リフラクトリーセラミックファイバー」の関係団体ということで、本日は、セラミックファイバー工業会様から藤井様、竹中様、戸塚様の3名の方に御出席をいただいて、資料3-3を用いて御説明を頂くことになっております。よろしくお願いいたします。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 セラミックファイバー工業会の環境委員長をやっております戸塚と申します。よろしくお願いいたします。資料2-2の説明を資料3-3を使いながら説明いたします。まず、資料2-2のセラミックファイバー工業会の概要と業界団体としての取組については、別添の資料3-3で説明いたします。皆様はセラミックファイバーというのを御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、余り一般には普及しているものではありませんので、一応その概要について御説明させていただきます。説明は当工業会の幹事長の竹中からさせていただきます。

○セラミックファイバー工業会竹中氏 セラミックファイバー工業会の幹事をしております竹中と申します。よろしくお願いいたします。セラミックファイバーと言っても、消費者の目に直接触れる場所に使われていることはごく希なケースで、皆さんには余り馴染みのない素材だと思いますので、概略について簡単に説明させていただきます。お手元にあります資料の19ページの下の「会員会社」~「セラミックファイバーの製品と用途」について、私から簡単に説明し、最後の項目の「工業会の労働衛生に関する取組み」を環境委員長の戸塚から説明いたします。

 まず、セラミックファイバー工業会の会員ですが、イソライト工業株式会社、イビデン株式会社、新日本サーマルセラミックス株式会社、ニチアス株式会社、株式会社ITM5社が正会員で、製造メーカーです。賛助会員は電気化学工業株式会社、三菱樹脂株式会社の2社で、この2社はセラミックファイバーの製造は行っておらず、アルミナファイバーだけの製造を行っています。

 セラミックファイバーの歴史ですが、1940年代にアメリカで開発された素材で、その後、1960年代にジョンズマンビル、カーボランダムなどの会社が参入しました。日本においては1960年代に生産が開始され、1973年の中東戦争を契機に、省エネルギー材料として飛躍的に需要が伸びた経緯があります。当工業会は、1980年代中頃に、当時の通商産業省の窯業建材課の指導の下に発足されております。

 次に、セラミックファイバーの繊維の定義に入ります。資料の21ページです。繊維は大きく分けて有機系の繊維と無機系の繊維の2種類があります。セラミックファイバーは無機質繊維に属するものです。無機質繊維でも天然に存在するものと人造繊維の2種類があって、天然繊維としては広く知られている石綿が鉱物質繊維です。人造繊維は金属質繊維、人造鉱物繊維、炭素質繊維、ウィスカー、その他があります。

 次に、人造鉱物繊維ですが、この中にはグラスファイバー(長繊維、短繊維)、スラグウール、ロックウール、シリカファイバー、私どもの工業会で扱っている高温用無機繊維があります。この中には、リフラクトリーセラミックファイバーと、生体溶解性ファイバーと、アルミナファイバーの3種類です。

 次に、各種無機繊維の比較に移ります。アスベスト、スチールファイバー、カーボンファイバー、ガラスファイバーといった素材のほかに、アルミナファイバー、リフラクトリーセラミックファイバーが、当工業会で扱っている繊維です。

 リフラクトリーセラミックファイバーには、ASWというものもあります。別名RCFには2種類の繊維があって、一般的には1260℃対応のもの、シリカとアルミナが50%、50%の比率でミックスされて、溶融され、繊維化されたものです。それにジルコニアを添加物として加えた製品は1450℃対応と呼ばれるものです。もう1つ、当工業会で扱っているアルミナファイバーは、アルミナーシリカがおよそ72%以上の繊維で使用温度域は1800℃のグレープになっています。22ページの下は、当工業会が取り扱うセラミックファイバーの種類です。2種類あって、右側がアルミナファイバー、左側がセラミックファイバーです。

 セラミックファイバーの定義は、一般名称が「アルミナーシリカ系セラミックファイバー」あるいは「リフラクトリーセラミックファイバー」、「アルミナーシリカ系人造鉱物繊維」、「非晶質セラミックファイバー」、「RCF」、「アルミノシリケートウール(ASW)」といった呼名で定義されております。

 次に、製造方法ですが、原料は、天然に存在する鉱物としてカオリンあるいは人造的にはシリカとアルミナ粉を50%、50%で混合されたものを原料として使用して、約2000℃の電気炉で溶融して、それを下に落として、この下の流れを飛ばして繊維化したものがブロックファイバーと称されるもので、こちらを原綿として、各種製品に2次加工されています。

24ページに移ります。繊維化する方法は、ブローイング法は溶けたスラリーを下に落として高速のコンプレッサーで吹き飛ばして繊維化したものと、もう1つはスピニング法と称して、回転するリンクにスラリーを落として繊維化するという2通りの製造方法が一般的に採られております。

 各種鉱物繊維の電子顕微鏡写真です。左上がよく知られているアスベストです。アスベストというのは天然に存在する鉱物で、この鉱物をほぐして繊維状に取り出したものが一般的に石綿と呼ばれている繊維です。非常に繊維径が細くて、0.1μぐらいの径です。右上がセラミックファイバー、左下がスラグウール、右下がアルミナファイバーになっています。

25ページの上の写真ですが、左側がアスベスト、右側がセラミックファイバーです。セラミックファイバーの被包体は比較的ストレートな繊維であるのに対して、アスベストは細かい繊維が集った集合体で、これがどんどん枝分れして、肺に刺さったら人体からなかなか排出されないという繊維で、発がん性があります。

 次に、日、米、欧での生産量ですが、当工業会で生産統計を取っておりまして、日本ではおよそ15,00016,000トン/年が生産されておりました。欧米については、データがありませんので不明とさせていただきました。今回のヒアリングとは関係ありませんが、ちなみにアルミナファイバーはグローバルスケールでは3,0004,000トンが生産されており、この量のうち、およそ6割が日本で生産されております。

26ページの左上の表は、生産量の推移で、当工業会で統計を取ったデータです。

26ページの下は、RCFの代表的な製品です。溶融化されて繊維化されたファイバーを一次製品と呼んでいます。こちらから2次製品のボード、ブロック、不定形材、ブランケット、真空成型品、ペーパーなどが製造されています。

 次に、RCF製品の主用途ですが、こちらの表に見られますように、鉄鋼、非鉄金属、石油化学、セラミックス、家電、建築、自動車、半導体、ガラス、車両・船舶・航空機、環境・エネルギーという多岐の産業界で広く使われています。セラミックファイバーの特徴として、耐熱性が高いということはもちろんのこと、軽量である、熱伝導率が低いことによって、非常に省エネルギーに貢献する素材として認められ、各産業界にとって必要不可欠な素材であると言えます。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 引き続きまして、環境委員長の戸塚から労働衛生に関する取組をお話いたします。先ほど幹事長から話がありましたが、人造鉱物繊維ということで、アスベストとよく間違えられることもあります。労働衛生に関わることとしては、古くからいろいろなデータを取って実測をしながら対応を進めてまいりました。その1例を27ページに書いています。

 取扱い箇所における粉じん濃度及び繊維数濃度測定。それから、セラミックファイバーの繊維径を測定したり、使用する掃除機はどんなものが良いか。集じん機器の排出口ではどのようになっているか。後ほどお話いたしますが、セラミックファイバーの炉材は耐火物ですので温度を掛けます。温度を掛けた際には、性状がちょっと変化して結晶性シリカの1つのクリストバライトを発生しますので、どの程度発生するのか。また、そういったものが動物実験上、どういう影響があるか等についてデータを取ってまいりました。

 そのデータを基に当工業会としては、28ページに示しましたが、セラミックファイバー製品を安全に使用していただくための取扱いマニュアルを平成7年より作成して発行しております。現在は右に示す取扱いマニュアルをホームページ上で公開しております。また、それとは別に「セラミックファイバー製品の取扱い」は字が多いものですから、これを使っての教育は難しいということで、28ページの下段にありますように、セラミックファイバー取扱い作業者への教育資料として「セラミックファイバー取扱い作業者の心得」等も作っております。

29ページですが、業界としては、業界統一の表示ラベルも作成しております。平成6年のPL法の施行時にラベルを作って、昨年労働安全衛生法の改正で通知対象物の物質に対しても表示が望ましいという努力義務が決められましたので、それを機に、現在GHS対応の警告ラベルを製品には貼らせていただいております。これは工業会の会員の製品には貼ってあります。また、SDSモデルシートも作成しております。

 説明はここまでにさせていただきまして、リフラクトリーセラミックファイバーに関する調査表、資料2-212ページに移ります。「事業者の自主的な取組み」(質問4)ですが、当団体はセラミックファイバーの製造メーカーの団体になります。では、加工団体等があるかというと、特にありませんので、当工業会の会員メンバーの製品を加工している会社などにいろいろ調査を掛けて、計14社から回答をもらっています。

 回答についてお話する前に、まずセラミックファイバーですが、粉じん障害予防規則で鉱物という扱いになっておりますので、鉱物の切断の場合には粉じん則が適用になり、原則として切断加工、原料の投入をしている事業場については、全て粉じん則対応で、こういった健康障害防止措置がなされていることを御理解ください。また、セラミックファイバーは耐火物に該当します。耐火物の据付け及び解体についても粉じん則で規定がありますので、そちらもそれに適用させていただいております。基本的にはセラミックファイバーの取扱いは、全て屋内作業になります。また情報提供に関して、製品については表示、文書の発行等はしております。ただ、自社製品を内部で使う場合には、そういうものがない場合もあります。

 労働衛生教育については、基本的に粉じん則の特別教育を作業者には実施しています。発散抑制措置も粉じん則の要件に応じて局排の設置、及び作業管理の除じん装置も粉じん則の適用に応じることになります。作業主任者の選任ということでは、今まで特化物の扱いをしておりませんので、主任者の選任についてはほとんどないのが現状です。作業環境測定ですが、こちらも粉じんとして6か月以内に1度実施しております。一部の企業においては粉じんに加えて繊維状物質ということで濃度測定も実施しております。粉じん則の適用ですので、作業環境測定の結果の記録については、各社は7年間保管ということで対応しております。

 健康診断も、じん肺法でじん肺検診を行っています。じん肺検診の頻度ですが、無所見者は3年に1度ということですが、企業によっては毎年やったり半年に一度という形でやられているようです。というのが質問4の内容になります。

 質問5の健康障害防止措置の導入に当たって考慮が必要な事項ということでお話いたします。まず発散抑制措置については、作業工程全体を密閉化することは多額の投資を伴うので、発散源に対する局所排気装置の増強のみで対応としたいとしております。また、粉じん障害防止規則の適用を受けておりますので、要件については二重にならないようにお願いしたいとは思っております。

  洗浄設備の整備ですが、RCFの経皮には、経皮毒性がないので、現状では手洗い、うがいの励行で進めております。「作業主任者」については、ここはお願いですが、現行の特化物作業主任者の資格取得教育内容は、化学物質を中心とした教育になりますので、RCFの取扱いとはかけ離れております。また、受講に2日間掛かることから、もしできるようであれば、RCF対象に教育時間・内容を考慮したものを検討していただきたいと思います。取扱者は粉じん特別教育を受講している者が多く存在しますので、その辺は粉じん特別教育にRCF関連項目を追加実施することなどで、作業主任者制度の代替とできないか等を検討していただきたいと思います。

 作業環境測定は、繊維数濃度の測定になります。繊維数濃度の測定は、皆さん御存じのように、現場でフィルタリングして、フィルターで採取し、ラボで透明化してから顕微鏡で見る。非常に他人に頼る部分が多いのと、測定に多大な時間が掛かり、現場では分からないということですので、粉じんであればデジタル粉じん計のようなものですが、できれば現場で濃度レベルを確認できるリアルタイムの濃度レベルでの簡易測定の方法の確立が望まれます。

 特定健康診断についても、じん肺検診を受けておりますので、じん肺検診で代替できないか。若しくは、じん肺検診で足りないものがあれば、RCF取扱者にそこだけを追加するという措置を考えていただきたいと思います。

 「技術的な課題及び措置導入の可能性」です。実は、密閉化については、先ほど幹事長から話しましたが、セラミックファイバーの製造上、繊維を作る工程では、高速の圧縮エアを吹き付けておりますので、できる限り密閉化していますが、完全密閉化は非常に難しいということがあります。また、加工工程においても、人が介在する部分がありますので、全自動化をしない限り完全密閉は困難だと考えております。発散抑制措置については、今は粉じん則での適用を受けていますが、粉じん則は管理区分1であるとしても、今後、繊維数濃度の評価が行われると、管理区分23となってしまうかもしれません。その際、改善は必要だとは思いますが、大きな設備投資になりますので、「投資の結果、ばく露規制値を満足できるかどうか」という指標があれば御提示いただきたいと思っています。

 質問7については、先ほどの説明資料でお話させていただきたいので、資料の30ページを御覧ください。先ほどセラミックファイバーの製品について、幹事長からいろいろ説明があったかと思いますが、形態によって使用している原材料が違います。バルク、ブランケット、マットについては、基本的にはセラミックファイバーが、ほぼオンリーと考えていただければ結構かと思います。フェルト、ブロック、ボード、成形品、ペーパーについては、有機バインダー、無機バインダーは量の違いはありますが使用して固めた製品になっております。ウェットフェルト、ペーストについては湿潤化されておりますので、発じんの可能性はそのままではないかと思われます。こういったものを扱うことになります。最終ユーザーにはブランケット以下の製品が使われるのですが、ばく露レベルがかなり違うということで、工業会で独自に過去からデータを取っており、それが30ページの下段に示している内容です。上の段は成形品です。この成形品の取扱いは加工会社で形も確実に加工して、最終製品はお客様の所で何かの機会に据え付けるとか、もう加工がないということで考えていただきたいのです。その成形品の取扱いは、これは模擬データですが、模擬的に横持ちしたり、動かしたりということで測ったときには繊維数濃度としては0.050.06f/cm3程度であった。セラミックファイバーのその後の一次製品、若しくは二次製品の製造・加工、切断加工等も含めて、全体的に濃度のレベルを見ると、これは古いデータもありますので、高い濃度も出ていますが、0.45.67f/cm3あったということです。

 炉の施工、解体については、繊維数濃度測定は、まだ未実施ですが、炉の施工時はブランケットなどを使い、そういう場合には差がありますが、0.63.4f/cm3で、これは現場になります。炉の解体については、粉じん濃度で33112で、解体時というのは、非常に高濃度ばく露になりますので、ちゃんとした措置が必要かと思っております。炉の解体の場合には、セラミックファイバー粉じんへのばく露のほかに、結晶性シリカができておりますので、施工時にはなかったのですが、解体時には結晶性シリカの粉じんばく露の可能性もあります。

 それを踏まえて、当工業会としては、31ページに示す「セラミックファイバー取扱い作業の労働衛生管理の概要」ということで推奨事項を○△等で記載しております。製造・加工、炉の施工、炉の解体については、このときは粉じん則を基本に考えているのですが、それを遵守した作業内容としてほしいと。成形品、つまり形を作ったもので組み付けるときだけはばく露の可能性がないので、そういった場合は必要ないと考えております。その他というのは、先ほど言った湿潤化した製品ですが、そちらは同様に考えているということです。先ほどのセラミックファイバー炉解体時の労働衛生上の注意事項としては、SDSなどできっちり明記しており、使用前のリフラクトリーセラミックファイバー中には遊離けい酸(結晶性シリカ)は存在しないが、1000℃以上に加熱されたときには、表面の一部が遊離けい酸の一種であるクリストバライトに徐々に変化することが知られています。遊離けい酸は、じん肺症を生じる作用が強いために、窯炉の補修、解体等においては粉じんを吸入することがないようにということで、作業者たちに強く注意しています。

 これを基に、当工業会として、先ほどのアンケートに対して、特殊な作業(少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業)については、17ページに記載しておりますが、RCF成形品等の取扱い、バインター等で固められているRCF成形品、湿潤したRCF製品は、単なる取扱いでは発じんの可能性が低い。本件は当協会のモデル実験時の測定結果からも発じんが少ないことが確認されています。したがって、作業者へのばく露の可能性が低いため、措置対象から何らかの適用除外をしていただきたいと考えております。

 質問8の産業活動への影響についてです。先ほど幹事長から申しましたが、RCF製品は、高耐熱性、高断熱性を有し、省エネルギーに貢献しております。RCFの使用制限で過大な措置の場合、省エネルギーに影響を及ぼす危惧が考えられます。また、RCFの二次加工業者としては中小企業が多く、今回の規制措置は費用負担増加となります。産業活動の停滞のおそれも考えられますので、必要な措置だとは思いますが、十分な施行猶予期間を御検討いただきたいと思っております。

 質問9、措置の方針についてです。これは取扱業務の適用除外等の範囲を明確にしていただければと思います。質問10のその他の意見として、今回の評価基準について、たくさん書かせていただきましたが、今回の評価基準はACGIH0.2f/ccを取っておられます。この値は個人ばく露濃度の許容値ですので、この値をこのまま管理濃度に設定された場合、作業場の平均濃度は0.1f/cc以下にしなければなりません。そのための発散抑制措置を実施すると、費用のことを言ってはいけないのですが、莫大な費用が必要になるかと思います。なおかつ、今までは局排等を設置しなくても対応できた所も必要になってくるかと思います。この点で0.2f/ccというのが良いかどうかをもう一度検討していただきたいということと、もし0.2f/ccを判断基準とするのであれば、現行の管理濃度ではなくて、個人ばく露濃度等でできれば対応が可能かと思います。

 もう1点は、2番としては、現行の粉じん則での規制化が検討できないかということです。現在は粉じん則の適用を受けて対応しておりますが、現行の粉じん則は、じん肺を防止するための規則です。IARCの見直しで、現在、発がん分類でグルーブ1である結晶性シリカを含んでおります。このような観点に立つと、RCFは鉱物粉じんの一種であり、かつ発がん性のおそれがある物質と位置付けされるので、RCFの規制に関して、結晶性シリカと同様に粉じん則での適用ができないか、次のような拡充を考えていただければ幸いだと思います。

(1)としては、現行の粉じん則の適用範囲であるRCFの指定作業に加えて、ばく露濃度が高いと想定されるRCFのほかの作業を新たに追加する。また、(2)現行の粉じん則の特別教育の中にRCFに特化したものを追加する。(3)として、現行の粉じん則の質量濃度規制の代わりに繊維数濃度規制に変更する。(4)RCFの健康診断については、じん肺法によるじん肺健診でもよいと思いますが、RCF特有の健診項目があれば追加していただきたいと思います。

 次に、労災法との関係です。過去に取り扱われた方がいらっしゃいますので、労災の認定ができるように、その辺の御検討もお願いいたします。

 最後に、当工業会の製品を扱う二次加工会社は、非常に小さな企業も多くなっております。発散抑制措置に関しては、施工期間の猶予とともに、助成金等を御検討いただきたいと思います。以上です。

○菅野座長 だいまの御意見につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。先ほど成形品の取扱いについては、発じん性が少ないというお話でしたが、実際に現場で切断というような作業はないのでしょうか。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 現場で切断というよりも、お客様からは図面に基づいて、この形にしてくださいということで要望が来ますし、最終ユーザーは、そういった加工機を持っておりませんので、現場で手直しというのはないかと思います。

○菅野座長 ないと考えてよいということですね。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 はい。

○保利委員 12ページの事業者の取組みの作業管理ですが、「有効な保護具の使用」は、皆さん○となっています。防毒マスクは多分ないと思いますが、防じんマスクをやられているということでよろしいでしょうか。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 防じんマスクを使用しております。

○菅野座長 もう1点ですが、18ページの質問101番の最後ですが、0.2f/ccが判断基準となるだろうから、個人ばく露濃度測定への変更を検討せよという御意見ですが、どういう理由でしょうか。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 飽くまでも今回の判断基準の評価値は、ACGIHTLVです。そうすると、彼らは個人ばく露濃度に対して0.2f/ccという許容値を提示しているわけです。ですから、それに合致するようにすればいいと思っておりますので、要求されたものに対して要求されている測定方法で基準値を満たすようにと思っています。

○菅野座長 ありがとうございました。分かりました。ほかにいかがでしょうか。もう1点。実際に作業環境を測定されている所で、粉じん則に対応した測定と、繊維数濃度の測定を並行してやっている所があるとなっていますが、この実際のデータを御提供いただくことはできますか。

○セラミックファイバー工業会戸塚氏 はい、大丈夫ですか。

○セラミックファイバー工業会藤井氏 大丈夫です。

○菅野座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。それでは、ここでセラミックファイバー工業会からのヒアリングを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、そのほかの団体からの意見内容を踏まえた健康障害防止措置の検討シートの更新状況について、御説明をお願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 資料2-1を御覧ください。今回アンケート調査ということで行った団体は、今、御説明を頂いたセラミックファイバー工業会のみですので、説明内容、アンケート調査結果については、工業会からの説明をもって割愛をさせていただきます。

 検討シートの更新状況ですが、今回頂いたアンケートの回答をそのまま現在、入れ込んだ形で更新しております。シートについては以上です。

 また、前回の検討会で宿題事項としての「ばく露作業報告」において、用途がその他の作業についても、「その他」ということで、その他掛けるその他の事業場でどんな作業をされているのかということで、現在、こちらで持ち合わせております情報等を基に調べたところ、リフラクトリーセラミックファイバーを含有する製品を用いて、炉の施工や配管の施工とか、要するに施工さてれている会社が少なからずあるということが分かりました。できれば工業会とも相談をしながら、次回までに、作業の状況等を把握する形で実態把握を行った上で、次回以降の検討会で、そういったものについても資料として出していきたいと考えています。以上です。

○菅野座長 今の御説明につきましてと言いますか、措置の検討シートについて、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○大前委員 1ページ目の物質名で、リフラクトリーセラミックファイバー(別名 セラミック繊維)と書いてありますが、4ページの対象物質のところでは、人造鉱物繊維となっています。これは、統一するのですかね。

○高村化学物質情報管理官 すみません。直し忘れです。

○菅野座長 5ページの(3)の規制化の必要性の「有害性の程度」が中程度となっています。これは、どのような数値で換算したのですか。

○高村化学物質情報管理官 ファイバーというか、今回の0.2f/ccを繊維の密度というか、長さと径の平均で実際の0.2f/ccの重量を換算して、単純にそういった形で重量換算をした上で中程度にしております。

○菅野座長 アスベストとほとんど変わらない値ですので、中程度ではないのではと思ったものですから。

○高村化学物質情報管理官 そうですね。ありがとうございます。

○菅野座長 いかがですか。十分な検討時間がなかったかもしれませんが、リフラクトリーセラミックファイバーの措置の検討については、本日は終了させていただきたいと思います。最後に「その他」について御説明をお願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 資料4「今後の予定」です。今後の予定としましては、第3回の検討会を912()10時から厚生労働省共用第8会議室で予定しております。次回は、今回のリフラクトリーセラミックファイバーについては、施工関係の状態等を調べた上で資料を出させていただくということと、ナフタレンについては、熱履歴で置換基が取れるというところについて、可能であればそういったところの状況を聞いた上で、御提示させていただき、その上で措置の内容等について御検討いただくということで考えております。

 第4回は、930()1330分~1530分の予定です。こちらは当初は予備日としておりましたが、次回で結果を出すのはかなり難しいので、第4回も開催とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。今後の予定については以上です。

○菅野座長 それでは、第2回の健康障害防止措置検討会を閉会したいと思います。本日は、工業会の代表の方に御出席いただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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