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2014年6月10日 平成26年度第1回化学物質のリスク評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年6月10日(火)15:30~


○場所

第5合同庁舎19階共用第8会議室


○議事

○岸室長補佐 本日はお忙しい中、また、お暑いところを御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第1回化学物質のリスク評価検討会」を開催いたします。

 本日は、池田委員、津田委員は所用により御欠席です。また、花井委員は今のところ来ておられませんので遅れる見込みです。それでは、以下の議事進行を名古屋先生にお願いいたします。

○名古屋座長 それでは、事務局より説明をお願いします。

○岸室長補佐 資料の確認をさせていただきます。本日は3つの固まりで資料を配布しております。まず、議事次第がある資料です。1枚目の裏面に配布資料一覧があります。これにより説明させていただきます。右下に通しページが打ってありますが、1ページからが資料1「エチレンクロロヒドリン初期リスク評価書()」です。27ページが資料2「グルタルアルデヒド初期リスク評価書()」です。55ページが資料3「タリウム及びその水溶性化合物初期リスク評価書()」です。85ページが資料4「メタクリロニトリル初期リスク評価書()」です。107ページが資料5「オルト-フェニレンジアミン初期リスク評価書()」です。127ページが資料6「今後の予定」についてです。

 次に、2枚をホチキスで留めた補足資料があります。リスク評価書の中のグラフの部分が印刷の加減で見にくくなっていますので、グラフだけを抜き出して印刷しておりますので御利用ください。

 もう1つの固まりの参考資料ですが、こちらも右下に通しページを打っております。1ページが参考資料1「化学物質のリスク評価検討会開催要綱」と参集者名簿です。5ページが参考資料2「平成26年度リスク評価(有害性評価)の実施予定について」です。7ページが参考資料3「これまでのリスク評価の進捗状況一覧」です。13ページが参考資料4「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」です。55ページのA3の横長のものが参考資料5、平成25年度ばく露実態調査の結果ということで、これは机上のみの配布としております。61ページが参考資料6「平成25年度ばく露実態調査対象物質の評価値について」修正版ということです。

 資料は以上ですので、何か過不足等ありましたら申し出てください。

○名古屋座長 それでは、本日の議事に入ります。平成25年度ばく露実態調査対象物質リスク評価についてということで、1物質ずつ事務局からの説明をお願いします。

○岸室長補佐 先ほどの参考資料6ですが、補足で説明しますと、これは58日の有害性評価小検討会で使用した資料を、検討結果を踏まえてリバイスしたものですので、評価値の根拠や有害性の判断の基礎資料として使っていただくために準備しております。

 それではエチレンクロロヒドリンの初期リスク評価書について検討したいと思います。2ページから評価書()を読み上げていきます。

1「物理化学的性質」。(1)化学物質の基本情報ということで、名称はエチレンクロロヒドリン。別名として2-クロロエタノール、2-クロロエチルアルコール、グリコールクロロヒドリン。化学式はC2H5C10。化学物質構造式は記載のとおりです。

(2)物理的化学的性状としては、外観は特徴的な臭気のある無色の液体。比重は1.2。沸点は128130℃。蒸気圧は20℃で0.65kPa。蒸気密度は2.78。融点は-67℃等となっています。

(3)生産・輸入量、使用量、用途については、製造・輸入量は平成23年度の実績で1,000t未満。用途としては医薬品、農薬、染料などの有機合成の中間体、重合調整剤、架橋剤となっています。

2「有害性評価の結果」として、(1)発がん性については、ヒトに対する発がん性については判断できないとしています。根拠としては、動物の経皮試験では発がん性が見られなかったというものです。各評価区分です。IARC、産衛学会、EUNTPそれぞれ「情報なし」。ACGIHは「A4」となっています。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性については、吸入、経口、経皮それぞれの値が記載のとおりです。皮膚刺激性/腐食性については「あり」、眼に対する重篤な損傷性/刺激性は「あり」、皮膚感作性については「報告なし」、呼吸器感作性については「報告なし」としています。また、反復投与毒性についてはNOAELとして6.4mg/kg体重/日としています。根拠としては、エチレンクロロヒドリンのLD50 1/10量を30日間毎日若齢ラットに腹腔内投与した実験では、生理食塩液を投与した対照群と比較して、死亡率及び体重増加に差は見られなかった。しかし、投与量をLD50 1/5の量に増加すると、死亡率が著しく上昇し、成長の遅延も見られた。週3回の投与ではこれらの影響は見られなかった。不確実性係数UF、これを30としていますが、これは10の間違いです。10に訂正をお願いいたします。根拠としては種差の10のみです。これを基に計算すると、評価レベルとしては1.2ppm(3.8mg/3)となっています。計算式は以下に記載のとおりです。

 「神経毒性」については、根拠としては体表面の1/40.5時間接触した事例では重度の中毒になった。更にその後間もなく吐き気、嘔吐、重度の精神症状が見られ、その後、意識喪失、肺水腫、呼吸まひの初期兆候が出現した。5日間の意識喪失後、症状が軽減していったが、錐体外路症状は2年後も見られたというものです。生殖毒性については「判断できない」。遺伝毒性については「あり」としています。

(3)許容濃度等です。ACGIHTLV-TWAは「設定なし」、TLV-Ceiling1ppmSkinの付記が付いています。これは1996年です。産衛学会では「情報なし」。DFG MAKでは1ppmNIOSHではTLV-Ceiling1ppmOSHAではTLV-Ceiling5ppmUKではShort-term Exposure Limit(15分間)1ppmとなっています。

(4)評価値としては、一次評価値は「評価値なし」としています。これは動物実験から導き出された無毒性量(NOAEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが二次評価値の10分の1以上であるためです。二次評価値は1ppmで、ACGIHが提言している天井値を二次評価値としたところです。

3「ばく露実態評価」です。まず(1)有害物ばく露作業報告の提出状況です。詳細は別添3に添付しておりますが、平成23年におけるエチレンクロロヒドリンの有害物ばく露作業報告については、11の事業場から計14作業について報告があり、対象物質の用途は主に「他の製剤等の原料として使用」「接着を目的とした使用」「触媒又は添加剤として使用」。作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」「接着の作業」でした。

 対象物質の年間の製造・取扱量は500kg未満が29%、500kg以上1t未満が14%、1t以上10t未満が50%、1,000t以上が7%で、作業1回当たりの製造・取扱量は1kg未満又は1L未満が31%、1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満が69%でした。

 また、当該作業従事者の労働者数は5人未満が73%、5人以上10人未満が18%、10人以上20人未満が9%でした。さらに、1日当たりの作業時間は15/日未満が50%、15/日以上30/日未満が10%、30/日以上1時間/日未満が30%、5時間/日以上が10%で、局所排気装置が設置されている作業は57%でした。

 次に(2)ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあった5事業場を選定して、ばく露態調査を実施しました。対象作業場においては、製造・取扱作業に従事する12人について個人ばく露測定を行うとともに、1単位作業場所について作業環境測定のA測定、19地点においてスポット測定を実施しました。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づき8時間加重平均濃度(8時間TWA)を算定しました。測定分析法については、サンプリング方法としては、球状活性炭捕集管を用いた捕集。分析法は、ガスクロマトグラフ質量分析法を用いた分析です。詳細は別添4に付けています。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場におけるエチレンクロロヒドリンの主な用途は「エチレンクロロヒドリンの製造」「エチレンクロロヒドリンを含有する製剤その他の物を製造するために原料として使用」ということでした。エチレンクロロヒドリンのばく露の可能性のある主な作業は「サンプリング」「排液処理」「充填」「調合」「フィルター交換」等の作業で、1回当たり数分の短時間作業を繰り返す作業が多くを占めていました。また、作業環境は96%の作業は屋内で行われ、ばく露防止対策は55%の作業で局所排気装置が設置され、42%の作業で呼吸用保護具、うち82%が有機ガス用、18%は防じんマスクが使用されていました。

 測定結果は、測定は12人の労働者に対し、個人ばく露測定結果から8時間TWAの最大値は0.238ppmでした。また、全データを用いて信頼率90%で区間推定した上限値(上側5)0.268ppmでした。

 次のページです。上の段はグラフですが、にじんでいますので補足資料も併せて御確認ください。

 このことから、最大ばく露量は、ばく露評価ガイドラインの規定、区間推定上側限界値又は最大測定値の高い方を最大値とするというルールに準拠し、0.268ppmとなった。これらの結果から、8時間TWAの最大値、区間推定上側限界値いずれも二次評価値(1ppm)を下回りました。しかし、スポット測定の実測データは最大でサンプリング作業で6.4ppmであり、1回の作業時間は3分間で、11回の作業でした。

4「リスクの判定と今後の対応」です。以上のことから、エチレンクロロヒドリンの製造・取扱事業場においては、最大ばく露量(区間推定上側限界値)は二次評価値を下回っているものの、二次評価値の設定根拠に天井値を用いていることから、スポット測定の結果を考慮する必要がある。この場合、エチレンクロロヒドリンの製造・取扱事業場におけるスポット測定の最大値が二次評価値の6.4倍上回り、作業方法によっては二次評価値を超えるばく露の可能性が考えられることから、更に詳細なリスク評価を行い、その要因等を明らかにする必要がある。

 その際には、二次評価値を上回るスポット測定値が確認された作業(サンプリング、排液処理、充填、調合、フィルター交換)等について、当該作業工程に共通した問題かをより詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要がある。また、詳細なリスク評価の実施にかかわらず、当該物質はヒトに対して神経毒性を持つ可能性がある物質であり、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として自主的なリスク管理を行うことが必要であるということです。その下には、ばく露調査の集計表を添付しております。

 また、8ページからは「有害性総合評価表」、13ページからは別添2ということで「有害性評価書」、25ページが別添3、ばく露作業報告の内容です。26ページが別添4ということで「エチレンクロロヒドリン標準測定法」に関する資料です。説明は以上です。

○名古屋座長 何か質問等はありますか。本来的に言うと、ばく露濃度と区間推定値が第二次評価値を超えていませんから、リスク評価を行わない形になるのですが、実際にこれは第二次評価値が天井値を使っているということで、管理濃度の天井値の場合は1/20.5にするという約束になっていて、そこも超えていませんが、天井値を超えている形のものがスポット測定でありますので、ほかの作業場でもそういう形があるかもしれないということで、そこを見逃さないような形で詳細リスク評価に移す形になると思います。何か質問等ありますか。

○西川委員 結論には異論はないのですが、3ページの「反復投与毒性」の部分で腹腔内投与の記載がありますが、投与方法が腹腔内でも問題なく採用するということだったのですか、確認です。

○大前委員 10ページを御覧ください。反復投与毒性のところで、この物質は信頼できる吸入毒性のデータが利用できないので仕方なくやったということで、むしろ例外です。

○西川委員 分かりました。経口と比べてより低い腹腔内投与のデータを採用したということですね。

○小嶋委員 細かいことですが1点教えてください。5ページの132行目で、呼吸用保護具で82%が有機ガス用、18%が防じんマスクと書いてあるのですが、この物質は防じんマスクでばく露を防げるのでしょう。

○名古屋座長 これは、実態調査の概要の中で呼吸保護具のところがあり、そのうち有機ガスと防じんマスクがあるという形なのですが、防じんマスクで防げますかということです。

○東久保氏(中災防) そうです。

○名古屋座長 ただ、これは事業場の実態だけであって。

○東久保氏 そうです。

○名古屋座長 作業者がそれを意識しているかどうかは別の話で、実態調査をしたらこうでしたという形でよろしいのですか。

○東久保氏 はい。

○名古屋座長 そういう形だそうです。よろしいでしょうか。

○小嶋委員 18%をばく露防止対策と、このまま言っていいのですか。

○名古屋座長 どうでしょう。しているという安心感かもしれませんね。

○花井委員 3ページの毒性のところなのですが、不確実性係数を10にして種差10という、それだけでやっているのですが、ラットのデータを作業環境に適用する場合に、種内差やその他は評価しなくてもいいということになるのでしょうか。

○大前委員 今10ですよね。これは種差の10を取っております。個体差は取らないのがルールとなっています。個人差は取りません。投与期間や投与経路などのところで必要があれば使うことにしております。

○花井委員 個人差は取らないことを今「ルール」とおっしゃったのですが、それはこの場の。

○大前委員 労働者だからということで。

○花井委員 労働者だから取らないということですか。

○大前委員 はい。

○花井委員 そういうことでずっとやってきているのですか。

○大前委員 ずっとやっています。

○花井委員 分かりました。

○名古屋座長 ほかはよろしいですか。では、エチレンクロロヒドリンは詳細リスク評価に行くという形でまとめたいと思います。どうもありがとうございました。

 次のグルタルアルデヒドをよろしくお願いいたします。

○角田化学物質評価室長 資料の27ページからです。28ページの1「物理化学的性質」から御説明します。(1)化学物質の基本情報ということで、名称はグルタルアルデヒド。別名は1,5-ペンタンジアール、グルタルジアルデヒド、グルタラールということで、化学式と構造式は御覧のとおりです。分子量は100.12CAS番号が111-30-8。施行令別表9の「名称を通知すべき有害物」ということになっています。

(2)物理的化学的性状です。外観は、刺激臭のある透明無色の液体。比重は0.7。沸点は187189℃。蒸気圧は20℃で2.3kPa。蒸気密度は、空気が1のときに3.5。融点は-140℃です。

(3)生産・輸入量、使用量、用途です。製造・輸入量は1,000t未満です。用途は、電子顕微鏡用試薬、2%水溶液で低温滅菌剤、架橋剤、なめし剤、一部のX線現像液の硬化剤など、御覧の用途に用いられています。

2「有害性評価の結果」です。これは先ほどと同じように別添1と別添2の有害性総合評価表と有害性評価書を踏まえて整理しております。

(1)発がん性です。ヒトに対する発がん性については判断できない。根拠は、調査した範囲で、動物実験、ヒトでの疫学調査ともに発がん性に関する報告は得られていないということです。各評価区分ですが、IARC、産衛学会、EUNTPは「情報なし」。ACGIHは「A4」、これはヒトに対して発がん性物質として分類できないということです。DFGは「4」ということで、非遺伝毒性及び遺伝毒性が僅かな役割を果たしているに過ぎない発がん性物質という整理をしております。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性は、吸入毒性、経口毒性が御覧のとおり、ラットないしマウスで確認されています。皮膚刺激性/腐食性は「あり」。眼に対する重篤な損傷性/刺激性は「あり」。皮膚感作性は「あり」。呼吸器感作性は「あり」。反復投与毒性については、LOAEL0.0625ppmという数値です。この根拠ですが、マウスにグルタルアルデヒド00.06250.1250.250.501.00ppm6時間/日、5日間/週の頻度で13週間吸入ばく露をした実験で、鼻前庭の炎症()、体重増加抑制()、鼻腔呼吸上皮の扁平上皮化生(雌雄)を影響指標とした場合、NOAEL0.0625ppmと推定されるというところです。

 不確実性係数は、種差と、LOAELからNOAELへの変換ということで、別途、委託事業でやっている有害性の評価委員会のほうで、先ほどお話があったようにルールを決めておりますが、それに沿って設定をしております。評価レベルについては、下の計算式で行うと4.7×10-4ppmということになっています。生殖毒性と遺伝毒性について「判断できない」という形です。

(3)許容濃度等です。ACGIHTLV-TWA0.05ppm、これはCeilingです。天井値で設定しております。SENは感作性物質という扱いになっています。日本産業衛生学会ですが、0.03ppmということで、これは最大許容濃度ということで設定されています。感作性分類は、気道、皮膚それぞれ「第一群」と設定されています。DFGMAKについては、ピークばく露限度カテゴリーがI(2)です。気道及び皮膚感作性物質ということで位置付けております。NIOSHOSHAUKはそれぞれこのような設定になっています。

(4)評価値です。一次評価値は、先ほど評価レベルを設定した4.7×10-4ppmについて採用しております。(2)の反復投与毒性に関する動物試験から導き出された最少毒性量から不確実係数を考慮して算定した評価レベルを一次評価値としたというところです。二次評価値については、先ほどありました日本産業衛生学会が提言している最大許容濃度を二次評価値としております。

3「ばく露実態調査」です。(1)有害性ばく露作業報告の提出状況です。平成23年におけるグルタルアルデヒドの有害物ばく露作業報告については、20事業場から計32作業について報告があり、対象物質の用途は主に「他の製剤等の原料として使用」「除草、殺菌、剥離等を目的とした作業」でした。また、作業の種類は主に「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「充填又は袋詰めの作業」でした。

 対象物質の年間製造・取扱量は、500kg未満が19%、500kg以上1t未満が19%、1t以上10t未満が47%、10t以上100t未満が16%で、作業1回当たりの製造・取扱量は1kg未満または1L未満が13%、1kg以上1t未満または1L以上1kL未満が69%、1t以上または1kL以上が19%でした。

 また、当該作業従事労働者数は5人未満が59%、5人以上10人未満が31%、20人以上が9%でした。さらに、1日当たりの作業時間ですが15/日未満が25%、15/日以上30/日未満が9%、30/日以上1時間/日未満が31%、1時間/日以上3時間/日未満が19%、3時間/日以上5時間/日未満が6%、5時間/日以上が9%で、局所排気装置が設置されている作業は47%でした。

(2)ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあった5事業場を選定し、ばく露実態調査を実施しております。対象作業場においては、製造・取扱作業に従事する11人について個人ばく露測定を行うとともに、2単位作業場所について作業環境測定のA測定、15地点についてスポット測定を実施しました。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づいて8時間加重平均濃度(8時間TWA)を算定しております。測定分析法、サンプリングについては2,4-DNPHコーティング球状シリカゲルを活用しているというところです。分析法は高速液体クロマトグラフ分析法です。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場におけるグルタルアルデヒドの主な用途は「グルタルアルデヒドを含有する製剤その他の物を製造するために原料として使用」でした。ばく露の可能性のある主な作業ですが、「充填(充填機の調整・廃液処理作業)」「サンプリング」でした。また、作業環境については、全ての作業は屋内で行われ、ばく露防止対策については47%の作業で局所排気装置が設置され、33%の作業で呼吸用保護具(有機ガス用)が使用されていました。

 測定結果です。測定は11人の労働者に対して実施し、個人ばく露測定の8時間TWAの最大値は0.0317ppmでした。この値はグルタルアルデヒドを他の製剤の製造原料として使用しているC作業場における製品の自動充填機のセッティング・トルクチェック作業(廃液処理等)で測定されたものでした。また、調査で得られたデータのコルモゴロフ・スミルノフ検定(KS検定)の結果、対数正規分布は棄却されたので、最大ばく露値はばく露評価ガイドラインの規定、これは区間推定上側限界値又は最大測定値の高い方の値を最大値とするということですが、これに準拠し、0.0317ppmとなりました。この最大ばく露値は二次評価値(0.03ppm)を上回ったところです。

 なお、スポット測定の実測データを見ると、C事業場の自動充填機の調整・監視作業は、作業時間や頻度が少ないものの、0.446ppmと最大値を示しており、個人ばく露測定結果と同様の傾向を示しています。このC事業場においては、スポット測定値のほとんどが二次評価値を超える値を示しており、A測定結果についても二次評価値を超える値となっていました。

4「リスクの判定及び今後の対応」です。グルタルアルデヒドの製造・取扱事業場においては、上記のとおり二次評価値を上回るばく露が見られたことから、更に詳細な評価を行い、ばく露の高かった要因等を明らかにする必要があるという結果です。その際には、二次評価値を上回るばく露量が確認された充填作業(充填機の廃液処理等)について、当該作業工程に共通した問題かをより詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要があります。また、その際、二次評価値が日本産業衛生学会の最大許容濃度、これは常時この濃度以下に保つとされているものですが、それを根拠に設定されていることを踏まえると、二次評価値を超えるスポット測定値が確認された作業、これは充填作業のほかサンプリング作業がありますが、これについても留意する必要があります。このほか、グルタルアルデヒドは医療現場での消毒にも使用されていますので、それらの作業を調査対象に加えることも必要だということです。

 なお、詳細なリスク評価の実施にかかわらず、当該物質は皮膚の感作性、眼・皮膚の刺激性がある物質ですので、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク評価を行うことが必要と考えるというところです。最後にばく露実態調査の集計表を載せております。以下は、今の根拠となった有害性総合評価表と有害性評価書、標準測定分析法を掲載しております。御説明は以上です。

○名古屋座長 ありがとうございました。従来の例に従いますと、ばく露値が二次評価値を超えていますので、詳細リスクにいくという形にはなるのだと思います。ただそのときに、実態調査の中では充填やサンプリングという形のものがありましたが、実際には使っている現場も医療現場が多いと思いますので、そこのところを加えていただきましょうという形で詳細リスク評価に移るという形にしたのだと思います。何かありますか。よろしいですか。

○櫻井委員 29ページの急性毒性の吸入毒性のLC50 480mg/m3/hrs.となっていますが、ここは4が抜けていると思うのですが。4時間という。

○名古屋座長 計算の所ですね。

○櫻井委員 はい。

○名古屋座長 4時間ばく露ですね。そこの所は修正をよろしくお願いします。ありがとうございます。

○櫻井委員 ついでに申し上げておきますが、87ページも同様です。これはまだ検討にはなっていませんが。87ページの38行目です。メタクリロニトリルのLC50 。両方とも時間が記載されておりませんが、あとのデータを見ると4時間と書いてあります。7ページに4時間と書いてありますので、それも入れておいたほうがいいと思います。以上です。

○名古屋座長 次のところですが、時間のところをよろしくお願いいたします。あとよろしいですか。

○内山委員 先ほどのエチレンクロロヒドリンは経皮吸収が非常に高い。それから、グルタルアルデヒドは皮膚への感作性があるということで、両方皮膚が関係している物質ですが、例えば31ページの作業環境の所で、先ほどもマスクのほうは、経気道吸入はどういうことを予防しているかという記述はあるのですが、例えばこれを調査したのが冬だと、皆さんは長袖を着てやっているかもしれませんが、夏だったら半袖を着ているかもしれない。そういうところの詳細調査のときに、少し経皮的なこと、あるいは皮膚感作のところの防止を注意されているかどうか調べておいていただけると。

○名古屋座長 医療現場も含めてですね。

○内山委員 そうですね。

○名古屋座長 これは東久保さんよろしくお願いたします。

○東久保氏 分かりました。

○名古屋座長 経皮吸収に関しては、注意しない現場の多いことが予想されるので、これから注意していかなければいけないということですよね。実態調査のところでもよろしくお願いいたします。あとよろしいですか。ここは詳細リスク評価に移るという形でまとめたいと思います。次のタリウムについてよろしくお願いします。

○岸室長補佐 それでは55ページを御覧ください。タリウム及び水溶性化合物の初期リスク評価書()についてです。56ページから読み上げます。まず、1「化学物質の同定情報」です。名称はタリウム及び水溶性化合物。別名としては、複数物質であるため特定はできないということです。

 次は2「物理化学的情報」について代表的なところを挙げております。タリウムについては、外観は帯青白色の非常にやわらかい金属。空気にばく露すると灰色になると。密度は11.9。沸点は1,457℃。融点は304℃です。硝酸タリウムは、白色の結晶で、密度は5.55。沸点は430℃、融点は206℃です。硫酸タリウムについては、外観は無臭、白色又は無色の結晶です。密度は6.77、沸点に至るまでに分解します。融点は632℃です。炭酸タリウムについては、外観は無色又は白色の結晶。密度は7.1。沸点はなし。融点は272℃です。酢酸タリウムは外観が吸湿性の白色結晶で、密度は3.765、沸点はなし、融点は131℃です。

(2)物理的化学的危険性。タリウムについて、火災の危険性としては火災時に刺激性若しくは有毒なフュームやガスを放出する。化学的危険性としては、強酸と反応する。室温でフッ素やその他のハロゲンと反応するとなっております。

 硫酸タリウムについては、火災危険性としては不燃性で、火災時に刺激性若しくは有毒なフュームやガスを放出する。化学的危険性としては、加熱すると分解し、タリウムやイオウ酸化物を含む非常に有害なフュームを発生する。炭酸タリウムについては、火災危険性としては不燃性で、火災時に刺激性若しくは有毒なフュームやガスを放出する。化学的危険性としては、加熱をすると分解し有害なフュームを生ずる。強酸、強力な酸化剤と激しく反応する。

3「生産・輸入量/使用量/用途」について。タリウムについては、生産・輸入量については「情報なし」。用途については半導体工業、合金、鋼物溶解剤、光学・温度測定器となっております。硝酸タリウムについては、生産・輸入量は「情報なし」。用途については、花火配合原料、殺鼠剤、特殊分析ということです。硫酸タリウムについては、生産量は液剤で6.4kL。粒剤としては12.1t。これは0.3%含有粒剤ということです。1%の含有粒剤としては3.2t。ということで、2011年の農薬年度です。輸入量としては「情報なし」。用途としてはアリ、ゴキブリの殺虫剤、殺鼠剤などです。

2「有害性評価」について、(1)発がん性については、「ヒトに対する発がん性については判断できない」ということです。根拠としては、調査した範囲で動物実験、ヒトでの疫学調査ともに発がん性に関する報告は得られなかったというものです。

(2)発がん性以外の有害性について。まず急性毒性については、ラット、マウス、ウサギについて、吸入、経口の毒性がそれぞれ記載のデータがあります。ヒトに対しても経口毒性のデータが記載されております。健康影響としては、急性毒性の症状は嘔吐や下痢などの消化管症状や神経症状、体開口部の炎症や、皮膚の面疔、振顫、脱毛、壊死性腎乳頭炎、呼吸不全による死などが挙げられます。皮膚腐食性/刺激性については「あり」。眼に対する重篤な損傷性/刺激性については「判断できない」。皮膚感作性については「判断できない」となっております。

 反復投与毒性については、NOAEL0.04mg(Tl)/体重/日となっております。根拠としては、SDラット(20)に硫酸タリウム0.010.050.25mg/kg体重/日を90日間経口投与した実験で、0.25mg/kg体重/日群で毛嚢の萎縮と脱毛を認めたということです。これを不確実性係数、種差の10で計算しますと、評価レベルが0.024mg/m3、タリウムとしてということです。計算式は記載のとおりです。

 神経毒性については、ヒトの症例報告は、タリウムが急性の経口ばく露の後、末梢及び中枢神経の阻害を引き起こすことを示している。経口ばく露の後に、つま先と指のしびれ、灼熱脚現象及び筋けいれんとともに運動失調、震え及び多発性脳まひが報告されている。セメント製造に544年関わった36人の労働者は感覚異常、つま先と指のしびれ、灼熱脚現象及び筋けいれんを示したということです。LOAEL1.4mg/kg/日ということです。これは下の動物実験でのLOAELです。このデータの根拠としては1.4mg/kg/日、硫酸タリウムとしてですが、240日間経口投与されたラットにおいて末梢神経の構造的及び機能的変化が観察されているということです。

 不確実係数は100ということで、種差の10LOAELからNOAELへの変換の10ということで、100で計算してありますこれで計算しますと、0.07mgTl/m3で、計算式は以下の記載のとおりです。

 生殖毒性についても「あり」ということで、吸入ばく露試験の報告がなかったので、経口投与試験の結果を計算に用いると。雄ラットに10ppmのタリウム飲料水を60日間経口投与した結果、精巣上体に未成熟精子が増加し、また精子の運動能の有意な低下が認められた。組織学的には精細管の配列の乱れ、セルトリ細胞の空胞化が見られ、滑面小胞体の腫大が観察された。精巣のベータ-グルクロニダーゼ活性が有意に低下したが、血漿テストステロン濃度は変化がなかった。しかし、同濃度のタリウム飲料水を30日間投与では、組織学的、機能的、生化学的変化は認められなかった。LOAEL0.7mgTl/kg体重/日と報告している。不確実性係数は100。種差の10LOAELからNOAELへの変換の10ということで、評価レベルは0.042mgTl/m3です。計算式は以下の記載のとおりです。遺伝毒性は「判断できない」ということです。

 次に(3)許容濃度等について。ACGIHTLV-TWAとして0.2mg/m3ということで、吸引性粒子、タリウムとして決めております。またskinの付記が付けられており、2010年に設定されております。日本産衛学会では「設定なし」となっております。

 次に(4)評価値です。一次評価値は「評価値なし」ということで、動物試験により導き出された最小副作用用量(LOAEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが二次評価値の10分の1以上であったため、一次評価値はなしとしたところです。次に二次評価値は0.02mg/m3ということで、吸引性粒子、タリウムとしてということで、根拠としては、ACGIHが提言しているばく露限界値(TLV-TWA)を二次評価値としたところです。

 次に「ばく露実態評価」です。まず、(1)有害性ばく露作業報告の提出状況です。詳細は別添3にあります。平成22年におけるタリウム及びその水溶性化合物の有害物ばく露作業報告は、合計2事業場から7作業についてなされた。作業従事労働者数については5人未満が14%、5人以上10人未満の作業が86%であった。また対象物質の取扱量については0.5t未満の作業が29%、1t以上10t未満の作業が71%であった。

 主な用途は、対象物の製造又は他の製剤等の原料として使用で、主な作業は充填、袋詰めの作業、破砕、粉砕、又はふるい分けの作業などであった。7作業のうち1日当たりの作業時間が15分未満の作業が14%、30分以上1時間未満の作業が29%、1時間以上3時間未満の作業が57%であり、局所排気装置が設置されている作業は86%、設備の密閉化がされている作業が14%であったということです。

 次に(2)ばく露実態調査結果です。ばく露実態調査の対象事業場については、有害物ばく露報告のあったタリウム及びその水溶性化合物を製造し、又は取り扱っている2事業場としたということです。対象事業場においては、作業実態の聞き取り調査を行った上で、以下の測定分析法により対象作業に従事する労働者の個人ばく露測定を行うとともに、対象作業について、作業環境測定基準に基づくA測定及びスポット測定を実施しました。また、個人ばく露測定結果については、同ガイドラインに基づき、8時間加重平均濃度を算定するとともに、統計的な手法を用い最大値の推定を行い、実測値の最大値と当該推定値のいずれか大きいほうを最大値としたということです。

 測定分析法については別添4にもありますが、個人ばく露測定としてはSKC社製IOMサンプラー、日本ミリポリ社製25mm直径セルロースメンブランフィルターで捕集しております。作業環境測定、スポット測定については、日本ミリポア社製47mm直径のセルロースメンブランフィルターで捕集してあります。分析法はICPの質量分析法で分析しております。

 測定結果としては、ばく露実態調査は、有害物ばく露作業報告があった2事業場の特定の作業に従事する6人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、1単位作業場所において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、また9地点においてスポット測定を実施しました。タリウム及びその水溶性化合物の用途は「ばく露作業報告対象物質の製造」「他の製剤等の製造を目的とした原料としての使用」があり、また行われている作業は「充填又は袋詰めの作業」又は「破砕、粉砕又はふるい分けの作業」「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「乾燥作業」であった。

 労働者6人の個人ばく露測定結果、8時間TWAの幾何平均値は0.00071mg/m3。最大値は0.0021mg/m3ということで、計量、配合、注入、投入又は小分けの作業であった。また、測定データについては対数正規分布が否定されないとされ、全データを用いて信頼率90%でデータを区間推定した上限値(上側5)を求めたところ、0.022mg/m3であった。以上より、最大ばく露濃度は0.022mg/m3となり、二次評価値を超えている。

 また、個人ばく露測定において、最大値0.0021mg/m3を示した労働者が作業した事業場においては、囲い式の局所排気装置及び外付け式の局所排気装置が設置され、その有効性は有りとされており、当該事業場ではスポット測定の幾何平均値は0.00023mg/m3、最大値は0.00139mg/m3であり、いずれも二次評価値を下回っている。

 さらに、A測定において最大値を示した事業場においては、局所排気装置が設置され、その有効性は不良であったが、幾何平均値は0.00001mg/m3、最大値は0.00005mg/m3となり、二次評価値を下回っている。

 次に4「リスクの判定及び今後の対応」です。以上のことから、タリウム及びその水溶性化合物の製造・取扱事業場におけるリスクは高いと考えられることから、今後更に詳細なリスク評価が必要である。その際には、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要がある。またその際、ばく露作業報告のあった事業場に限らず、その他の製造・取扱事業場があれば、それらの事業場も含め多くの事業場において実態調査を行い、詳細評価を行うべきである。また、詳細なリスク評価の実施にかかわらず、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要であるということです。

 表が前のページと2つありますが、これはいずれも同じもので重複して掲載しております。ばく露実態調査集計表は62ページの下のとおりです。それ以降は、これまでの物質と同様に有害性総合評価表、有害性評価書、ばく露作業報告の集計表、測定方法に関する資料が添付されております。説明は以上です。

○名古屋座長 ありがとうございました。最大のところへいきますと、ばく露は超えていないのですが、区間推定のところが超えているという形で、詳細リスク評価にいきますよという形だと思います。あとは初期リスク評価で見たときの若干超えているところや、ほかのところの中で高そうなところを見つけて、詳細リスク評価に生かしていきましょうという結論だと思います。何かありますか。

○鷹屋委員 化合物のほうが水溶性に限るとしているのは、何か理由があるのですか。

○名古屋座長 これはどうなのでしょうか。選定のときの企画検討会かな。

○角田化学物質評価室長 この物質はタリウムと水溶性化合物ということで、平成21年に企画検討会で検討して、平成23年に報告が出てきたという経過があります。平成21年度の検討のときは、特に生殖毒性と神経毒性に着目して選定をしているのですが、そのときの資料では、タリウムと水溶性化合物ということで選定していますので、考えとしては、正に水溶性のものについての有害性を踏まえて選定したのではないかと思います。水溶性という形で今規定している特化物は確かなかったかと思いますが、これについては選定のときからそのように整理しております。

○鷹屋委員 これは最終的にはこの流れ、つまりばく露とかも超えているし、何かしら規制を掛けるという場合に、タリウム及び化合物ではなくて、タリウム及び水溶性化合物という形でいくことになるということですか。

○角田化学物質評価室長 その範囲については、有害性があるものとしてどういうものが特定できるかということで、それが基本になると思います。コバルトなども化合物ではなく無機化合物という形にしていますので、その辺も含めて、今後有害性の整理をしていくことになると思います。

○名古屋座長 よろしいですか。

○花井委員 先ほどのグラフですが、ここに出ている図を見ると、このデータで検定をしたら、最大ばく露濃度が0.022になったということですか。

○岸室長補佐 はい、そうですね。

○花井委員 1桁違う気がするのですね。5%というと、そういうことですね。

○名古屋座長 測定していない所に、多分、それだけの高いばく露が隠されているだろうという統計的な処理でずっときています。1桁というのはなかなかないと思いますが、そういう形できていますので、やはり、そこのところのどちらかを取って最大値にして、それが超えていたときにはリスク評価へいきましょうという形になっていますので、ルールに従うと、詳細リスク評価にいきましょうという形になりますよね。よろしいでしょうか。

○西川委員 誤植を見つけたので、せっかくですから申し上げます。58ページの110行目、毛嚢の萎縮の「萎」が「委」ですので訂正をお願いします。同じように、71ページの189行目にも「萎縮」があるのですが、前のほうの萎縮はいいのですが、後のほうは草冠がないので訂正をお願いします。

○名古屋座長 字のところですね。

○西川委員 誤植です。

○名古屋座長 分かりました。それもまた修正をよろしくお願いします。よろしいでしょうか。

○大前委員 この有害ばく露実態調査で、2事業場しかなかったということは、日本ではもう2事業場しかタリウムを扱っている所はないということですか。

○岸室長補佐 報告対象が年間500kg以上ですので、それ未満の所であるかもしれませんが、報告があったのがこの2事業場だけということです。

○大前委員 先ほどの花井先生の御意見にあれですが、計算して0.022で詳細にいくのは、これはルールなので仕方ないのですが、詳細へいっても結果は同じかなという感じが、現実的には2事業場しか対象にならないわけですよね。

○岸室長補佐 ですので、殺鼠剤などを作っている会社とかを今調べているところで、そういう所でもし把握できれば。

○大前委員 できればそういう所を加えていただきたいですよね。

○名古屋座長 多分、前も1回目の詳細検討会であったのですが、2事業場しかなかったときに、詳細へ移行したときに、同じ所を2回測ることになる。それは同じ作業場があったとしても、同じように繰り返しているわけではないから、違う事業場として扱って、その中に入れましょうという扱いになりました。できたら、7事業場ありますので、違う所を見つけてもらって、高いと思われる所になるべく交渉して測定していただく形になるのではないかと思います。それはよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。ここも詳細リスク評価にいくという形でまとめたいと思います。

 次は4物質目でメタクリロニトリルという形で、これも事務局、よろしくお願いいたします。

○岸室長補佐 資料485ページのメタクリロニトリルです。86ページを御覧ください。1「物理化学的性質」です。(1)化学物質の基本情報は、名称はメタクリロニトリル、別名はメチルアクリロニトリル、2-シアノプロパン、2-メチル-2-プロペニトリルです。化学式、構造式は記載のとおりです。

(2)物理的化学的性状は、外観は特徴的な臭気のある無色の液体です。比重は0.8、沸点は90.3℃、蒸気圧は25℃で8.66kPa、蒸気密度は2.3、融点は-35.8℃等となっています。

(3)生産・輸入量、使用量、用途です。生産・輸入量は3,560t、平成21年度の化審法の届出結果です。用途は、紙コーティング等に使用されるSBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスや塩化ビニリデン共重合樹脂の重合原料です。

2「有害性評価の結果」です。(1)発がん性は、ヒトに対する発がん性は判断できないということです。根拠は、NTPの発がん性試験では、ラット、マウスの雌雄とも腫瘍の発生増加は認められていない。ACGIHはメタクリロニトルの発がん性を「ヒト発がん物質として分類できない物質」A4と評価しているということです。各評価区分としては、IARC、産衛学会、EUNTPが「情報なし」、ACGIHも「A4」としているところです。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性については、吸入、経口、経皮のそれぞれのデータは記載のとおりです。先ほど御指摘いただいた吸入毒性については、4時間ということを付記していただければと思います。

 皮膚刺激性/腐食性については「あり」。眼に対する重篤な損傷性/刺激性については「あり」。皮膚感作性については「調査した範囲内で情報は得られていない」。呼吸器感作性については「調査した範囲内で情報は得られていない」ということです。

 反復投与毒性については、NOAEL10mg/kg体重/日ということで、経口試験からです。根拠としては、雌雄のF344/Nラット、150匹に、メタクリロニトリル031030mg/kg体重/日を2年間、週5日、104105週間経口投与した試験で、全ての投与群で雌雄ともに生存率は対照群と同等であり、一般状態に変化はなかった。30mg/kg体重/日で、雌雄に体重増加抑制、鼻腔嗅上皮の萎縮及び立方体様あるいは円柱様上皮細胞への化生、肝細胞の空胞化、雌に主に骨髄球と赤血球を含む骨髄の過形成の発生率増加が見られた。主な標的組織は鼻腔嗅上皮であったことから、鼻腔嗅上皮の変化をエンドポイントとするNOAEL10mg/kg体重/日としたということです。評価レベルの計算に当たっては、不確実性係数を種差の10として計算し、評価レベルとしては6mg/m3(2.2ppm)としたところです。計算式は以下のとおりです。

 次に神経毒性ですが、NOAEL8.8ppmとしています。根拠としては、ビーグル犬に03.28.813.5ppmのメタクリロニトリルの蒸気を17時間、週5日で90日間吸入ばく露した。13.5ppm群の3匹中2匹で、投与期間の半ば過ぎから強直性けいれんと後肢の運動失調を伴う中枢神経毒性が見られた。このうち1匹で、脳に病理組織学的障害が認められたということです。

 生殖毒性です。生殖毒性は「あり」で、NOAEL50ppmとしているところです。本件としては、雌のSDラット、12122匹にメタクリロニトリル蒸気0122550100ppm16時間で、妊娠620日に吸入ばく露し、21日目に帝王切開した試験で、いずれもばく露群において母動物毒性が認められなかったが、100ppmばく露群で胎児の体重の減少が認められた。ただし、全てのばく露群において着床数、生存胎児数、性比及び形態異常の発生率は対照群と比べて有意差はなかった。胎児の体重減少を指標としたNOAEL50ppmであったということで、評価レベルの計算に当たっては、不確実係数を種差の10として計算したところ、3.75ppmとなったところです。計算式は以下のとおりです。遺伝毒性については「なし」ということです。

(3)許容濃度です。ACGIHでは、TLV-TWA1ppm、経皮吸収が付記されています。日本産衛学会では「情報なし」、DFC MAKも「情報なし」、NIOSHでは「1ppm」、UKでは「Long term Exposure Limit 1ppm」ということです。

(4)評価値については、一次評価値が「評価値なし」ということで、反復投与毒性試験及び生殖毒性試験より導き出されたNOAELから、不確実係数を考慮して算定した評価レベルが、二次評価値の10分の1以上であるためです。二次評価値は1ppmということで、ACGIHが提言している、ばく露限界値(TLV-TWA)を二次評価値としたところです。

 次に、3「ばく露実態評価」です。(1)有害性ばく露作業報告の提出状況です。詳細は別添3にありますが、平成23年度におけるメタクリロニトリルの有害物ばく露作業報告については、14の事業場から計15の作業について報告があり、対象物質の用途は主に、「他の製剤等の原料として使用」「対象物の製造」で、作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「サンプリング、分析、試験又は研究の作業」「充填又は袋詰めの作業」「その他」であった。

 対象物質の年間製造・取扱量は、1t以上10t未満が20%、10t以上100t未満が13%、100t以上1,000t未満が33%、1,000t以上が33%で、作業1回当たりの製造・取扱量は、1kg未満等が20%、1kg以上1t未満等が47%、1t以上等が33%であった。また、当該作業従事労働者数は、5人未満が67%、5人以上10人未満が20%、10人以上20人未満が7%、20人以上が7%であった。さらに、1日当たりの作業時間は、15分未満が62%、15分以上30分未満が23%、1時間以上3時間未満が15%、局所排気装置が設置されている作業は44%であったということです。

(2)ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあった5事業場を選定し、ばく露の実態調査を実施しました。対象事業場においては、製造・取扱作業に従事する9人について個人ばく露測定を行うとともに、1単位作業場について作業環境測定のA測定、21地点についてスポット測定を実施した。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づき8時間加重平均濃度(8時間TWA)を算定したということです。

 測定分析法としては、サンプリングは球状活性炭捕集管を用いた捕集。分析法としては、ガスクロマトグラフ質量分析法による分析としたところです。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場におけるメタクリロニトリルの主な用途は「メタクリロニトリルを含有する製剤その他の物を製造するために原料として使用」でした。メタクリロニトリルのばく露の可能性のある主な作業は、「ホースの接続・取り外し」「配管内ガス排気」「排液吸引」「原料排液」等の作業で、1回当たり数分間の短時間作業を繰り返す作業が多くを占めていました。また、作業環境は、50%の作業は屋内で行われ、ばく露防止対策は13%の作業で局所排気装置が設置され、63%の作業で呼吸用保護具を使用、その内訳は80%が有機ガス用、20%が防じんマスクの使用でした。

 測定結果は、測定は9人の労働者に対して実施し、個人ばく露測定の結果から、8時間TWAの最大値は0.192ppmであった。また、全データを用いて信頼率90%で区間推定した上限値(上側5)0.510ppmであった。このことから、最大ばく露量は、ばく露評価ガイドラインの規定に準拠し、0.510ppmとなった。これらの結果、8時間TWAの最大値、区間推定上側限界値のいずれも、二次評価値を下回っていた。なお、スポット測定の実測データは、最大で他の原料の投入作業で1.7ppmであり、1回の作業時間は5分間で、12回の作業であったということです。

4「リスク判定及び今後の対応」としては、以上のことから、メタクリロニトリルの製造・取扱事業場においては、最大ばく露量(区間推定上側限界値)は二次評価値を下回っており、リスクは低いと考えられるが、当該物質はヒトに対して神経毒性をもつ可能性がある物質であり、事業者は当該作業に従事する労働者を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要であると考えられるということです。

 ばく露実態調査の集計表は下の表です。以降、別添としては、有害性総合評価表、有害性評価書、作業報告の集計表、分析方法についての資料が付いています。説明は以上です。

○名古屋座長 この物質は、ばく露にしても最大値にしても、二次評価値を超えていないということです。先ほどは二次評価値を超えていなくても、スポット測定のところでは超えていたのでという形でしたが、この二次評価値が天井値を使っていないということもありますので、今回の場合は、そこは考慮しなくていいだろうという形ですので、初期リスク評価で終了という形になるのだと思います。何かありますでしょうか。

○花井委員 最後に標準測定法というのがあります。これでいうと105ページに、「メタクリロニトリル標準測定法」というのがあります。一番下に、「適応」とか「防害」とか書いてあるのですが、参考文献について、今日のものも見ていると、非常に詳しく参考資料が書いてあるものと、これのように全然書いていないのがあるのですが、こういったものは少なくともお役所で標準的なフォーマットを決めて、そこがきちんと埋まっているかどうかの確認はされたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○岸室長補佐 はい。

○名古屋座長 では、よろしくお願いします。

○西川委員 大きな問題ではないのですが、86ページに発がん性の記載がありまして、NTPのラット・マウス雌雄で、腫瘍の発生増加は認められないにもかかわらず、ヒトに対する発がん性について判断できないとなっています。これは発がん性なしとはできなかったのでしょうか。これまでの取扱いについては詳しくありませんので。

○大前委員 要するに、動物では発がん性のデータがないということで、表現の仕方の統一をしたのだと思うのですが、今、手元にルールブックがないので。

○西川委員 動物の試験では発がん性はないという結論になっているのですよね。

○大前委員 ええ。

○西川委員 この場合に結論として、ヒトに対する発がん性について判断できないとするのか、発がん性なしとするのか、どちらだったでしょうか。

○大前委員 今はルールブックがないので。

○名古屋座長 あとは事務局にお聞きして、そこで直すと。

○原委員 90ページ、91ページに関係しますが、スポット測定の実測データは1.7ppmが最大、この数字と91ページのスポット測定の最大値の14.0の関係が分かりにくいのですが、御説明いただければ有り難いのですが。

○名古屋座長 スポット測定の5ページの所の1.7のスポット測定と、6ページの値の違いですよね。

○原委員 はい。

○名古屋座長 A3の大きなほうを見ないと分からないのかな。このまとめ方が。1.7に相当する所が、最大14、確かに。多分、14が生きていると、こちらは14にならなければいけないですよね。

○岸室長補佐 これは14のほうが合っていますので、文面も修正したいと思います。

○名古屋座長 5ページの所の投入の1.714にするということですね。

○岸室長補佐 ここは14で、作業名がホースの取り外しです。

○名古屋座長 その他の原料ではなくて、ホースの取り外しですね。

○岸室長補佐 はい。

○名古屋座長 時間も短いので、その文書の修正をよろしくお願いします。

○鷹屋委員 そうすると、作業時間とか作業の回数も、この表に合わせて直すということですか。

○名古屋座長 そうでしょうね。

○岸室長補佐 そうですね。1回の作業は、1日に約11分間ということです。頻度は載っていませんが、1日に約11分間ということです。

○清水委員 参考資料の58ページのメタクリロニトリルのスポットの最大値の所を見ても、14というのはないですね。

○名古屋座長 1.7が最高ですね。

○岸室長補佐 59ページにもう1事業場ありまして。

○名古屋座長 最後ですよね、ホースの取り外し。

○岸室長補佐 11分間2名ですね。

○名古屋座長 これですか。いずれにしても、神経毒の可能性があります。あとは経皮吸収もありますので、その辺のところを調査した事業所にお知らせして、自主的な管理に役立ててもらうという形で、ここでは初期リスク評価で終了という形でよろしいでしょうか。

 そのような形にしたいと思います。そうしましたら最後の物質になりますが、オルト-フェニレンジアミンをよろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 108ページからです。1「物理化学的性質」ですが、名称はオルト-フェニレンジアミン。オルト-ジアミノベンゼン、1,2-ベンゼンジアミン、2-アミノアニリンが別名です。化学式、分子量、構造式は御覧のとおりです。CAS番号は95-54-5です。労働安全衛生法施行令別表9の通知対象物、化学物質による健康障害防止指針対象物質になっています。

(2)物理的化学的性状です。外観は茶から黄色の結晶です。光にばく露すると暗色になります。比重は1.270、沸点は256258℃、蒸気密度は3.73、融点は103104℃です。

(3)生産・輸入量/使用量/用途の製造・輸入量です。1,000t未満です。用途は、農薬、防錆剤、ゴム薬、医薬、顔料です。

2「有害性評価の結果」です。まず、(1)発がん性です。ヒトに対する発がんの可能性があるということで、ACGIHA3DFG3Bに分類しています。各評価区分は御覧のとおりですが、今のACGIHA3、動物実験で発がん性が確認されたがヒトでの発がん性との関連性が未知の物質です。DFG3Bです。

 閾値の有無の判断ですが、「閾値なし」ということで、これは後ほど出てくる遺伝毒性の部分で、遺伝毒性があると考えられるためというところです。

 リスクレベルの算出です。厚生労働省の「化学物質による健康障害防止措置に係る検討会」において、オルト-フェニレンジアミン二塩酸塩を混合した飲水の自由摂取によるラットでの発がん性試験の結果における雌の肝臓の良性、悪性腫瘍の合計をエンドポイントとして、吸入ばく露濃度に換算した閾値のない評価での生涯過剰発がんリスク、10-4 レベルに相当するばく露濃度を9.6×10-3mg/m3と算定しております。

 これは先ほど1(1)の所で、がん指針の対象になっているということを申し上げましたが、この物質を現在指針の対象とした際に検討したデータです。この数値を作業環境測定結果の評価の指標値の1つとして活用することになっています。その関係で、リスクレベルの水準をまとめたものです。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性、吸入と経口について、ラットとマウスで御覧の水準になっています。皮膚刺激性/腐食性は「あり」、眼に対する重篤な損傷性/刺激性は「あり」、皮膚感作性は「あり」、呼吸器感作性は「報告なし」。

 反復投与毒性です。NOAEL33mg/kg体重/日です。根拠としては、F344/DuCrgラット(雌雄各10/)に、オルト-フェニレンジアミン二塩酸塩を飲水中濃度02505001,0002,000及び3,000ppmを調整して、自由摂取により13週間投与した。雌雄とも摂水量、摂餌量の減少、体重増加の抑制が見られ、血液系、腎臓、鼻腔、膀胱、ハーダー腺への影響が認められた。250ppmで被験物質投与による影響は認められず、NOAELは雄のハーダー腺(炎症)をエンドポイントとして、500ppmと考えられた。塩酸塩からフリーへ換算すると、20mg/kg/日となるということで、これによって算定した評価レベルが、その下にある12mg/m3ということです。

 生殖毒性については、「判断できない」。遺伝毒性は「あり」ということです。根拠としては、本物質はin vitro試験系では、復帰突然変異試験、不定期DNA合成試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験のいずれでも陽性を示し、特にネズミチフス菌TA98では、比活性値が3.5×103 と強い変異原性を示しています。一方、in vivoの試験系でも、小核試験及びDNA合成阻害試験で陽性を示していることから、遺伝毒性ありと判断するというところです。

(3)許容濃度等です。ACGIHTLV-TWA0.1mg/m3が設定されております。日本産衛学会でも、同じく0.1mg/m3です。皮膚感作性物質は第3群というところです。

(4)評価値です。一次評価値は9.6×10-3mg/m3ということで、これは先ほどの(1)でリスクレベルの算出をしたものを指標にしているということで、それを一次評価値として置いています。二次評価値です。二次評価値はACGIHの値、日本産業衛生学会の値を踏まえて設定しています。ACGIHはオルト-フェニレンジアミンによる造血機能障害を最小限とするため、0.1mg/m3を勧告しており、また日本産業衛生学会はパラ-フェニレンジアミンとの異性体ですが、この構造等の類似性を踏まえ、同物質の許容濃度(皮膚の感作、眼症状を基に0.1mg/m3を設定)を参考に0.1mg/m3を勧告していることから、この値を二次評価値としたというところです。

3「ばく露実態評価」です。平成24年において、有害物ばく露作業報告を出していただきまして、6事業場から計6作業について報告がありました。対象物質の用途は主に「他の製剤等の原量としての利用」でした。

 対象物質の年間製造・取扱量は500kg未満が17%、1t以上10t未満が17%、10t以上100t未満が17%、100t以上1,000t未満が33%、1,000t以上というものも17%ありまして、作業1回当たりの製造・取扱量は、1kg未満又は1L未満が17%、1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満が50%、1t以上又は1kL以上が33%でした。また、当該作業従事労働者数は、5人未満が67%、5人以上10人未満が33%という状況です。さらに、1日当たりの作業時間ですが、15分未満が17%、15分以上30分未満が33%、30分以上1時間未満が33%、5時間以上が17%ということで、全ての作業で局所排気装置が設定されておりました。

(2)ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあった中から3事業場を選定しまして、ばく露実態調査を実施しました。対象作業場においては、製造・取扱作業に従事する4人について個人ばく露測定を行うとともに、3単位作業場所について作業環境測定のA測定、8地点においてスポット測定を実施しました。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づいて8時間TWAを算定しました。

 測定分析法では、サンプリングですが、硫酸含浸ガラス繊維ろ紙。分析法は高速液体クロマトグラフ法です。対象事業場における作業の概要です。主な用途は、「オルト-フェニレンジアミンを含有する製剤を製造するために原料として使用する」ということです。また、オルト-フェニレンジアミンのばく露の可能性のある作業は、「反応釜等への投入」「加熱時の攪拌」などでした。作業環境です。91%の作業は屋内で行われ、ばく露防止対策については、70%の作業で局所排気装置が設置されまして、全ての作業で呼吸用保護具(有機ガス用18%、アンモニア用45%、亜硫酸ガス用36)が使用されておりました。

 測定結果です。測定は4人の労働者に対して実施し、個人ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値は0.469mg/m3です。データ数が少なく、ケース検定の正規性検体が実施できませんでしたので、信頼率90%の区間推定上側限界値の推定は行えませんでした。このことから、最大ばく露量は、ばく露評価ガイドラインの規定に基づきまして0.469mg/m3となりました。この最大ばく露量は、二次評価値の0.1mg/m3を上回っていまして、また個人最大ばく露量を示した反応釜への投入、攪拌作業のスポット測定結果では、二次評価値の10倍以上の値を示しております。

4「リスク評価の判定及び今後の対応」です。以上より、オルト-フェニレンジアミンの製造・取扱事業場においては、二次評価値を上回るばく露が見られたことから、更に詳細なリスク評価を行い、ばく露の高かった要因等を明らかにする必要があるということです。

 その際には、二次評価値を上回るばく露量が確認された作業(投入、攪拌)等ですが、それについて当該作業工程に共通した問題かを詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要があります。また、詳細なリスク評価の実施にかかわらず、当該物質はヒトに対して発がんの可能性がある物質ですので、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要と考えるところです。説明は以上です。

○名古屋座長 6事業場あって、3事業場で4人のばく露で。3事業場ですが、違う事業場でばく露を超えているので、詳細リスク評価にいくのだと思います。そこに書かれていることと同時に、残りの3事業場にも測定していただいて、より報告のあった所できちんとした評価をしていただければ有り難いかなと思います。何かありますでしょうか。

○鷹屋委員 全体で、年度が違うのですが1,000t未満なのに、1社で1,000t以上の会社があるというのは、単に統計を把握しきれていないだけなのでしょうか。

○名古屋座長 これは届出を見ないと分からないのですが、どうでしょうか。

○鷹屋委員 17%といっても、これは6社だから1社だけなので、ほんのちょっとのことで変わるのかもしれませんが。

○名古屋座長 事務局にお任せして、また見ておいていただければと思います。

○角田化学物質評価室長 今の御指摘は、最初のページで「製造業者」という所が、1社だけ。

○名古屋座長 そうです。

○角田化学物質評価室長 あとのデータを取っているのと整合性がということですよね。

○名古屋座長 はい。

○角田化学物質評価室長 最初のここの部分については、有害性評価書の文献の所にもあるのですが、既存のデータ等を踏まえて拾っておりますので。

○鷹屋委員 取っている元が違うから、これぐらいの違いはあるよと。

○角田化学物質評価室長 そうだと思いますが、そこは確認をしたいと思います。

○名古屋座長 よろしくお願いします。ほかによろしいですか。そうしましたら、この物質も詳細リスク評価にという形でまとめたいと思います。5物質が終わりまして、メタクリロニトリル以外の4物質については、詳細リスク評価にいくという形にまとめました。

 あと事務局から、資料6「今後の予定」の説明をお願いします。

○岸室長補佐 資料6、通しページの127ページです。次回のリスク評価検討会、合同の第2回目の検討会は715()の午後330分からです。議題は、今回は初期リスク評価でしたが、次回は「詳細リスク評価対象物質の評価」を行います。あと、通常ですと有害性評価小検討会で行っているのですが、がん原性試験の評価、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの吸入投与の試験の評価をこちらでしたいと考えております。よろしくお願いします。その他、参考として各ワーキンググループの日程も書いてあります。以上です。

○名古屋座長 それでは本日の第1回化学物質のリスク評価検討会を終わります。本日はありがとうございました。


(了)

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