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2014年7月10日 第5回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年7月10日(木)10:00~12:00


○場所

ステーションコンファレンス東京 503A+B
(東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー5階)


○議題

1.サリドマイド及びレナリドミドの安全管理について
2.その他

○議事

○事務局 定刻より若干早いですが、「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 ( 5 ) 」を開催します。

本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいていますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。

また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、申込時の留意事項の遵守をお願いします。

本日御出席の構成員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日の検討会は、遠藤構成員より欠席の御連絡を頂いており、現在、 7 名中 6 名の先生に御出席いただいています。本検討会の開催要項に基づき、定足数に達しており、会議は成立していることを御報告申し上げます。

また、本日は、現在の TERMS 及び RevMate の運用状況等について、必要に応じて説明いただけるよう、サリドマイド製剤の製造販売業者である藤本製薬株式会社から長谷さんと大西さん、レナリドミド製剤の製造販売業者であるセルジーン株式会社から伏見さんと伊藤さんにも御参加いただいています。

これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

それでは、以降の議事進行につきましては、藤井座長にお願いします。

○藤井座長 それでは議事に入ります。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。

○事務局 まず、本検討会での審議参加規程についてですが、前回と同様に、薬事分科会審議参加規程を準用することとしたいと存じます。

本日出席された構成員の方々の過去 3 年度における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況について御報告します。本日の議題は、サリドマイド製剤及びレナリドミド製剤に係るものですので、関連企業として、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者であるセルジーン株式会社、藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の 3 社から、過去 3 年度における寄附金等の受取について申告をいただきました。

なお、関係品目・関係企業については、事前に各構成員に資料をお送りして御確認いただいています。

その結果、本日御出席の構成員のうち、久保田先生が、ヤンセンファーマ株式会社から 500 万円を超える受取との申告がありましたが、久保田先生は平成 20 年のサリドマイド承認時に、 TERMS の管理手順等の検討を行うために開催された「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」に医薬品のリスク管理の専門家として参加された委員であり、今回の検討に当たっても参加が必要と考えていますが、先生の参加が必要と判断いただけるか御確認ください。

その他、今回の審議に参加することのできない構成員はいらっしゃいませんでした。

○藤井座長 ただいま事務局から説明がありましたけれども、久保田先生の御参加が必要と私は考えますが、よろしいでしょうか。

( 了承 )

○藤井座長 それでは、久保田先生の御参加について確認いただきました。また、関係品目・関係企業の妥当性について、特に御意見はございませんか。

御意見がないようですので、御了解いただいたものとします。ありがとうございました。

次に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○事務局 お配りしております資料の確認をさせていただきます。資料 1 「これまでの議論の整理 ( ) 」、資料 2 TERMS 及び RevMate の手順の改定案について ( ) 」、資料 3 TERMS 及び RevMate における定期確認調査票及び遵守状況確認票の回収状況について」、資料 4 TERMS 及び RevMate の登録患者における生年月日・患者区分の重複について」。その他、机上配布資料として、 TERMS 及び RevMate それぞれの遵守状況確認票等を抜粋したものをお配りしております。そのほか参考資料として、これまでの検討会でお配りしました資料を紙ファイルにとじたものを机上に置かせていただいています。資料の不足や落丁等がありましたら、事務局までお申出ください。

○藤井座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に関する議論に移りたいと思います。

議題 1 TERMS 及び RevMate の安全管理について」。初めに資料の説明をお願いします。

○事務局 それでは、本日の資料 1 から 4 までまとめて、順を追って御説明させていただきます。

資料 1 「これまでの議論の整理 ( ) 」をご覧下さい。こちらにつきましては、前回の検討会における議論を踏まえ、何点か修正しております。修正した箇所は見え消しで記載しております。修正した箇所を簡単に御説明申し上げます。

1 ページ、「区分によるリスクの違い」の部分では、前回、男性 A 患者と女性 B 患者のリスクの違いについて改めて議論いただき、その結果、男性患者の中には、女性患者に比べてリスクが高い方もおられ、そのような男性患者を一律に同一区分として扱うのは適当ではないというのが皆様の御意見でしたので、その点を反映させております。

ただし、リスクの高い男性 A 患者をどのように区分して取り扱うかという点に関しては、区分実施の可能性も含め医療現場の実務も踏まえたうえでの検討が必要でないか、という御意見もあったかとは思いますので、その点も追記させていただきました。

2 ページの「今後の課題」では、男性 A 患者のリスクに関連した御意見として、現在は男性患者の精液中に薬剤が検出されることを踏まえて安全管理が行われておりますが、実際に精液中に存在する薬剤が胎児に及ぼす影響に関して科学的に解明を図るべく、様々な視点から研究を進められることが望まれるという御意見も頂きましたので、そちらも反映させております。

3 ページ、患者からの定期的な遵守状況報告を不要とするのは早計ではないか、という御意見についての理由として何点か追加で御発言がありましたので、その点を反映しております。

1 つ目に、リスク管理の観点から、医師による確認と患者自身による確認という 2 つの経路を確保することがリスクを低減するうえで有効ではないか、 2 つ目に、前回、アンケート調査結果についてまとめたものを報告させていただきましたが、その中で、医師から毎回同じ内容の確認を受けることについて抵抗があるという意見が多い一方で、患者による定期的な遵守状況報告については肯定的な意見が多いことも踏まえ、患者による遵守状況報告は維持することとし、その報告を踏まえて医師による確認を緩和する方向で検討するのが適当ではないのか、との御意見を追記しました。ただし、このアンケート調査に関し、患者全体の意見を本当に捉えられているかどうかは疑問という指摘もありましたので、この点も追記いたしました。

4 ページの「個人情報の取扱い」では、括弧書きの下の部分に、企業に登録する個人情報の範囲について検討することになった背景についても、報告書には記載しておく必要があるのではないかという御意見も踏まえ、冒頭の部分に、個人情報を企業に提出することに抵抗があるという患者さんからの意見を受け、個人情報の取扱いについて検討を行っていることを追記しました。

5 ページ「安全管理への影響」のうち、患者に関する部分の一番下の記述については削除することで差し支えないとのことで前回確認いただきましたので、削除しております。

薬剤管理者については、日本で薬剤管理者を設置することになった背景理由も含めて、こちらも報告書への記載が必要との御意見も踏まえ、背景理由等を追記しております。

また、薬剤管理者の設置については、設置の有無、設置された場合も、その方の続柄も含めて関連情報の企業への登録は不要である、というのが前回の議論でしたのでその点も反映いたしました。

6 ページ「二重登録」の部分では、企業に登録する個人情報を削減することにより、正確な患者数の把握も困難になる、という御指摘がありましたので追記しました。

最後に「安全管理手順における様式名称の統一」についても御意見を頂きましたので追記いたしました。資料 1 についての説明は以上です。

続きまして、資料 2 は、前回の検討会の際に配布した資料です。前回、時間の関係から全てについて議論ができませんでしたので、本日改めて配布させていただきました。その中で若干記載ミスがありましたので修正を行っております。具体的には 5 ページ目にある「現行手順」の所で、それぞれの手順の順番についてマル1からマル8まである中で、マル6とマル7の部分の記載が入れ替わっておりましたので、そこを修正させていただきました。以前は「薬剤交付」がマル6、「 FAX 送信 or 専用端末よる遵守状況確認票の送信」がマル7という形になっておりましたが、こちらは逆でしたので、この点だけ修正しました。資料 2 の中身については前回説明しておりますので、今回は説明を省略させていただきたいと思います。

次に、資料 3 について御説明いたします。資料 3 の「 TERMS 及び RevMate における定期確認調査票及び遵守状況確認票の回収状況について」を御覧ください。現在の TERMS RevMate の手順においては、患者区分ごとに定められた頻度、男性患者であれば 2 か月ごと、女性患者 B 6 か月ごと、妊娠可能性のある女性患者 C は毎月という頻度で、患者が自らの遵守状況を確認票に記入し、それぞれ藤本製薬及びセルジーンに郵送することが求められています。

この定期確認について、前回の検討会において、提出のない患者や提出が遅れている患者がどの程度いるのかについて御質問がありました。これを受けて、前回の検討会後に藤本製薬及びセルジーン両社に集計を依頼して、その結果を取りまとめたものがこちらの資料です。表面が TERMS の定期確認調査票について、裏面が RevMate の遵守状況確認票の回収状況の集計結果をお示ししています。

まず、表面の TERMS の集計結果を例にして、表の見方について御説明をいたします。上から男性患者、女性患者 B 、女性患者 C と、区分ごとに表を作成しておりまして、表の中の数字はそれぞれ患者の人数を示しております。一番左側の患者総数については、これまでの全ての登録患者のうち、定期確認調査票を受け取ったことがある患者を母数として記載しております。最初の処方日から最後の処方日までの期間をそれぞれ処方期間としまして、処方期間ごとの数を縦に分けて記載しております。

右側にまいりまして、そのうち定期確認調査票を一度も提出したことがない患者の数を「返送なし」の欄に記載しておりまして、また、 1 回以上は返送の実績があるものの、一定程度の返送の遅れがあった患者の数を「返送が遅延したことがあるもの」の欄にそれぞれ記載しまして、返送なしと遅延があったものの数を足したものを、合計の欄に記載しています。遅れとする長さについては、それぞれ定期確認調査票の提出が必要な間隔の 2 倍以上の遅れがあった患者の人数をカウントしています。具体的には表にありますとおり、上の男性患者については 4 か月以上、真ん中の女性患者 B については 12 か月以上、一番下の女性患者 C については 2 か月以上の遅れがあった方をカウントしています。また、細かい点ですが、それぞれの患者区分のデータで、一番上の段の処方期間が 6 か月未満の患者のうち、返送なしとされている患者数、男性患者は 65 名、女性患者 B 72 名、女性患者 C 2 名となっておりますが、これらの人数については、集計時点において初回の定期確認調査票を受け取ったばかりで、特に遅れ等が発生していない患者も含まれていることに御注意いただければと思います。

以上が表の概要となりますが、表面の TERMS と裏面の RevMate で若干集計方法が異なっている部分がありますので、補足をいたします。まず TERMS については、運用当初は定期確認調査票がなく、手順書が第 3 版に改訂された平成 22 10 月から定期確認調査票が導入されておりますので、それ以降に調査票を渡された患者を集計対象としています。また処方期間については、最初に処方を受けた日から最後に処方を受けた日の間隔を用いて計算を行っておりますけれども、 TERMS については医療機関から処方ごとに提出される遵守状況確認票において、患者が休薬されているかどうか、これがチェックできるようになっておりますので、休薬期間があった場合については、その期間を除いて処方期間を算出しております。

一方 RevMate については、システム上、休薬期間が把握できず、単純に初回の処方日と最後の処方日の間隔をもって処方期間としておりますので、たとえば長期間の休薬の後に再度治療を開始した患者さんの場合は、 TERMS の場合は実際の処方期間で集計されておりますけれども、 RevMate の場合は長期間の処方患者としてカウントされておりますので、御留意をお願いいたします。

続きまして資料 4 について簡単に御説明いたします。資料 4 TERMS 及び RevMate の登録患者における生年月日・患者区分の重複について」を御覧ください。こちらも前回の検討会において口頭で御説明をしておりますが、今回改めて最新のデータで集計を行いましたので、御報告いたします。

現在の TERMS 及び RevMate においては、患者登録を行う際に、同じ患者を二重に登録してしまうことがないように、各企業に送られてくる登録申請情報のうち、患者の氏名と生年月日を用いて、同一患者か否かのチェックを行っております。仮に前回検討会で御議論いただいたとおり、患者氏名を登録しないこととした場合、患者区分と生年月日のみを用いて患者の重複確認を行うこととなりますが、この資料は、その場合にどの程度の重複が発生するかを集計したものです。

具体的には、 TERMS 及び RevMate のそれぞれの現在の登録患者のデータを用いまして、患者区分ごとに、同じ生年月日の方が何人いるかを集計しておりまして、表のとおり TERMS では最大 5 人、 RevMate では男性患者で最大 7 人が重複している例がありました。これらの生年月日の重複は母数が大きくなればなるほど、重複の割合が増えることとなりますので、 TERMS に比べて RevMate の重複の割合が高く、およそ 15,000 分の 6,500 人、同じ生年月日の方がいらっしゃることになっています。よって、仮に生年月日と患者区分だけで企業が重複の確認をしようとした場合、 RevMate の場合は 2 回に 1 回ほど同じ生年月日の患者が見つかることとなり、医療機関に連絡をしたり確認を行っていただくなどの手続が必要となってしまうと考えられます。

資料 4 の裏面を御覧ください。こちらは、実際に同じ患者を別の患者として 2 回登録してしまう、本当の意味での二重登録が発生する可能性について推計を行ったものです。これまでに得られているデータとしまして、第 2 回検討会で御報告しました、過去にセルジーンが患者情報を用いて二重登録しそうになった事例を発見し、防止した件数から推計を行っておりまして、マル1にありますとおり、約 2 年間で 40 件程度、実際に二重登録が発生しそうになったというデータがあったことから、これを踏まえまして、レナリドミドが承認を取得してから 3 年間の延べ数を 60 件と推定し、それをこれまでの登録患者数 10,862 人を母数として計算し、マル3のとおり、仮に企業が重複確認を行わなかった場合、一人の患者が 2 回登録されてしまうという二重登録が発生する可能性を 0.6 %として試算をしております。簡単ではありますが、事務局からの説明は以上です。

○藤井座長   ただいま事務局より資料の説明をいただきました。前回の第 4 回の検討会では、資料 1 についての内容の御確認と追加で御討論いただくとともに、資料 2 の具体的な改定案のうち、 1 の「初回患者登録時の手順」のマル2「患者の個人情報の取扱いについて」の御意見を頂きました。本日は残りの部分を含め、資料 2 の具体的な改定案を中心に御議論いただきたいと思いますが、その前に、前回の議論を踏まえて更新していただいた資料 1 のほか、新しい資料として資料 3 「定期確認調査票の回収状況」、資料 4 「生年月日・患者区分の重複について」が配布されておりますので、これらの資料の確認をしてから資料についての議論をいただきたいと思います。

まず、資料 1 の確認から始めたいと思いますが、修正すべき部分等がないか御確認をお願いしたいと思います。ただいま事務局から説明したとおりで、前回変更になった所は、色が薄い感じで下線が引いてある所になります。自分はこんなことを言ったはずはないというのはないでしょうか。大丈夫ですか。だいぶ時間を掛けましたので。各先生方よろしいでしょうか。では、資料 1 はこれで確認されたことといたします。

それでは、今日は資料 3 、資料 4 と新しい資料が出てきました。資料 3 は回収状況で、前回、久保田先生から御意見で出てきた資料ですけれども、この結果について久保田先生いかがお考えでしょうか。

○久保田構成員   比較的短期間にまとめていただいて、ありがとうございました。これを見て非常にリアリスティックというか、実は 100 %守られているということではないという、それが本当の姿なのだろうということで、実情が非常によく分かったと思います。ちょっと気になったのは、 TERMS RevMate で比較すると、ちょっと差があるのですね。先ほど山本さんが集計の仕方の違いが結果が異なる理由として 1 つあるのではないかということでしたが、藤本製薬のほうで、休薬期間を無視した場合、 RevMate ぐらいの数字になるとお感じになりますか。すぐにお答えになるのは難しいと思いますが、集計の仕方の差なのかを知りたいのです。

○藤本製薬株式会社   休薬の期間を継続期間としたときに、ここまで上がるかというと、そこまでは行かないと思います。そして、この回数というか遅延の数が少なく見えることに関しては、 TERMS については、定期調査確認票が来なければ、その次の直近の遵守状況が届いたときに、もう一度催促と言いますか、速やかにお出しくださいと。通常は、次はいつ頃の処方になりますのでと、このインターバルで日にちを大体指定してお出しするのですが、そこが来ていなければ次の時に速やかにお出しくださいという形で、もう一度お出ししますので、そこで返事が返ってくる率が高いのかなと考えております。

○久保田構成員   ありがとうございました。どうも集計の仕方だけではないことと、それ以外に、返ってこないときの確認の仕方が少し違うのではないかと思います。私自身も 2 日ほど前にこれを初めて見せていただいたのですが、その後少し考えてちょっと感じたのは、サリドマイドだからではないかという気がするのです。実際、今の患者さんの多くは、サリドマイド事件というものを記憶している世代ですよね。だけどレナリドミドはそういう社会的なものを起こしていないので、サリドマイドのほうがはるかに強烈な印象をお持ちなのではないか、それがこういうものに対する遵守度を上げているのではないかという気がちょっとしました。私の感想です。

○尾崎構成員   まず、私も確認をさせていただきたいのは、この遅延ですが、例えば治療が終了して、患者さんはそのアンケートを受け取っても、もう自分は関係ないと思っておられる方もいると思いますし、病状が悪化したり、あるいは転院されたり、そのようなことが現場では多いので、これは 8 か月となればひょっとするともう違う病院に移っていらっしゃったりすることがあって、それでなかなか回収ができていないのが、いたずらに長い遅延として拾われているとか、そういう可能性についてまずお聞きしたいのですが。

○藤本製薬株式会社   TERMS については、今尾崎先生が言われたように、転院されたりした場合は、その施設ごとにもう一度番号を付け直していただきますので、その分については、施設ごとに追いかけておりますので、患者個人については定期確認は返ってきているかと思います。中止という形で真ん中が空いた場合には、この一番最後ですけれども、再開されたときに、過去のいつ、その定期確認が返ってきたかというところから、この日数、 8 週、 24 週、 4 週を考慮して、定期確認を出させていただきますので、そこについては、真ん中が抜けているのは、ちょっと遵守が来ないと、こちらからも送り返せませんのであれですが、返ってきているかと思います。

○尾崎構成員   それは転院されても、次の病院ではもう処方されていないことが多いと思うのですが。

○藤本製薬株式会社   転院されて、まだ TERMS に登録されて続いておれば、そこでこの定期確認の期間がくれば出させていただきますから、それは返ってくるかと思います。

○尾崎構成員   極端な例ですと、 1 回処方して、 1 週間飲んで止められて、それきり患者さんも転院されたような場合だと、いつまでたっても返ってこない例もあるのかと思いますが。

○藤本製薬株式会社   1 週間というかこの期間、 8 週ごと、ここの間までに、もし中止などの形でしたら、これは返ってこないと言いますか、出せない状態で、こちらから出していませんので。

○尾崎構成員   では 8 週過ぎないと出していないのですか。

○藤本製薬株式会社   8 週といいますか 4 週ですね、 A 患者さんでしたら。

○尾崎構成員   8 週ごとに定期確認されているのは。

○藤本製薬株式会社   これは 8 週ごと、そうです。

○尾崎構成員   初回投与から。

○藤本製薬株式会社   一番初回の処方があって、 8 週たったら初めて出しますから。

○尾崎構成員   その時点で、もう既に患者さんが服用もされていなかった場合はどうなりますか。

○藤本製薬株式会社   それは、この患者総数の中には出てこないのです、出していませんので。要するに、この母数は定期確認を管理センターから一度でも出させていただいた方でありますので、今尾崎先生がおっしゃるように、この 8 週までに中止とかの形で、この TERMS の中から離脱されたら、この母数に入っていないことになります。こちらから出していませんので。

○尾崎構成員   ちょっとそこがよく分からないのですけれども。処方が 1 回あれば出されるのではないのですか。

○藤本製薬株式会社   そうですね、その後の 8 週後に出しますから。

○尾崎構成員   はい、 8 週後にですね。

○藤本製薬株式会社   それまでに遵守状況がずっと来なければ、送り返すところ、タイミングがありませんので。遵守状況が来て、その答えというか回答といいますか、その返事を出すときに一緒に、今回この定期が必要ですという形で出しますので。

○尾崎構成員   ということは、 1 回の処方だけで 8 週間処方していない人は出していないのですね。

○藤本製薬株式会社   そうですね。

○尾崎構成員   では 8 週されても、そこで終わった方は 1 回確認を出されて、そこで中断された方はどうなりますか。次の 8 週の分は。

○藤本製薬株式会社   中止という形ですか。

○尾崎構成員   はい。

○藤本製薬株式会社   中止という形でしたら、この男性患者と女性患者 C の場合は、中止後の確認というのがありますので、それに似た形の定期を出させていただきます、中止というのが来れば。

○尾崎構成員   けれども、中止の確認票を出しているのは少ないのではないかと思うのですが。

○藤本製薬株式会社   数はちょっと。

○尾崎構成員   処方のときにそれを確認票でしますけれども、それで中止になった時点では、基本的に処方をしないという、処方箋は切らないので。ですからそのようなケースがここにカウントされているのではないかと、私は個人的に思っています。それと初回から、あるいは 1 か月飲んで、副作用があるから 2 か月ぐらい休薬して、また再開したり、そのような方がアンケートを受け取ったタイミングで、飲んでいるときと飲んでいないときとかいろいろなケースがあります。最悪病状が悪化して、アンケートどころではないような方もおられますので、あるいは転院してしまってですね。次の病院でサリドマイドが処方されるとは限りませんので、通常の場合はされないケースが多いと思いますので、処方する限りは、その医療機関で診られていると思うのですけれども、それの適用がなくなった場合にそうなっている場合が多いと思います。そのようなタイミングによっては、やはり漏れが発生するのかなという認識です。

実際、この患者さん総数から、そのように処方が途中で中断したり、転院したりという数がこういう形で現れているという印象を私は持っていますので、ここで先生が 100 %と言われましたけれども、現場ではきちんと管理していても、そのような抜けの数といいますか、その症例数がこれぐらいいるのかなという印象です。

○藤井座長   RevMate はものすごく数が多いのですけれども、どうでしょう。

○セルジーン株式会社   御説明させていただきます。まず RevMate の場合は、遵守状況確認票は薬剤師さんの手から患者さんに渡すようなシステムになっています。これは、弊社では患者さんの自宅の住所というものを把握していないために、直接会社のほうから患者さん宅に送るような手はずではありません。

薬剤師さんが遵守状況確認票を患者さんに渡すタイミングというのは、藤本さんと同じように、 A 男性患者さんですと、初診時から 2 か月たった時点、 2 か月ごとにお渡ししますが、そのお渡しするタイミングは、ハンディ端末で薬剤師が、遵守状況確認票を渡してくださいという表示を見てお渡しする。それでタイミングが分かるようなシステムにしております。同じく B 女性患者さんのほうは、初診から 6 か月たったときに初めてお渡しする。 C 女性患者さんの場合は、初診から 1 か月たったときに初めてお渡しするようなシステムになっております。そのような関係で、藤本製薬さんでは、会社のほうから患者さんに直接郵送するので、そういうようなシステムになっているのが実情です。

あと、先ほど御質問がありました、 RevMate の場合は患者ごとに ID カードというものを持っていただいておりまして、もし転院した場合でも、そのカードで新しい施設でレナリドミドが処方されるのであるならば、前の施設で薬剤がどれだけいつから処方されたかという、患者情報が分かりますので、適切に遵守状況確認票を渡してくださいという表示が出るようなシステムで運用しているのが実情です。

○藤井座長   次に薬剤師が端末を見たときに渡すことになるので、中止したらそれはもう見ませんから渡さないし、渡さないから返送もしていないことになるのですね。

○セルジーン株式会社   そうです。

○藤井座長   なるほどね、だから「返送なし」にも入らないのですね。レナリドミドのほうが割と正確に反映しているとなると、むしろ数はこちらのほうが圧倒的に多い感じがするのですけれども。

○尾崎構成員   そういうことでしたら、多分、処方期間が長い方にも返送なしとか遅延があるということは、これらの方は定期的に、 1 回は送られているのですよね。長期になって何回目かに送っていないとか、そういう見方でいいですか。

○久保田構成員   1 回も返送なしですよ。

○尾崎構成員   返送が遅延しているというのは。

○久保田構成員   返送なしですよ、 1 回も返送なしです。

○尾崎構成員   初回から 1 回もない。

○久保田構成員   だから 5 回、 6 回受け取っても、返送を 1 回もしていないというのが「返送なし」です。

○尾崎構成員   遅延の場合は 4 か月なので、逆にいうと、それでも返送しているという、そういうことですね。であれば、回数が増えるに連れて母数も減りますけれども、ほとんど同じような値が出ているというのは、数回送ったけれども長期になってきて、後から返送しなくなったとか、そういう可能性もあるのでしょうか。

○セルジーン株式会社   先ほど山本さんのほうから御説明がありましたとおり、 A 男性の所で書いてある患者さんというのは、真ん中の「返送が遅延したことがあるもの」の 6 か月以上 12 か月以内の処方期間の患者さんの中で、 4 か月以上は 58 人いると書いてありますけれども、これらの患者さんが全く返送しなかったわけではなくて、 1 回は返送したことはある。ただ、遅れたこともある患者さんが 58 人いるというような表記です。先ほど久保田構成員が言われたとおり、全く返送していない患者さんというのは、この合計の左手前にある数字の患者さんです。

○藤井座長   山口先生。

○山口構成員   特にはありませんけれども、感想だけを申し上げますと、意外に多いなと。

○林構成員   この数字というのは、患者数があって、返送なしにしろ遅延したというのは、複数回の返送の機会のうち、 1 回でも返送していないか返送が遅延すれば、返送遅延とカウントされている表と理解してよかったですよね。

それでなのですが、私の現場での実感としては、常時 15 人ぐらい患者さんがいて、 4 5 回で終わってしまう方もいらっしゃいますが、ずっと続く方もいます。そうすると 1 人の方で 3 回、 4 回、 5 回、出してくださいとお願いするのですが、例えば今回確認してみると、おおよそ 100 数回あるのですが、返していないという記録があるのは 3 回ぐらいなのですね。

そのうち 2 人は、次の回に言うと返していただけて、そのうち 1 人の方は、実は制度を教育されて、理解されて、協力して、その制度上でやるということは 1 回納得されているのですが、やっぱり窓口で、どうして患者が企業等にそういう連絡をしなくてはいけないのかというところは、本当は納得していないので、ちょっと窓口トラブルになりかねないぐらい心の内を打ち明けていらっしゃいます。でも、その方も次回は返してくれています、うちの病院の場合には。

そうすると 100 回ぐらい返送していただくシステムの中で、 3 回返送していないという状況なのですが、これだと 3 %ぐらいになるのですが、ここでは 10 %、 20 %返送していないように、つまり患者さんの人数に対して返送しなかった記録を捉えるとそうなるのですけれども、実は返送する機会当たりどうなのかと考えると、うちも 15 人で 7 8 回返すチャンスがあって、 100 回ぐらいの全部のデューティーのうち、返していないのは 3 回。それを人頭で割りますと 15 人中 3 人遅延があることになるので、そうするとパーセントにするとかなり上がってくるのだと思うのです。

そういうことが、高齢の方が熱心に守ろうとしても、何回もやるうちに 1 回遅れてしまうことがあって、制度を守れない状況が発生していると捉えるのか、そうではなくて、人が熱心にやっていてもヒューマンのうっかりエラーはあり得ることだと思うので、その程度の頻度なのかと思うと、頻度の見方が。

RevMate のほうを見てみると、男性患者 A 6 か月以内の方ですと遅延した人がなぜかゼロなのですね。 B の女性患者でも 6 か月以内は遅延した方がゼロなのです。 C もゼロなのですけれども、返送なしは逆に実際的にあるのですね。 6 か月以上の所を見ると、どうみても返送なしの人よりも遅れている人が多いのだと思うのです。ですので、最初のときは遅れずに送ってくれているのです。しかし、治療期が長くなってくると、何回かに 1 回遅れていることもあるのかなとも読み取れるので、この表を見たときの印象の発想として、人数ベースで長い間に 1 回遅れてしまう人が何パーセントいるかというイメージで見るのか、それとも、その人は話せば次回は出してくれていて、基本的には守れている人なのかというところを、どう受け止めるかです。ここに出ている数字だけですと、随分大勢守らない機会もあるのですねと受け取られてしまいますが、実際はもっと真面目にやっていらっしゃるような印象があります。

ですので、遅れている人は、そのとき体調が悪くて遅れるとか、いろいろなことがあると思うので、返送なしの人が多分一番問題なのではないか。いろいろ説明してもちょっと理解していただけていないか、どこか心底企業に送る気になれていない方たちなのかなと思うので、その場合に、先日来話し合ってきた、リスクが一緒なのかという考え方も一つは視野に入れておく必要があるのかなという印象を持っています。女性患者 C の方は、是非ここはシステムにのっとっていただきたいというのが、こういう安全管理を作っている側の思いだと思うのですが。女性患者 B の方は「返送なし」がそれなりに多いような気もするのですが、やはりちょっとないよねと思っている人が、心底は自分の中でそういうリスクが実在していないと思っている方がいらっしゃるのかなと、そういう患者さんの思いも受け止めていいのかなと思いました。

○藤井座長 田代先生、いかがでしょうか。

○田代構成員 非常に苦労して作られた表だと思うのですが、確かに読みにくいところがあります。ただ、今林先生にいろいろと現場の感覚で説明していただいたので、大体のイメージは付きました。

1 点だけ、基本的なことを確認させていただいてもよろしいでしょうか。 1 ページ目の下で、先ほど説明があったと思うのですが、 TERMS のほうで、定期確認調査票が導入されたのは第 3 版以降である、と書かれているのですが、これ以前はどういう形になっていたのでしょうか。

○藤本製薬株式会社  TERMS がスタートのときは、今御質問があったように、この定期確認調査票の代わりに、診察前に調査票という形で同じようなものがありまして、患者さんが診察に行かれる前に管理センターにお送りいただくという形をもって、診察を受けられたときにドクターが遵守の質問をやられる。それから、そのあと薬剤部で薬剤師とやられてという形の、 TERMS ですから FAX の回数が全部で 5 回ありました。それが、この 3 版、平成 22 年に、余りにも医療現場で煩雑になるところから、診察前調査票を定期確認調査票という形に変えて、薬剤部とのやり取りだけに改定させていただきました。

○田代構成員 ありがとうございます。更に確認ですが、その当時は診察前調査票を御自分で患者が書いて持参するわけではなく、郵送して、それを医療機関で受け取って見る形を取っていたという理解でよろしいのでしょうか。

○藤本製薬株式会社 いえ、全部 FAX 送信でした。

○藤井座長 この資料 3 を見ますと、やはり 1 回も返送していない人がそれなりにいて、その理由は、先ほどの林先生から、窓口で何でこんなものを企業に送らなければいけないと。結果として、この定期確認票が行われないというのが、そういう理由で逆に確認ができないような状況が発生してしまっていることになるわけですね、企業に送ることによって。そういうこともあるのでしょうか。

○林構成員 当院の場合には、もう一度そういう方にもよくお話したり、お気持ちを伺うことで、それは御理解をいただいて、その後はきちんと出していただいているレコードになっております。ただ、そういう思いがどこか水面下にあるのかなというような印象はもちました。

○藤井座長 ただ、事故は起こっていないという事実はあるので、それなりにうまくいって、皆さんはきちんと理解はされているのだと思いますが。

資料 3 について、ほかに御意見はありますか。こういう事実があるということです。

次に資料 4 ですが、今度登録の項目を減らした場合に、重複がどのぐらい起こるかという資料です。これについて、久保田先生いかがですか。

○久保田構成員 一言で言うと、なぜこんなことが起こるのかなというのが、とても不思議なのですよね。生年月日の分布を単純に考えると、高齢の方に多いのは間違いないのでしょうが、やはり 10 年、 15 年ぐらいの年齢差はあるはずで、そうすると数千日になるのですよね。それが、たまたまこれほど多数の患者で一緒になるというのは、普通の確率論から考えるとあり得ない数字なのですが、実際には重複は示された通りなのかと思います。嘘だと言っているのではないですが、はっきり言うと、非常に不思議だなというのが率直な感想です。

○尾崎構成員 私も久保田先生と同じ意見なのですが、確かにこの患者ソースを把握するところが、一番初めに TERMS あるいは RevMate が開始されるときに規定されていた要件だったと思います。実際は、個人情報をかなり無くしていくに連れて、リスクが 0.6 %となりますが、これであれば、この医薬を処方している現状についての大きなことは把握できるので、十分な情報が得られるのではないかと考えています。

○山口構成員 このような形で重複があり得るというようなことですので、これは以前にも申し上げた点なのですが、今、個人情報のあらゆるものを取り過ぎだというのはそのとおりなのだと思うのですね。では、一気にこれを無くしていき、患者区分と生年月日だけでいいのかどうなのかについては、これもやはりちょっと危なっかしいとは感じるところですので、一気に減らす必要はなく、どこまで減らすかは、患者がどこまで納得いただけるかという部分なのだろうと思いますので、少し検討の必要があるかなと、この数字を見て感じた次第です。

○林構成員 私も久保田先生と同じように、どうするとこんなに重複するのだろうというのが、確率論的にいうとびっくりしたのが印象です。裏側の参考に示してある、多分 0.6 %ぐらいと試算していただいたのが、印象としては持っていた数字なのかなと思います。それから、これがそういうシステム変更をしたときに生じ得るという 1 つの試算であることと、もう 1 つは、何回も会議で話し合ってきた、その場合に実在するリスクがあるのか、それともそうではないのかという観点も、最終判断には当然必要かなという思いを持ちながら、この資料を拝見いたしました。

○田代構成員 重複がたくさんあることはお示ししていただいたのですが、これが、実際これを処方する際にどの程度問題になるのかということは、私にはよく分からないところがあります。これまで現場の先生方の御意見を伺って、必ずしも患者氏名そのものを企業に送らなくてもいいのではないかということで話は進んできたように思いますので、実務上問題が生じないのであれば、構わないと思います。そこについては、林先生や尾崎先生の実際の管理上問題が生じるかどうかの判断を尊重したいと思います。

○藤井座長 そうしますと皆様、ある程度の重複は起こるけれども、安全管理上はそんなに問題はないのではないかと。正確な数の把握がやりにくくなることはあるかもしれませんが、そういうことでよろしいでしょうか。

○山口構成員 先ほど、 RevMate について ID カードとおっしゃっていたと思うのですが、これは私は存じ上げないので、どのようなものなのかを教えていただけますか。

○セルジーン株式会社  RevMate で一番初めに登録していただいた施設で、患者個々に RevMate カードを発行し、そのカードの中には 10 桁の固有の数字が付いていますので、患者がもしほかの病院で新たに治療を受ける場合でも、そのカードさえあれば、新しい施設で過去の情報などを端末上ではきちんと管理できるようなシステムになっていて、施設が移ったときでも新たに再登録などの必要はない、そのためのカードです。

○藤井座長 番号が付与されるということですね。

○セルジーン株式会社 そうですね。

○藤井座長 そういう方法もあるのではないかということですね。

では、資料については皆さんの御意見を伺いましたので、本日の本題であります資料 2 に移り、具体的な手順の改定案について御意見を頂きたいと思います。まず、資料 2 1 ページの 1 「初回患者登録時の手順について」です。特に資料 4 は、今正にお話したように、この改定案で生年月日、患者区分、疾患名だけにしますと、今 0.6 %という数字も出ましたが、それなりに重複が出てきますので、随時企業から医療機関に同一患者か否かの確認を行おうとすると、医療機関が大変になるかなということが考えられますので、随時医療機関への確認は不要とするのか、やはりやらなければいけないのか、確認したいと思うのですが。

○尾崎構成員 随時というのは、どのタイミングのことをおっしゃっているのでしょうか。

○事務局 登録する際にということになります。登録する際に患者の情報を、この改定案にあるとおり、生年月日、患者区分、疾患名で登録すると、企業で既に登録されている患者の情報と照合したときに、生年月日と患者区分、性別で合致する方がいるかを見ると、先ほど資料 4 でお示ししたような形で、 2 回に 1 回は同じ生年月日、性別の患者がいることが企業で確認されるようなことになるかと思います。よって、その度ごとに医療機関側に、過去に登録された患者ではないかどうかを企業側から確認するというような手順が必要かどうか、というところを御議論いただきたいと思っております。

ただ、二重登録に関しては、資料 1 のまとめにもあるように以前に御議論いただいており、確かに完全な防止と正確な患者数の把握は、随時医療機関に確認するという手順を取らないことにすれば、困難にはなりますが、医療機関で過去に登録していないかどうかをきちんと確認することなどで、発生率は抑えられるのではないかという議論や、あとは本剤の性質や、患者自身は各医療機関において適切に管理手順に基づいて管理が行われますので、過剰な薬剤が手元にあるというような問題が起きる可能性はほとんどないのではないかという議論が、これまでにありました。そういったことも踏まえた上で、登録情報をこのようにした場合に、企業側から医療機関に、過去に登録された方かどうかを、 2 回に 1 回ぐらいの割合になってくるかと思うのですが、確認してまで重複を防止しなければいけない、 0.6 %二重登録が発生する可能性を防止しなければいけないかどうか、という点を御検討いただきたいと思っております。

○藤井座長 いかがでしょうか。

○尾崎構成員 恐らく医療機関側としては、過去の処方歴であれば、登録歴というか、自施設であれば分かると思うのですが、それが他施設で登録されたかどうかについては全く分かりません。基本的に医師あるいは看護師、薬剤師もこの病気でこの薬を受けたことがあるかどうかは問診で十分把握したり、あるいは紹介状等を参考にする程度です。診療現場ではある程度制限がありますので、それ以上の情報を確実に医療機関内で処方当日に見いだすのは難しいと思うのですが。

○藤井構成員 二重登録がどのぐらい危ないかということにもなるのでしょうが、要するに 2 回に 1 回電話が掛かってくる可能性があるので。

○林構成員 今の尾崎先生のコメントと似ているかもしれないのですが、どういう電話が掛かってきて、どう回答したらいいのでしょうか。つまり、自分の病院に掛かっている方は、途中に休薬が入ろうが薬が変わろうが、全部台帳を作っていて、何さんがいつ何錠で、お手紙も何と全部管理していますので、あれ、この人、前のあの人ですかと聞かれれば、ああ、そうです、休薬していましたと、すぐ電話で答えられるのですが、尾崎先生がおっしゃったように、よその施設から移ってきた人と同じ人ですかという問いには、多分、薬局は即答できなくて、患者に聞くか、医師に確認をして、紹介状がきていて、どこそこ施設から来た人ですという回答はできるのですが、そういう作業を想定されているのでしょうか。何をもって同じ人だと照合するのかというキーが、あの病院から来たそうですというもう 1 つのキーだけでいいのかどうかも含めて、特定する作業が現実的なのかということも、それから、その作業が分からないと、実は 2 回に 1 回聞かれたら作業量は手間だなという直感的な印象はあるのですが、自分たちの帳簿を見て即答できるようなことであれば、それは、さして重大な問題にはならないと思うのですが、患者にどちらからいらっしゃいましたかというのでいいのかなというのは、ちょっと作業が見えてきていない部分もあるので確認です。

○藤井座長 要は、聞かれてもきちんとした答えができないのではないかということですね。

○久保田構成員 確認は大変だろうなというのは、容易に想像ができます。要するに、新たに登録をしてみたら、実はこの患者は 2 年前に山形県の何とか病院の患者と生年月日が同じなのですが、どうですかと聞かれても、今、この検討会でも意見が一致している患者氏名を企業に送らないという変更を前提にすると、企業には患者の名前も分からないわけですね。ですから患者に、その辺りの時期にそういうことはありましたかと聞くしかないのですが、よく分からないということも恐らく出てくるのでしょうね。ただ、これは尾崎先生などにお聞きしないと分からないところがありますが、高血圧の治療や糖尿病の治療ではないので、しかもこの薬は安全管理に関してきちんといろいろなことをやりますので、患者自身も自分が何を使っているかを重々承知した上で使うわけですから、ほかの病院にもし行くことになったとしても、もちろん紹介状にも書くでしょうし、患者も十分記憶しているでしょう。ですから、新しく登録するときに、この患者は以前この薬を使ったことがあるということがきちんと企業に行くような形が担保されていれば、安全管理上は余り問題はないのではないかという気がします。ただ、どうしても不正確な部分も出てきてしまうだろうと思います。

○山口構成員 私は少し観点が違ってしまうのかもしれないのですが、繰り返しになってしまうのですが、登録情報が、例えばの話、氏名を加えることは、それによって手続としては少し楽になるのだろうと思うのですが、患者としては、氏名すらもやはり相当な抵抗があるのかどうなのかというところが分からなかったものですので、その可能性も含めて考えてみてもいいのではないかと思っているところです。

○藤井座長 氏名は、個人情報の最たるものなので、それが嫌だというところからこの議論が始まっていると思うのです。

○山口構成員 個人情報はもちろんそうなのですが、ただ、氏名が、例えば住所などと一緒になってあれするからこそ。やはり氏名の識別性は一番識別しやすいものなのだろうと思うのですね。そこまで本当に、患者さんにおいて絶対に氏名は嫌だということなのかなと、私は当初から少し疑問に思っていたところではあるのですが。

○藤井座長 最も嫌がっているところなのです。

○事務局 氏名だけといえども個人情報ですので、やはりそれを提供するのが嫌だという意見がこれまであったことも踏まえて御議論をいただいております。氏名を企業に提供しないことで安全管理上のリスクが高まるのであれば、患者さんにも御理解いただいて登録いただく必要があるのだと思うのです。仮に氏名を登録しないシステムにした場合に起こりうるいろいろなことを想定しても、安全管理上は問題ないであろうということであれば、そこまでして氏名の登録を求めることは不要になるのではないかということもあります。このシステムでは、胎児曝露を防止することが一番重要なところですので、それへの影響も考えた上で、本当に氏名を登録しなければいけないかを御検討いただきたいと思っております。

○藤井座長 山口先生、いかがでしょうか。

○山口構成員 そうですね。私自身が患者でない分、多分そこが理解できていないところなのだなとは思いますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

○田代構成員 今問題になっているのは、恐らく 2 回に 1 回電話がくるという話で、私自身は医療現場の人間ではありませんが、当然それはかなり煩雑な手間になるでしょうから、必要ないと思います。もちろん、これはそもそも何のために氏名を使っていたのかということに関わってくると思います。先ほどお話もありましたが、基本的には、これは妊娠防止プログラムが目的になっているかと思いますので、そこに直接影響しないものであれば、可能な限り簡略化して構わないと思います。

○藤井座長 山口先生の御意見もありますが、全般的には、毎回の確認は行っても、胎児曝露防止という安全管理上は、余り影響のない作業ではないかということになるのですが、山口先生、いかがでしょうか。二重登録が起こって困るのは、患者数の正確な把握ができなくなってしまうわけですよね。それができなくなるということになりますが。

○久保田構成員 セルジーンではカードをお渡しになるということですが、 TERMS では特にそういうものはやられていないのですか。

○藤本製薬株式会社  TERMS についても、患者が登録されたときにカードはお渡しさせていただいて。

○久保田構成員 もし、その方がほかの所に行ったら、その番号を。

○藤本製薬株式会社 そのカードには、別の施設に行かれたときはこれを提示してくださいという形を書かせていただいております。

○久保田構成員 そうすると、転院したときにカードの番号を企業に知らせることが求められるわけですね。

○藤本製薬株式会社 求めるというか、 TERMS 自体は施設を変わられたら、そこの施設で新たに番号を登録させていただきますので。

○久保田構成員 いや、それはいいのですが、この人とこの人は同一人なのだということが。

○藤本製薬株式会社 それは、分かるようにはしています。

○久保田構成員 分かるようにする努力はしているということですか。

○藤本製薬株式会社 はい、しています。

○久保田構成員 ですから、そこは要するに、前の病院で 1 回使って転院したり、あるいは一度中断してまた使ったりというときに、この人は前に使っていたことが分かるようなことをなるべくうまくしていただくことを前提に、特に毎回確認をすることは、私は不必要だろうと。ただ、やはり正確であるほうがいいので、なるべく同じ人が違う施設で治療を受けるときには、同じ人であることが確認できるようにしておくことがとても重要だと思います。そうでないと、 2 年前と同じ何年何月何日の生年月日の人が新たに来たといっても、企業でもその情報が来ても、多分この人なのだろうということぐらいしか分からないはずですよね。氏名も分かりませんし。ですから、やはり何か番号とかそういうもので、確かに同一人なのだということが分かるようにしておくことが重要なのでしょうね。

○藤井座長 そうですね。 ID 番号を発行してしまえば、その番号は 1 つしかないですよね。

○山口構成員 先ほどちょっとこだわったところですが、やはりその仕組みはほかのものでも多分できるのだろうと思います。その仕組みについてきちんとできる、そしてその担保をした上でということが必要なのかなと思います。

○藤井座長 そういう新しい案が出ましたが、確かに ID 番号を発行してしまえば、細かい個人情報をやらなくても登録の二重は防げる。そのカードさえ持っていればいいと。診察券と一緒にいつも持っていればいいという形になりますね。

それでは、先に進みます。続いて、 2 ページから 4 ページの「毎処方時の手順」なのですが、特にこれは図が後ろに書いてありまして、現行手順について手順 1 と手順 2 があります。手順 1 と手順 2 のどこが違うかといいますと、要は患者が今、家で定期確認票を書いて企業に送っておりますが、それをどちらも無くすわけですが、手順 1 の場合は、マル3という所ですが、処方医が遵守状況と患者理解を確認した旨や、処方数、妊娠検査結果等を記載した遵守状況確認票を薬剤部へ送付します。手順 2 は、患者が病院で診察時に処方医に様式を提出します。手順 1 も手順 2 も、要するに病院に確認書が残るわけですが、手順 1 ではマル7で、案 A では FAX や専用端末で遵守状況確認票を送信する。手順 2 では、これがマル8に書いてあります。それから案 B では、これは医療機関内にそのまま保存しておいて、企業が随時確認するか、案 A の場合は企業が行っていますから随時確認できますし、案 B の場合には企業担当者が医療機関を訪れて、遵守状況確認票を定期的に確認するという形になっております。

まず、手順 1 とした場合は、処方医の責任で患者理解や遵守状況の確認を行いますので、処方医の責任が非常に大きくなりますが、尾崎先生いかがでしょうか。

○尾崎構成員 院内手順については、各医療機関のいろいろな理由により工夫されているところだと思うのですが、実際に我々の施設では、手順案 2 で運用しております。基本的に、ダブルチェックということもありますので、医師が確認するのと、実際処方は全て院内の薬剤師が渡すという、最終窓口でもありますので、薬剤師との 2 つのルートで確認ができている状況をつくっています。実際に本日の議論のように遵守状況の患者の確認をどうするか、結局アンケートを渡してそれが回収できているかできていないかというようなこともありますので、この手順案に書かれていますように、それを院内で確認できるという意味では、薬剤師にその役割をお願いするという、以前久保田先生がおっしゃっていたコーディネーター的な役割をして、医師の診察室でのお話と、窓口、薬局あるいは処方を受け渡すとき、あるいはその前後の確認をしていただくという二本立てでいけば、患者の個人情報の問題や、それを送付、回収できない問題、あるいは、万が一理解がいただいていないために事故につながることも未然に防止できると思います。やはり院内でこのような手順を完結するのが理想ではないかと思うのですが。

○藤井座長 今のは、手順 1 ですか。

○尾崎構成員  2 です。

○藤井構成員 患者に書いてもらうは書いてもらうわけですね。

○尾崎構成員 というか、先に薬剤師が関わっていらっしゃるのが、手順案 1 2 の大きな違いかなと。

○藤井座長 手順 2 は、薬剤師はやはり後ですね。処方医が説明をして、その後で記入内容の確認と必要な説明を行った旨を、要するに、最初にこの確認書を書いてもらうのですね。

○尾崎構成員 そうですね。マル1の所ですね。多分、手順 1 は医師から、診察室から始まっているようなイメージですが、手順 2 は診察の前に薬剤師が関わっている。

○藤井座長 先生の所は、薬剤師がここに絡んでいるのですね。

○尾崎構成員 はい。まず、薬剤師の外来に受診して、ですから 2 回薬剤師に会うのですが、そのような流れのほうが、実際に診察に来られても、受付をしてから血液検査の結果が出るまでなど待ち時間がたくさんありますので、そこを活用しています。各医療機関の事情にもよると思いますが、そのようなことで手順 2 に近い形で運用しています。

○藤井座長 ということは、先生の所は手順 2 ではあるけれども、患者に書いてもらうのではなく、薬剤師が確認をして聞取りをしている形になるわけですね。

○尾崎構成員 はい、そうです。

○藤井座長 林先生はいかがですか。

○林構成員 案 1 か案 2 かということであれば、確かに案 1 ですと医師が外来の診察室の中で全部をやるのは、負担が大きいのかなという印象はもっています。施設によって、明確な薬剤師外来といって、医師の診察ブースの近くで薬剤師が外来に付いている施設ももちろん出てきてはいるのですが、全国でどこまであるかというと、パーセンテージとしては全部がそうなっているわけではないかもしれませんので、薬剤師が望ましいのかなとは思っていますが、自施設のことだけではなく、全国で受入可能な状況であれば、誰かが最初に書類を患者と会って記入するか記入していただくかという案 2 のほうが、医師の負担は少し軽く、患者自身がという現行案からの前進につながるのかなとは感じています。

○山口構成員 まだ案をきちんと理解できていないので感想だけなのですが、これは前も申し上げたのですが、医療というようなことで手順の部分が確認できることはそうなのだろうと思うのですが、やはり現場の負担が増える。特に手続を考えるときにおいては、尾崎先生や林先生のように非常に良心的で熱心な先生ばかりではないというようなことも少し考えなくてはいけないのだろうなと思いますし、確か前回のアンケートの中でも、非常に現行が面倒なので、基本的には医薬品業者で引き受けてほしいというような意見などもあったかと思いますので、現場の負担が過度にならないようなものを考えるべきではないかと思っています。まだ具体的なところまで意見を申し上げられないのですが。

○久保田構成員 これは前回も申し上げたのですが、案 1 と案 2 の基本の発想は、現在行われている、患者から直接企業に対して定期確認を送るというものを廃止するのが前提になっていますが、私は、廃止をしなければいけないという前提をサポートするデータはないと思います。むしろ、これは残すべきだと思います。

1 つは、 PMDA を介して行った調査で、これは定期的に送ることが評価できると回答した患者は 50 %以上います。

それから、今日出てきた定期確認票の資料ですが、中には送らない人もいるという、その少数の人たちを見てネガティブに捉える捉え方もあるかもしれませんが、私はむしろ非常にポジティブに捉えています。少なくとも、サリドマイドでは 90 %以上、レナリドミドでも少なくとも 90 %近くが完全に遵守している。そうしなければいけないからしょうがないという部分もあるのでしょうが、やはりそれなりの協力が得られているシステムであり、そして患者自身の半分以上から、これは役に立っているという評価を得ているものを、あえて潰す必要はないですし、これをやらないで、結局、後は全部医療機関でやってくれということは、医療機関の負担を増すということですよね。案 1 でも案 2 でも、何らかの形で医療機関の負担を増すことは間違いないわけですので、基本的には 2 つの経路を保っておくのは安全管理の観点からいい部分もありますが、比較的うまくいっているものを潰す必要はないと思います。

中には協力しない人は当然いるので、なぜ協力しないのか。それを、どうしたら協力していただけるようにできるのか。例えば、企業に送るのが嫌なのか。どうしても企業に送りたくないなら、そういう人たちに関しては院内で保管することを認めるとか、そういうことで、一部保管することはあり得るのかもしれませんが、一律に全部これだけの支持というか、これだけの協力を得ているものを廃止してしまって、後は全部医療機関の負担を増やすというのは、決していい形のものではないと思います。やはり、きちんとしたデータを踏まえて考えれば、私は今の定期的確認票を送付することを無くすこと自体に賛成できないです。

○田代構成員 今、久保田先生からリスク管理の上では 2 つの経路があったほうがいいということで、潰すべきではないというお話があり、恐らくそういう考え方があるのだろうとは思います。私自身は、患者の理解の向上の観点から言いますと、やはり別々に確認するよりも、患者の理解を医師が確認する、薬剤師が確認する仕組みのほうが、理解は向上するであろうという判断に基づいて、医療機関内で完結するほうがよいのではないかということを申し上げてきました。ですので、今回に関しても手順案 1 や手順案 2 のほうが、現行案よりはそういった形に近づくのではないかと思います。

ただ、これも前回お伝えしましたが、そうすると発想がかなり大きく変わってくるところがありますので、やはり医療機関できちんとしたコミュニケーションの質と量が保たれることを何か示せるような仕組みも必要ではないかと思っています。この表でいうと、企業がどのように関わるのかということが、それに 1 つ関わってくるわけです。案 B のような形でモニタリングのようなことをするのであれば、任せていてもきちんと企業は見るという形で、それを担保するという考え方もあるでしょう。あるいは前回もお伝えしましたが、妊娠防止プログラムですから、性交渉や避妊について患者さんときちんとコミュニケーションを取らなければいけないということになるわけで、私のような素人からすると、医療機関でそういう役割と言えば、どうしても産婦人科の先生というイメージがあるわけです。ですので、それが例えば一般の薬剤師であっても、血液内科の医師であってもできるのだということを、例えば何か標準的なマニュアルや手引きや教育システムのようなものを作って担保するなど、医療機関に任せる場合には任せることができることを保証するために何か追加した仕組みを 1 2 つ加えるのがよいのではないかと思います。ですので、個人的には任せる方向でいいと思ってはいますので、手順案の 1 2 いずれでもいいと思いますが、 1 が一番シンプルだとは思います。

それから、林先生に質問なのですが、手順案 2 で、尾崎先生の所では最初に薬剤師が関わって少し状況を確認した上で、次に医師の所へ行くということで、それを全国的にやるのは少し難しいのではないかという御指摘が林先生からあったのですが、その場合は薬剤師ではなく、例えばほかの方という話があったのですが、看護師などを念頭に置かれているのでしょうか。どのような形で標準的な形がイメージできるのか、少し教えていただければと思います。

○林構成員 少し説明不足だったかもしれません。これは、男性 A 、女性 B 、女性 C などで渡すタイミングが違うので、多分それが一番分かっているのは薬剤師なのではないかと私自身は思っています。ですので、一般の方が想像するときに、外来の診察室にいるのは基本的には医師の皆さんという印象だと思うのですが、その外来のブースに医師とペアの薬剤師がいて、薬剤師外来というものをやっていて、最初に患者の薬にまつわる問題を 1 回患者とよくお話をしたり、チェックしたりして、必要なアドバイスをした後、今度は病気のことを中心に医師の所に行っていただくというようなものをやっている所であれば、次に来たときは最初に薬剤師外来に寄ってくださいという話になるので、それはある意味分かりやすい医療モデルだと思うのです。

ただ、薬剤師外来というところまで全国でやっているのかというと、そうではない施設もそれなりの数あります。その場合にどうするかというと、多分薬局に寄ってくださいというようにしていて、薬局に TERMS RevMate に周知している薬剤師が、あるいは患者さんが来られたら呼んでくださいと言って、血液を専門にしている薬剤師が、病院によって違うと思いますが、うちですと 3 人いますので、血液の患者が外来に来て、誰かが病棟にいたりしますが、対応させていただくようなことも、調剤室の人間だけではありませんので、この仕組みに関わって周知している者の中の誰かが、余りお待たせすることなく、窓口でコンタクトを取らせていただくというようなスタイルもあるのかなという意味です。ですので、恐らくここは何らかの形で医師と緊密に連絡が取れている薬剤師がやるのがいいのかなと感じています。

○藤井座長 要は、これは医師が教育をして、患者に書いてもらって、試験をする。その試験を確認するというような手順で、教育をやっているとそのように話し合うのです。

いろいろな御意見が出ましたので、順番に一つ一つ部分的に言わないとこんがらがってきてしまいます。まず、手順 1 はある意味では教育だけなのですね。手順 2 は、試験が先にきてしまうのかもしれないのですが、その試験は、患者が本当に理解をしているかどうかを患者に書いてもらう。あるいは、薬剤師、別の人が聞いて、要するに教育の前に既に理解しているかと。試験の部分がプラスされるという意味です。この患者に記入を求める、あるいは患者に記入ではなくても、薬剤師が聞くことがリスクの低減にどの程度寄与するのか。あるいは、これをやらないで医者だけがやっているとリスクが高まるのかということです。

○尾崎構成員 以前にも申し上げましたが、いわゆる抗がん剤治療の一環ですので、必ず副作用も十分注意しながら行う必要があります。妊娠の事故は実際の患者の割合からいいますと、もうほとんどあり得ない方が多いですが、それ以外の日常の眠気や便秘、しびれ症状も併せてモニタリングしながら,処方や治療を進めている現状です。まず外来では、多分、外来化学療法というイメージもあると思います。点滴の方もおられますし、内服薬の方もおられますが、薬剤師がいろいろな症状や副作用等を把握なさって、医師にそれが回ってきて、その後また薬をお渡ししたり、実際に治療をお受けになるときには、化学療法室あるいは薬剤部で受けられるというような流れがありますので、私どもの施設でもそれに準じて、サリドマイドあるいはレナリドミドの手順をそこに乗せてやっています。実際に、このテストの確認票もありますし、実際に薬剤師がお渡しするときも、必ず服薬指導はなさっていると思います。

当院でも、このような委員会のときに薬剤師に確認しましたところ、やはり渡すたびに、必ず患者のリスクに応じて声を掛けているということで、実際は対面ですね。単に、企業のアンケートに返事をするだけではなくて、実際に薬を渡していただく薬剤師の先生から、一番大事な注意について毎回お聞きになっていることが、結局安全管理につながっているのだと思います。

林先生がおっしゃった、返送するのに抵抗がある件ですが、実は我々も一番初めの処方開始のときに、やはり名前をお書きになってそれを企業に送るということで、非常に抵抗を感じていらっしゃる患者さんがいます。そのような医療の現場の中では、同意説明文書等、もちろん個人情報を書きますが、全て医療機関内で保管されることが原則ですが、医療機関から出ることが、いわゆる個人情報の漏洩につながるという認識をしているところです。サリドマイドやレナリドミド治療では非常に例外的に、医療機関外で運用されているところを、患者はすごく気にかけていらっしゃいます。そもそも、開始自体でまず抵抗があるということです。それと、毎回の返送の 2 つがあると。それと、質問の内容が非現実であることを踏まえて、できるだけ個人情報の問題や、その一方で安全管理をどう見ているかを考えますと、やはり医療機関内におけるダブルチェックのシステムを導入していただいて、各医療機関の御都合があるとは思いますが、できるだけ事故を防ぐ意味では、是非このシステムを導入して頂きたく思います。

○藤井座長  2 のほうですね、 1 ではなくて。

○尾崎構成員 動線からいうと 2 になるのですが、一番初めは薬剤師でも看護師でも構わないと思います。先に問診を依頼して、それを診察室でフィードバックして、最後に実際に薬をもらうときには、薬剤師に関わって頂きます。となれば、場合によればトリプルチェックにもなりますが、実際は最後に薬剤師が渡すときに指導していただいているのが、一番事故を未然に防ぐことにはつながっていると感じています。

○藤井座長 久保田先生の御意見は、そもそも病院ではなくて家で書いてということですよね。そうではないのですか。

○久保田構成員 まあ、そうですね。こういう医療機関に来たところでのチェックとは別のプロセスを私はイメージしているので、この自宅での記入については理解を促すためのプロセスであるというような説明を何度かこの検討会でも聞いた覚えがありますが、これは私は理解の問題ではないと思います。理解に関していうと、そもそも最初に処方するときに、この薬はこういうもので、こういう注意が必要でと。これは、やはり対面で話してきちんと理解していただく。それ以上の方法はないですし、文書を渡してこれを読んでおいてねと言っても、それでは理解しない。それは、そのとおりなのです。しかし、これは理解の問題ではないのですね。リマインドの問題なのです。行動に対するある種の条件付けといいますか、これはリスク管理のシステムの中で、このようなことをどのようにやっていますかという質問に参加していただくということで、やはりそうなのだ、そういうことをやらなければいけないのだということを、すでに理解はしているのですが、もう一度リマインドしていただくことにつながる。これは、リスク管理における非常に重要なファクターだと言われています。いわゆる理解ではなくて、リマインドを促すという意味で、そういうシステムを残すことは、私は重要だと思っています。

○藤井座長 それは、家で書くのですか。

○久保田構成員 そうです。

○藤井座長 しかし、先ほどの尾崎先生の話ですと、むしろ医療関係者がそばにいたほうが理解を促せるのではないかと。つまり、 1 人で誰もいない所で書くわけですよね。ですから、間違ったことを書いているかもしれない。

○久保田構成員 いや、患者が直接書くのであれば、 1 であっても構わないのですよ。手順 2 であっても、直接ここで書くということであれば構わないです。

○藤井座長 それは、別の場所でもいいと。

○久保田構成員 ただ、それで最終的に企業にそれが行くのであれば、言ってみればポストに入れるのではなく、ただ医療機関がポストの代わりをするというイメージです。

○藤井座長 なるほど。要するに、先生は患者が自分で書くのがいいということですね。

○久保田構成員 そうですね。やはり、 2 回ほど前に尾崎先生も言っておられましたが、この手順が非常に負担になっていて、そして導入自体をためらっている医療機関が未だにありますし、 2011 年に日本薬剤疫学会でアンケートを取ったときに、負担を減らしてほしいというのが一番多い要望でしたし、医療機関の負担が増すことによって、結局この薬が必要な人が医療機関側のそういう面倒くさいことであれば今回は見送っておこうということで使えない状態が長引くような事態が起こらないとも限らない。そういう意味で、更に医療機関に負担を増やすことで本当に解決になるのかという問題です、私が強調しているのは。もちろん、私は最初にコーディネーターの導入が有用であるとも言いましたから、もしコーディネータが本当に 1 1 で患者に対応してその情報を中央に伝達するということが、別の経路で伝達という意味ですが、できればそれは一番いいのですが、現実的にはコーディネーターなんて医療機関の負担を更に増やすのはとんでもないということで、そのあと話題にも上らなくなったわけですが、現実問題として実際に運用可能で、医療機関の負担も減らして、それなりに患者の協力も得られているものという意味で、今のシステムをすぐに無くしていまうことを結論するのは早計であると私は思います。

○林構成員 この検討会ですので当然ですが、重ねて確認すると、現在承認されている疾患で、現在この薬を使われている患者ポピュレーションを考えたときの安全管理プランを作るという前提があると思いますので、その範囲で、もし別の疾患に適応を取ったとか、別の患者集団にという場合には、その方たちのリスクを当然回避できるような方策を考えなければいけないので、それは今回の議論の外として、改めてこれを見つめ直したときに、久保田先生がおっしゃっている中に、そのリマインドとか、患者さん自身がというキーワードも出てきていたと思いますが、患者参加型の医療というのは、今、いろいろな意味で進めており、患者さん自身にも治療主体になっていただいたり、患者さん自身に自立できることは自立していただきながら、必要な支援を医師、薬剤師、看護師等がするというのは、今の日本の医療提供体制の中では、とても大事なことだと思っています。

その上で、果たして、患者自身が紙にチェックしたものを企業に送ることと、患者と面談をしている医師、あるいは薬剤師等が患者の理解や応援すべきところが何なのかを、その医療として向き合って考えていくという中で、どちらが質が高いのかと言えば、田代先生にもそういうことに価値があるのではないかという御発言を頂いていますが、医療人として考えれば、患者に寄り沿っている薬剤師や医師とか看護師が、患者の理解度とか、更なるリマインドが要るのかを、面接しながら確認してあげるというほうが、効果を上げていると思いたいですし、努力したいと思っているところはあります。

ですので、患者自身が直接企業に送ることについて、今、一定の抵抗感を持っているというのがいろいろな所から聞こえてきて、今回検討していることを考えると、今まで成功してきている安全管理システムですが、何らかの患者負担を軽くするという意味でのデエスカレーションをしようというときに、案 1 、あるいは案 2 のような、医療関係者が患者と向き合って、リマインド、あるいは支援をすることに変更するということは、現実的なのではないかという印象を、私は持ちます。その上で、企業の責任がなくなるという意味ではないので、私は最後の所は、案 B で、企業は来るのを待つ。

○藤井座長 最後の所は、また後で議論したいのですが。

○林構成員 はい。

○藤井座長 手順 1 2 で患者に書いてもらうかどうか。薬剤師が関与する形でもいいのですが、とにかく患者に書いてもらうかどうか。

○林構成員 それは先日も、私自身はそこが、どれだけこの安全システムに寄与しているかというところで、判断しかねていて、御質問させていただいたのですが、それが確実にリスク回避に不可欠だという科学的根拠、科学的というとデータ主義すぎるかもしれませんが、考え方がこのリスク管理計画であるのであれば残さないといけないのかもしれませんし、薬剤師等が面接している中で、そのペンを持っているのが患者なのか、あるいは薬剤師や医師なのかということで言えば、そこは医療者がペンを持っていてもリスク管理上いいとするのかどうかを、ここで判断しなければいけないと思うのです。私の知り得る範囲で言うと、患者自身を正しく評価できていれば、患者自身がペンを持たなくても成立するのではないかという印象を持っています。ただ、ほかのデータで、それがそうではないのだというように御教授いただく場面があれば、それはそれで再考したいと思いますが。

○藤井座長 そうですね、という確認ではなくて、これはあなたはどうですかと言って、手が不自由な人がいたら記入してあげるという形では、久保田先生はどうですか。

○久保田構成員 それは全然構いません。実際に病状によっては、家族の方が代わって書かなければいけないことももちろんありますので。

○藤井座長 要するに、試験というのも変ですが、確認をきちんとやって。

○久保田構成員 今、林先生が科学的にと言われましたが、そのために何をどのように示したらいいのか分かりませんが、少なくとも、データとして PMDA が行ったような調査の中で、回答した人だけのデータだと言われてしまえばそうかもしれませんが、半分以上の患者自身が、これが役に立っていると評価していることと、先ほども申し上げましたが、患者さんからの定期的確認票の返送は、返送がなくても薬が使えなくなるわけではないのです。嫌だと言っても、では、あなたに薬を渡さないということではなくて、その場合も実際には渡っているのです。それでも、それなりに協力してくださっている現状がある。そのことは非常に強いエビデンスだと思います。確かに林先生も、尾崎先生も現場でそれをやられているのは分かりますが、日本には数百という医療機関があって、医師もいろいろですし、薬剤師もいろいろですし、病院の中の体制もいろいろですし、そういうことを考えたときに、今、林先生と尾崎先生がおっしゃった理想型が、全ての医療機関でやれるとは私は思えないです。例えば、手順 2 の最初の所がどのような形で実際に行われているかを、全て検証するのはとても難しいですね。

○藤井座長 今自宅では、当然、薬剤師などの関与なしに自分で書くわけですよね。それを病院の待合室でやってはいけないのですか。

○久保田構成員 患者さんが直接書いたものが残るということであれば、同じことだと思います。

○藤井座長 そのやり方だと、多分、医療機関への負担は。もちろんこのように、きちんと薬剤師が指導すればもっとよいのでしょうが。田代先生、いかがですか。

○田代構成員 久保田先生から、理解の向上ではなくてリマインドであるという説明を頂き、たいへん理解が深まりました。恐らく、先ほど強調されたのは、患者自身が書くことがリマインドにつながるのではないかという御指摘だったと思います。

久保田先生に少しお伺いしたいのは、これは本当に素人の質問で申し訳ありませんが、現時点でも、処方ごとに医師と薬剤師がリマインドをかけていると私は理解しているのですが、そのリマインドでは不十分な点があるので、患者自身が手を動かす必要があるという、そういう主張をされているということでよろしいでしょうか。

○久保田構成員 先ほどのアンケートですが、 500 ぐらいの薬剤部にアンケートを送り、薬剤師さんにも答えてもらい、ドクターにも回答していただき、薬剤師さんから 7 5 分ぐらい、ドクターからは 6 割、 300 人ぐらいから返答が来たと思います。やはり負担を減らしてくださいというのが非常に多く、それと、 RevMate TERMS の手順を同じにしてほしいということが結構強かったですね。ちょっと違っても非常にやりにくいということがよく言われます。また、自由記載欄にも、とにかく負担を減らしてほしいということを強く書かれたのが 30 人ぐらいで 10 %ぐらいです。さらに、 15 人ぐらいはこのようなシステムは要らないと、やめてくださいと、このようなものは不要であるということを明記されているのが 15 人で、全部で 15 %ぐらいおられました。また、ドクターの意見もいろいろです。そのように思っているからといってやらないというわけではないかもしれませんが、そもそもこんなシステムは要らないと思われている先生と、それなりに意義があると思われている先生が、同じような熱意で取り組まれるかというと、私はそうではないと思います。ですので、患者もいろいろですが、医者も薬剤師もいろいろだと思います。そういう意味では、それなりにこれが重要であると思って理解し、協力してくださり、意義があると思われているこのシステムを残しておくという、中には協力されない方もいるのですが、それはそれで非常に意義のあることだと思います。

○藤井座長 山口先生、いかがですか。

○山口構成員 私は、久保田先生の御意見に非常に共感を覚えております。もともとこの検討会自体が、患者さんの負担や抵抗というものを前提に始まっていることは重々理解していますが、では逆に、患者さんの抵抗が全くなくなってしまうというのは、それはそれでまずいであろうというように私は思っています。というのは、やはりこの薬は特別なのだということですよね。それが医療でやるということ、その中でリマインドもできるのだろうとは思いますが、そうすると、ほかのものと区別がどんどんなくなっていくと思うのですね。何かしらこれを使うことについての、多少、患者さんのほうでも負担というか、嫌な思いをすることが、これを使うことの責任といったものを、正にリマインドするということなのかなと考えておりますので、現行の改善の余地はあるのかもしれませんが、完全に医療へ任せてしまうことはいかがかな、という感想を持っています。

○藤井座長 ありがとうございました。座長なりに今、皆さんの意見を聞きますと、手順 1 は余りされていないのかという感じはいたします。ただ、手順 2 でまともにマル1が入ると、医療機関の負担が確かに大変であろうと、久保田先生の意見もごもっともで、尾崎先生と林先生の所はできますが、ほかの所はきっと大変な所がものすごく出てくるとすると、久保田先生、患者が家でなくて病院で書いても、もちろんそこで薬剤師が聞いて書いてもということになると、手順案 2 の変法で、家で今書いているのを病院で書いて、病院が回収して、その先の話は A B の話になりますが、その形になると今と余り大きな。患者さんの抵抗感は面倒と言えば面倒ですが、ダブルチェックということになると、それは残さなければいけないのかなと。尾崎先生も林先生も、結局薬剤師がやっていて、そこでダブルチェックが掛かっているので、結局、患者さんが自分でペンを動かすか、どちらがペンを動かすかですが、やっているわけですよね。

○尾崎構成員 久保田先生がおっしゃったのは、自宅でのアンケート記入と、医療機関でも自主的に書いていただければ患者のリマインド効果はあるということであれば、医療機関でも構わないと思いますが、実際は患者さんが個人情報やいろいろなことを、もちろん頭では分かっていらっしゃるし、実際そのような危険な行為も、まずしないということも分かっていらっしゃいますが、どうしても個人情報が医療機関から外に出ることに抵抗を感じていらっしゃる方がいるというのも事実です。それを医療機関の中で書いていただくようにすれば、恐らく全例からの回収が可能ではないかと思います。

○藤井座長 手順 1 の医者だけでというのは、余り支持がないような感じがいたします。形としては、やはり患者自身が書くこととして、ダブルチェックで、患者さんの遵守状況の確認書は病院の中で書くということでいいのではないかというのが皆さんの意見だと思います。

いよいよその先になりますが、では、病院でそれを集めました。それを毎回企業に送るのか、あるいは医療機関の中で保存しておいて、随時、確認票を定期的に確認しに来るのかどうかということです。定期的に来ると、リアルタイムで遵守状況を確認できないという面がありますが、この辺について、まず一番初めに久保田先生、いかがでしょうか。

○久保田構成員 これは案 A か案 B かということだと思いますが、私自身は、これまでも申し上げたとおり、医療機関の中で保管しておくことでも、それ自体は構わないと思います。ただ、その場合に、企業がその把握に対してかなり苦労しなければいけないですね。今は定期的な確認票が、どの人から来ていないのか、どのぐらいの期間来ていないのか、そのことを企業としても把握して、それについて求められるいろいろな対策を企業はされていると思いますが、それができなくなる。全くできなくなるわけではないですが、いちいち医療機関に行って調べて、いつそれが返っているのか、どうなっているのか、きちんとそれらに関する情報が保管されているのかを確かめなければいけないという問題があると思うのですね。企業がそれでも十分やれるということなら、医療機関の中に保管しておく案 B でいいと思います。

○尾崎構成員 私もこの案 A と案 B については、久保田先生のお話と同じ意見で、リアルタイムに情報が企業へ行くのが案 A で、案 B だと、場合によっては企業が情報を得ようと思えば訪問するしかないという状況です。ただ、現場は今も FAX や端末による確認票を薬剤師さんは送っていると思いますので、今は案 A で動いている状況ですよね。それは林先生に御意見を伺いたいと思いますが。

○林構成員 以前にも発言したことがあると思いますが、送ることが難しいということではなくて、やはり私としては、こういう一定のリスクを持った薬を、我が国で販売されていく企業の皆さんにも現場を知っていただき、あるいは全部受身で、来たものだけを解析しているのではなく、やはり一定の活動をしていただくという意味で案 B で、治験のときにも、治験データは企業責任ですので、モニターさんも、オーディターも、病院にビジットしますし、このような特殊な薬であれば、企業の責任を果たしていただく意味でも、是非、医療現場をビジットしていただき、私どもは最善を尽くして管理や適正使用をしていますが、万が一見落としなどがある場合には、企業モニターの方もその点を発見して、助言や改善をするような認識を持っていただいて、このシステムに受け身ではなくて、主体的に関わることが必要ではないかと考えており、案 B が私は賛成です。

○藤井座長 田代先生、いかがですか。

○田代構成員 今、お話を伺っていて、 A B のどちらかを選ぶことはちょっと難しいなあと思い始めました。というのは、もし B にすることにより医療機関の負担が減り、仮にこれを採用できる医療機関が増えて、患者さんのアクセスが向上する状況になるのであれば、 B はいいと思います。しかしその場合には、 B でのように全ての施設をビジットするとなると、経費は非常に掛かると思いますので、その負担を企業でできるのかどうかが気になります。

今の林先生の御発言を伺うと、手間の問題はあるけれども、それ以上にもっと企業に積極的に関わってほしいという趣旨だと思うのですが、掛合せというと変ですが、恐らく A で今やっているのは、治験で言うと中央モニタリングに近い感じだと思います。すべてオンサイトでやるというよりも、中央でモニタリングをしていて、何か変だと思ったらオンサイトもやるというのが、いわゆる自主臨床研究などでやられているセントラルモニタリングだと思います。ですので、そのような形で 1 つの案としては、セントラルできちんと見ていますが、ちょっとこの医療機関とか、この患者さんが気になるということがあれば、適宜ビジットして、医療機関とディスカッションをするというようなパターンも 1 つあり得るのかなと思いました。

ただ、医療機関も企業も負担が増えるだけでメリットがないのであれば、組合せとしては難しくなるのかもしれません。林先生も以前治験のモニタリングのことを念頭に置いて御発言されたと思いますが、日本の治験でやっているようなオンサイトモニタリングを課してしまうと、企業さんの負担が大き過ぎて持たないのではないかと思います。その意味で、少し組み合せるような形もあり得るのではないかと。つまり、リスクに応じて、オンサイトでやったほうがよい部分はやってもいいと思いますが、基本的にはセントラルで見ておくというやり方が 1 つあるとは思います。

○藤井座長 セントラルにおいて、 A に毎回送るということですか。

○田代構成員 はい、そうですね。 A です。

○藤井座長  A に毎回送っていて、問題がありそうであれば B へ。多分、今もその形になっていると思います。山口先生、いかがですか。

○山口構成員 今、田代先生のお話なども伺いながら思いましたが、 B であれば、定期的にというのはどの程度なのか、ある程度の目安をここで話し合わなければいけないのではないかということをちょっと感じました。ただ、林先生がおっしゃるように企業が訪問する部分、そして、企業が一番医薬品についての情報等もありますので、その役割は本当に大事だと思いますので、やはりそれは、あるべきなのだろうなと思います。田代先生と同じで、どちらかということは選びにくい感じになりますが、何かしらミックスして、両方の良いところ取り的な別の案があり得るのかなということは、ちょっと思いました。

○藤井座長  A で毎回 FAX で送って、問題があったら来るというのは、 A に入るのではないかと思うのですが。でも、尾崎先生は毎回送ることは反対ではございませんよね。

○尾崎構成員 そうですね。恐らく現状が A ですよね。毎回処方の度に。

○藤井座長  FAX で毎回送ることは、そんなに大変ですか。

○尾崎構成員 今は薬剤師さんがやっていらっしゃるので。

○林構成員 そこを省力化したいと思って発言しているというよりは、今回、企業に直接送られてきて、企業が直接何かを解析して、全国的な安全管理をするという仕組みが、企業にとっては、恐らく省力化されているはずなのですね。その観点からすれば、では、通常の薬と違う薬を発売している企業の責任として、どうやって企業責任を通常の薬以上に果たすのかと考えたときに、送られてくる FAX だけを見てやることが、患者もこの薬を使うことで、本来、病人に何の負担も責任もないはずなのですね。その方たちが十分な役割を発揮していて、医師も薬剤師も、もちろん忙しくないと言っているわけではないです。久保田先生がおっしゃるとおり忙しいです。忙しいですが、患者さんのことを思えば、一定の役割を果たそうと言っているときに、企業だけ、送られてきた FAX を見て、それで、しかるべき時だけ来ると、問題が意識を持ったときだけ来るというのではなくて、やはり今現在も、当院の現状を見ていると、 TERMS のモニターも頻回に訪問し、現場確認されていますので、今以上に必ずしも負担が増える案を提案しているというよりは、現状追認という意味で、企業責任でこの仕組み、この薬に責任を持っていくという意味であれば、現場確認は必要ではないかという発言です。

○藤井座長 久保田先生、いかがですか。

○久保田構成員 実際に企業ができるのかということを、ちょっと置くとすれば、案 B でもいいと思いますが、その場合に医療機関を疑うわけではありませんが、非常に忙しいと、やはり手順の手抜きみたいなことが起こり得ることを考えたときに、確かに患者が書いているという何か担保を求めるべきだと思います。

医療機関の中に残しておくのであれば、サインを頂くことも、それはあってもいいのかもしれません。あるいはそれを直接、例えば尾崎先生のような所で薬剤師が最初にやるということであれば、確かに患者さんに直接このようなことを理解していただきましたということで、薬剤師の名前を書くということでもいいのかもしれません。

今のままでは、ただチェックを 3 か所ぐらいすれば、それだけで終わってしまいますので、誰がいつ行ったのかも分からないようなものが、ただファイルしてあるだけでは、それではどうなのかなと。今の手順では、家で患者さんが書いて送るので、これは患者さんか家族の方がそこで関与しない限り、起こり得ないことなのですね。そこで患者さんが実際に行っていることが担保される部分があるのですが、もしも病院に来てから全て一連のプロセスの中で最終的にチェックが 3 つ付いた紙が残っているというのでは、本当にそれが行われているかは企業が病院をビジットしても分からないところがありますので、もし B を取るのであれば、何かそのようなプラスアルファの担保をするようなメカニズムが必要だと思います。

○藤井座長 患者の名前を書いたものを FAX してしまったら、個人情報も何もなくなってしまうので。

○林構成員 久保田先生の御発言の確認なのですが、チェックが 3 つ付いているものは、 FAX してもビジットしてみても、チェックが 3 つ付いているものですよね。だから、 A B かという話ではないですよね。患者がチェックしていないかもしれないけど、チェックした紙を医療現場が作っているのではないかというようなことも含めて、それを薬剤師が判子を押しているか、患者が署名していなければチェックできないとなると、 FAX しても院内に置いておいても、チェックできないことになりますので。

○久保田構成員 ですから私は、基本的には患者さんが直接ポストに入れる方法を残すべきだという、それが基本です。

○林構成員 そちらのお話という意味での御発言ですよね。ですので、 A B かの案のことについて言えば、そこが論点ではないのだろうと思うのです。

○田代構成員 今、久保田先生と林先生からお話を伺っていて、先ほど私の頭の中にあったモニタリングのイメージについて説明させていただければと思いました。もし企業が今、既に頻回に医療機関をビジットしているという事実があるのであれば、先ほど少し話しましたが、日本だと JCOG などが自主臨床研究で行っているパターンが実施可能なのではないかと思います。つまり、中央でモニタリングしているのですが、例えば 1 年に 1 回は全ての施設をビジットすることに決めていて、普通のオーディットは幾つかの施設を選択してやるのですが、これは全施設を 1 年に 1 回回るということをやられているわけです。それをすると、かなり悉皆性は高まると思いますが、それが本当に現実的なのかどうかは、私にはちょっと判断ができないところです。先ほど林先生のお話だと、基本的には企業が、モニターとして今でも病院に頻回に来られているということなのですが、これは全国的にそうだと考えてもいいのか、それともやはり、それはちょっと難しいと企業で判断されるのかということを、できればお伺いしたいと思います。 B のイメージを少し具体的にしたいのですが。

○藤井座長 では、藤本製薬さんとセルジーンさん、どうですか。 B にした場合は、定期的に全国の病院を回らなければいけなくなりますが。現在、どのぐらいですか。

○藤本製薬株式会社 うちのメーカーの MR が、薬剤部なりどこかへお伺いする頻度については、施設によってドクターがお一人の所や複数の所や、それによってまちまちになっているかと思います。それと、今おっしゃられたように、記入されて送られてきた分に対しての不明確なところについての確認事項があれば、その場ですぐに行かせているという形ですので、一概に、決めてインターバルで行っているということはないかと、その辺は変則的というか、その場に応じてという形でしかお答えできないと思います。

○藤井座長 セルジーンさん、いかがですか。

○セルジーン株式会社 弊社の医薬情報担当者が定期的に施設を訪問しているかといえば、確かに定期的の間隔は地域によって違います。東京都内と、例えば離島の所の施設に同じ頻度で行けているかというと、全く違います。その幅をある程度許容していただけるのでしたら、一応、私どもの医薬情報担当者は納入施設には全て訪問するような体制はできています。

○田代構成員  1 点だけ確認ですが、林先生と尾崎先生に、もし B にした場合についてお伺いしたいのですが、今の話だと、 MR さんが行くという理解なのでしょうか。ただ、 MR さんが行って、例えば実際に患者さんが残すとした場合、サインをしているかどうか確認をすることが現実的なのか、ちょっとよく分からないのです。例えば、治験でモニターさんが入るとか、監査の人が入るとなると、かなりイメージが違うような気がしていて、 MR さんにそれをやらせる仕組みが本当に機能するのか、今伺って不安に思うところがあるのですが、その点は、先生方いかがですか。

○尾崎構成員 私もそこは非常に疑問です。先生の御質問と同じで、通常の治験では MR ではなくて、本社の治験担当の方がモニタリングを、しかもカルテ開示等の個人情報のいろいろな書類、あるいは治験委員会を通じて承諾をもらった形でのカルテ閲覧等の手順を踏んでいますので、それがもし B になった場合に、どのような形で、どのような企業の中の役割の方が確認に来られるかというのは、今の MR とまた違う方なのかと、私は思っています。

○林構成員 通常の MR さんと、多分 TERMS モニターさんと最初から呼称されて導入された RevMate に関連しているモニターさんは、少し違っているのかという認識を現場では持っていました。いわゆる MR さんは当該企業の複数の薬について、プロモーションとともに適正使用のコミニュケーションをしている方たちなのですが、 TERMS の方と RevMate の方は、その薬に特化して、その適正使用状況を医療機関にビジットして確認するという業務をされていると思いますので、例えば、シールを貼って患者名を隠して見せないといけないような資料も出てくるかとは思いますが、チェックした定期確認票等が、 A さんに対して何月何日の分が何枚出ているというようなものをファイルしてありますので、用意しておいて、それを見て帰っていただくということについては、今の TERMS RevMate 関連の方たちは、通常の MR の感覚とは違うという認識を持っていました。

○藤本製薬株式会社 通常の MR とは、非常に異なっていると思います。というのは、もともと TERMS を動かしていくというのは、非常に大きな仕事になっておりますので、意識は随分違うと理解しております。ですので、 MR をどのように理解するかという問題もあると思いますが、通常の薬の MR さんとは随分違うとは思いますね。

○田代構成員 ありがとうございました。本当に素人的な発言で申し訳ありませんでした。ただ一般的には、今別のところでも大きな問題になっていますように、プロモーション活動を担っている方がこれをやるというのは、少し違和感があります。ですので、はっきりと役割を分けていただいているのであれば、それはそれで問題ないと思います。飽くまでももし B をやる場合ですが、販売促進とは離れたところで、クオリティアシュアランスを担う立場の人なのだということを明確にしていただくことは非常に重要だと思いました。

○藤井座長 ありがとうございました。感じとしては B で、企業に定期的に、通常の MR 活動とは別の感覚でモニターしてもらう意見が多かったかと思います。

本日、あともう 1 つだけ議論しなければいけなかったのが、 4 ページの、確認項目が TERMS RevMate と違っていて、改定案の中の献血が、 RevMate には入っていて TERMS には入っていないので、献血の有無を定期的に確認する項目に入れるかどうか。ちなみに献血時の問診票では、過去 3 日以内の服薬状況が、悪性腫瘍又は血液疾患等に関わっていることがあるかどうかを確認している。これらに該当する場合は献血ができないので、献血を改定案に残すかどうかということです。これについて、いかがでしょうか。

私、産婦人科医ですが、この病気の人が献血をすることが理解できないのですが、実際、現場を当たっていて、そのような方はいらっしゃるのでしょうか。

○尾崎構成員 いや、おられないと思います。

○藤井座長 いないですよね。では、皆さん、献血の有無は無しでよろしいでしょうか。御意見ありますでしょうか。

○林構成員 確認ですが、薬物動態的にアプローチした場合に、精液中に入っている当該薬剤の濃度と、献血 400CC に入っている、まあその行為自身はあり得ないとは思いますが、議論の中で性交渉するのかしないのかとか、毎回確認していることと照らして考えると、献血することはあり得ないと思いますが、リスクを管理するシステムを議論しているのだと思いますので、もしそれが偶然、万が一起こったときに、曝露量を考えたときは、精液中に含まれる薬物量よりも、献血中に含まれる薬物量のほうが多いという見方もあるのではないかというように考えたときには、そのような意味で今まで設定してきているのであれば。

○藤井座長 もともと TERMS には入っていないのですよね。

○林構成員 ええ。そこを再考することもあるのかないのか、 1 回議論していただいて、病態的に患者 A B C も絶対ないので、実在しないリスクだから削除するということであれば、量からすると、それなりには入っていると思いますので、確認です。

○藤井座長 献血時の問診票では引っ掛かるようにはなっているのですが。どうしましょうか。入れてしまえば別に。これを入れることで献血の有無というのは、患者さんの心理的負担は。献血できるわけないよって思いますよね。

○林構成員 ないと思いますが。

○藤井座長  TERMS も入っていなかったので、献血時の問診票でも、一応引っ掛けることにはなっているので。考えてみれば、献血してはいけないことは、ほかにも危ないことは幾らでもありますので。これはなしでもどうでしょうか。

では、その方向でさせていただきます。ありがとうございました。

一応、最後まで御議論いただきまして、一通りの意見交換ができたと思います。本日頂いた御意見を踏まえて、事務局に資料 2 の改定案の修正をお願いしたいと思います。次回以降については、資料 1 2 を踏まえて、この検討会の報告書の案の作成に入っていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、次回の検討会までに事務局で報告書の案の作成をお願いします。

それでは最後に、事務局から連絡事項の説明をお願いします。

○事務局 次回の検討会については、追って日程調整させていただきますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

○藤井座長 以上で本日の予定していた議題は全て終了となります。そのほかに御発言等はありますでしょうか。特になければ事務局から追加で何かありますか。

では、本日の検討会を閉会させていただきます。本日はお忙しい中、長時間の御議論をいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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