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2014年7月15日 第2回ストレスチェック項目等に関する専門検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室

○日時

7月15日(火)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第4号館共用108会議室


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

相澤 好治 岩崎 明夫 小田切 優子
川上 憲人 黒木 宣夫 下光 輝一
南 良武 諸岡 信裕 渡辺 洋一郎

厚生労働省

土屋 喜久 (安全衛生部長) 泉 陽子 ( 労働衛生課長)
井上 仁 (産業保健支援室長) 中村 宇一 ( 産業保健支援室長補佐)
寺島 友子 ( 中央労働衛生専門官) 伊東 千絵子 (中央労働衛生専門官)

○議題

(1)ストレスチェックの項目、ストレスチェックの結果の評価等
(2)その他

○議事

○産業保健支援室長補佐 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。これから、第 2 回ストレスチェック項目等に関する専門検討会を始めたいと思います。本日は中村先生が所要のため御欠席になっています。

 初めに、事務局のほうで異動がありましたので、その御紹介をさせていただきたいと思います。 7 11 日付けで着任しました土屋安全衛生部長でございます。

○安全衛生部長 ただいま紹介のありましたとおり、 11 日付で安全衛生部長に着任しました土屋と申します。よろしくお願い申し上げます。日頃から先生方には労働安全衛生行政に多大なる御理解、御協力を賜りまして、この場を借りまして改めて厚く御礼申し上げる次第でございます。

 今回、御議論いただいておりますストレスチェック制度は、労働者自身がストレスの存在に気が付くことを促すとともに、ストレスの原因となっている職場環境の改善につなげていくということで、それによってメンタルヘルスの不調に陥ることを未然に防止する目的でやっているところです。大変意義深い制度であると思いますし、また社会的な関心も大変強くなっています。この制度の施行を 1 年半後に控えていますけれども、先生方にはこの時期、短期間に集中的に御検討いただくことになっていまして、誠に恐縮ではございますが、本日も前回に引き続きまして是非、専門的なお立場から忌憚のない御意見、御議論を頂きたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○産業保健支援室長補佐 私、伊藤の後任で参りました産業保健支援室の中村と申します。よろしくお願いいたします。部長は今日、所要がありますのでここで失礼させていただきます。

 議事に入る前に、本日、お配りしている資料の確認だけさせていただきたいと思います。第 2 回ストレスチェック項目等に関する検討会ということで、資料 1 は「第 1 回の主な意見等」です。資料 2 は「第 2 回検討会の論点について ( ) 」です。資料 3 は前回もお配りしていますけれども、「本検討会の論点について ( ) 」です。参考資料 1 が開催要綱、参考資料 2 が「ストレスチェック制度の概要」、参考資料 3 がストレスチェック項目の案です。

 今回、追加の机上配布資料として渡辺先生から、睡眠時間など精神疾患のリスクとなることを示す文献の資料を頂いています。黒木先生から、 WEB 上で簡易ストレス調査導入の資料を頂いています。本日は御欠席ですが、中村先生から、循環器疾患患者における睡眠時無呼吸症候群とうつ病のスクリーニング法の検討、及び 20 代の不眠はうつ病の危険因子という資料の御提供を頂いています。過不足等がありましたら事務局に言っていただければと思います。

 議事に移りたいと思いますので、相澤先生、よろしくお願いいたします。

○相澤座長 おはようございます。前回はストレスチェックの実施方法と項目、それから評価について御議論いただきました。今日は項目と評価、その他、御議論をいただければと思います。円滑な議事の進行に御協力のほどお願い申し上げます。

 本日の議題に入ります。資料 1 を御覧ください。第 1 回で 3 つの論点について御議論いただきましたけれども、その際の主な意見等を事務局でまとめていますので説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長 資料 1 につきまして御説明をさせていただきます。資料 1 は、前回、第 1 回の検討会での主な意見をまとめさせていただいています。第 1 回では、ストレスチェックの実施方法について、ストレスチェックの項目について、ストレスチェック結果の評価について、この 3 点について御議論いただきました。

1 のストレスチェックの実施方法についてです。 (1) の実施者について意見がありました。ストレスチェックを実施する者のうち、医師、保健師、看護師、精神保健福祉士が想定されているが、公認心理師法案が次期国会で成立した場合には、公認心理師を実施者に含めることの検討が必要との意見がありました。

(2) の実施者の役割についてです。実施者は、最低限、当該事業所におけるストレスチェックの企画及び結果の評価を行う必要がある。企画には項目及び実施時期の選定を含み、結果の評価には、評価基準の設定及び個人の結果の評価を含む必要があるという議論がありました。ストレスチェック結果の集団的分析に基づき、職場全体の状況について産業医が評価・コメントができるようにすることが必要。実施者の役割が適切に果たされるよう、産業医が自ら実施者として関与することが望ましい。ストレスチェックの結果は、実施者が、一定期間、保管することが必要である。こういった意見が出されています。

(3) ICT を活用したストレスチェックの実施について、御議論がありました。 ICT を活用したストレスチェックを認めるとした場合、以下の 3 点について担保することが必要である。1はインターネットを介する場合のプライバシーの保護確保、結果保存、改ざん防止。2は労働者以外にストレスチェックの結果を確認することのできる者を限定して設定。3は (2) の実施者の役割が果たされること。この 3 つについて担保することが必要であろうという御議論がありました。

 ネット上でのストレスチェックについては、労働者からみて、労務人事管理に使われることが懸念され、健康管理のためであるという趣旨が伝わりにくい。労働者が正直に安心して回答できるようなものにする必要があるとの意見がありました。

 労働者に検査を受ける義務が課されていないため、企業が提供するようなストレスチェックを受けずに、ネット上でストレスチェックを済ませてしまうなど、制度が形骸化するおそれがあるとの意見も出されています。

ICT を活用した方法として、労働者が無記名でストレスチェックを受け、その結果も保存されないというものがあるが、法定のストレスチェックとしては労働者が受けたか否かが記録されることが必要との意見が出されました。

(4) の事業場の総合的なメンタルヘルス対策の連携ですが、今回のストレスチェック制度については、個々の労働者に対して高ストレスであるとの判断だけでなく、実施率や実施方法について PDCA サイクルで評価改善できる仕組みが必要との意見が出されたところです。

2 のストレスチェックの項目について、御議論していただきました。 (1) のストレスチェックの目的に合致する項目ですが、ストレスチェックの目的は、基本的には一次予防であり、副次的に二次予防になりうると整理される。ストレスチェックの結果を一次予防として、職場環境の改善に活用するには、ストレス要因などを含む必要があり、心身のストレス反応のみの 9 項目では不十分ではないか。ただし、ストレス反応≒症状も、将来の疾病発症のリスクをみるという点で一次予防に活かせる部分はあるのではないかとの御意見もありました。「ストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の 3 領域を含むことを必須とし、職場環境改善による一次予防につなげることが可能なものとすべきであるという議論がありました。

(2) の調査研究で提案された 23 項目ですが、 9 項目ないし 11 項目の心身のストレス反応については、一定の解析結果があるが、調査研究で提案された 23 項目については、実証データで検証する必要がある。ストレスチェック項目については、省令には必須の領域を大枠で示し、強制力のない指針等でより具体的な推奨項目を示し、 23 項目は省令ではなく指針等で示すべきとの御意見もありました。

(3) の睡眠・食欲の 2 項目とその評価ですが、睡眠・食欲の 2 項目をこの調査票に追加することについて、根拠が不足しているとの意見があった。一方で、睡眠・食欲については、臨床的にメンタルヘルス関連疾患の早期発見のために有用な項目であるとの多くの報告があり、不可欠な項目であるとの意見があった。義務付けに当たっては、根拠をもって説明責任を果たしうる項目を選定する必要があるとの御意見もありました。

(4) の企業独自の質問項目ですが、産業保健の実務者の意見を聴くと、ストレスチェック項目を事業者か選べるような制度にしてほしい、というものが多かった。先行してストレスチェックを実施している企業の取組を阻害しないように最低限の項目の要件を設定すべき。独自の質問項目を用いる場合の要件としては、一定の根拠がある項目を用いなければならない等を示すべきとの御意見がありました。同時に、中小規模事業場の嘱託産業医であっても容易に実施できるよう推奨項目を国が具体的に示すべきとの御意見もありました。

3 のストレスチェック結果の評価についてです。前回、この論点については時間が足りなかったところもありますので、結果の評価については後ほど御議論いただこうと思います。前回の御意見、御議論として (1) の評価の区分ですが、「心身のストレス反応」についての評価基準と「ストレス要因」「周囲のサポート」についての評価基準は、それぞれ別に設定すべきという議論がありました。最終的な高ストレスの評価を行うに際して、「心身のストレス反応」で高い値を示した者と「ストレス要因」「周囲のサポート」で高い値を示した者をどのように判定するか。両方に該当する者とすべきか、いずれかに該当する者とすべきかを検討する必要があるとの意見があった。

(2) の評価基準として、労働者個人に対する評価は、心身のストレス反応だけでなく職場環境についての個人評価も必要。睡眠・食欲の 2 項目をストレスチェック項目に追加するにあたって、これらの項目の評価基準についても統計的根拠が不足しているとの御意見もありました。睡眠・食欲の項目を何らかの基準で評価するのではなく、実施者が最終的に評価をするに当たって、これらの項目も含めて総合的に判断することが妥当ではないかとの御意見もありました。

 以上、第 1 回目の主な意見について取りまとめた資料 1 について、御説明いたしました。

○相澤座長 ありがとうございました。前回の御意見をまとめていただいたわけですが、何か問題点あるいは質問がございましたらお願いしたいと思います。

○川上委員 ありがとうございます。事務局のほうで非常に的確にまとめていただき、私どもとしては大変有り難いと思います。 2 点だけ追加させていただきたいと思うのですが、 1 点目は、「 23 項目については実証データで検証する必要がある」という点です。私はこのことを強く主張していましたので、本来でしたら、ある程度の実証データを今日、ここへお持ちして先生方に見ていただくことがよろしかったのですが、ちょっと作業が遅れていて、次回にはこの 23 項目、特に 9 項目ないし 11 項目の部分の実証データの検証について、ある程度御参考になるものを持って来られると思いますので、お待ちいただけたらと思います。

 もう 1 点ですが、実は前回、ちょっと言い忘れたことがあって、企業独自の質問項目のところで、注意すべきことがあると思っています。それは、事業所で本来は版権があったり有料だったりする調査票を、無断で使用している事例が多少見られますので、そういうことがないように指導していかなければいけないので、追加事項として記録しておいていただければと思います。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。大事なところを御指摘いただきました。ほかにはいかがでしょうか。

○渡辺委員 私も気が付かずに反省も込めてなのですが、 1 のストレスチェックの実施方法で (2) の実施者の役割の 2 つ目のポツに、「ストレスチェックの企画には項目及び実施時期の選定を含み」となっていますが、よくよくこれを見ると、例の法案の附帯決議に、はっきりと「職場環境の改善を図る仕組みを検討すること」という言葉が入っていますので、この企画の中にも、「職場環境の改善を検討する」という言葉を入れておかなければいけないのではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

○相澤座長 この辺はいかがですか。要するに集団としてまとめるということですね。

○渡辺委員 要するに質問票を送るところまでが企画ではなく、その後の結果を見て職場環境の改善を図るというところまで企画に入っていないと、この法案を満たしたことにならないと、今、反省して思っています。

○相澤座長 そこまでを医師等が企画するということになりますかね。

○渡辺委員 実施者がそこまで企画していないと。

○相澤座長 企画はね、実施はまた。

○渡辺委員 はい、その企画という中にですね。

○相澤座長 そういうことですね。よろしいでしょうか。

○川上委員 今の点ですが、私自身は渡辺先生の意図されるところは大変よく理解していて、その方向だとは思うのですが、附帯決議は附帯決議ですので、法案に決まった部分を考えると、そこには実施者が職場環境の改善までするというのは含まれていないので、その点は、どの辺まで具体的に実施者の中に書き込むかは少し微妙かなと思います。ただ、あとで出てきた事業所の総合的なメンタルヘルス対策の連携について考えるとか、計画するというのは入れてもいいのかなと思います。

○渡辺委員 附帯決議というのはどの程度の重みがあるかというのは、私はよく理解していないので。

○相澤座長 その辺、行政のほうではどうですか。

○泉労働衛生課長 実施者が企業の中の産業医なのか、あるいは委託を受けた外の方なのかによっても多少、職場改善自体をどこまでできるかという状況は違ってくると思います。実施までは確かに違うということで、先生方もそういう考え方だと思います。職場改善にこれをどう生かすかということを、企画の段階で考えておくことが望ましいという御意見だと理解してよろしいでしょうか。

○相澤座長 渡辺先生、よろしいですか。

○渡辺委員 はい。

○岩崎委員 正に職場環境の改善というのは非常に重要な点だと思いますが、それが入ると確実に事業者と実施者が連携しないと仕組みとして動かないと思います。そうすると位置付けとしては、総合的なメンタルヘルス対策の中で事業者がそれは作るものだと思いますので、その中で実施者が一定の役割を持ちながらやっていく形がいいように思います。

○相澤座長 具体的にどういうふうになるか、ケース・バイ・ケースで問題があるので、その程度にしてはどうかと思います。よろしいでしょうか。ほかにはございませんか。

 では、本日の資料 2 について説明いただけますか。

○産業保健支援室長 資料 2 について説明させていただきます。本日の論点ですが、論点 3 、論点 4 、論点 5 、論点 6 について具体的に記述しています。まず論点 3 です。ストレスチェック結果の評価についてということで、前回の続きを御議論いただこうと思っています。具体的な論点として、 1. 標準的な質問項目を用いた場合の、評価基準の目安を示すことが適当か。また、事業所独自の評価基準を設けることについてはどうか。目安を示す場合、「心身のストレス反応」と、「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」とを分けて検討するのでよいか。標準的な質問項目の評価基準の目安は、上位から一定の割合とすることでよいか。その際、どの程度の割合とすることが適当か。また、以下の方法を考えられるかどうか。

 「心身のストレス反応」について点数を付けて行う方法です。これは例ですけれども、「抑うつ」 10 点以上、または「不安」 11 点以上、または「疲労」 12 点以上とする方法、この場合、該当者は全体の 12.0 %という調査結果もあります。抑うつ、不安、疲労の総得点が 27 点以上とする方法、食欲・睡眠の得点が高いものを評価時に考慮する方法、こういった例があるかと思っています。

 例えば、食欲・睡眠の項目については、何らかの基準値 ( 点数など ) で評価するのではなく、実施者がその他の項目の評価結果と併せて、要確認者に加えるべきかどうかを判断することとしてはどうか。最終的な高ストレスの評価を行うに際して、「心身のストレス反応」で高値の者と「ストレス要因」「周囲のサポート」で高値の者をどのように判定するか。両方に該当する者とすべきか、いずれかに該当する者とすべきか。このあたりはいろいろと御議論があるところかなと思っています。

 「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」の評価基準目安として、尺度ごとの得点から上位およそ 10 %以内に入る状態を判定ということでいいかどうか。このあたりは 10 %がいいのか 5 %がいいのか、いろいろな御議論があろうかと思います。個人ごとの結果の評価と、集団の結果の評価をそれぞれどのように考えるか。これは 1 つの論点になろうかと思っています。

 具体的な論点の 2 つ目として、 2. 心身のストレス反応の評価方法について、 57 項目の場合の評価基準をどのように考えるか。平成 14 16 年度の下光先生のお作りになったマニュアル ( 1 回の参考資料 4) では、標準化得点を用いた方法を示していることも参考にしていただければと思います。

3. 仕事のストレス要因、周囲のサポートの評価方法についてです。これについても先ほど申し上げた下光先生のお作りになったマニュアルがあるということです。

4. 事業所独自の質問項目を設ける場合の評価基準について目安が必要か。こういったところも論点になろうかと思っています。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。前回、十分に議論が尽くせなかったストレスチェック結果の評価についてです。非常に重要なところですので、これについて御意見がありましたらお願いします。

○黒木委員 確認ですが、この職場にどう返すかというところで、 57 項目の場合にはストレス判定図みたいに一目瞭然で、職場のストレス度を上司のサポートや同僚の支援で見ることができます。仕事の量的負担や難易度などですね。この 23 項目の場合はそういったストレス判定図みたいなものが可能なのでしょうか。

○相澤座長 可能というか、それを入れたほうがいいという御意見ですか。

○黒木委員 職場にどう返すか、何を返すかというところを少し検討していただければと思います。

○相澤座長 分かりました。それについは、 3 つの項目(領域)について評価をどういうふうにするかということで、それを職場に返すということも非常に大事なことですので、それを含めて議論していただきたいと思います。いかがでしょうか。具体的な目安として。

○黒木委員 その前に、私どもの所でどういうふうにやっているかを御説明したいと思います。 Web 上での簡易ストレス調査導入のところを見ていただくと、この項目はストレスの原因、心身の反応、他の要因と分かれていますが、ストレスの原因が 9 項目(尺度)、心身の反応が 6 項目(尺度)、他の要因が 4 項目(尺度)です。それぞれの項目全体が 19 項目(尺度)で、これが 1 5 段階で評価されています。 1 が最も高く、 5 が最も低いと判定されます。この 19 項目(尺度)は、今、お配りした表の 2 ページを見ていただくと、「資料 1. 簡易採点表」というものがあります。この中にこのストレスの項目(尺度)が書いてあります。これをチェックして 1 ページの素点換算票に置き換えます。網掛けになっている所がストレスが一番高い所で、ここに入るのが 1 となります。私どもの所では 19 95 点となり、一番高いストレスの評価が 19 点、一番低いものが 95 点となって、私どもの所は 50 点以下で、なおかつ、ストレスによっておこる心身の反応のところに「抑うつ感」というのがありますが、ここに 1 を付けた人たちを高ストレスと判断し、メールで呼出しをかけて面接をしています。

 お配りした資料の 1 枚目の下に例を出していますが、仕事の量的なところが 5 点であまり負担がかかっていないとか、心身の反応で「活気」が 1 で強いとか、他の要因でも「上司からのサポート」が強い。これを全部合わせると 44 点ということで、この人は呼出しに入ることになります。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。 19 項目(尺度)での具体的な例です。

○渡辺委員 質問ですが、これは 19 項目ではなく、項目数はもともとの下光先生の 57 項目ですね。

○黒木委員 ええ。

○渡辺委員  57 項目全部チェックしていただいて、最後の評価の仕方、高得点者の出し方に独特のやり方をしているということですね。

○黒木委員 はい。

○渡辺委員 了解です。

○黒木委員  57 項目の選び方は、ここに書いてあります。これが 19 に分かれているということです。

○渡辺委員 ええ、分かれているのですね。ただ、質問は一緒ですね、 57 項目。

○黒木委員 全部一緒です。これは下光先生が作られた研究班の報告書から全部作ってあるということです。

○渡辺委員 そうですね。

○相澤座長 ほかに、いかがでしょうか。資料 2 の具体的な論点のところに、目安を示す場合、「心身のストレス反応」と、「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」を分けて検討するのでよいかとありますが、これについてはいかがでしょうか。

○渡辺委員 「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」は、明らかに一次予防の項目です。したがって、一次予防ということになると仕事のストレス要因と周囲のサポートが中心になると思います。そして真ん中の「心身の反応」というのは症状のところなので、むしろ二次予防というところになると思います。したがって、かなり性質が違うと思います。要するに、ストレスが非常にかかっていて仕事のストレス要因も高くて周囲のサポートが弱いけれども、まだ症状が出ていない人は「心身の反応」は点数は低いけれども、「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」が高くなるということで、むしろ一次予防ということになると、そういう人を引っ張り上げなければいけないことになります。だけど、これをやる以上、症状がある人を見逃がしておくわけにはいかないということで、真ん中のストレス反応というところも判定しなければいけないことになると思います。したがって、それぞれ必要だと思います。仕事のストレス要因、周囲のサポートのところで引っ掛かる人と、心身の反応で、症状として引っ掛かる人、それぞれをピックアップする必要があると思っています。

○相澤座長 よろしいでしょうか。これは前回も議論がありましたけれども、これに対して何か反論はございますか。

○川上委員 私、今の渡辺先生の意見に基本的に賛成です。「心身のストレス反応」とそれ以外の 2 つ、「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」とは分けて判定するのがいいと思います。ただ、前回も少し申し上げたのですが、一応、心身のストレス反応が高くてまだ病気になっていない方に、セルフケアをすることで発症を予防するという一次予防的な使い方もできるので、そこは一次予防的なやり方もあるかなと思っています。

○渡辺委員 ということは、どういう意味でしょうか。

○川上委員 つまり、閾値下と言いますか、基準を満たさないような抑うつの方がたくさんいて、その方たちは長期にフォローアップすると、どうしても、うつ病に移行しやすくなるので、そういう方たちにストレスマネージメントやセルフケアを提供することで、一次予防を実現するというのは、ありかなと思います。

○渡辺委員 そういう意味ですね。したがって、心身の反応のところの項目をピックアップするのは必ずしも二次予防という意味だけでなく、一次予防的な意味合いもあるという意味ですね。

○川上委員 そうですね。一次予防も混じっている世界になっているかなということです。

○渡辺委員 でも、そこはそことしてピックアップするということは同じですね。

○川上委員 別にやったほうがいいというのは賛成です。

○相澤座長  1 番目のところについては、そういうことでよろしいかと思います。 2 番目は、「標準的な質問項目の評価基準の目安は、上位から一定の割合とすることでよいか。」その際、どの程度の割合とすることが適当かということです。これはいかがでしょうか。

○渡辺委員 これも整理させていただくと、黒木先生のおっしゃったのは、 A 群、 B 群、 C 群を全部合計しての評価の仕方ですよね。もう 1 つは、 A C B を分けて、それぞれを評価してピックアップするというやり方に分かれると思いますが、まずそこを決める必要がありますね。合計でいくのか分けてピックアップするのか。

○黒木委員 具体的にこれの裏のページを見ていただくと、私どもは毎年、これをやっているわけですが、昨年秋に、秋の健診のちょっとずれた形でやっていて、ストレスチェックを受検した人は 794 名です。委託を受けると 1,000 名ぐらいいるのですが、 794 名中、 37 名が高ストレスということで、これは 4.7 %に当たります。そのそれぞれにメール、院内メールをして、封書で出すことは、職場でどうしても合意が取れなかったので、それはできなかったのですが、具体的に 16 人から返事をもらって 9 人と面談ということで、何人かは面談を継続しています。

 もう 1 つは、各職場は病院なので各病棟ですね、そこの健康リスクはそれほど高くないのですが、一応、聴取りの調査をした結果をここに書いています。これは先ほどお話した 19 点から 95 点のうちの大体半分ぐらいのところで評価すると、 5 %ぐらいの人たちがこれにかかっていることになります。これは全部のストレスを加えた点数ということです。ストレスの原因、心身の反応、他の要因を全部加えて、その合計から大体何パーセントぐらいというのを割り出して呼び出しています。分かりづらいのですが、下光先生が作られた素点換算表を見ると、ここの中に集計されていて、 5 段階の中の 1 が一番高いということで換算されているので、この評価ができるということです。以上です。

○相澤座長 この 3 つの領域の合計点で評価するやり方で、うまくいっているということですが、それについてはどうでしょうか。独立して評価すべきであるという考え方もあると思いますし、合計するかどうかということですね。

○川上委員 今の黒木先生の資料は、先進的な事業所で行われているよい事例になって議論のたたき台になると思います。黒木先生は標準化得点、 1 2 3 4 5 という得点を各尺度に割り当て、その合計得点で総合的な呼出しの方を判定する方法を取っています。例えば下光先生のもともとのマニュアルではグレーゾーン(グレーの網掛け部分)だった人の数ですかね、黒木先生の場合だと 5 でしたか、一番悪いのに該当した人の数。

○黒木委員  1 です。

○川上委員  1 の個数を数えて、それが 3 つ以上だと大変危険だということで、先進的な事業所ではフレキシブルな得点化をしていると思います。

○黒木委員 いや、これは先生、下光先生が作られたとおりに計算しているのです。

○川上委員 下光先生が 1999 年に出された報告書では、グレーゾーンにかかったグレーの個数を数えて判定するようになっていて、これはもう少しモディファイドバージョンだと思いますが、こういうスコアリングの違いというのは事業所に多少任せてもいいのではないかと思うところです。

 もう 1 つ、黒木先生のように総合的に判定するのか、それとも心身のストレス反応と要因やサポートを分けて判定するのかについては、ストレス反応の高い人に対する産業医の対応と職場環境要因でいろいろ問題のある方への対応は、多少、医師と産業医は違うので別々だとは思うのですが、実際に事業所でやろうとすると、どちらを優先して面談をするかはちょっと難しい判断になってきますので、最終的には総合的に、あるいはどちらかが高ければ医師としては良しという、そういう形になるのではないかと思います。

○黒木委員 どちらかが高いというのを説明して頂けないでしょうか。

○川上委員 心身のストレス反応が高い、あるいは心身のストレス要因やサポートが問題という、どちらかのケースに産業医としては合うような気がします。

○黒木委員 あとは、例えば職場側にどう認識させるかというところが一番のポイントだと思います。だから事業主にどう返すか。個人にはストレス反応を返すにしても、それを特定されると困るのです。ただ、職場のサポートでは、こういう人がどれくらいいるかとか、それを職場の環境改善のために事業主に理解してもらう。それはやってもいいことになっていますよね。だから、そこをどういうふうに道筋を付けていくかではないかという気がします。

○相澤座長 下光先生、いかがですか。

○下光委員 実際、簡易調査票を現場で使っている産業医はたくさんいると思います。私も実は開発した後、幾つかの事業場で使ってフォローアップしていますが、ストレッサー、ストレス反応、ソーシャルサポートのチャートが、個人データとして返されてきます。そのときに、産業医がどこを見るかというと、イライラしている、活気が下がっている、うつの症状が若干出ているなど、心身のストレス反応が高くなっているかどうかをみるわけです。

 ですから、まずそこに目をやって、そこで問題のある人たちをピックアップする。そのあとで、ストレッサーはどうだろうか、上司・同僚からのサポートがあるかどうかなどを見ながら呼出しをかけたりしているところが、多分、多いのではないかと思います。大企業でたくさんの人をフォローアップする場合には、そういうわけにいかないので、黒木先生のような形でやる方法もあるかと思いますが、まず心身のストレス反応の高い人たちを見て、そして職場の環境を見ていく流れになると思います。

 職場環境については、川上先生が作られた判定図では、部署ごとの環境を見ていくことに今までは使れていたわけで、私たちも個人面談をするときに、その判定図を見ながら使っていることが多いのです。ですから心身のストレス反応をまず見て、次に環境とサポートがどうかという形の 2 段階で見ていくのもいいのかなと思っています。ただ、その方法としてどうしたらいいのかは、なかなか難しい。この辺は岩崎先生とか、実際に使っていらっしゃる先生の御意見を伺いたいと思っています。

○岩崎委員 私が関わっている所で経験的なことですけれども、最近は 57 項目を使った経験が多いのです。使い方としてはストレス反応のところで個人面談をかけて、ストレス要因と周囲のサポートの部分は、基本は職場の評価という形でフィードバックする形をとっています。ただ、総合的に個人それぞれを見ていく中で、よほど突出的なものがあれば面談対象にしてもいいと思いますし、その辺の柔軟さはあってもよろしいかと思いますが、一次予防的観点も含めると、職場としての評価というのをどこかでちょっと入れておきたいという感じはします。例えばストレス反応とか職場要因、サポートの部分で個別面談を広げていくとか。今、上位 10 %という議論が一部出ていますけれども、面談だけで回らなくなってしまうというか、より本質的な改善に結び付くような運用がいいのかなというのが、実際にやってみての実感です。

○相澤座長 大きく分けると 3 つぐらいのパターンに分かれると思いますが、渡辺先生は、どちらかというと 3 つの領域を、 or で結んで何か問題のある人は面談に持っていくという考え方です。川上先生もそれに近いですかね。下光先生は、ストレス反応の高い人を中心に面談に持っていって、環境のほうは参考に使うといった考え方です。岩崎先生もどちらかというと下光先生の使い方ですね。

○岩崎委員 そうですね、経験的にはそうだったということです。

○相澤座長 それから、黒木先生のように合計で総合

的に評価してしまうということで。

○黒木委員 合計では、そうですけれども、心身の反応で、私どもが注意しているのは「抑うつ感」です。ここに 1 を付けた人は面談の対象としていますので、心身の反応は第一番に考えるということです。

○相澤座長  3 つというか、黒木先生のはむしろ心理的な反応も主にするということですので、 2 つぐらいになるでしょうね。

○南委員 黒木先生のこの表ですが、もう少し具体的な使い方で、これを実施して 738 名と。この結果は本人もこの実物を見るわけですよね。もう既に A 群、 B 群、 C 群が分かれて総合点でも結果が出て、 3 群に分かれて、でもここは出ていますよね。

○黒木委員 本人がストレス調査を受けて結果をWEB上で見るときは全部出るわけではないです。

○南委員 違うものが返っているのですか。

○黒木委員 本人にはメールで自分の社員番号というか、パスワードを作ってアクセスしてやりますね。そうすると結果が返って、高ストレスであるとか抑うつ感が強いとか、相談室に相談しなさいというメールが流れるわけです。私どもの所では健康支援室のカウンセラーと私の 2 人しかこの結果は見ることはできません。健康支援室の 2 人だけが見てます。

○南委員 健康支援室の 2 人だけが、これを見るわけですか。

○黒木委員 その 2 人だけしか結果は見られないのです。そこでリストがバーッと出るので高ストレスの人は大体分かりますから、その人にアプローチをするということです。

○南委員 私が感じたのは、臨床の場面だと医師の目からしたら、これはもう既に心身の反応がきちっと出て職場の環境も出ていますから非常に分かりやすいと思ったのですが、個人がこれを見ているわけではないということですか。

○黒木委員 ではないです。例えば、個人に職場環境のことを説明することはしなくて、それはストレス判定図というものが出てきますから、それを衛生委員会にかけて執行部を通して執行部の了解を得て、それで各病棟、職場ごとのストレス判定図を広報に載せますから全員が見ます。だから自分の職場がどうなっているのかが分かるわけです。それは最初はかなり抵抗がありました。

○南委員 今回だと、この職場環境だけストレス要因と周囲のサポートというのを、部門別に分けて集計していくわけではないですから、もしこれを実施した場合、先生のおっしゃるようなことは今回は指摘できないですよね。例えば母集団が 300 名いて、その職場環境が部門別にどうなっているかというのは、今回、分からないわけですね。本当にそれが分かるのは産業医と実施者だけですね。

○黒木委員 もちろん、そうです。人事も見ることはできませんし、私どもの所でこの結果が分かるのは 2 人だけです。

○南委員 私も先ほどの話を聞いて、自分の経験でもそうなのですが、ストレス反応のほうが前にあって、その周囲にそれがどういう環境で出てきたかというと、環境要因から出てきたものを参考にしていくほうが、一般的な流れではないかと私は感じました。

○黒木委員 職場は部署別に健康リスクというのがありますから、それで 120 以上とか、高いところで、私どもは 100 以上の所で、そこの責任者を呼び出して聴取り調査をします。そうすると業務内容とか個人がどういうふうに深く関わっているとか、欠員が生じているとか、あるいは人間関係のことも出てきますし、職場環境の状況が把握できます。

○南委員 それは先生、職場のある部門別に集計をした結果で呼び出すことができるということですね。

○黒木委員 これは全部出ていないのですけれども、ここに健康リスクというのが出てくるのです。これは 100 が標準なので 100 以上、特に 120 以上の高いところは責任者を呼び出しているわけです。

○南委員 今回の改正後の法が執行された場合には、ある職場だけ呼び出すような結果は出ませんよね。

○黒木委員 簡易であれば、そうでしょうね。

○渡辺委員 いまの整理ですけれども、職場のストレス度、総合リスクを出すということに関しては、黒木先生の所のやり方も従来の下光先生のやり方も、そこは同じですね。

○黒木委員 これは下光先生が開発したものにのっとってやっているのです。

○渡辺委員 ですよね。したがって、職場のリスクの評価に関しては同じと。

○黒木委員 はい。

○渡辺委員 ただ、人を選出するときに「抑うつ」を優先はしますけれども、総合点で選出しているところが独自ということですね。

○黒木委員 それは、私のほうでは大体 5 %ぐらいに設定しようというのがあって、前に某企業で、 TS3 とかをやったときに、 6 割ぐらいが陽性になってしまったのです。だから業種や職種、あと職場の状況によっては出方が全然違ってくると思います。そういうこともあって大体 5 %ぐらいに設定して、あと「抑うつ」をメインに呼び出しているということになります。

○渡辺委員 私も実際にやるとき、今までは二次予防的なことが主体で、症状が出ている人の中で面談してストレス因子を見ていくというやり方だったわけです。ただ、今回、この法案を見て、特に附帯決議のところで、あそこまではっきり一次予防ということが書かれていると、ちょっとやり方を変えなければいけないのかなということで、先ほど申しましたように、症状が出ていなくてもストレス要素が強い人をピックアップするというのが、むしろこの法案の趣旨だとすれば、別々に選定しなければいけないのかなと今思っているところなのです。

○黒木委員 なるほど、分かります。

○相澤座長 いかがですか。この 3 つの領域についてはストレスチェックの中に項目として入れていなければいけない。その評価方法について、全部同じように比重をかけて評価をしなければいけないとか、そういったことも議論としてありましたか。あるいは今の自覚症状を主にして、その環境についても副として評価するといったことでも。

○労働衛生課長 標準的な項目を示す以上は標準的な評価方法というのも、ある程度専門家のコンセンサスが必要かと思っています。今の論点は非常に重要なところですので、もし先生方で、ある程度議論が集約できるのであれば集約していただきたいですし、あるいは 2 つのやり方の御意見があるということであれば、それはそれで 1 つのまとめだと思いますけれども。

○下光委員 一次予防ということが非常に強調されているのですが、先ほどから各委員の先生からのお話もありましたけれども、症状というか、ストレス反応でイライラする、活気が低下する、若干うつ状態になる。これは病気を発症する前からだんだん強くなってくるわけで、その辺を早目にディテクトしてメンタルヘルスにつなげていくのが、職場の産業医の仕事だと思います。そのときに、そういう反応が本当にその職場に起因するものなのか、あるいはいろいろなサポートがあるかないかに起因するのか、あるいは家庭の問題があって悩んでいることもあったりするわけです。どういう人を面談につなげていくかというときに、そういうことを考慮に入れながら現場の産業医の先生方はやっていくわけです。そうすると、確かにいろいろなワークロードが多くてコントロール度が低い人もいるでしょうし、それが心身の症状に現れていない人もいるかもしれません。どちらかというと、そういう人たちは大体現れていることが多くて、そういう人たちをピックアップして環境はどうかという流れになっていくと思いますから、 2 段階になるのかなということです。

 それから、附帯決議で職場環境も改善しなさいとなったわけですが、それは部署ごとの評価も同時にやっていくようにということだと私は解釈しています。ですから、最初のチェックのときに全てを総合点化して、そこで評価するというふうには私は解釈していなかったのです。ただ、皆さんはどうお考えになるか分かりません。そんな形で、先ほど岩崎先生がおっしゃったように現場で実際に使っている方々は、そのようにして使っていることが多いと思うのです。渡辺先生は二次予防ではないと、今回はそうなったとおっしゃるけれども、一次予防でも症状というか、そういう訴えをまず最初にチェックして、それから次につなげていくということでもいいのではないか。多分、先生も基本的にはそういうお考えだろうと思います。ただ、国会の流れが一次予防になってしまったので、そういうふうなことになったとお考えになっているのかもしれませんが、その辺はいかがでしょうか。

○渡辺委員 ある意味、おっしゃることはよく分かります。今、下光先生のおっしゃったのは、リスクの方をピックアップするときには心身の反応のところだけでピックアップすると。そしてピックアップされた人から、面談したときにストレス要因や周囲のサポートも聴いていく、そういう二段階という意味でしょうか。

○下光委員 それもあろうかと思いますが、 57 項目ですと、レーダーチャートで出てきますので、その辺で心身の反応を重点的に見ながら、サポートとデマンドコントロールも同時に見ながら判定していく。どこで切るかは大変難しいのですけれども。

○渡辺委員 最初の質問は、少なくとも 3 分野に及んだ 23 項目か、 57 項目をやった上でという意味ですね。

○下光委員 そうですね。

○渡辺委員  57 をやった上で、その高リスク者をピックアップするときには、心身のストレス反応のところからピックアップすることでいいのではないか、というお話ですか。

○下光委員 メインに考えながらということだろうと思います。

○黒木委員 臨床的に考えると、例えばピックアップされた高ストレス者と面談したときに、よほど守秘義務を守らないと、上司のことや職場のことはなかなか言えないという状況もありますので、その辺は全体として捉える部分も私は必要かなという気がします。

○相澤座長 渡辺委員が先ほどから気にしている附帯決議ですが、参考資料 2 に、労働者個人が特定されずに、職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討することとありますね。個人のあれではない。

○渡辺委員 ここに、はっきり書かれているのですね。

○相澤座長 集団でやるということが附帯決議に入っているので、どうでしょう、あまり個人のことで書きにくいということもありますね。

○労働衛生課長 先ほど川上先生から、データをもう一度確認いうお話がありましたが、別々に評価基準を持ったときとどのくらい出方が違うかみたいなことの集計は可能なのでしょうか。つまり、職場のストレスは多いけれども、心身の反応はあまり出ていないという人がいるのか、いないのかといったデータは少し出ますか。

○川上委員 少し後の議論かなと思って黙っていたのですが、判定方法を決めるときに科学的根拠がどのぐらいあるかと、産業医の実務を考えると、陽性になったので産業医が面談しなければいけないという方は、従業員の 10 %内外になっていただきたいという、この 2 点が強い希望です。そのことについて今までのデータを集計していただきたいという気はしています。科学的根拠のほうは私のほうで少し整理させていただこうと思っていますが、下光先生等のほうで今までのデータを使いながら、何パーセントぐらいの方がどのぐらい上がってくるのかみたいなところ、あるいは、その 2 つの領域を重複すると何パーセントなのか、 or だと何パーセントというのを出していただけると議論が進みやすい気がします。

○下光委員 期限が来週までですよね。

○川上委員  25 日でしたか。

○下光委員  25 日ですね。今、 23 項目の質問紙の整合性とか、ストレス反応との関係など、いろいろ小田切先生に調べてもらっていますので、それも追加しながら 57 項目でどうかということを見てもらうように頼んでみますけれども、間に合うかどうか分かりません。あと川上先生といろいろ意見交換しながらやらせていただきます。

○相澤座長 それでは、そのデータが出るまでペンディングということにしましょうか。

○川上委員 ただ、それを見るのはペンディングをしてからですが、今、御意見を伺っていると、ものの考え方として、個人面談に関しては心理的ストレス反応を優先して高ストレスの方を選び、職場環境は参考にするという考え方が強いようですね。職場環境のほうは、どちらかというと職場で集計して集団に返すという使い方のほうが、主体みたいな感じになっていますので、それはそういう考え方もありかなとは私自身も思っています。

 ただ、評価基準を示したのを作っておかないと、いずれにしても評価基準はあるにせよ、その後の使い方について、ある程度コンセンサスができるようであれば、示すのはいいことかなと思っています。

○相澤座長 先生、それでよろしいですか。

○渡辺委員 私自身は前回までもそういう考え方だったのです。ただ、附帯決議があったので本当にそれでいいんですかということを、むしろお役所のほうに確認したかったというところです。

○相澤座長 次の議論に入ります。心身のストレス反応の評価基準目安です。抑うつと不安と疲労の 3 つの項目があるわけですが、「抑うつ」が 10 点以上と、「不安」が 11 点以上、「疲労」が 12 点以上とする方法とあります。それから、この 3 つの総得点で 27 点以上とする方法があります。前回から御議論のありました、「食欲」と「睡眠」をどのように点数化するのか、あるいは総合的な評価にするのかということがあります。ここは非常に大事なところですので、御議論いただければと思います。

○川上委員 次回データをお示しします。心理的反応部分については、次回まで議論を保留にしたいと思います。本日、何人かの先生方から睡眠について幾つか根拠を頂きましたので、それがもし可能なら私も伺っておきたいと思います。一方、食欲については、今回は根拠がどなたからも提示されていないので、どうしたものかを伺いたいというのが 1 つです。

○相澤座長 川上先生、次回までというのは 3 つの領域の点数か、あるいは総合点数かという評価も含んでということですか。

○川上委員 そうです。評価基準目安の黒ポツの上 2 つと 3 つ目について、少しカバーしたものを出したいと思います。

○渡辺委員 一応、睡眠に関しては前回宿題としてもらっていたので、一次予防的な意味合いでの文献をここに出してみました。これも結構あります。主に不眠ですが、不眠が続けば、その後、精神疾患の発症が多くなる点はいろいろなデータが出ているので間違いないと思っております。ただ、どうなのでしょうか、もう一回整理しますが、「心身の反応」の項目は基本的にはどちらかというと二次予防的なところなので、余り一次予防的な意味合いにそんなにウエイトを置く必要はないのではないか。要するに、心身のストレス反応として症状が出ている人をピックアップする項目なので、要するに、メンタルヘルス不調の疑いのある人をピックアップするということが、ここの B 群の意味合いだとすれば、そんなに一次予防的な意味での文献的エビデンスは要らないのではないかと今は思うに至っています。

 したがって、メンタルヘルス不調のときの早期症状として睡眠障害が多いということはいっぱいデータがありますから、それは当然入れるべきです。そういう見方をすると、食欲もいっぱいあると思います。少なくとも、いろいろな診断基準に食欲障害というのはいっぱい出てきますから、メンタルヘルス不調を発見するという意味合いであれば、食欲も当然出てこなければいけないと思います。

 もっと言えば、今更の話なのですが、先ほどたまたま下光先生が何回か、イライラ感がないかどうかをみますとおっしゃったのですけれども、その「イライラ感」が 9 項目に入っていないのです。これもちょっと不思議なところです。むしろ、精神症状の早期発見ということになると、本当にこの 9 項目、あるいは 11 項目でいいのかどうか。「イライラ感」だとか、「怒り」とか、こういうものがむしろ入ってこなければいけないように思っているのですが、いかがでしょうか。

○川上委員 先生のロジックだと、本制度は一次予防を主体としたものなので、睡眠と食欲は要らないというロジックになってしまいます。そこを明確にしていただきたいのです。

○渡辺委員 違います、一次予防は絶対に必要で、むしろ一次予防としては、この A B C 群でいうと A 群、 C 群が絶対に入らなければいけないと。要するに A 群は仕事のストレス因子、 C 群は周囲のサポート、したがって質問項目としては A B C 全部を含めなければいけないというのが最初の発想です。そうすると、一次予防の質問項目は A 群、 C 群に入っているので、 B 群の意味付けは、むしろ早期発見という二次予防的なところに、その存在意義があるのでしょう。そのように考えれば、初発症状、早期症状として睡眠・食欲、あるいはイライラといったものも入れていく必要があるのではないでしょうかという意味合いです。

○川上委員 先ほど私が申し上げたように B 群、今は心理的ストレス反応のことを B 群と呼んでいるようですが、その B 群の質問についても、一次予防的な使い方ができるので、それは特に一次予防に特化した制度としても整合性が取れているのですが。

○渡辺委員 それも先ほど理解したのですが、でも実際に当たっては、まず症状のある人を選んで、その症状の話から一次予防の話をするというのが今の流れでしたね。

○川上委員 そうです。

○渡辺委員 そういうところでピックアップするとしたら、 1.5 次的なことでもいいと思いますけれども、 1.5 次的な初発・早期症状として、その疾患になる手前のところの症状としてどんなものがあるかを考えていくと、当然、食欲の問題、睡眠の問題、イライラの問題というのは当然あるだろうと。臨床的な話です。

○川上委員 理解としては、食欲・睡眠の項目も一次予防的なものとして入れようではないかということをおっしゃっているわけですね。

○渡辺委員 一次、 1.5 次です、初発症状として。

○川上委員 それでしたら。

○渡辺委員 そう考えると、イライラなども当然入ってきていいのではないかと思うのですが、入っていない理由が私には分からないのです。

○川上委員 「イライラ」と「怒り」という項目も 2011 年の秋に委員会を開いたときに、入れるかどうかという議論はあったと私は記憶しています。怒りとかイライラを従業員に聴いて、果たして素直に書いてくださるだろうかという点から落ちたと記憶しています。つまり、「あなたは怒りを感じますか」とか、「イライラを感じますか」というのは、従業員が表現しにくいのではないかということで落ちて、むしろ疲労、不安、抑うつのほうが素直に自分の症状として表現できるのではないかということで選ばれたという記憶があります。

○黒木委員 臨床的に抑うつにしても、例えばうつ状態、あるいはうつ病の人が初期症状として抑うつ感をどの程度自覚しているかということもあるので、それは念入りに時間をかけて聴いて、抑うつは存在するというような判断になります。私が言いたいことは、渡辺先生がおっしゃっているように、睡眠についても客観的な指標として大事だと思うのです。これを確認するということは非常に大事だと思いますし、これは臨床的にも大事です。労働者が全部が全部、自殺の事案を見ても、特に労災認定された自殺事案の 7 割は医療機関にかかっていないのです。そういう人たちを周りから見た症状とか、家族から見た症状をずうっと聴いていくと、眠れていない、又は途中で中途覚醒があるというようなことも家族が分かっているわけです。そういう人たちが手遅れになって自殺をしています。労災認定になった自殺事案(過労自殺)の 7 割が医療機関にかかっていないというのは普通ではないです。そういう人たちを救っていかなければいけない。そのためには睡眠とか食欲不振というのは入れたほうがいいのではないかと思います。

○川上委員 私は前回も申し上げましたが、その意見に特に反対というわけではありません。この 1 問、 2 問で果たしてどのぐらい睡眠や食欲が捉えられているかというのは、データを見てみないと分からないと思います。いつも眠れない方だけをピックアップすべきなのか、「しばしば」、あるいは「いつも」をピックアップすべきなのか、「時々」の方も入れるのかという辺りについても、どのように選んだらいいか、データとしてはないという状況だということが課題だと思っています。

○黒木委員 何のデータですか。

○川上委員 例えば、 1 問で聴いた睡眠で、睡眠の調査票としては「よく眠れない」というのは非常に不完全です。入眠困難、途中覚醒、早朝覚醒があり、それ以外にも、日中の眠気などもあるので、実際には睡眠をきちんと評価して作成されると、アテネ不眠尺度とかピッツバーグとか、せめて DSM の睡眠障害の診断基準に当てはまるような項目を入れた睡眠の質問票として十分に確立できたものを使ってやるべきだというのが基本的な科学的根拠に基づくスタンスだと思うのです。この 1 問がどのぐらい適切に臨床的な症状を捉えているかについてのデータは今のところ出ていないので、それはちょっと問題だと思っています。それを次回までに多少でも集めておくべきだと思っています。睡眠・食欲の重要性については、特に私は議論していないです。このたった 1 問の項目でどのぐらい役に立つのかという辺りについては、もう少し検討が必要かと思っています。

○黒木委員 検討というのは、入れないということですか。

○川上委員 入れるか入れないか、やはりデータを見ないと分からないです。

○渡辺委員 先生が、睡眠のところだけ、なぜそんなにこだわられるのかが不思議なのです。私は、この 57 問の心身のストレス反応の中の項目の中で、「食欲がない」「よく眠れない」という項目があるではないですか、これをなぜ外すのですかという話です。他の一つずつも、例えば「ひどく疲れた」とか、「へとへとだ」だって、先生がおっしゃる何とか基準など全然ないではないですか。

○川上委員 その項目については、労働安全衛生総合研究所の報告書が出ていて、それらについては測定誤差がどの程度かについてデータが出ている、あるいは陽性者が何パーセントいたというデータが出ているので、まだ多少よいと思うのです。それでもまだ足りないとは思っているので、次回までに多少集めようと思っているところもあります。

 この不眠と食欲については、まだ十分納得できるほど、例えばピッツバーグの質問票やアテネの質問票とどのぐらい相関性が高いのか、あるいはこの項目で、どの辺りから以上の方が将来的にうつ病になりやすいのかという辺りのデータがないのです。

○渡辺委員 他の 9 項目は全部それがあるのですか。

○川上委員  9 項目もありませんので、そこは次回までに用意しようと思っています。

○渡辺委員  9 項目もないのでしょう。

○川上委員 そうです。でも、ないのだったら全部やめてしまってもよくて、せめて科学的根拠は何かあるべきだと思うのです。それでなかったら、使う人たちは納得できません。

○渡辺委員 それは分かるのですけれども、現実に精神障害の初発症状で眠れなくなるというのは嫌でも分かっているではないですか。

○川上委員 そうですので、そのことを私は何も議論していなくて、項目はいかがなのですか、この項目でよいのですか、十分でしょうかという質問をしているのだと思っていただくといかがでしょうか。

○黒木委員 増やすということですか。

○川上委員 場合によってはそうですね。睡眠を 3 項目か 4 項目新しい尺度を作ることも考えようと思いますが。

○黒木委員  57 項目をメインにすると、基準にするということではどうでしょうか。

○川上委員 それをどうするか、どうしたらいいでしょうか。先生方はどのようにお考えになって御提案されているのかをお伺いしたいのです。

○黒木委員 先生が聞きたいというのは何ですか。

○川上委員 今のような科学的根拠を、先生方もここへ御提出いただければと思います。

○黒木委員 私はその科学的根拠とかはよく分かりませんけれども、臨床医なので。それから労災認定された自殺事案とか、集団というのは、どうしてもそっちのほうの群になるので。そういうところから見ると、この睡眠は欠かせない、切り口としてはいいと思うのです。それから、臨床的にと、すごく難しいことを言われましたけれども、眠れていないという自覚も、先生がおっしゃるように詳しく聞いてみないとそれは分からないわけです。例えば眠ろうとしても眠れない。そのために、朝起きられないと駄目だから椅子に寝るという事例もあります。でも、昼間ちょっと寝ているから大丈夫だとか、これは質問手法の質問紙の限界ということがあると思うのです。だから、切り口としては別に聞いてもいいのではないかと思うのです。

○川上委員 それについては特に反対していないということは、もう一度申し上げておきます。

○岩崎委員 コメントなのですが、今の議論を拝聴していて感じることは、二次予防の議論になってしまっているのかと感じます。それを、一次予防的にどう使っていくかという議論を、もう少ししたいということが 1 点です。その中に睡眠を入れても、それはどう使うかというのが付いていればいいかと思います。

 一次予防には環境因子を適切に評価して改善するという、集団への一次予防とともに、セルフケアという意味での個人への一次予防という観点はあってもいいのかと思います。もう 1 点は、余り項目を増やすと、これから 50 人以上の嘱託産業医で、私も月 1 回行くようなところにも展開するという前提に立つと、その辺を忘れずに議論したいと思います。

○渡辺委員 確認ですけれども、私はこの 57 問が基本になってという前提で話をしていたのですが、その前提を変えることになるのかどうかを決めておかないと、話が広く拡散してしまうと思うのです。おっしゃるように睡眠の問題を、本当に一次予防の質問事項にするのであれば、睡眠時間は何時間ですかというほうがいいのです。そうすると、元気だけれども睡眠時間は 3 時間という人は、一次予防的な意味合いでいうと引っ掛けていかなければいけないことになるわけです。したがって、眠れているか眠れていないかというよりも、睡眠時間は何時間ですかという質問のほうが意味のある質問になってきます。

 例えば、躁状態で 3 時間の人もあるかもしれないし、実際に忙しくて 3 時間しか眠れない人というのは、今は元気だけれどもそのうちに病気になるかもしれないと。これは体の病気も含めてです。したがって、一次予防でいうと、睡眠時間は何時間ですかという質問のほうがはるかにいいわけです。この 57 問から選ぶという前提で私は理解していたので、ここにある「食欲がない」「よく眠れない」という 57 問の中のオリジナルの質問で、これをこのまま使ったらどうでしょうかと言っているわけです。

○相澤座長 先ほどイライラというのがありましたけれども、これをまた増やすと、それこそ今の岩崎先生の御議論になりますので、イライラ感はいいですか。

○渡辺委員 イライラは 57 項目の中にあるのと、たまたま下光先生が先ほどから 2 回ともイライラとおっしゃいました。実際に我々もイライラというのはよく使うところなので、なぜ入っていないのかなというのを今更ながらです。

○相澤座長 食欲と睡眠については、次回の川上先生のデータ解析で一部それが入っているのですか。

○川上委員 はい、一応 9 項目及び食欲・睡眠が高い方に、ストレス教育をして、本当にこういう方たちで効果的にストレスが下がるかどうかというデータを、ある方にお願いしてまとめていただいています。そうすると、こうした項目を引くことが本当に一次予防にしてもよいかどうかはある程度分かると思います。もう 1 つは下光先生にお願いして、睡眠の方を入れた場合に、全部で何パーセントぐらいの方に産業医が面接しなければいけなくなるかということを拝見したいと思っています。

○相澤座長 次回にもう一回議論を追加したいと思います。他にもいろいろ議論すべきことがありますのでお願いいたします。 1 3 番目のマークの後のポツの所で、最終的な高ストレスの評価を行うに際して、「心身のストレス反応」で高値の者と、「ストレス要因」「周囲のサポート」で高値の者をどのように判定するか。両者に該当するものとすべきか、あるいはいずれに該当するものとすべきか。これは次回でよろしいでしょうか。川上先生の御議論を頂いたので、何か付け加えることがあったらお願いします。よろしいでしょうか。

 それでは次に、仕事のストレス要因、周囲のサポートの評価基準の目安です。尺度ごとの得点から、上位およそ 10 %以内に入る状態を判定するということです。これは、下光先生の原稿では、 10 %ですか。

○下光委員 そうですね、大体そのぐらいになるようです。

○相澤座長 そのぐらいになるのですね。 5 %ぐらいかと思ったのですけれども。ちょっと多いですか。

○下光委員 ちょっと多いかね、これを 5 %にしてもですけれども。

○相澤座長 ちょっと多いと感じます。

○黒木委員  50 人と 10 人ですからね。

○相澤座長  5 %ぐらいで、川上先生どうですか。

○川上委員 これも、下光先生のほうで集計を取りまとめていただいて、ここまで来ると何パーセントになるかを拝見してから、岩崎先生の御意見も聞いて決めたいと、意見を言いたいと思います。

○相澤座長 それから、個人ごとの結果評価と集団の結果の評価を、それぞれどのように考えるか。集団の評価は付帯決議で加えられておりますので、これをやるような組織体制を作らなければいけないということだと思います。取りあえず今回は個人の結果の評価ということです。これを一度に出すことは不可能です。取りあえずは個人のデータが出て、それから集団のデータを解析することになるかと思いますが、それでよろしいですか。これは、一次には無理です。集団の評価というのは、ある程度の時間がたって、個人を同定しないでやるわけですよね。

○川上委員 黒木先生が冒頭にされた質問についてお答えしていなかったのですが、集団の結果の計算方法あるいは評価については、仕事のストレス判定図がありますので、仕事のストレス要因及び周囲のサポートの部分については、労働者の個人を同定せずに職場に返せる診断書は整っていると思います。それ以外の心身のストレス反応の部分については、これまでそういう方法については特に確立したものがないのですが、黒木先生が本日お示しされたように、実際に先進事例ではやっている所もありますので、そういうものを倣って緩やかに使っていくということでよいのではないかと思います。

○黒木委員  23 項目でも、その判定図はできるのですか。

○川上委員 仕事のストレス判定図は 12 問あればできますので、これで十分含まれています。心身のストレス反応を事業者にどう返すかというところは、厳密には確認されていませんが、先生のほうでも先進事例で余り大きな問題がなければ、それでもよろしいのかと思います。

○黒木委員 職場全体というよりも、病院全体で何人という形では返しています。

○川上委員 そうですか。

○渡辺委員 ここの集団の結果の評価という「集団の結果」というのは心身の反応だけの話ですか。

○川上委員 いいえ、全部含めてだと思います。

○渡辺委員 全部ですね。

○川上委員 はい。

○渡辺委員 それでは、一応 A C は判定図を出すわけですよね。

○川上委員 そうです。

○渡辺委員 それは、評価をそれぞれどのように考えるかというのは、何を考えたらいいのでしょうか。評価を出すか出さないかという意味ですか。

○産業保健支援室長 集団の結果について、仕事のストレス要因と、その周囲のサポートの部分だけでいいのか、それとも心身のストレス反応までそういった集団として出すのがいいのかどうか、その辺りのことを論点としては書いております。

○黒木委員 そうですね。

○産業保健支援室長 ただ、心身のストレス反応のほうは返さないほうがいいという部分もあろうかと思います。

○黒木委員 要するに、高ストレス者が何人いるかという話ですよね。

○産業保健支援室長 そうです。

○黒木委員 それというのは、小さい所では分かりますよね。

○産業保健支援室長 小さい所でしたら誰って分かってしまうので、そういうものは不適切だということだと思います。

○渡辺委員 そういう意味で言うと、周囲のサポートのところも、人数が少なければ、上司のことを悪く思っているというのはすぐ分かってしまいますよね。

○黒木委員 上司は必ず気にします。

○渡辺委員 気にしますよね。

○川上委員 何人以上だったら返すべきとか、何人以下だったら排除すべきということを一応決めておいたほうがいい。推奨を示すときには決めておいたほうがいいかと思います。

○産業保健支援室長 そうですね。

○川上委員 今は、通常仕事のストレス判定図は、 10 人未満では余り出さないようにと注意書きをしています。

○渡辺委員  1 つの部署がですね。

○川上委員 そうです。

○中央労働衛生専門官 マニュアルには 20 人ですよね。

○下光委員 そうです。実際は 10 人ぐらいでもいけると思います。

○川上委員  10 人でしたか。

○下光委員 一応マニュアルでは 20 人です。

○川上委員 すみません、一応マニュアルでは 20 人になっていますが、検討して適切な人数を決めたほうがいいかと思います。

○相澤座長 よろしいですか。 2 番目は、心身のストレス反応の評価方法について、 57 項目の場合の評価基準をどのように考えるか。これは、マニュアルでは標準化得点を用いた方法を用いるということです。下光先生いかがでしょうか。標準化得点は、点数で分けて分類しているのですかね。

○下光委員 そうですね。前の研究の標準化得点をベースにして評価基準を考えていただきたいということです。これは今細かく決めることではなくて、次の行政検討会で決めていただければいいのかと思うのですけれども、どうでしょうか。ただ、きちっとした標準化得点はあるということで、それを用いていただければと思います。

○相澤座長  2 番と 3 番はよろしいですね。 3 番目も同様ですね。

○下光委員 そうです。

○相澤座長  4 番目は、事業所独自の質問項目を設ける場合の評価基準について目安が必要か。目安が必要かというのは、先ほどの黒木先生のような場合は。

○産業保健支援室長 これで想定しているのは、カットオフを何パーセントにするとか、そういう目安が必要かどうかということなのです。その辺りをどのように考えるかというところが論点になろうかと思います。

○相澤座長 そうすると、その項目を設けるということですか。大体 10 %で、先生の所は 5 %で上位をメールで面接を求める。

○黒木委員 はい。

○相澤座長 今までは大体 10 %が目安ということでしたね。半分くらいの人が。ただ希望者ですかね、先生の所もやはり希望者ですか。

○黒木委員 はい、結局、希望者はもちろん入れます。しかし自ら希望してくる人は余りないです。

○川上委員 私自身もこれは良い解決がなくて、どうしたものかと思うのですが、問題の明確化だけ。つまり、事業所が独自の事業調査票を使っていて、うちは 1,000 人の従業員がいるのだけれども、 1 人だけ高ストレスと判定しますというような独自路線を歩まれた場合、それはストレスチェック制度として認められるかどうかというのをどのように考えたらいいか、私もうまい答えがないです。

○渡辺委員 同じような意見を前にも申しましたけれども、それは 1 つあります。独自で作ってしまって、カットオフを非常に高いところにしてしまうこともあるので、それは非常に危険であると思います。もう一つは、まず独自の質問項目というときに、少なくとも先ほどの全分野、仕事のストレス要因、それから心身の反応、そして周囲のサポートという全分野にまたがっていないといけないという前提を作っておかなければいけないと思うのです。多分、今は多くの企業が、この質問票は心身の反応のところだけでいいと思っているので、そうではないですということをはっきりしておかないと。症状チェックだけをして、ストレス反応だけを見て終わったと思われてしまうと、これは大間違いになってしまうので、ここをまずはっきりしておかなければいけないと思います。

 それから、カットオフを作るときには、今言ったような問題も出てきますので、どうするか。そして各事業所ごとの 5 %、 10 %でいいのかどうか。例えば非常にブラックな企業だと、 95 %ぐらいみんな問題がある所で、下の 5 %だけ引っ掛けても余り意味がないことにもなってきてしまうというのもあります。

○下光委員 川上先生に質問なのですが、例えば判定図と、K6を併用して使う事業所とか、そういう所もあるわけですね。

○川上委員 できるだけ先進事例ですので、事業所の自立性・自主性、あるいは判断というのは是非優先していただきたいというのは、前回からお願いしている点であります。ただ、ほとんど法律が何の意味も持たないような、抜け穴になるような形になっていると問題だと思っていて、そこはどうしたらいいか。下光先生が言われた懸念は、既に第 1 回検討会の論点のまとめで書いてありますので、その点は既に生きているのだろうと私は理解しています。何人ぐらいの方のストレスの判定をするかについて、例えばここで 5 %以上とか、そういう基準を作ることができるかどうか、私はよく分からないでいます。

○黒木委員  5 %というのは、結果的にそうなっただけであって、ある程度の全部の尺度の 95 点のうちの半分ぐらいで切っているということで、結果的に 5 %ぐらいになったということで、最初から 5 %を設定しているというわけではないのです。だから、心身の反応の評価がしっかりすれば、これで何点以上ということになれば、それを基準とすべきだろうと思います。

○川上委員 そうすると、ストレスチェックの実施者がきちんと説明できるような方法を選んで基準を決めていれば、それはそれでよいのではないかという、ある種の性善説に立った形ですけれども、そういうような形の目安を設けるというのは 1 つの考え方かもしれません。

○産業保健支援室長 今回は 50 人以上に入る場合ということで、衛生委員会は設置されているところですので、そういう所で話し合っていただくとか、そういうことも 1 つあるのかと、事務局としては考えているのですが、その辺りはいかがですか。

○岩崎委員 やはり、制度の実施者の役割に企画というのが入りますので、どういう企画でやりますというのは当然、衛生委員会の事項になると思います。その中でカットオフがどうこうという説明をどうするかはあれですけれども、全体の運用とかの説明の中で独自のものを入れるのであれば、どういう運用ですというのは出すべきだろうと思います。

○黒木委員 確認なのですけれども、心身の反応のところは、これから評価とかは決まっていくと思うのです。ここを従来の CES-D とか GHQ といったものを使用する、あるいは代わりに使うというようにしてもいいのでしょうか。

○相澤座長 次の項目でありますが、論点 4 ですね。

○黒木委員 そうです。

○相澤座長 今までのところはよろしいですか。論点 3 についてはよろしいですか。まだ本日は決められないところが幾つか出ておりますけれども。

 それでは論点 4 の、ストレスチェックに含めることが不適当な項目についてです。

○産業保健支援室長 論点 4 として、ストレスチェックに含めることが不適当な項目についてです。基本的な考え方は先ほどから一次予防と、それで副次的に二次予防につながることもあるということです。具体的な論点として、改正安衛法に基づくストレスチェックの趣旨を踏まえると、ストレスチェック項目に含めることが不適当な項目、又は項目のセットがあるかということです。精神疾患のスクリーニングを、労働者全員に一律に実施することは不適当ではないか。有病率の低い集団に対する実施については、偽陽性が多くなる問題があるという報告もあります。それから、制度の枠外に整理される項目を明確化すべきではないか。適性検査であるとか、性格検査であるとか、そういうものもあろうかと思います。それから、不適当な項目についても、法定外のものとして、本人の同意を得れば、ストレスチェックと同時に実施することも可能かどうか。この辺りが論点になろうかと思います。

○相澤座長 黒木先生、今の御意見ですが。

○黒木委員 確かに性格テストとか、適性検査は趣旨が全然違うので、これは駄目だと思うのです。健康度の尺度であるとか、アルコール依存症スクリーニングもどうかなという気がしますけれども、うつ病スクリーニングとか、こういうのはやってはいけないということでしょうか。

○川上委員 心理的ストレス反応の調査票が、うつ病スクリーニングにしばしば応用されているので、同じ方法論で両方に使えるということですので、それをどういう目的で使っているか。スクリーニングに使っているのか、それとも一次予防に使っているか変わるだけなのです。うつ病スクリーニングとして開発された調査票は使ってはいけないという整理は難しいのではないかという気がいたします。

 ただ 1 点だけ議論しておきたいのは、希死念慮とか自傷行為などを聞いてもいいかどうか、その辺りは先生方の御意見を伺ってみたいという気がいたします。

○南委員 先生のお話ですけれども、希死念慮あるいは自傷行為というものは、ペーパーの上で 1 行で文字で聞くというのは適切ではないと思います。それが含まれている心情的なものの背景があっての希死念慮ということになりますので、私は聞くのは余りよくないと思います。違ったものが入ってくる可能性があるかと思います。中にはその 1 万分の 1 2 は重要な部分が入っているかも分かりませんけれども、このスクリーニングの中で聞くのは反対です。

○相澤座長 希死念慮、自傷行為についての質問は余りよろしくないということです。

○黒木委員 前に、死にたい、死のうと思ったことがあるか、実際に企図を起こしたことがあるか、これをある母集団にアンケート調査で聞いたことがあります。結構 5 6 %もいたのでびっくりしました。心身の反応のしっかりした評価ができれば、この抑うつも当然入っているわけですから、そこから次につないでいく過程でいいかという気がします。

○相澤座長 スクリーニングとしては、余りよくないという御意見が多いのでしょうか。面接の段階で問うことは可能だろうということです。 2 番目は、本人の同意を得れば、同時に実施することは可能であるかということですが、これも余りよろしくないということですかね。

○川上委員 先生、今の点の結論はどのようにされたのですか。

○相澤座長 適切ではない。

○川上委員 そうですね。この専門委員会でこのことを決める権限があるかどうかが私は疑問に思うところがあります。

○相澤座長 決めるわけではなくて、専門委員会としての意見ですから、これから行政のあれがあります。

○黒木委員 この不適当な項目というのは何を指しているのですか。

○相澤座長  1 番ですかね。事務局のほうで分かりますか。

○産業保健支援室長 不適当な項目があったとして、そういう項目についても同意があればストレスチェックと同時にやることができるのかどうかということです。先ほどの希死念慮とか、そういうものも。

○黒木委員 そういう項目ですか。

○産業保健支援室長 はい。

○岩崎委員 それは、ストレスチェックではないものとして、同時に実施できるかという趣旨ですか。

○産業保健支援室長 この趣旨はそうです。

○相澤座長  2 番は、ストレスチェック以外で。 1 番は、ストレスチェックの中に入れるということです。

○川上委員 もし、ここで結論ということでないのであれば、できるだけ事業所の裁量を持たせるという意味では、本人の同意を得て、衛生委員会などで審議をした上で、ストレスチェックではないけれども、ストレスチェックの一部として実施することは許容してもいいのではないかという意見を一応申し上げておきます。

 例えば、企業によってはストレスチェックではないけれども、同時に性格検査などを行ってフィードバックのときの参考にしたいと。対処行動とか、本人の性格などを聞いて、本人にフィードバックするときに、多少本人に楽しんでいただけるような仕掛けを作るということをやっている所もあります。その範囲は許容されてもいいのかと思います。

○渡辺委員 その辺りは微妙なのですが、この本人というのは従業員全員という意味ですか。

○川上委員 一人一人だと思います。

○渡辺委員 したがって、この質問票を配る前に、全従業員に確認を取るということですね。

○川上委員 大抵この手の質問票の中に、「ここから先は法定ではありませんのでお答えは自由です。御回答されたら同意したものとみなします」というのが通常だと思います。

○渡辺委員 そういう意味でですね。

○南委員  2 番なのですが、法定外のものとして、川上先生がおっしゃっていた衛生委員会の意見を聞いてということなのですけれども、こういうことはないでしょうか。例えば、職場で大変困っていると。仕事で勤務してくれるのだけれども、どうも ADHD だとか、アスペルガーではないかと。そのことを特定したいがために、そういうものを委員会に掛けてと、こういう話が結構起こるのではないかと思うのです。むしろ疾病をあぶり出していくような、そこはどうお考えですか。かなり一次予防と、疾病の具体的なものが出てきて、本人が非常に辛い思いをするような気がするのですけれども、どうでしょうか。

○川上委員 私の理解が間違っていたらと思うのですが、今議論しているのはストレスチェック以外の項目のことですので、それはストレスチェックに入らないのだと思います。

○渡辺委員 私はそれを理解した上でなのですけれども、同時に施行するということで、その意味合いが伝わりにくくなってしまうと思うのです。本来のストレスチェックというのは、この間も申し上げましたように、本人のためになる健康管理のためのものなのですが、それ以外のものが一緒になってしまうと、下手すると人事管理・労務管理的なニュアンスになってしまう。それを分けて扱うとしても、従業員にそれは非常に分かりにくくなって、ますます正直に答えにくくなっていってしまうこともあって、相当に慎重に考えたほうがいいように思います。

○川上委員 そういう留保事項を付けてもいいかと思います。

○岩崎委員 正に留保事項のところだと思うのです。以前にも不利益取扱いという話があったかと思うのです。結局こういう制度を導入するなり、あるいは従来行われていたような、各、先進的に行うようなストレスチェックでも同じだと思うのですが、それが本来の目的を逸脱して、本人に不利益になることは回避することになると思います。それは、運用をこれから詰めていく中で、その不利益取扱いをどのように提示するかというのに少し関わるのだろうと。そこでそういうのを押さえた上で、ただいろいろな取組みがあるのを少し促進するような側面があってもいいかと、現場としては思います。

○相澤座長 労働者の不利益にならないような条件で、衛生委員会等でと、例えばそういうことですね。

○岩崎委員 はい。

○相澤座長 そういう御意見ですが、よろしいですか。よろしければ、論点 4 はこれで終わります。もう 1 つ論点 5 があります。

○産業保健支援室長 論点 5 、ストレスチェックと一般定期健康診断項目との関係についてです。基本的な考え方として、安衛法の第 66 条第 1 項の健康診断から法律条文で「心理的な負担の程度を把握するための検査」、いわゆるストレスチェックは除かれている。労働者個人のストレスチェックの結果は、労働者の同意なく事業者に通知することは禁止されている。ただ一般定期健康診断とストレスチェックを同時に実施することは可能ということです。ですからストレスチェックの部分と健康診断の部分で情報の取扱いについて若干の違いがあります。具体的な論点として、一般定期健康診断の「自覚症状」で心身の健康診断ストレス反応の項目を聞く場合どういう留意点があるかですが、ストレスチェックについては自記式質問紙の回答に基づいて、ストレスの高さを数値化して一定の基準で評価するものですので、数値化した評価を行わずに心身の不調について健診で確認 ( はい、いいえ、など ) する場合は、ストレスチェックとはみなせないのではないか。

2 番目として、事業者への通知をどのようにすべきか。先ほど申しましたように、ストレスチェックは本人の同意なく事業者へ通知することが禁止されているので、「抑うつ」「不安」「疲労」「睡眠」「食欲」等の心身のストレス反応の項目が健康診断の問診票に含まれている場合、これらの単一の質問項目への当否の結果は、労働者の同意なく事業者に伝えてよいかどうかということです。それから「抑うつ」「不安」「疲労」「睡眠」「食欲」等の心身のストレス反応の項目やストレス要因の職場環境に関する項目について、数値化して評価するものが健診に含まれている場合は、ストレスチェックに該当するので労働者の同意なく事業者に伝えてはならないということになるのではないか。このような論点があります。以上です。

○相澤座長 一般健康診断とストレスチェック項目との関係で、基本的な考え方はよろしいでしょうか。一般健診から「心理的な負担の程度を把握するための検査」は除かれていると。現状はそうですね。同意なく事業者に通知することは禁止されている。しかし同時に実施することを可能にするということ。そういう案ですね。いかがでしょうか。基本的な考え方についてよろしいでしょうか。

○渡辺委員 ここは本当にジレンマを感じるところなのです。本来は身体の症状も心の症状も健康診断できちっとチェックしていくべきだろうと思っております。したがって、健康診断でメンタルなこともチェックしていくというのが本来の筋だと思っておりますから、一般健診問診項目に当然、心の部分の症状がチェック項目に本来あるべきだろうと思っております。ですから、あっていいと思います。むしろあるべきだろうと思っております。ただ一般健診の場合には事業主に渡ることは分かっているわけですから、本人が付けたくなければ付けなければいいわけです。したがって、一般健康診断の中に心の健康に関する症状は含むべきだと思います。外すということはむしろ偏見差別につながることにもなると思います。したがって、ここは載せるべきだろうと思っております。

○相澤座長 そうすると、最初の健診から「心理的な負担の程度を把握するための検査」は除かれているということは、余りよろしくないと、そういうことですか。

○渡辺委員 厳密に言うと、心理的負担の程度を把握するための検査というのは、むしろストレス因子であり、仕事のストレス要因、周囲のサポートの話になり、心身のストレス反応とは分けてもよいと思います。心身のストレス反応と、この心理的負担を把握するための検査とはイコールではないと思います。

○中央労働衛生専門官 今の御発言ですが、 1 枚目にありますように、心理的な負担の程度を把握するための検査はストレスチェックそのもの全体を指している言葉ですので、御趣旨はよく分かるのですが、ストレスチェックを数値化して評価する、出てきた内容に取組むという、そこの部分は今のところ健診から除くという法体系になっております。ここに挙げてある論点は、ストレスチェックというセットでの評価を数値化して評価するのですが、例えば一般健診で、「疲れていますか」、「眠れますか」というような、そういう項目は数値化して評価するストレスチェックそのものには当たらないので、外してもよいのではないでしょうかと。そういう論点もあり得るのではないかということを御議論いただきたいということです。

○相澤座長  9 項目か 11 項目か、あるいは 23 項目かは、これから決まるわけですが、それについての評価をすることは、一般健診から除くということを 1 つはいいたいということになりますか。

○渡辺委員 ということは一般健診の問診票をもってして、ストレスチェックに流用してはいけないという言い方でよろしいのですか。

○産業保健支援室長 多分、流用した場合というか、同時にやった場合は、ストレスチェックは本人の同意がなくては、事業者に伝えてはいけないということになろうかと思います。

○黒木委員 それはまた別枠ということですよね。

○産業保健支援室長 はい、そうです。情報の管理のやり方がどうしても違いますので。そこは、やる場合は留意してもらわないといけないと思っております。

○渡辺委員 いや、ただ一般的な健診の問診の中に、ここの 9 項目、 11 項目などが入ってきてしまう場合がありますよね。それをストレスチェックとして利用しなければいいわけですよね。

○産業保健支援室長 そこは議論がありますが、そこの部分だけでの評価がもちろん入ってくると思いますが。

○渡辺委員 そういうことをしなければいいということですね。

○産業保健支援室長 そうですね。

○渡辺委員 そうしないと、一般健診の中で、「食欲」「睡眠」「疲れた」「落ち着かない」などは入れられなくなってしまうので、それはもっと変な話になってしまいますね。

○産業保健支援室長 そういう整理でよいかどうかなのですけれども。

○渡辺委員 ということは、一般健診の問診の項目の評価を基に、それをストレスチェックとして評価してはいけないということになるのではないですか。

○__ であればいいのではないですか。

○産業保健支援室長 そういう整理が 1 つ考えられると思うのですが、そういったことで現場で困らないというか、どういうことに留意すべきかなど、そういったところがあれば、御意見なりをいただければと思っております。

○川上委員 意見ではないのですが、現場としては、もう少しきちんとした整理が欲しい気がします。つまりどういう場合は許される、どういう場合は許されないのかということが、何かもう少し論理的に整理されたものが欲しいです。ここは非常に難しいですね。

○相澤座長 例えば項目が全部あれば、それは計算はできるわけですよね。誰かはできるわけですから。そうすると同じことになってしまうかもしれませんね。

○川上委員 しかしストレスチェックと一般健診の扱いは分けなければいけないわけですよね。

○産業保健支援室長 はい、情報の事業者への通知の仕方が違いますので、そこは分けなければいけないと思っております。

○黒木委員  2 番の 1 項目、これは産業医の先生に聞きたいのですが、この通知は今までやっていることなのですか。個別に聞いた場合は、事業主に話してもいいと。

○川上委員 定期健康診断の問診の情報の取扱いですか。これは事業者が見ることができるというのが、現在の法律です。

○中央労働衛生専門官 まず、こういう取り扱いになった理由は、先生方から前の審議会等でも心身を分離して評価することは、医学的には不適当だというようなお話があって、定期健康診断の中で今までも聴かれているような「疲れていますか」、「眠れませんか」というようなものがきちんと継続して聴けるようにという、そういう御要望、医学的見地からの御意見があったことを踏まえて、そういうような整理が可能かを今、お諮りしております。例えば先ほど、渡辺先生から 9 項目が全部含まれている場合などはどうかというお話がありましたが、 9 項目については、下光先生のところの簡易採点表のような考え方でいくと、イエスかノーかというところでも評価ができてしまうので、必ずしも 4 段階ではない評価が可能であることも考えると、 9 項目が全部問診票に含まれているような場合は、やはりストレスチェックとしての扱いにならざるを得ないのかなと思いましたので、御意見があればお願いをしたいのです。

 他方、今の問診票を拝見しておりますと、「疲れている」というその 1 項目に対して、 3 つの問いが立つことは普通はないのではないかと思いますので、そうすると 1 つ聴いて、それが内科系疾患につながる可能性があるかどうかのようなところは、今までの定期健康診断の中に残してもよいのではないか。そういう御意見を収斂していっていただいて、 9 項目全部なら駄目だけれども、今までの「疲れていますか」、「眠れませんか」といような一つ一つの単一項目で聴いていくのであれば、今までの定期健診の中で取り組めるのではないかというような部分での御意見をいただければと思っています。

○黒木委員  9 項目はセットで使わなければいいということですね。従来と同じであればということですね。

○中央労働衛生専門官  9 項目なのか 11 項目になるか分かりませんが。

○黒木委員 セットだと、この制度に触れてくるということですね。

○渡辺委員 いや、まず 9 項目になるか 11 項目になるか分かりませんが、それを今のように、これが全部含まれていたら駄目ですよというやり方は非常にまずいと思います。危険になってしまう。この質問は特別な質問ですよということになるので、この質問に答えるということは危険な質問ですよということになってしまうと思うので、絶対やっては駄目です。

○川上委員 ただ法律でこう決まってしまったので、字句通りに読むと、事業所が例えば、この部分はストレスチェックですと決めたら、それはもう健康診断では一切聴かないと。企業側はそういう分け方をしなければいけないことになってしまうので、それをどう整理できるかは、今の議論のポイントかと思います。

○相澤座長 むしろ渡辺先生は、そういう規制しないほうがいいという考え方ですか。

○渡辺委員 絶対そうです。食欲、睡眠、疲れている、不安、憂うつ、などというのは、一般健診で絶対聴くべきことです。これは健康診断の中で重要な部分だと思います。健診の中でメンタルヘルスだけを特別扱いして分けてしまうのは絶対やってはおかしいと思います。

○黒木委員 だからそれは聞くのは従来どおりでいいと思うのです。ただ今回のストレスチェック制度の趣旨があるので、この項目に関して、例えばそれは 23 項目か、全体のこの項目で袋に入ったものになれば、また、これはこちらの制度で扱うということでよいのではないでしょうか。

○渡辺委員 要するにストレスチェックとして利用してはいけないと、そこをはっきりしておかないといけないと思います。

○黒木委員 はい。

○渡辺委員 あくまでも、健診ということがはっきりしていないといけないと思います。

○産業保健支援室長補佐 今回もストレスチェックを一般健診と一緒にやっていいですよというのは、多分そこは議論がないと思います。あとは医師が身体の健康、心の健康を一緒に把握するべきだというのは、それはそうだと思います。今回、ストレスチェックを分けようとした理由としては、その情報が事業者にそのままいかないようにしなければいけないという論点が一番大きいと思うのです。例えば 23 項目なら 23 項目全部入っている問診票を認めてしまうと、結局その制度上、その情報がそのまま事業者にいっても、そこに制限がなくなってしまうという問題がありますので、心と身体を分けないで健診の中でやるべきだというのは、それは多分やり方次第だと思います。あとは情報の取扱いを特に気にして、どう切り分けるかを御議論いただく必要があるのかなと思っております。

○相澤座長 ストレスチェック全体を入れてしまうとそういうことが起きるので、一部、大事な症状については聴いてもいいという、そういう考え方もあると思います。それではいかがですか。

○渡辺委員 いや、理解できないです。そうすると、非常にプラクティカルな話ですが、 23 項目入っていないかどうかを、企業ごとの問診票をチェックしないといけないです。

○相澤座長 まあ、そうですね。それは決まっていないわけですから。見つかったとき、注意されるのですかね。

○渡辺委員 しかもその 23 項目でなくて、独自のものを作っても良いとなったら入っていても分からないではないですか。

○川上委員 それは個別に労働基準監督官が問診票を見て確認することになるのだと思います。

○産業保健支援室長 一応ストレスチェックとして、心身のストレス反応、仕事のストレス要因、周囲のサポートというものは入れてくださいというようなことは多分、先生方も思っていらっしゃることだと思います。一般的健康診断でそういう仕事のストレス要因、周囲のサポート、こういったものまで一緒に聴くということがあり得るかどうですが。それをセットでやるものはストレスチェックということになるので、その辺りはどうかなということなのです。

○川上委員 厳密に言うと、現在の先進事例で、健康診断の問診で仕事の量的負担や人間関係、あるいはもちろん心身の反応を聞いているケースはあると思います。 57 項目を健康診断の問診票として利用している事業所はありますが、ただそこについては、法律はこう書かれているので余り事業所の裁量というわけにはなかなかいかないかなと、思っているところです。岩崎先生はどのようですか。

○岩崎委員 やはり同時にやるという意味では、要するに問診票の自覚症状の検査というのは法的にはそれに該当すると思いますが、どこまで自覚症状だけを聴いているかというのは実際にございまして、やはりいろいろな意味で、健康を評価して改善につなげるというさまざまな項目が入っているのは事実なのです。例えば、働き方の質問なども問診票の中に入ったりします。出張は何回ぐらいありますかなど、そういうものも入ったりします。それは自覚症状の検査ではないわけですけれども、そういう企業もありますので、そういう意味では 50 何項目のような項目が入っているのは全然不思議ではないのです。問題はその後の処理だと思います。今回、こういう制度が発効するということですので、セットで見たときにストレスチェックに該当する部分に関しては、取扱いを少し変えないと仕方がないのかなと、今の議論を聞いていて思ったところです。そういう意味では先進的にやられている所については若干譲歩しなければいけないような部分も、もしかしたらあるのかなとは思います。

○相澤座長 取扱いを変えなければいけないということですので、 1 セットをそのままやるということは無理でしょうね。それはやめたほうがいいのではないかと思います。それで渡辺先生、よろしいですか。一部はいいと。

○渡辺委員 ただ、それが 1 セットなのか、一部なのかが区別がつかない問題があるわけです。

○相澤座長 どのように具体的になるか分かりませんが、一般健診の問診票とストレスチェックとは分けて書いてもらうのでしょうね。その中に入って、重複するわけですから書く方もちょっとあれですね。

○__ 受診者も 2 回書かなければならない。

○渡辺委員 仕様を分ければ、問診票の中にこういう項目を入れるのは構わないという意味ですか。このストレス反応の所を入れてもいいということですか。

○相澤座長 反応を全部入れると、計算ができてしまう可能性があるわけですから、それは取扱い上は難しくなりますので、 1 セットとしては無理でしょうね。

○渡辺委員 しかし、反応だけでは先ほどのストレスチェックにはならないということですよね。職場の「仕事のストレス因子」と「周囲のサポート」を加えないと、全部のストレスチェックにはならないということでいうと、ストレス反応の所だけであれば、要するに症状ですね。症状だけの所であれば、重なってもいいと思います。というよりも、これを分けるというのは、先ほど言ったように非常に危険があって、こういう症状を答えたら、これ、お前、危険だぞということを世に示すようなことになってしまいます。

○相澤座長 危険というよりも、むしろ労働者の権利を守るためにそういう取扱いをしているわけですよね。

○渡辺委員 ところが逆になります。だからますます正直に答えられなくなってしまう。

○相澤座長 ああ。

○渡辺委員 この質問が特別ですよと。この質問はメンタルの問題ですよと特別扱いをしてしまうわけですから。絶対それはやってはいけないと思います。

○相澤座長 いかがでしょうか。少し意見が分かれたところですので。これは今日、決めなければいけないというか、 2 つの異論があったということでよろしいですか。

○産業保健支援室長 両論ということで、それも結構です。

○相澤座長 それではちょうど時間がまいりました。実はもう 1 つ論点 6 がありますが、今回は時間がありませんので、これは省略させていただきたいと思います。次回の最終回で少し御議論いただければと思いますので、よろしくお願いします。次回の予定について事務局から説明をお願いします。

○産業保健支援室長 次回は前回と本日での御議論、御意見を踏まえ、その辺りを整理して、取りあえず中間的に取りまとめ案を事務局で用意しますので、それに基づいて、また御議論をいただきたいと思います。次回、第 3 回の専門検討会は 7 25 ( ) 午前 10 時からです。場所はこちらではなく、 TKP 虎ノ門会議室カンファレンスルームの 6A です。虎ノ門ヒルズの隣ぐらいのようです。少し駅から遠いかと思いますが、地図は御連絡とともにお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。

○相澤座長 それでは以上で、第 2 回ストレスチェック項目等に関する専門検討会は閉会いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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