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第1回機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等に関する検討会 議事録
日時
平成22年6月2日(水) 13:30~
場所
経済産業省別館1111号室
議事
○安達副主任中央産業安全専門官 ただいまから、第1回「機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等に関する検討会」を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。開会にあたりまして、平野安全衛生部長より一言ご挨拶を申し上げます。
○平野安全衛生部長 安全衛生部長の平野です。委員の皆様方には大変お忙しい中、本検討会の委員としてご参画いただきまして誠にありがとうございます。
働く労働者の安全と健康を確保するということは言うまでもなく、私ども厚生労働行政の重要な課題であります。その中でも労働災害の約3割を占める機械災害を減らしていくことが大きな、あるいは重要な課題となっております。労働安全衛生法令においても、事業者に対して機械の使用現場における危険防止措置の実施、あるいは機械の取扱いにかかる就業制限、教育訓練を実施する。特に危険な機械については構造規格において安全要件を設定するなど、機械ユーザーの事業者への安全規制を中心に、労働災害防止対策を進めています。
また、平成18年に施行された改正労働安全衛生法で、第28条の2という条文ができ、事業者に対してリスクアセスメントに取り組むことについて規定をしたところです。機械メーカーから提供される機械の危険情報を活用し、機械の使用段階でのリスクアセスメントの取組が適切に実施されることが必要であると考えておりますが、現状を見ますと、まだまだ十分な取組がなされていない面もあります。
このため、平成20年度からスタートしております第11次の労働災害防止計画において、機械ユーザーにおけるリスクアセスメントの取組が円滑に行われるよう、機械製造者による残留リスク等の機械の危険情報の提供を促進する制度について検討するとされております。今回は機械安全に詳しい皆様にご参集いただきまして、この検討会を設置したところです。
このような取組については、機械メーカー、機械ユーザー双方による円滑なリスクコミュニケーションを構築する観点から、メーカーとユーザーの委員の皆様からも実態を踏まえたご議論をいただきたいと考えております。厚生労働省といたしましては、今回の議論を踏まえ、機械災害防止対策が充実するよう施策を推進してまいる所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
○安達副主任中央産業安全専門官 第1回ということですので、各委員から簡単に自己紹介をお願いいたします。
○石坂委員 日本機械工業連合会の石坂清です。日本機械工業連合会は、ご承知のとおり機械安全の国際標準の国内審議団体になっておりますので、その役割を果たすとともに、そのミッションの一環として、機械安全の普及実現に努力してまいりました。ここにおられる方も、日機連の各種委員会の委員になっておられる方も多く、そういう意味でここは機械安全を皆さんがより実現するために、統一した意思を持ったメンバーの方々だと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○井上委員 JAMクボタさかいユニオンの井上恒星です。いまは労働組合のほうで従事していますので、その辺から意見ができたらと思います。労働組合ですが、自分の職場としては生産技術ということで、設備関係の仕事も少しだけやっておりますので、その辺からも少しアプローチできたらと思います。よろしくお願いいたします。
○梅崎委員 労働安全衛生総合研究所の梅崎重夫です。私は機械安全の観点からお話できればと思います。よろしくお願いいたします。
○黒澤委員 黒澤豊樹です。私は、現在の委員名簿で労働安全衛生コンサルタント会長ということになっておりますが、実は5月で任期が終りまして、いまは顧問です。6月現在のいまは顧問ということになっておりますのでご承知置きください。よろしくお願いいたします。
○佐藤委員 東京機械の佐藤昌良です。日機連のほうで機械安全マネジメント・システムの石坂委員と共にいろいろと議論を常に重ねているところです。よろしくお願いいたします。
○向殿委員 明治大学の向殿政男です。機械安全、労働安全、それから安全一般について大学で勉強しているというか教えているというか、学生と一緒にやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○高岡委員 旭硝子CSR室の高岡弘幸です。いまは環境安全保安統括グループリーダーをやっておりますが、もともとはエンジニアリング・センターで電気設計をやっておりまして、それから安全の仕事をやって、いまはグループリーダーをやっています。ベースは電気機械の安全、それから労働安全をやっております。本日は機械ユーザーの立場で参加させていただいていると思っております。よろしくお願いいたします。
○畑委員 コマツ産機の畑幸男です。私どもの会社は産業機械、プレス機械の設計・製造販売をやっております。その立場から、現状は品質保証の観点から機械安全を見て進めている最中です。我々の会社としても、いまはユーザーにいかにして情報を伝えるか、包括安全の別表5の情報を、取説だけではなくて、どのようにすれば円滑に伝わるかということを、いま実際にプロジェクトでやっている最中です。今回のと連動して、その辺りがうまく広まればと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 トヨタ自動車安全健康推進部の宮川光雄です。お話をいただいたときに、いま本当に皆様方にご心配をかけておりますので、どうしようかなという感じで悩んだ時期もありましたが、今回の議論のベースになっております包括指針の改正の委員をさせていただいたこともあります。また、いまは地元で労災防止指導員とか、豊田労働基準協会の会員の皆さんに、リスクアセスメントの普及事業のお手伝いをさせていただいておりますので、そういう場での情報、実態をこういう場にフィードバックするのもお務めではないかということで参画させてもらいました。よろしくお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 どうもありがとうございました。私ども事務局のメンバーを紹介させていただきます。冒頭にご挨拶を申し上げました平野安全衛生部長です。田中安全課長です。森戸主任中央産業安全専門官です。戸田中央産業安全専門官です。島崎安全衛生機関検査官です。三原係長です。私は、安全課の安達です、どうぞよろしくお願いいたします。
本検討会の座長を選出するのですが、委員の皆様からご意見を事前にいただきましたところ、学識経験者代表の向殿先生にお願いしてはどうかというお話を伺っているのですけれども、皆さん、いかがでしょうか。
(異議なし)
○安達副主任中央産業安全専門官 ありがとうございます。それでは、向殿先生どうぞよろしくお願いいたします。
○向殿座長 不慣れですけれども、よろしくお願いいたします。機械の包括安全基準の指針から携わっておりましたので、この流れはかなり知っているつもりです。今回の危険情報というか、ある意味では残留リスクの情報をいかにメーカー側からユーザー側へ伝えるかという非常に重要な案件ですので、是非慎重な、そして有益なご審議をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料の確認をさせていただきます。表紙の議事次第の次に資料が5点、参考資料が4点あります。資料1はこの検討会の開催要綱です。資料2は検討会参集者名簿です。資料3は「機械による労働災害発生状況」です。資料4は「機械包括安全指針に基づく機械設備に係る表示制度及び使用上の情報の提供を促進するための制度の検討に関する報告書の概要」です。資料5は「機械の危険情報の提供に関する論点」です。
参考資料1は「第11次労働災害防止計画の抜粋」です。参考資料2は「機械の包括的な安全基準に関する指針」です。参考資料3は「労働安全衛生法における機械安全規制の概要」です。参考資料4は「機械安全規制に係る国際動向」です。
○向殿座長 資料5がいちばん大事そうなので、まず資料1から資料4までを簡単にご説明いただき、ご質問を受けてから本題に入りたいと思います。資料1から資料4までの説明をお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料1は開催要綱、資料2は参集者名簿ですので割愛させていただきます。資料3は機械による労働災害発生状況です。労働災害全体の中で、機械災害や特に建設業の墜落・転落災害が労働災害防止対策上の重点課題として挙げられております。
そのうちの機械災害についてです。左側のグラフは機械災害の推移で、休業4日以上のものです。ここ数年3万件から4万件の災害発生件数で推移しております。赤い折れ線棒は、全災害に対する機械災害の割合ということで、大体全災害の3割から3割弱で推移しています。平成21年度は景気の動向等もあり、災害の全体も減りましたが、機械災害が2万8,073件発生しました。
右側は、平成21年度の労働災害発生状況です。具体的にどういう機械の災害があるかという、機械の種類別の内訳と、そのうちの死亡災害を記載しております。一般動力機械の区分では、食品加工用機械、ロール機。動力運般機ではトラック、フォークリフトが含まれております。
次の頁は、機械災害を具体的に要因分析したもので、これは製造業のものです。休業4日以上の災害を抽出調査をして、詳しく調べた平成19年度の調査です。1番目は、機械災害の事故の型別の動向です。約6割近くが挟まれ・巻き込まれ、15%が切れ・こすれとなっています。挟まれ・巻き込まれという非常にハイリスクの災害が機械災害では特徴的になっております。
2番目は、不安全な状態です。これは、労働者を取り巻く状態に着目した分類です。多いのが防護装置や安全装置の欠陥、こういう装置がないとか不十分だったもの。あるいは作業方法の欠陥の割合が高くなっております。
3番目は、不安全な行動別の動向です。これは労働者の作業行動に着目した分類です。危険な場所への接近、特に動いている機械への接近・接触、あるいは誤まった操作、あとは運転中の機械装置の掃除、給油、修理・点検といった非定常作業によるものもかなり多く発生している状況があります。以上が資料3の機械災害の動向です。
資料4は、昨年度厚生労働省における委託調査として、中央労働災害防止協会で実施した報告書の内容を簡単にまとめたものです。この調査は、機械メーカーやユーザーに対するアンケート調査をはじめとした実態調査を踏まえ、今回の検討に当たっての予備的な検討をしたものです。簡単に概要の説明をさせていただきます。中段に「機械の危険情報提供に係る課題」としていくつか挙げられています。1つ目は、機械災害の状況により、機械自体のリスク低減措置を一層進めることが必要である。先ほどのように、設備の安全装置の欠陥の割合が非常に高いことがわかっております。2つ目は、グローバルスタンダードに比べ、国内の情報提供の必要性が明確でないのではないかという意見もありました。これは、特にEUをはじめとする機械規制においては、こういうメーカー・ユーザーの役割がより明確になっている状況がありました。3つ目は、機械ユーザーからは情報入手のニーズが高い、またリスクアセスメント時の入手が困難であったケースも見られた。
また、ユーザーで発生した機械災害の情報が、メーカーにフィードバックされていないというアンケート調査もありました。このようなことを踏まえ、方向性としては機械ユーザーのリスクアセスメントの取組を促すため、機械の危険情報を提供することが必要ではないか。機械メーカー・ユーザー双方のリスクコミュニケーションを促進することが必要ではないかということが挙げられております。
2頁は、その中で機械の危険情報の提供のあり方をどう考えるかです。機械ユーザーが有効に活用を図れることが必要ということで3つに分類しております。1つは、機械メーカーが提供する情報の内容をどう考えるか。この調査報告書においては残留リスク、危険源のリスト、講じたリスク低減措置、機械に応じた使用方法が必要不可欠ではないかということです。より詳細な情報が必要な場合には、ユーザーが入手に努めることが望ましい。
2つ目は、提供の方法です。ユーザーが有効に活用を図れる観点から、ユーザーで活用されるよう、簡潔かつ明瞭なものが必要ではないか。フォーマットがあるといい。これは化学物質のMSDSのイメージと比較した議論もありました。残留リスクが一覧できるもの、取扱説明書等とは別に1、2枚程度のものというものです。情報作成のあり方として、作成手順の明確化が必要である。情報を作成する人材のあり方、あるいは情報の完成度の検討が必要であるという意見がありました。
3頁は、機械の危険情報の提供を促進するための方策をどう考えるかということでいろいろなアイディアをいただいております。1番目は、機械の危険情報の提供をユーザーに提供することについて法令により促してはどうか。きちんと法令に規定して、より促していくべきではないかという話もありました。
2番目は、メーカーの取組を促進するために次の事項を検討すべきではないか。1つ目は人材の育成、2つ目はメーカー・ユーザー間の機械事故情報の共有、3つ目は機械事故情報のデータベース化、4つ目はインセンティブ方策として表彰制度などがいろいろと検討されました。
3番目は、一方ユーザーが取り組むべき事項として何があるかということで、メーカーへの機械使用条件等の提供、メーカーに対する情報提供を要求すること、機械稼働後に判明したリスクをメーカーにフィードバックしていくことがユーザーの役割として考えられるのではないか。
4頁は、以上のことをポンチ絵にまとめたものです。上段のメーカーと下段の機械ユーザーの両者を矢印がお互い双方を向いていますが、こういうリスクコミュニケーションを促進することが必要ではないかということです。
5頁は、この報告書の中でアンケート調査を実施していますが、その中からいくつかピックアップしたものを記載しております。機械メーカーの動向ということで、1つ目は機械包括安全指針の認知度はどうなっているかということで、平成17年度に同種の調査をしたものと比較しています。平成17年度は62%だったものが、平成21年度は84%。一方で機械のリスクアセスメントの実施状況はどうかということで、57%から74%。このように着実に普及は進んでいる状況が窺えます。
下段は機械ユーザーにおける状況です。機械ユーザーに対して残留リスク情報を受け取っていますかということでは8%と非常に低い割合ですが、これはメーカーが渡したとしても、受け取ったと認識していないものも含まれていると読み取れます。残留リスク情報は今後必要ですかということについては、多くのユーザーがそれを希望しています。機械ユーザーについては、現在リスクアセスメントを実施していないユーザーについても、6割強が残留リスク情報を要望していることも、アンケートの中から窺えます。
6頁は、機械メーカーによる機械のリスク情報をどうやってユーザーに提供しているかです。いろいろな方法で提供していますということで、機械への警告ラベル、取扱説明書というのをかなり多くの所で提供しています。一方でユーザーの認識は先ほどの調査では少し違っていてギャップが見られるところもあります。5番目のところに、残留リスク情報リストなどの文書、個別にこういうリストでお渡しするというのが約13%です。
7頁は、機械災害発生時の情報共有状況です。機械ユーザーの現場で発生した機械災害情報を、その機械メーカーに通知をしているかどうかを聞いたところ、通知の状況としては、通知することもあるが38%、ほとんど通知しているが12%。一方で約3割のユーザーが通報はしていないという回答でした。
一方で、ユーザーから事故情報を受け取った場合に、メーカーではどのように活用していますかというのが右の図です。類似機械の安全対策、機械の改修・改善、次期開発機種の設計のところにかなり高い割合で活用されています。そういう意味で、フィードバックされた情報が、機械メーカーにとっては有効に設計・製造段階で活用されていることが窺えます。
以上です。
○向殿座長 ただいまの資料1から資料4で、大事なのは資料3と資料4だと思いますが、ご質問等がありましたらお願いいたします。
○井上委員 ものすごい前段の話になるかと思うのですが、機械による労働災害発生状況の資料をいただいて、ものすごく災害を減らさなければいけないという目的はよくわかります。
今回の内容については、機械メーカーから、こんなリスクがありますということを提言するための会議かと思っています。この中にそういう今回の目的というか、そのリスクを伝えなかったことによる災害の状況の数字はつかんでいますか。全体的には多いのですけれども、その中でそれが不備によることということなのか。
○向殿座長 それは、梅崎さんがいちばん詳しいと思います。梅崎さんが昔の研究所の報告で、この情報を出した、出さないでどのぐらい死亡率が下がったかという統計を取ったことがありますね。
○梅崎委員 情報伝達の不具合ということで、当研究所で平成20年頃に調査をして、「労働安全衛生研究誌」という論文集に公表したことがあります。それによると6割近くは何らかの情報伝達の不具合があります。本来伝えるべきものも伝えなかったり、間違った情報を伝えてしまったりということがあります。極端な例になると、鉄鋼現場のような広い所ではすぐ現場には行けないです。そうすると連絡調整なしで勢いでやってしまおうということがあったりといろいろな事例があります。
○向殿座長 国際的には、そういう危険情報とか残留リスクを伝えるのが標準になっています。日本ではそれがあまりされていなかったというので、これをちゃんとやることによって相当労働災害は減るだろうという予想がありますので、是非残留リスクというか危険情報の伝達をしていただきたいと思います。逆に言うと、フィードバックで、新しいものが見つかったらユーザーからメーカー側へ連絡し、お互いにリスクコミュニケーションをすることにより、リスクや災害を減らそうというのが目的だと考えています。
○石坂委員 これは、なかなか回答は難しいと思いますが、資料3の2頁の1番のところで、挟まれ、巻き込まれが57%になっています。これは、中災防のいろいろな資料で、挟まれ、巻き込まれ事故の事例で原因を調べたときのいくつかの中に、安全対策が施されているにもかかわらず、防護装置やプライマリープロテクションとしてのロックなどは面倒くさいので外して、それで事故があった例が結構載っていました。この57%のうち、そういう安全対策が施されたにもかかわらず、それは邪魔だとして、それを外すなりして作業をした結果こういう事故が起こったというのも中にはあります。そういうものは数字的につかめるのですか。
○安達副主任中央産業安全専門官 こちらの資料のベースになっているのが、事故が発生したときに事業場にて作成して提出された労働者死傷病報告書を分析する形になります。いまのように、あったけれども外したというところまでの記載はおそらくないと思いますので、少しスポット的に掘り下げないと、どのくらいの割合かという数字は分からないと思います。
○宮川委員 資料4の5頁で、今回の重要な背景になった統計として、アンケート結果の要点が書いてあります。ここの下段の機械ユーザーにおける現状と今後の要望というところにこのデータが出ているのですが、このデータをどう見るかというところがちょっとあります。
メーカーが回答したところでイメージを想像すると、いろいろな中小企業からたくさんのあれがあって、たぶん中小企業ではしょっちゅう機械設備を買い替えるわけではないと思います。昔の残留リスクなど知らないようなものをイメージしながら回答した話なのか。だけど残留リスクはそこではわからないけれども、コーションプレゼントがあったときに、その安全の検証はやっているのか、やっていないのか。ここのところを検証しておかないと、今回の議論の方向が変な方向に行ってしまうのではないかと思っています。
さらに言うと、機械の安全水準の決定者は誰かと聞いたら、結構メーカーだと答えているのです。3項の回答の、協議して決定するというのは意味がよくわからないのです。あるいは、リスクアセスメントの実施率をみとるとメーカー、ユーザーに比べると、悪いけれどもユーザーのほうの実施率が低いということになります。
情報もあるのだろうけれども、本当に与えられた機械をちゃんと責任を持って従業員に与えることがきちんとやられているのだろうか。言うならばリスクアセスメントをして、リスクベースドアプローチがされているのだろうかと、このデータをいただいてここにものすごく大きな危機感を感じました。そのために、メーカーとユーザーがコミュニケーションを密にして、ユーザーの立場から言えば、安全な機械をより安く、より早くですよね。メーカーの立場としては、ユーザーに喜んでいただける機械を提供したいというところには何ら異論はなくて、そういう議論をしていかなければいけない。
そのためにも、なぜこういう状況になったかというところをきちんと把握しておかないと、情報は出したけれども結果的に使われなくなってしまうということです。当検討会の狙いである機械のリスク低減に一層の促進ということについての寄与度というのはいかほどのものかという危惧があるということです。
○高岡委員 私も、同じ5頁でかなり違和感があったのは、機械メーカーで、機械のリスクアセスメントを実施しているのが74%あります。残留リスクの情報を受け取った機械ユーザーが8%しかない。機械のリスクアセスメントを実施しているけれども、ユーザーに渡していないのか、あるいは宮川さんがおっしゃったように受け取っているのだけれども、それを残留リスク情報だと認識していないのか、いろいろな見方があると思うのです。
もう1つは右上の調査対象なのですが、機械メーカー、ユーザーそれぞれ2,000社に送付していて、回収がわずか270とか280しかできていないことから考えると、ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、機械メーカーの中で、機械のリスクアセスメントを実施しているような、非常に先進的な会社は回答しているけれども、「いやー、俺の所はやっていないわ」という所は回答できないような状況になっているのかと思うのです。わずか10数パーセントの回収率の中で、このアンケートをまとめるのは非常に危険ではないかと思います。
○佐藤委員 私も全く高岡委員と同じです。この回答率が低くて、メーカーで13%、ユーザーで14%ぐらい掛ける0.74ですからかなり低いのではないかということです。本当はもう少し掘り下げたアンケートだと、追跡調査ではないのですが、本当に良い所だけの回答ではないのかというおそれもなくはないのです。課題ではあるかなと思います。
○畑委員 ユーザーとメーカーの認識の違いは非常に大きいと思います。やはり、ここには残留リスクの情報として、ユーザーがきちんと認識できるような示し方の方策が何か必要ではないかということで、この辺りの溝が埋まることを考えていかないといけないのではないかと思います。
○宮川委員 資料4の最初の機械の危険情報提供に係る課題の欄の2つ目の○のところに、グローバルスタンダードに比べ、国内の云々と書いてあります。この言葉としては何の異論はないのですけれども、ただグローバルスタンダードというのは、機械安全はメーカーの責任だというコモンセンスの国・地域のスタンダードだと思うのです。日本は、そこも含めてユーザーの責任だというコモンセンスの国である、法律も含めてです。ここのところはきちんと整理した上で、それでは機械のメーカーがやるリスクアセスメント、ユーザーがやるリスクアセスメントの違いを明確にしておかないと、特にユーザーが発注するような設備では、同じ設備に対してメーカーがやり、ユーザーがやるというのは無駄ではないかという話になってしまう。これは違うと思うのです。
メーカーがやるのは対象範囲も、リスクアセスメントの対象も違います。製造から廃却まですべての段階が対象です。ユーザーはそのうちのひと握りのところをやるわけです。この違い、それぞれの役割、責務を明確にした上で、だからこういう情報が必要なのだねという話をしていかないと、先ほど言った活用もうまくいかないのではないか。だから、議論の前提としてメーカー、ユーザーの役割、責務を明確にして必要があると思います。
○向殿座長 わかりました。
○井上委員 いまのところのつながりが出てくるのかと思うのですが、機械災害の中で、免許というか資格が必要な機械とそうでない機械とあると思うのです。例えばクレーンであれば当然資格が要ります。そういう内容との区別。免許であれば、その免許を取る際に教育等があった上で災害が発生していることもたぶん出てくると思うのです。当然今回のリスクの情報を伝えることに対しては全く異論はないのですけれども、違うアプローチとして、災害を減らすという内容は、機械側のリスクアセスメントにおいてリスクを減らしていくことは当然やっていかなければいけないことなのですけれども、使用する人間がそれなりのレベルにないと使えませんというところは必要ではないのかという感じがしています。
ちょっと恥ずかしい話なのですけれども、うちの会社でカッターナイフで指を切った災害がありました。それから一時期カッターナイフは使用禁止みたいな話がありました。そういうことになるのもちょっとおかしな話かと思いますので、当然今回の話はそのまま続けていく必要があると思うのです。やはり、人との対応が重要なことなのではないかと思います。
○向殿座長 いろいろなご意見が出まして、これだと大事なところへなかなか進みません。要約してみると、確かにユーザーにも責任があってやるべきことはやりなさいと。ある意味では免許があったり、レベルはあるはずだと。それからメーカー側のリスクアセスメント、ユーザー側のリスクアセスメントは違う。特に日本はユーザーとメーカーがかなり一緒になっていろいろなことをやっているという、グローバルスタンダードから言うと違った面もありますということです。
その中で機械情報と危険情報の提供ということは、ある意味ではちゃんとユーザーにわかるように、ここに残留リスクがありますということがはっきりわかる。ユーザーはそれをちゃんと意識して、ある面で受け取って、自分の責任で危ない機械をちゃんと制御する。そういう意味では危険情報をメーカーがユーザーにちゃんと伝えるという意味では非常に有益で、これをどううまく使うかというのはユーザー側の問題もあるし、それを受け取ったメーカー側にもある。
そういう状況の中で、今回の危険情報の提供というのを、はっきりと明確にするというのが、全体の災害を減らすもとになるのではないかと解釈しましょう。これを踏まえて次にどうするかというのは当然あるはずですけれども、ある意味では危ない所というか、危険な所をメーカーがユーザーにちゃんと出す、明らかにする、情報公開、開示するのは非常に重要だということで、今回のこの検討会の内容を求めていきたいと思います。
○石坂委員 先ほど宮川さんが言ったことに関連して、これは念押しするようなものなのですけれども、参考資料4で、各国の国際の安全に対する規制というか、守らせる枠組みが比較されております。いちばん左に欧州の機械指令があります。欧州ではEUの統合を機に、同じようなレベルで機械を充実させる。要するに、安全を守らない機械、安価な機械がはびこって、真面目にやっている所の機械が割りを食うことのないようにということから、こういう公平性のために機械指令というのが、それだけではありませんが出された面があります。どちらかというと、世界の中では異質で、どちらかというと労働安全、アメリカ型というのが、日本も含めて主体になっています。
そのEUが国際標準に非常に影響力を持ってくるので、この機械指令の整合比較である12100がなった。だけど日本では、EUのように流通側、機械提供側のほうの枠組みとして考えるのではなくて、やはり日本の労働安全衛生法はアメリカと同じような枠組みですから、そういう中でどのようにやるのが、この法規制という観点から来たときに、より合理的に全体がうまくいくかという点はよく考えておく必要があるのではないかという点を思っています。
○宮川委員 この検討会の対象が機械の危険情報となっているので確認しておきたいのですけれども、これは機械の危険情報の提供ではないと思うのです。危険かどうかというのは判断した後です。ユーザーの立場でいうと、法的な責任も含めてユーザーは負わされるわけです。要するに危険ゼロというのはあり得ない、すべて危険なわけですから、許容できるかどうかということを判断するためのリスクアセスメントは基本的にユーザーに負わされているわけです。
残留リスクというのは、物理的に言うと防護方策で低減できなかったリスクというのでしょうけれども、マネジメントからいったら、許容したリスクなのです。これも言葉尻かもしれませんけれども、許容可能というのは、メーカーには許されるのでしょうけれども、ユーザーには許されないと思うのです、許容したリスクなのです。メーカーから許容可能なリスクです、どうですかと言われて、自分の職場に合わせて適合するか否かを判断して、許容したのだというところなのではないですか。だから、危険とか残留リスクというのではなくて、ユーザーがきちんとリスクアセスメントをやれる情報提供が必要と思うのです。
○石坂委員 宮川委員がおっしゃることはわかるのですが、要するにユーザー側、労働者の安全を守る側がそれをやるときに、よりそれが合理的に、よりやりやすいようにもっと良いアシストを考えようではないかという趣旨だと私は理解しました。
○向殿座長 そういう認識でいきたいと思います。危険情報という言葉尻を捉えてもしようがないのです。それから法制度というのは、ある意味では制度設計の問題で、日本とヨーロッパとアメリカはどう違うか。国の成り立ちも違いますので、日本は日本なりの中で考えていくというのも当然の話で、前提条件として進めていきたいと思います。
本日の本題が資料5になります。パート1、1頁の1「機械の危険情報の提供のあり方について」。この中に(1)(2)(3)(4)とあります。そして4頁の2「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」の2つに分かれています。もし時間があれば2のほうにもいきますが、本日は1に集中して議論させていただきます。1の中にも4つのテーマがありますので、一つひとつ議論していきたいと思いますので説明をお願いいたします。
○森戸主任中央産業安全専門官 本検討会の論点について、資料5に基づいて説明させていただきます。本検討会の目的は、資料1の開催要綱にもありますが、機械使用事業場におけるリスクアセスメント等の取組を促進し、機械災害の防止を図るということです。そのための、機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方を検討する。そして制度化を図ろうというものです。
1に書いてありますように、日本においては労働安全衛生法第28条の2に基づき、機械のユーザーがリスクアセスメントを実施し、そしてそのリスクに応じて低減するための対策を講ずることとされています。これを前提の下に、メーカーから提供される機械危険情報はどうあるべきかということについてご議論いただきたいと思います。
論点について順番にご説明申し上げます。資料においては、論点を提示し、その次に論点の参考になる事項を示す構成になっております。1番は、機械メーカーが機械ユーザーに、機械の危険情報を提供することは、機械ユーザーにとってどのように効果的又は有効なものであるのか。また、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に必要な情報とは何かということです。これに関して委託調査においては、参考1にあるように、アとして機械災害の割合が全労働災害の3割を占めており、重篤な災害ほど防護措置、安全装置の欠陥から生じていると指摘し、機械の安全方策がユーザーの段階で十分でないとしているところです。
イとして、機械の残留リスクの提供を求めるユーザーの例が高いと指摘しております。これは資料4の5頁のアンケート結果のとおりです。ウでは国際的な動向として、残留リスク等の使用上の情報の提供を行うこととされていると指摘し、エとして残留リスク等の使用上の情報を提供することを促進することが必要であるとしているところです。
参考2は、国際的な動向を踏まえて策定された、機械の包括的な安全基準に関する指針において、機械メーカーから、機械ユーザーに提供すべきとされている使用上の情報を示しております。
参考3で、委託調査においては、機械ユーザーがリスクアセスメントを効果的に活用するためには、使用上の情報のうち、[1]機械の意図する使用の目的と方法、合理的に予見可能な誤使用及び禁止する使用方法等の情報。[2]危険源のリストと、危険源に対して講じたリスク低減措置、保護方策(ただし[3]の対象となる危険源に限る)。[3]残留リスク情報。ここで残留リスクとは、保護方策を講じた後に残るリスクをいう。この3つの情報が提供される必要
があるとされています。
1番目の論点では、提供される情報について[1][2][3]でよいのか、あるいはこのうち制度として必要のないものはないのか、逆にさらに付け加える必要があるものはないのかについてご意見をいただければと考えております。
2番目の論点は、残留リスクなどの機械の危険情報は、どのように機械ユーザーに提供すべきかです。これに関して委託調査では、情報の提供はユーザーが活用しやすいように、フォーマットを定め、簡潔かつ明瞭なものとすることが必要であるとし、アとして化学物質のMSDSでは必要な情報の項目を定め、明瞭な情報提供がなされており、同様な取組とすべきである。イとして、残留リスクについては当該機械の残留リスクが簡潔に一覧できるものが使いやすい。ウとして、機械の包括安全指針に基づき、一連の使用上の情報を作成し、そのすべてを取扱説明書等に盛り込むことも必要であるが、それとは別に統一的な情報提供がなされるべきである。エとして、機械メーカーは警告ラベルや取扱説明書で、残留リスクを提供しているとするが、機械ユーザーは残留リスクの提供を受けていないとするものが多い。
警告ラベルにより提供される危険源があるものについて、どのような危害が、どのようなときに発生するか、どのような対応が必要かを文書により別途示すことが有効であると指摘しています。なお、これについては資料4の6頁にありますように、メーカーとしてはラベルや取説で提供しているということです。ただし、資料4の5頁のように、ユーザーとしては受け取っていないというように認識に食い違いがあるということです。ここでは、提供の方法についてご意見をいただきたいと考えております。
3番目の論点は、機械の危険情報のうち、残留リスク情報として必要な項目は何かです。残留リスクの情報については、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に非常に重要なものとなります。残留リスクの情報を正確に伝えるためには、アとして、リスクが生じるときの機械に関係する作業の態様。一例として設置・運搬中、運転中、保守・点検中、修理中、合理的に予見可能な誤使用中、廃棄といったものが考えられます。イとして、リスクの種類として刃部への接触による切断、稼働部への接触による撃突され、回転部への接触による巻き込まれ、充電部への接触による感電、高熱部への接触による火傷。ウとして、リスクが生じる箇所又は範囲、例として刃の稼働部や充電部等の特定。エとして、リスクの程度として死亡災害のおそれ、あるいは障害が残るおそれ、医者の治療が必要な程度、あるいはすり傷程度。こういう項目が考えられると思いますが、これがすべて必要なのか、あるいはリスクアセスメントを考えるとある程度絞ったほうがよいのか、そういうことについてもご意見をいただければと考えております。なお、リスクの種類については、危険源としてJISに定められているものを考慮する必要があるのではないかと考えているところです。
なお参考に記しておりますけれども、委託調査においては、機械ユーザーが実施する作業については必要であるが、機械ユーザー以外が行う、例えば機械メーカーが実施することとされている修理作業などは必要ないのではないかという指摘がなされているところです。
4番目の論点は、機械の危険情報が提供されるべき機械はどのようなものか。すべての機械に必要であるのか、仮に残留リスクがない場合には、残留リスクはないとする文書が必要かということです。これに関して委託調査においては、情報提供の対象となる機械は、すべての機械を対象とすることが適当であると指摘されております。この点についても、すべての機械を対象とするかどうかについてご意見をいただければと考えております。
2は「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」です。これは提供制度が設けられたとして、これが運用されるために国はどのような施策を講じることが適切かという観点です。ここでは論点を3点示しております。1番目は、機械メーカーが機械の危険情報を適切に作成・提供するために、必要な支援としてはどのようなものが考えられるか。特に中小機械メーカーに対し、必要な支援としては何があるか。2番目は、機械ユーザーに求められる取組、必要な支援としては何があるか。3番目は、想定していないリスクにより、機械災害が発生した場合に、そのリスクを機械メーカーにフィードバックする仕組みが必要ではないか。これに関してもご意見をいただければと考えております。説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○向殿座長 いまの説明にご質問等があろうかと思いますが、一つひとつやっていきたいと思います。1の「危険情報の提供のあり方」と、2の「提供制度の効果的な運用について」の2つがあります。1の提供のあり方で、(1)は内容です。使用上の情報に相当する危険情報を提供することは、ユーザーにとってどのような効果、有効なものであるか。また、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に必要な情報とは何かという話です。この結論は2頁にあるように、使用上の情報としては大きく[1][2][3]と3つ提案されていますけれども、ご意見、ご提案がありましたらお願いいたします。
○高岡委員 危険情報の提供というのは、機械ユーザーがリスクアセスメントをするために必要な情報というのは全然問題はないと思います。参考3で、どういう危険情報、あるいは使用上の情報を提供すべきかのところで、[1]機械の意図する使用の方法、合理的予見可能な誤使用及び禁止する使用方法の情報というのは、現在ではたぶん取扱説明書であるとか、警告ラベルで十分ではないかもしれませんけれども、一応は提供されていると思います。
[2]危険源のリストと、危険源に対して講じたリスクの低減措置、これは非常に必要な情報ではないかと思うのです。その括弧で、[3]の対象となる危険源に限ると書いてあります。[3]は残留リスク情報です。ですから、残留リスクがまだ残っている危険源に対する情報だけでいいよという具合に書いてあります。
でもどこかに、機械のメーカーが修理する場合、保全をする場合には要らないのではないかという議論がありました。メーカーが修理をする、保全をするのか、ユーザーが保全をするのかというのは機械によっても違いますし、ユーザーの規模によっても違うと思います。
そうすると、[3]の対象となる危険源に限るというのは非常に危険なのではないかと思っております。
やはり、危険源のリストというのは、すべての危険源は例えばカバーがかかっているとしてもここにチェーンがあるとか、あるいは3.7キロのモーターがあるという情報というのは非常に必要なのではないかという具合に思いました。それは、そのカバーを外したときに、危険がむき出しになるということで必要なのではないかと思うのです。
○宮川委員 いまの[3]の情報については高岡さんの言うとおりです。結局メーカーが予見し得ない事態だって起きるわけですから、そのときにはとにかく危険源を遮断してやらなければいけない。ですから危険源リストについては、危険源リストと遮断、停止の情報は必須だと思います。これをやっておかないと。
○向殿座長 ちゃんと手当てをして残留リスクがなくなったからいいと思ってはいかんと。カバーの中にそういうものがあり得るからという意味ですね。
○宮川委員 はい。だから10年に1回の作業が明日あるかもしれませんので、これは絶対に要ります。参考1のエのところに、残留リスク等の使用上の情報提供を促すことが必要であるということですから、包括指針の別表5で、こういう情報を提供しましょう規定してあり、残留リスクもその中の項目に入っています。なぜ当検討会ウに残留リスクだけが出てきたのか、ここが非常に不可解なところであります。
先ほども言いましたように、使用者がやるのは、どういう前提条件で設計されたのか。自分の職場環境に対して、労働環境とか、物的な環境といろいろ含めて適合するのかどうするのか。メーカーがやったリスクアセスメントは妥当だったのか。自分たちの職場環境でやって妥当なのか。そこでユーザーとして残留リスクを決めるのです。あくまでもこの残留リスクというのは、このトーンからいくと、メーカーが使用可能と思った残留リスクという話なのです。だからこれを決めようとすると、やはり別表5に相当するような情報は要るのです。これがないとユーザーは困るし、安衛法第28条の2の調査をやれと言ったらこれはやれないのです。参考3の3つの情報と言われたらです。
○向殿座長 当然引っかかってしまう。
○宮川委員 それはあります。
○向殿座長 いまのお話の参考1のエの促すことというのは、あまりやっていない所が多いからちゃんとやれという意味だと解釈します。これはたぶんそうですね。
○宮川委員 別表5の使用上の情報でやろうと。
○向殿座長 それだけ言えばいい話なのです。
○黒澤委員 私は、初めてこの検討会に入ったのですけれども、疑問に思っていることは「残留リスク」という言葉に非常に違和感を感じております。なぜ感じたかというと、「リスク」という言葉は危険ということばかりではないのです。機会、チャンスということも入っているのです。リスクというのはまだ未知の、これから起こる事象のことを言っているのです。
リスクという言葉は本来、実は危険ということばかりではないのです。チャンスということも入っているのです。リスクというのはまだ未知の、これから起こる事象のことを言っている。ここでは残留リスクを危険なことと考えているので、残留リスクという表現を使うと、我々理系の人間ならわかるのですが、普通の人たち、法文系の人たちはリスクに対して別の意味を取っていて解釈が違うのです。危険な情報をリスクと位置づけているものですから、 この辺は我々は非常に誤解を受けているのだと思います。リスクというのは本来、未知でこれから何が起こるかわからないということなのです。危険が起こるかもしれない、あるいはチャンスが起こるかもしれない、どっちかわからないというのがリスクなのです。本来はね。
ですからリスク情報と言ってしまうと、どちらでもあるのですが、残留リスクという言葉を 使うと、実は危険という意味合いが非常に濃厚になります。たぶんメーカーにとって、こう表示すると営業上差し障りがある。これはいろいろな問題が絡んでいるのですが、理系の我々は危険情報というふうに理解していますけれども、一般の文系の人たちの世界では、リスクという言葉が多様に使われて解釈が曖昧になり、危険ということを強調した表現になったりしている。これが私は困ったことだなと思っています。
実はこのことが、メーカーがリスク情報を提供するときに法的な問題を懸念しているのではないかと、私は考えています。要するに将来訴訟が起こったときに、「危険なものがまだ残っていますよ」ということを残留リスクと言う表現では、そういう誤解を受ける恐れがあることを言っているわけです。この機械にはまだ危険な要素が残っていますよということを開示するということです。それが将来、何か訴訟が起こったときに、その証拠にされる可能性が非常にあるのです。これは私がほかの団体で法文系の方々とお話をして痛切に感じました。理系の人たちの世界ではあまり感じないし、当然のこととして理解していたのですが、弁護士とか法曹関係の方々とお話をしていると、そのことを痛切に感じさせられました。
だから残留リスクという言葉は、私は適当な用語ではないと思いますが、現在、普段にリ スクアセスメントの世界で使われていますから、この言葉をもう少し別の意味合いに表現を変えて使ったほうがいい。例えば「安全遺留情報」「非顕在安全情報」という形です。要するに、まだちょっと残っているかもしれないという意味合いで使うならいいのですが、リスクという言葉は非常に幅があって、そういう解釈がなされてしまう。そういうことでちょっと違和感を感じていたのです。ここでは理系の人たちが、大体そういう解釈でやっていますから、ここに書いてあるように「残留リスクとは保護方策を講じ、あとに残るリスク」と定義していますね。そういう意味合いで使うならいいのですが、一般の人たちの理解や取り上げ方は違うということだけ指摘しておきたいと思います。
○向殿座長 わかりました。そういう現実があるのは大体、常識的になっていて、我々の場合は、残留リスクが明らかに危険情報という意味であると理解しています。
○黒澤委員 リスクが顕在化するとハザードになる。危険源という情報を提供するのはわかるのですが、リスク情報を提供すると言うと、何かよくわからないことを提供することです。
○向殿座長 細々なことを話してもしようがないのですが、大事なことは。
○黒澤委員 こんなことを言ってはいけないかなと思ったのですが、問題提起としてあえて言わして貰いました。
○向殿座長 わかりました。状況はよくわかっています。あえてここでやっていることで大事なことは、絶対安全はなくて必ず残留リスクがあるのだということを、メーカー側がちゃんと提供することが非常に重要で、これが法律問題とか裁判問題になったときに、危険なことがわかって出したメーカーはけしからんと言って。負けるかという話になったときに、100%完璧なものはありませんということをまず我々が認識して出しているので、あとは裁判官に判断してもらうしかないということです。
○黒澤委員 そこでもう1つ、免責の問題が関わるのです。よろしいですか。
○向殿座長 それは制度設計のところに絡みますので、畑さん、どうぞ。
○畑委員 私も先ほどの高岡さんのお話と一緒なのですが、危険源に限る残留リスク情報とありますけれども、残留リスクの定義みたいなものを明確にしないといけない。要するにリスクを低減した後も、それを安全維持管理するところまで含めて残留リスクとして見ないといけないので、このあたりの定義をもう一度見直して、定期的な交換も含めているのです。危険にある所のカバーを外してはいけないという、[1]の意図する使用の話とか、そこらが全部絡んでくるのです。そのあたりをどうしていくか。
○向殿座長 いまの黒澤委員の話と似たところがありますが、ここで大事なことは、残留リスクの定義というのは、保護策をやった後にも残ったリスクという定義になっているわけですが、いま言われたのは、その後のこともちゃんと広く考えたほうがよろしいということですね。
○石坂委員 これは、いまここで結論を出すというのではなく、この後のテーマの伏線として申し上げておくということですが、いま対象としている機械というのは主に製造現場等で使われる機械で、B to Bの契約で納める機械です。一般消費者に出す機械ではない。それから、いま出た法的な責任、訴訟問題ということもあるのですが、もう1つは情報提供するときに、機械の本質的なノウハウというか設計の技術情報が流出しないかという懸念を、これもリスクの1つとしてメーカーは持っているわけです。そういうことも押さえながらいかないと、うまく回っていかないだろうと思います。
残留リスクがあるところの危険源リストと言ったときに、そのリスク低減方策で、要するに付加的な保護方策については、あまり問題ないと思いますが、本質安全設計のところまで立ち返ったことにおいて、その情報までよこせということになると、まさにそれは機械が持つ本来の機能と一体のところの設計方策ですから、そこまで開示しろと言うと、メーカーとしてはそれは困るとなります。そうなると、そこをあえてユーザーが必要だとすれば守秘義務をお互いにやって、それを必ず守るという中で、どうしても必要なら教えましょうということもあるわけです。だから無条件で、それは開示しなければいけないということになると、おそらくメーカーとしては用心して、それは答えられないということになっていくのではないか。そういうことも、この[2]の危険源に対して講じたリスク低減措置の中身をどこまでやるかで、無条件にあらゆる措置を開示しなければいけないというのは、なかなか難しいのではないかと思います。それが本当に、そこまでユーザーのリスクアセスメントに必要かどうか。これは現場で努力されている宮川さんの意見もお聞きしたいのですが、そういうふうに思っています。この段階では結論が出る話ではないですね。
○佐藤委員 結局、いまのそういう話は機械の契約上の問題なのです。そこできっちり、どこまでできるかということに絡んでくるので、そこまでいかないと、どこまで情報を出すか出さないかというのは、契約上、きっちりそれぞれが個別に契約しておくべき話です。特に大きな機械になればなるほど、そういう問題が大きいと思います。その辺の議論も進めていく必要があります。
○森戸中央産業安全専門官 私どもとしては制度化というのを考えているので、少なくともこれは出してもらいたい。ですからメーカーはメーカー同士、それはいろいろな契約の中で、どこまで求めるのかということはあり得ると思っていますが、私どもとしては、制度としてユーザーがリスクアセスメントをできるように、リスクが実際にはわからないという中小の企業もありますので、そこがきちっとリスクアセスメントができることを、視点として考え
ているということです。
○向殿座長 具体的なものになった場合は、契約という問題が入ってきて当然だと考えていいわけですね。
○宮川委員 機密の問題ですが、誰かのコメントにもありましたけれども、文章云々というより、もう既にユーザーの目の前に機械があり、分解して情報を入手しようとすれば容易に行える。これは別の問題ではないだろうか。だからリスクアセスメントの情報提供とかはあまり関係ないのではないでしょうか。
もう1つ、本質安全の話ですが、要するに防護方策によらない本質安全は、逆にメーカーがアピールする材料なのです。前提条件として設計段階、構想段階でやって、防護方策によらないような仕様にしましたと、そこからリスクアセスメントがスタートするのです。そこの努力が評価されなければ、逆に言えばメーカーは報われないのです。だから、これは是非出すべきだと思います。そこの評価をどうするかが本質安全の推進に非常に重要だと思います。
○石坂委員 そういう論旨はそのとおりだと思いますが、皆さんがそれを納得しなければしようがないので、納得性があるかというところも、この制度を運用するときには考慮していかなければいけないと思います。
○宮川委員 そういうことをできるように、どう情報提供していくか、活用していくか、それを議論すべきではないかという気がします。
○石坂委員 結論を言うようですけれども、いま森戸さんがおっしゃったように、この程度は誰が見ても出すべき情報だというのと、そうでなくて、より突っ込んでやる情報と、そういうことを例えば2段方式でやるとか、いろいろな工夫をこれから、こういう制度の中で考えていく必要があるのではないかという伏線です。
○向殿座長 大枠はこれでいいけれども、大事なことだったねみたいな話が起きるかもしれない。
○宮川委員 念押しで、別表5の情報だと私は思いますので、そこだけは是非、ご検討いただきたいと思います。残留リスクが必要条件であり、十分ではないということ。
○向殿座長 私に言わせると、本質安全設計したのなら初めから危険源はないということだから、要するにハザード、残留リスクもなくなっているのではないかと。ほかに何か。
○梅崎委員 いまのお話がいちばん重要だと思いますが、それに付け足す話として、誰が結局担うかと言ったときに、例えばA社が機械を造りましたと、そのA社が今までの日本の社会慣行からすればメンテナンスもやっていたわけです。ところが、今は入札にかけろと、 ともかくいちばん安い所にやらせればいいのだという、例えばエレベーターを例にすると、 入札で落としたB社では設備の中身がわからないこともあります。そうしたときに、B社でメンテナンスをやったときの事故が現実に起こってきています。、確かに労働安全衛生法の最低基準ということで言えば、必要不可欠なものを[1][2][3]に絞ることはやむを得ないのかもしれませんが、いまみたいな状況を想定したときに、[3]の対象となる危険源に限るというのは、ちょっと疑問がある。そこだけは、いま問題となっている話なので懸念します。
○向殿座長 エレベーターに関しては、保守情報のために全部出せと法律が変わりましたね。
○石坂委員 これは中災防の委託調査の中では言及されなかったのですが、常に新しい製品をメーカーから購入すること以外に、ほかの所の中古とは言わないけれど、導入したりということも結構世の中は多いのです。あるいは外国の機械を代理店を通じて購入したとか、そういう国内のメーカーが直接、国内ユーザーに機械を提供する形以外で、持ち込まれる機械のリスク情報はどうするのかも、この枠組みでは議論されないかもしれませんが、重要なことではないか。労働安全衛生法の中で、別表1は別として別表2のほうは、要するに新規設備の導入のメーカーの問題ではなく、中古だろうが何だろうが、機械を受け入れて設置してはいけないというルールになっています。そういう別なルートのリスク情報というのもあると思います。
○向殿座長 これは例えば法律に入ったとすると、それは日本で流通するものはこうでなければいけない、外国から来る場合もちゃんとリスク情報がないといけないとなるでしょう、きっと。
○石坂委員 それは制度設計による。
○向殿座長 制度設計によりますけど、たぶんそういうことになる。そういう意味では、ある意味でいい方向に向かう可能性がある。
○宮川委員 いま梅崎さんが言われたことで思い出したのですが、機械の製造から廃却の段階というのは複数の事業者が関わる。すべてが事業者であり、28条の2が適用されるのですよね。運搬の事業者ににしても28条の2が適用される。修理業者はもちろん適用される。
設置調整業者も適用される。廃棄業者も適用される。それを使って製品を造る使用者も適用されるということで、全部の事業者を含めて使用者です。たぶんそういうことでしょう。
○向殿座長 関連者とは、そういうことですね。そこで言葉を使っていいかどうかわかりませんが、残留リスクというのがそこで明確であれば、いろいろな事業者がその情報をもらいながらと、わかりました。いまの論点1はたくさんありますが、いちばん大事なのは[2]に書いてある[3]の対象となる権限に限ると言うけど、そんな冷たいこと言わないで全部やりなさいということですね。
○佐藤委員 基本的にはそういうことです。
○向殿座長 いまの議論を伺っていると、基本的にそういうことですね。
○佐藤委員 基本的精神はそのとおりです。
○高岡委員 ただ、先ほど質安全設計の部分はどうするかという問題がありました。カバーであれば外すと危険源がむき出しになりますが、本質安全設計がやってあれば、残留リスク情報の設置、運搬、運転から廃棄までの中でも、危険源はばく露しないわけですから、それは除いていいかもしれません。
○向殿座長 本質安全設計をやっていれば、実はそういう危険源はないと。
○高岡委員 ないと。
○向殿座長 だから書く必要はないと、言いすぎかな。。
○石坂委員 本質安全設計をやって、よりリスクを下げて、それでも十分下がらなかったものであって、本質安全設計というのはリスクをゼロにする行為ではありませんから。
○向殿座長 わかっているから、やめるという話です。わかって話をしているのですけれど。
○黒澤委員 本質安全と絶対安全の違いは、そこら辺にあったのです。昔から絶対安全はないということを言うために、本当は本質安全という言葉が生まれたと思っています。
○佐藤委員 それは「的」が付いているのではないですか。
○黒澤委員 最近は「的」が付いたり、「的な」とかだんだん柔らかい表現になっている。
○向殿座長 「的」が付いている。
○黒澤委員 私は予見可能なリスクではなく、予見可能な誤使用や予見可能な禁止条項であれば、考えられるとはみんな出すのですが、実は予測できないことがたくさんある。専門家ですらわからないことがある。ここが最大の問題点なのだと思います。例えば100円ライターがいま問題になっていますね。子どもの使用によって火事が起こったりしている。あれなんかまさにその典型的例なのです。2段階にしないと作動しないようにする。そういう冗長的なやり方を最初は誰も考えていなかった。子どもがいたずらして火災があちこちで発生して、初めてわかったハザードの現実なのです。リスクだった。そのようなリスクを開示していれば大丈夫だったかというと、そうでもない。それは今まではハザードではなかった。
100円ライターが普及し、何処でも簡単に手に入るようになり、子どもがたくさん遊びに使用して火災が起こって、初めてそれが危険源だとわかった。我々が技術屋(者)として、それをどこまで予見できるかということです。
私もいろいろ考えて、リスクアセスメントの各段階でいろいろリスク低減策を提案しているのですが、どうしても最後に残されたリスクがあるなというのがあるのです。リスクという用語表現は悪いけれども、(純技術的ではない、社会的、時代背景的な、使用者・利用者の変化に起因する)訳のわからないものが残っているなということはあります。
○向殿座長 予見可能なということは、いま言ったように予見不可能は仕方がないと。予見可能をみんなやっているのに、使用者が間違っていますよと、誤使用ですよなんていう逃げ方をしてはいけないと、これはそういう意味です。(1)に関してはよろしいですか。いま言った[3]の危険源の対象に限るなんていうことは言わないで、ちゃんとやりましょうということです。では(2)にいきましょう。(2)は「残留リスク情報」などの機械の危険情報は、どのように機械ユーザーに提供すべきかという、提供の方法です。これは結論はどういうふうに書いてあるかというと、ア、イ、ウ、エになっています。フォーマットをちゃんと決めて、わかりやすく簡潔にと。
○宮川委員 字面はわかるのですが、イメージが湧かないのです。意図していることがいちばんわからなかった。
○向殿座長 最後、一覧表にしようと書いてある。
○宮川委員 部内の技術グループの連中ともいろいろ議論していたのですが、ここは1番目にわからなかった。例えば特定設備はクレーンとかプレスとかいろいろあるから、何かイグザンプルがるとわかりやすいとかね。
○向殿座長 例があるとね。
○宮川委員 いちばんイメージが湧かなかった。ここのところは言っているのはそうなんだけれど、フォーマットってどういうことなのか。
○向殿座長 たぶん、ここは取説がちゃんとあるんだけれど、読まないから危険情報だけはちゃんと一覧表にして、わかりやすく別用紙で付けなさいと、そういう意味ですね。
○佐藤委員 やっぱり取説とは別に。
○向殿座長 別に作らないといけない。
○宮川委員 別にという意味で、それぐらいのものだったら、それはそれで。
○佐藤委員 そういう安全マニュアルがないです。そこにきちっと全部網羅して書くのが普通なんでしょうね。たぶんそういうことをイメージしていると思います。
○向殿座長 たぶん、そういうイメージですね。
○井上委員 いまの話にありましたけど、取説とは別にというところで私はちょっと引っかかったところがあるのです。別にということは、取説と別の場所に置くということになると思いますが、基本的に設備がずっと長い間メンテする中で、残っていくのは取説なのです。例えばそういう別のものがあったとしたら、大体なくしていくのが主だなというイメージが私はあって、ここは別に別にと強調されているところがあるのですが、その辺がどういう位 置づけだったのかなと思ったりしたのです。
○向殿座長 この意味は、取説の中にちゃんと書いてあるけど、取説とはまた別に。
○井上委員 また別ということなのですね。
○向殿座長 取説を全部、ちゃんと読む人は少ないから、取説にはちゃんと書いてあるけれど、大事なところだけ別のフォーマットにしてと、そういう意味です。
○井上委員 それは大体、イメージとしては機械のところに置くイメージになるのでしょうかね。
○向殿座長 そうです。
○畑委員 私、井上さんの意見に賛成なのです。マニュアルの頭に、取説のどこどこに、これが対象になっているというのを示したほうがいいのではないかと思います。一緒に引っ付いた形です。
○高岡委員 このエの機械メーカーは、警告ラベルや取扱い説明書で残留リスクを提供しているが、ユーザーは受け取っていないと。いちばん最後に「別途示すことが有効である」と書いてありますが、取説とは別冊にしろとは書いていなくて、中に文章でぐちゃぐちゃ書いているのではなくて一覧表にまとめて、畑さんがおっしゃったようにいちばん前に置くとか、そういうことをすればいいのではないかと思います。
○向殿座長 別にする必要はなくて。
○佐藤委員 普通は取説の最初に書いてあって、それもあるのですが、それとは別にかなり共通したことがあるのです。そうしないと、そこで安全の読みましたというサインをするのです。その人しか機械を使ってはいけない。それが通常のやり方です。だから誰もがその機械を操作していいという姿勢が問題を起こすことが、ひとつあるのです。
○宮川委員 そういうところが、皆さんたぶん、それぞれ想像で言っているので、たぶんこうではないかという話でね。
○向殿座長 いや、いま言ったイメージは。
○宮川委員 具体例があるとフォーマット何だろうと思う。なぜフォーマットなのか、あるいは簡潔かつ明瞭と言っているけれど、どんなイメージのことをいっているのか判りやすい。
○向殿座長 例があるとわかりやすい。
○宮川委員 制度的に運用というのは、どんなことを言っているのか。言葉だけが並んでいるから判り難い。
○向殿座長 MSDSの例が出ているように、あるパターンが決まっているとみんなわかりやすい。ここには何が書いてあるとわかるという。
○宮川委員 要求事項は何だろうね。こういうことを言っているんだよということが、わかると検討しやすい。
○向殿座長 あまり順番がばらばらだと、しようがないから、ある程度フォーマットでやろうというイメージです。
○宮川委員 いま別冊にする紛失すると言われたけど、ある程度重要な問題です。安全性管理の必要な基礎データが、どこかへ行ってしまっているというわけですから、安全性管理はあまりやられていないと、そういう面から見てどうすればいいのとか。
○向殿座長 そういう問題がありましたね。要するに取説に書いてあるけれど読んでいないと言って、そこまでいくとまた問題が複雑になる。どうですか。(2)のア、イ、ウ、エについてイメージは大体わかったけれど、別冊にすると、要するに別々にする必要はなくて、1頁目にちゃんとまとめておくというのでもいいと、そういう意味です。ばらばらに書いてあると読むのが大変ですから。
○佐藤委員 頭にまとめたほうがいいですね。表にしてまとめるとか。
○向殿座長 取説って、こんな厚いのがある。その上にこうやっていつも持っていたら大変です。
○佐藤委員 それはあるのです。
○井上委員 ある意味、電化製品のビデオとかを買ったときに、最初にいろいろ警告があると思いますが、あのイメージなのかなと私は思いながら、今日来たところがあるのです。
○宮川委員 逆に言うと、明瞭にと言っている意味が、一般的な取扱いの本当の説明ではなくて、危険有害情報とか設備情報に関する基礎情報は、それだけ分離した形で明確にしておきなさいという要求なのか、別冊ということを要求しているのか。
○向殿座長 「別に」と書いてあるから、それとは別にということは、離して別にという意味はないかもしれない。
○安達副主任中央産業安全専門官 逆に言いますと、議論の中では機械のユーザーにとってリスクアセスメントに使いやすいためには、別にとか別途というのは取扱説明書(取説)の頭にあるのがいいのか、また別な形がいいのか、ここは「別に」としか書いてないですけれど、その視点でどういうやり方がいいか、またご議論いただければと思います。
○向殿座長 要するに別途、ちゃんとまとめてわかりやすくと、そういう意味です。
○石坂委員 そういう意味で、事務局の提案をもう一度確認したいのですが、要するに残留リスクを簡潔に一覧できるものというのと、エで示すこの最後の3行というのは非常に重要で的確な文章だと思いますが、「どのような時に発生するか、どのような対応が必要かを文書により別途示すことが有効である」とあり、文書により別途示すということと、上の一覧できる表との兼合いがどう結び付くのか。私はエに書いてあることは非常に重要なことだと思うのですが、イに書いてあることとどう融合させるのか、イメージがちょっと。
○向殿座長 別途示すことは、取説の中でもいいのですかね。
○石坂委員 そこのところで、イの一覧できるものが組み込まれるべきであると考えているのか、それはどこか別にあったほうがいいと考えているのか。
○向殿座長 それは別途でしょうね。上の一覧の中にどういう対応をするか書いたら複雑になるから、取説の中にちゃんと書いてある。
○石坂委員 それが分離した状態なのか、イとエが要するに連続してあるのか、1つのところにまとまってあるのか。
○向殿座長 それは、どういうイメージで作ったらいいか。
○黒澤委員 量産されている機械類については、かなり取扱説明は丁寧に書いてあって、メーカーによっては、安全マニュアルというのを別途作って提供している所がたくさんありますね。取説のボリュームにもよりますが、分けることはいいことだと思います。ユーザーが気が付かないことを気が付かせてあげるという意味合いですから、そういう意味合いでは安全マニュアルを別途作っておく。それがリスク情報の提供と一緒かどうかというのは、また別の話ですけれども、一応、安全マニュアルというのは別途作っているほうが、私はいいと理解しています。
○安達副主任中央産業安全専門官 おそらくここでの議論は、いろいろご意見があった中で取扱説明書の中で設置時、運転時など、いろいろなステージごとに残留リスクみたいなものがあった場合には、そこのところをつまみ食いして読まなければわからないので、どこかに一覧できるものがあればと。取扱説明書を使う人と、ユーザーとしてリスクアセスメントをする人が、同じか別かという議論はありますけれども、これを活用して法第28条の2の世界でやらなければいけないのですねという、使い方に着目した議論で書かれたものです。
○向殿座長 イメージはいいですね。大体一致していますね。
○梅崎委員 この(2)の中でフォーマットを定めるとあるのですが、そうすると予めこれでなければいけないという、そういう強いメッセージを与えてしまう。例えば半導体製造装置みたいなものでいろいろあるけど、魚網の巻上げ機みたいなものを同じように扱えるのかというと、絶対そうはならない。ある意味、雛形なんだけど、ある程度それを参考に作るというような、あまり強い縛りでないもののほうがいいのではないかという感じがします。
○向殿座長 フォーマットの意味ですね。
○梅崎委員 ええ。
○向殿座長 少なくとも使ったフォーマットではなくて、機械によって内容が違ったり、あったりなかったりするから。
○梅崎委員 多少、アレンジできることを許容する。
○向殿座長 必要最小限のものは記入できるような形でないと、いけないということ。
○梅崎委員 何かフォーマットって、強制というふうに思います。
○向殿座長 そういうふうになりますね。
○梅崎委員 いろいろな意味がとれます。
○井上委員 いまのフォーマットの形の話ですが、リスクというのは結局、たぶん人が怪我するとか死亡するとか、そういう災害の類型に分けられると思います。その視点でいくと先ほどの企業秘密の部分に関わってくることになると思いますが、例えばこんな動きをしたら火傷をするとか巻き込まれますというのが、実際に前提になると思います。逆に疾病名ではないですが、それが頭に来るような動きにすると、ちょっとはいいのかなと思ったりしたのです。
○向殿座長 よろしいですか。(2)については、たしかフォーマットというのは、そんなにがっちりして、ここに埋めなければいけないというイメージのフォーマットではないと考えましょう。機械によって相当違う可能性がありますかね。わかりました。次は(3)です。機械の危険情報のうち、「残留リスク」情報として必要な項目は何かです。いま井上委員が言われたように、こうしたら火傷するとかどうとか、そういう話がリスクの例として出ています。これについて何かご意見はございますか。
○高岡委員 リスクの種類等は書いてあるのですが、ここで危険源ではないですよね。いちばん下の○に、なお、リスクの種類には、「危険源」としてJISに定められているものを考慮する必要があるとして、ちょっと矛盾しているような気がします。
○向殿座長 リスクというのは危険源があって、それに対してリスクですね。この言葉遣いが。
○高岡委員 危険源を明示しないと、いけないのではないかと思います。
○向殿座長 イの場合はリスクの種類というより、危険源とリスクの種類というイメージですね。
○高岡委員 そうですね。
○宮川委員 ここは、大体こうなっていると思うし、お願の部分ですが、現場でリスクアセスメントやっていて、危険源の同定ということほどわからないものはないのです。いろいろ考えた末、いま豊田労基協会でやっているが実はリスクの定義です。
○向殿座長 定義ですね。
○宮川委員 これは取りも直さず、災害の発生過程、シナリオを書いているわけです。
○向殿座長 ストーリーですね。
○宮川委員 災害の発生ストーリーです。だから、これに基づいて危険源ごとに情報提供せよと。これも大体そうなっているのです。アはたぶん危険状態発生を言いたいのだろうと思います。
○向殿座長 そうですね。危険源ごとにこうなっている。
○宮川委員 そうです。危険源ごとにアが危険状態の発生で、イがたぶん事故の型ですか、ここをもう少し整理して事故の型とか障害の型とか、このベースに基づいて整理をする。だからリスクというのは、災害の発生のシナリオに基づいて現状把握をし、あるいは予測をし、お互いにメーカーとユーザーが議論し合うんですよという、まずこのルールが要るのではないかと思います。そうすると井上さんが言われたのも、全部ここに入ってしまう。是非災害発生のシナリオに基づく情報提供をルール化して欲しい、この共通認識がないと、たぶんコミュニケーションができないのではないかと思います。
○向殿座長 話がちゃんと通じない。
○宮川委員 はい。是非、それをお願いしたい。
○向殿座長 いかがですか、いまのご提案、よろしいですか。やはり危険源ごとですね。
○宮川委員 JISの定義に基づいて情報提供する。災害の発生のシナリオというのが誤弊があるならばですね。
○向殿座長 要するに残留リスクというのは、ここにはこういう危険源があって、この危険源については例えばこういうことをすると、こうなりますよという話ですね。
○宮川委員 リスクの根本の項目について情報提供するのだという大原則は。是非ほしいですね。
○梅崎委員 もし国際規格にあくまでこだわるのであれば、危害という言葉と危険事象という言葉が必要です。結局、シナリオが見えない限り現場はストンと納得しないのです。だからシナリオが必要です。
○向殿座長 危険事象の発生から始まって、危険状態という話で、ああいう国際規格の用語を使えばストーリーがよくわかる。
○梅崎委員 危害であったり、シナリオがない限り理解できない。
○宮川委員 だからJISや国際規格でも定義しているのですが、意外と本になってしまうと、そこのところがスッとどこかへ行って危険源の同定から入る。余計ややこしくして現場でいちばん苦労している。
○向殿座長 これは危険源各権限ごとに、ついに危害が発生に至るステップが実はあるという話ですね。
○宮川委員 そうです。
○向殿座長 危険状態が発生してとか、そういう話をちゃんと。
○宮川委員 割と受け入れやすいのです、こうやって災害が起きるのだろうと言うとね。
○向殿座長 そうするとここの部分で、こういう原因でこうなって、それで危害が発生するとこういう危害になりますよと、こういう話ですね。そんなことを少しイメージして、この残留リスクとしてはこういう情報を提供するということ。それで危険源についてはJISにちゃんと定められているという話になる。いかがですか。いいですか。ありがとうございました。1の最後の(4)ですが、機械の危険情報が提供されるべき機械はどのようなものか。要するに特定なものなのか、すべての機械に必要であるか。仮に残留リスクがない場合には
残留リスクなしとか、そういう話ですね。残留リスクがないということはあり得ないね。
○宮川委員 リスクアセスメントをやっていて悩むのは、じん肺とか難聴とかです。急性の疾病は挟まれ等と同じようにリスクが評価できるが、特にエルゴ等、いま疾病関係で問題になっているようなリスクは結構低いリスクになってしまう。ここをどうするかということ。
衛生課はたぶんそこが重要なところで、これはリスクアセスメントをやると、結構低いリスクになってしまう、ここをどうするかという。
○向殿座長 白蝋病だとか、ああいうものですね。アスベストもそうですね。
○宮川委員 腱鞘炎とかね。
○向殿座長 腱鞘炎とかね。そういう長期にわたって出てくる。
○石坂委員 パソコンなんかのキーボードで問題になった、ああいうのは産業分野で確かにありますね。
○宮川委員 機械的リスクという部分ではゼロはないけれども、リスクが低くて許容可能なのは、聞かれたら答えるようにしておいてねぐらいのね。
○向殿座長 でも危険源の中に振動による危険源とかあるから、あれが長く続くと実は危害につながると。
○石坂委員 そうですね。
○宮川委員 今日のでないので、問題提起的に。
○向殿座長 わかりました。
○石坂委員 そうですね、問題提起はあります。すべて網羅するのは難しいから。
○畑委員 機械ごとにある程度想定はできません。
○向殿座長 そうですね、使われ方でね。
○畑委員 メーカー、ユーザーともに、それぞれ想定できますから、そこは示しておかないと。
○向殿座長 長く使うとこうなりますよとか、難聴になりますよとか、そういう話ですね。
○宮川委員 95年か96年、プロジェクトをやっていて、操作ボタンのこのリスクが聞かれた。たまたま別件で調査した操作ボタンの操作力に関するデーターがありましたので、特に足りないとリスクであることを立証して事なきを得ました。データーがあったからいいですど、なかったら大変なことになっていた。
○向殿座長 いまのお話は、厚労省は少し、当然入っているとは思いますが、長期的な時間を経て出てくる疾病というか危害というのがあり得るので、それについても忘れないようにしてほしいということです。要するに特定なのかすべてなのかというと、これはすべてでいいですね。この提供はすべて。
○高岡委員 これはすべてと言っても、どこまでなのかというのがわかりませんよね。例えばISO12100で除外されているものを含むのか含まないのかとかは、決めておく必要がありますね。
○宮川委員 参考までに今やっているのは、防護前の状態を最初に見積るじゃないですか。そして許容できないでなくて、措置を講じてリスクを低減した場合は、防護前と防護後についてちゃんと情報提供をという話です。それからさっきのような衛生上の問題もありますので、リスクが低くても安全衛生上のために何らかの措置を講じたもの、例えば聴力低下のためにサイレンサーを付けましたと言ったら、サイレンサー設置前と後のリスク情報の提供をお願いしています。それ以下は聞いたら答えるようにしておいてねと、そういうスタンスです。たぶん設計段階でそれだけやるのだろうと思うのです。現在だと膨大なものになってしまう。一応、そういう言い方で提出をお願いしている。
○高岡委員 これは別途、考えないといけないような気がしますけどね。
○向殿座長 でもISOは、この機械は別だというのは実は別の法律があって、そこに任せているから外しているというのが多いのです。我々にとってはどの法律で規制されようと、危険源は危険源として出してほしいと。
○高岡委員 それはそうですけど、例えばエレベーターは国交省の所管であって一元化されていません。
○向殿座長 でもエレベーターを職場で使っている場合は、どこに危険源があるのかというのは。
○梅崎委員 厚生労働省が使っている事故の型起因物のリストがありますので、それというのもあるのですけど、ただ、問題は例えばMRIの中には放射線源が入っているわけです。あれも機械に対する作業になるし、結構、燃焼機器ではCO中毒みたいなのがあるのです。
いま、そういうようなものまでも入れるのか、それともあくまでも産業機械の事故の型・起因物に入ったものに限るのかというぐらいの議論は、決めておいたほうがいいのかもしれない。
○高岡委員 例えば人力の機械はどうするか。12100では除外されていましたね。
○石坂委員 機械指令は、要するに消費者が使う機械も当然、あり得るわけです。あとは公共のエレベーターとか、エスカレーターという公共サービス機械設備、ああいうものも入るわけです。しかし災害を受けるのは、そこを利用する一般の人であったりして必ずしも労働者でないわけです。だから、そこまで広げると果たしてどこまで実際、そういうことを決めて、この労働安全衛生法で縛れるのかというと、また違うのです。
○向殿座長 労働者が使うあらゆる機械、それでいいでしょう。
○石坂委員 それは間違いない。ここはそうは書いてなくて、すべての機械と。エレベーターもとか出てくるから。
○向殿座長 そこまで考えてなくて、もともと現場で労働者が使う機械に対してと。
○石坂委員 そうそう。
○向殿座長 そういう意味ですね。
○石坂委員 そういう意味です。
○向殿座長 わかりました。
○石坂委員 そうすると、例えば労働者が使う機械というのは、普通、一般消費者向けの使っている機械でも、使うことがありますでしょう。
○向殿座長 あります、あります。
○石坂委員 そうするとそれは、その場合の用途に関して言えば、そこにこれは入るわけです。
○向殿座長 包括的というか、なるべく広いほうがいいと考えるけど、労働安全衛生法の下 でやっているから、当然、そうだろうと。
○井上委員 先ほどのエレベーターにしても、使用者は当然、たぶん除外になると思いますが、エレベーターのメンテ屋さんは当然、入ることになる。
○向殿座長 保守管理屋さんは作業者、労働者。
○井上委員 そしたら、製品ごとで分けることって可能なのですかね。作業ごとに分けることになるのですか。従事するとか、そういう形の作業の分類で分けることになるのか、たぶん労働災害の発生した作業すべてに入ることなのかなと思ったりするのです。それが、いま厚生労働省でちゃんと分類されているのかどうか、私、その辺はわかっていないですけど。
○向殿座長 エレベーターでも危険源って危ないところがあって、それでこうやると、こういう危害が及びます、事故になりすと。それが墜落だったら挟まれたり、いろいろな形になり得るけど、原因はここですよと。そこからいくとすると保守点検の人にとっては、例えばエレベーターから言うと、どことどことどこに危険源があって、これをやると挟まれますとか、これをやったら落ちますとか、そういう話にたぶんなるのだと思います。
○宮川委員 メーカーがいちばん悩むというのは結構ある。さっき言ったように製造から廃却までの各段階では、いろんな事業者がいるわけです。用途は民生用機械ですが。そこでの機械の段階で関わる事業者は安衛法の適用を受ける。ただ、ユーザーの立場で言うと、高岡さんのいまみたいなのがある。部内で議論をしていても、例えば特定機械で製造許可をもらっているのは対象外でいいのではないかと。
○向殿座長 そういう話。
○宮川委員 出ますよ、当然出ます。
○向殿座長 出るけれど包括的というか、そこは入れたいと。イメージが最初からあるから。ただ、BとCでコンシューマーが使うものまで我々は考える必要はなくて、労働者が現場で使うあらゆる機械についてやりましょうと。残留リスクがないなんてことはないけど、対象の注意すべき残留リスクがなしというのは書いても、当然いいと思います。何もしてないと言うのか。
○石坂委員 いま、座長がおっしゃったとおりなので、その後は制度の運用の効率化ということを考えたときに、本当に何でもだと言い切ってしまって、それをフォローしてできるのか。そういうことを決めて、あとは野放しになっているというような、例えば道交法の自転車のライトと同じようにね。制度だけ作ってやらないのが悪いと言って放置するようなことだと、あまり実効性がないから、そうするとある程度フォローして本当に大きなところだけ押さえるというのも、ひとつの考え方だし、ちょっとそれは私どももわかりにくいところです。
○向殿座長 残留リスクというのは、ある大きさのユーザーにとっても受け入れられないというリスクについて、やるわけですから、その場合は労働者が使うあらゆる機械について、もしそういうのがあればリストアップして表示すべきだというイメージですね。
○宮川委員 いま、対象をどこまでという話、レベルの話と機械の話があったと思いますけど、使う側からすると先ほど高岡さんが言われたように、ユーザーの段階でメーカーが予想しないことが起きる。その時のリスクは、頻度が低いと危害の程度の高い危険源であっても、低いリスクとなるわけです。そうすると危険源情報がないと困るのです。だから危険源の大きさに関する情報は、残留リスクに関係なくほしいのです。さっき言った10メーター高い所の仕事が、10年間に1回の頻度ですとリスクは低いリスクです。その仕事を今から行うといったら、死亡事故を起こさないように種々の措置を講じなければなりません。
○向殿座長 リスクというよりは、危害の大きさから。
○宮川委員 そうです。災害防止、もちろん1人でやるわけではないものですから、どうしても人に頼らざるを得ないので、危険限と危険源の大きさは残留リスクと関係なくほしいというのが。
○向殿座長 そう言いますね。
○宮川委員 ちょっと戻って申し訳ないですけど。
○向殿座長 要するに残留リスクという概念から見ると、頻度が非常に低いから、これは我々としては許容して必要ないと判断しても、よく考えてみると死亡する可能性のある危険源であると。それはリスクが小さいといえども、ちゃんと書くべきだというのが宮川さんのご意見ですね。
○高岡委員 宮川さんがおっしゃるとおりと思います。頻度が高いかどうかといのうはユーザーによりますから、メーカーが判断することではないですよね。そういう意味では、座長がおっしゃった危害の大きさで決めるべきだというのは正しいと思います。
○向殿座長 わかりました。これは後で文書にするときに、リスクというところで危害の大きさというのを強調すべきで、確かにメーカーから見ると、どう使われるかわからないから頻度なんてわからないよね。それと危険源というのをちゃんと明確に、この危険源では死亡する可能性があるということは、ちゃんと出しておけと。
○宮川委員 安衛法の適用を受けますので、我々としては。
○向殿座長 そろそろ時間なので。
○森戸中央産業安全専門官 リスクに関してなのですが、論点3のところでリスクの程度ということで、一応、死亡、障害、医者、すり傷と、こういうふうになっている。あまりご議論がなかった気もするのですが、残留リスクというのが包括指針に基づき、メーカーとしてできるだけ努力をしているということがあるのでしょうけども、必ずしも包括指針は義務化がなされているわけではない。いろいろなリスクの状態のものが出てくるという前提で、それで残っている、いわゆるメーカーが措置をしなかったリスクというように考えたときに、いまのところあらゆるリスクになっていますけれども、すべて本当に提供することで、ユーザーが本当にリスクアセスメントが全部できるのか。そういうこともありますので、もう少しここは、先ほど、めったになくても死亡災害に至るのは、情報を欲しいという話がありましたが、そういう意味でリスクの程度について、本当にちょっとしたすり傷まで求めるのか。
その辺についても少し議論していただければありがたいと思います。リスクの程度で制限をかけるというのは、制限としてはやりやすいとは思いますけど。
○向殿座長 (3)のリスクの程度の例と書いてあって4つある。すり傷程度というのも、しょっちゅう起きるのは書いておけという意味なのか、すり傷なんて初めから書くなというのか、そういう話ですね。
○高岡委員 ただ、ここはリスクの程度と書きながら、危害の大きさにすり替わっているのです。危害の大きさというのは結果であって、危険源の大きさではないのではないかと思います。例えば砥石の粉でも、腕に当たったら大したことはないですけれども、目に当たると結構ダメージが大きい。では、なせゴーグルをかけていなかったのだとなって、そこら辺の議論は結論が出ないのではないかと思います。ですから危険源の大きさに着目すべきではないかという気はします。
○向殿座長 リスクの程度というけど、実はリスクによって生じる危害の大きさの話です、全体から見てね。
○森戸中央産業安全専門官 危険源の大きさと言いますと、どんな分類になりますか。
○向殿座長 危険源の大きさというのは難しい。
○高岡委員 持っているエネルギーだとか、あるいは速度だとか、そういうことになるのだと思いますけど、物質の有害性だとか。
○森戸中央産業安全専門官 いまのエネルギーですと、例えばワット数だとか、速度だとある程度できると思いますけど、先ほど言われた砥石の粉とかですと、そういったものとまた違ってくるので、なかなかそういう意味ではイメージが湧かない。実際にユーザーがリスクアセスメントをやるときに、どこまでというのもありますので、先ほどの速度もちょっとわからない。例えば1m/secはちょっと速いですね、1mm/secだったらいいのか悪いのか、よくわからないところがありますけれども。
○向殿座長 どこかに、せっかくリスクという言葉を使っているのですから、危険源があって、それに対してメーカー、造ったほうとしては危ないと防護しました。しかし、これだけのリスクが残っています。リスクは何かというと、防護があったとしても怪我する頻度はこのくらいですと。それで残った、いま私が言った定義したリスクが許容可能かどうかという情報、これは許容可能であると、残留リスクとしてもよろしいというのは書かないけど、ある戴度起きるのは書くと。そのぐらいにしておかないと、たぶん危険源すべて書けとなると難しいところがある。
○宮川委員 たぶんメーカーの立場からすると、防護装置がないという前提条件でやっているので、ここは許容できない、あの装置を付けようと言って、この情報が出てくる。最終的に残ったものがあるということで情報を出していく、こういう話になっていく。
○向殿座長 そういうストーリーですね、このリスクの話はね。
○宮川委員 リスクアセスメントは、さっき言った情報、これという話です。そういう流れで、私が言った危険源の大きさというか、危害の程度が必要と言ったのは、今回の議論とはちょっと違うところなのです。要するに、いまは機械のリスクを低減しようというジャンルの話をしているのです。だけどユーザーの立場で言うと、リスクを低減しても、ゼロにはならないから、身を守る方策をしなければいけない。そのときに危害の大きさというのは重要なファクターになるので、それは必要と。だから今回の議論とは違うが情報は必要。
○向殿座長 現場では明らかに大きさが大事ですね。
○宮川委員 ちょっと承知おきいただいて、でもほしいんですというユーザーの。
○向殿座長 ユーザーとしてはほしい。わかりました。
○石坂委員 これ、目的は何かと言うと、ユーザーの事業場でしっかりと機械設備安全をやるのに、それを、よりやりやすくするための促進策としてのことなので、現実にどこまで事業場でリスクアセスメントをやるか。事業場でやるリスクアセスメント、機械設備のリスクアセスメントは何なのかというのが、まだ試行錯誤状態なので難しいのですが、そこに効果的にいくというところに、焦点をいつも考えておく必要があるのではないか。例えば、いま高岡さんから、危険源としてスピードだとか重さとかパワーとかあったのですが、それは設計者が行うリスクアセスメントにおいては非常に重要ですが、そこの点は必ずしも1対1ではないのだと思いますね、現場で行うリスクアセスメントというのは。そうすると、例えば超大型パワーショベルなんていうのは、それ自体が危険源だと、重たいじゃないかと、油圧のパワーがものすごく高いじゃないかと、これはそれ自体が危険源だと言わなければいけないという、何か変な議論になってしまう。危険源ごとに危害ではなく、危害の可能性のリスクに応じて、それを提供するというのが、いちばん妥当なのではないでしょうかね。
○向殿座長 大きさと可能性、要するリスクです。リスクを大きさでもって判断するということで、それは本来に戻った議論です。
○畑委員 ユーザーとしては、大きさと可能性のもとに開示すると。
○向殿座長 本当は2のほうも少しやろうと思ったのですが、次回に回す予定になっています。今日のところでどのくらい議論が煮詰まったか、これから少し皆さんの今日のお話を参考にしてまとめて、次回までにまたこういう提案資料を作って、できたら2のほうについてまたいろいろ議論していただく。2のほうについて宿題でも出して議論していただいたほうが、よろしいですかね、せっかくだから。安達さんのほうから。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料5の4頁目で、座長からおっしゃっていただいた論点2の「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」というのは、論点1の取組を、どううまく進めていくかということで(1)から(3)までございます。差し支えなければ事務局のほうにお気づきの点をメモか何かでいただいて、次回の資料に反映したいと考えております。
○向殿座長 いつごろまで。
○安達副主任中央産業安全専門官 できれば1週間ぐらい。
○向殿座長 1週間以内に、メモでもいいですね。
○安達副主任中央産業安全専門官 はい。
○向殿座長 ファックスでもメールでも。
○安達副主任中央産業安全専門官 はい。特に今日、いろいろご議論いただいたものを広めていくときに、大きなメーカーもあれば小さなメーカーもございますので、アンケート調査などを見ると、どうしても簡潔、簡単にやらせてくれというご意見もありますので、そういう視点をどう考えるかも含めて、いろいろご意見をいただければと考えています。お忙しいところ、お願いばかりで申し訳ないですけど、よろしくお願いしたいと思います。
○森戸中央産業安全専門官 できましたら論点1のほうも。
○向殿座長 そうですね。今日の議論。
○森戸中央産業安全専門官 追加のご意見がありましたら、是非、それも1週間以内程度にお願いします。そうしますと2回目のときにお出しできますので。
○向殿座長 そうですね。ちょうど今日の議論で意識が高まったから、忘れないうちにまとめていただいて事務局のほうへ。
○石坂委員 今日は(2)が議論されましたが、(2)と(1)と共通した問題というのは、(2)の場合もユーザーが事故情報をメーカーに伝えるかどうかというのは、もちろん、そこに縛りをやってやれというのも、今度はなかなか事故情報を全部開示できないものもあったりして、要するにメーカーが日ごろ、そういうものにどれほど関心を持って、伝えてほしいと要求を出しているかにも関わってくるのです。(1)のほうはどういうことかというと、ユーザーが必ずリスクアセスメントもするという意思があり、そういうことを要求しているという状況において、どう提供するかということが非常に重要なのです。これは相手のある話なので、そこのところを考えなければいけないと思っています。
○向殿座長 それはこれからのやり方として、ユーザーはリスクアセスメントを一生懸命やるようにということで、ちゃんと動機づけをしっかりして要求するようにする。逆に言うと、メーカー側はヒヤリ・ハットや、いろいろな事故情報があったら一刻も早くほしい、また改善に使うからと、そういう熱意を持ってユーザーと付き合うという方向づけをしておかないと、せっかくやってもあまり充実しませんよという意味ですね。
○石坂委員 アンケート調査をやりますというのに、使わなくてもほしいと言っている。でももらっても使う人はほとんど少ないと。
○向殿座長 使っても困るというわけね。
○石坂委員 そういう放棄したまま提供制度ばかり考えても、あまりと思います。だから効果的にさせるにはどうしたらいいかということがあって、初めてできる。
○向殿座長 これを効果的に動かすためのまた、しかし、少なくともこれがないと動けないという話でね。
○石坂委員 そうそう。だから、それを否定するものではありません。
○向殿座長 わかりました。それではそろそろ時間ですので、私の役割は以上だと思いますので事務局に進行をお返しします。ありがとうございました。
○安達副主任中央産業安全専門官 事務局から何点か事務連絡をさせていただきます。次回ですが、委員の皆様から日程をいただいています。先ほど1週間でメモをいただきたいと言ったのは、約2週間後に第2回目を予定しているためです。次回は6月14日(月)、14時から16時まで、場所は同じこの経産省別館10階会議室になります。何名かの委員の先生には、ご都合を確認中ですが、いまのところ最大集まれる日がこの日ということで、ご容赦いただきたいと思います。後日、今日の議事録をお送りしますので、またご確認のほうもお願いしたいと思います。あと委員の皆さんの机の上に第3回に向けた日程表がありますが、あとでメールでもお送りしますので、予定をお知らせいただきたいと思います。また6月からクールビズでやっていますので、次回から軽装で結構です。よろしくお願いします。長時間ありがとうございました。第1回目をこれで終了します。
○平野安全衛生部長 安全衛生部長の平野です。委員の皆様方には大変お忙しい中、本検討会の委員としてご参画いただきまして誠にありがとうございます。
働く労働者の安全と健康を確保するということは言うまでもなく、私ども厚生労働行政の重要な課題であります。その中でも労働災害の約3割を占める機械災害を減らしていくことが大きな、あるいは重要な課題となっております。労働安全衛生法令においても、事業者に対して機械の使用現場における危険防止措置の実施、あるいは機械の取扱いにかかる就業制限、教育訓練を実施する。特に危険な機械については構造規格において安全要件を設定するなど、機械ユーザーの事業者への安全規制を中心に、労働災害防止対策を進めています。
また、平成18年に施行された改正労働安全衛生法で、第28条の2という条文ができ、事業者に対してリスクアセスメントに取り組むことについて規定をしたところです。機械メーカーから提供される機械の危険情報を活用し、機械の使用段階でのリスクアセスメントの取組が適切に実施されることが必要であると考えておりますが、現状を見ますと、まだまだ十分な取組がなされていない面もあります。
このため、平成20年度からスタートしております第11次の労働災害防止計画において、機械ユーザーにおけるリスクアセスメントの取組が円滑に行われるよう、機械製造者による残留リスク等の機械の危険情報の提供を促進する制度について検討するとされております。今回は機械安全に詳しい皆様にご参集いただきまして、この検討会を設置したところです。
このような取組については、機械メーカー、機械ユーザー双方による円滑なリスクコミュニケーションを構築する観点から、メーカーとユーザーの委員の皆様からも実態を踏まえたご議論をいただきたいと考えております。厚生労働省といたしましては、今回の議論を踏まえ、機械災害防止対策が充実するよう施策を推進してまいる所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
○安達副主任中央産業安全専門官 第1回ということですので、各委員から簡単に自己紹介をお願いいたします。
○石坂委員 日本機械工業連合会の石坂清です。日本機械工業連合会は、ご承知のとおり機械安全の国際標準の国内審議団体になっておりますので、その役割を果たすとともに、そのミッションの一環として、機械安全の普及実現に努力してまいりました。ここにおられる方も、日機連の各種委員会の委員になっておられる方も多く、そういう意味でここは機械安全を皆さんがより実現するために、統一した意思を持ったメンバーの方々だと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○井上委員 JAMクボタさかいユニオンの井上恒星です。いまは労働組合のほうで従事していますので、その辺から意見ができたらと思います。労働組合ですが、自分の職場としては生産技術ということで、設備関係の仕事も少しだけやっておりますので、その辺からも少しアプローチできたらと思います。よろしくお願いいたします。
○梅崎委員 労働安全衛生総合研究所の梅崎重夫です。私は機械安全の観点からお話できればと思います。よろしくお願いいたします。
○黒澤委員 黒澤豊樹です。私は、現在の委員名簿で労働安全衛生コンサルタント会長ということになっておりますが、実は5月で任期が終りまして、いまは顧問です。6月現在のいまは顧問ということになっておりますのでご承知置きください。よろしくお願いいたします。
○佐藤委員 東京機械の佐藤昌良です。日機連のほうで機械安全マネジメント・システムの石坂委員と共にいろいろと議論を常に重ねているところです。よろしくお願いいたします。
○向殿委員 明治大学の向殿政男です。機械安全、労働安全、それから安全一般について大学で勉強しているというか教えているというか、学生と一緒にやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○高岡委員 旭硝子CSR室の高岡弘幸です。いまは環境安全保安統括グループリーダーをやっておりますが、もともとはエンジニアリング・センターで電気設計をやっておりまして、それから安全の仕事をやって、いまはグループリーダーをやっています。ベースは電気機械の安全、それから労働安全をやっております。本日は機械ユーザーの立場で参加させていただいていると思っております。よろしくお願いいたします。
○畑委員 コマツ産機の畑幸男です。私どもの会社は産業機械、プレス機械の設計・製造販売をやっております。その立場から、現状は品質保証の観点から機械安全を見て進めている最中です。我々の会社としても、いまはユーザーにいかにして情報を伝えるか、包括安全の別表5の情報を、取説だけではなくて、どのようにすれば円滑に伝わるかということを、いま実際にプロジェクトでやっている最中です。今回のと連動して、その辺りがうまく広まればと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 トヨタ自動車安全健康推進部の宮川光雄です。お話をいただいたときに、いま本当に皆様方にご心配をかけておりますので、どうしようかなという感じで悩んだ時期もありましたが、今回の議論のベースになっております包括指針の改正の委員をさせていただいたこともあります。また、いまは地元で労災防止指導員とか、豊田労働基準協会の会員の皆さんに、リスクアセスメントの普及事業のお手伝いをさせていただいておりますので、そういう場での情報、実態をこういう場にフィードバックするのもお務めではないかということで参画させてもらいました。よろしくお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 どうもありがとうございました。私ども事務局のメンバーを紹介させていただきます。冒頭にご挨拶を申し上げました平野安全衛生部長です。田中安全課長です。森戸主任中央産業安全専門官です。戸田中央産業安全専門官です。島崎安全衛生機関検査官です。三原係長です。私は、安全課の安達です、どうぞよろしくお願いいたします。
本検討会の座長を選出するのですが、委員の皆様からご意見を事前にいただきましたところ、学識経験者代表の向殿先生にお願いしてはどうかというお話を伺っているのですけれども、皆さん、いかがでしょうか。
(異議なし)
○安達副主任中央産業安全専門官 ありがとうございます。それでは、向殿先生どうぞよろしくお願いいたします。
○向殿座長 不慣れですけれども、よろしくお願いいたします。機械の包括安全基準の指針から携わっておりましたので、この流れはかなり知っているつもりです。今回の危険情報というか、ある意味では残留リスクの情報をいかにメーカー側からユーザー側へ伝えるかという非常に重要な案件ですので、是非慎重な、そして有益なご審議をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料の確認をさせていただきます。表紙の議事次第の次に資料が5点、参考資料が4点あります。資料1はこの検討会の開催要綱です。資料2は検討会参集者名簿です。資料3は「機械による労働災害発生状況」です。資料4は「機械包括安全指針に基づく機械設備に係る表示制度及び使用上の情報の提供を促進するための制度の検討に関する報告書の概要」です。資料5は「機械の危険情報の提供に関する論点」です。
参考資料1は「第11次労働災害防止計画の抜粋」です。参考資料2は「機械の包括的な安全基準に関する指針」です。参考資料3は「労働安全衛生法における機械安全規制の概要」です。参考資料4は「機械安全規制に係る国際動向」です。
○向殿座長 資料5がいちばん大事そうなので、まず資料1から資料4までを簡単にご説明いただき、ご質問を受けてから本題に入りたいと思います。資料1から資料4までの説明をお願いいたします。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料1は開催要綱、資料2は参集者名簿ですので割愛させていただきます。資料3は機械による労働災害発生状況です。労働災害全体の中で、機械災害や特に建設業の墜落・転落災害が労働災害防止対策上の重点課題として挙げられております。
そのうちの機械災害についてです。左側のグラフは機械災害の推移で、休業4日以上のものです。ここ数年3万件から4万件の災害発生件数で推移しております。赤い折れ線棒は、全災害に対する機械災害の割合ということで、大体全災害の3割から3割弱で推移しています。平成21年度は景気の動向等もあり、災害の全体も減りましたが、機械災害が2万8,073件発生しました。
右側は、平成21年度の労働災害発生状況です。具体的にどういう機械の災害があるかという、機械の種類別の内訳と、そのうちの死亡災害を記載しております。一般動力機械の区分では、食品加工用機械、ロール機。動力運般機ではトラック、フォークリフトが含まれております。
次の頁は、機械災害を具体的に要因分析したもので、これは製造業のものです。休業4日以上の災害を抽出調査をして、詳しく調べた平成19年度の調査です。1番目は、機械災害の事故の型別の動向です。約6割近くが挟まれ・巻き込まれ、15%が切れ・こすれとなっています。挟まれ・巻き込まれという非常にハイリスクの災害が機械災害では特徴的になっております。
2番目は、不安全な状態です。これは、労働者を取り巻く状態に着目した分類です。多いのが防護装置や安全装置の欠陥、こういう装置がないとか不十分だったもの。あるいは作業方法の欠陥の割合が高くなっております。
3番目は、不安全な行動別の動向です。これは労働者の作業行動に着目した分類です。危険な場所への接近、特に動いている機械への接近・接触、あるいは誤まった操作、あとは運転中の機械装置の掃除、給油、修理・点検といった非定常作業によるものもかなり多く発生している状況があります。以上が資料3の機械災害の動向です。
資料4は、昨年度厚生労働省における委託調査として、中央労働災害防止協会で実施した報告書の内容を簡単にまとめたものです。この調査は、機械メーカーやユーザーに対するアンケート調査をはじめとした実態調査を踏まえ、今回の検討に当たっての予備的な検討をしたものです。簡単に概要の説明をさせていただきます。中段に「機械の危険情報提供に係る課題」としていくつか挙げられています。1つ目は、機械災害の状況により、機械自体のリスク低減措置を一層進めることが必要である。先ほどのように、設備の安全装置の欠陥の割合が非常に高いことがわかっております。2つ目は、グローバルスタンダードに比べ、国内の情報提供の必要性が明確でないのではないかという意見もありました。これは、特にEUをはじめとする機械規制においては、こういうメーカー・ユーザーの役割がより明確になっている状況がありました。3つ目は、機械ユーザーからは情報入手のニーズが高い、またリスクアセスメント時の入手が困難であったケースも見られた。
また、ユーザーで発生した機械災害の情報が、メーカーにフィードバックされていないというアンケート調査もありました。このようなことを踏まえ、方向性としては機械ユーザーのリスクアセスメントの取組を促すため、機械の危険情報を提供することが必要ではないか。機械メーカー・ユーザー双方のリスクコミュニケーションを促進することが必要ではないかということが挙げられております。
2頁は、その中で機械の危険情報の提供のあり方をどう考えるかです。機械ユーザーが有効に活用を図れることが必要ということで3つに分類しております。1つは、機械メーカーが提供する情報の内容をどう考えるか。この調査報告書においては残留リスク、危険源のリスト、講じたリスク低減措置、機械に応じた使用方法が必要不可欠ではないかということです。より詳細な情報が必要な場合には、ユーザーが入手に努めることが望ましい。
2つ目は、提供の方法です。ユーザーが有効に活用を図れる観点から、ユーザーで活用されるよう、簡潔かつ明瞭なものが必要ではないか。フォーマットがあるといい。これは化学物質のMSDSのイメージと比較した議論もありました。残留リスクが一覧できるもの、取扱説明書等とは別に1、2枚程度のものというものです。情報作成のあり方として、作成手順の明確化が必要である。情報を作成する人材のあり方、あるいは情報の完成度の検討が必要であるという意見がありました。
3頁は、機械の危険情報の提供を促進するための方策をどう考えるかということでいろいろなアイディアをいただいております。1番目は、機械の危険情報の提供をユーザーに提供することについて法令により促してはどうか。きちんと法令に規定して、より促していくべきではないかという話もありました。
2番目は、メーカーの取組を促進するために次の事項を検討すべきではないか。1つ目は人材の育成、2つ目はメーカー・ユーザー間の機械事故情報の共有、3つ目は機械事故情報のデータベース化、4つ目はインセンティブ方策として表彰制度などがいろいろと検討されました。
3番目は、一方ユーザーが取り組むべき事項として何があるかということで、メーカーへの機械使用条件等の提供、メーカーに対する情報提供を要求すること、機械稼働後に判明したリスクをメーカーにフィードバックしていくことがユーザーの役割として考えられるのではないか。
4頁は、以上のことをポンチ絵にまとめたものです。上段のメーカーと下段の機械ユーザーの両者を矢印がお互い双方を向いていますが、こういうリスクコミュニケーションを促進することが必要ではないかということです。
5頁は、この報告書の中でアンケート調査を実施していますが、その中からいくつかピックアップしたものを記載しております。機械メーカーの動向ということで、1つ目は機械包括安全指針の認知度はどうなっているかということで、平成17年度に同種の調査をしたものと比較しています。平成17年度は62%だったものが、平成21年度は84%。一方で機械のリスクアセスメントの実施状況はどうかということで、57%から74%。このように着実に普及は進んでいる状況が窺えます。
下段は機械ユーザーにおける状況です。機械ユーザーに対して残留リスク情報を受け取っていますかということでは8%と非常に低い割合ですが、これはメーカーが渡したとしても、受け取ったと認識していないものも含まれていると読み取れます。残留リスク情報は今後必要ですかということについては、多くのユーザーがそれを希望しています。機械ユーザーについては、現在リスクアセスメントを実施していないユーザーについても、6割強が残留リスク情報を要望していることも、アンケートの中から窺えます。
6頁は、機械メーカーによる機械のリスク情報をどうやってユーザーに提供しているかです。いろいろな方法で提供していますということで、機械への警告ラベル、取扱説明書というのをかなり多くの所で提供しています。一方でユーザーの認識は先ほどの調査では少し違っていてギャップが見られるところもあります。5番目のところに、残留リスク情報リストなどの文書、個別にこういうリストでお渡しするというのが約13%です。
7頁は、機械災害発生時の情報共有状況です。機械ユーザーの現場で発生した機械災害情報を、その機械メーカーに通知をしているかどうかを聞いたところ、通知の状況としては、通知することもあるが38%、ほとんど通知しているが12%。一方で約3割のユーザーが通報はしていないという回答でした。
一方で、ユーザーから事故情報を受け取った場合に、メーカーではどのように活用していますかというのが右の図です。類似機械の安全対策、機械の改修・改善、次期開発機種の設計のところにかなり高い割合で活用されています。そういう意味で、フィードバックされた情報が、機械メーカーにとっては有効に設計・製造段階で活用されていることが窺えます。
以上です。
○向殿座長 ただいまの資料1から資料4で、大事なのは資料3と資料4だと思いますが、ご質問等がありましたらお願いいたします。
○井上委員 ものすごい前段の話になるかと思うのですが、機械による労働災害発生状況の資料をいただいて、ものすごく災害を減らさなければいけないという目的はよくわかります。
今回の内容については、機械メーカーから、こんなリスクがありますということを提言するための会議かと思っています。この中にそういう今回の目的というか、そのリスクを伝えなかったことによる災害の状況の数字はつかんでいますか。全体的には多いのですけれども、その中でそれが不備によることということなのか。
○向殿座長 それは、梅崎さんがいちばん詳しいと思います。梅崎さんが昔の研究所の報告で、この情報を出した、出さないでどのぐらい死亡率が下がったかという統計を取ったことがありますね。
○梅崎委員 情報伝達の不具合ということで、当研究所で平成20年頃に調査をして、「労働安全衛生研究誌」という論文集に公表したことがあります。それによると6割近くは何らかの情報伝達の不具合があります。本来伝えるべきものも伝えなかったり、間違った情報を伝えてしまったりということがあります。極端な例になると、鉄鋼現場のような広い所ではすぐ現場には行けないです。そうすると連絡調整なしで勢いでやってしまおうということがあったりといろいろな事例があります。
○向殿座長 国際的には、そういう危険情報とか残留リスクを伝えるのが標準になっています。日本ではそれがあまりされていなかったというので、これをちゃんとやることによって相当労働災害は減るだろうという予想がありますので、是非残留リスクというか危険情報の伝達をしていただきたいと思います。逆に言うと、フィードバックで、新しいものが見つかったらユーザーからメーカー側へ連絡し、お互いにリスクコミュニケーションをすることにより、リスクや災害を減らそうというのが目的だと考えています。
○石坂委員 これは、なかなか回答は難しいと思いますが、資料3の2頁の1番のところで、挟まれ、巻き込まれが57%になっています。これは、中災防のいろいろな資料で、挟まれ、巻き込まれ事故の事例で原因を調べたときのいくつかの中に、安全対策が施されているにもかかわらず、防護装置やプライマリープロテクションとしてのロックなどは面倒くさいので外して、それで事故があった例が結構載っていました。この57%のうち、そういう安全対策が施されたにもかかわらず、それは邪魔だとして、それを外すなりして作業をした結果こういう事故が起こったというのも中にはあります。そういうものは数字的につかめるのですか。
○安達副主任中央産業安全専門官 こちらの資料のベースになっているのが、事故が発生したときに事業場にて作成して提出された労働者死傷病報告書を分析する形になります。いまのように、あったけれども外したというところまでの記載はおそらくないと思いますので、少しスポット的に掘り下げないと、どのくらいの割合かという数字は分からないと思います。
○宮川委員 資料4の5頁で、今回の重要な背景になった統計として、アンケート結果の要点が書いてあります。ここの下段の機械ユーザーにおける現状と今後の要望というところにこのデータが出ているのですが、このデータをどう見るかというところがちょっとあります。
メーカーが回答したところでイメージを想像すると、いろいろな中小企業からたくさんのあれがあって、たぶん中小企業ではしょっちゅう機械設備を買い替えるわけではないと思います。昔の残留リスクなど知らないようなものをイメージしながら回答した話なのか。だけど残留リスクはそこではわからないけれども、コーションプレゼントがあったときに、その安全の検証はやっているのか、やっていないのか。ここのところを検証しておかないと、今回の議論の方向が変な方向に行ってしまうのではないかと思っています。
さらに言うと、機械の安全水準の決定者は誰かと聞いたら、結構メーカーだと答えているのです。3項の回答の、協議して決定するというのは意味がよくわからないのです。あるいは、リスクアセスメントの実施率をみとるとメーカー、ユーザーに比べると、悪いけれどもユーザーのほうの実施率が低いということになります。
情報もあるのだろうけれども、本当に与えられた機械をちゃんと責任を持って従業員に与えることがきちんとやられているのだろうか。言うならばリスクアセスメントをして、リスクベースドアプローチがされているのだろうかと、このデータをいただいてここにものすごく大きな危機感を感じました。そのために、メーカーとユーザーがコミュニケーションを密にして、ユーザーの立場から言えば、安全な機械をより安く、より早くですよね。メーカーの立場としては、ユーザーに喜んでいただける機械を提供したいというところには何ら異論はなくて、そういう議論をしていかなければいけない。
そのためにも、なぜこういう状況になったかというところをきちんと把握しておかないと、情報は出したけれども結果的に使われなくなってしまうということです。当検討会の狙いである機械のリスク低減に一層の促進ということについての寄与度というのはいかほどのものかという危惧があるということです。
○高岡委員 私も、同じ5頁でかなり違和感があったのは、機械メーカーで、機械のリスクアセスメントを実施しているのが74%あります。残留リスクの情報を受け取った機械ユーザーが8%しかない。機械のリスクアセスメントを実施しているけれども、ユーザーに渡していないのか、あるいは宮川さんがおっしゃったように受け取っているのだけれども、それを残留リスク情報だと認識していないのか、いろいろな見方があると思うのです。
もう1つは右上の調査対象なのですが、機械メーカー、ユーザーそれぞれ2,000社に送付していて、回収がわずか270とか280しかできていないことから考えると、ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、機械メーカーの中で、機械のリスクアセスメントを実施しているような、非常に先進的な会社は回答しているけれども、「いやー、俺の所はやっていないわ」という所は回答できないような状況になっているのかと思うのです。わずか10数パーセントの回収率の中で、このアンケートをまとめるのは非常に危険ではないかと思います。
○佐藤委員 私も全く高岡委員と同じです。この回答率が低くて、メーカーで13%、ユーザーで14%ぐらい掛ける0.74ですからかなり低いのではないかということです。本当はもう少し掘り下げたアンケートだと、追跡調査ではないのですが、本当に良い所だけの回答ではないのかというおそれもなくはないのです。課題ではあるかなと思います。
○畑委員 ユーザーとメーカーの認識の違いは非常に大きいと思います。やはり、ここには残留リスクの情報として、ユーザーがきちんと認識できるような示し方の方策が何か必要ではないかということで、この辺りの溝が埋まることを考えていかないといけないのではないかと思います。
○宮川委員 資料4の最初の機械の危険情報提供に係る課題の欄の2つ目の○のところに、グローバルスタンダードに比べ、国内の云々と書いてあります。この言葉としては何の異論はないのですけれども、ただグローバルスタンダードというのは、機械安全はメーカーの責任だというコモンセンスの国・地域のスタンダードだと思うのです。日本は、そこも含めてユーザーの責任だというコモンセンスの国である、法律も含めてです。ここのところはきちんと整理した上で、それでは機械のメーカーがやるリスクアセスメント、ユーザーがやるリスクアセスメントの違いを明確にしておかないと、特にユーザーが発注するような設備では、同じ設備に対してメーカーがやり、ユーザーがやるというのは無駄ではないかという話になってしまう。これは違うと思うのです。
メーカーがやるのは対象範囲も、リスクアセスメントの対象も違います。製造から廃却まですべての段階が対象です。ユーザーはそのうちのひと握りのところをやるわけです。この違い、それぞれの役割、責務を明確にした上で、だからこういう情報が必要なのだねという話をしていかないと、先ほど言った活用もうまくいかないのではないか。だから、議論の前提としてメーカー、ユーザーの役割、責務を明確にして必要があると思います。
○向殿座長 わかりました。
○井上委員 いまのところのつながりが出てくるのかと思うのですが、機械災害の中で、免許というか資格が必要な機械とそうでない機械とあると思うのです。例えばクレーンであれば当然資格が要ります。そういう内容との区別。免許であれば、その免許を取る際に教育等があった上で災害が発生していることもたぶん出てくると思うのです。当然今回のリスクの情報を伝えることに対しては全く異論はないのですけれども、違うアプローチとして、災害を減らすという内容は、機械側のリスクアセスメントにおいてリスクを減らしていくことは当然やっていかなければいけないことなのですけれども、使用する人間がそれなりのレベルにないと使えませんというところは必要ではないのかという感じがしています。
ちょっと恥ずかしい話なのですけれども、うちの会社でカッターナイフで指を切った災害がありました。それから一時期カッターナイフは使用禁止みたいな話がありました。そういうことになるのもちょっとおかしな話かと思いますので、当然今回の話はそのまま続けていく必要があると思うのです。やはり、人との対応が重要なことなのではないかと思います。
○向殿座長 いろいろなご意見が出まして、これだと大事なところへなかなか進みません。要約してみると、確かにユーザーにも責任があってやるべきことはやりなさいと。ある意味では免許があったり、レベルはあるはずだと。それからメーカー側のリスクアセスメント、ユーザー側のリスクアセスメントは違う。特に日本はユーザーとメーカーがかなり一緒になっていろいろなことをやっているという、グローバルスタンダードから言うと違った面もありますということです。
その中で機械情報と危険情報の提供ということは、ある意味ではちゃんとユーザーにわかるように、ここに残留リスクがありますということがはっきりわかる。ユーザーはそれをちゃんと意識して、ある面で受け取って、自分の責任で危ない機械をちゃんと制御する。そういう意味では危険情報をメーカーがユーザーにちゃんと伝えるという意味では非常に有益で、これをどううまく使うかというのはユーザー側の問題もあるし、それを受け取ったメーカー側にもある。
そういう状況の中で、今回の危険情報の提供というのを、はっきりと明確にするというのが、全体の災害を減らすもとになるのではないかと解釈しましょう。これを踏まえて次にどうするかというのは当然あるはずですけれども、ある意味では危ない所というか、危険な所をメーカーがユーザーにちゃんと出す、明らかにする、情報公開、開示するのは非常に重要だということで、今回のこの検討会の内容を求めていきたいと思います。
○石坂委員 先ほど宮川さんが言ったことに関連して、これは念押しするようなものなのですけれども、参考資料4で、各国の国際の安全に対する規制というか、守らせる枠組みが比較されております。いちばん左に欧州の機械指令があります。欧州ではEUの統合を機に、同じようなレベルで機械を充実させる。要するに、安全を守らない機械、安価な機械がはびこって、真面目にやっている所の機械が割りを食うことのないようにということから、こういう公平性のために機械指令というのが、それだけではありませんが出された面があります。どちらかというと、世界の中では異質で、どちらかというと労働安全、アメリカ型というのが、日本も含めて主体になっています。
そのEUが国際標準に非常に影響力を持ってくるので、この機械指令の整合比較である12100がなった。だけど日本では、EUのように流通側、機械提供側のほうの枠組みとして考えるのではなくて、やはり日本の労働安全衛生法はアメリカと同じような枠組みですから、そういう中でどのようにやるのが、この法規制という観点から来たときに、より合理的に全体がうまくいくかという点はよく考えておく必要があるのではないかという点を思っています。
○宮川委員 この検討会の対象が機械の危険情報となっているので確認しておきたいのですけれども、これは機械の危険情報の提供ではないと思うのです。危険かどうかというのは判断した後です。ユーザーの立場でいうと、法的な責任も含めてユーザーは負わされるわけです。要するに危険ゼロというのはあり得ない、すべて危険なわけですから、許容できるかどうかということを判断するためのリスクアセスメントは基本的にユーザーに負わされているわけです。
残留リスクというのは、物理的に言うと防護方策で低減できなかったリスクというのでしょうけれども、マネジメントからいったら、許容したリスクなのです。これも言葉尻かもしれませんけれども、許容可能というのは、メーカーには許されるのでしょうけれども、ユーザーには許されないと思うのです、許容したリスクなのです。メーカーから許容可能なリスクです、どうですかと言われて、自分の職場に合わせて適合するか否かを判断して、許容したのだというところなのではないですか。だから、危険とか残留リスクというのではなくて、ユーザーがきちんとリスクアセスメントをやれる情報提供が必要と思うのです。
○石坂委員 宮川委員がおっしゃることはわかるのですが、要するにユーザー側、労働者の安全を守る側がそれをやるときに、よりそれが合理的に、よりやりやすいようにもっと良いアシストを考えようではないかという趣旨だと私は理解しました。
○向殿座長 そういう認識でいきたいと思います。危険情報という言葉尻を捉えてもしようがないのです。それから法制度というのは、ある意味では制度設計の問題で、日本とヨーロッパとアメリカはどう違うか。国の成り立ちも違いますので、日本は日本なりの中で考えていくというのも当然の話で、前提条件として進めていきたいと思います。
本日の本題が資料5になります。パート1、1頁の1「機械の危険情報の提供のあり方について」。この中に(1)(2)(3)(4)とあります。そして4頁の2「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」の2つに分かれています。もし時間があれば2のほうにもいきますが、本日は1に集中して議論させていただきます。1の中にも4つのテーマがありますので、一つひとつ議論していきたいと思いますので説明をお願いいたします。
○森戸主任中央産業安全専門官 本検討会の論点について、資料5に基づいて説明させていただきます。本検討会の目的は、資料1の開催要綱にもありますが、機械使用事業場におけるリスクアセスメント等の取組を促進し、機械災害の防止を図るということです。そのための、機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方を検討する。そして制度化を図ろうというものです。
1に書いてありますように、日本においては労働安全衛生法第28条の2に基づき、機械のユーザーがリスクアセスメントを実施し、そしてそのリスクに応じて低減するための対策を講ずることとされています。これを前提の下に、メーカーから提供される機械危険情報はどうあるべきかということについてご議論いただきたいと思います。
論点について順番にご説明申し上げます。資料においては、論点を提示し、その次に論点の参考になる事項を示す構成になっております。1番は、機械メーカーが機械ユーザーに、機械の危険情報を提供することは、機械ユーザーにとってどのように効果的又は有効なものであるのか。また、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に必要な情報とは何かということです。これに関して委託調査においては、参考1にあるように、アとして機械災害の割合が全労働災害の3割を占めており、重篤な災害ほど防護措置、安全装置の欠陥から生じていると指摘し、機械の安全方策がユーザーの段階で十分でないとしているところです。
イとして、機械の残留リスクの提供を求めるユーザーの例が高いと指摘しております。これは資料4の5頁のアンケート結果のとおりです。ウでは国際的な動向として、残留リスク等の使用上の情報の提供を行うこととされていると指摘し、エとして残留リスク等の使用上の情報を提供することを促進することが必要であるとしているところです。
参考2は、国際的な動向を踏まえて策定された、機械の包括的な安全基準に関する指針において、機械メーカーから、機械ユーザーに提供すべきとされている使用上の情報を示しております。
参考3で、委託調査においては、機械ユーザーがリスクアセスメントを効果的に活用するためには、使用上の情報のうち、[1]機械の意図する使用の目的と方法、合理的に予見可能な誤使用及び禁止する使用方法等の情報。[2]危険源のリストと、危険源に対して講じたリスク低減措置、保護方策(ただし[3]の対象となる危険源に限る)。[3]残留リスク情報。ここで残留リスクとは、保護方策を講じた後に残るリスクをいう。この3つの情報が提供される必要
があるとされています。
1番目の論点では、提供される情報について[1][2][3]でよいのか、あるいはこのうち制度として必要のないものはないのか、逆にさらに付け加える必要があるものはないのかについてご意見をいただければと考えております。
2番目の論点は、残留リスクなどの機械の危険情報は、どのように機械ユーザーに提供すべきかです。これに関して委託調査では、情報の提供はユーザーが活用しやすいように、フォーマットを定め、簡潔かつ明瞭なものとすることが必要であるとし、アとして化学物質のMSDSでは必要な情報の項目を定め、明瞭な情報提供がなされており、同様な取組とすべきである。イとして、残留リスクについては当該機械の残留リスクが簡潔に一覧できるものが使いやすい。ウとして、機械の包括安全指針に基づき、一連の使用上の情報を作成し、そのすべてを取扱説明書等に盛り込むことも必要であるが、それとは別に統一的な情報提供がなされるべきである。エとして、機械メーカーは警告ラベルや取扱説明書で、残留リスクを提供しているとするが、機械ユーザーは残留リスクの提供を受けていないとするものが多い。
警告ラベルにより提供される危険源があるものについて、どのような危害が、どのようなときに発生するか、どのような対応が必要かを文書により別途示すことが有効であると指摘しています。なお、これについては資料4の6頁にありますように、メーカーとしてはラベルや取説で提供しているということです。ただし、資料4の5頁のように、ユーザーとしては受け取っていないというように認識に食い違いがあるということです。ここでは、提供の方法についてご意見をいただきたいと考えております。
3番目の論点は、機械の危険情報のうち、残留リスク情報として必要な項目は何かです。残留リスクの情報については、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に非常に重要なものとなります。残留リスクの情報を正確に伝えるためには、アとして、リスクが生じるときの機械に関係する作業の態様。一例として設置・運搬中、運転中、保守・点検中、修理中、合理的に予見可能な誤使用中、廃棄といったものが考えられます。イとして、リスクの種類として刃部への接触による切断、稼働部への接触による撃突され、回転部への接触による巻き込まれ、充電部への接触による感電、高熱部への接触による火傷。ウとして、リスクが生じる箇所又は範囲、例として刃の稼働部や充電部等の特定。エとして、リスクの程度として死亡災害のおそれ、あるいは障害が残るおそれ、医者の治療が必要な程度、あるいはすり傷程度。こういう項目が考えられると思いますが、これがすべて必要なのか、あるいはリスクアセスメントを考えるとある程度絞ったほうがよいのか、そういうことについてもご意見をいただければと考えております。なお、リスクの種類については、危険源としてJISに定められているものを考慮する必要があるのではないかと考えているところです。
なお参考に記しておりますけれども、委託調査においては、機械ユーザーが実施する作業については必要であるが、機械ユーザー以外が行う、例えば機械メーカーが実施することとされている修理作業などは必要ないのではないかという指摘がなされているところです。
4番目の論点は、機械の危険情報が提供されるべき機械はどのようなものか。すべての機械に必要であるのか、仮に残留リスクがない場合には、残留リスクはないとする文書が必要かということです。これに関して委託調査においては、情報提供の対象となる機械は、すべての機械を対象とすることが適当であると指摘されております。この点についても、すべての機械を対象とするかどうかについてご意見をいただければと考えております。
2は「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」です。これは提供制度が設けられたとして、これが運用されるために国はどのような施策を講じることが適切かという観点です。ここでは論点を3点示しております。1番目は、機械メーカーが機械の危険情報を適切に作成・提供するために、必要な支援としてはどのようなものが考えられるか。特に中小機械メーカーに対し、必要な支援としては何があるか。2番目は、機械ユーザーに求められる取組、必要な支援としては何があるか。3番目は、想定していないリスクにより、機械災害が発生した場合に、そのリスクを機械メーカーにフィードバックする仕組みが必要ではないか。これに関してもご意見をいただければと考えております。説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○向殿座長 いまの説明にご質問等があろうかと思いますが、一つひとつやっていきたいと思います。1の「危険情報の提供のあり方」と、2の「提供制度の効果的な運用について」の2つがあります。1の提供のあり方で、(1)は内容です。使用上の情報に相当する危険情報を提供することは、ユーザーにとってどのような効果、有効なものであるか。また、機械ユーザーがリスクアセスメントを実施する際に必要な情報とは何かという話です。この結論は2頁にあるように、使用上の情報としては大きく[1][2][3]と3つ提案されていますけれども、ご意見、ご提案がありましたらお願いいたします。
○高岡委員 危険情報の提供というのは、機械ユーザーがリスクアセスメントをするために必要な情報というのは全然問題はないと思います。参考3で、どういう危険情報、あるいは使用上の情報を提供すべきかのところで、[1]機械の意図する使用の方法、合理的予見可能な誤使用及び禁止する使用方法の情報というのは、現在ではたぶん取扱説明書であるとか、警告ラベルで十分ではないかもしれませんけれども、一応は提供されていると思います。
[2]危険源のリストと、危険源に対して講じたリスクの低減措置、これは非常に必要な情報ではないかと思うのです。その括弧で、[3]の対象となる危険源に限ると書いてあります。[3]は残留リスク情報です。ですから、残留リスクがまだ残っている危険源に対する情報だけでいいよという具合に書いてあります。
でもどこかに、機械のメーカーが修理する場合、保全をする場合には要らないのではないかという議論がありました。メーカーが修理をする、保全をするのか、ユーザーが保全をするのかというのは機械によっても違いますし、ユーザーの規模によっても違うと思います。
そうすると、[3]の対象となる危険源に限るというのは非常に危険なのではないかと思っております。
やはり、危険源のリストというのは、すべての危険源は例えばカバーがかかっているとしてもここにチェーンがあるとか、あるいは3.7キロのモーターがあるという情報というのは非常に必要なのではないかという具合に思いました。それは、そのカバーを外したときに、危険がむき出しになるということで必要なのではないかと思うのです。
○宮川委員 いまの[3]の情報については高岡さんの言うとおりです。結局メーカーが予見し得ない事態だって起きるわけですから、そのときにはとにかく危険源を遮断してやらなければいけない。ですから危険源リストについては、危険源リストと遮断、停止の情報は必須だと思います。これをやっておかないと。
○向殿座長 ちゃんと手当てをして残留リスクがなくなったからいいと思ってはいかんと。カバーの中にそういうものがあり得るからという意味ですね。
○宮川委員 はい。だから10年に1回の作業が明日あるかもしれませんので、これは絶対に要ります。参考1のエのところに、残留リスク等の使用上の情報提供を促すことが必要であるということですから、包括指針の別表5で、こういう情報を提供しましょう規定してあり、残留リスクもその中の項目に入っています。なぜ当検討会ウに残留リスクだけが出てきたのか、ここが非常に不可解なところであります。
先ほども言いましたように、使用者がやるのは、どういう前提条件で設計されたのか。自分の職場環境に対して、労働環境とか、物的な環境といろいろ含めて適合するのかどうするのか。メーカーがやったリスクアセスメントは妥当だったのか。自分たちの職場環境でやって妥当なのか。そこでユーザーとして残留リスクを決めるのです。あくまでもこの残留リスクというのは、このトーンからいくと、メーカーが使用可能と思った残留リスクという話なのです。だからこれを決めようとすると、やはり別表5に相当するような情報は要るのです。これがないとユーザーは困るし、安衛法第28条の2の調査をやれと言ったらこれはやれないのです。参考3の3つの情報と言われたらです。
○向殿座長 当然引っかかってしまう。
○宮川委員 それはあります。
○向殿座長 いまのお話の参考1のエの促すことというのは、あまりやっていない所が多いからちゃんとやれという意味だと解釈します。これはたぶんそうですね。
○宮川委員 別表5の使用上の情報でやろうと。
○向殿座長 それだけ言えばいい話なのです。
○黒澤委員 私は、初めてこの検討会に入ったのですけれども、疑問に思っていることは「残留リスク」という言葉に非常に違和感を感じております。なぜ感じたかというと、「リスク」という言葉は危険ということばかりではないのです。機会、チャンスということも入っているのです。リスクというのはまだ未知の、これから起こる事象のことを言っているのです。
リスクという言葉は本来、実は危険ということばかりではないのです。チャンスということも入っているのです。リスクというのはまだ未知の、これから起こる事象のことを言っている。ここでは残留リスクを危険なことと考えているので、残留リスクという表現を使うと、我々理系の人間ならわかるのですが、普通の人たち、法文系の人たちはリスクに対して別の意味を取っていて解釈が違うのです。危険な情報をリスクと位置づけているものですから、 この辺は我々は非常に誤解を受けているのだと思います。リスクというのは本来、未知でこれから何が起こるかわからないということなのです。危険が起こるかもしれない、あるいはチャンスが起こるかもしれない、どっちかわからないというのがリスクなのです。本来はね。
ですからリスク情報と言ってしまうと、どちらでもあるのですが、残留リスクという言葉を 使うと、実は危険という意味合いが非常に濃厚になります。たぶんメーカーにとって、こう表示すると営業上差し障りがある。これはいろいろな問題が絡んでいるのですが、理系の我々は危険情報というふうに理解していますけれども、一般の文系の人たちの世界では、リスクという言葉が多様に使われて解釈が曖昧になり、危険ということを強調した表現になったりしている。これが私は困ったことだなと思っています。
実はこのことが、メーカーがリスク情報を提供するときに法的な問題を懸念しているのではないかと、私は考えています。要するに将来訴訟が起こったときに、「危険なものがまだ残っていますよ」ということを残留リスクと言う表現では、そういう誤解を受ける恐れがあることを言っているわけです。この機械にはまだ危険な要素が残っていますよということを開示するということです。それが将来、何か訴訟が起こったときに、その証拠にされる可能性が非常にあるのです。これは私がほかの団体で法文系の方々とお話をして痛切に感じました。理系の人たちの世界ではあまり感じないし、当然のこととして理解していたのですが、弁護士とか法曹関係の方々とお話をしていると、そのことを痛切に感じさせられました。
だから残留リスクという言葉は、私は適当な用語ではないと思いますが、現在、普段にリ スクアセスメントの世界で使われていますから、この言葉をもう少し別の意味合いに表現を変えて使ったほうがいい。例えば「安全遺留情報」「非顕在安全情報」という形です。要するに、まだちょっと残っているかもしれないという意味合いで使うならいいのですが、リスクという言葉は非常に幅があって、そういう解釈がなされてしまう。そういうことでちょっと違和感を感じていたのです。ここでは理系の人たちが、大体そういう解釈でやっていますから、ここに書いてあるように「残留リスクとは保護方策を講じ、あとに残るリスク」と定義していますね。そういう意味合いで使うならいいのですが、一般の人たちの理解や取り上げ方は違うということだけ指摘しておきたいと思います。
○向殿座長 わかりました。そういう現実があるのは大体、常識的になっていて、我々の場合は、残留リスクが明らかに危険情報という意味であると理解しています。
○黒澤委員 リスクが顕在化するとハザードになる。危険源という情報を提供するのはわかるのですが、リスク情報を提供すると言うと、何かよくわからないことを提供することです。
○向殿座長 細々なことを話してもしようがないのですが、大事なことは。
○黒澤委員 こんなことを言ってはいけないかなと思ったのですが、問題提起としてあえて言わして貰いました。
○向殿座長 わかりました。状況はよくわかっています。あえてここでやっていることで大事なことは、絶対安全はなくて必ず残留リスクがあるのだということを、メーカー側がちゃんと提供することが非常に重要で、これが法律問題とか裁判問題になったときに、危険なことがわかって出したメーカーはけしからんと言って。負けるかという話になったときに、100%完璧なものはありませんということをまず我々が認識して出しているので、あとは裁判官に判断してもらうしかないということです。
○黒澤委員 そこでもう1つ、免責の問題が関わるのです。よろしいですか。
○向殿座長 それは制度設計のところに絡みますので、畑さん、どうぞ。
○畑委員 私も先ほどの高岡さんのお話と一緒なのですが、危険源に限る残留リスク情報とありますけれども、残留リスクの定義みたいなものを明確にしないといけない。要するにリスクを低減した後も、それを安全維持管理するところまで含めて残留リスクとして見ないといけないので、このあたりの定義をもう一度見直して、定期的な交換も含めているのです。危険にある所のカバーを外してはいけないという、[1]の意図する使用の話とか、そこらが全部絡んでくるのです。そのあたりをどうしていくか。
○向殿座長 いまの黒澤委員の話と似たところがありますが、ここで大事なことは、残留リスクの定義というのは、保護策をやった後にも残ったリスクという定義になっているわけですが、いま言われたのは、その後のこともちゃんと広く考えたほうがよろしいということですね。
○石坂委員 これは、いまここで結論を出すというのではなく、この後のテーマの伏線として申し上げておくということですが、いま対象としている機械というのは主に製造現場等で使われる機械で、B to Bの契約で納める機械です。一般消費者に出す機械ではない。それから、いま出た法的な責任、訴訟問題ということもあるのですが、もう1つは情報提供するときに、機械の本質的なノウハウというか設計の技術情報が流出しないかという懸念を、これもリスクの1つとしてメーカーは持っているわけです。そういうことも押さえながらいかないと、うまく回っていかないだろうと思います。
残留リスクがあるところの危険源リストと言ったときに、そのリスク低減方策で、要するに付加的な保護方策については、あまり問題ないと思いますが、本質安全設計のところまで立ち返ったことにおいて、その情報までよこせということになると、まさにそれは機械が持つ本来の機能と一体のところの設計方策ですから、そこまで開示しろと言うと、メーカーとしてはそれは困るとなります。そうなると、そこをあえてユーザーが必要だとすれば守秘義務をお互いにやって、それを必ず守るという中で、どうしても必要なら教えましょうということもあるわけです。だから無条件で、それは開示しなければいけないということになると、おそらくメーカーとしては用心して、それは答えられないということになっていくのではないか。そういうことも、この[2]の危険源に対して講じたリスク低減措置の中身をどこまでやるかで、無条件にあらゆる措置を開示しなければいけないというのは、なかなか難しいのではないかと思います。それが本当に、そこまでユーザーのリスクアセスメントに必要かどうか。これは現場で努力されている宮川さんの意見もお聞きしたいのですが、そういうふうに思っています。この段階では結論が出る話ではないですね。
○佐藤委員 結局、いまのそういう話は機械の契約上の問題なのです。そこできっちり、どこまでできるかということに絡んでくるので、そこまでいかないと、どこまで情報を出すか出さないかというのは、契約上、きっちりそれぞれが個別に契約しておくべき話です。特に大きな機械になればなるほど、そういう問題が大きいと思います。その辺の議論も進めていく必要があります。
○森戸中央産業安全専門官 私どもとしては制度化というのを考えているので、少なくともこれは出してもらいたい。ですからメーカーはメーカー同士、それはいろいろな契約の中で、どこまで求めるのかということはあり得ると思っていますが、私どもとしては、制度としてユーザーがリスクアセスメントをできるように、リスクが実際にはわからないという中小の企業もありますので、そこがきちっとリスクアセスメントができることを、視点として考え
ているということです。
○向殿座長 具体的なものになった場合は、契約という問題が入ってきて当然だと考えていいわけですね。
○宮川委員 機密の問題ですが、誰かのコメントにもありましたけれども、文章云々というより、もう既にユーザーの目の前に機械があり、分解して情報を入手しようとすれば容易に行える。これは別の問題ではないだろうか。だからリスクアセスメントの情報提供とかはあまり関係ないのではないでしょうか。
もう1つ、本質安全の話ですが、要するに防護方策によらない本質安全は、逆にメーカーがアピールする材料なのです。前提条件として設計段階、構想段階でやって、防護方策によらないような仕様にしましたと、そこからリスクアセスメントがスタートするのです。そこの努力が評価されなければ、逆に言えばメーカーは報われないのです。だから、これは是非出すべきだと思います。そこの評価をどうするかが本質安全の推進に非常に重要だと思います。
○石坂委員 そういう論旨はそのとおりだと思いますが、皆さんがそれを納得しなければしようがないので、納得性があるかというところも、この制度を運用するときには考慮していかなければいけないと思います。
○宮川委員 そういうことをできるように、どう情報提供していくか、活用していくか、それを議論すべきではないかという気がします。
○石坂委員 結論を言うようですけれども、いま森戸さんがおっしゃったように、この程度は誰が見ても出すべき情報だというのと、そうでなくて、より突っ込んでやる情報と、そういうことを例えば2段方式でやるとか、いろいろな工夫をこれから、こういう制度の中で考えていく必要があるのではないかという伏線です。
○向殿座長 大枠はこれでいいけれども、大事なことだったねみたいな話が起きるかもしれない。
○宮川委員 念押しで、別表5の情報だと私は思いますので、そこだけは是非、ご検討いただきたいと思います。残留リスクが必要条件であり、十分ではないということ。
○向殿座長 私に言わせると、本質安全設計したのなら初めから危険源はないということだから、要するにハザード、残留リスクもなくなっているのではないかと。ほかに何か。
○梅崎委員 いまのお話がいちばん重要だと思いますが、それに付け足す話として、誰が結局担うかと言ったときに、例えばA社が機械を造りましたと、そのA社が今までの日本の社会慣行からすればメンテナンスもやっていたわけです。ところが、今は入札にかけろと、 ともかくいちばん安い所にやらせればいいのだという、例えばエレベーターを例にすると、 入札で落としたB社では設備の中身がわからないこともあります。そうしたときに、B社でメンテナンスをやったときの事故が現実に起こってきています。、確かに労働安全衛生法の最低基準ということで言えば、必要不可欠なものを[1][2][3]に絞ることはやむを得ないのかもしれませんが、いまみたいな状況を想定したときに、[3]の対象となる危険源に限るというのは、ちょっと疑問がある。そこだけは、いま問題となっている話なので懸念します。
○向殿座長 エレベーターに関しては、保守情報のために全部出せと法律が変わりましたね。
○石坂委員 これは中災防の委託調査の中では言及されなかったのですが、常に新しい製品をメーカーから購入すること以外に、ほかの所の中古とは言わないけれど、導入したりということも結構世の中は多いのです。あるいは外国の機械を代理店を通じて購入したとか、そういう国内のメーカーが直接、国内ユーザーに機械を提供する形以外で、持ち込まれる機械のリスク情報はどうするのかも、この枠組みでは議論されないかもしれませんが、重要なことではないか。労働安全衛生法の中で、別表1は別として別表2のほうは、要するに新規設備の導入のメーカーの問題ではなく、中古だろうが何だろうが、機械を受け入れて設置してはいけないというルールになっています。そういう別なルートのリスク情報というのもあると思います。
○向殿座長 これは例えば法律に入ったとすると、それは日本で流通するものはこうでなければいけない、外国から来る場合もちゃんとリスク情報がないといけないとなるでしょう、きっと。
○石坂委員 それは制度設計による。
○向殿座長 制度設計によりますけど、たぶんそういうことになる。そういう意味では、ある意味でいい方向に向かう可能性がある。
○宮川委員 いま梅崎さんが言われたことで思い出したのですが、機械の製造から廃却の段階というのは複数の事業者が関わる。すべてが事業者であり、28条の2が適用されるのですよね。運搬の事業者ににしても28条の2が適用される。修理業者はもちろん適用される。
設置調整業者も適用される。廃棄業者も適用される。それを使って製品を造る使用者も適用されるということで、全部の事業者を含めて使用者です。たぶんそういうことでしょう。
○向殿座長 関連者とは、そういうことですね。そこで言葉を使っていいかどうかわかりませんが、残留リスクというのがそこで明確であれば、いろいろな事業者がその情報をもらいながらと、わかりました。いまの論点1はたくさんありますが、いちばん大事なのは[2]に書いてある[3]の対象となる権限に限ると言うけど、そんな冷たいこと言わないで全部やりなさいということですね。
○佐藤委員 基本的にはそういうことです。
○向殿座長 いまの議論を伺っていると、基本的にそういうことですね。
○佐藤委員 基本的精神はそのとおりです。
○高岡委員 ただ、先ほど質安全設計の部分はどうするかという問題がありました。カバーであれば外すと危険源がむき出しになりますが、本質安全設計がやってあれば、残留リスク情報の設置、運搬、運転から廃棄までの中でも、危険源はばく露しないわけですから、それは除いていいかもしれません。
○向殿座長 本質安全設計をやっていれば、実はそういう危険源はないと。
○高岡委員 ないと。
○向殿座長 だから書く必要はないと、言いすぎかな。。
○石坂委員 本質安全設計をやって、よりリスクを下げて、それでも十分下がらなかったものであって、本質安全設計というのはリスクをゼロにする行為ではありませんから。
○向殿座長 わかっているから、やめるという話です。わかって話をしているのですけれど。
○黒澤委員 本質安全と絶対安全の違いは、そこら辺にあったのです。昔から絶対安全はないということを言うために、本当は本質安全という言葉が生まれたと思っています。
○佐藤委員 それは「的」が付いているのではないですか。
○黒澤委員 最近は「的」が付いたり、「的な」とかだんだん柔らかい表現になっている。
○向殿座長 「的」が付いている。
○黒澤委員 私は予見可能なリスクではなく、予見可能な誤使用や予見可能な禁止条項であれば、考えられるとはみんな出すのですが、実は予測できないことがたくさんある。専門家ですらわからないことがある。ここが最大の問題点なのだと思います。例えば100円ライターがいま問題になっていますね。子どもの使用によって火事が起こったりしている。あれなんかまさにその典型的例なのです。2段階にしないと作動しないようにする。そういう冗長的なやり方を最初は誰も考えていなかった。子どもがいたずらして火災があちこちで発生して、初めてわかったハザードの現実なのです。リスクだった。そのようなリスクを開示していれば大丈夫だったかというと、そうでもない。それは今まではハザードではなかった。
100円ライターが普及し、何処でも簡単に手に入るようになり、子どもがたくさん遊びに使用して火災が起こって、初めてそれが危険源だとわかった。我々が技術屋(者)として、それをどこまで予見できるかということです。
私もいろいろ考えて、リスクアセスメントの各段階でいろいろリスク低減策を提案しているのですが、どうしても最後に残されたリスクがあるなというのがあるのです。リスクという用語表現は悪いけれども、(純技術的ではない、社会的、時代背景的な、使用者・利用者の変化に起因する)訳のわからないものが残っているなということはあります。
○向殿座長 予見可能なということは、いま言ったように予見不可能は仕方がないと。予見可能をみんなやっているのに、使用者が間違っていますよと、誤使用ですよなんていう逃げ方をしてはいけないと、これはそういう意味です。(1)に関してはよろしいですか。いま言った[3]の危険源の対象に限るなんていうことは言わないで、ちゃんとやりましょうということです。では(2)にいきましょう。(2)は「残留リスク情報」などの機械の危険情報は、どのように機械ユーザーに提供すべきかという、提供の方法です。これは結論はどういうふうに書いてあるかというと、ア、イ、ウ、エになっています。フォーマットをちゃんと決めて、わかりやすく簡潔にと。
○宮川委員 字面はわかるのですが、イメージが湧かないのです。意図していることがいちばんわからなかった。
○向殿座長 最後、一覧表にしようと書いてある。
○宮川委員 部内の技術グループの連中ともいろいろ議論していたのですが、ここは1番目にわからなかった。例えば特定設備はクレーンとかプレスとかいろいろあるから、何かイグザンプルがるとわかりやすいとかね。
○向殿座長 例があるとね。
○宮川委員 いちばんイメージが湧かなかった。ここのところは言っているのはそうなんだけれど、フォーマットってどういうことなのか。
○向殿座長 たぶん、ここは取説がちゃんとあるんだけれど、読まないから危険情報だけはちゃんと一覧表にして、わかりやすく別用紙で付けなさいと、そういう意味ですね。
○佐藤委員 やっぱり取説とは別に。
○向殿座長 別に作らないといけない。
○宮川委員 別にという意味で、それぐらいのものだったら、それはそれで。
○佐藤委員 そういう安全マニュアルがないです。そこにきちっと全部網羅して書くのが普通なんでしょうね。たぶんそういうことをイメージしていると思います。
○向殿座長 たぶん、そういうイメージですね。
○井上委員 いまの話にありましたけど、取説とは別にというところで私はちょっと引っかかったところがあるのです。別にということは、取説と別の場所に置くということになると思いますが、基本的に設備がずっと長い間メンテする中で、残っていくのは取説なのです。例えばそういう別のものがあったとしたら、大体なくしていくのが主だなというイメージが私はあって、ここは別に別にと強調されているところがあるのですが、その辺がどういう位 置づけだったのかなと思ったりしたのです。
○向殿座長 この意味は、取説の中にちゃんと書いてあるけど、取説とはまた別に。
○井上委員 また別ということなのですね。
○向殿座長 取説を全部、ちゃんと読む人は少ないから、取説にはちゃんと書いてあるけれど、大事なところだけ別のフォーマットにしてと、そういう意味です。
○井上委員 それは大体、イメージとしては機械のところに置くイメージになるのでしょうかね。
○向殿座長 そうです。
○畑委員 私、井上さんの意見に賛成なのです。マニュアルの頭に、取説のどこどこに、これが対象になっているというのを示したほうがいいのではないかと思います。一緒に引っ付いた形です。
○高岡委員 このエの機械メーカーは、警告ラベルや取扱い説明書で残留リスクを提供しているが、ユーザーは受け取っていないと。いちばん最後に「別途示すことが有効である」と書いてありますが、取説とは別冊にしろとは書いていなくて、中に文章でぐちゃぐちゃ書いているのではなくて一覧表にまとめて、畑さんがおっしゃったようにいちばん前に置くとか、そういうことをすればいいのではないかと思います。
○向殿座長 別にする必要はなくて。
○佐藤委員 普通は取説の最初に書いてあって、それもあるのですが、それとは別にかなり共通したことがあるのです。そうしないと、そこで安全の読みましたというサインをするのです。その人しか機械を使ってはいけない。それが通常のやり方です。だから誰もがその機械を操作していいという姿勢が問題を起こすことが、ひとつあるのです。
○宮川委員 そういうところが、皆さんたぶん、それぞれ想像で言っているので、たぶんこうではないかという話でね。
○向殿座長 いや、いま言ったイメージは。
○宮川委員 具体例があるとフォーマット何だろうと思う。なぜフォーマットなのか、あるいは簡潔かつ明瞭と言っているけれど、どんなイメージのことをいっているのか判りやすい。
○向殿座長 例があるとわかりやすい。
○宮川委員 制度的に運用というのは、どんなことを言っているのか。言葉だけが並んでいるから判り難い。
○向殿座長 MSDSの例が出ているように、あるパターンが決まっているとみんなわかりやすい。ここには何が書いてあるとわかるという。
○宮川委員 要求事項は何だろうね。こういうことを言っているんだよということが、わかると検討しやすい。
○向殿座長 あまり順番がばらばらだと、しようがないから、ある程度フォーマットでやろうというイメージです。
○宮川委員 いま別冊にする紛失すると言われたけど、ある程度重要な問題です。安全性管理の必要な基礎データが、どこかへ行ってしまっているというわけですから、安全性管理はあまりやられていないと、そういう面から見てどうすればいいのとか。
○向殿座長 そういう問題がありましたね。要するに取説に書いてあるけれど読んでいないと言って、そこまでいくとまた問題が複雑になる。どうですか。(2)のア、イ、ウ、エについてイメージは大体わかったけれど、別冊にすると、要するに別々にする必要はなくて、1頁目にちゃんとまとめておくというのでもいいと、そういう意味です。ばらばらに書いてあると読むのが大変ですから。
○佐藤委員 頭にまとめたほうがいいですね。表にしてまとめるとか。
○向殿座長 取説って、こんな厚いのがある。その上にこうやっていつも持っていたら大変です。
○佐藤委員 それはあるのです。
○井上委員 ある意味、電化製品のビデオとかを買ったときに、最初にいろいろ警告があると思いますが、あのイメージなのかなと私は思いながら、今日来たところがあるのです。
○宮川委員 逆に言うと、明瞭にと言っている意味が、一般的な取扱いの本当の説明ではなくて、危険有害情報とか設備情報に関する基礎情報は、それだけ分離した形で明確にしておきなさいという要求なのか、別冊ということを要求しているのか。
○向殿座長 「別に」と書いてあるから、それとは別にということは、離して別にという意味はないかもしれない。
○安達副主任中央産業安全専門官 逆に言いますと、議論の中では機械のユーザーにとってリスクアセスメントに使いやすいためには、別にとか別途というのは取扱説明書(取説)の頭にあるのがいいのか、また別な形がいいのか、ここは「別に」としか書いてないですけれど、その視点でどういうやり方がいいか、またご議論いただければと思います。
○向殿座長 要するに別途、ちゃんとまとめてわかりやすくと、そういう意味です。
○石坂委員 そういう意味で、事務局の提案をもう一度確認したいのですが、要するに残留リスクを簡潔に一覧できるものというのと、エで示すこの最後の3行というのは非常に重要で的確な文章だと思いますが、「どのような時に発生するか、どのような対応が必要かを文書により別途示すことが有効である」とあり、文書により別途示すということと、上の一覧できる表との兼合いがどう結び付くのか。私はエに書いてあることは非常に重要なことだと思うのですが、イに書いてあることとどう融合させるのか、イメージがちょっと。
○向殿座長 別途示すことは、取説の中でもいいのですかね。
○石坂委員 そこのところで、イの一覧できるものが組み込まれるべきであると考えているのか、それはどこか別にあったほうがいいと考えているのか。
○向殿座長 それは別途でしょうね。上の一覧の中にどういう対応をするか書いたら複雑になるから、取説の中にちゃんと書いてある。
○石坂委員 それが分離した状態なのか、イとエが要するに連続してあるのか、1つのところにまとまってあるのか。
○向殿座長 それは、どういうイメージで作ったらいいか。
○黒澤委員 量産されている機械類については、かなり取扱説明は丁寧に書いてあって、メーカーによっては、安全マニュアルというのを別途作って提供している所がたくさんありますね。取説のボリュームにもよりますが、分けることはいいことだと思います。ユーザーが気が付かないことを気が付かせてあげるという意味合いですから、そういう意味合いでは安全マニュアルを別途作っておく。それがリスク情報の提供と一緒かどうかというのは、また別の話ですけれども、一応、安全マニュアルというのは別途作っているほうが、私はいいと理解しています。
○安達副主任中央産業安全専門官 おそらくここでの議論は、いろいろご意見があった中で取扱説明書の中で設置時、運転時など、いろいろなステージごとに残留リスクみたいなものがあった場合には、そこのところをつまみ食いして読まなければわからないので、どこかに一覧できるものがあればと。取扱説明書を使う人と、ユーザーとしてリスクアセスメントをする人が、同じか別かという議論はありますけれども、これを活用して法第28条の2の世界でやらなければいけないのですねという、使い方に着目した議論で書かれたものです。
○向殿座長 イメージはいいですね。大体一致していますね。
○梅崎委員 この(2)の中でフォーマットを定めるとあるのですが、そうすると予めこれでなければいけないという、そういう強いメッセージを与えてしまう。例えば半導体製造装置みたいなものでいろいろあるけど、魚網の巻上げ機みたいなものを同じように扱えるのかというと、絶対そうはならない。ある意味、雛形なんだけど、ある程度それを参考に作るというような、あまり強い縛りでないもののほうがいいのではないかという感じがします。
○向殿座長 フォーマットの意味ですね。
○梅崎委員 ええ。
○向殿座長 少なくとも使ったフォーマットではなくて、機械によって内容が違ったり、あったりなかったりするから。
○梅崎委員 多少、アレンジできることを許容する。
○向殿座長 必要最小限のものは記入できるような形でないと、いけないということ。
○梅崎委員 何かフォーマットって、強制というふうに思います。
○向殿座長 そういうふうになりますね。
○梅崎委員 いろいろな意味がとれます。
○井上委員 いまのフォーマットの形の話ですが、リスクというのは結局、たぶん人が怪我するとか死亡するとか、そういう災害の類型に分けられると思います。その視点でいくと先ほどの企業秘密の部分に関わってくることになると思いますが、例えばこんな動きをしたら火傷をするとか巻き込まれますというのが、実際に前提になると思います。逆に疾病名ではないですが、それが頭に来るような動きにすると、ちょっとはいいのかなと思ったりしたのです。
○向殿座長 よろしいですか。(2)については、たしかフォーマットというのは、そんなにがっちりして、ここに埋めなければいけないというイメージのフォーマットではないと考えましょう。機械によって相当違う可能性がありますかね。わかりました。次は(3)です。機械の危険情報のうち、「残留リスク」情報として必要な項目は何かです。いま井上委員が言われたように、こうしたら火傷するとかどうとか、そういう話がリスクの例として出ています。これについて何かご意見はございますか。
○高岡委員 リスクの種類等は書いてあるのですが、ここで危険源ではないですよね。いちばん下の○に、なお、リスクの種類には、「危険源」としてJISに定められているものを考慮する必要があるとして、ちょっと矛盾しているような気がします。
○向殿座長 リスクというのは危険源があって、それに対してリスクですね。この言葉遣いが。
○高岡委員 危険源を明示しないと、いけないのではないかと思います。
○向殿座長 イの場合はリスクの種類というより、危険源とリスクの種類というイメージですね。
○高岡委員 そうですね。
○宮川委員 ここは、大体こうなっていると思うし、お願の部分ですが、現場でリスクアセスメントやっていて、危険源の同定ということほどわからないものはないのです。いろいろ考えた末、いま豊田労基協会でやっているが実はリスクの定義です。
○向殿座長 定義ですね。
○宮川委員 これは取りも直さず、災害の発生過程、シナリオを書いているわけです。
○向殿座長 ストーリーですね。
○宮川委員 災害の発生ストーリーです。だから、これに基づいて危険源ごとに情報提供せよと。これも大体そうなっているのです。アはたぶん危険状態発生を言いたいのだろうと思います。
○向殿座長 そうですね。危険源ごとにこうなっている。
○宮川委員 そうです。危険源ごとにアが危険状態の発生で、イがたぶん事故の型ですか、ここをもう少し整理して事故の型とか障害の型とか、このベースに基づいて整理をする。だからリスクというのは、災害の発生のシナリオに基づいて現状把握をし、あるいは予測をし、お互いにメーカーとユーザーが議論し合うんですよという、まずこのルールが要るのではないかと思います。そうすると井上さんが言われたのも、全部ここに入ってしまう。是非災害発生のシナリオに基づく情報提供をルール化して欲しい、この共通認識がないと、たぶんコミュニケーションができないのではないかと思います。
○向殿座長 話がちゃんと通じない。
○宮川委員 はい。是非、それをお願いしたい。
○向殿座長 いかがですか、いまのご提案、よろしいですか。やはり危険源ごとですね。
○宮川委員 JISの定義に基づいて情報提供する。災害の発生のシナリオというのが誤弊があるならばですね。
○向殿座長 要するに残留リスクというのは、ここにはこういう危険源があって、この危険源については例えばこういうことをすると、こうなりますよという話ですね。
○宮川委員 リスクの根本の項目について情報提供するのだという大原則は。是非ほしいですね。
○梅崎委員 もし国際規格にあくまでこだわるのであれば、危害という言葉と危険事象という言葉が必要です。結局、シナリオが見えない限り現場はストンと納得しないのです。だからシナリオが必要です。
○向殿座長 危険事象の発生から始まって、危険状態という話で、ああいう国際規格の用語を使えばストーリーがよくわかる。
○梅崎委員 危害であったり、シナリオがない限り理解できない。
○宮川委員 だからJISや国際規格でも定義しているのですが、意外と本になってしまうと、そこのところがスッとどこかへ行って危険源の同定から入る。余計ややこしくして現場でいちばん苦労している。
○向殿座長 これは危険源各権限ごとに、ついに危害が発生に至るステップが実はあるという話ですね。
○宮川委員 そうです。
○向殿座長 危険状態が発生してとか、そういう話をちゃんと。
○宮川委員 割と受け入れやすいのです、こうやって災害が起きるのだろうと言うとね。
○向殿座長 そうするとここの部分で、こういう原因でこうなって、それで危害が発生するとこういう危害になりますよと、こういう話ですね。そんなことを少しイメージして、この残留リスクとしてはこういう情報を提供するということ。それで危険源についてはJISにちゃんと定められているという話になる。いかがですか。いいですか。ありがとうございました。1の最後の(4)ですが、機械の危険情報が提供されるべき機械はどのようなものか。要するに特定なものなのか、すべての機械に必要であるか。仮に残留リスクがない場合には
残留リスクなしとか、そういう話ですね。残留リスクがないということはあり得ないね。
○宮川委員 リスクアセスメントをやっていて悩むのは、じん肺とか難聴とかです。急性の疾病は挟まれ等と同じようにリスクが評価できるが、特にエルゴ等、いま疾病関係で問題になっているようなリスクは結構低いリスクになってしまう。ここをどうするかということ。
衛生課はたぶんそこが重要なところで、これはリスクアセスメントをやると、結構低いリスクになってしまう、ここをどうするかという。
○向殿座長 白蝋病だとか、ああいうものですね。アスベストもそうですね。
○宮川委員 腱鞘炎とかね。
○向殿座長 腱鞘炎とかね。そういう長期にわたって出てくる。
○石坂委員 パソコンなんかのキーボードで問題になった、ああいうのは産業分野で確かにありますね。
○宮川委員 機械的リスクという部分ではゼロはないけれども、リスクが低くて許容可能なのは、聞かれたら答えるようにしておいてねぐらいのね。
○向殿座長 でも危険源の中に振動による危険源とかあるから、あれが長く続くと実は危害につながると。
○石坂委員 そうですね。
○宮川委員 今日のでないので、問題提起的に。
○向殿座長 わかりました。
○石坂委員 そうですね、問題提起はあります。すべて網羅するのは難しいから。
○畑委員 機械ごとにある程度想定はできません。
○向殿座長 そうですね、使われ方でね。
○畑委員 メーカー、ユーザーともに、それぞれ想定できますから、そこは示しておかないと。
○向殿座長 長く使うとこうなりますよとか、難聴になりますよとか、そういう話ですね。
○宮川委員 95年か96年、プロジェクトをやっていて、操作ボタンのこのリスクが聞かれた。たまたま別件で調査した操作ボタンの操作力に関するデーターがありましたので、特に足りないとリスクであることを立証して事なきを得ました。データーがあったからいいですど、なかったら大変なことになっていた。
○向殿座長 いまのお話は、厚労省は少し、当然入っているとは思いますが、長期的な時間を経て出てくる疾病というか危害というのがあり得るので、それについても忘れないようにしてほしいということです。要するに特定なのかすべてなのかというと、これはすべてでいいですね。この提供はすべて。
○高岡委員 これはすべてと言っても、どこまでなのかというのがわかりませんよね。例えばISO12100で除外されているものを含むのか含まないのかとかは、決めておく必要がありますね。
○宮川委員 参考までに今やっているのは、防護前の状態を最初に見積るじゃないですか。そして許容できないでなくて、措置を講じてリスクを低減した場合は、防護前と防護後についてちゃんと情報提供をという話です。それからさっきのような衛生上の問題もありますので、リスクが低くても安全衛生上のために何らかの措置を講じたもの、例えば聴力低下のためにサイレンサーを付けましたと言ったら、サイレンサー設置前と後のリスク情報の提供をお願いしています。それ以下は聞いたら答えるようにしておいてねと、そういうスタンスです。たぶん設計段階でそれだけやるのだろうと思うのです。現在だと膨大なものになってしまう。一応、そういう言い方で提出をお願いしている。
○高岡委員 これは別途、考えないといけないような気がしますけどね。
○向殿座長 でもISOは、この機械は別だというのは実は別の法律があって、そこに任せているから外しているというのが多いのです。我々にとってはどの法律で規制されようと、危険源は危険源として出してほしいと。
○高岡委員 それはそうですけど、例えばエレベーターは国交省の所管であって一元化されていません。
○向殿座長 でもエレベーターを職場で使っている場合は、どこに危険源があるのかというのは。
○梅崎委員 厚生労働省が使っている事故の型起因物のリストがありますので、それというのもあるのですけど、ただ、問題は例えばMRIの中には放射線源が入っているわけです。あれも機械に対する作業になるし、結構、燃焼機器ではCO中毒みたいなのがあるのです。
いま、そういうようなものまでも入れるのか、それともあくまでも産業機械の事故の型・起因物に入ったものに限るのかというぐらいの議論は、決めておいたほうがいいのかもしれない。
○高岡委員 例えば人力の機械はどうするか。12100では除外されていましたね。
○石坂委員 機械指令は、要するに消費者が使う機械も当然、あり得るわけです。あとは公共のエレベーターとか、エスカレーターという公共サービス機械設備、ああいうものも入るわけです。しかし災害を受けるのは、そこを利用する一般の人であったりして必ずしも労働者でないわけです。だから、そこまで広げると果たしてどこまで実際、そういうことを決めて、この労働安全衛生法で縛れるのかというと、また違うのです。
○向殿座長 労働者が使うあらゆる機械、それでいいでしょう。
○石坂委員 それは間違いない。ここはそうは書いてなくて、すべての機械と。エレベーターもとか出てくるから。
○向殿座長 そこまで考えてなくて、もともと現場で労働者が使う機械に対してと。
○石坂委員 そうそう。
○向殿座長 そういう意味ですね。
○石坂委員 そういう意味です。
○向殿座長 わかりました。
○石坂委員 そうすると、例えば労働者が使う機械というのは、普通、一般消費者向けの使っている機械でも、使うことがありますでしょう。
○向殿座長 あります、あります。
○石坂委員 そうするとそれは、その場合の用途に関して言えば、そこにこれは入るわけです。
○向殿座長 包括的というか、なるべく広いほうがいいと考えるけど、労働安全衛生法の下 でやっているから、当然、そうだろうと。
○井上委員 先ほどのエレベーターにしても、使用者は当然、たぶん除外になると思いますが、エレベーターのメンテ屋さんは当然、入ることになる。
○向殿座長 保守管理屋さんは作業者、労働者。
○井上委員 そしたら、製品ごとで分けることって可能なのですかね。作業ごとに分けることになるのですか。従事するとか、そういう形の作業の分類で分けることになるのか、たぶん労働災害の発生した作業すべてに入ることなのかなと思ったりするのです。それが、いま厚生労働省でちゃんと分類されているのかどうか、私、その辺はわかっていないですけど。
○向殿座長 エレベーターでも危険源って危ないところがあって、それでこうやると、こういう危害が及びます、事故になりすと。それが墜落だったら挟まれたり、いろいろな形になり得るけど、原因はここですよと。そこからいくとすると保守点検の人にとっては、例えばエレベーターから言うと、どことどことどこに危険源があって、これをやると挟まれますとか、これをやったら落ちますとか、そういう話にたぶんなるのだと思います。
○宮川委員 メーカーがいちばん悩むというのは結構ある。さっき言ったように製造から廃却までの各段階では、いろんな事業者がいるわけです。用途は民生用機械ですが。そこでの機械の段階で関わる事業者は安衛法の適用を受ける。ただ、ユーザーの立場で言うと、高岡さんのいまみたいなのがある。部内で議論をしていても、例えば特定機械で製造許可をもらっているのは対象外でいいのではないかと。
○向殿座長 そういう話。
○宮川委員 出ますよ、当然出ます。
○向殿座長 出るけれど包括的というか、そこは入れたいと。イメージが最初からあるから。ただ、BとCでコンシューマーが使うものまで我々は考える必要はなくて、労働者が現場で使うあらゆる機械についてやりましょうと。残留リスクがないなんてことはないけど、対象の注意すべき残留リスクがなしというのは書いても、当然いいと思います。何もしてないと言うのか。
○石坂委員 いま、座長がおっしゃったとおりなので、その後は制度の運用の効率化ということを考えたときに、本当に何でもだと言い切ってしまって、それをフォローしてできるのか。そういうことを決めて、あとは野放しになっているというような、例えば道交法の自転車のライトと同じようにね。制度だけ作ってやらないのが悪いと言って放置するようなことだと、あまり実効性がないから、そうするとある程度フォローして本当に大きなところだけ押さえるというのも、ひとつの考え方だし、ちょっとそれは私どももわかりにくいところです。
○向殿座長 残留リスクというのは、ある大きさのユーザーにとっても受け入れられないというリスクについて、やるわけですから、その場合は労働者が使うあらゆる機械について、もしそういうのがあればリストアップして表示すべきだというイメージですね。
○宮川委員 いま、対象をどこまでという話、レベルの話と機械の話があったと思いますけど、使う側からすると先ほど高岡さんが言われたように、ユーザーの段階でメーカーが予想しないことが起きる。その時のリスクは、頻度が低いと危害の程度の高い危険源であっても、低いリスクとなるわけです。そうすると危険源情報がないと困るのです。だから危険源の大きさに関する情報は、残留リスクに関係なくほしいのです。さっき言った10メーター高い所の仕事が、10年間に1回の頻度ですとリスクは低いリスクです。その仕事を今から行うといったら、死亡事故を起こさないように種々の措置を講じなければなりません。
○向殿座長 リスクというよりは、危害の大きさから。
○宮川委員 そうです。災害防止、もちろん1人でやるわけではないものですから、どうしても人に頼らざるを得ないので、危険限と危険源の大きさは残留リスクと関係なくほしいというのが。
○向殿座長 そう言いますね。
○宮川委員 ちょっと戻って申し訳ないですけど。
○向殿座長 要するに残留リスクという概念から見ると、頻度が非常に低いから、これは我々としては許容して必要ないと判断しても、よく考えてみると死亡する可能性のある危険源であると。それはリスクが小さいといえども、ちゃんと書くべきだというのが宮川さんのご意見ですね。
○高岡委員 宮川さんがおっしゃるとおりと思います。頻度が高いかどうかといのうはユーザーによりますから、メーカーが判断することではないですよね。そういう意味では、座長がおっしゃった危害の大きさで決めるべきだというのは正しいと思います。
○向殿座長 わかりました。これは後で文書にするときに、リスクというところで危害の大きさというのを強調すべきで、確かにメーカーから見ると、どう使われるかわからないから頻度なんてわからないよね。それと危険源というのをちゃんと明確に、この危険源では死亡する可能性があるということは、ちゃんと出しておけと。
○宮川委員 安衛法の適用を受けますので、我々としては。
○向殿座長 そろそろ時間なので。
○森戸中央産業安全専門官 リスクに関してなのですが、論点3のところでリスクの程度ということで、一応、死亡、障害、医者、すり傷と、こういうふうになっている。あまりご議論がなかった気もするのですが、残留リスクというのが包括指針に基づき、メーカーとしてできるだけ努力をしているということがあるのでしょうけども、必ずしも包括指針は義務化がなされているわけではない。いろいろなリスクの状態のものが出てくるという前提で、それで残っている、いわゆるメーカーが措置をしなかったリスクというように考えたときに、いまのところあらゆるリスクになっていますけれども、すべて本当に提供することで、ユーザーが本当にリスクアセスメントが全部できるのか。そういうこともありますので、もう少しここは、先ほど、めったになくても死亡災害に至るのは、情報を欲しいという話がありましたが、そういう意味でリスクの程度について、本当にちょっとしたすり傷まで求めるのか。
その辺についても少し議論していただければありがたいと思います。リスクの程度で制限をかけるというのは、制限としてはやりやすいとは思いますけど。
○向殿座長 (3)のリスクの程度の例と書いてあって4つある。すり傷程度というのも、しょっちゅう起きるのは書いておけという意味なのか、すり傷なんて初めから書くなというのか、そういう話ですね。
○高岡委員 ただ、ここはリスクの程度と書きながら、危害の大きさにすり替わっているのです。危害の大きさというのは結果であって、危険源の大きさではないのではないかと思います。例えば砥石の粉でも、腕に当たったら大したことはないですけれども、目に当たると結構ダメージが大きい。では、なせゴーグルをかけていなかったのだとなって、そこら辺の議論は結論が出ないのではないかと思います。ですから危険源の大きさに着目すべきではないかという気はします。
○向殿座長 リスクの程度というけど、実はリスクによって生じる危害の大きさの話です、全体から見てね。
○森戸中央産業安全専門官 危険源の大きさと言いますと、どんな分類になりますか。
○向殿座長 危険源の大きさというのは難しい。
○高岡委員 持っているエネルギーだとか、あるいは速度だとか、そういうことになるのだと思いますけど、物質の有害性だとか。
○森戸中央産業安全専門官 いまのエネルギーですと、例えばワット数だとか、速度だとある程度できると思いますけど、先ほど言われた砥石の粉とかですと、そういったものとまた違ってくるので、なかなかそういう意味ではイメージが湧かない。実際にユーザーがリスクアセスメントをやるときに、どこまでというのもありますので、先ほどの速度もちょっとわからない。例えば1m/secはちょっと速いですね、1mm/secだったらいいのか悪いのか、よくわからないところがありますけれども。
○向殿座長 どこかに、せっかくリスクという言葉を使っているのですから、危険源があって、それに対してメーカー、造ったほうとしては危ないと防護しました。しかし、これだけのリスクが残っています。リスクは何かというと、防護があったとしても怪我する頻度はこのくらいですと。それで残った、いま私が言った定義したリスクが許容可能かどうかという情報、これは許容可能であると、残留リスクとしてもよろしいというのは書かないけど、ある戴度起きるのは書くと。そのぐらいにしておかないと、たぶん危険源すべて書けとなると難しいところがある。
○宮川委員 たぶんメーカーの立場からすると、防護装置がないという前提条件でやっているので、ここは許容できない、あの装置を付けようと言って、この情報が出てくる。最終的に残ったものがあるということで情報を出していく、こういう話になっていく。
○向殿座長 そういうストーリーですね、このリスクの話はね。
○宮川委員 リスクアセスメントは、さっき言った情報、これという話です。そういう流れで、私が言った危険源の大きさというか、危害の程度が必要と言ったのは、今回の議論とはちょっと違うところなのです。要するに、いまは機械のリスクを低減しようというジャンルの話をしているのです。だけどユーザーの立場で言うと、リスクを低減しても、ゼロにはならないから、身を守る方策をしなければいけない。そのときに危害の大きさというのは重要なファクターになるので、それは必要と。だから今回の議論とは違うが情報は必要。
○向殿座長 現場では明らかに大きさが大事ですね。
○宮川委員 ちょっと承知おきいただいて、でもほしいんですというユーザーの。
○向殿座長 ユーザーとしてはほしい。わかりました。
○石坂委員 これ、目的は何かと言うと、ユーザーの事業場でしっかりと機械設備安全をやるのに、それを、よりやりやすくするための促進策としてのことなので、現実にどこまで事業場でリスクアセスメントをやるか。事業場でやるリスクアセスメント、機械設備のリスクアセスメントは何なのかというのが、まだ試行錯誤状態なので難しいのですが、そこに効果的にいくというところに、焦点をいつも考えておく必要があるのではないか。例えば、いま高岡さんから、危険源としてスピードだとか重さとかパワーとかあったのですが、それは設計者が行うリスクアセスメントにおいては非常に重要ですが、そこの点は必ずしも1対1ではないのだと思いますね、現場で行うリスクアセスメントというのは。そうすると、例えば超大型パワーショベルなんていうのは、それ自体が危険源だと、重たいじゃないかと、油圧のパワーがものすごく高いじゃないかと、これはそれ自体が危険源だと言わなければいけないという、何か変な議論になってしまう。危険源ごとに危害ではなく、危害の可能性のリスクに応じて、それを提供するというのが、いちばん妥当なのではないでしょうかね。
○向殿座長 大きさと可能性、要するリスクです。リスクを大きさでもって判断するということで、それは本来に戻った議論です。
○畑委員 ユーザーとしては、大きさと可能性のもとに開示すると。
○向殿座長 本当は2のほうも少しやろうと思ったのですが、次回に回す予定になっています。今日のところでどのくらい議論が煮詰まったか、これから少し皆さんの今日のお話を参考にしてまとめて、次回までにまたこういう提案資料を作って、できたら2のほうについてまたいろいろ議論していただく。2のほうについて宿題でも出して議論していただいたほうが、よろしいですかね、せっかくだから。安達さんのほうから。
○安達副主任中央産業安全専門官 資料5の4頁目で、座長からおっしゃっていただいた論点2の「機械の危険情報の提供制度の効果的な運用について」というのは、論点1の取組を、どううまく進めていくかということで(1)から(3)までございます。差し支えなければ事務局のほうにお気づきの点をメモか何かでいただいて、次回の資料に反映したいと考えております。
○向殿座長 いつごろまで。
○安達副主任中央産業安全専門官 できれば1週間ぐらい。
○向殿座長 1週間以内に、メモでもいいですね。
○安達副主任中央産業安全専門官 はい。
○向殿座長 ファックスでもメールでも。
○安達副主任中央産業安全専門官 はい。特に今日、いろいろご議論いただいたものを広めていくときに、大きなメーカーもあれば小さなメーカーもございますので、アンケート調査などを見ると、どうしても簡潔、簡単にやらせてくれというご意見もありますので、そういう視点をどう考えるかも含めて、いろいろご意見をいただければと考えています。お忙しいところ、お願いばかりで申し訳ないですけど、よろしくお願いしたいと思います。
○森戸中央産業安全専門官 できましたら論点1のほうも。
○向殿座長 そうですね。今日の議論。
○森戸中央産業安全専門官 追加のご意見がありましたら、是非、それも1週間以内程度にお願いします。そうしますと2回目のときにお出しできますので。
○向殿座長 そうですね。ちょうど今日の議論で意識が高まったから、忘れないうちにまとめていただいて事務局のほうへ。
○石坂委員 今日は(2)が議論されましたが、(2)と(1)と共通した問題というのは、(2)の場合もユーザーが事故情報をメーカーに伝えるかどうかというのは、もちろん、そこに縛りをやってやれというのも、今度はなかなか事故情報を全部開示できないものもあったりして、要するにメーカーが日ごろ、そういうものにどれほど関心を持って、伝えてほしいと要求を出しているかにも関わってくるのです。(1)のほうはどういうことかというと、ユーザーが必ずリスクアセスメントもするという意思があり、そういうことを要求しているという状況において、どう提供するかということが非常に重要なのです。これは相手のある話なので、そこのところを考えなければいけないと思っています。
○向殿座長 それはこれからのやり方として、ユーザーはリスクアセスメントを一生懸命やるようにということで、ちゃんと動機づけをしっかりして要求するようにする。逆に言うと、メーカー側はヒヤリ・ハットや、いろいろな事故情報があったら一刻も早くほしい、また改善に使うからと、そういう熱意を持ってユーザーと付き合うという方向づけをしておかないと、せっかくやってもあまり充実しませんよという意味ですね。
○石坂委員 アンケート調査をやりますというのに、使わなくてもほしいと言っている。でももらっても使う人はほとんど少ないと。
○向殿座長 使っても困るというわけね。
○石坂委員 そういう放棄したまま提供制度ばかり考えても、あまりと思います。だから効果的にさせるにはどうしたらいいかということがあって、初めてできる。
○向殿座長 これを効果的に動かすためのまた、しかし、少なくともこれがないと動けないという話でね。
○石坂委員 そうそう。だから、それを否定するものではありません。
○向殿座長 わかりました。それではそろそろ時間ですので、私の役割は以上だと思いますので事務局に進行をお返しします。ありがとうございました。
○安達副主任中央産業安全専門官 事務局から何点か事務連絡をさせていただきます。次回ですが、委員の皆様から日程をいただいています。先ほど1週間でメモをいただきたいと言ったのは、約2週間後に第2回目を予定しているためです。次回は6月14日(月)、14時から16時まで、場所は同じこの経産省別館10階会議室になります。何名かの委員の先生には、ご都合を確認中ですが、いまのところ最大集まれる日がこの日ということで、ご容赦いただきたいと思います。後日、今日の議事録をお送りしますので、またご確認のほうもお願いしたいと思います。あと委員の皆さんの机の上に第3回に向けた日程表がありますが、あとでメールでもお送りしますので、予定をお知らせいただきたいと思います。また6月からクールビズでやっていますので、次回から軽装で結構です。よろしくお願いします。長時間ありがとうございました。第1回目をこれで終了します。
照会先
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