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2013年6月7日 「第9回 労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」議事録

○日時

平成25年6月7日(金)
9:50~12:00


○場所

専用第13会議室


○議題

(1)労働安全衛生法における特殊健康診断の健診項目について
(2)健康管理手帳の交付対象業務の追加について
(3)その他

○議事

○職業性疾病分析官 定刻より5分ほど早いですが、おそろいですので開始いたします。本日は大変お忙しい中を御参集いただきまして、ありがとうございます。ただいまより「第9回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」を開催いたします。本日は全員の委員の方に御出席いただいております。初めに、労働衛生課長より御挨拶申し上げます。
○労働衛生課長 皆様、おはようございます。委員の皆様方には大変お忙しい中、第9回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会に御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。また、日頃より労働衛生行政の推進に多大な御協力をいただいていることにつきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 本検討会ですが、有害化学物質に関する特殊健康診断につきまして、リスク評価結果に基づいて新たな化学物質の健康診断ですとか、既存の健康診断項目の見直し、あるいは健康管理手帳による健康診断などについて御検討いただいているところです。本検討会は平成20年度からスタートいたしまして、今回が9回目です。前回までに幾つかの新たな化学物質について健康診断項目の御提言を頂きまして、既に関係法令に反映されたところです。
 本日御検討いただきたいことは、大きく3つあります。昨年、印刷業において発生した胆管がんに関連して2点ございます。印刷工程に使用されていた1,2-ジクロロプロパンについて、先日開催された化学物質のリスク評価検討会において、洗浄や払拭の業務について適切なばく露防止措置が講じられていない状況では、労働者の健康障害のリスクは高いものと考えられることから、健康障害防止措置の検討を行うべきであるとされたところです。そのようなことで、まず、1,2-ジクロロプロパンの健康診断の項目を御議論いただきたいというのが1点目です。
 また、2点目は、同化学物質について健康管理手帳の交付をの対象業務にするかどうかについて御検討いただきたいと思います。3点目は、既存の一部物質について、配置転換後の健康診断項目についての見直しの検討をお願いしたいということです。以上の3点ですが、有害化学物質による労働者の健康障害防止のために十分御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○職業性疾病分析官 今回、事務局の担当者に一部異動がありましたので御報告いたします。新たに事務局から出席している者がおりますので紹介いたします。主任中央労働衛生専門官の濱本です。中央じん肺診査医の諸冨です。座席図では化学物質評価室長となっておりますが、化学物質評価室長補佐の岸です。次に、配布資料ですが、議事次第に続き、資料1は「リスク評価結果をふまえた特殊健康診断等について(案)」、資料2は「化学物質の健康診断に関する専門委員会報告書」、資料3は「健康管理手帳の交付対象業務の追加に関する論点整理について」、資料4は「特定化学物質障害予防規則に基づく一次健診における生物学的モニタリングのための項目の取扱いについて」です。
 参考資料1は「化学物質のリスク評価検討会報告書(第1回)」、参考資料2は「リスク評価書1,2-ジクロロプロパン」、参考資料3は「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会参集者名簿」です。そのほか会議資料というわけではありませんが、胆管がんに関するリーフレットが1枚配られております。本日の配布資料は以上です。御確認いただければと思います。今後の議事進行については、櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 最初に、議題1の労働安全衛生法における特殊健康診断等の健診項目について、事務局より説明をお願いいたします。
○中央労働衛生専門官 それでは、資料1と2について説明いたします。資料1「リスク評価結果をふまえた特殊健康診断等について(案)」として、1,2-ジクロロプロパンに係る特殊健康診断の健診項目の案をお示ししております。まず、経緯から説明いたします。平成25年の化学物質リスク評価検討会において、1,2-ジクロロプロパンを対象とするリスク評価が行われた結果、当該物質を用いて行う洗浄又は払拭の業務について、健康障害防止措置等の検討を行うべきという結論が得られております。報告書は参考資料1に付いていますので、省略いたします。
 また、平成25年度厚生労働省委託事業において、化学物質の健康診断に関する専門委員会が開催され、1,2-ジクロロプロパンに係る特殊健康診断の必要性の有無あるいは及び健康診断項目について検討を行っております。こちらの結果は資料2に報告書を付けています。そこでまず、資料2の説明をいたします。先に総論がありますけれども、4ページの4からポイントのみ説明いたします。この事業では文献収集等をしておりますが、文献情報の結果として、ヒトに関する調査では皮膚・粘膜に対する刺激性を有する、あるいはばく露する業務に従事した作業者に皮膚炎が認められた、また、亜急性中毒量においては重度の腎障害、肝障害、溶血性貧血、播種性血管内凝固症候群(DIC)を認めた報告があります。
 また、動物実験においては肝機能障害・溶血性貧血の用量依存的な増加が認められておりいます。ラットを用いた実験で、鼻腔上皮細胞の肥厚・過形成等が用量依存的に認められておりいます。このような結果から、1,2-ジクロロプロパンはヒトに対して慢性影響を有するものと判断する。職業ばく露による健康障害としては、皮膚粘膜刺激症状、(肝障害)を呈すると判断したということです。
また、発がん性については十分な知見がないということで、国際癌研究機関(IARC)の分類ではグループ3「分類できない」とされておりますが、厚生労働省が実施した長期がん原性試験の結果、ラットを用いた実験において、鼻腔上皮腫瘍の発生に量・反応の関係が認められている。また、マウスを用いた実験では、雌に肺腫瘍の増加が認められている。さらに、本邦の印刷事業所で発生した胆管がんが、高濃度の1,2-ジクロロプロパンに長期間ばく露したことが原因である蓋然性が極めて高いという判断がなされていることなどを総合的に判断し、胆管がんについても職業ばく露による健康影響に含めて考える必要があるということです。
 溶血性貧血、鼻腔上皮等の呼吸器系がんについては、ヒトについての根拠は明確ではないが、考慮をすべきと考えられたということです。
1,2-ジクロロプロパンに高濃度ばく露するおそれのある取扱作業者に対して、適切な健康診断項目の設定が可能であれば、当該化学物質による健康リスクの低減を図ることができると考えられまする。また、ヒトに対して発がんの可能性を否定できないことから、定期にばく露状況を把握していくことは中・長期的な健康障害の防止のために重要と考えられ、したがって、特殊健康診断を実施することの有用性は高いという判断がされておりいます。これが健診の必要性についてです。
 次に、(2)診断項目の詳細に入ります。皮膚粘膜刺激症状が指摘されておりいますが、そのうち嗅上皮過形成等の呼吸上皮病変については、ラットで比較的低濃度での組織学的変化が認められておりいます(NOEL:15ppm)。ただし、ラットの鼻粘膜所見を直ちにヒトへ外挿することの妥当性には疑問があり、検査の技術的困難さに鑑みると、ヒトの鼻粘膜所見に関する検査を健診項目として採用することは難しいと考えられるということです。
また、肝障害については、動物による吸入ばく露実験で肝障害を生ずる気中濃度は300~2,000ppmと比較的高いのですが、一方で胆管系病変のスクリーニングとしても有用な検査であるので、肝細胞障害の指標である血清中のトランスアミナーゼ等の血液生化学検査を一次健康診断で実施することによって、高濃度ばく露による健康影響を比較的早期に把握できるものと考えるということです。
 次に、胆管がんについてです。胆管がんは5年生存率が16.8%と報告されておりいまして、現在の検査・診断手技が、がんの早期発見による予後の改善には必ずしも寄与できていないとも考えられます。一方で、胆管がんの初発症状の90%は黄疸であることから、黄疸発生前の胆汁うっ滞、胆管系病変の兆候を、血清直接ビリルビン値や血清アルカリホスファターゼ等の変動から、一次健康診断の機会に把握できる可能性があると考えられる。したがって、これらの検査項目を実施してはどうかということです。
 なお、本邦で発生した1,2-ジクロロプロパンによると考えられる胆管がん集積事例については、現時点の情報の中で、従来の胆管がんとは異なる側面を持つ可能性もあるということで、異常所見の診断や鑑別の際には注意が必要であるということです。
また、ヒトの症例報告や動物実験において、溶血性貧血等の血液学的異常を呈することが指摘されておりいます。ヒトに対する疫学は十分ではないものの、動物実験におけるLOAELが50ppmと比較的低いため、ヒトにおいても早期健康影響が出る可能性が高いことから、貧血に関する赤血球検査と溶血性貧血の指標の1つである血清間接ビリルビン値の2つを、一次健康診断項目として実施することが適切と判断したということです。一方、溶血性貧血の指標の1つである網状赤血球の検査については、検体取扱いの際の精度管理面の理由等から、二次健康診断項目として実施することが適切と判断したということです。
 また、胆管がん診断の一般的なアルゴリズムのファーストステップとしては、血液生化学検査と合わせて、「腹部超音波検査」を行うことが示されておりいます。この検査は広く健康診断機関、医療機関等で実施可能ではありますが、一方でその実施には時間がかかるなど受診者の負担が大きいことや、腹部超音波検査による胆管がんの腫瘍描出率は21~90%という報告もあり、これについては二次健康診断項目として実施することが適切と判断したということです。
また、CA19-9などの一部の腫瘍マーカーが、胆管がんの際に上昇することが知られておりいますけれども、これについては特異的なマーカーではないことや、これによる早期診断は困難とされていることから、二次健康診断項目として実施することが適切と判断したということです。
 以上のことから、一次健康診断としては、他の物質でも入っている一般的な検査項目である、「作業条件の簡易な調査」によるばく露状況の把握と合わせて、自覚症状・他覚所見による皮膚粘膜刺激症状等の検査、血液生化学的検査項目による肝・胆道系検査、赤血球系の検査を実施することが妥当と判断するということです。
なお、ばく露の把握について、1,2-ジクロロプロパンの尿中代謝物であるメルカプツール酸が排せつされるという報告があります。この検査によってが、1,2-ジクロロプロパンの経気道吸収に対する生物学的ばく露指標としても有用である可能性が考えられるところですが、一方でグルタチオン抱合を受ける他の化学物質等の影響を除外できないことと、現時点において作業に起因する生体内への取込み量に対応する測定基準値が得られていないなどといったことから、今回の検討では健康診断項目としての採用は見送ることにしたということです。
また、貧血に関する検査項目として、これは溶血性貧血に関するものですけれども、同時期の結果などからは急性期の変化が主であるということですので、配置転換後の健康診断においては、必ずしも実施の必要はないと考えられるということです。
 以上のまとめとして、(3)に健康診断項目が提案として書かれておりいます。ここで資料1に戻りまして、これには報告書とほとんど同じことが書かれておりいますが、今日の検討会で御議論いただきたい健康診断の項目(案)となります。一次健康診断項目として、1は業務の経歴の調査、2は作業条件の簡易な調査、3は1,2-ジクロロプロパンによる自覚症状又は他覚所見の既往歴の有無の検査、具体的には眼の痛み・発赤、せき、咽頭痛、鼻腔刺激症状、皮膚炎、悪心、おう吐、体重減少、上腹部痛などです。4は同じ自覚症状又は他覚所見の有無の検査、5は生化学検査で、AST、ALT、γ-GT、血清アルカリホスファターゼ、血清ビリルビンの検査となります。
 血清ビリルビンについては、先ほどの報告書では血清直接ビリルビンと血清間接ビリルビンと2つに分けて書いてありましたが、省令上、今後規制をしていく際の記載として、どちらも血清ビリルビンであることから、従前の例に倣って血清ビリルビンと規定したいとのことで、このように記載されしておりいます。内容としては、直接ビリルビンと間接ビリルビンの両方であることを通知等で明らかにしたいと考えておりいます。6は赤血球数等の赤血球系の血液検査(網状赤血球数の検査を除く)、具体的には報告書では赤血球数と血色素量、ヘマトクリット値の検査とされていたものです。
 二次健康診断項目として、1は作業条件の調査、2は医師が必要と認める場合は腹部の超音波検査、CT検査若しくはMRI検査、又はCA19-9等の血液中の腫瘍マーカー検査となっております。こちらについても、報告書では「腹部超音波検査等の画像検査」といった書き方でしたが、超音波検査とCT検査とMRI検査の3つを特定しておりいますので、この点については御議論いただければと思います。3は医師が必要と認める場合は、網状赤血球数の検査となっておりいます。
 また、下の注に書いてあるように、ここに提案している健診項目については、特定化学物質障害予防規則に入るものであり、慢性の健康障害を想定して、健診項目を定めておりいます。したがって、健診の対象である化学物質を使って洗浄又は払拭を行う有害業務に現在従事している労働者と、有害業務に従事したことがある労働者であって、なお同じ事業者に引き続き使用されている者の両方が対象であるということです。また、溶血性貧血については、急性症状が主であることから、配置転換後については、必ずしも検査の必要はないのではないかという提案がありました。したがって、一次健診項目の6の赤血球数等の赤血球系の血液検査と、二次健康診断項目の3の網状赤血球数の検査については、有害業務に現在従事している労働者に限るという括弧を付けることを想定しております。健診項目の案については以上です。
○櫻井座長 資料2に書いてある専門委員会の報告書と、資料1とで若干違っている点の説明がございました。今日は資料1の案について御審議いただきたいということです。いかがでしょうか。何によらず御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
○和田委員 今回の胆管がんを発症した人々の健康診断項目、もちろん、いろいろ調べていらっしゃると思いますけれども、その中で溶血性貧血の証拠があるのか、肝障害がどのぐらいあるのか、腎障害がどのぐらいあるのか、黄疸がどのぐらいあったかについては調べていないのでしょうか。
○櫻井座長 当然、入手できる資料については配慮いたしました。
○和田委員 一般健診でやっていますよね。
○櫻井座長 やっている場合があるのですが、十分やられていないので断片的な情報になってしまいますけれども、溶血性貧血の所見は認められていません。それと肝障害の所見は一部の方に認められているのみです。
○和田委員 その肝障害も、明らかに溶剤によるものとは断定できないですね。
○櫻井座長 断定できないです。一部の方が胆管がんと診断される前に、ばく露を始めて比較的早い段階でそういう所見を示した例がありますが。
○和田委員 当然、がんになった人は黄疸は認められていないですかね。
○大前委員 ビリルビンは測ってあります。高かったです。
○櫻井座長 そうそう、高いですね。
○和田委員 かなり、みんな高いですよね。
○櫻井座長 がんになられた方は、大体、そういう所見ははっきりしている。
○和田委員 胆管がんの初発症状、ほとんど黄疸でくるのが普通ですから、自、他覚所見に黄疸を加えてはどうかという感じが、ちょっとしたわけです。
○櫻井座長 なるほど。
○和田委員 もう1つは、直接型、間接型を測るということをサゼッションされるということですから、これは非常にいいことだと思います。トータルビリルビンは両方足せばいいわけですから、すぐ計算できると思います。もう1つ、溶血性貧血をどの程度重視すべきかということが一番問題になるのではないかと思います。中の症例をたまたま測ってあったということで、トータルの調査で溶血性貧血が前に出てくるということは、ちょっと考えにくいと思います。しかも普通の成人で、有機溶剤で赤血球の膜が脆弱化して溶血を起こすことは普通はあり得ないと思います。何らかの機序で、今、一番多いのは自己免疫性の赤血球に対する抗体ができてということですから、そういう機序を考えると、果たして溶血性貧血にどの程度注目すべきかは十分注意しないと、無駄な金ばかり使うことになるのではないかと思います。それと一般定期健康診断を受けていますから、貧血の有無というのは調査されるわけです。
○櫻井座長 そうですね。
○和田委員 そちらから入ることも可能であると思います。あと網状赤血球の問題で分かりにくいから省いてしまうことがいいのかどうか。今は自分では測らないで必ずセンターに依頼するし、普通の病院でも全部そういうことをして、それを正式なデータとして使っているわけですから、わざわざ一次検査で省いて二次検査でやりなさいというのは、どうかなという感じもするのです。一次で一緒にやっても参考ですから、網状赤血球が100パーセント増えるわけでもないわけですし、一応、参考資料になるということです。どうせ細かい精査というのは、当然、後でやらないといけないと思うのです。ですから、その辺がどうかなという感じがちょっとしました。むしろハプトグロブリンを測るとか、もうちょっと正確に測って、指標になるようなものを逆に入れてもいいかなという感じがするのですが、項目が余り増えるとお金がかかりますから、余りよくないとは思いますけれども、そんなようなことをちょっと気が付いてというか疑問に思ったところです。
○櫻井座長 ありがとうございました。一番最初の御指摘は黄疸ですね。黄疸が非常に高率で最初の所見であることが実態なので、自覚症状と他覚所見の中では他覚所見に相当しますから、あるいは自覚症状としても出るかもしれませんが、黄疸という項目を入れてはという御提案ですが、いかがでしょうか。皆さん、同意しておられると存じます。したがって?と?の中に黄疸を入れるわけですが、順番としてはどの辺になりますか。
○和田委員 悪心・おう吐の次ぐらいがいいのではないでしょうか。
○櫻井座長 悪心・おう吐の次、ではそういうことにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。それから次の問題は、溶血性貧血に関する検査を一次健診で実施することの妥当性ということ。これは、この専門委員会でも当初は否定的であったのですが、動物実験で実は50ppmで溶血性貧血が既に認められていて、その下のばく露レベルがないのです。ですからLOAELで50ppmということになってしまっていて、しかもその量・反応関係が上の濃度ではより明瞭になることがあるので、それをどう取り扱うかということがあります。今回、胆管がんの方々でそれは見出されていないのですが、比較的早期に丁寧に調べていたら、そういうことがあった可能性もあることを考えて後で付け加えたという実態です。今日はそれについての御意見も是非承りたいと思っています。
○和田委員 今まで動物実験の所見だけで検査項目に入れたものというのは、あるのですか。
○櫻井座長 ないことはないと思います。つまり動物実験のデータしかないような場合には動物のデータを使うしかないものですから、例えば50ppmがLOAELだったら、それを無視することはできないと思いますが、今回はヒトのデータが若干あるので、それを利用するとどうなるかということですけれども、実は高濃度ばく露したケースとしては溶血性貧血がヒトの症例として報告されています。それもあったので無視できないかなという判断になったのです。それはどこかに引用してありますか。
○中央労働衛生専門官 報告書の5ページ、上から3行目です。
○和田委員 3つか4つの症例報告ですよね。
○櫻井座長 そうです。
○和田委員 それが、どの程度データに信頼性があるかというのが非常に問題だと思うし、それが1,2-ジクロロプロパンできたかということもはっきりしないわけです。だから厚労省の健診項目の場合は、なるべくヒトのデータを中心にやるというのが今までの伝統だった気もするわけです。動物実験だけで決めるのは、かなりヒトと動物では違いますから慎重にされたほうがいいかなという感じもします。サービスでやりましょうということであれば問題ないわけですけれども。
○櫻井座長 採血しなければいけないというのは大きな手間ですし、費用もかかる。それと一般健診で。
○和田委員 貧血の部分は精査されますよね。
○中央労働衛生専門官 一般定期の健康診断の項目に貧血検査というのは入っていて、ですから、少なくとも年1回はやると。ただし、特定業務従事者の健診というのは年2回なわけですけれども、2回目のときには血液検査については省略が可能と規定されています。
○圓藤委員 年齢は。
○中央労働衛生専門官 年齢につきましては、40歳未満の方については省略が可能ということになっています。
○圓藤委員 結局、若い人にはしてないのではないか。
○櫻井座長 実際はそうですね。
○和田委員 でも一般健診で貧血があって、それからビリルビンを測っているわけです。それを見れば産業医であればすぐ気が付くところではないかと思って、精査をするだろうと思うのです。しかも自分の所ではできませんから専門の血液内科に依頼すると思うので、そこではきちんと調べられると思います。
○櫻井座長 採血というのは大きな負担になりますのでね。
○圓藤委員 一般健康診断では若年者の場合、血液検査を省略しているケースが多く、貧血を把握していないケースが多いのではないかと思われるので、それは考慮していただいて。
○櫻井座長 どうでしょうか、皆様で決めていただきたいと思います。
○和田委員 網状赤血球も測り、ビリルビンを測るわけですけど。
○櫻井座長 もし測るとして、溶血性貧血に入れるとしたら網状球をどう取り扱うかになります。
○和田委員 そうですよね。ここでは入れることになっていましたよね。一次検査では除くとなっていますけれども、除いていいかどうか。それからビリルビンは一次検査で測るわけですね。
○櫻井座長 そうです。採血すればビリルビンが測れるという、そうですね。
○圓藤委員 場合によったら一次から抜いて、二次の?のところに「医師が必要とする場合は血液検査を全てやる」という形もあり得るかなと思います。
○櫻井座長 そうですね。私は先ほど採血が負担になると言いましたが、ビリルビンは測る必要がありますね。
○圓藤委員 はい。
○櫻井座長 ですから採血はする。
○和田委員 ビリルビンは胆管がんにも有用ですし、溶血性貧血があるとしたら有用ですから。
○櫻井座長 いかがでしょうか。確かに二次に回すという手はありますね。今後の情報によってまた考えてもいいかもしれません。何によらず1,-2ジクロロプロパンに関するデータはまだ不足していますので、二次健診に回すということにいたしましょうか。
○柳澤委員 確かに一次だと手技が煩雑で大変です。
○櫻井座長 そうですね。
○柳澤委員 貧血検査をしているのですから、ビリルビンと貧血で見て、それで二次のほうにいって、そこで網状赤血球を見るというのはよろしいのではないでしょうか。
○櫻井座長 貧血も一応、やめておくということ。
○土屋委員 一次でも貧血はやらないということですね。
○櫻井座長 はい。
○柳澤委員 一次で貧血はやらないのでしたか。
○櫻井座長 ええ、貧血の検査を二次に回すという。
○柳澤委員 ただ、労働安全衛生法の定期健康診断で一般的には血液検査やりますよね、貧血の検査も。
○中央労働衛生専門官 一般健診の項目には血液検査は入っていますけれども、先ほど御指摘がありましたとおり、40歳未満の方については血液検査を省略可能となっています。
○柳澤委員 実際の現場では、かなり省略されていますか。
○中央労働衛生専門官 事業場の医師の判断ということになりますので、直接規制をしていないません。
○山田委員 あまりやりませんね。
○柳澤委員 やりませんか。
○山田委員 お金をかけたくありません。
○柳澤委員 なるほど、そうですか。ちょっと難しいですね。
○櫻井座長 実態としてはやられてないですね。省略可能ということで省略されている。
○山田委員 一般的には事業場が対応しますが、最低のことしかやらない事業所は省略できるものは省略します。
○櫻井座長 和田先生がおっしゃるように、有機溶剤で数10ppmぐらいで溶血性貧血というのは、ヒトで見ることはなさそうだなというのが率直な感想です。
○和田委員 有機溶剤では、貧血の検査はグリコール以外は削ってしまう予定ですよね。
○櫻井座長 山田先生、どう思いますか。
○山田委員 削ってしまいます。
○和田委員 そこへ持ってきて、今度ははっきりしない、貧血の検査を加えるということは。
○山田委員 何でこの物質の健診だけに入るのだと、逆に問い返されます。
○和田委員 ほかの有機溶剤、全部やりなさいと。
○山田委員 全部やりなさいという可能性があります。
○櫻井座長 それと非特異的な貧血を拾ってしまうので、判断材料が増えてしまって、医師の判断の余分なノイズになる可能性もあるのです。
○山田委員 判断しきれなくなり、その物質による貧血の可能性が否定できないとなると、全部その物質による健康障害という判断の方向へ行ってしまいます。
○清水委員 今のと関連があるかもしれませんが、資料2の6ページの上から10行目辺りですけれども、従来の胆管がんとは異なる側面を持つと。今回、日本で起こった1,-2ジクロロプロパンの胆管がんの集積事例の中で特異な面というのは、これは何を指しているのか。それと血液検査との関係をこれと関連付けて考えるのか。
○櫻井座長 これは一応、やや慎重にこういう表現にしているのです。今回の胆管がんの病理組織学的な所見と、一般的な胆管がんの決定的に違う点は見出されていなかったと思いますが、所見がやや複雑です。ですから本当は違っている可能性があるのですが、ただ、病理学的な所見だけで、これは1,-2ジクロロプロパンによるものであると判断ができるほどには特異的ではない。ですから少し違っている可能性が残っているからこういうふうに慎重に書いてあるのです。ただ、溶血性貧血云々というのは全く関係ない。溶血性貧血が起こり得るかどうかを疑うような知見は、今回の胆管がんの集積例からは何も見出せません。
○山田委員 この作業に従事した人で、最初に黄疸が出て、それから後、何年か経ってからがんになったという経過の人はないのですか。
○櫻井座長 なかったような気がします。覚えていますか。
○圓藤委員 何年かというよりも、黄疸が胆管がん発見の契機になったという人はいたように思います。
○山田委員 ということは、黄疸がでたらすぐに、がんになっていたということですか。
○圓藤委員 その人はね。
○山田委員 ただ、初期症状として黄疸があったけれど、がんにはなっていなくて、黄疸が治ってから、がんになったというのが、先ほどの話だとあり得るわけですね。初発が溶血性変化で、がんになったという事例はあまりないのですか。そうすると黄疸が出てきたら危ないということですね。黄疸が出てきたら、がんの可能性が高いですという話ですか。
○圓藤委員 ただ、黄疸が出ているということは炎症が起こっているとも言えますので、がんが発症していなくてもあり得ます。
○山田委員 そういうことはあり得るわけですね。炎症の経過があるならば、がんは当然あるということですか。
○圓藤委員 そういう人は必ず、ビリルビン値だけでなくて、他のγ-GTとかが高くなっていますので閉塞性の所見というのが伴っていました。
○櫻井座長 いずれにしてもそういうことですので、血清ビリルビンの検査は一次に入れる。貧血の検査は二次に回すということでよろしいですか。ではそのように決めさせていただきます。ありがとうございました。その他、何かございませんか。そうしましたら網状球とおっしゃった一次健診の?は省くわけですね。二次健診の?にどういうふうに書きますか。医師が必要と認める場合は、赤血球数等の赤血球系の血液検査。
○圓藤委員 網状赤血球数の検査を含むと。
○櫻井座長 (網状赤血球数の検査を含む)と。
○圓藤委員 はい。
○櫻井座長 それで(有害業務に従事する労働者に限る)というのは、二次健診項目の中で残すのですね。
○和田委員 有害業務にあれしない労働者というのは何を指すのですか。
○山田委員 かつてやっていた。
○櫻井座長 かつてやっていて、他の職場に移っている人については要らないだろうと。
○和田委員 それは特殊健診で義務付けていましたか。
○山田委員 あります。
○櫻井座長 特化則の中の一部のものについては、それを義務付けて、今回のこれも義務付ける中に入れるというのも。
○和田委員 そうですか。
○圓藤委員 今の議論で、現従業員に行う健康診断と、その現場を外れて別の職場で働いている人の健康診断を、もう少し区別しておいたほうが分かりやすくないですか。
○櫻井座長 分かりやすいですね。
○圓藤委員 例えば?のところは既往ですので、これはこれでいいと思いますが、?の中にも急性症状が入っているように思うのです。これは元従業員には要らないことではないか。二次の中で作業条件の調査、これは現場を離れるときに過去のを全部まとめたのを書いていただくのを1回すればいいので、半年に1回、作業条件調査というのを元従業員にするのも合わないのではないかと思うので、少し整理していただいたらと思います。
○山田委員 この物質だけでなくて特別管理物質になっているものは、大体もう一度、作業条件調査をするかどうかをきちんと考え直したほうがいいかもしれません。
○櫻井座長 多くの物質で、そういうふうに配置転換後も調べている検査は肺がんと膀胱がんが圧倒的に多いですね。ほとんどそれなので比較的今まで問題が発生しなかったのです。だけども、今回はこういうふうにいろいろ出てくると、後ほどエチルベンゼンとインジウムも今日は話題になりますが、そうなると?の自覚症状と他覚所見のところで明らかに急性の影響を見ているものを、そのまま残すのはどうかという圓藤委員の案ですけれども、事務局はそれも考えた上で案としては変えないで出してきているように思いますが、どうなのですか。
○中央労働衛生専門官 圓藤先生の御指摘のとおりで、自覚症状と他覚所見、これは例示であるので、これを書き切っているというものではないのですけれども、確かに急性症状については検査の必要がないということを徹底するのであれば、そこについても書き分けて、急性症状に係るものは、配置転換後は除くという書きぶりにすることもできるのではないかと。法令上、どのような書き方になるかというところは、少し事務局で検討させていただきたいと思っていますが、具体的にどの症状についてというところを少し御議論いただければと思います。
○櫻井座長 そういう意味で省くことのできる例示として、どれを省いたらよろしいでしょうか。眼の痛み・発赤、せき、咽頭痛、鼻腔刺激症状、それぐらいですか。
○山田委員 皮膚炎。
○圓藤委員 皮膚炎までかな。
○櫻井座長 までですね。これぐらいですね。
○圓藤委員 はい。
○山田委員 悪心・おう吐もあるのではないですか。
○圓藤委員 悪心・おう吐は、発症し出したら悪心・おう吐という症状が出てくるのでね。
○山田委員 悪くなればね。
○圓藤委員 別の意味で必要になってくるのではないか。
○櫻井座長 そうですね。眼の痛み・発赤、せき、咽頭痛、鼻腔刺激症状、皮膚炎まで、これでいいですか。これまでは省略、以上でよろしいですか。
○山田委員 二次健診の腹部超音波検査、資料1では「腹部の超音波検査、CT検査若しくはMRI検査」と書いてありますが、報告書では「等の画像検査」と書いています。3つの検査を並べると高い検査をやりたいとなってしまいます。一方、事業者はなるべくなら検査を安く上げたいという考え方ですが、こういうふうに書かれるとMRI検査でいこうかという話になってしまいかねないと思います。だから、「等の画像検査」という報告書の書き方のほうがいいと思います。「超音波検査等の画像検査」と書かれている中から検査を選ぶ場合に、MRIとかCTとかへ流れていくこともあるのではないかと思います。
○中央労働衛生専門官 資料のほうで3つ検査を挙げたのは、逆に3つ以外に何か他のものが想定されるかどうかというところで、つまり3つ限定して「若しくは」ですので、どれか1つでもいいし、または全部でもいいということです。逆に「等の画像検査」とした場合には限定していませんので、この3つにも限られない。何をやってもいいということになるのですが、他に超音波、CT、MRI以外のものが想定されるということであれば、報告書のとおりの表現のほうがいいと思っています。
○山田委員 ただ、検査の中で安くて分かりやすいものがあれば一番いいわけです。それがどれなのか。超音波でも確定できるのか。できないのなら、MRI検査をやったらどうだということになります。だから確定的に医師が必要とする場合に、何度もやらずに1回だけでできるということを目標にしたほうがいいかなと思います。
○中央労働衛生専門官 もし超音波やCTではなくMRIのみということであれば、ここに「MRI」と書いて終わりにする形になりますが、超音波もやる必要がある場合があるということであれば、このように列挙していく形になると思います。
○柳澤委員 実際の健診とか、あるいは人間ドッグだったら、胆管がんの検査で二次健診だとまず超音波が常識的なのです。それで超音波でもし疑いがあるような場合には更に専門的にMRIを撮るということがいいので、山田先生がおっしゃったように「超音波等の画像検査」としておくのが、一番よろしいように思います。
○櫻井座長 ありがとうございます。実はこの専門委員会でもそこを議論して、あえて「等の画像検査」という表現にしたわけです。今回、事務局の案でこうなっていたので、これは是非議論したいと思ったのですが、胆管がんの場合、超音波は非常に技術の優れた人が見ると、胆管の拡張が超音波で結構よく見えるという意見もありますので、柳澤先生がおっしゃったようにエコーはファーストチョイスですね。さらに医師の判断で、その結果、次に何をということでいいのではないかということですけれども。
○和田委員 実際の現場の産業医としては、自分ではこういう検査はやらないわけですから、どこか専門病院に委託する形になりますね。
○櫻井座長 そうです。
○和田委員 これを書いておくことの意義というのは、これは事業者負担ですよと、そういう意味を含めているのですかね。
○山田委員 「画像検査」と書いてあって、何か所見があったときにそれから以降の検査については、事業者責任はありませんとは言いえません。
○和田委員 だけど当然、必ず専門の所に頼むのが一番早いわけですから、もう黄疸があって肝機能で胆管系の異常があれば、すぐ専門の所へ回すというのが常識ですから、こういうことをこそこそとやっている暇はないと思います。それをあえてやれというのは何か変な感じもします。
○山田委員 この文章を読んだときに、「超音波等の画像検査」と書いてあったらCTやMRIも考えますけれども、何で3つ揃えて書いてあるのだというふうに読む方は考えると思います。
○和田委員 まず超音波をやって、あとは専門家に任せるというのが普通ですからね。
○山田委員 超音波で異常な所見が出たら、それは専門の先生に任せると思いますので、「等の画像検査」でいいと思います。提案書のように書いてあると、なぜ3つ書いてあるのだと余計に考えて、質問、解釈がいっぱい出てくると思います。
○和田委員 「若しくは」とか「又は」という意味が、よく分からないのです。超音波画像診断をやらないで、又はCA19-9だけやればいいという意味なのですか。
○中央労働衛生専門官 「若しくは」につきましては、要するに複数のものを列挙するときに、この超音波検査とCT検査とMRIを同格のものとして並列してあって、なおかつ、その3つの検査と腫瘍マーカーの検査の2つを並列していると、そういうことを表現しています。
○和田委員 普通は超音波でやっても、その後、精密なMRIとかやるわけですよね。超音波だけで済ませるということは普通ないのです。
○櫻井座長 そうですね。完全にorだけでは認定されませんよね。
○和田委員 それは、普通は専門家が全部やるわけです。
○櫻井座長 そういう意味でも、この表現はちょっと気になります。
○和田委員 ちょっと気になる感じがするのです。
○圓藤委員 先週の土曜日に班会議があって、この健診はどのようにしたらいいか、内科、外科、放射線の先生が集まって議論したのです。ここでの特殊健康診断と、ハイリスクのものの健康診断と微妙に違うのですけれども、健康診断というのは侵襲性がないというのが原則であると、したがって検査が多ければ多いほどいいというわけにいかないので、例えば造影剤を加えるような健診は特殊健康診断には馴染まないだろうと。そうすると腹部エコーはそういう侵襲性はありませんので、これはベストであり、そこで異常が見つかったら次のステップに移って、その場合には造影検査も含めたCTやMRIを行いたいということで、我々のほうも超音波を第1選択にして、そこで異常が見つかったら次のステップに行く。これは精密検査として、いわゆる健康診断から切り離して行いたいと各先生ともおっしゃっていましたので、そういうことを報告させていただきます。
○和田委員 そのときの費用負担は、どういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
○圓藤委員 これは特殊健康診断の議論で、費用に関しては別の議論をしました。現従業員に関しては事業主負担が当然である。元従業員については別途考えましょうという議論をしています。この後、議論がある健康管理手帳というのが早く進んで、それが活用できればと思っています。
○和田委員 経団連がオーケーしますか。
○圓藤委員 いやいや。
○櫻井座長 今、考えているのは非常にハイリスクグループですよね。それでも最初はエコーでいこうという判断のようです。
○土屋委員 保険診療機関側から見ると、先ほど山田委員のおっしゃった感覚はよく分かるのです。医師が必要と認める場合というのは、通常、一次健診なり何らかの症状なり、あるいは検査所見があるとなると、これは当然、保険診療に入れてもおかしくないのです。ですから依頼がくれば当然、私どもの診療施設では保険診療でお受けする。ただ、全く症状がない方にはMRIでもCTでも、これは保険診療できませんので、健診センターのほうへ行っていただいて自費でやっていただく。その区別からすると二次健診項目というのは微妙で、ほかにも全部影響するのです。その辺はどのレベルまで考えるか。先ほど山田委員がおっしゃったのは大変重要だと思います。これは経済的な問題もありますけれども、実際に受ける方をどこで線引きするかが影響してくるのではないかと思いながら聞いていました。私どもは和田委員から依頼があれば、当然、保険診療のレベルにも入ってしまうと思いますから、施設によってどうなるかはずいぶん異なる。
 もう1点は、先ほどの?の血清ビリルビンですが、先ほど山田委員が言われたように溶血性のところでのチェックもとなると、直接と間接と分けて最初から見ておいたほうがいいのではないかと思います。閉塞性になってからでも明らかにがんでしょうから、その手前を、どのくらいのパーセントがあるか今の状態で分からないにしても、その状態を把握するという意味では、きちっと分けて把握しておいたほうがよろしいと思います。
 あと?は二次健診の?にいくと思いますが、この場合に血液検査として赤血球数、血色素量、網状赤血球数と明確に検査名を指示したほうがよろしいのではないか。「等」とか「網状赤血球数も含む」と言うと、一体どこまで調べるのかとなる。先ほど和田委員が言われたように機械でやるので、やろうとすれば血球の大きさから何から全部出てきてしまうので、その辺、最低限これだけというのを明記したほうがよろしいのではないか。症状の場合には「等」と入れるのはやむを得ないと思いますが、検査項目の場合には、はっきり明記したほうがよろしいと思います。
○櫻井座長 ありがとうございました。「血清ビリルビンの検査」と書いてあるのは、先ほど事務局からも説明があったように、直接と間接を両方測定することを別の形で明示すると言っていましたね。それはそれでよろしいですか。
○土屋委員 そうですね。このページしか見ないと総ビリルビンだけ報告してくる可能性があると思います。
○櫻井座長 どうしますか。
○中央労働衛生専門官 ビリルビンについて、溶血性貧血についてはヒトのデータが不確かということで二次健診に回しました。そうすると、溶血性貧血の検査としての間接ビリルビンではなくて、閉塞性黄疸の検査として血清総ビリルビンの内訳を測るべきであると、そういうことでしょうか。
○櫻井座長 にもかかわらず、直接、間接を測定することにするのですか。ちょっとの手間ですから、それはそれでいいですね。なぜ、ここに「直接」「間接」と書かないのですか。
○中央労働衛生専門官 ここに書いていないのは、法令上の整理からどこに書くかということで、省令に書くときには血清ビリルビンの検査と書いて、ただし、血清ビリルビンの検査というのは直接ビリルビンと間接ビリルビンの両方ですというのを、別の所に書くことを想定してこのような表記にしています。
○土屋委員 法令上、それは分かるのですが、これを現場で若い方が初めて見たときに、こういう書き方だと総ビリルビンしか測らないと思います。よその所を見ないと、肝心なところまで通達しないというのは実際上は非常に不便なのです。そういうのが医療上たくさんあるので、是非、そこを改善できたら変えてほしい。
○中央労働衛生専門官 資材等を作るときに、そこは分かりやすいように書きたいと思います。それから赤血球数等の赤血球系の血液検査というもの、これも過去の省令上の記載に揃えているのですが、具体的に例えば赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、網状赤血球数、例えば4つ特定できるのであれば、この4つを記載するようにしたいと思いますが、この4つでよろしいでしょうか。
○土屋委員 ヘマトグクリットは要らないのではないかと思います。
○櫻井座長 では赤血球数、ヘモグロビン、網状赤血球数。
○土屋委員 はい。
○櫻井座長 その3つを法令上の部分ではなくて、もっと目に触れる指針みたいな形で出すところに明記するということですか。
○中央労働衛生専門官 本日も出していますが、周知用の資材を別に作成しますので、その中に分かりやすく記載したいと思います。
○和田委員 厚労省は法律上、網状を使っているのですか。網赤血球でなく網状。
○櫻井座長 網赤血球か網状赤血球か、どっちですか。
○和田委員 一時、全部網赤血球に変えたと思いましたが、今はどうなのですか。
○櫻井座長 医学用語辞典でよろしいですか。日本医学会が出している。
○山田委員 今は網状赤血球。
○和田委員 網状ですか。
○櫻井座長 今は網状ですか。一時、網赤血球と。
○和田委員 前は網状で、それが網赤血球になったのです。
○櫻井座長 今は網状だそうです。
○労働衛生課長 特化則では基本的に網状赤血球数と書いています。
○和田委員 昔は網状だったのです。
○櫻井座長 網状から網になって、また網状になった。分かりました。大体まとまったと思いますので。
○中央労働衛生専門官 確認させてください。先ほど圓藤委員から、急性症状に係るものは配置転換後は不要ではないかとの御指摘がありました。これは自覚症状、他覚症状。?についてはそうだと思いますけれども、?の既往歴についても不要かどうか。あと、御指摘のあった二次健診の?の作業条件の調査も不要かどうか、少し御議論いただければと思います。
○櫻井座長 既往歴については当然入れておくものだと思います。これは、ばく露指標との関連がありますから。その代わり、いつも同じ情報がずっと残るだけの話です。それから何でしたか。
○中央労働衛生専門官 作業条件の調査。
○櫻井座長 これも1回調べたのが、そのまま残るだけです。いちいち調べる必要はない。
○山田委員 その後はやられていませんかという確認をして。
○櫻井座長 確認ですね。その後、たまに手伝いに行くようなことはありませんかと。
○山田委員 その後、そういう機会はありませんかとは聞いておかないと、そういう機会があることがありますからね。
○櫻井座長 聞きますよね。ときどき慣れている人は、またちょっと手伝ってくれみたいなことはよくあるのです。
○中央労働衛生専門官 そうしますと作業条件の調査、作業条件の簡易な調査と既往歴については配置転換後も健診項目は入れておくということで、よろしいでしょうか。
○圓藤委員 特に既往歴の調査に関しては、ばく露していたときに現れた症状だけでなく、例えば胆管がんが発症した後の経過がありますので、残しておいたほうがいいかもしれません。
○櫻井座長 そうですね。
○山田委員 その後、こういった症状はありますかということを、「ある」「なし」でもいいから確認しておくことが必要です。
○櫻井座長 分かりました。一次健診で作業条件の簡易な調査、これもそのまま残したほうがいいということですね。「ずっと離れていますか」と一言、聞きますよ。
○山田委員 それは大事なことですから、一言聞くというのが必要です。
○櫻井座長 大事です。事務局、よろしいでしょうか。以上、いろいろ変更がありましたが、まとめたものを私が確認させていただきます。
○中央労働衛生専門官 今、御確認いただいた事項について修正をしまして、最終のこの検討会の結論ということで御確認を追ってさせていただきます。
○櫻井座長 それでは、次に議題2「健康管理手帳の交付対象業務の追加」について、事務局から説明をお願いします。
○中央じん肺診査医 資料3を御覧ください。資料3に沿って健康管理手帳の交付の基本的な考え方、今回の1,2-ジクロロプロパンについて、交付の要否、交付対象業務、それと交付の要件、健診項目について説明いたします。
 1ページの「はじめに」ですが、有害業務に従事される労働者については、労働安全衛生法第66条第2項等に基づいて、事業者が特殊健康診断を実施しております。また、労働安全衛生法第67条の規定に基づき、労働安全衛生規則第53条第1項に規定する一定の要件を満たす者については、離職の際又は離職後に、国が健康管理手帳を交付して健康診断を実施しております。現在、交付対象業務は12業務、平成24年末における累積交付数の合計は6万2,000件です。
 1,2-ジクロロプロパンについて、特定化学物質障害予防規則特化則等の改正によって、1,2-ジクロロプロパンを、(その重量の1%を超えて含有する製剤その他のものを含む)ものについて、機械、器具その他の設備の付着物を除去する業務を、健康管理手帳の交付対象とすべきかについて検討する必要があります。
 2ページです。健康管理手帳交付の基本的な考え方について御説明します。これは平成7年12月の労働省の検討会が取りまとめた健康管理手帳交付対象業務等検討結果報告において、表?~?のいずれの要件も満たす物質の取扱業務等を健康管理手帳の対象業務として検討しております。
 表を見ますと、?は、法令上の規制が加えられていることということで、製造等禁止物質、若しくは製造許可物質、その他の規制物質としてあります。?は、取扱いによる疾病で、主にがんなどの重度の健康障害が業務に起因する疾病であること。?は、取扱い等によって疾病の発生リスクが高く、今後も発生が予想されることといった3つの条件が提示してあります。なお、要件の?のハに該当し、従前の健康管理手帳の交付対象の規制物質としてここに挙げているものがありますが、健康診断については、労働安全衛生法第66条第2項に基づいて特殊健康診断の対象業務としております。また、上記の要件?については、近年の労災認定の事例の有無等を勘案して判定していました。
 3ページです。このような考え方に加えて、近年の取扱いが新たに行われたような有害物質で、?に該当するものは、ばく露期間等から労災の認定の事例が発生する可能性は低いと考えられるため、別途疫学的データ、症例データ等を踏まえた検討が必要ではないかと考えております。
 交付等の要件ついての基本的な考え方については、特定の所見、例えば石綿における胸膜肥厚等がありますが、それと業務従事経験年数等を定めており、症例データのほか、従前の交付対象業務の交付要件を参考に定めております。今回はそれと同じような考え方で良いのかどうかについて、検討していただきたいと思います。また、健康診断の実施頻度あるいは健康診断項目についても、従前の交付対象業務と同等に参考に定めておりますが、同じような考えでよろしいか、検討していただきたいと思います。
 4ページです。今回の1,2-ジクロロプロパンの健康管理手帳における取扱いについての基本的な考え方、今まで話した内容についてお話いたします。現状としては、当然、今回検討会に上がっていますので、健康管理手帳の対象業務とはなっておりません。
 検討としては、安全衛生の立場から法令上の規制等については、1,2-ジクロロプロパンについては資料2でもお話がありましたとおり、IARCではグループ3に評価されており、現在、同物質の規制について検討がされているところです。また、疾病については、多数の労災認定が認められていることより、業務に起因する疾病として認められています。今後の当該疾病の発生が予想されることについては、表にあるとおり、平成24年度には16件の労災が認定されており、今後もその件数が増えることが予想されるといった現状です。以上のことより、事務局としては健康管理手帳の交付対象にかかる要件を満たしていると考えており、検討して頂きたいと思います。
 続きまして、具体的な交付の対象業務等について説明いたします。対象業務については、同じタイミングで特化則で規定があって、健康管理手帳の交付対象業務もこれに合わせて、1,2-ジクロロプロパンを(重量の1%を超えて含有する製剤その他のものを含む)を用いて、機械、器具その他の設備の付着物を除去する業務としたいと考えております。
 また、交付要件について、労災認定された16名については、ばく露期間について検討しましたが、最大が13年2か月、最小の方で3年8か月、平均のばく露期間は7.6年ということで、まだ労災認定された16名のデータしかありませんので、今後それについては修正が考えられるとは思います。現時点で考えられる交付要件としては、当面は「当該業務に3年以上従事した経験を有すること」とすることが適当ではないかと考えております。
 6ページです。健康管理手帳による健康診断項目について、ここに挙げております。これは資料1にもある特殊健康診断の健康診断の項目に、ほぼ沿った形になっております。先ほど御議論いただいた中で、様々な修正が加えられておりますので、それに沿って適宜修正を加えていきたいと思っておりますが、※の下に、健康診断項目については、特殊健康診断の項目をそのまま踏襲していた、あるいは作業条件の調査等については、ほかの交付対象業務についても特殊健診では行われているが、健康管理手帳では行っていないことがあったのですが、個々の項目については、ほぼ踏襲しているのが現状です。
 しかしながら、先ほどの議論の中であった急性の項目については、今回のこの資料の中では赤血球数等の赤血球系の血液検査だけ削除しておりますが、御議論いただいた中で特殊健康診断の内容に沿った形で変更を加えていきたいと考えております。以上です。
○櫻井座長 それでは、今の御説明の内容を1つ1つ御議論いただきたいと思います。議事次第の中では分けてありませんでしたが、まず最初に手帳を交付することの必要性。必要であるならば対象業務をどうするかということです。事務局からは必要かどうかということですが、いかがでしょうか。これは条件がそろっておりますので、迷うことはないと思いますが、よろしいですか。
 それでは、必要だという判断になりました。次に交付対象業務については、いかがでしょうか。これでは、1%を超えて含有する製剤その他のものを含むのですが、1,2-ジクロロプロパンを用いて機械、器具その他の設備の付着物を除去する業務ということになっております。今までは「洗浄又は払拭」という言葉が使われていたのを、変えてある理由というのは何かあるのですか。
○中央じん肺診査医 特化則の方で、そのように変更が加えられておりますので、そちらに倣った形で、こちらのほうもそろえています。
○化学物質評価室長補佐 交付要件について政令に書くのですが、その書き方で法政局との調整で、こういう形にしてもらえないかということを、今、調整しているところです。
○櫻井座長 ほぼ調整の結果です。そうすると、特化則もこういう表現になるということですか。
○化学物質評価室長補佐 特化則は「払拭」という言葉が残るかもしれません。それはまだ調整中です。
○中央じん肺診査医 併せて検討いたします。
○櫻井座長 でも、どちらでも分かります。「機械、器具その他の設備の付着物を除去する業務」のほうが分かりやすいですよね。
○山田委員 特化則では重量の1%になっていますが、今回、労災に認定された16名の方の濃度は分からないのですが、高濃度ばく露という言い方をしていますよね。高濃度ばく露というのは、一体どれくらいのものなのですか。6倍も10倍もという値がありますよね。1%で起こり得るのですかね。
○櫻井座長 それは大前委員もそう言っていましたけれども。
○大前委員 1%だと多分起こらないだろうと思います。でも、これは今まで特化則のがなっているので、何パーセントで起こるかといったら、その数字も出てこないので、仕方ないかなというところです。現実的には1%では起きないと思います。
○櫻井座長 長年の経験から、直感から言っても、1%ではそんなに高濃度にはなりませんからね。
○山田委員 現場とすれば、そんなに高濃度ではないのに、なぜ健康手帳での管理を我々はしなければいけないのかという不満が出てくると思います。
○櫻井座長 だけど、これは難しいですよ。では、何パーセントにするのかですね。
○山田委員 特化則に入れたのだから、1%で押したらいいのですが、特化則は1%ですから。ただ、本当に高濃度というのが1%ですかという疑問が残ります。
 次に、参考で労災認定された期間の人を書かれていますが、濃度との積でなければ意味がないですよね。
○櫻井座長 そうですね。認定された方々、それが100%か50%ぐらいでしたね。それで期間がこうなっているのですが。
○清水委員 最小ばく露期間が一番短い人たちというのは、高濃度だということは疫学的には証明されているのですか。
○圓藤委員 業務上と認定された人たちの推定ばく露量を考えれば、高濃度で、掛けるこの年数ですから、高いことは間違いないですね。
○清水委員 相当高い。
○圓藤委員 だから、ここを作る中では、一番期間の短い人を想定し、またばく露量に関しても、一番低い人、更にそれに安全を掛けてということで1%というように理解していますので、どこで線を引くかだと思います。
○山田委員 1%だったら、3年以上だったら、大体OKだろうという話です。3年8か月働いているから3年以上の交付条件を満たしているということにはならないと思います。濃度が分かっていないから。
○圓藤委員 本来なら交付要件というのは、ばく露濃度に年数をかけた総ばく露量でやりたいわけですよね。従来はそういうことをやっていなかったので、その重量の1%を超えて含有する製剤に、このような年数を掛けて評価せざるを得ない。私はこれでいいと思います。ただ、特殊健康診断で業務の経歴の調査をやり、作業条件の簡易な調査をやり、また二次で作業条件の調査をやっているのをそのままそっくりまとめていただいて、それを提出し、記載してほしいと思います。
○山田委員 今後ですね。
○圓藤委員 ええ。だから、ここでは交付の要件として各業務の経歴の調査、作業条件の調査の経歴などを全部。
○山田委員 交付要件の調査の中に使用量、使用期間を調査しなさいと出ていますか。
○圓藤委員 作業環境測定をしているならば、その数字を書きなさいというのがありますので、それらを交付申請するとき、あるいは交付するときに記載していただいておけば、この人はどれだけのばく露をしていたのかがわかります。そうしますと、次回以降の健診項目で業務の経歴の調査は不要で、1回きっちりやっておけば毎回やる必要はないという位置付けのほうが私は分かりやすいと思っています。それで交付する、しないは別にしなくてもいいのですが、記録として残しておいていただけるのは非常に重要ではないかと思います。
○櫻井座長 交付要件に話が移っておりますが、交付対象業務は1%で、機械、器具その他の設備の付着物を除去する業務というのはやむを得ない、それでいくということでよろしいですね。
 次に交付要件ですが、3年以上ということで、当面それしかないという判断になるだろうと思います。なお、こういう要件に該当する場合、全て機械的に手帳を交付するということですか。
○中央じん肺診査医 そうです。
○圓藤委員 ただし、記録は書いてほしいというのを条件にしてほしいですよね。業務の経歴の調査、作業条件の経歴の調査は申請時に記載してほしいと。
○櫻井座長 そういうことは可能ですか。
○中央じん肺診査医 今まで前例がないのでちょっと分かりません。
○櫻井座長 今まで前例がないのですか。
○圓藤委員 今までそういう作業条件の調査はしていなかったからね。
○主任中央労働衛生専門官 調べてみないと分からないのですが、まずは交付要件あるいは交付対象業務に当たるかどうかということの証明の書類は当然出てきます。あと関連した形で、これは指導だと思いますが、離職された時点の状況というか、それを一部とっているものがあると思います。ですから、そこが義務付けられるのか、あるいは様式の中で指導という形で頂くのか、その辺は過去の申請のこちらからの手続等を確認してみないと分かりません。そういった場合だと指導という形になるかもしれませんが、そういうのを取れるかどうか検討したいと思っています。
○櫻井座長 御検討よろしくお願いします。それでは、4の「交付要件について」は、事務局提案どおりということでよろしいでしょうか。
 それでは、次に、健診項目についていかがでしょうか、資料3の6ページです。これは手帳交付ではなくて、先ほど検討したのは配転した人の健診項目を検討しましたが、それと同じでいいかどうかということですが、同じでよろしいでしょうか。作業条件とか、作業条件の簡易な調査もそのままでいいですね。
○山田委員 配置転換の方は、もう作業をやめているわけですから、作業をやめる時の状況が載っていればいいわけですね。
○櫻井座長 その後また同じような職に就いていないかどうかはありますよね。
○山田委員 それが知りたいわけですね。
○櫻井座長 ありますよね。
○山田委員 あり得ます。
○中央じん肺診査医 同じような職に就いたときは、新たな職場での特殊健康診断を受けられるかと思うのですが。
○山田委員 そのときは健康管理手帳を返すのですか。じん肺健診などでは特にあることですが、職業としてじん肺作業しか自分ができないから。健康には悪いのですが、まだじん肺作業をやるのだという作業者がいます。このような報告を労働基準監督署に出すと、ものすごく嫌がられますね。
○櫻井座長 慣れた作業だから、やはりやりたいとかね。
○山田委員 その作業しか自分にはできない。だから、悪くなってもいいから、やらせてくれというのです。とても困ります。
○圓藤委員 この16名の中にも一旦退職し、同業他社で同じような作業をされたという方がおられますので、それはまた別個に御検討いただかないと。
○中央じん肺診査医 健康管理手帳の返却自体は、確かに死亡時しか規定はないので、そこまでの想定はしていません。
○櫻井座長 それも課題ではありますね。
○中央じん肺診査医 基本的に同様の作業に就かれていれば、そこの会社で受けなければいけないということになるかと思います。
○山田委員 特殊健康診断はですね。だけど健康管理手帳を持っているから、それもまた受ける可能性はありますね。
○櫻井座長 そうなのです。両方で受ける可能性がありますね。どちらか選んでいただく。会社はそれを指導するかもしれません。
○山田委員 会社の方はそれが義務ですからね。
○労働衛生課長 想定していません。
○中央じん肺診査医 検討課題に。
○櫻井座長 ここでは結論が出ません。では、基本的に同じということにしておいていいですね。
○中央じん肺診査医 はい。
○櫻井座長 では、それで交付に関する議論は終わりまして、次に「エチルベンゼン及びインジウム化合物にかかる配置転換後の健診項目の見直しについて」、お諮りしたいと思います。資料4です。
○中央労働衛生専門官 資料4を御説明します。「特定化学物質障害予防規則に基づく一次健診における生物学的モニタリングのための項目の取扱いについて」です。特定化学物質障害予防規則の健康診断のうち、インジウム化合物とエチルベンゼンに係るもの、これはこの検討会で御議論いただきましたが、作業者個人のばく露状況を把握し、健康障害を予防することを目的として、一次健診に生物学的モニタリングのため、の健診項目が採用されています。裏面に健診項目の全体を記載しておりますが、具体的にはインジウム化合物について、血清インジウムの量の測定、エチルベンゼンについて尿中のマンデル酸の量の測定の2項目です。
 一方、特定化学物質障害予防規則では、遅発性の健康障害のおそれのある業務については、当該業務に従事している労働者に加えて、過去に従事したことのある労働者で引き続きその事業場に在職している方に対しても健康診断の実施を義務付けておりいます。
 現に化合物質を取り扱う業務に従事していない方の場合、化学物質へのばく露の可能性は低いということになりますので、当該物質にかかる半減期を考慮して、半減期が短い場合には、配置転換後の健診項目から生物学的モニタリングのためのものを除くこととしてはどうか。先ほどの1,2-ジクロプロパンでも同様の話がありましたが、そのようなことを検討してはどうかということです。
 具体的には、参考で尿中マンデル酸の半減期を文献から抜粋しておりますが、5時間ということで、これについては配置転換後の検査は不要ではないかということ。一方、血清インジウムについては、半減期が相当長いということなので、これについては残すことも考えられるのではないか。以上、2点について御意見を頂きたいと思います。
○櫻井座長 それでは、エチルベンゼンから御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○圓藤委員 これを審議したときも、現作業を行っている人というのは意識して作っていたので、配置転換後のことは余り考えてなかったのではないかという気がします。そういう意味で尿中マンデル酸量を配置転換後も設定することの意味は、まずないだろうと私は思います。
 とすると、それと同時に上の他覚症状又は自覚症状の有無の検査においても、急性症状をとっているのではないかと思いますので、先ほどの1,2-ジクロロプロパンと同じように、急性と思われるものについては削除してはいかがかという気がします。
○山田委員 エチルベンゼンそのものは、もともと有機溶剤で挙げられると思っていましたが特化物になり、いわゆる過去従事者に対する生物学モニタリングとしての話は尿中マンデル酸測定の意義はないと思っています。こういう検査が入っていると非常に迷惑で、事業場から不必要だとぶつぶつ言われます。是非削除していただきたいと思います。
○櫻井座長 これは皆さん同じ御意見のように思います。尿中マンデル酸の量の測定は省略、現在の他覚症状又は自覚症状、ここでは他覚所見という言葉を使わないで、他覚症状になっていますが、他覚症状又は自覚症状の有無の検査も、全て急性期の症状ですね。
○山田委員 なぜエチルベンゼンが特化物に入ったのでしょうか。
○櫻井座長 要するに、実験動物におけるがんの問題、ヒトでは2Bぐらいで、これは一番慎重に取り扱われたうちの1つだと思います。
○山田委員 これの場合に塗装だけが対象でしょう。それを塗装とするから対象になるのだから、それは試みに塗るという言葉を書いたら出さないでいいのではないか。全然間違っています。失礼しました。
○櫻井座長 ヒトでは発がん性が明確に証明されていない物質が、今後も検討課題として上がってくるわけですが、その場合に一次健診で何を診るかは、非常に大きなテーマになると思います。
 そもそもヒトについての職業がんというのは、割合臓器が限定されているのです。はっきりしているのは肺がん、肝がん、膀胱がんで、あとは少ないのですが、造血器ぐらいです。鼻腔も怪しいでしょう。副鼻腔も一部あります。そのぐらいなので腎臓は非常に少ないですよね。もしかするとゼロではないかもしれませんが。そうすると、肺と肝臓だけ診れば、多分現実的には一番効率が高いのではないかと思います。私の個人的な意見です。何も診ないよりはそのほうがいいと思います。だから、肝機能検査をやるのです。動物で出ているがんは、60%が肝ですからね。だから、個人的にはエチルベンゼンでも肝臓の指標を入れておいたほうが良かったかなと思います。
○山田委員 二次では入っているのですね。
○櫻井座長 二次では入っています。話が外れましたが、エチルベンゼンについては、一応、現在のものとしては、自他覚症状と尿中マンデル酸と両方とも省略でよろしいですか。では、作業条件の簡易な調査は残す。二次健診はこのままでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、インジウムの方はいかがでしょうか。
○山田委員 インジウムというのはどのぐらいの半減期なのですか。
○櫻井座長 10年ぐらいでしょうか。それは大前委員が詳しいのです。
○大前委員 今、一番長く観察しているので9年ぐらいの集団があります。そこの全部の平均ですと8~9年ぐらいで、これは血清中の濃度の話です。それから高い方は半減期が少し遅く、低い方は半減期が少し早い。恐らく肺の蓄積量の問題で、たくさん蓄積すればそれだけ残るから遅いということで説明が付くと思います。今、分かっている範囲ではその程度になります。
○櫻井座長 そういう状況なので、血清インジウムは生物学的モニタリング指標ではあるが、非常に半減期が長くて、個人によって減り方も違うと思います。
○山田委員 ばく露されるとすぐに血中に溜まるのですか。 
○大前委員 新人でばく露した方で、防御不完全な方ですと、次の回の健診で10ぐらいの方はいます。ただ、その方は外してやると、あっという間に下がります。だから、蓄積量がもともと少ないので、本当に人によって違います。
○櫻井座長 そうすると、血清インジウムは省略できないということですか。
○大前委員 できない、私はしないほうがいいと思いますが、ただし、配置転換されたときの血清インジウムあるいはKL-6のレベルで、ある程度から先は除外みたいなことも考えてもいいとは思っています。ただ、今はどの数字以下だったら除外したらいいかというところまでのしっかりしたデータはありませんが、将来的にはそういうことも考える必要があるのではないかと思います。
○櫻井座長 全く正常範囲内という人もいるかと思いますが、その場合はフォローアップは必要でしょうか。
○大前委員 いいえ、必要ないと思います。正常範囲は、最初の頃は測定法の問題が若干あって、非ばく露者でも少し出たのですが、測定法がしっかりしてきたら、ほとんどの非ばく露者は0.1以下ぐらいで、0.1を超えている方はほとんどいないので、技術的にいい精度をもって測定できる範囲で測定して、出てくる方は若干でもばく露している。ただし、肺の蓄積量が問題なので、大した蓄積をしていない人はリスクはとても小さいと思いますし、半減期が非常に早いので、ある時期に血清中の、例えば1なのか、その辺は余りしっかりしたデータがありませんが、その辺以下は除外していいとか、そういうことを考えなければいけないのではないかと思います。
○山田委員 ちょっと勉強不足かもしれませんが、インジウムの標準液というのは、もう市販されているのですか。
○大前委員 ICPで測定していますから、それに使う標準液はあるのではないかと思います。
○山田委員 血清でなくても、純品の。
○大前委員 今の話は標準液のです。いわゆる精度管理に使う意味での標準液は市販されていません。ある大学がそれをウシ血清で作っていて、今、インジウムを測れる所がそんなにたくさんないので、その間の精度管理は少しやり始めていますが、市販されていません。
○圓藤委員 血清インジウムの値というのは、非常にいい評価手段ですので、それはそれなりに追っていく必要があろうと思います。ただ、大前先生が言われたように、かなり下がっている人までずっと続けて測る必要があるのかどうかということと、年に2回ずっと測っていく必要があるのかということがあろうかと思いますので、適切な省略要件というのを考えていただいたほうがいいのではないかと思っています。
○櫻井座長 それは、今すぐパッと答えを出せないですよね。どうしますか。
○中央労働衛生専門官 法令上、どのように規定するかということもありますので、技術的にどのように定めることができるかということとも併せて、今後の宿題にさせていただければと思います。
○櫻井座長 KL-6はいかがでしょうか。
○大前委員 KL-6はその時点での肺での炎症の活動度を示していると思います。配置転換されますと、インジウムはなかなか落ちてこないのですが、KL-6は比較的早く落ちてくるので、活動度としては落ちるのだろうと言えると思います。これも先ほど申しましたように、血清インジウムが低い人はKL-6より下がるのかと言われると、これはないなと思います。高い人は特殊だと思うので、これもどこかの段階で、このレベルだったらやる必要がある、あるいはないという省略を考えたほうがいいと思います。
○山田委員 やはり5年の期間をもって考えるとか、期間を一応区切っていただいたほうがよいと思います。今、一検体の測定費用がこんなに高いのに全検査をやるのかと言われるとわれわれは苦しい立場的になります。しかし、5年経過して省略項目が変わることもあると見直しの可能性を書いていただけると事業場の反応が大分違うと思います。
○中央労働衛生専門官 そのような意見があったということは記録に留めたいと思います。
○櫻井座長 インジウムはそういう意味で検討課題が残ります。しかし、基本的には何らかの形で測定が必要であるという結論でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 以上で今日の検討課題は全て議論したように思いますが、事務局で何か疑問が残る点がありますでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。大変充実した議論をしていただきまして、多くの面で結論が得られたと思います。今日の議論の結果を踏まえて事務局に取りまとめをお願いします。私に大部分お任せいただいてよろしいでしょうか。万一、疑問点が生じましたら、状況に応じて先生方にまたお伺いすることもあろうかと思いますが、基本的には事務局の取りまとめで、私が確認ということで進めたいと思います。それでは、今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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