ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会> 第3回産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会 議事録(2013年6月18日)




2013年6月18日 第3回産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会 議事録

○日時

平成25年6月18日(火)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○議題

(1)地域産業保健事業、産業保健推進センター事業及びメンタルヘルス対策支援事業の効果的・効率的な実施について
(2)その他

○議事

○職業性疾病分析官 それではおそろいでございますので、始めさせていただきます。本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第3回産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様、全員御出席です。
 最初に、配布資料の確認をさせていただきます。検討会の議事次第が1枚ございます。資料1として「産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会報告書(案)」、資料2として「メンタルヘルス対策支援事業の評価について」、資料3として「地域保健法第四条第一項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針(抄)」です。参考資料として、本検討会の開催要綱と裏側に参集者名簿が載っております。配布資料は以上です。そろっておりますか。この後の議事進行については、相澤座長によろしくお願いいたします。
○相澤座長 おはようございます。今日は最終日ですので、よろしくお願い申し上げます。議事に入らせていただきますが、本日は報告案について、御検討お願い申し上げます。資料が今御説明のとおり、3つ配布されており、まず資料1の報告文は事務局から説明いただきます。その後、資料2のメンタルヘルス対策支援事業の評価について、労働者健康福祉機構から御説明いただきます。資料3の地域保健対策の基本指針については、後ほど報告書の5の2に支援の在り方がございますが、その支援の対象範囲、内容について議論する際に、中板委員からの発言と合わせて資料3の御説明をいただきたいと思います。それでは資料1の説明を事務局からお願いいたします。
○中央労働衛生専門官 資料1、本検討会の報告書(案)ということで順番に説明させていただきます。
 1ページ目、「はじめに」として、これまでの検討会の経緯についてまとめています。詳細は割愛いたします。
 2番として、産業保健の現状についてまとめています。1つ目のマルですが、健康診断結果の有所見率が年々増加をし、業務上疾病は顕著な減少傾向は見られない。産業医の選任状況等事業場の労働衛生管理体制は必ずしも十分ではなく、労働者数50人未満の小規模事業場は労働衛生管理体制が貧弱であり、労働者の健康管理が十分でない等、多くの課題があると、全体をまとめています。
 2番目のマルですが、有害業務への対応についてです。平成24年大阪の印刷事業場における胆管がんの多発を受けて行われた、労働基準監督署による、洗浄作業を行っている印刷事業場に対する一斉点検において、産業医や衛生管理者を選任していない等、労働衛生管理に何らかの問題を認める事業場が多数に上った。労働者の健康の確保のため、産業保健専門職の関与など、労働衛生管理を着実に実施する体制を早急に整備する必要があるということです。
 2ページ目のマルでは、日本の自殺者数は年間3万人を下回っていますが、勤務問題を自殺の1つの原因とする者は、年間約2,500人に達している。この精神障害等による労災申請件数、支給決定件数も増加傾向にある。一方で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場は約4割程度、特に小規模事業場の取組が遅れているということです。
 次のマルは、メンタルヘルス対策としては、一次予防から二次予防、三次予防まで総合的な支援が求められています。その他の疾病、障害についても、予防、早期発見に加えて、職場復帰、治療と職業成果の両立支援へのニーズが高まっているということです。
 次のマルからは、第12次労働災害防止計画、こちらは厚生労働省で本年策定をしています。計画は平成25年度から平成29年度までの5年間となっており、主要な労働災害の防止のための対策を定めています。以下、説明です。誰もが安心して健康に働くことができる社会を実現するために、国、事業者、労働者など全ての関係者が労働災害防止の意識を共有し、それぞれの立場で行動することが求められています。
 また、労働災害・業務上疾病発生状況の変化に合わせた対策の重点化を、これらの特徴としています。重点業種として第三次産業を設定し、重点とする対策としてメンタルヘルス対策、化学物質による健康障害防止対策等を挙げたほか、業種横断的な取組として高年齢労働者対策、非正規労働者対策等を推進することとしています。高年齢労働者については、その多くが基礎疾患を有しており、この基礎疾患が誘発する労働災害について、地産保事業等を通じた周知徹底の取組が示されている、12次防の中にそのような記載があります。
行政や労働災害防止団体、業界団体等の連携・協働による労働災害防止の取組の推進について、社内で安全衛生の専門人材の育成が難しい企業については、企業が専門機関を活用しやすい仕組みの検討が必要である。そのための産業保健機関、産業保健専門職の質の向上とその活用、50人未満の小規模事業場における労働者の健康確保についての国による援助の充実等が示されています。国をはじめとする関係者が12次防の目標達成のため取り組む必要があるということ。ここまでが、産業保健の現状です。
 3番として、産業保健を支援する事業の概要を順番に書いています。 (1)産業保健推進センター等。既にこの検討会の中で議論されてきたとおり、平成24年度末までに15の都道府県に集約化されたことを中心に記載しています。
(2)地域産業保健事業については、国において、労働安全衛生法の、労働者数50人未満の小規模事業場の労働者の健康確保に資するため、労働者の健康管理等に関する相談・情報の提供、その他必要な援助を行うように努めることとする、という条文に基づき、実施しています。3番目のマルでは、平成25年度においては39都道府県において、都道府県医師会が受託して実施しているが、8府県においては、労働者健康福祉機構が受託をしているということです。
 平成22年度以前は健康相談窓口の開設、個別訪問産業保健指導、長時間労働者に対する面接指導及び産業保健情報の提供を事業内容としていました。平成23年度から、4ページの一番下に記載されている事業内容に、重点化が図られています。
 それから、地産保事業における保健師の活動について、保健師が小規模事業場を訪問し、労働者の状態の把握を行う。個別の事例の集約化、組織の健康管理の課題を抽出して、事業所センターの健康管理の仕組みを続けるなどの、総合的な支援を提供している事例があったということの記載をしております。
 (3)メンタルヘルス対策支援事業についてです。平成25年度においては全ての都道府県で労働者健康福祉機構が受託をしており、全国47都道府県を6つのブロックに分けて契約しています。平成25年度から、一般競争入札(最低価格落札方式)となっています。
 (4)平成23年度の検討会報告書において、三事業が連携して統括的に運営されるための総合調整機能が必要とされたことを受け、平成24年度から各都道府県労働局において各事業の実施者等からなる協議会を設置して、三事業の連携を推進する取組が行われています。
 6ページの4番ですが、産業保健を支援する事業の課題を順次書いています。最初に総論として、三事業それぞれ事業者、産業保健専門職、労働者の種々の課題に対応するために実施をしているものですが、事業場規模あるいはニーズの内容によって対応する事業が分かれているために、心とからだの健康対策が分離をしているように見え、各事業の違いが利用者から見て分かりにくく、また、それぞれ別個の事業であるため、全体として効果的・効率的な実施体制になっていない部分があるということです。また、三事業の実施体制、実施区域、調達方法、事業内容等について、ここ数年間様々な変更が行われています。これらの一連の変更については効果的、効率的な事業の実施、予算の適正な執行等を目指して行ったものですが、こうした変更が必ずしも十分な周知準備期間もないまま行われたこともあり、関係者・利用者等から改善を求める要望が多数寄せられるなど、種々の課題が指摘をされているところです。
 (1)産業保健推進センター等の事業の課題です。推進センターの集約化により、32県においては推進センターの廃止、連絡事務所の設置が行われていますが、連絡事務所では非常勤の代表及び嘱託職員である産業保健推進員1名の体制となっており、体制の縮小により、事務機能はもとより実質的な事業実施機能が低下をしている。
そして、嘱託職員である産業保健推進員に大きな負担がかかることで、推進員の短期間での交替が相次ぐ状況となっています。研修についても、計画の研修件数は最低限こなしていますが、新たな内容の研修の企画や相談体制の充実等、事業内容の持続的な充実、発展が困難となっています。産業保健専門職の資質向上のための真に必要な研修・相談ができていない、との指摘があります。
 事業の実施に当たり、医師会等地元の関係機関との連携が不可欠ですが、体制が不十分なことから連携に支障をきたしています。連絡事務所の置かれている県については、近隣の推進センターで事務管理を担当していますが、最大4県の連絡事務所を担当している推進センターもあるということで、活動範囲の広さとも併せて、これに伴う負担が大きくなっています。情報提供業務については、広報等が行き届かず、推進センター等を知らない事業者がいる、あるいは著作権等の問題により近年、利用者からの希望の多い教材等の貸出し業務に支障が生じているとの指摘があります。
 (2)地域産業保健事業の課題です。小規模事業場については支援を強化する必要があること、その一方で、地産保事業について知らない小規事業場もあり、周知が必要であるということです。それから労働者の健康確保のため、労働衛生の三管理等と言われます健康管理・作業環境管理・作業管理を含めて総合的な労働衛生対策を進めることが必要であり、化学物質等の事業場内の有害要因を除去することが必要であるとしています。現行の地産保事業の内容は健康管理の特定の業務に重点化された支援内容になっており、この有害要因への総合的な支援対策が十分でないとしています。労働者数50人以上の事業場では産業医、衛生管理者の選任が義務づけられており、これらの産業医や衛生管理者については、定期的な作業場等の巡視が法令で義務づけられています。一方、50人未満の小規模事業場においては地産保事業で産業医と同様の業務を行っていますが、地産保事業の事業内容で、事業場への訪問が明示されていないため、事業場の作業環境や労働者の作業内容等の把握が十分ではないのではないかということです。
 地産保事業の支援対象について、労働者数50人未満の小規模事業場となっていますが、これは、大企業の支店、営業所あるいは一定の資本関係のある子会社、構内企業等、これらの小規模事業場も支援対象となっています。これらの事業場が当該大企業の支援を受けることができる場合には、これらの事業場よりも中小企業である小規模事業場を優先的に支援対象としてはどうかという意見があります。また本来、労働者の健康診断結果に基づく就業上の措置に関する医師の意見聴取については、地産保事業の事業内容にも記載されていますが、これについては小規模事業場においても事業者自らが自立して行うことが必要とされています。地産保事業が、相談に訪れた特定の事業者に対してのみ、本来事業者に義務づけられている活動を継続的に肩代わりすることがもしあれば、利用者間の公平性の観点から望ましくないのではないか。この事業の範囲について精査する必要があるとしています。
また、平成22年度から、事業単位が、労働基準監督署の管轄区域単位から、都道府県単位に変更されております。このため、都道府県医師会の事務負担が大きくなっており、受託を見合わせる医師会もあり、改善策を検討する必要があるということです。
 地産保事業における保健師の活動について、総合的な事業場の環境改善、健康障害の予防体制の構築等を支援している事例があります。一方で、地産保事業における活動については地域における格差が大きく、活動を充実して改善を図る必要があるのではないかということです。地産保事業コーディネーターの方が非常に大きな役割を果たしているが、このコーディネーターについても研修や情報提供の機会が十分ではないことが指摘されています。
 (3)メンタルヘルス対策支援事業についての課題です。12次防の目標において、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を計画期間終了時までに80%以上とすることが掲げられています。平成23年の調査では43.6%という結果となっており、特に小規模事業場の取組が遅れている現状にあります。メンタルヘルス対策の導入支援についても、より効率的、かつ小規模事業場に力点をおいた事業としていくことが必要です。また、小規模事業場に対する支援については地域の産業保健の状況全体を視野に入れた対応が必要であり、地産保事業の実施主体あるいは都道府県労働局・労働基準監督署、地域の行政機関等との情報交換を密にし、実施をする必要があるということです。
 (4)三事業の連携の課題です。三事業それぞれ、異なる内容の支援を行っていますが、その内容は利用者の立場から見ると、密接に関連をしており、各事業の違いについて、利用者から見て区別がつかないため、必ずしも利用しやすい体制となっていないということです。例えば、地産保事業では労働衛生の三管理のうち、主として健康管理を支援する体制になっており、有害要因対策のための作業環境管理や作業管理等の専門家が配置をされていない、あるいはメンタルヘルス対策支援事業においては、個別の労働者に対する直接の支援を実施していないというようなことがあります。事業により内容に違いがあり、利用者にとって必要な総合的な支援の提供が、個々の事業で完結をしていないのではないか。三事業それぞれの予算、人員体制は独立しており、ともすれば重複する部分もあるなど、総合的な支援を全体として効果的、効率的に実施する体制となっていないということです。
 10ページ、(5)事業の調達方式による課題です。地産保事業については企画競争、メンタル支援事業については一般競争入札により、調達が行われています。どちらも単年度ごとの事業なので、1年ごとに契約が途切れ、年度によって受託者が変更となる可能性があるなど、事業の運営が不安定です。翌年度の事業の受託者が変更になる可能性があることから必要な人材の確保が困難となっているなど、事業の質の確保や円滑な実施に支障を生じることがあります。また、年度単位で契約をしていますので、年度初め・年度末には事業が中断され、必要な支援が実施できないことがあり、利用者からの理解が得られにくいことがあります。また、特にメンタル支援事業では、最低価格落札方式で事業の質の確保が図れるのかという指摘があります。
 地産保事業において、事業の受託者は都道府県の医師会が大多数ですが、郡市区医師会も含め、これらの団体が必ずしも国の事業の経理事務に精通をしておらず、経理事務が大きな負担となっているということです。また、行政機関や事業者団体等の連絡調整の業務もあり、これらの業務に多大な労力を必要とする結果、小規模事業場の産業保健活動の支援という本来の目的に十分力を注ぐことができていないことがあります。
 推進センターについて集約化が行われ、あるいは地産保事業について様々な変更が行われたことに伴い、現場において様々な混乱が生じたことから、関係者の意欲が低下をしています。特に地産保事業については、企画競争等、調達に「競争」が導入されたことから、これまで積極的に事業を受託して活動してきた医師会に戸惑いが生じ、あるいは地産保事業の事業単位が都道府県単位に変更となったこともあいまって、一部の府県において医師会が事業の受託を見合わせる事態になっています。
 11ページ、5番はこれらの課題を受けての今後の支援の在り方を記載しています。(1)三事業の一元化及び実施体制等。ア、三事業の一元化についてです。三事業が掲げる前述の諸課題を解決し、事業の効果的、効率的な実施を図り、それぞれの事業の機能を十分に発揮できるようにするため、三事業を一元化して運営する。そして、心と体の健康対策の一元的相談など、ワンストップサービスとして、産業保健活動に総合的な支援が提供できるようにすべきである。一元化に当たっては効率的に事務処理を行うことのみならず、役割機能的にも三事業が有機的に連動して、機能が効果的に発揮できる仕組みとする必要がある。三事業の一元化により、有害要因対策あるいはメンタル対策など専門的な対応についても、推進センター、メンタルヘルス支援事業の専門職と、地産保事業の専門職が有機的な連携を図ることにより、利用者のニーズに幅広く対応する効果的な支援を実施することが可能となるということです。
 イ、事業の安定的、継続的な実施方式についてです。地産保事業、メンタル支援事業は単年度ごとの委託事業ですが、この方式を改め、推進センター等の事業と同様に、安定的、継続的に実施できる方式にするべきである。これにより、必要な人材を確保し、質の高い支援が提供できる、あるいは事業が途切れることなく実施することができる。利用者にとって利用しやすい事業になるということです。
 12ページ、ウ、事業の実施主体及び実施体制についてです。三事業の一元化後の産業保健事業の実施体制です。まず、支援を効果的、効率的に実施するためには、この事業の実施主体は労働衛生行政機関あるいは地域の医師会等、関係団体と十分な連携を取ることのできる団体である必要がある。産業保健活動の支援については、国が主体的に関与するべきであること、これまで全国において推進センター等事業あるいは地産保事業、メンタル支援事業を既に実施している実績があるということから、新たな産業保健事業については労働者健康福祉機構が実施主体となり、都道府県医師会及び郡市区医師会が主体的に関与し、事業を実施する体制とすべきであるということです。
新たな産業保健事業の実施組織及び体制について、管理部門については効率的な体制とする一方で、事業部門については、現在労働者健康福祉機構が設置運営している推進センター等を母体として、都道府県に新たな拠点を設置する。当該拠点を中心にスケールメリットをいかして事業を実施することが適当であるということです。その都道府県拠点においては、労働衛生行政機関等との連携を十分に図り、この事業を適正に実施していくために、これまでの地産保事業、メンタル支援事業との人員とも合わせて、必要な十分な人員体制及び機能を確保すべきであるということです。
 都道府県拠点の次に、地域の小規模事業場や労働者にも利用しやすい事業とするため、おおむね労働基準監督署の管轄区域以下、地域に根づいた産業保健活動の実施に適した区域ごとに、コーディネート機能を有する地域の活動の拠点を設置する。これは地域拠点と記載しています。これにより、地域の小規模事業場において新たな産業保健事業を提供する、このような体制とすべきであるということです。
 これにより、都道府県医師会及び郡市区医師会は、産業保健活動の本来の活動に力を注ぐことができる。また、都道府県拠点における体制の確保により、関係団体との連絡調整等を円滑に実施することが可能となるということです。
 関係の専門職についてですが、現在日本医師会においては産業医研修機関として産業医の研修を実施するほか、研修を修了した者に対しても研鑽のための生涯研修を実施しています。新たな事業においては、こうした研修を受けた産業医が積極的に事業に関わるべきであるとしています。産業現場で活躍する保健師については、個々の労働者の問題を全人的に捉えて、また組織としての健康管理の対策を推進する。このための必要なネットワークを構築し、医療につなぐなどコーディネート機能を発揮する。そして一次予防から三次予防にわたるきめ細やかな活動を展開するということです。この事業の実施体制の一層の充実のため、都道府県拠点あるいは地域拠点に、産業保健に精通した保健師の配置を促進することが望まれるとしております。支援の質の継続的な向上のため、産業医・保健師あるいはコーディネーター等のスタッフに対する十分な研修を実施すべきであるということです。また、担当者による全国会議の開催による先進事例の情報の共有などを行い、全国レベルでの活動の質の向上を図るべきであるとしています。
 13ページに、具体的な今後の事業の対象、範囲、内容について記載しています。まず、必要な支援を強化する。その一方で、効果的、効率的な事業とするため、事業者の責務の内容、事業の意義を踏まえ、対象範囲については見直すことが必要であるとしています。まず、50人未満の小規模事業場に対する支援を強化する必要があるということですが、一方で、小規模事業場のうち、大企業の支店、営業所、一定の資本関係のある子会社・構内企業等よりは、中小企業の小規模事業場を優先的に支援対象とすべきであるとしています。健康管理のみならず、作業環境管理に作業管理を含む総合的な労働衛生対策を進めるための支援として、可能な限り実際に事業場を訪問して、実施することが適当である。特に、有害要因対策を進めるためにこの訪問が不可欠であるとしています。
 一次予防から三次予防まで、総合的に支援をする。三次予防として、労働者が病気により休業、休職した場合にも、職場復帰をして働き続けることのできる職場環境整備の支援を行う。この職場復帰支援、治療と職業生活の両立支援にも積極的に取り組むべきであるとしています。
 事業者においても、取組の一層の促進を図ることが必要であるとしています。このために、自立して、計画的、継続的に産業保健活動を行う必要がある。事業者自身の責務の内容、事業の意義あるいは公平性等を踏まえ、優先的に実施する支援の範囲及び程度については整理することが必要である。また、優先順位が低いと考えられる場合には、事業者にも一定の負担を求めるなど、適切な実施の在り方とするべきであるとしています。事業者の行う労働者の健康確保の活動、一次予防から三次予防までの活動があります。支援としてはこれらの活動を一貫して支援するコンサルティング機能が重要であるということです。また、この中でも最終的な対象者の決定は事業者が行うので、支援としては活動の枠組みの方向性を定めるところまでの支援とするとしています。また、継続的に支援を求める事業者に対しては、適切な団体あるいは適切な専門家を紹介することが適当ではないか。そのために、地区ごとに紹介すべき団体、専門家等に関する情報を集約することが望ましいということです。
そして、要請のあった事業者に対する支援だけでなく、地域・業界全体を視野に入れた、面としての支援を行うことが必要である。このため、この事業を御存じない事業者等に対し、行政機関、事業者団体とも連携をし、周知に努めるべきである。また、特に支援を必要とする対象に適切に支援を行うこととし、目的が達成できるようにすべきであるということです。
 支援において、職域のみならず、地域の保健活動との連携も重要であるとしています。地域の自治体あるいは保健関係機関ともネットワークを積極的に構築すべきである。教材・情報提供業務の充実強化のため、貸出し可能な教材の確保に努めるべきであるとしています。
 (3)事業の評価です。新たな産業保健支援事業についても、その内容及び質の継続的な改善のため目標を設定して、達成状況の評価に基づく改善を継続して実施するべきということです。また、その際、事業の最終的な目標は、労働者の健康を確保し、快適な職場環境を形成するアウトカムにあるということです。事業成果の指標としては、事業を実施した量だけでなく、事業場における労働衛生の三管理、作業環境管理、作業管理、健康管理あるいは労働衛生教育、労働衛生管理体制などといった総合的な労働衛生管理を事業場において実施状況に取り入れていくという方向性が望ましいということです。また、産業保健活動の支援については事業者あるいは労働者のニーズをよく把握して行うことが重要であり、そのため、事業を実際に利用した利用者の声を事業場に反映させるのみならず、地域や業界におけるニーズを汲み取って、反映していくことが必要であるとしております。事業の実施計画を立てるに当たっては12次防など、国の行う施策とも調和のとれたものとし、個別の拠点における計画においても、都道府県労働局が策定する労働災害防止計画などの計画とも調和のとれたものとする必要があるということです。
 最後に「おわりに」として、数多くの課題について、この事業をより効果的、効率的に実施することにより、産業保健の一層の充実を図る必要があるとしております。実際の見直しにあたっては、事業の実施関係者に対してていねいに説明を行い、現場における混乱を回避し、また、関係者の意欲を高めるようにすることが重要であるということです。
 検討会で議論がありました産業医あるいは衛生管理者を選任する事業場の範囲、法令の義務付けの範囲でもありますが、これを充実していくことについても、今後検討が必要ではないかという御意見がありました。また、産業医の選任状況や活動状況についても、行政において正確に把握できる仕組みになってないということで、活動の一層の促進のため、実態を把握する仕組みを整備する、あるいは選任については、国の指導を強化することが必要であるとしております。資料1の説明は以上です。
○相澤座長 それでは「メンタルヘルス対策支援事業の評価」について、労働者保健福祉機構からお願いします。
○労働者健康福祉機構 これは前回の宿題用にお答えするということと、今、報告書案について御説明があった中にも少し触れられておりますが、現在行っているメンタルヘルス対策支援事業の評価が、事業場へ行っている件数だけで評価されているという点。それから、アンケートについても良かったという感想だけ聞いているのではないかという御指摘に対して、今、どういうふうに把握しているかということを御紹介するために作ったものです。
 これは平成24年度の事業で、北海道も含め2万3,450件実施した中で、1年間を通してこれだけの件数を実施しているわけですが、作業の都合上、7月から12月までに実施した事業場に対してアンケートを配布しました。それが1万454件です。回収率は残念ながら28.6%と極めて低いものでしたが、この2,993件についてアンケートが回収できました。その中では、満足度も?で聞いておりますが、?役に立った支援の内容について。一番役に立ったと言われたのは、教育研修・情報提供です。問題点解決の計画策定と実施。そして、個別の労働者からの相談対応についての体制の整備。こういうものが役に立ったとお答えいただいております。「満足している」はおよそ半分、「やや満足」を入れても8割で、回収率3割の中でこのぐらいです。
 支援後どういうふうに変わったかが、調べた中で一番重要かと思います。メンタルヘルス対策に対する措置をすでに導入したという所が2,029事業場、導入を予定するという所が818ということで、大半の所がこの事業を受けて何らかの対策を事業場内で行う、または行っていると答えた所が評価内容になるかと思います。以上です。
○相澤座長 報告書については、後ほど細かく御議論を頂きますが、今の御説明に関して何か御質問がありましたらお願いします。よろしいですか。それでは議論に入りたいと思います。資料1の「報告書案」について順次御意見を頂きたいと思います。1の「はじめに」についてはいかがですか。現在の大雑把な国の対応ということです。また後ほど気付かれたら、もとに戻っていただいても結構です。2の「産業保健の現状」についてはいかがですか。1ページから3ページまであります。よろしいですか。3ページの3の「産業保健を支援する事業の概要」についてはいかがですか。3ページから6ページまで、産業保健推進センター、地域産業保健事業、メンタルヘルス対策支援事業、三事業の総合調整のための協議会と4つに分かれています。よろしいですか。
 6ページの4の「産業保健を支援する事業の課題」については、6ページから11ページまであります。7ページの(1)推進センターの事業の課題、地域産保事業の課題、メンタルヘルス対策事業の課題、三事業連携の課題、事業の調達方式による課題というところです。
○堀江委員 9ページの(4)「三事業の連携の課題」の2つ目の○は、表現を少し修正してはいかがでしょうか。4行目に「また例えば地産保事業では」とありますが、「作業環境管理や作業管理の専門家が配置されていない」ということで、一端ここは句点で止めたほうがよいと思います。これは連携というよりも、専門家がいないという地産保の課題の項に移動してはどうかと思いました。もし、連携の課題ということであれば、地産保にはいない作業環境管理等の専門家が推進センターにはいるが、その両者の連携がとれていないことを課題とすべきと思いました。地産保に作業環境対策、有害要因対策等で職場の改善をする専門家がいないということを課題として挙げるべきと思いました。いかがですか。
○相澤座長 場所が連携よりも地産保の問題のところでデータは入っているということですが、事務局、どうでしょうか。ほかの先生方、いかがでしょうか。推進センターにはいるけれども、いないというのは、それは連携にはならないと。
○堀江委員 連携が課題という趣旨であれば、そのことを書くべきではないかとは思いました。後ほどまた御検討をいただければと思います。
○相澤座長 内容より、むしろ場所とか書き振りですので、後ほど修正をさせていただいて、各委員に配ることにいたします。ほかにはいかがでしょうか。
○向澤委員 9ページの下から2行目の「一方」以下で、「メンタル支援事業においては、個別の労働者に対する直接の支援は実施していない等、利用者にとって必要な総合的な支援の提供が個々の事業場で完結していない」となっており、確認なのですが、「連携の課題」という中で書かれているということは、個別の労働者に対する直接の支援が、地産保、あるいは健康推進センターでなされているということであれば分かるのですが、基本的にはすべて事業者に対する支援を行うところだと思っていまして、この書き振りの意味合いについて確認させていただければと思います。
○相澤座長 これについてはいかがでしょうか。
○職業性疾病分析官 地域産業保健事業におきましては、個別の労働者に対する相談といったことも行っております。
○相澤座長 そこから連携があると。よろしいですか。
○向澤委員 はい。
○相澤座長 連携の所でいいのですかね。
○向澤委員 事実の確認だけですので、それが分かれば結構です。
○相澤座長 ほかにはいかがでしょうか。またお気付きになったらもとに戻らせていただきます。5の「支援のあり方」については、11ページから15ページまでです。(1)三事業の一元化及び実施体制、13ページの「支援の対象、範囲、内容」、15ページの「事業の評価」というところまでです。一番大事な所ですが、いかがでしょうか。
○栗林委員 13ページの(2)支援の対象の所ですが、2番目の○、労働者数50人未満の小規模事業場に対するうんぬんですが、中小企業の小規模事業場を優先的に支援の対象とすべきであるという考え方は確かによく分かるのですが、大企業の支店や営業所でも、やはりそれが完全に除外されてしまうことになると、実態として困ることが出ると思います。特に地方の場合は、そういう可能性も非常に高いので、決して排除されてしまうことがないような配慮は是非お願いしたいと思います。
 中小企業を優先的という考え方はよく分かるのですが、基本的にこれは支援の要請があったときに支援が発生するわけですよね。だんだん手を挙げる事業者が活発になってくると、大企業の営業所がどんどんカットされるという実態が起きないように、その辺の配慮はしていただきたいと思いました。
○相澤座長 文言の訂正は「優先的に対象」。
○栗林委員 微妙ですね。
○相澤座長 大企業の営業所しかない所だと、そこに倣って、中小企業で営業所がたくさんある所は優先的になるというイメージでしょうかね。排除するということではないですが、優先的にやるということですかね。いかがでしょうか。この辺は堀江先生から御意見はありますか。
○栗林委員 もし丁寧に表現すると、8ページの3つ目の○の所に「であるという意見がある」と書いてあるように、「これらの事業場は、当該大企業の支援を受けることができる場合は、これらの事業場より中小企業の小規模事業場を優先できる」となっていますので、ここを参照すれば、そのリスクはだいぶ軽減されると思います。やはり、本社の支援がうまく得られないような営業所や支店の場合は中小企業と同等に扱う、というニュアンスがここに入るとより正確だと思います。
○相澤座長 「支援を受ける場合には」を入れたほうが分かると。そうですね。いかがでしょうか。ほかの委員の方はいかがでしょうか。
○堀江委員 なかなか難しい所ではケース・バイ・ケースなのかなと思います。どのようにすればいいのかは、支援を受ける事業場の労働者のためにどちらがいいのかということから判断すべきであろうと思います。企業の中の専門職が企業の特色を理解し、場合によっては企業の経営判断に関わるような内容で支援するということは、地区のセンターでやるべきことではないと思います。その辺は誰が判断するのがいいのか微妙なところと思います。国の資金を使って行う支援というものは、やはり経営的に脆弱な所が優先されるべきであるというのは、多くの方の御理解をいただける所かとは思います。実際にはケース・バイ・ケースかと思います。この辺は一律に簡潔に書くのが難しいですね。
○安全衛生部長 今の御議論ですが、恐らくここの問題は大規模企業の指定営業所とか、子会社というのは、こうした三事業の仕組みがあることはかなり御存じで、それで積極的に活用していただいている。
 一方、小規模企業について言うと、そもそもこうした仕組み自体があることを御存じない所が、利用状況の違いに表れている一番の根底にあると思います。ですから、我々としてもう少しこうした事業があって、小規模企業はこうした仕組みを使えることをより一層PRをしなければならないという問題が、御議論をいただいているのは実態の背景にあると思います。ですから、そういった問題意識も含めてここを書くと、もう少し今の御議論がはっきりすると思いますので、その辺りは表現を工夫したいと思います。
○相澤座長 少しニュアンスを、今おっしゃったような内容を加えて文言訂正をさせていただきます。
○諸岡委員 13ページの(2)支援の対象、範囲、内容の所、14ページ、一次予防から三次予防までの総合的支援のために労働者が病気になりうんぬんということはありますので、労働者が病気になった場合、復職支援がなかなか大変というのを、我々はがんの患者の復職支援の所でいろいろ話を聞いたのですが、これは労働衛生ということで少し外れるかもしれませんが、今、医師の現場でも、男女共同参画というか、女性の医師の支援ということで、妊娠、出産のあとの育児支援や保育支援をきちんとやろうと。これから少子・高齢化になるので、特に若い人、女性も含めて、勤務環境を良くすることを中心になってやっているわけです。女性が妊娠、出産したあとの支援を、保育支援や育児支援も含めてきちんと事業場では対応して、それなりに国としても指導することがどこかあればいいと思いますが、これが労働者の保健に関して適正かどうかは別にしても、男女共同参画に関して一言何か入っていると、特に若い女性の労働者の支援ということになると思いますが、この辺りはいかがてしょうか。
○安全衛生部長 御指摘はごもっともです。出産・育児と職業生活の両立というのは非常に大きな課題で、私はかつて職業家庭両立課長をやって、正にそういうことを担当しておりました。道長先生の医師会でもそういった取組をしていただいていると伺っております。確かに大きな課題だろうと思っております。一方で、この報告書そのものに触れられるかなという所は、どこへどういうふうに触れていいのかというのはまだ分からないのですが、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
○諸岡委員 是非提案しないと、若い女性の参画をどこで触れるか、その辺りは必要だと思いますので。もしどこかに入る所がありましたら。
○安全衛生部長 どこかに、ちょっと考えてみます。
○土肥委員 14ページの上から3つ目の○の「優先的に実施すべき支援の範囲及び程度等について整理し」はよく分かるのですが、「優先順位が低いと考える場合は、事業者にも一定の負担を求める等」というのは、誰から見て優先順位が低い事業か。簡単に言いますと、事業者から見れば要請する事業は優先順位が高い事業から優先するのか。若しくは、法律的に必須義務は当然優先義務が高いわけですから、それから優先的にお願いするとなると、必須義務の事業は優先順位が高くて、それ以外の事業は優先順位が低いと。具体的にこれがどういうふうな意図で書かれているのか、十分理解できないものですから、前回の議論も参加できていないので、ここは少し教えていただきたいと思います。
○相澤座長 事業規模とか、そういうことですか。
○職業性疾病分析官 現時点では具体的な中身ができていないので、事務局からは明確に回答できない状況ですが。
○労働衛生課長 例えば、義務がかかっているのに、何度も何度も特定の事業場がやっていない場合は、さすがに、今年度は何回目の利用か確認するとか、優先順位が低くなるという場合は一部自己負担をいただくとか、そういったことを今後の事業の中でそういう仕組みを入れることを検討したいというニュアンスです。
○土肥委員 分かりました。8ページの4つ目の○で、前回、私も聞いた議論ですが、「本来事業者に義務づけている活動を継続的に肩代わりすることがあれば、それは公平性の観点から望ましくなく」と課題として明確に書かれておられるので、そういうことを少し入れて置かれたほうが、後の議論をするときにここだけを見ると、何が優先なのかがよく分からなくなっていくような気がするので、その点は、書き方の優先が分かるような配慮をしていただければ有り難いと思います。
○相澤座長 大変貴重な御意見で、それはニュアンスを入れた例示を入れましょうか。それ以外にも出てくるかもしれませんが。
○土肥委員 もちろん、それ以外にもあってもよろしいかと思います。
○中板委員 何点かあります。13ページの(2)の上の○の「医師会の教育体制とか、保健師のうんぬん」と書かれたあとに、「支援の質を継続的に向上させるために、産業医や保健師を含め、コーディネーター等に対する十分な研修を実施すべきである」と書かれていますが、研修はこれまでもいろいろ行われていると思いますが、どちらかというと十分な研修の体系を構築するとか、研修体系を整えるとか、場当たり的な研修ではなく、「体系を整えて構築していくべきである」というぐらいに書いた方が、未来志向かなと思いました。
 (2)支援の対象、範囲、内容については、今のとかぶるかもしれませんが、○の7番目です。「事業者が行う労働者の健康確保の活動は、一次予防から」と書いてありまして、「コンサルティング機能が重要である。ただし、最終的な対応方針の決定は事業者が行うものであり、支援は活動の枠組みの方向性を定めるところまでの支援とすることが適当であり」という文章はネガティブな印象が非常に強いのですが、この文章はあえて必要なのかということをお尋ねしたいと思います。なくても通じるというか、「最終的な対応、方針の決定は事業者が行うものであり、継続した支援を求める事業者に対しては、適切なうんぬん適当と考えられる」で十分通じるのではないかと思いました。
 それと、「そのため、地区ごとのそのような団体や専門家に関する情報を集約することが望ましい」の「集約することが」の前に「推進センターは」とか主語が入った方が、ここはいいのかなと思いました。
 下から2番目の「産業保健活動の支援においては、職域のみならず地域の保健活動と連携を」ということで、これに関しては、この3行で述べていただいて大変有り難いと思います。資料3、地域保健法の推進に関する基本的な指針が昨年度見直されて、7月31日に出されております。その中で、地域保健の推進の基本的な方向性としては、下線の所に書いてあるように、まず第1の基本的な方向性の中に、企業等の地域の幅広い主体との連携を進めて、住民との協働のまちづくりうんぬん、健康づくりということが書かれておりまして、具体的な重要事項として、地域、職域問わず、生涯を通じて共通の基盤に立った保健サービスを受けて、地域保健、健康づくりをしていくための連携が重要であると書かれております。就業先などの異なる保健事業者間の連携を図り体制を整えていくと。その1番に、これが職域連携推進事業ですが、地域保健と産業保健の連携をして、それぞれの団体間の連携を深めながら、健康づくりを推進していくということが書かれて、かなり具体的に今回は地域保健の方からも積極的に産業保健との連携を組んで、労働者、地域、住民を分けることなく、生活に密着した指導をしていくということが書かれております。この指針を少し入れ込んでいただくと説得力があるかなと思いました。
 その下の産業保健に関わる教材のことですが、これは「課題」にも書かれておりますが、著作権の問題が書かれていて、その解決策というか、これからの方向性としては、改めて教材を開発するなど、貸出し可能な教材の確保に努めるという、課題に対してこれからの方向性が抽象的かなと思いました。著作権の問題というのはどのように解決されたのか。問題がなければいいのですが、ちょっとここが抽象的かなという印象を受けました。以上です。
○相澤座長 3点ほど御指摘を頂きましたが、著作権のことは新しく開発すれば解決するのですか。
○労働衛生課長 機構が実施したいとなると、機構の方でいろいろ研究などを行って開発していただければ、これは著作権の問題はなくなりますので、そういったことも含めて、改めて教材を開発するなど、むしろ積極的に作っていこうという方向性の報告書を出しております。著作権は別途解決するべく作業を進めますが、この点については新たに開発していこうという趣旨です。
 委員から御意見がありましたので、13ページの3つ目の○、「研修について体系的に」ということについては工夫をしたいと思います。これまでの議論などでは、コーディネーターは重要ですが、全く研修とか情報提供は何もないということでしたので、「十分な研修を」と書いたのですが、更に進んで「体系的な」とか、いろいろ工夫させていただきます。
 14ページの4つ目の○の「コンサルティング機能」の次の「ただし」から「最終的な対応方針の決定は事業者が行うものであり、支援は活動の枠組みの方向性を定めるところまでの支援とすることが適当であり」というのが、少しネガティブではないかという御指摘でした。この議論については、たしか1回目の委員会の中で、何から何まで全部やるのではなくて、やはり、方向性を定めて、ある程度までいったら、それ以上はよく知った専門家につなぐという議論がありましたので、それを踏まえて、こういう報告書案にしたわけです。もし、何かこれについて御意見があれば、他の委員からも御意見を頂きたいと思います。
 3つ目の御質問で、次のパラグラフなどに、推進センターは、団体や専門家に関する情報を集約することは望ましいという、主語を入れた方がいいのではないかという御意見でしたが、新しい事業になると、推進センターという名前が消えるかもしれませんので、ここはあえて主語はぼかして、新たな産業保健事業という意味合いで書いてないということです。
 指針について、この指針については大臣告示に出ており、産業保健と地域保健が連携するという趣旨です。この趣旨も、14ページの下から2つ目の○、新たな産業保健事業においても、地域の自治体や保健関係機関とネットワーク、積極的に構築すべきであるというところと、15ページの(3)事業の評価の4つ目の○、県の健康部局等の策定、地域ごとの計画とも調和を求める必要があるということで、一応、地域保健の指針を踏まえたエッセンスは書いてあるという理解ですが、この指針を入れた方がパワーが出るということであれば、この辺についても御意見を頂ければと思います。教材については、先ほどのとおりです。
○中板委員 そうしましたら、○の4つ目の所は、定める所までの支援とするというのが、非常にぶった切ってしまう感じがあるので、「継続した支援を求める事業者に対しては、方針決定を促す、あるいは適切な団体や」で、定期的なうんぬんという方がいいのかなと思います。
○労働衛生課長 表現については、適切な表現に修正したいと思います。
○相澤座長 地域との連携については、先ほどの御説明でよろしいですか。2カ所触れていますが。
○中板委員 この指針を方向性として進められているという、指針名を入れていただいた方が強さは出ると思いますが。
○相澤座長 分かりました。
○労働衛生課長 入れさせていただきます。
○相澤座長 3センターが一緒になるということだけでも大変なのです。ほかにはいかがでしょうか。
○堀江委員 先ほど中板委員がお触れになった、13ページの上から3つ目の○で、産業医、保健師、コーディネーター等スタッフの研修というところがあります。この三者に対する研修については、2つの意見があります。2行上に「産業保健に精通した保健師」というのが出てくるのですが、これとの関係がわかりにくいという点です。産業医の場合は、医師会の認定産業医に対する生涯研修があります。それらを受けている人を活用しましょうということと理解したのですが、保健師の場合、「産業保健に精通した保健師」に研修を行わせるという書き方になっているように思うのです。ところが、これを多くの方がイメージできるのかどうか、疑問です。個人的には「産業保健に精通した保健師」が何を指すか、ひょっとしたら受け取り方によっていろいろな解釈が生じてしまうのではないかと思った次第です。どうしろということではないのですが、そういうものができればいいなと思いますが。
 2つ目は、コーディネーターに関する点です。課題の所でコーディネーターには確か資格が求められていないという記載があったと思います。9ページの一番上の○、「資格や資質」という言葉が出てきまして、この資格の部分については何も受け止める記載がないように思うのです。コーディネーターに関しては、更に医師とか保健師ということではなくて、何も資格を今後も求めていかないのかどうかというところを、明確にすべきではないでしょうか。例えばですが、衛生管理者は必要ですとか、何かそういうことを書かれてはいかがかと思います。課題として上がっていることで、何か受け止める表現があった方がいいのかなと思いました。その2点です。
○相澤座長 コーディネーターの方というのは、行政の方も入っていらっしゃいますし、企業のOBの方もおられます。
○堀江委員 労働基準行政を担当された方は適任と思いますし、企業のOBも衛生管理の仕事に携わった方であれば適任と思います。しかし、現に連絡事務所の推進員の方で、衛生管理者をお持ちでない方で企業のOBという方にお会いしたことがあるものですから、そういう方がやるのではちょっとおぼつかないかなと思いました。また、そもそもまず資格があって、その次に研修という段取りの方が仕組みとしてしっかりしているように思いました。
○相澤座長 いかがでしょうか。確定はできないでしょうが、将来的にもそのような資格を考える、検討するといった手のものですかね。何かはっきり書けますか。
○労働者健康福祉機構 確認ですが、ここで言われるコーディネーターというのは、現在の地産保事業のコーディネーターという意味でしょうか。現在の地産保事業を、三事業一体化して今後やっていく地産保事業を継承する事業ですよね。その事業の中でのコーディネーターの役割の部分を、コーディネーターとして表現されているのか、それとも現在も地産保事業を取りまとめる県レベルで統括コーディネーターの役割を想定されているのか、言葉の定義としてどういう役割の方を指しているのかが分からないのですが。どういう意味でお使いなのでしょうか。
○職業性疾病分析官 この部分は、今後のことを書いています。ですから、きちんとした制度が決まっているわけではないのですが、コーディネーターの業務をされる方という趣旨で読んでいただければと思います。
○労働者健康福祉機構 そうすると、現在コーディネーターがいるわけですが、そうではなくて、各事業の調整役というような意味合でお使いということですか。
○職業性疾病分析官 各事業というか、全体として一元化となっていますので、一元化された事業を運営していくコーディネーターというイメージかと思います。
○労働者健康福祉機構 そうであるならば、コーディネーターという言葉を使うと、現在いるコーディネーターと混同してしまうので、非常に分かりにくいと思います。新たな事業における調整役、若しくは新たな事業におけるコーディネーター(仮称)か分かりませんが、そういうことでないと、現在の地産保事業のコーディネーターはという意味合で読まれてしまうのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○相澤座長 そうですね。この文脈でいくと、そう読めますよね。
○労働者健康福祉機構 そこで資格うんぬんと言われてしまうと、現場に混乱が生じるのではないかと思います。
○道永委員 今の話と同じなのですが、結局コーディネート機能という言葉がたくさん出てきて、ここで突然コーディネーターという言葉が出てくるので、そこがすごく混乱するのだと思います。ですから、いわゆる事業の調整役という言葉にしておいたほうが、もしコーディネーターに資格が必要となると、非常にやってくださる方が狭まってしまいますよね。それを少し入れ込んでいただいたほうがいいのかもしれません。
○相澤座長 資格まではどうですかね。
○堀江委員 コーディネート機能を発揮する専門職を配置するということをお書きいただいて、1回止めると。そういう方を選ぶ際には、労働衛生関連の経験や十分な知識を有する方を選任するということを書いてほしいと思うのですが、やはり何も知らない人は調整は難しいと思うのですね。現場に負担を掛けてしまうと思いますので、やはり経験のある方がいいと思います。
○相澤座長 9ページは、このままで、コーディネーターの役割と。現状ですから、これでいいですね。こちらのほうを、コーディネート機能を持つ専門職などとして、資格まではいかなくても、研修は必要ですよね。今、御意見をいただいたようなことを少し検討させていただくということで、よろしいでしょうか。もう1つは、産業保健に精通した保健師の配置を促進した研修です。これは、看護協会としてはいかがでしょうか。
○中板委員 「産業保健に精通した保健師」とは何ぞやということでしょうか。
○相澤座長 何かそのような制度はないですよね。
○堀江委員 医師会の認定産業医に対する生涯研修に相当するものがあるのでしょうか。医師の場合は生涯研修を受けることでこの事業に加わってくるのですが、そもそも保健師の場合は何を受けて産業保健に精通した保健師となるのでしょうか。
○中板委員 保健師は、別に産業保健師という、とり分け分化したものはないので、全て保健師です。その中で、産業領域で携わってきた保健師が産業に携わる保健師になっています。その中で、日看協でも中堅クラスのリーダー養成の、産業に関わる保健師については研修もしておりますので、そのような形で述べられているのではないかと思います。ただ、それだけでは不十分で、常にブラッシュアップしていかなければいけないと思いますので、それは医師と同様ではないかと思います。医師のほうはその体系が整っていると。産業に関わる保健師は、産業に携わって経験を積んでいることの解釈になるかと思います。ほかの職種もそうですが、両方とも常にブラッシュアップする体系を整えていく必要があるのではないかというのが、つながるのではないかと思ったので述べさせていただきました。
 精通する保健師については、精通するという言葉が良いのかどうかは検討していただいてもいいかと思います。
○相澤座長 「経験のある」とか、「携わってきた」でよろしいですか。看護師は、産業衛生学会でやっているわけですよね。
○土肥委員 この部分で、保健師だけを取り出すことは、いろいろと問題を起こしそうな気がしますが、よろしいのでしょうか。
○相澤座長 そうですね。
○土肥委員 「産業保健に精通した保健師等」ではないかという気がいたします。今までの産業衛生学会では、ほとんどが等になっていると思いますが。
○相澤座長 これは、いかがでしょうか。等を入れてよろしいですか。
○労働衛生課長 それについては、4ページの一番下の○に、地産保事業についての事業内容の説明があります。事業内容に重点化が図られたということで、健康診断実施後に医師の意見聴取や、リスクの高い労働者の保健指導、メンタルヘルスの相談と、5ページの長時間労働に対する面接指導とあります。次の○ですが、地産保の事業内容のうち、脳、心臓リスクが高い労働者の保健指導、メンタル不調を自覚する労働者に対する相談・指導については、産業医に加え、保健師も実施できることとしていると。今の事業がこうなっているという説明をして、保健師については労働安全衛生法体系上に第一種衛生管理者の免許を試験、受験せずに受けることができる。それから、衛生管理者として選任される保健師はこうだと。それから、保健師は50人未満の小規模事業場において、労働者の健康管理を行うものとされている、ということで、法的な位置づけがあることを言い、その裏返しで最後に保健師はと言っているので、等と入れるのはこの報告書においては考えておりません。
○土肥委員 それは、後々の議論に出てくるのではないかと思っています。
○相澤座長 精通したというのは、もう少し柔かい感じにするということでよろしいでしょうか。堀江先生も、それでよろしいでしょうか。
○堀江委員 特に何か制度が想定されているわけでないことを確認できれば、結構です。
○相澤座長 精通したでも構いませんか。ほかには、いかがでしょうか。
○土肥委員 15ページの事業の評価の内容です。今回の枠組みは、12ページの最初の○の後半にありますように、国が三事業はいずれも労災保健制度により行われている事業であることから、新たな産業保健事業については労働福祉機構が実施主体となり、うんぬんということです。委託関係が非常に固定化されることが考えられる状況にあるのかなと思います。このような場合において、評価をどのように行っていくか、若しくは監査的な評価のようなことをされていくのかという意味で、事業の評価の最初の○に、新たな産業保健支援事業についての内容及び質の継続的な改善のため、目標を設定してその達成状況の評価に基づくうんぬんというのは、具体的に誰がするのかが非常に難しい部分です。若しくは、どのようにしていくのかが、ある程度分かるように書いておいたほうが、ある意味これはどうやっていくのと言われたときに、何か主語があったほうがよろしいのではないかという気がします。委託者である国がされるのか、それとも労福がされるのかは、かなり感覚的に違ってくるのかなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○安全衛生部長 これは、具体的にどういう形でというのは、今日の議論を踏まえて我々で検討していくことになると思います。少なくとも、例えばこれが独立行政法人である労働者健康福祉機構の事業という形に位置づけられたとするならば、御案内のとおり独立行政法人の業務は正にここにあるような形で目標を立てて、その目標の達成状況等の評価を国が行うとなっています。その仕組みの中に位置づけられて評価がされる形に、基本的にはなると思います。
○土肥委員 ということは、特別に何か新たな評価をしようということではなくて、既存の枠組みの中でやっていくということですか。
○安全衛生部長 既存の枠組みの中で、いずれにしてもそこはきちんとかなり目標を立てて評価をされるという形に、独立行政法人の業務ということであればなると思います。
○土肥委員 ただ、ここの後段で書かれていることは、事業の最終的な目標はうんぬん、というのは、かなり産業保健について詳しい内容についてきちんとやれよということも含めて書かれておられるので、本当にそれをしていくのであれば、今の仕組みだけで十分な評価や監査になり得るのかというのは、少し疑問を感じる部分です。その辺りは、それでも後段に書かれていることが十分担保できるようなものになっているという考え方でよろしいのでしょうか。
○安全衛生部長 これも、現行の独立行政法人の評価の観点でいいますと、それぞれの省庁に評価をする会議があり、そこでかつ独立行政法人も様々な分野がありますので、それぞれの法人ごとに例えば専門家の委員の方の御意見を聞いて評価をする形も取っております。それから、これも御案内のとおり、独立行政法人そのものの運営についても、今また見直しも更に検討されております。そのような中で、こうした評価の問題についても更にきちんと評価をすべきであるという議論が正に進んでおりますので、そういう状況の中でここに書かれているようなことについていえば、やはりきちんとそれぞれの事業について評価をするような形で進めていかなければならないと考えております。
○土肥委員 分かりました。決して、きちんと評価をしないと危険だと言っているのではなくて、そのような評価の内容が公開されることが非常に重要であり、そのような仕組みがあることのほうが分かりやすくていいという意味で申し上げています。
○安全衛生部長 今の独立行政法人の評価は、きちんと評価をして、結果も公表されておりますので、少なくともそこは同じような形になるだろうと思います。
○相澤座長 今は、業績評価はやっていますね。一年に2回やっています。私も評価委員に入っていますが。ですから、詳しくデータを出さなければいけませんが。
○安全衛生部長 かなり厳しく評価もされています。
○労働者健康福祉機構 機構がこの事業をお受けするとすればという観点で幾つか確認いたします。まず、12ページの一番最初の○の最後の文ですが、「新たな産業保健事業については、労働者健康福祉機構が実施主体となり、都道府県医師会及び郡市区医師会が主体的に関与して事業を実施する体制と」。これが、いろいろな読み方がされてしまうのではないかと思います。一方で、実施主体とは名ばかりで、都道府県医師会、郡市区医師会がやるのだと読むのか、それとも主体的に関与はするが実施主体は機構なのかなど、読み方によっていろいろになってしまいます。ただ、これは役割分担なのだと思いますし、関わり方なのだと思いますので、そこをもう少し明確に書いていただくことはできませんか。つまり、実施主体、枠組みを提供し運営していくのは、正に評価を受けることも含め、独法である労福機構が負うとして、郡市区医師会、それから都道府県医師会の先生方は、専門性の観点から、そして現場で実際に活躍していただけるという観点から関わっていただくのだろうと。そこが分かるような表現がいいのかなと。つまり、都道府県医師会を郡市区医師会が主体的に関与という言い方が、もう少し具体的に、専門性を発揮していただける、それから労福機構の実施主体である機構のフレームの中で一定の位置づけ、役割をきちんと担っていただけるようなことが分かるような書き方であれば、役割分担が明確になるかと思うのですが。これですと、どちらが主体なのか、主体的なのかが読み方によって分からないために混乱してしまうかもしれません、いかがでしょうか。
○相澤座長 これは、少し修文しますか。
○労働衛生課長 12ページの一番下には、このような体制で、県医師会、郡市区医師会が経理事務を離れて、産業保健活動を実践するという本来の活動に力を注ぐことができると。それから、機構がきちんと後ろからやって、両者の車の両輪のごとくやられるということで、その辺りで書き足りないところがあれば修正したいと思います。
○労働者健康福祉機構 あとで御相談させていただきます。今の部分も、では具体的に機構は経理事務だけを負う機関なのかというような見方も一方でされかねないので、今までの産業保健推進センター事業を担ってきた実績、その産保センターの中で三管理、特に作業環境管理や作業管理の専門家も相談員として擁し、それからメンタルヘルスセンター事業もかなりの部分を受注してきた経験、相談員等の専門性を持っている人たちを擁した組織であることも含めて御指名いただいているものと認識しているわけです。これですと、経理の専門家のように読まれてしまうという意味でも、少しそこも言葉を足していただけると有り難いなと思います。誤解がないように進めていただければと思います。
○労働衛生課長 12ページの一番上の○に、これまで推進センター、地産保、メンタルを通じて連携を図りながら、産業保健を推進してきた実績やノウハウを有しているという件があるのですが、更に専門職がいるなどは加えたいと思います。
○労働者健康福祉機構 誤解を招かないようにお願いします。
○労働衛生課長 分かりました。
○労働者健康福祉機構 2点目は、13ページです。先ほど、いろいろ御意見を伺っていました。上から2つ目の○では、「産業保健に精通した保健師」という言いぶりは少し変更されるとしても、「配置を促進する」の配置というのは、私どもが配置することになるわけでしょうか。
○労働衛生課長 そういうことになります。
○労働者健康福祉機構 つまり、機構の組織として、保健師をもっと配置しろということが書かれているということでしょうか。
○労働衛生課長 望まれると記載しています。
○労働者健康福祉機構 それとも、産業保健の現場そのもの、例えば事業場などでの保健師の活用をもっとと読むのでしょうか。
○労働衛生課長 保健師を拠点に配置することについてです。
○労働者健康福祉機構 つまり、産保センターの後継である某かの組織に、保健師をもっと配置するようにという。
○労働衛生課長 配置の促進が望まれるという意味です。
○労働者健康福祉機構 人件費をしっかり付けてもらえれば配置したいなと思いますので。
○労働衛生課長 飽くまでも、精通した保健機関であるので、それはそういう労働者に寄り添って点から面につなげることができる方であれば、配置をしてほしいという意味です。
○労働者健康福祉機構 そこが、積算根拠に出てくれば、有り難いなと思います。それから、その下の○ですが、この研修実施も私ども機構がやるわけですよね。そのスタッフへの実施、コーディネーターというのが調整役としても、この組織の中の人の内部の研修の実施のことなのか、その前に産業医や保健師を含めとあるために、外部に対して本来業務としての世の中の産業医、衛生管理者の方、産業関係の保健師への研修という本来事業とは別に、組織内部の専門家への研修という意味であるとすると、産業医や保健師を含めという言い方が少し分かりにくいと思います。これは、内部研修のことなのか、本来業務の研修のはずはないなと思うので、そこが明確になるようにしていただければと思います。
 それから、細かいことですが、14ページで課長がおっしゃった教材の独自開発ですが、これは先ほど専門性を有しと胸を張って言ったわりには腰砕けなのですが、いきなり作業環境測定のDVDを作成するというところまでのノウハウの蓄積は、山のように予算が付けばできるかもしれませんが、そうはなかなかいかない現状であれば、独自教材の開発までをここで言われると非常に厳しいものがあります。こういうものも、将来的には目指せればいいと思います。一方で、現在こういう教材を作っている会社は、数社しかありません。そういう所と著作権の調整、あるいはそういう所がレンタル事業をしていただけるとか、何かほかの方法も含めて現実的にすぐに使えるような方向がないかも見極めなければいけないのかと思っております。というのは、先ほど少しメンタルについてはユーザーの評価を御紹介しましたが、産保センターについても業績評価を受ける立場として、ユーザーからの評価も受けておくようにという指示がありますので、3年に1回アンケートをしております。その中で、産保センターの利用者からの意見要望で一番多いのが、このDVD等の研修教材の貸し出しが止まってしまったことが問題だという指摘です。ここをどうするかは、現在の問題でもあると考えておりますので、改めて遠い将来に教材を開発するのではない部分も含めてやらなければいけないと思っておりますので、余り具体的にこれを開発することが機構の仕事だと決め打ちされると、少し厳しいなと思います。
○労働衛生課長 これは逆で、今後こういった予算計上も可能だということで、実際機構でそういう教材はたくさん作ってきていますし、それまでの取組みをもう少し発展させていっていただければという希望も込めてのものなのです。
○労働者健康福祉機構 予算を付けてもらったら頑張ります。
○労働衛生課長 そういう予算計上のきっかけにもなるわけで、これを報告書に書いていただいたほうが、我々としても努力できるという意味合です。
○労働者健康福祉機構 分かりました。
○労働衛生課長 これまでの実績もありますから。
○労働者健康福祉機構 あんな立派な教育教材になるようなDVD、実験装置で示して見せるとか、そこまではなかなか今すぐには難しいと思います。メンタルヘルスのような紙媒体でできるものはわりと簡単にできるのですが、要望が一番強いのは測定の実際や、煙がどう動くというようなデータを物で示すようなDVDですから、そこに少し乖離があるかなと思ったのですが、将来的にはそういう機能も担えるようにしろという意味も含めてお書きになっているということですね。
○労働衛生課長 そうです。実際労働衛生課も、今回震災が起こった際に、放射線の測定や除染電離則の策定のときに、DVDではないですが作りました。放医研の協力を得てシナリオまで作っていただいて撮影もしました。機構の組織、労災病院と産保センターと、堀江先生の産業医大、その他中災防などいろいろなノウハウを持った機関とコーディネートして作れば、全然不可能ではないので、正にそういった既存の勢力を結集してやっていただきたいという意味も込めまして、これは残したいと思います。
○労働者健康福祉機構 消してほしいではなくて、そういう意味も込めてだと言っていただければ、もっと有り難いです。
○労働衛生課長 それから、著作権の問題は今でも問題ですから、それは改めてそういった貸し出し可能なような方向にもっていくなど、これはいろいろ努力を続けたいと思います。
○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。最後に「おわりに」が15ページにありますので、御意見をいただければと思います。
○中板委員 ここまでずっと読んできて、おわりにの所で○の1、2は充実を図っていく、意欲を高めていくということでよろしいと思います。○の3なのですが、産業医や衛生管理者を選任するべき事業者のうんぬん、今後検討することも必要である。現在は、選任状況や活動状況が行政において正確に把握できる仕組みになっていないが、今後うんぬんと。これは、非常に大きな課題ではないかなと思いました。例えば、先ほどの評価ともつながってしまうのですが、どこにどのような人がどれだけいて、どういう活動状況があるかは、評価をする上でもストラクチャー評価のところですので、ここが正確に把握できていないというのが「おわりに」にくるのは、何かガクッという感じなので、やはり課題にもっていったほうがいいのではないかと思いました。○の1と2と4番目だけで「おわりに」はよくて、○の3のここだけは非常に違和感があるなという印象を受けています。
○労働衛生課長 これは、今まで産業医や衛生管理者からこの会議の中で出た御意見なもので、事務局としてもそういった議論があったということで、これは課題だということはどこかに触れておかないといけないかなと思います。この検討会は、飽くまでも三事業をどうするかというものなので、さすがに前に課題を置くわけにはいかないので、終わりの所にこういった重要な御指摘もありましたので、これについては引き続き検討すべきだと思います。それから、産業医の選任、国の指導を強化する必要があるといったことも言われましたので、そういった部分を踏まえて書いたということで、これを落とすことについては、さすがに各先生方の議論をいただきたいなと思います。
○相澤座長 今後の課題という意味でもあるのですかね。
○諸岡委員 私は、日本医師会の産業保健委員会の副委員長をやっています。産業医をデータベース化するということが日本医師会でもかなり進んでいますので、データベース化して、産業医のOGというか、産業医を必要とする事業所とのマッチングをどうするかを、きちんとこれからインターネットも使ってやろうという方向で進んでいます。日本医師会は、今かなり前向きに進んでいるところは御理解いただきたいと思います。
○中板委員 産業保健を充実させていくときに、選任状況と活動状況の中に、今回も検討会の中で出たと思うのですが、保健師もどのぐらいいるか、看護師はどのぐらい配置されているかというスタッフがどのような選任状況にあるのかは、産業医の数だけではなく、全体として把握されていくべきであると思います。それが、結果的にそれだけの人数によってこれだけのことが実施できるという評価につながっていくと思いますので、データベースはもちろんのこと、これはとても重要なことだと思いました。もし落とせないのだとするならば、この「おわりに」の合間に書くものではなく、○の1、2、4で一旦期待するものであると。さらに、今後の課題として重要なこととして述べられたら良いかと。ただ、間にあると、非常に読んでいて違和感があったということです。
○相澤座長 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。強調するためにどうしたらいいかですね。
○栗林委員 今のお話に多少関連するのですが、今の一文の最後の所に「国の指導を強化することが必要である」となっています。この強化という語感が周りの今までの流れからすると少し強いかなと。事業主としては、結構こういう所に敏感に反応してしまうのですが。少し、国の指導を継続することが必要であるとか、ニュアンス的に若干強いなという印象をもちましたので、もしよろしければもう一度考えていただけたらと思っています。
○相澤座長 分かりました。場所はどうですか。
○栗林委員 非常に重要なことなので、確かに中板委員がおっしゃるように外して1段別のものというようなことでも、私はいいかなと思います。
○相澤座長 堀江委員はいかがですか。
○堀江委員 冒頭にも議論があった事項に関連すると存じます。どこからが事業者の責任で、どこからが国のお金を使った支援として適当かということになるのかという議論に少し関連する議論になっているのかと思っています。「強化」という言葉は、恐らく法的に事業者に義務のあることであるにもかかわらず実際には行われていないという現状を踏まえて、このままではいけないという決意から、「継続」ではなく「強化」とお書きいただいたのかなと、私は思って読んでおりました。そういう意味からしますと、確かに中板委員がおっしゃるように、「おわりに」という項にあるのは、最後で結論が書いてある項ですので、最初に見ていただけることもある場所として適当なのかもしれません。もう1つの考え方をするならば、これは支援事業の在り方についての報告書ですので、そのことと線引きをして、実はここは事業者の指導のほうが重要で、支援ではないのだという場所をどこかに設けておいて、そこにこれをもっていく方法もあるのかなと、今議論をお聞きして思ったりしました。
 より具体的に申し上げれば、例えば、健康診断をこの支援事業の中でやってくれということは、誰も多分想定していないと思うのですね。これは、医療機関にお金を払って事業者がやることというのは一般の共通認識で、そういう通達も出ていると思います。同様に強制義務が掛かっている就業上の措置は、裁判まで起こっているようなことなのに、それを支援事業に入れるのは、やはり私はおかしいと思っています。恐らく、そこのところが事業者が最終的に責任をもたなければいけない重要なところであろうと考えます。就業上の措置、就業区分の決定については、飽くまでも事業者が主体として行う活動である。そこに至るための様々な資料の提供や専門家の紹介が支援である、というところで線引きをしたらいいのではないかと思います。そこを、どこまで書くかは、報告書の体裁にもよるかと思いますが。私は、そう思って読んでおりました。
○相澤座長 分かりました。いかがでしょうか。ここは非常に大事な所なので。
○労働衛生課長 頂いた御意見を踏まえまして、一番最後で座りが悪いということであれば、1、2ページに産業保健の現状について総論的に書いていますので、ここのどこかの部分に入れて、実際産業医の選任義務がありながらやっていない事業場もあるとか、強化する必要がある、それから把握する必要がないといった件を入れたいと思いますので、そこは工夫させていただければと思います。
○土肥委員 今の修正は、「おわりに」からこの部分がなくなるということですか。
○労働衛生課長 「おわりに」から、産業保健の現状の2にもっていけばどうかと思います。
○土肥委員 大分意見が違っているかもしれませんが、ここにきちんとあることのほうがいいような気がしています。やはり、最後の所にきちんとこれが書かれていることは、非常に重要ではないかなと私は思います。それと、なおかつ堀江委員の意見にもありましたように、産業医の選任について国の指導を強化するというような言葉は、強化としておいたほうが、適切ではないかなと考えております。この文章自体が、やはり目立つ所にあることが私は非常に重要ではないかなと思います。理論的に整合性よりは、目立つことが重要ではないかと思います。ですから、ここにあるほうがベターではないかと考えております。
○相澤座長 目立つようにということなので、これはやはり最後に置いたほうがいいと思うのですが、目立つような置き方を考えてください。
○労働衛生課長 この報告書自体が、三事業の在り方がメインですので。
○土肥委員 ですから、それ以外だと終わりに書けば、それ以外に出た重要な意見なのかと書く方法もあると思いますし、今のままでもよろしいかと思いますが。
○労働衛生課長 事務局で検討して、最後に座長と相談させていただければと思います。
○相澤座長 目立つ所に置くということで。ほかに、全般的にいかがでしょうか。
○向澤委員 今回のこの内容は、三事業の一元化や、ワンストップサービス、それから事業主体実施の単位もよりきめ細かになるということでは、現場からすれば身近に感じられる、あるいは使い勝手のいい方向になるのではないかと思っています。14ページの下から3つ目に、単に支援の要請に対応するだけではなくとした上で、この事業の利用者に対する周知に努める、それから支援を必要とする対象に適切に支援を行って、労働者の健康を確保するという事業の目的を達成できるようにするとあります。正にこのためにどうあるべきかを議論してきたと思っております。今後、より周知に努めるなど、この事業の実効性を高める取組みを是非進めていただきたいと思っております。以上、意見として申し上げます。
○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。
○道永委員 先ほどの諸岡先生のお話とも重なるのですが、男女共同参画の問題と、12次防で高齢者と非正規労働者の2者を重点的にということが書いてあるので、やはりそれも含めてどこかに書き込んだほうがいいのかなと。作業環境管理かもしれませんが、ちょっと一文入れていただけたらと思いました。折角12次防でこういうことが書いてありますので。
○相澤座長 どこかで修正しましょう。ほかにはいかがでしょうか。よろしければ、議論は以上とさせていただきます。多岐にわたって御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の議論を踏まえまして、事務局には報告書案について必要な修正をお願いしたいと思います。それについては、事務局から説明をお願いします。
○職業性疾病分析官 本日の議論を踏まえまして、必要な修正をさせていただきます。修正して、後日委員の先生方に送付させていただきたいと思います。
○相澤座長 その結果については、事務局と調整いたしますが、座長に一任ということでよろしいでしょうか。その他、事務局からありますか。
○職業性疾病分析官 一応、検討会は今回で終了となります。最後に安全衛生部長から挨拶をさせていただきます。
○安全衛生部長 この検討会は、本日が3回目で最後ですので、一言御挨拶をさせていただきます。委員の先生方には、この3回の委員会では、大変真摯な御議論をいただきました。今日もたくさん御意見をいただきまして、これからそれを踏まえて修文をしなければならない状態ではありますが、何とか報告書を取りまとめる見通しができたということで、改めて御礼を申し上げたいと思います。いずれにしても、この3回の検討会の中でも議論をいただきましたとおり、産業保健の問題については小規模事業場の問題、あるいはメンタルヘルスの問題等、これからまだまだ取り組まなければならない課題がたくさんあると考えております。その中で議論いただいたように、これまで実施をしてきた3つの事業を一元化をして、効率化をした上で中身を充実させていくことは、非常に重要な課題であると考えております。
 この報告書を頂きまして、それを踏まえて今度は具体的にこれをどういう形で、例えば組織や予算、あるいは実際の運用などに位置づけていくのかが、一方で非常に大きな課題であると認識しております。できれば、来年度から頂いた形を実現化できればなと考えておりますが、この報告書を取りまとめていただいた結論を踏まえた形で、来年度からになりますと、7月から省内でも予算の作業が本格化してきます。さらには、来年度ということになれば、当然予算が付けばという前提ではありますが、具体的にどうするかの運用についても、いろいろ考えていかなければなりません。それから、先ほど少し申しましたが、一方でいずれにしても労働者健康福祉機構が大きな役割を担うことを想定しているわけです。独立行政法人そのものについても、いろいろな議論がある中で、こうした取り組みを進めていかなければならないということで、まだまだたくさん解決しなければならない問題があると考えております。検討会は、これでとりあえず終了ですが、委員の皆様方にはこれからもまたいろいろな形で御支援、御尽力をいただく場面があるのではないかと思いますので、引き続きその点をお願いをしまして、私の挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○相澤座長 3回という短い期間でしたが、濃密な議論となりました。どうもありがとうございました。これで終了いたします。


(了)

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