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2013年5月23日 第87回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成25年5月23日(木) 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○吉永雇用保険課長 第87回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開催させていただきます。皆様には、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は労働政策審議会の委員改選後第1回目ですので、部会長選任の手続までの間、私が司会を務めさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 議事に入ります前に、4月27日に委員の交代がございましたので、新任の委員につきまして御紹介させていただきます。公益委員代表として、本日御欠席でございますが、中央大学経済学部教授の阿部委員に御就任いただいています。また、使用者代表委員として、パナソニック株式会社渉外本部人事総務マネージャーの福田委員に御就任いただいています。また、本日御欠席でございますが、日本商工会議所理事・事務局長の青山委員にも、御就任いただいております。委員の交代の御紹介は以上です。
 本日の出欠状況です。青山委員、阿部委員、遠藤委員、亀崎委員、野川委員、橋本委員が御欠席です。
 続いて、当部会の部会長の選任手続に入ります。部会長の選出については、労働政策審議会令第7条第6項において、当該部会に所属する労働政策審議会の公益委員のうちから、労働政策審議会の委員が選挙することとされております。当部会におきましては、阿部委員、岩村委員、田島委員の3名が該当されております。御推薦はございますでしょうか。
○田島委員 清家前部会長の下で部会長代理を務められ、当部会の公益委員の中でも、最も在任期間の長い岩村委員が部会長にふさわしいと思いますので推薦させていただきます。
○吉永雇用保険課長 ありがとうございます。また、阿部委員については御欠席でございますが、事務局で御意見を伺っていますところ、岩村委員が適任ではないかという御意見を頂いているところです。岩村委員に部会長への御就任をお願いしたいと思います。岩村部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○岩村部会長 部会長を仰せ付かりました岩村でございます。皆様の御協力を得ながら、部会の運営に務めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、部会長の就任に際しまして、労働政策審議会令第7条第8項により、部会長代理を公益委員の中から部会長があらかじめ指名することになっております。この規定に基づき、野川委員を部会長代理に指名させていただきます。
 次に、事務局に異動があったということですので、紹介させていただきます。まず、4月1日付で、職業安定局派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長に着任された佐々木菜々子さんです。同じく4月1日付で、職業安定局雇用保険課長補佐に着任されました石田聡さんです。同じく、雇用保険課長補佐に着任されました山崎直紀さんです。また、本日は資料の関係で、職業能力開発局能力開発課の青山企画官に出席を頂いております。
 議事に移ります。お手元の議事次第に沿って進めていきます。本日の議題は、「雇用保険制度について」です。本日の議事に当たり、職業安定局長から御挨拶がございます。
○岡崎職業安定局長 職業安定局長の岡崎でございます。4月27日付で労働政策審議会の委員の改選がありまして新たに委員に御就任された方々につきまして、また今後よろしくお願いしたいと思いますし、引き続きの委員の方々にも、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
 雇用保険制度ですが、2年前に雇用情勢が厳しい中で、いわゆる暫定措置につきまして、当時は2年間の延長ということで結論を頂きました。その2年間の期限が今年度末ということですので、現在の雇用情勢の下で、これをどうするかということが、当面決めていただかなければいけない1つの事項としてございます。
 それから、昨今、産業競争力会議等々の中で、今後の雇用政策につきましての種々の議論がなされてきております。そういう中で、今後の我が国の産業競争力を強めていく、維持していくというためには、ある程度成熟した産業から、成長する産業に労働力の移動が必要ではないかということ。それから、そういう産業構造の変化の中で、個々の労働者の方々につきましても、従来とは違う意味でのスキルアップのようなことも必要ではないか。
 そういうことによりまして、ほかの産業に移る場合にも、あるいは当該産業、企業の中で働き続ける場合にも、個々の労働者の能力のアップというのは、非常に重要ではないかというようなことがございました。
 そういういろいろな議論の中で、現在の雇用保険制度、能力開発の部分を含めた雇用保険制度の中でも、種々の制度はあるわけでございますが、そういう現下の情勢、状況に対応するために、雇用保険制度を含めまして、もう少し見直しが必要ではないかと考えているところでございます。
 産業競争力会議の議論の中でも、そういった考え方の下に、厚生労働大臣から、雇用保険制度の見直しも含めて対応を検討したいということを申し上げたということです。したがいまして、こういう現在の産業構造の今後の変化への対応を雇用政策面からどうしていくかということで、その中での雇用保険制度をどうするかということにつきましても、御議論を頂きたいと思っています。
 求職者支援制度については、これも当部会でいろいろ議論していただきました中で法律が成立しまして、一昨年の10月から施行されております。これまで1年半ぐらいの実施経験があるわけでございますが、今般雇用保険制度の中で、能力開発の在り方を含めて検討するということになりますと、求職者支援制度につきましても、併せて御議論いただく方がいいのではないかと考えております。制度発足の際にも、少し実施が進んだら見直しをというような御議論があったわけでございますので、この見直しの議論も併せてお願いしたいと思っております。
 雇用保険制度については、何年かに1回ずつ制度の見直しの議論をしていただいて、法改正してきたわけですが、そのときどきの議論の中でも、その時点では結論が出なくて、もう少し議論を進めたらということで、残されている課題もあったところでございます。そういったことも含めまして、雇用保険制度全般につきまして御議論いただければと思っております。
 暫定措置の期限の関係もございますので、この部会での議論を踏まえまして、来年の通常国会への法案の提出も見据えて進めていきたいと思っておりますので、その点も含めまして、よろしくお願いしたいと思います。
○岩村部会長 まず、事務局から、今日御提出いただいている資料に沿って説明を頂きます。その後に質疑とさせていただきたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○高島雇用保険課長補佐 本日は雇用保険制度についてということで、先ほど雇用安定局長の岡崎からも御挨拶で申し上げましたとおり、本日のこの部会から、雇用保険制度及び求職者支援制度について御議論をお願いできればということで、本日は第1回目の議論ということで、それに関する資料を御用意させていただきました。
 資料1から資料6までございます。さらに、参考資料が2つです。それらの資料について、これより御説明させていただきます。落丁等がございましたら、お申し付けください。
 資料1から資料4が、主に雇用保険制度及び求職者支援制度の概要等についての資料です。資料5が、今回の雇用保険部会で御議論をお願いしたい、主な論点をまとめたものです。資料6以降が、それらに関する参考的な位置づけの資料です。まず、資料1から資料4について、御説明させていただきます。
 資料1「雇用保険制度の概要」です。これまで雇用保険部会に御参画いただいた委員の皆様におかれましては、既に御存じの部分も多いかと思いますが、ポイントを絞りながら御説明させていただきます。
 1ページの「雇用保険とは」から始まります。労働者が失業し所得を失った場合、あるいは雇用継続が困難となる事由が生じた場合、労働者が自ら教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定並びに就職の促進のため、失業等給付を支給することが、目的の1つです。もう一つは、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力開発及び向上、その他労働者の福祉の増進を図るための二事業、いわゆる雇用保険二事業と呼ばれているものです。こういったものを行うのが、もう一つの雇用保険制度の目的で、そうした目的を有する、雇用に関する総合的機能を有する制度となっています。
 今、申し上げた目的の1つ目、2ページで失業等給付についての御説明です。「雇用保険制度の体系」ということで、二事業や求職者支援制度に関するものも含めて、全体像を整理した表になっています。一番左側に「雇用保険」とありまして、そこから3つに分かれています。一番上が「失業等給付」で、主に求職者、在職者に対する給付の関係をまとめたものです。その下が「雇用保険二事業」で、こちらの保険料については、使用者側の保険料負担のみで運営しておりまして、国庫負担はありません。先ほどの失業等給付に関しては、保険料は労使折半の保険料で運営していまして、給付の内容により国庫負担が一定程度入っています。後ほど、求職者支援室から詳しく説明させていただきますが、「就職支援法事業」ということで、求職者支援制度に関する事業もございます。
 分岐の一番上の失業等給付に関しては、様々な給付の内容がございまして、3ページで御説明いたします。そもそも「雇用保険の適用事業及び被保険者」についてです。雇用保険は一部の事業を除いて、基本的に労働者が雇用される事業を適用事業としています。その適用事業に雇用される労働者が被保険者となることが基本です。その後に<適用除外>とありますが、こういった方々以外の方が、基本的に被保険者になるとお考えいただければと思います。全ては御説明いたしませんが、ポイントとしては、この<適用除外>?1週間の所定労働時間が20時間未満である者、?同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者。これが適用除外となります。別の申し上げ方をしますと、週の所定労働時間が20時間以上であって、かつ31日以上の雇用見込みがある方というのが、基本的に雇用保険の被保険者となっていまして、?は平成22年の法律の改正で、ここまで拡大をされてきたという経緯がございます。
 主な指標的なものとして、下の方にまとめています。適用事業所数が、おおむね200万程度、一般被保険者数が3,800万人程度という実績となっています。
 4ページです。御説明させていただいた被保険者に関して、様々な被保険者の種類があるということです。(2)高年齢継続被保険者、(3)短期雇用特例被保険者、(4)日雇いの関係などがあります。そうした方以外が、一般被保険者です。被保険者の種類が様々ございまして、それに対応する給付が設けられています。
 6ページで、求職者の給付について御説明します。求職者給付の基本手当の関係です。一番基本的な給付になっていますが、一般被保険者が失業した場合に給付をする形になっていまして、一般的な離職者に関していえば、(1)の(?)に図で描いていますとおり、離職日から2年間の間に、被保険者期間が12か月以上ある方が受給資格者となります。また、例外的な取扱いとして、倒産・解雇等による離職者、有期労働契約が更新されなかったこと等による離職者の場合については、離職日から1年の間で、6か月以上の被保険者期間があれば、雇用保険の受給資格者となります。このような制度になっています。一番基本的な基本手当の受給者実人員は、58万人程度です。
 7ページは、求職者給付、基本手当の基本的な内容です。こちらは賃金の日額と給付率。基本手当の給付については、離職前直近の賃金額に応じた、それぞれの給付率を掛け合わせることにより、給付額が決定されております。そして、賃金額の考え方は、年齢によって上限などが変わっています。
 ?では、基本手当の給付率が設定されています。賃金の日額によって給付率が変わっています。簡単に申し上げますと、賃金日額が高い人については、相対的に低い給付率になっています。
 8ページは給付の日数に関するルールです。表で3つあります。一番基本的なものは(ロ)です。一般の離職者というのは、倒産、解雇等による離職者以外の方ですが、これらの方が基本になっています。これらの方については、被保険者であった期間に応じて、日数がだんだん延びていくという形になっています。(イ)は倒産、解雇等による離職者で、年齢あるいは被保険者であった期間に応じて、給付日数が変わるという仕組みになっています。
 先ほど御説明しました(ロ)の中に※で書いていますが、有期労働契約が更新されなかったこと等による離職者、雇用保険制度上の言葉ですと、特定理由離職者ですが、そういった方については暫定措置として、(イ)の日数まで延ばすという措置を行っています。そちらの措置については、先ほど岡崎からも申し上げましたとおり、今年度末で暫定措置の期限を迎えるという状況になっています。
 9ページは、現在制度上設けられている給付日数に関する特例です。この中で特に御説明したいのが、?の(?)の「個別延長給付」です。こちらは倒産、解雇や労働契約が更新されなかったことによる受給資格者について、一定の年齢、地域等を踏まえて、再就職の支援が必要であると安定所長が認めた受給資格者に対しては、先ほどの日数のルールから、更に原則60日を超える形で基本手当が支給される、給付が延長されるという仕組みになっています。こちらについても暫定措置ということで、今年度末までの暫定措置になっていまして、こちらの取扱いについても今回御議論をお願いしたいと考えている次第です。
 10ページは、求職者給付の基本手当に関する、その他の様々なものです。御説明は省略させていただきます。11ページは、基本手当以外の求職者給付で、様々設けられている制度です。こちらも詳細な御説明は省略させていただきます。
 12ページ以降は、就職促進給付です。13ページに3種類ありまして、この中で受給者数が一番多いのが、ロの再就職手当です。再就職手当は、受給資格者が安定した職業に就いた場合で、かつ雇用保険がもらえることになっている日数の3分の1以上を残して再就職した場合には、支給残日数の50%に相当する一時金が支給されます。さらに、3分の2以上を残して、より早く就職された場合は、給付率を60%とした上で、一時金を支給するという制度です。こちらの平成24年度の実績は、約39万人が再就職手当を受け取っています。雇用保険の給付の中で、早期再就職を支援している1つの仕組みです。
 14、15ページは、教育訓練給付です。後ほど、論点の中に、教育訓練給付が出てきます。産業競争力会議の中でも出てきている「失業なき労働移動」「学び直し」といった観点で、現状で設けられている給付です。
 教育訓練給付は、初めて教育訓練を受けられる方は1年でも大丈夫なのですが、雇用保険の被保険者期間が原則3年以上の方が受給できます。そういった方が厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けて修了された場合については、その訓練費用の20%について、額としての上限は10万円ですが、給付を行っている制度です。平成10年より開始されており、昨年度の実績は、約13万人が利用しています。
 16ページ以降で、雇用継続給付です。全部で3つありまして、17ページが高年齢雇用継続給付です。これも、後ほど御説明する論点の中に記載があります。これは、特にメインになっているのが、(a)?(イ)高年齢雇用継続基本給付金です。60歳の定年というケースが多いと思うのですが、60歳以上になって再雇用などをされた場合に、賃金が下がる方がおられます。そうした場合に、60歳以後の各月に支払われる賃金が、60歳時点の賃金額の75%未満となった状態で、まだ働き続けられるという高年齢の方については、賃金が下がったことでやめてしまわないように、雇用を継続するという目的で、一定の率の嵩上げをしています。
 この嵩上げの制度は複雑ですが、17ページの右下の表を御覧ください。賃金額と給付額を合計して75%になるまで、一定の給付額により支援をしています。グレーで網掛けをされた部分が、高年齢雇用継続給付で、賃金に上乗せして給付を行っているものです。平成24年度の実績は、約19万人が初回受給者数となっています。
 18ページは、育児休業給付と介護休業給付です。育児休業給付は、育児介護休業法に定められていまして、労働者が申し出た場合に、事業主としては取得させなければいけない、その子が1歳になるまでの日の育児休業について、育児休業した被保険者について、休業開始時の賃金額の50%相当額を支給するという制度です。
 こちらは累次の改正を行っていまして、本来は賃金日額の40%なのですが、法改正を行い、暫定的な措置として当分の間50%ということで、給付率を上げているというものです。※で書いていますが、仮にこの休業中に、企業からの休業中の補償などで賃金を受けておられる方は、賃金と給付の合計額が80%を超える場合は、足して80%になるまで給付額そのものが減額されていくという仕組みになっています。(c)にあるのが介護休業給付です。介護休業した被保険者について、同じ考え方で賃金の40%相当額を支給する制度です。
 昨年度の実績です。育児休業給付は、24万人が初回受給しています。介護休業給付は、約9,000人が受け取られています。給付に関するものは以上です。
 19、20ページは、雇用保険二事業です。雇用保険二事業については、既に御案内のとおり、雇用安定事業と能力開発事業という2つがありまして、使用者側からの保険料、現在は0.35%の保険料を用いて運営されている事業です。被保険者に関する失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大等の雇用の安定を図るための雇用安定事業と、職業訓練施設の整備や教育訓練受講の援助など、能力開発事業の2つがあります。
 21ページ以降は、その他です。22ページは求職者支援事業で、後ほど求職者支援法の関係で細かく御説明させていただきます。
 費用の負担ということで、保険料率を決めています。現在の雇用保険制度の中で、基本的な保険料率は原則1,000分の17.5(1.75%)になっています。こちらはさらに内訳がありまして、失業等給付分が1,000分の14、二事業分が1,000分の3.5です。1,000分の14は労使折半となっていまして、1,000分の3.5は事業主のみの負担により、運営をいたしています。そのための保険料です。
 もう一つの○ですが、雇用保険の積立金等の財政状況で、一定の要件を満たす場合には、その料率を一定の幅で厚生労働大臣が変更可能な制度が設けられていまして、いわゆる弾力条項と呼ばれるものです。現在、その弾力条項を用いまして、法令上の下限の保険料率に設定しております。現在の保険料率は、こちらの表に書いてあるとおりで、一番右側を御覧ください。失業等給付のための保険料、就職支援法事業のための保険料、労使折半の保険料が1,000分の10、二事業のための保険料が1,000分の3.5、合計1,000分の13.5という保険料率になっています。
 (2)国庫負担です。先ほど申し上げましたとおり、失業等給付については、それぞれ給付の内容に応じて国庫負担が定められております。一般求職者給付、いわゆる基本手当などについては、4分の1、日雇い労働者の給付金は3分の1、育児休業給付や介護休業給付については、8分の1という形になっています。こちらについては、※で書いていますが、平成19年の法改正以降、当分の間、国庫負担の額は本来の負担額の55%とされています。こちらに記載されていない、教育訓練給付、高年齢雇用継続給付といった給付については、国庫負担はありません。23ページは、保険料率の推移を図で示したものですので、説明は省略させていただきます。
 24ページは、先ほども御説明させていただいた弾力条項についての式になっています。式の内容は細かく御説明しませんが、ポイントとして申し上げれば、保険料収入、積立金額を、給付のために要する費用で割った場合に、2を超える場合であれば、保険料率の引下げが可能です。一方、1を下回るような場合であれば、保険料率の引上げが可能という仕組みになっておりまして、平成25年度の保険料率は、平成23年度の実績を踏まえますと、引下げが可能という状況でしたので、引き下げて、1,000分の10にしている状況です。
 雇用保険二事業についても同じように弾力条項の制度がありますが、現在は二事業については、リーマン・ショック以後は支出が増大していたという経緯もありますので、このような要件は満たしておりませんで、保険料率は本来のルールどおりの1,000分の3.5となっています。
 25ページは、雇用保険の失業等給付の積立金残高と受給者実人員の推移です。積立金残高が棒グラフになっている所で、推移をしていますが、平成14年度に過去最低の4,064億円という積立金になっています。その後は回復していますが、現在の平成25年度の予算ベースでは、約5.3兆円の積立金になると見込んでいます。資料1の説明は以上です。
 資料2は主な業務実績等の資料ですので、基本的には省略させていただきますが、15ページに雇用保険二事業の収支状況があります。こちらの点だけ触れさせていただければと思います。
 資料2の15ページ、雇用保険二事業の関係収支状況です。平成25年度の予算ベースで、支出が5,400億円程度を見込んでいます。表の左側ですが、平成21年度、平成22年度の時期は、雇用保険二事業の雇用調整金などに関する支出が膨らんで、結果的に支出が増えたという経緯があります。そうしたこともありまして、後ほど御説明いたしますが、雇用保険の失業等給付の積立金から借入れを行いまして、平成22年度に370億円の借入れを行って事業を運営しています。そして、平成25年度予算をベースにしますと、安定資金残高は約3,000億円と見込んでいる状況です。資料2の説明は以上です。
 資料3については、これまで雇用保険制度で、どのような改正を行ってきたかをまとめた表です。今後の部会の中で個々の論点ごとに議論させていただきますので、本日はアウトラインのみを御説明させていただきます。
 1ページから、平成元年からの改正の内容がまとめられていまして、平成12年、平成15年などに、比較的内容の大きな改正を行っています。平成12年の改正では、基本手当の給付日数の変更ということで、離職の態様に応じて再構成をする、特定受給資格者と呼ばれる倒産・解雇等を理由とした受給資格者について日数を延ばすといった措置を設けたのは、この平成12年の改正です。離職を余儀なくされた者に対し、基本手当を重点化という措置です。
 平成15年の改正は、基本手当の給付率や日額上限等の見直しを行いました。こちらの趣旨は、再就職時賃金との逆転を解消する観点で、給付率60~80%から、50~80%という給付率の見直しを行っています。そして、平成15年改正の中の5つ目の○で、平成10年に設けられた教育訓練給付について見直しを行っています。開始当時は80%だったのですが、法律上は20~40%に引下げを行っています。現在、この法律に基づき、厚生労働省令で支給率、給付率を20%と設定しているものです。
 3ページです。平成19年の法律改正の中で、幾つか御説明させていただきます。1つ目の○で、失業等給付に関して、国庫負担の在り方の見直しを行っています。本来の国庫負担率は4分の1ですが、当分の間は55%とする見直しを行っています。
 3つ目の○ですが、雇用保険三事業のうち、雇用福祉事業を廃止して、雇用保険二事業にしました。
 下から2つ目の○ですが、育児休業給付の給付率について、現在の数字である50%に引き上げたのが、平成19年のときの改正です。当時は期限がありましたが、その後の改正で期限がなくなり、当分の間の措置という形で、50%という給付率になっています。
 最後の○です。教育訓練給付の受給要件として、初めて教育訓練を受ける方であれば、被保険者期間が1年でも受けられる。この改正を行ったのが平成19年で、当分の間の措置として設けています。
 3ページの下の平成21年改正です。こちらは暫定措置として設けさせていただいた措置が、初めて設けられた改正です。1つ目が、特定理由離職者区分の創設です。簡単に申し上げますと、有期契約の労働者の雇止めなどの場合について、受給資格期間は1年のうちに6か月の被保険者期間があればいいとした上で、給付日数について、倒産・解雇等による離職者並に、給付日数を拡充しているという措置があります。こちらは、当時は23年度末までの措置でしたが、更に1回延長して、今年度末まで続く措置になっています。
 2つ目の○に、個別延長給付があります。先ほど御説明させていただいた措置ですが、こちらも平成21年度に設けまして、1回延長して、今年度末までの措置になっています。
 3つ目は、再就職手当です。先ほど御説明させていただいた給付率の引上げを行っていますが、こちらの時期になります。
 4ページは平成22年の改正です。下の方の改正の中で、1つ目の○に、非正規労働者に対する適用範囲の拡大を行っています。適用基準について、「6か月以上の雇用見込み」から、「31日以上の雇用見込み」に緩和したのが、平成22年の改正です。
 もう一つは、3つ目の○の暫定的な措置です。雇用保険二事業に係る財政的な措置で、リーマン・ショック以後の雇用調整金の支出の増大などによる財源不足を補うために、失業等給付の積立金から借り入れる仕組みを、暫定的に設けました。こちらも平成23年度末だった措置を1回延長し、今年度末までの暫定措置になっています。
 5ページは、平成23年改正、平成24年改正があります。平成23年の改正の一番下の○で、雇用保険の国庫負担暫定措置に関する付則です。雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するという付則が、この平成23年改正の中で設けられています。こちらについては、これまでの雇用保険部会でも御議論いただき、今回の論点の中にもございます。
 平成24年改正ですが、先ほど岡崎からも御説明申し上げましたとおり、平成21年あるいは平成22年に設けた暫定措置の延長を行った改正が、平成24年の改正です。その暫定措置の期限が今年度末に切れますので、これから御議論をお願いしたいということになります。資料3の説明は以上です。
 資料4の「求職者支援制度」については、求職者支援室から御説明させていただきます。
○山下求職者支援室長補佐 求職者支援室の山下です。続きまして、資料4を御覧ください。
 1ページは、「求職者支援制度の創設の経緯」です。御案内のとおり厳しい雇用情勢の下で、非正規の方が雇用者全体の3分の1を占め、また、失業の長期化が続いている状況に対して、雇用保険を受給できない方が増えてきている。そういった方々に対しての新たなセーフティネットが必要であるとして、求職者支援制度の前の制度ですが、基金を創設しまして、「緊急人材育成支援事業」、いわゆる「基金訓練」と呼んでおりますが、これを平成21年7月から平成23年9月まで実施しています。この間、実施状況を踏まえながら、こういった方々に対しての施策を恒久的にすべきということで、この雇用保険部会や能開分科会でも御議論いただきまして、求職者支援制度ができたという経緯です。
 平成23年1月に建議を取りまとめ、2月に法案を提出し、5月に法案が成立して平成23年10月から施行しています。法律の附則の中で、施行後3年を目途として見直しを行うことが規定されています。今回、雇用保険制度の見直しのタイミングで一旦御議論をいただきたいと思います。
 2ページは、制度の概要を1枚にまとめているものです。3ページ以降に詳細に書かれていますので、そちらを中心に説明いたします。3、4ページが訓練の関係です。御案内のとおり、訓練については、基礎的な能力を修得する基礎コースと、基礎から実践的な能力までを修得していただく実践コースの2つから成っています。訓練は厚生労働大臣が認定するという仕組みを取っています。認定に際しては、当然ですが、就職に資するようなという観点から一定の要件を課しています。
 4ページです。要件の中には、就職の責任者を置くということもあります。訓練を実施している機関においても訓練期間中に就職の支援をしていただくことにもなっています。また、訓練を実施している機関に対しては、訓練を受けている受講者の数に応じた奨励金を支払う仕組みになっています。基礎コースでは1人1月あたり6万円、実践コースでは5万円、それから、就職の中身に応じて付加的な奨励金を支給するという仕組みになっています。
 5、6ページが、職業訓練受講給付金の説明です。給付金については、支給単位期間ごとに10万円をお支払いする受講手当と、交通費相当の通所手当の2つから成っています。これを支給するに当たりましては安定所の窓口において審査をさせていただきます。訓練をしている最中は月1回の来所日を指定しまして、その際に、6ページにありますような支給の要件を全て確認した上で支給するという手続を取っています。この給付金について不正な行為を行った方については、いわゆる「3倍返し」等も含めたペナルティの措置も取っています。給付金の支給要件は6ページです。本人・世帯の収入要件や、その訓練期間中にしっかり訓練を受けていただいたかを確認した上で支給します。
 7ページは、不正の関係です。どのような場合が不正になるのかを簡単に表にしているものです。やむを得ない理由なく欠席した場合、指定来所日に理由なく来なかった場合等々については不支給。そういったことを繰り返すと不正として対応しています。
 8ページです。これは、求職者・受講者に対する支援の流れです。ハローワークにおいて事前の相談をさせていただきまして、個別の就職支援の計画を作成します。訓練を実施している間は、訓練を実施している機関等にも当然支援していただきます。併せて、指定の来所日に来所される際に状況も確認しながら連携して支援をさせていただきます。訓練を終了してから目処として3か月までには最低月1回は来ていただいて、就職していない場合はその間もしっかり支援させていただきます。
 9ページは、支援制度の財源の関係を簡単にまとめています。御案内のとおり、当制度については国庫負担が2分の1、労使が折半で2分の1という構成になっています。現在、暫定措置が掛かっていますので、国庫負担の2分の1に100分の55を掛けて、現在は100分の27.5が国庫負担となっています。2番目は、いわゆる「三大臣合意」の中での財源の関係箇所を抜き出したものです。3番目は労政審の建議の財源箇所を抜き出したものです。4番目は、1ページに書かれていた法律の検討規定を抜き出したものです。
 10ページです。施行から1年半たっていますが、この間に幾つか改善を講じてきていますので、主なものを載せています。被災地における訓練の認定基準の一部緩和や、受講者の方がインフルエンザ等の感染症にかかられたときには出たくても出られないので、そういったことを加味して出席要件についても一部緩和しています。また、直近でも、今年10月開講のコースから適用予定ですが、一部認定基準について更に見直しをしている状況です。
 11~13ページは、これまでの実績について簡単にまとめています。11ページの(表1)の一番上が、年度ごとの受講者数の実績です。平成23年度は半年分になりますので5万人強、24年度は約10万人弱となって、この制度開始から1年半で約15万人の方が求職者支援訓練を受講されています。(表2)、(表3)はそれぞれ平成23、24年度の就職の状況です。基礎コースは就職率60%、実践コースは70%という目標を立てています。平成23年度、24年度(11月までに終了した訓練の実績)はそれぞれ7割を超えている状況です。右端の「雇用の期間の定めのない就職の割合」を見ますと、基礎コースと実践コースではやや差が出ていて、実践コースの方は、雇用の期間の定めのない就職の方の割合が高い傾向が見られています。
 12、13ページは、それぞれの訓練の分野ごとに就職の状況を見たものです。こちらも同じような傾向かと思いますが、特に介護福祉の分野においては就職率が8割を超えていること、また、関連就職の割合も8割を超えて、全体の合計の割合と比べても高い成果を上げていることが特徴的なところだと思います。
○高島雇用保険課長補佐 最後に、資料5の論点につきまして、資料6や参考資料を用いながら説明いたします。
 資料5「雇用保険部会の主な論点」を御覧ください。箇条書きにしていますが、既に説明させていただいたものも多くあります。1つ目の○、「個別延長給付・雇止めによる離職者の給付日数の充実」は、先ほどから説明していますように、暫定措置として今年度末で期限が切れるものですので、その取扱いについて近時の雇用情勢等を踏まえて御議論をお願いしたいというものです。
 2つ目の○、「雇用保険二事業に要する費用の失業給付等の積立金からの借入れ」です。平成22年度に370億円の借入れを行っていますが、そういった借入れができるという措置も暫定措置として今年度末で期限を迎えますので、その取扱いについても御議論をお願いしたいと思います。
 3つ目の○の「労働移動・学び直しの支援措置」に関しては、参考資料1を御覧ください。こちらは、先ほど岡崎からも説明しましたとおり、産業競争力会議の中で厚生労働大臣が説明をした際の4月23日の資料です。2ページに「社会人の学び直し支援」というものがあります。これは、1ページに「失業なき労働移動」がありまして、その流れからの説明になっています。社会人あるいは企業にいる在職者の方々の学び直しのプログラムを受講してもらうことについて、それを支援する。学び直しのプログラムを受講することによって労働者のスキルアップ、スキルチェンジを図って、労働者本人のキャリアアップや異業種への円滑な労働移動を図っていく観点で、そういった施策を推進するものです。
 これについては、表の真ん中にあるとおり、「社会人への支援」と「企業への支援」の2つの流れがあります。社会人への支援の中の「雇用保険制度の見直し」に、大きく2つの○があります。1つは「若年者等の学び直しに対する支援措置の実施」、もう1つは「非正規雇用労働者のキャリアアップのための自発的な教育訓練(資格取得)に対する支援措置の実施」です。現行の制度としては教育訓練給付がありますが、そういった制度あるいはそれ以外の部分も含めて、社会人の学び直しについて雇用保険制度でどういったものができるかについてこれから御議論をお願いしたいと考えています。
 資料5に戻ります。4つ目の○、「基本手当の水準」に関しては、資料6の「雇用保険部会報告書」を付けています。平成24年の法改正のときに課題として議論されていたものです。報告書の最後のページに、基本手当の水準について記載があります。基本手当の水準(給付率、給付日数)については、現在の積立金残高や失業等給付の収支状況を考慮し、雇用のセーフティネットを拡充する観点から、雇用保険料率の引下げと併せて給付面での充実を図るべきという意見がある一方で、その在り方を慎重に考えるべきという意見もある。これらについて、今後の在り方を検討すべきであるとされていますので、今回、雇用保険制度の見直しをする中で併せて御議論いただきたいと思います。今後の議論の中で関係するデータなども収集の上で提示させていただきたいと考えています。
 資料5の5つ目の○は「高年齢雇用継続給付」です。こちらも、平成24年の雇用保険部会の報告書の中では、当面の間は存置することとし、今後の高齢者雇用の動向を注視しつつその在り方について改めて再検討すべきであるとされています。こちらについても今回の部会の中で議題とさせていただきたいと思います。
 その下の、「教育訓練給付」は、先ほど説明しました「労働移動・学び直しの支援措置」に関連するものです。この2つのテーマは合わせて御議論をお願いしたいと考えています。
 次の、「マルチジョブホルダーへの対応」と「65歳以上の者への対応」についても、平成24年の法改正の際に継続的な検討課題として設けられていたものです。マルチジョブホルダーについて若干説明いたします。複数の事業所で雇用されて勤められている方です。現在、雇用保険の適用基準は週の所定労働時間が20時間以上で雇用見込みが31日以上の方ですが、特に20時間以上の関係で、1つの事業所では20時間以上働いていないけれども、複数の所で働いておられてそれらを全部合計すると20時間を超える方々の取扱いをどうするかについて、これまで雇用保険部会の中で随時御議論いただいています。平成24年の雇用保険部会報告の中では、中長期的な観点から議論していくべきであるとされています。こちらについても後ほどの部会の中で御議論をお願いしたいと考えています。
 「65歳以上の者への対応」については、現在、65歳を超えると基本手当という形ではなく一時金の形で給付をされる仕組みになっていますが、こちらをどう考えるかについても中長期的な観点での議論として整理しています。
 「求職者支援制度」については、先ほど申し上げましたとおり、施行から1年半ほどたっていますので、こちらについて御議論をお願いするものです。
 「財政運営」については、先ほど、雇用保険法の附則則のところで国庫負担の暫定措置として55%にされている部分があります。附則の「必要な財源を確保して」とありますので、この部分について御議論をいただきたいと考えています。
 「その他」については、今後、部会の中で必要に応じて議題に追加して御議論をお願いしたいと考えています。また、委員の皆様方におかれましても、こちらの論点以外で特に議論をすべきものがありましたら御提案をいただきたいと思います。
 最後に参考資料2は、今月19日に「若者・女性活躍推進フォーラム」でまとめられた提言の中にも、先ほどの参考資料1の「学び直し」と同趣旨の記載が盛り込まれているというものです。
○岩村部会長 事務局から説明された各事項につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。
○新谷委員 各論について、私ども労働側の委員も何点か確認をさせていただきたい点がありますので、後で委員からお話したいと思います。説明いただいた中で、失業等給付の収支の状況はどこにありましたでしょうか。
○高島雇用保険課長補佐 資料2の14、15ページに資料としてまとめています。
○新谷委員 14ページの一番下の、失業等給付に関する積立金の残高の推移についてです。先ほども御説明がありましたように、一時は4,000億円強まで残高が減ってしまった状況がありましたが、それらについては2000年と2003年の2度にわたる雇用保険法の改正で、本部会でもその当時の労使の委員が苦渋の決断をされたと思いますが、保険料の引上げとともに給付の見直しを行い、その結果が今日の残高につながっていると思います。ただ、今日の残高を見ると、予算ベースでは、平成24年度は単年度収支がマイナス3,300億円ということになっていますし、平成25年予算でもマイナス2,000億円を見込んでいます。一方で、積立金は平成23年度末で5兆8,000億円と6兆円に迫る残高になっています。毎年度の給付の水準、支出実績を見ますと、1兆7,000~1兆8,000億円ぐらいが経常的に支出されています。しかし、予算ベースでは失業率の状況を踏まえて2兆円を超える支出を見込み、結果として赤字予算になっていく、こういう構造になっています。毎回この部会で申し上げていますように、堅実に見積もった予算案はそれで構わないのですが、その結果がこのような積立金残高の6兆円に迫るような状況になっているわけです。
 今回、全般的な制度の見直し、収入と支出の在り方についての見直しの提起をいただいていますが、本当に遅きに失したと思います。積立金が6兆円も貯まる前に、もっと給付の在り方について、あるいは保険料の在り方について見直しをしておくべきだったと思います。この残高は余りに巨額過ぎると思います。申し上げたように、ここまで残高が積み上がったのは、過去の給付の見直し、保険料の見直しがあった結果なので、今後雇用保険制度の全般的な見直しをするにあたり、私どもとして申し上げたいのは、やはり給付水準の在り方について見直しをしていくべきであり、昨年の雇用保険部会報告にもありましたように、給付の引上げに向けて見直しをしていくべきだと思っています。
 その上で、1点質問申し上げます。当初予算で失業等給付の収支見込みは平成24年度末でマイナス3,300億円と見込んでいたところ、去年11月の第86回部会で雇用保険課長にお聞きしましたら、1,800億円のマイナスになると明確に答弁をいただきました。労働側としては、半年の収支実績がトントンであったことからしてそんなことはないだろうと思いましたが、雇用保険課長からは今後半年で1,800億円のマイナスになるのだと明確に御答弁いただきました。平成24年度は既に終了しましたが、収支の状況が今日現在どのぐらいの水準で推移しているのか、残高も5兆8,000億円ではなく、増えているのか減っているのか、確定的な数字ではなくて結構ですから、実績の見通しを教えていただきたいと思います。
○岩村部会長 前半が御意見で、後半が御質問ということで、事務局からお願いします。
○吉永雇用保険課長 後半の、積立金について御質問いただいた点を説明いたします。以前、部会におきまして、1,700~1,800億円ぐらいの赤字の基調で動いているという報告をいたしました。その後の状況ですが、最終的に決算が固まるのは9月ですが、可能であれば、論点の中でも財政の項目がありますので、財政の議論をする際までには固めて細かい正確な数字を報告したいと思っています。現在のところ、細かい所までは申し上げられませんが、1,700億円にはどうもならないのではないかという状況で推移しています。もう少し支出が少なかったという状況です。最終的な状況につきましては、もうしばらく精査させていただきたいと考えています。
○新谷委員 平成23年度末では積立金残高が5兆8,000億円になっているのですが、そうすると、平成23年度末の5兆8,000億円よりも積み上がるかもしれないと理解しておいてよろしいのでしょうか。
○吉永雇用保険課長 現状で具体的な金額を申し上げられる時期ではありませんが、おおむね同額程度の積立金の状況になるのではないかと見ております。
○岩村部会長 よろしいでしょうか。
○新谷委員 はい、分かりました。
○岩村部会長 そのほかにいかがでしょうか。
○井上委員 高年齢雇用継続給付について意見を申し述べさせていただきたいと思います。この4月1日から、60歳定年後も希望者全員が65歳まで安心して働くことができるための環境整備を目的として、改正高齢法が施行されました。ただ、多くの企業では、60歳定年時に1年ごとの再雇用契約を結ぶ場合が多く、60歳以降の賃金水準は定年前の水準から一律に減額されるケースが多いのが実態ではないかと思います。高年齢雇用継続給付は、60歳以降の生計を支える公的給付としてこれまで大変大きな役割を果たしてきたと思っています。厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げがこの4月から始まりましたが、60歳定年から65歳までの間に無年金期間が生じることを考えれば、本給付の役割は以前に増して大きくなっていると思います。
 高年齢雇用継続給付が重要な役割を担っている認識については、前回の法改正の際にも労働側から申し述べ、その拡充と、2007年改正で廃止された国庫負担8分の1の復活を明確に主張してまいりました。先ほどの説明にもありましたが、前回の雇用保険部会報告書の中では「当面の間は存置することとし」という取りまとめもなされています。今回の議論においても、労働側としては、基本的には前回改正と同様のスタンスで考えていることを申し述べたいと思います。
○岩村部会長 御意見として承ることにしたいと思います。そのほかにはいかがでしょうか。
○山本委員 学び直しと教育訓練給付についてです。雇用保険部会の主な論点案の中に「労働移動・学び直しの支援措置」という項目があって、先ほども、これから議論するというような話がありましたが、現状、学び直しの支援措置として事務局が想定しているような項目・事項があるのかを事前にお伺いしたいと思います。先ほどもあったとおり、教育訓練給付との違いも含めて、どのような課題認識をしているのかについて教えてほしいと思います。
 それから、前回の改正のときの議論でも申し上げましたが、教育訓練給付について、第79回の雇用保険部会の資料の中にアンケートがありまして、そのアンケートの結果の中で、教育訓練給付の指定講座の修了者から、「趣味・教養に役立つ」と答えた方が少なくありませんでした。労働者が主体的に能力開発に取り組むことはいいのですが、こうした本来の目的に沿っていると言えない状況も見受けられます。学び直しの支援については、重要性は十分認識していますが、単純に教育訓練給付を拡充するということについては疑問を持つところもあります。これは意見として申し添えさせていただきたいと思います。
○岩村部会長 御質問は前半の2つでよろしいでしょうか。
○山本委員 はい。
○吉永雇用保険課長 学び直し支援について、どういうものを考えているのかという御指摘がありました。先ほど説明いたしました資料の中の参考資料1で、厚生労働大臣が産業競争力会議で4月23日にプレゼンした資料の2ページを改めて御覧ください。社会人の学び直し支援を政府を挙げて取り組んでいこうとして、3つの柱が記載されています。このうち、上段の部分が雇用保険制度の見直しです。社会人にどのような形で支援していくかというときに、離職者・在職者にどう対応するのか、あるいは企業経由でどう対応するのかという考え方になるのだろうと思っています。
 在職者につきましては、現在、教育訓練給付制度があります。委員から御指摘がありましたとおり、教育訓練給付については様々な御意見がありますし、これまでも非常に大きな制度変遷をたどってきたという状況です。その中の1つの批判が、なかなか実際の仕事に結び付いていないのではないか、おっしゃられたような趣味・教養のようなこともありました。現在の給付水準が上限額10万円で、かつその大体2割までという制度になったのは、こういった状況を見ながら縮小してきたものです。ピーク時には約50万人の方に約900億円の支出をしていました。その際の上限額は30万円で、8割で30万円ですから、大体38万円ぐらいの講座について支出をしてきたということです。実際にどのような仕事があるのか、どのような仕事に役に立つのかはなかなか分からないので、かなり幅広く講座指定をしてきましたが、結果として、就職あるいはキャリアアップに結び付いていないのではないかという御批判を頂いた状況になりました。今般考えているものにつきましても、当然、そのようなことにならない形で仕組む必要があるということが、まず第一だと思っています。在職者の方には教育訓練給付の活用というのが1つの考え方としてあるのではないかと思っています。
 離職者につきましても、現行制度では、離職後1年以内であれば教育訓練給付が使える状況です。離職者の方に向けての学び直し支援は、別途、公共職業訓練がありますので、そういうものも活用はできます。それとは別に、学び直しプログラムのようなものを活用するという方策があるとなれば、そういうものを雇用保険制度の中にビルトインしていくということはあるのではないかと思っています。
 現在、学び直しプログラムをどうするかについて、文部科学省を中心として経済産業省や私ども職業能力開発局が協力して検討することになっています。これについて、2通りの考え方があるだろうと思っています。1つは、より高度な人材に向けてのプログラムで、理工系の大学院のようなものについて考えていくこと。こういったものでは、1年のプログラムもありますが、場合によっては複数年のプログラムもあり得るのではないか。プログラムの状況に応じた形で支援するような仕組みを考えていく必要があるのではないかと思っています。
 一方で、大臣のプレゼン資料の中にありますように、非正規雇用労働者のキャリアアップのための自発的な教育訓練については、これらの方には非常に高度な訓練まであるのかどうか。こういう方々に、どういう資格が適当かということもありますが、資格に役に立つような訓練コースをうまく設定する。そういう設定を前提として、それに対する給付制度を考えていくことではないかと思っています。資格についても、独占資格のようなものがあれば、そういった資格を取ることが直ちに就職に結び付くわけです。例えば、英語で何点取ったから就職できるかというと、そういう仕事ももちろんあるのですが、ボリュームゾーンとしてあるものは、例えばホテルのフロントで働いていて併せて英語も多少使えるとか、あるいは貿易業務に就いて英語を使えるというような、正に仕事と結び付いた形のスキーム、プログラムが適当ではないかと思っています。いずれにしましても、そういうプログラムの開発と併せて、それにふさわしい給付体系を考えていくことだろうと思っています。
 また、お示しした大臣プレゼン資料の下の所に「企業への支援」があります。これは現行の雇用保険二事業の中にキャリア形成助成金がありますので、こういったものを拡充しながら対応するのではないかと考えています。いずれにしても、企業あるいはそこで雇用される労働者のキャリア形成、キャリアアップに役立つようなプログラムを開発することと併せて給付を考えていくことが何よりも重要ではないかと考えています。過去の教育訓練給付に対するいろいろな指摘を十分に踏まえながら検討を進めていくべきだと考えています。
○新谷委員 関連しまして、この学び直しの支援措置というのはどういうものをイメージされているのか、まだちょっと見えないところはあるのですが、現行の教育訓練給付については、先ほど山本委員が申し上げたように、趣味とか教養に役立つというのが少なくない比率でアンケート結果に出てきているわけです。先ほど御説明いただいた中に、雇用保険は労使のお金を使って運営しているわけでありますから、施策がやはり労働者の雇用の安定や職業能力の向上につながる施策でないと駄目だと思っているのです。今後検討されるに当たってはどうやって濫給といいますか、モラルハザードを防止していって、本当に実のある制度に作っていくかということが大事だと思っています。今の教育訓練給付に欠けているのは、入口のコントロールが効いていないことではないかという気がしているのです。それは、やはり個人が町にあふれている通信教育とか、スクールの募集案内を見て、そこに教育訓練給付があって、助成金20%がもらえるので、申し込んでいく。そこに、ハローワークなり、キャリア・コンサルタンの関与が全くなくて、申込みができているということが濫給の問題などにつながっていくと思います。今後教育訓練給付の見直しの際にもまた申し上げますが、この学び直しというところも、そういった入口のコントロールをどうやってしていくのかということも重要なポイントだと思っておりますので、申し上げておきたいと思います。以上です。
○岩村部会長 余り部会長が喋るのはよくないのかもしれませんが、今の関係でいいますと、あまり実証研究がないので何ともいえず、推測にすぎませんが、教育訓練給付がうまくいかなかったということの1つの原因というのはやはり日本の雇用システムなのだろうと思います。欧米のように、要するに仕事として何をやるかということがあらかじめ決まっているというところですと、この仕事をするためにはどういう資格が必要でということがはっきり分かっていて、したがって、そういう資格を持っていないとその仕事はできないとなっている。そういう社会ですと、自分でその仕事に就くためには自分で訓練を受けるなり、何なりしてやらない限りはそういうポストには就けないとなっているのですが、日本の雇用システムはそうではなくて、非常にフルーなのですね。ですから、結局教育訓練給付をやっても、アンケートの中には多数でないにしても、何か趣味に役立つとかそういうのが出てきてしまう。というのは、そういう部分があるからだろうと思います。
 現行法はどうなっているか知りませんが、例えば、かつてのフランスですと、ミシュランではないのですが、ホテルの格付けが観光局によってなされていて、例えば一定の格付けをもらうためには、フロントで英語が話せる人がいないといけないとなっていました。そうだとすると、基本的にはどういう人をフロントの人として探すかということで、求職を出すのです。したがって、そのときに格を維持しようとすれば、英語が話せて、経験が何年あってということで募集をかける仕組みになっています。したがって、そういう仕事をしようとすれば、一定の英語のスキルというのは当然必要だということが前提となり、そのために学校に通って、勉強してという仕組みになっている。日本の場合、そういういろいろなスキルとその仕事とを結びつける明確な線というのがないので、その教育訓練給付というのがあまりうまくいかなかったのではないかと思っています。
 そうだとすると、学び直しというのもその辺のところがはっきりしていないと、また結局同じことになるのではないかというような感想を持たざるを得ない部分があり、これから具体的に事務局でいろいろ詰めていかれるのだろうと思いますが、教育訓練給付のところのそういう過去の教訓というのも、今、雇用保険課長おっしゃいましたように、やはり十分に踏まえた上で、具体化の案というものを考えていっていただけると、非常に実のある議論がこの部会でもこの点についてできるのではないかと思いますので、その点是非よろしくお願いをしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
○古川委員 マルチジョブホルダーについて、意見を述べたいと思います。最近、長引く不況によって週20時間未満のアルバイトを短時間掛け持ちせざるを得ない方というのは、結構多いと認識しております。トータルの労働時間は週20時間以上になるのですが、個々の事業主との契約でいくと、雇用保険の適用除外になってしまう。こういう方たちも結構多く、そうした方は失業時の生活の保障というのがない状態です。兼業している仕事のどちらか1つだけ離職した場合の失業認定の問題もあるかもしれませんが、こうしたマルチジョブホルダーについては、前からも同じような意見を言っておりますけれども、基本的に雇用保険を適用させる方向で検討していただきたいと思います。
 先日、いわゆるマイナンバー法が衆議院を通過しておりますので、この制度の活用も視野に入れた検討をしていただきたいと思っております。以上です。
○岩村部会長 何か事務局の方ございますか。
○吉永雇用保険課長 マルチジョブホルダーにつきましては、やはり数的に増えてきているというようなことが言われてございます。雇用保険の適用を20時間に拡大したことで、ある程度はカバーできた分もあるのだろうと思いますが、御指摘のように漏れていらっしゃる方、場合によっては早朝からお弁当作りをして、お昼は清掃をして、夜、居酒屋で働くような方もいらっしゃるというお話はお伺いしたことがございます。そういう意味で、私どもの政策の課題として、こういう方についてどういう形で社会保険、社会保障の傘をかけていくのかというのは1つの大きな課題だろうと思っております。
 ただ、一方で、なかなか補捉が難しいことと、あと保険料の徴収をどうするのかとか、あるいは必要の認定、今ほどありましたが、例えば複数の仕事をしている場合に、1つの仕事がなくなった、これを必要と見るかどうかとか、様々な技術的な事項もございます。そのうちの一部は、今御指摘のありましたマイナンバー法で解決するものもあるのだろうと思います。いずれにしても、委員の御意見を頂きながら、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○岩村部会長 多分マルチジョブホルダーの問題で一番大きいのは捕捉の問題があるのと、実際上は技術的な問題が結構あるというところだと思います。システムをどう構築するかという非常に難しいところが、実現しようとするとあるかなと思います。ほかにいかがでしょうか。
○小林委員 今後、論点個別に多分詰めていくと思うので、今後それぞれの問題についてはいろいろな資料要求をしたり、いろいろお伺いしたいと思います。1点だけ教えてほしいのは、上から順番に労働側の方が聞いていったので、求職者支援制度について伺いたいのです。求職者支援制度、恒久措置としてできるときに、原則国庫負担が2分の1という形になったのですが、労使揃って国が全額負担するべきではないかと主張していたのを記憶しているところであり、この考え方は多分労使とも変わらないのだと思います。前の制度である特定求職者基金事業の残額をもって充てるという話になっていたのですが、平成23年度、平成24年度の残額を充てて、きちんとやってきたのか、どういう負担構造をもってやっていたのか。その辺をお伺いしたいのです。
○岩村部会長 では求職者支援関係で、事務局お願いします。
○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 求職者支援制度で、その財源で基金を充てていくということ、過去の三大臣合意ですとか、あと建議の中でも書かれていたとおりだと認識しておりますが、現時点で具体的にその基金を入れているという状況にはなっておりません。これから関係各省とも調整しながら、どういうタイミングでどう入れていくかを検討していくことかと考えております。
○岩村部会長 例えば、平成23年度、24年度、25年度、今ですけれども、そうするとどういうことになっているのでしょうか。今だに基金というのは残高があって、存在しているという、会計上は存在しているということなのでしょうか。
○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 基金の訓練自体、平成23年9月開始分まであったということもありまして、訓練がすぐに終わらなかったということもありまして、まだ基金として存在しているという状況にあります。
○小林委員 ということは、基金事業は多分訓練の費用とその訓練を受けた人たちが給付の部分がありますよね。それと、貸付けもやっていた。貸付けは返済期間があるので、まだ徐々に戻ってきているのか、これは戻ってこないのか分からないですけれども、戻ってくるということで基金自体は存続するわけですよね。でも、訓練自体は緊急対策でやっていたものから恒久措置になって、その訓練の費用を基金から充てるという話になっていましたよね。労政審のほうでも、23年度は実質的に全額国庫で、その後当分の間、実質的に国庫負担2分の1を確保すべきであるということで言っていたわけですが、平成23年度、24年度の使われたお金がどういう形で払われているのかをお伺いしたいということで、聞いているのです。
○岩村部会長 事務局いかがですか。もし、まだそういう精査ができていないということであれば、また次回以降お答えいただくということでもよろしいかと思います。
○小林委員 いずれ議論することとなる求職者支援制度とか、財政の問題で、その話が論点として出ると思いますので、調べておいていただきたいというのがお願いです。
○岩村部会長 はい。ほかにはいかがでしょうか。
○山本委員 求職者支援制度の件が出たので、付け加えでよろしいですか。財源については、今話があったとおりなので、労使負担の雇用保険料を充当するという現行の枠組みはあくまでも暫定的に一時的なもので、基本的には雇用保険制度から分離独立した制度で、全額一般会計とするべきということは、かねてから伝えてあるとおりです。そこを重ねて申し上げると同時に、現状の制度の課題で、少し感じているところについて述べたいと思います。
 給付のほうなのですが、これもかねてから述べているところですが、雇用保険の未加入の方が職業訓練給付金として月額10万円を受け取る一方で、雇用保険の基本手当を受給する際の受給額は10万円に満たない方が1割程度いる状況は、制度上の大きな課題であると認識しておりますので、何らかの解決策を検討していくべきです。
加えて、訓練を欠席するやむを得ない理由のところですが、モラルハザードに留意はしつつ、特に、家族の介護や看護などが必要な場合の証明方法を多様化するなど、母子家庭世帯などが職業訓練給付金を受けながら、安心して訓練を受講できる制度運用にすべきというところについて、問題提起ということで議論していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 では、御要望ということで承ることにいたします。
○新谷委員 求職者支援制度が今の話で出ていますので、資料ができるかどうか分からないのですが、要望申し上げておきたいと思います。折角こんな分厚い資料がありますので、もし御覧になるのでしたら、求職者支援制度の財源の議論をした、第73回の雇用保険部会の資料3の4ページにありますが、求職者支援制度を創設する際に雇用保険料の収支の影響額について試算をされた資料が、提出されております。どんなものかというと、求職者支援制度の財源は全額一般財源で賄うべきと議論していたところ、2分の1を雇用保険で負担する旨の三大臣合意がなされ、結果的には雇用保険の国庫負担の経過措置により、72.5%が雇用保険で負担することになったときに出てきた資料です。この資料では、求職者支援制度の創設によって失業給付費の削減が460億円、保険料の増収効果が20億円見込まれ、一方で、制度創設に伴う支出増額が550億円程度見込まれることから、差し引きで雇用保険料の収支への影響は70億円のマイナスで留まるという試算が出ていたのです。これは何も一時の方便ではなく、多分こういう試算のもとに当時提起をされたと思います。制度が運用されてまるまる1年以上経っていますし、収支の計算もそれぞれある程度できていると思いますので、今後の保険料の在り方を計算する際に、これのリバイズをやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それをやるためには多分これも前に申し上げたと思うのですが、雇用保険の受給履歴など、特定求職者の属性を調べないと、分からないと思うのです。これは、確か業務統計では出ないので、JILPTなどで調査するというような御答弁をいただいたと思うのですが、どのように調査をされるおつもりなのかというのが分からないと議論が進みません。巨額の費用を労使が負担する以上、やはり統計資料がないと、なかなか判断がつきにくいのではないかと思います。もちろん行政コストはかかるというのは分かっているのですが、こういう資料もかつて出てきておりますので、是非御準備をお願いしたいと思います。
○岩村部会長 どうやってやるか、パッと私も浮かばないのですが、実現可能かどうかも含めて、事務局で御検討いただければと思います。では、雇用保険課長、お願いします。
○吉永雇用保険課長 御指摘でございますので、ただ制度が施行後日が浅く安定的になっていない状況の中でどれだけ出せるかという問題がありますが、鋭意作業はさせていただきたい。どういう形でお出しできるかは御相談させていただきながらという形になるかと思いますが、よろしくお願いします。
○岩村部会長 そのほかいかがでしょうか。
○井上委員 財政運営について、意見を述べさせていただきたいと思います。労働側としてはかねてから主張しておりますけれども、失業等給付にかかる国庫負担割合については、1日も早く確実に本則に戻すように全力を上げていただきたいと思っております。憲法において勤労権が保障されているように、そもそも失業者の生活の安定を図ることは国の当然の責務であり、その裏付けとして雇用保険制度が設けられていると思います。国庫負担は国の責務として当然のことだと考えております。
 先ほど積立金の議論がありましたけれども、積立金が多いからといって、国庫負担を本則に戻す必要がないという議論は、全く成り立たないと思っております。現に、本日お配りいただきました制度改正の経緯の最後のページに、国庫負担の推移が記載されておりましたが、昭和22年に失業保険制度がスタートした際には、失業リスクを国、使用者、労働者で等分に負担して制度運営するという観点から、保険料も三者で等分されておりました。こうした制度創設の趣旨に鑑みても、また、2011年の法改正において、できるだけ速かに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする、とされていることを踏まえれば、早急に国庫負担を引き上げる必要があると考えておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
○岩村部会長 御意見ということで承りたいと思います。そのほかいかがでしょうか。
○新谷委員 先ほど産業競争力会議で厚生労働大臣が提出された資料が出ておりまして、今、政府で成長戦略の策定に向けて、諸会議で様々な検討がされていると思います。産業競争力会議、規制改革会議等々で論議がされているわけでありますけれども、残念ながら、そうした会議の場で雇用、あるいは労働政策に関する論議がされておりますが、労働側の代表が入っていない中で論議が進められているということについては非常に残念だと思っております。
 それはそれで置いておくとして、今日は実は御紹介がなかったわけでありますが、5月9日の規制改革会議の雇用ワーキンググループで論議された内容としまして、有期労働契約の場合に失業リスクが高まるので、雇用保険料の使用者負担を引き上げて、社会的リスクに見合った保険料の公平負担を図るべきではないかといった提起がなされていると思います。もちろんこれも厚生労働省としてもウォッチしてつかんでおられると思いますが、私どもも正しくそのとおりであると考えています。保険原理からいくとリスクの高い分だけ保険料が高いというのは当然のことでして、確か建設労働者については事業主負担の保険料を一定程度上乗せして徴収していると思います。こういった提起が政府の審議会といいますか、委員会の中から出てきておりますので、今すぐでなくてもいいのですが、これも今後の検討の中に是非盛り込むべきだと、私ども思っておりますので、課題として提起を申し上げたいと思います。
 もう1つ、規制改革会議の中で、この雇用に関するワーキングの中で出ておりますのが、有料職業紹介について国際先端テストを行うということです。これは部会が違いますのでそれはそれでいいのですが、今後このセーフティネットの検討をするに当たって、特に給付の在り方を見る際に、我が国のセーフティネットとしての給付水準及び保険料が諸外国と比べて一体どのような状況に置かれているのかについても、是非資料の提供をお願いしたいことを申し上げておきたいと思います。以上です。
○岩村部会長 事務局で何かございますか。
○吉永雇用保険課長 1点目の規制改革会議における鶴光太郎座長のペーパーですが、私も拝見させていただいているところです。ただ、会議の詳細が漏れてこないので、具体的にこのペーパーを基にどういう議論がなされたのか、あるいは最終的な報告書でどうなるのかというものが見通せない状況です。そういう意味で、最終的に規制改革会議の中での報告書に載ってくるようなことがあれば、まさにそういう形で議論することはあると思っております。
 あと、更にこういった業種別に変えていくという議論が余り雇用保険の中でなかったので、これから御議論いただく形になるかと思います。考え方として申し上げておきますと、民間の保険であればその保険事項のリスクに応じた形で料率が変わってくるのは当然のことということがございます。自動車保険にしても、事故が多い方と少ない方でその料率が変わるというようになっております。ただ、社会保険については、基本的な考え方はなるべく大きく対象者を広げて、広い中で料率を考えていくという1つの考え方があるのだろうと思っております。もちろん労災保険のように、明らかにその業種によって事故の発生率が違うような場合について、その料率が変わる。また、企業によって異なる場合について、それをメリット性で埋め戻していくというような考え方の制度はあるわけです。特に社会保険制度ですと、広く捉えていくほうが多いのではないかという考え方もございます。
 建設労働者については二事業のほうで1000分の1、プレミアムを頂戴していることもございます。建設労働者については非常に短期的な方が多いとか、日雇いの方が多いとか、季節の方、あるいは場合によっては一人親方もいらっしゃいます。そういう中でどういう形で能力開発、あるいは昔でいえば福祉施策を充実させるかということで、まさに建設業界を挙げて1000分の1を徴収させていただいて、その中で教育訓練等々に充当したという制度になっているわけです。そういった考え方が派遣労働者、あるいは契約労働者に該当するのかという辺り、非正規対策についての考え方になるのだと思いますが、雇用保険の制度としてどうなのかという辺りについては、御議論いただくことになるかとは思っております。
○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。今日のところはこの辺でということで、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、以上をもちまして本日は終了ということにさせていただきたいと思います。
 最後に、本日の議事録の署名委員ですが、雇用主代表については福田委員に、労働者代表については古川委員にそれぞれお願いしたいと思います。委員の皆様におかれましては、本日は本当にお忙しい中ありがとうございました。次回の日程ですが、事務局から改めて各委員に連絡があるということですので、どうぞよろしくお願いをいたします。それでは、今日はありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
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