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- 2013年2月13日 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録
2013年2月13日 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録
日時
場所
出席者
- 出席委員(10名) 五十音順
-
- 川崎ナナ
- ○川西徹
- 北田光一
- 谷本剛
- 中村洋
- ◎橋田充
- 花田賢太郎
- 福原潔
- 堀正敏
- 四方田千佳子
(注)◎部会長 ○部会長代理
- 欠席委員(1名) 五十音順
-
- 木内文之
行政機関出席者-
- 平山佳伸(大臣官房審議官)
- 赤川治郎(審査管理課長)
- 矢守隆夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長)
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会」を開催させていただきます。
委員の先生方には、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、11名の当部会委員のうち10名の御出席をいただいており、定足数に達しておりますことを報告いたします。また、本会議は基準に関する審議ですので、公開で開催しますことを御承知おき願いたいと存じます。
本年1月に委員の改選がございましたので、初めに委員の御紹介をさせていただきたいと存じます。また、日本薬局方部会の部会長につきましては、1月28日に開催されました薬事分科会において選出が行われ、この日本薬局方部会については、橋田充委員が部会長に選出されておりますので、御報告申し上げます。
それでは、委員の御紹介をさせていただきます。
部会長の国立大学法人京都大学大学院薬学研究科教授の橋田 充先生でございます。
国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長の川崎 ナナ先生でございます。
国立医薬品食品衛生研究所副所長の川西 徹先生でございます。
一般社団法人日本病院薬剤師会会長の北田 光一先生でございます。
同志社女子大学薬学部医薬品分析学研究室教授の谷本 剛先生でございます。
東京理科大学薬学部嘱託教授の中村 洋先生でございます。
国立感染症研究所細胞化学部長の花田 賢太郎先生でございます。
国立医薬品食品衛生研究所有機化学部第一室長の福原 潔先生でございます。
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の堀 正敏先生でございます。
国立医薬品食品衛生研究所薬品部第一室長の四方田 千佳子先生でございます。
なお、本日は慶應義塾大学薬学部天然医薬資源学講座教授の木内 文之先生より、御欠席との連絡をいただいております。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
大臣官房審議官、医薬担当の平山ですが、国会用務のため、遅れて出席する予定でございます。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長の矢守でございます。
同機構規格基準部長の鹿野でございます。
御挨拶が遅れましたが、私は厚生労働省医薬食品局審査管理課長の赤川でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、日本薬局方の一部改正及び日本薬局方の新規収載候補品目について、御審議いただく予定です。部会長の橋田先生、議事進行をお願いいたします。
○橋田部会長 橋田でございます。本日は、委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ日本薬局方部会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。私は前の期に引き続きまして、本部会の部会長を仰せつかることになりましたが、言うまでもなく、本部会は日本薬局方という、医薬品の性状、品質の適正を図るための規格基準書の内容を定めるための部会でして、そういった意味では、医薬品の有効性・安全性を担保する土台を、ここで御議論いただくということになろうかと思います。
私自身は、非常に微力ではありますが、先生方に御審議をいただき、この部会を充実したものに運営していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
議事に入る前に、もう1点お諮りさせていただきたいことがあります。先ほど委員の改選がなされた旨の報告がありましたが、薬事・食品衛生審議会の規定に従いますと、各部会においては、部会長が部会長代理を指名できることになっております。それに従いまして、部会長代理を私から指名させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
私としては、川西委員にお願いしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、部会長代理は川西委員にお願いいたします。川西委員、こちらへお願いいたします。
もう1点申し上げたいことがございます。御承知のことと存じますが、前の期において、この部会の部会長代理をお務めいただいておりました青柳伸男先生が、昨年9月にご逝去されました。青柳先生には、いろいろな面において御協力を賜りましたことを心より御礼申し上げますとともに、謹んで青柳先生のご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
それでは議事に入ります。本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 配布資料の確認をさせていただきます。委員の先生方には事前に、資料1「日本薬局方の一部改正(案)について」、資料2「日本薬局方新規収載候補品目(案)について」、資料3「日本薬局方の参考情報の改正(案)について」の資料を送付させていただいております。本日、配布資料としては、議事次第、座席表、委員名簿がございます。以上が本日の資料です。過不足等がございましたら、お知らせ願います。
○橋田部会長 資料はお揃いでしょうか。
それでは審議議題に入ります。審議事項1の議題の「日本薬局方の一部改正」に係る案件についてです。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題1、資料1「日本薬局方の一部改正(案)について」、御説明いたします。
1ページです。始めに、日本薬局方の作成について説明いたします。日本薬局方は、薬事法第41条第1項の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適性を図るために、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めることとされている規格基準書です。
1~2ページにかけての表2「日本薬局方の改正歴等」を御覧ください。日本薬局方が改正された公示年月日と、収載品目数の変遷をまとめたものです。初版が明治19年に公示されてから100年余りの歴史があり、今日に至るまで、医薬品の開発、試験技術の向上に伴って、改定が重ねられてきております。昭和51年の第九改正からは、5年ごとの全面改正を行い、平成3年の第十二改正からは、全面改正の間に2度の追補を作成している状況です。また、追補以外にも必要に応じ、部分改正を行っております。
本日は、平成23年3月に公示された第十六改正日本薬局方の一部改正を行うことについて、御審議いただくものです。収載品目数については、当部会にて、平成24年5月に御審議いただき、同年9月に告示いたしました第十六改正日本薬局方第一追補をもちまして、日本薬局方の収載品目は1,837品目となっております。
2ページの3.「第十七改正日本薬局方の作成基本方針等」については、日本薬局方の作成基本方針及び原案作成要領について、まとめております。
続いて、4.「今後の予定」を御覧ください。本日、日本薬局方の一部改正等について御審議いただき、御了承いただきましたら、2月中旬から厚生労働省にて意見公募、WTO通報を行い、3月~4月に開催が予定されている薬事分科会に報告し、5月に告示、施行する予定です。
続いて、「日本薬局方の一部改正(案)の概要」について説明いたします。3ページを御覧ください。今回の一部改正においては、一般試験法の製剤均一性試験法及び標準液等の改正、並びに医薬品各条、ゼラチンの改正を行う予定となっています。
概要としましては、製剤均一性試験では、国際調和事項を反映し、半固形製剤を、製剤均一性試験を適用する製剤に追加し、医薬品各条のゼラチンにつきましても、同様に国際調和事項を反映し、規格基準を改正するとともに、それに伴い標準液、ろ紙、ろ過フィルター、試験紙、るつぼ等の項目を新たに追加するものとなっております。具体的な改正内容については医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。
○機構 原案審議を担当しました総合機構の規格基準部の担当者から、今回の改正の内容について御紹介させていただきます。引き続き、資料1の3ページを御覧ください。
今回の改正では、ただ今御説明があったとおり、6.02製剤均一性試験法、医薬品各条のゼラチンの2点の改正を行う予定です。これに伴い、9.22、9.43の標準液等を改正する追加のものもございます。
1点目、まず「6.02 製剤均一性試験法」についてです。本試験法については、個々の製剤の有効成分の均一性の程度を示すための試験法です。この試験法は、既に2004年の時点で、日米欧の三薬局方調和検討会議(PDG)で調和合意を達成し、2006年時点で、既に日本薬局方に反映されておりました。しかしながら、ICH等での国際会議の議論を踏まえ、今般追加の改定が必要と示されたため、調和合意内容をPDGで再度検討し、追加改定をしました。今般は、その追加改定に伴う日本薬局方の改正です。本件につきましては、欧米薬局方では既に改正作業が完了しているため、各局の足並を揃えるため、今般一部改正による臨時の改正をお願いすることとなりました。具体的な改正箇所につきましては、本試験法を適用する製剤に「半固形製剤」を追加しました。現行の試験法は、固形製剤、液剤しかカテゴリー分けされておりませんでしたが、流通品の実態に伴い、半固形製剤を追加しました。
さらに、計算式中の変数であるT(目標含量)について、その定義を明確にするため、言葉を補う改正を行います。
続いて、一般試験法「9.22 標準液」、「9.43 ろ紙・ろ過フィルター、試験紙、るつぼ等」については、続いて御説明する医薬品各条「ゼラチン」の改正に伴い、新たに試験に用いることとなった試薬等を追加する改正です。
続いて、2点目のゼラチンについて御説明させていただきます。こちらも、日米欧三薬局方調和検討会議(PDG)での平成24年6月の合意事項に基づき、ゼラチン各条の規格項目の全体のアップグレードを行うとともに、国際調和を推進するための改正です。具体的な改正箇所は、基原、性状、確認試験、純度試験、乾燥減量を改正します。特に純度試験については、鉄、クロム、亜鉛、過酸化物等を新規に追加し、異臭及び不溶物、亜硫酸塩、水銀等、現在の化学水準で不要と考えられる項目を削除します。また、ゼリー強度(ブルーム値)、pH、導電率、微生物限度の項を新たに追加します。強熱残分については、調和事項に伴い削除することとなりました。
各条の具体的な改正箇所については、4ページ以降に新旧対照表をご用意させていただきました。製剤均一性試験法では、半固形製剤を必要な箇所に追記し、それに伴う必要箇所について、一部記載整備を行いました。
5ページです。T(目標含量)の定義については、表6.02-2の一番下段のTの定義の目標含量の下線部分に言葉を補う追加をさせていただきました。
6ページの「9.22 標準液」については、新たに4品目を追加させていただきました。7ページです。「ろ紙、ろ過フィルター、試験紙、るつぼ等」については、1品目、過酸化水素濃度試験紙を追加いたしました。
8ページです。「ゼラチン」について、改正項目を、それぞれ改正、新規追加、削除に分けてお示ししてあります。ゼラチンに関しては、特に純度試験について、先ほど御説明させていただきましたとおり、現在の化学水準に基づき不要な項目を削除し、新たに必要な項目として、鉄、クロム、亜鉛、過酸化物、二酸化イオウ等を追加させていただきました。
医薬品各条の全体については、9ページ以降です。まず、9ページに現行のゼラチンの医薬品各条の全文を記載しています。10ページ~12ページにかけて、今般改正予定の改正案をお示ししてあります。ゼラチンに関しましても、米国薬局方、欧州薬局方は、既に改正に着手しており、米国薬局方は本年5月、欧州薬局方は本年7月に改正を予定しているという情報を得ております。我が国においても、ゼラチンはカプセルの基剤など、医療用、一般用を含め汎用されていることから、欧米に遅れることなく、第二追補の改正を待たずに、一部改正を実施することといたしました。以上、資料について御説明させていただきました。
○橋田部会長 ありがとうございました。ただ今の内容に対しまして、御意見あるいは御追加いただく点、御質問等がございましたらお願いいたします。
今回の話は、第十六改正に対しまして、昨年9月に第一追補が出たわけですが、その後の対応ということで、一部改正を行うという御提案です。
○花田委員 6ページの囲みの中の2行目の過酸化水素の括弧の後の「30」という数字は、何を表しているのでしょうか。
○機構 日本薬局方に現在収載されている「過酸化水素(30)」までが試薬名として掲載されておりますので、恐らく30%に該当するものと思いますが、「過酸化水素(30)」までが、日本薬局方の試薬名となっております。
○花田委員 30%weight/volumeで含む、水溶液というような意味合いですね。
○機構 JISの特級で規定されている規格で、濃度が30~35.5となっています。
○花田委員 わかりました。あと、今後の校正で修正されていくと思いますが、出ているアルファベットで斜体にすべきところがたくさんあります。これは現在の薬局方と照らし合わせると、普通の縦形と斜体だと意味が変わってくることがありますので、よろしくお願いします。
○機構 御指摘ありがとうございました。注意の上、告示の際には気を付けさせていただきます。
○橋田部会長 今回は製剤均一性試験法と、各条のゼラチンの御提案、いずれも日米欧の薬局方の国際調和というものに基づいてということですが、これまでもこの部会では、いろいろ国際調和の問題について御議論いただいていますが、これはPDGという会議で、合意の内容について署名のような形をとられてということでしょうか。何かその辺の経緯につきまして、川西委員から御説明いただいてよろしいですか。
○川西部会長代理 製剤均一性試験についてですが、これはPDGで国際調和を大分以前にしたということで、日局には製剤均一性試験そのものは15局で、大きく国際調和案を取り込んだわけです。
ただ、国際調和のときに、それぞれの局が妥協に妥協を重ね調和に至ったこともあり、細部にわたって見ると、各局方に実際には取り込めない部分がいろいろとあったりして、未だに小幅な修正提案が連続して出されているところです。既に次の改正バージョンも検討されている中での昨年調和した改正案です。今まで含量均一性試験の中に、液剤と固形剤は操作方法が記されていたのですが、半固形剤には、大どころとしてはクリーム剤、軟膏剤が含まれるかと思いますが、それの試験法がどういうわけか操作方法の中になかったから、これはおかしいねということで、半固形剤を液剤と同じ操作方法に入れ込んだということです。実際のところ、半固形剤とは何かということを確認すると、日米欧でも半固形剤、英語でsemisolidですが、これが一体どれがはまるかということに関しては、多少の違いが生じたりしているということがあり、なかなか国際調和というのは口で言うのは易しいのですが、実際にやると、今まで各極の分類に応じて医薬品規制されている歴史がありますので、簡単に変えられないという事情があります。いずれにしても、これは2年前ぐらいに調和した項目の取り込みということが現実なのですが、こういう形で国際調和というのが、一歩一歩行われていると考えていただければと思います。
ただ、各国の既存の規制との摺り合わせが非常に難しい部分もあります。よく御覧になると、部分調和の部分がいろいろ残っているという、不思議な試験法と言えば不思議な試験法かもしれませんが、その辺りは御容赦いただければと思います。
○橋田部会長 ありがとうございました。国際調和に向けていろいろと御尽力いただいているということです。これからも、薬局方はそういう方向で進んでいくということになろうかと思います。ほかにいかがでしょうか。
○川崎委員 ゼラチンの件でお伺いします。今回、国際調和事項を反映されたということなのですが、日局には精製ゼラチンというものがありますが、これとの整合性、若しくは両者の区別はどうなされているのでしょうか。ゼラチンだけが改正されることによって、何か問題が生じる心配はないのでしょうか。
○機構 御指摘のとおり、日本薬局方には、現在ゼラチン各条と、精製ゼラチン各条が収載されており、現行規格でも、性状部分に少し違いがあるだけで、ほとんど似たような規格項目となっております。国際調和に当たるに至って、ゼラチンを製造している業者の皆様方に、国際調和する対象として、ゼラチン、精製ゼラチンの二つともを対象としてはどうかと検討いたしましたが、当面は使用頻度の高いゼラチンについて、国際調和を反映させる。そして精製ゼラチンについては、ゼラチンの改正を見て、今後検討を進めるという形で、現在精製ゼラチンについても業界の方々とともに、今般の改正内容について日本でも反映する調整を進めている最中でございますので、結果が出次第、また薬局方部会に御報告させていただきます。
○橋田部会長 ゼラチンに関しては、かつてcontaminationと申しますか、そういう問題が本部会でも話題になったことがあるかと思いますが、その辺りのことも、これは取り込まれた内容になっているという理解でよろしいでしょうか。
○機構 中国で発生したクロムを含有する事案のことを言及していただいたと思います。今般の改正では原子吸光光度法を用いたクロムの純度試験を設定しておりますので、そのような医薬品については、この試験法を実施いただくことで排除できると考えています。
○橋田部会長 ありがとうございました。他にございますか。
○中村委員 ゼラチンの改正(案)を第三者的に見ますと、コラーゲンを酸又はアルカリ分解して精製したと書いてあるのだけれども、これだけで三局が本当に調和できるのか。具体的に条件が全く出ていませんね。こういったことで、本当に再現的に製品ができてくるものなのか、あるいはそこはあえて伏せておられるのか。その辺をお伺いしたいと思います。
○機構 御指摘のとおり、基原の部分についてはかなり議論がございました。現在、動物由来のコラーゲンとなっておりますが、欧州では魚類由来のものも含まれるというような議論がありましたが、日本では、魚類というのは現在のところ、流通自体がほとんどないということで、動物由来ということで落ち着かせていただいて、現時点では、この内容で三局とも合意できるという最小公倍数的な内容になってしまいますが、調和としてはこの基原で合意署名をしているのが現状です。
○花田委員 魚も動物ですが、いいのですね。
○機構 補足させていただきます。魚もコラーゲンとして取られますが、日本の基原としては魚が入っていないということで、別物と考えております。その場合に、ヨーロッパ、アメリカは魚を使ったものがあるということで、USP、EPが、三局調和をといったけれども、日本としてははじけませんので、一応は魚も入れる。あるいは、この中では加水分解の方法として、酸又はアルカリですが、これも日本だけではなくて、三局で調和するために、いろいろ入れ込んでいるということです。加熱分解とか、加水分解とか、いろいろなものがあります。それも全部取り込んだ形で作り上げまして、やっと基原のところで、どうにか三局のものを一緒に合わせてやるということです。ですから、日本の場合で作られる場合は、メーカーが、自分のところは動物由来ですから動物でやりましたということで導入するということになって、各局が取り入れましょうというところで、こういう規格になったということで、調和してきております。
○谷本委員 日局上は、魚由来でも使っていいのですね。実際に使われているかどうか存じませんが、今は使われていないといっても、原案の規定になると、魚由来も含まれると解釈してよろしいでしょうか。
○機構 日本では、局方でこう書いてありますが、本当に承認の実績があるかどうかというところで、今度はPMDAの審査部でもう一回審査し直して、日本として魚が使われたものがないか、魚もサメとかサケとか、いろいろなものがありますので、その由来の場合はどうしましょうかということを、もう一度審査の際に見ますということです。
family monographというのがありまして、family monographのような取り込み方にしているということになっています。
○谷本委員 このゼラチンは、いわゆるfamily monograph的な扱いをされるということですか。
○機構 そう考えています。
○谷本委員 普通はfamily monograph的に扱う場合、ブルーム値は表示せよということで、表示規定にしていますね。それと同じように、基原も表示規定にすべきではないのですか。魚由来か動物、動物でも、従来は腱とか靭帯とか、いろいろ部位まで規定していました。むしろそういう原料の起源や由来部位などを表示規定にするという形でやらないと、family monographとしての読み方は難しいのではないかという気がします。
○機構 表示のところまでは、ゼラチンの三局の調和までは至りませんでした。あるものは表示しましょうということになっていて、そこまで提案されていませんでした。一応はこれでどうでしょうかということで、調和ということでサインをしてまいりました。
○谷本委員 調和は調和で分かるのですが、このまま改正された場合、魚由来のものは審査で見るといっても、日局品として、要するに、日局の規定では魚でも動物でも何でもよいことになってくるので、魚由来のものであっても、日局ゼラチンという取扱いだったら、審査とは関係なくなってくるのではないですか。そこのところは明確にしておかないと、現在はその使用頻度は非常に少ないかもしれませんが、当然世界にはそれが出回っているところはありますから、それが国内に入ってきたときの対応が面倒になってくるように思われます。日本は魚由来を排除したいということなのですか。
○機構 排除はしませんけれども、そういうところで考えます。もし、この部会でそういうことを考えなさいということでしたら、調和のときに、表示も含めてどうしましょうかということで、またJPから提案するということになってくるかもしれないと思います。
○橋田部会長 お答えいただけますでしょうか。
○規格基準部長 詳細は確認して間違っていましたら、また御報告させていただきますが、魚類由来のもので承認実績のあるものがあるということと、現時点で魚類のものを動物由来として読み込んで、これは扱えるという扱いで承認はされていると理解しております。
○花田委員 言葉の定義ははっきりさせておかないといけないと思うのです。実は動物というのは広くて、昆虫も動物です。
世界的にanimalと言ってしまえば、魚類は入ってしまいますので、この薬局方で日本がやったときに海外から申請があって、魚類だから駄目とはできないわけです。審査をして、品質上別途問題があるから駄目ということはできますし、日本からにしても同様だと思います。そういった意味で、薬局方は基本的にminimal requirementですから、私自身は「動物」という書き方で問題ないと思いますが、この書き方で、魚類は駄目だと読めというのは無理があると思います。
○橋田部会長 これにつきまして、御意見は更にございますか。
今の花田委員の御意見ですが、この形で、動物ということで広く包括しているということで、むしろ魚類も含まれた定義になっていると、実際にそういうものが出てきた場合には、個々の品質等で審査をして取扱いが判断される。局方としては、こういう形で、むしろそういう理解の下に、このような文言でいいということでよろしいでしょうか。谷本委員、それでよろしいでしょうか。
○谷本委員 別にそれほどこだわりたくはないのですが、局方に載った場合、昔でいう承認不要の品目のところに当てはまりますね。ただゼラチンは、要するに生物医薬品には特にしていない、いや、天然物由来のところだから、ある意味では生物医薬品かもしれませんが。そういう扱いがされるのであれば、それを審査のときに目を通すことはできる。普通の化学合成薬品ではないから、化学合成薬品であったら、大体昔でいう承認不要の方に流していく。そしたら、もう局方品ということでフリーパスですね。ですから、そこのところの取扱いを審査の方と合わせて、運用をきちんとやっていただければ、それはそれでいいかと思います。
○橋田部会長 審査、あるいは取扱いに関して、今のような形で扱うということを前提にしてということでよろしいでしょうか。
ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。日本薬局方の一部改正につきましては、今、取扱いについての前提がありましたが、案としましては、この案のとおりにするということで、よろしいでしょうか。
御異議がないようでございますので、御了承いただいたものといたします。どうもありがとうございました。
次の審議議題に移ります。審議事項2の議題の「日本薬局方の新規収載候補品目」に係る案件についてです。総合機構から説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題2、資料2「日本薬局方新規収載候補品目(案)について」、総合機構の担当から御説明させていただきます。
資料2を御用意いただきまして、1枚めくっていただきますとリストがあります。本日御審議いただきます新規収載候補品目(案)は、平成24年6月までに製造販売承認取得企業等から要望のあった28品目です。
ここで1字脱字がありましたので、御報告いたします。今申し上げました「承認取得企業等から」の「等」が抜けておりましたので、お書き添えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
日本薬局方への収載候補品目としてよろしいか、御審議をお願いいたしますとともに、これらの品目につきましては、日本薬局方原案審議委員会の総合委員会におきまして、第十七改正日本薬局方作成基本方針に基づきまして審議、了承され、機構での意見募集を経まして厚生労働省に報告しております。それではよろしくお願いいたします。
○橋田部会長 ありがとうございました。ただ今機構から御説明いただきました日本薬局方新規収載候補品目(案)の内容につきまして御意見あるいは御質問等がございましたらお願いいたします。
たしか、前回のこの部会でフェルビナクの問題が出たかと思います。製剤を一つにするか二つにするかということがありまして、機構でその問題をお引き取りいただいたわけですが、今回、このテープが出ているのは、それを受けてのことということでよろしいですか。
○機構 はい、御指摘のとおり、それを踏まえてのことです。
○橋田部会長 そういう意味で申しますと、例えば8番、9番、オランザピン口腔内崩壊錠、オランザピン細粒剤と製剤が二つ並んでおりますが、これはカテゴリーが違いますので、そういうことを反映しているのでしょうか。前回の場合は、たまたま一つか二つかという議論がございましたので。
○機構 こちらは、承認取得企業様から収載要望がございました品目ということで挙げさせていただいております。頂いた要望は、すべてこちらに挙げているということです。
○橋田部会長 前回は、臨床上、汎用されている医薬品というカテゴリーでの議論でしたね。ですから今回は企業の方からの御要望という部分を踏まえたと、それでよろしいですか。
○機構 はい、それで間違いないです。
○橋田部会長 先生方、ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。
よろしければ議決に入りたいと思います。日本薬局方新規収載候補品目につきましては、この案のとおりとすることといたしましてよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、御了承いただけたものとさせていただきます。以上で本日の審議事項は終了いたしましたので、次に報告事項に移らせていただきます。
では、報告事項議題1「日本薬局方の参考情報の改正(案)」につきまして、機構から御説明をお願いいたします。
○機構 報告事項議題1、資料3「日本薬局方の参考情報の改正(案)について」、機構より御説明させていただきます。日本薬局方の参考情報は告示外の部分ですので、報告事項の項として挙げさせていただき、御説明させていただきます。
資料3を御覧ください。1ページに今般改正予定の参考情報「第十六改正日本薬局方における国際調和」を掲載しております。PDGでの国際調和に伴い、日本薬局方に国際調和事項を反映したものに関して参考情報にどの品目が国際調和を反映した事項であるか、一覧表を掲載しております。今般、ゼラチンに関しては初めて国際調和を反映したものですので、新しい表を収載すべく、ここに挙げさせていただきました。
2ページですが、製剤均一性試験法については既に国際調和されておりましたが、今般、国際調和事項の改正に伴い、表を一部改正して修正する形で、お示ししている表に差し替える形で対応させていただきたいと考えております。以上、参考情報について報告させていただきました。
○橋田部会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問等はございますか。
これは、国際調和されたものにつきましては、参考情報のところでこういう形でリストアップすることが定められていて、ゼラチンの各条が変わったのを国際調和という形で一部改正されますので、それを受けて参考情報を改めるということかと思います。よろしいでしょうか。
それでは、御意見等は特にないようですので、これにつきましては御了承いただけたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。
以上で本日の審議、報告事項を終了いたしますが、事務局から何か御追加いただくことはございますか。
○事務局 本日御審議いただきました日本薬局方の一部改正につきましては、今後、パブリックコメント、WTO通報等の手続を行い、手続が済み次第改正を行い、本年5月に告示を行う予定にしております。また、次回の部会の日程につきましては、事務局にて調整をさせていただき、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。以上です。
○橋田部会長 ありがとうございました。今、事務局からの御連絡も頂きましたので、以上で本日の議事はすべて終了したということですが、委員が交代しまして最初ですので、今後の運営の仕方等々につきましても、もし何か御意見等がございましたらここで頂きたいと思います。
○川西部会長代理 今の局方の状況の中でこういうことが起きているということの参考で部会の先生方にお伝えしたいと思います。
私どもが関係している中で、今、ここで「国際調和」という言葉を盛んに使っています。ただ、これはPDGという場、要するに、USP、EP、日局、この三局がやっている調和なのです。そう言ってしまうと、EPはヨーロッパ圏の相当程度、EU圏をカバーしています。USPは米国の局方ではあるけれども、それを参照している国は非常に多いということ。一方JPは、言ってみればドメスティックな局方なのです。今、局方の世界で世界的に医薬品の生産が、南米とか東アジアとか、アジア、西アジアを含めて非常に活発化している。そういうところで今の世界的な動きとしては、局方についてもそれ以外の国の人たちが、少し局方に関していろいろ議論しようという話も起きてきています。以前でしたら国際調和というと、日局の場合は即PDGの三局のことを言っていましたが、少しそういう動きが出ていまして、先日も、橋田先生がFIPで司会をなさった世界の局方の集まりというのがありました。そういうものの中でいろいろ情報交換等々をして、なかなか調和までは難しいとしても、いろいろ交流しましょうという動きが出ているということは、知っていた方がいいのではないかと思いまして、発言させていただきました。
○橋田部会長 ありがとうございます。今、川西委員からPDGに対しまして、FIP(国際薬学連合)の話を頂きましたが、それはWHOとかなり一体となって活動しておりまして、国際薬局方などを考えていくという流れもあります。そういったことで、調和に向けてもいろいろな動きがあるということです。日本の薬局方の作成に当たられましては、そのいろいろな動きをにらみながら、全体の最大公約数と申しますか、そういったものをうまくまとめていただいているということかと思います。いわゆる一つの動き、一つの流れだけで調和を議論できるかということについては、これからは少し流動的な部分もあるということかと思っております。
○花田委員 川西先生と橋田先生に教えていただきたいのですが、三局以外にもどの国もやはり薬局方というものがあるのかということ、また、我が国の薬局方で一番初めはそれこそ調剤の方法のようなものから始まっていると思うのですが、やはり現在では中国とかそういう所でも、薬品のminimal requirement、品質のminimal requirementを決めた書と、どの国でもなっているのでしょうか。
○川西部会長代理 私が答えるべきかどうかはわかりませんが、今、そういう関係で国際会議などに出る機会が多いので説明させていただきます。大まか言われているのが、140ぐらいの国が、おおよそ世界の30ぐらいの局方を規制に取り入れているのではないかということ。その中でWHOが作っているインターナショナルファーマコピア、これは、言ってみれば完全な国際局方です。ただ、これに収載されているのは必須の医薬品、特にエイズ薬とか赤痢とかマラリアとか、そういうものを主体にした局方です。これはWHOが委員会を作って作成しているもので、多くの国はそのまま医薬品規制に使っています。
それから、地域でいったら、EPというのはそもそもインターナショナルなファーマコピアです。それ以外に、先ほど言いましたように、USPなどは米国の局方ですが、相当程度影響力が強くて、世界にいろいろな事務所を設けて広く普及させているという状況です。それ以外に、私は一度も見たことがないのですが、アフリカの局方というのが、地域薬局方であるという話は聞いています。それから今、中南米、これは、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイが四つの国で調和したガイドラインを作ろうとしています。パラグアイ、ウルグアイは知らないのですが、少なくともアルゼンチンとブラジルは自分たちで作っていて、それを近々に、地域経済圏で一つの局方にしようとする動きを示しています。
あとは国単位のドメスティックな局方ですが、ただ、ドメスティックでも、例えばヨーロッパの国などは、もはや自国で薬局方を作るのをやめてEPをそのまま採用する国、EPと自分たちのものをプラスアルファして運用している国、EPをそのまま自国の薬局方に取り込んでしまっている国など、幾つかのパターンがあるようです。私は、ここのところ国際会議に出て驚いたのは、世界の国々の中で、自分たちの局方にない医薬品は、例えばEP、USPなども参照するという形で医薬品規制に使っている。そして、プラスアルファとして参照する薬局方として日局を挙げた国は意外とあるのです。具体的にいうと、例えばアルゼンチンとかブラジルとか、カザフスタンとかウクライナとか、韓国もそうですが、自国の局方に非収載の医薬品は日局も参照しますという基本的な姿勢をとっていると聞いています。そういう具合にそれぞれドメスティックな局方としては、世界で主なものとしては30ぐらい作成されているようです。しかし、自国で薬局方を完全に作れているというか、自分の所で相当程度作れているというのはそれほど多くなくて、EP、USPは別格としても、それからBPも長い歴史があり、ある種別格扱いですが、BPはEPをそのまま採用するのと自分のものをプラスアルファして出しているということ。それ以外で頻繁に名前が挙がってくるものとしては、次にJPの名前はあがります。このことは、今までのJPを改正してきた先輩の皆様が苦労して英語バージョンをかなり以前から出していて、世界に発信していたということが非常に大きな力になっていることがわかります。恐らく日本企業が輸出したりするときに影響力が出てくるものとして、これからもそういう国際活動は継続し、調和ということではなくても、国際発信は非常に重要だと思われます。全体状況は大体そのようなところです。それから、中国の薬局方は、今ものすごい勢いなのです。薬局方の職員は何百人もいますから、各条がバージョンアップのごとに何百も増えてしまうというすごい勢いで改正しており、国際的な協定なども積極的に結び活動範囲を広げています。ですから、その辺りの状況が、少し前と大分変わってきている。それは医薬品の市場とか製造が世界的に広がっていることの反映かと思われます。JPもあまり大人しくしていると影響力が徐々に減ってくると思うので、非常にマンパワーが限られていますが、それなりにやっていくこと、国際発信していくことが大事かと、私は個人的には思っています。
○橋田部会長 ありがとうございました。局方をめぐる国際的な動きということで、今、御説明をいただきました。例えば、医療イノベーションという話題の中で、いろいろなプロジェクトについて議論が行われる場合でも、国際的なデファクトスタンダードに繋がるかということがその先でいつも議論されています。そういった意味ではこの局方は正にそのような位置づけだと思います。
○川西部会長代理 長くなって申し訳ありませんが、花田先生のおっしゃった、日局は調剤みたいな話からというのは、多分誤解だと思います。日局の起源からすると、やはり西洋の医薬を入れたときの品質の基準書としてスタートしたと理解しております。
○花田委員 ヨーロッパで最初に局方ができたときは、薬局での調剤の方法のためだったというような、何か、ファーマコピアという言葉自身がそういうところから来ていると聞いたことがあったもので、すみません。
あと、インドでも別途、BPとかUSP辺りを参考にして作ったのでしょうか。
○川西部会長代理 インドはインドのファーマコピアを作っています。それは確かです。
○中村委員 先ほど、WHOがIPを作っておられるという話が出ましたよね。それは三局でハーモナイズした内容を最大公約数だけ取り込んで賢く作っているのか、それともディスクレパンシーが多少あっても入れているのか、その辺が、これからJPがどのように動くかというのにかなり利いてくるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。
○川西部会長代理 インターナショナルファーマコピアは、やはり歴史的にいうと、結局はヨーロッパが強く支援しているわけです。ですからBPとのつながりとヨーロピアンファーマコピアとのつながりが非常に強い。その上で、実はPDGというのは、調和対象は一般試験法と医薬品添加物です。原薬とか製剤の各条は、PDGでは調和対象ではありません。今、世の中の人は、調和というと、やはり世界の国では各条調和を思い浮かべています。インターナショナルファーマコピアは、一般試験法に関してはPDGでの調和部分を基本的にはそのまま取り入れようとしているのだけれども、やはり今までの経過にあわせてモジュレートしています。とはいえ、一般試験法に関してはPDGの成果は、ある種、全面的に取り入れていると言ってもいいと思います。ただ、PDGでは各条の調和はやっていませんので、作成はWHOの医薬品品質専門家委員会でやっていますが、主体はどうしてもイギリス辺り、それからヨーロッパの人たちが相当程度強いです。しかし、アフリカとか中南米の方たちも参加して作っているという形です。
○橋田部会長 ありがとうございました。よろしいですか。
今後、この部会の審議をするときにも、こういう情報を共有することは非常に大事だと思います。そういった意味で、今日はいい機会を持てたと思っております。他はよろしいですか。
特によろしいですか。それでは、本日の部会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)
- ※備考
- 本部会は、公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 井上(内線2737)