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2013年6月11日 第6回生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会

○日時

平成25年6月11日(火)


○場所

中央労働委員会講堂


○議題

報告書とりまとめ

○議事

○大橋座長 ただいまから第6回生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会を開催します。本日の出欠状況は、長島委員が御欠席です。
 議事に入ります。本日は、これまでの議論をもとに、事務局に報告書の案を作成してもらいました。報告書の取りまとめに向け、議論を行います。報告書(案)の内容について、事務局から御説明をお願いいたします。
○中山高齢者雇用対策課長 お手元に、資料1「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書(案)」ということでお示ししています。最初のパラは「はじめに」です。ここについては、前回の第5回検討会でお示ししたものについて、「問題意識をもっと明確に書くべし」という意見を多数頂いたところです。そうした点で、いろいろと書き加えています。
 第1パラ、第2パラは、基本的に前回の骨子案でお示ししていたようなものです。第3パラにおいては、2012年から、団塊の世代が労働市場から本格的に引退過程に入るということを書いています。その際に、これらの層については、居住地と離れた所で仕事中心の生活を送ってきた人たちであるという点について、ここで書いています。
 同じパラの下の方では、高齢者が生きがいを持って社会参加することで、健康維持、介護予防となることが期待され、社会保障負担の軽減につながると考えられるということで、高齢者の就業等の社会参加が、様々な側面を持っているということもお示ししております。
 次のパラでは、今般いろいろな提言等で、新たな仕組み等について、設けることが適当であるというような旨が書かれております。現在においても、各地域において、様々なセクターにおいて活動が行われていて、シルバー人材センター等を通じた就労、NPO・社会福祉協議会等によるボランティアのあっせん・提供、高齢者に対する生活支援等、様々なものがあるということです。しかしながら、生涯現役社会実現に向けては、これらの取組をより一層発展させていく、あるいはその連携を強化していくことが必要であるということが示されています。
 次のパラでは、高齢化に加え、少子化や核家族化が進展している。そうした中で、今まで家族で担ってきた子育て、高齢者に対する生活支援、介護といったものを、社会全体で支援していく必要性が高まってきているという現状認識を書いた上で、そうした中で高齢者は意欲と能力を持っているわけで、高齢者を社会資源としてみなして、社会の支え手として活躍してもらうことが望まれる、ということを示しています。
 次のパラでは、高齢社会対策大綱を引用し、高齢者が支えられる側から支える側へ移行することの必要性、こういった点についての指摘がされたところです。
 次のパラでは、高齢者の活用に際しては、それが若者の雇用を代替するものではなく、それをむしろ補完していくものである必要がある、といったことをお示ししております。さらに、高齢者自身の起業といったことにも言及しています。
 こうした問題意識に基づきまして、今回の検討会は検討が進められたということが最後のパラに書いてあります。具体的に総括しているところでは、就労等を通じて地域社会で「居場所」と「出番」が得られ、地域社会の「支え手」となる。そういった生涯現役社会の実現、そのための就労・社会参加のあり方について、方向と方策を提示しようとするものであるという、この報告書の性格について述べたものです。
 次に、「1現状と課題」です。ここは、前回の骨子でお示ししたものを、具体的な数値等を入れて御説明したものですので、分量は若干増えています。(1)就業構造の変化と65歳以降の就業率の低下、(2)地方の高齢化と今後の都市近郊での急速な高齢化、(3)高齢者の高い就業意欲、(4)地域での高齢者の就業・社会参加機会について述べています。(5)として、冒頭の問題意識の中でも御説明しましたが、核家族化と地域社会の支え手が必要になっていることを書いています。
 前回の骨子とは順番が入れ替わっていますが、(1)から(4)については、高齢者の就業等、あるいは人口構造について書いています。(5)は、地域社会の構成等に関するものですので、これは一番最後の方に整理させていただいたということです。
 「2高齢者の就労・社会参加をめぐるニーズとマッチングの課題」です。前回の骨子では、「ニーズとマッチング」というところで止まっていましたが、現状と課題はどのようなものがあるかということで、標題も若干改めているというところです。
 (1)退職後の更なる就労や社会参加を希望する高齢者のニーズということで、まず高齢者側のニーズをお示ししています。「多様な就労・社会参加のニーズ」ということで、高齢者の個人差、健康状態とか職業経験、さらには家族の介護等の家庭の状況、経済状況、いろいろな要素がありますので、就労や社会参加のニーズは多様である。そうした中で、希望や能力に合うように、多様な活躍の場を提供していくことが必要である、という基本的な考え方が示されております。
 それから「活躍の場を探す高齢者」ということで、幾つかの要素に沿って整理をしてあります。最初の所では、雇用者数が増加している中で、企業退職した後に厚生年金を受給する人の数が増加している。そういった比較的経済的に余裕があると考えられる高齢者の中には、生きがいを求め、短時間や短期間の就労、あるいは自宅から近い場所での就労・社会参加を望む人が多いと考えられる、ということを示しています。
 また、それらの中でも、今までに培った知識・経験を活かして働きたいと考える人も存在することについても、御指摘があったところです。この知識・経験を活かして働きたい人については、「また」以下で、特に中小企業において、専門的な知識・経験に対するニーズがあることから、こういった場面で有益に活用できるのではないかということをお示ししています。
 その一方で、社会参加したいという希望がありながら、現役時代に地域との結び付きが希薄であって、それを躊躇する人もいるということです。このような人たちに対しては、社会参加のきっかけを与える仕組みを整備することが必要である、ということを指摘しています。具体的には、職業観、生活観等の見直しを図ること、あるいは個々人のつながりを活かすこと、さらには地域の様々な機関による有機的な連携と的確な支援といったものが鍵になるということが書かれています。
 次に、「生活上の必要性の高い高齢者」です。年金受給開始年齢に到達後も、現役世代と同様に働き続ける希望を持つ人もいる、ということを指摘をしています。この場合は、ハローワークにおける職業紹介など、きめ細かな支援、あるいは就業機会の確保といったものが必要になってくるということを指摘しています。
 (2)では、地域社会側のニーズについて整理しています。「高齢者の活躍の場」ということで、最初のパラでは、「居場所」と「出番」の創出が必須課題であるということを確認的にもう一度書いていますが、2パラ目以降では、具体的な状況等が書いてあります。高齢化の進展等に伴い、一人暮らし高齢者や認知症高齢者といった人が増加をする。そうした中で、医療・介護・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が求められている。そういった現状の中で、特に高齢者の見守り、配食、外出・通院支援などの生活支援。この生活支援というのは、1つのキーワードになっている部分ですが、こういったものを地域社会全体で支えていくことが必要である。この場合の主体としては、ボランティア、NPO、社会福祉法人、民間企業等、様々な主体が列挙されているところです。これらの分野では、支え手となるべき人材が不足しているということで、ここに高齢者の活躍の場があるのではないか、ということを暗示しているわけです。
 次の所では、人間関係の希薄化等により社会から孤立する人が生じやすい環境といったものも、現在の社会変化の中で観察される事象なわけですが、そうした中で民生委員・児童委員といった形で、地域の福祉を支える活動、また防犯・防災活動といったところでも、支え手となる人材が不足しているということが書かれています。さらには、社会福祉協議会を通じて、いろいろな活動が進められている中で、住民参加型在宅福祉サービス等の有償ボランティアの対応も増えており、こういったところでも支え手の確保が急務となっている、といったことを指摘しております。
 続きまして「高齢者の活用、活躍の場の開拓が必要な分野」ということです。まず、高齢者の就労ニーズが様々であるということを前提として述べた後で、1つ目として、就業時間について柔軟に対応できるということ。そういった点に着目して、早朝、休日等、あるいはその短時間勤務といったところに、高齢者を活用する余地があるのではないか。
 次のパラでは、周囲の人との人間関係を築く能力、課題を的確に理解し適切に対応する能力を持っている人たちが多く、対人業務などが多いサービス業の分野において、それを活かすことができるのではないか。3つ目として、知識・技能を持つような高齢者については、地域の中小企業等が、そうした専門的な知識や高度な技術に対するニーズがあるということで、そういった場が活躍の場になると期待されている旨が書かれています。
 (3)は、ここまで申し上げてきました、(2)の地域社会のニーズと(1)の高齢者の就労・社会参加のニーズをいかにしてマッチングしていくかということで、課題が提示されています。
 最初のパラでは、今後どういった分野でその可能性があるかといったことが書かれています。次のパラでは、地域で就労・社会参加を希望する高齢者は数多く存在しているが、そうした場の存在を知らないなどの理由によって、現状では高齢者の希望が満たされているとは言えない。そこで、有効なマッチングの仕組みを整備することが重要であるということが書かれています。
 冒頭にもありましたが、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等、様々な機関が存在し、多様な活動を行っていますが、それぞれの機関相互、あるいは行政等との連携といったものが取れているケースが少ない。地域のニーズと高齢者の就労・社会参加ニーズの確認、それらの組合せによる高齢者の就労・社会参加機会を創出する、そのためには各機関の連携強化を行うための情報を共有する「プラットフォーム」が重要であることが指摘されています。「プラットフォーム」も、今回の報告の中の1つのキーワードかと思います。
 次に「有効なマッチングに向けた課題」です。ここは、今回の検討会においては、第2回目、第3回目で、9か所の団体等からヒアリングをしていますが、そうした好事例の中で共通するものをここで紹介しています。また後ほど申し上げますが、好事例については「資料編」ということで後ろの方に付ける。現在調整中ですが、その予定です。
 そうした好事例に共通するものが、地域のニーズをビジネスという形で顕在化させて、そこに高齢者をうまく掘り起こした上でマッチングに成功している。そうしたことをここで書いています。したがいまして、地域、高齢者の双方に働き掛けて、マッチングを行う。それが「コーディネーター」の存在であるということで、ここで「コーディネーター」を定義付けています。
 このコーディネーターを活用することで、高齢者の就労・社会参加の機会を拡大する余地があるということを指摘しています。この際に、事業活動の継続性を確保するために、ビジネスとして成り立たせることが求められるということも記しています。下4行ぐらいにありますが、コーディネートの役割を担う者に求められるものということで、地域のニーズを理解すること、ネットワークを持つ、又は築くことができること、組織のマネージメント能力、あるいはビジネスを立ち上げた経験といった点、そういった多様な人材を活用する視点が必要である、ということを指摘をされているところです。
 これは少し別の話になりますが、「高齢者による起業、NPO等の立ち上げの支援」も有効であるということが書かれています。
 「シルバー人材センター」についても述べられていて、ここについてはシルバーの現況、いろいろな問題点等が書かれています。8ページ目以降ですが、「地方公共団体と連携し、共同で事業を行う企画提案型事業等を活用しながら、新しい分野の就業機会開拓を積極的に行っているセンターも見られる」ということも指摘されているところです。
 (4)企業における高齢者の活用の課題です。これは、前回に骨子でお示ししましたときには、このような範疇は設けていなかったのですが、こうした企業内で高齢者を活用する、あるいはどういった場で開拓の可能性があるかといった点についてまとめまして、「企業における高齢者の活用の課題」という所で整理をしています。
 最初の所が、人事管理等、高齢者活用のための方策です。高齢者の戦力化というのが1つのキーワードかと思います。高齢者の戦力化に苦労する企業向けに、個別の人事管理手法、具体的には配置管理とか賃金管理、教育訓練管理、労働条件管理といった情報を提供することが必要である、ということが書かれています。
 それから「高齢者のニーズへの対応」です。これは、従来掘り起こしの所にあった部分ですが、「ちょっとした仕事」「スポット的な仕事」を見つけることも、高齢者の就業機会の確保につながる。併せて、そうすることによって、現役世代の社員がより生産性の高い業務を行うようにできるのではないか。こういった労働力の効果的な活用面についても、言及されているところです。
 続いて「高度な知識や技能を持つ人材のマッチング等」という所です。具体的に、幾つか範疇を整理すべしという御意見がありまして、そういったものに基づいて整理しています。1つ目としては、販売促進、生産管理、国際取引など、業務の専門性、又は生産性は高いものの、定常的な業務でないなどの理由から労働需要が顕在化していない分野といった整理をしています。2つ目として、契約書の作成・管理、訴訟対応等、企業の法律上の問題に対する法務や人事管理等に対する労務など、いわゆる人員の不足から専属の職員を設けることが難しい分野、こういった分野を指摘しています。こういった点については、中小企業で人材に対するニーズがあるのではないかということです。
 「3今後の生涯現役社会における就労・社会参加のあり方についての提言」です。最初のパラでは、今回の高年齢者雇用安定法の改正についても言及しています。法改正により65歳までの希望者全員の雇用確保が担保されたところですが、高齢者の就労ニーズは多様であることなどから、その就労の場を企業での雇用のみに求めることは限界に近付いている。今後は、企業における活躍の場とともに、新たな高齢者の活用と活躍の場を考えていく必要があるということを提示した後で、4つほど方策をお示ししています。
 1つ目が「高齢者の就労・社会参加に向けた退職前の職業観・生活観の見直し」です。これは、骨子にのっとって御議論しているときは「リセット」という言い方をしておりましたが、その表現を整理しているところです。
 2つ目が「地域社会の支え手として働く、『企業人』から『地域人』への円滑な移行」です。3つ目の課題として「地域の中小企業において、大企業等で得た専門的な知識や技術、経験を活かす」ということです。4つ目は「65歳を超えてもさらに企業で働き続ける高齢者の活用のあり方」です。こういった4つの提言を提示しています。
 具体的には、1つ目の点では、「高齢者の就労・社会参加に向けた退職前の職業観・生活観の見直し」です。この点については2パラ目にありますように、退職前の企業で働いていたときの仕事に対する考え方や、職業能力に関する自己評価、これらを地域の支え手となるという尺度から見直すことが必要であるとしています。具体的には、企業が行う、生涯を通じたキャリア構築を促す取組、定年退職予定者などに対する意識の見直しやキャリア再構築を後押しする取組といったものを支援する必要がある、ということが指摘されております。
 その一方で、こういった取組だけでは十分ではないということで、企業に勤めている間に地域の他企業においてインターンシップを行うなど、より積極的な取組を支援することも必要ではないかということを書いています。
 そのほか、これはヒアリングで行った柏市の例も例示として入れていますが、総合的な取組です。具体的には、産学官の連携によって実施されているもので、企業退職後の就労の姿を示し、次には、そういった状況の中で地域の就労事業を掘り起こしていきます。さらには、そうした事業の情報を提供する就労セミナーといった形で、高齢者と地域のニーズを掘り起こしてマッチングをするという、総合的な取組も有用であるということを指摘しています。
 それから、生涯学習に関する取組の一環として、地域に貢献することの社会的な価値を見出す機会、さらには起業等のノウハウを学習する機会を提供することも有効ではないか。さらには、高齢者の意識を変えていくような社会的気運の醸成も必要であるだろうということを書いています。
 2つ目が「地域の支え手として働くための仕組みのあり方」です。これは「企業人から地域人への移行」に対応するところです。その中で、まず、先ほどの2で定義されたところですが、「プラットフォーム・コーディネーターの必要性」について書かれています。その前提として、地域のシルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等、様々な就労・社会参加支援機関が存在していまして、これらの連携を強化し、ネットワークを構築することが重要である。
 そうした基本的な考え方をお示ししていまして、その上で、各機関の連携強化を行うための情報を共有するプラットフォームを作る。さらには、その地域のニーズを発掘、創造し、意欲のある高齢者を見出し、これらをマッチングさせていくコーディネーターを育成することが重要である、ということが述べられています。
 ?のプラットフォームの機能については、この辺りは骨子でも細かく示していましたが、それらに更に加筆等をしています。地域のニーズと高齢者のニーズを収集し、それらを可視化して、官民の関係機関で共有できるようにする。さらに、その共有した情報を住民に積極的に提供していく。さらに、その地域の情報を一体的に集約する場を設ける。こういったことが必要であると書かれています。
 これらのプラットフォームの機能を果たすための取組、その主体としては、地域で活躍している組織として、先ほど来申し上げている、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPOといったものを活用し、行政が積極的にサポートすることにより、組織自体に新たな機能を持たせることも必要である、ということが書かれています。さらに、プラットフォームの留意点として、アクセスしやすいこと、ICTを活用することといった点についても述べられています。
 ?コーディネーターのところです。まず、(ア)高齢者に対する就労・社会参加に向けた準備への支援です。これも従来から御議論いただいていたものですが、新たなものとして、他の企業へのインターンシップの活用など、企業退職前の者が地域に戻る際の橋渡し、ということが新たに入ているところです。(イ)では、企業、NPO、ボランティア団体等に対する支援です。(ウ)では、地域ニーズや地域資源と高齢者の就労・社会参加ニーズのマッチングといったことが、コーディネーターの役割として書かれています。
 コーディネーターに求められるものとして、地域の実情や課題を見極め、既に地域で活動している者も巻き込みながら、その課題に適切に対応する能力を持ち、多層なネットワークを持つ又は築くことができる者が理想的である。そうした人を発掘し、育成する仕組みが重要であるといっています。
 現実的な問題として、1人のコーディネーターが、それらの理想的な能力を備え、全ての役割を果たすことは難しいと考えられることから、個々の能力に応じ、不足とされる知識・能力分野、例えば経理、人事労務、商品開発等の専門性の高い分野、また地域住民一人一人が直面する具体的な問題に関する知識といったものを、他の機関等のサポートによって補うことも必要となる。こういった他の機関がサポートする際の役割を、シルバー人材センターやNPO等の組織が担うことも考えられる、ということが指摘されております。
 さらに、そのマッチングを図るに当たっては、キャリアコンサルタント等の資格を活かすといったことも有効ではないか、ということが書かれています。また、高齢者の中から、こういった役割を担うことができる人材を掘り起こすことも有用であるということも書かれています。
 次が「プラットフォーム、コーディネーター設置の推進モデル事業」について言及しています。高齢者が地域社会の支え手となるためには、市区町村が中心となり、各機関が連携して取組を進めていくことが重要である。市区町村が中心となって各機関が連携することが重要であると示した上で、そのため、連携の強化のためのプラットフォームを設置することや、地域のニーズと高齢者をマッチングするコーディネーターを配置することが効果的である。これは、今までの議論の中で、提言等で出てきたところです。こうした取組が全国に普及するように既存の施策なども十分に活用しつつ、支援を充実することが求められる。そうした中で、幾つかの地域でモデル的に取組を実施するということが考えられるのではないか、ということが出ています。
 特に、こうしたプラットフォームを設け、コーディネーターを配置するに当たっては、連携を要する組織も多いということで、モデル的に実施することが効果的ではないか、有効ではないかということが書かれています。
 その次は、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センターの機能強化ということが書かれています。シルバー人材センターについては、運営体制の改善や運営に携わる者の意識改革が必要ではないか。次のパラでは、事務的な就業機会を確保するために派遣による就労を活用してはどうか、といったことも書かれています。
 社会福祉協議会については、ボランティア活動に結び付けるコーディネートなどを行ってきたわけですが、今後は新たな展開、機能強化を図るべきではないかということが指摘されています。それから、社会福祉協議会とシルバー人材センター等の就労ニーズを受け止める機関等との相互の情報共有、連携の強化といったことも最後のパラに書かれています。
 地域包括支援センターについては、地域生活支援の充実、高齢者の社会参加を促進していくために、体制の強化も含め、センターの機能を強化していくことも必要であるといったことが示されています。
 次が「専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方」ということで、これが提言の3つ目に該当する部分です。これは、専門的な知識や技術を有する高齢者を活用するために、地域の経済団体や地域密着型の金融機関等の協力を得ながら、地域の企業を掘り起こしていく、そしてマッチングを行うことが必要ではないか。特に先ほど示した、労働需要が顕在化していない分野、専門的な人員が不足している分野等については、企業における潜在的なニーズが大きいために、双方のニーズを掘り起こす支援をするとともに、マッチングを進める必要があるのではないか、ということが書かれています。
 それから、対人業務などのサービス業の分野において活躍できるというのは、これも前に出ていたところです。さらに、先ほども出ておりましたが、事務的な職種の確保といった観点からも、高齢者派遣といったものも有用ではないかというところです。
 提言の4番目ですが、「企業における高齢者の活用のあり方」ということです。これは、企業における高齢者の戦力化ということで、提言の4番に該当する部分です。企業の中には、人事管理等に対応する人材が不足していることや人事管理手法の情報が不足している。人材の不足ですとか、人事管理手法の情報の不足です。こういったことに対応するため、情報提供が必要であるということです。具体的には、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において、人事管理手法等、様々なノウハウの蓄積、事例の収集がありますので、こうした知見の活用が期待されるのではないかということです。
 また、経済的な理由で引き続き働き続ける必要がある。先ほど、高齢者のニーズの所でそういった類型があるということを申し上げましたが、こうした方々については、ハローワークにおいて雇用につなぐことができるような就職支援を行っていく必要がある、ということが書かれています。
 こうした中で、最後の取りまとめです。国、都道府県、市町村といった所の役割が書かれています。?都道府県、市区町村の役割です。ここでは2行目にありますように、各事業実施主体を連携させること。4行目以降に、市区町村が把握している、介護、生活支援、子育て、防犯・防災など地域のニーズをプラットフォームやコーディネーターに対して情報提供することが必要である、ということが書かれています。それから、金銭支援の話等について、あるいは具体的な活動場所の提供といったことも書かれています。
 ?国の役割については、各地域の自治体、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、社会福祉法人等の関係機関・プラットフォームの担当者、コーディネーターに対する研修機会の提供、モデル的取組を行を地域に対する支援など、そういったものが必要であるということがお示しされています。
 以下は、参考資料が付いていまして、一番最後の所は好事例について載せる予定ですが、関係団体等と現在調整中であるということで、このような形となっています。以上です。
○大橋座長 ありがとうございました。これまで皆さん方から頂いた御意見が、非常によく整理されてまとめられていると思います。また、この報告書の肝になる部分も、しっかりと書かれています。特に、地域の支え手として働くための仕組みのあり方として、プラットフォーム・コーディネーターの必要性というところが詳細に書かれています。この報告書について御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
○山田氏 今、座長からありましたように、これまでのいろいろなヒアリングを含め、非常に網羅的にこれまでの議論をおまとめいただきまして、私も大変頭の整理になりました。特に、コーディネーターをどのようにするのかとか、プラットフォームをどうするのかというのが、大枠がきっちりと書かれていて、私も頭がよく整理されました。
 中身に関する細かい点ではあるのですが、まずコメントとして、地域によってシルバー人材センターが頑張っている所とか、地域包括支援センターが非常に頑張っている所、社会福祉協議会が頑張っている所、など地域に応じて様々な実情がありますので、例えば11ページで、プラットフォームのコーディネーター設置の推進モデル事業が提案されていますが、これは是非やっていただきたいと私も考えていますが、幾つかの地域でモデル的に取組みを実施する場合、今、申し上げましたように、いろいろな特色のある、それぞれの地域で強み弱みがありますので、そういううまく特徴を持った地域を最初にパイロット的に選んで、モデル的な事業を推進していただけたらと思います。
 あとは、細かな質問になるのですが、13ページです。例えば「企業における高齢者の活用のあり方」という所で、私も独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が、こうした事例の情報収集されていることは聞き及んではいるのですが、どのように利用するのかという具体的なところが、ここの中でも話し合われていないところだと思いますので、書き込むかどうかは座長に一任だと思いますが、内容についてもう少し詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○中山高齢者雇用対策課長 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構ですが、従前から企業の好事例等を収集したり、アドバイザーが500人ほどいるのですが、専門家によるアドバイス、そういった知見等が蓄積されておりまして、そういったものをいかにフィードバックをしていくかということが、従来から課題になっていますが、多くの知見が蓄積されているということです。
 また、今も高齢者を戦力化するに当たって、どのような手法が考えられるかということで、研究等を始めているところです。そういったものも今後いろいろと情報提供する上で、有効なものになるのではないかと考えているところです。
○山田氏 分かりました。どうもありがとうございます。
○大橋座長 この検討会の報告書は、非常に重要な一歩を踏み出したのではないかと思っています。というのは、従来から「生涯現役社会」ということはよく言われていましたが、それは、単に働ける間は働くというような程度の意味を持っていたというように思うのですが、これは、生涯現役社会の具体的なあり方を、かなり踏み込んだ形で書いております。特に、NPOとか、無償ボランティア、有償ボランティア、シルバー人材センター等の、いろいろな働く場合の仕組みがあって、その仕組みについても触れながら、同時に、1つの地域における高齢人材のビジネス化のようなものも、コーディネーターあるいはプラットフォームというような切り口で、進展させようという意味合いもあります。
 今年の4月から、65歳までの継続雇用は一応実現されると。その後の姿について、余り書いたものはないのです。そういう点では、これはすごく大事な一歩です。もちろん、これから事実がどのように展開するかで、修正等はあり得ると思うのですが、1つ方向を踏み出したという意味で、大変大きな意義のある報告書ではないかなと思っております。そういう点では、皆さん方、どうぞ御自由に意見を述べていただきたいと思います。
○原野氏 6回の会議でして、以前にこれの事前説明を受けたときも、かなり会議で議論されたことは網羅されていると私も思っております。それで、先ほど、これがうまく報告書でまとまって、それに資料が付いて、何らかの冊子のようなものができるのかもしれませんが、実際に65歳以上の方々が日本国中にたくさんいらっしゃって、国はこういうことを今、考えていて、あなた方はこのようになさったらいかがですかということを、より1人でも多くの人にこのことをお知らせしなければいけないと思うのです。一部の報告書が棚に納まっていてもしようがないのです。
 私は前から申し上げていますように、割と私どもの自治体は、シルバー人材センターとも、社会福祉協議会とも、月に1回ぐらいは必ず会っておりますので、是非これがまとまったら、こういうことを考えているのですということを、会議体の中で私は時間を頂戴して説明したいと思っているのです。
 そこで、また現場の御意見も承りたいと思っているのですが、そのPRというか、少しマスコミに乗って、「国がこういうことを発表しました」という程度ではなくて、バラエティー番組でまで取り上げろとは言いませんが、たくさんいらっしゃる熟年者の方々が、ああそうなんだ、私たちには役割があるのだ、もっとやらなければいけない、そういう仕組みを国も考えているし、自分たちが一歩踏み出すのだという気持ちになってくれると、プラットフォームであろうが、コーディネーターであろうが、声を掛けやすいし、作りやすいと思うのです。
 ですから、報告書を作りました、お疲れ様でしたではなくて、次にこれをどう活かすかというところまで、是非、国の力でやっていただけるといいかなと思いました。
○澤岡氏 今、原野委員の御意見に加えさせていただきますと、マッチングを担うプラットフォームとおぼしき方々にお配りする予定なのでしょうか。まずは、報告書は、紙媒体ではどういった所に配布する御予定なのですか。
○中山高齢者雇用対策課長 これも今後検討して、できるだけ周知効果が高まるような形でやりたいと思いますが、とりあえずホームページ等に掲載することになっておりまして、関係団体等にもできる限り電子媒体は送りますが、紙媒体ということについても、いろいろ検討してみる必要はあろうかなとは考えております。基本的には、電子媒体を活用して、関係機関にはできる限りお伝えをするということになろうかと思います。
○澤岡氏 1つ御提案というか、少し手間がかかるかなとは思うのですが、プラットフォームとしての機能を期待されるような機関にお配りするというのも、1つの方法だとは思うのですが、今、原野委員がおっしゃったように、シニア御自身の方々が、国がこのように自分たちのことを期待しているのだということを知っていただくという意味でも、このままというわけにはいかないかなとは思うのですが、シニアの方々に向けての国のメッセージとして、これを書き換える形で、例えばそれを生涯教育。
 ここで生活観、社会観、仕事観をチェンジしていかなければいけないということも書いていらっしゃいますが、そういうチェンジする場として、市民大学とか生涯学習大学といった所があると思うのですが、そういった場でどんどん配布をして、国はこういうことを考えている、皆さんはどのように考えますかと、考えていただく、1つのチェンジの材料として使われてもいかがかなと感じております。
 もう1つありまして、これは私もいい言葉が見つからないのですが、9ページの所で、?に「退職前の職業観、生活観の見直し」と書いている部分です。私も、一度打合せに来ていただいたときに、マインドをチェンジしていただくことをどう言葉に置き換えれば伝わりやすいかということで、ここも少し言葉を工夫していただけたらと申し上げさせていただいたのですが。「生活観の見直し」というのは、何となくピンとはくるのですが、「職業観の見直し」というのが、地域でシニアの方々が、御自身の力を活かして働かれるというような部分へのマインドチェンジということを、うまく言い得ている単語かなと考えますと、「職業観」というのは何か違うようなイメージも受けております。
 どのような言葉がいいのかというのは見つからないのですが、ここは肝になる部分かなとも思いますので、報告書として完成されるまでに、この場で検討いただいてもいいと思うのですが、もう少し的確に伝わる、それもインパクトのある言葉で、何か置き換えられないかなと感じております。
○大橋座長 やはりマインドリセットは非常に大事ですから、本当は、もう少し過激な言葉でアピールしたいのですよね。
○澤岡氏 はい。
○大橋座長 ただ、人が受け取るときの感じが人によって違うから、その辺で少し安全なところを選択されたのではないかと思います。その他、いかがでしょうか。
 時代の背景でも、意外にこれは遅くないのです。というのは、団塊の世代が65歳以上になってきますから、今からこういう討議を始めても、決して早いということはないです。ただ、皆さん、65歳までの継続雇用が何となく決まって、ほっとされているでしょうけれども、どんどん65歳以上になってきますからね。いかがでしょうか、よろしいですか。ほかにございませんか。
 それでは、報告書(案)につきまして、おおむね各委員の御了承が得られたと思いますので、今月中をめどに最終的な報告として取りまとめたいと思います。あとは文言の修正等、要望がありましたし、こういうことを書いてほしいという要望もありましたが、座長である私に御一任いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋座長 ありがとうございます。今日は少し早いのですが、これまでには3時間に及ぶ会議をしたこともありますので、これはお許しいただくということで、本日は終わりにさせていただきたいと思います。事務局から御連絡はありますか。
○中山高齢者雇用対策課長 報告書の文言等について、座長と御相談いたしまして、それから公表の段取り等につきましては、事務的に御連絡を差し上げます。よろしくお願いします。
○志藤氏 この報告書に載せるかどうかということとは全く別に、私も社会の空気を、高齢者が働くのが当たり前の時代にしていかなければいけないということは、自分たちの団体の主張でもあり、申し上げているのです。この中でも、高齢者の意識を変えていくということは何度も書かれているのですが、本当のことを言うと、もっと小さなときからというか、小学生とか中学生とか、子どもの頃から、会社が終わったらもうその人の人生が終わって、余生というもので、後は悠々自適という時代ではなくなってきているという、人生90年あるいは100年の中で自分のライフコースというか、ライフスタイルというか、どう生きて、どう遊んで、どう楽しんで、また働いてという、そういうことを自分なりに考えていくことの必要性というのは、これから、むしろ若い方々に教育をしていかなければならない時代だと思うのです。
 それはここに書くことではないとは思うのですが、そういうことも含めた、高齢者だけが気持ちを変えるとか、意識を変えるとか、行動を変えるのではなくて、日本という国全体が、子どもから、生まれたときから、自分は90年生きるのだという中で、どうやって生きていくかということを考えるという国にしていかないといけないのではないかというところを、どこかで言えたらいいなと思います。突拍子もないことですが、よろしくお願いします。
○大橋座長 本日の議事につきましても、議事録を公開させて差し支えないと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋座長 ありがとうございます。最後に、検討会を終えるに当たって、岡崎職業安定局長から御挨拶がありますので、よろしくお願いいたします。
○岡崎職業安定局長 2月以来、6回に渡りまして、ヒアリング等をしていただく中で、報告書を取りまとめていただきまして、ありがとうございました。
 先生方からも御意見がありましたように、報告書は作ることに意味があるのではなくて、これをどうやって活用するかということが重要だと思っています。1つは関係者の方々、特に、対象として考えた高齢者の世代の方々に、どうやって知っていただくかは非常に重要だと思っています。いろいろな機関の力を借りながら、この考え方を普及させていきたいというのが1つです。それとともに、考え方を普及するだけでは物事は進みませんので、これにどういう形で予算等を確保して、現実的に国として支援できるかということも、しっかりと考えていく必要があるだろうと思っております。
 従来、私は職業安定局長でありますが、厚生労働省もいろいろな部局がありまして、私どもはどちらかというと雇用、就業という観点からやってきましたが、今回、社会援護局、老健局も参加しております。それぞれの立場で、高齢者の活躍の場、あるいは高齢者を支えるという両側からの関係でありますが、それぞれ担当してきております。
 今回は、いよいよ団塊の世代が60代後半に入っていくというところにきまして、厚生労働省としても、省一体として対応しなければいけないということで、今回、3局で連携してこの会議にも臨みましたし、生涯学習の話もあるので、文部科学省にもお願いして参加していただいております。そういう意味で、成長戦略でいろいろな議論がありますが、こういう状況の下では、高齢者の方々にもしっかりと活躍していただくというのは、非常に重要だと思っておりますので、今申しました2つの意味におきまして、この報告書を活かしていきたいと思っております。
 また今後とも、いろいろな形で具体化していく中で、御指導、御支援いただければ有り難いと思っております。いずれにしましても、この6回の議論、どうもありがとうございました。
○大橋座長 それでは、これをもちまして第6回生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会を終了いたします。これまで精力的に御議論いただきまして、大変ありがとうございました。


(了)

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