ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会)> 第1回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録




2013年5月7日 第1回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録

○日時

平成25年5月7日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省19階 専用第23会議室 
東京都千代田霞ヶ関1-2-2


○出席者

岩村委員長、池田委員、大橋委員、菊池委員、斎藤委員、首藤委員、鈴木委員、諸星委員、山本委員

○議題

(1)年金個人情報の管理(保護・提供(開示)・確認訂正)の現状について
(2)今後の進め方について

○議事

○事業企画課長
 お待たせしております。
 今、岩村委員に確認をさせていただいていますので、お越しになるまでの間、少し始めさせていただければと存じます。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまから第1回「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
 また、委員の御就任に当たりまして就任依頼の文書発出がおくれるなど、皆様に大変御迷惑をおかけいたしました。大変申しわけございませんでした。
 しばらくの間、私のほうで議事進行を務めさせていただきます。
 それでは、委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと存じます。五十音順に御紹介をさせていただきたいと存じます。
 それでは、まず池田惠利子委員。
 岩村正彦委員は、間もなくお越しになると思います。
 大橋真由美委員。
 菊池馨実委員。
 斎藤聖美委員。
 首藤由之委員。
 鈴木由美委員。
 諸星裕美委員。
 山本隆司委員。
 また、事務局からの出席者は、お手元にございます座席図のとおりとなっておりますので、紹介にかえさせていただきたいと存じます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、クリップを外していただきますと、議事次第の後ろ、資料1はこの委員会の設置について、資料2-1「年金個人情報の管理の現状について」、資料2-2「関係条文集」、資料3「今後の進め方」、参考資料が2種類ついているかと存じます。
 お手元にございますでしょうか。足りないもの等ございましたらば、おっしゃっていただければと存じます。
 実はあらかじめ年金部会の神野部会長に御相談をしましたところ、岩村委員に委員長をお願いしたいということでございます。ここで岩村委員に委員長をお願いすることとして、これからの議事運営につきまして岩村委員長によろしくお願いをしたいと考えております。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○事業企画課長
 それでは、しばし私のほうで進行をさせていただきたいと存じます。
 まず、カメラの方はここで退室をお願いいたします。よろしいでしょうか。

(カメラ退室)

○事業企画課長
 それでは、まず事務局から資料の説明をさせていただきます。

○政策企画官
 年金局の企画官をしております尾崎と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元に資料1、資料2-1、資料2-2、資料3とございます。
 お手元にこういう形で「ねんきん定期便」のはがきと「ねんきんネット」に関する見本の資料がございます。これらにつきまして概略の御説明をさせていただければと思います。
 まず、資料1でございます。資料1につきましては、3枚資料を用意させていただいておりますが、1枚目の委員会設置についてというところと、3枚目、こちらも設置についてですが、横紙のA4の資料につきまして、4月1日の年金部会で御審議をいただきまして、専門委員会を設置するということで御了承いただいたものでございます。
 その後、先ほど当課の課長よりお話がありましたとおり、専門委員会の委員の名簿、委員長につきまして、部会長と御相談の上、部会長の御指示等により決定をさせていただいた、こういう流れでございます。
 資料1の3枚目、A4の横紙を見ていただければと思います。委員会の設置についての現状と課題、論点というものをまとめた資料でございます。
 年金個人情報、年金原簿に書かれている記録でございます。年金記録の問題と言いますと、未統合記録約5,000万件の問題から始まりまして、これまで国会、あるいはさまざまなところで問題になり、私どものほうで未統合記録約5,000万件、あるいは紙台帳記録をきちんとコンピュータに移しかえていなかった問題等について、さまざまな対応をしているということでございますが、本日ここで専門委員会という形で設置させていただくのは、この未統合記録等の問題についてどう解決に向けて対応するか、ということではなくて、ここにございますとおり、総務省の年金記録確認第三者委員会から、この未統合記録等の問題が今後も発生する可能性があるなどの御指摘があったわけでございまして、年金記録につきまして、改めて生活設計や財産権に影響する問題でありますし、今後も起き得る可能性があるということを踏まえまして、年金制度の中に記録訂正が恒常的に可能となる手続を設けるなど、年金制度の中でのあり方、位置づけというものを改めて検討していく必要があるのではないか。こういうことでこの専門委員会を設置し検討いただく、ということで、年金部会で設置の御了承をいただいたものでございます。
 「主な論点」ということでございまして、これは論点整理等で委員の皆様方の御指摘を踏まえながら整理をしていきたいと思いますが、より簡便で迅速な訂正手続、あるいは国民の立場に立った調査審議のあり方。司法手続を考慮した手続。あるいは再発防止といったことで、今後の正確性の向上に資する取り組みの検討といったことを年金制度の中でどのような形で考えていくかということをぜひ御議論をいただければと考えております。
 可能であれば夏ごろをめどに取りまとめをお願いしたいと考えております。
 1枚目に戻っていただきまして、1から3までは今のようなお話でございます。
 4番目の運営でございますが、今後、委員の皆様方にも御相談しながら、委員長とよく御相談をしながら進めさせていただきたいと思いますが、議事については原則公開とし、また、必要に応じて関係者の意見聴取を行うことができる、としております。
 また、専門委員会の検討の結果につきましては、年金部会に報告をする、このような段取りになっております。
 こちらが資料1の説明でございます。
 続きまして、資料2-1に入らせていただきたいと思います。
 具体的な年金個人情報の管理の現状についてまとめた資料になってございます。
 特に年金制度、年金の法令との関係で現状どうなっているかといったことを中心にまとめておりますので、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料2-1は4つに分かれておりまして、おめくりいただきますと2枚ほど資料がございますが、「年金個人情報の管理についての現状」と「年金個人情報について」ということで、資料の1ページ目と2ページ目になるかと思います。これが今の管理の全体像をまとめたもの、あるいは検討していく上でのベースとなるものでございます。
 1ページ目の図を見ていただきますと、「情報の厳格な保護・再発の防止」「最新の情報の開示」「訂正の手続き」と3つに分かれておりまして、今の年金制度の中での位置づけ、現状をまとめたものが3ページ以降、具体的には4ページ以降から3つに分かれてまとめられている、このような資料構成になっております。
 まず最初に、全体像をまとめました資料2-1の1ページ目をごらんいただければと思います。
 一番上のほうに書いてございます内容は、これは先ほどの資料1とほぼ同じような記述でございますけれども、「年金個人情報(年金の原簿の記録)」という法令用語でございますが、年金個人情報については、プライバシー性が高い、あるいは権利性が強い、長期に保存するといったことなどから、日本年金機構法という法律にほかの個人情報よりも厳格な保護を規定しておりますし、また、いつでも最新の記録が確認できるような情報提供、開示の仕組みにしているところでございます。
 仮に訂正の手続をする場合には、行政機関個人情報保護法に基づく訂正手続ということで、一般法に基づく訂正手続、年金固有の手続といたしまして○2、○3ということで、○3年金事務所にこれは間違いがあるのではないかということで訂正等の相談があった場合に、証拠等があれば、その場で訂正をする。仮に証拠等がなくても、○2にございますとおり、総務省の第三者委員会によるあっせんを受けて訂正する。このような手続になっております。
 下の図でございますけれども、現状、こういったサイクルのような形で対応している内容をまとめております。情報自体を厳格に保護、管理する、間違いが起きないようにするということで、括弧書きにございますとおり、日本年金機構法に必要な規定がある、あるいは広報やチラシでの周知、事業主指導などによりましてこういった厳格な保護、発生防止というものに努めている。
 右に行きまして「最新の情報の開示」ということで、後ろにも出てきますが、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」により年金記録を開示したり、あるいはさまざまな年金機構における事業の実施を通じまして早期に発見するといったことで最新の情報にしていく。
 仮に間違いがあったときの手続として、先ほどお話をさせていただきました一般法の行政機関個人情報保護法、あるいは年金機構で訂正できるものは訂正をする。明確な証拠等がなくても、御本人の立場に立って検討して、調査した上で記録を訂正する。このような手続でぐるぐると回っていくような形で、現状、できる限り年金個人情報の管理が適切に行われるような形にしているのではないかと考えておりますが、これを年金制度として見たときにどのようにしていくかということをぜひ御議論いただきたいということでございます。
 2ページ目「年金個人情報について」ということでございます。
 「年金個人情報の範囲」ということで、法律事項、省令事項、その他ということで、それぞれ国民年金、厚生年金で分けて規定してございます。
 国民年金法ですと14条、厚生年金保険法ですと28条ですが、法律事項、その下に省令事項等がございます。
 法律事項として○1から○5、あるいは厚生年金保険法だと○1から○4。省令事項。その他の事項ということで、実行上、右側にございますような共済組合の情報や雇用保険、あるいは市町村から入手する情報などを日本年金機構のほうで管理をしていただいているといった状況でございます。
 このような形で年金個人情報というものが年金制度の中で法令等に規定されている、あるいは法令等に規定がなくても、実行上のものとしてなされているということが現状でございます。
 次に、3ページ目でございます。
 年金制度の中での保護の現状につきまして、法令との関係の整理をさせていただいたのが4ページ目でございます。
 「日本年金機構法における年金個人情報の規定について」ということで、「一般法(行政機関個人情報保護法)との比較」ということでまとめたものでございます。
 「1.個人情報の範囲」でございます。こういう形で表にまとめてございますが、左側が一般法の個人情報保護法、右側が日本年金機構法、年金制度における法令上の規定ということで分けてございます。
 矢印に大きく書いてございますとおり、日本年金機構法の規定におきましては、年金の個人情報については、死亡した方の情報も生存者と同様に扱うということになっております。遺族年金、あるいは遺族の方への未支給年金の支給等で必要な情報のためです。
 行政機関個人情報保護法では、下線を引いておりますが、「生存する個人に関する情報」と書かれている一方、日本年金機構法においては「生存する」という用語は規定されていないということでございます。
 「2.利用目的外の利用・提供の制限」ということで、どのような場合に目的外利用ができるのか、あるいはどのような形で制限されているのかというのをまとめたものでございます。
 矢印で「法律に基づき利用・提供しなければならない場合に限定」と書いております。これは、年金個人情報のほうでは法律に基づき提供しなければならないものに限定しているということで、四角がその下にございます。一般法の個人情報保護法ですと、「法令に基づく場合を除き」ということで、5ページ目のほうにもありますとおり、「いずれかに該当すると認めるときは」ということで、4号のところにも「特別の理由があるとき」という場合にはできるということになっておるわけでございますが、日本年金機構法の場合は「法律の規定に基づき」ということで、「法律」とはっきり書かれているという点が違います。
 5ページ目にありますとおり、線を引いておりますが、「いずれかに該当するときに限り」と限定しておりまして、5ページ目の個人情報保護法の4号の「特別の理由があるとき」といった規定は、日本年金機構法の中にはないというのが今の状況でございます。
 先ほど申し上げましたような年金記録に関する問題が起きたことなども踏まえまして、しっかりと厳格に管理をするということでこのような規定があると承知しておりますが、これにつきまして、どのように考えていくかということをぜひ御議論いただきたいと思います。
 なお、一部の方からは、災害などがあったとき、あるいは福祉の目的利用などについても情報提供の必要があるのではないか、そのときに今の日本年金機構の規定がどうなのかという御指摘などもいただいている状況でございます。

○事業企画課長
 事務局です。
 ただいま岩村委員長がお越しになりましたので、議事を岩村委員長にお願いをしたいと存じます。
 ただいま資料2-1の6ページまで来たところでございます。引き続き事務局から資料の説明を続けたいと思います。よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 では、6ページ目の説明に入らせていただきたいと思います。
 先ほどお話をさせていただいたような非常に厳格な保護の取り扱いになっているわけでございますが、発生を防止する、あるいは仮に間違いがあったときの再発を防止するためのさまざまな具体的施策というものもとられている次第でございます。
 詳しい御説明は省略をさせていただきますが、具体的施策として、御本人や事業主の方への意識啓発、あるいは届け出に間違いがあったときの事業主指導、あるいは市町村、関係団体との協力ということで、それぞれ事業主向け、被保険者向け、市町村向けとさまざまな施策を進めているという状況でございます。
 年金制度の中で発生を防止する、あるいは再発防止ということで、どう考えていくべきなのかといったことをぜひ御議論をいただければと思います。
 事業主向けのほうの概略でございますけれども、事業主向けですと、届け出漏れや届け出の誤りというものが、後ほど御説明をさせていただくように恒常的に起こり得るという状況になっている中で、お知らせを日本年金機構から送る、あるいは情報提供をする、あるいは事業所調査などを行うこと、この事業所調査自体は法令の規定に基づくものであるわけでございますけれども、4年かけて調査を行っているといったことで指導しているということでございますが、これら対応のあり方について、ぜひ御議論いただきたい。
 被保険者向けにつきましても、ホームページ等での情報提供、あるいは勧奨等を行っています。また、市町村との連携で電子化、オンライン化を進めている、このような状況でございます。
 続きまして、7ページの「年金個人情報の提供について」というところに移らせていただきたいと思います。
 具体的には8ページでございます。「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」ということで、1枚でそれぞれ対比させる形で資料をまとめさせていただいております。
 「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」の概略を御説明させていただく前に、資料2-1にはつけておりませんが、資料2-2「関係条文集」をちょっと見ていただければと思います。年金制度のあり方の検討をしていく上で、現状ということで、条文をまとめております。5ページ目「年金個人情報の提供」を見ていただきながら、この資料のほうもあわせて御参照いただければと思います。
 資料2-2の5ページ目「ねんきん定期便」から7ページ目「ねんきんネット」、この3ページ分にわたりまして根拠条文をつけさせていただいております。根拠条文を見ていただきながら概略を御説明させていただきます。
 資料2-1のほうに戻っていただければと思うのですが、「ねんきん定期便」は21年4月からということで、毎年1回、誕生月にはがきをお送りする、あるいは節目年齢、35歳、45歳、59歳のときに全ての情報をお送りするという形になってございます。
 「ねんきんネット」でございます。今の「ねんきんネット」という名称でスタートしたのは23年2月からということでございますが、インターネットを使いまして24時間いつでも見られるということで、被保険者・受給者の方々は、ここにございますような内容につきまして、いつでも確認ができるようになっています。
 なお、利用者数は166万件、コールセンターや市町村、郵便局でもごらんになれるというサービスも提供しているところでございます。
 先ほどこちらも御参照くださいと御説明させていただきました資料2-2の根拠条文のほうもあわせてここで御説明したいと思います。
 資料2-2の5ページ目にございますとおり、国民年金法の「ねんきん定期便」は、「厚生労働大臣は」ということで、線を引いてございますけれども、国民の理解を増進させ、信頼を向上させるため、ここにございますような必要な情報をわかりやすい形で通知をするという規定に基づいて「ねんきん定期便」をお送りしているということでございます。
 6ページ目は厚生年金保険法。
 7ページ目は「ねんきんネット」の根拠条文でございます。
 7ページ目でございます。国民年金法、厚生年金保険法、ほぼ同じような条文でございますが、「被保険者等の利便の向上に資する情報を提供する」「電子情報処理組織の運用を行う」といった規定がここに掲げられているところでございます。
 「ねんきん定期便」「ねんきんネット」につきまして、このような規定を含めたあり方、年金制度の中での位置づけ等を含めまして、ぜひ御議論をいただければと考えております。
 この資料で最後の項目、年金記録の訂正に関する現状についての御説明に移らせていただきたいと思います。資料でいきますと11ページ以降、具体的には12ページからになるわけでございますが、年金記録の訂正ということで資料を用意させていただいております。
 11ページが「一般法に基づく行政機関個人情報保護法制による年金記録訂正の流れ」ということでございます。これは一般法でございますので、年金記録に限らず、ほかの個人情報、さまざまな情報とともに一般法のこの流れの中でやっているということでございますが、年金制度に当てはめてみますと、この資料の図のところにございますとおり、被保険者・受給者の方がまず個人情報の開示を厚生労働大臣に請求する、開示請求がまず行われるということになります。
 その後、○2開示決定をして、自分の年金個人情報の訂正が必要ではないかというときには訂正請求を行って、それに対する訂正・不訂正の決定がなされ、仮にそれについて不服申し立てがあったときには、厚生労働大臣に不服申し立てを行いまして、この場合、内閣府の個人情報保護審査会に諮問、答申という手続も経て不服申し立ての決定が行われる、このような手続になっております。
 左側に四角で囲んでございますけれども、訴訟の提起というのは不服申し立て前置ではないということでございまして、不服申し立てをせずに訴訟を提起することも可能ということになっています。
 ただ、行政機関個人情報保護法に基づく記録訂正の流れについては、年金に関しては1年間で数件程度です。明確な証拠等があれば訂正をするということになるかと思いますが、むしろ次の12ページ目の記録の訂正の流れのほうがより多くの方が御利用されているという状況になっているものと考えているところでございます。
 なお、13ページ目で法律の条文を規定してございます。開示請求権、訂正請求権ということで、誰でもこの法律に基づいて開示が請求できるということでございますし、訂正の請求もできるということになってございまして、いずれにしても、一般法の規定に基づいてこういう形で道が開かれているというのが、今の一般法に基づく記録訂正の部分でございます。
 14ページでございます。年金の場合は、むしろこちらのほうが多く使われているわけでございますけれども、「年金記録訂正の流れ」ということで、14ページ目にまとめさせていただいております。こちらも図をもとに御説明させていただきたいと思います。
 まず、被保険者・受給者の方が自分の年金記録について、○1照会・相談をする。自分の記録がどうなっているのか、あるいは訂正が必要ではないかといった相談・照会等があったときに、明確な証拠等がありまして、これは訂正が必要だということになった場合には、年金事務所のほうで職権訂正をするということになっております。
 明確な証拠等があるわけではないけれども、照会・相談等につきまして、総務省の第三者委員会で御審議いただく必要があるものは、その申し立てを受け付けまして、総務省の年金記録確認第三者委員会のほうに転送するということになります。
 そこで、○3にございますとおり、あっせんをする、あるいはあっせんをしないというのを専門家の方々に御議論いただきまして、そして総務大臣のほうから厚生労働大臣のほうにあっせん・非あっせんの決定が通知される。被保険者の方には、厚生労働大臣から年金事務所を通しまして、あっせんを受けて記録訂正をする場合はその通知、非あっせんの場合はその旨を通知する、という流れになっているところでございます。
 下のほうに○が4つございます。
 最初の○で「年金記録確認第三者委員会は、総務省の所掌事務である、行政機関の業務に関する苦情の申出について必要なあっせんの事務を行う」という規定がございまして、総務省の本来の所掌事務としてあっせんを行うことができるということになっております。総務省の第三者委員会のあっせんというのは、この規定に基づく準備という形で厚生大臣のほうに来るということになっております。
 次の○にございますけれども、総務省の第三者委員のほうで審議するときには、疎明基準と呼ばれておるわけでございますが、「一応確からしい」という基準によって審議を行って、あっせん案をつくるということでございまして、必ずしも明確な証拠がなくても、一応確からしいということであれば、厚生労働大臣のほうに記録を訂正するあっせんが行われる形になっております。
 あっせんがありますと、この資料には明確に書いてございませんけれども、平成19年に閣議決定がございまして、当時は社会保険庁がありましたが、この社会保険庁のほうでこの記録のあっせんがあった場合には、それを尊重して対応するということになってございますので、厚生労働大臣のほうは、総務大臣からのあっせんを踏まえて記録を訂正するという流れになるわけでございます。
 一方で、次の○でございますけれども、この総務大臣のあっせんにつきましては、行政処分ではなく、事実上の行為という位置づけですので、仮に被保険者・受給者の方が、記録の訂正についてあっせんが行われなかった、あるいは自分の求めに応じたあっせんにならなかったといったときに、総務大臣のあっせんについての訴訟提起をしても却下される傾向にあるということになってございます。
 そういう問題点が指摘されているということでございまして、この表でいきますと、一番左側に「司法手続への移行に課題」「申立てに係るあっせんについて却下される傾向にある」と書かせていただいております。
 また、不服申し立て手続自体がこのあっせんに関してはないという状況にもなっております。
 一番最後の○に「第三者委員会のあっせんによる訂正以外にも、『回復基準』に基づく訂正、事務所窓口での照会・相談等を通じた訂正がある」と書いてありますが、「事務所窓口での照会・相談等を通じた訂正がある」というのは、先ほどお話をさせていただきました職権での明確な証拠がある場合の訂正ということでございます。
 「回復基準」と申しますのは、これまでも9回ほど通知を出させていただいておりますが、本来明確な証拠等がなくても、これまで総務大臣のほうで数多くあっせんがなされてきたといった場合について類型化いたしまして、それについて、このような場合には総務大臣のあっせんがなくても年金事務所段階で記録を訂正しよう。ということで「回復基準」というものを定めて、より早く回復ができるようにするという記録訂正ルールのことです。これが「回復基準」による訂正通知ということです。
 注にもありますとおり、訂正をより早くできる、ということでございまして、いろんな基準が定められているところでございます。
 なお、昨年7月の段階で「回復基準」による訂正というのは約1万件ほどなされています。ことしの夏にまた最新の数字がまとめられるものと思います。
 15ページを見ていただければと思います。
 今の年金制度の中で記録を訂正するというのはどの規定に基づいて行われているのかということでございます。15ページにございますとおり、国民年金法、厚生年金保険法におきまして、「厚生労働大臣は」で始まる部分から「記録するものとする」「記録しなければならない」、このような規定が書かれているわけでございまして、こういった「記録する」「記録しなければいけない」という規定に基づきまして、明確な証拠がある場合には記録を訂正する、ない場合には訂正しないという形でお知らせをする。このような形になっているところでございます。
 16ページ「総務省の年金記録確認第三者委員会の訂正の関連規定」でございます。
 先ほどお話をさせていただきましたとおり、総務省設置法には「必要なあっせんに関することを行う事務がある」ということでございまして、総務省設置法第4条の「あっせんに関すること」という規定に基づいてあっせんが行われている。
 また、年金記録確認第三者委員会につきましては、総務省組織令に規定が置かれておりまして、東京に中央第三者委員会、各地方に地方第三者委員会というのが置かれております。
 中央のほうは、附則の22条2項のところにありますような基本方針を決めたり、あるいは先例となると認められるようなものについてのあっせんを行っておりまして、多くの個別事案につきましては、地方の第三者委員会のほうで処理がなされていると承知しているところでございます。
 資料の17ページを見ていただければと思います。
 「年金記録確認第三者委員会の概要」ということで、記録の訂正に関して、国民の立場に立って公平な判断をするということで、総務大臣のもとに設置されておりまして、私ども厚生労働省のほうは閣議決定に基づいて、それを尊重して記録を訂正する。このような段取りになってございます。
 そのときの判断、あっせんの作成に当たりましては、社会通念に照らして、「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」を基準に行っているところでございます。
 (1)で中央、地方というのは、先ほどお話をさせていただいたようなことでございます。
 ということで、18ページに移ります前にもう一度全体像をご説明申し上げますと、行政機関個人情報保護法に基づく一般法による記録の訂正と、14ページにございますような職権訂正、第三者委員会のあっせんを経由した記録の訂正、大きく分けて3つあるわけでございまして、その中で2番目と3番目、職権訂正と年金記録確認第三者委員会のあっせんにつきましては、16ページにございます「厚生労働大臣が必要な事項を記録するものとする」という規定に基づいて行っているということです。また、司法手続への移行に課題があるのと不服申し立ての手続はないといったこと、それからこの資料にございますように、申し立てから第三者委員会による処理まで133日程度かかっているといった現状、あるいは課題等を踏まえまして、年金制度の中でどのような形で記録訂正というものを整理していくかというのをぜひ御議論いただきたいと考えている次第でございます。
 18ページ、19ページは、現状ということでございます。
 18ページ「第三者委員会発足以降の申立ての受付件数と処理状況」ということで、資料1の中にもちょっと書いてあったわけでございますけれども、第三者委員会発足以降、これまで26万件(約12万件の記録回復)の申し立ての処理がなされているということでございまして、第三者委員会自体は、当分の間置かれた臨時的な組織ということでございますけれども、過去の記録訂正につきましては、この資料を見ていただければと思いますが、件数的にはかなり減少してきているのではないかと考えているところでございます。
 要処理残件数、平均処理件数、平均受付件数ともに22年度はまだかなり高い状況でございましたけれども、23年度、24年度と減ってきているという状況でございます。
 四角で囲まれているところの3つ目「申立て事案の多くは、厚生年金事案が中心となってきている」ということで、後ろにもございますが、事業主の方々による届け出の漏れ・誤りといった事案が最近はかなり出てきているという現状になっております。
 記録訂正の要処理残件数は大幅に減ってきているということでございまして、厚生年金事案を中心といたしまして、引き続き記録の訂正というのが行われ得る状況に今、なっているということを踏まえて、今後のあり方を御議論いただきたいということで、資料をまとめさせていただきました。
 19ページ「厚生年金事案の誤り要因について」ということで、総務省の第三者委員会のほうで既に23年6月に報告書というものがまとめられておりまして、その報告書の中から一部抜き出したものでございます。厚生年金事案の誤りの要因についてまとめている資料でございます。
 ここにございますとおり、賞与の支払届の届け出漏れ、あるいは報酬額自体が漏れている、届け出が誤っているということ。
 あるいは資格取得届でございます。例えば○1試用期間中に厚生年金に加入させないという法律に反する取り扱いをしているということなど、資格取得届の届け出漏れ・誤りといったことがよく出ているということでございまして、今後もこういうことが起き得るのではないかと考えられます。
 なお、厚生年金事案でございますが、第三者委員会で取りまとめた数字によりますと、報告書にもう既に公表されているデータでございますけれども、第三者委員会ができた後の記録の間違いというのが、厚生年金事案で7,000件を超える申し立てがなされていると聞いております。要するに、第三者委員会が設置された後に記録された新しい厚生年金の記録については、7,000件を超える申し立てがなされている。
 一方で、国民年金のほうは100件ほどにとどまっているということでございまして、そのかなりの部分が届け出漏れ・誤りと聞いておりますので、その数字からも今後も起き得るということで、対応が必要ではないかと考えられます。
 以上が資料2-1と資料2-2の説明でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 委員長を仰せつかりました岩村でございます。
 きょう、ちょっと予定を勘違いしまして遅参をしてしまい、大変申しわけございませんでした。
 委員長ということで、皆様のお力をかりながら議事の進行に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今、資料1、資料2-1、2-2について御説明をいただいたところでございますが、あわせて今後の進め方についても御説明をいただきたいと思います。
 事務局のほうから資料が用意されていると思いますので、その点、よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 続けての説明で申しわけございません。
 資料3「今後の進め方」ということで、資料を用意させていただいております。
 本日は、1回目ということもございまして、私どものほうで資料1と資料2で現状等につきまして、年金制度の中での位置づけ、法令上の規定等を中心に御説明をさせていただいた次第でございますが、委員の皆様方から御質問、御意見等をいただきまして論点整理等を行っていきたいと考えているところでございます。
 第2回目でございますが、詳細、詳しいことはまた委員長とよく御相談をさせていただきたいと思いますが、もし可能でございましたら、委員の方等からの報告、ヒアリングということで、特に年金記録確認の現状等につきまして、第三者委員会での確認の現状でありますとか、あるいは年金個人情報の開示、あるいは最新の情報の提供に関する状況、あるいは課題等々につきまして、委員の皆様方等からの報告、ヒアリングをぜひ行わせていただきたいということで、予定してございます。
 では、どの委員の方にというのは、また改めて委員の方々、委員長ともよく相談をして、委員の方々に御連絡をしたいと考えております。
 第3回以降でございますけれども、可能であれば、本日あるいは第2回目でいただきました委員の皆様方からの、こういう点を議論すべきではないか、あるいはこういう資料が必要ではないかといった論点を事務局のほうで整理をいたしまして、各論点ごとに議論をさせていただければと考えております。
 考えられる論点、あくまでも事務局のたたき台でございまして、今後、○1、○2にございますような論点がさらにどんどんふえていく、あるいは一部、こういう書きぶりではなくてこういう書きぶりにすべき、というような記述の訂正等があるのではないかと思いますが、まず○1の年金個人情報の確認訂正手続につきましては、より迅速に、簡単に記録訂正ができる手続のあり方。また、国民の立場に立ってどういう形で調査審議をしていけばいいのかといったこと。あるいは司法手続への移行も考慮した手続というものをどう整理するのかといったことをぜひ御議論いただきたいと思います。
 ○2で年金個人情報の適正な管理ということで、厳格な保護と最新の情報を提供するということで、資料2-1のほうで御説明をさせていただきましたが、保護・提供の部分を中心にいたしまして、保護をしていく上での利用提供範囲をどう考えるのか。先ほど法令の規定に基づかない目的外利用というものは非常に厳しい制約を受けているという説明をさせていただきましたけれども、利用提供範囲をどう考えるのか。
 あるいは本人自身による年金個人情報の確認の推進ということで、「ねんきん定期便」「ねんきんネット」、年金制度の中での規定あるいは位置づけといったものをもう少し整理する必要があるのであれば、ぜひ御議論をいただきたい。
 正確性の向上に資する取り組みの検討ということで、さまざまな再発防止あるいは発生防止というものについて、年金制度の中でのあり方等というものをぜひ御議論いただきたい。
 そういうことで、おおむね月1回程度開催をさせていただければと思いますし、もし可能であれば夏ごろをめどに取りまとめをぜひお願いできればと考えている次第でございます。
 資料3は以上でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 ただいま年金個人情報の保護と開示、そして訂正の現状について事務局のほうから御説明をいただいたところでございます。
 今回お集まりいただきました委員の皆様は、年金保険の仕組み、あるいは事業主の現状の立場から実務面で非常によく精通された方々、あるいは行政法、社会保障法などに精通された方々でいらっしゃいます。
 これから大体1時間程度、委員の皆様から今後の論点、特に制度面での論点につきまして、今、事務局のほうから今後の進め方のところで説明がありましたように御議論をいただければと思います。
 フリートークのような形で忌憚のない御意見、あるいは場合によっては事務局への御質問をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
私は法律の専門家ではないので、一般的なコメントになります。年金の特徴的な点は、大体60歳前後になってから皆さんの関心が高まるというところだと思います。普通の金融商品ですと、お金を預けた、あるいは商品を買ったときから関心があるのですが、年金の場合には大体60歳前後になって初めてというところに大きな特徴があると思います。
 「ねんきんネット」が今、威力を発揮してきていますが、これはデジタルデバイドの問題を惹起しています。それに対しては紙媒体でカバーをするという配慮がなされています。ところが、エージデバイドというか、ある年齢に達すると理解力がだんだん衰えてきます。60代はまだいいんですが、70歳、80歳になると能力は激減します。それをどういうふうにカバーしていくのか、それをカバーする機関あるいは法律というのがとても必要だろうなと感じております。
 今後の進め方を先ほど御説明いただきましたが月に1回のペースだと、5月から始めると3回以降というのがあるのだろうか。ちょっとそれが気になりましたので、事務局のほうからどんなお心づもりなのか、教えていただけたらと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 では、今、御質問がありましたので、事務局のほうからお願いいたします。

○政策企画官
 まず最初に、2番目の3回目以降のお話でございます。一般的に夏と言いましても、8月、9月、あるいは7月、6月と幅広いと思います。一つのめどとして夏ということでお願いをしておりまして、具体的にどういう形で、何回やってというのは委員長ともよく相談をして、委員の皆様方の御意見あるいは御指摘等も踏まえながらまとめさせていただきたいと思いますので、3回だとか4回だとか、今の段階で、議論を始める前から回数を決めるというものではないだろうと考えておりますので、御意見、御指摘を踏まえながら今後御相談をさせていただきたい。
 最初の話でございます。最近、70歳、80歳になった方でも「ねんきんネット」を使われる方が多くなっているというふうに聞いてございます。市町村でも紙で打ち出せるようにするとか、あるいはインターネットが使えなくても、コールセンターに1本電話をすればいろいろ教えていただける、あるいは紙も送ってくれるといったサービスなども日本年金機構で行っているところでございますので、一遍にということはなかなか難しいかもしれませんが、さまざまなニーズを踏まえながら対応していく、努力をしていくことが今後必要なのではないかなと考えております。

○岩村委員長
 よろしいでしょうか。では、斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 デジタルデバイドに関しては御配慮いただいていると理解いたしています。それとは全く別の問題として、エージデバイドということで、年齢によって、紙で来ようが、電話で来ようが、理解できない、理解しようという気力のない高齢者たちをどういうふうに救済していくのかというところの配慮が必要なのだろうなというコメントでございます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 それは、どちらかというと年金制度そのものの問題というよりは、多分ある程度理解力等にだんだん衰えが出てきている方、高齢者の方の権利擁護をどういうふうにするか、そちらの問題かという気がしますが。
 池田委員、どうぞ。

○池田委員
 斎藤委員が言っていただいたのですけれども、今回は情報の開示の問題もかかってくると思っております。私は長らく認知症高齢者の権利擁護の関係の仕事をしておりますが、特に高齢者の生活を考えると、もちろん年金というのはその基盤として大変大事で、個人情報を守ることが重要なのは熟知しているつもりなのですが、年金機構が基本的に本人というものを特定して、そこからでないと開示できないという形にしている中で、アクセスの入手、管理、確認、手続、受給、訂正の証明も含めて全て自己責任といいますか、本人の責任という形で個人の責任にしてしまうのは、今の社会状況として、今の時点で認知症の高齢者の方が450万人いて、特に独居、高齢者のみの世帯がふえていくという中では、年金の搾取とか、認知症の方ですと御自身のところできちんと年金の手続もできないということがあり得ますので、行政の関与、老人福祉法36条ですとか高齢者虐待防止法との関連のあたりで今後考えていただかないと、何のための年金なのかということになってしまうので、そこを一度御議論といいますか、お考えいただけるとありがたいなと思っています。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 それは、具体的には例えば市町村の権利擁護、今は名前が変わってしまいましたけれども、日常生活支援のための事業などで高齢者の方の支援をやるときに、年金情報の開示をその高齢者の支援をやる方が求めたとしても見せてもらえないとか、そういうお話なのでしょうか。

○斎藤委員
 東北大震災のときが好例だと思いますが、緊急時のこと、災害時のことについてはきちんと考えておいていただかなければいけないということだと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 では、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員
 2点あります。1点は意見で、もう一点はこの委員会の枠組みにかかわることの確認です。
 まず、1点目の意見です。これは今後議論していく事柄ですけれども、今回、第三者委員会に変わってかどうかわかりませんが、新たな訂正手続のあり方について議論していくということですけれども、私の認識では、第三者委員会というのは、いわば非常事態において年金記録問題に対応する、そのために当面の間、設けられた組織であるという認識でおりまして、多分そうなのだろうと思います。
 今回議論されるのは、恐らく紛争処理、その後の法的な処理も含めた形での恒常的な仕組みをどうするかという話ではないかと思います。
 そこは切り分けて考えていかないといけない。これは行政法の先生方に教えていただきたいのですけれども、いろんなところで行政一般にかかわってくるような話だと思うので、先ほど疎明基準というお話もありましたが、非常事態における仕組みと恒常的な今後の仕組みというのは、しっかり切り分けて議論を進めていく必要があるのではないかと思っています。
 非常に個人的なお話なのですけれども、実は私の配偶者もこの第三者委員会にお世話になりました。何の証拠もなかったのですが、1回だめだと言われて、いや、そんなことはないと突っぱねたところ、また調査していただいて、認めますということで、非常にありがたい結論をいただきました。いろいろ調べていただいたのだと思うのです。ただ、それは非常に行政コストのかかることだったろうなとも思いますので、これは私の個人的な経験ですけれども、そういった意味で、恒常的な仕組みとしてしっかり議論していく必要があると思っております。
 もう一点はこの枠組みにかかわる話です。もとはといえば、年金情報の適正化というか、管理ということに関しては、従来、特に厚生年金については31条に確認の規定があって、それで何か間違いがあれば正されることが期待されていたと思うのですけれども、その後、年金情報という見地から制度、法が整備されていったという流れだと思うのです。
 ここの委員会の枠組みも、いわば国による年金情報の保護、管理という枠組みから、国対国民、被保険者という図式で考えていくということなのですが、もう一つ、事業者対被保険者、そこでの確認という手続もある中で、そこは全く射程に置かなくていいのだろうかというのが一つ確認したいところであります。
 この委員会の枠組みに関しても、例えば訂正の手続を設けるとしても、訂正を求めるには、情報がなければ御本人は求めようがないわけで、そのためには、その情報のリソースの一つは、やはり事業主からの源泉徴収票とか、そういったものだと思います。
 あるいはそこで何かおかしいなと見つかれば、公的な委員会にもっていかなくても、その段階でこれはおかしいではないかという話にもなってくると思うのです。
 私自身も給与明細をもらっていますけれども、例えば毎月の給与は、標準報酬、等級が書いてあって、月額が書いてあって、照らし合わせて、ああ、定期的に取られているのだなというのがわかるのですが、賞与のほうは、この額が適正なのかどうか、いま一つわからない。別に職場を疑っているわけではないのですけれども、そんなのもちょっと関係しているかなと先ほどの数字を見て思いました。
 そういった意味で、情報のリソースとしては、事業主と被保険者との関係というのは非常に重要ではないかと思います。
 保険料の源泉徴収というのは、ある意味で労基法の特則でわざわざ規定を設けて認めているので、ちょっとここは不勉強なのですけれども、例えばこういう事項は開示しなさいとか、そういう規定があれば教えていただきたい、資料を御教示いただきたいのです。そこである程度縛りをかけて、一定の事項については情報を提供させる。それは一義的には公法上の義務で、労働契約上の義務ではないかもしれませんけれども、そこはある程度縛りをかけるのは可能ではないかなと思います。
 要するに、まずは現行法のそこのところの仕組みがどうなっているのかというのを知りたいということ。もう一つは、この委員会の検討の枠組みの視野に入ってこないのかなというところの確認を、意見も含めてさせていただいたという次第です。
 以上です。

○岩村委員長
 意見と御質問と両方入っていたように思いますけれども、御質問に係る部分について、事務局のほうで今、お答えできる部分について、お願いします。

○政策企画官
 御指摘を踏まえて事務局で整理をしてみまして、現状といろいろな課題等を取りまとめて、菊池委員も含め御相談をさせていただいて、次回以降、整理させていただきたい。

○岩村委員長
 今の菊池委員のお話を別の角度から言うと、在職中に年金事務所に行って確認請求をやるというのは、従業員としてはやりにくいので、普通はやめてからあれはという話に多分なるのだと思うのです。
 そのときに、厚生年金保険法や健康保険法などの確認という手続のほうに来るのか、それとも、いや、おかしいというので記録訂正のほうに行ってしまうのか、一般の方々の今の行動のあり方、あるいはそういう申し出が来たときの年金事務所のほうの受けとめ方と扱い方、それは資格の確認のほうでやりましょうという話なのか、それとも訂正のほうでやってしまいましょうという話なのか、その辺の実務状況などがわかれば整理はしやすいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局
 事業企画課のほうからお答えさせていただきます。
 まさに今、岩村先生、菊池先生もおっしゃられたように、まず現行の規定として、厚生年金保険法の31条のところで資格の確認を厚労大臣に求めるという規定がございます。ただ、いわゆる資格の得喪の確認の部分だけでございまして、例えば標準報酬あるいは賞与の部分での確認というものは、現行規定としてはないというのが現状でございます。あくまで資格の得喪の確認だけでございます。
 ですので、現状、特にそういう標準報酬、賞与の部分の誤りについて、ここが間違っているのではないのかというようなお声というのは、一般的には年金事務所の相談窓口に来ていただいて、年金事務所のほうで持っている情報と食い違うというのであれば、そこで今、一番簡便な仕組みである総務省の第三者委員会さんの申し出のほうに流れているというのが現状の流れかと思います。

○岩村委員長
 そうすると、先ほどの菊池委員の御質問との関係で言えば、資格の取得・喪失だけではなくて、標準報酬・標準賞与の額の決定の問題というものも含めて、そこの記録の確認訂正というのをどうするかという話も射程としては入ってくるということなのでしょうね。
 いずれにしても、次々回は論点という話になりますから、そこで整理をしていただければということだと思います。
 菊池委員、よろしいでしょうか。

○菊池委員
 はい。

○岩村委員長
 ほかにいかがでございましょうか。では、首藤委員、どうぞ。

○首藤委員
 首藤でございます。
 委員の名簿を見ますと出版社の編集長ということで、年金のねも出てこないではないかと言われるかもしれないのですけれども、私は別にファイナンシャルプランナーの立場を持っておりまして、御承知のように、先ほども池田さんが言っておられましたが、年金はまさにリタイア後の収入の大宗を占めるものですから、その立場で年金制度について発言させていただいている者でございます。
 そういう目で見ますと、くしくもきょうの資料「管理の現状について」の1ページにあるのですけれども、この制度がなぜできたかということに鑑みますと、当たり前のことなのですが、3つの側面が書いてございます。「情報の厳格な保護・再発の防止」「最新の情報の開示」「訂正の手続き」とありまして、3つとも「誤り」というのがキーワードとして入ってございます。
 あってはならない記録問題が起きてこの開示が始まったわけですから、当たり前なのですけれども、先ほど事務局のほうから、第三者委員会が設置されて以降の厚生年金記録の誤りが7,000件とおっしゃっておりました。国民年金は100件だそうでございます。これは決して少ないとは申しません。7,000件もあって、それはやはりあってはならないことであって、訂正して当たり前なのですが、誤りだけに主眼を置くのではなくて、「ねんきん定期便」に至っては6,000万人以上に通知しているわけですから、その情報を利用、活用、そういう側面からも捉えることができるのではないかと私などは感じておりまして、その委員会の趣旨にはそぐわないかもしれないのですけれども、その面での認識もいただきたいなというふうに感じました。
 その点で1つだけ事務局に質問したいのです。「ねんきんネット」については、資料を見ますと、約2年間で160万件の利用だと出ておりました。2年で160万人というのは多いのか、少ないのか、事務局、厚労省の見方を教えてほしい。
 「ねんきん定期便」のところに今年度の予算は75億と書いてあったと思うのですが、過去4年間、21、22、23、24年度、実際コストとして幾らかかったのか、後でもいいのですけれども、数字を御開示いただければと思います。
 以上、意見と質問でございます。

○岩村委員長
 では、年金機構さんのほうから先にお願いします。

○日本年金機構事業企画部長
 事業企画部の北波と申します。どうぞよろしくお願いします。
 「ねんきんネット」の加入者数166万人というのは多いのか、少ないのかというのがございます。私どもは現在も「ねんきんネット」の加入者をふやそうということで努力をしております。2年間で166万人ということで、このところはペースが上がっておりまして、毎月当たり10万人ぐらいの新規の加入の方をいただいておりますが、人口で言いますとまだ1%程度ということでありますので、さらにふやしていく必要があると思っていますので、はっきり申し上げますと、多いとは思っていない、むしろ少ないぐらいであると考えております。
 開発費については、ちょっとお時間をいただければ調べたいと思いますので、後ほど御回答させていただきたいと思います。

○岩村委員長
 では、厚労省からお願いします。

○政策企画官
 「ねんきん定期便」の予算のほうは、また改めて資料を御用意したいと思います。
 民主党政権時代に事業仕分けというものがありまして、かなり削減されて75億円になっております。それまでは100億円程度の予算がかかっていたものと承知していますので、いずれにしても、金額は整理をしてお示ししたい。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。では、大橋委員、どうぞ。

○大橋委員
 私は、社会保障法についてはこれまで格別専門に勉強してきたわけではございませんので、制度の詳しい内容等については、委員の先生方及び事務局の方々からいろいろ教えていただかなければいけないと思っております。
 私は、不服審査とか行政相談とか、そういったことについてこれまでいろいろ勉強してきましたので、そういった視点から貢献させていただければと思っています。
 事務局のつくってくださった資料3の論点で、「年金個人情報の確認訂正手続きのあり方」と「年金個人情報の適正な管理のあり方」という2つの大きな柱があるようなのですけれども、両方ともそれなりにヘビーなトピックで、かつ内容としては異なる性質のものだと思いますので、先ほどほかの委員からもスケジュールについての確認があったと思うのですが、両方に重い重点を置いてやろうとすると、なかなか厳しいのかなと。まず、どちらを重点的に取り上げていくのかということで、こちらの委員会の作業の範疇を確定していったほうが効率的に議論できるのかなと。関連の事柄についても議論しようとすると、幾らでも範疇が広がっていきかねないので、この射程について委員の間で認識を統一したほうがいいのかなと思ったのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 では、事務局からお願いします。

○政策企画官
 確かにここにございますように、管理と言いますと、年金制度の条文の多くの部分がいわば管理に関する規定ではないかという御指摘もあり得るので、広いと言えば広いのかもしれませんが、私どもとしては、資料1で御説明させていただいたように、まず年金部会のほうで、この専門委員会で御議論いただくことにしたいと考えました出発点を踏まえますと、今後も事業主の方々の誤り、届け出漏れなどによりまして訂正というものが必要になってくる、そのときに司法手続に行けない等のさまざまな御指摘をいただいたということを踏まえての検討ということでございまして、法制的に非常に難しい課題だと承知しておりますけれども、まず、資料3の○1にございます訂正手続のあり方について、しっかりと御議論をいただきたいと考えておる次第でございます。
 そのほかにも、○2の利用範囲の提供の問題であるとか、あるいは「ねんきん定期便」「ねんきんネット」における年金制度の中での規定のあり方といったことなども非常に重要な論点だと考えておりますので、そういう意味で、○1、○2という順番でまず確認手続、保護、情報提供についても御議論をいただきたい、このようなことでまとめておりますので、ぜひ皆様方の御意見をいただきたいと思います。
 今後、委員長ともよく相談をして、どのような形で進めていくのかというのはよく考えていきたいと思っております。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。

○大橋委員
 はい。

○岩村委員長
 私の理解するところでは、先ほど菊池委員も触れられましたように、第三者委員会ができたときというのは、ある意味で非常事態に対する対応だったのが、きょうの資料2の最後の表にもあるように、年金記録の問題そのものが解決したとは言いませんし、未解決のものもありますが、かなり変質していて、定常状態になって、国民年金よりもむしろ厚生年金のほうが問題になってきているという中で、今までのとおりやっていくのではなくて、定常状態用にどういう仕組みを考えるのかというのが、どちらかというと○1の問題なのかなと思っています。
 ○2については、これまでも個人情報の適正な管理や年金についていろんな事件があった結果としてかなり厳格にやっているのですが、他方で、先ほど斎藤委員あるいは池田委員が触れられたように、それでは考えていなかったような問題が今度浮かび上がってきているので、その辺のところをどう整理しましょうかというのがもう一つの問題かなということであります。
 多分○1、○2を全部やろうという話ではなく、もう少し絞り込んでということになるのだろうと思います。それは第3回以降の話ですので、きょうの御議論と次回の皆様方からのヒアリングなどをもとにしながら、この論点の整理と絞り込みを考えていければと思っております。
 では、山本委員、どうぞ。

○山本委員
 私も社会保障というよりも一般的な行政法を専攻しているものですから、そういう観点から感想めいたことと要望を述べたいと思います。
 訂正の話ですけれども、資料2-1に2つの表があります。1つは12ページにある個人情報保護法による情報の訂正、もう1つは14ページにある第三者委員会が関与する、あるいは職権で訂正をするというやり方の表です。
 大きく申し上げて司法手続への接続という観点から言うと、12ページにある個人情報保護法による仕組みは、結構うまくできている。つまり、これは司法手続への接続まで考えた制度であって、しかも、これを例えば年金を将来受ける地位の確定というような仕組みにしてしまうと、ある意味重過ぎて、なかなか使い勝手が悪くなるということがあるのですが、これは情報を直すだけの仕組みですから、あくまで情報を直すか、直さないかというところに決定の効果もとどめられるので、その意味では巧みな制度ではないか。
 だから、司法手続への接続を考える場合には、これが一つのベースラインになるのではないかと思いますが、ただ、これはあくまで一般法ですから、特に年金の情報の特性とかそういうものを考えた制度ではない。
 そういう点から言うと、年金の特性を考えてこれにさらにどういうものを加えていったらいいかということが問題になるだろう。大きく言うと、先ほど少し出ていますけれども、調査をどこまでやるのか、どういうやり方でやるのか。事業主に対する調査、あるいはもとの事業主がどこに行ったかわからなくなってしまっているということまで含めて考えなくてはいけないと思うのですが、調査のやり方をどうするのかということ。
 もう一つは事実の確定の仕方です。先ほど疎明基準という話が出てきましたけれども、事実があるのか、ないのかをどういう基準で確認するかということについて、個人情報保護法には規定が一切ないものですから、そのあたりを考えなくてはいけないのではないか。
 それとの関係で要望なのですけれども、特に調査とか事実確認のやり方という点に関して、14ページにある第三者委員会によるあっせん等の現状として先ほど「回復基準」というのが出てきましたが、疎明基準を具体的にどういうふうに運用しているのか、あるいは調査等をどういうやり方でどこまでやっているのかという現状を教えていただきたい。先ほど現状のとおりずっとやっていくことが今後できるのかという意見がありましたが、そのことも含めて、今後のあり方を考える上で基礎的な資料になるのではないかなと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 今の後者の点はいかがでしょうか。どういうふうにやっているかということについて、資料等を御用意いただけるかどうか。事務局、お願いします。

○政策企画官
 今、山本委員から疎明基準をどう運用しているのか、あるいは事業主を含めた調査をどういう形でやっていくのかといった点につきましては、もし可能であれば委員長とも御相談をして、第2回の委員会のときに現状についてできるだけ御説明をさせていただく、あるいはその後必要な資料を提供して事務局から御説明するということを考えております。
 なお、調査の部分でございますけれども、今、第三者委員会でも調査をやっていただいております。あくまでも根拠規定が明確にあるわけではありませんので、依頼をして、第三者委員会のほうでお願いをして調査をしているという現状だろうと思いますので、そういった点も含めまして、もし可能であれば総務省にもヒアリングなどをお願いすることも検討をさせていただきたいと思います。

○岩村委員長
 山本委員には釈迦に説法ですが、当然のことながら厚生年金保険法でも健康保険法でも行政調査の規定は入っているので、そこでの行政調査ということ自体は可能なのですが、他方で、第三者委員会は、今、御説明があったように、もともとそれ自体としてそういう行政調査の権限を持っているわけではないので、その辺のところをどういう形でやっているのかということも、第2回あるいは第3回でどう扱うかということをちょっと考えさせていただければと思います。
 では、池田委員、どうぞ。

○池田委員
 ちょっと関連して、6ページの「年金個人情報の厳格な保護・再発の防止のための具体的施策」の「届出誤りがあった事業主への指導」というところで、事業所の調査をしていらっしゃると書いていただいているのですが、現実に訂正というところでの第三者委員会だけではなくて、予防とか防止というところで事業所調査というのがどういう形で行われているか、機会がありましたらお教えいただきたいと思います。
 これはサービス提供の話ですけれども、予防とか防止といったところで、例えば東京都とか特別区などでは、区長権限等でいろいろなサービスを提供しているところに調査権限を持って抜き打ちや、問題があるところに対して、そういった委員が行って確認をするということをしている。私もそういう仕事をしているのですが、予防とか防止といったところでこれが使えるものなのかどうか、何か機会があったらお教えいただければと思います。
 ありがとうございます。

○岩村委員長
 では、事務局、お願いします。

○政策企画官
 事業所調査について、具体的なことを細かく公表し過ぎると、なかなか調査が難しくなるという点もございまして、どこまでお示しできるのか、なかなか微妙な部分があるのですが、日本年金機構とよく相談をして、次回以降、出せる範囲での資料があれば出したいと思います。
 なお、厚生年金保険法における根拠法の条文だとか、あるいは公表している資料の数字などは御説明できると思いますから、そこは別途資料を用意したいと思います。
 なお、ここにございますとおり、4年かけて全て調査する、という方針で対応しており、その結果、23年度は43万事業所で1万5,000件の新たな適用ということで、この数字自体は、いろいろ努力した結果なのかなと思いますので、そういう意味で、引き続きこれをやっていくということではないかと思います。

○池田委員
 これは過去に問題があったところについて行っているということですね。

○事務局
 実際どういうところに調査をかけているかという事業所調査の選定の仕方などについては、年金機構とも相談させていただければと思いますが、確かに過去に問題があったようなところに調査をしているというのは一般的に申し上げられるところかと思います。

○池田委員
 ありがとうございます。

○岩村委員長
 では、年金機構のほうからお願いします。

○日本年金機構事業企画部長
 改めて資料等で御説明する機会をいただけるかと思いますけれども、事業所について言いますと、年金の適正な適用と保険料の適正な徴収という観点から、市場化テスト事業者、受託事業者も含めて調査をかけたりしております。
 必ずしも記録について重点的にやっているというわけではなくて、むしろ納付を督励するとか、状況を見て、場合によっては差し押さえまで行くような形も含めて事業所単位でやっているというふうなことはございます。

○岩村委員長
 よろしいでしょうか。

○池田委員
 ありがとうございました。

○岩村委員長
 では、諸星委員、どうぞ。

○諸星委員
 委員の皆様の御意見を拝聴させていただきまして、私は、どちらかというと法律というよりも現場をよく知る者として、今後この専門委員会で意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、実は私は2年前まで厚生労働省の社会保険審査会の委員に常勤でおりまして、その中で、ここの資料にございますように、あっせん件数が多いときに不服審査も多かったという現実がありまして、正直審査会ではもしこの流れで審査請求がこちらに来たら困るみたいな本音もありました。あっせん自体の件数は減っていますが、審査会の件数は本当にうなぎ登りにふえているというのが現実でありまして、審査会で取り扱うものは年金だけではないですけれども、そういったものに対する国民の不満があらわれているのかなという印象がございます。
 今、厚年の問題が多いというのは事業主の関係だと思うのですが、先ほど菊池委員がおっしゃったように、確かに事業主と被保険者の関係が重要なところだと思います。法律的には確認請求というのが先ほどありましたけれども、本人から言えるのがその部分しかないのです。あとは、適用事業主である会社などが正しい届け出をしている、正しく納付をしている、そういう前提で法律がつくられておりますので、そこをがんじがらめにするのがいいのかどうかというのは、私もちょっと疑問なのですが、ただ、根拠となるものがないと、実際現場で、特に日本年金機構などは苦労されていますけれども、そういったところで後ろ盾になるものがないとうまくいかないというものがありますので、その部分についても現実どういうことが起きているのか、どんな問題があるのかというのは、この専門委員会の中で意見、あるいはこういう方法もいいのではないかという意見を申し上げていきたいと思います。
 先ほどの調査の話をすれば、前の社会保険庁時代もそうですけれども、公平に機構から総合調査ということで必ず定期的に来ていました。先ほど問題のあるところへ来ているなど説明がいろいろありましたが、それ以外にも定期的に総合調査をされて、その都度ここの届出が誤っていますよ、この届け出の方法は違いますねという指導はされています。別に機構の味方をしているわけではありませんが、現実そういうこともされていますので、これが4年をかけて整理されるということはいいことだと思います。
 以前、社会保険労務士も算定の時期に相談できる窓口を多く出したことがあり、そこで届け出の作成の仕方が難しいことなどへの対応したのですが、やはり事業主さんがよく知らない、理解されていない、そこに非常に大きな問題があるかなという印象がございますので、過去のいろいろな事例も含めて、このようにしたらいいのではと実務的な面で御意見を言わせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょう。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員
 私は弁護士という立場ではありますけれども、つい先ごろまで年金記録確認の第三者委員会の委員をしておりましたので、中身の細かいこと、例えばこんなふうに調査をしていて、どこまで調査をしているのかとか、問題としては、不服申し立て手続はないのですが、実態としては再申し立てというのがありまして、これは回数制限がないのです。何度も何度も申し立てをされるケースが、そんなに多くはないのですけれども、ありまして、建前としては、新たな資料が見つかったら再申し立てできますよというシステムなのですが、調査が入るという関係もあるのでしょうが、内容が納得できないので何度も申し立てをされて、私が見た中で一番多い再申し立て回数は5回でした。それでも御納得されなくて、また来るでしょうというところで私は退任したものですから、あれがどこに行ったのかなとはちょっと思っているのです。
 そういった不服申し立て手続の回数、やり方についても少し検討したほうがいいのかなというのが実感としてあります。
 私が担当していたのは厚生年金だけでしたけれども、上がってくる事案は、最初に問題になった遡及訂正の事案というのがありましたが、それはかなり減ってきていまして、どちらかというと事業主さんの誤り、試用期間を入れていないとか、破産したような会社に多いのですけれども、最初から低く届けている。破産してしまっていますので、記録の訂正はできるのですが、保険料のほうはそのままになってしまうという実態的な問題もあります。
 そういったことを言い出すとちょっと長くなりますので、次回以降ということになると思いますけれども、そういったことからいろいろ発言できたらいいかなと思います。
 菊池先生の奥さんは再申し立てをされて認められたのだと思いますが、再申し立て自体が悪いわけではなくて、実は何回かやっているうちにひょんなところから出てくることがあります。そういった意味で、年金の記録自体の調査というのは、かなり昔のものを探すとなると、かなりコストもかかりますし、時間もかかりますし、場合によっては昔の紙台帳からひょっこり浮いたものが出てきたりすることがあるので、いろいろ難しい問題があるのかなというのが感想としてはあります。
 そういったこともいろいろ提供しながら議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 今の再申し立ての件もそうなのですが、例えば今の5回再申し立てをされているという方が最終的に満足できないと、結局、年金の裁定のところでも満足できなくて、最終的にそこで不服申し立てをやって、最後、裁判で決着がつくということなのかなと思うのですが、差し支えない範囲で、今のようなケースというのは、まだ年金をもらっていないケースなのか、それとももうもらってしまっているケースなのか、その辺はいかがなのでしょうか。

○鈴木委員
 その方はもらっていらっしゃいました。
 中身に入ってしまうとあれなのですけれども。

○岩村委員長
 それは守秘義務があるので、特定できるとまずいですから、本当に差し支えない範囲で結構です。

○鈴木委員
 要するに、資格の取得の時期を争われている方でしたので、もっと前ではないかということでやられていたのですが、なかなか御納得いただけなくて、調査員が大変御苦労されているというのはありました。調査員の方も結果を言う前に必ず御本人に説明して、御納得いただけるようにかなり努力はされていますので、今の第三者委員会の調査の運用自体は本当に本人目線でやられているのかなという印象がありました。

○岩村委員長
 これは事務局のほうにお尋ねしますが、私の理解が正しければ、もう年金をもらっている方の場合だと裁定が出てしまっているので、不服申し立てと裁判で争うという道がないのです。だから、記録の訂正でやるしかないので、そういうことになるという理解でよろしいですか。

○政策企画官
 はい。

○岩村委員長
 わかりました。ありがとうございます。

○政策企画官
 参考までに、これも総務省の第三者委員会のほうで既に公表されている資料なのですが、再申し立て件数がどんどんふえていまして、23年6月にまとめた資料によりますと、累計で3,893件、約4,000件近く再申し立てになっている。11年は11件ぐらいだったのですが、22年に行きますと2,000件近くまでふえている。増加傾向にあるというふうにまとめられておりますので、あっせんは行政処分という位置づけになっていないということとの関係で出てきた問題ではないかと思っております。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 仮に定常状態での記録問題の扱いをどうするかというのを考えたときには、今のところも一つ論点としてあるかもしれません。今おっしゃったように、統計的には再申し立ての数がふえているということになると、定常的にもそういう状態が繰り返される可能性がある。かつ今のところそれを片づけるルートが記録訂正以外に不服申し立てと裁判しかないということになると、同じことが繰り返されていくということにはなるかもしれません。
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
 大体きょうのところはこのようなところでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 きょう、フリートーキングの中で委員の皆様から御意見あるいは御質問等もいただきまして、事務局のほうで年金機構とも相談しつつ、資料を集めていただくようなもの、用意していただくようなものもあったように思います。
 今後、この委員会におきまして、事務局のほうで具体的な資料等を御用意いただいて、また御説明いただくという機会を設けさせていただきたいと思います。
 本日のところはこのあたりということにさせていただきます。
 次回の専門委員会につきまして、事務局のほうから連絡をお願いいたします。

○政策企画官
 それでは、次回でございますが、5月30日16時からを予定しております。詳細は、また委員長ともよく御相談をさせていただきながら御連絡をしたいと思いますが、委員の方、あるいは先ほど委員の方から御指摘いただきましたような委員以外の方も含めまして、ヒアリングということで、年金記録の確認の現状、あるいは法的な問題点等につきまして御説明をしていただいて、御議論いただければと考えております。
 第1回、第2回の御議論を踏まえて論点整理を進めていきたいと考えております。
 もう一点だけ、冒頭、事業企画課長からもお話がございましたけれども、委員の皆様方への委員の御就任のお願い、あるいは日程調整等がおくれてしまいまして、申しわけございません。第2回は、先ほどお話をしたとおり5月30日16時からでございますが、第3回以降につきましても、できるだけ早く委員長あるいは委員の皆様方とも調整をして、日程調整等を含めて御連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次回は5月30日ということでございます。中身としては、基本的には委員の皆様、あるいはそのほかの方からのヒアリングということを予定してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、きょうはこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、本当にどうもありがとうございました。


(了)

(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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