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令和4年9月29日 第4回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

令和4年9月29日(木)14:30~16:30

 

○場所 

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15E
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)
 

○議題 

とりまとめ

 

○議事録

  
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を開催させていただきます。
委員の先生方には、大変御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本委員会におけるカメラ撮りにつきましては、冒頭のみでお願いいたします。冒頭の挨拶が終了した後、カメラの撮影は固くお断りいたします。
本日は、現時点で11名中10名の委員の先生方に御出席いただいており、定足数を満たしておりますので、委員会が成立していることを初めに御報告いたします。
なお、小林委員におかれましては、所用のため、遅れてウェブ形式にて御参加となる旨、御連絡をいただいております。
また、神村委員におかれましては、本日ウェブ形式で御参加いただいております。
本日は、会議室における対面形式とウェブ形式の併用にて本会議を進めさせていただきます。また、委員会を開始する前に、本委員会の取扱いについて御説明いたします。
本委員会につきましては公開とさせていただきますが、新型コロナウイルス感染症対策のため、一般の方々の会場への入場を制限させていただいております。
本日の議事はお配りしている次第に沿って進めさせていただきますが、議事に入る前に、事務局から本委員会の連絡事項を申し上げます。
○事務局 本日はとりまとめについて御議論をいただくため、卓上にこれまでの委員会資料を御用意させていただいておりますので、御活用ください。
議事録については後日公開を予定しております。
審議中に御意見、御質問をされる委員の方々にお知らせします。
まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願い申し上げます。また、卓上にウェブ形式に使用するZoomがございますが、御発言の際は卓上のマイクを御使用いただき、Zoomのマイクについては消音のまま御使用いただきますようお願い申し上げます。
また、ウェブで御参加いただいている委員におかれましては、まずZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願いします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきますので、御発言いただく際は、マイクについて消音を解除していただいた上、御発言をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、本委員会におけるカメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係の方は御協力をお願いいたします。
これからの議事の進行は合田委員長にお願いいたします。
よろしくお願いします。
○合田委員長 それでは、議題1「大麻規制のあり方に関する大麻規制検討小委員会議論のとりまとめ(案)について」に入ります。
委員の皆様には、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。これまで3回にわたりまして本委員会において大麻規制の在り方について議論してきました。
今回はそれらの議論を踏まえたとりまとめ(案)について議論いただきます。本日の委員会も引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、議論に移ります。議題は「大麻規制のあり方に関する大麻規制検討小委員会議論のとりまとめ(案)について」です。
事務局から資料1について説明をお願いいたします。
○麻薬対策企画官 では、事務局から資料について御説明させていただきます。
まず、資料の構成でございますけれども、資料1-1、今回小委員会のとりまとめ(案)ということでお示しをさせていただいております。
一方、こちらのとりまとめ(案)につきましては、前回第3回の際にこれまでの議論の振り返りということで御議論いただいた資料をベースとさせていただいておりますので、そこからの主な変更点を資料1-2ということで、主に赤字等で示させていただいております。その際、表現ぶりの修正であるだとかそういったものについては見え消しではなくて、溶け込んだ形で修正をしているというものでございます。
資料2はとりまとめ資料の参考資料ということで、これまでの小委員会で活用いただいたような参考資料、また、今回のとりまとめ(案)の現状及び課題、見直しの考え方・方向性というものが参考資料として添付されているというものでございます。
では、とりまとめ(案)について御説明させていただきますが、これまでの議論からの変更点ということもございますので、資料1-2に沿って御説明させていただきます。また、今回はとりまとめということですので、少しお時間をいただきまして、私のほうで読み上げながら変更点について補足説明をするということでさせていただければと思います。
では、資料1-2を御覧いただければと思います。以降、読み上げつつ御説明させていただきます。
 
(以下、資料1-2を読み上げつつ、説明。資料の単純な読み上げ部分については、議事録への記載を省略)
 
(資料1-2の6ページまで読み上げ)
ここまでが第1の部分でございまして、これは主に事実関係を整理したというものでございます。
7ページ以降は第2ということで、今回の方向性の部分について御説明をさせていただきます。
 
(資料1-2の7ページ)
2.見直しの考え方・方向性
○国際整合性を図り、医療ニーズに対応する観点から、以下の方向性で見直しを図るべきである。
・大麻から製造された医薬品であって、有効性・安全性が確認され、医薬品医療機器等法に基づく承認を得た医薬品について、その輸入、製造及び施用を可能とすること。
・このため、大麻取締法第4条においては、大麻から製造された医薬品の施用・受施用、交付
 
こちらは、「受施用」がもう一個出てきておりますが、大変恐縮ですけれども、こちらは誤記のため修正となります。
 
施用・受施用、交付を禁止していることから、当該第4条等の関係条項を改正すること。
・他の麻薬成分の医薬品と同様、大麻及び大麻成分についても、麻向法に基づく麻薬製造・製剤、流通、施用に関する免許制度等の流通管理の仕組みを導入すること。
 
(資料1-2の10ページ)
○そのため、他の薬物法規と同様に成分に着目した規制とし、大麻から製造された医薬品の施用を可能とするに当たり、不正な薬物使用の取締りの観点から、他の薬物の取締法規では所持罪とともに使用罪が設けられていることを踏まえ、大麻の使用に対し罰則を科さない合理的な理由は見いだしがたく、上記(1)に基づく医薬品の施用・受施用等を除き、大麻の使用を禁止(いわゆる「使用罪」)するべきである。
 
この部分につきましては修正させていただいておりますが、もともと「麻向法に基づく麻薬に係る取扱いと整合性を図る」というふうになっておりましたが、これは麻向法だけではなくて、やはり薬物取締法規の中で所持罪とともに使用罪が設けられているという前提での整合性という形で記載を修正しております。
 
○薬物を使用した者を刑罰により罰することは、薬物を使用した者が孤立を深め、社会復帰が困難となり、スティグマ(偏見)を助長するおそれがあるとの意見もあるため、大麻について使用罪の対象とした場合でも、薬物乱用者に対する回復支媛の対応を推進し、後段に述べる薬物依存症の治療等を含めた再乱用防止や社会復帰支媛策も併せて充実させるべきである。特に、薬物乱用や薬物依存の背景事情も考慮に入れ、国民への啓発や、薬物依存症からの回復や、社会復帰を目指す者を地域共生社会の一員として社会全体で支えるなどスティグマ(偏見)も考慮に入れつつ、取組みを一層強化する必要がある。
 
こちらにつきましては、前回の小委員会での議論の際に、こうした取組についてより一層強化するというような打ち出しをしてはという御意見がございましたので、ここに記載のとおり、「一層強化する必要がある」と修正させていただいております。
 
○なお、薬物の所持・使用に刑事罰が設定されても、薬物の所持・使用事犯に対しては、諸般の事情が考慮され、検察官の判断により起訴猶予となることや訴追されて有罪となったとしても司法の判断により全部執行猶予となることもあるところ、平成28(2016)年6月より、刑の一部執行猶予制度が導入され、薬物使用者等の罪を犯した者に対し刑の一部について一定期間執行を猶予するとともに、その猶予中保護観察に付すことが可能となり、地域社会への移行、社会復帰後の生活の立て直しに際して、指導者・支援者等がより緊密に連携し、必要な介入を行えることとなっている。
 
この項目の冒頭部分の修正でございますけれども、これは前回の小委員会の際に、使用罪を設けるということに関して、例えば刑罰ではない方法もあり得るのではないかというような御意見があったかと思います。その点に関しましては、先ほど上のほうに記載しておりますとおり、事務局といたしましては使用罪を設けるという方向というふうに考えておりますが、一方、現行でも所持罪に関して、例えば検挙された方が皆さん実刑を受けているという状況にはなっておりませんで、ここに記載しておりますとおり、大麻については、実際検挙された方のうち起訴された方は大体5割程度。また、起訴されても9割近くの方が全部執行猶予というふうな状況になっておりますので、仮に使用罪等が設けられたとしても、それは一律に実刑を受けるということではなくて、大麻の場合は若年の方とか初犯の方が非常に多いという状況がございますので、そうした諸般の事情が考慮されている、一定程度弾力的な運用がなされているというふうに考えておりますので、こちらはそういった意図で事務局で追加させていただいた部分になります。
 
(資料1-2の12ページ)
ウ)再乱用防止及び社会復帰支援について
○現行の麻薬中毒者制度については、実務上も含め機能していないことから、同制度を廃止する方向で麻向法の関係条項を改正すべきである。その際、麻向法では、都道府県に麻薬中毒者等の相談に応ずるための職員(麻薬中毒者相談員)を置くことが可能とされており、麻薬中毒者相談員を置いている都府県も存在する。薬物依存症等に対する相談体制を様々な形で整えるのは重要であることから、法令上の位置付けについて検討しつつ、存続させていくべきである。
 
こちらも前回小委員会でぜひ存続いただきたいという御意見がございましたので、「検討していくべき」というところを「検証しつつ、存続させていくべきである」というように修正させていただいております。
 
○また、大麻について使用罪の対象とし、薬物乱用に対する取締りを強化しつつも、一方で、大麻を含む薬物依存症者に対する治療や社会復帰の機会を確保することは極めて重要である。そのため、薬物使用犯罪を経験した者が偏見や差別を受けない診療体制や社会復帰の道筋を作るために関係省庁が一体となって支援すべきであり、この機会に取組みを一層強化する必要がある。
具体的には、
・薬物依存症者への医療提供体制の強化として、認知行動療法に基づく治療回復プログラムを中心とした専門医療機関の充実・普及、薬物依存症治療にあたる医療従事者の育成
・刑事司法関係機関等における社会復帰支援に繋げる指導・支援の推進として、矯正施設・更生保護施設等における効果的な指導・支援の推進、保護観察対象者に対する薬物再乱用防止プログラムの提供など効果的な指導・支援の推進
・地域社会における本人・家族等への支援体制の充実として、薬物犯罪から治療等に繋げるための相談・支援窓口の周知と充実、相談・支援に携わる人材の育成、刑事司法関係機関と医療・保健・福祉等が連携した社会復帰支援体制の強化
・薬物依存症者に関する正しい理解の促進
・薬物乱用の実態や再乱用防止に向けた効果的な治療回復プログラム等の指導・支援方策の効果検証などに関する研究の推進
など、薬物乱用防止五か年戦略の下での対応を強化すべきである。
 
こちらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、こうした取組も一層強化すべきであるという御意見が前回ございました。それを踏まえまして、現在政府のほうで薬物乱用防止五か年戦略の下で行っている取組について、改めて概要ということで列挙させていただきまして、こうした取組を具体性を持って取り組んでいくという趣旨で追加したものでございます。
 
 
(資料1-2の14ページ)
○加えて、THCAについては、それ自体ではTHCと同様の精神作用はないものの、電子たばこ器具のような通常使用する様態で、高温で加熱等して吸引する場合など、容易にTHCに変換し、THCとして摂取されることが判明しており、このような麻薬の前駆物質に対し、麻向法において指定する方法を検討し、所持・使用を規制すべきである。同時に、調査・研究を進め、同様に他の麻薬成分の前駆物質に対しても適切な対応が可能な仕組みを検討すべきである。
 
この部分につきましては、もともとこうした成分について、「必要な対応を執ることが可能となるよう」となっておりましたが、より具体的に前駆物質として、麻薬として指定することで、「所持・使用を規制すべきである」というように修正させていただいております。
 
(資料1-2の16ページ)
2.見直しの考え方・方向性
ア)栽培の目的・用途について
○免許制度による適正な管理の下で、現行法の繊維若しくは種子を採取する目的に加え、CBD製品に係る原材料の生産を含めた新たな産業利用を念頭においた用途・目的について、栽培の現状やニーズを踏まえつつ、これらの目的を追加していくべきである。
 
これは、冒頭で「免許制度による適正な管理の下で」というように追記させていただいておりますが、今回目的を広げるということでありますが、原則としては、当然ながら「免許制度による管理の下で」となりますので、明記する形としたものでございます。
 
(資料1-2の16ページ)
ウ)栽培管理に関する基準の明確化について
○現行の大麻取締法では、栽培管理については、欠格事由以外、免許付与に係る基準を特段設けておらず、事務を担う都道府県にとっても判断材料に乏しい状況となっていることから、上記イ)のTHC含有量に関する基準の検討とともに、現状等を踏まえつつ、免許・栽培管理の基準を明確化し、一定程度全国統一的なものにしていくべきである。
 
この部分については、もともと記載していた内容をより分かりやすくするという観点での修正でございます。
 
 
(資料1-2の17ページ)
○また、大麻研究を行う研究者免許については、麻薬研究者に一元化するとともに、品種改良などの研究栽培を行う研究者に対する栽培許可については、THCの濃度にかかわらず、一元的な許可制度(厚生労働大臣許可を想定)として検討すべきである。また、産業用栽培、医薬品原料用栽培、研究栽培も含めて、厚生労働大臣免許や許可であっても、管内の栽培状況を当該都道府県が把握できる仕組みを構築すべきである。
 
こちらの部分につきましては、前回小委員会で御議論いただいたものを踏まえまして、研究者による栽培については、厚生労働大臣許可にすべきだということで記載しております。また、「また」以下のところでございますが、その際に都道府県のほうでも管内の状況が分かるようにというような、そういう仕組みを設けるべきということで御意見がございましたので、記載しております。その下の項目、消してあるところにつきましては輸入の関係ですが、これは「エ」の後ろのほうに移動させていただいております。
 
(資料1-2の18ページ)
【THC含有量の担保について】
○上記のように、THC含有量に応じた栽培管理を行う場合、特にTHC含有量が低い品種に関して、その継続的な担保が必要となり、具体的な担保に当たっては、国内外の事例を踏まえると、種子に関するTHC濃度の管理や、収穫前の検査により管理する方式が考えられる。
 
○栽培、収穫時にTHC含有量が基準超過となり、出荷できなくなるリスクを踏まえると、種子に関するTHC濃度検査による管理を基本とし、収穫前の生産物に対する収去検査等を必要に応じて実施できるような管理体制とすべきである。都道府県の公的検査機関を含め、THC濃度検査を栽培者が依頼できる登録検査機関等の実施体制を構築すべきである。
 
○その上で、THC含有量が少ない性質をもった品種や在来種について、産業用途の栽培に利用できるよう、その性質が担保できる種子の管理体制を確保すべきである。その際、大麻草のTHCなどの性質を一定に保つ永続性のある採種体制の整備が望まれる。
 
○国内での種子の生産・供給体制を整備するには、一定の栽培者数を前提に、供給を安定的に行うことが可能な種苗会社、農業試験場等、種苗管理等の採種体制の主体が必要となる。なお、生産者が、THC含有量が少ない性質をもった品種の種子を正しく選択するための手段として種苗法(平成10年法律第83号)に基づく品種登録が有用である。
 
○一方、国内では、採種体制の主体が十分ではなく、また、品種登録も進んでいない状況を踏まえ、当面、海外登録品種の活用や、自然交配のリスクにも留意しつつ、種子に関するTHC濃度検査の実施を前提に、THC含有量が少ない在来種を現行の栽培者が栽培できるようにする必要がある。
 
この部分につきましては、前回こうした種子に関する検査等について御議論いただきましたので、それを踏まえた修正を行っているところでございます。
 
(資料1-2の20、21ページ)
資料のその後ろには、これまでの開催経緯と構成員を追記させていただいているところでございます。
長くなりましたが、説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○合田委員長 どうもありがとうございます。
それでは、御出席の皆様から御意見や御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。富永先生、どうぞ。
○富永委員 日本薬剤師会の富永でございます。
本当によくまとめていただいて、ありがたいと思っているところですが、薬剤師会としては、このとりまとめ案にございましたように、近年若年者の大麻乱用の拡大が顕著であるということで、大麻乱用期とも言える状態を懸念しているところです。
我々薬剤師、特に学校薬剤師は、児童生徒らに生涯の中で一度も薬物を経験させないという願いから、小学校高学年から中高生に至るまで、学校での薬物乱用防止教育や講演、そして街頭キャンペーン等を行っているところです。これは最初の委員会の頃に話したかと思いますが、文部科学省では学校における薬物乱用防止教育の充実、そして第五次薬物乱用防止5か年戦略においても、「薬物乱用防止教室は、学校保健計画において位置付け、すべての中学校及び高等学校において年1回は開催するとともに、地域の実情に応じて小学校においても開催に努める」としており、コロナ禍においても、令和3年度における薬物乱用防止教室の開催状況は、小中高で75%。平時、コロナ前では95%と高い率を示しております。
このとりまとめ案でも生涯でも薬物の経験率が欧米より著しく低いとありましたが、このような薬物乱用の一次予防においてもゲートウェイドラッグと呼ばれる大麻の乱用防止について、小学校、中・高校の学習指導要領での薬物乱用防止教育の充実や啓発を望むところです。若年層に焦点を当てた効果的な広報啓発活動の推進をするために、引き続き検討が必要であると考えます。
このとりまとめ案には、大麻を使用する前に、乱用を予防する、させないという一次予防の観点からの一言が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
委員御指摘の部分ですが、本日のとりまとめの10ページ「見直しの考え方・方向性」ということで、使用罪をつくる根拠としての、言ってみれば使用に対する啓発、法律を明確にすることによる、乱用を早期にやめさせるとか乱用防止に対する効果というところを書かせていただいているところですが、確かに委員ご指摘のように、この小委員会の前に開催しているいわゆる大麻の検討会のほうでも、一次予防に関する広報啓発活動とか、正確な情報を青少年の方々に伝えていくとか、そういう部分の対策が書かれていたと思います。10ページの辺りの記載については、前の検討会での議論も踏まえつつ、今、先生がおっしゃられたように、教育の現場ですとか、最近はSNSとかデジタル広報の部分もありますけれども、そういった広報啓発活動に取り組むべきであるという内容を事務局のほうでも考えさせていただいて、また委員長にも御相談しつつ、追加できればと思ってございます。
○富永委員 ありがとうございます。
使用罪については、そういう啓発を行う上では子供たちに説明しやすいということがありますので、もう少し踏み込んだ形で一次予防という観点でやっていただきたいということです。よろしくお願いします。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局も対応されるということですので。
ほかに御意見ございますか。先生、どうぞ。
○太田委員 今、学校教育と一次予防の話が出ましたが、私も全く同じ意見を持っております。大麻の乱用、特に若者の間の大麻の乱用が増加していることに鑑みますと、大麻の有害性ということとともに、今回のとりまとめに基づいて将来立法が行われた場合の法規制の内容についても国民の理解が進むように、きちんと広報啓発を進める必要があると思います。特に、使用罪を設けることが厳罰化だといったような間違った見方が流布されないように、きちんと正しい見解を示していく必要があると思います。
それから、薬物依存の治療の重要性ということや、薬物依存のある者への社会的な受容、包摂の大切さが広く理解される必要があると思います。今、10ページの話が出ましたが、そこにも僅かながら薬物乱用した者に対する偏見やスティグマの解消という表現がありますし、あと、12ページにも「理解の促進」という表現がありますが、やはり薬物乱用の問題や治療の必要性ということに関する広報とか、学校教育の充実について、もっと踏み込んだ記載があってよいものと思われます。
それから、10ページのスティグマのところで、「スティグマ(偏見)も考慮に入れつつ」というのは何かしっくりきません。スティグマを容認しているかのような表現はやはり是正すべきであると思いますので、例えば「スティグマ(偏見)の解消に努めつつ」とか、そういった表現のほうが望ましいのではないかと思います。いずれにしてももっと踏み込んだ記載を検討いただけるということでしたので、その方向でお願いできればと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
今、太田委員から御指摘いただいた部分、その前に富永委員から御指摘いただいた部分、共通する部分もございますが、もう一つ、今、委員がおっしゃられた中で、普及啓発活動という中でも、一次予防の話一辺倒ではなくて、薬物依存者に対する再乱用防止とか社会復帰の支援の重要性とか、そういうのも普及啓発活動の中で伝えていくということも必要だという御趣旨のように捉えましたので、そういった記載も、特に12ページのところになるかと思いますが、追記をさせていただければと思います。また委員長とも相談をさせていただきたいと思っております。
○太田委員 よろしくお願いします。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、ほかに御意見等ございますか。どうぞ。
○橋爪委員 日薬連の橋爪でございます。
今、富永先生と太田先生のほうからもいろんな御意見があったのですが、いわゆる学校教育における薬物乱用の防止については、私の認識では、麻薬・覚せい剤乱用防止センターがかなり広報活動に力を入れてやっていらっしゃると認識しているのです。ですので、こういった部分にもし一文加えるのだったら、そういったところの活用、広報活動をもうちょっと徹底するとか、そういったこともあっていいのかなと。麻薬・覚せい剤乱用防止センターのホームページなどを見ると、すごい資材がたくさんあるのです。若い人たち向けの。これは一次予防に限ったことかもしれませんが、そういったところに対する広報資材というのはかなりいいものがつくられていますので、そういったものを上手に活用されるのはどうかなというふうに意見として思いました。多分皆さん御存じないのかもしれませんけれども。すみません。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 具体的に乱用防止センターというのを書けるかどうかというところもございますけれども、そういう既にいろんなところで使われているような広報啓発資材も活用しつつというところを入れられるどうかも含めて、また委員長と御相談をさせていただこうと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
ほかに御意見等ございますか。よろしいですか。小林先生、お願いします。
○小林委員 神奈川県立精神医療センターの小林です。
今回、依存症の臨床を専門とする立場からいろいろと意見をさせていただいたのですが、大麻の使用罪に関しては、我が国において多様な意見を安心して表明することがしづらい土壌があることは残念に感じておりました。先ほどの一次予防に関しては、単に害を教える、体にこういう害があるとか、こういう刑罰だというだけでは予防効果が十分ではないというような海外の知見もございますので、ぜひ一次予防に関してはもっと幅広く、メンタルヘルスの問題も含めて、多様な一次予防に関する研究、検討がなされることを臨床医の立場からお願いしたいなと思っております。
また、今後、特に使用罪の法的な整備とか運用に当たっては様々な考え方が表明されて、そして国民一人一人がそういった考え方に触れることによって、実際に大麻の使用という問題にどう向き合っていくのかということを考える材料になることを祈っておりますし、また、旧来の刑事罰では薬物依存症からの回復等を促す効果は乏しいものですから、より医療や福祉、あるいは教育機関との連携を重視した司法の在り方についてさらなる御検討をいただければなと願っております。すみません。意見をさせていただきました。ありがとうございます。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
まさに委員がおっしゃるように、現在の一次予防、言ってみれば一次予防の中で害を教える、罪になるということを教えるというところが中心というところに対して、もう少しメンタルヘルスの部分を含めて多様に。言ってみれば、若い方もちゃんと頭で考えて、こういうものに対してどう対処するかということを促すような形での広報が必要だというような趣旨と捉えました。今おっしゃっていただいた部分を先ほどの一次予防強化というところのテキストの中に入れられるどうかも含めて、事務局でも検討させていただいて、また委員長に御相談をさせていただこうと思います。
あと、いただいた御意見で、社会復帰や治療の支援につながるような刑罰とか処遇の在り方、いわゆる刑事司法の在り方についての課題も御指摘いただいた部分であります。その辺りについてはこの小委員会のレポートの趣旨を超える部分であります。その辺りが書き込めるかどうかというところは、委員長、関係省庁とも相談してみなければならない部分でもありますので、この場では何とも申し上げられない部分でありますが、先生からの御意見についてはきちんと議事録にもとどめて、受け止めさせていただきたいと思っております。
○合田委員長 ありがとうございます。
神村先生が先に手を挙げられていました。お願いします。
○神村委員 私も小林先生と同じような考えを持っておりまして、これまでは司法のほうでも起訴猶予が半分ぐらいあるというふうに伺っておりましたが、使用罪が設定されることによって、司法の態度、お考えが変わってくる可能性もある。では、どうしたらいいかということを考えましたけれども、12ページのほうにお示しいただいております司法とか様々な関係機関が連携してというところです。12ページの社会復帰支援体制を充実させるということをもっと強調していただいて、司法のほうでも安心して社会に委ねて復帰、それから回復を図れるというふうな手応えを感じていただけるような支援体制を充実させるということをきちっと書き込んでいただきたい。もう少し強調していただきたいと思った次第です。
以上です。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 今の点も含めて、この委員会の所掌の範囲内でどこまで書けるかというところも含めて少し検討させていただきたいと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
関野先生、どうぞ。
○関野委員 ありがとうございます。
11ページの「成分に着目した規制の導入について」というところで、「規制すべきはTHCを始めとする有害な作用をもたらす成分である」ということで、THCの毒性について非常にちゃんと明記されているというところが評価できます。しかし、CBDに関しまして、実は医薬品に使われるということですから、鎮静作用がしっかりあります。ところが、この作用メカニズムについてはまだ明確ではないというところは少し考慮していただきたいと思います。THCは有害であるが、CBDは全く安全であるというような強い論調で言っていいのかどうかは多少不安が残るところなのです。もう少しCBDの薬理作用についての調査・研究なども持続的にしていくべきではないかと考えております。
また、代謝経路とかついても同様でありますし、あまり大量に使用するということになりますと、その中に含まれるかもしれない精製の際の残留物みたいなものの有害作用も強く出てきますので、あまりたくさん使用するのはよろしくないのではないかと思いますので、その辺を盛り込むことができればありがたいかと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。ありがとうございます。
委員の御指摘の部分ですけれども、14ページを開いていただけますでしょうか。関野委員の御指摘の部分。例えば14ページの上から3つ目の丸のところに「THC、CBD以外のカンナビノイド成分については、未知の部分も多いことから、これらの成分に対する更なる調査・研究を深めていくべきである」と書かれているのですが、当のCBDについてもまだ十分に薬理作用を含めた研究がなされていないのではないかという課題意識だろうと思っております。
実際WHOのレポートを見ても、CBDに対する麻薬性としての議論は確かに否定はされているのですけれども、ポジティブな部分での薬理作用とか、そういった部分に対する研究のデータというものはまだ十分ではないということも書かれているわけでありまして、この記載の部分は「THC、CBD以外の」と書いてあるのですが、それだけではなくて、CBDについても未知の部分も多いということで、「更なる研究を深めていくべきである」ということで、ここにちゃんとCBDもということが分かるような形で少し記載してはどうかなと思いますが、いかがでしょうか。
○関野委員 THCも代謝産物とか、その部分部分で作用が非常に複雑でありますので、「以外に」というのは、この2つは十分に分かっているような印象になってしまいますので、そこはちょっと考慮していただけるとありがたいと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 むしろ「THC、CBDを含むカンナビノイド成分については」というほうがスマートなのではないかなという気がいたします。
○関野委員 そうだと思います。よろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございます。
舩田先生、どうぞ。
○舩田委員 舩田でございます。
とりまとめ、ありがとうございます。14ページの上から3つ目のところですが、今のCBDについては、問題として考えられるのは、その使用量、長期使用、この辺りが安全性が必ずしも担保されていないというところを追加していただければ、より明確になるかなと思いました。
それから、2ページの一番上の2行目「カンナビノイド受容体に結合し、神経回路を阻害し」という表現が少々不明な表現かなと思いますので、例えば「神経回路を調整し、精神作用が出る」というような、より適切な表現に変えたほうがいいかなと思いました。その2点です。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 はい。
○合田委員長 ほかに御質問等ございますか。関野先生、何かありますか。よろしいですか。
○関野委員 今の舩田先生と同じ文章に関して、同じようなコメントを持っていましたので、ここの表現をよろしくお願いいたします。
○合田委員長 神経回路を阻害してというのは、ちょっと気持ち悪いですね。
○関野委員 そういうことです。
○合田委員長 ほかによろしいですか。では、中島先生、お願いします。
○中島委員 東京都の中島でございます。
とりまとめ、どうもありがとうございます。2点お話をさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、とりまとめの18ページのところで、栽培管理におけるTHC含有量の担保について、種子の管理についての部分ですが、ここは農水に関する部門と連携が必要になってくると思われますので、もし可能であれば農水省さんの動きとか調整状況など、分かる範囲で自治体にも教えていただけるとありがたいと考えております。
もう一点は全体にかかってくることですけれども、今後法改正に向けていろいろ細かいところを詰めていく必要があるのかなと思っております。自治体においても厚労省さんときちんと連携して適切、円滑に事務を進めていきたいと考えておりますので、引き続き情報提供とか意見の反映について機会を設けていただけるとありがたいと考えております。
よろしくお願いします。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 どうもありがとうございます。
最初の点につきましては、確かに厚労的というよりは農林水産省的な事項が含まれているところでもございますので、そういった自治体の農政部局にもこういう情報が伝わるようにということで、そういったチャンネルのほうにもついても情報提供いただけるように、農水省さんを含めて御協力をお願いすることになるだろうと思っております。
2点目については、全くそのとおりでございまして、今後これに基づいて法律改正等の議論を進めていくという状況になる場合については、よく自治体とも情報交換をさせていただいて対応していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございます。
太田先生、手を挙げられましたか。どうぞ。
○太田委員 とりまとめの大きな方向性については全く異存ございません。ただ、用語の問題として、3ページの5行目、所持罪に対する「懲役」という表現があります。これは制定当初からの罰則の話になりますので、これでよいとは思うのですけれども、皆様御案内のように、今年の6月の刑法等一部改正によりまして懲役、禁錮が廃止されまして、3年以内に新しい刑罰である拘禁刑が導入されることになっております。この趣旨は、薬物犯罪者を含めて様々な問題を抱えている犯罪者の更生のためには、作業を必ず義務づけるという刑罰の懲役よりは、改善更生を目的として、個々の受刑者に合った処遇を充実させることのほうが望ましいという趣旨から行われた改正でありまして、今後の刑事施設における受刑者の処遇にも大きな影響を与えるものですので、この「懲役」のところに一言、「注」でもつけまして「なお、自由刑を言い渡された受刑者の改善更生を図るため、2022年の刑法等一部改正により懲役、禁錮が廃止され、新たな拘禁刑という刑罰が導入され、3年以内に施行が予定されている」といったような記載を書いておくと、先ほどの司法と治療の連携とか社会復帰支援ということにもつながってまいりますので、若干そういった新しい動きも意識した記載にしていただければなと思っております。
もう一つは、また学校教育の話に戻ってしまうのですが、一次予防だけでなくて、二次予防も含めた記載を検討していただけるということですけれども、その際に、特に子供の場合は、単に薬物に関心があって薬物等を使用するという者もいるでしょうけれども、様々な逆境体験、虐待とかいじめとか貧困とか孤立とか、そういった背景の下で薬物に行かざるを得ないような若者とか子供もいるということが明らかになっておりますので、その記載の中にも、薬物依存の背景となっているようなものに対してきちんと同様に対処するということが、薬物の一次予防ないし二次予防にも資すると思われます。そういった「乱用者が抱える、もしくは一般の若者が抱える問題性ということに対して適切に対応するとともに」といったような記載をどこかに加えていただけるような検討をお願いできればなと思っております。
以上です。
○合田委員長 専門性に基づいた御意見、ありがとうございます。
事務局はよろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 御指摘いただいた部分につきまして、まず注釈のところは、そのとおり注釈をつけさせていただきたいと思います。
あと、啓発の部分について、一次予防の観点のみならずというところについても、今、御指摘いただいた部分をどこまで書けるかというところも含めて少し検討させていただきますので、また委員長と相談させていただこうと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
ほかに御意見等ございますか。よろしいですか。鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 THCの有害性については十分述べられていると思うのですが、THCの有効性についても少しだけは触れておいたほうが良いと思いました。例えば抗がん剤の嘔気・嘔吐に対する制吐作用、難治性疼痛の鎮痛、あるいは食欲増進作用等が知られておりますので、その辺を入れて頂いたほうが良いかと思いました。
○合田委員長 ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
今の点は2ページの「大麻の有害性とΔ9-THC」という記載の部分かと思いますが、ここはむしろ薬物乱用対策としての有害性を書いているところなので、ここにあまり有効性の話を書くと、ちょっと趣旨が変わってしまうおそれがあるかなと思っています。今の御指摘の部分については、例えば規制の見直しの方向性の部分で、大麻由来医薬品に係る取扱いというのが7ページ以降のところにございまして、ここで大麻由来医薬品の国際的な有効性に関する認識、医療上の有用性の認識が変わった、条約上の位置づけが変わったというお話がありますが、エピディオレックスに関連する部分ですけれども、この辺りに単にエピディオレックスの話だけではなくて、今、先生がおっしゃられたような諸外国、サティベックスとか、それぞれTHCベースの医薬品もあるわけでありまして、それががん治療における制吐作用の部分とか、HIVの患者さんに対する随伴症状の緩和とか、そういうものに使われているというファクトも含めて少し記載を追記させていただいてはどうかなと思っております。
○合田委員長 ありがとうございます。
鈴木先生、よろしいですね。
○鈴木委員 はい。
○合田委員長 ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
では、私も1点だけ。最初に「議論のとりまとめ(案)」を読まれたときに、1ページ目で「カンナビス・サティバ・エル」と読まれましたね。この「L.」は「リンネ」なのです。一番最初のこの検討会のところでも今の法律がおかしいという話で、名前のつけ方がおかしいというふうに言って。もしもそれを読まなければいけないときは、「エル」ではなくて、「リンネ」と読んでいただいて、何かするときには「リンネ」にしておかないと意味が全く通じなくなりますので。もしもそういう記載が法律上もある場合には、このタイミングでしか直せませんので、よろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 承知いたしました。
○合田委員長 ほかに何かございますか。よろしいですか。
それでは、本日の議論はここまでとさせていただこうと思います。
基本的に事務局から適切な御意見を今回もいただいておると思いますので、基本的にはとりまとめ(案)の修正につきましては、別途私と事務局等で相談させていただいて、その形で御一任をいただいて取りまとめたいと思いますが、それでよろしいですか。
(委員首肯)
○合田委員長 では、御了解いただいたものといたします。
それでは、今日は委員会の最終日でございますので、今年の5月から4回にわたり開催してきました本委員会も一区切りを迎えたことになります。議論の中で様々な立場から重要な御意見をいただきましたけれども、このようにとりまとめに向けた道筋ができたのも、ひとえに委員の先生方の活発な御議論によるものだと思っております。どうもありがとうございます。
それでは、御参加いただきました委員の皆様方から最後に一言ずつ御挨拶をお願いできればと思っております。
まず、太田先生、よろしくお願いします。
○太田委員 この半年間、いろいろお世話になりました。ありがとうございました。最終的に今日決まりましたとりまとめに基づきまして一日も早く法改正及び制度化が実現するということを願っております。ただ、司法制度を研究する者として、先ほど小林先生や神村先生からも出ておりましたけれども、こういった薬物の使用なり所持等により検挙され、刑事手続きに乗った者が再び薬物乱用や再使用につながってしまうことを防ぐために、司法と医療ないし福祉との連携がさらに進み、何度も刑事手続に乗る者ができるだけ少なくなるような仕組みにつながっていくということを願っております。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、神村先生、お願いしてよろしいですか。
○神村委員 私は、太田先生、小林先生と前回対面で会議に出席させていただいたときに大分いろんなことを教えていただきまして、それが今日の私の意見にもつながっていると思いますけれども、使用された方を社会でどのように回復の道を図っていくかということがとても大事だというふうに意見を持てるようになったところは、お二人の先生のおかげだと思っております。
また、このようなとりまとめをきちっとしていただきまして、事務局にも感謝しております。
皆様、どうもありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、小林先生、お願いします。
○小林委員 依存症医療の立場から参加させていただきまして、ありがとうございました。少し今回のこの委員会の趣旨から外れるような意見もあったかと思いますが、どうか御容赦ください。事務局の皆様には私の意見もできる限り酌み取っていただいたことを感謝申し上げます。
使用罪に関しては、依存症医療の業界でもかなり多様な意見がございまして、なかなか冷静な意見を交わすことが難しい現状もございます。今後、具体的に法整備とか運用ということになっていく過程では、ぜひ冷静かつ理性的な議論が進められることを祈っております。
皆様、ありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 事務局の方々、あるいは委員の先生方、本当に御苦労さまでございました。さきの検討会から加わってやっておりましたけれども、それからしばらく期間が空いて、どうなるかなと思って心配していたのですが、事務局の方々がしっかりと取り組んでいただいて、今回4回でこのようなまとめができたということは、本当に感謝をしたいと思います。
今後、この法制化ができて、さらに今度はそれを一般の方々に周知徹底していくということで、その辺の教育ということも必要になっていくと思いますので、まだまだ長い取組になると思いますけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○合田委員長 ありがとうございます。
関野先生、お願いします。
○関野委員 事務局の皆様、取りまとめ、それからたくさんの調査、資料等の取りまとめ、本当にありがとうございました。この委員会を通じて非常に多面的に大麻というものを私自身も理解することができました。
とにかく危険であるという啓蒙活動も必要なのですけれども、危険危険と言うだけではなくて、小学生・中学生の教育の中にサイエンスとしての理解もどんどん進めていっていただきたいと思っているのと、薬理学者として参加させていただいておりますが、量と持続性、神経の発達とか、そういうメカニズムとの関連性でこの有害性というものが非常に変わってきますので、そういうところをきちっと皆さんが理解してもらうということ。ただ安全でないから使ってはいけないという理解ではなくて、なぜ使ってはいけないのか、どういうことが起こるかもしれないから使ってはいけないのだというところの理解を深めていくべきだと感じました。それは日本国民としての教養レベルみたいなところもあると思うので、大麻に関しては、日本はほかの国と全く違って生涯使用率の低さを誇っているわけですけれども、これはただただ危険だから、怖いから、規制されているから使わないのだということではなくて、こういう薬物の怖さというもののサイエンスとしての理解を進めていってほしいなと思いました。よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、富永先生、お願いします。
○富永委員 どうもありがとうございました。
薬剤師として、大麻からつくられた医薬品が有効で、安全が確認されて、薬機法に基づく承認がなされ、適正な流通、そして管理を経て、必要とする患者さんに供給されることを望んでおります。
今日も申しましたが、一方で大麻が薬物として乱用されて健康被害が広がらないよう、教育、そして啓発活動を推進され、大麻の乱用が防止される法改正となるよう期待するところです。
お世話になりました。ありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございました。
それでは、中島先生、お願いします。
○中島委員 これまでどうもありがとうございました。
私のほうからは自治体の立場として、免許事務等に関するものを中心に御意見をさせていただきました。先ほどもちょっとお話ししたのですけれども、法制化、その後の運用についてもいろいろと詰めていくところ、御相談させていただくところが多くあると思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、橋爪先生、お願いします。
○橋爪委員 ありがとうございます。日薬連の橋爪です。
私は医薬品業界に身を置く者の代表で出させていただいて、いろいろ意見をさせていただきました。大麻が医薬品業界で話題になることはまずなかったです。私は昨年の検討会から出させていただいていまして、こういったものが、いわゆる駄目というところからずっと始まっていた薬物が、医療用大麻として使えるのだ、有効な部分もあるのだというところに議論を置くというところは、ある意味アクセルを踏みながらブレーキも踏んでというところで、非常に難しい議論だったのかなと思います。
そのために法制化ということで、海外のエピディオレックスを入れるということになってくると、それを待ち望んでおられる患者さんがいる以上、それはきちんとした法制化の下に、安全、安心に使っていただくということが大事だろうと思います。ただ、エビデンスという部分においてはまだまだ未知な部分。今日も議論にありましたけれども、THCも有効な部分もあるし、駄目な部分もある。CBDにしても、法的には問題ないけれども薬物としてはまだまだ議論の余地がある。そういったことを考えていくと、上手にブレーキとアクセル、あと教育といったものをきちんとやっていくことが必要なのかなと思いました。
ここまで取りまとめていただきました事務局の方々に本当に感謝申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
以上です。
○合田委員長 ありがとうございました。
それでは、花尻先生、お願いします。
○花尻委員 国立医薬品食品衛生研究所の花尻でございます。
今回、私のほうでは大麻及び大麻草に関わる科学的及び植物学的な試験研究を行う立場から参加させていただいたかと存じます。
今回の委員会におきましては、大麻に関わる部位規制から成分規制の変更に際しまして、大麻由来製品に含まれるTHCの残留限度値の設定、明確化、また、THC含有量に応じた栽培管理としてTHC含有量が低い品種に関しての継続的な担保という方向性が示されたかと思います。
今後法改正に向けて細かいことなどが随時詰められていくかと存じますが、このような試験研究を行っている立場としてそれらについても今後も注視していきたいと考えております。
最後になりましたが、この4回の委員会の内容を非常によくまとめてくださいました事務局の皆様方、委員の先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、舩田先生、お願いします。
○舩田委員 湘南医療大学の舩田でございます。
今回この小委員会の議論に参加させていただきまして感謝申し上げます。
私は、大麻に関する海外の規制状況の調査研究、また、さらには基礎研究に携わる人間といたしまして、関連の情報を提供をさせていただきました。特に今回の大麻規制を考える中で、医薬品として大麻抽出の成分が利用されるに至っている海外の状況を踏まえて、我が国でもそういったものを適切に導入していくアプローチについて、議論が進んでよかったと思いました。その過程で、特に大麻から抽出した成分でありますので、精神作用を示すTHCの濃度について、成分規制も踏まえて基準を考えていくというところも議論できたのはよかったなと思います。
そういったTHCを検出したり、その量を調べるという一定のルールづくり、さらには公的機関や民間の検査機関も含めて、検査機関を全国に広げていくということは、エピディオレックスのような医薬品を安全に使うという観点からも非常に重要なポイントかなと思いました。
さらに、THCを正確に測れるということで、今回のとりまとめにもありますように、大麻自体、低濃度のTHCを含むようないわゆる産業用の大麻といったものの扱いがより適切になる。そういたしますと、大麻の伝統的な栽培といったものも維持できる。大麻成分に着目した展開というのは今回非常に議論が深まったということで、よかったかなと思います。
さらに、大麻の基礎研究の分野からみますと、免許の件で、大麻研究者免許を麻薬研究者免許という形での一体化、一本化するという方向性も出ておりました。これは大麻に含まれている成分について今までなかなか研究しにくかった部分が、適切に進むということになり、我が国の中で新しい発見も出てくるかなということで、非常に期待できるのかなと思いました。
最後になりますが、各委員の先生方をはじめ、事務局の皆様には大変お世話になりました。どうもありがとうございました。
以上でございます。
○合田委員長 舩田先生、どうもありがとうございました。
それでは、最後に私から挨拶をさせていただきます。今回の小委員会でのとりまとめですけれども、これは昭和23年以来の大麻取締法の大改正を目指した議論でございます。この70年間に大麻草の薬学的な知見、医学的な評価や栽培環境、薬物乱用の社会的な問題、背景も含めまして、全体として大麻をめぐる大きな環境変化がありまして、この規制を見直すという機会になったものと考えています。
議論では、医療に対して有用で有害でないものは認めるということ。一方では、使ってはいけないものを明確にする。さらに伝統文化の継承も視野に入れたものになって、栽培の在り方も考えると。非常に幅広い多岐にわたる議論を4回という短期間で先生方に議論していただき、事務局にこれをおまとめいただいたということになっていると思います。熱心な議論をいただきました委員の先生方に御礼を申し上げます。
一方で、私自身のことを考えてみますと、私は基本的には天然物、植物化学の研究者で、当初から大麻というのは日本では伝統的な薬物としてあったのだよなという考え方がございまして、そのことに対してもうまく答えていただけるような今回のとりまとめになったのではないかなと思っております。
もう一つ、先ほど委員から意見がありましたけれども、私、実は国立衛研に最初に入ったときに、そのときの上司から、植物学を知らない人は「L.」を「エル、テン」と読むのだよ、それはいつか何とかしなければいけないのだよと言われたのですけれども、その点だけは、今回課長から力強い御意見をいただきましたので、解決していただけるのではないかなと思う。もう亡くなりましたが、その恩師にこのことは解決できたよということが答えられるのではないかと思って、非常にうれしく思っております。
国立衛研の所長としましては、これからテクニカルな問題、技術的に解決しなければいけない問題がたくさんあります。例えば大麻の濃度規制をするというのに対して、分析法をどうするかというのが横についていますし、それから低濃度の大麻の種というのはどういう種なのか。それが日本全国でどのように栽培できる場所も含めて、考えていかなければならないというので、これから技術的なところを法施行も見据えながら解決していかなければいけないということで、これはうちの職員も含めまして関係機関の人たちが頑張っていく話だろうなと思っております。
基本的に今回のとりまとめに基づきまして、大麻取締法だけでなくて、麻薬及び向精神薬取締法を改正して、それを施行するということが確実に、日程がこれである程度決まりながら、迫っていますので、それに向けて我々も努力いたしますし、皆様にも見守っていただきたいと思っております。
小林先生、神村先生などにも積極的に御意見をいただきましたけれども、使用罪に関して議論になった薬物依存症の方の社会復帰、治療の支援につながる処遇、対応につきまして、事務局からも御回答がございましたけれども、この小委員会の直接のミッションではないのですが、これは重要な問題ですので、今後、刑事司法の検討課題になるのだろうという具合に思っております。
最後になりましたけれども、改めて委員の先生方の深い議論に御礼を申し上げたいと思います。
厚労省におきましても、今後上位の部会での審議、制度改正に向けた作業について進めていただければと思っております。
以上です。
それでは、最後に事務局を代表しまして、八神局長から一言御挨拶をお願いいたします。
○局長 医薬・生活衛生局長の八神でございます。一言御礼の御挨拶を申し上げます。
まず、合田委員長をはじめ、委員の皆様方におかれましては、今年の5月25日以来、御多忙のところ、今日に至るまで大変御熱心、活発な御議論をいただきました。まずもって厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
今回、とりまとめ(案)でございますが、大麻の医療ニーズへの対応、薬物乱用への対応、産業への利活用、栽培制度の見直しなど、幅広い論点につきまして御議論いただきまして、今後の大麻規制の在り方に関する提言を盛り込んでいただきました。
今後、医薬品医療機器制度部会に報告をし、また御議論、御了承いただくということになりますが、事務局といたしましては、今回お示しいただいた方向性をしっかりと受け止めさせていただいて、国民の皆様の健康・医療のために法律改正を含め、必要な検討と対応を進めてまいりたいと考えております。
最後になりますが、制度の見直しに向けましては、今後さらに検討を深めるべき課題、詰めていくべき課題があろうかと思います。委員の皆様方におかれましては、今後も引き続きよろしく御指導をお願い申し上げます。
私の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○合田委員長 どうもありがとうございます。
それでは、本日予定されていた議論は以上となりますが、最後に事務局のほうから何かございますか。
○事務局 本日いただきました御意見につきましては、事務局で改めて整理させていただいて、委員長のほうで取りまとめていきたいと思います。その後、委員の皆様に共有させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして令和4年度第4回「医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を閉会いたします。
御協力、誠にありがとうございました。
 

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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