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令和4年6月29日 第2回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

令和4年6月29日(水)14:00~16:00

 

○場所 

三田共用会議所
(東京都港区三田2丁目1-8)
 

○議題 

(1)「大麻の適切な利用の推進」
(2)「適切な栽培及び管理の徹底」
(3)「議題のまとめ」

○議事録

  
○監視指導・麻薬対策課長 失礼いたします。定刻より早めでございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから第2回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を開催させていただきます。
 委員の先生方におかれましては、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本委員会におけるカメラ撮りにつきましては、冒頭のみでお願いいたします。冒頭の挨拶が終了した後、報道関係者の皆様は御退席をお願いいたします。
 本日は、現時点で11名の委員の先生方全員に御出席いただいておりまして、定足数を満たしております。委員会が成立していることを初めに御報告いたします。
 神村委員、富永委員におかれましては、本日はウェブ形式にて御参加いただいております。
 また、本日は、栃木県において7代続く麻栽培農家にて麻栽培に従事されておられます、日本大麻生産者連絡協議会会長の大森由久様に参考人としてお越しいただいております。
 本日は、会議室における対面形式とウェブ形式を併用した委員会を進めさせていただきます。また、委員会を開催する前に、本委員会の取扱いについて御説明いたします。
 本委員会につきましては公開とさせていただいておりますが、新型コロナウイルス感染症対策のため、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方にサテライトセンターにて傍聴いただいております。
 本日の議事はお配りしている次第に沿って進めさせていただきますが、議事に入る前に、事務局から本委員会の連絡事項を申し上げます。
○事務局 厚生労働省全体の取組といたしまして審議会等のペーパーレス化を進めております。本日もペーパーレスでの委員会開催とさせていただきますので、委員会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がございましたら適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
 議事録については後日公開を予定しております。
 最後に、審議中に御意見、御質問をされる委員の方々にお知らせいたします。
 まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願い申し上げます。また、卓上にウェブ形式に使用するZoomがございますが、御発言の際は卓上のマイクを御使用いただき、Zoomのマイクについては消音のまま御使用いただきますようお願いいたします。卓上のマイクにつきましては、使用される際にボタンを押して御発言いただき、終了しましたら再度同じボタンを押してオフにしていただきますようお願いいたします。
 また、ウェブで御参加いただいている委員におかれましては、まずZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきますので、御発言いただく際は、マイクについて消音を解除していただいた上、御発言をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、委員会の開会に当たりまして、医薬・生活衛生局の幹部に人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 6月28日付で着任いたしました厚生労働省医薬・生活衛生局長の八神から一言御挨拶を申し上げます。
○局長 このたび、6月28日付で厚生労働省医薬・生活衛生局長に着任いたしました八神でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日お集まりいただきました皆様には、平素から薬物行政の推進につきまして格別の御高配を賜り、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
 本日の議題は「大麻の適正な利用の促進」「適切な栽培及び管理の徹底」となっております。大麻の医療での利用、産業での利用、乱用対策の課題などにつきまして、有識者の皆様方に高い見地から忌憚のない御意見をいただければ幸いでございます。
 冒頭に当たりまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 続きまして、同日付で着任いたしました総務課長の衣笠秀一でございます。
○総務課長 このたび、総務課長を拝命しました衣笠と申します。皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 続きまして、同日付で麻薬対策企画官に着任いたしました木村剛一郎でございます。
○麻薬対策企画官 麻薬対策企画官の木村と申します。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 本委員会におけるカメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係の方は、申し訳ございません。御退席をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ここからの議事の進行は合田委員長にお願いいたします。
○合田委員長 事務局に最初に伺いたいのですけれども、ウェブ参加の富永先生のお顔が出ていないのですが、これは何か事情がありますか。
 向こうの機器の都合ですか。
○事務局 今、向こうの都合でついておりませんので、すぐ対処します。
○合田委員長 よろしくお願いします。
 それでは、最初の議題1「大麻の適正な利用の促進」に入りたいと思います。まず、厚労省から資料1の「大麻事犯の現状について」の説明。続きまして、花尻先生から資料2についての説明。最後に、厚労省から資料3の説明を続けてお願いいたします。質疑はその後に行いたいと思っております。
 では、まず、厚労省、どうぞよろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。それでは、資料1につきまして、事務局から御説明いたします。
 資料1につきましては大麻事犯の現状でございまして、前回の委員会におきましても委員の先生方から大麻事犯の現状についてということで宿題をいただいてございますので、御紹介させていただきたいと思っております。
 資料の2枚目で、最初に、大麻の密輸事件の現状についてでございます。
 密輸事件の数字につきましては、ここに示しておりますような概況でございます。この大麻密輸事件の特徴で、近年は乾燥大麻の密輸が減少して、大麻リキッド、液体大麻の密輸が増加している傾向でございます。そういう中で。
 すみません。今、画面が切れているようでございます。ちょっとお待ちくださいませ。
 1枚目は大麻事犯の密輸の現状ということで、密輸事件の数字につきまして概況をまとめさせていただいてございます。大麻樹脂のほか、押収量としてはリキッドが増加している傾向でございます。
 次のスライドをお願いします。
 特徴としては、今、申し上げましたように、液体大麻の密輸が増えているような状況です。そういう液体大麻、大麻リキッドの隠匿方法が非常に巧妙化しているような状況ですとか、ショットガン方式等で密輸されておりまして、摘発されても密輸組織のダメージが少ない。そんな形態のものでございます。
 次のスライドをお願いします。
 大麻の濃縮物の押収量等の増加という点で、先ほど液体大麻ということを申し上げましたけれども、大麻濃縮物、大麻ワックスや大麻リキッド等の総称の液体大麻のことを申し上げておりますが、この図1のグラフを御覧いただきましても液体大麻の押収量が令和元年以降、急速に増えてきているような状況になってきてございます。
 次のスライドをお願いします。
 大麻リキッドの外観と使用方法ですが、こういった液体大麻、大麻リキッドにつきましては、この図にお示ししているような電子たばこのデバイスを用いて使うのが主な使い方でございます。
 次のスライドをお願いします。
 インターネットを利用した密輸事犯でございます。特に国内においての密売という観点では、巧妙化する薬物密売の流れということで、近年はSNSを使って密売広告を出して、そこにお客さんが来て、いわゆる宅配輸送を使って客のところに配送する。そういう形態のものが多くなっております。
 次のスライドをお願いします。
 そういう中で、密売広告の例を挙げさせていただいておりますけれども、いろいろな隠語を使ったりとか、そういうところでお客さんを誘導しているというものでございます。
 次のスライドをお願いします。
 国内における大麻栽培事犯の動向でございます。件数・人員ともに増えているということですが、その増加の要因としてはインターネットの普及、輸送連絡網の発達、秘密裏に栽培可能になっている。そういう状況でございます。
 次のスライドをお願いします。
 一例として、室内の大麻栽培の例で、室内での水耕栽培的に栽培しているような栽培事例とか、最近は栽培器具等を販売・供給する方もいらっしゃるということで、そういった摘発事例についても御紹介させていただいております。
 次のスライドをお願いします。
 あと、これも御指摘をいただいた点ですけれども、大麻の使用が認められるものの検挙に至らない想定パターンでありますが、ここにパターン1とパターン2を示させていただいてございます。大麻の所持に関する証拠が不十分な場合に、大麻取締法の使用罪の適用がないために、大麻の使用に関する十分な証拠があったとしても、当該被疑者を所持罪でも使用罪でも検挙することができないパターンの事例としてお示しをさせてございます。
 事務局からは以上でございます。
○合田委員長 ありがとうございました。
 続きまして、花尻先生から資料2の「カンナビノイドの化学的性質」について説明をお願いします。よろしくお願いします。
○花尻委員 国立医薬品食品衛生研究所の花尻と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 大麻使用と製品基準、また、国内外の大麻栽培の規格などにつきましては、この後、事務局より詳細に説明があるかと存じますので、ここでは大麻草やカンナビノイドについて15分間ほど簡単にお話しさせていただきたいと思います。
 初めに、今さらではございますが、大麻草とは何かから簡単に説明させていただきたいと思います。
 大麻草とは、アサ科アサ属のCannabis sativaという種の植物になります。少し古い文献ですと、Cannabis indicaやCannabis ruderalisなどという名前も出てきますけれども、大麻草は1族1種の植物と認知されています。Cannabis sativaにおきましては、現在では変異パターンが主に2つのクラスに識別できておりまして、亜種、Cannabis sativa subsp. SativaとCannabis sativa subsp. indicaとして扱われる。各亜種内にはさらに2つのフェーズに分けられ、各4つの識別可能なグループが変種として認識されております。また、Cannabis sativaには特徴的な成分の含有量が異なる様々な(栽培)品種が存在しています。
 大麻草Cannabis sativaは、中央アジア原産の一年生の草本です。成分として、カンナビノイドと呼ばれる大麻に特有な化合物群約120種類が報告されています。主カンナビノイド成分としまして、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)やカンナビジオール(CBD)が報告されていますが、これらは植物中ではテトラヒドロカンナビノール酸、カンナビジオール酸として存在しておりまして、保存や吸煙時の加熱処理などによって脱炭酸を受けてTHCやCBDとなります。
 主活性成分でありますΔ9-THCを多く含有するTHCA種(薬物型)、また、Δ9-THCをほとんど含まないCBDA種(繊維型)が知られております。欧米では、産業用途で使用するΔ9-THC低含量の品種をHempとして、Δ9-THC高含量の品種とは区別しています。なお、植物として交雑が非常に進んでおりまして、葉の形などの表現型と成分などの化学的特性は必ずしも関連していないと言われております。
 大麻草は自然条件下では基本的には雌雄異株ですが、雌雄同株も存在しています。フランスでは栽培されている繊維や種子収穫用のHempのほとんどが雌雄同株であると言われています。
 スライドには、雌雄異株の大麻草の花または果実、種子がついた下の部分を示しています。種子は苞葉と呼ばれる葉に包まれています。
 カンナビノイドは、大麻草の状突起の繊毛部分で合成されて、先端のほうで蓄積されています。したがいまして、この状突起の繊毛が存在する部位においてカンナビノイドが多く検出することになりますけれども、この繊毛は花や葉っぱ、また、苞葉に多く局在することが報告されています。
 これまでの様々な研究におきまして、カンナビノイドが多く含まれる部位には主に花穂、苞葉、葉の部分であることが明らかとなっており、葉におきましても、例えば花穂部分に近い先端の葉っぱと成熟した茎の下部についているような葉などでは植物体における位置によってカンナビノイドの含量は異なることが報告されています。一方、根や成熟した茎、また、果実(種子)にはカンナビノイドが少ない、またはほとんど検出されないことが報告されています。
 成長過程でのカンナビノイド含量の増減はカンナビノイドの種類によって異なりまして、発芽直後はほとんどカンナビノイドが生成しないことが報告されています。活性成分でありますΔ9-THC、THCAなのですけれども、これは報告によって差がありますが、国連の薬物犯罪事務所の2009年の報告では、大麻草における各部位での含量は花穂で10~12%、葉で1~2%、茎は花に近いような茎なのですけれども、これで0.1~0.3%程度とされています。また、品種によっても成長過程における各カンナビノイド含量の増減は異なっておりまして、暗所で栽培した場合は明所と比較しましてΔ9-THCなどの含有量が低いと言われております。
 スライドには、米国のワシントン州におきまして2014年6月から2017年5月の3年間に分析した30万以上の大麻草について、Δ9-THCとCBDの含有量を基に3つのグループに分けた報告を示しています。
 この左側のChemotype Iに分類される栽培品種につきましては、Δ9-THCの含有量が多く、おおよそ15~20%程度含有していました。また、右側の上のほうのChemotype IIはΔ9-THCの含有量が少なく、CBDの含有量も10%以下の栽培品種。また、この右の図の下のほうですけれども、Chemotype IIIはΔ9-THCの含有量は少なく、CBDの含有量が10~15%程度と、比較的多い栽培品種となっています。
 次に、Δ9-THCを中心に、カンナビノイドの特性について、簡単ではございますが、お話ししたいと思います。
 このスライドには、大麻草におけるカンナビノイドの生合成の一部分を抜粋して示しています。カンナビノイドは炭素21個から成るテルペノフェノリック骨格を有する化合物群で、酢酸-マロン酸経路由来のオリベトール酸と、メバロン酸経路由来のゲラニル二リン酸から生合成されます。CBGA、この上の真ん中のほうにある化合物ですけれども、このCBGAはカンナビノイドの生合成経路におきまして、CBDA、THCAなどのカンナビノイドの前駆体となります。
 カンナビノイドは、植物体では主にフェノールカルボン酸体、このスライドではCBGAですとか、CBCA、CBDA、THCAなどと書いてありますけれども、そのような形で存在しています。これらは乾燥や光や熱によって脱炭酸が起こり、それぞれCBG、CBC、CBD、THCへと変化します。
 フレッシュな大麻草では、状態によって異なりますけれども、THCの約90~95%程度がカルボン酸として存在していることが報告されています。近年では、CBD、THC以外にもCBG、CBC、CBNなど、様々なカンナビノイドを主として含有する製品もインターネット上などで散見されています。
 前のスライドで、THCなどのカンナビノイドは、植物体中では主にフェノールカルボン酸として生合成されて、乾燥や光や熱などによって脱炭酸が起こり、THCへと変化することをお話ししました。大麻草中のΔ9-THCAは喫煙時には加熱により分解して、主にΔ9-THCとして吸引されます。一方、Δ9-THCAが残存する大麻抽出物を摂取したヒトの血清や尿中からΔ9-THCAそのものが検出された報告もあります。
 2009年にラットを用いた動物実験によりまして、Δ9-THCAを経口摂取した場合、生体内でΔ9-THCAに変換される可能性があるかどうかを検討した論文が報告されています。Δ9-THCAを15mg/kgラットに単回経口投与して、尿中に排せつされる代謝物を分析した結果、12種類の代謝物が検出されましたが、Δ9-THC及びその代謝物は検出されませんでした。したがいまして、あくまでもラットの結果ではございますが、Δ9-THCAを経口摂取した場合でも、生体内でΔ9-THCには変換されないのではないかということが示されております。
 また、CBDは産生条件下や加熱条件下で一部がTHCに変換することが知られています。2021年に発表された論文では、CBDを加熱装置により250~400度に瞬時に昇温して加熱した結果、Δ9-THC、Δ8-THC、また、その他のカンナビノイドが生成したと報告しています。
 一方で、査読前の文献ではありますが、市販の電子タバコデバイスを使用して、Eリキッドなどとして用いられている溶液と同様な状態でCBDを加熱して、気化した成分を室温下で凝縮物とし、その凝縮物中の化合物を分析した結果、Δ9-THCの新たな生成は認められなかったという報告もございます。
 現時点では、カンナビノイドとしてCBDのみを含むEリキッドを電子たばこデバイスで喫煙したヒトの尿中からTHC及びその代謝物が検出されたような報告は見当たりませんが、今後も知見を集積していく必要があるかと考えております。
 一方、CBDは酸性条件下で一部がTHCに変換することが知られております。2016年の論文では、CBDを37度Cの人工胃液中、大体、これはpH1.2程度なのですけれども、それにおいて攪拌しましたところ、2時間後にはCBDはほぼ消失して、主にΔ9-THC、Δ8-THC及びその他の化合物が生成することを報告しています。
 CBDを経口摂取した際に、胃酸の産生下、胃内でTHCになる可能性があるかどうかについては幾つかの検討が今までに行われております。例えば消化器官における代謝がヒトに近いとされているミニブタを用いた検討では、CBDを1日2回、15mg/kgずつ、5日間経口投与した結果、血液中からも胃内容物からもTHCやTHCの代謝物は検出されなかったと報告されています。
 また、ヒトに大量のCBDを単回経口投与した結果、さらにはCBDを1日10mg/kg、6週間ほど経口投与した検討におきましても、ヒトの生体試料中からはTHCやTHCの代謝物は検出されませんでした。
 なお、WHOの薬物依存専門家委員会が発出したCBDのクリティカルレビューにおきましては、ヒトにCBDを経口投与した場合、臨床的にTHC様の作用をもたらす、あるいはTHCまたはその代謝物が血漿中濃度で有意に高くなるような証拠はないと記載されております。これらにつきましても、今後も知見を集積していく必要があるかと考えております。
 最後に、THCなどのカンナビノイドについて、分析の観点から少しお話ししたいと思います。
 この後、事務局からも詳細に説明があるかと思いますけれども、2018年の米国のFarm Billは、HempをControlled Substances Act(CSA)のSchedule Iから除外して、農産物としてHempを栽培することを合法化しました。
 ここで言うHempとは植物Cannabis sativaで、種子やその他、いずれの部位も含めまして、全ての誘導体、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩及び異性体の塩、成長しているかどうかを問わず、Δ9-THC濃度が乾燥重量基準で0.3%以下のものと規定されています。規定されているΔ9-THCの濃度は、大麻草中に存在するカルボン酸体Δ9-THCAをΔ9-THCに換算した総Δ9-THCの濃度を示しています。
 一方、欧州におきましては、EUレギュレーションにおいて、麻の栽培への助成の適合性を判断する基準として、使用される品種のTHC含有量が0.2%を超えない場合のみと規定されています。なお、この0.2%という値は基準が0.2%から0.3%に改められる見通しになっております。
 一方、欧州におきましては、Hemp栽培で許容されているΔ9-THCレベルと最終製品中に許容されるΔ9-THCレベルが異なることもあり、Hemp由来製品中のΔ9-THCの限度値が示されている国もあります。特に欧州では、Hempの分析において、大麻草そのものを分析するのか、それとも、最終産物である様々な大麻由来製品を分析するのかで限度値が変わってくる場合があるかと思います。
 大麻草中のカンナビノイドの分析につきましては、主にガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、また、それらに質量分析を連結したような手法が用いられています。THCやCBDなどにつきましては、フレッシュな植物体ではほとんどがカルボン酸でありますTHCAやCBDAとして存在していますが、これらにつきましては基本的には脱炭酸体、すなわち、THC、CBDとして換算したトータルの量を乾燥重量における濃度として算出しています。
 各国・各機関のプロトコルにより、分析に用いる大麻草の分析対象部位が異なる場合がありまして、花のみ、花または果実(種子)のついた枝端、果実(種子)を含む枝の上部3分の1などを対象としている場合もあります。また、大麻草の乾燥条件につきましても、プロトコルによって必ずしも同一ではない場合も散見されています。大麻草につきましては、分析のためにどの部分を採取して、どのように調製するか、考慮する必要があると考えられます。
 最後に、参考までにスライドに国連薬物犯罪事務所やEU、米国麻薬取締局などが発出している大麻草及び関連製品の分析法の例を示しました。これらのように、いろいろな分析法などが今までに報告されていますが、今後もまだまだ検討の余地はあるかと思います。
 以上、非常に本当にまとまりがなくて大変恐縮ではございますが、簡単に大麻及びカンナビノイドの特性についてお話をさせていただきました。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○合田委員長 花尻先生、どうもありがとうございました。
 それでは、次に、厚生労働省からの説明に移りたいと思います。まず、資料3の「大麻由来製品の使用とTHCによる使用の立証について」の説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、事務局の監視指導・麻薬対策課でございます。資料3について御説明させていただきます。
 資料3で「大麻由来製品の使用とTHCによる使用の立証について」でございます。
 1ページ目で「大麻やTHCの使用形態に関する論点」で、今し方、資料2の花尻先生からのプレゼンテーションにもあったことを受けてということになってまいりますけれども、使用の立証における尿検査の部分。
 あと、THCの摂取形態で、いわゆるたばこのような形のジョイントで吸煙されるような形。また、その横にいらっしゃるような受動喫煙者の論点。あと、CBDなどのいわゆる大麻由来製品に混入してくるおそれがあるTHCの取扱い。また、前回御指摘もいただきましたが、乾燥大麻から濃縮するようなブタンハニーオイルのような手法とか、こういった部分の論点。
 あとは、THCに関して、製品に混入ということをお話ししましたけれども、THCの無作用量とか残留限度値をつくるとした場合の考え方といった点が論点になろうかと思っております。
 では、続けさせていただきます。お手元の資料の2ページでございます。「大麻使用の立証に関する科学的知見の整理について」でありますけれども、先ほどの花尻先生にも御発表いただきましたような知見も整理いたしまして、ここで論点について整理させていただきたいと思います。
 薬物事犯での薬物使用の立証においては、被疑者の尿を採取し、鑑定することで行っておりますけれども、大麻についても同様で、今後、成分規制でTHCに着目してということになってまいりますと、THCが体内に摂取された後の尿中の代謝物、THC代謝物であるTHC-COOH-gluという形で排泄されることが知られているということで、そういったものに着目した形での対応になってまいります。
 3ページでございます。大麻使用の立証に係る知見の2つ目であります。
 受動喫煙と能動喫煙の識別という点も課題になってまいります。これもこれまでの臨床試験等の様々な知見から、喫煙者に比べて一般的に受動喫煙の方は、尿中に現れるTHC代謝物の濃度が低いということで、喫煙者と受動喫煙者の区別は尿中の代謝物の濃度によって可能ではないかという点が一つです。
 2番目ですけれども、CBDオイル等の食品からTHCを摂取する可能性でございますが、基本的には純粋なCBDの摂取からは、ヒトの尿中にはTHC代謝物が検出されることは否定的という知見が得られているような状況でありますので、CBD製品の摂取でTHC代謝物が検出されることは、THCが製品に混入する場合が考えられるということでございます。
 あと、経口摂取製品のTHCの残留基準であります。EUの食品安全委員会等におきましてはTHCの摂取許容量を定めておりまして、この際に毒性学的な評価で急性参照用量(ARfD)を基準としております。このARfD、欧州では1μg/kg体重を基準にして食品等のTHCの残量量を定めているということでございまして、そういったものを参考にできるのではないかということであります。
 4ページでございます。有害性のないCBDが使用時にTHCに変換されることはないのかということで、先ほどの花尻先生のプレゼンテーションにあった科学的知見も整理させていただきまして、CBDのみの摂取ではTHCに変換することはないと現状では言えるのではないかということです。まださらに科学的知見を収集する必要はあると思いますけれども、現状ではそうではないか。
 一方、CBDに意図的に酸及び熱を加えると一部がTHCに変換されることも知られている状況です。現行法でも無許可でTHCを製造する行為に当たるため、これは製造罪違反という形になりますけれども、そういうものに対しても必要な対応をすべきではないかという点がございます。
 5ページ目でございます。「ブタンハニーオイル(BHO)への濃縮」でありますけれども、ブタンハニーオイルは大麻草から大麻成分のTHCをブタンガスで抽出した大麻濃縮物の一つでございます。これに国内の低THC大麻草の乾燥大麻を粉砕したものに対して濃縮したという実験結果がございますが、その抽出後にもともとの大麻草の葉から見ると、数倍の濃縮率で濃縮されている結果が得られております。濃縮してBHOを得れば何らかの効果が得られるかもしれないということではございます。
 ただ、低濃度THC品種の大麻の通常の喫煙ではあまり効果が期待できず、こういったものの盗難の動機も期待できないということではありますけれども、BHOに濃縮する場合であったとしても、低濃度THC品種においては、生の葉に換算しますと、相当量の植物の入手が必要となるわけで、あまり現実的ではないのではないかということでございます。
 今後、制度改正をするに当たって、大麻を成分規制に切り替えることにしていった場合に、特にこのTHCという観点で注意すべき、留意すべきところはないかというところで整理させていただいたのが6ページ、7ページでございます。
 尿検体の取扱いでありますけれども、GC/MSですとか、実施可能な試験方法をまず導入すべきである。また、大麻の喫煙と受動喫煙によるTHCの代謝物の濃度で識別することは可能ではないかというところ。
 あと、製品のTHCの残留基準でございますけれども、まずはEUでやっているような形で、ヒトに対する無影響量を根拠とすべきではないかという部分。その際に、不可避的に混入し得る微量のTHCの尿検査への影響も考慮するとともに、その使用罪の立証の根拠になるような尿検査に影響を与えないような形で残留限度値を設定すべきではないかというところ。また、6番目ですが、THCの残留基準を公表する必要があるのではないかということで、それに基づいて、事業者の責任で基準適合性を自己担保する仕組みとしていく必要があるのではないかというところが6ページでございます。
 7ページ、続きで、THC生成への対応でありますけれども、CBDは熱及び酸、両方を加えることによりまして、THCに一部が変化するという知見が得られているような状況で、必要な対応をすべきではないか。また、BHOに対しても大麻の所持に対して適切に取り締まる必要があるのではないか。また、カンナビノイド全体になりますが、今回、CBDとTHCに着目した形で資料を作成していただいておりますけれども、まだまだカンナビノイドには未解明の物質も多く存在するわけでございまして、摂取に伴って、THCを生成する可能性のある物質については引き続き調査・研究を進めるべきではないかということでまとめさせていただいてございます。
 事務局からは以上でございます。
○合田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの厚生労働省並びに花尻先生からの説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 どなたかいらっしゃいますか。
 ウェブの先生方もよろしいですね。
 太田先生、どうぞ。
○太田委員 すみません。検査方法なのですけれども、今日、尿検査のことを御説明いただきましたが、法務省などでの検査では薬物の検査に唾液検査も使われていると聞いております。唾液検査での検査法は尿検査に対して何か劣る点とか、そういった問題が何かあるのでしょうか。
 といいますのは、尿検査の場合には対象者の不正行為も可能なので、法務省のほうでは唾液検査を用いているということなのです。その中に何種類か薬物の検査が入っているらしいので、そこに大麻が入っているかどうかは確認していないのですけれども、唾液検査について御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 本日、資料でお示しさせていただいたのは、通常の捜査等で鑑定に用いる一番スタンダードな方法ということで尿検査を示させていただいてございます。先生が御指摘のように、唾液で検査をすることも実際には薬物検査の場合はございまして、そういうものを実際に大麻でどういう形で利用できるかという点についてはもう少し私どもでも情報収集しまして、また御紹介させていただきたいと思います。
○太田委員 よろしくお願いします。
○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。
 では、橋爪先生、どうぞ。
○橋爪委員 
 大麻事犯の現状について御説明いただいたのですが、資料1の3ページですか。液体大麻に係る押収量を見させていただくと、令和元年、この液体大麻のミリリッターが増えているのと同時に、グラム数は少ない。それで、令和2年はグラム数とミリリッターがほぼ同時、つまり、濃縮されたものというふうな理解なのですけれども、1年でこんなに濃縮大麻が増えるのは何か理由があるのでしょうか。
○合田委員長 事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 液体のものが増えてきているトレンドの原因が何かについてまでは事務局でも分析が十分できておりませんが、現状、液体のものが流行していることは確かだろうと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに、先ほどどなたか手を挙げていらっしゃいましたか。
 舩田先生、お願いします。
○舩田委員 よろしくお願いします。
 花尻先生のまとめていただいた資料は非常に分かりやすく整理されておりました。ありがとうございます。
 その中で1つ教えていただきたいのが、スライドの17でEUのTetrahydrocannabinol、THCが0.2%という規制がありますというお話、今後、多分来年でしょうか。0.3%THCに変わっていくというお話だったと思います。これは、アメリカではΔ9-THCというくくりがあると思うのですが、EUはΔ9-THC、Δ8-THC両方含んでいると考えて良いのでしょうか。
○合田委員長 花尻先生、お願いしてよろしいですか。
○花尻委員 こちらにつきましては、後ほど事務局からまた詳細な説明があるかと存じますが、基本的には、このEU regulationに記載されているのは単にTetrahydrocannabinolの量が0.2%を超えないということだけですので、そのTHCについて、それがTHCAが入るのか、Δ8、Δ9、そのほかのものが入るのかについては、恐らく各国のいろいろな規制にも関わってくることかと存じます。
 これにつきましては、後ほど本省から、事務局から説明があるかと存じます。
○舩田委員 ありがとうございます。
○合田委員長 ほかに御質問はございますか。
 小林先生、どうぞ。
○小林委員 すみません。大麻の中の含有量の何%があれば、大体、どれぐらい精神症状を出すかということはいろいろ欧米で知見があると思うのですけれども、日本人のデータみたいなものを、体重的にも日本人のほうが小柄の方が多いですし、遺伝的にも人種差によって濃度と精神作用性との関連性は何か人種差があったりとか、そういった知見みたいなものはございますでしょうか。
○合田委員長 事務局、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 今回検討するに当たりまして、様々な学術論文ですとか臨床成績等も事務局で調べさせていただいておりますけれども、残念ながらこういったヒトでの試験が行われているのは、言ってみれば大麻に関して、医療用途であれ、いわゆる使用ができる国でのヒトでの試験結果でありますので、残念ながら我々が探している範囲の中では日本人を用いて直接的に投与する等の試験成績は見つけることはできなかった状況でございます。
○合田委員長 どうぞ。
○小林委員 アメリカですと、例えばアジア系の移民の方とかがいるかと思うのですけれども、そういった人種別の何かデータみたいなものはアメリカやヨーロッパではないということでよろしいのでしょうか。
○合田委員長 事務局、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 人種別の集計ですとか、そういったものについては、我々も詳細までよく見ておりません。
○合田委員長 ありがとうございました。
 もう一つ、濃度の問題ですね。あれはどういう形で、元の本体の重さを決めるかというところもありますし、それから、ターゲットの物質を何にするかというものでもやはりかなり違ってきまして、多分、その辺は今回の議論ではないですけれども、最終的な形で細かく規制をする際、後半のところで分析法をどうしますかとかというものは当然、そういうときには出るのだろうと思いますが、そこでしっかり決めていかなければいけないのだろうと思います。
 今のヨーロッパの場合も、それから、アメリカの場合も、それぞれ独立してこういう形で分析するということで成り立っているので、一応、それを一つ、ここにまとめて示してあるという具合には理解しております。
 ほかに御質問等はございますか。
 どうぞ。
○橋爪委員 
 どちらにお聞きしていいか分からないのですけれども、今、CBD製品が市場に結構出回っております。先日、CBDをアルコールに溶かした、いわゆるアルコール製品を私は見つけたのです。CBDの入ったウイスキーみたいな飲料水があったのです。買わなかったのですけれども、いわゆるCBD自体の配合変化については研究とかはされていますでしょうか。
 花尻先生のほうがいいのでしょうか。すみません。もし分かっていらっしゃったらで結構です。
○合田委員長 花尻先生、事務局、何かありますか。
○監視指導・麻薬対策課長 すみません。質問がよく聞き取れなかったのですけれども、もう一回お願いできますか。
○橋爪委員 アルコールとCBDの配合変化というところで何かデータをお持ちかという、特に問題ないのかどうかということなのです。
○合田委員長 CBDがアルコールと反応するというお話ですね。
○橋爪委員 そうです。
○合田委員長 構造的に反応はしそうにない感じがします。
○花尻委員 あくまでも私どもの分析の結果なので、これが全てに係るかどうかは分かりませんが、カンナビノイド、いわゆるビールのようなアルコール中にCBDが含まれていた製品ですとか、あと、ジュースのようなものにCBDが含まれている製品を分析したことがあるのですが、特に何らかのCBDが変化したような証拠といいますか、そういうデータは得られておりません。
○橋爪委員 ありがとうございます。
○合田委員長 ほかに何かございますか。よろしいですか。
 では、次の議題に行かせていただきます。次は議題2の「適切な栽培及び管理の徹底」に移ります。
 まず、日本大麻生産者連絡協議会会長の大森由久様に資料4の「大麻栽培と精麻の加工」について説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大森参考人 麻栽培農家の大森でございます。栃木県から参りました。私の家は江戸時代から麻栽培をしていまして、私で7代目で、私自身も今年53回目の麻栽培になります。
 それでは、今からお話を聞いていただきます。
 画面を変えていただけますか。
 「大麻とは」という、先ほど先生からもお話があったように、私の地方では「とちぎしろ」という種を使って、ネーミングがよかったのか、無毒大麻という形でずっと、私が麻栽培に関わってからその品種を使って栽培をしてきました。大体3月末から4月に種をまきます。
 それで、無毒化というものが本当によかったですから、一度も盗難に遭うようなことはそれからはございません。
 種まき作業は3月下旬から4月、この播種機を使って行います。大体10aを3人でやると、30分で終了します。
 このように、4さくと、そして、後から2人が土をかけていきます。
 それで、10日ぐらいで発芽して、2週間ぐらいでああいう形になり、発芽後1か月で15cmぐらいになります。
 5月中旬ぐらいだと1.2m、それから、5月下旬から6月に1.8mぐらいには成長します。
 1.8m以上になった時期は間引き作業をします。2回目の間引き作業をすると、あのように超密集して栽培していますので、細くて2m50cmから3mになり、3m50cmぐらいにもなりますか。黄色くなったときが熟して収穫となります。
 収穫は7月に入ってから行われます。
 195cmの高さに、これは麻を収穫して、長さをそろえて、湯かけ束を作ります。
 次をお願いします。
 これが湯かけ作業で、沸騰した湯の中に表を30秒、裏を30秒入れて、これは湯かけ作業をしてゆでているところです。
 その後、ハウスの中に4日間ぐらい干して、締束を作って、これで一応、納屋の2階に上げて1回目の収穫が、そして、旧盆過ぎになると、今度は水束という束を作って、麻船(オブネ)に浸して発酵作用に入ります。
 それで、麻床場(オトコバ)に寝かせて、発酵してきたら、麻幹(オガラ)という中の、芯の木の部分と表皮の部分を剥がし、そして、麻引き(オビキ)をして、きれいな黄色い精麻が出来上がります。
 今、精麻は様々な用途に使われているのですけれども、それはどんなものかというものをお話ししたいと思います。
 これはおはらいをするときのはらえ草。
 それから、これは友白髪という、結納のときのものに使ったり、しめ縄に使ったり、それから、横綱の綱も精麻でできています。
 これは鈴緒です。
 弓の弦もできています。精麻で作ります。
 そして、ひげとか太鼓の締め。
 それから、畳表。
 芯縄といって、草履やげたの鼻緒の部分に入っているものも精麻でできております。
 それから、これがたこの綱です。伝統の大凧綱などもこれでできて、オガラはお盆のときに馬とか牛の脚に使ったり、迎え火、送り火に使用されます。これはオガラで、これは花火です。オガラを使って炭を作り、それが割り子火薬になります。日本の花火が世界一きれいなのは麻の炭を使っているからと言われています。
 生産量は本当に少なくなりまして、栃木県も私を含めて大体、伝統文化、生活文化、産業用として生産されている農家は10戸に満たない数になってしまいました。
 鹿沼市の栽培について、お話しさせていただきます。
 次をどうぞ。
 専用栽培で、地番とか面積、それから、栽培用の、種用の栽培地も地番とか面積を書くようになったものを申請して、農政の人が受け入れてくれて、申請はそれで薬務課が地番ごとに確認するのです。それで認められるということです。
 次をどうぞ。
 繊維として収穫される大麻は、3月下旬から4月に播種され、さきのとおり、7月上旬から8月上旬にかけて、麻切り作業によって収穫され、畑で大麻草の根や葉や茎は焼却し、大麻草は一本も残さないことになって、専用で栽培されたものは畑には一本も残っておりません。
 それから、種用の栽培は、6月初旬に播種しまして、9月初旬に花が咲きまして、10月の末が実の収穫になります。ですから、本当に種用途専用は2か月ほど栽培が異なります。
 収穫した実は、枝のままパイプハウスの中で2週間ほど干して、脱粒機で脱粒し、葉や枝はその場で焼却し、そして、収穫した実は袋に入れて、翌年の繊維用の種として、施錠された倉の中で保管し、薬務課が必ず年1回は確認に来ます。
 12月末には知事に大麻栽培免許の返納をします。そのときに、収穫した精麻、麻幹(オガラ)、そして、翌年の大麻栽培用の種子の量の、どのぐらい取れたかを報告して、返納が完了ということです。
 大森家の大麻栽培は江戸時代から続いているのですが、昭和46年、21歳のときに私は就農しまして、今年で53回目の大麻栽培になります。だから、大麻取締法が施行された年を数えるのには、私の年を数えると、大麻取締法は73年たってそのままなのだなということになりまして、平成28年には、他県における栽培者の違法大麻の所持により、本当に厳しい取締りというか、縛りがかかってきまして、畑の写真を撮ってはいけないとか、大麻畑の地番を言ってはいけないとか、大麻畑を見せてはいけないとか、いろいろな制約が続いて、麻農家として、農業としてやってきた私としましてはこの縛りは大変厳しい縛りです。
 また、後継者育成も新たな人を育てるような組織もやってはいけないことになりまして、ほとんど後継者が育てられないような環境になってしまって、このままいくと麻栽培はなくなってしまうのではないかという危機を持ちながら、そうすると、日本の伝統文化、生活文化については大変な貢献をしてきた麻が日本の農業から消えてしまうのではないかということで、もう少し若い者を育てられるような後継者育成の、農家を目指す若者を育てられるような、人を受け入れられるような方法も取ってもらえるような方法にしていただきたい。やはりそれなりの規制は私は必要だと思っていますので、国の農水、県の農政、そして、厚労、それから、県の薬務課が共有しながら、麻栽培農家として立ち行くような方向性を今回の法改正で示してもらえるようなことがあれば大変ありがたい。
 種の管理については、栃木県は「とちぎしろ」について、県が育種して保有して、毎年、どこかの、これは言ってもらえないので、農業試験場で育種栽培をして「とちぎしろ」の種を確保し、その種を原種として栽培農家の役員の人に渡して、その役員の人が1年、土地ならしというのですか。そういう作業をしながら種を収穫し、私の場合だったら3haちょっと作っていますので、10a当たり100gの種を頂いて、来年用の種を栽培し、それを薬務課の人たちが8月に収去検査で「とちぎしろ」の要件を満たしているということで来年の麻の栽培が可能になるという、非常に系統的にしっかりした体制が出来上がっているものですから、これから新たなそういう栽培事例が出てくるにしても、栃木県は十分、皆さんの参考になるような各県の体制が取れているので、十分参考にしていただけるのではないか。
 そして、伝統文化、生活文化にはなくてはならない精麻でございますので、十分、そういうことも御理解いただいて、各県で栽培が可能になるような、若者の後継者育成の体制ももう一回つくり出せるような形をしていただければ、この大麻は残っていくのかなと。
 ただ、大麻という言い方は、私の聞いた範囲なのですけれども、明治時代に輸入が始まって、黄麻とかマニラ麻とか苧麻とか亜麻とか短い麻と区別するために大麻という名前をつけて呼ぶようになったと聞いているので、それは合っているかどうかは分からないのですが、もともとうちのほうは「アサ」とか「オ」でしか言わなかったものですから、全部「オ」がついた名前で、道具も麻幹(オガラ)とか、麻床場(オトコバ)とか、麻切り(オキリ)包丁とか、麻干し(オホシ)台とか、麻引き(オビキ)とか、麻剥(オハギ)とかという形で、全部「オ」がついて、大麻という呼び方は今でもほとんどしていないのですよ。
 だから、伝統文化、生活文化、産業用として大変可能性がある植物ですから、産業用としてのこれからの可能性をさらに広げていく上でも、脱炭素社会で非常にCO2を吸って貢献する作物であるのではないかという気もしますので、利用も可能な限りは無限にあるような気もしますので、そういうことも御理解いただきながら、麻の栽培が農業として確立していただけるような方向性を出していただければ、本当に73歳、余命幾ばくもないですけれども、せがれが、8代目もおりますので、また、周りの若い人たちも頑張ってやっていけるのではないかと思いますので、よろしくお願いして私のお話に代えさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○合田委員長 大森様、どうもありがとうございました。
 引き続き、厚生労働省から資料5の「大麻草の栽培規制と栽培管理について」の御説明をいただければと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。それでは、資料5の「大麻草の栽培規制と栽培管理について」ということで、大森参考人のプレゼンテーションの復習も含めて御紹介させていただきます。
 まず、1ページ目の資料で、大麻生産者の全国分布で、現在、全国で令和3年時点で27名の方に栽培免許が与えられていた状況でございます。
 これは前回も御紹介させていただいておりますけれども、次の2ページ目で、戦後、一時的には3万人近い免許者の方がいらっしゃったのが、現状は1,000分の1という状況でございまして、大森参考人のプレゼンテーションにもありましたように、非常に伝統文化の継承も含めて危機感を持っている状況を表す数字ではないかと見ているところでございます。
 栽培面積も全体で7haであります。戦後、大麻の栽培面積、栽培人数が減ってきた背景には、やはり合成繊維とか、そういったものの普及があったのではないかということも言われてきてございます。
 次の3ページ目でございます。現在、大麻の栽培者免許につきましては自治事務という形で、都道府県知事が各県内の栽培者に対して与えるような形になってございます。ここでは各都道府県が定めている大麻栽培者免許の基準の例でお示しをさせていただいております。これは大体こういう感じというところでまとめさせていただいているもので、個々の要件について、求めている都道府県、求めていない都道府県等がございますので、そのあたりは一様ではないという前提で聞いていただければと思います。
 まず、目的のところでありますけれども、栽培免許の基準については、伝統文化の継承に資するものとか、栽培行為に対して社会的な有用性が十分認められることということで、かなり目的性を絞り込んだ形で免許を付与しているような状況がございます。
 また、人的要件もさることながら、物的要件という部分では、栽培地の周囲には、人がみだりに立ち入ることができないような堅固な柵等が設けられていることという部分。また、栽培地からは人目につかない場所であって、敷地の境界線から十分に離れた場所であるようにという規定を置きつつも、一方で、何らかの異変があったときには、直ちに対応できる場所であることという要件が求められたりしてきてございます。
 栽培方法においても、THC含有量が少ない品種のものを使用していることとおっしゃっておられる自治体もございます。
 ただ、こういう免許の基準については、自治事務の中で統一的な基準が今のところ、全国的にないところも課題として指摘されている部分でございます。
 引き続きまして、4ページでございます。大麻における生産の状況で、総面積7haということを先ほど申し上げましたが、国内での採取量、栽培生産量ということで、繊維、種子、オガラということで挙げさせていただいております。これはいずれもキログラム単位で御覧いただければと思います。
 一方で、海外での大麻の生産の状況で、海外に目を移してまいりますと、こちらは5ページの資料になってまいりますが、大麻草の主要生産国はフランス、中国、英国になってございます。これは主に産業用途での利用でありまして、医薬用途になりますとイギリスがトップで、ちょっと国の状況が変わってまいりますけれども、産業用途ではこのような順序になってございます。
 この海外における大麻草の生産でありますけれども、次の6ページで見てまいりますと、産業用大麻という部分では、ヨーロッパ、北米では環境に優しい生活素材ですとか栄養価の高い食品といった形での利用ということで、日本の神事・祭事で使用するような繊維ということを大分超えて、欧米では今、様々な製品に大麻が使用されている。カーボンニュートラルにも資するという観点で、このフランスのところの事例にございますが、自動車部品等の内装品など、最近は欧州の高級車の内装パネル等の部品にも相当程度使われるようになってきているといった状況でございます。
 また一方で、近年は葉ですとか花穂に含まれるようなCBDの活用が注目されているということで、フランスにも書いてございますし、特に米国ではCBD抽出用途が大麻草の生産用途としては拡大している状況でございます。あと、中国については、主な用途としては繊維用が中心でございます。
 引き続きまして、EUにおけるTHC濃度に関する法規制で、先ほど花尻先生からのプレゼンテーションをいただきましたけれども、EUにおいては、麻としての農業生産に対するEUとしての助成の基準ということで、THC濃度0.2%以下と規定しています。これは来年以降、0.3%に引上げがされる予定と聞いてございます。
 こういったEUの助成対象としての基準のTHC0.2%というものと、あと、各国での取締りの基準ということで、この下の表にもございますけれども、ドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、チェコの例を挙げさせていただいていますが、各国で許容される大麻草のTHC濃度を規定している状況でございます。
 それで、EUにおけるTHCの0.2%という濃度は、EU規制の原典を見るとΔ9-THCと書かれておりますので、これはΔ8を含んだものではなくてΔ9ということでございます。また、測定方法を見てみますと、ドライウエートで測っていますので、恐らくTHCAを含んだ形でのTHC含量ということで計算されているものと思われます。補足としてはそういう部分でございます。
 あと、花尻先生のプレゼンテーションにもございましたけれども、EUにおいては、国によっては食品等の最終製品において許容されるTHC濃度という形で、ドイツですと飲料で0.005mg/kg、オイルで5mg/kgで、摂取量にした形での残留限度値を設けているような事例もございます。
 続きまして、8ページでございます。英国における低THC産業用Hempの栽培ということで、これは免許の与え方等について、栽培規制の例ということで、英国の情報を今日は御紹介させていただきます。
 栽培者については、内務省からのライセンス免許が必要でございます。
 栽培用途としては、この産業用については、繊維と油を搾る種子等の入手目的に限られている。CBDもここから作るケースがあるということであります。
 英国においては0.2%のTHCの基準でありますけれども、栽培場所については、かつては公道とか学校等の出入り口から離れた場所を求めていましたが、現状、特にそういう規制はないような状況でございまして、一方、届出の必要はあるということでありますけれども、基本的には産業用のHempについては通常の野菜と同じように露地栽培で栽培されているのが英国の現状でございます。
 英国は、医療用というか、医薬品原料用の大麻草についても栽培をする仕組みがございます。こちらについては同じく内務省からのライセンスで許可をされて栽培ということになります。
 9ページでございますけれども、ただ一方で、こちらに対しては非常に厳しい規制をかけられている状況でありまして、THC0.2%以上を含む大麻草の栽培でありますが、一般的なHempとは栽培ライセンスが異なること。
 そして、2つ目の○のところにも書いてございますけれども、より高度なセキュリティーや記録の管理が要求されること。
 そして、植物が収穫され乾燥された後の各工程についてもライセンスが必要ということで、基本的には薬物規制法、日本でいうところの麻向法の管理下に置かれているような形になってございます。
 一例として、10ページに英国における、医薬品用途で使用される大麻の栽培に関するライセンスの要件もお示しさせていただいてございます。
 この中で厳しい審査が求められるということで、当然のことながら、会社の関係者の方の前科を調べる、開示する部分ですとか、製品の詳細、セキュリティーに関する要件ということで、ここでは日本でも都道府県の基準の中でもございましたけれども、フェンスを建てるとか、監視カメラをつけるとか、アラームを設定するとか、セキュリティーに関しても詳細な設定をしてございます。
 あと、割と大事なところで、廃棄物の処理で、廃棄の適法性、コンプライアンスという部分でもしっかりと対応されるような形でのライセンスの要件になっているということでございます。
 次に、11ページでございます。米国における大麻草の管理規制であります。
 米国では、THC0.3%以下のものを栽培許可しているというもので、0.3%を超えるものをMarijuanaというように定義しまして、米国においては、このMarijuanaについては嗜好用途・医療用途を問わず栽培は不可ということがこの1つ目の●のところにも書かれてございます。
 米国の場合は、生産者の方は、生産したHempに含まれるTHCの濃度について、収穫予定日より前にDEAにより登録されたラボで検査を行う。検査を受けた結果で制限値を超えるようなものがあった場合には、原則、生産物等についての処分を求められるような状況になってございます。
 したがいまして、アメリカは、この0.3%という規制については、実際、生産物を収穫する前のところの検査で担保しているような仕組みでやっているのが現状でございます。
 続きまして、12ページのところです。大麻種子の生産・流通管理についてで、この諸外国において、0.2%、0.3%という大麻草に関する基準をつくっているわけですけれども、そういったものをどういうふうに担保していくかというところが一つの課題で、ここに3つの例を挙げさせていただいております。
 一つは、この表の一番下の部分で「米国各州」と書いているところですが、これはただいま紹介させていただきました米国の例ですけれども、生産物の収穫前にTHCの濃度を測って、それによって出荷の可否を判断するやり方をしているのが米国方式であります。
 あと、先ほど大森参考人からも御紹介がありました栃木県での種苗管理のやり方。それと、実はカナダがこれと同じやり方をしてございまして、基本的には「育成・増殖時」と書いてございますけれども、いわゆる種苗業者ですとか、そういった種苗登録をしている研究機関から原種を出していく際に、言ってみれば種の段階でのTHCの濃度の確認等を行っている。また、種だけでは測れませんで、1回生やした形で検査をされているということではありますが、種の段階でチェックをするということで、こういった品種を確保していくようなやり方を行っているのが状況でございます。
 翻って、日本の状況で、13ページですけれども、前回も御紹介させていただきました、日本で栽培している品種について、花穂と葉っぱということで、総THCの平均値でお示ししておりますのが花穂で1.071%、葉で0.645%でお示しさせていただいてございます。これは平均値ですので、これより高いものも低いものもある前提で御議論いただくことになろうかと思います。
 今後、日本において、栽培免許で大麻草のTHCの含有量で何か基準を設ける場合には、本日御紹介させていただきましたような米国、EUの例を参考に、日本国内の実態を踏まえた基準を設定することになっていくだろうというふうに事務局としては考えてございます。
 その際に、栽培する大麻草のTHC含有量の基準の適用方法については、先ほど栃木県から御紹介があったような、生育前に種子の段階で管理すること等で、農地に生育している事後検査よりもより確実に大麻草の基準を満たすものを永続的に確保できるのではないかということで問題提起もさせていただいているものでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○合田委員長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの大森様、厚生労働省からの説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 ただいまの御説明の中で、THC含量とCBD含量は関連性はあるのでしょうか。
○合田委員長 事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 必ずしも相関をしておりませんで、CBDが比較的高めでTHCが低いものもあれば、THCが高めでCBDが低いものもあるし、両方とも低いものもあるような状況でありまして、一貫した傾向は、特に国内の生産品では見られておりません。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 ちなみに「とちぎしろ」の場合にはCBDの含量はどうなのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 これもかなりばらばらな数字でございまして、一貫した傾向は見られませんでした。
○鈴木委員 ありがとうございます。
○合田委員長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御質問等はございますか。
 今、全委員の顔が私の目の前に出ないので分かりませんが、ちょっとスクロールしないと分からないです。
 よろしいですか。
 太田先生、どうぞ。
○太田委員 先ほど、大森様の写真で2mぐらいに青々と成長した大麻草の写真がありましたけれども、あの茎の部分にはTHCはほとんど含まれていないということでよろしいでしょうか。つまり、法律上の成熟した茎に該当すると見てよろしいでしょうか。
○大森参考人 成熟という意味は、繊維が成熟するのに大体90日たつと成熟してきますので、その段階だと大体、元を打って上まで繊維がつながる195cm。そういう段階で初めて繊維の成熟という形で、多分、花穂は9月前後にならないと雄花が花を咲かせないものですから、それはまた別の話になると思うのです。
○太田委員 植物学上の成熟度があると思うのですけれども、法律上、成熟した茎は大麻には含まれていません。要するに2mぐらいに成長した青々とした、かなり早い段階で収穫されるわけですね。あの段階の茎の部分をすぽんと切った、あれは法律上の大麻には該当しないということでよろしいのでしょうか。要するに、あの青々とした茎にどれぐらいTHCが科学的に含まれているのかということと、それから、法律上として、あれは大麻ではないと考えていいかということなのですけれども、いかがでしょう。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、事務局からお答えいたします。
 先生御指摘のように、実際の茎が伸びて収穫している部分は、その茎については成熟した茎ということで、大麻とはみなしていないというものでございます。
 THCの含量ですが、茎とか種について、当方で検査をしているということではないのですけれども、ただ、実態として、先ほどお示ししたような花穂ですとか葉の含量でもほとんどTHCが含まれていないものであれば、もちろん、茎についてもほとんど、ほぼゼロに近い状況なのだろうというふうに科学的には推定できると思います。
○合田委員長 どうぞ。
○太田委員 そうしますと、大森様にお伺いしたいのですけれども、収穫した部分にはTHCが入っていなくて、大麻には該当しないということであれば、ましてやあれを収穫されて、それから、お湯で煮て、完全に繊維みたいなことにしたものを出荷される際に、例えば県のほうで何か制約はございますでしょうか。例えばほかの県ですと、他県に持っていてはいけないとか、いろいろな制約があるとかというふうに伺ったのですけれども。
○大森参考人 栃木県の場合は、それはないです。私の場合は全国に販売しています。
○太田委員 では、そうした収穫物については何の制約もない、だから、御負担も逆に農家さんとしてはないということでよろしいのですか。
○大森参考人 ありません。
○太田委員 分かりました。ありがとうございました。
○大森参考人 全国的にそういうふうになればいいと思っています。
○合田委員長 どうも、県によって取締りの仕方が、コントロールの仕方が違うようです。
 事務局、どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 すみません。事務局から1点、大森参考人に御質問させていただいてよろしいでしょうか。
 これまで7代にわたって大麻草の栽培、特に「とちぎしろ」の品種をずっと維持してきておられるのですけれども、これまでここ数十年で「とちぎしろ」で盗難に遭ったような事例とか、そういったものは御経験されていますでしょうか。
○大森参考人 私自身、ないです。やはりネーミングがよかったのです。無毒大麻という、新しい「とちぎしろ」の品種ができたという、後で薬務課から毒が多少あるのだという話を聞いて、あったのかというぐらいで、本当に栃木県はそういうことで盗難はなかった。
 なぜかというと、やはり全くなくても、葉っぱ1枚をあげても駄目です、葉っぱ1枚取っていっても大麻取締法で逮捕されますという話をずっと周知して、皆さんにもお話しするものですから、そういうものは本当になかったです。だから、安心・安全して栽培ができる大麻草は、私らは極端に言うと、農業としてしか栽培していないという認識も、今もそうだし、これからもそうしていただけるような法改正の中で位置づけをしていただければ大変ありがたい。
 だから、柵を作るとか、ブラインドを作るとか、見えない、遠いところで作りなさいということは農業として認めてもらっていないという形を私は思って、他県ではかわいそうだと思っています。正直、そういうものではなくて、農作物というものは朝、昼、晩、お世話をしないといけない作物が農作物ですから、身近に作って、しかも痛いところに手が届くぐらい、一生懸命、面倒を見ないと立派な精麻になって恩返しをしていただけないので、やはりそんなふうな感じで、安心・安全なTHCの含有量も、私は何%というのは、多分、諸外国が0.3%なら、日本もそのような成分規制で大麻栽培が農業としてできるような方向性を確立していただいて、もちろん、規制をすべき点は規制をしていただくのは当然の話ですと私は思っています。
 嫌な思いしかしていないので、大体、あの大麻と同じ大麻を作っているのですかと言われるぐらい本当に身にこたえることはないので、私らは農作物としてずっと、それも神聖なるもの、人間のためになるものといってずっとやってきたものですから、未来は多分、麻がまた日本を変えていくような気がしますので、ぜひ特段の御配慮をいただければ大変ありがたいかなと思っていますので、よろしくお願いします。
○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問等はございますか。
 橋爪先生、どうぞ。
○橋爪委員 事務局からの御説明の中で、都道府県が定めた大麻栽培者免許基準の統一基準がないということのお話だったのですけれども、今、敷地面積も減っていますし、いわゆる栽培をされている方もすごく少ないことを考えたら、これは各都道府県が管理するよりも国が管理する方向でいったほうがいわゆる統一基準が明確に決められていいような気はするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○合田委員長 事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
 現在、自治体に免許の権限を下ろしているのは、いろいろな地方分権等の議論の中でこういう形になってきているということでありますけれども、許可権者が国だから、都道府県だからということではむしろなくて、やはり御指摘のように、免許を与える基準についてはより統一的なものをつくっていくことが必要なのではないかとは考えてございます。
○合田委員長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
○橋爪委員 はい。
○合田委員長 ほかに御質問等はございますか。
 関野先生、どうぞ。
○関野委員 大変すばらしい「とちぎしろ」のお話を聞かせていただきましてありがとうございました。
 これは産業応用に向かって、例えばいろいろな方が栽培できるような仕組みをつくる場合には、種の流通とか、誰がどうまいているかということが非常にきっちりとトレースできるようにしなくてはいけないと思うのですけれども、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
○大森参考人 もちろん「とちぎしろ」は、今は県外に出すことは薬務課のほうで駄目だということになっているのですけれども、法改正でやはり全国に統一的に安心・安全な種として流通させていただくのが私は本来の姿だと思っていますので、当然、そういう方向でいっていただけるように私も栃木県にお願いしていくような気持ちはあります。
○合田委員長 ありがとうございます。
 関野先生、よろしいですね。
○関野委員 はい。
○合田委員長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですね。
 それでは、続きまして、議題3に入りたいと思います。厚生労働省から資料6について、今回の議題に関する議論のまとめとしまして「大麻取締法等の改正に向けた論点についてマル2」の説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 厚生労働省事務局でございます。
 それでは、資料6でございます。「大麻取締法等の改正に向けた論点についてマル2」で、今日は大変盛りだくさんな中身でプレゼンテーションがございましたが、全体をまとめる形で少し論点の整理をさせていただければと思います。
 資料の1ページ目でございますが、改正に向けた主な論点で、この議論をスタートする際に論点を大きく4つ提示させていただいております。前回、第1回目のときに「1.医療ニーズへの対応」と「2.薬物乱用への対応」ということで御議論いただきまして、今回は「3.大麻の適切な利用の推進」と「4.適切な栽培及び管理の徹底」の論点で全体的な本日の御議論をしていただいた状況でございます。
 まず「3.大麻の適切な利用の推進」で、主にTHCの取扱いという部分、製品についての規制という部分のお話と、その使用の立証の関係での論点について、本日の資料で御紹介をさせていただいております。
 現状・課題でございますけれども「エピデオレックス」のような医薬品以外にも、大麻草の規制部位以外から抽出されたとされるCBD等の成分を含む製品が、海外から輸入され、食品やサプリメントの形状で国内で販売されているのが今の状況でございます。
 また、大麻の規制が、部位規制からTHC、有害成分を中心とした成分規制となる場合に、特にCBD等の製品中に残留する不純物としてのTHCの取扱いという部分についての議論がございます。現在でも、国内で販売されているCBD製品の中から、THCが微量に検出されて、市場で回収されているような事例もございまして、安全な製品の流通・確保が一つの課題でございます。
 あと、3つ目のポツでありますけれども、最初の資料1でも御紹介をさせましたが、大麻に使用罪がない状況の中で、その所持が確認できない場合に立件できないような場合も想定されているようなこと、実際にそういう状況もあるような中で、大麻の使用の立証は、主に被疑者の尿中のTHC代謝物によるところからしたときに、受動喫煙ですとかCBD等の製品から混入するおそれのあるTHCの尿中への代謝物としての排せつについての知見をより深めていく必要があるだろうというところでございます。
 あと、CBDということで主に大麻由来の製品を御紹介させていただいておりますけれども、大森参考人からも御指摘がありましたように、大麻草からのバイオプラスチックですとか建材とか、また新たな製品群が生産されてきているような海外の実例、そもそも大麻草の応用範囲が広がっているようなところもございまして、伝統的な繊維製品以外にも、国内で大麻草から生産される新たな用途の需要が今後拡大していく可能性がある。そういった場合に、大麻草の流通とか製品とかを製造する際に変なところに流れていかないような形で流出を防止するとか安全性を確保するところも課題になってくるだろうというところがございます。
 そういう中で、3ページ目でありますけれども、基本的な方向性としての議論でありますが、大麻の部位規制から成分規制に移行するという制度改正を行っていくことに際しまして、大麻由来製品の製品中のTHCの残留基準値は公表していくことにする必要があるのではないか。また、事業者の責任でそういった基準の適合性を自己担保できるような仕組みとしてはどうかというところが1つ目です。
 2つ目としては、製品中のTHC残留限度値は、EUのARfDの例も御紹介させていただきましたけれども、より一層の安全性を見込んだ量で設定していく。また、尿検査による大麻使用の立証に混乱を与えないような形の量を適切に設定する必要があるのではないかということです。また一方で、先ほどのCBDをTHCに変換する。それ自体、犯罪行為ではありますが、そういうTHCに変換される物質に対する研究も進めていって、取締りの実効性を確保できるように適切に対応すべきではないかというところがございます。
 3点目でありますけれども、これはまた栽培のところにも関係してまいりますが、繊維、種子の採取といった利用目的以外にも、新たな需要に対応した産業目的に利用を広げたらどうかというところでございます。
 4番目でありますけれども、そういった際に、低THCの大麻品種の扱い、THCを含まない製品を製造して流通する場合であったとしても、栽培で得られた花穂ですとか葉等の取扱い、そしてまた、製品の製造過程において、大量の花ですとか葉が流出するダイバージョンが起こらないように、適切な物の流通管理、免許ですと許可ですとか、当局の把握をきっちりと行っていく必要があるのではないかという点がございます。
 ここまでは適切な利用の推進で、2つ目の大きな話題としましては適切な栽培及び管理の徹底で、栽培のほうの議論が4ページからになってございます。
 現状と課題であります。「(1)大麻栽培者数等の現状」で、栽培者数が激減していること。大麻から栽培される繊維等については、特に国内需要を満たす観点で、多くは現在、中国等からの輸入に頼っている状況である。
 「(2)大麻に係る栽培管理の現状」でありますが、先ほど来、議論がありましたように、大麻栽培には、当然のことながら、大麻栽培者という方を、免許を与えることで限定していまして、現状では都道府県知事が免許を与えている状況ですけれども、繊維ですとか種子の採取を目的とすることでかなり目的を限定的にしています。また、栽培管理については、先ほど全国統一基準をつくったほうがいいのではないかという御指摘もございましたが、法令上、定められているのは栽培者に係る欠格事項のみで、その他、特段の規定がないことも一つの要因だろうというふうには現状としては捉えております。また、THC含有量に関する特段の基準もない。含有量に応じた栽培管理の対応も求めていないのが現状であります。
 「(3)国内において栽培されている大麻草の現状」ですけれども、THCの含有量については先ほどデータでお示ししたとおりです。一方で「とちぎしろ」に代表されるような、THC含有量が極めて少量の品種を栽培しているケースのほうが全体的には多い状況が日本の栽培の現状であります。
 5ページですけれども、翻って、海外での大麻草の栽培の現状に目を移してまいります。
 まず、アメリカの事例を御紹介いたしました。アメリカにおいては、Δ9-THC総量の濃度が0.3%以下の大麻草、種子、抽出物をHempという形で定義しまして、Hemp以外の、要するに0.3%を超えるような品種についてはアメリカでは栽培を不可としている仕組みであります。その中で、THC含有量について、生産物の収穫前の検査を義務づける方式で、こういった低THC品種を確保しているのがアメリカのやり方でございます。
 また、EU、欧州においては、御紹介申し上げたように、THC濃度0.2%。これもΔ9ということではありますけれども、そういう中で農業助成を行いつつ、各国においてTHC濃度の上限値を定めておりまして、ドイツ、フランスでは0.2%等々の基準を設定している状況であります。また、イギリスにおいては産業用と医薬品用途と2つの用途に対するライセンスを出しているということでありますが、普通の産業用途についてはかなり規制緩和した形での栽培管理が行われている。また一方、医薬品等においては非常に厳しいセキュリティーの下できっちりとした生産管理、栽培管理が行われているのが欧州の実情であります。
 カナダは種子のところで御紹介させていただきました。
 6ページでございます。そういった中で、今後の基本的な考え方・方向性、主な論点というところで、今日は結論を決め打ちのような形でここには書かさせていただいております。
 今後検討すべき論点ということで、一つには栽培の目的・用途というところ。ここには繊維とか種子等の採取を目的とする現行法の目的に加えて、新たな産業用途、CBD製品等に係るような生産を念頭に置いた目的を追加すべきではないかというところが一つ。また、現行法では認めていませんけれども、イギリスのような「医薬品原料用途」も将来的に行うのであれば、栽培についてどう考えるかということ。そういう栽培ルールを認めてもいいのではないかというところが1つ目です。
 2つ目がTHC含有量に応じた栽培管理の在り方でありますけれども、現行の用途ですとか産業目的での用途を考えると、THC含有量が多い必要性は必ずしもないわけでありまして、海外の事例も踏まえつつ、THC含有量に関する基準を栽培免許等の中で設定してはどうかというところ。その際に、THC含有量の多い品種を将来的にどうするかについての取扱いをどう考えるべきかが2つ目です。
 3つ目としては栽培管理に関する基準の明確化で、現状、栽培管理に関しては、都道府県の免許において、欠格事項以外、法律上求められているものがございませんので、その事務を担う県においても判断材料が乏しい状況もあるということで、栽培管理の在り方については、現状等を踏まえて、統一的な基準をつくるなど、一定程度明確化をしていく必要があるのではないかというものが1つ目です。その際に、用途に応じた対応について、栽培目的・用途とともに検討していく必要があるのではないかという点です。
 7ページは踏み込んで、THC含有量が少ない品種に関する栽培管理の在り方、その担保の仕組みであります。
 栽培管理の在り方について明確にしていくことを制度改正の中でやっていく際に、THC含有量の少ない品種については、免許期間が1年というところを3年にしてほしいという御要望もいただいていますけれども、それをより栽培しやすい環境、様々な栽培管理の要件についてはより規制緩和をしていく方向で検討してもよいのではないかというところが1つ目。
 あと、医療用途を含めて、THCの多い品種の栽培に関しては、逆に一方で厳格な管理。イギリスの管理の事例をお示しさせていただきましたけれども、仮にそういった用途の免許をつくるのだとすれば、そういう管理を求める必要があるのではないかというところ。
 また、THC含有量に応じた栽培管理を行う場合に、特にTHC含有量が低い品種に関して、その継続的な種の担保が必要になってくるわけでありまして、国内外の事情を見ていったときに、栽培品種についての管理の方法ということで、栃木県ですとかカナダの例で言うと、種子に関する管理を徹底する方法もございますし、アメリカのように、収穫前の検査を徹底する方法も考えられるわけでありまして、これらについて、どちらかにするのか、また、併用するのかも含めて、どう考えるかというところも議論になるのだろうと思います。
 やはり種の管理については、なかなか我々も分かりにくいところもありますので、品種登録ですとか、そういうところについて、制度的・専門的な見地から、次回以降、さらなる知見を少し収集させていただいて、必要によっては参考人等をお招きしてお話をお聞きすることもやってもいいのかなと考えているところでございます。
 事務局からのまとめは以上でございます。
○合田委員長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明を踏まえまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 富永さん、お願いします。
○富永委員 確認しておきたいのですが「エピデオレックス」のような抗てんかん薬が承認された中で、使用罪について、大麻使用の罪の立証において被疑者の尿中のテトラヒドロカンナビノールの代謝物を検査する場合、使用中の患者様を守る方策が必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。
○合田委員長 事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 「エピデオレックス」については、まだ国内でも承認がされていませんので、あまり仮定の話をここで申し上げることは差し控えたいと思うのですが、仮にその「エピデオレックス」という製品が麻薬として承認される、指定された麻薬を構成するものとして承認されることになった場合には通常、麻薬製剤、例えばモルヒネとか、そういうものと同様の扱いになるわけでございまして、当然、その麻薬処方箋に基づいて患者さんが処方を受ける、施用を受けるような形になってまいりますので、モルヒネの患者さんも当然、がん性疼痛とかで飲んでおられる方は尿を測れば出てきてしまうわけですね。それとやはり同じような形で受施用に関しての処方箋を発行する。その中で、医療の中で適切に使われているところの中で患者さんを守っていくことになるのだろうと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
 富永さん、よろしいですか。
○富永委員 はい。
○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問等はございますか。
 小林先生、どうぞ。
○小林委員 栽培や流通の管理をどれだけ厳密にするかという話なのですけれども、海外では結構、非常に大規模な栽培もなされていると思うのですが、実際に密売とか乱用目的の盗難とかが実際に海外においてはそれだけ規制をやはり厳しくしなければいけないぐらいの事件数が発生しているのかどうなのか。
 私が実際に外来で担当している依存症の患者さんたちの大麻を乱用している人たちはほとんど、実際に末端の使用者は普通に売人に購入するか、あとは一部、自分で栽培しながら乱用している人もいますけれども、ほとんどはやはりアパートとかマンションの一室で栽培しているので、わざわざ農家に盗みに行く人を見たことはないのですが、海外においては実際にそういったデータみたいなものはあるのでしょうか。
○合田委員長 事務局、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 残念ながら、海外での0.2%、0.3%THCのHempでの盗難に関する情報を我々は持ち合わせておりませんが、実際に密輸で入ってきている乾燥大麻の含量を見るとはるかに高い、平均すると12%ぐらいのTHCのものが入ってきている現状を見れば、あまりそういった0.2%とか0.3%の大麻からダイバートしているものではないだろうと思います。
○合田委員長 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等はございますか。
 どうぞ。中島先生、お願いします。
○中島委員 東京都の中島でございます。幾つか御質問があります。
 まず、資料の3ページで「3.大麻の適切な利用の推進」のところなのですけれども、1つ目のポツで、事業者の責任で基準適合性を自己担保する仕組みについて御提案があるのですが、実効性を確保するためにチェック体制等が必要となってくると思うのですが、もし何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。それで、もし自治体での製品買上げ調査等をお考えであれば、自治体でも検査体制の検討が必要となりますので、早めに情報提供をいただきたいと考えております。
 あと、同じページでもう一つあるのですけれども、すみません。4つ目のポツのところなのですが、栽培地から製造業者まで物の流通管理が必要との部分なのですけれども、現在、栽培者の免許事務は各都道府県で行っておりますが、流通となりますと県をまたがることも考えられまして、その場合、国の関与が必要と思いますけれども、現時点でどう管理するのか、もしお考えがあればここも教えていただきたいと思います。
○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、説明できますか。
○監視指導・麻薬対策課長 以上2点でよろしゅうございますでしょうか。
 一つは基準の自己担保ですけれども、こういったTHCに関する残留基準を、限度値を設けるということですと、それを超えたものは麻薬の流通という形になってしまいますので、今でもやっているように、市場から回収していただくとか、そういうことでありますが、事業者の責任できちんと検査をしていただいて、基準を超えないような形で流通していただくことを基本としつつも、国でも買上げ調査をやっておりまして、適宜、サンプリングをして、麻取部で鑑定を行ってということをやってございます。そういった活動は実効性を担保する上で、やはり引き続き行政でもやっていく必要はあると考えています。その際に、また都道府県、自治体にどのような形で御協力をお願いするかとか、そういうところを連携してやっていくかについては、また制度施行に合わせて都道府県ともよく御相談をさせていただきたいと考えているところでございます。
 もう一つ、流通の関係ですけれども、現状、大麻草からの生産品については、言ってみれば大麻の規制対象外のものを流通し、それをまた県外に出す、県外に出さないというところでも県ごとにいろいろな工夫をされているのだろうと思いますが、今後、大麻部分を、製品を製造する上で県外に出していくようなことがある場合に、そういった部分での許可とか、そういうあたりを国レベルでやるのか。それとも、免許を出しておられる自治体でそういった許可を与えるのかというところも、やはり規制の実効性という部分に関わってくる部分なので、それをどういう形で国と県で分担してやっていくかというところは引き続き自治体とも制度施行に当たっては協議をさせていただきたい部分だと思っております。
○合田委員長 ありがとうございます。
 中島先生、よろしいですか。
○中島委員 ありがとうございます。
 あと、続けてよろしいでしょうか。
○合田委員長 どうぞ。
○中島委員 すみません。もう一つ、栽培管理についてなのですけれども、資料で言いますと6ページなのですが、マル3のところで基準の明確化について記載がございます。資料にあるとおり、現行法では欠格事由のみが定められているということで、あまり詳しい基準がないということで、都道府県では大変悩み、苦労しながら免許基準を設けて免許事務を行っている状況がございます。先ほど橋爪委員からも御意見がございましたけれども、全国統一的な運用が必要であれば、免許権限についてはぜひ都道府県から国に移管していただきたいと考えております。そして、もしどうしても国の移管が難しいというところがございましたら、せめて免許基準を明確に示していただきたいと考えております。また、資料の中では栽培者について議論がなされているのですが、研究者の免許についても栽培が可能となっておりますので、併せて整理をしていただけるとありがたいと考えております。
 あと、すみません。もう一つなのですけれども、資料の7ページなのですが、THCの少ない品種を栽培することの担保についてでございます。ここも乱用防止の点から非常に重要だと考えておりまして、今後、仕組みを詰める中で自治体がどういうふうに関与するのか、早めに意見交換、情報提供等をしていただけるとありがたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
○合田委員長 ありがとうございました。
 事務局、何かございますか。
○監視指導・麻薬対策課長 どうも、御意見ありがとうございます。
 免許の国への引上げという部分については、この場でそうあるべきかどうかというところはなかなかお答えが難しい部分ではありますけれども、仮に医薬品用途、医薬品製造用途のような免許を新たにつくるということであるとすれば、これは国際的な条約上も国で免許を与える仕組みにせざるを得ない形になるだろうとは思います。現行、都道府県でやっているものについては、本日は御要望として御意見を承るということにさせていただければと思っているところでございます。
 あと、いわゆる低THCの品種というか、植物の永続的な管理でありますけれども、現状、例えば栃木県さんの事例ですと、栽培品種の管理はいわゆる県の農政部局の農業試験場が実際に関与してやっておられるところ。また一方で、種を出荷する際のTHCの検査等については県の薬務部局が協力してTHCの検査をやっているのが栃木県のやり方でありまして、こういう検査と種の栽培をセットで品種管理というものを考えていかなければならないことになってきますので、これは自治体の中でもやはり農政部局といわゆる厚労部局、薬務部局がより連携してやっていくような仕組みを全国的につくらなければいけないということになってまいりますので、そのあたりも引き続き自治体、また、関係省庁とも我々は協議をしていきたいと思っております。
○合田委員長 ありがとうございます。
 中島先生、よろしいですか。
 では、次に、関野先生、どうぞ。
○関野委員 すみません。この方向性としまして、3番の最初に書いてありますが、今後、規制対象ではない成分であるCBDを利用した製品等の市場形成とかを図っていく必要があるのではないかという御提案の中で、前回も少し関連した質問をさせていただいたかもしれませんが、CBDそのものにもやはり医薬品があることは、つまり、薬理作用があることになりますので、自由にどんどん製品を作っていいものではないということに関しても何らかのお考えを示していただきたいと思っております。
○合田委員長 事務局、よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 先生御指摘の部分は、いわゆる食薬区分に関連するものというふうに今は捉えさせていただいている部分ですけれども、いわゆる薬機法の中の医薬品たるものは何かというところにおいて、これも監視指導・麻薬対策課の別のラインの業務になりますが、いわゆる専ら医薬品とするものなのか、そうでないのかの判断についてもいずれ求められるだろうと思っているところであります。
 しかし、現状ではそういった判断を行っているものではないので、この場で予断でお話をすることは我々も控えさせていただきたいと思いますけれども、専ら医薬品かそうでないかというところについて言うと、先生もよく御存じだと思いますが、医薬品であったとしても、いわゆる食品ですとかサプリメントと共用のものは世の中にはたくさんございます。例えばコエンザイムQ10とか、ああいったものは医薬品でもあり、食品でもありという状況でもあって、必ずしも薬効があるとか臨床試験の成績があるからといって、全てが専ら医薬品になるということでは必ずしもありません。
 その成分自体がどんな毒性があるかとか、薬効がどれだけ強いかとか、そういったところも含めて、こういったものは総合的に評価されるものになってまいりますので、今の段階でこれが専ら医薬品に該当するかどうかということを一概にお答えできるものではありませんけれども、そういった御要望、御意見があることは我々も承知している状況でございます。
○関野委員 今の質問そのものは今のような規制のことを質問したことではなく、例えばCBDの作用として、神経の興奮性を抑制するような作用は認められているので、例えば何らかの製品ができて、ある程度の濃度以上が摂取された場合に、やはり傾眠的な効果が出てきてしまい、何らかの車の事故とかが起こるかもしれないことも多少懸念されることを考えての質問だったのです。
 やはりそれには作用があることを十分に認識した上での、推奨ではないですけれども、そういう開発とか産業育成とか産業利用を考えていただきたいので、どちらかというと利用者側とか製造、これから何か利用していきたいということを考えていらっしゃる方がもしいたとしたら、そういうことを注意してほしいということをこの場で申し上げたかったということになります。
○合田委員長 ありがとうございました。
 太田先生、どうぞ。
○太田委員 今の御発言にも関係するかと思うのですけれども、私、今日の御報告で最も衝撃的だったのは、花尻先生のカンナビジオールを熱処理することによってTHCに変換できるという部分でした。これまで私は、カンナビジオールは全く無害、THCは有害だという認識でいました。ですから、CBDは今でも麻向法でも何の法規制もされていない前提で来たのですが、CBDを加工といいますか、処理することでTHCが作れるということになると、これは花尻先生にもお聞きしたいのですけれども、それがもし簡単にできるようなものであればCBDがこれからどんどん、いろいろな製品が入ってくるとそれをたくさん集めてTHCを作るということになってしまわないだろうかということです。もちろん、THCは麻薬なので製造罪で規制できるのですが、CBDそのものも原料という扱いになってしまわないかということです。
 それで、現在の麻向法で麻薬向精神薬原料という定義がありますが、それと麻薬との関係と、CBDとTHCの関係が、私は化学は疎いので、どんな関係になっているのか、分からないのですけれども、CBDから簡単にTHCを作れることになると、果たしてCBDは全く無害で、全く規制対象外ということでいいのかどうかということはまず科学的な知見として検討しなければいけないという印象を持ちました。
 だから、その点についてどんなものなのか。CBDからTHCを作るには膨大な量のCBDが要るとか、CBDが1tぐらいないとTHC1gを作れないとか、そういうものなのか。割とCBD製品を集めて簡単に熱処理するとTHCを作れますという話なのか。そこら辺はいかがでしょうか。
○合田委員長 私はケミストなので、ちょっとだけお答えしますと、基本的に合成反応で何か積極的にやろうとしてしまえばそういうことは起きますし、実際上の問題として、濃度で規制することにプラスして品質管理方法をどうするかという、品質管理のことをどうするかというのは、この問題はやはりすごく大きくなりますね。ですから、非常に厳しく品質管理、それは店舗も含めてどういう形でしているかとかは多分、そういうことは当然、今日の議論ではないですけれども、これから先の議論ではどこかのタイミングでしなければいけない話だろうとは思っています。先ほどの関野先生の話も、基本的に今日の議論ではなくて、これから先に当然生じてくる議論だろうとは思っています。
 少なくとも、現状でCBDとして売っているものであったとしても、THCが入っている場合があり得る。それは意図的なのかどうかは分からないですけれども、保存が悪いか、何か処理がされたのか、分からないですが、そういうものが入っている事例はある。この状態は化学的に反応してできたものです。
○太田委員 いや、CBD製品の中にTHCが入ったのはどういう由来かということとは関係なしに、CBDからTHCが作れるということであるとすると、CBDが果たして麻薬原料ということになりはしないかということです。今の法律でも麻薬原料は規制される対象になっているので、そういうことになってきてしまわないかということです。
 それとも、全くそういうものとは違う、麻薬原料のリストを見ても私はどういう物質か全然分からないので、それと麻薬との関係が全く分からないものですから、そういうものとCBDとTHCの関係は全く違うのですということであれば規制対象外でいいのでしょうけれども、今日の話はそういう意味では寝耳に水といいますか、衝撃的だったものですから、それとの関係をお聞きしたということでございます。
○合田委員長 事務局、何かお答えできますか。
 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
 先生の御指摘は非常にもっともな部分で、現状でも原料規制はあるのですが、それを使って何か取締りをするというのがこういったものに対して本当にうまくできるのかどうかも含めて考えなければいけない課題だと思っていまして、そのあたりのCBDプラス酸を加えて熱を加えるという、それにおいて製造されるところについての取扱いについて、次回以降、少し我々のほうでも論点整理させていただければと思っておりますので、また御紹介させていただきます。
○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問等はございますか。よろしいですね。
 どうぞ。
○橋爪委員 
 この基本的な考え方、方向性のところなのですが、適切な栽培及び管理の徹底についての6ページなのですが、今後、もし新たな産業利用とかCBD製品に係る原材料の生産を念頭に置いた目的を追加すべきかというものがございます。その中で「医薬品原料用途」の栽培についてどう考えるかという論点があると思うのですけれども、私、医薬品メーカーに勤める者としては、現状、日本の医薬品はほとんど原材料を海外に依存している状況がございますので、今すぐではないのですが、今後、もし産業利用でCBD、大麻の栽培も容認するとかということになっていくのであれば、もし拡大していくのであれば、それが医薬品原料用としても使えるように、それはちゃんと麻向法にのっとった医薬品、医療用医薬品という意味での大麻なのですけれども、そういったものをきちんと栽培できるような道は残しておいてもいいのかなと私は考えております。
 そういった意見です。
○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますか。よろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課長 まさにそういう部分で、医薬品原料用途の栽培についてどう考えるかというのはそういう問題提起でありますので、今、橋爪委員から御指摘いただいたように、やはりそういう余地を残して、そういったものの免許の仕組み等も検討すべきであれば、そのような形でまた検討させていただくことになろうかと思います。
○合田委員長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。よろしいですね。
 それでは、様々な御意見をいただきましたけれども、事務局のまとめの方針そのものは御了解いただいたものとしたいと思います。次回以降、今回の議論、それから、前回の議論を踏まえまして、この小委員会の全体の議論の取りまとめの方向性を示していただくようにお願いいたします。
 それでは、本日の全体を通しまして、特にまた御意見、御質問等はございますか。
 よろしいですか。
 では、本日予定されていた議題はこれで終わりとなりますけれども、最後に事務局から何かございますか。
○事務局 本日いただきました御意見につきましては、事務局で改めて整理させていただいて、次回、御提出させていただきたいと思います。
 また、次回以降の日程等につきましては、正式に決まり次第、事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○合田委員長 それでは、以上をもちまして第2回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を閉会いたします。円滑な審議の進行に御協力いただきましてどうもありがとうございました。
 以上です。
 

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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