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令和3年4月23日 第5回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

令和3年4月23日(金)16:00~18:00

 

○場所 

非公開
 

○議題 

「日本の麻文化を守るために」
「これまでの委員からのご質問に関する回答と追加説明」
「とりまとめに向けた今後の検討課題」
 

○議事録

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催させていただきます。
  委員の先生方には、大変御多用のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
  本検討会におけるカメラ撮りについては、冒頭のみでお願いいたします。御退席をお伝えしましたら、撮影担当の方は御退席いただく予定です。
  それでは、以後の議事進行は鈴木座長にお願いいたします。
○鈴木座長 本日の議題は、お配りしている次第に沿って進めさせていただきます。
  最初に、事務局より検討会における連絡事項をお願いいたします。
○事務局 事務局から、本日の検討会の御出席者について申し上げます。
  本日は、12名全ての委員に御出席いただいております。
  なお、太田委員、岡﨑委員及び嶋根委員におかれましては、ウェブ形式で御参加いただいております。
  また、本日は、日本の伝統的麻文化を守る活動をしておられます、日本麻協議会事務局代表、難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事、若園和朗先生、及び、栃木県において7代続く国内最大規模の麻栽培農家にて麻栽培に従事されております一般社団法人日本麻振興会代表理事、大森由久様にお越しいただいております。
  続いて、連絡事項を申し上げます。
  本検討会は公開とさせていただきますが、会場への入場制限につきましては、従前どおりとさせていただきます。
  また、会議の議事録の公開につきましても、従前どおりとさせていただきます。
  本日、資料につきましては、お手元にこれまでの検討会の資料と本検討会の資料を御用意させていただきましたので、そちらを御覧ください。
  本検討会におけるカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。撮影担当の方は御退席をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 お願いいたします。
○鈴木座長 それでは、議題に移ります。
  まず、日本麻協議会事務局代表、難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事、若園和朗先生、それから、一般社団法人日本麻振興会代表理事、大森由久様から、「日本の麻文化を守るために~大麻取締法をマリファナ等取締法に~」について説明をお願いいたします。
○若園先生 御紹介にあずかりました、若園でございます。
  私は、日本の麻を守る活動と、それに併せて重い慢性疼痛を患う患者さんを支える活動をしています。
  さて、本日は、混乱を極める大麻の状況について議論いただけますこと、大麻草栽培に携わる者として、また、治りにくい痛みを持った患者を支える立場にある者として、感謝を申し上げます。この混乱が収まり、乱用や不適切な処方が起こり得ない状況で大麻草の薬効を必要とする患者さんに届けることができたり、日本の伝統として、あるいは、一般産業としての大麻草の栽培や活用のための技術が健全に発展したりする社会となることを願って、今回はお話しさせていただきます。
  まずもってお断りしておきたいのは、私は大麻を含む規制薬物の医療における適切な使用以外の解禁や非犯罪化には明確に反対しています。我が国は、他先進諸国に比べ、大麻を含む規制薬物の生涯経験率が格段に低い誇るべき状況にあります。それは、日本に住むほとんどの人が、麻薬の害、つまり、薬物で快楽を得ることの恐ろしさや不衛生さを直観的に理解できているからだと思います。このような真面目な国民性を日本のよき伝統として大切に未来につなぐことは、ともすると、快楽目的で悪用される場合がある大麻に関わり、大麻について語る者の義務と私は捉えています。そもそも日本の大麻文化は、保健衛生上の問題となるマリファナ等とは無関係で無害です。保健衛生上の問題が起こらない品種の大麻草、つまり、日本の麻を栽培することにどんな問題があるのでしょうか。大麻取締法とは本当は何を取り締まるべきなのか考えていただきながら、以下の説明をお聞きください。
  「大麻」とは、本来、アサ科アサ属、つまり、植物としての麻の別名で、亜麻(リネン)や苧麻(ラミー)やその他の「麻」と呼ばれる植物との混同を避けるためなどに用いられる名称です。そこから転じて、神社のお札、アサから作られる麻薬などの意味に用いられます。アサから作られる麻薬は、マリファナ、ガンジャ、ハシシなどと言われますが、この場ではこれらをまとめて「マリファナ等」または「マリファナ」と呼ぶことにします。また、農作物としての大麻は「麻」と呼ぶことにしますので、そのように御理解の上、お聞きください。
  私の住む岐阜県神戸町では、祭礼のたいまつとして用いるため、麻の栽培を続けています。今から10年ほど前、私たちの麻畑から興味本位の未成年によりその葉が盗難されるという事件が起こり、管理不行き届きを理由に県当局よりその栽培が禁じられました。私たちの麻はマリファナ等にはならない無害な大麻草であるのに栽培禁止はおかしいなどとして、栽培再開を求める活動をし、翌年の再開を勝ち取りました。以後、私は日本麻協議会を立ち上げ、日本の麻文化を守るための活動をしています。
  マリファナになる大麻草は、その葉や花穂に精神異常誘発物質THCを多く含む保健衛生上の危害が心配される植物です。しかし、我が国在来の麻のほとんどは遺伝的にTHCの含有率が低く、乱用される可能性のない品種と言われています。
  さらに、我が国においては歴史的に大麻草の葉や花穂を乱用する習慣などは見られず、日本人が大切にしてきた麻の文化は乱用とは全くの無縁ですが、世間では正しく分別されない混乱した状態が続いています。
  その原因の一つが麻薬対策課の方々から発信されている情報だということは、誠に残念です。例えば、ウェブ上に公開された「ご注意ください!大麻栽培でまちおこし!?」と名づけられた日本の麻とマリファナ用大麻草をごちゃ混ぜにしたパンフレット、貴重な伝統を守る生産者を窮地に追い込みかねない内容のパンフレットで、ひど過ぎるのではないかと思うのは私だけではなく、東京新聞も指摘しています。
  この件については、この場をお借りして正式に抗議させていただきたいと思います。正規の栽培者の尊厳を守るための十分な配慮ある説明を加え、削除あるいは大幅改訂を求めます。
  また、大麻栽培免許を出す立場の各県の担当課の対応も、分別できず、混乱しています。神事や日本の伝統産業などで使われる麻の茎からつくられる精麻の供給を目指して2014年に立ち上げられた一般社団法人伊勢麻振興協会という団体があります。当然ながら全国の神社や伝統産業などへの出荷を目指していますが、三重県当局の取決めにより、県内のみの出荷が許される状態で、採算が合わず、経営は危機的な状態です。乱用とは無関係な麻から作られた精麻の出荷を制限することが、保健衛生上の危害を防止することにつながるのでしょうか。
  もっと厄介なのは、日本の麻の伝統とマリファナの乱用をあえて混同させ、乱用を正当化しようとする残念な人々、いわゆるマリファナ解放論者の存在です。それは、日本社会への保健衛生上の脅威であり、日本のよき麻の伝統を汚す行為と私は捉えています。そうしたマリファナの乱用を正当化しようとする人々から、日本社会と私たちの麻の伝統を守るためには、厚生労働省の皆様と正規の栽培者などが連携し、マリファナ等の乱用や日本の麻文化との混同は許さないと明確な意思を示すことが必要と私は考えています。
  つきましては、保健衛生上の危害を防止し、日本の麻の伝統を守るため、「大麻取締法」を「マリファナ等取締法」に変えることを提案し、それに加えて、以下の要望をいたします。
  1つ目、「THCの含有率に基づいた基準を定めるとともに栽培免許取得の適正化」です。有害成分の正体であるTHCの含有率に基づいた基準を定め、低THCの日本の麻栽培を保護しつつ、一般産業としての麻の活用の可能性を維持しつつ、マリファナ等の乱用を防止する体制構築を提案します。
  また、現在、事実上、新規の栽培免許の取得は不可能な状態ですが、このままでは日本の麻文化は近い将来に滅びます。新規の栽培者で問題になるのは、乱用目的の人物の紛れ込みです。それを防ぐため、正当な栽培や加工技術を有しているか、マリファナ等の害やその蔓延防止の必要性を理解しているかなどを許可基準とした上で、栽培免許の新規取得が可能となる制度の確立をお願いします。正規の栽培者に対しては的外れな行き過ぎた制限を課すことのないよう、都道府県に対して助言などを行ってください。
  2つ目です。「薬物としての大麻を『マリファナ等』で統一を」。戦前においては、有毒な大麻を「印度大麻草」などと呼び、麻薬に指定し、日本の麻は普通の農作物として区別して考えていました。無毒な大麻と有毒な大麻のイメージを切り離すため、マスコミなどにもお願いして、乱用薬物としての大麻報道は「マリファナ等」として統一して表記するようにしてください。
  3つ目、「目的の明確化」です。大麻取締法の目的は、本来、乱用を防ぎ、一般産業としての大麻を守ることだったはずです。しかし、目的が明記されていないことや、最も防ぎたい乱用目的の使用について罰則が定められていないことが誤ったメッセージとなり、乱用拡大を助長しているように見えます。法の目的を明記するとともに、乱用目的の使用が罪となるよう見直しを求めます。
  4つ目、「乱用防止キャンペーン」です。正当な目的を持った栽培者と厚生労働省の皆様が連携して乱用防止キャンペーンを行うなど、両者が連携し、乱用防止と日本の麻の保護に取り組む体制づくりに御協力をお願いします。
  5つ目です。「質の低い、公平でない情報から、若者と日本のよき伝統を守る」。近年、若者のマリファナ等の乱用が増えていることに危機感を持っています。その原因の一つが、一部の人が日本の麻の歴史の中に乱用が含まれていたかのように語り、マリファナは安全などという質の低い情報を拡散していることだと考えています。このような誤った情報は、日本の伝統文化への大変な侮辱です。さきにも述べましたが、日本の麻文化は乱用とは無縁です。薬物乱用に嫌悪感を持ち、それを悪と捉える感性こそ古来より育まれてきた日本のよき伝統です。質の低い情報の拡散を食い止め、その悪影響を日本社会から排除するための施策をお願いいたします。
  最後に、付け足しとして、慢性疼痛患者支援団体として、1つ、お願いします。それは、「適正な医療目的利用」です。質の低い情報の一つとして、マリファナ等やその薬理成分であるカンナビノイドについて、まるで副作用もなく様々な疾患を治す夢の薬のように主張する人が、医師免許を持つ人の中にもいます。
  また、マリファナ等は様々な疾患の症状を和らげるので、その患者が自己治療に使っているのだから大目に見ないといけない、非犯罪化すべきだと主張する方もいらっしゃるのですが、慢性痛の患者を支える立場からすると、大変心配な主張です。医薬品には必ず副作用があり、全く安全な薬などはあり得ないことを伝えるのがお医者様の役目、また、医薬品を自由・勝手に使えば患者をさらに窮地に追いやるのは当然で、勝手な使用はしないように指導することがお医者様の務めなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。痛みの治療への使用については、ちょうど今年の2月に国際疼痛学会が見解を出しています。その結論は、「現時点では、痛みのための大麻やカンナビノイドの一般的な使用を支持することはできない。どのような患者に利益があり、どのような患者に害があるか、研究を進めるべき。」ということです。言い方を変えると、「効果的に使える患者も僅かにはいるが、一時の痛みの緩和と引換えに、後の痛みの過敏化や生活の質の低下など、害のほうが大きくなる場合のほうが多い。しかし、研究は続けなければならない。」ということだと思います。アメリカでは、医療用麻薬の一つ、オピオイドの不適切な使用によるオピオイド危機が社会問題になっています。日に100人以上の死者を出すこの大惨事の原因の多くが、レベルの低い医師による不適切な処方だと聞いています。大麻の医療利用が可能になったら、同じような問題が起こる可能性があります。依存性薬物の負の面や害について十分に学んだ医師だけが処方できるようにしてください。
  お伝えしたいことはまだたくさんありますけれども、大森さんに次を譲りたいと思います。
○大森理事 皆さん、こんにちは。
  栃木県で麻の栽培をしている大森由久です。私は、昭和23年12月4日、くしくも大麻取締法が施行された年に生まれていますので、私の年を数えると大麻取締法の年数と一致するということですね。大変意義深い年に生まれているのだなと思っています。私のうちは、代々麻栽培を江戸の末期から続けてきまして、私で7代目、おかげさまで、せがれで8代目、麻栽培を続けています。
  どういう栽培をしているかというと、主に精麻をつくる栽培をしていまして、今、若園さんからほとんどお話しいただいているのですが、ここにある精麻、こういうふうにきれいな精麻が神事用や糸用に使われます。このちょっと色が黒い、さびたような色をしているものは、製法が違って、生のまま干して灰で煮て精麻にします。なぜこういうことをするかというと、畳の床糸に使ったり、畳表と床を縫いつけるために、湿気にも強く、乾燥にも強い麻の栽培、精麻の仕方が求められます。最後に見せるこれは、質の悪い精麻です。これはうちのせがれが麻の紙をすく材料に使います。このように、精麻は、全てが同じ種類で同列に使われるものではなくて、みんな用途に分かれて使われています。
  これを見てもらいたいのですが、栃木県の栽培は大変独特な栽培をしています。この播種機は明治に中枝さんによって開発された播種機でございます。これは1回に4さくの種が落ちまして、大変密植で落ちていきます。そのおかげで、大体10アールを3人なら時間は30分で種まきは終わります。超密植に育てる技術は大変難しいものがありますけれども、その下の段を見ていただきますと黄色い大麻草があると思うのですが、幹が黄色く仕上がる状態が成熟した大麻で、この時期が収穫の時期となります。この時期を迎えた麻から順次収穫していきます。麻切り作業、鉄砲釜で湯かけ束をつくってゆでて、今はビニールハウスの中で4日ぐらい干すと白く干し上がります。それを旧盆が終わった頃から2階から下ろしてきて発酵させて、麻剝ぎをして、麻びきをして、精麻のこの繊維が完成します。
  普通はこの段階で終わりですが、その後に、私のうちは、約25年前から、できた精麻を、伝統文化や生活文化で、横綱の綱、弓の弦、たこ糸、綱、しめ縄、鈴緒、せがれが始めた麻の紙を使ったランプシェードや内装、そういうものまで多岐にわたって6次産業化して、ユーザーさん、神事用のところ、神社さんや神社に奉納する人、全国とつながっております。
  ここにあるのは麻幹といって、芯の部分ですね。表皮を剝いだ後の部分ですが、日本では何に使われるかというと、花火。皆さんも御存じだと思うのですけれども、世界に誇れる日本のすばらしい花火が上がるのは、麻炭が2入って、硝石が7、硫黄が1の割粉火薬をつくることによって、打ち上げ花火の尺玉だったら、300メートル上がって300メートル開いてぱっと散るというすばらしい力を持つのです。麻炭ですね。日本の伝統文化、生活文化を支える上で、この麻をなくすことは、古来伝わってきた日本の文化を否定することになっていくのですよね。
  素材利用の変化で日々使い方は変わってきていますけれども、この麻産業を脈々と未来永劫立派に後世に伝えていくのが日本麻振興会の役目です。伝統並びに生活・産業の振興を図っていく団体です。また新しい年になれば、どんどん産業用として活路もあるのかなと思っています。
  もっと言わせていただくなら、嫌な思いばかりさせられている大麻の解放みたいな人たちとは、うちの団体は一切関わりを持っていません。うちの団体は、違反をした場合は即除名です。できるだけ入っていただかない。
  栃木県は何が一番いいかというと、大麻取締法を遵守して、ここ20~30年は大麻を盗難する人たちは来ません。なぜかといったら、「とちぎしろ」という本当にTHCの限りなく低い品種によりまして、THCの成分がないからなのですね。そういう品種で伝統ある文化を守っていきたい。そういう一念で、これからも、多くの人たち、日本全国、北海道から沖縄のうちの会員たちが一致して、マリファナとは関係ない団体として前に進んでいく所存でございますので、皆様の御理解をよろしくお願いします。
  今日は、何でも聞いていただければ、何でもお答えしますので、よろしくお願いします。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  続いて、厚生労働省からの説明に移りたいと思います。
  厚生労働省からは、大麻栽培者免許について説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、私から資料1「大麻栽培者免許について」を御説明いたします。
  1ページです。これは2回目の検討会でお示しした資料と同じですが、大麻栽培者数は昭和29年に3万7,000名いたのが、現在では35名となっています。
  2ページです。これも2回目の検討会で御説明申し上げましたが、平成25年に鳥取県智頭町でまちおこしを目的として大麻栽培者免許を取得した方が、平成28年10月、大麻取締法違反で逮捕されるという事案がございました。
  3ページです。こうしたことがございまして、「今回の事案は、薬物濫用防止の取組みに対する国民の信頼を揺るがしかねない重大なものです。大麻取扱者の免許付与について、これまで以上に慎重かつ十分な検討の下に判断されるとともに、管理の徹底に最大限努められるようお願いいたします。」ということで、都道府県に「大麻の管理の徹底について」という、免許審査や監視の強化に関する通知を出させていただきました。
  併せて、もう一つ別冊でついているパンフレットです。先ほど若園代表からも御紹介がございました「大麻栽培でまちおこし!?」というパンフレットを作成して配布したということでございます。内容については時間の関係もありますので省略させていただきますが、若園代表から御指摘があったように、今、改めて読むと、もしかしたら行き過ぎた表現があるのかもしれませんし、いろいろな御意見があるところだとは思いますが、先ほど申し上げたような状況を背景として、当時、作成されたということです。
  5ページ、6ページです。先月、三重県議会から意見書の提出が大臣宛てにございました。「精麻生産の維持継承と薬物乱用防止の両立を図るために大麻草の栽培及び利用に関する検証等を求める意見書」ということで、正式に三重県議会として採択された意見書です。ポイントとしましては、「国において、大麻草の栽培及び利用に関して、十分な検証を行うとともに、薬理成分の含有量による区分の検討を進めるよう強く要望する」ということで、議会からも要望書が出てきたということです。
  7ページです。簡単に大麻栽培者免許について御紹介申し上げますと、大麻栽培者免許は、都道府県知事が免許を付与するということですが、免許の審査基準という規定はなく、各都道府県が都道府県ごとに作成されている審査基準で免許を付与していくということです。一番下ですが、これは今年3月の全国薬務関係主管課長会議資料ということで私から紹介させていただいたものですが、「近年、外部から当省に対して、『厚労省が都道府県に対して、大麻栽培者免許・不免許の判断について指導しているのではないか』と指摘されることがあるが、大麻栽培者の免許事務は、都道府県の自治事務であるため、免許を与えるかどうかの判断は都道府県において行われている」ということです。都道府県の事務は、法定受託事務と自治事務の2つがございまして、法定受託事務は、昔でいう機関委任事務で、国の権限を下ろしているものである一方、自治事務は、都道府県ごとの裁量で行っていただくものでございますので、大麻栽培者免許については各都道府県さんの自治事務であることを改めて周知させていただいたということです。
  私からは、以上でございます。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの若園先生及び厚生労働省からの説明について、御意見や御質問等がございましたら、委員の先生方からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  どうぞ。
○□□委員 若園様、大森様、大変勉強になりました。ありがとうございました。日本で麻文化を守っていくことはとても大事なことだなということを理解いたしました。
  私はこの検討会に参加いたしまして初めて「麻酔い」という言葉を知ったのですけれども、調査によると、実際はなかなかそういうことは起こらないんだよというデータも本検討会で以前にお示しいただいたのです。現場において、こういう言葉があるのは何か過去にある経験があったからなんだとか、過去の経緯から御存じであれば教えていただければと思います。
○大森理事 52年つくっていますので、私から。
  そういうことは、全くないです。私は2町6~7反ぐらい麻の繊維栽培をするのですけれども、その中で間引き作業で一日中麻の中に入っていなくてはならないのが5月末から6月の初めなのですよ。大体1か月近く入るものですから、そんなことがあったら仕事にならない。一番考えられるとしたら、日射病ですよね。暑い中で作業をするので、そういうもので体調を崩す方はおられても、麻のために麻酔いがあるなどというのは聞いたこともないし、それは本当に訂正されたほうがいいような気がしますね。仕事にならないですから。
○□□委員 承知しました。であれば、この厚労省さんがつくられたパンフレットにも麻酔いについて書いてあるので、これについても、ある意味、削除されたほうがいいという御要望ですね。
○大森理事 そういうことです。これは間違ったことですからね。訂正されたほうがいいと思います。
○□□委員 ありがとうございました。
○鈴木座長 よろしいですか。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。
○□□委員 □□でございます。
  意見というか、考え方を述べさせていただきたいと思います。
  大麻栽培者は、栽培を希望する方を含むのですが、きちんとした目的、必要不可欠なもののために栽培を行う方もいれば、いわゆる自ら使用するために栽培を希望する方もいらっしゃると思います。悪いほうは、鳥取県の栽培者が逮捕されたのがいい例であると思っております。乱用目的でない正当な申請者の方と大麻乱用者などによる申請を明確に区別できる、乱用者に免許を与えない制度が必要ではないかと思っております。
  現在、先ほど厚生労働省が説明したとおり、大麻の栽培者、研究者の免許は、各都道府県が出しております。問題点としましては、法で免許要件が規定されていないため、各都道府県で免許要件を規定しておりまして、免許要件にばらつきが生じていることでございます。よって、免許要件の統一、法制化、そういった乱用者に免許を申請させないような厳格化が必要であると思っております。
  免許権者についても、あへん法で植物関係の栽培許可は厚生労働省が持っておりますので、大麻に関しましても、できれば国の免許に移行して全国で統一した免許に整理することも一つの考えであるかとは思っております。植物系の免許は国にするという形でございます。
  一方、大麻の研究者についても同様でございまして、その研究目的が適切であるかどうかについてなかなか判断するのが難しい。例えば、海外の医療用大麻研究などという形で各都道府県がその必要な情報を入手して必要性の判断をしにくい場合もございますので、同様に国の免許にすることも一つの考えであると思います。具体的な免許事務は麻薬取締部がやっていく形になると思うのですが、そのほうが抑止力が強いのではないかと思っております。
  先ほど法の目的がないという御指摘がございました。麻向法、覚取法、あへん法には目的がある。大取法のみないという状況でございます。法の目的につきましては、法の各条文の根拠、指針となり得るものでございます。大麻取扱者の免許を認める一つの判断基準になるものであると思っております。その目的を規定することを検討していただければと思っております。
  以上でございます。
○鈴木座長 これは厚労省に対する要望ということでよろしいですか。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。
○□□委員 □□です。
  麻の栽培につきまして、非常に興味深いお話をいただきまして、ありがとうございます。
  栽培について非常にいろいろなノウハウが長年蓄積されてきているのだなということがよく分かりました。
  その中で教えていただきたいことが1点あります。栽培を継続していく中で基になる種子の管理は、どのような形で継続されているのかを教えていただきたいのですが。
○大森理事 栃木県の例でよろしいですかね。栃木県は、昭和47年辺りから米兵が取りにきまして大麻の盗難に遭いました。それを何とか防ぎたいということでテントを張って見張りなどをしたのですけれども、これでは体がもたないなという話になりました。県の農業試験場で、たしか佐賀県だと思うのですが、九州大学で保管されていた野生の無毒大麻がありまして、従来からあった栃木の白木という非常に優秀な精麻ができる品種と、どういうふうにしてつくったか分からないけれども、育種をされまして、限りなくTHCの低い「とちぎしろ」という品種をつくっていただきました。名前がよかったのですね。無毒大麻ということで、栽培をするようになりました。だから、あくまでも県でとちぎしろのTHCの維持をするために保管・育種をしていただいて、その種を現地の栽培者に種用として分けて、その栽培者が種をまいて、それで育ってきたら薬務課による収去検査で、THCの有無、とちぎしろとしての要件を満たしているかどうかを判断の上、これは満たしているということで許可をいただいて、次の年にその種を栽培して繊維を取るということです。
  それが繰り返し行われてきていますので、とちぎしろはずっと要件を維持しています。
○若園先生 付け足しをいいですか。
  私の町の場合は、栃木県のようにきちんとはできていません。ただし、とちぎしろではないのですけれども、THCの濃度については県が毎年はかってくれていまして、とちぎしろ並みのTHCと答えております。つまり、何が言いたいかというと、特に遺伝的改良をしなくてもずっと育ててきた麻はTHCが少ない、日本の麻はTHCが少ないということがほぼ言えるのではないかと思っています。
○□□委員 ありがとうございました。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。
○□□委員 御説明いただきまして、どうもありがとうございました。
  2点ほど質問があるのですけれども、1つ目は、厚労省にお聞きすべきかもしれませんが、使用罪を設けなかった理由の一つとして、第2回の資料の中で「大麻栽培者が麻酔いをすることもあるので使用罪はつくらなかった」という国会答弁があったかと思います。今のお話ですと、この答弁との整合性はないのかなと思いますが、いかがでしょうか。
  2点目は、御説明いただいた免許の審査基準のところで、栽培者のお立場から合理性があるものなのかどうなのかをお聞きしたいと思います。都道府県によって基準が違うというお話もありましたけれども、私たちは具体的にどういう審査基準があるのか全く存じ上げないので、どういう審査基準があって、それは合理性があるものなのかどうかということを教えていただければと思います。
  以上です。
○大森理事 適切かどうか分からないですけれども、大麻の栽培で経済活動をしている私からすると、基準には経験が必要なのですよ。お金にならないと、次の年の作付もできないですからね。そういう観点からいくと、今、うちで従業員として働いている子が5年目になるのですけれども、やっとこすっとこなのですよね。なぜかというと、自然相手の中で栽培するものですから、土地をよく理解してどういう肥料を入れたらいいかとか、植栽密度はどうしたらいいかとか、いろいろ畑によって変わってくるのですよね。そういうものは1年や2年では理解できないのですよね。体で覚えることですから、理屈で覚える作業ではないのですよね。私が52年やっても、今年は今年、異常気象ですからね。新たな気持ちで栽培していかないといいものはできないということですよね。一年一年新たな気持ちで麻栽培をするという意識がないと。
  だから、審査基準の中でもし明確にこれが必要だとやるなら、ただつくりたいということでつくらせようということではなくて、どういう経験をしているかがまずは根底にないと難しいですよ。ただ適当にばらまけばできるということでもないですから。ひどいほうになると、肥料は要らない、連作障害はない、病害虫は発生しないと。植物ではないですよね。そんなことを信じて栽培してくるわけですから、ろくなものはできないですよね。きちんとしたものをつくるにはきちんとした修行をしないとできないと私は思います。だから、きちんとどこでどのぐらい経験をしましたかと。そういうことをしてはいけないみたいな厚労省からのお達しがあるみたいですけれども、私は逆にちゃんとした人を育てるのであれば経験のない人にはつくらせないというのが非常に大事かと思っています。
  鳥取がいい例です。つくったことがない人に許可が下りていますから。何の経験もない人に許可を出して、ただやらせて、それで「だから、駄目なんだ」と言われるのはね。正規のちゃんとした栽培をしている私らからすると、あれは駄目な人がやって駄目になっただけの話です。正規のちゃんとしたものを学んでいない人ですから。
○鈴木座長  厚労省から、お願いします。
○事務局 事務局から、お答え申し上げます。
  委員から幾つか御指摘がございましたが、前提として、この5年前のパンフもありますが、大麻に関する知見が当時の状況と昨今の状況で若干変わってきているということです。
  一つは、麻酔いです。麻酔いというものがある、そういうことが起こるので使用罪をつくらないといったことがあったわけですが、実際に、今、若園さんと大森さんから、そういったことは起こらないというお話もありました。第2回の検討会で紹介させていただきましたが、我々も大麻栽培者の方の尿検査をさせていただいて、THCは検出されませんでしたし、これは若園さんの資料の中でもございましたけれども、麻薬取締部の研究でとちぎしろにはTHCは含まれていないとか、国衛研でもそういう研究結果があったかと思いますが、それらは最近の研究ですので、昨今、様々なそういう研究の結果が出てきているという事情を踏まえて対応を考えていかなくてはいけない課題ではないかと考えております。
○鈴木座長 よろしいでしょうか。
  続きまして、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 □□です。
  今日は、大変有益なお話をありがとうございました。大麻農業の維持と不正栽培や不正入手の阻止という点でご苦労が多いということがよく分かりました。
  今日のお話を伺った上での感想なのですけれども、こういった農業用・産業用の大麻の栽培の免許や監督に関連して、都道府県ごとに審査基準や規制が設けられているようでありますけれども、その内容が大麻農業の維持と不正栽培の防止との関係で合理的なものになっているかどうかということは改めて見直す必要があるのではないかと感じました。大麻の栽培農家は必ずしも多くはない中で、例として挙げられていた隣県への出荷、しかも大麻そのものではなくて加工したものを出荷することを制限することについても、法律でいう保健衛生上の危害の発生の防止という点で合理的な理由を見いだし難いのではないかと思いますし、他の都道府県ではそういった規制が行われていないとすれば、法の下の平等という点でも妥当でないと感じました。
  また、先ほど厚労省さんから御説明がありました大麻栽培のパンフレットでありますけれども、単に不正栽培を戒めるというものにとどまらずに、例えば、大麻栽培は費用と手間がかかりますとか、販売先があるとは限りませんとか、重労働ですといった、産業としての大麻栽培そのものの不合理性を説くような内容になっているように思います。規制すべきは不正栽培でありますから、そこに焦点を当てたものに改めるべきだろうなと思いました。
  一つ確認なのですけれども、以前のこの会議の中で、海外では押収された大麻におけるTHCの含有量がますます増えているという報告がございました。これに対して、今日のお話でも、とちぎしろのようにTHCの含有量の非常に低い品種もあるし、岐阜とかほかのところでもTHCの含有量が低いというお話でした。欧州では、THCを含まない品種もあるということであります。岐阜県で毎年THCの含有量の調査をしているということなのですけれども、こういったものを全国で検査した情報は、厚労省さんとしては集められているのでしょうか。こういった情報がちゃんと公表されて、例えば、大麻を栽培農家から不正に入手しても全く乱用には役に立たないということが明らかになれば、わざわざその管理を非常に厳しくするとか、寝ずに管理するということをしなくても済むように思います。そこで、日本における適正に栽培されている農業としての大麻のTHCの含有量の状況は全国的にちゃんと調査されているのでしょうか。この点を確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
○鈴木座長 事務局から、お願いいたします。
○事務局 事務局から、お答えさせていただきます。
  端的に申し上げると、調査しておりません。繰り返しになりますが、そもそもいわゆる繊維型とおっしゃられている大麻草のTHCは極めて少量だということも昨今分かってきたということもございますので、そういったことも含めて、必要があればご指摘のような調査もしなければいけないと考えております。
○鈴木座長 □□委員、よろしいでしょうか。
○□□委員 ちゃんとそういったことを調査して、日本の農業としての大麻は、繊維とかには利用できるものだけれども、乱用には適さないものだということをちゃんと示せば、大麻農業に対する見方も変わると思いますし、わざわざ不正に入手しようという輩も出てこないと思います。そうなれば、それを防止するために厳しい監督の義務を課したりという先ほどの規制も必要ないように思いますので、ここは厚労省さんが各都道府県から情報を集めてきちんと整理されることが有益なのではないかと感じました。
  以上です。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。
○□□委員 □□と申します。
  医療用麻薬の場合は、ケシの未熟果からあへんを取って製造することになります。日本ではあへん法という法律があり、あへん系麻薬は輸入したものからしかつくれません。そのような背景もあり、実際に日本でケシをつくっているところは一部の研究施設以外ではありません。麻の場合は栽培される圃場での管理は結構厳しくされているものなのかどうか。大麻取締法の整備を考えるとき、その辺りが非常に問題になってくるのかなと思ったものですから、実際のところ、どうなのか教えてください。
○大森理事 正直な話、厳しいとは思っていないです。麻の栽培は、種が発芽をしましたら、毎日、朝昼晩見て歩いて、生育状況を確認しながら、追肥が必要なところは追肥をしたり、90日で成熟して麻切り作業をするのですけれども、そこまでにはいろいろな作業が必要ですから、当然見て歩きますので、私も22~23か所の圃場がありますけれども、朝起きたら必ず全部見回って、お昼の日が当たっているときには麻がどういう状態になるのか、夕方、日が落ちてからはどういう状態になるかというのは、90日間で2メートル50センチから3メートルの高さに伸ばさないといい精麻は取れないので、そのためにはどんな努力もするということですよね。だから、見回りをするから大変だとは思っていないですね。農業であれば日々見て歩いて管理するのは当たり前の話なので。そういうことで、一番問題なのは、県の農政課や市の農政課や薬務課とかが、栃木県の場合はちゃんとスクラムを組んできちんとした育種管理、栽培者にマリファナについての徹底した情報提供をして、そういう違反をした場合には必ず取消しです。申請するときは1月なのですけれども、そういう犯罪歴、薬剤に対する犯罪があったりしたら免許は受けられないので、12月には精麻がどのくらい取れたか、麻幹がどのぐらい取れたかということで、報告書を県知事宛てに出しています。ですから、きちんと栽培してきちんと報告書も県に上がっていますので、そういう点では栃木県などを目標にしていただければ、いいガイドラインができるのではないかと思うのですけれどもね。
○若園先生 私たちは、伝統的に育てていまして、薬物として使うなどということは誰も考えていないですし、現実的にTHCが低いので、実際にそれ目当ての泥棒は来ません。10年前に取られたのは、要は、未成年の方が興味本位で持っていて、それで警察の方に補導されて、どこから持ってきたか、あそこから持ってきたということで、大問題になったわけですけれども、実際には誰も取りにきません。恐らくそういう目的の人たちは御存じなのだと思います。
○□□委員 防犯上も、問題はないという理解でよろしいですね。
○大森理事 合っているかどうか分からないですけれども、二十数年来、取られたことはないですね。毎日確認するので、葉っぱ1枚取れて茎1本折られていても分かりますので。無毒という言い方が適切か分からないですけれども、マリファナをする人たちはみんな知っているから、取っていけば同じ罪になることを皆さんは御存じですから、来ないですね。
○□□委員 ありがとうございました。
○鈴木座長 どうぞ。
○□□委員 ありがとうございます。
  伝統的な正規栽培については、今日、詳しく御説明いただいたこともあり、現在も、将来に向けても、私としては疑念を持つようなことではないと考えます。
  以下、単純に技術的な質問ですけれども、多分厚労省の監麻課への質問になると思いますが、伝統的な大麻も属としてはカンナビス属に属しているものでありましょうか。
  もう一つの質問は、先ほどの御説明に、THC濃度が低い種、特に遺伝的な改良をせずともTHCが少ないという御説明がございました。逆に、これは日本での案件ではないのですけれども、例えば、ほかの国で同じ種を使って遺伝的に改良してTHCを増やす可能性はあるものでしょうか。あくまでも技術的な質問で、日本の現況には関係ないところです。
○鈴木座長 事務局から、お願いします。
○事務局 大麻は、基本的には1属1種でございますので、同じ種類と考えています。
  種によってTHC濃度を増やすというのは、それは可能だと考えています。
○鈴木座長 よろしいでしょうか。
  最後に、お願いします。
○□□委員 今日は、御説明をどうもありがとうございます。
  基本的に、産業用の大麻の栽培や流通を過度に規制する必要性はあまりないと思いますので、乱用のおそれがないようなTHC濃度が低いものがあるということですけれども、そういう産業用の大麻という範囲をTHCの含有量などである程度画定できるのであれば、そこで一定の基準を設けることができるのかというのも検討に値するかと思いました。その基準に満たないようなものであれば、産業用として栽培や免許も含めて流通について過度な規制にならないようにする。他方、そうではないTHCを多く含むような大麻については栽培を含め厳格に規制する。そういうメリハリのついた規制の在り方を検討していくのがよいのではないかと思いました。
  その中で、マリファナの乱用には毅然として対応すべきというのは変わらないと思いますので、先ほどほかの委員からも御指摘がありましたが、麻酔いというものがないことがもしきちんとした形で分かるのであれば、大麻に使用罪がないことについてあまり合理性がないと思いますので、大麻の乱用というところへの対応については、麻薬と同様に、大麻というか、THCについて、使用罪の対象とする方向で毅然とした対応をしていくべきではないかと思います。
○鈴木座長 コメントでよろしいですか。
  ありがとうございました。
  よろしいでしょうか。
  若園先生、大森先生、ありがとうございました。
  続きまして、厚生労働省から、これまでの委員からの御質問に関する回答と追加説明について御説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、私から、資料2と資料3に沿って説明させていただきます。
  これまで幾つか御質問等をいただいており、お答えしていないものがございましたし、また追加で御説明申し上げたいことがございますので、まとめて紹介させていただきたいと思いますが、時間があまりなくなってきていることもあり、少しかいつまんで御説明申し上げたいと思います。テーマがばらばらとしてあちこちに飛んでしまって恐縮なのですが、端的に説明させていただきたいと思います。
  まず、資料2でございます。
  1ページ、厳罰化による犯罪抑止効果について、厳罰化することと犯罪抑止効果の関係はどうなのかという御質問がありました。また、麻薬中毒者届出義務と守秘義務について御意見がありましたが、これはそもそもどういうことかということの説明でございます。あと、諸外国における大麻の規制について、カナダ等はどういう状況かという御質問等がございました。また、薬物犯罪の現状で、起訴率についての御質問がありましたので、それぞれお答えさせていただきます。
  2ページです。まず、危険ドラッグについても御議論があったと思いますので、事実関係を整理したものを紹介させていただきます。危険ドラッグ対策ということで、平成17年11月に、「脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」の提言がありまして、それを踏まえて、平成19年4月1日に指定薬物制度が施行されました。その後、包括指定や麻薬取締職員への取締権限付与等がございまして、平成25年12月13日に指定薬物の単純所持・使用に対する罰則を整備ということで、これが平成26年4月1日に施行されました。
  3ページです。その後、本検討会でも御議論がありましたが、池袋で、危険ドラッグを使用したことが疑われる者による自動車暴走事故が発生いたしまして、それも踏まえて7月に総理指示があり、7月15日にその2物質を緊急指定するとか、緊急対策を決定し、8月27日に危険ドラッグ販売店に対する検査命令・販売等停止命令、薬機法を改正して広告中止命令の追加や対象拡大や販売等停止命令の全国化などをした結果、平成27年7月に危険ドラッグ販売店舗を撲滅したということです。
  4ページです。今申し上げたことと販売店舗数とを合わせた資料ですので、御覧になっていただければと思います。
  5ページです。検挙人員の推移です。これは、今ほど申し上げましたとおり、平成26年4月1日に単純所持・使用に対する罰則が整備されました。平成27年に1,276人と、前年の897人から増えていますが、当然そういう罰則を整備したということなので、検挙人員が増えているということです。その後、減ってきているということでして、平成31年は200人まで減っています。使用罪ができたことによって、危険ドラッグがなくなったとおっしゃる方もいらっしゃいますし、もしかしたらそういう見方もできるかもしれませんが、一方で、販売店に対する検査命令や販売等停止命令を並行して取り組んでまいりましたので、そういった政策を総合的に実施した結果と言うことができると考えています。
  6ページからは、もう一つの例として、飲酒運転に対する道路交通法の改正です。これも、平成18年に福岡市で飲酒運転による死亡事故が発生して、道路交通法が改正されまして、いわゆる厳罰化というか、罰則の強化を行ったところでございます。
  7ページです。これに対する警察の見解として警察白書を引用させていただきましたが、下にありますとおり、飲酒運転について、警察における取締りの強化等の諸対策や罰則の強化等を内容とする改正道交法の施行により、平成19年中の飲酒運転による交通事故は大幅に減少したということで白書では総括をしています。グラフでいいますと、平成18年から平成19年にかけて飲酒事故件数や飲酒死亡事故件数がかなり減っているという状況です。警察ではそういうふうに取締強化と罰則強化で大幅に減少したということで総括をしておりますが、一方で、国民全体に飲酒運転はよくないことだという認識が改めて広がったということも理由の一つではないかとも考えられるわけでございまして、これもそうした総合的な取組の結果ということが言えるのではないかと考えております。
  次に、テーマは変わりまして、8ページです。医師の麻薬中毒者届出義務と守秘義務との関係でございます。これも何度か議論がございましたが、1行目でございます。医師が麻薬中毒者と診断したときは届け出なければならないという義務規定がございます。一方で、御案内のとおり、お医者さんには守秘義務がかかっておりまして、知り得た秘密を正当な理由なくして漏えいしてはならないという規定がございます。この関係がどうなっているのかということですが、一番下ですが、届出はあくまでも麻向法の義務であって、同法に基づき届出いただいたとしても医師の守秘義務違反を問われるものではございませんし、逆に言うと、届出は法的事項でございまして、医師に裁量の余地はありません。一方で、通報との関係という意味では、下に参考で書いてありますが、当然麻向法では通報という規定はないのですが、一般論として、通報することが医師の守秘義務に違反しないという最高裁判決がございまして、それが争われた事案があったわけですが、基本的には通報した、イコール、守秘義務に違反するというわけではないですし、通報しないことも守秘義務との関係では可能ということで、私に解釈権があるわけではないですが、通報に関しては医師の裁量に委ねられているものと考えております。
  9ページ、10ページ、11ページは、各諸外国における大麻の規制についてということで、1回目の検討会で委員から御指摘をいただいたのですが、私どもはきちんと紹介しておりませんでしたので、資料にまとめさせていただきました。時間の関係もございますので、説明は省略させていただいて、後ほど御覧になっていただければと思います。
  12ページは、精神疾患の分類と診断の手引きにおける大麻に関する分類ということで、精神疾患の分類と診断の手引き、いわゆるDSM-5でございます。これについて少し御紹介したらどうかという座長の御示唆もありましたので、資料にさせていただきました。ここでは、大麻については、物質関連障害及び嗜癖性障害群ということで分類されておりまして、赤字のところでございますが、大麻関連障害群、大麻使用障害、大麻中毒、大麻離脱などの症状が見られるということでして、これは日本語の翻訳ガイドラインがありまして、それをコピーさせていただいたものです。
  次に、13ページです。これはICD-11ですが、きちんとした翻訳がないので英語で紹介をさせていただいておりますが、「Disorders due to substance use」は「物質使用障害」ということで、「Cannabis dependence(大麻依存)」とか、「Cannabis intoxication(大麻中毒)」とか、「大麻離脱」、「大麻誘発性せん妄」、「大麻誘発性精神障害」、「大麻誘発性精神・行動障害」など、英語のままで恐縮ですが、そういったあらゆる精神性の障害が見られることがICD-11でも位置づけられているということの御紹介です。
  14ページ以降が、諸外国における合法化後の大麻の使用状況についてどうなっているのかということでございます。ワールドドラッグレポートの情報で整理をさせていただきました。ワールドドラッグレポートもグラフがあったりなかったりなので、グラフがない単なる記載は「グラフ未掲載」と書いてありますが、カナダでいいますと、左上ですが、2018年第4四半期は、カナダ人の14%近くが過去3か月間に大麻を使用したことがあるという報告がありまして、経験率が最も高かったのは25~34歳で26%。次いで15~24歳で23%。それが2019年になりますと、過去3か月間の使用経験率は17.5%に上昇ということで、過去3か月間の大麻使用の経験率がほとんどの年齢層で上昇した一方で、顕著な増加は65歳以上だったということでございます。
  15ページが、ウルグアイでございます。これも簡単に御説明しますと、全体として増えているということでございます。特に4つ目の記載でございますが、大麻を日常的またはほぼ日常的に使用していると推定される方は2万5,500人ということで、これは1年間に大麻の使用を報告した方の9.9%であり、正規の大麻使用者の3分の1以上は依存性があると考えられたということで記載がありました。
  16ページです。コロラドとワシントンでして、これも全体として増えておりますし、特に、アメリカ全体、黄色の折れ線グラフに比べると、大麻が合法化された州でございますが、コロラドとワシントンははるかに大幅に増加しているということで記載がありますので、紹介させていただきます。
  17ページ以降は、起訴・不起訴の関係です。法務省の資料から拝借させていただきました。起訴率と起訴猶予率でございます。全体として年次経緯は省略させていただきまして、覚醒剤は起訴率が非常に高く、75%以上ぐらいです。起訴猶予率は低くて4~9%。一方で、大麻は、起訴率が大体50%、起訴猶予率が21~37%です。
  18ページです。薬物犯罪における保護観察のつかない全部執行猶予判決の割合について御質問がありました。これは、割合としては、覚醒剤取締法が33.5%。大麻取締法が82.3%。かなり保護観察がつかないという状況になっています。麻向法は77.5%です。左下は、一部執行猶予が導入されて、どれくらいの割合なのかということです。小さいグラフで恐縮ですが、覚醒剤取締法は令和元年で一部執行猶予が9.2%と8.8%を足して18.0%、大麻取締法は、狭くて見えないですが、2.1%で非常に少なくなっているということです。
  最後、19ページは少年保護事件の処分についての資料です。これは御覧になっていただければと思います。
  足早で恐縮ですが、資料3の説明に移ります。
  1ページです。広報について御議論がございましたので、少し資料を用意させていただきました。また、CBD製品の買取調査を我々がやりまして、それについて調査結果がまとまりましたので、この場で御報告申し上げたいと思います。薬物事犯統計を警察で既に公表しておりますが、麻薬取締部の分等々を含めて速報値として資料をまとめましたので、配付させていただきました。
  2ページです。厚生労働省における広報啓発活動ということですが、まず、国民的啓発活動ということで、特に真ん中の『ダメ。ゼッタイ。』普及運動を過去にずっとやっているということです。2つ目としまして、青少年層への啓発ということで、啓発読本を作ったり、小中学校などに啓発訪問をしたりしているということです。
  3ページです。薬物乱用防止対策で今申し上げましたのは一次予防ということで、青少年を中心として広報啓発を通じた国民全体の規範意識の向上によって薬物乱用を未然に防止するということで、最初に薬に手を出さないために取り組んでいるものです。一方で、二次予防です。これは薬物乱用者の方に対する適切な治療や効果的な社会復帰支援による再乱用防止ということで取り組んでいることでございまして、それぞれの目的に応じて広報活動や対象者や方法を変えて実施しております。
  4ページです。昨今、そうは言いながらもなかなか情報が届いていないということも指摘される中で、今年度の予算として、3,000万円、デジタル広報啓発事業で予算を確保しまして、現状・課題の3つ目ですが、何度かここでも御説明しましたが、スマホの普及により手軽にインターネット、特にSNSを利用して情報共有が容易になっておりますので、そうしたデジタルツールの情報収集にたけた若年層に対する広報啓発ということで、一番下に事業内容がありますが、啓発対象者の絞り込み、対象者に有効なコンテンツの作成、SNSで配信、効果検証ということで、試行的ではあるのですが、ターゲットを絞って情報を届けていくことができないかということを今年度の事業として取り組もうとしているところです。
  5ページです。テーマは変わりまして、CBD製品の調査を行いましたので、その調査結果です。2つ調査を行いまして、1の国内販売状況調査で、どういった製品が売られていて、どれくらいの価格で売られていて、どのような成分がどれくらい入っているのかということを、2の買取調査で、これは端的に大麻に該当する疑いのある製品があるかないか、THCが入っているかいないかということを調査させていただきました。
  結果は、6ページです。まず、国内販売状況調査、139製品を調査した結果、製品種別としては、食品、化粧品、雑品、様々ありますが、価格につきましては、適正というか、普通の価格のものからかなり高額なものまであるという状況が判明したということです。買取調査です。これはTHC検出の有無を調査しましたら、全て不検出でした。第2回で紹介しましたが、THCが検出された製品を回収したということがありましたが、今回は検出されなかったということです。このような調査は定期的に実施していきたいと考えております。
  7ページ以降は、薬物事犯検挙人員の推移ということで、薬物事犯全体の検挙人員も昨年より増加して、過去10年で最多、特に大麻につきましては増加傾向が止まることなく7年連続で増加となっています。また、数字が大きいわけではないのですが、麻薬事犯の検挙人員も過去10年で最多ということで、少し麻薬についても増えつつある傾向があるということです。
  8ページ、9ページは、若年層にターゲットを絞ったグラフですが、これも同じような傾向で増えているということです。
  私からは、以上です。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの厚生労働省からの説明について、御意見、御質問がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。
  どうぞ。
○□□委員 幾つか意見とコメントあるいは質問をさせていただきたいと思います。
  まず、1つ目の飲酒事故と死亡事故の年別推移なのですけれども、これは特に質問というわけではないのですけれども、アルコールは合法なものですよね。要するに、罰を厳しくすると減るよということで示されたのだと思うのですけれども、大麻使用罪を新たにつくることの効果や意義を示す例としては少しずれているかなというか、お酒を飲むことが違法になったら交通事故が減ったということであるならばともかく、ちょっとこれは例えとしてはどうなのかなと思ったのです。むしろ禁酒法のときには隠れてヤミ酒場に行くために飲酒運転が増えて事故が増えたという報告がありますし、飲酒運転の罰則強化を例えに出すのはどうかなと思いました。
  それはどうでもいいことで、その次のところですね。麻薬中毒者の届出義務と守秘義務の関係なのですけれども、これはこの会議の中でも実際にはほとんど届出がなくなっているという話だったのですけれども、厳密に言えば、この麻向法の届出対象の薬物の中に大麻も含まれているのですよね。もし多くの医師がこれをきちんと運用した場合、届出件数がすごく多くなる可能性もあると思うのですよね。結構監視・監督の期間が刑事処分よりも長期に及ぶ点も含めて、これはもう一回再考しなければいけないということをコメントとしてお伝えしておきたいと思います。
  その下の2005年の最高裁の判決は、そもそもは「警察に通報しても守秘義務違反にはあたらないよ」という判決だったわけなのだけれども、実際には多くの医療関係者がこれを勘違いしていて、「通報しなければならない」と誤解して共有されてしまっているのですよ。これに関して、ほとんどきちんとした説明が医療関係者の中ではされていないということが、結構安易に通報されてしまうことを招いているなと。この辺りは、きちんとした広報みたいなものが必要なのだろうと思っています。
  今度は、広報、予防の話です。私は、再三、この『ダメ。ゼッタイ。』の啓発に関しては、いろいろなところでこれはもうやめたほうがいいのではないかということを言っているわけなのですけれども、もう一回改めて言わせていただくと、薬物の問題は、そもそもは保健衛生・健康問題ということだと思うのですよね。人類の健康と福祉を守るためにこういう法律があるわけなのだけれども、例えば、感染症などだって様々な法律によって感染者は一定の人権を制限されたりすることはあるわけなので、それ自体がおかしいとは僕は思っていないです。ただ、このときに、予防啓発と治療や回復支援が全然別に動くことが好ましくないのではないかと思うわけですね。当事者や当事者の周辺の方たちが傷つくような予防啓発は非常に慎重にしなければいけない。例えば、感染症に対して、HIVやハンセン病に感染した方たちが恥じ入るような予防啓発はするべきではないし、かつてアルコールで妊婦さんたちがお酒を飲むことによって胎児性アルコール症候群で様々な障害が子供に出てしまうということに関して予防啓発をされていたある民間団体の方たちが、後に自分のお子さんが胎児性アルコール症候群なのだというお母様からものすごくクレームを受けたというか、うちの子が生きていてはいけないような気がするのだということでクレームを受けたこともあったと言っています。私のプレゼンテーションの中でも申し上げましたけれども、この『ダメ。ゼッタイ。』に関しては、当事者や薬物依存症者の御家族の方たちが強く不満を持っています。薬物依存症の治療や回復支援に携わっている専門職や支援者の方たちも不満に思っているのですね。このようなものがこのまま使われることが予防啓発のあり方としてどうなのかということも改めて再考していただきたいと思っています。
  私からは、以上です。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  □□委員。
○□□委員 ありがとうございます。
  1点、一次予防についてコメントをさせていただきたいと思います。特に『ダメ。ゼッタイ。』という標語、呼びかけについてお話ししておくべきことがあると思います。
  以前、私が麻薬単一条約第38条の改正についてお話ししましたけれども、もともと改正前では「中毒者に対する措置」とあって、治療、保護、更生しか書いていなかったわけですね。それが改正されてからは予防が最も大切であるとなり、その後、早期発見、治療、アフターケア、社会復帰に至るまで、一連の規定ができたわけです。ところで、『ダメ。ゼッタイ。』に表される一次予防ですけれども、日本においては、薬物乱用を始めていない人たちに対しての呼びかけであったわけです。今でもそうです。したがって、この標語の当事者というのは、不幸にして始めてしまって、勇気を持ってやめようと思って闘っている人たちではないわけですね。それを我々は頭に置いておかなければいけないと思います。
  第2に、これまで、治療に当たっている人たちと私はいろいろな国でお話ししてきました。日本においても、その人たちの中で最近お話しする機会があったのですけれども、『ダメ。ゼッタイ。』という一次予防に対する呼びかけは不可欠であるという意見でした。ほかの国で、これはヨーロッパのある国ですけれども、そういう治療に携わっている人たちから伺ったことですが、社会復帰を果たした人たちは、英語でいうと“Never. Ever.”と言うそうです。要するに、『ダメ。ゼッタイ。』ということですね。やっては駄目だと。そういう意見があることを、私どもに伝えてきた方々がおられましたので、この時点で指摘しておきたいと思います。
  ありがとうございました。
○鈴木座長 それでは、□□委員、お願いします。
○□□委員 □□です。
  厚労省さんの委員に対する回答の中で、少し注意したほうがいいという点が2つばかりありますので、指摘させていただきます。
  一つは、資料の中に保護観察のつかない全部執行猶予の割合があって、覚醒剤取締法が33.5%となっています。そうすると、いかにも保護観察のついている全部執行猶予が60%ぐらいあるかのような印象を受けますけれども、この計算方式を見てみますと、自由刑、要するに、懲役の判決が出たものを母数としているので、正しくは、全部執行猶予の判決が出た中で保護観察がついているかという形で計算すべきものです。そうやって計算しますと、私も以前申し上げましたけれども、日本の場合には約90%が単純執行猶予になっていて、保護観察のつくケースは9~10%ぐらいしかないということになります。
  もう一つ、厳罰化の抑止効果について事務局から危険ドラッグに対する規制と飲酒運転の法定刑引上げの例を挙げていますけれども、これも注意しなければいけない点があると思います。一つは、危険ドラッグはそれまで法規制の対象になっていなかったものを規制の対象に加えたという例でありまして、言わばゼロだったものを5や10にするというものでありまして、こういう場合には一定の効果が得られやすいと思います。これは厳罰化というよりも規制の適正化といいますか、適正な規制をかけると言うべきものかと思います。これに対し、薬物関連の規制については、従来から犯罪行為として一定の法規制がかかっており、刑罰も定められているわけですけれども、この刑罰を重くした場合にどういう効果があるかというものを厳密に測定した例は、私の知る限りないと思われますし、実際に法定刑の改正だけの効果をはかることは極めて困難だと思われます。資料では、飲酒運転の法定刑引上げの例が示されていますけれども、これも単に法定刑を引き上げたから飲酒運転が減ったと見ることには慎重になる必要があると思います。飲酒運転の法定刑が引き上げられるほど社会問題化し、マスコミで取り上げられたり、企業や官庁でも飲酒運転を行った従業員や公務員たちに厳しい対応が取られたり、検問も多く行われるようになりましたし、そういった様々な対応が取られることによる複合的な効果だと思われるわけでありまして、むしろ法改正だけのものよりそちらのほうの影響が大きいとも推測されるところでありますから、単に法定刑の引上げをすればそれだけで犯罪が減少するというものでは決してなくて、それとともに法執行の在り方や違反者に対する働きかけ、例えば、薬物事犯の場合には、依存者に対する処遇や治療、一般の人々や児童に対する教育や啓蒙、マスコミによる適正な報道が合わさってその法規制の目的を達成することができるということは念頭に置く必要があると思います。
  以上でございます。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  私から、1点、先ほど厚労省からCBDに関する調査の御報告がありましたけれども、CBDは精神作用がないので、サプリメントとして広く使用されています。その際に、大麻の写真をこの製品につけているものがあり、非常に気になっています。大麻使用を助長するようにも思えますので、この辺の規制はできるのでしょうか。
○事務局 CBDオイルのラベルに葉っぱのようなものが書いてあるものがあって、これは適法なのかという御質問だと思います。大麻取締法第4条では、大麻の広告をしてはならないという規定がございます。一方で、これは何度も御案内のとおりなのですが、大麻は成熟した茎と種子は利用が認められており、それ以外の部位についてはさまざまな規制がかけられています。このCBD製品も、当然成熟した茎と種子から取れたCBDで製造されているもののはずですので、そういった意味で、葉っぱから取られたものと誤認を与えるようなものであれば、もしかしたらそこは先ほど申し上げた大麻取締法第4条の広告制限に該当するかもしれませんが、少し精査というか、よく確認をさせていただければと考えております。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  □□委員。
○□□委員 最後に、1つだけいいですか。
  2回目で申し訳ないのですけれども、この大麻事犯の検挙人員が増加しているグラフがございます。もちろん増加はしているのだろうと思うのですけれども、医療機関で悉皆的な患者さんのデータを取っていると、別に患者さんは増えていないのですね。あるいは、障害がすごく増えているわけではない。私自身は、例えば、1990年代半ばの第3次覚醒剤乱用期のときに本当に大変な状況だったと身にしみて感じていますし、危険ドラッグのときも大変でした。今、これが増えているのは、要するに、法を犯す人が増えているのであって、厳罰化するのは何のためなのかというか、こういう健康被害が起きている、交通事故が増えていたり暴力事件が増えているとか、そういったデータなどは検証されなくていいのかということも、さらに10年や20年した後にメンタルヘルスの問題が日本ですごく増えて、あのときに若者たちの中で大麻が蔓延したのが問題だったなんてことがあるのかどうか。そのあたりの、「なぜ大麻がいけないのか、どんな健康被害や社会的弊害をもたらすのか」という根拠も少し考えてみなければいけないと思います。その辺はまだ十分に詰め切れていない。単に逮捕者が増えているから厳しくするということだけで本当にいいのかということも御検討いただければと思います。
○鈴木座長 □□委員、どうぞ。
○□□委員 最後の何人かの御意見を聞いていると、何かこの会議が厳罰化に向けて動いているように聞こえてしようがないのですけれども、そういうものは別に決まっていないと思うのです。いかがでしょうか。
○鈴木座長 どうぞ。事務局から、お願いします。
○事務局 特に方向性ということでお示ししたということはないと理解しております。
○鈴木座長 それでは、ただいまのことを確認しまして、□□委員の御意見も伺っておくということで、次に進めたいと思います。
  厚生労働省から、取りまとめに向けた今後の検討課題について御説明をお願いしたいと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、私から、資料4と資料5、「これまでの検討会における委員からの御意見」という資料と、それを踏まえた今後の検討課題という資料について御説明申し上げたいと思います。
  まず、「これまでの検討会における委員からの御意見」は、皆様方からこの場でいただいた御意見をテーマで分類して整理させていただいたものでございます。
  ページをお開きいただきますと、1から8までテーマごとに分けて、また、少し小分類で整理をさせていただきました。
  1ページは大麻が健康に与える影響ということで、特にTHCの有害性などについて委員からプレゼンをいただきましたので、そういったことをまとめさせていただいております。
  2ページですが、特に若年者に対する影響が大きいということがありましたので、それを整理させていただきました。
  3ページですが、国内外における大麻の使用状況で、諸外国との比較でいうと、3つほど書いてありますが、比較する意味はどうなのかという御意見が幾つかございました。日本の使用状況ですが、当然低い状況ではあるものの、委員から、実際はもうちょっと高い可能性があるという御指摘もございました。海外の使用状況も紹介させていただきましたが、年齢制限が課されているとか、そういったことを御意見としていただきました。
  4ページですが、諸外国の状況を委員からいろいろと御紹介いただきました。
  5ページです。大麻由来医薬品ということで、太組先生にもお越しいただいてプレゼンをいただきました。効能効果について、効くということであれば、そういう医薬品としてあってもいいのではないかということがほとんどだったかと考えておりますが、一方で、そういうものを認めるのであれば、しっかりとその流通管理をしていくべきではないかという御意見がありました。
  6ページです。名前についても、「大麻」という言葉や「麻薬」という言葉について御意見があったということです。
  7ページからは、大麻取締法における規制のあり方ということで、総論で幾つか御意見がありまして、また、罰則のあり方でも幾つか御意見をいただきました。また、7ページから8ページ、使用罪ということで、これも幾つか御意見がございました。
  8ページの真ん中、部位規制と成分規制で、今日も栽培用の大麻でいろいろと御意見がございましたが、要は、部位規制を、THCやCBDという成分規制にしていくべきではないかと。この点はそういった御意見が多かったのかなという印象を受けております。一番下、違法薬物の合法化は、御質問程度、御感想程度のものが2点程度あったという理解でございます。
  9ページですが、再乱用防止、社会復帰支援ということで、総論がございまして、幾つかありますが、まずは社会的な支援の必要性については非常に多くの御意見をいただいたと考えております。また、医療的な支援についても、今もいろいろな取組を精神・保健福祉センターを中心に取り組んでいるわけですが、それについても幾つか御議論がございました。
  10ページから11ページにかけては、法務省からもプレゼンしていただいたのですが、そもそもの日本の司法の仕組み、かなり根本的な話ではあると思うのですが、一部執行猶予制度ができたわけですけれども、まだそれだけでは不十分ではないかという御意見が多かったのではないかという印象を受けています。
  11ページでは、一方で、海外の司法の仕組みについても幾つか言及がございました。
  少し視点が変わって、中毒者制度です。今日も資料をまとめさせていただきましたが、これがワークをしていないということとか、これも今日御説明いたしました守秘義務との関係についても御意見がございました。
  13ページからは、医療用麻薬及び向精神薬ということで、医療用麻薬の実態ということで御説明申し上げまして、麻薬と向精神薬、特に向精神薬が少し使われ過ぎとか、一方で、医療用麻薬の適正使用ということで、日本で医療用麻薬があまり使われていないという現状がある中、誤解があるのではないかということで、麻薬製造業者関係者の委員からもプレゼンをいただきました。また、流通管理についても御意見がございました。
  14ページからが、情報提供、普及啓発でございます。まず、正確な情報提供ということで、違法薬物について誤った情報が流布しているため、きちんとした情報を分かりやすい形で情報提供していくべきではないかという御意見がございました。14ページの下のほうです。普及啓発の考え方ということで、今日も少し御意見がございました『ダメ。ゼッタイ。』を含めて、一次予防、二次予防をどうしていくかということの御意見がございました。
  15ページですが、特にということで、若年者への情報発信ということで、10代の方が受け取りやすい表現、デザインで伝えていくとか、若い方に伝わりやすい形で情報発信をしていくべきではないかとか、ネットの影響が大きいのではないかという御意見もございました。
  16ページで、その他、幾つか御意見があったことを紹介させていただいております。
  非常に幅広く様々な観点で御議論、御意見をいただきまして、これをどうまとめていくかということなのですが、取りあえず報告書の柱となるような骨子のような形で、資料5ということでまとめさせていただきました。
  まず、大きく4つに分けまして、「1.大麻取締法のあり方」、「2.再乱用防止、社会復帰支援等」、「3.医療用麻薬及び向精神薬」、「4.情報提供、普及啓発」という形で整理をさせていただきました。
  「1.大麻取締法のあり方」については、まずは現状と課題ということで、薬物事犯に関するこれまでの経緯と取組や、昨今の大麻に係る状況、大麻が健康に与える影響、大麻の有害性、大麻取締法に係る現状と課題ということで、これについては客観的なこれまでの取組や状況を私どもで座長と相談させていただいて整理して、委員からいろいろとプレゼンもございましたので、有害性に関することとか、ここで御報告いただいたことをまとめさせていただければと考えています。その上で、今後の方向性について、大麻由来医薬品のあり方をどうするか、特に若年者の大麻事犯が増加し続けていることへの対応をどうするか、部位規制のあり方をどうするかということで、そちらに出ているものは少し方向性を示しながら、引き続き御議論いただきたいと思います。「その他」と書いてありますが、今日は大麻栽培の御意見を、若園先生、大森さんからいただきましたので、それも方向性として追加しなければいけないと考えております。
  次に、「2.再乱用防止、社会復帰支援等」でございます。現状と課題ということで、薬物事犯の再犯の現状や再乱用防止策と社会復帰支援策、これは法務省や当省の精神・障害保健課依存症対策推進室から紹介させていただきましたので、それを少し整理させていただいて、麻薬中毒者制度も少し現状を紹介させていただければと思います。その上で、今後の方向性ということで、再乱用防止、社会復帰支援策のあり方ということですが、大きく、先ほども少し皆さんの御意見を整理したものもございましたが、医療的な支援と社会的な支援、司法における対応といった分類で整理をしていってはどうかということでございます。麻薬中毒者制度のあり方については、別途、方向性をお示しいただければということです。
  「3.医療用麻薬及び向精神薬」は、現状と課題ということで、麻薬の流通管理をしっかりやっていただいたり、適正使用の普及啓発をやっていただいたり、向精神薬も同じことでございますが、これについてさらなる取組はどういったものが必要なのかということを整理させていただければと考えています。
  最後に、「4.情報提供、普及啓発」ということで、まずは情報提供で分かりやすくとか、有害性をきちんと示すとか、普及啓発、一次予防、二次予防のあり方、本日、委員から御意見がございましたようなことを含めて、少し整理をしていただければと考えています。
  私からは、以上です。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの厚生労働省からの説明を踏まえ、御意見、御質問がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 今後の検討課題ということで、4つの柱ということで理解しましたが、私が思っているのは、いわゆる薬物対策のあり方を考えるときには、これは私の考え方になるのかも分かりませんが、一次予防、二次予防、三次予防という考え方を私はずっと言ってきました。
  これはどういうことかというと、一次予防というのは、基本的にはこれまでやったことのない方はこのままやらないでくださいと。簡単に言えば、手を出さない、あるいは、日本は幸か不幸か島国ですから、持ち込ませない、これを徹底しようと。まさに水際ですね。国内の人間は手を出さない。それが一次予防だと思います。
  ところが、残念ながら、現実を見ると、やはり手を出す方がいる。そういう方の中には、残念ながら、またその一部でしょうけれども、いわゆるいろいろな意味での医学的な障害に至ってしまう方がいる。そういう人に対して、二次予防ですね。早期発見・早期治療をきちんとやっていく必要がある。
  その後、「予防」という言い方が妥当かどうか分からないのですけれども、全体の流れとして、一次、二次、三次予防という言い方で、三次予防としては、社会復帰ですね。そういうことを促進する必要がある。そういう流れの中で個々の側面から考えていくのが基本ではなかろうかと私は思っています。
  そういう意味で、今日の資料5をうまく議論の流れとして考えていただければ、私などは考えやすいなと思っています。
  以上です。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 ありがとうございます。
  今の□□委員のコメントにつながると思うのですけれども、今後の検討課題を1、2、3、4とまとめていただいた中で、例えば「2.再乱用防止、社会復帰支援等」とそれ以前の一次予防との間にリンクがあると思うのですね。先ほど□□委員がおっしゃいました早期発見・早期治療のところからです。まだ薬物を乱用していない人たちと不幸にして始めてしまった人たちは同じ環境にいるかもしれないと思っています。乱用というのは、供給によって引き起こされる場合もあります。あへん戦争に至った経緯のような場合があると同時に、供給が増えても乱用を始めてしまわない人たちとそうではない人たちがいるということから、始めてしまう人たちにはその理由があると常々考えてきました。それは悪事を働こうと思ってやっているわけではなくて、やむを得ず薬物に流れてしまうことも大いにあると思います。同時に、乱用を始めていない人たちも、そのような状況にいる場合があると思います。経済的あるいは社会的にいろいろな状況があると思います。そこに対して官民での何らかのアプローチが必要ではないかと常に考えてきました。
  供給があるから乱用が増えるということは、例えば、アンフェタミン系覚醒剤ができた時点で、ドイツ、日本などで広がったという事実は、まずは供給があったからでありましょう。それにしても乱用を始めない人たちもいたわけです。しかし、始めてしまった人と始めなかった人との間に共通の環境や理由があって、これは薬物規制の枠を超えると思うのですけれども、そういう状況や問題に対して支援ができなければ、始めてしまう、あるいは、再度乱用してしまう人たちが今後も続くことになるのではないかと思います。支援をどこにどう入れたらいいかというのは、現時点で私に提案できることではないのですけれども、その一次と二次予防の間のリンクを検討していく必要があるのではないかと常々考えております。
  コメントです。ありがとうございました。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 今の議論の流れの中で、私からも付け足しなのですけれども、一つは、予防啓発に当たって、一次、二次、三次という考え方は、考え方の枠組みとしてはとてもすばらしいと思うのですけれども、そのメッセージを出すときに、既に依存症になってしまっている人、これから手を出すかも分からない人たちの間に分断をしないような、排除をしないような啓発や広報のあり方をぜひ模索していただきたいということを付け加えさせていただきたいと思います。
  この項目の中で少しどこかに混ぜ込んでいただけないかと思うものが1つあります。私自身のプレゼンテーションの中でもありましたけれども、治療や回復支援の現場で、要するに、本人の犯罪に当たる薬物使用を、医師の裁量によってできるのだけれども、もう少し治療の中では安全なんだよということをメッセージとして出せないのかということ。恐らくこの再乱用防止のどこかに含まれているような気もするのですけれども、そこのところも少し言及をしていただきたいと思っております。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  続きまして、□□委員からお願いいたします。
○□□委員 □□です。
  御報告、前半と後半、栽培者の方等を含めて、ありがとうございました。
  私自身は、コメントなのですけれども、薬物の使用に関して、自分自身が当事者であるので、今日、ここに座らせていただいていて、なかなかぐさぐさとくるような部分もあったのですけれども、今、若年者を含め、大麻の使用をしている方が増えていて覚醒剤の方が減っているという部分が、逮捕者数という部分だけでそれを見るのか、または、その人達の背景に何があるのかという部分はとても大切なのかなと思います。それがここで話し合われる議論なのか、今、分からないで話させてもらっているのですけれども、世代の中での連鎖だったり、私自身、当事者であり、父親がアルコールに問題があったり、そういった中で、使用されている方は、貧困だったり、いろいろと社会的に苦しい状況に陥っている方も中にはいらっしゃるかと思うのですね。そういった方たちが治療につながるために、今ある形がこのまま続いていくと、なかなか治療につながる声を上げづらかったり、それは家族会の方だったり、強く発信している部分があるかと思います。
  ちょっとまとまらないのですけれども、私たちというか、治療の中で、偏見と言ったらあれなのですけれども、そういうものが増えていくことが、これから先、10年後、20年後の人たちが、本当にあのときに何でこの使用者が増えていたのかというのが分かったときに、形になるような会になればいいなとは思っております。まとまりがなく、すみません。コメントです。
  ありがとうございました。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  続きまして、□□委員、お願いします。
○□□委員 □□です。
  コメントです。一次予防から三次予防に関して、特に二次予防が大事ではないかと思っています。二次予防は、早期発見・早期介入というお話がありましたが、何を予防しているかというと重症化の予防をしているわけですよね。つまり、依存症にならないように予防するということですね。大麻に手を出してしまったけれども、迷いながら使っているという人たちは恐らくいるのではないかと思います。三次予防の対象は、ある意味、依存症になってしまった方々の社会復帰や再発の予防になりますので、助けてほしい、あるいは、自分には治療が必要ですと言って、医療機関あるいは岡﨑さんのような回復支援施設につながっている方々の話になってきます。全く薬物を使ったことがない人を対象とする一次予防から、患者を対象とした三次予防までの間が結構空いてしまっているなというところが私の印象です。したがって、一番難しいところでもあるのですが、二次予防についてしっかり考えていくことが、特に若年層に大麻の経験者が多いという背景を踏まえると、大事になってくると思います。
  また、啓発に関してのコメントなのですが、先ほど事務局からの話で、有害性をどう伝えていくのかというところのお話がありました。また、今日のご発表の中でも、「無害大麻」という言葉がありました。この「害」という言葉や「毒」という言葉、これ自体にネガティブな印象があります。例えば、それを使わなくても「大麻の健康影響」という言い方のほうがよりフェアだと思います。害があるとか、毒であるということは、やめさせようとする側の意図がすごく見えてきてしまっていて、そういったものに抵抗するような層もいるのではないかと思います。もうちょっとサイエンティフィックに、どんな健康影響があるのかということをエビデンスベースドで伝えていくという形の啓発が有効ではないかなと、個人的には考えております。
  以上です。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ、□□委員、お願いします。
○□□委員 ありがとうございます。
  2の「今後の方向性」にある司法における対応という部分なのですけれども、先ほど、半分しか起訴されていない、起訴されても9割は単純執行猶予ということで、犯罪化されてもほとんどそのまま放置されているという実態がある、これを何とかしなくてはいけないのではないですかという指摘がありました。ここをもう少しちゃんと議論しないと「大麻をやったら駄目ですよ」と言って刑事手続に乗せたのはいいけれども、そのままほったらかしでは意味がないのではないかと感じました。1(2)の今後の方向性のところとリンクするのだと思うのですけれども、今まで各先生たちがおっしゃっている、一次予防、二次予防、三次予防で言うと、一で今やっていない人はこのままやらないでね、手を出さないでね、というのは分かります。二に行った人は、刑事手続に乗るのだけれども、その人たちをどうするのかが見えてこない。ここできちんと手当てしないと三の社会復帰も難しくなってしまうのではないかと思うのですが、その間ですごくほったらかしにされているなと。そこを何とかしなければいけないということを上手く打ち出せれば良いのですが、どうしたらいいのかしらと思っています。
  うまくまとまらなくて、すみません。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  これはコメントでよろしいですか。
  ほかにいかがでしょうか。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 今、□□委員が言われたことが非常に重要だと思いますし、私の関心事でもあるのですけれども、ただ、この報告書が厚労省さんのものだということとの関係で、どこまで刑事手続や司法における対応のことを書き込めるのかなというのは、法務省さんとの間で詰めなければいけないことかなと思っております。私としては、できればそういうことも含めた報告書になればいいなと思っていますし、今日も法務省の方が参加になられているようであります。そこも含めてどこまで書き込めるのかということは具体的に御検討いただければと思います。
  以上です。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  続きまして、□□委員、お願いします。
○□□委員 ありがとうございます。
  私も、□□委員と同じ問題意識を持っておりまして、ある意味、野放しとなってしまっている現状をどうしていくのかということを議論していくことに意味があると思います。大前提の課題として、地域にそういった受皿が少ないということがあるかと思います。もし時間があれば次回以降の検討会で詳細をお話ししますが、福岡県で大麻少年に特化した再乱用防止プログラムを今年度から開始したそうです。薬務課が予算を取ってプログラム等を作成し、保護観察所等から大麻少年に関する情報提供を受け、県警の少年課、この中に少年サポートセンターというところがあるのですが、そこでとても熱量の高い熱心なカウンセラーの方々がいまして、そこにサポートセンターの方々がプログラムを実施するという取組です。このような先駆的な取組も参考にしながら考えて議論をしていけるといいなと思っております。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  今日の全体のことでも結構ですけれども、ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。
○事務局 今、特に司法の関係でいろいろと御意見を頂戴しまして、堅いことを申し上げると、この検討会は厚労省の医薬局長の私的諮問機関でございますので、厚労省の枠組みの中でということでもあるのですが、一方で、当然、これまでの御意見でもかなりの分量の記載がありますとおり、いろいろなご意見が出ておりますし、当然この薬物の問題を議論するに当たって避けられない課題であることを我々は当然承知しております。したがいまして、3回目に法務省にもお越しいただいてプレゼンをしていただいたということでございますから、決して、全く関係ない、この報告書に書いてはいけないということではございませんので、そこはまたよく議論していただければと思います。
  一方で、できもしないことを書いて法務省に投げるというのも、なかなか私どもとしてもお作法の問題としてどうかということはございますので、当然事務的に私どもも法務省と協議をさせていただきたいと思いますし、そこはお互いに連携をして、そうは言いながらも、どこまでとりまとめに書けるかということはございますので、よく法務省とも皆さんとも相談させていただきながら報告書のとりまとめを進めさせていただければと考えております。
○鈴木座長 ありがとうございます。
  よろしいですね。
  それでは、本日予定されておりました議題は以上となりますが、最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 第6回以降の検討会の日程につきましては、また正式に決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
  次回は、これまでの議論を踏まえまして、座長とも相談させていただいて、とりまとめの素案をお示しさせていただきたいと考えておりますが、これまでの御議論で、今、委員の意見一覧、「これまでの検討会における委員からの御意見」で、ある程度方向性が出ているものと、いろいろな御意見があってまだ方向性が出し切れていないものもございますので、方向性がある程度出ているものは少し具体的に書かせていただき、そうでないものはまた引き続き御議論いただくような形で素案を御用意させていただければと考えています。
  以上でございます。
○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、以上をもちまして、第5回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を閉会いたします。
  御協力、誠にありがとうございました。

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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