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令和3年3月31日 第4回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

令和3年3月31日(水)16:00~18:00

 

○場所 

非公開
 

○議題 

「薬物の適正使用」


○議事録

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第4回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催させていただきます。
  委員の先生方には大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
  本日、鈴木座長は所用によりウェブ形式で御参加いただいておりますので、本日の議事進行は藤野座長代理にお願いしたいと思います。
  本検討会におけるカメラ撮りについては、冒頭のみでお願いいたします。御退席をお伝えしましたら、撮影担当の方は御退席いただく予定でございます。
  それでは、藤野座長代理、議事の進行をお願いします。
○藤野座長代理 ありがとうございます。
  本日の議事は、お配りしている次第に沿って進めさせていただきます。
  最初に、事務局より検討会における連絡事項をお願いします。
○事務局 事務局から、本日の検討会の出席者について申し上げます。
  本日は、自治体関係者の委員の方から所用により御欠席の連絡をいただいておりますが、代理人の方に御出席いただいております。その他の11名の委員の方々は、御出席をいただいております。
  なお、鈴木座長のほか、太田委員、嶋根委員及び小林委員におかれましては、ウェブ形式で御参加いただいております。また、本日は、大麻由来医薬品の医療への活用などについて研究されている、聖マリアンナ医科大学の太組先生にお越しいただいております。よろしくお願いします。
  続いて、連絡事項を申し上げます。
  本検討会は公開とさせていただいておりますが、会場への入場制限につきましては従前どおりの取扱いとさせていただきます。
  また、会議の議事録の公開についても従前どおりとさせていただきます。
  資料についてはお手元のタブレットを御覧ください。
  それでは、本検討会のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。撮影担当の方等は、御退席をお願いします。
  (カメラ退室)
○事務局 事務局からは以上でございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  それでは、議題に移ります。
  まず、監視指導・麻薬対策課長から、「薬物の適正使用」について、説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 まず、私のほうから資料1を御説明いたしまして、資料2について麻薬製造業者関係者、資料3について太組先生から御説明いただきます。
  それでは、資料1について御説明いたします。1ページ、「医療用麻薬等の制度」ということですが、まず、医療用麻薬の総論について御説明申し上げたいと思います。
  2ページです。「薬物の医療用途」という資料です。これは以前にも御説明いたしましたが、麻薬等の薬物の中には、適正に使用されることにより医療上有用であることが知られており、医薬品として用いられている薬物もあります。これらの薬物を、「医療用麻薬」ですとか、「医薬品である覚醒剤原料」等と称しております。
  下の表ですが、麻薬については、承認医薬品としてモルヒネ等があり、医薬品として使われているところですが、一方で、第2回の検討会でも御説明申し上げましたとおり、大麻については×ということで、現在、医薬品としての利用が認められていないところです。
  また、真ん中の欄に「携帯輸出入の可否」とございますが、これは麻薬や向精神薬を海外に携帯輸出入できる仕組みがございまして、海外旅行者が麻薬や向精神薬を携帯輸出入することが可能なのですが、覚醒剤原料については、これまで携帯輸出入が認められておりませんでした。しかし、先の薬機法等の改正で、昨年の4月1日より新たに携帯輸出入が可能になったということです。
  次に、3ページです。「麻薬及び向精神薬取締法における麻薬、向精神薬の規制比較」ということですが、麻薬につきましては、非常に厳重な規制がかかっておりまして、施用者、基本的にドクターですが、医師であっても麻薬を施用するには医師免許とは別に、麻薬施用者免許が必要であるということです。また、その製造、輸出入等も非常に厳しくなっておりまして、免許が必要なのは申し上げるまでもないのですが、半期ごとに製造の許可ですとか輸出入のつど許可とか、細かく規制をされております。また、その譲渡、保管、廃棄などにつきましても、後ほどまた委員からも御説明があると思いますが、非常に厳しい規制になっております。
  次に、4ページです。今ほど申し上げました麻薬及び向精神薬取締法、いわゆる麻向法での法令での規定以外に、流通管理が必要な医薬品として、承認条件でいろいろな条件を定めている医薬品というのがございます。承認条件というのは、医薬品として薬機法で承認されたときに幾つか条件をつけることができるということになっているのですが、そこで適用についてですとか流通管理について、幾つか条件をつけた上で承認しているものです。
  例として幾つか挙げておりますが、例えばリタリン、モディオダール錠、コンサータ錠等々、向精神薬であったり、麻薬でありますとか覚醒剤原料、種類は様々になっております。
  それで、右側に「登録」とありまして、医師、薬局、患者ということで記載がありますが、これはどういうことかと申しますと、具体的には5ページをご覧下さい。
  「流通管理の実際」ということで、コンサータ錠を例として示させていただいておりますが、医師・薬局・患者を登録することにより、医薬品の安全性を確保するとともに、不正流通が起きないような管理体制が構築されているということです。まずは、医薬品の安全性ということで、適正使用ですね。症状のある患者に対して、その資格を持ったお医者さんがそれを処方しているかということを確認するため、患者ですとか医療機関、医師を登録していただいているということです。
  また、下のほうに「コンサータ錠適正流通管理委員会」とございますが、これはヤンセンファーマさんですけれども、会社の中にそういう流通管理委員会をつくっていただきまして、流通管理についても、どこで誰がいつ使ったということを管理するという仕組みが構築されているということです。
  ということで、法令以外でも承認条件という形で規制がされているということの御説明です。
  次に6ページですが、「投薬期間に上限が設けられている医薬品」ということで、薬というのは処方日数というのが決められておりまして、資料6ページ、一番上ですが、保険医療機関及び保険医療担当規則ということで、よく「療担規則」と専門的には略称で呼んでおりますが、基本的には投薬量は予見することができる必要期間に従ったものでなければならないということで定められております。
  2つ目の○です。これを受け、告示においては、投薬期間に上限が定められている医薬品として、麻薬ですとか向精神薬が規定されるとともに、通知で、その処方に当たっては、「薬物依存症候群の有無等、患者の病状や疾患の兆候に十分注意した上で、病状が安定し、その変化が予見できる患者に限って行う」とか、「処方に当たっては、当該患者に既に処方した医薬品の残量及び他の医療機関における同一医薬品の重複処方の有無について患者に確認し、診療録に記載する」ということで、あちこちでもらわないように確認するということになっております。下のほうに、処方日数も、投薬期間が14日分を限度とされる内服薬及び外用薬並びに注射薬ということで、麻薬ですとか向精神薬が定められているということです。
  このように、医療保険制度の枠組みの中でも、麻薬や向精神薬というのは一定の縛りがかけられるということです。
  次に、7ページからは「薬物の適正使用」ということで、「医療用麻薬の現状」ということです。
  8ページからの資料ですが、この項目は、各論ということでございまして、申し上げるまでもございませんが、麻薬は現代の医療において非常に有用で不可欠です。これは適正使用した場合です。ただ一方、乱用された場合は、社会への多大な悪影響を及ぼすということで、不適正使用というものもございます。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、厳重な規制や流通管理を行っています。
  一番下にございますが、麻薬といっても全てが医療用ということではございませんで、麻薬というのは、合計216物質が指定されているわけですが、そのうち、ヘロインとかコカインとかMDMAというのは医療用途というのはございません。モルヒネとかオキシコドン、コデイン等々、合計13物質が医療用麻薬として使用されているということです。
  9ページです。法律の抜粋で、これも一回御説明いたしましたが、当然、今ほど申し上げましたように、厳しい管理をしておりますので、麻薬施用者、医師であり、かつ免許を持った方でなければ、麻薬を施用し、もしくは施用のため交付し、麻薬を記載した処方箋を交付してはならないということになっています。さらに、麻薬研究者の免許を持っている方が研究のため施用する場合ですとか、麻薬施用者から交付を受けた者が麻薬を施用する場合、要は、医師からお薬をもらった患者さんがそれを施用する場合ですとか、薬局で調剤されて受け取った患者さんが使う場合、これは当然いいわけですが、それ以外は基本的に禁止とされています。
  一番下、66条の2は罰則ということで、この規定に違反した方は7年以下の懲役ということで、麻薬及び向精神薬取締法の使用罪ということで規定されているということです。
  10ページは流通です。様々な業態の業者が法律上規定されておりまして、麻薬製造業者が4業者、麻薬製剤業者というものは12業者ございます。それらの事業者から卸を通じて、薬局、病院に卸されていくということですが、右側にございますが、一方通行が原則ということと、業態ごとに免許が必要というのが特徴です。
  11ページに麻薬の使用量の各国比較を示しております。これはINCBの年間統計の平均値ですが、アメリカでは、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、その他麻薬合わせた総量が3万5,140S-DDDということで、使用量が一番多いということです。あと、ドイツ、カナダ、イギリス等々と続いて、日本は1,184S-DDDということで、62位ということです。
  これは後ほど委員の資料に出てきますが、適正使用というのはWHOで推計しておりまして、その基準で見ると、アメリカは使い過ぎ、日本は使わな過ぎということが見て取れるということです。
  12ページですが、「我が国の主な麻薬の消費量」です。平成13年ぐらいまで、いわゆるモルヒネしかなかったという状況で、非常に使用量は増えていったわけですが、そこで841キログラムということです。その後、使用される医薬品がモルヒネからオキシコドンに置きかわっているということが1つ特徴として見て取れるかと思います。
  13ページですが、一方でアメリカの状況です。これはいわゆる「オピオイドクライシス」ということで、乱用というのが非常に問題になってきているということで、特に青色の合成のオキシコドンというのが異常に増えてきています。これは、アメリカでは、ちょっとした痛みでも医師がオキシコドンを処方する場合もあり、だんだん依存症になってしまうという状態が見られているということで、14ページですが、2017年10月にトランプ大統領は公衆衛生上の非常事態を宣言したということで、様々な措置が講じられたということです。
  一方で、日本は非常に医療用麻薬の使用が少ないということで、適正使用に係る講習会ということで、がん疼痛や非がん疼痛に対する医療用麻薬の適正使用の普及を図ることを目的として、医療関係者、一般の方を対象とした講習会等を開催して、普及活動に努めています。
  次に16ページから向精神薬ということで、これは向精神薬各論です。
  17ページに使用量、また先ほどと同じINCBの統計を掲載させていただいていますが、先ほどの麻薬と打って変わって、日本は第2位ということで、72.54S-DDD使っているということです。ベンゾジアゼピン系の鎮静薬や抗不安薬の消費量を括弧書きで書かせていただいています。
  18ページですが、「向精神薬の流通」ということで、これは麻薬と比較してかなり緩い規制となっておりまして、業者数も非常に多くなっております。
  19ページ、国際条約でも向精神薬に関する分類が附表ⅡからⅣまで決められていまして、国内法もそれに応じて第一種から第三種まで定められているということです。
  20ページです。先ほど少し申し上げましたが、流通管理がされているわけですけれども、これは契機がございまして、まず、平成19年にリタリン錠の不正処方・流通が摘発されましたので、適用を削除するとともに、医師・調剤薬局・管理薬剤師について登録制度とするといった流通管理の強化をしたということです。また、平成30年になって、今度はコンサータ錠についての不正譲渡が発生したということで、先ほど申し上げたような流通管理のさらなる強化をしてきたということです。
  21ページは向精神薬の不正譲渡事件で、依然として不正譲渡といったことがあるということで、22ページ、これは向精神薬で偽造処方箋による詐取が起こっているということで、依然、向精神薬に係る不正譲渡ですとか詐取といったものが発生しているということです。
  私からは以上です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。いつもながら綿密な資料をご用意いただき、また簡潔なご説明をありがとうございました。
  続きまして、委員からの発表に移ります。麻薬製造業者関係者から、「医療用麻薬の製造・流通と適正管理について」、説明をお願いいたします。
○麻薬製造業者関係者 麻薬製造業者の□□と申します。
  私からは、医療用麻薬の製造・流通と適正管理ということについてお話しいたします。次、2ページお願いします。
  麻薬製造業者は現在4社、麻薬製剤業者が11社ございます。先ほどの御紹介で麻薬製剤業者は12社とあったのですが、実はそのうちの1社は動物用の麻薬を扱っている製剤業者です。医療用麻薬については麻薬製造4社と麻薬製剤11社、計15社ございます。医療用麻薬を取り扱っている15社で○○生産者協会という業界団体を構成し、各管轄行政からの麻薬に対する指導をきちんと守り、行政承認のもと自主基準等もつくったりしながら、麻薬の規制に関して乱用及び不正流通につながらないように、また、最近は適正使用を促進することを目的に活動させていただいております。
  この業界団体は創立が非常に古くて、昭和26年、今から70年ほど前から、当初麻薬製造業者5社で創立しております。医療用麻薬の原料であるあへんは海外から輸入され、麻薬製造業者が国から払下げを受けてあへん系の医療用麻薬を製造します。その免許が医療用麻薬の製造業者免許です。その後、海外から半合成の麻薬だとか合成麻薬というのが入ってきました。そういったものを製剤化するメーカーさん、つまり麻薬製剤業者11社が入っているということでございます。
  現在、この15社で東西の例会および6つの小委員会で活動しております。6つの小委員会として、行政対応委員会、情報収集委員会、出版委員会、適正使用推進委員会、現状分析委員会、流通委員会がございます。次、3ページお願いします。
  「特殊薬を取り扱う業界団体と行政のかかわり」ということですが、協会の役割として行政の方々と常に意見および情報交換をしながら研修会等を開催させていただいております。昨年はコロナの影響で、各地域管轄の麻取部さんとの情報交換会が一部開催できなかったのですけれども、一応このような形で、年間通じて行政と関わりを持っております。次、4ページお願いします。
  この写真はあへん系麻薬のもとになるケシの花です。ケシの花が落ちた後の未熟果に傷をつけると写真にあるような汁が出ます。これがあへんです。生(なま)あへん、または生(しょう)あへんと呼んでおりますが、これを乾かして、ここからあへんを取るということになります。その中には、モルヒネが10%、コデイン0.5%、テバイン0.2%。この申し上げた3つは、日本では麻薬の規制を受けており、非常に少ない量しか取れないということで、貴重な医療資源として、大事に活用しなければならないということで、我々製造業者はこれを守り、厳しい規制の中で製造しているということでございます。次、5ページお願いします。
  日本で使用されている医療用麻薬の種類には、海外から輸入されたあへんから日本国内で製造されているあへんアルカロイド系麻薬および海外から輸入されたものを製剤メーカーが国内で製剤しているコカアルカロイド系麻薬や合成麻薬がございます。次、6ページお願いします。
  日本における麻薬の取締りの中で一番大事なのは、麻薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡、譲受、所持、これは一切取扱いは禁止されているのですが、それぞれについての免許をもって、その禁止を解除されているということになります。次、7ページお願いします。
  麻薬の規制にはこの6つがございます。1つ目は、免許を持たないと取り扱うことができないということ。2つ目に流通経路の制限がございます。患者さんに渡す以外は免許取得者のみで流通させなさいということですので、麻薬の免許を持っていない方には流通させないということであります。
  3と4にお示ししたとおり、輸入、輸出、製造、製剤、これも免許を持った上で、都度、許可が必要だということでございます。
  5つ目の施用に関しては、お医者さんといえども麻薬施用者免許がないと処方できないということであります。例えば海外なんかですと麻薬中毒患者に医療用麻薬を使うということがあったりするそうですけれども、日本においてはそれは疾病の治療から外れるので、麻向法違反になり使えないということです。
  6つ目ですが、これは医療用麻薬に限らず、医家向けの医療用医薬品でもそうですけれども、一般向けの広告は禁止されているということです。次、8ページお願いします。
  麻薬の流通規制に関しては、ここが通常の一般用医薬品と大きく違うところでございまして、いわゆる製造の段階から施用の段階に向かう一方通行です。つまり、通常の医薬品との大きな違いは、返品ができないということになります。ただし、苦情が出たりして、どうしてもその医療用麻薬をリサーチしないといけないようなケースが出た場合は、厚生労働大臣の許可を取得したうえで、発行された譲渡許可書により返品を受け、調べることがあります。次、9ページお願いいたします。
  先ほど麻薬流通経路の中でもお話しさせていただきましたとおり、麻薬の製造から患者さんの手元にいくまで、全て一方通行です。ここの中に麻薬元卸売業者とあるのですが、これはいわゆるメーカーや卸などの物流センターのことです。麻薬元卸売業者免許を持った物流センターというのは、県をまたいで、どこへでも輸送することができるのですけれども、卸売業者に納入されてからは、同一県内だけでの譲渡しか認められないという規制がございます。この麻薬元卸売業者は県をまたいで全国各地に効率的にものを運ぶことはできるのですけれども、麻薬卸売業者は、例えば道一つ隔てた県境において、隣の県にすぐに必要な医療用麻薬製品があっても、隣の県から譲り受けることができないというのが現状でございます。この辺については今後検討が必要なのではないかなと思っています。
  患者さんに施用されたものが逆に戻る場合、これについては後ほどお話しします。次、10ページお願いいたします。
  麻薬の譲受、譲渡についてでございますが、通常の医薬品と違って、譲受証、譲渡証という公文書を取り交わしての取引が行われております。これは全て公文書としての書式が決まっておりまして、同時交換でやるのが原則となっております。次、11ページお願いします。
  患者さんにお渡しした医療用麻薬がもし不要になった場合、または不幸にして患者さんがお亡くなりになったようなケースでの取扱いについては、医療関係者向けの医療用麻薬製品の添付文書に、患者さんに対する指導ということで、「本剤が不要になった場合には、病院または薬局へ返納するなどの処置について患者さんに適正に指導してください」と記載がございます。
  あと、「医療用麻薬を普及される患者さんへのお願い」ということで、このようなチラシをつくって、調剤薬局さんなんかで患者さんへの取扱いの指導にお使いいただくようにしているということです。次、12ページお願いいたします。
  医療用麻薬の保管は非常に厳しく規制されております。固定された堅固な保管設備に鍵をかけ、重量金庫または固定金庫に入れ保管することとなっております。保管庫には覚醒剤、麻薬以外のものは入れてはいけないと決まっております。次、13ページお願いします。
  これは医療用麻薬製品の使用期限等、表示についてのお話ですけれども、ここも医療用医薬品と違ってございまして、資料に示されているように、使用期限、製造年月日、製造番号、製品番号の記載があります。通常の医薬品ですとこの上の3つですが、製品番号がついているのは医療用麻薬だけです。製造番号は通常、ロット番号と呼ばれておりますが、ロット番号というのは、氏名でいうと姓みたいなものですね。製品番号が名前ですので、製造番号と製品番号で、1つしか存在しない姓名又は氏名ということになります。お札と一緒で、同じ製造番号と製品番号の組み合わせは同時に2つ存在しない、つまりそれぐらい通常の一般用医薬品よりもかなり厳しい取扱いになっているということでございます。次、14ページお願いします。
  こちらは内閣府の「がん対策に関する世論調査」です。医療用麻薬に対する一般の方の意識はどうなのかということを見ると、正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思うような反面、やはり一旦使用するとやめられなくなるのではないかとか、寿命を縮めるのではないかとか、「麻薬」という言葉が含まれていて怖いとか、そのような意見があるのも事実でございます。次、15ページお願いします。
  もし、がんのために痛みが生じて、お医者さんから医療用麻薬の使用を提案された場合、麻薬を使いたいと思いますか、というのを年代別で見ると、なぜか若い方が、「どちらかといえば使いたくない」「使いたくない」という割合が多い。ある意味、「ダメ。ゼッタイ。」運動で、医療用麻薬も含めて、麻薬自体に非常に拒絶反応がある部分啓発された結果かもしれませんが、このような方々には、今後、医療用麻薬というのは適切に使えば必要なものですよということをやはり啓発していかないといけないのかなと思っております。次、16ページお願いします。
  医療用麻薬には負のイメージがつきまとっておりまして、これが本当に必要な患者さんへの適正使用を妨げているのではないかと考えています。多く思われる意見が、オピオイド、いわゆる麻薬を使うと依存・中毒になるのではないかと。確かに、身体的依存、精神的依存というのは、がんの患者さんでない方には非常に起こりやすいと言われていますが、身体的依存に関しては、漸減法で中止することで臨床的な問題は起こらないといわれております。適正使用において、実際臨床現場で問題になっているとは聞いておりませんが、昨今、非がんの患者さん、がんが治って、そのまま飲み続けておられる一部の方には若干そういったことが起こったり、精神的依存の部分でも問題になっているということはあるようです。通常、がんの患者さんに痛みを取る目的で投与する場合は、このオピオイドの身体的依存、精神的依存が問題になることはないと言われております。
  あと、オピオイドを使って命が短くなる、これは全くの誤りだということや、既に、QOLが著しく改善するということも臨床で多く経験されていることでございます。次、17ページお願いします。
  これは先ほど監視指導・麻薬対策課長からも御説明あった部分をグラフにしたものですけれども、医療用麻薬の適正使用量と実使用量、これは2010年のWHOの報告でございますが、この棒グラフの青で示した部分が適正使用量です。本来このぐらいの量で使われるべきではないかということで、これはWHOの統計を基に、がん、エイズ、致死的外傷が原因の痛みを緩和するのに必要な量というのを国別に算出したうえで、INCBのデータから各国のオピオイドの消費量を算出したものとなっております。
  この棒グラフの赤で示した部分が実使用量ということになります。これで見ますと、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ドイツといったところは非常に適正使用量で示される青よりも大きく抜きん出ているというところで、がん疼痛よりもむしろ非がん疼痛のところおよび先ほど御紹介あったオピオイドクライシスといった部分で使われてしまっている部分ではないかという指摘がございます。次、18ページお願いします。
  医療用麻薬の流通管理は非常に厳しいという中で、一般の医薬品とどう違うのかということですが、先ほど述べましたように、一方通行が原則であって、全て免許を持った業態のもと、譲受証、譲渡証の交換で取引されているということ。あとは、流通において製造番号の他に製品番号でのシリアル管理で、厳密に帳簿で管理されているということでございます。
  お医者さんであっても、麻薬施用者免許がないと患者さんには処方できないということでございます。
  最後の19ページです。まとめでございます。医療用麻薬は製造・流通・医療現場等で麻向法による非常に厳しい規制を受けながら、厳格に管理されております。日本において、先ほど向精神薬では結構乱用があるという御説明がありましたが、医療用麻薬の乱用の報告というのは、諸外国に比べて非常に少ないです。弊社でも乱用防止製剤をつくったときに、乱用実態というのを厚労省の方と一緒に調べたのですが、ほとんど出てきていないぐらい、乱用は少ないです。医療用麻薬に関しては。
  ただ一方で、麻薬に対する誤解・偏見があるというのも事実でございますので、患者さんに必要とする量が適切に使われていくというのを我々今後目指していかなければならないところだろうと思います。
  私からは以上でございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの厚生労働省及び麻薬製造業者関係者からの説明について、御意見や御質問がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。
  □□委員、どうぞ
○□□委員 ただいまの○○委員の御発表なのですけれども、最後のまとめの2番で、日本では諸外国に比べて医療用麻薬の乱用が極めて少ない。例えば乱用事例なのですけれども、持続製剤はそんなに問題ないと思うのですが、即効性のものが乱用されているというデータはいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○麻薬製造業者関係者 では、私からお答えさせていただきます。
  現在のところ、薬物動態といいますか、もの自体としては成分的に、委員がおっしゃるように、即効製剤というのは乱用とか依存が起きやすいとかいうことはあるといわれておりますが、実は乱用実態を調べたら、ほとんど出てこないのですね。現状としては。私のところでは今そういった把握でございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、それでよろしいですか。
○□□委員 はい、ありがとうございます。
○藤野座長代理 では、□□委員、お願いします。
○□□委員 質問ではないのですけれども、□□委員のプレゼンテーションの中にケシ坊主の写真のところがあったと思うのですけれども、そのケシ坊主の横で、生(なま)あへんないしは生(しょう)あへんという言い方をされていたのですけれども、あれはどうやら読み方は生(しょう)あへんのようです。というのは、随分古い本ですけれども、当時、麻薬課の課長さんをされていた方が、『麻薬』という本を出していまして、その中にまさにそのことが書かれているのです。いろいろ呼ばれるけれども、これは間違いなく生(しょう)あへんだと、そう呼んでもらいたいと。要するに、生薬です。考え方は。そういうことらしいです。
○麻薬製造業者関係者 ありがとうございます。勉強になりました。
○藤野座長代理 □□委員、ありがとうございました。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 質問ではなくて、コメントというか情報提供なのですけれども、私ども、精神科医療施設で薬物の問題で治療を受けている患者の経年的な悉皆調査をしております。その中で、オピオイド系の鎮痛薬で何らかの精神医学的な問題を受けて治療を受けている方というのはとても少ない。2800例ぐらいの中で15例ぐらいでしょうか。しかも、そのうちの半数がトラマドールですね。要するに、「麻薬」として規制されていないものが半数なので、確かにおっしゃるとおりに乱用はかなり低く抑えられている、少なくとも現状では、精神科医療の現場ではオピオイド乱用・依存はほとんど問題にはなっていないと思っています。
  ただ、その一方で、緩和医療の現場ではちらほらと乱用・依存の問題が生じている気もします。最近ちらほらと近隣総合病院の緩和医療科の先生たちと連携しながら、がんサバイバーたちのオピオイドの不適切使用ケースの治療に関与する機会が増えています。といっても、これはまだ深刻と呼べる水準にはなっていないといってよいでしょう。むしろ臨床現場でちょっと気になるのは、今日のプレゼンテーションの中でも軽く触れられていたように、患者さんのほうが、麻薬とか、それから、コンサータやビバンセといった向精神薬や覚醒剤原料を過剰に恐れてしまっていることです。治療薬として必要な人がいるのだけれども、患者さんが怖がってしまって、処方できなくなっている。その意味では、乱用防止教育が効き過ぎてしまっているというのは感じています。
  確かに、かつてリタリンは大きな社会問題となり、2007年には処方規制がなされました。その当時は、確かに精神科医療の側の問題が非常に深刻だったのは事実です。しかし、その後、コンサータになってからは、医師による横流し事件はあったかもしれませんが、全体としては乱用の実態として浮かび上がってきてはいない。処方制限や流通管理は奏効していると思っています。
  ただ、今回またコンサータが、ビバンセの発売とともに厳しくなって、あれはかなり臨床の現場で、うわっ、これは使いづらいな、治療に支障があるなという実感は持っております。
  一応情報提供です。
○藤野座長代理 □□委員、ありがとうございました。
  次に、□□委員にお願いしたいと思います。
○□□委員 □□です。質問とコメントがあります。
  まず、監視指導・麻薬対策課長にコメントです。資料、8ページ目です。麻薬という言葉は法律用語で、いろんな物質がそこに含まれているわけです。このスライドの冒頭に、麻薬は現在の医療において非常に有用で不可欠とあるのですが、このまま読むと、ヘロインとかコカインとかMDMAについても医療で非常に有用であると読めてしまうのではないかなと思って、これは恐らく医療用麻薬のことをおっしゃっているのではないかなと思いながら話を聞いていたので、一応確認です。これが1点目です。
  そして2点目は、13ページですが、オピオイドクライシスの現状というところで、グラフが、米国における情報が載っていますが、これの縦軸の単位が何だかよく分からないのですね。これは恐らく死亡者数のことを言っているのかどうかというところですね。この縦軸について教えていただければと思います。
  また、これに関連して、使用量が米国に比べて日本ははるかに少ないということが分かったのですが、国内におけるオピオイドによる過剰摂取による死亡者数というのは年間何例ぐらいでしょうか。あるいは、死亡者数が分からないのであれば、例えば救急などでの件数の情報があれば教えていただければと思います。
○藤野座長代理 ありがとうございました。事務局からお願いします。
○事務局 幾つか御質問、ありがとうございました。
  まず、麻薬についての資料8ページでございます。私、麻薬のところの説明で、ヘロイン、コカイン、MDMAは医療用はないということを申し上げたと思いますが、委員のおっしゃるとおり、現代の医療において非常に有用で不可欠、適正使用されれば有用だというものには、ヘロイン、コカイン、MDMAは当然含まれません。
  13ページ、こちらの資料の単位を記述していなくて恐縮ですが、左軸の目盛の単位は死亡者数です。
  3点目が、国内におけるオピオイドで亡くなられた方ということですが、我々としてはそういった方がいらっしゃるとは承知しておりません。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 □□です。よろしくお願いいたします。
  麻薬指定の数が増えていることが、2つのテーマから分かりました。今まで麻薬として指定されたものの中で、医療用に転換が必要だというようなものが実際あったのかをお教えください。あと、例えば海外を見ますと、いわゆるスケジュール化をして、規制物質を自由に医療用に利用するというような流れもあると思います。今後、現在の麻薬のリストについて、海外のスケジュール化を参考に、スムーズに医療用に転向して使えるようなシステムを考える可能性はございますでしょうか?お願いします。
○事務局 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
  1つ目の御質問に関しまして、転向があったかどうかというのは、ちょっと今手持ちに資料がございませんので、ちょっと分からないとしかお答えができないという状況でございます。
  2点目は、スケジュール化ということでございますか。現行法としましては、麻向法ですとか覚取法等々、各種法律の中で様々規制されていて、先ほどスライド、資料でもお示ししておりますけれども、条約等との対応で規制を分けているということでございますので、そういったところについても御意見等いただければ幸いかと存じます。
○□□委員 ありがとうございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、それでよろしいですか。
  ほかに御質問、御意見おありの先生方。
○□□委員 向精神薬についてお尋ねをしたいのですが、医療用麻薬に関しての乱用だとかいうのは非常に少ない。その代わり、いわゆる適正な使用量も少ない。一方で、向精神薬のほうは、世界でも2位になるぐらいの非常に多い向精神薬消費量となっています。医療用麻薬の場合ですと、免許を持った方にしか流通させないとか、「ダメ。ゼッタイ。」運動という啓発教育がなされています。向精神薬についても、「ダメ。ゼッタイ。」運動のような啓発活動は今後展開されていく必要があるとお考えなのか、教えてください。
○事務局 今、委員から御指摘あった向精神薬の使用量が多いことについて、普及啓発活動により適正使用を進める必要があるのではないかという趣旨かと思いますが、「ダメ。ゼッタイ。」というのは、基本的には全ての薬物を対象にした取組でございますので、そこで果たして向精神薬にターゲットを当てるということが現状で適当かどうか、やはり昨今は大麻事犯が増えているわけですから、まずはそこにターゲットをあてるべきではないかという気がします。
  一方で、向精神薬の使用量が多いということについては、特にお医者さんのほうで適正使用、適正処方をしていただく必要がありますので、引き続き使用の抑制に努めていきたいと考えております。
○□□委員 ありがとうございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  では次に、□□委員、お願いできますか。
○□□委員 お願いします。麻薬製造業者関係者の方のプレゼンテーションに対しての質問です。資料の14ページにあります内閣府の調査ですね。例えば、「いったん使用し始めたらやめられなくなる」ですとか、「寿命を縮める」とか、「麻薬という言葉が怖い」とか、こういった回答が赤線で引かれておりますが、この回答の年代別の情報というものはお持ちでしょうか。
  というのも、私のこれまでの経験ですと、こういう回答は比較的高齢者の方が多いのではないかと思っていたのですが、この次のスライドで、若い方、18~29歳の方が、がんのために痛みが生じたときに麻薬を使いたいかというときに、「使いたい」という回答が一番少なくなっているという報告がございました。ひょっとすると、若い世代では薬物に対して何でもかんでも怖いと思わせてしまっているのではないかということをうかがえるようなデータかなと思いましたので、お尋ねしました。いかがでしょうか。
○麻薬製造業者関係者 ありがとうございます。まず、このデータについてなのですけれども、正直申しまして、この複数回答の中身の年代別のものについては、現在手持ちのデータを所有しておりません。詳細なデータについては後日お話をさせていただきます。
  今、□□委員がおっしゃったとおり、いろいろな病院の先生方、臨床の現場の先生方とお話しする中で、例えば昔若いときに年配の大学教授からモルヒネを絶対使うなよとか言われたという先生方が結構おられました。当時、年配の先生方の多くは、麻薬は使うべきでない、最後の最後まで我慢するんだみたいなことを言われていたようです。
  それが、1986年にWHO方式が日本に取り入れられてから、少しずつ改善してきた部分もある反面、若い方が麻薬に対して全てだめというところでのちょっと誤った、誤解といいますか、そういった部分の理解でなかなか使いたくないといったところに通じている部分はあるのかなと思います。「ダメ。ゼッタイ。」が効いているという部分もあると思いますし、ここに医療用麻薬の正しい理解と適正使用をやはり推進していくべきだろうと思っております。
  すみません。お答えになっていなくて申し訳ないです。
○□□委員 ありがとうございます。教育現場でお薬教育のようなものが今行われております。そんな中で、医療用麻薬についても正しく伝えていくということが重要ではないかと思いました。
○麻薬製造業者関係者 □□委員のおっしゃるとおり、本当に特に若い方への正しい教育って大事だと思っております。麻薬と医療用麻薬の区別がついていなくて、正しい理解に進んでいないといったところが問題ではあるのかなと。それが正しい、適正使用を妨げているのかなとは思っております。
  すみません。以上です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  では、次に□□委員、お願いします。
○□□委員 □□です。
  厚労省か、もしくは委員の中で医師の先生の方にお伺いしたいのですけれども、厚労省の説明の中で、最後のほうに向精神薬の不正譲渡事件なんかがあって規制が厳しくなったというお話がありました。私、随分前ですけれども、ドキュメンタリー番組で、医師が向精神薬を不正に譲渡したり不正請求したという問題ではなくて、精神疾患ではない者を暴力団などが病院に行かせ、精神疾患のふりをさせて、医師がそういう症状ならばということで向精神薬を処方して、それを後で回収して、ヤミのほうのルートに回すというのが問題になっているという報道番組を見たことがあります。先ほどのルートの中で言うと、患者のほうに渡ってからの不正ルートみたいな感じになっているのですけれども、こういう実態はもう既に現在はなくなっているのでしょうか。その辺りの実態について、もし御存じの方がいればちょっと教えていただきたいと思います。
○事務局 委員がおっしゃったような事案は、確かにかつてありまして、特にという意味では、生活保護受給者の方とか、医療扶助で無料になるということで、そういった方が処方を受けるという事例がありましたが、適正化を進めた結果、現在では余りそういった事例は発生していないと承知しています。
○□□委員 ありがとうございます。
○藤野座長代理 □□委員、お願いします。
○□□委員 今の御質問に関してなのですけれども、たぶん□□委員が示したケースは、わが国の医薬品の不適切使用としては典型的なものではないように思います。わが国の場合、乱用される医薬品の入手ルートというか供給源が医療機関であることが多いのは確かですが、問題は、通常、それが治療の一環として、正当な「処方」という格好でなされている点にあると思います。日本の場合、乱用される医薬品の大半はベンゾジアゼピン受容体作動薬ですね。欧米に比べてわが国では睡眠薬や抗不安薬の使用量が多いということはかねてより問題になっています。例えばヨーロッパなんかだと、処方できる日数がかなり厳しく制限されていますし、一方、アメリカの場合は、逆にこれも問題ではありますが、SSRIという抗うつ薬のプロモーションのために、かつてことさらにベンゾジアゼピンをバッシングしてきた経緯もありました。しかし、日本の場合、薬の処方を制限すればそれで解決するという単純な問題ではないのだろうなと思っています。医薬品の不適切使用の背景には、日本の、薄利多売の医療のあり方、なかなか十分に時間をかけて患者の話を聞けない中で、薬に頼らざるを得ないという、構造的な問題があります。そのなかで、ベンゾジアゼピンはとにかくダメ、絶対的にやめるべきともいえない現実があります。やはりそれによる治療が必要な人もいるわけです。そうした構造的な問題を含めて、ベンゾジアゼピンの乱用が、日本の医薬品乱用の特徴とはいえます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。ほかにはおいでになりますか。
  どうぞ、□□委員。
○□□委員 ありがとうございます。
  □□委員に実務的な御感覚をちょっとお伺いしたいのですけれども、□□委員の資料の17ページのところで、WHOの適正使用量という基準に照らすと、日本が非常に少ないと。仮にこれをWHO水準に上げるとすると流通量ってものすごい増えることになるのですけれども、そのときに、今、麻薬の流通経路は、9ページのところで示していただいたように、一方向になっていて、免許業者がやって、卸売業者からは県はまたげないというふうになっているのですけれども、仮に、今は割と流通量が限定されているのでこれでワークするのかなという気がするのですが、これが大きく変わった場合に、この流通のあり方というのはどこかワークしなくなる部分があると思うかどうかというところをちょっとお伺いしたいのです。
○麻薬製造業者関係者 御質問ありがとうございます。まずこの実使用量、これは医療用麻薬だけで見ています。例えばがんの患者さんの鎮痛目的で、今現状で、医療用麻薬だけが投与されているのかとなると、例えば麻薬に指定されていないトラマドールだとか、アセトアミノフェンだとか、あとそれ以外の鎮痛薬、例えばプレガバリンだとか、抗不安薬などもかなり広く使われ始めております。ですので、医療用麻薬の実使用量のみでがん疼痛治療の推進度合いを推しはかれるかというと、だんだんそうではなくなっている時代にあるということがございます。
  つまり、麻薬でないものががん疼痛治療に使われ始めているというところの数字がきちんとつかめていないということがあります。
  先ほど私のほうで現在麻薬卸売業者は県をまたぐ譲渡はできないので、麻薬卸売業者の免許でも県をまたいで、流通できるようになればいいのではないかということを提案させていただきました。そのことで、例えば麻薬の使用量が増えるとか、規制緩和のおかげで、麻薬の処方量が現場で増えるのではないかというようなご質問とうけとりました。本提案によって流通管理に関してはすごく迅速な流通になる部分はあっても、実際にがん疼痛に医療用麻薬を処方されるのはお医者さんですので、結局は先生方の正しいアセスメントをもとに、ここは医療用麻薬が必要だから適正に使用するんだという、受け取る患者さんとのコミュニケーションの部分がスムースにいかないと、流通のほうに関して迅速で簡便にはなっても、現場での使用量が増えるかというと、決してそうではないのかなという感じはしております。
  私からは以上です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、それでよろしいですか。
  それでは、□□委員にお願いします。
○□□委員 □□といいます。
  御報告ありがとうございました。医療用麻薬と向精神薬についての質問が1つと意見があるのですけれども、特殊薬を取り扱う行政との関わりというところで、3ページのところで、こういう研修を行われているというのがあるのですけれども、そういったのがお医者さんだったり薬剤師さんだったり、患者さんと直接関わりがある人に対して医療用麻薬とかの安全性とかをお伝えする機会というのはどれぐらい、研修とかあるのでしょうか。
○麻薬製造業者関係者 お答えさせていただきます。正直申しまして、我々製薬会社が直接患者さんとやり取りするということはまずないです。市民公開講座を医師会や薬剤師会との共催ということで行う場合はございます。その場合でも、直接、医療用麻薬の情報を患者さんにお伝えするということはしておりません。
○□□委員 お医者さんや薬剤師さんに向けてはどうですか。
○麻薬製造業者関係者 医療関係者に向けては、当然、我々やる場合はございます。資料3ページの最後にありますように、医療用麻薬フォーラムといったように、これは行政の方も、あと、お医者さん、薬剤師さんといった方々に対しての情報提供や情報交換という場は持っております。一般市民の方には、我々製薬会社が直接関わるということはしておりませんし、それと、どこの製薬会社が医療用麻薬を取り扱っているのかという情報も積極的にはつまびらかにはしておりません。ですので、今回のようなこういった公の場でお話しするのもあえて製薬会社名は出さないようにしております。弊社内におきましても、関係者以外にはこれらの情報は極秘にしてあります。そのぐらい非常に厳重に管理しているということを御理解ください。
○□□委員 ありがとうございます。一言コメントで。あと、向精神薬についてですけれども、私たちの施設なんかでも、そういう依存になる方もいらっしゃいますし、前回の報告でも、□□委員の話の中で、処方薬依存の方も増えているということもあったので、より教育の部分でも、これからの未来の子供たちにそういった処方薬とかでも依存になってしまうんだよというのは必要だと思うのですけれども、過度にその教育をしていくと、それ自体がすごい偏見を生むものにもなってしまうので、すごく慎重にそういった部分は話を進めていければなあとは思います。ちょっと今回の話とは違うかもしれないですけれども、以上です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。そのほかの委員の方で、御質問、御意見はおありでしょうか。
  もしおいでにならなければ、1点だけ、私のほうから、我々が頭に留めておかなければいけないと思うことを申し上げてよろしいでしょうか。
  「ダメ。ゼッタイ。」という用語なのですけれども、これは“薬物乱用”は「ダメ。ゼッタイ。」ということであって、医療用麻薬の適正使用は推進すべきものです。条約上でもそうなっておりますし、実際にもそのように行われるべきことでありますから、特に適正使用はさらに進めなければならないと考えています。
  医療用麻薬の適正使用については、処方箋が少な過ぎても適切ではありませんし、あるいは、無責任に処方箋を乱発する場合があれば、アメリカの「オピオイドクライシス」のようになってしまう結果となります。適正使用を確保することに重点を置く必要があります。
  先ほど最初に監視指導・麻薬対策課長が御説明になった中にINCBのデータが出てきましたが、そこで統計上DDDを使って各国の使用量を比較しているわけですね。これは当初、消費量を人口で割っていただけなのです。それを各国が適切に使用しているかどうか比較する一助とするために、現在はDDDが用いられるようになりました。特に「ダメ。ゼッタイ。」というのは、“乱用”は「ダメ。ゼッタイ。」ということであり、医療麻薬は適正に使用することを推進すべきだと、条約にも書いてありますし、国連もそのように進めていることを我々は理解しておかなければいけないと思いました。この点について、ほかに御意見、御質問ありますでしょうか。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 すみません。監視指導・麻薬対策課長への質問です。13ページに「2013年~ フェンタニル、トラマドールによる死亡者数が増加」とございます。日本では、オピオイド鎮痛薬として、トラマドールが、麻薬処方箋が必要ないことからかなり使われているという現状があるようです。私は米国におけるこのフェンタニル、トラマドールによる死亡者が増加というところが気になっております。日本では今後こういった医療用麻薬の規制がされてないものがどんどん使われていくことでオピオイドクライシスに似たような現象に近づいていくのではと懸念しております。向精神薬というのは、医療用麻薬に比べると規制上緩いところがあるために、そちらにどうしても使用傾向ができてしまう部分があるように感じます。この点については、今後規制の検討をされるのか、その辺も含めてお答えいただければと思います。
○事務局 薬物の規制というのは、いろんな薬物があって、いろんな規制があって、一方でそれを適正にも使わなければいけないというバランスの中でやっておりまして、冒頭ご説明申し上げましたが、法令での規制ですとか、あとは承認条件ですね、薬機法の承認条件で向精神薬などの流通管理を規制することが果たして適切なのかというのはあるのですが、現状では、ある意味、そういった便法を利用して規制をしていたり、医療保険の保険点数の日数で縛っていたりという、様々な角度で、これまでの積み重ね、歴史、委員からもお話がありましたけれども、様々な工夫をして今に至っているということです。今後、どのような規制が必要なのかということは検討する必要があると考えております。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  それでは、続きまして、外部有識者の先生からの発表に移りたいと思います。聖マリアンナ医科大学脳神経外科学准教授・てんかんセンター副センター長、太組一朗先生から、「大麻由来医薬品のてんかん治療への活用」について説明をお願いいたします。よろしくどうぞ。
○太組先生 皆様、こんにちは。聖マリアンナ医科大学脳神経外科の太組一朗でございます。
  本日は、藤野座長代理、そして鈴木座長を初めとした委員の皆様、それから厚生労働省の皆様、特に監視指導・麻薬対策課長を初めとして監視指導・麻薬対策課の皆様には、このような発表の機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。深く感謝を申し上げております。
  タイトルで、私、「大麻由来医薬品のてんかん治療への活用」ということでお話をさせていただくわけですが、実は使ったことないので、活用できるのかというのはこれからしてみないと分からないというところでございますので、あいつ、何しゃべるのだろうと。私は、てんかん治療の、普段、てんかんの何千人かの患者さんとのおつき合いがある中で、どのようにしたらいいのかということの立場でお話をさせていただきたいと思っております。
  冒頭使わせていただいたこの絵ですが、私、よく使わせてもらうのですけれども、これは富士山がありまして、ここに江ノ島があるのですね。そして、ここに、きっとこれは湘南海岸で、湘南海岸に白なんかあるのかと思うのですけれども、実は、私ども聖マリアンナ医科大学は神奈川にございますので、神奈川県を象徴する絵だということで、神奈川県のてんかん治療の啓発に使わせていただいております。この絵は、鈴木英人さんとおっしゃる、山下達郎さんのCDジャケットをよく描いておられた、その方に許諾をいただいて神奈川県で使わせていただいている、神奈川県のてんかんの啓発のイメージでございます。
  世の中にいろんな疾患がある中で、てんかんと申す病気も非常に、どっちかというととっつきにくいといいますか、今般、我々、コロナがあって、それで、差別があるということをたくさん経験しているわけですけれども、誤解を恐れずに申しますと、私たち、知らないものに対して、どうしたらいいのかなということが分からなくなると、やはり差別が生まれるといいますか、そういったことの端的な場面をたくさん見ております。
  てんかんということですけれども、平成27年から厚生労働省がてんかんの地域医療連携体制整備事業というのを組んでくれました。一つの三次医療圏の中に拠点機関があって、病院があって、保健所があって、かかりつけの先生がいて、そして患者さんがいて、精神保健福祉センターがあって、みんなでやりましょうというようなことで、地域でやっております。そして、拠点病院には、実はてんかん専門の先生がいること、2番は、脳波及びMRI、ちゃんと検査ができること、そして3番、てんかんの外科治療や複数の診療科による集学的な治療を行えることと書いてあります。つまり、外科治療、私、脳神経外科医ですので、ちょっとそこに私の役割も出てくるわけですけれども、外科治療というものも、実はこれ、平成12年に保険収載されたスタンダードな治療の一つということで御理解いただけるものだと思います。
  これは県に指定をいただく拠点病院でございます。私どもの病院も神奈川県のてんかん診療拠点機関として、神奈川県知事から指定を受けるというようなことでございます。
  私が実は聖マリアンナに行きましたのは3年半前でございまして、非常に大切に私をマリアンナが迎え入れてくれましたので、公開シンポジウムやろうよと言って、いろんな人に来てもらいました。もちろん、院内のてんかんの専門家、それから病院長、そして理事長、そしててんかん学会の理事長、それから県議、国会議員、そして患者さんの代表、こういう人たちみんなでシンポジウムをやって、このようにみんなでやりましょうというところが求められる。逆に言いますと、みんなでやらないとなかなか難しい、そういう疾患であるということでもあるわけです。
  全国に今、21カ所程度のてんかん診療拠点機関があります。各三次医療圏の中に1つ、1都1道2府43県ですから、まだ半分にも満たない。そして、国立精神・神経医療センター病院が全国拠点ということになっております。ですので、東京都には拠点病院はないのですけれども、それに代わる病院として精神・神経センターがあるわけで、約22カ所程度ですけれども、まだまだ必要な数には達していない。しかし、もう一度申し上げますと、この拠点病院というのは県知事が指定をするということになっております。
  私、年間50例ぐらいのてんかんの手術をしております。40例は大体聖マリアンナ医科大学で、そして10例は関連病院である沖縄赤十字病院でやっております。沖縄赤十字病院は、実は9番目のてんかん診療拠点病院になりました。
  これは3年ぐらい前のその病院での診察シーンですけれども、1組の患者さんがいて、私が非常勤で来ていて、そして精神科のてんかん専門医は別の病院から来て、神経内科の部長がいて、脳神経外科の部長がいて、要は、患者さん1人をお医者さん4人で診ていると。こんな医療ってなかなかないのですね。すごく非効率です。病院長はよくこれを許可してくれているなというぐらい、非常に非効率な医療ですけれども、このようにしないと、要するに難しいケースに太刀打ちできない。私も、神経内科の部長にたくさん教えてもらうことがあります。ですから、文殊の知恵と言いますけれども、こういったことで、みんなでやって力を合わせなければなかなか太刀打ちできない病気がてんかんであると、普段感じております。
  これは実は私の一番得意とする内側側頭葉てんかんの選択的扁桃体海馬摘出という手術でございます。左側のビデオは海馬を取るところ、それから、右側は内視鏡でさらに後ろのほうを取る、こういった、そこの部分だけ取るという、このやり方でやると視野障害がほとんど来ないというのが私たちの得意技でございますが、「これ、海馬取っていいの?」という、そういう疑問が皆さんふつふつとわいてこようというものですけれども、この手術が必要な患者さんにこの手術を受けてもらうと、本当にうそのように発作がなくなって、そして、コグニション、つまり、高次脳機能が、発作になるときとないときと比べると、手術が終わって発作がなくなるとばーんとよくなる。だんだんよくなるのですけれども、本当によくなるのですね。このような治療を外科治療としては組み合わせることもあるわけでございます。
  ちょっと私の自己紹介ということも含めさせていただきましたけれども、本日このような話題でお話を進めさせていただきたいと思いますけれども、てんかんと申しますのは子供さんだけの病気ではないということは何となく皆さんもよくお分かりいただいていると思います。
  左側のところ、0歳から80歳まで、発症率、子供さんのときに、このようにずうっとだんだん下がってくるわけですけれども、私、今、55歳ですが、50歳を折り返してくると、こうやって発症率が上がってまいります。
  右側は、厚生労働科学研究の「てんかんの地域診療連携体制の推進のためのてんかん診療拠点病院運用ガイドラインに関する研究班」、ちょっと長い研究班ですけれども、聖マリアンナの山本仁先生が今研究班長をされておられまして、そこの成果物ですね。田中純子、分担班の成果物から、班長に許可をもらってここに示させていただきますけれども、やはり同じような、日本でも、これはJMDCのデータを使ったものですけれども、高齢者になってくるとだんだん発症が多くなる。ですから、年齢のこともありますけれども、全ての人たちがてんかんになり得る。そして、有病率が0.6%から1.2%、これは0.8%と仮に考えますと、日本の人口1億2700万ですから、0.8%ですと96万人、約100万人の方がてんかんであるということですので、ひそかなる、非常にメジャーな疾患であると御理解いただくことができると思います。
  てんかんとは、それでは何かと申しますと、この資料の上のほうに書いてございますのを読ませていただきます。「てんかんは様々な原因で起こる慢性脳疾患で、大脳神経細胞の過剰発射に由来する反復性発作を特長とし、それに関連した多種多様の臨床及び検査所見を伴う」。脳の病気で、慢性の病気で、反復の発作であると、そういう病気ですということが1973年のWHOの定義で書いてあります。
  これ、実は見ていただいているのはおばあちゃんですけれども、おばあちゃんが発作を起こしているところで、脳波上も発作を起こしているのですが、実は全身性のけいれんを起こしていないですね。大体、普通、てんかんというと全身性のけいれんを起こすと思いますけれども、実はそうでないものもたくさんあるということでございます。
  こうやって発作が捉えられる。しかし、これを全員にやる必要があるわけではありませんけれども、分からない場合はこのように記録をするということもできますし、私の立場に立っていきますと、外科医でございますので、てんかんでないものに対しててんかんの手術をして、人様の脳みそを切ることだと、そこでメスをやめようと、メスを置こうと、外科手術はもうやめようというような覚悟で毎日行っております。
  しかしながら、まだ叱られたことは幸いないようですので、その必要もなさそうですけれども、やはりそれぐらい、皆様にも難しい、私たち医療者にとっても難しい病気であるということがお分かりいただけるのではないかと思います。
てんかんの治療をどうするのかといって、医学部で講演、講義をするときに、学生さんに聞きます。先生、脳外科だから、手術ですかと言うと、何言ってんだい、てんかんの治療はお薬でしょうと言うと、ああ、そうでしたと言ってみんな納得してくれるわけですね。てんかんの治療というのは、お薬が基本です。どのようによくなってもらうのがいいかと申しますと、お薬を飲んでもらって、発作がなくなって、そして副作用がなくて、ずっとお薬を飲んでいたら発作がなくて、おまけにその方がハッピーであるということがてんかん治療のゴールですね。
  お子さんのてんかんの中に、薬をやめられる人も中にはいます。ですけど、数多くの方は薬を将来にわたってやめることができないほうが多い。慢性疾患でございますので、そういったことであると、やはりお薬をずっと飲み続けなければいけない。
  ではどのぐらい効くのかというのが、このパトリック・クアンとマーティン・ブロディの『ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン』のデータですけれども、専門家がきちっと診断をして、専門家がきちっとお薬を選んで、そして、そのお薬をきれいに使っていったら、最初の半分、47%ぐらいの人は発作が止まるということなのですね。
  2剤目、3剤目、そしてコンビネーションということになりますが、専門家が使っても、この赤いところ、Refractory、36%は発作が止まらないということなわけです。日本に100万人であれば、36万人の人は、お薬で専門家がやっても発作を止めることができないというような恐ろしいことがあるということでございます。どんな薬を使っても、万能な抗てんかん薬というのは世の中にないということでございます。
  ではこの、要するに36%の人たちに外科手術をするのか、皆さんに手術をご提供するのかといったら、それもナンセンスな話です。これは外科手術をしてよくなるのだったら、手術をしてよくなってもらおうということで、大体今日本の中では、てんかんに関する外科手術は年間1200件程度と推定されますけれども、大多数の人は、発作を抱えて生きていかざるを得ないという方が非常に多い。それから、中には発作のために非常に重篤な状態になる。それから、発作が継続するということで、だんだん認知機能も悪くなる、知能指数も低下してくる、そういったお子さんもたくさんいらっしゃるということでございます。みんなでやりましょう。しかし、お薬も手術もなかなか効かないてんかんもあるので、治療が難しいグループというのもたくさんいるということでございます。
  そして、エピディオレックスのお話ですけれども、ちょうどこういう悩みを私も外科医として抱えておりましたけれども、あるとき、米国てんかん学会に行ったら、エピディオレックスの話ばかりなのですね。これ、何だと言ったら、ドラベ症候群、これはどんなことかというと、お子さんで、大体2歳、最初は熱性けいれんとかで発症してくるのですけれども、だんだん、1歳、2歳くらいになってくるとなかなかお薬が効かなくなって、てんかん発作を止めることができない、コントロールが非常に難しくなるような疾患群であります。
  日本にはドラベの人は、厚生労働省の研究班の数で言うと3000人ぐらいだと言われているところですが、ドラベの人、例えばお風呂に入ったり、高熱が出てくると発作のコントロールが悪くなると非常に厳しい状態の方なのですね。あるいはレノックスガストー症候群、だんだん発作がひどくなってくる。そういった人たちに対して、レノックスの方なんかだと、私も手術を担当することがまれにありますけれども、一般的にはスタンダードな治療が効かない疾患なのですね。そういったものに対してのお薬が米国FDAで承認されて、米国で使われていたということが非常に大きなセンセーションでした。御存じのとおり、日本では大麻取締法の第4条で、医師は患者に施用することはならぬ、そして、患者は施用を受けることはならぬということですので、大麻取締法のためにこのお薬を使うことはできないというところでございます。
  これは当時の米国てんかん学会のときの発表スライドをそのまま、余りの驚きで、実はこういったことがあるというのは論文の上では知っておりましたけれども、これが非常に有用視されているということはこのときに初めて知りました。
  そして、たくさんの患者さん、このペーパーでは600人以上の患者さんがエンロールされていて、そして、観察期間は別にして、11%の人は発作が止まる。どの薬を使っても、何をしても止まらない人がある薬で止まる、これは非常に有用なことであると思います。
  ちなみに、このペーパーでは、レノックスガストー、そしてドラベ、そしてTuberous sclerosisというのが結節性硬化症、現在はこの3つの疾患について、米国ではエピディオレックスは適応を受けておりますけれども、こういったものの有用性が示されて、その後どんどん外国では論文が出ております。
  つまり、要するに、論文が出ているというのは、変な言い方で、実はそれで受益者となっている方、お薬で非常に効いていて幸せになっている人がたくさんいるということだと思います。
  日本に帰ってきまして、当時、沖縄赤十字病院が拠点病院として既に指定を受けていたかどうかちょっと私覚えていないのですけれども、沖縄赤十字病院と、それから聖マリアンナ医科大学病院と、私、2つ拠点病院に関係しているものですから、沖縄の先生と、エピディオレックス、何とか使えるようにしてくれないかということで、参議院議員の秋野公造先生に要望書をつくって要望に伺いました。
  これがそのときの国会での質疑応答の議事録でございます。医薬品としてはだめであるということを当時の森審議官からの国会での答弁がおありになったわけですけれども、治験として用いることはどうかという秋野議員の働きかけに対して、森審議官は、大麻研究者である医師の下で、厚生労働大臣の許可を受けて輸入したエピディオレックスを治験の対象とされる薬物として国内の患者さんに用いるということは可能であると考えると。そして、実施計画が届けられた際は、その内容をしっかりと厚生労働省が吟味するというような話を初めていただいたところでございます。
  これはここで治験の道が開かれたというところで、しかし、これが、何とそこから2年たってしまって、なかなか進まないと、治験を進めるのは非常に難しいというところでございました。このときの国会答弁で示された治験の実施要件は何かというと、治験薬、処方医は大麻免許の取得が必須であると。そして、エピディオレックスを治験対象薬物として使用可能であると。そして、治験計画を、PMDAと書きましたけれども、厚生労働省がということですね。厳格に確認するということでございます。
  冒頭、私、実はてんかんの拠点病院は都道府県知事が指定するものであるということを繰り返し申し上げたところでございますが、実は大麻免許は都道府県知事が交付するというところですので、このところは、拠点病院で治験を行うということについては実は合致するところであると考えております。
  非常に科学的なところを見たものがこのペーパーですけれども、もちろん、一つのお薬が全部の患者さんに対して夢の薬のように効くわけでは当然ございません。例えば一番上のところをちょっとだけ読ませていただきますけれども、1カ月当たりのてんかん性発作の頻度の中央値は、カンナビジオール群では12.4%から5.9に低下したのに対し、プラセボ群では全然落ちなかった。ただ、要するに発作が半分以下に減るというのは非常に大きな臨床効果というふうにてんかんの薬の中では申すことができるので、やはりこれは期待ができるお薬であると思っております。
  本日で終わりの今年度でございますけれども、厚生労働科学研究で「難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品治験に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究」研究班というのを特別研究で厚労省に組んでいただきまして、私、この主任研究者をさせていただいております。
  実は本日御参加の委員の中の松本先生、そして舩田先生、研究協力いただいておりますけれども、大変研究班にお力添えをいただいております。この場をおかりして、大変感謝を申し上げます。ありがとうございます。
  そして、この研究班、何が問題なのかということを要するに、薬事以外のことは全て今月末、実は今日ですね、3月末までに取りまとめて、そして、5月の末までに研究報告書を提出するということになっております。私ども研究班の使命でございますけれども、今申し上げた薬事のこと以外は全てを整理させていただくということ以外に、海外情報を基に、国内での適切な医薬品を選定すると。これは恐らくGW社のエピディオレックスということでほぼ間違いないと私も考えているところでございます。
  そして、てんかん以外にCBD製剤が適応となる可能性を議論する。実は研究班の中には、疼痛の専門家の方、そして、精神疾患の専門家の方、そういった方に1名ずつ御参加いただいておりまして、治験の一番最初のところは難治てんかんというところで始めるということでは間違いないと、御許可いただければ間違いないというところでございますけれども、私たちの研究班の研究は、ほかの疾患への可能性を閉ざしてしまうことがないようにということで、こういった研究班を組ませていただいております。
  治験のプロトコールも作成しなさいということで、実は研究計画書の中に入っておりまして、素案を見ながら、治験のプロトコールはどうなるかということを今いろいろ調整しながら、報告書にまとめることができると思っておりますけれども、国内の治験の、予測ですが、対象者はやはり、米国で認められているレノックスガストー症候群、ドラベ症候群、結節性硬化症、こういったものが、日本で最初から治験を始めると大変な数の患者さんをリクルートしなければいけないことになりますので、海外とのブリッジングスタディで、そして、いろんな関係の皆様と御相談を申し上げながら、どうやって自宅で安全に治験ができるかということも研究対象になるように考えております。
  これは分担研究者の山野先生からの報告書の一部を、フィギュアは別のところから取ってまいりましたけれども、先ほど来お話しいただいている麻薬の管理ですね。そういったものに類似した非常に厳格な管理が必要であると思います。何しろ、私ども医者というのは、今まで大麻免許を取得して、治験もしたことないし使ったことないわけですから、その辺、いろんな人たちに教えていただいて、厳重に、そして無事故で治験が進まないといけないというのが私の考えでございます。
  駆け足で、約20分ということでお時間を頂戴いたしましたけれども、これは最後のスライドでございます。簡単な総括ということで示させていただきますけれども、実は私、国民皆保険制度というのは非常に大切な制度だと思っております。海外では代替医療というのが一定の存在感を示しているということもあろうかと思いますが、日本はやはり国民皆保険制度という非常に優れたシステムがありますので、この大麻抽出成分医薬品が導入されることによって、それのヒエラルキーというか、順序、あるいは標準治療というのを崩されては非常に困りますし、そういったものを推進するものではさらさらないのですけれども、何とか誤解がないように、何と言っていいか分かりませんけれども、例えば「大麻抽出成分医薬品」というような呼称にするとか、そういったことも含めて、誤解のないように議論を進めたい。そして、無事故で治験を執り行って、一刻も早く必要な薬剤を必要とする患者さんにお届けしたいと。無力な脳外科医の一縷の望みでございます。
  お時間ありがとうございました。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの太組先生からの発表について、御意見や御質問がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。また、本日の全体を通しても御意見や御質問がございましたら、委員の先生方からお願いしたいと思います。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 □□です。
  太組先生、大変御丁寧にありがとうございました。てんかんのこと、大変勉強になりました。また、このエピディオレックスがこういったドラベ症候群、レノックスガストー症候群に対して必要だということも理解しました。先生がまとめておられるように、やはり大事なのは、無事故で治験を執り行って、一刻も早く必要な薬剤を必要とする患者さんにお届けしたいというのは、これも絶対大きな願いだと思います。
  私は前からお話しさせていただいているのですが、このどこが問題かというと、やはり大麻由来のCBDだと、大麻取締法で規制されるということであれば、やはりここは、大麻由来のTHCもCBDも、大麻由来だろうが合成だろうが、私は麻向法で規制されるべきでないかなと考えております。麻向法で規制されることで、確かに処方される先生は麻薬施用者免許を取ったりとか治験を行うのに麻薬研究者免許取ってからとかいうことになりますけれども、そのほうが現実的ではないのかなと考えております。
○藤野座長代理 ありがとうございました。ほかの委員の方々。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 □□でございます。
  どうもありがとうございました。私の印象としては、てんかんというのは、結構1剤でも、先生が示された割合よりも発作を抑えるのではなかろうかと個人的には思っておりましたが、最新の情報では半分いかないというのは、あれっ、そうなのかなという、ちょっと印象を持ちました。
  それとは別に、このCBDというものが、簡単に言えば難治性てんかんの幾つかについて効果を持つ、これは海外で随分言われているわけですよね。先生にお聞きしたいのは、作用機序とか何か、その辺のことってどうなっているのでしょうか。何か御存じのことがあったら教えていただきたいと思います。
○藤野座長代理 太組先生、どうぞ。
○太組先生 ありがとうございます。まず、御質問の前にお話しいただいた、この発作抑制率に関してでございますけれども、これは、私たち神経を専門にする、私は脳神経科の専門医でございます。神経内科の専門医もおられます。精神科の専門医もおられます。小児科の専門医もおられます。そういった中で、特にてんかんを中心に専門的に診ている先生たちがやった場合、半分近くはお薬で発作を抑制できるということでございますので、実際の臨床ではここまで抑え切れないのではないかというのが実は先生のお考えとちょっと私の考えとの乖離しているところで、実は半分も抑え切れていないのではないのかと。
  世の中で、要するに、私たち、例えば学校で生活をしているとか、会社で生活しているとかすると、てんかんで発作を起こしている人の話を聞いたことありますね。あれは何かといったら、やはり抑え切れていないから発作を起こす人が私たちの目の前にいるということですので、非常にてんかんの方の数は多いのではないかと思います。
  そして、御質問の機序ですけれども、これは内因性のCBDレセプターを介さない作用機序があるのではないか、ということ以外にはないということが私の考えでございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、それでよろしゅうございますか。
  ほかの委員の方々。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 質問ではなくて、これもコメントです。さっき示してくださったように、私の所属施設、国立精神・神経医療研究センターはてんかん診療全国拠点でもあるのですが、そこで小児神経を専門とされている、本当に難治性の子供のてんかんをたくさん診ている先生からは、ぜひよろしくお願いしますという要請を受けています。その際、患者会・家族会からの、熱い思いが詰まった要望書も見せて頂きました。なるほど、治療抵抗性、難治性のてんかんに悩まれている方たち、そして、この薬剤に期待を寄せている方たちがこんなにもいるのかということを実感している次第です。
  一応以上。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 御説明どうもありがとうございました。治験については、薬機法上、医薬品と治験薬を分けて書いているということで、ぎりぎり治験はいいという解釈をしていると思うのですけれども、医薬品は、大麻取締法、今の現状だと使えないということで、それをこれから承認申請して使えるようにするには法改正が必須ということになるのですが、そのスケジュールとの関係で、今行われているこの治験のスケジュール感というか、そこから承認申請に持っていくまでのスケジュール感というのは大体何年ぐらいを御想定されているか、予定されているか、もし分かれば教えていただければ。
○太組先生 ありがとうございます。ちょっと私のほうだけで決められることではないのですが、1つはやはり、治験でございますので、どのぐらいの期間で結果が出るかということによります。治験のデザインにもよります。例えばブリッジングスタディが認められるかということもまだ日本の中では決められたことではございません。
  ブリッジングスタディをするというふうに仮にした場合、一つの疾患に対して約25症例のリクルートが必要であるということを考えますと、どこで治験をするかということは非常にジオグラフィカルなことを考えながら治験施設を選定するということが必要でありながら、やはり事故があっては困るので、治験の施設は限られた数にせざるを得ないだろうということを考えて、それで、例えば治験が3年くらいで終わるということになりますと、その間で法改正のお願いをいろんな先生方と御相談するということになるように思います。
  繰り返しですが、これは治験でございますので、薬がちゃんと効くものであれば、そして日本人が、私たちがそれを分かるものであればお薬にしたいということで、まずそれの基本的な資料を日本の中で醸成していくという段階であると申し上げたいと思います。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、よろしいでしょうか。
  では、次に□□委員にお願いしたいと思います。
○□□委員 太組先生、発表ありがとうございました。とても勉強になりました。先生方の研究は、いろんな方に今期待されているのではないかなと思いながら話を聞いておりました。患者さんや患者家族をはじめとする様々な方です。
  先生の最後のスライドに、大麻抽出成分医薬品というテクニカルタームという記述があったのですが、このエピディオレックスの前につく枕言葉として、例えば大麻という言葉をあえて使わなくてもいいのではないかなと私自身は思っています。というのも、我が国では違法薬物使用者に対するスティグマが非常に強い国です。ともすると、あいつ、大麻使っているとか、いじめの対象になってしまうようなこともあり得るのではないかなと思っていまして、例えばカンナビジオール製剤ですとか、CBD製剤みたいな、大麻という言葉をあえて使わなくても通じるのではないかなと思って、もちろん、治験上そういったことを書かなければいけないのかもしれませんけれども、メディアを通じていろんなところにこの情報が発信されていくときに、大麻という言葉をあえて使わないでやっていくという方法も1つあるのかなと思いました。
○藤野座長代理 ありがとうございました。太組先生、どうぞ。
○太組先生 先生、大変ありがとうございました。私も、その考え、大変いいと思いました。ぜひどなたかにお願いしたいのですけれども、カンナビジオールとかCBDとか言うと、ちょっとソフトなイメージがあり過ぎるように私は思うのですね。ですので、これが要するに、僕らは全く医療大麻論ではないと最後書かせていただきましたけれども、その辺の整理を、私たちでない、誰かにお願いしたいところでございます。治験に関しましては全く御指摘のとおりであると思います。ありがとうございました。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、それでよろしいでしょうか。
  では次に、□□委員、お願いします。
○□□委員 太組先生、どうもありがとうございました。
  私も今の□□委員の関連で1点、お聞きしたいと思います。「大麻の抽出成分医薬品というテクニカルタームを使用して、誤解のないように議論を進めたい」という記述がありましたが、先ほど、がん対策の世論調査のところでも、医療用麻薬について、一旦使用したらやめられなくなるのではないかとか、怖いとかいうような意見が出ていました。先ほど□□委員から、患者さんの方からは期待が非常に大きいという御紹介をいただきましたけれども、大麻抽出成分医薬品については、大麻だから使うのが怖いというような、がんの緩和ケアと同じような心配は寄せられているのでしょうか。
  以上です。
○藤野座長代理 太組先生、お願いします。
○太組先生 □□委員、大変ありがとうございました。患者さんのアイデアについては、実は5月末に提出する報告書の中でまとめさせていただきたいと思って、今、取りまとめ中でございますが、例えば患者さんの調査をする場合、私どものところに調査で協力してくださる方というのは、何とかしてこの薬を使いたいというお気持ちの方がやはり多いのではないでしょうかね。そこにバイアスがかかっているので、必ずしも恐ろしいということをお話しされる方というのはあまりいないということではないかと思いますが、それよりもやはり目の前のご自分の子供さんを何とかしたいとか、あるいは、私の子供も何十年前にこんな薬が使えるようだったら今の生活はなかったかもしれないとか、そのような話を伝え聞いているところでございますので、その辺の患者さんたちの意見については、今回の報告書の中でしっかりまとめて御報告できるようにしたいと思います。
○藤野座長代理 ありがとうございました。□□委員、よろしいでしょうか。
  ほかに御意見、御質問おありでしょうか。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 先ほど□□委員のほうから、あえて大麻という言葉を使わないほうがいいのではないかというお言葉があったのですけれども、実は私もこれは賛成で、先ほども、麻向法に入れたらいいのではないかというお話をさせていただきました。実は麻薬のほうに話を持っていって申し訳ないですけれども、麻薬の適正使用が進まない一つの理由として、やはり患者さんが麻薬というのを聞くとどうしても使用されることに躊躇してしまうということがあるので、オピオイド鎮痛薬という言い方に統一してはどうかというふうな提案も、ある団体を通じて厚労省に過去にはさせていただいたことがあります。
  ただ、オピオイド鎮痛薬というと、法律上麻薬に入るものと向精神薬に入るものということで、実際は若干患者さんに対してめくらまし的な部分も出てきてしまうので、正しい情報としての提供がどうかという部分はこれから先、必要な議論にはなると思います。今それを感じたので、コメントさせていただきました。そういった意味で、今後議論を進めていく上では、確かに、大麻とか麻薬という言葉って、受け取る側としてはかなりスティグマが強いという部分はありますので、今後それも議論の一つになっていくのかなとは思いました。
  以上です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。太組先生。
○太組先生 ありがとうございます。最後お話しくださったとおりでございまして、ではどんなテクニカルタームを使っていくのがいいかということもゆっくり醸成させて時間をかけていくのが必要なのかなということを、今日いろんな先生方の御指摘で感じたところでございますので、その辺もしっかり留意しながら議論を進めたいと思っております。
○藤野座長代理 ありがとうございます。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 非常に重要な議論が進んでいるところで、ちゃぶ台返しみたいなことをちょっと申し上げさせていただきます。医療が必要な方たちがアクセスしやすいように、スティグマタイズされていない言葉を使おう、「大麻」という言葉を使わないようにしようということですけれども、私のように薬物依存症の治療・回復支援を専門とする立場からすると、「ちょっと、待てよ」という気持ちになります。物質そのものは大して変わらないのに、薬物依存症の方たちのスティグマはそのままになるのかと。つまり、使い方の問題であって化学物質としては変わらないが、一方のみが恥辱的な扱いを受ける。スティグマを軽減するのは大事なのだけれども、ならばこの際、薬がやめられない、止まらないで困っている方たちのスティグマをどうするか、ということも併せてみんなで議論していければと思っています。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 □□でございます。
  何か論点が私の思っていることと違う方向へいっている気がして、少し言わせていただきたいのですけれども、本当にプレゼンテーション、ありがとうございます。ただ、私、PMDAにも関わってきましたし、幾つかの薬物の承認とかに関わってきましたが、どうも焦点が定まっていない。
  簡単に言うと、大麻という言葉は要らないと思います。今必要なのはCBDですよね。しかもこれは、THCと違って、いわゆる依存性がないというのが定評ですよね。要するにCBDを使いたい。それでどんどん押していけばそれでいいのではないか。それだけの話なのですね。これは個人的感想ですけれども、必要な人には届けていただきたい。それが結論です。
○藤野座長代理 ありがとうございました。太組先生。
○太組先生 先生、御指摘ありがとうございました。まさにお話しいただいたとおりで、このお薬を私たちは使わせていただきたいというところでございまして、しかし、大麻取締法という法律のために使えないというところですので、別にどこかの方向でそこを整理いただくことができれば一番いいのではないかと思っておりますが。
○藤野座長代理 □□委員。
○□□委員 言われていることは分かる。でも、ピンと来ないのですね。要するに、大麻取締法で使えないのではなくて、PMDAでちゃんと審査を受けて、今進めているわけですから、どんどんその方向でやっていただければいいのではないですか。
○藤野座長代理 ありがとうございました。太組先生、よろしいですか。
  ほかにおいでになりますでしょうか。
  □□委員、どうぞ。
○□□委員 ただ、太組先生の研究班の中でいろんな議論をする中で、将来の様々な医療応用ということも考えていらっしゃると思います。実は、多少THCの含まれているほうがよいという研究もありますし、他にもTHCの医学的治療への活用可能性を示唆する研究は少なくない。ここで、取りあえずのところ、早く薬が使えるようになるということで、CBDにターゲットを絞るのはいいかもしれませんが、医学の進歩という観点から見て、THCの議論を後回しにして、その可能性を切り落としていいのか。この点は慎重に考えなければいけないと思います。
○事務局 私のほうで整理させていただくと、今のエピディオレックスに何が入っているかというのも明確にまだよく分からない状況でございまして、一方で、今の大麻取締法、御案内のとおり、部位規制ということで、種子と成熟した茎は使用してよいけれども、それ以外はだめだという規制をしています。CBD製品というのが、国内では食品として流通しているわけですけれども、これも実は種子と成熟した茎からつくられたものなんですが、CBDオイルということで、若干いびつなというか、成分規制なのか部位規制なのか、よく分からない規制になっておりますので、やはりその辺を少し整理して、今、太組先生が研究されている医薬品がどのようなものかということももう少し詳しく教えていただきながら、規制のあり方を検討していく必要があるのではないかということでございます。
○藤野座長代理 ありがとうございます。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 太組先生、ありがとうございました。先ほど先生からもお話ありましたけれども、CBDはカンナビノイドの受容体には結合しないと言われていますので、ほかのメカニズムを介して効果を表していると思います。それで、さらに、精神依存がないと報告されております。また、サプリメントの市場を見てみますと非常に多くのCBDが出回っておりますので、この辺については、事務局に今後その辺の情報についてもお知らせいただければありがたいと思います。
  以上でございます。
○藤野座長代理 ありがとうございます。
○事務局 特に今コメントはありませんが、CBD製品の状況については、分かる範囲で次回お示しさせていただきます。
○藤野座長代理 承知しました。ありがとうございます。その他御意見、御質問おありでしょうか。まだ若干の時間が残ってはおります。
  □□委員、お願いします。
○□□委員 私は医療関係者ではなく医学のことも薬学のことも分からないのでちょっと確認したいのですけれども、エピディオレックスは、大麻草の規制部位からつくって、CBDが成分だということですけれども、THCは含まれていないということでよろしいのでしょうか。
○太組先生 ありがとうございます。製剤としては、THCは0.3%以下であるということになっているようでございます。
○□□委員 あと、THCを成分とする薬剤も海外にはあるというお話が、たしか第1回にありましたけれども、こちらのほうの医学的な有用性というのは、これはてんかんとは特に関係ないものでしょうか。
○事務局 そちらのほうは、第2回で御紹介いたしましたけれども、てんかんとは関係なく、たしか疼痛緩和のお薬だったと思いますが、海外では有効性が認められて承認されているということです。
○□□委員 ありがとうございます。
○藤野座長代理 ありがとうございます。その他何かございますでしょうか。
  もしなければ、太組先生、ありがとうございました。
  本日予定されていた議題は以上ですけれども、最後に事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 次回の検討会の日程につきまして、また決まり次第御連絡を申し上げます。議題につきましては、本日も少し話題になりましたが、広報・啓発活動ですとか、大麻栽培者について議題とし、また、これまでいくつかご質問をいただいていながらお返しをしていないものもありますので、それを整理してお示しさせていただければと考えております。
  以上でございます。
○藤野座長代理 ありがとうございました。
  それでは、以上をもちまして、第4回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を閉会いたします。御協力、誠にありがとうございました。

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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