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2013年3月15日 第20回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成25年3月15日(金)14:00~


○場所

中央労働委員会会館205号室


○出席者

公益代表

鎌田座長 内藤委員 渡邉委員

労働者代表

伊藤委員 玉田委員

使用者代表

鶴岡委員 花島委員

事務局

黒羽職業安定局次長 福士建設・港湾対策室長 百崎建設・港湾対策室長

○議題

港湾雇用安定等計画の施行状況について
新計画の策定スケジュールについて
港湾運送事業雇用実態調査について
その他

○議事

○鎌田座長 定刻となりましたので、ただいまから「第20回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会」を開催いたします。まず、委員の改選がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 委員の改選の関係について御説明いたします。お手元にあります資料のうち、資料1に最新の港湾労働専門委員会名簿を付けております。こちらにつきましては、平成24年4月1日付けですけれども、糸谷委員に代わりまして、日本港湾労働組合連合会中央執行委員長の西川憲一郎委員が新たに労働者代表委員として就任されています。本日は御都合で欠席ということになっています。
 続きまして、本日の委員の出欠状況の御報告も併せて御説明させていただきます。本日は先ほど申し上げました西川委員のほか、安部委員も御都合により御欠席されています。事務局からは以上です。

○鎌田座長 ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。「議事次第」にありますように、議題は3つあり、「その他」も入れると4つほどあります。1つ目は「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」です。2つ目は「新計画策定のスケジュールについて」、3つ目は「港湾運送事業雇用実態調査について」です。事務局から、1つ目の議題である「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」の御説明をお願いいたします。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 説明の前、今お手元にあります資料ですが、「議事次第」にありますとおり、配付資料としては先ほど御説明した委員会名簿の資料1から資料6まで、それぞれをホチキス止め若しくは1枚紙で入れております。併せまして、参考資料1と参考資料2をお付けしております。計8種類の資料を付けさせていただいております。もし不足があればお申し付けいただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、まず配付資料2「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」、御説明させていただきます。こちらについては計画の項目に沿って資料を整理しておりますので、それぞれページごとに御説明させていただきます。
 まず最初に、計画では「港湾労働者の雇用の動向に関する事項」ということで、港湾運送量の動向や雇用の動向について触れております。これらの直近の状況ですけれども、資料2の1ページを御覧いただければと思います。1ページの上のグラフは「六大港における港湾運送量の推移」です。直近の数字は平成22年度となっておりますけれども、赤の折れ線グラフにつきましては船舶積卸量、こちらが6億6,100万トンとなります。平成19年度から減少してきたところですが、平成22年度は増加に転じており、平成18年度、19年度の水準まで回復してきているところです。港湾取扱貨物量につきましても、平成22年度は15年度の水準まで回復してきています。
 また、このページの下のグラフですが、「六大港におけるコンテナ貨物量の推移」でございます。こちらにつきましては、折れ線グラフがコンテナの割合を示しており、平成22年度では68.4%、平成19年度を境にして割合は再び上昇し、高い水準で推移していると見受けられます。
 2ページ目の上のグラフを御覧ください。(3)「六大港における港湾労働者数及び就労形態別就労状況の推移」です。上の青の折れ線グラフは港湾労働者数ですが、年度末時点の数字でございます。直近は平成23年度で3万2,737名、平成20年度の数字を超える状況ということになっています。
 また、下の棒グラフについては、下から順に赤い部分が企業常用労働者、緑色の部分が港湾労働者派遣、青の部分が日雇労働者のそれぞれの就労延べ日数になっています。また、日雇労働者のところにつきましては、公共職業安定所の紹介分と直接雇用を合算した数字を計上させていただいています。全体に占める企業常用労働者及び港湾労働者派遣による就労延べ日数の割合は97.0%、割合としては平成19年度から97%台で推移してきています。
 次に、昨年と比べ今回新たに加えたグラフですけれども、2ページ目の下のグラフ、(4)の「常用港湾労働者の入職率・離職率の推移」です。棒グラフにつきましては、青が六大港における港湾運送事業の入職率、赤が港湾運送事業の離職率となります。折れ線グラフは緑の方が調査産業計、いわゆる調査しました全産業合計の入職率、青の折れ線グラフが離職率となっております。総じて六大港の入職率・離職率は、全産業に比べてやや低い水準で推移をしているというころであります。また、港湾運送事業につきましては、全産業と比較して入職率が離職率を上回る年度が多いです。そこからも常用労働者が増加傾向であることが分かるかと思います。
 3ページ目も今回新たに加えたグラフです。(5)「港湾労働者の月間推計給与額及び月間推計実労働時間の推移」です。下の棒グラフが賃金を表しております。左から青が港湾労働者、赤が全産業、緑が建設労働者の男子生産労働者のみ抽出した数字のそれぞれ1か月当たりの賃金です。
 また、折れ線グラフにつきましては実線と破線があります。実線が実働労働時間、破線が月の所定労働時間となります。色はそれぞれ、先ほどの港湾、全産業、建設に対応しております。所定労働時間で見ますと港湾の労働者につきましては全産業よりも低く、逆に月の実働労働時間は全産業より高い水準ということで、超過勤務が多いというのが特徴として見られるかと思います。また、賃金については港湾の場合、平成12年から16年までは、日給×日数、平成17年度以降については、決まって支給する現金給与額となっております。その他のものについては決まって支給する現金給与額等と、単純比較は難しいところもあるかと思いますがそれぞれ棒グラフのような推移になっております。
 続きまして4ページ、こちらは計画の「労働力の需給調整の目標に関する事項」の部分です。まず、数字として載せておりますのが4ページの上、「六大港別港湾労働者派遣状況」です。いちばん左側ですが、青の棒グラフが派遣の成立の件数であります。平成23年度は月平均で2,092件でした。派遣元申込に対する成立の割合は上の折れ線グラフになりますが、平成21年度は大きく数字を落として64.2%となっておりましたが、22年度は84.9%、23年度は87.1%とそれぞれ前年に比べて回復してきており、リーマンショック以前の水準に戻りつつあるという状況になっています。
 下のグラフは「港湾別・業務別 港湾労働者派遣事業の許可件数」になっています。左の表のいちばん下、直近では294事業所となっています。昨年度に比べますと1件の増加という状況でございます。
 5ページを御覧ください。5ページの上は「六大港別日雇労働者取扱状況」です。日雇の就労人日について棒グラフで表示をしていますが、六大港総計について平成23年度は月平均で1万6,858人日となっています。ここでは港湾ごとに色分けしておりますが、御覧いただくとお分かりのとおり赤の横浜で増えてきているのが見られるかと思います。グラフ上には明確な数字を入れておりませんので見づらいところもあるかと思いますが、横浜のほか、東京と関門で日雇労働者の就労延べ日数の増加が見られます。
 その中で、東京につきましては日雇労働者の就労延べ日数増加率が昨年に比べ1.8%というところなのですが、それ以上に常用労働者につきましては2.7%増加している状況もございます。また、名古屋や大阪、神戸につきましては、対前年に比べて減少してきているという状況があります。
 次に、下の(4)の?の東京の部分、そこと次のページにまたがって申し訳ありませんが横浜が出ています。こちらは「小型フォークリフトの人付きリースの状況」です。直近は平成24年度の第?四半期になります。月平均、運転手付きの借受け台数につきまして、5ページの下の東京につきましては32台、横浜では39台となっています。それぞれ、総借り受け台数に占める割合としては東京が1.0%、横浜で0.7%となっており、いずれも低位で推移している状況が分かります。
 6ページ下の表を御覧ください。「雇用管理者選任届出事業所数の状況」です。こちらはすべての事業所で選任がなされ、届出がなされているという状況です。
 7ページですが、上の表が「現場パトロール実施状況」です。平成23年度の合計を見ますと、実施事業所数としては2,908となっています。下の表は「事業所訪問指導、立入検査の実施状況」です。同じく平成23年の合計で見ますと、実施事業所数1,032となっています。
 これについては、パトロールを行いました事業所の数の変動があります。例えば、一度に複数の事業所を巡回するなどして、その箇所数の関係で変動が出ているということがあります。それにより、回数の変動以上に実施事業所数の数が変わっているというようなところも見受けられるところです。
 次に8ページ目、「公共職業安定所・港湾労働者雇用安定センター連絡会議の開催状況」です。平成23年は167回、概ね例年の数字であろうかと思います。
 9ページの表ですが、こちらは「港湾労働法遵守強化旬間の実施状況」です。平成23年の状況を追加して掲載しておりまして、概ね例年どおりの各所のパトロールということになっています。
 また、10ページ目につきましても「雇用秩序連絡会議の開催状況」です。例年同様、23年も10回程度実施しているところでございます。
 次に11ページ目、計画の項目が変わりまして、「港湾労働者の雇用改善並びに能力開発を促進するための方策に関する事項」でございます。これらに関連して、11ページ、上下共に労災の関係ですが、上下のグラフ共に青の折れ線グラフが港湾、いちばん下の折れ線グラフになります。真ん中の緑が建設業、赤が全産業の数字です。いずれも、統計的にはほぼ前年同様かと思います。全産業が減少傾向であるものの、平成22年は若干上昇があったのですが、港湾の方は概ね横ばいとなっています。数値としては、死亡者数につきましては概ね10人程度、死傷者数について、ここ3年は200人強という数字で推移しているところです。
 次に、「能力開発関係」の部分です。ここにつきましては、12ページに公共職業能力開発施設の訓練状況をまず載せています。4カ所の施設で、数字は説明しますと長くなりますので割愛させていただきますが、それぞれ現在実施をしているという状況があります。併せて、講師派遣と施設の提供状況も12ページに載せています。
 次に13ページ、こちらは豊橋の港湾技能研修センターの訓練実施状況でございます。平成23年度におきましては、各コースの合計で1,232名の訓練を実施しているところです。昨年も御説明したかと思いますが、22年から少し人数が減っておりますのは、いくつかコースを削減していることが原因となっています。23年は、各科目とも22年を上回る人数ということになっています。
 次に、「港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項」の部分について、資料を付けさせていただいております。14ページは「雇用管理者研修実施状況」「派遣元責任者講習実施状況」、15ページにつきましては、その相談の実施状況を各支部ごとに、港湾技能研修センターでの実施状況をそれぞれ数字別に掲載しております。資料2の御説明は以上でございます。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。ただ今の資料の御説明につきまして、御意見、御質問があれば御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○玉田委員 以前にも話があったと思うのですが、労働者の賃金の問題で、時間外と所定内で比べると、データとしてこういう出し方しかしないのかもしれないけれども、これだとものすごく賃金が高いように見えます、棒だけで見ると。中身は時間外が多いですから。ここはもう少し、注意した出し方をしていただきたいなと思います。往々にして、数字だけがボッと出る可能性があるので。それが1つです。
 もう1つは労災の問題なのですが、11ページ、率という出し方はできないものなのでしょうか。危険度と言ったらいいのか。
○百崎建設・港湾対策室長補佐 あります。強度率、度数率といったところでしょうか。

○玉田委員 これは高いのがいいわけではないので、低い方がいいのですが。これだとコアはどうなのと、特色が余り出るように思えないのです。絶対数が当然少ないからだと思うのですが、全産業の中でどのような傾向なのですかと言われた時、高い、低いという評価ができないと思うのです。工夫ができるのであればそういう出し方をしていただければありがたいなと思います。以上です。

○鎌田座長 ありがとうございます。

○伊藤委員 2点ほどお伺いしたいと思います。まず、3ページの月間の賃金・労働時間の問題なのですが、平成23年度の所定労働時間が162時間と前の年から10時間も増えています。つい最近、2月末に発表した平成24年度のものを見ても162時間という数値になっている。私どもは所定労働時間を下げているつもりなのですが、こう延びているというのはどういうことなのかというのが1つです。
 同時に月間の賃金の出し方なのですが、日額と時間で出しているようなのですが、そうすると月間の平均就労日数といいますか、そういう形ではどういうように数値的に出てくるのかどうかをお伺いしたいと思います。
 5ページの所、日雇就労が少し延びていることがあると思います。この原因は何なのか。例えば人付きリースの軽減が図られた結果の反映なのか、それともほかの要因もあるのか、もし分かっていらっしゃるのでしたらその辺も教えてください。以上です。

○鎌田座長 いくつか御質問があったようなので、ここで御回答があればお願いしたいと思います。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 まず、労働時間につきましては確かに10時間増えているということで、こちらは統計の数字を拾っているもので、10時間増加の内訳の要因を正確には確認できておりません。1つは業務量の部分の関係というのはあるのかなと思います。そこを所定の部分で見るのか、実労働時間で見るのか。実労働時間の方でもやはり6時間延びているというところもございます。逆に言うと、実労働時間の伸びよりも所定の方が大きいというところがあるのではないか。どういう結果になっているか分析不足です。
 それと、先ほどこの金額の算出方法に関して、月の就労日数ということでお話がありましたので御参考までに御説明いたします。平成23年度、私どもで統計を取っております六大港の常用労働者の月の平均就労日数は18.9日となっています。もう2年ぐらいほど遡りますと、22年度ですと18.8日です。その前、21年度は18.6日、大体このぐらいの数字が今出ているところでございます。
 日雇の増加の部分ですが、先ほど伊藤委員からもお話があったように当方でも各港、特に横浜がちょっと増えておりますので横浜に確認をしているところです。確たるところが神奈川でも分析ができているわけではないのですが、先ほど伊藤委員がおっしゃったような人付きリースの話も現場からは一応聞こえてきてはいるところです。1つはやはり業務量の増加、併せてリーマン時以降、業績が回復しつつあるものの、今後の見通しがつきにくい関係で雇用の手控えという部分があるのではないかとは考えているところです。こちらにつきましては後ほどの説明の部分でも出てきますけれども、うちとしても日雇の増加原因の分析というのは進めたいと思っておりますので、調査の部分でも後ほど一言触れたいと思っています。

○鎌田座長 そのほか、ありますでしょうか。

○渡邉委員 数字の見方を教えてください。2ページの上の図、文章のところ、「企業常用労働者(現業+非現業)による就労が96.6%」となっていて、すぐ下の図を見て、多分赤い部分なのかなと思うのですが、数字とグラフが合っていないように見えてしまうのですが。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 これは左側が人日になっているのですが、スタート時点が48万人日、ゼロからではないのです。

○渡邉委員 分かりました。ありがとうございます。

○鎌田座長 ほかにございますか、よろしいですか。また、必要な場合には戻ってくださっても結構ですので、次の議題に移りたいと思います。2つ目の議題は「新計画策定のスケジュール等について」、3つ目の議題が「港湾運送事業雇用実態調査について」ということです。それぞれ関係がありますので続けて御説明をいただきたいと思います。お願いします。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 まず、お手元の資料3を御覧ください。「新たな港湾雇用安定等計画策定スケジュールについて」、御説明させていただきます。1枚目には、本日の第20回港湾労働専門委員会から、一番下、平成26年4月1日の新計画適用開始までのスケジュールとして記載しております。順次説明させていただきますが、本日の分は割愛いたします。次の予定としては7月に、毎回新計画策定をする際に事業所に対して実態調査を行っており、今回も従来同様に調査を行う予定としております。こちらは、資料4以降に細かい内容を付けておりますので、後ほど説明いたします。
 その次が、次回以降の専門委員会について、まとめております。平成25年の年内に複数回開催をする予定にしております。前回策定時は6月を皮切りに12月までの間に年内で5回開催しているところです。回数等については、議論の状況等を見ながら調整をさせていただきたいと考えております。12月の年内までに原案をとりまとめた後に、地方労働審議会港湾労働部会への意見照会を予定しています。地方の意見も踏まえて、再度港湾労働専門委員会で一応2月頃に、地方への意見照会の結果等の報告と、それを踏まえた新計画の最終とりまとめをお願いしたいと考えております。
 専門委員会における日程は2月までですが、その後、同じく2月にこの港湾労働専門委員会においてとりまとめられた新たな計画を、この委員会の上部部会の雇用対策基本問題部会にお諮りして、御審議いただくことを予定しております。この計画の策定については、雇用対策基本問題部会の専決事項となっておりますので、この部会で御了解が得られれば、事務的には3月中に新しい計画の告示を行い、来年4月1日からは新しい計画をスタートさせたいと考えております。事務局で考えているスケジュールは以上です。
 次の表の現在の雇用安定等計画の達成状況について、簡単に説明いたします。作りとしては、表の左の欄に「雇用安定等計画の概要」、真ん中には「実績」、右側には行政として考える「達成状況」としております。来年度、この専門委員会で新計画の検討が始まるわけですが、材料の1つとしていただければと思っております。本日、この表に対しての意見等については事務局から特に求めるものではないということで、御了解いただければと思います。
 1ページから御説明をさせていただきます。(1)計画のねらいについては省略します。その下の(2)計画の背景と課題についてです。イは、雇用改善及び能力開発・向上の現状として港湾運送事業の波動性に鑑み、企業外労働力に依存せざるを得ない状況に触れ、労働者の雇用の安定上の問題とか、第三者の不当介入について言及しているところです。また、中小企業が多いという点から、雇用改善・能力開発について改善の余地があることも触れています。実績の欄には、荷役の波動性とか、常用港湾労働者の労働時間、週休二日制や退職金制度の導入について、記載しております。
 波動性の部分について、後ほど御覧いただければと思いますが、参考資料2に平成20年度の実態調査の概要を付けております。このときの調査結果の概要から数字を拾っております。就労延べ日数のピーク日とボトム日の差が、6大港において平均にしますと278人日です。波動性の部分についてはピークとボトム、改めて次の実態調査でも把握を予定しておりますので、この数字がどのように推移しているのかは調査結果を踏まえ、また、この委員会で御説明することになると思います。
 次は常用労働者の労働時間の関係です。中身は実労働時間、月間所定労働時間、所定外労働時間です。単純に申しますと、それぞれ下の2つを足すと、一番上の実労働時間になる計算方法になっております。数値については、平成19年と平成24年の状況で比較しております。週休二日制と退職金の制度導入については、平成20年実施の雇用実態調査の数値を記載しております。両方とも概ね8割程度の事業所で導入されている状況です。これがどのように推移しているかは、新たな実態調査にて把握を予定しているところです。
 2ページのロ、今後の港湾労働対策の課題では、規制改革の影響とか、コンテナ化、近代的荷役の進展等々について触れています。先ほど資料2にもありましたが、6大港におけるコンテナ化の数値を掲載しております。真ん中の2.「港湾労働者の雇用の動向に関する事項」等については、先ほど資料2で説明した数値です。基礎的な数値の部分ですので、説明は割愛いたします。
 3ページは、「労働力の需給調整の目標に関する事項」の部分です。(2)の労働力需給調整に関して講ずべき措置で、イとして、国及び都府県が講ずる措置については、2つ目の○で、港湾労働派遣制度の適正な運営・有効活用の促進及び雇用秩序維持対策を講ずることにより、常用労働者の就労の機会の確保し、その雇用の安定を図るとしております。こちらについては、港湾労働者の派遣事業における派遣あっせんの数値を載せております。国の政策評価では、目標値を80%で設定しております。この数字を各年で見ますと、平成21年度は64.2%、リーマン等の影響により数字が落ちていたところですが、国の目標としては概ね達成ということで、右側に記載しております。
 その下の○では、ハローワークの適格紹介や、事業主に対する雇用管理に関する指導等を行い、直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延べ日数の減少に更に努めるとしております。平成19年度から平成23年度までのリーマンショック時を除き、増加傾向にあります。達成状況については、要検討としております。実績欄では、その下に若干補足の説明をしております。平成19年度に対しての平成23年度における直接雇用の労働者の就労延べ日数が増加しているのは、東京、横浜、名古屋です。千人単位で大きく増えているのは、横浜です。
 4ページ、1つ目の○については先ほども説明しました人付きリースについてです。数値としては労使の御努力もあり、大きく改善しているところであり、概ね達成としております。2つ目の○は、雇用秩序連絡会議や現場パトロール等を通じ、違法就労の防止を図ることとし、雇用秩序連絡会議、事業所訪問指導及び立入検査等々の実績を記載しております。それぞれ適切に実施をしていると考えてはいますが、※の記載のとおり、事業所訪問指導及び立入検査については、横浜が他の港に比べて一貫して低調な状況です。その下の○については、前のページと同じ数字になってくるので割愛します。
 4ページの下から2つ目の○で、雇用安定センターが行う事業主支援と、雇用安定事業関係業務に関する指導助言については、適宜センターと連携をとり進めているところです。一番下、共同受注・共同就労については、事業所訪問等を通じて、必要な指導を実施している状況です。
 5ページは、センターが講ずる措置です。1つ目は派遣のあっせんの機能の関係ですので、割愛いたします。3ページで出てきた部分です。2つ目の○は、事業主や港湾労働者に対する相談援助についてです。実績欄には、相談実施件数等を掲載しております。数値的に見て、必要に応じて適宜概ね実施ができていると考えております。
 次は、事業主及び事業主団体が講ずる措置についてです。ここでは、直接雇用の日雇労働者の利用は例外的になるようにとしております。国の施策として、数字を載せております。平成19年度から平成23年度までのハローワークの紹介、直接雇用を除いたハローワークの紹介のみの数字を掲載しております。22年度、23年度の数字は、大きく増加はしてきてはいるものの、全体の日雇労働者の数を考えますと、引き続き、要検討事項かと考えております。次は、人付きリースの話なので、割愛いたします。その下、港湾労働法に定められた届出、報告の手続云々については、特段悪質な案件は見受けられなかったということです。
 6ページについては項目が変わり、「港湾労働者の雇用改善・能力開発を促進するための方策に関する事項」です。(1)雇用改善を促進するための方策のイ、国が講ずる措置の部分です。1つ目の○については、計画では港湾労働者の福利厚生の在り方についてということで記載があります。平成22年度に「港湾労働者に係る新たな労働環境に関する検討等の推進事業」に関して調査を行っております。具体策については、なお検討を要するところです。
 次の○は、雇用管理者の選任等々についてです。先ほど説明したとおり、選任状況は5年を通じて100%の選任がされております。この部分では、労災関係の話も触れております。労災状況については、先ほど資料の2で御説明した数字、死亡者数と死傷者数をそれぞれ載せております。次の○は、違法就労の防止の観点から、港湾運送事業の業務形態の変化等に応じた運用の「斉一化」についてです。運用の斉一化については、計画期間中にいろいろありましたが、実施については、なお引き続き検討をしていく必要があるかと思います。
 6ページの一番下のロ、センターが講ずる措置です。雇用管理者研修の参加人数について、実績として記載しております。こちらも必要に応じて実施している状況です。
 7ページのハ、事業主及び事業主団体が講ずる措置についてです。日曜・夜間荷役等、所定外労働時間の削減について触れております。実績欄については、前回平成20年度調査と前々回平成15年度の実態調査の結果を記載しております。こちらについても、実態調査にて引き続き把握する予定としております。
 その下の能力開発の部分です。国が講ずる措置として、職業訓練の効率的な実施のほか、講師派遣、施設の提供等事業主が行う教育訓練の支援促進について触れております。これについては公共訓練施設が行っている講師派遣や施設の提供状況を載せておりますが、御要望に応じて概ね実施をしているということです。その次の○は、ガントリークレーン等の革新荷役機械に係る教育訓練の効果的な実施とその仕組みについての検討です。平成21年度の技能高度化委員会において報告をいただいているところです。今後の具体策については検討中です。
 8ページは、センターが講ずる措置についてです。豊橋の港湾技能研修センターにおける技能労働者の育成について記載しております。実績については、先ほどの資料の2の訓練の実施状況を載せております。
 次のハは、事業主が講ずる措置です。港湾労働者の教育訓練について配慮するよう、記載しております。実績として、前回と前々回の実態調査の結果を記載しております。これについても、今回も実態調査にて把握する予定としております。
 その下の5.は、「港湾労働者の派遣事業の適正な運営を確保するための事項」です。(1)国が講ずる措置についてです。派遣制度の適正運営のための指導と、制度の趣旨の徹底について記載しております。実績欄には、派遣事業の許可の取得割合を記載しております。数字的には、新規の許可申請や更新の際に十分精査をして決定している結果ということで考えております。
 9ページの1つ目は現場パトロールの関係ですので、割愛いたします。2つ目は、事業主支援と雇用安定事業関係業務の実施について必要な指導・助言ということで、先ほども出てきましたが、適宜連携をとるということで、同じ表現にしております。
 (2)センターが講ずる措置についてです。派遣元責任者講習や、事業主や港湾労働者に対する相談援助についてです。実績については、講習参加人数と、相談実施件数をそれぞれ記載しております。資料の3については以上です。
 続きまして、資料の4です。今まで話に出てきましたが、港湾運送事業雇用実態調査の中身についてです。資料の4は1枚紙で、調査の概要を記載しております。まず、調査目的としては、今後の港湾労働対策を推進するための基礎資料を得ることを目的とするとしております。先ほどから申し上げているとおり、次期計画の策定に資する調査ということで位置付けております。
 2の「調査の内容」ですが、調査対象としては(1)に記載のとおり、6大港全ての事業所、それぞれ事業所数については港ごとにロで、平成23年12月末時点の横表を載せております。対象労働者は1,033事業所に雇用される現業部門の常用労働者、港湾派遣労働者及び日雇労働者となります。
 調査事項については(2)に記載のとおり、事業所の属性や事業量、また労働条件、派遣や日雇労働者の利用状況など、多岐にわたっているところです。
 調査期日は(3)のとおり、平成25年6月末日現在の状況について、翌月7月中に行う予定としております。この調査は、有効回答率向上と正確な回答を得ること、あとは記入する際の事業所側の負担軽減も考え、調査員が事業所に赴き、聞き取り調査を行うことを原則にしております。ちなみに、前回平成20年度の有効回答率は83.4%です。
 この概要に基づき、実際の調査票ということで、資料の5を付けております。こちらが、今回の調査票の原案です。基本的には過去の数値との比較の関係もありますので、概ね前回の調査項目を踏襲することにしておりますが、一部追加をしておりますので追加の部分について説明いたします。
 1点目は、2ページ目の問7です。従来は雇用している常用労働者の職種、作業別の従事状況について、問7の太線で囲んである欄に記載していただいておりましたが、先ほど申しましたとおり、日雇労働者の状況について分析をするための数字が要るということで、こちらに日雇労働者についても、各職種作業別に、どのような形で1箇月間従事をしていたのかを記載していただくことにしております。
 次の変更点は、問10です。従来、港湾派遣制度を利用したかどうか、問10の一番最初の箱でしか質問をしていなかったところです。従来は、要は派遣を受けたか受けないか。受けた場合には、なぜそれを受けたのか。こちらに選択肢を書いてあるとおり、コストが安い、波動性に対処するため等々理由を書いているところです。今回は、その下に問いを追加しております。まず、派遣を受けた実績がある事業所については、派遣による就労日数の上限についてどのように感じているかをお尋ねしております。港湾派遣制度については、労働者の1人1月当たりの上限として7日を規定しているところですが、この点についての統計をとりたいと考えております。
 また、派遣を受けなかった事業所に対しては、仮に派遣の上限を緩和した場合、すなわち就労日数の増加を図った場合に、派遣制度を活用するか否かをお尋ねしております。こちらは、やはり派遣制度の活用が低調であることもありますので、利用促進の点から検討を行うための指標にしたいと考えております。以上2点が変更点で、それ以外は前回と同様の設問になっております。
 資料5の調査票をとりまとめた結果として資料の6、集計事項です。それぞれの事項として表に現れる形になっております。先ほども少し触れましたが、具体的な調査結果の概要については、前回分として参考資料2が、事業所の属性の部分からそれぞれの事項について付けているものです。基本的には平成15年と平成20年の対比です。今回は平成20年と平成25年の対比ということで、それぞれの事項において、分析結果の上、調査報告書を作成することを予定しております。事務局からの説明は以上です。

○鎌田座長 少し盛りだくさんの御報告の説明をいただいたわけですが、まず、新たな港湾雇用安定等計画策定スケジュールについての御説明がありました。そのあと、平成21年度の港湾雇用安定等計画の概要と実績、それから行政の目から見た達成評価も付け加わっております。これから行う雇用実態調査の概要と、具体的な調査票の中身が提示をされております。実態調査の項目とか、調査票については従前からのつながりでこういう中身になっておりますが、御意見も今日終われば調査に入るということですね。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 政府統計として行いますので、今後総務省と調整をした上で、準備を進める形になります。

○鎌田座長 いずれにせよ、委員会の皆さんのこの調査の項目についての御意見というのは、この段階でお聴きするしかないのですよね。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 そうです。

○鎌田座長 もし何かありましたら御意見をいただきたいと思います。

○伊藤委員 資料5の雇用実態調査票について、3点ほどお願いを申し上げようかと思います。2ページの問3の定年制の問題であります。4月から高年齢者雇用安定法が変わりますので、今までとの整合性の問題も1つあるかと思いますが、例えば、定年制があるのか、継続雇用制度でやっているのか。そもそも定年制をなくしてしまっているのかとか、そういうような設問で問合わせをすることが可能なのかどうか、御検討いただきたいと思います。
 同じく2ページの問7の職種別の労働者数の問題なのですが、ここに日雇と常用ということだけではなくて、派遣が実際どうなっているかということも、もう1項目入れていただけると、派遣はどういう職種で出ているのか、日雇はどういう職種で出ているのかということが分かるのではないかと思います。是非、派遣のところを加えていただきたいと思います。
 今までの問題もあるかと思いますが、3ページの問8で、週休2日制の導入がございます。産別の労使協定におきますと、週休2日制なのですが、祝日のある週は休暇という、土曜日が休暇という扱いになっておりますので、そういう場合は、1の「完全」のところに入れればいいのか、「月3回」のところに入れるのか。一応6大港はそういう産別協定に今なっておりますので、どちらで判断したらいいかを示唆していただければ、答えることができるのだろうなと思います。その辺も加味した調査、ほかの調査との関係もありますので、一概に、こういうふうに質問してくれとは言いませんが、答える場合にはどういう考え方で答えたらいいかも含めてやっていただければ、親切なのかなと思っております。以上3点ほど、この調査に関しては要望を申し上げておきます。

○鎌田座長 もうお一方ぐらい御質問を受けてから、少しまとめたいと思います。

○福士建設・港湾対策室長 はい。

○玉田委員 今の伊藤委員のほうと関連するのですが、問7で、派遣の状況に加えて、日雇の括り方の問題なのですが、ハローワーク紹介と、直接雇用と分けた調査ができないか。つまり、さっきの人付きリースの問題とか、いずれにしても日雇を例外的なことにしていこうという大きな目標の中で、どこに焦点を当てて、日雇を減らしていくのかという意味では、2つきちんと分けて調査しないと、政策的な意味の焦点も出てこないのではないかという危惧がある。連続性の関係でいくと出てこないのですが、検討いただければということです。

○鎌田座長 ここまでの御質問に対して、何か回答をお願いしたいのですが。

○福士建設・港湾対策室長 お答えします。まず、確かに定年制と継続雇用の制度という部分は、当然うちの政策でやっているわけですから、その辺は入れ込むような形で考えていきたいと、今、お聞きして思いました。
 問7の部分ですが、いろいろな御注文がついて、派遣も入れてください、日雇の部分もハローワーク紹介と直接雇用を入れてくださいということなのですが、どう分けてどう作ればいいかは、すぐ頭の中に浮かんでいないものですから、ここの部分についてはもう一度持ち帰って、どういう形で作り変えればいいかを緻密にやらないと、かなり細分化されてきますので、この問いを分けるのか。この中に全部埋め込むのか、それも含めて相談させてください。この統計予算の範囲内で実施するものですから、調査員を動かせる日数と、こちらで設定する質問量との間でバランスをとりながらやっていきたいと思います。
 休暇の問題については、当然調査するに当たっては調査員が実際に事業所に訪問して聴き取りながら、我々その前にしっかりどちらで整理すればいいかを指示したいと思います。以上です。

○鎌田座長 ということで、よろしいですか。何かそれで工夫されたものについて、どこかの段階で委員の皆さんにお示しするというのは、そんな時間的余裕はありますか。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 それは総務省に話をする前にということですか。

○鎌田座長 そうです。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 正直なところを申しますと、日程的には、来週の金曜日までには少なくとも確定させて、総務省に1回話をしなくてはいけないというのが現状でございますので、例えば、今お話をいただいたので、検討した結果、こういう形でいきますとお伝えできれば良いと考えております。総務省に話をする前に、例えば「問3については○○という表現へ変更しました」いう形で進めていければと思うのですが、皆さんの御同意となると、正直言って日程的に少々厳しいのかなというのが本音のところでございます。

○鎌田座長 では、そのことも御了解いただいて、決定案についてお示しするというようなことで。総務省から注文がつくこともあるのですよね。

○福士建設・港湾対策室長 調査の内容については、前回からの変更点も含めて、総務省からは厳しく精査されます。

○鎌田座長 そうなのです、予算の問題だけではなくてね。

○福士建設・港湾対策室長 政府統計なので結構厳しいですね。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 そういう意味で申しますと、総務省に投げる前の案と、最終的にどうやるかというのと、2回、各委員には情報提供することになるかもしれません。精査された結果、「やはりこうなりました」ということはあり得ますので。

○鎌田座長 そうなった場合はもうやむを得ないですね。他に実態調査以外のことでも結構ですので、御質問、御意見ありましたら、お願いしたいと思います。

○伊藤委員 新たな港湾雇用安定等計画の策定スケジュールについてですが、スケジュール的にはこのような流れになるのかなと思っております。策定作業に当たって、私から要望を申し上げたいと思います。実は、私はこの3月で委員の任期が切れるため退任いたしますので今回の安定等計画の策定作業には入れません。私は、14年間委員を務めてまいりまして、前の港労法の改正のときから委員をやっておりました。今までの経過から申し上げて、こういう点を少し配慮していただきたいということを申し上げたいと思っています。
 1つは、私が委員になった当時は、港湾調整審議会が存在しておりました。これは、いわゆる運輸省と労働省にまたがる問題を審議する審議会で、内閣府に設置されていたわけです。省庁の再編の中でこの審議会がなくなったわけですが、やはり港湾の問題を議論する場合には、労働問題だけではなく、港湾政策との絡みが非常に大きいということで、今はこの委員会に国土交通省からオブザーバーとして参加していただいているわけですが、是非国土交通省からも今後の港湾政策、あるいはこの間の港湾運送事業法なりのいろいろな変更なり、今どういう政策が進められているのかという点を説明いただくのが、労働政策を行っていく場合にも非常に重要な意味をもっているのではないかと思っております。
 そういう意味では、できれば国土交通省からこの間の港湾運送事業法の改正の点や施策の状況、あるいは港湾法の改正点やそれにおける施策状況等も説明をいただいたらどうなのかなと思っているところです。例えば、港湾の選択と集中ということによって、貨物量を集めるといったときに、労働力の確保に関してはどうしたらいいかを考えなければいけないだろうと。あるいは、戦略港湾を作ることによって、24時間体制を作るときには、どういう労働力編成なりを考えなければいけないかも、私どもはこの委員会の中の1つの議論をする場合のベースとして説明いただければと思っています。
 例えば、交代制の導入の問題に関しては、社会実験として神戸港で行われているなど、この間も実験的な施策を国土交通省でなさっているわけで、そういう点も実際どうだったのかというようなことも報告いただきながら、港湾労働政策を確立していく上で、是非とも旧運輸行政、国土交通行政、港湾整備の施策とあいまった形で、この安定等計画の策定ができればと考えているところです。
 もう1つは、先ほどいろいろと実施状況の説明がありましたが、例えば能力開発の問題でいいますと、技能高度化委員会などでそれなりの方向性が出されているのではないかと思っています。例えば、ガントリークレーンのオペレーターの訓練として、シミュレーション装置でいろいろ訓練をしていくという計画などを出されているのですが、なかなかそれが実施をされないといいますか、お金の掛かる措置の問題についてはいくらここで審議をしても前に進まないという実態もあります。要検討事項になっているのですが、そういうことも含めて、どのようにしたらこの施策が前に進むかについても、是非真剣に御議論いただきたいと思っています。
 能力開発問題、訓練問題に関しては、一昨年の11月にILOでガイドライン、on training in the port sectorという報告書が出されております。厚生労働省の国際課で入手して訳されているのかどうかは分かりませんが、できればこういう国際的な方向付けの問題も参考にしていただいて、施策の検討ができないものかと思っているところです。
 それから、私ども今の焦眉の課題に関して言いますと、港湾倉庫の問題で、斉一化という形でいろいろと前回の場合は確認をして施策を進めてきたわけですが、私自身考えてみますと、これは港湾労働法だけで解決できる問題なのかという気持ちをもっております。といいますのは、やはり港湾運送事業法と港湾労働法の適用範囲が異なっている現実の中で、港湾倉庫に従事している者がいわゆる港湾運送事業者に雇用されている従業員ではない。そのような人が、港湾労働者として働いているという実態があるわけです。そういう点で、これは法律そのものも見直さなければいけないような事態もあるのではないかと考えております。ここも、港湾労働法と港湾運送事業法の整合性をどのように見ながら、単に運用上の問題だけではなく、制度的な見直しの方向性も含めて検討をする必要があるのではないかと考えております。この計画を進めていくに当たって、是非そういう点も突っ込んだ御議論をいただきたいと思っております。
 そのほか、以前から労働者側がいろいろと主張してきた全港・全職種適用の問題などもありますが、もう少し大きな視点で検討いただけるのでしたら、是非そういうことも含めながら、この安定等計画の策定をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 今、伊藤さんから策定に当たって基本的な考え方を述べられたところです。事柄の性質上、今後議論することではありますが、使用者側の立場から何か今のお話に関わることでも結構ですので、御意見があれば発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○鶴岡委員 今の労働者側からのお話の国交省、厚労省の問題に関しては、我々も使用者側としても大きいです。それから、港湾倉庫の問題もそうです。同じ職種の中に労働法と事業法とはいえ、関わるものが矛盾している点がいくつもあります。その辺りの整合性は、混乱を招くだけですので、是非今後とも整備をしていかなければいけないと思います。
 それから、国交省がお取りになっている戦略港湾の政策についても、非常に心苦しい言い方をさせていただければ、一人歩きしている部分もあります。そこには、事業者あるいは労働者という実際の運営に当たる人間が介在していない状況もあると、我々は理解しています。ですから、労働側の意見である国交省、厚労省の問題については、我々としても是非願いたいというところです。
 能力開発の問題については、おっしゃるとおりだと思いますし、今後とも進めていっていただきたいと思います。強いて言えば、我々から反論はありません。

○鎌田座長 ほかの方は、付け加えることはありますか。

○花島委員 お願いでもよろしいですか。御指摘のように、平成22、23年度2年にわたって、日雇労働者の就労延べ日数が増加していますが、これは全労働者の就労延べ日数が増加する中で日雇についても増加したことであり、就労延べ日数の増加の内容を見てみますと、平成21年度から平成22年度にかけて常用労働者と日雇労働者の延べ日数の増加は、ほぼ同程度でありました。平成22年度から平成23年度にかけては、常用労働者の就労延べ日数が9,000人強増加しているのに対して、日雇労働者は前年度と同程度の2,500人の増加にとどまっていることです。それと、港別に見ますと、横浜だけが数千人単位で増えています。横浜は、今まで人付きリースをかなり使用していたので、今、日雇が増えているということは、人付きリースがどんどん減っていることに関係しています。この問題は、現在関係労使で検討委員会をもってやっていますので、この進捗状況を見守っていただきたいと思います。
 座長は、派遣法や有期労働の専門家でありますね。いわゆる非正規労働者の割合は3分の1とも言われておりますが、このような状況において港湾労働は適用港で98%、非適用港で95%程度が常用労働者となっていますので、港湾労働者の雇用安定を図るためにも、波動性に対応した日雇労働の雇用に理解をしていただきたいと思います。
 もう1つ、人付きリース解消の中で、常用労働者を転換させるためにいろいろ努力している中で、港湾労働者派遣の日数が月7日というのが少し障害になっていることも事実であります。もし可能でしたら、港湾労働者の派遣日数の上限を緩和することを考慮していただきたいと思っております。
○鎌田座長 今、幾つか基本的なお考えをお聞きしたのですが、福士室長から何か今の段階でのお考えをお聞きしたいのですが。

○福士建設・港湾対策室長 今、港湾における労働政策と、運送の関係の港湾対策の関連性が非常に高いので、場を設けて国交省からもこの計画を作る前に現状を説明いただきたいというお話がありましたが、私からもお願いしてもよろしいですか。今度計画を作る段階で、特に労働と密接に関係があるところに関して、国土交通省の政策の中で1回説明していただいて入っていくというやり方はいかがでしょうか。

○河原畑港湾経済課長(国土交通省) オブザーバーとして、参加をお認めいただきありがとうございます。今のような御要望でしたので、お時間を次回以降いただけるのであれば、我々のほうで今の取組みについて説明をさせていただければと思います。

○福士建設・港湾対策室長 よろしくお願いします。それから、能力開発の部分については、ガントリークレーンのシミュレーションの関係なのですが、予算がかなり掛かるという問題でなかなか前に進み切れない部分があります。今の段階で、来年度に向けて鋭意検討していこうという形で、若干入り口には入ってきています。それから、外国の港湾でどのような形でやっているかですが、多分次の計画にそこまで反映できるかはなかなか難しく、港労法を見直すとか、新しい港労法を作る場合については、外国の事例も含めていろいろ研究していかなければいけないのは当然あると思います。国際課が翻訳しているかというと、多分翻訳していないと。なかなかその部分を翻訳できるかというと、我々は少し厳しい部分があります。
 倉庫の斉一化の関係ですが、ここは法の部分はあるのですが、もし運用の部分で少しでもお互いがある程度納得できるものができるのであれば、行政が真ん中に入って労働側、ないしは使用者側の中で折り合える線があるのかどうかも含めて、御相談したいと思っています。法改正となると、お互いの法律を変えるのはなかなか簡単にはいかない状況がありますので、運用の部分で難しいという話もありましたが、そこで若干すり合わせるものがあれば、そのような進め方をしていきたいと思っております。

○鎌田座長 派遣の就労日数制限に少し御質問があったのですが、私はそもそも以前5日が上限であったところから改正されて7日になった経緯がよく分からないのですが、これは労働者の安定した雇用のためにこのような就労日数制限が導入されていったのでしょうか。

○福士建設・港湾対策室長 多分派遣法と同じで、全労働日数の半分以下という部分がありますので、そういう中で当初は5日でセットしたのですが、徐々に要望が出てきたので7日にしたという経緯だと思います。今でいえば、例えば月平均就労日数が20日であればぎりぎり10日とか、そこまでの延長可能かどうかがあるので、今回調査の中でも使用者側が延長をすれば、この派遣法を使うのか使わないのかという部分があるので、今回調査にも入れさせていただきました。その結果を見ながら、行政としても考えていきたいと思っています。

○鎌田座長 これは、どのレベルで規定しているのですか。港湾労働法には書いていないですよね。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 告示です。

○鎌田座長 大臣告示ですか。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 大臣告示です。

○福士建設・港湾対策室長 変えようと思えば、変えられるということですが。

○鎌田座長 大臣告示は重いですね。今、室長からこのような意見が出たのですが、何か更に付け加えてお聞きすることはありますか。

○伊藤委員 港湾倉庫の問題については、これはもう労使の努力の限界を超えたところで問題が起きていますので、そんな点も十分実態を見ていただいて、改善策を考えていただきたいと思います。

○鶴岡委員 確かに、今伊藤さんがおっしゃるとおりで、港湾倉庫の問題は我々労使で解決できる話ではありません。ただ、抜本的に法律を変えるとなると、やはり相当時間もかかるということで、直面している問題ですので、何か根本的な法律を変えずにうまく処理できる方法があれば、これはまた厚労省にお願いして、なるべく即実行できるような方法を是非考えて、我々もそれについて審議したいと思います。

○鎌田座長 随分長期間にわたって研究されている事柄だとは思うのですが、引き続き検討をお願いしたいと思います。ほかにありますか。

○玉田委員 言葉に引っ掛かるつもりは全くないのですが、波動性に対する日雇への雇用への理解をいただきたいと、今おっしゃいましたね。港湾には波動性があるのですと。しかし、一方で安定的な労働力を確保することが港湾の安定につながりますし、利用者にも寄与するものであろうと。もちろん、港湾労働者の安全なり常用の確保をしていくという意味でも。向かう方向は日雇をなくしていく。つまり、例外的にしていくのだという大前提があるわけですから、言葉の問題でと言われると失礼なのですが、理解してしまうとそこから前に行かないものですから、あるという事実は理解をします。しかし、それはなくしていく方向なのですよというところで、是非次の計画は進めてもらわないと。波動性の中で日雇があるのだから理解をしろというだけでは、前に行かないと思うのですが、私の聞き違いでしょうか。

○花島委員 玉田さんの言うことで合っているのですが、要は日雇が多い多いと言われるから、そういう意味で言っていますから。

○鶴岡委員 ただ、常用雇用率からいくと97%ですから、他産業から見ても日雇というか派遣というか、非正規社員の比率からいっても、港湾は非常に常用雇用率が高いわけですね。その中の3%か2.7%の波動性は理解してくれという話ですので、日雇を使うのを認めろという話です。ただ、97%という常用雇用率は認めていただきたいという話です。

○玉田委員 趣旨は理解しました。ただ、世間が35%だと言われると、私はそれについては世間が間違っているのだと思うのですよ。だって、自ら言うじゃないですか、非正規と。正規ではないと言っているのでしょ。それが35%であることは当たり前なのだと言われると、これは困ります。本来は、100%なのですよ、労働政策のあり方としては。

○福士建設・港湾対策室長 それは、労働政策からいくと、逆なのですよ。非正規と言っても、本当に正規になりたいと思っている人たちは正規にしてあげなければいけないのですが、主婦も含めていろいろな働き方の人もいるので、そういった状況の中では、非正規で良しとする人達もいるのが事実です。

○玉田委員 そういうものは、35%にはならないでしょ。

○福士建設・港湾対策室長 35%にならないのは分かっていますが、全部が100%正規でなければいけないという議論も。

○玉田委員 いや、違います。正規というのが本来的なあり様でしょうと。その中にあって、私は1日2時間しか働けないのだけれども働きたいわという人に道を開くなら、理解します。

○福士建設・港湾対策室長 ですから、そういう働き方もあるということなのです。

○玉田委員 そうではなくて、あなた方は時間を決めてしか働けないよと、1週間しか働けないよという政策が一方であるわけだ。これだから、非正規というのでしょ。そのことを、この労働政策審議会の中で前提とした議論をすると、私はおかしくなると思いますよ。

○福士建設・港湾対策室長 ですから、港労法の趣旨としては、日雇から常用にしていきましょうということでやっていますので、この場の中でおっしゃりたい趣旨はある程度分かります。ただ、働き方でいえば、世の中としてそういう働き方もあるということです。労働政策と言ったので、労働政策は非正規であることはまるっきり否定はしていないので、そういう働き方をする人の働き口をきちんと見つけてあげなければいけないということ、それ自体は、労働政策で推奨している部分でもあります。

○鶴岡委員 常用雇用率が100%になると、港労法はいらなくなってしまうじゃないですか。そもそも、港湾労働法の主たる目的でしょう。

○玉田委員 違います。そういう時代の中であったとすれば、今度はそういう労働者はどのような福祉の下に置くかとか、新しい方がどんどん出てくるわけでしょう。

○鶴岡委員 それは、また別の法律です。港湾労働法という名目の下で言えば、正直言うと3%弱の日雇依存率ということになると、港労法自体の存続を問われます。それが、日雇で是か非を問われ、非ということになると、そういう話になります。港湾の特性上、どうしてもこの波動性は我々の労働政策、あるいは事業政策の中で調整ができる話ではないというところで、今そこまできています。

○玉田委員 いや、波動性というものを認識しているから、こういう政策をしましょうよという形で、具体的には、日雇が多くにならずに常用化にしていきましょうという議論ですから。

○鶴岡委員 そうです。

○玉田委員 そういう意味では、福士室長との関係でいうと、日本全体の波動性があり、という議論しかないでしょ。

○鶴岡委員 いや、それは誰も言っていないでしょう。

○玉田委員 そういう働き方をさせる必要があるのだということを言われているわけでしょう。
○福士建設・港湾対策室長 ただ、港湾労働法を作った趣旨、目的は、日雇労働者の保護でして、そこから始まって、だんだん港湾労働法が変わってきて、日雇を常用化していきましょうというものが、今の法律なのですよね。

○鎌田座長 よろしいですか。わりと根本的な議論に入ってはおりますが、今までの議論も非常に大切ですが、その他ここに関わることで公益の方でも結構ですが、何かありますか。

○渡邉委員 少し注意なさったほうがいいかなというのは、今度の新しい計画に間接的に関わると思うのですが、現在の6大港の港湾統計を見ていますと、もしかすると明暗が明らかになっていってしまうのかなと。というのは、要するに労働問題に影響して、どこかの港は貨物が多くて潤っていて人が足りないとか、どこかの港は閑古鳥が鳴くと、地域間の格差が出てくるのですね。どうなるかは分かりませんが、東京湾では自動車産業が傾いた関係で、横浜港は少し下がったのですが、多分平成24年、5年に掛けて復活すると思います。東京港は、もう輸入を中心にずっと伸び続けていて、名古屋も頑張っています。大阪湾は非常に懸念が大きくて、横浜どころではない。神戸港はずっと減で、この間国土交通省のある方に聞いたら、もう間違いなく平成24年度は減のまま終わるだろうという状況になっているみたいですね。大阪港は、大混雑の状態で、それはそれで問題です。ですから、大阪湾では大阪港の一人勝ちの状況に、ここ数年ではなっています。
 片や、労働者が足りない、片や余ってしまうという状況が、この6大港の中で定着してくるとこれは厄介ですよね。一時的に、具体的に今神戸がちょっとなったというのであればいいのですが、それが定着してますます荷主が離れてしまったりすると、使用者が倉庫のスペースが余ってきたり、大きな会社が抜港などということになると、非常に深刻になりますから、これは労使ともども影響を受けてしまいますので、なるべくどこの港もそんなに大きな差がなく伸びるなら伸びる、波動性で下がるなら下がるとなってほしいなとは思うのですが、実態は影が見えているので、注意されたほうがいいと思います。

○鶴岡委員 根本的には、我々港湾の問題ではなくて、これははっきり言って国策ですよ。国内生産を今まで野放しにして、ただの価格競争で、海外生産にどんどん移行させた。これによって、国内から輸出するものがなくなっているわけですよ。ですから、神戸、横浜は輸出港ですから、そういう意味での扱い量が少ないと。東京、大阪は、比較的輸入品が多いと。要は、国内で作っていないから輸入するしかないのですね。ですから、我々港湾の労働者側も使用者側にも責任があるわけではなくて、やはり国の政策としてどうやって生産量を上げてくれるのですかと。それを、東京に入っているものを横浜に持っていけとか、大阪に入っているものを神戸に持っていけと、これは全然論点が違います。ですから、我々は国策として国交省が挙げている戦略港湾だけで荷物が増えるということは全く信じていませんから、おっしゃることはよく分かります。ただ、これは本当に国を挙げての考え方を示さないと、今いい東京、大阪もどうなるか分かりませんよ。

○鎌田座長 この計画案を策定するに当たって、そういったような港湾の浮き沈みの説明や紹介はあるのですか。今まで、そういうことはやっていたのですか。

○福士建設・港湾対策室長 多分やっていないのではないかと思います。

○鶴岡委員 国交省は。

○花島委員 データはあるのですか。

○河原畑港湾経済課長 データはあります。

○鎌田座長 だからといって、国策全てになってしまうと打つ手がなくなってくるのですが、その辺りのことも少しデータがあれば御紹介いただければと思います。

○河原畑港湾経済課長 産業政策の関わることは、全部説明していることにはならないかもしれません。

○鎌田座長 分かりました。そのほかに、何かありませんか。よろしいですか。それでは、スケジュールについては概ねこのような形で考えていきたいと思います。また、港湾事業に関わること、あるいは政策については、国土交通省から時期をみて御説明をいただくということです。調査については、今幾つか御注文を受けたことについては、私と事務局で少し工夫をして、そしてこのようになりましたということの御連絡をして進めていきたいと思っております。大体、そのようなことでよろしいでしょうか。そのほか、何か議題としてありますか。事務局からは、特にありませんか。
 本日の議題は以上ですが、先ほど伊藤委員からもお話がありましたように、本日御出席いただいております伊藤委員と、本日御欠席ですが安部委員も来月4月の委員改選に際して、就任年数や御年齢により、当専門委員会の委員を御退任される予定です。次回の専門委員会では、任命手続きを経て新たな委員が御出席される予定です。ということで、伊藤委員については本日が最後ということで、何か一言御挨拶をいただければと思います。

○伊藤委員 先ほども申しましたように、10年以上やってはいけないのですが、14年間この委員をやらせていただきました。ちょうど私が委員になったときが、港湾労働法の改正の時期で、いろいろとあったことが思い出されますが、港湾労働の施策がより発展するように考えておりますので、これまでも皆様方も是非その点を忘れずに進めていただければと思っています。この間の御協力、本当に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

○鎌田座長 我が専門委員会としても、伊藤さんがいなくなるのは非常に痛いように私も感じております。そういった決まりですので、大変残念ではありますが、お見送りをするということです。ありがとうございました。最後に、事務局から何かありますか。

○百崎建設・港湾対策室長補佐 次の専門委員会については、各委員の方と日程調整をさせていただき進めていきたいと思います。こちらから、別途御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 それでは、本日の委員会はこれにて終了といたします。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は伊藤委員、使用者代表は鶴岡委員とさせていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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