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2012年12月21日 社会保障審議会年金数理部会(第53回)議事録

○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、翁委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員

○議題

1.平成23年度財政状況について
  -地方公務員共済組合・私立学校教職員共済制度-
2.その他

○議事

○清水首席年金数理官
 定刻になりましたので、ただいまより、第53回社会保障審議会年金数理部会を開催させていただきます。
 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第の他、次のとおりでございます。
資料1が、「平成23年度財政状況-地方公務員共済組合-」でございます。
資料2が、「平成23年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」でございます。
この他、参考資料といたしまして、平成23年度の「公的年金制度一覧」及び「公的年金各制度の財政収支状況」をお配りしております。
配付資料は以上でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況についてご報告申し上げます。本日は全委員がご出席でございます。
それでは、以後の進行につきまして、山崎部会長にお願い申し上げます。

○山崎部会長
 委員の皆様にはご多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の平成23年度財政状況についての報告を聴取いたします。
カメラの方はここで退出をお願いします。
はじめに、地方公務員共済組合の平成23年度の財政状況について報告を聴取いたします。本日は御説明のため、お忙しい中、総務省自治行政局公務員部福利課の佐々木課長にご出席いただいております。ありがとうございます。

(地方公務員共済組合関係者着席)

○山崎部会長
 それでは、御説明をお願いいたします。

○佐々木福利課長
 総務省の福利課長の佐々木でございます。本日は地方公務員共済組合連合会の担当者2人も同席しておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、地方公務員共済組合の平成23年度の財政状況について、資料に沿って御説明させていただきます。
まず、資料の1ページ目の1.収支状況でございます。地共済の収支状況について、過去5年間の推移を記載したものでございます。平成23年度の欄について説明したいと考えております。
まず収入でございますが、一番上の欄の収入総額は5兆4,276億円、前年度に比べ1.1%の減少となっております。なお、時価ベースの収入総額は5兆9,245億円となっております。
以下、収入の内訳でございますが、保険料は2兆9,429億円で、前年度に比べ0.9%の増加となっております。公的負担は7,312億円で、前年度に比べ10.3%の増加となっております。追加費用は1兆1,065億円で、前年度に比べ4.7%の減少となっております。
次に運用収入でございますが、運用収入は3,969億円で、前年度に比べ15.9%の減少となっております。また、有価証券売却損等の費用を除いた正味運用収入は3,150億円となっており、さらに正味運用収入に評価損益を加味した時価ベースでの運用収入は8,120億円となっております。基礎年金交付金は2,360億円で、前年度に比べ8.2%の減少となっております。財政調整拠出金収入は、平成16年度から行われている地共済と国共済の財政調整に係る拠出金収入でございますので、平成23年度は地共済から国共済に拠出金を出しておりますので、地共済がもらう収入はないということでゼロになっております。その他は140億円ということになっております。
次に2つ目、大きな支出ということでございますが、支出総額は6兆1,118億円、前年度に比べ1.1%の増加となっております。
以下、支出の内訳ですが、給付費は4兆5,710億円で、前年度に比べ0.6%の増加になっております。基礎年金拠出金は1兆4,388億円で、前年度に比べ4.6%の増加となっております。年金保険者拠出金は42億円で、前年度に比べ37.0%の減少となっております。先ほど申し上げました地共済と国共済との間の財政調整ということでございますが、財政調整拠出金として、地共済から国共済に97億円を拠出しております。前年度に比べ385億円、79.9%の減少となっております。その他は880億円で、前年度に比べ164億円、22.9%の増加となっております。これは信託の運用損等の項目が増えておりますが、精算等で調整できないものをここで調整しておりますので、その結果、会計上の処理で増えています。
以上、合わせまして、収入総額から支出総額を差し引いた収支残はマイナス6,842億円、前年度に比べ1,245億円のマイナスとなっております。なお、時価ベースでの収支残はマイナス1,873億円となっております。
その下の年度末積立金は、37兆6,816億円となっており、積立金の運用利回りは0.83%と前年度を0.23ポイント下回っております。なお、時価ベースの年度末積立金は、36兆4,483億円となっており、同じく時価ベースの積立金運用利回りは2.24%となっております。以上が地方公務員共済組合の平成23年度の財政状況の概要でございます。
2ページ目は、先ほど述べた各項目を図式化したものでございますので、説明は省略させていただきます。
次に、3ページ、給付状況について御説明させていただきます。平成24年3月末の欄を説明させていただきます。受給権者数のうち退年相当は193万9,000人、通退相当は22万5,000人、障害年金は4万7,000人、遺族年金は61万8,000人ということで、合計で283万人となっております。前年度に比べ8万8,000人、3.2%の増加となっております。また、年金総額については、退年給付相当が3兆8,613億円で、以下、ご覧のような額となっております。合計は4兆9,478億円で、前年度に比べ751億円、1.5%の増加となっております。
 4ページにまいりまして、上の表は、退職給付について減額、増額別に表したものでございます。減額給付の受給者は、平成24年3月末で6万3,000人、年金総額は退年相当給付の987億円となっております。増額支給は若干名、986人該当がございまして、合計で17億円となっております。
 その下の表でございますが、退職年金平均年金月額は16万5,966円で、前年度に比べ2,514円、1.5%の減少となっております。3段下の欄をご覧いただきますと、そこに基礎年金を含めた平均年金月額を記載しておりますが、金額は20万2,718円、前年度に比べ1,970円、1.0%の減少となっております。それから、もう一段飛んで、退職年金平均組合員期間については、422か月(35年2月)となっております。その下は通年相当でございますが、老齢基礎年金を含めずに計算した平均年金月額は2万9,005円となっております。また、平均組合員期間は106月(8年10か月)となっております。
次に5ページでございますが、今、御説明申し上げました男女合計の平均年金月額と平均組合員期間についてそれぞれ男女別で示したものでございます。
6ページは組合員期間20年以上の新規裁定に係る退職年金平均年金月額でございます。平成23年度における退職年金平均年金月額は13万2,770円、前年に比べ319円、0.2%の増加となっております。そこから3段下の退職年金平均組合員期間は431月(35年11月)となっております。以下は、男性、女性別の資料でございます。
続いて7ページにまいります。退年相当についての支給区分別、年齢別に示したものでございます。右から2番目の平成24年3月末の欄をご覧いただきますと、63歳の平均年金月額が14万5,099円になっているのに対し、定額部分が支給される64歳の平均月額は20万1,772円となっております。
8ページ、9ページは、この表をそれぞれ男性・女性に分けた資料でございますので、御説明は省略させていただきます。
10ページをご覧いただきたいと思います。10ページは退年相当の受給権者について、年齢階級別に示したものでございます。男性、女性とも、60歳~64歳の階級が一番多く、年齢階級が高くなるにつれて減少しております。平均年齢は男性が72.4歳、女性が73.1歳、男女合計で72.6歳となっております。
次に11ページから15ページまでが組合員の状況ということでございます。まず11ページをご覧いただきたいのですが、組合員数でございますが、平成24年3月末現在で285万8,000人、前年度に比べ2万人、0.7%の減少となっております。また、平均年齢は男性が44.9歳、女性が42.4歳となっており、全体では43.9歳となっております。
平均給料月額については、34万2,936円、0.7%の減少となっております。
下の表に移りまして、標準報酬月額総額は、標準報酬ベースに換算して、14兆6,776億円で、前年度に比べ1,723億円、1.2%の減少となっております。標準賞与総額は4兆3,411億円で、前年度に比べ592億円、1.3%の減少となっております。総報酬ベースの標準報酬総額は19兆187億円で、前年度に比べ2,315億円、1.2%の減少となっております。組合員数の年度間平均は、男性が177万1,000人、女性が109万1,000人で、合計286万2,000人となっております。総報酬ベースでの標準報酬総額の年度間平均は、男性が56万9,749円、女性が52万7,832円で、全体では55万3,772円となっております。
12ページは、組合員数を年齢階級別、組合員期間別に区分したクロス表でございます。年齢階級別で見ますと、右側の合計のところで、50歳~55歳未満が44万9,000人、55歳~60歳未満が45万3,000人と、50歳~60歳未満の範囲に人数が集中しており、この2つのクラスで全体の31.5%を占めているところでございます。一方、若い世代では、20歳代が36万5,000人で12.7%、30歳代が69万9,000人で24.4%という内訳になっております。また、組合員期間別に見てみますと、30年~35年未満の範囲が最も多く、全体の14.7%となっております。次いで20年~25年未満が14.1%、15年~20年未満が13.1%となっております。
13ページと14ページは、これを男女別に区分したものでございますので、説明は省略させていただきます。
15ページをご覧ください。給料月額の分布でございます。地方公務員共済組合の場合は、標準報酬制度はなく本俸制を採用しておりますので、従来から基本給の1万単位の数字で分類しているところでございます。先ほど申し上げました平均給料月額でございますが、一番下の欄にありますとおり、男性が35万円程度、女性が33万1,000円程度、男女合わせて34万3,000円となっております。分布を見ますと、男性では41万~42万の範囲が最も多く、女性の場合は39万~40万円が最も多く分布しております。全体を見ますと、40万~41万円未満の範囲が最も多く18万1,000人で6.3%となっております。
続いて16ページにまいりまして、積立金の運用状況についてでございます。まず、年金資産の資産構成でございます。平成23年度末における長期給付積立金の総額は簿価ベースで37兆6,816億円、時価ベースで36兆4,483億円となっております。
主な内訳をご覧いただきますと、有価証券等が簿価ベースで34兆2,076億円、時価ベースで32兆9,743億円となっており、これが資産全体の約90%を占めております。この有価証券等のうち包括信託が簿価ベースで30兆5,527億円、時価ベースで29兆2,187億円でございます。また、その一段下の有価証券が簿価ベースで、2兆9,635億円、時価ベースで3兆643億円となっております。さらに有価証券のうち、国内債券が簿価ベースで2兆1,363億円、時価ベースで2兆2,742億円となっております。以下、外国の債券等はご覧のとおりでございます。なお、有価証券等の資産区分別の簿価及び時価の額については、下の特記事項の欄に記載しているとおりでございます。
次に17ページ以降でございますが、平成23年度の地共済の決算状況と、平成21年財政計算時における地共済の将来見通し等を比較した資料でございます。
まず、17ページの収支状況の比較について申し上げます。収入については、保険料が将来見通しを3兆2,598億円としておりましたところ、実績は2兆9,429億円となっております。この乖離は賃金上昇率の影響等により発生したものと考えられます。運用収益は、将来見通し7,313億円に対し、実績は3,969億円でございます。これは運用利回りの将来見通し1.9%に対し、実績が0.83%となったことによるものでございます。このようなことから、収入総額は、将来見通しの5兆9,509億円に対し、実績は5兆4,276億円となっております。
続いて、表の右側の支出でございます。給付費の将来見通しを4兆6,623億円としていたところ、実績では4兆5,710億円となっております。これは主として受給者数の実績が将来見通しより少なかったためであると考えられます。それから、基礎年金拠出金は将来見通しの1兆2,328億円に対して、実績は1兆4,388億円となっております。以上のようなことから、支出総額は将来見通しの5兆9,509億円に対し、実績では6兆1,118億円となっております。
次に18ページ、組合員数、受給者数について比較した表でございます。組合員数は、将来見通し284万人としておりましたところ、実績では285万8,000人となっております。これは脱退者数の実績が将来見通しを下回ったことなどによるものでございます。受給者数は将来見通しでは280万3,000人としておりましたところ、実績は270万となっております。新規加入者及び脱退者数については、新規加入者の見通しを11万5,000人、脱退者数の見通しを15万2,000人としておりましたところ、実績では新規加入者が12万4,000人、脱退者数が14万4,000人となっております。新規裁定者数は、将来見通しの27万2,000人に対して、実績は26万人、失権者数は将来見通しの17万1,000人に対して、実績は17万4,000人となっております。年金種別ごとの数字はそれぞれ右に記載しているとおりでございます。
19ページ以降は、各種財政指標について、平成23年度の実績と平成21年財政再計算との比較を示したものでございます。まず、年金扶養比率に関してでございますが、注1にもございますように、支出額として、給付費に基礎年金拠出金を加え、基礎年金交付金を控除したものとしておりますが、上の実績をご覧いただきますと、平成23年度の年金扶養比率は1.47となっており、前年度に比べ0.06ポイント減少しております。また、追加費用を考慮した保険に係る年金扶養比率は1.82で、前年度に比べ0.1ポイント減少しております。
括弧内は受給者による年金扶養比率でございます。財政再計算では受給者による年金扶養比率を作成しておりますので、受給者ベースで比較いたしますと、年金扶養比率は将来見通しの1.49に対して、括弧内の実績は1.53となっております。また保険に係る年金扶養比率は将来見通しの1.85に対し、実績は1.89となっております。
20ページは、年金種別費用率でございます。平成23年度は、老齢費用率が14.4、障害費用率が0.1、遺族費用率が2.4となっており、総合費用率に対する構成割合はそれぞれ69.4%、0.7%、11.5%となっております。
次に21ページは、総合費用率でございます。上の表にございます平成23年度における総合費用率の実績は、総報酬ベースで20.7、前年度に比べ0.5ポイント上昇しております。また、標準報酬月額ベースで26.9、前年度に比べ0.8ポイント上昇しております。下の表の将来見通しと比較いたしますと、平成23年度は19.1を見込んでおりましたが、実績は20.7となっております。
22ページは厚生年金相当分に係る総合費用率でございます。厚生年金相当部分に係る総合費用率を見ますと、将来見通しが17.2であるのに対し、実績は19.7となっております。
次に23ページは独自給付費用率でございます。上の表をご覧いただきますと、平成23年度の実績は、総報酬ベースで16.9となっており、前年度に比べ0.3ポイント上昇しております。標準報酬月額ベースでは22.0となっております。将来見通しと比較いたしますと、将来見通しの16.1に対し、実績は16.9となっているところでございます。
続いて24ページは、厚生年金相当部分に係る独自給付費用率でございます。将来見通しを14.3としていたところ、実績推計は15.9となっております。
 25ページが保険料比率でございますが、将来見通しの81.84に対し、平成23年度の実績は74.7となっております。
 26ページは収支比率でございますが、平成23年度の実績は118.0で、前年度に比べ3.4ポイント上昇しております。なお、時価ベースでは105.0となっております。将来見通しと比較いたしますと、将来見通しの99.8に対して、実績が118.0と上回っております。これは保険料収入と運用収入が見通しを下回った影響等によるものでございます。
 最後に27ページ、積立比率について説明させていただきます。平成23年度の実績は9.7で、前年度に比べ0.3ポイント減少しております。なお、時価ベースでは9.3となっております。将来見通しとの比較では、将来見通しの9.8に対し、実績が9.7で、0.1ポイント下回っております。
地方公務員共済組合の平成23年度の財政状況の説明は以上でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明に関して、何かご質問等ございますでしょうか。佐々木委員。

○佐々木委員
 ありがとうございます。1つだけ御質問させていただきます。1ページ目ですけれども、支出のところの財政調整拠出金という項目、これが平成23年度は過去4年と比べましても大幅に減少しているわけですが、その理由と、注2にありますように財政調整Aと財政調整Bとあるというふうに書いてあるのですが、その仕組みをあわせて御説明いただければと思います。

○佐々木福利課長 
国家公務員共済組合と地方公務員共済組合は財政単位を一元化しました。しかし、それぞれが実施する。しかし財政単位を一元化しているので、1つのパッケージで見られるようにするということで財政調整を行うというルールを行っております。その財政調整の仕方ですが、独自給付費用率ということで、それぞれコストが大体等しくなるように、コストの観点から低い方が高い方に対して支援すると、これが財政調整Aでございます。
財政調整Bは、毎年の収支が黒字のところが赤字の方に出すということでございます。財政調整Bの方は国共済、地共済ともに赤字になっておりますので、黒字から赤字に出すということができませんので発動していない。
そうすると、残っている財政調整Aでございますが、コストの関係では地共済の方がずっとよかったのですが、それがだんだん国共済との差が縮んできているということでございます。平成23年度に大分減っているのですが、私どもが考えた結果、国共済のヒアリングを先日されたと思うのですが、国共済は組合員数が減っていない。むしろ微増している。地共済は組合員数が減っている。それから、標準報酬ですが、国共済は標準報酬制をとっておりますので、多分4月、5月、6月が、これは推測ですが、震災の関係で超勤が多かったのではないかと考えております。地共済も多くなるのですが、地共済は給料月額に1.25の手当率を掛けるという機械的な試算をしていますので、超勤が増えたからといって、そこが反映されないという構造になっております。そのようなことで、コストが国共済と地共済はほぼ似通ってきているということでございます。
平成24年度はもしかしたら国共済から地共済にいただけるかもしれないと考えていたのですが、国共済が給与1割カットというか、7.8%カットしたので、そうすると標準報酬が下がりますので、今年度もまた読めないであろうと考えております。大きくいえば、そのような仕組みで減ってきているということだと思っております。

○佐々木委員
 わかりました。

○山崎部会長
 牛丸委員。

○牛丸委員
 ありがとうございました。2つ、教えてください。1つは確認です。今のお答えの中にも少しありましたが、1ページの表の収入を見ますと、保険料収入が若干増えている。しかしながら、組合員を見ますと、給与、組合員数とも減っている。確認ですが、保険料率の引上げによって保険料収入が若干上がったのかどうか。要するに組合員数が減っていて、給与も下がっている。そのような中で保険料収入が増えるということは、保険料率の引上げで保険料収入が増えたのかどうか。
もう1つは、組合員数が減ってきているということと、12ページの組合員の割合。20代の方は学校へ行っている人もいるでしょうですから、30代、40代、50代と比較して少ないということはあるのでしょう。女性の場合にはどの年齢階級も割と均等にあることを毎回感心しているのですが、これを見ますと、他の年齢階級と比較して、若い世代の比率が低い。これは公務員の減少というか、増やせないということと関係しているのか。20代というか、相対的に若い世代の比率が、過去から今日にかけてだんだん下がってきてしまっているのか、この辺りを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○荒井数理審議役
 第1点目につきましては、そのとおりで、保険料率が大体2.3%ほど上がっております。先ほどの11ページの総報酬の関係はマイナス1.2%ぐらいだと思いまして、大体1%ぐらい保険料収入では上がるというような仕組みですので、ご指摘のとおりでございます。

○佐々木福利課長
 若干、補足しますと、被用者年金一元化の施行時点までに毎年機械的に0.354%保険料率を上げるという規定がありますので、この影響で増になるということでございます。一方で、先ほど御説明したような減でつり合っているということだと思います。
それから、男女別のところですが、国家公務員と比べると、男性、女性の比率は割といい。これは、地方公務員の場合、学校の先生が大きな比重を占めているということだろうと考えております。ただ、女性の若い方の比率が落ちてきているということです。

○牛丸委員
 男性も女性も相対的に若い世代の比率は下がってきているのかどうか。

○佐々木福利課長
 傾向としては下がりぎみということだそうですが、全体として、地方公務員も採用抑制をずっと行ってきておりますので、その影響ではないかと考えております。組合員数のトレンドを見てみますと、平成23年度は0.7%の減少でしたが、平成20年度は1.5%の減少、平成21年度は1.3%の減少、平成22年度は1.0%の減少ということで、ずっと減になってきておりますので、その影響ではないかと考えております。

○牛丸委員
 そういう意味では、将来的には年金の財政収入にとっては痛いですね。

○佐々木福利課長
 私ども財政再計算をするときには、経済前提は厚年とほぼ同じものを使わせていただいているという形になります。私どもの方で見込むとすれば、組合員数の状況をどう見込むかということが一番大きなところでございます。これにつきましては、今後、また次回、財政再計算、一元化の直前にやると思うのですが、その中で考えていかないといけないと思うのですが、地方公務員の伸びが人口比例で減っていくのか、人口比例以上に減るのかというような観点から見ていく必要があろうかと考えています。以前の財政再計算では人口以上に減ると。
私どもから言うと、ストレステストをかけているぐらいやって、一応長期的にも安心という状況だったのですが、よく考えてみますと、警察とかそういうところというのは、人口に比例して減らないのではないか。それから、学校の先生は人口に比例して減るというのが正しいと思うけれども、少人数学級の要望をどこまで入れるのか考えると、これも人口に対して減らないのではないか。そうすると、警察とか学校を除いた一般行政職のところだけが、行革努力をいえば人口より減る可能性がある。ただ、そうは言っても、国と違って福祉部門のウエートが大きいものですから、福祉部門は人口の高齢化でそんなに減るのかということがありますので、これは、牛丸委員からご同情をいただいているのですが、次回の推計のときは、その辺もじっくり加味して、組合員数を推計してみたいなと。前回のときより、やや、私は組合員数の見込みを強力にやり過ぎたかなと考えておりますので、これはまた次回の財政再計算の宿題にさせていただければと思っております。

○山崎部会長
 野上委員。

○野上委員
 よろしくお願いします。まず、16ページなのですけれども、2つございまして、運用の資産構成の割合が、実は先日、国共済の方に御説明いただいたのですが、国共済の方は、ALMの観点から安全性資産といいますか、債券中心、預託金中心の運用をされているということで、同じ公務員ということで、ポートフォリオを拝見すると、考え方が違うのかなと。その違いを生じる背景、今後どのようにされるのかということをお聞きしたいというのが1点でございます。
もう一つは、次の17ページの表なのですが、ここで見ますと、収入項目で保険料が財政再計算と比べますと、大ざっぱに言って1割ぐらい減額している。主な要因として、賃金上昇率がございましたが、これは地方自治体ごとにいろいろ給与政策等々あると思うのですが、先ほど厚生年金と同じような想定ということだったので、今後、次の財政再計算まで、この1割の差がどんどん増えていって、もしかしたら2割ぐらいになるのではないかと思うのですけれども、そういうトレンドにあるのかどうかというのが1つでございます。以上、よろしくお願いいたします。

○佐々木福利課長
 国共済の積立比率は、今、調べさせますけれども、地共済の積立比率はいいわけです。積立比率がいいということは、積立金を取り崩して、毎年の支出に充てる必然性が割合少ない。そうすると長期に運用できる。国共済の方は、財政投融資の義務的な積立というのもありますけれども、株を持っておくと、株の資産が下がったときの積立、それを売って現金化しないといけないというリスクがありますので、全体として、そういうことが生じづらい債券を中心に運用している。地共済は株をずっと持つことができると思うので、上がるのをがまんできるというところもあるので、割と株を持っています。
そういうことで、積立金については、全体としてはGPIFと同じようなトレンドを地共済は持つのかな、国共済の方がそういうイレギュラーな事情によって出るのかと考えております。
地共済が9.7の積立比率ですけれども、国共済の方は5.8ということで、そういう意味で慎重に運用をしているというのが国共済の考え方だろうと思います。それ以外にできるだけ国債を買いたいという心情があるのかどうかわかりませんが、地共済は地方債を買っているわけですけれども、株式をそれなりに持てているということでございます。
それから、2点目の賃金上昇率のところでございますが、賃金上昇率の数字は、厚生年金と同様の数字を使っているわけですが、私ども見ていますと、地方公共団体は自主的に給与をマイナスカットしているところが結構ございます。ですからいつまでマイナスカットを続けるのかということが1つでございます。
それから、ここに期末手当についても、今後の人勧がどう出ていくのか。これは民間の動向に連動するわけですが、その中で、期末手当の割合が減っていくのかどうかということでございますので、専ら地方公務員の給与がどうなるかということを今後は考えていかないといけないのではないか。そういう意味で、国家公務員の方が7.8%カットが生じていると。新しい政権枠組みの中で地方公務員に対してどういうふうに給与を考えるのか。
一方で、税金の負担、国民の納税者から見る負担は減るということでいいことかもしれません。一方、年金財政にとってみると、そこがベースのところでございますので、地方公務員の給与ベース全体が圧縮していくことは、年金財政としては問題があるかと考えております。この辺も次期財政再計算のときにどう見込むかということはいろいろ考えていきたいと考えております。

○野上委員
 1点だけ、先日、御説明があった社会保障制度の改革の中で、被用者年金4制度を一緒にするというときに、積立比率は4.2に一律減らすと。先ほどの御説明ですと、将来的には安全にシフトしたような運用もあり得るということになるのでしょうか。

○佐々木福利課長
 今、9.7ですが、これは厚生年金側の積立比率が4.2なものですから、4.2で9.7を分けて、その4.2は厚生年金の積立金に分類されます。そうすると厚生年金全体として、どういうポートフォリオで運営していくのかということが今後議論になってきますので、その仕組みが今度の法律でビルトインされていますので、どういうポートフォリオにするのかどうか。その中においても、厚年と全く同じにするのか、それぞれの実施機関の事情を加味するのかどうかということは今後議論になってくる。
4.2で仕分けた残りのところについては、これは職域部分が廃止されますので、職域部分の処理に充てる。職域部分を廃止して保険料を取らなくなります。そうしますと、今、職域部分をもらっている方々の処理のためには、ここのお金を捻出して充てる。ここは旧職域部分のところにどれだけかかるか、年次間の推計が割と的確にできますので、その部分をにらみながら運用していきたいということでございますので、ある程度、株式などを組み込んで運用できるのではないかと地共済側は考えておりますが、恐らく国共済はそこが厚みが弱いところがありますので、もう少し慎重な運用をする必要があるのではないかというのは当事者内での議論の考え方です。

○野上委員
 ありがとうございました。

○山崎部会長
 田中委員。

○田中委員
 すみません、1点だけ教えてください。先ほどの財政調整拠出金の話ですが、このたび、一元化ということになりましたけれども、国共済と地共済の財政調整の仕組みには何か変化があるのでしょうか。

○佐々木福祉課長
 今回の一元化では、厚生年金から見ますと、国と地方ということで分かれて見えない。公務員として一体に見える。もともと公務員の方が財政対応の一元化しているので、厚生年金から見た場合は、公務員全体を見て判断していただくことになります。そういった形になりますので、国と地方の財政調整は引き続き、これまでと同様行うという形で制度は仕組んであります。

○山崎部会長
 よろしいでしょうか。宮武委員。

○宮武部会長代理
 被用者年金の一元化に関連して、先走った質問ですが、一元化が始まると恩給部分の減額が始まるわけですが、追加費用というのは恩給部分の減額によって、総額どれぐらい減ると見ておられますか。

○佐々木福利課長
 追加費用でございますが、一元化で、正確に言うと、1割カットなのですが、現在、現価ベースで9,500億円ぐらいの削減を見込んでおります。9,500億円ぐらいの削減をして、現時点で給付現価がどれぐらい追加費用であるだろうか、約8兆円程度と地方の場合は見込んでいるところでございます。

○山崎部会長
 よろしいでしょうか。
 以上で、地方公務員共済組合の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々には、お忙しい中、どうもありがとうございました。それでは、ご退席ください。

○佐々木福利課長
 ありがとうございました。

(地方公務員共済組合関係者退席)

(私立学校教職員共済制度関係者着席)

○山崎部会長
 続きまして、私立学校教職員共済制度の平成23年度の財政状況について報告を聴取いたします。本日は御説明のため、お忙しい中、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の渡部室長にご出席いただいております。ありがとうございます。
 それでは、御説明ください。

○渡部私学共済室長
 文部科学省私学共済室長をしております渡部と申します。どうぞよろしくお願いします。なお、本日、日本私立学校振興・共済事業団からも担当の方が出席しておりますので、あわせてよろしくお願いいたします。
それでは、平成23年度の私学共済の財政状況につきまして御説明させていただきます。資料の1ページでございますけれども、平成23年度の収支状況の概要でございます。
平成23年度の欄をご覧いただきたいと思いますけれども、収入総額は5,216億円ということで、前年度に比べまして155億円、3.1%の増でございます。時価ベースですと、5,464億円ということでございます。
 内訳でございますが、掛金が3,549億円、国庫負担が1,097億円となっております。運用収入につきましては、簿価ベースで405億円ということで、マイナス24億円となっておりますけれども、正味運用収入のベースで見ますと358億円。時価ベースに直しますと、606億円となっておりまして、時価で見ますと、簿価よりも高い運用収益を上げています。
それから、下の欄、支出総額でございますけれども、5,142億円ということで、前年度に比べまして91億円の増加、1.8%の増でございます。
内訳としましては、給付費が2,718億円。基礎年金拠出金が2,157億円。年金保険者拠出金が219億円。その他48億円ということでございます。
この結果、収支残につきましては、73億円のプラスとなっておりますけれども、時価ベースで見ますと322億円のプラスということでございます。
また、年度末積立金につきましては、3兆4,156億円ということでございまして、前年度に比べまして73億円のプラスとなってございます。
積立金運用利回りにつきましては1.05%、時価ベースですと1.82%となってございます。
次に、2ページにつきましては、先ほどの概要を図にしたものでございますので、説明は省略させていただきます。
3ページでございますが、給付状況でございます。受給権者の数でございますが、平成24年3月末の欄をご覧ください。38万9,100人ということでございまして、前年度に比べまして、1万8,700人、5.1%増となっております。このうち、退年相当が12万300人、私学の特徴でございますが、通退相当が20万4,100人ということで多い人数になってございます。
年金総額につきましては、トータルで3,292億円、前年度に比べまして84億円、2.6%の増となってございます。年金総額では、退年相当の関係が最も多く2,180億円となっております。
次に4ページでございますが、減額支給と増額支給の対象人員と年金総額を掲げてございます。減額支給の対象者につきましては900人、年金総額は11億円。増額支給の方につきましては、対象者が1,000人、年金総額は21億円となってございます。
それから、その下の欄でございますが、男女合計の退職年金平均年金月額につきまして御説明いたします。24年3月末で15万1,035円ということで、前年度に比べまして、1,792円マイナスになってございます。その次の欄でございますけれども、基礎年金の推計値を加算した平均年金月額につきましては、19万636円ということで、こちらも前年度に比べまして1,006円減少となってございます。退職年金平均加入期間につきましては389月でございます。それから、通退年金平均年金月額につきましては、2万5,467円ということでございまして、前年度に比べまして1,064円マイナスとなっております。また、通退年金の平均加入期間につきましては79月ということでございます。
次のページは、今の平均年金月額につきまして、男性、女性別に計上したものでございますので、説明は省略させていただきます。
次に6ページでございますけれども、退職年金平均年金月額につきまして、加入期間20年以上の方の新規裁定の分の月額でございますが、平成24年3月末時点で13万6,241円ということでございますが、前年に比べまして1,872円の減少となっております。平均加入期間は398月となってございます。加入期間自体は前年と余り変わっておりませんけれども、平均の月額が落ちているのは、いわゆる一階部分、特別支給の定額部分の受給対象者が減っていることから、このような形になっております。
次に7ページをご覧いただきたいと思います。こちらは退職年金平均年金月額につきまして、特別支給、本来支給の支給年齢別の受給権者数、年金額の構造別の平均額を計上しております。これにつきましては、現在、定額部分の支給対象は64歳ということでございますので、60歳~63歳までにつきましては定額部分のところはほとんどございませんけれども、64歳の欄をご覧いただきますと、現在の定額部分と基礎年金の推計値を加算した平均年金月額が17万3,668円ということで、前年度に比べまして1万291円の減少になってございます。
定額部分自体の額が4万7,454円ということで、前年度に比べて5,092円落ち込んでおりますが、これは加入期間の減少、あるいは定額の単価につきまして、低い単価の方が増えてきていることから、こういう落ち込みが出ておるというところでございます。
また加給年金部分につきましても、マイナス4,231円ということで減っておりますけれども、これは加給対象者の減少ということでございます。
次の8ページは、先ほどの資料の男性版でございますし、9ページは女性版でございますので省略させていただきたいと思います。
10ページをご覧いただきたいと思います。退職年金受給権者(退年相当)の年齢構成でございます。若い年齢層ほど人数は多いということでございますけれども、男性の平均年齢は71.0歳ということでございますし、女性は72.4歳となっております。全体では71.6歳が平均の年齢でございます。
次に11ページをご覧いただきたいと思います。加入者の状況でございます。上の段の表でございますけれども、加入者数につきましては、24年3月末現在49万2,400人ということで、前年に比べまして7,600人、1.6%の増加となっております。内訳といたしましては、男性は1,600人の増加でしかございませんが、女性が6,000人の増ということで、伸びが2.3%あるという状況でございます。これにつきましては、大学病院の看護師の増加といったようなことが、我々の分析の上ではあるのかと思っておるところでございます。加入者の平均年齢につきましては、男女合計で41.9歳。標準給与月額の平均額につきましては、男女合わせまして36万6,072円ということでございます。前年度に比べまして1,287円、0.4%の減少を示しております。
次に下の段の表でございますが、標準給与月額総額(年度間累計)につきましては、24年3月末は2兆1,600億ということでございまして、前年に比べまして268億円、1.3%の増加になっております。一方、標準賞与総額の(年度間累計)については、前年に比べまして15億円の減少ということで、6,442億円となっております。この2つを合わせた総報酬ベースの標準給与総額につきましては2兆8,041億円でございます。
加入者数の(年度間平均)は49万4,600人。標準給与総額(総報酬ベース)の年度間平均は1人当たり47万2,464円ということで、前年に比べて3,465円マイナスになっておるという状況でございます。
次に12ページをご覧いただきたいと思います。加入者の分布状況でございますが、男女合計の数で、加入期間別、年齢階層別の数でございますけれども、特徴的には加入期間10年未満の方が大変多いということでございまして、5年未満が36.9%、5年以上10年未満が21.9%でございますので、この2つを合わせた割合で58.8%ということで、6割近くが加入期間10年未満の方であるということでございます。
それから、年齢階層別で見ますと、特徴的なのが60歳~65歳、あるいは65歳以上のところの割合が8.4%でございますとか、3.4%というように、比較的多い割合で存在しておるということでございます。
次に13ページでございますが、これは加入者の分布状況の男性版でございます。やはり男性の場合であっても、10年未満の加入期間の人が多い。10年未満の割合は大体48.1%となってございます。
次の14ページが女性の分布状況でございますが、こちらは10年未満の加入者が全体で67.8%ございまして、また年齢階層別で見ますと、20歳~35歳、このあたりで、全体で50.7%という割合を占めております。幼稚園の先生、看護師の方がこういったところに該当しておるのではないかと考えております。
次に15ページをご覧いただきたいと思います。標準給与月額の分布の状況でございます。男性につきましては、一番多いのが、62万円の上限、こちらに張りついておるのが23.8%ということでございます。平均としましては44万3,439円となっております。一方、女性につきましては、大体20万円台に山がございまして、その結果、平均額は30万825円といった状況になっております。
次に16ページ、積立金の運用状況でございます。資産構成でございますが、年度末積立金の合計値は、簿価ベースで3兆4,156億円、時価ベースで3兆4,055億円でございます。この内訳としましては、基本的には有価証券、包括信託を合わせた有価証券等という欄でございますが、ここが81.9%を占めておるわけでございます。このうち、包括信託につきましては、簿価ベースで1兆1,297億円、時価ベースで1兆633億円。有価証券につきましては、1兆6,680億円、時価ベースで1兆7,242億円というような額になっております。国内債券、国内株式等々の内訳につきましては、下の欄に詳細を書いてございますが、省略させていただきます。運用利回りにつきましては、簿価ベースで1.05%、時価ベースで1.82%となっております。
次に17ページでございます。財政再計算における将来見通しとの比較ということでございますけれども、初めに収支状況の比較でございます。収入につきましては、合計で実績は5,216億円。一方、将来見通しの方では、5,368億円を見込んでおりました。結果的に150億円ほど実績が下回ったのですが、時価ベースで見ますと、5,464億円ということで、プラス100億円という結果になっております。
内訳について見ますと、掛金についてはそれほど変わっておりませんけれども、運用収入は、簿価ベースですと260億近くマイナスになっておりますが、時価で見ますとほぼ同等となってございます。ただ、その他の欄で、若干開きがございますが、これは基礎年金拠出金の増加に伴います国庫負担の増が影響しておりまして、260億程度の開きが出ておるというところでございます。
それから、支出でございますが、トータルで、平成23年度の実績は5,142億円、将来見通しは4,907億円でございました。実績の方が多めになっておるわけでございますが、その内訳を見ますと、給付費につきましては、実績が見通しよりも下回ってはいるのですけれども、実はこの263億ばかりの開きというのは、将来見通しの給付費の推計といたしまして、未裁定の人、いわゆる待期者と言っておりますけれども、そうした方がすべて年金を受給するという前提で給付費に反映しております。一方で実績では、未裁定者の方が全員給付を申請しているわけではないという実態がございますので、そういった点が影響しているということが言えようかと思っております。
それから、基礎年金拠出金につきましては、基礎年金拠出金の按分率の増加によりまして、実績が見通しよりも385億円増えている。按分率の増加の要因といたしましては、将来見通し上は加入者の減少ということで推計しておりますけれども、実際は加入者が増えているといったようなことから、按分率の増加ということにつながっていっている面があろうかと思っております。
次に18ページをご覧いただきたいと思います。加入者数及び受給者数の比較でございます。加入者の実績につきましては、49万2,400人、一方、将来見通しでは46万4,200人ということで、実績が2万8,000人ばかり多いということでございます。
一方、受給者につきましては、先ほど申し上げましたような待期者の推計上の違い、特に通退相当のところが18万人ばかり差が出ているということでございますので、結果的に受給者の数が将来見通しでは54万3,700人であったところが、実績は36万3,000人ということでございました。
それから、次の欄、新規の加入者数につきましては、見通しでは4万4,500人という見通しでしたけれども、実績では6万400人ということで、1万6,000人ほど加入者数は多かったということでございます。新規裁定者の数につきましては、見通しでは4万5,800人でしたけれども、実績では4万9,700人ということでございます。
次に脱退者の数につきましては、見通しは5万800人、実績は5万2,800人。失権者につきましては、見通しでは2万3,200人、実績では3万1,000人ということでございました。
続きまして19ページでございます。財政指標の比較ということでございますが、初めに年金扶養比率でございます。平成23年度の年金扶養比率は4.09、ただし、受給権者数ではなくて受給者数で見た場合の率は、括弧にございますように、4.71ということでございました。一方、将来見通しでは、平成23年度は4.32人を見込んでおりましたので、受給者ベースで見ますと実績の方が高い形になっておるということでございます。それから、保険に係る年金扶養比率につきましては、私学共済の場合は追加費用がございませんので、左の年金扶養比率と全く同じ率になっております。
それから、20ページでございますが、これは年金扶養比率を補完する指標ということで、年金種別ごとの費用率をあらわしたものでございます。老齢が7.8ということで、大部分を占めておるということでございます。
次に21ページでございますが、総合費用率でございます。平成23年度の実績は、13.9ということでございまして、将来見通しでは13.5を見込んでおりましたので、0.4ポイントほど実績が高かったということでございます。
次に22ページでございますが、厚生年金相当部分に係る総合費用率、いわゆる一階部分と二階部分の費用率でございますけれども、平成23年度の実績は12.6、見通し上の率は12.6ということで、こちらは全く同じ率になったということでございます。
次に23ページでございますが、独自給付費用率ということでございまして、基本的には二階と三階部分の費用率になろうかと思いますけれども、平成23年度の実績は10.1、一方、財政再計算上の見通しでは、平成23年度は10.4ということで、マイナス0.3ポイントという状況でございました。
次に24ページでございますが、厚生年金相当部分に係る独自給付費用率ということでございまして、二階部分に限っての費用率でございますけれども、平成23年度の実績は8.8、これに対しまして、見通しの率は9.5でございましたので、マイナス0.7ポイントという形になっております。
次に25ページでございますが、保険料比率の状況でございます。平成23年度の実績で見ますと、92.5という数値でございますが、財政再計算上は平成23年度は94.9と見込んでおりましたので、マイナス2.4ポイントほど実績が下回ったということでございます。
次に26ページが収支比率でございます。平成23年度の実績は97.3、ただし、時価ベースで見ますと、括弧にございますように、92.6ということでございました。一方、平成21年財政再計算上は、平成23年度は89.4ということでございましたので、簿価ベースですとプラス7.9、時価ベースですと、プラス3.2の乖離が生じたということでございます。
最後に、27ページが積立比率の状況でございますけれども、平成23年度の積立比率は実績値が8.7、時価ベースで8.6という状況でございました。財政再計算上の見通しでは9.0ということでございましたので、簿価ベース上でマイナス0.3程度の開きが生じたというところでございます。
以上が、平成23年度の私学共済年金の財政状況の概略でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明に関して何か質問等ございますか。佐々木委員。

○佐々木委員
 1点だけお聞かせいただきたいと思います。11ページ目、加入者の変動のところなんですが、これは20年3月末から、毎年大体1%強増えまして、平成23年度も1.6%増えていると。見込みは、先ほどお話あったように、もともと減少の見込みですね。先ほど地方公務員共済の方でも、どういうふうに次回見込むのだろうということが大きな課題だと言われたのですが、年金財政については、毎年1%強増えているということで、好転のファクターだとは思うのですが、一方で、最近、私学経営で非常に厳しい局面にある中で、教育が非常に重要だというのはよくわかるのですが、年金財政と少し離れるのかもわからないですけれども、そういうところはどうなのか、経営的な懸念材料と相反するのかなというのがご質問の部分です。文科大臣みたいなことを言って申しわけないのですが、ちょっと筋違いかもしれませんが、その辺のところをお聞かせいただければと思います。


○渡部私学共済室長
 先ほど総務省の福利課長からもそれに関連してのお話があったかと思いますけれども、学齢人口が落ちていっても、直ちにそれに応じて教職員数がそれに完全比例するような形で落ちていくとはなかなか考えにくい。教育の質の保証ですとか、いろんな私学の経営の観点からも含めてなかなかぴったり一致はしないのだろうと我々は思っております。
一方で、私学共済の財政再計算につきまして、これまでは学齢人口の減少に完全比例する形で加入者が減るだろうという見込みを立てておりまして、その上で100年の安心プランといいますか、その中に組み込んでおったわけですけれども、それでもやっていけるという状況でしたので、そういう意味では、加入者の趨勢の実態を見ていくと、もう少し財政的には好転する要因が大いにあるのではないかと感じているところでございます。

○佐々木委員
 保守的に見られるのは、別にそれは問題ないと思うのですが、一方で、本体の方の経営がどうなるのかということで、それはご質問の意味が違っているのかもわからないですけれども、ありがとうございました。

○翁委員
 短期的には好転材料だと思うのですけれども、長期的に見ますと、少子化が進んでいって加入者が減っていくことを考えますと、そのところの部分が、だんだん時代を経るにしたがって大きくなってまいりますので、長期的にはややそこは保守的に見ておいた方がいいのではないかという感じもいたしますが、そのあたりはどう見られますか。

○渡部私学共済室長
 今のやり方は直ちに減っていくというような形になっておりますので、もう少し、その辺の感覚をどう見ていくのかというのは、もっと研究した上で、次の再計算に反映していければいいなとは思っておりますけれども、どう見込んでいくかというのはなかなか難しいところはございます。こういった今の状況を踏まえて、その辺は研究させてもらいたいと思っております。

○山崎部会長
 田中委員。

○田中委員
 今のお話に関連してなのですが、たしか私学共済の組合員はかなりいろいろな層に分かれていて、1つは大学の教員という層。それも同じ大学にずっと勤めているというわけではなく、他の大学から移ってきた人とか、そういう方もかなりおられて、かなり高齢の方もおられるというのが1つの層。もう一つ、私学の中・高の先生、特に女性の比率の高い、かなり若い方が多い、そういう層。それから、先ほどおっしゃられたような、かなり若い女性、大学病院の看護師の方や幼稚園の先生などもおられたりすると聞いております。
ということで、見込みが非常に難しいと思うのです。また、地方と首都圏でかなりまた様相が違っていると思いますので、難しいとは思うのですけれども、いわゆる組合員数の予測に関しましても、幾つかのブロックに分けて、将来見通しをつくっていくとか、あるいはこれからの大学の設置基準などもよくわかりませんけれども、そういったことも多少加味して、短期的な見通しをつくるとか、長期的には、恐らく学童数の減少にも関係はすると思いますけれども、いろいろな工夫をされているのだろうと思うのですが、現状、どういうような予測をされているのか、今後どのような仕組みをつくっていけばよいか、現在考えられていることで結構でございますので、お教えいただきたい。

○渡部私学共済室長
 加入者数の見込みにつきましては、先ほど申し上げましたように、全国ベースでの数について学齢人口、大学の教職員であれば、18歳人口とか、その辺の固まりがどう推移していくか、それに応じて完全比例する形で減少させておるわけです。そういうことでやっているのが実態と乖離しているのは当然把握されているのですけれども、これをブロック別にやること自体は、どこまでの正確な見込み方ができるのか、少し難しいのではないかと思っていますので、学校種別ごとにどう見込んでいくかというのは1つの見方としてはあるのかなと。そのときに、今みたいな形でのそれぞれの学齢人口に応じた完全比例減少というようなことが果たしていいのか。そこをもう少し工夫してやっていく必要があるのかなということは思っております。けれども、それ以上のことは今のところはなかなか研究されておりませんので、今後、もう少しその辺も含めて研究させてもらいたいと思っております。

○田中委員
 わかりました。

○山崎部会長
 牛丸委員。

○牛丸委員
 12ページ及び14ページでしょうか、先ほど御説明がありましたように、私学共済の場合の特徴は、加入期間の短い人たちの割合が高いことです。男女合計でも5年未満、特に女性の場合にはそれが高い。次の5年~10年へいきますと、がたっと下がりますね。ということは、この5年以内という人は今度は5年後を見なければいけないのでしょうけれども、そういうことを無視して見ますと、結局この5年間でこの制度から出て行った。残っているのは残っているのですが、出て行ってしまった方がかなりいる。この行き先はわかるのですか。要するに私学共済以外の、先ほど保育園・幼稚園、病院の看護師さんとか、そういうお話がありましたが、そういう人たちが私学共済から出て行って、どこが受け入れているのか。もしおわかりになれば教えていただきたいのです。

○渡部私学共済室長
 対象者につきましては、今、お話ございましたように、恐らく幼稚園の先生方だと思いますけれども、大体5~6年でおやめになっていっているのが実態でございますので、その行き先につきましては、我々も調査はしておりませんので何とも言いようがないのですけれども、そのままご結婚されて国民年金の第3号になっておられるのか、あるいは再就職して、民間会社に入っている可能性がなきにしもあらずですが、そこは把握はしておらないですね。

○牛丸委員
 これは年金財政で考えた場合にどうなのでしょうか。毎年こういう状態ですから、別に不安定要因にはならないかもしれません。こういう人たちは所得がそれほど高くないから、これだけいても、保険料収入の増加にはそれほど寄与しないかな。そういう意味では、全体の年金財政を考えた場合には余り不安定要因にならないと見てよろしいのでしょうか。

○渡部私学共済室長
 今の制度を前提にいたしますと、加入期間が短い方は給付率が低かったりしますので、むしろ全体費用が少ししぼむ方に作用していると。そういうことが、逆にいえば、保険料率の低さにも影響しているのかなと思っております。

○山崎部会長
 野上委員。

○野上委員
 待期者の話なのでございますが、17ページの数字を見ますと、金額的に大きなものがございまして、人数的にも18万人という、先ほど御説明がありましたが、今度、被用者年金が一元化して、そのときに、例えば3号被保険者の場合はちょっと別かもしれませんが、厚生年金に入っておられる方で、厚生年金の請求をした場合、私学共済に昔入っていた人は自動的に請求したことになるのか。あるいは、まだ、そこまで制度設計されてないというのが多分お答えになるとは思うのですが、そのあたり、多分今まで以上に対応しておかないと、一元化した後は、請求してないから払わないということは言えなくなるのではないかという気はいたします。

○佐藤私学共済室長補佐
 被用者年金一元化後は年金の請求はワンストップサービスをしようということで、今、制度設計を考えておりますので、厚生年金の期間ということで、どこかの年金事務所に請求いただければ、期間としては1つということになりますので、同時に私学共済の年金も出るというような格好で、今、制度設計を考えております。

○山崎部会長
 宮武委員。

○宮武部会長代理
 時間が余ったので余計なことを聞きますけれども、10ページに退職年金受給権者(退年相当)の年齢構成が書いてあって、私学71.6歳というのは男女合計ですね。私どもずっと4つの報告を聞いていて、私学が一番平均年齢が低いのですね。何か思い当たる理由はありますか。

○渡部私学共済室長
 すみません、よそと比較してなぜ短いかというところはちょっと研究しておりません。

○山崎部会長
 よろしいでしょうか。駒村委員。

○駒村委員
 先ほどの牛丸委員のご質問に重なるところですけれども、5年未満の方の割合が非常に大きいというところなのですけれども、傾向としてはどうなのでしょうか。平成23年度が女性で44%ですけれども、これは減少傾向みたいな形になっているのでしょうか。幼稚園も現在、幼稚園児童の数が急激に減っていて、地方の幼稚園ではなかなか経営が難しくなっているので、もしかしたら幼稚園教諭が減少傾向に入っていて、5年未満のところ、先ほど財政的にはメリット部分でありますけれども、これは傾向としては減少傾向であるのか、余り変わっていないのか、そこだけお願いできますか。

○渡部私学共済室長
 前年度のベースで申し上げますと、女性の5年未満が45.1%でございましたので、若干減っているということは言えようかと思っています。それが幼稚園の教員が減っているからということで単純に言えるかどうかはちょっとわからないのですけれども、看護師の関係もございます。幼稚園の加入者自体は増えているようでございます。

○駒村委員
 これ、たまたま2時点で変動したのか、それとも傾向的なものかどうかはわからないですね。

○渡部私学共済室長
 今のところ、傾向的には変わってないような状況ということでございます。

○山崎部会長
 他にございますでしょうか。
 それでは、以上で、私立学校教職員共済制度の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々にはお忙しい中をありがとうございました。それでは、ご退席ください。

(私立学校教職員共済制度関係者退席)

○山崎部会長
 以上をもちまして、平成23年度の財政状況についての報告の聴取がすべて終了しました。
この後の取扱いですけれども、今回の平成23年度につきましても例年どおり公的年金財政状況報告を作成したらいかがと考えていますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○山崎部会長
 では、そのようにいたします。報告書の作成に当たっては、分析手法等の技術的検討や分析作業を行うために技術作業班を、報告書の内容をわかりやすくし、より有意義なものとする検討作業を行うために検討作業班を設置して、効率的に作業を進めたいと思います。
なお、これまでは、技術作業委員会と検討小委員会において、こうした作業を行っていただいておりましたが、今回、こうした現状を踏まえ、作業班としての位置づけを明確にするため、改めて、これらの作業班を設置するものでございます。
それぞれの作業班の構成は、技術作業班につきましては、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員の4名、検討作業班につきましては、牛丸委員、翁委員、駒村委員、宮武委員と私の5名としたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○山崎部会長
 それでは、そのようにいたします。
今後の予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○清水首席年金数理官
 今後の日程につきましては、調整してご連絡させていただきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

○山崎部会長
 それでは、予定より少し早くなりましたが、本日はこれまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室
(代)03-5253-1111(内線3382)

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