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2012年12月10日 第4回 厚生年金基金制度に関する専門委員会 議事録
年金局
○日時
平成24年12月10日(月) 14:00~16:00
○場所
中央合同庁舎第5号館12階専用第12会議室
○議題
関係団体からのヒアリング
○議事
○神野委員長 定刻よりちょっと前なのですが、駒村委員は事前におくれての御出席という連絡をいただいておりますので、第4回の「社会保障審議会年金部会『厚生年金基金制度に関する専門委員会』」を開催したいと存じます。
ことしも押し迫りまして、委員の皆様方には、何かとお忙しい年の瀬ではございますけれども、御出席いただきまして本当にありがとうございます。心より感謝申し上げる次第でございます。
また、本日はヒアリングのために、お忙しいところを貴重な時間をお割きいただいて御列席いただいております御関連の皆様方には、心より感謝を申し上げる次第でございます。
本日は、山本委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。山本委員の代理として、栃原参考人が御出席いただけるということでございますので、代理として参考人の御出席について御承認をいただければと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神野委員長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、議事に入らせていただきますので、カメラの方には恐縮でございますが、ここで退室をお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○神野委員長 それでは、議事に入りたいと思いますが、お手元の議事次第にございますように、本日の議事として準備させていただいている案件は、関係団体からのヒアリングということでございます。
本日は、企業年金連合会、全国総合厚生年金基金協議会、企業年金連絡協議会、全国中小企業団体中央会の4つの団体の皆様方からヒアリングを頂戴したいと考えております。
まず、事務局のほうから資料の確認についてお願いできるでしょうか。
○渡辺課長 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、たくさん資料をお配りしておりますので、もし抜けているもの等あれば、お知らせください。
まず資料1でございますが、本日意見陳述をいただく、今お話のございました4つの団体と、それから意見陳述をいただく方のお名前でございます。
資料2-1と2-2は、最初に意見陳述いただきます企業年金連合会の資料ということでございます。
資料3は、2番目に意見陳述をいただきます全国総合厚生年金基金協議会の資料でございます。
資料4-1と4-2でございますが、これは3番目に意見陳述をいただきます企業年金連絡協議会の資料でございます。
最後に資料5-1から5-4まででございますけれども、最後に意見陳述をいただきます全国中小企業団体中央会の資料ということでございます。
もし落丁等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
それでは、順次関係の皆様方からヒアリングを頂戴したいと思います。
それでは、まず初めに企業年金連合会の村瀬様より、御発表をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○企業年金連合会理事長 村瀬様 企業年金連合会の村瀬でございます。
お手元にお配りいたしましたレジュメに沿って意見を述べさせていただきたいと思います。
本日は発言を与えていただきまして、委員長並びに委員、厚生労働省の皆様に対して感謝を申し上げたいと思います。
まず企業年金連合会の事業につきまして、簡単にお話をさせていただきたいと思います。
企業年金連合会は、昭和42年厚生年金保険法に基づきまして、厚生年金基金連合会として設立されております。
そして、平成16年の年金制度改正によりまして、平成17年10月より企業年金連合会として改組されております。
お手元に資料を配っておりませんので、口頭でずっと説明になります。
これまでの厚生年金基金に確定給付企業年金と確定拠出年金を加え、会員だけではなく、全ての企業年金の年金通算事業を行う企業年金の通算センターとして、また、企業年金制度の拡充、発展のために制度改善、税制改正、規制緩和等に積極的に取り組むべく、企業年金のナショナルセンターとして新たにスタートしてございます。
さらに客観的かつ中立的な立場から会員に対する各種情報の提供、相談、助言及び役職員研修など、会員の健全な発展のために必要な事業、我々は会員支援事業と言っておりますけれども、これを行っております。
なお、通算センター事業を行うためにお預かりした資産が、現在9兆7,000億ほどございまして、これを運用し、450万人の方々に対して年金の支給もしてございます。
現在、連合会の会員である企業年金は、厚生年金基金が571基金、確定給付企業年金が817基金、確定拠出年金が128企業、合計1,516の会員を擁しております。
会員総数で言いますと、加入者で850万人、受給者で380万人、厚生年金基金がこのうち440万人の加入者、厚生年金が270万人の受給者を抱えております。
この加入者数、受給者数を全体の中で見て多いと見るか、少ないと見るかにつきましては意見が分かれるところかもしれませんけれども、私自身は多くの方々に加入していただいていると考えております。
本日、私は今般の厚生労働省試案に対する、このたびの厚生年金基金制度の改革に当たり、進め方だとか、基本的な考え方につきまして、お話しをさせていただく所存でございます。
連合会は事業運営を行っている関係で、会員の代表によりまして政策委員会を設置してございます。
きょうお配りしています資料は政策委員会で議論していただいた意見書でございます。
今までも財政運営基準の見直しであるとか、税制改正要望、企業年金制度の見直し等につきまして、適宜厚生労働省等へ意見具申を行ってまいりましたところでございます。
本日は、11月2日に提示されました、厚生労働省試案に対しまして、政策委員会において29日に取りまとめた意見書をベースにお話を申し上げたいと思います。
細かな試案に盛り込まれました個別論点につきましては、先ほど御紹介がありました全国総合厚生年金基金協議会も詳細な説明があると思いますので、私のほうは、どちらかと言いますと、総論的な話をさせていただきたいと考えております。
それでは、厚生労働省の進め方に対しまして意見を申し上げたいと思います。
この専門委員会に先立ちまして有識者会議が行われておりまして、7月6日に取りまとめられた報告書では、代行制度の存続廃止は、両論併記ということになっていたと記憶しております。
一方、9月28日に開催されました厚生労働省の特別対策本部では唐突に方針を翻し、健全な運営、財政状況にある厚生年金基金まで一律廃止の方向が示されたということで大変遺憾に思っている次第でございます。
この間も各基金は、AIJ詐欺事件以降改正されました財政運営基準や、資産運用体制の見直しにも対応しようと努力しており、基金の状況を把握しているはずの厚生労働省の施策の進め方に、残念ながら疑問を感じずにはいられません。
こうした厚生労働省の進め方に、報道の影響がありまして基金関係者の不安、不審を招き、事業運営現場には大きな風評被害や混乱をもたらしていることも認識していただけたらと思います。
私が申し上げたいのは、現場の生の声である基金関係者の意見並びに基金に加入している中小企業の経営者、従業員、受給者の声をしっかりお聞きいただきまして、方向を決めていただきたいということでございます。
本日は時間も限られておりますので、今回、厚生労働省から示されております試案のうち2点に絞って私からお話をさせていただきたいと思います。
1つ目は、基金関係者が納得できないのは、やはり厚生年金基金を10年で一律廃止にするという点でございます。
当初AIJ詐欺事件の被害に端を発した対策のために、今後こうした事件を起こさないように金融行政、厚生労働行政両面から資産運用のあり方について検討していこうというのが議論の発端であったと記憶してございます。これが厚生年金基金の一律廃止にまでいってしまいました。
御承知のように、金融市場が不安定で、震災の影響もあり、経済、社会が必ずしも以前の状況に戻ったとは言えない大変厳しい環境下で、代行割れ基金が多いとか、最近の不安定な市場の状況が続けば、健全な基金でも代行割れリスクが大きいといった悲観的な想定で、あたかも厚生年金基金全てが継続できないのではないかといった議論がなされているように思えてなりません。
現状でも7割の基金は、厚生労働省が定めた財政運営上の継続基準を満たしております。厚生労働省が定めた基準を満たしながら運営されている基金が、なぜ強制的に解散代行返上なのか、もし基準とか制度がよくないということであれば、まずその基準、制度の見直しから行うべきではないでしょうか。最低責任準備金と給付現価負担金の考え方につきましては、今後議論がなされると思いますが、改めて整理すべき事項であり、制度設計の問題を現在の運用環境の悪化に一時的に結果だけで判断されることは、企業運営現場を担う基金の志をくじくものになりかねません。
また、厚生労働省は基金制度の持続可能性を検討するに当たり、その前提となる将来の経済見通しについて提示していないため、リスクをヘッジできる企業があるのか、厚生年金基金以外の確定給付企業年金や確定拠出金年金といった企業年金であれば十分なパフォーマンスが得られるのか。厚生年金本体は、果たしてどうなるのかなどについては全く不明であり、厚生年金基金だけを殊さらに深刻な状況となるような資料の提示は全く遺憾であります。
厚生年金本体の想定利回りは4.1%ですから、厚生労働省がこれまでこのような厳しい条件を想定して、他の年金制度を議論してきたことはないのではないかと思いますが、いずれにしても、厚生年金基金の代行割れのみに着目して議論することは偏った視点だと思います。
企業年金制度は、あえて言わせていただきますけれども、厚生労働省の指導・監督のもと、労使が協力しながら40年以上にわたって続いてきた制度でございます。
就職してから亡くなるまで60年から70年に及ぶ長い期間お世話になる制度ですから、30年、40年では掛金の払い込みはようやく終わり、多くの方々がようやく年金受給が始まろうという時期に差しかかっているのではないかと思います。
それが、残念ながら短期間の議論で役割を終えるような制度では、誰が安心して掛金を支払ってくれるのでしょうか。
もちろん企業年金を続けられない基金に対して自助を基本としつつ、母体事業所の負担に配慮し、分割納付期間をより長くする等々、ぜひとも早急に検討を進めていただきたい項目もございます。まさに、その部分は喫緊の課題ではないかと考えております。
また、この機会に基金制度を見直すという基金に対しては、企業年金が維持できるようなさまざまな受け皿をしっかりと策定して道筋を示してあげるのが重要ではないかと考えております。
一方、この危急にあっても制度を改革しながら、何とか将来につなげようと努力されている基金も多いのが実情でございます。
昨今の経済、社会の変化はとても早くなっており、企業年金が大きな転換点を迎えていることは確かだと思いますが、まず現在の制度を維持することが本当にできないのか、しっかり議論をしていただく必要があるのではないかと考えております。
一度企業年金の芽を摘めば、再び立ち上がるまでには長い期間が必要になってきます。仮に他の企業年金への影響を目指すとしても、試案のような強制的な一律廃止は早急過ぎ、厚生年金基金を続ける意思のある基金に対しては、続ける選択肢も残しつつ、移行は基金の判断に任せる方法もあるのではないでしょうか。
制度の廃止は、AIJ詐欺事件や運用環境の悪化という厳しい財政状況にあるにもかかわらず、受給者、加入者の受給権確保と老後の所得保障のために、事業主と一体となって財政健全化に取り組んでいる基金関係者の懸命な運営努力を無に帰するものであります。
企業年金連合会といたしましては、代行制度の廃止ではなく、健全な厚生年金基金については制度を続けていくことも可能となるような御議論をいただきたいと切に要望するものでございます。
本専門委員会の議論の結果は、多くの方、特に現在基金から年金をお受けになっている受給者の生活所得保障に多大な影響を与えることを踏まえつつ、しっかりと御検討をお願いしたい次第でございます。
大きな2つ目は、厚生年金基金制度のあり方を考えるに当たって、社会保障制度全体での見直しとあわせて、我が国の年金制度全体の中での企業年金の位置づけ、特に中小企業の年金をどのように考えるかという観点が必要であると考えております。
そのためには、厚生年金保険制度の将来展望の中で、基金制度のあるべき姿を論じるのが基本ではないかと考えております。
厚生年金基金制度の廃止は、他の企業年金に移行できず、多くの基金の解散を招くのではないかと危惧しております。
先ごろ制度が廃止されました適格退職年金の二の舞にならないかと心配をしている次第でございます。適格退職年金の廃止につきまして企業年金へ移行できたのは3割で、7割については廃止されたと聞いております。大企業と中小企業の格差という観点で考えれば、厚生年金基金制度の廃止により格差が広がる可能性があることをもっと真摯に考えていただきたいと思っております。
私は、公的年金が縮減、例えば給付年齢が引き上がる、給付水準が下がる等々、これから検討されていくことと思いますけれども、企業年金は少ないとはいえ、老後の生活を支える上で、これまで以上に不可欠な制度ではないかと考えております。
いま一度申し上げますけれども、企業年金を廃止してしまえば、再び立ち上がるには大変な努力と時間が必要になってまいります。今後も継続を希望する基金には厚生年金を継続することを認め、新たな道を模索したいという基金に対しては、例えば単独では事業運営が厳しいと判断された基金の場合については、合併であるとか合同運用等、何らかのスケールメリットを生かす道も考えられないかと思っております。
どちらにしても、今後基金が存続をしましても厚生労働省の厳しい指導、監督が必要になってくるのだろうと思っております。
また、全く発想を変えたアプローチ、例えば中小企業の経営者並びにその企業にお勤めの皆さんが希望の持てるような受け皿、安心で安全で税制メリットがあり、無理な利回りを追求しない、このような新しい制度の創設も一考だということでお考えいただけたらと思います。そうすれば、おのずから厚生労働省が考える道筋も見えてくるのではないかと考えております。
最後になりますけれども、厚生年金基金に対する逆風が続く中、あえて基金の一律廃止に反対する姿勢を示すことは、私は大変な勇気と覚悟が要るものだと思っております。
その覚悟とは何かと言いますと、厚生年金基金を取り巻く状況が厳しい中で、加入者、受給者の老後の安心をしっかり保障したいという覚悟であると思います。
そうした覚悟には、当然責任が伴うことも十分認識した上で、こうした主張をしている基金関係者の意見に耳を傾け、今後の検討を丁寧に進めていただけるよう、また心から切にお願い申し上げる次第でございます。
以上でございます。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
大きく論点を2点に絞りながら御主張を披歴いただきました。
それでは、今の御説明につきまして、委員の皆様方から何か御質問があれば頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。
特にございませんか。いずれも本質的な問題を主張していただいたのですが、いいですか。御質問は、よろしいですか。
それでは、特に御質問がないようでございますけれども、本当に本質的な問題の御指摘をいただきましてありがとうございます。
○企業年金連合会理事長 村瀬様 よろしくお願い申し上げます。
○神野委員長 それでは、以上をもちまして企業年金連合会からのヒアリングを閉じさせていただければと思います。
どうもありがとうございます。
(説明者交代)
○神野委員長 それでは、引き続きまして全国総合厚生年金基金協議会の山崎様に意見の御発表を頂戴したいと思います。
おおむね30分程度でお願いできればと思っております。よろしく御協力方、お願いいたします。
○全国総合厚生年金基金協議会理事 山崎様 ありがとうございます。東京実業厚生年金基金常務理事の山崎と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
まず最初に、このような場を設けていただきましたことにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。
説明に入ります前に、厚生年金基金の代行制度の扱いについて一言申し上げたいと思います。
今ほど連合会の村瀬理事長からもお話がありましたけれども、厚生年金基金の代行制度の扱いにつきまして、先だっての厚労省の有識者会議、ここでのまとめでは両論併記でございました。それも多くの委員が制度廃止に慎重であったと聞いておりますが、そのお声を無視しての今回の議論の進め方に対しては大変遺憾であり、残念と言わざるを得ません。
この有識者会議には、私どもも意見を述べさせていただきましたけれども、結果として、今日段階で何も意味をなさなかった、そういう無力感が残るわけであります。
そこで、今回の参考人説明につきまして、出席すべきか否かということで、内部で協議をいたしましたが、何事も言わなければ始まらないと、そういう意見になり、出席させていただくことになりました。
この際、何とぞ関係者意見として真摯に耳を傾けていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
今、基金の現場では、各種改善策を検討中でございます。基金を継続するという前提で今までもやっていき、引き続き検討している最中でのたび重なる強引な廃止誘導によって、多くの事業所から任意脱退が過去にないほど出ております。また、受給者等からは多数の不安の声が相次いでおり、対応に苦慮しております。
まず、このことにつきまして、委員の皆様にぜひこの現場のことの御理解をお願いするとともに、存続を含めた議論を深めていただきますよう要望いたします。
そこで、本日の説明の大きなポイント、2点でございます。
1つは、今、指摘されております代行割れには、その根拠に問題があるのではないかということ。
あと一点は、廃止によるデメリット、これは基金の必要性ということであります。
ぜひこの際、存続希望の基金と廃止を要望している基金とを分けて御議論をお願いしたと考えております。
なお、この2点の説明の中で、前回のこの委員会で山口委員から給付現価負担金にかかる発言がございました。これは、私どもとしては大変重要な制度で、法律事項でありますことから、本日我々からも簡単な説明をいたしますけれども、後日行政のほうからこの制度の意味合いを含めて詳しく説明していただくようにお願い申し上げます。
したがいまして、本日の私どもの意見としては廃止を前提に進める、この試案内容について、例えば財政が相当悪化している基金に対する特例解散の措置など、一段の緩和策を進めていただきたいこと。
また、お願いしたいこともある一方で、一例といたしまして、支払保障事業というのがございます。この見直し案のように、現在でも代行割れの基金にとって受益なき拠出金負担を行っている、この会員共済制度、これをさらなる不公平な制度に移行しようとする試案につきましては、企業年金連合会と別途対応協議したいと考えております。
いろいろと問題はありますけれども、本日は、多くは入り口論での説明として、したがって、試案内容につきましては、多くはコメントせず、別途対応したいと考えております。
資料説明に入ります。
限られた時間ですので、簡単に御説明を申し上げます。
資料を開いていただきまして2枚目でございます。一律廃止に対する意見、要旨でございます。
それをさらに開いていただきまして、1ページ、ここは最初のポイントと言いました代行割れについて誤解がありますという主張でございます。後ほど、その中身について御説明いたしますので、カラー刷りの部分をごらんください。
1つ目、原因は運用環境によるもので全ての年金に影響しております。
2つ目、財政運営方法を是正すれば、代行割れは改善する。また、給付現価負担金のこともあります。
3つ目、将来の代行割れ懸念があるという説がございますが、今回全ての基金が運用方法を見直すことになっております。
また、期ずれが解消されれば、より本体の資産構成を意識したポートフォリオの構築が可能となり、本体に対して劣後するということを防げることになると思っております。
一番下、4つ目ですが、代行部分を持っていることによる規模によるメリット等があります。後ほど御説明いたします。
めくっていただきまして2ページでございます。必要性、メリットということでございます。
一番上のカラー刷りの部分でございます。メリット面は、列記のとおりでございますが、文の中で1行目、一番最後のつなぎ年金について補足いたしますと、ここに本日御出席の委員の方の記事の紹介になりますけれども、通常、各基金では事業主加入等に向けた広報誌を作成しております。当基金もそうですけれども、今年の新年号にその方の記事を掲載している基金が多数ございます。これは、2つの出版社から御本人への執筆依頼によるものでございますが、その記述内容として紹介すると、基金は厚生年金の補完だけではなく、つなぎ年金としての役割もある。そして、今後ますます重要と書いてあり、2社それぞれ若干内容が異なりますけれども、ほぼ同様の内容でございます。
これを見て、多くの事業主、加入員等が安心していると思われます。こういうメリットもあるので引き続き御理解、御支援をお願いしたいと思っております。
この部分でもう一つ、無年金と書いてあります。この無年金について我々が調べた数字がございます。ただ、数字がひとり歩きするとまずいということで、ここではあえて申し上げません。
しかしながら、恐らく決して無視できる数ではない。かなりの数であるということだけ本日は申し上げておきます。
2つ目、記載のとおり公的年金の相談等も行っております。
3つ目、廃止により加算部分の退職金の一部について、一方的廃止は許されるのか。
4つ目、総合基金の1社当たりの加入は40人程度であります。これは、適年よりも小規模であります。新しい移行先が絵に描いた餅のようなことにならないか疑問があるということでございます。
一番下、受け皿のことでありますが、まず、順序として受け皿をつくることが先ではないかという主張でございます。
「III 新特例解散基準について」ということで、評価できる部分もあるわけでありますが、いずれにしても本体の収納状況、そういうことを比べても基金への対応は厳しい。公平論からの意見であります。
次に3ページをお願いします。
これは、今申し上げたことのそれぞれ中身でございます。「1.代行割れの原因」。これは申すまでもなく運用環境の影響であって他の制度も同様です。なぜ基金だけが廃止となるのかということでございます。
参考として資料1をごらんいただけますか。10ページでございます。
これは、厚労省の資料を勝手に使っているわけですが、ここでは平成9年まで簿価で動いていた。このときも、本当はボラティリティー、市場の乱高下があったのですが、この表を見る限りでは、このときはそう動きがなかったというふうに見られるわけでございます。
その後が激しく動いているように見えるのですが、次のページをごらんいただけますか、資料2であります。
実際には、内外の株式はずっと前からこれだけ乱高下していたということの証明であります。この間ずっと過去から基金の財政が悪かったかと言うと、そうではありません。これは、基金の基準の持ち方一つ、基準によって基金が影響を受けるということであって、私どもでは、すなわちこのボラティリティーに合った財政運営基準の緩和が必要であると、そういう意味の資料であります。
3ページに戻っていただきまして、下のほうの2番ですが、大きなお世話かもわかりませんが、参考として各制度の積立状況を記載しております。
ごらんのように、いずれの制度も厳しいということがわかります。中退共あるいは確定拠出、これも行き先として想定されていると思いますけれども、必ずしも万全ではないということを証明していると思います。
ちょっと時間の関係で急ぎます。4ページをお願いいたします。
今ほど言いました財政運営基準の緩和の関係で、それより先に期ずれ、0.875の是正で、それだけでも代行割れが減少する、そういう説明であります。これは、信託業者の協力で試算しております。専門用語でありますが、まず①の期ずれということにつきまして、少し説明させていただきますと、本体との財政中立化を受けて基金の運用目標は、本体と同じ本体実績になりました。
ところが、今の仕組みでは基金の23年度決算、これは本体のおおむね21年度、1年9カ月前の高い収益率が反映され、したがいまして基金にとっては、23年度決算は厳しく出る年であります。
逆に来年度、基金の24年度は、本体の22年度はマイナス運用でありましたので、このマイナス実績がおおむね反映される。
したがいまして、基金にとって24年度決算は低いハードルになります。来年の決算をごらんいただきますと、恐らく改善する可能性が高いということを言っております。
②0.875でございます。これは、基金に対する不整合な措置であって、本来見直すべきで約束ごとにもなっているにもかかわらず、長いこと放置されてきました。
今回ようやく見直し案が出ました。ただし、この根拠が全くわかりません。我々は0.9で仮置きの計算をしました。それが、ここの表であります。これは、0.875という現在でも正しくないと思われるものではありますが、我々には計算ができないので、生命表の伸びなどを勘案して推計したもの。これだけでも代行割れが減少する、そういう試算であります。
しかし、今回の厚労省試案内容では、ほとんどの基金の債務に影響がない。それだけ説明しているわけでありますが、到底理解できず、根拠も不十分であると考えております。
この際、今まで申し上げているように、正確に7号方式で計算すべきであるということを改めて強く主張するものであります。
5ページをお願いいたします。
前のページのものに、特別掛金を反映すると、さらに減少するという試算であります。
資料3、12ページをお願いいたします。
これは、有識者会議でも説明した資料でございますが、基金の決算をあらわしております。損益構造であります。指定基金の例、この基金は、代行部分が債務の80億、左から資産が64億、8割であります。したがいまして、9割を切っておりますので指定基金であります。
しかしながら、未収資産のところをごらんいただきますと、未償却過去勤務債務31億があります。これを加えると80億になると、これは継続基準で言う、そういうものをクリアするのではないかということであります。
ここで言う未償却過去勤務債務というのは大臣認可事項でもありますので、十分それが説明できる数字ではないかと思っております。
また、長期的にも記載のとおり、下に四角で囲ってありますけれども、低利回りで運営が可能と考えております。
この点は、有識者会議でも説明済みなので、本日は簡単な説明といたします。
6ページをお願いいたします。
1つ目、規模のメリットがあるということでございます。大きければいい、小さければいいということではなくて、厚生年金基金規模くらいのほうが一番成果を出しやすいと我々は思っております。
2つ目のところですが、代行デメリット意見に対して運用方法を見直しするということが、今回ガイドラインが出て義務化されております。この見直しで極小化が可能という見解であります。
これには、加算分の予定利率を引き下げやすく、緩和することでさらに安定化が図れるという要望でございます。
3つ目でございますが、企業経営への影響。大企業が代行返上したと、これは退職金会計の導入が要因であります。
厚労省は、可能な限り、DB、DCへの移行を推進してきたはずであります。
したがいまして、その時点で残ると思われた中小企業の総合基金を存続させるべき対策を講じるべきであったと思いますし、講じてきたのではなかったということであります。
次に7ページをお願いいたします。
廃止することによって不公平がたくさんあります。最初の不公平は年金ではなくて、一時金を選択したと、こういう人が得をするという不公平があります。これはごらんのとおりでございます。
ここにはいろいろ説明しなければいけないような手続、受給者減額等があるわけです。ここはまた後でごらんいただきたいのですが、受給権というのは、いろんな手法によって差があってよいのかという説明であります。
次に8ページをお願いいたします。前のページの続きでございます。
受給権消滅の影響。加算分は退職金の一部になっていることが多い。一律廃止は本当に問題ないのか、疑問があります。
また、昭和60年代あるいは平成前半に設立された若い基金が多数ございます。割合としては非常に多いわけでありますが、したがって、加入期間が短い。それでも全基金1人当たり平均年金額は月額1万4,000円強という数字であります。これは、現在の年金受給者の年金額であります。勤めていて停止に入っている部分も入っていますが、これは退職すれば満額支給になると、そういうデータでございます。
これらは、年々上昇します。決して無視していい額ではないと考えておりますが、いかがでしょうか。
受給者は毎年増加し、まさにこれからが使命を果たすときである。これにつきまして、厚労省は基金から支給される4万円のうち2割が加算分であるという説明をし、辻前副大臣は、モデル年金3万8,000円のうち8,000円が加算分であるという説明をし、朝日新聞の社説では、月7,000円の年金は、年金とは言えないと切って捨てております。できれば、その根拠をそれぞれ教えていただきたいと思っております。
9ページをお願いいたします。
受け皿のことであります。確定拠出への移行が狙いだと思いますけれども、そもそも平均40人の事業所に机上の論理が通用するのか。例えば投資教育、運用結果責任などの疑問があります。移行できなければ、大企業と中小企業に年金格差、税制格差が生じるということに疑問があると考えております。
次は資料集のほうをお願いいたします。資料4でございます。
基金数の推移でございます。最近新設がないのは、この制度に魅力がない、役割が終わったからだということを言われる方がいらっしゃいます。ごらんのように、人員要件でありますけれども、制度が始まって最初は5,000人でありました。これが平成になって3,000人に緩和されております。ごらんのようにここで増加しております。そして、それが平成17年、ここで規制強化で5,000人に戻しております。
このようなこともあり、ある程度の組織のあるところは、もう既につくってしまっていると、これからつくるところがそもそも出なくなっているのではないかというようなことで魅力がないというようなこととは違うのではないかという資料であります。
次が資料5でございます。
1万4,000円、これを年金として魅力がないというようなことが言えるのかということでありますけれども、我々は意味のある金額だと考えております。
そして、この金額は、先ほど言いましたように、まだ若い基金がたくさんあります。したがいまして、1年1年加入期間が延びていきます。年金額もふえているというようなことで、中小企業の従業員の老後の生活は大企業の従業員と比べて給料が現役時代低かったというようなこと等もあって、これが決して無駄になる、そういうことではないと考えております。
次の15ページ、資料6でございます。
個別基金にとって免除料率が適正かという観点の資料でございます。免除料率のところをごらんいただきますと、少なくともこの制度が発足してから平成6年まで免除料率は一本でございました。
この計算は、例えば加入員の年齢が若い基金ほど有利、恐らく総合型の多くは収入不足であったと考えております。そういう趣旨の資料でございます。
次に資料7をお願いいたします。
ここは冒頭でも申し上げました、先日の山口委員の発言について、我々の立場からまとめたものでありますが、委員から、本体は給付現価負担金を払ってまで基金を支える理由はないという御意見でございました。
聞きようによっては、本体の財政が厳しいので基金を切り捨てるべきだったと、そういうふうにもとれるわけですが、それは別として、この給付現価負担金は、代行制度の公平性の問題であって、当然基金に支払われるべき性格であるということをここに書いてあります。
平成11年、1999年、本体が予定利率を下げた際、上げるべきかけ金を引き上げられなかった。これに伴って基金の免除料率も引き上げられなかった。
平成17年、2005年に本体の保険料が引き上げられました。基金に対しては将来部分の免除料のみ手当されました。したがいまして、過去期間分の免除料がないために、最低責任準備金が小さくなっております。この負担金は、本体との中立化のための担保でありまして、本体には支払い義務がある。免除料と給付現価負担金の合計、この2つの合計が代行給付と収支相当するという解釈であります。
この部分は、冒頭でも申し上げましたが、これは法律事項でございます。きちんとした厚労省からの御説明が後日あると思いますので、こちらからは簡単な説明にとどめたいと思います。
本日の説明は、以上でございます。何とぞ拙速に廃止意見のみで進めないようにお願いをいたします。
なお、私ども厚生年金基金側にも運用方法は、いろいろ不十分な点があったということは認めざるを得ないと思っております。
今後、新たな基準等を受けて、さらに努力したいと考えておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
まとまりのない説明で失礼いたしました。ありがとうございました。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
代行割れの問題と資金の必要性、2点について御説明いただいたわけでございますが、委員の皆様方から質問があれば、どうぞ。
菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 詳細にわたる御説明ありがとうございました。2点お尋ね申し上げたいと思います。
1つ目は、先ほど村瀬理事長からのお話にもございましたように、基金関係者、それから中小企業の事業主、従業員の方々の意向を十分踏まえつつ我々も議論しなければならないと思っておりますが、その意味も含めまして、今お話になられた一律廃止ではないという方向性につきまして、加入しておられる事業主、さらには従業員の方々の総意でもあるのかと、その点を確認させていただきたいと思います。
というのは、御承知のように、この8月に長野地裁で判決が出ましたけれども、ちょっとよくわからない部分のある判決ですので結論はさておき、存続しますよという場合にも個々の企業さんにとっては、脱退は必ずしも自由ではない、拘束されるわけですから、その意味でも皆様の御意向と会員各社、従業員の方々の御意向が本当に重なっているのか、一致しているのかというのはぜひともお伺いしたいところでございます。
もう一点は、こちらの専門委員会の第2回の追加資料の資料4で、たしか駒村委員のお求めがあって出されたものなのですが、ガバナンスについてどうなっているのかというお問い合わせがありまして、出された資料によりますと、例えば免除保険料を除いた掛金額全体に占める積み立て不足に充てるための掛金額の割合の推移を見ると、単独、連合型基金では、平成12年ころから4、5割で推移している一方、総合型では、12年ころは1割くらいであり、平成15年から17年に5割程度に達したと。今のは掛金の引き上げにかかわる部分です。
もう一つは、単独、連合型基金では、比較的早期に予定率の引き下げが進んできたが、総合型基金では、引き下げた基金の割合が相対的に低くなっているという、これは今、見出しを読ませていただいたので、その評価自体はどうかという御反論はあるかもしれませんが、率直にこの資料だけを読ませていただくと、やはり単独、連合型と比べて総合型は対応がおくれたのではないかと、それが今日に至る状況の一端をつくった要因になっているのではないかと読まざるを得ないところであります。
制度だけの問題なのかということで、そうではないガバナンスの問題もあるとすれば、単に制度の改正だけを求めるのでは不十分ではないかと。率直な感想なのですが、いかがでしょうか。
○神野委員長 よろしいですか、2点で、1点目は今御発表された意見と従業員及び事業主の総意とのずれはありませんかということと、それからガバナンスの問題についてお答えいただきたいと思います。
○全国総合厚生年金基金協議会理事 山崎様 確かに総合基金は加入事業所が多いので、全員がそう思っているか、これは難しい。しかしながら、各基金ともおおむね財政運営基準を意識して、代議員等と決議をした上で、今、種々の見直しをしております。
見直しの前提は、あくまでも存続という点でございますので、全基金総合型、全国の全てがそうなのかと言うと、多分それはそうではないと思います。代議員会で、これはもう廃止すべき、解散すべきというところもあるので、存続一辺倒ということでは申し上げておりません。
したがいまして、特定不況業種等があるような基金にとっては、それに向けた特例対策をお願いしたいということでございます。1点目は、そういうことです。
2点目のガバナンスのところで、単独型に比べて総合型は対応がおそいのではないか。これは、そのとおりだと思います。単独型というのは大企業が主でございますので、当然退職給付会計を意識する、これが会社の企業経営にかなり影響する部分があります。総合型は、いわゆる一部上場会社等の加入事業所はそうはありませんので、そういう対応はしにくい。
それと、かけ金を即対応できるか、あるいは資産運用方法を即見直しできるかということに対して合意をするのはなかなか時間がかかる。残念ながら、それは認めざるを得ないと思います。
そういう中においても、各基金では長期運営計画等を策定して、それでその年その年の対応というのは不十分かもしれませんけれども、存続するためにいろいろ対策を講じていると、そういう段階だということでございます。
○神野委員長 どうもありがとうございます。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 詳細な御説明をいただきましてありがとうございました。私の名前が出ておりましたので、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。
先ほど給付現価負担金についての御説明の中で、当然支払われるべき性格のものであるということでお話があったわけで、私も基金のお立場からは、このような考え方で言われるというのは全くそうであろうと理解しております。基金制度というのは事前積立方式ですから、この給付現価負担金がなければ、今後の運営をしていくことができないということでありますので、全くそのとおりだろうと思っております。しかも、それは法律事項であり、既に決まっているということでございます。
ただ、前回も私が申し上げましたことは、改めてこの問題を考える必要があるのではないかということです。有識者会議のときの資料にも出ておりましたが、本来の最低責任準備金、今は過去期間給付現価といいますが、それと今の転がし方式の最低責任準備金の差が、基金全体で大体10兆円くらいあるわけですね。
ですから、今のやり方はルールを決めて、それに抵触した基金から給付現価負担金を少しずつ払っていくやり方になっているのですが、いわばこの小出しのキャッシュフローの現在価値、すなわち一括して払う場合の負担金総額が10兆円だということだと思います。
この10兆円という金額は、実はかなり大きな金額でありまして、今、毎年大体1,000億円ずつくらいの給付現価負担金が支出されているのだと思いますが、将来的にはこれがかなり増えていくことになろうかと思います。
そのときに、今は法律事項でこのルールになっているという事実は百も承知しているのですが、本体の被保険者の人にどう納得していただけるのかということが出てくると思います。本体は御案内のとおり賦課方式に今後急速に変わっていくわけですね。それで、基金がこれまでも事前積立方式、1999年以後は完全な事前積立方式の維持はできなくなっているのですが、一応事前積立方式をなるべく継続しようとしている。
そういう財政方式の違いもあるためですが、一方で本体は今、資産がどんどん減っていく状況になっているわけで、そういう流れの中で、さらに現在価値で言えば、10兆円ものお金を基金に今後払っていかなければいけないということです。
基金側からすれば、先ほど御指摘のとおり、それはそうやっていただかないと困るわけで、中立化の結果として当然だということになるわけで、そこは私もよく承知はしているのです。
ただ、本体の今後の運営を考えたときに、少子高齢化の進展の中で賦課方式にどんどん流れていく、そして積立金を今後使っていかなければいけないという状況の中で、この10兆円について、本体の被保険者に対して、その正当性をどういうふうに説明すれば納得していただけるのかというのが、実は私がずっと悩んでいることなのです。
ですから、本体の方にも納得していただいて、それで基金制度を維持するためにこれは必要なのだと、だから本体側でも今後10兆円を出してでも基金制度を維持すべきだといったことがコンセンサスとしてちゃんとでき上がっておれば、全く問題がないと思うわけです。
ところが、恐らく今後、私たちの社会保障審議会年金部会の中では、本体の制度の議論、特に深刻な年金財政の問題をやっていかなければいけないことになります。
そういったときに被保険者の方々に、この10兆円の正当性について納得していただけるような議論展開がなかなか難しいと感じているわけなのです。
そういう中で、私も基金のお立場というか、それは十分理解しておりますし、この負担金がなければやっていけないということもよくわかっているつもりでありますけれども、そういう意味で、私が申し上げているのは、今後の厚生年金本体の立場としてこの問題をどう考えるかということを一度きっちり議論して、その上で問題を整理することなくして前に進めないということを是非ご理解いただきたいと思います。
したがって、もし、この問題をきちんとクリアできれば全く問題ないわけですので、これまでの方法を継続してやっていくことができる道が出てくるかもしれませんので、こういったことを我々としても共通認識を持ってこれから議論していきましょう、こういうことを申し上げたわけでございますので、ちょっと補足をさせていただきます。
○神野委員長 きょうは意見をお聞きする場なので、なお御意見を補足して頂戴できるのであれば、構いません。
○全国総合厚生年金基金協議会理事 山崎様 一言だけでございます。山口委員がおっしゃった本体側からの議論、それをこの委員会でそこまでやるのかどうかということは、私は疑問があります。それであれば、拙速にこのような廃止論でやるのではなく、正直にこれがあるということを言って進めるべきです。
それと、私はちょっと足りないと思いますけれども、それは本体の迷惑をかけるということが盛んに出ますけれども、中小企業の従業員の年金として必要だと、これが一番大事だと私どもは考えておりますので、そういう観点からぜひ御議論をお願いしたいと思います。
○神野委員長 どうぞ。
○全国総合厚生年金基金協議会副会長 窪田様 もう一点だけ、山口委員のおっしゃるとおりかもしれませんが、将来はそうなるかもしれませんが、現在のところ、やはり私どもの議論は、給付現価負担金が来ると、これは資産側に積まれますので、多分、厚労省発表の積立金も、私ども基金が保有する資産もあわせて積立金という整理のほうが公表数字は多いかと思いますので、長期的には先生の御疑念もあると思いますが、一時的には、これはみんなのものと、国に積んでいるものと同じ計算になると思いますので、補足させていただきました。
○神野委員長 ほかに、まず、花井委員からお願いします。
○花井委員 2つほど質問があります。
1つ目は、資料3の8ページのところの図の脇に、「退職金の一部になっていることが多い⇒退職金の消滅」とあります。この3階部分というのは、多くのところで退職金を横倒しするという形で受給していると認識しています。したがいまして、退職給付である3階部分が何らかの形で失われるということになってはならないという、このこと自体は同じ考えだと思います。
その上で、3ページの黒の四角の4つ目のところになお書きがありまして、「継続基準財政検証における下方回廊方式の恒久化適用、非継続基準の財政運営基準の見直し等の要望は叶っていない」とありますが、このことは、本来積み立てるべき金額を満たしていない状態になるのではないか、そのことを認めるものではないかと思うのです。そのことと、先ほどの退職金の一部であるから消失してはならないといった考え方との整合性と言いますか、その辺はどのように考えればいいのかというのが1つ目です。
2つ目が、4ページでございますが、②の一番下に「要確認事項2」とありまして「7号方式の適用について、何故機能させないのか」とあります。
これは、事務局にも確認したいのですが、7号方式というのは一人ひとり計算するということですね。これが、今、制度としてあって機能できないのかどうなのか。そして、その上でなぜこういう文言になっているのか、その辺を教えていただければと思います。
以上です。
○神野委員長 最初に事務局から行きますか。
○全国総合厚生年金基金協議会理事 山崎様 退職金なのに基準のことを言うのは、いかがなものかというようにも聞こえるのです。なお書きのところというのは、要するに今で言う、先ほども説明しました期ずれがあったり、いろいろボラティリティーがあったり、そういうことがあるときに、例えばことしの3月31日という日だけ選んで、厳格な基準を適用するということは、私はやはりもう少しこの時代に合った基準にすべきである。このことは、有識者会議でも申し上げましたが、前の局長をしていた人でも、この基準は今に合っていないと言っているわけですので、要するにこの時代に合った基準にしてほしいと、そういう意味であります。退職企業会計が全く損なわれていくのに何を言っているのかというような、そういう意味ではありません。
次に7号方式のこと、17年度改正のときにこの措置が取られたわけでありますが、これにつきましては暫定措置ということで、国の支給開始年齢が、例えば62.5歳、基金が60歳というふうに割り切って、根拠のない数字を基に0.875で給付がカットされた形で出ていると、要するに国からの補填が少ないということを言っているわけです。
これも徐々に国と近づいてきていると思うし、その実態をきちんと個人、個人で調べてやってほしいという意味でずっと言ってきておりますし、約束ごとになっております。
そういうことから、今回も0.69というようなざっくりとした数字が出てきておりますけれども、この根拠が全くわからないので、わかるようにきちんと、そのためには7号方式それぞれの各個人に全て戻ってやっていただくことが最善。
言うなれば、これが転がしになった平成11年まで戻ってやってほしいという主張であります。よろしいでしょうか。
○神野委員長 事務局、事実関係か何かについて解説があれば、それに限ってお願いします。
○渡辺課長 今出ておりました7号方式とか、8号方式と言うことについてですが、これは、4ページにも書いてございますように、在職老齢年金の支給停止の仕組みからくるものです。現在の仕組みは、まず、厚生年金本体で、本来止めなければいけない額を止めていって、厚年本体の年金でも止め切れずに残った額については基金が止めることができるというものです。
ただ、実際に支給停止をするためには、基金の場合は、受給者の方が、今、自分の基金の加入事業所で働いていれば、その人が働いているかどうかというのはわかるのですが、そうではないところで働いていた場合には、支給停止の情報がすぐとれませんので、実際に基金がきちんと本体から情報をもらって支給停止をするということになりますと、これは、日本年金機構から支給停止情報をもらわなければいけないとことになります。
この支給停止情報の入手について、平成7年に課長通達を出しておりまして、企業年金連合会を経由して支給停止情報をもらって、止めていくそういう方式もとることができます。わずかですけれども実際にそうしている基金がございまして、止めているところは実際の出入りをきちんと計算して、そして最終的に最低責任準備金を計算するということができるので、これが7号方式と言います。
ただ、実際にはそういう形で止めることができず、基金のプラスアルファとして出しているところがあります。そういうところが最終的に最低責任準備金を計算するときに、この在老停止分を簡便法で計算する場合、給付費に一定の係数をかけて計算する。これが8号方式と言います。この際の係数が現在、0.875という形で一律の係数でやっております。これについて、もう少し基金の実態に即した形で係数を見直してほしいということで、今回私どものほうで16年以降調査をした結果をもとに、係数をもう少しきめ細かく設定するという形で8号方式を少し改善したということです。7号方式というやり方もできますので、実際にやっている基金は少ないですが、そこが費用の問題なのかどうか、そういうあたりは、むしろ現場のほうからいろいろ御意見を伺って実務面で改善できるところがあれば、改善したいと思っております。
○神野委員長 宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 ありがとうございました。
先ほど、菊池委員がお聞きしたかったことと、それに対するお答えに少し違和感がありましたので発言させていただきたいと思います。菊池委員が本当に聞きたかったのは母体企業までのガバナンスではなくて、そこに働いていらっしゃる多くの従業員のところにまでしっかりと情報が開示されて、そしてその人たちの総意が基金に反映されているのかどうかということだったのではないかと思います。
それに対してのお答えは、代議員会を開いているからいいのだというような内容でしたが、代議員会を開けば働いている全ての従業員に情報が開示されているとは必ずしもならないわけで、今のお答えに少し違和感を持っています。
○神野委員長 御意見を述べたい範囲内で構いませんので。
○全国総合厚生年金基金協議会理事 山崎様 このガバナンスの件は、せんだっての有識者会議で出たパブリックコメントでもガバナンスは大事であるということになっていて、少なくとも通知等によってガバナンスを強化するということになっています。
現実、今何をやっているかというと、ほとんどの基金と言えるかどうかはわかりませんが、ホームページ等をやっております。
それ以外で何をしているかと言うと、いろんな福祉事業等もやっておりますし、先ほど頭のほうのメリットのところで御説明いたしました、基金では少なくとも大体年4回以上機関誌を発表しております。これは、全事業所1冊ということではなくて、ある程度の人数に相応するような部数を送っております。
したがいまして、一人一人にそこまで行って説明しているかということになれば、これは基金によって随分差はあるということもあると思います。
しかしながら、今言いましたようにガバナンスは非常に重要であるということもありますので、改めて評価していきたいというふうなことを申し上げておきたいと思います。
○神野委員長 ほかに御質問はいかがでございましょうか、よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。お忙しい中、また極めて懇切丁寧に御説明いただいたことに深く感謝する次第でございます。
それでは、次のヒアリングに移らせていただきたいと思います。
(説明者交代)
○神野委員長 どうもありがとうございます。お忙しい中、御足労いただきまして本当に感謝申し上げる次第でございます。
それでは、企業年金連絡協議会の彭城様に御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○企業年金連絡協議会会長 彭城様 それでは、企業年金連絡協議会より意見を述べさせていただきます。
まず、本日は企業年金連絡協議会に意見陳述の機会を設けていただきまして大変ありがとうございます。
まず初めに、私ども企年協という組織について簡単に説明させていただきたいと思います。
お手元の4-1の資料の2ページ目でございますけれども、私ども企業年金連絡協議会は、全国462の会員の年金実務者の集う企業年金の団体でございます。内訳は、DB年金が408会員、約9割を占めております。厚生年金基金は50会員ということで11%でございます。そのほか、DC会員が若干名ということでございます。
3番目のポツに沿革がありますとおり、私どもの会は昭和48年、1973年に会として設立いたしました。東京地区の単独連合厚生年金基金連絡会として発足して、以降ことしでちょうど40年目に当たる会でございます。
平成14年には、企業年金二法の制定とともに、現在の名称であります企業年金連絡協議会というふうに改称いたしまして、現在に至っている組織でございます。
以上、簡単でございますが、組織の紹介でございます。
本日この組織から私、会長の彭城と副会長の加藤、矢本、3名で発表させていただきたいと思います。
まず、本日は厚労省の案に対します全体的な意見につきましては、私ども厚生年金基金代表の副会長であります加藤副会長から、その後、若干時間をいただいて企業年金の持続可能性の施策について、私、彭城から御説明をさせていただきたいと思います。
それでは、加藤のほうからよろしくお願いいたします。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 厚生年金基金の試案に係る意見については、私、加藤のほうから述べさせていただきます。
資料のほうは、今のパワーポイントの資料の3ページ以降ということになるわけでございますが、時間の関係から要点のみの御意見とさせていただきます。
まず、私どもの意見といたしましては、厚生年金基金の期限を定めた一律解散には強く反対をいたします。
先ほどの資料にもございましたように、当協議会の単独連合型厚生年金基金は代行返上によって多くの基金がDB制度、確定給付企業年金制度に移行しましたが、まだ50基金が残っており、多くは非上場企業ということになりますが、代行割れ基金ではなく、そのまま厚生年金として制度維持をしております。そうだから制度廃止に反対と言うわけではなく、まずは制度の選択肢として残してほしいということが中心の話です。
一律廃止は、加入員、受給者、そして事業主の意思ではないところでの国による強制的な制度廃止ですので、その廃止後に安心感が大きい終身給付やプラスアルファ部分の取り扱いはどうなるのか、大いに不安を持つものです。続けていける基金はぜひ続けさせてほしいという点と、制度移行の見直しは我々基金関係者、そして労使自身の中で行っていきたいという点が意見の大勢となっております。
3ページに全体意見について述べておりますが、今回の厚生労働省の試案については、財政状況から存続が難しい基金には解散の道筋をつけ、そして、加算分について持続可能性の高い制度案を示していただき、さらにはこれまで問題としてきた財政中立化策の問題について、最低責任準備金の計算方法についても検討案が示され、詳細部分のほうは、まだ議論が必要ですが、これまで以上に持続可能性が高まる内容で期待できる提案だと思っております。
しかしながら、最終事項に一律廃止の案が示され、その前段で示された提案の全てが無意味とは言いませんが、前向きに取り組んでいこうという意欲を大いになえさせるものでございます。
せっかくよい提案が示されたわけですから、一律廃止ではなく、企業年金制度の1つの選択肢として厚生年金の存続をぜひお願いしたいと思っております。
各事項について意見を述べさせていただきますが、4ページ、代行割れ問題でございます。
存続困難な基金の解散の道筋をつける施策としては評価いたしますが、これまで解散、代行返上した基金と、返上額で差が生じるモラルハザードにつながる追加特例措置については極力避けるべきではないかと考えております。
また、分割納付における連帯債務を外すこと、固定利率とすることや、期限の延長は有効な施策であると考えております。
次に、5ページ目の企業年金の持続可能性を高める施策についてでございます。
新たな制度案は、企業年金全体の持続可能性を高めるものであり、この後、改めて彭城より企業年金連絡協議会としての追加提案とあわせて述べさせていただきたいと思います。
なお、他の企業年金への移行支援策、これも述べておられましたが、手元資料には記載しておりません。しかし、償還期間の延長申請など5年限定の条件とか、支払保障事業の目的、変更の可否、そして既存DBへの加入可能性、そして代行資産の現物納付の実現性など、これは前回代行返上のラッシュの際でも実施例がほとんどなかったという点など、既存DBの受け皿の有無や移行できる資産のボリュームなど、その見通しが不明の中で、これらの実現性は十分な議論が必要なのではないかと考えております。
次に6ページの代行制度の見直しでございます。
最低責任準備金の計算方法の見直しは、本来の債務負担額に近づけるものであり評価したいと思っております。ただ、示された係数の値が実態感覚と異なるもので、もっと議論を深める必要があるのではないかと考えております。
また、試案には示されておりませんでしたが、現行の財政中立化の案の内容の確認と見直しをお願いしたいと考えております。
それから、給付現価負担金の内容でございます。
委員会の前回議論のほうでも、先ほどもちょっと全総協のほうから議論があったわけでございますけれども、代行割れでない基金も必要な積立金を有していないので、今後必ず財政が行き詰るというもので、この部分が本省が策定した施策とは、やはり違っているのではないか、それを否定するものではないかという点でございます。
我々の理解では、給付現価負担金の交付は公的年金との橋渡しであり、後発的に発生する基金の責任とは言えない代行給付の債務を事後的に厚年本体と調整する仕組みであるというふうに認識しております。決して基金の不足金を補填するものではないと思っております。
こうした財政中立化策、これは非常に厚生年金にとって重要でございますので、この意義を改めて確認したいと思っております。
さらには、今の交付ルール、交付基準では代行分の給付に必要な過去期間の代行給付現価は5割以下、さっき10兆円の議論も出ておりましたけれども、10兆全てとは言いませんが、やはり今の段階では必要資産が持てないということから基金のキャッシュフローのほうにも影響いたします。窮屈な資産管理を強いられるわけでございますから、その見直しも含めて今回の試案の中で検討のほうをお願いしたいと思っております。
最後に7ページでございます。代行制度の段階縮小・廃止についてという点でございますが、代行制度の10年の移行期間をもって一律廃止ということは反対といたします。
内容としては、健全な基金まで一定期限を設けて強制的に廃止させることは、加入員・受給者の受給権ひいては財産権まで侵害することにならないだろうかと思っております。基金自らの意思とタイミングで解散や制度移行が検討できるように、制度の選択肢として残していただければと思います。
今回の試案に示された施策では、給付現価負担金の交付ルール見直しまで視野に入れていただけるのならば、厚生年金基金の持続可能性は、今まで以上に高まるのではないかと考えております。
また、中小企業の企業年金を育成することでは、厚生年金基金での受け皿以上の制度が構築できるのかどうか、この辺を非常に危惧しております。適年廃止のときと同じように、中小企業の企業年金の消滅を心配しております。
また、代行リスクの回避のために過去の運用実績から、今回資料でもございましたが、1.3から1.7の積み立て比率、1年、2年であればということですが、必要とされております。
もともと総合型厚生年金基金の場合は、退職金の持ち込みが一部のみで非常に少ないと思っておりますので、制度設計的にはこれだけの積み立てを求めるのは無理ではないかと、逆にここまで持てれば数理計算上過剰積み立てになってしまうと、そういったことも心配しています。
そういった中で、期ずれ解消後の早い時期にGPIFのポートフォリオに、もしくは債券比率を高めた運用に切りかえれば、代行割れリスクのほうの軽減が大きくされるのではないかと認識しております。
最後に現物給付、これは前回の代行返上時も、ごく一部しか対応できなかったというのは事実でございます。こうした一定期限を設けた制度廃止の方針では、有価証券市場に無用な混乱を招くのではないか、さらにはヘッジファンドの標的にされるのではないか、また、海外資産の大量処分による円高を招きかねないのではないか、そういったもろもろの事象が非常に心配されます。代行返上時と同様な運用環境の悪化が、我々企業年金全体の危機にもつながりかねないと思っておりますので、基本的には制度廃止、ましてや10年の移行期間云々という形は、やはり反対せざるを得ないというのが、私どもの意見でございます。
○企業年金連絡協議会会長 彭城様 それでは、引き続きまして、残りあと5分程度で企業年金の持続可能性の試案につきまして、若干補足、触れさせていただきたいと思います。
資料は4-2というハイブリッドプランという資料でございます。
まず、私ども企年協は、ことしの1月にプロジェクトを発足しようということで、メンバーを招集いたしまして、あのAIJ事件が起こる前、2月の頭から第1回目の会議を開催して、以降、今日までハイブリッドプランの策定に会議を積み重ねてまいりました。
そして、基本的には、厚生年金基金制度も含めたDB、DC制度をあわせた企業年金制度全体の持続可能性につきまして、いろいろアイデアを出し、議論を積み重ねてまいったところであります。
現行の給付立ての制度あるいは拠出立ての制度、両制度のメリット、デメリットを整理していく中で、この厳しい経済環境の中で、今の縦割り2制度だけでは企業年金制度自体、全体像が行き詰ってしまうという危機感から新たな選択肢を考え、ふやしていこうという目標を持って10カ月進んでまいりました。
議論の過程では、さまざまなアイデアが出されたところでありますが、本日はお手元の資料にあります5つの提言というのにまとめて御説明申し上げたいと思います。
いずれも先細りする公的年金との役割分担を意識しながら、さまざまな事情あるいはさまざまな規模の企業が選択可能であり、さらには従業員と事業主の両者が許容できるリスクシェアを図れる制度ということを目標に意識して検討してきたものでございます。
お手元の資料の3、4ページでございますけれども、まず5つの提言のうち、提言の1と2につきましては、既に厚労省から定義されているキャッシュバランスの給付設計の弾力化あるいは集団運用型のDC案とほとんど類似した案となっているものでありますが、私どもの案との相違点が若干ございますので、そこだけ簡単に触れさせていただきたいと思います。
キャッシュバランスの弾力化案につきまして、厚労省案では運用実績を基準利率として活用できるとありますけれども、私たちの案では客観的なインデックスまたはその組み合わせを指標とした再評価ができるという案としております。
キャッシュバランス制度は、もともと給付立て制度の一種でありますので、DC制度との違いを明確にするためにも、運用実績を用いるということは避けたほうがいいという判断でございます。
一方、集団運用型のDCにつきましては、厚労省案では資産運用委員会等を設け、運用商品の選択肢を提示して従業員がそれを選択するとしている中で、なおかつ投資教育は必要ないというふうな案と承っておりますけれども、基本的にそこについて非常に大きな違和感を持っているところであります。
そもそも中小企業では資産運用委員会を設けること自体かなり難しいのではないかということと、また、商品を選択させるとした段階で、そのための教育は必須となると考えているところであります。
私どもの案では、事業主あるいは受託者が適切と考えるポートフォリオをあらかじめ定めた制度を設けて、簡便な投資教育、例えば制度の仕組みやロケーション内容、考え方、運用結果、こういったものを実施して、加入者の同意を得るという形で運営していこうというものであり、加入者は運用商品の選択は行わないというところが大きな相違点であると認識しているところであります。
さらに提言3でありますけれども、これは、新しい案として年金給付専用口座を設けてはいかがでしょうかというところでございます。
適年廃止に伴って半数以上のところが解散してしまった実態もあり、ぜひとも中小企業における加入者、受給者の受給権保護の観点からも、この案については大いに検討していただきたいというところでありますけれども、基本的に中身につきましては、現行あるさまざまな制度について退職後の期間用、例えば待機期間、受給期間、それ用にそれまで積み立てた原資をこの口座に移管して、年金給付が受けられる、年金給付のみを目的とした給付専用口座を創設するというものでございます。
これは規模の大小を問わず、退職後に一定の年金受給が可能となる持続可能性ある新制度として提案するものでございます。
ちなみに、仮に退職一時金制度しかない従業員の方々でも、この口座に退職金を移すという選択をすることによって、各人が独自に行うより安定した年金受給が可能となる、あるいはコストも抑えながら運用が可能となると考えております。
ぜひこの口座新設の検討をいただきたいと思うのですが、この口座新設に当たりましては、規模の利益を得るためにも中退共などを含む全ての制度からの移管を可能とするようなナショナル単位のものとすることが好ましいというふうに考えているところでございます。
最後に4、5の提案でございますけれども、6ページ、7ページにございます。
簡単に申し上げますと、この4、5につきましては、現行法を大きく改定する必要があり、一朝一夕にはできないものと思いますけれども、提言4につきましては、DC制度からある一定ルールに基づいてDBあるいはキャッシュバランスの受給権を購入していく制度であり、事業主と従業員のリスクシェアまたは退職時における市場環境による給付変動のリスクを緩和するという目的の制度でございます。
さらに提言5につきましては、フロアーオフセット・プランと呼んでございますけれども、提言2の合同運用型のDCにさらに元本保証をするフロアを設定したものという理解をしていただければと思います。
元本毀損時の補填をDB制度との組み合わせによって行おうとするものでございます。
以上、簡単に提言内容を5つ申し述べましたけれども、いずれも公的年金を補完する重要な制度として厚生年金基金制度も含めた企業年金全体の持続可能性の拡大のための検討が必要不可欠なものと考えておりますので、今後とも十分な検討の機会を設けていただきたく、お願い申し上げるところでございます。
以上で企年協からの発表を終わらせていただきます。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの企業年金連絡協議からの御発表につきまして、御質問をどうぞ。
○宮本委員 ありがとうございます。2点お聞きしたいと思います。
まず1点は、資料4-1の6ページの「現行の『財政中立化策』の内容についての確認と見直しをお願いしたい」の1つ目の○ですが、給付現価負担金の交付云々との記載があります。この段落の一番下に、「給付現価負担金は基金の不足金を補填するものでなく、厚年本体の債務である、と認識する」との記載がありますが、基金に加入せず厚生年金本体にのみ加入している被保険者との公平感について、どのようにお考えになられているのか。これが1点目です。
もう一つ、資料4-2の「新ハイブリッドプランの提言」の提言2のところで、加入者の運用同意を得ることで加入者自身に選択させないといった内容が示されています。
「所定の手続きに基づき」ということになっていますが、例えば、加入者全員の同意を得るための所定の手続きは、具体的にどういうものをお考えになられているのか、お聞きしたいと思います。
○神野委員長 よろしいですか。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 では、1点目の給付現価負担金の交付について申し上げたいと思います。
給付現価負担金は事後的に発生すると申し上げましたが、基本的には一般的な保険料率が決まっている中で積み上がっていく過程で、給付内容のところで、例えば生命表が改善される、本来であれば、前の時点では余命がもう少し短かったものが長くなったとか、それから予定利率のほうも、やはり本体利率が4対1とか3対2とかいろいろありますけれども、それと実績の利回り、これとの調整部分とか、こういったものが当然給付の中身とか、全体の給付現価のほうにも反映してまいりますので、そこの部分は基金本体のほうでは調整機能がございませんので、その部分について事後的に生命表で給付が伸びる分について、これは必要な原資として出てまいりますので、こういった部分を事後的に国のほうから交付金として受け取るという形の理解が私どもの理解でございます。そういったものがあれば、基本的には追加負担が出てきても、これはあくまでも国の債務ということになりますので、代行制度の給付が賄っていけるという考え方でございます。これが、財政中立化策というふうに我々は認識しているということです。
以上でございます。
○神野委員長 どうぞ。
○企業年金連絡協議会会長 彭城様 今、御指摘の所定の手続につきましては、現在検討中でございまして、基本的には労使合意あるいは3分の2以上の同意をとる等の所定の手続、法的に認められるような所定の手続というものを御相談してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○神野委員長 何か質問があれば、どうぞ。
○宮本委員 先ほどの1つ目の質問は、基金に入っていない厚生年金本体のみの被保険者から見ると少し不公平感があるのではないかと、そう感じる部分はないかと思い、質問しました。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 基本的には、代行給付部分については国全体の施策ということで一部代行部分を担って基金として給付をしておりますが、実質的な給付内容につきましては、国の本体部分と同一のものでございます。
あと、あくまでもそこにプラスアルファが制度としては乗っかっておりますけれども、代行部分そのものについては国も基金も一体という考え方でございますが、ただ、やはり制度が分かれているために、それを事後的に調整する仕組みが必要だと思っておりますので、これは逆に調整されないと厚生年金基金側が不公平と、本来であれば、生命表が延び、給付負担がふえるというところを補填されませんので、この部分は逆に基金側にとっては不公平になるのではないかという認識でおります。
○神野委員長 よろしいですか。あと、いかがでございますか。
では、柿木委員と、そのあと駒村委員。
柿木委員、お願いいたします。
○柿木委員 では、私のほうから新ハイブリッドプランなのですけれども、提案の1、2、それから3について企業年金や退職金の実務を踏まえた内容で、我々が主張している内容とも合っているので評価したいと思います。ただし提案4、5について、まだ詳細は詰まっていないと思うのですが、例えば提言4において、DCからDBへ段階的な移行をするには実際上の制度設計が非常に難しいのではないか。今の段階で何か具体的な案をお持ちなのかどうかというのが1つです。
それから、提言5は、フロアーオフセット・プランということで、最終的にDC制度の拠出金の元本が割れてしまった場合、DB制度から給付する書き方をしていますけれども、最終的に誰が負担してこれを埋めるのかという点については、いかがお考えでしょうか。
○神野委員長 幾つか提言の4と5にかかわる質問ですが、よろしいですか。
どうぞ。
○企業年金連絡協議会会長 彭城様 まず1点目の提言4につきましては、今、御指摘のとおり、具体的な制度設計までは、まだ検討されつつあるところでございます。
それから、一定のルールというのは、例えば勤続年数あるいは原資の規模、こういったところで、まずDCから入って、ある一定の基準に達したらその額をもってDBを購入していくという案を考えているところでございまして、これは、現行のDB法、DC法という縦割りの2法の中ではとてもできる話ではございませんので、大きな法改正も含めた一本化等々の案を含めての提言ということでございます。
提言5、フロアーオフセットにつきましては、基本的には事業主の拠出によるDB制度というところで本来のDB制度より非常に小さな額で、その差額についての補填をしていくということで、事業主にとってもDBの拠出金の額の小型化ということが図られるというふうに考えているところでございます。
以上です。
○神野委員長 では、駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 こちらのハイブリッドプランのほうは非常に興味深いので、またいろいろ教えてもらいたいと思ったのですが、きょうのお話は連絡協議会を代表してお話しされていると思うのですが、沿革のところで、単独連合厚生年金基金をというふうに書いてあるのですが、そちらの構成されている厚生年金基金は、単独あるいは連合型だけなのか、総合型があるとすれば、総合型はどういう産業によって構成されているかお願いできますか。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 基本的には、総合型の基金さんは入っておりません。単独は、あくまでも単独企業で実施している先ということですが、連合型の場合は、グループ企業がグループ基金、例えば本体の親会社が抜けた形の親抜け連合という言葉を使いますけれども、そういったところの傘下の子会社なり大会社等が入っている連合型の基金、こういったところを主体とした団体でございますので、あくまでも資本関係なり人的関係のある企業年金、厚生年金基金という考え方でございます。
○神野委員長 よろしいですか。あとはいかがでしょうか。
菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 今のお答えを踏まえた上で、本体側の加入者は、どういう形で納得をするのだろうかという視点から考えているのですけれども、これは、第1回でも少し述べさせていただいたのですが、例えば極端に言いますと、継続したいという御意向であることはわかったと、そうであれば、どうぞやってくださいと、そのかわりある意味適用除外と言いますか、今後は、いわゆる代行割れがあっても何でも自分たちのリスクでやってくださいねと、そのようにすっきりさせますと、ある意味で本体部分の加入者の方も納得される可能性はあるのかなと思うのですが。あるいは特例自体も特例でありまして、今回新特例をまた入れようという話ですけれども、いずれにしても本体部分に何らかの影響があるわけでして、そういう特例も一切しませんと、そういう条件で将来的には戻る可能性は残しますよと、そのぐらいでようやく本体の皆さんの納得が得られるのかもしれないと。その辺の、現在の特例あるいはこれから入れようとする新特例を依然として残すと、こういう御議論をされておられるのかというのをちょっと確認させていただきたいのです。
○神野委員長 御意見を頂戴できればと思います。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 基本的には、特例は残す形でということで考えております。
特例という形であれば、そういった消化期間の延長とかもろもろ出てまいります。これは企業にとっては、なかなか経済情勢いかんによっては、支払い猶予、返済猶予という問題も出てまいります。それと同様的な形での返済期限の延長という形で考えております。
ただ、一方で、新特例のほうにおける、実際上負担額のほうを減免するという形は、まさに債務の減免という形でございますから、そこまでは既に代行返上した基金、解散した基金との比較においては、基本的にやはり差があることは問題があるのではないかという認識でございます。
加えて、今回、連帯債務のあれを外すとことについては、単連基金では連帯債務のほうに起きるかというと、なかなか起きる話ではないのですが、やはり企業全体、経済情勢全体を考えれば、地域のことも考えれば、やはりもともと連帯債務自身がついていること自体、私も違和感を持っておりましたので、基本的には、解散時点で全てが固められるという意識であれば、そこまでの負担が企業の負担ではないかと思っておりましたので、今回の連帯債務を外すことについては賛成というか、有効な策だと認識しております。
○神野委員長 よろしいでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 もう時間ですか。
○神野委員長 いや、手短にお願いできますか。
○山口委員 はい。キャッシュバランスについて、運用実績をそのまま給付に反映するよりは、こういった客観的な経済指標にするほうが、運用者のモラルハザードの問題を避けるといったような観点で非常にいいのではないかということで、この案については今後も是非参考にさせていただきたいと思いました。
それと、さきほどの給付現価負担金の御説明に関連してですが、生命表の話をされておられました。死亡率の低下は基金で負担する話ではなくて、国のほうで負担といったようなお話だったと思いますが、これについては中立化される以前の段階においても死亡率は一貫して低下してきておりましたので、国勢調査にもとづく生命表の切りかえということは過去も何度も行われてきましたが、委員の皆さんの共通の理解を深めるための確認なのですけれども、中立化以前の死亡率の改定については、財政上どのように取り扱われておりましたか。
○神野委員長 よろしいですか、どうぞ。
○企業年金連絡協議会副会長 加藤様 保険料凍結という問題があった流れの中で、改めてその凍結が解除されて切りかわったときに、まさに将来法が過去法という形が変わったのは、先生のほうもしっかり指摘されておりますので、その部分はあるのですが、あくまでも今回、将来法から過去法に変わって、そういった時点でございますから、以前の部分はその中で反映してきている。
ただし、それ以降、凍結解除になって一定の料率が決まった後に、この部分についての改善部分については反映されてきておりませんので、こういった部分については、やはり事後的に調整するのが必要ではないかと思っております。
○山口委員 凍結される以前の話なのですが・・・。
○神野委員長 事務局、何かございますか。
○渡辺課長 先ほど来、給付現価負担金の話は何度も出ておりますので、これは仕組みとしての問題、経緯としての問題、そして山口委員から先ほど御指摘がありました、政策論として今この制度を動かしていくときに、現実的に生じる問題をどう見るかという幾つかの様相に分けて議論していただく必要があると思います。これは厚生年金本体の財政にもかかわることですので、また、次回以降のところで、きちんと事務局から資料を御用意したいと思います。
○神野委員長 委員会は、そのように進めますが、何かございましたら、もちろん忌憚なく御意見を頂戴できればと思います。
あとは、よろしいでしょうか。
それでは、これで企業年金連絡協議会からの御発表に関するヒアリングを閉じさせていただきます。
どうもお忙しい中、貴重な時間をありがとうございました。
(説明者交代)
○神野委員長 それでは、長々お待たせして申しわけございませんでした。最後に全国中小企業団体中央会の及川様を初めとする御関連の皆様方から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○全国中小企業団体中央会政策推進部長 及川様 ありがとうございます。
まず、日本の企業の99.7%を占めます中小企業の声を聞いていただきまして、まことにありがとうございます。
資料の5-1でございます。お時間もございませんので、開けていただいて3ページを見ていただけますでしょうか。
中小企業をめぐる厳しい状況というのは御承知だと思うのですが、特に最近の10年間、この10年間というのは、1999年~2009年の10年間にかけての数字でございますけれども、雇用の大幅な減少、188万人の減少、また中小企業の数も65万社減少していることでございます。中小企業は大変売上営業率が低くございまして、特にリーマンショック後は、ほとんど赤というような状況でございます。
そういった中で外的要因が弱い部分に中小企業はどうしても負担がかかりますので、倒産する大半は中小企業であるというようなことでございます。
次の4ページの3.でございますけれども、主に私どもの中小企業の経営者から届けられる声は、1つは、このままでいることが最大のリスクなので、できるところから早く措置をしていただきたいと、これは時間との勝負なのだということでございます。
例えば2.にありますように、負担すべき部分、今だったら体力があるので一括納付したいのだけれども、なかなかできないとか、ですから手足が縛られる状態で健康体になろうと思ってラジオ体操しようと思ってもなかなかできないような状況でございます。
したがって、この間の失血部分についての財政支援をという声も3.に書かせていただきました。
もう一つ強い声は、お医者さんと同じようにセカンド・オピニオンを求めようと思ってもどこに中立的なというか、年金数理人がいるのか、どこに専門家がいるのかわからなくて、お金を出して何とか調べてもらったらこういう状況だったというようなことがございます。
やはり印刷業なりメッキ業なり、そしてガソリンスタンド業なり、電気工事なり、いろんな実業をやっている中小企業がありますので、どうしても情報というのは運用機関に頼らざるを得なくて、情報力、人的関係もございます。そういった中小企業に勤めている多くの人たちの立場を考えて、ぜひとも実業のところでうまく経営がいかなくなっても、何とか自己責任だからしようがないという声の中で、こういった年金基金の中で経営が行き詰まるあるいは倒産、廃業に追い込まれるというのはぜひ避けていただきますようお願い申し上げます。
続きまして、私どもの中から代表的に、本日は石油、商業、トラック業、そして電気工事業の代表の方に来ていただきました。
○全国石油業厚生年金基金協議会会長 國安様 石油業厚生年金基金の國安でございます。よろしくお願いします。
特に私どもの石油の小売業は、先ほど来説明された中でも一番状態が悪いと思っております。
今、ガソリンが年4%弱のマイナスでございます。5年たちますと20%減るということになります。ほとんど半分以上の小売業が赤字でございます。その中でも正規従業員はやめて全部アルバイトと、そういう形で非常に加入者が低調する中で、これから団塊の受給者がふえている、そういう意味では、非常にお先が真っ暗ということ。
今、我々石油業は、元売りはいろいろ協力しながらいいのですが、そういう意味では小売は全く大変な状態であるということでございます。
そういう意味で、私たち18基金ありますけれども、その大部分が代行割れしているわけでございますが、今、5年後解散、10年後廃止というものは、その中では、我々は一本化にまとめることはできません。少なくとも継続したいというところもありますので、これは、先ほど来お話があったように、それを含めていただくということです。
あと、継続の中でも5年、10年後のタイムラグの中では、いろんな制度を改革した中で、またどういうふうにしていくかということの判断をと思っております。
そういう意味では、細かい問題と、ざっくりした話し方を手短に話したいと思いますが、これは廃止組あるいは継続組ともでありますけれども、先ほど来、やめた場合の新しい制度につきましては、いろいろ提案もございますが、私どもとしては政府から理論上ではなくて、実際運用している中で非常にしやすい有効な制度を提示していただく、これがまた我々18基金の中でいろいろ判断がつく大きな目安でございますので、それを早期に出していただけるとありがたいということであります。
0.875の問題につきましては、先ほど渡辺課長さんもおっしゃったように、なかなか難しい問題もありますけれども、ここは私どもも大変な状態であるということで、ざっくり言って1.0と、11年にさかのぼって、こういう表現にさせていただきます。
あえて言うならば、各年金基金の実態に合わせたものということで、実際はなかなか計算上も難しいところがあろうかと思います。
それから、期ずれの廃止の問題もありますけれども、24年度の財政検証が適用される非継続基金の多くの基金が抵触し、大幅な掛金引き上げが必要とされている。今回の試案では、期ずれの解消が含まれていますが、それはそもそも解散ではなく、継続方針の基金においても非継続の基金の適用を廃止していただきたい、こういうことでございます。
続きまして、基金制度存続に向けた改善要項。これは、先ほど言ったように健全なところもありますし、代行割れしながらもいろいろ努力してやっていきたいということもありまして、これも給付減額要件のところは、3分の2から2分の1以上ということになります。
あとは、赤字事業所の廃止の割合とか、受給者減額時の特例一時金の減額措置との整合性を欠くので、これは撤廃していただきたいと思います。
給付現価負担金の見直しについて、これは実際のところは代行割れしているもの、その中の明るい見通しを持っている基金もありまして、このところをあえて書いたわけでございます。
それから、廃止、解散に向けたところの要望事項としましては、これも基準の同意を、これは専門委員会の第1回目の試案を参考にしていますが、3分の2を2分の1以上ということで、解散を容易にしていただきたいということでございます。
新特例解散時の適用条件、これも試案ではなかなかハードルが高いのですが、もちろんそういう意味では緩和をして、解散がスムーズに進めていけるような形でお願いしたいということでございます。
最低責任準備金の確定時期について、これも大変大きなポイントでございまして、これは見直しの案が出ていますが、なお、これについては解散の申請の受付日を基準として確定していただきたいということでございます。
分割納付期間の延長、これは15年となっていますが、我々の中でも相当ダメージの大きいところもありますので、詳細な計算をしているわけではございませんが、最長30年くらいにして、中小零細の企業を倒産しない形でということの意味合いでございますので、お含みおきいただきたい。
それから、現物納付の見直しについて、これは、ここに書いてあるとおりでございまして、何とかそういうことで、不動産等の関係まで時間を要するものを引き受けていただきたい、こういうことの意味でございます。
上乗せ給付支給停止、これも先ほど来出ています。
最後ですけれども、我々石油業もAIJの中で大分やられているところも大きいわけでございますけれども、その辺の内容も個々に違いますが、特段の配慮をしていただきたいということで、一応石油業の要望としての御意見を終わらせていただきます。
以上です。
○全国日本トラック協会常務理事 矢島様 それでは、続きましてトラック協会でございます。全日本トラック協会の矢島と申します。よろしくお願いいたします。
私どものほうは、お手元の資料5-3ということで、トラックの総合年金基金連合会のペーパーを用意してございます。
私のほうからは、私ども業界団体でございますので、私ども業界の現状を1、2分御説明させていただきたいと思います。
お手元の資料で5ページから私どもの現状を記してございます。
6ページを開けていただきますと、私どもトラック業界の現状を記してございまして、左の上から国内貨物輸送量ということで、私どものトラック事業は、輸送の中の占める割合が非常に大きな業界でございます。
先般の災害等々の緊急輸送等々にも、私どもは参画させていただきましたが、残念ながら非常に社会的な地位が低い業界でございます。
真ん中のところにトラック事業者の規模ということで、私ども中小企業者が非常に多いというふうな業界でございまして、従業員、車両数等々でも10人以下、また10両以下という規模の事業者が非常に多いという現状でございます。
右の上でございますけれども、営業利益率の推移ということで、私ども荷主さんが非常に強い立場にございますものですから、なかなか運賃がとれない。また、軽油価格高騰とかさまざまな環境規制等々の対応によりまして、非常に収支率が悪くなっているという状況でございます。
一番下のほうにつきましては、トラック事業は平成2年までは規制されてございましたけれども、今は自由に参画ができるということでございまして、事業者数も4万事業者から6万3,000というふうに非常にふえてまいりまして、小さな事業者が非常にふえてきておって過当競争に陥っているという状況の業界でございます。
7ページは、そのようなことで何とか企業を存続するということもございまして、私どものほうは、これは厚労省の統計でございますけれども、非常に長時間労働で、時間当たり賃金も非常に低いという状況でございます。
次のページにつきましては、トラック事業者の規模ということで、先ほど申し上げましたように、平成元年と23年を比較いたしますと、このような形で小さな事業者が非常にふえてきておるという状況を記してございます。
最後のページにつきましては、年齢構成でございまして、なかなか若い方々が入ってこないという業界でございまして、非常に高年の労働者が多いという状況でございます。
そういう中で、私どものほうの業界は、単独の退職金制度等もございません。そういう中で、この基金制度に頼るところが非常に多いわけでございまして、福利厚生の一つの大きな役割を果たしております。そういう中で、このようなことがなくなってしまいますと、またさらに労働力が確保できないという状況でございますものですから、ぜひ存続方、お願いをしたいということでございまして、詳細の意見陳述につきましては、年金基金の青木のほうから御説明申し上げます。
○東京トラック事業厚生年金基金常務理事 青木様 東京トラック事業厚生年金基金の青木でございます。
今、お話がありましたとおり、当トラック協会の関係につきましては、資料の3ページ目に載せてございますけれども、全国に現在35基金ございます。今回、厚生年金制度の廃止が出されましたけれども、多くの基金が継続、存続を希望しております。退職金のかわりとして従業員にせめてもの給付をしてあげたいという形で設立した基金もございます。代行の上乗せ部分が退職金の位置づけになっている事業所が非常に多い状況でございますし、基金制度が退職金制度にかわる唯一の事業所が多いということでございます。
したがいまして、一律廃止となりますと、この退職金すらなくなってしまうという状況になるわけでございます。受給権保護の観点からもぜひ存続の方策を検討していただきたいと考えております。
継続につきましては、先ほど来出ておりますけれども、0.875問題、これにつきましては、厚生年金本体との財政の中立化の徹底ということでお願いしたいと思っております。
したがいまして、平成11年にさかのぼっての対応をお願いしたいということでございます。
また、給付設計の弾力化あるいは財政運営の弾力化等、継続することを前提で方策を検討していただきたいと考えているところでございます。
当協会につきましても、財政状況の逼迫ということで、解散を検討している基金もございます。解散を希望する基金につきましては、解散認可、非常にハードルが高いという状況がございますので、基準の緩和あるいは母体企業の経営への影響を配慮しまして、年金で企業がなくなってしまうという、いわゆる連鎖倒産に陥ることのないよう対応策をぜひお願いしたいというふうに考えている状況でございます。
以上でございます。
○関東六県電気工事業厚生年金基金常務理事 立田様 関東六県電気工事業厚生年金基金の立田と申します。
手前どもの上部団体、全日本電気工事業工業組合連合会というのがございまして、資料5-4です。そこにざっくりありますが、まず、業界について1分くらい。
電気工事業は、建設25種の中ではよいほうですが、公共事業の発注減、なおかつ東京電力さんが原発事故の影響で電気料金云々という中で、その価格について減額を求められているということもございます。
太陽光発電等に活路を見出したいところですが、普及はまだまだでありますし、大手の下請けに入らざるを得ないという状況もございます。
ただし、電気というものは安心・安全のために電気工事士資格等を持った人材の確保が必要ということと、そういった人件費、それから技術研修の費用がなかなか減じられないという状況でございます。
手前ども全国電気工事12基金がございます。そのうち2つは解散を決議しました。しかし、ほかの基金はうちを含めて存続を議決したというところも多数ございます。
当基金では苦しい中、当基金に限って言えば、4月からかけ金を9%余り引き上げる、ただし、それが上限であるとして、受給者を含む給付削減を議決したところでございます。
減額については、大変申しわけないことでありますが、プラスアルファは46.7%と高く、お願いをしていく予定でありました。また、あわせて基金存続を代議員一致で議決いたしました。
このような昨今の状況では、基金を存続するために給付削減をさせていただくという大義がなくなる。同意書の徴求と、これは物理的に無理ではないかと、非常に苦慮しているところでございます。
有識者会議等では減額をしやすく云々という意見もあったようですが、全く消えているということで非常に疑問に思っております。
これは御意見と言いますか、AIJを発端として、よくも悪くもこういう状況が始まったわけではございますが、基金は毎年5月に前年度の年金給付等積立金の管理及び運用に関する資産運用業務報告書というのを出しておりました。それに対する報告書をどのように集計して、分析して、活用していくか疑問でございます。
その報告書には、運用期間の割合額もきちんと記してございます。大変恥ずかしいお話で、当基金もAIJの損害が出ました。しかし3.5%、それは分散投資というポリシーのもとでございます。
聞くところによると、50%以上やられた基金に対して、果たして御指導があったのかどうか、蒸し返すようですが非常に疑問でございます。
次に基金制度廃止については、単的に言って廃止でございます。かつて開催された有識者会議の会議が根底から覆るというのは非常に解せないということでございます。
手前どもも、当基金の場合でございますが、600事業所がございまして、2月以降、理事長とともに150事業所全部回りました。事業主あるいは事務所にいる加入員とお話をしました。
先ほどコンセンサス云々というお話がありましたが、8割の事業所は残してほしいというお話でございます。
その中で、いわば今まで素人だったような事業主からいろいろ御質問がありました。ホームページを見ますと、国の積立金が約111.5兆、年間収支マイナス4.9、当基金に限れば、積立金262億、年間収支マイナス9、除した数字は国よりいいのではないかと、素人の考えではそういう御意見が出ました。
ですから、何もうろたえて性急な結論を出すべきでなく、議論を尽くすべきではないか。不足金と言うなら、政党名は出しませんが、ある政党が言っている積立方式にしたらどうですかという意見もございました。
それから、ある中小企業では、当社の退職金は基金の加算部分の一時金と中退共しかありませんという会社が幾つかありました。中退共は、また減額するという報道もございました。ですから、減額しても基金は残すべきだというお話でございました。
それから、受給者の権利について、国の基金に入っていない人の公平性云々というお話はありますが、加算部分受給者の受給権、給付減額と解散あるいは今言われている廃止ということを比べますと、給付減額はいろいろありますが、全加入者、全受給の3分の2以上の同意書をとる。ただし、解散・廃止は4分の3以上の代議員会で議決と、受給者の同意は要らない。
それから、加算給付については、当然給付減額すれば、減額した上、新給付利率で終身給付、解散廃止は当然ありません。
一番問題なのは一時金でございまして、給付減額の場合、受給権者のうち希望する者については、減額後の年金給付にかえて、減額前の最低責任積立基準額に相当する額を受け取ることができる。一説にはここのところで受給権を確保しているという御意見もございます。
解散・廃止になりますと、いわゆる加算部分の一時金というのはありません。ただし、残余金があれば分配されるということでございます。
解散・廃止になりますと、代行部分の不足をどうするという話がありますが、当基金の規約をめくりますと、118条では、解散の部分も本来は最低責任準備金を勘案してやれと書いてあります。
ただし、附則第20により、当面の間は最低責任準備金でいいと、全く給付削減と解散については、受給権の取り扱いが矛盾しているということでございます。
特例解散については特段、廃止そのものが反対なので余りコメントすることはございませんが、AIJを含めて自由主義経済の社会では自己責任であります。ですから、解散については各基金が判断するべきであり、その解散について不足金額についての優遇策は不要と記しております。
最後になりますが、記録問題についての意見というのは、モラルハザードです。基金あるいは基金の役職員のモラルハザードではなくて、加入事業所のモラルハザードが起こっております。今、年金記録、基金記録と、それから国の記録を突合しております。いっぱい合っていません。
合わせるだけならいいのですけれども、掛金をとらなければいけません。そうやって折衝してまいりました。ところが、もうなくなるのですからいいでしょうと、こういう書類をもう出しませんという意見もふえております。国の年金だって4割はだめと言っているでしょうと、そういう意見が実際にあります。
それから、延滞掛金の回収、これは厳しくうちではやっております。滞納処分もやって、預金も差し押さえ、夜討ち朝駆け、自動車のナンバーをとって調べることをやっております。そうしますと、どうせ廃止でしょう。滞納掛金、国に移ったって取り立ても甘いでしょうと、2年たったら時効でしょうなどという不届きな話もあります。
ですから、末端の事務方に非常に影響があります。その辺も考えまして、総合的な御審議をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
それでは、今、御発表いただきました全国中小企業団体中央会の御説明に対して御質問等ございましたら、御発言いただければと思います。
駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 ありがとうございます。
名前が長いので、電気さん、トラックさん、石油さんと呼ばせていただきます。済みません、失礼いたします。
石油のほうに、まずお伺いしたいのですが、資料を見させていただくと、新特例のような考え方、上限負担は導入してほしい、それから金利もゼロにしてもらいたいという趣旨ですね。恐らく連帯債務も外してもらいたいと、こういうことだと思いますけれども、この結果、本体に影響を与えることがある可能性が出てくるわけですけれども、石油協議会としては、この代行制度自体の存続に対しては、どういうふうに考えていらっしゃるのか教えていただきたいと思います。石油さんに対しては、それが1つ。
次ですけれども、トラックに関連して、1ページ目に、いい制度だから制度自体は残していただきたいと書かれているのですが、働いている従業員の方は、この制度が母体企業の持続可能性に対する危機を発生し得るということも御理解した上で、従業員の方もそう思っていらっしゃるのか、そのことをどうやって確認したのか、具体的に教えていただきたいと思います。
それから、電気さんの最後の自己責任について、年金本体については有限均衡方式のもとで、5年に1度100年間の財政見通しをチェックしていますので、そういう公的年金破綻という誤解があったらぜひとも解消していただきたいと思いますが、最後の自己責任については、今、問題になっているのは代行部分、つまり厚生年金の報酬比例部分が傷つくかもしれないと、そこについても保障していただかなくても結構だと、こういう意味でしょうか。
○全国石油業厚生年金基金協議会会長 國安様 石油のほうですけれども、金利がゼロとか30年と、この制度は存続してみれば、それなりに受給者にとっても大変ありがたい制度だと思いますが、石油業界は、先ほど言いましたように、お先真っ暗でございまして、これからほとんどいいことはないだろうと。
今言ったのは、いかに解散をしやすくするのかという意味では、その中でなおかつ返済するにしても、その企業が、零細ですけれども、これが倒産しないで返済できるような意味では、ゼロ金利あるいは最長30年、そういう意味でございます。
○駒村委員 本体に迷惑をかけても構わないという考え方ですね、本来金利がつくべきものも全部軽減して、上限負担も軽減してもらってということは、連帯債務も場合によっては本体が直接負うことになるのですけれども。
○全国石油業厚生年金基金協議会会長 國安様 上限の緩和策は試案として出ていますから、それよりひとつ頑張ってほしいということですから、何も私はゼロから言っているわけではない。個人的には解散したけれども、これはやはり我々責任というのがありますから、その中で専門委員会としての試案の中にありました、それより一歩緩和していただきたい、こういうことでございます。
○東京トラック事業厚生年金基金常務理事 青木様 トラックです。
先ほどの質問なのですけれども、本日の専門委員会のヒアリングがあるということで、緊急のアンケート調査をやりました。その結果ということでお話を申し上げた部分でございます。
それから、私ども業界としましては、先月も民主党あるいは自民党さんにも同様な要望をかけているという状況でございますし、これは全日本トラック協会、その前には関東トラック協会を含めまして要望をしているという状況の中身となっております。
以上でございます。
○駒村委員 もう少し具体的に、26万9,000人加入者がいらっしゃるわけですけれども、どうやってアンケートをして確認されたのか。
○東京トラック事業厚生年金基金常務理事 青木様 個人という部分ではありませんけれども、基金のほう、それから事業主さんと言いますか、役員さん、それから受給者の状況はどうなのですかということでのアンケートでございます。
○神野委員長 それでは、電気工事のほうもお願いできますか。
○関東六県電気工事業厚生年金基金常務理事 立田様 これは、必ずしも12のあれとは限りませんが、手前どもの基金に限って言えば、先ほどお話したように給付削減をやると、そうすると不足金が23年度決算と大体同じで24年度が終わりますと、それで給付削減をやると不足金が消えるという目算をしております。
そこで、運用を全く見直しまして、代行ヘッジをかけた独立行政法人と同じ運用を開始すると。そうしますと、代行部分については毀損するリスクが非常に少なくなる。そうなりますと、いわゆる自己責任、いわゆるお救いがなくてもやっていけるのではないかということを12月頭に開催しました運用委員会で話題になりまして、今、勉強、検討を開始したところでございます。
○駒村委員 確認ですけれども、代行部分も保障なくても構わないと、リスクを引き受けると、こういう趣旨ですか。
○関東六県電気工事業厚生年金基金常務理事 立田様 そういった形で運用の目算がつけば、結果的にそうなると。
○神野委員長 では、とりあえずこれで、あとは、いかがでございましょうか。
宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 ありがとうございます。
中央会の方に代表してお答えいただければ結構ですが、先ほど基金側にもお聞きしたとおり、皆様方は母体企業の代表ですが、先ほど駒村委員もおっしゃったように、本当に加入者にまで現状認識が浸透しているのかどうか、そういう情報が本当に開示されているのかどうか。特に大きく代行割れしているような基金の関係者にお聞きしたいところですが、もう少し、どういう手続きを踏んで情報開示されているのか、あるいはガバナンスが機能しているのかをお聞きしたいと思います。
それから、先ほどありましたように、特に中小零細の企業で働く多くの従業員と言いますか、多くの企業は、基金、あるいは中退共も含めて退職金の全ての原資をそれらに依存しているケースが非常に多いと思っています。
しかし一方で、こういう状況に陥ると、先ほどもどなたかがおっしゃったように、労働者が本当に受給権を行使できるようになっていればいいのですが、名目上は受給権はある、しかし実際には資金はないという、そういう中で、これから若い労働者が本当に中小零細企業に入社して、日本の中小企業を支えていこうという気持ちになるのかどうか。率直なところをお聞きしたいと思っています。
○神野委員長 これもできる範囲内で結構でございます。
○全国中小企業団体中央会政策推進部長 及川様 前者の御質問ですけれども、5-1の4ページにありましたように、4.それから5.もそうだと思いますが、まずもって中小企業の経営者自身に継続して払い続けるとどのくらいのお金がかかるのか、また、不足を負担してもどうなのかという正確な情報をもっと開示をしていただきたいと。それをもって従業員ともっと話し合っていくというのが前提であって、この4番については引き続き、私どもも判断提示についての環境整備をぜひやっていただきたいという要望をさせていただきましたので、現在でも不十分だと理解をしております。
○宮本委員 後者の若い人の問題についてはいかがでしょうか。
○全国石油業厚生年金基金協議会会長 國安様 どこまでの浸透かという問題ですけれども、特に石油の場合は、先ほど申し上げたように、どんどん閉鎖、倒産が続いている。その中では、従業員が一番肌で感じている。半分以上は、恐らくボーナスもゼロ、もう一つは正社員がいなくなってアルバイトですから、現場のノルマを含めて、この先行きの状況を見て非常に従業員自身が業界の切迫感というのを一番感じているのだと思います。
○全国日本トラック協会常務理事 矢島様 トラックの場合にも、やはり若い方々が全然採用と言いますか、希望していないという状況でございます。やはり、年金のお話もあるのでしょうけれども、やはり低賃金で非常に労働時間が長いというところがございますから、まず基本的にそこでございまして、しかしながら、今までは他産業よりは若干給料がよかったものですから比較的来ていただいた。それが全然来ないと、こういう状況でございます。
ですから、経営者の方々といたしましても、やはり労働者を呼び寄せるためには、福利厚生ということで、いわゆる厚生年金のお話というのは非常に重要だと思っております。やはり労働力全体なのかもしれませんけれども、私どもとほかの自動車産業につきましても同様かと思いますので、この辺につきましては、ぜひいろいろ考慮していただければありがたいなと思っております。
○神野委員長 では、花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございました。
資料5-2の3ページのところまで1ページからずっと続いていますが、代行割れしていても制度を続けたい、そして、解散要件あるいは給付減額の要件を緩和してほしいという御要望が出されています。そして最後のところで「年金倒産に陥らないよう支援を頂けるよう配慮をお願いします」とあります。この支援は具体的に何なのかということになりますが、中小零細企業の労働者の退職金代わりなので守りたいというお気持ちは十分にわかります。しかし、この流れでいくと、何を守れるのだろうと、疑問があります。これが1点目です。
それから、トラックも石油も、ある意味AIJの被害を受けていると思いますが、総合型が多かったわけですが、あのような被害を防ぐために今後どのような対策をとろうとしているのか、対応しようとしているのか。おそらく中央会も含めて検討されていると思いますが、細かくなくていいので、ポイントだけ教えていただければと思います。
○全国石油業厚生年金基金協議会会長 國安様 石油の場合は、全部一律ではございませんで、中では早く解散したい、もうちょっと制度がどうなるのか、そういうことの様子をうかがいながらやっている。こういう要素が入っていますので、同じ視点ではなくて、先ほど言ったように、継続したいところもありますし、様子を見て5年、10年というタイムラグの中で、いろんな制度が変わっていった中で見るというのもありますが、その辺は同じ見方ではないと思います。その辺は御理解いただければと思います。
ただ、あえて言うならば、5年、10年で廃止ではなくても、その間は運用されるわけでございます。恐らく我々はうんと厳しい状態を見ています。そういう意味では、少なくとも来年の春のときには、法律が廃止云々は別にしても、いろんなハードルは早急に緩和してもらって、多少のダメージでも解散したいところは、早く解散できるような形で制度を変えてもらいたい。そうお願いしたいと思います。
○神野委員長 どうぞ。
○東京トラック事業厚生年金基金常務理事 青木様 トラックですけれども、AIJに関係しましては8基金、既に御承知かと思いますけれども、アンケートの結果、そのうちの2基金だけが解散を検討するという方向づけということでございます。あとのところにつきましては、状況を見ながらという部分はありますけれども、継続をしたいという話も出ておりますので、とりあえず、解散希望と言いますか、意見が出ているのは2基金という状況でございます。
○神野委員長 何か及川さんのほうで追加しておくコメントがあれば。
○全国中小企業団体中央会政策推進部長 及川様 いや、特に結構です。
○神野委員長 あとは、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これにて全国中小企業中央会からのヒアリングを終了いたしたいと思っております。
どうも本当にお忙しい中、ありがとうございました。
(説明者退席)
○神野委員長 それでは、以上をもちまして、本日の議題でありますヒアリングを終了したいと思います。わざわざお忙しい中をお越しいただきました皆々様方には重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
また、私の運営の不手際によって時間を大幅にオーバーしてしまいましたことをおわびする次第でございます。
全体を通して委員の皆様方からぜひにということがあれば伺っておきますが、なければ、時間でもございますので、これにて終了させていただきたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、本日の議事は、これにて終了させていただきますが、事務局のほうから次回以降の日程について連絡事項をお願いいたします。
○渡辺課長 ありがとうございました。
年内の専門委員会は本日が最終でございまして、次回は年明けを予定しておりますが、日程等詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○神野委員長 どうもありがとうございました。
それでは、これにて本日の審議を終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
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