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2012年5月11日 第11回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門会検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年5月11日(金)
18:00~20:00


○場所

厚労労働省省議室


○議事

○椎葉労働衛生課長 本日は、ご多忙の中、委員の皆様方にはご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより、第11回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会を開催させていただきます。まずは、出席者をご紹介させていただきます。本日は大迫委員、名古屋委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、小林委員と杉浦委員から遅れるとのご連絡をいただいておりますので、本日は8名の委員で開催する予定です。また、本日もオブザーバーといたしまして、5名の方にご出席をいただいております。まず、原子力災害対策本部から須藤参事官、茶山班長、農林水産省から田雑課長補佐、林野庁から井出室長です。国土交通省から石川工事監視官もご出席する予定ですが、遅れて出席とのことです。
 本日の議題は、前回の第10回の検討会後、4月27日に本検討会の第2次報告書を公表させていただきました。この報告書は、委員の皆様に限られた時間の中で、活発にご議論いただきまして、また、検討会の合間にも多数のご意見を頂戴した上で取りまとめたものです。委員の皆様には心より感謝を申し上げます。また、関係省庁の方からもさまざまな知見やご意見等をいただきまして本当にありがとうございました。現在、厚生労働省におきましては、この第二次報告書を基に、7月上旬の除染電離則改正に向け、パブリックコメントを募集中です。その上で、本日の検討会は、省令の改正に加えまして、本日の資料として提示しておりますが、事業者が実施すべき事項を含めた「ガイドライン案」と、「特別教育テキスト案」についてご議論いただきたいと考えています。それでは、今後の議事進行には、森座長によろしくお願いいたします。
○森座長 本日は、いま課長からありましたように、ガイドライン案とテキスト案の2つの議題について議論いただくことになっています。ガイドラインにつきましては、第二次報告書が基になっておりますが、その中で前回検討会終了後にメール等で修正した部分や宿題となっていた技術的事項もありますので、そのあたりを中心にご議論いただきたいと思います。テキストについても基となっているのは、除染電離則の特別教育テキストですので、そこから修正が入った箇所を中心に、または変えるべきところを中心に議論をしたいと思います。議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 資料の確認をさせていただきます。表紙が議事次第、資料1が「要綱」、3頁から資料2として「前回の議事録」、29頁が資料3「第二次報告書」です。別綴になっていますが、63頁から今回ご議論をいただくガイドライン(案)の資料4です。97頁は資料5「テキスト(案)」です。129頁に資料6「空間線量率のモニタリングデータのばらつきの評価」を入れています。以上です。
○森座長 ただいまご確認いただきました資料について不足等ありませんか。よろしいでしょうか。それでは、早速この資料4のガイドライン(案)のところの議論から入りたいと思います。今回も非常に項目が多いので、それぞれ分割してご説明いただき、議論をしていくという流れで進めたいと思います。それでは、ガイドラインの第1の「趣旨」から第3の「被ばく線量管理の対象及び方法」まで、事務局よりご説明をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 それでは、ご説明をさせていただきます。63頁です。まずタイトルですが、まだ仮置きで、全体像を捉える用語がなかなか難しく、除染等業務以外の復旧・復興作業というような押さえ方をしております。
 第1パラグラフに書いてあることは、原発事故に伴う除染を行う際の放射線障害防止対策として、除染電離則とそのガイドラインがあるということ、第2パラグラフは警戒区域、あるいは避難区域の見直しに伴い、今後、生活基盤の復旧、製造業等の事業の再開が順次行われているという背景事情が書いてあります。
 次のパラグラフに、現状の除染電離則ではこういった作業が適用がないということで、それを踏まえた改正を行うということです。
 次のパラグラフはガイドラインの性格ですが、改正除染電離則の内容のみならず、いわゆる指導的に行っていただくべき事項、従来の安衛法の関係法令などを、一体的に示しまして、これだけを見れば全部できるようにするということを記載したものです。このガイドラインは、当然労働者の放射線障害防止を前提にしていますが、同時に自営業者、個人事業者、ボランティア等にも活用できるということを意図しています。
 第2の「適用」です。これについては報告書でご議論いただいたことから何も変わっておりませんが、まず適用範囲としては除染特別地域、汚染状況重点調査地域を適用範囲とします。
 次の頁、業務は2つ適用業務として押さえておりまして、1つは1万Bq/kgを超える汚染土壌等を扱う業務です。「特定汚染土壌等取扱業務」と押さえておりますが、これが1つです。もう1つは、2.5μSv/hを超える空間線量率の場所で作業を行う業務、「特定線量業務」と押さえているものの2つの業務を対象とするということです。
 なお書きにつきましては、その周辺海域の問題でして、前回ご説明させていただきましたとおり、現時点のデータでは、法令上で義務づけるようなレベルには達していないということですので、ガイドラインの対象としないということですが、外部被ばくの測定は行っていただきたいということです。
 (1)から(4)は、それぞれの留意事項です。(1)は、除染等業務につきましては、引き続き別のガイドラインで対応する。(2)の「汚染土壌等」と(3)の「汚染土壌等を取り扱う業務」につきましては、従来の報告書どおりの定義を置いております。(4)の「特定線量業務」ですが、ここは自動車運転作業について特記を入れておりまして、2種類ありますが、荷の搬出又は搬入先が2.5μSv/hを超える場合であっても、1月あたり40時間以上滞在することが見込まれなければ適用しないということを明確にしています。
 2番で、一方、生活基盤の復旧作業、これは作業の関係上、非常に高い空間線量の場所に入っていく可能性がありますので、滞在期間という概念はなく適用するということを明確にしております。なお書き以下で、単に2.5μSv/hを超える地域を通過する場合については、特定線量業務ではないということを明確にしております。
 製造業等屋内作業につきましては、屋内作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/hを下回っていれば、屋外が超えていても同じく特定線量業務に該当しないということを明確にしています。
 第3の「被ばく線量管理の対象及び方法」とですが、報告書では「事業者」というように押さえておりましたが、それではわかりにくいという声もありましたので、4種類、事業者の名前を分けております。まず先ほどご説明した、特定汚染業務を行う事業者、それから特定線量業務を行う事業者の2つ、両者を合わせた概念として、特定業務というのを押えております。これは両方ともやる場合ということです。最後に2.5μSv/hを超えるエリアで1万Bq/kgのものを扱うという両方かかる場合については、特定という業務で押えております。こちらは主語を見ればどういったものが適用になるかということがわかるような形で書いております。
 第3の「基本原則」ですが、これは全体を書くわけではございません。主語としては「特定業務従事者」を置いています。特定業務従事者が特定業務に従事する労働者、あるいはその他の労働者、これは一時立入などを含みますが、そういった労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めるというのが大原則です。
 (2)が今回の報告書で新たに位置づけられましたが、特定業務を実施する際には、被ばく低減を優先して、除染をきっちりやるということを明確に位置づけています。アからエは、解説的なものですので省略しますが、ウにつきましては、(2)の大原則については、除染等業務のために必要な水道、道路の復旧については、やむを得ない場合もあるということです。その理由は、除染等の措置と同等以上の放射性物質の低減効果が見込まれる作業についても適用しないということです。
 エは(2)をより具体的に書いているわけで、製造業ですが、エのこういった作業につきましては、復旧工事と比較して労働時間が長くなるということと、必ずしも緊急性が高いとは言えないということで、前もってきちんと除染をした上で、空間線量率2.5μSv/hを下回った状態で作業を行う。つまり線量管理が不要な状態で行うべきであるということを明確に書いています。3.8μSv/hであればきちんと除染をすれば、屋内で2.5μSv/hを超えることはないというなお書きも付けています。
 2の「線量の測定」ですが、これはメニューが3つあり、ア、作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/hを超える場所で1万Bq/kgを超えるものを扱う場合は、外部被ばく線量測定は、個人線量計、かつ、内部被ばく測定もやってくださいということです。
 イが2.5μSv/hを超える場所で汚染土壌を扱わない場合につきましては、個人線量計による外部被ばく測定。ウは2.5μSv/h以下の場所の場合で、1万Bq/kgを超えるものにつきましては、原則として測定しなくてよいのですが、生活基盤の復旧業務、いわゆる土木工事のようなものは、作業場所を特定することができないということですので、原則として測っていただくということを明確にしています。
 (2)の農業従事者あるいはその他自営業者、個人事業者に対する記載ですが、これにつきましては、どうしても被ばく線量管理というのが難しいということがありますので、できる限り除染を2.5μSv/hを下回るような状態でやっていただきたいということですが、やむを得ない場合は、それぞれ個人事業者あるいは自営業者についても事業者と見なして、このガイドラインを適用するということを明確にしています。ボランティアにつきましては、前回のガイドラインどおり、1mSv/年を超えないようにするべきだということを書いています。
 (3)は内部被ばくの測定の方法で、これも除染電離則と基本的に変更はありません。高濃度土壌を扱い、なおかつ、高濃度粉じん作業を行う、この2つの両方を行う場合について3カ月に1回の内部被ばく測定、それ以外については基本的にスクリーニングでいいということです。
 (4)のイのところで、粉じん濃度の測定につきましては別紙1で、前回と変えていません。内部被ばく測定のスクリーニング方法についても別紙2で、これも除染ガイドラインと同じでございます。
 67頁の3の「被ばく線量限度」ですが、これも全く変えていません。
 (2)は線量を合算して管理するべきであるということを明確に書いています。放射線業務に従事した労働者、あるいは除染等業務に従事した方が今回の特定業務を行う場合はその被ばく線量を合算してくださいということです。
 (3)と(4)は、放射線管理はブロック管理という概念ですので、いつをスタートとするかということを決めないといけません。始期というものを決めるわけですが、それ以前の線量については合算しないという、後ろを振り返らない運用になりますので、始期が揃っていないといけないということがあります。現在、除染電離則では1月1日ということになっておりますので、この規則については遡りにはなりますが、1月1日というのをそのまま統一的に使いたいと考えています。当然、この除染電離則改正案が施行されるまでの間は、被ばく線量測定の義務がかかっておりませんので、それについてはやむを得ないわけですが、もし測定をしている場合はきちんと合算して、1年間の管理を行っていただきたいということです。
 (6)は、例えば放射線業務を従来からずっとやってきて、4月1日で管理している事業場につきましては、それを主な業務として行う場合は、4月1日の管理でも差し支えないということです。
 4は「線量の測定結果の記録」ですが、これも基本的に変わっておりませんで、30年間保存を原則として、5年間保存の後には、厚生労働大臣が指定する機関、これは放射線影響協会を現在指定しておりますが、そちらに引き渡すことができるということです。記録については原則3月ごと、1年ごとと、現在の除染電離則と全く同じ記載をしています。
 (3)は、事業の廃止の場合には、同じように厚生労働大臣が指定する機関に線量記録を引き渡す。
 (4)で、特定業務従事者が離職してしまう場合、その人が記録として過去の被ばくを持っていないと、実績管理ができなくなりますので、記録を必ず渡すということを明記しています。
 (5)に書いてありますのは、どうしても3カ月に一度の記録ですと、それより短い期間に雇用されている方がおられますので、そういった場合の特例措置について記載をしています。説明は以上です。
○森座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明についてご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
○建山委員 大原則として、できるだけ除染等をして、被ばくのリスクを低めましょうという話があって、ただしというお話の中で、公共性の必要性があるものについては、先に工事を進めることもあるよという話の中で、もちろんこのとおりだと思うのですが、例えば工事の内容にもよると思うのですが、必要性があるから先に工事を始めましょうと言ったときに、実際に工事のやり方を考えたときに、結構道路工事等は、道路の新設などで長期にわたって多くの人が関わるような工事の場合、実は先に除染して、空間線量を下げて、そのあと工事をしたほうがいろいろな制約の中で工事をするよりも、効率的で早くできるとか、そういった場合も出てくるのではないかなと思います。それは、工事の内容によって変わってくると思うのですが、そうしたときに、どの時点で除染を先にするのか、あるいは工事を先にするのか決めるのかなというのが少し曖昧かと思いご質問をさせていただきました。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ご指摘の点につきましては、道路や水道の復旧であれば、おしなべてすべて除染しないでよいということではなくて、ここに書いてありますように、除染等業務のために必要な、最低限とは書いていないのですが、必要なという前提は付けていますが、先生ご指摘のように、本当に大きい道路を1年間かけて作るということであれば、それは言ってみればさほどの緊急性はないわけですので、それはおそらく除染をするのが優先されると考えています。その辺り、少しわかるように記載を充実するようにしたいと思います。
○古田委員 いまの意見と関連するのですが、除染する場合も、斜め横方向から放射線が飛んでくるような場合も考えられますので、そういう場合ですと、例えば作業場所の前面だけ除染しても、なかなか空間線量が下がらないという場合も考えられます。それはやはり作業をする上でどれが効果的か、それをきちんと見積った上で作業すべきだと考えます。常に除染しなければいけない、除染しなくてもいい、そういうルールはないと思います。ケースバイケースできちんとどれぐらい低減効果が見込まれるか、そういったところを勘案して作業計画を立ててやるべきだと考えます。
 もう1点、64頁のいちばん上の「放射性物質の濃度が1万Bq/kgを超える汚染土壌等を取り扱う業務が特定汚染土壌取扱業務」ということで定義されているのですが、私ははっきり言ってこれは不要だと思います。というのは、これが作業にどれだけ影響を及ぼしているかというところが、全体を読んでみてもよく見えないです。例えば濃度の高いものがあれば、それは線量に効いていますから、線量管理をきちんとして、どれだけ空間線量を測って、作業場の線量をきちんと把握した上で、作業者が実際に被ばくをどれだけするか。いちばん大事なのは作業者の被ばくですから、それをきちんと管理するのがこの除染電離則の役目だと思います。従来の電離則は、ある線源を取り扱う、そういう発想でした。特に除染電離則は表面だけ集めてそれが線源とされている。それを作業者が取り扱うということで、非常にクリアだったのですが、それに対して今回の除染作業以外の電離則は、以前何回か言ったのですが、中には表面を取り扱う作業があるかもしれないという程度ですので、もしもそういう作業があれば、どちらかというと除染の作業だと位置づけてそちらに振ってしまって、そうではない作業はすべて除染でない作業としてカバーする。こちらはきちんと作業者の被ばくを管理する。従来の電離則は線源を取り扱うという発想だったのですが、今回は現存被ばくという状態で、その中での計画的な作業をしなければいけないということですから、それはやはり周りの線量が高い状況で、これだけの作業をするという前提に立っていますので、発想を変えて被ばくをきちんと管理する、そこに絞ってこの除染作業以外の電離則はきちんとまとめたほうがすっきりすると思います。以上です。
○森座長 今回の管理方法のかなり根本的な話に戻るご意見ですが、いかがでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおりの側面もかなりございますので、ここはだいぶご議論をさせていただいたところではあります。先ほどおっしゃられたように、表面を取り扱う作業は除染作業に位置づけるべきだと。言ってみれば法制上のどの規則に何を当てはめるか、当てはめ論だと思っております。端的に申しまして、そこは大変恐縮ですが、法令技術的な問題もありまして、除染とそれ以外の作業というのは目的論的に異なります。例えば特措法の適用があるとかないとか、そういったものもあって、くっ付けるというのは正直なかなか難しいという形はあります。除染は除染と当然いままではやってきましたので、それは置いておいて、なおかつ、除染以外のものについても地表の表面を取り扱う作業については、そこは技術的な問題ですので、この規則の中で規制せざるを得ないと。
○古田委員 放射線防護という観点でいうと、やはり作業者の被ばくを防護する、これが第1です。そして第2はそれに関係するようなものをどう管理できるか。例えば空気中の濃度や取り扱うべきものの放射性物質濃度などがその次にあるわけです。そうすると、取り扱うものの対象がちゃんと明確になっていればいいのですが、今回は周りがすべて汚染されているような状況での作業ということを考えると、それの基準をいくら決めても、正直いって意味がない。やはりいちばん大事な作業者の基準をきちんと決めて、それに対してきちんと防護すると。そういう体系がきちんとできていればいいのであって、それは最終的には線量に効くということですから、周りの土をいくら測るというのが、それがどういう意味であるのかというのが明確ではない。これを読んで私はすごく気になります。
 放射線防護の原点に立ち帰って、従来の電離則に引きずられるというのは、やはりお役所では従来のルールをあまり変えたくないというのはよくわかるのですが、原点に立ち帰って考えると、これは少し発想を変えないと、何か曖昧になってしまって、実際に作業をやる場合に、クリアに皆さんが理解されるかというのが私は非常に疑問です。以上です。
○原災本部茶山班長 同じく放射性物質の濃度、セシウムの場合、1万Bq/kgを規制の対象としている法律としましては、放射線障害防止法というのが文部科学省の法律のほうであります。これもセシウムが1万Bq/kgを超えたら規制の対象になっていますが、いまのこのような状況でそれを言ってしまうと、例えば農家の人たちも含めて、みんな放射性物質の使用の許可を取らなければいけないとか、書いてあるとおりに厳密にやってしまうと、とんでもないことになってしまうだろうということで、およそこれは通常の法律が考えている意味での放射性物質の使用ではないとみなして、むしろ放射線障害防止法はかけない形で、護りたいから護るといって申請されれば、何か考えるのでしょうけれども、1万Bq/kgを超えるところで物を触ってしまったとか、そこにある所で何かやっているかもしれないけれども、そちらの法律はかけないという形で運用をしています。
○古田委員 ちょっと関連してですが、線量の低い所とかでも表面だけ採れば1万Bq/kgを超えるような土壌というのはたぶんあると思います。では、それがあったから一体どうなのですかと。管理にどう反映するのですかというところは、やはり非常に曖昧だと思います。例えば、高い線量の所で作業をやって、そこから1日の仕事が終わって自宅に帰るとき、その前に最低限汚染チェックは必要かと思います。それをしっかりやっておれば、それで十分ではないかなと考えます。いま、オブザーバーからお話があったのですが、1万Bq/kgということでそういうルールがどんどんできてしまうと、そういったものの取扱いに非常に困ってくるのではないかと思います。以上です。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 実は古田委員と私が言っていることは、安全の面では同じで、先生は表面を取り扱う作業というので、例えば5cm、10cmぐらいであれば1万Bq/kgを切るようなものでも、表面だけを取れば50万Bq/kgとか、そういうのが出る可能性があるということはお互いに了解しておりますし、汚染チェックが必要であるということもお互いに了解をしているということです。あとはそれを法令上どう落していくかという議論だと思います。汚染チェックをするためには法令上、義務づけないといけないので、それは線量管理だけではないということになってきます。
○古田委員 汚染チェックをするような場合も、例えば1日の作業があってその場から自宅へ帰るとか、低いところへ移るときには、汚染チェックは必要だと思います。移らないでその場で仕事が終わってから、食事をするとかそういうときは別ですが、エリアを決めても、そのエリアの外側も同じような汚染されている場所だというときに、どこまで汚染チェックの意味があるかとか、そういったことも必要だと思います。やはり高い濃度のものがあるというのは、すべて外部の放射線に効いていますから、それは線量なり個人被ばく管理できちんと管理できるのではないかと考えます。せっかく1万Bq/kgという数値を決めても、それがどういう形で反映するというのが曖昧である以上、むやみに測定をすることを義務づけて、復興作業を停滞させることが、かえってそれがあることによって意味のない仕事、測定業務を押し付けることによって、かえってマイナスに効くのではないかなという感じがします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 全くおっしゃるとおりで、復興作業の邪魔をするつもりは全くなくて、おっしゃるように、そこは最低限のものにするということです。最低限といいますか、ジャストフィットするということです。いずれにしても先ほどおっしゃいましたが、例えば低い所に移るときは汚染チェックをしなければいけないということなので、いずれにしても汚染チェックの義務を付けないといけないですね。そのときに、どういう場合に義務づけるかという、1万Bq/kgという数字を使うしか方法はないので、法制上はこういう形にならざるを得ないと思います。
○古田委員 そういう意味では2.5μSv/hという線量のほうで管理されるのであれば、その場所で作業をしたときに、汚染チェックをしっかりやってくださいね、という程度で十分ではないかと思います。土も作業によっては完全に表面だけの高い所が、例えば足に付くとかそういう場合というのは非常に希ですので、何グラムか靴底に付く場合にはチェックしなければいけないのですが、そういうのを考えると、2.5μSv/hを超える場所で作業をすれば、汚染チェックの義務をするとか、その程度で十分ではないかと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 2.5μSv/hと汚染土壌の関係式というのが、必ずしも深さの問題で一致しないということも、合意できていると思います。ですから、先生のご意見としては、2.5μSv/hで土も管理できるというご意見はよく理解できるのですが、それはやはり学術的にきちんと根拠を持って、そこまでできるかということだと思います。それで、確実に2.5μSv/hを下回っている所で、汚染上問題のないような作業は一切ないのかということを、この委員会で保証できるかと。
○古田委員 現実的なことを考えると、3.8μSv/hを下回る所で皆さん普通に暮らしているのですよね。それでその人たちは毎日汚染チェックをやっているのですか。そういうことも勘案して決めないといけないと思います。実際には2.5μSv/hは3.8μSv/hに比べれば低いところで管理しているので、そういうところで私の感じとしては十分なのではないかなと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるように、そうなのは事実です。それを勘案すべきだというご議論はあると思います。ただ、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、2.5μSv/h以下の場所であって、先ほどおっしゃったような汚染チェックが必要でないということ、表面だけを触るような作業は、舗装作業であるとか、法面作業がありますが、そういう作業に従事した方に対し、汚染チェックを義務づけないということをいうだけの科学的根拠がいまあるのかというと、ないのではないかということです。おっしゃるように、過剰規制的なところはあろうと思います。そこはそのとおりだと思います。ただ大変恐縮ですが、安全側で規制はせざるを得ないところですので、新しい基準をいまここで作るというのは極めて困難で、使える基準としては1万Bq/kgしかないというところを考えてやっています。
○古田委員 例えば濃度の測定、土壌濃度の測定を義務づけるのに代えて、すべての作業が終わったら汚染チェックをしますよと言ったほうが、私は作業者にとっては楽かなという気がします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおりでございます。我々の言っていることは、実はほとんど同じで、汚染チェックはするということはもう決まっているわけですよね。その汚染チェックを適用する人をどのように探すかというところで、1万Bq/kgという数字を使います。そこで測定行為が発生するのは問題ではないかということであれば、先ほど申し上げました測定のところで、空間線量率からの推定などがありますので、そういうことも実際負担のないような測定を行います。
○古田委員 では、作業が終わってから汚染チェックを義務づける場合には、土壌の測定はしなくてもいいとか、いろいろな考え方があると思うのですけれども、検討していただけるとよろしいかと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 要は規制の体系の作り方という議論に入っているのではないかなと思うのです。汚染検査を義務づけるための、法律用語でいうと構成要件をどう書くかというところです。そこは、先ほど言いましたようにほかに基準がないので濃度で書かざるを得ないと。そうすると、測定値は論理的に出てくるということです。あとは、運用上の問題で、おっしゃるように、実際問題として、ここは1万Bq/kgを超えることを前提として、汚染検査をするということであれば、いちいち測らなくてもいいというのはおっしゃるとおりですので、運用上それを明確に書きたいと思います。後ほど説明いたしますが、そういう運用をすることは可能です。
○森座長 二次報告書が出て、パブリックコメントの募集が出され、その上でガイドラインのレベルで話をしています。いまの議論の中心はというのはデータがない中でどのような管理手法がよいかということになります。前回の除染電離則でもそうだったのですが、今後は運用をしながら、状況を見て変えていくというような柔軟性というのを維持して、課題としておくということもありうると考えますが、その点いかがですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるように、状況を踏まえながら、十分にエビデンスも溜まってきて、あるいは放射線審議会のほうで十分ご議論いただいて、新しい基準を作っていただくということであれば、それを取り入れることは全くやぶさかではございません。
○古田委員 本当は実際に作業されている方にどちらが作業管理として容易か選んでね、というような、本当はその辺の意見を聞きたいというような気がします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 既に選べるような記載ぶりになっています。具体的に申しますと、あとでご説明しようと思っておりましたが、例えば69頁に測定に当たっての留意事項というのがあります。例えば(3)のアですが、もう文部科学省が公表している航空機モニタリング等の結果を踏まえて、ここは2.5μSv/hを超えているのできちんと規制をしますという方には、事前測定をしないで結構ですということを位置づけます。それから、イで、濃度のほうですが、同じように1万Bq/kgを超えていると判断して、汚染検査もちゃんとします、保護マスクもちゃんとしますということを宣言される場合は、これも事前調査は、いわゆる航空モニタリングからの推定で変えることができるという規定は置きたいと思います。そういう意味では、古田委員がおっしゃるような対応にしたい。そこは事業者がどちらか選択できる。もちろんきちんと測って適用除外するということもできますし、汚染検査を全て行うという、どちらの選択もできるような記載ぶりにはしております。
○森座長 そこの部分を少しわかりやすくというか、前面に出るような形でガイドラインの中で書いていただくということでよろしいですか。それ以外にいかがでしょうか。
○金子委員 1点だけ。今後の話が出たので、お願いしたいのですけれども、放射性物質が1万Bq/kgというのは、放射性物質を直接扱うということであって、今回は、その放射性物質の粉じんがということになっていて、それが汚染土壌を取り扱う業務となっています。実際とはかなり違ってきますので、粉じんの体に対する影響が低いということが明らかになれば、このルールは今後変えていただきたいと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 粉じんと書きましたのは、例えば、人間としては直に土に触れないけれど、例えば耕運作業はほとんど自らの手で土を耕す人はまずいないと思いますが、では土壌を取り扱わないと言い切れるかというと、やはり全くそんなこともないので、そういった観点に近い、機械を介して土壌をやる場合もあるということにするために、入れている記載ですので。
○金子委員 その場合でしたら、土を掘り起こすからということなので、例えば木を切るときには直接土を扱わないわけですから、適用が広過ぎると思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 さらに、これは伐木とかが明示的に入っているというところについては、確かに土壌とは違うのではないかという議論はあろうかと思います。そこはまた検討させていただきますが、基本はいずれにせよ、土を機械を介して落葉層みたいに限りなく土に近いものを含んでやるという概念でございます。
○森座長 よろしいですか。“おそらく”大丈夫だろうという立場と本当にそれで確実に大丈夫なのかという規制する側との間での、書きぶりの鬩ぎあいのように思います。ここは、1つルールを決めてやっていきながら、今後も引き続き検討していくしかないのかなと思います。ほかにいかがでしょうか。
○建山委員 もう1点よろしいですか。「線量の測定結果の記録」のところなのですが、前回も少し議論があったかと思うのですが、個々の作業員なり関係者の線量の合算、その取扱いなのですが、ここでは線量の記録をするべきと書いてあるのですが、それをどう使うのかというところが後で出てくるのでしょうか。それともここで止まってしまうのでしょうか。そこのところを教えていただけたらと思うのですが。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 合算の仕方は明確にこれ以上書く予定はないのです。ただ、付けてはいませんが、線量記録の様式というのは作ろうと思っています。それを共通的には使うようにはしたいと考えています。
○建山委員 そうすると、例えば記録を作業者の雇用であったり、従事の作業内容であったりするというところに、使うスキームがあるかどうかということですね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 具体的に申しますと、77頁の第7の1に、特殊健康診断というのがあります。この(1)のアに、被ばく歴の有無の調査及びその評価というのがあります。ここで、新規に雇い入れたときに、いままでの様式を提出させて、過去の被ばく歴を把握すると。把握した上で合算していくという法令上の義務をかけるということです。
○建山委員 わかりました。その辺の流れが少しわかるように書いていただいたほうがいいのかなと感じました。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、いくつかの点について、強調すべきところなど、少し書きぶりを整理しながら、ガイドライン案は修正していくということで、その辺を事務局のほうでよろしくお願いいたします。
 続きまして、第4の「被ばく低減のための措置」と、第5の「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置」について、ご説明をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 続きまして、68頁の第4です。これについては特定汚染土壌等を扱う者に限られている規定がほとんどです。まず、事前調査については、1万Bq/kgを超える作業を行う場合について行う。測る前はわからないわけですが、いずれにしても、土壌を扱う場合については、事前に平均空間線量と濃度を測ってくださいということです。特定線量業務は、もともと土を触らないことを最初からわかっているので、空間線量率のみ測っていただきたいということです。下線部に書いているところは安定的に下回った場合は途中でやめていいということです。安定的な定義について別紙でご説明します。
 84頁の別紙3です。2の(1)は空間線量率の関係です。2週間に1度測定をするということで、ただし、測定値が2.5μSv/hを下回った場合でも天候等による測定値の変動があり得るために、測定値がおよそ9割を下回るまで測定を継続します。台風とか洪水とか、そういった大きな環境の変化があった場合は線量の大きな変動が予想されますので、その場合はまた測ってくださいということを入れています。何でこの1枚なのかについては、129頁にバックデータを付けています。
 こちらは、文部科学省で行っている空間線量率のモニタリングポストにおける測定データです。天候によってばらつくわけですが、データの標準偏差を出して、その3倍。これは、データの総数の99.何%が統計を取ると含まれるエリアですが、それを測定値の平均で割ると、いわゆる測定の誤差がパーセントで出てくるわけです。それを行っております。その結果として5.5%でそろったということです。下のほうにデータがあります。抽出したのは福島県内だけです。地理的には北のほうの福島市、原発すぐ側の大熊町、南のほうのいわき市という形で、3つそろえています。線量についても、大熊町が非常に高い5μSv/h、福島市が0.1μSv/h、いわき市が0.03μSv/hとばらついているものをあえて選んでいます。それぞれ、4月10日から5月10日の最新の1か月間を測定データとして、180データで標準偏差の計算をして、それを平均値で割ると大体5.5%ぐらいにそろったということです。当然、これは気象条件が季節によって違うと思いますし、5.5%はどこまで信用できるかというのは全く保証がないわけですので、安全率として2倍ぐらい掛けて10%ぐらいあれば大丈夫ではないかなということで設定しています。あとでご意見をいただければと思います。
 86頁は汚染土壌の関係の測定です。放射性物質の濃度測定については、同じ所を繰り返してサンプリングができないため、先ほどのようなばらつきの評価ができず、なかなか根拠がない状況です。仮に置いているのは、例えば10週間、5回ぐらい連続して1万Bq/kgを下回ったらもういいでしょうという書きぶりにしています。当然、台風等が来た場合は測定を実施するということです。ただ、実態論として、土を扱う作業で継続的に同じ場所でずっと行う作業は建設業では基本的に考えられませんので、農地だろうと思います。測り方は後ほど説明しますが、空間線量率から計算することを認めていますので、実際サンプリングを毎月毎週間やらなければいけない場合は、実態論としては非常に長期に渡る建設業や、特別な場合を除いてはないと考えています。
 69頁に戻っていただき、先ほど古田委員のご説明の関係で出てきましたが、事前に測る必要はそもそもあるのかと。超えているとみなせばもう測る必要はないのではないかという議論がありまして、特に運輸業の場合に、荷主の空間線量をいちいち事前に測るのは極めて困難ということがありましたので、文部科学省が公表しているようなモニタリングの結果を踏まえて、ここは超えているというふうにみなすのであれば、そういったモニタリングのデータをもって測定に代えることができると。事実上、測定を緩和することができます。ただその代わり、測定の義務とか汚染検査はやってくださいという選択制を取っているということです。
 87頁に濃度の簡易な測定方法がありますので説明させていただきます。農林水産省、あるいは金子先生からご提供いただいたデータにより、農地と森林土壌については、空間線量率から土壌を推定する。逆に言うと土壌を測らないでいいということになるのですが、そういった運用を認めるということです。ただし、地表の表面のみを扱うような作業がある場合については認めないということですが、農地、森林ではそういった作業はほとんどないと伺っていますので、実際的にはほとんど測らないで済むのではないかと考えています。
 生活圏については、さすがに建物があったり、川があったり、水路があったり、道路があったりしますので、一律に空間線量率から推定するのはちょっと乱暴過ぎるということですので、V5容器を使った簡易測定をしてください。ただし、分析方法のところですが、87頁のいちばん上のウのサンプリングの場所は作業により取り扱う土壌のうち、雨水が集まる等々、集めるということですが、深さは実際に取り扱う土壌までの深さです。例えば、50cmを掘りますよということであれば50cmまでの平均で結構ですということですので、よほど高レベルのところがない限り、V5で測っても1万Bq/kgはないのではないかと思います。ただ、どうしても水路工事とか、そういったところを測定すると、たぶん超えてしまうと思いますので、そこはさすがに汚染検査等々を実施していく必要があるということです。
 88頁に大まかな測定方法が書いてあります。詳しくは91頁に別紙4-2に「放射能濃度の簡易測定手順」ということで農地土壌の場合は、こういった計算式で計算します。農林水産省からいただいたデータのフォーマットを変えただけです。
 92頁の別紙4-3は森林土壌のフォーマットです。若干不安があり、ご検討いただきたいのが1点あります。90頁にある表は簡易測定のものです。セシウム134と137の半減期が異なることに伴って、時間が経ってくると徐々にμSvで言うとエネルギーが減ってくる関係で、換算係数的には、時間が経つ上、上がっていく形になっております。こういったことを農地土壌のときにやらないでいいのかという疑問があり、これについてご意見をいただきたいと考えています。
 69頁に戻ります。作業計画については2.5μSv/hを超える場所において、特定土壌を扱う場合に限定しています。飲食・喫煙が可能な場所、汚染検査の設置基準については、従来から行っているように集約的な汚染検査所で差し支えないという扱いにしています。そのため、古田委員がおっしゃったように、低いところに出ていくところで汚染検査をすればいいという取扱いにしています。
 作業指揮者については、平均空間線量率が2.5μSv/hを超える場所で、1万Bq/kgを超える高濃度土壌を扱う場合に限定しています。作業届も同様です。医師による診察については、限定をあえてかける必要もありませんので、これについては幅広く適応をしているということです。
 次は第5章です。汚染拡大防止については、容器を使うことを原則にしているわけですが、前回、門馬委員からもご指摘があったところでして、小分けにして入れるほうがかえって被ばくするということがあります。こういった場合については、73頁のウに容器に小分けして入れるためにかえって高い外部被ばくや粉じんが見込まれるような作業については、わざわざ容器に入れる必要がなくて、エに書いてあるように遮水シート等で覆えばいいという記載にしています。
 同様にイは掘った土を仮置きしておいてすぐ埋め戻してしまうという、例えば、水道管工事があるわけですが、こういったときにわざわざ遮水シートを掛けないといけないのかというと、そんなことがありませんので、そういった極めて短時間のものについては、保管の概念はありませんということで書いています。
 2の汚染拡大防止の汚染検査については、従来から同じ汚染検査の方法です。74頁に選択という議論ですが、1万Bq/kgを測って1万Bq/kgを下回っているとわかっていれば汚染検査はいらない前提でして、特に農地と森林土壌については、事実上空間線量率から算定して、2.5μSv/hを下回ったエリアについてはほぼ自動的に汚染検査はいらないという形になります。
 生活圏においては非常に多様で、一律にこういった対応が難しいということですが、掘削深さが深いような作業については、ほぼ間違いなく1万Bq/kgを下回ることになろうと思いますので、そういった場合は仮に地表近くが1万Bq/kgを超えていたとしても汚染検査は省略できることを明確にしています。
 身体・内部汚染の防止については75頁にあります。従来「サージカルマスク」と書いていますが、松村先生のご意見で「不織布製マスク」と名称を統一させていただいており、名前をサージカルマスクとかプリーツマスクとかフェイスマスクといろいろ商品名がありますが、ガイドラインでは「不織布製マスク」と統一をさせていただきたい。マスクの選択、衣服の選択については従来通りの記載をしています。今回は線を引いていませんが、13頁のイは防じんマスクの選択は作業に応じて最適なものとすべきとしています。要するに過剰はよくないという記載をここで明確に入れているというところです。第5章まで以上です。
○森座長 事務局から、特にここだけは検討いただきたいと宿題が出たところがあります。91頁の4-2の農地土壌の部分で、測定日に応じた係数Xのところで、このような対応は必要がないかということがありましたが、その点はどうですか。
○古田委員 線量は下がっていく傾向ですよね。例えば、セシウム134と137があって、134が半減期2年ですから、134が減っていくと。ということは、同じBq数があれば、セシウム134が線量的には確か効きますよね。ということを考えると、安全側になるのですか、危険側になるのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 換算係数的にはμSvを測ってBqに戻すので、危険側になるのですね。
○古田委員 反対側だから危険側になる。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。ただ、おっしゃるように半減していきますので測定値は下がっていきます。
○古田委員 測定値は。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。
○古田委員 そうすると、それをどこまで追うような仕組みを作るかということがちょっと悩ましいところですね。例えば、定期的に見直して、最新のデータを使って、例えば1年ごとに見直すとか、半年ごとに見直すとか、そんなようなことをやって、ガイドラインのアップデイトをするとか、その辺を検討すればいいと思うのですが、どれぐらいの精度を持っているかということも重要だと思います。その精度の関係と、半減期で減っていくのがどれぐらい効くか、その辺を両方考えてアップデイトをする必要があるかどうかを検討したほうがよろしいかと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 90頁にV5容器の場合に、JAEAさんで計算していただいた、例えば最初は換算係数が3.0から始まるのですが、最後は3.8まで上がっていきますので、それなりに換算係数の変動は大きいは大きいのですが、おっしゃるように、測定値そのものが下がっていきますから、相殺されて、どうでもいいという議論もあろうかと思いますので、ここはどうしますか。とりあえずは、今回はガイドラインをこれで押さえておけばいいということですか。
○古田委員 何らかの形で、とりあえずこれで決めておいて、定期的に評価するとか、厳密さを求めるのであればそのようなことをしたほうがいいと思うのですが、90頁の表1のデータはあくまでもすべて計算で求めた結果なのです。私ども、実験をやってみたのですが、過大評価の傾向ですので、使えるかなという感触を持っているのですが、こちらのほうはどちらかというと実験値ですから、それなりの誤差も含んでいる。変動も含んでいる。そういったものに対してどこまで精度を求めるかという話になるかと思います。一応、実験値でこれだけ出ているのであれば、農林水産省で使っておられるのであれば、うまく用いることについてはよろしいかと思うのですけれども。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。とりあえずはこれで使って、また農水省で1年後とかに見直していただくことがあれば情報提供をいただくことにさせていただきたいと思います。
○森座長 その他の第4、第5の範囲で何かご意見ありましたらお願いいたします。
○松村委員 75頁のマスクについては、非常にわかりやすく説明していただいてどうもありがとうございました。さらに、もしかしたらテキストに書いてあるかもしれませんが、使い捨て防じんマスク及び不織布製マスクは使い捨てにすることを書いていただいたほうが結構だと思います。洗わないでくださいとか。タイベックスーツも使い捨てにすべきものですが、少なくともマスクは洗うと効果がなくなります。また、放射性物質が付いている観点からも洗わないで使い捨てにしてほしいです。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。明記したいと思います。
○森座長 ほかにいかがですか。
○金子委員 68頁に「特定汚染土壌等取扱業務を行う事業者」といきなり出てきますが、林業関係の労働者であるか、企業であるか、具体的に誰がそうなるのか、どうやって決まるのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 定義を少し前に置いておりまして、具体的に申しますと、64頁に「放射性物質の濃度が1万Bq/kgを超える汚染土壌等を取り扱う業務(以下「特定汚染土壌等取扱業務」)と言っていますので、定義的には正しいのですが、読みにくいということが絶対あると思いますので、1万Bq/kgを毎回書き続けることができるかということです。
○金子委員 そうなら実際に測ってみて初めて自分が業者になるかどうかがわかるということになります。この書き方だと、自分が業者であるかどうかがわからないのではないかなと思いまして質問しました。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 法律上の組立てに、例えば有機溶剤とかでも同じですが、有機溶剤を使う人は測りなさいとなっていまして、測ったあとで基準値を下回っているとあとの規制が何もかからないというのがあるのですが、測ってみないとわからないのでこういう書きぶりになります。
○金子委員 わかりました。
○古田委員 64頁の、先ほど汚染土壌と取扱業務ということで、その中で建築物、工作物の解体がありますよね。こういう作業をする場合に、汚染土壌の測定を、もししろと言われたら、何を測るのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 これは建築物そのものを測る趣旨ではありませんので。
○古田委員 周辺の土壌を測れということですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。
○古田委員 それが取り扱うということになるのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。
○古田委員 実際に取り扱うのは建物ですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ここは定義のところがありますが、(3)の下から2行目に、ただし、これら作業を臨時の作業として行う場合で、括弧書きで(土工を主としない構造物の建設等)とあって、土工は、要するに土を扱うことを主として行う土木作業ですが、そういったものを行わないと。純粋に建物を壊す場合は該当しないような解釈をできるようにしています。解体と申しましても基礎の解体もありますので、そういうときは適用になる。
○古田委員 基礎の解体は、その上に建物が乗っているので、たぶん汚染は少ないかと思うのですが。
○森座長 つまり、いまの説明からは土工を伴うような解体という意味になりますよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。土工を主としないような作業は基本的に除去になっていますので、そういう意味ではおっしゃるように、あまり適切ではないかもしれない。
○古田委員 趣旨からいくと建築物、工作物の濃度を本当は知りたいのですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。それを測るのは現実的ではないので。
○古田委員 そうですよね。
○森座長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
○松村委員 私の理解が不足なのかもしれないのですが、66頁のスクリーニングを行う場合、スクリーニングの結果、放射線が観測された場合には、その結果はやはり内部被ばくの一部に換算されるのでしょうか。結果は、たぶん作業者自身が保管するデータになるのだと思うのですが、そのところの取扱いがどうなのかご説明いただきたいと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 スクリーニングについては別紙2に書いています。例えば、10,000cpmとか1,000cpmという数字がありますが、まずマスクの表面汚染については10,000cpmを超えているかどうかで判断しますので、下回っている場合は、そういう数値は記録しないことがほとんどだと思います。鼻スミアテストの場合は1,000cpmを超えてくれば記録をしておいて、同じような鼻スミアの汚染が続くようであれば内部被ばくを測定するとか、そういった取扱いになることを予定しております。
○松村委員 その辺の扱いはまだ決まっていないのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 決まっておりまして、「測定後の措置」が83頁にありまして、鼻スミアテストにより10,000cpmを超えた場合は内部被ばくを測ってください。1,000cpmから10,000cpmの場合は、1,000cpmを超えることが数回あったような場合は3か月に1回の内部被ばくの測定をしてくださいという記載をしています。
○松村委員 わかりました。どうもありがとうございました。
○森座長 ここは除染電離則と変わっていないですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。
○金子委員 74頁の(4)のアの「ただし」からの文ですが、具体的に表層土壌のみを取り扱う作業であるかどうか、この記述はわかりにくいのですよね。はっきり書かれていません。別に説明を付けて、例えば表層の農地、森林の落葉層を取り除くときであるとか、腐葉土を5cmぐらいまでの土壌を取扱うことを想定していますとか、注で書いていただけると、どの範囲かはっきりします。
 もう1点言いたかったのは、先ほど換算係数が時間とともに変わるという話がありました。森林の場合、落葉層がどんどん分解していきますから、いまの放射線量は今後変化していきます。葉も落ちてきて、大体1年とか2年で森林の放射能の配分も大きく変化していきます。そういうこともあって、今後見直しを行い、ガイドライン自体していかなければいけないのと思います。以上です。
○森座長 ありがとうございました。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。ご指摘の点は表層から5cmを、その辺の記載を入れたいと思います。見直しについてはデータをいただければ改定の手続きをしたいと思います。
○森座長 ほかにいかがですか。
○古田委員 72頁のいちばん下のアですが、「特定汚染土壌等の収集、運搬又は保管」とは云々のところで、「建設業者等が、一時的かつ臨時的に、作業場所の近辺で掘削等によって発生した汚染土壌を、近隣の場所に移動、仮置きするときに」云々とあるのですが、こういう土壌に対しての測定義務があることになるのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 測定はそもそも工事を始める前に1回やりますので、改めてこのときやる必要がありません。要するに、土壌の収集、運搬の業者ではありませんので、掘削する業者と運搬する業者は同じです。そのため、掘削する前に測って、10,000Bq/kgを超えていなければもちろんやらないことになります。
○古田委員 例えば、こういう土壌は、周りの土壌と比べて高いのか、低いのか。それをどこまで管理しなければいけないという話だと思うのですが、こうやって出てきた土壌はたぶん混ざっていることを考えると周りよりも低くなるのではないかと思うのですが、土砂が流れていって、別な意味で例えば濁水の汚染とか、そういうものを起こしてはまずいと思うのですが、ここの意味がクリアではないと思うのですが、本当に放射線防護かなというのがちょっと気になります。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるように、そもそも廃棄物を容器に入れるのが労働者のためなのかと言われると、近隣住民のために行うのではないかという部分が実は大きくて、これもおっしゃるような側面はあろうかと思いますが、流失を防止するのは、一般的な建設工事でも当然のことでありますので、特に違和感はないかと思います。
○古田委員 ちょっと気になるのが、それが特定汚染土壌等を保管していることを標識により明示ということが本当に必要なのかどうか。かえって低いものに対して余計に意味のないことをしているのではないかという気がしてならないのですが、検討してみてください。それから、いちばん最後の資料の空間線量率のモニタリングデータのばらつきの評価ということで、平均値でもかなり細かい数値が出ているのですが、あまりこの辺の細かい数値は意味がないと思います。実際にモニタリングポストであれば、JISで20%の誤差が決められています。例えば、サーベイメーターだと15%というのがJISで決められているので、例えば、あるサーベイメーターを持っていって測って、その数値に対して、別のサーベイメーターを持っていって測ったら同じ場所で15%違っていてもJISで言えばサーベイメーターの許容範囲であると言えてしまう場合があります。実際、実力としてはそんなにばらついているのはないと思うのですが、そういう場合があるので、測定値を見る場合には注意がいるかと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおり、誤差が二重に載っていますので、測定誤差といわゆる真値の変動が両方載っています。それを分解することができず、測定誤差が入っている可能性がありますので、それをどう評価するのかは難しいのですが、然はさりながら、実際これぐらいは変動しますよというラフな分析です。
○古田委員 この資料を報告文書に付けられるときには、いま言ったような、あまり細かい数値まで出していくと、専門家が見た場合、なんじゃこりゃ、という話になりますので、きちんとした資料にまとめるときには直されたほうがいいかなと思います。
○森座長 いまのお話は、先ほど9割という数字と、測定そのものの誤差が15%あるということとの間で、整合性が少し取れていないように思うのですが、いかがですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおり、私も測定誤差はJISは15%と伺っています。すべての測定機器について言える話なので、空間線量率の事前測定だけではなくて、被ばく測定も全部のため、真の値のばらつきとはまた違いますので、今回は真の値のばらつきを議論しております。
○古田委員 測定で測るというのは、1cm線量当量という測定に応じた単位で測定します。実際に被ばくするのは実効線量当量ということで、セシウムとか、普通のバックグラウンドのエネルギー範囲ですと大体1.5倍ぐらい、サーベイメータで測った数値が高く出るような仕組みになっていますので、多少誤差のばらつきがあっても管理上はそれで問題なしとしています。だから、実際に体に与える被ばくの線量に対してはマージンが見込まれていることになります。
○森座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。1つ確認ですが、特定汚染土壌等取扱事業者は当然1万Bq/kgを切ってきたら、その途端にその人は事業者でなくなるという。そういう変動するものということになるわけですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 もちろん作業ごとに違います。作業場所によりますので、今日は特定で明日は特定ではないことももちろんあります。
○森座長 通常の業務では、規制の対象になるような事業者の立場がそれほど変動するものではない。しかし、特定汚染土壌等取扱事業者だと、ここからが規制対象となる事業者になるといったように、変化することになります。その辺の流動性の部分がしっかり理解できるように定義を配慮していく必要があるのかなと思いました。
○金子委員 72頁で特定汚染土壌等取扱事業者は先ほど言った定義になっているのですが、その人たちが使う「特定汚染土壌等」というものの定義自体はこの中に明確に書かれていないのですが、どこかに書かれているのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 64頁のいちばん上に「特定汚染土壌等取扱業務」という業務で書いてあります。
○金子委員 業務でということは、特定汚染土壌等取扱事業者は、扱っているものが1万Bq/kg以下のものを扱うときにもこの措置をしなければいけなくなるとも読めるのですが、その辺はどうなるのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 もちろん、日によって違います。ある日、1万Bq/kgを超えるものは、これは2.5μSv/hも同じですが、扱いますということになってしまうと、どの作業員がどんな作業をしていたかわかりかねますので、ここは身体汚染検査ということになっています。
○金子委員 例えば、樹木の木を切って、葉とか枝を除くときに、土は確かに高くても地上の木は明らかに高くない場合があります。そういうものも全部該当してくることになるのでしょうか。心配しているのは葉とか枝とかがここに書かれているので、それらを詰めて運ばなければならないとすると、ものすごく大変な作業になります。実際、そのもの自体が1万Bq/kgを超えていなければ必要ではないと読めるならば、作業をする前にある程度簡単に測って、超えていない場合は袋に詰めなくていいと判断できます。このままだと、作業をする人たちが全部やらなければいけなくなるようになる。言い換えれば、詰める作業自体が義務化されてしまう気がします。どうなのでしょう。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 具体的なシーンが思い浮ばないのですが。
○金子委員 具体的に言いますと、働く場所は先ほど言ったように、木を切り倒すときにはその下の土壌自体が明らかに1万Bq/kgを超えているような場所があります。そこで作業をする場合はこの作業に当たるわけですね。その作業に従事する事業者はこの事業に該当するので、木を切って枝とか葉っぱを持ち出すときは上の木は高くない場合が多いのですが、そのときにも袋に詰めたり、測ったりをすべてしなければいけなくなるのかと思って、私は聞きました。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうはならないだろうと思うのですけれども。
○金子委員 運ぶもの自体が1万Bq/kgになっていなければよいと言うこと。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおりです。
○金子委員 そうなのですね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 いちばん必要なのは1万Bq/kgを超えるか否かです。
○金子委員 その都度いちいち測って低いことを証明しなければいけないのか。その辺のやり方がよくわからないので伺いました。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 事前に実際触るような、掘削深さまで測る、あるいは空間線量率を測ります。
○金子委員 土はわかるのですが、土を扱わないで、その上の木を切って枝とか葉だけを持ち出す作業をするときはどうですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 土を扱わなければ、そもそも特定汚染土壌等取扱業務に該当しなくなります。先ほど申し上げましたように、伐木と言って、土をダイレクトに扱わなければ。
○金子委員 該当しないということでよろしいのですね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。
○金子委員 わかりました。
○古田委員 でも、64頁には空間線量は木を切ったり、枝を切ったり、草刈をやったり、こういうものはすべて入るのですよね。土を扱わなくても、これは汚染土壌を取り扱うものとして見なすということではないですか。こういう作業でも、土工を主としない構造物の建設で除外されるのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおり、本当に一切土を触らないものを否定する必要はないのですが、その点についてはより明確に、結局概念的には土工を主としない構造物の建築と同じですから、もう少し明確に書くようにしたいと思います。
○森座長 ほかにいかがですか。よろしければその先にいきたいと思います。続いては第6の「労働者教育」から第8の「安全衛生管理体制等」まで合わせて事務局からご説明ください。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 76頁については、作業指揮者に対する教育です。これは特定汚染土壌のときだけにしかかからないものです。除染電離則と同様で作業指揮者の教育をしなければいけない。ガイドライン上のもので、法令上の義務付けをする予定はありません。
 2番は、特定汚染土壌業務を行うような労働者については事前に教育を行っていただくということで、基本的には除染業務従事者と同じ教育といままで申し上げてきました。テキストを具体的に検討する中で、必ずしも同じである必要がないという結論にいたりました。94頁に科目としては4つありますが、そのうちの3つ目に従来は「使用する機械の構造とその取扱方法」とあったのですが、具体的には土工機械とかチェーンソーとかほとんど特別教育などがもともと義務付けられていまして、屋上屋を架す必要はないということですので、ここはごく簡単に「関する知識」として、時間も短くすることにしています。
 同様に95頁にある実技のところでも機械の取扱いは削除しています。もともと資格職種ではないと扱えない機械ばかりです。農業機械は必ずしもそうでもないですが、ほとんどそうですので、改めてここで新しい作業を行うわけではないので、こういった作業の機械の取扱いについては基本的に削除しています。76頁に戻らせていただきます。特定線量業務に関する特別な科目に関しては線量管理等々に関する学科教育だけにしています。
 第7の「健康管理のための措置」については、特殊健康診断については、2.5μSv/hを超えるエリアで1万Bq/kgを超える土壌を扱う者に限定しています。それ以外の者については一般健康診断を年に1回していただく取扱いにしています。その他の健康診断事後措置等々については除染電離則と全く同じです。
 安全衛生管理体制については、基本的に建設業に義務として課されている内容をガイドラインで再び書いているわけですので、ガイドライン上書かなくても義務がかかっていることがほとんどですが、特定汚染土壌を扱う場合については、元方事業者による管理を行っていただきたいということです。
 2は、元方事業者による被ばく一元管理ということですので、被ばく管理を行う場合は下請労働者がそれぞれ管理するというのはなかなか現実的ではありませんので、現場を管理する元方事業者が線量管理を統一的に行うことを明確にしているということです。この点についても除染電離則と基本的には同じということです。以上です。
○森座長 ただいまご説明がありました第6から第8までの間についてご意見、ご質問がありましたらお願いします。ここのところは、ほとんど除染電離則から、また前回の報告書から追加のなかったところですが、よろしいですか。よろしければ、ガイドラインについて、委員の中にも定義とか、こういう場合はどうなのだという混乱があるような場所がありますので、誤解のないように受け取られるように、少し書きぶりについて次回までご検討をいただければと思います。
 続いて、次のもう1件、特別教育のテキストについての議論も必要になっておりますので、そちらに移ります。章ごとに簡単に説明をいただきたいと思います。資料5の第1章についてご説明をお願いします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 97頁から特別教育のテキストです。今回は特定汚染土壌等取扱業務のテキストですが、これを審議いただければ特定線量業務のほうはいらない部分を削除すればいいということですので、これだけを審議いただければと考えています。
 第1章です。これは「電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理」ということですので、従来のテキストと全く同じです。全く変更はないので、説明は基本的に省略させていただきます。唯一違うといえば、健康診断の適用が限定されているというところでして、これはガイドラインどおりです。
 第2章を説明させていただきます。「特定汚染土壌等取扱作業の方法に関する知識」というところです。まず1番の「作業の方法と順序」は、事前調査、作業計画、こういったものにつきましてはガイドラインどおりですので、それをフォーマットを変えてそのまま貼り付けているだけです。
 107頁の右側の2ですが、「特定汚染土壌等取扱業務の留意点」です。ここは先ほど議論いただきましたけれども定義を入れるなど、基本的にガイドラインを入れております。その下のほうに、主な特定汚染土壌等取扱業務としては、以下のものが考えられるということで、生活基盤等の復旧作業のうち主に土壌を取り扱うもの、それから営農、営林作業のうち主に土壌を取り扱うもの、あるいはそれらに付帯する保守修繕等で、土壌を取り扱うもの、ということに大きな分類をしております。
 それから、生活基盤の復旧作業で土壌を取り扱うものというのは、列記していますが非常に多様で基礎工事、地盤改良、仮設、砂防、道路、鉄道、河川、海岸、上下水道、港湾、トンネル等々があります。ただ、この中で主に土壌そのものを工事の対象とする作業、土工と称するように聞いておりますけれども、これにつきましては一般的にこの5点ということで基礎地盤の調査、切土・切り取り、法面の保護、盛土、地盤改良、こういったものが土そのものを行う作業ということですので、基本的にこれをメインのターゲットとしております。
 次の108頁は土工以外で、作業に付随して大量の土壌を取り扱う作業ということです。これは土を扱うものですので基礎、基礎工ですね、仮設工、これは土留めの関係、それから道路、当然土壌を扱います。それから上下水道工事、これは当然掘削を伴います。あと用水・排水、こういったものを基本的に前提にしておりますので、先ほどの定義もこういった表現に修正するなりで明確にしたいと思います。
 それから営農、営林作業につきましては、稲作や路地野菜、果樹等いろいろありますけれども、これも土そのものを扱う作業、いわゆる耕す作業ですね、土作り、畝立て、耕うん、代かき、それから除草、そういったものがあります。あと作業そのものが土を目的にしていませんけれども、どうしても土を扱わざるを得ない作業として堆肥をしたり、田植え、苗の移植、そういった作業があるということです。
 それから右側は作業を行うにあたっての留意点です。ここは先ほど説明しましたとおり事前に除染をきっちりしてくださいということを明確にしておりまして、除染をする場合の留意点をここに入れています。
 109頁に取扱作業の具体的な流れということで、土工につきましては一般的にここの8つのメニューぐらいがあるということですので、基礎地盤調査、土工の計画、機械計画、それから準備工、掘削、運搬、盛土と締め固め、整地・整形、法面保護、こういったメニューがあります。これは実はこの順番で全部やるということでは全くありませんので、例えば法面だけいきなりやるとか、そういったものも当然あるわけです。法面保護は本当に土の表面しか扱いません。整地・整形も同様で、そういった作業があるということです。土工以外で土壌を取り扱う作業というのは工事によって千差万別で書けませんが、ただ土壌を扱う場合につきましては基本的に土工に準ずるということです。
 それから右側が営農の関係です。これはお米と露地野菜、果樹ということで大まかに書いています。それから営林につきましては概ね7つぐらいの作業があるということですので、それぞれの作業、植林でありますとか下刈、除伐、間伐、主伐、作業道、こういったものを順番として列記しています。ただ、先ほど申し上げましたように、個別具体的に作業のマニュアルにすることは特に考えておりませんので、作業の概要を説明できる程度に済ませたいと考えています。
 それから(3)は収集・運搬、保管に関するもので、これはやはり流出の問題がありますので入れています。(4)が保管にあたっての注意すべき事項、これは基本的にガイドラインを前提に書いています。
 それから3番の「放射線測定の方法」につきましては、先ほどの別紙の記載ぶりをフォーマットを変えているだけで同じです。112頁には計算例を入れています。それから112頁の右側は被ばく線量で、これも絵とかは入っておりますけど基本的に同じものです。この辺りは基本的に除染のときと全く変えておりません。同じく114頁、粉じんの関係も変更していません。114頁の右側以降が濃度測定で、ここは除染とは異なりまして、またいろいろな部分で緩和していますので、それに合わせて書き直してありますが、ガイドラインの別紙がそのまま貼り付いているという状態です。115頁の右側も簡易測定、それから116頁は農地土壌と森林土壌の簡易測定がそれぞれテキストの中に入っているというだけです。117頁が外部放射線量による線量当量率の監視方法、これも変えていません。
 それから5番の「汚染拡大防止」、118頁の「身体及び装具の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法」、こういった内容につきましても基本的に同じですが、ただ先ほど申し上げました、例えば汚染検査についてはこういった場合いらないという、例の注意書きがまたテキストの中にも同じように出てきます。それから容器の使用方法についても先ほど説明したような注意書きが出てくるということですが、それ以外は前回とあまり変わっていません。
 それから120頁が「保護具の性能及び使用方法」でありまして、ここは前回から全く変わっておりません。121頁も同様で、122頁の「異常な事態が生じた場合」、これも全く変わっていないということです。以上でございます。
○森座長 ただいま第1章と第2章の説明がありました。第1章は基本的にはこれまでと変わりはないということですが、第2章についてはガイドラインの変更部分を盛り込んでいただいております。何かご意見ありましたらお願いします。
○古田委員 例えば109頁で先ほどもおっしゃったのですけども、営農作業で果樹のところで、花を摘んだり芽かきや果実を摘んだり、袋かけや、これらも土壌を扱わないですよね。これらはまた、これから検討していただけるということでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 土壌を取り扱うものについて108頁の左側で耕起関係、除草関係、施肥、田植えと一応列記しています。先ほどの109頁は全体の一連の流れを書くところですので、取り扱うもの、取り扱わないものを含めて並べています。
○古田委員 汚染土壌取り扱い作業という意味で書いてないということでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。流れということで全体像をみていただくということで書いているだけです。
○古田委員 例えば施肥というのは土壌を取り扱わない。例えば化学肥料を手でまくのは施肥には当たらないとか、有機農法で土と混ぜ込むときには施肥として土壌取扱いになる、実際にはそういう意味だと思うのですけども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。
○農水省田雑課長補佐 施肥についても、土壌を取り扱わない場合と、取り扱う場合の両方あります。
○古田委員 両方ありますね。
○農水省田雑課長補佐 例えば単に肥料を上からまく場合は明らかに土壌に全く触りませんが、土の上にまいて、それを土の中に混ぜ込むような場合もあり、いろいろな場合があります。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 大変恐縮ですが、農業の話題を書く予定は残念ながらありません。それは当然できる前提で、あくまで放射線障害防止のために上乗せする部分だけを書きたいということです。あくまで概要を書いております。
○古田委員 そうすると、汚染土壌取扱ということになれば、やはり土壌の測定が義務づけられてしまうということになり、線量管理だけでいいということにはならないということですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。いま考えられないですが、例えば4μSv/h、5μSv/hのところで本当に営農するのであれば、先ほどの簡易測定をやっても1万Bq/kgを超えますので必要にはなってきます。いまのところ2.5μSv/hを越えるエリアで営農することはあまり想定されていないと聞いています。
○古田委員 線量管理だけで十分営農できると思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ただ、個別具体的に農業向けのテキストを作れないものですから、一応全体を網羅しています。
○金子委員 もしそうであれば、これを読む人は実際に農家の方や林家の方であるので、こんな個別の作業をいちいち羅列しなくて、稲作や、そういう言葉だけ書いてあればわかると思います。作業の全体を表すような言葉は変えたほうが誤解を招くことが少なくなるのではないでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 表現ぶりはご意見いただければ適宜修正したいと思います。
○森座長 この辺りの作業に関する記述は、専門の方からご意見や、実際に加筆いただいたりして、現実に合った形に修正をお願いします。
○建山委員 このテキストの位置づけですけれども、例えばいま問題になっていた109頁の土工の流れというところ、たぶん土工を経験した人や作業を実際にやった人だとイメージできるのですけれども、そうではない人だとたぶん何のことかわからないのではないかと思いまして、そういう意味ではこのテキスト自体は今までそういう工事に従事したことがある、農業もたぶん作業に従事した人を前提にしていると理解してよろしいのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい、おっしゃるとおりだと思います。基本的に特定汚染土壌等取扱業務という仕事が新しくできるわけではなくて、同じ仕事をしている人に冠がかかってくるということですので、そこには放射線障害防止のための勉強をしていただくというだけです。
○建山委員 そういう位置づけをはっきり最初に書いておくなり何なりされてはどうかなと思うのですけれども。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。第2章までよろしいでしょうか。引き続いて第3章をお願いします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 続きまして123頁からです。これも先ほど申し上げましたように機械について詳しい構造や取扱いについてここで書く必要はないということです。とは言え、全く機械も触れないというわけにもいかないということで、ごく簡単にそれぞれの目的、どういう機械があって、どういう目的の機械ですということをお伝えするとともに、それぞれの機械を使用するにはこういう資格が必要ですので勉強してくださいということをごく簡単に書いて終わらせることを想定しています。
 まず123頁の右側は土工の機械です。これはほとんど安衛法上で技能講習か特別教育で義務づけられているものばかりです。
 それから124頁の左側、これは正直なところ、我々今までの要請では全くご縁のなかった分野ですので、何かお手伝いいただいて使用目的等を大まかに書ければと考えております。右側、営林機械につきましてはいろいろな機械は実際あるのですが、土壌を取り扱うもので関係するとして考えていますのは刈払関係とチェーンソーではないかということですので、それだけを書いています。これも後でご意見をいただければと思います。
 4番で書いていますのは収集・運搬の関係でして、濃度の高いものを扱う場合というのがどうしても出てきますので、そういった場合の取扱方法を書いています。126ページの5番もそうです。
 127頁は使用後の機械を洗ってくださいという記載が入っています。以上です。
○森座長 それでは、いまの説明にもありました第3章につきましてご意見、ご質問があればお願いします。
○古田委員 先ほどのガイドラインのところで議論したように、125頁で特定汚染土壌等の収集・運搬の留意点、これは例えば高いものだけを集めるというと、たぶん除染のときであれば高いものだけを集めて管理しなければいけないので、こういう言い方でいいと思うのですけれども、今回の場合は、土壌濃度が低くなる傾向にあるので大分違うのではないかなと思います。先ほども言ったのですが本当に標識が要るか、汚水、濁り水が流れてきて周囲に迷惑をかけるというのは防止しなければいけないとは思いますが、放射線に対して本当にどこまで要るかというのは、ここはもうちょっと議論したほうがよろしいかと思います。以上です。
○森座長 おそらくテキストの部分ですから、ガイドラインの部分と同じ話になります。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ここは従来のテキストからそのままになっていますので、確かに過剰な部分もあると思います。もう少し簡潔にしたいと思います。
○古田委員 遮へいなども要らないかと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○建山委員 1点だけ、土工で使用する機械ですけれども、たぶん最近使わない機械とか、そういうものもあるようですので、少し整理されたほうがいいのかなと思いますので、私のほうも情報提供させていただきます。
○森座長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それではテキストに関しましては、ガイドラインのほうの再検討とリンクしながら、次回まで少し修正をいただいて、もう一度議論をするという形にさせていただきたいと思います。本日のいただいた議論は以上にさせていただきたいと思います。事務局には本日の議論を踏まえて次回までに準備いただきますが、今後の予定について最後に事務局から説明いただければと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 今回特にいまの第3章、いろいろ専門家の方に直に書いていただいたほうがいいものが多いと思いますので、来週の水曜日ぐらいまでにいただければ大変助かります。表現ぶりもあると思いますので、そこは専門の方に見ていただいて、できれば文章の形でご提案をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。次回は再来週の22日の火曜日、15時30分からまたこの場所で予定をしています。
○森座長 個別的な追加の意見があるような場合、これまでも期限を指定して出していただいてきたのですが、今回はいつまでにお願いしたらよろしいですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 来週の水曜日、5月16日までにお願いいたします。
○森座長 先ほどの作業の部分については、事務局から個別に依頼をいただくという形でよろしいですか。自主的にというとなかなか出てこないかと思いますので。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。後でお願いいたします。
○森座長 そのような予定で、よろしくお願いします。
○椎葉労働衛生課長 以上で第11回の除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会を閉会させていただきます。いろいろとご意見を待っています。専門家の皆さま方のお力が是非必要なので、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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