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2013年1月23日 独立行政法人評価委員会労働部会(第80回)議事録

○日時

平成25年1月23日(水)10:00~12:15


○場所

共用第8会議室


○出席者

今村部会長、宮本部会長代理、伊丹委員、加藤委員、高田委員、中野委員

○議事

(以下、議事録)

○今村部会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第80回「独立行政法人評価委員会労働部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、年始のお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、松尾委員、川端委員、本寺委員が欠席でございます。審議に入る前に事務局のほうで異動があったようですので、御挨拶いただきたいと思います。

○政策評価官
 9月10日付けで政策評価官を拝命いたしました峯村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○今村部会長
 それでは、事務局から本日の議事等について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、御説明いたします。本日は、まず労働者健康福祉機構の不要財産の国庫納付、長期借入金(9月・10月)の実績報告について、御審議をいただきたいと思います。
 引き続きまして、法人を入れ替えまして、勤労者退職金共済機構の組織・業務全般の見直し案について、御審議をいただきます。
 法人を入れ替えまして、高齢・障害・求職者雇用支援機構の組織・業務全般の見直し案について、御審議をいただきたいと思います。次に、不要財産の国庫納付等についても御審議をいただきます。
 法人退出後、事務局から総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(政独委)の二次評価の結果、平成23年度の業務実績の評価結果の主要な反映状況について御報告をさせていただきたいと思います。以上です。

○今村部会長
 それでは、労働者健康福祉機構の議事に入ります。初めに武谷理事長から御挨拶をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長
 おはようございます。労働者健康福祉機構の武谷でございます。私どもは日頃、労働者の健康や福祉をお守りするという重要なミッションの遂行に、日々いそしんでいるわけでございますが、このような関連する有識者の方々から、私どものアクティビティに関して、いろいろ御指導あるいはコメントを賜りますことは、大変有り難い機会と存じている次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、不要財産の国庫納付について審議をいたします。まず、事務局から不要財産の国庫納付の取扱いの枠組みについて、説明してください。続いて法人から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 不要財産の国庫納付については、独立行政法人の通則法の第8条第3項の規定に基づいて、不要財産とされたものについては処分をしなければならないとされております。この不要財産を国庫に納付又は譲渡し、譲渡代金を国庫に納付しようとするときには、同法第46条の2第1項又は同条第2項の規定により、厚生労働大臣の認可が必要とされています。
 また、同条第5項において「(厚生労働大臣が、不要財産処分の)認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」こととされており、今回、委員の皆様の御意見を伺うものとなっております。事務局からは以上です。

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長の鮫島です。不要財産の国庫納付について、資料1-1により、御説明します。御審議いただく案件については、労災リハビリテーション千葉作業所の国庫納付についてです。まず当該施設の概要及び廃止に至った経緯等について、御説明させていただきます。 資料1-1の別添を御覧いただきたいと思います。労災リハビリテーション千葉作業所は、業務災害又は通勤災害により、外傷性脊髄障害や両下肢に重度の障害を受けられた被災労働者の方々を受け入れ、健康管理や生活指導を行いながら適切な作業や生活指導を通じて、その自立・更生を支援し円滑な社会復帰に資することを目的として、昭和44年5月に設置されたものです。
 設置以降、作業所においては、自立支援等の業務が行われてまいりましたが、平成17年8月の厚生労働省の独立行政法人評価委員会において、作業所の効率化、有効利用の観点から、制度そのものの抜本的な見直しが必要であること、また、同年に開催された総務省の政策評価独立行政法人評価委員会においても、施設収容中心から、地域福祉、在宅福祉中心への政策転換に対応するとともに、入所率の低下等の運営実績も踏まえ、廃止を含む在り方の見直しに資する評価を行うべきであること等の御指摘を受けたところです。
 さらに、平成19年12月24日閣議決定の「独立行政法人整理合理化計画」によって、「在所者の退所先の確保を図りつつ、縮小廃止する」とされたこと。平成22年12月7日閣議決定の「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」によって、「現入居者の退所先を確保しつつ順次廃止する」こととされたことを踏まえ、平成24年1月に廃止したものです。
 これにより当該財産については、通則法第8条第3項の規定、「将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合」に該当するため、不要財産として国庫納付することとしたものです。なお、平成20年3月末で廃止した北海道作業所、広島作業所については、第65回労働部会において御了承いただき、既に国庫納付をしています。残りの作業所についても、順次廃止し、同様の手続を行うことを予定しているところです。
 次に不要財産の内容です。資料の一番上の1に記載されているとおり、千葉県長生郡白子町の九十九里浜南部沿岸に位置し、海岸線と平行する県道飯岡一ノ宮線に接する物件です。土地面積14,294.99平方メートル、作業所本体、体育館、職員宿舎等の建物延べ床面積5,269.07平方メートル、その他屋外給水設備や外構設備などの構築物、施設内植栽等の立木竹です。
 不要財産の現在の帳簿価額は、資料の一番下に記載されているとおりですが、
土地は1億7867万2,934円。建物は3億3827万2,051円、構築物等は1,153万7,004円となっています。
 国庫納付の方法は、平成22年12月7日閣議決定の「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」において「不要な施設等の納付方法については、原則として、現物により速やかに納付すること」とされております。これに従い、5に記載しているとおりですが、現物により、国庫納付することとしております。平成25年3月を予定しています。以上、労災リハビリテーション千葉作業所の不要財産の国庫納付について、御説明させていただきました。御審議をよろしくお願いします。

○今村部会長
 それでは、御質問等がありましたら、よろしくお願いします。取得日の価額と申請時の価額がありますが、取得日というのは何年何月でしょうか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 昭和44年5月です。

○今村部会長
 随分値段が変わってないのですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 これは帳簿価額ということで、実際に譲渡等をする場合については、不動産の鑑定評価をいたしますので、そういう意味では
、それが現在の評価額になります。

○加藤委員
 時価はどのぐらいなのでしょうか。参考までに聞かせてください。建物は昭和44年ということは、築40年強ですね。耐用年数はもともと何年ぐらいの建物なのかなどの情報も併せて教えていただければと思います。

○労働者健康福祉機構経理部長
 実は現物納付ということで鑑定評価はしておありません。誠に申し訳ありませんが、今のところは資料を持ち合わせておりません。
 建物自体は、先ほど御説明しましたとおり、昭和44年5月ということですので、相当古いということで、多分マイナス評価になろうかと思います。

○加藤委員
 コンクリート造りなのか、木造なのかを教えてもらえれば。もともと耐用年数は何年ぐらいかというのはお分かりですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 コンクリート造りです、耐用年数は50年です。

○加藤委員
 ほぼ耐用年数に近い年数だけ消化されたということですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 はい、そうです。実際に廃止を決定したあとに、例えば千葉県とか、地元の白子町に、利用計画等の要望について、いろいろ御意見を伺っていますが、千葉県については買受け要望は今のところは特に聞いていません。白子町は買受け意向があり、これを何とかうまく活用できないかというようなお話もありましたが、昨年11月に町長さん以下、現場を視察していただいたのですが、なかなか具体的な利用計画あるいは具体的な資金計画が立っていないということでしたので、取りあえず現物で国庫納付しますと。そのあと、利用計画が立てば、国といろいろ調整させていただくということで、白子町とはそういうお話をさせていただいています。ですから、白子町のほうが具体的にということであれば、まだ使える建物もありますので、そういう意味での活用はできるのではないかと思っています。

○伊丹委員
 今の話に関係するのですが、これはもともと造ったときは政府が造って、それを買ったというやり方だったのか。当時は独立行政法人がなかったということで、多分今回は現物納付ということだと思いますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 はい。当時は前身の労働福祉事業団、いわゆる特殊法人でした。そういうことで出資金を頂いて、それでこの施設を設置したということです。ですから、資料の別添のほうの3番目に「取得日の帳簿価額」とありますが、これについては土地、建物、構築物、全てそのときの出資金の額ということです。
 ただ、2枚目の4に「当該不要財産の取得に係る出資又は支出の額」とあって、支出額ということで75万7,050円あります。これについては独法移行後に入居者の皆様方のトイレの改修工事をしたときに、施設整備補助金ということで75万7,050円の支出があったということです。

○伊丹委員
 そうすると、既に決定されたこととはいえ、例えば、これを解体するといった場合は基本的には政府が行うことになるわけですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 解体ということになればそうです。先ほども御説明しましたが、基本的には現物納付ということですので、それで国の方には納付するということです。

○伊丹委員
 これは勉強という感じになりますが、政府の建物の場合は償却という概念はないのでしたっけ。つまり、通常建物等については、耐用年数等を踏まえて毎年。

○労働者健康福祉機構経理部長
 それについてはあります。損益外償却という形で財務諸表上はそういう整理をすることになっています。

○伊丹委員
 今回はそういうことではなくて、当時の取得した帳簿価額で返納するということですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 譲渡等の処分をした上で、代金を国庫納付するということになれば、その時点で私どもの資産が減資される手続になるということです。

○伊丹委員
 に処分したときに減額になるがあるということですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 そういうことです。

○加藤委員
 一応確認だけですが、不動産鑑定評価は、こういうケースの場合は特にしなくてもいいという形になっているという理解でよろしいですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 現実には現物を国庫納付ということですので、特にする必要はないということです。

○加藤委員
 土地は約1万4,000平方メートル強ですので、4,000坪強ということで、坪単価は時価幾らぐらいかと想定しますと、当初の土地の取得価額が1億7,800万円で、含み損益はそんなに大きくはないのかなというイメージを私は持つのですが、大体そういう理解でよろしいのですか。もし内々に地価がどのぐらいかを調べられたことがあれば、その辺を併せて教えてもらえればと思います。余りに時価とかけ離れていると、ちょっと違和感があるような気がしたのです。

○労働者健康福祉機構経理部長
 大変申し訳ないのですが、調べてないということですので、残存簿価ということで1億7,800万円という表記をしているということです。

○加藤委員 もう1点ですが、もともと入居されていた方の退所先の確保は、もうできているという理解でよろしいのでしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長
 お答えいたします。退所先は全員確保した上で、それぞれ希望する所に退所されております。

○宮本部会長代理
 今、何人ぐらいの方が退所されたかということですが、国というか独立行政法人がこの施設をもって直接やるのを、廃止をして、ここに入居されていた方が、いろいろな医療機関に分かれて出られたということですけれども、ざっくりでいいのですが、それによって国としてどのぐらい経費削減になるのか、その辺りはどういうことになっているのですか。それを全部計算するには、まだなかなか回答が出ない話だと思いますが、もともと不要財産ということで処分する趣旨はそういうことだったと思いますけれども。

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長
 それぞれ希望に応じた形で退所していただいております。平成22年3月に廃止を決定しましたが、その時点で8人の入居者がおられました。廃止をしたあと8人の入居者にどういった所にお住まいになりたいかという希望を、一人ひとり丁寧にお聞きしました。廃止時点で入居されておられた8人のうち、4人は賃貸住宅を借りられて退所され、残りの4人は、高齢で重度の介護も必要だということで、労災の特別の介護施設としてケアプラザというのがあるのですが、そこに入居されました。それぞれ希望に応じた形で退所してやっていただいているということです。

○労働者健康福祉機構経理部長
 大体1施設当たり、運営経費が6,000万ぐらいかかっています。そういう意味では千葉作業所の廃止によって、約6,000万円の経費の節減ということになろうかと思います。

○宮本部会長代理
 その分が、例えば介護施設に移動したことによって、そこで当然国のお金がそちらに流れていきますよね。ですから、全体としてどういうことになるのかということですが、8人というのはどんどん整理されて、最後に8人になったということですか、かなり広い施設のようですが、8人というのは余りにも少なすぎます。

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長
 平成22年に廃止を決定しましたが、それ以前にはもう少したくさんの入居者がおられました。もともと定員は25人の施設でしたが、だんだん入居者も減っていき、廃止を決めたときには8人だったということです。

○今村部会長
 今の宮本先生の御質問は、本来、ここの施設に入っていたお金が、多分退所されて移っていった民間の所に、例えば介護保険とか、いろいろな形で回っていくということを考えると、行政コストとしては経常費6,000万円ぐらいが減ったと。

○労働者健康福祉機構経理部長
 私どもとしましては、そういう意味で運営経費が6,000万円節減されるということです。廃止ということですから、次年度の予算の中で、運営経費については、当然減ということで削減されます。ですから、その部分についてはほかの部門で使われるということで、当機構としては、この部分について6,000万円の削減ということです。

○伊丹委員
 職員はどういう身の振り方になっているのでしょうか。多分、この中には労務費もあったのではないかと思うのですが。

○労働者健康福祉機構理事補佐
 職員については、機構は労災病院も含めて全国に職場がありますので、本人と個別に面談、ヒアリングをして転勤していただくということで、基本的には対応しております。

○今村部会長
 それでは、本評価委員会としては、本件については異存がないということを厚生労働大臣にお伝えするということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 では、法人においては、厚生労働大臣の認可を受けたあとは、手続を進めていただければと思います。
 それでは、次に長期借入金の実績の報告をいただきます。まず、事務局から説明し、続いて法人から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、引き続きまして資料1-2の裏側の「参考」を御参照いただければと思います。本部会における労働者健康福祉機構や雇用・能力開発機構分の長期借入金等に係る意見の取扱いについてまとめたものです。能開機構と記載されている部分については、機構の廃止とともに勤退機構に業務が移管されておりますので、現在は読み替えて実施をしている状況ですが、今後、資料集を作成する際は、この部分は読み替え後ということで修正をさせていただきたいと思っておりますので、御了承いただければと思います。
 内容は、年度を通じた債権の発行及び長期借入金計画については、部会の了解事項となっており、当該計画に基づく債権の発行又は長期借入金の個別の認可については、部会長の一任事項として、部会には事後報告することとなっております。
 労働者健康福祉機構の平成24年度の長期借入金計画については、昨年3月に本部会の御了解をいただいており、本日はこの計画に基づいて、平成24年9月、それから10月の長期借入金の実績について御報告をいただきたいと思います。以上です。

○今村部会長
 それでは、法人から実績の報告をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長の鮫島です。引き続きまして、当機構の長期借入金の実績について、資料1-2により御説明いたします。平成24年9月・10月の借入実績についてです。当機構の長期借入金については、これまでも御説明申し上げているとおり、当機構が独法化する以前の労働福祉事業団が行っておりました労働安全衛生融資制度については、資金的な問題により、労働災害の防止措置を十分に果たせない中小企業に対して、事業場が行う労働災害防止のための基盤、あるいは環境を整備するための資金を融通する制度でしたが、既にこの制度自体については、平成15年度に廃止されております。現在は残存するこれらの貸付債権の管理・回収業務、それからこの融資の原資として財政融資資金から借り入れておりました資金の償還のために、民間金融機関から借り入れた資金の償還事務を行っているものです。
 なお、民間金融機関から長期借入れをする理由については、平成6年まで借入れを行っていた財政融資資金への償還の期間が15年です。一方、労働安全衛生融資を行った中小事業主からの償還の期間が最長20年となっていることから、財政融資資金への償還と中小事業主への貸付債権回収との間にタイムラグが生じるということで、当該償還のために行った民間借入金の償還に必要な資金について、民間金融機関から資金の借入れを行うこととしているものです。
 長期借入金の借入れについては、民間金融機関の償還月に合わせて5月、9月、10月及び3月の4回を計画しておりますが、平成24年5月の借入実績については、昨年8月30日開催の第79回労働部会で御説明を申し上げているところでございます。平成24年9月、10月の借入実績については、資料の上の表の2段目にある平成23年9月借入金の償還に伴う民間金融機関からの借換額が、左から7億9,065万2,000円、6億4,222万5,000円の2件で、合計14億3,287万7,000円となっています。
 この結果、下の表に記載しているとおりですが、平成24年10月までの長期借入金の実績については、5月実績分に加えて、18億1,522万3,000円ということです。償還計画の御承認をいただきました左の数字ですが、22億3,180万4,000円の範囲内で対応できていることを御報告いたします。以上、平成20年度の長期借入金実績について、御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 では、御質問等がありましたら、お願いいたします。

○加藤委員
 民間金融機関からの借換えということで、民間金融機関のセレクションの基準というか、そういったものがルール化されてあるのであれば教えてください。

○労働者健康福祉機構経理部長
 いわゆる民間金融機関からの長期借入金は利率で選択するということになろうかと思いますが、これについては御案内のとおりだと思いますが、TIBORレートというのがあります。これは全国銀行協会が公表しております東京銀行間取引金利ということで、この金利で銀行間で資金を融通し合うときの金利を言っているわけですが、この金利を私どもは採用させていただいているということです。
 そういうことで決定方法ですが、借入金利を入札公告で掲示して、応札してきた金融機関のうち、一番低い金利を提示した金融機関と決定しています。ちなみに平成24年9月、10月の借入金利は0.2175%ということで利用させていただいております。以上です。

○今村部会長
 ちなみに金利の話が出ましたが、政府の経済政策が、今、動いていますが、金利が上がった場合には、どこで負担をしていくことになるのでしょうか。今後、そういうことが予想されるかと思うのです。これが例えば0.3とかというように上がっていった場合です。

○労働者健康福祉機構経理部長
 最終的には国からの補助金でその部分については補填をしていただくことになっています。

○今村部会長
 金利補填ということですね。

○労働者健康福祉機構経理部長
 そうですね。

○今村部会長
 行政コストに関しては金利変動のリスクがないという仕組みになっているわけですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 はい。

○今村部会長
 いかがでしょうか。あくまでも提言ですが、1番目の議題でありましたように、委員からいろいろな質問が出ました。「将来にわたり、業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合」に該当するわけですが、どのように必要がなくなったかということに関しては、我々は全く分かりませんので、これは評価官室のほうにお願いになるかと思いますが、なぜ必要がなくなったのかというようなことをやはり若干説明していただければ審議がスムーズに行くと思いますので、どうぞ御検討のほうをよろしくお願いいたします。それでは、よろしいでしょうか。それでは、ここで法人・所管課が退席しますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替え)

○今村部会長
 それでは、勤労者退職金共済機構の審議に入ります。初めに、事務局から今回の審議の位置付け等について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 昨年夏の8月10日の第78回労働部会、8月31日の第31回総会において、「組織・業務全般の見直し当初案」を御審議いただいたところです。この「見直し当初案」については、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会で審議の上、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」を策定して、本年1月21日に厚生労働大臣宛てに通知をされて、併せて当評価委員会にも参考として送付をされております。
 厚生労働大臣は、これを踏まえて「組織・業務全般の見直し案」を作成することとなっておりますが、作成に当たりましては当評価委員会の意見を聞かなければならないと、独立行政法人の通則法で定められておりますので、この見直し案について、本日の部会で御審議をいただいて、1月30日に予定されております総会でも御審議をいただくという流れになっております。以上です。

○今村部会長
 勤労者退職金共済機構の組織・業務全般の見直し案について、審議をいたします。所管課より説明をお願いいたします。

○労働基準局勤労者生活課長
 勤労者生活課長でございます。よろしくお願いいたします。資料としては、資料2-1から資料2-5で、見直し案の本体、勧告の方向性の本体、それぞれの概要や対照表をお付けしておりますが、概要をもって説明申し上げます。
 順序が前後して恐縮ですが、まず資料2-2です。先ほど説明がありました1月21日付けで総務省の政独委から示された「勧告の方向性の概要」です。政独委からは大きく2つ、退職金未請求者の縮減等と累積欠損金の確実な解消について、指摘がありました。1の「退職金未請求者の縮減等」ですが、退職金共済事業における退職金は、本人からの請求を待って支払いを行うことから、請求がないまま期間が経過しているケースがあります。それを解消するために、請求促進のための取組などを行っているのですが、政独委からはその取組に一層努めるとともに、退職金請求の可能性が低い長期未請求者等については、長期にわたる事務管理コストの削減等の観点から、例えば時効の援用など、新たな長期未請求者等数の縮減方策を検討するものとするとされております。
 [2]ですが、建退共、すなわち建設業の有期雇用の方々を対象とした制度では、被共済者についてのデータベースが十分整備されておらず、就労状況を示す手帳が長期にわたり更新されていない方の情報を十分に把握できない実態にあるということで、被共済者データベースの抜本的改修をするようにと指摘をされました。
 2つ目の「累積欠損金の確実な解消」については、平成23年度末で一般の中退共ですと1,741億円の累積欠損金があります。機構が定めた累積欠損金解消計画よりも、解消ペースが遅れています。そのような状況を踏まえて、付加退職金は運用状況がよく利益が生じた場合に、その分を退職金に上乗せをするというものですが、その付加退職金の仕組みとか予定運用利回りの変更を検討した上で、「累積欠損金解消計画」の必要な見直しを行い、着実に累積欠損金の解消を図るものとすると指摘をされております。
 資料2-1です。夏にお諮りした見直し当初案を基に、政独委の勧告の方向性を踏まえて作成した、勤退機構についての「見直し案の概要」です。第1の「事務及び事業の見直し」の1「退職金共済事業」に関してです。(1)確実な退職金支給のための取組として、未請求の問題に関しては、退職された方に早めに退職金の請求をするように勧奨を行い、これによって新たな未請求退職金の発生を防止する対策などを重点的に行うこととしております。また、長期未請求の方については、これまで全員に当たるという取組をしてまいりましたが、コストも考えて新たな縮減方策を検討する方針です。なお、時効の援用に関して、ここで若干コメントを申し上げますと、法律上、この制度の退職金の支給を受ける権利は5年で時効にかかります。しかし、これまでも時効の援用をせずに、請求があればお支払いしてきました。近年では、年間数千件の単位に上ります。また、国会で厚生労働大臣が、請求があれば時効を援用せずにお支払いするという旨の答弁もしております。
 この勧告の方向性を受けて、時効の援用も含めて検討はいたしますが、このようなことを踏まえますと、時効だから払わないと運用するのは、事実上、困難な面があると考えております。むしろ、請求があればお支払いするという体制は維持をし、縮減については効率的なやり方を考える。そして、そもそも新たな未請求が発生してこないように、その防止対策に力を注ぐという方向かと考えております。
 (1)の3つ目のポツの建退共についての被共済者データベースの改修については取り組んでいく考えです。(2)の効果的な加入促進対策の実施です。政独委の勧告の方向性では指摘はされませんでしたが、当評価委員会においても、加入促進について、一層、効率的かつ効果的な取組を行うことを期待するという指摘もいただいております。加入促進対策は、多くの中小企業、そこで働く方々に退職金を提供するという制度の趣旨に照らしても、勤退機構に課せられた重要な使命の1つです。経済状況等の外的要因の如何にかかわらず、1社でも多く、1人でも多く加入いただきたい、喜んでいただきたいというのが理事長をはじめ、機構の皆様の切なる思いであろうと思っております。もちろん、制度を所管する私どもも同じ思いでございます。
 そのような思いを前提に、夏の見直し当初案でもお示ししましたように、取組の強化を図って、次期中期目標、中期計画においても適切な目標数値を掲げて、工夫をこらし積極的に取り組んでいくことが必要であると考えております。(2)で掲げている内容は、夏の見直し当初案でお示しした内容です。
 (3)の財務内容の改善に向けた取組です。勧告の方向性を踏まえて、累積欠損金に関しては、厚生労働省で付加退職金の仕組みや予定運用利回りという制度的な問題について検討を行い、これを踏まえて「累積欠損金解消計画」の必要な見直しを行うなどの措置につなげていく考えです。なお、厚生労働省では、この予定運用利回り等については、労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会で御議論をいただくこととしております。
 2の「勤労者財産形成促進事業」です。政独委の勧告の方向性では指摘はされませんでしたが、財形関係の業務は勤退機構のもう1つの主要業務です。当評価委員会においても、中小企業における利用促進を図るための取組の工夫といった御指摘もいただいております。そのようなことを踏まえて、夏の見直し当初案でもお示ししたように、中小企業に対する情報提供の充実、また自立した財政運営の実施を図る考えです。
 第2の「業務全般に関する見直し」です。6項目ありますが、1と2は政独委から各独法共通に指摘された内容を踏まえたものです。3から6については、夏の見直し当初案でもお示しした内容です。それぞれ必要な措置を講じていく考えです。見直し案の説明は以上です。

○今村部会長
 ただいまの説明について、御意見・御質問等ありましたらお願いいたします。

○加藤委員
 時効の期間が過ぎたあと、請求があった場合にはそれに応ずるという話がありましたが、件数にして、年間何件ぐらいあるものなのですか。非常に少ないのだろうなという想定をしたのですが、逆に言いますと、もし少ないということであれば、そのために事務管理コストが膨大にかかっているということも考えられますので、その辺のバランスはどうなっているのだろうかということについて、教えてください。

○勤労者退職勤共済機構総務部長
 それでは、時効処理後の支給状況について報告させていただきます。時効処理後の支給件数は、私どもが未請求対策に本格的に取り組む平成19年度より前には、ほぼ年間数百件という形で出てまいっておりました。すなわち時効5年後支給した件数が数百件余り。ただ、平成20年度から、未請求であった方々について、住所情報を事業主から提供いただき、それらの方に請求を呼びかけるという取組を積極的にしてきた結果、例えば平成20年度は4,800件、平成22年度になると6,300件ということで、年間数千件程度の時効が成立した方についても支給しているところです。ただ、第2期中期計画で、ほぼこの住所情報の取得及び請求勧奨は一回りいたしましたので、今後はもう少しペースダウンしてくる可能性もあろうかと思っておりますし、私どもがいろいろ活動することによって、請求に結び付くところについては相当進んだかなと思っておりますので、今後についてはこれをどういった形で効率化していくのかということが課題だと思っております。

○加藤委員
 今後も、現時点での方針によると時効期間が経過した方々に対しても、請求があればそれはお支払いしていくという方針は変わらないということでしょうか。

○労働基準局勤労者生活課長
 はい。その方針は維持したいと考えております。

○加藤委員
 その中で、事務管理コストの低減とか、工夫をなさるというお話ですが、具体的にどのように工夫をされているのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 先ほど申しましたように、私どもは時効になっている方々に対して、いちばん難しいのは住所を把握していないということでしたので、第2期中期計画期間中に元働いていた事業所に住所を聞いております。その住所を聞いて、分かったところについては全て御連絡して、請求してくださいとお願いしているわけですが、一度お願いをして、かなりの方については御請求いただいているのですが、まだ請求になっていない方も残っております。そこで、今考えておりますのは、次期計画期間中においては、再度事業主に聞くということではなくて、私どもが既に住所を把握していて、まだ請求はないような方に対して、例えば文書だけではなくて電話などで請求をお願いするとか、ある程度ターゲットを絞った上での請求のお願いを行っていくと。併せて、機関誌であるとか、いろいろな形での広報活動を行っていくことを考えているところです。

○今村部会長
 今の論点なのですが、要するに既に長期未請求者の確認が数千件に達しているということで言えば、政独委からの指摘である時効の援用による長期未請求の解消は、そんなに効果がないのだろうと受け止められるわけです。そういうことになるわけですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そうですね。現段階で、まだ住所が分かっていない方については、例えば会社を辞めてからもう20年以上経っていたり、あるいは退職金額も1万円以下というような方々がほとんどですので、そのような方々に対して新たに住所を調べていくとか、そういった取組は相当難しいのではないかと考えております。むしろ今現在、把握している方々について確実にお支払いしていくという方向に、次期中期計画では考えていきたいと思っております。

○今村部会長
 文章の書き方で、「例えば時効の援用など」と書いてありますが、事実上、援用はほとんど考えないということになるわけですよね。作文の表現と中身とがちょっと食い違っているような印象を受けるのですが、そうではないのでしょうか。

○労働基準局勤労者生活課長
 検討せよという指摘ですし、検討はいたしますが、現実的には難しいと認識しているということです。

○今村部会長
 逆に言うと、新たな縮減方策は、今、加藤委員からも質問がありましたが、具体的にすぐ出てくるものは何でしょう。

○労働基準局勤労者生活課長
 今も勤退機構からも説明がありましたが、これまでは全数について当たる取組をしてまいりました。そのようなコストのかかる取組ではなくて、効率的な取組をしたい。基本的には、もう既に住所を把握しているところについて、重点的に対応していきたい。それ以外には、一般的にはホームページとか、通常の広報をしていく中で、「未請求ありませんか」というように周知を図っていくとか、そういった一般的な対策を講じていきたいということを考えております。

○加藤委員
 基本的なことで大変恐縮なのですが、「時効の援用など」と書いてあるのですが、お話を伺っていますと、時効の援用は結局はしないということですよね。

○労働基準局勤労者生活課長
 現時点では、それは難しいと考えているということです。

○加藤委員
 私は最初に、「時効の援用なども検討されているのだな。あっ、なるほど」という感じでこの文章を読んだのですが、お話を伺ったあとで今思っているのは、「あっ、そうじゃないんだな」ということ。この文章の書き方ですと、誤解を与えるのではないでしょうかね。

○労働基準局勤労者生活課長
 政独委からそういう指摘をいただきましたので、それは指摘として、私どもも受け止めたということです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私からちょっと補足させていただきますと、この文書の中で、「例えば時効の援用など」の前に、長期にわたる「事務管理コストの削減等の観点から」というように入っているのですが、こちらも重要ではないかと思っておりまして、私どもが対象としていく未請求者を考える場合に、例えば非常に古い方とか、そういった方々も含めて同じような形で事務管理を行い、もし来た場合にすぐに対応できるような備えをとっておくのか、あるいは古い方等について、別のような形での整理を行い、いずれにしても、もし請求があったとしても払うことは考えられるにしても、そういった事務管理を行う上で効率的なやり方を図っていくとか、そういったいろいろな意味での検討事項はあろうかと思っておりますので、その辺りについては今後、厚生労働省ともいろいろ御相談しながら詰めていきたいと思っております。

○労働基準局勤労者生活課長
 長期にわたる事務管理コストの削減等の観点と、こういう観点で時効の援用もやるべしというのが例示として示されたということかと思っております。こういった事務管理コストの削減の観点から、どんなことができるかということは、またいろいろ検討していきたいと思っております。

○加藤委員
 しつこくて申し訳ないのですが、ということは、時効の援用の趣旨を勘案しながらと、こういうニュアンスなのですかね。

○労働基準局勤労者生活課長
 はい、そういう理解です。

○今村部会長
 おっしゃることはよく分かりました。「援用など」のあとの「、」を取ったらどうですか。つまり、援用というのは単に新たな縮減方策の例示にしかすぎないわけですね。だから、「例えば時効の援用など新たな縮減政策を検討」で。「、」で切ってしまうと、時効の援用をしますと読める場合があるので、議事録で確認してくださいということになるかもしれませんが、それよりも文章でもし確実に取れるのであれば、それは1つの提案なのですが、いかがでしょうか。それは文章的には無理がありますか。

○労働基準局勤労者生活課長
 あとは端的に申し上げますと、政独委との関係というものがあります。政独委の勧告の方向性の内容は、これはこれでもう変わらないのでしょうから、それを受けた見直し案の文書の中で、「、」を入れるかどうかということになるのでしょうけれども、政独委なり総務省なりとの関係でどうかというのが少しありますので、そこはこの場ではペンディングにさせていただければと思います。

○今村部会長
 御検討いただければと思います。議事録は残っていますので、そういう趣旨であるということは確認できたと思いますが、誤解を与えやすいという加藤委員の指摘はもっともだと思いますので、御検討いただければと思います。

○中野委員
 今、未請求であることに強調された文章になっているのですが、そもそも未請求になってしまう前提のところの改善は、一文要らないのでしょうか。これは議論をしたところで、今さら言うことではないのかもしれませんが、分かりにくいので請求できない人たちとするならば、その辺のところから見通して、縮減方策が入るのではないかと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○労働基準局勤労者生活課長
 おっしゃるとおりだと思っています。そこで、資料2-1の1の(1)の一番最初のポツですが、新たな未請求退職金の発生防止対策を重点的に実施をするというのをまず打ち出しております。未請求にならないようにすることをやっていきたい。そのために、事業主を通じて「制度に入っているんですよ。辞めるときには退職金の請求をするんですよ」ということを知らせていただくし、お辞めになったときの住所を勤退機構としても把握をして、請求がなかなか来なかったら「請求してくださいよ」というように勧奨するとか、更に住所把握をしやすくするための省令改正もいたしました。このようなことを通じて、そもそも未請求にならないようなことをまずやっていこうというのは、おっしゃるとおりであり、それも取り組んでいくこの見直し案の中に含めております。しかも、重点的に取り組むのだということを書いております。

○中野委員
 ここがもうちょっと積極性というか、具体性とか、先ほど「時効の援用など」と、ここだけ事例が出ているので、最初の取組の積極性みたいな具体というのが載っている。そういうのを書くのは市民レベルの感覚でしょうか。発生予防対策というところが、どのように自覚されて発生予防をしようとしているかという目線ですかね。そういうのが「例えば何々のように」というのがあると、「ああ、そこまで分かって取り組もうとしているんだ」というのは、市民レベルでは分かりやすいのですが。

○労働基準局勤労者生活課長
 概要ですが、本体が資料2-4、あるいは勧告の方向性との対比としては資料2-3に文章そのものが掲げてあります。ここで今こういう状況にある。それに対して、こういう取組をしていきたいということをきちんと書いているつもりです。これは見直し案ですが、これを踏まえて、これから勤退機構についての中期目標を定め、中期計画を定めていただくということですので、その中期目標や中期計画の中でも、より具体化を図っていきたいということも考えております。

○今村部会長
 簡単な事務的な質問ですが、先ほどの件です。例えば銀行だと、長期に利用がないと休眠口座というか、整理口座になりますよね。ちなみに、貴独法では、時効終了前と終了後で、管理コストは何か違った形になっているのでしょうか。全く同じでしょうか。つまり、そこのところで時効が過ぎたあとで、何かそういう整理口座みたいにして、管理コストを下げるという工夫はあり得るのかなという質問です。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 今、取扱いにおきまして、時効前、あるいは時効後で、被共済者を全く別々にデータ管理をしているというわけではありません。そういう意味では同じようなコストがかかっているということだろうと思っております。そして、私どもは例えば今、未請求である方が何万人いる。その方がこういった分類でとか、そういった状況等については随時的確に把握しているということになっております。ただ、そういった場合に、例えばもう30年過ぎた方等について、そこまで完全に分析をし、把握していくかどうかといったことではないのかと思っております。そういった意味での管理コストの削減が今後出てくることができるのかどうかということが検討材料ではないかと思っております。

○今村部会長
 その場合に、請求があったら何日間で払うかという目標がありますが、時効が過ぎたら、そこの義務は免除していただくというぐらいの整理口座的な銀行の発想もあり得るかなと思うのです。ちょっとこれは分かりません。業務をよく存じ上げないで申し上げているかもしれませんが、そういった形での対応も、もしかしたら可能かなと、今お話を聞いていて思いますがいかがでしょう。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そういったことを含めて、今後検討していきたいと思っております。

○今村部会長
 もう1つ、運用の件なのですが、いつも思うのですが、市場の動向に対して非常に受動的ですよね。例えばこれは当面、金利が今の経済政策ですと中期的には上がる可能性があるだろうと、運用利回りが上がる可能性がある。だけど、そのあとは政策は成功するか失敗するか分からないけれども、変動の可能性がある。ということは、中期的に少し市場の予測をした上で、その辺を流動的というか、弾力的にストラテジーを考えるというアイディアもあってよいと。大雑把な言い方ですが、つまり、金利の市場実績に対して、少し受動的過ぎるかなと。もう少し戦略的に、中期的に金利を若干予測しながらケースを予測してプランを立てていくとか、一応、作文上のことになるかもしれませんが、そういう発想もあるのかなという感じがするのです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私どもは資産運用を行っていく上において、いちばん基本と考えておりますのは安全・確実な資産運用ですが、それを実施するために基本ポートフォリオを定めているわけです。その基本ポートフォリオにより、国内債券、あるいは国内株式等々、各資産の比率を定めているわけです。その基本ポートフォリオを定めるに当たっては、当然のことながら今後10年間近くの金利についての将来推計、あるいは株式等の収益の将来推計を行いますが、それについては各成長率とか、いろいろなその時点で入手可能な変数を踏まえた上で作っていくということで、基本ポートフォリオを定めて、基本的にそれに基づいて実施していくという形で資産運用を実施しております。
 そういった意味で、その基本ポートフォリオはある程度、市場の変動が非常に激しいものですので、中期的なものにならざるを得ないと思っておりまして、ほぼ5年程度で見直しを行っているところです。そのような形で短期的な形での見通しが非常に難しいわけですが、一定中長期の将来見通しを含めて、基本ポートフォリオを策定し、それに基づく資産運用を実施していくというように、これまで努めてきたところですので、今後、中期計画中においても、そういった経済変動等を十分踏まえながら、必要な時点で適宜、基本ポートフォリオの見直し、あるいは検証等の作業は実施していきたいと思っております。

○今村部会長
 2番の政独委指摘の累積欠損金の確実な解消という解消計画の中に、せっかくそうやっておられる努力を何か入れられる工夫はないのかなと、ただそれだけの視点です。常にベンチマークとの比較で良いか悪いかというだけの表現では、非常に受動的な感じがするのです。それになおかつ独法で評価をしておりますが、市場が悪くなれば運用に関してはもうDとかCとか、良くなればSは無理だけどAとか、私も長年やっておりまして、そこのところがちょっと受動的で残念な感じがするのです。可能な範囲でのことではありますが、せっかくやっていらっしゃるのだから、そういう御努力を、この機会に累積欠損金の解消計画の中で何か文章化していくとか、実績を残していくという可能性はあるのかなと思いました。単なる提案です。

○加藤委員
 資産運用の今のテーマで、例えば外部のアドバイザーに定期的にインタビューをして、教えを受けているとか、そういったことはされているのでしょうか。あるいは、そうではなくて、あくまで本独法内での決議で決められているのか、その辺を教えてください。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私どもが資産運用に当たって、そういう外部の専門家の方々の御意見をお聞きするのは非常に重要だと思っておりまして、基本的に2つの場面を外部の方々、有識者の方々の御意見を伺う場として持っております。1つは、先ほどお話させていただきました基本ポートフォリオ等の今後の資産運用の方針について、御議論いただく場としてALM委員会というものを設けて、そこで例えば基本ポートフォリオを変更するとき、あるいはその他、資産運用の方針をどのようにしていくのかということについて、適時御議論をいただいております。
 もう1つは、毎年の資産運用を行った結果が出てまいりますので、資産運用結果について御評価いただき、それに対して行ったいろいろな資産運用実績に問題があったかなかったのかという検証をしていただく資産運用評価委員会を設けております。この2つの外部委員会において、御議論・御指導をいただいているということですが、併せて先ほど申しました基本ポートフォリオの検証等を行うに当たっては、外部のコンサルタントにお願いして、具体的な詳しい分析、計算等々については、業務委託でお願いしているという形で外部の専門家の方々のお力を借りているところです。

○今村部会長
 特に修正意見はないと思いますので、1月10日の総会で、私から委員会へ報告したいと思います。なお、このあと誤字、脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございました。最後に、所管課及び法人理事長よりコメントをいただけましたら、よろしくお願いいたします。

○労働基準局勤労者生活課長
 どうもありがとうございました。本日いただきました御意見を踏まえまして、次期中期目標の策定に向けて準備を進めていきたいと思っております。勤退機構が今後とも日本の中小企業で働く方々、財産形成を図る勤労者の方々の役に立ち、必要だと認めていただける組織であり続けるように、所管課の立場でも努力をしてまいりたいと思っております。引き続き、皆様の御指導をよろしくお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事長
 本日は御審議賜りまして大変ありがとうございました。私のほうから若干、ただいまの審議の中で御意見が出された点について補足いたしますと、資料2-1の概要でお話したほうがいいと思うのですが、新たな未請求退職金の発生防止策について、具体的に書いたらいいではないかという御指摘ですが、私どもはそこのところは非常に重要だと認識しておりますので、これを直すかどうかということではなくて、今後このようなテーマが話題になるときには、できるだけ具体的に中身を列挙して、分かりやすくなるように対応したいと思います。
 時効の援用について、管理コストがどうなるのかということなのですが、基本的には勤生課長の御説明のとおりで、仮に時効にかかったものであっても、請求があればお支払いしていく、それが制度の趣旨であろうかと思います。しかし、仮に時効の援用的な対応をしますと、そういう方々については追加的に住所を更に把握しなくてはいけないと。そういう新たな管理面での対応の必要性が大きく低下しますので、その面からの管理コストの低下は実現できるのではないかと、このように考えております。
 運用面については、先ほど総務部長から説明がありましたとおり、外部の先生方からの御意見を基にして、市場の変動への対応も含めて、きちんとしてきたつもりですが、先生方の御指摘どおり、この運用面についてそういう努力を分かっていただけるような具体的な書き込みを今後、心がけるようにしたいと思います。私からは以上です。本日は御審議賜りまして、誠にありがとうございました。

○今村部会長
 勤労者退職金共済機構の審議案件は以上です。ここで法人・所管課の入替えを行いますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替え)

○今村部会長
 それでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構の審議に入ります。初めに、事務局から今回の審議の位置付け等について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 先ほどの勤労者退職金共済機構の審議と同様になっております。昨年8月9日の第77回労働部会、8月31日の第31回総会において、「組織・業務全般の見直し当初案」を御審議いただいております。この見直し当初案について、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会により、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について、厚生労働大臣及び当評価委員会に送付をされております。
 厚生労働大臣は、これを踏まえ、「組織・業務全般の見直し案」を作成し、評価委員会の意見を聞かなければならないとされておりますので、本日の部会で御審議をいただき、1月30日に予定されている総会でも御審議をいただくという流れになっております。以上です。

○今村部会長
 それでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構の組織・業務全般の見直しについて審議をいたします。所管課より説明をお願いします。

○高齢者雇用対策課長
 高齢者雇用対策課の中山です。よろしくお願いいたします。資料3-1、概要資料に沿って、高齢・障害・求職者雇用支援機構の見直し案について御説明します。
 1ページ、第1「事務・事業の見直し」です。なお、事務・事業の見直しの内容については、昨年8月に御説明したものと同じ内容となっております。1点目ですが、高年齢者等に対する雇用支援業務です。平成24年1月6日の労働政策審議会建議「今後の高年齢者雇用対策について」等を踏まえ、生涯現役社会の実現に向けた環境の整備に対応するため、業務の充実・強化を図る必要があると考えております。
 1つ目のポツ、年齢に関わりなく働ける企業の実現に重点を置いた、効果的な相談・援助を充実させるため、企業診断システム等実践的支援ツールの開発、高年齢者雇用アドバイザーの相談スキル向上のための研修内容の再構築等を行うこととしております。
 2つ目のポツ、生涯現役社会の実現に向けた国民的な気運を醸成するための国民運動を推進する一環として、シンポジウムの開催、好事例の選定・表彰等を行い、経済団体等とのネットワークによりこれを効果的に周知・啓発していきたいと考えております。
 2つ目は、障害者に係る雇用支援業務です。精神障害者、発達障害者等の就労支援ニーズや平成25年4月からの法定雇用率の引上げ等に的確に対応するため、業務の充実・強化を図っていく必要があると考えております。
 1つ目のポツ、地域障害者職業センターにおける発達障害者に対する体系的支援プログラムの全国実施です。障害者職業総合センターが開発した「ワークシステム・サポートプログラム」に加え、求職活動支援と関係機関とのネットワークの構築に係るノウハウを有機的に組み合わせた発達障害者に対する体系的支援プログラムを全国実施することにより、発達障害者に対する支援の充実・強化を図りたいと考えております。
 2つ目のポツ、障害者職業能力開発校における訓練のノウハウの開発・普及の取組の強化です。職業能力開発校での特別支援障害者受入れの促進に係る取組を強化するものです。具体的には、一般的な集合訓練が困難で個別的な対応が必要となる、そういった特別な支援を要する障害者である「特別支援障害者」等向け訓練コースの設置の検討を促すため、訓練場面の見学、指導体験機会の提供、2番目として訓練コースを新たに設置する等の職業能力開発校の職業訓練指導員を対象とした指導技法等の直接的な提供等を行いたいと考えております。
 3つ目のポツ、障害者雇用納付金制度の適用対象事業主の拡大に向けた対応です。障害者雇用納付金制度ですが、平成27年4月から適用対象企業が200人を超える企業から100人を超える企業に拡大をします。このことを踏まえ、地域の経済団体、業界団体等に対する協力要請や新たに対象となる、具体的には101~200人の間の中小企業への個別訪問等による周知・啓発等を実施し、中小企業等における障害者雇用の促進を図っていきたいと考えております。また、納付金の徴収業務については、現行99%以上という収納率の目標水準を目指すとともに、それに向けた適正な制度運営を行っていきたいと考えております。なお、現在、厚生労働省において検討している障害者雇用促進制度における障害者の範囲や労働雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方の検討結果などを踏まえ、必要な見直しを行うこととしております。
 3つ目は、職業能力開発業務です。離職者の早期再就職を図るための職業訓練、ものづくり分野における高度技能者養成のための職業訓練等を実施するとともに、求職者支援制度に基づく訓練の認定や訓練実施機関に対する助言・指導等を実施するものです。
 1つ目のポツ、産業構造の変化や技術革新等に対応した効果的な公共職業訓練の展開として、離職者訓練、在職者訓練については、訓練コースの設定から実施、評価、改善に至る、いわゆるPDCAサイクルによる効果的な訓練の実施と訓練コースの見直しを行いたいと考えております。また、地域ニーズも踏まえ、成長が見込まれる環境エネルギー分野等新しい分野に関連したものづくり分野の訓練コースの開発に取り組みたいと考えております。高度技能者養成訓練については、産業構造の変化や技術革新等に対応した訓練コースの見直しを進め、効果的な人材養成に取り組むとともに、共同研究等を通じた産学連携や大学等関係機関との連携強化を図る等、広く地域社会に開かれた施設運営に取り組みたいと考えております。
 2つ目のポツ、指導員養成訓練の見直しです。職業訓練指導員養成については、1点目として、職業訓練指導員を養成するハイレベル訓練の創設、2点目として、現職の職業訓練指導員を対象としたスキルアップ訓練の段階的な拡充を行うとともに、3点目として、産業構造の変化や技術革新等に伴う訓練ニーズに対応した訓練カリキュラム、職業訓練技法の開発・普及の強化等に取り組みたいと考えております。
 3つ目のポツ、求職者支援制度に基づく訓練認定業務等の的確な実施です。求職者支援制度に関しては、1点目として、求職者支援訓練として認定すべき職業訓練を適切に認定すること、2点目として、訓練実施機関に対し、認定申請の際の相談・助言、訓練開講後の定期的な調査を実施していきたいと考えております。
 4つ目のポツ、民間教育訓練機関の教育訓練サービスの向上に向けた対応として、民間教育訓練機関における人材のスキルアップのための取組等を検討したいと考えております。
 2ページ、第2「業務実施体制の見直し」です。引き続き効率的・効果的な業務運営を図る観点から、必要な見直し等に取り組みたいと考えております。1つ目は、機構本部の業務運営体制の再構築です。管理部門については、平成23年10月の法人統合時の20名の人員削減に加え、更に統合後3年以内に19名の削減に取り組みたいと考えております。業務部門については、勧告の方向性の指摘も踏まえ、雇用促進住宅、ポリテクセンター等の地方公共団体への譲渡等が進むことや高年齢者雇用安定法の経過措置期間の経過など、業務量の変化に見合った効率的な実施体制となるよう点検を行うとともに、統合によるシナジー効果を一層発揮できるよう再構築していきたいと考えております。
 2つ目は、地方組織の管理事務処理体制の効率化です。地方組織については、管理系システムの統合等と併せ、地域障害者職業センター、高齢・障害者雇用支援センター、職業訓練支援センター等の管理事務処理体制の一元化を図ることとしております。
 3つ目は、地方施設の整理・統合です。地方施設については、勧告の方向性の指摘を踏まえ、効率的・効果的な業務運営体制を構築するため、都道府県への移管協議や整理・統合に取り組んでいきます。
 (1)ポリテクセンター等の移管について、都道府県との移管協議を主体的かつ積極的に進めることとします。一方で、現状において同一都道府県内に複数存在するものなど、経年的に定員充足率が低調なポリテクセンター等について、訓練定員の見直しを行っても改善に至らない場合は、統廃合を含めて検討することとしております。
 (2)地域障害者職業センター、高齢・障害者雇用支援センター、職業訓練支援センターといったポリテクセンター等以外の地方施設ですが、利用者ニーズ、利便性、コスト、業務量等を総合的に勘案し、幅広く検討し、次期中期目標期間中に同一地域に複数設置されている状況を可能な限り解消することとしたいと考えております。
 第3「組織・運営の見直し」です。不要資産の国庫返納として、職業能力開発総合大学校相模原校の敷地の平成25年度以降の売却、国庫納付や、譲渡が完了した雇用促進住宅の国庫納付を行うこととしたいと考えております。また、職員宿舎については、既往の閣議決定等に示された政府方針に基づき、入居者の円滑な退去等に配慮しつつ、今後5年を目処に廃止等の措置を講じ、国庫納付が可能なものは売却等の手続を行い、国庫納付することとしたいと考えております。
 最後に、民間競争入札の導入による基幹ネットワークシステム保守・運用管理経費の節減です。システムに係る保守・運用管理の委託業務について、公共サービス改革法に基づく民間競争入札、いわゆる市場化テストを行い、運用管理経費の節減を行いたいと考えております。以上です。

○今村部会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

○中野委員
 障害者雇用支援業務の3つ目のポツ、障害者雇用納付金制度の適用対象事業主の拡大について、中小企業の方を増やすということですが、一方で、昨年10月から障害者虐待防止法ができて、雇用場面で表に出ないけれども、それがあることはみんな分かっているわけですから、ただ拡大をするだけではなく、中小企業が雇った後、孤立させない。「訓練ノウハウの開発・普及強化」とありますが、この辺りとリンクをさせた上で、虐待防止に目を配った一文を、最初からやるわけはないということがあったとしても、技術をサポートしつつとか、何か孤立させないような策を目配りしているという辺りがあると、私としては安心して拡大を受け止められるのですが、いかがでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 具体的な内容のことなので、私からお答えします。その件は前回の労働部会でも御指摘をいただいて、私どもとしてそれを踏まえてどうするか、中期計画にどう反映させるかを考えております。お金の問題だけではなく、もちろん虐待の問題もありますし、職場定着、いかに辞めないで続けて働いていけるか、あるいはその中でどうやって事業主も障害者も満足して働いていけるか、いろいろな側面があるだろうと思うので、そういうことのノウハウなり事業主支援を、新しい中期計画では力を入れてやっていきたいと思っております。ここはたまたま納付金制度の適用対象事業主の拡大ということがあるので、そこをトピックス的に書きましたが、これだけではなくて、事業主支援、特にそういうノウハウが少ない中小企業に対する支援に力を入れていきたいと思っております。

○宮本部会長代理
 同じく2の1つ目のポツですが、発達障害者に対する体系的支援プログラムの充実・強化とあって、これは大切なことだと思いますが、この体系的支援プログラムはどのぐらいの期間で、どういう方を対象にされる計画でしょうか。
 また、発達障害者、あるいはその傾向のある方というと、かなり広いわけですが、こちらの機構はどの辺りのところを担当するのか、あるいは地域全体に対して、機構はどのぐらいの指導力を持つ設定なのか、その辺りはいかがでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 以前から御説明しておりますが、もともと私どもの機構は身体障害者の方の職業リハビリテーションから始まって、次に知的障害者の方を対象にして、現在、発達障害者や精神障害者の方を重点的に対象にしております。身体障害者の方や知的障害者の方もまだまだ不十分ではありますが、地域で支える仕組みが少しずつできてきたのに対して、発達障害者の方の職業リハビリテーションは全国にまだノウハウがない状況なので、私どもで研究開発して、実施をしているところです。全体の規模から言うと、どうしても都道府県に1つずつしかないものですから、全体としてのキャパシティという意味では限られているので、いろいろな経由で職業リハビリテーションをしたいという方々をキャパシティがある限り受け入れる、というところにとどまっております。将来的にはそのノウハウを、例えば知的障害などと同様に地域のネットワークに広げて、いわば人材育成をしていくことが大事になってくるのでしょうけれども、正直言って、まだそこまで発達障害者の方を全員カバーしていく見通しを立てるところまではいっていません。私どもとしては、何とかノウハウの蓄積を進めていきたいというところが中心になっております。
 具体的にどういうことをやっているかというと、1つは、私どもの研究部門で開発をした「ワークシステム・サポートプログラム」というものがあります。これは、例えば職場で実際に起きる場面を想定して、ロールプレイングをやってみたり、いろいろな角度から職場に慣れていただくプログラムを、全部で大体12週間、3か月やるというのが1つの柱です。もう1つは、それを終えて実際に就職活動をする上で、先生方も御承知のように発達障害はいろいろ個人差があって、単なる履歴書には書き切れないものがたくさんありますので、それを「ナビゲーション・ブック」という形式を作って、自分はこういうところがなかなかうまくいきません、あるいはこういうところが得意ですというのを、それぞれ特性に応じて個人が具体的に書き込めるようなものを支援しながら書いて、実際に企業に面接に行くときに付き添って行ったり、面接の仕方を教えたりという形で、就職支援をしているというのが2つ目です。
 3点目は、地域障害者職業センターだけで発達障害者の方の就職や職場定着はできないので、生活支援をしている所とか特別支援学校とか、そういう地域全体のネットワークの中で一人一人を就職させ、更に職場定着をさせていく、そのためのネットワーク作りです。そういう全体のプログラムと就職活動支援とネットワーク作りを3つの柱として、発達障害者向けのプログラムを提供しています。

○宮本部会長代理
 機構は組織として最も強い力のある所なので、できるだけノウハウを早急に作っていただくことが非常に大事だと思っております。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 非常にニーズなり期待をいただいていることをひしひしと感じておりますので、そこはできる限りやっていきたいと思っております。

○今村部会長
 ちょうど宮本委員の御指摘があったので、マクロ的な話になりますが、1枚目の1番や3番を見ると、確かに見直しという割には見直していない印象があります。例えば1の2番目のポツの国民運動の推進、シンポジウムの開催、好事例の選定ですが、これは余り変わっていないというか、いつもこういうことがされるのです。この背後に見える組織や人の姿を見ると、これは私の勘違いかもしれませんが、例えば広告代理店みたいな所が請け負ってシンポジウムをやっていくというところで、そこから先は余り機構のコントロールが効いていない可能性が見えるような気がするのです。誤解だったら御指摘をいただければと思います。
 もう1つは3ですが、宮本委員も御指摘されたように、機構は組織のいろいろなところで素晴らしいスキルやノウハウをたくさん持っているのだけれども、それが水平的に共有されていないことが大きな問題だと思うのです。ですから、個々にはいろいろなことをやっているのですが、シナジー効果を発揮するようにと政独委から指摘されていますが、具体的にそれが水平的にどのようにシナジー効果を人のレベルで発揮できるかというのは、いまだにスキルやノウハウの無駄が生じているというのが宮本委員の御指摘だと思います。それが民間にスピルオーバーしていく部分も含めてもったいないのではないかということです。
 つまり、各組織の垂直的な管理機構が、財政の壁ではなくて、組織の壁が見えるような気がするのです。根本的にそういうところをイノベーションというか、もう少し前向きにやられたほうがいいのではないかと読んでいて感じるのですが、その辺りはどのように見通しを持っておられるのか、少しでもお聞かせいただければと思います。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
 シンポジウムの件に関しては、ここに書いてあるシンポジウム、高齢者関係のシンポジウムの話ですが、その内容等については、具体的には学識者の基調講演があり、事務方からの改正法の説明があり、その後で関連企業、高齢者の活用企業ですが、ここでは70歳まで活用している企業のノウハウや考え方等についてパネルディスカッションをする形で、この辺りは機構の考え方なり我々行政サイドの考え方が見事に反映されたシンポジウムとなっており、非常に好評であったということです。実際運営するに当たって、お金の面でどうなっているかといったことは別にして、内容的には非常に素晴らしいものになっているということです。その点は少し御紹介させていただきたいと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 2点御説明します。1つは、1の2ポツ目の国民運動の推進のところで、今シンポジウムの開催について課長からお答えいただきましたが、まさにそのとおりです。
 見直しという意味では、ここでは「好事例の選定」と一言で書いてありますが、この好事例はどういうものをどう集めてきて、どう提供するかといったところは、技術的なことになりますが、かなり見直しをしていきたいと思っております。1つ例を言いますと、今まで高齢者雇用についての好事例と障害者雇用についての好事例が全く別々のものとして提供されていて、これはもともと組織が別だったことをいささか引きずっていたのですが、ここも整理をして、高齢者や障害者の好事例という形で展開できないだろうかと、システムの改修等に時間は掛かりますが、そのようにしていきたいと。あるいは、これは一昨年から始めていますが、高齢者と障害者と両方が働きやすい、働くのに一工夫ある方たちの雇用環境を改善していくという視点で好事例を発掘できないかといったことも進めております。
 そういうことも含めて、シナジー効果について、これは部会長から何度も御指摘を頂戴しており、私どもとしては肝に銘じて、どうやってシナジー効果を出すのかということを進めております。よく「効率・効果」と言いますが、どう効率化していくかというときのシナジー効果と、どう効果を上げていくかというときのシナジー効果があるだろうと思っております。効果については、ここでも何度か御説明したように、まさにお互いのノウハウをどう合わせて、より良いものを作っていくのか、例えばポリテクカレッジなどに若干発達障害の傾向のある学生がおられるので、そういう方たちをどうやって学習指導し、就職指導をしていくかを、障害者の支援ノウハウを活用して共同研究を現場で進めていますが、そういったことをやっていきたいと思っております。
 効率のほうがなかなか難しいのです。そもそも目的が別々ということもあるので、管理面の効率化はかなり進めておりますが、業務面の効率化をどう進めるか、今回も御指摘をいただいておりますので、ここはこれからの課題として考えていきたいと思っております。

○今村部会長
 超越的なコメントかもしれませんが、これはあくまで参考までに。発想として、例えばEUだとこういう公共的なサービスのことを「public interest」と言わずに「general interest」と言うのです。つまり、市民が生きていく上で必要なサービスを、営利企業だろうと国だろうと非営利だろうと、みんなで一緒にやりましょうという発想でやっているのです。電気から水道といったニーズから、社会的な福祉や教育といったものまでということです。高齢・障害・求職者雇用支援機構は、そういう意味でいろいろなノウハウの塊であって、ただ、それをどのようにやっていくかというときの1つの統一的な意思として、general interest的に市民がどういうニーズを持っているかという発想でまとまれば、少し違うのではないかというか、面白いのではないかと私自身研究していて思うのです。
 それに関して言えば、かつて産職マトリックス研究に大きな予算を使っておられましたが、そういう意味ではもう少しハイテクというか、ICTを使って、例えばクラウドなどをもう少し使いながら、縦の組織は管理システムとしては現状やむを得ないけれども、将来的にそこの壁を突き破るポテンシャルとしてデータベースのノウハウみたいなものをインプットすると、こういう人がここにいるといった情報が組織の中で組織の壁を越えてバーチャルに共有できるというイメージがあるのかなと。それと今申し上げたgeneral interestは、多分、同じ発想に近付いていくのではないかと思います。これは概観的な発想なので、あくまでもコメントとしてそれだけにとどめておきます。

○中野委員
 今の横の連携ということでは、3の職業能力開発業務と1、2は実質的にリンクしていくものだと思います。3は、この人はこれができないと言わせないぐらいのノウハウを持っていらっしゃるでしょうし、中小企業へのアドバイスができるでしょうし、これは実質的にリンクされているのだろうと期待を持っています。
 もう1つ非常に気になっているのは、先ほどの発達障害の方のスペクトラム、どこから発達障害と認識するかと同じように、例えば聴覚障害の方も聴こえているようで聴こえないとか、スペクトラムの認識が1つの障害に向けられると、知的障害の方もそうでしょうし、どこまでがという範疇で、頭に「障害者」と乗っていること自体がいずれ問われるのではないかという気持があります。実質サービスを提供しておられる中で、ネーミングを含めて、こんなことを今伺うのは適切かどうか分かりませんが、スペクトラムを発達障害で引き込んだことは、方向性としてはいかがでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 2つに分かれると思います。1つは、法定雇用率の義務や実際に納付金を支払う、あるいは調整金や報奨金を受給するといった権利義務関係になると、スペクトラムがあることは事実ですが、どこかで区別をして、具体的には手帳を持っているかいないか、あるいはこれは法律上の権利義務ですから、判定する行為を伴わざるを得ないだろうと。ただ、そのことと、私どもが職業リハビリテーションサービスを提供するときに何を対象とするかは、法律上も分けて書いてあって、もちろんキャパシティの問題はありますが、必要な方については手帳の有無にかかわらず、できるだけ幅広くサービスを提供したいというのが基本的な立場になっております。

○今村部会長
 特に修正意見はないようですので、1月30日の総会で私から委員会へ報告をしたいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。
 それでは、次の議題「不要財産の国庫納付等について」です。まず、事務局から不要財産の国庫納付等の取扱いの枠組みについて説明してください。続いて法人から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 不要財産の国庫納付等については、独立行政法人通則法第8条第3項の規定に基づき、不要財産とされたものについては処分しなければならないとされております。この不要財産を国庫に納付又は譲渡し、譲渡代金を国庫に納付しようとするときには、通則法第46条の2第2項の規定により、厚生労働大臣の認可が必要とされております。また、第46条5項で、「(厚生労働大臣が不要財産処分の)認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」とされております。
 また、民間等出資の払戻しをしようとするときにも、同通則法第46条の3第1項の規定により、厚生労働大臣の認可が必要とされております。さらに、第46条第6項で、「(厚生労働大臣が民間等出資の払戻しの請求の催告の)認可をしようとするときには、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」こととされており、今回、委員の皆様の御意見を伺うことになっております。以上です。

○今村部会長
 続いて、法人から具体的内容について御説明をお願いします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長の堀江です。
 資料3-6を御覧ください。1ページ、「不要財産の譲渡収入による国庫納付に係る認可申請について」です。対象となっている財産は、石川職業訓練支援センターの土地、外6件です。具体的には、6ページの別添1を御覧ください。職業能力開発施設です。また、東北能開大学附属青森短大職員宿舎若葉(1号)、外46件が、7~9ページにある職員宿舎です。これらの財産は、閣議決定で示された独立行政法人の保有資産の見直しの方針に従い、当機構で業務に真に必要かどうか精査を行った結果、保有する合理的な理由がなく、売却することが適当と判断しました。本件は、これらの財産を売却し、その譲渡収入を国庫納付するということで、その御承認をお願いするものです。
 2ページ、別紙1は、職業能力開発施設の敷地の一部売却の説明です。例えば、2の不要財産と認められる理由、3の給付の方法を譲渡収入による国庫納付とする理由、8の譲渡の方法などの説明があります。
 4ページ、別紙2は、職員宿舎の売却の説明です。同様に、2の不要財産と認められる理由等について説明があります。
 職業能力開発施設の売却予定財産の内容などについては6ページ、職員宿舎の売却予定財産の内容については7~9ページにそれぞれ記載しておりますので、御覧いただきたいと思います。時間の関係もありますので、個別の御説明は省略します。
 10ページ、「不要財産に係る民間出資等の払戻しの請求の催告について」です。売却予定財産のうち、職業能力開発施設、職業能力開発勘定の職員宿舎は、旧雇用・能力開発機構から承継を受けた出資財産です。これらの財産は、政府からの出資のほか、ごく一部ですが、地方公共団体からの出資を受けております。このため、旧雇用・能力開発機構から承継を受けた出資財産を売却した場合、出資者である地方公共団体に対して、出資額の払戻しの請求をすることができる旨の催告を併せて行う必要があることから、その御承認をお願いするものです。
 11ページ、別紙1が職業能力開発施設の払戻しの請求の内容です。
 13ページ、別紙2が職業能力開発勘定の職員宿舎の払戻しの請求の内容です。具体的には16ページを御覧ください。石川職業訓練支援センターほか6施設における地方公共団体の出資の内容がまとめてあります。今回処分しようとしている財産の帳簿価格が[1]、機構の資本金が[2]、資本金に占める地方公共団体の出資金が[3]で、割合に乗じたものが、(2)出資額として表記してあります。
 17ページ、「不要財産処分に係る地方公共団体への催告の内容」については、当該財産の譲渡見込額に基づき、各地方公共団体に対する払戻見込額を記載しております。16ページと17ページの違いは、出資額で算定した金額と、これも見込みですが、実際に売り払った金額に応じて地方公共団体に払い戻す見込額の違いです。
 20~21ページは、職員宿舎です。払戻しの考え方自体は、職業能力開発施設の場合と同様、払戻見込額については19万1,080円となっております。なお、これらの払戻見込額は、譲渡見込額(最低売却価格)を基に作成しております。実際の払戻額は、実際の譲渡収入を基に算出するので、現時点では明らかにはなっておりません。あくまで見込みということです。
 また、各地方公共団体に対する払戻しの催告の手続ですが、譲渡収入の国庫返納の手続と並行して行う予定です。以上です。

○今村部会長
 ただいまの説明について、御質問等がありましたらお願いします。

○加藤委員
 細かい話ですが、別添1の表の対象物件の一覧の7、沖縄の物件ですが、これは取得価額と比べて鑑定評価額がかなり低いのです。取得日が平成23年と書いてありますが、これは何か事情があったのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 取得日は、雇用・能力開発機構から継承したということで平成23年10月になっておりますが、実際の簿価自体はそのときの不動産の鑑定額になっていて、金額が少し違うかも分かりませんが、現在の不動産鑑定額がより直近の鑑定額となっております。

○加藤委員
 そうすると、ほかの1~6の物件は、鑑定評価額と取得価額を比べるとこういうものかなと思うのですが、沖縄の物件だけは5分の1近くになってしまっています。これは、ほかの物件との取得年月の違いなどが理由なのでしょうか。
 この沖縄の物件の周辺地域の値下がり具合とか、当時の年度に比べて、そういったものも念のために確認されると良いと思います。間違いがあったら困りますので、それだけお願いしたいと思います。
 もう1点、不動産鑑定士2社にお願いしているということだと思いますが、2社の選定の基準は何かあったのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 これは入札によっております。

○加藤委員
 総合評価落札方式という形なのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 最低価格落札方式の一般競争入札でやっております。

○加藤委員
 別紙の不動産鑑定士の2社は、別紙1の物件と別紙2の物件で同じでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 物件によって様々な業者が入ってくるということです。全て一括してやっているわけではありません。

○加藤委員
 そうすると、例えば先ほどの別添1の7物件は、7物件とも違う不動産鑑定士を使っているということですか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 別添1は、全ての物件をA社とB社の2者がやっております。

○加藤委員
 もう1点、土地保全経費というのがありますが、主な内容はどういうものなのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 更地などはそのまま土地を置いておくので、草刈りとか、そういった経費です。

○今村部会長
 今の沖縄の件について、これは1億ぐらいの差がありますが、これによってメリットを一番受ける所はどこなのでしょうか。取得時には、機構としてはこの金額を支出しているわけですね。実際に譲渡するときには、これが2,700万という形で落ちるということで、差引き1億弱が機構にとってはどういう評価になるのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 もともと取得時についても、国や地方公共団体などからの出資金ということです。簡単に言うと、簿価1億円の土地を今回売却するとなると、2,700万円の売却額となり、それを国や地方公共団体などにお返しすることになって、広い意味では、機構としては売却損をだす形になります。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 継承しておりますので、そこで実際にお金を払っているわけではありません。

○宮本委員
 職員宿舎の件について伺います。例えば、別添2にリストが出ていますが、面積を見ると、100平米以下のかなり小さな住宅でしょうか。これを売却して職員宿舎をなくしたときに、どれだけのコスト上のメリットが出るのかについて、少し具体的に伺えればと思います。職員が住んでいた場合には家賃は非常に安くて、この方が出たときには住宅手当支給とか、そういう形になるのでしょうか。差引きで売却したときにどのぐらいの行政コスト上のメリットが出るのか、たくさん載っているので、1つでもよろしいのですが、こういうことをやることによってどれだけのメリットが出るのかを具体的に理解したいと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構経理部長
 宿舎の平米ですが、戸建宿舎がほとんどで、非常に小さい平米になっております。
 今回はそこには住んでいないわけですが、売却を進めていく中で、職員は他に住んでいるわけですから、その具体的な金額的なメリットということでしょうか。

○宮本委員
 住宅手当を支給するか、これは現物支給のようなものですよね。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
 ここに載せているのは多くが木造で、かつ耐用年数を大きく過ぎたものです。したがって、一般的に耐用年数が過ぎていると、通常はボロボロに近い状態で、それを使い続けるためにはいろいろな箇所を直すということがあって、それも相当維持管理費が掛かるわけです。売却費用だけを見ると、数年分の住居手当との関係等を考えると御指摘のとおりだと思いますが、実際の維持管理費、あるいは管理する上で周りの治安にも影響するので、荒廃させたりできないといったいろいろな条件があり、持っているだけでも維持管理費が相当掛かってくるということがあって、総務省の行革関係の所から私どもに、1つの閣議決定の政府方針として、木造については速やかに廃止するようにという指示が来ており、それに基づいて廃止をしております。

○宮本委員
 老朽化した住宅を持つことで維持管理の費用が掛かるということと同時に、新しく造り替えるような職員住宅はもう持たないという全体としての方針の中で、このようになっているということですね。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
 宿舎については、私どもも新築するといったことはなくて、事実上、今持っているものを、用途期限が来ていないものを、コストを余り掛けずに、できるだけしっかり使っていくということでやっており、改めて代わりのものを新築するといった方向ではありません。方向性としては減らしていく方向で、政府の1つの大きな方針の下で取り組んでおります。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 宿舎を持っていることのメリット、デメリットと、それがない場合の住居手当等のメリット、デメリットを厳密に比較して、どちらが適当かということで我々が判断したのではなくて、そもそも独立行政法人の宿舎を減らせという大方針が降ってきて、何割減らすということに対応してこのように減らしているということです。それについては国庫にお返しすると。その分、当然住宅手当が増えるのですが、それは法人で対応するということになっております。

○高田委員
 これもお聞きする相手が違うのかもしれませんが、現在世界的に、少なくとも先進国では職業訓練が非常に重要視されていて、政策の非常に大きな柱になっていると思います。そういう中でこのような政策をするわけですが、この職業訓練施設を廃止することが、全体の日本の職業訓練政策の中でどういう位置付けになっているのかを説明していただければと思います。

○職業能力開発局能力開発課長
 ポリテクセンターの合理化といった指摘がある中で、今、日本国内で30万人ぐらい公的な訓練を実施しています。訓練が国家として重要だという流れの中で、官・民の分担関係もありますし、施設内訓練で言えば都道府県との分担関係もあります。また、学科内容も見直さなければいけないということですので、基本はそういった訓練のインフラは就職効果を上げていくために最低限の範囲内で、行革の趣旨も踏まえながらしっかり維持・運営しているというのが現状です。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
 現場から補足しますと、今回の施設の売却は、例えば駐車場を少し狭くするといった比較的稼働率の低いところを見つけて、効率化をもっとやることによって生み出した余裕財産ですので、これによってポリテクセンターを廃止するとか、あるいは定員を落とすとか、そういうことはしておりません。ぎりぎりの効率化をすることによって、従来の定員等は確保するという方針でやっております。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。それでは、本件については当部会として了承したいと思います。今後の手続の過程で内容に変更があった場合については、事務局から私に連絡を入れていただき、委員の皆様へ御報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めることにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、最後に所管課長及び法人理事長よりコメントをお願いします。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
 今日はありがとうございました。御指摘いただきましいた点につきましては、しっかりと反映できるように今後も努力をしてまいりますので、一層これからも御指導をお願いいたします。どうもありがとうございました。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
 雇用支援機構の小林でございます。本日は、大変お忙しい中、見直し案等について御審議ありがとうございました。
 お話が出ましたように、今年は改正高齢法の施行があり、障害者の法定雇用率が1.8から2に引き上げられるということがあります。また、平成27年度からは、障害者雇用納付金の対象事業主が200人超から100人超に拡大されるということで、非常に大きな制度改正が目白押しです。私どもとしては、まずはこの制度改定にきちんと的確に対応していくことが求められているのではないかと思います。
 一方、職業能力開発関係については、今も高田委員からお話がありましたように、日本の産業構造、特に我々はものづくりが中心ですが、それが大きく変わろうとしているわけです。したがって、当然産業界、企業、あるいは利用者側からの我々に対するニーズも刻々と変質していくのではないかと感じております。そういう中で、我々としては訓練の質を上げることに加えて、その訓練の中身がこれで良いのか、産業界あるいは国が求めているニーズをきめ細かく適切に把握しながら、訓練の質、あるいは中身を変えていくことに、よりこれまで以上に尽力していかなければいけないのではないかと思っております。
 ということで、課題山積ですが、今日の御議論、追って厚生労働省から示される予定である第3期中期目標を踏まえ、私どもとしての第3期中期計画をしっかり作り上げ、これを着実に実行してまいりたいと思いますので、先生方の更なる御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございました。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。高齢・障害・求職者雇用支援機構の審議案件は以上です。ここで法人及び所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替え)

○今村部会長
 次に、政独委から来た二次評価の内容について事務局から報告をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 夏の部会で委員の皆様に御審議をいただいた年度評価結果に係る政・独委の二次評価について、簡単に御報告します。
 資料4-1を御覧ください。1ページで、各法人横断的な話になりますが、全体の話として大きく3つ挙げられております。まず、法人の内部統制の充実・強化について、特に監事との関係ですが、評価委員会との連携などについて言及されております。2つ目は保有資産の見直しです。3つ目は評価指標の妥当性ですが、こちらは中期目標や中期計画の記載内容と毎年作っている年度計画の中身、評価指標への中期目標等の反映状況などについて、きちんと整合性が取れているかどうかという観点での厳格な評価を実施したということです。
 2ページ以降は、それぞれの法人について個別に指摘されています。当部会の関係では、3ページですが、今御審議いただいた高齢・障害・求職者雇用支援機構についての記述がなされています。具体的には、職業訓練に係る評価の視点の追加、実態の把握や分析、ポリテクセンター等の全国の施設の業務実績を明らかにした上での評価の必要性の指摘などがなされております。
 4ページは、労働者健康福祉機構についてですが、産業保険推進センターに係る運営費交付金の削減状況について、きちんと明確化をすべきであるという指摘がなされております。これらの指摘を踏まえ、今年の夏に評価に臨んでいくことになりますので、御承知おきいただければと考えております。以上です。

○今村部会長
 事務局からの報告について、何か御質問等はありますか。
 ありがとうございました。次に、資料4-2についてお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料4-2は、昨年の夏に部会でも御評価いただいた平成23年度の業務実績の評価について、各法人がどのように業務に反映させたのかということで、各委員の皆様にお示しすることと公表することを目的としており、反映状況の一覧表を作っております。こちらの法人の反映状況については細かいので、それぞれ委員の皆様に各自御覧をいただくということで変えさせていただきます。よろしくお願いします。以上です。

○今村部会長
 これについて、何か質問等はありますか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は全て終了いたしました。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。今後の部会等の開催予定について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 総会メンバーの委員の皆様につきましては、1月30日10時から、専用第15、16会議室で独立行政法人評価委員会総会を開催しますので、御出席をよろしくお願いします。
 議題については、勤労者退職金共済機構、高齢・障害・求職者雇用支援機構、福祉医療機構、国立重度知的障害者総合支援施設「のぞみの園」の見直し(案)について、それぞれ御審議をいただくことを考えております。さらに、3月1日の午後に労働部会を開催し、勤労者退職金共済機構、高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標、中期計画について、2つ目として昨年の中期目標、中期計画を策定した労働政策研究・研修機構の評価の視点の設定について、最後にその他の長期借入金、業績勘案率について御審議をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

○今村部会長
どうもありがとうございました。それでは、本日の部会はこれで終了します。新年早々お疲れさまでした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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