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2012年5月22日 平成24年度第3回化学物質のリスク評価検討会

労働基準局安全衛生部

○日時

平成24年5月22日(火)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館825号会議室


○議事

○瀧ヶ平室長補佐 皆さんお揃いですので、「第3回化学物質のリスク評価検討会」を開催いたします。本日は、所用により池田委員、内田委員、高田委員、櫻井委員がご欠席です。原委員が遅れて参加になります。
 それでは、以下の議事進行を名古屋先生にお願いします。
○名古屋座長 それでは、事務局から議事・資料の確認をお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 今日の議事としては、平成23年度のリスク評価対象物質の残りの6つをできればやりたいと思っております。後ろに配布資料が書いてありますので、それを見ながら資料の確認をいただければと思います。
 リスク評価書(案)として、資料1-1「1,3-ジクロロプロペン」、資料1-2「パラ-ジクロロベンゼン」、資料1-3「4-ビニル-1-シクロヘキセン」、この3つが詳細になります。資料1-4「メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート(別名MDI)」、資料1-5「ニトロベンゼン」、資料1-6「2-アミノエタノール」、この3つが初期となります。資料2として、「メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)とトリレンジイソシアネート(TDI)の比較」を付けております。
 参考1として「平成23年度リスク評価の進捗状況」ということで、そこに書いてある物質のリスク評価になります。参考2-1、参考2-2、参考2-3は、昨年度のリスク評価(初期)の資料です。参考4は非公開ということで、個別の事業場に関する事項が含まれるので机上配布としておりますが、「平成23年度ばく露実態調査の結果」は委員の席に置いてあります。また、参考3の「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」ですが、これも机上配布しております。資料は以上です。過不足等ありましたらお申し出ください。 ○名古屋座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入ります。「平成23年度リスク評価対象物質のリスク評価について」、これは物質ごとに、事務局からそれぞれ説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1-1に基づいてご説明します。「1,3-ジクロロプロペン」ですが、この物質は2年度目のばく露実態調査を踏まえて、詳細リスク評価書の取りまとめの段階ということです。
 次の頁ですが、物質としては(2)にあるような無色の液体で、沸点が108℃、蒸気圧が3.7kPaという物質です。(3)用途としては、殺虫剤の原料として使われているものです。
 2「有害性評価の結果」です。(1)重視すべき物質性状とばく露ルートとして、物質の性状にも鑑みて、常温で液体であり、一定の蒸気圧もあることから、蒸気の吸入ばく露が問題となる。また、眼や皮膚への刺激性もあることから、経皮ばく露にも注意が必要であるとしております。(2)重視すべき有害性として、発がん性の部分でIARCではこれを2Bと分類しており、ヒトに対する発がん性が疑われるとしております。
 2頁です。3行目ですが、ACGIHではA3、動物実験では発がん性が確認されたが、ヒトに対しては未知と記載しております。産衛学会も同様で、これらのことから1,3-ジクロロプロペンはヒトに対して発がん性が疑われると判断されるということです。遺伝毒性の部分ですが、「発がん性の閾値がないと考えられる」というまとめをしております。閾値がないとした場合のユニットリスクの算出ですが、EPAのIRISによるユニットリスクで、ここから導き出したリスクレベルとして0.13mg/m3(0.029ppm)を導き出しております。
 ○2発がん性以外の有害性です。急性毒性の部分、皮膚腐食性/刺激性の部分でそういうものがあるということと、生殖毒性ありということを記載しております。
 3頁、(3)許容濃度等です。ACGIHでは1ppmにSkinが付けられており、ここに記載したような経皮吸収性に注意が必要であるとされています。産衛学会では設定がありません。
 (4)評価値です。初期リスク評価のリスクレベルの算出、ここで初期リスク評価では一次評価値をこのように設定しておりますが、これについて見直しを要するような新たな情報は特にないということで、基本的にはこれを採用するとしております。下にあるように、一次評価値としては0.029ppm、二次評価値としては1ppmということで、これについては初期リスク評価と同様ということで変更は加えておりません。
 3「ばく露評価の結果」です。(1)主なばく露作業の1行目にありますように、ばく露の報告があったのは合計6事業場で、1年度目に3事業場をやっております。6事業場から11の作業について報告がなされており、延べの労働者数が94人ということです。
 4頁ですが、平成23年度において、平成22年度の調査結果を勘案して、ばく露の可能性の高い同種の作業についてばく露実態調査を追加で実施しております。全体で6事業場から調査報告が出てきておりますが、これらの事業場のほか、製造しているという情報を得た事業場に対し調査の依頼をし、ばく露実態調査を追加しております。
 これらによって把握したばく露作業の概要が、ここに示したとおりです。1,3-ジクロロプロペンの製造取扱いは、アリルクロライドを作るときの副成物として生成されてくるものを出荷している事業場、1,3-ジクロロプロペンを入荷して、それを小分け・充填して出荷している事業場と、大きく2つに分けることができます。
 (2)ばく露実態調査結果の概要です。平成22年度のばく露実態調査においては、3事業場の21人に対して調査を行いました。平成23年度においては、関係業界・事業場の協力のもと2事業場を追加で実施して、9人の労働者に対して個人ばく露測定を行っております。これらについては、TWAを算出し、統計的手法により、どちらか大きいほうの最大値を算出しております。測定法については、以下に示したとおりです。
 5頁ですが、○2測定結果の「最大値の推定」の部分をご覧ください。2年間のばく露実態調査における5事業場の30人の調査の結果、統計的処理を行い、最大値の推定としては実際のばく露最大値が1.134ppmで、区間推定上側限界値としては0.550ppmとなりました。
 その中身、(3)ばく露の高い作業の詳細です。1年度目の1,3-ジクロロプロペンの製造を行う初期ばく露の1事業場において、二次評価値を上回った人が1人いました。最大は1.134ppmということで、二次評価値の1ppmを少し超えているということです。この方は、製造された1,3-ジクロロプロペンをタンクから20Lのペール缶に充填する作業を行っており、この作業場においてはA測定の結果でも高い値が出ていたということです。ここには若干その状況について記載をしております。
 平成23年度には、平成22年度の調査結果を受けて同種の作業、ペール缶充填を行う事業場で調査を行いました。これらを合計した結果、二次評価値を超えた事業場は最初の1つだけだったわけですが、2年間の調査の結果、同種の作業、ペール缶充填を行う別の4事業場で12人の労働者のばく露レベルがいずれも二次評価値を下回りました。追加で調査を行った2事業場では、いずれもタンクから20Lのペール缶に小分け・充填する作業を1日を通して連続して行っておりましたが、いずれも自動充填機を用いており、充填機に空の缶を並べる作業、充填したものを計量して蓋を閉める作業ということで、少し離れた所といえるかと思いますが、そういった作業を行うのが主になっていたということです。充填機の局所排気装置が有効になっていたことも相まって、これらの労働者のレベルが低くなったものと考えられるとしております。
 一方、個人ばく露測定で最大値が測定された事業場の別の作業、製造されてきたものをサンプリングする作業で屋外でしたが、スポット測定で非常に高い値を観察したということで、これには何か留意が必要だろうということで記載しております。
 6頁です。まとめとして、以上から、小分け・充填作業については、限定したリスクの高い作業があると考えられるとしております。
 4「リスク評価の詳細」の部分ですが、ここはいま申し上げたばく露実態調査の内容をデータとして並べたものです。下のグラフにありますように、上位の20データのうちa事業場の「充填」と書いてあるいちばん右のデータが二次評価値を超えており、それ以外の方々については二次評価値を超えないレベルに留まりました。下のパラグラフにありますように、他の事業場で同様の作業を行っている人については高いばく露はみられず、作業工程に共通して懸念されるような高いばく露が発生するリスクは低いと考えるとしております。  7頁の(2)判定結果ですが、区分としては製造の事業場と他製剤の製造、ペール缶に充填して出荷する作業の事業場を分類しております。1つの所で二次評価値を超えておりますが、全体の判定結果としては不要としております。
 5「ばく露要因の解析」も、同様の方針ということでまとめております。作業工程は共通のリスクはないけれども、リスク低減措置の方針としては作業方法の改善、発散抑制装置、呼吸用保護具の使用等を考慮ということを記載しております。
 6「結論(まとめ)」としては、ばく露の高い作業の詳細とその要因解析の結果、この物質のペール缶の充填作業については、高いばく露がみられるものの、当該事業場に限定的なリスクであると判断された。別の事業場のばく露レベルは共通して低く、作業工程共通のリスクがある可能性は低いと考える。したがって、法令により対策を講じる必要性は低いと考えられる。ただし、リスクの高い作業が認められた事業場においては、事業者の自主的管理の指導等が必要と考える。経皮吸収性が指摘されていることから、飛沫や蒸気に触れないように注意喚起を行うことが必要である、ということで取りまとめを行いました。以上です。
○名古屋座長 これについて、何かご質問等ありますか。初期評価で問題になったものを、詳細リスク評価の中でもう一度出た結果がこういう形になったということです。結果的には、その1名の方は初期評価のときに見つかったからで、二年目の評価のとき、最終評価のときは同じような作業場に特定しましたが、二次評価値を超える人はいなかったということだと思います。いかがでしょうか。このままでいくと、「結論」のまとめに書かれているように、リスク的には低いと判断されると。共通性が少ないということで、有害性が高いことに対しては従来どおり個別対応の形になりますが、それでよろしいでしょうか。
○花井委員 この分布のグラフを見ると、詳細評価で一次評価値を超えている事例がかなりあります。これも結論の、共通作業としては少ないからという中に含まれてしまうような、それで結論づけていいような状況であるということでしょうか。
○松井化学物質評価室長 いままでの決め方としては、二次評価値を作業共通的に超えている場合には、法令に基づく規制が必要ではないかという結論を出しており、一次評価値を超えている場合は、行政指導で自主的な管理をきちんとしてくださいと事業者に呼びかけるということで対応してきております。
○花井委員 そこに今回、共通作業的なものはみられなかったという判断ですか。
○松井化学物質評価室長 一次評価値はかなり超えているものがほとんどですので、ここは行政指導で管理に気をつけてということは必要かと思いますが、二次評価値については共通的に超えるような作業はないのだろうということで、法令に基づく規制まではいかなくてもいいのではないかという案になっています。
○名古屋座長 共通性があると、二次評価値が管理濃度として測定などいろいろなことが義務づけられますが、そこまでいかなくてもいいだろうと。要するに、そこの事業場だけに行政が行って個別指導することが個別対応の形になりますから、それで大丈夫なのではないでしょうかという結論です。よろしいでしょうか。
 それでは、1,3-ジクロロプロペンは個別対応という形でまとめますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次に、パラ-ジクロロベンゼンについてお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1-2ですが、これも詳細リスク評価書です。ご承知のように、パラ-ジクロロベンゼンは防虫剤として使われている白色の結晶で、沸点が174℃、蒸気圧が170Paとなっております。生産・輸入量、用途も、染料中間体、殺虫剤などとして、製造されているものです。
 2「有害性評価の結果」です。ここも基本的には初期リスク評価の際と変えておりませんが、(1)重視すべき物質性状とばく露ルートとして、パラ-ジクロロベンゼンは常温で固体であるが、昇華性を有することから、粒子及び蒸気の両方の状態で吸入ばく露が問題となります。
 (2)重視すべき有害性として、ヒトに対する発がん性が疑われるとし、IARCの区分2Bに基づく記載をしております。閾値については、判断できないということです。いろいろな染色体異常試験と培養細胞等によるものについて、陰性とか陽性とかいろいろあって、判断できないということを記載しております。
 (2)の○2発がん性以外の有害性ですが、急性毒性、皮膚腐食性、生殖・発生毒性、いずれもありということで結果のみを記載しております。
 (3)許容濃度等ですが、ACGIHでは10ppm、日本産衛学会でも10ppmを勧告しております。これらを踏まえて、(4)評価値ですが、初期リスクでの評価値を見直しを要する新たな情報は特段ないということで、基本的にはそれを踏襲して、次の頁ですが、一次評価値は評価値なし、二次評価値は10ppmとしています。
 3「ばく露評価の結果」ですが、(1)主なばく露作業の部分です。平成21年のパラ-ジクロロベンゼンの有害物ばく露作業報告ですが、合計17の事業場から報告をいただいており、労働者数が601人となっています。これらのばく露実態調査の対象事業場について、コントロールバンディング等でばく露が高いと予想されるような所を選定し、調査を行っております。いちばん下のパラグラフですが、調査により把握したばく露作業は次のとおりということで、パラ-ジクロロベンゼンを用いた他製剤の製造です。パラ-ジクロロベンゼンの固体を香料やその他の物質と混ぜて、粒状やボール状に打錠成形して、これを包装する作業がメインです。
 4頁ですが、(2)ばく露実態調査結果の概要です。平成22年度のばく露実態調査においては、これを製造し又は取り扱う3事業場の対象作業に従事する20人の労働者に、個人ばく露測定を行っております。平成23年度については、同様に関係業界・事業場の協力のもと、ばく露が予想される2事業場を調査対象に追加し、13人の方について個人ばく露測定を行っております。個人ばく露測定の結果を、ガイドラインに基づいてTWAを算出し、また統計的手法を用いて最大値を算出しております。
 ○2測定結果です。5事業場の33人の結果が最大値が19.0ppm。推定上側限界値については、対数正規分布でないため算出せずとしております。
 5頁の(3)ばく露の高い作業の詳細です。ばく露実態調査の結果、初期ばく露調査の1事業場において、1つの事業場で3人の方が二次評価値を上回っており、最大19.0ppmということです。これらの方々は、対象物質を含有する防虫剤を製造する目的でパラ-ジクロロベンゼンの固体をホッパーに投入して混合し、それを打錠成形したあと包装するといった一連のラインの作業であったということです。このうち包装作業において行ったA測定の結果が非常に高い値であったということ、当該作業場においては原料混合機から包装に至る工程がほとんど開放状態であったということで、ばく露が高かったのではないかということを記載しております。
 平成23年度には、これらの調査結果を受けて、同様に作業環境の改善が進みづらいと考えられるような中小の事業場も含めて調査を行っております。2事業場で調査を行いました。この2年間の調査の結果、パラ-ジクロロベンゼンを打錠成形して包装し、それを防虫剤として製造している5事業場のうち、19.0ppmを示した当該事業場を除く4つの事業場では、いずれも二次評価値を下回りました。二次評価値を超えなかったうちの1つの事業場では、最大3.19ppmとやや高いところですが、これらも随所に局所排気装置を設置しているということで、ばく露レベルが低くなったのではないかということを記載しております。
 また、別の1事業場では中小規模事業場に該当しているということで、そういった意味では労働衛生の環境改善が進みづらいところがあると思いますが、パラ-ジクロロベンゼンの製剤を手動で成型・包装していて、局排もなかったということがありますが、最大値は9.74ppmということで、二次評価値を下回ったということです。
 以上から、パラ-ジクロロベンゼンの防虫剤を製造する工程においては、事業場に限定したリスクが高い作業があると考えられるということでまとめております。ルールに従えば、9.74ppmということで二次評価値を下回っています。
 5頁です。4「リスク評価の詳細」の部分ですが、ここはデータの分布について記載した部分で、前段と同様です。次の頁にグラフがあります。対数正規分布とならなかったので、最大値の推定はできなかったのですが、いちばん上に、参考として上位10データを基にして求めた値を記載しております。参考データであれば、二次評価値の2倍程度がみられたということです。個人ばく露測定値が二次評価値を超えた3人の労働者について、ほかの事業場で同じようなリスクはみられなかったため、リスクが低いと考えるとしております。
 (2)判定結果です。措置の要否としては、これらをまとめて不要としております。
 7頁です。5「ばく露要因の解析」です。パラ-ジクロロベンゼンの粉体や昇華した蒸気を吸入するおそれがあるということで、作業工程の共通のリスクはないけれども、取組が考慮されるべきであるとの方針を示しています。
 6「結論(まとめ)」として、ばく露の高い作業の詳細とその要因解析の結果、パラ-ジクロロベンゼンを使用して防虫剤を打錠成形する一連の作業について高いばく露がみられるものの、当該事業場に限定的なリスクであると判断された。しかし、同種作業を行う別の事業場ではばく露レベルが共通して二次評価値を下回り、共通のリスクがあるとまでは言えず、法令により対策を講じる必要性は低いと考えられる。ただし、ばく露レベルは二次評価値を下回っている。ルールに従えば1事業場のみで超えており、ほかの事業場では特段二次評価値を超えていなかったので、法令による対策は必要ないと考えられますが、下回った事業場を見るとばく露レベルの高い所があり、十分に低いレベルとは言えないということで、パラ-ジクロロベンゼンについてはがん原性指針もありますので、自主的に管理を行うよう周知することが適当であるということを記載しております。特にリスクの高い作業が認められる所については、自主的管理の指導等が必要と考えるということで、行政指導の対象としてはどうかということを記載しております。以上です。
○名古屋座長 これも先ほどと同じように、初期リスクの中で二次評価値を超えた所が3つありましたので、それと同じような作業場を選定して測定していただく形と、ほかに同じことがあるかどうか調べてもらった結果、一次評価値が出た工場で特有な作業ではないのかということで、このルールに従うと個別対応の形になりますが、何か意見等ありますか。
○小嶋委員 細かいことですが、7頁のばく露要因の解析の表の中で「作業方法の改善、発散抑制装置、呼吸用保護具の使用等」と書いてあります。また、6「結論(まとめ)」の最後の行で「呼吸用保護具の使用の徹底等」と書いてあります。ただ、この物質に関しては皮膚刺激性あり、眼に対する重篤な損傷性もありと書いてあって、こういったものに対しては、眼に対しては保護用の眼鏡、手であれば保護用の手袋といった保護具の使用もしかるべきだと思いますので、そこは呼吸用保護具と限定しなくて、一般的な意味で「保護具」と書いたほうがよろしいような気がするのですが、いかがでしょうか。
○名古屋座長 そうですね。たぶん、呼吸だけではなくて経皮などもありますので、手袋その他についても書くと。「等」の中ではなくて個別に書いたほうがいいという意見で、それはそうだと思いますので、表現だけ少し書き加えていただければよろしいかと思います。よろしいですか。それでは、その辺は表現を直していただくということで、物質としては個別対応という形でまとめます。ありがとうございました。
 次に、最終評価ということで「4-ビニル-1-シクロヘキセン」についてお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 資料1-3「4-ビニル-1-シクロヘキセン」、詳細リスク評価です。物質としては無色の液体、沸点が130℃、融点が-109℃で、製造・輸入量は平成19年の化審法監視化学物質届出の566トン、難燃剤・塗料用樹脂・透明プラスチックポリマー原料等に使われております。
 2の(1)重視すべき物質性状とばく露ルートについては、液体であるということで蒸気の吸入、また極めて燃えやすい物質なので火気等の扱いにも注意していただくということです。発がん性について、IARCで2Bと分類されております。
 2頁です。○2発がん性以外の有害性は、急性毒性として吸入毒性等があり、皮膚刺激性/腐食性、眼に対する重篤な損傷性があるということ。皮膚感作性、呼吸器感作性は報告がないということです。
 (3)許容濃度等ですが、ACGIHで0.1ppm、日本産衛学会では設定なしということです。(4)一次評価値については、閾値が不明のため一次評価値はなしということで、二次評価値についてはACGIHの0.1ppmを採用しております。
 3「ばく露評価の結果」です。(1)主なばく露作業ですが、後ろから2枚目にばく露作業報告集計表があります。年間500kg以上使用している事業場からの報告については、8事業場からあり、取扱量については約3,200トンという推計です。真ん中に当該作業の従事時間について書いておりますが、月に20時間以内でほとんどとなっております。
 用途としては、「対象物質の製造」「対象物質を含有する製剤その他の物の製造を目的とした使用」「洗浄を目的とした使用」等。主な作業については「サンプリング等」「充填又は袋詰めの作業」「保守、点検、分解、組立又は、修理の作業」等となっております。
 3頁に戻りますが、(2)ばく露実態調査結果の概要です。初期評価において、5頁にグラフがありますが、「ローリー充填等」「ローリー充填、サンプリング等」が二次評価値(0.1ppm)を超えている事業場が1社で2人いたということで、初期評価の結果、さらに同種作業について詳細評価をすべきということで、詳細評価に移行しております。
 4頁の(3)ばく露の高い作業の詳細です。いま申し上げた1社2名のばく露が高い作業については、タンクローリーに不純物としてできた4-ビニル-1-シクロヘキセンを廃液のためにローリーに充填するということで、その際に圧力をかけてローリーに充填して、ローリーの上部から圧力を逃す際に当該物質の蒸気が外に出たのではないかと。その付近で作業している方が、高いばく露に遭ったことが想定されております。平成23年度の詳細については、同種作業も含めて行いましたが、同種作業について二次評価値を超えることはなかったということです。
 初期評価の際にも同じ作業をしている所があったのですが、そこは廃液中の4-ビニル-1-シクロヘキセンの含有率が3.5と6%で、含有率が低いのが原因だったのかなということですが、詳細評価の際に行った事業場においては廃液中の含有率が80%、片方は製品としての出荷なので含有率が99.7ということで、含有率が高い低いということではなかったと。ローリーへの充填の際の作業のほうに問題があったのではないかと。昨年も議論の中で話がありましたが、ローリーから発散しないようにそこからまた元に戻すとか、いろいろな取組をしている所がある中で、この会社はローリーからの排出をそのまま外に出していたところに問題があったのではないかということです。
 5頁です。以上のような経過ですが、初期評価の際に行った1社のローリーへの充填作業についての会社だけが二次評価値を超えていたということです。
 6頁です。5「ばく露要因の解析」ですが、いま申し上げたローリーへの詰込み作業について、周辺作業の改善をしていただくべきであろうということで、発散抑制装置なり呼吸保護具等の使用ということであろうかと思います。
 6「まとめ」として、この物質については作業全体に共通するばく露リスク等は低いということで、法令による対策を講ずる必要性は低いと考えられる。また、問題のあった会社については、きちんとした取組をしていただくことが必要であろうということです。最後の頁ですが、4-ビニル-1-シクロヘキセンについては、ヒトに対して発がん性が高い物質であり、各種有害性も指摘されていることから、その他の事業場においても自主的なリスク低減措置が必要であるということでまとめております。以上です。
○名古屋座長 これも先ほどの物質と同じように、初期リスク評価の中でこういった事業場に対して同じような作業を追い続けてもらって、実際に測定した結果、同種の作業においても二次評価値を超えるような作業場はなかったということだと思います。そのようなことで、超えた所はこの事業場だけの限られた作業ではないかということで、ルールに従うと個別対応になると思いますが、何か質問等はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、この物質についても個別対応という形でまとめさせていただきます。ありがとうございました。今年度の詳細リスク評価の3物質は、すべて個別対応の形でまとめたいと思います。
 次に、新しい初期評価の物質についてお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料1-4をご覧ください。「メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート」ということで、次の頁ですが、少し名称が長いので、括弧書きであるように、この評価書では「MDI」と略記します。メチレン基にベンゼン環が2つ付いており、2つのベンゼン環にそれぞれイソシアネート基が付いている物質ですが、イソシアネート基は水酸基などと結合してウレタン結合を形成します。MDIはイソシアネート基を2つ持っているので、水酸基などを2つ以上持っている加合物と結合してポリウレタンを作るということで、この性質を利用して、2頁の(3)の用途にありますように、接着剤以下並んでいるさまざまな用途に使われております。
 2頁の下の2「有害性評価」ですが、主な有害性として呼吸器に対する有害性があります。急性毒性、特に呼吸器感作性、3頁ですが、反復ばく露での呼吸機能への影響が確認されております。(2)その他の有害性ということで、呼吸器への影響以外に刺激性、皮膚感作性といったものを持っている物質です。
 (3)許容濃度です。ACGIHのTLVと産業衛生学会の許容濃度が両方とも設定されており、融点が37℃ということで、一応常温で固体ですので、mg/m3で考えて、基本的に二次評価値としては産業衛生学会の0.05mg/m3。一次評価値に関しては、この物質は発がん性に着目してリスク評価の対象に選定したわけではなく、呼吸器への影響を主に考えて選定しております。発がん性に関しては、発がん性が疑われる物質とは分類されておりません。こういった物質の一次評価値をどうするかを、有害性の小検討会で議論いただいて、いまそれに当てはめて設定することを検討している段階にありますので、一次評価値は検討中ということです。
 3頁です。3の(1)有害物ばく露作業報告です。500kg以上の取扱いのある事業場から報告いただいた範囲では367事業場、作業の数にして660ということで、かなり広範に使われております。主な用途として「他の製剤等の原料としての使用」「接着を目的とした使用」「触媒又は添加剤としての使用」。作業の種類としては「成型、加工又は発泡の作業」等でした。1日当たりの作業時間は、長いもの短いものさまざまで使われているようで、密閉化設備、局所排気装置またはプッシュプル型換気装置といった発散抑制措置がなされている作業が70%あったという状況でした。
 4頁の(2)です。先ほどの367事業場から、コントロールバンディングの方法を用いてばく露が高いと想定される事業場を8つ選定して、平成23年度に測定をしております。この8つの対象事業場の用途等は、4頁の中ほどに「対象事業場におけるMDIの用途等」としておりますが、かなりいろいろな用途のものを調査しております。
 測定結果ですが、5頁にグラフがあります。グラフの中で「暫定」と書いておりますが、「二次評価値」です。先ほどの二次評価値の0.05mg/m3に対して、それぞれ濃度としてはかなり低い数値になっておりました。4頁の下に文章で書いておりますが、最大値が0.016mg/m3ということで、0.05mg/m3の二次評価値はある程度下回っている状況でした。
 6頁、7頁ですが、これを作業別に見るとということで整理しております。6頁に5つポツがあって、作業の種類を分けておりますが、これが7頁の5つの欄に相当しております。7頁の表の「スポット測定結果」とか「作業環境測定結果」の中で、MDIの相当低い濃度を測定しておりますので、定量下限未満という測定結果がかなり出てきております。スポット測定、作業環境測定で、それぞれのデータのうち半分以上が定量下限未満の場合、平均のところには「-」を記載しておりますので、若干「-」のところが違和感があるかもしれませんが、そういった表記をしております。
 6頁です。MDIの製造をしている事業場の作業ですが、ばく露の可能性のある作業としてサンプリング、廃液処理、分析等がありましたが、いずれも作業時間が1~12分と短く、8時間TWAではかなり小さい数字になっております。一方、スポット測定では、廃液処理の作業で0.200mg/m3、分析の作業で0.050mg/m3ということで、作業は短いのですが、スポット測定では比較的高い数値が出てきております。分析の作業は囲い式局所排気装置が設置されておりましたが、廃液処理では局所排気装置の設置はなく、両方とも呼吸用保護具は使用されておりませんでした。
 2つ目のポツですが、MDIを原料とした他の製剤等を作っている作業です。この作業においてばく露の可能性のある作業として、原料であるMDIの仕込み、できた製剤等のサンプリング、分析、容器への充填等があり、個人ばく露測定の8時間TWAの最大値は0.005mg/m3ということで、これは一定の低い数値となっています。
 3つ目のポツです。製品にポリウレタンを充填して、断熱やいろいろな用途に使われているのですが、そのときに製品の中にMDIを注入する作業を行っている事業場がありました。最初の2行目にありますように、今回得られた8時間TWAの最大値は0.016mg/m3で、一応この作業でみられたということです。MDIの注入作業でしたが、2つ目の段落を見るとわかるように、同じ作業をしていてもばく露の数値の低い方もいて、はっきりしたことはわかりませんが、MDIの補充の作業がばく露を高くしている可能性があると思われます。この事業場ではスポット測定の最大値も0.067mg/m3で、ほかに比べると高い数値となっています。局所排気装置の設置も呼吸用保護具の使用もありませんでした。
 4つ目のポツですが、MDIを原料とした接着剤を使用している事業場です。接着剤を塗っていて、主に機械で塗っているということですが、最大値が0.013mg/m3で、この被測定者(作業者)は、塗付の作業のほかに塗付のための装置の清掃作業も行っていた人が、いちばん数値が高かったということです。
 最後のポツです。MDIの容器への充填作業ということで、MDIを作っている事業場で製品を容器に充填している。別の事業者がやっているので別に出てきていて、この8時間TWAの最大値は0.009mg/m3で、それほど大きな数値にはなりませんでした。
 8頁です。そのようなことを踏まえて、4「リスクの判定及び今後の対応」です。8時間TWAがいずれも二次評価値を下回ったということで、そのことにおいてはばく露は高くないのですが、先ほどお話したように、スポット測定ではいくつかの作業で比較的高い数値がみられたということです。MDIは呼吸器感作性があるので、単回ばく露でも健康障害が懸念されることがあります。これらの作業については、防毒マスクの使用などの適切な健康障害防止措置の実施を指導することが必要ではないかという案にしております。
 なお書きにありますように、呼吸器感作性を持っている物質等は、今後、許容濃度が天井値で設定される物質がリスク評価の対象物質の中で出てきますので、そういう物質のリスク評価について、少し事前に検討した上で取りかからないといけないということがあります。いずれそういう検討をしないと、この検討会でお願いしたいと思っているのですが、そういった検討結果で、もしさらに追加的な検討がMDIについても必要になった場合には、そのような検討が必要ではないかということで取りまとめております。
 なお、資料2に、MDIとトリレンジイソシアネートの比較があります。トリレンジイソシアネートは、ベンゼン環が1つでイソシアネート基が2つ付いており、特化則の対象物質となっていますが、MDIとほぼ同じ用途に使われていて、TDIは特別規則の対象になっているということがあり、その辺のご指摘がばく露評価小検討会でもいろいろありましたので、表にして整理をしております。物理的特性でMDIのほうが分子が大きいので、その分融点が高く、蒸気圧が低いということがあります。トリレンジイソシアネートは、異性体で少し融点なり蒸気圧が異なりますが、MDIはそれよりも蒸気圧が低いと。
 その下でGHS分類の区分を整理しておりますが、有害性についてはほぼ同じような状況で、蒸気圧の差が少しあるということで、この辺の差が先ほどのばく露実態調査の気中の濃度としては少し低い数値が出ておりましたが、その辺に影響しているのだろうと考えられました。以上です。
○名古屋座長 ばく露濃度と二次評価値から考えると、かなり低いところで推移しているということで、本来的には初期リスク評価で終わるのですが、ここに書かれているようにかなり有害性が高いことと、単回ばく露についてまだ結論が出ていないということで、個別対応になるのだろうと思いますが、それに短時間ばく露の評価が加わったときには、再度それを検討しましょうという結論だと思います。初期リスク評価の個別対応で終了してよろしいでしょうか。
○鷹屋委員 全体の結果なのですが、8頁のまとめで「有機ガス用防毒マスク」と書いてありますが、融点から言うと、蒸気も粉じんも両方防げるタイプの保護具のほうがいいのではないかと思います。
○名古屋座長 わかりました。あとはよろしいですか。
 それでは、この物質については詳細に行かず、初期リスク評価で終わる形で、なお書きがありますので、その結果が出たら追加検討するということでまとめたいと思います。ありがとうございました。
 次に、ニトロベンゼンについてお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 資料1-5「ニトロベンゼン」ですが、これも初期評価です。
 1頁です。ニトロベンゼンですが、外観は特異的な臭気のある淡黄色の油状の液体です。用途については、染料、香料中間体、毒ガスの原料等です。発がん性については、IARCで2B、産衛学会で2B、ACGIHでA3となっております。
 2頁です。(2)刺激性/腐食性については軽度の刺激性の報告があり、生殖毒性についてはあり、反復投与毒性もありとなっております。(3)許容濃度等については、ACGIHで1ppm、日本産衛学会も1ppm。(4)評価値については閾値の部分の判断ができないので、一次評価値はなし、二次評価値については1ppmを採用ということです。
 3「ばく露実態評価」、(1)ばく露作業報告については、15の事業場から報告があり、主な用途としては「溶剤、希釈又は溶媒としての使用」「ニトロベンゼンを製造」等。主な作業については「計量、配合、注入、投入または小分けの作業」「充填または、袋詰めの作業」ということです。17の作業の報告があったうち、作業時間が20時間/月以下が88%、局所排気装置等の設備がされているのが82%、保護手袋等の使用は100%、防毒マスク等の着用は88%、保護眼鏡等の着用も88%ということです。
 (2)ばく露実態調査結果については、5事業場を選定し、12人の労働者に対して行っております。測定分析法等については記載の通りです。
 測定結果です。4頁のグラフは対数グラフですが、二次評価値の1ppmをすべて下回っている結果になっております。ただ、スポット測定の際にサンプリング作業で最大値が4.52ppmと、そこで従事されている方については8時間TWAは二次評価値以下ですが、スポット測定ではそのような数値になっています。当該作業は、釜からひしゃくでサンプリングのためにすくう作業でした。昨年も酢酸ビニルで、釜の蓋を開けてひしゃくでサンプリングして濃度が高くなっているケースがありましたが、それについては蓋を完全にしてもらって、別の取出口、蛇口のようなものを作って、そこからサンプリングするという作業の改善をしたところ、ばく露濃度が下がったという報告もありましたので、この作業についてもそういった作業方法の改善で発散抑制が可能ではないかと考えております。個人ばく露については、グラフにあるとおり、すべて二次評価値以下となっております。
 以上のことから、ニトロベンゼンの製造・取扱い事業場におけるリスクは低いと考えられるが、当該物質はヒトに対する発がん性が高い物質であり、その他の有害性も含め、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要と考えるとまとめております。以上です。
○名古屋座長 これを見ていただくとわかりますように、二次評価値に比べてばく露濃度が低いということで、事業場におけるリスクは低いだろうと。そうは言っても、発がん性が疑われるので、自主的な管理が必要ということで、詳細評価までいかずに初期評価の中に留めてもいいかなと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、ここも初期評価に留める形でまとめたいと思います。ありがとうございました。
 最後に、アミノエタノールについてお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 資料1-6「2-アミノエタノール」です。1頁ですが、外観については特徴的な臭気のある無色の液体で、沸点が171℃、融点が10℃ということです。生産量は約4,300トン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンとの合計になっております。用途としては、合成洗剤、乳化剤、化粧品等となっております。
 皮膚刺激性/腐食性あり、皮膚感作性あり、生殖毒性ありということです。この物質は、がんではなくて、生殖毒性から選ばれた物質になっております。(2)許容濃度は、産衛学会が3ppmです。(3)の一次評価値については、先ほどのMDIと同じように、有害性評価小検討会で検討中ということです。二次評価値については、産衛学会、ACGIHの3ppmを採用としております。
 3「ばく露実態評価」です。(1)有害物ばく露作業報告の提出状況ですが、269の事業場から475の作業について報告がありました。作業種類ごとの従事労働者については、5人未満が76%、対象物質の年間取扱量は1トンから10トン未満が35%、10トン以上100トン未満が23%、500kg未満が21%です。1回当たりの製造、取扱量については、1kgないし1L以上1トン未満が71%でした。
 主な用途については、「2-アミノエタノールを含有する製剤その他の物の製造を目的とした原料としての使用」「洗浄を目的とした使用」等で、主な作業は「計量、配合、注入、投入、または小分けの作業」「洗浄、払しょく、浸漬又は脱脂の作業」「充填または、袋詰めの作業」等です。1日当たりの作業時間については、15分未満の作業が36%、15以上30分未満の作業が21%で、発散抑制措置については局所排気装置が42%、全体換気装置が23%、密閉化されている作業が17%でした。
 (2)のばく露調査については、10事業場を選定し、32人の労働者に対して行ったということです。対象事業場における作業の概要ですが、対象事業場における2-アミノエタノールの用途は「2-アミノエタノールの製造」「他の製剤等の製造を目的とした原料としての使用」「洗浄を目的とした使用」等でした。ばく露の可能性のある作業については、仕込みの際の作業、秤量、サンプリング、洗浄工程等。一部は、局所排気装置が設置されていない屋内で行われておりました。
 測定結果ですが、4頁にグラフがあります。これは対数ではなく普通のグラフですが、ウェハー洗浄、フレーカー操作、サンプリング等についてグラフ的には出ていますが、二次評価値3ppmに比べるとかなり低かったということです。最大のばく露値ですが、ウェハーの洗浄作業で使用する剥離液を手で交換するということです。ただ、同じ事業場で自動洗浄機からウェハーを取り出す作業を行っている労働者は0.004ppmと、かなり低い値になっていたということです。これらの調査結果から、3ppmを超える高いばく露が発生するリスクは低いと考えられ、以上のことから2-アミノエタノールの製造・取扱い事業場におけるリスクは高くないと考えられるが、当該物質は神経毒性、生殖毒性等、健康に対する有害性のある物質であり、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象とし、自主的なリスク管理を行うことが必要であると考えられる、といった取りまとめをしております。以上です。
○名古屋座長 この2-アミノエタノールについても、二次評価値に比べるとかなりばく露濃度が低いということなので、事業場についてはリスクも高くないと考えられると。有害性があるので、自主的な管理は当然必要ですが、詳細リスク評価まで移るようなことではなくて、初期リスク評価で留めたらいいということかと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、2-アミノエタノールについても初期リスクで留めるということです。今回の一次対象物質の検討はすべて終了しました。今回をもちまして、平成23年度化学物質リスク評価検討会は終了となります。なお、検討会の報告については、これまでの議論を踏まえて各委員に確認の上、座長において取りまとめて公表したいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 それでは、「その他」について事務局からお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 次第に次回予定が6月6日と書いてありますが、いま座長からお話がありましたとおり、6月6日は開催しないことになります。報告書については、のちほど取りまとめたものを委員の皆様方にご確認いただくことにしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 本来は4回でしたが、今日の3回で終わるということで、皆さんのご協力ありがとうございました。
○花井委員 今日の本題と関係ないのですが、先日、夜のニュースを見ていたら、NHKだと思いますが、ジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパンの発がんの問題が取り上げられていました。あの2物質は、ここでは評価が終わったものだったのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 まず、ジクロロメタンは有機則の対象物質です。1,2-ジクロロプロパンですが、リスク評価の対象物質に企画検討会で選定されております。ただ、これから測定法を確定させて、ばく露実態調査をやるということです。印刷業の事業場で問題が生じていて、因果関係はまだわからないということですが、実態の究明とともに印刷業の事業場で有機則や、1,2-ジクロロプロパンについては国の委託試験でバイオアッセイ研究センターでがん原性の長期試験をやった結果、陽性でしたので、がん原性の健康障害防止指針の対象にしております。こういったものを守って、きちんと管理していただくようにということで、昨日、事業者団体に文書でお願いをしております。
○花井委員 この間報道されたような内容の具体的な状況は、国としてはもうつかんでいるという理解でいいですか。
○松井化学物質評価室長 労働基準監督署も調査をしておりますし、関係の研究機関にも調査をお願いすることを、私は直接の担当ではないので、決まったのか検討しているのか、どちらかは正確ではありませんが、そのようなことで対応しております。
○津田委員 いまの件で、ある所から私の所に電話があったので、データがないからお答えできないということにしたのですが、動物では発がん性ありですね。グループ2Bではなかったですか。
○松井化学物質評価室長 ジクロロメタンは、ご存じのようにIARCで2Bで、1,2-ジクロロプロパンはIARCでは3ではありますが、長期の国の委託試験で陽性の結果が出ております。
○津田委員 IARCで評価にかかったら、少なくとも2Bになる可能性があるぐらいのことですね。
○松井化学物質評価室長 そのように認識しています。
○津田委員 私と西川先生は病理が専門なのでお聞きしますが、胆管がんの件なのですが、あれだけのクラスターであの人数の中から、比較的若い人で胆管がんの発生するのは非常に珍しい。それだけで曝露とはかなり関連性がありそうです。胆管がんを動物につくるのは、ほとんど不可能なぐらい稀な腫瘍です。それが容易にヒトに起こったというのは、何らかの因果関係もあるかもしれないということです。
○松井化学物質評価室長 1,2-ジクロロプロパンは、正確には言えませんが、胆管がんだけではなくて、胆管がんはたしか出ていなかったと思います。ほかの部位の腫瘍が出ていて、正確に胆管かどうかはいま報告書を持ち合わせていないのでわかりませんが、主にはほかの部位で出ていたと。
○津田委員 動物では違う臓器ということですね。
○名古屋委員 よろしいですか。それでは、閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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