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2012年10月2日 第51回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成24年10月2日(火) 10:00~11:00


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)


○議事

○大橋部会長 それでは、ただいまから第51回雇用対策基本問題部会を開催いたします。議事に先立ちまして、当部会に所属されます委員の交代がありましたのでご報告申し上げます。労働者代表委員、縄倉委員に代わりまして、情報産業労働組合連合会政策局長の才木委員が就任されております。
○才木委員 情報産業労働組合の才木と申します。よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 使用者代表委員の佐藤委員、荻野委員、安田委員に代わりまして、千葉県中小企業団体中央会専務理事の藤原委員です。
○藤原委員 中央会の藤原でございます。よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 松屋人事部人事課人事担当プランナー・川上委員です。
○川上委員 川上です。よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 日本経済団体連合会労働政策本部主幹の遠藤委員が就任されております。
○遠藤委員 遠藤と申します。よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 次に事務局である職業安定局の幹部に異動があり、岡崎職業安定局長、小川高齢・障害者雇用対策部長、小林職業安定局総務課長、中山高齢者雇用対策課長が就任されました。それでは、岡崎局長より一言ご挨拶をいただきたいと思います。
○岡崎職業安定局長 厚生労働省は9月10日付で人事異動がありました。職業安定局長に就任いたしました岡崎です。いま部会長からご紹介いただきましたが、幹部もそれぞれ代わっております。私は、3年間大臣官房におりましたが、その前は高齢・障害者雇用対策部長をやっておりました。その際からお世話になった先生方もおられます。
  今日、ご議論いただく高年齢者雇用安定法の関係も当時から担当していたわけですが、だんだん年金制度等が変わっていく中で、高齢法も変えていかなければいけない。そういう時代かなと思っています。
  昨年度来、この部会で委員の皆様方に相当突っ込んだご議論をいただき、最終的に昨年末に建議をいただきました。その後、法案化して法案を提出したわけですが、国会提出後の政党間で協議があり、前国会のぎりぎりの時期だったわけですが、一部修正という形で法案が成立したところです。年金制度が来年4月から報酬比例部分を含めまして61歳からとなってきますので、そういったことも含め、この法律についても来年の4月からの施行を予定しているところです。つきましては、政省令・告示事項等について早く決めて企業の皆様方に、あるいは労使に協議していただくことが必要だろうと思っております。そういうこともありますので、昨年来の議論の流れですので、是非しっかりしたご議論をいただき、何とか円滑な施行に向けて、皆様方にご協力いただければと思っております。高齢者に限らず、種々雇用対策が転換期にきている部分もあると思います。また、いろいろな面でご指導いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 続きまして、本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。本日の欠席委員は労働者代表、山下委員です。なお、猪熊委員は追ってご出席のことと思います。
  議事に入ります。局長からのご挨拶にありましたように、本日は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律関係政省令及び告示について」を議題とさせていただきます。まず事務局から資料についてご説明いただき、その後、議論に移りたいと思います。よろしくお願いします。
○中山高齢者雇用対策課長 昨年度の当部会でご議論いただきました「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正」ですが、1月6日に建議いただきました。これに基づき法律の改正案を3月9日に国会に提出しまして、衆議院で一部修正の上、8月29日に可決・成立いたしました。9月5日に公布されたところです。本日は、この改正内容を来年4月1日から施行するに当たり、必要な政省令・告示の整備について、資料に沿ってご説明いたします。
  お手元の資料に沿ってご説明させていただきます。資料1をご覧ください。今後のスケジュール案を示したものです。9月14日に職業安定分科会を開催し、先ほど申し上げた事項について、この雇用対策基本問題部会で検討することについてご了解をいただいております。その後、10月の中下旬までには労働政策審議会の職業安定分科会を開催し、本日の結果等をご報告して、また具体的な諮問、答申といった手続に入っていきたいと考えているところです。このほかに、ここには書いておりませんが、パブリックコメント等の手続があります。できるだけ早い公布を心がけておりますが、最短で11月初旬頃になるのではないかという状況です。
  裏側に政令事項、省令事項、告示事項の概要が出ております。政令事項については、附則の一部削除ということで、後ほど説明いたしますが、形式整備です。省令事項については、マル1特殊関係事業主の範囲を定めるもの。マル2再就職援助措置の対象となる高年齢者等の範囲、マル3高年齢者雇用状況報告書の整備。マル2、マル3は若干形式整備的な要素があります。告示事項については、高年齢者等職業安定対策基本方針、もう1つが高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針です。
  資料2は改正法の内容の資料です。皆さんは先刻ご承知と思いますが、概要だけ申し上げておきますと、資料2-1に法律の改正の概要が記されております。趣旨として、少子高齢化社会が進展する中で働くことができる人、全ての就労促進を図り、社会を支えていくという全員参加型の社会の実現が求められている中、高齢者の就労促進を進めていくことが必要であろうということが1つと、ここには明示的に書いてありませんが、老齢年金の支給開始年齢が明年4月から61歳に引き上げられることがあり、無収入、無年金の人が増えないようにということで、いわば雇用と年金の確実な接続を図る。そういった点から制度の改正が必要であるという判断に至って、このような法案を提出したものです。
  概要の1番目は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止です。現行法第9条第2項にあります継続雇用制度の対象となる高年齢者について、事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みを廃止するというものです。
  2点目は、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大です。継続雇用制度の対象となる高年齢者を雇用する範囲をグループ企業まで拡大する仕組みを設けるということで、後ほど省令事項のところでご説明申し上げます。
  3番目、義務違反の企業に対する公表規定の導入ということで、高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設けるということです。現在は指導・助言・勧告という内容が定められておりますが、さらに勧告に従わない企業についてはその企業名を公表できる規定を設けたものです。
  4点目は高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定です。現行法の第6条第3項の高年齢者等職業安定対策基本方針の中に、高年齢者雇用確保措置の指針となるべき事項が定められているわけですが、その根拠規定を高年齢者雇用確保措置の規定のある第9条に移して、独立した指針を設ける。そういう整備です。この4点目は衆議院の修正により加わった部分です。
  その他として、1のところで申し上げました今般廃止となる労使協定により定める基準により継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みについては、12年間の経過措置を設ける。そのほか、所要の規定の整備を行うということです。改正の概要は以上です。資料2-2、資料2-3に具体的な条文とか改正の際の、特に衆議院の修正の際の国会における議論といったものが付け加えてあります。
  資料3をご覧ください。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」です。資料3-1の内容に書いてありますとおり、政令の附則第4項から第6項までを削除するといった内容です。これは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律により定められていた、これは平成16年の改正ですが、その際に現規則で経過措置期間を設けて、協議が整わない場合、就業規則で基準を定めることができる旨の規定があったわけですが、その根拠となっておりました高齢法の附則の第5条が削除されたことに伴い、こちらの政令についても第4項から第6項までを削除する。いわば、形式の整備です。
  資料4は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」です。次の頁に要旨が出ております。(1)は特殊関係事業主です。改正後の高齢法第9条第2項の中で、厚生労働省令で特殊関係事業主について定めるとされておりますので、その関係の省令を整備するものです。(2)は法第15条に定める再就職援助措置等の対象となる者について、継続雇用制度の対象者を限定する基準が廃止となることから見直しを行うものということで、経過措置に基づいて、省令の第6条において、基準が残るその部分についての手当をするものです。(3)の高年齢者雇用状況報告書については、文言整理等、継続雇用制度の対象者を限定する仕組みが廃止されたことに伴う省令の整備を行うものです。これについては、諮問事項ということで、厚生労働大臣 三井辧雄から労働政策審議会 会長 諏訪康雄殿宛で諮問文がついているものです。
  次は省令案要綱です。3頁の第1の特殊関係事業主、第1項の(一)号以下、当該事業主の子法人等、当該事業主を子法人等とする親法人等とありますが、子会社、親会社、親会社の子会社、関連会社、親会社の関連会社、従前から説明してきている内容を法文化するとこのような形になるといった規定です。基本的には、銀行法施行令等の内容に沿った形で案文を整備させていただいているものです。10頁と11頁は「高年齢者雇用状況報告書」です。10頁が改正案、11頁が現行のものです。右側の現行制度のマル10継続雇用制度、継続雇用制度の導入・改定予定、こういったところが左側の改正案では様式が整備されているというところです。
  資料5に「高年齢者等職業安定対策基本方針(案)」の関係資料が入っております。資料5-3に新旧対照表が入っておりますので、こちらで説明させていただきます。17頁目以降になります。右側が現行の基本方針、左側が改正案です。下線を付してある部分が変更点です。1頁の主要な改正点は第1パラグラフにあります。「全員参加型社会」、先ほど法改正の趣旨のところでも申し上げましたが、そういったことが求められている背景を書かせていただいております。もう少し下には「生涯現役社会」というワーディングの概念の整備もさせていただいております。
  2頁以降は「高年齢者の就業の動向に関する事項」ということで、統計データ等のリニューアルをしているものです。申し遅れましたが、全体の18頁のいちばん上のところに基本方針の対象期間は、平成25年度から平成29年度までの5年間とするということで、期間についても書かせていただいているところです。
  以下は、新旧対照でご覧いただいてお分かりいただけますように、データのリニューアル等が中心となっております。7頁の下に60歳から64歳の就業率、65歳から69歳の就業率についての目標が示されているところです。
  11頁以降は右側にありますように、高年齢者雇用確保措置に関する指針です。従来は基本方針の中で示されておりましたが、今般の改正により、独立した指針として制定されるということで、基本方針から落ちているわけです。13頁目以下は基本的に文言の整理等が内容となっているところです。
  19頁では、3番「その他高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項」があります。この中で個別の事項を書いておりましたところのいちばん前に、生涯現役社会の実現に向けた取組ということで、全体を貫く考え方を冒頭に書いております。これも従来あったものを整備したものです。
  資料6をご覧ください。こちらが「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」です。これについては、いま申し上げましたように、従来、高年齢者等職業安定対策基本方針の中に規定されていたものを独立した指針として定めるといったものですので、基本方針との新旧対照表をご用意しております。
  資料6-3で説明させていただきます。第1では趣旨を書かせていただいたものです。第2は高年齢者雇用確保措置の実施及び運用ということです。高年齢者雇用確保措置の中の2ですが、継続雇用制度、高年齢者雇用確保措置はご案内のとおり、定年の引き上げ、定年の廃止、継続雇用制度の導入の3つほどあるわけですが、その中の継続雇用制度についての指針をここで記しております。継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とするということです。今般、第9条第2項の選定基準が廃止されますので、こういった考え方が具体的なものになっているわけですが、そのあとに、この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主が雇用を確保しようとするときについて書いていますが、当該関係事業主との間で契約を締結する必要があることに留意するという旨が書かれております。
  その次のパラグラフです。心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合は、継続雇用しないことができるということです。1月の建議の中で示されたこと等が、ここに記述されているわけです。
  次のパラグラフは、就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却するおそれがあることに留意するというパラグラフです。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。この最後のパラグラフも1月6日の建議で書いていただいたものを書かせていただいています。
  3番目の経過措置ですが、先ほど改正法の中で紹介させていただきましたが、改正法の施行の際、既に労使協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている事業主は改正法附則第3項の規定に基づき、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を定めてこれを用いることができるという内容のものです。具体的な条文等については、先ほどの法律の改正の資料2に条文が出ております。こちらを参照していただければと思います。具体的には資料2-2の14頁です。このうちの第3項が経過措置規定です。
  4番の賃金・人事処遇制度の見直しについては、留意事項ということで列挙されております。基本的に従前のものを引用しているところです。3頁の下のところに契約期間が終了する契約とする場合には云々のところについては、表現を分かりやすくする観点から文の前後を入れ替えておりますが、書かれている内容については一緒です。関係資料の説明は以上です。
  資料7の参考資料は高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の関係条文。先ほど来申し上げております1月6日にまとめていただきました建議をつけさせていただいているところです。以上です。
○大橋部会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○市瀬委員 高年齢者等職業安定対策基本方針(案)についての確認です。3月8日の高年齢者雇用安定法改正における省庁間協議の際、厚生労働省と経済産業省は、本法律案の成立に併せて改正を行う高年齢者等職業安定対策基本方針において、次の2つの内容を明記する方向で関係行政機関と労働政策審議会委員に必要な調整を行うとしております。その内容を申し上げると、1点目は、「継続雇用制度の対象となるものであっても、事業主の就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当するものについては、継続雇用をしないことができること。ただし、継続雇用をしないことについては客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであってはならないということ。」。2点目は、「高年齢者雇用安定法が求めているのは継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務づけるものではなく、事業主の合理的裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、改正高年齢者雇用安定法違反となるのではない。」となっておりますが、このうち2点目の内容を指針に明記することについて、私は説明も調整も受けておりません。どのような調整をなさったのか、事務局にお聞きします。
○中山高齢者雇用対策課長 いま委員からご指摘のありました3月8日付のペーパーが、どういった経過でお持ちなのかは定かではありませんが、いまご指摘いただいた内容について2つほどありました。1点目については、先ほどご説明をいたしました高年齢者雇用確保措置の指針、資料で申し上げると資料6の中にその趣旨が取り込まれていると思います。
○市瀬委員 2点目についてはいかがですか。
○中山高齢者雇用対策課長 2点目は事実だけを申し上げますと、この中身については厚生労働省のホームページでQ&Aで載せていて、基本的には今回の法改正によって変更される部分ではない性格のものになっております。その内容については、いま申し上げたとおりです。それから、いろいろご説明を事前にする、しないという問題はあるのかと存じますが、まさにこういった審議会の場でいろいろご発言をいただきまして、それをご議論していただくことは当然にあり得るものだと思っています。
○市瀬委員 2点目の内容を記載するかどうかについて、この場で議論をさせていただくということでよろしいわけですか。
○大橋部会長 はい。
○市瀬委員 では、2点目を記載するかどうかについて、この場で議論をよろしくお願いいたします。確認ですが、労働者と事業主との間で、例えばお給料が下がるとか、労働条件が変わるなどの提示がされた際、合意が得られずに、労働者から継続して働くことを断った場合には、改正高齢者雇用安定法違反になるものではないということでよろしいですか。
○中山高齢者雇用対策課長 Q&Aに書いてあるとおりです。
○市瀬委員 確認は以上です。
○大橋部会長 ほかにご意見、ご質問があればよろしくお願いいたします。
○新谷委員 資料4で省令案の諮問を大臣から受けておりまして、その中の最終頁に省令案に添付される様式の第2号が付けられております。省令案の本文自体は特に異論はないですが、様式の第2号で分からないところがあって教えてほしいのです。
  10頁のマル9の(イ)に「希望者全員を対象_歳まで雇用」とあって、その下の基準の根拠に、「労使協定を締結して就業規則等に反映」と書いてあります。これは、経過措置における取扱い方を書かれているものだと思います。経過措置による改正前の第9条第2項に基づく協定を経過措置で残していますので、たぶんそこに書いている労使協定だと思いますが、分からないのがそのあとの「労使協定を締結せず就業規則等のみ」という扱いです。これは今日、政令案がありますように、根拠となる附則の第5条が削除されていますので、経過措置においても基準を残すということであれば附則第5条に基づく扱いは基本的にできないはずではないかと思います。ここに書いてある「労使協定を締結せずに就業規則等のみ」というのが、経過措置において効力を持つのかどうか。これは、従来の基準をそのまま持ってこられたのだと思いますが、その辺がどういう扱いになるのかということが気になりますので、その辺の考え方があれば、もしそれをまた見直しをするというのであれば、それも含めて方針を聞かせてほしいと思います。
○上田高齢者雇用事業室長 いまの件について、まず高年齢者雇用状況報告書の位置づけですが、今後の指導やそういったものに役立てるという意味合いがありまして、いまの高齢者雇用状況については定年や継続雇用制度の状況を把握するものになっています。特に定年及び継続雇用制度それぞれについての現行様式と同様に、現状と改定要件についての報告を求めているものではなく、当然、確保措置未実施企業を容認しているものでもありません。したがって、いまの現状がどうなっているかということを把握するという意味で、できるだけ詳しくわかる範囲内で把握をしたいということで作っているものであるということが1点です。
 それから、これを基にして今後ハローワークなり関係機関等でいろいろ指導などを行っていきますが、そういうのに活用していくというようなことの意味合いも相当持っていて、できるだけ多くのことを聞くことによって、緊要度が高い企業等を指導しながら比例的にやっていくことも可能なので、こういったものを活用しているという点です。労使協定の締結のことについても新谷委員がおっしゃっているとおりですが、そういう意味合いを込めて、今回は提示をさせていただいています。
○新谷委員 これは見直しの可能性がありますか。どうされますか。
○上田高齢者雇用事業室長 ここで議論いただいているので、違和感やそういった問題があるのではないかというご指摘があれば、検討していきたいと思っております。
○新谷委員 細かな話で、今日は諮問を受けていますので、すんなりと私どもも処理したいと思っていますが、様式第2号を原案のままでいいのかと言われると、どうかという感じがします。要するに、マル10の3つの雇用確保措置ができていないところの対応方針が残っているということも、我々にとっては非常に違和感があります。行政指導法として指導の根拠にしたいという答弁がいまあったので、それはそれでいいのですが、問題は(イ)の「労使協定を締結せず就業規則等のみ」で経過措置ができるのか。これは明らかにおかしいのではないかと思います。要するに、附則第5条は今回廃止されるので、従来あったような労使協定ができずに附則第5条で時限立法的に就業規則での取扱いを容認していたわけですが、その根拠規定が今回なくなっているわけですから、それで労働側として了承するのかと言われて「わかりました」とは、なかなか言えないので、今後の見直しも含めて対応方針があれば教えていただきたいと思います。
○岡崎職業安定局長 いま室長からもありましたが、実は、この報告書にはどこかにチェックすると違反になる企業というのは、いくつかポイントがあります。我々としては違反のところは素直に書いていただいて、例えば、いま新谷委員がおっしゃったところは就業規則でやっているので、今後経過措置を含めてできないので、すぐに65歳までの継続雇用にしてくださいと指導しなければいけないのです。ですから、我々が良いと思って書いたわけではなくて、こことここに付けたところは指導しなければいけない。ただ、きちんと書いていただかないと、うちは就業規則で経過措置を作ってきたから、今後も経過措置としてはいいのだと思われると、そこはそうではないよと言いに行かなければいけません。だから、我々としては、いろいろな見方はあると思いますが、指導の根拠というためには、違反のところはきちんと書いていただいたほうが指導しやすい。そういう点を考慮いただければと思います。
○新谷委員 いま局長からご答弁いただいたので、かなり納得しましたが、それでしたら、説明のときに附則第5条の扱いが変わったので、現行の様式と新様式では、ここが法令違反のところを引っかける穴として作ってあるというのであればよくわかりますが、従来の根拠が変わっているわけですから、それも含めてご説明いただければよかったと思っています。内容については了解いたしました。
○岡崎職業安定局長 実は、報告書とともに記入要領というのを付けて企業の方にお配りしておりますので、そこの中でいま新谷委員のおっしゃったところも組み込ませていただければと思います。
○大橋部会長 その他いかがでしょうか。
○遠藤委員 ただいまお話にありましたように、いろいろと仕組みが変わることでお願いが2点あります。資料4の特殊関係事業主について、審議会ではこれまで絵を見せていただいたわけですが、実際に文字に落としていくと大変複雑になります。ご説明の中で銀行法施行令、施行規則の内容を持ってきたということであり、内容自体に異を唱えるものではありませんが、現場で判断するに当たって、どういう場合にどういう要件が求められるのかが図示されているものも市販されていますので、何かそういったものも組み込みながら、是非、周知の際には混乱が起きないようにお願いを差し上げたく思っております。併せて、特殊関係事業主との間で包括的な契約を結ぶということが、今回の新しい枠組として入ってまいります。具体的に、どのような内容を持った契約であれば事が足りるのかについても、モデル的なものを併せてご提示いただきたくお願い申し上げる次第です。以上です。
○新谷委員 本日、政令案、省令案、基本方針案、指針案の諮問をいただいたわけですので、労働側として要望と意見を申し上げたいと思っております。今回の法改正については、2013年4月から始まる年金の支給開始年齢の引き上げが直前に迫る中で、国会での法律の成立も本当にギリギリになったわけですが、なんとか成立にこぎつけて、希望者全員の65歳までの雇用確保措置を義務づける法改正ができたということは大変評価をしたいと思っております。
 ただ、今回の高齢法の枠組、我々は途中で民事効の話もさせていただきましたが、最終的には行政指導法として引き続き整理したわけで、法律の具体的な運用に当たっては、根拠となる、今日お示しをいただいているような政省令、指針、通達というのは非常に重要になってくると思っております。本日現在で、改正法の施行日(来年4月1日)まであと6カ月を切った状況になっておりますし、あとの手続からいっても11月の初旬に職業安定分科会で最終確定をさせるということで、本当に時間がないという感じがしております。現場の労使は準備をして、通達、省令、指針等を非常に待っておりますので、1日も早く周知をお願いしたいと思います。特に行政通達は、労働局での指導の方針ということだけではなくて、現場の労使の行為規範としても使っておりますので、行政通達の内容についても速やかに示していただきたいと思っております。
  ただし、昨年の10月からやってまいりました一連の検討の中において、今回の法改正の中で盛り込めなかった点がいくつかあります。私どもとしては、非正規労働者の雇用と年金の接続の問題は高齢法の対象外となっておりますが、非常に増えている非正規労働者の雇用と年金の接続の問題や、先ほども既にご発言がありましたが、家族の介護の問題、ご本人の病気の問題等で、残念ながら継続雇用を希望できない方に対する社会的なセーフティネットの整備。さらに行政指導法として今回完成いたしましたが、我々が求めていた3つの雇用確保措置の義務化に対して、これを民事効として定めるという規定の創設についても課題が残っていると考えていますので、労働側としてはこれらの課題について、速やかな検討をお願いしたいと思っております。以上の要望と意見を申し上げまして、今回提起いただきました政令案、省令案、基本方針案、指針案について、労働側として了承したいと思っております。以上であります。
○大橋部会長 その他いかがでしょうか。
○市瀬委員 いま、労働者側から、この内容で了承したいとおっしゃられたのですが、先ほどのQ&Aも含めて、まだご説明や調整を受けていませんので、再度、今回の基本方針については改めて検討していただくようお願いを申し上げます。
○大橋部会長 理解できないのですが、基本方針のどこを検討。
○市瀬委員 私は商工会議所の代表として参加させていただいています。本件について、きちんとした形でのご説明を受けないと、後日、私が商工会議所で説明しなければならないものですから。
○大橋部会長 先ほどおっしゃった点は、Q&Aでは説明されているのではないですか。
○市瀬委員 説明されているのですか。
○大橋部会長 事務局はどうですか。
○中山高齢者雇用対策課長 そういった点も含めてご意見があれば、今日ご議論していただく。
○市瀬委員 まだQ&Aの説明をいただいておりません。
○中山高齢者雇用対策課長 失礼いたしました。先ほどご指摘いただいたものは、現行のQ&Aの中に含まれているものです。
○大橋部会長 非常に平たい質問の下に、先ほどおっしゃった点がきちんと書かれています。
○市瀬委員 そうですか。私はそれを持ち合わせておりませんでした。
○大橋部会長 Q&Aはありますか。
○中山高齢者雇用対策課長 いまお配りいたします。
○市瀬委員 先に申し上げた2点目の内容を明記する方向で必要な調整を行うということなので、Q&Aではなく、指針に明記するという形を取っていただきたいと思っております。
○森戸委員 Q&Aではなくて、この指針に書かなければいけない理由は何ですか。このQ&Aは、おそらく今回の改正でも解釈として、これまでと変更がないと思います。ここでも説明されているし、ここに書いてあることは、たぶん誰も異論がないことだと思います。これを今回の指針に書かなければいけないという根拠は何だとおっしゃるのですか。
○市瀬委員 高年齢者雇用安定法改正におかる省庁間協議において、私が申し上げた内容を明記する方向で調整を行うとの約束が経済産業省と厚生労働省の間で取り交されたと聞いておりますので、それをきちんと基本方針に明記していただきたいと思っております。基本方針に明記しないということならば、もう少し議論をさせていただくなり、持ち帰りまして検討もさせていただきたいと思っております。
○森戸委員 その調整というのは、そういうものがあることもよく知らないのですが、それは今回持ち帰るような大きな話ですか。
○市瀬委員 そのように私は理解しております。
○森戸委員 でも、公には全然聞いたことのない話なので、急に言われても、そんなものが本当にあるのかどうかもよく知らないので、何か紙とか出ていますか。
○市瀬委員 今日はお持ちしていないのですが、資料としては一応いただいております。
○森戸委員 仮に役所間で、そういう約束があったかどうかは知らないですが、それに拘束されなければいけないのですか。
○市瀬委員 ですから、拘束されるとかされないとかではなく、私としては、いまここで了とすることは、いかがかと。
○森戸委員 その根拠は、何か調整のものがあるからというだけですか。
○市瀬委員 はい。明記をしていただきたいと思っています。
○森戸委員 それはわかりました。話が戻りますが、なぜ明記しなければいけないのですか。それは、調整があるからという以外の理由が分からないのですが。委員としていらしているので、その理由は説明していただかないと分からないのですが。
○市瀬委員 いずれにしても、いまこの段階では、ということですが、あくまで検討することをお願いしているものなので、他の委員の皆様が「検討しない」ということであれば、それは致し方ないと思います。
○大橋部会長 一応審議会ですから、皆さん方の意見で、それは是非必要だというならば別ですが、全体の意見の集約でそういった意見が出てこなければ、これでお認めいただくのが妥当かと思います。要するにQ&Aのほうが、皆さんよく見られるのです。基本方針は堅い文章がずっと並んでいて、それを中小企業の方が一生懸命読まれるというより、むしろ興味のあることがQ&Aに書かれておれば、それについて読まれて理解される。これは、よく書かれていると思います。そういう点で、日商さんとしては全然問題ないのではないかと思います。それで省庁間の調整の話が出てくると、審議会としては、それは非常に困ってしまいます。
○森戸委員 細かいことは分かりませんが、建前上というか理屈でいうと、既にQ&Aに書いてあることであり、この解釈についておそらく争いはないであろうと。今回の法改正で、このQ&Aのこの部分が変わったわけではないという意味では確かだと思います。その変わっていないものも含め、Q&Aをこの指針に格上げなのか何なのかは知りませんが書くとなると、ほかにもいろいろQ&Aには規定があると思いますので、それを全部含めて、これはこの際、指針に入れようとか入れないとか、そういう議論を全部本当はしなければいけなくて、これだけ指針に書くというのも、そこはそれこそ、あまり議論ができていないと思います。もちろんQ&Aに書いてあるから大事なことではあるのでしょうけれども、一応建前でいうと、今回の指針は、いろいろ改正の経緯があって第9条第3項に基づいた話で出てきているので、その事業主として、どういう措置を取れば高年法の継続雇用、高年齢者雇用確保措置義務違反にならないかということを定めるものですよね。
  そうすると、Q&Aにあることは、どういう制度を作るかという話とは必ずしも直接は関係のないことです。一般的に、極めて民事的なというか、契約自由ですよと。再雇用の内容は労使の意見が一致しなければ駄目だし、別に労働者側の希望する条件で呑まなければいけないということはありませんよというのは制度として定めるものというのではなくて、そういう解釈になりますねという話なので、指針のほうは最低限就業規則や何かをどうすれば高年法違反になりませんよ、という話を最低限書くという原則でおそらくできているので、客観的合理的な理由とかは若干それからはみ出るけれども、ただそれは必要なので、それもここに書いておかないといけないというので入っていると思うので、なるべくその指針のほうは事業主が何をすればいいかということに純粋に関わるものを書くことにしていると思うので、Q&Aみたいに、より広く制度全般に関わることを全部入れてしまうと、改正法の趣旨にも反するのではないかなと思いますし、委員がご心配になるようなことは少なくとも今回の改正でQ&Aのこの点は変わっていないし、これはある意味、当然の前提になっている制度であると思うので、今回の指針案でも、使用者側の考えていらっしゃることにそんなに反した内容にはならないのではないかと私は思います。すみません、ちょっと長く喋りました。
○市瀬委員 わかりました。
○大橋部会長 そういうことでお認めいただいて、これは審議会ですから、審議会の建前上、いま森戸委員からご説明があったような形で進めていきたいと思いますので、よろしくお認めいただきます。
  ほかにご意見はありませんか。よろしいですか。先ほど事務局から説明がありましたように、政令案要綱については内容が形式整備であることから、諮問事項ではなく報告事項とさせていただきます。また、次に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてですが、当部会では厚生労働省案を「妥当」と認め、その旨の報告を私から職業安定分科会長宛に行うこととしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。事務局から、職業安定分科会への部会報告文(案)をお配りいただきます。
               (報告文(案)配付)
○大橋部会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 そのように報告させていただきます。
  最後に、「高年齢者等職業安定対策基本方針案」及び「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針案」についてですが、パブリックコメント、関係行政機関への協議などありますので、細かな訂正については私にご一任いただき、その案を厚生労働省から職業安定分科会に対して諮問していただき、議論していただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 以上をもちまして終了したいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。本日の署名委員は、野村委員及び遠藤委員にお願いいたします。どうもご苦労さまでした。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 (TEL)03-5253-1111(内線5815)

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