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2012年7月24日 第36回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成24年7月24日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第一会議室(12階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

公益代表

鎌田座長、大橋委員、柴田委員

労働者代表

野村委員、古市委員、諸澤委員、山下委員

使用者代表

加藤委員、才賀委員、福田委員

事務局

黒羽職業安定局次長、福士建設・港湾対策室長、百崎建設・港湾対策室長補佐、佐藤建設・港湾対策室長補佐

オブザーバー

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課 東谷労働係長

○議題

(1) 建設労働施策について
(2) 建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について(非公開)

○議事

○鎌田座長 定刻になりましたので、「第36回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開会いたします。本日の委員の出欠状況ですが、山内委員から欠席のご連絡をいただいております。
 それでは議事に入ります。本日の議題は2つです。議題1は「建設雇用改善施策について」、議題2は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について」です。なお、議題2はその審査につき、個別事業主の資産状況等に関する事項を扱うことになりますので、「審議会等会合の公開に関する指針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち、「個人に関する情報を保護する必要がある」及び「公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当いたしますので、非公開の取扱いとさせていただきます。
それでは、議題1の「建設雇用改善施策について」を事務局から説明をお願いいたします。
○福士室長 議題1について説明させていただきます。建設雇用改善助成金については、平成22年6月の行政事業レビュー公開プロセスにおいて、2~3年後に事業の廃止とされております。その際の主なコメントとして、産業構造の変化に応じ、他省庁の事業と連携した横断的な見直しを行い、戦略的な設計を図り、その中で本事業について精査すべきとされたところです。
 このような決定を受け今回の見直しの方向性ですが、いま建設業において重大な課題である若年労働者の確保・育成、技能継承に重点を置き、建設労働者の雇用の安定に資する新たな助成金を創設し、現行の建設雇用改善助成金を廃止することといたします。
 この点については、昨年度、建設労働専門委員会の委員に、シンクタンク研究員を加えた検討委員会を設置して議論を重ねた結果、若年労働者の確保・育成の重要性については認識が共有化されているところであります。また、国土交通省において今後の建設業の施策の方向性をまとめた、「建設産業の再生と発展のための方策2012」においても、次世代を担う若年入職者を確保するとともに、熟練工の持つ技能を若い世代に継承することが必要とされております。
 そこで、新助成金創設のポイントの1点目としては、既存の建設雇用改善助成金をスクラップするということです。まず、実績の低調な助成メニューとして、広域教育訓練への受講旅費の助成を廃止します。次に、雇用改善におけるハード面への助成メニューである、作業員宿舎やトイレといった施設の整備への助成を廃止します。ただし、被災3県に限り、復興事業の増大によりこのような施設の確保が必要であることから、助成を継続することといたします。また、建設業が他の産業と比較して長い労働時間や低い賃金であることを考慮し、建設事業主の責務として労働時間内における能力開発を積極的に推進することとし、労働時間外の自発的な能力開発への助成メニューとなる通信教育訓練への助成を廃止いたします。
 ポイントの2点目として、制度導入への支援メニューを創設します。具体的には若年労働者の入職や定着促進を図るために、職務や職能等に応じた処遇制度や、キャリアパス制度などの導入を促進するための助成メニューを創設します。
 ポイントの3点目として、助成対象の特化を行います。原則として新助成の趣旨・目的である若年労働者の確保・育成、また技能継承につながる助成メニューに限定した制度にします。併せて可能な範囲で助成金の定額化を進めることで、事業主の利便性向上、労働局の業務簡素化を図ります。
 さらに、ポイントの4点目として、他の助成金等との間で助成対象の整理を行い、新助成金の目的を明確化します。通信教育訓練など自発的な能力開発については、他の助成金であるキャリア形成促進助成金や教育訓練給付制度により措置されているため、新助成金の助成対象から除外します。一方、認定訓練に対する助成ついては、建設業における基本技術の習得・向上に寄与し、公共職業訓練に準じた水準の訓練体制を企業等に整備することにより、民間の活力を活かした労働者の能力開発を図り、企業の競争力や、労働者の定着率の向上に寄与するものであり、若年労働者の育成、また技能継承の観点から特に重要であることから、認定訓練補助金及びキャリア形成促進助成金に上乗せをして助成していくこととします。また技能実習については、重機の運転免許等の習得や、基幹技術者の育成などキャリアに応じた訓練を必要とする建設業において非常に重要であることから、キャリア形成促進助成金と比較し、より手厚い助成をしていくことを予定しております。
 いま申し上げたポイントについて、後ほど佐藤から詳細をご説明させていただきます。本日は、この助成金制度の方向性について、業界の現状等を踏まえ、多くのご意見をいただきたいと思います。それではまず、先般、国土交通省において取りまとめられた「建設産業の再生と発展のための方策2012」について、国土交通省より簡単にポイントを説明していただきます。
○東谷係長 国土交通省建設市場整備課の東谷です。本日はよろしくお願いします。平成22年12月より開催された建設産業戦略会議において、「建設産業の再生と発展のための方策2011」を、平成23年6月に提言いたしました。東日本大震災から1年を経て、我が国の建設市場は急激に変化しておりますが、建設産業は被災した企業も多い中、震災直後から緊急輸送道路など、応急復旧活動に活躍し、その後現在に至るまでインフラの復旧、膨大かつ困難ながれき処理や除染など、復旧・復興事業の中心的な担い手としてその力を遺憾なく発揮しているところです。
 このように、震災を契機として、建設産業の果たす重要な役割が再認識されています。しかしながら昨年の秋以降、被災地では入札の不調が多数発生しております。その一因は工事現場を担う技術者や技能労働者の不足によるものと思われます。また、復興事業の発注が今後増大する被災市町村では、ノウハウやマンパワーが不足している状況です。さらに復旧・復興工事における事故も増加傾向にある状況です。
 このため、引き続き建設企業、関係機関・団体等が英知を結集し、全力を挙げて復旧・復興事業の施工確保対策に取り組んでいくことが、最も重要であると考えております。さらに、被災地で生じているこうした課題の多くは、そもそも建設産業が震災発生以前から抱えているものであり、「建設産業の再生と発展のための方策2011」で指摘した課題が、震災を契機に、より深刻な形で顕在化したものにほかならないことから、これらの課題を乗り越えて、社会資本の適切な維持更新や、災害に強い国土づくり・地域づくりの担い手として、今後ともその役割を果たしていくことが建設産業に求められています。
 こうした状況を踏まえ、建設産業戦略会議において、平成24年2月27日から検討を再開しました。建設産業団体からのヒアリングも含め、8回にわたって検討を重ねる中で、震災を経た現状を分析し、国土づくり・地域づくりの担い手として建設産業に期待される姿を改めて明らかにするとともに、震災対応から得た知見や教訓を踏まえ、将来の建設産業を見据えて、より優先的に取り組むべき課題と、「建設産業の再生と発展のための方策2011」に掲げた対策に加えて、さらに実施すべき具体的な対策について議論を深めてきました。そして、今般「建設産業の再生と発展のための方策2012~『方策2011』を実現し、東日本大震災を乗り越えて未来を拓く~」としての提言を7月10日に公表しました。
 まず現状ですが、資料2の上段の左からご説明させていただきます。被災地では、先ほどもお伝えしたとおり、入札の不調が多数発生しております。被災地の仙台市、福島県、宮城県、岩手県の平成23年11月、平成23年12月、平成24年3月を見たときに、入札不調が多発する傾向が国土交通省の調べでわかっております。
 隣の図ですが、被災地では技能労働者の確保がかなり困難な状況となっております。具体的には2011年1~3月、4~6月、7~9月、10~12月と技能労働者の確保が困難と回答した企業の割合が増加傾向にあります。特に、被災3県の7割の企業が、技能労働者の確保が困難という状況です。
 隣の図で就業者数を年齢層で見たときに、全産業と比較し建設業はかなり高齢化し、若年層が減少しています。建設業では3割が55歳以上という状況になっており、29歳以下が約1割しかありません。
 次に建設投資の状況ですが、投資の減少に伴い、受注競争が激化しております。これは平成4年度と平成23年度を比較した投資の状況です。上の建設投資のピークは、平成4年の84兆円でしたが、平成23年度は約50%の42兆円となっております。その3つ下の就業者数ですが、技能労働者は平成4年度の408万人が、平成23年度は316万人と約23%の減少です。そのうちの入職者、これは新規高卒者ですが、平成4年度の3.4万人が平成23年度は1.4万人と約60%も減少しています。大卒・院卒等を見ても、平成4年度の2.9万人が平成23年度は1.8万人と約37%減少している状況です。
 右上の図は、地方公共団体の土木部門の職員数ですが、これもかなり減少傾向にあります。平成4年度と平成23年度を比べたときに、地方公共団体の土木部門の職員数については約25%減少している状況です。
こうした課題を乗り越え、国土・地域づくりの担い手として建設産業に期待される姿として、将来的にも地域を支える足腰の強い建設産業の構築、また建設産業に求められる多様なニーズ・役割への対応が必要になってきます。
 特に、建設産業の将来を見据えて優先的に取り組むべき課題として、1つ目は現場の施工力の再生、これは技術者や技能労働者の確保・育成が重要です。2つ目は公正な契約・取引関係の構築をしていくこと。これは、重層下請構造の是正を図るべきだということです。3つ目は、多様な事業領域・契約形態への展開で、技術力・事業企画力の発揮です。
 資料下段のとおり、当面講ずべき対策が5点あります。「東日本大震災への対応を次に活かす」、「公共工事の入札契約制度の改革等」、「総合的な担い手の確保・育成支援」、「海外展開支援策の強化」、「時代のニーズに対応した施工技術と品質確保」です。特に、3つ目の「総合的な担い手の確保・育成」についてポイントをご説明します。資料1の35頁下の対策2をご覧下さい。
 まず、「(1)技能労働者の処遇の改善」として、「?社会保険等未加入対策の更なる徹底」が必要です。いま国土交通省と厚生労働省が連携し、平成29年以降に建設業の許可業者の社会保険等の加入率100%を目指して、第1回社会保険等未加入対策推進協議会を5月29日に開催いたしました。この協議会では、社会保険の加入促進計画を建設業者団体に策定していただき、取り組むべき対策を具体的に取り上げ、会員企業にその実現を図るべく周知徹底を図っていくところです。
 建設産業部局である国土交通省においては、社会保険未加入企業への指導を行い、社会保険等への加入の意義や、現在業界で挙げている取組などを丁重に説明しながら、社会保険担当部局である厚生労働省とも連携しつつ、社会保険等への加入を求めるとともに、悪質と認められる場合には、その排除に向けて必要な措置をとることとしております。本来、社会保険に加入することは建設技能者の権利でもありますので、広く周知を図り、社会保険への加入が進むように取り組む必要があります。
 また、法定福利費の確保については、発注者・総合工事業者・専門工事業者それぞれの立場からの取組が重要です。専門工事業団体における法定福利費の内訳を明示した標準見積書の作成を着実に進めるとともに、発注者・総合工事業者・専門工事業者の関係者は、必要な法定福利費と適切な賃金が確保されるよう努力すべきと考えております。社会保険等未加入対策を進めると、法定福利費の負担増を避けるため、これまで抱えてきた技能労働者を外部化し、一人親方が増加するという懸念もありますが、請負・雇用等のルールを徹底するなど、行政、業界等がそれぞれの立場から取り組むことが必要であると考えております。
 次に、「?技能に見合った処遇が受けられる就労環境づくり」を進めたいと考えております。技能労働者の資格や工事経験等を蓄積し、技能評価等に活用できる、技能等が「見える化」される仕組みについて今後検討することが必要であると考えております。
 次に、「?更新期を迎える登録基幹技能者制度の更なる普及」として、これまでの普及状況や登録基幹技能者の配置による効果を検証するとともに、その技能を維持・向上させる取組の推進、公共工事の入札契約制度とも連携した活用方策の検討など、同制度の更なる普及促進を図る必要があります。
 次に、「?建設労働者等の雇用に伴う必要経費を含む金額の参考公表」についてですが、公共工事設計労務単価が、「労働者の雇用に伴い必要な経費」を含んだ金額であるとの誤解により技能労働者の賃金価格が抑制されることがないよう、今後、当該経費を参考公表するなど、方策が必要であると考えております。
 最後に、「?建設業の魅力を若者に伝える現場実習等の積極的展開」として、ポータルサイトの積極的な活用等により、技能労働者が学生にものづくりの楽しさや喜びを伝える出前講座や現場実習、インターンシップ等を展開していくことが必要であると思います。
これらの取組を通して国土・地域づくりの担い手として若年層の今後の入職を進める中で今回議題となっている新たな助成金についても厚生労働省と協力し、連携しながらやっていきたいと思います。簡単ではありますが、国土交通省からの説明は以上です。
○佐藤補佐 いま国土交通省から説明があったとおり、「建設産業の再生と発展のための方策2012」において、建設業界の担い手の確保・育成という課題の重要性を認識し、それに対応する形で国土交通省において取組を進めているところであります。これに関連し、社会保険等未加入対策においては、国土交通省と厚生労働省が連携し、今年の11月から取組を本格化して参ります。これは、建設業界において社会保険等の加入による技能労働者の雇用環境の改善が、若年労働者に魅力のあるものとして入職につながっていくとの考えから、連携を図っているところでございます。新たな助成金においても、雇用環境の改善から建設業界の魅力を高め、若年者の就職の促進を図っていく考え方を反映させております。
 ここで、若年労働者についていくつか補足いたします。先ほど福士が申し上げましたが、昨年度はシンクタンク研究員を加えた検討委員会において、皆様にご議論いただきました。その検討会において実施した建設業者へのアンケート調査では、「若年技能労働者が採用できていない」とする事業所が約48%、「定着していない」とする事業所が約28%、「若年技能労働者の不足感はありますか」との質問に対しては約44%の事業所が若年労働者の不足に危機感を持っていることがデータとして出ております。皆様に議論していただいた際には、若年労働者にとって魅力のある雇用管理面の向上、給与など待遇面の改善、教育訓練の実施に余裕のない建設事業主に対し、閑散期などを活用したOff-JTの推進、技能継承への支援を進めるべきといった意見をいただきました。
 実際に建設業界の若年労働者を取り巻く厳しい状況のデータとして、国土交通省が取りまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2012」の付属資料編から引用して、資料4の1頁から9頁までに提示しています。これについて全部は説明いたしませんが、例えば5頁の建設業就業者の年齢構成の推移をご覧になっていただいても、建設業の高齢化と若年労働者数の構成比の低さが歴然としております。
 次に6頁です。昨年度、国土交通省で行われた建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会で用いられた建設技能労働者数の将来推計の資料です。平成32年度を見ると、国土交通省の推計では、適正な建設技能労働者数に対し、22万人不足するということです。その後、このままもし何も対策を打たなければその後40万人、58万人の不足となるという推計が出されております。こういう状況で、実際に技能労働者の不足への対策が非常に重要だということです。
 また、現在、建設業の産業人口は約8%ぐらいですが、新規学卒者の建設業への入職率は、約4.9%です。産業人口に対して、およそ半分程度しか入職者を確保できていないという、非常に厳しい状況が続いています。東日本大震災のみならず、最近では九州北部の豪雨発生の際にも、真っ先に現場で活躍するのは建設業の皆様です。その担い手である技能労働者が今後不足することが懸念されております。若手をしっかり確保して育てていくことが重要です。一朝一夕でできるものではありません。
 建設投資がこれ以上増えることは難しい中で、これからの建設業を担う、次の世代をしっかりと育てていくことが、必要であると思います。我々労働行政としては、技能労働者を安心して育てていただく環境づくりの支援をしていくため、今回、新たな助成金を設けることといたしました。先ほどポイントを説明しておりますが、具体的に説明していきたいと思います。
 資料3の1枚目が新助成金の概要となります。趣旨としては、他産業と比較して若年労働者の入職の減少と高齢化が急速に進展しており、このままでは熟練技能を維持・継承が困難となり、将来的に技能労働者不足による建設業の衰退が懸念されることから、これに対応する新たな助成金を創設するものです。下線部になりますが、「若年労働者の確保・育成」と「技能継承」につながる取組に対する助成に重点を置いた新助成金を創設するということです。
 若年労働者の確保・育成等の対策の概要を記載しておりますが、大きく項目で分けて4つです。若年労働者の確保・育成等の対策については1から3、その他を4として構成しております。それでは具体的な中身を2頁と3頁で説明いたします。2頁は事業主に対する助成、3頁は事業主団体に対する助成です。
 今回新たに創設するメニューとして、「1雇用管理改善制度の導入支援」となります。これについては、中小建設事業主が若年労働者の入職や定着を図るために、例えば就業規則や労働協約などを変更、あるいは追加するなど、雇用管理改善につながる制度を会社として導入した場合に助成をする、いわゆる導入助成を行いたいと思います。小さな企業においては、評価・処遇制度、研修体系制度、健康づくり制度など、会社として取り組もうと考えても、なかなか一歩を踏み出せないケースがあるので、その後押しをしたいと思っております。評価・処遇制度でいえば、キャリアパスは、国土交通省や、建設産業専門工事業団体連合会などでも進めているものです。例えば職長になったら、あなたは課長相当になりますとか、クレーンなどの技能を習得して3年が経過したらあなたは係長相当になります、といった評価・処遇制度を会社として導入する場合について助成を行っていきたいと思います。
 次に、「2若年者に魅力ある職場づくり支援」です。現在、建設雇用改善推進助成金を使って取り組んでいる所もあるかもしれませんが、中小建設事業主が、若年労働者の入職や定着を図るために取り組む場合、例えば高校生などに対して現場実習、体験、見学会の開催や、建設雇用改善法で努力義務とされている雇用管理責任者の能力向上などの取組に対して支援をし、それによって中小建設企業での労働環境をしっかり向上させていくことで、若年者に対する建設業の魅力の発信、若年労働者にとって魅力のある職場環境づくりを目指すものです。
 次に、「3建設技能の向上支援」です。建設雇用改善法で建設労働者の能力向上を推進することとしておりますが、より技能の習得を必要とする若年労働者を中心に、技能向上を図る必要があります。先ほど認定訓練や技能実習の必要性についてお話しさせていただきましたが、いわゆる建設業に特有の技能の習得を、新助成金でしっかりと支援していきたいと思います。2頁の3の括弧書きのとおり具体例を挙げておりますが、職業訓練校における建設施工、土木系の訓練、安衛法に基づく車両系、いわゆる重機やクレーン等の講習などに対し支援を行っていきたいと思います。以上の1、2、3のとおり、若年技能労働者の確保・育成等に特化し、支援をしていくため新助成金を創設したいと考えます。
 その他として「4新分野進出への支援等」は、建設業の現状の課題に対応するものです。国土交通省においても政策として進めておりますが、出口戦略として建設業から新分野への進出に対する支援です。建設投資の額が減少していく中で、建設会社の統廃合や新分野への進出といった産業戦略が進められています。労働行政の観点から考えますと、雇用されている労働者が、例えば建設会社が廃業することによって失業するよりも、新たな事業に進出することにより、雇用の安定を守ることを目的として、建設業の事業主が新分野へ進出する際に労働者に対し教育訓練を行う場合に対し助成をしていくことといたします。
 また、新助成金においては、被災3県への特別対策として、例えば沿岸部での復旧工事では、工事に従事する自社の作業員等の宿泊施設などの確保が非常に困難な状況にあることから、作業員宿舎、作業員施設などをリースする場合について、新助成金の助成対象といたします。以上が新たな助成制度のうち事業主を対象としたメニューです。
 次は、建設事業主団体を対象とした助成メニューです。これは1枚目の新助成金の概要の「2若年者に魅力ある職場づくり支援」に該当します。これは事業主団体として若年労働者の確保・育成のために役立つ取組に対し支援をするものです。以上が、新たに創設する建設雇用安定助成金制度の概要です。
 今回、現行の建設雇用改善助成金を廃止し、新しい助成金を創設することになります。現行の助成金を廃止するに当たり、新助成金において若年労働者の確保・育成等に重点化した形で盛り込まれるメニューもありますが、新助成金では助成対象とならないメニューが3つございますので説明いたします。お手元に現行制度のパンフレットがございますので、こちらをご覧下さい。
 1つ目に、建設教育訓練助成金のうち建設広域教育訓練の受講援助についてですが、広域職業訓練施設において労働者に訓練などを受講させた場合に、その交通費に対し助成する制度です。現在、広域訓練施設としては静岡県の富士教育訓練センターと兵庫県の三田建設技能研修センターが認められています。こちらに建設労働者を派遣した際に、その旅費の一部を助成しておりますが、この活用実績が低調であることから、廃止したいと考えます。
 2つ目は、建設雇用改善推進助成金の建設事業主を対象としたもののうち、作業員施設などの整備等に要する経費の2分の1を助成、200万円を限度となっておりますが、このハード面への助成メニューを廃止したいと考えます。先ほど説明いたしましたが、全国的には廃止となりますが、被災3県についてはその必要性から一部継続して支援したいと考えております。ハード面への助成については、建設雇用改善助成金の制度が創設された当時の時代背景から考え、現在のようにポータブルトイレや簡易なプレハブ施設といった設備が入手できなかった時代における支援制度でありました。現在では先ほど申し上げた設備などが普及し、安価に入手できる時代になりましたので、この部分について廃止することとしております。
 3つ目は、3の通信教育訓練に対する助成制度です。これについては資料4の10頁以降をご覧下さい。今回、若年労働者の確保・育成を促進するための助成制度として新しい助成金を創設いたしますが、建設業への若年労働者の入職を阻む要因として考えられるデータを掲載しております。10頁のとおり、まず年収は平成23年度で約400万円となり、全産業の約470万円などと比べて非常に低い状況です。一方で11頁のとおり、全産業の年間総労働時間が1,700時間余なのに対し、建設業では2,000時間を超える長時間労働の現状があります。完全週休二日制の普及状況を見ても、建設業では32%、全産業で42%、日本建設産業職員労働組合協議会でも土曜閉庁の取組を進めていただいておりますが、土曜日にも工事を行っている状況が多々見られます。
 このように、データからも建設労働者にとって非常に厳しい雇用環境の中で、新しい助成制度により若年者の入職を促す観点から通信教育訓練への助成について考えた場合、通信教育がいわゆる労働者の自発的な教育訓練と位置づけられるため、労働時間外に建設労働者が通信教育を利用し学ぶことになり、例えば少ない休みの現状の中で、日曜日や終業後の夜間での教育訓練を推進することは困難と考えます。したがって今回の新しい助成制度としては、通信教育についての助成メニューは廃止させていただきたいと考えております。
 なお12頁ですが、労働者の自発的な教育訓練に対する別の支援制度として教育訓練給付制度がありますが、その制度での現状を見ると、全体の修了者に対して通学教育での修了者が9割以上を占める一方、通信教育での修了者は1割未満という状況です。通信教育修了者の受験率についても低い状況です。自発的訓練を否定するわけではございませんが、?-4のとおり、キャリア形成促進助成金において通学教育を対象とした助成制度、教育訓練給付制度において通学教育と通信教育に対する給付制度が別に存在するため、こちらの制度の活用により支援が可能と考えておりますのでご理解いただければと思います。以上、新たな制度の概要などを説明をいたしました。以上です。
○鎌田座長 ただいま説明のありました内容についてご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
○福田委員 資料3の「2若年者に魅力ある職場づくり支援」の中で、「魅力ある職場づくり」の取組として「建設業の魅力を若者に伝える取組」が挙げられています。これについてはすごく悩んでいるのですが、今回、日本建設業連合会で地方を回っていろいろな意見を聞きいておりますが、若者には、建設業に魅力がない、格好よくないと言われる。これに対して、いやいやそうではないでしょう、この前テレビで「黒部の太陽」をやっていた、「黒部の太陽」を見たら、あれは格好いいではないですかと意見があった。ひと昔前の人の発想はそうだと思うのです。
 今の若者に対しては、建設業の魅力、ハードの面での魅力というのはだいぶ薄れてきてしまっているのかなと。現場見学会をいろいろやっても、うちでも100万人の現場見学会をやっていますけれども、本当に魅力が伝わっているのか。興味本意で見て、その仕事をやりたいと思うのではなくて、逆に外のことと捉えていてこういう仕事があるのかなと。それで自分がその職場に入っていこうという気にさせるまでの魅力には乏しいのかなと感じます。その辺はどういうことが若者に対する魅力につながるのか。私はこの点をすごく悩んでいるので感想まで。せっかく新たな助成金を創設するのだったら、こうやれば効果的というのが、何かないのかなと。
○柴田委員 皆さんは建設業の方々なので違和感はないのかもしれませんが、私は建設業に深くかかわっているわけではないので、新たな助成金の創設についての説明がこのまま出ると、文脈もないし説得力がすごく少ないと思っています。それはどうしてかというと、この前の行政事業レビューの際にいろいろ指摘されて、横断的な見地から戦略的見直しをしましょうというときに、その答えは何かというと、若年入職者の確保と、技能継承だということに落とし込んでいく文脈が必ずしもはっきり見えないので、それが戦略的なのかどうかがよくわからないからです。要するに、世間の人にわかってもらうということが、建設業の大きな命題だと思うのです。
 一方で国土交通省の提言はすごくわかりやすくて、そうだなと納得できる部分がいっぱいあります。この課題とリンクしてこの対策が出てくるのだと理解できます。もともと、魅力などの以前の問題として、社会保険の加入さえもきちんとできていないではないかとか、入札において下請構造の中で、ものすごく下部に歪みがきているというような話が、ここの中には背景として見えてこないのです。
 魅力ある職場づくりの中で、雇用管理責任者を置いたら、社会保険の加入が多くなるとか、あるいは法定福利費が確保できるとか、雇用のルールがきっちりできるということが、若年者に魅力ある職場づくりの中に入ってくるというような理屈が、ここでは全く見えてこないのです。その辺が行間から見えるような形にしないと、魅力あるというのは積極的な意味で魅力があるけれども、消極的な意味では全然魅力がなくて、やりがいはあるかもしれないけれども、お金は安くても我慢しようということでいいのか。あるいは、安全という意味では、ものすごく危険を伴う仕事もたくさんされる建設労働者の方が、どのように安全確保をするのだろうかというところもきちんと見えてこなくて、なにが魅力ある職場づくりなのだろうかというのが、私には理解できておりません。
 「1雇用管理改善制度の導入支援」にしても、評価処遇制度があればいいのか。あなたは課長になりましたね、係長になりましたねといったときに、給料は1万円しか上がりませんなどと言ったら、責任だけ多くなる。実際に処遇制度に基づいて昇進・昇格制度を適用しました、助成金をあげますと言っても、建設労働者の雇用の改善には至っていないわけです。この辺がもうちょっと見えてこないと、現行の助成金をなんとなくスクラップ・アンド・ビルドしたみたいに見えるけれども、実際の建設業が抱える問題に全くメスを入れていないようにしか見えません。
 私は、国土交通省が言った、例えば技術者データベースとか、管理技術者の資格制度とか、こういうところを、技能検定と併せるのかどうかはわかりませんけれども、そういう技術者データベースを作っていくことに助成するなど、技術者データベースで1級とか2級の人だったら、Aの会社においてもBの会社においても親方として同じようにきちんとした処遇を受けられるといったようにオーソライズすることで、その人の処遇に反映できるような形にしていかないと、ちっとも良くならないのではないかと思います。
○鎌田座長 柴田委員のご意見、ご質問のように、とりわけこの点についてデータはどうなっていますかというような質問はありませんか。いまのご意見も含めて、労使の方もおられるし、行政の方もおられますので、業界をあまりよくわかっていない方の問題点にきちんと答えていくということが、まさに魅力ある業界づくりです。内輪だけでわかっていても仕方ないということです。いま、いくつかご指摘がありましたけれども、国土交通省のデータでは、下請あるいは法定福利費の問題点が指摘されているけれども、どのように改善していくのかというご指摘がありました。また技術者の育成、特にデータベースのことも含めてどのように考えていくのかということもありました。使用者側のほうでも、おそらく昔からいろいろ努力されているのではないかと思いますが。
○福田委員 データの中でちょっと気になっているのですけれども、建設業だけではなくて、全体的に若年労働者は減ってきているという説明もこの中に入れていかないとわからないのではないかと思います。建設業だけ減っているわけではなくて、ほとんどの産業でかなり減ってきています。その割合か何かで、建設業はさらに減っているのだということなのか、その辺がよくわからないのです。
○佐藤補佐 それは、資料3の2頁の点線で囲んだところに記載しております。平成23年度で建設業は4.9%の新規学卒者の入職率、製造業では22.8%あります。一方、製造業の産業人口は全産業のうち18%ぐらいです。つまり、少ない若年労働者の奪い合いとなっており、現実として製造業のほうに流れてしまっているという状況です。
○才賀委員 今回、助成金の見直しをして、現行の助成金は廃止となるのでしょうが、それでは我々が上乗せして掛けている雇用保険の0.1%の保険料はどうなってしまうのですか。
○福士室長 建設の事業主の雇用保険1,000分の1上乗せの制度はそのままです。
○才賀委員 それは、今までどおり予算として使えるのですか。
○福士室長 はい。
○才賀委員 そうすると、予算的にはそんなに減らないわけですね。
○福士室長 予算としては1,000分の1の部分をそのまま原資とします。
○野村委員 切り口は違うのですけれども名称の問題です。現行の建設雇用改善助成金を今回廃止し、新たに建設雇用安定助成金を創設するということです。この2つの名称を並べると「改善」がなくなって、「安定」に変わるということは、改善すべきところはもう改善したので、その改善した制度を安定的に運営していきましょう、そのために今度は助成していきましょう、というふうに読み取る人もいるのではないかと思うのです。そういうことではなく、建設業の本当に改善すべき点は改善されているのかというとまだ改善されていないから、新たな助成金を創設しよう。だからスクラップするものはスクラップし、充実するものは充実しようというのが目的だと思うのです。でも、この名称だけ見ると、俗に言う看板の掛け替えと言われても仕方ないような名称ではないかと思います。この業界に身を置く立場にありながら、こういう発言はどうかとは思いますが、これは社会に出ていく名称でありますし、社会の中で理解していただかないと、継続していく制度になりません。看板の掛け替えだとか、一部をスクラップして、全く似たような制度で、基本的には全く変わっていないというような指摘を受けることを少し危惧いたします。そのことが、結果として建設産業に働く者にとってマイナスに働くことも多分にあろうかと心配しております。この辺の名称変更については、しっかりと説明のできるような対応を是非していただきたいと思います。
 あとは助成の対象の関係ですけれども、基本的には団体なり組織がベースになっていると思います。いま、世の中のトレンドは個人に着目し、一人ひとりのスキルアップに社会的な助成・費用を充てていこうということにあるのではないのかと思っております。建設雇用の技能・技術というのは、一義的には個人に身に付くものでありますので、団体・組織という対象の助成も大事だと思いますが、併せて個人に目を向けた助成金制度の充実も考えていただきたいと思います。
○福士室長 行政事業レビューの中で、建設雇用改善助成金を30年やってきて、建設業のどこが改善されたのだということを指摘されております。30年運用してきて改善されていないのなら廃止せよということなのです。名称はあくまで現時点で仮称ですので、検討の余地があるものと思います。ネーミングについては検討を進めていきたいと考えています。
 行政事業レビューでの意見は非常に厳しく、建設の事業主から雇用保険を1,000分の1余分に徴収している保険料を予算に充てているのだから合理的ではないかという主張は受け付けられず、それだったら1,000分の1の制度自体廃止せよというような議論になってしまうのです。そして行政事業レビューの中でも、いままで30年やってきた雇用改善の実績としてはどうなっているのかという指摘はかなりありました。
 また、個人に対しての助成というご意見ですけれども、これは事業主から徴収した雇用保険料のいわゆる雇用保険二事業での事業なので個人給付はできないこととなっております。ですから、個人のスキルを上げるにしても、どうしても事業主やその団体に助成して、労働者個人のスキルを上げていくやり方をとらざるを得ないことになりますので、ご了承いただきたいと思います。
○古市委員 いまの説明を聞いていて、そもそも建設雇用改善法そのものが有効に機能しているのかということについて、第8次の建設雇用改善計画策定のときに何回も指摘させていただきました。要するに、建設雇用改善法を作らなければいけないという議論が起こったときと現在とで、建設労働者の雇用は改善されているのかどうかを見ると、率直に言うと改善されていないのです。雇用者の割合はむしろ低くなっています。雇用されないで就労している人の割合が非常に多くなっています。
 こういう状態を建設雇用改善計画の中で、もう少し本格的に対応できないだろうかと、建設業の雇用そのものを改善させるための仕組みができないだろうか、という議論を皆さんとしたわけです。計画そのものはできましたが、これまでと違って大きく踏み出すという計画にはならなかったのではないかというのが私の感想です。
 この法律に基づいて、建設雇用改善に資するために、事業主の皆さんに雇用保険1,000分の1余計に保険料を払ってもらって、その財源を使って建設雇用改善を図ろうとしているわけです。柴田委員の話は本質的なところで、そのように真正面から言われてしまうと、私たち建設業界にいる者もそうなのだと思い、ちょっと二の句が継げなくなってしまう側面があります。
 例えば、柴田委員の評価の高かった、国土交通省の取組の中で、社会保険未加入を5年間でなくしていこうという取組が始まっています。新しい助成金でそういう取組と連携すると書いてありますが、そこに非常に大きなウエイトを占めて一緒に取り組む仕組みにはなっていません。建設業のそもそもの問題にもう少しコミットする説明が必要ではないかという気がいたします。
○才賀委員 国土交通省の問題意識については、2007年の政策大綱が出てから、建設業界というのは専門工事業者が実質的に仕事をやっているのであり、ゼネコンだけがやっているのではないのですよ、という流れが出てきて、2011年、2012年と連続して方策が出ました。そのときに、専門工事業者から出てきている言葉は、社会保険に未加入で、宿舎もない、重層下請構造という問題についてはダンピング受注がそもそもの問題なのだということ。これが根本にあると思うのです。
 国土交通省についてはその辺を理解していただいて、専門工事業者のほうに目が向いているので、いろいろなことをやっていただけるのですが、この頃はダンピング受注が厳しいので、専門工事業者は宿舎が持てない。そうすると、働いている労働者はアパートから直行直帰になって、就業時間外の面倒もみられない。
 そうすると求人のパンフレットや募集要綱を出しても、他の業界と異なり、賃金1日いくら、土曜・日曜は休み、交通費ありといったものしか出ないのです。下手すると社会保険なども書いてない、宿舎も書いてない、それでパンフレットを出しても、人は集まらないのです。ハローワークに出ていたからといって面接に来ても、宿舎は事業所の隣の4.5畳のアパートですと言うと、19~20歳の子どもに付き添ってくる親御さんが、ここに息子を住まわせて、365日危険な仕事をさせるのだったらやめたほうがいいと感じるのが現状です。そうであるならば、適正価格、適正工期できちんと受注できなければ雇用もできません。
 昔は、ゼネコンと専門工事業者の関係が良くなればみんな良くなるだろうと思っていましたが、このごろは発注者からゼネコン、専門工事業者、それからそこで働く労働者、四位一体でこれから何年かの間に建設業界を変えていかないと、どうにもならなくなってくるのではないかと思います。下請など誰もいなくなってしまって、みんな一人親方になるのではないでしょうか。そういうところまで疲弊してくるのではないかと心配しております。
また、我々の仲間は出前講座ということで、専門学校に鉄筋だとか、型枠だとか、左官だとかの技能者を講師として派遣し、学生に勉強させています。そうすると学生は面白いと言ってくれる。建設業の仕事はこんなに種類があるのだと実感し、その場で鉄筋屋さんに対して、お宅に勤めたいから履歴書を出します、という学生もいます。だから魅力はあると思うのです。魅力はあるのですが、いわゆる対価が伴わない。スーパーマーケットで働いたほうがいいよ、夏は涼しくて、冬は温かい所で、建設業で働く給料と大して変わらないのならば、そっちのほうが楽だということでなかなか来ないのだと思います。今の若い人たちは、危険、汚いはそんなに気にしないかも知れないが、ただ、きちんとした賃金をくれ、そうすれば勤める、というのが現状だと思います。もう少し建設業の労務賃金が上がるようなことを考えていただきたいと思います。
○加藤委員 私も、先ほど古市委員が言われたように、建設業は危機的な状況だと思うのです。この資料では柴田委員が言われたような危機感等が伝わってこないので、もうちょっと表現として、こういう危機的な状況にあって、これをやっていかないと建設業自体が潰れてしまうよ、というような表現ができないのかと思います。その辛さが伝わるような。
○福士室長 建設業の形態については、重層下請構造などの根本の問題があって、そこが雇用の複雑化を生んでいると我々は認識しています。しかしながらこの「助成金」というのは、名前のとおり「助けるお金」なのです。ここで、建設業としての根本を変えるお金にはなり得ないのです。我々も悩ましいのですが、そういう根本的な問題に対して助成金で手助けしていく、根本的な問題を解決する方向に持っていく助成金を作り上げていきたいと思っておりますが、建設業としての根本のところをどう解決するかという点について、助成金という手段だけではそこまで踏み込んでいけない部分があるのも事実です。そういう中で、いま加藤委員がおっしゃいましたが、我々に切迫感がないということではないのです。なかなかそこまで踏み込んでいけない部分があって、どうしても切迫感のないように見えてしまうのかと思います。
○福田委員 本日の議論にふさわしいかわかりませんが、助成金の金額は1社当たりいくらなのか、相当低い金額なのだろうと思うのです。それで助成と言えるのか。せっかく会社で取り組んでもこのぐらいのお金ではどうにもならないよと。私はそういう感じで受け止めているのですが、ほかの方はどう思っておられるのでしょうか。
○福士室長 廃止の決定を受けた行政事業レビューでの指摘では、建設業の助成金はほかの助成金に比べ、なぜここまで手厚く助成しているかと追及されました。雇用保険二事業に関する懇談会で近年何を指摘されるかというと、特別対策はやめるべきと。雇用保険特別会計の雇用勘定のお金を一般対策で使えるようにするべきと盛んに言われます。そのような中で、建設労働者のために1,000分の1の上乗せ財源があるにしても、なぜこれだけ手厚くしているのか、ほかとはどこが違うのということを指摘されています。
○才賀委員 事業主団体から言わせると、助成をされない2分の1の額を団体で負担できないから事業をやらないという場合もあります。
○山下委員 雇用保険に上乗せして徴収する制度は残さなければいけないと思います。そこはしっかり押さえていただいて、助成金が必要なのだという強い意思を示していただかないと、30年やってきて駄目だったからやめろなどではなく、能力開発や技能向上は大事なわけですから、働く側も、労働者が自分のお金で技能を身に付けなくてはならないなどいうことになったら、いよいよ若い人は入ってこなくなってしまうわけです。国として、しっかりとものづくりを推進するという辺りをもうちょっとどこかに示していただいたほうがいいのかと思います。
○大橋委員 まず、若年者の確保というのは別に建設業に限った話ではなくて、造船や、あるいは熟練工が必要な産業はみんなこの問題を抱えています。ただし、造船などを見ると建設のような助成金制度はないですから、彼らは自分たちで労使組んで取り組んでいかざるを得ないところです。一方で、一部外の別の分野に進出していったり、随分血を流されている会社もある。造船の2014年問題がありますから、そこに向けてどうするのかは、ものすごく切実な問題です。そういう意味で言うと、建設については助成金制度が存在しますが、結局、皆さんで取り繕わないといけないと感じているはずです。柴田委員から国土交通省の施策はわかりやすいとのご指摘がありましたが、一方で、国土交通省が社会保険等の未加入対策を厳しい方向でアクセルを吹かすと、もう業界がみんな倒れてしまうのではないかと思います。国土交通省が本当に来年から全力でやりますと言っても、みんな倒れてしまいますから、そういう意味で言うと、アクセルとブレーキの関係があって、基本的にこの助成金制度はブレーキをかける役割になるだろうと思います。ただ、そのブレーキは、ストップをかけるようなブレーキではないですが、このブレーキである助成金があるだけ、ほかの産業に比べると余程良い。ほかはブレーキがないところで走っていますから、そういう意味で言うと、非常に恵まれた中で、また復興の需要も含め、このような一時的なバッファーがある状態の中で、今後どうしていくのかということについて、使用者側だけで何かできるような状況ではもはやないですから、先ほど才賀委員からご意見のあった四者で議論することが非常に重要だと思います。本当にドラスティックに対策を行うならば、そもそも熟練工の負荷が減るような工程をどう改善していく、あるいはこのようにすれば女性が入職しやすくなりますとか、そのようなところまで考えていけば、それなりの雇用のプールはあると思うのです。ただ、現在の延長線上で物事を見ていくと、なかなか厳しいというのも、ほかの産業を見ていて痛切に感じるところです。ただ、正解がない世界だと思います。本当に厳しい世界だと思います。
 今回の新たな助成金のご提案についていくつか言わせていただきますと、まず若年の定義は特段言われていないのですが、なるべく柔軟にその定義を考えられたほうがいいかと思います。統計表では24歳で区切っているところもありますが、その年齢でいいのかなという意味で、若年の定義をどうされるのか。
また、この助成金は計画に対して助成するのか、実績に対して助成するのか、あるいは取組に対して助成するのか、実効性のある取組に対して助成するのかという考え方がいくつかあり得ます。全てをモニターするにはコストもあるでしょうから、必ずしも実効性のある取組だけに助成するわけにもいかないと思います。ただ、効果について何らかの形で評価をしていくことは重要だと思います。それは労使双方の側からの評価が重要なのだと思います。何か実績がとれればいいですが、とれない場合はアンケート等のやり方があるのかもしれません。
さらに、良い取組を吸い上げて、ほかへ広げていくということも是非やられたほうがいいと思います。ただ単に取組に対し助成するのではなく、良い取組というものを業界全体で共有していくことも、労使一体、あるいは四位一体で取り組んでいく意味で、非常に重要な観点なのではないかと思います。
○福士室長 若年者の定義については、厚生労働省では年長フリーターなどへの対策を講じているところで、新たな助成金では35歳未満を若年者と考えています。また、助成の方法については計画に対して助成する部分もありますし、実際の取組に対し助成する部分もあり、さまざまです。その点は、助成金の枠組みを作ったうえで、支給要領等で具体的に示していきます。効果の検証についてはまさしく大橋委員のご指摘のとおり、現行の助成金について昨年9月末まで雇用・能力開発機構が取り扱っていたというところで、効果の検証が不十分な点もございます。今回この新しい助成金を創設するに当たり、効果的な助成金となるよう、実績把握などにより効果の検証をしっかりと行い、その中で、有用な取組について広めていくことも進めていこうと思います。
○古市委員 先ほどは、新たな助成金制度への意見をいろいろ申し上げましたが、今度は助成金制度が実際に役に立っているという話を申し上げたいと思います。私どもの労働組合は職業訓練法人を設置しており、職業訓練校を運営しております。いちばん多いときは120校ほどの訓練校を運営していたのですが、生徒が集まらなくて運営ができなくなり、最近は77~8校に減ってきました。いちばん多いときは3,000人を超えていた生徒ですが、去年は700人くらいまで、つまり5年間くらいの間に3,000人から700人くらいまで、急激に生徒の数が減ってきています。その訓練校ではどういう人たちが訓練しているかというと、建設業の零細な事業所の人が大半なのです。例えば法人事業所であれば、従業員5人未満が5割を超えているのです。そうすると、親父と家族の4人とか、3人しかいないような会社が新しく若年者を採用して、この人を現場で訓練をしながら訓練校に派遣しているわけですが、5人もいないような事業所で訓練生を1人抱えるというのは、会社にとって誠に巨大なリスクなわけです。以前はそれでも何とか訓練に通わせるのが一つのルールだったのですが、いまは一般競争入札が極限まで進んでいますので、そういうリスクはとりたくないというのが零細な事業所の正直なところです。そうなると事業主が面倒を見てくれず、工業高校から紹介があって建設業に入りたい生徒がいると、面倒を見てくれる事業所を探すのが訓練校のいちばん大きな仕事となっています。訓練校自体の運営が非常に厳しいので、この助成金を使い訓練校を維持する。それでも足りないので、非常に安い組合費しかもらっていない私たちのような労働組合がその組合費のお金で、訓練校を何とかして維持しているというのが現状です。先ほど私が述べた威勢のいい意見がその訓練校関係者の中に届きますと、「お前、何言ってるんだい、虎の子の大事な助成金をどうしてくれるんだ」というように怒られるに決まっているほど、この助成金で700人という新しい大工さん、新しい左官屋さん、そういった人たちを養成しているのも現実なのです。
 もう一つ言わせていただくと、この助成金は雇用保険の保険料で運営しているわけですから、雇用保険に入っていない人は対象にならないのです。例えばどういう人が雇用保険に入れないかというと、親父の後を継ごうと思って、自分も親父の所に就職して訓練校に行こうと思うと、これは雇用保険の助成金の対象にならないだけではなくて、親子関係ですと、そもそも雇用保険に入れない。そういったところを改善してほしいというところで、これは別の形で要望もしているのですが、なかなかそこは突破できないところです。
○才賀委員 我々の所も静岡に広域訓練施設を運営しているのですが、去年は3万4,000~5,000人日の教育をしています。いちばん多い時で4万人日弱ぐらいまでいったのですが、その後、景気が悪くなって、助成金が運営の助けになっている点もあります。いまの高校生の問題については、文部科学省と厚生労働省と一緒になって、縦割りではなくて横のつながりを持って取り組むことも有効かと思います。このごろは専門工事業者も経営に非常に苦しんでおり、従業員を訓練生として出せないようです。いまゼネコン企業の新入社員の教育を我々の広域訓練施設で実施しておりますが、非常に好評を得ているので、専門工事業者でも同じように実施できるように頑張っています。
○柴田委員 私は助成金という制度が悪いと思っているのではなく、ただ、それの使い方がきちんとした目的に則って、きちんと評価できる仕組みに沿って実施しないと、行政事業レビューの評価に対して応えるような形になっていないと思っているのです。その目的に対して言うと、せっかく1,000分の1の上乗せの保険料を負担しておられるのであれば、やはり、助成金は根本的な問題の直接の解決策と言えないというのではなくて、そこはこの業界の特殊性や、大変な問題に直面しているというところを、背景としてきちんと説明すべきであるし、その目的をきちんと明確にして、評価をすべきということが大切であると思います。
 社会保険等の加入の問題に関して言えば、団体や組合みたいな形で、個人であっても社会保険などを払えるような任意団体などの形で、一人親方でも保険が払えるような仕組みができないかということも検討すればいいのではないかと思います。もしそれで、その人たちが雇用保険を払えるようになれば、業界全体としてこの助成金に活用できるパイを大きくするということも、ここで考えていく必要があるのではないかと思います。
○山下委員 雇用保険の一部分という位置づけなのかもしれないですが、上乗せして出しているわけですし、いまこれだけ厳しい中で、みんなで建設業を再生していこうとなっているので、基金を創設すべきとまでは言いませんが、これは別物なのだというぐらいの、政策的な位置づけがあってもいいのではないかと思います。
○福士室長 現在も、1,000分の1上乗せの収入をこの助成金に充てて、ほかの建設の対策は一般の雇用保険の収入を充てているというように、別枠という形にはなっております。ただ、あくまで雇用保険法に則って雇用保険二事業は行っているので、先ほどの一人親方の加入などについては、雇用保険法から逸脱して推進することはできないというのが現在の立場で、そうなると雇用保険法を改正しなければいけなくなってきますので、この場で我々がイエスとはなかなか言えないところであります。
○才賀委員 企業は従業員に教育訓練を受けさせなければいけないということから、健康保険や厚生年金は別として、雇用保険には入っているという場合が結構あります。それでないと、自分の会社の従業員などの教育ができないからです。
○鎌田座長 そのほか、何かご意見はありますでしょうか。ここで、いままでの議論をまとめておきたいと思います。当初、建設雇用改善助成金を廃止し建設雇用安定助成金を創設するということで、そもそも建設業界の雇用改善についてこれまでどれだけ進展があるのかをはじめ、かなり広い範囲での議論があって、非常に様々な課題があることがわかったわけです。ただ、この助成金は、雇用保険の1,000分の1上乗せの収入に関わる部分として、業界がかなり厳しい状況の中で、雇用改善、あるいは雇用確保の下支えをしているということを皆様が認識されていると思います。そうしますと、この新たな助成金については、今後一層、効率的な形で活用することが大切だという点では、おそらく共通の認識ではないかと思います。したがって、事務局からご提案いただいた雇用保険の1,000分の1上乗せの収入を活用した建設雇用安定助成金の創設の方向性を、ご了解いただいたのかと思います。
 ただ、本日皆様からのご意見を踏まえ、いくつかの条件をつけさせていただきたい。一つ目に、建設業において、なぜこのような助成金を創設し、そしてなぜ助成しなければならないかという目的を明確化することが、一層必要ではないか。名称の問題も指摘がありましたが、いわゆる看板の掛替えという印象を与えないようにさらに検討いただきたい。二つ目は、何と言っても効果や実績の把握・検証です。いったいどれだけ効果を上げているのか。この点についてしっかりと取り組まないと、今後また行政事業レビューがあるかもしれませんが、そうした場合に説明がつかないことになるおそれがあると思います。
 以上のように、目的を明確にすることと、モニタリングなどにより効果をしっかりと把握・評価すること等を条件にして、新たな助成金の方向性の提案については了解ということで、いかがでしょうか。
(異議なし)
○鎌田座長 では、この委員会として一応の結論に達したということですので、この方向性で進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
2つ目の議題の「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について」は、冒頭に申し上げたとおり非公開ということで進めたいと思います。おそれいりますが、傍聴されている方はご退席をお願いいたします。
(傍聴者退席)
 最後に、事務局から何かありますか。
○佐藤補佐 先ほど申し上げたとおり、今回ご意見をいただいた部分の修正などを行った上で、より具体的な内容をご説明する専門委員会を9月下旬以降に改めて開催させていただきたく存じます。日程調整については、後日依頼させていただきます。以上です。
○鎌田座長 次回はそのような形で進めていただきたいと思います。以上をもちまして、本日の委員会は終了とさせていただきます。ありがとうございました。本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は山下委員、使用者代表は加藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。


(了)

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