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2012年8月21日 独立行政法人評価委員会年金部会(第38回)議事録

○日時

平成24年8月21日(火)9:05~11:09


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

山口部会長、川北部会長代理、竹原委員、安浪委員、安達委員、大野委員、光多委員

○議事

(以下、議事録)

○川北部会長代理
 ただいまから独立行政法人評価委員会年金部会(第38回)を開催いたします。部会長の山口さんが遅れています。皆様におかれましてはお忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日の議事について説明いたします。本日は議事次第のとおり、年金・健康保険福祉施設整理機構に関しては財務諸表に関する意見、総合評価、業績勘案率の決定について検討いただきます。年金積立金管理運用独立行政法人に関しましては財務諸表に関する意見、年金積立金運用報告書、総合評価書について、審議を進めていただきたいと考えております。
 審議の進め方について説明いたします。財務諸表に関する意見については、担当委員であります安浪委員からご報告いただき、それを踏まえてご審議いただきます。総合評価につきましては前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただきました総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評定理由」案等について、ご審議いただきます。
 また、皆様にご記入いただきました評定記入用紙につきましては、ご参照いただけるようにお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議などを踏まえまして評定記入用紙を確定していただく時間を設けておりますのでよろしくお願いいたします。
 最後になりますけれども、本日、資料3として添付しております「独立行政法人の自然災害等に関するリスクへの対応に関するアンケート調査」についてです。こちらにつきましては、今年5月に総務省の政・独委より「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」というものが示されています。その中で「自然災害等に関するリスクへの対応について、法令や国等からの指示・要請に基づくもののほか、法人独自の取組を注視する」とされており、これを受けて政・独委よりアンケート調査がなされているところでございます。今後、政・独委において2次評価の結果と併せて、各省の結果を取りまとめて公表する予定とのことです。ご参考として当省分をまとめまして机の上に置いていますので、後ほどご覧いただければと思います。
 また、8月3日の年金部会におきまして配付しておりました資料2-4ですが、「平成23年度の業務実績評価別添資料」についても、GPIFのものが一部差し替えということでしたので、こちらも併せて後ほどご覧いただければと考えております。以上でございます。

○川北部会長代理
 議事に入ります。まず総合評価書、財務諸表に関する意見につきましては、起草委員の方にお忙しい中をご尽力いただきましてありがとうございます。はじめに年金・健康保険福祉施設整理機構について審議いたします。
 まず、財務諸表に関する意見について審議に入ります。財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされています。それでは、財務諸表について安浪委員からご説明をお願いいたします。

○安浪委員
 財務担当の安浪でございます。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の平成24年3月期の財務諸表につきましては、会計監査人であります有限責任監査法人トーマツから平成24年6月18日付で適正意見が表明されています。
 次に平成24年3月期の決算概要を申し上げます。貸借対照表での流動資産は929億円、固定資産は11億円ですから、総資産は940億円となります。負債合計は3億円、純資産は937億円ですから負債・純資産合計では940億円となります。損益計算書の方では、経常利益が今期は6億円の損失であります。前期が150億円の利益でしたから、156億円の減益となっております。今期は売却収入がなかったためです。また、経常利益に臨時利益を加えました当期総利益は5億円となります。前期の総利益は235億円ですから、前期比230億円の減益となりました。
 次に、前期比較等のヒアリング結果を申し上げます。まず販売用不動産についてですが、平成24年3月末残高694億円で、前期に比べまして141億円減少しております。当期は売却による減少はございませんでした。減少額141億円は評価損でして、純資産の部の評価替差額金に計上しています。次に長期未収金ですが、平成24年3月末現在で11億円ございます。これは施設売却代金の未収でして、計画どおり入金しています。前受金は0でございます。前期は8億円ございましたが、前期ありました清算剰余金の前受が24年3月末はなくなったためであります。
 それから、今年度におきまして重要な後発事象としての記載がございます。平成24年4月1日付で国から3つの船員保険病院の現物出資を受けています。財産の価格は評価委員が評価する価格になる予定であります。
 以上申し上げましたところから、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の平成24年3月期の財務諸表につきましては適正と認めてよろしいかと存じます。以上です。

○川北部会長代理
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました年金・健康保険福祉施設整理機構の財務諸表について、ご意見がありましたらお願いいたします。何かご意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、平成23年度の財務諸表に対する意見としては資料1-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○川北部会長代理
 では、そうさせていただきます。ありがとうございました。
 次に年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価について審議いたします。年金・健康保険福祉施設整理機構の起草委員である光多委員からご報告をお願いいたします。なお、議事運営の都合上、ご報告時間は概ね10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○光多委員
 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の平成23年度業務実績評価結果につきまして、川北委員と私とで検討を行って、総合評価書を作成いたしました。その概要について私から講評させていただきます。
 最初に、結論として2つ申し上げたいと思います。まず、平成23年度の機構の業務内容は大幅な変更となりました。これに対応して、新たな業務への基盤整備を機動的かつ弾力的に行ったというのが第1番目の特徴でございます。この「機動的かつ弾力的」というのが独立行政法人としての特徴をいかんなく発揮されたというのが第1番目の視点でございます。
 第2番目ですが、従来は施設売却という、非常にわかりやすい数値目標的なものが中心であったわけなのですが、平成23年度は「変化への対応」というやや質的な面に移ったわけでございます。したがって、具体的な結果がなかなか見にくいというのが1つ特徴としてあるわけです。
 「変化への対応」を十分に行ったという点でいきますと、質的な業務を着実にこなしたというのが特色だと思います。ただし、平成22年度まで量的な水準があったわけなので、大変高い評価だったわけなのです。それに比べると評価のレベルは若干下がっております。それにしましても、極めて高い水準の評価ということについては同じでございます。ここの2点がまず全体的な特徴でございます。
 それでは、具体的な評価書について講評させていただきます。資料2-1は全体として2つに分かれておりまして、「平成23年度業務実績について」と「具体的な評価内容」の2つに分かれております。
 平成23年の業務実績についてというところで、まず第1番目に評価の視点がございます。これは今までの事が書いてありますが、その中の3頁、本年度の評価に当たっては、そこに書いてあります3点を挙げております。まず、第1番目に厚生労働大臣から譲渡指示があった病院についての譲渡、それから東日本大震災により被害を受けた病院の復旧、第3番目が社会保険病院等の経営状況、資産状況の把握、このための第2フェーズの財務調査の実施分析といったことを評価の視点として3つ掲げております。したがって、これらについてどのぐらい達成されたのか。また、具体的な取組方法、その取組における創意工夫について、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて考慮して評価を行いました。
 2番目の平成23年業務実績全般の評価ですが、いま申し上げました3つの評価の視点に即して申し上げますと、まず最初に厚生労働大臣から指示がありました2つの病院の譲渡につきましては、4頁の上の方をご覧ください。現職員全員を再雇用する、なおかつ地域医療の維持という2つの条件を満たしながら適正な価格で行ったと評価しています。2番目の東日本大震災への対応につきましては真ん中あたりの段落をご覧ください。これも迅速に復旧工事に着手して、工事を完了したわけでございます。3番目の社会保険病院等の財務・資産状況の把握につきましても、外部のコンサルタントを活用しながら明確に行っていったというのが特色でございます。
 5頁の上から7、8行目にありますが、「新機構への改組に向け機動的かつ適切な取組みを行った」、この1行が今回のエッセンスの表現ですが、機動的かつ適切な取組を行ったことは、独立行政法人の特性を踏まえ柔軟に対応したものであり、大いに評価できる。ここのところが全体を表しているわけでございます。
 5頁の真ん中あたりから具体的な評価内容について書いてございます。(1)で効率的な業務運営体制の確立、それから業務管理の充実、業務運営の効率化に伴う経費節減、その他項目別にずっと書いてございます。これについては、先ほど申し上げましたところと重複しますので省略いたしますが、2点だけ申し上げさせていただきたいと思います。1点は先ほど申し上げました「施設の売却」という数量的な面から、「新しい機構への移行」という質的な面に移ったわけですが、この辺、従来の社会保険病院の財務・資産管理について十分な分析をしたことは事実でございます。
 ただ、6頁の真ん中よりちょっと下の段落にございますが、確かにこの点については評価されますが、これらのデータをいかに活用して新しい機構の業務に体制を整えていくかということについては、まだまだこれからでございます。したがって、ここについては単に評価するということだけでなく、新機構への開発の進め方や開発後の病院運営等の議論に大いに活用されることを期待したい。これについての評価は、ある面でいくとまだこれからでございます。期待したいということで、まだ十分な実績という形まで行っておりませんが、これからという形を申し述べさせていただいております。
 期待したいというのは7頁にもございます。各施設の経営状況の把握等につきましても、これから病院運営等の議論にも活用されることを期待したい、これからが本番ということを申し上げさせていただいております。
 もう1点、国庫納付の件についてでございます。国庫納付金に関しては、7月26日の個別評価の際にも各委員からいろいろなご意見がございました。平成23年度中に納付する国庫納付については、実際には国庫納付するという目的は達成できておりません。しかし、9頁のいちばん下の段落あたりから、今後、東日本大震災により被災したことから、関係各方面と協議して災害復旧工事の財源として留保するといった弾力的な運用に至ったことは評価できると、一応評価するという形にしています。前回はどう評価するか、さまざまな議論がございましたが、実際には厚生労働省と財務省との協議によってこのような結論に達したと思います。その中で機構がそれなりの主張をしていったという形でいくと、一応評価できるという形でとどめてございます。
 以上2点、コメントさせていただきます。以上です。

○川北部会長代理
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました総合評価書の案について、ご意見等がありましたらお願いいたします。

○竹原委員
 総合評価書の案については全く異論ありません。しかし、机上配付の「個別項目に関する評価結果集計表」に関して、いま光多委員から説明のありました国庫納付金に関する事項で、お1人、評価をされないという意味でしょうか、「-」になっています。この部分で特別な事情がありましたので、もし評価しなくてもいいということであれば、私もそのように評価を変えたいと思いますが、いかがなのでしょうか。

○光多委員
 たまたま私が「-」にしております。私自身の個人的な意見では、やはり今回、国庫納付をしなかった。評価の視点としては、国庫納付をきちんとした形で行っていくというのがより望ましいと思いますが、東日本大震災への対応も含めて国庫納付をしなかったという形なので、今回の「-」は評価留保という意味でございます。
 ただ、皆様方全体の評価として、ほかに比べると若干評価が低いのかもしれませんが、一応それなりの形で、言ってみれば予防措置としての国庫納付留保という形の評価でございます。全体としては「評価する」という形にしています。これについては逆に厚生労働省の考えもあるかもしれませんが、実はおっしゃるように、ここはいちばん議論があったところでございます。

○川北部会長代理
 では、これは厚生労働省ということですか。

○政策評価官室長補佐
 本来であれば、こちらについては目標に則った形で評価項目については評価をしていただくということでお願いはしています。基本的に予算に対して国庫納付をきちんとしているかどうかということであるので、そこについては予算上国庫納付は今回0だったはずなので、それに対して0ということで、普通に見れば計画どおりであって、その他の要因をどのように捉えるかということで評価をしてもらえればと考えておりました。
 結果的に、お1人は、そうは言っても評価がということで、先ほどのお話であればB評定だということでございます。ただ、基本的には、事務局としてはすべて評価をしていただければと考えております。

○川北部会長代理
 そういう意味では「-」は、あまりよろしくないということですか。

○光多委員
 すみません、補てんさせていただきます。

○川北部会長代理
 これは少なくとも3ぐらいと違うのですか。3が入ったとしても、これは。平均点は変わらないのですよね。

○光多委員
 ただ難しいのは、おっしゃるように、確かに中期目標からするとそのとおりだったという形なのですが、0なのだけれども創造的0といいますか、戦略的0といいますか、要するにある面でいくと本来納付すべきかもしれないけれども、それは例えば納付するお金がなかったのではなくて、お金はあるのだけれども、それを留保したという形となる。言ってみれば前向きの国庫納付留保という形なので、そこで単純な3ではないのではないか。悩んだ挙句が「-」だったのです。そういう形でいくと、素直に中期目標どおりの表面的な評価という形より、同じ国庫納付留保でもやや意味がある留保だという形で評価したほうがいいのではないかと思って、総合評価書の中でも「評価できる」という表現にしているのはそういう意味です。

○川北部会長代理
 総合評価書については光多委員もこれで納得されていると理解してよろしいわけですか。

○光多委員
 はい。いまご説明がありましたように、中期目標どおりでいくと、B評定かというと、私はそれよりは上ではないかと思います。要するに、結果的にお金がなかったから国庫納付しなかったというよりは、むしろ戦略的、政策的な国庫納付留保をしたので、それよりは上の評価をしていいのではないかと考えています。

○川北部会長代理
 集計表に関しましては、光多委員が然るべき点数を入れていただくということでよろしいでしょうか。ほかにご意見はございますか。

○大野委員
 いまの点です。集計表の方では、この点に関し、比較的評価のバラつきが大きいのではないかと思います。そのバラつきと、あとこちらの総合評価書に書かれている記述を照らし合わせたときに、政・独委からこれから何か指摘が入るような可能性があり得るのではないかというようなことを踏まえると、こういった評価に至った経緯をもう少し追加して記述されるほうがよろしいのではないかと思いました。

○光多委員
 例えば、単に「評価できる」と書いてありますが、運用するに至ったことは諸般の情勢からとか、要するにいろいろ諸環境を考えると評価できる。「評価できる」という所にちょっと頭書きを付けた方がいいかもしれません。おっしゃっているのはそういう意味ですよね。

○大野委員
 はい。

○川北部会長代理
 そういうことで、少し書き加えることでよろしいですか。ほかにご意見はございませんでしょうか、よろしいでしょうか。
 それでは、ただいま大野委員から指摘がありました9頁から10頁にかけてのところを少し書き加えて、「評価できる」と単に書くのではなくて、光多委員の案では「諸環境を踏まえて」など、単に弾力的な運用に至ったというよりはそこを少し説明するような、修飾語を入れることで修正を少し加えさせていただいて、平成23年度業務実績の報告結果として、法人及び政・独委に通知し、これを公表したいというように思います。その修正の対応に関しましては、事務局と光多委員と私とで対応させていただくことで、ご一任いただければと思います。よろしいでしょうか。

○安浪委員
 私の方も、法人の方にお願いして、国庫納付するとキャッシュの状態がどうなるのかという資料を作っていただき、それを拝見いたしました。数字的には85億の国庫納付を行うと、繰越余剰がグンと減ってしまうという予想の数値をいただいています。中身については、今ではなくて、その時点での判断であったのでしょうから、それなりの根拠、数値的な裏づけを持って国庫納付を延期されたのかなと。ただ、大震災による費用とか、どういう費用が出るのか完璧には読み切れないというその当時の時点での判断です。今から考えれば出来たのではなかったかという判断も入るかもわかりません。その時点の根拠として、数字的な国庫納付を行うとキャッシュポジションが0になってしまう。要するに期末予想が0になってしまう。そういうような資料はいただいてはおります。ですから、国庫納付を何となくやめてしまったということではなかったような気がしています。

○川北部会長代理
 そういう意味では、積極的な評価が入った上での国庫納付の留保だったと考えていいわけですか。

○安浪委員
 はい。留保の裏づけとしては数字的な資料はいただいております。

○川北部会長代理
 それも踏まえ、修文を考えたいと思います。それでは、少し修正をするということでご一任いただければと思っています。最後に法人理事長からコメントをいただければと思います。

○年金・健康福祉施設整理機構理事長
 平成23年度の当機構の業務の実績について高い評価をいただきまして、誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。今般の評価委員会を通じて、委員の先生方からご指摘いただいた事項やアドバイス、特に先ほどの5頁、6頁、7頁の期待等も含めて、当機構の全職員に伝えるとともに、今後の機構運営に活かしていきたいと思います。
 さて、既にご説明いたしましたとおり、当機構は平成26年4月1日に、全国にあります社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院を直営する「独立行政法人地域医療機能推進機構」に改組されることになりました。私が理事長に就任しました本年4月以降、当機構の中期目標には新機構への改組に向けた準備を適切に行うことが新たな目標として加わり、当機構に「新機構準備室」を設置し、新機構発足に向けた準備を急ピッチで進めております。
 もう既に計4回にわたる院長会議やワーキング・グループによる議論を行い、新機構の理念、ビジョン、新機構における職員の処遇、財務運営、内部統制などについての方向性がほぼ固まったところでございます。今後は各委託先団体と協力し、新機構への改組に向けた実務作業に入るとともに、国の方で進められています独立行政法人制度改革の動向を踏まえて、新機構がいかにあるべきかについて引き続き議論をしていく予定でございます。
 来年度以降の評価をいただく際、詳しくご説明をさせていただきますが、新機構の改組に向けて全力を尽くして参りますので、委員の先生方におかれましては引き続きご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。

○川北部会長代理
 ありがとうございました。それではバトンタッチします。

○山口部会長
 所用で遅参いたしました、大変失礼いたしました。バトンタッチを受けまして、ここから私が引き継がせていただきたいと思います。
 現在までの意見・報告等を踏まえ、個別評定を修正したい方はここで評定記入用紙の修正・確定の時間を設けます。よろしくお願いいたします。なお、修正に当たり、事務局より留意事項がありますのでよろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 評定記入用紙の修正に当たっての留意事項を説明いたします。修正がある場合は赤鉛筆で修正をお願いいたします。評定理由の修正・加筆も可能でございます。 なお、修正した場合には修正のある頁に付箋を貼ってください。
 机上配付しています個別項目に関する評価結果につきましては、現時点でいただいている評定をS=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1点と点数化し平均化したものです。委員名は空欄としておりまして、委員各自のお名前しかわからないようになっておりますので修正の際の参考としてください。以上でございます。

○山口部会長
 それでは、5分ほどお時間を取りますので、評定記入用紙の確認や修正をお願いしたいと思います。
(評価シート記入中)

○山口部会長
 よろしいでしょうか。それでは、これをもって、年金・健康保険福祉施設整理機構の平成23年度業務実績評価に関する意見を取りまとめいたします。各評価書には、評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりますが、本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことによって、当部会全体としてのSからDの評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正・追加等された場合には、これらを反映して評価シート集約版を変更し、添付することといたします。評価シートの集約版について、SからDの評定が変更になる等の際には、委員会全体としての評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文章については、私にご一任いただきたいと存じます。場合によっては、個別に各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際にはよろしくお願いいたします。
 次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。まず、事務局から試算結果についての説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 年金・健康保険福祉施設整理機構理事長より、独立行政法人評価委員会委員長あてに、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がございました。独立行政法人の役員の退職金については、平成15年12月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に、0.0から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされております。評価委員会では、この業績勘案率を決定していただきます。
 まず、法人からの依頼を受け、事務局において、当評価委員会が定めております「独立行政法人の役員退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、業績勘案率を試算いたしましたので、その結果をご説明し、次に各委員にこの試算結果についてご審議いただきます。今回算出した数値については、部会の決定を評価委員会の決定とし、総務省行政評価・独立行政法人評価委員会に通知いたします。同委員会から意見があれば、改めてこの部会でご審議いただくことになります。なお、意見がない場合は、部会長にご報告をし、最終決定となります。
 それでは、資料1-3に沿って説明させていただきます。委員の方々は併せて資料集の154頁をお開きください。業績勘案率の決定方法についてという通知が入っております。
 資料1-3です。退職役員は、水島藤一郎氏、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の前理事長です。在職期間は、平成17年10月1日から平成24年3月31日です。業績勘案率の算定ですが、当該役員の在職期間中である、平成17年度から平成23年度の年度評価の評価結果について、S=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1点で評定を数値化し、その平均を取ります。さらに、この平均値が1.5以上の場合には1.5、0.51から1.49までは1.0、0.5以下は0.5と置き換えて、今回の場合はすべての年度において1.5を上回っておりますので、1.5となっております。在任期間中のすべての年度において、各分類に対応する率が1.5ですので、(3)の業績勘案率は1.5となっております。(4)の役員の在職期間における目的積立金等の状況につきましては、当法人は制度上目的積立金を積むことはできませんが、年金福祉施設等の売却において、出資額を204億円上回る価格で売却を行っております。(5)の退職役員に係る職責事項についての申出は、法人からは特にございませんでした。
 こういったことを踏まえ、事務局としては、法人の業績は高く、委員会決定方法により、試算結果は1.5となる。目的積立金は計上していないが、国から出資を受けた年金福祉施設等の売却額は、出資価格を204億円上回っております。また、施設譲渡、病院譲渡スキームの構築等に、理事長の指導力が発揮されていることから、業績勘案率が1.0を超えることは妥当と考えております。
 次に、業績勘案率をいくつにするかですが、法人発足以来、運営全般に関し指導力を発揮し、特に施設等の譲渡実績については、予定どおり全施設の譲渡を完了するとともに、出資価格を204億円も上回る実績を上げていること。また、過去の1.0を超える実績として、厚生労働省所管法人において、副理事長、理事で業績勘案率1.2で同意を得ている法人の目的積立金等の状況については、平成21年度決算において、348億円の余剰金のうち、目的積立金が256億円であったこと。これについては、法人の規模等も違いますので、そのままを比較することはできませんけれども、在職期間中に256億円の目的積立金をしたところの理事たちが1.2を当委員会から申請をして、政・独委の方から、特に意見はないという了解を得ているというような状況を勘案しまして、事務局としては今回は特に成績もいいと。また指導力を発揮している理事長であるということも踏まえ、業績勘案率は1.3としてはいかがということで、事務局案を出しております。以上です。

○山口部会長
 続きまして、この退職役員の在任期間中の担当職務等について、法人から簡単にご説明をお願いします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務課
 RFO総務課です。水島前理事長の業績について、2枚目の資料によってご説明いたします。時間の関係もありますので、簡潔にご説明させていただきます。
 まず、前理事長の最大の功績は、国から出資された300の施設を、当初の予定どおり5年間で売り切ったことと考えております。保養施設等の売却について、立地の良い都市部の物件だけではなく、一部には非常に売却が困難な物件もあったこと。また、2008年、いわゆるリーマン・ショックより不動産市場が冷え込んだことなど、マイナスの要因があったにもかかわらず、一から売却のための組織であるRFOを作り上げ、前例にとらわれない売却の仕組みを作り、当初の存続期間であった5年間で目標を達成したことは、前理事長の功績と考えております。
 さらに、RFOにおける売却は、いわゆるたたき売りではなく、資料2枚目の下から4行目から2行目にありますとおり、売却の際の不動産鑑定評価額と比べれば、1,084億円の利益を出しております。さらに、出資額に比べても204億円上回っており、結果として国の財産を毀損せず処分したことは成果と考えております。
 なぜこのような売却を可能としたのか。資料2枚目の裏の頁の中段から7つのポイントを挙げさせていただきましたが、いくつかのポイントに絞ってさらにご説明したいと思います。
 (1)組織と人についてです。ひとつのプロジェクトを完成させるためには、組織と人材が必要です。前理事長は今回のプロジェクトの遂行に必要な専門的な知見を持った民間人について、自ら企業と交渉し、人材を確保しました。さらに、出身母体の違う、背景が異なる人材が、1つの目標に向けて仕事をする場として、情報の共有を重視するとともに、最高責任者の迅速な意思決定が可能となるように、RFOを組織しております。
 (2)マーケティングの導入です。従来、公的な財産の売却といえば、一方的に官報に公告を行い、入札の申込みがあるかどうかわからないというような売り方が行われておりました。その結果、入札にかけても誰も手を挙げてこないというような状況が生じることがありました。一方、私どもRFOにおいては、民間の不動産売却と同様に、まず買受ニーズを調査し、ニーズに沿った物件の提供という方法を採りました。これにより、多くの入札参加者の開拓、引いては競争によって時価を上回る利益の確保ができたと考えております。
 関連して、3枚目の裏面の(5)です。不動産支障の解消ですが、従来、公的な財産の売却であれば、どうせ売ってしまう物件にさらに費用をかける必要はないということで、そのような考え方はありませんでした。このため、当該物件が道路に接していないなど、仮に購入しても使い勝手の悪い物件については、入札にかけても誰も手を挙げてこないといった状況が生じることがありました。一方、私どもRFOにおいては、先ほどお話しましたとおり、買受ニーズに沿った物件の提供が基本であること、また不動産支障を解消して、不動産の価値を上げられるのであれば、積極的にこれに取り組み、支障解消後に入札にかけております。
 前後しますが、(4)地方公共団体への支援要請です。これは、主に固定資産税の軽減、減免についてのお願いです。もちろんすべてがうまくいったわけではありませんが、理事長が首長に直接お願いする方法により、相当数の自治体にご理解を賜り、売却に結びついたものと考えております。これら売却に関するスキームは、前理事長が先頭に立って作り上げ、先頭に立って走った成果だと私どもは考えております。
 また、RFOの人員については、資料の4枚目の裏面の上段ですが、最大でも平成19年度・20年度は38名であり、業務量に応じた必要最小限の人数とし、高い生産性を確保することにより、人件費の節減を図ってきたところです。また、人件費以外の経費についても、費用対効果を考慮するとともに、国が少額であることを理由に、随意契約を行う金額を下回る基準を設け、調達について幅広く入札を行うことにより、経費の適正化に努めたところです。
 最後になりますが、後ろから2枚目の紙の(6)国庫納付をご覧ください。先ほどのご説明と重複しますが、このような形で保養施設等の売却による収入の確保、人件費の適正化により、平成21年度末現在で2,024億円の国庫納付を行いました。保養施設の売却を完了させたこと、相当の国庫納付を行ったことをもって、ご説明のまとめとさせていただきたいと思います。

○山口部会長
 それでは、委員の皆様からご意見等ございましたらお願いいたします。

○光多委員
 最初にお伺いしたいのですが、この1.3というのは、例えば厚労省所管の独法の中でいくとどういうレベルになりますか。

○政策評価官室長補佐
 今回初めて出します。いままでの実績としましては、1.2というのが最高です。

○光多委員
 我々は、前理事長の業績については、在任期間中ずっと見ておりますので、大変理解はできているのです。ただ、世の中一般には独法に対する風当たりが厳しい。おそらくこれでいくと、新聞に一度出たことがありますが、全物件をそれなりに売りましたよということなのだけれども、購入価格に比べると、大幅な低価だというのがマスコミの見方だと思うのです。その点ですと、購入価格に比べて、8分の1か10分の1かわかりませんが、大幅な欠損を出したのに、お手盛り評価だと言われる可能性もあるので、どこかで書いた方がいいと思います。2つ書いた方がいいと思います。1つは、先ほど少しご説明がありましたが、購入価格のときに比べると、環境が厳しかったと。先ほどの不動産を処分されたときの環境が非常に厳しかった中でというのが1つあるのと、もう1つは質的な面で、地域の雇用を維持しながらという、質的な面の制約の中でこれだけやったと。この2つを書かないと、独法への風当たりが厳しいので、そういう形になるかもしれませんので、そういうことを付け加えた方がいいのではないかと思います。

○政策評価官室長補佐
 そこはもう少し肉付けをしてやりたいと思います。
 
○山口部会長
 ほかにご意見ございますか。光多委員のいまの1.3というのは、もうそれでよろしいですか。

○光多委員
 私は1.3でも少し低いかなと思っているぐらいなのですが、ただこのまま世の中に出ますと、たぶん初めて見る人は、購入価格に比べて大幅な欠損を出して処分したと。いろいろ努力されたというのは、ご説明で我々にはわかるのですが、一般の人にはそこは受けないので、いま申し上げた2つの条件の中でこれだけおやりになったという形を付け加えたらいかがかなと思います。

○山口部会長
 ほかにご意見ございますか。

○安達委員
 いま、国家財政に関して、随分いろいろなことが言われていますし、一体改革という形で我々のところに非常にいいような話が出ているわけですが、国民の感情として、やはりあまりにも政府が大きくなり過ぎて、負担が大き過ぎると。そういう意味ではもっと経費を節減できるのではないかと。それを実践したという意味では評価すべきだし、国の行政全体に対して範を示しているという形で評価をしてもらってはどうかと思います。極端なことを言いますと、国の管理機構を1つ立ち上げて、国家財政を全部洗い直しすることなども、こういう組織でありますと可能ではないかなと、期待を持てるのではないか。それぐらいの評価をして、今回は1.3がいいのか1.5がいいのか、その数字についてはあまり詳しくわかりませんが、今回は最高の評価をして、財政の持ち方、やり方についても1つの範だというような評価をしていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大野委員
 安達委員のいまのご指摘の補足なのですが、こういった成果に対して、これから国有財産を売却するということを計画しているほかの法人がいるときに、こちらのRFOのいままでやってこられたスキームについて問い合わせがたくさん来ているといったような現状もありますので、これまでの5年間について、一定の評価というのがあるというところも、強調されてもよろしいのではないかと思いました。

○山口部会長
 ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。

○川北部会長代理
 確認なのですが、この係数に関して、厚労省では1.3というのはいままでなかったということなのですが、ほかの省庁の独法に関してはどうなのですか。

○政策評価官室長補佐
 全省庁含めまして、これまで1.2が最高でございます。

○川北部会長代理
 そういう意味では、1.3というのは、踏み込んで評価をしたわけですね。

○政策評価官室長補佐
 厚生労働省の法人の中でも、業績評価だけを見ますと、やはりRFOさんがいちばん評価が高いということもありまして、特に理事長の指導力というのは大きいという話もありますので、今回初めて1.3ということで、案を出しております。

○安達委員
 これは理事長に対する評価という話ですが、私はRFO全体に対する評価が、結果的には理事長への評価になるのだと思います。そういう意味では、躊躇なく点数を上げていいと思います。過去の実績や実例だけではなくて、今回はRFOに対する評価はこうだという部分で、強引にやるべきだと思います。

○山口部会長
 過去に例のない1.3ということのようですが、数字の水準については1.3でよろしいということでいいですか。ほかにご意見ありますか。

○光多委員
 いまご説明があったように、独法の中で1.3が初めてというと、やはり前の2枚が一応この会議の結論になると思うのですが、先ほど申し上げた意見も含めて、もう少し1.3を理論武装する形にしないと。このままだと国庫納付というのは、やはりマスコミからすると取得価格ベースなのですね。そこからすると、もうちょっと付け加えて理論武装された方がいいと思います。このままだと環境が厳しい中で。特に独立行政法人としての存在意義を十分に発揮したというのが一言なのですね。そこにつなげていただいて、前のところをもう少しアクティブな評価にしていただいた方がと思いました。

○政策評価官室長補佐
 そこは修正させていただいて、理論武装した形で出したいと思います。

○山口部会長
 よろしゅうございますか。それでは、今いろいろご意見を頂戴いたしましたように、表現についてはもう少し積極的な意図が汲み取れるような文章を付け加えていただくといったようなことを含めまして、申請のあった業績勘案率につきましては、原案のとおり、1.3と決定することとしてよろしいですか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございました。なお、先ほど事務局からご説明がありましたとおり、決定いたしました業績勘案率につきましては、政・独委に通知をいたしまして、意見の有無の確認を行います。政・独委から意見がない旨、当委員会に通知された後は、ただいま決定しました業績勘案率を当委員会の最終決定として、年金・健康保険福祉施設整理機構理事長に通知することといたします。
 それでは、ここで法人の入替えを行いますので、5分ほど休憩を取ります。その間に事務局が評定記入用紙を集めますので、よろしくお願いします。開始時間は10時10分としますので、よろしくお願いいたします。
(法人及び所管課入替)

○山口部会長
 それでは次に、年金積立金管理運用独立行政法人についての審議を行います。まず、財務諸表につきまして、安浪委員のほうからご説明をお願いします。

○安浪委員
 財務担当の安浪でございます。年金積立金管理運用独立行政法人の平成24年3月期の財務諸表につきましては、会計監査人であります有限責任あずさ監査法人から、平成24年6月19日付で適正意見が表明されております。
 平成24年3月期の決算概要ですが、まず貸借対照表での流動資産は102兆9,000億円で、固定資産が10兆7,000億円ですので、総資産は113兆6,000億円となります。負債は110兆5,000億円、純資産は3兆1,000億円ですから、負債・純資産の合計では113兆6,000億円となります。次に損益計算書ですが、経常収益が今年度は2兆6,000億円です。前期が3,000億円の赤字でしたから、前期と比べまして2兆9,000億円の大幅な増益となっております。経常収益から経常費用と臨時損失を差し引きました当期総利益は2兆6,000億円となります。前期の当期総利益は3,000億円の赤字でしたから、前期と比べまして2兆9,000億円の大幅な増益となりました。
 前期比較等のヒアリングを行いましたが、特にコメントすべき事項はございません。
 以上、申し上げましたことから年金積立金管理運用独立行政法人の平成24年3月期の財務諸表については、適正であると認めてよろしいかと存じます。以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。では、ただいまご報告をいただきました年金積立金管理運用独立行政法人の財務諸表について、ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは平成23年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは次に、年金積立金運用報告書について所管課よりご説明いただきまして、これに対する質疑を行います。それでは、よろしくお願いいたします。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 では、資料2-2の年金積立金運用報告書を説明させていただきます。表紙をめくっていただいて、目次の次が1頁となっています。
 1頁の「はじめに」の部分です。この年金積立金運用報告書の位置付けですが、この報告は管理運用法人法第28条第1項に基づき、厚生労働大臣が年金積立金の運用が年金財政に与える影響について検証し、こちらの独立行政法人評価委員会に報告するものです。こちらの評価委員会のほうでは、年金積立金管理運用独立行政法人の当該年度における中期計画の実施状況の調査・分析の結果に加えて、この報告の内容を考慮して、各年度における業務の実績について、総合的な評価を行うことになっています。
 2頁及び3頁で今回の報告の概要を説明させていただきます。枠の中にありますが、年金積立金の運用実績につきまして、管理運用法人で管理する積立金と年金特別会計で管理する積立金を合わせた積立金全体の平成23年度の運用実績は、2.17%、額で約2.6兆円の収益という状況でした。また、年金積立金の自主運用の開始の平成13年度からの平均では1.62%、累積の収益額では25.2兆円という結果となっています。この内訳ですが、下の(1)に書いてあります。管理運用法人において管理する積立金の収益額が2兆5,000億円余りで2.29%、年金特別会計において管理する積立金の収益額は、その一部を財政融資資金に預託して運用するものですが、これが20億円、0.03%の収益で、トータルして、先ほど申し上げた結果になっています。
 また、下の(2)で、これまでの運用実績としまして、11年間にわたる運用結果の収益額や収益率についてグラフでお示ししています。
 それから3頁ですが、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価です。枠の中ですが、年金積立金の運用実績は財政再計算、財政検証の前提を上回っており、平成23年度、単年度では3.10%、平成13年度からの11年間の平均では1.70%上回っているということで、年金積立金の運用は年金財政にプラスの影響を与えているということです。ここでの年金財政に与える影響に関しましては例年通りの評価方法であり、公的年金の年金給付額が長期的にみると名目賃金上昇率に連動して増加することになるため、運用収入のうち、賃金上昇率を上回る部分が年金財政上の実質的な収益となります。このため、運用実績の評価は名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」について評価を行っています。
 下の表の[1]ですが、平成23年度の単年度です。単年度における財政検証上の前提につきましては、実質的な運用利回りが、右から2つ目の欄ですが、-0.72%になっておりました。これに対しまして、平成23年度の実績ですが、名目運用利回りが2.17%、そしてこの平成23年度における名目賃金上昇率が-0.21%で、これを差し引きまして実質的な運用利回りは2.38%で、先ほどの財政検証上の前提を差し引きますと、いちばん右の欄ですが、その差は3.10%になります。
 また、[2]の自主運用開始から、過去11年の期間についてですが、財政再計算及び財政検証上の前提では、実質的な運用利回りは平均で0.48%でした。これに対しまして、この11年間の名目運用利回りの実績が1.62%でした。名目賃金上昇率がこの間、-0.55%でして、これを差し引きますと2.18%です。これを財政再計算及び財政検証上の前提から差し引きますと1.70%になるということです。
 年金財政に与える影響につきましては以上です。枠の中にありましたとおり、年金財政にプラスの影響を与えていることになるというのが検証結果です。
 それから4頁以降、本文を記載しております。これにつきましては頁の構成の紹介に止めたいと思います。まず4頁から9頁までが年金積立金の運用の目的と仕組みについての概要を整理しています。特に9頁では、本年度承継資金運用勘定を廃止した年度ということで、この承継資金運用業務の仕組みですとか、廃止に伴う会計上の処理をどのように行ったかを記載しました。それから10頁から13頁までは、平成23年度の運用実績についてのより詳細なデータを整理したものです。14頁からの2ですが、14頁から16頁までが自主運用開始の平成13年度からの運用実績を整理した頁です。また、17頁から22頁にかけましては、それを各年度ごとに11年間にわたる収益の状況を表及びグラフにして整理したものです。そして23頁からは運用実績が年金財政に与える影響について、より詳細なデータを記載しています。23頁から31頁まで、例年に準じた形で文書及び表でデータを整理しています。そして32頁以降が参考資料です。
 以上が今年度の年金積立金運用報告書です。概要を中心にご説明させていただきました。

○山口部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました年金積立金運用報告書につきましてご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは次に年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について審議をしたいと思います。まず、年金積立金管理運用独立行政法人の起草委員であります竹原委員からご報告をお願いします。なお、議事運営の都合上、概ね10分程度でお願いできればありがたいと思っています。よろしくお願いします。

○竹原委員
 資料2-3-1をご覧ください。年金積立金管理運用独立行政法人の平成23年度業務実績の評価結果(案)です。年金積立金管理運用独立行政法人の平成23年度の総合評価につきましては、大野委員と私とで検討を行い起草しました。起草委員を代表しまして、私から評価書(案)2-3-1について概要を報告します。
 評価書(案)は資料2-3-1の原案の総合評価書の1~4頁にありますように、平成23年度業務実績、そしてそのあとの具体的評価内容及び年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価の3部構成です。時間も限られておりますので、ここでは1~4頁の平成23年度の業務実績を中心に説明させていただきます。
 まず1頁の(1)評価の視点ですが、平成22年3月に定められた第2期中期目標の2年度目として、閣議決定等や昨年度までの評価委員会において指摘された事項を踏まえて評価することとしています。なお、年金積立金の運用は長期的な観点からの運用が求められていることから、管理運用法人の評価にあたっても長期的な視点で評価することが重要である旨、付記しています。
 次に(2)平成23年度業務実績全般の評価ですが、年金積立金の管理及び運用に関する事項については、必要なリスク管理を行い、全体としては管理運用法人の設立目的に沿って、適切に業務運営が行われていると評価しました。1頁目のアから2頁目の上段にかけてですが、年金積立金の管理及び運用全般に関する事項については、平成23年度は東日本大震災に伴う自粛ムードの高まりや欧州債務問題、米国景気の減速懸念等により厳しい時期もありましたが、年度末にかけては復興予算の執行による公共投資の増加、欧州債務問題の一時的な不安緩和等により市況が好転した状況にあり、修正総合収益率ではプラスの収益となりました。また、市場平均を示す指標であるベンチマークと比較すると、外国株式についてはプラスの超過収益率を達成し、国内債券、国内株式及び短期資産については概ねベンチマーク並みの収益率となりましたが、外国債券についてはマイナスの超過収益率となりました。
 管理運用法人においては、運用受託機関との定期ミーティング、リスク管理ミーティング等により、リスク管理のための適切な取組を実施していると評価できます。
 次に2頁の中段ですが、年金給付のための流動性を確保するため、キャッシュ・アウト等対応ファンドを設置することなどにより、市場の価格形成に配慮しつつ、必要な資金を円滑かつ確実に確保できたことは高く評価できます。
 同じく2頁目のイですが、管理運用体制全般に関する事項について、業務運営の効率化と、それに伴う経費の節減効果に関しては、平成22年度の外国債券パッシブ及び外国株式パッシブ運用に係る運用委託手数料の更なる引下げを行った効果の平年度化により、管理運用委託手数料額は平成22年度比で約7.1億円減少したこと、国内債券パッシブの運用委託手数料率の改定等により、平成22年度比で約1.9億円のコスト削減の効果をあげたこと、職員宿舎の早期売却、節電等によりコスト削減に努めたことは評価できます。
 また、内部統制の一層の強化に向けた体制整備等として、内部統制の基本方針を策定するとともに、運用リスク管理委員会を組織するなど、適切な対応を行っているものと認められます。
 続いて3頁のウですが、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響については、実質的な運用利回りについて、管理運用法人で管理する積立金と年金特別会計で管理する積立金を合わせた、年金積立金全体の運用実績と財政再計算及び財政検証における前提等を比較すると、平成23年度、単年度、年金積立金の自主運用開始年度である平成13年度から11年間、管理運用法人が設立された平成18年度からの6年間のいずれについても、運用実績が財政再計算及び財政検証上の前提を上回っており、年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価することができます。
 次に具体的な評価内容の部分に関してですが、運用手法、財投債の管理・運用について収益機会の拡大のためエマージング株式運用を行うこととし、エマージング株式運用に係る運用受託機関を選定したこと等が評価できます。また、透明性の向上について、管理運用法人の役割、管理・運用の仕組みについてわかりやすく説明した資料を新たに作成し、掲載するなど、平成23年6月にホームページの全面見直しを完了したこと、運用委員会の議事録を一定の期間後に公開するように手続きを進めたことなど、透明性の向上に取り組んでいるものと評価できます。これらの点については、総合評価書の5頁で言及しています。
 その他、評価シートのコメント、前回の年金部会における議論を基に、概ねA評価を行っていますが、今後更なる積極的な取組を期待する事項については、その旨を報告書の中で指摘させていただいております。私からの報告は以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。各委員のご意見をいただきます前に、この総合評価書(案)の中に、国民からの意見募集について意見が寄せられたという記載がございますが、これに関してお手元の資料2-3-2をご覧いただき、所管課から説明をお願いしたいと思います。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 説明させていただきます。資料の中でいちばん終わりにありました1枚紙が資料2-3-2になります。記載してありますとおり、電子政府の総合窓口に掲載した資料を、本日の会議資料としてご用意させていただきました。年金積立金管理運用独立行政法人の評価にかかわるパブリックコメントを行っていた結果を、業務・マネジメント等に関する意見募集の結果ということで、本委員会の名前にて結果を公表させていただいています。標記については、平成24年7月17日から7月31日までの間、厚生労働省のホームページ等を通じご意見を募集しており、2つのご意見、延べ2件のご意見をお寄せいただいております。
 いただいたご意見のうち、1件を次頁に整理しております。本意見募集の対象になる事項についてのみ、取りまとめたものです。この委員会においてこのご意見も参考にしていただいて、評価をお願いいたします。
 裏側をご覧いただきまして、整理したこの1件の意見ですが、一応運用の目標、リスク管理等に該当する内容ということになるのではないかということです。ご意見の内容ですが、管理運用法人における運用について、金などによる運用を行っていないのかという内容で、以下の内容は省略させていただきますが、こうした資産による運用についてのご意見をいただいているということです。基本ポートフォーリオを策定すること自体が管理運用法人の業務であるということがありますので、このご意見の内容が直接総合評価に反映するかどうかということはありますが、こうした形で整理して、本日資料として配付させていただきました。
 なお、ここで整理していないもう1つのご意見ですが、これは確定拠出型年金における運用機関の手数料が高いというような内容で、これは管理運用法人とは全く関係のない内容でしたので、所管課のほうにそのようなご意見がきているということで、情報提供して処理させていただいております。

○山口部会長
ありがとうございました。では、ただいまご報告いただきました総合評価書(案)について、ご意見等がございましたら各委員からよろしくお願いいたします。

○光多委員
 まずお伺いしたいのは、独法の最大の指標というのは、どの程度の運用成果があったかということが端的だと思うのです。これについてご意見をお伺いしたいのですが、評価書の2頁に、修正総合収益率ではプラスの収益率を得ることができた。資産ごとに市場平均を示す指標であるベンチマークと比較すると、外国債券についてはこれこれと書いてあります。どういう基準でこれを評価するかという形なのですが、中期目標とかはこの資料の全体を拝見しますと、いちばんメインになっているのは各資産ごとのベンチマークで、超過収益率がどのくらいあるかという形になっているわけです。その前に、修正総合収益率をメインの運用の成果としておられるような評価に受けとられるのですが、この辺はどう解釈したらよろしいのでしょうか。ベンチマークの超過収益率が第1次指標であるとすれば、そこに対してどうであったかと。ちなみに修正総合収益率ではどうであったかという形のほうがわかりやすいかなという感じもします。その辺はいかがでしょうか。

○竹原委員
 評価基準が必ずしも明確になっていないということで、このような表現にさせていただいています。まず、対ベンチマークということでいうと、これは従来から対ベンチマークで超過リターンが得られたかということで我々は評価を行ってきたのですが、それともう1つは、これまで第1期の中期計画においては、実質賃金上昇率との対比ということで、それを基に基本ポートフォーリオも決定されていたわけです。現行の中期計画においては、賃金上昇率との関係が基本ポートフォーリオ策定上も曖昧な形になっていますので、それに替わるというわけではないのですが、1つの評価の尺度として、ここでは今年の総合評価においては、修正率をそれに準ずるものとして入れています。そのような理解で総合評価の起草となっています。これについては法人から補足説明をお願いできればと思います。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役
 いま竹原先生がおっしゃったとおりと認識しております。もう少し正確に申し上げますと、資産ごとの超過収益率の目標は単年度はいわば「努める」ということで、中期計画期間が終わった段階では「確保する」という書き方になっております。そういった中でいま先生がおっしゃったようなことで、こういうようにご評価いただいているものと認識しております。

○光多委員
 そうすると、この運用のメルクマールというのはあくまでも実質賃金上昇率という延長線上で考えているということなのでしょうか。全体の骨格からすると、確かに実質賃金上昇率はベースのものだと思うのですが、例えば賃金上昇率の計算の仕方などが本当にそれでいいのかという話があって、ベンチマークとの関係で、どのくらい超過収益が出たかという形が、非常に代表的なインデックスだと思っていたのです。これは根幹にかかわる話なので、何を基準にして運用実績をやるかという形だけは、明確にしたほうがいいと思います。逆にいくと、今、もしおっしゃった形があるとした場合でも、いきなりここで修正総合収益率ではプラスの収益率ができた、これがまず最初に出てくるわけなので、これはわかりにくい。例えばいまおっしゃったことでいくと、標準的な代表的なインデックスは実質賃金上昇率を基準とするものであり、そこに対してこれを提供してやったという形を述べられないと、唐突だという感じがします。

○竹原委員
 おっしゃることはごもっともなのですが、かつては賃金上昇率との対比において財政計算上もそのようになっていたわけです。現時点では賃金上昇率と目標収益率との関係が、第2期の中期計画においては、そもそも制度も財政計算の問題にさかのぼって不明瞭な形になっている状況なので、法人としてもその点についてはご苦労されているところでしょうし、その中でなかなか逆に総合評価書の中で賃金上昇率との関係で評価するということは書けないという状況です。この原案の内容で、もちろん問題があることは私も認識はしていますが、ご理解をいただければと思います。

○光多委員
 だから実質賃金上昇率はあまりインデックスにはならないという話で、そうすると。

○竹原委員
 インデックスになるならないというか、そのような前提が現時点ではないということです。

○光多委員
 ないということですね。

○竹原委員
 はい。

○光多委員
 先ほどのご説明の延長線上でいくと、修正総合収益率が出てきたというふうにも受け止めていたのですが、ともかく運用成果を測定する尺度の1つである修正総合収益率ではプラスの収益率ができたというのが冒頭出てくるというのが骨格になるとすれば、先ほど申し上げたように、むしろベンチマークに対する超過収益率のほうがこうであったと、そちらのほうがメインのインデックスかなと。ちなみにという形でこれをやるのはいいですが、尺度の1つであるというのが突然出てくるというか、いちばん最初にメインで出てくるというのに違和感があったのです。

○山口部会長
 順番の問題ですか。

○光多委員
 というか、何がメインかというと、私は中期目標にあるように、ベンチマーク超過収益率がメインではないかと思っているのです。そうすると、その前に中期目標にもない修正総合収益率が、しかもそこの中に尺度の1つであると書いてあるので、メインの尺度でこれをやるべきではないかと。

○山口部会長
 ほかの委員の方はご意見、いかがでしょうか。大野委員、何かありますでしょうか。

○竹原委員
 確かに光多委員のご指摘というのは、わかりにくいという意味では確かです。我々はここで第1期の中期計画での賃金上昇率との関係で評価がなされていたということを背景図式として知っているのでこういう書き方になっているわけです。これがそういった経緯を記憶していない方のところに行ったときに誤解を与える可能性があります。先ほど部会長がご発言なさいましたが、運用成果を測定する尺度の1つである修正総合収益率では、以降の記述のところをベンチマークに関する記述と順序を入れ替えて、かつ運用成果を測定する尺度の1つであるという部分の文言を補足説明するといったことで修正を図りたいと思いますが、それでいかがでしょうか。

○山口部会長
 ありがとうございます。

○光多委員
 このベンチマークの超過収益率がこの後3回出てくるのです。修正総合収益率がここで出てきて、あと出てこないので、そういう点でいくと、全体を読んだときに何か調整していただいたほうがいいかというのが1つです。
 もう1つ、今期は若干後半にかけていい風も吹いてきたこともあって随分頑張られたと思うのです。国内債券や国内株式については、一応ベンチマーク並みの超過収益率という形なのですが、マスコミ的なところの外部から見ると、どうやっても2勝3敗ではないかと。確かに評価書を見てもベンチマーク収益率のところは事実を書いておられて、評価の文章がないのです。これについては概ねだったとか、こういうことになって運用成績は実績を得られたとか。そういうコメントがなくて実際に書いておられるので、その辺は随分意識されておられると思うのですが、全体として外部から見るとわずかな差ですが、2勝3敗なのは間違ないので、そのところをニュアンス的に少し文言で解決できないかというのが、率直な印象です。しかもこの3行の同じ文章が3回出てくるのです。そしてその3回ともすべて評価的な文言ではなくて事実だけを述べておられるので、ここのところをどのように処理するのか。

○山口部会長
 もうちょっとニュアンスをという、どういう感じなのでしょうか。

○光多委員
 ニュアンスとしては率直に言えは、全体的にはベンチマーク並みの超過収益率をほぼ達成しているが、ベンチマーク収益率で見ると、やはりわずかにマイナスであることは残念であるとか、何かそういうことかなという感じがするのです。ここのところの評価をどう考えるかです。中立的な表現をされているのですが、2勝3敗には違いないので、そういう点でいうとわずかに及ばなかったとか、ここについては、やや残念であるとか。残念であるというのは言い過ぎだと思いますが、何らかの評価をしていただいたほうがいいかという感じがします。
 竹原委員においてはその辺についてはどんな議論をされたのでしょうか。

○竹原委員
 確かに対ベンチマークでプラスの場合もマイナスの場合もほぼベンチマーク並みなのです。ただし、私は個人的にはこの分野の研究者として、ここについて残念だという表現は避けたいのは、運用のコストですとかリスク管理など付随するいろいろな努力を法人がされてのことですので、ベンチマーク並みであれば、この部分は評価ではAとなっていますが、それが妥当ではないか。むしろ下回ったことについて、否定的な見解は、ここでは明示的には述べたくないということです。

○光多委員
 もしそうであれば、例えば民間の運用機関であれば利益だけ上げればいいという形で、いろいろな形でやれると思うのです。法人の性格上、市場への影響力とかがあります。そこについては制約があるので、その制約の中ではそれなりの形ができたと考える、ここに何らかの評価を入れたい。事実だけを書かれたのでは評価書にはならないかなというのが率直な印象です。

○竹原委員
 その部分の評価については、例えば5頁で触れていますように、エマージングの株式運用といった新しい運用の形態について取り組まれたということ。市場の株価形成に歪みを与えないという意味で、キャッシュ・アウトへの対応を十分に行ったという意味で、その点については高く評価するということで書いています。
 いま光多委員からご指摘のありました制約、あるいは法人としての性格を鑑みてという部分に関しては、そちらの部分で評価をしているということで考えています。

○光多委員
 エマージンとキャッシュ・アウトはちょっと別問題だと思うので、いちばん根っこの部分の運用がどうだったかということについて、何らかの評価をすべきではないかと思うのですが。

○大野委員
 この段落のところで、法人が運用している資産の規模が非常に巨額であるというのが1つの特徴で、昨年は欧州債務問題が発生したりとか、市場の混乱が起こったということで、こういった状況下で巨額の資金を動かすことが1つの制約になるということもあり得るのではないかということです。その中でこういった運用成果を上げたということで超過収益率がプラスであったかマイナスであったかという記述の前に、状況がどういう状況であったかということの記述を一応書いてあるということではあるのですが、その前半のマーケットを取り巻く状況と、パフォーマンスがどうであったかというところが、もしつながりがわかりにくくて、そこを追記する必要があるということでしたら、そこについては何らかの追加をする必要があるのではないかと思います。

○光多委員
 なるほど、いまおっしゃったところでいくと、2頁の上のほうに確かに巨額であると。運用についても、あまりフリーにやれる話ではないのですよというのがあって、したがって例えばこういう金融の状態が厳しいとき、混乱しているときには、この法人はそこのところが市場よりもむしろマイナスが大きくなってくるのだと。そのような解釈であると、この辺はわかりやすい。だからこの辺についてまだ議論があるところだと思うのです。巨額であり、自由がそんなにきくわけではないので、金融危機があったというような前提の中でいくと、ここまできたのはそれなりに評価できるとか、何かそういう形の論理であれば私はわかるのです。とにかく何か評価の文言がないので、どういう環境の中でこの2勝3敗ということを何らかの形で評価に結び付けていただけないと、これはいちばん骨格のところだと思うのですが、そこを申し上げているのです。

○竹原委員
 いま大野委員からも指摘がありましたが、管理運用法人の最大の特色というのは運用規模の大きさであると思います。先ほど所管から説明のありました運用報告書をご覧いただければわかるかと思いますが、例えば株式のファンドの場合に多くのファンドが1,000億円以上の規模のファンドになっています。1,000億円以上の規模のファンドで、対ベンチマークでプラスのリターンを獲得するというのは市場の価格形成の影響等を考えますと、非常に難しいことであるというのがアカデミックな世界での認識で、そういったこともあるので、この点についてベンチマーク並みの収益率が確保されていることが決して劣っているものではない、むしろ管理運用法人の資産運用規模を考えた場合に、相当な努力の結果であるということを、何らかの文章として補足する形で取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。

○川北部会長代理
 もう1点、1頁のいちばん下になお書きで長期的な視点から評価するのが重要だと書いてあるのですが、そういう観点からいきますと、今年度は光多委員が言われるように2勝3敗で多少負け越しているという見方もできなくはないのですが、評価シートの5頁を見ますと、第2期中期目標期間中の平均の収益率としては超過収益率が対ベンチマークで、いずれもわずかですがプラスということも、少し書き加えたほうがいいのかという気がしたのですが、その点はいかがなのでしょうか。

○光多委員
 そこはやはりあくまでも平成23年度の評価なので、中期長期間の話はサブの話であって、平成23年度は。

○川北部会長代理
 ここになお書きが書いてあるのに、長期的な視点に立った評価というのが、たぶんこの評価書の平成23年度の業績評価の中では出てこない。全体の取りまとめの中に出てこないというのは、私は多少違和感を持っているのです。

○山口部会長
 なお書き的に書く分にはそれはよろしいのではないかと思います。今、いろいろご意見をいただいていますが、光多委員からのご指摘もありますので、このままではなくて、若干この運用成績にかかわる部分について、一部表現の追加をすることが必要かなと感じております。先ほど来、竹原委員、大野委員からもご意見がございましたように、これを妥当であったということで評価するような表現を全体の制約との関連で少し追記していく。それからいまお話がありました川北委員からの中長期的視点からのものも含めて、全体としていちばん肝心な運用成績についての当委員会としての評価にかかわる部分が若干弱いというご指摘だと思いますので、その辺のところを少し修正させていただくということで、よろしゅうございますでしょうか。

○光多委員
 はい。

○山口部会長
 それでは文言は考えさせていただくということで、そのように進めていきたいと思っております。ほかの部分等でご意見等はございますでしょうか。

○光多委員
 もう1つ、法人にお伺いしたほうがいいかと思いますが、この前の説明書の中で、基本ポートフォーリオについては運用委員会で、長期的な市場の構造変化については現在のところ確認できないとの結論を得て、基本ポートフォーリオを維持することとしたというのが文章にも説明にもあったのですが、その後、ホームページでどの辺でその辺の議論が行われたのかなというのを拝見しました。年の初めに若干そういう議論があるのですが、マーケットが混乱しているときには、あまり議事録の中にはそういう言葉がなくて、本当にこの運用委員会でそういう結論が得られたという形で、したがってポートフォーリオについては現状のままでいいのだという考え方でよろしいのかどうか。私はこれだけ動いているときに、基本ポートフォーリオがどうかという形は、法人では常に見直しておかなければいけないので、運用委員会からそういう結論が得られたからそれでいいのだという、そういう形での解釈はいかがなものかなと思うのです。もしそうであれば、例えばホームページで明確に出されたらいかがでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 前回の説明資料の22頁、23頁で、例えば平成23年10月の運用委員会での議論として、これは議事要旨からの抜粋ですが、リスクの根本のところは金融なのではないか。ただし、いまのところマクロ的な指標から見れば市場の構造変化は起こっていないのではないか。こういった形で、もう1つは平成24年3月、これは年度末ですが、このときの議事要旨においても、リーマン・ショック時には分散投資効果が一時的に効かなかったが、それ以降は流動性供給を各国中央銀行がオペレーション等を通じて行ったため、イベントリスク発生時にはピンポイントで分散投資効果は効いている。分散投資効果が効いていることはリーマン・ショックのような市場が一方向に動いているというような状況ではないという意味において、一応現行の基本ポートフォーリオの分散投資効果が有効であるという確認がされているということですので、こういう形で運用委員会においてはご説明したような形で基本ポートフォーリオの見直しは必要ないという結論になっているということです。

○光多委員
 運用委員会でも運用委員会としてこういう結論を出したのだと。長期的な市場の構造変化については確認できないので、ということの結論を出したということは運用委員会としても確認しておられるわけですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 それはしております。

○山口部会長
 ほかの項目はいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは総合評価書についてはいろいろご意見をいただきましたので、そのいただきましたご意見を反映する形で修正を加えまして、平成23年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。具体的な修正については私が事務局と調整して決めさせていただくという形でご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○山口部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。それでは最後に法人の理事長からコメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
 本日は平成23年度の私どもの業務実績について、全体として積極的な評価を賜りまして、厚く御礼申し上げます。この先、この第2期中期目標期間中で、いちばん留意しなければいけないものは、やはり年金特別会計からの多額の寄託金の返還、いわゆるキャッシュ・アウトにいかに適切に対応するかということであると考えております。これまでのところ、さまざまな工夫によりまして、マーケットにさしたる影響を与えることなく、多額の資産売却を実行できましたが、今後とも従来同様、市場動向の分析調査等に力を注ぐとともに、マーケットインパクトに配慮しつつ、円滑かつ効率的な売却を進めてまいりたいと思っております。
 また、先般申し上げましたとおり、現実のキャッシュ・アウトの金額が平成21年度の財政検証の際に想定した金額をかなり大きく上回って推移しているということ等に鑑みまして、昨年度新たにキャッシュ・アウト等対応ファンドを設置したところですが、その規模については今後とも適切に見直していきたいと考えております。
 また、私どもの最も主な役割である資金運用面ですが、最近の市場動向を見ますと、引き続きユーロ圏内での財政問題が長引きそうな状況にあることに加えまして、米国経済や振興国経済の動向についても、不透明感が依然として高い状況にあります。また、国内では長期金利の超低金利という事態がさらに一段と強まっているということで、私どもは資金運用面では引き続き極めて厳しい環境が続いていると認識しているところです。
 引き続きこうした中で各種のリスク管理に努めながら、市場動向をよくにらみ、状況に応じて適切な対応を運用委員会にお諮りしつつ検討する等、長期的な観点からの安全かつ効率的な運用に資するよう努めてまいりたいと考えております。
 このほか、外部の運用受託機関の見直し、人材の育成、内部調整の充実、業務運営の効率化、これに伴う経費節減など、本日の評価書の中でご指摘いただいた点も踏まえつつ、引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。
 先生方からも引き続きよろしくご指導を賜るようお願いを申し上げて、私の挨拶に替えさせていただきます。

○山口部会長
 ありがとうございました。では、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、ここで評定記入用紙の修正確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。先ほどと同様、5分程度で評定記入用紙の確認や修正をお願いします。
(評価シート記入中)

○山口部会長
 それではこれをもちまして、年金積立金管理運用独立行政法人の平成23年度業務実績評価に関する意見を取りまとめいたします。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただきたく存じます。
 それでは本日の議事は以上です。なお、本日ご審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、政・独委への通知、公表の手続きが行われることになります。
 それでは事務局から今後の予定と連絡事項についての説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 本日ご審議いただきました法人の総合評価書については、事務手続きを進めさせていただきまして、後日、委員の皆様方に確定版を郵送いたします。また、正委員の皆様におかれましては、8月31日の金曜日9時半より省内の専用第14会議室において、評価委員会の総会が予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、評定記入用紙については部会終了後、事務局において回収いたしますので、お持ち帰りにならないようお願いいたします。

○山口部会長
 それでは本日の部会はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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