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2012年8月29日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第18回)議事録
○日時
平成24年8月29日(水)12:57~14:10
○場所
厚生労働省共用第8会議室
○出席者
猿田部会長代理、内山委員、祖父江委員、花井委員、本田委員、三好委員、和田委員 |
○議事
(以下、議事録)
○猿田部会長代理
少し時間が早いのですが、委員の先生方が大体お揃いですので、これから第18回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開催させていただきます。委員の先生方、がんセンターの皆様方、大変お暑いところをおいでいただきましてどうもありがとうございました。本日、永井部会長がご欠席ですので、私が代理で進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは、本日の議事につきまして事務局からご説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
本日は議事次第にありますとおり、国立がん研究センターに関しましては、財務諸表に関する意見、総合評価、長期借入金に係る報告、役員報酬規程の改正について、国立精神・神経医療研究センターにつきましては、財務諸表に関する意見、総合評価、役員報酬規程の改正についての審議を進めていただきます。審議案件の進め方についてご説明いたします。
財務諸表に関する意見につきましては、担当の委員の和田委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえてご審議いただきます。次に総合評価についてですが、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草していただいております総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評定理由」案等につきましてご審議いただきます。その他の案件につきましては、その都度説明させていただきます。また、皆様にご記入いただいております評定記入用紙につきましては、ご参照いただけますようお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議を踏まえて評定記入用紙を確定していただく時間を設けさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。資料のほうはよろしいですね。それでは、早速ですが、国立がん研究センターの財務諸表に関する意見に入りたいと思います。まず最初に、財務諸表に関しましては、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で厚生労働大臣が承認することとされています。それでは財務諸表につきまして、和田委員からよろしくお願いいたします。
○和田委員
それでは、財務諸表等の適正性についての意見を申し上げます。
1.概要。国立がん研究センターに対して平成23年度の財務諸表等の全般について質疑を行い、運営費交付金の処理を含め、その妥当性について確認いたしました。また、独立行政法人通則法第40条の規定に基づいて選任された、会計監査人である新日本有限責任監査法人より実施した、監査の方法及び概要に関し監査結果説明書をご提出いただき、確認いたしました結果、外部監査人の監査も適切に行われていると思量をいたします。
2.財務諸表についての意見。新日本有限責任監査法人の監査結果説明書によれば、延べ約1,615時間の執務時間をもって監査を実施しており、平成23年度の監査を十分に実施していることを確認しました。また、同監査人の監査結果は、財務諸表が適正に表示されている旨の記載がなされており、財務担当委員である私も財務諸表は適正に作成されていると判断いたしました。
3.財務状況について申し上げます。まず、お手元の国立がん研究センターの「財務諸表等」の5頁をお開けください。損益計算書があります。この損益計算書により、経常利益が11億5,900万円、当期純利益、当期総利益は、9億2,400万円です。これをセグメント別にご説明申し上げます。
同じく、「財務諸表等」の24頁をお開けください。「開示すべきセグメント情報」の箱の下から8段目に事業損益というのがあります。横に各セグメントが、そして、それぞれ、事業費用と事業収益を差し引きして事業損益が示されております。研究セグメントは3億3,200万円の黒字、臨床研究セグメントが6億3,200万円の黒字、診療セグメントが8億6,600万円の黒字、教育研修セグメントが6億4,400万円の赤字、情報発信セグメントが6億3,900万円の黒字、法人共通セグメントが6億6,600万円の赤字です。そして、いちばん右の法人全体としての合計推移ですが、11億5,900万円の黒字となっておりまして、事業収支比率、つまり、事業収益割る事業費用が102.6%となっております。
次に3頁をお開けください。こちらに貸借対照表があります。いちばん右の下に資産合計があります。1,303億円です。そして、4頁の上から3分の2ほどのところに負債合計があります。これが320億円になっております。資産合計から負債合計を差し引きまして、純資産は976億円です。そして、財政融資資金による借入金残高は176億円となっております。まず、資産合計に占める純資産の比率は74.9%、借入金の比率は13.2%で、特に問題のない財務状況となっております。また、財政融資資金の借入金の状況ですが、期首残高が154億円、このうち当期返済額として19億円、当期借入額として40億円ですので、期末残高は176億円、約21億円の増加となっておりますが、先ほど申し上げましたとおり、資産合計に占める借入金の比率は13.2%であり、借入金が特に多額であるという理解はいたしませんでした。
4.財務状況について。中期計画で目標としている収支相償という点から見ますと、平成22年度に引き続いて平成23年度は、経常収支においてともに2期連続の黒字であり、2年間での累積黒字は41億2,100万円となっており、現状において中期計画の目標達成は可能であると考えます。以上、国立がん研究センター23事業年度の財務諸表に対する意見です。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。すべて順調にいっているということですが、どなたか、ご意見はございますでしょうか。特にご意見がないようでしたら、この形でお認めいただいたということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
それでは、平成23年度の財務諸表に対する意見としてはこの原案どおりでということで、修正なしということで、これを取りまとめまして厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいですね。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
それではそのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
続きまして、平成23年度の業務実績に関する総合評価についてです。これに関しましては、起草委員である私からまず簡単に総合的な評価を述べさせていただきます。
評価に当たりましては、評定の結果と各委員の評定コメント、そして、7月25日のご議論の内容などを踏まえまして、平成23年度の業務実績について中期目標に掲げられた内容に照らして総合評価書を取りまとめております。
全体の評価としては、1番目、理事長のリーダーシップの下、昨年度に引き続き、職員の意識改革とともに組織運営体制の見直し、現場の裁量・権限の拡大等を通じた業務運営の効率化、国民に対するサービスの質の向上、財務内容の改善を図るための積極的な取組が行われ、経常収支率について、継続して100%以上を維持していること。
2番目、研究・開発については、厚生労働省の早期・探索的臨床試験拠点整備事業に全国5拠点の1つ、がんセンターの場合にはがん拠点として採択され、Phase1チーム、TR支援部門、医師主導治験などのセントラル機能を担う支援部門を構築し、人材及び設備などの整備を進めるとともに、実際の研究面では、血液によるゲノム研究を含む研究協力についてリサーチ・コンシェルジェの丁寧な説明に基づき患者の理解を求め、臨床試料と臨床情報を併せたセンター内のバンク整備を進めたこと。
3番目、医療の提供については、先進医療として胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法をはじめとした8種類の治療を提供するとともに、センターのみで受けられる高度先駆的な治療として、眼腫瘍科や放射線治療科による眼内腫瘍に対するルテニウム小線源治療をはじめとした19種類の治療を提供したこと。緩和ケアチームのかかわった診療件数のうちがん治療実施中から緩和ケアが開始された割合が、中央病院で74.3%、東病院で66.8%と前年度に比べて著しく増加し、早期から緩和ケアの実施が高い割合で進んでいること。
4番目、人材育成については、センターのレジデント・職員を対象とした新たな連携大学院を2大学との間で平成24年度から開始する協定を締結したこと。
5番目、情報発信については、都道府県がん診療連携拠点病院連携協議会を開催し、臨床試験ネットワークの推進についての議論など、連携強化を図るとともに、がん登録部会を設置したこと。院内がん登録全国集計の公表等の取組を行うとともに、がん診療連携拠点病院等に対し、技術指導や画像診断コンサルテーション等を実施したこと。また、全国のがん診療連携拠点病院の意見をまとめ、がん対策について解決すべき100の課題を整理したものをがん対策推進協議会の場で提言することにより、平成24年度から開始されるがん対策推進基本計画の策定に貢献したとともに、東日本大震災に関し、被災地のがん患者受入れなど、多大な貢献をしたこと。
そういったことを評価いたしまして、全体として、国立がん研究センターの設立目的に沿って平成23年度も適正に業務を実施したことを評価する内容としております。以上です。
このような次第ですが、どなたか、ご意見はございますか。もしよろしければ、総合評価書の中に、国民からの意見募集について意見が寄せられているという記載がありますが、それについては法人からご説明をいただけますでしょうか。
○国立がん研究センター研究所長
ご意見としては、動物愛護法の理念に基づいた動物実験を動物を用いない方法への代替等のご意見があったということですので、これに対してコメントいたします。
まず当センターにおける動物実験に関しては、平成18年に厚生労働省が定めた厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針を踏まえて、動物実験規程の作成や動物実験委員会の設置などに適切に対応しており、今後も動物愛護に配慮しつつ、実施してまいりたいと考えています。加えて、動物を用いない実験に関しても、細胞系を使った発がんの評価とかリスクのアセスメント、こういうものも立ち上げていまして、今後、代替の方法は、より進めていきたいと思います。
一方で、当センターの重要な役割である臨床研究事業の推進に当たっては、新たな臨床研究を行う前に、すなわち、ヒトに投与する前にその実施可能性を探求する必要があり、そのためにその前臨床研究である動物実験は極めて重要なものであります。これらのことを安全かつ適切に遂行するために、動物実験のための環境を整備した施設において、引き続き、厳正な手続の下で動物実験を進めていく必要があると考えています。以上です。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。最近では問題になることはほとんどないと考えていいのですか。
○国立がん研究センター研究所長
そのように認識しています。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。それでは総括的に、この評価に関しましてもしご質問があれば、よろしくお願いいたします。特にございませんでしょうか、業務上でも財政の面でも非常によくやっていただいたということではないかと思うのですが。委員の先生方から特にご意見がないようでしたら、この結果として平成23年度の業務実績の評価結果を法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。そしてもし、このあと、誤字脱字、あるいは事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私にお任せいただくということでよろしいですか。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
それでは、そういう形で私にお任せいただくということで了承ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。それでは、堀田理事長から一言コメントをいただけますでしょうか。
○国立がん研究センター理事長
14項目にわたりまして詳細なご検討をいただきまして、ありがとうございました。いま総括をお伺いして、平均的にはよい総合評価をいただいたと考えております。中でも研究面について、あるいはその早期・探索的臨床研究について高い評価をいただいたことは、私どもとしても大変励みになりますし、今後の私どもの活動の指針になると思っております。
1つだけ申し上げますと、私ども国立がん研究センターは、新しいがん対策基本計画にも書かれているように、今後、いろいろな意味で社会に対して発信したり、あるいは情報提供をしていくという必要性がございまして、それに力を注いできたつもりであります。理想的な水準からいうとまだ足りない部分はあるかもしれませんが、従来の取組に比べますと、格段に努力しているところです。
特にがん登録につきましては、院内がん登録の集計を2008年度分を昨年6月に、そして2009年度分を年度を越えないで3月に、2年分を1年で公表できたというのは、ある意味「想定外」という部分だと思っております。
それから、国の時代にはなかなか取り組めなかった民間企業との包括提携で我々では手に届きにくい情報網を持っている生命保険会社等と包括提携することによって情報を隅々に行き渡らせることができるという取組をやってき実績をご評価いただければ大変ありがたいと思っています。
がん対策情報センターは、限られた人数で土・日もなく本当によく頑張っており、頭が下がる思いで見ております。その点、職員のインセンティブやモチベーションを考えますと、私としてはそのようなところも見ていただければありがたいというのが正直なところです。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。各ナショナルセンターはどこも民間との協力ができるようになったことで非常にやりやすくはなったということを伺っていますが、がんセンターの場合も、そういった形で一層伸ばしていただければということかと思います。先生方はよろしいでしょうか。もしよろしければ、ありがとうございました。
これから、前に皆様方にやっていただいた評価シートの修正と確定をしたいと思います。個別評価を修正したい委員の方は、評価記入用紙の修正・確定の時間を設けさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。その修正に当たりまして、やり方に関して事務局からご説明をよろしくお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
修正に当たっての留意事項をご説明いたします。修正がある場合は、個別評価時にご記入いただいております評定記入用紙を赤鉛筆で修正し、修正のある頁に付せんを貼ってください。机上配付しております個別項目に関する評価結果につきましては、現時点でいただいている評定を点数化し、平均したものですので、修正する際の参考にしてください。
なお、委員名欄につきましては、ご自分の名前のみしかわからないようになっております。その他の委員の委員名欄は空欄となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、5分ぐらい時間をとらせていただきますので、修正のある方はお直しいただければと思います。では、よろしくお願いいたします。
(評価修正中)
○猿田部会長代理
それでは、これをもって国立がん研究センターの平成23年度の業務実績評価に関する意見を取りまとめさせていただきます。各評価書には評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されておりますが、本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことによって当部会全体としてのSからDの評定及び評定理由が変更になった場合または各委員のコメントが修正、追加等された場合に、これらを反映して評価シートの集約版を変更し、添付することになっております。評価シートの集約版については、SからDの評定が変更になる等の際には、委員全体としての評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文書については私に一任していただきたいと思います。場合によっては、個別に先生方のご意見を賜ることもあるかもしれませんが、その際にはよろしくお願いいたします。
以上で評価を終わらせていただきます。続きまして、長期借入金に係る報告につきまして、平成23年度の長期借入金の報告をしていただきます。まず、事務局からご説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
年度を通じた長期借入金につきましては部会の了承事項となっておりまして、当該計画に基づく個別の認可につきましては部会長の一任事項としており、部会には事後報告をすることになっております。平成23年度の計画につきましては昨年3月に本部会のご了解をいただいており、個別の認可につきましても、部会長の了解は得ております。本日は、これらの計画に基づく平成23年度長期借入金のご報告になります。以上です。
○猿田部会長代理
ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、法人より説明をお願いいたします。
○国立がん研究センター統括事務部長
それでは資料1-3をご覧ください。平成23年度の借入金の実績についてご報告いたします。
今回の借入額は、全額、財政投融資資金からの借入となっておりまして、施設整備で18億1,700万円、医療機械整備で11億9,600万円となっております。借入の時期は平成24年3月30日となっております。またこれにつきましては、平成23年4月に当部会で了承いただきました借入金計画の範囲の中での借入となっていることです。以上です。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。ただいま説明いただきました長期借入金の実績について、どなたか、ご意見がございますでしょうか。和田先生、特にいいですよね。ありますか。
○和田委員
特にございません。借入金については、財務諸表でいえば、18頁に長期借入金の明細がありましてこのような動きですが、この2本の借入金のうち、両方とも計画内の数字であるということで、特に問題はないかと思います。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。委員の先生方、ほかにご意見はございませんでしょうか。それでは、長期借入金の実績について報告を承ったこととして、当部会としては了承するということでよろしいですね。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
ありがとうございました。それではもう1つ、4番目の議事としまして「役員報酬規程の改正について」です。国立がん研究センターの役員報酬規程の改正についての審議としては、要するに、役員報酬規程の改正にかかわる届出が厚生労働大臣に宛て出されたところです。まず法人に説明をお願いして、その上で委員の皆様方のご意見を伺うということにさせていただきます。それでは、法人からよろしくお願いいたします。
○国立がん研究センター統括事務部長
引き続きまして、資料1-4をご覧ください。役員報酬規程の改正についてです。昨年の人事院勧告により、国の指定職給与が俸給月額について約0.5%引き下げ、及び給与改定臨時特例法に伴う9.77%の引下げが実施されたことから、国立がん研究センターの役員報酬規程も同様の改正をしたというものです。以上です。
○猿田部会長代理
どうもありがとうございました。この点に関しましてどなたか、ご意見はございますでしょうか。特にご意見はございませんか。もしご意見がないようでしたら役員報酬規程の改正につきまして当部会として了承したいと思いますが、よろしいですね。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
ありがとうございました。それでは、了承いただいたということにさせていただきます。以上で本日の国立がん研究センターに関する審議はすべてですが、全体として特にご意見がなければ、時間が早いですが、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
(法人入替)
○猿田部会長代理
早速、国立精神・神経医療研究センターについて評価をさせていただきます。今日は永井部会長がお休みなので、私が代理を務めさせていただいております。よろしくお願いいたします。まず、国立精神・神経医療研究センターの財務諸表について和田委員からご説明をお願いいたします
○和田委員
財務諸表等の適正性について意見を申し上げます。
1.概要。国立精神・神経医療研究センターに対して平成23年度の財務諸表等の全般について質疑を行い、運営費交付金の処理を含めその妥当性について確認しました。また、独立行政法人通則法第40条の規定に基づいて選任された、会計監査人である新日本有限責任監査法人より実施した監査の方法及び概要に関し、監査結果説明書をご提出いただき、確認した結果、外部監査人の監査も適切に行われていると思料いたします。
2.財務諸表についての意見。新日本有限責任監査法人の監査結果説明書によれば、延べ約950時間の執務時間をもって監査を実施しており、平成23年度の監査を十分に実施していることを確認しました。また、同監査法人の監査結果は財務諸表が適正に表示されている旨の記載がなされており、財務担当委員である私も財務諸表は適正に作成されていると判断しました。
3.財務状況について簡単に説明申し上げます。財務諸表等の3頁に損益計算書が載っております。経常費用132億円、経常収益124億3,500万円、経常損失が7億6,500万円の赤字となっております。当期純損失、当期総損失は10億956万3,000円の赤字です。これをセグメント別に見ると21頁、12.開示すべきセグメント情報。横に研究事業、臨床研究事業、診療事業と各セグメントがあります。縦に事業費用、事業収益、事業損益とあります。事業損益の欄をご覧ください。研究セグメントが2億3,200万円の赤字、臨床研究セグメントが1億9,600万円の赤字、診療セグメントが2億9,700万円の赤字、教育研修セグメントが4,500万円の赤字、情報発信セグメントが4,200万円の赤字、法人共通セグメントが4,700万円の黒字となっております。いちばん右側に法人全体としての合計があります。7億6,500万円の赤字となっております。事業収益割る事業費用ですが、事業収支比率は94.2%となっております。
1頁に戻っていただいて、貸借対照表があります。1頁目は資産の部です。いちばん右の下にある資産合計は443億円です。1頁めくっていただきますと、3分の2ぐらいのところに負債合計が75億7,200万円、資産合計から負債合計を引きますと、純資産が367億円です。
借入金については財務諸表等の13頁を開けていただきますと、3の長期借入金の明細があります。ここに財政融資資金による借入金残高が30億円となっております。その結果、資産合計に占める純資産の比率は82.9%です。また、純資産に対する借入金の比率は6.9%ですので、特に問題のない財務状況となっております。なお、財政融資資金の借入金の状況ですが、13頁にありますように期首残高が30億7,900万円、このうち当期返済額として5,200万円、当期借入れはありませんでしたので、期末残高は30億2,700万円となって、借入金の比率が6.8%ありますので、借入金が特に多額であるという理解は致しませんでした。
財務状況についての意見です。先ほど損益計算書で申し上げましたが、中期計画で目標としている収支相償の点から見ますと、平成22年度、平成23年度で経常収支において7億9,100万円の累積赤字になります。平成24年度以降について、病床利用率の向上、上位の施設基準の取得、費用節減等、収支相償に向けた経営改善の取組をするとご説明いただきました。中期計画5年間を累計した損失計算において、経常収支率を100%以上にするという数値目標を達成するためには、相当の努力が必要である。より一層の経営改善を期待します。以上、国立精神・神経医療研究センター平成23事業年度の財務諸表等に対する意見です。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。いま、和田委員からご説明いただきましたが、これから先が少し厳しい状況になるかもしれません。委員の方、ご意見ありますか。
○三好委員
損益のところで、いまのご報告ですと中期で100%ということで、いまのところ過去2年間赤字になっていると。その後の計画については既に数字をある程度見直されて数字を持たれているという理解でよろしいのですか。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
いま、ご指摘がありましたように、平成22年度、平成23年度に関しては、当初の計画が下回って、結果としてトータルで791百万円の赤ということになっていまして、平成23年度の前半でおよそこのような数字をキャッチしましたので、直ちに平成23年度後半に向けての取組を、特に病院を中心にして、何が我々の計画と大きくずれてしまったのかという原因の分析と、それに対しての対策を病院全体、あるいは研究所も含めて検討を進めてまいりました。その結果、既にご報告の中にも入れていますが、やはりいちばん診療事業に関して大きなポイントとなったのは何といっても平成23年度の上半期の入院患者数が非常に低調であったことでありました。予測した以上の低調ぶりでしたので、このこと等から、人件費増に見合うだけの診療収益がその時点で獲得できていなかったという。これが診療上の非常に大きなポイントになったと分析しました。
もう1つは、臨床研究事業についてです。特に治験に関しての体制をしっかり固めて治験に積極的に取り組めるだけの人員配置をするということで体制を作ったわけです。結果として、これも報告の中で述べさせていただきましたが、いわゆる国際共同治験等の非常に難易度の高い治験を手がけることができたのですが、いわゆる一般企業治験といったものに関しての実施症例数が思うように伸びなかったことがあって、それが収益減につながったということです。
さらに、研究事業に関しては、運営費交付金の運営基盤となる交付金が削減されたことがあります。これが非常に大きなマイナスの要因です。研究事業に関してはそれが大きく影響しました。先ほど申し上げたように、平成23年度後半から末にかけて、分析をした上で何をやるべきか。何をすることで、収益をアップできるのかということを検討して、取りも直さず、いちばん重要なことはまず病院の入院患者数をしっかり計画の数値にもっていくことであろうということで、実際には、病棟によって、少し落差がありますので、そこを埋めるような努力をすることを行って、おかげさまで平成23年度末から現在、平成24年度8月段階に至って、まだ完璧に計画を100%までいっていませんが、かなりのところに数値としてはリカバーしてくることができたということが1つあります。
もう1つは、いろいろな施設基準を取得するということで、看護師数の配置、平均在院日数のレベルを、基準の要件を満たすことによって、上位の基準を取得するということで、既に精神科の病棟においてはスタートすることができております。また来年度にかけてですが、いわゆる精神科のスーパー救急という、いちばん診療点数が高い基準で取れる準備を開始してきたということです。あとは研究事業に関しては運営費交付金の削減に見合った何らかの効率的といいますか、無駄をできるだけ排除してやっていくことを意識しながら、例えば経費節減対策としての共同購入であるとか、自家発電の整備とか、あるいは小さいことかもしれませんが、井戸水の利用であるとかそういったところ、あらゆるところで手がけられるものを手がけようということで、いま取り組んでいるところです。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。よろしいですか。ほかにご意見ありますか。もしほかにご意見がありませんでしたら、平成23年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の案のとおりで、修正意見は特にないということで、これを取りまとめて厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいですか。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
そのようにさせていただきます。和田委員、ありがとうございました。
第2番目の議事です。「平成23年度の業務実績に関する総合評価について」です。これに関しては起草委員である祖父江委員からご説明をよろしくお願いします。
○祖父江委員
それでは、国立精神・神経医療研究センターの平成23年度の評価結果について簡単に講評を述べさせていただきます。評価に当たりましては、第1番目に評定の結果、第2番に各委員の評定のコメント、第3番目に前回、8月1日のご議論の内容を踏まえて、平成23年度の業務実績について中期目標に掲げられた内容に照らして総合評価書を取りまとめております。資料2-2にありますのでご覧ください。
全体の評価としては、今後への期待も含めて申し上げます。第1には、理事長のリーダーシップの下、職員の意識改革が進められている中、現場の裁量・権限の拡大等を通じた業務運営の効率化、国民に対するサービスの質の向上、財務内容の改善を図るための積極的な取組が行われた点は評価したい。しかしながら結果として、いまもご議論がありましたように、年度計画に掲げる経常収支の目標を達成できなかったことで、今後は中期目標の期間全体において目標達成ができるよう努めていただきたい。
第2番目は、研究・開発についてです。専門疾病センターの活動に加えて、トランスレーショナル・メディカルセンター(TMC)に常勤の研究者を配置され、さらに新たに設置した脳病態統合イメージングセンター(IBIC)及び認知行動療法(CBT)センターの取組等を通じて、幅広くセンター施設間の人事交流を推進し、それぞれの専門性を活かした共同研究を推進した。これにより、先端的な基礎研究の成果等に基づく疾患の本態解明や新規治療法の開発に大きく貢献したことは高く評価したい。また、バイオリソースの蓄積や疾患データベースの構築など大きな成果を出した点も評価したい。
3番目は医療の提供についてです。各専門疾病センターを中心に、各疾患ごとに基礎研究に基づいた新規治療法の開発を推進するとともに、一方では診療科横断的なチーム医療及び最新の知見に基づいた診療を実践したこと。中でもパーキンソン病、筋ジストロフィー、睡眠障害などで、センターを特徴づける医療が行われている点を評価したい。今後は、さらにこれらの疾患の前向きコホート研究につなげていってほしい。
4番目は人材育成についてです。医療技術職や歯科医師を含めた多職種によるチーム医療、内容としては栄養サポートチーム、褥瘡対策チーム、摂食・嚥下サポートチームなどを推進したこと。認知行動療法センターを中心にモデル研修・講習を推進したこと。研修医、レジデント等への教育プログラムを充実したこと。連携大学院が動きつつあることなどは評価したい。今後は、さらにリーダー育成に向けた内外の大学、企業などとの人事交流をさらに推進してほしい。
5番目は情報発信についてです。ホームページの抜本的な改革を行ったこと。センターが開発したeCODOシステムには行動制限に関する指標だけではなく、向精神病薬処方等、日本精神科救急学会との共同で開発した高度先駆的医療を示す指標が多く盛り込まれていること。さらに質の高いこれらの医療及びその技術の普及に向けた活動を推進したことが評価される。
6番目、政策提言等に関しては、国の自殺総合対策大綱の改定に対する提言等を行ったこと。さらに東日本大震災に対して、災害時こころの情報支援センターを発足させ、東日本大震災被災3県への助言を行うとともに、震災後の精神医療対応の統括及び被災者の心のケア対策に係る調査・分析・技術的指導等を実施したことは評価したい。
これらの評価をまとめて全体として、国立精神・神経医療研究センターの設立目的に沿って適正に業務を実施したことを評価する内容としています。以上です。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。なお、総合評価のところで、国民からの意見募集について意見が寄せられていますので、法人からその点について説明いただけますか。
○国立精神・神経医療研究センター理事(研究所長)
これについては、動物実験に関するお問合わせがあったと認識しております。当センターにおいては、当日も申し上げましたように、トランスレーショナルリサーチを非常に活発にやっておりまして、そこでは動物実験が非常に大事になっています。私どものセンターは建物も非常にすばらしいものを用意していただきまして、マウス、ラット、霊長類、イヌといったものを世界中のレベルで飼育させていただいています。したがって、内部統制というか、コンプライアンスを非常によく守っておりまして、しっかりとした倫理審査委員会、実験計画に対する審査といったものを非常に厳格に行っており、中でも代替ができないだろうかという、いわゆる3Rの精神を職員一同がしっかり守っているということで、厚生労働省に決めていただきます実験動物等の実施に関する基本指針をしっかり踏まえて行っておりますので、ご報告申し上げます。
○猿田部会長代理
特に大きな問題はないということですね。
○国立精神・神経医療研究センター理事(研究所長)
これまでは起こっておりません。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。祖父江委員の総括も含めて評価に関してどなたかご意見ありますか。病院の入院のほうが厳しかったが徐々に改善してきています。この間の改定で、入院が増えることが病院の収入としてはよく、先ほどお話がありました救急の面もよい。この2つを充実させていただくと、保険面では非常にいいものですから、どうかそこで頑張っていただければと思います。大変ですが、よろしくお願いします。ほかにどなたかご意見ありますか、業務はしっかりやられています。ほかに委員の方からご意見ありますか。もしご意見がないようでしたら、平成23年度の業務実績の評価の結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、公表したいと思います。そのあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私にご一任いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(各委員了承)
○猿田部会長代理
総括的にもう1回理事長から一言お願いします。
○国立精神・神経医療研究センター理事長
平成23年度のご評価をいただきまして本当にありがとうございました。この中で、先ほど祖父江委員からお話いただきました特に臨床を志向した研究・開発、戦略的重点的な研究・開発を推進するという項目、人材育成という3つの項目に関しては、特に「S」評価をいただいたということで、これらいずれの項目も私どものナショナルセンターにとっては、本来果たすべきセンターの役割の根幹をなすという項目であるだけに大変ありがたく思いました。この評価をいただいたことを励みにして、今後さらにナショナルセンターのミッションを果たしていくべく力を注いでまいりたいと思います。
一方、経営面に関して、先ほどもご指摘にありました計画を大きく下回っており、このあとの、平成24年度を含めて残る2年半の間に計画達成に向けて、最大限の努力をする必要があろうかと思っております。先ほど申し上げましたが、既にいくつかの試みは取りかからせていただいております。全体的には上向きに向かい始めた状況になっておりますので、さらに努力を重ねて、ありとあらゆる収入増の道、試みをこれからも重ねてまいりたいと思っております。
一方、研究開発が私どもの大きな使命です。研究の点では、研究に関して収入を得ることは難しい部分もあります。しかしながら、できるだけ外部資金を確保するとか、先ほどの治験等々のことに関しても、もっと積極的に症例数を上げていく工夫もさせていただいて、何とかその辺りでもプラスの面を探ってまいりたいと思っております。私たちとしては、研究の質と速度は落とすことなく、センター全体の収支の改善をできるように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
本日いただきました数々の貴重なご指摘、ご指導を踏まえて、センターの運営にこれからも取り組んでまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。本当にありがとうございました。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。なかなか先の病院の経営とか治験とか大変ですが、これから頑張っていただきたい。
それでは、現在までの意見、報告資料を踏まえてお手元にある、また個別評価に関して修正をしたい方は、評定用紙の修正を行っていただきたいと思います。5分ぐらいお時間をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(評価修正中)
○猿田部会長代理
よろしいですか。これをもって、国立精神・神経医療研究センターの平成23年度の業務実績評価に関する意見を取りまとめます。先ほどと同じように、評価シートの集約版について修正が必要となった場合の対応については、私のほうにお任せいただきたいと思います。よろしくお願いします。
3番目の役員報酬規程の改定について法人から説明をお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター総務部長
私から説明させていただきます。資料2-3になります。役員報酬規程改正についてです。昨年の人事院勧告により、国の指定職給与が俸給月額について約0.5%引き下げ及び給与改定臨時特例法に伴い、俸給月額等の9.77%の引き下げが実施されたことから、国立精神・神経医療研究センターの役員報酬規程も同様に改正したものです。以上です。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。資料2-3を説明していただきました。どなたかご意見ありますか。特にご意見がないようでしたら、役員報酬改定について、当部会としては了承としたいと思います。よろしいですか。
(各委員了承)
○猿田部会長
ありがとうございました。お認めいただいたことにさせていただきます。
以上をもちまして、国立精神・神経医療研究センターに関する評価、財務等すべて終わります。本日、ご審議いただいた総合評価と財務諸表について、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決定が評価委員会の決定となります。政・独委へ通知、公表の手続が行われることになります。
事務局から今後の予定、その他についてご説明をお願いします。
○政策評価官室長補佐
本日、ご審議いただいた法人の総合評価書については事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様方には確定版をお送りさせていただきます。評定記入用紙については、部会終了後、事務局が回収しますので、机の上に置いてお帰りになってください。また、正規の委員の皆様については、8月31日金曜日に省内の22階の14会議室において、評価委員会の総会が予定されておりますので、ご出席方、よろしくお願いいたします。以上です。
○猿田部会長代理
ありがとうございました。それでは、本日の部会はこれで終了します。どうもご協力ありがとうございました。
<照会先>
政策統括官付政策評価官室
独立行政法人評価係: | 03-5253-1111(内線7790) |
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