ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会)> 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第16回)議事録




2012年8月20日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第16回)議事録

○日時

平成24年8月20日(月)12:58~14:36


○場所

専用第22会議室


○出席者

永井部会長、内山委員、本田委員、三好委員、和田委員

○議事

(以下、議事録)

○永井部会長
 ただいまから第16回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開始いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、猿田委員、祖父江委員、花井委員がご欠席です。
 最初に議事について、事務局から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 本日は、議事次第の通り、国立循環器病研究センターに関しては、財務諸表に関する意見、総合評価、役員報酬規程の改正について、国立国際医療研究センターに関しては、財務諸表に関する意見、総合評価、長期借入金にかかる報告、業績勘案率、役員報酬規程の改正についての審議を進めていただきます。
 続いて審議案件の進め方について、説明いたします。
 まず財務諸表に関する意見では、担当委員である和田委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえてご審議いただきます。
 次に総合評価については、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただいた総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評価理由」案等について、ご審議いただきます。その他の審議案件については、その都度説明させていただきます。また、皆様にご記入いただきました評定記入用紙については、ご参照いただけるようお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議等を踏まえ、評定記入用紙を確定いただく時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最後に参考資料として添付しております「独立行政法人の自然災害等に関係するリスクへの対応に関するアンケート調査」についてです。今年の5月に総務省政・独委より「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」が示されています。その中で「自然災害等に関係するリスクへの対応について、法令や国等からの指示・要請に基づくものの他、法人独自の取組に注意する」とされており、これを受けて、政・独委がアンケート調査をしております。今後、政・独委において2次評価の結果と併せて各省の取組を取りまとめ公表する予定ですので、ご参考までに当省分をまとめておりますので、後ほどご覧いただければと考えております。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。では議事に入ります。今日は、総合評価書、財務諸表に関する意見につきましては、国立循環器病研究センター財務諸表関係の意見をまとめたいと思います。起草委員の方々には、お忙しい中、ご尽力いただきましてありがとうございます。最初に、財務諸表に関する意見について、これは独立行政法人通則法第38条に基づいて、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することになっております。
 では、財務諸表について、和田委員からご説明をお願いいたします。

○和田委員
 和田でございます。財務諸表等の適正性についての意見を申し上げます。財務諸表等は、お手元にありますので、それを適宜ご覧いただきたいと思います。
 1.概要。国立循環器病研究センターに対して、平成23年度の財務諸表等の全般について質疑を行い、運営費交付金の処理を含め、その妥当性について確認いたしました。また、独立行政法人通則法第40条の規定に基づいて選任された会計監査人である新日本有限責任監査法人より、実施した監査の方法及び概要に関し監査結果説明書をご提出いただき確認いたしました結果、外部監査人の監査も適切に行われていると思料いたします。
 2.財務諸表についての意見。新日本有限責任監査法人の監査結果説明書によれば、延べ786時間の執務時間をもって監査を実施しており、平成23年度の監査を十分に実施していることを確認しました。また、同監査法人の監査結果は、財務諸表が適正に表示されている旨の記載がなされており、財務担当委員である私も財務諸表は適正に作成されていると判断いたしました。
 3.財務状況について、説明します。事業損益をセグメント別に説明します。財務諸表の21頁をご覧ください。21頁の14番「開示すべきセグメント情報」のところで真ん中の3分の2位下のほうに「事業損益」があります。事業費用から事業収益を引いた事業損益です。利益はそのまま、損失は△で表示されております。これを拝見すると、研究セグメントは8,000万円の黒字、臨床研究セグメントは2,200万円の赤字、診療セグメントは2億300万円の黒字、教育研修セグメントは1億3,600万円の赤字、情報発信セグメントは1億1,700万円の赤字、法人共通セグメントは5億9,900万円の赤字です。法人全体といたしまして、5億9,100万円の赤字となっており、事業費用合計分の事業収益計ですが、事業収支比率はつまり赤字、97.7%となっております。次に貸借対照表で財政状態を見ますと、財務諸表の1頁ですが、資産合計は1番下の右にありますが422億円です。次の頁の下から2行目は純資産ですが、この純資産合計は315億円です。財政融資資金による借入金残高は、14頁に長期借入金の明細として、18億1,700万円(18億円)になり、資産合計に占める純資産比率は74.6%、借入金の比率は4.3%で、特に問題のない財務状況となっております。
 また、財政融資資金の借入金の状況は、期首残高は20億9,500万円、このうち当期返済額としては2億7,800万円。当期借入はなかったので、期末残高は18億1,700万円になりますが、先程申し上げたとおり資産合計に占める借入金の比率は4.3%で、借入金が多額であるという理解はしませんでした。
 4.財務状況についての意見。中期計画で目標としている収支相償という点から見て、平成22年度、23年度の2年間の累計では経常収支において4億8,300万円の黒字になっておりますが、平成23年度だけで見ると5億9,100万円の赤字です。その点について、平成24年度以降、病床の運用効率改善による収益の増加、医療用消耗品の契約方法変更による費用削減等の収支相償に向けた経営改善の取組について報告を受けております。中期計画5年間を累計した損益計算において、経常収支率を100%以上にするという数値目標を達成するためには、今後とも経営改善が必要であると考えます。以上、国立循環器病研究センター23事業年度の財務諸表等に対する意見でございます。

○永井部会長
 どうもありがとうございました。では、ただいまご報告いただきました、国立循環器病研究センターの財務諸表について、ご意見等ございましたらご発言をお願いします。
 和田委員にお聞きします。運営費交付金が今回想定より減ったということがありましたが、国立循環器病研究センターの場合には前年度比はどのぐらいになりますか。

○和田委員
 平成23年度と平成22年度との実績対比は、法人全体として運営費交付金は、平成22年度の実績は51億7,600万でした。平成23年度は、47億500万円です。4億7,000万円減額されたこと報告を受けております。

○永井部会長
 これはかなり大きな削減だったと思いますが、それに対し国立循環器病研究センターはどういう対応でそれを乗り越えたか教えてください。

○国立循環器病研究センター理事長
 予想外の交付金の減額で、これは大変危機的状況だと思います。どういうことでということについては、平成23年度の実績のところで申し上げたと思いますが、いろいろ病院のアクティビティを上げる。それには1つは人材を、人を替えることもかなり荒療治もやり、そういう中で次年度(平成24年度)に向けて、むしろ先行投資のようなこともやり、電子化等を大幅に行いました。そのため圧迫はさらにきつくなったと思います。そういう中でこの程度におさめられたのは、正直なところ予想を下回るというか、もっと厳しい状況になるのではないかと思っておりました。
 来年度については、平成23年度にいろいろ設備投資等を行いましたので、平成24年度はそれがかなり軽減されます。ただ平成25年度さらに運営交付金が減らされる可能性があるので、いま和田委員がおっしゃったような材料費をどう軽減するか、いろいろ検討していますが、総合的なことで対応をしようと思っております。

○永井部会長
 4億3,000万円減ると、もし経費率が同じであれば9億0,000万円ぐらい増収しないといけないわけです。

○国立循環器病研究センター理事長
 そうです。

○永井部会長
 増収と経費節減の両方で乗り越えたのですか。

○国立循環器病研究センター理事長
 そうです。

○永井部会長
 運営費交付金が削減されることがわかったのは、いつ頃ですか。

○国立循環器病研究センター理事長
 平成22年の年末ぐらいです。

○永井部会長
 それからかなり、いろいろな対策も強化したわけですか。

○国立循環器病研究センター理事長
 はい。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。それでは平成23年度の財務諸表に対する意見としては資料1-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これをとりまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますがよろしいですか。
(各委員了承)

○永井部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に国立循環器病研究センターの総合評価についての審議です。これは起草委員である私からご説明、ご報告をさせていただきます。
 国立循環器病研究センターの平成23年度の評価結果について、公評を最初に述べます。評価にあたっては、評定の結果、各委員の評定コメント、また前回8月2日の議論の内容等を踏まえ、平成23年度の業務実績について、中期目標に掲げられた内容に照らし、総合評価書をとりまとめております。全体の評価としては、理事長のリーダーシップの下、職員の質の確保と組織の活性化、業務効率化の推進、研究開発推進基盤整備、重症・超急性期医療体制の強化などの積極的な取組みが行われましたが、運営費交付金の大幅な削減があり、結果として経営に結びつかず、年度計画に掲げる経常収支に係る目標を達成できなかったと考えられます。
 研究・開発においては、「早期・探索的臨床試験拠点整備事業」として、脳動脈瘤治療用カバードステントや小型補助人工心臓などの開発を加速させるとともに、臨床応用に向けた円滑な体制を整備するため医療クラスター棟を開設し、大学や企業との連携強化を進めた結果、企業との共同研究の件数が平成22年度と比較してほぼ倍増する結果となっております。
 医療の提供については、平成23年度から植込み型補助人工心臓が保険収載され、重症心不全患者のQOL向上を目指した補助人工心臓装着術16例のうち9例に植込み型を使用し、そのうち4例は自宅での療養を開始しています。体外型補助循環装置を装着して多くの制限を余儀なくされる生活から劇的なQOL向上を果たしていると考えられます。人材育成については、研修プログラムの内容を関連する診療部門と協働して大幅に見直し、プログラム改編の効果に検証を加え、平成23年度は、さらにきめ細かなプログラムを設定し、その数や開催数を拡大しております。
 情報の収集・発信については、超急性期医療やペプチド・タンパク質研究などセンターの医療・研究への取組みがメディアで取り上げられる回数が増加するなど、情報の発信力を飛躍的に高めることができたと考えられます。また、t-PAや脳卒中救急医療、低体温療法に関するもの等、専門性の高い提言を行う一方、食塩制限や東日本大震災の被災地での循環器病対策への提言など、国民一人ひとりが理解しやすい提言を実施されました。これらの意見などを評価し、全体として国立循環器病研究センターの設立目的に沿って適正に業務を実施したと評価する内容としております。
 以上ですが、総合評価書の中に国民からの意見募集について意見が寄せられたと言う記載がありますが、それについて法人から何か説明はありますか。

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
 当センターの業務実績報告書に対する意見募集の結果、動物実験に関する意見が寄せられたことに関して説明します。
 当センターにおける動物実験は、平成18年に厚生労働省が定めた厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針、これを踏まえ動物実験規程の作成、さらには、動物実験委員会の設置などを適切に対応しており、今後も動物愛護に配慮しつつ実施して参りたいと考えております。なお、当センターの重要な役割である臨床研究事業の推進に当たって、新たな臨床研究を行う前に、その実施可能性を探求するために、前臨床試験研究である動物実験を行うことは極めて重要な意義を有しており、当センターがその役割を適切に果たしていくためにも、動物実験を行うことができる環境が整備された施設において、引き続き厳正な手続きの中で動物実験を行っていくことは必要と考えております。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。ただいま報告いたしました総合評価書、評価結果、資料1-2ですが、ご意見等がありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 厳しい財政状況の中で頑張られたと思いますが、ちょっと懸念として上げられましたのは、この前もお聞きしましたが、論文が少し減ったそうですが、これはそんなに大きな問題ではなく、やがて回復するということでよろしいですか。

○国立循環器病研究センター研究所長
 はい、そのように。

○永井部会長
 これはいろいろ人の異動とか、体制が変わったということと関係はありますか。

○国立循環器病研究センター研究所長
 特に上のほうの循環器内科の人も替わりましたので、そういう面では。

○永井部会長
 テーマなども変わって、また、積み上げていくのに時間がかかるということですか。

○国立循環器病研究センター研究所長
 そういうことです。

○国立循環器病研究センター理事長
 論文をたくさん書いているところ、例えば心臓内科では、人を大幅に替えましたし、他のところでも論文をたくさん書いている部長が、他の教授で出たり、1つはそういうことがあると思います。なかなか分析が難しいと思いますが、もう1つは、私が総長になってから、繰り返し職員に言ったのは、論文を量産するのがいいのではない。時間をかけても良い論文を書くようにということをかなり繰り返し言ってきていますので、1つはそういう要素もあるのではないかと思います。ただ、若干論文が減ったからといって、センターのアクティビティが落ちているとは理解していませんので、この点については、その責任者として悲観的ではありません。むしろ楽観的に思っております。

○永井部会長
 いかがでしょうか。特によろしいですか。ご意見等がないようですので、平成23年度の業務実績の評価結果としましては、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと考えております。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 ではそのようにさせていただきます。それでは理事長からコメントいただければと思います。お願いします。

○国立循環器病研究センター理事長
 ありがとうございます。大変膨大な資料を読み込んでいただき、適正なご評価をいただいたと感謝申し上げております。ただ先ほど、部会長がおっしゃったような運営費交付金と、このナショナルセンターの在り方で、本来はこの評価委員会ではなく、独法の在り方委員会、こういうところで発言すべきことかと思いますが、この評価項目の6に当たる「政策医療の一環として、センターで実施すべき医療」について一言申し上げたいと思います。前回発表しました、また、資料として出しましたが、心臓移植が法改正後飛躍的に増えたといっても、たかが年間10例弱です。センターのミッションとしてやるべきことは、この点についていえば、重症心不全の患者さんをどうするかというもっと大きなものがあります。実はこの辺は非常に不採算医療になり、本来は運営費交付金でサポートされるべきものと思いますが、我々はナショナルセンターとしての責任と自負において、この領域について極めて大きな力を入れております。
 平成23年度に心臓移植をした数は9例です。実は、そこに至らないというか、日本の制度の中では、待機患者をセンターで受入れ、持っていなければいけない。平均90日入院をして移植ができるまで待つわけで、外に出た人工心臓を付けて、最高1,700日も待っている患者さんもいます。植込み型人工心臓ができたことで、しかもそれが保険収載されたことで、かなり新しい道が出てきましたが。それでも人工心臓は1個1,800万円ぐらいし、トラブルが起こると替えないといけない。それが病院の持出しになるというような状況があります。そういう移植待機患者を30人ぐらい常時センターで診る必要がある。そういう中で運よく移植の対象となった患者さんが移植を受けているのが現状です。ただこれをセンターだけでやるべきものとは我々は思ってはいません。1つは、センターで植込み型心臓移植のトレーニングをやり、全国の大学を含め10数カ所の施設に、すでに循環器病研究センターでトレーニングをやっています。また、全国にいる重症心不全の患者さんをうちの移植チームが往診に行き、適切なアドバイスをしたり、どのようにやるかを一緒に考えてやらせていただいております。きわめて重症で、ある大学病院から循環器病研究センターに運べないような患者さんもいます。それも非常に高性能のドクターカーを作って、実際にいま大阪市内から2例患者さんを運び、植込み型の人工心臓を付け、大学にお返しし、順調に経過したものもあります。そういう重症心不全を全国として、日本として、どのようにしていくかということで、やはりセンターがリーダーシップを取り、そこでいろいろなデータを集め、人工心臓を入れるのが必ずしもいい、あるいは移植をするのがいいとは思いませんが、医療全体の中でどのようにしていくかということのいろいろな理解を求めていくことを、センターの大きなミッションとしてやっています。
 ただこれについては、運営費交付金が病院の分についてはゼロになっております。何のサポートもない。だけど政策医療をやれということで、これからも頑張ってやっていきますが、それぞれのセンターの負担でやらざるを得ないというような状況がありますので、その辺については是非ご理解をいただけたら非常にありがたいと思います。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、これまでの意見、報告を踏まえ、個別評定の修正をされたい委員の方は、ここで評定記入用紙の修正確定の時間を設けます。なお、修正に当たっては事務局より留意事項がありますので、よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 修正に当たっての留意事項についてご説明します。修正がある場合には、赤鉛筆でお願いいたします。評定理由の修正加筆も可能です。なお、修正された場合には、修正のある頁に附箋を張ってください。机上配付している個別項目に関する評価結果につきましては、現時点でいただいている評定をS=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1点に点数化し、平均化したものです。なお、委員名欄はご自分の名前しか分からないようになっております。その他の委員名欄には空欄となっていますので、修正する際の参考としてください。以上です。

○永井部会長
 それでは、5分間ほど時間を取りますので、評定記入用紙の確認及び修正をお願いします。
(評価修正中)

○永井部会長
 よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、国立循環器病研究センターの平成23年度業務実績評価に関する意見の取りまとめといたします。
 各評価書には、評価結果の別添として、評価シート集約版が添付されていますが、本日評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことにより、当部会全体としてはSからDの評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正、追加等がされた場合は、これらを反映して評価シート集約版を変更し、添付することにいたします。
 評価シートの集約版については、SからDの評価が変更になる等の際には、委員会全体としての評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文章については、座長、部会長にご一任いただければと思います。場合によりましては、個別に各委員のご意見を賜ることがあると思いますので、その節はよろしくお願いいたします。 
 次に国立循環器病研究センターの役員報酬規程の改正について審議に入ります。
 同センターから役員報酬規程の改正に係る届出が厚生労働大臣宛にされております。まず法人にご説明をいただいた上で、委員の皆様のご意見を伺いたいと思いますのでよろしくお願いします。ではセンターからお願いいたします。

○国立循環器病研究センター企画戦略室長
 資料1-3をご覧ください。役員報酬規程の改正について説明します。平成24年2月に国家公務員の給与の改定が行われました。人事院勧告に伴うもので、当センターも給与月額の0.5%の引き下げを行いました。その後、災害復興財源確保のための特例法の成立に伴い9.77%の引き下げも実施しました。国と改正時期は異なっていますが、いずれも4月から給与に適用ということで、6月の賞与で調整することで、全く国と同一歩調のものです。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、この件についてご意見等がありましたら、よろしくお願いします。よろしいですか。
 ご意見がなければ、この件「役員報酬規程の改正について」は、当部会として了承したいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 それではそのようにさせていただきます。国立循環器病研究センターの先生方、ありがとうございました。以上です。
 ここで法人及び所管課入れ替えを行いますので、5分程休憩していただき、その間、事務局が評定記入用紙の集計を行います。開始時刻は13時45分からお願いいたします。
(法人入替)

○永井部会長
 ありがとうございました。次に国立国際医療研究センターについての審議を始めさせていただきます。まず財務諸表について、和田委員からご説明をお願いいたします。

○和田委員
 国立国際医療研究センターの財務諸表等の適正性について、意見を申し上げます。1.概要。国立国際医療研究センターに対して、平成23年度の財務諸表等の全般について質疑を行い、運営費交付金の処理を含め、その妥当性について確認いたしました。
 また、独立行政法人通則法第40条の規定に基づいて選任された会計監査人である新日本有限責任監査法人より、実施した監査の方法及び概要に関し監査結果説明書をご提出いただき確認いたしました結果、外部監査人の監査も適切に行われていると思料いたします。
 2.財務諸表についての意見。新日本有限責任監査法人の監査結果説明書によれば、延べ約993時間の執務時間をもって監査を実施しており、平成23年度の監査を十分に実施していることを確認いたしました。
 また、同監査法人の監査結果は、財務諸表が適正に表示されている旨の記載がなされており、財務担当委員である私も財務諸表は適正に作成されていると判断いたしました。
 3.財務状況について、ご説明申し上げます。お手元の財務諸表の26頁、12番の「開示すべきセグメント情報」をご覧ください。上に事業費用、次が事業収益、事業費用と事業収益を差引きして事業損益が下から8行目くらいに記載されています。セグメント別にこれを見ると、研究セグメントが5,400万円の赤字、臨床研究セグメントが2億600万円の赤字、診療セグメントが4億5,800万円の赤字、教育研修セグメントが6億8,800万円の赤字、情報発信セグメントが2,800万円の赤字、国際協力セグメントが1,000万円の赤字、国立看護大学校セグメントが2,700万円の黒字、法人共通セグメントは4億3,000万円の赤字です。法人全体としては18億4,700万円の赤字となっていて、事業収支比率、つまり事業費用分の事業収益、これが94.6%となっています。
 次に貸借対照表の財政状態を見ます。財務諸表の1頁をお開けください。いちばん右下で資産合計が988億円です。次の頁のいちばん右の下から2段目が純資産で674億円(資料は675億円)です。財政融資資金による借入金残高は、16頁の3に長期借入金の明細として載っていて183億円です。したがって資産合計に占める純資産の割合は68.3%、借入金の比率は18.6%で、特に問題のない財務状況となっています。
 財政融資資金の借入金状況ですが、16頁をご覧いただくとおわかりのように期首残高が182億4,200万円(資料は182億4,300万円)、このうち当期返済額が6億1,400万円(資料は6億1,500万円)、当期借入額としては7億円、期末残高が183億2,800万円で約1億円の増加となっていますが、先ほど申し上げたとおり、資産合計に占める借入金の比率は18.6%であり、借入金が特に多額であるという理解はいたしませんでした。
 4.財務状況についての意見を申し上げます。中期計画で目標としている収支相償という点から見ると、平成22年度、23年度で経常収支において19億円の累積赤字となっていますが、平成24年度以降について、特定機能病院の承認、手術件数の増加、費用節減等の収支相償に向けた経営改善の取組みについて報告を受けました。説明も受けました。その結果、中期計画5年間を累計した損益計算において、経常収支率を100%以上にするという数値目標を達成するためには相当の努力が必要であり、より一層の経営改善が必要であると考えます。
 以上、国立国際医療研究センター23事業年度の財務諸表に対する意見です。

○永井部会長
 ありがとうございます。ただいまのご説明にご意見をいただきたいと思います。これは大きく見て、1つは運営費交付金の削減と、あと病棟の新築工事でベッドの休止が多かったということが、大きな要因として考えられるのでしょうか。センターとしての分析はいかがでしょうか。

○国立国際医療研究センター理事長
 いま、ご指摘の点に加えて一昨年の夏に新しい病棟ができました。そのとき病棟の建設と同時に、かなり高額な医療機械を一斉に新しく購入したことがあり、そういう意味での減価償却がかなり大きいのではないかと考えます。

○永井部会長
 いかがでしょうか。

○三好委員
 先ほど和田委員からのご報告では、中期で経常収支100%を達成するという説明を受けたということで、この中期は24、25年度で終わりでしたか。この中期年度というのは22、23、24、25、26と。

○和田委員
 あと3年です。

○三好委員
 あと3年間ですね。一応、その3年間の間に今までの累積がチャラになるという計画をお持ちだということで、まだそういうのを持っていないと思いますが、たぶん次年度は経常収支が若干プラスという説明を、この前聞きました。その25、26というのは、そうするとかなりプラスが上積みされるという理解で、よろしいのでしょうか。

○国立国際医療研究センター理事長
 先ほど説明がありましたように、基本的には外科系手術の増加あるいは入院患者さんの増加等、それと、これはまだ決定していませんが、来年度以降、特定機能病院の取得ができればということで、5年間での収支相償は可能と考えています。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。

○和田委員
 別に6つのナショナルセンターを横並びにして、比較するということではありませんが、ナショナルセンターそれぞれの傾向がわかるわけです。特に国際医療センターの場合、国立看護大学校だけが辛うじて黒字で、あとのすべてのセグメントは全部事業損益がマイナスであるということは、1つの部門についてだけでなく、法人全体として経営改善に取り組んでいただきたい、そうしないと大変なのではないか。もう1つは診療事業は、ほかの法人は運営交付金などが減ったりして大変になってきても、この診療事業のところで黒字にしているのですが、国際医療センターの場合は、この診療事業も大きなマイナスになっている。これがもし減価償却といった固定費を中心として経営上、事業損益が大変だとすれば、今年度大変な分は来年度も同じように減価償却費ですから、負担が再来年度もかかってくると思います。ここのところは、先ほど説明いただいた特定機能病院の取得や手術件数の増加など、いろいろ計画はお持ちのようですから、それを何とか実行して、診療事業を中心に全セグメントにわたって収支相償を。
 実は収支相償も、5年間を通じて累積で収支相償にしますと。ここで19億背負っているということは、少なくとも向こう3年間でこの19億を挽回しないと中期目標が達成できないことになるので、かなり大変なのだろうと思います。是非、ここのところを頑張っていただきたいと期待するところです。

○永井部会長
 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に修正意見がないようですので、平成23年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の(案)のとおりということで、これをとりまとめて厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 それではそのようにさせていただきます。続いて国立国際医療研究センターの総合評価についての審議です。起草委員である私からご報告申し上げます。
 国立国際医療研究センターの平成23年度の評価結果について、講評を述べさせていただきます。評価にあたっては、評定の結果、各委員の評定コメント、また前回(8月2日)の議論の内容等を踏まえ、平成23年度の業務実績について、中期目標に掲げられた内容に照らして総合評価書をまとめています。全体の評価としては、理事長のリーダーシップの下、職員の意識改革とともに組織運営体制の一部見直し、現場の裁量・権限の拡大等を通じた業務運営の効率化、国民に対するサービスの質の向上、財務内容の改善を図るための積極的な取組みが行われましたけれども、運営費交付金の大幅な削減もあり、結果としては経営に結び付かず、年度計画に掲げる経常収支に係る目標を達成できていません。
 研究・開発については、臨床の場に基礎医学の成果を持ち込む「開発医療」の推進のため、臨床研究センターを改組して開発医療部を新設し、開発医療部の知財開発室が、研究所各部にヒアリングを行うなど、臨床応用が見込まれるシーズの洗い出しを行い、知的財産の管理強化及び活用推進を図っていること。特に発表論文数と引用回数の大幅な伸びが見られています。
 医療の提供については、HIV・エイズ患者に対して、個々人の病態に即した医療の提供を682例に行うとともに、先進・高度医療は、先進既存技術を2件実施のほか、新たに合計6件、つまり先進既存技術2件、先進新規技術3件、高度新規技術1件の申請に向けた取組みを実施しています。
 人材育成については、幅広い研修が行われているとともに、看護師の教育計画策定とローテーション教育の実施、モデル的研修では肝炎及び糖尿病の研修会を計画以上に開催し、人材育成推進を進めています。
 情報発信については、国府台病院において、年6回開催した児童精神科地域連携会議を通じて、地域の医療・福祉・教育領域の専門機関が地域診療ネットワーク会議において情報共有を行った事例のデータベース作成に取りかかり、120例以上の症例のデータが蓄積されています。また東日本大震災に際しては、被災した東松島市に対して国際医療協力局を中心に、海外での保健システム構築の実績を活かして、継続的な保健医療協力を実施するとともに、石巻市における子どものこころのケアについても、国府台病院児童精神科を中心に現地教育委員会と協力して取り組んでいます。
 これらのことを評価し、全体として国立国際医療研究センターの設立目的に沿って、適正に業務を実施したことを評価するという内容になっています。詳細は資料2-2に業務実績の評価結果(案)があります。総合評価書の中に、国民からの意見募集について意見が寄せられているという記載があります。これについては法人から説明をお願いいたします。

○国立国際医療研究センター統括事務部長
 当センターの業務実績報告書に対する意見募集の結果、動物実験に関する意見が寄せられたことに関してご説明いたします。当センターにおける動物実験は、平成18年に厚生労働省が定めた、厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針を踏まえ、動物実験規程の作成、動物実験委員会の設置など適切に対応しており、今後も、動物愛護に配慮しつつ実施してまいりたいと考えています。
 なお、当センターの重要な役割である臨床研究事業の推進にあたって、新たな臨床研究を行う前に、その実施可能性を探究するため、前臨床研究である動物実験を行うことは極めて重要な意義を有しており、当センターがその役割を適切に果たしていくためにも、動物実験を行うことができる環境が整備された施設において、引き続き厳正な手続の中で動物実験を行っていくことが必要と考えています。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、ただいまご報告申し上げた総合評価書(案)について、ご意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。経営のことは先ほど意見が出ましたが、論文数の伸びが目覚しいのです。これはどういうことで体制を作られたのか、もし何かお気づきの点がありましたらご意見をいただけますか。論文と引用回数の伸びは非常に目覚しいものがあるのではないかと思います。

○国立国際医療研究センター理事長
 ありがとうございます。特にこれというのはないかもしれないですが、独法化するときにあたり、私どもの名称にも研究という名称が付きましたし、いろいろな機会を捉えてナショナルセンターとして臨床研究並びに開発医療にも、今後は力点を置かなければいけないと申し上げたのが、少しずつ皆さんの意識改革と言いますか、意識が変化してきたのかなと思っています。

○内山委員
 直接、評価とは関わりないことですが、実は前回、個別評価のときにお示しいただいた実績評価の概要について、個人的にわかりづらい概要であったと感じています。と申しますのは、センターによっては各項目ごとに、自己評価、評価シートの頁、概要説明と同時に、いまの論文数等もそうですが、業績の中で評価に値することを図で示しているナショナルセンターもあります。もう少しその辺を工夫されると、さらに評価しやすくなるのではないかという印象を受けましたので、よろしくお願いします。

○国立国際医療研究センター理事長
 わかりました。大変貴重なアドバイスをいただきまして、ありがとうございました。来年度からその辺は気をつけたいと思います。

○永井部会長
 来年度、あるいは今年度から病院の経営が非常に大変だと思います。これは増収を図ることと経費節減の両方をしないといけないと思いますが、特に診療体制の強化ということは何かお考えになっているのでしょうか。この領域の患者を少し増やしていこうとか、手術を増やすというのは大事なところだと思いますが、ちょうど病棟も新しくなったところですので、いろいろな試みが可能だと思います。

○国立国際医療研究センター理事長
 先ほどご説明申し上げましたように、いちばん重要なのは特定機能病院に認めていただけることだと思います。試算によりますと、それだけで大体4億円ぐらいの医療収益の増加が見込まれています。それから外科系の手術が少ないということで、ちょうど人の交替などもあり、新しい担当の医師に来ていただくことによって、かなりその辺は変わり得るのではないかと期待しています。

○永井部会長
 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○国立国際医療研究センター理事(センター病院長)
 病院長の木村でございます。診療だけでなく、広く診療部門をさらに発展させるということ観点で申し上げます。この2年間、独立法人化しただけでなく、先程からお話があるとおり病院の建物が新しくなったこと。しかもこれは全部出来上がっているわけではなくて、1期工事の大きなところが終わっただけで、まだ途上にあるということがありますので、やりにくい部分もあったり、さらに、今年の4月からDPCに入ったということがあります。いろいろなことが流動的であったのですが、4月、5月、6月の3か月でだいぶ落ち着いてきました。診療単価、平均入院日数、患者数が落ち着き、昨年と比べると1段向上してきているように思います。またスタッフに関しても、一つひとつを大きな括りで言うことはできないのですが、活発になるように上下を入れ替えたり、新しい指導医を入れることを内部からも見えるような形で行い、だいぶ活発になってきたと感じています。それが多少は論文にも響いているのではないかと思いますし、患者数にも少しずつ響いてきているように思いますので、そういうことを含めて、これから努力していきたいと思います。具体的な方法がいま始まって、これから少しずつ成果が見えてくるのではないかと期待しています。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。それでは修正意見がないようですので、平成23年度業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。この後で誤字、脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、部会長にご一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 では、そのようにさせていただきます。春日理事長からコメントをいただきます。よろしくお願いします。

○国立国際医療研究センター理事長
 このたびは、私どもの財務諸表並びに業務実績に関しまして詳細にご検討いただきまして、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。評価の結果を詳細に検討させていただき、その評価に応えられるように来年度はさらに、より良い評価をいただけるように今後とも努力したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

○永井部会長
 ありがとうございました。では現在までのご意見、報告を踏まえ、個別評価で評定を修正したい委員の方は、ここで評定記入用紙の修正及び確定の時間を設けさせていただきます。先ほどと同様、5分程度で評定記入用紙の確認と修正をお願いいたします。
(評価修正中)

○永井部会長
 国立国際医療研究センターの平成23年度業務実績評価に関する、意見のとりまとめといたします。先ほどと同様に評価シートの集約版について修正が必要となった場合の対応につきましては、部会長にご一任いただきたいと思います。
 続きまして、国立国際医療研究センターの平成23年度長期借入金に係る報告があります。まず事務局から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 年度を通じた長期借入金につきましては、部会の了解事項となっていて、当該計画に基づく個別の認可につきましては部会長一任事項としており、部会には事後報告することとなっています。平成23年度計画につきましては、昨年4月に本部会にご了解いただいていて、個別の認可につきましても部会長の了解を得ています。本日は、これらの計画に基づく平成23年度長期借入金の報告になります。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。法人から説明をお願いいたします。

○国立国際医療研究センター統括事務部長
 平成23年度の借入金の実績について報告します。資料2-3をご覧ください。今回の借入金は全額、財政融資資金からの借入で、施設整備で7億円となっており、借入時期は平成24年3月30日です。また、これについては、平成23年4月に当部会で了承をいただいた借入金計画の範囲内での借入となっています。以上です。

○永井部会長
 それでは、ただいまご説明いただきました長期借入金の実績について、ご意見がありましたら発言をお願いします。よろしいでしょうか。ご意見がございませんので、長期借入金の実績について報告をお聞きしたということで、当部会としてはこれを了承することにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 ありがとうございます。続きまして役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。まず事務局から試算結果について、説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 国立国際医療研究センター理事長から、独立行政法人評価委員会委員長宛に、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がありました。独立行政法人の役員の退職金については、平成15年12月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に0.0~2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされています。評価委員会では、この業績勘案率を決定していただきます。まず法人からの依頼を受けて事務局において、当評価委員会が定めている「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の算定方法について」に基づき、業績勘案率を試算しましたので、その結果について説明し、次に委員各位にこの試算結果についてご審議いただきます。今回、算出した数値については、部会の決定を評価委員会の決定とし、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知いたします。同委員会から意見があれば、改めて部会でご審議いただくことになります。なお、意見がない場合は部会長に報告し、最終決定となります。
 それでは、資料2-4に沿って説明させていただきます。今回の退職役員については、桐野?明氏、国立国際医療研究センター前理事長です。在職期間は平成22年4月1日から平成24年3月31日までの2か年です。業績勘案率の算定ですが、当該役員の在職期間中である平成22年度及び23年度の年度評価の評価結果について、Sを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点と評定を数値化し、その平均を取ります。この平均値を、さらに平均値が1.5以上の場合は1.5、0.51~1.49までは1.0、0.5以下は0.5と置き換えて、今回の場合は平成22年度、23年度ともに、各分類に対応する率としては1.5となっています。在任期間中の2か年の率が1.5ですので2.の(3)についても1.5となっています。
 次に、2.の(4)役員の在職期間における目的積立金の状況ですが、目的積立金は積んでいない。(5)退職役員に係る職責事項についての申出も、法人から申出は特に無しということで、これらのことを踏まえ過去の事例等を比較考慮し、事務局としては業績勘案率1.0が妥当ではないかということで、お示ししています。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。ただいまの退職役員につきまして、在任期間中の担当職務等について法人から簡単に説明をお願いしたいと思います。

○国立国際医療研究センター統括事務部長
 資料2-4の2頁に基づき説明します。桐野?明独立行政法人国立国際医療研究センター前理事長は、記載してはいませんが、平成17年7月から国立国際医療センター研究所所長、20年4月からは総長を歴任し、平成22年4月1日独立行政法人国立国際医療研究センター理事長に就任いたしました。平成24年3月31日に理事長を退任するまで2年間、理事長としてリーダーシップを発揮したものであります。その業績です。独立行政法人国立国際医療研究センターは、感染症、その他疾患に関する研究・診療を推進し、これらの疾患や医療の分野における国際協力に関し調査・研究及び人材の育成を総合的に行う高度専門医療研究センターとして、極めて重要な役割を担っております。桐野前理事長は、平成22年4月理事長に就任し、独法初年度であることを念頭にセンターの発展的かつ安定的な運営に向けて、職員の意識改革と意志統一を図ることを重点に置くとともに、強力なリーダーシップをもってさまざまな組織改革に取り組み、さらに高度先進医療の推進を図るなど、実績を上げてきたことは大きな功績でございます。
 [1]の効率的な業務運営では事務部門の改革を行いました。4部体制として各部門の業務に関して権限と責任を明確化し迅速な意思決定を可能にしたところです。事務のうち、一部を一元化し効率的な運営体制としたものであります。また、組織の活性化を目指し、理事会、監査室、企画戦略室、コンプライアンス室によるガバナンス体制の強化を図ったものです。これに連動するものを[2]に記載していますが、コンプライアンス室及び監査室を設置し、監事による業務監査、会計監査人による会計監査との連携を図り、効率的・効果的な内部統制体制の構築に取り組んだところです。
 [1]に戻りますが、招へい型任期付職員や若手育成型任期付職員について年俸制を導入しました。これにより高度の専門的知識、技術等を有する者及び研究者として高い資質を有する者など人材を公募により採用し、高度先駆的医療や臨床研究推進などのために体制整備を図ったところです。また、副院長の役割と病院内での位置付けを明確にするため、複数制を導入したところです。
 [3]その他業務運営に関する事項として、個々の職員の業務実績を適切に反映させることができるよう業績評価制度を導入し、常勤職員全員に適用しました。育児短時間勤務の導入や育児休業の周知徹底、看護職員二交替制の導入、女性医師、看護師にとって働きやすい職場にするための取組み、さらには医師が本来の役割に集中できる体制等を構築し、それぞれの役割が発揮できるよう職場環境の整備も図ったところです。また薬剤師、放射線技師、検査技師、救急救命士及び救急科医師についても、二交替制を導入するなど、職員にとってのワークライフバランスの充実により、職員の確保対策及び復職支援を図ったところです。
 [4]医療の提供に関する事項としては、医療安全委員会を定期的に開催し、医療安全ポケットマニュアルを作成して全職員に配布、さらには医療安全研修や感染対策研修を実施し、医療安全管理体制を充実したところです。また医療の質の評価に必要な基礎データを取り出すために、必要な医療情報システム環境を整備しました。平成22年9月からは救命救急センターを開設し、これは救急医療に大きく貢献したところです。また平成23年4月及び5月には、日本医療機能評価機構による病院機能評価を受審し、これにより認定されたところです。
 [5]医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項ですが、HIVに関し、全国8ブロックのブロック拠点病院協議会を厚生労働省疾病対策課と合同で開催し、最新医療情報の提供、高度先駆的医療及び標準医療の普及を行うとともに、首都圏の中核ブロックとの連携会議を開催して、相互の連携を図るための情報交換を行いました。
 [6]国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項として、エイズ動向委員会やさまざまな委員会に出席し、専門的な立場からの提言を行ったところです。また平成22年9月、パキスタン・イスラム共和国の洪水被害、平成23年3月のニュージーランド地震発生時には、迅速に国際緊急援助隊医療チームを派遣し、国際災害に対する医療協力の体制と質の向上を図り、国際医療協力及び感染症対策に貢献しました。また、平成23年3月東日本大震災の対応では、センター病院から発生直後にDMATを派遣するとともに、さらに医療支援チームを継続的に派遣し、健康支援調査を実施しました。国府台病院からもこころのケアチームを派遣して、被災者の心の諸問題の解決を支援をしました。さらに平成23年7月には、東松山島市復興支援プロジェクトとして、保健衛生活動における復興支援のための協定書を締結し、国の危機管理対応に大きく貢献しました。
 このほか多くの貢献実績がありますが、これも豊富な経験、実力と責任感の強い人柄に加え、抜きん出た指導力をもって医療行政などに幅広く寄与・貢献し、その功績は誠に大きいものです。どうぞ、これをご審議いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、ただいまのご説明にご意見がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。事務局案の目的積立金の状況を鑑みというのは、十分に引当金がないということなのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 総務省の政・独委の業績勘案率に関する方針が示されていて、その中で基本的には公務員並とするということで、基本は1.0と言われています。それで1.0を超える場合には特に厳正に政・独委のほうで見るといった中に、退職金を出すということであれば、当然、収益等も上がっていないといけないということで、その目標積立金を積んでいるかどうかも1つの要因として、政・独委のほうでは厳しく見ると言われています。そういったことも踏まえ、これまで各省庁の事例は500件を超えるのですが、その事例の中でほとんどの者は基本的に1.0で、例えば業績が悪いとか、何らかの事件があったときに監督責任等があるということであれば、0.9というのが出てきています。逆に1.0を超える案件は事例として少なく、そういったほかの事例と勘案した結果、今回、確かに業績評価だけを見ると1.5という高い評価になるのですが、全体的なことや国民の目線等も考え、1.0が妥当ではないかということで事務局案を示しています。

○永井部会長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしご意見がないようでしたら、申請のあった業績勘案率については、原案のとおり1.0と決定することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 ありがとうございます。先ほど事務局から説明のあった決定した業績勘案率については政・独委に通知し、意見の有無の確認を行いたいと思います。政・独委から意見がない旨、当委員会に通知された後は、ただいま決定しました業績勘案率を当委員会の最終決定として、国立国際医療研究センター理事長に通知することにしています。
 次に、国立国際医療研究センターの役員報酬規程の改正についての審議です。当センターより、役員報酬規程の改正に係る届出が、厚生労働大臣宛にされています。まず法人に説明をお願いした上で、委員の皆様のご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国立国際医療研究センター統括事務部長
 資料2-5をご覧ください。説明させていただきます。役員報酬規程の改正についてですが、昨年の人事院勧告により、国の指定職職員の給与について、俸給月額の約0.5%引き下げ、及び給与改定臨時特例法に伴う9.77%の引き下げが実施されたことから、独立行政法人国立国際医療研究センターの役員報酬規程も改正したものです。内容は、それぞれ記載してあるとおりですので、ご覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○永井部会長
 ありがとうございます。それではご意見をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。ご質問、ご意見がございませんでしたら、ただいまの役員報酬規程の改正につきましては、当部会として了承とさせていただきます。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 では、そのようにさせていただきます。以上で本日の議事は終了です。本日、ご審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条に基づき、当部会の決定が評価委員会の決定ということになります。また政・独委への通知、公表の手続が行われるということです。事務局から今後の予定等、連絡事項についてのご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定等につきまして、ご連絡いたします。次回は、8月22日(水)10時から、場所は省内22階の専用第14会議室になります。議題は、国立成育医療研究センター及び国立長寿医療研究センターの総合評価等となっています。また本日、ご審議いただきました法人の総合評価書につきましては、事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様方に確定版を郵送させていただきます。なお、評定記入用紙につきましては部会終了後、事務局で回収いたしますので机の上に置いておいてください。以上です。

○永井部会長
 それでは、本日の評価委員会はこれで終了させていただきます。国立国際医療研究センターの先生方、ありがとうございました。また委員の先生方、長時間にわたり、ご討議ありがとうございます。以上です。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会)> 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第16回)議事録

ページの先頭へ戻る