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2012年8月2日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第60回)議事録

○日時

平成24年8月2日(木)15:00~17:00


○場所

専用第21会議室


○出席者

田村部会長、田宮委員、岩渕委員、政安委員、中村委員、酒井委員、馬場委員

○議事

(以下、議事録)

○田村部会長
 定刻になりましたので、ただいまから、第60回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、武見委員、金倉委員、清水委員が欠席ということになっております。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおり、労働安全衛生総合研究所の平成23年度業務実績に関する個別評価及び役員報酬規程の改定についての意見聴取を行います。それでは早速ですが、労働安全衛生総合研究所の個別評価に入ります。最初に、前田理事長から、ご挨拶と平成23年度における業務実績概要のご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 理事長の前田でございます。まず初めに、昨年の非常に大きな出来事といたしましては、御存知のとおり、3月11日の東北地方太平洋沖地震、そのあとの津波その他によります東日本大震災ということが非常に大きな出来事であったわけでございます。平成23年度はそのすぐ後に始まりまして、我々としましても、いろいろと影響を受けたところでございます。研究所への直接的な被害は特になかったと言ってよろしいかと思いますが、御存知の電力事情の悪化という非常に大きなことがございました。国の目標計画では、節電15%という数字を示されておりましたが、私ども研究所では2か所ありますが、清瀬地区では30%、登戸地区では25%ということで、国の目標を大きく上回る節電を達成するということで、かなり努力をしたつもりでございます。
 一方、調査研究の中身そのものにつきましては、震災関係の復旧工事などによる新たな労働災害の発生の防止、そのほか原発の処理関係で防護服を着た作業であるとか、電力事情の悪化により冷房の不完全なところでの作業による熱中症の問題、その他いろいろございますが、そのような新たな災害に対する対策の研究もしなければいけないということで、いろいろ行ってまいりました。しかし研究資源すべてをそれらに注ぎ込めばいいというわけではなくて、一方では、やはり従来からずっと続いております諸々の災害防止に関する研究を外すわけにはいかないということもあり、実行するべき内容は増えましたが、それへの対応はなかなか難しい環境下にあるというような状況下で、精一杯努力してきたつもりでございます。全員がスーパーマンではございませんので、要望にすべて完璧に応じられたかというと、必ずしもそうではないだろうと思っておりますが、それなりの努力の跡を見ていただいて、その結果を適切に評価していただければ幸いに思います。ご挨拶といたしましては、以上です。
 なお、業務実績の概要につきましては、前年までとは少し変わっておりますが、基本的な流れは従来どおりということで、個別には研究企画調整部長と総務部長からご説明申し上げますので、私からは特段申し上げず、ご挨拶及び業務実績概要報告とさせていただきます。

○田村部会長
 どうもありがとうございました。これからの進め方ですが、労働安全衛生総合研究所の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、原則としてグループごとに評価を行ってまいりたいと思います。一部説明の関係で順番を入れ替えたいとのご連絡を受けておりますので、当該部門についてはまた別途アナウンスさせていただきます。まず、グループ1「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置」です。これは評価項目1~12に該当しますが、それについての評価を行います。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑30分の合計50分ということで進めてまいりたいと思います。それでは、法人からのご説明、よろしくお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 研究企画調整部長の黒谷と申します。これからのご説明は、私と、後半の一部、経理的、人事管理的部分については総務部長の尾花、両名でご説明をさせていただきます。
 説明に入る前に資料の確認をいたします。お手元に評価シートを中心としますが、プラスチック製のファイルがあります。ここに一連の資料1-1から2-2まですべてを収納しています。それ以外に別冊として、これからご説明する内容の補充的なもの、参考としていただけるような冊子を別冊としてまとめています。時間の関係上、こちらのすべてまでご説明が行き届かないかもしれませんが、ご用意させていただきました。もう1つお手元に「独立行政法人労働安全衛生総合研究所の雇用環境」という1枚の資料を配らせていただいています。また、先日私どものパンフレットを少し改正したものですから、参考のために一部お手元にご用意させていただいております。以上です。
 それでは、早速説明に入らせていただきますが、基本的にはお手元の資料1-1の実績評価シート、資料1-5の概要説明の資料、いわゆるパワーポイント資料を用いてご説明をさせていただきます。それぞれ頁を申し上げますので、該当部分を開いていただければと思います。
 まず評価項目の1です。「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置」の中の1として、「労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映」です。説明資料は6頁をお開きください。5頁までは研究所の概要、冒頭理事長から申し上げました昨夏の節電対応を紹介しています。ご参考にご確認いただければという資料です。
 評価シート2頁に対応するのが説明資料6頁になります。我々の大きな業績課題としては、やはり労働現場ニーズの把握ということが第1です。特にこの部分については、行政との連絡会議、また、国内外の学会、いろいろな情報収集のニーズの中で、どれだけ積極的に情報収集に当たったかということが私どもの大きな役割と考えています。その中で昨年度、新たな評価の視点として、当部会より研究員が自ら現場に赴いて情報収集をすべきであるという目標を掲げ、評価の視点として、数値目標はありませんが、重点として採用させていただきました。これについては、説明資料の左側のオレンジ色の枠の中にありますが、研究員自らが労働現場へ赴いた事業場数は174でした。平均するのがいいのかどうかわかりませんが、研究員一人当たり平均2事業場の現場へ赴いて情報収集をしております。それ以外に行政との連絡会議の開催については、後ほど詳細な資料がありますので、そちらで少し説明を加えさせていただきます。
 いちばん重要ですが、関係学会への参加人数を掲げています。国内は277、国外が31、計308、それぞれ従前どおりに参加をさせていただいたということで、数字を掲げております。この部分は非常に大枠での会議の開催とかそういったものが主ですので、数値的な目標に関しましては、いま言った174事業場の個別の情報収集、昨年を上回る308名の内外の学会への参加というようなことを、実績評価の対象といたしました。自己評価としてはAとさせていただきました。
 次に評価項目の2、説明資料の7頁です。ここから以下がプロジェクト研究を中心とした、私どもの研究所としての根幹の業務になります。特に、冒頭、理事長もご挨拶の中で述べさせていただきましたように、昨年度については、平成22年度後半に起きました東日本大震災対応が非常に大きく研究成果に影響しています。そういった意味で、従来の計画どおりに「プロジェクト研究」として13課題、「GOHNET研究」の2課題を中心としました。特にこの2つの研究に4分の3の研究費、もしくは研究員についても延べ80~90人を重点的に投入をして実施させていただきました。研究費総額の割合も、平成22年度に比べて、78.1%ということで、数パーセントですが、ウエイトが増しているということを、7頁の左の棒グラフで示しています。重点的な対応をするという中で、いま申し上げましたように、プロジェクト研究の中で、一部東日本対応については後ほど詳しくご説明をさせていただきます。以下、代表的なプロジェクト研究課題として、研究中のもの、終了したものを2課題8頁、9頁に資料として提出させていただきました。時間の関係もありますので、詳細なご説明は省かせていただきますが、8頁のプロジェクト研究は、労働安全に関する分野の研究、第三次産業に対する機械設備、特に基本的な安全技術に関する研究ということで、機械による災害防止等を中心としたものに、今後大いに役立っていく基礎資料として、研究を現在も継続をしています。
 9頁の健康障害が懸念される産業化学物質の毒性評価という研究です。これは実はバイオ燃料として注目をされています。これから、導入が全国的に広がる可能性がある一方、その有害性が懸念されています。特にアジア人特有な状況もあるということで、こういった基礎的なものというのは、今後、そういったものを製造する作業工程における労働衛生上の問題として検討しておくべきものですし、基準策定等の基準になるということで、進めていた研究です。
 こうしたプロジェクト研究、さらに基盤的な研究につきましては、資料の10頁にまとめています。基盤的研究については、10頁の左側にありますように、少し数を減らしてきて、重点的にプロジェクト研究へということで、シフトをしていることを示させていただきました。逆に、プロジェクト研究に発展させるような、萌芽的研究としての基盤的研究の実施ということも大事な要素です。それぞれ2つの基盤的研究からプロジェクト研究への方向性の連続性を示した研究例として2例掲げさせていただきました。
 また、基盤的研究の例として、11頁、12頁にそれぞれ、トンネル掘削の災害の調査分析の検討等の資料と、職場環境におけるストレスの生理学的な評価方法の検討などについての研究内容についてもご報告をさせていただきました。
 申し訳ありません、時間の関係もありますので次に行きます。こうした基本的な研究をする一方、東日本大震災の対応が、緊急課題として大きくなりましたので、当初の年度計画を変更しました。
 13頁には、現在も私どものホームページに震災関連情報を提供しておりますが、それを抜粋したものです。
 14頁の4課題が緊急で、東日本の大震災対応として追加をした研究課題です。
 15頁に基盤的研究例として、がれき処理作業・解体工事における労働災害の分析対策の検討、補修工事において屋根、建物からの墜落災害防止に関する研究、こういった復旧工事も含めた労働災害防止に、すぐにでも対応できるような研究例として取りまとめたものです。また、現在も作業としては行っておりますが、除染作業において、放射線の内部被爆の管理をきちんと把握をしておかなければならないということで、浮遊粉じん中の濃度としての放射線量を把握する評価方法等も、現地に赴いて、現地調査を踏まえて対応した例を16頁に掲載させていただいております。こういった震災対応の緊急性のものについても、相当程度の役割を果たせたのではないかなと自負しております。そういったことも含めまして、評価としてはAとさせていただいたところです。
 次に評価項目の3です。説明資料が17頁、評価シートは7頁からになります。これは、研究の内部評価、外部評価、いわゆる研究評価を適正に実施しているということで、従前から進めていますが、特に平成23年度については、きちんと研究成果の報告を受けてから3カ月以内にホームページ上において公表することを数値目標として掲げたものです。これについては会議そのものは12月末ですが、取りまとめに1ヶ月ほど要し、1月末までに報告書を取りまとめました。その結果については年度末ぎりぎりでしたが、3月31日にホームページ上に公表させていただいております。また、その中で1点、昨年の非常に大きな評価の視点として追加になりました、いわゆる労働関係の法令、基準への反映、それはプロジェクト研究として当然なのですが、具体的に労働災害減少への貢献度についての追跡評価を実際に行うことを目標とし、評価の視点とされました。
 これについては、内部評価規程を改正しまして、昨年度、試行的にではありますが、2つの研究について追跡評価をしております。評価シートでは8頁の評価の視点のいちばん上に、プロジェクト研究の2例を掲げさせていただいております。正直言いまして、具体的に何件減った、何割減少させることができたという数値的な目標が、分析、追跡評価で明らかになるところまではいっておりませんが、いろいろな情報への反響、もしくは論文、規則への対応といった評価はされております。そういった追跡評価のやり方、もしくは対象などについては、今後の課題と考えております。こちらの評価全体につきましては、私どもの目標としております、期間内で対応を完了できたということで、自己評価はAとさせていただきました。
 次に、評価項目4「成果の積極的な普及・活用」です。評価シートは10頁、私どもの説明資料では18頁です。この評価項目については、従前から基本的に大きな変更があったわけではありませんが、具体的に国内外の基準制定への貢献というのは、資料の18頁の表にもお示ししましたように、平成22年度が21、70、平成23年度が23、64。これは数値目標として役職員の20名以上がこういったところに貢献をするということが示されております。そういったことも含めてここに評価結果を出させていただきました。
 また、具体的に数値目標としてもう1つ、実際に研究成果として10件程度の基準、もしくは法律の制改正等に貢献したかどうかという数値目標が掲げられております。
 これにつきましては、19頁に具体的に労働安全衛生関係法令の指針、通達等に反映をしたものを、別途資料として用意しました。平成23年、ここに11の例を掲げております。数値目標は10件程度、実績は11ということで、数値目標はクリアできたと我々は考えております。
 それ以外にもISO、IECといった国際的な基準制定への情報提供等も貢献した例を18頁の左下に掲げております。こちらも、従前とほぼ同様な、もしくは数値目標もクリアできたということで、評価はAとさせていただきました。
 次に、評価項目5です。12頁が評価シート、説明資料が20頁です。こちらは、成果の積極的な活用ということで、具体的に数値目標が示されております。講演・口頭発表(研究員一人当たり)、目標は4回、これについては実績4.3回です。1人当たりの論文発表、目標は2報、実績4.6報です。これは、中期計画全体としては、5年間でそれぞれ20回以上、10報という、5年間の目標が定められております。単純に5分の1ということで、初年度でもありますし、そういった目標を掲げましたが、それについてはクリアしていることをご報告させていただきます。
 以下、説明用の資料の20頁の右側には、実際の講演・口頭発表数と論文の発表数を掲げております。ここでの評価につきましては、それぞれ大きな目標をクリアできたということと、論文発表については倍以上で、Sと自己評価をさせていただいております。
 次に評価項目6です。評価シート上は13頁、説明資料は21頁です。ここは数値目標が示されております。ホームページ上、「研究業績・成果」「Industrial Health」という私どもの国際学術誌、和文学術誌の「安全衛生研究」のアクセス数が65万件に対して、96万件のアクセス数を達成できました。約147%に該当します。また、メールマガジンを月1回発行しております。発行すること自体が数値目標ですが、これも達成したということと、実際に配信数が22年度の783アドレスに対し、1,097アドレスまで増加しました。これは地道にメールマガジンの購読をいろいろなところでPRした結果、こういった数字となりました。
 特にホームページ上の成果の中で、国民に理解しやすい、活用しやすいといった評価の視点がありますが、特に、先ほどもご紹介した、東日本大震災の復旧・復興のための情報提供に加え、いわゆるホームページのバリアフリー化ということで、高齢者、障害者に対しての対応も含めたホームページの積極的な対応を図ったところです。そういったいろいろな数値目標、具体的な対応方針の変更、拡大、利用しやすいということについて、業績として対応できたと考えております。自己評価はSとさせていただきました。
 次に、評価項目7です。評価シートは16頁、説明資料は22頁です。技術講演会等の開催の数値目標が3回以上に対して、延べ8回という回数を達成させていただいております。延べ参加者数は1,453人でした。こういった参加者に対してのアンケート調査についても、「良かった」「とても良かった」という割合は目標75%以上の79%という結果を得ております。特に注目をして見ていただきたいのは、一般公開です。一般公開が平成22年度は328名だったものが、平成23年度は495名と、近隣を含めた関係機関の参加者が大変多くなってきております。そういった意味で、ここに来ていただいた方々、清瀬地区で94%、登戸地区で99%、内容的にもご評価をいただいているということで、研究所を知っていただくということで、これからも積極的に続けていきたいと考えています。こういった数値目標をクリア、自己評価はAとさせていただきました。
 次に評価項目8「知的財産の活用促進」です。評価シートは18頁、説明資料は23頁になります。知的財産、特に特許ですが、取得促進については、例年にも増して対応させていただきました。それから、昨年来、いろいろとご指摘をいただいている中で、実施されていなかった特許の保有の見直しにつきましては、平成23年度は4件の見直しをして、2件は特許権を放棄し、2件は取得を断念ということで、費用対効果を考えて整理をさせていただきました。個々の推移は表のとおりです。この部分につきましては、「別紙1の3」の保有財産のところで別途記入しております。当研究所では従前から課題になっているところですので、対応させていただきました。こういった対応を踏まえて、評価はAとさせていただきました。
 次に評価項目9「労働災害の原因の調査等の実施」です。説明資料24頁です。評価シートでは20頁です。災害調査は依頼があったものについて対応するのは当然ですが、右のグラフにもありますように、平成23年度は、第4四半期に依頼件数がかなり多く、この中に、一度に5名が亡くなった海底トンネルの大きな災害がありました。これは現在もまだ調査中ですが、厚生労働大臣からの依頼を受けて、私ども当研究所が調査を続けているものです。こういった災害に対しての私どもの研究所の重要度というのは正直いって増しているのではないかと思います。これが決して良いことではありませんが、災害が増えてきているということも事実のようです。
 一方、これは23年度評価とは直接関係ありませんが、今年度に入りまして、つい先日来、印刷業における胆管がんの事案が注目を浴びております。そちらの現場の調査も厚生労働省から依頼を受けて、現在調査を続け、取りまとめている最中です。こういった労働災害の調査に関しての当研究所の役割というのは、従前にも増して大きな役割を担っていると考えております。その結果についても、十分お応えできているのではないかと考えております。自己評価はSとさせていただきました。
 評価項目10「労働安全衛生分野の研究の振興」の関係です。25頁が説明用の資料、評価シートは22頁になります。ここは従前から私どもが進めております労働安全衛生重点推進協議会シンポジウムは大震災をテーマにさせていただきました。また、国際学術誌の発行、これは従前と同様に年6回、インパクトファクターの数値目標は0.8に対して0.94ということで、平成22年度の0.95に対してほぼ横這い、和文誌の「労働安全衛生研究」についても年2回発行と、それぞれ数値目標はすべてクリアをしたという評価になっています。自己評価はAとさせていただきました。
 評価項目11「労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献」という項目です。説明資料は26頁、評価シートは25頁になります。こちらも連携大学院制度を継続しています。5大学13名の客員教授等支援、協定に基づいた12名の大学院生を受け入れて、研究指導を行っております。また、それ以外の、これは連携大学院制度を除いた派遣は、18大学24名。具体的な数字について大きな動きがあるわけではございません。自己評価はAとさせていただきます。
 最後に評価項目12「研究協力の推進」という分野です。27頁が説明資料で、評価シートは26頁です。ここの項目の数値目標の中に、20名以上の研究員の派遣又は受入れを行っているということで、これに対しては先ほど数字をご紹介しましたが、55名の若手研究員を受入れ、19名の職員の派遣をしているということで、数値目標の20人に対し、3.7倍となります。それから、共同研究の推進ということも、重要な数値目標になっております。これは私どもの全研究課題の中で、共同で行っているもので、主任研究員が当研究所職員というものです。これは58%となり、15%が目標ですので、それに比べては3.9倍となります。昨年は43%でしたので、若干増加という評価をいただければと思っています。
 評価シートの最後にWHOとの連携ということで、GOHNET研究の実施が27頁の下に書いてあります。昨年7月3日に労働衛生協力センターとして再指定を正式に受けました。これを受けて現在2つの研究課題について取り組んでいるという状況です。こちらは、相当程度の数値目標に対しての実績が得られたということで、評価はSとさせていただきました。
 大変恐縮です。資料の十分な説明ができませんでしたが、以上をもちまして、評価項目12までの第1グループの説明をさせていただきました。ありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートの評定等の記入をお願いいたします。質問等がございましたら適宜ご発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田宮委員
 震災のあと対応が大変な中、いろいろとご努力されていることに敬意を表します。伺いたいところが何点かございます。最初は評価シートの2頁の学会への参加なのですが、全体としては増えているのですが、国際学会が減っているのはちょっと残念かと思うのです。震災のこととか、何か、どんなことがありますかということが1つです。
 もう1つは、パワーポイントの9頁にありました、バイオ燃料の毒性の研究ですが、これはとても大事な研究ではないかと拝見しています。プロジェクト研究は平成23年度でもう終了していますし、きちんとした英語の論文もたくさん出ていることが書いてあります。これを見ますと、毒性的には脾臓とか精子の運動能低下とか、明らかにあるという結果と読み取れるように思うのです。その場合、すぐにどうというのは難しいかもしれませんが、これを見ますと、ヨーロッパやオーストラリア、アメリカは使用禁止になっているということなので、この結果を踏まえて、国の機関として、今後の政策に対してどんな動きがあるかとか、そういうところへはどのように関与しているのかを教えていただければと思います。
 もう1つ、パワーポイントの20頁ですが、論文の数は頑張っていらっしゃるのですが、分類がいままでのが全然ないというのがちょっと気になりまして、分類方法が変わったということなのですが、研究の評価として原著論文と調査報告、解説はだいぶ違うものですから、変わったにしても、例えば原著論文だけはわかるかと思います。どこかに資料がありますか。それはご説明いただければ。以上です。

○田村部会長
 3件ございますが、順次ご説明をいただくということでよろしいですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 正直言って減った詳細な原因というのを分析しているわけではないのですが、少なくともいま私どもが把握している限りでは特別な理由はないと考えています。

○田宮委員
 海外出張予算が削られたとかではないですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 そういうことではないです。強いて言いますと、多少やはり震災等の影響で8月に研究所を閉所したりして、研究計画が変更され、普通だと、予算的な問題は別にして、2名参加したいところ1人になったりといったことが、原因としてはあるかもしれませんが、正直なところ、具体的に何がという原因は特定できておりません。少なくとも方針として参加を絞ったということはありません。

○労働安全衛生総合研究所理事
 2番目のバイオ燃料の件でご説明させていただきます。世界的には一部地域でガソリンに添付することが禁止されているということですが、製造に関する制限は行われていません。実際に製品として出す場合に、一部でそういう動きがあるということですが、日本では今のところそのような動きはありません。    
 なぜかといいますと、労働現場でのばく露を考えた場合には、労働者のばく露は高くても1 ppmを超えることはないと考えています。この研究においては200ppmで影響が出始めるということになりますが、動物から労働者へ外挿するための安全係数を掛けたとしても、7ppm前後という濃度となり、また余裕があります。ただ、今後の研究によってはどうなるかわからないということと、もう1つ、この研究において重要なのは、アジア人、すなわち日本人に多いALDH2の酵素活性が低い体質の方に関しては、影響がより強く出るという結果が得られたことでして、この辺が今後どう評価されるかということです。ただ、この結果は我々が初めて報告したものですので、これから検討されることになります。

○田村部会長
 3つ目の論文数の件、論文の中身ですね。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 重要な論文、特に上から「うち」という部分の原著論文といわゆる総説(査読付き)という部分については、平成22年度のこの数字は81件ありました。これに比べると67件という数字です。いわゆる学会発表の出版物は従前も査読付きであり、ここは変わりませんが、これは平成22年度は44件です。いわゆる論文というものについての原著論文、学会発表の2つについては、いま申し上げた数字で、全体数として若干減っている傾向があると思います。言い訳になるような研究計画変更、節電、震災対応といった要因を分析整理をしているわけではありませんので、なぜ減ったかというのは、正直言ってその理由をいまここでご説明できる状況にはありません。現状はそういった数字ですが、大きな変化はないと考えております。

○田村部会長
ほかに何か、どうぞ。

○酒井委員
 3.11とか、労働災害の原因調査等については、もう大変素晴らしい活動をしていただいていると思っています。まだ、終わったわけではないので、引き続き頑張っていただきたいと思います。簡単な質問を2つほどさせていただきたいのですが、このパワーポイント資料の8頁のプロジェクト研究ですが、これは第三次産業で使用される機械設備というのですが、先ほど説明がなかったのですが、これを見る限りでは、なんでこれが第三次産業なのかという意味合いがよくわからないのです。これは大事なテーマだとは思うのですが、どういう背景かということが1つと、12頁の「職場環境におけるストレスの生理学的評価法の検討」、これも大事だと思うのです。始まったばかりのようですが、これだけでは、なんでこんなことをいまごろやるのかなというような印象で、背景は大体理解できるつもりなのですが、この先どういう展開をされようとしているのかというご説明をいただければと思います。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 理解をしている範囲では、三次産業というのは非常に広い範囲で、例えば食料品製造業と同じような作業を、実は三次産業、スーパー等でやっているようなこともいろいろあって、三次産業の災害の中に、機械設備を使った災害が多いという分析結果があります。ただ、対象の機械じゃ三次産業に限定した機械ではないので、三次産業対策の1つに機械設備等の災害がある。ですから、ここに昇降機の例も出させていただいています。例えばフォークリフトというのは別に三次産業に限った使用をするわけではありませんので、研究のテーマとして三次産業でとなっていますが、対象の機械設備の研究成果の活用は決して三次産業に限定されるものではないと理解しております。

○酒井委員
 こういう辺りのことを詰めていけば、今後、三次産業での労働災害が減ると見て、取り組んでいらっしゃると理解すればいいのですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 はい、これを今度はどう行政等と法令上、もしくは事業場で具体的に利用していくか。例えばご紹介したフォークリフトの警報装置は非常に画期的ではないかと思います。ただ、これをどう周知させるか、例えば法令上義務づける、義務づけないというのは厚生労働省のお話になると思いますが、そういった具体的な活用の部分については今後も努力をしなければいけませんし、場合によってはフォークリフトメーカーと連携を取ることも考えられると思います。そういった努力はしていきたいと思っております。

○労働安全衛生総合研究所理事
 総務担当理事です。補足させていただきます。安全研究を担当しています。御存知のように食堂でも1階に厨房があって、2階にレストランがあるような場合、ダムウェーターというのを使います。まさしくこれが昇降機で、本来人は乗ってはいけないのですが、安易に乗ったり、安全装置が不十分で挟まれたりという事故があります。従来製造業で目立っていた事故が、実は同じような設備が三次産業で使われておりまして、この事故を防げば、結構三次産業も災害が減ってくるという観点からのものです。廃棄物についても産業廃棄物の専門業者もいますが、スーパーの片隅で、食品で残ったものを廃棄して焼却したりして火事になった例もあります。スーパーそのものは三次産業ですので、まさしく見た目には二次産業対策のようですが、三次産業でも機械設備による災害のウエイトが非常に高いという趣旨です。

○酒井委員
 ありがとうございました。

○労働安全衛生総合研究所理事
 2番目のストレスのことでご説明させていただきます。ストレスを評価する場合にはよく知られているとおり、質問紙法と生理学的手法があります。特に生理学的手法に関しましては、ストレスホルモン等の測定が長年行われてきています。最近ではさらに濃度が低い生理活性物質類がここに書いてあります唾液、毛髪でも測れるようになってきましたので、そういう新しい手法を取り入れることによって、一般的な概念として捉えられているストレスをさらに詳細に分離して、評価することを考えています。例えば、疲労に関しても精神的疲労と肉体的疲労をもう少し客観的に分離できないかということで、こういう基礎研究をさせていただいています。この研究はもちろんこれだけで終わるものではなくて、ストレスパターンが異なる労働現場でこの測定方法を活用することにより、ストレスをさらに詳細に分類して評価することを考えているということです。これを担当している研究員も、いま介護労働の現場で調査を始めていますし、さらにそれとはストレス形体の異なる職場でも測ることによって、もう少し効果的な対策立案に活用できないかと研究を進めている最中です。

○酒井委員
 いま、この12頁のものからいくと、いま小川さんがおっしゃったような方法はかなりいけそうだと見ていらっしゃるのですか。

○労働安全衛生総合研究所理事
 測定法が鋭敏になったため測れる指標は増えているのですが、一般的に生理活性物質では変動が起こるため、評価が難しいという困難があります。そこで、それら変動を見積りながら、すなわち実験室で実験研究を行い、かつフィールドでも調査を行い、その両面から得られる結果を見ながら可能性を追求しているという状況です。

○酒井委員
 期待しております。

○田村部会長
 ほかにはいかがでしょうか。

○中村委員
 いくつか質問させていただきます。まず最初に、評価シートの5頁、東日本大震災の復旧・復興における労働災害の防止等に関してです。これが基盤的研究と位置付けているのは何か理由があるのですか。もちろん復旧・復興災害研究の中から、これから将来に向かっていろいろな知見を集めていく研究もあることはわかるのですが、一般的に考えると、今回の震災復旧・復興に対しては、いままで得た知見をベースに、実際の復興作業に対して、こういう点に留意すべきであるといった提言とか、あるいはこうやってはいけないのだというような具体的な情報を期待していると思います。それらについてもたぶんやられていると思うのですが、その点と基盤研究との関係がどうもしっくりこない気がします。なぜ、基盤研究なのか、その点を教えてほしいと思います。
 次の質問ですが、ホームページに対する取組みが非常に評価できると思います。具体的には、いわゆるホームページのバリアフリー化を意図的に行っているようで成果もあげておられるようですが、これはどういう体制でやられているのでしょうか。教えて下さい。
 もう1点は特許の件、評価シートの19頁です。登録総数は36件、新規に1件申請し、1件取得断念のため、特許出願総数は7件とあります。この出願総数というのは、我々が評価する年度内に7件であるということなのですか。数字の関係がよくわかりません。また、総じて出願に関しては、過去と比べると若干取組みが落ちているのかなという気がします。これらについて、何か理由があれば教えてほしい。その3点です。

○田村部会長
 では1件目からお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 それではまず1点目の基盤的研究で震災対応としていますということですが、研究の枠組みとしてはプロジェクト研究と基盤的研究、特別に行政サイドから要請があったものは行政要請研究といった形式で動かしております。研究の中身とはあまり関係なく、形式の問題ですので、プロジェクト研究として新たに立ちあげるには、中期計画の変更などの問題などがありますので、基盤的研究の中で扱えるものは、それで行います。内部的には震災特別研究と呼んだりもするのですが、公式的には、それぞれプロジェクト研究であったり、基盤的研究であったりして動かしているというような状態です。

○中村委員
 実際には復興作業に対する提言なども随次行っていると考えてよろしいですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 ええ、随次行っています。直接研究所から行うというよりは、行政を通じて行うことが多いですが、パンフレットを作ったり、いろいろやっております。

○中村委員
 その点ももう少し強調したほうがよかったのかと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事
 行政のほうへパンフレットを提供しまして、行政から地方の労働局や業界団体へ配っていただくという、アウトプットとしてはそういうことを現実にやっております。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 基本的には総務省でのホームページのバリアフリー化に関する推進の施策の中のいわゆる障害者基本法に基づいた措置として、私どもの機関がそれに対応したとご理解いただければと思います。ですから、私どもが独自にすべて取り組んだということです。

○中村委員
 どういう体制でこのようなバリアフリー化ができたのですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 体制ですか。

○中村委員
 はい、外部委託なのか、それとも職員が通常業務の中で実施したのかということです。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 特別な体制は取っておりません。ホームページを作成する際の注意事項として、そういうバリアフリー化を忘れずに行った構造のページを作るということにしているもので、内部で作る場合もありますし、外注している部分もありますが、通常の体制で行っているということです。

○田村部会長
 よろしいでしょうか。

○中村委員
 もう1つ、特許の件はいかがでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 この出願総数の7件というのは、昨年度の1件を追加して現在7件を出願中です。ですから、この18頁の表の7の総数は実は動いていないのです。1件出しましたが1件取り消しているので、7の数字が横並びで、表示がわかりにくかったかと思います。

○中村委員
 出願中が現在7件ということで、昨年度に7件というわけではないという事ですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 はい、そうです。減っているのではないかという部分について、決して増えているという状況ではありません。私どもは年間1件、1件というのが現状の数字です。ただ、その推進に当たりましては、ここにもありますように業績評価の中の1つとして、若手を中心に研究に対してできるだけ特許への積極的な対応といったものについても、周知しています。また、できるだけ相談に乗って、どういった方向でというような指導についても、組織をあげて対応させていただいています。現実的な数字として、いまのところは横並びというのが実情です。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 補足しますと、かつては特許を出せばよいというような印象があったのですが、最近は出すだけでは駄目で、きちんとそれが収益につながるようなものを選んで出さなければいけないという思想がだんだん所内にも広がってきています。そういう意味で出す側も精選して申請をするような状況になっていると思います。ただ、所員としては以前に比べると、特許などに積極的に応募しようというような意欲は増していると思います。申請の累積件数も増えてきていますので、そのノウハウがだんだん身に付いてきているというようなことで、これは特許になるのではないかというようなことを感じやすくなっています。ただ、マイナス要因としては先ほど言いましたとおり、出すだけでは駄目で、きちんと収益が見込めるようなものが要求されていますので、結果として数の上では多くは出ていないというような状況になっていると思います。

○政安委員
 私たち一般的な立場で見ますと、資料の6頁に、研究員自らフィールドに出向いたと。174というのはかなりの数だと思うのですが、どのような現場に出向いて行って、研究にどのように反映させたのかというところがわかったらお教えいただければと思います。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 現場そのものは本当に千差万別で、もともと研究でご協力をいただいている事業場もあれば、団体等のいろいろなご紹介を通じたいわゆる情報収集で、本当に事業場そのものへ行ったというのがすべて現場というわけではないとご理解ください。事業場は事務所とか団体ということがあります。基本的に把握できた課題はそれぞれ研究員が、今後プロジェクト研究なり基盤的研究の研究計画を作るときに、私どもは内部評価委員会、外部評価委員会とつなげていきますが、研究計画が現場のニーズを反映したものかどうかというのを必ず内部評価の事前のヒアリング等で明らかにしていきます。そういった中で反映させるべきだと思いますし、しつつあるとご理解ください。具体的にこういった現場にいままでも出向いて行ってやってはいますが、数字として把握し始めましたのは平成23年度からなものですから、これが多いと言っていいのか、少ないのかというのはなかなか難しいところだと思いますが、もうちょっと推移は見守りたいと思います。

○政安委員
 ありがとうございます。

○馬場委員
 大変多彩な活動をされているということで評価していますが、3点お聞きします。1点目は、年度計画そのもののことではないのですが、先ほどご説明にありましたが、例えば東日本大震災、今年度は胆管がんの問題等、行政等から要請される突発的な事象は結構起こります。そのときに研究所として既に走っている基盤研究、プロジェクト研究の体制の中で、喫緊にそれに対応する体制をどのように柔軟に組むかというのは、十分にそこは足りているのでしょうか。その辺は外部の専門家に委託するとか、どういう役割をするかによるかと思うのですが、そこのところが非常に重要なことだと思いますが、それは単なる計画でなく。質問です。
 次はパワーポイントの18頁で、例えば行政からの要請の研究に関して、11件に通達、奨励等に反映されて素晴らしいことだと思うのですが、もともとこの11件というのは、想定されていた以上のいい結果として数値に反映されたのか、もともと11件についてはその数値をきっちり出してくれという、その辺の評価がわからなかったものですから、いずれにしても、いろいろな研究というのは行政等に反映されるというのはいちばん重要なことですので、この11というものをどう捉えたらいいか。
 3番目はこれも抽象的な話ですが、ホームページで非常にアクセスが増えて、50%も増えていて素晴らしいことだと思うのですが、例えばこの96万件というのは、ただ一般国民が個人として、あるいは小さなグループとして、労働安全衛生に対する情報をここから得ようとしているのか、学術的というか、行政とか、その辺の分類というか、評価の仕分けは今後必要になってくるのではないかと私は思うのです。国民へのニーズという、国民へのいろいろな情報の提供というときに、行政サイドでの厚生労働省が実施した情報、研究の報告というのがあると思うのですが、一般国民に対するその辺の情報提供としてはいかがなものか、その3点をお願いします。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 まず、臨時的な対応というか、追加の対応というか、これは十分にできますと言うのがいいのか、大変な思いをしていますというのがいいのかどうかわかりませんが、もともと行政からの災害調査等への対応はある程度業務計画の中に組み込んでおります。ですからその範囲内であれば予算的なことも含めて十分に可能です。ただ、申し上げたように、昨年度末のトンネル事故ですとか、今回の胆管がんみたいな事案、こういった大規模の、もしくは長期間にわたる災害調査が続く、もしくは複数が重なってくると、確かに先生がおっしゃるような業務体制の対応というのは非常に厳しくなる。最悪の場合には研究規模の縮小、中止という話になると大きな影響が出ます。その年度計画を、変更してまでやろうと思えば、おそらくこの調査研究部会でご議論をいただかなければなくなります。このような年度計画そのものを変更するなどということも全くないとは言えないのではないかと思っていますが、年度末から今年度にかけて特別に大きな過去に例を見ないほどの労働災害が2件続いたということを考えますと、我々も正直言って危機感は持っています。現状は何とかぎりぎりのところで対応しているというのが実情です。
 行政要請については、ここの19頁の資料は、基本的には行政がこういった前提となる要請があって、それに応えて研究をした成果です。決してそれだけではありませんが、ここの頁で出ているのは、もともと行政の要請に基づいて基準設定に貢献したという整理になっています。
 ホームページですが、先ほどの90数万件というのは、学術誌のところというような、非常に専門資料に限定した数字ですので、おそらく一般国民の方があそこへというのは数は少ないのではないかと思います。本当に研究者のレベルのページのカウントです。全体のカウントはたしか380万件ぐらいのアクセス数があります。これは本当にホームページを訪れた、今回の震災といったところのプラスの情報はそういったところからの方々です。ただ、正確には実はまだ分類はできていないというのが実情です。96万件はたぶん研究者の方が中心ではないかと理解しています。

○労働安全衛生総合研究所理事
 この96万件の前に書いてありますが、「Industrial Health」というのは英文の学術誌で、「労働安全衛生研究」というのは和文の学術誌ですので、これにアクセスされる方はかなり専門家だろうと思います。380万件から引いた残りの方はその他いろいろなコラム的なものとか、震災対応の一般的なQ&Aみたいなものもありますので、国民一般の方もかなりの件数はアクセスいただいていると感じています。

○労働安全衛生総合研究所研究理事長
 追加させてください。ホームページのアクセスの解析は全くやっていないわけではないのですが、実際に見えるのはアクセスしてくる人のアドレスだけなので、それだけでは、どういう人なのか、そこまではわかりませんので、おそらくこういう人ではないかと想像する以上のことはできないということです。それらのページにアンケート的なものを組み込むという手法もあるかもしれませんが、そこまではやっておりません。

○田村部会長
 それでは次に、グループ2「業務運営の効率化に関する措置」、これは評価項目の13~14になります。あと、グループ4「その他業務運営に関する事項」の一部、これは評価項目19になりますが、関連しますので、これについての評価を行います。所要時間は、法人からの説明10分、委員の評定と質疑10分の合計20分で進めてまいります。それでは、法人からご説明をよろしくお願いします。

○労働安全衛生研究所企画調整部長
 それでは、このグループの説明に入ります。冒頭、お断りをさせていただければと思いますが、実は評価項目の順番ですが、いま部会長から13、14、19とありましたが、評価シートでは13、19、14と順番を変更させていただいています。これは私どもの説明の範囲もありまして、また14は経理的な部分が入ってきます。これ以降は、総務部長からご説明をさせていただく予定ですので、評定記入のシートもすべて、13、19、14とさせていただいておりますので、13と19については私、そのあと総務部長ということでご了解いただければありがたいと思います。
 評価項目13ですが、28頁が説明資料、評価シートも同じく28頁で、こちらは「機動的かつ効率的な業務運営体制の確立」です。基本的には平成22年度までの業務体制と比べまして、大きな変化はありません。ご承知のように平成22年度までが第一期5年計画の中で、両研究所が一緒になりまして、そういった中での業務体制を確立するというのが平成22年度までの対応になろうかと思います。具体的には平成22年度までに大きな整理は終わり、引き続き平成23年度も業務運営に努めたということで記載させていただいています。ここは数値的なことが直接的に出てきているところではなくて、文章としてそれぞれ、評価シート上は具体的な対応の部分を記載してあります。
 特に、重要な部分としてご説明しなければならないのが、内部統制の強化、業務進捗管理の部分について30頁の上から3つ目の評価の視点になりますが、この点については、研究企画調整部を中心としまして、特に研究予算については執行管理を適切にすることを重点的に対応いたしました。また、研究員の業績評価ですが、内部評価、それから外部評価を踏まえまして研究業績、対外的な貢献、所内の貢献、それぞれ個人の業績評価等を、やはり担当部長、もしくは領域長、役員等が適切に多面的に評価を行うシステムを確立しました。こういったものについて業績評価を行っているところです。
 また、一般の業務改善の声を聞くということで、国民の声のバナーを設けて対応しています。昨年度、1件の事例がありましたが適切に対応いたしました。
 いずれにせよ、ここは説明資料等もどちらかというと文字が並んでいるところでして、具体的に対応した組織の体制、それから研究業績の業務の推進、質の高い人材の登用、システムの効率化、業績の評価、特に役職に注目をした業績評価の導入と、ポイントのみを書かせていただいた資料です。そういったことを総合的に評価してAとさせていただきました。
 最後に「公正で適切な業務運営に向けた取組」、評価項目は19番になりますが、いわゆる情報の管理、セキュリティポリシーの部分です。また、当研究所の場合には研究倫理という問題もあります。そちらの報告も併せてさせていただきます。説明資料29頁で、評価シートは32頁です。特にセキュリティポリシーの中で、今回の評価の視点で、公的研究費の不正使用防止の項目が追加されました。これにつきましては、外部研究資金の内部監査の実施をしております。適切に対応をさせていただいています。
 それから、研究倫理審査委員会の開催結果につきましては、29頁の平成23年度のところに「審査件数」と「うち承認」「うち条件付き承認」、少なくとも不承認は昨年度は一つもありませんでした。
 ここの中では、内部統制への取組が出てきます。ここにつきましては、先ほども申し上げましたように「別紙1の3」の17頁からかなり詳細に記載させていただいています。昨年度と大差ありませんが、今年度、様式の中で監事の監査について記載する事項がありましたので、その部分について追加記載をさせていただきました。特に資料の「別紙1の3」の「平成23年度業務実績評価別添資料」がありますが、こちらの22、23頁辺りに、いま私が申し上げたことが詳細に書いてあります。青い資料の資料1-3のインデックスの後ろに付いている「評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点への対応状況説明資料」の「内部統制」については17頁から「項目6」ということで、理事長の役職員へのミッションの周知を記載させていただいていますので、ご一読いただければと思います。時間の関係上、詳細な説明は控えさせていただきます。
 こうした対応を進めたことで、自己評価はAとさせていただきました。それぞれ13、19もAということで報告申し上げます。
 それでは、14につきましては総務部長から説明させていただきます。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 総務部長の尾花です。どうぞよろしくお願いします。
 私からは評価シートの35頁、パワーポイントの30頁、評価項目14「業務運営の効率化に伴う経費節減」に関しましてご説明をさせていただきます。評価シートの35頁から始まります。(14)に記載があります数値目標、これは常勤役職員の人件費、ただし、退職手当及び福利厚生費、並びに人事院勧告分は除いていますが、毎年度1%以上節減するとしています。これを受けまして、当研究所では、予算額では前年度に比べ1.2%の節減を行い、平成23年度の実績としましては、4.7%の削減を達成しました。
 次に、経費の節減につきましては、引き続き随意契約の見直しに努めてまいりました。その結果、平成23年度の随意契約はパワーポイント右側上のグラフにありますが、件数で6件、契約金額で約4,000万円まで減少しました。件数につきましては、平成21年度、平成22年度と5件で推移しています。平成23年度も前年度と同様に水道の契約2件、ガスの契約2件、官報公告1件に加えまして、緊急に実施しました労働災害の現地調査に関するものを1件計上しています。これは先ほど、研究企画調整部長から説明のありました岡山県水島で発生しました海底トンネルシールド工事での現場検証の契約でした。
 それから、次のグラフは省エネルギー対策の推進を取りまとめたものです。高熱水料の支出額の実績については、対前年比で1.6%削減しました。当研究所では、既に平成22年度に対前年度比で約7.8%程度の削減を実施しておりましたので、平成23年度の対前年度比は低い数字となっています。
 以上のように、人件費の削減及び経費の節減に努力しましたので、自己評定をSとさせていただきました。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆さまにおかれましては評価シートへの評定等の記入をお願いします。なお、ご質問等ございましたら、併せてしたいと思いますが、いかがでしょうか。何かご質問等ございますでしょうか。

○中村委員
 最後の評価項目の14につい質問させて下さい。達成率も高いと評価しておりますが、逆に、何でそんなに達成できるのか知りたいのですが、お答えいただけるでしょうか。人件費で7%を削減したというのは、実際にどのようなことを行った結果できたのでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 人件費の関係ですね。私どもの研究所は2つに分かれておりまして、登戸にある研究所と、それから清瀬にある研究所、これを独法1本化ということで統合しました。その結果、主に総務部門、それぞれの総務部門で10数名おりました職員が、現在、両方合計しまして14名となっています。この部分がかなり人件費の減少に寄与していると考えています。

○中村委員
 わかりました。ありがとうございます。

○田村部会長
 そのほか、ご質問等はございませんか。よろしいですか。次はグループ3「財務内容の改善に関する事項」で、評価項目15、16についての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明10分、委員の評定と質疑10分、合計20分ということで進めていきたいと思います。法人からご説明をよろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 引き続きまして、「財務内容の改善に関する事項」のうち、評価項目15「運営費交付金以外の収入の確保」についてご説明いたします。パワーポイントの31頁をご覧ください。評価シートの(15)に記載がある数値目標は、研究資金の3分の1以上を外部研究資金によって獲得するよう努めるとしております。当研究所では、競争的資金等の獲得について、組織的な取組を行った結果、その合計金額は1億340万円に達しました。獲得研究資金の研究費総額に占める割合は約21%です。表の右側のオレンジ色のところですが、平成19年度から平成23年度の競争的資金の導入と、受託研究等の実績をまとめました。なお、中期計画及び年度計画に示しておりますが、公益団体、業界団体等に対して、役員自らが受託研究の実施等を働きかけるという目標の達成に向けて、理事長、理事による公益団体、業界団体、企業等への訪問は19団体等でした。
 次に、自己収入の確保についてご説明します。当研究所の研究施設・設備の有償貸与の実績は、平成23年度7件、これもオレンジ色のところですが、175万円でした。平成22年度は56万7,000円ですので、約3倍になっております。著作権料は6件、86万7,000円です。これも平成22年度の比較で、金額は約3倍になりました。特許の実施料は1件、13万3,000円でした。なお、パワーポイントには示しておりませんが、当期総利益につきましては、3,831万円の黒字となりました。これは著作権料等のほか、講師謝金、委員会出席謝金等の収入によるものです。以上の実績から、平成23年度は第2期中期計画の初年度でもありますので、自己評価をAと付けさせていただいております。
 評価項目16、パワーポイントの32頁に移ります。「予算、収支計画及び資金計画」についてご説明します。評価シート(16)に記載がある数値目標は、中期目標期間中におきまして、新規業務追加部分を除き、平成22年度運営費交付金から人件費を除く一般管理費につきまして15%、人件費を除く事業費につきまして5%に相当する額を節減するとしております。当研究所では、中期計画に示された数値目標に準じた年度予算の範囲内で予算を執行し、節減目標を達成しました。表にあるとおり、一般管理費は、当初予算額に対する執行率が73.4%。業務経費は、執行率が87.4%でした。なお、予算の執行に際しては、業務の執行状況と予算執行状況を把握し、適宜見直しをしております。
 以上の経費の節減は、一般競争入札の徹底や、光熱水料の節減に努めたこと。また、研究設備や機器の購入、保守、管理、メンテナンス等について、仕様書の見直しや入札広告を厚生労働省の掲示板に掲示するなど、周知に努めたこと等によりまして、1者応札の割合を大幅に削減することができました。以上の実績をもとに自己評定をAと付けさせていただきました。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。併せて、質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○酒井委員 
 競争的資金のことですが、この獲得額というのは、研究所の皆さんとしてどう評価されているかということと、27件というのは、27件採択されたという意味ですが、申請が何件あったのか教えていただきたいです。1件当たりにすると150万円ぐらいで、労働安全衛生研究所の申請にしては小さいような気がするのですが、これは何か特に、シニアの方たちがプロジェクトを作って大型でいく申請がないのか、それともそういうものの採択が低かったのかという辺りの中身を教えていただけますか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 いま手元に申請の件数資料はないのですが、我々の職員に対しての指導を含めて、最低1人1件は申請をする。ですから、80数名、任期付研究員等まだ新人もおりますが、80件ぐらいです。そのうちの27という数字です。もう1つ、ここの金額については間接経費をすでに引いているものがあります。厚生労働科研費は認められないのですが、それ以外は間接経費が30%程度は認められています。実際には5,000万円ぐらいの契約金額になります。

○酒井委員
 いわゆる研究者の方たちの研究費ということですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 はい、純粋な研究費ということです。これ以外の間接経費が1,000万円弱です。
競争的資金の獲得が十分かどうかというのは議論があろうかと思いますが、、いわゆる大口、例えば億単位の研究資金獲得は、現在の研究体制的なこともあり、ございません。受託研究の中に例年NEDOの研究資金があります。これは非常に大きなプロジェクトです。これも当然時期が来れば終わっていきます。3年計画が2年延びて5年計画になりましたが、こういった大きなプロジェクトは競争的資金に限らず、受託研究等でもこれから積極的に対応していかなければならない課題であるとは思っております。

○酒井委員
 NEDOのものは終了したのですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 NEDOの研究はまだ継続しております。ただ、分類上は受託研究に入れておりますので、競争的資金の範疇には入れておりません。先ほどの質問にありましたとおり、大型の競争的資金があるのかということで言えば、大型のものは残念なく、ちまちまとしたものが集まっているという状況です。

○酒井委員
 やはり、昨年の3.11とか、ほかのプロジェクトで、特にシニアの方たちが忙しくて、なかなか競争的資金の所へしっかりと計画を作る時間的な面で回っていないことがあるのかなということを懸念したのですが、そういうことはありませんか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 あると思います。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 人によっていろいろで、研究所全体に満遍なく仕事がいっているのではなく、実際のところ、災害調査にしても何にしても、集中する人ばかりに集中するということはありますので、「関係ないよ。」という人もいると思っていますが、「影響しました。」という人もいたという状況です。

○労働安全衛生総合研究所理事
 確かに昨年の節電計画では、1週間一斉閉所をした上に、さらに実験棟ごとに臨番で1週間閉鎖しました。すなわち、1人当たりそれぞれ強制的に2週間研究所に来るなという指示を受けたことになります。そういう意味では、実働時間、作業をする時間が減らされたと言っても言い過ぎではないかと思います。

○田村部会長
 ほかにはございませんか。よろしいですか。次にグループ4「その他業務運営に関する事項」の残り2項目です。これは評価項目の17、18に該当しますが、これについての評価を行いたいと思います。所要時間は法人からのご説明10分、委員の評定と質疑10分の合計20分で進めていきます。それでは法人からのご説明をよろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 続きまして、評価項目17「人事に関する計画」、パワーポイントの33頁です。評価シート(17)に記載がある数値目標は、当年度末の常勤職員数の見込みを104人としております。当研究所の平成23年度末の常勤職員数は96人でした。実態として、数値目標を大きく下回っております。
 パワーポイントの左側に記載してありますが、資質の高い人材を採用するため、公募情報を広く周知し、若手任期付研究員の採用を実施しました。表にまとめましたが、平成23年度は、公募に応募した63名の中から5名を任期付研究員として内定しております。
 次に研究員の人事評価につきましては、研究業績、対外貢献、所内貢献の3つの観点から研究員の評価を行っております。その結果につきましては昇格、昇給等の人事並びに優秀研究者表彰や、若手研究者表彰に反映させております。これらの評価に当たりましては、公平かつ適正に行うため、研究員の所属部長、領域長、役員等が多面的に評価を行うシステムとしました。
 パワーポイントの右側の中段に記載してありますが、人件費総額の見込みにつきましては、平成23年度における人件費の総額は8億6,696万円でした。これは平成23年度計画における人件費の見込みを約1億円下回るものでした。また、ラスパイレス指数につきましても、国家公務員との比較で、研究職は93.0、行政職は98.9でした。以上の実績から、自己評定はAと付けさせていただきました。
 続きまして、パワーポイントの34頁、評価項目18「施設・設備に関する計画」についてご説明します。評価シート(18)に評価の視点として、施設・設備の貸与年数、用途、使用頻度等を勘案して、計画的に更新・整備を進めております。当研究所の施設整備につきましては、平成23年度から平成27年度までの整備計画を表にまとめておりますが、平成23年度に計画されていた少し太い字で書かれている工事4件につきましては、年度計画どおり実施することができました。よって、自己評定はBとしました。以上で説明を終わらせていただきます。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いしたいと思います。また、質問等がございましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○馬場委員
 たいしたことではないのですが、ただいまの人事に関する計画で、新規研究員の採用という実績で、募集分野数が、平成23年度実績9分野で募集して、採用は5人というのは、ちょっと私はよく理解できないのですが、適任者がいなかったということでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所理事
 合格基準に達する方が応募してこなかったのです。

○馬場委員
 本来、残りの4つの分野については業務ができない形になるわけですか。

○労働安全衛生総合研究所理事
 必ずしも私どもの人員構成で、それなりに年齢層がありますので、分野といっても特定の非常に狭い分野の募集ではなくて、例えば疫学、化学安全、建設安全といった広い分野の単位ですので、代替人員が全くいないわけではありません。

○馬場委員
 おそらくそうだと思います。一応、こういうシートとしてこういう表記をされたら、9つで募集運営をされていて、実質はたくさん受けていて、5人しか採っていなくて、残りはどうするという形になるので、ちょっと表現を変えられたらいいと思いましたが。

○労働安全衛生総合研究所理事
 そうですね。表現を次回から検討させていただきます。

○田村部会長
 ありがとうございました。

○労働安全衛生総合研究所理事
 追加させていただきますと、実際の例としては、疫学分野で募集しているわけですが、我々の領域というのはいわゆる一般的な疫学ではなくて、労働衛生領域での疫学といって、少し知識領域が異なります。そうしますと、疫学をやっていれば誰でもいいという訳にはいきませんのでなかなか適切な人がすぐ集まりません。ですから、今後も引き続き募集をかけていくという現状です。

○馬場委員
 おっしゃるとおりだと思いますので、5という数字が非常に妥当な数字だと思うので、そこに9というのを書くと、資料としては……が出てくるのではないですかということです。

○田村部会長
 ほかに何かご質問等はございますか。よろしいですか。

○田宮委員
 いまのに関連して、疫学の人員が必要だったので、公募をかけられたわけですよね。でも適任者はいなかった。それはもっと大きな視点の問題ですが、将来的に考えると、何とかしないといけない問題かなと。研究所のせいというわけではなくて、世の中の申請の配分というか、そういうこともあると思うのですが。特にこのごろ厳しいのでしょうか。こんなに集まってきたのに、それでもというのが厳しく捉えたものですから教えていただければと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事
 具体的には、疫学統計として募集をかけそれなりに応募者は集まってくるのですが、その時々によって流行があるようで、今回は心理系の方々がほとんどなのです。いま求めている人材は労働現場での化学物質の影響に関する疫学研究ができる方ですので、やはり、関連するベース知識を持っていることが必要ですがそのような方がいないというのが現状です。10年、20年前は少し余裕がありましたから、そこまで専門知識がなくても、まず採用して養成するという考えが可能だったのですが、ここ10年はその余裕がなくなっています。すぐに労働現場で役立つ研究テーマに取りかかって、何らかの形で成果を出してもらわないと困るという、非常に切羽詰まった状況の中にあり、養成するという余裕がなくなっているのが現状です。

○田宮委員
 その辺は、連携大学院が随分積極的にされているので、そこで人材の教育の可能性はありますか。是非、必要な人材であれば養成しなければ、世の中に必要なわけですよね。

○労働安全衛生総合研究所理事
 そうです。おっしゃるとおりです。ただ、領域にもよりますが、例えば清瀬の安全領域では、それなりに学生が研修生として入ってくるのですが、衛生領域だとなかなか集まりません。例えば登戸地区は街から遠い。そうすると、いまの学生はそれだけでもう来ないのです。我々はもちろん是非来てくれと宣伝しているわけです。某大学では、以前は毎年何人か来ていたのですが、最近は2、3年に1人という感じになってしまい、現状はなかなか難しいです。

○田村部会長
 ほかには何かございますか。よろしいでしょうか。評定等の記入は、皆さんよろしいでしょうか。まだおそらく記入をされていない方もいらっしゃるかと思いますので、事務局からご説明をいただけますか。

○政策評価官室長補佐
 本部会が終了したあとに、会場にお残りになって記入をいただくことは可能です。もしくは評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになってご記入いただくことも可能ですので、本部会が終了後に事務局にお声がけいただければと思います。また、メールのほうで提出される場合につきましては、事務局宛に8月6日(月)までに送信いただきますと助かりますので、よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは労働安全衛生総合研究所の個別評価に関する審議は以上とさせていただきます。次に「役員報酬規程の変更」について、まず事務局からご説明をいただきまして、続きまして法人のほうからご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 労働安全衛生総合研究所理事長から、厚生労働大臣に対して役員報酬規程の変更について届出がございました。独立行政法人通則法の第53条において、厚生労働大臣は届出にかかる報酬等の支給基準を評価委員会に通知することとされております。また、同条第2項におきまして、評価委員会はその通知にかかる報酬等の基準が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて意見を申し出ることができることとされております。つきましては、この度の役員報酬規程の変更が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかにつきましてご意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○田村部会長
 それでは法人からの変更の内容のご説明をお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事
 こちらのファイルの資料2-1の後ろの資料をご覧ください。「当研究所の役員報酬規程の改正」という表題です。私どもの役員報酬につきましては、従来から国と横並びでやっているわけですが、法的には労働基準法適用事業場ですので、裁量権を持って決めることができるわけです。ただ、今回、人事院勧告、給与の臨時特例に関する法律ができたわけです。これに関して、私どもとして幹部間でどう対応しようかということで検討した結果です。ちなみに厚生労働省からも国家公務員の給与の見直しの動向を見つつ、必要な措置を講じるようにという要請もございました。結論として申し上げますと、国の俸給表に準じた形で、人事院勧告分が0.23%減、特例法分が9.77%ということで、合計10%減ということといたしました。民間扱いではございますが、国の俸給表を使っていること、また先ほどから申し上げているように、研究面での震災支援とともに、当研究所は、人件費についてはすべて国費からいただいておりますので、財政面においても震災対応に協力すべきとの結論に達しまして、次の頁の「新・旧対応表」にあるように、人事院勧告分は0.23%ですので、俸給月額は100分の9.77、特別地域手当は100分の10、期末手当は100分の9.77、勤勉手当は100分の9.77減としたところです。すべて国家公務員に準じた支給の減少を図った次第です。
ちなみに議題にはなっておりませんが、一般職員につきましても、労働組合と協議して、国家公務員並の削減を組合として了承いただいておりますので、職員、役員ともに国家公務員並びということで措置をさせていただいたところです。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまの内容につきまして、ご質問等がございましたら頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは本部会としては、この変更について意見なしということでよろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは本日の議題は以上ということになります。事務局から連絡事項等があればお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催は8月22日(水)13時から、場所は厚生労働省専用第14会議室22階です。議題は「医学基盤研究所国立健康栄養研究所及び労働安全衛生研究所にかかる総合評価」となっております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは本日は以上とさせていただきたいと思います。長時間にわたりまして熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

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