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2012年8月31日 独立行政法人評価委員会(第31回)議事録

○日時

平成24年8月31日(金)9:30~13:30


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

猿田委員長、山口委員長代理、五十嵐委員、石渡委員、今村委員、岩渕委員、内山委員、大島委員、
清水委員、高瀬委員、田極委員、田宮委員、田村委員、平井委員、松尾委員、真野委員、宮本委員、茂庭委員、安浪委員、和田委員

○議事

(以下、議事録)

○猿田委員長
皆様、おはようございます。時間になりましたので、第31回独立行政法人評価委員会総会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、朝から、また大変暑いところをご出席いただきましてありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。委員の出席状況ですが、本日は武見委員、金倉委員、祖父江委員、永井委員、高田委員、加藤委員、尾崎委員、竹原委員、川北委員がご欠席とのことです。
それでは、本日の議事の進め方について、事務局からご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
本日の議事ですが、大きく分けて3つあります。お手元の資料をご覧ください。
1つ目ですが、「平成23年度で中期目標期間が終了した法人の当該中期目標期間における業務の実績の評価」となっております。これは、独立行政法人通則法第34条第1項に基づき行うものとなっており、「最終評価」に当たるものです。雇用・能力開発機構及び労働政策研究・研修機構の2法人について評価をいただきます。
2つ目ですが、「今年度で中期目標期間が終了する法人の平成23年度までの業務の実績の評価」となっております。これは次期中期目標策定等へ反映させる観点から行うもので、厚生労働省独立行政法人評価委員会独自のものとなっており、「暫定評価」に当たります。福祉医療機構、重度知的障害者総合施設のぞみの園、勤労者退職金共済機構及び高齢・障害・求職者雇用支援機構の4法人について評価をいただきます。
3つ目ですが、「組織・業務全般の見直し当初案の審議」となっております。独立行政法人通則法第35条に基づき、「主務大臣は、独立行政法人の中期目標期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずること」とされております。その「検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴かなければならない」こととされております。この検討に当たっては、平成15年8月の閣議決定により見直し当初案を策定し、概算要求を行い、その後、予算編成過程において当初案を再検討して、予算概算決定のときまでに決定を行うことになっております。そこで、評価委員会のご意見を今後の検討に活かすことを目的としてご審議いただくという流れになっております。本年度については、暫定評価対象法人の4法人についてご審議をいただくこととなっておりますので、よろしくお願いします。
最後に、審議の順番です。まず、暫定評価及び組織・業務全般の見直し対象法人について法人ごとに審議を行い、その後最終評価の対象法人について審議を行います。なお、法人ごとに入替えを行いますので、よろしくお願いします。以上です。

○猿田委員長
いまお話がありましたように、今日は3つのことで議事を進めます。時間の関係がありますので、早速始めます。
第1番目が福祉医療機構の暫定評価ですが、これに関しては8月16日の医療・福祉部会で暫定評価書(案)が検討されておりますので、部会長である真野委員からご報告をお願いします。

○真野部会長
福祉医療機構の暫定評価の結果です。福祉医療機構におかれましては、現理事長が平成20年4月に民間出身者として初めて就任以来、部会でも良い意味で何度も議論になったところですが、「お客さま目線」に立った利用者サービスの向上という経営理念、すなわち「民間活動応援宣言」を掲げられて、お客さま満足を徹底して追及していくという運営方針を役職員に浸透させておられます。その結果、理事長のリーダーシップにつながるわけですが、非常に効果的に発揮される体制ができており、業務実績も非常に充実しているということです。今後とも民間のノウハウや経営姿勢など、民間の良い面、言い換えると独立行政法人にいままで不足していた面を、引き続き福祉医療機構に浸透させていただくことを期待しております。
また、これも非常に重要なことだと思いますが、東日本大震災への対応ということで、福祉医療機構の総力を挙げて被災地の復旧・復興を支援されました。独立行政法人としての社会的役割を十分に発揮されたと評価しております。
このような実績を踏まえて、今回の平成20年度から平成23年度における暫定評価結果としては、業務運営体制の整備及び退職手当共済事業の2つの項目でS評価、福祉医療貸付事業など12項目でA評価、福祉医療貸付に係る債権管理など2項目でB評価ということです。もっとS評価が多くてもいいのかもしれませんが、我々の部会は厳しく見ております。
S評価のことと、A・B評価について簡単に述べます。まずS評価ですが、効率的かつ効果的な業務運営体制の整備のところで、管理職のポストをかなり削減して、組織のスリム化を行ったということです。4年間で13ポストを減らしたということです。これは、働く職員にとっては労働環境が一段と厳しくなるという面がありますが、これを継続的に実行しているということは、理事長の「お客さま目線」という思いが組織全体に浸透しているからこそ可能であると我々は考えております。また、退職手当共済事業ですが、これも退職金の支給に係る処理日数を短縮され、計画の目標値を大幅に上回っているということです。これに関しても4年連続ですが、高い評価をしております。電子届出システムについては、利用者アンケートに基づいてシステム改善を毎年しておられます。その結果非常に高い利用率につながっており、利用者の事務負担の軽減、また福祉医療機構自体の人数も減らしているわけですが、事務の効率化にもつながっているということで、非常に評価できると思います。A評価も12個ほどありますが、時間の都合で省きます。
少し厳しく評価したB評価ですが、これは福祉医療機構の貸付けの事業に係る債権管理業務です。これは非常に議論があるところです。リスク管理債権の比率は前中期目標期間中の比率を上回りました。福祉医療施設を取り巻く経営環境は、最近は少し良くなったのかもしれませんが、それでも依然として厳しい環境の下に、貸付先からの返済相談に対して迅速かつきめ細やかな対応は行われていますし、貸出条件の緩和をされております。地域の福祉医療施設の維持・存続を支援した結果、リスク管理債権の比率は今期中期目標期間の初年度よりは減少していますが、やはり比率の問題があるということです。
もう1つ、心身障害者扶養保険事業がありますが、これについては外部有識者からなる委員会を経た基本ポートフォリオに基づいて運用をされているわけです。ベンチマークがあって、概ねこのベンチマークの収益率は確保されていますが、国が指示する運用利回りを確保できていない年度もあったということです。これも先ほどの件と同様、外部環境の問題も大きいとは思いますが、そういったことで平成23年度末における繰越欠損金が約132億円ということです。繰り返しになりますが、外的要因による影響が大きいとは思いますが、今後とも引き続き市場環境を注視しながら運用を実施していただいて、この繰越欠損金を何とか解消していきたいと思っております。
最後に、医療・福祉を取り巻く環境は年々非常に大きく変化しております。また、介護基盤の緊急整備、保育所の整備、病院の耐震化整備など、ニーズも増大しているということです。もっと言うと、医療・福祉分野は「日本再生戦略」でも新たな成長を目指す重点分野となっており、福祉医療機構においては政策融資として求められている役割を果たすために、融資対象の重点的な拡大や貸付条件の緩和といったことで、積極的な支援を行うことに存在意義があると思います。そういうことで、地域の福祉施設や医療施設の維持・存続を図ることが期待されているわけです。非常に大きな期待が福祉医療機構には寄せられており、東日本大震災のときのように社会的役割は非常に重要であり、それを果たされてきたということです。引き続き、理事長の指示の下、お客さま目線に立って国民のニーズに柔軟かつ迅速に対応し、お客さまから選ばれ続ける組織となって、我が国の福祉と医療の発展に努めていただくことを期待して講評とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○猿田委員長
ただいまの報告に対して、どなたかご意見等はありますか。

○岩渕委員
評価項目1のところで5.0という非常にハイスコアが出ているのですが、これはミスプリントではないのですか。説明資料の1頁に各年度の評価結果一覧が出ているのですが、平成22年度の5.0というのが随分高いと思ったので。

○政策評価官室長補佐
こちらはミスではありません。部会に出ていただいた委員の皆様方が全員S評価ということで、5.0と出ております。

○猿田委員長
全体的に見ると、平成23年度は少し評価が悪くなっていますね。難しいところですが。ほかにご意見等はありますか。環境の状態などが関係していますが、いかがですか。

○真野部会長
もしかすると、ご関心があるのは運用のところで、繰越欠損金のお話かと思いますが、ここも部会でもかなり議論をしたのですが、運用に関してはあまりアグレッシブなことはできない資産ということもあって、着実に運用を図っていくことという結論になっています。

○猿田委員長
ほかにご意見はありますか。特にないようでしたら、修正意見がないということで、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。もし、何か内容的な修正や誤字脱字、その他少しおかしなところがあった場合には、その修正に関しては私にお任せいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○猿田委員長
ありがとうございます。そのような形にさせていただきます。最後に、長野理事長から一言コメントをお願いします。

○福祉医療機構理事長
福祉医療機構理事長の長野でございます。私から一言ご挨拶を申し上げます。委員の先生方におかれましては、お忙しい中、第2期中期計画における暫定評価につきましてご審議を賜りまして、誠にありがとうございます。
私どもでは、毎年度組織の見直しなどを前向きに取り組んできましたが、本日いろいろお話いただいたことを踏まえて、今後とも役職員が一丸となって、より効率的な業務運営に当たっていきたいと考えております。
先ほどもご紹介いただきましたが、私自身は、民間出身の理事長として初めて当機構に就任したのが平成20年4月ですので、まさに第2期中期計画が始まる初年度でした。この間を若干振り返ると、当機構を取り巻く状況には目まぐるしいものがあったと思います。平成21年11月には行政刷新会議の事業仕分けで私どもの「長寿・子育て・障害者基金」が全額国庫返納となり、その後は毎年度、国の補助金による予算措置に変更するといった、事業自身の根幹にかかわるような大きな見直しが行われました。その後は、平成22年12月の「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」という閣議決定により、一部民間企業と競合する業務の廃止、あるいは当機構の業務全般の細部にわたる見直しを実施するとともに、さらに平成24年1月には「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」という閣議決定が行われ、現在行っている事業を1つの法人組織として継続して実施することは了承いただきましたが、ガバナンスのさらなる高度化を図っていくために、金融庁検査を導入することなども決定されました。
当機構では、こういった決定にいち速く取り組むことがこの機構の基盤をより強固なものにするためのチャンスであると捉え、トップマネジメント機能の強化、あるいは先ほどもご説明がありましたが、組織のスリム化、ガバナンス態勢のさらなる向上などについて、積極的に自らの見直しを実践してきました。私が理事長に就任以来、常に「お客さま目線」と「健全性」という2つの経営上の判断基準を掲げ、業務運営を行うことを徹底した結果、役職員にもこの理念は浸透してきたものと私は考えております。
当福祉医療機構は、平成26年4月に独立行政法人から新たな法人に移行することになっておりますが、今後も先ほど申し上げた経営理念を念頭に、多岐にわたる事業を1つの組織が行っているという強みを活かして、当機構の総合力を今後も十分に発揮することで、引き続き小回りの利く福祉医療支援の専門店として、福祉医療機構の存在意義が少しでも高まればと強く考えております。委員の先生方におかれましては、今後も引き続き当機構に対してますますのご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。この先いろいろ大変かと思いますが、どうぞ頑張っていただきたいと思います。
続きまして、組織・業務全般の見直し当初案の審議に移ります。まず、見直し当初案について厚生労働省の担当課から説明をお願いして、そのあと部会長の真野委員から8月16日の医療・福祉部会での審議における意見等の報告をお願いします。
それでは、担当課からご説明をお願いします。

○社会・援護局福祉基盤課長
資料1-2をご覧ください。独立行政法人福祉医療機構は今年度で中期目標期間が終了し、来年度から新しい期間が始まりますので、この見直し当初案ということで用意しております。
1頁です。制度及び組織の見直しの基本方針です。この頁のいちばん下に書いてありますように、本年1月の「独立行政法人の制度・組織の見直しの基本方針」が閣議決定されておりますが、この閣議決定の中身として、福祉医療機構については中期目標達成法人とするということが1つ掲げられております。また、同時に金融業務、貸付業務を行っているということで、この業務については会社法を参考にした監査機能・リスク管理機能の強化を図ること、また金融庁検査を新たに導入して、高度なガバナンスの仕組みを措置した金融業務型のガバナンスを適用することなど指摘を受けております。
このため、いちばん上の欄ですが、既に平成24年度においてさらなるガバナンス態勢の構築・強化のために、各部横断的なメンバーで金融庁検査のための準備室を作り、金融業務に相応しいガバナンス、金融庁検査準備室等を作る等の準備を始めております。さらに、見直しの方向性ですが、この基本方針に則ってガバナンス態勢を強化する、金融庁検査を導入する等の準備を進めていきたいと考えております。なお、真ん中の欄には参考の形で、新しい法人制度に共通するルールを掲げております。こうした項目をきちんと重視して、しっかりした体制を作り上げていきたいと考えております。
2頁以降は、事務・事業の見直しについての方向性です。福祉貸付事業では、社会福祉法人等に対して施設の整備をするための融資を行う等の事業を行っております。左の欄は具体的措置ということで既に実施している事項、右の欄は今後の見直しの方向性を記載しております。左の欄ですが、福祉貸付事業については国の政策に適合した融資を行うことが重視されており、これまでも国において介護基盤の緊急整備、子育て支援のための保育所整備など、政策として必要な部分に対応した貸付けを重点的に推進してきております。また、貸付事業の事務については、審査期間の短縮や申請書類の簡素化、その他の事務の効率化を図ってきております。特に東日本大震災に際しては、復興・復旧のための緊急貸付け、息の長い復興支援等が求められているわけですが、こうしたことのために貸付けをすることだけではなく、現地での個別の相談会や関係者との意見交換を通じて、どのように施設を再建していくべきかというご相談もしながら、優遇融資等を迅速かつきめ細かに対応してきました。
今後の見直しの方向性ですが、政策的な優先度に応じた融資の展開が何よりも重要と考えております。この点において、今年7月に閣議決定された「日本再生戦略」の中で、医療・福祉分野は新しい成長を目指す重点的分野の3つのうちの1つとされております。同時に、再生戦略の中では、予算制約のある中で財政投融資の積極的な活用を図るとされており、財政投融資としての福祉医療分野の役割、使命を果たすために、融資対象を重点的に拡大することを行っていきたいと思っております。また、東日本大震災で被災した社会福祉施設に対しての復興、これはまだ途上ですので、こちらの優遇融資も引き続き実施していくことを重点的に展開していきたいと考えております。
2点目が協調融資制度の充実です。民間金融機関が融資を行う際に、社会福祉施設の基本財産を担保提供するに当たっては所轄庁の承認が必要とされておりますが、福祉医療機構と協調融資を行う場合には、その承認は不要となるという制度をしばらく前に作っております。民間資金も福祉医療機構と同様に活用していくために、この協調融資金融機関の拡大を引き続き図っていきたいと考えております。
また、融資相談の強化ということで、既に審査期間の短縮等はかなり取り組んできておりますが、事業計画の早い段階から融資相談に応じて、速やかに提案・助言等を行うことにも尽力していっていただきたいと考えております。
次の頁です。医療貸付事業です。こちらも、具体的措置としては先ほどの福祉貸付とほぼ同様ですが、政策適合性を重視してきたということで、病院の耐震化整備や介護基盤緊急整備などのニーズに対応してきました。また、審査期間の短縮、申請書類の簡素化、東日本大震災への取組をしてきたという状況です。見直しの方向性についても、日本再生戦略への対応と東日本大震災への対応を重視して展開していきたい、また融資相談の強化もしていきたいということです。
次の頁です。福祉医療経営指導事業です。こちらは融資と相まって、民間の福祉医療経営についての助言・指導を行っていく事業です。こちらについては基本方針の中で、民間と競合する部分については業務を廃止するということ、民間金融機関等へノウハウを普及するようにという指摘を受けていますので、それに即した措置を図ってきております。右の欄ですが、今後も引き続き民間と競合しない部分での福祉医療機構で行うべき部分に重点化したセミナーを開催していく、また共同セミナーやブロック会議での情報提供等、ノウハウを普及していきたいということです。また、災害や厳しい経営環境の中で、経営が厳しい状態となっている施設、法人への経営指導、支援をきちんと実施していきたいということです。
次に、福祉保健医療情報サービス事業です。WAMNET事業と呼んでおりますが、インターネット上のWAMNETサイトで福祉保健医療関係の情報を提供する事業です。左の欄ですが、こちらについては国と重複する行政資料や民間と競合する部分は廃止するよう指摘を受けており、既に廃止しております。システムについては、システム最適化計画を改定し、全面的な刷新を行っております。
今後の見直しの方向性ですが、引き続き国と重複するもの、民間と競合するものは省きつつ、基幹的な情報を重点的に提供していくことを図っていきたいと考えております。また、効率的なシステム運用を行うということです。
次の頁です。社会福祉振興助成事業です。こちらは、先ほど理事長のコメントにもありましたが、従前、基金事業として行っていたものを、刷新会議の指摘を受けて基金を国庫に返納し、補助事業として行っているものです。全国のNPOを中心とした小規模な社会福祉活動を振興するための助成金ということで支給しております。左の欄ですが、政策動向やニーズに合った国として行うべきものに限定した助成をテーマに、毎年度重点化してきております。助成に当たっては、外部有識者からなる助成事業審査・評価委員会を設置しております。見直しの方向性ですが、毎年度国として適切なテーマを設定し、重点化した助成事業でNPO等の社会福祉振興を図っていきたいと考えております。
次に退職手当共済事業です。こちらは、社会福祉施設の退職手当金についての共済事業です。左の欄ですが、利用者アンケートに寄せられた意見等のニーズを踏まえてシステム改善を図り、利用者サービスの向上、事務処理の効率化を行ってきているということです。また、組織のスリム化、効率化、コスト削減等を図ってきております。今後の見直しの方向性ですが、退職手当共済事業ですので、制度の安定的な運営を図ることを重視していきたいと考えております。また、事務処理の効率化については一層図っていきたいということです。
次の頁です。心身障害者扶養保険事業です。具体的措置ですが、将来にわたっての年金給付を確実にするように、外部有識者からなる財務状況検討会での財政状況の検証・公表を行ってきております。また、コスト削減等を行ってきているということで、今後も年金給付を確実に行うために、毎年度財政状況をしっかり検証していくことを機構において行うとともに、国において少なくとも5年ごとに保険料の水準について見直していきたいと考えております。
次に、年金担保貸付・労災年金担保貸付事業です。この事業については、刷新会議、事業仕分けの中で、十分な代替措置を講じた上で廃止という方向性を示していただいております。国が工程表を作成し、今後廃止に向けた具体的な立案を行うこととされております。見直しの基本方針に基づいて、平成23年度から貸付限度額の引下げ等の制度取扱変更を制度的にも実施してきております。
見直しの方向性ですが、国が立てる計画に従って必要な対応・広報を行う、また事業を実施している間は、利用者にとって必要な資金に限定して貸付けを行うとともに、無理のない返済となるように配慮した審査を行うという方向性です。
最後に、承継年金住宅融資等債権管理回収業務です。これは、既に廃止された年金住宅融資について債権管理を行っている業務です。従来から組織のスリム化を行ってきておりますが、見直しの方向性としては、業務終了の時期を見据え、不良債権などの早期の処理方策を策定・実施するということで、業務を段階的に縮小し、効率化を図っていきたいと考えております。以上です。

○猿田委員長
それでは、真野委員から医療・福祉部会での審議における意見等の報告をお願いします。

○真野部会長
福祉医療機構の見直し当初案については、8月16日に医療・福祉部会で議論をしました。大きな変更といった意見はなく、所管課からの説明のとおり了承されました。
議論のポイントだけお話しますと、金融庁検査を導入するということで、今後の方向性がどうなるかという議論とか、日本再生戦略に入っているということで、そういったところは非常に評価できるのではないかとか、8月16日だけではありませんが、WAMNETや経営指導に対しての民間との仕事が競合しているような部分をどうするかということは部会でも議論になってきたところで、その辺りの方向性もはっきりしてきているということです。
いずれにしても、特に大きな意見はなく、所管課からの説明のとおり了承されたという状況です。

○猿田委員長
それでは、福祉医療機構の見直し当初案について、委員の方々からご意見をいただければと思います。どなたかご意見はありますか。

○今村委員
5頁の社会福祉振興助成事業のところで質問ですが、この方向性は非常に重要だと思います。財政が厳しくなっている状況で、民間との連携というのは政策実施上非常に重要なことだと思いますが、ここで言うNPOというのは、特定非営利活動法人のような狭い意味でのNPOなのか、もっと広い意味での営利を目的としない組織なのかをお伺いしたいと思います。
また、どのような形で実施しようとしていらっしゃるのか、その辺りを教えていただければと思います。実は私はNPO学会という所に所属しているのですが、どうもNPO学会というのはNPO法人の学会だと誤解されていて、もっと幅広くサードセクターと捉えようと考えているので、そのような質問をさせていただきました。

○社会・援護局福祉基盤課長
社会福祉振興助成事業ですが、いまの私の説明の中ではNPOと申し上げましたが、いちばん多いのがNPOということで、対象については特に限っておりません。社会福祉法人もありますし、その他の法人形態もあるということです。
展開の内容としては、ここでも書きましたが、国として、いま政策として各地の民間団体でやっていただくべきこと、例えば最近であれば貧困対策やホームレス対策や虐待防止というテーマを設定しているので、毎年度国としてもしっかり考えた上で適切なテーマを設定し、そのテーマについて行う法人を育成していくことにしたいと思っております。同時に重視しているのは、地域の活動も重要ですが、より幅広い地域や全国ネットでの展開もしていけるような点なども重視しております。

○山口委員長代理
私は年金部会に所属していて、年金の関連で教えていただきたいのですが、心身障害者扶養保険事業が、先ほどの部会長のご報告では繰越欠損金が132億円ということで、ポートフォリオ運用をされているということです。今回の見直しの方向性の中で、特にこの132億円の欠損をどのように今後マネージしていくのか、運用のリスクをある程度抑えていくとか、どのような対処方針なのかが必ずしもよく見えないのです。もし、ある程度方向性が出ているのであれば教えていただきたいと思います。

○社会・援護局福祉基盤課長
心身障害者扶養保険事業については、資料1-1-[1]の暫定評価シート説明用資料の12頁、評価項目11をご覧ください。各資産ごとの対ベンチマーク収益率との差が右欄の上に掲げられております。
ベンチマークと機構の実績、収益率の差については、平成23年度は少し赤字が出ておりますが、概ね改善方向にあるという状況ですので、運用について、まず機構で努力をしていただく。ただ、その状況を見た上で、さらにそもそもの制度改正、保険料水準を見直す必要があるのかどうかについては、5年ごとの見直しを行っていきたいと考えております。

○山口委員長代理
ポートフォリオを見直すことはないのですか。

○福祉医療機構理事長
いまの見直しは保険料水準の見直しで、運用については毎年見直しを行っております。

○社会・援護局福祉基盤課長
この性格から言って、あまり積極的な運用は難しいということで、運用については外部有識者の財務状況検討会等もありますし、運用についての有識者の意見を聴く場も設定しながらやってきているわけですが、大きく変えることは考えてはおりません。

○福祉医療機構理事長
私どもとしては、12頁の左下にあるように「財務状況の検証と公表」ということで、毎年度外部有識者による財務状況検討会で見直しを行っておりますが、中心はやはり公社債で、債権等の運用を中心にして、かなり保守的な運用ではありますが、確実に利益を上げていこうということです。

○松尾委員
3頁の医療貸付事業のところですが、日本再生戦略への対応ということで、この中に「融資対象の重点的な拡大等を行う」と書いてあります。この中身をもう少し具体的に説明していただけますか。重点的に拡大するというのは、具体的にはどういう分野、どういう内容でやられるかについてお願いします。

○社会・援護局福祉基盤課長
重点的な拡大というのは、医療貸付、福祉貸付の両方に記載をしております。基本的に、現在でも福祉医療機構の貸付けについては医療の分野、社会福祉の分野において特に政策的に必要な分野、必要性の高い分野に注力をしており、融資対象もそうした観点からある程度設定をしております。また、優遇利率や優遇融資ということで貸付率・融資率の拡大をしたり、償還期間の延長をしたりもしておりますが、そういったところについては特に重点的な対応をしてきております。
医療・福祉も、最近であれば耐震化の整備や介護基盤の整備などを重点的に行ってきており、今後も再生戦略の中での医療・福祉分野でそれぞれ何が必要かを、厚生労働省でも政策的に判断した上で、福祉医療機構と相談をして対象を設定していきたいという意味で、重点的にと書いております。ただ、ニーズとしては非常に強いものがありますので、融資対象としては基本的にはなるべく広げていきたいと考えております。

○岩渕委員
お願いなのですが、説明者の説明が、やや声が通らなくて、門外漢のせいもあるのですが、よく聞き取れません。そういうこともあるので、もう少し大きな声で、あるいはマイクシステムを全面的に変えるとか、少し工夫していただかないと、折角聞いてもわからないのです。

○猿田委員長
事務局はよろしいですか。よろしくお願いします。
ほかに何かご意見はありますか。全体とすれば大きな変更はないと判断しましたが、特にご意見がないようでしたら、当委員会としては本日の総会において引き続き厚生労働省で検討を進めていただくということで、見直し当初案としては了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○猿田委員長
そのような形で進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、法人及び所管課が退室しますので、少しお待ちください。真野先生、どうもありがとうございました。
(法人及び所管課入替え)

○猿田委員長
続きまして3番目になります。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の暫定評価書(案)の審議を行います。これに関しましては、8月16日の医療・福祉部会で暫定評価書の案が検討されておりますので、部会長である真野委員からご報告をよろしくお願いいたします。

○真野部会長
私からのぞみの園の暫定評価を行いたいと思います。平成20年度から23年度の業績評価です。まず、評価の視点です。のぞみの園の設立の目的は、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ることとされております。一方、業務運営の効率化、サービスの質の確保という目標も課せられていまして、この2つの両立もなかなか難しいのかなという議論はあります。
このために、のぞみの園の業務運営に対する評価の留意点としては、数値目標の達成状況だけではなくて、効率化の取組が施設利用者に対するサービスの質の低下につながっていないかというような話、あるいは重度知的障害者の自立支援のための取組については、地域移行に向けての条件整備全般にわたって、施設利用者一人ひとりに対して、どのような取組を行ったか。あるいは福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した知的障害者の支援に、どのように取り組んでいるかといったことも視点になりますし、さらに調査・研究及び研修に関しては、その内容が障害福祉施策の動向や社会的ニーズを踏まえて、障害福祉施策の推進に資するものであり、かつ、その成果が知的障害関係施設等で活用されるような実効性のあるものとなっているかどうか、といった質の面についても少し力点を置いて評価させていただきました。
全般の評価について申し上げますと、業務運営の効率化に関しては、のぞみの園の設立目的に沿った業務運営を行うために、入所利用者の自立支援(地域移行)の推進、高齢化対策、新たな政策課題に対する取組等を推進するために、平成21年度及び23年度には、寮の再編を実施して、生活寮の数を減らしました。さらに平成20年度、22年度及び23年度においては、新たな政策課題である矯正施設等退所者、先ほど申したものですが、その支援事業の推進を図るために組織改正を実施したということで、効率かつ柔軟に組織改正に取り組んでいるところを評価させていただきました。
業務運営の効率化に伴う経費節減については、業務運営の効率化ということで、中期目標において設定された運営交付金の23%以上の節減に向けて、常勤職員数を計画的に削減されるとともに、平成21年度から国家公務員の新しい給与体系に準拠した給与制度を導入し、俸給の引下げ等による人件費を削減し、また、一般競争入札の実施によって節減に努めることを行っておりまして、運営交付金、退職手当相当額を除いていますが、平成19年度に比して、平成23年度までに6.7億円の節減、要するに28.7%なのですが、それだけ節減できたということで、中期目標を上回りました。これは評価できると思います。
今後も独立行政法人として、業務運営の効率化に取り組む一方、サービス水準の維持ということで、有用な人材の育成・確保を図るといった施設利用者に対する支援の質を図るための方策についても、是非留意してください。
次に地域移行です。地域移行の取組についても少し議論になったのですが、年々施設利用者の高齢化・機能低下が進み、地域移行や新たな同意を得ることが難しくなっているという状況があります。そういった中で施設利用者及び保護者・家族の意向も尊重しつつ、障害特性を考慮した受入先の確保に努めるといったことで、一人ひとり丁寧に手順を踏んで取り組まれているように感じました。
こうした取組の結果、平成23年度までに第1期の中期目標の期間から通算しますと、132名の入所利用者が地域生活のためにのぞみの園を退所しまして、中期目標に向けて着実に実施されているということが評価できると思います。
さらに矯正施設等退所者など著しく支援が困難な者への支援ですが、これは専門家を招へいされて、職員のそういった技術の向上を図るというようなことをされたり、モデル的な支援事業も推進したことを評価したいと思います。
調査・研究に関しましては、知的障害者の地域移行、行動障害等を有する著しく支援が困難な者への支援、先ほど言いました矯正施設等退所者への支援、発達障害者・児への支援、健康管理、福祉と医療の連携といった国の政策課題となっているテーマとか、全国の知的障害関係施設・事業所において関心の高いテーマを取り上げて実施されました。この成果を活用するために、研修会とかセミナーをされて、積極的にやられていることは評価できると思います。
次に財務内容です。総事業費に対する運営費交付金以外の収入、要するに自己の収入の比率です。平成23年度は52.5%ということで、第2期の中期目標に定める40%以上を大幅に超えまして、計画以上に進展していることが評価できると思います。
職員の採用は、平成20年度期首に対して平成24年度末に20%削減して223名にするという数値目標ですが、平成24年度期首の職員数が226名、24年度に定年退職者が8名いることから、達成可能と考えております。人件費総額も1.5億円を縮減しておりますので、この辺りも熱心にされていると理解しております。
そういったことで今後も独立行政法人として業務運営の効率化に取り組まれる一方、効率化が施設利用者に対するサービスの質の低下につながらないように、特に難しいですが、矯正施設等の対象者への自立支援及び高齢知的障害者への支援などについて、高度な専門性を持つ職員の育成・確保を図るといったことで、取組を一層進めたいということを考えております。
今後のこともありますが、障害者自立支援法が改正されて障害者総合支援法という形になって、平成25年4月1日から施行されるわけです。こういうことも踏まえて福祉と医療の連携による支援の専門性を活用して、重い障害のある人の地域生活を支えるようなモデル支援事業を積極的にされて、新しい法律の理念である地域社会における共生の実現に寄与されていくことになると思いますし、発達障害児・者のニーズに的確に対応するために、就学前から成人まで切れ目なく支援するための体制を整備していくとか、矯正施設等退所者への支援、行動障害等を有する等著しく支援が困難な者への支援及び高齢化した施設利用者に対しても、モデル的な支援の事業をやっていくということ。あるいは地域移行ですが、これは繰り返しになりますが、高齢化・機能低下が進んでおりますので、新たな地域移行の同意を得ることが難しくなってきていますが、この辺も積極的に粘り強くやっていただきたい。
最後に調査・研究及び養成・研修です。法律も変わるということで国の政策目標の実現に資する分野や、民間では対応が難しい先駆的な分野において、外部有識者との連携を図りながら、これは既にいくつかされているわけですが、引き続き充実させていってほしいといったことを考えています。以上でございます。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。ただいまのご説明にどなたかご質問がございますか。

○岩渕委員
地域移行についてはこれから先、遠い先についてはどのような考え方でいくことになるのでしょうか。

○真野部会長
もちろん引き続き地域移行を行うわけですが、先ほど説明しましたが、容易にやれる方に関しては、かなり進めてきていますので、今後の対応についてのぞみの園からご説明いただけますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
のぞみの園の理事長の遠藤です。よろしくお願いいたします。地域移行については、先ほど部会長からもご説明がございましたように、独立行政法人に移行してこの9年間、重点的に取り組んでまいりまして、130名を超える方たちの退所にこぎ着けたわけですが、現在、旧国立コロニーから引き継いだ入所利用者の方が約300名おりますが、平均年齢が60歳、平均入所期間も30年をゆうに超えているという方たちでございます。その保護者・家族の方も親から兄弟といったような代替りも多くございます。入所利用者ご本人の状況を見ますと、高齢化だけではなくてかなり機能低下が進んでおりますし、医療的ケアが必要な方も珍しくないと、そのような中で、今後も地域移行を進めていくのは相当困難が伴うと考えております。しかしながら、これからの障害者福祉の理念として、やはり粘り強く地域移行には取り組んでいくことは私ども、やってまいりたいと思っております。ただ、年間何十人といったような数値目標を掲げてやっていくというのは、私どもにとって大変難しい。むしろそういう数字にとらわれて丁寧さが欠けるということがないように自戒しているところです。以上です。

○松尾委員
資料2-1-[1]の説明資料の8頁に、地域移行のプロセスのことが書いてあります。この中に地域移行の同意を得たけれども、移行に至っていない者の年度末の数が年々増えていっているということがあります。先ほどの議論と関係するのですが、同意を得ても実際、非常に環境が整っていなくて、難しいということはあるのでしょうけれども、増えていっているという実態を見ますと、ご本人に説明するだけではなくて、受入先、受入元と言いますか、そちらへの働きかけというか、そういったところの環境整備が整っていないとうまくいかないのではないかと思うのですが、その辺の取組はどのようにされているのでしょうか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
当然ご指摘のように、受入先、あるいは受け皿としてのその地域での基盤整備、そういった点については私ども、地元の自治体あるいは地元の有力な事業者などと緊密に連携・調整を図りながら進めているところでございます。しかしながら、先ほど申し上げたように、だんだん高齢化して機能低下しているご本人に地域で生活していただくようにするためには、実際にその現地に行って移行先の事業所とか施設を見ていただく、あるいはそこで何日間か体験的に宿泊していただく様子をアセスメントしましすし、また、ご家族の方にも一緒にそういう様子を見ていただいて、それで最終的に移行するかどうか、というプロセスを踏んでおります。そのプロセスを踏む期間がだんだんと長引いているというのは事実でございます。そういう意味では、私どもも一日も早くという気持ですが、他方で丁寧に進めていかなければいけないと、そういう結果でございます。

○猿田委員長
いま、かなり増えています。非常に難しい問題を抱えていると思いますし、非常に大変なことです。ほかにご意見はございませんでしょうか。もし大きな修正意見がございませんようでしたら、この中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○猿田部会長
ありがとうございました。それではそういう形にさせていただきます。なお、先ほど申し上げましたように、もし、このあと修正部分であるとか、誤字脱字その他があった場合には、私にその修正は一任させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、遠藤理事長からもう一度コメントをいただけますでしょうか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
ただいま暫定評価につきまして、お認めいただきましてありがとうございました。この4年間、私ども、全力を尽してということで取り組んできたわけですが、この評価の中で業務運営の効率化、また国民に提供するサービスの質の向上、その両面について、目標達成に向けて、概ね計画どおりに業務を遂行していると、そのような評価をいただいたものと受け止めております。これは私どものぞみの園の職員にとって大きな励みとなるものでございます。
第2期の中期目標期間、あとわずか残っていますが、目標期間が終了した時点で、目標以上の成果を上げたといったご評価をいただけるように、引き続き全力を尽くしてまいりたいと思っております。
また、先ほど部会長のご説明の最後に、今後の業務運営についてということで、5点ほどご説明がございました。のぞみの園としても、同じような問題意識を持って、いくつか準備を進めているところです。例えば重い障害があっても地域で生活を続けられるようにということで、医療機関と連携を図りながら、のぞみの園で総合的なサービスを提供するような事業、また、最近いろいろと大きな課題となっております発達障害のある人たちにつきまして、就学前から成人に至るまで切れ目なく、専門的な医療と福祉的なサービスを提供するような事業、これら新しい事業を実施するべく準備を進めているところでございます。
来たるべき第3期中期目標の期間におきましては、このような新しい事業も加えまして、知的障害のある人たちの福祉のナショナルセンターとして相応しい事業展開を図れるように、役職員全力で取り組んでいくこととしております。引き続きご指導、ご鞭撻をお願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。続きまして第4番目の議事です。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の組織・業務全般の見直し当初案の審議に入ります。見直しの当初案につきましては、厚生労働省の担当課からまずご説明をいただきまして、そのあと医療・福祉部会の部会長であられます真野委員から、8月16日の医療・福祉部会での意見等を報告していただきます。まず担当課からご説明をよろしくお願いいたします。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
法人を所管しております障害保健福祉部施設管理室の黒沢でございます。見直しの当初案についてご説明申し上げます。資料2-2-[1]です。前半にはこれまでの中期目標の達成状況の概要が書いてありますが、これにつきましては、先ほど理事長からも報告がありましたように、来年の3月末ですが、目標については達成するということで聞いております。
次に見直しに係る当初案、特に人員削減等による効率化ですが、いままでのご議論の中で委員の皆様もお聞きになったと思いますが、のぞみの園は独法移行後2期10年にわたりまして、施設利用者の地域移行に積極的に取り組んでまいりました。結果として132名を含む、法人移行時に比べて約200名の利用者が減しております。
次の中期目標の地域移行の取組につきましては、先ほどからご議論がありますように、施設利用者の高齢化に伴い、機能低下が著しいこと、それから地域移行に係る新たな同意がなかなか得られない状況になっていること。障害特性を考慮したようなケアホーム等の受入先の確保が、非常に困難な状況にあること。こういった状況を踏まえますと、これまでのような地域移行がどんどん進んでいく、同じペースで進んでいくといったような状況にはないのではないかと考えております。
このような状況の中で今後の組織・人員の規模につきましては、現時点で約300名の利用者がおりますが、これらの方に対するサービスの質・量を確保するといったことは、のぞみの園は障害者支援法に基づく障害者支援施設で、この指定基準を満たさなければ介護給付費が減額措置になりますので、当然のことながら、これに必要な人員の確保が必要になってくるわけです。
このような中で次の中期目標・計画におきまして、人員削減につきましては、これまでの計画よりも緩やかな計画にならざるを得ないのではないかと考えております。利用者の減少に合わせた人員削減を、どのように計画に盛り込むかといったことについては、いままでと違って少し知恵と工夫が必要になるのではないかと考えております。
一方、事業に必要な国からの運営費交付金ですが、今後も契約等の支出の点検・見直しを進めて、効率化を図り、計画的な削減に努める必要があろうかと考えています。
設置・運営の強化ですが、矯正施設等を退所した知的障害者等への支援、あるいは発達障害児・者への支援、地域生活への移行については、いままでどおり積極的に取り組む必要があると考えております。それと、先ほど部会長からもご報告がありましたように、今国会で成立しました障害者総合支援法が来年施行されますが、障害者総合支援法の施行に当たりまして、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会から、昨年の8月に骨格提言をいただいております。今回の法改正では時間的な余裕がなかったこともあって、当面する問題を中心として、法改正を進めましたけれども、この骨格提言の内容を今後どうやって事業として取り組んでいくかということは、厚生労働省としての1つの課題となっております。この中で、のぞみの園のフィールドを活用して、事業化に向けて取組をしていくことも必要だろうと考えています。こういった面について、のぞみの園としても積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
調査・研究、養成・研修関係については、これまで行ってきた調査・研究、あるいは養成・研修については、さらに充実するとともに、強度行動障害と申しまして、何かのきっかけに自傷・他害行為、暴れてしまうといった利用者がおります。全国の施設にもおりますが、そういった方への処遇について、非常に難しいという面があります。こういった方の処遇をする職員の養成・研修といった面についても、来年以降も力を入れていただきたいと厚生労働省では考えております。以上でございます。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。続きまして真野委員から8月16日での審議の状況について説明をお願いいたします。

○真野部会長
国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の組織・業務全般の見直し当初案について、8月16日の医療・福祉部会において、厚生労働省から当初案の概要について説明がありまして、それに対して議論を行いました。部会では特に大きな変更点や意見はなかったのですが、主として先ほどから議論になっているようなお話が中心でした。
そこであまり出なかった話でいきますと、診療所の機能をのぞみの園はお持ちです。医療・福祉との連携という言葉は何回も出てきたのですが、のぞみの園は少し郊外に位置し、そちらで発達障害などの専門的な診療を外来も含めてされているということです。当然、福祉施設なのですが、診療所機能も持っていて、そちらのほうを少し強化されていて、そちらとの連携も図られているということも議論に、これはポジティブな意味での議論が多かったのですが、議論になりました。いずれにしても本見直し当初案については、基本的に了承されたということです。よろしくお願いいたします。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。それでは見直し当初案に関しまして、委員の先生方からどうぞ。

○今村委員
この見直し当初案を見ていて非常に強く感じるのは、昨日、今日あたり、シャープの問題がテレビ等で出されていることの関連です。「日本的ものづくり」ということで、一貫生産で高品質という日本型モデルをずっと追求したわけですが、それを連想いたします。つまり、組織の中ですべてをきちんとやっておられるということは大変素晴らしいことなのですが、例えば地域移行が進まないとか人材の問題とかで、私が申し上げたいのは、もう少し外部の、民間の幅広い組織をうまく活用されながら、先ほど目標数値を少し低いものにせざるを得ないということもおっしゃって少ない人数の中でも目標達成することに苦労されておられるのですが、もう少し発想を柔軟にして、「日本的ものづくり」とたとえで申し上げましたが、もう少しモジュール化というか分解して、民間から活用できるものは活用する形で検討されると、もしかしたら組織の目標達成に貢献するのではないかと思います。
ただ、民間のほうは逆にいうと、ノウハウとかスキルとかいうものに関しては、あまり高いものが多くないので、そこをうまく移転しながらやっていくという発想も、もしかしたらあるのではないかなと思って、ここはあくまでも感想ですが、もし可能であればご検討いただければという意見でございます。

○猿田委員長
ご意見はございますか。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
今後のぞみの園の利用者をさらに減じていくというためには、先ほど理事長からありましたように、地域の中にそういった場所がなければ、地域に戻れません。運営をしているのは民間施設なので、そういった所と連携は当然していかなくてはいけないと思っています。機能低下が著しい利用者から考えますと、医療機関との連携が必要になってきます。地域の中で生活していくためには、福祉サービスのネットワークがないと、なかなか生活していけない。そういう中ではやはり地域の社会福祉協議会などとの連携を図りながら、いかにして粘り強く地域移行を進めていくかということは、今後も努力をしていく必要があると認識をしております。

○今村委員
少しだけ付け加えさせていただきますと、のぞみの園の組織の中に地域連携に通じた人材を是非養成していただきたいと思います。つまり、地域で人を求めることも重要なのですが、内側からもっと開かれた思想で連携をしていくような人材を大いに育てていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
貴重なアドバイスをありがとうございます。私どももかつては国立コロニーということで、1つの入所施設で完結していたわけですが、こういった地域移行の事業を進めるに当たって、むしろ民間の先駆的な施設のノウハウを大いに活用したいということで、そういった外部の有識者というのでしょうか、先駆的に実践している人たちを一応招へいしてということで、職員として来ていただいたり、あるいは毎月定期的にとかいったことで現に支援の現場に入っていただいて、のぞみの園の職員を指導していただくことを独立行政法人になってから続けております。それをもっともっと進めていけたらと思っております。ありがとうございました。

○猿田委員長
1つだけ、医療のほうの連携というのは、医療のほうはしっかりそういうところはあるのですか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
医療でも特に発達障害関係、精神科医療ですが、この点については地元の群馬大学の医学部に何回か通いつつご理解をいただいて、児童精神科の専門医に常勤として来ていただいています。また、非常勤でもそういった精神科の専門医、何名かに来ていただいたりということで、精神科関係は十分に連携を図れていると思います。また、内科・外科系の日常的な医療につきましては、直営の診療所でできるだけのぞみの園の利用者の医療あるいは健康管理を行うということで、かつて国立病院の院長先生で、内科・外科に通じている先生にも来ていただいて、現時点では大体医療面ではニーズに対応できていると考えております。

○猿田委員長
どうしても高齢化してきていますから、ますますそういった問題が多くなってくると思います。ありがとうございました。

○岩渕委員
自己収入の割合が非常に多いということで驚きました。具体的にどこかにきちんとした資料があるのでしょうが、いま見つからないものですから、大雑把に例えばどういうことで、例えば診療所あるいは研修会、いろいろな事業をやっておられるようですが、簡単に教えていただけますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
お答えさせていただきます。大雑把に言うと、1つは診療所関係、これが利用者の高齢化もございまして、入院・外来とも非常にニーズが高まっています。それに全面的に対応できている結果として、また、先ほど来お話がある、地域の人たちの発達障害の医療も含めて、診療収入がだいぶ増えているということ。それから障害者自立支援法に基づくサービスの提供で、私ども、非常に重い方たちを受け入れている、また手厚いサービスを提供しているその結果として、自立支援法になってから事業収入がだいぶ増えるようになってきています。そのようなことの結果として、自己収入の比率が当初見込んだよりはだいぶ高くなっています。

○猿田委員長
ほかにご意見はございませんか。

○石渡委員
先ほどの事業の見直しのお話の中で、昨年の8月に出された骨格提言の中身について、のぞみの園の機能を使って事業化をすることも考えているというお話でしたが、具体的にこのような事業というのがおありでしたら教えていただけますか。

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
いまの時点で、これといったものを特に持っているわけではありませんが、骨格提言の中には、サービスの追加、見直しなど、いろいろな内容が盛り込まれております。のぞみの園は知的障害者に対するサービスを提供する施設ですが、骨格提言は身体障害・精神障害など、すべての障害について盛り込まれていますので、その中のいわゆる知的障害者に関する部分で、今後事業化が必要なものがあれば、そういったものをモデル的に実施することを考えています。ご存じのように、国の予算は無尽蔵にあるわけではありませんので、いかに効率的にそれを事業化していくかというのは、今後それを施策展開していく厚生労働省としては必要なことだろうと思っております。それのためのモデル実施など、今後の検討課題だろうと考えております。

○石渡委員
ありがとうございました。総合支援法の中で、3年後の見直し課題として挙げられているようなものがありますが、その辺りとの関連ということも具体的に検討しているわけではないというのが現状ですね。できれば検討課題の辺りは、是非早急な方向性がほしいなと思いますので、ご検討いただければと思います。

○猿田委員長
よろしいでしょうか。いまのようなことと、先ほど今村委員からお話がありましたような民間企業との連携の問題、そういったことがありますが、全体としてはこの形でよろしいかと思います。どなたかほかにご意見がなければ、当委員会としましては、医療・福祉部会及び本日の総会での議論を踏まえまして、引き続き厚生労働省において検討を進めていただくということで、見直しの当初案としては、この総会としては了承ということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○猿田委員長
それでは了承させていただくことにいたします。ありがとうございます。また法人並びに所管課が交替になります。どうもありがとうございました。
(法人及び所管課入替え)

○猿田委員長
議事の第5番目、勤労者退職金共済機構の暫定評価書(案)の審議を始めさせていただきます。8月10日の労働部会で、暫定評価書の案が検討されておりますので、まず部会長の今村委員から説明をお願いいたします。

○今村部会長
先ほど、真野委員から2つ続けてというお話がありましたが、私のほうは4つ続けてということになりますので、どうぞよろしくお付き合いいただければと思います。まず、独立行政法人勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価概要を申し上げます。中期目標期間の業務実績については、まず総論的に説明を申し上げた後、資料3-1-[1]が説明用の資料、資料3-1-[2]が評価結果の文案ですので、ご覧いただきながらお聞きいただければと思います。
本文の2頁の「1 中期目標期間(平成20年度~平成24年度)の業務実績評価について」の「(2)中期目標期間の業務実績全般の評価」です。評価の視点ですが、この機構は中小企業退職金共済制度と、財形持家融資制度の運営主体であります。機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が、確実な退職金支給、退職金制度への着実な加入及び財形持家融資制度の普及にどの程度寄与するか、という視点が中心となっております。
総論にまいります。中期目標期間の業務実績については、全体としてこれらの3つの視点に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、なお3頁にある[1]から[5]までの点に留意する必要があると考えます。
[1]制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるためには、累積欠損金を解消する必要があります。累積欠損金を現状で計上している中退共事業及び林退共事業においては、引き続き累積欠損金解消計画を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが求められます。
[2]加入促進ですが、平成23年度末で適格退職年金からの移行が終了したことも踏まえ、制度の安定的な運営のための実施体制も含めた対策の見直しを行い、一層効率的かつ効果的な取組を行うことを期待いたします。
[3]中退共事業における退職金の未請求者、それから建退共事業における共済手帳の長期未更新者及び証紙の未貼付については、意識的な取組はなされていますけれども、未請求の発生要因や、建設業の労働市場の特殊性に配慮しつつ、今後も工夫等をしながら取組を進めることを期待いたします。
[4]システム管理の一元化や、清退共事業・林退共事業の業務運営組織の一体化など、効率的な業務実施体制を確立するための取組ですが、これまで積極的に進めてきたところではありますが、今後も不断の見直しを行うとともに、更なる効率化に努めることが求められます。
[5]今回新たに加わった財産形成促進制度です。中小企業における融資の利用促進を図るため、勤労者退職金共済機構への移管を機に、更なる取組の工夫がなされることを期待いたします。
3頁の下から始まる、「2 具体的な評価内容」についてポイントを挙げて説明させていただきます。「(1)業務運営の効率化に関する措置について」です。4頁に移って、「[1]効率的な業務運営体制の確立」については、業務・システム最適化計画ということで、レガシーシステムから新システムへ移行いたしました。稼働して、実施に併せた資産運用及び業務・システム管理業務の一元化などの取組をしてまいりました。これについては評価いたします。
「[2]中期計画の定期的な進行管理」です。業務推進委員会等を定期的に開催し、業務の進捗状況の把握・検証を行っているとともに、評価結果、年度計画の進行状況を全職員に周知させる等の努力も見られ、着実に行われていると認めます。
4頁の中段で、「[3]内部統制の強化」です。ここでは、各職場への年度計画の周知を、理事長が幹部職員に指示したほか、期初面接等において、年度計画における各職員の位置づけを明らかにして、意識改革を図るなどの取組を行っており、評価できます。また、独立行政法人勤労者退職金共済機構コンプライアンス基本方針を策定し、あるいはそれを改正し、財形融資ALMリスク管理委員会の設置といった新たな取組を行うなど、積極的な取組が評価できます。
「[4]業務運営の効率化に伴う経費節減」です。一般管理費及び退職金共済事業経費について、平成19年度予算に対し、削減目標は18%以上でしたが、平成21年度決算では17.5%削減、平成22年度においては退職金共済事業における運営費交付金は廃止いたしました。運営費交付金廃止後も、各年度予算に比べて、年度決算において着実に削減を行っている点が評価できます。人件費の削減については15%削減と、目標を上回る経費の削減がなされる点は評価できます。給与水準については、東京都特別区に勤務する国家公務員の給与水準と比較すると、平成23年度において、年齢・地域・学歴を勘案して101.5と若干高くなっております。特別手当について、引き続き国家公務員の地域手当よりも低い水準にとどめること等により、給与水準の適正化を行うことが求められます。一方で、同時にインセンティブが大変重要で、職員の労働インセンティブの低下につながることにならないよう留意し、人件費等の削減に引き続き努めることを期待いたします。
5頁で随意契約の見直しです。随意契約の見直しについては、随意契約等見直し計画に基づく取組を着実に行い、計画を達成した点は評価できます。
5頁の「(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。「1 退職金共済事業」の「[1]確実な退職金支給のための取組」については、中退共事業における退職金未請求に対する取組として、加入通知書等の発行により、被共済者の意識を高める取組等を行ったほか、電話による請求手続要請等の新たな取組を実施しております。これらにより、取組開始前には2.8%であった未請求率を、目標としては1.0%前後にするという設定をし、平成23年度末時点において1.8%に縮減しております。若干目標を達成しきれていないのですが、これまでに把握した未請求者等に対する調査結果も元に取り組んでおられますので、今後とも工夫をしながら、さらに取組を推進することを期待いたします。累積した退職金未請求者に対する取組についても、時効が完成する直前の未請求者のうち、住所等の情報提供がなされた者で、未だ請求していない者に対して2度目の、再度の請求手続を要請するなど、着実な取組が見られます。
5頁の下段、建退共についてです。こちらは共済手帳を使っていて、長期未更新者の発生防止等に対する取組として、新規加入時及び共済手帳の更新時における、被共済者の住所把握、あるいは既加入者に対する長期未更新調査による、長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われていて努力が認められます。この共済証紙は適正な貼付をする必要があります。そこで、加入履行証明書を発行する際に、共済手帳及び共済証紙の受払簿を厳格に審査することを通じ、平成19年度と比較して平成23年度末時点において、販売額の累計と、貼付確認額の累計との差額が約70億円減少し、かなり努力が認められますが、引き続き目標達成に向けて更なる改善を期待いたします。
6頁は清退共及び林退共です。清酒と林業ですが、新規加入時及び共済手帳の更新時に把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。今後もそれぞれ業界の特性や、機構の実施体制等を勘案しつつ成果を把握し、その結果を今後の対策へ反映させるなど、引き続き目標の達成に向けての取組を期待いたします。
6頁の「[2]サービスの向上」については、退職金給付に係る処理期間について、全共済事業において目標を達成し、維持できたことは評価でき、かなり短縮されております。
「[3]加入促進対策の効果的実施」です。加入者数の目標達成率が、機構全体として加入目標を上回っております。その点は評価できます。今後は、各事業の特性に応じつつ、一層効果的かつ効率的な加入促進対策を行うことを期待いたします。
7頁は、今度新たに加わった「2 財産形成促進事業」です。貸付決定について、平均6日で対応した点と、周知・広報についてホームページの積極的な活用及び外部委託を活用したこと、関係機関との連携に努めたことなどにより、ホームページのアクセス件数等、数値の目標に関して大きく上回った点は評価できます。中小企業における融資の利用促進を図るため、勤労者退職金共済機構への移管を機に、更なる取組の工夫がなされることを期待いたします。
7頁の下段の「(3)財務内容の改善等について」です。「1 退職金共済事業」の「[1]累積欠損金の処理」です。中退共事業においては、平成19年度末時点の1,564億円が、平成23年度末時点では1,741億円となり、177億円増加いたしました。林退共事業については、平成19年度末時点で13億5,700万円が、平成23年度では13億400万円となり、こちらは5,300万円が解消できました。これは、金融市場の状況など、外性的な要因が大きく影響していることがあります。それに留意する必要はありますけれども、累積欠損金の解消は、この制度の持続的な運営に当たり、加入促進と並んで最重要課題ですので、今後とも引き続き累積欠損金解消計画を踏まえ、安全かつ効率的な資産運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。
8頁の「[2]健全な資産運用等」です。第三者による外部評価を反映し、資産運用の基本方針に基づき、安全かつ効率的運用を基本として実施した結果、市場の低迷等の影響はありますが、当期純損失を計上したことがあります。しかし、全体としては各共済事業とも概ねベンチマークと同等のパフォーマンスを達成していると認められます。引き続き、健全かつ効率的な資産運用の具体的成果に向けて、一層の取組が求められます。
8頁の「2 財産形成事業・雇用促進融資事業」です。財産形成事業における累積欠損金の解消、雇用促進融資の財政投融資への償還ともに、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。
8頁の下段の「(4)その他業務運営に関する措置について」です。これについてはかねてよりの課題でありました、退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する、退職金機構ビルのあり方に関する検討会の意見を踏まえ、移転に向けて準備等を速やかに行った点、及び松戸宿舎及び越谷宿舎について、現物による国庫納付を行い、着実に取組を行った点は評価できます。退職金共済事業と財産形成促進事業の連携ですが、一定の取組は見られますけれども、今後普及促進について、更なる両事業の連携が図られることを期待いたします。予算については、毎年度の決算額が、当初予算額より減少するなど、範囲内で適正に執行されており、評価できます。
以上が、勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価概要です。なお、先の労働部会において、本評価書について特段の意見は出されず、原案どおり了承されたところです。

○猿田委員長
今村先生、ありがとうございました。いまのご説明に対し、どなたかご意見はありますか。

○山口委員長代理
累積欠損金が1,700億円以上あるわけなのですが、中期目標期間の業務実績の評価結果の文章を見ますと、「引き続き、累積欠損金解消計画を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが求められる」と記載されています。これを読むと、市場の回復を待つとも読めるわけです。具体的にマーケットの回復を待つ以外に、どういう施策をこの解消計画の中でやろうとされているのでしょうか。

○今村部会長
2つあります。1つは、資産運用については安全かつ効率的ということが重要ですので、市場の大体の評価基準であるベンチマークとほぼ同じぐらいの運用実績を上げること。
もう1つは、運用先を選択するに当たり、完全に外部依存ではなくて、内部に人材を育て、より高い実績を上げる所をうまく選択しながら、少しでも改善しようという努力をすること。この2点について、我々は報告を聞いて確認しております。詳しいことは機構からお聞きいただければと思います。

○山口委員長代理
それだけでは、問題は解決しないと。ベンチマークとほぼ同じ運用を行ったにもかかわらず、欠損が広がった。ですから、債務に対する資産は、不足が大きくなったということですよね。

○今村部会長
例えばこの資料の「評価項目13財務内容の改善に関する事項」をご覧いただきますと、市場の影響によって大きく変動するというのはやむを得ないと思っています。市場の影響をどうコントロールするかということについては、かなりリスクを取って失敗をした運用のケースもありますので、そこのところはどうやってバランスを取るかというのは重要なことですので、引き続き考慮していただきたい、ということを期待して我々は評価したところです。

○山口委員長代理
要するに、いまのポートフォリオ運用をやっていて、これは保険ですから、市場環境が悪いと欠損はどんどん膨らんでいくわけです。だから構造的に保険ですと、いろいろな準備金を持って、そういうマーケットリスクに対応できるようなバッファーを作るとか、構造的な改革をしていかないと、マーケット頼みの話になってしまっているのではないかと思うのです。
ベンチマークと比べたら、別にパフォーマンスは悪くなかったと。だけど欠損が増えたというような状況になっているわけですから、構造的な改革をしていかないといけないと思います。もしかしたら、最終的には給付を引き下げるといったようなことも含めて、何か調整できるような仕組みを導入していくようにしないと、持続性が維持できないように思うのです。その辺のことを伺っているのです。

○猿田委員長
機構のほうからどうですか。

○勤労者退職金共済機構理事長
ただいま、委員長代理のほうからご指摘のあった点について、理事長としてお答えいたします。今村委員のほうからご説明のあった点に補足するということでご説明させていただきます。平成20年以降、リーマン・ショックがあり、市場の混乱が非常に大きかったわけです。その市場の混乱というのは、当初思っていた状況よりも、はるかに大きかったというのがこれまでの実情です。
少し細かいお話をいたしますと、ガクンと累積欠損金が大きく増えた後、平成21年度については単年度で見てみますと改善はしています。平成21年度だけ見ると、累積欠損金はそれなりに改善しておりましたが、なにぶんリーマン・ショック以降の市場の混乱が非常に大きかったことが尾を引き、その初年度と比べてみると、累積欠損金が結果的に膨らんでいるというのが現状です。
理事長としての問題意識を申し上げますと、まさに委員長代理がご指摘されたとおりで、この機構にとって資産の健全性が最も重要なテーマであると私自身も認識しております。したがってどのようにするかというのは、この時点で具体的にお答えできるような状況になっているわけではありませんが、外部有識者のご意見なども踏まえ、資産運用のあり方や、そもそも制度のあり方や、さらに今後は準備金を積んでいく必要性などについて、基本的な点を含めて検討していくことが、平成24年度で第2期中期計画期間が終わるわけですが、次の期間に向けての非常に重要なテーマだと思っております。いまのご意見を踏まえ、資産の健全性というものに、より一層重点を置いた資産運用をやっていきたいと考えております。

○猿田委員長
ほかにご意見はありませんか。

○高瀬委員
門外漢なので恐縮なのですが、退職金共済事業で、退職金の未請求者に対して、「退職5年以上経過した未請求者のいる事業所に対して、住所等の情報提供を依頼し」とあります。この5年というのはちょっと長すぎるような気もするのです。例えば1年以上、あるいはもっと短くてもいいような気もするのです。確実に退職金を届けるという意味ではですね。その辺は何か事情があるのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
具体的な手続についてご説明させていただきます。退職されてから3カ月が経過した時点で、まだ退職金を請求していただいていない方については、事業所を通じてその方の住所を確認し、その方に対して請求を依頼しております。また2年間経つと、次の事業所にいた場合でも継続できなくなりますので、2年に至る段階でもう一度請求を勧奨しております。さらに5年経つと時効になりますので、5年の段階でもう一度行うということで、いま現在では3カ月、2年、5年の前というように、節目節目で何度も請求をお願いしております。

○高瀬委員
わかりました。請求をお願いしても、請求してこない人というのはかなりいるのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
2年経った段階で1%にするという目標をいただいておりますので、それに向けて努力しております。かなり縮小はしてきておりますけれども、未だ請求していない方がおられます。その原因として、私どもが調査等でお聞きしておりますのは、1つは制度に入っていることを本人が知らない、請求する従業員自体が知らないこともありますので、そういうことのないように、入ったときにご案内するとか、あるいは毎年、何年間貯めておられますということをお伝えすることをしております。
ただ、金額の少ない方とか、中には事業所とトラブルがいろいろあってお辞めになられたような方の場合、事業所から「退職金を請求しなさい」と従業員に言わないケースもあります。そういう方々が少ないながらも出てきておりますので、退職金の請求に結び付いていないケースがあります。そういう方々に対しても、粘り強く働きかけを行っていきたいと考えております。

○猿田委員長
ほかにご意見はありませんか。先ほど山口委員からありました累積欠損金に対する評価のところだけかと思うのですが、そんなことはないのですか。ほかにご意見がないようでしたら、いま貴重なご意見をいただきましたけれども、全体とするといまご議論いただきました形で、中期目標期間の業務実績の暫定結果としては、一応この形でよろしいでしょうか。そして、もしご了承いただければ、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。
(各委員了承)

○猿田委員長
どうもありがとうございました。先ほど申し上げましたように、修正部分があったり、誤字脱字、その他少しおかしなところがあった場合には、その訂正を私のほうにお任せいただきたいと思います。どうもありがとうございました。額賀理事長のほうから一言ご挨拶をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事長
本日は、ご審議賜りましてありがとうございました。この結果を踏まえ、私どもは組織運営に今後とも改善を重ねてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○猿田委員長
ありがとうございました。続きまして6番目の、組織・業務全般の見直し当初案の審議に移らせていただきます。見直し当初案については、先ほどと同じように厚生労働省の担当課から説明をしていただき、その後、労働部会長の今村委員から、8月10日の労働部会での審議の状況、意見をいただきたいと思います。

○労働基準局勤労者生活課長
労働基準局勤労者生活課長です。これまでの業務実績や、その評価を踏まえて次期中期目標期間に向けた組織・業務全般の見直しについての当初案を作成いたしました。資料3-2-[1]と資料3-2-[2]です。[2]は、昨年ベースの様式に整理したものです。[1]の2枚紙を用いてご説明いたします。
「1 事務事業の見直し当初案のポイント」です。「中小企業退職金共済事業」の関係では3本の柱を掲げております。1つ目は、「確実な退職金支給のための取組」です。ここでは[1]が一般の中退共、[2]が特定業種と分けております。[1]の一般の中退共についてです。中小企業がこの制度に加入し、掛金を支払い、従業員が退職したときに、その従業員の請求に応じて退職金を支払うという基本的な枠組みです。第2期、即ち今期の中期目標期間でも、新たな未請求退職金の発生防止、累積した未請求退職金の縮減対策を実施してまいりました。中でも5年以上未請求の人に対しては、全員を対象に住所調査を実施し、住所が判明した方には請求勧奨を実施いたしました。しかし、未請求の退職金が存在するという状況は残っております。
どのようなものが残っているかを見ると、5年以上未請求のうち、73.6%が5万円未満であるという、比較的少額のものが多くなっております。退職金をお支払いするのが基本であることを前提としながら、併せてこのような実態にあることを踏まえ、今後の対策としては、効果の観点から重点化することを考えております。具体的には、今期の中期目標で、退職2年後の未請求率を1%程度にする目標を示しておりますが、なかなかその目標に近づかない状況にあることも踏まえ、新たな未請求退職金の発生防止に重点的に取り組むこととしております。
請求勧奨のためには、未請求者の住所を把握することが必要となります。従来は退職した後、退職して時間が経ってから事業主を通じて住所の提供依頼を行ってまいりました。そのため住所の把握が困難な場合も少なからずありました。ここに数字は書いてありませんが、平成23年度に住所の提供を依頼した方のうち、住所が把握でき、手続を要請できたのが半数以下でした。この住所把握に関しては、今年度から被共済者退職届によって、退職時の住所を把握できるように順次進めておりますので、今後はこの退職時の住所把握を確実に行い、これを活用して、退職後3カ月経過時、更にはその後一定期間経過時の退職金の請求勧奨を行うこととして、新たな未請求の発生防止を図ることとしております。
また、5年以上の未請求者については、既に全員の住所調査を行うなどの取組を行ったこともあり、今後の個別的な取組としては、既に住所が把握できており、請求が見込まれる方を中心に請求勧奨を実施するなど、効果の観点からの工夫を行いたいと考えております。もちろん、それ以外の方についても、例えばホームページや各種広報の機会を通じた一般的な周知など、未請求の解消に向けた、請求に向けての取組を進めていくことは必要と考えております。
次の頁の[2]は特定業種の関係です。具体的には建設業と清酒製造業、それから林業です。この特定業種に関しては、個々の企業ではなくて、その業界を退職したときに退職金をお支払いするという枠組みです。対象者が期間を区切って雇用される有期の雇用の方ですので、掛金についても手帳に証紙を貼って掛金を支払うという仕組みで、その証紙を貼ることによって手帳がいっぱいになったら、その手帳を更新する仕組みになっております。第2期中期目標期間では、過去3年間共済手帳の更新がない方に対し、現況調査を実施し、手帳の更新なり、既に業界を引退しているということであれば、退職金の請求なりを勧奨してまいりました。
先ほど申しましたが、特定業種の場合、業界の引退時に退職金をお支払いいたしますので、手帳が未更新の方の中には、引退はしていないけれども、手帳更新に時間がかかっているのだという方や、引退したけれども退職金を請求していない方が混在しております。期間雇用者であり、職場を移動するため、事後的な住所把握が困難な状況にあります。それでも清酒製造業、林業の場合には比較的加入者が少ないこともあって把握が進んでおりますが、建設業の場合は業者の数も、従業員数も多いこともあり、現実的に事後的な住所把握を行うことは特に困難です。
このような実態を踏まえ、今後は被共済者の情報を整備し、引退者に確実に退職金を支給できるよう対策を強化する必要があると考えております。下の枠の中ですが、具体的には新規加入時、手帳の更新時に、被共済者の住所を把握することを徹底する。そして、いまのような3年間未更新という場合だけではなく、その後一定期間未更新の場合にも、退職金の請求の勧奨をする。そして、このような勧奨を効率的に実施できるようにコンピューター・システムの整備を行う、というようなことを考えております。
なお、長期未更新で、これまで現況調査を行ってきた方については、既に住所が把握できている方に対して、一定期間後に請求勧奨を実施するなどの取組を行うこととしております。もちろん、一般的な対策としてホームページの活用などのほか、業界団体の協力もいただいて、広く未更新の解消に向けたPR、周知を進めていくことが必要であると考えております。
次の頁の、中小企業退職金共済事業の2つ目は、「効果的な加入促進対策の実施」です。多くの中小企業の従業員に退職金をという制度の趣旨からしても、加入者数を増加させることは、勤退機構にとって基本的な任務です。現在も積極的に取り組んでいただいております。今期についても、機構の定める中期計画で、具体的な目標が設定されております。現時点では、その目標の数字と同程度か、それを上回るペースで加入が進んでおります。
今後においても、更に引き続き効果的な加入促進対策を実施し、加入者数の増加を図るべく、中退共事業に関しては、中小企業が集積する大都市等での対策を強化するほか、中小企業と関係の深い地域の金融機関との連携の強化といった、新たな視点での取組も必要かと考えております。この金融機関との連携については、開始を来年度まで待つ必要もありませんので、既に取組を開始していただいていると承知しております。特定業種退職金共済事業に関しては、業界が限定されていることもあり、関係行政機関や関係事業主団体等との連携を強化し、加入促進を進めていく必要があると考えております。
3つ目は、「財務内容の改善に向けた取組」です。具体的には、一般の中退共事業と、林業退職金共済事業における累積欠損金の解消です。先ほどもご指摘がありましたが、累積欠損金が生じている状況にあっては、その資産運用を効果的・効率的に行っていく側面、さらにそのような状況では対応できないケースに至れば、制度改正による退職金の支給ベースの見直しといったことも考えられますけれども、現時点では安全かつ効率的な資産運用の実施が適当かと考えております。この累積欠損金に関しては、勤退機構が平成17年度に策定した累積欠損金解消計画に沿って現在進めております。当初は順調に進んでおりましたが、サブプライムローン問題、リーマン・ショック問題などの影響で、計画に比べて解消ペースに遅れが生じているのが現状です。これについては、安全かつ効率的な資産運用に努めつつ、引き続き着実な累積欠損金の解消を図っていくことが基本となると考えております。
続いて、「勤労者財産形成促進事業」です。財形では、制度の普及と財政運営について示しております。制度の普及に関しては、いろいろな調査を見ても中小企業には財形制度が普及していない状況にあります。中小企業の従業員は、勤退機構の業務である財形持家融資についても利用が進んでいないということです。先ほどの中期目標期間中の暫定評価においても、財形の利用促進に向けての機構の取組についての期待をお示しいただいておりますが、このように中小企業に制度が普及していない状況を踏まえ、中小企業に対する制度の導入及び制度の運営に係る情報提供の充実を図ることとしております。
また、勤退機構が行う財形融資業務に関しては、今年度まで運営費交付金を交付しております。この財形の財形勘定に関しては、従来ありました累積欠損金が今年度で解消することが見込まれ、来年度からは運営費交付金がなくても、制度の自立的な運営が可能となると見込まれます。そのため、平成25年度から運営費交付金を廃止し、自立的な財政規律の下、安定的かつ効率的な財政運営を実施することを予定しております。
「2 組織・運営の見直し当初案のポイント」です。[1]サービスの向上のため、コールセンターの充実等を予定しております。[2]業務の電子化や機械処理を進め、業務の効率化を図るとともに、セキュリティの強化についても図っていくことを予定しております。[3]勤退機構は、退職金共済事業も、財形事業も国費以外の財源が中心となるものではありますが、経費削減が必要であることには変わりはないと考えており、業務運営の効率化などにより、経費の削減を行うという基本的な方向性は維持する考えです。[4]災害時の事業継続性を強化するため、システムの機能停止や、データ破損ということに備えた対策の検討・実施を予定しております。以上です。

○猿田委員長
それでは今村委員から、この間の労働部会でのご意見等をよろしくお願いいたします。

○今村部会長
報告いたします。勤労者退職金共済機構の組織・業務全般の見直し当初案については、8月10日の労働部会で議論が行われ、基本的に了承されました。これまでご議論いただいたとおり、加入促進と財務内容の改善というのは車の両輪です。併せて、未請求者の解消は重要な課題である。そういう目標に向かっていろいろ議論をさせていただきました。
資料3-2-[1]の1頁の「1 事務事業の見直し当初案のポイント」の中で、一般の中小企業退職金共済事業における、退職金未請求者に対する取組、あるいは2頁の特定業種退職金共済事業における引退者への確実な退職金支給の取組については、未請求・未更新という発生要因をしっかりと調査し踏まえた上で、より効果的・効率的な対応が行われることを期待するという趣旨の意見が出されました。
資料3-2-[1]の4頁の「2 組織・運営の見直し当初案のポイント」については、災害時の事業継続性の強化に向けての取組を期待するという趣旨の意見が出されました。以上です。

○猿田委員長
ありがとうございました。それでは、委員の方々から見直し案についてのご意見はありますか。

○山口委員長代理
加入促進対策の関係なのですが、今年の3月末まで、適格退職年金の廃止というのがあり、それに伴う退職金共済のほうへの移行というのはだいぶあったように思うのです。これは年金局の関係になるのですが、今後総合型基金の解散をしやすいような環境整備といったようなことが進められていく可能性も高いのではないかと思うのです。先ほどのお話だと、大都市等での対策強化ということがありましたが、総合型基金だと地方にもたくさんあり、そういう所は中小零細企業ばかりですので、年金制度がなくなった後は、こういう退職金制度が復活するとか、必ずそのような形で中小企業の従業員の老後の対策がなされるように、是非そういう総合型基金が解散した後の受け皿としても、是非力を入れていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事長
この見直し当初案の中にも書いてありましたし、先ほどの説明にもありましたが、3頁に、中退共事業については「金融機関との連携強化等」と書かれてあります。金融機関等との連携を強化するとともに、地方の要望、あるいは需要にしっかり応えていきたいと私どもも思っております。
効率化の観点から考えると、大都市を中心にするということは、私どもの限られた組織としては必要な選択だったと考えておりますが、地方の需要にも応えていきたいと考えております。

○猿田委員長
いまお話になったことの記載はありますね。

○労働基準局勤労者生活課長
金融機関との連携強化ということは書いてあります。

○今村部会長
これまで議論には出ていなかったのですが、部会でいろいろ話をしたのは、シナジー効果というものがあるのではないか。つまり、旧能開機構から移管になった財産形成促進制度がありますが、うまくシナジー効果を狙って、いまご指摘になったような問題もそうですし、もう少し中小企業に特化した何か財産、それから退職金等をうまくサポートするような仕組みというのはたぶんできるのではないかという意見も出ておりましたので付け加えさせていただきます。

○猿田委員長
ほかにご意見はありませんか。
(各委員了承)

○猿田委員長
特にご意見がないようでしたら、いまの議論を踏まえ、当委員会としては、労働部会及び本日の総会での議論を踏まえた形で、引き続き厚生労働省のほうにおいて検討を進めていただくことをお願いして、この見直し当初案としては一応了承という形にさせていただきます。どうもありがとうございました。あとで訂正、その他ありましたときには私のほうにご一任をお願いいたします。法人の方、ど
うもご苦労様でした。また、担当課もありがとうございました。
(法人及び所管課入替え)

○猿田委員長
ここで10分ぐらい休憩を取りたいと思います。
(休憩)

○猿田委員長
続きまして議題の7番目です。高齢・障害・求職者雇用支援機構の暫定評価書(案)の審議を行いたいと思います。8月9日の労働部会で暫定評価書の案が検討されておりますので、部会長の今村委員からまたよろしくお願いいたします。

○今村部会長
引き続き私から報告させていただきます。できるだけ手短に報告させていただきたいと思います。まず資料は、先ほどと同様、資料4-1-[1]のポンチ絵と資料4-1-[2]の評価結果(案)の文案です。旧能開機構から移管された部分を付け加えまして、高齢・障害・求職者雇用支援機構ということで、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果を紹介させていただきます。最初に機構の中期目標期間内の業績評価について総論的にご説明申し上げたあと、具体的な評価内容についてポイントを押さえた形で説明させていただきます。
まず、中期目標期間(平成20年度~平成24年度)の業務実績全般の評価についてご説明申し上げます。1頁の中段以降です。機構の業務実績の評価に当たりましては、高年齢者等及び障害者並びに求職者その他の労働者の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与するという機構の設立目的に照らしまして、どの程度寄与するものであったか、効率性・有効性等の観点から適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってきました。中期目標期間全体の業務実績につきましては、本部機能の幕張本部への移転・集約化、地方業務の委託方式の廃止による直接実施など、業務運営体制の効率化に着実に取り組んでいます。また、人件費削減、一般管理費・業務経費の削減などを中心とした経費節減に取り組むとともに、利用者等のニーズ把握、サービスの質の向上などに積極的に取り組んだ結果、業務実績は中期目標・中期計画を上回るなど、着実に実績を上げており、概ね適正に業務を実施していると評価できます。
次に、具体的な評価内容について申し上げます。2頁の中段以降になります。2の(1)業務運営の効率化についてです。経費節減等につきましては、一般管理費・業務経費、ともに中期目標・中期計画を上回る予算の節減を進めまして、併せて予算執行の節減など、極めて高い努力が認められます。また給付金・助成金業務の事務手続につきましては、効率化・簡素化、審査能力の向上などにより1件当たりの平均処理期間が、平成19年度と比べまして平成23年度で7.1%の短縮となっており、評価できます。
(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。その[1]関係者のニーズ等の把握や雇用情報等の提供についてです。業務の質の向上については、関係者ニーズを業務に的確に反映させるための内部評価・外部評価を積極的に活用しまして業績評価システムを構築しておられます。また、評価体制が適切に機能していると判断されます。二元構造のコンプライアンス体制やリスク管理委員会の設置など、この機構は従来より内部統制の改善に積極的に取り組んでおられまして、着実に進行していると評価できます。
3頁の[2]高年齢者等雇用支援業務についてです。まず、事業主に対する相談・援助、実践的手法の開発・提供及び高年齢者雇用に関する啓発等についてです。事業主に対する相談・援助につきましては、70歳まで働ける企業の普及・促進、65歳までの希望者全員継続雇用の推進等に重点的に取り組みまして、高年齢者雇用アドバイザー等による相談・援助等の実施件数が毎年度延べ3万件と中期計画の数値目標を上回るとともに、追跡調査において具体的な課題改善効果があった旨の評価が得られた割合も、数値目標を大きく上回っていることは評価できます。また実践的手法の開発・提供につきましては、70歳まで働ける企業の実現に向けて、高齢者が意欲と能力を十分発揮できる雇用環境の構築を図るために事業主のニーズ及び就業現場の実情を踏まえた調査・研究を行っており、評価できます。
3頁の下段、[3]障害者雇用支援業務についてです。地域障害者職業センター業務につきましては、障害者の就労支援ニーズの高まりを踏まえまして、どの地域においても均等・公平な職業リハビリテーションサービスが受けられる環境を整備し、他の就労支援機関では対応が困難な精神障害者、発達障害者等に対して、平成23年度末までに延べ11万人に職業リハビリテーションサービスを実施しております。職業準備支援等修了者の就職等に向かう次の段階への移行率及び就職率につきましても、毎年度、中期計画の目標値を上回って達成しておられます。
職業リハビリテーションの専門的な人材の育成ですが、福祉機関等の職員に対する職業リハビリテーションに関する専門的・技術的研修を実施しておられます。職業リハビリテーションの専門的な人材の育成に努めておられまして、この点は評価できます。今後は、「福祉から雇用へ」の流れの中で助言・援助等の実施効果を確認し、地域ニーズに対応できる効果的な人材育成に期待いたします。職業リハビリテーションに関する調査・研究も行っておられまして、発達障害者等の職業リハビリテーションに関する先駆的な研究等に重点を置き、そのニーズを踏まえたテーマについて実施をしております。すべてのテーマについて、毎年度、3分の2以上の外部評価委員から上位2段階の評価を得て中期計画の目標を達成したことは評価できます。
納付金関係業務です。4頁の下から5頁です。企業が厳しい経営環境にあります。その中で毎年度、99%以上の収納率を達成していることは評価できます。障害者雇用に関する相談・援助につきましては、サービスの向上、相談・援助体制の強化に積極的に取り組んでおられます。就労支援機器の貸出しや利用率が中期計画の目標を大きく上回っており、利用者の満足度も高いことから、有効な取組として障害者雇用支援に貢献していると言えます。評価させていただきます。また障害者雇用に関する実践的手法の開発につきましては、事業主のニーズの調査・分析を積極的に実施されており、わかりやすく実践的なマニュアル・好事例集の作成等に取り組むことで相談・援助を具体的にバックアップできる手法の開発がなされております。
6頁、[4]職業能力開発業務についてです。効果的な職業能力開発業務の実施に当たりましては、地域の実情に応じた運営に努めるとともに、訓練コースの見直しについては、「機構版教育訓練ガイドライン」に基づきましたPDCAサイクルによる訓練コースの不断の見直しを行っておられます。今後も職業訓練の効果的な実施に取り組むことを期待いたします。
それから、離職者訓練です。訓練の実施に当たりまして、人材ニーズや民間教育機関等との競合に留意した訓練コースの設定に努めるとともに、就職支援の強化を行うことで訓練修了者の就職率で目標は達成しており、高く評価されます。高度技能者の養成訓練につきましては、訓練生に対するキャリア・コンサルティングの実施など、きめ細かな就職支援等に取り組むことで、専門課程及び応用課程の修了者のうち就職希望者の就職率が目標を上回ったことは高く評価できます。さらには在職者訓練ですが、受講生と事業主のアンケート調査の満足度が、いずれも目標値を上回っております。この点について評価できます。さらに職業訓練指導員の養成ですが、技能習得の指導ができるだけでなく、訓練のコーディネート、キャリア・コンサルティング、就職支援等に対応できる幅広い能力を有する人材の養成に努めておられます。職業訓練指導員の開発途上国への派遣などもあり、国際貢献にも取り組んでおられます。この点、評価できます。
最後に財務内容の改善についてです。8頁の下段です。予算執行等につきましては、一般管理費及び業務経費とも、中期目標に基づき適正に実施しており、中期目標期間の予算節減目標を達成しておられます。特に業務経費につきましては、前年度と比較して、平成22年度では24.5%減、平成23年度では29.6%減と大幅な削減となっており、評価できます。また障害者雇用納付金に係る積立金につきましては、納付金収支の推移及び今後の見通しを踏まえまして、資金の流動性及び運用の安全性を確保した上で効率的な運用・管理に取り組んでおられます。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価は以上のとおりです。なお、先の労働部会におきましては、本評価書についての特段の意見は出ておらず、原案どおり了承されたところです。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。ただいまご報告いただきました暫定評価書(案)に関しまして、委員の先生方からご意見をいただければと思います。どなたか、ご意見はありますでしょうか。全体的にはいいみたいです。

○石渡委員
こちらの機構がいろいろな就労ニーズを持っていらっしゃる方にサービスを広げていらっしゃるのをとても注目しておりますし、また、期待もしております。いまご説明をいただいた中でちょっとわからないので教えていただきたいのですが。3頁の「障害者雇用支援業務」の中に地域障害者職業センター業務が位置づけられていますが、障害者に対するこれまでの支援と、高齢の方や他の求職の方に対して、全国レベルのサービスと地域レベルのサービスというのはどうなっているのでしょうか。3頁の書き方ですと、地域のセンターがやっているのは障害者支援だけなのかと思われます。拡大している高齢者とか求職者への支援が、従来の障害の方への支援システムと変わりがないのかどうかが明確にできなかったので、教えていただきたいと思います。

○猿田委員長
機構からどうぞ。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
機構の理事長代理の村木です。先生方には大変お世話になっております。当機構でどのように具体的に業務を展開しているかということをまずご説明申し上げます。
1つはここにありますように、障害者のリハビリテーション業務を実施する地域障害者職業センターというのが各都道府県にあります。もう1つは、ちょっと似ているのですが、高齢・障害者雇用支援センターというのが、これも各都道府県にあります。これは、従来、委託業務でやっていたものを直轄でやることにしたものです。ここで障害者関係の納付金・助成金の業務と併せて、高齢者関係の助成金とか高齢者雇用アドバイザーとか、そういった高齢者関係の業務全体を担当しております。それと別に、昨年10月に職業能力開発業務が移管されてきました。これは各地にありますポリテクセンターとかポリテクカレッジで実施している、ということでそれぞれの役割を分担しております。それと同時に、このようにいわばさまざまな形の仕事をしたいと思っている方たちのお手伝いをしているものですから、そういうところのいわばシナジー効果、例えば障害者と高齢者のシナジー効果、あるいは障害者とその訓練のシナジー効果、それを進めることに私どもはいま力を入れているところです。

○石渡委員
わかりました。そうしますと、いままで障害のところで重ねてきた実績が、今のシナジー効果も含めて、いろいろなニーズを持っている方に、地域においても確実に支援が提供されているという理解でよろしいのですね。ありがとうございました。

○今村部会長
旧高障求機構というのは、我々は、ガバナンスという点では非常に高い評価をしてきております。それに能開機構の求職者支援事業が加わっています。いま理事長代理から説明がありましたが、シナジー効果というのは大いに期待できるところです。なおかつ、それに期待するのは、旧高障機構のガバナンスのよさが新しい大きな組織の中でさらに浸透して業務がより効率的に、効果的に推進できるのではないかということは部会でも議論いたしまして、大いに期待しているところです。

○猿田委員長
ありがとうございました。それでは、ほかに委員の方々から何かご意見はございますでしょうか。

○安浪委員
1つよろしいですか。

○猿田委員長
どうぞ。

○安浪委員
資料4-1-[1]の14頁ですが、離職者訓練の評価が過去3期間はバーが入っていまして、該当がなかったということで、平成23年度がSの評価で、それが5年間の最終評価のSとなっているのですが、1期がだけがSで5年間の評価にSを適用するというのは、これでよろしいのかどうかというところをご質問させてください。理由がございましたらお願いしたいのですが。

○猿田委員長
これは事務局からですか。

○政策評価官室長補佐
ただいまのご質問について説明させていただきたいと思います。離職者訓練につきましては、平成23年度に初めてこちらに移管されてきたということで、評価は1回分しかないということになるのですが、次の最終評価、能開機構の最終評価というのを行いますが、平成22年度までの分についてはそちらで評価をするということになっておりますので、ご理解いただきたいと思います。

○安浪委員
平成22年度までの評価とこのS評価とは異なる、別物だということなのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
移管されてきてこちらでやっているのが平成23年度ということで、平成23年度分は載っているのですが、それまでの分は、まさに旧能開機構でやっていた事業ということになりますので、次のテーマになりますが、能開機構の最終評価のほうでこれまでの全体の事業について評価を行うという、形式的ですが、そういうことになると思います。

○安浪委員
平成23年度の評価をこの5年間の評価として使うことについては、こちらに移管されてきたわけでしょうけれども、それでいいのかどうかということなのです。平成23年度の実績だけですから。平成23年度だけの評価として数字を置いておかれれば、それでいいと思うのですが、それを5年間の評価、すなはち、この上の欄が5年間の評価という扱いになっているのものたものですから。

○政策評価官室長補佐
これは法人の主体自体が異なるということになってしまいますので、そこは仕方がないかなと理解をしております。

○安浪委員
平成23年度の評価だけではやはり、これを5年間の評価にするのはちょっと無理があるのかなというところをどういう形で表現するかということだと思うのです。法人が異なるということも理由かもわかりませんが。

○政策評価官室長補佐
離職者訓練事業という視点で見れば、こちらは平成23年度分しかないのですが、次の最終評価というところで、これまでの離職者訓練についての評価は、きちんと能開機構で行ってきた分について評価を実施する。ただ、主体が、いまお話したように、法人としては平成23年度にこちらに移管されてきて、いままさに法人としての評価を行っているところなので、平成23年度の分だけが掲載されてしまうということです。今のご懸念の点はおそらく、移管されて1回分だけで全体の評価が出てしまうというところをご指摘されているのは重々承知をしているところなのですが、すみません、そこでちょうど分断されてしまうというか、機構が引き継いだ部分とそれまでの部分ということで分断されてしまうので、そこだけ、申し訳ないのですが、ご承知いただければと思います。

○猿田委員長
要するに、委員のほうはちょっとわかりにくいのです。ですからその辺り。どうぞ。

○今村部会長
私の理解だけを申し上げます。能開機構を吸収したときに、業務を移管したときに存続するほうがこちらになりました。あとで、能開機構の評価が最終評価の中で平成23年9月までのが評価が入りますので、離職者訓練に関してはそちらで評価しています。ほかにも高度技能者等いろいろありますが、そちらで評価するということです。高障求機構としてやる離職者訓練等は、平成23年度10月以降と平成24年度の2年間です。それについては高障求機構の離職者訓練ということです。ご指摘のとおり、1年、2年で5年間の評価とするのはどうかということになるかと思いますが、あくまでも、移管したのが平成23年度からだという断り書きの上で高障求機構の評価をさせていただくというように私は理解しています。もし何か違っていたら説明してください。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
理解は、いま今村部会長がおっしゃったとおりですが、私ども、その評価を受ける立場から一言申し上げます。評価をしていただくのは23年度10月以降の半年分です。ただ、当然、これから業務をしていくに当たりまして、次に評価をいただきます雇用・能力開発機構の最終評価を十分踏まえて、私どもとして業務を実施していきたいと考えております。

○猿田委員長
ありがとうございました。ほかにご意見はございませんでしょうか。もし特にないようでしたら、今のご意見を伺っておりましたが、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果については概ねこの形でいいだろうということで、当方としては、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表させていただきたいと思います。あとの修正やそのほか、何かあった場合には私のほうにお任せいただきたいと思います。
(各委員了承)

○猿田委員長
続きまして8番目の議事です。今の高齢・障害・求職者雇用支援機構の組織・業務全般の見直し当初案につきまして、まず最初に厚生労働省の担当課からご説明をいただき、そのあと、また今村委員から8月9日の労働部会での審議における意見等の報告をお願いしたいと思います。それでは、担当課から10分ぐらいでよろしくお願いします。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
高齢者雇用対策課長の辻田です。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の「高障求機構の組織・業務全般の見直し当初案について」という資料に基づいて説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、「事務・事業の見直し」をご覧ください。高障求機構はいくつかの柱で仕事をしておりますが、1つの大きな柱として、1.高年齢者等に関する雇用支援業務があります。今後の施策、事業の方向性について書かせていただいておりますが、最初に書いてありますように、労政審での建議「今後の高年齢者雇用対策について」というのがあります。それから、いま検討しており、おそらく来月閣議決定が予定されております高齢社会対策大綱、こういったものを踏まえて、生涯現役社会の実現に向けた環境の整備に対応するため、業務の充実・強化を図るということです。従来、先ほどから暫定評価の中でも高障求機構の業務について、65歳までの希望者全員の雇用を確保することと、さらに、それを超えて70歳までの雇用、生涯現役社会という形になっております。
一昨日、8月29日ですが、私ども、高年齢者雇用安定法の改正案を提出しておりまして、これが成立いたしました。この中身は、これまでは65歳までの継続雇用という形で各企業に要請をするという形になっておりまして、高齢者を60歳時点で選別する規定を労使協定で認めていたわけですが、それを削除するということで、法制度上、文字どおり、希望者全員の65歳までの継続雇用が実現するというような形になっております。
もう1つ、先ほど申し上げました高齢社会対策大綱の中で、今後、65歳ではなくて、人生90年時代を前提としたような仕組みに展開していく必要があるということで、年齢にかかわりなく働けるような社会環境の整備を図っていくべきだと、そういう方向性も新たに出るという形になります。そういったものを踏まえて機構としては、65歳までの希望者全員、これを確実に確保するとともに、年齢にかかわりなく働けるような社会の実現に向けたさまざまな支援に重点化していく、強化していくという方向性を出しているということです。
見直し当初案のいちばん上の○は、「年齢にかかわりなく働ける企業の普及・促進に向けた支援の強化」です。年齢にかかわりなく働ける企業の実現に重点を置いて、これをサポートするためのさまざまな支援ツール、実践的支援のツールの開発、高年齢者雇用アドバイザーのスキルの向上、そのための研修の再構築、さらには人事労務管理や雇用環境整備に関する給付金、これは来年度、予算要求で給付金の抜本的な見直しを検討しておりますが、そういった新しい給付金制度を活用し、組み合わせ、高齢者の多様なニーズに対応した効果的な相談・援助を充実させていく、こういう方向です。
2番目の○が「生涯現役社会の実現に向けた気運の醸成」です。各企業の労務担当のほうにも、これからは、65歳までを基盤としつつ、年齢にかかわりなく働けるような企業の就業・雇用環境の整備をお願いすると同時に、国民自身あるいは働いている方々自身も、65歳までではなくてさらに生涯現役という意識を持っていただくことが必要だということで、そういった重要性、諸施策などについて国民に周知・広報するということで、シンポジウムの開催、好事例の選定・表彰、経済団体等とのネットワーク、そういったものを含めて効果的な周知・啓発を図っていく、というような方向性を出しているということです。
次の頁をご覧ください。今度は2本目の柱の障害者の雇用支援業務についてのことです。障害者の雇用支援業務も、来年度以降、非常に大きく転換していくことが予定されています。最初のほうに書いてありますように、平成25年4月から法定雇用率の引上げが予定されています。民間は、いま1.8%になっていますが、2.0%に引き上げられます。さらに、現在、障害者の雇用制度のあり方について研究会でいろいろ検討されています。障害者の範囲の問題、障害者権利条約への対応の問題、こういったものを踏まえてこの秋から労働政策審議会でまた議論をして、制度改正等々について検討が行われていくという形になっております。
したがって、そういったものを踏まえて、さらに業務の充実・強化を図っていく必要があるという形になっています。
見直し当初案を見ていただきますと、いちばん上の○が、「地域障害者職業センターにおける発達障害者に対する体系的支援プログラムの全国実施」です。雇用率が引き上がってまいりますと、いままで各企業で対応が難しかったような障害者に対する雇用の確保が求められていくということです。身体でも重度の障害者、あるいは精神障害者、あるいは発達障害者といったような方々について雇用を確保していただく必要があるという形になりますが、現在、ここに書いてありますように、障害者職業総合センターが開発したワークシステム・サポートプログラムというのがあります。これを拡充いたしまして、さらに、いま一部のセンターで実施しておりますが、これを全国展開するというようなことで、さらに発達障害者に対する支援の充実・強化を図っていきたいということです。
2番目の○が、「障害者職業能力開発校における訓練ノウハウの開発・普及の取組の強化」です。機構の、所沢と吉備の障害者職業能力開発校で培ったノウハウを、統合効果を活かすという意味もありますが、都道府県の一般の障害者の職業訓練校あるいは通常の職業訓練校といったところに移転していくというようなことを重点的にやっていきたいということです。
3番目の○ですが、「障害者雇用納付金制度の適用対象事業主の拡大に向けた対応」です。これも大きな制度改正が既に決まってスケジュール化されています。平成27年4月から雇用納付金の制度の対象、いわゆる雇用率の未達成事業所から納付金を徴収し、達成事業所に移転させるという形になります。その対象事業所が、いま200人超という形になっておりますが、これを100人超に適用対象が拡大されます。したがって、現在、適用対象になっている企業は2万程度ですが、これが平成27年4月から4万5,000ぐらいに増えてくるという形になります。そういった中で対応し、かつ、中小企業の場合、一般に雇用率が最近、非常に低くなっておりますので、そういった中小企業への個別訪問等で、この制度の周知・啓発なり障害者雇用に向けたさまざまな支援・促進を図るとともに、徴収業務について、収納率99%以上という高い率を維持していただいているわけですが、この率の水準を目標に、さらに適正な運営をお願いするということです。
次の頁をご覧ください。もう1つの大きな柱になっています職業能力開発業務、いわゆる職業訓練の部分です。見直し当初案のほうをまず見ていただきますと、○のところに「産業構造の変化や技術革新等に対応した効果的な公共職業訓練の展開」とあります。先ほど来、暫定評価の中でもありましたが、離職者訓練あるいは在職者訓練につきましては、PDCAサイクルを使って訓練コースの見直しを不断に行うということと、今後、環境・エネルギー分野等の新しい分野のものづくり関係の訓練コースを開発・実施していきたいということです。さらに、いま、高度技能者養成訓練についても同様に、訓練コースの見直しは当然ですが、共同研究等を通じた産学連携あるいは大学等関係機関との連携強化といったものを進めていきたいと思っています。
2番目の○ですが、「指導員養成訓練の見直し等の実施」です。養成訓練につきましては、職業訓練指導員を養成するハイレベルの訓練を創設する、あるいは、現職の訓練指導員のスキルアップを目的としたスキルアップ訓練の段階的な拡充を行って、産業構造の変化あるいは技術革新に伴う訓練ニーズに対応したカリキュラム、あるいは技法の開発・普及といったものを行っていきたいということです。さらに、職業能力開発総合大学校につきまして、今年度で相模原校のカリキュラムを終了して閉鎖するという形になっておりますので、相模原校の跡地の売却処分が今後の課題になってくるということです。
その他として、「求職者支援制度に基づく訓練認定業務等の的確な実施」あるいは、いちばん下に書いてあります「民間教育訓練機関の教育訓練サービスの向上に向けた対応」といったものにも、引き続き、しっかりと対応していきたいと思っております。
最後の頁になりますが、「組織・運営の見直し」です。いちばん上のほうを見ていただきますと、引き続き、効率的・効果的な組織・業務運営を図る観点から、管理部門の効率化、施設の集約化、不要資産の国庫納付、調達の見直し等に取り組む。先生方もご承知のとおり、旧雇用・能力開発機構廃止・統合に向けて相当の業務のスリム化あるいは人員の削減等を行ってまいりました。また、高障求機構についても同様の観点から、地方の委託業務の整理・直轄化を含めて全体のスリム化等を図ってまいりました。さらにそれが統合するということですので、さらに、その統合効果はどの程度発揮できるのかという観点から、今後とも引き続き、組織・業務運営の効率化あるいは合理化、そういったものに取り組んでいきたいということです。
見直し当初案を見ていただきますと、いちばん上が、「法人統合に伴う管理部門の効率化等」です。統合時、ここに書いてありますように、管理部門は既に20名のスリム化を実施しております。さらに、省内仕分け等を通じて、統合後3年以内に19名のスリム化を行うというお約束をしておりますので、これについて次の期間でしっかりと対応していく、というのが1点目です。それから、これはこの部会からのご指摘もありまして付け加えたものですが、旧高障機構と旧能開機構がこれまで培ってきた経験・ノウハウを結集いたしまして、業務の連携を深めることによって業務運営面でのシナジー効果といったものを発揮して、組織の活性化を図っていきたいということです。
2番目のポツですが、地方組織の効率化です。高障求機構の地方業務については、先ほどご説明がありましたように、障害者関係のリハビリテーションを行う地域障害者職業センター、納付金関係業務あるいは高齢者関係の支援業務を行っております高齢・障害者雇用支援センター、さらに職業能力開発を行うポリテクセンターと大きく分けて3つの地方施設があるわけです。こういった地方組織について統合前の管理系システムがありまして、ばらばらに運用されていたというところがありますので、統合効果を発揮する観点から管理系システムの統合を行って、高齢・障害者雇用支援センターと職業訓練支援センターの管理事務処理体制の一元化、効率化を図っていきたいということです。
2番目の○ですが、「地方施設の集約化」です。先ほど3つの施設があるとありましたが、効率化の観点からは、どちらか寄せられるほうに寄せて、管理部門の経費の効率化を図っていければいいと思っておりまして、各地方施設の利用者ニーズ、利便性、コスト、そういったものを総合的に勘案し、可能な限り、高障センター、職業訓練支援センター、ポリテクセンターへの移転等による施設の集約化を図っていきたいと思っております。その他、「不要資産の国庫納付」ということで先ほど申し上げました相模原校の跡地については、平成25年度以降に売却し、国庫納付をすることにしております。あるいは譲渡等が完了した雇用促進住宅についても速やかに国庫納付をしていく、職員宿舎についても整理をしていくことを考えております。
最後の○ですが、「公共サービス改革法に基づく民間競争入札の導入による基幹ネットワークシステム保守・運用管理経費の節減」です。現在、基幹ネットワークシステムの保守・管理業務の委託をしておりますが、これについて、公共サービス改革法に基づく民間競争入札を実施するということで、現在の契約期間が切れたあと、平成29年4月からを予定しているということです。以上、簡単にご説明いたしました。お願いいたします。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。それでは、今村委員から労働部会での審議の報告をお願いいたします。

○今村部会長
ご報告いたします。高齢・障害・求職者雇用支援機構の見直し当初案につきましては、8月9日の労働部会で議論が行われまして、基本的に了承されました。先ほど来、シナジー効果とか統合効果というように議論が出ております。部会の中でも期待するところが大です。ご存じのとおり、旧能開機構は「真に高度なものづくり」をキーワードにきたわけです。高障機構は、ガバナンス・コンプライアンスに関して非常に努力をしたところです。そういうところがうまく統合しまして、例えば3頁の3の[1]にありますように、産業構造の変化や技術革新等に対応し、なおかつ、高齢者・障害者といった多様な求職者に幅広く対応できる組織に生まれ変わっていただきたいという期待を大いに強めているところです。この組織は非常にノウハウの蓄積をしておりまして、自家薬籠中にいろいろな素晴らしいものを持っているわけですから、是非そういった形で統合効果を高めながら、きめ細かく手厚い行政サービスを提供していただきたいと期待しております。
なお、労働部会においてはそのような議論がありまして、最終的に、資料2頁の3つ目の○、障害者雇用納付金制度の適用対象事業主の拡大に向けた対応という事項ですが、障害者の雇用が制度の趣旨であるということを記載すべきであるという意見が出されました。それから、資料の4頁目の、法人統合に伴う管理部門の効率化というところですが、本部管理部門のスリム化に加えまして、内部ガバナンス、組織の協働をうまく実現できるようなコアとなる人材育成をしていただきたいという意見が出ました、そういう観点での記載をするべきであろうという意見が出ました。ということで、その意見を踏まえまして、本日の資料においては、これを踏まえた修正がなされております。以上です。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。今のご報告につきましてどなたか、ご質問はございますでしょうか。

○石渡委員
高齢者の支援についてはあまり知らないものですから、非常に興味深く拝見させていただきました。見直しの1頁目に生涯現役社会という言葉が使われています。こうありたいとは思うのですが、生身の人間ですのでリタイアというのは当然、いろいろな事情でせざるを得なくなるかと思うのです。リタイアの時期などへのアドバイスはリスクマネジメント的な視点からも必要になってくると思いますが、そのようなことについてはまだ検討などはないのでしょうか。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
すいません、リスクマネジメントというのはどういう趣旨でしょうか。

○石渡委員
これを聞いて思ったのが、最近、事故防止の視点から高齢者の運転免許証の更新制度が変わりましたよね。あのようなイメージを抱きまして、生涯現役でありたいけれども、できないことは現実にあると思います。本当に最後まで納得できる仕事をするためにも、適切な時期にリタイアを考えていただき、そうした時期の判断についてアドバイスすることなどもご検討いただくといいのかと考えた次第です。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
ありがとうございます。ご指摘のとおりだと思うのですが、1つはやはり、先ほど申し上げましたように、生涯現役社会に向けた雇用環境の整備といいますか、これは労働条件とか、安全衛生も含めて、そういったものをしっかりと各企業に確立していただかなければいけないと思っています。当然、そういった関係のツール、最初のほうに「実践的支援ツール」と書いてありますが、あるいはアドバイザーを使ったさまざまな支援、そういったものも充実させていきたいと思っております。
また、生涯現役社会というと、必ず働かなければいけないのではないかというイメージもお持ちになるかもしれませんが、これは非常に幅広い概念になっています。雇用という形で働くこともあるでしょうし、あるいは就業というもう少し幅広い形で働かれる場合、あるいはボランティアとかNPOとか、そういったところで働かれる場合とか、そういったものを含めて皆さんが高齢になっても何らかの形で社会活動に関与するといいますか、そういうことによって社会保障の問題とか、本人の健康の問題とか、高齢者の消費・支出の問題とか、そういったもので経済成長とかを支えていくといいますか、みんなで支えていくような社会を目指していくという観点での言葉ですので、どうしても働けとか、そういうイメージではないのです。そういう意味でも、2番目の○に書いてありますように、生涯現役社会の実現に向けた気運の醸成ということで、いま先生がおっしゃったようなことも含めて誤解のないように、その意義や重要性について国民の皆さんに十分周知・広報していくというようなことも、来年度以降、シンポジウムの開催、好事例、表彰、そういったものも含めて考えていきたいと思っています。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
いま課長がお話されたとおりですが、加えて、先生の問題意識を咀嚼して、具体的にこういうことをやっているということを1つ、2つ、ご紹介申し上げます。
1つは、高齢者の方が働くときに必ずしも週5日、8時間働けということではなくて、体力や状況に応じて労働時間を短くするとか日数を減らすとか、あるいはより体力を使わない仕事をするとか、そういう働く人に合わせた多様な働き方が大事です、というようなことを常々企業の方に申し上げていますし、こういういろいろな多様化があるということを説明しています。
もう1つは、特に最近、やはり健康面が大事だということで、我々は直接健康を担当しているわけではないのですが、高齢者が働いていく上でも、例えば40代ぐらいからどういう健康面の気をつけ方をしていけば、いわば、いくつになっても元気で働いていけるようになるのかということをお医者さんなどのご協力を得て研究して、それをまた企業のほうにいろいろお知らせする、そういったこともやっております。

○石渡委員
ありがとうございました。生涯現役社会というのを私、とても狭い理解をしていました。本来の趣旨を是非周知していただきたいと改めて思いました。いま理事長代理からご説明いただいたような健康に配慮してというのは、40歳からというと、もう乗り遅れてしまって残念ですが、ありがとうございました。是非、新しいいろいろな方向性をご検討いただければと思います。

○猿田委員長
よろしいでしょうか。ほかにご意見がなければこの形で、当委員会としましては、労働部会及び本日の総会での議論を踏まえまして引き続き、厚生労働省において検討を進めるようにお願いして、見直し当初案としては了承という形にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(各委員了承)
(法人及び所管課入替え)

○猿田委員長
それでは最終評価対象法人の評価です。まず、雇用・能力開発機構の最終評価書(案)の審議に入ります。これに関しては8月9日の労働部会で最終評価書の案が検討されておりますので、今村委員からお願いします。

○今村部会長
私からの報告が続きますが、どうぞよろしくお付き合いください。それでは雇用・能力開発機構の第2期中期目標期間の業務実績の最終評価結果案を説明します。全般の評価は1の(2)中期目標期間の業務実績全般の評価です。雇用・能力開発機構に関しては、良好な雇用の機会の創出その他の雇用開発、職業能力の開発及び向上、並びに勤労者の生活の安定という設立目的に照らして、適正に業務を実施したかなどの視点という評価を行いました。主なものは、業務運営の効率的・効果的実施については、組織体制の見直しや人件費の削減等により、目標値を前倒しで実施しており、評価できます。また、機構業務の中心の職業能力開発業務は厳しい雇用情勢の中、離職者訓練では、目標の就職率は施設内訓練では80%前後となり、委託訓練でも毎年度目標を上回っております。雇用開発業務等も目標を上回る評価となっております。機構は廃止となりましたが、業務の移管を受けた各機関において、これまでの機構の取組や当委員会の指摘を踏まえ、着実に業務を実施することを求めます。
次は2頁、具体的な評価内容です。(1)業務運営の効率化です。組織体制については、本部組織や地方組織の見直しや震災復興訓練実施のために全国から職業訓練指導員の応援派遣を行い、スケールメリットを活かした弾力的な人員配置を行っており、評価できます。経費の削減や常勤職員数の削減については、目標を大幅に上回る取組を進めており、評価できます。随意契約の見直しについても、一般競争入札への移行など積極的に取り組んでおり、評価できます。
次は2頁下段の(2)です。国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上についてです。[1]は業績評価の実施及び公表による業務内容の充実についてです。業務改善の取組としては、学識経験者等の外部有識者からなる外部評価委員会における業績評価を実施され、その結果を踏まえ、理事会で自己評価を決定する仕組みを導入されています。
[2]は雇用開発業務です。事業主への相談等については、ホームページなどによる周知を図ったほか、アンケートによる満足度調査では90%以上の者から、「役に立った」等の評価を得ており、中期目標等の目標値を上回っております。また、アンケートの調査結果を業務の質の向上に反映させる努力をするなど評価できます。
3頁、助成金の支給等です。説明会等のアンケート調査において、説明内容が理解できた旨の割合は、毎年度85%以上となっており、目標を上回っております。また手続の簡素化にも取り組むとともに、職員研修等の実施や、疑義のある、疑いのある事業所への直接訪問など不正受給防止の取組を着実に行っております。
[3]は職業能力開発業務です。効果的な業務の実施については、関係機関との連携を図り、地域の労働市場の動向や人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定等に努めるとともに、機構版教育訓練ガイドラインを用いたPDCAサイクルによる訓練コースの不断の見直しを行っており、評価できます。さらに離職者訓練は、就職支援マップなど具体的な支援マニュアルに基づく就職支援の強化を行い、厳しい雇用情勢の中においても施設内訓練の就職率は80%前後となり、委託訓練についても毎年目標を上回っており、評価できます。
4頁、高度技能者の養成訓練です。就職率が目標を上回るとともに、中小企業等との共同研究や、ものづくり体験教室などの実施により、広く地域社会に開かれた施設運営に努めており、評価できます。在職者訓練は、受講生と事業主に対しアンケート調査を実施され、目標を上回る高い評価を得ています。それから、アンケート調査結果を活用した業務の質の向上や、訓練コースの改善・評価等を行っており、評価できます。
次の若者の就業支援は、地方公共団体等の関係機関との連携を図り、若年者の就業意識の啓発をする取組を行っております。また、各都道府県センター等で行ったキャリア・コンサルティングについては、役に立ったとする利用者の割合が目標を上回っており、評価できます。また、日本版デュアルシステムに取り組み、高い就職率を達成しており、評価できます。さらに事業主との連携は、事業主の求めに応じて職業訓練指導員の派遣等を積極的に実施したほか、雇用情勢の急激な悪化に対して、緊急雇用対策講習を実施されました。
次は5頁、職業能力開発に係る助成金の支給等です。キャリア形成促進助成金に関し、ホームページ等で周知を図るとともに、説明会終了時のアンケート調査では、「理解できた」等の評価を行う者の割合が毎年度、目標値を上回っております。また、研修等による審査能力の向上や不正受給の疑議のある事業主への直接訪問により、不正受給防止に着実に取り組んでおります。技能者育成資金は、マニュアルの整備等による審査能力の向上に努め、新規返還者については初年度末の返還率が目標を達成しており、評価できます。指導員養成、訓練コースの開発等・公共職業能力開発施設等については、職業訓練指導員の養成において技能習得の指導のみならず、訓練のコーディネート、就職支援などに対応できる幅広い能力を有する人材を養成いたしました。そして、インターンシップ等により指導員就職への意欲の醸成・強化に努めるなど評価できます。また調査研究については、成果を民間教育訓練機関等に提供するなど、成果の還元に努めており、評価できます。
5頁、[4]の勤労者財産形成促進業務については、適正な貸付金利の設定を行う等の取組を着実に実施したほか、説明会における制度説明の理解等は中期目標を上回っております。
最後6頁、[5]その他です。助成金の支給に係る処理期間の短縮については、概ね中期目標の目標値の水準となっております。雇用促進住宅については、譲渡を着実に進めるとともに、管理経費の削減は中期目標の目標値を達成しており、評価できます。また、内部統制に関しては、会議等を通じた法人のミッションの周知徹底や内部通報処理規程の策定を行っております。最後に(3)財務内容の改善についてです。財務内容の改善は、一般管理費の一部について期間進行基準を採用して適正な執行を行ったことは評価できます。以上です。

○猿田委員長
最終の評価に関して委員の先生方からいまのご説明にご意見はございますか。お手元の最終的な資料も揃っておりますので、ご覧になってください。

○田極委員
資料についての質問です。資料5-1で例えば13頁、平成23年度についての評価を見ると、厚労B、高障求A、勤退Aとなっていますが、これはそれぞれの法人について部会で評価されたという理解でよいでしょうか。特に厚労Bはどういう形で評価をされたのか教えていただければと思います。

○政策評価官室長補佐
いまのご質問の件は、それぞれ国で持っている部分と高障求機構が持っている部分、それから勤退共が持っている部分をそれぞれで評価をして、国の分がB、高障求機構がA、勤退共の分がAということで、先ほどの分類、引き継いだ部分のお話もありましたが、こういう形で平成22年度までは一括して行っていたものが、平成23年度からそれぞれ引き継いだ部分について、個別で評価を行った結果をここに掲載しております。

○田極委員
これはすべて労働部会で、それぞれ引き継いだところを評価したということですか。

○政策評価官室長補佐
そうです。それぞれ個別で説明をした上でということです。

○田極委員
はい、わかりました。

○猿田委員長
ほかにどなたか、ご意見ございますか。

○五十嵐委員
資料5-2の評価結果の文章です。いちばん最後の7頁の「財務内容の改善等について」で、「運営費交付金収益の計上基準については、期間進行基準を採用し、適正な運用を行ったことは評価できる」とありますが、期間進行基準を採用したことが、どうして適正な執行として評価できるのでしょうか。この2行の意味を教えていただきたいです。

○猿田委員長
機構からどうでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
評価結果ですので、本来私どもは答える立場にはないのですが、期間進行基準を採用した理由を申し上げると、人件費と光熱費について期間進行基準を採用して、したがって、より経費の支出を現実に近づけて経理を行ったという意味で、私どもとしてより適正な執行に資するものと考えて行いました。

○猿田委員長
五十嵐委員、どうぞ。

○五十嵐委員
これは最終評価で、この期間進行基準を採用するかしないかは、途中の財務内容がどう変わるかだけだと思うので、このことが途中経過においてもきちんとやりましたという意味でしょうか。財務内容の改善等ですから、要するに運営費交付金収益を余らせて利益が出たから適正に執行した、節約したなどという話ならわかりますが、ここに会計処理基準が出てきて、それで適正な執行とつながっている意味がよくわかりません。

○猿田委員長
事務局のご意見はいかがですか。

○政策評価官室長補佐
基本的にはこの財務内容の改善についての評価は、先ほど法人もおっしゃったように、一般管理費についてきちんと管理をしながら適正に執行していると。無駄な使い方をしていないということを評価している中で、修飾的な言葉として、期間進行基準を採用しているということを枕言葉に置いているもので、評価の中身としては、無駄をせずに適正な執行を行っているということを評価していると理解しております。

○今村部会長
私は会計の専門ではないので、従来から費用進行基準で会計をしてきましたが、期間進行基準を採用するということが、労働部会の中で財務担当委員からも指摘され、それによっていま説明にありました適正な執行が行われるだろうということで、そういう努力をされて、従来からそういう議論がずっとありましたので、それを受けて、ここで一部ですが能開機構で採用していただいたことを付け加えましたが、先ほど事務局から説明があり、適正な執行に努めたことが評価の主要なところです。ひとつの努力として、そういう会計基準をいろいろと努力をして、適正な執行に努めているという評価です。

○猿田委員長
五十嵐委員、どうですか。

○五十嵐委員
結果としてどうだったかという話であれば、期間進行基準を採用したことによって、例えば費用について注目、あるいは効果について注目されたのでというようなことならわかるのですが。最終評価では、どういう進行基準を採用したかでたぶん結果は変わってこないと思いますので、少し言葉が飛びすぎているのかなという気はします。

○猿田委員長
ではこの部分は、少し言葉を変えてもらったほうがいいですね。いまのところはわかりやすくしていただいたほうがいいと思います。ほかにどなたかご指摘をいただけませんでしょうか。これは最終のところですので、おかしなところをご指摘いただくことが大切だと思います。訂正箇所はいまの所だけでよろしいでしょうか。もしよろしければ、いま五十嵐委員からいただいた意見を踏まえて、少しわかりやすい形でここを変えていただくことで、これをもちまして最終報告として、この委員会としては認めることにいたします。いまその文章を直した所に関しては、私が事務局ときちんと相談して、責任をもって対応させていただきたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。よろしくお願いします。
(各委員了承)

○猿田委員長 それではここで、これまで高齢・障害・求職者雇用支援機構の審議から引き続き対応いただいた小林理事長からコメントをいただけますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
高障求機構の理事長の小林です。本日は、私どもの機構の第2期中期目標期間の暫定評価等についてご審議を賜り、誠にありがとうございました。本日、委員の皆様方からいただきましたご意見、あるいは暫定評価書において示された課題を踏まえて、特にお話がありましたように旧能開機構と旧高障機構の2つが一緒になったことのメリットを最大限活かすべく業務のさらなる改善に取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくご指導を賜りたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。ご苦労様でした。
(法人及び所管課入替え)

○猿田委員長
それでは、最終評価対象法人の評価の最後になりますが、労働政策研究・研修機構の最終評価結果についての審議に入りたいと思います。これに関しては、8月10日の労働部会において最終評価書の案が検討されています。部会長の今村委員のほうから、ご報告をよろしくお願いします。

○今村部会長
これで最後でございます。どうぞよろしくお願いいたします。独立行政法人労働政策研究・研修機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果について、資料6-1、本文は資料6-2ですが、それについて説明を申し上げます。まず中期目標期間の業績評価について総論的に説明したあと、具体的な評価内容を説明させていただきます。
まず、平成19年度から23年度の中期目標期間の業績評価全般についてです。2頁の「評価の視点」ですが、機構の第2期中期目標では、厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修を、より一層効果的かつ効率的に実施するという観点から、労働政策研究事業の重点化を実施することとしました。このため、機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の安定に資するものとなったかどうか、という視点が中心になります。
(2)中期目標期間の全体の評価ですが、こうした視点から評価を行った結果、平成19年度から23年度までの5年間の機構の業務実績については、中期目標・中期計画における目標を上回る業務運営の効率化を実現するとともに、中期目標・中期計画における数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を上げ、労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に大きく寄与したものといえるということから、高く評価できます。評価の内容については、2頁の下段以降の「具体的な評価内容」の欄をご覧いただきたいと思います。
まず(1)業務運営の効率化についてです。業務運営の効率化のためのさまざまな取組の結果、23年度予算において、一般管理費、業務経費、人件費のすべてについて中期計画における削減の目標値を達成し、特に業務経費については、目標値である18年度予算比△25%を大幅に上回る、36.7%の削減を達したことは評価できます。
次に、3頁の「業務の質の向上」です。一方で、経費の削減と同時に業務の質がまさに重要になるわけですが、中期目標に定められた中長期的な労働政策の課題に対応する6つのテーマに沿って実施するプロジェクト研究と、厚生労働省からの要請に基づいて実施する課題研究の2つについて、19年度から23年度までに合計149テーマを実施するとともに、22年度からは、喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する緊急調査を新たに設けて、積極的に実施しています。
研究テーマについては、機構役員等と厚生労働省政策統括官等とで意見交換を行う場であるハイレベル会合や、労使懇談会等を通じて得た厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を踏まえて選定し、研究の実施過程においても厚生労働省と意見交換を行うなど、厚生労働省や労使関係者と連携を図りながら、各研究を適切に推進しておられます。また、研究成果の取りまとめに当たっては、内部研究者によるピアレビュー・内部評価、さらに外部専門家による外部評価等の研究評価制度を整備して、重層的かつ厳格な研究評価を行うなど、研究水準の向上のための取組を適切に実施しておられ、こうした取組の結果、外部評価において高い評価を受けた研究成果の割合、審議会・研究会、白書等での研究成果の引用件数は、いずれも中期目標・中期計画における数値目標や、第1期における実績を上回っています。このように厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を十分に踏まえながら、労働政策の立案等に資する労働政策研究を機動的に実施した結果、質・量ともに、中期目標・中期計画の数値目標や、第1期の実績を上回る高い成果を上げるとともに、その研究成果が労働政策の立案等に幅広く活用されているということは、高く評価できます。
なお、機構におかれては、研究評価をさらに的確に実施するために、研究テーマごとの事前・中間・事後における新たな評価制度を試行的に実施していまして、その結果を踏まえ、23年度には24年度の研究テーマごとに事前評価を実施したところであり、当委員会としては、研究のさらなる効率的・効果的な推進に資する評価の実施が徹底されることを期待します。
次は、4頁の[2]労働行政担当職員その他の関係者に対する研修です。毎年度約3,000人の研修生に対して75コース程度の研修を実施しておられます。研修コースの新設・科目の見直しによる研修内容の充実、研究員の研修講師への参加、イブニングセッションの開催等により、研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることは評価できます。なお、機構においては、21年度の業務実績に係る当委員会の指摘を踏まえ、研修終了後一定期間経過した時点における実際の業務運営での研修効果の測定を22年度から試行的に実施しているところですが、今後、試行結果を踏まえながら、研修実施後における実際の職場での研修効果測定のための適切な仕組みが構築されることを期待します。
次に、[3]労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理です。厚生労働省からの要請を踏まえるとともに、政策研究の基盤を整備するため、国内外の労働情勢・労働政策に関する情報の収集・整理を、アンケート調査やヒアリング調査等を有機的に組み合わせて効果的・機動的に実施した結果、審議会、白書等での引用件数が、19年度から23年度までのすべての年度で中期計画・年度計画の数値目標を上回るなど、高い成果を上げておられます。また、収集・整理した各種統計データベースについては、審議会、白書等で引用されるとともに、ホームページのアクセス件数が第1期を大きく上回るなど、政策立案に貢献するとともに、幅広く社会に利用されていて、評価できます。今後については、アジア諸国、BRICSなども含めた情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理の在り方を工夫し、政策立案や他の研究機関の研究に貢献していくことを期待するものです。
次は、[4]研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣です。研究者等の招へい・派遣については、労働政策研究との関連をより重視して対象者を厳選した結果、いずれの年度についても中期計画・年度計画に沿って適切に実施されています。また、これらの事業については、すべての年度の招へいした研究者等が機構のプロジェクト研究の推進に大きく貢献するなど、機構内外の研究活動に貢献し、機構の研究目的に沿った成果を上げており、評価できます。さらに、その一方、当委員会において、機構が行う労働政策研究等に資する観点から、海外の研究者等との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引き続き対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等が機構の目的にとってより有効なものとして行われるよう、その在り方について工夫していく必要があると思われます。
次に、[5]労働政策研究等の成果の普及・政策提言です。先ほども言いましたとおり、ホームページ、メールマガジン、労働政策フォーラム等の開催等、さまざまな手段を通じて効果的かつ効率的に行われています。ホームページの改善やフォーラムの動画配信など、積極的な取組を実施しておられます。この結果、利用者の評価も高く、中期目標・中期計画に掲げた目標以上の成果を上げておられ、評価できます。今後においても成果の普及等がさらに幅広い国民等を対象に行われるよう、工夫がなされることを期待します。
次に、(3)財務内容の改善等及び人事に関する計画についてです。予算の執行等については、省エネ対策の推進、業務効率化等による経費の節減、役職員給与の見直し等の取組を行った結果、23年度においては18年度と比較して運営費交付金全体で22.2%の削減を実施するなど、中期目標・中期計画等を踏まえ適正な取組がなされていることは、評価できます。また、人事に関してですが、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実施する一方で、優秀な人材の確保・育成に向けた取組を推進し、研究の質の確保を図っているところは評価できます。なお、人員の抑制が継続される中で、引き続き職員の士気を維持し、能力・活力を高めるための工夫をすることが望まれます。
次に、(4)総務省政・独委による個別の指摘についてです。同委員会における個別の指摘に対する対応については、22年度政・独委2次意見における、労働大学校の宿泊施設の利用率が低調であるとの指摘を踏まえ、労働大学校の宿泊施設の有効活用を図るため、労働行政担当職員以外を対象とした研修や、東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活動のための宿泊への活用など、労働大学校の宿泊施設等の利用率向上に向けた具体的な取組を行うなど、適切に対応していると評価できます。
最後に、(5)事務事業の見直し等です。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス、高校生への就職関係副読本、及び労働関係図書・論文表彰の賞金については、22年度中に廃止するとともに、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局での実施可能な研修を23年4月から移管して、研修の規模の縮減を図るなど、基本方針を踏まえて事務事業の見直し等を適切に実施しておられ、評価できます。なお、労働大学校の国への移管については、独立行政法人労働安全衛生総合研究所との統合と合わせて実施することとしており、当委員会としても引き続き、その検討状況や検討結果について注視していきたいと思います。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果は以上のとおりです。なお、先の労働部会において海外の研究機関との連携を強化していくという議論がありましたが、原案のとおり了承されたところです。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。それでは、いまのご報告に対して、最終評価書の案ですが、ご意見がいただければと思います。

○松尾委員
資料6-2の「[4]研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣」について「成果を上げており、評価できる」という記載なのですが、もう一方の資料6-1の11頁を見ますと、これは点数だけで見てはいけないのかもしれませんが、点数だけで見ると、23年度は若干上がっていますが、ずっと前年度に比べて低下傾向が続いています。これは何が問題で、どういう課題があるのか教えていただきたいのですが。

○今村部会長
これは委員会でも十分議論しました。これは過去からの経緯がありまして、海外派遣については抑制をすべきという視点から中期目標が設定されていまして、そういう意味では、適正に抑制しつつ実施するということがこの中期目標期間の目標だったので、こういう表現になっています。ただ、あとで詳しく説明していただけると思いますが、次期については、この制約はもう達成したということで、より活発に海外との連携を実施するという方向に向かっているということで了解しています。

○労働政策研究・研修機構総務部長
19年度7名、20年度から4名という形で数字が大きく減っていますが、これについては、招へいする研究員・派遣する研究員について、中期目標期間中は延べ10人以下、20年度改正前は25人以下と記載がありますが、19年度に独立行政法人の整理合理化計画が出まして、そこで、より一層縮減すべきというお話をいただきまして、目標数値も、そこにあるとおり半減するという形になりました。それを踏まえて20年度から大きく数を減らしたということです。ただ、中身としては、より厳選をして、本当にプロジェクト研究、課題研究に資する方を選定して、機構の研究に役立つ方に来ていただいたという形になっています。質的には非常に効果があったと考えています。
先ほど部会長からも話がありましたとおり、目標数値が何人以下という形で、どういう形で私どもが実施していけばいいのか難しい面もありましたので、第3期に当たっては、プロジェクト研究、課題研究に資する招へい・派遣を行っていくと。また、部会からも、海外の研究機関との連携を強めていくべきというお話もいただきましたので、そういう形で運営をしていきたいと考えているところです。

○松尾委員
目標がもう縮減という方向で立てられて、縮減されていっているのであれば、点数はもう少し上がってもいいのかなと思った次第です。

○岩渕委員
研究部会のほうでは、労働安全衛生総合研究所の海外との交流、共同研究などについて、今度からきちんと評価しようということになりました。やたらに交流だ交流だとやっているだけでは話にならないということで、そのように取りはからうことになっています。そういうこともありますので、こちらとの関係はどういうことになるかわかりませんが、少なくとも、ただ単に海外から招へいすればというか、厳選してということだけではなくて、どういう人を呼んでどのように評価できるのかということまで、独法の評価委員会としては踏み込むべきではないかと思っています。

○今村部会長
少しだけ付け加えさせていただきます。海外との関係がなぜ大事かというのは、基本的には研究の成果を上げるということが第一義的に大切なのですが、皆さんもご経験があると思うのですが、海外とのネットワークというのは、人的ネットワークの中に出かけて行かないと的確な情報がつかめないことが多いです。特に政策に関しては常に動いていますので、インターネットがあるからということで、ただ日本で手をこまねいていて情報を収集できるわけではない。そういう意味で、日本が労働政策を実施していく上での貴重な情報を得るためにも、人的なネットワークが維持できる程度は海外交流をすべきではないか、海外とのネットワークを作るべきではないか、というようなことを部会の中で議論しました。そういう方向で、いま岩渕委員がご指摘の、どういう視点で評価するかというと、あくまで労働政策研究・研修ですから、そういう視点から、しっかりとした海外の政策に関する情報の動きをつかむネットワークということも含めて、検討していくことになります。

○猿田委員長
ありがとうございました。よろしいですか。

○和田委員
1頁の(1)の「評価の視点」というところに「このため」というのがありまして、「機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するものになったかという視点を中心に評価を行う」とあるのですが、私は、ここまで踏み込んだ表現はあまり見たことがありません。そういう視点でこの評価書ができているかというと、これは、ほかの評価書と同じようにもう少し下げたほうが、責任というか負担がものすごく重いし、それではそういう視点でどのように評価しましたかということで、評価書が違っているように見える。これは私の感想ですが、そのように思いました。

○猿田委員長
ありがとうございます。この表現はどうでしょうか。

○今村部会長
従来からこの表現を使っています。独法はみんなそうですが、政策というサービスの受け手は、そこにありますように、最終的に労働者、国民、市民です。そういう意味では共通のベースとして市民、国民という目線が大切であるということで、我々はそれは常に堅持しているところです。ただ、それがどのように一般に浸透していくかということは、先ほどのハイレベル会合などいろいろな形で、厚生労働省の政策立案の幹部の方々、労使関係者の皆様などいろいろな方のニーズを聞いていきながら、常にそれが国民目線から見てしっかりと実施されているかということを評価することになります。平たく言うと、そういうスタンスで我々は評価しているということです。最終的に経済の発展にどの程度数値的に貢献したかまでは残念ながら評価できませんので、あくまでもスタンスとして、そうやってすべての基準を統一的にくし刺しにして評価しているということです。

○猿田委員長
和田委員、どうですか。

○和田委員
私の単なる感想と思って聞いていただければと思います。委員の先生方は、評価するときには、天下国家のためにというか、国民目線で国民のためにということで評価するから、こういう気持は持つのだろうと思いますが、この評価書がこういう視点で作られていますよと言うには、いままでやってきた評価書はそうではないように思うのです。

○猿田委員長
実は、和田委員はいろいろなところの評価を全部やっていらして、この表し方が少し違うということだと思います。ほかにご意見がありますでしょうか。労働のほうの問題ではこういう形の表現を使うということで、ご理解いただければと思います。特にご意見がないようでしたら、いまの和田委員からのご意見も尊重させていただきまして、この委員会としてはこの最終評価書(案)の形が最終決定ということでよろしいですか。そういう形で決めさせていただければと思います。
(各委員了承)

○猿田委員長
どうもありがとうございました。それでは、理事長のほうから一言ご挨拶をお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事長
労働政策研究・研修機構の山口です。本日は、私どもの第2期中期目標について最終的な評価をいただきまして、大変ありがとうございました。こんな暑い最中にいろいろ細かいデータを見ていただきまして、ご検討いただきまして、大変感謝申し上げます。この第2期の5年間というのは、私どもにとりましては、経費の削減という状況の中で従来のような研究成果を上げなければならないということで、職員一同大変努力をしてくれたと思います。このことが今日、皆様に適切なご理解をいただきまして、この点も大変感謝申し上げたいと思います。第3期の中期目標期間が既にスタートしていますが、本日のこの評価結果、また評価の過程で、本日の総会だけではなく部会でもいろいろご意見をいただきましたので、それを肝に銘じまして、第3期でも十分な成果が上げられるように努力してまいりたいと思います。いろいろとご意見を賜りまして、ありがとうございました。日常の運営にも是非それを組み込んでまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

○猿田委員長
どうもありがとうございました。それでは、どうぞご退席ください。委員の先生方におかれましては、長時間にわたり熱心にご討議いただきまして、どうもありがとうございました。これからのことに関して、事務局からよろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
本年度の夏の独立行政法人の評価については、これで終了ということになります。非常に暑い中、連日にわたり委員の皆様方には精力的にご審議をいただきまして、ありがとうございました。会議の冒頭に申し上げましたが、4法人の組織・業務見直し案については、このあと総務省の政・独委からの指摘等を踏まえまして、また改めて12月に審議をいただくということになっています。よろしくお願いいたします。改めて議事日程等が決まりましたら、委員の皆様方には連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。また、本日ご審議いただいた最終評価書及び暫定評価書については、追って郵送させていただきますのでご了承いただきたいと思います。

○猿田委員長
ありがとうございました。いまお話がありましたように、最終的なものは郵送していただけるということです。本当に長い間、暑い所でありがとうございました。これで終わりたいと思います。ご苦労様でした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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