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2012年4月12日 平成24年度第1回化学物質のリスク評価検討会

労働基準局安全衛生部

○日時

平成24年4月12日(木)13:30~15:30


○場所

経済産業省別館1111号会議室


○議事

○瀧ヶ平室長補佐 皆様、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第1回化学物質のリスク評価検討会」を開催させていただきます。最初に、出席者のご紹介をさせていただきたいと思います。お手元の資料1の別紙1に、化学物質のリスク評価検討会参集者名簿があります。今回平成24年度から新たにご参集いただきました先生の紹介をさせていただきたいと思います。産業技術総合研究所研究員の江馬先生、安全衛生総合研究所研究員の鷹屋先生、名古屋市立大学特任教授の津田先生です。いちばん最後の頁を見ていただきたいのですが、本日の特別参集者ということで、産業医科大学産業生態科学研究所教授の森本先生、それから、業界団体の日本酸化チタン工業会から、奥田様にきていただいています。それでは、以下の進行を名古屋座長、よろしくお願いします。
○名古屋座長 事務局から、資料の確認をお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 議事次第の裏側に、資料一覧がありますので、それも見ながら確認いただきたいと思います。資料1が、いまご覧いただきました名簿・要綱です。資料2は「ナノサイズ酸化チタンについて」です。資料3は「有害性評価書案」として、酸化チタンが入っています。資料4は「有害性総合評価表案」です。資料5は「酸化チタンの今後の有害性評価における主要な論点(案)」です。資料6は「酸化チタン(ナノ粒子)の気中濃度等の調査について(案)」です。資料7は「リスク評価結果を踏まえたコバルト化合物の規制対象範囲について(案)」です。資料8は「今後の予定」です。参考資料1として、「ナノマテリアルのリスク評価の方針」です。参考資料2は、机上だけに配付していますが、ばく露評価のガイドラインです。参考資料3は、リスク評価の進捗状況です。参考資料4は、机上配付で申し訳ございませんが、提案理由の関係です。過不足等ありましたら、お願いします。
○名古屋座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。最初に、酸化チタンのリスク評価について、日本酸化チタン工業会の技術環境委員会ナノ酸化チタン小委員会委員長の奥田様より、酸化チタンの性状等についてのお話を聞かせていただきます。よろしくお願いします。
○奥田氏(日本酸化チタン工業会) お手元の資料2を基に、ナノ酸化チタンに関して、ご紹介させていただきます。2頁をご覧いただきますと、酸化チタン一般物性を載せています。結晶形が主にルチルとアナタース、もう1つはブルッカイト型というのもあるのですが、工業的にはほとんど生産されていません。ですから、工業的にはルチル型とアナタース型の2種類という理解で結構です。これは、また後ほど出てまいりますが、いろいろな粒子径、いわゆるナノからサブミクロン(顔料級)、またはさらに大きな平均粒径が1ミクロンというものもあります。それぞれ、ナノとサブミクロン(通常の酸化チタン)では、ルチル型とアナタース型の両方の結晶形があります。それぞれの結晶の特徴として、これは酸化チタンに共通なのですが、結晶形の上から4つ目、屈折率2.72、2.52で、非常に無機物の中では屈折率は高いほうです。また、モース硬度、これはダイアモンドを10にしたときのものですが、ルチルで7、アナタースで約6と、非常に硬いという特徴があります。また、融点はルチル型が1825℃、アナタースは特に融点の形ではなくて、大体800から900℃ぐらいで、ルチル型に結晶が転移します。ですから、アナタース型はルチルに転移して、ルチルの融点が1800℃というところです。
 また、化学物質的には、非常に安定な化合物です。塩酸、苛性ソーダ、有機溶剤などには不溶。唯一、熱濃硫酸やふっ酸に溶けるということで、非常に化学的には安定な物質です。これは、ナノサイズであっても、また100ミクロンを超えるサイズであっても、物性としては変わりません。
 3頁には、いま主に説明しましたルチル型とアナタース型のユニットセルが書いてあります。ルチル型は、非常にコンパクトな形をしています。これが、チタンの原子と酸素の原子が、それぞれの結晶形でこういう形で配置しています。これが積み重なって、いわゆる粉体という形で見えています。
 4頁は、主な酸化チタンの用途です。わかりやすく光学特性で用途別に分けました。上の波長のところが、200から3000nmまであります。それを、大きく3つに分けています。いちばん左が、紫外線遮蔽剤、真ん中が可視光散乱剤(白色顔料)、いちばん右が赤外線の散乱剤という形に分けています。これは、主に粒径で分けています。紫外線の遮蔽剤が、主にナノの領域、いわゆる1から100nmというところを紫外線遮蔽剤と。そして、可視光散乱剤(白色顔料)のところが、大体200から400nmです。そして、右の赤外線散乱剤が、平均1ミクロン程度の顔料です。ですから、同じ酸化チタンでも、粒径を変えることによって光学特性が変わってまいります。いまいちばん量的にたくさん使われているのは、真ん中の白色顔料用途です。私ども酸化チタンメーカーの特徴は、いわゆる粒子径をコントロールできることと、表面処理をどういう使い方、アプリケーションによって表面特性を変えるということをやっています。ですから、酸化チタン、粒径を変えることによって、光学特性、どの光を反射するかという特徴が変わってまいります。ですから、白色顔料のところは、いわゆる可視光を散乱するから白く着色します。その白くなることを利用して、例えば白い塗料や白いYシャツの白さが出てまいります。白さゆえ下地を隠す効果があり、紙に配合することもあります。安価な紙でしたら炭酸カルシウムなどを使うのですが、よく銀行から来るペラッとめくるようなものは、中の字が見えたら困りますから、酸化チタンを入れたコート紙を使ったりします。
 今回話題になります紫外線の遮蔽剤の領域は、大体一次粒子が10から70、80nmと、いろいろな粒径があります。途中で、結晶形というのがありましたが、ナノの領域で結晶形はルチルとアナタース両方あります。ルチル型のナノが、いわゆる化粧品や塗料に使われます。そして、アナタース型のナノは、いわゆる光触媒の酸化チタンとして使われています。用途としては、そこに写真を載せていますような用途で、いま使われています。
 それらを整理しますと、次の5頁になります。粒子径と用途です。これはご説明しましたように、私どもの業界では顔料級酸化チタンとナノサイズ、大粒径という呼び方をしています。粒径が違うだけです。顔料級のところは、ずっと横を見ていただきましたら結構なのですが、途中で平均一次粒子径と平均二次粒子径とあります。平均一次粒子径は、いわゆる電顕(TEM)で見ています。二次粒子径は非常に簡易的な測定ですが、動的散乱やレーザー解析で測った、いわゆる平均体積径を見ています。何で見るかによって粒径が変わってきます。ですから、酸化チタンと一口で言いましても、大きく光学特性から分けると、この3種類に分けられる。紫外線を遮蔽する大きさにデザインしたもの、可視光を反射する大きさにデザインしたもの、そして最近話題になっていますのが、この大きな赤外線遮蔽の酸化チタンです。
 1例ですが、6頁目に各種酸化チタンを配合したフィルムの透過率曲線を載せています。真ん中に、10、15、35、270、1000nmとあります。これは、それぞれの一次粒子の酸化チタンを、いわゆる化粧品のモデル処方で配合して、フィルムに塗っています。そのときの透過率を見ています。可視光から紫外光までです。右側に四角で囲んでいる「透明で紫外線を効果的に遮蔽する」、またはその下は「不透明(隠蔽力がある)と書いてあります。大きな酸化チタン、270nmというような私どもで言う顔料の酸化チタンは、いわゆる白さが出てまいります。ですから、この可視部の透過は非常に低いです。それに対して、細かくすると可視部の透過率が上がります。いわゆる、透明性が上がります。ですから、化粧品でもサンスクリーンに使うことによって、非常に透明性の良いサンスクリーンができ上がります。顔料の酸化チタンを入れた化粧品は、いわゆるサッカーなどでも皆さん日本ですと、頬に塗ると白くなります。そのように、粒径を変えることによって特性が変わってまいります。
 7頁目が、酸化チタンの生産量を載せています。1つは、顔料サイズの酸化チタンですから、200、300nmの白い酸化チタンです。これが、国内の生産量は、平成22年で約30万トンです。それに対して、全世界での生産量が約580万トンという、非常に大きな数字になります。大体、GDPの伸びと同じぐらい、酸化チタンの出荷量も伸びるといわれています。一方、ナノサイズの酸化チタンは、世界での統計がありません。私も、日本酸化チタン工業会では、毎年3月の時点で、経済産業省様に情報提供シートという形で、ナノ物質の生産量、私どもはナノの酸化チタンの生産量、そしてMSDSなどの情報資料を一式提出しています。それが、経産省のホームページで公開されることになります。申告していますのは、平成22年度で約1万トンという数字を出しています。ですから、圧倒的に酸化チタンの中では、顔料級が非常に多いことがわかるかと思います。
 8頁目は、私どもテイカの一例です。TEMで見た画像を載せています。上がナノサイズの酸化チタン、下が顔料級の酸化チタンを載せています。ご覧いただいたとおりです。1つずつが単分散しているわけではなく、やはりある凝集サイズをもって分散しています。粉体を撮っていますから、こういう形で見えています。9頁目は、ではどういう形で存在しているのかです。もちろん考え方として、一次粒子またはアグリゲートがありますが、ほとんどの状態はアグロメレート、非常に弱いVan Der Waals力で何となく結びついているというような形で存在している状態が、圧倒的に多いです。
 10頁目は、製造方法です。顔料級、200~300nmの酸化チタンの製造方法、そして11頁がナノサイズの酸化チタンの製造方法を載せています。顔料の酸化チタンの作り方は、大きく2つあります。硫酸法と塩素法、別名湿式法、乾式法ともいわれています。上から6つ目までは、硫酸法、塩素法で異なります。上から7つ目の粉砕、分級以降は同じプロセスです。大きく異なりますのは、原料のイルメナイトは同じです。そのイルメナイトの中に入っているチタン分をどうやって取り出すかというところで、硫酸を使って硫酸チタンとして取り出す場合、また塩化チタンで取り出す場合の2つの違いです。
 ナノサイズの酸化チタンは、出発が酸化チタン原料となっています。これは、私どもの一例ですが、硫酸法のプロセスの一部から、この原料を持ってまいります。そして、その原料を化学処理、いわゆるペーハー調整などを行ったあと、いろいろな表面処理を行います。ほとんどクローズなプロセスで生産していまして、唯一最後の包装工程だけが銘柄は多岐にわたりますから、クローズではありません。局所排気を設けています。その局所排気の一例を横の写真に載せています。酸化チタンは、粉じん障害防止規則で規定されていますから、作業環境測定を行っています。
 12頁が、どういう状態で包装、出荷されているかという事例です。ダンボールに詰まっている場合もあります。また、通常は右の紙袋で出荷するケースがほとんどです。顔料の酸化チタンになりましたら、量も圧倒的に多いですから、250キロや400キロのフレコンで出すケースも多々あります。ですが、このナノの酸化チタンはそれほど大きなボリュームではありませんので、このどちらかが主と考えていただいて結構です。廃棄処分に関しては、私どもは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って処理しています。産廃物の「汚泥」として廃棄する。粉末でしたら、ポリ袋に入れて搬送、粘土状のものは、バラ積みで搬送。飛散防止のためには、ウイングシートの付いたトラックで搬送している。廃棄場所は、いわゆる管理型の産廃処分場に持ち込んで、そこで廃棄保管しているというところです。
 いまご説明しましたのが、主にナノ酸化チタンとはどういうもので、どういう使われ方で、世界的にどれぐらいの量があるかです。そのあと、NEDOプロから一部引用しました。特に、リスク評価ということで、何か参考になるものはないかなと思い、ちょっと見ていた中から抜粋したものです。NEDOプロからの安全性情報としては、この作業環境測定、これは現場での調査を行っています。四角で囲んでいますのは、NEDOプロの調査の結果です。粉体として、材料のA1、A2というものがあります。そして、真ん中の工程のところが、どういう工程で測定したかが載っています。表面処理の工程、また濾過洗浄工程、乾燥工程、袋詰め工程と。A2は、袋詰め工程で測定したところです。いちばん右が、OPCによる個数濃度、その次がCPC、その次が吸入性の粉じん濃度と。例えばb、cと書いてありますが、bと書いてあるのはバックグラウンドの濃度を差し引いた値になっています。ですから、吸入性の粉じんの四角で囲んだものと上の文献値を比較しますと、材料A1に関しては、袋詰め工程で吸入性粉じんが若干ほかの文献値よりも多いケースがありました。いちばん上はかなり多いですが、A2は上の文献値以下と。また、CPCの個数濃度は、バックグラウンドを補正するとゼロという形になっています。A1が、NEDOプロの考察では、表面処理をしている、撥水処理をしている関係上、舞いやすい粉だったからかというコメントが書かれていました。この袋詰め工程に関しては、こういう局所排気ではなくて、プッシュプル型を導入したと聞いています。
 製造現場で実際に集められた粒子の電顕写真が、次の15頁に載っています。大体、100nm以上であるということがいえると思います。そのような結果から、16頁がそのまとめです。アンダーラインを引っ張っています。ナノサイズの気中粒子の個数濃度は、多くの報告ではバックグラウンドレベルを超える上昇がみられていないが、一部ではみられた。ただ、その濃度の増加が酸化チタン粒子によるものかどうかは明確ではない。その次は、100nm以下の凝集粒子としての排出は十分確認できなかった。3つ目が、数百ナノから数ミクロンに凝縮した粒子が多くみられたことから、ナノを計測する方法にもよるのかと思いますが、NEDOプロでの測定のまとめは、このように書かれていました。
 もう1つが、安全性評価です。NEDOプロは、主にフラーレン、カーボンナノチューブに注力した。酸化チタンに関しては、主に文献整理をメインとして、石原産業、これは酸化チタン工業会のメンバーですが、そこのST-01、またはST-21、ST-41に関しての気管内注入を行っています。四角で囲んでいますが、この試験の目的は主に2つあります。一次粒子が違うアナタースの酸化チタン、粒径の違いの影響が上の3つです。そして、下が同じ一次粒子ですが、気管内注入をするときの分散の程度が違うもので、ラットで試験を行っています。  そのまとめが、次の頁に載っています。上から2つ目では、1回目の試験ではというところがあります。粒径の異なる3種類のアナターゼ型酸化チタンを5mg/kgで投与した。2回目の試験では、同じ酸化チタンを用いて凝集度合いの違う状態を作成して、気管内投与をした。そのいずれの酸化チタンの粒子ばく露分でも、投与後1週間あるいは1カ月時点までで回復する、一過性の炎症反応が認められた。しかし、一次粒子径や凝集状態の違いによらず、ほぼ同じ回復傾向が認められた。最後は、一次粒子が同じでも凝集状態が異なる酸化チタン粒子をばく露したラット群間の反応を比較すると、投与後1週間までの短期の影響についても、ほとんど違いが認められなかったということが述べられています。
 その他の安全情報としては、最後の頁になりますが、酸化チタンのナノ材料は化粧品として広く利用されているが、皮膚を介した体内の取り込みについては、多くの研究がある。次は、ヒトに関するデータからは、少なくとも正常な皮膚では、角質層の最外層で止まっていると考えられている。これは、別途粧工連、日本化粧品工業連合会からの報文もあり、またまた実際のサンスクリーンを人に塗ったときに、そのサンスクリーン中のナノはどこにあるのかをいろいろ検討、調査結果もあります。既存の報告を総合すると、酸化チタンは皮膚の細部までは浸透せず、生体への有害性はほとんどない可能性が高いと考えられているといった記述がいくつかあります。私から、ナノ酸化チタンについての一般物質、用途、生産量、そして特にオーソライズされて発表なさっているNEDOプロの安全性部分の概況説明をさせていただきました。以上です。
○名古屋座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、何かご質問等がありますか。
○花井委員 大したことではないのですが、1つ教えてほしいのです。この用途として道路に白色顔料で線がかなり引いてありますね。あれも酸化チタンになりますか。
○奥田氏 はい、そうです。
○花井委員 酸化亜鉛などは使われてない。
○奥田氏 酸化チタンは主に白さだと思います。下地を隠す、隠蔽性でございます。道路の白線はアナタース型のいわゆる顔料サイズの酸化チタンが使われております。
○花井委員 全国でかなり大量に使われていると認識していていいわけですよね。どれが大量かというのはいろいろレベルがあるでしょうけれども。
○奥田氏 道路用は決してそう多くないと思います。これは生産量にもよりますが、車などは多いですね。
○津田委員 8頁の写真にあるように、二酸化チタニウムの粒子、一次粒子の形がメーカーによってだいぶ違うと思うのですよ。左側のように紡錘系のものと球形のものなのですが、この写真はたまたまそういうものになったのか、意図的にそう作ったのか、わかっているのでしょうか。
○奥田氏 私どもで粒径が、形状が違うことによる生体への影響まではわかりません。これは意図的ではありません。初めに、イルメナイトという鉱石の中にチタンと鉄が大体半分ずつ入っているのですね。そこから私どもの場合ですと、硫酸を入れて硫酸チタニルで抜き出す。それは非常に酸性が強いですから次に中和します。その中和の条件で大体この形も決まってまいります。ですから、酸化チタンは大きいものを決して砕いていっているわけではなくて、最初に中和して出来た結晶の卵みたいなものから、それを焼くことによって粒子を成長させていっています。ですから、最初はこういう紡錘状のものでも、熱をかけることによって、やはり粒子同士の結合、シンタリングが起きますから、だんだん丸みを帯びてくるということでございます。
○津田委員 肺の中に取り込まれると、マクロファージが大体は食べるわけで、その場合この尖ったもののほうがマクロファージのフラストレーションが丸いものよりも強いという観察があります。その意味で2種の写真を示されたのか、意図的に何かほかにいいことがあって作られているのかということをお聞きしたいのです。
○奥田氏 意図的ではございません。製造方法で最初に出来るのがこうなっています。
○津田委員 こういうのが製品になっていると。
○奥田氏 そうです。確かに気になる形状だというご指摘ですが、CNTも非常に長い。その長さはどうなのかというところもあるかと思いますが、そこの形状を変えたことによる生体への影響までは把握しておりません 
○津田委員 この左側の二酸化チタンですが、球状というよりは、既にアスペクト比が3以上あるから、繊維だという指摘もあります。そういう意味でお聞きしました。
○奥田氏 ご指摘ありがとうございます。
○名古屋座長 ほかにございますか。
○江馬委員 製造法なのですが、二酸化チタンはかなり古くからあると思うのですが、ナノも含めて、その製造法が例えば30年前と今で変わっているのかということと、製品として得られるものの純度とかそういうものは、昔のものと今のものは同じなのでしょうか。
○奥田氏 製造法はこの硫酸法と塩素法の2つしかございません。純度というのも医薬品とか食品用を作る場合でしたら別ですが、一般工業用を私も作っている限りにおきましては、特にスぺックが変わったというわけではございません。そのままの品質を維持しているということです。
○江馬委員 例えばP25というのはかなり昔から実験されていて、そのP25は今のP25とほぼ一緒と考えていいのですか。 
○奥田氏 私どもが定常的にトレーサビリティしているわけでもございませんが、P25のカタログを見るかぎりには、表記上は変わっていないということかと思います。
○名古屋座長 動物実験のときに変わっているとまずいですねということですね。ありがとうございます。
○原委員 4頁、先ほどの粒径の関係と関連しますが、この紫外線の散乱を利用されていると思いますが、波長ごとに粒径を変えていらっしゃるのですか。それとも形状を変えていらっしゃるのでしょうか。どちらが遮蔽効果としての特色になるのでしょうか。
○奥田氏 粒径を変えることによって調整しています。ですから、最初に出来た紡錘状、これが繊維状なのかもしれませんが、熱をかけることによって粒径を大きくしています。
○原委員 丸いものが大きくなるというのは、長細くなったり繊維状になって、散乱光が変わってくるというふうに考えてよろしいのですか。
○奥田氏 形としては細長いものがだんだん卵形、楕円形になってくるという形でございます。
○原委員 繊維状のものから丸い方向になるというのが一般的なのですか。
○奥田氏 この写真をご覧いただきましたら、大体左から熱をかけるにしたがって、右の形になっていくというように、ご理解いただけたら結構です。
○鷹屋委員 粒径によって光学特性が違うということだったのですが、例えば用途によって一次粒径が大きく違うものを混ぜて使うようなということは、しばしばあるのでしょうか。それともそれほどないのでしょうか。例えば紫外線と可視光を両方塞ぎたいために、ナノのものと大きいものを顔料級を、例えば等量を混ぜて使うとか、そういった例は多いのでしょうか、あるいはないのでしょうか。
○奥田氏 あまり聞いたことはありません。ただ一部は光触媒の用途では、やはり光触媒の活性といいますのは、粒径が小さい、表面績が大きいほど高く出ます。ですから、一部、海外ですが、セメントにおいては白色顔料のアナタースと細かいアナタースをミックスして使っているということは聞いたことがあります。日本では聞いたことはありません。
○鷹屋委員 稀な例だということですか。
○奥田氏 はい。
○小嶋委員 11頁の製造方法で、包装過程で局所排気による除去をする写真が添えてあるのですが、この際の外付式フードが写っていますが。この場合は粉じん則で定める制御風速を吸引風速として使われているのでしょうか。
○奥田氏 この排気装置ですか。これはどこで使っているか。
○小嶋委員 フードの吸引風速は、粉じん則で定めた制御風速を使われていたのでしょうか。
○奥田氏 稼働条件ですか。実際は粉じんが舞っても、作業者に来ない程度に換気を、吸入速度を調整するという格好です。
○小嶋委員 特に目標として風速値が達成しているかどうか、そういうことを確認して稼動させているわけではないと。
○奥田氏 詳細な測定状況までは把握しておりませんが、特に粉が舞わないような状態にするというふうには聞いております。
○松井化学物質評価室長 いまの話ですが、粉じん障害防止規則に、酸化チタンの袋詰め作業は屋内で行う場合は、小嶋委員がおっしゃったように、粉じん作業の対象になっておりますので、おそらく制御風速等は粉じん則に沿っているというふうに考えられるかと思われます。
○名古屋座長 ほかはよろしいですか。そうしましたらいろいろありがとうございました。次に酸化チタンの有害性ということで、産業医科大学の生態科学研究所の森本教授に説明をよろしくお願いいたします。
○森本氏(産業医科大学) 資料の3を見ていただきたいと思います。これは厚生労働省の委託で、中災防の委託事業として有害性評価ということで、酸化チタンのナノ粒子をまとめさせていただきました。最初のほうは物理化学的特性ですので、先ほどの話とほとんど一緒ですので省略いたします。
 2頁に健康影響ということで、最初は急性毒性の報告です。特に最初のアの急性毒性の中では、LD50、LC50、これは吸入、経口、経皮と、それぞれ別で示しているのですが、LD50はあまりデータとしては認められていません。経口でLD50が5000以上の報告のみで、急性毒性というのは、ほとんど認められないという結果でした。通常のミクロンサイズのものでは、結構多くの報告がありますが、ナノに関してはあまりありません。LD50が5000mg/kg以上を示した二酸化チタンナノ粒子はP25ですね。いちばんよく動物実験やいろいろな試験で行われているものです。
 次の健康影響のところで気管内注入試験があります。これも引続き急性毒性のものを見ておりまして、簡単に言えば気管内注入、1回投与しまして、肺中の炎症を見たというものがほとんどです。ここに6つの報告を示していますが、サブミクロンの粒子とナノ粒子をラットに気管内注入して、ラットの肺の炎症度を見ているのがほとんどで、基本的にはナノ粒子が少量で炎症を誘発することを示しています。
 これに関して24頁、Appendixの図1を見ていただきたいと思います。横軸は気管内注入した注入量を表わしていまして、縦軸が肺の中の炎症度を表わしています。▲のほうがサブミクロン、比較的大きい二酸化チタンを注入したものですが、用量依存性に肺の中の炎症度が上昇している。それと比較しまして■のナノのものですが、これは量が少なくても高い炎症能を示していることを示しています。
 図2は、横軸を比表面績で表わしています。そうすると、いままでサブミクロンとナノ粒子で容量反応線が異なっていたのが、一本の線上にのります。つまり、比表面績と肺の炎症度が相関する。これはサイズの差に関わらず比表面績で表わすと、直線上で認められることになります。
 気管内注入をしたデータがこの6つでして、その次に経口試験です。経口試験では、経口投与にて多臓器への蓄積が認められたという報告が2報ありました。
 刺激性や腐食性に関しては、次の頁を見ていただきたいと思います。これも2つの試験が行われていまして、皮膚や目に対する刺激を見ているものです。直接刺激を見ているのですが、一過性の変化はあっても、継続性の有意な所見は認められませんでした。
 次は感作性です。P25を用いて局所リンパ節試験が行われていますが、特に有意な感作性は認められませんでした。この感作性試験はアレルギーを起こしやすいかどうかを調べる試験です。
 次に反復投与毒性試験です。代表的なのが吸入ばく露試験で複数の報告があります。最初の報告では1次粒径が25nmぐらいの二酸化チタンを5日間の吸入ばく露を行い、ばく露濃度が0、2、10、50mg/m3で行っています。これは一過性の反応を認めました。急性の炎症反応を認めましたが、そのあと戻ったということです。このように一過性の反応を認められたという報告が多かったです。ただ、高濃度であれば、持続性の炎症が認められたという報告もあります。
 その次が、8.6mg/m3の二酸化チタンで1年間吸入ばく露した試験です。肺の持続的な炎症を認めました。
 この次がFisher344というところから始まります。肺の中の滞留性を見ています。結論から言いますと、ナノ粒子、つまり小さな粒子が同じ用量であっても滞留性が高い。つまり肺の中からクリアランスされにくいということです。5頁のいちばん下の報告もナノ粒子が滞留性があるということです。
 6頁のいちばん上は、P25をラット、マウス、ハムスターの3種類の動物に吸入ばく露を行いまして、0.5、2、10mg/m3の重量濃度でばく露を13週間行っています。ラットにおいては2mg以下ではほとんど影響がなく、10mgでは肺炎症を認めました。そして、肺の炎症と同時にこのクリアランスが遅延しているということが報告されています。
 これに関して25頁に、過剰投与と肺の中の障害との関係を示した図を参照してください。この図3は縦軸が肺の腫瘍の発生率になっています。横軸は比表面績になっています。このデータは肺の腫瘍の発生率ですが、肺の炎症も同じようなパターンであると考えていただいていいです。毒性の低い化学物質の用量と肺の反応性を見ています。そうすると、低用量ではあまり影響がないのですが、ある一定の値を超えると反応がぐっと上昇します。つまり、低毒性の物質でも投与量が過剰になってくると炎症が起きたり、肺の中に腫瘍が起きます。これをオーバーロードと呼んでいるのですが、このような反応が先ほどの吸入ばく露においても考えられるということです。
 肺への過剰投与、つまりクリアランスされない量が肺の中に沈着すると、その沈着自体の影響が反応を起こす。それが物質自体の毒性に関わるのではなく、過剰に投与されるとこのような反応を起こすということです。先ほどの吸入ばく露試験においても、2mg/m3mgまでには炎症が起きなかったのですが、10mg/m3mgにおいてクリアランスの遅延とこのような肺の持続的な炎症が起きています。つまり、クリアランスの遅延は過剰投与による遅延であり、それによって肺の反応が起きたことに繋がっているということで、先ほどの結果はそのようなことを表わしていることになります。これはあとで出てくる腫瘍などに関しても同じです。このようにクリアランスに関する項目と、肺の炎症に関する両方の項目で測定しているため過剰投与になっているかどうかの判断のできることがこの試験の有意性であります。
 次に鼻腔内注入試験です。鼻腔内に複数回投与しまして、二酸化チタンが海馬等で見つかったということなので、脳内に移行していることになると思います。
 7頁、経皮投与です。経皮投与のことは先ほどの奥田さんもお話があったのですが、経皮に塗布しても影響はあまり見られなかったという報告が多かったのですが、影響があったのがヘアレスマウスを使った塗布試験です。中国の製品の二酸化チタンです。それを1.2mg/匹/日を連続60日塗布したということです。小さな粒子である10nm、25nm、60nmで、心臓、肝臓、脾臓などで認められて、90nmの大きい粒子においては二酸化チタンの蓄積は認められませんでした。他臓器への移行が認められたという報告です。
 次は、生殖・発生毒性試験です。妊娠マウスでの吸入ばく露の結果が示されています。児動物にて一般的な行動の影響が認められたということです。聴覚性の驚愕反応試験で、プレパルス抑制の増強が認められており、これは高次の毒性になるのですが、こういう慣れに関する影響も認められました。モリス水迷路試験、これも記憶に関する試験ですが、影響は認められなかったということです。
 遺伝毒性です。代表的な試験である復帰突然変異試験、これはエームス試験などですが、ネガティブと示したものが多いです。その次は、染色体異常試験でこれも代表的なものですが、ネガティブが多いです。その次の姉妹染色分体交換試験は陽性です。
 12頁の上のところは小核試験です。これはVitroの培養細胞を使った小核試験ですが、これはポジティブなものが多いです。13頁に示すvivoの試験ではP25を用いていますが、これも陽性でしたこれらの結果から、複数の試験において遺伝毒性が認められたことになります。
 併せて、その下のところにフリーラジカルに関する報告も示しています。フリーラジカルの産生を認めたという報告がほとんどです。これは考察になるのですが、二酸化チタンというのは先ほどの話にもあったように不溶性のものである。ですから溶けて核に直接行くのではなくて、このようにフリーラジカルの産生、つまりミトコンドリアなどで酸化ストレスがかかって、最終的には、遺伝毒性を示しているのではないかと考えております。
 14頁、発がん性試験です、これは長期の吸入ばく露試験、2年間の吸入ばく露試験です。濃度平均が10.4mg/m3という高濃度でばく露しています。P25をばく露して、肺の腫瘍の発生を認めたということです。肺腫瘍の発生数は良性の扁平上皮癌が20/100、良性の扁平上皮癌という定義が私にはよくわからないのですが、このように論文に書いていましたので、示します。扁平上皮癌が3/100、腺腫が4/100です。腺癌が13/100ということで、腫瘍発生ラット数は32/100で、非ばく露群より有意に高かったです。
 その下に気管内注入試験の結果が示されていまして、腫瘍の発生を認めています。ただ、これはかなり大量にばく露しています。1回について5mgとか10mgを5回や6回注入していますので、先ほどの過剰投与による腫瘍発生が関わってくると考えています。15頁の上のところも、気管内注入を行っていまして、これに関しても投与量がかなり多いと思われます。腫瘍の発生を認めています。
 ヒトの影響に関して言えば、報告はあまりありませんでした。刺激性、腐食性に関しては16頁です。刺激性、腐食性も著明なものは認められませんでした。また、感作性、反復ばく露毒性、生殖毒性、遺伝毒性、発がん性の報告は私が調べた範囲では認められておりません。発がん性の分類、これはIARCで再分類が行われていまして、2Bです。動物試験で発がんの十分な証拠、つまりラットの吸入ばく露試験と気管内注入試験で肺腫瘍発生が認められたということです。
 次は17頁、許容濃度の設定で、ACGIHで10mg/m3。この根拠としましては、ラットの長期吸入ばく露試験、疫学的調査などの結果から、この濃度が勧告されています。NEDOプロジェクトにおきまして、これは時限的なものとして0.6mg/m3を提案しています。NIOSHは、吸入性粒子として0.3mg/m3を提案しています。1週間で40時間、1日10時間までの条件付きです。ラットの長期吸入ばく露試験における肺内の保持量を用いて、これを表面績に換算して、そのベンチマークドースを算出しています。それをヒトへ外挿しています。以上です。
○名古屋座長 評価は見ていただければということで、資料4はいいですか。何かあればお願いいたします。
○森本氏 資料4に関して言えば、エの所はNOAELで2mg/m3、これは先ほどのベルムを用いて計算しました。2頁は不確実係数10です。これは種差の10を用いて労働者の補正を行い、0.15mg/m3という数値を出しました。生殖毒性ですが、生殖毒性試験の中で唯一の吸入ばく露試験がありましたので、そのデータを用い、LOAELを42mg/m3としました。不確実係数を100、つまり種差10、LOAELからNOAELの変換を10として計算しました。
 発がん性では閾値なしの場合として、2年間の長期吸入ばく露試験の結果を用いました。LOAELとして、10.4mg/m3を用いました。不確実係数は1000として、種差10、LOAELからNOAELの変換10、がんの重大性10を用いてこれらで除しまして0.023mg/m3としました。
○名古屋座長 ここのところで先生にお聞きしたいことがあるのですが、資料5と絡んできますので、事務局から資料5の説明をいただいて、結晶型でアナターゼ型とルチル型にグループを分けてしたらいいか、その辺を議論したいと思います。それでは、事務局から資料5の説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 資料5として、「酸化チタンの今後の有害性評価における主要な論点(案)」をお配りしております。昨年秋に、この検討会で「ナノマテリアルのリスク評価の方針」を検討していただき、取りまとめていただいたのが参考資料1に付いております。必要に応じてご覧いただければと思いますが、特に3、4頁の表の中に、有害性評価に当たって留意すべき事項を取りまとめていただいております。この留意すべき事項と、いま森本先生からご説明いただいた有害性評価書と有害性総合評価表を基に今後議論していただくことになるのですが、事務局のほうで参考資料1の中に含まれている留意すべき事項を見て、論点になりそうなところをまとめたのが資料5です。
 先ほど名古屋先生からも少しお話があったように、1の(1)のナノマテリアルのリスク評価の方針の中で、酸化チタンの場合は結晶型によって有害性が異なるのではないかと言われていることから、アナターゼ型とルチル型にグループ分けして、リスク評価に当たっては配慮する必要があるだろうというご指摘を受けております。具体的にはどのような対応をしていくのかということが大きなところとしてあるかと思われます。(2)表面積等の扱いについてですが、先ほどの森本先生から、有害性評価書の最後のAppendixの図で、表面積を採ると非常にいい指標になるというお話がありましたが、昨年の方針の取りまとめの中では、一次的な基準としては原則として重量濃度を採って、表面積等の基準が必要であれば、それを使うという整理がされておりましたので、重量濃度以外の指標の扱いについてもご議論いただく必要があるかと思われます。
 (3)評価値の設定ですが、リスク評価ですので、労働者のばく露実態として、本年度事業所で測定を行い、その測定結果と有害性評価からの評価値を比較して、リスクの大きさを検討していただくことになります。ですから、とりあえず、1回目の実測調査の結果が出る来年の春までに、この評価値を一定決めていく必要があります。ナノマテリアルの酸化チタンについては、1つ目のポツにあるように、従来この検討会で採っていた産業衛生学会の許容濃度、あるいはACGIHのTLVといったかなりオーソライズされている権威ある機関の勧告を主に用いてきましたけれども、そうしたものがありませんので、どのように考えていくかということがあります。
 2つ目として、評価値の設定に当たってのエンドポイントですが、肺の炎症反応が適切かどうかといったところも検討していただく必要があります。最後のポツですが、評価値に対応する粒子の大きさというのはレスピラブルの粒子なのか、もっと小さい粒子なのか、あるいはナノマテリアルと言っても、凝集してレスピラブルの粒子よりも大きい粒子が空気中に存在することもありますので、そういったものはどう考えるのかということがあります。2はこういったナノ粒子の整理に関連して、並行してナノマテリアル以外の酸化チタンのリスク評価もこの検討会でお願いすることになりますけれども、そちらのほうの結晶型の扱いや対象となる粒子の扱いといったものがどうなるかというところが、とりあえず事務局で考えた論点です。
○名古屋座長 森本先生に説明いただいたものと、特に今回の中でいちばん大きいのは、資料5のアナターゼとルチルを分けて測定するかどうかで、それに応じてそのあとの評価値の考え方も違ってきますので、その辺のところで議論いただければということです。
○宮川委員 まず確認ですが、資料4です。これは中災防への委託事業として出てきたものだと思うのですが、最終版ができ上がったのがごく最近だと思いますので、最後の会議のときのいくつかの指摘事項が直っていないまま出ているものもありますから、そのように受け取っていただくのがよろしいかと思います。例えば3頁の上段の真ん中辺りに、「閾値なしの場合」とありますけれども、これは閾値ありの場合のデータで、括弧して(参考)にするとか、その上のフリーラジカルによる影響が強いといった記述がありましたが、酸化ストレスの関与が示唆されるという文言に直したように記憶しておりますので、最終版バージョンができてから、またいただければと思います。評価表に表れているように、毒性が強いのはアナターゼのものがほとんどだと思いますので、それをもってルチル型のほうも評価してしまうのはいろいろ問題があると思います。一応出てきたものはアナターゼで、LOAEL相当の値がいろいろ出てきておりますけれども、現場の評価をするときはもう一度分けて、別々にやることが必要な措置かなと思います。
○名古屋座長 これに関してご意見があればお願いいいたします。
○花井委員 細かいことですが、資料4の最後の許容濃度の設定のところで、ECのDNELの値が出ていますけれども、これはNIOSHのレポートに引用された値としてということでしょうか。
○森本氏 この引用に関しては中災防にお願いしました。
○松井化学物質評価室長 EUのREACH規約で設定されているDNELです。
○花井委員 その値でECから報告されたということですか。
○松井化学物質評価室長 これは出ております。NEDOプロジェクトの報告の中にも参考として出ておりますし、当然、EUのホームページ上にも出ているかと思います。
○花井委員 ナノの酸化チタンとしてですか。
○松井化学物質評価室長 そうです。
○花井委員 ちょっと勉強不足でした。
○西川委員 資料4の3頁に「閾値の有無は不明」とあって、その根拠がフリーラジカルによる影響が強いことが考えられるということですが、このデータはすべて培養細胞のデータだと思うので、その辺りはどのように考慮されたのでしょうか。
○森本氏 これは閾値ありの場合ということで、一応、参考として掲載させていただきました。閾値は、遺伝毒性の結果がいちばん大きく反映されると思うので、複数の遺伝毒性が認められていることから、基本的には閾値はないと考えております。そうではあるのですが、二酸化チタンは溶解しにくく、核の中に移行しにくいと考えられることと、vitroの結果では遺伝毒性はフリーラジカルによる影響が考えられていることから、遺伝毒性は間接的なものであると考えております。
○西川委員 結論的に閾値なしという評価をするわけですけれども、ここでよくわからないのは、なぜ、不確実係数で除して値を求めているかということです。これに関してちょっと理解できないので説明をお願いいたします。
○宮川委員 先ほど説明したように、これは資料の間違いです。閾値なしの場合と書くのではなくて、仮に閾値ありとしたら、こういうことができるというのを参考として入れるというのが本来の書き方ですので、間違いです。
○西川委員 わかりました。
○名古屋座長 いま宮川先生が言われたアナターゼとルチルを分けたほうがいいということですが、産業的には光触媒系と結晶系のものですから、確かに工業用として使うときには違うのです。ただ、明らかに生態系が違うとしたら分けたほうがいいという意見がありましたが、これに関してはこれでよろしいでしょうか。そうすると、そのあと出てくる評価のところの数値も変わるのです。いままでは一本化してきましたが、ルチルとアナターゼによって濃度を変えていかなければいけなくなるわけです。いままでは酸化チタンという形でいこうかなと思っていた部分があるので、ここのところは合意を得ておかないと、その先のところが進まないのですが、いかがでしょうか。やはり、分けてきちっとやったほうがいいという形にまとめてよろしいでしょうか。
○森本氏 私から意見を言ってもよろしいでしょうか。分けるに越したことはないと思うのですが、現実問題として、このデータのほとんどがP25によるデータです。つまり、アナターゼとルチルの混合型で、アナターゼが8割、ルチルが2割のデータです。それ以外のものは、多くないのです。例えばvitroの試験などでルチル型というのはあるにはあるのですが、数としてはそれほど多いわけではありませんし、許容ばく露濃度を算出するための動物試験はほとんどないと考えます。 ○名古屋座長 結晶性シリカなどでも、例えば石英のところと、トリジマイトとクリストバライトがあって、生体系に対しては若干影響が違うけれども、ある程度は影響が違っても同じ濃度が決められているのと同じか、それよりもっとアナターゼとルチルの間には明らかに生体影響に差があると考える場合と、石英ぐらいの許容範囲と考えるかどうかによって分けたらいいかなと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。やはり、ここは今日のメインのところですので、特に生体の先生方にお聞きしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○奥田氏 今ご指摘があったP25は、ルチルとアナターゼの混合ではなくて、混晶なのです。1つの結晶形の中で8割がアナターゼ、あとの2割がルチルですから、単にアナターゼとルチルを8対2の割合で混ぜたらP25ができるかと言うと、できないのです。ですから、全然物が違います。私どももそうですし、酸化チタン工業会のメンバーが作っているルチルとアナターゼは100%物です。また、いろいろな安全性試験として、OECDのWPMNでやられています。そこが酸化チタンでプリンシパルに用いているのが、やはりP25です。ですから、OECDはP25のルチルとアナターゼの混晶で、それが有害性がいちばん高いと見ているかどうかはわかりませんけれども、それとピュアにルチルとアナターゼを分けるというのがどうなのかというところが議論かなと思います。
○名古屋座長 その他何かあればお願いいたします。
○花井委員 今後の有害性評価というテーマですが、先ほどのお話では来年3月にばく露の結果が出て、それと突き合わせて評価するということでした。そうすると、あと1年しかないのですが、これから新たに有害性試験を始めるという話ではないですよね。それはわかりませんけれども、既にNEDOプロあるいは森本先生のかなりまとまった資料があるのですが、これ以外まだ何か新しく情報が出てくる可能性があるのかどうか、他にはあまりないのではないかと思うのです。
○松井化学物質評価室長 事務局から説明させていただきます。まず、新たな試験を行うことは予定しておりません。仮に、ご議論の中でルチル型とアナターゼ型を分けて考えることにした場合は、ルチル型の有害性情報が不足しておりますので、そういったものをもう一度集めてみることは考えられるかなということです。平成23年度の委託調査で、中災防に報告をまとめていただきましたけれども、この検討会のナノマテリアルのリスク評価の方針がまとまったのが昨年12月ですので、それを突き合わせたときに不足があれば、平成24年度の委託調査で、必要があればもう一度情報の整理をやっていただき、その上でこの検討会で再度ご議論いただくということで考えております。
○花井委員 そういうことであれば、わかりました。
○江馬委員 アナターゼとルチルは、違いがあると思うのですが、明確に比較したデータが少ないので、明確に違いについて述べるのは現状ではできないだろうと思います。ですから、似たような報告で比較してみる必要があるかと思います。また、海外の学会などもそうですが、学会では二酸化チタンも含めてナノ材料の口頭発表が結構ありますので、そうしたものは論文として出版されてくるだろうと思います。
○名古屋座長 今日はまだこの後に測定等がありますので、結論は次回以降に持ち越しても構わないですか。ここは大切ですので、できればもう一度持ち帰っていただいて、分けたほうがいいかどうかの結論を出していただけるとありがたいと思います。
○原委員 結晶構造が違うということは、外形的に粒径とか針状になるということにつながるのでしょうか。それとも、結晶構造が違っても丸いものになるというか、大きくなれば丸くなるのか、その辺はいかがですか。
○奥田氏 特に結晶形によって変わるということはないと思います。
○原委員 外形上では変わらないということですか。
○奥田氏 変わらないという認識で結構かと思います。
○名古屋座長 ゾルゲル法で作ると、形体的に丸いのとダルマ型になりますが、これは粉体で作っているので、たぶん違うのかなと思います。我々はゾルゲル法でしか酸化チタンを作っておりませんから、そうすると形状が変わって、アナターゼかルチルかは顕微鏡で見ればある程度の区別はつきます。
○内山委員 先ほどのDNELのことですが、これは随分低い、1桁低い値が出ています。間違っていれば教えていただきたいのですが、私の理解ではREACHのときにメーカーが申告する値だったと思うのです。メーカーが届け出て、これを超えるような値が測定されて、利用者から質問がきたら、メーカーは守るためにはどういうことをしなければいけないかなどを答える義務があるということで聞いていた値だと思うのです。これは非常に低いのですが、どのような根拠で出てきたか、もし、そうした資料があれば次回までに教えていただけるとありがたいと思います。ただ、これは数値が出ているだけですね。たしか、問い合わせれば根拠などを教えてくれると。原先生、清瀬でやったときに、向こうからお呼びした方がそう言ってらしたような記憶があるのですけれども、原先生も一緒だったと思うので。
○原委員 数字までは記憶にないのですが、そういうコメントだったと思います。
○内山委員 答える義務がメーカーにあるのだと。メーカー数社が違うのを出してきたら、どうするのですかと聞いたら、それはメーカー同士で話し合って妥当な線に落ち着くはずだという曖昧な表現だったのです。どなたかおわかりでしたら、教えていただければと思います。
○花井委員 見逃しておりましたが、NEDOプロの報告に引用されています。2010年の値です。
○内山委員 その根拠は。
○花井委員 それは読まないとわからないです。
○内山委員 P25ですね。
○名古屋座長 もう1つ、このあとの測定というところに係ってくると思うのですが、評価値はアナターゼとルチルが一緒だったら出てくると思うのですけれども、アナターゼとルチルを分けた場合には、どのような形で評価値を考えていくかという導き方をしてこないといけないと思うのです。ただ、1つ共通して言えることは、評価に対する粒径の大きさは吸入性粉じんでいいのか、そうではなくてナノを測定しなくてはいけないのか、この辺のところはどうでしょうか。このあとの測定ということを考えたときに、どちらで評価していったらいいのかということがあるのです。
○津田委員 実際にin-vivoでやろうとすると、生体内でずっとナノの状態であるというのはほとんど見つけられなくて、肺に入ったらナノ単体であるということがほとんどないと考えられます。ですから、生体内まで全部ナノの状態であるかどうか、また観察された結果がナノかどうかというのは、非常に難しいと思います。その辺を理解して評価していく必要があります。質問ですが、資料4の3頁の「唯一の長期吸入ばく露」とあるのは、どれを指しているのですか。
○森本氏 3頁のキのLOAELの所ですか。
○津田委員 そうです。上のマスの真ん中よりちょっと下の、閾値なしの場合、結局閾値ありだったわけですけれども、唯一の長期吸入ばく露の試験とあるのですが、これはハインリッヒのドイツの論文ですね。
○森本氏 そうです。
○津田委員 唯一というのはどうしてですか。ほかにもあるはずですよね。
○森本氏 ありましたかね。
○江馬委員 ほかにもリーのサイズの大きい二酸化チタンの報告があります。IARCで2Bになるには、複数の結果がないとやらないことになっていますので、唯一ではないと思っております。
○森本氏 この報告はナノ粒子のみの報告として示しています。確か、リーの論文はミクロンレベルですので、含めていません。
○津田委員 プライマリーがナノということですか。
○森本氏 そういうことです。
○名古屋座長 先ほどの粒径の関係で言いますと、生体内に入ったときは凝集体ですけれども、たぶんナノを扱っている所では凝集体と単分散で飛んでいるかもしれないので、もしかしたらナノと吸入性粉じんの2つを測定しておいたほうがいいかなという気がしますが、この辺のところはこのあとのところで議論していきたいと思います。議論が煮詰まらないときは、結論は次回の5月10日の合同のところに持ち越したいと思います。特に、もう一度お願いしたかったのは、アナターゼとルチルを分けたほうがいいのか、あるいはP25という混合体ですので、1つにしていいかどうかを、次回もう一度検討していただきたい。それに対して、それまでに情報としてほしいもの、事務局に要望するものはないでしょうか。このままの資料でよろしいですか。それでは、これについては結論が出なかったということで、次回まで持ち越して検討していきたいと思います。
 次に、資料6の酸化チタンの気中濃度等の調査について、事務局から説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 先ほど申し上げたように、今年度は、酸化チタンのナノ粒子の事業場における気中濃度の調査を予定しております。委託先機関が中災防に決まりましたので、今後は具体的な相談をしながら進めていくことになるのですが、大まかなところでご指摘等がありましたら、できるだけ調査のほうに反映させていくことで考えたいと思っております。とりあえず、ここで骨組みとして考えているのは、1の気中濃度等の調査ということで、(1)対象事業場については、いま役所のほうで関係する事業者団体と相談をして、調査の協力をお願いしているところです。具体的には今日おいでいただいております酸化チタン工業会の製造事業場、化粧品や触媒、あるいはトナーの関係で事務機器、あるいはゴムの充填材として使われているので、ゴムの工業会などといった所とご相談をしているところです。(2)調査方法については、参考資料の「ばく露評価ガイドライン」という、いつも使っているものがありますけれども、見ておいていただければと思いますが、できるだけ初期リスク評価に近い形で行いたいと考えております。
 (3)測定方法等がいちばん問題で、先ほどの議論でどうしても空気中では凝集して存在しておりますので、基本的にはレスピラブル粒子の中のチタンを分析することによって、その重量濃度を測定することで考えたいと思っております。その際○1にあるように、個人サンプラーでやるのか、定点の測定にするのか、また、サンプリングの際はどのサイズで分級するのかといったところは、今日のご意見も伺いながら、委託先の中災防と相談していきたいと思っております。
 ○2として、参考資料1にある「ナノマテリアルのリスク評価の方針」の中で、可能な限りいろいろな情報を集めると取りまとめていただいております。結晶構造や粒子の形状、表面処理の状況、一次粒子径、二次粒子径と並んでおりますけれども、これらは事業場において取り扱っている製品の情報で相当カバーできるかと思います。ただ、一部は気中で測るべきというご意見があれば、伺って検討したいと考えております。
 最後に2とあるのは、私どもが話を伺っている範囲では、酸化チタン製品の粒径というのは、その用途のために製造された粒径だから、きちんと管理されているのがほとんどだということですが、仮に今後リスクが高くて、制度による規制等が必要になりましたら、その事業場において、一次粒径はナノマテリアルでないものの粉じんであるということもあり得るかもしれないので、一次粒径にいろいろなものが混じっている事業場においては、どのように考えていくかというのは、継続して検討していくことを考えております。今日ご意見をいただければ、できるだけ調査のほうに反映させたいと思っております。
○名古屋座長 何かお気付きの点、あるいはこのようにしたほうがいいというご意見をいただければありがたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大前委員 今回職場を選択するに当たって、表面処理をしている酸化チタンを使っている所を含めてしまうと、あとの評価が困ると思うので、表面処理をしていない酸化チタンということに限定してはどうでしょうか。
○松井化学物質評価室長 それはできるだけ事業場から情報をいただいてと考えるのですが、事務局としても表面処理の状況は十分把握していないのです。酸化チタン工業会から、わかる範囲の状況等を教えていただければありがたいと思います。
○奥田氏 先ほど酸化チタンの製造プロセスがありましたが、10頁ですけれども、例えば硫酸法で説明すると、イルメナイトからずっと行きまして、洗浄、焼成、この焼成のところで1000℃強で焼いておりますから、大体1粒子は200数十ナノまで成長します。そのあと粉砕・分級、表面処理をやりますから、ここは一連のプロセスになります。表面処理をしないものに関してはそこで終わりですが、ほとんどの場合は表面処理まで行きますので、このプロセスです。もちろん、ルチルとアナターゼで表面処理をしていないものもあります。
○大前委員 資料4の生殖毒性のところで、表面処理をしてある酸化チタンを使った毒性の評価があって、ポリビニルアルコールか何かで覆っているという処理をしているデータがあるのです。その場合の表面処理と、いま言われたのは別ですか。
○奥田氏 表面処理もいくつか種類があります。無機物のシリカ、アルミ、ジルコニア、チタンで表面を処理するケースもありますし、有機物の金属石鹸で処理するケースもあれば、シリコンオイルで処理するケースなど、用途によって多々あります。もちろん、処理していないものもあります。
○名古屋座長 フローから考えると、普通は表面処理して製品を作るので、このままという形でいくかなという気はしますが、いかがでしょうか。あえて表面処理をしないものを選べという形ではなくて、要するにできてきたものを扱っている所で測定するということでよろしいですか。
○大前委員 そうすると、生体系のほうのリスク評価で使っているデータ、P25などといったものも表面処理済みになるのですか。
○奥田氏 P25は処理はしていないと思います。同じDegussaのT805というのがあるのですが、それは処理していたと思いますので、そこはちょっと整理が必要かと思います。
○名古屋座長 フローから見ると、表面処理していない、要するに粉砕、分級しているところの工程と、表面処理している工程が分けられれば、それ以前に対して測定という形になるのですが、ここは工程として分けられるのですか。いまP25が出てきて、それが表面処理をしていないということになってくると、そこのところは。
○奥田氏 ナノに関しては分けることはできます。
○圓藤委員 ナノを使っている工場は、自分の所のナノがどの表面処理をしているかということを皆さんご存じなのですか。
○奥田氏 購買証書の中で交わしておりますから、もちろんわかっています。
○圓藤委員 結局は、その情報を加えるしかないですね。
○大前委員 実際に表面処理しているものと、リスク評価で使ったものが違うということになると、あとで困るなと。
○圓藤委員 そのときに表面処理が何であるかを書くしかないですね。
○名古屋座長 表面処理をしていないものが製品として出ていくことはないですよね。
○奥田氏 一部あります。先ほどの道路の白線用塗料に使われる白はまさにそうで、表面処理はしておりません。
○大前委員 むしろ、そちらのほうが少ないですか。
○奥田氏 少ないです。ほとんどは処理しております。大体、販売の8割方がルチルで、2割方がアナターゼかと思います。
○名古屋座長 現場的に表面処理をしていないものを扱うというのは、逆に測定としては難しいですか。
○奥田氏 ナノのほうですか。
○名古屋座長 そうです。
○奥田氏 表面処理をしていないものを作っているときに測定すれば、それはできると思うのです。ただ、表面処理をすると、先ほど表面処理と肺の炎症の図がありましたけれども、例えば酸化チタンに多孔質のシリカで処理をすると、表面積が増えます。未処理が200いくつかで、処理すると350とか表面積は増えます。ですから、コアの酸化チタンの毒性を見ているのか、処理物の、おもては表面処理のシリカなどですから、何の影響を見ているのかというところは、よく議論する必要があると思います。
○名古屋座長 なかなか難しいですね。動物実験でそれを中心に測定すると、ごく限られたところの測定になるし、使われているナノを対象にしてくると、かなり広い範囲のナノになってくるし、どこをターゲットにするかによっては難しいですね。
○圓藤委員 しかし、1回目はそれで始めるしかないでしょうね。しようがないですよね。
○名古屋座長 いまのところは扱っている現場でという形になるし、もしできたら、処理をしていない所がどのような状況になるかという測定もあるのですが、一般的に扱っている事業場を対象に測定する形しかないのかなと、いまのところは思いますね。その辺はどうでしょうか、皆さんのご意見をお聞きしたいと思います。
○津田委員 例えば二酸化チタニウムを100g取ったら、表面処理がされている物質はどれぐらいを占めているのでしょうか。
○奥田氏 100gですか。
○津田委員 どのようでもいいです、パーセントで結構です。
○奥田氏 ほとんどが処理しています。
○津田委員 私の言う意味は、表面処理にアルミニウムやシリカを使いますが、その重量パーセントはその製品のどれぐらいを占めているかということです。
○奥田氏 例えば、その製品を100としたら、そのうち5%か10%かということですね。
○津田委員 そうです。
○奥田氏 よく覚えていませんけれども、10%はあったと思います。
○津田委員 ということは、処理をしたもので実験をすれば、10%の不純物は初めからあるということですか。
○奥田氏 処理物を不純物と見たら、そうですね。
○津田委員 そういうことになりますね。
○奥田氏 はい。
○名古屋座長 動物実験は表面処理をしていないですけれども、ここでは一応表面処理をする、しないということに関わらず、やはり表面処理をしたものを扱ったほうがよろしいですか。
○森本氏 今回、動物のばく露実験を中心に報告しましたが、vitroの試験はあまり検索していないのです。vitro試験では、表面処理による毒性の違いの研究は、確証はありませんがあるのではないかと思います。ただ、官能基などで修飾されると毒性が異なることも他のナノの材料を用いた試験で報告されていますので、類似の現象もあるかもしれないと思いました。
○名古屋座長 これはどうしましょうか。難しいですね。今ありましたように、生態影響とかその辺を考えたときには、それはあるのでしょうが、測定現場としては表面処理をしない部分も当然対象にして測定するという形ですから、一般的には表面処理というのは、製品として出てくるところを対象に測定するということで、とりあえずまとめておいてよろしいでしょうか。それから、粒径についてはどうでしょうか。吸入性粉じんを測定対象にするのか、あるいはナノ粒子を対象にするのか、もう1つは個人ばく露を測定するのか、場の測定にするのかがありますけれども、個人ばく露の測定器も、いま一部では開発されていて使えそうという情報は入ってきておりますので、それを使うかどうか。リスク評価の中ではばく露濃度測定をしましょうとなっておりますので、もし、それが使えたらいちばんいいかなと思います。その他、やはり作業環境測定、いままでリスク評価をやっていますから、そのときにはナノ粒子を対象に測定できるアンダーセンタイプのナノサンプラーが使えるので、それを使って測定するという測定方法もありますが、この辺はどうしますか。やはり、ばく露を測るのと同時に、いままでどおりA測定、B測定を使って、少し重くなりますけれども、そういうものを使って一応作業環境評価をしておくという評価のガイドラインに沿った測定を、できればしておくという形でよろしいでしょうか。
○圓藤委員 個人サンプラーというのは、アンダーセンで合わせてトータルを直すということではないのですか。
○名古屋座長 そうではなくて、ナノ粒子を測定対象とした個人サンプラーを金沢大学の先生が作られているのです。ただ、論文で出ているので、本当に100ナノ以下をきちんと測定できるか検証が必要だと思いますけれども、一応作られているものはあるので、使えたらそれを使ったほうがいいかなと思っています。その辺は委託のところでお願いしたいかなと。1点、NEDOプロジェクトのときに、中西先生ができれば比表面積は必ず測っておいてください、できるだけ比表面積は測っておいてくださいと言われていたのです。できるようでしたら測っておいたほうが、重量濃度で行くにしても、比表面積もかなり効いてくる。これは森本先生のデータを見てもわかるように、比表面積はかなり効いてくるので、できれば測ってほしいと。予算とかいろいろ関係はあるのでしょうし、測定機も高いものですからなかなか難しいかもしれませんが、できれば情報として。材料の中の情報は出てくるのですが、空気中の比表面積等を測っておいたほうがいいと中西先生が強調されておりましたので、そこのところは考えていただければありがたいと思っております。調査に当たって、こういうことをしておいたほうがいいということがありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、いままでのところを踏まえて調査に、すべてというわけにはいかないでしょうけれども、委託元の中災防によろしくお願いします、ということでよろしいかと思います。もう1つ、資料7、こちらは次にリスク評価を踏まえたコバルト化合物の規制対象範囲についてですが、事務局より説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 酸化チタンとは全く別の話で恐縮ですが、昨年この検討会でコバルト及びその化合物のリスク評価をいただきまして、リスクが高かったものですから、その後の健康障害防止措置の検討会の結果も踏まえて、いま役所のほうで労働安全衛生法の政省令改正の準備を進めているところですが、制度を仕組むに当たって、詳細に対象を詰めていかないといけないということがあります。実はリスクコミュニケーション会合の参加者から、有機コバルトはどうかという指摘があって、リスク評価をしていただいたときのいろいろな根拠資料をもう一度点検したところです。もともとコバルト及びその化合物というグルーピングを使ったのは、IARCで2Bになっているグループを対象としてリスク評価をお願いしたからですが、IARCのモノグラフの最初に、ビタミンB12等のコバルト含有有機化合物については、包括的にはカバーしていないといった記載があり、ACGIHのTLVはコバルト及びその無機化合物の範囲で勧告されております。
 また、産衛学会はコバルト及びコバルト化合物という表記ですが、提案理由の中には有機コバルト化合物と特定した有害性情報は記載されていないということがあります。それから事務局からこの検討会に出させていただいた有害性評価書等においては、有機化合物としてフタロシアニンコバルトの有害性情報のみが記載されており、ばく露実態調査も有機コバルト化合物については行っていないという状況があります。さらに、有機コバルト化合物の中には人体に有用なビタミンB12も含まれていることがあります。このような状況を勘案し、制度で仕組みますと事業者への罰則も付いてきますので、制度には対象としてコバルト及びその無機化合物を仕組むことを提案させていただきます。なお、裏側には先ほど説明した資料の、もう少し細かな記載について整理しております。以上、提案です。
○名古屋座長 これに関してご意見等があればお願いいたします。よろしいですか。それでは、有機コバルトについてはそのような対応をしていただくということでお願いいたします。ここが早く終わってしまいましたが、次回の宿題もまだありますので、よろしくお願いいたします。本日の予定は終了いたしましたが、事務局から今後の予定をお願いいたします。
○瀧ヶ平室長補佐 資料8をご覧ください。次回は5月10日、引き続きそのあともあるのですが、10日は今日の宿題などの話の他に、参考資料3の2頁、平成21年ばく露作業報告の対象物質等が並んでおりますけれども、酸化チタン、こちらはナノではなく、酸化チタン全体の話ですが、これは平成23年度評価中ということになっております。評価中と書いてあるものについて、順次、毎年行っているリスク評価をさせていただきたいということで、5月10日、22日、6月6日、6月22日までには全部終わりたいと思っております。本日はこれが終わったあとに、ばく露評価小検討会の皆様方には申し訳ないのですが、会議を続けさせていただきたいと思います。今後の予定は以上です。
○名古屋座長 先ほどの中で、結晶形についてはアナターゼとルチル、今回は結論が出ませんでしたが、次回以降に持ち越して議論したいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日は以上で終了いたします。長時間ありがとうございました。


(了)

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