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2012年5月16日 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年5月16日(水)
14:00~


○場所

厚生労働省 専用第21会議室


○出席者

出席委員(10名):五十音順

 川 崎 ナ ナ、 川 西   徹、 木 内 文 之、 北 田 光 一、

 谷 本   剛、 ◎橋 田   充、 花 田 賢太郎、 福 原   潔、

 堀   正 敏、  四方田 千佳子

欠席委員(2名):五十音順

 ○青 柳 伸 男、 中 村   洋

行政機関出席者

 赤 川 治 郎 (審査管理課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会を開催させていただきます。
なお、私は厚生労働省医薬食品局審査管理課長に昨年8月に着任しました赤川でございます。よろしくお願いいたします。
 委員の先生方には、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。さて、本日は12名の当部会委員のうち10名の御出席をいただいており、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
なお、青柳委員、中村委員より御欠席との連絡をいただいております。
また、本会議は基準に関する審議ですので、公開で開催しますことを御承知おき願いたいと存じます。
 本日は、日本薬局方の一部改正及び日本薬局方の新規収載候補品目について御審議いただく予定でございます。
それでは、部会長の橋田先生、議事進行をお願いいたします。
○橋田部会長 本日は委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、日本薬局方部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、議事に入ります。最初に事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をいたします。事前に委員の皆様には、資料1「第十六改正日本薬局方第一追補(案)について」、資料2「日本薬局方新規収載候補品目(案)について」、資料3「日本薬局方の参考情報の改正(案)について」を送付させていただいております。
当日の配布資料としては、議事次第、座席表、委員名簿です。以上が本日の資料です。不足等がございましたらお知らせください。
○橋田部会長 先生方、資料はおそろいでしょうか。
それでは、審議議題に入ります。審議事項の議題1、第十六改正日本薬局方第一追補にかかわる案件です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題1、資料1「第十六改正日本薬局方第一追補(案)について」です。
1ページです。最初に、日本薬局方の作成について御説明いたします。日本薬局方は薬事法第41条の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めることとされている規格基準書です。
 次に、「日本薬局方の改正歴等」を御覧ください。昭和51年の第九改正からは5年ごとに全面改正をし、平成3年の第十二改正からは、全面改正の間に2度の追補を発行している状況です。本日は、平成23年3月に告示された第十六改正日本薬局方の追補について、御審議いただくこととなります。収載品目数については、現在1,764品目が収載されております。収載数は改正ごとに増加され、今回の第一追補では、新たに77品目の追加について御審議いただくこととなります。
 2ページの「3.第十七改正日本薬局方の作成基本方針等」についてです。平成23年7月、本部会において御審議いただきました結果を基に、日本薬局方作成基本方針を取りまとめております。この基本方針において、日本薬局方作成の5つの柱として、保健医療上重要な医薬品の全面的収載、最新の学問・技術の積極的導入による質的向上、国際化の推進、必要に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用、日本薬局方改正過程における透明性の確保及び日本薬局方の普及を掲げております。この基本方針を受けまして、第十六改正日本薬局方第一追補(案)を作成しております。
 次に、3ページの「4.第十六改正日本薬局方第一追補(案)の審議経過」を御覧ください。日本薬局方の審議体制としましては、平成16年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構が設立され、日本薬局方原案の作成をこの機構において行うこととされました。これにより、日本薬局方原案の作成審議に必要な委員会を機構において設置しております。表にお示ししていますように、総合委員会をはじめ、各委員会が設置されており、ここで原案の作成審議を行っています。機構において作成された日本薬局方原案が厚生労働省に報告されまして、本部会に諮問させていただく体制となっております。
 第十六改正日本薬局方第一追補の審議経過についても、平成22年4月~本年3月までの間に、計156回の委員会が開催され、取りまとめられた後、機構より本年3月末に厚生労働省に原案の報告をいただきまして、本日本部会において御審議いただくこととなりました。今後の予定としましては、本年6月に、厚生労働省にてパブリック・コメントによる意見募集、薬事分科会への報告、WTO通報を行った後、本年9月に告示、10月に施行を予定しております。
 続いて、「第十六改正日本薬局方第一追補(案)の概要」について御説明させていただきます。資料の5ページです。今回の改正を要約いたしますと、通則の見直し、生薬総則への品目の追加、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条の改正が行われております。一般試験法では、二つの試験法が追加され、6つの試験法が改正されております。また、医薬品各条では、新規収載77品目、改正176品目、削除4品目となっています。原案については、別添2-1~2-6のとおりで、通則、総則、一般試験法、医薬品各条、参照紫外可視吸収スペクトル、参照赤外吸収スペクトルで構成されております。具体的な改正の内容については、機構から御説明させていただきます。
○機構 資料1第一追補(案)の概要の5ページ、併せて別添1の第十六改正日本薬局方(案)の改正内容の資料、新旧対照表を御覧ください。
 まず、通則の改正について、通則は日本薬局方全般に係る共通のルールを定めたものですが、第一追補では、通則4の改正することとしました。この改正では、別添1の1ページの新旧対照表にあるように、「生薬総則等を適用する」という文言を削除します。このことにより、医薬品各条の生薬等に収載する品目の定義について改正いたします。具体的には現行の第十六改正日本薬局方(日局十六)では、アヘン末、ゴマ油、ミツロウなど、生薬総則を適用されていない品目については、前半部分の化学薬品等に収載していますが、これらについては生薬等に収載する方が望ましいと考え収載位置を変更するため、この文言を外すことにより、今後アヘン末、ゴマ油、ミツロウなどは、医薬品各条の生薬等に収載することにしました。この際、ラテン名を付与しているか否かにより、生薬等か否かを判断することとしました。一方で、デンプン類については、ラテン名が付与されていましたが、通常の用途では化学薬品に該当するものですので、これらのデンプン類4品目については、ラテン名を削除することとしました。以上が通則の改正です。
 続いて、生薬総則の改正については、別添1の3ページの新旧対照表を御覧ください。生薬総則の改正では、総則1、生薬総則及び生薬試験法を適用する生薬について、新規収載に伴い3品目を追加する改正をしました。
 続いて、製剤総則の改正について、製剤総則とは、製剤に関する共通のルールを定めたものですが、今回は製剤各条の口腔内に適用する製剤に、新たに中分類「2.2.口腔用液剤」を設けました。それに伴い、現行では中分類とされている「2.4.含漱剤」について、中分類「2.2.口腔用液剤」の下位である小分類に移動に移動しました。これは、現在日本薬局方の医薬品各条に「歯科用フェノールカンフル」という口腔内に適用する液剤が収載されていますので、この品目について、適切な分類を揚げるためこのように改正しました。
 続いて、一般試験法については、概要の資料の5ページです。一般試験法とは、医薬品各条に共通する試験法、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれらの事項をまとめたものです。
 今回、新規に収載する試験法は二つございます。一つ目の、「2.62質量分析法」については、医薬品の化学構造を推定する分析法として収載いたします。医薬品の確認若しくは純度の試験を対象としています。この試験法では、一般に使用される手法を中心に記載をまとめました。また、内容に関しては、日本質量分析学会の意見を基本といたしました。
 続いて二つ目の「2.63誘導結合プラズマ発光分析法及び誘導結合プラズマ質量分析法」は、誘導結合プラズマ(ICP)を励起源またはイオン源として、個別金属の定性的又は定量的評価に利用する元素分析法です。日局十六の参考情報に、既に誘導結合プラズマ発光分析法が収載されておりましたが、今般金属の不純物の許容限度を協議しているICH-Q3Bの対応を考慮し、誘導結合プラズマ質量分析法と併せてひとつの試験法にまとめ、一般試験法に移行しました。
 この試験法では、機器分析メーカーを対象とした調査結果を考慮しました。質量分析法に係る部分については、先ほどの2.62質量分析法との整合をとるよう留意しました。
 概要資料の6ページを御覧ください。今回一般試験法中、改正する試験法は、次の6件となります。2.22蛍光光度法については、蛍光強度を求める式中の量子収率に係る記載を整備しました。2.47浸透圧測定法については、オスモル濃度が1,000mOsmを超えるために試料を希釈して測定する場合の規定及び操作方法について、改正を行いました。これは医薬品業界から、1,000mOsm以上の測定では機種間差等が見られるとの意見が出されたことに基づくものです。
 続いて、2.49旋光度測定法については、この測定法に用いる操作の正確さを確認する規定について、記載が不十分でしたので規定を追加しました。
 続いて、3.01~6.10に関しては、日米欧の3薬局方での国際調和事項を反映する改正となります。3.01かさ密度及びタップ密度測定法については、国際調和した事項を正確に反映する記載整備を目的として、かさ密度の測定法第2法で用いられる装置の記載、タップ密度第1法の操作法について、整備を行いました。
 4.01のエンドトキシン試験法については、最終判定法及び試料溶液の調製法について、記載を整備しました。
 6.10の溶出試験法については、回転バスケット法の装置に用いるバスケットのメッシュサイズについて、現在国際的に流通している装置の実態に基づき、修正を行いました。
 続いて、一般試験法中、新たに追加する標準品については、20品目を予定しています。資料は7ページです。9.41試薬・試液において、JISK8005(容量分析用標準物質)に用いることができる規格について、今般新たに認証標準物質が使用できるようにするため、以下の10品目について規定を改正しました。これはJISK8005適合を検査している独立行政法人製品評価技術基盤機構が、2010年をもって、これらの検査業務を終了したことから、JISK8005の供給不安が生じたため、今般、認証標準物質についても併せて使用できるように改正しました。その結果、これらの10品目については、JISK8005適合品である従来のもの及び認証標準物質とされるものの両者が使えることになります。以上が一般試験法の改正の概要です。
 続いて、資料7ページの医薬品各条について御説明させていただきます。別添1の11ページを御覧ください。これらには現在第一追補を含め、第十六改正日本薬局方に収載されることになるすべての品目のリストを39ページまで挙げております。今般、第一追補で新規収載又は改正があるものについて、○で一覧表に示しています。改正内容については、「変更項目一覧」に改正する項目名を挙げています。
 資料7ページに戻っていただき、今般、新規に収載する品目数は、化学薬品62品目、抗生物質1品目、生物薬品7品目、医薬品添加物2品目、生薬5品目となります。この中で生物薬品については、バイオテクノロジー応用医薬品であるエポエチン,G-CSFなどが含まれています。
 続いて、医薬品各条の改正については176品目となります。資料9ページを御覧ください。内訳はこの表のとおりです。この中で添加物21品目のうち16品目については、日米欧三薬局方の国際調和に基づく改正となります。
 続いて、資料12ページを御覧ください。12ページの本編に、医薬品各条中、削除する品目は4品目となります。これらは市場の流通実態に基づき、既に日本国内で使用実態が無いという判断に基づき削除することとしました。
 最後に、5.3.医薬品各条中7品目について、結晶多形の規定に伴い性状の項を改めることとしました。結晶多形を有する原薬については、承認申請時等注意喚起を必要とすることから、性状の項に、「本品は結晶多形が認められる」という規定を追加しました。以上、第十六改正日本薬局方第一追補(改正案)について御説明いたしました。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○橋田部会長 第十六改正日本薬局方の第一追補の内容についてということです。今、日本薬局方の背景から、追補を作成していただきました審議の経過、具体的な修正、改正の内容について御説明いただきました。別添2に付いているのが、最終的な追補の案ということだと思いますが、非常に大部な資料ですが、これについて御意見あるいは御質問等がありましたら、お願いいたします。この追補案の作成にも様々な形で関わられた先生方も多いかと思いますので、何か御説明を追加いただく点がありましたらお願いします。
 私から口火を切らせていただきますが、日本薬局方作成の5本の柱の中に国際化の推進というのがありまして、これは前からそうですが、ずっと3局の国際調和ということを非常に重視して、今回もそれを反映した話があるかと思います。各条の中を見ますと、そのうちのいくつかについては、国際調和によって新たに整備した事項であるということと、記号◆が付いて、この部分は調和から外れているのだという説明がありました。
 これまでもこのような形で行っておられて、それを踏襲したということかと思いますが、このような形でだんだん積み上がっているということでよろしいのでしょうか。何か御説明いただくことはありますか。
○機構 国際調和により、日本薬局方の改正または新規に収載する品目につきましては、一般試験法、医薬品各条共に、日米欧の三薬局方で調和合意したものについては、最初の箇所にその旨を明示する記載をしています。
 具体的には、73ページの精製白糖を御覧ください。「本医薬品各条は、三薬局方での調和合意に基づき規定した医薬品である。」ただし、薬局方の国際調和は歴史的背景もあり、完全な調和は困難な場合もありますので、近年は調和に至っていない部分については、「◆」で囲むことにより示しています。このような対応が、第十四改正第二追補以降、続けられているものです。薬局方を利用される方は、この頭書きの薬局方で調和合意された医薬品各条であるという情報とさらにその下に◆で囲まれた部分については、欧州薬局方、米国薬局方と調和できていないという旨を注意の上、御利用いただければと思います。
○橋田部会長 そのような形で国際調和がどんどん進んでいるということと、それを局方にもきっちりとした形で反映していただいているということだと思います。
○川西委員 私は局方の国際調和の方に最近出させていただいていて、恐らくこの辺はかかわっていない先生方は、何でこのような◆というマークになってしまうのかと思われるでしょう。サイエンスベースで議論をすれば正しいということで、よりベターな方は決着が付くではないかと思われる先生方もおられると思います。特に試験法などは、明らかにこちらの方が合理的だというのは、確かにあるのですが、今まで国際調和で、一般試験法でまず優先してきたものというのは、このようなICHの方の規格試験法のガイダンスの時に、このような試験法はこれから使われると、それに関する調和が必要であり、ただ、それは局方に委ねるということで、いくつかの試験法があって、それを優先して局方側が国際調和を進めてきたということです。
 ただし、非常に大きな問題は、USPはFDAと一体ではない、EPの場合もEDQMは国際的な規制機関なのですが、これも実際に医薬品の規制を行っている機関とは別機関だということがあって、特にUSPとFDAとの間というのは、見解の相違が生じてしまって、国際調和をしてもFDAは認めないということがしばしば起こります。
もう一つは、国際調和をしたのだけれども、結局特にEPの場合などは、国々独特の歴史がEPで一体になっていますが、それぞれの国で、それぞれの事情を持っているところがあったりして、国際調和をしても、その後に、ここは少し問題だというようなことが指摘されることが出てきます。それから、製剤試験法の場合などは、製剤の名前や定義が各国で違っています。試験法を統一しても、結局適用範囲が違っていることが後で顕在化したりする部分があって、その部分の小幅な修正がずっと続いているのです。確かにサイエンスベースで行えば簡単そうに見えるのですが、局方を変えると、今までその品質管理方法で行っていたものまでも影響が及びますし、非常に影響が大きいということがあって、そう簡単に変えられないという事情があります。
 そのような関係で、確かに◆だということで、非常に煩わしいかと思いますが、そのような事情があるということは御理解いただければと思います。
○橋田部会長 国際調和と一言で言いましても、非常に難しい問題があるということと、特に、背景にはそれぞれの国が控えてのことですから、そういった意味でのいろいろな調整も大変だと思いますが、そのようなことをお考えになって、現時点で最も調和できるところで、このような形の内容を作っていただいているということだと思います。ほかにいかがでしょうか。
○川西委員 昨日この資料が見つからなくて、今日、見始めて気がついたことが1点ありました。今の段階で言うと、なぜ私が言うのかと怒られてしまうかもしれませんが、私は10年ぐらい前まで、バイオ医薬品の生物薬品委員会に関係していて、バイオテクのいくつかを収載していて、それ以降しばらく途絶えていたのが、5品目か6品目ほど今回加わっています。
 これは非常に大変だということが分かっていますから、担当の委員会の御努力というのは賞賛に値することだと思っているのですが、それはそれとして局方の立場で見ると、エポエチンのアルファとベータで、規格の項目を見ていると、これはもう少し揃えられるのではないかという部分があるのですが、この辺は1社1品のものまで無理矢理そろえる必要は無いというのが私の考え方なのですが、ある程度フォームぐらいはそろえてもいいのではないかと思いました。
 それは、ここでいうとエポエチンのアルファとベータで確認試験の項目として、ペプチドマッピングやそれ以外の糖鎖分析を確認試験に入れるフォームにする、若しくは別々する等、無理矢理行う必要は無いと思うのですが、恐らくそんなに多くの会社がかかわっていることではないので、その会社がやりやすい品質管理の戦略があると思いますから、ただ、ある程度そろえられる部分は、局方のものですから、そろえた方がいい気がします。
 ですから、この後パブリック・コメントを含めた時に修正が利くならば、簡単なことだとは思いますので、議論したらどうかと思いました。
○橋田部会長 川崎委員、御説明をお願いします。
○川崎委員 私は生物薬品委員会に所属しておりますので、それにお答えする立場なのかもしれないのですが、私も川西委員と同じような印象を持ちました。このようにきれいに製本されて、横並びで出てきますと、今回遺伝子組換え医薬品は5品目、そのうちエリスロポエチンを起源とするものが2品目、G-CSFを起源とするものが3品目出てきておりまして、それを比較してみますと、項目の並べ方も確かに違うのですが、違うのは並べ方だけではないということです。例えば純度試験のところですが、あるものは類縁物質なのですが、あるものはオリゴマーとチャージアイソマーになっているということで、一致していないのです。最近は、Q11等が出てきまして、重要品質特性というものを考えてから、管理戦略を立てるようにという流れになってきているのですが、例えばエポエチンアルファとベータは大変よく似ていますので、重要品質特性はかなり似てくるのではないかと考えると、試験は確認試験になるのか示性値になるのか、純度試験の考え方も似てくるのではないかという気がするのですが、今回出てきたのを見ると、余り一致していないということがありますので、もちろん生物薬品委員会でこの辺をきちんと見ていなかったというのもあるのかもしれないのですが、少し感じましたのは、今までは原案作成委員会は出てきた原案に対して審議してきたかと思うのですが、Q11のような考え方が出てきますと、CQAは何かというのを委員会で考えるのもあるのかもしれないということです。新薬の場合は、開発した会社がそれぞれCQAを考えて、管理方法を考えてくるのですが、局方のように複数のものが出てきた場合は、CQAを一緒に考えるという姿勢もあるのかと思いました。
○橋田部会長 ただ今の点につきまして、事務方からお答えいただくことはございますか。
○機構 生物薬品委員会を担当している関係で、ただ今の御質問、提案についてコメントさせていただきます。まず、並びがどうなのかということについてですが、これはおっしゃられますように、多少違いがある、見方によっては大きく違うということで、現在生物薬品委員会でどのような並び方がいいのか、生物薬品の局方収載に当たっての基本的な形はどうあるべきなのか議論をしています。その結論が出ましたら、もう一度既収載品、あるいは新規収載品について、見直しをするということで、現在検討しているところです。
 また、先ほど御指摘のあった、エポエチンアルファとベータで比較してみますと、例えば純度試験につきましても、委員会の中でかなり議論をしまして、純度試験の(2) 、(3)に、宿主由来タンパク質あるいはDNAを、規格については別に規定するということで、一律的に頂立てして規定することとしました。その試験方法や品質管理方法は、別に規定するという解釈の中で、承認審査の段階で評価をしていただくということで、並びについて、配慮させていただきました。
○川西委員 私も以前に生物薬品委員会に関わっていた時に、最後の仕事がテセロイキンとセルモロイキンとIL-2(Interleukin)のもので、そろえた方が良いのではないかと言っても、これはそろっていません。結構強力な会社が、それぞれの品質管理の方法の中で設定しているということで、局方側の都合だけで変更するのは好ましく思われないのです。その辺りは、生物薬品の場合はメーカーが収載時点では、そう多いというわけではない、これからバイオ後続品が出てくるということで考えると、基本的な品質という部分を押さえておくということに関しては非常に重要になってくるかと思いますが、どうしても揃えなくてはならないということではないと思うのですが、このようなところに日本薬局方の例えばバイオの問題の基本的な品質管理の方法というのが、何となく透けて見えることもこれから出てくるかもしれませんから、その辺は少し時間をかけて議論してでも、もう少しそろえた方が良いのではないかと私は個人的に思っています。
○橋田部会長 今の点について、ほかにございますか。
○規格基準部長 御指摘ありがとうございます。生物薬品については、御存じのようにいろいろ議論の経過が長いものもございまして、難しい問題があるということは御指摘のとおりだと思います。今後、これから収載品目も増えてきますので、その過程で、改めてその点も含めまして、議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○橋田部会長 生物薬品は本当に今、流動的と申しますか、どんどん増えてもおりますし、規格に関する議論も行われているところかと思います。その内容につきまして、並べ方等のことも御指摘がございましたが、いろいろな事情の中で、このような形になっているということです。パブリック・コメントの機会もあるかと思いますので、そのようなところも含めて御検討いただくということと、審議の仕方については、今後の課題ということで、お考えいただければと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○川崎委員 一般試験法の質量分析法について、希望を述べさせていただきたいのですが、質量分析法については、まずタンパク質、ペプチド医薬品の確認試験に使えるということで、参考情報に収載されまして、それが今回化学薬品にも適用できるようにと、一般試験法に入れていただいたということです。最近のマスの重要性を考えますと、このように一般試験法にしていただいたのは、大変ありがたいと思います。また、内容につきましても大変充実した内容であると思います。
 それで希望なのですが、この質量分析法が、どのように医薬品の評価に使えるかということが、2.62の11ページの「質量分析法」の4.2.に書いてあると思いますが、4.2.の「確認の試験」、4.3.の「純度の試験」に、この質量分析法を用いることができるということで、例を示していただいています。
 この中で、例えばデコンボリューション処理により平均質量を求めるとか、フラグメントイオンやプロダクトイオンの検出と組み合わせて確認に用いることができる、次の純度の試験のところ、安定同位体標識化合物などを内標準物質として用いることができると書いていただいていて、実際にそのとおりだと思うのですが、例えばデコンボリューション処理をどのように行うか、ソフトによっても出てくる結果が違うと思うのですが、どう考えるのか等、安定同位体標識化合物はどのように考えるというような、実際にこれを確認試験、純度試験に扱う時の要点なども、今後加えていっていただけるとありがたいと思いました。
○橋田部会長 ありがとうございました。ただいまの点について、何かお答えいただくことはございますか。
○四方田委員 理化学試験法委員会を担当させていただいております四方田です。マスに関しましては、生物試験部からも出ていただきまして、だいぶ議論がございました。これでも、USPやEPに比べると非常に長い文書になっておりまして、当初は倍に近いような長いものだったのですが、あまりにも一般試験法として長いということで、かなりの部分を削除、割愛させていただいております。通常の教科書的なものにするのか、若しくは一般試験法で必要な記載にするのかという議論もかなりありまして、ただ、この質量分析法に関しましては、実際の分析法を書くのではなく、用語集に近いようなものになっておりまして、各条の中で用語を使う時にそのまま使える、説明無しで使えるというのが、主な目的になっています。あまりにも詳しく書くと教科書のようになってしまうということで、説明が少ないという印象を持たれることもあるかと思うのですが、今後ますます利用方法が広範になって、さらに説明が必要だということになってきた時に、また改めて御相談をさせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○花田委員 ハーモナイゼーションに関してですが、医薬品各条では◆で調和されていないところは区別して明記する旨伺いました。一般試験法のエンドトキシン試験については国際調和されたということで、改正が入っているようですが、まだされていない一般試験法もあるとしたら、そのことを明示していただけると使う方もそのようなことが意識できると思います。特に割と単純な試験で、タンパク質の定量法などが、果たして国際調和されているのかというのは興味のあるところです。
○橋田部会長 その辺りの御説明をしていただけますか。
○川西委員 先ほどの私の発言が誤解を与えたようですが、一般試験法に関しても部分調和部分というのは少なくありません。要するに、エンドトキシン試験に関して私は頭に入っておりませんが、試験法によっては、ここの部分はみんな調和できたけれども、ここはあるところは受け入れていない等様々なことがあります。それから、後でこれは受け入れられないと言ってきたりして、例えばEPは削除したとか、そのようなことが後になって起きることもあります。実際に局方レベルで調和したといっても、規制当局で受け入れられないということが、ICHQ4Bで評価され、結局、いろいろコンプロマイズしてもどうしようもなく、また完全調和から少し離れたり等、それはいろいろなケースがありますので、1度御覧になっていただくと非常に分かりにくいのですが、日本薬局方の場合は、本体にはそのような解説が書けないという制約がありまして、ようやくブロックサインのような◆まではいいだろうというところまでいきましたので、このような形にしておりますが、サインみたいで、ユーザーにフレンドリーではないかもしれませんが、本体には書きにくいと思います。その代わり、参考情報のところに、国際調和の一般的な説明を書く部分がありますので、そこにある程度解説を付け加える形にはしています。いずれにしても、一般試験法が調和されているというか、まだ調和されていると言っている試験法にしても完全調和というのはそんなに多くはないです。部分的に、ここは受け入れられないとか、各局で追加しているとか、削除しているとか、いろいろなものが入ってしまっていることから、局方の国際調和活動に関して、今批判が出ているのは事実です。
 ただ、このような形で一般試験法を完全に調和するということは、ICHレベルのジェネラルなガイダンスの調和より、具体的な試験法の今までそれで許されているものが許されないというようなことになる話ですので、非常にシビアな議論になりますので、その辺りはこれから本当の意味の国際的な調和ということを考えた時には、新しい発想が必要かと思ったりする時はありますが、その議論をここで行っていると長くなりますね。
○橋田部会長 様々な事情の下でということです。
○花田委員 よく理解できました。確かに、方法を変えたことで承認時の規格値とは外れてしまうという問題が出てきますと、流通できないという大きな問題を抱えてしまいますので、恐らくこれから新しく作る試験に関しては、元々国際調和を前提に作っていくというのが適切と思われました。古い試験に関しては、余りいじらないというのが現実的であることが理解できました。ありがとうございました。
○橋田部会長 ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。特に無いようでしたら、議決に入ります。今いろいろと御審議をいただきまして、いろいろ議論すべき点はあるということでしたが、それは基本的には今後この局方の在り方を御審議いただくところで、取り上げていただくことと思いますし、特に、第一追補の案については、修正が必要ということではなかったかと思います。
それでは、第十六改正日本薬局方一追補につきましては、案のとおりとすることとしてよろしいでしょうか。いかがですか。
御異議が無いようですので、御了承いただいたものといたします。ありがとうございました。
 では、次の審議議題です。
審議事項2です。日本薬局方の新規収載候補品目に係る案件についてです。機構から御説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題2、資料2「日本薬局方新規収載候補品目(案)について」機構より御説明します。
資料を御覧ください。本日御審議いただく品目については、1ページの「1.国内の医薬品の流通実態に基づき選定された医薬品」、2ページになりますが「2.医薬品製造販売承認取得企業からの収載要望に基づき選定された医薬品」、同じく2ページの「3.日本薬局方原案審議委員会生物薬品委員会にて医療上の汎用性が高いと判断され選定された医薬品」、3ページの「4.日本薬局方原案審議委員会生薬等委員会にて医療上の汎用性が高いと判断され選定された医薬品」、以上総計で59品目について収載候補品目(案)として御審議いただきたいと思います。なお、この収載候補品目の名称については現段階の仮の名称として掲げたものであり、別途、日本薬局方原案審議委員会にて審議する予定になっています。
 続いて、次のページの「1.国内の医薬品の流通実態に基づく医薬品の選定方法について」御説明を加えたいと思います。
こちらを御覧いただきますと、第十七改正日本薬局方作成基本方針(案)の「優先的に新規収載すべき医薬品」に合致していると考えられる医療用医薬品を下記の二つの観点から選定しました。更に、再審査期間が平成26年3月、すなわち第十六改正日本薬局方第二追補告示予定時期よりも前に満了する品目を選定しています。なお、原薬及び製剤が既に日局既収載、若しくは原案準備中の品目については除外し、原薬のみが日局既収載の場合には、代表的な1製剤を候補品目としています。原薬及び製剤が日局未収載の場合については、原薬及び代表的な1製剤を候補品目としています。
 先ほどの二つの観点について、まず1ですが、医療上汎用性があり、かつ必用性が高いと考えられる医薬品の判断基準として、選定品目の年間売上げが100億円以上、かつ処方せん発行数が100万枚以上を基準にしています。
 もう一つの観点ですが、代替品の無い医薬品、すなわち希少疾病医薬品等に該当するものから選定しているものは、1997年以降に希少疾病医薬品の指定、すなわち改正薬事法第77条の二第一項の規定について受けたもののうち、承認年月日の古いものから順番に候補品目としています。以上が1.についての選定方法になります。
 以上、59品目について原案作成に着手することについて、本日は御審議をお願いしたいと思います。
御審議のほど、よろしくお願いします。
○橋田部会長 ただ今は、日本薬局方に新規収載をする候補品目で、大きく四つのカテゴリーに分けて、全体で59品目をそのような候補としたいということでした。ただ今の御説明に対して、御意見あるいは御質問等がありましたら、お願いします。
○谷本委員 候補品目に関しての話ではないのですが、選定方法についてお伺いしたいのですが、現在、処方せん発行数は把握できるようになっているのですか。
○機構 これは民間が行っているレポートを利用しました。
○谷本委員 民間でもそうでなくても良いのですが、ここの選定方法として1と2があります。これはこれでいいと思うのですが、1の時の医療上汎用性がありということは、金額の話ではないと思うのです。むしろ処方せんの発行枚数の方が使われているかどうかを反映していると思います。金額の方は、むしろそれは薬価が全部違えば、余り判断基準にはならない気がします。
 ここで一つの目途として100億を入れてもいいのですが、むしろ1の医療上汎用性がありと、そのような医薬品を選定するのだということであるのなら、処方せん、要するに汎用性をきちんと証明できる処方せん発行数100万枚等が頭に来る方が、この選定の方法についての考え方としては適切ではないかと思います。
○機構 今までは毎回大改正の終了後、次の大改正に向けて候補品目売上げで選定していました。御指摘のように売上げだけではないというお考えもあり、今回、処方せん発行枚数という一つの選択肢を加えてみました。しかしながら処方せん発行枚数で調査していますと、かなりのものが既に日局に収載されており、売上金額も併せて検討することとしました。
 ただし、最初から売上金額100億や処方せん発行枚数100万枚等で絞ったのではなく、まず40数品目を選定するという目的で選定したところ、このようなボーダーラインになったものです。
○谷本委員 御説明ありがとうございました。確かに10年間私もかかわっていたので、あまりにあれなのですが、今回初めて処方せん枚数のことが出たので、従来、これはなかなか把握できないということで、確か500億とかいうように、今度は売上げのことしか言わなかったのです。その時も汎用性ということになれば、売上げといっても、単価がものすごく違い、薬価が違えば全然違う話なので、処方せん枚数は民間のものを使っていいのかどうか私は今判断できませんが、このようなもので把握できるようになれば、金額よりも、金額は後ろに付けても別にいいのですが、汎用性の判断の第1判断基準は処方せんの発行枚数ではないかということで、従来、今までも金額だけで言っていたが、これを今回の選定では少し処方せんの枚数を入れるということで、方向を少しずつそちらの方に切り替えるというか、考え方の重点をそちらに移して選定していっていただくようにしていただければいいかと思います。
○橋田部会長 貴重な御意見をいただきました。
○花田委員 今の御質問ともかかわるのですが、何を重要な医薬かを判断する基準として、治療用医薬の場合は処方せんも出ますし、また売上げはよく分かるのですが、予防用医薬、具体的にはワクチンなのですが、この場合、例えば新生児というか新しく生まれた子どもに、年間、例えば30万ドーズを打って、その値段が、例えば1ショットで3,000円だとすると、年間100億とかいうところに至らないのですが、ただし極めて重要な医薬であると思うのです。そのようなものは、どのような定義というか基準で選ばれるのかと思いました。私は勘違いしていて、ワクチンは別枠だと思っていたのですが、薬局方にも痘瘡ワクチン等いろいろ、日本脳炎ワクチンなどが出ていますから、実際に恐らく何かの基準でワクチンも選ばれているように思うのですが、それはどのような基準で選ばれているのでしょうか。
○機構 今申し上げました売上げ金額や処方枚数等に基づき選定したのは、1ページの1.の部分です。ここは主に化学物質の医薬品が中心です。それと、今、花田先生から御指摘のありましたワクチンのようなものについては、生物薬品委員会で収載候補品目の選定を審議いただいていますし、生物薬品は売上や処方せん枚数では候補に上がってこないということもありますので、生物薬品委員会の中で、収載していくべき品目を決めていただくことにしています。今回、3.が生物薬品委員会で選定された品目です。同じように生薬などについても、売上げや処方せん枚数では候補に上がってこないということもあり、生薬等委員会でも独自に選定いただくことにしており、今回3ページの4.で1品目を選定いただいています。
○規格基準部長 ワクチンの件ですが、花田先生もよく御存じのように、日本薬局方とは別に生物学的製剤基準が薬事法の第42条に基づいて設定されており、現状のワクチンはほぼすべてそちらの方で品質の基準が明示されています。御存じのようにワクチン、生物薬品全般がそうなのですが、原材料管理や製造工程の管理はかなり重要視されています。生物学的製剤基準は、それに準じた項目立てになっています。
 一方、薬局方については、最終製品の規格を中心に規定する形であるということと、あとは局方に修正した条件に適合すれば医薬品として承認されるという位置付けであることから、ワクチンは今後、日本薬局方が生物薬品全般をどう取り込むかという課題とも関係はするのですが、現状によってはそちらの方でワクチンは手当てをされているという形で扱っています。今後については、また議論を進めていって、必要に応じて薬局方に取り込むことも検討はされていくかと思います。
○花田委員 生物学的製剤基準のことを持ち出していただいて大変ありがとうございます。ワクチンと血液製剤と抗毒素関係は非常に特別な医薬と見なされていて、厚生労働大臣が定める生物学的製剤基準で取り上げて、そこで承認の前にそのような基準は決めなければならないという枠組みになっています。
 ほかの医薬に関しては、マーケットに出た後、局方に記載する貴重な品質関連の公開情報を定めればいいのですが、生物学的製剤においては承認前の慌しい時期にいろいろな基準を決めなければいけないということで、改善点もあるかと思います。あと、国際調和という点から見ても、そのようなシステムを採用している国は恐らく日本以外に無いと思います。今後は、生物学的製剤で公開される品質情報も日本薬局方の枠組みで全部まとめられればという考え方もあり得るとは個人的には思います。ただし、現状では生物学的製剤基準の中から選ばれた検定基準で国家検定を行っていますので、生物学的製剤における公開品質情報を承認後に定めることができるシステムになった場合でも検定基準は承認前に定めなければならないのも確かなのです。このように医薬品における品質情報公開システムは、今、生物学的製剤だけは特別になっているということを指摘したいと思います。
○橋田部会長 局方作成の5本の柱というところの1番目は「保健医療上重要な医薬品の全面的収載」とありますので、できるだけそのような精神を一方で意識し、かつ、しかし全体の制度をいかに整合性の取れたものにするかということで、今後さらに御検討いただけたらと思います。
○福原委員 優先的に新規収載すべき医薬品のことですが、今回二つの観点から選定されたということですが、第十七局の基本方針で優先的に新規収載すべき医薬品としては、四つの観点が挙げられていたと思うのです。医療上の汎用性と代替え品のほかに、優先審査がなされた画期的な医薬品ともう一つは国際的に広く使用されている医薬品ということで、四つの観点が挙げられていたと思うのです。残る二つの観点に関しては、今回該当するものが無かったということでよろしいのでしょうか。
○機構 今回の選定候補を検討する段階で残る二つの観点に関する候補については、挙げることが難しかったため、今回は候補に挙げることはできませんでした。ただし、今後、企業などから収載要望が出てくる場合もあります。2.がそういった品目なのですが、企業からの収載要望品目の中に、そのようなものがある場合は優先的に採用していくべきではないかと思っています。
○橋田部会長 今後の御検討の中では、そういった点もさらに御配慮いただくということだと思います。ほかにはございますか。
○四方田委員 実は薬局方の総合委員会でもお伺いしたのですが、フェルビナクのパップと一緒にフェルビナクのテープが、ほとんど同じような数も出ていますし、同じ価格で同じ使い方をされているものがあるはずなのですが、これでパップだけは載せるけれどもテープを載せないということに関して、貼付剤の試験法を作っているものですから、そのメーカーの方たちとやり取りをする機会があってお伺いしたのですが、一緒に収載してもらった方が良いという御意見も伺いましたので、この辺がなぜパップだけは載せるけれどもテープが載せられないのかをもう一度お伺いしたいと思います。
○機構 確かにそのような御意見もありましたが、今回1.については40数品目を選定しましたが、原薬を一つ、それと製剤については、資料の3ページのその次のページに記載していますが、上から2段目の最後の方に、原薬および代表的な1製剤を候補品目としました。これは委員会のリソースを考え、40数品目という縛りを付ける上でこのような形にしたところです。
○四方田委員 リソースが間に合わないのであれば、パップも後回しにしていただくとか、同時に収載をしていただくと試験法もほとんど変わらない二つですので、是非一緒にしていただきたいと感覚的には思います。
○機構 そのような御意見もありますし、原薬だけ載せても意味は無く製剤も載せるべきだという御意見もあり、そこで今回は、原薬一つ、製剤一つとさせていただきました。また、御指摘のものについては、次の選定で考えたいと思います。
○橋田部会長 なかなかこの選定も、その辺同一薬物で製剤違いというケースをどう扱っていくかは、いろいろ御意見もあるところだと思います。ほかにはございませんか。特にそれ以上無いようでしたら、議決に入りたいと思います。いろいろ御意見はいただきましたが、特にこの59品目をここで追加あるいは削除という御意見でもなかったかと思いますが、この案をこのままの形で御承認いただけますかという形でお諮りしてよろしいですか。あるいは、もし具体的な修正等の御提案がありましたらお願いします。一応この時点では案としてはこれでよろしいですか。
 それでは、日本薬局方新規収載候補品目につきましては、案のとおりとすることとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。御異議が無いようですので、御了承いただいたものといたします。
 以上で本日の審議事項は終了しましたので、次に報告事項に移ります。では、報告事項1の日本薬局方の参考情報の改正(案)について機構から説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料3「日本薬局方の参考情報の改正(案)について」機構より説明いたします。
資料を御覧ください。1ページには改正案の概要についてお示してあります。まず、今回新たに収載する項目は次の3ページとなります。うち、(1)、(2)については、物性関係の参考情報となります。
 「(1)固体-水間の相互作用:吸・脱着等温線と水分活性の測定」については、国際調和事項の日局の取り込みにより、新規で収載する試験法となります。国際調和案では、教科書的、解説的な記載が多くございましたので、この部分については、日本薬局方では取り込まず、等温線の測定及び水分活性の測定の原理や方法など、具体的な試験法の部分についてのみ収載することとされました。
 続いて、「(2)動的光散乱法による液体中の粒子径測定法」については、こちらは日本薬局方独自で検討された試験法でございます。DDS製剤など、医薬品の有効性、安全性を確保する上で、今般、粒子径の管理が非常に重要視されている液体中のサブミクロン、粒子の粒子径及び粒子径分布を測定する試験法として、光子相関法及び周波数解析法、二つの原理に基づく試験法を新たに収載します。
 (3)につきましては、G5.生薬関係に分類される試験法です。この「核磁気共鳴(NMR)法を利用した定量技術と日本薬局方試薬への応用」については、生薬の定量用分析用標品は、市販可能な試薬について規格を日局の試薬・試液の項で定めておりますが、生薬等の分析品につきましては、定量値の信頼性を更に向上させるためにNMRの技術を利用した定量技術について、将来的に生薬用定量試薬の応用を念頭において、新たに収載します。
 続いて参考情報中、改正する6品目について御説明させていただきます。理化学試験法関係ではG1.近赤外吸収スペクトル測定法について、改正を行います。本改正につきましては、流通している分析装置及び米国薬局方の改正内容を考慮し、記載整備を行いました。
 続いてG3.生物薬品関係では、ペプチド及びタンパク質の質量分析について、今般一般試験法に新規収載される「2.62質量分析法」に合わせて記載の整備を行いました。
 G4.無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法につきましては、内容の改正と共に試験法の名称についても、無菌薬品製造区域の微生物評価試験法という旧名称から新しい試験法名に変更となりました。この改正内容につきましては国内外のガイドラインとの整合を行いました。具体的には、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針やPIC/S、ISOの国際基準との整合を図りました。
 G8.水関係では、医薬品等の試験に用いる水について、今般一般試験法に新規収載された試験法と整合をさせるための記載整備を行いました。製薬用水の品質管理については、日局十六で全面改正された製剤総則に整合するよう、製薬用水の選択にかかわる記載について整備しました。又、精製水、注射用水の製薬用水システムの微生物評価に用いる培地について、R2Aカンテン培地のみとする改正を行いました。
 G9.その他に分類される第十六改正日本薬局方における国際調和については、新たに日局に取り込まれた国際調和事項に関して記載を追記しました。
 試験法の名称の改正については先ほど御説明させていただいた無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法への変更を予定しております。又、参考情報に現在収載されている誘導結合プラズマ発光分光分析法については、新規収載の一般試験法に包含されるため、参考情報からは削除されることになります。以上、参考情報の改正の概要について御説明させていただきました。
○橋田部会長 ありがとうございました。日本薬局方の参考情報でございますけれども、ただ今、改正の概要を御説明いただきました。それから後ろに別添1といたしまして、実際の参考情報の案が付いてございます。先ほど第一追補のところでも話題になりました試験法関係でございますとか、あるいは国際調和の問題ですとか、それぞれが追補の中に取り込まれたものと、あるいは参考情報の中でいろいろ修正を行われたものとあるということでございます。
 これは報告事項でございますけれども、どうぞ御質問、あるいは御意見等がございましたらいただきたいと思います。特によろしゅうございますか。
○川西委員 特に議論の種も無いようです。私が少し思っていることで、このような問題意識があるのだということで、局方の委員会にかかわっている先生方はそのようなものは日常的に感じておられると思いますけれど、そうではないと恐らく、なかなか、そうなのかということかと思うのですけれど、今、医薬品の品質管理の基本的なやり方というのが、従来ですと最終製品の規格試験に、大体このような試験にパスすれば、一応、医薬品として出して良いということで古くは品質管理をしていましたし、局方は基本的にそのような考え方でつくられている規格基準書ではありますけども、今、ICHの影響もありますし、全般的な医薬品の品質管理の流れの中で、むしろ最終製品の規格試験をそれに代替という意味ではないのですけども、製造工程でいろいろ試験を行ったり、それからもう一つは、製造工程自体でコントロールをきちんとして、その規格に相当するような特性をきちんとパスするような品質管理を元々製造工程を設計する段階で行うという考え方が取られるようになり、実は、それはICHでクオリティーバイデザインと言われているような話で、私も考えてみるとまだまだ先のことだと思っていましたけれども、一番最初に承認されたものはもう3~4年か既に経っているということです。もう少しすると局方収載という話も出てきたりします。そのようなものの場合は製造工程の方で品質管理をしているということ、そのような基本的な品質管理の方策を取っていますから、局方の中に導入する時に、いろいろ問題になり、なかなか大変になるかもしれないです。それで今、この審議の中でも参考情報の部分というのは、言ってみたらこのその他の報告事項になっていますけども、例えば近赤外などは、恐らく製造工程の管理で非常に重要なツールになってくるだろうし、それだけではなく、例えばバイオテックプロダクトなどの場合は、むしろ製造工程の留意事項のようなものを局方に関してはこのような留意事項で行ってくれというようなジェネラルなステートメントみたいなものがある意味非常に重要になってくるかもしれないし、そのような意味で局方自体、これから21世紀ずっと局方が品質管理の基準書であるためには、また少し考えなくてはいけない部分がきっとあるのだろうと思います。ですからここは今、参考情報をどのように活用するかということで、今、製造工程にかかわるところは全部参考情報に落とし込んでいます。
 確かにそれは今の方策としては正解かと思いますけども、これから少し考えなくてはいけないことがあるかもしれないと思いました。近赤外などでも、今ここの参考情報にあると、メーカーはそれを採用する時には、審査の時にいろいろとそのようになるかどうかは分からないのですけども、やはり参考情報にある限りは、きちんとバリデートしてというような話に個別の製品の時になって、局方の参考情報に入っていても御利益が余り無いというようなこともあります。その辺はこれから製造工程管理にかかわるような部分や局方でどのように扱っていくかということは、皆さんとどのような局方が望ましいのかを議論しなくてはいけません。これからの一つの大きな課題だと思っています。
○橋田部会長 ありがとうございました。
○四方田委員 「参考情報の有効性」というところが非常に、いつも議論の的になるのですけれども、参考情報ですから全く実効性が無いのだという意見と実効性があるのだと思っていらっしゃるところもあり、中途半端なところが非常に多いのですけれども、今、分類でいろいろなものが一緒に並んでおりまして、GMP上留意すべきことに関して書いてあるものが、その理化学的な試験法であるとか、そのようなところと一緒に並んでいますので、これをGMPに関して特に気をつけなくてはいけないために書かれたものというのは別項立てにして、そこはある程度GMP上は有効なのだというような認識をもっていただければ良いといつも思っていますので、何かその辺の方策を取っていただけないかというように思います。よろしくお願いします。
○橋田部会長 ありがとうございました。今、非常に貴重な御意見をいただいておりますが、それこそ局方の思想や将来の方向性についてのことでございまして、品質管理をするにあたっても、その意味が変わってくるということで、特に工程管理と位置付けられます。クオリティーバイデザインという言葉も出ましたけれども、本当にそういったところでは近赤外の話はいつも出てくる問題でございますので、今後の議論の中ではこのような御指摘のあったような点というのは非常に重要な問題になってくるかと思っております。
○花田委員 今、川西先生からお話がありましたが、品質管理のためのベーシックな試験法であり、特に局方は一般に工程程試験、バリデーションされた試験が掲載されており、いろんな原理等も書かれていて教科書的な面もございます。日本は「PIC/S」と呼ばれているGMP調査結果を国際間でシェアしようという枠組みに加盟すべく本年3月に申請しており、医薬品の収去試験をきちんと行うことのできる能力がこの国にあるかもPIC/S加盟国に認めさせる必要が出てきます。それで、具体的に国立衛研を多分中心に感染研、各自治体の衛生研究所等が医薬品収去試験のスキルを試されるのです。その時に、局方という公定書の存在は大きいと思われます。例えば企業からSOPを取り寄せて行うにしても、恐らくその原理までそこのSOPまで書き込まれてくるわけではないので、この原理等は、皆さんは、この局方を見ながら勉強するということになります。このように局方がますます医薬品の品質管理に重要な役割を果たすようになると思います。
○橋田部会長 ありがとうございました。せっかくの機会でございますので、何かこの辺り、ほかにも御意見ございましたらいただきたいと思います。いかがでございますか。
○川崎委員 参考情報とは直接関係無いのですけれども、先ほどの川西委員の工程管理のことですが、私は先ほど規格基準部長からの御回答の時にふと思ったことがあるのです。バイオ医薬品の純度試験のところに「HCP」と「DNA」というのがあるのですけれども、その時の御回答が最終製品を対象としているということだったのです。これからバイオ後続品が出てくるだろうということです。この局方に合わせて造ってくる時に、恐らく最近の流れとしては、工程でHCPやDNAを管理しているところが多いのではないかということです。その場合この局方の純度試験のHCP、DNAというのはどのような位置付けなのだろうかと思いまして、工程管理で規格試験を作っても合格ということなのかどうかというのを教えていただきたいのですが。
○規格基準部長 実はまさに今、内部でも議論をしておりまして、これからまた先生方、委員の外部の先生方にも御意見をいただくところなのですけども、一つとしての先ほど御説明しましたように、薬局方の基本は、最終製品の規格の記載となっておりますので、一応、別に規定するという形で、対応するというのが一つの方法として、今、検討しているところでございます。実際そのような記載になっている部分もございますけれども、では今後それをいろいろなバイオ薬品を対応していく中で、どのようにそのやり方を整理していくかというのは現在検討しているところでございます。それについてはまた機構内の委員会の方でも、先生方の御意見、御相談をさせていただきながら、全体を通してどのように行うことが一番良いやり方なのかというのをこれから整理していきたいと思っております。
○川西委員 今の問題は、現行の局方でも一応カバーをされていると言えばされているのですが、それは恐らく通則の12だったと思いますけれども、製造工程でも保障されているという場合は、結局それは別段行わなくて良いというように、一応は原則として、通則のところにありますから、それを適応すれば良いのだということはその中には書いてあるのですが、実態としては、製造現場あるいはGMPの査察などで、この辺りがものすごく対立点になってしまっているということを聞きますし、それは現実にそうなのだと思います。
 ですから、その辺り、どのような場合はそれでいいのか、どのような場合は駄目なのか、では、その時にはどの程度のことをしていればいいのか、この辺りがやはり実際のところ議論が足りないと言えば議論が足りないのですけども、ある程度、局方でも、局方品とはこのようなことをしてくださいということです。製造工程のことできちんと言っておくためには、このようなことをしておいてくださいということが、相互参照でも良いけれども、とにかくきちんと分かるような形、もう何年もここにかかわっている人でないと紐解けないような状態というのは、やはり余り好ましくないと思いますから、その辺は実はEPやUSPは、向こうはリソースがあるからかと思いますけど、そのようなことをICHのガイダンスは、そのままコピーアンドペーストのような部分もあるのですが、そのようなところをジェネラルインフォメーションのところに入れること等をしています。
 日本的に言えば局方は審査管理課が作っていますから、ICHをリファーすればいいのだと口で答えれば良いのかもしれませんが、やはり局方は局方的に、そこはもう少しきちんとフィロソフィーを示しても良いのではないかと思いました。ただ、それはリソースの問題等、今は余りにも局方にマネーの問題でも、それからヒューマンリソースの問題でも、なかなか事務局も非常に頑張っているけども、そこまで手が届かないというところがありますけども、これから局方を21世紀にずっと生かしていくということで考えれば、やらなくてはらないことであると思っています。
○橋田部会長 ありがとうございました。非常に重要な問題の御意見をいただいておりますが、何かさらに御追加いただく点等はございますか。
 ここは薬局方の部会でございますので、局方のことは最終的にはここで議論するというのは当然でございますけれども、同時に将来の方向性という議論は、まさに総合機構の委員会とか、そういったところで既に御議論いただいた内容がまたここでもう一度改めて議論されるということもございますけれども、やはり将来の方向性を考えるために是非このような機会を利用し御検討いただけたらというように思っております。
 それではこの参考資料につきましては、特に、内容そのものについては御異議は無かったかと思いますけれども、これで御了承をいただくということでよろしいでしょうか。機構の方、どうぞ。
○機構 本日、沢山の貴重な御意見をいただきましたので、機構の日本薬局方総合委員会でも、本日の方向性を含めまして検討させていただきたいと思います。
○橋田部会長 はい。他にいかがでしょうか。
○規格基準部長 よろしいでしょうか。報告事項の議題ではなくて、先ほどの収載候補品目の件について追加させていただいてよろしいでしょうか。先ほど四方田委員から御意見いただきました、フェルビナクの件です。一応、資料2について、一旦御了承いただいたのですけれども、部会でこのような御意見をいただきました、再度検討させていただきまして、外用貼付剤ということの特異性はあるものの、同じような内容で並べて、使われている量も差が無いか等、追加で検討し、可能であれば一緒に処理するということで御理解いただけますでしょうか。
○四方田委員 はい。
○規格基準部長 ありがとうございます。
○橋田部会長 ありがとうございます。そのように御対応いただけましたら非常に結構でございます。
 先ほどの審議事項の2の、最後の決定事項でございますけれども、それはただ今のような内容も含めて御承認をいただいたということにさせていただきます。ありがとうございます。
 よろしゅうございますか。それでは以上で、本日の審議報告事項はすべて終了いたしました。それでは、事務局の方から、何か御追加であるところがございましたら、お願いいたします。
○事務局 本日、御審議いただきました第十六改正日本薬局方第一追補につきましては、今後の予定のところでも申しましたが、今後、パブリック・コメント、WTO通報等を行い、手続きが済み次第、改正を行い、平成24年9月に告示を行う予定としております。
 また、次回の部会の日程につきましては、事務局にて調整し、また改めて御連絡させていただきたいと思います。以上です。
○橋田部会長 ありがとうございました。それでは、最後でございますが、何か御追加いただくことはございますか。
○木内委員 すみません。要望なのですが、これ第一追補が出ますけれども、なるべく早く英語版を作っていただけますでしょうか。英語版が出たころには第二追補が出るというような状況になると、余り良くないと思いますので、その辺はよろしくお願いいたします。
○事務局 英語版の方も頑張らせていただきます。
○橋田部会長 ありがとうございました。ほかに、御追加あるいは御要望というところで何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。先生方、どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 鶏内(内線2737)

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