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2012年7月17日 第1回 年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会議事録

年金局

○日時

平成24年7月17日(火) 15:30~17:30


○場所

厚生労働省 専用第21会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館17階


○出席者

神田秀樹 (座長)
井潟正彦 (委員)
井出健二郎 (委員)
植田和男 (委員)
小島茂 (委員)
川北英隆 (委員)
弥永真生 (委員)
米澤康博 (委員)

○議題

(1)検討会について
(2)年金資金の管理運用を担う法人の在り方について
(3)年金積立金管理運用独立行政法人からのヒアリングについて

○議事

○清水総務課長補佐 それでは、そろそろ定刻となりますので、ただいまから「第1回年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 座長を選出していただくまでの間、事務局で司会・進行をさせていただきます。本日は第1回の検討会となりますので、初めに委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。順番にお名前を読み上げさせていただきます。
 井潟正彦委員。
○井潟委員 井潟でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○清水総務課長補佐 井出健二郎委員。
○井出委員 井出でございます。よろしくお願いいたします。
○清水総務課長補佐 植田和男委員。
○植田委員 植田です。よろしくお願いします。
○清水総務課長補佐 小島茂委員。
○小島委員 小島です。よろしくお願いします。
○清水総務課長補佐 川北英隆委員。
○川北委員 川北です。よろしくお願いします。
○清水総務課長補佐 神田秀樹委員。
○神田委員 よろしくお願いします。
○清水総務課長補佐 弥永真生委員。
○弥永委員 弥永と申します。よろしくお願いします。
○清水総務課長補佐 米澤康博委員。
○米澤委員 米澤です。よろしくお願いいたします。
○清水総務課長補佐 以上、8名の委員でございます。よろしくお願いいたします。
 また、本日は、年金積立金管理運用独立行政法人からヒアリングを行うため、同法人から大江審議役に来ていただいております。
○大江審議役 大江でございます。よろしくお願いいたします。
○清水総務課長補佐 続きまして、事務局につきましても簡単にご紹介をさせていただきます。
局長の榮畑、審議官の蒲原、総務課長の藤原につきましては、遅れて参る予定でございます。私の隣でございますが、大臣官房参事官の原口でございます。
課長補佐の長谷川でございます。
私は課長補佐の清水でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○清水総務課長補佐 それでは、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思います。
まず、議事次第がございまして、こちらに配付資料の一覧がございますので、こちらも参考にしながらご確認をお願いいたします。
資料1 年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会(開催要綱)
資料2 年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会の議事等の公開について(案)
資料3 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会報告について(抜粋)
資料4 独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針(平成24年1月20日閣議決定)(抜粋)
資料5 年金資金運用の仕組みについて
資料6 年金積立金管理運用独立行政法人について(GPIF説明資料)

参考資料1 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会報告(平成22年12月22日)
参考資料2 独立行政法人の制度・組織改革のイメージ
参考資料3 独立行政法人の制度・組織の見直しについて(平成24年1月19日)
参考資料4 独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針(平成24年1月20日閣議決定)
参考資料5 年金積立金管理運用独立行政法人法
参考資料6 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(新旧対照表)
参考資料7 行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案
参考資料8 社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会(開催要綱・委員名簿・開催状況)
また、机上配付資料といたしまして、GPIFの業務概況書を配付をさせていただいております。
以上でございます。もし不足等ございましたら、適宜、事務局までお知らせください。
それでは、議事に入ります。初めにこの検討会の目的等について事務局からご説明をさせていただきます
○原口大臣官房参事官 それでは、私から資料1につきまして説明をさせていただきます。「年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会(開催要綱)」でございます。
1 目的でございますが、年金積立金管理運用独立行政法人については、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針(平成24年1月20日閣議決定)」により、固有の根拠法に基づき設立される法人とする等の方針が定められたところでございます。
本検討会は、基本方針に基づく法人の仕組みを検討するため、厚生労働省年金局長が有識者の参集を求め、開催するものでございます。
2 論点といたしまして、閣議決定された基本方針に例示されております論点を中心に掲げてございます。
・会社法を参考にした監査機能・リスク管理機能の強化
・経営に係る責任の明確化
・外部の目による徹底した評価
・国の関与の強化
・透明性及び説明責任の確保
・その他
でございます。
3 構成員は、先ほどご紹介させていただきました裏面に一覧とさせていただいております。
4 今後の進め方でございますが、論点について年内を目途に取りまとめをお願いできればと考えております。
5 運営につきましては、年金局総務課において実施しております。
なお、参考資料8を関連してご説明させていただきたいと思います。一番終わりの参考資料になります。参考資料8は、別の会議でございまして、「社会保障審議会年金部会の年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会について」という資料でございまして、この検討会におきましては、年金資金の管理運用を担う法人の在り方、仕組みについて検討をお願いするわけでございます。関連して、年金積立金の運用に関してということでございますが、これにつきましては、今、参考資料8でご紹介しました専門委員会において、昨年10月来、議論を始めていただいておりまして、今回のこの検討会においては、法人の仕組みについての検討に集中して議論をお願いしたいと思っておりますので、ご理解いただければと思います。
参考資料8を併せてご説明させていただきました。
○清水総務課長補佐 ただいまの説明につきまして、ご質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○清水総務課長補佐 それでは、続きまして、本検討会の座長を選出させていただきたいと思います。どなたか、座長の推薦をしていただけますでしょうか。
○米澤委員 はい。(挙手)
○清水総務課長補佐 それでは、米澤委員、お願いします。
○米澤委員 僣越ですが、神田先生をご推薦したいと思います。今、開催の要綱にもございましたように、こちらでは会社法を参考にしたいろいろ検討を中心とするわけですので、この分野の第一人者であります神田先生にお願いできればと思っております。ということで推薦したいと思います。
○清水総務課長補佐 ありがとうございます。ただいま米澤委員から神田委員を座長として推薦するご提案をいただきましたが、皆様いかがでしょうか。
(「はい」と声あり)
○清水総務課長補佐 よろしいでしょうか。それでは、神田委員に座長を務めていただきたいと思います。神田委員、座長席へ移動をお願いいたします。
(神田委員座長席へ移動)
○神田座長 大変僣越でございますけれども、私、進行役を務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 よろしゅうございますでしょうか。
○清水総務課長補佐 はい。
○神田座長 それでは、恐縮ですけれども、議事の進行役を務めさせていただきます。本日は最初でございますので、まず、この検討会の議事等の公開について、お諮りしたいと思います。事務局からご説明をお願いいたします。
○原口大臣官房参事官 それでは、資料2を説明させていただきます。「年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会の議事等の公開について(案)」という資料がございます。読み上げさせていただきます。
年金資金の管理運用を担う法人の在り方に関する検討会の会議及び議事録は原則として公開とする。ただし、各種の市場に影響を与えるおそれがある場合等必要があると認められる場合には、座長は、会議及びその資料並びに議事録の全部または一部を非公開とすることができる。
なお、議事録の全部又は一部を非公開とする場合には、座長は、非公開とした部分について、議事要旨を作成し、これを公開するものとする。
以上でございます。この検討会が資金運用を担う法人の在り方の検討ということでございますので、このように定めていただいてはいかがだろうかと考えております。
○神田座長 どうもありがとうございました。
 ただいまご説明いただきましたことにつきまして、皆様方からご質問、ご意見とかございますでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○神田座長 ありがとうございます。そうしましたら、この案のとおり、決定させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議事に進ませていただきます。本検討会におきましては、年金資金の管理運用を担う法人の在り方についてご議論をいただくということになるわけですけれども、まずはこの検討会を開催するに至った経緯などにつきまして、事務局からご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○原口大臣官房参事官 それでは、資料3及び資料4、参考資料についてご説明をさせていただきます。
 まず、資料3でございまして、「年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会報告(抜粋)」という資料がございます。この検討会報告の全文は参考資料1として、これも後ろのほうに全文を添付させていただいております。ここでのご説明は検討会の趣旨に沿う組織に関わる論点を抜粋いたしました資料3でご説明をさせていただきます。
この検討会は、GPIFの第1期中期目標期間が終わる時期に設置されまして、運営の在り方について幅広く議論をいただいたものでございますが、その取りまとめの中で、GPIFのガバナンスの在り方と組織の在り方に関する論点がございましたので、まず、これをご紹介させていただきます。
(1)現行制度の仕組みと課題というところでございます。1つ目の「○」ですけれども、現行では、GPIFは独立行政法人である。次の行に、中期目標を踏まえた中期計画を策定し、これに基づき業務を行っている。また、独立行政法人評価委員会に評価を受けているということが1点目で書かれております。
2点目ですが、意思決定プロセスは、基本ポートフォリオの策定などの重要事項については、厚生労働大臣の任命による金融・経済の専門家からなる運用委員会の議を経ることになっているが、独立行政法人共通の枠組みとして、最終的な意思決定権限は法人の長である理事長にある。
3点目でございますが、運用委員会は、GPIFの業務執行を監視する役割も担っている。また、GPIFには監事が2名置かれている。
4点目としまして、以上のような現行の仕組みの課題として、イ 「方針決定」及び「業務の執行」は、理事長一人の専管事項となっているが、運用委員会との関係で、実質的な権限と責任が不明確となっている。また、運用委員会では専門的な見地から議論は行われているものの、理事長の諮問機関であり、勤務形態も非常勤であるといった指摘がございます。
ロ 業務の執行機能と監視機能が明確に分離しておらず、また、「方針決定」及び「業務の執行」への監視機能が弱い。
こういった課題の指摘がございます。
そこで、次のページでございますが、2ページのところで提言をいただいているわけでございまして、2段落ほど省略いたしますが、『1』の2行目のところからごらんいただきますと、意思決定過程において複数の専門家によるより多面的な検討を行うことにより、意思決定プロセスに慎重を期しリスクを少なくしていくことが必要である。このため、例えば、複数の理事などの合議による意思決定方式とすることが考えられる。次の行ですが、現行の独立行政法人制度との関係について整理が必要である。合議制というのは、独法制度との関係について整理が必要という指摘でございます。
 『2』でございますけれども、年金積立金の管理・運用の基本方針等を定める意思決定機関と、管理・運用業務を執行する業務執行機関の役割分担を明確化するとともに、業務執行の責任者が意思決定プロセスでの議論に参加することといった指摘でございます。
また、次の段落で、意思決定機関の構成員の勤務形態・要件等ということにつきましても提言をいただいております。
『3』でございますが、監視の内容には基本方針の設定に関わるもの、管理・運用業務の執行に関わるものなど様々なものがあり、対象に応じた監視の在り方を整理し、現行の監事の機能強化を含め、全体としては監視機能を強化すべきという提言でございます。
『4』といたしまして、国民に対する説明責任を果たしていくという観点から、意思決定プロセスの透明化や情報開示の推進等について、厚生労働省及びGPIFは一層の努力をしていく必要があるという提言でございます。
あと、3ページでは、そのほか、こうしたことに関しまして、いただきましたご意見、(3)人材の確保・育成の在り方の関係についても、議論のありました意見をまとめてございます。
これが、まず平成22年12月の段階でまとまりました検討会の報告でございます。
続きまして、資料4でございます。「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針〔平成24年1月20日閣議決定〕【抜粋】」でございます。
これに関しましては、この閣議決定、基本方針に先立ちまして、行政刷新会議のほうに設けられた「独立行政法人改革に関する分科会」という分科会での議論が行われておりまして、その分科会の議論の報告を参考資料3としております。
こちらは本文の全体とGPIFに関する各論の部分、参考資料3として付けております。この分科会につきましては、政府としまして独立行政法人の在り方全体の見直しを行ったものでございまして、その視点をごく簡単に触れさせていただきますと、参考資料3の1ページをごらんいただければと思います。
参考資料3の1ページのところで、昨年から今年の初めにかけて議論されました独立行政法人改革につきましての基本的な考え方を簡単にまとめてございまして、中ほどに『1』~『4』で指摘事項がございます。
ここを紹介いたしますと、
『1』 主務大臣や監事による法人の外部・内部のガバナンスが不十分であること。
『2』 運営費交付金の使途が不透明であり、無駄や非効率な業務運営が生じていること。
『3』 目標設定が不明確であり、客観的な評価が困難なこと。また、評価に府省横断的な統一性がないなど、評価の実効性がかけていること。
『4』 業務運営に対する第三者のチェックが不足しているほか、不要資産の保有、不透明な取引関係の存在など業務運営の透明性が低いこと。
こういった基本的な問題意識が指摘されております。
そして、こういった問題意識を受けまして、次のページをごらんいただきますと、上半分のところに4点の指摘がございます。具体的に改革に関する分科会で行われた改革の検討のあらましでございますが、
『1』 国の政策実施機能の強化等の観点から、国や民間との関係も視野に入れて組織をゼロベースで見直し、廃止や、自律的な経営が可能な法人の民営化等を実施する。
『2』 廃止または民営化等を行うべき法人以外の法人については、各法人の事務・事業の特性に着目して類型化し、類型毎に最適なガバナンスを構築する。
『3』 類型を踏まえつつ、政策実施機能の強化や効率性の向上の観点から法人を再編する。
『4』 新たな法人制度に共通するルールを整備する。
こういった検討が行われていったということでございます。
そして、この参考資料3の一番終わりのページの裏側をごらんいただきますと、これがGPIFに関して、この分科会で指摘されました分科会としての取りまとめでございます。
これにつきましては、後ほどご紹介する閣議決定とオーバーラップする部分もございますので、ご参照いただければと思います。
それから、参考資料4でございまして、先ほどの独立行政法人改革に関する分科会の取りまとめを受けまして、24年1月20日に閣議決定をされました見直しの基本方針でございます。こちらも全文をお付けいたしますとともに、各論のうちのGPIFに関わる部分、これを抜粋して資料4としてございますので、後ほどそちらでご紹介いたしますけれども、全文と各論の一部をおつけいたしております。
資料4によりまして、閣議決定につきましてご紹介をさせていただきます。
(別紙)各独立行政法人について講ずべき措置のうちの【年金積立金管理運用独立行政法人】の部分でございます。
○ 固有の根拠法に基づき設立される法人とする。
○ 法人の業務は、貴重な国民の財産である年金資産の管理・運用であり、運用による損失は国の負担に直結することから、適切な監督権限を設け、国の関与を強化する。また、このような業務の特性を踏まえ、その業務運営における中立性を確保しつつ、本法人のガバナンスは新たな法人制度に比較し厳格なものとする。
○ 具体的な制度の在り方については、例えば、国としての責任が果たせる監督権限の導入、会社法を参考にした監査機能・リスク管理機能等の強化や経営に係る責任の明確化、透明性及び説明責任を確保するための積極的な情報公開、外部の目による徹底した評価の導入等の観点から検討を進める。
ということで、既に大きな方向を閣議決定しているということでございます。ここにございますような、具体的な制度の在り方ということにつきまして、この検討会でこれから検討を賜ればということでございます。
それから、関連いたしまして、さらに幾つか参考資料をご説明させていただきます。
参考資料5は、現在のGPIFの根拠になっております法律の全文でございます。
参考資料6は、独立行政法人改革の中で、独立行政法人通則法につきまして一般ルールの改正を行うということで既に改正法案が国会に提案されており、審議を待っているという状態になっております。参考になるような事項もあるかと思いますので、何点か、私から紹介をさせていただきます。
まず、1ページのところでございまして、上段の改正案をごらんいただきたいと思いますが、真ん中ほどに第三章の第二節、第三節ということで、中期目標行政法人と行政執行法人と2つの法人類型が書いてございます。今まで独立行政法人につきましては、特に類型分けはございませんでしたが、今般法律の表題も「行政法人通則法」とあり、法人類型全体としては「行政法人」という名称が提案されており、そして、これが大きく中期目標行政法人と行政執行法人と2つの類型に分けられているということでございます。
続きまして、9ページをごらんいただきたいと思います。
改正内容の中で、以下幾つかご紹介してまいりますけれども、9ページのほうでは、第十九条の第4項から第7項まで今般規定が改正ないし追加をされております。監事の職務及び権限に関しましての規定がさらに詳細なものが追加されているということでございます。従来の条文が下にございますが、単に「独立行政法人の業務を監査する」とございましたところを、例えば「主務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない」、報告を求め、調査を行うといった権限が規定されております。
また、続いております十九条の二という条文が新設されております。この十九条の二につきましては、監事の報告義務でございますが、これを後段の最後の行からごらんいただきますと、遅滞なく、その旨を法人の長(当該役員が法人の長である場合においては、主務大臣)に報告しなければならない」ということで、監事の任命権者は主務大臣でございますが、法人の長に関して何か不当な事実等があった場合には、これは法人内部ということではなくて、任命権者の主務大臣に報告するということも併せて明確化されたということでございます。
10ページに入りまして、第二十条では、役員の任命の項でございますが、第1項及び第2項をごらんいただきますと、役員につきましては、内閣の承認を得て任命するという提案になっております。
また、第3項のところでは、役員の任命に当たりまして、公募を行うことなどの規定の追加が提案されているということでございます。
それから、14ページをごらんいただきますと、終わりのところには第二十五条の二という規定が新設されております。(役員等の損害賠償責任)に係る規定が提案されているということでございます。
そして、この規定との関係で、これは従来からの条文ですが、少し戻りまして第二十四条という規定がございます。代表権を有する役員との利益が相反する事項について、代表権は監事が有するということが従来から規定されているということでございます。
それから、15ページに入りまして、第二十五条の二の第3項でございます。こちらのほうでは、損害賠償責任に関して一部を免除することができるという規定が設けられているところでございます。
それから、同じ15ページの終わりのところですが、第二十八条の第2項という規定がございます。(業務方法書)には、「職務の執行がこの法律、個別法又は他の法令に適合することを確保するための体制その他行政法人の業務の適正を確保するための体制の整備に関する事項」、こうしたものを記載するという規定がございます。会社法の場合にも、こういうコンプライアンス体制を整備することが取締役会の役割となっているわけでございますが、これに類似した規定がここに創設されているということでございます。
それから、17ページのほうでございますけれども、第二十九条は(中期目標)に係る従来からの規定でございまして、改正案では、中期目標行政法人の場合の中期目標に関する条文となっております。この第3項でございますが、独立行政法人評価委員会の制度がこの改正案では廃止されておりまして、これにかわって第3項のところ、中期目標を提示する際に、審議する組織につきましては、中ほどに「委員会の意見を聴かなければならない」と規定されているところでございます。
この委員会でございますが、かなり戻りますが、5ページの第十二条に、この委員会は読み替えが置かれておりまして、5ページの真ん中ほど、第十二条でございますが、「総務省に、行政法人評価制度委員会(以下「委員会」という。)を置く」ということで、総務省のこの委員会に各主務大臣が意見を聴くという形で規定をされているところでございます。
18ページでございまして、法人の業績の評価に関する規定でございますが、先ほど申しましたように、独立行政法人はこれまで評価委員会において評価を受けるという仕組みでございましたが、18ページの終わりのところ、第三十二条の規定のところをごらんいただきますと、「中期目標行政法人は、毎事業年度の終了後、次に掲げる事項について、主務大臣の評価を受けなければならない」ということで、評価の主体が主務大臣になっているということでございます。
そして、この評価結果については、次の19ページの終わりのところ、第6項をごらんいただきますと、「委員会は、前項の規定により通知された評価の結果について、必要があると認めるときは主務大臣に意見を述べなければならない」ということで、先ほどの委員会がこの評価について必要があれば意見を述べると、こういう仕組みになっているところでございます。
それから、21ページの終わりのところ、第三十五条の三という規定がございます。これまで独立行政法人につきましては、主務大臣は中期目標を示すということで、個々の措置の命令などは基本的に規定されていなかったところですが、国の関与を全体的にも強化するという考え方から、第三十五条の三という規定では、違法行為について是正等を命ずるという規定が創設されているところでございます。
また、関連して24ページをごらんいただきますと、ここの終わりに、第三十五条の七(監督命令)という規定が設けられておりまして、主務大臣は、年度目標を達成するため等の場合に、この業務に関し、執行法人の場合でございますが、「業務に関し監督上必要な命令をすることができる」、こういう規定も設けられてございます。
それから、28ページでございますけれども、初めのところには、(監事に対する報告)という規定が設けられております。これも会社法によく似た規定があるところですが、会計監査人は、その職務を行うに際して役員の職務の執行に関し不正の行為等々を発見した場合に、監事に報告するという義務を課している規定でございます。
それから、35ページ、中ほどに第五十条の四という規定かあり、ここ以下、条文が新しい条文の新設が続いておりますけれども、ここのところ、一連の条文はこの行政法人の役職員が再就職する場合に問題のあるようなことが起きないようにという再就職に係る規制などの規定が以下何ページかにわたって追加されているところでございます。
以上のような内容が改正案として提案されておりまして、中にはかなり会社法の規定も参考にしながら設けられたような規定がありましたので、少し時間をいただきまして、こちらをご紹介させていただきました。
それから、参考資料7でございます。「行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案」でございまして、こちらの法律案につきましても審議を待っているというところでございます。こちらに関しましては6ページをごらんいただきますと、第八条のところで、(国家公務員であった者への独立行政法人の再就職に係る適正化のための措置)ということで、こうした場合の公募の方法による選考を得ることといった実態的な規定がこの法律の中で盛り込まれておりますので、併せてご紹介をさせていただきます。
以上、この検討会に先立ちます各般の検討報告などにつきましてご紹介をさせていただきました。
○神田座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明につきまして、皆様方から、ご質問、ご意見等がありましたらお出しいただきたいと思います。どなたからでも、どの点についてでも結構です。いかがでしょうか。どうぞ、小島委員。
○小島委員 小島です。先ほど説明いただきました資料3、平成22年12月にまとめられました「年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会」の報告についてです。この検討会には私もメンバーとして関わっていたのですが、2ページにあります「(2)GPIFにおける今後のガバナンスの在り方」の一番上の「○」に、これからのGPIFの運用組織・ガバナンスをどうするかということについては、「年金積立金の運用に何を求めるかにより様々な形態がある」とありますが、これは運用の在り方といいますか、GPIFに何をやらせるかということによって組織体制なりガバナンスも違ってくると、そういう趣旨と理解しております。
当時の検討会の中でも、GPIFにどういう任務を与えるかということで幾つかの考えが出されました。現行制度のように、運用目標を厚生労働大臣が示して、それに基づいてGPIFが基本ポートフォリオをつくるという仕組みをベースにしてGPIFのガバナンス、組織体制をどうするかという考え方です。あるいはもっと政府の権限、関与を強化するという観点から、運用方針と運用目標と基本ポートフォリオもかつてのGPIFができる前のように厚生労働大臣がつくって、それを示すというようにすべきではないかという意見もある。逆に運用、目標、基本ポートフォリオについても、その2つをGPIFが中立的な立場から自主的に決めるといったような考え方もあるのではないか、そういう3つぐらいの考え方が示されたわけです。今回、独法通則法の改正について閣議決定がされ、参考資料4に閣議決定された基本方針でGPIFについて指摘されている内容が示されています。ここでは、今言った年金基金の運用の在り方について、閣議決定をした政府としてどういうことを基本に考えているのかを明確にしておくことがまずは必要であり、それが前提だろうと思っております。
ここには3つほど書いておりますけれども、2つ目の「○」には「国の関与を強化する」あるいは「中立性を確保」するとなっております。けれども、一体閣議決定のときに、GPIFの役割として、先ほど3つの考え方があると言いましたが、現行制度を基本的にベースにして、その上でGPIFの組織体制、ガバナンスについて検討するということなのか、ここをまず検討の前提として説明、伺いたいと思います。ここの前提がないとGPIFの組織体制なりガバナンスをどうするかということについてははっきりしない。そうでないと議論が錯綜するのではないかと思いますので、ここの点についてまず確認したいと思います。
○神田座長 ありがとうございます。事務局からお答えいただけますか。
○原口大臣官房参事官 それでは、今のご指摘で現在中期目標、中期計画の仕組みがございまして、主務大臣の示す中期目標に基づいて基本ポートフォリオを法人でつくっているが、このあたりがどのようになるのかというご指摘でございました。まず参考資料3、独立行政法人改革に関する分科会の報告の一番終わりのページ、先ほどご紹介いたしませんでしたけれども、こちらをごらんいただきますと、こちらに4点ほど「・」で掲げられておりますが、3点目のところで、独立行政法人の改革に関する分科会で、運用に関わるところまで踏み込んだ議論もあったようでございますけれども、ここのところは、あえて分科会の意見として紹介をされつつ、これは閣議決定のほうには盛り込まないということにされております。
そして、閣議決定の文面をごらんいただきますと、2つ目の「○」の4行目のところで、「その業務運営における中立性を確保しつつ」という文言があり、国が年金資金運用という業務運営の中立性を尊重する形とし、余りそこへ踏み込みすぎないという方向で閣議決定がまとめられております。
以上のことからいたしまして、明確に定まっているわけではございませんし、在り方として必要があればご議論いただければと思いますけれども、基本的には資金運用の在り方について、今まで以上に国が踏み込んで中身を決めていくということではなく、やはり同じように、運用機関である法人の専門性を生かしながら運営していくことが基本と考えられていると考えておりますので、基本的には、今まで行われてきておりますように、具体的な投資レベルの判断については法人にゆだねていくということが基本的な考え方と理解いただいてよろしいのではないかと思います。
○神田座長 よろしいですか。
○小島委員 基本的には現行の仕組みをベースに考えるということですね。
○神田座長 ほかにいかがでしょうか、どうぞ、井潟委員。
○井潟委員 井潟でございます。非常に簡潔な説明ありがとうございました。小島委員から、運用の在り方によって組織もいろいろ変わるという話もありましたが、いずれにせよ、今のGPIFは、独立行政法人の仕組みであるがゆえに、理事長お一人が意思決定及び業務執行を担っており、運用委員会はあくまでも諮問機関にすぎません。この点については、恐らくいろいろ改善の余地があるというのは、運用の議論を待たずに考えられることではないかと考えています。
そういう意味では幾つかご指摘もありましたが、これだけの巨額の年金積立金の管理・運用を行う組織においては、少なくとも意思決定と執行は分離して、意思決定については、複数理事による合議制を導入することがより望ましい方向性ではないかと私は考えております。その際、会社法との比較が今回中核になるアプローチのようですが、平成22年の在り方検討会でも議論されたように、海外の年金運用組織、少し位置づけが違うとはいえ、中央銀行あるいはNHKなどの国内の公法人と比較することも考えられるのではないかと思っている次第でございます。国全体の信用を取り扱う日銀とGPIFは、日本の大きな国有資産を扱うという点で、かなり本質的には似通った部分があるのではないかと個人的には考えております。
以上でございます。
○神田座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。植田委員、どうぞ。
○植田委員 小島委員がおっしゃったことは私も同感でして、非常に大事だと思いますので、同じようなことをもう一回だけ申し上げますが、GPIFがどれくらいのリスクのある資産を運用対象にするのか。さらにリスクのある資産を買うにしても、それに関しての意思決定をどれくらい任せられているのか、これに応じて、どれくらいのガバナンス体制を敷かなくてはいけないかということは変わってくるのだと思うのですね。それが基本だということと、先ほど厚労省から、現在の体制を基本として、今の点については、つまりどれくらいのリスク資産を買うか、どういう意思決定の枠組みにするかということは将来について考えたいということでしたが、現状を基本にするという場合に、今の点に関する答えはどのあたりにあるのかということはもう一つファジーな面もありますので、その辺、そちらの話とこの話と同時決定のような感じがあるというあたりを常に意識しておくことが必要ではないか。それだけでございます。
○神田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、川北委員、どうぞ。
○川北委員 多少繰り返しになりますが、現実には常に考えておかない問題を少し別の角度から考えます。私自身独法の評価委員としてGPIFを評価する立場で議論に参加しておりまして、そのときに常に議論の対象になるのは、例えば、今いただいた参考資料4の2つ目の「○」のところにあるように、「運用による損失は国の負担に直結することから」とさらりと書いてあるのですけれども、このときの「運用の損失」というのは何なのかということです。例えば絶対額で負けたということなのか、それともベンチマーク対比で見て負けたということなのか、もしくは短期的に見て、1年で見て負けたのか、複数年で見て負けたのか、常にそこが議論の対象になってしまうわけですね。ここをある程度きちんと決めておかないと、理事長とか理事の責任問題ということが別途会社法上に出てくるわけで、そこと直結しかねません。
だから、そのあたりをかなり具体的にというのですか、法律上どこまで踏み込めるのかは私にはよりわからないのですけれども、そこを何か意識をして議論をしておかないと、単にここの精神論に書いてあるような運用の損失ということだけでは現実問題片づかないことが多々あるのではないのかと思います。少し議論が始まる前に、そこを私としては確認しておきたいし、その中でもし事務局で何か参考の情報があるのでしたらお教えいただければと思います。
○神田座長 ありがとうございます。事務局のほうで、何かございますか。
○原口大臣官房参事官 現在の運用における目標等はご承知のとおりのところでございますし、年金資金運用、市場運用を行う場合に、運用の目標として、公的年金の場合でございますと、負債サイドでは年金給付額が賃金上昇率にスライドするので、運用上もなるべく賃金上昇率にスライドさせるような形を目指さなければいけないということになります。そのような運用のやり方をとる場合には、運用の目標なり、評価の方法として、現在、評価委員会で評価をいただいておりますように、大きな運用目標としては賃金上昇率に加える形での運用収益率が目標になっておりますし、個別の資産では、採用されておりますインデックス対比で、運用については評価をしていく。かつ単年度では、必ず目標を達成するということは市場運用の場合は無理であるということがあり、長期的な評価とすることが欠かせないというのが現状でございます。
 年金制度自体が引き続き同じ仕組みでございますので、新たな法人制度の下でどう評価いただくかということでございますが、大きな年金制度の仕組みそのものが同じでございますので、基本的には同じような形での運用目標、また評価ということになってくるのではないかと考えております。これはまたファイナンスの立場からご指摘、ご意見があればちょうだいできればと思います。
○神田座長 ありがとうございました。どうぞ、米澤委員。
○米澤委員 まだ最初ですから、少し抽象的な意見を許していただきたいと思うのですが、今、いろいろ議論されたことと関連して、今、運用等に関しては、冒頭説明がありましたけれども、別の委員会がございまして、そこのところで大枠な運用の基本方針みたいなのが決定されることになっているわけです、経済前提の委員会ですね。そこは極めて100年における予定利率ぐらいの大ざっぱなところまでしか決まってない。多分次回もそうなるのではないかと思うので、それ以下、具体的なポートフォリオをつくる作業に関しましては、GPIFの今まででしたら運用委員会が全部細かく決めていたわけです。
私が言いたいのは、決めるに当たっての自由度は絞らないようにして、より広く自由度を与えると。要するに別途ほかのところで精緻な議論をする場が今のところないと思いますので、GPIFの、改めて組織がどうなるかわかりませんけれども、本当に細かなことも含めて決めざるを得ないと思いますので、そこの自由度に関しては、私は狭めないで、むしろ広めておいて、矛盾するかもしれませんけれども、ガバナンスのほうに関しては厳し目にするという格好でまとめていただくのが現実的かなと思っております。
○神田座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。弥永委員、どうぞ。
○弥永委員 1つ質問をさせていただきたいのですが、今まで各委員のお話を伺い、特に、今、米澤委員がご指摘になられたように、ガバナンスを裁量を与えて強化するということになると、ここでいうガバナンスというのは悪いことをさせないというガバナンスではなくて、むしろ効率的な適切な運用をするという、こういうインセンティブを与えるというところに重点があるということなのかなという印象を受けるわけです。いわば能力が必ずしも高くない、そういう人たちを首をすげかえるというような、こういう意味でのガバナンスというところに、今回の基本方針なり閣議決定は意識があるのか。
それともむしろこれまでの委員の皆様のご指摘とはちょっと整合的ではないけれども、何か好ましくない行動をするという、そういうことを抑えたいという、そういう意味でのガバナンスをここで考えられているのか。ガバナンスということの意味というのか、そこで目標にされている、目標は効率性とかそういうところにある、いわば積極的な局面にあるのか。それとも最近よく新聞とかである会社などを想定して、悪いことをさせないという、そういう意味でのガバナンス、この辺にあるのか。このあたりの意識はどんな感じだったのか、もしご存じだったら教えていただきたいのですけれども。
○神田座長 ありがとうございます。事務局も聞かれても困るかもしれませんが、よろしくお願いします。
○原口大臣官房参事官 あるべき法人として、資金運用を行うに当たって内部的にどういう規律がいるかということでご議論いただければ結構だと思いますが、思いますには両面はあるのだろうと思います。特に国と法人との関係ということでいえば、これは運用内容については法人の専門性を生かしながらということだと思いますので、国の立場からは法人のほうで効率的な対応をしてもらいたい。ただ、国の関与を強化するというのは法人で間違いが起きるようなことがないように、それを律していくということだと思います。法人の内部的には、会社法のガバナンスというのは効率を重視してつくられていることと思いますが、ただ、他方で内部での監視ということが、今回もいろいろ指摘もされているところでございますので、内部的に間違いももちろん犯さない、そういうコンプライアンス等の体制もつくると、そういう一面もあるのではないかと思います。
○神田座長 よろしいでしょうか。
○弥永委員 はい、ありがとうございました。
○神田座長 ほかにいかがでしょうか。
○小島委員 確認なのですが、先ほど参考資料8、ご紹介いただきましたが、米澤委員も指摘されましたが、米澤委員はじめ植田委員も入られております「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」についてです。これはもう一つの資料、先ほどの参考資料1の「GPIFの運営の在り方に関する検討会」報告の前文のほうで、2ページに「3.年金積立金の運用目標について」ということで、それの(1)の4つ目の「○」に、「年金積立金の運用は年金制度・財政と密接に関わるものであり、今後、運用目標について検討を行う場合には、年金財政の長期見通しに用いる経済前提を議論する早期の段階から、例えば、かつて厚生労働省に設置されていた社会保障審議会年金資金運用分科会のように、年金制度・財政と運用を一体的に議論する場を国に設ける必要がある」という指摘がされております。ここのところは、私も前からこの主張をしてきたところであります。
それともう一つは、最後の「○」の中には、そういう場をつくるときには、積立金は保険料ですので、「保険料を拠出している拠出者・被保険者の代表とともに、運用を担うGPIFも議論に参加できるようにすることなどが考えられる」といった意見も出しております。
そういう意味で、4つ目の「○」で指摘されている運用目標について検討する場合に、先ほど説明されました、この「検討会」報告を受けて「経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」が設置をされたと理解していいのかということです。多分そうだろうと思うのですけれども、そういう意味で、この「運用の在り方専門委員会」で、厚労大臣が定める運用目標について議論を進めるということだと思います。
本当はもう一つ、制度の在り方や、財政全体の在り方も含めて、もう少し幅広い骨太の議論の場が必要であると私は思っています。当然その中には、先ほど言いました積立金の原資であります保険料を拠出している拠出者・被保険者の代表も参加できるような場の中で、年金全体、財政全体の中での運用目標の在り方といった、幅広い議論の場が本当は必要だと私はずっと思っております。そこは今後の課題でありますけれども、2ページで指摘されているものを受けて、先ほど言った専門委員会が設置されたと理解をしていいのかどうか。
○原口大臣官房参事官 今、ご紹介いただきました参考資料1の2ページの4つ目の「○」でございます、こういう趣旨を踏まえて、現在、専門委員会ではGPIFもオブザーバーとして出てきていただきながら議論をしているところでございます。
○神田座長 よろしいでしょうか。
○小島委員 はい。
○神田座長 ほかにいかがでしょうか。私も細かい点で、1点だけ確認というか、誤解しているといけないので質問させていただきたいのですけれども、資料4の閣議決定抜粋の2つ目の「○」の最後の文章で、「本法人のガバナンスは新たな法人制度に比較し厳格なものとする」、先ほどご説明もあったのですけれども、これは先ほどご説明のあった参考資料6と比較して厳格という意味でよろしいのでしょうか。
○原口大臣官房参事官 ご指摘のとおりでございまして、もとの独立行政法人制度を新たな行政法人制度に改めるという改正案が提案されておりますが、その新たな法人制度に比較して厳格なものにすると、そういう趣旨でございます。
○神田座長 ありございました。そうしますと、参考資料6はまだ法案の段階かもしれませんが、皆様方にはこれを見ていただいて、それよりも厳格なガバナンスをどうしたらいいかを次回以降、具体的にご議論いただくということになるかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。総論的なところはこんなところでよろしゅうございますでしょうか。大変貴重なご指摘をたくさんいただきまして、ありがとうございました。次回以降、個別のガバナンスの在り方についてご議論をいただくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議事に入らせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○神田座長 次の議事ですけれども、本日はGPIFと略称で呼んで恐縮ですが、年金積立金管理運用独立行政法人と、なかなか一息で言えなくて申し訳ないのですけれども、ヒアリングということでお話をいただきたいと思います。本日は大江審議役にお忙しいところ、いらっしゃっていただいておりますので、まず大江審議役からご説明をいただけるということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大江審議役 ただ今、座長からご紹介いただきました大江でございます。私から資料6、「年金積立金管理運用独立行政法人について」という横長の資料、それから、机上配付ということで、「業務概況書」というブルーの資料がございますので、これを必要があればご参照いただきながら、この両者でご説明をしたいと思います。
 まず資料を1枚おめくりいただきまして目次がございます。よろしゅうございますでしょうか。こちらの目次が本日のご説明するアウトラインでございまして、大きく3つに分かれております。
まず1つ目が法人の概要、2.運用の仕組み、3.組織・ガバナンスの状況でございます。組織・ガバナンスだけでなくて、ご理解いただくために、まず運用の仕組みもご説明をしたいと思っております。
さらに1枚おめくりいただきまして、右下に1ページとあるところ、これが法人の概要という資料の最初でございます。当法人の目的は、そこの「○」の1つ目にございますように、厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資するということが法律上の目的とされております。
 設立年月日は18年4月1日で、根拠法は個別の独立行政法人法でございます。
役職員の状況でございますが、そこにございますように、理事長が1名、理事が1名、監事が2名、役員としてはこの4名でございます。それから、職員は昨年度末(3月31日現在)で71名。全体としては非常にコンパクトな組織であろうかと考えております。
1つ飛ばしまして、運用の方法でございます。資金運用でございまして、基本的には民間の運用機関に運用を委託しております。具体的には信託銀行、投資顧問会社でございます。それから、国内債券の一部を自家運用、いわゆるインハウス運用してございます。
役割といたしましては、基本ポートフォリオに基づく運用と年金給付のための流動性の確保ということですが、これはまた後ほど具体的にお示しをしながらご説明を申し上げたいと思います。
 2ページにまいりまして、中期目標・運用委員会等についてでございます。
基本的なガバナンスの構造をここでご説明申し上げたいと思います。右の下に「GPIFに対するガバナンスの仕組み」という図がございまして、その中で、上のところが厚生労働大臣、年金制度の設計、年金財政の検証というのがございます。
下のほうに当GPIFがございまして、その中に理事長と運用委員会というのがございます。説明文の上の「○」の1つ目に、「中期目標等」とございますが、厚生労働大臣は当法人に対して、まず中期目標を設定をして示すということがございます。当法人では、これを受けまして、この目標を達成するための「中期計画」を策定をしております。18年から第1期が始まっておりますが、22年度~26年度までの5年間が第2期の中期計画期間でございます。
それから、運用の実績は、毎年度あるいは中期目標期間終了後に、厚生労働省独立行政法人評価委員会の評価を受けております。そのあたりが下の図でも書いてございます。
運用委員会でございますが、その図では、「監視」、「意見」、「審議」と書いてございますが、基本的に中期計画等主要な事項について審議をいただくといったものでございます。この中期計画には基本ポートフォリオを含んでおります。
それから、ここには書いてございません。後ほどまた出てまいりますが、第2期からは、運用受託機関の選定、こういったものも審議を経ることになってきております。それ以外の業務としては、当法人の運用に係る業務の実施状況の監視、モニターでございますが、そういったものを任務とする運用委員会が設置をされております。この運用委員会は、大臣が任命するということで、左下の図、運用委員でございますが、植田先生が委員長ということで運用委員会を運営していただいております。
それから、3ページでございます。
法人の概要の3つ目でございますが、ここでは当法人がどういう形で業務をやっているか、極めて概括的に書かせていただいております。理事長がおりまして、運用委員会の監視なり審議を受けるということで大きくは3つの業務をやっております。1つが中期計画を策定して、それに基づく運用ということで、その中で基本ポートフォリオあるいは運用上の遵守事項、こういったものを中期計画には定めております。それから、そういった中期計画に基づきまして、運用機関の選定・見直し、運用機関の管理をやっておるところでございます。
具体的な運用につきましては、先ほど申し上げましたように、4つの資産クラスがございますが、各運用機関に委託をしています。一部国内債券の中に自家運用がございますが、それ以外はすべて外部の信託銀行、投資顧問会社に運用を委託しているところでございます。
4ページから運用の仕組みということでございます。
まず、基本ポートフォリオからご説明を申し上げたいと思います。基本ポートフォリオは、先ほど1ページの役割の『1』で少し書いてございましたが、そこにございますように、当法人におきましては、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うということで、複数の資産を組み合わせた資産構成割合を基本ポートフォリオとして定めておりまして、基本的に積立金の管理・運用は基本ポートフォリオをベースにするということでやっております。
具体的な第2期の基本ポートフォリオは、そこにございますように、資産構成割合で申し上げますと、国内債券が67%、国内株式が11%、外国債券が8%、外国株式が9%、短期資産5%ということでございます。大まかに申し上げますと、国内債券、リスク・リターンの相対的に低い資産でございますが、そういった安定的な資産をまず3分の2入れておりまして、そのほか内外株式を大体2割ぐらい入れているとご理解いただければと思います。
それから、乖離許容幅、それぞれのパーセンテージ、プラス、マイナスで書いておりますが、これは基本ポートフォリオから、当然市場の時価変動でこの構成割合どおりにならずに乖離をいたすわけでございますが、この乖離許容幅の範囲内に入っている場合は乖離を許容すると、そういう幅として併せて設定をしているものでございます。
その際の基本的な考え方でございますが、(参考)に「分散投資の考え方」というのがございます。この分散投資の考え方が基本ポートフォリオの背景にある考え方でございます。「○」の1つ目にございますように、債券、株式、特性の異なる複数の資産に分散して投資を行う。ここで特性といいますのは、収益率の動き方、変動が異なるという意味ですが、こういった特性の異なる複数の資産で分散して投資を行うことにより、長期的にはリスク、ここでリスクとは収益率の変動幅、変動の大きさの幅のことを説明しておりますが、こういった長期的にリスク水準を抑制できるという考え方が一般的に行われております。
具体的には左下の図、おわかりの先生方も多いと思いますが、あえてご説明させていただきますが、この分散投資効果の図でございます。この図は横軸が時間で、縦軸がリターンでございます。したがいまして、リターンが、収益率が時間とともに変動する。例1で申し上げますと、これが全く同じ動きをする資産の組み合わせでいきますと、これを組み合わせても収益率の変動の幅がこの波の振れ方の大きさがリスクなわけですが、それは変わらない。
一方、例2、収益率が全く逆の動きをする資産を組み合わせますと、収益率の変動の幅、リスクはゼロになる。実際にはこの間でございますが、株、債券等収益率が異なる、この動きが異なる資産を組み合わせて運用いたしますと、収益率の変動の幅が小さくなってくる。そういう意味でリスクが抑制されるというのが基本的な考え方でございます。
そこの右にございますように、「分散投資効果によるリターンの向上」というところでございます。これは横軸がリスク、リターンの振れ幅でございます。右側に行くほど高い、左側が低い。
それから、収益率、リターンが縦軸でございまして、上に行くほど高く、下に行くほど低いということで、ここに国内債券から外国株式まで当法人の運用している4つの資産クラスを書いてございますが、国内債券は相対的にリスク・リターンの低い資産で内外株式はリスク・リターンの相対的に高い資産ですが、こういった4つの資産を組み合わせて描かれるリスク・リターンの曲線が、そこの効率的フロンティアと言われるものです。これはそれぞれのリスク水準におきまして最も高い期待リターンとなる複数資産の組み合わせの集合体でございます。この図では国内債券のところから縦に線が引かれておりますが、この縦の線と効率的フロンティアと言われる曲線が交わる部分が「☆」で示されております。いわばこの「☆」の部分は国内債券と同じようなリスクで国内債券以上の期待収益率を上げることが期待できるといった点でございます。
そこの(参考)の「○」の2つ目に書いているのが、まさにそういったことでございまして、ただ、これはモデル的に書いておりますので、非常に単純化しておりますが、基本的にはこういう考え方を基本ポートフォリオ策定の考え方としております。
ちょっと時間が長くなりましたが、5ページをごらんいただきたいと思います。
5ページでは「運用受託機関の構成(マネジャー・ストラクチャー)」というものを書かせていただいています。運用機関をどのように組み合わせるかというものは、基本ポートフォリオをまずつくりまして、それを踏まえて、基本ポートフォリオの各資産の中でどのような運用機関を組み合わせるかということで、こういった構成を考えております。
ここでパッシブ・アクティブというのが書いてございますが、簡単に申し上げますと、パッシブ運用は市場平均並みの収益率の確保をねらう運用でございまして、一般にはインデックス運用と言われることが多いような運用でございます。アクティブ運用は市場平均以上の収益率の確保をねらう運用ということでございます。
ここの1行目、2行目の文章に書いてございますように、当法人は各資産ともパッシブ運用を中心に運用を行っております。これは中期目標におきましてパッシブ運用を中心とすると定められておりまして、私どもはパッシブ運用を中心にいわば市場平均並みの収益率の確保をねらうのを基本に置いております。各資産毎に若干の違いはありますが、大体全体で見ますとパッシブ運用が8割弱、アクティブ運用が2割ほどということでございます。
なお、その下の表に「運用スタイル別内訳」というのでファンド数も書いてございますが、当法人の場合、国内債券、国内株式等4資産、財投債等を含めまして全体で81のファンドがございまして、私どもの法人としては、こういった80ほどのファンドを管理しているところでございます。
それから、6ページ目、「運用受託機関構成の見直し・選定『1』」という図を書いてございます。
左側で「運用受託機関構成の見直し」と書かせていただいておりますが、こういった運用機関の組み合わせは原則として3年毎に見直しを行うということにしております。この考え方としては、短期間で毎年度で見直すという考え方も一方であるわけですが、短期間で運用機関の能力を評価いたしますと、短期的な市場動向の影響を強く受けることで、少なくとも3年以上の期間を経過した段階で評価を行うことが適切ということで原則として3年毎に行うとしております。
 具体的な見直し状況は図の下に、平成18年度以降でそれぞれ各資産の見直し状況を書いてございます。直近ではエマージング株式運用の選定を行っております。
 右側が「運用受託機関の選定」でございますが、運用機関の選定に当たっては公募をしております。これは透明性の確保という観点から、一定の要件を設定した上で公募をしているわけでございます。
その際、評価する事項でございますが、投資方針、運用プロセス、組織・人材等でございます。最終的には運用委託手数料というコストも含めて評価をし、この評価結果と運用機関の組み合わせ方を勘案いたまして選定をします。現在はこれを透明性の向上の観点から、運用委員会で選定についてもご審議をいただいているところでございます。
それから、7ページでございます。
「運用受託機関構成の見直し・選定『2』」ということで、直近に行いましたエマージング株式運用の状況をここに書かせていただいております。エマージング株式市場といいますのは、右下の表にございますように、中国、韓国、ブラジル等々とございますが、こういった新興国、エマージング国の株式運用を対象にしようということで開始をしたものでございます。こういったエマージング諸国につきましては、左下の図に、時価総額の大きさを書いてございますが、黒い棒グラフが先進国の株式の時価総額、白抜きがエマージング諸国の時価総額でございますが、近年こういった新興国の時価総額のウエートが全体に占める割合が急増してきておりまして、こういった見地から 収益機会の拡大を図るのだということで運用委員会でご議論もいただきまして、エマージング株式運用を開始したところでございます。なお、6月に6ファンドで運用を開始したところでございます。
8ページに「運用受託機関の管理及び評価」と書かせていただいております。
左側に「運用受託機関の管理」と書いてございますが、左の真ん中あたり月次報告というのがございます。運用機関から毎月報告をいただいておりまして、それで何か問題があれば、下の図にありますように随時ミーティングを開催いたしております。それから、年1回総合評価のために定期ミーティングをやりまして、そういったもののフォローアップをリスク管理ミーティングという形でやらせていただいております。そこで様々な状況を確認いたしまして、必要があれば何らかの対応をとるということがそこに書かせていただいております。
右側、「運用受託機関の評価(平成23年度)」でございます。
年1回、総合評価をやっております。総合評価のやり方としては、運用内容を確認する定性評価と、運用実績、実際にベンチマークに比べて収益率がプラス何%だったのか、そのリスクの大きさはどうであったのか、そういったもので行う定量評価。この両者の評価を組み合わせまして総合評価をやっております。
そこの下の矢印に出ておりますように、その総合評価結果が一定水準以下であった運用機関、ここにはさらに矢印出ておりますが、資金の一部回収、あるいは配分停止を行うということで、運用機関に対しては総合評価結果を活用するということで対応しております。
それから、9ページ目でございます。「運用委託手数料」でございます。
 上の図の棒グラフが管理運用委託手数料額で、折れ線グラフが率でございます。率のほうの分母は、そこの左に書いてございますように、私どもの運用資産の平均残高に対する比率ということでございます。これを見ていただきますと、棒グラフのほうで、平成23年度は231億円ということで近年減少してきております。それから、率のほうでございますが、0.03~0.02ということで、最近はかなり小さくはなってきておりますが、率ということであれば小数点3桁のところで減ってきています。
 こういった水準が高いのか、低いのかということでおわかりいただきにくいものですから、下の表で、運用委託手数料率の海外の年金基金との比較をお出しをしております。ここでは海外のコンサルタントが調査をいたしましたアメリカの公的、企業年金基金の手数料率の比較を出しております。ここでは2011年直近で見ていただきますと、当法人は0.02%ということですが、アメリカの企業年金基金あるいは公的年金基金の場合ですと0.4%台ということで1桁違うわけでございます。もちろん当法人の場合は残高も大きくて、パッシブ運用中心でもございますので、手数料率が低くなる傾向がございますが、それを考慮しても相当低い水準にあると認識をしておるところでございます。
 10ページでございます。「キャッシュアウトへの対応」というのが書いてございます。
 これは1ページの「年金給付のための流動性の確保」というところに該当する内容でございます。
 「経緯」のところに書いてございますが、私どもは国から積立金を寄託されて運用するという組織でございます。これは財投改革に伴いまして、財投に預託していた資金が国に償還されまして、それが私どものほうに寄託をされていた。これが20年度で終わりまして、21年度以降はむしろ年金給付の支払いに充てるために、私どもの運用資産を取り崩して国に償還をするという段階に移ってきております。もちろんこれはもともとこういった段階に入るということが予定をされていたものでございまして、私どもはこの取崩しをキャッシュアウトと呼んでおります。ここ21年度以降で申し上げますと、その金額が4兆ないし6兆ということで推移をしてきております。
 2の「対応」にございますように、キャッシュアウトは、私ども基本的に財投債の満期償還金・利金を活用するということをやっておりました。財投債は財投改革に伴いまして引き受けた財投債、これを満期まで保有するということにしておりますので、満期償還金が出てくれば資産売却は必要ないということで資産を売らずにいわばキャッシュ化ができるということで、これを21年度以降のキャッシュアウトにも対応をしてまいりました。
ただ、「○」の2つ目にございますように、今後はこういった財投債の残高がどんどん減ってまいりますので、資産売却ということもさらに必要になってまいります。したがって、昨年度から始めましたのがキャッシュ・アウト等対応ファンドということで、市場運用している国内債券を満期まで保有するという仕組みに一部切り替えて、10兆ほど、そこに書いてございますが、それによりまして、市場で売らずにキャッシュアウトに充てるといった工夫もしたところでございます。
 それから、11ページ、12ページ、「運用状況」でございます。
 運用状況につきましては、直近の23年度につきましては、先日、記者発表、公表いたしまして新聞等にも報道されたところでございます。収益率は昨年度の場合、プラス2.32%、額で2兆6,000億ほど。12ページにございますように、積立金の自主運用を開始した13年度以降で言いますと、累積で14兆円ほどでございます。
 それから、13ページ、ここからが「組織・ガバナンスの状況」ということでご説明を申し上げたいと思います。
 まず13ページ、「内部統制」という図になっております。先ほどの概要のところにも少し書いておりましたが、この上の図のところに大臣、右側に独立行政法人評価委員会、左側に運用委員会というのがございます。その下の四角の中が当法人でございまして、理事長が上のところにおりまして、右側に監事、それから会計監査人、監査法人が外部監査をしております。理事長のところから下に伸びまして、左下のところに、管理部、企画部といった内部組織がございますが、7つの部、室がございまして、職員全体で71人が対応しているというところは先ほど申し上げたとおりでございます。
そこの中で、部、室の右側に監査室というのがございまして、ここが理事長の直轄で監査を行う部隊としてある組織です。
そういった中で内部統制というところですが、私どもは内部統制の基本方針というのを策定いたしまして、そこのやや太字の「業務の有効性・効率性の確保体制」と書かせていただいていますが、そういった考え方で内部統制を行っております。業務の有効性・効率性の確保という中では、経営管理会議、企画会議、こういった幹部間の情報共有、意思決定のサポート、そういった組織を置いて内部統制を行っております。
それから、法令等の遵守につきましては、コンプライアンス委員会、内部通報制度の中では、外部の「〔弁護士事務所〕通報窓口」とございますが、こういったものも内部通報の窓口として置いております。
それから、右側にまいりまして、損失危機管理体制という中では、運用リスク、資金運用に特化したリスクの管理委員会というのを置いて、ここでモニター、議論をしております。それから運営リスク。情報保存管理体制ということで情報セキュリティ、あるいは財務報告等信頼性の確保体制、こういったものを置いて内部統制を図っております。
14ページにまいりまして「役員等の注意義務」でございます。
役員等の注意義務、いわゆる受託者責任と呼ばれる部分の法律で書いている規定をここは記載をさせていただいております。法律の11条で(役員等の注意義務)ということで、第1項、上3行でございますが、「役員及び職員は……慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない」。
第2項では、「理事長及び理事は」ということで、最後の行、アンダーライン引いておりますが、「『慎重な専門家の注意』を払わなければならない」。
第3項でございますが、「理事長及び理事は……管理運用法人のため忠実にその職務を遂行しなければならない」、そういった特別の法律上の義務を役職員は負っているという説明でございます。
それから、1枚おめくりいただきまして15ページ、16ページが内部・外部の監査というところでございます。
15ページが「内部監査」でございます。先ほど申し上げましたように、左にございますように、法人が18年にできましたときに、理事長直轄の監査室を設置しております。そこが監事と連携をしながらということでございますが、監査の実施計画をつくり、具体的な内部監査、情報セキュリティ監査を実施をする。それを理事長に報告し、迅速な業務改善へ反映するといった仕組みで、こういったPDCAサイクルの中で運営を行っております。
16ページの「監事監査」でございます。
監事監査の内容は、決算監査に加え業務監査、経常監査、重点事項監査というのがございます。決算監査は財務諸表の監査、業務監査は管理・運用業務、内部統制の監査を行っており、これに加えまして、3つ目の経常監査は1行目に書いてございますが、特に現在監事として行っている中には重要な会議・委員会、先ほども申し上げました13ページに記載しているような各種の会議・委員会にも監事が出席をいただいて、そういった中で必要あれば意見を言うというような、そういった経常監査が現在実施をされております。それから、重点事項監査としては、「独立行政法人整理合理化計画」等で定められた各事項の実施状況について監査をしている状況でございます。
17ページ、ここからが運用の「リスク管理」ということで、特にリスク管理の中で運用についてご説明を申し上げております。
リスク管理といたしましては、運用資産と運用機関のリスク管理をやっております。運用資産のリスク管理は資産全体、各資産、その他。18ページに詳しくご説明しております。
それから、運用機関のリスク管理という中では運用機関にガイドラインを提示しております。その中ではどういった資産に投資するのかという運用投資対象資産の範囲、リスク管理の指標、運用実績の測定のベースになるベンチマーク、こういったものを提示しておりまして、その遵守状況の確認あるいは体制変更等の確認を行っているところでございます。
18ページが、今、申し上げました運用資産のリスク管理を具体的に何をやっているかというのを書いております。まず、図の上でございますが、資産全体のリスク管理として、各資産の資産構成割合と基本ポートフォリオの乖離状況。基本ポートフォリオは先ほど申し上げたように、国内債券67%等々でございますが、そういった基本ポートフォリオと現実の資産構成の乖離を把握いたしまして、許された幅の中にはまっているかどうかを確認する。その上で必要に応じて資産構成割合の変更、リバランスを実施すると、そういうことを行っております。
それから、各資産のリスク管理としては、そこにいろいろ指標を書いてございますが、運用でモニターすべきトラッキングエラー等の指標を確認しております。
その他のリスク管理ということで、信用リスク、カントリーリスク、取引先のリスク、こういったものをモニターをしているところでございます。
19ページ、リスク管理の最後として、ここでは「基本ポートフォリオの管理と必要に応じた見直しの検討(平成23年度)」というのを書かせていただいております。
国から示されております中期目標では、急激な市場変動があった場合には必要に応じて基本ポートフォリオの見直しの検討を行うことを目標で定めていただいておりますが、私どもこういった急激な市場変動があった場合にどうしているかといいますと、この3つの四角の中のようなことをやっております。
まず一番左端でございますが、「短期的なリスクのモニター」ということで、ここにあるようなモデルでモニタリングをやっております。
真ん中のところですが、「マクロ的な観点からの検討〕ということで、こういった短期的なリスクを踏まえながら、当面の市場見通し等につきましてエコノミスト、ストラテジストからヒアリングをしております。
3つ目、一番右のところですが、そういったものを踏まえまして〔運用委員会〕で議論していただくということで、昨年の場合、3月に東日本大震災が起きまして、その後もいろいろ変動が続きました。それから、夏から秋以降、ヨーロッパ発の世界同時株安がございました。
そういった中では、この3つの段階を経まして、ここの下の図、2行目の後段から書いておりますように、運用委員会でもご議論いただきましたが、長期的な市場の構造変化については現在のところ確認できないということで、基本ポートフォリオを維持といったことでございます。なお、市場変動いろいろございますので、引き続き注視をしているところでございます。
それから、20ページ「透明性の向上」でございます。情報公開等の視点でございます。
左側に「運用実績の状況等の公表」というのがございます。その下に「業務概況書及び四半期の運用状況報告」というのがございます。私ども、年1回、「業務概況書」を公表ということで、お手元のブルーの資料、100ページをちょっと超えるぐらいの詳細な資料でございますが、こういったものを公表いたしまして、その内容もホームページで公開をしております。
それから、四半期毎の運用状況につきましては、業務概況書分を除きます年3回、四半期毎の状況も公表しております。
ホームページでございますが、いろんな資料を登載しておりますが、昨年度この見直しを行っております。
右側、「運用委員会の透明性の向上」というところでございます。これにつきましては、中期目標を踏まえ、まず審議対象ですが、先ほど申し上げました運用機関の選定、こういったものについても運用機関の審議対象にするということで、平成22年度以降はすべて運用委員会でご審議をいただいております。
それから、運用委員会の議事録の公表も透明性の向上の観点から公表ということで、ただ、マーケットへの影響等も配慮するということで、運用委員会の議論を経まして一定期間経過後に公表することにしております。
それから、21ページ、「管理・運用能力の向上」というところでございます。
これは職員の専門性の向上という視点で資料をつけさせていただいております。当法人が専門性の向上という観点から、金融実務経験等のある職員の中途採用、それから、職員に対しまして、証券アナリストという資格の取得の促進という2つのことをやっております。
まず最初に実務経験のある職員の中途採用状況ですが、平成18年度以降、中途職員の採用を進めておりまして、23年度末では全体で23名、全職員に占める比率としては3割を超える水準まで拡大をしております。
2番目の証券アナリスト。証券アナリストは日本証券アナリスト協会の認定資格で1次、2次の試験に合格した上で実務経験を積んで会員になるといった資格でございますが、23年度末では26名が取得をしているといった状況でございます。
最後に22ページ目で「独立行政法人としての経費節減目標」というのを書かせていただいております。
当法人は、現在独立行政法人でございますので、全独立行政法人横並びで同じ経費削減目標が定められております。
まず一般管理費でございますが、これは人件費と事務費を加えたものですが、「中期目標」期間の最終年度に、21年度に比べて15%以上の節減を行う。いわば5年間で15%以上ということですので、毎年度3%以上の節減を行う。
それから、人件費でございますが、給与水準は国家公務員と同様のものとなるようにということで、昨年度のラスパイレス指数、いろいろ勘案した後は、100がちょうど国と同じでございますが、99.5ということで、国を下回る水準でございます。
それから、人件費の2つ目の「○」、これは総人件費のほうにつきまして、平成18年度から6年間で6%以上削減するといった目標もございます。
それから、一般管理費を除く業務関係経費でございますが、これにつきましては、「中期目標」期間の最終年度(平成26年度)において、21年度比で5%以上節減するということで、これもいわば毎年度1%以上節減しなさいという目標が設定されているわけでございます。
当法人としては、21ページで申し上げましたように、専門性の高い職員の確保、適正な業務運営のためには一定のコストがかかると考えておりますが、現在は独立行政法人として横並びの制約がかかっているところでございます。
本検討会でこういった新法人をご検討いただく際にはこういった経費の問題も緩和、あるいは外していただく、そういったことも検討していただければありがたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。
○神田座長 どうも大変ありがとうございました。
 それでは、続きまして、事務局から資料5についてのご説明をお願いいたします。
○原口大臣官房参事官 私のほうから、資料5につきまして若干の法人に関する仕組みについての補足ということになりますが、ご説明させていただきます。
 資料5の表紙をめくっていただきましたところ、積立金運用の全体の仕組みを書いたペーパーがございますけれども、これは先ほど全体像のご説明、詳細にございましたので、こちらは省略させていただきます。
 資料をめくっていただいて4ページと5ページです。中期目標と中期計画ないしこれに盛り込まれている基本ポートフォリオの関係を簡単に整理したものでございます。4ページと5ページ併せてごらんいただきたいと思いますけれども、まず左側でございますが、平成21年度以降における年金財政上必要とされる財政検証における「名目運用利回り」、5ページには、これに基づきまして定めた「第1期中期目標期間」というものがございます。
4ページの名目運用利回りでございますけれども、この財政検証の際の目標とされる利回りの仕組みにつきましては、長期的な経済前提といたしまして、物価上昇率が1.0%、実質長期金利が2.0%と見込みまして、合わせて名目長期金利は3.0%と見ておりました。また、賃金上昇率につきましては、物価1.0%+実質賃金上昇率が1.1%、合わせて2.1%と見てございまして、この名目賃金上昇率をさらに1.1%を上回る、そういう運用利回りを目標とする。合わせまして、名目では3.2%という名目値になりますけれども、こういう前提を設定してございました。
5ページをごらんいただきますと、これを受けての第1期中期目標期間におきましては、
中期目標上、年金財政は実質的な運用利回り、賃金上昇率を上回る運用利回りが確保される必要があるという指摘をいたしまして、この年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを確保するよう、長期的に維持すべき資産構成割合を定める、このように中期目標で指示いたしまして、先ほどご紹介いたしましたような運用利回りの実質的な部分、すなわち上の図で書いておりますように、名目賃金上昇率を除いた1.1%を確保できるようにポートフォリオを策定するという目標を示したところでございまして、これに基づいて策定されましたポートフォリオが下のところにありますとおり、国内債券67%等々という形で策定をされているところでございます。これが中期目標と中期計画の基本的な関係ということになります。
 その後、第2期中期目標期間になりますときですが、4ページへ戻っていただきまして、こちらで平成21年財政検証のときの前提では、こちらの利回りにつきまして、物価1.0%、実質長期金利は2.7%、これは長期の前提でございまして、短期的なものではございませんが、このように目標を設定しております。また、賃金のほうにつきましては、物価1.0%+実質賃金上昇率1.5%と見込みまして、これに加えて実質的な運用利回り1.6%を目標とするという形で設定されておりました。
ただ、このときには中期目標、5ページをごらんいただきますと、中期目標上はこの数値による運用利回りの目標を定めておりませんでした。文章を見ていただきますと、今後年金制度の抜本的な見直しを予定しているとともに、年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について検討を進めていることから、この運用目標は、暫定的なものであることに留意し、安全・効率的かつ確実を旨とした資産構成割合を定めるという形で、数値目標によらない形で目標を設定してございます。この暫定的な目標に対しまして、従前のポートフォリオ、これが安全・効率的かつ確実なものであろうと検討されまして、その時点で改めて検証の上、ポートフォリオを引き続き、第1期と同じ数値のものでございますが、第2期の中期目標、中期計画において策定をされているということでございます。
こうした第2期においては例外的な扱いになっておりますが、基本的に中期目標と中期計画の関係はこのような形でつくられているということでご紹介をさせていただきたいと思います。
それから、6ページ及び7ページをごらんいただきたいと思います。
こちらは「年金財政に与える影響」について検証している資料でございます。7ページの一番終わりのところをごらんいただきたいのですが、現行の年金積立金管理運用独立行政法人法の第二十八条に、「年金財政に与える影響の検証に関する規定がございまして、厚生労働大臣は、毎年度年金積立金の運用が年金財政に与える影響について検証し、通則法第三十二条第一項の規定による評価に資するよう、厚生労働省の独立行政法人評価委員会に報告しなければならない」ということで、運用結果の年金財政に与える影響を厚生労働大臣が検証し報告することになっております。
この規定に基づいて、6ページにありますような形で検証の上、報告をしているということでございます。
この状況でございますけれども、これは22年度の運用における実績を評価したものですが、賃金上昇率を上回る運用利回りのこれまでの実績が財政再計算・財政検証の前提と比較すると、平成22年度単年度では、0.65%、平成13年度からの10年間の平均では年度平均1.56%、これらはいずれも財政再計算や財政検証の前提、これを上回っているということで年金財政上必要な運用利回りを確保できるという評価を行っております。
先ほどの目標に対しまして、こうした形で年金財政に与える影響を評価、指定すると、こういう仕組みがあるということでご紹介させていただきました。
以上でございます。
○神田座長 ありがとうございました。
 それでは、今、ご説明いただきました大江審議役からのお話と事務局からの補足説明と併せてですけれども、皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。どんな点でも結構です。いかがでしょうか。
○小島委員 GPIFが発足と同時に、本日の資料に出てこないのですけれども、日本経団連と連合から2名の代表と、年金局長もメンバーとして入っている管理運用会議が、GPIFに設置されました。これは組織・ガバナンスとは直接関係のないというか、いわば保険料拠出者あるいは被保険者代表が入った意見聴取の場、いわばスポンサーからのご意見を伺っているというような、そういうたぐいの位置づけということになるのか。ここは組織・ガバナンスという観点からすると、今、指摘しました管理運用会議はどういった位置づけをされているのかということの質問です。
 それと少し意見を言いますと、多分間もなく参議院で、社会保障と税の一体改革関連法案として提出されている被用者年金一元化法案が成立するだろうと思います。そうしますと、公務員の皆さんも二階部分の年金は厚生年金の被保険者になるということになります。しかし、一元化法案では、運用については引き続き、国共済、地共済が独自に積立金の運用を行う仕組みになっています。国共済、地共済は、国民年金、厚生年金と違って、医療給付である短期給付も抱えていることが背景にあると思います。なお、国共済、地共済では、労使同数で運営審議会を構成して、そこで長期給付である年金の運用についても、短期給付も議論しているということで、まさに保険料を拠出している当事者の意見を直接反映できる「場」で議論をしているということです。
厚生年金、国民年金には、そういう「場」がないというのが、ずっと私が指摘している点であります。この点について今後、政府・厚労省としてどう考えていくかというのがあると思います。そういうことも、公的年金の一元化を達成するといった場合に、公務員のほうの国共済、地共済と公的年金の運用の在り方についてのガバナンスの在り方、この辺をどう整合あるものとしていくのかということも考えていく必要があるのではないか。
最後の部分は意見です。1点目が質問です。
○神田座長 それでは、質問の点について、大江審議役、いかがでしょうか。
○大江審議役 私からお答えいたします。1点目の委員ご指摘の会議でございますが、今、お話されたように、労使からいろいろお話を聞き、また、当法人からも、現在こういうことをやっているのだとご説明し、相互に理解を深め、あるいは大きな方向性があれば、そこでいろいろ議論する場であろうと考えております。なお、資料に内部統制とか入っておりますが、どちらかというと、規制といいましょうか、そういった立場から書かせていただいておりますので、あえてここでは書いておりませんでしたけれども、労使両方から意見をお伺いし、私どものほうからもお話する場として、そういった会議があるのはご指摘のとおりでございます。
○神田座長 よろしいですか。
○小島委員 はい。
○神田座長 ほかにいかがでしょうか。
○植田委員 先ほど米澤先生から、GPIFいろいろ自由度があってというお話があったと思うのですけれども、それはどれくらい自由度があるかというのはいろんな人によって感じ方が違うと思います。私も米澤先生も運用委員会に過去あるいは現在やった経験がありますので、ただ、こういうことは言えるかと思う点を1~2指摘させていただきたいと思います。
今、ご説明いただいた資料6の4ページの図がわかりやすいと思うのですけれども、右下の図、「分散投資効果によるリターンの向上」という図がありまして、そこに右上がりの「効率的フロンティア」というのが書かれていまして、こればリスクとリターンの組み合わせのうち、一応一番いい点の集合なわけです。GPIFが自由に選んでいいかというとそうなっておりませんで、中期目標に定められた、先ほど別の紙でご説明がありましたように、いろんな言い方があってそこは微妙なのですが、賃金上昇率+1.1とか1.6%、しかも代替債券並みのリスクをとってということでやってくださいということなのですが、それを右側の今の図で見ますと、「☆」がついていますが、結局この点を選んでくださいと言われているのに等しいのですね。
したがって、このフロンティアの上のどの点を選んでもいいという自由度がGPIFにあるのではなくて、三角の点が達成されるように努力しなさいというマンデートが与えられていると思っていただいたら、いろいろ細かい点はあるのですけれども、大ざっぱな姿かと思います。ただ、それでも自由度は幾つかありまして、三角の点を達成するのに、ご説明がありましたように、ほとんど自分でやるのではなくて、いろんなファンドマネジャーに外注するわけで、どういうファンドマネジャーを選んだら、三角より下に来ることはなくて、なるべく三角に近づくかというところを必死に頑張ったりとか、あるいはもっと難しいのですが、ここにない資産を加えてくれば、このフロンティアというのが大きく変わってくる可能性がありまして、そういう場合にどうなるか、中期目標との関連をどう考えるか。あるいは基本ポートフォリオをどう考えるかということになるのですが、例えば、その例として、これまで入っていなかった外国株式の中にエマージング諸国の株式を加えるという方向に歩みだしたのですが、そういう大きな意思決定はあり、それが100%GPIFの自由度の下にあるかどうか、もう一つはっきりしないのですが、そういうところが1つあります。
あとは、言い忘れましたが、三角の点を選ぶということは、同時にいろんな資産をどれくらいの割合で組み合わせるかということも決まるので、それが基本ポートフォリオということになるわけですが、そこにありますように、乖離の許容幅というのが一応ありまして、例えば国内債券が67で行きたいのだけれども、プラスマイナス8%ずれて、普通は価格変動に対応して、これくらいは短期的にずれていいということでこの乖離幅があるのだと思うのですが、むしろ、これを積極的にとらえて、67から下に、あるいは上に乖離させて、何かねらいを持ってポートフォリオを変えていくというようなこともあり得るのかもしれないですけれども、これまでのところ、そこは余り積極的にやってこられてはいないと思います。
というわけで、基本的には、今の体制ですと、大きなところの自由度はかなり制限された上でのいろんなところに意思決定しなくてはいけない問題はたくさんあるのだけれども、ということをご理解いただければと思います。
○神田座長 大変ありがとうございます。今の点に関連してでも結構ですし。どうぞ、米澤委員。
○米澤委員 植田委員、今の運用委員長の意見に関しまして付け加えますと我々も基本的にそれと違わないようにして運用してきたわけですけれども、1つは、正確に言いますと、どこまでが本当に動かせて、どこまでが動かせないのか、余りはっきりわからなかったというのも実際かと思います。もっと言うと、基本ポートフォリオの4ページ目の67%、11%というのも、何か大きな経済ショックがあったときに、その段階で、もし必要があればこれが変えられるのか、中期目標期間の中でその場で変えられるのかどうかも、少なくとも私自身は余りよく理解できてなかったので、そこのところをもし今わかったら教えていただきたい。そこの自由度がどうなっているのかということですね。
それから、その下でも、植田先生が言ったような幾つかの制約があるのですけれども、もう一つは、これは経済前提のほうと多少関わり合いますけれども、向こうでももちろん運用のことも見ているのですけれども、どちらかというと100年の年金財政のほうから中心に出てくるわけですので、100年の下での運用の目標とか出てくるので、仮にそれをこの5年間単位で組織におろすときに、少し目標が違っていてもいいこともあり得るのではないだろうか。そこのところをいい意味で切り離すということも考えてもいいのではないか。少しその辺のところで、自由度が高まると運用のほうとしてはやりやすいのではないか。もちろんそれで運用がうまくいくことが必要ですけれども、もう一回言いますと、年金財政での運用利回り、そのものでポートフォリオをつくる必要があるのか。そこのところをもう少し自由度を高めれば当面5年間の運用目標でGPIFのポートフォリオをつくるということもできるのではないか。場合によってはそのほうが現実的で必要なこともあるのではないだろうかということです。極端に言うと、その辺までも含めて、それは自由度が高まるといい。高まったからといって全部使うわけではありませんので、結果として変わらなかったということは十分にあり得ますけれども、そういう点まで、先ほど私は頭の中にちょっと思っていたわけです。
まずは、どこまで自由度があるのか、ちょっとはっきりしなかったので、全部そういうのは変えるときは大臣にお伺い立てなくてはいけないのかというのがよくわからなかったので、そこのところももう少しクリアにして、かつ、できれば自由度を高めておいていただくと、運用のほうとしては助かるのではないだろうかということで言ったつもりです。
○神田座長 ありがとうございました。フラストレーションのたまるお仕事をしておられるようですけれども、今の点、事務局いかがでしょうか。
○原口大臣官房参事官 基本ポートフォリオの見直しのご指摘がございました。現行の中期目標におきまして、急激な市場の変動があった場合には中期目標期間中であっても必要に応じて見直しの検討を行うことを求めておりますので、ここではそういう事情があった場合には検討いただくことになっております。ただ、検討いただきました上で変えたほうがよいということになった場合、中期計画の変更ということになりまして、それは大臣の認可を受けていただく、そういう手続を踏んでいくことになります。
○神田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、どうぞ、井潟委員。
○井潟委員 大江審議役のご説明大変わかりやすく、ありがとうございました。ご説明の最後のあたりで人材確保の重要性をとりわけご要望されるような、お話がありましたが、実際、GPIFの内部で日頃働いておるお立場からして、法人としての意思決定や、日々の業務執行について、どんな制度、あるいは組織の見直しというものがあればいいのかという点について何かご要望、ご意見持っていらっしゃるのではないかと思いますので、お聞かせ願えれば参考になると思います。
○大江審議役 私どもとしては、今ご説明した現状を踏まえて、各委員の方々から法人の在り方はこういうふうにしたほうがいいのではないかといったご意見をいただいて、法人をより良くしていただければと考えております。ただ、その際に、あえて最後に申し上げたのは、経費の制約については現実的な話として、こういった制約もあるということで、特に申し上げました。
それ以外の点につきましては、また、この場で委員の皆様方にご議論いただけたらと考えております。
○神田座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう、弥永委員、どうぞ。
○弥永委員 非常にくだらない質問で申し訳ないのですが、今、お二人の委員から、余り自由度が高くないのではないかという、思ったほどは高くないのではないかと、こういうご指摘もあったのですけれども、理事長とか理事の方が、実際、現在の仕組みの下で、力量というのか、その人が、実際に非常に能力があって、その人がうまくやれば、適切な意思決定をすれば、超過収益率も高くなり、一定のリスク水準に抑えられると、こういう構造なのか。それとも単に、実はこの理事長とか理事という方はまとめ役にすぎなくて、その人の力量によってパフォーマンス、この法人の資産運用のパフォーマンスが高まるというわけでは必ずしもないのか、そのあたりの印象というのはどのあたりなのでしょうか。
○神田座長 どなたかからお答えいただけますでしょうか。
○原口大臣官房参事官 私のほうからお答えをさせていただきたいと思いますけれども、基本ポートフォリオは、先ほど厚生労働大臣が認可するのだという話がございました。基本ポートフォリオで定められています資産構成割合というのはパフォーマンスに最も決定的な影響を及ぼすと、パフォーマンスの90%程度は基本ポートフォリオで決まるということが言われております。そして、この前提になるべき経済前提の収益の目標については、これは年金財政上必要な水準の確保ということがありますので、行政のほうで、どの水準が必要かというようなことを検討しなければいけないことになり、その影響を受けるわけでございます。基本ポートフォリオにつきましては、これだけ大きな資産だということがあり、ポートフォリオの策定については工夫いただくとしても、工夫の余地が限られる面があるのかもしれないと思います。
そうしたところで、大きな資産構成割合についてはそれほど自由度が高くないと、こういうご指摘であったと思います。ただ、そこから先、運用機関を選び、それから、それらを管理していくと。どのようなベンチマークを定めて運用方針を示していくかということは、これは広範に理事長にゆだねられているということでございますので、パフォーマンスにどこまで貢献するかということについて、私もお答えしにくいところがございますけれども、市場平均の対比で、勝つか負けるかというようなところについてはかなり大きな影響力はお持ちなのではないかと考えます。
○神田座長 どうもありがとうございます。どうぞ、川北委員。
○川北委員 1点だけ質問なのですが、23年度から実質的にエマージングの株式の投資を始められたわけですけれども、それ以外にもいろんな、それぞれのアセットクラスの中での運用の方法があるし、投資のタイミングの問題みたいなものもあると思うのですけれども、そのあたりの現実的な、例えばこういう運用をやればいいのではないかといったことを、最終的には運用委員会に諮るのだろうとは思うのですけれども、実際の提案みたいな、もしくは企画みたいなものを常に考えられているセクションというのがあるのかどうか。もう少し言うと、常設の運用委員会みたいなものがあって、そこで常に議論をされているというふうな、そういう体制が望ましいのかどうか、そのあたり、どのようにお考えなのか、ご意見をお伺いしたいと思うのですけれども。
○大江審議役 まず現状という形でご説明をしたいと思います。運用の見直しについて、ずっと考えている組織はどこかということでございますが、13ページごらんいただきますと、内部統制の図の中で、左下に管理部、企画部等ございますが、基本的にこの中の左から3つ目の運用部という組織が運用機関も管理しておりますし、運用機関構成をどのように考えるのかというところに着目をしております。
したがいまして、エマージング株式、それから今も既に国内債券の見直しも始めておりまして、先ほどキャッシュ・アウト等対応ファンドというものもご紹介しましたが、そういったものもこの運用部でいわばプランニングをして運用機関の選定も進めていくという担当部署としてございます。したがって、法人としては、そういった日常的にいろんなプランニングを行いながら、また、運用委員会でもご議論いただきながら、どういうタイミングでどういうことをやっていくのかということを相談していっているというのが実態でございます。
○神田座長 よろしいでしょうか。
○川北委員 はい。
○神田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○井出委員 今日は、私自身第1読解でしたので、いろいろご説明いただいてありがとうございます。1つだけお願いがありまして、今日は特に拝見できなかったのですが、GPIFの決算書というか、財務諸表を数年間分拝見をしてみたいなと思っています。どうやら、組織が変わると、恐らく自立した法人等々に移行していく場合に、先ほどの経費もそうですけれども、ある程度資金もかかってくるだろうと。そういう中で、いわゆる安全性とか生産性とか、ある程度、恐らくグレードを上げて、いわゆる今までの独法と違って、もうちょっと企業型というと怒られてしまうのですけれども、もう少し自立した運営をしていくのにどういう流れが必要なのか。今のある決算書を経営分析した段階と、これからどういうことが必要なのか。あるいは先ほどのキャッシュアウトというところも、私は会計上、例えばいわゆる簿記上の仕訳はどうやって切っているかというのもちょっと気になったりしていて、少し時間をいただいて、もし必要であれば、決算書を少し見させていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○原口大臣官房参事官 ご用意させていただきます。
○神田座長 ありがとうございます。
そろそろ予定の時間なのですけれども、もし、さらにどうしてもというご発言があればぜひとは思いますけれども、いかがでしょうか。本日はこんなところでよろしゅうございますでしょうか。
それでは、皆様方から大変活発なご意見、ご指摘、ご質問や課題をいただきましてありがとうございました。本日の議事は以上ということにさせていただきたいと思います。
今後の予定などについての連絡を事務局からお願いいたします。
○清水総務課長補佐 本日はありがとうございました。次回の日程につきましては、座長ともご相談をさせていただき、日程調整のほうをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○神田座長 それでは、本日はこれで散会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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