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2012年7月2日 第1回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会議事録

医政局国立病院課

○日時

平成24年7月2日 15:00~17:00


○場所

経済産業省別館825号会議室(別館8階)


○議題

1 座長の選出
2 検討会の趣旨及び進め方について
3 国立高度専門医療研究センターの現状等について
  ・各センターからのヒアリングの進め方について
  ・国立がん研究センターからヒアリング
  ・国立精神・神経医療研究センターからヒアリング
4 その他

○議事

○片岡国立病院課長 それでは、時間になりましたので始めさせていただきます。ただ今から、第1回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。私は医政局国立病院課長の片岡と申します。座長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、まず開催に当たりまして、医政局長よりご挨拶申し上げます。
○大谷医政局長 医政局長の大谷でございます。今回、国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、また急なお願いにもかかわらず本検討会への委員の就任をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございました。国立高度専門医療研究センターは、独立行政法人化しまして今年で3年目になります。それぞれの専門分野で、高度かつ専門的な医療の向上を図るという使命を遂行し、独立行政法人化の初年度となる平成22年度の評価委員会での評価は、いずれのセンターも年度計画を達成もしくは上回っているとの評価を得ているなど、概ね順調に運営されているものと思っております。一方で、職員の総人件費改革や利益の再投資の規制など、独立行政法人であるが故の課題もいくつか抱えております。
 さて、この国立高度専門医療研究センター、いわゆるNCと私は申していますが、これにつきましては「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」がございますが、この法律の附則におきまして、法施行の3年以内にセンターの組織及び業務について、存続させることの適否を含めた検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。また、本年1月20日に閣議決定されました「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」におきまして、法律の附則と同様の内容のほか、医療や創薬に関する他の研究所との統合や機能面による再整理も含め、既存の枠組みにとらわれない検討を進めると記載されています。
 このため本検討会では、センターのこれまでの業務の実施状況などを踏まえて、平成26年4月以降のセンターの在り方について、様々な観点からご議論をいただきたいと考えております。そして、新しい制度の下でセンターがその役割、使命を果たすことによって、高度で専門的な医療の向上を図り、公衆衛生の向上や増進に寄与することができるよう願っています。
 最後に、医療行政に対する更なるご理解とご協力をお願い申し上げまして、冒頭の私のご挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○片岡国立病院課長 それでは続きまして、委員の皆様を五十音順に紹介させていただきたいと思います。お手元の資料の座席表の裏側に名簿がございますのでご覧ください。
 五十音順に紹介させていただきます。まず初めにおおたわ史絵委員です。続きまして荻野和郎委員、近藤達也委員です。佐々木一十郎委員ですが、本日は都合によりご欠席です。猿田享男委員、祖父江元委員、手代木功委員、永井良三委員です。新浪剛史委員ですが、本日は都合によりご欠席です。仁科亜季子委員、花井十伍委員、福井次矢委員、最後に松本洋一郎委員です。
 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料は、まず検討会の議事次第と座席表、その他、配布資料は議事次第に書いてあります。欠落等ございましたら事務局にお申し付けください。それからお手元に基本ファイルがございますが、こちらのファイル資料については法律でありますとか、基本的な資料をご用意しています。こちらは毎回ご用意させていただきたいと思います。本日を含めそれぞれの回の資料につきましては、お持ち帰りいただいて結構ですし、もしくは残していただければ、それぞれの回の資料もこのファイル資料に綴っていきたいと思っています。以上ですが、カメラ、写真等の撮影は、これ以降ご遠慮ください。
 では、議事に入ります。まず、本検討会の座長の選出をお願いしますが、選出方法については、「委員の互選」により行いたいと思います。どなたか座長を推薦される方、いらっしゃれば挙手でお願いします。福井委員、どうぞ。
○福井委員 猿田享男委員にお願いしてはいかがかと提案いたします。
○片岡国立病院課長 ただ今、福井委員から猿田委員を座長に推薦とのご発言がありましたが、皆様いかがでしょうか。
                (異議なし)
○片岡国立病院課長 ありがとうございます。皆様のご賛同が得られましたので、本検討会の座長は猿田委員にお願いしたいと思います。恐れ入りますが、猿田委員におかれましては座長の席にご移動いただければと思います。それでは、以降の進行をお願いします。
○猿田座長 ただ今、座長に選出いただきました猿田でございます。不馴れでございますけれども、皆様のご協力を得て、先ほど大谷医政局長からお話がありましたように、独立行政法人化から3年間たつところで見直しをすることと、それから、特に先に向けてそれぞれのナショナルセンターが今までやってきたことを踏まえて、どういう風に更に国民のために発展させていくことが必要かということで、委員の方のご協力を得て、円滑にこの検討会を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に議事次第がありますが、最初に片岡課長からこの検討会の運営について説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○片岡国立病院課長 議事次第の前にお願いしたいことがあります。この検討会の運営に関しまして2点あります。
 まず、本検討会の公開、議事録の公表の取扱いですが、本検討会は公開で行って、議事録につきましても事務局でまとめたものを各委員にお目通しをいただいて、その後に厚生労働省のホームページで公表したいと思いますので、ご了解いただければと思います。
 それから2つ目ですが、委員のご都合がつかないときに、委員欠席の際に代わりの方の出席についてどうするかにつきまして、他の検討会でもそのような取扱いをしている例がございますが、本検討会におきましても、事前に事務局を通じて座長の了解を得て、また当日のその検討会において承認を得ることによって、参考人として参加していただくことをお認めいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○猿田座長 ありがとうございました。今、お話がありましたように、1つは議事録について、これから数回会議がありますけれども、その議事録をまとめて委員の方に見ていただいた上で厚生労働省のホームページに公表するということ、それからもう1つは、委員の方は大変忙しい方ばかりなので、代理の方が出る場合にはその都度になりますが、検討会の場で承認いただくということで、その2点に関してご了承いただくということでよろしいでしょうか。
                (異議なし)
○猿田座長 ありがとうございました。それでは、そういう形で進めさせていただきます。
 それでは、時間の関係もございますので、早速ですけれども議事に入らせていただきます。議題2の「検討会の趣旨及び進め方について」よろしくお願いします。
○片岡国立病院課長 議題2について説明します。議題2の資料は資料1ですが、その前に、まずナショナルセンターの概要等について、資料のご紹介をさせていただきます。
 まず資料2-1ですが、これは平成22年4月から施行しておりますナショナルセンターの法律の概要です。今まで国直営だったのが、平成22年4月から独立行政法人に移行し、それぞれの業務、役員数とかが書かれておりまして、平成22年4月1日から施行したということです。
 次の資料2-2ですが、それぞれの各センターが取り組んでいる主な課題、それからどういうことをやっているかをセンターごとにまとめたものです。
 続きまして資料2-3です。これは独立行政法人制度とはどういうものかということで、国の事務・事業を企画立案機能は国に、実施機能は独立行政法人にと分けまして、「民間にゆだねた場合には実施されないおそれがある業務の効率的・効果的な実施が目的」とされ、それぞれ設立・運営、財務・会計、中期目標、評価体制などの規定が設けられています。
 次の資料2-4です。これはナショナルセンターの法律で、それぞれの6センターの目的、それから次頁以降で各センターの業務の範囲をまとめたものです。
 次に資料2-5です。具体的に各センターがどのようになっているかということで、1頁目は各センターの基本的な骨格をまとめたものです。2頁以降は各センターの沿革・組織、業務範囲、取組内容等をそれぞれ1枚ずつにまとめたものです。
 続きまして資料2-6です。これは先ほどの局長の話でもさせていただきましたが、毎年、事業実績について厚生労働省の独立行政法人評価委員会で評価を受けることになっており、各センターの評価結果の一覧です。それぞれ、自己評価が右側で、実際の評価委員会の評定がその左側です。S、A、Bとありますが、Sがいちばん良くて、中期計画を大幅に上回っている。それからAが中期計画を上回っている。そしてBが中期計画に概ね合致している、計画通り実施しているということです。いずれの法人も基本的にS、A、Bになっております。がん、循環器、精神・神経、国際についてはすべてSまたはAで、成育、長寿につきましても一部Bもありますが、基本的には計画通り達成しているということです。
 続きまして資料2-7です。これは6センターの収支状況を見たもので、1枚目が平成22年度、2頁目が平成23年度の数字です。経常収支差のところを見ていただきますと、平成23年度でいけば、循環器、精神・神経、国際が経常収支では赤字です。
 最後になりますが、資料2-8です。松本委員がまとめられました「医療イノベーション会議」の中で、今後、国として重点的に伸ばしていこうという「医療イノベーション5カ年戦略」があります。この中で、直接ナショナルセンターについて記載している部分について抜粋しています。橋渡しの支援体制、個別化医療のバイオバンク、最後がオールジャパンの研究の連携体制というところです。ただ、それ以外の医療イノベーション戦略自体のそれぞれの研究の方向性は、当然ナショナルセンターにも関係するところでして、全文につきましては基本ファイルに綴っておりますので、適宜ご参照いただければと思います。資料の説明、それからナショナルセンターの概要は以上です。
 議題2については、資料1の本検討会についてです。「検討会の目的」は先ほど局長からお話させていただいたとおりで、特に2頁目ですが、法律で3年以内に見直すとされています。また、今年の1月の独法の見直しにおいても、3年以内に見直しをするということと併せて、最後の行の下から2行目ですが、「その際、医療や創薬に関係する他の研究所との統合や機能面による再整理も含め、既存の枠組みにとらわれない検討を進める」と記載されております。これを踏まえて、今回色々とご議論いただければと思っているところです。
 3頁目が、「今後の予定(案)」です。事前に日程調整をさせていただいて、第1回、第2回、第3回、それぞれ2センターずつ、まず、現状、課題、今後の展望、要望などについてヒアリングをしていただければと思っています。
 それから、第4回以降で具体的な審議になるかと思います。9月以降は、改めて日程調整をさせていただきまして、これはあくまでも案ですので、今後の審議次第でいろいろ変わってくることも当然あるかと思います。報告書といいますか、取りまとめは来年の通常国会に関係法案を出したいと思っておりますので、11月遅くとも年内には結論を取りまとめていただければと思います。
 次に、資料3の「ヒアリングの進め方について」です。まず現状をよく説明させていただいて、ご認識、ご理解をいただけるようにということで、各2センターずつヒアリングを行いたいと思います。今日は、がん研究センター、精神・神経医療研究センターです。2の「内容等について」ですが、?各センターの業務の概要、実績等の現状について、?今後の展望、課題、?その他(要望事項等)で、各センターから20分程度説明していただき、その後30分程度質疑するということで、あらかじめ各センターにはお伝えしております。色々ご意見があれば、その都度、対応させていただきたいと思っております。説明は以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。資料の確認はよろしいでしょうか。それから、資料3でこれからのスケジュールと内容について、どういうことを進めていくかということでお話をいただきましたが、どなたかご質問はありますか。特にご質問がなければ、このまま進めさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。いまお話がありましたように、これから各ナショナルセンターの現状などを説明していただくことになりますが、本日は「がん研究センター」の堀田理事長と、「精神・神経医療研究センター」の樋口理事長にお越しいただいています。両理事長と、お見えになっているスタッフの方からご説明いただくということで、まずはがん研究センターについて、堀田理事長から、20分くらいでご説明いただけますか。お願いします。
○国立がん研究センター(堀田) ただ今ご紹介いただきました、がん研究センター理事長の堀田です。この4月に就任しましたので、まだ十分お答えできるかどうか、自信がないところもありますので、両隣に研究所長とがん対策情報センター長が控えていますので、またご紹介したいと思います。
 まず1頁を見ていただきますと、私どもの「理念」として、独法のときに立てた理念というのが、「世界最高の医療と研究を行う」、そして2番目に「患者目線で政策立案を行う」ということです。
 「使命」については、この7項目になります。これは中期目標、中期計画に基づいています。こういったミッションを、「職員の全ての活動はがん患者のために」、ここには「国民」ということも入っています。
 がん研究センターに期待されている役割の主なものとしては、「国の医療政策と一体となったがん医療・がん研究の推進」ということと理解しています。必ずしも採算性が高くないものも含めて、我が国のがん医療、あるいはがん研究を一体的に進めるという、その中核機能を果たすことです。2番目の「世界最先端のがん医療・がん研究の推進」です。ここでは高度先駆的な医療、そして基礎から臨床へのトランスレーショナル・リサーチ、またはその逆のリバース・トランスレーショナル・リサーチを推進して、我が国から世界に向けて情報を発信してまいりたいと思っています。
 2頁目です。がんに対する政策の重要なものが、最近相次いで行われました。1つは先ほどご紹介がありました「医療イノベーション5カ年戦略」です。これは6月6日に会議でまとまったものですが、ここで特に私どもと関係するのは、オールジャパンの医薬品・医療機器の開発支援体制といったところです。それから2番目に、現在、「第3次対がん10カ年総合戦略」が来年で終了する予定ですが、その次の総合的ながん戦略について、一定の貢献をすべきであると思っています。また、がん登録についてもあとで少し述べさせていただきますが、これの法制化という動きもあります。この中で私どもも、積極的な役割を果たしてまいりたいと思います。
 それから6月8日に閣議決定されました、がん対策推進基本計画の変更案です。これに個別目標として掲げられた11項目があります。どれも大変重要なポイントですが、この中で上から2番目、6番目、9番目といったところが、特にがん研究センターに付託された業務というように、この計画の中で特別に明記されています。すなわち、がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成、そして、がんに関する相談支援と情報提供です。そして、がん登録の精度向上・標準化への取組といったところです。
 3頁です。現在の我が国のがん医療については、5年前にできましたがん対策基本法と、それに基づく基本計画に基づきまして、がん診療連携拠点病院の整備であるとか、あるいはがん対策情報センター、各学会の診療ガイドライン、そういったものの整備が進みまして、外形的にはがん医療の均てん化装置は整ったということがある程度言えるかと思います。しかし最近は、その中の格差、あるいは質の問題が問われていると自覚しています。
 いずれにしても、こういった施策によって、かつて「がん難民」という言葉がありましたが、こういった言葉も少し過去のものとなりつつあり、今では患者さん、あるいは家族が医療者とともに、あるいは行政も一致して、がん医療を創ってくる時代に入ってきたと自覚しています。ただし、外科医療や内視鏡技術、そういったものは世界でもトップレベルにあるけれども、必ずしも患者さん、国民が、現在のがん医療に納得感とか満足感が乏しいというか、十分でないという点については、今後、この辺りは人文科学的なアプローチが必要だと思っています。
 そこで「提案」としては、「がんの新薬や新しい治療法を生み出す研究基盤の強化」です。1つは、臨床研究中核病院を中心とした、大規模臨床試験が効率的にできる体制、そして、現在がんの患者さんが苦しんでおられる適用外を含めたものに対するドラッグ・ラグを、根本から発生させない仕組みとして、日本版のコンペンディウムの創設が必要だと私は訴えたいと思います。それから、2番目に「総合的ながん戦略の策定」です。先ほどの「第3次対がん10ヵ年総合戦略」の次の戦略の策定も、是非進めていただきたいと思っています。また、「がんと共生できる社会づくり」については、今回の計画で大変重要視されていますが、特にがん研究センターでは、医療経済や社会保障、あるいは生命倫理、死生観といった人文的なアプローチで、国民的なコンセンサスづくりの先頭に立ちたいと思っています。
 4頁ですが、現在、独立行政法人を根本的なことも含めて見直すということですので、是非訴えたいことがあります。1つは「総人件費の削減義務」の問題です。競争的研究資金を除いて、民間資金や国からの委託費などの全ての財源で雇用されている独法の常勤職員ですね。これが行革推進法によって、5年間で5%削減という対象になっています。しかし、国から付託されたミッションを着実に行っていくためには、やはり人が基本です。イノベーションを担う人材を、機動的に雇用できる人件費の確保が必要だと考えています。
 それから2番目に運営費交付金ですが、中期計画を上回って削減が行われています。これも国の財政事情を反映してですので、致し方ない面があるにしても、研究開発型のイノベーションを創出するためのインセンティブは、是非付けたいと思っているところです。
 3番目は、経営努力によりまして利益が上がりますと、余剰金という対応になります。この余剰金というのは、一部の経営努力認定というものが認められたものだけ、目的積立金として繰り越すことができるけれども、それ以上は余剰金で国庫に返すという仕組みになっています。このハードルがとても高い。こういったものを是非改善していただきたい。もう少し努力したものが報われるような仕組みに、是非お願いしたいというところです。これはお願いです。
 その次、5頁です。国立がん研究センターがどのような取組を、この4月から私がしてきたかということも少し述べたいと思います。理事長就任後に、築地キャンパスと柏キャンパスと2つありますが、NCCが果たす役割を再検討するために、全部門の責任者100名以上から直接ヒアリングを行いまして、様々な意見をいただきました。その中でありましたのは、理事長のリーダーシップは前提ですが、現場の意見を確実に反映できる運営体制が必要だと自覚しました。
 6頁を見ていただきますと、旧制度と新体制という図があります。旧体制というのは、理事長から所属長、いわゆる病院長。病院長は兼務でしたが、それぞれの事務の中でも、財務とか総務とか縦一本でつながっていて、横のつながりはないという組織でした。その一方で、企画戦略室というところがセンター内のいろいろな要望等を意見調整して、理事長に持ってきて、理事長がトップダウンで全て決めるという、1方向の意思決定でした。これはこれで非常に即断性があるのですが、逆に未調整のまま上がっていくという問題があって、かえって意思決定が遅れることもありました。
 それで、今回は左のような新体制、すなわち所属長のレベルで構成する執行役員会、これは独法で形が決められているものですが、それを形どおりといいますか、規定どおり作りました。それから、各部門運営会議によって部門内の調整を行うということ。それからもう一方は、企画戦略局というのは対外的な施策についての理事長の諮問機関すなわちシンクタンクとして機能するという位置づけにしました。そこの点が改善点です。
 7頁の「今後の国立がん研究センターの改革」です。まだ課題として残っているものもたくさんあります。1つは「組織改革」として、中央病院と東病院と2つ病院があるのですが、その特徴をきちんと活かして、機能分化して、あるいは連携していくという課題があり、それから研究所、予防・検診研究センターを含めて、研究機能の再編というのが必要だろうと思っています。病院の中で臨床研究を支援する部分が未整備です。これもイントラミューラルとエクストラミューラルという、いわゆるがんセンターの中だけで行う研究と、多施設共同でオールジャパンでやる研究と、きちんと区切りをつけて整備したいと思っています。その他に、事務部門も現在は各部門が個別に理事長から直結していますが、事務部門の統括の役割を果たすものを作っていくということです。
 「経営改革」として、ここに掲げたような5つの問題があります。人事評価制度の見直しだとか、あるいは外部委託による人的資源の集約、あるいは大型の事業につきましては、外部コンサルタントを導入して、コストの削減を図るといったようなことを考えています。
 そこで、具体的に23年度にどのような取組があったかということですが、9頁をお開きください。昨年、「厚生労働省早期探索的臨床試験拠点整備事業」に、がんセンター東病院が代表として中央病院とともに指定されました。ここでは青い丸で書いてありますように、First in Human試験といいまして、基礎のシーズを臨床につなげていくときに、最初に人に投与する、日本人で初めてではなくて、世界で初めて人に投与するような試験をやれる組織を作っていくということで、Phase?センターを築地キャンパス、そして柏キャンパスに整備しまして、世界でトップレベルの早期臨床試験拠点を、がん領域において作っていくということです。
 それから2番目、10頁です。「共同研究費・知的財産収入の増加」は、この図に示しますように、国の時代はそういうことはあまりございませんでしたが、独法化以後、このように共同研究、あるいは下の知的財産収入の増加が得られています。
 11頁を見ていただきますと、これはバイオバンクに関係することです。いま6センターが共同でバイオバンク事業を始めていますが、がん研究センターはそれに先行して、診療後の余剰検体を使わせていただくのに加えて、新たに研究のための追加採血という形で、新包括同意ということで、今後のゲノムの解析等もやらせていただくということを含めまして、リサーチ・コンシェルジェの女性の方がここに写っていますが、こういった方が丁寧に説明して、文書で同意をいただくということです。この同意割合は94%という高い割合を得て、すでに1万件以上の収集が行われています。
 その次は細かい話になりますが、新しい新規融合遺伝子、がんに関係するものが発見されまして、これに基づいて創薬を始めているところです。それが次の13頁と14頁にございます。そして15頁も、これは治療効果を予測するためのバイオマーカー探索研究として、多施設共同研究を現在進めているところです。
 また16頁には、これは新しい治療法ですが「ホウ素中性子補捉療法」という、新しい放射線療法の開発です。腫瘍に特異的に取り込まれるホウ素化合物を先に打ちまして、そこへ陽子加速装置でホウ素に当てますと、ここから中性子が出てきて、その飛距離が1細胞レベルくらいの距離なものですから、がんに特異的にこれを照射することができるという装置の開発を現在進めているところです。
 その次の17頁は、かつて「がん難民」をがんセンターが作り出しているのではないかという、色々なご意見に対して、がんセンターの中でもある程度の対応ができる体制を構築するために総合内科を拡充しました。これによって、ずいぶん中での対応も進んだと考えています。
 18頁は緩和ケアの問題です。これも大変重要な問題でして、特に東病院では、これを中心に緩和ケア病棟を運用していま。あと、19頁に「がん患者・家族総合支援センター」というのがあります。これは院外型の支援センターで、東病院と柏市、そして柏市の医師会との共同で行われている相談支援センターです。これは1つのモデルとして、今後全国に展開していきたい内容の1つです。
 それから20頁については、連携大学院を始めました。これは慶應義塾大学の医学部と医学研究科、そして順天堂大学の大学院との連携です。がんセンターに籍を置きながら、その研究で学位の取得もできるという方向性を募ったものです。
 22頁を見ていただきますと、これはがん対策情報センター関係です。包括的連携による協定書の締結と普及ということで、新しい試みとして、「ひまわり生命」であるとか「AstraZeneca」、第一生命と包括提携をして情報提供を、こういった独法の特徴を活かした形で進めています。
 もう1つは23頁の「拠点病院院内がん登録」です。これは全国集計をがんセンターが中核で行っていまして、2008年の集計を2011年6月に、そして2009年の集計を2012年3月に公表しました。全ての施設にお願いして、ほぼ捕捉できています。このような形で施設名を公表した形でがんの登録を進めています。ただ問題は、これをさらに予後調査までいきますと、大きな壁がありまして、個人情報の問題、あるいは市区町村の対応の問題など大変難しい問題があります。この辺りは、法制化ということがとても重要なポイントになると思います。
 次に、海外との提携でタイのマヒドン大学と順天堂大学との連携で、昨年度に覚書を締結し、これに基づいて再来週にマヒドン大学でシンポジウムが開かれる予定です。
 それから最後の頁になりましたが、研究費の不正使用といったことが最近話題になっています。当センターでは、昨年度から「適正経理管理室不正防止行動計画」を作りまして、さまざまな取組をして、不正防止に努めているところです。以上です。どうぞよろしくお願いします。
○猿田座長 堀田先生、どうもありがとうございました。堀田先生は4月1日から理事長に就任して3カ月ということですが、全体的に非常にわかりやすく説明していただきました。
 それから、1つだけ断らせていただきますと、この全体の6つのナショナルセンターの評価は、今ここにいらっしゃる永井先生が総責任者ということでやっていただいて、特に先ほどご説明がありました2-6の資料「高度専門医療研究部会平成22年度実績に係る評定結果一覧表」ですが、これも先ほどSとかAとかご説明いただきましたが、そのまとめを全部永井先生にやっていただいたということもありますので、そういったこともご承知の上で、これから委員の方から、ご説明いただいたことに関して活発なご討議をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いします。
 永井先生には申し訳ないのですが、一言いただけますか。
○永井委員 この評価は非常に多岐にわたるものですから、なかなか一面的に見るのは難しいと思います。また、各センターは規模もミッションも違うということがありまして、比較というのはなかなか難しいのですが、私たちが新たに取り入れた指標として、論文をしっかり書いていただくということをベースとして、どのくらいインパクトのある論文を書いておられるかということを取り入れました。
 ただ、これはまだ、本当によい指標になるのかどうかはわからないところもありますので、この何年間かデータを集めていただいて、少なくとも研究者が自分の論文がどのくらい引用されているか、インパクトを与えているかということを認識されながら研究することが重要ではないかということでお願いしています。これは、今データを少しずつ集めていただいているところです。その他については、もう少し時間を見て、色々なことで議論したいと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。永井先生がおっしゃったのは、やはり研究センターとしての役割があるものですから、それでしっかりとした研究を出してもらいたいということで、ずいぶん議論させていただいたと思います。何かございますか。
○国立がん研究センター(堀田) おっしゃるとおりだと思います。質の高い研究をすると同時に、私どもがん研究センターは大学とは違いますので、やはり出口の見える研究をするのがミッションだと思っていますし、それが社会にどのような波及効果を持つかといった視点が、大変重要だと思っています。
○猿田座長 ありがとうございました。
○永井委員 今データをいただいているのですが、先ほどの被引用回数で見ますと、がんセンターは伸びていらっしゃいますね。色々な機構改革等で消耗というのか、そういうことがなく順調に、運営もそうですし、研究業績も伸びていると感じています。
○猿田座長 ありがとうございました。
○花井委員 がんセンターはここ10年で相当様変わりしたという印象があるのですが、今回は独法制度の議論ですので、現状の独法制度に対する要望という形で、4頁目にわりと控えめに「要望」と書いてあるのですが、問題点の指摘だと思います。こうしたことは特に評価の過程等々でもよく言われているところですが、独法制度自体にこういう要望があるということだと思うのです。
 2点ご意見を伺いたいのですが、ナショナルセンターが独法になる時にも若干論点になったのですけれども、国立病院機構でも堀田先生がご活躍されていたので、よくご存じだと思うのですが、国立病院機構とどう違うのだということがよく言われていました。国立病院機構でもそれなりの臨床研究体制はありますが、ナショナルセンターは研究独法ということで、決定的に違うところがあって、その違いというのを更に推し進めて研究独法の独自性というのをどこに見出すかとお考えになっているのか、というのが1点です。
 それから、今、日本で特に問題になっている治験の環境整備、橋渡しというのもありますし、決定的に日本ではちょっと遅れていると言われているところを、今後是正するということになった時に、日本のがんセンターとして一体何が決定的に足りないのかという、この2点についてご意見があったら伺いたいと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○国立がん研究センター(堀田) 研究型独法としての特徴、際立ったことは何か、国立病院機構とはどこが違うのかという話ですが、国立病院機構も臨床研究センターを持っていますが対象は違います。国立病院機構はコモンディジーズ、あるいは難病とか、そういったものを対象とする一方、我々はがんに特化しているという点が、領域的な特徴です。
 私どもがんセンターの中でやるべき研究と、それからオールジャパンで多施設共同でやっていく研究の切り分けが、どちらかというと少し不明確だったのを、これをしっかり分けて、外のものと中のものが入り交じらないようにして、中のものについては、明らかにこれは国のミッションとしてやるべき研究という位置づけとなり、これは運営費交付金対応であろうと考えています。しかし、そうではないもの、個別研究については、競争的資金を取るべきだと考えています。しかも、これは厚労省だけでなくて、文科省、経産省の研究費も平場で競争的に取りに行くということで、分けていきたいと思っています。
 それから2番目の橋渡し研究、いわゆるトランスレーショナル・リサーチと長年言われながら、実際に日本から薬が出ていないのではないかという話ですが、これはがんセンターだけで解決できる問題ではありませんけれども、いま医療イノベーション5カ年戦略でも謳われていますように、そこの死の谷といわれる部分を、臨床試験ネットワークの中にきちんと位置づけて、そこに国としてもある程度思い切った資源投資をしないと解決しないだろうと思います。日本はアメリカのように、ベンチャーが自由に育って活動できる土壌がありませんので、国が一定にそこはサポートしないと動かないだろうと思っています。
○猿田座長 よろしいでしょうか。
○祖父江委員 非常にわかりやすくご説明いただいたので、よく理解できました。それともう1つ、4月からご就任されて3カ月で非常に素晴らしい展開があるなと、ちょっと感心しました。がんセンターはどちらかというと、6センターのモデル的な部分もあるかと思いますので、今後に非常に期待したいと思いますが、2点お聞きしたいと思います。
 1つは先ほど先生が強調された、運営の新体制のやり方です。双方向性の役員会ですか、そういうものを置いて、現場の意見を取り込んで、決定していくということ、それからもう1つ、シンクタンクを置きたいというお話をお聞きしました。これが活性化につながれば非常にいいなとお聞きしていたのですが、もう少し具体的にどういう仕組みを考えておられるのか、それからシンクタンクというのは、まだ人が決まっていないようですが、具体的にどういうことを提言してディスカッションしようとされているのか。それが1点目です。
 それからもう1点は、今の花井先生のご質問とほとんど同じなのですが、例えば非常にたくさんのお薬についてドラッグ・ラグがありますし、どう日本でトランスレーションを活性化していくか。がんセンターはそこでも中心的な役割を担っていただきたいと思っているのですが、国の問題でもあると今おっしゃったのですけれど、では、がんセンターとしてはどういうことをやろうとしているのかということ、先生の抱負みたいなことをお伺いしたいと思います。
○国立がん研究センター(堀田) それではお答えします。運営組織については、まだ改革途上でありまして、これで完成型というわけではありません。私が4月に着任しました時に、3カ月を目処に組織の見直しを一部するという方針を出したことに基づいて、今日、発令をさせていただきました。まだ残された課題はいくつかあると考えています。
 シンクタンクについては、もともと独法になった時に企画戦略室なり局なりを置くとなっていたのですが、その役割が院内向きになっていて、院内の調整係になっていたのを、これもやはり外に出して、対外的に情報収集と発信を行うための理事長からの特命事項に対する諮問機関ということです。ここには2つのミッションがあって、1つはそういう政策提言ができるような情報の収集や解析を行うのと、もう1つはそこに若い人を突っ込んで、次代のアンテナの高い人材を育てたいという狙いがあります。したがってコアメンバーというのは、割としっかり分かっている人を中心に、その周辺にもっと若い人で30代とか、そういう人たちをここに投入して、ある意味、教育もしたいと考えています。
 それからドラッグ・ラグについては、正直に言ってがんセンターが独自にできることというのは、研究所や東病院の臨床研究センターのシーズを、いかに臨床につなげていくかという課題があります。しばらく前までは、基礎研究と臨床研究が途切れがちだったのが、昨年度くらいからリサーチ・カンファレンスという形で一堂に集まって、基礎系の研究所と臨床のドクターがディスカッションする場が出来ました。これは大変、活性化につながっていると思っています。
○猿田座長 今の問題で1つだけ。先生のところでこれからの提案として、特に問題なのはやはり中央病院と東病院の連携ではないでしょうか。これは非常に重要で、東病院にこの間早期探索拠点が設置されることになりました。これがかなりドラッグ・ラグその他を解消する道としてもいいのではないかと思っています。そのような点からも東病院と中央病院とで、いかに連携をとっていくか、私は東病院の基礎研究は進んでいると感じましたので。
○福井委員 確認と質問です。1つは資料の2-5にありますが、国立がん研究センターの常勤役職員数が1,662名とありますが、これは中央病院と東病院を両方合わせた数でしょうか。
○国立がん研究センター(堀田) これは合わせたものです。
○福井委員 合わせると1,000床を超える病院ですね。
○国立がん研究センター(堀田) そうです。
○福井委員 それで1,600人しかいないのでしょうか。
○国立がん研究センター(堀田) はい。その他にレジデントや非常勤職員を加えますと、2,600人程度になります。
○福井委員 そのこととも強く関連しますが、その中でドクターが何百人いるかよくわかりませんが、それにしても、これだけの人数で世界最高の医療と研究が行えるものなのかどうか。外国を見ますと、外国は非効率的にやっていると言われればそれまでですが、何倍もいますね。
○国立がん研究センター(堀田) 5倍くらいはいると思います。
○福井委員 これだけの小さな規模で、しかも臨床をしながら、というのは、どんなに優秀なスタッフでも能力を超えた仕事を課せられているのではないかと、正直なところ思います。普通の病院でできるような医療は縮小して、普通の病院では扱えないような研究にもっと特化することはできないかと、外部から見ていると思います。
○国立がん研究センター(堀田) ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりだと思います。今の陣容で世界最高の医療と研究を行うのは大変難しい状況です。一方では先ほど申し上げたように総人件費管理がありまして、人を増やせないという板挟みになっています。実際問題ここが私どものいちばん頭の痛いところになっているのは事実です。
 その1つの解決策として、がんセンターが何でもやるハイボリュームセンターとしてたくさん患者さんを診てというのが、本当のミッションなのかどうかというところは、もう1回見直しをかける必要があるだろうと考えています。希少がんとか、あるいは難治がんを中心に、開発的な診療をやるというところに特化していく必要があるのかもしれない。ただ、その前に、それで病院経営が診療報酬で成り立つだろうかという問題と、裏腹にあると思っています。
○福井委員 結局、マイナーチェンジだけで、抜本的な運営管理上の改革ができないのであれば、誰もが認める世界最高の医療と研究は難しいのではないかと思います。
○猿田座長 今、福井先生がおっしゃったのは一番重要な点で、これから検討していく、特に後半で私ども皆さん方のご意見を聞いてから、どのようにしていったらいいかというところで、一番のポイントだと思うのです。というのは、必ずがんセンターだけではなくて、それぞれのナショナルセンターがどう生きていくべきかという時にそれで本当に世界を超えていくにはどうしていったらいいかというところが、一番ポイントになると思います。これはまた議論させていただくということで、他にご意見はありませんか。
○仁科委員 私は医療従事者でもありませんし、医師でもないので一国民というか患者として質問させていただきたいのですが、人件費が5年間で5%削減されたということと、アメリカのようにベンチャー企業が参入していないので、国の予算が重要とおっしゃっていましたが、国から具体的にどのようなサポートが必要だとお考えでしょうか。予算に関しては、消費税も上がったりしますと私ども国民、また、患者としては非常に重要なポイントなので、その辺はどうお考えでしょうか。
 もう1点は、日本の研究者がいまは海外に転出してしまっているような状況と伺っているのですが、それを食い止める策というか、呼び戻す策というか、そういうのは何かあるのでしょうか。
○国立がん研究センター(堀田) 先ほどの総人件費管理の問題は、医療者要するに看護師や医師に関しては、そこはちょっと緩く見ていただいています。これは黙認していただいていると言った方がいいのかもしれません。一方、特に事務系の方とか、そういったところに人件費の削減が集中しているという問題があります。しかし最近病院や研究所の運営はとても複雑になってきて、知的財産の管理だとか、色々なことがあって、事務系への要求度というのは高いのだけれど、事務は確実に減らしていかなければいけないという状況があります。ここが大変苦しいところです。
 そういった状況の中で、日本に研究者をどうやって留めていくかという問題ですが、おそらく給料の問題などではないと思います。やはり自分のやっている仕事が、リスペクトされるかどうかということがいちばん大事で、そのためにはアイディアに基づいて仕事をやることがきちんと評価されるという、そういった仕組みが必要なのだろうと思います。日本ではポストが少ないとか色々なことがあります。研究者の問題点は、ある程度業績を出しても、その次の売れるステップやキャリアパスが見えていないというところが、やはり海外に行ってしまうという話になりやすいのだと思うのです。
○仁科委員 それがドラッグ・ラグにもつながるのですか。
○国立がん研究センター(堀田) 間接的にはそうなると思いますが、ドラッグ・ラグはまた別の構造的な問題が日本にはあると思います。要するに承認の仕組み、承認から保険にカバーする、そこのところの問題とか、海外とはずいぶんシステムが違うものですから、そこは一概に海外のほうがいいとか日本がどうというわけではなくて、システムの違いが大きいと思います。
○猿田座長 よろしいですか。
○近藤委員 がんセンターの資料の2頁を見ますと、「がん対策推進基本計画」の中で、2番目、6番目、9番目と3つ、大事ながんセンターにかかわることだとおっしゃっていましたが、特に9番目で、「がん登録の精度向上・標準化への取り組み」と書いてあります。この標準化というのは今後どうやって、要するにオールジャパンでいくのだろうと思うのですが、具体的にどうお考えですか。
○国立がん研究センター(堀田) その点に、ここにプロがおりますので。
○国立がん研究センター(若尾) がん対策情報センターの若尾と申します。がん登録について、簡単にご説明させていただきます。今までがん登録というのは、各自治体でやっている「地域がん登録」と、あとは各病院でやる「院内がん登録」というのがありました。地域がん登録も各自治体が独自の形でやっていたのですが、それをまずがんセンターで標準様式を研究班とも共同で作りまして、まずそこの標準化を進めています。それとは別に、がん診療連携拠点病院を中心とした院内がん登録でも、標準のシステムを作りまして、それを提供する形で項目の標準化を進めています。
 そうすると、院内がん登録と地域がん登録は違うものになってしまいますので、今は地域がん登録のデータも、がん研究センターで、それから院内がん登録データもがん研究センターに集めるような仕組みになっていまして、最終段階として地域がん登録と院内がん登録のデータを集める項目を統一化するということをします。そういうことによって、今まで全くバラバラで行われていたがん登録を、地域のレベル、院内のレベルで合わせるということと、それで合ったものに対して、その中の精度管理を行っていくということを現在進めているところです。
○近藤委員 おそらくがんセンターが、色々新しい治療法を開発なさっていることはよく知っているところですが、全国には多くの大学がありますし、それぞれ工夫しているところがあると思うのです。そうすると、標準化と言われると、ちょっと違う方向に、がんセンターがやり方を全部やってもらわなければならないと聞こえるところが無きにしも非ずだと思うのです。だからそこら辺は、違うアイディアのところをどう取り上げていこうと思っていらっしゃるか、教えていただきたいです。
○国立がん研究センター(若尾) ここで言う標準化は、がん登録のやり方の標準化でして、治療の標準化ということではありません。逆に治療の標準化については、がんセンターがやるということではなくて、今、学会が中心となって診療ガイドライン等の策定を行っていて、それに合わせて各医療機関がガイドラインに沿った治療、標準治療を進めていくという段階になっていると思います。
○荻野委員 ちょっと様子がわかりませんので、初歩的な質問をさせていただいて申し訳ないのですが、東病院と中央病院というのは、機能的にはどういう使い分けをしておられるのか、というのが1つ。それから、先ほど福井先生からもお話がありましたが、研究と診療、それ以外で大体どのくらいのウェイトで、マンパワーとか予算というものが振り分けられているのか。
 それからもう1点は、医療イノベーションでもITの件が取り上げられていると思うのですが、現在ITへの取組は院内でどうなっているのか。あるいは遠隔医療のようなものを、これから先に向けて、センターの色々なことに活用されるようなお考えというのとか、そういうのがあるのかどうか。その辺をお聞かせいただければと思います。
○国立がん研究センター(堀田) 東病院と中央病院は、実は成り立ちから申しますと、中央病院は50年の歴史がありますが、東病院というのは20年前に、松戸病院と柏病院の旧療養所が一緒になって出来たがん専門病院で、がんセンターに組み込まれました。当初から特徴がある医療を展開しようということで、日本で初めて陽子線治療装置を入れたり、あるいは日本で初めてのがんの緩和ケア病棟を作ったりしています。このように、東病院の方が最初から特徴を持って生まれたという具合です。逆に言うと、中央病院は何をするんだ、何でもやっているねということになりかねないので、そこで私どもは、中央病院と東病院の住み分けと申しますか、連携の仕方を今後は考えなければいけないと思っています。人の配置と財政については、担当からお答えします。
○国立がん研究センター(依田) 全体の経常収益が463億円ほど平成23年度はあるのですが、そのうち医業の収益が323億円ありますので、4分の3が医業関係の収入、活動になっているというように、ご理解いただければと思っています。
○猿田座長 人数はどうですか。
○国立がん研究センター(依田) 研究職は、常勤職員ですが135名ということになります。先ほど全体の職員数が1,662名ということでご説明させていただきましたが、そのうちの135名が研究職ということです。ちなみに医師は263名います。以上です。
○荻野委員 医療機器などの研究開発も行われていると思うのですが、今後のことを考えますと、医工連携、産官連携、色々お考えになっているようですけれど、例えば工学系の研究者の方も、がんセンターで実際の勤務をして、何か研究をやっておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
○国立がん研究センター(中釜) 私からお答えしますが、研究所の中に工学系の博士課程を持っている人が、詳しい実数ははっきり数字を覚えていないのですが、数名はいます。同時に今おっしゃられた医工連携の取組にもかなり積極的にということで、例えば東大の工学部、東工大、東京理科大、そういうところとの連携を通して、具体的にどのようなことが可能かというのを、現在まさに模索し始めているところです。
 同時に産業界といいますか、工学系の産業界とも連携をして、新しい医療機器、診断機器、そういうものの開発にも取り組んでいきたいと、今まさに進めているところです。
○猿田座長 先ほど荻野委員から、遠隔医療の問題とありましたね。
○国立がん研究センター(堀田) それは情報センターから。
○国立がん研究センター(若尾) それではITの利用ということで、いくつかご紹介したいと思います。まず、がんセンターではテレビ会議システムを使いまして、現在22箇所の拠点病院と結んで、定期的にカンファレンス、意見交換会を実施しています。
 それに加えて、病理診断のコンサルテーション、病理医が非常に我が国の中で少ない状況なのですが、コンサルテーションをバーチャルスライドなどを用いてやっていまして、昨年度の実績で364件の遠隔病理診断コンサルを行っています。ただ、実際に診断医、全てがんセンター側の病理医が答えるのではなくて、全国の協力コンサルタントがいまして、我々のほうで事務局となって、全国の専門家に診断を頼んで、それでいただいた病理診断報告書を依頼元に返すという形で、ITを使って効率的に、少ない病理医のサポートをしているということをやらせていただいております。
○福井委員 先ほどおっしゃった医師263名中には、研究者135名は含まれていないということでしょうか。
○国立がん研究センター(依田) それは含まれておりません。研究職が135名ということで、それ以外に病院に常勤医師が263名、その他に看護師が885名です。
○国立がん研究センター(堀田) 医師にはその他レジデントとかシニアレジデントがいまして、実際に病棟を運用しているのがその人たちで、全部で246人おります。
○猿田座長 すみません。時間の関係がありますので、松本委員からお願いします。
○松本委員 医療イノベーションの5カ年戦略もまとめさせていただきましたので、その中でナショナルセンターに対する期待が極めて大きいものがありますので、是非よろしくお願いします。
 現行の独立行政法人制度にかかわる要望ということで、極めてよくまとめていただいていると思いますが、大学法人も同じような縛りがかかっていまして、何とかしてくれというのは我々の悲鳴でもあるのです。その中でやはり経営努力に見合うような制度に、それが実現できるような制度にどうしていけばいいのかということを、是非ナショナルセンターの方でももっと詳細に上げていただいて、それでどちらの方向に全体の経営改革が進んでいくのかというエビデンスをきちんと出していただくと、色々な独法も一緒になって改革していけると思いますので、是非その辺りをもう少し精緻に出していただいて、こうやればこういうことができるというようなエビデンスを出していただけるようなことがあれば嬉しいと思います。
 それからICTの活用については、これも是非強力にこういうことがやれるんだ、やりたいんだということを出していただくと、実は制度上の隘路もたくさんあって、そういうことに対する変革のプレッシャーにもなっていくと思いますので、そういったことをやっていただきたい。
 それからもう1つ、これは質問なのですが、やはり日本の医療が世界に展開していくためには、グローバルな環境の中でどのように変えていかないといけない、ということがあるはずですから、その辺りをもう少し明確に発信していただければと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。よろしければ、これでがん研究センターからの説明は終わらせていただきます。堀田先生、皆様方、ありがとうございました。

 樋口先生はじめ、精神・神経医療研究センターの皆様方、お出でいただきましてどうもありがとうございます。これから20分ぐらい樋口理事長から全体的なお話を伺って、それから委員の方から質問させていただければと思います。樋口先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 国立精神・神経医療研究センターの理事長をしています樋口と申します。よろしくお願いします。本日はこのような機会を与えていただきまして感謝しております。私から、センターの概要を掻い摘んでお話させていただきたいと思います。
 お手元に配られている資料、全体として書込みが多すぎて沢山になってしまいまして、限られた時間の中ですので、そのポイントを絞ってご報告させていただく意味で、そこに赤字で加えさせていただきました。本当は全体のご説明ができるといいのですが、時間の関係でご了承いただければと思います。
 最初の頁ですが、これが私どものセンターの概要の概要ということになります。当センターのミッションですが、これはご承知の方も多いと思いますが、改めて申し上げますと「病院と研究所が一体となり、精神疾患、神経疾患、筋疾患及び発達障害の克服を目指した研究開発を行い、その成果をもとに高度先駆的医療を提供するとともに、全国への普及を図る」というのをミッションとしています。特に私どもの場合は、専門領域がかなり限られています。すなわち精神疾患と神経疾患です。筋疾患というのは、筋ジストロフィーを代表とする非常に治療法がなかなかこれまで見つからなかった領域で大変ミゼラブルな疾患です。あと、最近非常に大きな話題になっている子どもの発達障害、この4領域を主として手がけているところです。
 下の左側です。独法化した平成22年4月1日そして現在の役職員数ですが、常勤役員が3名、非常勤が2名いますが、常勤の理事としては3名です。常勤職員は合計で704名です。組織としては後ほどまた出てきますが、私どもは病院が1、研究所が現在2つあります。これは歴史的な経緯があって異なった性質の研究所を2つ持っていまして、1つは神経研究所、もう1は精神保健研究所です。大雑把に申し上げますと、神経研究所というのは先端的な分子生物学的あるいは分子遺伝学的な手法を用いて研究を行う研究所であり、一方、精神保健研究所はそういった生物学的な研究も行いますが、同時にメンタルヘルスに関連する領域の研究を行う研究所です。特に最近でいえば、東日本大震災に伴ったメンタルケアの問題であるとか、自殺対策の問題であるとか、そういったものを手がけているのも、この精神保健研究所です。
 もう1つその下に書いてあります「トランスレーショナル・メディカルセンター」と私たちが呼んでいますのは、病院と研究所が一体となるという私たちのミッション、それを実現させていくためには、研究所は研究所、病院は病院として独立して活動しているのでは目的は達成できないだろうということで、独法化に合わせて両者をつなぐインターフェイス、あるいは橋渡しをやるという組織としてのトランスレーショナル・メディカルセンターを作ったわけです。
 病院の運営病床数は468床です。運営状況はそこに書き記していまして、改めてここでは数値は申し上げませんがこういった状況です。
 右下の赤字で書いたところ「精神・神経疾患等に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発を行うこと」ということが1です。2は、それに関連する医療を提供すること、主に病院が提供します。3は、先ほど申し上げました精神保健、メンタルヘルスに関する調査・研究を行うこと。4は、人を育てるという意味で研修にかなりウェイトを置いてやっています。これは全国から希望者を集めて様々な領域について研修を行っています。これは後ほど申し上げます。5として、成果の普及と政策の提言。特に政策提言というのが大きな役割の一つと思っていまして、それについても後ほど述べさせていただきます。
 2頁は、私どもの行っている事業です。これは主に中期目標、中期計画の中に書き込まれた内容をエッセンスだけをここに取り出しています。4つの柱、すなわち緑で書いています研究・開発、医療の提供、人材育成と情報発信、適切な業務運営のための組織・予算というこの4本柱で事業を展開しています。その中のそれぞれに関して、いま赤字で書いているところを主に次の頁以降で実績、どういうことを現在行って成果を上げているかということを申し述べます。
 そこを見ていただきますと、「研究・開発」に関しては、臨床を志向した優れた研究・開発成果を産み出していくこと。2番目としては、臨床研究にかなりウェイトを置いていこうということ。3つ目は、戦略的かつ重点的な研究・開発、ある程度フォーカスを絞りこんだ研究・開発を行っていくということです。
 「医療の提供」に関しては、そこに書きました高度先駆的医療の提供が1つ目。2つ目は、当然のことながら患者さんとの信頼関係を構築すること。3つ目が少し皆様に耳慣れない言葉かもしれませんが、これが政策医療の1つである「医療観察法」という法律に基づいた医療を行うということです。これは重大な犯罪を犯してしまった精神障害者に対する濃厚な治療、それが最後には再発を防止して地域の中で暮らしていけるところにもっていくという、そういった法律が定められまして、これに則った医療を展開しています。4つ目は重症心身障害児(者)に対する総合的な医療です。
 「人材育成と情報発信」に関しては、そこに書き記したとおりでして、これは後ほど申し上げたいと思います。
 「適切な業務運営のための組織・予算」ですが、これはいずれも現在独法が求められています効率的な業務運営体制を構築すること。2番目は、総人件費改革への取組。3つ目は、収支改善の実施と電子化の推進。4つ目は、法令遵守。5番目は、優秀な人材を持続的に確保することということです。
 3頁では、いま申し上げましたところの中身、特にこの2年間の実行してきた内容がそこに記してありまして、これも全部を説明する時間がありませんので掻い摘んで申し上げます。まず研究・開発の(1)として、先ほど申し上げた「臨床を志向した研究・開発の推進」です。このために1つは、センター内の病院と研究所が一体となって有機的な連携をとらなければなし得ないことであるという意識から、そういう仕組みをいくつか作っています。1つは専門疾患センターということで、疾患ごとにそれにかかわる臨床家と研究者あるいはコメディカル、そういった人たちがインテンシブにミーティングを開いて、方針を確認しつつ臨床研究を進めようということです。もう1つの仕組みとしては、先ほど申し上げたTMC(トランスレーショナル・メディカルセンター)を設置して、研究所と病院との間をつなぐということです。
 2の「研究基盤の整備」ですが、これもTMCが中心になって、バイオリソースの収集を積極的に進めてきました。例えば平成22年は898件だったのが、平成23年は1,096件と増加してきました。
 3の「産官学等との連携強化」を進めるために、TMCの中にビジネス・デベロップメント室を設置しまして、産官学連携を進めていく上での共同研究契約等々に積極的に関与をするということをやっています。
 4の「研究・開発の企画及び評価体制の整備」ということで相談窓口を作りまして、臨床研究の進展のためには、研究所だけではなく、病院のスタッフも研究に参加していくことが重要であり、そのサポートのための「臨床研究簡易相談窓口」を設置しています。
 (2)の「病院における研究・開発の推進」という意味では、筋ジストロフィーあるいはパーキンソン病といった疾患の難病患者の登録を推進してきています。それからもう1つは国際共同での医師主導治験を推進するために、その体制をかなり整備してきました。CRCを常時10名配置し、臨床研究及び治験の課題数172件を実施するとともに、FPIまでの平均日数の短縮にも努めています。現在、医師主導型治験がスタートしたところです。
 (3)の「戦略的・重点的な研究・開発の推進」ですが、ここにはどれぐらいのプロダクトがあったかということを書いて、原著論文等々の数値も並べてありますが、順調に増加してきています。特にその中でも力を入れ、成果が上がってきている研究がそこにいくつか並べてあります。これも全ては申し上げることはできませんが、最も評価を高くいただいているのはヒト筋レポジトリーの中から、新規の先天性筋ジストロフィーの遺伝子の変異を発見しているということであるとか、それから下の方にありますが、これは精神保健研究所ですが、薬物依存であるとか摂食障害あるいは睡眠障害といういずれも現在社会問題になっているような障害に対して、これに対する認知行動療法を実践してその成果を上げてきています。
 それから均てん化に着目した研究としては、これも精神の方ですが、実際に精神の病棟では隔離や拘束をやらざるを得ないという環境にありますが、それをいかに適正に行っていくか、最適化するためのデータベースソフトを開発しまして、これを全国展開しています。あとはメディアに対して積極的に発信していくという意味で、メディアカンファレンスを定期的に行ってきています。
 4頁の「医療の提供」に関してです。(1)高度先駆的な医療、標準化に資する医療を提供するということです。その1例として先進医療として認められている光トポグラフィー検査、これは順調に件数を増加させてきています。またミトコンドリアDNA検査のほうも、平成22年と比べるとかなりの数を実施してきました。それから(2)患者の視点に立った良質かつ安全な医療の提供ということで、そこには1から6まで書かせていただいています。これは非常に重要な課題として病院を挙げて取り組んでいるところです。(3)医療政策の一環としての医療の提供で、先ほど申し上げた医療観察法対象者に対する医療の提供と、重症心身障害者への医療の提供をメインに取り組んでいます。
 「人材育成」に関しては、先ほど申し上げたTMCの中で臨床研究の研修、若手育成カンファレンス等々を開催して、若手の人に研究に参加できるための手解きに積極的に取り組んでいます。それからもう1つは、CBT、認知行動療法というのが今かなり注目を集めていますが、このモデル的研修を実行していまして、これも数が相当増えてきています。「情報発信」についても、右側に書いています。
 5頁です。政策提言ですが、特にここで申し上げるのは、積極的な政策提言として最近行ったこととして、自殺対策の大綱が今年改正されるという運びになっていまして、それに対して私どもの自殺総合対策センターを中心にして、関連学会29学会の協力を得てその大綱の改正に向けての提言を内閣府に提出したことです。もう1つは、今回の大震災に関して心の問題が非常に大きくなってきていまして、これは厚生労働省から「災害時こころの情報支援センター」を設置するようにということを申しつかりまして、それを設置して現在被災三県にさまざまな形で助言やサポートをしているところです。
 また、国際的な連携ということも私たちは重要と考えていまして、海外の研究所、例えばドイツのマックス・プランク研究所と研究協定を結びました。また、大規模臨床研究を実践できる医師をトレーニングするために、残念ながら、国内でなかなかこの大規模臨床研究を系統立って教育する機関というのが少ないものですから、ジョンズ・ホプキンス大学と連携してすでに若い医師を3人ほど派遣しています。
 「業務運営の効率化」に関しては、当然のことながら「効率的な業務運営体制」ということで、ガバナンス強化を目指した運営体制を作りました。企画戦略室長、経営企画部門そして理事長直属の監査室を設置しました。また、これは今年度からですが、副院長が1名体制であったのを、評価委員会で複数にするべきであるとご指摘をいただいたので、特命副院長2名、副院長1名という体制をとっています。それから企画戦略室の中にさまざまな職種の職員からなる検討会を立ち上げ、運営の改善に取り組んできました。
 「法令遵守等内部統制の適切な構築」についても、監事と連携して内部監査、外部監査等々を進めています。さらにコンプライアンス室を設置して、顧問弁護士を室長に選任しました。その他職員がいつでも業務運営に積極的な提案をしてもらえるように、提案の窓口を設置しています。「効率化による収支改善・電子化の推進」ということですが、確かにここは反省点がありまして、全体としての経営効率という点では、まだまだ当初の目標を達成できてない部分があります。しかし、病院の運営に関しては平成22年度に比べて平成23年度は経営改善が進んでいますし、「病院管理診療・経営会議」を設置してかなり経営の改善策を実行してきたつもりです。
 6頁の今後の展望ということで、再び4つの柱が今度は縦に並んでいます。それを経年的に最初の「独法化1、2年」はすでに実行したという内容ですし、真中の「独法化3、4年目」は今まさに進行中のことです。それを経て「独法化5年目以降」に達成しようとする目標をそこに掲げました。時間の関係でこれを1つ1つ説明申し上げる時間はありませんが、後ほどご質問等をいただければと思います。
 最後に要望があれば言ってよろしいということでしたので、何点か簡単に述べさせていただきます。おそらくナショナルセンター共通のものもあると思いますので、重複する点があるかもしれません。
 一番大きい問題としては、先ほどがん研究センターの報告をお聞きしていたら同じようなことが出ていましたが、総人件費の改革ということに関して、毎年これまで1%ずつということで減らされてきていました。医療職については日々の診療の質を確保するあるいは質をさらに高めなければいけないということから、医療職を減らすわけにはいかない。それから研究職についても、ナショナルセンターが国際水準の研究成果を出していくという意味では、これも減らすわけにはいかない。そうすると自ずとほとんどが事務官のところに全てがいってしまうわけです。これがおそらくギリギリのところにきているのかなという気がしまして、業務量に比してどうしてもなかなか人数がうまく配置されない。この辺は、今後独法に関しては、総人件費改革から適用除外していただくとか、何らかの特例をいただくとかということがどうしても必要な気がします。
 もう1つの点は、積立金に残余がある場合の国庫返納という規定です。これも私どものところはなかなか残余が出てこないセンターですので、あまりそこを今から心配する必要はないのかもしれませんが、もし利益が出てきて経営改善に一生懸命取り組んでいますので、出てきた暁に一定の裁量性が認められることが、職員にとってのエンカレッジにつながるのだろうと思っています。
 それから、6法人存続の形態のことですが、私どもが思うのは、6つのセンターはそれぞれ全く違った性質を持っています。対象疾患も違いますし取組も違うわけで、これが本当に1つで運営していくことができるのかというのは常々考えます。それぞれのセンターがそれぞれ目標を持って、目標達成のためにある意味しのぎを削ってやっていくということで、職員の意識が非常に高まっていくということを考えますし、それからどうしても組織の上にまた組織を作ると屋上屋になるという可能性が非常に高いような気がしますので、ここは是非ご検討いただければと思います。ありがとうございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。非常にわかりやすく説明していただいたことと、最後の要望は大切に承っておきたいと思います。
 それでは、委員の方々からご質問いただくのですが、このセンターに対する評価ということでは、祖父江先生が専任者としてやっていただいたものですから、祖父江先生から最初に意見を。
○祖父江委員 それではご指名ですので。大変よくまとめていただきまして、わかりやすく理解させていただきました。どうもありがとうございます。最後の「要望」はどうも6つのセンター共通の問題ではないかと思いますので、今後その議論が必要であると思います。
 1つ質問といいますか、先生方もすでによくご存じだと思いますし、おそらく一番大きな柱としては、精神・神経疾患のいわゆる病態に基づくDisease Modifying Therapyを何とか実現していきたい。これは世界的にもいろいろな疾患について、まだきちんと成功した例がありませんが、コホート研究や医療リソースのようなものも、本来的にはそこに結びつくという格好で位置づけていただくと非常にわかりやすいと思います。
 ですから、この言い回しが「臨床を志向したすぐれた研究・開発」「戦略的かつ重点的な研究・開発」と謳ってあるのですが、むしろ次世代創薬に向けたミッションをきちんとやっていくのだ、というところが見える形にしていただいた方が、次の展開がわかりやすいのではないかという気が、前もそういう気がしましたし、今回もそういう感じを受けました。それがすべてではありませんが、一番大きな柱の1つではないかと思いますので、世界的に、あるいは日本国内でもほとんど成功していないこの領域を、精神・神経センターがリードしてやるのだということを、国民に向けてアピールするということが非常に重要ではないかと思います。どこまでできるか別として、そういう旗を立てていただくということが非常に大事ではないかという感じを受けました。
○猿田座長 ありがとうございました。ご意見ございますか。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 大変重要なご指摘でございまして、今日、少し書込みが足りないのかもしれませんが、まさにそこを常々意識しています。色々なところで申し上げるのは、筋ジストロフィーという疾患は、全くわからなかったところから年月が20年30年かかりましたが、遺伝子を発見し、その遺伝子からどういう蛋白異常が起こり、筋の萎縮が起こりというところが見えてきて、ようやく治療ということが今まさに始まって、先生がおっしゃったような病因、病態研究から、それが実際の治療のシーズへとつながっていく。これをモデルとして私どもは他の領域の神経疾患にしても、あるいは精神疾患はもっとある意味では難しいのですが、1つのモデルにしてあとに続けていこうと思っております。
○祖父江委員 ありがとうございます。
○猿田座長 どなたかどうぞ。
○福井委員 確認ですが、704名の職員のうち、研究者と診療に携わる医師の数はわかりますでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 常勤の研究職は2つの研究所を合わせて98名です。医師はほとんどが診療に携わっている医師と考えていただいていいのですが、69名です。
○福井委員 研究所が2つ、トランスレーショナル・メディカルセンターがありますが、別個に事務部門があるのでしょうか。それとも、全体を統括している事務部門が一つあるのでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 基本的には事務部門は一本で全体をカバーしております。それも実際のところは問題があって、研究所は研究所でそれに精通した事務の担当者が本来はあって然るべきなのですが、先ほども申し上げましたように、人数に非常に制限がありますので、全体を1つにまとめているというのが現状です。
○福井委員 もう1点だけよろしいでしょうか。入院されている患者さんの中で、研究の対象とならない病気の患者さんは大体何パーセントぐらいいるのでしょうか。つまり、他の病院でも通常診ているような病気を持っている患者さんで、特別、研究対象とならない患者さんは。
○国立精神・医療研究センター(糸山) 非常に大ざっぱですが、精神・神経疾患、筋肉、発達障害のどれかに関与している方がほとんどです。一般の病気を合併している人もおられますが、その方に関しましては、総合内科、総合外科の医師が扱っておりますが、基本的には精神、神経、筋肉、発達障害を持っておられる患者さんがほとんどです。
○永井委員 収支状況で経常収支差が5億6,300万円の赤字ですが、これは病棟建替えと関係があったのでしょうか。想定内なのかどうかということですね。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 必ずしも想定内ではございません。この中で病院での診療に関しての収入は、当初の見込みに比べて下回ったという部分がございます。それ以外で診療の関係で言いますと、新たに人を配置したとか、医療機器が入って、それに関するメンテナンスにコストがかかったとかというものも含まれております。実診療上の赤字というと、6,000万円ぐらいです。計画に比べて6,000万円達していませんが、全体としては診療収入が、確実に平成22年度よりも23年度がかなりの割合で伸びています。しかし一方でかかるコストの方がそれに比して大きいというのが1つです。
 もう1つは全体の中では診療だけではなくて、研究の運営費交付金もマイナスになっているところがあるのです。それは何かというと、ここに触れておりませんが、本来の運営費交付金の額というのが中期計画上に額が規定されていて、5年間この運営費交付金でというのは、当初示されていたのですが、財政事情が非常に悪くなったということもあって、平成23年度には交付金の額そのものが下がって、一方、特別枠という枠でそれをカバーしていただいたという経緯がございます。
 そうしますと、どうしても特別枠で行う新しい研究事業を立ち上げていかなければならない。一方、従来やってきている研究をそこで部分的であれストップするわけにはいかないので、それは前年度と同じぐらいの研究を遂行していこうとすると、どうしてもそちらにかかる経費は元々減らされておりますので、全体として少し赤字になってしまうというところがありました。全体としては、当初の計画に比べるとマイナスの部分が大きくなったと思っております。
○永井委員 これは今後、運営に支障が出るような額ではないのでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 運営に支障と申しますのは、例えばどういう意味ですか。
○永井委員 来年度以降、支障が出るようなことはないですか。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 来年度、例えばそれで回らなくなって、借金しなければ存続できないということにはならないと思います。ただ、やはり中期計画で最初に示された5年経ったところで黒字にして、黒字の額もこれぐらいにというのを決められておりますので、そこにこれから必死の思いで努力をするということにはなろうかと思います。
○近藤委員 これは精神・神経センターだけの話ではなくて、ナショナルセンター共通の話だと思うのですが、収支の話になると、病院の収支というのと研究所の収支と全く違うわけですよね。でも、十把一絡げになっていますが、運営に関して聞きたいことは、病院そのものの収支がどうかということです。基本的には赤字はこのぐらいはやむを得ないというのがあると思うのですが、そこを教えていただきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) あとで詳しい数字を事務のほうから申し上げますが、例えば平成22年度は途中で新しい病院を建て替えたということがあって、半年は古い病棟での診療をやって、全体の規模も変わりましたし、何とも言えないところがあったのですが、平成23年度はまるまる新しい病院での運営をやっておりました。そして、確かにその中で当初の目標にしていた収支から比べると、かなり収支が下回りました。それは、結局のところは実際に患者さんが入っていなかったというところがありまして、これは非常に問題だということで、院長はじめ、昨年の冬場から、かなり全体の仕組みを考え直すことにしました。
 例えば1つあったのは、これは大きな誤算だったのですが、私どもは専門医療センターですので、元々は精神、神経、筋、発達障害の専門の医師しかいなかったのです。一般科の医師はゼロだったのです。これを独法化して新しく独法のセンターにするときには、これからの医療というものと、研究所の新しいシーズが出てきて、それを実際に患者さんの中で検証をして有効性を確かめていくということをやるには、安全性という観点からしても、一般科の医師抜きでは考えられないということで、最低限の一般科の医師を合計8名、内科系・外科系を採用いたしました。
 採用するときには、医師を採用するのだから、一般科の医師がそれだけ稼がなければトータルで赤字になりますということで、最初50床はそのための病床として作りました。ところが実際に運営してみると、なかなか精神・神経センターというのが歴史も重くて、全く精神・神経と関係のない一般の内科系・外科系の疾患を持った方が入院してくるということは、ほぼゼロという状態が出てしまったのです。
 そこで、院長が中心になりまして、やはりここは精神・神経のセンターなのだから、一般診療という意味では、それはなかなか困難である。精神・神経でその50床を埋めて、その手当てをして、しかし内科・外科の医師はどうしてもリエゾン的には必要である。精神の疾患なり神経疾患にも合併症を伴ってきておりますので、そういう意味ではこの人たちは確保するという方針になったということです。だんだん空いていたベッドを神経疾患を中心にして埋めてきたということで、現状も含めて院長に話してもらおうと思います。
○国立精神・神経医療研究センター(糸山) 当センター病院の場合は、神経難病、精神疾患、筋肉、発達障害と、治療が難しく極めて時間の長くかかる、そして進行性の病気の患者さんを診療するので、なかなか医療経営的な面で改善といいますか、黒字化というのが難しいというのが基本的にあります。しかし、やはりできるだけ改善すべきということで、医療セグメントとしての改善すべき点を色々考えております。昨年の場合は、収支計画としては約1億円の赤字、そして実際は稼働率低下の問題が一番響いたのですが、約3億円の赤字ということになりました。しかしながら、その前の年に比べまして収入としては約7億円増ということで、努力はしているのですけれども、やはり実績上は赤字になってしまっています。
 次の平成24年度に関しましては、医療セグメントの収支計画として、今のところ約4,000万円の赤字にしていますが、それをできるだけセグメントとして黒字化に持っていこうということで計画を立てています。そのうちの1つは、神経疾患を中心に入院稼働率を上げるということです。それから精神疾患、重症疾患医療の上位基準を取ることを目標にしています。今のところ3カ月ですけれども、職員の目標意識が一致して、計画に近い形で進んでいるものと思います。平成24年度に1つの期待といいますか、我々の努力をかけているというような状況です。
○近藤委員 神経・精神研究センターが多くの難病の解決を図らなければならない、これが使命かなと思うし、これから期待されるところだと思います。そうすると、どうしてもFirst in Humanというのは、これから絶対やっていかなければならないことで、その場合これは世界で初めて事業をやることになるわけですが、そのバックアップとして、救急体制であるとか、他の全科診療体制というものを、近くにあれば一番いいのでしょうけれども、揃えていかなければいけないだろうと思います。そういうことに向かってどういうご計画があるか、教えていただきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) ありがとうございます。先生のいまのご指摘は非常に重要なポイントでございまして、私どももやはりFirst in Humanから、Proof of Conceptの試験、こういったものに重点を置いて今後進めるというのは、ナショナルセンターの1つの大きな使命だと思っております。ただし、残念ながら私どもが総合病院の機能を持っているわけではないという現実もあります。本来であれば、そこに救命体制、救急体制をしっかりと置いた総合病院の中に設置されるということが望ましいと思うのですが、それがない現状の中では、先ほども申し上げましたように、最低限の内科・外科の体制、もちろんICUの機能は持っておりますし、救命についてもその機能を最低限は持っています。残念ながらそれを十分に設定するとなると、どんどん赤字が膨らんでまいりますので、そこは本当の最低限と言わざるを得ないのですが、それは意識して計画しております。
○近藤委員 どうもありがとうございます。
○猿田座長 近藤先生がおっしゃったことは非常に大切で、今、樋口先生方が目指しているのは、研究所と病院をいかに一体させようかということです。実際に先進医療が随分進んでいるのです。そうなった時にFirst in Humanのところで、緊急体制をとれるような形で、一般の内科医や外科医がどのぐらい必要かは非常に重要なポイントで、これからのディスカッションになると思うので、先生がおっしゃったとおり、大切なところだと思いますね。これはまた議論させていただきたいと思います。他にどなたかありますか。
○花井委員 独法制度に対するご意見というのは、先ほど共通する項目についてはよくわかるところだなと思ったのですが、研究領域であっても、プロダクト、もしくはイノベーションとわかりやすい部分、研究で言えば新規研究に属する部分はそうかもしれませんが、例えばアデクションの薬物とか、いわゆる摂食障害とか、今の医療でも標準的な医療が保険でカバーされていない領域がありますよね。そういったところも当然カバーしなければいけないし、研究もしないといけないとなると、なかなかお金が得にくそうな感じがするのです。
 1つ先生にお尋ねしたいのは、この両研究所で23.4億円というグラントが外部からということなのですが、その比率がどうかということと、やはり精神の場合はかなり社会的、政策的問題があって、今は在宅へとどんどんやっているわけですが、そういったことで医療と研究と分けにくい部分がどうしてもあると思うのですが、そこについて今の制度で今後展望した時に、ここは改善してもらえないと難しいということがありましたら、教えていただきたいのですが。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) これは隣に?坂研究所長、加我精神保健研究所長がおりますので、まずコメントをもらって、その後に私がまとめたいと思います。
○国立・神経医療研究センター(高坂) ご指摘をいただいた点というのは、私たちも非常に悩んでいるところでございます。今ご質問の精神保健研究所と神経研究所の研究費がどのぐらいの割合かということなのですが、外部資金の導入ということからしますと、大体神経研究所のほうが3倍ぐらい多いということになっております。人員はそれほど多くの差はございません。
 やはり今後の展望を考えたときに、確かにいまおっしゃったドラッグの問題であるとか、社会的に非常に速やかにアプローチをしていかなければならないことはあるのです。そのドラッグの問題を扱っている部の中にも室長が2人おられて、1人は割とそういった政策的なことをやっておられる、もう1人はマウスを使った研究をやっておられるという形で、1つの部の中でも協調してやっているところがあるのですが、そうでないところもあります。政策提言の機能を持っている部は、特になかなか分子レベルまで突っ込んでいけないというのがあって、そういったところはきちっとこれからやっていくというよりも、むしろあとで出てくると思うのですが、選択と集中あるいは効率ということも考えて、やはり両方の機能の重複しているところを避けるという形で、うまく再編をしていくということを考えております。
 そういったことによって、今後5年10年で何が大切かということで、一番大切なところに集中して、分子レベルで解明すると同時に、政策提言の機能も伸ばしていくということをやっていきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター(加我) 精神保健研究所でやっている仕事というのは、社会的に非常に大きな問題、課題であり、患者さんやご家族が本当に困っていらっしゃることをどう解決していくかということに直結しています。ですから、診療、臨床と研究、社会的問題が最初から一体になっているところがあります。いずれの部門も非常に重要だと思いますが、例えば、薬物依存研究のように世の中で問題なっている依存症の問題、それを治療するための方法についての臨床研究、日本の薬物の使用の状況に関しての大規模な調査研究、そして、生物学的研究を通してどのような薬物を違法と規定するかを提起するという、ある意味異なった3つの部門が協調して研究が行われています。そういう形が精神保健研究所の中でも非常に重要だと思っています。各部の特性、各部門の特性にもよりますが、そういった3つの研究手法・体制をうまくコントロールして、真に専門的な立場から考えて患者さんに還元できるよう、国民に還元できるような研究をしていくということを、精神保健研究所としては是非続けたいと思っています。
 そして、現在、社会的に大きな問題となっているメンタルヘルスに関して、世の中に、日本の国の中で発信していけるところというのは、現在のところは、National Institute of Mental healthの名前を負っている私どもの研究所しかございません。先端的でありながら、かつ、非常に日常的な課題を大切にした研究を続けていきたいと考えております。
○猿田座長 理事長から。
○国立精神・神経医療研究センター(樋口) 今の説明にもありましたように、性質の異なるといいますか、同じ研究といっても、片方では分子生物学的な、これはもう先端的な研究でどんどん進めなければいけないだろうと思います。そこからは新しい治療法が見つかることを期待してやっている部分と、まだよく一般の国民の皆様に啓発が十分されていない領域、特に薬物依存にしてもそうですし、発達障害にしてもそうなのですが、こういった領域というのは、一方ではきちんとした調査をし、その疫学的な調査結果を基に次はコホート研究に進むとか、手順がモリキュラーの手法とは違います。そこから得られた情報を今度は実際の現場の担当している方々に研修を行う。ですから、研修の機能は私どものところでは大事な機能です。
○猿田部会長 どうもありがとうございました。まだ質問はあるかと思いますが、時間が過ぎてしまいましたので、これで質議を終了させていただきます。樋口先生、皆様方、ありがとうございました。
 本日は、がん研究センターと精神・神経医療研究センターのヒアリングをさせていただきました。これから先の予定は、先ほど課長からお話がありましたように、次は国立循環器病研究センターと、国立国際医療研究センターからのヒアリングを行います。このような形で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。先ほどご説明いただいたように、まず3回目まではこういった形で各センターのお話を伺って、それから本格的に議論に入るということでよろしいでしょうか。最後に事務局から何かありますか。
○片岡国立病院課長 各センターの視察のご希望がございましたら、セットしたいと思います。ただ、交通費の支給はできませんので、交通費がかからないところであれば、がん研究センターとか、新宿に国際医療研究センターがあります。他にも例えば大阪とか名古屋とかありますが、何か機会があったときにはお声をかけていただければセットしたいと思います。
○猿田座長 視察よりも、今日の資料を読んでいただいたりして、どうしても聞き足りなかったということがありましたら、各センターから質問に答えていただくということも認めていただければと思います。
○片岡国立病院課長 次回の日程ですが、26日(木)13時から、厚生労働省の会議室で行います。
○近藤委員 先ほど経理のことをお伺いしたのですが、センターと言っても病院とか研究所とか、国際医療協力とか色々な部門があり、それぞれの収支があると思います。ところが、それが多くの場合いかにも病院が全部悪いかのように言われているけれども、研究所を抱えていれば赤字になるところが多かったり、逆に言うと研究所が増えていれば儲かっているところもありますから、病院というものを評価するためには、病院単独の収支を別に作っていただけると評価しやすいだろうと思います。
○片岡国立病院課長 わかりました。今日は病院で何人とかというお話もありましたので、どういう部門に入っているかというのと、セグメントの収支状況と思いますが、次回までにご用意させていただきたいと思います。
○猿田座長 他にどなたかご質問ございますか。もしなければ、これで第1回目の検討会を終わりにしたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。


(了)
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