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2012年6月12日 第6回 厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議

年金局企業年金国民年金基金課

○日時

平成24年6月12日
17:00~


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

委員

翁 百合 (日本総合研究所理事)
小野 正昭 (みずほ年金研究所研究理事)
鹿毛 雄二 (前・企業年金連合会常務理事)
蟹江 宣雄 (トヨタ自動車企業年金基金常務理事・運用執行理事)
清家 武彦 参考人 (日本経済団体連合会経済政策本部主幹)
玉木 伸介 (大妻女子大学短期大学部教授)
永山 善二 (東京乗用旅客自動車厚生年金基金常務理事・運用執行理事)
花井 圭子 (日本労働組合総連合会総合政策局長)
濱口 大輔 (企業年金連合会常務理事・運用執行理事)
森戸 英幸 (慶応義塾大学大学院法務研究科教授)
山口 修 (横浜国立大学経営学部教授・付属図書館長)
山本 御稔 (監査法人トーマツパートナー)

○議題

関係団体からのヒアリング

○議事

○山口座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第6回厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、辻副大臣に御臨席いただいております。辻副大臣より一言ごあいさついただければと思います。

○辻副大臣
 皆様方には、本日も御多用の中、御参会いただきまして、心より厚くお礼申し上げる次第でございます。
 本日も、前回に引き続きまして厚生年金基金等の財政運営、また制度の在り方を中心にして御議論いただければと思っているところでございます。前回は、企業年金関係の3団体の方々からお話をお伺いし、議論を深めさせていただいたところでございます。
 本日は、現場で御苦労いただいております厚生年金基金であります日本交通連合厚生年金基金と尾西毛織厚生年金基金の2つの基金の方々からお話をお伺いすると聞いているところでございまして、本日も前回同様、精力的な御議論を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
 なお、大変恐縮でございますけれども、5時半から6時半まで、党の方の社会保障一体改革の会議等がございまして、ちょっと中座させていただきまして、また戻ってきたいと思っております。そういったことで途中抜けることをお許しいただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○山口座長
 どうもありがとうございました。
 ただいま、藤田政務官に御臨席いただきました。ありがとうございました。
 続きまして、本日の委員の皆様方の出欠状況でございますが、臼杵委員が御欠席でございます。また、近藤委員も御欠席でございますが、代理として日本経済団体連合会経済政策本部の清家主幹に御出席いただいております。どうもありがとうございます。
 また、鹿毛委員は遅れて御出席ということで、御連絡をいただいておるところでございます。
 それでは、カメラの方々には大変恐縮でございますが、ここで御退席をお願いできればと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○山口座長
 それでは、議事次第に沿って進めてまいります。
 本日は、前半の1時間程度で2つの厚生年金基金からのヒアリングを行いまして、後半の1時間で、前回に引き続きまして、財政運営の在り方及び厚生年金基金制度等の在り方に関して御議論をいただきたいと考えております。
 ヒアリングの開始に先立ちまして、私から委員並びに傍聴の皆様方に一言お願いを申し上げたいと思います。
 本日のヒアリングでは、日本交通連合厚生年金基金と尾西毛織厚生年金基金からお話を伺うこととしております。個別の基金の財務・運営状況については、機微にわたる部分もありますが、今回も公開での開催ということで、2つの基金には御無理を申し上げ、御了承いただいておるところでございます。
 ただ、それぞれ設立母体企業の経営への影響等もございますので、本日の議事内容につきましては、そうした点もお含み置きいただきまして、御配慮のほどをお願いいたしたいと思います。
 それでは、事務方の方から資料の確認をお願いします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 それでは、本日は配付資料としまして、2種類配付しております。
 資料1は、本日、意見陳述をいただきます2つの厚生年金基金と、陳述いただく方のリストでございます。
 また、資料2は、後ほど後半の方の議論で使います「厚生年金基金制度等の在り方」についての追加資料ということでございます。
 また、委員限りということで2種類の資料をお配りさせていただいております。これにつきましては、先ほど座長からもお話がありましたことで、委員限りとさせていただいておりますことをお断り申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○山口座長
 次に、関係者の方からヒアリングを行います。
 まず、日本交通連合厚生年金基金川鍋様にお願いいたします。御説明の時間は、20分以内でよろしくお願いいたします。

○川鍋理事長
 ただいま御紹介にあずかりました日本交通連合厚生年金基金の理事長を務めさせていただいています川鍋一朗と申します。また、日ごろは、母体企業でございますけれども、「桜にN」で皆様に御愛顧いただいております日本交通ハイヤーとタクシーを、それぞれ御利用いただきまして誠にありがとうございます。
 私、今、申し上げたような、基金の理事長と母体企業の経営を預かる者、社長としての2つの立場から、このような機会をいただいたことを大変ありがたく感じております。と申しますのは、私、見てのとおり若輩者ではありますが、父が早目に他界したこともあり、10年ほど前からずっと経営の職についておりまして、この年金基金の問題がどうしても解決がつかない、何とかしなければと日々思い続けて、はや10年ほどやっております。何とか自らの力で解散したいと思っておりますが、なかなか難しいという現状を皆様に是非聞いていただいて、何らかの後押しをしていただければと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 また、当基金の状況は、必ずしも当基金に限ったことではなく、恐らく我々がかなり先陣を切っていると思うのですが、同じように苦しむ基金が大変多いと感じておりますし、また今後、このような状況に陥る基金が非常に増えると感じております。いい意味ではないと思いますけれども、非常に先頭を切って走っている者の現場からの声という形で聞いていただければと思います。
 ペーパーの1枚目の一番上に、本日お伝えしたいことを3点、まとめさせていただいております。読ませていただきます。
 1つ目、年金債務が帳簿外であり自己資本の薄い中小企業では、解散による債務の一括計上により母体企業が債務超過に陥る会社が多く、金融機関の貸し渋り等で企業運営に支障が生じる懸念があります。特例解散の分割納付制度をもってしても、解散したくてもできない会社が多いと考えられます。
 2点目、金融庁や中小企業庁との連携により、金融機関の貸し渋り対策等、基金の解散が母体企業の経営に悪影響を与えない環境整備により、解散への自助努力を政策的に手助けいただけないか。これが2点目でございます。
 3点目、年金債務の計算方法や利子の支払いルールにおいても、再考の余地があるのではないでしょうかと考えております。
 それでは、ペーパー真ん中の「母体企業及び基金の概況について」「会社概要」につきましては、後ほどお目通しいただければと思います。
 一番下の段落を読ませていただきます。
 母体企業である日本交通株式会社は、首都圏にタクシー・ハイヤー合わせて約4,000台を運行する、日本最大規模のタクシー会社でございます。創業84年目でございまして、代々の社長がタクシー協会の幹部を務めるなど、タクシー業界のリーディングカンパニーとして「桜にN」のブランドで信頼と安心の公共交通を提供してまいりました。更に近年は、「タクシーは拾うから選ぶ時代へ」をスローガンに掲げておりまして、陣痛タクシーやスマートフォン配車アプリなど、次々と新しいサービスを生み出し、タクシー業界の活性化を牽引しております。
 2ページ目に移らせていただきます。
 さて、当該基金でございます日本交通連合厚生年金基金は、日本交通のグループ企業が加入する連合型基金でございます。大変残念ながら、基礎的収支、掛金と給付、入りと出のバランスが非常に悪くなっておりまして、なおかつ運用収益も悪いダブルパンチによって、厳しい状況に陥っております。2006年に受給者が加入者の数を上回りました。以来、一番直近の数字で成熟度が150%を超えております。下のグラフにその推移が書いてございます。
 また、本来であれば、この赤字を補てんすべき、すなわち入りと出の差が大きく乖離してしまって、なおかつ広がりつつあるという状況の中、これを何とか運用収益で補てんしたいところなのですが、残念ながら運用資産自体もなかなか増えない状況が続いております。
 何が本質かと申し上げますと、いろいろ悩んだ結果、産業構造自体が、全国の運転手の平均年齢が57歳というのがタクシー業界の実態でございまして、非常に高齢化が進んでおります。成熟度の高まりというのが年金制度の根源的な問題であって、これを先取り、どのぐらい先取りかと申し上げますと、全基金の平均が63.6%と、前回いただいた資料に載ってございました。当基金で60%前半だったのは2001年でございます。大体10年から15年ぐらいは、高齢化が平均より先に進んでおります。その関係で、こういった収支のアンバランスというのが先に出てきておると考えております。
 2ページ目の下の方、以前に解散を断念した経緯と財政健全化への努力について。
 実は、当基金には、2004年、8年前でございますけれども、既に解散寸前まで進みながら金融機関の同意を得ることができず、断腸の思いで解散を断念した経験がございます。人件費がコストの7割を占める典型的な労働集約産業であるタクシー産業では、慢性的な供給過剰や少子・高齢化による社会保険料等の上昇などの構造的な利益圧迫要因から、人事制度の抜本的な改革が迫られており、成熟度の高まりとあわせて、残念ながら長期的な基金の存続は難しいと判断しております。
 2003年に解散を決議、2004年に解散申出書(事前協議書)を提出いたしました。これは、前回の特例解散の時期、2003年から3年間、これに後押しを受けて、何とかこの間に解散しようという動きでございます。実際、2005年には加入員から4分の3以上の同意書を取得いたしましたが、その時点で積み立て不足がかなり多うございまして、その時点での母体企業の収益をもって、約10年間で解消できるのではないかという計画でございました。
 ただ、これをやりますと、年金債務という簿外債務。当社も中小企業でございまして、年金債務自体は本体の帳簿とは切り離されております。当時のメインバンクも、当然そのことは頭の片隅に置いていただいた上で、常日ごろからおつき合いさせていただいていたことは間違いないのですが、それが一旦明るみに、表に出ますと、債務超過になってしまう。その結果、金融庁の監査や銀行内部での融資の審査において債務者区分が悪化し、融資の継続は難しい。かなり長いこと議論を重ね、いろいろな形でお願い申し上げましたが、難しいということで、金融機関の同意を得ることができず、やむなく解散を断念せざるを得ませんでした。
 3ページ目、お願いいたします。その後、指定基金制度が2006年よりスタートすると同時に、我々も指定基金に指定されました。厚生労働省の御指導のもと、2007年から最初の5年間、そして2012年度から再び5か年の健全化計画に取り組んでおる最中でございまして、全力で先ほど申し上げた入りと出の差、この赤字を母体企業の収益で埋めております。毎年、基本的に4億円は特別掛金として負担しております。これは、労使一体となって負担しております。
 それ以外に、我々経営側の方で、会社として約3年間で累計20億円もの特例掛金というものを、母体企業の利益が許す限り積み増しをしております。なおかつ、出の方の給付の見直しということにつきましても、労働組合とずっと協議を続けてきております。
 資産運用に関しましても、勿論、資産運用のコンサルタントを導入いたしまして、四半期ごとに総幹事とコンサルタントという複数の目を通して、リスクに配慮しつつ分散投資も進めております。
 必死になってやっておるつもりなのですが、3番目に移らせていただきます。こうしたさまざまな努力を続けてきておるのですが、日増しに1年ごとに構造的な成熟化が進んでおりますし、運用環境がどうしても、過去10年間、ずっと累計してみても、プラスマイナスとんとんぐらいの状況が続いておりますので、状況は悪化の一途をたどっております。したがいまして、また第2回目の特例解散が可能になった状況を受けて、本年3月の代議員会で再び解散の方針を決議して、現在、金融機関、メインバンクを中心に理解を得るべく、8年前と同じように奔走しておる最中でございます。
 仮に今回特例解散をさせていただけるということになりますと、母体企業は年金債務一括計上、債務超過に陥ります。しかし、現在の利益をもって、数年で債務超過を解消できるという見通しが立っております。母体企業が力のあるうちに、年金債務を一旦確定させて解散したいというのがずっと悲願でございまして、この自助努力を政策的に何とか手助けしていただけないかと考えております。
 具体的には2つございまして、1つ目は、基金の解散が母体企業の経営に悪影響を与えない環境整備をお願いしたいということを強く思っております。今後、この有識者会議の結果も踏まえて、またいろいろな形で、厚生年金基金の解散というのは増えると予想しております。
 勿論、解散するハードルを下げるというのが第1段階としてあると思うのですが、その次に、もし解散決議ができたとして、次の段階で直面するのが、結局、本業で利益を上げている会社でも、基金の解散により債務超過ですと、どちらかというと金融庁の分野ではあるのですけれども、金融機関の債務者区分が下がって、金利上昇、貸し渋りが起きてしまう。一歩進んで何とか解決しようと思ったところが、逆に帳簿外の債務が明るみに出る。だから、より厳しい状況に資金繰りが陥ってしまうという矛盾が生じることになってしまいます。これは、せっかく一生懸命やろうとすることが、どうしても本末転倒になってしまうと考えております。
 これを何とかするためには、中小企業庁や金融庁と連携していただいて、年金債務を前向きに自助努力で処理する基金に関して、帳簿外に浮かび上がってきたものによる債務超過は、通常の債務超過、営業で利益が悪化したことによる債務超過と分けていただいて、別に扱えるように何とか働きかけることはできないかと考えております。
 金融庁であれば、金融機関に対する通達、勿論、法律の変更もやっていただければ、なおさらすばらしいのですけれども、また金融検査マニュアルがございますので、その中に特例を追加することもできるかと思います。中小企業庁であれば、信用保証協会等による信用保証や、政府系金融機関による優先株・劣後債等の資本性の高い融資積極化等の対応策が考えられます。これは、債務超過に陥って資本がマイナスになってしまうということですが、それを一時的にかさを増すような形での融資をしていただける。いずれにせよ、中小企業の会計基準が、帳簿外のものが中に入ってきたときに不利にならないように、何とかお願いできないかと感じております。
 下の四角に囲ってあるところは、その仕組みをちょっと御説明させていただいておるのですけれども、債務超過に企業が陥りますと、銀行の中で、2行目にあります金融機関の貸出基準というところで債務者区分が変更になってしまうケースがございます。これは、銀行がそれぞれの取引先を毎年審査しておりまして、特に銀行の中でも、済みません、釈迦に説法かもしれませんが、審査部という審査する部門と現場の営業。現場の営業は、どちらかというと企業を支えたい、貸し出しをしたい。審査部は、貸し出しが焦げつかないように、攻撃と守備という役割分担があるかと思います。
 この綱引きで、この債務者区分が決まります。通常ですと正常先ということになると思うのですけれども、これが債務超過になりますと、要注意先もしくは要管理先という形で格付けが下がります。銀行にとっては、そこで引当金を積まないといけない。要するに、当期の収益がマイナスになってしまいますので、その対価として貸し出しの金利を上げざるを得ないという中の論理が働きます。
 ただ、このときに債務超過年数というものがございまして、金融機関の大体の区切りである一、二年、本業の利益を入れることによって債務超過を解消できれば、債務区分をそのままに置いておいてもいいということが通常になっておるのです。ですから、この一、二年のところの貸出基準をもう少し緩やかに、一、二年じゃなくてもいいよ、もう少し広げてもいいんだよということを、例えば金融円滑化法みたいな思想で金融機関に何らかの通達をしていただけるとか。
 もしくは、金融機関が貸出基準を持っておりますものは、その金融機関自身が年に1回、金融庁から監査を受けます。その監査のときに金融検査マニュアルというものがございまして、債務超過に関しましては、おおむね5年以内で解消しなさいということになっています。実は、金融庁は5年以内に解消すればいよと言っているのですが、各金融機関は、昨今の厳しい情勢の中、それより厳しい区分を持っております。
 ですから、でき得るとすれば、その金融検査マニュアルのおおむね5年以内というものをもう少し緩めていただく、もしくはそれを金融機関の検査をするときに、金融機関がおのおの設定しておる一、二年というものを、検査マニュアルの5年まできちっと広げてもらってもいいということを、通達もしくは特例として追加いただければ、こうした問題が防げるのではないかと考えております。
 4ページ目に参ります。要望はもう一つございまして、できるならば年金債務自体の計算方法や利子の支払いルールの再考をお願いできないかとも考えております。これは、最低責任準備金の計算方法は、減額責任準備金相当額を使用する選択肢というものが用意されておりますが、最低責任準備金が過大計上されているのではないかという、いわゆる0.875問題についても、何らかの実態に則した現実的な見直しをしていただければ、これはこれ以上のものはないと考えております。
 また、特例解散における不足額について分割納付を選択した場合、不足額は毎年、当然のことですが、利子分を上乗せされますが、この利子は厚生年金本体の利回りと連動して変動しております。例えば、この利子の上限を設定していただけるなどの緩和措置を御配慮いただければ、より資金計画が組みやすくなって、分割納付の実効性が高まるのではないかと考えております。
 厚生年金本体の利回りと連動、それが1年9か月ほど遅れてきている。これがどのタイミングで解散するかにも関わってまいりますし、また一旦、帳簿外で固定したものが、実は企業といたしましては、それを資金調達する金利は固定でございますので、厚生年金基金本体の利回りが変動することによって非常に先行きの見通しのリスクというものが高まり、それが審査に悪影響を及ぼしますので、何らかの形でそれを長期的に固定するような、もしくは上限を設けるようなことをお考えいただきますと、実行性としては、企業側としてはやりやすいのかなと考えております。
 以上、現場の、そして企業経営の立場からの切なる声ということで意見を述べさせていただきました。長年塩漬けになってきた厚生年金基金の問題を何とか一歩でも前に進めて、そして我々もそうですけれども、我々以外も今後更に増えてくるだろう解散したい基金、自助努力したい基金が自助努力できるように。最終的にこれを埋めるのは、母体企業の収益しかないと思います。これがなければ、最後は税金しかないのです。ですから、その母体企業の利益で最大限埋められるような措置を、何とかお願いできればと思っております。
 どうもありがとうございました。

○山口座長
 どうもありがとうございました。いろいろ機微にわたる部分も含めて、詳しく御説明いただきました。
 ただいまの御説明に対しまして、委員の方から御質問等ございますでしょうか。山本委員。

○山本委員
 どうもありがとうございました。
 最初に解散の決議、加入員等の方々から同意をとられたということなのですけれども、その際に加算部分というのはもうなかった状態だったでしょうか。

○川鍋理事長
 解散後は、加算部分はなくならざるを得ないということで説明させていただきまして、同意が得られました。当社の場合、ほとんど100%が退職金という扱いになりますので、それは母体企業が引き継いでやるということで、解散の同意が得られました。

○山本委員
 わかりました。これは質問ではないのですけれども、私自身も同様の問題は見聞きしておりまして、債務超過になる事例も聞いています。それがゆえに、マグニチュードはわかりませんけれども、地域に特定している総合型基金が解散になって、その結果として債務超過が増えることになると、金融機関の債務者区分もさることながら、金融機関そのものへの影響が出てくる可能性もあるということは聞いています。具体的な数値というところまでは把握しておりませんけれども、コメントとして言わさせていただきます。

○山口座長
 ほかに御質問等、ございますでしょうか。永山委員。

○永山委員
 ありがとうございました。
 2つほど伺います。制度としまして、退職金を持ち込んでおられる制度なのでしょうか。もしくは、社外積み立てとかがある掛金でという、制度はどちらでしょうか。

○関谷事務長
 加算部分はすべて退職金が移行したものであります。

○永山委員
 ありがとうございました。
 もう一点、先ほど御説明がありましたけれども、2007年に最初の指定基金になられて、改善計画、改善されたと思うのですが、今回、たまたま指定されたということなのですけれども、前回の結果では何か原因があったということなのでしょうか。

○関谷事務長
 過去5か年の計画においては、現実的な計画を組んだのですけれども、たまたま初年度の運用が非常に落ち込みまして、結果として当初の目標に至らなかったということで、再度、指定基金に指定されて、また5か年の計画を提出させていただいたという状況でございます。

○永山委員
 ありがとうございました。

○山口座長
 他の委員、いかがでしょうか。先に小野委員。

○小野委員
 ありがとうございました。
 解散の意思があったということでございますけれども、その2回のタイミングでは、基本的に代行割れという問題が出たという理解でよろしいですね。

○関谷事務長
 はい。

○小野委員
 それで、代行割れという状態は、年度毎に積み立ての比率が違ってくるのではないかと思います。年次別に見るとどのような状況だったかということと、もう一つ、資産運用の面でアセットミックスがどのような状態であったか。これも、年度別に見て傾向的な変化があったかどうかをお話いただけたらと思います。

○関谷事務長
 まず、1点目の代行割れの状態でございますけれども、今年3月の決算はまだ出ておりませんので、正確に出ているのは前年度の3月までなのですが、前年度は59%、マイナス105億円でございました。5年前には87%、マイナス43億円でありまして、年々悪化の一途をたどっている状況でございます。
 それから、アセットミックスでございますけれども、直近のアセットミックスは国内債券が26.2%、それから国内株式が30%、外国債券が12%、外国株式が23%、その他が8.8%となっておりますが、これに関しては、最近、運用に関するアドバイザーを導入しておりまして、傾向としては株式の比率が少なくなってきております。

○山口座長
 それでは、蟹江委員。

○蟹江委員
 切実なご説明、ありがとうございました。
 ちょっと伺いたいのですけれども、解散された後、福利厚生という意味においては退職金制度に全部移行ということで、DBとかDCへの移行はないということでしょうかというのが1つ。
 もう一つなのですけれども、3ページにございましたが、06年から指定基金に指定されたということで、厚労省の指導ということで、恐らく地方厚生局だと思うのですけれども、厚年基金全体で言うと数年に一回ぐらいは監査に入ると思うのですけれども、指定基金の場合には、毎年監査等があると思うのです。その際に、地方厚生局としてどのような指導等があったのか。その指導の丁寧さぐあいといいますか、その辺りはいかがでございましょうか。

○関谷事務長
 まず、1点目のDB、DC等についてでございますけれども、私どもは解散を考えておりまして、DB、DCとして企業年金として残すということは現在考えておりません。
 2点目の指定基金については、四半期ごとに関東信越厚生局に伺って実施状況を説明しております。関東信越厚生局からは、かなり懇切丁寧な指導を受けてまいりました。
 先ほど申し上げました直近の特例掛金20億円というのも、実はこれは血がにじむようなお金でございます。ハイ・タク業というのは、確実に安定収益があるとしても、年度年度の利益は薄いものですから、その薄い利益から20億円ものお金を出すというのは大変なことで、組合員にいろいろな理解を得ないとできないことなのです。
 それについても、関東信越厚生局の方からいろいろとアドバイスされたこともあって、その辺も説明することによって組合員の皆さんの理解も得ることができて、当社としては非常に厳しい20億円という特例掛金の拠出が実現できているという状況でございます。ですから、関東信越厚生局からは、かなり微に入り細をうがつ、親切丁寧な御指導をちょうだいしております。

○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。ほかに質問がなければ、日本交通連合厚生年金基金様からのヒアリングは、以上とさせていただきます。本当にありがとうございました。

(説明者交代)

○山口座長
 引き続きまして、尾西毛織厚生年金の方からのヒアリングを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日は御苦労さまでございます。それでは、尾西毛織厚生年金基金の伊藤様の方から御説明をお願いします。20分ぐらいでよろしくお願いいたします。

○伊藤理事長
 尾西毛織厚生年金基金の理事長の伊藤でございます。本日のプレゼンで、お手元に3ページにわたる資料、あとグラフなどをお届けしております。この3ページの記述に基づいて、若干アドリブを加えてプレゼンさせていただきたいと思います。
 内容は大きく3点でございまして、1番目に当基金の概要を述べさせていただき、2番目に、2ページ目でございますが、私どもが抱えている問題点、ジレンマを述べさせていただき、最後に結論として3ページの3番、私どもから要望事項という順番で述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、1番目の当基金の概要でございます。
 私ども愛知県の西部の尾州産地と呼ばれる毛織物工業界は、戦後活況を呈しておりましたけれども、現在はおおむね10分の1の規模となっております。当基金は、こうした産地・業界を基盤とする総合型厚生年金基金であります。昭和44年11月に設立して、設立時の事業所数は298、加入員数が9,306名。ところが、現在では全国595ほどある厚生年金基金の中で、恐らく最も規模が小さくて、最も成熟化が進み、したがって、群を抜いて財政状況が悪化している基金となっております。昨年3月末、正式データとしての最新データの状況・概況は、下の表のとおりでございます。
 給付体系は、勿論、代行型でございます。
 事業所数、63事業所、これは設立時からしますと5分の1。加入員数は326名、これは設立時から比べますと30分の1になります。その結果、ここにありますように、売り上げが1.8億円。それに対してコストが7.5億円、給付がかかっている。ですから、掛金額との差が、赤字が5.7億円ある状態です。先ほどちょっと抜けましたけれども、受給権者数1,858名、加入員数が326名ですので、加入員1名当たりは実に5.7名。お神輿型とか騎馬型とか肩車型という表現をよくしておりますけれども、私どもはいわば体重100?の選手が570?のバーベルを持ち上げているような、ウェートリフティング型であると御理解いただきたいと思います。
 その結果、その下の最低責任準備金、すなわち借金が41億円。それに対して、資産は25億円しかない。債務超過も甚だしい状態であります。掛金が1.8億円であるのに対して、それだけしかないのですが、実は掛金率というものは143‰。これは、恐らくほかの基金と比べて極めて高いパーセントだと思います。事務費掛金を加えますと合計157‰という数字でございます。
 こういう現状ですが、これまでの経緯と、特例解散に向けた今後の方針というものを若干申し上げさせていただきたいと思います。
 平成8年度に加入員数と受給権者数が逆転いたしました。そして、平成12年度には加入員数が1,000人を割って、初めて年金資産額が責任準備金を下回りました。
 運用面においては、従来基本的に過度なリスクをとらない安定的な運用に努めてまいりました。ただ、近年の想定外の状況・環境によって、財政状況は更に悪化しております。過去において問題になっておりましたAIJ投資顧問への投資実績は、私どもは一切ございません。
 大変申しわけないことなのですが、3、申し上げにくいことなのですが、加入員数、受給権者数が15年前に逆転して、更に成熟化が進むと見込まれる当基金に対して、行政当局から、基金のそういった個別事情を踏まえた適切な指導はなくて、むしろ基金の存続・継続に向けた指導、主として掛金率の引き上げのみが繰り返されてきたといういきさつがございます。
 私どもの対応として、4、5。分母を広げるという意味で、加入員数、事業所の編入活動は一生懸命努力いたしましたけれども、当業界を取り巻く厳しい環境においては、加入員の拡大には至りませんでした。
 もう一つ、5として、平成13年以降、大幅な掛金アップ。その結果が143‰です。そして、加入員及び受給権者の給付減額も法定限界まで削減いたしました。今、法律で定められている最大限、削減いたしました。そして、財政健全化に私どもとしては努めてきたつもりでございます。それにしても、資産の減少に歯どめがかからなくて、財政状況は更に厳しさを増して、ついに平成22年12月、指定基金に指定されました。
 2ページ目です。こうした状況で、一昨年、22年9月の代議員会、指定基金に指定される前ですが、解散の方向性を決議して、解散に向けた検討委員会で議論を開始するとともに、厚生労働省へお邪魔して、現実的に実行可能な解決策の助言をいただくようお願いし、陳情も行ってきました。今年に入って、2月の代議員会において特例解散の作業を始めるための最終決議を行って、現在、その作業を行っております。
 先ほどの表にありました25億円というのは、昨年3月の資産金額ですが、現在仮締めで20億円を下回っておりまして、昨今の運用環境、給付超過分の問題などを勘案しますと、あと数年で本当に資産が枯渇してしまう。一刻を争う非常事態となっております。
 大きい2番目で、私どもが今、抱えております問題点とかジレンマでございます。
 まず、(1)不足金の穴埋め問題です。解散する場合の不足金負担額。加入事業所の現役社員の数もさることながら、既に退職しているOBの数も大きく影響しております。現在は、事業を縮小して、わずか数名の加入員しかないとしても、過去にたくさんの社員を擁していた事業所があるわけです。こうしたところは不足金の負担額が大変大きなものになります。
 労働集約型と言われて、国の基幹産業として国を支えてきた当繊維産業に、特にこの傾向が強くて、今になってリストラ、合理化を大幅に推し進めても、OBが存在しておりますので負担は変わりません。それが実は、現在の事業所の負担能力を大幅に超える大きさであることから、今後、産地に同時多発の倒産、連鎖倒産が発生するおそれが多分にあります。
 (2)簿外債務の顕在化と取引銀行の対応という点は、先ほど日本交通さんも同じことを指摘しておられましたけれども、地元金融機関が現在どの程度実態を把握・認識しておられるか定かではありませんが、私どもの基金のメンバー、事業者数は、日本交通さんと違って60社前後あります。総合型基金においては、単独型の基金とは異なって、年金債務を事業所ごとに合理的に算出できないということから、各事業所は決算書への負債計上も注記もされていませんでした。
 それが、今回、解散を決定した場合、突然、この不足金を充当するための解散時特別掛金という、まさに簿外債務が明らかになることによって、取引銀行がどんな行動をとるのか。各企業とも大変な不安を今、抱いているところであります。特に、過去多数の社員を抱えて、リストラをしたことによって、現在、業容を大きく縮小した企業にとっては、OBがたくさんいますので、この金額が即命取りになるケースが多発することは容易に想像できます。
 そこへ持ってきて連帯責任の問題ですが、特例解散で総合型基金の場合ですが、分割の期間中に事業所が倒産・廃業になった際の連帯責任が大きな障害になっております。自己責任分さえ、極めて困難な上に、他の事業所の債務を負うことは絶対受け入れられないという意見が極めて多いわけであります。そもそも私どもビジネス関連からとすると、資本関係も取引関係もない他社への債務を連帯保証することはあり得ない話でして、この連帯責任制の問題というものが、特例解散手続を進行する上で大きな障害になっております。
 (4)情報開示とともに増える任意脱退という点ですが、連帯責任があり得ることを知った事業所、それから基金からの脱退を勧奨するコンサルタントの指導を受けた事業所は、不足金負担を限定的なものとするために任意脱退を選択することを選択しようとしております。過去の早い時点に、既に倒産・廃業あるいは任意脱退した企業のOBに対する年金給付についても、残存事業所が負担しなければならないことも、任意脱退の動きに拍車をかけております。
 問題点とかジレンマの続きですけれども、(5)として、特例解散を私どもは願っておりますので、分割納付の場合の話ですが、その回収体制の問題であります。実は、私どもの基金においては、事業主が極めて高齢化しております。したがって、事業主の高齢化に伴う事業廃止の可能性、それに伴う回収の困難さから、長期の分割納付というのは極力避けたいと考えております。
 分割納付は、支払いを避けて、あるいはいずれ支払い不能になることをあらかじめ想定して選択される場合もあります。更に、分割納付中の不足金額を管理・回収する回収機構みたいな立場になるわけですが、そのための人員配置、人件費、コストといったものも、現在残っている事業所にとっては極めて大きいものであります。したがって、短い期間で事を済ませたいと思っておるわけであります。
 (6)として、私どもは産地・業界に基づく基金ですので、その産地・業界に与える影響です。繊維産業は、以前のような国際優位性はないといっても、基金を震源として同時多発倒産、連鎖倒産が起こった場合、この産地・業界は崩壊し、その機能が海外に100%置きかえられるということは、日本のファッション産業全般が決して望んでいることではない。多大な影響が考えられると思っております。
 当基金の地盤である愛知県一宮市は、出荷額は既にトップの座を他の業種にとってかわられていますが、就業人口は今もって繊維産業がトップであることから、先ほどの産地の崩壊というのは、雇用の極めて大きな喪失にもつながると思っております。
 最後でございますが、3番目に結論として、私どもから要望したいことを申し上げさせていただきます。
 基金には、運用上の問題以前に、少子・高齢化とかデフレ経済とか成熟産業といったことに対応することが難しい、あるいは十分想定されていなかったという点を特に御考慮いただきたいと思います。国に救済を求めるに当たりまして、損をしたときだけ救済を求めるのはいかがなものかという御指摘をいただくことがあるのですが、決してそんなことはなくて、過去に運用などで得た収益というのは、少なくとも当基金においては、無用な箱物に投資したなどのむだ遣いは全くありません。すべて年金資産として積み立ててきました。
 それにもかかわらず、現在、年金資産が枯渇しつつあるというのは、厳しい運用環境の影響に加えて、先ほども出ておりましたが、8年3月でしたでしょうか、全基金一律の免除保険料率に伴う収入不足とか、いわゆる0.875問題に伴う最低責任準備金の過大計上などの財政的な問題。更に、廃業・倒産を含む脱退事業所に係る受給権者の存在によって、想定以上のペースで年金給付が続けられているからであります。
 こうした事態を御勘案いただいて、基金としては以下のとおり、現行制度から改正いただきたいと御要請申し上げる次第です。
 箱の中でございますが、1番として、最低責任準備金の更なる大幅減額に向けての算出方法の変更。今、ずっと申し上げましたとおり、不足金の発生要因が必ずしも基金の責によるものではない事情を勘案いただいて、最低責任準備金の算出方法を是非とも見直していただきたい。
 2番目、これは総合基金の場合の特徴ですが、連帯責任制の撤廃という点で、幸い、多少の資力があって自己負担分だけは負担することを検討する母体企業があっても、連帯責任制の存在ゆえに特例解散に同意できない。事前の任意脱退に踏み切るところが多発していること。並びに、連帯責任による連鎖倒産の影響を勘案して、この連帯責任制というのは完全撤廃していただきたいと思います。
 3番目は、やや抽象的、具体性に欠けるかもしれません。私どもの思いですが、先ほどの日本交通さんも金融面のことを問題にしておられましたけれども、私どももそれは非常に問題を感じております。できることなら、いわば損保概念を組み込んだ一括無条件融資制度を創設していただけないか。加盟企業全社の一括支払いを可能にして、当面の倒産のおそれと後の連帯責任のおそれを回避するため、一括ファクタリングという損保上の制度があります。その概念を組み込んで、国の保証付きの融資制度を創設いただきたい。
 現在、日本政策金融公庫で融資の話が検討されておると、新聞報道などで伺っておりますが、私どもの総合型の場合は、それは個別に融資条件がばらばらだと思いますので、この一括を御検討いただきたいということでございます。
 最後に、4番目でございますが、今、申し上げたことも含めて、資産の劣化は一刻を争いますので、立法府には一刻も早く立法を成立させていただきたい。それから、特例解散の作業を今、進めているわけですけれども、行政には、この解散のための手続作業の迅速化。特に、記録突合作業が一般的に1年もかかるというお話を聞くのですが、その間に刻々、財政状況は悪化していきますので、記録突合作業の迅速化を是非ともお願いしたいと思います。
 以上4点、くれぐれもよろしくお願いいたします。
 それから、若干時間は不足しておりますが、添付資料に基づいて説明させていただきます。

○岩田常務理事
 少しだけお時間をいただきます。お手元に、私ども基金の事業等の推移の関係、それから規模別の状況の資料をお配りさせていただいております。事業の推移は、私どもが2月以降、加入事業所の事業主の説明会で作成したものでございます。そのために、本会議の言い回しと若干食い違うかもしれませんが、その点、御容赦いただきたいと思っております。
 それから、棒グラフの資料もつけてございます。なぜ平成12年度から載せてあるかということでございますが、平成12年度に最低責任準備金を資産額が下回ったというところと、もう一つ、加入員が1,000人を割ったというところから、現在までの状況でございます。そういうことで、加入員と受給者数の折れ線グラフを見ていただければおわかりのように、どんどん広がっておるという状況でございます。
 それから、最低責任準備金と資産額のグラフの方でございますが、平成17年度に最低責任準備金、あと5億円不足するという状況になったわけでございますが、いかんせん、それ以降、運用状況も悪くなったということもあって、加入員の減少がベースにはなりますが、不足額が広がったという状況でございます。
 最後のグラフの方でございますが、掛金率を見ていただくと、標準掛金、特別掛金を設けてございます。その掛金率を平成12年度以降、順次、特別掛金を引き上げてまいりました。現在は、1,000分の97でございます。そういったことで、最後の事業所の規模別の数字の表でございますが、その一番下の方に入れてございますが、事業主の負担割合が非常に重いものとなっております。当然、厚生年金保険料も納めておる部分を加えると、18.3%。これは、現在、厚生年金本体を18.3%に厚生年金保険料を引き上げる段階ではございますが、既に事業主はその分を負担しておる状況になっております。
 配付資料の御案内だけさせていただきました。

○山口座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に対して、委員の方から御質問等、ございますでしょうか。永山委員。

○永山委員
 ありがとうございました。プラスαが14%ちょっとという数字の中で、143‰も掛金を負担しなければいけないつらさといいますか、効率性を考えた場合に非常につらいのかなと思います。
 1つお伺いいたしますけれども、この御説明の中にもありますが、平成8年4月から免除保険料が、個別化までいきませんけれども、それまでは一律だったのですが、5つの分類になりました。しかし、個別になったのは平成17年4月だと思います。御基金の場合、一番最後のページに標準掛金が47とあります。これは免除保険料率でよろしいのでしょうか。

○岩田常務理事
 私どもの方は、現在、免除保険料率は42でございます。ですから、47は1,000分の5ですか、積み上げてございます。

○永山委員
 わかりました。ありがとうございました。
 そうしますと、お伺いしたいのは、平成8年に個別化というか、グループ別になる前の一律だったときに、この平均年齢からしますと掛金が免除保険料を上回っていたのではないか。通常、普通掛金と言ったのかどうかわかりませんけれども、基本部分に代行していくための料率はいかがだったでしょうか。

○岩田常務理事
 これについては、委託会社の方に算定をまだ出しておりませんので、はっきりしたことはお答えが難しいと思います。だけれども、実際に私ども、成熟度が高い基金でございまして、そういうことから言うと、平成8年度のときには受給者数も非常に増えてきておる状況ですので、ここで不足しておるということは言えるのではないかと思っております。

○永山委員
 ありがとうございました。

○山口座長
 ほかに御質問、ございますでしょうか。蟹江委員。

○蟹江委員 
 また、本当に切実なご説明、ありがとうございました。確かに構造不況的なと言うと失礼なのですけれども、業種としての存続が非常に難しい中で、よくこれだけ頑張っておられたと思うのです。ここでも地方の厚生局の指導の在り方が問題提起されているわけですけれども、例えば途中で、これは黄ランプだとか橙色のランプだということを含めて、どのように局の指導があったのか、あくまでも存続ありきの方で、掛金ということで行かれたのか。その辺り、どのようにお感じでございましょうか。

○岩田常務理事
 済みません、私の基金の経験年数がまだ2年ほどでございますので、本日の会議に出席するに当たって前任者の方に確認をとりました。実際には、平成12年より前に行政当局の方に相談に伺った。しかし、解散をするについてはハードルがあるから、当面、まだ最低責任準備金を下回るような状況でもない。そういう状況下であるならば、掛金の引き上げを考えて継続したらどうかという指導は、2回ほどあったということは聞き及んでおります。
 平成12年より前ですので、地方分権一括法より前ですので、県に所属していた当時の組織ということになります。

○山口座長
 では、小野委員。

○小野委員
 ありがとうございます。
 先ほどの永山委員の御質問と若干重複するかもしれないですが、3ページに平成8年3月31日までの全基金一律の免除料率に伴う収入不足ということが書いてあります。ということは、ひょっとしたら、よく特例解散のときに出てきます減額責任準備金という、設立時から転がした結果というのが、通常の最低責任準備金と比べて、そちらを適用すれば大分軽減されることになるのかなというのが、まず1点です。
 それから、先ほどの質問と同じになるのですが、過去の運用利回りの推移を載せていただいておりますけれども、かなりばらつきがあるということで、同じように資産運用のアセットミックスの状況とか過去からの傾向といったものは、お教えいただけないかということです。

○岩田常務理事
 まず1点目でございますが、減額責任準備金相当額は、私どもの方も昨年の法律改正に基づいて、減額特例を活用するためには幾らになるかというものを委託会社の方に出して算出してございます。これは概算額でございますが、その基金全体の減額が約4億円でございます。ですから、最低責任準備金41億円ある中で、4億円減少するという結果を得ております。これは、平成22年度末の状況でございますが、そういうことがございます。
 ですから、この責任準備金の更なる減額をということになった場合の、例えばその減額がされるような状況であれば、そういう減額特例と比較して、丈比べではございませんが、どちらができるのかということは、今後の展望次第になろうかと思います。
 それから、アセットミックスの方でございますが、私どもの方で最近、若干変えた部分もございます。直近の構成割合でございますが、国内債券で36、国内株式で25、外国債券で16。外国債券は、ちょっと見直しを行っておりますが、まだこれから若干下回ることになります。それから、外国株式が13、短期資産が10という状況でございます。これ自体は、レンジはありますけれども、ほぼ変わっておりません。レンジの上限幅は、それぞれ10%ということで構成しております。御質問にありましたように、こういう構成割合は10年近く、ほぼ変わっていないということでございます。

○山口座長
 ありがとうございました。ほかに御質問ございませんでしょうか。それでは、ヒアリングにつきましては、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(説明者は関係者席へ移動)

○山口座長
 続きまして、前回に引き続きまして、財政運営の在り方と厚生年金基金制度等の在り方に関して議論してまいりたいと思います。前回の会議の際に、委員からお求めのありました資料も含めまして、若干の追加資料を事務局の方で用意しておりますので、それについての説明をお願いいたします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 それでは、お手元の資料2をごらんいただければと思います。前回、何人かの委員からお求めのあった資料がございましたので、それも交えて御説明させていただきます。
 まず、1ページ目をおめくりいただきたいと思います。これは、最低責任準備金に対する積立の推移です。単年度で見ると、やや誤解があるのではないかという御意見もございまして、今回、直近の過去10年間の平均をとり、厚生年金基金全体がどのような状況かということを分布図の形であらわしております。
 このグラフの見方でございますが、まず横軸は、最低責任準備金に対する積立状況で、真ん中に縦の点線の棒が入っておりますが、これより左がいわゆる代行割れ、右の方は最低責任準備金以上ということでございます。縦のメモリは、基金の数の累積でございます。3つの山がございますが、一番右の平成17年度は、過去10年間で最も運用のよかったときでございます。また、逆に平成20年度はいわゆるリーマンショックということで、運用が非常に厳しかったときで、単年度で見るとかなりの波がございます。
 過去10年間で見てどうかという平均でございますが、ごらんいただいてもわかりますように、現存の577基金の過半数ぐらいが最低責任準備金の1.1倍未満という状況でございます。
 2ページ目ですが、平成11年からは、いわゆる転がし方式と呼んでおりますが、最低責任準備金の計算方法が変わりまして、厚生年金本体の利回りを用いて計算するという方法になってございます。その意味では、厚生年金本体の利回りと比べてどうかということが、ここの代行部分の積み立てにも大きく影響してくるわけでございます。
 これは、平成11年10月、いわゆる転がし方式になってから直近までの厚生年金基金の平均運用利回りの分布でございます。この間の厚生年金本体、全体の平均は約1.8%でございました。その本体との比較ということで見ますと、1.8以上というところは全体の4基金でございます。
 その次の3ページは、代行部分でどういった利差損が発生するかを整理しております。下の方で計算の考え方を示しておりますが、平成11年10月から今日までのものでございまして、分母にございますのは、平成22年度末の最低責任準備金。これは、厚生年金本体の運用利回りで計算しているものでございます。各基金の運用利回りを厚生年金本体に置き換えて計算した最低責任準備金が分子です。ですから、各基金の方が厚生年金本体に勝っていれば分子の方が大きくなりますので、プラスになるわけでございますが、先ほどごらんいただきました運用結果を反映して、11年10月からで見ますと、代行部分から利差損がかなり発生している状況でございます。
 この代行部分と厚生年金本体との関係ということで、4ページ、5ページに概念図をつけております。これは、特例解散の例ですが、前回も申し上げましたが、代行部分は公的年金でございますので、仮に代行割れのような状態であっても、この右にございますように、最終的には厚生年金本体から給付は必ずされることになります。ですので、代行割れになりますと、そこにございますように、特例解散の例で言えば、積立金を移管し、残りの不足については分割納付ということをしていくわけでございます。
 実際には、納付しているのは各基金の加入事業所になりますが、前半でも大変切実なお話がございましたけれども、今、こういった中で、各事業所、企業経営にも影響を与えかねない状況が出ている。仮に分割納付中のすべての事業所が倒産した場合、先ほど申しましたように、給付は厚生年金本体で持つことになりますので、そこは厚生年金本体で持つことになります。
 ただ、ここの兼ね合いといいますか、それぞれの基金を支える事業所、そして厚生年金本体も、今、175万事業所ありますが、大半が中小企業でございます。そういった中で、まさにこの兼ね合いをどう考えていくかということが、この深刻な代行割れ問題をどう整理するかということの一つのポイントであるということでございます。
 ちなみに、厚生年金本体の財政構造ということで、次の5ページ。これは平成21年度の財政検証でございますが、下の星印の2つ目に書いてございます。厚生年金本体は、基本的には賦課方式でございまして、おおむね100年にわたり均衡しているということになりますが、これを仮に現在価値に置き直して、一時金でわかりやすく表示したものでございます。この厚生年金の保険料や積立金につきましては、厚生年金基金の代行部分が、基金ではなくて本体にあったらとしたらということで計算しております。したがって、この代行給付というものは、代行部分の積立金をもって充てるという収支になっております。
 その意味では、そこに書いてございますように、代行割れのままで解散いたしますと、そこに不納欠損ということで厚生年金本体にかかってくるわけでございます。一方で、代行割れのところを支える企業経営との関係ということで、まさに先ほど申し上げましたように、この代行割れ問題、各基金を支える企業と厚年本体との関係をどう考えるかということかと思います。
 次の6ページでございますが、ここから以降は、前回のときにお求めがあった資料でございます。
 まず、厚生年金基金に加入する非正規労働者について、どのぐらいかという御質問がございました。正確な数字ではございませんで、これはあくまで推計でございますが、前々回も申しました厚生年金基金の給付は今、9割ぐらいが加算型という給付設計を持っておりまして、この加算型の非適用というのが多くの場合、非正規労働者でございますので、加算型厚生年金基金の加算非適用の加入員の数は、約21万ということで拾えます。これを加算型厚生年金基金全体に対する割合で割り戻して、約23万人ということで、あくまでも推計でございますが、計算しております。
 なお、参考のところにもございますように、非正規労働者自体は1,756万、約1,800万人ぐらいおりまして、そのうち厚生年金保険制度加入者は半分ということで、粗く計算しますと約900万人ということでございます。この900万人の実際の企業年金加入、非加入の別はちょっとわかりませんので、基金では23万というところがほかの企業年金でどうなのかという比較は、ちょっとできません。ただ、非正規労働者の場合、今、申し上げましたように、半分ぐらいがそもそも厚生年金に入っていないということで、企業年金の問題も重要でございますが、まず公的年金である2階部分をどうするかということが問題であるということでございます。
 次の7ページも、前回のときに、確定給付、DBは大企業が多いのではないかというお話もございました。そこで、基金型と規約型という2つのパターンがありますが、それぞれの加入規模別の基金数をとっております。確かに事務局等が用意しております基金型になりますと、300人未満のところがほとんどでございますが、逆に規約型で言いますと、これは適格退職年金からの移行等も結構ございますので、比較的小規模なところといいますか、むしろ300人未満のところが6割を超えている状況でございます。
 最後、8ページでございます。これは、先般、小野委員からお求めがありました、22年度の最低責任準備金に対する積立状況をお示ししました。この最低責任準備金に対する計算に際して、1つは、債務の方の最低責任準備金につきまして、厚生年金本体の運用利回りを適用する、俗称期ズレと言っておりますが、期間の遅れを補正したもので計算したらどうかということで、これが細い線で書いてあるところでございます。
 もう一つの方は、数理上の資産額と申しまして、純資産、そのものの資産ではなくて、その上に時価の変動を調整したものを加えて、それと最低責任準備金、先ほど申しました期ズレを調整したものと比較したらどうかということで、これは破線で示しております。ピークはそれぞれ若干異なりますけれども、全体的な分布傾向としては、それほど大差はないということでございます。
 以上でございます。

○山口座長
 ありがとうございました。
 それでは、御意見をいただきたいと思います。委員の皆さん、よろしくお願いいたします。永山委員。

○永山委員
 今日の2つの基金がお見えになった中で、私、最終的にもう一つ確認させていただきたい点がございます。先ほどもちょっと伺ったのですけれども、基金の免除保険料のことです。平成8年に5つのグループになって、17年4月から完全個別化されたと思います。それで、その基金の必要な代行をするための料率が、ようやく17年4月からいただけるようになったということがあります。
 平成8年3月までは、全国一律の保険料でしたから、例えば高齢化していた基金につきましては、当然高い代行料率を計算されたと思いますので、一律の料率をオーバーして基金は負担していた。代行するために、その基金がオーバー負担していたということがございます。そのことについて、今日、後でよろしいのですけれども、今、指定基金に80とか90とかございます。
 実は、私の基金もそうなので、伺うのですけれども、オーバー負担していたことがあるのですが。高齢化している基金が結構多いということになりますと、昔の一律だったときの掛金がオーバーしていたのではないかと思っていまして、それが届け出がされていれば、おわかりになれば、次回教えていただければと思います。
 もう一つは、それだけじゃなくて、今度はまた別のことを、これは専門家、数理の方に伺いたいのですけれども、最低責任準備金を積み立てるということで、今、国の方にお返しするわけですけれども、入りの方は免除保険料ですが、免除保険は基金方式ですから保険料で来るのですけれども、最低責任準備金の方は単位別というか、違った方式で計算されている。実は、入りと積み立てるべきものがリンクしていないのだと伺いました。
 そうしますと、17年4月までは、そのことが目に見えない負担になって、先ほど申し上げた高齢化している基金について、今、不足金が立っているとありましたけれども、この中の何がしかがそういった要因で不足金が積み上がっている。要するに、その基金の責任ではなくて、制度の見えなかった部分なのだろうと思いますけれども、積み上がっているのだと伺ったことがあるのですが、その辺のところも教えていただければと思っております。
 以上でございます。

○山口座長
 今の後段の部分はどうですか。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 まず、前段部分ですが、当時の代行保険料率の提出率までは、私どもの方にはないと思いますが、平成8年までの免除保険料率の考え方といいますのは、すべての基金が一つの基金をつくったということを仮定して、マクロで見て中立になるようにという形で設定されておりました。ですので、御指摘のように、かなり高齢化が進んで免除保険料率で賄えないところもあったと思いますが、逆に申し上げますと、それ以下で賄えていたところもあったわけで、そこがいわゆる代行メリットであったわけでございます。
 そういう形でのメリット、デメリットというものをできるだけなくして、個々の基金の実態に則したものにしていこうということで、8年から免除保険料率の複数化、そして個別化ということが進められたということでございます。
 後段の部分は、また改めて少し整理させていただきたいと思います。

○山口座長
 ほかに御意見ございますでしょうか。小野委員。

○小野委員
 ありがとうございます。
 資料で何点か御指摘申し上げたいのですが、前段の2ページとか3ページを見ていますと、確かに厚生年金基金の運用利回りというのは本体に負けていますという話です。この期間は負けていることは事実なのですけれども、平成12年度から3年連続マイナス、パーフェクトストームと言われた時期です。それから、その後にサブプライム問題があり、その翌年にリーマンの問題があり。ここでは顕著には出ていないのですが、この後に欧州危機といったものがある。
 そういう意味では、かなりのマイナス面を含んでいるので、負けは負けかもしれないですが、この統計自体はやや酷かなという感じを持っています。それが1点です。
 2つ目は、6ページの非正規労働者の推計です。私は、厚生年金基金の状況を個別に拝見する機会もありますが、特に現在の総合型厚生年金基金に多いのは、加算型といっても、加算適用加入員イコール加入員というケース、あるいは、加入員なのだけれども65歳以上の人を加算適用加入員から外す、こういうケースです。
 ですから、それを考えると、加算型厚生年金基金の加算適用加入員にも、結構非正規労働者と言われる方々が含まれている可能性があると私は思っています。ですから、この23万人という数字は、過小評価の可能性があるという印象を受けました。
 それから、7ページは加入者規模別ですが、確かに数値をとればそういうことなのでしょう。問題は、こういった年金制度を実施していない事業所も含む、全事業所に対してどのぐらいの適用率になっているかということかと思います。事業所規模別の年金の適用率という面から、どういう傾向が出るのかということは、別の問題かという気がします。
 最後ですが、私は8ページの資料をお願いしたわけでございます。実はお願いするときに期ズレの問題にこだわりたいと申し上げました。3回ぐらい前の資料だったでしょうか、年によって代行割れの状況が非常に大きく変動するという話がありました。それが期ズレの補正を行うと、どのぐらいになるか。補正を行った結果として、どういう状況なのか、あるいは前回の御説明の中でもあったのですが、決算の状況がなかなか読めない中で、ある程度の利益を確保することを考えると、それなりのリスクをとった運用をせざるを得なくなったという事情もあったかと思います。
 この辺りの構造的な問題から、どうしてこういう状況になってきたかということを確認したかったということもあり、お願いしたということです。そういう意味では、これが経年別にわかる資料があるとよいと思った次第です。
 以上です。

○山口座長
 ほかに御意見ございますでしょうか。はい。

○蟹江委員
 5ページの資料なのですけれども、厚生年金の財政構造、平成21年度財政検証が説明されています。この中で、国庫負担の330兆円がどこから来ているのかということと、年金特会の120兆円のことについてです。後者は現在価値に割り戻してということだそうですけれども、その想定利回りと現在価値に割り戻した場合の利回りについて、同じなのか違うのかを教えていただければと思います。

○五十里企業年金国民年金基金課数理室長
 国庫負担ですけれども、右側にある給付の1,660兆円ですけれども、これは2階部分、厚生年金の給付と基礎年金に係る拠出金の2つで構成されています。基礎年金に関しては、国庫負担2分の1となっていますので、それが330兆円という整理になっているということでございます。
 それで、この計算の想定利回り、経済前提ですけれども、物価上昇率が1.0、運用利回り4.1、賃金上昇率2.5を前提にして物価で割り引いて、運営利回りは4.1という前提になっているということでございます。

○山口座長
 蟹江委員。

○蟹江委員
 年金運用をしている者の実感として、4.1%が100年間続くのかという感じもするのですけれども、当面の間は1%とか2%から始まっていって、やがて4.1%になるという計算だと思うのですけれども、その辺りの現実性はどのようにお考えですか。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 ここは、厚生年金本体の経済前提になりますので、この場で私がお答えするのが適切かどうかというところはございますが、これにつきましては、5年に1回の財政検証ということで、直近は今、申し上げましたように平成21年の財政検証で、次回は平成26年になります。
 この4.1と言いますのは、勿論足元ではございませんで、超長期の前提ということで設定されておるわけでございますし、また厚生年金の場合は基金と違いまして、積立方式ではございませんので、名目よりは、実質利回りが非常に重要になってくる。いずれにしましても、ここにつきましては、次期財政検証に向けまして、別途これは年金部会の下に、こういう経済前提を議論する委員会ができておりまして、そちらの方で今、議論を進めている状況でございます。

○山口座長
 済みません、私は前回の財政検証の際に社会保障審議会年金部会の委員並びに経済前提委員会の委員として、4.1%についての議論にも参加した立場でございます。その中では、おっしゃるように、今の足元の金利としてこの水準が高いのではないかというのは、私もそのとおりだと思います。
 ただ、私たちは、2009年から100年間の財政計画を考えるということで、その中で我が国の生産性の上昇率、その背景には高齢者や女性の労働力市場への参画率の上昇など、さまざまな要素をそれぞれご専門の先生に入っていただいて推計してつくったものでございますので、いろいろなお考えもあるでしょうけれども、この委員会での一つの結論であったということです。したがって、これはあくまでも100年間の将来見通しを投影する一つの見通しとして、そういうものを置いたという風にご理解いただきたいと思います。
 そして、その際に、データとして用いた期間はリーマン・ショックの前のものでしたが、それらの時点では我が国の生産性の上昇といったものも着実にございました。そういったものをベースにつくったということで、足元の数字とそごがあるということについては、そのとおりだと私も思いますが、あくまでも100年間の計画の中で使われた数字であるということは、この会議の座長というよりも、そのとき参加した委員として補足させていただきたいと思います。
 ほかに何か御意見ございますか。お願いします。

○清家参考人
 幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 この会議で、私ども、厚生年金基金を採用している企業ばかりでは必ずしもなくて、企業年金のない方等々も含めて、いろいろと勉強させていただいています。ただ、厚生年金基金について、財政中立化が進んでいて、難しくて複雑なところもあるのですが、公的年金の色彩が強まっているのではないかという印象を持っています。
 とすれば、今後の代行制度、民主党さんは一律廃止という、なかなか受け入れがたいお話もされているようですが、厚生年金本体の財政にどれぐらい影響が及ぶのかという点について、今日の御説明でも、成熟度の問題等々、先行きどうなるのかなかなか厳しいものがあるのではないかという御指摘もありました。今後、冷静な議論ができる形で、今日も厚労省から数字が御提示されましたが、その辺りを含めてきちんと慎重な検証をしていく。サステナビリティが確保されているのかという点をきっちり検証していただきたいというのが1点でございます。
 それから、これも前回、今回もそうですけれども、基金関係者の皆さんがおっしゃられているような、基金の皆さんが自主努力で頑張っていきたいという観点で、阻害されている部分は前向きに対応していくことを是非お願いしたい。
 それから、これまで、厚生年金基金の話がかなり中心になっておりますが、私どもとしては企業年金、DB、DCという約10年前にできた制度を、もっと使い勝手がよくて、制度の運営コストが下がるような仕組みを御検討いただくと、中小企業の方々でも今、採用されていないところを含めて、もっと普及していくのではないか。そういった前向きな検討は是非積極的にやっていくべきではないかと考えております。主な論点の最後に、中小企業の企業年金の在り方という項目が取り上げられていたと思いますので、その辺り、是非前向きな御議論をお願いできればと考えております。
 これは税制も絡む問題がありますけれども、そういった点も是非お願いしたいという点を申し上げておきます。

○山口座長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見。森戸委員。

○森戸委員
 今の資料の6ページの非正規労働者についての推計、私も資料を準備していただくようお願いした1人ですので、ありがとうございました。ただ、せっかく用意していただいたのにあれなのですが、これだけだともうちょっと説明がないといけないかなという気がいたしました。
 まず、そもそも有期契約の方の議論でもそうですが、非正規労働者という統計も、パートとかアルバイト、契約とかをあわせて呼んでいるのですけれども、どういうイメージで語るかによっても大分話が違ってくるように思います。それで、この推計の前提は、要するに厚生年金基金で、非正規の人は加算部分は普通適用になっていないから、その分が非正規だろうという前提で出しているということで、さっき小野委員がおっしゃったように、それだと過小評価の部分があるのではないかというのは、そうかなと思います。
 いずれにしても、何でここで当然非正規となるのか、そう考えられるのかというのは、もうちょっと説明しないとわかりづらいなというのが1点と。
 他方で、過小評価でもあるのかもしれませんが、全体として見ると、参考のところにあるように、そもそもこれは厚生年金、2階部分に適用のある人の話なので、普通、非正規問題で大変だという話は、厚生年金にも入れない、普通適用がないとか、もっと適用を広げるべきだという議論で非正規問題が語られる。それから言えば、過大評価と言うと変ですけれども、肝心の部分がここの議論に入っていないということも、この数字を見るときには理解する必要があると思います。いずれにしても、この説明をどういう理屈で、どういう人が、ここで言う非正規なり、どういう前提でこの資料ができているかというのは、少し説明が必要かなという話と。
 少し話が大きくなってしまうのですけれども、それに関連して、結局は既にいろいろ専門家からも指摘があるところですけれども、2階部分があって企業年金が3階だと乗っていると。だから、公的年金の加入資格なり被保険者資格を前提に、企業年金も考えている。そういう前提でつくっているので、こういう話が起きるので、今後、中小企業の労働者の話もそうかもしれませんが、非正規の人も含めた3階部分というか、非正規年金の部分を考えるときに、2階の厚生年金の被保険者資格なりを前提に3階部分も考えるという発想でいいのかどうかも、少し議論しないといけないのではないかと思います。
 企業年金は、正規労働者のものとして発展してきた部分があると思いますので、それを前提に3階と考えると、どうしても更に狭まると思うので、そこはもしかしたらもうちょっと広く、前から申し上げていますけれども、自営とか非正規とか中小企業の労働者も含めての全体としての自助努力の枠みたいなものがあって、その中で企業年金をどう位置付けるかという考え方をすべきだというのは、しつこく申し上げているのです。
 この話もちょっと広げ過ぎかもしれませんが、結局、2階と3階の保険者資格なり加入資格みたいなものが連動しているところにも、1つ問題点というか、検討すべき余地があるのかなと思いましたので、その点、一言申し上げておきます。
 以上です。

○山口座長
 では、翁委員。

○翁委員
 今日、ヒアリングをお聞きしまして、解散を希望していながら非常な困難に陥っている基金については、解散のネックになっている例えば債務処理の問題とか手続上の問題とか、そういった点を解決することが非常に重要だと思います。中小企業の経営にも影響を及ぼしますし、ひいては社会全体へのコストの拡大を防ぐという点でも非常に重要だと思いますので、こういった問題に直面しているところについては、先送りせず処理していく方向で、できるだけ支援することが重要だと思います。
 一方で、代行割れの解散というのは、厚生年金本体に対しても大きな影響を及ぼしますので、先ほど御紹介がありましたように、本体にも中小企業の方もおられるということで、本体の方々も納得ができる形で基金の債務の計算などをやっていくことが必要だと思います。ここについては、国民の納得の得られるような形で、今回同じような問題に直面している多くの基金について、今後の不確実性を小さくするという意味でも、少し考慮して同時に進めていく必要があるのではないかと思います。
 それから、指定基金制度について質問がありまして、この評価が難しいなと思います。どのぐらいきちんと指導されていたのか。指導されていたというところもありますし、そうでなかったというところもあったのですけれども、これは代行を抱えている制度でございますので、本体が大きな傷を負わないようにするという視点が非常に重要であります。
 指定基金制度は、単に基金の継続のためにやるということではなく、非常にその基準設定が難しいのですけれども、金融機関では早期是正措置というのがありますが、ある一定の基準までは行政が介入して支援していくわけですけれども、ある基準になったときには、それを処理していくという設計で考えていく必要があるのではないかと思います。

○山口座長
 ありがとうございました。では、花井委員、お願いします。

○花井委員
 まず、質問をしたいと思います。4ページですが、アンダーラインを引いている、仮に、分割納付中のすべての事業所が倒産した場合云々。特別会計が負担することとなる。その次のページの下の四角囲みの厚生年金基金との関係という1つ目の丸ですが、最終的な給付責任は厚生年金本体が負うとなっているわけです。そうしますと、これは例えば上のところで、すべて事業所が倒産して、その積み立て不足で代行割れのまま倒産した場合は、そこの企業の受給者の人たちの年金は、年金本体がかわって払うという解釈でよろしいのかということです。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 もう少し丁寧に申し上げますと、厚生年金保険法上は、代行部分につきまして、勿論、代行割れ解散を想定していませんので、通常、本則では解散すると、企業年金連合会に給付責任が移り、代行部分も移る。ただ、企業年金連合会が仮に解散した場合には、最終的には国に給付責任が移る。そのときに必要な最低責任準備金は移管することになっております。
 あわせ読めば、いずれにしても代行部分の最終責任は厚生年金本体が負うということですから、代行部分について給付されなくなるということはございませんが、そこの資産が足りなくなれば、勿論、基金の皆様も厚生年金に入っているわけでございますが、厚生年金全体で広く負担していくことになるわけでございます。

○花井委員
 それで、今の4ページの図の右側で、厚生年金本体というのは99%が300人未満の中小事業所ということで、圧倒的多くが中小企業だということがここに記載してあります。
 それから、7ページも資料をお願いして出していただいたのですが、私はさっきの小野先生の見方と違うのですが、中小企業でも企業年金をつくることは十分可能ではないかと思います。そうしますと、厚年基金は中小企業労働者のためのものだ、3階部分の給付なのだということも、勿論それはありますが、それ以外の企業年金はなかなかつくりにくいというのは、違うのではないかというのが、私がこれを見た感想です。
 それから、中小企業の労働者の企業年金も必要なことは全く否定しませんが、同時に代行割れした場合の最終的な給付はどこからするかというと、それも中小企業の労働者が払った年金本体であるとも、今回出していただいた資料から読み取れるのではないかと思いますので、是非とも厚生年金との関係をこの有識者会議でももう少し検討いただきたい。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員
 本日、2つの基金の皆様方から事情を伺いまして、いろいろな感想を持ったところでございます。その中でも最も強いものは、両基金とも大変古い基金であって、非常に大きな構造的な経済変動を経た結果として、今日のお話のようなことになっているのではないかと思います。この厚生年金の制度も半世紀を経ている制度でございますので、その半世紀という間であれば、到底想定しがたかった経済変動が起きるのは、言わば当然でございますので、今日伺った両基金のようなところにおかれましては、発展的に解消といったためのさまざまな準備はあってもよろしいかと思います。
 この点、両基金とも金融機関との関係について、いろいろな御懸念をお持ちのようでございましたけれども、年金の御当局におかれては、この点については、特に金融当局との建設的なお話し合いをしていただければと思うところでございます。
 あと、そういった非常に大きな経済変動を受けた基金というものの行く末を皆で考えていくといったことは、この基金制度全体の持続可能性を高めるという面もあろうかと思いますので、この点につきまして、もう一点補足しておきます。数回前の会合でもちょっと出た話でございますけれども、例えば非常に規模の小さい基金におかれては、基金の事務局において、きちんとした運用の体制を持つことの負担が重いところもあろうかと思います。
 そのようなところにつきましては、これは基金の選択肢の一つを用意するということではありますけれども、例えば数回前の議論で出ましたような、企業年金連合会に運用を委託するといった道を開くといいますか、用意するといいますか。あくまで、これは選択肢としてということでございますけれども、そういったことも含めて、非常に厳しい状況にある基金について、サポートできるところはサポートしていくといった工夫を凝らすことの必要性。この辺は、今日、2つの基金のお話を伺いまして、そのような思いを強くしたところでございますので、あえて申し上げます。
 以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。鹿毛委員。

○鹿毛委員
 今日、お話を伺いまして、両基金とも本当に大変ですね。御苦労が多いのだなということを改めて痛感しました。もともとこの会議はAIJ問題をきっかけにして、そうしたことの再発を防ぐための運用規制の在り方を議論する場と理解しています。こういうことが起きるのは基金全体として問題があるのではないかという、一部かもしれませんけれども、そういう御批判もあって、それに対してどういう対応をするかということで、とりあえずは基金全体の問題となったわけです。
 これについては、全体として見れば、確かに積立率の高いところもあり、内部のガバナンス、その他の制度もできているところもある。つまり、前回の議論は、全体として基金制度は廃止するとか、問題が大きいと扱われるのは困るという御意見が強かったように思います。これは、勿論ごもっともでもあるのだろうと思います。
 こうした前回の議論と今回の議論を両方考えながら、次の2回はもうまとめに入られるということのようなので、その参考として私の私見を申し上げたいと思います。。
第一に、今日お伺いしているような、例えば約三百人の方で1,800人を支えているという基金の状況というのは、ほとんど待ったなしと言えます。こういうケースへの対応は非常に緊急性が高い。いろいろ要望事項等が出ましたけれども、こうした点について早急に対応する必要があると思います。これは今回のこの会議の一つの方向性としても、明確にに打ち出す必要があるのではないか。
 今日は2つの基金のお話を伺いましたけれども、こうした基金は積立比率の表を見ても、恐らくこの2件にとどまることではなくて、多分何十とあるかもしれません。AIJをきっかけとして、多少増えたかもしれません。要は、緊急対応の課題は何かというところをできるだけ詰める。これは優先度が一番高いのではないか。
 第二に、今すぐ緊急的な課題ではないにしても、潜在的に積立不足問題を抱えながら、これから何年か経っていくと、深刻な事態となる可能性もあるところをどう考えるかという問題です。これは、何人かの方からも御指摘のあるような、母体企業のおかれた厳しい環境などを含めてです。この辺りは、放置していいということにはならなくて、何らかの対応が必要ではないかと思います。
 第三にとりあえず現状では、積立比率もそこそこ100%を超え、安定しているところもあると思います。前回の会議でお話されたような大型の基金であれば、将来はともかく、問題の程度はかなり違うのだろうと思います。このように基金によってかなりの差があるにも拘らず、基金を全体としてまとめてどうするかという議論は、私も前回申し上げましたように、少し乱暴ではないかと思います。問題の緊急性あるいは深刻さ、あるいは解決にかかる時間軸を考慮して、とりあえず基金を何通りかのグループに分けて、短期、中期、長期という方向性の考え方を出すのも、今後のあと2回の議論の一つのポイントではないかと思いました。
 最後に、この会議を通じて、いわゆる代行割れ部分が6,300億円という数字が、ある意味ではひとり歩きしていると思います。別の言い方をしますと、総合型の現場の方からは、0.875問題とか期ズレとか問題提起があって、過大表示ではないか、また6,300億というつかまえ方は特定の時期の評価の問題だということで、これも納得できないという感想があるのだろうと思います。
 そうした幾つかの観点を考慮して代行割れの数字を見直してみては如何かと思います。特にもう少し時間軸をとってみて、それが長期的に見て、過去どういう数字だったか?、今後5年から10年、15年ではどうなっていくのかということが、もう一回洗い直されて出てくると、代行割れの全体像がこの委員会でももう少しつかみやすくなるのではないかと思います。
 以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。ほかに御意見。山本委員。

○山本委員
 今、資料の4ページを見ているところなのですけれども、先ほど花井委員がおっしゃいましたアンダーラインのところ。最終的にこういうことであればということなのですが、例えがいいかどうかわかりませんけれども、厚年本体が仮に厚生年金基金に国の報酬比例部分を貸し付けていると考えた場合、代行割れを起こしているところとか、今回、AIJでガバナンスが効いていなかったとみなされる部分、あるいはそれが改善しないとみなされる部分については、貸し倒れのリスクがあるということで、これは早期に回収すべきだと思います。
 一方、ガバナンスが効いているところである、あるいは成熟度がまだまだ若いところについては、貸し倒れという意味ではリスクは極めて少ないと思います。その観点からしますと、一律にこういう状況なので、厚生年金基金制度全体を否定するということにはならないのではないかという感じがします。その点では、今日お話をお伺いしたところを含め、非常に厳しい状況にあるところと、そうではないところは分けて考えたいなと考えています。
 一方で、今日お話をお伺いした2つの基金を初めとして、同じような状況に置かれている方々については、何人もの委員がおっしゃっていますけれども、早期に解決すべきだという思いが非常に強くありますし、経済活動そのものを何かルールによって阻害されるようなことは、本末転倒なのではないかという感じがします。
 以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 特にないようでしたら、本日はこれで終了いたします。
 それでは、事務局から次回の日程についてお願いします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 次回でございますが、来週6月19日火曜日の16時から、午後4時からを予定しております。詳細は、追って連絡させていただきます。

○山口座長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の審議は終了といたします。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。


(了)
<厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課>
代表: 03-5253-1111(内線3320)

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