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2012年6月4日 第2回新型インフルエンザワクチンの流通改善に関する検討会

健康局結核感染症課予防接種室

○日時

平成24年6月4日(月)
14:00~16:00


○場所

厚生労働省12階 専用12会議室


○議題

(1)平成21年新型インフルエンザ発生時におけるワクチンの在庫状況等について
(2)その他

○議事

○今井予防接種室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより第2回新型インフルエンザワクチンの流通改善に関する検討会を開催いたします。
 本日、御出席の委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 検討会の開催に当たりまして、外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山でございます。
 本日は御多忙のところ、本検討会に御出席いただき、ありがとうございます。開催に先立ちまして一言ごあいさつを申し上げます。
 本検討会の第1回会合は、昨年9月に医薬食品局長の検討会として開催されておりますけれども、その後、昨年10月にワクチンの生産・流通の改善などに関する事務が、医薬食品局から健康局に移管されたことから、今回より健康局長の検討会として開催させていただくことになりました。構成員の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて最近、政府におきましては、新型インフルエンザ対策に関しまして2つの大きな動きがございました。1つは、今年1月に新型インフルエンザ専門家会議におきまして、「新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書」がとりまとめられたことでございます。本意見書におきましては、ワクチンの供給体制や接種体制などについて、具体的な仕組みを提言いただいております。
 もう一つは、今年4月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が国会で成立いたしまして、5月11日に公布されたことでございます。この特別措置法は国民の生命・健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等に対する危機管理法制として制定されたものでありまして、この法律におきまして強毒性の新型インフルエンザの予防接種の制度的な位置づけが明確化されたところでございます。
 このように、前回の検討会開催時からワクチンの流通を取り巻く環境が大きく変わっておりますので、本日の検討会ではこのような状況の変化を十分に踏まえた上で、御議論を深めていただければと存じます。
 本検討会においてとりまとめていただく御意見につきましては、今後、政府全体で検討が進められる予定のガイドラインなどにしっかりと反映させてまいりたいと考えておりますので、積極的な御議論をいただくことをお願い申し上げます。
 以上でございます。
○今井予防接種室長補佐 まず、本検討会の構成員について事務局より報告がございます。
 このたび保坂構成員が退任されたことに伴い、新たに社団法人日本医師会常任理事の小森構成員が御就任されましたので、御報告いたします。
○小森構成員 日本医師会の小森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○今井予防接種室長補佐 次に、本日の構成員の出欠状況について報告いたします。
 本日は、三村構成員から欠席の御連絡をいただいております。
 次に、本日は参考人といたしまして、長野県岡谷市福祉環境部介護福祉課長の橋爪誠参考人、聖隷浜松病院薬剤部係長の山内拓参考人に御出席いただいております。
 次に、出席しております厚生労働省の職員を紹介いたします。
 結核感染症課長の正林でございます。
 結核感染症課新型インフルエンザ対策室長の神ノ田でございます。
 結核感染症課企画官の丈達でございます。
 結核感染症課課長補佐の難波江でございます。
 予防接種室の今井でございます。よろしくお願いいたします。
 以上で、出席者の紹介とさせていただきます。
 ここからは庵原座長に議事をお願いいたします。
○庵原座長 それでは、まず事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○今井予防接種室長補佐 1枚目に議事次第がございまして、資料の一覧を記載しております。資料1~10と参考資料がございます。資料一覧と照らして不足しております資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
○庵原座長 それでは、議題1の平成21年新型インフルエンザ発生時にワクチンの不要在庫を生じた要因について、まず討論したいと思います。
 本日の進め方といたしましては、まず事務局から、新型インフルエンザ等対策特別措置法と新型インフルエンザ専門家会議意見書についての概要、前回の新型インフルエンザ発生時のワクチンの流通スキームと在庫状況、都道府県で実施した不要在庫を減らすための工夫と在庫の発生要因の考察について説明があります。
 その後、返品が少なかった事例として、千葉県の取組みを井上構成員からお願いして、市町村の取組みを岡谷市の橋爪参考人、医療機関における取組みの例を聖隷浜松病院の山内参考人から御説明いただく予定にしております。
 その後、こうした事例を参考にしまして、不要在庫が発生した要因について議論を行っていただいて、今後、新型インフルエンザが発生した際に、ワクチンの不要在庫をできるだけ生じさせないための対策について御検討いただくという予定になっています。
 それでは、まず、事務局より資料1~7まで、長いですけれども、説明をお願いします。
○今井予防接種室長補佐 まず、資料1、運営要綱でございます。
 「4.検討会の運営」と「5.検討会の庶務」について、医薬食品局から健康局への移管に伴い必要な変更をいたしております。
 続きまして、資料3「新型インフルエンザ等対策特別措置法について」です。
 この法律は、病原性が高い新型インフルエンザや新感染症に関する対策の強化を図るものでありまして、今年4月に国会で成立し、5月11日に公布されました。この法律の中で、予防接種に関しまして、2つ枠組みが定められております。
 1枚目の「1.体制整備等」の(4)発生時における特定接種(医療関係者、社会機能維持事業者の従業員等に対する先行的予防接種)の実施と、「2.『新型インフルエンザ等緊急事態』発生の際の措置」の?住民に対する予防接種の実施の部分について、その実施体制を示したのが次のページになります。
 特定接種につきましては、プレパンデミックワクチンを医療関係者や社会機能維持事業者の従業員などに先行的に接種するというものでして、政府対策本部長の指示に基づき、厚生労働大臣が臨時に予防接種を行うということが定められました。
 下の枠ですが、住民に対するパンデミックワクチンの予防接種につきましては、新型インフルエンザ等緊急事態において政府対策本部が定める基本的対処方針に従って、市町村が都道府県知事の指示に基づき実施するという枠組みが定められました。
 次に、資料4です。今年1月に新型インフルエンザ専門家会議において、「新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに関する意見書」がとりまとめられております。資料4は、その意見書のうちの新型インフルエンザワクチンに関するガイドラインについて全文を掲載したものです。
 ここでは、本検討会の議論に特に関係する部分を読ませていただきます。
 10ページ目、(4)ワクチンの供給体制についてです。
  ア.ワクチンの供給体制について
 (ア)未発生期
○厚生労働省は、プレパンデミックワクチン及びパンデミックワクチンを国が売却して供給することに備え、以下の体制を整備するよう、都道府県に要請する。
・ 接種者の予定数を把握し、都道府県卸売販売業組合等により、各都道府県におけるワクチンの流通を調整する体制を整備する。
・ ワクチンの偏在が生じないよう、医薬品の卸売販売業者等におけるワクチンの在庫量を把握するための体制を整備する。

   (イ)海外発生期以降
  ○政府対策本部が定める基本方針に基づき、厚生労働省は、ワクチン製造販売業者と協議して、供給量についての計画を策定するとともに、その計画に基づき、パンデミックワクチンを購入し、ワクチンの流通を管理することとする。

  ○厚生労働省は、保有するプレパンデミックワクチン及び購入したパンデミックワクチンを販売業者に売却するとともに、都道府県ごとの供給量を割り当てる。その上で、都道府県が管内における流通を調整する。
  (供給量の調整)
  ・ プレパンデミックワクチン及びパンデミックワクチンの先行接種においては、医療従事者・社会機能の維持に関わる者に係るワクチン配分量については、各省庁が内部部局等を経由して所管する業種の事業者等に照会し選定した対象者数等を厚生労働省が取りまとめ、都道府県事の配分量を算出する。
  ・ パンデミックワクチンの接種においては、厚生労働省は、都道府県ごとの配分量を各都道府県の人口や当該優先接種対象者数等の概数などに基づき算出する。また、都道府県は、ワクチン配分量と、管轄する市町村から報告された接種対象者数及びワクチン必要量を基に、各市町村へ供給するワクチン量を決定する。
  ・ 厚生労働省は、都道府県ごとのワクチンの供給量と供給予定時期など、ワクチンの供給計画を情報提供する。また、出荷の都度、都道府県へのワクチン配分量を都道府県へ通知する。
  (供給先の把握)
  ・ 都道府県は、ワクチンの供給先を把握し、各会場における接種対象者数及びワクチン必要量を決定する。
  (ワクチンの流通)
  ・ 厚生労働省は、都道府県への配分量に基づき、販売業者へワクチンを売却する。
  ・ 都道府県は、管内における流通をコントロールするため、都道府県卸売販売業組合等及びワクチン供給先(市町村、医療機関等)と連携し、情報を集約し、必要量を的確に医療機関等に納入することにより、迅速かつ円滑な流通に努める。
  ・ 都道府県は、都道府県卸売販売業組合等の関係者と十分な協議を行い、各供給先への納入卸売販売業者を決定する。
  ・ 都道府県は、厚生労働省からの配分量の決定を受けて、都道府県卸売販売業組合等の関係と十分な協議を行った上で、医療機関等への納入量を決定し、卸売販売業者に対して各供給先の納入数量を提示し、納入を依頼する。その際、医療機関等の規模や接種計画等を勘案し、1mL製剤及び10mL製剤等の配分についても決定する。
  (供給量の把握)
  ・ 厚生労働省は、卸売販売業者が集団的接種を実施する会場又は各供給先へ販売した量及び時期に係る情報を定期的に収集し、都道府県に情報提供する。
  (返品)
  ・ 厚生労働省は、事故返品を不要返品と明確に区別し、不要返品は原則認めないこととすることを関係者へ周知する。
  ・ 都道府県は、各供給先における接種予定本数及び在庫本数を的確に把握して供給本数を調整する。
 (5)ワクチンの接種体制につきましては、16ページをごらんください。中ほどより下の部分に「イ.病原性が高い場合のパンデミックワクチンの接種体制について」とありまして、一番下の○ですが、「このため、予防接種法上の臨時接種として、かつ、原則として集団的接種を行うことにより、全国民が速やかに接種することができる体制の構築を図る」とあります。
 続いて18ページ、病原性が高い場合のパンデミックワクチンの接種体制の構築です。
   (カ)接種体制の構築等
  ○パンデミックワクチンを早期に供給し、できるだけ早く接種するためには、ワクチンの大部分を10mLなどの大きな単位のバイアルで供給することとし、原則として集団的接種を行うものとする。
  ○なお、1mLバイアル、プレフィルドシリンジ等の小さな単位のワクチンについては、妊婦、在宅医療の受療中の患者など、特に必要な者が利用するものとし、これらの者については個別接種を行うものとする。
 続いて、19ページです。
   (キ)接種の予約等
  ○これらの接種対象者について、地域の実情に応じてあらかじめ計画した手順で接種の通知を行い、接種の予約を受け付ける。なお、被接種者が複数の接種会場に重複して予約することがないよう、市町村は窓口を統一した上で、接種会場を適切に振り分けることが望ましい。
 次に、21ページです。
  ウ.病原性が高くない場合のパンデミックワクチン接種
   (イ)法的位置づけ・実施主体等
  ○病原性が高くない場合においては、予防接種法の新臨時接種として接種を行うものとする。
  ○実施主体については、国民全員が身近な場で接種できる体制を早期に構築する観点から、市町村が実施するものとする。
 22ページの(カ)接種体制の構築等は、病原性が高い場合と同じ記載となっております。
 23ページの(キ)接種の予約等の部分も、病原性が高い場合と同じ記載となっております。
 次に、29ページの「(今後の検討課題)」です。
  イ.ワクチンの供給体制について
  ○ 厚生労働省は、被接種者が予約をする窓口を一本化する等、不要な在庫を発生させないための流通上の工夫について、更に検討し、あらかじめ示すべきである。
  ○ 厚生労働省は、各接種会場にワクチンが平等に供給されるための方策を検討し、あらかじめ示すべきである。
 資料4は以上です。
 次に、資料5に移ります。平成21~22年当時の新型インフルエンザワクチンの流通スキームを示したものです。
 簡単に申し上げますと、?厚生労働省は製造販売業者からワクチンを買い上げまして、?厚生労働省は都道府県別の配分量を決定し、?販売業者にワクチンを売り払っております。?販売業者は卸売販売業者に販売し、??都道府県は各医療機関への納入量を調整し、卸売販売業者に納入依頼をしております。?卸売販売業者は、それに基づき各医療機関へ納入するというスキームでした。
 次に資料6に移ります。当時のインフルエンザの流行状況とワクチンの在庫状況の推移を示したものです。
 まず、青点線のグラフが流行分布を示しております。平成21年11月23~29日の週にピークを迎え、その後、急速に流行が終息に向かっております。黄色い折れ線グラフは、メーカーからの出荷量を示しております。緑色の点線のグラフは、医療機関に納入された数量を示しております。その差をここでは「流通在庫」と記載しております。流通在庫がいつごろから増え始めたかといいますと、12月14~20日の週の辺りに、メーカーからの出荷量が約2,170万回という記載がございますが、それまではメーカーから出荷された量がそのまま医療機関に納入されておりましたけれども、12月半ば以降はメーカーから出荷された量が医療機関に納入されずに、流通在庫となっていた傾向がわかると思います。
 流通在庫は、平成22年3月に卸売販売業者から販売業者へ引き上げを行っております。
 また、赤い点線のグラフが接種者数です。緑色のグラフで示している医療機関への納入数量との差を「医療機関在庫」として示しております。医療機関在庫は1月18~24日の週辺りに医療機関納入数量が約2,150万回という記載がございますが、1月下旬までは医療機関に納入された量と接種者数が並行しておりましたけれども、この1月下旬以降は医療機関に納入された量が接種されずに、医療機関在庫となっているのが全体的な傾向として示されていると思います。
 また、グラフの下にあります標準的接種スケジュールは、当時、優先接種対象者を定めておりましたので、そのときの状況を示したものです。
 次に、資料7です。平成21~22年当時の新型インフルエンザワクチンの接種時における各都道府県の対応状況につきまして、今年4~5月にかけて各都道府県に照会いたしまして、その回答結果を結核感染症課にてとりまとめたものでございます。なお、都道府県の回答には担当者個人の見解も含まれております。
 1.医療機関及び流通業者における不要在庫を減らすための工夫
  ○国からのワクチン配布の都度、医療機関に配布希望数の調査を行い、必要量をきめ細かに供給した。
  ○医療機関からの発注量に上限値を設定した。
  ○人口比で医療圏の配分枠を算定し、地域偏在を回避した。
  ○返品不可である旨を、ワクチン配分の度ごとに医療機関に周知した。
  ○医療機関において計画的な接種を実施できるよう、今後の国のワクチン配分の見通し等に関する情報提供を行った。
  ○1医療機関に1つの卸売販売業者を決定した。
  ○1mLバイアルは小規模医療機関及び小児科に優先配分し、10mLバイアルは大規模医療機関及び集団接種に供給するなど、供給バイアルの調整をした。
  ○厚生労働省からの事務連絡に基づき、希望する医療機関に対して、10mLバイアル製剤と1mLバイアル製剤の交換に応じた。
  ○厚生労働省からの事務連絡を周知し、医療機関の間での交換・融通を可能にした。
  ○集団的接種を実施することにより、10mLバイアルの効率的な使用に努めた。
  ○医療機関に代わって市町村が予約を受け付け、重複予約を回避した。
  ○ワクチンが十分供給されるようになった平成22年1月下旬以降は、都道府県による流通管理から市場流通に切り替え、卸業者が医療機関の発注に迅速に対応できるようにした。

 2.医療機関に在庫が発生した原因の考察
  ○接種開始後に、接種回数が2回から1回に変更された。
  ○国が全国一律の優先接種順位を定めたために、地域での流行状況に応じたワクチン供給ができず、需要と供給バランスが崩れた。
  ○流行のピークを越えてからワクチンが供給されたため、当初の想定よりも被接種者が増えず、結果的に在庫となった。
  ○医療機関に対する希望数調査を実施してから、実際に納入できるまでに時間を要したため、需要の急激な減少に対応できなかった。
  ○接種対象者が複数の医療機関に予約したために、接種後に他の医療機関の予約がキャンセルされる事例があった。
  ○予約後に罹患したために、予約がキャンセルされる事例があった。
  ○接種期間半ばで患者数が急減し、需要そのものが減少した。
  ○初期段階では予約が殺到していたため、需要を見越して多めに発注する医療機関があった。
  ○使い勝手の悪い10mLバイアルが使用されずに、不要在庫となった。
  ○季節性インフルエンザでは余剰分のワクチンを返品できるという商習慣が影響したのではないか。
 以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。
 それでは、議論は後にしまして、この資料の説明に関しての御質問を受けたいと思いますが、何かございますか。
○荒井構成員 ちょっと確認させてほしいのですけれども、資料4「新型インフルエンザ対策ガイドラインの見直しに係る意見書」の10ページに(4)ワクチンの供給体制とございまして、(イ)海外発生期以降の厚生労働省が製販業者と協力して供給量の計画を立てて、パンデミックワクチンを購入してワクチンの流通を管理するというのは、高度病原性とか、あるいは高度でない病原性のワクチン、インフルエンザについても同じ対応だと理解してよろしいのでしょうか。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 ここは、国としてワクチンメーカーさんにこれぐらいつくってくださいというお願いをするからには、お願いした量をちゃんと国が買い取るべきではないかと。国が買い取れば、買い取ったものについてちゃんと供給する計画も含めて対応すべきではないか、そのような議論が専門家会議の中ではございました。
○外山健康局長 ですから、高度であろうが、そうでなかろうが一緒でしょう。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 要は、弱毒性の新型インフルエンザが出たときに、国としてこれくらいつくってほしいという要請をすることになれば、このとおりになるでしょうし、そこまでやる必要ないという判断があれば状況は変わってくるかと思いますけれども、恐らく前回の対応を見れば、国が買い取ってということになるかと思います。
○荒井構成員 そうすると、病原性には関係なく基本的に、パンデミックが起きたときには国がワクチンメーカーに指示をして買い取るということが前提ですという理解でよろしいですね。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 これは、あくまでも専門家会議としての意見書ですので、今後、政府としてガイドラインの見直しもしていきます。その中で政府全体としてのスタンスが決まってくるかと思いますが、専門家会議としてはそうすべきではないかということで意見がとりまとめられております。
○荒井構成員 わかりました。これはあくまでも専門家会議のリコメンデーションであるということですけれども、専門家会議の意見は当然尊重されることになるわけですよね。そうしますと、例えば、2009年のH1N1のときにメーカーとしては予想しなかったことが起きたわけですけれども、次のページに返品という項目がございまして、2009年、2010年のときは返品なしですよということで国に買い上げていただいたんですけれども、最終的には返品という事態が起こったわけです。この返品のところは、厚労省はいわゆる事故返品というのはメーカー側の瑕疵があるという意味だと思いますけれども、不要返品と瑕疵の返品を明確に区別して、不要返品すなわち使われないで残ったものについては、原則認めないことという書きぶりになっておりますが、これについては、もし国でガイドラインを設定するときには「原則」という言葉は削除して、国家で買い上げたものについては返品はしないんだという書きぶりにすべきだと思います。
○外山健康局長 今は資料の質問を受けているので、ちょっと整理していただけますか。
○庵原座長 そうですね。今、局長がおっしゃるように、今はあくまでもこの資料の質問を受けているわけであって、今の御発言は指摘事項ということで次のディスカッションの話題になりますので。
○荒井構成員 わかりました。
○庵原座長 あとは、よろしいですか。
 今の段階で確認したいのですけれども、これはあくまでもガイドラインをこれからつくるに当たっての意見書ですよね。また、この検討会の意見は、ものによってはガイドラインに一部反映される可能性もあるという位置づけでよろしいですか。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 さようでございます。先ほど今井補佐から説明がございましたけれども、意見書の中でも宿題事項がございまして、29ページのイで、供給体制については更に検討しなさいということが専門家会議の意見書の中でも書かれておりますので、特にここの部分について議論を深めていただきたいということでございます。併せて、政府としてのガイドラインの見直しの検討に反映されるということでございます。
○庵原座長 ありがとうございました。
 この検討会の位置づけが大体わかっていただいたということで、次へ進んでもよろしいでしょうか。
 それでは、井上構成員から千葉県の事例の紹介をお願いいたします。
○井上構成員 千葉県の保健医療担当部長をしております井上でございます。当時も県の行政の中でこの問題に携わっておりましたので、当時の経験を資料8に簡単にまとめました。3分ほどで簡単に御説明いたします。
 まず、県の役割については資料5に示されているとおりです。「新型インフルエンザワクチンの流通スキームについて」という事務局でつくっていただいた図があります。この中で都道府県は、このように位置づけられているという形で書いてございます。この中で、最重要の仕事は資料5の?で、県内の各医療機関別の納入量を調整していくという作業でした。これをするに当たっては、県内のどの医療機関にどれだけ配分しますということを県で決めねばならず、これは相当苦慮したところです。診療科別にどうするか、特に小児科、産婦人科、特別な科にはどれだけ配分するか。それから、病院・診療所別の割合をどうするか、あるいは病院でも病床規模別にどうするか、それから、各地域の人口に応じてどういう配慮をするか。そうしたことはすべて県の衛生当局に任され、各都道府県それぞれが相当苦労したと思います。
 千葉県においてまずやったことは、県内の各医療機関、通常複数卸業者と取引をしている中で、新型インフルエンザワクチンについては各医療機関で卸業者を1つに限定し、作業を効率に迅速にするようにということをいたしました。その上で、先ほど申し上げたような診療科別、地域別、病診別、病床規模別に配分量を決めて各医療機関に通知し、そのとおり流していったと。そうした中では、異なるバイアル量、1mLバイアル、10mLバイアルが存在しますので、そうした異なる用量別に全部振り分けていったという形でございます。
 ここは各都道府県とも大変だったと思うのですが、千葉県でも当然のことながら各医療機関から苦情が殺到いたします。医療機関相互でお互いにうちは幾ら、あなたは幾らということはみんな情報共有しておりますので、そうした中で各医療機関から、どうしてこうなんだという苦情対応には相当追われていたというのが当時の状況でございました。
 そうした中で、資料8の「3.次回に向けての課題」でお話をいたしますと、我々県側は国からどういうタイミングでどれだけの量が来るかを把握しており、臨床現場で何が起こっているかも把握しておりますので、相当早い段階で将来余るということは内部では把握しておりました。具体的には初期10月、11月、供給が不足していた時期から、中期の12月、適正な需給バランスがとれた時期から、1月以降、供給過剰というプロセスをたどっていく中で、12月バランスがとれたときには年が明けたら必ず余るということは部内では把握しておりました。そのことは随時行っていた各医療機関との情報共有の場でも、我々の方からは情報を提供しておりました。あるいは個々の医療機関から12月暮れ、1月以降、要請があるときには、本当にその量を要請して大丈夫なのかと、打ち切れないのではないかいうことは、それぞれ一回一回確認してきたところでございます。ただ反面、10月、11月供給不足時に足りないという苦情を受け続けていたので、供給過剰に対する注意喚起を十分にできなかったかなというのが、今振り返ってみての反省でございます。
 そういう意味では、不足から適正供給バランス、過剰ということは、当時リアルタイムで相当早い段階で県レベルでは把握していたことで、医療機関に向けて正確な情報共有がもう少しできたのではないかということが反省点でございます。我々は、各都道府県別の状況を十分に承知しておりませんが、恐らく千葉県はそれでも都道府県別で比べれば医療機関在庫が少なかった県だろうと思います。そうした背景には、12月の段階から年が明けたら必ず余るということを各医療機関に比較的しつこめに情報提供していたということがあるかと思います。
 こうしたことは県レベルで我々がやっていたことですが、振り返ってみると、国レベルでもこうした需給の予測はもしかしたら可能であったかもしれません。それは資料6の流行分布を見ていただければわかりますが、11月の暮れにピークアウトして、12月に流行がどんどん落ちていっているということは、リアルタイムで国も県も把握できておりましたので、これを基に1月以降起こり得る状況、県レベルの現場では理解しており、その情報発信をもう少し医療機関にちゃんとしたらよかったなというのが、今振り返ってみての県での反省点でございます。
 以上、当時の経験をお話しいたしました。
○庵原座長 ありがとうございました。
 井上構成員からの御説明に対して、何か御質問はありますか。小森構成員どうぞ。
○小森構成員 日本医師会の小森でございます。
 私は当時、石川県の医師会長をしておりましたので、現場で相当苦労した1人であると認識しておりますし、そういう意味では、今、井上構成員がおっしゃられた立場と若干似ているところもあるかと。そこでお聞きしたい点がございますが、石川県の場合、県、卸売業者、県医師会が2週間に1回ぐらいの頻度だったと思いますが、定期的にお会いして各医療機関個別の配付状況全般等について意見交換して、過剰な供給あるいは注文のあった医療機関については、卸からはなかなか言えないということで、私の名前で注意をしたというようなことを比較的細かくやっておりましたが、そういったことについてはどうだったかという点。
 それから、これは県内でも郡市によってちょっと違うのですが、私自身は金沢市で医療機関をやっているということで、金沢市では保健所から毎週その1週間の接種状況、バイアル別の使用状況、現在の在庫状況並びに次の配付に関する要望、毎週注文ができるわけではありませんから、ただ、状況によって変化するということで、毎週次期の配付に対する希望、それも毎週ずっとやっていたということがあるのですが、そういった点はどうかをお聞きしたいと思います。
○井上構成員 お答えいたします。千葉県でも県の衛生当局と卸業者との打ち合わせ、また、それとは別途、県の衛生当局と医療機関との打ち合わせというのは、おおむね1週間ないし2週間に一度、このピーク時には持ち続けておりました。石川県の場合と若干違うのは、開業の先生方を中心とする県医師会、地区医師会とのミーティングと、比較的大規模な医療機関とのミーティングと2つに分けておりましたが、利用者に対して今後千葉県に届くワクチンの見通し、それをどういう基準でどこにどれだけ送っているのかという基準及び実際の配付状況については、常に示し続けてきたところです。そういう意味では、県が何を考えて、どういう基準で、どこに幾ら出しているということについて、最初から最後まで医療機関に示し続けてきたことは、振り返ってみると混乱を最小限にする意味では役に立ったかなとは思っているところです。
 以上です。
○小森構成員 先ほど、金沢市においては毎週、接種の実態と在庫の状況と次回配付に対する要望の本数を確認していたのですが、そのことについてはいかがですか。
○井上構成員 私どもの方も、大規模医療機関、各開業の先生方から出てくる要望は、毎週というよりも毎配付ごとに確認しております。配付が数次にわたっており、それぞれの時期ごとに確認していました。毎週ではございませんが、次回の配付は何月何日の予定であり、それについてはどれだけの規模ですか、それに対しては県当局はこういう基準でここにこれだけということを、週ベースというよりも配付時ベースで確認してきたというプロセスをとりました。
○小森構成員 基本的に、医療機関は全数把握できていたという認識でしょうか。
○井上構成員 毎回毎回どれだけの分量が千葉県に供給され、それがどこに供給されているかは、県内の各医療機関は把握しておりました。
○小森構成員 全数把握をされていたということですね。ありがとうございました。
○庵原座長 井上構成員に確認ですけれども、適正需要バランスと言われていましたが、余りそうだなと思われたのは大体いつごろでしたか。
○井上構成員 資料6を見てください。特に青の点線で書いてある流行分布は、県も国もほぼリアルタイムで把握していたデータだと思います。我々医療現場からの実感としても伝わってきているものがございます。この中で、流行が落ち着いてきたなという把握をしたのが、リアルタイムのグラフよりも一歩遅れて12月頭ぐらいです。ですので、12月になると需給が整ってきたなということとともに、年が明けたらきっと余るだろうなと感じ始めたのが12月頭ぐらいと記憶しております。
○庵原座長 ということは、1月になると多分ダブりぎみになりつつあるなということで、それを各医療機関に情報提供されたということですか。
○井上構成員 そのとおりです。具体的には、10月、11月、12月と供給量に対して医療機関からの需要が大幅に上回る中で、1月の一番最初の供給に対しても医療機関からの需要がそれを大幅に上回る状況でした。この配分量調整は12月下旬に各医療機関と、あるいは医師会とやりましたが、1月以降はそれだけの需要はないと思うということを我々の方から各医療機関に申し上げたのが、大体12月暮れから1月にかけてです。結果的には、1月に入って最初の供給で、やはり医療機関からの要求が供給量を大幅に上回るという状況が続きました。そのことは、我々内部では余るだろうなと心配していたというのが12月暮れから1月初めにかけての状況でした。
○小森構成員 よろしいですか。私は、医療機関の在庫というのは最終的には非常に妥当な線であると。ただ、一部の医療機関にモラルハザードが起こった可能性があるという認識なんですが、問題は、流通在庫が非常に多いというのは製造過程の問題がありますので、どこかで製造をやめるということがなければ、当然、予定されたものをメーカーはおつくりになるということですので、卸あるいは医療機関の問題ではなくて、流通在庫が増えたことについては、製造をどこで打ち切るかという判断がどこでされたかということにかかってくるわけですから、そういう意味では、製造の工程はいかがであったかを補足して事務局にお聞きしたいと思います。
○庵原座長 ここのディスカッションは、あくまでも医療機関在庫をいかに抑えるかということであって、流通在庫は別次元の話になるんですけれども、事務局、今の小森構成員の御質問にはお答え可能ですか。最初の流通在庫のところは多分、最初に国からメーカーにこのくらいつくりなさいというときの2回接種の計算だったときの話だと思うんですけれども。
○今井予防接種室長補佐 皆様の机の上に1回目の資料をお配りさせていただいているのですけれども、当時の状況は資料3ですが、平成21年10月に新型インフルエンザ対策本部においてワクチン購入を決定して、10月19日からワクチン接種を開始している状況です。当時の製造量については、資料3に書かれているとおりです。
○小森構成員 座長のお気持ちはよくわかるので、議論はそれでいいのですが、補足として、例えば、今、井上構成員がおっしゃられたような12月を過ぎた時点で、後半には既に恐らく供給過剰になるであろうと見込まれたときに、医療機関在庫の問題を取り巻く製造及び輸入の環境等については、どうであったかを補足として私は知りたいということです。つまり、そこはとめることはできなかったのかという。
○正林結核感染症課長 あのときは、第一波については確かに11月過ぎて12月ぐらいになると大分収まってきていたのですが、第二波のことも念頭にありましたので、製造を途中でやめるという発想は当時はなかったと思います。
○小森構成員 それは輸入等についても基本的に契約を既に交わしていたのでということですね。
○正林結核感染症課長 はい。
○庵原座長 ほかに御質問ございますか。
 もしなければ、続きまして、岡谷市の取組みということで、橋爪参考人、よろしくお願いいたします。
○橋爪参考人 長野県岡谷市の橋爪でございます。よろしくお願いいたします。座って御説明させていただきます。
 私からは、資料9「新型インフルエンザのワクチン集団接種を振り返って」につきまして、お話をさせていただきます。
 最初に、岡谷市の説明を若干させていただきたいと思います。岡谷市は長野県のほぼ中央、諏訪湖の北側に位置しまして、諏訪湖唯一の流出河川でございます天竜川の発するところでございまして、湖と川と山に囲まれた町でございます。産業におきましては、明治時代からシルク、製糸業が盛んで、戦後は時計、カメラの精密機械工業が盛んでございました。現在は超精密技術という部分で生き残りをかけている、人口5万2,000人ほどの地方都市でございます。
 それから、岡谷市医師会さんでございますけれども、会員33医療機関で、病院が3、このうち1つが市立病院でございます。残りは30診療所というような構成でございます。
 本資料でございますけれども、岡谷市医師会さんが発行しております「岡谷市医師会報第137号」、これは平成23年7月1日に発行されているものでございますけれども、原稿の依頼を受けまして、私が書きまして掲載いただいたものでございます。
 それでは、資料本文の方に入らせていただきます。
 まず、1枚目の中ほどに「感染拡大」とございますが、その右側で、なぜ集団接種を実施したかが書いてございます。集団接種は、医師会さんから御提言を受けて実施となったものでございますけれども、岡谷市医師会さんは、以前から鳥インフルエンザ等への対策に熱意をお持ちでして、行政サイドからも危機管理の担当者も参加しまして勉強会を続けてきたという経緯がございます。
 こうした中、平成21年の新型インフルの流行を受けまして、医師会さんから地域の初期医療を破綻させないため、市立病院に小児科がございますけれども、そこへの集中を回避するため、特に子どもの診療に支障を来さないこと、それから、速やかに予防接種を実施するという趣旨で御提言をいただきました。
 当初、実施医療機関は行政サイドができるものではございませんでしたので、どのようにやったら実施可能かということで、市立病院も入って三者での検討ということで、最終的には市立病院が実施主体、市がバックアップ、医師会の先生方は市立病院のパート医師ということで対応していくというまとめで実施することになりました。
 2ページには、接種対象者を書いてございます。左上でございますけれども、優先接種対象者のうち子どもを優先するという考え方に立ちまして、1~6歳、保育園相当の乳幼児、小学校の1~3年生、小学校4~6年生、中学生、高校生相当者、あと、0歳児の保護者を対象といたしました。
 「接種会場をどこに」でございますけれども、市役所や保健センター、市立病院、総合福祉センター、市の機関は幾つかあるわけですが、実際に接種会場にする場合、広さや駐車場、人の動線等なかなか条件を満たせないという部分で、文章中に「ララ岡谷」と書いてございますけれども、これはJR岡谷駅の駅前再開発で建てられました商業ビルがございます。これも人口減少等で当時イトーヨーカドーも入っていたんですが、撤退ということで空きビルに近いような状態になっているところで、市もかなりの部分を所有していたため、こちらを使うことになりました。ここもイベント等に使っているところですけれども、その期間、12月から翌年3月くらいまで長期にわたりイベント等が入っていないということで、ワンフロア丸々使えるということでした。ワンフロア使えるということは、接種に当たりまして接種ブース等をいろいろつくらなければいけないのですが、パネルの組み立てや区画整理等そのままにできるということで、実施日前に設営撤去することなく使えるということで作業の手間も省けたというメリットがございました。
 「会場づくり」でございますけれども、左下のレイアウト図が不鮮明で申し訳ないのですが、会場の配置図等を記載してございます。1ページのタイトルの下に3枚ほど写真が載ってございます。左側が問診を受けて予診票を保健師がそれぞれチェックをかけているところでございます。それがレイアウト図の受付?ということで、ほぼ中央に配置してございます。その奥に受付?で母子手帳の確認をしまして、その横で料金収入をしている、これは病院の担当者がレジを切っているというところでございます。
 その後ドクターの予診を受け、その後接種になりまして、写真の一番最後は接種後30分程度休憩をとっていただかなければいけないという部分で、休憩をしていただいているところでございます。
 「接種の案内」でございますけれども、乳幼児は健診、妊娠届、母子手帳の交付がございますので、そのときに住所等を確認できておりますので、全員該当者には郵送で案内をいたしました。それから、保育園、小中学校につきましては、私立も含めてでございますけれども、園・学校を経由しまして、教育委員会の了解のもとに御案内を配付いたしました。
 また、お知らせでございますが、高齢者等、成人につきましても、その都度、回覧板等の全戸配布をいたしまして、御通知さしあげたという状況でございます。
 高校生につきましては、市内に3つ高校があるのですけれども、全員市民とは限りません。高校の養護の先生にもお願いいたしまして、御案内を配っていただいたところもございます。
 それから、受付でございますけれども、対象者が約1万人ほどいらっしゃいましたので、全員に往復はがきで申込みをしていただきました。電話、窓口申込みは一切受け付けないというやり方でございます。当時は、ワクチンがどの程度供給いただけるか不明でしたので、ワクチン数に対しまして希望者多数の場合は抽せんで行うという説明をしてございました。結果的には長野県の方で集団接種に御配慮いただきまして、ワクチンは充足いたしまして抽せんにはなりませんでしたので、その部分ではよかったかなと思っているところでございます。
 3ページ目、集団接種でございますが、日曜日に開催いたしました。12月13日から始めまして、最終は2月21日ですけれども、全8回の実施で、大体3,000人ぐらいの方たちに接種を受けていただいたという状況でございます。
 ワクチンにつきましては、バイアルが1mL、10mL。対象者によって薬液の量が違いますので、トラブルのもとにはなるのかなという感じでしたけれども、幸いなことに1件の間違いもなく実施できました。
 それから、集団接種の最後の方を看護師が見ながら、どの程度開封するかという判断もしていただきまして、大きなロスもなくできたかなと思っているところでございます。
 振り返ってみますと、危機管理体制ということでやりましたので、医師会の先生方には非常に危機感を持って対応していただきました。病院、行政と三者連携がうまくいったかなと思っております。これは、今後、想定されております強毒性の新型インフルエンザのシミュレーションになったのではないかということで、医師会さんからも評価をいただいているところでございます。
 私の関係は以上でございます。
○庵原座長 ありがとうございました。
 何か御質問ございますか。松平構成員どうぞ。
○松平構成員 東京でも集団接種をやろうと思ってなかなかできなかったので、本当に立派なお仕事だと思います。ただ、12月13日から集団接種を始めたというと、もっと混乱した時期は多分11月の中旬ごろからあったと思うので、もう少し前に集団接種が始まっていたらもっとよかったなという感想を持ちました。
 以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 これは確認なんですけれども、集団でやられたのは高校生以下だけですか。
○橋爪参考人 そのとおりでございます。あと保護者ということで、同居されている保護者の方は年配の方までOKということでしたので、その方たちもやってございます。
○庵原座長 そうすると、医療従事者とか基礎疾患のある方は、各医療機関でされたということですか。
○橋爪参考人 はい、そのとおりでございます。
○庵原座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
○中原構成員 質問ですが、2,975名の方に接種されたということですが、8回ということですけれども、一番多いときは何人ぐらいに接種されたかを教えていただけますか。
○橋爪参考人 一番多かったときが1月17日の日曜日で、562名の方に実施いたしました。
○庵原座長 白井構成員どうぞ。
○白井構成員 大変立派な仕事で感心しているのですが、今お話がありました基礎疾患を有する者への接種について、今回出されています資料4のガイドラインの見直しに対する意見書の中で、集団接種を基本とすると記されていると思うのですが、この場で今御質問していいのかわかりませんけれども、そういった基礎疾患を有する者に対しての接種というのは、入院している方については病院で行うことはできると思うのですが、通院している方については、国の方ではどのようにお考えになっているのかというのが1点伺いたいところです。
 もう一つ、ワクチンが届いてこない状況において集団接種をやってくれと言われても、これは私たち現場で実際にそうだったんですが、先ほど抽せんということをおっしゃっていましたけれども、やはり平等な医療を提供する、あるいは接種機会を提供するということで、抽せんというのはあまりにも悲しいというか、せっかく打ちにきて帰っていくというようなことでは大変困るのではないかと思うのですが、その辺についても国のお考えをお聞かせいただければと思います。
○庵原座長 まず、抽せんに関しましては、事務局で抽せんして往復はがきの返信で返事をするという形ですから、接種現場で抽せんという意味ではないですよね。
○橋爪参考人 岡谷市の場合は、往復はがきで申込みをいただきまして、その段階で供給量が不足していれば抽せんという形でのルールとしておりました。結果的には供給量が充足しておりましたので、先ほど申し上げたように抽せんには至りませんでしたけれども、そういう状況でございます。
○庵原座長 ですから、接種現場で抽せんして帰ってもらうということではなかったということですね。
○橋爪参考人 はい。接種現場での抽せんではございません。
○庵原座長 あと、白井構成員からの質問に関して。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 資料4の18ページをごらんいただきたいと思います。下から2つ目の○で、専門家会議でもすべて集団接種というわけにはいかないのではないかという御議論がございました。1mLバイアル、プレフィルドシリンジといった小さな単位のワクチンについても一定量供給が必要で、そういったものについては妊婦あるいは在宅医療の受療中の患者を対象とすると。外来の患者さんについて、だれが接種するかについては慢性疾患をお持ちの方ということであれば、過去の経緯をよく御存じである主治医、かかりつけの先生に打っていただくという考え方が示されております。ですから、どこで線引きをするかというところはまだ十分詰まっておりませんけれども、集団接種に適さない方というのは一定量いらっしゃるだろうという前提で、小さな単位のワクチンも供給が必要だという御議論がございました。
○白井構成員 続いてなんですが、優先接種証明書とか何かございましたよね。あなたは優先接種を受けることができますよという証明書を発行するというようなことは、前回もそうでしたが、今回も記されていると思うのですが、要するに、現場では自分のところにはないから、空切符を切るようにどんどん出すわけですけれども、それを持って打ちたい人がさまよっているということが実際に起こっていましたが、その辺のことも考えて組んでいただければと思います。
○庵原座長 それは接種体制とか別次元になると思いますので、一応記録にとどめてもらうということでよろしいですか。
 それでは、続きまして、聖隷浜松病院における新型インフルエンザワクチンの在庫管理について、山内参考人、よろしくお願いします。
○山内参考人 聖隷浜松病院の山内と申します。
 聖隷浜松病院は、静岡県浜松市にあります民間の病院で、病床の規模は744床の病院になっております。
 資料10の1ページ、当院の新型インフルエンザ発生から対応についての説明を時系列的にさせていただきたいと思います。
 10月後半から国産ワクチンの供給が開始されまして、そこから医師・看護師等の接種が開始されました。
 その後、11月になりまして、国産ワクチンの2回目、3回目がそれぞれ納品され、患者と直接かかわる職員の接種も開始すると同時に、ここで当院にかかっている受診歴のある患者さんに限っての優先接種対象者への投与を開始いたしました。その運用に関しましては、後で説明させていただきますが、新型インフルエンザの予約センターを開設しまして、そこで予約から来院という形にさせていただいています。
 12月に4回目、5回目の納品がありまして、この時期ぐらいから当院の職員全員、あとは他の事業所も抱えておりますので、そちらの職員の実施規模を確認しまして、投与予定本数を確定いたしました。
 年が明けまして、6回目の納品をいたしまして、その本数で予約が終わるということで7回目以降の納品は辞退しております。
 続いて4ページは、新型インフルエンザが発生したときのワクチン外来を含めての当院での役割分担ということで、委員会等で決定し、担当者、責任部署というのが明確にできるように決定されたものです。
 5ページですが、新型インフルエンザワクチンの専用外来のフローチャートが示されております。当院の特徴としましては、患者さんがまず電話で当院のインフルエンザ予約センターに電話していただき、その場では予約を受け付けることなく、仮予約という形でその情報を診療科に1回返しております。その方が優先接種対象なのかどうかの判断をしていただき、後日、電話をこちらからかける場合と、郵送する場合という2パターンで対応をいたしました。実際、外来に関しましては小児科は小児科の外来で1日枠を取りまして、それ以外の患者さんに関しましては、通常診療とは別のところで、体育館のようなところで大体月2回くらい、3日間かけてワクチン外来を集団で行ったという形になっております。
 6ページ目は、予約センターのシステムということで、患者さんの予約状況、郵送ラベル、電話番号等が記載されている予約システムを院内で構築して運用に当たりました。
 日々の在庫量、投与量、予約量をこちらのシステムから出しまして、毎日集計いたしまして、あとどれくらいワクチンがあればいいか、ワクチンがいつごろ足りなくなるかを把握しておりました。
 8ページ目ですが、当院の取組みをまとめますと、?予定数量、実施数量、在庫数量の把握を毎日行っていた。?納品予定日、納品数量の把握を行っていた。?予約センター、ワクチン外来の設置を行った。?近隣のワクチンの在庫数を把握しました。?近隣のワクチンの接種状況というのが、最後にワクチンを買うか買わないかという判断のときに、近隣の病院もかなり持っているということで、当院がなくなっても地域としては何とか対応できるということで買わないという判断材料になりました。
 9ページ目の問題点ですが、?納品予定日、納品数量の2週間ぐらい先までの予定がわかりづらい仕組みになっておりました。最後の方はわかっていたのですが、それでも何月何日にこれだけ入りますが、要りますか、要りませんかという対応だったので、そこをもう少し市場流通という形でしていただければよかったのかなと思っております。
 ?返品が不可ということで当初から行っていましたので、当院も厳しい運用を行ったのですが、他の施設で必要だけれども、こちらで余っているとは言わないですが、融通がきくという場合に、卸さんを介しての流通というのが多分年内、12月まではできなかったかなというのを感じております。
 ?予約をとったにもかかわらず、当日来院されなかった患者さんがいらっしゃったということは問題点として挙がっておりました。
 10ページですが、これを踏まえてどうすればいいかを考えてみました。他の施設の在庫がわかる仕組み、先ほどの千葉県等は、ほかの医療施設に入った本数がわかっていたという報告がありましたけれども、静岡県ではそれがわからなかったものですから、そういう仕組み。
 あとは、血液のように供給センターがあれば、必要本数を毎日供給していただければ、それほど取り合いにはならないのかなと思っております。
 ?ですが、やはり通常医療がとまってしまうところがありましたので、医療機関をもっと限定していただくということと、人員・スペースというところで、今後は通常診療に負担がかからないような対応ができればいいかなということで報告させていただきます。
 以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。
 山内参考人の御説明について、御質問はございますか。
 小森構成員どうぞ。
○小森構成員 ありがとうございました。大変綿密な御努力をなさったなと思って敬意を表したいと思いますが、私も一接種医療機関として、また、石川県の医療をあずかる者としての二面からこの問題に対応させていただいて、どれぐらいの余量を持っていれば患者さん、あるいは接種希望者に対応できるかという判断が大変難しいと思いました。その辺りのことをどれくらいと見込まれたか、これは最初のことなので大変難しいと思いますし、各ドクター、現場の感覚も随分異なっていると思いますので大変難しかったと思いますけれども、その辺りのことが1点。
 中核病院としての御判断をなさることに大変お苦しみがあったと思うのですが、その辺りの御苦労と、結局、最後には何本余ったのですかということも併せて。
○山内参考人 まず見込みですが、私の記憶によりますと、1回目の納品の希望の予定数量で、どれくらいの患者さんがハイリスクでいらっしゃいますかという調査が入ったと覚えております。その状況の中で、当院に関しましては、全診療科、全診療部長あてに患者さんのリスト等を配付いたしまして、優先接種者の見込みを出させていただいて、それをとりまとめて県に報告したという経緯がございます。そういった形で見込み数量は当初のもので、やはり1回目、2回目、3回目辺りは、来たものに関してはすべて足りない状況が続いておりましたので、入ってすぐ出ていくような状況になっておりました。先ほどの資料6のように、年末ぐらいから大分落ち着いてきたという状況で、6回目も本当は納品しなくてもよかったのですが、二次的な、もう一度流行が来るという懸念もされたので、6回目はとりあえず全部買っておきましょうと。その中で、事業団の職員と委託職員、学生、アルバイトを2月に予定していたところで、もし、そこでなければしようがないですけれども健康な人に関しては置いておきましょう、6回目もしそれで患者数がどんどん減っていくのであれば、この人たちに打ちましょうという形で、7回目以降はどう頑張っても余るでしょうという判断を当院の中で監査委員会等で下し、6回目も本当はそんなには要らなかったのですが、一応余剰分として購入したという経緯になっております。
 最終的な返品ですが、当院の場合、全購入数の大体5%を返品したという形になっております。
○小森構成員 ありがとうございました。どうしてこういうことをお聞きしたかという1点は、例えば、消防とか警察というのは当直して24時間待機して、何もなければいいことなんですよね。ちょっとでも足りなければ大変な問題であると。しかし、何もなければいい。つまり、各医療機関にとってそれぞれ地域での役割もありますけれども、確かに今回は最初は足りない、足りない、足りないで、あと余ったらどうしようなどということはこれっぽっちも考えずに、必要な方にひたすら接種するというのが我々の毎日であったと思いますが、ある程度の余力がないと、来た方に次々とありませんということでお断りをするというのが最初はありましたから、どれくらいの幅の余力を認めるかという問題だと思うんです。今原則、医療機関からの不要返品は認めないということになっていますけれども、つまり、そういうことを決め決めにやるということは、現場の医療を壊すということをあえて再度申し上げたかったので、どれくらいの幅をお考えになったのか。今回は本当にそういう余力も何もなかったというのが現状だと思いますけれども、今、反省のときに原則返品を認めないということは、つまりゼロにしろというような体制を国としてとるということは現場の医療が破壊されるということを、もう一回強く申し上げておきたかったので、あえて聞いたということもありますので御理解いただきたいと思います。
○庵原座長 ありがとうございました。
 確認ですけれども、近隣のワクチン在庫数の情報は、市からの情報ではなくて、近隣の主な医療機関に電話で問い合わせるという方法ですか。
○山内参考人 個々に電話して確認させていただいたという経緯があります。
○庵原座長 ちなみに、浜松は政令都市ですから、市がワクチンの供給をしたということですか。
○山内参考人 そこまではちょっとわかりかねるのですが、流通としては通常の卸さんから決まった本数をいつにという形で流通しておりました。
○庵原座長 白井構成員どうぞ。
○白井構成員 確認をさせていただきたいのですが、数が足りないときにどのように配分を決めていったかというのは、各都道府県どうなっているかというのは、もうわかっていることなのでしょうか。といいますのは、私どもの県におきましては、希望を出した医療機関の本数を比例配分していまして、こういうことを申し上げると、先ほど小森構成員からもモラルハザードがということか出ていましたけれども、正直に10と申請しているところもあれば、100と出しているところもあって、それで比例配分をされたらばえらい目に遭ったと。これは、それこそオフレコの話なのかもしれないですが、正直、各都道府県がどのような配分を決めていたかを知っておく必要があるのかなと。在庫を抱えた原因になっているのではないかという気はします。
○庵原座長 これに関しては、千葉県は順調にいっていますからよろしいですよね。この辺の情報は持ち合わせておられますか。各県がどのような形でワクチンを配分していたか。先ほどから人口の比率とか重症者、今までの接種者の割合ということで配付したということでしょうけれども。
○今井予防接種室長補佐 都道府県によって若干違いはあると思いますけれども、参考資料「都道府県における新型インフルエンザ対策に関する報告書(抜粋)」の8ページをごらんいただきたいと思います。これは栃木県の例ですが、一番下の枠に「資料2-6-13 受託医療機関への納入量の調整」とありまして、「1 納入数調整の原則」、「原則として供給回ごとの供給率(納入調整率)に応じて納入数を調整した」とあります。さらに、「2 発注上限値の設定」とあり、例として「発注上限値が200回分の場合で430回分の発注があったときは、上限値を超過する230回分を積算対象外とする。この例の場合は200回分×納入調整率によって納入数を算出する」とあります。
 更に「3 非調整枠の設定」、「発注数が数回から数十回分程度の場合、経験上、予約受付に基づく正確な発注を行っている例が多い。接種開始後、受託医療機関から寄せられた同様の意見等を踏まえて非調整枠を設定し、この範囲内の発注については納入調整を行わないこととした」。例とありますけれども、非調整枠が0~30回分ということで、例えば、24回分発注の医療機関は100%、そのまま24回分納入する。300回分発注の医療機関があれば、30回分はそのまま調整せず、残り170回は調整率を掛け、200回を超える分についてはゼロというような調整を行っているということです。
○庵原座長 多分、小森構成員のモラルハザードが云々というところで各県とも非常に困って、また、地区医師会の意見もあって困ったと思うんですけれども、大体各県ともに非常に苦労して配付されたということだと思います。
 それでは、各参考人からの発表をいただいたことを基にして、それから、配付されました資料7の各都道府県における考察の結果などを参考にしまして、前回の2009年のパンデミックのときに新型インフルエンザ発生時に在庫が発生した要因について、何か御意見がありましたら、ここでお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 小森構成員どうぞ。
○小森構成員 先ほどの栃木の調整にも明確に表れておりますように、ほとんどの医療機関は足りないという現実で、患者さんに対して懸命にやっておられる。したがって、ほとんどの医療機関は返品数も極めて少ないと思います。第1回の資料にも出されましたように、最後の一医療機関当たりの返品数が非常に多いところで、もう一回小さな山ができているんですよね。その辺りをどのようにとらえるかということが対応であって、全体に網をかけるという対応は絶対にしてはならない。といいますのは、今申し上げましたように、今回はありがたいことに結果としては弱毒であって、最後は供給過剰になったという、国民にとっては大変幸せな状況であった。ただ、この問題で卸の方々は経済的にあるダメージがあったということがございます。ただ、そのことによって多くの健全な行為をしている医療機関に対して網をかけるということは本末転倒という議論ですので、そういった議論にならないようにしていただきたい。
 それから、石川もそうなんですが、今、千葉の例を出していただきましたが、似たような取組みをして、恐らく人口別、医療機関数割にしますと比較的よい県なんですよね。実は余りうまくいかなかったところ、なぜうまくいかなかったかということを、そういう方々のところはプレゼンが非常にしにくいと思いますが、よかったという方の話だけを聞いて、どうしたらいいかを決めるのはちょっと問題があるのではないかと思います。なぜうまくいかなかったかということは、参考人の方を責めるということではなくて、そこから学んでいかないと本当の議論はできないのではないかと思っていまして、私は基本的に医療機関の不要在庫はある程度は健全な姿と理解していますので、不要在庫なしというのが健全だとは全く思っておりませんので、そのことをあえて申し上げたいと思いますが、事務局、やはりそれは無理ですか。
○庵原座長 事務局いかがですか。小森構成員は、ある割合のリスクとして何パーセントか上乗せをお願いしたいという意見だと思うのですけれども。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 そこをまさに御議論いただくことになるのかなと思いますけれども、1つ集団接種ということが専門家会議の意見書にも書かれておりまして、また、実施主体も今回の特措法の中で明確になった。また、どの地域でどのくらいの規模の集団接種体制を組むかということも市町村ベースで今後議論されていくのかなと思いますので、個別の医療機関に供給して余りが出るというところは、前回とはやり方が大きく変わってくるのかなと思っております。その辺を踏まえて、まさにこの場で御議論いただければよろしいのかなと思いますけれども。
○庵原座長 ありがとうございます。
 そうしますと、先ほど白井構成員からもありましたけれども、基礎疾患のある方や医療従事者は個別にして、それ以外は集団でという2つに分けて行うので、多分、基礎疾患の人たちは各医療機関がちゃんとつかんでくれているだろうと。もう一つは、どこか窓口を一本化して予約をすればダブルことはないだろうという考えでよろしいですか。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 済みません、私、先ほど間違ったことを言ってしまったかもしれないのですけれども、専門家会議意見書の22ページの一番下「○集団的接種体制の構築」の2つ目、「基礎疾患を有し医療機関に通院中の医学的ハイリスク者に関しても、集団的接種を実施する会場において接種する」ということで、基礎疾患を有していれば何でもかんでも個別ということではないという整理になっております。済みません、先ほどお答えしたのは間違っていたかと思いますけれども、どこで線を引くか、接種に相当慎重な対応が必要なものについては個別にやる必要があるかと思いますが、基礎疾患を有している方についても可能な限り集団的に行うことを原則とするような形でまとめられています。
 23ページの上に「○医療機関における接種の実施」ということで「医療従事者、医療機関に入院中の患者、在宅医療の受療中の患者については、基本的に医療機関において接種を行う」という整理になっておりますので、訂正させていただきます。
○小森構成員 よろしいですか。今回は、この提言等を踏まえて新型インフルエンザにつきましては集団接種を原則とすると。ここは3年前とは随分違っていますので、それに伴って受付については行政等を中心として一本化するということも可能になってまいりますし、そういう意味では、今回のようなことは恐らくないと思っておりますけれども、先ほどおっしゃられた原則というのは非常に微妙なところでございまして、私もモラルハザードが起きやすいので、R幅的なものを最初に設けることには反対なんです。原則不要返品はないものとすると。その原則という言葉を外してくれという御要望があったのですが、原則があるところに深い意味があります。つまり、ある程度余裕がないと現場は破綻いたしますので、そのことを事後的にモラルハザードが起こっているような特殊な例以外は必要であるという理解をしていただかないといけませんので、そこをゼロにするという議論は全く意味がない。モラルハザードを起こしているかもしれないところに対する対応を考えるのであれば意味があるということです。
○庵原座長 ありがとうございました。
 これは、あくまでも不要在庫を減らすための工夫ということで、ゼロにするということではないということでよろしいですね。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 先ほどの資料の中にもありますけれども、過不足が出てくるという状況の中に融通するというようなこともあり得るかと思いますので、余りが出たときに、それをそのまま不要在庫にするのか、あるいはどこかに融通することによって更にゼロに近づける工夫があるのかどうか、その辺も含めて、いろいろと工夫できる余地はあるのではないかと思いますので、それはこういうやり方があるということをこの検討会の報告書としてとりまとめていただければよろしいのかなと思います。
○庵原座長 荒井構成員どうぞ。
○荒井構成員 今、小森構成員からありましたが、ぴったり需要と供給もゼロにする、これはあり得ないこだと思うんです。毒性の弱いものは違うかもしれませんけれども、強毒性にしてもぴったりゼロにすることは難しい。ですから、医療現場で何がしかのエクセスの部分を設けさせてほしいというのは非常に現実的な声だと思います。それは、わからないわけではないんですけれども、そのエクセスがたまって、それをメーカーの責任として国家買い上げされたものについて、いわゆる買い戻しをするという制度だけは別なのではないかと。何らかの方法でエクセスという部分を認める方法はあるのかもしれませんが、2009年、2010年のときにあったような現象を再発生させるのは十分考えていただいて、そういう意味の返品というのは原則ではなくて、もうないのだと。勿論、製品に瑕疵のあるものについては当然、我々がメーカーとして処分させていただくわけですけれども、それ以外のものについては返品についてはなしと。
 しかも、病原性の低いものは定義が3つくらいありましたけれども、それについては、個人の意思でお金を払ってワクチンを打つという案も資料4の中に書いてあるわけですよね。そうなったときに、政府が仮に国家買い上げしたときに、途中で2回接種を1回にするようなことはないとしても、接種する側の動向というのは非常に読みにくくて、なかなか予定した需要が管理できない場合もあるのではないかと。それは医療機関にとってもそうだと思うんです。個人の意思で打つということになると、本当にそのときに予約のとりまとめが必要なのかどうかということもあって、なかなか難しいことだと思います。
 いろいろなケースがあると思いますけれども、小森構成員のおっしゃった医療現場のお気持ちは製造メーカーとしても十分理解できるのですが、その結果として不要在庫、使用されない在庫については、少なくとも国家買い上げされたものについてメーカーそのものが買い戻すようなことがあってはいけないだろうと思っております。
 それから、これは座長に申し上げるわけではないですが、議題の新型インフルエンザワクチンの不要在庫というのは、何も医療機関だけの不要在庫という意味ではなくて、どちらかというと流通在庫の面が資料6から見ると圧倒的に多くて、医療機関の在庫というのは各都道府県、医師会が連携してすごく少なくて、非常に努力した跡が見えるわけですけれども、そういうことで、必ずしも医療機関の在庫だけを議論すべきかどうかというのは少し疑問があります。
 以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。
 これは多分、要因と対策とほぼ一緒の話になると思います。先ほど神ノ田室長から、やや融通をきかせるという意見が出てきましたが、現在の商習慣だと1回医療機関に入ってしまうと戻せないという習慣がありますので、その辺も含めて融通をきかせるというのは大事なことかと思いますが、何かございますか。
○松平構成員 私は実際に小児科の診療所をやっているわけですけれども、3年前ちょうど東京都医師会の担当理事でもあったし、東京都と東京都医師会もよく協議して、不要在庫についてはかなり神経質になったと思います。小森構成員がおっしゃったとおり、一部の医療機関を除いて、我々は非常に努力したと思います。どうして在庫が残ったかというと、我々ワクチンを打っていた医療機関から言わせていただくと、ワクチンの開始時期が流行と比べて1~2週間遅かったんですね。1~2週間早くしていただくと、もう少しスムーズになったかと思います。
 それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、当初新型インフルエンザが一峰性であるか、二峰性であるかわからない点があって、また流行が来るだろうと予測をみんなしていたと思います。それから、大人がこれだけ抗体価を持っていて、新型インフルエンザに対応できるということは余り考えていなかったので、1月、2月以降かなり大人のワクチン需要があると考えておりました。
 それから、ワクチンがかなり回ってきた中でも全国民を対象とする時期が少し遅過ぎたと思っています。こういうところで考えますと、今回の新型の流行の中では必要とされる在庫があっただけで、本当に不要の在庫というのはごく一部だったと思います。これは荒井構成員にも言っていただきましたけれども、いろいろ問題があると思いますけれども、かなり国民の中でも努力した結果で、まあまあいい結果に終わったのではないかと思っております。
 以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。
 そうすると、松平構成員、対策としてはいかがですか。
○松平構成員 我々実施する医療機関にあっては、なるべく有効なパンデミックワクチンを早くつくっていただきたい。いわゆる需要と供給がマッチするような環境を早くつくっていただきたいということと、どうしても集団接種ということになりますから、集団接種の場を国なり地方自治体が責任を持って確保していただくということ。これは地区医師会に任されてもとてもできません。我々も東京都医師会、地区医師会の中でやろうとしましたけれども、どうしても地区行政、教育委員会の理解が得られないので、学校を主体とした集団接種が机上のプランとしてはつくったんですけれども、現実的には行われませんでした。ですから、今回のガイドラインの中でも集団接種という言葉が出たら、その裏付けをちゃんとするような形で集団接種体制をつくっていただきたいと思います。
 それから、集団接種をやるときに非常に問題になるのは、先ほどちょっと言われたように、接種後30分待たせるとか、接種対象人数を何人に絞るとか、いわゆる予防接種のガイドラインにはそぐわない面が出てきますので、その辺も併せて集団接種を考えていただきたいと思います。
 以上です。
○庵原座長 事務局どうぞ。
○今井予防接種室長補佐 先ほど荒井構成員に御指摘いただいた流通在庫についてですが、これは当時、最後まで国の所有物となっていまして売り払わなかったものですので、ワクチン代は国が負担したことになっております。ただ、卸さんが販社さんへ引き上げる運送分は御負担をいただきました。
○庵原座長 販社は今の説明でよろしいですか。
 特になければ、小森構成員どうぞ。
○小森構成員 先ほどの医療機関の在庫を減らす話についてですが、基本的には私は特殊な医療機関を除いて非常にうまくやった、非常に努力されたと思います。このことについて改善の必要は全くない、この議論は意味がないからやめましょうというのが1点。
 ただし、幾つか努力をしなければいけないところはありまして、石川県についてもお話をいたしました。頻回の卸し、そして県行政、医師会とがあって、一つひとつ個別の医療機関に関する納付状況も把握した上で、明らかにモラルハザードが起こりつつあるかなというところについては、医師集団としての医師会の長が、当時、私でしたけれども、医療機関長に対して指導勧告を行って、それを下げさせたということをごく少数の医療機関で行いました。そういうことも非常に大事なことです。
 それから、金沢市の保健所が行ったように、毎週毎週、一日でも遅れると出ていませんということで電話がかかってきましたが、毎週の接種本数、何歳に対してどう行ったか。そして、現在の医療機関の在庫、10mL、1mLあるいは0.5mLの在庫の状況、そして、今足りないのは何本か、この次に何本欲しいのかというのは毎週毎週繰り返しされたと。
 それから、融通についても、我々はそのような案内を各医療機関にいたしました。石川県の健康福祉部長と私の連名で出して、どうぞ余裕があるところはお申し出くださいと。非常に足りないところがあるのでということで、その法的な裏付けについては検討しておりませんが、県当局とも同時に行いましたので、恐らく問題ないのではないかとその当時は思っていましたけれども、何かあったら御指摘いただきたいと思いますが、そういうお呼びかけをしています。したがって、もしもその点について更に詰めたいということであれば、今、幾つかの都道府県の資料をお調べになっておりますけれども、そういった努力をなさったところはいっぱいあると思います。それを綿密に集められて、その中でできることは羅列をされて提示していくということは技法としてありますが、あえて申し上げますが、今回は非常によくやられたと思います。ある特殊な医療機関、医師会、我々の仲間であったとすれば残念ですけれども、そういうところ以外のほとんど大多数の医療機関は非常によくやられて、融通しながら懸命に努力されて、この不要在庫、不要と言っていただきたくないのですが、最終的に120~130万本程度余ったということは、非常によく在庫管理をされたのではないかと。いい例として聖隷浜松病院も5%程度としているわけで、その程度は非常にすばらしい結果であったと私は評価していただきたいと思っております。
 ただ、荒井構成員が全く別の観点から言われたことについては、私も個人的には納得できるところがありますので、それは別途、十分御議論いただきたいと思います。
○庵原座長 局長どうぞ。
○外山健康局長 小森先生のおっしゃっていることもごもっともなのかもしれませんけれども、昨年7月に新型インフルエンザ対策のための予防接種法等の一部改正があったわけでございますが、その際に、さんざん流通問題が国会で話題になりまして、国会の附帯決議で、ワクチン製造販売業者、卸売販売業者等の意見を十分踏まえて、従来の流通慣行の改善を図るべく検討し結論を得ることと、衆議院・参議院両方で採択されて、この附帯決議を実行するように国会から求められているところでございます。それで今年1月に専門家会議の意見書がとりまとめられたということでございますので、もうこの議論はいいということにはなりませんで、小森先生の御意見のようなこともあるかもしれませんけれども、更に流通の改善を図るべく御検討いただきたいと思います。
○小森構成員 この会に意味がないと申し上げているわけではなくて、今回の3年前の新型インフルエンザに対応する医療機関に関します最終的に過分となって返品となったことに対する問題については、非常に適正に運用されたので、このことについては評価できるという結論でよろしいのではないでしょうかということです。そのほかのところの問題点について、御議論の主な視点をなさってはどうかという御提案でもあります。
○庵原座長 今の外山局長の発言に付け足しますけれども、附帯決議の中には「ワクチンの流通慣行の改善を図るべく」という言葉が出ていまして、ワクチンの流通慣行というのは先ほどから出ていますインフルエンザワクチンの返品等が暗に含まれているのかなと思います。先ほどから小森構成員が言われています、返品ありきでモラルハザードを起こさないような状態にするにはどうするかということが今回のディスカッションかなと思います。そうしますと、今、石川県の事例や千葉県の事例ないしは岡谷市もそうですけれども、どれだけワクチンの需要があって、どれだけ供給されたかというバランスをいかに早く現場に情報提供するか。そうすることによって、要らない注文を減らすことができるのではないかというのが、小森構成員が言われた石川の事例ですし、井上構成員の言われた千葉の事例かなと思います。また、余りそうだなと思ったときに、どのタイミングで警告を発するというか、千葉もなかなか発しにくかったと言われていますけれども、それは先ほど事務局から言われましたが、第二波が出るかどうかという見通しですね。第二波が今回は出なかったのでこういうことになりましたが、もし出た場合は多分、この分は使い切れたかもしれないというところがありますけれども、この辺りに関しまして、井上構成員、何か御意見がございましたら。
○井上構成員 今までの議論をお伺いしていて感じたことを申し上げます。
 私は前回の会議に出ていなかったのですが、前回の会議資料7などを見て、都道府県別の医療機関からの返品量を比較した中で、我が千葉県の人口当たりの返品量がほかの県に比べて少なかったんだなということを改めて認識いたしました。我々としては、当たり前のことを当たり前にやっていたつもりですが、都道府県によって相当ばらつきがあるのだなと。同じような人口規模でも千葉県の2倍、3倍の引き上げに至った県があるということは、前回の資料で認識いたしました。
 まず、幾つか思うことを申し上げますと、資料6にある流通在庫と医療機関在庫、トータルしたものを減らすことができるか、できないかというと、私はできないのだろうと思っております。正林課長が先ほどおっしゃったように、もしかしたら二峰性になるかもしれないというおそれもありましたし、メーカーとの契約を早い段階でしているので、流通在庫、医療機関在庫トータルはいかんともしがたいのだろうと。我々ができるとすれば、それはコントロールできる部分は医療機関在庫の問題です。ただ、ここのところは先ほど小森構成員がおっしゃったように、ゼロにできるわけではないし、円滑な医療提供体制の維持のためにはゼロにするのが望ましいというわけでもありません。必ず一定量、適正量の医療機関在庫は必要です。結果的にそれが最終的に幾つか余るということは避けられないし、それがゼロになることが求めるところではないと思います。
 問題は2つあって、1つは、適正な医療機関在庫というのがどのレベルなのかということと、2つ目は、いずれにしても必ず生じる医療機関在庫、最終的にお金の面を含めてどう処理するべきなのか。この2つが、ここの会議での論点になるのだろうと思います。
 1点目のどれぐらいが適正な医療機関在庫なのか、先ほどの小森構成員の意見では、全体としては今回適正だったという御意見でした。千葉県の経験を振り返ってみても、私も同じように思います。ただ、前回の資料7で見るように、都道府県によって相当ばらつきがありますので、都道府県によっては適正でないところがあったのかもしれません。この辺りは、ほかの県の経験も聞いてみたいと思います。
 2つ目のいずれにしても適正な医療機関在庫は最終的に残るはずで、それをどう処理すべきなのかに関しては、引き続きこの場で議論いただければいいのではないかと思います。
 感想を申し上げました。以上です。
○庵原座長 ありがとうございました。
 まず、どのレベルが適正在庫かというのは今すぐには出てこないと思いますし、また、どの辺が適正かというのは人によって御意見が異なるかと思いますので、この辺は事務局に検討していただくということで次回に置いておいて、井上構成員が言われた2番目の医療機関在庫をどのように減らすかという方が、結局は今回の目的の対策になるかと思いますけれども、どなたか御意見ございますか。
 白井構成員どうぞ。
○白井構成員 ちょっと外れるのかもしれませんが、井上構成員は前回の資料7をお示しになって、県ごとのということでおっしゃったのですが、この資料は前回の会議で人口当たりの引き上げ実績ということで、もう一度資料をつくり直した方がいいという意見が出ていたと思うのですが、これでいくと、人口が多いところの数が増えてくるのは当たり前だということがございますので、この資料は同じように出すのであれば、前回指摘があったように直していただきたい。
 もう一点は、人口の問題が前回にもいろいろ出てきたわけで、先ほど岡谷市の話を伺ったわけですが、本当によくやっていらっしゃることは納得できるし、そのようにやることがいいのだと思いますが、前回も申し上げていますけれども、政令市については別枠で考えていただかないと動きがとれない。特に、強毒性になった場合、迅速に対応していかなければならないのに、県を通して政令市に下りてくると、そこで1~2週間のロスは簡単に出てしまうと。松平構成員が先ほど1週間早ければとおっしゃいましたが、県から政令市に下りてくるのは1週間どころではないんですね。ですから、今回のガイドラインの見直しにかかわる意見書でも都道府県単位で動くということが書いてございますが、是非、政令市につきましては別立てで考えていただければとお願いしたいと思います。
○庵原座長 これは行政レベルの話ですよね。政令市は県を超えて連絡が行くということではないですか。このインフルエンザに関しては県を通して政令市に入るわけですか。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 前回のH1N1では、県で政令市分も調整した上でやったという御指摘だと思います。
○庵原座長 次回もそれでいくということで、よろしいのですか。
○神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長 次回は御議論を踏まえて、改善する必要があるかどうかというところをよく吟味した上でということかなと思います。慎重に対応しなければいけないのは、メリットもあればデメリットもあるのかなと思いますので、ちなみに、特措法では新型インフルエンザ対策については、ある程度広域的な対応が必要なのではないかと。例えば、1つの県の中でも政令市が違うことをやることになると広域的な対応がとれないということで、原則、都道府県で医療体制を組んでいくとか、そのようなことで法律がつくられております。その辺メリットもデメリットもあるということをよく検証した上で判断していく必要があるかなと思います。
○庵原座長 わかりました。あくまでもこれは県単位のものの考え方でスタートしているということですね。
 荒井構成員どうぞ。
○荒井構成員 我々は、いわゆる高病原性のインフルエンザは経験したことがないわけですけれども、仮に人がバタバタ死ぬような状況になったときに、メーカーはワクチンを早くつくるのは当然なんですが、一度国に所有権が移ったものを販社に販売しますと。販売されたものが、その後の卸さん等に行って所有権が全国の中でいっぱいあるわけですね。そういう状況の中で本当に調整なんてできるのかと個人的には思います。そこで、もし、強毒性のような場合は、国は所有権を移さないで、それはメーカーから買ってもらいますけれども、買ったものの流通については全部国がやると。勿論、医師会あるいは市町村、県と協力しながらでしょうけれども、即座に融通できるような体制をとるべきだと思います。
 今の行動プログラムというのは、2009年、2010年が一つの参考になって、所有権がどんどん移っていくと。そうすると、末端の医療機関に行ってもなかなか融通しにくいとか、そういうことが発生してしまうのではないかと思います。死亡率2%以上は高病原性と言うらしいとどこかで見ましたけれども、そういうものが起きたときは所有権は国がガチっと握ってと言うのはおかしいですが、その中で強力なイニシアチブ、リーダーシップで、足らないところに公平に回していくようなシステムを考えるべきだと思います。
 以上です。
○庵原座長 結局は、国がやろうがどこがやろうが、医療機関がデッドストックを抱えるのと一緒ですから。ですから、今の議論から言いますと、要するに流れをできるだけスムーズに一本化するということですね。
○荒井構成員 要するに、どこの医療機関にどれくらいありますよということを把握した上で、それを融通するというのは当然やりやすくなると思います。
○庵原座長 今までの議論をまとめますと、結局、各市町村なりで各医療機関がどれだけストックを持っている、ないしはどれだけ必要としているという情報を、絶えず1週間ごとぐらいに定期的に把握して、それを各医療機関に流すことで過剰在庫もわかるし、余分な注文も減るのではないかと。次回は、多くが集団に変わるとすれば、ますます医療機関の在庫は減らせるのではないかというのが、この場の意見ではないかと思うのですけれども、何かつけ足すなり御意見がございましたら。
○松平構成員 毎日、子どもを診ている医療機関にとって、個人負担がないように無料で国でやっていただきたいという気持ちは強いのですけれども、これをやるには、コストを下げる必要があると思います。今日ここでは直接関係ないのですが、我々は不活化ポリオワクチンを個人輸入してやっていますけれども、1本個人輸入すると1,200円です。それが、この間不活化ポリオワクチンの委員会に出ましたら、国が定期接種するときは5,000円を超えるということでした。同じフランスのサノフィ・パスツールのイモバックスポリオを使って、我々が個人輸入して1,200円のものが、どうして定期接種になったら5,000円を超えるワクチン代になるのか、私は非常に理解に苦しむのですけれども、なるべくワクチン代、接種料金を安くして、みんなが負担なく受けられる状況にしていただきたいと思います。
 以上です。
○庵原座長 小森構成員どうぞ。
○小森構成員 庵原座長のまとめでおおむね私は異論はないのでございますけれども、もう一点、それと同時に、これは決して悪意ではないと思います、御自身の大切な患者さんに十分にワクチンを接種してさしあげたいという善意で行っておられることかと私は思っておりますけれども、結果として供給をされ過ぎている医療機関というのは、他の住民や国民の方々の被接種権を奪っているということでございますので、そういったことに対しては一定の社会的な評価が必要である。そのことについて私ども日本医師会といたしましては、これは国・行政が行う問題ではないと。まず、第一義的に医師の専門職能集団である自律的なオートノミーによってまず行う。そのことによって国民が理解されなければ、あえて国・県・行政の介入をするということですので、私どもが石川県で行ったような、それぞれの県内における医師集団としての自らが医療機関に対して評価をしっかり行うということも必要だと思います。最後のピークがなければ、最終的な在庫のうちの30万本近くはなくなるわけですので、これは非常に大きなことだと思っておりますので、そのこともできたら座長のまとめに入れていただきたいと思います。
○庵原座長 ありがとうございました。
 木村構成員どうぞ。
○木村構成員 製薬企業の販売会社、製薬企業側の立場で、インフルエンザを含めたワクチンについてもう一度わかっていただけたらと思ってお話をさせていただきます。
 まず、当然ですが、ワクチンには小児用ワクチンとインフルエンザワクチンと大きく市場では分かれておりますが、ちょうど流行が起こって新しいワクチンをつくったときには、市場で3,000万本の季節性インフルエンザワクチンの流通がほぼ決まっていたような環境の中で、新型インフルエンザワクチンの接種環境を整えるということで、かかわっている人たち全員がそれに対応して流れをつくったということです。
 そのときに今までに全くなかった形というのが、都道府県が関与して、そこに流通が進んでいくということがあったと思います。小児用ワクチンでも使用期限に限りがありますし、つくれる量も決まっていますし、リードタイムも長いことから、欠品ができるだけないようにということで、医療機関の御協力もいただいて、特約店の相当きめの細かいデリバリーもしていただいて、それが達成されたと思いますが、少なくとも季節性インフルエンザワクチンのときにはほとんど起こっていないようなことが新型インフルエンザワクチンのときに起こったということで、そこをどうやってコントロールするのか、どうやって管理するのかという、新しいことをやったときに起こった問題があると思います。私たちはこの会議に出席させていただいて、ずっとノウハウを持って製造されているワクチンの製造会社、販社、特約店も絡めて、私たちの意見というか、今までと違う新型のデリバリーと、今までやってきたことの両方を踏まえて参考にしていただければと思います。
○庵原座長 ありがとうございました。
 時間も来ましたので、議論はこれで終わりたいと思いますけれども、1つは、先ほど出ました第1回の資料7は、人口当たりに直していただくことをお願いしたいということと、それから、ここはあくまでも医療機関等の在庫を適正にするための対策を考えるという委員会で、ゼロにするということは考えていないと。そのためにはどのようにするかということで、情報の共有が1点大事なことかなと思います。それと、情報の共有の中で小森構成員が言われましたけれども、医師会が積極的にイニシアチブをとるのか、行政側がイニシアチブをとるのか、それは各県の中で決めていただけることかと思いますが、そういったことから、今までの意見をまとめていただいて次回ということでよろしいですか。
 確かに、最後に木村構成員が言われましたけれども、2009年のパンデミックワクチンがなぜできたかというと、新型インフルエンザ対策用に別にストックしていた卵があったからできたので、あの卵がなかったら2009年はパンデミックワクチンを全然つくれなかったというのが現状です。ですから、こういう緊急のときには、ある程度の制限の中で仕事をしていかなければいけないという現状も構成員の方は理解をお願いしたいということかと思います。
 事務局から御意見はございますか。
○外山健康局長 御議論ありがとうございました。聞いておりまして、私も不勉強でもっと勉強しなければいけないのですけれども、前回のパンデミックのときには国が実施主体で、国の予算事業としてやった、更には集団接種がメーンでなかったという2つの特徴があったわけです。今度やるとなれば、改正された予防接種法又は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいてパンデミックワクチンの予防接種の実施主体は市町村になります。なおかつ、集団接種がメーンになる可能性があるということを踏まえますと、医療機関との関係も、市町村長からの委託契約であるとか、違った側面を知っておかなければいけないと思っておりまして、次回までに我が方もそういった側面も十分踏まえながら、次はどうやったらいいのかということもきちんと出したいと思っております。
○庵原座長 ありがとうございました。多分、委託契約になると思うので、医師会と市町村との関係が非常に問われると思います。
○外山健康局長 すべて委託契約と言っているのではないのですけれども、前回は国が実施主体で予算事業で実施したものが、今度は法的には市町村が実施主体となります。当然、国・都道府県は支援することとなっていますけれども、概念構成がちょっと変わってきておりますので、当然そういうことも念頭に置きながら制度設計を考える必要があると思っております。
○庵原座長 ありがとうございました。
 大体意見も出尽くしたと思いますので、事務局にお返しします。
○今井予防接種室長補佐 どうもありがとうございました。
 次回の日程につきましては、調整の上、改めて御連絡させていただきます。
○庵原座長 それでは、お忙しいところをちょっと時間を超過いたしまして申し訳ございません。これで今日の検討会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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