2012年2月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録
日時
平成24年2月1日(水)
場所
厚生労働省専用第23会議室
出席者
出席委員(13名):五十音順 敬省略
奥田真弘、 菊池嘉、 清田浩、 黒木 由美子、
清水秀行、 鈴木邦彦、田村友秀、 ○土屋友房、
濱口功、 半田誠、 山口照英、 山本一彦、
◎吉田茂昭
(注) ◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名
欠席委員(8名):五十音順 敬省略
新井洋由、 庵原俊昭、大槻 マミ太郎、 櫻井敬子、
佐藤俊哉、中島恵美、 前崎繁文、 増井徹
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
奥田真弘、 菊池嘉、 清田浩、 黒木 由美子、
清水秀行、 鈴木邦彦、田村友秀、 ○土屋友房、
濱口功、 半田誠、 山口照英、 山本一彦、
◎吉田茂昭
(注) ◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名
欠席委員(8名):五十音順 敬省略
新井洋由、 庵原俊昭、大槻 マミ太郎、 櫻井敬子、
佐藤俊哉、中島恵美、 前崎繁文、 増井徹
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、新井委員、庵原委員、大槻委員、櫻井委員、佐藤委員、中島委員、前崎委員、増井委員より御欠席との御連絡をいただいております。
現在のところ、当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
本日のその他事項に関しましては、国立感染症研究所の宮崎先生を参考人としてお呼びしております。
それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から、配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~10をあらかじめお送りしております。そのほかに、資料11「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。また、当日配付資料としまして、資料14「佐藤委員からの御質問」を配付しております。
続いて、本日の審議事項に関する資料13「競合品目・競合企業リスト」について御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料13の1ページ、ポテリジオです。本品目は、再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページはグリベックです。本品目は、FIP1L1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群、慢性好酸球性白血病を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。以上でございます。
○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますでしょうか。
無いようでございますので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆さんの御了解を得たものといたします。委員からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況についてです。
議題1のポテリジオについては、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題2のグリベックについては、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
○吉田部会長 本日は、審議事項は3議題、報告事項が6議題、その他事項が1議題となっております。本日は参考人の先生に来ていただいている関係上、その他事項から始めます。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題1、資料10「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」事務局より説明いたします。
資料の156ページです。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に関しては、平成21年6~8月に第1回目の要望募集を行いまして、その時に要望が提出された374件について検討を行ってまいりました。そのうち186件について、医療上の必要性が高いと評価いただきましたので、開発要請等の取組を進めて、承認に向けた取組を進めている状況です。
次のページです。本日御報告差し上げたい2点のうちの1点目になりますが、平成23年12月22日に開催された第10回の検討会議までの検討状況をお示ししています。上の表が第1回開発要請等をしたもの、下の表が第2回、第3回開発要請したものの表になっています。
「実施が必要な試験や公知申請の妥当性について検討中のもの」というのが、上の表では1件、下の表では6件となっていますので、検討中のものは7件のみということになっています。この7件を除いては、承認に向けた方向付けがなされたということになります。
2点目に報告差し上げたい点です。同じ資料の最後のページを御覧ください。第1回の要望に対する検討と平行して、昨年の8~9月にかけて、第2回目の要望募集を行ってまいりました。募集期間中に、約80の団体等から、延べ357件、重複をまとめて290件の要望が提出されております。これにつきましては、第1回要望と同様に検討することとしておりまして、春頃から検討会議において必要性の評価を進める予定としております。本日は、12月の会議で公知申請の報告書をまとめていただいた2件の事前評価をお願いしたいと考えております。報告書の内容については、宮崎先生に御報告をお願いしたいと思います。以上です。
○吉田部会長 宮崎先生、説明をよろしくお願いいたします。
○宮崎参考人 その他事項議題1、資料10について説明いたします。
2成分ありますが、まとめて御説明させていただきます。3ページを御覧ください。スルファメトキサゾール・トリメトプリム、いわゆるST合剤のニューモシスチス肺炎(以下PCPと言う)の予防及び治療の効能追加の要望について御説明いたします。
要望者は日本感染症学会等4団体です。5ページの「2.要望内容における医療上の必要性について」の項を御覧ください。PCPはHIV感染や免疫抑制剤使用等における免疫不全状態の患者に発症する日和見感染症の一つです。また、欧米を含む海外ではST合剤の経口剤が、PCPの予防及び治療について承認されており、ガイドラインや教科書において第一選択とされています。また、多くの文献でST合剤の経口剤の予防及び治療効果は、既存薬と比較して同等又は優れていることが報告されております。
以上を踏まえ、検討会議では本剤のPCPの予防及び治療の適応について、医療上の必要性は高いと判断されました。
68ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項です。海外において、既に本効能・効果にて承認されていること、要望内容に関する文献が公表されていること及び教科書や国内外の各種ガイドラインで本剤が第一選択薬として推奨されていること等から、本剤はニューモシスチス肺炎の予防及び治療として確立されたものであり、有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
効能・効果については、同じ68ページに記載しているとおり、適応菌腫をニューモシスチス・イロベチー、適応症をニューモシスチス肺炎、ニューモシスチス肺炎の発症抑制といたしました。用法・用量については、69ページに記載しております。治療に用いる場合、通常、成人には1日量は9~12錠、顆粒の場合には9~12gになります。これを3~4回に分割、及び通常、小児にはトリメトプリムとして、1日量15~20mg/kgを3~4回に分割とし、年齢、症状に応じて適宜増減といたしました。発症抑制に用いる場合、通常、成人には1日1回1~2錠、顆粒の場合には1~2gを連日又は週3日、及び通常、小児にはトリメトプリムとして、1日量4~8mg/kgを2回に分割し、連日又は週3日といたしました。
続いてメトロニダゾールです。79ページを御覧ください。メトロニダゾールの嫌気性菌関連疾患、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、クロストリディウム・ディフィシル関連腸炎の4疾患の効能追加の要望について御説明いたします。
要望者は日本感染症学会等4団体です。80ページの「2.要望内容における医療上の必要性について」の項を御覧ください。検討会議では、いずれの疾患も生命に重大な影響のある疾患で、既存の療法が国内に無いことから、医療上の必要性は高いと判断されました。
145ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項です。今回要望されている4疾患について、海外において既に当該効能・効果にて承認されておりまして、教科書や国内外の各種ガイドラインの記載及び公表文献等から、本剤が要望された4疾患に対して、その使用が推奨されております。また、国内において、有効性・安全性及び用法・用量の調査を目的として、使用実態調査を実施して、臨床現場においても使用実績が蓄積されているものと判断いたしました。
以上を踏まえ、検討会議では、本剤の要望されている4疾患に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
効能・効果については146ページに記載しているとおり、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、クロストリジウム・ディフィシル感染性腸炎の効能・効果を追加すると共に、嫌気性菌感染症については、海外教科書、国内成書を参考に、適応菌種と適応症を設定いたしております。
用法・用量については147ページに記載しているとおり、4疾患各々について、国内外の教科書、ガイドラインに推奨されている内容と国内使用実態調査結果に大きな乖離がなく、これらを基に設定いたしております。以上です。
○吉田部会長 委員の先生から何か御質問がありましたらお願いいたします。いずれも効能追加ということですが、いかがでしょうか。
○土屋部会長代理 細かいことですが、69ページの用法・用量ですが、2.の(1)の一番下に、「ただし、年齢、症状に応じて適宜増減する」と書いてありますが、増やす場合に上限は決めなくてよろしいのですか。
○宮崎参考人 今回の検討では上限は決めておりませんが、極量はありますので、その範囲でということになると思います。
○吉田部会長 この点について事務局から何かありますか。
○事務局 補足させていただきます。例えば安全性上、さらに非常に気になるような点等がありましたら、上限をきちんと定めていくこともあるかと思うのですが、この薬剤については上限は設定せずとも、一般的な範囲で専門の感染症等の先生がお使いになることにかんがみれば、そこまで厳密な上限を設定する必要は無いのではないかということで現在の案になっています。その辺りは、きちんと機構の審査の中でも精査してまいりたいとは考えております。
○吉田部会長 いずれにしても、この部会にはもう1度上がってきますので、その時にでも再度資料等を揃えていただければと思います。ほかにございますか。
○清水委員 72ページです。「10.備考」のところに「ニューモシスチス肺炎の発症抑制は、ニューモシスチス肺炎のリスクを有する患者を対象とする旨を注意喚起する必要があると考える」という記述がありますが、具体的にはどのようなものかを御指導いただければと思います。
○宮崎参考人 実際にニューモシスチス肺炎の発症抑制に対しては、臨床現場でHIVの患者さん、造血幹細胞移植後の患者さん等で、予防しなければ極めて高い確率で発症してくる背景をもった病態は分かっておりますので、審査の段階でもし必要があれば、そういった疾患を具体的に、何々等ということで記載することで対応は可能かと思います。
○吉田部会長 ほかにございますか。いずれも重要な御指摘だと思うのですが、よろしいですか。それでは、特に無いようでございますので、その他事項につきましては御確認いただいたものといたします。
宮崎先生、どうもありがとうございました。議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ポテリジオ点滴静注20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明させていただきます。
本剤の有効成分であるモガムリズマブ(遺伝子組換え)は、Tリンパ球に発現するCCケモカイン受容体4(以下CCR4と略す)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。成人T細胞白血病リンパ腫(以下ATLと略す)では、CCR4陽性細胞を高発現する患者が、9割程度を占めることが報告されております。
本剤はCCR4と結合し、抗体依存性細胞傷害活性(以下ADCC活性と略す)を介して、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。
ATLは、ヒトT細胞白血病ウイルス1型のキャリアが数十年の潜伏期間を経て、2~5%の割合で発症することが報告されており、国内の患者数が約2,000名の希少な疾病であります。ATL患者のうち、抗悪性腫瘍剤等による積極的な治療が必要な病型である急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型の患者が約9割程度を占め、多剤併用化学療法が施行されるものの、標準治療は確立されておりません。今般、本剤は、「CCR4陽性の再発・再燃ATL」に対して効果を示す薬剤として承認申請されております。
なお、本剤は平成22年7月に開催されました当医薬品第二部会での審議結果を踏まえて、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は審査報告書の4ページにお示ししますように、平成23年11月現在、海外においてATLを対象とした開発は行われておりません。本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、本日お配りの資料12にございますとおり、9名の委員となっております。
以下、本剤の臨床試験成績を中心に御説明いたします。今回の承認申請では主な臨床試験として、国内で実施された第I相試験及び第II相試験の計2試験が提出されております。有効性については、審査報告書37ページの上から10行目以降及び54ページの上から13行目以降にお示ししますように、標準治療の確立していない再発または再燃のCCR4陽性ATL患者において、国内第II相試験の結果、一定の奏効が得られたことから、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
安全性につきましては、本剤の使用において特に注意すべき有害事象としては、審査報告書38ページの上から11行目以降及び54ページの下から7行目以降にお示ししますように、血液毒性、infusion reaction、感染症・免疫系障害、皮膚障害、腫瘍崩壊症候群、肝機能障害及び心機能障害が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に精通した医師による慎重な観察と、適切な処置により忍容は可能と判断いたしました。ただし、本剤の検討症例は限られていることから、審査報告書50ページの上から2行目以降及び59ページの上から9行目以降にお示ししますように、製造販売後には本剤を使用するすべての症例を対象とした全例調査により安全性情報を迅速に収集し、調査結果を速やかに情報提供する必要があると考え、これを承認条件として設定することが適切であると判断いたしました。
効能・効果につきましては、審査報告書46ページの上から10行目以降及び56ページの上から21行目以降にお示ししますように、国内臨床試験では一次治療で寛解を得た後に増悪した「再発・再燃例」が国内臨床試験の組入れ対象であり、一次治療で寛解を得られない「一次治療抵抗性」の症例は試験から除外されましたが、ATLの二次治療が一次治療に対する反応性別には確立しておらず、本剤の有効性が一次治療に対する反応性に依存するという薬理学的な根拠が乏しいと考えることから、「再発・再燃例」に限定することなく「一次治療抵抗例」を含めて、「再発又は難治性のCCR4陽性のATL」と設定することが適切であると判断いたしました。
専門協議において専門委員からは、機構の判断を支持する意見に加えて、進行性のATLは、一旦寛解に達しても寛解期間が短い患者が多く、「再発・再燃」と「一次治療抵抗性」とを明確に区別することは困難な場合があり、国内第II相試験の成績から、一次治療抵抗例に対しても一定の臨床効果が期待されることを踏まえて、効能・効果に一次治療抵抗例を含めることは適切であるとの意見が出されております。
専門協議での議論、及び本剤が造血器腫瘍に対する化学療法に十分な知識と経験のある医師によって使用される薬剤であることを踏まえて、効能・効果を「再発又は難治性のCCR4陽性のATL」と設定した上で、添付文書や情報提供資材等を用いて、臨床試験の対象患者を的確に周知することにより、患者選択は適切になされると判断をいたしました。
本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適切であると判断いたしました。また、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、本剤は生物由来製品に該当すると判断いたしました。本剤の製造販売承認の可否等について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
なお、本日配付の資料14にございますように、事前に佐藤委員から御質問、御意見をいただきましたので、機構から回答させていただきます。御質問、御意見は3点ございます。
1点は、国内臨床試験から除外された「一次治療抵抗例」を含めて、本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定した理由として、審査報告書の46ページに記載をした、「本薬の有効性が前治療として使用された一次治療に対する反応性に依存するという薬理学的根拠も乏しいと考える」との機構の意見について、もう少し詳しく説明してほしい。また、本件に関連して、国内第II相試験であります0761-002試験の開始前に実施をした治験相談の状況について、御質問をいただいております。
本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定した背景としましては、主に次の3点を考慮しております。まず1点目としまして、0761-002試験においては、前治療による効果及び副作用による影響が持ち越されていない被験者を対象とするために、一次治療の実施から4週以内に病態が進展した患者は試験からは除外されております。この考え方は、本剤の有効性・安全性を評価するために、前治療の影響を排除する観点からは妥当と考えられるものの、このような患者を本剤の使用対象から完全に除外することが、対象疾患が希少疾病であることも踏まえて、医療現場にとって妥当かということです。
2点目は、薬理学的な観点からすると、本剤の作用機序は、CCR4と結合して、ADCC活性を介した抗腫瘍効果を示すと考えられておりまして、本剤の効果はCCR4陽性細胞の有無に依存する可能性が大きく、これまで申請者等を通じて調べる限りにおきましては、CCR4陽性の細胞数、ADCC活性が一次治療の反応性や再発・再燃までの期間等に応じて異なるといった知見は確認はされていないということです。
最後に3点目として、審査報告書の56ページの下から6行目以降にお示ししますように、専門協議において専門委員からは、進行性のATLが一旦寛解に達しても、寛解期間が短い患者が多く、実際の医療現場では「再発又は再燃」と、「一次治療抵抗性」が病態として明確に区別されている状況にはないという御意見をいただいていること、また、一次治療抵抗性患者を本剤の使用対象から除外すべきではないという御意見をいただいていること、これらの点や進行性ATL治療の現状、すなわち二次治療において確立した治療方法が無いという現状を考えると、0761-002試験において、再発・再燃例で一定の奏効が得られており、一次治療抵抗例に対してもCCR4陽性患者であれば、一定の臨床効果が期待されることなどから、本剤が造血器腫瘍に対する化学療法に十分な知識と経験のある医師が使用する薬剤であることを前提とすれば、本剤の効能・効果について、一次治療抵抗例を含む「再発又は難治性のATL」と設定することが適切と判断いたしました。
なお、一次治療抵抗例及びくすぶり型といった臨床試験で対象とならなかった病型の患者層については、添付文書等でその旨を明記し、臨床試験の対象患者を的確に注意喚起すると共に、製造販売後に新たな知見が得られれば適切に情報提供することが妥当であると考えております。
また、国内第II相試験前に実施をした治験相談の状況でございますが、申請者から示された症例数の設定、□□に関する相談事項を中心に議論が行われておりまして、この「一次治療抵抗例」の扱いに関する議論は、結果的にはございませんでした。
次に、御質問、御意見の2点目です。0761-002試験において、申請者が有効性解析対象のPFS及びOSをKaplan-Meier法に推定した奏効と非奏効例別の解析は、統計学的に誤りであり、審査報告書の38ページ上から7行目に示されたとおり、「本薬の有効性に関して情報提供する際に、試験成績を適切に解釈した上で、医療現場に誤解が生じないよう十分留意すべきである」点を徹底すべきであるとの御意見をいただいております。
機構はこの御意見を踏まえまして、医療現場において本剤の有効性に関する試験成績の解釈に誤解が生じないよう、申請者が作成する情報提供資材等について、内容の適切性を確認すると共に、今後、同様の誤った解析が行われないよう、申請者に対して指導してまいります。
最後に、御質問、御意見の3点目ですが、本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定するのであれば、製造販売後調査において、一次治療抵抗例の有効性を調査することを追加すべきとの御意見でございます。
機構は、この御意見を踏まえまして、申請者に対して、一次治療抵抗例に対する有効性を含めて、製造販売後調査を適切に実施するよう指導してまいります。説明は以上です。
○吉田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。
○山本委員 今回はATLの患者対象なので、このような試験にならざるを得ないと思うのですが、元々、Th1と制御性T細胞に出ている表現抗原に対するモノクローナル抗体ですので、当然そのほかのT細胞に対する影響というのは非常に考えられるわけです。この市販後調査も含めてですが、今後どのように、患者のモニターをどのぐらい実施要望するべきかという点については、どのように考えていますか。
○機構 今回は再発・再燃の患者を対象とした国内第II相試験が実施されたわけですが、現在、未治療のATLの患者を対象とした003試験という試験が今実施されておりまして、そちらの試験の中で、Th2細胞、Tregへの影響を見ていただくことを考えております。
○山本委員 対象としている疾患は良くなったけれども、自己免疫疾患が起こってしまうことがあり得るわけですから、その辺はそうするとまた社会的な問題も起こるので、なるべくその辺は分かる範囲で行っていただくという方向で、御指導をよろしくお願いします。
○審査第五部長 現在進行中の治験も含めて、市販後に新たな情報が得られました場合には、適切に現場にも情報提供するなど、申請者に指導したいと考えております。
○吉田部会長 既に使った患者がいるのだから、フォローアップはしっかりやってもらったらいいのではないですか。ほかにございますか。
○清水委員 二つ教えていただきたいと思います。一つは、国内臨床試験で行われた結果で、infusion reactionがかなり問題になっていて、それの前投与についての記述が39ページの辺りに見られますが、実際に治験の時にはどのような薬剤をどのように使用していたかという具体的な記載が読み取れなかったのですが、そこの辺りの情報がありましたら教えていただきたいと思います。
○機構 今、清水委員から御指摘いただきましたとおり、審査報告書39ページに概略がございまして、前投薬としては、本薬の投与30分前に、抗ヒスタミン剤と解熱鎮痛剤が投与されたわけですが、具体的に国内臨床試験で前投与に使用された薬剤は、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン等が使用されております。
○清水委員 一般的な薬剤ということですね。
もう1点は、この薬剤の用法・用量にかかわることです。1週間ごとに8回使用することの根拠が、審査報告書の中では根拠が弱いというか、そこについて機構はどのように考えているのか、今後投与回数が増える可能性があるのかどうか、教えていただければと思います。
○機構 今、委員から御指摘の点は、審査報告書49ページの真ん中辺りの投与回数に関する議論のことかと思います。今回の試験では、主にリツキシマブが投与回数8回ということで、それを参考に設定されたということで、それに基づく成績ですので、用法・用量にも8回と記載させていただいております。8回の投与を終えられた場合には、一定の再投与の基準というのがございまして、その基準に合致し、8回を超えた投与が実際に国内臨床試験でも行われておりまして、特に安全性等の問題は確認されておりませんので、臨床試験において再投与が行われたということを添付文書の臨床成績の項で、情報提供させていただいております。また、製販後調査においても再投与の状況についてはフォローアップさせていただくことを考えております。
○吉田部会長 そのinfusion reactionのメカニズムについては、まだ分からないのですか。
○機構 かなりの頻度で起きるということは事実ですが、明確には分かっておりません。
○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見が無いようですので、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。市販後の件はよろしくお願いいたします。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品グリベック錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明させていただきます。
本剤の有効成分であるイマチニブメシル酸塩は、複数のチロシンキナーゼのリン酸化の抑制を介して、その下流のシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制する作用を有すると考えられており、本邦においては、慢性骨髄性白血病、KIT陽性消化管間質腫瘍及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する薬剤として承認されております。今般、本剤は「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」の効能・効果の追加を目的とした、製造販売承認事項の一部変更承認の申請がなされました。
審査報告書の5ページ目の中段にお示ししておりますとおり、本剤は平成23年4月18日に開催された、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、海外で実施された臨床試験・研究の成績、本邦における症例報告、並びに国内外の治療ガイドラインや教科書の記載内容から、本剤の有用性は医学薬学上公知と判断可能とされ、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられております。
その後、平成23年4月28日に開催された当部会におきましても、同報告書に基づき、本剤の有効性及び安全性について事前評価をいただき、「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」の効能・効果で承認申請は可能との御判断をいただいております。そのため、今般の承認申請では、新たな臨床試験成績は提出されず、当部会で事前評価された公知申請への該当性に係る報告書、及び添付文書案等が提出されております。なお、本剤は平成23年11月に開催された当部会での審議結果を踏まえ、希少疾病用医薬品に指定されております。
機構は、公知申請の該当性報告書等を踏まえ、申請時に提出された添付文書(案)及び製造販売後の留意点についてさらに追記・修正すべき点の検討を行ったところ、審査報告書の7ページ目にお示ししましたとおり、申請効能・効果及び用法・用量での安全性について、既承認のがん腫での安全性プロファイルと比べ、今回の承認申請において新たに注意すべき事象は無く、化学療法に十分な知識と経験を有する医師によって、本薬の安全性プロファイル等が十分に理解された上で、患者の状態に応じて適切に使用されるのであれば、本剤は忍容可能と判断いたしました。
以上の審査の結果、機構は「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定された新効能医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
基本的にCMLの治療を行う先生方が使うということで、使用される環境も変わらないということで問題は少ないと思うのですが、用量は、なんでこんなに少なくしてしまったのでしょうか。増量規定も無いようなので、安全性は特に問題にならないのかもしれませんが、根拠は世界標準でということですか。
○機構 はい。海外で実施されております臨床試験成績等の設定を踏まえ、1日1回100mgという形で設定させていただいております。なお、増量は400mgまで可能となっております。
○吉田部会長 CMLでは600mgまでOKになっていて、意外と用量依存性があったりするのだけれども、この疾患の場合はそれほどないということなのですか。
○機構 現時点で600mgまで増量されているという報告がございませんでした。
○吉田部会長 無いので申請には使わなかったということですね。
○機構 はい。
○吉田部会長 そのようなことで、臨床的な問題は少ないと考えられるのだろうと思います。御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ほかに御意見が無いようですので、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題3、資料3「生物学的製剤基準の一部改正について」事務局より御説明させていただきます。
資料の2ページを御覧ください。生物学的製剤基準ですが、薬事法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別な注意を要する医薬品につき、その製法、性状、品質、貯法等に関して定めた基準です。具体的にはワクチン及び血液製剤等の生物学的製剤について、その製法等を定めたものです。
今般、インフルエンザ菌b型による感染症の予防ということで既に承認されております、乾燥ヘモフィルスb型ワクチン、製品名アクトヒブについて、原液等の試験方法を変更するための一部変更承認申請がされております。この試験方法の変更に関し、承認に当たって生物学的製剤基準の医薬品各条の部、乾燥ヘモフィルスb型ワクチンの条において、3~4ページの新旧対照表にありますとおり、試験方法の改正をするものです。具体的には濃縮破傷風トキソイド液の無毒化試験、毒性否定試験、また原液のEDAC含量試験、フェノール含量試験、及び分子サイズ分布試験について改正を行うものです。説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方、御質問、御意見をお願いいたします。
方法論が変わったので、現行の評価基準を変えたということのようですけれども、山口先生は何か御存じですか。
○山口委員 私は、これに関与はしておりません。例えば、EDACの含量試験は感度がいいです。目的物をより特定しやすい測定法になっていると思っています。
○吉田部会長 濱口先生いかがですか。
○濱口委員 感染研の試験担当室の方も、これについては現在の試験法にある程度合わせるということで、内容についても見直しをした方が良いということで検討しておりますので、これで結構だと思います。
○吉田部会長 これは世界基準になっているのですか、それとも国内の基準ですか。
○事務局 海外での試験方法の変更に合わせているということです。
○吉田部会長 わかりました。ほかに御意見が無いようでしたら議決に入ります。
本議題について、生物学的製剤基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、生物学的製剤基準の改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項にまいります。報告事項について、議題1~6まで一括して説明をお願いいたします。
○機構 報告事項議題1、資料4「医薬品サワシリン細粒10%、同カプセル125、同カプセル250、同錠250、パセトシン細粒10%、同カプセル125、同カプセル250、及び同錠250の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本薬は、細菌細胞壁の合成を阻害することでグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して抗菌作用を示すペニシリン系の抗生物質です。
本邦における小児患者に対する現在の承認用量の上限は1日40mg/kgですが、海外では幅広い疾患及び菌種に対してより高用量である1日90mg/kgによる治療が承認されていること、国内外の各種診療ガイドライン、国際的に評価されております教科書による記載、国内外の公表論文及び国内外での使用実績などから、小児患者における最大用量を1日90mg/kgに変更する要望がなされ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料4に記載いたしました用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料5「医薬品ペプシドカプセル25mg、同カプセル50mg、ラステットSカプセル25mg、及び同Sカプセル50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤はトポイソメラーゼII活性阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤で、現在「肺小細胞癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌」の効能・効果で承認されております。
本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、ブリストル・マイヤーズ株式会社、及び日本化薬株式会社から、「がん化学療法後に増悪した卵巣癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料6「医薬品ランダ注10mg/20mL、同注25mg/50mL、同注50mg/100mL、ブリプラチン注10mg、同注25mg、同注50mg、シスプラチン注10mg「日医工」、同注25mg「日医工」、同注50mg「日医工」、シスプラチン点滴静注10mg「マルコ」、同点滴静注25mg「マルコ」、同点滴静注50mg「マルコ」、プラトシン注10、同注25、及び同注50の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、白金錯体化合物のシスプラチンを有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、今般日本化薬株式会社、ブリストル・マイヤーズ株式会社、日医工株式会社、日医工ファーマ株式会社及びファイザー株式会社から、「胆道癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料7「医薬品注射用ペニシリンGカリウム20万単位及び注射用ペニシリンGカリウム100万単位の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本薬は、細菌細胞壁のペプチドグリカン合成を阻害することにより、生育中の菌に対して殺菌的に作用する抗生物質です。本薬は、国内外のガイドライン、教科書において、神経梅毒の治療薬として推奨され、細菌性髄膜炎及び感染性心内膜炎に対しては高用量(2,400万単位/日)の点滴静脈内投与が推奨されております。この状況を踏まえ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料7に記載いたしました効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。以上でございます。
○事務局 報告事項議題5、資料8「医療用医薬品の承認条件の解除について」事務局より説明いたします。
資料の2ページを御覧ください。対象の医薬品はタルセバ錠です。これについては、平成19年10月19日に非小細胞肺癌の効能を取得しております。承認条件については1.のところですが、「一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する」ということが承認条件として付されておりました。今般、中外製薬株式会社よりそのデータが提出され、PMDAの審査が終わったため報告いたします。
3ページは、提出された製造販売後調査の概要です。この調査は、目標症例数を3,000例、観察期間最長1年として、2008年6月30日までに登録された3,743例の情報を元に調査結果がまとめられました。患者背景のところですが、非小細胞肺癌の二次治療以降の患者さんが3,446例で98.8%、一次治療が28例で0.8%、治療歴不明が14例で0.4%という状況です。非小細胞肺癌以外の症例の報告は無かったということです。
4ページの安全性の項を御覧ください。安全性解析対象の3,488例のうち、副作用が81.8%、重篤な副作用が13.1%に認められております。その下のパラグラフのところで、間質性肺炎は4.8%でした。そのほか有効性についても適切に情報収集がされており、本調査の結果を踏まえ、添付文書の改訂等適正使用に必要な措置が講じられていることを確認しております。以上のことから、先ほどの承認条件1.の内容については確認されたものと考えております。以上でございます。
○機構 報告事項議題6、資料9-1~9-2「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。これらは、いずれも医薬品再審査の確認等の結果通知書です。
資料9-1、一般的名称は「パズフロキサシンメシル酸塩」、販売名はパシル点滴静注液300mg、同点滴静注液500mg及び同皮内反応液のもの。
資料9-2、一般的名称は「パズフロキサシンメシル酸塩」、販売名はパズクロス注300、同注500及び同皮内反応用セットのものです。
これらの品目については、製造販売後の特定使用成績調査等に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上でございます。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 資料5と資料6で効能追加になった部分の添付文書の用法・用量の増減のところの書きぶりなのですが、従前の用法・用量の増減については、「投与量は疾患、症状により適宜減量する」という文言を使っています。今回新たに適用になった部分については、「患者の状態により適宜減量する」となっています。これは、資料6についても同じような書きぶりになっています。そこのところは、何か指導の方針などが変更になったというようなことがあるのでしょうか。
○機構 通常の医薬品では、「年齢、症状により適宜増減」と書かれているものが多いと思います。抗がん剤の場合には、疾患が重篤で、軽症、重症という区別がなされていないので、実際に患者さんの状態によって増減を考慮してくださいということです。状態というのは、臨床症状や、検査値も含めてすべて「状態」で表せるということで、「状態により適宜増減」という書き方にした方がいいのではないかということで、今回はこのように書かせていただきました。
○清水委員 例えば、ベプシドについても、薬剤として違うわけではないので抗がん剤ですね。その適用の部分が、今の説明だとまるで違う適用があるように思えるのです。たまたま今回の資料を読んでいて、そのベプシドもブリプラチンも、従前の適用のある部分の書きぶりと、新規に追加になったところの書きぶりが、同じような違いがあったので指導の方向性が変わったのかと思いまして、確認させていただいたということです。これだと意味が通らない等ということではなく、これだといけないということではないのですが、指導の方向性が変わったかと思いました。
○機構 今回は、医療上の必要性の高い未承認薬の枠組みの中での審査なので、従来の文言の整理を始めると審査期間がなくなってしまうので、今回の場合は追加部分だけ対応させていただきたいと思います。
○吉田部会長 今後は、すべてこのような書きぶりになるのですか。
○機構 今まで申請された中で、最近の事例では「患者の状態により」という形で統一する方向です。申請が上がってきたものについては、そのような形で動いております。
○事務局 事務局より少し補足させていただきます。清水先生からの御指摘は、これまで「適宜増減」となっていたところが、今回は「適宜減」ではないかということですね。
○清水委員 違います。日本語をきちんと読んでください。ベプシドを例にしても、ブリプラでもどちらでもいいのですが、ベプシドを例にすると、「なお投与量は疾患、症状により適宜減量する」というのがこれまでの書きぶりで、今回のものは「なお患者の状態により適宜減量する」という書きぶりになっています。その日本語の使い方、方針が変わったのですかということです。
○審査第五部長 先生の御指摘はごもっともで、現場の先生が無用な心配をしないように配慮してほしいという趣旨かと思います。本質的に大きな違いは無いと考えておりますので、今後色々な品目が出てくる時には、可能な対応をしていきたいと考えております。
○吉田部会長 確かに色々と書いてありますね。ランダの方を見ると、A~G法は「疾患症状により適宜増減」で、その次にH法は「症状により適宜減量」で、I法は「患者の状態により適宜減量」なのです。つまり、統一性が無いといえば統一性が無いので、その辺はどうなのかということです。3通り書いてあるので、意味があるのなら意味があるでいいのですけれども。
○審査第五部長 本質的にそんなに大きな違いは無いと思いますので、疾患全体、あるいは添付文書全体を見ました時に、このような差が出てくる可能性もあると思いますので、私どもとしても可能な対応をしていきたいと考えております。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。
○清水委員 もう1点ですが、タルセバのところで、審査の結果に影響のある話では無いのですが、3ページの1.の患者背景のところで3,743例のうち3,520例が対象になりました。除かれたものは、本薬が非投与例、使われなかったものは当然除かれてもいいと思うのですが、「重複登録」が6例、「調査票回収不能となった」が32例という数字が出ています。この薬剤は説明にもあったように、例えば5ページの下ですが、事前に「本薬納入施設・医師要件の設定、及び納入前の確認」を行うであるとか、次のページに移って二つ目のポツで、「卸業者に対する流通管理への協力依頼」ということで、症例は確実につかまえているはずで、きちんとつかまえなければ納品できないようなルールになっているにもかかわらず、6例の重複投与や調査票の回収不能が32例あったことについて、厚生労働省はどのようにお考えになっているのでしょうか。
○事務局 実際の医療現場では、非常にお忙しい中、協力いただくといったような所もありますので、必ず全部100%というのはなかなか難しいと思うのですけれども、できるだけきちんと調査を行うというのは先生の御指摘のとおりだと思います。本日、先生からいただいた御意見をメーカーの方にお伝えし、他の品目についても引き続き安全対策をきちんと行うように伝えていきたいと思います。
○清水委員 元々この薬剤はそのような理由があって、そういった流通管理をしているのですから、少数の症例であっても、どうしてそのようなことが起こったのかということは、きちんとメーカーに説明を求めていただきたいと思います。
○事務局 少し補足させていただきます。細かいところになるのですけれども、電子カルテと紙カルテのところでの不整合や、あるいは患者さんが来院されなくなった等、そのような状況もあるようですが、登録の状況についてはきちんと精査してきたという状況です。ただ、今回いただいた御意見は当然のことだと思いますので、引き続きメーカーと話をしていきたいと思っております。
○吉田部会長 昔、完全例や不完全例という言い方がありましたね。不完全例の割合が多いと信頼性が無いということでしたが、市販後調査でも数が大きくなった時に、不完全例が何パーセント以上になったら、これは市販後調査として不十分だとか、信頼性が無いということも、どこかで線引きをする必要があると思います。今、御指摘があったように、なぜこのようになったかということの原因ぐらいは押さえておかないと、これから管理していく上で非常に抜かってしまうことにもなりかねないので、精査していく必要は十分にあると思います。
○奥田委員 資料4~6辺りになるのですが、アモキシシリンに関しては、今回申請の上がっている品目以外にも、先発医薬品メーカーから市販されているもの、それから後発医薬品で市販されているものがありますが、そのようなものは申請が上がっておりません。
資料5のエトポシドに関しても後発医薬品があり、これは発売時期を見ていると、募集以降に発売されているものもあるので、それは除外するにしても、シスプラチンに関しては後発医薬品も申請が上がってきている。同じ医薬品で薬効に違いが出てくるということが、現場の混乱につながってくるということは、前から問題にされていると思います。これは公知申請の審議を経て申請されていることになりますので、世の中が、実績があって十分で大丈夫という判断をされて認めるという経緯を辿っているものですので、医薬品によって適用が違うことが起きるのはおかしいのではないかと思います。
もちろん申請に基づいて審議をするというスタイルで行っているので仕方が無い面はあるのかと思うのですが、なんとかここのところは、特に公知申請に関しては揃うということをきちんと行っていただきたいと思います。
○審査管理課長 先生の御指摘のとおり、かねてから効能・効果の違いが、先発品と後発品とで生じないように指導をするための通知も発出しているところではございますけれども、御指摘でもございますので、今後ともなお一層指導に努めたいと存じます。
○事務局 エトポシドについては、このまま承認されると再審査期間は付かないことになりますので、後発品についても効能を揃えることができることになります。ですから、そのような申請を後発メーカーの方で行っていただいて、承認をしていく、効能を合わせていく形になると思います。エトポシドの後発品については、そのような形になると思います。
○奥田委員 後発品の1品目に関しては、募集の時に発売されていたものもあったと思います。これについては、申請をされてきていないのですが、そのような場合には、タイムラグが生じてくるので、現場の混乱というのは、そのようなタイムラグも含めてということになりますので、当初から同じ適用で、同じタイミングで承認するというようなプロセスが必要ではないかと思います。
○事務局 御意見をありがとうございました。先ほどのとおり、適切に対応してまいりたいと思います。
○吉田部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
事務局から連絡事項はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、2月29日(水)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了させていただきます。ありがとうございました。
(了)
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、新井委員、庵原委員、大槻委員、櫻井委員、佐藤委員、中島委員、前崎委員、増井委員より御欠席との御連絡をいただいております。
現在のところ、当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
本日のその他事項に関しましては、国立感染症研究所の宮崎先生を参考人としてお呼びしております。
それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から、配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~10をあらかじめお送りしております。そのほかに、資料11「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。また、当日配付資料としまして、資料14「佐藤委員からの御質問」を配付しております。
続いて、本日の審議事項に関する資料13「競合品目・競合企業リスト」について御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料13の1ページ、ポテリジオです。本品目は、再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページはグリベックです。本品目は、FIP1L1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群、慢性好酸球性白血病を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。以上でございます。
○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますでしょうか。
無いようでございますので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆さんの御了解を得たものといたします。委員からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況についてです。
議題1のポテリジオについては、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題2のグリベックについては、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
○吉田部会長 本日は、審議事項は3議題、報告事項が6議題、その他事項が1議題となっております。本日は参考人の先生に来ていただいている関係上、その他事項から始めます。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題1、資料10「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」事務局より説明いたします。
資料の156ページです。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に関しては、平成21年6~8月に第1回目の要望募集を行いまして、その時に要望が提出された374件について検討を行ってまいりました。そのうち186件について、医療上の必要性が高いと評価いただきましたので、開発要請等の取組を進めて、承認に向けた取組を進めている状況です。
次のページです。本日御報告差し上げたい2点のうちの1点目になりますが、平成23年12月22日に開催された第10回の検討会議までの検討状況をお示ししています。上の表が第1回開発要請等をしたもの、下の表が第2回、第3回開発要請したものの表になっています。
「実施が必要な試験や公知申請の妥当性について検討中のもの」というのが、上の表では1件、下の表では6件となっていますので、検討中のものは7件のみということになっています。この7件を除いては、承認に向けた方向付けがなされたということになります。
2点目に報告差し上げたい点です。同じ資料の最後のページを御覧ください。第1回の要望に対する検討と平行して、昨年の8~9月にかけて、第2回目の要望募集を行ってまいりました。募集期間中に、約80の団体等から、延べ357件、重複をまとめて290件の要望が提出されております。これにつきましては、第1回要望と同様に検討することとしておりまして、春頃から検討会議において必要性の評価を進める予定としております。本日は、12月の会議で公知申請の報告書をまとめていただいた2件の事前評価をお願いしたいと考えております。報告書の内容については、宮崎先生に御報告をお願いしたいと思います。以上です。
○吉田部会長 宮崎先生、説明をよろしくお願いいたします。
○宮崎参考人 その他事項議題1、資料10について説明いたします。
2成分ありますが、まとめて御説明させていただきます。3ページを御覧ください。スルファメトキサゾール・トリメトプリム、いわゆるST合剤のニューモシスチス肺炎(以下PCPと言う)の予防及び治療の効能追加の要望について御説明いたします。
要望者は日本感染症学会等4団体です。5ページの「2.要望内容における医療上の必要性について」の項を御覧ください。PCPはHIV感染や免疫抑制剤使用等における免疫不全状態の患者に発症する日和見感染症の一つです。また、欧米を含む海外ではST合剤の経口剤が、PCPの予防及び治療について承認されており、ガイドラインや教科書において第一選択とされています。また、多くの文献でST合剤の経口剤の予防及び治療効果は、既存薬と比較して同等又は優れていることが報告されております。
以上を踏まえ、検討会議では本剤のPCPの予防及び治療の適応について、医療上の必要性は高いと判断されました。
68ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項です。海外において、既に本効能・効果にて承認されていること、要望内容に関する文献が公表されていること及び教科書や国内外の各種ガイドラインで本剤が第一選択薬として推奨されていること等から、本剤はニューモシスチス肺炎の予防及び治療として確立されたものであり、有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
効能・効果については、同じ68ページに記載しているとおり、適応菌腫をニューモシスチス・イロベチー、適応症をニューモシスチス肺炎、ニューモシスチス肺炎の発症抑制といたしました。用法・用量については、69ページに記載しております。治療に用いる場合、通常、成人には1日量は9~12錠、顆粒の場合には9~12gになります。これを3~4回に分割、及び通常、小児にはトリメトプリムとして、1日量15~20mg/kgを3~4回に分割とし、年齢、症状に応じて適宜増減といたしました。発症抑制に用いる場合、通常、成人には1日1回1~2錠、顆粒の場合には1~2gを連日又は週3日、及び通常、小児にはトリメトプリムとして、1日量4~8mg/kgを2回に分割し、連日又は週3日といたしました。
続いてメトロニダゾールです。79ページを御覧ください。メトロニダゾールの嫌気性菌関連疾患、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、クロストリディウム・ディフィシル関連腸炎の4疾患の効能追加の要望について御説明いたします。
要望者は日本感染症学会等4団体です。80ページの「2.要望内容における医療上の必要性について」の項を御覧ください。検討会議では、いずれの疾患も生命に重大な影響のある疾患で、既存の療法が国内に無いことから、医療上の必要性は高いと判断されました。
145ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項です。今回要望されている4疾患について、海外において既に当該効能・効果にて承認されておりまして、教科書や国内外の各種ガイドラインの記載及び公表文献等から、本剤が要望された4疾患に対して、その使用が推奨されております。また、国内において、有効性・安全性及び用法・用量の調査を目的として、使用実態調査を実施して、臨床現場においても使用実績が蓄積されているものと判断いたしました。
以上を踏まえ、検討会議では、本剤の要望されている4疾患に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
効能・効果については146ページに記載しているとおり、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、クロストリジウム・ディフィシル感染性腸炎の効能・効果を追加すると共に、嫌気性菌感染症については、海外教科書、国内成書を参考に、適応菌種と適応症を設定いたしております。
用法・用量については147ページに記載しているとおり、4疾患各々について、国内外の教科書、ガイドラインに推奨されている内容と国内使用実態調査結果に大きな乖離がなく、これらを基に設定いたしております。以上です。
○吉田部会長 委員の先生から何か御質問がありましたらお願いいたします。いずれも効能追加ということですが、いかがでしょうか。
○土屋部会長代理 細かいことですが、69ページの用法・用量ですが、2.の(1)の一番下に、「ただし、年齢、症状に応じて適宜増減する」と書いてありますが、増やす場合に上限は決めなくてよろしいのですか。
○宮崎参考人 今回の検討では上限は決めておりませんが、極量はありますので、その範囲でということになると思います。
○吉田部会長 この点について事務局から何かありますか。
○事務局 補足させていただきます。例えば安全性上、さらに非常に気になるような点等がありましたら、上限をきちんと定めていくこともあるかと思うのですが、この薬剤については上限は設定せずとも、一般的な範囲で専門の感染症等の先生がお使いになることにかんがみれば、そこまで厳密な上限を設定する必要は無いのではないかということで現在の案になっています。その辺りは、きちんと機構の審査の中でも精査してまいりたいとは考えております。
○吉田部会長 いずれにしても、この部会にはもう1度上がってきますので、その時にでも再度資料等を揃えていただければと思います。ほかにございますか。
○清水委員 72ページです。「10.備考」のところに「ニューモシスチス肺炎の発症抑制は、ニューモシスチス肺炎のリスクを有する患者を対象とする旨を注意喚起する必要があると考える」という記述がありますが、具体的にはどのようなものかを御指導いただければと思います。
○宮崎参考人 実際にニューモシスチス肺炎の発症抑制に対しては、臨床現場でHIVの患者さん、造血幹細胞移植後の患者さん等で、予防しなければ極めて高い確率で発症してくる背景をもった病態は分かっておりますので、審査の段階でもし必要があれば、そういった疾患を具体的に、何々等ということで記載することで対応は可能かと思います。
○吉田部会長 ほかにございますか。いずれも重要な御指摘だと思うのですが、よろしいですか。それでは、特に無いようでございますので、その他事項につきましては御確認いただいたものといたします。
宮崎先生、どうもありがとうございました。議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ポテリジオ点滴静注20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明させていただきます。
本剤の有効成分であるモガムリズマブ(遺伝子組換え)は、Tリンパ球に発現するCCケモカイン受容体4(以下CCR4と略す)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。成人T細胞白血病リンパ腫(以下ATLと略す)では、CCR4陽性細胞を高発現する患者が、9割程度を占めることが報告されております。
本剤はCCR4と結合し、抗体依存性細胞傷害活性(以下ADCC活性と略す)を介して、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。
ATLは、ヒトT細胞白血病ウイルス1型のキャリアが数十年の潜伏期間を経て、2~5%の割合で発症することが報告されており、国内の患者数が約2,000名の希少な疾病であります。ATL患者のうち、抗悪性腫瘍剤等による積極的な治療が必要な病型である急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型の患者が約9割程度を占め、多剤併用化学療法が施行されるものの、標準治療は確立されておりません。今般、本剤は、「CCR4陽性の再発・再燃ATL」に対して効果を示す薬剤として承認申請されております。
なお、本剤は平成22年7月に開催されました当医薬品第二部会での審議結果を踏まえて、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は審査報告書の4ページにお示ししますように、平成23年11月現在、海外においてATLを対象とした開発は行われておりません。本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、本日お配りの資料12にございますとおり、9名の委員となっております。
以下、本剤の臨床試験成績を中心に御説明いたします。今回の承認申請では主な臨床試験として、国内で実施された第I相試験及び第II相試験の計2試験が提出されております。有効性については、審査報告書37ページの上から10行目以降及び54ページの上から13行目以降にお示ししますように、標準治療の確立していない再発または再燃のCCR4陽性ATL患者において、国内第II相試験の結果、一定の奏効が得られたことから、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
安全性につきましては、本剤の使用において特に注意すべき有害事象としては、審査報告書38ページの上から11行目以降及び54ページの下から7行目以降にお示ししますように、血液毒性、infusion reaction、感染症・免疫系障害、皮膚障害、腫瘍崩壊症候群、肝機能障害及び心機能障害が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に精通した医師による慎重な観察と、適切な処置により忍容は可能と判断いたしました。ただし、本剤の検討症例は限られていることから、審査報告書50ページの上から2行目以降及び59ページの上から9行目以降にお示ししますように、製造販売後には本剤を使用するすべての症例を対象とした全例調査により安全性情報を迅速に収集し、調査結果を速やかに情報提供する必要があると考え、これを承認条件として設定することが適切であると判断いたしました。
効能・効果につきましては、審査報告書46ページの上から10行目以降及び56ページの上から21行目以降にお示ししますように、国内臨床試験では一次治療で寛解を得た後に増悪した「再発・再燃例」が国内臨床試験の組入れ対象であり、一次治療で寛解を得られない「一次治療抵抗性」の症例は試験から除外されましたが、ATLの二次治療が一次治療に対する反応性別には確立しておらず、本剤の有効性が一次治療に対する反応性に依存するという薬理学的な根拠が乏しいと考えることから、「再発・再燃例」に限定することなく「一次治療抵抗例」を含めて、「再発又は難治性のCCR4陽性のATL」と設定することが適切であると判断いたしました。
専門協議において専門委員からは、機構の判断を支持する意見に加えて、進行性のATLは、一旦寛解に達しても寛解期間が短い患者が多く、「再発・再燃」と「一次治療抵抗性」とを明確に区別することは困難な場合があり、国内第II相試験の成績から、一次治療抵抗例に対しても一定の臨床効果が期待されることを踏まえて、効能・効果に一次治療抵抗例を含めることは適切であるとの意見が出されております。
専門協議での議論、及び本剤が造血器腫瘍に対する化学療法に十分な知識と経験のある医師によって使用される薬剤であることを踏まえて、効能・効果を「再発又は難治性のCCR4陽性のATL」と設定した上で、添付文書や情報提供資材等を用いて、臨床試験の対象患者を的確に周知することにより、患者選択は適切になされると判断をいたしました。
本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適切であると判断いたしました。また、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、本剤は生物由来製品に該当すると判断いたしました。本剤の製造販売承認の可否等について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
なお、本日配付の資料14にございますように、事前に佐藤委員から御質問、御意見をいただきましたので、機構から回答させていただきます。御質問、御意見は3点ございます。
1点は、国内臨床試験から除外された「一次治療抵抗例」を含めて、本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定した理由として、審査報告書の46ページに記載をした、「本薬の有効性が前治療として使用された一次治療に対する反応性に依存するという薬理学的根拠も乏しいと考える」との機構の意見について、もう少し詳しく説明してほしい。また、本件に関連して、国内第II相試験であります0761-002試験の開始前に実施をした治験相談の状況について、御質問をいただいております。
本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定した背景としましては、主に次の3点を考慮しております。まず1点目としまして、0761-002試験においては、前治療による効果及び副作用による影響が持ち越されていない被験者を対象とするために、一次治療の実施から4週以内に病態が進展した患者は試験からは除外されております。この考え方は、本剤の有効性・安全性を評価するために、前治療の影響を排除する観点からは妥当と考えられるものの、このような患者を本剤の使用対象から完全に除外することが、対象疾患が希少疾病であることも踏まえて、医療現場にとって妥当かということです。
2点目は、薬理学的な観点からすると、本剤の作用機序は、CCR4と結合して、ADCC活性を介した抗腫瘍効果を示すと考えられておりまして、本剤の効果はCCR4陽性細胞の有無に依存する可能性が大きく、これまで申請者等を通じて調べる限りにおきましては、CCR4陽性の細胞数、ADCC活性が一次治療の反応性や再発・再燃までの期間等に応じて異なるといった知見は確認はされていないということです。
最後に3点目として、審査報告書の56ページの下から6行目以降にお示ししますように、専門協議において専門委員からは、進行性のATLが一旦寛解に達しても、寛解期間が短い患者が多く、実際の医療現場では「再発又は再燃」と、「一次治療抵抗性」が病態として明確に区別されている状況にはないという御意見をいただいていること、また、一次治療抵抗性患者を本剤の使用対象から除外すべきではないという御意見をいただいていること、これらの点や進行性ATL治療の現状、すなわち二次治療において確立した治療方法が無いという現状を考えると、0761-002試験において、再発・再燃例で一定の奏効が得られており、一次治療抵抗例に対してもCCR4陽性患者であれば、一定の臨床効果が期待されることなどから、本剤が造血器腫瘍に対する化学療法に十分な知識と経験のある医師が使用する薬剤であることを前提とすれば、本剤の効能・効果について、一次治療抵抗例を含む「再発又は難治性のATL」と設定することが適切と判断いたしました。
なお、一次治療抵抗例及びくすぶり型といった臨床試験で対象とならなかった病型の患者層については、添付文書等でその旨を明記し、臨床試験の対象患者を的確に注意喚起すると共に、製造販売後に新たな知見が得られれば適切に情報提供することが妥当であると考えております。
また、国内第II相試験前に実施をした治験相談の状況でございますが、申請者から示された症例数の設定、□□に関する相談事項を中心に議論が行われておりまして、この「一次治療抵抗例」の扱いに関する議論は、結果的にはございませんでした。
次に、御質問、御意見の2点目です。0761-002試験において、申請者が有効性解析対象のPFS及びOSをKaplan-Meier法に推定した奏効と非奏効例別の解析は、統計学的に誤りであり、審査報告書の38ページ上から7行目に示されたとおり、「本薬の有効性に関して情報提供する際に、試験成績を適切に解釈した上で、医療現場に誤解が生じないよう十分留意すべきである」点を徹底すべきであるとの御意見をいただいております。
機構はこの御意見を踏まえまして、医療現場において本剤の有効性に関する試験成績の解釈に誤解が生じないよう、申請者が作成する情報提供資材等について、内容の適切性を確認すると共に、今後、同様の誤った解析が行われないよう、申請者に対して指導してまいります。
最後に、御質問、御意見の3点目ですが、本剤の効能・効果を「再発又は難治性」と設定するのであれば、製造販売後調査において、一次治療抵抗例の有効性を調査することを追加すべきとの御意見でございます。
機構は、この御意見を踏まえまして、申請者に対して、一次治療抵抗例に対する有効性を含めて、製造販売後調査を適切に実施するよう指導してまいります。説明は以上です。
○吉田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。
○山本委員 今回はATLの患者対象なので、このような試験にならざるを得ないと思うのですが、元々、Th1と制御性T細胞に出ている表現抗原に対するモノクローナル抗体ですので、当然そのほかのT細胞に対する影響というのは非常に考えられるわけです。この市販後調査も含めてですが、今後どのように、患者のモニターをどのぐらい実施要望するべきかという点については、どのように考えていますか。
○機構 今回は再発・再燃の患者を対象とした国内第II相試験が実施されたわけですが、現在、未治療のATLの患者を対象とした003試験という試験が今実施されておりまして、そちらの試験の中で、Th2細胞、Tregへの影響を見ていただくことを考えております。
○山本委員 対象としている疾患は良くなったけれども、自己免疫疾患が起こってしまうことがあり得るわけですから、その辺はそうするとまた社会的な問題も起こるので、なるべくその辺は分かる範囲で行っていただくという方向で、御指導をよろしくお願いします。
○審査第五部長 現在進行中の治験も含めて、市販後に新たな情報が得られました場合には、適切に現場にも情報提供するなど、申請者に指導したいと考えております。
○吉田部会長 既に使った患者がいるのだから、フォローアップはしっかりやってもらったらいいのではないですか。ほかにございますか。
○清水委員 二つ教えていただきたいと思います。一つは、国内臨床試験で行われた結果で、infusion reactionがかなり問題になっていて、それの前投与についての記述が39ページの辺りに見られますが、実際に治験の時にはどのような薬剤をどのように使用していたかという具体的な記載が読み取れなかったのですが、そこの辺りの情報がありましたら教えていただきたいと思います。
○機構 今、清水委員から御指摘いただきましたとおり、審査報告書39ページに概略がございまして、前投薬としては、本薬の投与30分前に、抗ヒスタミン剤と解熱鎮痛剤が投与されたわけですが、具体的に国内臨床試験で前投与に使用された薬剤は、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン等が使用されております。
○清水委員 一般的な薬剤ということですね。
もう1点は、この薬剤の用法・用量にかかわることです。1週間ごとに8回使用することの根拠が、審査報告書の中では根拠が弱いというか、そこについて機構はどのように考えているのか、今後投与回数が増える可能性があるのかどうか、教えていただければと思います。
○機構 今、委員から御指摘の点は、審査報告書49ページの真ん中辺りの投与回数に関する議論のことかと思います。今回の試験では、主にリツキシマブが投与回数8回ということで、それを参考に設定されたということで、それに基づく成績ですので、用法・用量にも8回と記載させていただいております。8回の投与を終えられた場合には、一定の再投与の基準というのがございまして、その基準に合致し、8回を超えた投与が実際に国内臨床試験でも行われておりまして、特に安全性等の問題は確認されておりませんので、臨床試験において再投与が行われたということを添付文書の臨床成績の項で、情報提供させていただいております。また、製販後調査においても再投与の状況についてはフォローアップさせていただくことを考えております。
○吉田部会長 そのinfusion reactionのメカニズムについては、まだ分からないのですか。
○機構 かなりの頻度で起きるということは事実ですが、明確には分かっておりません。
○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見が無いようですので、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。市販後の件はよろしくお願いいたします。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品グリベック錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明させていただきます。
本剤の有効成分であるイマチニブメシル酸塩は、複数のチロシンキナーゼのリン酸化の抑制を介して、その下流のシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制する作用を有すると考えられており、本邦においては、慢性骨髄性白血病、KIT陽性消化管間質腫瘍及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する薬剤として承認されております。今般、本剤は「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」の効能・効果の追加を目的とした、製造販売承認事項の一部変更承認の申請がなされました。
審査報告書の5ページ目の中段にお示ししておりますとおり、本剤は平成23年4月18日に開催された、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、海外で実施された臨床試験・研究の成績、本邦における症例報告、並びに国内外の治療ガイドラインや教科書の記載内容から、本剤の有用性は医学薬学上公知と判断可能とされ、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられております。
その後、平成23年4月28日に開催された当部会におきましても、同報告書に基づき、本剤の有効性及び安全性について事前評価をいただき、「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」の効能・効果で承認申請は可能との御判断をいただいております。そのため、今般の承認申請では、新たな臨床試験成績は提出されず、当部会で事前評価された公知申請への該当性に係る報告書、及び添付文書案等が提出されております。なお、本剤は平成23年11月に開催された当部会での審議結果を踏まえ、希少疾病用医薬品に指定されております。
機構は、公知申請の該当性報告書等を踏まえ、申請時に提出された添付文書(案)及び製造販売後の留意点についてさらに追記・修正すべき点の検討を行ったところ、審査報告書の7ページ目にお示ししましたとおり、申請効能・効果及び用法・用量での安全性について、既承認のがん腫での安全性プロファイルと比べ、今回の承認申請において新たに注意すべき事象は無く、化学療法に十分な知識と経験を有する医師によって、本薬の安全性プロファイル等が十分に理解された上で、患者の状態に応じて適切に使用されるのであれば、本剤は忍容可能と判断いたしました。
以上の審査の結果、機構は「FIP1L1-PDGFRα陽性の慢性好酸球性白血病及び好酸球増多症候群」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定された新効能医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
基本的にCMLの治療を行う先生方が使うということで、使用される環境も変わらないということで問題は少ないと思うのですが、用量は、なんでこんなに少なくしてしまったのでしょうか。増量規定も無いようなので、安全性は特に問題にならないのかもしれませんが、根拠は世界標準でということですか。
○機構 はい。海外で実施されております臨床試験成績等の設定を踏まえ、1日1回100mgという形で設定させていただいております。なお、増量は400mgまで可能となっております。
○吉田部会長 CMLでは600mgまでOKになっていて、意外と用量依存性があったりするのだけれども、この疾患の場合はそれほどないということなのですか。
○機構 現時点で600mgまで増量されているという報告がございませんでした。
○吉田部会長 無いので申請には使わなかったということですね。
○機構 はい。
○吉田部会長 そのようなことで、臨床的な問題は少ないと考えられるのだろうと思います。御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ほかに御意見が無いようですので、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題3、資料3「生物学的製剤基準の一部改正について」事務局より御説明させていただきます。
資料の2ページを御覧ください。生物学的製剤基準ですが、薬事法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別な注意を要する医薬品につき、その製法、性状、品質、貯法等に関して定めた基準です。具体的にはワクチン及び血液製剤等の生物学的製剤について、その製法等を定めたものです。
今般、インフルエンザ菌b型による感染症の予防ということで既に承認されております、乾燥ヘモフィルスb型ワクチン、製品名アクトヒブについて、原液等の試験方法を変更するための一部変更承認申請がされております。この試験方法の変更に関し、承認に当たって生物学的製剤基準の医薬品各条の部、乾燥ヘモフィルスb型ワクチンの条において、3~4ページの新旧対照表にありますとおり、試験方法の改正をするものです。具体的には濃縮破傷風トキソイド液の無毒化試験、毒性否定試験、また原液のEDAC含量試験、フェノール含量試験、及び分子サイズ分布試験について改正を行うものです。説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方、御質問、御意見をお願いいたします。
方法論が変わったので、現行の評価基準を変えたということのようですけれども、山口先生は何か御存じですか。
○山口委員 私は、これに関与はしておりません。例えば、EDACの含量試験は感度がいいです。目的物をより特定しやすい測定法になっていると思っています。
○吉田部会長 濱口先生いかがですか。
○濱口委員 感染研の試験担当室の方も、これについては現在の試験法にある程度合わせるということで、内容についても見直しをした方が良いということで検討しておりますので、これで結構だと思います。
○吉田部会長 これは世界基準になっているのですか、それとも国内の基準ですか。
○事務局 海外での試験方法の変更に合わせているということです。
○吉田部会長 わかりました。ほかに御意見が無いようでしたら議決に入ります。
本議題について、生物学的製剤基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、生物学的製剤基準の改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項にまいります。報告事項について、議題1~6まで一括して説明をお願いいたします。
○機構 報告事項議題1、資料4「医薬品サワシリン細粒10%、同カプセル125、同カプセル250、同錠250、パセトシン細粒10%、同カプセル125、同カプセル250、及び同錠250の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本薬は、細菌細胞壁の合成を阻害することでグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して抗菌作用を示すペニシリン系の抗生物質です。
本邦における小児患者に対する現在の承認用量の上限は1日40mg/kgですが、海外では幅広い疾患及び菌種に対してより高用量である1日90mg/kgによる治療が承認されていること、国内外の各種診療ガイドライン、国際的に評価されております教科書による記載、国内外の公表論文及び国内外での使用実績などから、小児患者における最大用量を1日90mg/kgに変更する要望がなされ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料4に記載いたしました用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料5「医薬品ペプシドカプセル25mg、同カプセル50mg、ラステットSカプセル25mg、及び同Sカプセル50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤はトポイソメラーゼII活性阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤で、現在「肺小細胞癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌」の効能・効果で承認されております。
本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、ブリストル・マイヤーズ株式会社、及び日本化薬株式会社から、「がん化学療法後に増悪した卵巣癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料6「医薬品ランダ注10mg/20mL、同注25mg/50mL、同注50mg/100mL、ブリプラチン注10mg、同注25mg、同注50mg、シスプラチン注10mg「日医工」、同注25mg「日医工」、同注50mg「日医工」、シスプラチン点滴静注10mg「マルコ」、同点滴静注25mg「マルコ」、同点滴静注50mg「マルコ」、プラトシン注10、同注25、及び同注50の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、白金錯体化合物のシスプラチンを有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、今般日本化薬株式会社、ブリストル・マイヤーズ株式会社、日医工株式会社、日医工ファーマ株式会社及びファイザー株式会社から、「胆道癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料7「医薬品注射用ペニシリンGカリウム20万単位及び注射用ペニシリンGカリウム100万単位の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本薬は、細菌細胞壁のペプチドグリカン合成を阻害することにより、生育中の菌に対して殺菌的に作用する抗生物質です。本薬は、国内外のガイドライン、教科書において、神経梅毒の治療薬として推奨され、細菌性髄膜炎及び感染性心内膜炎に対しては高用量(2,400万単位/日)の点滴静脈内投与が推奨されております。この状況を踏まえ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料7に記載いたしました効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。以上でございます。
○事務局 報告事項議題5、資料8「医療用医薬品の承認条件の解除について」事務局より説明いたします。
資料の2ページを御覧ください。対象の医薬品はタルセバ錠です。これについては、平成19年10月19日に非小細胞肺癌の効能を取得しております。承認条件については1.のところですが、「一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する」ということが承認条件として付されておりました。今般、中外製薬株式会社よりそのデータが提出され、PMDAの審査が終わったため報告いたします。
3ページは、提出された製造販売後調査の概要です。この調査は、目標症例数を3,000例、観察期間最長1年として、2008年6月30日までに登録された3,743例の情報を元に調査結果がまとめられました。患者背景のところですが、非小細胞肺癌の二次治療以降の患者さんが3,446例で98.8%、一次治療が28例で0.8%、治療歴不明が14例で0.4%という状況です。非小細胞肺癌以外の症例の報告は無かったということです。
4ページの安全性の項を御覧ください。安全性解析対象の3,488例のうち、副作用が81.8%、重篤な副作用が13.1%に認められております。その下のパラグラフのところで、間質性肺炎は4.8%でした。そのほか有効性についても適切に情報収集がされており、本調査の結果を踏まえ、添付文書の改訂等適正使用に必要な措置が講じられていることを確認しております。以上のことから、先ほどの承認条件1.の内容については確認されたものと考えております。以上でございます。
○機構 報告事項議題6、資料9-1~9-2「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。これらは、いずれも医薬品再審査の確認等の結果通知書です。
資料9-1、一般的名称は「パズフロキサシンメシル酸塩」、販売名はパシル点滴静注液300mg、同点滴静注液500mg及び同皮内反応液のもの。
資料9-2、一般的名称は「パズフロキサシンメシル酸塩」、販売名はパズクロス注300、同注500及び同皮内反応用セットのものです。
これらの品目については、製造販売後の特定使用成績調査等に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上でございます。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 資料5と資料6で効能追加になった部分の添付文書の用法・用量の増減のところの書きぶりなのですが、従前の用法・用量の増減については、「投与量は疾患、症状により適宜減量する」という文言を使っています。今回新たに適用になった部分については、「患者の状態により適宜減量する」となっています。これは、資料6についても同じような書きぶりになっています。そこのところは、何か指導の方針などが変更になったというようなことがあるのでしょうか。
○機構 通常の医薬品では、「年齢、症状により適宜増減」と書かれているものが多いと思います。抗がん剤の場合には、疾患が重篤で、軽症、重症という区別がなされていないので、実際に患者さんの状態によって増減を考慮してくださいということです。状態というのは、臨床症状や、検査値も含めてすべて「状態」で表せるということで、「状態により適宜増減」という書き方にした方がいいのではないかということで、今回はこのように書かせていただきました。
○清水委員 例えば、ベプシドについても、薬剤として違うわけではないので抗がん剤ですね。その適用の部分が、今の説明だとまるで違う適用があるように思えるのです。たまたま今回の資料を読んでいて、そのベプシドもブリプラチンも、従前の適用のある部分の書きぶりと、新規に追加になったところの書きぶりが、同じような違いがあったので指導の方向性が変わったのかと思いまして、確認させていただいたということです。これだと意味が通らない等ということではなく、これだといけないということではないのですが、指導の方向性が変わったかと思いました。
○機構 今回は、医療上の必要性の高い未承認薬の枠組みの中での審査なので、従来の文言の整理を始めると審査期間がなくなってしまうので、今回の場合は追加部分だけ対応させていただきたいと思います。
○吉田部会長 今後は、すべてこのような書きぶりになるのですか。
○機構 今まで申請された中で、最近の事例では「患者の状態により」という形で統一する方向です。申請が上がってきたものについては、そのような形で動いております。
○事務局 事務局より少し補足させていただきます。清水先生からの御指摘は、これまで「適宜増減」となっていたところが、今回は「適宜減」ではないかということですね。
○清水委員 違います。日本語をきちんと読んでください。ベプシドを例にしても、ブリプラでもどちらでもいいのですが、ベプシドを例にすると、「なお投与量は疾患、症状により適宜減量する」というのがこれまでの書きぶりで、今回のものは「なお患者の状態により適宜減量する」という書きぶりになっています。その日本語の使い方、方針が変わったのですかということです。
○審査第五部長 先生の御指摘はごもっともで、現場の先生が無用な心配をしないように配慮してほしいという趣旨かと思います。本質的に大きな違いは無いと考えておりますので、今後色々な品目が出てくる時には、可能な対応をしていきたいと考えております。
○吉田部会長 確かに色々と書いてありますね。ランダの方を見ると、A~G法は「疾患症状により適宜増減」で、その次にH法は「症状により適宜減量」で、I法は「患者の状態により適宜減量」なのです。つまり、統一性が無いといえば統一性が無いので、その辺はどうなのかということです。3通り書いてあるので、意味があるのなら意味があるでいいのですけれども。
○審査第五部長 本質的にそんなに大きな違いは無いと思いますので、疾患全体、あるいは添付文書全体を見ました時に、このような差が出てくる可能性もあると思いますので、私どもとしても可能な対応をしていきたいと考えております。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。
○清水委員 もう1点ですが、タルセバのところで、審査の結果に影響のある話では無いのですが、3ページの1.の患者背景のところで3,743例のうち3,520例が対象になりました。除かれたものは、本薬が非投与例、使われなかったものは当然除かれてもいいと思うのですが、「重複登録」が6例、「調査票回収不能となった」が32例という数字が出ています。この薬剤は説明にもあったように、例えば5ページの下ですが、事前に「本薬納入施設・医師要件の設定、及び納入前の確認」を行うであるとか、次のページに移って二つ目のポツで、「卸業者に対する流通管理への協力依頼」ということで、症例は確実につかまえているはずで、きちんとつかまえなければ納品できないようなルールになっているにもかかわらず、6例の重複投与や調査票の回収不能が32例あったことについて、厚生労働省はどのようにお考えになっているのでしょうか。
○事務局 実際の医療現場では、非常にお忙しい中、協力いただくといったような所もありますので、必ず全部100%というのはなかなか難しいと思うのですけれども、できるだけきちんと調査を行うというのは先生の御指摘のとおりだと思います。本日、先生からいただいた御意見をメーカーの方にお伝えし、他の品目についても引き続き安全対策をきちんと行うように伝えていきたいと思います。
○清水委員 元々この薬剤はそのような理由があって、そういった流通管理をしているのですから、少数の症例であっても、どうしてそのようなことが起こったのかということは、きちんとメーカーに説明を求めていただきたいと思います。
○事務局 少し補足させていただきます。細かいところになるのですけれども、電子カルテと紙カルテのところでの不整合や、あるいは患者さんが来院されなくなった等、そのような状況もあるようですが、登録の状況についてはきちんと精査してきたという状況です。ただ、今回いただいた御意見は当然のことだと思いますので、引き続きメーカーと話をしていきたいと思っております。
○吉田部会長 昔、完全例や不完全例という言い方がありましたね。不完全例の割合が多いと信頼性が無いということでしたが、市販後調査でも数が大きくなった時に、不完全例が何パーセント以上になったら、これは市販後調査として不十分だとか、信頼性が無いということも、どこかで線引きをする必要があると思います。今、御指摘があったように、なぜこのようになったかということの原因ぐらいは押さえておかないと、これから管理していく上で非常に抜かってしまうことにもなりかねないので、精査していく必要は十分にあると思います。
○奥田委員 資料4~6辺りになるのですが、アモキシシリンに関しては、今回申請の上がっている品目以外にも、先発医薬品メーカーから市販されているもの、それから後発医薬品で市販されているものがありますが、そのようなものは申請が上がっておりません。
資料5のエトポシドに関しても後発医薬品があり、これは発売時期を見ていると、募集以降に発売されているものもあるので、それは除外するにしても、シスプラチンに関しては後発医薬品も申請が上がってきている。同じ医薬品で薬効に違いが出てくるということが、現場の混乱につながってくるということは、前から問題にされていると思います。これは公知申請の審議を経て申請されていることになりますので、世の中が、実績があって十分で大丈夫という判断をされて認めるという経緯を辿っているものですので、医薬品によって適用が違うことが起きるのはおかしいのではないかと思います。
もちろん申請に基づいて審議をするというスタイルで行っているので仕方が無い面はあるのかと思うのですが、なんとかここのところは、特に公知申請に関しては揃うということをきちんと行っていただきたいと思います。
○審査管理課長 先生の御指摘のとおり、かねてから効能・効果の違いが、先発品と後発品とで生じないように指導をするための通知も発出しているところではございますけれども、御指摘でもございますので、今後ともなお一層指導に努めたいと存じます。
○事務局 エトポシドについては、このまま承認されると再審査期間は付かないことになりますので、後発品についても効能を揃えることができることになります。ですから、そのような申請を後発メーカーの方で行っていただいて、承認をしていく、効能を合わせていく形になると思います。エトポシドの後発品については、そのような形になると思います。
○奥田委員 後発品の1品目に関しては、募集の時に発売されていたものもあったと思います。これについては、申請をされてきていないのですが、そのような場合には、タイムラグが生じてくるので、現場の混乱というのは、そのようなタイムラグも含めてということになりますので、当初から同じ適用で、同じタイミングで承認するというようなプロセスが必要ではないかと思います。
○事務局 御意見をありがとうございました。先ほどのとおり、適切に対応してまいりたいと思います。
○吉田部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
事務局から連絡事項はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、2月29日(水)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了させていただきます。ありがとうございました。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)