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2012年3月27日 社会保障審議会年金数理部会(第51回)議事録

○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員

○議題

1.公的年金財政状況報告 -平成22年度- について

○議事

○田村首席年金数理官
 定刻になりましたので、ただいまより、第51回社会保障審議会年金数理部会を開催させていただきます。
 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 「座席図」、「議事次第」のほか、次のとおりでございます。
 資料1は、1-1、1-2、1-3、1-4の四つに分けておりますが、「公的年金財政状況報告(案)」でございます。
 資料2は、「公的年金財政状況報告 要旨(案)」でございます。
 配布資料は以上でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は、翁委員がご都合によりご欠席とのことでございます。ご出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 それでは以降の進行につきましては山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長
 委員の皆様にはご多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、平成22年度の公的年金財政状況報告の取りまとめに関して審議を行います。
 なお、前回、平成21年度の公的年金財政状況報告の取りまとめにつきしては、昨年6月の本部会でご審議いただいたわけですが、今回は、制度所管各省、各保険者の皆様のご協力により、昨年度より3か月早いこの時期に開催できることになりました。改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○田村首席年金数理官
 今、部会長からご説明がございましたが、社会保障審議会年金数理部会では、平成13年に立ち上げられて以来、毎年度の決算等の状況について、各制度よりヒアリングを行いまして、現在のような報告書としてまとめております。今回は10回目の報告書となります。
 作成時期も、委員各位のご指導と、先ほど部会長のご挨拶にもありましたが、制度所管各省及び保険者の方々のご協力により、初回の平成13年度版から、ちょうど9か月早くなり、表示年度の翌年度内にできるようになりました。
 また、これから詳しくご説明いたしますが、今回は、一部、記述方法や分析の方法を変更したほか、従来と違った分析等も試みております。
 その案として、お手元には、やや厚めの資料が四つと、薄い4枚ものが一つあると思います。厚めのものは、全体で報告書の本体を構成することになるのですが、作成上、分けて作っております。構成は例年に加え、新しい分析を行った第4章を付け加えました。
 委員の方々には、事前にお目通しをいただき、ご意見もいただいておりますので、かいつんでご説明をいたします。
 なお、これは毎回申し上げておりますが、私の両側にはこのように年金局の人間が並んでおりますけれども、これからご説明いたします、この報告は厚生労働省からの報告ではなく、年金数理部会の事務局としての、報告書案のご説明でございます。
 さて、ご説明に入りたいと思います。最初の右肩に資料1-1となっているものからご説明いたします。
 一枚めくっていただきますと、年金数理部会の委員の方々の名簿になってございます。
 もう一枚めくっていただきますと目次があります。報告書の構成は、第1章から第4章までと付属資料になっています。
 第1章は制度の概要を説明し、第2章は財政状況及び被保険者や受給権者等の現状と財政指標について分析しています。第3章は、実績と財政再計算などにおける将来見通しとの乖離について、その状況と要因を分析しております。第4章は、今回特別に追加したもので、特別分析としていますけれども、直近の10年間の動きを見たものと、コーホート分析、つまり、世代間分析を行っております。付属資料は、公的年金制度の沿革、決算や財政指標の長期時系列、経済等の状況及び用語解説等でございます。
 最後、一枚めくっていただきまして左ページですけれども、目次の最後に参考資料とございますが、これは製本時に、ヒアリング時の資料をつけることとしておりますので、本日の資料にはありません。
 では、まず、右側の1ページ、「はじめに」とありますが、これは前書きです。この報告書の性格、目的を書いております。あまり書いておりませんけれども、その真ん中あたりに、昨年の3月に行っていただいた公的年金制度の財政再計算などに関する財政検証の報告書を作った旨を記載しております。また、最後の方には、第4章の特別分析を行ったことをコメントをしております。
 一枚めくっていただいて、3ページ、第1章ですが、ここでは次のページにわたって公的年金とは何か、その現在の体系図、そして、公的年金一元化について書いてあります。
 5ページからが第2章財政状況です。公的年金各制度の財政状況、被保険者や受給権者の状況及び財政指標について、現状とこれまでの推移を、制度横並びで見ております。
 さて、収支状況ですが、1ページめくっていただいて、6ページの図表2-1-1をご覧ください。これが、平成22年度の公的年金の財政状況の全体です。左端の表側には、収支の項目名があり、それぞれの項目ごとに、制度別に、ヒアリングでいただいた資料から数値を採ってきて並べています。表頭の右から二つ目に合計というのがありますけれども、各制度の数値を単純に足し上げたものです。ただ、公的年金では、各制度間でお金のやりとりをしている部分があります。例えば、被用者年金や国民年金勘定の基礎年金拠出金は、基礎年金勘定の収入に計上されておりますが、全体で見ようとすると、収支で相殺されます。そういった項目が、一番右の欄にありますように、マル1~マル4及び図表の下の注6にある還付金と基礎年金勘定の前年度剰余金というのがございますので、これらを除いた収支を見たものが、図表2-1-1の一番右の公的年金制度全体の欄です。ここで見ていただきますと、文章には詳しく書いてありますが、保険料収入は、28兆6,854億円。国庫・公経済負担は、11兆1,586億円。国共済と地共済の制度発足前の恩給等に係る費用の負担である追加費用は、1兆5,875億円。簿価ベースの運用収入は、9,455億円。旧三公社の共済年金に係る職域等費用納付金が、2,334億円。独立行政法人福祉医療機構納付金は、旧年金資金運用基金が行っていた年金住宅融資等の回収金ですが、4,256億円。その下の積立金よりの受入6兆3,431億円は、予算編成の段階で、収入財源が不足する場合に積立金を取り崩して収入に充てているものでございます。平成22年度は、厚生年金のみが計上されておりますが、昨年度より大きく増加しております。その下の収入の欄の最後の「その他」ですが、1,379億円となっております。なお、その二つ左の基礎年金勘定の1兆9,078億円のうち、勘定科目の設定の違いからここに計上されることになっております前年度剰余金受入1兆9,011億円は除いております。その次の支出は、給付費がほとんどで、48兆8,095億円。結果として、収支残は、3,521億円の黒字となり、年度末の積立金は、簿価ベースで171兆8,746億円ですが、積立金を取り崩して収入に充てておりますので、前年度より6兆5,359億円の減少です。また、時価ベースでは、約7.6兆円あまり減少しておりますが、結果170兆7,203億円となっております。
 今見た公的年金制度全体にある数字を算出する際に相殺した制度間の動き、マル1~マル4と番号を付けておりますが、これらについては、右側の図表2-1-2とその下の補足に詳しく書いてございます。
 次に9ページに行きます。9ページの真ん中より上ですが、(2)に単年度収支状況とあります。今ご覧いただいたように、決算では、積立金よりの受入といった個別制度内部のお金の流れが決算書上出てくる項目がございます。そのため、年金財政から見た本当の収入と支出がよくわかりません。そこで、このような内部のやりとりを除いた上で、運用に関する損益分と、そのほかのキャッシュフローに分けて見たものが、その次のページ(10ページ)の図表2-1-3です。細かな作り方は図表の下にある細かい注に書いてございますが、主なものは、積立金からの繰り入れと基礎年金勘定の繰り越し分を除いたこと、また、共済では、支出のその他に入っていた有価証券売却損を運用による損益に移したことなどです。その結果、右端の欄の公的年金制度全体で見ると、運用損益を除いた収入総額は42兆2,377億円、支出は49兆688億円であり、結果として収支残は6兆8,311億円のマイナスでした。一方、時価ベースで見た場合は、運用損が2,284億円です。積立金は、先ほど見たような数字となっております。
 以上が、全体の財政状況ですが、以下は、今見た決算の各項目について、その推移を見たものです。次の11ページをご覧ください。ここには、保険料収入の推移が載せてあります。平成22年度は、厚生年金、私学共済で増加、国共済、地共済、国民年金で減少となりました。いずれの制度でも保険料率は引き上げられていますが、標準報酬総額が厚生年金ではほぼ横ばい、私学共済では増加しているためです。一方、減少した国共済、地共済は、一人当たり標準報酬額が減少したため、また、国民年金は被保険者の減少が影響しています。なお、以下に出てくる図表でもそうですが、昨年までの報告書では、平成7年からの数値を掲載してきましたが、年数が増えてきたため、今回より、平成17年度までは5年ごとの表示としております。この代わり、この章の最後、65ページ以降に、すべての年度の数値をまとめて載せてございます。
 次のページは、国庫・公経済負担です。図表2-1-6の下の欄の伸び率を見ますと、おおむね増加傾向にありますが、平成21年度は大幅に増加しております。これは、右ページの図表2-1-7にもありますように、この国庫・公経済負担のほとんどを占める基礎年金拠出金への国庫・公経済負担の割合が、2分の1へ引き上げられたことによるものです。平成22年度は、被用者年金では増加、国民年金では減少となりました。これは、その次の14ページの上に文章で書いてございますが、国庫・公経済負担の額に大きな影響を与える基礎年金拠出金が、国民年金の予算上の納付率の変更により、変わったため、先ほどのような変化が生じております。
 次に、14ページの下の(5)は、追加費用についてです。国共済と地共済では、それぞれの制度発足前の恩給期間等の給付を引き継いでというか、通算して給付をしております。ところが、恩給給付につきましては、当然ながら、当時も積立金といったものはありませんでした。その財源手当の方法として、昭和34年と37年の制度発足時に、将来の給付の発生の都度、雇用主であった国や地方公共団体等が拠出するとされ、今日に至っています。企業年金における後発債務の事業主負担と同じようなものだと思います。これが追加費用と呼ばれております。このことは、図表2-1-8の上の注に記述しております。追加費用は今言いました費用の発生の性格から、新規発生はほとんどなく、ずっと減少しております。なお、平成20年度、図表2-1-8をご覧いただきますとわかりますが、平成20年度は大きく減少しておりますが、これは、当時国会に提出されておりました被用者年金一元化法案に従って追加費用も減少するという前提で予算が組まれたためです。平成21年度もその影響がございます。ところが、先ほどの注の上の文章にも書いてありますが、この法案が廃案になったため、その精算が行われた結果、22年度は、一時的に、昨年度に比べて増加しております。傾向的に見れば、順調に減少していると言えます。
 右のページは運用収入ですが、平成22年度は、簿価ベースでは各制度ともプラスですが、時価ベースで見ると、厚生年金、地共済、国民年金でマイナスになっています。同様に、次のページの運用利回りも良好ではありませんでした。
 右の17ページに給付費があります。図表2-1-11をご覧ください。厚生年金は平成21年度には時効特例による遡り支給の影響がありましたが、22年度はあまり伸びていません。また、私学共済は、成熟途上であることもあり、伸びが続いております。一方、国民年金ですが、基礎年金勘定は増加傾向にありますが、増加幅は小さくなっております。
 次の18ページは、最初の収支状況のところで見た、運用損益分を除いた単年度収支残の推移です。被用者年金ではマイナスですが、国民年金では国庫負担の割合が2分の1になったことに加え、基礎年金拠出金の納付率の取扱いもあり、プラスになっています。
 19ページへ行きます。積立金についてです。図表2-1-13には、その推移が、簿価ベースと時価ベースで載せてあります。公的年金全体で見ると、簿価と時価、年度によって出入りはあるもののこのような推移をしております。全体で見ますと、ピーク時には約200兆円あったものが、22年度末では30兆円前後減少しております。減少することは、5年ごとの財政再計算等における将来見通しでも予想されていたことですが、それに加えて経済環境が芳しくなかったということもあろうかと思います。
 次の20、21ページは、各制度の積立金の運用状況について、各制度から提出いただいた内容を並べたものです。
 22ページからは、基礎年金制度の実績について、確定値ベース、つまり発生ベースで見たものです。中程より上にある注にもありますが、基礎年金のお金の流れは、予算ではその年度の見込みと前々年度の精算額の合計がセットされ、決算は予算と同額が計上されます。従って、基礎年金の状況を見るには、決算ベースではなく、確定値ベースで見る必要があります。図表2-1-16にある基礎年金交付金、これは、各制度のみなし基礎年金給付費に相当するものですが、当然ながら減少傾向にあります。一方、基礎年金拠出金は、図表2-1-17ですが、各制度とも増加傾向にあります。ただ、国民年金は算定対象者数が大きく減少しているため、減少となっております。次のページの図表2-1-18をご覧ください。大きくてやや見にくいかと思いますが、これは一言で言いますと、基礎年金拠出金単価を計算している表です。表頭のマル1は、みなし基礎年金を含めた基礎年金の給付に必要な額で毎年増加しております。そこから特別国庫負担を除いたマル1-マル2とあるところの、必要な額は、19.6兆円であり、表の一番下に平成22年度のところがあるように、前年度に比べ1.2%の増加でした。これを人数割りにして単価が出るのですが、被保険者数の減と国民年金の納付率の低下により、人数が一つ飛んだマル3のように1.2%減少しましたので、基礎年金拠出金単価は2.5%増加しました。
 以上が財政状況です。
 これからは、被保険者と受給権者の状況を観察しております。
 被保険者数の推移は、25ページの図表2-2-1にあるとおりです。私学共済は増加が続いております。平成22年度は、厚生年金、国共済、私学共済で増加、地共済、国民年金で減少しております。次のページの図表2-2-2は、年齢別の状況を見たものです。
 少し飛びまして、28ページの図表2-2-4は、被保険者の性別に見たものです。制度により、女性の割合に差がありますが、女性の割合は、後ほど見ますが、増加傾向にございます。
 その下からは、報酬に関するものです。平成15年度から総報酬制になったため、毎月の保険料に係る標準報酬月額に関するものが29ページの上の図表2-2-5に、それからボーナスを含む総報酬ベースの標準報酬が下の図表2-2-6にあります。報酬の平均は、制度によっても異なっており、また、女性の水準も異なっています。なお、ここの数値を見る際には、制度別、性別の年齢構成や、職種の違いがあることに注意が必要です。その推移を次のページの図表2-2-7に載せておりますが、平成22年度で見ますと、厚生年金の標準報酬月額以外は、減少しております。
 一枚めくっていただきまして32ページからは受給権者に関するものです。受給権者数は各制度とも増加しています。図表2-3-1にその推移を示しています。平成22年度末の数値を単純に加えると、人口の約半分ほどになりますが、ここには制度内や制度間で重複して計上されているものがあり、図表2-3-1の上の文章の最後にコメントしてありますが、重複を除いた、何らかの受給権を要する者は3,796万人となっています。前年度末に比べますと、私学共済の伸びが大きくなっており、逆に、国民年金は伸びが小さくなっています。なお、図表2-3-1の注にもありますが、国民年金については、上の表の表頭をご覧いただきますとそうなっていますが、新法基礎年金と旧法国民年金の合計を計上しております。旧法はそのままの意味なのですが、新法基礎年金とは、基礎年金をもらっている人全員が対象となっています。従って、例えばずっと厚生年金に加入していたなど、国民年金の第一号被保険者の期間を持たない人も含まれることになります。これは、以降の図表でも同じでございます。この受給権者数から、年金が全額支給停止となっている者を除いたのが33ページの受給者数です。傾向等は変わりません。年金の種別別に見たものが34ページです。なお、34ページの一番上にありますが、老齢・退年相当とは、一つの制度に一定期間以上加入していた者で、人数ベースではそうでもありませんが、次の年金額では主要部分になっております。それらの年金額を合計したものが、37ページの図表2-3-5です。これは、個々人の年金額の積み上げです。従って、実際の支給とは、支給停止になっている者もあり、逆に年金裁定時にはまとめて支払われるなど、決算の給付費とは違いがあります。
 39ページからは、今、申しました老齢・退年相当の受給権者につきまして、詳細に見たものです。図表2-3-7は人数について、次の図表2-3—8は平均年金額について見ています。人数のところの女性割合は、被保険者であった時の割合を反映していますし、年金額につきましては、標準報酬や加入月数の違いが影響しております。なお、平均年金額を制度間で比較する際には、図表2-3-8の上のマル1~マル3にありますが、共済制度では職域部分が含まれていること、平均加入期間が異なっていること及び男女で年金額が異なっていることプラス男女比が影響することなどについて注意が必要になってきます。
 42ページには、保険料と年金額について、制度間の粗い比較をしております。今の被保険者が納付している保険料は、一人当たり標準報酬額に保険料率を掛ければ求まりますが、図表2-3-9の3行目のマル1×マル2にある額となります。一方、年金額は、一般的な受給者である老齢・退年相当の受給権者の平均年金額は先ほどご覧いただいたように、その図表の下の平均年金額にあるとおりです。対象者や対象額がずれている事はあるにせよ、大体の負担と給付を分かり易く額で示すとこういう形になります。厚生年金に比べ、国共済、地共済は、給付も多いですが、負担も多くなっております。
 43、44ページは、新法の65歳未満の特別支給分のうち、現在行われている定額部分の支給開始年齢の引き上げの様子を見たものです。44ページの図表2-3-10の一番上が男女計、次が男性、一番下が女性です。厚生年金の男性と共済年金は、平成22年度からは、64歳から支給されることになりましたので、63歳まではこの平均額が低くなっています。ただ、厚生年金の女性だけは優遇されていますが、平成21年度から62歳からの支給となり、61歳までは数値が小さくなっております。
 少し飛びまして、49ページをご覧いただきたいと思います。49ページからは、財政指標について比較しております。年金制度の財政状況は今まで見てきた数値を見ればわかるのですが、いろいろありすぎて理解がなかなか難しい。そこで考え出されたのが財政指標です。多くの数字をまとめるものですから、正確性は少し損なわれますが、財政の状況を捉える大きな助けとなるものです。
 年金数理部会では7つの指標で見ています。それぞれの指標の説明は後のほうの60ページからの参考1にあります。
 さて、49ページの年金扶養比率から見ていきます。これは、成熟の状況を人数で表したものでありまして、図表2-4-1にありますように、被保険者数を老齢・退年相当の受給権者数で割ったものです。数字が小さいほど成熟が進んでいることを表します。次のページの図表2-4-2に推移がありますが、各制度ともずっと減少しております。
 次は年金種別費用率です。これは、数値的には、次にご説明する総合費用率の内訳になりますが、この場所にある訳は、年金扶養比率の分母が、先ほど申しましたように、老齢・退年相当の受給権者であって、他の年金種別の人数を考慮していないため、補助的な指標として使用しているものです。あまり変化はしていません。
 次の52ページに総合費用率がございますが、この総合費用率は、積立金がない場合の賦課保険料に相当します。平成22年度までの推移は図表2-4-6のとおりです。平成22年度で見ますと、厚生年金では0.5ポイント増えています。一方、私学共済は、昨年度は減少しましたが、今年度は増加幅が大きくなっています。なお、平成15年度から先ほども申しましたが総報酬制が導入されたため、推移はそれ以降で見ています。ただ、過去の推移も見たいため、それまでからあった標準報酬月額ベースの数値は参考として欄の下に載せています。右の53ページの図表2-4-7は、この総合費用率、先ほど言いましたように賦課保険料率ですけれども、それと実際の保険料率を比較したものです。各制度とも保険料率のほうが低くなっています。ということは、給付のためには運用収入などを当てにする必要があることを意味しております。
 この総合費用率を基礎年金拠出金関係とそれ以外に分けたのが55ページからの独自給付費用率と基礎年金費用率です。独自給付費用率の動きは、総合費用率と同様、国共済、地共済で伸びが小さくなっています。もう一方の基礎年金費用率は、図表2-4-10ですが、基礎年金拠出金の増加により増加傾向にありましたが、平成21年度は、国庫・公経済負担割合の引き上げにより、低下しました。平成22年度は、また増加に転じています。
 次、57ページの図表2—4-11は、保険料比率の推移を見たものです。保険料比率は、各制度、自前で財源を用意しなければいけない部分のうち、保険料で賄われている部分の割合を見る指標です。国民年金では、平成21、22年度と大きく増加していますが、平成21年度は国庫負担の引き上げの影響で国庫負担の控除後の支出が減ったため、また、平成22年度は納付率の変更による基礎年金拠出金の減少が効いています。
 次のページの収支比率は、保険料比率の逆数に、運用損益を加味したものであり、時価ベースでご覧いただきますとわかりますが、大きく変動します。
 59ページの積立比率は、当年度の給付額の水準が今後も続くとした場合に、今後保険料収入などがなくも、今ある積立金であと何年ぐらい給付ができるか、という指標であり、単位は年で表示されます。低下傾向が見られます。平成22年度は、時価ベースで見ると、国民年金、地共済で上昇、他の制度はほぼ横ばいでした。
 資料1の60ページ以降は、先ほども触れましたが、参考1として、財政指標の定義を、参考2として、65ページ以降ですけれども、途中を省いてない詳細統計表を載せております。
 次に資料1-2に移ります。一枚めくっていただきますと、第3章となっています。
 ここでは、財政再計算などの際に作成されている将来見通しと実績値を比較しています。今回の報告からは、比較の対象が平成21年の財政検証・財政再計算における将来見通しに変わっています。
 なお、厚生年金と国民年金につきましては、将来見通しの対象範囲が実績と異なっているため、実績を一部修正した、実績推計と比較しております。この実績推計の算出につきましては、この冊子の後の方、100ページにある参考1に書いてありますので、後ほどご覧ください。
 この章で比較しているのは、年度末の積立金の差についてと、財政指標についてです。
 まず、積立金の差についての分析ですが、資料の81ページの図表3-1-1をご覧ください。実際の数字を並べたものです。将来見通しについては、平成21年度末からの数字をもらっています。また、対象となった期間が短いので、実績とあまり変わらないのですが、特に時価の場合、毎年の変動が激しいので、差が出てくることがあります。各欄の一番下の平成22年度末の積立金で見ますと、いずれの制度も実績が将来見通しを下回っています。この乖離した要因について分析し、その財政への影響を調べているのが、この第1節です。積立金を対象としているのは、各年の運用状況及び保険料や給付費の変動がすべて入ってきた結果が積立金であり、制度を取り巻く環境の総合的な影響を見ることができるからです。なお、将来見通し作成時における積立金の評価は、厚生年金、国民年金は時価ですが、共済年金は制度運営では簿価を基準としているため、各数値を見る際には、その点を留意する必要があります。特に、共済年金での時価での対比は、参考ということになります。
 一枚めくっていただきまして、82ページですが、名目運用利回りと名目賃金上昇率について、実績と将来見通しで使った数値を比較しています。表の上半分が実績、下半分が将来見通しで使った数字です。運用利回りは財政再計算より悪く、先ほど見たように積立金も少なくなっています。ただ、賃金上昇率も低かったため、名目賃金上昇率を基準とした運用利回り、ここでは実質的な運用利回りといっていますが、これで見ると、平成22年度は、再計算が△1.5%なのに対し、実績はそれよりも高くなっています。なお、ここで、名目賃金上昇率を基準としていますが、公的年金では、スライドや再評価があり、長期的な傾向としては、収入も支出も名目賃金上昇率に応じて動くと考えられることから、この名目賃金上昇率を基準として、比較すればどうなるかを見ていきます。
 具体的な算定方法は、83、84ページに書いてございますが、文章は後で読んでいただくとして、それを図にしたのが資料の85ページの図表3-1-3です。まず、平成22年度末の積立金の実績と財政再計算などの将来見通しとの差を、平成21年度末の差による分と平成22年度で発生した差に分けまして、さらに、後者を運用関係と実際の掛金や給付のフローの二つに分けることで求めています。そこの図に、マル1~マル3までの番号があります。内容はその右に書いてあるとおりですが、マル1は年度初めの時点での違いです。マル2とマル3は、平成22年に発生した差であり、運用に関するものと、そうでない部分に分けております。実際の計算は、さらに、その右に色分けしてありますように、運用関係を名目賃金上昇率とそれを超える「実質的な運用利回り」に分ける、フローについてもさらに三つに分けて、分析しています。その結果が86ページの図表3-1-4になります。
 例えば、厚生年金で見ますと、先ほども見たように、平成22年度末の積立金の差が△2.0兆円でした。そのうち、平成21年度末の積立金の差によるものが4.3兆円のプラスです。平成21年度末の積立金は、将来見通し作成の時点ではわかっていませんから、これも推計値となっております。次に、平成22年度に発生したものは、二つに分けて、運用に関するものが△3.6兆円、運用収入以外の収支残によるものが△2.7兆円の合計△6.3兆円でした。これをさらに分けると表のような、それぞれの数値となります。マル1~マル3を、前ページの色分けで、グラフにすると、右の87ページの図のようになります。共済は簿価と時価に分けております。各制度とも5本の棒グラフがありますが、一番左側のピンクは85ページの一番上のピンクに、次のミドリも同じように対応します。次の下のほうに行っていますムラサキは、85ページでは2つありますが、それの合計値です。あと、キイロとアオも同様に対応しております。なお、共済制度では簿価、時価並べて書いてありますが、先ほどもご説明しましたように、簿価が主となっておりますので、時価ではズレが大きくなっております。
 さて、平成22年度の要因はこのように分解されます。結果としては、名目賃金上昇率の影響が大きいことがわかりました。
 そこで、平成22年度の経済状況の違いが年金財政にどの程度影響するか、を見たのが88ページからの実質で見た財政状況になります。ここでは、前提として、公的年金では、保険料や給付費は、長期的に見た場合、概ね名目賃金上昇率に応じて増減する設計になっていることから、積立金が将来見通しから乖離しても、名目賃金上昇率の差によるものなら、財政上は大きな影響はありません。全体のパイが伸び縮みするのと同じであればいいということです。ただ、現実には、88ページの下の方の、なお書きにありますが、既裁定者については、完全には名目賃金上昇率に応じた増減はせず、物価上昇率で決まってくる部分があります。この両方を勘案して、将来見通しとの乖離を見たのが、図表3-1-5です。表の上半分は実数、下半分は平成22年度末の将来見通しの積立金を100とした指標で示してあります。各制度とも同様なので、厚生年金で説明しますと、上半分の142.6兆円と一番下の140.7兆円は、最初に見た、平成22年度末の将来見通しと実績の積立金の額です。次の△5.1兆円は、前の図表3-1-4にある名目賃金上昇率の項目の数値の合計です。その下の物価上昇率に連動する部分の影響分の推計値は、既裁定者について、物価上昇率のみで給付が変わっていく影響を概算で求めた推計値です。計算方法については、106ページの参考3にあります。この2つの影響を、最初の将来見通しに加えたのが、4つ目の、名目賃金上昇率の違い等を補正した場合の推計値です。次のページの図表3-1-6には、これを図示しています。左上の見方の例にありますように、図表3-1-5の将来見通し、名目賃金上昇率の違い等を補正した場合の推計値及び実績を、色分けして示しております。比較すべきは、右側の2つの棒グラフとなります。
 次へ行きまして、92ページからは、財政指標について、実績と財政再計算等での見通しを比較しています。ここも1年間のみの違いですので、差はあまりありません。
 92ページの年金扶養比率は、私学共済で差が大きくなっています。次の総合費用率ですが、まず実質的な支出を見ますと、図表3-2-2にありますように、被用者年金各制度では、実績の方が高くなっています。国民年金は、保険料の納付率の違いにより、実績の方がかなり小さくなっています。総合費用率は、95ページの図表3-2-4にありますが、各制度とも実績が将来見通しを上回りました。
 96ページは、基礎年金拠出金です。基礎年金に関する給付費の総額は、将来見通しとあまり違いはなかったのですが、拠出金算定対象者数の違いにより、制度ごとの拠出金額は違っています。図表3-2-7ですが、国民年金のみ、左の図表の算定対象者数が大きく異なったため、拠出金自体も実績の方が小さくなっております。
 98ページからは保険料比率と積立比率を見ています。右のページの図表3-2-8に全体の動きがあります。これらの指標も、被用者年金各制度では、実績の方が悪い方向に乖離しているのですが、国民年金は、先程来述べていますように、納付率により基礎年金拠出金の変動が大きく、両方とも実績の方が高くなっています。
 100ページ以降はこの章の推計で使用した方法等の詳細を、本章の参考という形で載せています。100ページの参考1は比較の際の留意点について、102ページの参考2は、積立金の乖離に関する分析の計算方法の詳細、106ページ参考3は、積立金の乖離の最後にございました、既裁定者に係る物価上昇率の影響の推計方法について、107ページ以降、参考4は本当に給付は名目賃金上昇率で動くのかといった疑問からの、賃金上昇率の変化と給付額の変化の検証となっております。
 以上が第3章でございます。
 資料1-3に行きます。第4章ですが、今回追加した章です。内容は、10年間の変化の分析とコーホート分析です。
 最初、111ページの1ですが、これは過去のデータとの比較分析となっています。西暦2000年から2010年の10年間、つまり、21世紀の最初の10年間で公的年金の状況がどのように動いたかを見たものです。最初は被保険者の状況の変化です。下のほうの図表4-1-1をご覧ください。表頭に制度があり、表の上半分が被保険者数について、下半分がその平均年齢について見ています。説明は、次のページに書いてありますが、この10年間で、厚生年金と私学共済は被保険者数が大幅に増加しました。中でも、私学共済の増加が大きくなっています。一方、国共済、地共済、国民年金では減少し、特に、地共済、国民年金では1割以上の減少となっています。また、男女別では、厚生年金、国共済、私学共済で女性の増加が目立っています。図表下半分の平均年齢は、厚生年金と私学共済で伸びが大きくなっています。また、国民年金の第一号被保険者、右側から二つ目ですけれども、これは若くなっています。
 さらに、この被保険者について年齢階級別の変化を見たのが、次の113ページ、114ページの図表4-1-2です。これも113ページの一番上の厚生年金で見ますと、男性の35~49歳と60歳以上で、女性は30~49歳と55歳以上で増加しております。ちなみに図の見方としては、左側が男性、右側が女性、色の薄いほうが平成12年度末、色の濃いほうが平成22年度末、10年後の数字となっております。動きは、今、申しましたようなのですが、これは、平成14年度に行われた65歳から70歳への適用拡大の影響で65歳以上が増えているというのと、中高齢女性の社会進出が挙げられると思います。次の国共済では、女性が増える一方、男性の若年層が減少しております。下の、地共済は、全体に減少しておりますが、若干高齢に動いています。次のページですが、私学共済は、男性は60歳以上で、女性はほとんどの年齢で増加しています。次の国民年金では、第一号被保険者は全体的に減少しております。また、男性の第三号被保険者は、人数は少ないながらも、全年齢的に増加しております。
 115ページは、被保険者について、当該制度への加入期間別の構成割合を見たものです。各制度2本ずつ線がありますが、まず、制度ごとの傾向を見ますと、厚生年金、私学共済、国民年金第一号被保険者は、期間の短い者が多くなっております。一方、国共済と地共済は、比較的フラットな分布になっています。次にそれぞれの表の中で、2本のグラフで10年間の変化を見ますと、厚生年金は加入期間が長い方へシフトしております。国共済と地共済は、全体としては長い方に動いているものの、5年未満が増加しています。私学共済は、5年未満と35年以上の割合が増加しています。
 116ページからは、受給権者の状況の変化を見たものです。図表4-1-4ですが、受給権者数は、10年間で大きく増加していますが、中でも厚生年金と私学共済の増が大きくなっています。これは、その下の老齢・退年相当でも同じ傾向が見られます。国共済の老齢・退年相当は増加率が小さくなっております。図表4-1-4の一番下の老齢・退年相当の受給権者の平均年齢を見ますと、各制度とも、この10年間で伸びています。中でも国共済は、人数の増加が小さかったこともあって、平均年齢の上昇が大きくなっています。
 右側の117ページは、この老齢・退年相当の受給権者について、年齢分布の動きを見たものです。図表4-1-5には、次のページにわたりますが、制度別に、受給権者数の分布と、右側にその構成割合の分布を示しています。左側の実人数で見ますと、全体的に増加しておりますが、10年間で右に2階級分ずれて、より高齢の人が増えていることがわかります。また、構成割合で見ますと、国共済と地共済で形状が変わっていることがわかります。なお、2階級、10年ですから5歳刻みで2階級ずれるのですけれども、次の118ページにあります国民年金では、図表を見るのに注意が必要です。平成12年度末で見まして、75歳以上は旧法国民年金だけですが、74歳以下は新法基礎年金で裁定されており、それまでであれば被用者年金のみであった人も含まれております。したがって、人数も75歳で大きな差が見られますが、10年後の平成22年度末には、ほとんどが新法の裁定者になりますので、段差はなくなっています。
 右側の119ページは、受給権者の年金種別別の構成割合の変化を見たものです。被用者年金では、通老・通退相当の割合が増加しております。特に、国共済では顕著です。国民年金では、老齢・退年相当が増加しております。
 120ページをご覧ください。120ページは、年度末の積立金の変化の状況です。キャッシュフローや運用損益で積立金がどう動いたかを見ています。なお、ここでは、時価で観察するため、全制度で時価のデータがそろっております平成14年度末から平成22年度末の8年間の変化を見ています。下に、図と表がありますが、図のほうは、厚生年金について、下の表の数値を図示したものです。この図表4-1-7でご説明しますと、スタート時の平成14年度末での積立金は、132.1兆円でした。なお、ここでの数値は、第3章と違いまして、厚生年金基金分などを含んでいないものです。それからの8年間に、運用損益以外の収支残、つまり保険料とか、国庫負担とか、給付費とかで、差っ引きで見たお金の出入り、当然運用収益は除いていますが、これを合計しますと36.4兆円のマイナスでした。一方、運用損益が18.3兆円のプラス、その他が少しございまして、その結果、平成22年度末では、114.2兆円に減少しています。
 他の制度では、国共済と国民年金では、厚生年金と同じ構造です。地共済と私学共済では、運用益が多く、積立金は、地共済で横ばい、私学共済で増加しております。
 次へ行きます。121ページ以降は、出生年度が同じ人たちについて追いかけてみる、コーホート分析です。分析方法の考え方につきましては、121ページの(1)に書いてありますが、まず、図をご覧いただきたいと思います。135ページの参考をご覧ください。コーホートとは、出生年度が同じ人と言いましたが、ここでの捉え方としては、135ページの上の○年度別の被保険者のコーホート増減率にありますように、例えばある年の前年度末で29歳の人は、ある年の年度末には30歳になるわけですが、このように、対象とする年度と年齢を両方とも動かして見ていく方法です。まず見ようとするのは、各年度の被保険者について、コーホートで見たときの増減率です。1年間で29歳から30歳になるのですが、その変化率を、図の一番右端にあるように、1年間の増減率として、後の年度末の年齢で把握します。これらの数値を、図のように縦に見ていったらどうなるかというのが、最初の分析です。
 122ページに戻って頂きまして、結果が図表4-2-1のようになります。124、125ページにわたって、制度別に表示しております。これも最初の122ページのグラフでご説明したいと思います。年金数理部会では、各制度から、年齢別の被保険者数のデータを平成15年度末からもらっています。この図は、先ほどの135ページでご説明した増減率を、平成15年度末から16年度末、16年度末から17年度末といった1年ごとに、21年度末から22年度末まで、そこの凡例にもありますように、計7本の線をプロットしています。図表4-2-1の最初のグラフは、厚生年金の男性ですが、形状に特徴が見られます。20歳代前半に山がありますが、これは短大や大学を卒業して新たに厚生年金に加入する者が多い状況を示しています。その後、増加率は低下していき、0近辺を動いた後、マイナスになり、定年時期の60歳から65歳で減少が大きくなっています。これが全体の動きですが、年度別の状況、つまり、7本の線をそれぞれ見ますと、少しずつずれています。その中から違いのわかる年度をピックアップしたのが、122ページの下のグラフです。右にくるっとした矢印があると思いますが、その下のほうのグラフです。4年分の線がありますが、これも二つに分かれます。上側の2本、17→18、18→19は、経済が比較的好況なときでした。また、下の2本、19→20、20→21は経済が低迷し、雇用が悪かったときです。経済が良かったときは、被保険者の増加が大きく、良くなかったときはマイナスになっていることがわかります。右の123ページは、厚生年金の女性について見たものですが、20歳代前半は、短大と大学の高さが違っている他は男性と同じです。しかし、20歳代後半から30歳代前半にかけて減少し、その後、40歳頃をピークに増加しています。これも、4年度分について拡大したのがその下のグラフです。景気の影響は、20歳代の前半だけでなく、30歳代後半からの再就職でも影響が大きくなっております。一方、次のページの共済制度をご覧いただきますと、厚生年金と同様に、20歳代で大きく増加しております。しかし、その後は退職等で減少するのですけれども、制度によって少しずつ年齢が違っています。年度間で比較しても、雇用環境による違いははっきりとは見られません。125ページの国民年金の第一号被保険者は、学生が就職し、被用者年金に加入していくことから20歳代前半で減少しています。第三号被保険者は20歳代から30歳代にかけて増加しています。なお、第三号被保険者の20歳代前半で山がかなり高くなっていますけれども、これは比較する1歳前の数値が低いため、たまたまこうなっているということです。
 次の127ページは、このコーホート増減率をコーホート、同一出生年度別に追いかけて見たものです。再度135ページをご覧ください。下の図です。出生年度コーホート別の被保険者のコーホート増減率となっています。先ほど見た、その上の図では、ある1年間について年齢別に線を引いたのですが、今度は、その増減率を、それぞれのコーホートについて、年を追っていくことにします。つまり、平成15年度末に33歳であった被保険者については、毎年1歳ずつ年をとっていきまして、平成22年度末には40歳になっています。この7つの増減率をプロットしてグラフにします。従って、年齢の数だけ線ができます。なお、その図の下にありますように、それぞれの線を、最後の、平成22年度末の年齢で表すことにしています。ということで、127ページに戻って頂きまして、そこには、今ご説明したことと観察結果が文章に書いてございますが、次のページ、128ページ、129ページの図表4-2-2をご覧ください。ここでは、厚生年金について、男性と右のページに女性のグラフを載せております。左の男性のグラフで説明しますが、各コーホートはそれぞれ色分けした線のように、増減率が動きます。これを全体として見た場合、数学で言いますと包絡線のようなものですけれども、これは先ほど見た122ページのグラフと同じような形をしております。そこで、個々のコーホートの動きを見るために、一部の年齢を抜粋したものが128ページの下の図です。各コーホートごとに色分けしております。コーホートによって若干違いますが、最初の2年は横ばい、三つ目で上昇し、五つ目の点で大きく低下しております。これは女性ではさらに顕著です。このように、全体としての動きは、年齢によって概ね決まってくるわけですけれども、年度経過による変動は、景気の影響を反映しております。一般に、コーホート分析には、年齢要因、外的要因及びコーホート独自の、いわば世代による差の要因の三つがありますが、前2者につきましては、今回の分析でほぼ傾向がわかりました。最後の世代による違いがあるかどうにつきましては、もうしばらく観察をする必要があると考えております。
 この章の最後は、次の130ページです。これまで見てきたコーホート増減率がずっと続くとした場合の定常状態の被保険者の分布を見ています。130ページの(4)は、現実の姿ではないのですが、コーホート増減率の影響がよくわかるものです。なお、ここでやっているのは、生命表の定常人口を作ることと同じですが、その分析のイメージは136ページにあります。後ほどご覧いただきたいと思います。130ページの図表4-2-3をご覧ください。各制度ごとに図があります。最初の厚生年金の男性で見ますと、横軸に年齢を縦軸には人数をとってあります。なお、縦軸の人数は目安と考えてください。絶対値は、上の文章の中にあります初期値で10万人という数字がありますが、これを変えれば変わるだけです。図をご覧いただくとわかりますが、分布の大きさは年度によって違っていますが、パターンは、制度ごとに特徴的な形をしております。最初のグラフである厚生年金の男性では、雇用環境が悪かった平成20年度、21年度では、30歳代付近から緩やかに低減していますが、雇用環境が良かった平成18年度、19年度では30歳以降も増加しています。厚生年金の女性では、下の図ですけれども、40歳代以降の再就職期に雇用状況の影響が顕著に出ています。右側の国共済、地共済、私学共済では、推計の出発点である20歳代前半の採用環境によって、各年度のグラフの立ち上がりが違うことで、分布の高さが見かけ上変わっていますが、分布の形は毎年度ほぼ同じです。私学共済では、職種により雇用状況が違うため、他制度とは違った形になっております。
 134ページは、今見た定常状態の分布を、被保険者の総数が同じになるように標準化したものです。それまでは、各制度、20歳で10万人としており、ばらばらになりましたけれども、134ページでは、制度ごとに全体の総数を同じにしてあります。図表4-2-4には比較を容易にするため、景気の良かった平成18年度と、景気の悪かった平成20年度の2年度分を載せております。国共済と地共済では、60歳未満の範囲に分布しておりますが、厚生年金、私学共済では、60歳以降もなだらかに広がっています。国民年金では、20歳代前半が多くなっています。それから、上と下のグラフを比較しますと、景気による雇用環境の違いは、赤い実線の厚生年金の女性ですが、景気が良ければ40歳代以降が、景気が悪ければ20歳代の山が高くなっています。また、国民年金の第一号被保険者でも、景気が悪いと50歳以降の割合が増加しております。
 以上が資料1-3、第4章です。
 次に資料1-4に行きます。付属資料1-4の頭ですが、付属資料となっていまして、その下に目次があります。そこにある四つの項目について資料を載せております。
 まず、公的年金制度の沿革ということで、138ページから140ページにかけてです。
 明治以来の我が国の恩給や公的年金制度の変遷を載せております。年金制度は長期にわたるものであり、被保険者や受給権者はその時々の制度が適用されてきたわけで、現在の基準のみでは制度の評価はできません。
 それから、2番の長期時系列ですが、これは三つの表からできております。最初は、年金財政を見る上で重要な項目について、昭和40年度以降の数値を載せております。次に公的年金各制度、今はもうないものもありますが、その制度ごとの収支状況の、昭和45年以降の推移を載せております。三つ目は、161ページからで、財政指標の長期時系列を載せております。
 164ページには、最近の経済等の状況で、年金財政に影響を及ぼす経済等の実態を数字で見ています。
 その次の165ページ以降の用語解説には、第4章までに出てきました用語の解説をしています。また、その後には、被用者年金の給付構造、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢、国庫負担の一覧についても説明をしております。
 すみません、長くなりまして。以上が資料1です。
 最後、資料2です。標題は「公的年金財政状況報告 -平成22年度-(要旨)(案)」となっています。これは今までご説明した報告書をまとめた要旨です。
 1ページ目には、最初に見た、財政収支の状況について載せています。右の図表1は、本文の表から、公的年金制度全体の部分を載せています。そして、収支の状況、そのうちの代表として、保険料収入と給付費、積立金についてコメントをしております。次の2ページは、財政の実態を見るために、年金数理部会で比較・分析した単年度収支状況でございます。右側の3ページは被保険者と受給権者について、人数と1人当たり報酬額、老齢・退年相当の年金の平均年金月額を書いております。4ページの上半分は財政指標から、年金扶養比率と総合費用率について書いています。4ページの残りと5ページは第3章にあった積立金の実績と将来見通しとの乖離分析について書いています。また、5ページの下の図表5は、数値は本文と同じですが、共済年金につきましては、簿価と時価を並べた表示としております。6ページ、7ページは、今回の特別分析として、第4章で見たもので、6ページは、過去10年間の変化の分析について見ております。7ページはコーホート分析の最初の分析について、抜粋したものでございます。
 内容の詳細につきましては、本文と同じですので、説明は省略いたします。
 資料のご説明は以上ですけれども、最後に一言だけ感想めいたものを申し上げたいと思います。今回の決算のヒアリングを後ろで聞きながら、それから、報告書を作成している最中での感想でございますけれども、基礎年金拠出金のように、財政調整による収支がかなり大きくなってきております。そして、これらは、先程来ご説明しておりますけれども、予算で決められることが多くなってきたため、決算がその年度の実態を表しにくくなっているという気がしております。
 もう一つ、気になっているのは、資産の評価です。今更と言われるかもしれませんが、年金財政を観察する上で、時価評価がベストなのか、というのは検討する必要があるのかなという感じがいたしました。
 大分長くなりましたが、資料のご説明は以上でございます。

○山崎部会長
 丁寧な説明、ありがとうございました。お疲れさまでございました。
 それでは、事務局の説明に対するご質問や報告書の案に対するご意見などがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

○佐々木委員
 報告書について特に修正ということはないのですが、今回よかったなという部分で3点。一つは、報告書が早期に作成できたということで、これは非常によかったかなと思います。それから、まとめで申し上げますと、要旨の5ページ目、乖離分析ということで、これはこれまでも毎回されていたのですけれども、例えば厚生年金で見ますと、計画対比では実績の98.6%に対して比較すべきなのは99.7%ということで、実績が約1.1ポイント少なくなっており、予定が実績に近づいているということだと思うのですけれども、財政上、これが本当に問題ないのかどうか、もう少し分析が必要かと思うのですが、一つの切り口としてよくまとめられているのかなと思います。それから、今回、特別分析で10年間の比較分析やコーホート分析を行い、より分析が深められたのかなということで、この3点は前年度に比べて非常に改善された点かと思います。
 今後の課題ということで、特に報告書修正云々ではないのですが、次年度以降、次回また財政検証があると思います。年金数理部会というのは、いろいろな細かい精緻な分析もあるのですが、国民に対して、公的年金制度全体の円滑なマネジメントのために、よりわかりやすくディスクローズしていくことが一つの大きな目的だろうと思っておりまして、その視点から二つ意見を申し上げたいと思います。一つは、要旨の6ページ目のところに「被保険者の10年間の変化」ということで、今回まとめられているわけですが、大きな方向としては、基本的に被保険者が減少して受給権者が増えていくというのが、高齢化社会に向かっていく中での国民共通の意識だろうと思うのですが、こうした中で、厚生年金と私学共済の被保険者が増えている。私学共済は特殊な要因だろうと思うのですが、厚生年金がこの10年間で約200万人ぐらい増えているのは、原因としては、例えば雇用延長で増えているとか、女性の社会進出とか、経済的なこともあると思いますが共稼ぎ所帯が増えているとか、これは実際のデータでも出ているのですが、そういうことの構造変化を分析する必要があるかと考えます。被保険者は基本的には減っていく方向にあると思いますので、その中で被保険者が増えているのはなぜなのか、そういった一連のところをコメントしていけたら、より内容がわかりやすくなるのではないかというのが1点です。
 もう一つが、6ページの下のほうにある積立金の変化、これは、よく枯渇するのではないかと言う人もいますが、この8年間の分析で見ますと、例えば厚生年金はそこに書いてあるとおり、18兆円、約13%ぐらい減少しています。それで、今後はどうなるかということで、これは今日のデータにはないので、平成21年財政検証の結果で一応チェックしてみましたところ、今後5年間だけで、2011年から2015年の5年間で見ますと、経済前提が中位のモデル、単純平均で賃金上昇率が2.7%、運用利回りが2.3%なのですが、このときが、5年間の収支が大体2兆円ぐらいプラス、大体とんとんぐらいかなと思います。
 低位モデルですと、賃金上昇率が中位2.7%に対して1.2%下がりまして1.5%、運用利回りが0.5%下がりまして1.8%。これですと収支が約9兆円ぐらいマイナスなんですね。ですから低位と中位で大体10兆円ぐらいの差が出ているわけです。
 今回のこの8年間で、内容が出てないですが、恐らく賃金、物価がマイナスで、デフレということもあるのですが、運用のリターンが1%台ということですから、低位モデルよりもさらに低いのかなと思うのです。ですから、今後、5年間を過去で引き延ばすと、10兆円より、さらにマイナス幅が大きくなるのかなと。
 長期的なモデルはモデルで非常にいいと思うのですが、過去の傾向線をずっと伸ばすのが正しい推計とは思いませんけれども、足下の部分を伸ばした場合に、例えば5年、10年はどういう推移をたどっていくのか、そういうことを検証していくことも非常に重要なのかなと思います。
 先ほど実質的な積立金の変化というのは、何か理論的でわかりにくい部分がありますので、そういうことも踏まえて補足していければ、レポートを見た立場としてよりわかりやすいのかなということ、その2点、見た感想として申し上げます。
 以上です。

○山崎部会長
 ありがとうございました。ほかにございますか。田中委員。

○田中委員
 私からは、先ほどの厚生年金、国民年金のコーホート分析を見た感想と若干の質問をしたいと思います。厚生年金のコーホート分析の結果を一口で言えば、好景気のときは、比較的、中高年齢層でも増加するけれども、不況になるとマイナスになる。つまり減っていくと。解雇とかその他失業したりとか、そういうことが反映しているのかもしれませんけれども、一方で、国民年金のほうは、全般に、たとえ厚生年金を脱退しても国民年金に入るかどうか、そこら辺が不安定でありまして、明確な傾向も見えないようです。年齢などを見ましても、ほかの制度とはかなり違った傾向を示していまして、ちょっと心配するのは、景気の動向によって、一旦厚生年金を脱退して、また、好景気になったとしても、なかなか元へ戻れない人が増えてくるのではないかということです。現在、年金部会等でも、加入期間を25年を10年に短縮するとか、いろんな案が出ているのですけれども、カバー率をあまり下げずに、公的年金の何らかの制度でカバーできるということを実現するために、コーホート分析をもう少し深堀して、今、言ったようなことが実際どうなっているのか。被保険者の移動について、この数字だけからではわからないこともあると思うのですが、考えられるようなこと、もしコメントがあれば教えていただきたいということです。

○山崎部会長
 いかがでしょうか。

○田村首席年金数理官
 ここに書いてある以上の知見は今のところ持ち合わせていませんので、また、次回の課題としたいと思います。恐らくこれ以上にいろいろなデータを引っ張ってこないと難しいかと思います。

○山崎部会長
 野上委員。

○野上委員
 今回の報告は、短期間の中でこれだけの報告をまとめられたということで、特に第4章の新規の分析も追加できたということで、事務局の方々の努力に関しては改めて敬意を表したいと思います。ということもありますし、今まで事前に検討してきた内容でございますので、報告書及び要旨に関しては特に異議がございません。
 今後の取組みの中で、ご参考になるようなお話を若干させていただければということでございます。
 今、いろんな年金に関して世間的に話題が出ておりまして、一体改革というようなこともございますが、いずれにしましても、年金財政と国家財政というのは、これは両方とも収入・支出含めて数十兆円という規模に達してございますので、どちらがこけても、一方が悪くなるという関係になってございます。今まで親方日の丸というところだったのですけれども、もしかしたら、単なる親ガメの関係になっている可能性があると。
 そういう中で、将来見通しに関しては、今まで以上にかなり重要性が増しておりまして、重要性が増すということは、仮にそれが外れた、あるいは見通し違いであったときには非常に影響が大きい。逆に国家財政のほうも、国庫負担というところで、それをちゃんと払っていけるかどうかというところでも、年金財政に関しては影響が大きく出ているということだと思います。
 ということで、我々にできることは何かということですと、恐らく将来見通しの精度を高めていくという努力が一番重要な点ではないかと思います。我々、民間の中で、いろんな支出見通しとかをするわけですけれども、その中で精度を高めるという要請は、いろんなところでも言われていますが、今までの私の浅薄な経験の中で、どんなやり方があるかというのをご参考にお話ししたいと思います。
 これはいろんな収支見通しするときに、例えばエコノミストの人に、経済見通しをどうやって当てるんですか、と聞いたとき、その方が、かなり高名な方なのですけれども、見通しを頻繁に見直すことが一番のいいやり方だというふうに言われまして、これはよく言えているなと。ですから、今、将来見通しは5年に1回ということでやってございますが、これは事務局の方にさらに頑張っていただくということになるかもしれませんが、頻度をもうちょっと上げていただいてもいいのではないかというのが1点でございます。
 もう一つは、見通しに関しての信頼ということもございますが、その前提数値ですね。今回3.4%という、賃金上昇率に関してはかなり大きくクローズアップされていると思うのですけれども、将来の運用利回りもそうですが、いろんな前提数字に関して、もう少し年金数理部会として受け身になっているだけではなくて、いろんなところで能動的に設定に関して発信していってもいいのではないか。計算するというところが主なんですけれども、その前提に関してもうちょっと意見を申し上げていいのではないかというのが2点目でございます。
 もう一つは、将来見通しが、年金の財政というのは複雑に見えますが、外れる要因としては三つぐらいしかないのではないか。一つは、保険料をどのぐらい払ってもらえるか。これは賃金上昇とか人口構成とか制度間の移動とかいろいろございますが、ここは先ほど言った頻度を上げるぐらいしか方策はないのかなと。
 もう一つは運用利回りです。時価ベースか、簿価ベースかという話もございますが、昨今の流れからすると、運用に関してフラクチュエーションをできるだけ少なくしていくという方向も一つの方法ではないか。要は運用として、どのぐらいのリスクをとれるのかというところを、もう一回、年金数理部会としても発信していってもいいのではないか。具体的には株式などの、リスクのある資産を今までどおり運用していっても大丈夫なのかというのは、昨今の流れかなというふうに思います。
 もう一つは、今まであまり注目されてなかったのですが、今後は受給権者が増えてまいります。そうするとどのぐらい長生きされるかとか、死亡率という予想に関しては、国の人口問題研究所という立派な研究所もございますので、その辺の知見をぜひ活用していってもいいのではないかという気はいたします。
 いろんなことを申し上げましたけれども、ご参考として受けとめいただければと思います。以上でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。駒村委員。

○駒村委員
 2点ほどありまして、一つはお願いで、一つは質問なのですけれども、今回は第3章が、その説明がとても重要だと思っております。平成21年の財政検証、この前提が随分違うおかげで積立金が急激に下がっているのではないかというような見方があるわけですけれども、将来の給付の流れが名目賃金に連動していると、そう仮定すると、実際の乖離幅というのはごくわずかと見ることができるのだと、こういうエッセンスではないかと思います。これはお願いなのですけれども、年金部会のほうでも、経済前提委員会のほうでも一度来ていただいて、まず共通認識としてご説明いただいて、なおかつ、ここに書いてある前提について、別の見方ができるかどうか、紹介と議論をしていただきたいなと、こう思います。
 二つ目は、これは質問です。81ページの実績推計と、実際に帳簿上持っている厚生年金の積立金、差額が26兆円ぐらいあるわけで、これは実績推計をどうやっているのかということで、持っている積立金に代行部分と国庫負担の繰り延べ分をオンした、ほかにもあるようですけれども、オンした部分というふうになっていますけれども、それぞれの内訳というのはどこかに数字がありますでしょうか。以上です。

○安部数理課長
 ヒアリングのときの資料の一部、下の特記事項としてお付けをいたしておりますけれども、代行部分、今回、平成22年度の補正の段階では、厚生年金基金の代行部分の最低責任準備金が23兆円というふうになっておりまして、それを加算していると。それから、国庫負担繰延額につきましては3.5兆円、これを加算してございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。牛丸委員。

○牛丸委員
 今回の報告書の内容に関しては、最初お話ありましたように、我々委員としては事前にいろいろな情報をいただきまして検討してきまして、様々なコメントもしまして、それがいろいろと訂正されておりますので、今日ご報告いただいたものに関しては、私としては特に問題がありませんので、このまま発表してくださって結構だと思います。
 今後のことについて、少し述べさせていただきたいと思います。今日お話ありましたように、例年というか、前とは違いまして3か月早く行ったと、そういうことに関しまして、ヒアリングをさせていただいた各機関の方々に対して、まずお礼申し上げます。それから、先ほど野上委員からもお話ありましたように、事務局が大変だったと思います。短い期間の中でまとめ上げたということと、加えまして、従来とは違った新しい分析を行ったと、こういうことに関しても、事務局は大変だったと思いますので、改めて、私、委員としてもお礼を申し上げます。
 そういうことをまず申し上げた上で、今後のことを少しお話しさせていただきます。毎年この報告書の報告はこういう形で行われますが、その都度、私、申し上げていると思いますけれども、特に今年は、今、言いましたように、新しい分析も入っております。それから、10年間という、そういうことも入っております。従来に増して内容が豊富なわけです。これだけのものが事務局の方々が、特に多く時間を使ってやってくださっているわけですから、せっかくのものですからいろいろ活用していただきたいです。でき上がりました。はい、発表します。それで終わってしまうというのはとても残念であります。
 昨今、年金に対してはいろいろな注目がされております。だからこそ、より、これだけのものができ上がっているということで注目していただきたいのです。年金数理部会として、どこまでできるかわかりません。限られた範囲のことしかやれないと思いますけれども、まず、私がこういうことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、後ろのほうにマスメディアの方々がいらっしゃっているわけですから、まず皆さんにお願いしたいということです。こういうものが公表されるわけですから、それをできる限り、一般の方々に知らせていただきたいということをお願いします。
 それから、駒村委員から、先ほどある課題に関して、年金部会やその他の審議会において説明を、あるいはお話しいただきたいということがありましたように、せっかくのこれだけのものですから、年金を扱っている他の審議会、そこには必ず出していただいて、委員の方々に理解をいただきたいということをお願いしたいということです。せっかくこれだけのものがまとまっておりますので、ぜひぜひ、いろんな形で活用していただきたいということを願っております。
 それから、もう一つ、今後のこととして申し上げたいことがあります。一応ここで報告書ということで一段落がつきまして、次のことになっていくわけですが、当然、今後のこととして、また年金数理部会として検討を始めなければいけないと思います。先ほど首席年金数理官から、今回の検討に際して気づいたことを2点ご指摘いただきました。まず、それについては当然我々としては検討しなければいけないと思います。
 ただ、それだけでなく、実は今回の報告書、「はじめに」に書いてありますが、年金数理部会は、今日のご説明の最初にありましたように、厚生労働省とは違いますね。厚生労働省の発表ではなく、我々年金数理部会が作り上げて報告するということです。そもそも「財政再計算時における検証及び毎年度の報告」と「被用者年金の一元化」、これに関すること、この二つでつくられたわけですから、それが守備範囲だということになりまして、それ以外は、本来の役割ではないかもしれません。年金に関するあり方等については、当然年金部会がやるわけですので、別に我々としてほかのところの領域を侵害するつもりはありませんが、年金財政の議論をしていった延長に、今後の公的年金制度の問題を少し考えていかざるを得ないのではないか。
 そういう意味では、別に年金部会の領域を侵すわけではないですが、年金数理部会でできる範囲の検討というか、議論というか、勉強というか、そういうことをやってもいいのではないか。これは私一個人の委員として考えているのですけれども、それが可能かどうかわかりませんが、メンバーを見ても、それぞれ知見のある方々ですから、そういうものがもし可能であれば、一段落したところで、そういうことが行われればいいかなと、これは一つの希望ですけれども、一応一段落つきますので、そういうことを申し上げておきます。以上です。

○山崎部会長
 ほかにございますか。佐々木委員。

○佐々木委員
 私も、今の牛丸先生と全く同じで、今回も年金部会で、支給開始年齢の引き上げという議論がされたわけですので、これは今の財源が足りないのかということになります。今回の報告を見ると、どこが問題なのか、一応予定どおり行っているのではないかと。私も一人の国民から見ると、公的年金全体のマネージメントがどういうふうにされているのか。今、おっしゃったように、いろんな立場、立場があるのかもしれませんが、国民全体から見て、通常は、例えば企業経営ですと、一旦収支をはじいて問題があれば経営上の施策を変える、問題なければそのままだと、そういったことをいろいろやっていくわけですが、これは問題ないのか、あるいは問題があるから、支給開始も何歳か上げていかないとだめだというのか。国民から見て、それはいろんな立場はあるのですが、今、問題なんだろうなとか、問題ないのか、その辺のところを、わかりやすく説明する必要があります。今、高齢者が4割超える高齢化の時代へ進んでいる中、50年後そうなるかわかりませんが、相当いろんな問題があるだろうという認識は、国民全体が共通の認識として持っているわけですね。そういう中の部分として、どこが問題なのか。特に年金数理部会としては、数理的な視点から、そういうことを整理して、よりわかりやすく、ここをディスクローズしていくことが必要だと思います。
 今回の消費税問題でも、国民も、引き上げないとだめだろうなという認識は持っておられると思うのですね。だから年金についても、相当困難な問題ではあるものの、あるいは給付水準を下げたり、支給開始年齢を上げたり、そういうことの必要性についての理解はあるのではないか。ただ、それをどのようにわかりやすくディスクローズしていくか。それが、今、言われたように、なかなかこれは難しいですね。制度の部分で。詳細なレポートつくっていただいて、それをわかりやすくやるというのは非常に難しいだろうと思うのですが、そういうことは我々委員としても努力したいと思いますし、そういうことは、より重要な視点かなということで、補足をさせていただきます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。宮武委員は特によろしいですか。

○宮武部会長代理
 はい。

○山崎部会長
 それでは、今日委員の皆様から感想のようなこと、さらには、今後に向けての具体的な検討事項なり、課題のようなこともご指摘いただきましたが、特に一体改革の中でも議論されておりますが、年金改革についての、年金部会なり、経済前提委員会等での審議においても、ぜひ我々のこの報告の成果を参考にし、活用していただきたいということで、これは審議官がおられますから、ぜひそういう機会をつくっていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、特に修文を求める意見はございませんでしたので、議論を尽くしたものとして、ご了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山崎部会長
 どうもありがとうございます。
 それでは、これをもちまして、本部会の平成22年度公的年金財政状況報告とさせていただきます。
 最後に事務局より、今後の予定等についてお願いいたします。

○田村首席年金数理官
 今後の日程につきましては、また調整をしてご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○山崎部会長
 本日はこれで終了します。どうもお疲れさまでございました。


(了)

照会先
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(代)03-5253-1111(内線3382)

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