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2012年3月13日 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第36回)議事録

○日時

平成24年3月13日(火)10:00~12:00


○場所

専用第23会議室


○出席者

猿田部会長、田極部会長代理、海辺委員、?瀬委員、山田委員、和田委員

○議事

(以下、議事録)

○猿田部会長 
 少し時間が早いようですけれども、皆さまお揃いですので、これから第36回独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、また本日はお寒いところをご出席いただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の委員の出欠状況ですが、今日は夏目委員がご欠席ということです。
 それでは、事務局のほうからご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐 
 議事の説明に入ります前に、昨年9月16日付で国立病院機構副理事長の異動がありましたので、ご紹介させていただきます。清水副理事長です。

○国立病院機構副理事長
 清水でございます。国立病院機構に戻ってきました。国立病院機構の発展に尽力するつもりですので、評価を通じての様々なご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

○政策評価官室長補佐
 それでは、本日の議題につきまして説明します。
 内容はお手元の議事次第にあるとおりですが、中期計画の変更(案)、長期借入金にかかる報告、平成24年度長期借入金・債券発行計画及び償還計画、役員の退職金に係る業績勘案率の算定について、ご審議いただきます。また、その他報告事項としまして、平成22年度財務諸表における「利益処分に関する書類」の変更、「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」報告書、個別病院ごとの総合的な検証の結果について所管課からご報告いたします。
 最後に、昨年12月22日に政・独委から2次評価が参りましたので、その内容を事務局からご報告いたしますとともに、最近の独立行政法人を取り巻く状況につきましてご報告します。
 以上でございます。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、お手元に本日の第36回国立病院部会の議事次第がありますが、これに従いまして進めさせていただきますが、まず最初が国立病院機構関係の中期計画の変更ですがその前に、矢崎理事長のほうから一言、よろしくお願いします。

○国立病院機構理事長
 ありがとうございます。本当に先生方にはいつもご多忙のところを貴重な時間を割いて評価していただき、ありがとうございます。
 私も2期8年務めましたので、いままでの「国立病院機構の挑戦と応戦」ということで、国から独法へ、そして新法人へという資料を出しましたので、5分間程度でお話をしたいと思います。
 いまだに我々は大きな誤解に悩んでいます。1つ目は医療、特に政策医療を国の援助を得てやっているのではないか。2つ目で職員は親方日の丸で役人意識であまり働いてないのではないかと。これは厚労省内でもそういうことを言われる方がいるのでびっくりするのです。そして3番目は、最近なのですけど、財務省が「国病金持ち論」を展開して、少しでもお金を取ろうという3つの誤解で悩まされてます。
 先生方ご存知のように、7,500億円にも及ぶ長期債務を抱え出発しました。ほかの労災や社会保険病院や公立病院はもちろんのこと、皆、補助金で病院を建てたり医療機器を購入して、我々は基本的には借入金などの自己財源でやっているので、こういう出発点からものすごい大きなハンディがあります。ただ、独法化によりまして、官庁会計、新年度になると赤字でもリセットするという官庁会計から企業会計になりまして、5番目のスライドにありますように、院長をはじめ、経営責任を自覚した職員の意識改革と地域医療ニーズに合わせた医療の提供。それから地域のセイフティネットの中核を担う責任感の醸成と、共同入札などによる経費の節減でこのように利益が上がってきました。通常の病院では考えられない利益が上がっていますが、これが「金持ち論」と言われるんですけども、あとで述べますように、利益を単純に患者さんに戻せない。国の管理、許可を得ないと使えないということで投資が抑制されているので、こういうふうに大きく実力以上の利益が出ているように見えてしまう。だから「金持ち論」という論というのは正確ではないということです。
 それから運営費交付金は6頁に示しますように、286億ということですが、全体の収入の3%ですが、実際に使えるのは、臨床研究等の0.5%。公立病院は運営費交付金が収入の数十%を占めている。大学でも数%から十数%。民間医療法人も自治体からの補助が1%ぐらいあるわけで、我々は民間よりも少ない。次の7頁ですが、当初、運営費交付金は520億なのですけれど、ご覧のように大半は「過去の退職給付債務」であって、いわば義務的経費で、これはほとんど我々の懐に入らないで共済組合に行くのです。また、当初は半分以上の74病院が赤字でしたが、いまは20病院に削減し赤字額も非常に減少したと。
 それから9、10、11頁は、そういうふうに医療の経営が安定化したことによって我が国のモデルとなる医療ミッションを着実に展開しました。すなわち地域医療との連携、あるいはセイフティネット系医療を自立した健全財務で運営しています。すなわち国の補助金だよりで行いますと医療の質の向上や患者さんのQOLを起点とした医療の提供が必ずしも適切に行われないおそれがあります。やっぱりこれは自立した健全財政で行うのが本筋である。それから全国のネットワークを活用して国家的危機管理にも迅速に対応し、昨年の東日本大震災に際しては、被災地で切れ目のない医療支援を実施しました。また、新型インフルエンザワクチンで、1回注射でいいか、2回注射でいいかという政策の混乱がありましたけれども、我々がエビデンスを提供してそれを解決しました。
 最後の頁なのですが、このように順調に来ましたけれども、「医療になじまない独法のルール」ということで、最初は、年間の利益処分が国の管理のもとにあって我々が管理できない。これは私個人にとってはとんでもないことだと思うんですけれども、これは患者さんに申し訳ない。利益は医療法で患者さんに返しなさいということなので、通常のルールに戻してほしい。
 2番目が「公経済負担」ルール。これは一般的には基礎年金の財源の2分の1は国庫負担ですけれども、国立病院機構は診療報酬収入から支払う、これは例外的な措置です。
 3番目が「整理資源」ルールというのは、昭和34年前に勤務していた公務員の年金を現在の公務員の数に応じて割り当てられると。これが大きな負担になっていて、当初は国が運営費交付金で賄っていただいたのですが、国の財政がないということで、国立病院も公経済負担に加えて、整理資源も診療報酬の中から払うこととされています。
 4番目が「人件費管理」ルールです。我々は総枠が制限されているために、ほかの公的医療機関に比べると職員の数は60%から70%で少ないんです。非常に医療に対して迅速に対応できない。それから先生方ご存知のように、「中期目標管理」ルール。確かに評価するために目標は必要ですけれども、目標は我々が作るものであって、国が箸の上げ下げまで事細かく目標を設定し管理していると、独法はみんなそうなのですけど、「中期目標管理」は是非やめてもらいたい。そうすれば、これ、「国立病院機構が民営化されれば」って、刺激的な言葉ですが、民間型の法人になれば、利益処分による中長期的な視点からの投資が可能となって、提供する医療の質とサービスが格段に向上する。それからいまと違って、機能に即した雇用が可能となって、病院の生産性が格段に向上する。その結果、この民間型になっても厚労省が要請するミッションがさらに充実して実行されることは確実です。それと我が国の医療の質向上のための独自の臨床研究と人材育成が可能となるということで、そろそろ独法を卒業して民間型の法人に移してほしいと4年前から絶叫していますが、去年の暮れからようやく厚労省も納得していただいて、最初のヒアリングのときは、厚労省のプレゼンテーションと僕のプレゼンテーションと全然反対なプレゼンテーションをしたのですが、ようやく理解いただいて、その方向に検討するというふうになったのですけれども、是非評価委員会の先生方も我々をサポートしていただければ大変ありがたいと思います。貴重な時間をいただいてどうもありがとうございます。

○猿田部会長
 ありがとうございました。矢崎先生、ご就任になって丁度8年ということで、先生が最初に理事長になられたときは、先ほどの誤解はおわかりでしたか。

○国立病院機構理事長
 いや、いまだにそういう誤解が。

○猿田部会長
 実は私の父親もずうっと定年まで国立病院に勤務していたんです。ですから、そういうことでいろんな実情をよくわかっているんですけど。
 先生はこれまで8年間苦労して、その御苦労が色々なところまで知れ渡ったんですけど、実際にはまだまだ理解が足りてないように思います。いま先生がおっしゃったようなことをまだおわかりになっていない方が多い。特に国民は全然わかっていないように思います。

○国立病院機構理事長
 そうですね。

○猿田部会長
 ですから、もっともっとその辺のところはちゃんと伝えていくことが評価委員会として必要ではないかと思っています。私も随分云うのですが、あまりわかってもらえてないですね。

○国立病院機構理事長
 厚労省も国立病院課以外のところは意外とわからないんです。「国公立病院」って一口に言われるんです。いつも公立病院と国立病院は違うんだ、お願いしますっていうふうに言うんですけど。

○猿田部会長
 このあと最終報告事項が出てきますけれども、労災病院と国立病院すらどういう関係かがいまだにわかってないですし、合併問題も出たりして、そういった点を見てても、まだまだ理解が足りない。どうやってもっと事情をわかっていただくかということが大切と思います。
 それから、いま5万3,000人の方が働いているわけですから、そういった方々の苦労もわかっていただくことが大切だと思っています。ともかく先生のあとをしっかり皆さんにやっていただきたいと考えています。どうもありがとうございました。どなたかご質問ありますか。よろしいですか。矢崎先生、どうもありがとうございました。
 それでは、お手元の先ほど言った資料に従いまして、最初が「中期計画の変更」、これに関しまして法人のほうからご説明をお願いします。

○国立病院機構財務部長
 財務部長の土肥でございます。よろしくお願いいたします。「中期計画の変更について」ですけれども、スライドに基づいてご説明いたします。
 中期計画の建物整備・医療機器に関する部分を変更するというのが今回の内容でして、まず「現在の中期計画における投資方針」ですけれども、建物は1,852億ということです。その内容が平成21年~30年度に耐用年数を経過する病棟(昭和54年築以前の建物)を10年平準化して、5年分を対象というのが基本的な考え方です。平成21年度、平成22年度に政府から追加出資をいただいて、重心、筋ジス、精神等の病棟に関して出資をいただきましたので、それを伴って改定を行って、最終的には1,852億となっています。
 医療機器については850億円で、第1期中期計画期間中の投資実績が大体135億円ぐらいでしたので、経営改善による投資増を含めて、年間170億の5年間分という形になっています。以上により5年間の投資が2,702億で、年間540億というのが現在の計画です。
 次頁、「中期計画改定変更の必要性」ですけれども、1つ目には、昨年の東日本大震災の発生を受け、我々も老朽化建物が多いですので、耐震化をちゃんとやっていくということがひとつ必要であるということ。2つ目は、経営状況についてはご存じのとおり、かなり当初の見込みよりも良好に推移していて、幸いなことにあまり借入を増さずに自己資金でもって整備できているという状況があるということです。
 残りの中期計画期間があと2年ありますけれども、投資を進めていきたいということで、1つには老朽化建物について投資をしていくことと、従来中期計画上の対象は病棟だけだったのですけれども、外来建物についても進めていくということと、医療機器についても同様に老朽化が進んでいますので進めるというものです。
 変更(案)です。下に表がありますけれども、平成21年度~平成23年度は、実際の投資実績(平成23年度は見込みですけれども)の額を置きまして、平成24年度~平成25年度は、投資方針変更後の計画額ということで、建物については平成24年度600億、平成25年度620億。医療機器については平成22年、平成23年の実績が220億ありますので、220億ずっと置きまして、トータルで3,370億ということで、現在の計画に比べると、668億円増という計画をしているところです。
 「中期計画の改定」ですけれども、別紙1、予算については施設整備費が668億円増えますので、そこに追加しています。別紙2、収支計画ですけれども、建物投資、医療機器投資を進めますと、減価償却費が立ちますので、72億円分減価償却費を追加しています。その結果として、利益が72億円減るという形になっています。別紙3、中期計画の資金計画で、これで資金支出の投資活動による支出が、668億円投資しますので、その分投資が増えて繰越金が668億円減るという形になっています。最後に別紙4、これが「医療機器・建物整備に関する計画」で、それぞれ投資案を書いていますので、合計3,370億がここに規定されているところです。
 夏に少し申し上げましたけれども、事業仕分けをきっかけとして、我々も投資をどうするかを考えていて、やはり老朽化した建物、医療機器が非常に多いということで、やはり患者さんの療養環境をどうしていくか、医療の質を向上していくにはどうしていくかということを考えると、やはり投資は必要だというふうに考えていまして、具体的に数量で申し上げると、建物、医療機器、電子カルテのIT、それぞれ耐用年数が切れたものを更新していくことを考えると、大体我々年間1,000億程度の投資は必要なのかなと考えています。
 今回の「中期計画の改定」においては、中期計画自体5年間の計画であることもあり、平成24年、平成25年のみの改定という形になっていますけれども、今後平成26年以降には投資を増したいと考えていますが、後ほど説明があると思うのですが、新法人に移行する際にどう考えるか、また、診療報酬、消費税についてどう考えるかといった外部要因もありますので、それらを含めて我々としても、とりあえず中期としては25年度までなのですけれども、今後の投資方針を立てて行きたいと考えています。私からの説明は以上です。

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。いま、ご説明がありましたけれども、1つの大きな理由は、大震災のことがあって、古い建物が国立病院には多く心配です。以前に委員の先生方が村山の病院を見に行ったときに、あまりにもひどい建物だと皆さま方言っておられましたので、状況はよくわかると思うのですけれども、そういった建物の強化が必要ということです。入院だけではなくて、外来のほうの建設も重要で、医療機器に関しても、新しいものが必要であり、2年間ですが計画を変更したいというご説明です。特に、「3.中期計画の改定ついて(案)」のところで、投資の額が出されていますけれども、こういった形で進めたいということですが、委員の方、どなたか、ご意見ございますでしょうか。資金の面では和田先生、何かございますか。

○和田委員
 特にございません。

○猿田部会長
 よろしいですか、何かご意見ないでしょうか。こういう形で進めていただくということで。いいですか、山田先生。

○山田委員
 はい。

○猿田部会長
 それでは、皆さま方、特にご意見ないようですので、そういった形で進めていただくということでよろしくお願いします。
                  (了承)

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは、そういった形で進めるということにいたします。事務局から何かございますか、よろしいですか。
 それでは、いま委員の先生方に認めていただきましたので、この中期計画の変更について、もしこれから先、何か少し修正が入ったときには、私と事務局とで直すところがあるかもしれませんけれども、ご一任いただくということでよろしいでしょうか。
                  (了承)

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは、この第1番目の「中期計画の変更(案)について」はお認めいただいたとさせていただきます。どうも、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議事の第2番目です。「長期借入金にかかる報告について」です。事務局からご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 お手元の資料の1-2-1をご覧ください。本部会における国立病院機構の長期借入金及び債券発行に係る意見の取扱いについてまとめたものです。
 厚生労働大臣が、国立病院機構の長期借入金及び債券発行並びにこれらの償還計画を認可する際には、評価委員会のご意見を賜ることとなっております。通常、長期借入金及び債券発行は年度中に数次にわたって行われることがありますので、本来ならばその都度、評価委員会のご意見を賜る必要がありますが、年度を通じた長期借入金計画及び債券発行計画について、あらかじめ部会のご了承を頂ければ、長期借入金及び債券発行の個別の認可については、部会長にご一任し、部会には事後報告するとなっております。
 本日は、長期借入金の個別の認可についてご報告するとともに、平成24年度の長期借入金計画(案)、債券発行計画(案)及び償還計画(案)についてご審議をいただきたいと思います。以上でございます。

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。それでは、法人のほうからいまお話がありました長期借入金の個別の認可にかかる報告をよろしくお願いします。

○国立病院機構財務部長
 資料1-2-2ですけれども、平成23年度の計画額で、財政融資資金272億の計画を昨年度末にご説明していたところですけれども、いろいろ我々も資金繰りを考えて、平成24年3月30日に100億円財政融資資金からお借りする申請を行っています。償還期間については25年、据置5年という形になっています。借入利率については、借入日の借入金利による10年金利見直しで、ちょっと古いのですけれども、平成24年2月8日時点の金利が1.0%で、概ね1%ぐらいで貸していただけると、我々としても考えています。これが平成23年度の話です。
 資料1-2-3ですけれども、「債券発行・長期借入金の推移」で、概略を説明しますと、長期借入金については、いちばん下の平成24年度(案)ですが、予算で291億円の計画額となっており、これで申請をしています。実績額はまだないということで、「償還額」については、291億、仮に全部借りたとすれば、430億の償還となります。その結果、年度末の残高については、4,610億円で、平成23年度に比べると139億減という形になっています。「債券発行」については、50億の予算をいただいていまして、償還が来年20億来ますので、残高としては50億円という形になっています。
 資料1-2-4は、これを細分化したものですけれども、「平成24年度長期借入金計画額」で291億円です。「借入条件」としては、25年、10年、5年の3本立てになりまして、長いものは建物、短いものは医療機器等ということです。
 資料1-2-5が「債券の発行計画(案)」で、発行予定額が50億円、5年債で、平成24年6月~平成25年3月の間に発行できるということです。なお、債券については平成20年度~平成23年度の発行実績はありません。
 資料1-2-6が「平成24年度償還計画(案)」で、「平成24年度の償還計画、償還予定額が450億」で、参考までに申し上げますと、平成23年度末の残高が財投が4,749億、機構債が20億で、トータル4,769億円です。借入・発行予定額は、財投が291億、機構債が50億で、トータル341億で、償還予定額が財投が430億、機構債が20億で、トータル450億で、この結果、残高が財政融資資金が4,610億、機構債が50億、トータル4660億という形になっています。その裏の(参考2)は、「長期借入金等の償還期限及び償還方法」ですけれども、平成24年度は特段の変更はありません。(参考3)は、「各年度の元金償還額と年度末借入残高の推移」ですけれども、仮に平成25年度以降、一切借りない、債券を発行しないと仮定した場合の元金償還額が書いてあります。私からの説明は以上です。

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。いま、長期借入金の認可に関することでご説明いただきましたけれども、どなたかご質問はありますでしょうか。経営のほうは、非常に順調にやってきた。ここで少し長期借入金の計画を立てたいということで、いまご説明いただいて、そんなに無理のないところなのではないかと思いますけれども。どなたか、ご意見ありますか。また、和田先生、どうですかね。

○和田委員
 いままでの決算の状況からすれば、償還財源は十分にあることは大体承知しておりますが、この平成24年度に借入れをして、そして今後返済をしていくその財源としては、法人としてはどのようにお考えになってらっしゃるのでしょうか。

○国立病院機構財務部長
 我々、ご存じのとおり、かなり利益を出していますので、利益と減価償却費もありますので、それが概ね1,000億弱ぐらいはありますので、それを基に償還をしていきたいと考えております。

○和田委員
 そうしますと、借入金を償還して、なおかつ十分な財源があるということですか。

○国立病院機構財務部長
 十分かどうかというのか、我々、やはり老朽建物をものすごく抱えておりまして、平成30年度までに耐用年数を迎える建物が、病棟で言うと全体の40%ぐらい、外来で言うと60%ぐらいありますので、そういったものをきちんと建て替えていくためには、いまの水準の利益は確保していかないと難しいかなとは思っています。ただ、いろいろな外的な要因もありますので、消費税もそうですし、診療報酬もそうですし、そういうものを見ながら投資については考えていきたいと考えています。

○猿田部会長
 これからの見通しとしては、どうですかね。いままでの経営、矢崎先生がいなくなると、また大変かもしれませんけど。全体としては、見込みとして、どうですかね、矢崎先生。

○国立病院機構理事長
 医療に関しては、診療報酬改定、政策リスクが大きいんですよね。それと、経済状態が改善しない中で、消費税ということで、医療に関してはいろいろな消費税の問題がありますが、それをどう解決するかによっては患者さんの負担が増えて、診療抑制が起こるかもしれない。ただ、一方では高度の医療に対しては、診療報酬が上がるかもしれない。それから、我々の病院の3分の2を占めているセイフティネット系の医療が障害者自立支援法によって、サービス度によって著しく抑制されている。これが、我々の旧療養所には経営的に大きなマイナス要因になっていると。ですから、財務部長は比較的楽天的なお話でしたけれども、障害者自立支援法の経過措置が今年いっぱいで終わりますので、これがその後どうなるかというのは、少し厳しいかもしれないということは、予想されますね。

○猿田部会長
 何故かというと、この2年間で診療報酬は昨年変わって、それから今年もほんの僅かですが上がったので特定機能病院など大きな病院は、黒字になったのですね。病院の経営は、このような診療報酬のちょっとした変化で大きく変わります。来年の見通しをみると、どうもはっきりせず、少しでも下がればまた赤字の病院が多くなると思います。この2年間はよいですが、これからどうするかです。せっかく皆様の努力で収支がよくなった国立病院機構がどうなるか将来計画を立てる時に心配です。和田先生、御意見ございますか。

○和田委員
 大丈夫です。

○猿田部会長
 よろしいですか。それでは、いまご説明いただいたとおりで、この委員会としては、この形で認めていただくということで、皆さま方の了承をいただきました。どうもありがとうございました。
 それから、この取扱い等に関して、また何か少し変わることがあったときには、事務局とよく相談させていただいて、私のほうでまた必要なときには連絡を取らせていただきますけれども、私に一任させていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
                  (了承)

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。それでは、これで第2番目の長期借入金に係る報告についても、その計画についてもお認めいただいたということにさせていただきます。
 続きまして、3番目ですけれども、「役員の退職に係る業績の勘案率について」、事務局からご説明いただけますでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 国立病院機構理事長から独立行政法人評価委員会委員長あてに役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がありました。独立行政法人の役員の退職については、平成15年12月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に0.0~2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされています。評価委員会では、この業績勘案率を決定していただきます。
 まず、事務局において、当評価委員会が定めている、「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、業績勘案率を算定しましたので、その結果をご説明し、次に各委員にこの試算結果についてご審議いただきたいと思います。
 今回算定した数値については、部会の決定を評価委員会の決定とし、総務省行政評価・独立行政法人評価委員会に通知いたします。同委員会から意見があれば、改めてこの部会でご審議していただくことになります。なお、意見がない場合は、部会長に報告し、最終決定といたします。
 それでは、資料1-3に沿って説明させていただきます。また、別の綴りとして、ホチキス止めしている2枚紙があると思いますけれども、こちらは非公開ということで、個人情報等が入っていますので、ご発言等も控えていただければと思います。
 まず、資料1-3の1枚目から説明します。退職役員は河村博江氏、機構の副理事長でした。在年期間は平成16年4月1日から平成23年9月15日までの7年6か月です。
 「2.業績勘案率の算定について」です。第1期の中期目標期間の評価結果に基づき算定すると、1.68となり、各分類に対応する率は1.5となります。同様に、平成21年度の年度評価結果に基づく算定は1.71、平成22年度は1.75となり、分類に対応する率は1.5となります。平成23年4月から9月までの期間については、年度評価は未実施ですが、震災への対応や、各種研修等を年度当初からされており、平成22年度までの実績と比較して、ほぼ同水準と見なすことが適当だと考えますので、この6月についても1.5であろうと考えます。
 (3)は、全体を加重平均するという算定式になっております。分類に対応する率が全期間を通して1.5ですので、結果は1.5です。
 規定の中には、目的積立金の状況に照らして適切であるかという部分があります。これについては、(4)に示しています。平成21年度決算において、256億円を目的積立金にしています。また、平成22年度決算における495億円の余剰金については、積立金としています。
 (5)の「職責事項についての申出」については、特段なしということで、こちらの(1)~(5)までを機械的に算出しますと、業績勘案率は1.5となります。
 事務局案を(7)でお示ししています。河村氏の業績勘案率については、法人の業績評価は高く、試算結果は1.5となる。平成21年度に目的積立金256億円を計上している。また、平成22年度においても、495億円の利益を計上しており、法人発足以降、7期連続で計上収支がプラスであるなど、経営が良好である。副理事長として、法人発足以降、7年6か月にわたり法人の業務運営の見直しや効率化による収支改善、国時代から継承した過去債務の償還など法人及び個別病院の経営基盤の安定・強化に主導的役割を果たしてきた。また、独法化に伴う給与制度の見直し、業績評価制度の創設、QC活動等で職員の業務意欲向上や、意識改革に努めるとともに、処遇改善や研修会の充実等により医療従事者の確保を行うなど法人の業績に貢献が認められることから、業績勘案率は1.0を超えるのが妥当であろうと考えます。
 次に、業績勘案率を幾つに算定するかですが、これまでに同法人の理事について、業績勘案率で1.2の方が3名、1.1の方が1名、政・独委から同意を得ていることと比較しまして、河村氏の業績勘案率は1.2としてはどうかということで、事務局案を出したいと思います。事務局から以上です。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。いま、ご説明いただきましたけれども、ちょっと振り返りますと、前の理事がお辞めになるときに、やはりこういう形でこの国立病院機構に関しては非常に業績を上げてこられたということで、私ども評価としては非常に高い評価をさせていただきたいと思いますけれども、田極先生、何かございませんか。

○田極委員
 事務局に質問なのですが、全体を通して、各独立行政法人でこの1.2を超えるような方は、今までにいらっしゃいますか。

○政策評価官室長補佐
 1.2を超える方は、全法人の中で1人もおりません。

○田極委員
 そういう状況ですね。評価の理由を読みますと、また、実際、今までの評価に携わって見てきたところによりますと、7年6か月にわたって副理事長様がご苦労されてここまで業績を上げられてきたということであり、これを私は評価したいと思っております。ただ、機械的に計算すると1.5だけれども、今までの経緯などを踏まえると1.2。他の法人と比べて1.5を付けるわけにはいかないが、少なくとも1.2にはしてほしいということ、業績勘案率については少なくとも1.2はほしいということで評価の理由を読み取りたいと思います。

○猿田部会長
 ありがとうございました。他の委員の方々どうでしょうか。

○山田委員
 私もこの退職金の話が出る度に、いつも、毎回もっと高くしろと主張しておりまして、その都度1.5と主張しても、大体この会では1.2ということで、いままで上げても、下げてこられましたね。前例を見て、1.2はやむを得ないかなとは思いますけれども、やはり業績をきちんと評価していただいて、1.0を超える1.2だけは是非とも確保していただきたいと思います。

○猿田部会長
 ありがとうございました。よろしいですか。和田先生は。

○和田委員
 やむを得ないというのは、私も1.5という数値がありますけれども、現在の世間の状況、あるいは国立病院機構の中で、やはり厳しい経営環境の中で皆さんもいらっしゃることですから、1.2で我慢していただくというのは変ですが、1.2が適切かなと判断いたします。

○猿田部会長
 ありがとうございます。委員の先生方は大体同じ意見かと思います。私ども委員会としては非常にご苦労されて、よくやってきたと思っています。それゆえ、気持ちとしてはもっと上げたいけれども、前の理事の退職のときも高く付けたのですが、結局、1.2になってしまったということがあると。私どもの委員会としては、1.2でということで認めさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
                  (了承)

○猿田部会長
 それでは、そういう形で認めさせていただきます。どうも、ありがとうございました。事務局から何かございますか。

○政策評価官室長補佐
 特段ございませんので。

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは、この案件もお認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは、続きまして4番目、その他の報告事項です。この報告事項に関しては3件ありまして、1つは平成22年の財務諸表の「利益の処分に関する書類」の件、その変更。それからもう1つ大きな問題としては、「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」をやっていただいて、その報告がきています。それから、中期目標等において、「個々の病院ごとに政策医療に係る機能、地域医療事情、経営状況等について総合的に検証し、その結果を公表するとともに、病床数の適正化を含め必要な改善措置を講ずる」という、この3つのことに関する報告事項です。それでは、国立病院機構管理室長からご説明をお願いします。

○医政局国立病院課国立病院機構管理室長
 それでは、資料1-4ですけれども、下のほうにありますとおり、昨年この評価委員会で平成22年度の国立病院機構の利益495億について、通則法第44条第3項、「目的積立金」ということでご承認いただいているところですけれども、今般平成24年度予算編成、政府原案が出た段階で国立病院機構から、上にありますとおり「単純積立金」にするとの申出がありまして、この取扱いを積立金に変更したいということです。

○猿田部会長
 ありがとうございました。ただいま報告事項ですけれども、何かご意見ございますか。和田先生、これはいいですか。

○和田委員
 はい、特にございません。法人のほうでこういう決定をされたのであれば、特に私から申し上げる事項はありません。

○猿田部会長
 よろしいですか。
                  (了承)

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは、次に2番目の「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」の結果です。ご説明をお願いします。

○医政局国立病院課長
 資料1-5について説明します。「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」の報告概要です。1枚めくっていただいて、「報告書」の本体があります。その1頁目に<はじめに>とあります。まず、この検討会の経緯は、厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会が平成22年、いまから1年3か月前にその報告書が委員会からありまして、その報告書の中で、「国立病院機構と労働者健康福祉機構は、傘下の病院のネットワークの統合や個別病院の再編、整理のために、『国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会(仮称)』を設置して検討を始め、1年を目途に結論を得る」とされました。これを受けて、いまから説明する検討会を設置し、全ての国立病院と労災病院について、政策医療を提供する病院としての存在理由、公的病院としての存在理由などについて見直すための検討をしていただきました。昨年4月20日に第1回を開いて、その後8回議論をし、2月15日に報告書を取りまとめていただいたというものです。
 概要を説明します。表紙に戻っていただきますが、報告書のポイントです。まず、「1.政策医療を提供する病院としての在り方」で、国立病院と労災病院は、国が医療政策や労災補償政策上必要と判断した事業について、引き続き率先して実施すべきということ。2つ目、政策医療の範囲は、固定的に捉えず、時宜に応じて検討していく必要がある。3つ目、政策医療の提供のみならず、一般医療も併せて提供していくことが不可欠。一般医療も必要だということが主張されています。
 「2.公的病院としての在り方」についても、今後とも、政策医療を提供するだけでなく、一般医療も含め、地域の医療機関との連携を強化し、地域の患者サービスや医療水準の向上・発展に寄与すべきである。
 「3.両法人の統合」、この検討会のメインの議題です。両法人の統合については、まずメリットですが、本部、管理部門の一定のスリム化が可能等々のメリット、それからデメリット。それから、仮に法人を統合する場合の課題で、職員の給与水準、加入している社会保険制度等が異なるため、労働条件を統一するための労使間の調整が必要であるとか、労働者健康福祉機構が抱える累積欠損金の取扱いの調整など、仮に統合する場合の課題等を整理し、メリット、デメリット、あるいは法人統合の課題等を考え、委員検討会の結論として○以下に記載しております。
 「両法人の統合について、メリットは運用で対応することが可能な部分があるが、一方、デメリットや仮に統合しようとする場合の懸案・課題は短時間では解消することが難しいことから、直ちに統合することは困難。このため、まずは、両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当」ということです。将来の統合の視野に入れた両法人の在り方については、引き続き検討していくことが必要とされています。
 「4.個別病院の再編・整理」は、地域医療の中で考えるべき問題であり、他の設置主体も含めた地域医療の中での当該病院の役割位置付けなどを踏まえて、個別に慎重に検討すべきということです。
 「5.両法人の連携の強化」で、先ほど統合を行う場合と同様の効果を目指していくことで、連携を強化していくことを謳われていますが、具体的にどのようなことかというと、1つ目として、医薬品や医療機器の共同購入、治験の共同実施、診療情報等のシステムの相互利用、医学的知見や症例データの共有化、人事交流などについて、両法人間の連携の推進、強化が重要ということです。報告書でこう書かれていまして、国立病院機構、労働者健康福祉機構で連携、強化に向けた協議会を具体的に設置して、早速この効果を目指して、いま取り組んでいるところです。
 「6.財政支援の在り方」です。政策医療に対する財政支援の在り方については、両法人は、今後も引き続き、診療収入の増加等に努めるものとするが、それでもなお不足する部分について、財政支援の目的、範囲等を明確にして効率的に行うべきということ。
 「7.その他考慮すべき事項」、1つ目の○ですが、「両法人が、それぞれの役割を着実に果たしていくためには、医師、看護師等の人材確保や経営の安定化は重要であることから、医師確保等に直結する国家公務員に準拠した給与水準や総人件費改革の一律適用、更には経営努力認定の基準等に係る問題の解決に取り組む必要があると提言されています。説明は以上です。

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。いま、その統合問題についてお話をいただきましたけれども、メリットもあるけれども、やはりデメリットのところはご説明いただいたように、目的や成り立ち等が異なる組織の統合による組織の混乱や職員の意識、そんなところが非常に重要ではないかと思います。いまご説明いただいた資料の最後に、この検討委員会のメンバーが書かれていますけれども、(参考1)でしょうか。慶應義塾大学の相川直樹先生を座長としてこれだけの方々が構成員として検討していただいています。(参考2)を見ていただきますと、これだけ審議を重ね、しかも病院の視察もしてくださったということで、かなりこの委員会としては検討を重ねていただいて結論に達したということではないかと思います。報告ですけれども、委員の先生方、何かご意見ございますか。特に山田先生、どうですか。

○山田委員
 私もこの検討委員会のメンバーの1人として、参加させていただいて、検討に加わってまいりました。結論は、先ほどお話いただいたとおりです。やはり、全く違う組織の2つを組織ごと統合しようというのは非常に難しい問題で、そういう意味では、それは少し後回しにして、地域、地域でできる改善をやっていくことがもっと大切なのではないか。ただ、これは地域医療を考えると、特に国立病院と労災病院の問題だけではなくて、その地域に所属する他の病院との統廃合も全てかかってきますので、そういう全体の地域医療の必要性から考えて、国立病院と労災病院だけの問題ではなくて、やっていく必要があるのではという結論だと思います。
 まだまだこれから先、実際の現場では両方でうまく検討して統合できるものはいろいろ統合して、条件を合わせていくという検討が必要になってきますので、これは国立病院機構、労災病院ともに大変な努力をしていただかなくてはいけないことだと思いますけれども、それは今後よろしくお願いしたいと思います。

○猿田部会長
 どうも、ありがとうございました。山田先生はこの検討委員会のメンバーであられたということで、先生のご意見のとおりかと思います。委員の先生方、よろしいでしょうか。
                  (了承)

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは、これも承ったということにさせていただきます。
 では、先ほど申し上げた3番目の「個別病院ごとの総合的検証について」の報告です。これに関しても国立病院機構管理室長からご説明をお願いします。

○医政局国立病院課国立病院機構管理室長
 個別病院ごとの総合的な検証・改善等についてですが、第2期中期目標計画において、個別病院ごとの総合的な検証・改善等として、平成22年度末を目途に、個々の病院ごとに政策医療に係る機能、地域医療事情、経営状況等について総合的に検証することとなっておりました。また、その際に国立病院の近郊に労災病院等がある場合は、都道府県が策定する医療計画、地理的配置状況や担っている医療機能等を踏まえ、個々の病院単位での国立病院機構の病院と労災病院との連携、診療連携の構築をはじめ、効率的な運営の可能性等について検討を行うこととなっておりました。
 この作業ですが、昨年の年度末ということは、東日本大震災の対応を最優先した結果、1年遅れとなりましたが、今般、国立病院機構から総合的検証及び個別病院ごとの検証の提出がありましたので、本日のこの評価委員会にご報告いたすところです。
 具体的には資料1-6の提出がありまして、1頁の?~?が「総合的な検証」です。3頁以降、北海道がんセンターをはじめとして個別の検証となっております。時間の関係もありますので、逐次、ご説明は省略したいと思います。
 例えば165頁の近畿中央胸部疾患センターの1枚裏表でもって、1施設を検証しているところですが、165頁に近畿中央胸部疾患センターがあり、166頁の裏側の最後に個々の病院の「検証結果」の欄があります。ここの中には、大阪労災病院と近畿中央胸部疾患センターは隣接しておりますので、大阪労災病院との連携、こういうことでやっているというテーマの状況も逐次報告があります。先ほど山田先生からもご説明があって、また、国立病院課長からも説明した「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」においても、近いということで6?以内の7ケースは、もともと厚生労働省の整理合理化委員会でも問題になったところですが、個々のそういう所の7ケースについては、労災病院との連携、強化がいまどうあるかというのが、この中にもビルトインされております。
 今後は、国立病院機構において、この検証結果に伴って必要な措置等、効率的な運営の可能性等について確認を行っていく所存ですので、ご報告したいと思います。以上です。

○猿田部会長
 かなり膨大な資料で、しかしながら各病院に関して詳細にコメントされておりますが、こういった状況で整理をさせていただいたということです。何かご意見はございますか。まとめるのはなかなか大変だったと思います。

○山田委員
 特にありませんが、大変貴重なデータで、赤十字の参考にさせていただきます。

○猿田部会長
 特に委員の先生方、ご意見がなければ、これに関してもどうもありがとうございました。これでお手元の資料の国立病院機構に関するところは、全体的に報告事項も終わりということです。次に(2)ですが、「総務省政策評価・独立行政法人評価委員会が行った厚生労働省所管独立行政法人の平成22年度の業績評価(2次評価)の内容について」、ご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 報告させていただきます。昨年夏の部会におきまして、委員の皆様方にご審議いただきました年度評価結果に係る政・独委の2次評価について、ご報告いたします。
 資料2をご覧ください。資料2は政・独委が作成した報道発表資料となっております。次頁に、「各府省評価委員会に対する共通意見」として、「法人の内部統制の充実・強化」については、昨年度の評価結果では言及されていなかった法人の多くで今回は言及されており、内部統制に関する評価はおおむね定着されております。今後も引き続き内部統制の充実・強化に資する評価が求められております。
 また、「その他」ということで、平成22年12月に閣議決定された基本方針に基づく平成23年度以降の指摘事項のフォローアップ等への評価や、震災関係として次年度は復興対応への取組と法人のミッションとの整合性や、目標未達成事業と震災との関連性といった観点から、厳格な評価をすることを求められております。
 「個別法人に対する指摘について」は、国立病院機構に対するものはありませんでしたが、厚生労働省関係では医薬品・医療機器総合機構と国立高度専門医療研究センターに対して意見が出されております。以上です。

○猿田部会長
 いまお手元の資料2に関しての報告をいただきましたが、この委員会、国立病院機構に関しては特にご意見がなかったということですが、何かご質問はございますか。

○政策評価官室長補佐
 補足ですが、国立病院機構について指摘はなかったのですが、意欲的な取組の事例として出ており、資料2の21頁で、「経常収支率がよい」ということで取り上げられております。

○猿田部会長
 そういったことです。ありがとうございました。特に委員の方からご意見がなければ、次の(3)独立行政法人を取り巻く状況について。独立行政法人の制度・組織の見直しについて閣議決定ということですが、これについて、政策評価官室からご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料3をご覧ください。昨年9月の行政刷新会議において、独立行政法人改革に関する分科会が設置され、分科会において11回の審議を経て、1月13日に、「独立行政法人の制度・組織の見直しについて」が行政刷新会議に報告され、1月19日に行政刷新会議で決定されたのを受け、翌20日に閣議決定されたものです。
 国立病院機構については、「固有の根拠法に基づき設立される法人」になることとされましたが、国立病院機構にかかる見直しの内容は後ほど所管課から説明いたします。まずは独立行政法人制度全般にかかる主な見直しの内容について事務局から説明いたします。
 今回の見直しについては、独法制度の創設から10年以上が経過し、画一的な制度の下で多様な法人をまとめていたことの弊害が生まれてきている状況を踏まえて、組織や制度について大きく見直そうというものです。
 主な見直しの内容については、資料3の3枚目、「独立行政法人の制度・組職見直しにより期待される主な成果」をご覧ください。どういう問題点があって、今後、それをどう改革していくかということで説明しますと、主務大臣や監事による法人のガバナンスが不十分であること。運営費交付金の使途が不透明で非効率な業務運営が発生していることについては、法人の内外から業務運営を適正化する仕組みを導入する。交付金の透明性を向上させ、予算と実績の乖離を把握しつつ、不適切な支出と法人内部の不要資産を防止するということを考えております。
 行政組織や特殊法人の種々の業務について、検証や整理が不十分なまま、独法に移行、様々な分野で様々な態様の業務を行っている法人を一律の制度で措置していることについての問題は、組織をゼロベースで見直し、現在102法人あるものを65法人に見直す。また、法人を自主的・自律的に事務・事業を実施する「成果目標達成法人」と、国と密接に連携しつつ事務・事業を実施する「行政執行法人」の2類型に分類し、成果目標達成法人については、その特性を勘案した業務類型を設ける、ということを考えております。
 国立病院機構については、この新法人体系には入らずに、固有の根拠法に基づき設立される法人ということで、現在、整理されております。また、具体的な目標設定がなされておらず、実効性ある評価が困難。目標設定を行う主務大臣が評価を行わず一貫性がない。評価について統一的なルールがなく、問題を起こした法人に対しても高い評価をしていることについては、主務大臣が一貫した目標設定をし、業務実績評価等を実施する。また、制度所管府省に設置する第三者機関に加え、行政評価・監視の仕組み等を組み合わせ、効果的に業務運営の適正性を点検する、といったことを考えております。また、各法人の個別運営事項については別紙に記載されており、国立病院機構については19頁に記載されておりますが、内容については主管課から説明いたします。

○猿田部会長
 次は、国立病院機構のほうを。

○医政局国立病院課長
 それでは、19頁です。もともとの閣議決定の資料の21頁の左側の下です。国立病院機構については、これまで独立行政法人という形で独立行政法人通則法に基づいての法人でしたが、今回は「固有の根拠法に基づき設立される法人とする」と整理されております。独法分科会においても、矢崎理事長が何度もヒアリングで主張され、基本的には独法ではないという形で整理されております。
 具体的に今後どういう方向で検討していくかということですが、まずは19頁の右側ですが、国が担うべき政策医療等について、国全体として無駄のない効率的医療提供体制の下で、医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ、確実に実施するとともに、自律的かつ効率的な経営の実現を目指すということです。制度の在り方を検討する上では、例えば国民負担の最小化、担うべき政策医療の明確化等の観点から検討を進めるということ。
 3つ目の○ですが、固有の根拠法に基づき設立される法人とするまでに、職員の非公務員化に伴う問題の解決に向けた所要の調整を行うということで、今回、固有の根拠法に基づき設立される法人になるのですが、併せて、当然職員の非公務員化という方向で整理したいと考えています。
 4つ目の○ですが、労働者健康福祉機構(労災病院)との連携を進めつつ、将来の統合も視野に入れた具体的な検討を行うということで、統合については、今回はそれぞれ別々ですが、引き続き、それについても検討していくという整理をされています。

○猿田部会長
 いまの、特に最後の問題は、まだ検討していく方向ですか。というのは、私たちが見ていても、これは組織が違いますから、本当にそれがいいかどうかは、よほど検討しないと。ここまで折角、国立病院としては一生懸命やってきて、労災機構のほうがもう少し体制を固めてしっかりやっていかないと、一緒にしてどうなるか心配です。その辺りはしっかり主張するところは主張していったほうがいいと思います。どなたかご意見はありませんか。

○?瀬委員
 新しい形で、「独法ではない法人」ということになると、運営費交付金はどういう扱いになってくるのでしょうか。

○国立病院機構理事長
 その議論に行く前に、この新しい根拠法の、先ほどの課長の説明の中に、「具体的な制度のあり方については、例えば、「国民の負担の最小化」という文言が入っています。これはどういうことかというと、独法の中で、ほかは全部運営費交付金が収入源となって事業をやっているのですが、我々だけが自立・自弁の事業体で、国依存の法人の中に一人迷い込んでしまった状態が、いまの独法の中の我々なのです。
 いまお話のような「運営費交付金」、要するに税金で事業を行っているのではないかということが、例えば「国民負担の最小化」という文言に、まだまだ国立病院は運営費交付金で運営しているということを言っていると思うのです。これを削除してくれないと、ヒアリングのときに必ず運営費交付金ではなくて、事業削減、人員削減というのを、どんなに事業をやっていても、この文言が入ると、結論はみんな、こうなってしまうのです。これは閣議決定の文言なのですかね。だから、これはまだ大きな誤解があると思います。
 先ほどの「運営費交付金はどうなのですか」というのは、運営費交付金はみんな義務的経費なのです。だから、このまま共済組合に納めてもらえばいいのです。41億円という我々にきているお金は、ほかの公的医療機関ではやってない臨床研究を大きな柱の1つとしてやって、新薬導入の治験やインフルエンザのワクチンの効果など、国の要請に迅速に対応するために、各病院に臨床研究センターとか臨床研究部をつくっています。それを維持する経費はその数倍かかっています。それは我々の自己努力でやっています。
 ですから、「運営費交付金というのはもらっていない」と言いたいのです。「国民の負担はもらってない」と言いたいのです。こういうことが入ると、まだ運営費交付金に頼って運営しているでしょうということが誤解の元で、これを厚労省にわかってもらえていないから、こういう文言が入ってきてしまうのです。国民の負担は、我々に対してないのです。ただ、国から土地をもらっていますが、建物は自分たちで建てました。土地の出資を受けているということは、国民の負担に入っていないと思います。そういう大いなる誤解を払拭するのは、厚労省の中でもなかなか難しいから、なおさら、一般の人は難しいと思います。これが外に出ると、いまおっしゃったように、「運営費交付金はどうなのですか」という話になってしまうのです。

○猿田部会長
 ほんの数パーセントで、ほとんど診療報酬の形でやっていますので、いまのように何パーセントというと、ほんのわずかですよね。

○国立病院機構理事長
 そうなのですよね。だから、自分勝手に自由に民間の医療法人のようにやろうというつもりは全くなくて、皆さん、やはり国から出資を受けているということで、現実にお金をほとんどもらっていなくても、国のミッションとしてはしっかりやっていますからね。

○猿田部会長
 国民に対する医療提供ということですね。いちばんそこが大きなところですから、ほかの所とは違う形で国立病院機構はやっており、これは皆さん、認めているのですけれども。

○国立病院機構理事長
 運営費交付金に頼らないところが、他の法人とは違うところです。

○猿田部会長
 運営費交付金は要らないということですか、そこは設定にもよるでしょうが。

○国立病院機構理事長
 運営費交付金というのは要らないというのではなくて、義務的経費は共済組合に直接払ってくれと。

○?瀬委員
 別立てにすれば、設定にもよりますが、特段国立病院機構を通す必要はないということですね。

○国立病院機構理事長
 全然、通す必要はないです。

○猿田部会長
 厚生労働省関係の中でも、各独立行政法人によってかなり違うのです。かなり違いがありますから、そういったことを、一つひとつの独立行政法人によく理解していただきたいということが、いちばん重要な点だと思います。これはここで議論してもしょうがないかもしれませんが。ほかにいかがですか。

○和田委員
 新しい法人の性格について、私も一体どのようになるのかなと心配しています。独立行政法人はスタート時点で国からの出資によって成立しているわけです。この「国からの出資」というのは、一方で運営費交付金は毎年事業を実施するためにいただいているのですが、施設設備と、主として土地、建物等も国からの出資になっていて、ほかには誰も国立病院機構に対して所有権を主張する者はいないわけです。ただ、国からの出資だというだけなのだと思います。
 今後新しい法人になったときに、国立病院機構は剰余金を今後も経営努力によって一生懸命生み出すものなのかどうか。そして、その利益の配分は、従来の独立行政法人でいえば、やるべきことをやらないで出た剰余金については国へ返すが、経営努力によるものは「目的積立金」として独立行政法人が使ってよろしいという、その辺が少し現実的には判断が難しいところがあったようですが、一応そういう枠組みで、この独立行政法人はできていたと思います。独立行政法人国立病院機構もそうであったと思います。
 これが新しい法人、独立行政法人法からは外れて別の法人になるときに、法人への出資者は、やはり国なのだろうと思います。そして、その新しい国立病院機構は一生懸命経営努力をします。もちろん使命としては国民に対する十分な医療を提供していっていただくというためにあるのだと思いますが、これが経営的といいますか、会計的な側面からいうと、そのようにして経営努力によって得た利益を、どのように新しい法人が自らのために使えるようなものになるのか。例えばそれは国に全部吸い上げられてしまう。そしてまた、足りなければ国が補助をするということになると、国営の時代とあまり変わらなくなってしまうのだろうと思うので、その辺は新しい法人を考えるときに、どのような話になるのでしょうか。

○国立病院機構理事長
 具体的な内容についてはこれから検討していくわけですが、大前提としては国民の負担はもらわないで自立・自弁でやるというのが基本です。だから、「最小化」とか、そういう言葉は入れてもらったら困るのです。おっしゃるように、では、国で出資しているのではないかと。我々としてはできれば、それをJRみたいに買い取って株式でやるということが理想なのですが、医療は株式化できませんから、いつまで経っても、国からは「出資金を出しているだろう」と言われて、永遠に逃れられないと思います。それはそれでやむを得ないので、それから脱却したいと我々は決して思っていないのです。
 ただ、医療は政策的なリスクも大きいし、地域で本当に適した医療を提供していくか、あるいは医療の内容がどんどん変わっていくので、リジッドな雇用、採用ではやっていけない。これからは、例えばクラークが重要だとか、そういうときに柔軟に対応して雇用をする。民営化すれば、こういういいことがありますと。私がいちばん危惧しているのは、出資しているからということで、こういういろいろなことをどんどん官僚は書いてくると思います。利益も自分勝手に使うのは危険だから、ここで大臣の関与が必要だとか、そういうことをすると、医療の現場はやる気をなくしてしまうわけです。
 いま144の病院がものすごく元気なのは、ともかく我々で方向を立てて、頑張ってやれば、明日の未来は明るいということでやってきたのです。ところが、新しい法律になって、また同じような国の管理で、利益も、評価委員会とか、そういう所で議論してからやりましょうねと言うと、医療は生き物ですから、必要なときに必要な投資をしなければいけない。それから、先ほど申し上げたように27年以上経っている病棟が57%もあって、これを何とかしなければいけないし、外来などはほとんど手を入れていませんから、そこも手を入れなければいけない。だから、中長期的な投資計画をしっかり立てなければいけないのですが、そこもいちいちスクリーニングがかかってしまう。いまは非常にピークなのです。
 我々は勝手に使うということではなくて、それはそれなりに本部もちゃんと対応ができていますから、そこで調整しながらやらないと。現場を知らない行政が、「これは膨大な利益だから、ちょっと我々が管理しなければ駄目ではないか」などということになると、現場の士気が落ちてしまうと思います。私は非常に厚労省から嫌われているかもしれませんが、病院の意気に燃えてやるような組織にしない限り、元気づけるメッセージが伝わらないと、途端にいまの厳しい医療事情の中で成績がどんどん下がってしまうし、医師不足ももっとひどくなると思います。
 我々は臨床研究をやっているということで、医師以外の方はわからないかもしれませんが、職員にリサーチマインドがないと、病院とは、ただ患者を診て、処理していけばいいというレベルで、絶対低くなるのです。だから、職員がリサーチマインドを持って高きを目指してやる、我が国の医療の質向上に我々は役立っているのだという意識をしっかり保てないと思います。
 いつも言いますが、プロ野球で優勝した球団がちょっと手を抜くと最下位になってしまうということも起こり得るので、是非、厚労省も評価委員会も。我が国で最大の医療法人であり、公的医療法人であり、しかも東日本災害時とか、新型インフルエンザの国家的な国民健康被害時に厚労省の言うことを聞いて、パッとミッションを全国に展開できる所は我々しかないのです。他の団体も災害時にフル装備で来られるのですが、全国のネットワークはありません。行って、引き揚げてしまうと、次にどの病院の、どういう人が来るかということで、地元はものすごく不安なのです。 我々は全部スケジュールで全国のここまではA病院、次からはB病院でこういう人が来ますということを自治体に伝えていますので、自治体の信頼はものすごく高いのです。そういう組織を崩してしまうと、国のものすごくいい財産なのに、非常にもったいないと私は思います。だから、国から離れたいとか、そういうことを言っているのではなくて、国のミッションを果たす、臨床研究をやる、我が国の医療に尽くすというのは、職員の士気を上げるのにも絶対大切なことなのです。ほかの所だったら売上げを高くすればいいと言うのですが、病院はそうではなくて、リサーチマインドを持って医療に尽くしたいという人の集まりですので、この組織を駄目にしたら、ものすごくもったいないと思います。私は国の宝だと思うのです。そういう国の宝をどれほど厚労省の方が認識しているかどうか。我々の高い意識を保つにはどうしたらいいかを本当に考えていただけているのかどうか。一生懸命考えていただいているのでしょうが、ときどき寂しい思いをします。そういう意味では和田委員のおっしゃった意味は非常に重いものです。それだからといって、病院の、いま活気ある活動を、それで押さえるようなことになったら、もったいないなという感じがするのです。ですから、是非考えていただきたいのです。
 私は初めて気づいたのですが、「国民負担の最小化」ということは、まだ国民負担をものすごく強いているなということが裏にあって、こういう言葉が出るから、こうなると、必ず運営費交付金削減、人員削減ということになってしまうのです。長くしゃべってしまってすみません。

○海辺委員
 この委員に私がなっていること自体、ちょっと不思議というか、私はこういう常識は全く持っていない立場ですから、今日も拝見する資料はいろいろ知らないことだらけというか、勉強不足で申し訳ありません。例えばこちらのペーパーで見て、「目的達成法人」と区別があるということで、各独立行政法人の中で、「成果目標達成法人」という書き方がされているものと、国立病院機構のように、「固有の根拠法に基づき設立される法人」とするという扱いが分かれているということが、どのぐらい確固たる違いがあるのかを把握していない中で申し上げるのですが、医療法人は医療法の医療法人の中でいろいろ定義されていると思いますが、「国立病院機構は固有の根拠法に基づいている」ということで、ああいう医療法人とはちょっと別格であるという位置づけなのだろうと思っていました。
 そうすると、普通の医療法人だったら、いまは新規参入する所で、持ち分ありの所は認めないとか、そのようなことになってきていると、国立病院機構というのは国が持ち分あり、100%みたいな医療法人というように考えるといちばんわかりやすいのかなと思ったのです。その中では、持ち分を国が持っている医療法人だから、このような検討会などもあれして、これが理事会に相当するようなものなのかなという理解をしていたのです。だから、いま民間の医療法人もすごく厳しい中で、何とか職員を確保し、志気を高めるということでやっています。
 今日、伺っていてよくわからないなと思ってしまったのが、医療法人たるものは、東日本大震災のような大惨事が起こったら、ミッションでパっとどの医療法人も本来動かなければいけないということで、診療報酬とか社会の一般的な法人とは全く違う法律に基づいて設立されているはずです。国立病院機構はきちっと動くが、民間は動いてくれないとか、他の団体は駄目だみたいなことだと、そもそも医療法人というものが、医療部会などで議論されていても、医療は非営利で云々ということで、ある種、逆に民間とは違う保護というか、そういうことを受けていることとの区別が今時どうなのだろうなという感じがしました。
 普通の民間企業なども監督省庁からの影響は受けて、比較的法律がころころ変わって、突然これやれ、あれやれと言われたら、民間企業もやらざるを得ないみたいなところもあったりしますから、国立病院機構の皆さんはすごくご苦労されて立て直されたということは、そのとおりなのだろうと思いますが、いろいろなことを全くわかっていない立場から、あえて厳しいことを言わせていただくと、それでも国が100%出資者である医療法人として、今後どうやっていくのかということは、すごく考えなければいけないのだろうなと思います。だから、民間の医療機関との不公平感みたいなものがあるようだったら、やはり良くないだろうと感じます。
 あと、成り立ちも民間の医療機関だったら、それこそ人材の育成なども全部やって回していかなければいけないところが、国から優秀な人材をガボッと確保できるというのは明らかに有利さが違うのではないかとか、いろいろそういうところが感じられたりしますので、何と申し上げたらよいのか、完璧に民間のそういう所と同じ土俵にはまずない、ということをある程度は考慮しなければいけないのだろうと思います。
 あと、国民の皆さんがわからない、わからないというのは、情報が国民の側にもないので、わかってもらうための努力、宣伝、広報が。医療機関は宣伝をしてはいけないというのがありますが、うまく広報みたいなこともやっていかない限り、いつまで経っても理解してもらえないまま、自分たちの苦労が報われない感みたいなものが育っていても良くないということを感想というか、感じましたので、申し上げておきます。

○猿田部会長
 何かご意見はありますか。

○国立病院機構理事長
 どうもありがとうございました。おっしゃるとおりで、医療機関というのは地域に奉仕する社会的使命があるわけです。最初におっしゃった災害時の医療支援というのは、医療機関であれば当然やるべきではないか、本来そういうものではないかというのはおっしゃるとおりですが、医療機関というのは毎日患者さんを診てやっています。ドクターは毎日スケジュールがあります。だから、派遣してくださいと言っても、そう簡単にはいきません。私たちは全国のネットワークを活用して、個々の医療機関ではなかなか対応できないのを、いかに情報を集めて適切な支援を行うか。ボランティアでいきたいという人はたくさんいるかもしれませんが、それをチームとしてまとめて、秩序よく必要な所に医療支援をやっていくかという情報と組織力がないと、国として非常に厳しい災害時にサポートできるのは、やはり全国144の病院で、ネットワークで人をしっかりアレンジして、必要な所に必要な人を送るというノウハウは、今度の大震災のときにわかるわけです。それは我々が全部の病院で連携をとって情報を集める。そういう意味では、「災害時の医療支援は医療機関なら当然でしょう」と言うのですが、いかに人をアレンジして適切な対応をするかが、極めて難しいということがおわかりいただければと思います。
 「国から優秀な人材がドッと来て」と言われますが、医師、看護師は独自でちゃんと教育してやっています。ですから、医療職は民間と全く同じことで、国で養成してもらっているのではなく、我々独自が養成校などをやっています。

○海辺委員
 いま私が申し上げたのは、事業的なとか、いろいろなところのことを申し上げたというか、いいのですが。

○国立病院機構理事長
 我々としては、イコール・フィッティングではないのではないかということはよく言われるのですが、確かに日赤を含めたほかの公的医療機関と同様に、民間といちばん違うのは税金を払っていないということです。我々はそういう意味では民間の医療機関と比べると優遇されているところがありますから、それだけに民間の医療機関は経営主体で運営されているかもしれません。また、我々は国から出資を受けているというので、やはり地域医療の中核を担う医療をしっかりやることを目的として、採算を目的にしているのではないということも、是非、ご理解いただければと思います。それで先ほどお渡ししたようなセイフティネット系です。筋ジスとか、重心とか神経難病の患者さんを民間の医療機関ではなかなか行えない医療を、3分の2は病院がやっているということで、そういう意味ではご理解いただきたいと思います。

○猿田部会長 大切なことは、国立病院機構のやっている仕事の広報ですね、国民によく知っていただいて。まだまだ十分理解できていないということで、いま海辺委員がおっしゃったとおりですので、もっともっと知っていただくことが大切ではないかと思います。
 そろそろ時間のこともありますので、今日の全体として、特に委員の方々から何かご意見がなければ、第36回の委員会を終わりたいと思います。これからのことに関して、事務局からご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日はどうもありがとうございました。今後の予定ですが、次回は例年同様、夏に年度実績の評価をしていただくためにお集まりいただく予定です。
 今年度も部会長はじめ、委員の皆様方にはお忙しい中、国立病院部会でいろいろご審議していただきまして、大変ありがとうございました。
 最後になりますが、山田委員におかれましては、3月末でご勤務先の日赤を退社されることに伴い、当部会の委員も辞任されることとなりました。改めまして、ありがとうございました。事務局からは以上です。

○猿田部会長
 山田先生、一言お願いいたします。

○山田委員
 この3月に日赤を定年退職することになりました。それに伴い、この委員会の委員を辞任させていただきたいというお願いをさせていただきました。この委員会発足の当初から一緒に勉強させていただき、国立病院機構が矢崎理事長の卓越たる指導力の下に、このように素晴らしい病院のグループに発展したことを心から敬服いたしております。
 我々も92の病院を抱えておりますので、ここでいろいろと勉強させていただいたことを参考にさせていただきながら、ともに運営をしてきたという形をとらせていただきました。そういう意味では、大変この委員を辞めるということは寂しいことではありますが、そういうことでお許しをいただきたいと思います。
 先ほどからお話が出ていますように、これからもまだまだいろいろな難題があるとは思いますが、是非、新しい法人のもとで頑張っていただければと思っております。国立病院機構のますますの発展をお祈りさせていただきます。長い間、大変ありがとうございました。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。それでは、これで全部終了です。どうも長い間にわたりまして、ご協力ありがとうございました。
  


(了)
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