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2012年3月23日 第9回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 議事録

○日時

平成24年3月23日(金)13:30~15:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

公益委員

小杉部会長、相澤委員、鎌田委員

家内労働者代表

大久保委員、佐藤委員、髙谷委員、中村委員、三村委員

委託者代表

小林委員、新田委員、三原委員

厚生労働省

吉永短時間・在宅労働課長、大隈均衡待遇推進室長、藤原課長補佐、中島課長補佐

○議題

1.部会長及び部会長代理の選出について
2.平成23年度家内労働概況調査結果について
3.平成23年度家内労働等実態調査結果について
4.第10次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について
5.平成24年度家内労働関係予算案の概要について
6.その他

○配布資料

資料資料1 労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会委員名簿
資料2 労働政策審議会令(抄)
資料3 平成23年度家内労働概況調査結果概要
資料4 平成23年度家内労働等実態調査結果概要
資料5 第10次最低工賃新設・改正計画の進捗状況(平成24年2月29日現在)
資料6 平成24年度家内労働関係予算案の概要
資料7 家内労働関係資料
資料8 在宅就業関係資料
参考資料資料1 平成23年度 家内労働調査結果報告書
資料2 家内労働のしおり

○議事

○吉永短時間・在宅労働課長 ただいまより第9回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会を開催いたします。本日は公益代表の石田委員、奥田委員、委託者代表の山口委員、渡辺委員がご欠席ですが、労働政策審議会令第9条の規定による定足数を満たしていますことをご報告申し上げます。
 また、本部会につきましては公開でございます。その取扱いにつきましては、労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会の公開についてが定められておりますが、そのとおりになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 改めまして、私は担当でございます短時間・在宅労働課長の吉永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は家内労働部会委員改選後の最初の会合です。部会長、部会長代理を選任していただくこととなっておりますが、それまでの間、進行を務めさせていただきます。
 お手元の資料1「家内労働部会委員名簿」に沿って、ご出席の委員の皆様をご紹介いたします。
 公益委員からご紹介させていただきます。相澤委員です。鎌田委員です。小杉委員です。家内労働者側代表の大久保委員です。佐藤委員です。髙谷委員です。中村委員です。三村委員です。委託者側委員の小林委員です。新田委員です。三原委員です。
 議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めていきます。まず、議題1「部会長及び部会長代理の選出について」です。部会長の選任については、資料2「労働政策審議会令(抄)」をご覧いただければと思います。4頁に、第7条第6項の規定がございますが、その中に部会長の選任方法について定められております。「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」とされております。この委員につきましては、労働政策審議会本審の委員を指すこととしております。本審の委員でこの部会に所属いただいておりますのは、相澤委員と小杉委員のお2人でございます。相澤委員から事前に、部会長は小杉委員でというお話をいただいておりますので、今回は小杉委員に部会長をお願いいたしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○吉永短時間・在宅労働課長 それでは、小杉委員に就任のご挨拶をいただくとともに、これからの議事進行をお願いいたします。小杉委員は、お席をお移りいただければと思います。

○小杉部会長 小杉でございます。この部会の新参者なのですが、議事の進行などを務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に入ります。最初に、部会長代理の指名手続がございます。部会長代理については、労働政策審議会令第7条第8項の規定により、部会長があらかじめ指名することとなっております。そこで、部会長代理を鎌田委員にお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

○鎌田部会長代理 よろしくお願いいたします。

○小杉部会長 次の議題です。議題2と議題3です。平成23年度家内労働概況調査結果及び平成23年度家内労働実態調査結果について、事務局より説明をお願いいたします。

○中島課長補佐 平成23年度家内労働概況調査結果及び平成23年度家内労働等実態調査結果について、ご説明いたします。参考資料1に「家内労働調査結果報告書」を付けていますが、資料が大部であるため、資料3及び資料4の概要により説明をさせていただきます。まず、資料3「平成23年度家内労働概況調査結果概要」をご覧ください。
 概況調査と申しますのは、都道府県労働局において家内労働法第26条に基づく委託状況届、監督指導結果、関係団体への照会等を通しまして、毎年10月1日現在の家内労働者数、委託者数等を、業種別、類型別、男女別に把握をし、家内労働対策における資料としているものです。
 まず1「家内労働従事者」です。総数は13万3,264人となっております。その内訳を見ますと、家内労働者が12万8,709人、家内労働者の同居の親族であって家内労働者とともに仕事に従事している補助者は4,555人となっております。
 2「家内労働者」についてです。まず、(1)の推移を見ますと、昭和48年の184万4,400人をピークとして、その後減少が続いております。平成23年は前年に比べて、5.6%減少しておりますが、平成22年の減少幅6.1%を若干下回っているという状況です。
 次に(2)の家内労働者を男女別に見ますと、女性が全体の90.1%を占めております。また、(3)の類型別に見ますと、家庭の主婦などが従事する内職的家内労働者が12万2,110人で、全体の94.9%と大部分を占めております。世帯主が本業として従事する、専業的家内労働者は5,692人、農業や漁業の従事者などが本業の合間に従事する副業的家内労働者は907人となっております。
 次に(4)で、家内労働者を「業種別」に見ますと、衣服の縫製、ニットの編み立てなどの「繊維工業」が3万8,860人と約3割を占め、次いで、玩具、人形、造花、漆器などの「その他(雑貨等)」が、2万6,651人と約2割、自動者用部品、カプラー差し、チューブ通しなどの「電気機械器具製造業」が1万5,924人で約1割となっていまして、これら3業種で、全体の6割以上を占めております。
 (5)で都道府県別の状況を見ますと、愛知県が1万924人と最も多く、次いで静岡県、東京都となっておりまして、家内労働者数が1万人を超えているのは、愛知県のみとなっております。また、前年に比べ家内労働者が増加したのは、全国で5県となっております。
 (6)危険有害業務に従事する家内労働従事者数ですが、これは家内労働者数と補助者数を合わせた数です。これは1万3,743人で、家内労働従事者数に占める割合は10.3%となっております。業種別の家内労働者数が多い繊維関係の動力ミシンやニット編機など、動力により駆動される機械を使用される作業が1万294人と最も多く、危険有害業務に従事する家内労働者全体の74.9%を占めております。
 次に3「委託者」の状況です。委託者数は平成23年10月1日現在、9,862となっております。業種別に見ますと、家内労働者と同様に繊維工業、その他の雑貨等、電気機械器具製造業が多くなっておりまして、これら3業種で全体の3分の2近くを占めております。
 また、1委託者当たりの平均家内労働者数は13.1人となっております。これを業種別に見ますと、ゴム製品製造業が23.5人と最も多くなっておりまして、皮革製品製造業が7.6人と最も少ない状況となっております。
 最後に4「代理人」についてです。(1)にありますとおり、代理人とは、委託者が多数の遠隔地の家内労働者に仕事を委託する場合に、直接家内労働者に原材料や製品の運搬、工賃の支払い等を行うことが、距離的、時間的に難しいことから、これらの業務を行わせるために、家内労働者との間に置いているものですが、その数は平成23年10月1日現在で、503人となっております。これを業種別に見ますと、その他の雑貨等で最も多く、次いで繊維工業、紙・加工品製造業の順となっております。
 続いて資料4「家内労働等実態調査」についてご説明いたします。本調査については、家内労働の実態を把握し、家内労働対策を推進するための基礎資料を得ることを目的といたしまして、委託者及び家内労働者の双方に対し、調査を実施しております。調査は平成23年10月に、都道府県労働局から郵送で実施をしております。
 調査対象数は、委託者は1,609営業所で、回収率は85.1%です。家内労働者の場合は、調査対象数4,404人、回収率は76.5%となっております。
 なお、注書きで書いておりますが、本調査の実施に当たっては、東日本大震災の影響を考慮し、被災3件(岩手県、宮城県、福島県)を対象から除外しております。被災地域以外の地域から、同一の産業、規模に属する委託者及び家内労働者を再抽出し、代替としております。また、「その他」で書いていますが、本調査は標本調査です。母集団に復元したものを調査結果として、表章しております。なお、委託者調査については、前回調査は平成17年、家内労働者調査は前回は平成18年に実施しております。
 2頁のⅠ「委託者調査の結果概要」です。1「委託者の営業所」の状況です。委託者の営業所の雇用者数を見ますと、5人から29人が41.9%と最も多くなっておりまして、次いで30人から99人が30.3%となっております。
 2「委託している家内労働者数」を見ますと、委託者が常時委託している家内労働者は、1人から4人が23.3%、次いで10人から19人が21.9%、5人から9人が21.8%となっております。一方、30人以上の占める割合というのは20.2%ということで、前回より4.4ポイント増加いたしております。
 3「家内労働者に仕事を委託する理由」ですが、2つまでの複数回答で聞いております。結果は、「手作業であるから」が67.0%と最も多くなっております。次いで「コストが安くて済むから」が37.3%、「仕事量が変動するから」が33.3%となっており、前回調査結果と同様の状況となっております。
 4「委託する仕事量の変動とその理由」です。まず、「現在委託している仕事量を1年前の同時期と比べて変わらない」とするものが48.4%、「減った」が41.9%となっており、「減った」の割合が前回より若干減少しております。
 仕事量が減った理由について、2つまでの複数回答で聞いておりますが、「製品の需要減少」が84.6%と最も多く、次いで「家内労働者の仕事量が不安定」とするものが10.5%となっています。
 「今後1年間の委託する仕事量の見込み」については、「変わらない」が62.1%と前回より4.9ポイント上昇し、「増やしたい」が13.4%となっています。一方で、「減らしたい」または「中止したい」は、合わせて9.9%となっていますが、その理由については、これも2つまでの複数回答ですが、「製品の需要減少」が57.3%と前回より6.2ポイント上昇しております。次いで、「工場内生産に切り替え」が18.4%で前回より4.9ポイント低下しております。
 5「委託契約の方法」です。家内労働者に仕事を委託するときの契約方法を見ますと、「
家内労働手帳の伝票式と手帳式」を合わせて、72.2%となっている一方で、「口約束」が8.3%となっております。
 6「不良品の取扱い」です。不良品の取扱いをあらかじめ「取り決めている」という委託者数の割合は51.1%と、前回より5.5ポイント低下しております。また、実際に不良品が出たときの取扱いは、「再度やり直させる」が48.2%と最も多く、「工賃を減額」「工賃を弁償させる」は、合わせて7.1%となっています。
 7「家内労働者の募集方法」です。新規に委託する家内労働者の募集方法を見ますと、「家内労働者を介する」が25.5%、「従業員を介する」が13.4%となっています。どちらも前回よりその割合が低下しておりますが、「新規に募集していない」が約3割となっているためと思われます。
 8「工賃の決定」です。まず、工賃の決定時期ですが、現在の工賃を決定した時期を見ますと、最も多いのは調査時点の3年以前である「平成20年9月30日以前」が50.6%と、前回より10.9ポイント上昇しております。次いで、1年以内である「平成22年10月1日から平成23年9月30日」が31.0%となっております。
 工賃を決定する要素について、これもその際に重視する事項ということで、2つまでの複数回答で聞いております。「工賃相場」、いわゆる世間相場というものが54.9%と最も多くなっております。次いで、「納入価格や利益」で37.8%、「最低工賃」が12.7%となっております。
 9「家内労働者に対する経済的援助」です。過去1年間に家内労働者に対して工賃以外の経済的援助を行った委託者数の割合は11.2%となっております。その援助の内容について、これも複数回答で聞いておりますが、多いものは「機械器具・補助材料購入費」が35.0%、次いで「交通費」の23.5%となっております。経済的援助がある家内労働者1人当たりの援助額を見ますと、3万115円となっておりまして、前回より約1万5,000円減少しております。援助の内容別に見ますと、「保険料」ということで、労災保険料等の負担が5万2,861円、機械器具・補助材料購入費が3万4,826円、「一時金・ボーナス」が3万1,747円となっております。
 10「家内労働者に対する安全衛生対策」です。(1)危険有害業務を家内労働者に委託している委託者数の割合は5.4%です。業務内容別について見ると、これも複数回答ですが、「動力による運転する機械を取り扱う業務」が42.3%と最も多くなっておりますが、前回に比べるとその割合は低下しております。次いで、「有機溶剤または有機溶剤含有物を取り扱う業務が28.0%、「鉛等を取り扱う業務」が16.4%となっております。以上が委託者調査の関係です。
 Ⅱ「家内労働者調査」の結果です。1「年齢」です。家内労働者の年齢は高齢化が進んでおりまして、60歳から70歳未満が31.8%と最も多くなっております。家内労働者全体の平均年齢は56.8歳となっておりまして、前回の調査と比べますと全体の平均年齢は0.9歳上昇しております。
 2で家内労働者を「性別」で見ますと、男性が9.6%、女性が90.4%となっております。
 3で家内労働者を類型別に見ますと、「専業」が5.1%、「内職」が91.7%、「副業」が3.2%となっております。
 4は「世帯主(主たる家計維持者)と家内労働者との関係」です。家内労働者の世帯について見ますと、「家内労働者本人が世帯主以外の者であるもの」が81.2%を占めております。しかし、この数字は前回の調査よりは3.8ポイント低下しております。
 5家内労働者の家内労働に従事している「経験年数」です。「10年以上」が43.8%と最も多くなっていますが、前回より4.8ポイント低下しております。平均経験年数については、12.1年で前回と同じとなっております。
 6「1カ月の就業日数」です。平成23年9月の1カ月間の家内労働者の就業日数を見ますと、「20日から25日未満」が37.5%と最も多くなっております。平均就業日数は18.5日で、ほぼ前回と同じ状況になっております。
 7「1日の平均就業時間数」です。平成23年9月の家内労働者の1日の平均就業時間数は、「4時間から6時間未満」が35.5%と最も多くなっております。家内労働者1人当たりの平均就業時間は5.4時間と、わずかですが前回より短くなっております。
 8「仕事量の変動」です。平成23年9月の仕事量を1年前と比較したところ、「変わらない」が48.7%、「仕事量が減った」が36.7%、「仕事量が増えた」が8.3%となっています。
 業種別に仕事量の変動を見てみますと、「仕事量が増えた」とする割合はゴム製品の14.7%が最も多くなっております。一方で、「仕事量が減った」とする割合は、印刷等関連業の47.4%が最も多くなっております。
 9「1カ月の工賃額」です。平成23年9月分の家内労働者の必要経費を除いた工賃月収額を見ますと、「2万円から4万円未満」が30.9%と最も多くなっております。また、平成23年9月分の家内労働者1人当たりの平均工賃月収額は、4万2,726円と前回より5.4ポイント低下をしております。
 10「1時間当たりの工賃額」です。平成23年9月分の家内労働者の1時間当たりの工賃額を見ますと、「200円~400円未満」が33.1%と最も多くなっておりまして、800円未満が8割を超えている状況です。また、1時間当たりの平均工賃額は500円と、前回より4.8ポイント上昇しております。
 11「必要経費」です。平成23年9月の家内労働の仕事に要した必要経費を見ますと、「必要経費あり」とする者の割合は全体の16.7%となっています。これら「必要経費あり」の者の平均必要経費額は、9,642円となっております。
 12「工賃の支払い」です。工賃の支払い場所は「金融機関(口座振込み等)」という回答が最も多く、49.5%となっております。工賃の支払い方法としては、「1カ月に1回支払われている」というものが、97.0%と大半を占めております。
 次の頁です。13「受託関係」です。原材料、加工品の受渡し場所は「自宅」とするものが56.2%と最も多くなっていますが、前回よりその割合は低下しております。委託契約の方法としては、「家内労働手帳」を交付されている者の割合が78.8%と最も多くなっております。
 14「安全衛生等」です。「災害発生のおそれのある機械、原材料を使用しているもの」の割合は14.8%と、前回より2.6ポイント低下しております。使用している機械、原材料の種類を見ますと、「織機・ニット編機・撚糸機・合糸機」が39.9%と最も多く、次いで「接着剤・払拭剤等」が36.0%となっております。機械、原材料を使用している家内労働者のうち、「危害を防止するための措置を講じているとする者」の割合は45.9%と前回より13.4ポイント上昇しています。
 使用している機械、原材料別に、危害防止措置を講じているものの割合を見ますと、「木工用丸のこ盤・手押しかんな盤・面取り盤」を使用しているものが81.7%と最も多くなっております。
 過去1年間に健康診断を受診した家内労働者の割合は、64.0%となっています。受診した健康診断の種類について見ますと、市区町村が行う住民健康診断等、「その他の健康診断」が99.3%と大半を占めておりまして、「特殊健康診断」の受診は0.6%となっております。健康診断を受診した家内労働者のうち、健康診断の受診に関しての委託者の指導の有無を聞いておりますが、「委託者の指導なし」が91.4%となっており、受診者の大半は自主的に健康診断を受診していることがうかがえます。「過去2年間に家内労働の作業を原因とする怪我をしたり、病気にかかったことがある」と回答された方の割合は、0.8%で前回より0.1ポイント上昇しております。
 15「家内労働者の就業意識等」です。全般的には、前回調査結果と同様の傾向になっております。まず、(1)家内労働に従事する理由として、「家計の補助のため」が60.3%と最も多くなっております。家内労働を選んだ理由については、2つまでの複数回答でお答えいただいていますが、「都合のいい時期・時間に働けるから」が63.3%と最も多くなっております。現在の家内労働以外の仕事の有無を見ますと、「家内労働以外の仕事はしていない」が83.5%と大半を占めております。また、現在の家内労働についての継続希望について、「続けたい」とする者が89.3%と9割近くの方が続けることを希望されております。家内労働をする上で困っていることについて見てみますと、「困ったことはない」とする方は57.0%と前回より4.8ポイント上昇しておりまして、「困ったことがある」は42.3%と前回より5.5ポイント低下しております。また、困っている理由として多く挙げられているのは、「工賃が安い」で66.9%、「仕事があったりなかったりする」が48.5%となっております。調査結果に関する説明は以上です。

○小杉部会長 ただいまの事務局の説明について、ご意見、ご質問がございましたら、どうぞ。

○佐藤委員 いくつかあるのですが、いまご説明のあった資料3の概況調査の件です。以前から概況調査ということで、毎年10月にということで、先ほど課長補佐からも、各労働局に出されている委託状況届、地方局が把握している諸々を勘案して、この調査をやられている趣旨の話があったのですが、そうしますと、これはいわゆる全数調査でもないでしょうし、悉皆調査でもないのだろうと思うのですが、いわゆる概況ですから、大体の有様のことをいっているのだろうと思うのですが、これで家内労働者数、委託者数が、1位のところまで細かく出るのは、私は以前から不思議に思っているのです。
 例えば今回の場合、13万3,264人が家内労働に従事しているということです。それで、どういった状況の中で、こういう数字が出てくるのか、改めてそこら辺について教えていただきたいと思います。なお、平成22年度の東京局の労働安全衛生指導結果を見せてもらったのですが、東京労働局では委託状況届、つまり家内労働法第26条違反であったものが20件あるのです。実施件数が94件なのですが、たった94件の中で委託状況届が、つまり委託者が家内労働者の数をきちんと労働局に届けていないというのが20件あるのです。極めて高い率が報告されているのです。
 こういう状況の中で、例えば東京の場合は家内労働者が7,000~8,000人ということで集計を出されていますが、果たして、本当にそこら辺の細かい数値なのかどうなのかというのが、1つ疑問ですし、改めてそういう点では、調査のやり方というか、計算式というか、そういうものを教えていただければなと思います。
 2点目は、資料4の平成23年度に実施した実態調査ということで、1頁の「その他」にもありますように、標本調査だということですが、委託者が1,609営業所となっていますが、先ほどの概況を見ますと、9,800何某という委託者がいる中で、おおよそ15、16%だと思うのですが、こういう数字ですよね。それから、家内労働者に至っては4,404人で、専業的な部分でいうと12万8,000人ぐらいですから、3.何%という標本になると思うのです。
 それが、回収率がそれぞれ85%、76%ということになると、委託者でいうと全体の14%にいっていないです。家内労働者でいうと、3%にいかない数字になります。標本調査と言いながら、全体の母数が小さいと言いながらも、標本調査ということで、この程度の調査で十分なのだろうかということを疑問に思いますし、委託者と家内労働者数のパーセンテージも、いま述べた概算でも差異が出ているので、気になる点だということで、お聞きしたいと思います。
 3つ目には、細かな部分の数字は抜きにしますが、労働時間についても専業的なところでは、私の出身のところでいうと、皮革製品のところは9時間ぐらいになっていますし、平均的にも、いわゆる通常の雇用労働者の8時間からすればオーバーしているという実態がここに出ているのだろうと思います。
 この点でいっても、労基法は適用にならないでしょうけれども、家内労働法でいっても、いわゆる就業時間の是正の問題については委託者、あるいは家内労働者に求められている部分もありますが、委託者にそこら辺の労働時間の是正の問題も努力規定にはなっていますから、そういう規定との関係でどのように考えるのか。
 それから工賃額については、極めて低い金額だと率直に思います。当然最低賃金と比べれば半分、それこそ東京は800円を超えているわけですから、そういう点では半分ぐらいの数字だと思います。
 この点でも、最低工賃の決め方というのは、最低賃金とは違いますけれども、最低賃金との均衡を考慮して決めるのだと家内労働法上は規定をされていると思うのですが、そういう考え方で、後ほど全国の最低工賃の決定状況についてもご報告があろうかと思いますが、この額そのものは、いわゆるワーキングプアが社会的にも問題になっている中で、最低賃金すら下回っている実態を、厚生労働省としてはどのようにお考えになっているのか、改めてお聞きしたいなと思います。
 それから、工賃の支払い場所で、本冊の39頁に細かな結果が出ているのですが、気になるのは金融機関が49.5%、委託者の営業所が19.6%ということになっています。基本は、家内労働法でいっても家内労働者への工賃の支払いは現金が原則で、支払い場所の原則も家内労働者の仕事をした場所が原則になっていて、例外としては、家内労働者本人が申し出た場合に限られるとなっています。金融機関への振込みというのは、いまの社会一般的な常識からしますと、こういう流れになっているのかなという部分では納得はできるのですが、一方で委託者の営業所ということは、家内労働者がそれぞれ委託者の事業所まで足を運んで、現金を受け取っているという実態がある。しかも前回調査よりもこれが増えているという実態については、非常に問題ではないかとも思いますので、そこら辺の今後の監督指導を含めた点について、事務局としてのお考えもお聞きしたいなと思います。
 最後にせっかくそれぞれ平成17年、平成18年、前回やった以来の今回の調査ということなのですが、冒頭のところでも、この結果を家内労働の具体的な対策に活かしていくのだということでの調査ということも改めて述べられているのですが、これをどのように今後厚生労働省としてやろうとしているのか、お考えをお聞かせ願いたいですし、改めてそういう点では、この家内労働部会が果たすべき役割もあるのではないかと私は思っているのですが、その点について、何かご見解があれば、お聞きしたいと思います。以上です。

○小杉部会長 大きくは4つないし7つの点だと思います。まず、2つの調査についての、調査の方法あるいは代表性の問題について、それから内容的なものが3つ、そしてこの調査をどう活かすかと、この辺が質問のポイントだったかと思います。事務局から回答をお願いいたします。

○吉永短時間・在宅労働課長 概況調査については、佐藤委員からご指摘のあったとおりでして、私どもで、委託者届などをご提出いただいて把握している委託者を中心に、その他把握しているところのデータを1人単位で出していただいて、それを集計している形になりますので、データとしてはそういう単位でできています。
 一方で、委託者届が確実に出ているかどうかについては、私どもも非常に大きな課題だとは考えております。ただ一方で、なかなか一般的な適用ということになりまして、どこの委託者がどこの家内労働者に委託するのかというのは把握しにくいという中で、その辺りをきちんと家内労働法の世界に持ってくるということは、なかなか難しいという現状です。その辺りは委員の皆様のお知恵もお借りしながら、そのきちんとした把握の方法等、もちろん家内労働者の方から申告等があれば把握できるわけですが、そうでない中で、なかなか現実に非常に大きな課題になっているというのが実態です。この辺りはお知恵をお借りできればと考えております。
 実態調査につきましては、委員がご指摘のとおり、委託者調査、家内労働者調査は5年ぶり、6年ぶりというものです。なかなか予算が厳しい、あるいは統計も数が多くなっている中で整理をするという政府の全体の考えの中で、暫くできなかったわけですが、私どもは家内労働法を施行するに当たって、基本的なデータが全くないという中で、4、5年進めてきたという状況です。
 ただ一方で、家内労働者の実態がどうなっているのかということ、佐藤委員がご指摘のとおりサンプル数が足りているかという問題はあるわけですが、サンプル調査であっても、状況の一端は明らかにできているのではないか、もちろんサンプルが少ない中でぶれがありますので、どこまで正確かという問題はあるわけですが、統計の担当の部署ともよく相談をしながら、統計的な有意性は確保された調査ではないかとは思っておりますので、これが100%のものでない、悉皆調査ではないというのはご指摘のとおりでございますが、あくまでもこれを参考としながら、今後の対策について考慮していきたい、具体的には来年度以降の最低工賃の見直し、あるいはその他必要な施策というものを考えていきたいと思っております。
 具体的に何をなすべきかというご指摘もございましたが、この調査がこの部会に合わせてようやく取りまとまったところでございまして、十分な分析ができておりません。この辺りにつきまして、私どもで分析をし、また各委員のご意見をいただきながら、必要な対策を講じていきたいと考えております。
 また、個別に労働時間の問題でありますとか、工賃の支払いについてのご指摘がございました。法制的には、佐藤委員がご案内のとおりでございます。就業時間につきましては、家内労働法の第4条において、通常労働者、あるいは同種の労働者の労働時間を超えて委託を受けることがないように努めるということが、委託者に対する義務としてかかってございます。もちろん通常の労働者の方も、残業されている方がいらっしゃる状況ではありますが、こういった実態をどういう形で考えていくのかというところについても考えていきたいと思っております。
 また、工賃の支払い場所につきまして、家内労働法は直接払い、現金払いの形を原則としている状況です。この考え方は労働基準法の考え方で、一般の労働者と同じ考え方ですので、金融機関の口座振替えも最近はかなり普及しているというところは同じでございます。現金払い、直接払いが原則だという状況の中で、委託者の営業所で支払うということが、もしそのためだけに呼び付けているということであると問題があると考えられる場合もあり得ますが、日常的に接触している中で、納入、委託の物の受け渡しと合わせて行われているのであれば、直接払い、現金払いという大原則は満たしているのかなと思います。ただ、それが実際の家内労働者の方の就業状況からみて、適当かどうかというのは、少し勉強していきたいと考えております。
 最後になりますが、非常に大きな問題が残っています。ご指摘のとおりの最低工賃の高さの問題です。最低賃金法については、ご案内のとおり平成20年から、生活保護との格差を埋めるという形で、かなり精力的にご議論をいただきながら上がってきたという状況がございます。
 一方、家内労働法も、最低賃金の状況等を見ながらという形の考え方には立っていますが、現実の問題として、それほど上がってきてはいない状況です。水準については、専業の方については、最低賃金の全国的な水準は超えている状況ではありますが、副業、特に内職的な方の賃金が非常に低い状況です。
 こういった問題をどう考えていくかというのは、非常に大きな問題でして、具体的には、私どもとしては少なくともきちんと最低工賃の見直しはやっていこうと、3年に1回はローリングしていこうという形で、後ほどご説明いたしますが、第10次の計画に即した形で進めているという状況です。それで、実際に見直しを進めたところについては、若干ですが上がっている部分もあります。
 ただ一方で、現下の厳しい状況等の中で、なかなか上げられないで、実際の引上げについて見送りをしているというケースも非常に多くなっています。この辺りは労働局において、地域の労使にご意見いただきながらやっているところですが、最低賃金の状況を勘案していく必要はご指摘のとおりだと思っております。この辺りなかなか厳しい経済状況の中で、最低工賃を上げるとその仕事がどうなるのかという議論もある中で、難しい作業になっているようではあります。委員のご指摘も踏まえまして、非常に難しい課題、重い課題だとは思っており、進めていければと思っておりますが、重いご指摘として、受け止めさせていただきたいと考えております。

○佐藤委員 家内労働者の数を掴むというのは、我々労側からいっても、非常に課題にはなっている問題なのです。どう正確に掴むか、家内労働者の実態が、ときとして雇用労働者に変わったりという部分はありますから、なかなかそれを正確に把握することは困難だということは前提なのです。ですから、この概況調査などでこういう具体的な数字が出されると、果たしてこれが正確なものなのかどうなのかについては、疑問を抱かざるを得ないというのが、1つです。
 今後やっていく上で、さまざまな調査を、例えば国においてもやられていますよね。事業所調査だとか、これは経産省ベースだろうと思うのですが、そういったものだとか、国勢調査まではなかなか難しいかもしれませんが、例えば事業所調査を活かして、その事業所で家内労働者をどのような形で使っているかどうかとか、そういう全体の中でうまく家内労働者を掴む、あるいは同じ局でやられている在宅ワークの問題、そういったものも掴むということは、議論をしていけば可能なことではないかなと思いますし、なかなか厚生労働省だけで予算を確保するということも難しい部分はあるだろうと思いますので、是非そういった方法も検討していただければと思います。
 ただ、後ほどご説明があるかとは思うのですが、資料7の1に出ていますが、全国の家内労働の監督指導実施結果を見ても、先ほどご指摘をしました第26条の届出について集計していないのです。それ以外のところでの違反率を見ても、平成22年度で60.4%ですから、極めて高いです。
問題の委託状況届がきちんと出されているのかどうかを、やはり本省、これは雇用均等局ではなくて基準局だと思いますが、基準局がきちんと調べるという体制を取って、各地方局できちんと掴むことを、厚生労働省としても縦でやるべきだと思います。
 あとの家内労働法との関係については、是非検討方お願いしたいと思うのですが、あえて1つだけ申し上げると、工賃の支払い場所の問題です。いま課長からお話があったのですが、委託者が呼び付けてということはないのだろうと、実態的には限りなくそれに近い部分があるのだろうと思います。
 それはそれとしてでも、月1回に委託者の事業所に行きます。例えばそのときに事故に遭ったという場合が問題なのです。これはまた後ほど出てくると思いますが、家内労働者の特別加入の労災保険です。家内労働者は自宅で労働していることが前提ですから、通勤途上の労働災害は対象外なのです。それが結局、偶に外に出たことによって、事故に遭ったと。労災保険の特別加入自身が加入率が低くなってきているという現状がある中で、外に行って怪我をしたということになれば、一大事になるわけです。
 だから、そういうことからいってもそうですし、逆に言えば、そういうことであれば委託者が支払うということで、事業所に来なさいということであった場合について、本人も了解した場合の、事業所に行くときの災害については、逆な意味でいうと特別加入の労災保険の適用を認めるという規定を作るべきだろうと私は思うのです。
 従前は、完全に家内労働者の自宅及び作業所内の事故が、特別加入の事故の適用範囲だったのです。それが、途中で委託者が自分の自宅、仕事場の外まで、車で物品等を運んで来るわけです。そこの道から家内労働者の仕事場、家内労働者の仕事場は普通は幹線道路に隣接してなくて、奥まった所ですから、その道路から仕事場までの距離の事故については、労災適用にするということで改正になったわけです。そういった形での改正も、私は可能だと思うので、この実態調査で出された数字というのは軽視できない数字だろうと思いますので、そのことも含めて、少しご検討いただければと思います。

○小杉部会長 非常に貴重な意見として受け止めていただければと思います。次の議題に入ります。議題4「第10次最低工賃新設改正計画について」です。事務局よりご説明をお願いいたします。

○中島課長補佐 それでは最低工賃の資料の説明に入る前に、本日は本部会に初めてご参画いただいている委員もおられますので、まず最低工賃制度について、若干ご説明したいと思います。お手元にお配りしている参考資料の2ということで、「家内労働のしおり」という冊子をお配りしていますので、そちらをご覧いただきたいと思います。
 「家内労働のしおり」の4頁をお開きいただきますと、家内労働法のあらましを掲載させていただいております。家内労働法は家内労働者の労働条件の向上と、生活の安定を図ることを目的としています。法に盛り込まれている内容としては、家内労働手帳の交付や、工賃支払いの確保、最低工賃、安全衛生の措置などについて、家内労働者の保護のために必要な最低の基準を定めているものです。
 最低工賃に関する規定については7頁です。いちばん下のところ、「最低工賃(第8条~第16条)」という所をご覧いただきたいと思います。「工賃の低い家内労働者の、労働条件の改善を図るために、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴いて、最低工賃を決定することができる」ということになっています。具体的には都道府県労働局に設置されている地方労働審議会におきまして、調査・審議が行われた上で、そのご意見をお聴きして、最低工賃の決定が行われているところです。
 この最低工賃の新設、または改正を計画的に推進していくことを目的として、都道府県労働局ごとに最低工賃の新設・改正に取り組む具体的な業種を設定した計画を策定し、この計画に沿って最低工賃の新設・改正等が行われてきているところです。本年2月末現在では、全国で125の最低工賃が設定されています。この最低工賃新設・改正計画の策定は、昭和58年度を初年度とする3カ年計画からスタートしています。
 資料5にお戻りいただきたいのですが、資料5-2のほう、A3の資料が付いていると思います。こちらが現在の、第10次の計画です。第10次の計画は、平成22年度から平成24年度までの3カ年の計画となっていまして、今年度はその計画の中間年ということになります。
 第10次計画の進捗状況については、1枚お戻りいただいて、資料5-1のほうをご覧いただきたいと思います。当初、計画を策定したときには、130の最低工賃について計画が立てられています。一部、複数回の改正を予定していますので、第10次計画における改正予定件数は138件となっています。このうち平成22年度に改正等を計画していたものは44件、平成23年度が44件、平成24年度は50件という状況になっています。
 平成22年度の所をご覧いただきたいのですが、平成22年度の計画予定については少し時期がずれ込みまして、平成23年度に改正等をされたものも含めて、9件が改正をされていまして、5件が廃止を公示しています。また、諮問見送りについては30件ということで、全体の3分の2が諮問を見送られているという状況です。
 諮問の見送りについては、工賃相場、その他に関わる実態調査を実施して、どの程度工賃の改正を行えるのかというのをあらかじめ調べています。その結果、改正を行える状況ではないと都道府県労働局長が判断した場合に、地方労働審議会等の場で、公労使の委員の皆様方にその旨をご説明し、ご了解を得て改正諮問見送りとしているものです。
 諮問見送りの理由については、各労働局に確認をしたところ、経済情勢が厳しく、工賃相場がなかなか上がっていない、あるいは仕事量や家内労働者数が減少しているといったことが挙げられています。
 合わせまして、最低工賃の改正に関わる「平均周期」が長くなる傾向にあります。平成22年の横の所に書いてありますように、平均周期、平成22年度については6年6カ月となっています。
 次に今年度の状況です。平成23年度は44件の改正等が予定されていますが、2月末現在で1件が改正、1件が廃止されています。また、諮問見送りが17件となっています。答申済みのものが3件あります。これらは今後、公示されることになっています。さらに未着手が20件ありますが、本日ご報告しています、この件数については、先月末、2月29日現在の状況でして、未着手20件については、いずれも3月に開催される地方労働審議会で検討される予定と聞いているところです。
 資料5-2をご覧いただきますと、各労働局の設定されている工賃ですとか、その改正の状況が一覧表になっています。青字で印字されているものが、平成22年度に改正等がされたもの。緑字が平成23年度に改正等をされたもの。黒文字は未決着のものです。
 来年度は第10次計画の最終年度となりますが、来年度末には第11次計画を策定する予定となっています。以上です。

○小杉部会長 ありがとうございます。では、ただいまの事務局の説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。いかがでしょうか。特にご意見、ご質問がないようでしたら、次の議題に入ってよろしいですか。
 それでは議題5に入りたいと思います。「平成24年度家内労働関係予算案の概要について」。そして議題6、「その他」について、事務局よりご説明をお願いします。

○中島課長補佐 それでは資料6をご覧いただきたいと思います。「平成24年度家内労働関係予算案の概要」ということで、予算案の総額は2,200万円となっています。今年度予算に比し、減額となっていますが、主たる要因は家内労働等実態調査実施経費分を減額されているということです。
 予算案の内訳ですが、まず1の「家内労働行政の推進に要する経費」ということで、具体的には家内労働者等に対して、家内労働法を周知するためのパンフレット等の作成経費などを盛り込んでいまして、400万円です。
 2番の「家内労働に係る安全衛生管理の指導等に要する経費」というのは、家内労働者、あるいは委託者に対して、各労働局に配置されている安全衛生指導員が巡回をして指導を行う、それにかかる経費として1,600万円。
 3番の「家内労働者の健康相談会の実施に要する経費」ということですが、これは平成20年度から実施しています、危険有害業務に従事しておられる家内労働者の方を対象として、健康相談会を開催する経費として200万円。合計2,200万円の予算案を計上しているところです。
 続いて資料7-1をご覧いただきたいと思います。資料7ということで、「年別家内労働監督指導実施結果」です。いちばん右端が、平成22年の数字です。監督指導実施事業所数は48件となっています。そのうち違反事業所が29件ということで、違反率は60.4%となっています。違反の中身として多いものは、家内労働手帳の交付に関するものが16件、帳簿の備え付けに関するものが10件という状況です。
 それから資料7-2、「家内労働者等労災保険特別加入の状況」です。これは平成23年7月末月現在の資料です。その時点での加入団体数は62団体、加入者数は556人となっています。
 加入者の中で、加入されている人数が多い作業内容としては、(イ)のプレス、シャー、旋盤又はフライス盤等を使用して行う金属、合成樹脂、皮、ゴム、布又は紙の加工が250人ということで、全体の45.0%を占めています。
 次いで(ハ)の有機溶剤等を用いて行う、皮製等の履き物、鞄若しくはグラブ等又は木製等の漆器の製造又は加工に関わるもので、133人の方が加入し、比率は23.9%となっています。
 次いで(ホ)の、動力により駆動される合糸機、撚糸機又は織機を使用して行う作業ということで、117人の方が加入されていまして、比率としては21.0%となっています。
 また、労災保険料の負担者別の内訳を見ますと、いちばん上の欄の中程から右の所に書いてありますが、委託者が労災保険料を全額負担している方は38人、一部負担をされている方が30人という状況です。また、自治体が一部負担をしているというのが122人おられます。多くの方はご本人が全額負担をされているということで、この方たちが358人おられるという状況です。
 最後に資料8として、ご参考までに「在宅就業対策の推進」の関係の資料を添付させていただいております。在宅ワークと申しますのは、情報通信機器を活用して、請負契約に基づき、テープ起こしやデータ入力、ホームページの作成、設計、製図等のサービスの提供を行う、在宅形態での就労のことでして、法人形態により行っている場合や、他人を使用している場合などは除かれているものです。そういう意味で、非常に家内労働と似通った就労形態ということで、ご参考までに在宅就業対策の資料を添付させていただきました。説明は以上です。

○小杉部会長 ありがとうございました。では、ただいまの事務局の説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。大久保委員、お願いします。

○大久保委員 先ほどのところでも質問し損ねたのですが、予算案の3番目、健康相談会の実施に関する経費の部分についてお尋ねします。これは毎年、予算に計上されていると存じます。一方、実態調査のほうを拝見しますと、健康診断の受診率は64%。これが一般労働者に比べて高いのか低いのか、判断する材料を持ち合わせませんが、この健康相談会の実施状況について、詳しいご説明をお願いできますでしょうか。

○小杉部会長 健康相談会の実施状況について、詳しいデータがありますか。

○吉永短時間・在宅労働課長 家内労働者については、一般労働者に対して有所見率も高いという形で、平成20年度から危険有害業務に従事する家内労働者が多く存在する地域に、産業医に健康相談をやっていただくという事業でやっているものです。
 平成21年度は5局において実施しています。合計8回やっていますが、58人にご参加いただいています。平成22年度も5局で実施しています。若干入れ替わりがありますが、5局でやっています。8回で63人の参加がありました。
 今年度については準備をしていましたが、東日本大震災の影響等々で、人繰り等々の勘案もあって、1局のみの開催となっています。来年度については、ある程度業務的にも落ち着いていますので、危険有害業務の従事者が多い労働局において、改めて実施したいと考えているところです。

○大久保委員 ありがとうございます。1年前はこの部会はなかったですから、一昨年の部会で伺ったときも、大体似たような開催状況、参加人数だったと把握しています。これはそもそも家内労働者の方を対象とされていると思うのですが、やはり非常にさびしい参加状況ですので、この相談会の持ち方について、検討し直されるというご計画などはあるのでしょうか。
 他の資料を拝見しますと、委託者側に家内労働者の健康診断の受診を、より促進するような働きかけをするほうが、家内労働者の方々に直接やるよりも、より有効なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 現状については、現実に家内労働者にチラシを配るというのはなかなかできないので、委託者を通じるなりをして、募集をかけるという形にはなっているわけです。
 ただ、一方で実際には割とご高齢の方も多いということもあって、市区町村などが健康相談、あるいは健康診断事業を無料でやっているということもありまして、そういうものがある一方で相談会に来るというのはどうかということで、なかなか実際には実績が上がっていないという状況もあります。
 私どもとしても、若干その数値が、もともとの初期の目的に達しているのか、どうなっているのかということを勘案して、見直していく必要があると思っていますが、なかなかいい知恵がないので、今年度も同じような形で実施していますが、家内労働者の方々への働きかけ方も含めて、実施方法については考えていきたいと思っているところです。

○小杉部会長 わかりました、よろしいですか。他にご意見、ご質問はありますか。

○佐藤委員 いま大久保さんが言われた、その上の2番目の所ですが、安全衛生管理の指導等に要する経費、昨年と比べて300万円くらい減ってしまったようですが、3番目のほうは全国の中から5局を抽出してということですが、この安全衛生管理の指導というのは、47都道府県に全部、それ相応に配分をしているのか。そこら辺の予算の全国的な配分をお伺いしたい。
 東京などを聞きますと、たしか指導員が7名くらいですか。それで先ほど言ったように、100件もなかなか指導がいかないという実態があるとお聞きしているので、非常に予算も減ったということと、予算の配分がどうなっているのかということをお聞きしたい。

○小杉部会長 そちらでどのようにやっているか、おわかりになりますか。まず47都道府県で一斉にやっている事業ですか。先ほどの5局ずつというのとは違って。

○吉永短時間・在宅労働課長 具体的なデータは後ほど御報告いたしますが、基本的には5局に限るということではなくて、47都道府県の労働局に対して、具体的にどういう経費が必要かという形で声をかけて、申し出があったものについて、枠があるので全額というわけにはいかない部分もありますが、支給するという形になっています。そういう意味で家内労働者が多い所については、それなりに実際に支給ができていると思っています。
 ただ、ご指摘のとおり、東京局に対してもこの予算額ですから、先ほどおっしゃられた程度の対応しかできないというのは、ご指摘のとおりでして、そういう中でより効果的な指導というものを実施していきたいと思っています。
 ただ、一方で一般的な経費については庁費がありますので、その辺りについてはこの予算に限らずに、必要な対応ができる部分というのもあると思っています。そういう通常の経費に上乗せした形で出しているという性格のものです。

○小杉部会長 あと、より詳しいものがあるのですか。

○中島課長補佐 全国の配置状況ですが、全部の都道府県労働局に配置ということではございませんで、やはり家内労働者数が非常に少ない局もありまして、その辺を勘案して、予算には限りがありますので、めりはりをつけて配置をしているということです。今年度で言いますと、30局に配置をされているという状況です。

○小杉部会長 佐藤委員、よろしいですか。

○佐藤委員 はい、実態はわかりました。

○小杉部会長 他にご意見、ご質問はありますか。では、この資料6と資料7については、これで質疑は終わりということでよろしいですか。
 最後に「その他」、いま触れられなかったところでご意見、ご質問がありましたら、どうぞご発言をお願いします。いかがですか。

○大久保委員 では、申し訳ありませんがお言葉に甘えて、元に戻ります。資料4の実態調査についてですが、5頁の家内労働者の調査です。そこの4の所に、世帯主、主たる家計維持者との関係、「家内労働者が世帯主以外の者」が81.2%、これだけを見ると、ほとんど自分が家計を維持している者ではないと読めるのですが、ただ、男性のみを見ると、こちらの本冊のほうでは、男性の場合ですと88.1%が世帯主なのです。しかも、家内労働をする目的のほうを見ますと、やはりそちらのほうでも「生計を維持するため」という割合がかなり高くなっています。
 たぶん世間的に出歩くのは、こちらの概要のほうだと思うのです。先ほど局のほうからもご説明がありましたとおり、こちらのほうをなかなか全冊読まれる人も少ないと思いますので、やはりこちらの概要をせっかく作られるのであれば、そういう部分も反映したものを作られたほうがいいのではないでしょうか。

○小杉部会長 ありがとうございました。この辺のまとめ方は、事務局のほうで受け止めていただいて、必要に応じて対応していただければと思います。よろしくお願いします。
 では、他にないようでしたら、以上をもって全ての議事が終了しました。本日の部会は、これで終了いたします。本日の議事録の署名人は、大久保委員と小林委員にお願いします。本日は議事運営にご協力いただきまして、大変ありがとうございました。


(了)

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