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2012年2月28日 平成23年度 第5回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成24年2月28日(火)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館 8階 825号会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 定刻より早いのですが、皆様お揃いになりましたので、ただいまから第5回「化学物質の健康障害防止措置に係る検討会」を開催させていただきます。以降の議事進行は管野座長にお願いいたします。
○菅野座長 今回で第5回になりますけれども、本日もよろしくお願いいたします。まず、配布資料の確認をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料の確認をさせていただきます。資料1「がん原性が認められた化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針について」、資料2-1「指針対象物質の追加について」、資料2-2「がん原性試験評価委員会結果報告書」、資料2-3「指針対象物質の基本情報」、資料2-4「指針対象物質において使用すべき保護具(案)」、資料2-5「指針対象物質の作業環境測定の方法(案)」、資料3「金属インジウムのリスク評価について(案)」、資料4「平成23年度リスク評価の進捗状況」です。
 参考資料として、参考1「国が実施するがん原性試験について」、参考2「平成23年10月28日健康障害を防止するための指針公示第21号」、参考3「指針の施行通達(平成23年10月28日付け基発1028第4号)」、参考4パンフレット「化学物質による健康障害防止指針が新しくなりました」、参考5「平成23年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書(平成23年12月)(抜粋)」です。
○菅野座長 議題に移ります。議題(1)「がん原性が認められた化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針について」を事務局から説明をお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 がん原性指針の関係について資料1、参考1から参考4のパンフレットを使ってご説明させていただきます。がん原性物質の指針については、健康障害防止措置の検討会において、平成21年度の終わりから平成22年度の初めにかけて5回にわたって先生方にご検討いただきました。その後ちょっと空いてしまいましたけれども、まずはその後の経過等についてご説明させていただきます。
 復習的なことになりますが、がん原性物質の指針の関係について、参考1の「国が実施するがん原性試験について」をご覧ください。厚生労働省においては、労働安全衛生法第57条の5の規定に基づき、国自ら化学物質についてがん原性試験を行っております。その試験の結果、化学物質について労働者にがんを生ずるおそれがあると判断された場合には、厚生労働大臣がその物質について労働者の健康障害を防止するための指針を公表すると、同じく法律の第28条第3項で決まっております。
 がん原性試験の実施自体のスキームは別紙1にあります。試験の対象物質の選定から始まり、2週間試験、13週間試験、そして2年間のがん原性試験を経て、5~6年かかるような形で試験を実施しております。その結果については、がん原性が出たものについて指針を公表することにしておりますけれども、平成21年度からこのリスク評価のスキームの中にがん原性の試験結果の評価や、指針の策定といったことを盛り込んでおります。そのことが、1頁に戻って、がん原性試験の実施から行政対応までのフロー図と書いてあるものです。国においてがん原性試験を実施し、その結果を有害性評価の小検討会のほうで評価をしていただき、労働者にがんを生ずるおそれがあるかどうかの判断をしていただきます。その結果、がんのおそれがある場合に、1つは矢印の下のほうに進み、指針の作成、もう1つは右のほうに進んでリスク評価の対象物質とすることについて、リスク評価の「企画検討会」のほうへ提案します。このスキームで指針作成すべきとなった場合には、こちらの健康障害防止措置に係る検討会のほうで指針案を作成していただく流れになっております。
 平成21年度からこのようなスキームを取り入れておりますけれども、ただいま現在においては移行期間中にあり、本日、後ほど具体的にがん原性の指針のことも、新しく追加する物質のこともご検討いただきますけれども、本日ご検討いただきます物質については、このスキームの中の2段階目のがん原性試験の評価については、有害性評価の小検討会での評価ではありませんで、それ以前に国の委託事業の中で評価の委員会を設け、その中で評価した結果を本日は後ほどご説明させていただく予定にしております。
 がん原性指針については、このようなスキームで現在は進むようになりましたけれども、いままでに試験を行った物質、それから行政の対応状況について3頁をご覧ください。いちばん左は、がん原性試験報告書の報告年度で昭和62年から始まっております。その隣に試験の物質と行政対応等、あるいは試験結果について書いております。大きくは吸入試験、経口投与の試験に分けて記載しております。国のがん原性試験で、がん原性があると認められたものについては、基本的には大臣の指針を公表するということで、こちらのほうに指針を公表したものについては、指針の策定年度、例えば四塩化炭素の場合にはH23指針公示ということでやっております。その後、順次指針を公表しておりますけれども、先生方に平成21年度から平成22年度にかけてご検討いただきましたのは計8物質あります。この表の中でいくと、平成15年度の右側の経口投与の試験のところに、オルトフェニレンジアミン二-塩酸塩のところから始まり、いちばん終わりが平成18年度の欄の、オルト-クロロニトロベンゼンになります。ここに「H23指針公示」と書いてある8物質について以前にご検討いただきました。その後だいぶ空いてしまいましたが、昨年10月に、これらの8物質について指針を公表したということです。
 今回、後ほど議論をしていただく予定としておりますのが、こちらの表の平成19年度、平成20年度のところになります。吸入試験のほうで、平成19年度報告がされております1-ブロモブタン、経口投与試験ですと平成20年度に報告されている2-アミノ-4-プロロフェノールについて、本日の後半でご議論いただく予定としております。参考1については以上です。
 いま平成23年10月に8物質を追加するために指針を作成したというご説明を申し上げましたけれども、こちらについてもう少し詳しくご報告をさせていただきます。資料1「がん原性が認められた化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針について」をご覧ください。?「指針公表の根拠及び指針の統合」ということで、指針の公表の法令的な根拠については、ただいま参考1でご説明いたしました。これまでは平成3年から平成18年までに、四塩化炭素をはじめとする計18物質について厚生労働大臣の告示で定め、物質ごとに計18の指針を公表いたしました。
 その後平成21年度から平成22年度にかけての健康障害防止措置検討会の結果を踏まえ、平成23年10月に、指針対象物質として8物質を追加するとともに、いま述べました18物質と合わせた計26物質について、これまでとは少し違う形です。これまでは1物質1本の指針でありましたけれども、これまでの指針と統合した形で新たな指針、26物質をまとめた形で1本の指針を定め、それに伴い、既に定められていた18の指針を廃止することを昨年10月に行いました。新しく定めたのが「指針公示第21号」です。
 いままでの指針は、1物質について1つずつの指針でしたが、ほかの化学物質関係の規制では、有機溶剤関係にしても、特定化学物質障害予防規則等にしても、物質ごとに少しずつ規制内容に違いがあっても、1つの法令の中でまとめて対応しているということで、がん原性物質の指針についても、共通化できる部分がかなりたくさんありましたので、指針自体はほかの法令と同じように1本にしていこうということで、このような形で統合指針を策定いたしました。
 平成21年度から平成22年度にかけてのこの検討会においては、先生方に詳しく議論していただき、そのときにそれぞれの物質に対応して、できるだけ詳細な事項を規定していこうということでご議論いただきましたが、最終的に指針の1本化ということになりましたので、ご検討いただいた事項については後ほどご説明いたしますが、指針本体の中には書くことが少し難しい部分がありましたので、指針を策定した際の施行通達のほうに、個々の物質についての詳しい情報、あるいは対策を書かせていただくという形で対応しております。
 具体的な指針の内容ですが、指針そのものは本日お配りしている参考2が指針です。参考2に対する指針の具体的な部分、細かい対策を示しているのが参考3の同じく10月に出ている施行通達になります。その概要を資料1のほうで見ていただきます。指針の概要については?に示しております。参考2の指針本体のほうと比較しながらご覧ください。1として指針の「趣旨」を定めています。この指針の対象物質は現在は26物質です。その26物質を「重量の1%を超えて含有するものを製造し、又は取り扱う労働者の健康障害を防止するため、事業者が講ずべき措置を定める」というように設定しております。
 2は「対象物質」を示しております。今回は、いままでにない取組みとして、物質名だけを記載するのではなくてCAS登録番号も併せて記載する形にし、指針を使う方にとって使いやすいような形で書く取組みをここでしております。
 3からが具体的な措置の内容です。「対象物質へのばく露を低減するための措置について」ということで、ばく露低減の措置について記載しております。この26物質については、内容的に有機則がもともと適用になっているような物質、あるいは特化則が適用になっている物質、それ以外の物質ということで、もともと既に義務づけられている部分と、指針によって対応する部分が物質によって少し変わってくるということで、ここに書いてあるように3つのグループに類型化して措置を規定しております。
 有機溶剤の関係の物質では、有機溶剤業務のものであって、かつ含有量5%を超えているものについては、ばく露防止措置が法令で義務づけがされている。指針については、それ以外の部分ということで、濃度的には1~5%の間が指針の対象であり、かつ作業的には有機溶剤業務以外の業務についても係ってくるということで、その辺りについて書いております。
 具体的な措置の内容として(1)(2)(3)とも共通で、作業環境管理、作業管理、排気・排液等による汚染の防止、保護具、作業基準の策定といったことを指針の中では書いております。書き分けとしては、この物質の場合にはここの部分は法で義務づけられている、こっちの部分は指針でやっていただくような措置ですということがわかるような形で明記しております。
 これらの措置のうち、保護具に関係するような事項については、今回8物質を追加しておりますけれども、8物質に関しては施行通達の中で具体的にどういう保護具を使用すべきかを示しております。
 4は「作業環境測定について」です。こちらは指針対象物質の適用法令に対応し、2つのグループに類型化して措置を規定しております。その2つのグループというのは有機溶剤中毒予防規則と特定化学物質障害予防規則が、そもそも対象になっている物質の部分です。それからこれ以外の物質についてということで、グループに分けて規定しております。
 作業環境測定の関係は、基本的には測定と、その結果の評価になるわけですが、物質によっては評価のための指標が今の段階では設定できない物質もありますので、その場合には測定のみを規定し、評価については規定していない形になっております。測定結果や評価結果の保存については、こちらの物質ががん原性の物質であることを考慮し、特化則の特別管理物質に対応するような形で、保存期間を30年間としております。今回追加した8物質についての測定方法、あるいは評価方法については、施行通達の中で示しております。
 5は「労働衛生教育について」です。教育内容、どのぐらいの時間教育したらいいかを指針の中で示しております。
 6は「労働者の把握について」です。いわゆる作業記録の策定ということで、対象物質を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者について、1カ月を超えない期間ごとに氏名、業務概要等の記録を行うことを規定しております。
 7は「危険有害性等の表示及び譲渡提供時の文書交付について」です。表示、MSDSの関係です。こちらについても対象物質の適用法令によって3つに類型化し、措置を規定しております。1番目のグループは、表示、MSDSともに義務づけられている物質、2番目のグループはMSDSの交付のみが義務づけられている物質、3番目のグループはどちらも義務づけられていない物質に分けて措置を規定しています。
 このような形で指針を策定し、具体的なところでは参考2のほうと対応していますが、説明の中では十分対応できませんでしたけれども、後ほどご覧いただければと思います。皆様方にご議論いただいた部分として、具体的な措置をどのような形で書かせていただいたかをご紹介いたします。
 参考3の施行通達をご覧ください。最初のところでは、今回の指針の趣旨と、26物質について1本化したことなどもこの中で触れております。措置の内容についてが2頁からいろいろ書いてあります。今回追加した8物質が、2頁の記のいちばん最初のところにアの塩化アリルからクの1-ブロモ-3-クロロプロパンまでが追加になっていることを書いております。指針の中でいろいろ書いてある措置について、この中で補足説明をしております。
 特に、作業環境測定の関係などについては、4頁のいちばん下から始まりますが、具体的な測定方法について、今回追加した8物質というのは、いずれもいま現在作業環境測定は義務づけられていない物質ですので、具体的な測定方法も通達の中で書いております。
 5頁のアとして、「追加8物質の試料の採取方法及び分析方法は」ということですが、それを別紙3に書いています。21頁に、それぞれ8物質についてどういう測定方法、試料採取方法なり分析方法があるかを書いております。どのような測定点を設定するかについては5頁に戻り、作業環境測定基準に準じたような方法でやっていただくということを書いております。作業環境測定をした後の評価の方法については、5頁の下3分の1ぐらいのところから評価方法を記載しております。これらも作業環境評価基準に準じた形で行っていただくということを記載しております。
 具体的な評価をする際の評価指標については、5頁の下から7行目辺りから「追加8物質の評価指標は、別紙3に示す」ということで、先ほど見ていただきました21頁の表の中で、測定の方法だけではなくて、評価指標のほうもこちらの表の中に取りまとめた形で設定しています。こちらの表は、以前の検討会において、先生方にご議論いただいた表を基に、こちらの通達のほうの表を作成しています。
 順序が前後して申し訳ありませんが、指針の中でばく露の低減措置の関係で、保護具について通達で定めることを先ほど説明させていただきましたけれども、具体的な保護具の関係については、いまご覧いただいている資料の13頁から20頁にかけて、1物質ごと1頁の資料の形で掲載しております。塩化アリルから始まり、1-ブロモ-3-クロロプロパンまでの8物質について、呼吸用保護具、保護衣、保護手袋等、保護眼鏡ということで、それについて検討会でご議論いただいた内容を反映させていただいております。
 そのほか検討会のときに、それぞれの物質についていろいろな情報を取りまとめた資料をお配りいたしましたけれども、その情報も通達の中では22頁以降に基本情報という形で、1物質について1頁あるいは1頁ちょっとのボリュームを割いて示しております。化学物質の構造式から始まり、物理学的性質、生産量、いろいろな毒性情報を示しております。通達を見る方が使いやすいようにということで、このような資料も通達の中へ付けたということです。
 この指針を出したときに、いろいろな業界あるいは事業場に周知するための方法ということで、従来パンフレットは作成していなかったのですが、昨年初めて指針に関係するパンフレットも作成いたしました。資料番号は付けておりませんけれども、本日お配りしているパンフレット「化学物質による健康障害防止指針が新しくなりました」です。パンフレットの冒頭に、今回追加となった8物質の名称、CAS番号を記載し、2頁から具体的な内容になります。指針の位置づけをわかりやすいようにということで、「指針公表までの流れ」も今回は図で簡単に説明いたしました。
 今回追加の8物質だけではなくて、いままでのトータルの26物質について、それぞれの法令適用がどうなるかということも2頁に表の形で示しております。先ほど、指針の中でいろいろな措置を2つあるいは3つのグループに分けて記載していると申し上げましたが、それに対応するような形で、こちらの表の中でこの物質の場合はそもそもどういう規則が適用になり、どこの部分が指針で規定されているのかということが、パンフレットの中でもわかるような形に記載しております。
 3頁以降が、具体的な措置に関係する中身を示しています。4頁にはいましがた説明いたしました保護具の関係について、追加した8物質に関して簡単な一覧表で見ていただけるような形に記載しております。5頁には、作業環境測定の方法、測定結果の評価指標も、通達の中に書いてあったものを引用しております。6頁には、労働衛生教育の関係、労働者の把握、表示やMSDS交付の関係を記載しております。物質ごとの情報については7頁に、今回の追加した8物質について記載しております。8頁には関係の法令、有機則関係の物質、特化則関係の物質、現在のところ1物質だけですけれども、この指針に入っている物質について、規則が適用になる部分と、指針の適用範囲、対象範囲、どのようになっているかをパンフレットの中でも図示しております。検討会からはだいぶ時間が空いてしまいましたが、昨年10月に指針を公表し、関係者への周知を行っています。
 資料1に戻りまして、?「今後の指針の策定方法」です。今回このような形で物質ごと1本の指針から、全部の物質をまとめた形の指針にスタイルが変わりました。今後についても同じように独立した指針は策定せずに、現在の指針公示第21号に物質を追加していくという形で作業をさせていただくことになりました。その際に、追加した物質に関係する保護具や作業環境測定の方法、あるいは評価方法については、指針本体ではなくて、指針の施行通達のほうに記載する形になるということでご理解いただきたいと存じます。以上のところまでが、1番目の議題についての説明となります。
○菅野座長 ただいまの説明についてご議論をお願いいたします。確認なのですが、化学物質を1%以上含むものについては、作業環境測定は必ずやるということですよね。
○大淵有害性調査機関査察官 必ずということのあれが難しいのですけれども、指針の措置が義務かどうかということで見ますと、指針は法律の義務づけではなくて、こういう対策をすることが望ましいものということで大臣が示しております。行政の立場としては、できるだけこういうものをやってくださいというスタンスで指導していくことになります。
○菅野座長 ?の7の、同様に1%以上含むものを譲渡するときということで、ここで3つに類型化して措置を規定となっています。これもMSDS等は交付していただきたいという理解でよろしいでしょうか。
○松井化学物質評価室長 表示とMSDSの交付ともに指導するということです。
○菅野座長 そのようにしていただきたいということですね。
○松井化学物質評価室長 はい。ここの資料の書きぶりは少し舌足らずですけれども、両方とも事業者に指導するということです。
○菅野座長 パンフレットの2頁で全部に○が付いているわけで、これは法律でそうなっているものに○が付いているということですか。指針の対象物質の下の表で、表示とか通知に○が付いているのは、現行の法律でそうなっているということなのですね。
○大淵有害性調査機関査察官 ○が入っているところは、現行の有機則なり特化則が係るものが○です。
○保利委員 参考3の5ページ目の下から5~6行目の作業環境測定のところに、「評価指標は別紙3で示すとおりとする」と書いてあります。別紙3が21頁にあるのですが、○1の塩化アリルは定量下限が1.6ppmとなっていて、ACGIHのTLVよりも高いのですが、これで評価するということなのですか。評価できない気がします。
○菅野座長 この物質については、やっと分析用の検討が終わりまして、もう少し低くまで測れることになっております。表をリバイスできるのでしょうか。
○保利委員 できるのですね。これを使うのであれば、ちょっとできないのではなかろうかと思ったのです。
○菅野座長 これは、現時点で変更可能でしょうか。
○松井化学物質評価室長 これは通達ですので、次回改正が必要になりますので、そのときに改正できます。
○菅野座長 わかりました。
○田中委員 間違いでしょうか、ちょっと指摘させていただきます。参考3の13頁の別紙2で、指針対象物質において使用すべき保護具の一覧で、真ん中の保護衣、保護手袋等のところの「VOH」と書いてあるのですが、これはEその前に付くのではないですか。「EVOH」ということでEが抜けているということです。それが、そのままパンフレットの4頁の追加された8物質の保護具一覧の真ん中の保護衣服、保護手袋等の○1塩化アリルのところが、そのまま「VOH」なので、ここにもEが。
○大淵有害性調査機関査察官 15頁に書いてあるのと同じ形にするのが正しいのでしょうか。
○田中委員 そうです。○3の1-クロロ-2-ニトロベンゼンのところの「EVOH」となっていますが、これと同じ種類なのです。Eが抜けてしまったということで、何かのときに修正をお願いできればと思います。
○大淵有害性調査機関査察官 ありがとうございました。
○岡部委員 対象物質としては、これらの物質を1%以上含むということなのですが、文書とか表示の基準を見ると1%というより、例えば0.1%という規格があると思うのです。この場合は、ここの中においては1%という発がん物質であるけれども、割り切るという考え方の理解でよろしいのでしょうか。
○大淵有害性調査機関査察官 指針の中では1%以上割り切りをして、特化則などとも並びを合わせるような形で裾切りは決定させていただきました。
○岡部委員 参考3の7頁の下のほうの段落に第3ということで関係通達の改正の一部を次のように改正するというのがあり、その改正というのは別表のほうにつながるという形でよろしいのですか。「屋外の作業場における」という形が、なんとなくつながりが。
○大淵有害性調査機関査察官 いわゆる屋外測定のガイドラインの関係です。こちらの中に有機則とか特化則といった規則の物質だけではなくて、従来からがん原性指針の対象物質の測定についても記載をしております。今回8物質が追加されたということで、屋外測定ガイドラインの該当の表に8物質を追加いたしました。その結果表の順番も少し変わることもありましたので、該当部分は結果的に8頁から11頁に書いてあるような形で最新版の別表第1、別表第2はこのような形になっているということです。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。非常に内容が多いものですから、短時間でコメントするのは難しいと思います。最後にまとめてコメントをいただくことにいたしまして、(2)「指針対象物質の追加について」を事務局から説明をお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料2-4、資料2-5まで5つの資料に基づいて説明をさせていただきます。資料2-1「指針対象物質の追加について」です。本日、先生方にご議論いただく物質は2物質です。1-ブロモブタン、2-アミノ-4-クロロフェノールという物質です。これらの2物質については、日本バイオアッセイ研究センターでがん原性試験を行い、その結果について平成20年度に厚生労働省の委託事業の中で設けられた委員会、具体的には中央労働災害防止協会に設けたがん原性試験評価委員会において、試験結果の検討を行い、いずれの物質についてもがん原性が認められると評価されております。その結果を踏まえ、厚生労働省では、これらの2物質について労働安全衛生法第28条第3項に基づく指針を策定するということと、リスク評価の対象とすることを予定しております。
 今回の検討会での検討事項としては、先ほども申し上げましたが、指針が1本化されたことに伴い、その指針に関連する技術的・専門的な事項ということで保護具、作業環境測定の方法について検討をしていただきたいと考えております。検討していただいた事項については、指針を作成する際に施行通達の中に反映させる予定をしております。
 指針の項目の中で1から7まであるうちの7の関係の表示やMSDSの関係については、本年1月に労働安全衛生規則が改正され、施行は4月からということですが、表示やMSDSについては、いま現在は非常に限定された物質についてだけ義務が係っておりますが、それ以外の物質についても危険、あるいは有害なものについて努力義務という形で網を広げた改正が行われましたので、それに対応する指針の改正についても、2物質の追加と併せてさせていただきたいと思います。こちらについては、特に個別の物質に限定してということではない、共通的な話ですので、事務局のほうでその改正案の内容については後日検討して作成したいと考えております。
 本日ご検討いただく物質についての具体的な説明をさせていただきます。資料2-2は平成20年度に中災防の評価委員会の中で検討した報告書です。こちらで付けた頁の2頁で検討の内容です。今回の2物質は、検討事項として吸入曝露による1-ブロモブタンのがん原性試験の結果、それから経口投与による2-アミノ-4-クロロフェノールのがん原性試験の結果について検討がされ、委員会の構成はこちらに書いてあるとおり4名の専門家により検討していただきました。
 検討結果の総括ですが、3頁の5の(1)吸入曝露による1-ブロモブタンの試験結果です。こちらについては、「がん原性を示す証拠が得られた」との結論に至った。(2)経口投与による2-アミノ-4-クロロフェノールの結果についても、「がん原性を示す証拠が得られた」という結論です。
 こちらは概括的なところですが、もう少し具体的なところについては、実際の評価委員会の中で検討した資料ということで、5頁からが1つ目の物質である1-ブロモブタンの試験結果のまとめです。6頁では物質の概要を示しております。物質の名称、別名、化学的性状等がありますが、この物質については無色透明の液体で、沸点が101.3℃です。溶解性としては水には溶けず、アルコール、エーテル、アセトン、クロロホムといったものに溶ける物質です。用途は農薬中間体、塩ビの安定剤原料といった用途の物質です。生産量等はこちらに書いてあるとおりです。許容濃度については、この評価の時点、現在ともに日本産衛学会あるいはACGIH等の許容濃度等は設定されておりませんし、IARCでの発がん性の区分も設定がされておりません。
 具体的な試験結果ですが、9頁と10頁に、それぞれラットとマウスの腫瘍の発生状況についての表があります。11頁から14頁にかけては関係するグラフです。8頁の5のまとめで、「ラットでは、雌雄とも腫瘍の発生増加は認められず、ラットに対するがん原性はないと結論する。マウスでは雄の肺に細気管支-肺胞上皮癌の発生増加が認められ、雄マウスに対するがん原性を示す明らかな証拠である。雌では腫瘍の発生増加は認められなかった」。
 実際の表のほうで9頁と10頁ですが、マウスの雄の関係を10頁の上のほうです。この表の中で、「悪性腫瘍」と書いてあるところで肺に腫瘍の増加が認められるということでマークが付いております。1-ブロモブタンについては、こういう結果から、評価委員会ではマウスの発がん性の結果を基に、一応この物質については動物に対してがん原性を有するということで評価がなされております。
 15頁は2-アミノ-4-クロロフェノールです。先ほどは吸入試験でしたが、こちらは経口投与で、餌に物質を混ぜて行った試験です。物質自体の情報は16頁にあります。ベンゼン環に水酸基、アミノ基、クロロの3つの基が付いている物質です。物質としては灰色または茶色の結晶性粉末で、融点が137℃です。アルコールには溶け、水には非常に溶けにくいものです。用途は医薬品、写真薬、染料の中間物として使われています。生産量等はこちらに書いてあるとおりです。許容濃度等については、こちらも先ほどの物質と同様に日本産業衛生学会とかACGIHでの濃度は設定されておりませんで、IARCでの発がん性の評価も現時点ではなされておりません。
 具体的な試験結果ですが、表は19頁と20頁で、グラフは21頁から24頁です。18頁の5まとめのところで、「ラットでは、雄に前胃の扁平上皮癌と、扁平上皮乳頭腫及び膀胱の移行上皮癌の発生増加が認められ、雄に対するがん原性を示す明らかな証拠である。雌には前胃の扁平上皮乳頭腫の発生増加が認められ、雌に対するがん原性を示す証拠である。マウスでは、雄に前胃の扁平上皮乳頭腫の発生増加が認められ、雄に対するがん原性を示す証拠である。雌では腫瘍の明らかな発生増加は認められなかった」。
 具体的な表はラットが19頁です。上がラットの雄、下がラットの雌です。上のラットの雄の悪性腫瘍のところに増加の印が付いております。雌のほうでは、良性腫瘍のところで扁平上皮乳頭腫に印が付いております。
 マウスについては20頁です。上がマウスの雄ですが、良性腫瘍のところで、前胃の扁平上皮乳頭腫に印が付いております。下の雌のほうについては、腫瘍の発生増加はないということです。これらの結果から、評価委員会では、2-アミノ-4-クロロフェノールについてもがん原性の物質であるという評価がされております。
 以上が、中災防の委員会での評価結果です。これを踏まえて、今後指針の策定、リスク評価のスキームの上に乗せていくということです。本日の検討会では、指針の策定のための技術的な検討をこれからしていただくということです。参考の資料としては資料2-3に、ただいまご覧いただきました資料と若干重複するところもありますが1-ブロモブタン、裏側に2-アミノ-4-クロロフェノールについて、それぞれの物質の基本情報ということで整理させていただいております。
 本日、先生方に具体的にご議論いただくための資料として資料2-4と資料2-5になります。資料2-4は、本日の委員であります田中茂先生におまとめいただきました保護具の関係の資料です。1-ブロモブタン、2-アミノ-4-クロロフェノールについて、それぞれ呼吸保護具、保護衣、保護手袋等、保護眼鏡についてまとめていただいております。私のほうで簡単にご紹介させていただいて、その後に田中先生に補足をしていただければと思います。
 1頁の1-ブロモブタンですが、呼吸用保護具として推奨されるものは送気マスク、有機ガス用防毒マスクで、規格としては防毒マスクの規格、JISのT8152、T8153といった規格があります。保護衣、保護手袋等については、現段階では使用可能な素材に関するデータはないということです。ただ、ブロモブタンの透過データを参照すると、保護手袋としてはポリビニルアルコール製、バリアー製ということです。保護衣についてのデータはないということです。
 注意事項ということで※が付いておりますが、対透過性、対浸透性、反発性については、それぞれJISのT8115に定める試験の結果から得られた等級を踏まえ、等級ごとに示されている透過時間等を考慮した対応、例としては使用時間を記録し、透過時間を経過する前に保護服を交換するのが望ましい。
 なお、当該物質を使用する際に、化学防護服、化学防護手袋及び化学防護長靴については、別にJISのT8115に定める試験を行うことが望ましい。また、気密型保護服、密閉形保護服の使用に当たっては、暑熱環境等物理的要因を考慮し、適切な対応をとることが必要である。関係する規格としては、JISのT8115、T8116、T8117が示されております。
 3つ目の保護眼鏡は、ゴグル形の使用が望ましい。また一度破損又は汚染した規格品は使用しないことが望ましい。規格としてはJISのT8147が掲げられております。
 資料の裏側で2-アミノ-4-クロロフェノールです。呼吸用保護具の推奨されるもの及び留意事項からご説明いたします。送気マスク、防じんマスク、防じん機能付き防毒マスクです。注意事項として、この物質については通常で結晶性粉末の固体である。若干の蒸気圧を有し、特徴的な臭気がある。使用温度が高いときは、防じん機能付き防毒マスクを推奨する。規格としては防じんマスクの規格、JISのT8151、T8152、T8153が掲げられております。
 保護衣、保護手袋等ですが、使用可能な素材に係るデータはないということです。参考として、類似物質に関係する情報を記載していただいております。p-クロロフェノールのデータとしては、保護手袋についてのデータはなし。保護衣としてはタイケムTKという情報があります。注意事項については、先ほどの1-ブロモブタンと同じ内容ですので、読上げは省略させていただきます。規格はJISのT8115、T8116、T8117が掲げられております。
 保護眼鏡については、スペクタクル形及びゴグル形の使用が望ましい。作業形態に応じ防災面(化学物質飛来防護用)を併用してもよい。また一度破損又は汚染した規格品は使用しないことが望ましいということで、規格としてはJISのT8147が掲げられております。私からは以上ですが、田中先生から補足をお願いいたします。
○田中委員 ご説明いただきましてありがとうございました。1-ブロモブタンに関して、保護具に関する文献的な情報としては手に入りませんでした。そこで保護具メーカーとディスカッションをして、今回の資料を作りました。同様に2-アミノ-4-クロロフェノールも同様で情報が得られませんでした。そこで先ほどと同様に、メーカーと議論をした中で作成いたしました。以上です。
○大淵有害性調査機関査察官 続きまして、資料2-5のご説明をさせていただきます。こちらは、「指針対象物質の作業環境測定の方法(案)」ということで、作業環境測定の方法については、平成21年度に中災防へのリスク評価の関係の委託事業の中で、測定方法の検討をしていただきまして、その結果等を取りまとめた資料です。1頁で総括的なまとめをしておりまして、もう少し詳しい情報については、2~4頁に示しております。まず、1頁で説明させていただきます。
 この1-ブロモブタンと、2-アミノ-4-クロロフェノールですが、測定方法を検討していく上では、まず、どのぐらいの濃度まで測定できるかを検討する必要があるのですが、現段階では、先ほどの試験結果の説明の中でも申し上げましたが、ACGIHあるいは日本産業衛生学会での許容濃度が設定されていないということで、具体的にどの濃度までということは検討しにくいのですが、いま現在の技術の中で、どのようなことが可能かという観点で検討していただきました。
 まず、1-ブロモブタンです。こちらについては、2つの方法を掲載しております。1つ目の方法としては、固体捕集の方法で、分析方法としては、ガスクロマトグラフ質量分析です。こちらの方法は、いわゆる通常よくやられる溶媒での脱着をするというタイプです。詳細はまたあとの資料を見ていただきますが、今回検討していただいた中では、活性炭管を使って、1分間当たり0.1Lの捕集というようなやり方でやった場合に、定量下限として、6Lをトータルで捕集したときに0.015ppmまで測定することが可能という結果が出ております。
 もう1つ方法を掲げておりますが、こちらも固体捕集、ガスクロマトグラフ質量分析というところは同じなのですが、脱着の仕方が少し異なっておりまして、加熱脱着という手法をとって行っております。こちらは、捕集のときの器具としても、先ほどは活性炭管ということでやったのですが、Tenax管というものを使ってのものですが、こちらでは先ほどよりも、より低濃度まで分析可能ということで、1Lのろ過捕集で0.0014ppmまでの定量下限ということでした。
 次の2-アミノ-4-クロロフェノールですが、こちらはろ過捕集方法で、高速液体クロマトグラフ分析方法です。具体的に今回の検討の中で用いた器具としましては、硫酸含浸ガラス繊維ろ紙というものを用いまして、1分当たり1Lの流量でやっているところです。こういった方法で10Lを捕集した場合には、定量下限が3ppbということでした。こちらについて、具体的に委託報告書の中に、もう少し詳しい資料がありましたので、そちらも次の頁から引用しております。
 2、3頁目が1-ブロモブタンの関係で、2頁目の資料が溶媒での脱着、3頁目の資料は加熱脱着で行った場合ということで、具体的な方法をまとめています。
 2-アミノ-4-クロロフェノールの具体的な測定方法というのが4頁目です。こちらも、まとめ方の形式としては、先ほどの1-ブロモブタンと同じような形で、どういった機械を使って、どういった方法でということの概略をまとめています。
 最終的に施行通達の中に記載するのは、1頁目の情報に相当するものになろうかと思いますが、関係者が実際に測定する参考にしていただけるようにということもありまして、今回の資料では、通達に載せるよりもう少し詳しい情報も検討会の資料としては配らせていただいております。事務局からの説明は以上でございまして、先生方には、この資料2-4、資料2-5の内容について、ご検討をお願いいたします。
○菅野座長 追加する2物質について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いいたします。
○保利委員 資料2-5ですが、1-ブロモブタンの低量下限が0.015ということで、2頁目ですが、「捕集率」と書いてあるところの0.1L/minは10分ですよね。そうでないと1Lにならないので。
○菅野座長 10分の間違いですね。
○保利委員 そして、6Lで0.015で、1Lの場合に0.093でいいのかな。6倍するのですね、わかりました。
○座長 通常10分ですので、0.09にしたほうがいいかもしれません。
○名古屋委員 定量下限は確かにいいのですが、作業環境の測定を行うときにTenaxが使えないのは、定量下限ではなくて、高濃度の場合が使えない事が多いのです。要するに、低い所は測れるのです。そうではなくて、濃度が高すぎる場合に作業環境でTenaxは使えないのです。逆を言うと、高濃度の時、どの濃度まで測れるかというのがないとまずいのです。だから、Tenaxはいくらでも下はできていて、VOCは全部できているから問題はなくて、Tenaxを作業環境で使えないのは、高濃度の情報がほしいのであって、低濃度も必要ですが、より高濃度の情報が欲しいのです。動物実験を見ると、ものすごく高い濃度のppmを計っていますよね。これだけの濃度は要らないのです。下は測れるけれども、上の濃度がどうかということを出さないと、使えるかどうかというのはあるので、ここの物質はすべて高濃度と低濃度の測定可能な範囲を示しておかないとまずいのではないかという気はします。
○小野委員 資料2-4、参考3のときも、少し気になった表現なのですが、保護眼鏡のところです。「ゴグル型の使用が望ましい」というのは、規格品が望ましいということですか。保護眼鏡は規格品の使用が望ましいということが、まず前提でしょうか。というのは、次のところで、「破損または汚染した規格品は使用しないこと」という書きぶりになっていて、規格品でなければ破損してもいいのかというようになってしまうので、まず規格品を使うことがあって、この2つ目の文章につながるという理解でよろしいですか。
○田中委員 はい、JIS規格適合品ということになります。
○小野委員 それをまず使用することですね。それが破損したときには、使用しないことという理解でよろしいですか。
○田中委員 はい。
○小野委員 あと測定法のところです。1-ブロモブタンの資料2-5の2頁です。活性炭の添加回収率が95%となっていますが、1μgの添加量というのは、いちばん右の下のところで見ると、わりと高い濃度のところに対応していますので、低いほうを測る必要があるとすれば、もう少し下で添加回収実験をするとか、そういうことが必要になるのかなという気はいたします。
 2番目のTenaxのところもなのですが、「採気量が大きいと回収率が悪くなる」と左側に書いてありますので、これが2段になっているのかどうかとか、そういうこともありまして、その辺について、高いともっと漏れるという可能性はありますし、先ほど名古屋先生からもお話がありましたが、もう少しこの辺について、高いところ、低いところ、どの辺りなら大丈夫なのかという、より詳細なデータが必要ではないかという気はいたします。
 あとアミノクロロフェノールについても、採気量が10分を超えた捕集では、低濃度で回収率が悪くなるというところで、この辺も、全部通して、もう少し回収率とか、安全にサンプリングできる濃度範囲とか、その辺は全部やらなくてはいけないのかなと思いました。
 あと含浸フィルターで採って漏れるということは、後段に何かを付けないと採れないのかどうか、そういうことが必要なのかどうかということを、もう少しデータが必要なのかもしれないという気がいたしました。以上です。
○菅野座長 これは追加の検討というのは可能なのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 ご検討いただいた中災防では、いまのご指摘はいかがでしょうか。
○山田氏(中災防) 名古屋委員が、Tenaxを使うと高い濃度ということが言われましたが、Tenax法で低いところの濃度に注目して検討したので、高いところがどこまでというのは、まだ具体的に数字は検討しておりません。ただ、高いところは、固体捕集のガスクロマトグラフのGC-MSで分析できるのかなと思っている次第です。
○名古屋委員 それでも低いのではないですか。どこまで測れるのかを知りたいということです。
○山田氏 そうですね。
○名古屋委員 実際に環境濃度がわからなくて、高い濃度でばく露の動物実験をしているわけですよね。そしたら、高い濃度をどこまで測れるかわからなかったら、Tenaxは破過を起こしてしまう可能性があるから、現場の測定を考えたときには高濃度の計測範囲の情報が知りたいということです。
○山田氏 実際に測定する場合に確認する必要があると思いますが。
○松井化学物質評価室長 一応確認ですが、動物実験の場合を人のほうに外挿するときに、不確実係数を掛けて、実際にはかなり低いレベルで指標濃度を考えることになりますが、それでもこれは追加で、少し高いところまで検討したほうがよろしいですか。
○名古屋委員 どこまで測れるかということだけをしてもらえれば。
○保利委員 Tenaxがどこまで測れるか。現場はわからないので、この方法を使うべきなのか、それとも活性炭管を使うかの選択をするには、この辺の境目が必要だということです。
○名古屋委員 1本か2本にするかでも違うしということですよね。Tenaxの場合は高濃度の情報ほしいのです。
○菅野座長 記憶が定かでないのですが、Tenaxはほかから引用しただけで、検討はされていないのではないでしょうか。検討していましたか。
○山田氏 Tenaxの試験は、それを使ってフィルター通気試験で回収率などの試験をやっていまして、低濃度まで測れるというのを主眼に置いていたものですから、低いところで、どの辺から測れるかなというのは算出していますので、場合によったら、ここからデータはある程度高いのはどこまで出るかということなのですが、実際に先生方が言われる作業環境測定の濃度が、かなり高いところであったらオーバーフローしてしまうかもしれないです。
 ただ、規制値、目標値がどの辺に当たるのか、オーバーフローしても、1,000倍、100倍オーバーフローしたら、もうそういう状況では、作業環境としてはよくないので、そういうのを測るまでやるのか、その辺がまだ決まっていなかったものですから、目標値、規制値などが決まっていれば、どの辺の範囲まで測らなければいけないかというのは、自ずからわかったのですが、その辺がなかったもものですから。
○保利委員 これまで試された範囲内で、ここまでなら大丈夫というのが現場であるということですね。濃度は測られているわけでしょうから、その範囲内での上限というのは示せるわけですね。
○山田氏 そうですが、そんなに高くはないかもしれないです。
○名古屋委員 検量線のときは出てきますから、そこは使えなくなってくるということですね。
○山田氏 検量線には、細かいデータが載っていなかったのですが、簡単には、10倍とか20倍というのは、簡単に大丈夫だと思うのですが、計算してみないと。そういうことですので、ここではいくらということは言えないです。
○松井化学物質評価室長 整理させていただいて、後日に資料をお送りして、それでよければということで、もしさらに追加して検討が必要というご判断であれば、後日また検討いただくなり、考えさせていただくということでいかがでしょうか。
○岡部委員 1点だけお願いします。2-アミノ-4-クロロフェノール測定法の下から3行目のところに備考がありまして、「捕集効率が不明、採気時間を長くとれないなどという課題である」ということですが、採気時間は1Lで10Lで、10分ということでクリアできると思うのですが、この点についても、ある程度は大丈夫というところがないと、この備考だと不安かなという気がします。
○名古屋委員 もう1点お願いしたいのは、平均回収率を求めるときに、標準偏差を求めてほしいのです。何回やって、どのぐらいのばらつきがあったかということです。ガイドラインのところは、ばらつきのところの標準によって、それを採用するかどうかをガイドラインは決めているので、それがないとまずいので、必ずこのときは回収率だけではなくて、ばらつきも全部表示してもらえるとありがたいと思います。
○山田氏 元のデータについて、回収率のばらつきは出ているのですが、この表にないということでしょうか。
○名古屋委員 そうです。できたらそれを書いてくださいということです。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○櫻井委員 評価指標のことが気になるのですが、いままでの8物質について先に見てみますと、参考3の21頁です。これはパンフレットにも出ているのですが、参考3の21頁の評価指標の表が出ていまして、がん原性試験の結果から求める指標は、この実験のデータから計算して数字が出ています。それで、許容濃度等は、ACGIHと日本産業医学会の両方にない場合が、8物質のうち5物質はなくて、その代わり類似物質の管理濃度を示しているわけです。この類似物質の管理濃度で適切であろうという判断がされて、ここに上がってきているはずですから、それはそれでいいと思うのですが、この2年間の発がん試験のデータそれ自体の中に、発がん以外の影響に関する情報がたくさんあって、それは全然利用されていないわけです。そのデータそれぞれを見てみないとわかりませんが、おそらく無毒性量が判断できるようなものもかなりあると思うのですが、そうするとそれから不確実係数等を使って、これは発がんは別としてですが、発がん以外のものの閾値の推定値を出すことは可能なわけです。
 そういうのはもったいない、その情報を使わないというのがもったいない。それによって、構造類似物質も推定なので、両方を参考として上げるということは考えられる方向ではないかなと思います。
 この2物質について、この中にそういう情報があるかどうかを見てみますと、例えば資料2-2の7頁です。1-ブロモブタンの場合、「非腫瘍性病変としては、鼻腔の呼吸上皮及び嗅上皮にエオジン好性変化の発生増加が認められた」とあります。これは唯一ここに書いてあるのですが、どの濃度でそれが見られたかということが、ここには書いていないのですが、基のデータを見ればわかって、その下のレベルがNOAELということになりますね。そういう情報がたくさん含まれているはずなのです。
 もう1つは、2-アミノ-4-クロロフェノールの場合ですが、17頁のいちばん下から5行目に、「腫瘍以外には、血液系に対する影響として雌で貧血傾向が3,200ppm以上の群で認められ、脾臓のヘモジデリン云々は800ppm群で増加した」とありまして、この書き方は明らかに、その下の1,280ppmでは所見がなかったということを言っているわけです。そうすると、1,280ppmが無毒性量であると。それをmg/kgに直すことができまして、経口から吸入への外挿をしたり、いろいろと不確実性係数を使って一応算出可能です。
 そういうことを、今後の検討課題としてお考えいただきたいと思います。指標がどうしても必要ですので、指標をどうするかというときに、基のこのデータを使うという可能性について、検討していただきたいと。
○松井化学物質評価室長 おっしゃるとおりで、指標の検討というのは必要なわけで、類似の物質の指標を使うのか、あるいはACGIHや産衛学会でない別の機関の指標を使うのか、あとご説明いただいたように、動物実験の結果から外挿して指標を出すのか、そういう検討をいただく必要があると思っているのですが、そうなるとリスク評価検討会の有害性の小検討会でやっていただくのが、このリスク評価の仕組みですとベターかなと思っております。そうなると、リスク評価の対象物質にして、リスク評価の仕組みの中でやっていくのがいいのかなと。それで、以前にこの検討会で8物質の検討をいただいたときも、こういう物質はリスク評価の対象とすべきであるというご指摘をいただいていると記録も残っておりまして、そういうこともありますので、こういうものは順次リスク評価のほうに移行することが必要かなと考えております。
 ただ、どの時点で技術指針を出して、リスク評価の結果、3、4年あるいはもう少し時間がかかって、制度の検討までいくわけですが、そこの期間がかかりますので、どの時点でも、技術指針としては出してしまって、あとリスク評価でフォローするという仕組みがあるのかなと思っておりまして、その指標の検討のほうは、リスク評価に入った段階でやっていただくほうが妥当かなという判断で、今回の案は出しております。
○菅野座長 その順序でよろしいでしょうか。
○櫻井委員 わかりました。
○大淵有害性調査機関査察官 資料の説明で不十分な点があったと思いまして、資料2-5ですが、こちらのタイトルは「作業環境測定の方法」ということで、評価指標についてはタイトルには入れませんでした。というのが、今回こちらの2物質、それぞれACGIH、産衛学会の許容濃度が設定されていないということで、現段階では評価指標を設定することが難しいと考えまして、今回の指針の策定に当たっては、こちらの2物質については、測定をしてくださいというところまでを書きまして、評価については、今後リスク評価の中で評価指標もご検討いただいて、そして設定していくということで、今回の指針の中では、評価をすべきというところまでは書き込まないという方向で考えているということで、この資料は作成をしております。
○菅野座長 測定方法につきましては、先ほどもご指摘にありましたように、検討内容を取りまとめていただきまして、配付するということでよろしいですか。このままですと、上限、下限がわからないというご指摘でしたので。ほかにはいかがでしょうか。今日お示しいただいた資料の体裁等は、まだよろしいのですよね。記号が付いているとか、例えば塩ビ安定剤というように略称が使われているとか、いろいろありますが。記号が付いていると申し上げたのは資料2-4で、「1-ブロモブタンは沸点が101.3℃である」というところに記号が付いているのですが、これは要らない記号ですよね。要るのですか。
○田中委員 要らないです。

○大前委員 資料2-5の2-アミノ-4-クロロフェノールですが、定量下限が3ppbとなっておりまして、これはろ過捕集法で粉体ですから、最後の4頁の実際の標準測定分析方法を見せますと、確かに定量下限気中濃度で3ppbで、volume/volumeになっているのですが、これは表現としてはおかしくないでしょうか。これですとガスの表現ですよね。
○菅野座長 私から申し上げていいことかわかりませんが、蒸気圧が10ppm分ぐらいありますので、環境中でppm以下のレベルですと、大体蒸気になってしまうだろうということで、ppb表記にしたと思います。ただ、mg/m3のほうがよろしければ、もちろん書き換えることはできますが。
○大前委員 ガスの状態でも、硫酸含浸ガラス繊維ろ紙であれば、捕集はできるということですか。
○菅野座長 はい。ただ、常温で固体の物質ですので、表記を統一するという意味では、mg/m3にしたほうがよろしいですかね。
○大淵有害性調査機関査察官 変換してということですね。
○菅野座長 はい。
○保利委員 多くは粒子状ですか、飛んでいるものは。
○菅野座長 ええ、最初に飛ぶのは粒子状だと思うのですが、濃度が高ければ別ですが、低い場合は蒸発してしまうということになったと。
○田中委員 先ほどの資料2-4の呼吸用保護具のところは両方書いておきましたが、粒子状でいいのか、粒子状プラス気体状で存在するのかというところで、ちょっと悩みました。今日コメントいただければと思いますが、多くは防じんマスクで十分です。ただ、資料2-3の「物理学的性質」に、「特徴的な臭気がある」という記載があったものですから、現場によっては防じん機能つきの防毒マスクが必要ではないかということで、両方書いておきました。
○保利委員 資料2-3で、0.001にしているということは、大体飽和で2ppmぐらいですかね。だから、あまり高濃度になるようなことはないと思うのですが。濃度が低いと問題だけれども、なかったらそれほど問題ではない。
○名古屋委員 粉体があれば、蒸発すればかなりの濃度になるかもしれませんね。
○岡部委員 確認なのですが、試験は濃度が1,280とか、3,200、8,000ppmですが、これは粉体として、微粉末として投与したということですか。経路として、粉体でいったのかガスでいったのかで結果が。
○大淵有害性調査機関査察官 2-アミノ-4-クロロフェノールは餌に混ぜての試験で、1-ブロモブタンは吸入での試験になります。
○櫻井委員 随分高濃度ですよね。
○岡部委員 吸入での試験はされていないということですね。
○菅野座長 ないです。
○櫻井委員 10-3とか10-4を計算してみて、それがどの程度かで、保護具で蒸気まで考える必要があるかどうかは判断できるかもしれませんね。
○田中委員 あと使用温度が高ければ、防じん機能つき防毒マスクを推奨するということなのですが。
○櫻井委員 そのようにここに書いてあるのはわかります。使用温度が高ければ必要だと思います。
○名古屋委員 それは測定にも言えることであって、やはりろ紙で採った時に、抜けてくる可能性が高いので、もう1つバックアップのガスをとる物が必要です。例えば固体捕集で測ってみておかないと、それができていると、マスクと連動して、マスクをどちらを選びましょうかという事にも役立つかなという感じがします。
○櫻井委員 実際、臭気の閾値というのはどのぐらいなのだろうかというのは、少々興味がありますね。実際にその程度には出ているということですからね。
○菅野座長 測定法については、櫻井先生、このデータだけでは計算できないのですよね。
○櫻井委員 それで実際にどの程度食べたかというので、mg/kgが出ているのです。だから、基のデータがないとわからないです。それが出たら、あとは割算をしていって、通常のやり方で出せるのです。
○菅野座長 ただ、一般的には発がん性物質ですと、ppmより高い濃度で大丈夫ということは滅多にないかと思うのですが。
○櫻井委員 そうですね。
○菅野座長 測定法については、再度まとめ直してみるということでお願いできますでしょうか。
 続きまして、(3)「金属インジウムのリスク評価について」です。
○松井化学物質評価室長 資料3をご覧ください。昨年10月から11月にかけて、この検討会を4回ほど開催しまして、インジウム及びその化合物とエチルベンゼンとコバルト及びその化合物の健康障害防止措置について検討いただきまして、報告を取りまとめていただいております。その中で、宿題になっておりました金属インジウムの健康障害防止措置に関して、平成24年度に追加の調査を行って、その結果を基に、金属インジウムについては必要な措置を講じてはどうかという提案です。
 資料3のにありますように、インジウム及びその化合物については、○1「インジウム化合物」、これはITOなど、重篤な健康障害がすでに見られているものですが、それについては、発散抑制措置や呼吸用保護具などの制度的な規制が必要である。○2にありますように、「金属インジウムについては、有害性に関する情報が不足しているため、今後の調査研究の進展を待ち、必要な措置を講じる」。「また」とありますが、「金属インジウムのうち、金属インジウムの溶融を行う作業については、酸化インジウムの粉じんが発散する恐れがあることから」、酸化インジウム自体がインジウム化合物でありますので、インジウム化合物と同様の措置を取ることが必要だという結論をいただいたところです。
 2です。こういうことですので、議論の中にもありましたように、金属インジウムについては有害性の情報がないからといって、措置を講じないと判断するのは問題があるということがありまして、金属インジウムについて、有害性についての情報収集なりを、行政のほうでは継続的にやっていかないといけないわけですが、これをどのようにやっていくかという課題があります。
 それから、2の「また書き」にありますように、金属インジウムの溶融を行う作業については、措置を検討しているわけですが、ほかの特化則の対象になっている特化物については、例えば発がん性の恐れのある物質については、含有量が1%を超えれば措置や規制の対象としているわけですが、金属インジウムの場合、酸化インジウムが溶融の作業のときに飛ぶから対象にするということで、検討しているところなのですが、ほかのものと異なりますので、これはインジウムの100%近いインゴットなどの溶融を行う作業は対象とすべきという結論ですが、では低濃度インジウムを含む合金はどうするかというところが、ほかの物質と異なりますので、制度を仕組むに当たっての根拠となる情報が少し不足しているということが検討の過程で顕在化してきました。
 というような両方の面から、どのように対応するかということを事務局で検討していたところです。1つの案として、3番目に書いておりますように、金属インジウムの溶融や研磨を行う事業場で、労働者のばく露濃度を調査して、○2にあるように、さらに血清中のインジウム濃度やKL-6の濃度の測定結果を基に、有害性も含めてリスク評価ができるのではないかということを、案として考えつきました。ただし、○2については、予算も含めて関係機関にご協力いただかないといけないということで、大前先生や九州大学にご相談をしたところ、それは協力して、測定していただけるということですので、そういったこともございまして、来年度にこの調査を追加で行いまして、金属インジウム全体のリスク評価を行って、溶融の作業、研磨の作業を含めて、必要な措置を講じることにしてはどうかと考えております。
 結果的に金属インジウムの溶融の作業については措置を行う方向で検討はするのですが、昨年この検討会で検討いただいたときに説明したスケジュールとは少し異なって、1年から1年半ぐらい遅れるということになりますが、金属インジウム全体の措置を検討できるということで、このような対応にしてはどうかということで、ご提案させていただきます。
 4番にありますように、インジウム化合物自体、ITOなどにつきましては、措置を早めに行ったほうが当然いいかと考えておりますので、今年度中に制度の公布・施行を行うという予定です。当初の予定より少しだけ遅れていますが、夏ごろには公布するということで準備を進めているところです。
 それから、4の○2にありますように、インジウムのインゴットの鋳造や、ITOを作る過程で、金属インジウムでボンディングをするところ、これらについては気中濃度が高いということもあり、健康障害が生じる恐れが高いので、インジウム化合物の制度の公布または施行時に、通達で健康障害防止措置について指導を行っていきたいと。これで、そのあとの金属インジウムのリスク評価を受けて、措置を講じるということにしてはどうかという提案でございます。
○菅野座長 ただいまのご提案につきまして、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○大前委員 いままでインジウムの工場、主としてITOを作っている工場もしくはリサイクルの工場で調査をしてきましたが、ボンディングのところの作業者は、確かに血清中のインジウムが出てきますが、それはボンディングの作業そのものによるのか、その工場全体でもうITO等を作っていますので、そちらからの汚染によるのかということがわからない状態でずっときています。
 したがって、ボンディングでも、ITO、インジウムと関係ない金属のボンディングをインジウムを使ってやっているというところがあると聞いておりますので、もし今回平成24年度に何らかの調査をするとしたら、そういうところをお願いしたいと思います。少なくとも、リサイクルもしくはITOを作っているところでやっても、いままでと同じ結果で、よくわからないという結果が出ると思いますので、他の金属のインジウムを使ったボンディング作業場というところで、是非お願いしたいと思います。
○菅野座長 他の金属のボンディングを調べて出てきた場合は、工場全体が汚染されているということになりますか。
○大前委員 そうですね。それでもし出るようでしたら、間違いなくボンディング用の金属インジウムから空中に飛散して体内に入っている。もしKL-6などが上がっているようでしたら、それは肺に対して影響を及ぼしているということが明確になると思います。
 そこでもし何も出ないようでしたら、純粋なボンディングではたぶん大丈夫だろうということになろうかと思いますが、ただし先ほどありましたように、ITOを作っている会社、もしくはITOを作っている会社のボンディングはちょっと別に考えて、完全に汚染がないというところはまずないと思いますので、そこは入れたほうがいいだろうと思いますけれども。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○名古屋委員 インジウムの合金濃度比というのは、インジウムとほかの合金は何が多いのですか。インジウムそのもの自体を溶解するときはいいのですが、例えばインジウムの合金を作るときにほかの合金がどのぐらいのパーセントで造られるかは大切です。合金の場合、溶解したときの各金属の蒸気圧が違いますよね。蒸気圧が高いものと併用したときに、インジウム自体の蒸気圧が低くても、インジウムより高い蒸気圧の合金がある場合、その合金によりインジウム濃度を高くする効果があります。そうすると、パーセントが随分違ってくるので、その辺が情報としてあるといいかなと。特に鉛などの場合は、5%を規制しなくて、10%は規制されているのだけれども、5%が出る合金というのはたくさんあるのです。それは法律の網からは逃れていて、本来的に5%のほうが遥かに鉛が発生していて、それは測定の規制が掛っていないという現状があるので、それは合金をパーセントで規定しているからそうした現状が生じているので、そうではなくて、本来的に、どの温度で溶解するかということを見ないで、パーセントだけでいっている部分が、そういう法律の網から逃れている部分があるので、インジウムのときはせっかくですから、そういう逃れがないような形にしたいと思っていますので、是非よろしくお願いします。
○菅野座長 この件につきましては、これでよろしいでしょうか。次に、(4)「リスク評価の実施予定について」のご説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料4を説明させていただきます。「リスク評価の進捗状況」をご覧ください。いまもご議論いただきましたように、平成22年度の部分につきましては、インジウム、エチルベンゼン、コバルトということで、昨年末にこちらの検討会でご報告をいただいたところです。それが平成22年度の上から2つ目の四角の「詳細評価済(4物質)」に書いてあるところが、これに当たるわけです。今年度、平成23年度のばく露実態調査を中心としますリスク評価の実施状況について示したものが、この図となっております。
 平成23年度の上のほうの四角、詳細リスク評価に移行している物質については、ここに示す○1から○5までの5物質となっておりまして、いずれも初期リスク評価を踏まえた目的を絞ってのばく露実態調査を行っているところです。こちらにつきましては、年度を明けまして、4月から6月ぐらいまでの間にリスク評価書を取りまとめる予定です。
 その下の「初期リスク評価着手(5物質)」ということですが、これはスタートの時期が○1から○3と、○4、○5と違いますが、これについて、初期リスク評価書を同様に取りまとめる予定としております。
 いくつか積残しの物質がありまして、いちばん上の右上にあるフェニルヒドラジン、右下の下から3つ目のナフタレンといった物質については、来年度の予定です。これは主要な原因としましては、測定分析法の検討を今年度に詰めていたということがございます。
 平成23年度の43物質から、これも検討予定となっている22物質の評価予定ということで、これも平成24年度の下から4つ目の箱のところに書いてあるとおりで、こちらも評価予定となっております。
 進捗状況に差が出てきておりますが、現在のところで、進捗の主なスピードの要因になっているのは、測定分析法の検討の部分でして、こちらはいまご議論いただきましたように、ばく露測定の際に、後ろに抜けてしまったりということのないように、例えばOSHAメソッドなどあるものについても、中災防で改めて測定分析法の開発を行い、ばく露調査に掛けるというところもございまして、毎年10物質から15物質というところで、リスク評価を進める予定となっています。来年度以降の測定分析法については、もうちょっと増やせるのではないかと思います。
 ナノマテリアルのリスク評価については、リスク評価検討会で昨年の10月、11月に、方針や対象物質の検討をいただいているところですが、今年度については、酸化チタンのナノマテリアルの測定分析法の検討を行っております。その検討の結果を踏まえ、まだ検討が必要な部分も残されてはいますが、ばく露実態調査に着手することとしておりますし、そのいちばん下にあるカーボンブラック、カーボンナノチューブについても、リスク評価に測定分析法の検討の辺りから着手する予定となっております。以上です。
○菅野座長 進捗状況についてご質問等がございましたら、お願いいたします。
○唐沢委員 確認ですが、資料4の「詳細リスク評価移行物質」の5物質で、酸化チタン以下4-ビニル-1-シクロヘキセンで、「※下線は2次評価値超えが見られたもの」と書いてあるのですが、下線が引いていないのですが、落ちているのですか。
○寺島化学物質情報管理官 まだ評価はしておりませんので、それは削除ということでお願いいたします。すみません。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○小野委員 ナノマテリアルのほうですが、酸化チタンは来年にばく露実態調査に着手するということで、その下に、カーボンブラック、ナノチューブが書いてあるのですが、これは2物質同時にまた評価が始まると、それとも1年ごとに分けて進んでいくという理解でよろしいのですか。
○松井化学物質評価室長 これは測定分析法の検討や委託調査で有害性評価書の作成などを、2物質同時に開始するということです。
○小野委員 わかりました。
○大前委員 MDIは測定は終わっているのですか。
○寺島化学物質情報管理官 終わっています。
○大前委員 もっと早く言わなければいけなかったのでしょうが、MDIのメーカーとユーザーでは全然違うのですが、両方入っていますか。
○寺島化学物質情報管理官 いま手元にないのですが、またリスク評価、ばく露評価の過程で、その辺りもご議論いただければと思っております。
○松井化学物質評価室長 先生がおっしゃるのは、どちらのほうがばく露が。
○大前委員 圧倒的にユーザーのほうが高いです。メーカーのほうはほとんど出てきません。
○松井化学物質評価室長 実態として、使うほうが高いということですか。
○大前委員 高いです。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。先ほど、1番目の「指針について」というところを、些か急ぎましたが、それを含めてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。ご意見がないようでしたら、これにて第5回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会を閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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