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2012年2月28日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第19回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成24年2月28日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省19階専用第23会議室


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長)
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
大滝純司 (北海道大学大学院医学研究科・医学部医学教育推進センター 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
真田 弘美 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
竹股喜代子 (前 医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長)
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)
山本 隆司 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)

参考人

冨岡 小百合 (大阪府立中河内救命救急センター)
丹波 光子 (杏林大学医学部付属病院)
東 めぐみ (駿河台日本大学病院)

○議題

1)専門看護師及び認定看護師の活動状況について
2)特定行為について
3)その他

○議事

○島田看護サービス推進官
 それでは、時間となりましたので、ただいまから「第19回 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中、ワーキンググループに御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、本日は全員御出席という御連絡をいただいておりますが、まだ若干遅れてお見えの委員もいらっしゃるようでございますが、順次到着になられるかと思います。
また、本日は専門看護師・認定看護師の方々の活動状況についてお伺いすることとしておりまして、3名の方にお越しいただいておりますので、紹介させていただきます。
まず、駿河台日本大学病院 東めぐみさまでございます。
杏林大学医学部附属病院 丹波光子様でございます。
大阪府立中河内救命救急センター 冨岡小百合様でございます。続きまして、配布資料の確認をいたします。議事次第の下に座席表をお配りしております。
資料1:東めぐみ参考人提出資料
資料2:丹波光子参考人提出資料
資料3:冨岡小百合参考人提出資料
資料4-1:特定行為について
資料4-2:医行為の分類について(素案)
資料4-3:医行為分類の検討(たたき台)
資  料5:平成23年度特定看護師(仮称)業務試行事業 実施状況報告(11月)(追加報告)インシデント等の報告状況等について
参考資料1:専門看護師及び認定看護師に関する資料
参考資料2:平成23年度 特定看護師(仮称)業務試行事業実施施設指定一覧
2月27日付ということで、本年度、これで指定が終了しておりまして、最終的な一覧というものを本日参考としてお付けしております。
以上でございますが、足りないものなどございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局のほうにお申しつけください。
それでは、カメラの方々はここまでとしていただきたいと思います。
(報道関係者退室)
 有賀座長、議事の進行をお願いいたします。
○有賀座長
 先生方、おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いします。
 いつも上の電気が消えても、また、ついてというようなことがありましたけれども、本日は時間どおりきっちり行きたいと思いますので、どうぞよろしく御協力ください。
本日の議題については、専門看護師さんと認定看護師さんの活動状況を勉強させていただいて、その後、特定行為についてと並んでございます。
最初に議題1に関連しての資料も用意されていると思いますので、その件を事務局から最初に御発言を賜って、それで、今、紹介をいただいた3人の方たちに連続して御発表いただくと、こんなような形で進めたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○島田看護サービス推進官
 それでは、簡単に資料を説明させていただきます。参考資料1を、後ろのほうに付けてございますけれども、前回、ワーキンググループで専門看護師・認定看護師の活動状況をよく把握した上で議論進めるべきではないかという御提案がございました。それをもちまして、本日3名の方、お越しいただいてお話しいただくことになっておりますが、更にその際、平成22年度の「看護業務実態調査」の中でも、専門看護師・認定看護師の方々からの回答があったということで、それが参考になるのではないかという御意見をいただきましたので、少しデータを可視化いたしまして資料としております。
 1枚目が、「看護師が現在実施」という回答者別にグラフにしておるものでございまして、一般看護師・認定看護師・専門看護師の回答率を高いものから順にお示しをしているものであります。
 おめくりいただきまして次のページが、今後、実施可能ということで、「一般看護師が今後実施可能」というのが2ページ、「特定看護師(仮称)が今後実施可能」と回答しているのが3ページになっておりまして、この横軸にとっております項目については、今、看護師が実施しているという実施率の高いものを左にとり、その項目は変更せずに「今後実施可能」という回答率の推移を示しているものであります。
 全体的に見ていただきますと、専門看護師・認定看護師の方々の回答率が、「一般看護師が今後実施可能」、「特定看護師が今後実施可能」というものも両方高めの傾向があるところでございますけれども、特に今の実施率が高い、それぞれ右下のグラフでございますけれども、そちらのほうは、今の実施率が高い項目の回答率でありますが、今後につきましては、「一般看護師が今後実施可能」という回答率は低いのですけれども、「特定看護師が今後実施可能」と回答している率は高くなっています。こういった傾向が把握できるというのが平成22年度に実施していただいた調査の結果から見られるというところで、参考としてお示しをしております。
 簡単ですが、以上でございます。
○有賀座長
 どうもありがとうございました。参考資料1の1枚目が、スライドの1、2、3、4、4つ並んでいますけれども、青い一般看護師さんたちの回答の高い順次にずっと並んでいます。その並びのまま、次のページでは、一般看護師さんが今後行けるかもしれないということでいかがかというのと、特定看護師さんがもしできれば、今後どうだろうかというところで、それぞれ一般看護師さん・認定看護師さん・専門看護師さんに答えていただいているという話だと思います。
 くだんの認定看護師さん・専門看護師さんとして3人の方に来ていただいていますので、御発表いただきます。順番は東めぐみ様からということでよろしかったですね。では、よろしくお願いします。
○東参考人
 駿河台日本大学病院の慢性疾患看護専門看護師の東と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今日、私は専門看護師の活動として「インスリン療法における調整」についてお話しをしたいと考えています。
(PP)
 まず、私の経歴なのですけれども、内科系での看護師経験が約8年ほどございます。その後、大学院の研究科のほうに進みました。当時はCNS(専門看護師)コースがほとんどない状況でございました。修了を2002年にいたしましてから、外来のほうで糖尿病患者さんのケアを行いつつ、看護管理者としての実践も行っております。
そして、CNSを目指すべく科目履修を大学院で2年間行っております。成人看護学特講?・看護管理特講?で要件を満たすための科目でございました。
そして、それから2006年にサブスペシャリティーが糖尿病看護として、慢性疾患看護専門看護師の認定を受けて、今年の秋に5年後の更新を受けております。
これが私の専門看護師としての経歴でございます。
(PP)
今日は「インスリン療法における調整」についてお話しをしたいと考えています。
これが私の頭の中のアルゴリズムなのですけれども、一番左上の血糖コントロール状態が、患者さんたちが不達成かどうかを看護師の視点で判断をいたします。そのときには糖尿病学会における血糖コントロール指標というのがございます。それによってHbA1cの良否を判断します。それから、血糖値(空腹時・食後2時間値)、臨床の先生たちとも話をしているとそうなのですが、その人にとっての目標値がありまして、必ずしも血糖コントロール指標のみを指標としているわけではないというのが臨床だと思います。そして身体的な判断としてインスリン分泌能、インスリン抵抗性、併用している糖尿病薬の種類・量あたりを検討していきます。
そして、左の次の箱ですけれども、コントロール状態が不達成と判断した場合には、インスリン療法が適切かどうか、その人にとって適切かどうかという判断を行います。そこがボックスの2になるのですけれども、今のインスリン療法の継続期間はどのくらいか。そして、後はインスリン製剤です。作用動態、持続時間、作用発現時間等を判断しながら、看護師としては、患者さんたちの生活というものを視点に入れますので、インスリン療法の実行度、食事療法、運動療法の実行度。インスリン注射のタイミングは、その患者さんの生活に合っているのか、そして生活環境の変化はないのかどうかというような判断をいたします。
そして、インスリンの量・種類、打つタイミングというものにもしかしたら修正が必要かもしれないというような判断の間には、横長に4つ続いている箱なのですけれども、身体状況のアセスメント、合併症があるか、ないか、そしてその程度なのですけれども、他の治療との兼ね合い、療法の実行度と生活状況を再度アセスメントして、インスリンの量・種類、タイミングを判断していき、最終的に自分なりの、患者さんにとって量・種類が適切かどうかという判断を行って医師に相談するというようなプロセスを経ております。
(PP)
私の頭の中を、今、御説明しましたけれども、事例で御紹介したいと思うのですけれども、さちこさんという20歳の女性です。
14歳で2型糖尿病を発症して、高校までは血糖値が安定していたのですが、大学に通うになってから血糖値が上昇し始めてコントロール入院を繰り返していた患者さんです。HbA1cは12.2%で入院してきた段階でコンサルテーションを私のほうに依頼がありました。
家族歴を見ますと、父親が糖尿病で透析をしていて、母親が仕事をして一家を支えているということで、バイトをしないと学校に行けないというような状況でした。
そして、インスリンのほうは3年前に導入されていて、ヒューマログ50mixを3回打ち、アマリールとメルビンを打っていた、こういった患者さんでした。
実際に、私がこの患者さんにかかわったときに、生活が変わったというところにまず注目をしました。高校までは安定していたのだけれども、大学に通うようになって血糖値が上昇し始めて入院を繰り返しているということから、インスリン療法が生活に合ってないのではないかと考えました。
(PP)
さちこさんの生活パターンをお聞きましたところ、1週間のうちに4パターンの生活があることがわかりました。1週間のうち4パターンあるということは、ほとんど規則正しい生活が望めない。しかもバイトのほうは学費のために行いたいという本人の強い希望がありました。
(PP)
 お話を聞きますと、赤い矢印のところなのですが、朝と昼のインスリンがほとんど打っていなかったというような状況が明らかになってきました。
(PP)
これを裏づける1つとしまして、さちこさんのお話ですと、朝は学校に行くのに忙しくインスリンがほとんど打てないし、薬も飲めない。朝食は母親が仕事をしているために学校で食べている。一回打たないともういいやと思って、朝のインスリンを打たないと昼も打たなくなる。それで悩んでしまうというような状況で、非常にパワーレスネスな状況で入院してきたというようなことがありました。
(PP)
 入院してインスリン療法をきちんと始めると、やはり入院前は血糖値がこの推移だったのですけれども、入院して1週間、2週間たちますと、血糖値のほうが100台から150台で安定してきているのを見ると、インスリンが打ててなかったのではないかというのを裏づける結果だったと思います。
(PP)
 私としてはパワーレスネス状態からインスリンをきちんと打てれば生活にも自信がついてくる。インスリン療法にも自信がついてくると判断をして、まずは朝と昼のインスリンを打てないといったところを打たないようにして、2回打ちでインスリン療法を継続できないだろうかというようなことを自分の中では判断いたしました。それが生活に治療を合わせる。そして、このリプレイスメントというのは、パワーレスネスな患者さんに対しては、1つの療法に自信がつくことで、ほかの、例えば運動療法、食事療法などにも自信がついていくというような考え方でございます。それから、病気に対して孤独にしないというのもとても糖尿病の患者さんに対しては重要なかかわりだと思います。そのために、医療者がさちこさんのために一生懸命考えるという姿勢を医師とともに持っているということが重要だと判断いたしました。
(PP)
 医師とのカンファレンスにおいて2回打ちを提案しました。そのときに病棟主治医は若い医師だったのですけれども、今の状況で血糖値が安定してきているので、3回打ちでなければだめだというような判断をしたのですけれども、カンファレンスで上級医を交えて話をしたところ、BOTという治療の考え方なのですが、アマリールとメルビンを飲んでいたので、そこに時効型をかぶせていこうという判断で、まず1回打ちに修正をしていただきました。これをしたのですけれども、時効型1回ですと、血糖値のコントロールが多少崩れてきたという経緯がありまして、では2回打ちにしようということで、混合製剤50mixの2回打ちに修正をしていただいて、入院期間中過ごしていただきました。
最終的にはこの2回打ちで対応していただいたのですけれども、赤いところが打てなかった分が、この青のところになりましたので、非常にすっきりして、昼は打たなくてよくなったので、患者さんとしては気持ちの負担がかなり軽減したと考えられます。
(PP)
退院後2か月後なのですが、インスリンがきちんと打てたことと、私たちのかかわりというものが患者さんの自信につながっていったということで、HbA1cのほうは7.0まで改善をしています。これが大事なのはインスリン療法として、療法を自分のこととして引き受ける態度をさちこさんに援助した。例えば体がだるかったのが、HbA1cが下がるとやはりだるいのがなくなるというような経験と、私たち医療者が言っていることが一致するというようなこともとても重要なかかわりだったと判断しております。
(PP)
 こういったインスリン療法の調整というのは、ジェネラリストのナースたちがやっているわけではないのですけれども、どういうふうに修得したかということなのですが、大学院教育においては、講義・演習等を通して自分で考える力をつけてきたように思います。 実習・研究のフィールドワークにおきましては、私の場合は、当時、熟練看護師と言われた看護師3名の面接場面を130回以上観察をいたしました。それを全部記述して研究論文として仕上げたわけなのですけれども、そういった研究でのフィールドを活用しました。
もう一つ、大事なのは、指導教員のフィードバックが大学院修了後も研究会を通じて現在までもあるということもとても重要だったと思います。
実践においては、医師との連携なのですけれども、医師へ相談をしてフィードバックを受ける、その判断の可否を医師から教わるということもとても重要でしたし、診療場面での医師を観察することも非常に参考になっております。
カンファレンスにおいても、私どもの考えをフィードバックしていただけるいいチャンスですし、医学論文も看護師向けに読みやすい雑誌もありますので、そういったものの講読も大事だったと考えております。
(PP)
 インスリン療法の提案までの流れをまとめてみますと、患者さんの生活とインスリン自己注射の実行度を確認し、その患者さんにとって実行可能かどうかというあたりをまず判断しています。
 先ほど申し上げました医師とのフィードバックを受けたりするのを日々の実践の中で研さんを積みながら、現在のその患者さんにとっての血糖値とインスリン療法の関係、あるいは生活の関係を自分の中で査定をしてから、医師の判断を確認する。フィードバックを受けるというプロセスでインスリン調整の提案を医師に行っております。
(PP)
 専門看護師でない看護師との違いなのですが、私が主に自分の判断能力において挙げてまいりました。
 まずは、自分自身の責任と能力を的確に判断することができるというのが重要で、日々の臨床の中で、自分が踏み込んでいい領域とそうでないところを的確に判断することが専門看護師はできると考えております。
 患者さんとのかかわりの中で、今、患者さんに起こっている現象を瞬時にとらえ、行為を行いながら、状況を判断して問題を認識していく、そういった状況との対話ができるということ。
過去の体験や既存の知識を活用し、具体的な経験、暗黙知を自分の中の経験値に変えていくような「パターン認知」、これなどはアメリカでも上級看護師の1つの要件と言われていると思いますけれども、こういったパターン認知ができるということ。
もう一つ、大事なのは、物事をありのままに、これは現象学でいうオーケーというようなものだと思うのですけれども、5番目にも関係するのですが、自分が持っている価値観や信念を押しつけることがなく患者さんたちが考えていることをありのままに受け入れながら、患者さんたちが一体何を大事にしているのかというものと、医療者が大事にしているものを統合していくというか、調整するというか、そういった能力を専門看護師は有していると思います。
私も今日は微細ながら、自分の頭の中をアルゴリズムにしたのですけれども、それを言語化して可視化する能力があるということ。そういう中から看護の新たな価値や意味を見つける。それを学習する方法を熟知していること。それを自分の誇りとしている。それを他者にも伝えることができるというところが専門看護師であるかと思っております。
(PP)
 最後に現在の活動の困難点なのですが、インスリン療法に関してなのですけれども、糖尿病専門医との個別的な対応での了解であるということです。私の場合も、当院は糖尿病の専門医が少ないのですけれども、糖尿病の専門医とのみでの了解でインスリンの調整を行っております。
そして、他の医師との関係もそうなのですけれども、医師と看護師の信念というか、教育の違いがありまして、やはり先生たちは生命を守るというところに主眼を置いていると思います。看護師は患者さんの価値観を尊重しながらQOLを高めるというところですので、療養行動の遂行におけるセルフケアの視点がどうしても医師には伝わりにくくて、そこが苦しいところだと実践の中では感じております。
私たちとしては、患者さんの症状を医学的な視点から系統立てて分析していく手だてを持っていないというのが実感でございます。臨床の中で医師からフィードバックを受けることでかなり修得している部分もあるのですけれども、アウトカム、例えばインスリンを1~2単位、この患者さんに増やしたときに、そのアウトカムがどうなるのかといったような推測する経験値、基盤となる知識が弱いというのが私の実感でございます。
私が対応している患者さんは、血糖コントロールが安定していて、医師から了解を得た患者という限定した範囲で行っているわけですが、対応困難な例としては、複数の疾患を有している患者さんが、今、非常に多く、そういう患者さんはほかの治療との兼ね合いがあるので困難を来す。
それから、合併症の進行している患者さん、急性症状を呈している場合、血糖値の変動の大きい場合の患者さんは、現在の私の力では非常に困難であるという実感を持っております。
以上で、私の発表は終わります。御清聴ありがとうございました。
○有賀座長
 どうもありがとうございました。いろいろ質疑をしたいと思うところは少なくないと思いますけれども、御発表の先生方もお三方おられますので、全員の御発表を聞いた後にまとめて質疑をしたいと思います。多分重なっていることもあるかもしれません。
次に、杏林大学の丹波光子看護師さん、よろしくお願いいたします。
○丹波参考人
 よろしくお願いします。私は、皮膚・排泄ケア認定看護師で、杏林大学病院で仕事をしております。私の活動と特定看護師(仮称)というものを昨年度修得しましたので、そのことについて触れていきたいと思います。
(PP)
 皮膚・排泄ケア認定看護師は、ストーマの造設や褥瘡、創傷及び失禁に伴って生じる問題に対して、専門的な技術を用いて質の高い看護を提供する看護師です。私は病棟や外来を横断的に活動して、各種の専門外来を運用しています。
 役割としては、実践・指導・相談という役割がありまして、その中でやはり実践というものが8割を占めているのではないかと考えております。
(PP)
指導・相談の実際です。
患者・家族・医療従事者に対して、皮膚のトラブルハイリスク患者・皮膚トラブル・褥瘡の発生患者に対して、発生要因をアセスメントして、看護師が不足しているケア要因が何なのかということを説明・指導を行っています。そのほか、院内の動向を情報収集して、直接指導やリンクナースに指導・勉強会の企画・運営を行っています。褥瘡はチーム医療ですので看護師だけではよくなりません。医師だけでもよくなりませんので、NSTとの連携、そのほか理学療法士、栄養士、薬剤師との連携、そのほか、必要な物品が足りない場合は病院との調整を行っています。
(PP)
 これは当院の褥瘡発生状況になります。
 これをなぜ出したかというと、この褥瘡発生率と褥瘡の深達度に関しては、病院との推移もありますが、全国平均でどれぐらいの当院のレベルなのかということを出します。褥瘡発生要因と褥瘡発生部位から、どの部位に褥瘡が発生して、うちではどの部分でケア要因が足りないのかということを出し、次年度の教育内容を考える上での参考にし、勉強会の企画・運営を行っています。また、これをもとに病院に物品が足りない、こういうもので欲しいということを病院で次年度の予算につなげるようにしています。
(PP)
 次に資格別教育内容と実践内容についてお話しします。これは創傷ケアに特化してお話ししたいと思います。
 看護師が行う創傷ケアの実践内容と認定看護師が教育を受けて、その後に創傷ケアの実践内容。特定看護師(仮称)の教育を受けて、そのときの創傷ケアの実践内容について触れていきたいと思います。
(PP)
 認定看護師ではない看護師の行う褥瘡ケアというものはどういうものかといいますと、施設の褥瘡対策チームにより教育指導された内容です。施設の褥瘡対策指針に基づきケアを実施しております。この褥瘡対策チーム、物品とかいろんなもので各病院が違いますので、独自のものがそれぞれつくられていると思います。
これに関して予防:リスクアセスメントをして体位変換、ポジショニング、体圧分散寝具、スキンケアなどう行います。
局所管理:医師の指示及び褥瘡管理者と連携実施しています。創の洗浄、外用薬や創傷被覆材の貼付、創状態を評価するツールによる創の評価を行っていただいています。
 それでも、褥瘡が発生したり悪化する場合もあるし、皮膚のトラブルが発生する場合がありますので、その場合は皮膚・排泄ケア認定看護師に相談が来るというようになっております。
(PP)
 認定看護師の教育内容なのですけれども、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、病態生理学、その他で261時間、演習180時間・実習240時間を行いました。

(PP)
認定看護師が行う褥瘡ケアに関しては、先ほども少し触れましたけれども、指導・相談・実践です。
指導に関しては、看護師や患者家族に対して褥瘡ケアの教育・指導を行っています。
相談に関しては、難治性褥瘡患者の管理方法の相談を看護師・医師から行っています。そのときに創の洗浄・局所のアセスメントを医師とともに協働して行っています。
実践に関しては、施設内の褥瘡回診を週1回行っていますけれども、そのほか、褥瘡発生、皮膚のトラブルがあった場合はその都度対応しています。毎日のように褥瘡ハイリスク患者のケアの計画を立案してそれに伴ってケアを行っていただいています。そのほか、重症患者のケアの実践としては、創の洗浄・局所のアセスメント・創傷被覆材や外用薬の選択・栄養管理について行い、医行為は医師の指示により実施をしております。
(PP)
 後でスライドショーになるという、知らなかったので変になってしまいましたけれども、少し説明をしていきたいと思います。
重症褥瘡患者への実践ですが、このような褥瘡患者が入院してきました。看護師として創の状態を創傷アセスメントとしてケア計画を立案し、目標を設定して局所環境を整える患者・家族、スタッフに指導することを行います。
ここで感染の有無、全身に影響しているか。検査や早急な処置が必要か、主治医に報告して相談をします。その次に創傷専門医へ連絡をします。このときに少しジレンマなのは、検査や処置指示を待たなければならない。で、ケアが遅れるということが少しジレンマになっています。
そのほか、リスクアセスメントが必要な計画立案が看護師がしていますけれども、何かが足りたいということが大きいので、その発生要因は何なのか。不足しているのは何なのかということを考えて一緒に計画の立案を補足しております。
そのほか、局所ケアは包括指示のもとに外用薬及び創傷被覆材の選択を行っております。
目標に関しては全部が積極的な治療が必要とか治癒を目指すということではないので、患者の状態や病状を把握して患者・家族の意向を確認します。主治医と話をして確認して、褥瘡治療をすることがQOLが高くなる場合は積極的な治療目標としています。
局所環境を整えるということに関しては、早急に専門医に連絡をしてデブリードマン等を依頼しています。
ここでジレンマになっているのは医師を待たなければならないということがあり、全身状態がかなり悪かったので、長時間の手術や不在の場合、次の日になることもあって、早急に必要な場合が結構あります。
発生原因や現在の褥瘡の状態を説明します。患者・家族にスタッフに説明して、ケア方法を提示して、治療方針に関しては医師からの説明を行っていますが、ここでジレンマを感じているのは、患者さんは医師には積極的に聞けないとか、スタッフは医師にも聞けないというところが少しあって、もっと詳しい話を時間かけて聞きたいという要望があるということがあります。
(PP)
そこで、私は特定看護師(仮称)養成試行事業実施課程を昨年度学びました。フィジカルアセスメントと臨床薬理学、病態生理学、その他、創傷管理技術を学び、そのほか30時間の演習と90時間の実習を行いました。
(PP)
 特定看護師(仮称)の行う創傷ケアに関しては、ケア計画自体は認定看護師と変わらないと思います。そのほかに関して少し変わってくるのかなと思います。重症の患者の場合、感染の有無、全身状態に影響しているかどうかを判断し、血液検査と細菌検査の結果、超音波検査の実施、結果の一次的評価を行い、専門医師に敏速に報告をするということと゛ケア要員は同じです。目標を設定することに関しては、全身状態や病状の補足説明、患者・家族の意思決定を支援するということが少し加わると思います。
局所環境を整えるということに関しては、医師に結果報告後、早急に部分的にデブリードマンと切開を実施しております。先ほども患者・家族・スタッフ指導に関しては、患者さん自体は今の治療がこれでいいのか、どういった道筋にいっているのかということをかなり不安に思っています。なので、特定看護師(仮称)としては、治療方針は医師への確認を説明して、患者、スタッフの理解を促進するようにしております。これらに関しては、医師などと協働して作成した褥瘡のプロトコールに基づき実施を行っています。
(PP)
 認定看護師としての実践なのですけれども、デブリードメントを行い、簡易的陰圧閉鎖療法を行い、このような状態になっています。これは早急に全身と局所のアセスメントが可能で、必要な処置がとられたことで手術を要せず保存的療法で59日間で軽快して、このような状態で在宅も可能になります。これは鈴木褥瘡治療モデルで、この深さのものの治療に平均83万2,000円、半年を要すると言われています。このような状態、このような経過をたどれば3分の1の日数で治癒というか、改善が可能と考えております。
(PP)
 実際、一般看護師と認定看護師の違いは何なのかということに関しては、褥瘡などの創傷に伴って生じる問題に対して、専門的な技術を用いて質の高い看護を提供する。
患者・家族・医療者に対して指導や相談を行う。
患者の問題解決に向けて、他の医療チームメンバーと情報交換を行い、相談調整ができるということではないかと思っています。
(PP)
認定看護師と特定看護師(仮称)との違いは何かと考えますと、今までに皮膚・排泄ケア認定看護師が行ってきた看護ケアに、医学的に知識を加えることにより、より深い判断に基づく処置等の実施が加わることでより早く患者さんを全人的にアセスメントし、身体だけでなく精神的・社会的問題を抽出して、患者に合わせた問題解決ができると考えております。
また、医師の医学モデルの視点を深く理解することで医師や看護師の両方の考え方を融合した医療の提供が可能になると考えます。
最後に、治療を受ける患者や家族、看護師に対しても、治療に関する詳細な説明を十分行うことが可能となり、患者の満足度は高く、スタッフもモチベーションを向上させながら協働できると考えます。
 これらをやるに当たっては、体系的教育による知識・技術の裏づけと能力を認証する仕組みがなければ、このような実践を自信を持って安心して実践することは困難なのではないかと感じております。
 以上です。
○有賀座長
 どうもありがとうございました。では、また、後ほどよろしくお願いします。
3人目です。大阪府立中河内救命救急センター 冨岡小百合看護師さんよろしくお願いいたします。
○冨岡参考人
 よろしくお願いします。私のほうからは、「救急分野における認定看護師、専門看護師それぞれの活動内容、役割の違いについて述べていくのと、そして、最後に特定看護師(仮称)試行事業、私、修了しまして、それもかみ合わせて、それぞれどのような違いがあるかということについて述べていきたいと思います。
(PP)
 まず、私が現在活動している施設の紹介を申し上げます。大阪にあります、こちらは東大阪、赤丸をしているのですけれども、どちらかというと奈良寄りのところなのですが、大阪の河内地域の救急医療の体制の中核となる施設でございます。独立型の3次救命救急センターで、簡単に言えば、救急車で来る患者さんだけを診る病院という特色があります。
病床数はICUを8床、病棟22床のトータル30床の非常に小さな施設です。
(PP)
我々の施設の実績及びスタッフをスライドのほうに参考までに提示させていただきます。
(PP)
 ここで、私のフィールドプロフィールを紹介したいと思うのですが、1988年に看護師免許を取りました。免許取り立てのときには、民間の地域医療施設に勤務しておりまして、70床の総合病院で、当初、外科・内科混合病棟、手術室を経験して、スタッフ看護師として活躍していました。
それから、自身的に、私自身の課題として大きい病院でもっと研さんを積みたいということで、大学病院のほうに転職しまして、そこで救命救急センターのICUに配属され、ここでもスタッフ看護師として勤務しておりました。
そういった中で、看護というのは人を相手にする職業なのですけれども、医療の視点から全く外れて人間に対してもっと勉強したいという思いが強くなりまして、ここで普通の文学部の教育学科のほうに進学しています。その傍ら、自分のキャリア開発も兼ねて1997年に救急看護認定看護師のほうを修得しました。
修得して大学病院でも活動していたのですけれども、身内が病に倒れまして、大阪に戻らないといけないような事態が生じ、今、活動している中河内救命救急センターのほうに転職いたしました。そこでは、当初、ICU副主任、それから主任、病棟主任という任務につき、その傍ら、またキャリア開発の一環として、2005年に急性重症患者専門看護師を修得しました。
これを修得してから、現在の施設で主査という、管理職なのだけれども、部下を持たない管理職の位置づけでフリーナースとして、この専門看護師の活動を担っていました。
そして、2011年に特定看護師(仮称)試行事業B研修課程を修了しました。
(PP)
ここで、私の今までのそれぞれの看護師のキャリアを踏まえて、役割の違いをスライドで示していきたいと思うのですけれども、一般看護師として臨床に入ったころの自分の役割としては、チームの一員としての役割を果たすというようなところが大きな役割でした。具体的な活動としましては、医師の指示及びマニュアルに基づいた患者管理ということで、主に行ってきたのは人工呼吸器装着中の患者ケア、意識障害を呈する患者さんのケア、初療搬入、トリアージ、手術のときには準備、術前、術中、術後管理と一般的な看護師の業務を遂行してまいりました。そして1年、2年たつに従いまして、教育的な役割を担うようになり、この教育的な役割に関しては、施設にありました教育指針に即して、それぞれ自分の役割を担いながら、新人さんの自立支援にかかわったというような経過です。
(PP)
 こうした一般臨床看護師の実践活動から見えた課題ですけれども、これはあくまでも自分自身が感じた取った課題なのですが、これまでの臨床経験を通して得た学びを構築させたいという課題です。それはいわゆる臨床知というか、教科書には書いているようで書いてないような少し応用的な積み重ねた学びを本当にそのまま済ませていいのかというような客観的かつ学問的な視点で再度それを振り返りたいという思いと、それと、これから、中堅臨床看護師として、自分として何か強みというものを持てないのかというようなところで、そのためには救急看護認定看護師というのが、この時代から発足されまして、それのほうに向かっていこうと決めた次第です。
(PP)
 このスライドが救急看護認定看護師教育課程の教育内容のスライドです。
 その中で、救急看護認定看護師を取った中での役割なのですが、これは部署内における看護力向上の活動です。それと部署内のリーダーシップをとる。この部署内というのは、私はICUの所属でしたので、ICUの中でしっかりと看護の質を維持するというところに重きを置きました。
認定看護師の果たす役割としては、実践、指導、相談があるのですけれども、実践は、私自身の得意なところから切り口を持っていって、役割モデルとなるような活動を展開しました。主に呼吸管理、必ずICUは呼吸管理が必須ですので、呼吸管理離脱に向けた看護実践。あと、重症多発外傷患者の看護実践、創傷管理というのがあるのですけれども、これは褥瘡も含み、急性皮膚障害、術後創、外傷の傷すべてのことです。そのほか、セルフケア充足といった視点で、すべて患者さんは御自身の力で自分のセルフケアが充足できないので、そこの支援をどうするかというようなところです。
指導に関しましては、これは新採用者教育計画立案、実践、評価。今までマニュアルに従ったものを、今度は自分が考えて、よりよい個別に合った教育をしていくというような形をとってきました。あとはスタッフ教育の実践、指導、計画立案及び評価を行ってきました。
相談に関しては、スタッフのみならず、いろんなパラメディカルの人から、こういった患者さんにはどう対応したらいいのかという簡単なそういった相談ごとに応じるという役割をとってきました。
(PP) 
ここで、1例紹介なのですけれども、セルフケア充足に向けた看護実践ということで、重症患者さんの中で、呼吸と循環は落ちついたけれども、いろんな合併症をつくってしまうという現象がよく起こります。これは簡単な1例を示しているのですけれども、肝臓が悪くて入院していて、呼吸も循環も悪かったのだけれども、気づいたら目が真赤かになっていた。それが血行性の感染になってしまって、眼内炎になって非常にシビアな状態になっていたというような、後々になって遅れて気づくというような現象が我々の施設には見られることがあります。
こういった患者さんのセルフケアを見たときに、看護師は戸惑いを示します。呼吸と循環は看れるのだけれども、こういった局所のケアをどうしたらいいのだろうかというような疑問が結構生じます。それに関しまして、全身状態のアセスメント、局所の見方を再度押えながら主治医の先生と眼に関する治癒に向けた方針のディスカッションをしていくといった実践をしてきました。
(PP)
 この認定看護師の実践活動から見えた課題なのですけれども、これは先ほどの事例も振り返ってのことも含みますが、もう少しホリスティックな視野を持った看護活動へ目を持っていかないといけないのではないかということです。呼吸と循環だけを見ればいいというものではないということなのですね。後に続く回復期や続くであろう慢性期、そういったような病態の期があるにしろ、患者・家族が望む社会復帰を見据えた看護というようなところを考えて急性期を看ないといけないのではないのかというのがその中で見えてきたことと、あとは、呼吸と循環は看れるけれども、局所が看れないと、そういうようなものは果たしてどうかなというような、自分自身のこだわりが非常に強くて、“組織”の弱みと強みを押えながら、強みは強みで生かしたらいいけれども、弱みをどうやって充足していったらいいのだろうかというようなところを次の課題にしたいと思い、急性・重症専門看護師を目指すこととしました。
(PP)
 このスライドに示しますものは、看護系大学院修士課程教育内容で、私が受けた科目の一覧なのですけれども、私がこの中で急性期看護学というのを専攻しましたので、専門科目は主に急性期に特化した科目になっています。
(PP)
この急性・重症患者専門看護師の役割と業務についてなのですが、まず幅広く活動するというような視野が広がりました。今までは自分の部署の中だけということだったのですが、組織横断的に組織の看護力の向上を目指す活動をしていくということ。
それに関しまして、看護部の教育担当としての専従活動、主査という部下を持たない管理職の立場で横断的に活動するという体制をとりました。
専門看護師の役割は6つございます。実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究という6つの分野があるのですけれども、実践に関しましては非常に対応困難な症例に対する看護実践。それと自分が得意とする創傷管理の管理ができるように組織横断的に活動するということ。
相談、調整に関しては、スタッフ自身が非常に難視するような症例が中心な相談、調整で遂行しました。
倫理調整に関しましては、これも我々の組織の特徴なのですが、急性期過ぎれば転院をするというような形の施設ですので、そういった患者さんの意向に沿ったものであるかどうかの確認、それを踏まえた調整が主でした。
そのほか教育は組織力を更に弱みを強みに変えるというようなところで、あらゆる救急医療の場面に必要な看護が提供できるスタッフの育成を目指しました。そのほか、我々のスタッフのほうも、徐々に教育していく者もいまして、認定看護師を私以外に目指すスタッフもおりまして、その中で取られた認定看護師の人たちと一緒に教育活動を遂行するという活動支援の立場をとるようになりました。
あと、研究ということで、看護職者の研究活動を指導・支援というのも、専門看護師の新たな役割の1つでした。
(PP)
 この組織、看護力の向上を目指すということなのですけれども、我々救急領域の中には本当に予期しない中で、いろんな合併症というのが多発するのですけれども、これはほんの1例なのですが、代表的なものは結構皮膚障害を起こします。挿管チューブを入れている中で起こる口腔カンジタ症、後はDICに伴う皮膚損傷、あとは患者さんの不穏状態に伴う擦過傷、水分バランスコントロールによっていろんなところに褥瘡をつくってしまう。創傷管理が難しくて、浸出液が漏れて新たなびらんをつくってしまう。治療行為によって、今、弾性ストッキングをほとんどの患者さんつけているのですけれども、そういったストッキングでも褥瘡ができやすいとか、後は緊急手術でストーマをつくるのだけれども、特にストーマの○○○をせずに手術をすることで位置が悪くなったり、形態が後々の困難が難しいような状況になったりとか、結構そういうような場面があります。
(PP)
そういったような場面にも、我々の看護師が対応できるようになるために、全身状態のアセスメント、局所のケアのアセスメント、先ほどの皮膚・排泄ケアナースの方が言われていたような活動とよく似ているのですけれども、おさらいして、主治医に治療指針を確認し、それらすべて組織が一丸として解決をするというような教育システムをとってラウンドしています。
(PP)
この専門看護師の実践活動から見えた課題なのですが、次に医療そのもの、チーム医療活動から看護活動を考える必要があるなというところの気づきです。患者さんは第一に医療を求めているということです。我々看護師と“医療”の充実化を目指すに当たっては、そのためには医学モデルの視点を構築させる必要があると考えています。看護観を持ち合わせた医療活動ができれば、患者の満足度へ貢献できるのではないかという気づきが私の中にはありました。そして次の特定看護師(仮称)という試行事業のほうに参加していきました。
(PP)
このスライドに示すものは、特定看護師(仮称)救急分野教育課程のねらいの分野ですけれども、まず救急看護認定看護師教育課程の基礎知識や技術を基盤にして救命救急処置の技術の再確認、臨床薬理学、臨床推論、病態生理学という新たな学問で強化し、それが特定医行為をとるに当たって活動をされるという前提になります。
これらの学びが、初期、二次、三次救急医療施設等における救急患者を対象に医師の包括的指示のもとに救急患者の病態管理を行える特定看護師を目指すというものです。
(PP)
 このスライドで示していますものは、特定看護師(仮称)養成調査試行事業の教育内容のスライドです。
(PP)
修得を目指す医行為は、こちらのほうに示しますが、これはこちらのワーキングさんでも内容は御存知なところだと思います。
(PP)
特定看護師(仮称)業務試行事業実施状況。
これは今の私のやっている状況の報告なのですけれども、緑で示したところが大項目なのですが、救急患者の診断に必要な救急検査を考えるための情報収集ということで、これは今まで研修医の人が担っていた役割なのですが、そこにこの試行事業を受けた者が入って、臨床推論をもとにいろんな情報収集をするということなのですが、救急の難しいところは本当に情報量が少ないというようなところをいかに診断につながるような情報をとってくるかというところがあるのですが、そこに生活背景を考慮した情報も加えて先生のほうに提供するということです。
あとは、夜間、夜間はスタッフ人数が限られますので、夜間の搬入時、それぞれの役割を確認した中で医療を遂行するということです。ホットラインで情報が入ります。その患者さんに必要であろう診療行為の担当を事前に調整します。非常に流れがスムーズになっていきます。
次に3つ目、Dr Callのかかった入院患者の初期対応なのですが、これも夜間なのですけれども、たまたま初療の対応で非常に重症な患者さんが来ていて全員がそちらにかかわっているときに入院患者さんのDr Callが入ると。おなかが痛いとか頭が痛いとか、必要なcallになっていて、先生に診てもらいたいというような要請があったときに、先生がどうしてもその患者さんのところに行けないという状況が発生します。そのときに、医師との調整の下に、とりあえず身体所見の確認と必要な情報をとりに行きます。それを報告して、必要な検査、必要な薬、そういうようなものを医師の包括的指示のしたで動いていくというような役割をとっていきました。
(PP)
この試行事例の効果なのですが、救急患者の診断に必要な緊急検査を考えるための情報収集に関しましては、継続治療の1つの選定、治療ゴールの設定に生かされています。我々のところは退院するという患者さんは本当にいらっしゃることはいらっしゃるのですが、年間にするとほとんど転院の方が多いので、そういったような後々の医療を考える情報に生かせるということです。
夜間搬入時のそれぞれの役割を確認した中での医療を進行していることに関しましては、救急処置場面のマンパワーの向上、緊急度及び重症度の早期把握、タイムリーな診療進行につながっています。
Dr Callのかかった入院患者の診察に関しましては、患者の待ち時間短縮、治療開始時間の短縮、患者満足度の向上、スタッフの業務遂行につながるとういことなのですが、患者さんの訴えで先生が診に来てくれないから、看護師がそばに寄り添って、その間の夜間業務ができないとか、そういうようなこともあったのですけれども、そういうようなところもなくなったということにつながっています。
そして、こういうような動きがスタッフが見ていて、自分たちの役割をもっともっとやっていかないといけないこともあるのではないのかというようなきっかけになっています。
(PP)
この救急分野における認定看護師、専門看護師、特定看護師(仮称)との違いをこのスライドでまとめてはいるのですが、医学の視点を強化している。これは医療行為を行うので必要なことなのですが、症状・病態の臨床推論というのが非常に求められるところであると考えています。
それによって医学の視点と看護の視点が生かされたチーム医療ができると思われるのですが、これの生み出されるプラス効果としては、効率的な医療、生活機能回復に即した医療が提供できるということ。
そして、患者・家族に対し、タイムリーな医療対応ができ、なおかつ治療に関する説明も十分に行えるということです。これは患者さんの満足度につながるのではないかと思われます。
これらは、制度化によって位置づけを明確にする必要があると思われます。これは患者さんの安全と安心のため、必要不可欠ではないかと考えています。
以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
○有賀座長
どうもありがとうございました。
3人の看護師さんたちによる御発表をいただいたところであります。認定看護師さん、専門看護師さん、今までも勉強してきましたけれども、特定看護師さんとの違いというか、理屈の上では勿論わかっているわけですけれども、極めて具体的な景色に触れていろいろ勉強させていただいたのではないかと思います。
 せっかく3人、具体的にやっておられることの場面をそのままここで質疑ができますので、御質問の方はどうぞ挙手をして、大体15分ぐらいはそれに費やしたいと思いますので、簡便によろしくお願いします。
○星委員
 個別のことに入る前に、最後のスライドとても気になるのですね。特定看護師を是非法制化、制度化してくれという話を私は聞きたいわけではなくて、私がお願いしたのは、認定看護師や専門看護師が実際にどんな働き方をしているのかということについてお願いしたいといったことでありまして、そのプロパガンダは、ここでそういうプラカード挙げてもらう必要はないのだろうと思いますので、そこは厚生労働省の頼み方の問題かもしれませんけれども、文句として言っておきます。
○有賀座長
 御発表なさる方の主観もありますので、それはそれで先生置いておいてください。
○星委員
 その上で申し上げたいことを、3つのことを聞いて思ったのですが、認定看護師、専門看護師を目指して実践をしているという風景と、今、非常に不安定ながら特定看護師というものを目指してやられている風景と両方見せていただいたのですけれども、どうも最後のところに来ると鼻息が荒くなって、どうやら、まだまだ定着していないというか、認知が上がっていないのかというふうに思いますし、もう一つ、言いたいのは、実際に先ほどの例えば糖尿病のこともそうですし、救急もそうですけれども、医者がどういうふうにかかわっていて、皆さんのとても大変な努力を、どんなふうに評価をし、どんなふうに感じて、その中でどういう変化があったのか。つまり包括的な指示、行われる医療行為の範囲についてどういう意識の変化があったのか。あるいはそういうこともできるよねということでの認知度が上がったのか、それは非常に個別的な話であって、資格を取ったからどうこうという話ではないだろうと思いますけれども、医師側の意見も聞いてみたいなととても思いました。
 きっと非常に個別な関係とその努力の背景を、その先生方が知っていらっしゃるという風景と、DMのところで出ていましたけれども、ほかの先生方にはいま一つ、理解されないということは、まさにその典型例だと思います。
したがって、今回のものを個別にやる前に、後で説明させていただきますけれども、どちらからも見た見え方というのをもう一回整理をするとぐっといろんなものが近づいてくるなという印象を受けました。そういう意味ではこういうセットをしていただいてありがたかったと思います。
○神野委員
少し質問をさせてください。お三方とも大変優秀な看護師さんで、しかも非常にアグレッシブ・前向きだということの印象を受けました。
糖尿病の専門看護師の東さん、今、東さんだけがこの中で特定看護師(仮称)業務試行事業をやっていらっしゃらずに専門看護師として御活躍なのですけれども、今、東さんの姿を見ていたら糖尿病に関しては、私は専門看護師で十分というか、非常に判断能力もおありになるし、これにもし特定看護師、東さんの意見として加わったとしたら、あと何が加わるのかなというのが、まず東さんへの質問です。
続けていきます。あと、お二人の方に関しては、今、星委員からもちょっとお話がありましたけれども、各施設でベテランナースとして大変御活躍になっていらっしゃるお二人である。今回の特定医行為の試行事業をやるに当たって担当医という方がいらっしゃると思うのですけれども、その方との恐らくしっかりとしたパートナーシップというのができていると思うのですけれども、もし、明日からほかの施設へ行ってください。特定業務やってください、と言われたときにすぐできますかということを御質問したいと思います。○有賀座長
東さん、よろしくお願いします。
○東参考人
非常に答えにくい質問を受けたなというふうに実は思っています。糖尿病看護に関しましてはフットケアの領域もありまして、フットケアの領域に関しましては創傷管理がかなりかかわってくると考えています。ただ、私の場合はフットケアはあえて自分では選択して行っていない予防の段階のみというふうに自分では行動範囲のほうを決めております。ですから同じ糖尿病をサブスペシャリティーとする専門看護師でも、フットケアを主にやっている方がいれば、また、私とは違う判断をするのかなというふうには思うのですけれども、私としましては、大変申し上げにくくて、言っていいのかわからないのですけれども、自分自身ではケアの延長線上での医行為ができたいというふうに思っています。つまり糖尿病患者さんに関してはセルフケアというのが主体になります。そうすると医師が治療上一番いい治療を行ったとしても、実践するのは患者さんたちなのですね。ですから医師の一番いいという治療が患者さんたちの実践というところにおいては必ずしもフィットしない場合がたくさんあります。それは専門医でも専門医以外の例えば循環器の医者が糖尿病の管理をしていることもたくさんありますけれども、そういうときもたくさんあります。
そういったときに、私たちがある程度の医学的な知識、判断力を持ってケアの延長線として発言をして、医師とも調整を行っていくというスタンスが、実はジェネラリストにはない視点なのかというふうに思っております。
もう一点は、専門医は糖尿病治療に非常に詳しいです。糖尿病治療、今、加速度的に変わっておりますので、専門医以外の医師はやや遅れをとっている感じが私どもの病院でもしないではありません。これは大変失礼な言い方でドクターには申し訳ないとは思うのですけれども、苦手なお医者さんもいますし、当院のような大学病院ですと、やはり循環器の専門能力を磨きたい医師が大学病院には来ますので、糖尿病のコントロール入院は診たくない、当たり前だと思うのですね。そうしますと、いや、このインスリンの使い方だと患者さん退院したら低血糖たくさん起こしますよ、というような使い方をやはり私たちは目にするわけです。そのときに、私たちが主導権をとるのか、医師と相談をするのかは微妙なバランスなのですけれども、先生たちと相談をして、この患者さんにはもう少し違ったインスリン療法の方法があるのではないだろうかというふうに御相談申し上げる力が、私たちにはあると思いますし、今の段階ではそういった周知をしていただければというふうに考えております。答えになっていますか。
○神野委員
今のお話は、まさにさちこさんの先ほどの例など、今、専門ナースとしてやっていらっしゃるのですね。極めて高度な判断能力をお持ちになって今やっていらっしゃる。そうすると特定の部分は創傷ケアのほうなのかなといった印象を受けました。
○有賀座長
 今のやりとりを聞いていて、後からまた聞くのもちょっとと思ったので、私もお聞きします。あとのお二方の特定看護師さんたちの1つのキーワードは、この委員会の中ではたしかクリティカルシンキングという言葉が出てきたのだと思いますが、それは臨床推論というか、医学的な観点での物の考え方というか、そこら辺が少し自分の仕事に加わったというようなことを、後のお二方は発言されているのですね。
そういうふうな観点でいきますと、今の東さんの仕事ぶりの中で、もし特定看護師さんのような勉強プロセスが入り込むと、複数の疾患の治療をしている患者さん、合併症の進行している患者さん、幾つか書いてありますけれども、そこら辺に関して少し仕事の中の空間的・時間的な広がりが増えるのかと私は思ったのですけれども、そこら辺、コメントください。
○東参考人
 実は看護師としての勉強、膨大なものがあって、そこまで看護師が踏み込むほどの勉強する許容量というか、時間というものが、現在の私個人としては苦しいなというのが1つあります。つまり看護を探求していくだけでも膨大な時間と読むべきものもたくさんあるというのが1つで、一人の患者さんを理解するということは非常に困難で、勉強が重要だというのが1つあります。
 もう一点は、医師の診察場面に時どきつくのですけれども、先生たちの判断の仕方というのは、当然なのですけれども、私の持っていないものを日々感じております。そういったときに合併症の進んだ患者さん、複数の治療を行っている患者さんの判断は、今の私、少し勉強してかなり臨床的に教育を受けないと困難というか、怖い、臨床推論がそこまでできない。
ただ、もう一点は、専門看護師の今の私の仲間でもフィジカルアセスメントに関してはかなり高度な判断をできる人たちはたくさんいます。でも、それを治療に結びつけるというあたりの教育は基礎から積んでないところが、私としては、苦しいところという、表現がうまく見つからないところです。
○有賀座長
 御自身が働いておられる病院の中においてはチーム医療として、それらが構築されているという、そういう理解でいいのですね。
○東参考人
 はい。
○有賀座長
 わかりました。最初の質問で、お二方に、違う施設へぽーんと行ったら、今と同じように働けるかという、どうぞ。
○丹波参考人
私のほうからお話ししますけれども、私も5年前に杏林に移ったときに皮膚・排泄ケア認定看護師として構築したものがありましたけれども、ぽっと行ったときにすぐそこで同じような活動ができたかというと、やはりそれは周知とかそういうものがありまして、なかなかそこはうまくいかなかったというところがありました。ただ、半年、1年過ぎ、この人が看護ケア、褥瘡に対してケアができる人だとか、信頼関係の中で生まれてきたものがあって、そこでこういう仕事ができたということと、あと、学術的なものとか、その人がそういうふうにやることで褥瘡発生が低くなったりということがありましたので、そこから生み出したものがあるのですけれども、特定看護師としても、すぐそこに行ったからできるというものではないと思っています。
医師と一緒に行動しながら、看護師としての知識も持ってやることで、看護師さんも応援してくれるし、医師のほうもバックアップしてくれて、すぐではないですけれども、半年、1年後にはやれるのではないのかと考えております。
○有賀座長
 それはドクターだけではなくて、薬剤師さんなり、その他たくさんのコメディカルの人たちも同じことですね、一緒にやっていくという。
○丹波参考人
はい、一緒にやっていく。
○有賀座長
 お隣。
○冨岡参考人
 冨岡ですけれども、私も全く丹波さんと同じ意見なのですけれども、すぐには無理だと思います。関係性の構築、医師の指示、包括的指示の下でやっていくというところがありますので、そこはそういった確立がないと難しいかなと思います。それができるころならばできると思います。
○神野委員
 安心しました。一応今回は国家認定ということですので、今までの認定とか専門とちょっと違うものですからあえて聞きました。
○有賀座長
 ほかに、どうぞ。
○英委員
皆さんのお話を聞いていて、大変すばらしい施設の中で、すばらしい実践だなと思いました。すばらしい教育を現場に生かされていると大変感銘を受けました。
私は個人的には在宅とか施設のほうで現場を見る機会が多いので、そういうところでの看護師さんというのは必ずしもそれだけ高い教育レベルを、認定であったり専門であったり、そういう教育を受ける時間も機会もなかなかないのではないか。その中で一人で現場で医師がなかなかかかわる機会が少ない中で頑張っていらっしゃる看護師さんがおる。そういう方々が現場をもっともっとよく支えるために何らかの前向きな検討はしていく必要があるのかなと考えているのですけれども、もし皆さんのように、認定・専門、そして特定といったキャリアアップ、これは非常に大切なキャリアアップでもあると思うのですけれども、一方で現場で、ただ、今まで余り教育も受けてない方が、今後、現場をもっともっと支えるためにという意味でいきなり特定看護師を目指すと、そういう希望があった場合、例えば皆さん現場の中で部下の方々がいきなり特定看護師のキャリアを目指すというような話があった場合に、皆さんどんなふうにアドバイスされたりとか考えられたりとか、実際にはこういうのがあったほうがいいとか、あったらお聞かせいただきたい。
○東参考人
 私は病院では看護師の教育担当のほうも担っているので、医行為、特定看護師を目指すというナースが出たらということですね。実は考えたことが今までなかったというのが私の今の現状です。ちょっと時間をいただければと思います。
○丹波参考人
実際に特定看護師を目指したからすぐできるとか、看護のベースがあってやれるところをまずやって、それプラスというところがすごく大きいのですけれども、本人の強い希望があったらどうするかに関しては、私たちも支援というか、私たちの知識を在宅に持って行って、在宅で大きく広めていかなければいけないということを少し考えてみまして、その方の状態というか、看護観とか、そういうのを考えながら、もうちょっとこういうふうにしたほうがいいのではないかというようなことだったり、この人だったら、できるかもしれないということのアドバイスだったりしながら一緒にやっていくという考えと、私たちももっともっと在宅に力を入れていかなければいけないところなので、医師の行為としてではなく、看護師としてもうちょっとこういうことを一緒にやって、一緒に喜びを分かち合いながらやっていきたいなとは考えております。答えになっていませんけれども、済みません。
○冨岡参考人
非常に難しい質問だなと思ったのですけれども、キャリアというのは自分の気持ちがないと成り立たないところがありますので、そこはまず必要不可欠なのですけれども、特定看護師を目指していくに当たっては、看護がしっかりとわかって、看護の強みを医療に生かすということができる人が前提だと思いますので、そこの評価が、まず、その人の中に持ち合わせているかどうかになるとは思うのです。我々経験を積んでいくことによって、臨床知というものを積み重ねていきますから、臨床経験年数というのは必要なのかなと考えています。
○前原委員
先ほど3人の方の大変参考になりましたのですけれども、特定看護師というのを業務として取っていらっしゃる方が最後の方ですけれども、東さんにお聞きしたいのですけれども、プレゼンテーションの中で、今までの認定・専門・特定という区分けというのが余りはっきりしないということで、今日説明していただいたのですけれども、東さんからの発表の最後で、現在の実践活動における困難点というところで、専門看護師の仕事に理解を示す糖尿病専門医との個別的対応での了解である。
インスリン療法において検査・診断・治療が優先される傾向が強く、療養行動の遂行におけるセルフケアの視点が薄い。
患者の症状を医学的視点から系統立てて分析していく手立てを持っていない。
この困難点を、今、感じていらっしゃるとすると、これが特定看護師さんであれば、この困難点が解消できるので、特定看護師さんという制度をつくることには前向きなのか、それとも専門看護師の今の状態でいいのか。それとも余りやりすぎるとドクターを超えてしまってまずいのか、その辺のところの感覚はどうですか。
○東参考人
 それは、私が答えなければいけない質問なのでしょうか。
○前原委員 個人的な意見でも結構です。
○東参考人
 今日は、私は専門看護師の自分の今やっていることを伝えに来ました。ですので、特定看護師云々ということの発言はしなくていいのかなというふうに、個人的な意見はいっぱい持っていますけれども、今日は控えたほうがいいのかなと思います。
○前原委員
 わかりました。最後の困難点というところは、現状として感じていらっしゃるということですね。
○東参考人
 はい、そうです。
○前原委員
 わかりました。
○有賀座長
先ほどの私の質問と似たりよったりしたところありますね。
○東参考人
 はい。
○秋山委員
御発表ありがとうございます。丹波さんと冨岡さんに伺いたいのですけれども、研修を修了して特定(仮称)の活動をしている人たちは非常に少ないし、これからもすぐに増えるとは思わない。だけれども、そのときに、例えば私も在宅の分野での現場を持っているのですが、御自分の施設を出て、地域へリエゾンのようにして出てくるというか、そういうことが可能と思われますか。つまりそういうふうな活用の仕方を最初していかないと、そういう方を世に送り出したとしても、その能力が全体に生かせないというか、私たちもその人たちからのある意味でいい刺激を受けたいという、そういうときにそういうことができるかどうかということをお聞きしたいと思います。
○丹波参考人
 実際に私のところで発生した患者さんが在宅に帰る。在宅で発生してうちの病院に入院するということで、話し合う機会があります。その中で、やはりこういうふうな状態だから、こういうふうにしたほうがいいのではないかというアドバイスだったり、訪問看護を実際に行っていたりしますので、不可能ではなく可能だと思います。
○冨岡参考人
 済みません、質問の確認なのですけれども、特定の人が訪問というような地域のほうにもいるということ?
○秋山委員
 訪問の現場ということではなくて、つまり地域の中にそういう勉強した人がすぐには増えない。そのときに、救命救急の分野であっても、でも全体を見る力とかさまざまな面で、例えば地域のほかの病院の方とか、訪問看護というのではないのですが、在宅での救命救急の場面で何か役に立てるというか、そういうことで地域に出て来るというか、そういうことは可能かどうか。
○冨岡参考人
 可能だと考えています。
○星委員
 もう一歩進んで聞きたいのですけれども、特にWOCの丹波さん、例えばあなたの病院で、褥瘡を治してほかの病院へ転院をしたと。行った先でまた悪くなったという事例はよくあると思うのですね。そのときに、その相方の病院というか、送った先の病院の看護の問題があるのではないか。あるいは同じような考え方で看護を継続してくれないとそういうものが持続できないというのは多分感じていらっしゃると思うのですね。そういうものに対して、地域支援みたいな形で、他の医療機関に対する支援みたいなものを、具体的に今していらっしゃるかどうか、これから、この活動をしていこうと思ったときに、私は必要になるのではないかと思うのですけれども、そのあたりについてコメントもらえますか。
○丹波参考人
実際に現在、ほかの病院との連絡とか、そういうのは行っています。褥瘡があって施設でできて、当院の外来に来たときは電話で、どういうケアをしているのか、こういうことで褥瘡がこういうふうに発生したけれども、こういうふうなマットとか、体位変換はどうなのか、座位時の姿勢の保持はどうなのかというのを一緒に電話で話しながら、ここはこうしていったほうが治癒に向かうというようなことは実際行っています。
○星委員
 とても大切な地域の資源だと思うのですね、皆さんの活動というのは。地域への活動をただ、1つの症例を通してやりとりをするというのではなくて、地域全体の看護のそれぞれの観点からの看護のレベルを上げていくというような努力をしていただくというのはとても大事で、認定の考え方とか専門の考え方の中にそういうことは出てくる。特に専門看護の中にはそういう項目がありますね、そういうことをやりましょうということ。ですから、地域支援活動が実際問題、病院が許してくれるかどうかわかりません。大学病院がどこまで許してくれるかわかりませんけれども、そのあたり、ほかの病院に講義に行ったりとか、一緒にカンファレンスをしたりとか、そういう時間は持てる状況なのでしょうか。
○東参考人
持てる状況です。ただ、実践面での連携はまだまだ少ないのですけれども、講義形式のようなものは、ほかの病院で依頼があったら行きますし、いろいろな学会活動、研修会等で全国各地で専門看護師が活躍していると思います。
○有賀座長
 ほかにございますか。
○井上委員
お三方の発表が大変すばらしくて、専門看護師の教育をしている立場で本当に自分がちゃんと教育できているのか、振り返りにもなる大変すばらしい機会をもらったと思いました。質問ではなくて感想レベルなのですが、3人の方、すべてが口にされたと思うのですが、「ケアの延長上」にあるものとして試行事業に参加したことでいろんなことが広がったし、可能性も広がったと。これは本当に重要なことです。それから、特定看護師(仮称)という名称独占は使わないということと、決して認定看護師・専門看護師・特定看護師というキャリアシステムがあるわけではなくて、あくまでも特定行為の認証能力ということ、そこが非常に看護教育にとっては重要なところです。英先生もちょっと懸念されていましたが、いきなり認証能力も含んだ、そういう2年と、今、8か月という話題が出ているのですが、そのときに医行為から入っていくという形ではなく、看護ケアの蓄積の上にプラスアルファとしての「医学モデル」、その言葉をお使いになった方が2人いらっしゃるのですが、今現在は医学モデルですが、そういうものを取り込み看護ケアとして発展していくと、それが医行為や医学モデルではなく、看護ケアになっていくのだろう、そうやっていくことでジェネラリストからいきなり一般看護師がこのコースに入る人、認定看護師へのプラスアルファ、専門看護師に更にプラスアルファする、現行の専門看護師カリキュラムを内包する。いろんな可能性が出てくるのではないかということを強く感じました。大変ありがたかったと思います。
○有賀座長
 御質問はいいですね。
○井上委員
結構です。
○竹股委員
 今日は本当に、井上先生と同じなのですけれども、3人の皆様方の看護実践を仲間としてとても誇らしい気持ちで伺いました。ありがとうございました。私も感想レベルにはなるのですけれども、今のお話伺っていてもそうなのですけれども、私、もともと急性期にいたのですが、例えば病院では在院日数がすごく短くなっている。そのためかなり入院期間中の、いわゆる重症化というか、急性期化が進んでいる。それから例えば在宅の患者様も非常に医療依存度の高い状態で在宅生活を送っておられる実態等々を考えたときに、キュアとケアというのは、ここからここまでがケアで、ここからここまでがキュアというような形でなくなっていて、それよりもむしろもっと、医学モデルに踏み込んだところまでの判断力なり、実践力、それから裁量権という言い方は誤解が生じるのでそこまで言いませんけれども、そうしたところがあることによって、患者様により見合った、自分たちの力が発揮できるのだというように思います。
そのときに、おっしゃっていましたけれども、看護職の現行の基礎教育、それから、現行の多くの継続教育では足りないということも事実です。これは我々臨床の力不足ということもあるのですけれども。ですからナースたちがもっと知識を得て、そして、それがあるもっと高いレベルの判断になり、そして、あるレベルの包括的な指示の下でもっと患者様たちに貢献できるのではないかというようなことは実際にそういうふうに思う人たちが臨床にたくさんいましたので、皆様方のお話を伺っていて、それはそうなのだろうなと思いました。
しかし、それにしてもまだまだ私たちは力不足ですから、その力をどうやって得て、そして、それをどうやって患者様が安心できるような形にできるのか、そのことが能力認証につながっていけばいいなと思います。そういう感想を持ちました。
○有賀座長
 質問はいいですね。
○竹股委員
質問ではないです。
○有賀座長
 質問してください。
○小松委員
 3名の方に非常に私も感銘を受けました。キャリアを積んで専門分野があっての活動かなと思いますが、1つだけお聞きしたい。御存じだと思うのですが、特定看護師の出ている骨子案に関しては、看護師が特定行為を実施しても、衛生上危害を生じるおそれのない業務体制の中で、医師の具体的な指示を受けて一般の看護師も行う、ということが一方であるわけですね。その場合、今、お話いただいたような、例えばパワーポイントにあるような、11ページ、17ページ、それぞれ丹波さん、冨岡さんたちが挙げてくださっている行為に関して、一般看護師が行うというふうなことを想定した場合のアウトカムに何か違いが出てくるのかどうか。それは予測でしかないのですけれども、何かその辺のところをすごくお聞きしたい。あるいは現場の中の何か混乱とかを想定されてないかということを、是非そこはこのお三方にしか聞けないかなと思っています。
○有賀座長
特定看護師さんということでいくと、後のお二方ですか。では順番に。
○東参考人
 医行為ができる看護師が高度実践者なのかというところだと思います。先ほども私、ちょっと気になっていたのが認定看護師・専門看護師・特定看護師というふうに順序づけがもうできているのかなと思ったのですけれども、骨子なども拝見していて、高度実践者というのは、例えば挿管ができる、IVH・CVのナートができる看護師が高度実践者なのかというのに非常に疑問を感じております。そうではないだろう、高度実践者はそうではないと私は教育でも受けてきましたし、自分もそう思っておりますので、一般看護師が医行為のみをするということが本当にいいのかは議論がとても重要だと思います。
○丹波参考人
私も最初の特定を聞いたときにはちょっと医療行為だけをする人なのかということをすごく思っていましたけれども、実際に教育を受けて、私たちでしかできない考え方プラス医行為だとすごく思っています。その中でアウトカムをどういうふうに出していくのかというのは、私たちであれば褥瘡の発生率もそうですし、これぐらいの治癒期間に至ったとか、そういうのでアウトカムが出せるのかなとは少し思っているのですけれども。
○有賀座長
ありがとうございます。冨岡さんいかがですか。
○冨岡参考人
私もただ単に医行為をするためのものではなくて、看護というのが大前提で、そこにほどよい、患者さんが求める医療をどう提供するかということを考えていく人というような位置づけだと思っています。アウトカムに関しましては、我々のところは救急という非常に幅広いので、どこに視点を定めるかというのは難しいと思ってはいるのですけれども、例えば患者さんの満足度を評価で見るとか、満足度というのは待ち時間が短縮したとか、あとは自分が求められている医療が受けられたというような患者さんの認識が得られたとか、そういった患者さんに直結した評価のところが一番目のつけどころかなと。済みません、具体的にこれと言えないのですけれども、そういったような感じでいます。
○星委員
非常に具体的な質問です。丹波さんに質問なのですけれども、11ページのところに、医者が来るのが遅いから先にやりたいと書いてあるのですね。医者が早く来てくれればやる必要がないと考えるのか。先ほどの質問と関連するのですけれども、もし、どなたでも具体的にここえぐってね、と言ったらえぐれるようなことなのか、あるいは実際に傷を見ていらっしゃって、そういう何とかモデルみたいなのをしないと、つまり特定にあなたにしかできない行為なのか。具体的な指示があっても、普通の一般の看護師さんにはさせてはいけないと感じるのか、そのあたりのこの行為そのもの。まず、医者が来てくれれば医者にやらせたほうがいいと思うかどうかという話と、そのあたり簡単に説明してください。済みません。
○丹波参考人
医者が来たときに、ここの患者さん、こういうような状態だから、ここまでやっていいと家族が言っていましたとか、家族の意向を伝えられる。目標ゴールを設定した後に、医者がいれば医者がやったほうがいいと思うのです。ただ、いないときもありますし、毎回毎回大きなデブリーでなくてもいいと思うのですね。小さいこういうふうな、ちょっときれいにすることがその人の治癒環境を整えるわけですから、だから医師は毎日は行けないですね。
○星委員
行ってもいいです。
○丹波参考人
 そういう中で、看護師として、その患者さんのことを考え、QOLを考え、状態を考えたときに、こまめに行って、もう少しやっていければ、補助的な業務でもやれるのではないかとすごく思っているのです。
○真田委員
私も小松先生と全く同じ質問をしたかったのですけれども、今、具体的に例を挙げてみましょう。デブリードメントができるようになりました。病院の中で、星先生も聞かれたのですけれども、ナースがするデブリードメント、医師がするデブリードメントと違うのか、一緒なのか。それとアウトカム、何をアウトカムにできるのか。もう一点は、今、診療報酬変わりますね。どういうふうに変わるかというと緩和ケアと褥瘡ケアに関しましては、今までできなかった病院のナースたちが在宅のナースたちと同日訪問することによって、それが診療報酬になると。非常に高い点数をつけていただいていると。そのときに、今までの皮膚排泄認定看護師はデブリーできないです、そして、あなたは先生の方から、包括指示が出ていて、あなたの判断に任されるとしたら、実際在宅に行って何が変わると思いますか。デブリーを例にしました。そうしたら一番答えやすいのかなと。今までの違いは何か出せますか。
○丹波参考人
実際に当院でこの事業をやっている中で、外来ではすごくいっぱいの患者さんがいて、待ち時間もすごく長くてというときに、医師はこれぐらいの創傷処置とかデブリーだったら丹波でもできる。だけど、こういうふうな褥瘡の状態であれば、やはり医師が必要というような判断とかはできて、軽い例に関してデブリーをしたときに出血もなく、医師に前後で確認を書いて、創傷治癒とか、また、ほかのリスクアセスメントをしながらケアを交えてやっていくことで、患者さんの創傷の治癒とかそういうのは、今までやっていたよりも違うのかなと少し思っているのですけれども、違いますか。
○真田委員
いいですよ。
○川上委員
特定行為のことではないのですが、東さんに、今回のお話が内科的な内容でしたので伺いたいのですけれども、患者さんの生活状況を把握した上で、薬剤の選択とか用法の変更をカンファレンスで提案されているということで、すごく良い取り組みかと思います。それで先ほど、「現在ある困難点を解決するにはどうすれば良いか」についてはお答えしづらいということだったのですが、例えば、今回はインスリン製剤でしたけれども、他の内服薬等の薬物治療全体のことも考えても、病棟にいる薬剤師等と一緒に本来あるべきチーム医療をもっと進めれば、何も特定行為をあえて看護師さんがやらなくても簡単に解決するような気が個人的にはするのですが、チーム医療という観点で何か御意見があれば、チーム医療のワーキングとして伺わせていただきたいのですが。
○東参考人
 今、おっしゃるとおり、チーム医療で薬剤師さんと相談をすればということが非常に重要だとは思います。ただ、私が看護外来というのを持っておりまして、患者さんと1対1で面しているときに、今、患者さんの薬の飲み方がどうなのか。例えば患者さんは実は30分後に薬を飲むのが薬の飲み方だと思っている患者さんがいたときに、食直前の薬を食後30分に飲んでいることがあるのですね。そういったようなことを看護外来で見いだしたときにはやはりその場での対処が必要で、そのときに私が対処する必要があるのですね。
それを今度はカンファレンス等で薬剤師さんたちの判断を聞くという、そういったチーム医療のあり方もあるのかなという、リアルタイムだけではないと思います。
○有賀座長
 どうもありがとうございます。まだまだ聞きたいことが山ほどあります。冨岡さんにお聞きします。先ほど特定看護師さんの実施状況で、スライドでいくと18番、「救急患者の診断に必要な緊急検査を考えるための情報収集」というところがあるではないですか。あそこで臨床研修医にちょっと言及されましたね。何も研修医の代わりをやれと、そういう問題ではなくて、お宅の病院に来る研修医さんたちいますね。こういうことができる特定看護師さんと一緒に仕事をするという場面によって、相当程度に、逆にえらく勉強しているのではないかと思うのですけれども、そこら辺はいかがですか、皆さんから。つまりチーム医療がすべて相互のリアクションがありますので、その中に入ることになる。入ることによって、あなたも変わるでしょうし、あなたがいることによって医者も変わるでしょうし、そういった意味で、多分研修医が相当程度違ってきているのではないかという気がしないでもないのですが、そこら辺、教えてください。
○冨岡参考人
 私は看護の視点から、看護の質問含んで、後はそれが診療に生かせるようなというところで、そこを意図しながら臨床推論を活用しながらやっているところで、臨床研修医の人との違いが出てくるのが、家族背景とか、そういった生活に関するような情報が少しとり方が違うかなというところで、例えば私が、先生、この人の家族のお父様は既往あるけれども、関係性とか、その辺、例えば自殺を起こしたような患者さんのときの情報で、そういった家族関係が背景にあったならば、そこの関係性のところがどういうようなところに今回あったのか、これはあくまでも1例ですけれども、そういったような細かい情報をとっていき、後々その患者さんの精神的な不安や動揺を抑えるのに、その人の家族のやりとりを早いこと調整を図っていって、転院先の病院を見つけるのに生かしていこうかとか。
○有賀座長
 そういったことを研修医が見て勉強しているに違いないという、そういうふうなことでいいのですね。
○冨岡参考人
そうです。研修の人もそういったようなところを含めて、家族の人の情報をとっているというような傾向あると思います。
○有賀座長
 ありがとうございます。ということで、座長の権限で、最後だけやらせていただきました。
 まだ、聞きたいことがいっぱいあると思いますけれども、ここでストップということで、3人の方々、どうも本当に今日はありがとうございます。もう一回、拍手をお願いします。
(拍 手)
議題は(1)、(2)、(3)とありますけれども、(1)でほとんど費やしていますので、と「特定行為について」、事務局の用意していただいた資料を少し説明していただいて、その資料についての説明についての質疑がもしあればということで、後の残りの時間を費やしたいと思います。事務局、たくさんつくった割に時間が少なくなって困っておられるかもしれませんが、そこをよろしく。
○島田看護サービス推進官
資料4-1、4-2、4-3につきまして説明させていただきます。事前に先生方にはごらんいただけていますので、簡単に説明させていただきます。
資料4-1でございますけれども、本日、議題といたしました「特定行為」についてということでございましたが、前回のワーキングでこの特定行為についてどのように考えていくかということを、この資料4-1をお示しして御説明いたしました。
「行為の侵襲性(行為の難易度)」、「指示の包括性」、「判断の難易度」という軸で分けて、「絶対的医行為」、「特定の医行為」のB1、B2、C:「一般の医行為」と分けて考えてはどうかということでお示しをいたしました。
2ページですけれども、それぞれの軸につきまして、段階を設けて、ここでは「指示の包括性」については3段階、「行為の侵襲性」については4段階というものを設けて分類していってはどうかということで提案をしております。
3ページのところでは、具体的にはこういう行為を分類していくというイメージではないかということでお示しをしておりまして、4ページで、その特定行為を検討する上では患者さんの状態、実施者の条件、環境要因といったものについてそれぞれ標準的な場合を念頭に置いて検討を行ってはどうかということで提案をさせていただいたところでございます。
これに基づきまして、本日、資料4-2、4-3ということでたたき台を準備しております。
行為の分類についてフローで資料4-2でお示ししておりますけれども、こういった流れで分類していってはどうかということでございますが、まず、行為それぞれに表現いろいろされておりますけれども、どういった行為の内容なのかということを定義して、その中で、内容によっては、203項目の中にも手術サマリーの作成というような、恐らく医行為ではないであろうというものも含まれていたりもしますので、医行為ではないものを除外をし、医行為に該当するものについて、以下の要領で分類していってはどうかと考えています。
まず、法令や通知で、保健師、助産師、看護師、その他の医療関係職種の法令通知で「診療の補助」と示されているかどうか。示されているとなりますと、「診療の補助」に該当することになりますが、示されていないものが多くございますけれども、そういったものについて個々、絶対的医行為なのか、「診療の補助」に該当し得るのかということを判断する。
後ほど、更に詳しく御説明いたしますけれども、一定の考え方で整理をいたしまして、絶対医行為なのか、Bの特定行為なのか、一般の医行為なのか、更に検討が必要な行為なのかということで分類をしていってはどうかと考えております。
 こういった分類でございますけれども、1ページの下の点線で囲んで囲んでいるところですが、医療技術の進展や看護師等の教育環境の変化等に伴い、どういう分類に位置するかということは今後も変化する可能性がありますので、適時検討を行っていくことが必要ではないかということで記させていただいております。
 2ページは、今、申し上げましたことの流れをお示ししているものですが、2番のところに「検討の対象とする行為」というのを記載しておりますが、この検討会で、平成22年に実施をしていただきました看護業務実態調査における調査項目(203項目)ございますが、そちらをまず分類していってはどうかと考えております。
そして、養成調査試行事業、業務試行事業の中でも203項目以外にも実施されているものがございますので、そういったものを検討する。
更には、この203項目と試行事業でやられているものがすべての領域ではございませんので、その他必要と認められる項目について検討を進めていってはどうかと考えております。
こういった考え方に基づきまして、資料4-3でございますけれども、医行為の分類をしてみております。
203項目のうち、先ほど資料4-1の3ページでプロットを試しにしております行為を中心に24の項目について、2ページ以降にございますけれども、「医行為分類検討シート(案)」というものを作成しまして分類をしてみております。
おめくりいただきまして、下に1ページとございますが、資料4-3の1ページでございますけれども、例えば「動脈ラインからの採血」、これは調査項目(203項目)の行為番号:1となっておりますが、「動脈ラインからの採血」というものをとってみますと、行為としては、概要として、「事前に確保されている動脈ラインから、動脈血を採取する」。
2番目が、先ほど標準的な場面を念頭に検討するというふうにいたしましたが、どういう場面が標準的かということでここに記載してございますが、「病棟のリカバリールーム、ICU(集中治療室)、CCU(冠状動脈疾患管理室)等で、持続的な血行動態の把握又は経時的な血液ガスの分析を目的として動脈ラインが確保されている患者に対して、医師の指示に基づき、看護師が動脈ラインから動脈血採血を実施する」というのが標準的な場面ではないかということで記載をしております。
「3.現行法令における位置づけ」というのを記載しておりますが、これは行為によってないというふうになっているものもございますが、動脈ラインからの採血につきましては、臨床検査技師等に関する法律で、「採血」というのが記載されておりますのと、臨床工学技士法に関する解釈の通知を出しておりますけれども、その中で、動脈留置カテーテルの採血を行うという行為については、人工呼吸器の操作を安全かつ適切に実施する上で当然に必要となる行為であることを踏まえ、臨床工学技士法第2条第2項の「生命維持管理装置の操作」に含まれるものと解釈されるという通知を出しております。ですので、動脈ラインからの採血については明確に診療の補助と位置づいていると解釈されております。
「4.看護師の実施状況」ということで、研究班の看護業務実態調査の回答、同じ調査項目で日本医師会さんのほうで調査をされておりますので、それについての回答をデータとしてお示しをしております。
5番では、養成調査、業務試行事業でどのような実施状況かというのを記載しております。
「6.看護基礎教育・新人看護職員研修における関連項目」というのがございますけれども、現在、看護師に関しまして規定されております教育としては、免許取得前の看護基礎教育と、努力義務ということで新人看護職員研修というのがございますが、それらでそれぞれ到達目標をお示ししておりますので、その中で動脈ラインからの採血に関連する項目がどのように教育されているかということをここに記載をしております。
この項目番号は、資料4-3の別添ということで後ろのほうに表が付けてございますので、細かくはごらんいただければと思いますけれども、前半のほうに看護基礎教育の番号、後ろのほう、「★」が付いている表がございますが、そちらのほうに新人研修における到達目標というものが記載してございまして、ここの表にあります6番の表にございます看護基礎教育の123というのは、血液検査に関する目的の理解し、目的に合わせた血液検体の取り扱い方がわかるという項目になっておりまして、それ以降、125から129は、感染予防技術に関しての知識を持っているか、取り扱いができるかどうかといったようなことが前教育でされているという項目であります。
新人研修でも同じように、「症状・生体機能管理技術」の?で動脈血採血の準備と検体の取り扱いという項目がありますのと、「感染予防技術」の中では、?スタンダードプリコーション(標準予防策)の実施といったような項目が関連項目としては修得されているというようなことを示しております。
これらを踏まえまして、「7.評価項目」のところで、先ほど申し上げた行為の難易度と判断の難易度を2軸に照らし合わせたときに、この行為についてはこのあたりに該当するのではないかということで「○」をつけておりまして、これらを総合的に勘案して、この動脈ラインからの採血については、一般の行為:Cに位置づくのではないかということでてたたき台を作成しております。
以下、24の項目について同じような流れでそれぞれ分類をし、「総合評価」ということで、それぞれA.B.C.Dというものをつけているというものでございます。
以上です。
○有賀座長
どうもありがとうございます。
○星委員
前回も発言したかもしれませんけれども、なかなか玉川さんが聞いてくれないので、私はじゅくじゅくしていたのですが、例のこれまで厚労省が出したいろんな通知や解釈論についての整理をしてほしいということをお願いして、一部この中に示されているのですね。これが全部網羅しているのかどうかというのを後で知りたいというのが1点。
それから、保助看法の規定にかかわらずといって特出しをしているその他の技術職のできるということは、すなわち保助看法でいうところの看護師さんができるということと私は理解しているので、そのあたりの整理を少し皆さんにわかるようにしてもらいたいと。臨床検査技師法で心電図とれますよといったときに、看護師はどうなのという話は、これは臨床検査技師法でとれるとなれば、これはそのままとれるということですから、そのあたりの整理をもう少しぶっきらぼうにではなくて、もう少し素人が見ても、みんなが議論できるような素材にもう少し変えていく。非常に苦労したのはわかるので、それについて文句をとやかく言う気はありませんが、もう少し工夫をしてもらうと我々は議論しやすいということです。よろしくお願いします。
○有賀座長
ということであります。残りの資料もついでに説明していただいて、次回の状況をされるときに、また電車の中で見ていただくと。
○島田看護サービス推進官
 資料5でございます。前回、23年度の業務試行事業の実施報告を報告いたしましたけれども、その中でヒヤリハットの報告がなかったということで、それぞれの業務試行事業を実施施設では、この事業以外のインシデント等の報告状況なのかということを把握したほうがいいのではないかということで、至急、この業務試行事業の実施施設に御協力いただきまして追加の御報告をいただきました。それを資料5にまとめてございます。
対象施設は11月の報告をしていただきました22施設からの報告をいただいておりまして、?、?、どちらかの提出を求めております。?としては、9月から11月までの、これが報告対象期間でございましたが、この期間の事業にかかわらず施設全体のヒヤリハット・インシデント・アクシデントの報告数の集計をいただいております。
あるいはその施設における医療安全管理体制に係る組織(医療安全管理委員会)等における最近1回の議事録、こういったものに分析状況が報告されておりますので、その議事録、どちらかを御報告いただいております。
提出状況を下に表としてまとめておりまして、両方、お出しいただいている施設もございました。
3.報告の概要でございますけれども、?については、リスクレベルの分類基準、それぞれ施設によって定めておられましたけれども、患者に実施前に気づいたヒヤリハットも含めた基準が設けられて報告がされておりました。
それから、議事録につきまして拝見したところ、リスクレベルが高い事例や施設が警鐘事例と判断した事例集については、会議で詳細な経緯の報告。
そして関係者によって再発防止に向けた対策の検討が行われていたことを確認いたしております。
それぞれの施設からかなり施設によってはなかなか外に出しにくいものを御報告いただいておりまして、事務局ですべて保管をしておりますので、もし委員の先生方、ごらんになりたいということでございましたら、事務局のほうにおっしゃっていただければごらんいただけるようにしたいと思っております。本日はこの1枚、概要での御報告とさせていただきます。
以上でございます。
○有賀座長
 どうもありがとうございました。とりあえず私はこの会議の前に見せていただきましたけれども、自分らの病院でやっているのと同じなのだと。結構細かく書いているなというふうなことはありました。そこに出席されている委員の方が、こう言った、その次の人が、それに対してこう言った、そして、また、そう言ったというふうな、そこまで詳細に書いているような議事録もございました。議事録を見ると、本当に病院が動いているというのがよくわかります。委員の方たちで、個票として配りまくるのはどうかというようなこともありましたので、今の御発言です。どうぞ、アクセスされればと思います。
 ほかに何か御意見ございますか。
○川上委員
 資料4の2のフローなのですが、フローとは分岐にクエスチョンがあって、イエスとかノーで振り分けられていくものかと思うのですね。今の形では、分岐した行き先を見ないと何で分けたかわからないので、つくり方を変えられたほうが良いのではないでしょうか。
その上で申し上げると、この位置、先ほど星先生もおっしゃいましたけれども、「法令や通知で看護師又他の医療関係職種の診療の補助と示されている」がそのまま下に行くと、「診療の補助に該当し得る行為」になるということは、もう少し丁寧な説明が必要かと思いますけれども、実はその隣にある「法令や通知で看護師又他の医療関係職種の診療の補助と示されていない」ものが、どのようにして「絶対的医行為」と「診療の補助に該当し得る行為」に振り分けるのか、ここのクエスチョンは実は重要なポイントかと思います。
だから、何に基づいて振り分けるのか、フローの形を少し整えられたほうが後の作業はしやすいかと思いました。
○有賀座長
 絶対的医行為とは何かという話に再びなるので、そこら辺はそれぞれの人の内的基準がある程度あるに違いない。ですから、内的基準ではあるけれど、それらを共有しているということを前提にして、この表ができているということなので、分けた後のディスカッションがまた同じことが繰り返されるということになるのだと思います。
 いずれにしても時間が来ました。
○大滝委員
1つだけ、今の話題と関連して、「行為の難易度」および「判断の難易度」の軸の区分の目安と表現が気になりましたので2点だけ意見を申し上げます。1つは「行為の難易度」のところで、「専門医レベル」とか「初期臨床研修医」という言葉が使われている点です。これは医者の養成に関する言葉ですが、ここで検討するのはナースの養成ですので、医師のトレーニングと同じというような表現ではなく、看護教育を意識したより具体的な表現にしたほうがいいと思います。
私も自分なりに考えてみましたが、医師では一番シンプルなレベルとしては、学生同士でトレーニングをすれば、あとは患者さんの承諾がいただければやっていいというもので、例えば身体診察であるとか、大学によっては採血までそのレベルとしてさせているところがあります。次のレベルとしては、学生の時期には模型やシミュレーターで練習して、実際に患者さんに行うのは研修医になってからというレベルです。これはコアカリキュラムで示されています。次のレベルとしては、学生では練習せずに見学だけで、研修医になってからシミュレーターでトレーニングをして、例えばCVなどがそうですが、そういうレベルです。最も上のレベルとしては、ここでいう専門医レベルです。このように、教育のやり方に関する表現で書いたほうがよりイメージしやすいかと思います。
二点目は、もう一つの軸である「判断の難易度」についてです。この案では、3段階になっていますが、この3段階では、どこから先が「看護師は絶対的にしない。」レベルなのかということがわかりにくいように思います。これを看護師が行うということは全く考えられないという段階が4段階目にあったほうが、切り分けの説明がしやすいと思います。
例えば原則的にすべての患者にやっていい非常にシンプルな行為というものと、原則としては看護師がやっていいけれどもシンプルではない幾つかの判断が入ってくるものと、安定している患者さんについてだけやっていいというレベルと、そしてそれ以上のレベルの行為は安定している患者さんであっても無理という、例えば、そういった4段階があるかと思いました。
○有賀座長
 ありがとうございます。医学教育の御専門という立場からすると非常にわかりやすいプレゼンテーションをいただいたと思います。少し知恵を授かって次のプロセスに向かって、また、進歩していきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いします。
時間が時間ですので、これで終わりたいと思います。よろしいですね。
事務局、次の話とかあるでしょう。
○島田看護サービス推進官
 本日、24項目を試しという形でお示しをしておりますけれども、先生方、ごらんいただきまして、この先、まだ203項目に向けてはたくさんございますので、また、進め方は座長と御相談して資料を準備したいと思います。
また、次回の御案内も別途させていただきます。
○有賀座長
 本当に終わりにします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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看護サービス推進専門官 高橋: 03-5253-1111(代表)(内線4174)
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