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2011年12月12日 第57回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部

○日時

平成23年12月12日(月) 18:30~20:00


○場所

厚生労働省専用14会議室


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、犬飼米男、大山忠一、小野真理子、小畑明、新谷信幸、瀬戸実、高橋信雄、谷口元、角田透、土橋律、冨高裕子、中村聡子、古市良洋、三浦武男、三柴丈典

事務局

金子順一 (労働基準局長)
宮野甚一 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
椎葉茂樹 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
中山理 (総務課石綿対策室長)

○議題

(1)労働安全衛生法改正法案について(報告)
(2)「東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則案要綱」について(諮問)
(3)労働災害防止団体及び指定・登録制度の改革の方向性について(審議)
(4)その他

○議事

○分科会長 皆さんこんばんは。定刻前ですが、委員の先生方、皆さんお集まりですので、
第57回の労働政策審議会安全衛生分科会を開催させていただきます。本日は、浅井委員、
日下部委員、縄野委員、中田委員が欠席されています。
 それでは、議事に移ります。本日の議題は、労働安全衛生法改正案の状況の報告、「東
日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係
る電離放射線障害防止規則案要綱」の諮問、労働災害防止団体及び指定・登録制度の改革
の方向性についての審議の3点になっております。
 労働安全衛生法の一部を改正する法律案については、10月24日の本分科会において要
綱の諮問・答申を行いました。今回は、その後の状況について事務局から説明いただきた
いと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○計画課長 いま、分科会長よりお話をいただきました労働安全衛生法の一部を改正する
法律案につきましては、10月24日にご答申いただいたわけです。その後12月2日に内
閣提出法案の第16号の法案といたしまして、臨時国会に提出をされましたが、その国会
が12月の9日が会期末ということでございまして、会期末処理の中でこの法案につきま
しては継続審議扱いということになったところです。この法案につきましては来年、省主
催であります通常国会のほうでご審議いただくという形になろうかと思います。審議の日
定等については、まだ決ってないという状況になっておるところです。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明について質問等がありましたら、
お願いいたします。

○新谷委員 質問ではございませんが、いまの諮問・答申それと内閣から法案が提出され
たというご報告をいただいたわけでありますが、もともとこの分科会での報告は、昨年ち
ょうど1年前に報告を取りまとめて建議をした内容であったかと思います。非常に法案の
提出までに時間を要したということについては、やはり労働政策審議会の権威に係る話だ
と思っておりますので、やはり厚労省の事務方としてはこんなに時間がかかったというこ
とについては重く受けとめていただいて今後こういうことがないように速やかな法案提出
について、これからも心がけていただきたいと思います。以上です。

○労働基準局長 法案の提出が遅くなりましたことについては、我々としても最大限の努
力をしてきたつもりではありますが、結果としてこうなりましたことにつきましては審議
会の皆さんにお詫びを申し上げなければいけないと思っております。今後につきましては、
やはり審議会の答申を重く受け止めて早期の対応ができますように引き続き努力をさせて
いただきたいと思いますのでご理解賜りたいと思います。

○分科会長 よろしいでしょうか。

○高橋委員 ただいまの法案についてなのですが、数点ございまして、1点目は、ただい
ま労働側から発言があったのと一緒です。審議がずれましたということで、いろいろまた
ほかの状況が見えてきたり、いろんな意見が聞こえたりするかもしれませんが、折角建議
をしてここまで手続を取っていただきましたので、是非この真髄を曲げないように手続を
進めていただけたらと思います。これが1点です。
 あとは中に具体的に、例えば電動ファン付きの呼吸用保護具に論及した部分があります
が、こういうものも今度検定化するということですが、それまで少し伸びた分、施行の期
間というものを十分に取っていただきたいと思います。例えば、検定の方法とかそれをや
るための環境資源、そういうものが整わないうちにスタートしますと、いろいろまた現実
問題として、齟齬が起きかねないと懸念いたします。以上です。

○計画課長 電動ファンの検定化に際しましては、もちろん一定の検査経過措置は追うこ
とにしておりますので、成立のあかつきには、それで現場が混乱することのないようにし
たいと思います。以上でございます。

○分科会長 ほかにはよろしいですか。それでは、2点目の議題に入りたいと思います。
東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に
係る電離放射線障害の防止については、前回11月21日の本部会において専門家検討会の
検討状況についてご報告いただいております。その後、11月28日に検討会報告書が取り
まとめられたところでございます。厚生労働省においては、同検討会の報告書を踏まえ、
東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に
係る電離放射線障害防止規則案要綱を作成いたしております。本要綱案については、本日
12月12日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会へ諮問がなされまして、同日に労働
政策審議会長から当分科会において検討することとされました。本日は、本要綱案につき
ましてご議論いただきたいと存じます。事務局から内容について説明をしていただいたの
ち、議論に移りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

○計画課長 お手元に資料1といたしまして、いま分科会長よりご説明いただきました諮
問要綱を付けていますが、参考資料1という形で資料を用意しておりますので、こちらで
趣旨も含めましてご説明をさせていただきたいと思います。参考資料の1です。
 まず、制定の目的等でございます。1つ目のパラグラフにありますとおり、今回の大震
災、あるいは原子力発電所の事故の結果、発電所から放出された放射性物質によって環境
の汚染が生じており、これが人の健康や生活環境に及ぼす影響が非常に懸念されることで
あり、それを速やかに低減するということが喫緊の課題になっております。
 前回の分科会でもご報告、ご照介いたしましたとおり、本年の8月に以下が、法律案の
中身で非常に長うございますが、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に
伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する
特別措置法、議員立法ですが、これが可決・成立しておりまして、来年の1月1日に全面
施行ということになっているところです。この「特措法」におきましては、(1)の?のと
ころにありますとおり、放射性物質によって汚染された廃棄物の処理ですとか土壌等の除
染等の措置に関する基準というものがこの特措法のほうで定めることになっております。
その作業に従事します労働者の健康障害を防止するための措置ということは講じられてお
りません。そちらのほうについては安全衛生法の体系ということの従来の考え方に基づい
てそうなっております。
 では、現行の電離放射線障害防止規則、いわゆる電離則がどうなるのかということです
が、(2)にありますとおり、「電離則」につきましては一定の場所に放射線源が存在して
いて一定の管理区域という考え方の基に、労働者が主に屋内で作業をすることを前提とし
た法規制になっておりまして、今回の廃棄物の処理でありますとか、あるいは除染といっ
た放射線源が点在している上に、労働者が屋外で働くということを前提にしたこの特措法
の業務についてのそういう作業形態に対応した措置というものは講じられてないわけでし
て、いわば電離則をもってこの除染等の作業をする労働者の健康障害防止措置を図ること
ができないという形になっているわけです。
 この特措法に基づきまして、11月11日閣議決定されました基本方針におきましても、
「環境汚染への対処への実施に当たっては、作業を行う者の安全が確保されることが大前
提である。このため事業者は、環境汚染への対処に従事する者の放射線防護等労働安全衛
生に細心の注意を払い、当該従事者が受ける線量の管理、当該従事者が知識を得る機会の
提供等を行う」と明記をされているところです。まさに、ここの部分を受ける形で事業者
に一定の措置を義務づけるというものが今回、本日ご諮問しております省令「除染則」で
すが、これを現行の電離則とは別に制定をさせていただきたいという旨の諮問です。
 2の概要のところですが、この除染則の中におきましては、あとで用語の説明に出てま
いりますが、除染特別地域等、概ね1年そこにおりますと、1mSv/年以上の被ばくが懸念
される地域ですが、その地域内におきまして土壌等の除染等の業務、あるいは廃棄物収集
等の業務を行う事業者に対して以下申し上げます義務を課すというものです。これは、労
働安全衛生法の22条に基づきます省令ですので、この議務につきましては基本的に罰則
がついているという形になるものです。基本原則及び定義ですが、まず1章の関係です。
原則といたしまして、労働者が受ける電離放射線をできるだけ少なくするように努めなけ
ればならないということです。これは、電離則にもありますが、被ばくの限度があるから
といってそこまで無条件に被ばくさせていいということではなくて放射線によります健康
障害には閾値がありませんので、極力低くしていただくということが必要ですので、その
旨の原則規定をまず書かせていただいておるところです。
 定義の関係ですが、この除染則におきまして大きく2つの範疇の業務についていろいろ
な措置をお願いするわけです。1つ目が「土壌等の除染等の業務」というものです。これ
は特措法の除染特別地域等具体的には次の頁にありますとおり、除染特別地域という警戒
区域と計画的避難区域が合わさったような地域ともう1つ、2頁目のいちばん上のところ
ですが、除染状況重点調査地域というこの2つのものが合わさったものが基本的にその除
染等対象となりうる地域です。ここにおいて事故によって放出されました放射性物質によ
って、汚染された土壌等についてその除去、あるいは除染汚染の拡散の、その他の措置と
いうものが1つのグループです。いわゆる除染関係の仕事です。
 もう1つ目がウ「廃棄物収集等業務」とありますが、これはその除染等の作業の結果出
ました除去土壌、あるいは汚染廃棄物、それが1万Bq/kg以上に汚染されているものです
が、それらのものについて収集し、運搬し、あるいは保管する業務です。これが2つ目の
範疇です。この2つを併せましてエにあります「除染等業務」といっているわけです。こ
れが今回の除染則の対象となります作業員の業務という形になります。
 (2)で被ばく限度及び測定の関係第2章の関係です。限度につきましては、(2)のアのと
ころですが、5年間で100mSvをかつ、1年間で50mSv、女性労働者については3ヶ月で
5mSvということで、これは電離則と同レベルのことです。イですが、対象地域によって、
対象業務によって、労働者が受ける被ばくについては線量を測定し、記録30年保存する
とともに、労働者に通知をしなければならないという形です。30年保存につきましては、
電離則と同様5年保存後は厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すということが可能とし
ています。ウのところですが、線量のうちの外部被ばくの測定につきましては、場所は男
性については胸部、女性は腹部ということにしています。
 次に、前回報告させていただきましたが、今日も5頁のほうに付けている例の絵です。
除染が対象になっている地域が年間1mSv以上でうち、5mを超えるようなエリアがA、1
から5の間がBと。1未満が不要というこのチャートを思い出していただきたいと思いま
す。元へ戻っていただきまして、2頁のウの「また」のところですが、平均空間線量率が
2.5μSv/hを超えるAというエリアで作業する労働者については放射染測定器を装着しな
ければならない、いわゆる線量計を装着して外部線量を図らなければならない。ただし、
2.5μSv/h以下の地域、これはBという地域ですが、ここにつきましては外部被ばく線量
については厚生労働大臣が別途定める方法でもよいということで、これは省令ではなくて
告示で定めますが、平均的な代表者による線量あるいは空間線量から計算によって測定し
た線量でもよいという考え方です。
 次に、内部被ばくの関係がエですが、ここにつきましては2つのメルクマールです。エ
の1行目のところですが、まずAというエリアで働く労働者ですが、全員ということでは
ありませんでAというエリアで作業する労働者のうちで、取り扱う汚染土壌、あるいは廃
棄物等が1kgあたり50万Bq以上というふうに高度に汚染されているもの、そこでは、高
濃度汚染土壌等といいますが、まずこれを取り扱う作業であるということと、もう1つ作
業の環境が粉じん濃度が10mg/m3を超える、この両方を満たすような高濃度の汚染物質を
扱い、高濃度粉じんの環境下において、Aのエリアで従事する労働者については、電離則
と同様に3ヶ月に1回内部被ばくの測定を行わなければならないという考え方です
 次は、ただしのところですが、これはどちらかが外れている場合です。50万Bq以上の
物を扱うが10mg/m3までの高濃度の粉じん作業ではない。あるいは、10mg/m3あたり以上の
粉じんの濃度の作業だが、扱う物が50万Bqまではいかないと、そういう方につきまして
は厚生労働大臣が定める方法によって内部被ばくの検査を行うということです。これにつ
いてはそこに書いてありますように防じんマスクの表面、あるいは鼻の鼻孔内の表面の汚
染状況をスクリーニングすることによって変えるということです。このスクリーニングの
結果、内部被ばくが懸念される場合については、ホールボディカウンターの測定のほうに
行っていただくといういわば2段階の内部被ばくのリスクに応じて分けているという形で
す。オ、ある一定の労働者が電離則適用下の放射染業務とこっちの業務と両方やるという
場合もありえますので、そういう場合は当たり前ですが線量を合算するという考え方です。
 (3)ですが、業務を実施するに当たって取っていただく措置です。まずアですが、作業
前に作業場の線量等を調査して、記録していただきます。ここは当然その線量によって取
っていただく措置が変わっていきますのでやっていただく。次にその作業前にそこにあり
ますような事項についての作業計画を策定して、労働者に周知していただきます。うちは
こういうことで、こういう線量なのでこういう措置が必要なのでこういうふうにします、
こういうように図ります、こういうように被ばく低減措置を取りますよということを前も
って労働者に周知していくと。3頁の上のところですが、作業指揮者を選任していただき
ます。エですが、Aというエリアの作業計画につきましては、事前に監督署に提出してい
ただきます。提出していただきます主体としては、元請事業者という考え方です。オ、当
然のことですが、被ばく限度の基準を超えたような場合については速やかに医師の診断等
を受けさせていただく必要がありますし、その状況について監督署長のほうに報告いただ
くということです。
 (4)4章の汚染の防止の関係です。やはり粉じんが舞うか舞わないかによって内部被ば
く等のリスクは、まったく変わってまいりますので、湿潤な状態にする等の措置を講じな
ければならない。要するに噴霧して、湿めらせてもらって、埃が舞い上がらないようにし
ていただくということです。イ、除去しました土壌等を保管するときは、原則としまして
一定の基準を満たしたあと、容器に入れていただいた上で、近づかないように開けたりし
ないように表示をしていただく。労働者が作業場から退室する際には、その汚染状態につ
いて検査をいたしまして、一定の基準以上汚染されているという場合は、身体を洗ってい
ただくと。あるいは、汚染されているものを持ち出してはいけないということです。当然
作業をさせる場合については保護具を使用させなければならないということですし、保護
具が汚染されたような場合については、きちんと除去しないと労働者には使用させてはい
けない。作業場においては吸入するおそれがある場合については、飲食・喫煙を禁止しな
ければならないということです。
(5)の労働者教育につきましてです。これは、この労働者に対して特別の教育を実施しな
ければならないということです。
 (6)健康管理の問題です。健康診断ですが、まずこの業務に従事する労働者については、
雇入れ時、配置転換時、その後6ヶ月に1回定期に特別の健康診断を実施しなければなら
ない。ただし、医師が不要と認める場合については省略もできるという考え方です。イ、
結果に基づきまして個人票を作成して30年間保存。ただし、5年後は引き渡すことが可
能です。ウ、健康診断の結果、医師の意見を聞いて、その意見を個人票に記載しなければ
ならない。
 エですが、結果を労働者に対して遅滞なく通知するとともに結果については、報告書を
署長のほうに提出しなければならない。診断の結果、健康障害を生じているおそれがある
という場合については、それが解消されるまでの間、業務の転換等健康保持に必要な措置
を講じなければならない。
 (7)その他です。当然こういうことをお願いするに当たっては事業者は放射染測定器を
備えていただく必要があるという形です。イの事業を廃止するという場合につきましては、
持っていた測量の記録、線量の記録とか健康診断の個人票等は大臣が指定する機関に引き
渡していただくとともに労働者にも写しを交付する。労働者が離職する際にはその写しを
労働者に交付していただくということをお願いするという形です。
 (8)附則の関係です。特別教育を必要とする業務は、安衛則、労働安全衛生法施行規則
のほうに書いてありますので、そちらのほうに今回の除染等業務を追加します。電離則と
除染則がダブったりしないように電離則は、除染則の規定する業務から外すということで
す。引き渡し先の指定機関についての指定基準等を定めますし、今回の特別健康診断は派
遣先のほうにお願いするという形になるため、それについては必要な手当をする。書面等
については、紙媒体だけではなくて、電磁的な記録によってもできるというようなことも
措置をするということです。その他必要な改正を行うこととするというところです。これ
につきましては、特措法が来年の1月1日をもって全面施行となりますので、それに併せ
まして平成24年1月1日ということで考えているところです。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対してご質問があり
ましたらお願いします。

○新谷委員 この規則の重要性については理解をしていますが、この東日本大震災での被
災地域並びにこの福島第一原発によって汚染された地域の除染ということは、この地域で
の復興を1日でも早く実現する、あるいは、安心した生活を取り戻すということにとって
非常に重要な取組だと思っています。ただ一方、いままで医療施設や原子力施設等々に適
用されていましたこの電離則は、規則の制定からもう既に40年近く経過をする歴史があ
ります。また、対象事業者の間でも非常に浸透している規則である一方、今回施行になり
ますこの除染則は、対象となる事業者が非常に広い可能性がありますし、また、施行が来
年の1月1日ということで、非常に施行までの期間が短い規則が新規に適用されるという
ことになりますと、やはり、この規則の中身の周知というものが重要だと考えています。
この除染則では、労働者に対する教育は事業者の責任の元で実施をするということであり
ますが、この除染作業に従事するという方は非常に幅広い労働者が従事すると思いますし、
事業者についても、こういった放射線の影響の下での作業というのは慣れていない事業者
も非常にたくさんおられるということから言えば、やはり、事業者の理解度を上げていく
ということが非常に重要だと思っています。この除染則の内容の周知徹底に向けて、特に
事業者を対象とする理解しやすいマニュアル等、あるいは、事業者に対する研修等々を、
政府としても積極的に支援すべきであると考えていますが、非常に短期間の中での周知も
含めて、今後この周知徹底について、機材の整備等々を含めて、どういったことをお考え
になっているのかということをお聞かせいただきたいと思っています。以上です。

○分科会長 ありがとうございます。どうぞ高崎課長。

○計画課長 いまの新谷委員のご指摘はごもっともだと思います。私どもも、問題意識は
同じで、そういう意味では、そのスケジュール自体、タイトなものであらざるを得ないと
いうのはやむを得ない部分もあります。その中でも最大限のことをしたいということで、
除染の関係する県と言いますと、岩手、宮城、福島、栃木、群馬、千葉、埼玉なのですが、
ここの労働局に対しては、もう既にこういう内容で規制措置がとられるということを前も
って当然情報提供しています。既に、年内にも事業者を対象としました説明会などをセッ
トするという形で、できる限りで準備も進めています。それに際しましては、当然県との
連携というのが大事ですので、既に私どもの労働局は県のほうと調整に入っていまして、
そういう説明会などについても県と連携しながらやっていくと。これについては、年明け
より本格化すると思いますので、これについても、本格的に行政主体もやりますし、ある
いは、ご協力いただける災防団体ですとか、あるいは、そういう各種団体とかありました
ら、そちらのほうにも積極的に協力のお声掛けをして、そちらのほうでもやっていただく
ということについて、それらについても支援していくということです。政府全体としても、
幸いにしてというのは何ですが、これから冬の時期になりまして、雪が降りますとなかな
か除染とかいう作業が思うに任せないということがありまして、本格化するというのは、
3月以降ということがありますので、それで安心してはいけないのですが、とにかくこの
1、3月の期間は、集中して説明なり労働者に対する周知とか、そういうことを重点的に
やりたいと思いまして、いまその準備に入っているということです。それに使いますテキ
ストについても、確かに規則の写しでは、これは非常にわかりにくいです。実は、今回の
ご諮問申し上げていますのは、規則だけですが、これに加えまして、事業者の方にもらっ
ていただくことが望ましいような措置も含めましたガイドライン的なものも併せて作るよ
うにしていますし、そのガイドラインを、もう少しわかりやすい表現で、皆さんが読める
ような読み物形式のものにできればしたいと思っています。それでもやはり限界がありま
すので、それらをよりわかりやすく解説するようなパンフレットというものを急ぎ準備を
したいと考えています。そういうことで、最大限努力をしていくということで、もう既に
準備に入っているということです。

○三浦委員 ちょっと聞きたいのですが、いま2頁で、作業指揮者を選任ということで書
かれているのですが、作業指揮者というのは、何か資格関係を求めるような形になるので
しょうか。

○計画課長 作業指揮者の資格、教育というものについては、今回除染則のほうでは措置
していませんが、ただ、確かに三浦委員のご指摘のとおり、作業指揮者が誰でもいいとい
うわけにはならないことはそのとおりだろうと思いますので、この方々が、一定のカリキ
ュラムの知識なりを得た方である必要があると思っています。そこについては、除染則に
基づく教育ではありませんが、先ほど言いましたガイドラインの中にそういうようなカリ
キュラム、あるいは必要な時間数なども明記した形で作って、いわゆる強制するという形
になりませんが、そういうような形でお願いしていくということで考えています。そうい
う意味では、行政指導ベースではありますが、この作業指揮者についての一定の知識を持
たれた方にお願いしたいと考えているところです。

○分科会長 よろしいですか。

○計画課長 そういう取扱は、いままで安衛法の中ではやってきた手法です。

○分科会長 そうですね。

○古市委員 いま、新谷委員から、事業者の理解度を上げるための研修等についてご意見
がありまして、誠にそのとおりだと私も思っています。この事業は、請負で仕事をしても
らうということになるわけですね、事業者に対して。請負ということになりますと、普通
は元請になった方が、労働者を全部雇用してすべて作業員を雇用すると、こういうことに
なりにくいと私は思いまして、数次にわたる請負が行われる可能性が非常に高いと思って
います。この事業は、建設の事業ではないという位置付けのようでありますが、建設類似
の仕事でありますので、建設の事業者及びその建設周辺の事業者が参入してくることが非
常に高い確率で考えられると思っています。実は、今年、国土交通省は公共工事等に参入
している建設事業者の下請取引の実態調査結果というのを11月に発表しているのですが、
14,548社の事業者を調べた結果が発表されていまして、それによりますと、建設業法に
基づく建設業法の遵守度合、法令に違反していない事業者は226事業者しかいなかった。
調査したうちの1.89%しか問題のない業者はいなかった。裏を返すと、98.11%は法令に
違反した事例が見られたという報告がされています。こういう事業では、数次の下請が行
われるということになりますと、労務管理の徹底が非常に疎かになる可能性があるという
ことが、強く懸念をされるわけであります。この30年にわたって管理をするのですよと
いうことについて、要するに、誰がどこに行ってしまっているかわからない、管理ができ
ない、こういったことになりかねない可能性が非常に高くありますので、そういうことが
発生しないように、是非、スタートから万全の体制をとっていただくようにお願いを申し
上げたいと思います。
 もう1つありまして、この問題は事業者だけではなくて、発注者の側が、生まれて初め
ての経験をするわけでありまして、発注者の能力が決して高いとは言えないわけでありま
す。特に、地方公共団体においては、その傾向は非常に歴然としていまして、建設業の公
共工事の発注においても、発注者による元請人へのしわ寄せの状況などについて、先ほど
申し上げました国土交通省の下請取引等実態調査結果によりますと、発注者の責めによる
法令違反の状況が非常にたくさん見られるわけであります。日常的に仕事を行っている公
共工事の発注でさえも、そういうことが行われるわけであります。要するに、人員の少な
い市町村がこの事業を初めて行うということですから、発注者としての力量と言いますか、
技術的な能力、そういったことについて初めてのことですので、発注者に対する指導とい
うのも万全を期していただきませんと、事業者だけに言っても、本当は発注者の責めによ
る不具合ということが出てくる可能性は非常に強くありますので、そこは両々併せて万全
を期していただくようにお願いを申し上げます。

○分科会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

○計画課長 今回の除染等の作業については、国が責任をもって行うわけです。発注主体
としては、国あるいは市町村という形になります。それら全体、この除染作業を統括して
いますのが、この建物の上にあります環境省ですが、環境省の担当部局とは、我々はもう
本当に日常毎日のように連日のようにいろいろな打合せを当然しています。まさにご指摘
のとおり、環境省にはそういうノウハウがない部分もありますので、そこら辺については
十分やっているところです。実態から申し上げますと、環境省に聞いたところによります
と、今回の除染等の作業については、重層の下請は認めないという形で、一次下請しか認
めないという形でやるという方針だとは聞いています。ただ、実態がそうなるかどうかと
いうのはありますので、その請負の関係になった場合に、きちんとそういう下請の事業者
も含めた徹底がされる必要があると思いますし、もちろんそういうことについては、我々
も注意していかなければならないと思います。先ほど言いました、この規則に定めました
事項も含めたその他諸々の事項を入れたガイドラインのほうでは、安衛法における統括元
請の管理体制みたいなものを今回の除染作業にも入れて、そうなった場合であっても、元
請が責任をもって一元的な線量管理ですとか、いま東京電力事故の収拾作業については、
まさに東電に一元的にそういうことをさせていますが、除染作業については、元請の事業
者にそういうような形をお願いしていくということも盛り込んで、そういう形で運用をし
ていきたいと思っています。そもそもの発注者自身の問題ということについて、これまた
非常に正しいご指摘であろうと思います。その点についても、いま、例えば、発注契約の
中で、どういう形で発注契約なりを盛り込んでいくのかとか、そういう形についても、我
々は現実に、環境省サイドのほうからいろいろアドバイスも求められていますので、私ど
もは、そういう形で発注の契約の段階で盛り込んでいくべきものは盛り込んでいただいた
ほうがいいわけですから、そのようなことも含めて、いま環境省と連携をとってやってい
くという形でやっていますので、これらについて努力をしていきたいと思っています。 

○古市委員 すみません、続けて申し訳ございません。いま、ご答弁をいただきましたの
で、是非頑張って万全を期していただきたいと思います。それで、いまご説明の中に、数
次の下請は基本的に認めないのですよと、一次下請だけですよと、こういう方針であるよ
うだというお話がありました。それであれば非常に有り難いのでありますが、労災保険の
料率のところで、この除染作業にかかる料率の議論があったとお聞きをしていまして、こ
れは、除染作業は建設の事業ではないから、新たなものを作ったのだよと、一人親方の料
率も議論したと、お聞きしています。一人親方がこの作業に従事するであろうということ
を、厚生労働省はそれとなく念頭に置かれているのだと思いますが、普通の建設業の元請、
下請の関係では、元請からいきなり一人親方が事業者として仕事をもらうということはあ
まりないわけです。そこは、一次下請、要するに二次の下請というのは、基本的にないよ
うな仕組みでやっていくのですよということについて、もう少ししっかりやりますという
ような答弁があると嬉しく思います。

○計画課長 労災の話はともかく、このAですね、地域の、5頁のほうを見ていただけれ
ばと思います。ここの、先ほどご説明しましたAという地域、Bという地域とありますが、
それ以外に、線量管理が不要な緑の点線の枠で囲まれた作業による実効染料が年1mSvを
十分下回るエリアというものがありますが、そこにあります意味で、そこの下のところに
書いてありますが、「ボランティア等はこの回数を上回らない範囲内で作業をする」と、
要するに、ボランティアについては、管理が不要なエリアでボランティアをしていただく
という考え方に立っていますが、その場合、ボランティアに限らず、右の上のほうに青い
枠で囲んでいます部分ですが、ボランティア、あるいは、自分の家を除染される住民、自
分の田畑を除染される農業従事者、あるいは、ここにありますように、自営業者、一人親
方のような自営業者の方、あるいは、自らの会社を除染する、自分の会社を除染する労働
者の方々については、それらの方々については、ここの青の範囲内で働いていただくとい
うことでして、逆に、そこで働いていただく限りにおいては、1mSvを下回っていますの
で、線量管理等は不要になるという考え方です。いわば、1mSvを超えるような作業によ
って被爆をされるような方については、これはもう専門業者に限る。専門業者は、雇って
いる労働者を使って自らこの除染則に基づく責務を果たしつつ、除染に入っていただくと
いうことを原則として掲げており、そういう中にきちんと発注も填るように、いま環境省
サイドで発注要件について詰めているということです。そういう意味からしますと、もち
ろん、実態というものは常に規制とかは別の部分が有り得ますので、全然心配がないとい
うことにはならないと思いますが、あくまで大枠としては、いま言ったような形で、1mSv
を超える被爆がある方については、これはきちんと事業者が責任をもって線量管理、健康
管理をする労働者にやっていただくという、そういう考え方を基に考えています。

○古市委員 わかりました。

○分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。ほかには、どうぞ。

○谷口委員 いまのご答弁の中で、ガイドラインが非常に重要であるということを改めて
認識をしました。今回は、非常に範囲が広範囲に及ぶことですとか、従事する事業者も年
度内で3万人を超えると伺っていまして、非常に多くの事業者が長きにわたって事業に従
事するということでありますし、また、事業者の皆様も土木業、あるいは、建設業といっ
た形で、被爆については不慣れな事業者の方が引き受けるということになりますので、是
非、ガイドラインの中で、線量情報の運用がしっかりと除染則に沿って運用されるような
ガイドラインを定めていただくということを改めてお願いをしておきたいと思います。ま
た、加えて、あってはいけないことですが、被爆線量の測定管理に漏れといった不備があ
った場合に、事業者に対してどういう対処をするのか、この点についてちょっとご質問を
させていただければと思います。

○計画課長 ガイドラインについては、まさにこの図の全体の黄色の枠で囲んでいますと
おり、すべてのエリアについて、いろいろお願いしたりすることをガイドラインの中に盛
り込むという形ですので、そこの中で、必要な事業者にお願いをすることについては、望
ましいレベルまで含めましてこの中で書いていきたいと思っています。たぶん、次回の分
科会のほうでは、このガイドラインについてもご報告できるのではないかと思っています。
除染則に基づきます措置については、先ほど言いましたとおり、安衛法の義務の中身とい
う形になりますので、当然それに違反した場合については罰則があるわけですが、これは、
通常の労働安全衛生法の規定、あるいは、労働基準法の規定と同様に、労働基準監督官が
施行するという形になりますので、違反が確認された場合については、是正勧告書を切り
まして、是正を求め、それでも是正していただけない場合については、司法の処分に服し
ていくという形になるということです。

○三柴委員 確認の趣旨になると思うのですが、要するに、労働側の委員の先生方がご心
配なのは、危険の下請化の問題だと思うのですが、計画課長のお話からすると、1つは、
注文の仕組みでそうした問題には制約をかけると、もう1つは、行政による指導で、おそら
くはガイドラインを作るということも含めて、行政による指導で対処していくと。その際
に、既存の安全衛生法の特定元方事業者等に対する規制の趣旨も踏まえていくということ
で、二重の防止策が打てるようになる。特に、注文の仕組みで制約する部分は、生じ得る
問題に対する事前の予防という趣旨かと思うのですが、この除染則自体は安衛法第22条に
基づくとご説明いただきましたので、そうすると、いままで建設業等、危険な特に災害の
多い産業を規制する規定を直接適用はできないけれども、そうした規制の趣旨を踏まえて
指導を強化していく、また、そうした状況について、実態についてモニタリングを強めて
いくという趣旨、こういう趣旨で理解させていただいてよろしいかというところだけ、確
認の趣旨でお尋ねしたいと思います。

○計画課長 モニタリングというのは、ちょっとあれですが、いわゆる、監督官が巡回指
導するという意味でおっしゃっているのだとすると、いま、三柴委員が言われたとおりで
す。

○分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、ほかにはありませんでしょうか。

○小畑委員 細かいところで1つ質問をさせていただきたいのです。第4章の「汚染の防
止」というところになります。いただいた資料1の縦書の、こちらのほうでいきますと
13頁のところになるのですが、「退出者の汚染検査」というところがあります。作業場
またはその近隣の場所に汚染検査場所を設け、検査をするとなっているのですが、ふくい
ちの場合はJヴィレッジがあるので問題なかろうかと思うのですが、今回想定したもっと
広範囲ということになると思うのです。元方事業者というのも、ゼネコンなり建設土木と
いうことになると、その下請、もしくは二次、三次ということも現実問題としては有り得
るという中で、この近隣の場所に汚染検査場を設けるというのは、どんなふうに実際問題
設けていくのかなという、その辺のところがちょっとお聞きしたかったということです。
お願いします。

○計画課長 労働安全衛生法の体系は、事業者責任の元の措置ですので、基本的にその義
務というものは、あるいは責務というものは、事業者個人、一人ひとりが負っていくので
すが、それは、別に一人ひとりがこの検査所を設けなければならないということを意味す
るものではありませんので、基本的には1つの企業体なり、あるいはグループで、あるエ
リアの除染というものを請け負った場合については、そのエリアごとに作るということも
有り得ますし、もっと言いますと、市町村発注のものになりますと、例えば、その市町村
のほうで自分たちの市なり、市はちょっと大きいからないかもしれませんが、町村であれ
ば、もうエリアが限定されてきますので、そこについては共同でここで検査していきます
と、まさに、福島第一原発的なものをそれぞれの除染のエリアごとに設けていくというこ
とが、より現実的であろうと思いますが、その趣旨が今回のこの除染則に基づく、汚染を
作業場の外に持ち出さないという、その原則の部分が貫かれていさえすれば、それはこの
要件を満たしていると考えられますので、その辺りの細かい考え方につきましても、先ほ
ど言いましたガイドラインなり、あるいはパンフレットのほうで詳細に情報提供させてい
ただきたいと思います。

○分科会長 輸送の話は。

○計画課長 輸送につきましても、例えば、汚染された物なりいろいろな物が広い意味で
の除染エリアの中を行き来する、外に出ないのであれば、それはそれでいいでしょうし、
ただ、外に出す場合についても、一般的なエリアを通って別の作業に行くという場合は、
当然きちんとした、密閉したもの、あるいは、その汚れが外に出されないような形に手当
した上でその車両が移動して行くということについても、それは趣旨に反するものではな
いと思っています。とにかく、杓子定規に一歩でも出たら必ずそこで除染だ、検査だとい
うことですと、これはもう除染作業自体が非効率になります。非効率という以前にそこま
でする必要はありませんので、そこは合理的に汚染の拡大を防止するという観点に照らし
て、そういうことが現場で混乱がないようにきちんとその辺りの考え方についても、先ほ
ど言いましたように示していきたいと思って、いま現在準備しています。

○分科会長 よろしいですか、どうもありがとうございました。いかがでしょうか、ほか
には。それでは、東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染す
るための業務等に係る電離放射線障害防止規則要綱案について、当分科会として妥当と認
めるということでよろしいでしょうか。

(了承)  
                
○分科会長 ありがとうございます。それでは、当分科会として妥当と答申いたします。
事務局におかれましては、手続をよろしくお願いいたします。
 3点目の議題に入りたいと思います。労働災害防止団体改革検討専門委員会及び指定・
登録制度改革検討専門委員会については、昨年実施されました仕分けでの指摘を踏まえま
して、中災防等の労働災害防止団体及び試験、検査等の指定・登録制度の今後のあり方に
ついて検討するため、本年4月の当分科会において設置が了承されています。また、専門
委員会については、年内に報告書を取りまとめ、当分科会に報告、審議等をいただくこと
になっていました。今般、両専門委員会において報告書が取りまとめられましたので、事
務局より報告をいただくとともに、これらの改革の方向についてご審議をいただきたいと
存じます。それでは、事務局から説明をお願いします。
 
○石綿対策室長 労働災害防止団体改革検討専門委員会及び指定・登録制度改革検討専門
委員会の報告書について、ご説明申し上げます。この件は、ただいま座長からございまし
たように、4月13日の第52回の当分科会におきまして設置されました制度での専門委員
会において、団体等からもヒアリングを交えながら検討してきた結果が報告書としてまと
まりましたので、その内容につきご報告申し上げるものです。
 報告書は、それぞれ資料2-1および2-2としてご用意してございますが、時間も限られ
ておりますので、いちばん最後に参考資料として添付しておりますポンチ絵のほうで概要
をご説明申し上げたいと思います。
 参考資料2-1をご覧ください。こちらが労働災害労使団体の関係です。こちらにつきま
しては、大きく分けて3つの点を指摘されております。経営形態については、設立根拠と
なる「労働災害防止団体法」の見直しを含めて、同法の趣旨に見合う適切な経営形態に移
行するために、審議会において検討を始め、1年を目途に結論を得るということを言われ
ております。
 業務運営については、下の四角囲みにありますように、中央労働災害防止協会から、特
別民間法人代表例として、ヒアリングを行ったが、同協会の活動と労働災害防止の効果に
ついて十分な説明がなされなかったというものです。
 最後に、ガバナンスの関係です。こちらにつきましては、中央労働災害防止協会におい
て、過去にコンプライアンス違反があったとの指摘もあった。不十分な情報公開やガバナ
ンス等があったことも、浮かび上がった。他の特別民間法人についても、同様な問題があ
るとの指摘を受けております。
 これらの指摘に対する対応ですが、それぞれ下向きの矢印の下に四角囲みでまとめてい
るところです。経営形態については、そこの四角の中の1つ目の○をご覧ください。こち
らで法人の形態についての検討結果をまとめております。法人の形態につきましては、独
立行政法人、公益法人といった別の法人の形態についても検討をしましたが、現在のよう
に中小企業および特定業種において、労働災害発生リスク等が高いという状況を踏まえま
すと、特別の法律に基づいて少なくとも1つの団体を確保して、事業主の団体による継続
的な労働災害防止活動を維持することが必要という判断に至ったところです。2つ目の○
です。こちらは法人の経営についてです。これにつきましては、厚生労働省に外部有識者
から成る第三者委員会を設置しまして、労働災害防止団体の自己検証の自立を図りつつも、
労働災害防止団体法の趣旨に見合った適切な経営を外部から担保するとしていきたいと考
えております。3つ目の○ですが、これは鉱業労働災害防止協会に関係のものです。この
協会につきましては、事業場数や労働者数が関係作業において減少しているということで、
事業活動の継続が極めて厳しい状況にございます。そうしたことを踏まえますと、当協会
の存立について検討のうえ、適切な承継団体に引き継がれるように、関係者において調整
すべきと考えているところです。
 2つ目の指摘事項の業務運営についてです。こちらに対しましては、1つ目の○ですが、
適切な目標管理ということで、団体毎に労働災害の削減数を必達目標として掲げるととも
に、PDCAサイクルにより継続的に事業を改善していくという取組みをしていきたいと考
えております。2つ目の○ですが、業種ごとの自主グループである労働災害防止規程につ
いてです。こちらにつきましては形骸化しているという状況が判明しましたので、適宜、
規定の見直しを行い、必要に応じて変更するとともに、会員の順守状況を定期的に把握し、
その順守を担保する仕組みを構築する。それによりまして、当該規定の実効性を向上する
ことに取り組んでいきたいと考えております。
 続いて、ガバナンスの関係です。これにつきましては、理事の数は法律では5人以上と
規定されているのですが、例えば中央労働災害防止協会について見ますと、100人以上の
理事が任命されているということで、法律が予定しています業務執行機関としての機能が
ある意味形骸化しているという懸念が判明したところです。こうしたことを踏まえまして、
本来の業務執行機関として理事会が機能しますように、理事数を大幅に削減するとともに、
全支部への監査の徹底など、支部へのガバナンスを強化していきたいと考えております。
最後の○、会費の関係です。会費につきましては、全部または大部分を支部の運営費とし
て使用している団体がございました。そうしたことを受けまして、今後は必要な事業の継
続等団体全体を支える財源となるように会費の使途のあり方等を見直すとともに、会費の
使途を具体的に会員に公開するという方向での改革を求めていきたいと考えております。
労働災害防止団体の関係は、以上です。
 続いて、参考2-2の表で、指定・登録制度の関係をご説明申し上げます。まず、指定制
度についてです。これは、ボイラー、クレーン等の特定機械を運転する免許の試験、それ
から労働安全衛生コンサルタント、環境測定士の試験、これらの試験に関してのものです。
これらの試験につきましては、過去は国で直接実施していたのですが、現在は1つの法人
を指定して、これに実施させております。
 そういう中でこの指定制度につきましては、全指定法人は、指定根拠法令の検討を通し
てそのあり方を全面的に見直す。その検討は、関係する審議会等で行うこととする。指定
根拠法令を存知する場合には、その指定先選定理由の情報公開、プロポーザル方式を含む
参入要件、新たな指定基準など「新ルール」を制定するということを求められたところで
す。その右の手数料に関しての指摘につきましては、国家試験、個家資格等の試験料、登
録料等については、指定を受けた法人が効率的に事業を行う上に必要な費用を賄うのに足
りる適正な料金となるよう見直すということをまとめられてございます。
 3つ目の登録制度、これはボイラー、あるいはクレーン等の機械等の検査、製造時等の
検査等を行う機関の登録制度の運用についてのものです。こちらにつきましては、平成
15年度に民間参入を認める登録制度に移行したのですが、現在の実態としましては、依
然として従来からこの業務をやっていますクレーン協会、あるいはボイラー協会のシェア
が圧倒的に多いという指摘を受けておりまして、こうしたことを踏まえて民間産業を促進
するための登録要件の緩和見直し等を行い、登録法人数の拡大を図ることを求められたと
ころです。
 これらの対応ですが、1つ目の指定制度についての対応です。国家試験の指定制度につ
きましては、国家試験については高度の公正中立性が求められると。それから、ほかの国
家試験についても、国以外が実施する場合については、調べた範囲では、いずれも例外な
く1つの法人を指定して、これに実施させているということがありましたので、引き続き
指定法人に実施させるという形態を維持したいと考えてございます。ただし、その1つ目
の○ですが、新たに指定法人を選定するにあたっては、外部の第三者からなる委員会によ
って透明性を確保しつつ、公正中立、かつ厳正に審査することを新たなルールとして導入
していきたいと考えております。2つ目の○です。右の手数料とも関係してくるのですが、
手数料見直しに併せまして、第三者委員会が指定法人の業務実施状況を審査しまして、業
務改善を指示すると。これへの取組みが不十分な場合には、もう指定を取り消すことを明
確に打ち出していきたいと考えております。コンサルタントと測定士の関係につきまして
は、合格のあとで名簿に登録するという制度になっているのですが、この試験を行う所と
名簿登録をやって管理する法人が、現在は分かれております。これを受験者の利便性とい
う観点も勘案しまして、指定試験機関のほうに一元化するという形で集約していきたいと
考えておりまして、その関係の調整を求めていきたいと考えているところです。
 続いて、右の2つ目の手数料についての対応です。最初の○をご覧ください。こちらで
手数料全般についての対応をまとめております。手数料につきましては、過去、大体3年
に1回見直して来たという経緯も踏まえまして、定期的に、具体的には3年に1回、必ず
民間の有識者を構成員とする第三者委員会によって、適正なコストであるかどうかを厳正
に審査するという取組みを行っていきたいと思っております。それによりまして、試験の
趣旨、目的、市場価格といったものを適正に反映した適正な手数料というものを実現して
いきたいと考えております。2つ目および3つ目の○は、個別の試験の関係です。労働安
全衛生コンサルタント、産業環境測定士につきましては、収支のアンバランス、具体的に
は赤字が発生しておりまして、それをほかの免許試験の黒字で埋めているという実態がご
ざいます。そうしたことを受けまして、受益者負担の適正を図るという観点から、この収
支の均衡を図っていきたいと考えております。その際には、一層の経費の削減に努めたう
えで、計画的に実施するということで、受験者の減少といったことを極力防止していきた
いと考えております。また併せて、各資格のPRも積極的に実施していきたいと考えてお
ります。
 続いて、最後の登録制度の関係です。こちらにつきましては、民間参入を促進するとい
う立場に立ちつつも、安全衛生水準の低下をもたらさないという前提で、すべての要件に
ついて検討を加えたところです。その検討結果としましては、そこの例に記入してござい
ますように、ボイラー等の検査に実際に当たる検査員等になるための要件、例えばこれを
緩和していきたいと考えております。具体的には、民間企業での関係の実務経験等により
まして、十分な知識・経験を有する方につきましては、学歴要件、研修の免除といった形
での要件緩和をしていきたいと考えているところです。以上、簡単ではございますが、事
務局からのご説明とさせていただきます。

○分科会長 ただいまの説明につきまして、質問等がございましたらお願いいたします。

○犬飼委員 災防団体の報告書を見せていだだいて、いま説明をしていただいたのですが、
私も中小といいますか林業関係の所でして、実はいちばん左の経営形態と書いてあります
中小企業及び特定業種、災害発生率等が高い現状というところに、まさにここに合致して
いる業種でして、総務省事業所・企業統計局調査によれば、1,712ある事業所のうち9人
未満が1,089事業所、10~29人が543事業所ですから、9人未満が63.6%、29人未満が
95.3%、1,632事業所という状況です。
 また、労働災害の発生率から見れば、千人率で全産業が2.0、林業は30.0で、15倍で
す。これは11次防でも、特別の業種としては厚労省でも一生懸命対策を打ってくださっ
ているのですが、いちばん心配することは、15頁に書いてございますが、継続的な事業
活動を図るための財務のあり方というのが、(2)の経費節減です。非常に理解はしてくだ
さっているとは思うのですが、労働災害防止活動を推進するために必要な事業予算を確保
した上でということ、あるいはなお書きの経費節減に当たっては、コストパフォーマンス
を追求するあまり、安全衛生法活動は脆弱な中小企業に対する支援が不十分とならないよ
う配慮するとともに、また職員の志気等にも配慮する、取り組むべきであると。こうして
くださっているので、ありがたいと思うのですが、実際、林業の関係の災防団体において
は、すでに平成23年度事業経費が削減されておりまして、その前の年まで請け負ってい
た厚労省が出していらっしゃる事業の委託事業も請けきれない状況も発生していまして、
ここは大変心配していると思うのです。ですから、趣旨はよくわかりますから、安全衛生
活動が私たちの業種においても必要ですし、これは前回の労働安全法制の改正のときに、
中小に関する支援をどうするかというのは、これは審議会でも審議されたところですので、
是非このあたりの趣旨を生かしていただいて、ここに対する現場の志気も含めて、角を矯
めて牛を殺すということのないように、本末転倒しないで、根本のところは絶対に死守す
ると。
 特に監督署長が林業現場へ監督などで行かれる場合は、これは絶対に連携を図れること
は私は無理だと思っているのです。各業種においては、それぞれ特徴のある業種だからこ
そこういう災防団体ができているのであって、いくらスーパーマン的な厚生省の出先の監
督官においても、おそらくわからないと思うのです。それは連携、事業仕分けで労災防指
導員もなくなりましたが、現場指導がいかに大事か、あるいは現場把握がいかに大事かと
いうことは、これは分かっていらっしゃることだと思うので、趣旨を曲げないように、労
働災害の提言に向けて是非努力していただきたいということをお願い申し上げます。

○分科会長 要望ということでお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。

○冨高委員 1点意見と1点確認させていただきたい点がございます。先ほど参考資料2-
2でご報告いただきました登録制度のほうですが、これはこちらの資料にもございますが、
登録要件の緩和見直し等を行うということで書いていただいていますが、労働側からも安
全衛生水準の低下をもたらさないということを前提にしていただきたいということを、念
のため申し上げたいと思っております。
 1点確認したい点なのですが、今回ご説明いただきました指定・登録制度と労災の報告
書2点ございますが、この両報告書は、今後どのように活用して展開していくのか、スケ
ジュール等も含めて少し教えていただければと思います。

○計画課長 本日、安全衛生分科会のもとに設けられました専門家会議での報告書が上が
ってきたという感じで、今日はそれを基にこの分科会としてご審議をいただいております。
この分科会議でのご審議の結果、この方向性がいいということでゴーサインが出されます
と、今度は厚生労働省のほうでその報告書に盛り込まれた方向性に沿って、各災防団体な
り登録指定機関を指導していく形になります。そのあとスケジュールとしてどういうふう
に行くかということは、さらに団体ごとの事情もあるかもしれませんし、いろいろなもの
があるかもしれませんが、私どもとしては、それはできるだけ早くその方向に沿って改革
していただくということでお願いしている、あるいは指導する立場としてしっかり指導し
ていくという形で考えてございます。

○高橋委員 ただいまの中の指定・登録制度関係です。この中の真ん中で手数料がござい
ますが、ここに「適正な料金となるよう見直す」と。それを「第三者委員会により、適正
なコストであるかどうか厳正に審査」ということがありますが、「適正なコスト」という
問題なのですが、この内容について何かディスカッションがあったかどうか、それをご紹
介いただきたいのですが。
 というのは、例えば医療法人は社団、財団がありますが、それは営利を目的にしてはい
けないということが同じようなコンセプトで運営されていると思います。ただ、そこでも
議論がありますのは、例えばある程度の利潤を上げておかないと、再投資とか、再教育訓
練とか、そういうものに回せないということがありますので、そういった諸元について、
どういうことでこういう結論になったかということですね。なければないで結構なのです
が、経過がありましたら教えていただきたいと思います。

○石綿対策室長 この点につきましては、各試験、製造例、安全衛生法に基づいて設けら
れてございます。そういった法律の規定を踏まえた製造システムというのでしょうか、そ
ういった試験の趣旨を踏まえた、つまり政策的な重要性というのでしょうか、そういった
ものも踏まえたうえでの適正な価格と考えております。例えば、会場とか、諸々の物品調
達につきましては、極力マーケットメカニズムを生かした効率的な調達に取り組んでいた
だきたいと思うのですが、安かろう悪かろうではなくて、きちんとそれぞれの国家試験の
目的が適切に達成できる水準、これが適正な水準の手数料と考えてございます。ちょっと
分かりにくかったかもしれませんが、回答とさせていただきます。

○高橋委員 まず水準の維持が第一義的であると。これは大事なことだと思います。プラ
ス、あまり考えなくてはいけない要件を省いてしまうと、また逆行することにもなりかね
ないと思いますので、ご配慮いただきたいと思います。
 あと、もう1点、災防団体のあり方なのですが、委員として参画していて、いまごろ言
うのは何なのですが、細かい点なのですが、これは報告書の16頁の5の中に各団体の削
減の必達目標として挙げているのですが、必達というと、コミットメントみたいな、それ
を必ず達成しないといけないという強い意味合いになってくると思います。これは運営に
おいては少し幅を持たせたほうがよろしいのではないかと思いました。というのは、今回
の震災などもそうですが、いろいろ変動予想が多いと思うのです。ですから、ある程度の
目標を設定して、それをクリアするための施策を展開すると、PDCAにつなげていくのだ
と、このような意味合いで運用していただけたらと考えております。

○分科会長 報告書の文言は、訂正できないと思います。実際に運営するときに、こうい
ったことを配慮してお願いしたいということで、それでよろしいですか。
 それでは、中災防等の労働災害防止団体及び試験検査等の指定・登録制度の今後のあり
方については、専門委員会の報告に基づいて、ご意見はありましたが、そういうところも
含めて進めていくということでよろしいでしょうか。

                 (異議なし)

○分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局においては、専門委員会の報告
に基づいて進めていただきたいと思います。事務局から連絡事項がございましたら、お願
いいたします。
○計画課長 非常に年も迫って、今日もお願いしているところでございますが、誠に恐縮
ですが、年内にもう1回お願いしなくてはならないと思われます。日程につきましては、
追ってご連絡させていただきたいと思います。

○分科会長 本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名につきましては、
労働者団体は小畑委員にお願いいたします。使用者団体は中村委員にお願いします。本日
はお忙しい中、また時間帯が遅くなりましたが、ご協力ありがとうございました。終了い
たします。

(以上)


(了)

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