2011年12月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成23年12月2日(金)15:00~
場所
厚生労働省専用第12会議室
出席者
出席委員(16名):五十音順 敬省略
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 清水秀行、 鈴木邦彦、
宗林 さおり、 手島玲子、○永井良三、 成冨博章、
野田光彦、 林邦彦、 檜山行雄、 古川漸、
増井徹、 ◎松井陽、 松木則夫、 本橋伸高
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(5名):五十音順 敬省略
佐藤 雄一郎、 千葉勉、 西澤 理、 村田美穂、
山田清文
行政機関出席者
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 清水秀行、 鈴木邦彦、
宗林 さおり、 手島玲子、○永井良三、 成冨博章、
野田光彦、 林邦彦、 檜山行雄、 古川漸、
増井徹、 ◎松井陽、 松木則夫、 本橋伸高
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(5名):五十音順 敬省略
佐藤 雄一郎、 千葉勉、 西澤 理、 村田美穂、
山田清文
行政機関出席者
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。
本日の委員の御出席についてですが、佐藤雄一郎委員、千葉委員、西沢委員、村田委員、山田委員より御欠席との御連絡をいただいております。
また、永井委員、野田委員、鈴木委員におかれましては、遅れていらっしゃるとのことですが、現在のところ当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
以後の議事進行は、松井部会長にお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしております。
このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページのレグナイトは、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページのオキファストは、中等度から高度の疼痛を伴う、各種がんにおける鎮痛を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページのエビリファイは、双極性障害における躁症状の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページのサーティカンは、腎移植における拒絶反応の抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページのアイファガンは、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合の緑内障及び高眼圧症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページのアジルバは、高血圧症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページのペグイントロンは、併用によるC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページのレベトールは、併用によるC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページのイクザレルトは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑性を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページのエベロリムスは、結節性硬化症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。
11ページのtafamidis meglumineは、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチー、家族性アミロイドポリニューロパチーを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。以上です。
○松井部会長 以上について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況を御説明させていただきます。
議題1のレグナイトについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員でございます。
議題2のオキファストについては退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題3のエビリファイについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は成冨委員、野田委員、本橋委員でございます。
議題4のサーティカンについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員、野田委員、林委員でございます。
議題5のアイファガンについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員でございます。
議題6のアジルバについては退室委員は永井委員、野田委員、議決には参加しない委員は加藤委員、松木委員でございます。
議題7のペグイントロン及びレベトールについては退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は永井委員、林委員、松木委員でございます。
議題8のイグザレルトについては退室委員は野田委員、議決には参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題9のエベロリムスについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員、野田委員でございます。
議題10のtafamidis meglumineについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員でございます。以上です。
○松井部会長 本日の審議事項は10議題、報告事項は3議題です。本日は委員の退室状況などを踏まえ、議題2、6、7、8、1、3、4、5、9、10の順に審議を行います。
それでは、議題2に移ります。退室委員の野田委員はまだおいでになっておりませんので、議題2について医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品オキファスト注10mg及び同注50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、オピオイドμ受容体作動薬であるオキシコドン塩酸塩水和物を有効成分とする注射剤であり、「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を予定効能・効果として申請が行われております。本邦において、本薬を有効成分として含有する製剤は、皮下投与される注射剤として、ヒドロコタルニン塩酸塩水和物との配合剤である「複方オキシコドン注射剤」が1968年9月より、「激しい疼痛時における鎮痛・鎮静」等を効能・効果として販売されており、単剤の経口剤として、徐放性製剤が2003年4月、速放性製剤が2006年10月にいずれも「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を効能・効果として承認されております。海外において、本剤は2010年12月現在、フランス、ドイツ等を含む世界21か国で承認されております。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性について、審査報告書14~15ページ、「1)日本人がん疼痛患者を対象とした静脈内投与試験」の項を御覧ください。本剤の持続静脈内投与による国内第III相試験において、主要評価項目である疼痛強度、レスキュードーズ及び忍容性に基づき評価した疼痛コントロール達成率は81.4%、その95%信頼区間の下限値70.3%は、あらかじめ設定した閾値70%を上回りました。審査報告書の18ページの図5及び19ページの表4を御覧ください。本剤の持続皮下投与による国内第III相試験は、主に薬物動態の検討を目的として実施されておりますが、持続皮下投与時と持続静脈内投与時の薬物動態及び有効性はほぼ同様であり、持続皮下投与においても、持続静脈内投与と同様の有効性が期待できると判断いたしました。
安全性について、審査報告書の19ページの表5を御覧ください。国内臨床試験において認められた有害事象は、主にオピオイド鎮痛薬による事象としてよく知られている傾眠、嘔吐、悪心、便秘等でした。注射部位紅斑等の投与部位局所の事象は、持続静脈内投与よりも、持続皮下投与で発現率が高い傾向が認められましたが、いずれも軽度又は中等度であり、臨床上大きな問題は無いと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は1-(3)新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○清水委員 審査報告(2)の方に、製造販売後調査について記載があります。私は専門ではないので余り詳しくはないのですが、目標症例数が100例、50例では少ないと思ったのですが、そこは何かありますか。
○機構 確かにここの症例数は、一般的な使用成績調査における症例数より少ないと思われますが、本剤の対象は、がん疼痛患者さんであり、しかも静脈内投与や皮下投与という注射剤を必要とする患者さんです。可能な限り例数を集める必要があるのですが、この薬剤オキシコドン塩酸塩ということで、一般的な有害事象については大体発現頻度等も分かっているようなものですので、安全性についてはこの程度で見ていくことができるのではないかと考えております。
○清水委員 この薬が上市された時にどの程度使われるのかということですが、今の説明より患者数は多いと思います。その辺はいかがでしょうか。
○機構 今はオピオイドの注射剤ですと、70~80%ぐらいモルヒネ塩酸塩が使われているような状態になっております。複方オキシコドンであるパビナール注も使われているのですが、そちらの方は大体5%ぐらいしか使われていないという状況です。
オキシコドン塩酸塩の経口剤を使用されている患者さんも多いので、本剤が上市されるとモルヒネから本剤に切りかえられる可能性は否定できないと思います。調査をしていく上で、がん疼痛患者さんですと、同意等を得ることもなかなか難しいところがありますので、この程度の例数となっております。
○清水委員 この薬が求められていることの一つは、オピオイドローテーションを考えますと、オキシコドンの内服でコントロールしていた人が飲めなくなった時、モルヒネに変えなければならない、あるいはフェンタニルに変えなければならないということが前提としてあると思うので、そのようなことから考えると、ローテーションの中でモルヒネに変えるべきところを同じオキシコドン製剤の注射薬に変えられるということで、使用例数というのは、全国で50、100という数字ではない数が調査可能なのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○機構 本剤の開発の背景は、審査報告にも記載させていただきましたように、未承認薬検討会議を発端にして開発されている製剤です。それなので、申請者としては余り積極性は無いという点が一つ理由としてあります。それは、先生がおっしゃるように大きな理由にはならないのですが、実際に3,000例や1,000例の調査を行ったとしても、そこから検出される内容は恐らく、悪心、嘔吐等、あとは投与部位の反応ということで、ある程度予測ができます。
当初審査の過程では、再審査を付けることを申請者は想定していなかったようで、調査そのものを実施する予定は無かったということがあります。一方で、注射剤として初めての製剤であるということです。説明させていただきましたように、皮下投与に関しては、古くから日局品で複方オキシコドンというものがございまして、注射剤としても全く無いわけではないという状況を踏まえると、そこから1,000例、3,000例を行わなければいけない理由というのを我々としても説得するような材料もありませんでした。オピオイドナイーブの方、それから先生がおっしゃいましたように、オピオイドローテーションの中で注射剤に切り替えていく方の安全性は、やはり新投与経路医薬品としては見る必要があるということで、まずは申請者が提示したような症例数で製販後調査を実施し、もちろん何か問題があれば、その後追加で特別の特定使用成績調査のようなものを実施する形になるのではないかと思っています。
○松井部会長 これが、がんの疼痛であるというある程度の特殊性に立脚して、acceptableであるかどうかという判断だと思います。ほかの先生方はいかがですか。
○成冨委員 この薬剤以外の話ですが、一般的に市販後調査というのは、承認までの試験の症例数よりもはるかに多い症例数を対象にして行われております。その理由は、承認までの臨床試験では十分検討できなかった点を確認しようという意味があるからであり、期間を設けず、多数の症例を対象に調査を行うことになっているのだと思います。一方、ここでは、承認までの試験よりも少ない症例数を対象に市販後調査を行おうとしているわけですが、それは余り意味が無いような気がしますがどうでしょうか。
○機構 確かに症例数としては少ないのですが、一方で臨床試験というのはある程度制約を受ける特殊な環境の中で実施されておりますので、実臨床の中で問題の有無を確認していくことが重要だと思っております。先ほども御説明いたしましたように、何か問題があった時に、更に追加の調査をという形になると思いますが、まずはこの例数で行っていくことに問題は無いと思っております。
○林委員 統計的に、特に新規の医薬品の場合は未知の重篤なものがあるかもしれないということで、頻度が非常に小さいために臨床試験の段階で見つけられなかったものを市販後で拾うということから、通常は1,000例や3,000例等と設定されると思います。
今回の医薬品はすごく頻度が小さく、希で、かつ重篤なものが起こる可能性はどれだけあるのかということで、成分・製剤としては新しいものではなく、プロファイルは相当分かっているということが、恐らく1,000例、3,000例ではない例数の設定の根拠になっているのではないかと理解しております。
○松井部会長 承認できる範囲であるということですね。
○林委員 今御説明があったように、何かサインが出れば、当然また大きな規模の調査が必要だと思いますが、いわゆる市販後の1,000例、3,000例といった調査は現段階で必要としないのではないかという御意見には賛成です。
○松井部会長 ありがとうございました。ほかには、よろしいでしょうか。無いようでしたら、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。永井委員は、まだお見えになっていないようですので、医薬品医療機器総合機構から説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品アジルバ錠20mg及び同錠40mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
審査報告書の3ページを御覧ください。アジルサルタンは武田薬品工業株式会社により創製されたARBであり、アンジオテンシンIIのタイプ1受容体を選択的に阻害し、降圧作用を示す薬剤です。
本薬の開発は20□年から開始され、今般、国内臨床試験成績を基に、「高血圧症」を効能・効果として、製造販売承認申請がなされました。
海外においては、本薬のプロドラッグ体であるアジルサルタンメドキソミルが開発されており、本薬アジルサルタン自体の申請、あるいは承認はいずれもなされておりません。
なお、本薬のプロドラッグ体は、米国で20□年□月、欧州では20□年□月にそれぞれ承認申請がなされており、米国では2011年2月にプロドラッグ体の40又は80mgを含有する錠剤が承認されました。
本品目の審査に関して、専門委員として資料15に記載されております委員が指名されました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
有効性については、審査報告書の52ページからの国内第II相用量設定試験の項を御覧ください。この試験は、本薬の用量反応性を検討するための二重盲検並行群間比較試験であり、同52ページの表11に有効性の主要評価項目であるトラフ時坐位拡張期血圧の結果を示しております。本薬の血圧低下作用は、5~40mgの範囲で、用量依存的に増加するという結果でした。また、本試験では比較参照群として、既承認のARBであるカンデサルタン投与群が設定されており、一番右のC.C.と記載されているカラムがカンデサルタンの成績になります。カンデサルタンの用量としては、最初の4週間は、通常用量の8mgが投与され、その後8週間は最高用量の12mgが投与されております。本試験では、本薬の5~10mg群とカンデサルタン投与群の降圧効果が同程度という結果でした。
続いて、審査報告書の54ページからの国内第III相検証試験の項を御覧ください。本試験は、本薬群とカラムには記載されておりますが、本薬群では20mgから開始して、40mgに増量しております。また、カンデサルタン群では8mgから開始し、12mgに増量されて、その2群を比較した二重盲検並行群間比較試験であり、54ページの表14にはその両群の増量後の最終評価時の血圧変化の結果が記載されております。主要評価項目であるトラフ時坐位拡張期血圧、表中ではDBPと記載されておりますが、この変化量において、本薬群のカンデサルタン群に対する統計学的な有意差が示されました。
次に、安全性について御説明させていただきます。審査報告書の56ページの表15を御覧ください。こちらには、本薬とカンデサルタンを比較した国内第III相試験における主な有害事象をお示ししております。本薬群でカンデサルタン群に比較して、特に発現率が高くなる有害事象は認められませんでした。以上より、現時点でARBに特徴的な副作用として考えられる低血圧関連事象、腎機能関連事象、高カリウム関連事象等の注意喚起を含め、類薬の添付文書と同様の注意喚起と情報提供に基づき適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な問題は認められないと判断いたしました。
本剤の臨床的位置付けについて御説明させていただきます。審査報告書61ページからの「本薬の臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。国内第III相試験において、先ほど御説明申し上げましたように、本薬の20~40mgは、カンデサルタンを上回る降圧効果が示され、認められた有害事象に関しても、承認の可否にかかわるような問題は認められていないことから、本薬は、新たな高血圧症治療の第一選択薬の一つとして臨床現場に提供する意義があると判断いたしました。しかしながら、高血圧治療ガイドラインにおいて、高齢者や腎機能障害患者などに対しては、ARBは少量からの投与が推奨されており、このような患者で本薬20~40mgよりも、より緩やかな降圧効果が期待される用量の投与が望ましい場合もあると考えられます。また、目的とする降圧効果が得られるのであれば、当然副作用回避の観点から、できる限り必要最小用量の薬剤の投与を行うべきであり、少なくともカンデサルタンの通常用量で、目的とする血圧のコントロールが得られるような患者さんに、本薬の20mgが積極的に投与されることが望ましいとは考えられず、そのような患者さんでは、本薬の20mgよりも少量からの投与、あるいはカンデサルタンなど既存の本薬以外の降圧薬の投与も考慮すべきと考えます。したがって、本薬の主な投与対象は、十分な降圧効果を期待して、本薬20mgから投与しても妥当と医師が判断した場合、あるいはカンデサルタン等既存のARBの通常用量では十分な降圧効果が得られない患者であり、既に承認されているARBが多数存在していることも考慮すると、本薬の降圧効果を踏まえて、本薬の適用の可否を適切に判断することを情報提供した上であれば、本薬を臨床現場に提供することは可能と判断いたしました。
本剤の「用法・用量」について御説明させていただきます。審査報告書の80ページからの「本薬の有効性及び用法・用量について」の項を御覧ください。通常用量については、国内第II相試験や第III相試験の成績から、急激な降圧効果の発現が望ましくない背景を有する患者さん以外のいわゆる一般的な高血圧症患者においては、本薬20mgから投与を開始して維持用量とすることは可能と判断いたしました。また、最大用量については、国内第II相試験で本薬40mgまで用量依存的な降圧効果の増強がみられたこと、本薬40mg投与時の有害事象の発現状況は許容可能なものと考えられたことから、40mgを最大用量とすることは適切と考えます。また、開始用量については、国内第II相試験の成績などを踏まえますと、本薬10mgでも降圧効果は期待できるものの、現時点で特定の集団に一律に適用すべき開始用量として10mgという用量を「用法・用量」として設定するよりも、先ほど臨床的位置付けの項で申し上げましたように、本薬の降圧効果を踏まえて、本剤の適用を判断するという注意喚起をした上で、年齢、症状により適宜増減という規定を設けることで、医師の裁量に応じて低用量からの投与の開始も選択可能とするという用法・用量とすることが適切と判断しました。以上を踏まえて、資料1.8の添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」という項を設け、こちらに「本剤の降圧効果を考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断するとともに、低用量からの開始も考慮すること。」と記載した上で、用法・用量は「通常、成人にはアジルサルタンとして20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は40mgとする。」とすることが妥当と判断いたしました。
製造販売後調査については、審査報告書の78ページを御覧ください。本調査においては、使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的として、高血圧症患者3,000例を対象とした製造販売後調査を実施し、腎機能障害患者、肝機能障害患者及び高齢者における安全性や有効性、また実臨床では様々な降圧薬との併用が想定されますので、本薬と他の降圧薬との併用時の安全性、並びに本剤で懸念される特徴的な有害事象として、低血圧関連の有害事象、腎機能障害関連の有害事象、また高カリウム血症などの発現状況を情報収集する予定です。先ほど、「本薬の臨床的位置付けについて」で御説明いたしましたとおり、本薬は20mgよりも低用量で投与すべき患者も一定数存在すると考えられます。この点について、申請者はこの製造販売後調査において、本薬10mgが1日1回投与されたという使用状況、この場合は半錠投与が基本になると思われますが、そうした10mgが投与された状況についても情報収集し、現時点で20mg錠と40mg錠しか今回は申請されておりませんが、10mgの製剤も必要と判断した場合には、10mg製剤の剤形追加の申請も速やかに行うことを検討しております。
以上のような検討を行った結果、本薬は承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。
本日、この場にはいらっしゃいませんが、事前に鈴木委員より御質問をいただいております。「本薬の降圧作用の強さについて、カンデサルタンの最大用量12mgが、およそ本薬の何mgに該当すると言えるのか」という御質問でした。
この点については、国内第III相試験では、本薬の40mgがカンデサルタンの12mgと直接比較して、カンデサルタンに対する有意な降圧効果が認められたことから、少なくともカンデサルタンの12mgに相当する本薬の用量は40mgよりも低い用量であるといえます。また、国内の第II相試験や第III相試験で見られた血圧変化量を考慮すると、恐らくカンデサルタン12mgに該当する本薬の用量は10~20mg程度ではないかと推察されますが、試験のデザイン上カンデサルタン12mgと厳密に比較された用量というのは、本薬では40mgのみであったため、実際明確にカンデサルタン12mgに相当する本薬の用量をお示しするのは困難と考えております。以上の御質問に対する医薬品医療機器総合機構の回答は、事前に鈴木委員にもお示しし、了解を得ております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 専門外ですが、少し教えてください。アジルサルタンについては、本薬と言わせていただきますが、開発の経緯の3ページに書いてある、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、欧州や米国ではプロドラッグのものが既に承認されて使われているということで、今度はまた戻ってきて、日本国内でプロドラッグ体の開発を行ってみたけれど、□□□□□□□□□□□□、また元のものに戻ったということは、専門ではないものからすると、かなり降圧作用が強いということです。先ほど鈴木委員からの御質問にもあったのですが、強いという言葉がいいのかどうか分かりませんが、効果が高いというのか、悪く言えばかなり弊害があると、有害作用が多いことも予想されながら出してきた薬のように思います。何か危険性をはらんでいるような強さのものなのでしょうか。開発の経緯からまた戻って、それが出てきたというところについては、少し不思議な感じがするので教えてください。
○機構 開発の経緯について十分な御説明ができずに申し訳ありませんでした。特に本薬、あるいは本薬のプロドラッグについて、有効性・安全性に差があって、国内外で出されている医薬品が違うといった経緯ではありません。こちらは、ほぼ並行してプロドラック体と本薬の開発が進められており、元々国内外いずれもプロドラッグの方の開発がなされておりました。一旦、そのプロドラッグ体の方で、□□を日本でも作製していたのですけれども、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということで、日本では本薬のプロドラッグではなくて、本薬の方の開発が進められました。
ただ、海外ではカプセル剤でも比較的受け入れられるという土壌があったので、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、プロドラッグのカプセル剤を用いて、海外ではそのまま並行して開発が進められ、日本では□□□□□□□□□、本薬への開発がスイッチされたという経緯があります。そのような経緯があって、日本だけ本薬が開発されるという状況になっているのですが、有効性・安全性自体に何か差があるというわけではないということは申し上げたとおりです。
強力な薬剤であるということで、安全性上の問題を御懸念されているということでしたが、少なくとも臨床試験において、先ほど御説明させていただきましたように、カンデサルタン、既存のものと比較して、何か本薬が特に危ないという有害事象を示す結果は得られておりません。ただ、臨床試験というのは限られた集団ですので、実際にはいろいろな背景を持った患者さん、あるいはいろいろな薬剤との併用が想定されますので、単に試験で安全性上問題無かったから、一律に20mgが安全に投与できる薬剤とも考えておりませんので、「少量からの投与も考慮する」という記載を添付文書でも注意喚起させていただいております。
○佐藤(田)委員 プロドラッグの□□□□□□□□□□□□□開発は中断されたというのですが、並行して行われていて、まもなくそれが□□□□□□□□□□□□□□□□が出てくる可能性はあるのでしょうか。それとも先にこれだけ出しておこうというものなのでしょうか。
○機構 プロドラッグについても、少しタイミングが悪かったというか、最終的には□□□□□□□、海外の方ではプロドラッグの錠剤が承認されています。特にこの薬に関してプロドラッグにする、あるいは活性体のみとすることについて、特段メリットがあるわけではありません。この後、日本でまたプロドラッグが新たに開発される予定は無く、どちらかをより早く提供するために、最善の手段をとった結果、今回は少しずれてしまったということになっています。
○宗林委員 単純なことを伺います。今、錠剤を見ると割線が付いているようなのですが、低用量からの開始ということに関しては、先ほど10mgのものも出すかもしれないというお話もありましたが、お医者さんの裁量で10mgからも開始するという意味ですね。
○機構 はい。こちらの用法・用量にも適宜増減という減のところで、10mgからの投与も考慮できることになっております。また添付文書の臨床成績の項に、本薬10mg、20mg、40mgの3用量の有効性をお示ししておりますので、それを踏まえて10mgで使用されたい場合は半錠に割って使っていただくという使い方になると思います。
○宗林委員 その場合は患者さんが、自分で割って使用するような感じなのですか。それと、1日1回というのは、特にいつでもいいということなのでしょうか。就寝前等と特定しないという意味ですか。
○機構 患者さん自身が割るかどうかということなのですが、恐らく処方される時点で10mgである場合は、そのように処方されると思いますので、交付の時点で薬局などで割ってお渡しすることになると思います。1日1回の投与タイミングにつきましては、この薬はある程度持続時間も長いということで、基本的にどの時間帯に飲んでも問題は無いと考えられます。
○松井部会長 患者さんによって血圧の高い時期が違う可能性がありますからね。
○宗林委員 添付文書の薬物動態を見ると、やはり時間によっての血中濃度はだいぶ違うと思ったのでお聞きしたのですが、それも含めて持続性はトータルで長いので、いつでもいいというか、お医者様の判断で決めるということでしょうか。
○機構 そうです。添付文書の6ページに「(3)血圧日内変動」という項があります。こちらの方で、○がアジルサルタン14週を投与した時の血圧の日内変動になります。こちらの方は比較的1日を通して、血圧の低下が持続しているという点と、もう一つは本薬の薬理作用的な機序を検討した成績において、本薬をウォッシュアウトした後でも、ARBに対する拮抗作用が持続しているという特性がありますので、血中濃度がなくなった途端に、阻害作用が無くなるというわけでもないところが、持続する一つのポイントと考えております。
○成冨委員 ここで今さら言っても仕方がないことかもしれませんが、既にARBは6品目が市販されており降圧薬品市場の販売競争でしのぎを削っています。臨床医はその6品目の薬剤がどのように異なるのかを十分理解できておらず、これらをどのようにして使い分ければ良いのか判断に苦しんでいるのが実情です。降圧作用の強さが異なるという点をあげるならばカンデサルタンよりも優れている薬剤もあります。そのような状況のところに、さらに新たなARBを加えなければいけないほどの特徴がこの薬剤にはあるのでしょうか。
○機構 本薬の意義として一つ特徴的なことは、基本的に2剤目、3剤目になると、既存のものに対して非劣性を示すということが、審査における最低条件になっております。今回の試験成績で御紹介いたしましたように、既存のカンデサルタンの最高用量よりもある程度強い降圧作用を示すということが、実際の比較検証試験で検証されましたので、強すぎる薬剤が常に良いとは限らないのですが、一つの意義としてはそこにあるのかと考えております。
○松木委員 今のお話と少し関係するかもしれないのですが、添付文書の書き方で、使用上の注意の項に、本剤の降圧効果を考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断するという時に、そのような判断をする材料がこれでは少し足りないというか、今の議論を聞いていれば分かるのですが、この添付文書の臨床成績のみから、その議論を読み取って判断するというのも、それから用量も考慮するというところが、少しこれだけでは分かりにくいと思いました。強く出すぎると言うと少し言いすぎなのかもしれないのですが、だから慎重にしてください等、今の議論で、ほかのに比べてこれが駄目という理由が無いから認めるけれども、使う時には慎重に行ってくださいというように、丸投げしてしまっているような雰囲気なのですが、そこはもう少し判断の材料を示さなければ、この文章は非常に無責任のようにも感じるのですが、いかがでしょうか。
○機構 ここの注意喚起は、専門協議等も経て、こちらでもかなり悩んだところなのですが、ほかの薬剤より、例えば降圧効果が強いなどと記載してしまうと、今度はそれが非常に良いことに取られて独り歩きしてしまわないかというところも懸念しております。実際に対象にされたのは、カンデサルタンのみであって、ほかのARBと比べての位置関係も不明ですので、余り他剤に比べて降圧効果が強いというところも強調できずに、少し遠回しな記載になってしまいました。
○松井部会長 今のがお答えの完遂でしょうか。
○機構 余り、安全性上何の問題も無く、効果だけが強いというお薬で宣伝されては困ります。もちろん情報提供資材や説明などでは臨床成績の項の意味をきちんと説明して、カンデサルタンと比較して、本薬10mg、20mg、40mgの位置関係はこのようになっているため、それを踏まえて判断してくださいというところは補足的に説明していただくように指導するつもりです。
○松木委員 余り納得できません。
○機構 やはり、すべての情報を添付文書に盛り込むというのは非常に限界がありますので、御指摘の点を踏まえ、申請者の方にもきちんと補足の情報提供資材を充実させて、きちんとした形の情報を医療現場に提供して、適切な患者さんに適切に使っていただくようにということを指導していきたいと思います。ありがとうございました。
○松井部会長 是非そのようにお願いいたします。
○鈴木委員 遅れてしまいましたので、もう話が出ているのかもしれませんが、この薬は武田薬品とのことです。武田薬品からは、商品名でいうとブロプレスが出ています。参考までにブロプレスの特許はいつごろ切れるのでしょうか。
○松井部会長 どなたかお答えいただけますか。手元に資料は無いのでしょうか。鈴木委員がお聞きになった真意はどこにあるのでしょうか。
○鈴木委員 特許が切れると、薬価が下がるから次の新薬をということで、余り深い意味も無くARBは売れていますから、売れ筋なので出してきたのかという気も少ししないわけではないのです。特許の期間を確認できればと思いました。
○審査第二部長 世の中で言われている2012年問題等の代表になっていると思いますので、2012年かそれより後ぐらいで、そんなに遠くない世界には恐らく特許が切れると思います。開発については説明させていただきましたけれども、かなり前から行っていますので、その特許切れであるいいタイミングを見込んでということで考えたわけではなく、どちらかというと、本当はもっと早く出したかったのではないかという気がします。
○松井部会長 その辺の詮索はこれぐらいにしてはどうかと思います。
○清水委員 降圧効果の話が出ているところで、添付文書に使っている文言なのですが、「低用量」という言葉が何か所かに出てくるのですが、今の議論の中で使われている低用量は10mgの使用を意味しています。アジルバ錠は20mg錠と40mg錠の二つの発売です。「低用量」という言葉が書かれていると、その低用量は20mgという読み方がされることの危惧はないでしょうか。低用量のところを10mgと書くことは難しいのでしょうか。
○機構 既存のARBの添付文書を見てみますと、大体通常用量よりも少し低めの用量から製剤がありますので、恐らく低用量というと、通常用量よりも低用量から使えるような書きぶりになっています。それに合わせたような書き方で、こちらとしては確かに20mgよりも低用量の10mgが、現在の製剤でしたら割線が入っていますので使えるというところを念頭に置いています。
ただ、実際はそれを10mgと書いてしまうのがいいのか、もしかしたら40mgぐらい使いたい人だったら、20mgでいいかもしれないしというような、少し相対的な意味合いもありますので、その辺りを必ずしも10mgなら安全とも言い切れませんので、このような書き方になっている背景があります。ほかの類薬と同じような形で書いていると思います。
○清水委員 今ここでの議論において、低用量という言葉は100%、10mgという意味で使っていたと思います。
○松井部会長 そちらをはっきり書いた方がいいという御意見でしょうか。
○清水委員 はい。
○機構 現時点で、その10mgの製剤はありません。製剤が無い用量を添付文書にどこまで明記できるかということについては、もう一度整理させていただきたいと思います。もし、それである程度可能であると考えられれば、20mgよりももう少し下の用量であるということが分かるようなニュアンスにできないかということを検討させていただきたいと思いますが、それでいかがでしょうか。
○清水委員 是非検討してください。
○松井部会長 そこのところは、はっきりした方がいいという御意見だったと思いますので、検討していただきたいと思います。
ほかに御意見が無いようでしたら、議決に入らせていただきます。なお、加藤委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
野田委員は引き続き別室で待機していただき、議題7に移ります。議題7について医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用、同皮下注用100μg/0.5mL用、同皮下注用150μg/0.5mL及びレベトールカプセル200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
C型代償性肝硬変は、C型肝炎ウイルス(以下HCVと略す)の持続感染によるC型慢性肝炎の経過の中で、肝組織の線維化が進展して、肝機能が低下した状態を指し、最終的に肝不全・肝細胞がんに至る重篤な転帰を辿る疾患です。C型代償性肝硬変に対する治療としては、HCVの駆除を目的としたインターフェロン療法と肝機能異常の改善を目的とした肝庇護療法が行われており、インターフェロン療法についてはHCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除いた患者への適応を有するインターフェロン単独療法に加え、本年5月の当部会において、ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)とリバビリンとの併用療法について、すべてのウイルスタイプ及びウイルス量のC型代償性肝硬変に対する効能追加が審議され、7月に承認を取得したところです。
本日の審議品目であるペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は、メトキシポリエチレングリコールを結合した持続型のインターフェロン製剤の一種であり、また、リバビリンは抗ウイルス活性を示すプリンヌクレオシド類似体で、インターフェロン製剤との併用により、ウイルス駆除効果を向上させることが確認されております。
ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)とリバビリンの併用療法は、2004年10月に本邦において承認され、2005年12月の効能拡大を経て、現在、血中HCV-RNA量が高値のC型慢性肝炎及びインターフェロン製剤単独療法で無効の患者、又はインターフェロン製剤単独療法後再燃したC型慢性肝炎に対する適応を有していますが、今般、申請者は、C型代償性肝硬変患者を対象に、本併用療法による臨床試験を実施し、承認申請に至りました。
なお、海外では本併用療法は、C型代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎に対して適応を有しており、2001年3月に欧州、2001年8月に米国でそれぞれ承認されたのをはじめ、2011年9月現在、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は107、リバビリンは89の国と地域で承認されております。
また、本申請品目は、優先審査品目に指定されております。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本併用療法の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
国内臨床試験として二つの試験が実施されております。はじめに実施された34試験は、C型慢性肝炎と同一の用法・用量で抗ウイルス療法を行わない観察群を対照とした比較臨床試験として実施されましたが、血球数減少等による投与中止率が予想よりも高かったことから、目標症例数90例に対し、50例が登録された段階で治験が中止され、その後、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)及びリバビリンの用量を変更し、対照群を置かない1群の試験として35試験が実施されました。
有効性に関してですが、報告書の11ページの下から2行目に35試験の結果を記載しております。
ウイルスタイプ及びウイルス量を問わないC型代償性肝硬変患者を対象に、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)1.0μg/kgを週1回皮下投与、リバビリンをスクリーニング時の体重及びヘモグロビン濃度により400~1,000mg連日経口投与で併用し、48週間投与した結果、主要評価項目である投与終了後24週時のHCV-RNA持続陰性化率は40.2%であり、95%信頼区間の下限は事前に設定された10.0%を上回りました。医薬品医療機器総合機構は、この事前に設定された閾値が自然経過によるHCV-RNA持続陰性化率を基に設定されたものであったことについて、本併用療法がインターフェロンに対し、リバビリンを併用するものであることから、インターフェロン単独療法での有効率も考慮すべきであったとは考えるものの、本邦でのC型代償性肝硬変に対するインターフェロン療法の試験成績が極めて限られており、特にジェノタイプ1、かつ高ウイルス量患者に対する試験成績は存在しなかったことを考慮し、得られたHCV-RNA持続陰性化率及びジェノタイプ及びウイルス量によるサブグループ毎の持続陰性化率も踏まえ、本併用療法の有効性は示されていると判断いたしました。
また、安全性に関してですが、報告書12ページの表10、並びに報告書20ページの表17を御覧ください。表10の方には、35試験において認められた主な有害事象をお示ししております。また、20ページの表17には、これらの有害事象を34試験及びC型慢性肝炎患者を対象に実施した国内臨床試験における発現頻度と比較してお示ししております。34試験及び35試験で認められた主な有害事象は、C型慢性肝炎でも既知の事象でしたが、C型代償性肝硬変患者では血小板減少、体重減少等、C型慢性肝炎と比べて発現率の高い有害事象が認められ、34試験では重篤な有害事象として血小板数減少1例が認められました。血小板数減少に関しては、C型代償性肝硬変患者では、ベースラインの血小板数がC型慢性肝炎患者に比べて低いことがその一因として考えられました。
以上より、医薬品医療機器総合機構は、血球系の減少の発現頻度がC型慢性肝炎と比べて高く、注意が必要と考えますが、発現した有害事象は既知の事象であり、より病態の進んだC型代償性肝硬変患者に対しても、十分な注意喚起と適切な用量調節を行うことで、本併用療法の安全性は許容可能と考えました。
また、本併用療法の用法・用量については、審査報告書の21ページの表18を御覧ください。こちらに34試験及び35試験において、有害事象により減量等の措置が必要となった患者の割合をお示ししております。C型慢性肝炎と同一の用法・用量で実施した34試験では、半数近くの48.5%が投与中止に至っておりましたが、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)の用量を1.0μg/kgとし、リバビリンの用量をスクリーニング時の体重及びヘモグロビン濃度を考慮して設定した35試験では、投与中止率が低減されており、用量の変更によりC型代償性肝硬変の患者においても、一定の忍容性は得られたものと判断いたしました。また、有効性についても、35試験で一定のHCV-RNA持続陰性化率が認められていることから、35試験における用法・用量を認めることは可能と考えました。ただし、安全性の観点から、血球系検査値に応じた用量調節を行うことは必須であり、また、C型慢性肝炎とは開始用量及び用量調節基準が異なることが十分周知されるよう、添付文書での注意喚起及び資材による情報提供が重要であると判断いたしました。
以上、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、C型代償性肝硬変に対する本併用療法の有効性は認められ、安全性についてはC型慢性肝炎に対する本併用療法適用時以上に、慎重な観察と用量調整を行うことで、許容可能と考えられたことから、適切な注意喚起を行った上で承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本併用療法は、C型代償性肝硬変に対する効能・効果、及び用法・用量を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 参考までに教えていただきたいのですが、C型肝炎に対して、インターフェロンがペグを使うことによって治療効果がグンと上がってきたということは既知の事実です。添付文書でもどちらでも結構なのですが、副作用の項に、インターフェロンの副作用はかなりいろいろあります。それから、ペグ自体も高分子物質ですから、これ自体のアレルギーもあろうかと思います。ペグに関しては、特にこの症状がペグに関するアレルギーだということは分かっているのでしょうか。臨床的な副作用ということです。
○機構 ペグインターフェロンが本邦で承認になってから、確かにC型慢性肝炎に対する治療効果が高くなったということがあります。正直申しまして、ペグイントロンとイントロンでは、治療効果は同一期間投与した場合には変わりません。そのことはペグイントロンの初回承認の時に、イントロンに対する非劣性ということで確認がされております。ペグイントロンにおいては、投与間隔が通常型のインターフェロンですと2日に一遍という頻度なのですが、これが週に1回で済むことから、利便性が高くなったということで、広く使われるようになったものと認識しております。
また、ペグに由来する副作用ということでの御質問なのですけれども、これはインターフェロンにペグが共有結合しておりますので、バラバラに身体の中で挙動しているということではありません。ただ、投与した際には、やはり徐々に身体の中で分解を受けて遊離をすることは確認されております。ただ、その遊離されてくるペグの量に関しては、体内で毒性を発現する量ではないということは確認されておりますし、現時点までに、ペグインターフェロンは2種類ありますけれども、ペグであるがゆえに発現している、ペグに由来すると考えられる副作用というものが特に指摘されている事実はありません。
○佐藤(田)委員 全然別な領域で、再生的な骨を作る部分のところでペグを使ったり、いろいろ行ったことがあります。どれが副作用が起こっているのか、これは動物だったので構わないのですが、ヒトの場合にどのように考えるのかと思いましたので質問させていただきました。ありがとうございました。
○加藤委員 非常に細かいところですけれども、添付文書の薬物動態のところは、一般的にこの製剤の薬物動態を全般的に説明していると思われます。血中濃度段階投与、反復投与等すべてのところに、高齢者など様々なところに、本剤の承認より高用量の1.5μg/kgを週1回皮下投与したということが、繰り返し書かれています。ところが今回の承認だと、1μg/kgになっていて、これらの薬物動態のところは、特に慢性肝炎だけに限った記述ではないわけですので、誤解を招かないでしょうかということを伺います。
○機構 確かに、今般の承認用法・用量が1.0μgということになると、この記載は誤解を招く恐れがあります。特に健康成人の部分のところは適切ではないと考えます。C型慢性肝炎の患者さんに関しては、確かに承認用量としては1.5μgですので、そこの部分に関しては適切に整理させていただきます。
○松井部会長 書き方を指導するということですね。
○機構 はい、そのようにさせていただきます。
○松井部会長 ほかには、ございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、林委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品イグザレルト錠10mg及び同錠15mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるリバロキサバンは、ドイツBayer社が創製した、経口投与可能な活性型血液凝固第X因子(Xa)の阻害薬であり、Xaを選択的かつ可逆的に阻害することにより、血液凝固反応を抑制し、血栓形成を抑制します。
本邦では、20□年より本薬の非弁膜症性心房細動患者を対象とした臨床開発が開始され、今般、国内外の臨床試験成績を基に製造販売承認申請されました。なお、本剤は、海外において「待機的股関節全置換術施行患者又は待機的膝関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓性イベントの抑制」、「深部静脈血栓症の治療並びに深部静脈血栓症及び肺塞栓症の再発抑制」の効能・効果で既に承認されており、今回の申請効能・効果についても世界各国で承認申請され、本年6月にウクライナで、11月に米国で、それぞれ承認されております。
本品目の審査に関して、専門委員として、資料15に記載されている委員が指名されました。
審査の概略について、国際共同の国外第III相試験及び国内第III相試験の成績を中心に御説明します。なお、外国人非弁膜症性心房細動患者に比べ、日本人非弁膜症性心房細動患者では本薬の曝露量が約20%高くなること、70歳以上の患者に対するワルファリンの目標PT-INR値が海外に比べ本邦では低く設定されているという医療実態があることを踏まえ、国際共同試験として実施された国外第III相試験に日本が参加するのではなく、日本人非弁膜症性心房細動患者における本薬の用法・用量を選択した上で、国内第III相試験を実施するという開発がなされました。
審査報告書71ページを御覧ください。こちらは、外国人非弁膜症性心房細動患者を対象とした国際共同国外第III相試験の成績ですが、本薬の用法・用量は通常用量が20mg1日1回、クレアチニンクリアランスが30~49mL/minの中等度腎機能障害患者に対する用量が15mg1日1回とされ、対照薬のワルファリンはPT-INRが2.0~3.0となるように投与量が調節されました。
審査報告書72ページ下を御覧ください。有効性の主要評価項目は、脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の発現とされ、その発現率は、本薬群1.71/100患者年、ワルファリン群2.16/100患者年でした。ワルファリン群に対する本薬群のハザード比は0.79であり、ワルファリンに対する本薬の非劣性が検証されました。
審査報告書74ページ、表14を御覧ください。安全性の主要評価項目は、「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」とされ、その発現率は、本薬群14.91/100患者年、ワルファリン群で14.45/100患者年でした。
審査報告書65ページ下を御覧ください。日本人非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第III相試験では、本薬の用法・用量は通常用量が15mg1日1回、クレアチニンクリアランスが30~49mL/minの中等度腎機能障害患者に対する用量が10mg1日1回とされ、対照薬のワルファリンは、PT-INRが2.0~3.0、75歳以上の患者では2.0~2.6となるように投与量が調節されました。国内第III相試験は、本剤の安全性について、国外第III相試験と同じように「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」を主要評価項目とし、ワルファリンに対する本薬の非劣性を検証することを目的とした二重盲検並行群間比較試験です。
審査報告書68ページ、表10を御覧ください。「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」の発現率は、本薬群で18.04/100患者年、ワルファリン群では16.42/100患者年であり、ワルファリン群に対する本薬群のハザード比は1.11であり、ワルファリンに対する本薬の非劣性が検証されました。
続いて、審査報告書67ページ、表9を御覧ください。有効性については、十分な検出力は確保されませんでしたが、主要評価項目とされた脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の発現率は、本薬群で1.26/100患者年、ワルファリン群で2.61/100患者年でした。
以上の国内外の第III相試験の有効性の成績の比較に加え、非弁膜症性心房細動患者に対する抗凝固療法は国内外共に臨床的に確立していること、本薬の検討用法・用量の設定根拠に一定の妥当性があると考えられることを踏まえ、国外第III相試験において認められた本薬の有効性は、日本人非弁膜症性心房細動患者においても期待でき、本薬が日本人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に用いる抗凝固薬の選択肢の一つとなる可能性はあるものと判断しました。
効能・効果については、審査報告書102ページの「(2)本薬の効能・効果及び投与対象について」を御覧ください。国内外の第III相試験のいずれでも、心房細動による塞栓症リスクを0~6点までで評価するCHADS2スコアが2点以上の非弁膜症性心房細動患者が対象とされました。しかし、非弁膜症性心房細動患者に対する抗凝固療法は、CHADS2スコアには含まれていない塞栓症のリスク要因や他の患者背景も考慮して患者毎に判断されること、国内外の第III相試験におけるワルファリン群と比較した本薬群の成績を踏まえると、ワルファリン投与が推奨あるいは考慮可能とされている非弁膜症性心房細動患者であれば、CHADS2スコア2点未満の患者を本薬の投与対象に含めないことは望ましくないと判断しました。以上より、本剤の効能・効果は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」とすることが妥当と判断しました。
本薬の出血リスクについては、審査報告書104ページの「1)出血リスクについて」を御覧ください。本薬には、薬効をモニタリングする適切な指標が無く、抗凝固作用を中和する薬剤も無いことから、本薬投与開始後は診察時に各種の出血症状の発現に注意すると共に、定期的な診察及び血液検査等により、出血を示唆する徴候の有無や腎機能を確認することが重要であり、出血発現時には、速やかに投与薬中止の判断をすることが必要と考えました。また、以上の注意喚起については、本薬の特徴、本薬投与中の出血の発現により死亡を含む重大な転帰に至る可能性が否定できないことを踏まえ、また、先般、同様の注意を喚起する警告欄が同効薬で設けられた実態も考慮し、患者の安全確保と本薬の適正使用のために、本薬でも警告欄に記載することが妥当と判断しました。
製造販売後の調査計画等については、審査報告書108ページの「(7)製造販売後調査等について」を御覧ください。製造販売後調査において、実際の医療現場で本剤を使用した時の出血リスク及び低用量投与患者の安全性及び有効性イベントの発現状況の情報を収集する必要があると考えました。また、臨床試験では情報が少なかったワルファリンからの切替え症例及びワルファリンへの切替え症例の切替え後の安全性及び有効性イベントの発現状況、抗血小板剤併用時の安全性に関する情報、突然死に関する情報、CYP3A4阻害剤、P糖タンパク阻害剤等が併用された場合の安全性に関する情報をそれぞれ収集する必要があると考えました。申請者は、これらの情報を収集するために、調査予定例数1万例の使用成績調査の計画を提出しており、まずはこの調査で安全性及び有効性に関する問題が見られないか検討することが妥当と判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。
本剤の再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。それでは、本議題について、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○成冨委員 ダビガトランの時も問題になりましたが、これを投与している時に出血が起きてしまった場合、何か適当な対処方法はあるのでしょうか。ワルファリンの場合は作用を中和できる薬剤がありますが、ダビガトランは血中濃度が落ちてくるのを待つしかないことになっています。この薬剤の作用を中和するような薬剤は何かありますか。
○機構 本薬につきましても、ダビガトランと同様に中和するような薬剤が無いので、まずは投与を中止して待っていただくことが基本にはなるかと思います。その他の基本的な出血に対する処置は同じです。
○成冨委員 血中半減期は大体どのぐらいなのでしょうか。
○機構 こちらの半減期については、添付文書にも記載されておりますが、通常用量である15mgについては8.7時間となっております。
○佐藤(田)委員 単純な質問ですが、先日、類薬というか同じような薬で、確か5、6名の方が既に出血死をされていると新聞に出ていました。世の中に出すにあたって、その薬物よりもこちらは、どの辺りがどのようにベターなのでしょうか。
○機構 先生がおっしゃるベターというのは、恐らく安全性ということだと思います。これは直接比較した成績が無いので、どちらが良いかは本当のところは分からないのですが、まず機序の面から御説明しますと、先生がおっしゃったのはプラザキサですが、これは血液凝固の第II因子であるトロンビンを直接阻害するものです。この薬は、血液凝固のカスケードのやや上流にある第X因子を阻害するということで、若干阻害する部分が違っているということです。
最終的に止血に働くのはトロンビンなので、できているトロンビンそのものを阻害するという前の薬と、その前段階の第X因子を阻害するけども、すべてを阻害し切るわけではないので、第II因子の出てくる部分をまだ残しているというところが違います。 第II因子もすべてを阻害するわけではないので、ある程度血液凝固の部分を残しているというところで、いずれにしても完全に阻害するわけではなくて、少しずつ違う感じで凝固を阻害するということですので、恐らくいろいろな考え方があって、どちらかが機序の面から安全だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際ヒトに投与してこの対象患者でどちらが出血しにくいかとなると、分からないということです。
○松井部会長 今のお答えでよろしいでしょうか。作用機序が違うというのは確かだということです。
○佐藤(田)委員 どちらを選ぶかは分からないということですね。
○松井部会長 ほかに御質問、御意見はありませんか。
○鈴木委員 プラザキサが重篤な出血を起こしているのに、同じような薬がまた出たということで注目されるのではないかと思います。日本の場合ワルファリンが今まで用いられてきました。PT-INRの測定などの手間がありますが、日本の場合は受診が気軽にできるので、むしろそれが安全性を確認できるという機会にもなっていたわけです。それが、もし長期投与のような形で大病院等で出されると、費用対効果の観点から見ても、却ってリスクが高まる可能性があるのではないかと思います。新しい薬なので、プラザキサの薬価を見ると非常に高いですが、ワルファリンはものすごく安いわけです。PT-INRなどの測定の手間は確かにあって、外国でアクセスの悪い国だとそういった測定がなかなかできないので、経口薬でということになるのかもしれませんが、我が国の場合は気軽に受診ができるという恵まれた環境にありますので、その意味ではこういった薬が日本においては費用対効果の観点からも、そのリスクも含めて広く使われることが果たして望ましいのかどうか、あって悪いということではないと思いますが、私は疑問に思います。
○松井部会長 それはコメントということでしょうか。
○鈴木委員 その辺りについてはどのようにお考えなのでしょうか。
○機構 先ほどいただいた御質問にも関連しますが、類薬で出血死があったという件に関しては、ブルーレターにも記載しましたように、本来であれば投与してはいけない腎機能の患者に投与された方が多かったわけです。恐らく、国際共同試験や事前の情報がいろいろありましたので、現場ではワルファリンより安全な薬だと捉えられていた部分があったということで、あのようなことが起こってしまったのかと思っております。現在はメーカーにもお願いして、ワルファリンより安全な薬というわけではなく、患者の背景やパーソナリティを判断して、どれかを選択していただくうちの一つだと。先生がおっしゃったように、もしかして日本の中でもアクセスできない患者がいる可能性もあり、ワルファリンは御存じのように相互作用が非常に多い薬で、食品との相互作用もありますが、そのようなところを管理できない患者もいらっしゃいますし、いろいろなことを判断して選択していただくものがあるということで、意義があると思っています。
繰り返しになりますが、前回もそうですが、この薬は決して安全ではなく、出血の危険がある薬だということの情報提供を今回もきちんと添付文書も含め、改めて先ほど来出ている現場への情報提供資材も用意しますので、そういったことで対処できるのではないかと考えております。
○松井部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 それでは、議題1に移ります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品レグナイト錠300mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるガバペンチンエナカルビルは、本邦で既に抗てんかん薬として承認されているガバペンチンの消化管吸収の改善を目的に開発されたガバペンチンのプロドラッグであり、吸収後エステラーゼにより速やかにガバペンチンに変換されると考えられております。海外では、2004年6月から臨床試験が開始され、2011年4月に米国において承認されております。本邦においては、2007年9月から臨床試験が開始され、今般、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦において同様の効能・効果を有する薬剤として、プラミペキソール塩酸塩水和物製剤(ビ・シフロール錠)が承認されております。以降、レストレスレッグス症候群につきましては、RLSと省略させていただきます。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されている9名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書37ページの表を御覧ください。本申請は、ブリッジングコンセプトに基づき開発が行われており、海外で実施された第III相試験をブリッジング対象として、国内で第II/III相試験が実施されました。国内外臨床試験における主要評価項目である最終評価時のベースラインからのIRLS合計スコア、こちらはRLSの症状をスコア化したものになりますが、その変化量において国内外臨床試験共に本剤1,200mgのプラセボに対する優越性が示されております。また、審査報告書38ページ上の図を御覧ください。最終評価時のIRLS合計スコアのベースラインからの変化量は、国内臨床試験において600mgよりも900mg群で変化量が小さかったものの、その要因については900mg群で偶発的な脱落例が多かったためと考えられること、600mg群とプラセボ群との対比較において群間差の信頼区間の上限値は0を下回っていることから、視覚的な用量反応関係に国内外で大きな差異は無いと考えており、海外臨床試験成績を外挿することは可能と判断しました。
次に、安全性についてですが、審査報告書43ページ下の表を御覧ください。本剤の投与により傾眠、浮動性めまい等の中枢神経系の有害事象が認められますが、その多くが投与初期に認められること、また、ほとんどが軽度又は中等度の事象であることから、適切な注意喚起を行うことにより、臨床上大きな問題にはならないと判断しております。また、審査報告書45ページ下の表及び46ページ上の表を御覧ください。特発性RLSの効能・効果を有するドパミンアゴニスト、先ほどお話したビ・シフロール錠については、長期投与によりRLS症状の発現時間の早期化又は重症化が認められるAugmentationと呼ばれる事象が発現する場合があります。そのため、添付文書上での注意喚起を行っておりますが、本剤については600mg投与においてはAugmentationを疑わせる有害事象の発現状況はプラセボ群と同程度であったことから、現時点においては特段の注意喚起は必要ないと判断しております。その他の安全性については、本剤がガバペンチンのプロドラッグであるということを踏まえ、添付文書上においてはガバペンチン製剤と同様の注意喚起を行うことが適切と判断しております。
本剤の用法・用量についてですが、審査報告書37ページの表を御覧ください。国内外臨床試験共に主要評価は1,200mg群とプラセボ群との比較となっておりますが、600mg群についても信頼区間の上限値は0を下回っており、有効性は期待できると考えております。また、審査報告書49ページ上の表を御覧ください。600mgより高用量を設定した海外臨床試験において、用量の増加に伴った有効性の向上は認められておりません。さらに、毒性試験(非臨床試験)においては、ラットにおいて、高用量の投与により膵臓腫瘍が認められており、ヒトへの外挿性を完全に否定することは困難であること等を踏まえると、本剤の曝露量は可能な限り低く抑えるべきと考えております。審査報告書55ページの審査報告(2)の「(1)用法・用量について」の項を御覧ください。現在、600mgの有効性は厳密には検証されているとは言い難いと考えておりますが、RLS治療に使用可能な薬剤が限られている状況を勘案して、現在得られているデータより、600mgの有効性は示唆されていること、安全性に大きな問題は無いと判断できることから、本剤の承認は可能と判断し、承認用量は600mgのみとすることが適切と判断しました。なお、国内外臨床試験においては、600mgの有効性は検証されたとは言い難いこと、600mgより低用量の検討を行うべきと考えることから、製造販売後にこれらの検討を行うよう申請者に指示し、申請者より、臨床試験を実施する旨の回答を得ております。
以上の審査を踏まえ、本剤の中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
また、事前に林委員、檜山委員より御質問をいただいております。林委員からは、「海外第III相試験の検定結果のp値について、審査報告書37ページ下から7行目には、『いずれも本剤1,200mg群とプラセボ群との対比較において、統計学的な有意差が認められており』とありますが、600mgとの対比較についてのp値は、37ページ、49ページにも同様の表があるのですが、そのいずれにもありません。海外第III相試験でプラセボ群との対比較を行っているのであれば、本剤600mg群とプラセボ群との対比較の結果を教えていただけますでしょうか。」との御質問です。
御指摘いただいた海外第III相試験につきましては、主目的として本剤1,200mgの有効性の検証と設定されており、本剤600mgの有効性については副次目的として設定されておりました。また、検定の多重性等も考慮された計画とはなっておりませんでしたので、審査報告書においては本剤600mgのプラセボとの対比較の検定しか記載しておりませんが、p値として0.0001未満という検定結果が得られております。
檜山委員からの御質問ですが、「本剤は□□□□□による徐放性製剤で、グリセリン脂肪酸エステルが基剤として選択されております。製造工程における溶出性への影響は検討され、管理されているようですが、一方でグリセリン脂肪酸エステルの規格又はグレードについて記述が無いようですが、検討されているのでしょうか。」という御質問をいただいております。
檜山委員より御指摘いただいたグリセリン脂肪酸エステルにつきましては、□□□□□□□□□が使用されており、実際には□□□□□及び□□□□□□□□に基づき管理されておりますが、本邦での承認申請に際しては本邦での公定書規格へ適合させるという観点から、□□□□□□□□適合の「グリセリン脂肪酸エステル」と記載されております。ですが、檜山委員からいただいた御指摘を踏まえて、「グリセリン脂肪酸エステル」の管理項目及び管理値が製剤の品質に影響を与えると考えられることから、□□□□□□□だけでなく、必要な管理項目と管理値を承認申請書上に別紙規格として追記するよう申請者に指示したいと考えております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 今の最後の御説明については、林先生と檜山先生、よろしいですか。
○林委員 私は37ページの表についてお聞きしたのですが、質問をした意図は、国内試験のp値のところで、多重比較の方法としてウィリアムズの方法を使っていらっしゃるのですが、その結果の600mgでの斜線の意味と海外第III相試験の600mgでの斜線、つまりp値を書いていないことの意味が違います。今御説明があったように、海外の方はセカンダリーの項目だったので記載していないが、ウィリアムズの検定、つまり国内の方は、1,200mgでは有意にプラセボ群に勝るが、残りの二つはそうではないという結果を示していることを確認したかったという趣旨でした。
○檜山委員 私の質問は、徐放性製剤のように添加剤に特別な機能を持たせるとした場合に、必ずしも公定書で決められている基準の中に入っていればそれが満たされるということについてですが、そうである時もあるのですが、そうでない時もありますので、特にここは注目して検討されたのでしょうかということを質問したわけです。回答されたように、徐放性の機能に影響がある可能性が高いので、規格に入れるという回答をいただきましたので、少なくとも検討されて入れるという回答をいただきましたので、了承しております。
○松井部会長 ありがとうございました。そのほかに委員の先生方から、御質問等はございますか。
○佐藤(田)委員 ガバペンチンはてんかんの部分発作にかなり前から使われていて、効果があるということでそのプロドラッグが出てきて、かつ適応も通って効果があるのだろうと思いますが、今回は本症候群がてんかんの部分発作の発症機序というか、病態と似ているので使われるのですか。それとも、たまたまガバ誘導体のものに効果があるので使われるのでしょうか。基本的なところですが、教えてください。
○機構 てんかんに対するこの薬の作用機序とRLSに対する作用機序は、審査報告書6~7ページにRLSに関する作用機序について書いておりますが、まだ完全に解明されてはいないのですが、神経伝達抑制するというかなり大まかなところで言えば、薬物の作用なので同じような機序にはなりますが、実際てんかんの患者にRLSの症状が出るとか、そういったことは特に言われておりません。作用機序が大きなところで同じということになります。
○佐藤(田)委員 小さい病院でしたら同じかもしれませんが、専門病院ですと、多分臨床の科が違ってくると思いますので、精神科で多くてんかんを扱っており、神経内科ではこちらの症候群がかかっているのではないかと思います。精神科にかかっているわけではないと思いますので聞かせていただきました。
○成冨委員 この薬剤は当然抗けいれん作用があるはずですが、この薬剤600mgの抗けいれん作用はガバペンチンの600mgとほぼ同等と考えていいのでしょうか。
○機構 分子量的には、ガバペンチンエナカルビルになっていて、エナカルビル分が重くなっておりますので、それが大体1.924倍、約2倍なのですが、一番最初に御説明したように、ガバペンチンの場合は消化管での吸収が飽和しますので、高用量にいくとだんだん血中濃度が頭打ちになってきます。この薬はそこを改善したプロドラッグですので、用量を上げていくと線形に上がっていくので、ある一定のところでガバペンチンと大体同じ分子量換算のところで同じぐらいになるのですが、そこからずれていくような形になっております。
○成冨委員 レストレスレッグス症候群というのは、神経内科医以外の医師が付けることは殆どない判断名だと思います。神経内科医でもかなり関心のある人が、根掘り葉掘り聞かなければ分からない症候群であり、レストレスレッグス症候群という判断名の下に治療薬が投与されるケースは余り多くはありません。これに較べると、てんかん、痙攣という診断名の下に治療薬が投与される機会ははるかに多いといえます。薬価がどの程度に決まるかによっては、この薬剤はレストレスレッグス症候群治療薬としてよりも抗痙攣薬として使われる可能性があるのではないかと考えます。
○機構 薬価のことは、私たちは専門外なので御容赦いただければと思いますが、今あるガバペンチンとの相互利用に関しては、先ほど血中濃度が大体これぐらいで同じになるというAUCベースでのお話をしましたが、そこでお互いに変えて使った時の有効性・安全性は全く確認されておりませんので、そこは逆にして使わないようにということを情報提供の資材等で徹底するようにしたいと考えております。
○鈴木委員 薬価は関係無いというか、ここで決めることではないとは思いますが、既存の現在使われている薬ですから、薬価を決める時にてんかんで使われている薬の薬価を参考にすると、それに影響されて高くなってしまうという気がしますし、逆に薬が同じだとすれば、どちらか安い方を使うという使われ方も起こり得るのではないかという気もします。
また、これは一般的には「むずむず脚症候群」と呼ばれている疾患ですね。そうすると、それは正式な病名ではないのでしょうか。「レストレスレッグス」というのは日本語でも言いにくいですね。試験の時はこのような病名でもよいと思いますが、もう少し分かりやすく、保険収載などに向けて工夫するようなことはお考えではないのでしょうか。
○機構 これ以前にビ・シフロール錠が同じ適応を有しており、それをこの部会で御審議いただいたのですが、その際に専門協議を医薬品医療機器総合機構で開催する時に、むずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群という病名について、睡眠の関係で発現してくるということで、睡眠学会の先生方に効能・効果の病名は日本ではどうしたらいいでしょうかという話を伺いました。そうした場合に、「レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)」がいいだろうというお話をいただいて、以前ビ・シフロールの時にそのような設定をしたという背景があります。今回も同じ対象ですので同じような病名にさせていただきましたが、確かに巷ではむずむず脚というのも多く言われておりますので、情報資材等ではそのように言われている病名のところは併記し、先生方にも伝えるようにするということになっております。
○加藤委員 ガバペンチンの関連製剤で、以前ここでも質問したのですが、日本では鎮痛剤としてはプレギャバリンで、ガバペンチンは抗てんかんでというのが企業の戦略だということを伺ったように思いますが、いろいろデータを見ると、有痛性のレストレスレッグス症候群にも痛みを改善する効果があると記されていて、そうなると、例えば、ガバペンチンが慢性痛に有効だということで、適応外でもガバペンチンを処方することがケースとして出てくるような感じがするのですが、このような新しい製剤が出てきた時に、今後エナカルビルの適応に慢性疼痛に加えていくような新しい発展があるのかということを伺いたいと思います。
○機構 先生から御説明いただいたように、海外ではガバペンチンエナカルビルを持っている会社がFDAに糖尿病性の神経因性疼痛で先日承認申請をしたと聞いております。□□□□□□□□□□□□と聞いておりますので、今後どうなるかは分かりませんが、そのような方向にいく可能性はあると思います。
○清水委員 この薬剤の服用時期は夕食後という指定なのですが、今回の夕食後の指定というのは意味が大きいですね。この薬剤にとって夕食後は余りずらしてほしくないというところの書き具合と、米国の添付文書を見ると、飲み忘れた時には翌日までお休みするという項目が入っているのですが、日本の添付文書にはその記載は無いようですが、そこの御意見を伺いたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございました。夕食後のところは、確かに先生から御指摘いただいたように、この薬が徐放であるということを考えると、元々申請者としては夕食のタイミングであれば飲み忘れが少ないだろうから、そこに合わせて飲んで、徐放で寝入りばなにむずむずするのを抑えたいという意図があって、夕食後に規定して徐放化をしたという背景があるようです。そうは言っても、夕食を何時に食べるかは人によって様々ですし、寝入る直前に食べるような患者もいるかと思いますので、その辺りは臨床試験で実際どの辺りに食事を取っていたのか、この薬の薬物動態等を考えると、どれぐらいまでには飲んでおくべきなのかは調べて、情報提供の資材か何かで入れられないかと考えております。
海外の添付文書で、飲み忘れたら次の日にというところは、これは夜間に出る症状を抑えるものなので、飲み忘れて朝に飲んでも意味が無いということで書いているのだと思いますが、日本の添付文書では、飲み忘れてすぐに飲む飲まないというところは、対象疾患の重篤性や、すぐに飲んだら危ないというところがある場合には書いていると思うのですが、特にリスクが無い場合にはあえて書いていないところが背景としてはあるかと思います。ただ、そうは言っても患者に対する情報としては重要なことだと思いますので、それは何らかの情報提供資材で対応させていただければと思います。
○松井部会長 よろしいでしょうか。それでは、議論も十分出たと思いますので、議決に入ります。なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品エビリファイ錠3mg、同錠6mg、同錠12mg、同散1%及び同内服液0.1%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びに医薬品エビリファイOD錠3mg、同OD錠6mg、同OD錠12mg及び同OD錠24mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるアリピプラゾールは、大塚製薬株式会社において開発された非定型抗精神病薬であり、海外では2011年9月現在、74の国又は地域で承認されており、今回の申請効能・効果である双極性障害における躁症状の改善については56の国又は地域で承認されております。本邦では、統合失調症の効能・効果で2006年1月に錠剤及び散剤、2009年1月に内用液が承認されており、双極性障害における躁症状に対し、□□□□□より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更申請が行われました。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。有効性についてですが、審査報告書7ページの上の表を御覧ください。日本を含むアジア地域で実施した国際共同試験において、主要評価項目であるFASでの投与3週後におけるヤング躁病評価尺度(YMRS)の合計点のベースラインからの変化量は、本剤群で-12.0、プラセボ群で-6.0であり、本剤群とプラセボ群との群間差は-6.0と統計学的な有意差が認められました。また、審査報告書12ページの上の表を御覧ください。国際共同試験における地域別の有効性の結果について記載しておりますが、日本人集団での有効性について、YMRS合計点のベースラインからの変化量の群間差は全体集団での結果と類似しておりました。同ページの下の表を御覧ください。国際共同試験における安全性について、日本人集団での有害事象の発現状況は、日本以外の地域と大きく異なることはありませんでした。以上より、当該国際共同試験成績から、日本人双極性障害患者における本剤の有効性及び安全性を評価することは可能と判断しました。
次に、安全性についてですが、審査報告書16ページ上の表を御覧ください。本剤による有害事象として錐体外路症状がありますが、その発現率は統合失調症患者を対象とした臨床試験よりも高くなっております。その要因として、双極性障害の躁症状の患者を対象とした場合には、用量が高いためと考えられます。既に添付文書上においてこれらの副作用に関する記載を行っているところではありますが、双極性障害の躁症状に対する情報提供資材において十分な情報提供を図る予定としております。審査報告書17ページ下の表を御覧ください。長期投与試験において、本剤の投与により体重増加が認められております。なお、既承認効能・効果である統合失調症を対象とした臨床試験においては、対照的に体重減少が認められております。審査報告書18ページ上の表を御覧ください。双極性障害の躁症状の患者では、ベースラインのBMIが低い患者でBMIの増加傾向、統合失調症患者ではベースラインのBMIが高い患者でBMIの減少傾向が認められていることから、いずれの疾患においてもベースラインのBMI値が標準値から外れた患者において標準値方向への変動が認められたものと考えており、臨床上重要な問題とはならないものと考えられております。しかし、1.8の添付文書(案)の2ページの「2.重要な基本的注意」の(7)を御覧ください。本剤投与時の体重変動については、標準値を超える変動が生じる可能性も否定できないため、注意が必要と判断し、体重変動が起こるので注意深く観察すること、ということで注意喚起を図ることとしております。
以上の審査を踏まえ、本剤の双極性障害における躁症状の改善に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、エビリファイ錠、同散、同内用液については新効能及び新用量医薬品、エビリファイOD錠については新効能及び新用量医薬品並びに剤形追加に係る医薬品であり、再審査期間は統合失調症に係る再審査期間の残余期間である平成28年1月22日までとすることが適切であると判断しております。また、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 薬効について伺いたいのですが、1点は、バイポーラーの躁の状態の時に適応ということですが、モノポーラーには効果が無いのか、適応は申請していないので効かないのか、全く機序が違うので適応を取らないのでしょうか。これが1点です。 また、うつ転でDepressiveに変わった時に、危険性は半減期を見ても72時間ぐらいなのでしょうか。T1/2のところがかなり長いですが、服用を止めるということで、別に特別に中和する薬があるわけではないでしょうから、その2点を教えてください。
○機構 1点目のモノポーラの躁に対する影響はどうなのかという御質問ですが、モノポーラの躁とバイポーラーの躁が同じなのかというのは、持ち合わせていないので分かりませんが、患者に対して効く可能性はあると考えております。
2点目のうつ転した時の対応ですが、半減期の観点から薬は体の中から消えはするのですが、薬が消えたからと言ってうつになったものが戻るわけではないので、そこはこの薬を止めていただくと同時に、うつに対する治療をしていただくことになると思います。
○本橋委員 今の先生の御質問に少し補足した方がいいと思うのですが、躁だけを繰り返すタイプも双極性障害に入ってしまうのです。ですから、単極性の躁は双極性障害と捉えることになっております。非常に珍らしいのですが、それが一つです。
また、私から一つ質問があるのですが、初期用量が24mgというのは、問題にはなっていたと思うのですが、統合失調症で使う場合に比べてかなり多いので、欧米では15mgとなっています。日本の添付文書が海外よりも多いというのは非常に珍しいのではないかと思います。先ほど錐体外路症状とおっしゃっていましたが、アカシジアはレストレスレッグス症候群とよく似た非常に不快な副作用なのです。それが多いということは、注意していかなければいけないことだと思うのですが、その辺りについてはどのように御指導されるのでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございました。今御指摘いただいた用量のところは、審査の段階でもかなり悩みまして、先生からも御説明いただいたように、元々この試験を行う前のアメリカでの承認用量が開始用量30mgだったということもあって、日本で24mgを開始用量とするのは、その並びから見れば双極性障害の躁の患者はかなり症状が激しいということ、まず最初に症状を押さえたいということから、日本で24mgを開始用量とすることが妥当だろうと、申請者と医薬品医療機器総合機構で対面助言で議論しました。しかしながらその後、海外の開始用量が15mgまで下がってきてしまい、日本はどうするかという話になったのですが、実際臨床試験で行った24mgを開始用量とした結果の中で、確かに御指摘いただいたようにアカシジア等が見られているので、患者にとっては不快なところは当然あるのですが、そうは言っても患者は3週間の評価時期を完了できて、エビデンスとしては24mgで開始した時のエビデンスしかないので、今の承認開始用量としては24mgにするという判断をした次第です。
ですが、御指摘があったように、臨床試験の対象が双極性障害のI型の患者ですので、症状としてはかなり激しい患者もいるのですが、効能・効果が双極性障害のI型に限っておらず、II型などより軽度の患者にも投与される可能性がありますので、そのような時に本当に24mgのみでいいのかというところがありますので、そこは製販後調査等で情報を入手していただいて、もし低用量の開始用量が必要になるような患者がいるのであれば、そこは低用量から開始した時の有効性・安全性を検証するような試験を実施していただくということを申請者と議論しております。
今回24mgの開始用量を承認するということですので、臨床試験で起きたアカシジアやそのほかの錐体外路症状の発現状況等は、きちんと情報提供の資材の中に入れていただいて、統合失調症の場合と用法・用量がこれだけ違う、有害事象の出方もこれだけ違うというところは、きちんと情報提供するように申請者には指導しているところです。
○清水委員 剤形の名称について、ザイディスであったものを今回はODに変更してきているのですが、口腔内崩壊錠はすべてODの表記にするのが妥当なのかどうかという議論はありましたか。何が言いたいかというと、ODであっても、通常の錠剤と同じように調剤の上で扱えるものと、全く別の取扱いをしなければならないほど柔らかいものと、大きく分けてあろうかと思います。もしかしたら、そこは名前できちんと分かるようにしてしまった方がいいのかという感じもあるのですが、そこは何か御議論はありましたか。
○機構 今回、元々ザイディスとして申請されたものをODに変えさせた経緯としては、ザイディス錠は今既承認のものが出てしまっているものはあるのですが、それが剤形を表すものではなくて、ある会社の特許の技術を言っているものなので、いわゆる剤形がすぐに分かるものという今の名前の付け方の定義から言えば、それは不適切であろうというところで、口腔内崩壊錠として一般的なOD錠という用語に変えるという判断がありました。
OD錠のうち、柔らかくて、少し押すと欠けてしまうようなものと、溶かしても飲めるし、普通に扱うこともできる薬剤と、確かに御指摘のようにいろいろなパターンがあると思いますので、その辺りどのような区別ができるのかは、ここですぐにお答えすることはできませんが、今後の検討課題とさせていただければと思います。
○永井部会長代理 36ページの投与中止例を見ますと、プラセボでも53%、本剤でも46%中止されているのですが、この程度はやむを得ないのですか。何か問題が無いのか、その辺りの見解はいかがでしょうか。
○機構 審査報告書36ページの「(3)投与中止例の影響について」で、プラセボ群52.8%(66/125例)、本剤群45.9%(56/122例)というところの御指摘かと思います。この脱落理由は下に書いてあるのですが、有害事象による投与中止例が各12例、効果不十分による中止例がそれよりもかなり多いということになりますので、どうしてもプラセボ群の患者で効果不十分例というのは理解しやすいかと思いますが、本剤群でも二重盲検試験を行っているというところもありますので、この患者は治験よりも実際の治療に戻した方がいいという判断が働いてこのようになったかとは思います。類薬等の状況は今持ち合わせていないのですが、この試験で取り立てて多かったものではなかったと考えております。
○松木委員 バイポーラーの患者で、躁の時はなかなか受診しないというのが問題だと思うのですが、うつの時にフェーズに投与したらどうかということで、エビリファイについてはいろいろな報告があり、慢性のうつにも有効だという臨床報告があるのですが、本当にうつの時に使っても効かないのですか。
○機構 モノポーラーの難治性のうつに対しては、効果があるという報告は多数あるかと思います。バイポーラーのうつに関しては、余り効果がみられなかったという臨床試験成績が何報か論文になっていたかと認識しております。
○本橋委員 追加ですが、バイポーラーのDepressionに米国で行った臨床試験では効果が無かったのです。ほかの薬ではうつに効果を認められたりしているのですが、この薬については残念ながらうつでは効果が無かったとされています。
○松井部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、成冨委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品サーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg及び同錠0.75mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
腎移植における移植腎の生着には、移植後に発現する拒絶反応の抑制が最も重要とされています。本邦における腎移植の実施件数は2009年の1年間で1,312件であり、現在、腎移植後の拒絶反応の抑制に対する標準的な治療法として、カルシニューリン阻害剤(以下、CNIと略す)、核酸代謝拮抗剤、主にミコフェノール酸モフェチル(以下MMFと略す)、及びステロイド剤の3剤を併用し、加えて周術期には抗体導入療法(バシリキシマブ)が用いられています。一方で、これらの免疫抑制療法に伴う感染症、CNIの使用に伴う腎障害等の発現が、良好な移植腎機能を長期に維持する上で問題とされており、これらの問題点を解決するため、CNI投与量の最小化、早期離脱等の免疫抑制療法が検討されていますが、現在の標準的な治療法と比較して、拒絶反応が増加するといった報告がされています。以上より、拒絶反応の発現率を増加させることなく、既存の免疫抑制剤の副作用を軽減又は回避する新たな免疫抑制療法が求められています。なお、本邦において腎移植後の拒絶反応の抑制のためにCNIと併用する薬剤について、核酸代謝拮抗剤と異なる作用機序を持つ免疫抑制剤の選択肢は存在していません。
エベロリムス(以下、本薬と略す)は、マクロライド系免疫抑制剤であり、細胞の増殖及び血管新生に関連する哺乳類ラパマイシン標的たん白質(mTOR)に対する阻害作用を介して、細胞増殖抑制効果を発揮すると考えられています。臓器移植時の拒絶反応は、抗原を認識したT細胞の急速な増殖を伴うことから、本薬は主にインターロイキン2で刺激されたT細胞の増殖を抑制することにより、免疫抑制作用を発揮するものと考えられます。
今般、申請者は、腎移植における拒絶反応の抑制の治療法として、既存の核酸代謝拮抗剤の代わりに本薬を併用することで、拒絶反応の発現率を増加させることなく、併用するCNIの減量等により、既存の免疫抑制剤の副作用の軽減が期待できると考え、臨床試験を実施し、本薬の承認申請に至りました。なお本邦において、本薬は2007年1月に心移植における拒絶反応の抑制の効能・効果で承認を取得し、また、2011年10月現在、腎移植における拒絶反応に対して、85か国以上で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本薬の有効性、安全性について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内で実施された第III相A1202試験、海外で実施された第III相A2309試験の2試験の成績が提出されています。両試験では、新規の腎移植患者を対象に、減量シクロスポリンと併用した本薬と、標準量のシクロスポリンと併用したMMF又はミコフェノール酸の腸溶錠であるMyforticの有効性及び安全性が比較検討されました。
有効性に関してですが、報告書24ページの表25を御覧ください。主要評価項目であります、「移植後12ヵ月間の効果不十分の発現率」について、海外A2309試験では、本薬1.5mg群及び本薬3mg群のMyfortic群に対する非劣性がそれぞれ示され、国内のA1202試験では本薬1.5mg群のMMF群に対する非劣性が示され、また、A1202試験の結果はA2309試験の結果と比べて、遜色ない結果が得られていることから、本薬の日本人腎移植患者における有効性は示されたと考えました。
安全性に関してですが、報告書6ページの表3及び、報告書11ページの表11及び表12を御覧ください。国内A1202試験及び海外A2309試験において認められた有害事象の概略を示しています。
A1202試験及びA2309試験から、対照薬であるMMF/Myfortic投与時に比べて、本薬投与時に発現率が高くなる有害事象も認められており、また、脂質代謝異常、腎機能障害、血糖上昇等、本薬投与時には種々の有害事象の発現について注意する必要があると考えますが、本申請で得られた新たな安全性情報について、添付文書等で適切に注意喚起を行うことで、本薬の安全性は許容可能と考えました。ただし、今後も製造販売後調査において、十分な情報収集を行い、本薬の安全性プロファイルを確認していく必要があると考えました。
製造販売後調査に関してですが、報告書58ページの表42を御覧ください。
国内のA1202試験において、本薬は減量シクロスポリンと併用する規定とされていたにもかかわらず、投与初期においてはシクロスポリンの十分な減量がなされていなかったことから、製造販売後調査において併用するシクロスポリンのトラフ濃度を情報収集し、本薬と併用するシクロスポリンのトラフ濃度と有効性及び安全性の関連について検討できるようにする必要があると考えました。また、小児患者に本薬が投与された場合、又はCNIとしてタクロリムスが併用された場合については、使用状況を十分に確認し、医療現場への適切な情報提供、添付文書における記載内容の検討等の対応を行うことが望ましいと考えました。
以上、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、腎移植における拒絶反応の抑制に対する本薬の有効性は認められ、安全性については適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本薬は、既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての申請であるため、再審査期間は残余期間、平成29年1月25日までとすることが適当であると判断しています。薬事分科会では、報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方、御意見、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。特にありませんか。
私自身は、1989年から移植患者に免疫抑制剤カルシニューリンインヒビターを使ってきました。肝臓移植の子どもたちに使ってきました。この新しく付加する薬剤に大きな副作用が無いという条件の下ですが、カルシニューリンインヒビターは、少しでも少ない方が、腎臓に対する毒性から考えるとよろしいと思います。
○佐藤(田)委員 基本的なことを教えてください。私は、以前に抗菌薬にかかわっておりましたので、抗菌薬については割と情報があったのですが、国際的な抗菌薬ですと、ハーモナイゼーション、そのデータがそっくりではないけれど、日本で適用できるのですが、この系統の薬のハーモナイゼーションというのは、それと同じような考え方でよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。医薬品医療機器総合機構からお答えはありますか。
○機構 ハーモナイゼーションに関する話は、この移植領域の中では、特段上がってきているものではありません。実際、今回海外で設定されている用法・用量と、国内での承認用法・用量が、同じ用法・用量にはなりますが、結局これは海外での試験成績を踏まえて国内で計画されたところですので、この薬剤に関しては国内外共に同じ用法・用量になっているというところです。
○佐藤(田)委員 伺ったのは、ハーモナイゼーションのうちで、特に人種の差があるということでの有効性の問題や有害作用などで、大きく考えてそのような意味のハーモナイゼーションはあるのかということです。
○機構 医療現場、医療環境の観点からしますと、腎移植というものは、実際、日本では透析が十分普及していることもあって、あとは生体腎、死体腎というドナーの問題ですとか、そういった医療環境の観点では、いろいろと違いはあるのが事実です。ただ、実際の免疫抑制療法の仕方や使用されている薬剤に関しては、大きく異なるものではありませんので、実際に有効性の観点ではそれほど人種差は認められていないのではないかと考えられます。
○松井部会長 ほかにありますか。無いようですので、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品アイファガン点眼液0.1%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、アドレナリンα2受容体作動薬であるブリモニジン酒石酸塩を有効成分とする点眼液であり、2010年9月現在、米国、欧州等世界72か国で承認されています。引用箇所(メモ)の冒頭におきまして、表で提示させていただいているのですが、海外におきまして保存剤及びpHの違いにより、濃度が異なる0.2%製剤、0.15%製剤及び0.1%製剤が販売されています。海外臨床試験において、0.15%製剤及び0.1%製剤の眼圧下降作用は、0.2%製剤と同等であることが確認されています。なお、申請製剤は海外で承認されています0.15%製剤と有効成分濃度以外の処方は同一となっています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されています10名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性について、審査報告書30ページの表9を御覧ください。国内第III相試験において、単剤療法では、点眼4週後の平均眼圧変化値の本剤群とチモロール0.5%群との群間差は、0.7?Hgであり、その95%信頼区間の上限値1.3?Hgは、あらかじめ設定した非劣性限界値1.2?Hgを上回り、非劣性は検証されませんでした。審査報告書31ページの表11を御覧ください。プロスタグランジン関連薬との併用療法では、プロスタグランジン関連薬により十分な眼圧下降作用が得られていない患者において、点眼4週後の平均眼圧変化値は、本剤群-2.9±1.8?Hg、プラセボ群-2.1±1.8?Hgであり、統計学的な有意差が認められました。
安全性について、審査報告書38ページの表17及び表18を御覧ください。国内外の臨床試験において、主にアレルギー性結膜炎、点状角膜炎、結膜充血等の眼局所の有害事象が認められました。審査報告書39ページ、表19を御覧ください。海外臨床試験及び海外製造販売後の安全性情報において、アドレナリンα2受容体作動作用に関連する口内乾燥、傾眠、不動性めまい、低血圧、徐脈等の全身性の有害事象が認められています。少し戻っていただきまして、審査報告書27ページの表7を御覧ください。新生児及び乳児では、本薬の代謝酵素でありますアルデヒドオキシダーゼ活性が低いことが報告されており、特に2歳未満の乳幼児では無呼吸、傾眠、徐脈等の重篤な有害事象が報告されています。このため、本剤の添付文書では、全身投与時と同様の副作用が現れることがある旨を注意喚起すると共に、海外添付文書と同様に、2歳未満の乳幼児を禁忌としています。なお、眼局所及び全身性の有害事象については、製造販売後調査において引き続き検討する予定です。
臨床的位置付けについて、審査報告書35ページ、「(1)本剤の臨床的位置づけについて」の項を御覧ください。緑内障診療ガイドラインでは、プロスタグランジン関連薬及びβ遮断薬が第一選択薬とされていますが、プロスタグランジン関連薬は副作用のために使用を制限される患者やノンレスポンダーが存在し、β遮断薬は気管支喘息患者やコントロール不十分な心不全患者には禁忌である等の問題があります。審査報告書34ページの図3を御覧ください。心血管系又は呼吸器系疾患を有さない高齢者を対象とした国内臨床薬理試験において、本剤はチモロール0.5%と比較して、呼吸機能及び脈拍数への影響が小さいことが示されています。図3の(A)に記載されています1秒量というものが、呼吸機能を示しています。また前述のとおり、国内第III相試験において、プロスタグランジン関連薬により十分な眼圧下降が得られていない患者に対する有効性が示されていることを踏まえると、新規作用機序の緑内障治療薬として、他の緑内障治療薬で効果不十分又は使用できない緑内障、又は高眼圧症患者に新たな選択肢を与えるものと考えています。
以上の審査を踏まえ、本剤の「次の疾患で他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合、緑内障、高眼圧症」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、1-(1)新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は劇薬、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断いたしております。なお、薬事分科会には報告を予定しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○永井部会長代理 38ページの長期投与の場合の有害事象ですが、アレルギー性結膜炎が非常に多いですね。40%近く起こるのですが、これは問題にならないのでしょうか。
○機構 我々としましても、この長期投与時のアレルギー性結膜炎は非常に問題であると思い、どのような機序であるか等を確認しましたが、なかなか明確な機序ということは分からなかったのが現状です。これについては、日本人だけで起こっているわけではなく、海外でも同様のことが起きています。なお、臨床試験で認められたアレルギー性結膜炎については、本剤を中止することによって改善が認められていることを確認しています。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○加藤委員 32ページの表13について伺います。基本的にこのような薬剤は、併用療法が一つの狙い目で、まず第一選択で選ばれるのがプロスタグラジン関連薬だと思います。この図のデータの見方がよく分からないのですが、数値だけを見た範囲の単剤と併用療法ですと、併用の方が全体的な数字として、余り眼圧降下作用が無いように見えるのですが、これは何か有意差があるのでしょうか。あるいは意味は無いのでしょうか。何となく数字として比べると、プロスタグラジン関連薬と併用した場合のデータの数字は、効果が弱まるように見えるのですが、これはどのようなことか説明していただけますでしょうか。
○機構 32ページに示しましたのは、長期投与試験で主に安全性を併用時と本剤単剤とで比較して見たものになります。先ほど御説明させていただきました直接比較した第III相試験については、前のページに記載しています。基本的には、有効性については、この第III相試験の中で示されているものと考えています。
○機構 少し補足をさせていただきます。御指摘いただきました長期投与試験は、今コメントさせていただきましたように、主に安全性を見たものなのですが、プロスタグラジン関連薬との併用療法では、当然プロスタグランジン関連薬が効かなかった患者さんで、それに本剤が上乗せされているというような状況ですので、もともと単剤療法の患者さんと比べてレスポンスの悪い方が多かったということが予測されます。一方で、この試験結果からだけでは、有効性を評価することは難しいのではないかと思っており、国内臨床試験ではプロスタグランジン関連薬との併用であっても、単剤療法であっても、プラセボに対しての優越性は確認されています。
○加藤委員 資料から分からなかったのですが、表13のデータは、プロスタグランジン関連薬ではノンレスポンダーだと認められた人たちを対象にして併用したのでしょうか。それとも、そうではないのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○加藤委員 このデータだけを見ると、併用しない方がいいのではないかというような結論になってしまう気がするのですが、どうなのでしょうか。
○機構 変化量で見ていただいていると、単剤療法と併用療法で少し差があるように見えるかもしれないのですが、先ほど申し上げましたように、プロスタグランジンとの併用療法では、プロスタグラジンで臨床的に十分な眼圧下降が得られなかった患者さんを対象にしていますので、点眼開始日の眼圧値を御覧いただきますと、プロスタグランジン関連薬は18.7、単剤療法は22.0と、元々のベースラインの眼圧値も違います。ベースラインの眼圧が高ければ変化量は大きくなるというような結果が得られることになりますので、そういった意味での反応性の違いはあるかも知れませんが、いずれの場合でも有効性は認められていると考えられると思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。今の御説明は、私も少し理解できませんでした。これとは別に有効性が認められているからという御説明ですね。
○機構 眼圧の変化量は、ポピュレーションによって違いますので、そういった意味で、プロスタグランジンが効かなくて併用したような患者様と、初めて緑内障治療薬を点眼するような患者様では、反応性の違いはあると思います。患者背景が異なる結果をもとに一律に変化量だけで単剤の方がいいというディスカッションはできないのではないかと思います。
○松井部会長 よろしいでしょうか。
○加藤委員 状況としてはよく分かりました。前向きなメッセージとしては、今まで無かったα2アゴニストという薬は日本で初めてなので、今までの併用は大体プロスタグランジンとβブロッカーで行っていたと思うのですが、それに新しいものが加わることで、何か臨床へのデータとして三つの組み合わせがある時に、どのような可能性があるのかを指導できるような資材の準備は必要かと思いますので、よろしくお願いします。
○機構 ありがとうございます。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○松木委員 質問というよりはコメントなのですが、緑内障は中高年の失明の第1位になっていて、経済的、社会的損失が非常に高く、新しい薬の開発は重要だと思います。非臨床や臨床のデータも、全部眼圧を下げることをパラメーターとして行っているのですが、大部分の緑内障が正常眼圧で起こることが分かっていて、神経変性疾患として捉えるべきであるというような認識になってきているのですね。ですから、もし薬の開発を行うような所を指導する立場であるのならば、眼圧を下げれば進行は抑えられるのですが、神経変性疾患の抑制をしない限り、どうしても劇的な開発は期待できないので、臨床試験のパラメーターも眼圧の低下だけではなく、視野狭窄や物がかすんで見えなくなるというような別のパラメーターの新しい視点で開発し、眼圧を下げることだけをいつまでも行っていると、なかなか緑内障の治療では進展が無いような気がしますので、是非お願いしたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。
○宗林委員 直接この承認とは関係無いのですが、プロスタグランジンは睫毛が伸びるという有効性の承認が海外でありまして、これは目的外使用なのですが、日本でも美容外科などで、すごく沢山使われています。平常の何でもない人が使うので、充血してしまって困るというようなことが多々起きていて、本当の眼科ではなくて美容外科で沢山使われているということで、緑内障の薬は睫毛が伸びるというぐらいに思っていらっしゃる方は、結構いるかと思います。これは関係無いと思いますが、そのような意味での副作用は今回は無いのだろうと思いますが、総合的に少し情報発信をしていただけるとありがたいと思います。これは睫毛が伸びないと書いてもらいたいぐらいです。
○機構 主に、睫毛が伸びると言われている薬は、プロスタグランジン関連薬になると思いますが、本剤はα2作動薬で、そのような作用は持ち合わせていません。
○松井部会長 ほかにございますか。特に無ければ、議決に入ります。なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題9に移ります。議題9について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題9、資料9「エベロリムスを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
資料9の上から4枚目に、医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、これに沿って御説明申し上げます。名称はエベロリムス、予定される効能・効果は、結節性硬化症です。申請者は、ノバルティスファーマ株式会社です。
対象患者数について、結節性硬化症では多様な器管に良性腫瘍が形成されます。したがって、特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されています。本邦における患者数は、1万~1万5,000人と推定されていますので、希少疾病用医薬品の指定要件5万人未満を満たすものと判断します。
医療上の必要性について、結節性硬化症は腎の血管筋脂肪腫(AML)等の腎病変、上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)等の中枢神経系の病変、横紋筋腫等の心病変、肺のリンパ脈管筋腫症(LAM)、難治性てんかんなどの種々の障害がみられる疾患です。既存の治療法は、病変部位切除等の外科的な処置のほか、各臨床症状に対する対症療法が主なものとなっています。一方、本剤は腫瘍病変の発現に関する酵素に対する阻害作用を有していますので、結節性硬化症に対する新規の治療薬となる可能性があります。結節性硬化症は、一部の患者においては重篤で、予後不良となる疾患でありながら、適切な医薬品がありませんので、医療上の必要性は高いと考えています。
開発の可能性について、本邦ではAMLを有する結節性硬化症患者や孤発性のLAM患者を対象とした国際共同試験が実施されています。また、□□□□□□□を有する患者を対象とした国際共同試験の実施も検討されているところです。以上により、本剤の開発の可能性はあると考えられます。
以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えますと、本剤については希少疾病用医薬品の要件を満たすと判断しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。特に御意見はありませんか。
それでは、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本義題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「tafamidis meglumineを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
医薬品医療機器総合機構が取りまとめております評価報告書を御覧ください。本剤の予定される効能・効果は、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチー(家族性アミロイドポリニューロパチー)、申請者はファイザー株式会社です。
まず、対象患者数について説明します。厚生労働省の特定疾患治療研究事業による家族性アミロイドポリニューロパチー患者データから、国内における患者の推定有病率は、人口100万人辺り0.87~1.1人と推定され、国内における患者数は約110~140人と推定されたことから、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たすものと判断しています。
次に、医療上の必要性について説明します。現在、当該疾患の薬物療法は臨床症状に対する対症療法のみであり、疾患の進行を抑制する方法は肝移植のみとされていますが、ドナー不足等の問題があります。本剤は、アミロイド形成を抑制することで、疾患の進行を抑制することが期待されており、今後本剤の有効性及び安全性が検証されれば、医療上の必要性はあるものと判断しています。
最後に開発の可能性についてですが、EUにおいては本年7月に承認勧告を、米国においては現在審査中という状況であり、開発の可能性はあると判断しています。以上3点より、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。特にありませんか。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 以上で、審議事項10議題は終了です。それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1~3について、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
報告事項議題1、資料11「医薬品プラビックス錠25mg及び同錠75mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料を御覧ください。本剤は、チエノピリジン骨格を有する抗血小板薬でありますクロピドグレル硫酸塩を有効成分とする錠剤です。「虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制」及び「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)」の効能・効果で既に承認されています。
今般、サノフィ・アベンティス株式会社から、効能・効果に「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される安定狭心症、陳旧性心筋梗塞」を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料12「医薬品カイトリル細粒0.4%、同錠1mg、同錠2mg、同注1mg、同注3mg、同点滴静注バッグ3mg/50mL及び同点滴静注バッグ3mg/100mLの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、グラニセトロン塩酸塩を有効成分とする5-HT3受容体拮抗剤であり、現在、経口剤及び注射剤について「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果で承認されています。さらに、注射剤においては「造血幹細胞移植前処置時の放射線全身照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果でも承認されています。
本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられておりまして、本年7月29日に開催されました本部会において、事前評価を踏まえて、中外製薬株式会社より、「放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料13「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。
資料13、医薬品再審査確認等の結果通知書です。一般的名称は「エポプロステノールナトリウム」、販売名は「静注用フローラン0.5mg及び同1.5mg」のものです。
この品目について、製造販売後の使用成績調査の成績等に基づきまして、再審査申請が行われました。審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要は無い「カテゴリー1」と判断いたしたものです。
以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 資料13のフローランなのですが、報告書の10ページで、この薬剤は承認条件があっての市販後調査であって、担当からも確認がされて、そのディスカッションの内容はそこに書かれているとおりで、この内容がどうなのかということではないのですが、推定1,600人に使われていて全例調査で上がってきた症例が681例だったこと、これは、もう取り返しがつかないことなのですが、やはり全例調査は全例調査に近くあるべきだと思うので、今後何か考えていらっしゃること、あるいは全例を集められるような指導について検討されていることはありますか。
○機構 御指摘ありがとうございます。確かに全例調査ですので、それは理由としては患者さんの数が非常に少ないということで、できるだけ有効性・安全性の情報を収集するという意図ですので、できる限り収集すべきと考えています。この薬も、当初は再審査期間が終了した時に、やはりすべての症例が登録できていない状況もあり、できる限り継続して登録するというように指導し、行っているところです。実際は、医療機関の先生方が忙しい等ということで、企業は最大限努力をしても、1例も漏れなく収集するのは現実的に難しい状況もあります。ただ、できるだけこういった状況が無いように指導しているという現状は、確かにあります。ですので、この薬に限らず、再審査期間中できるだけ全例調査を行ってくださいというものについては、再審査期間に定期的に報告されている安全性定期報告で、登録されている患者数などを確認し、少しそこが滞っている時には、どのようなことになっているのかということを確認する等、そういったようなことは恒常的に行っているところです。その上での、こういった結果となると思います。特段ほかの全例調査に比べて、抽出率が非常に低いわけでもなく、残念ながら最大限行っても現状としてはこのぐらいということで、この薬に特別な問題があるとは考えていませんが、いかがでしょうか。
○松井部会長 よろしいですか。
○清水委員 全例がかかった調査の回収率のようなデータで、疫学的というか、過去の調査が公表されたものはあるのですか。
○機構 疫学調査としては無いのですが、現時点では再審査報告書が公開されていますので、そういった全例調査の承認条件が付いたもので、実際にどのぐらいの抽出率で調査が行われているかということは、今はその薬品ごとに知ることが可能な状況になっています。疾患ごとの特徴や全例調査をしなければいけない対象の医療機関の特性によって、若干抽出率は変わってくるのですが、そういったことを知ることができる現状にはあります。
○松井部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
それでは、ただいまの報告事項については御確認いただいたものといたします。事務局からほかに何か報告はありますか。
○事務局 部会の予定ですが、本日で本年の第一部会は最後です。次回は、来年1月27日(金)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いします。
○松井部会長 今年1年どうもお世話になりました。また来年も、よろしくお願いいたします。本日は終了といたします。どうもありがとうございました。
(了)
本日は、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。
本日の委員の御出席についてですが、佐藤雄一郎委員、千葉委員、西沢委員、村田委員、山田委員より御欠席との御連絡をいただいております。
また、永井委員、野田委員、鈴木委員におかれましては、遅れていらっしゃるとのことですが、現在のところ当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
以後の議事進行は、松井部会長にお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしております。
このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページのレグナイトは、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページのオキファストは、中等度から高度の疼痛を伴う、各種がんにおける鎮痛を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページのエビリファイは、双極性障害における躁症状の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページのサーティカンは、腎移植における拒絶反応の抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページのアイファガンは、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合の緑内障及び高眼圧症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページのアジルバは、高血圧症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページのペグイントロンは、併用によるC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページのレベトールは、併用によるC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページのイクザレルトは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑性を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページのエベロリムスは、結節性硬化症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。
11ページのtafamidis meglumineは、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチー、家族性アミロイドポリニューロパチーを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。以上です。
○松井部会長 以上について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況を御説明させていただきます。
議題1のレグナイトについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員でございます。
議題2のオキファストについては退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題3のエビリファイについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は成冨委員、野田委員、本橋委員でございます。
議題4のサーティカンについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員、野田委員、林委員でございます。
議題5のアイファガンについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員でございます。
議題6のアジルバについては退室委員は永井委員、野田委員、議決には参加しない委員は加藤委員、松木委員でございます。
議題7のペグイントロン及びレベトールについては退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は永井委員、林委員、松木委員でございます。
議題8のイグザレルトについては退室委員は野田委員、議決には参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題9のエベロリムスについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員、野田委員でございます。
議題10のtafamidis meglumineについては退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員でございます。以上です。
○松井部会長 本日の審議事項は10議題、報告事項は3議題です。本日は委員の退室状況などを踏まえ、議題2、6、7、8、1、3、4、5、9、10の順に審議を行います。
それでは、議題2に移ります。退室委員の野田委員はまだおいでになっておりませんので、議題2について医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品オキファスト注10mg及び同注50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、オピオイドμ受容体作動薬であるオキシコドン塩酸塩水和物を有効成分とする注射剤であり、「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を予定効能・効果として申請が行われております。本邦において、本薬を有効成分として含有する製剤は、皮下投与される注射剤として、ヒドロコタルニン塩酸塩水和物との配合剤である「複方オキシコドン注射剤」が1968年9月より、「激しい疼痛時における鎮痛・鎮静」等を効能・効果として販売されており、単剤の経口剤として、徐放性製剤が2003年4月、速放性製剤が2006年10月にいずれも「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を効能・効果として承認されております。海外において、本剤は2010年12月現在、フランス、ドイツ等を含む世界21か国で承認されております。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性について、審査報告書14~15ページ、「1)日本人がん疼痛患者を対象とした静脈内投与試験」の項を御覧ください。本剤の持続静脈内投与による国内第III相試験において、主要評価項目である疼痛強度、レスキュードーズ及び忍容性に基づき評価した疼痛コントロール達成率は81.4%、その95%信頼区間の下限値70.3%は、あらかじめ設定した閾値70%を上回りました。審査報告書の18ページの図5及び19ページの表4を御覧ください。本剤の持続皮下投与による国内第III相試験は、主に薬物動態の検討を目的として実施されておりますが、持続皮下投与時と持続静脈内投与時の薬物動態及び有効性はほぼ同様であり、持続皮下投与においても、持続静脈内投与と同様の有効性が期待できると判断いたしました。
安全性について、審査報告書の19ページの表5を御覧ください。国内臨床試験において認められた有害事象は、主にオピオイド鎮痛薬による事象としてよく知られている傾眠、嘔吐、悪心、便秘等でした。注射部位紅斑等の投与部位局所の事象は、持続静脈内投与よりも、持続皮下投与で発現率が高い傾向が認められましたが、いずれも軽度又は中等度であり、臨床上大きな問題は無いと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は1-(3)新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○清水委員 審査報告(2)の方に、製造販売後調査について記載があります。私は専門ではないので余り詳しくはないのですが、目標症例数が100例、50例では少ないと思ったのですが、そこは何かありますか。
○機構 確かにここの症例数は、一般的な使用成績調査における症例数より少ないと思われますが、本剤の対象は、がん疼痛患者さんであり、しかも静脈内投与や皮下投与という注射剤を必要とする患者さんです。可能な限り例数を集める必要があるのですが、この薬剤オキシコドン塩酸塩ということで、一般的な有害事象については大体発現頻度等も分かっているようなものですので、安全性についてはこの程度で見ていくことができるのではないかと考えております。
○清水委員 この薬が上市された時にどの程度使われるのかということですが、今の説明より患者数は多いと思います。その辺はいかがでしょうか。
○機構 今はオピオイドの注射剤ですと、70~80%ぐらいモルヒネ塩酸塩が使われているような状態になっております。複方オキシコドンであるパビナール注も使われているのですが、そちらの方は大体5%ぐらいしか使われていないという状況です。
オキシコドン塩酸塩の経口剤を使用されている患者さんも多いので、本剤が上市されるとモルヒネから本剤に切りかえられる可能性は否定できないと思います。調査をしていく上で、がん疼痛患者さんですと、同意等を得ることもなかなか難しいところがありますので、この程度の例数となっております。
○清水委員 この薬が求められていることの一つは、オピオイドローテーションを考えますと、オキシコドンの内服でコントロールしていた人が飲めなくなった時、モルヒネに変えなければならない、あるいはフェンタニルに変えなければならないということが前提としてあると思うので、そのようなことから考えると、ローテーションの中でモルヒネに変えるべきところを同じオキシコドン製剤の注射薬に変えられるということで、使用例数というのは、全国で50、100という数字ではない数が調査可能なのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○機構 本剤の開発の背景は、審査報告にも記載させていただきましたように、未承認薬検討会議を発端にして開発されている製剤です。それなので、申請者としては余り積極性は無いという点が一つ理由としてあります。それは、先生がおっしゃるように大きな理由にはならないのですが、実際に3,000例や1,000例の調査を行ったとしても、そこから検出される内容は恐らく、悪心、嘔吐等、あとは投与部位の反応ということで、ある程度予測ができます。
当初審査の過程では、再審査を付けることを申請者は想定していなかったようで、調査そのものを実施する予定は無かったということがあります。一方で、注射剤として初めての製剤であるということです。説明させていただきましたように、皮下投与に関しては、古くから日局品で複方オキシコドンというものがございまして、注射剤としても全く無いわけではないという状況を踏まえると、そこから1,000例、3,000例を行わなければいけない理由というのを我々としても説得するような材料もありませんでした。オピオイドナイーブの方、それから先生がおっしゃいましたように、オピオイドローテーションの中で注射剤に切り替えていく方の安全性は、やはり新投与経路医薬品としては見る必要があるということで、まずは申請者が提示したような症例数で製販後調査を実施し、もちろん何か問題があれば、その後追加で特別の特定使用成績調査のようなものを実施する形になるのではないかと思っています。
○松井部会長 これが、がんの疼痛であるというある程度の特殊性に立脚して、acceptableであるかどうかという判断だと思います。ほかの先生方はいかがですか。
○成冨委員 この薬剤以外の話ですが、一般的に市販後調査というのは、承認までの試験の症例数よりもはるかに多い症例数を対象にして行われております。その理由は、承認までの臨床試験では十分検討できなかった点を確認しようという意味があるからであり、期間を設けず、多数の症例を対象に調査を行うことになっているのだと思います。一方、ここでは、承認までの試験よりも少ない症例数を対象に市販後調査を行おうとしているわけですが、それは余り意味が無いような気がしますがどうでしょうか。
○機構 確かに症例数としては少ないのですが、一方で臨床試験というのはある程度制約を受ける特殊な環境の中で実施されておりますので、実臨床の中で問題の有無を確認していくことが重要だと思っております。先ほども御説明いたしましたように、何か問題があった時に、更に追加の調査をという形になると思いますが、まずはこの例数で行っていくことに問題は無いと思っております。
○林委員 統計的に、特に新規の医薬品の場合は未知の重篤なものがあるかもしれないということで、頻度が非常に小さいために臨床試験の段階で見つけられなかったものを市販後で拾うということから、通常は1,000例や3,000例等と設定されると思います。
今回の医薬品はすごく頻度が小さく、希で、かつ重篤なものが起こる可能性はどれだけあるのかということで、成分・製剤としては新しいものではなく、プロファイルは相当分かっているということが、恐らく1,000例、3,000例ではない例数の設定の根拠になっているのではないかと理解しております。
○松井部会長 承認できる範囲であるということですね。
○林委員 今御説明があったように、何かサインが出れば、当然また大きな規模の調査が必要だと思いますが、いわゆる市販後の1,000例、3,000例といった調査は現段階で必要としないのではないかという御意見には賛成です。
○松井部会長 ありがとうございました。ほかには、よろしいでしょうか。無いようでしたら、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。永井委員は、まだお見えになっていないようですので、医薬品医療機器総合機構から説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品アジルバ錠20mg及び同錠40mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
審査報告書の3ページを御覧ください。アジルサルタンは武田薬品工業株式会社により創製されたARBであり、アンジオテンシンIIのタイプ1受容体を選択的に阻害し、降圧作用を示す薬剤です。
本薬の開発は20□年から開始され、今般、国内臨床試験成績を基に、「高血圧症」を効能・効果として、製造販売承認申請がなされました。
海外においては、本薬のプロドラッグ体であるアジルサルタンメドキソミルが開発されており、本薬アジルサルタン自体の申請、あるいは承認はいずれもなされておりません。
なお、本薬のプロドラッグ体は、米国で20□年□月、欧州では20□年□月にそれぞれ承認申請がなされており、米国では2011年2月にプロドラッグ体の40又は80mgを含有する錠剤が承認されました。
本品目の審査に関して、専門委員として資料15に記載されております委員が指名されました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
有効性については、審査報告書の52ページからの国内第II相用量設定試験の項を御覧ください。この試験は、本薬の用量反応性を検討するための二重盲検並行群間比較試験であり、同52ページの表11に有効性の主要評価項目であるトラフ時坐位拡張期血圧の結果を示しております。本薬の血圧低下作用は、5~40mgの範囲で、用量依存的に増加するという結果でした。また、本試験では比較参照群として、既承認のARBであるカンデサルタン投与群が設定されており、一番右のC.C.と記載されているカラムがカンデサルタンの成績になります。カンデサルタンの用量としては、最初の4週間は、通常用量の8mgが投与され、その後8週間は最高用量の12mgが投与されております。本試験では、本薬の5~10mg群とカンデサルタン投与群の降圧効果が同程度という結果でした。
続いて、審査報告書の54ページからの国内第III相検証試験の項を御覧ください。本試験は、本薬群とカラムには記載されておりますが、本薬群では20mgから開始して、40mgに増量しております。また、カンデサルタン群では8mgから開始し、12mgに増量されて、その2群を比較した二重盲検並行群間比較試験であり、54ページの表14にはその両群の増量後の最終評価時の血圧変化の結果が記載されております。主要評価項目であるトラフ時坐位拡張期血圧、表中ではDBPと記載されておりますが、この変化量において、本薬群のカンデサルタン群に対する統計学的な有意差が示されました。
次に、安全性について御説明させていただきます。審査報告書の56ページの表15を御覧ください。こちらには、本薬とカンデサルタンを比較した国内第III相試験における主な有害事象をお示ししております。本薬群でカンデサルタン群に比較して、特に発現率が高くなる有害事象は認められませんでした。以上より、現時点でARBに特徴的な副作用として考えられる低血圧関連事象、腎機能関連事象、高カリウム関連事象等の注意喚起を含め、類薬の添付文書と同様の注意喚起と情報提供に基づき適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な問題は認められないと判断いたしました。
本剤の臨床的位置付けについて御説明させていただきます。審査報告書61ページからの「本薬の臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。国内第III相試験において、先ほど御説明申し上げましたように、本薬の20~40mgは、カンデサルタンを上回る降圧効果が示され、認められた有害事象に関しても、承認の可否にかかわるような問題は認められていないことから、本薬は、新たな高血圧症治療の第一選択薬の一つとして臨床現場に提供する意義があると判断いたしました。しかしながら、高血圧治療ガイドラインにおいて、高齢者や腎機能障害患者などに対しては、ARBは少量からの投与が推奨されており、このような患者で本薬20~40mgよりも、より緩やかな降圧効果が期待される用量の投与が望ましい場合もあると考えられます。また、目的とする降圧効果が得られるのであれば、当然副作用回避の観点から、できる限り必要最小用量の薬剤の投与を行うべきであり、少なくともカンデサルタンの通常用量で、目的とする血圧のコントロールが得られるような患者さんに、本薬の20mgが積極的に投与されることが望ましいとは考えられず、そのような患者さんでは、本薬の20mgよりも少量からの投与、あるいはカンデサルタンなど既存の本薬以外の降圧薬の投与も考慮すべきと考えます。したがって、本薬の主な投与対象は、十分な降圧効果を期待して、本薬20mgから投与しても妥当と医師が判断した場合、あるいはカンデサルタン等既存のARBの通常用量では十分な降圧効果が得られない患者であり、既に承認されているARBが多数存在していることも考慮すると、本薬の降圧効果を踏まえて、本薬の適用の可否を適切に判断することを情報提供した上であれば、本薬を臨床現場に提供することは可能と判断いたしました。
本剤の「用法・用量」について御説明させていただきます。審査報告書の80ページからの「本薬の有効性及び用法・用量について」の項を御覧ください。通常用量については、国内第II相試験や第III相試験の成績から、急激な降圧効果の発現が望ましくない背景を有する患者さん以外のいわゆる一般的な高血圧症患者においては、本薬20mgから投与を開始して維持用量とすることは可能と判断いたしました。また、最大用量については、国内第II相試験で本薬40mgまで用量依存的な降圧効果の増強がみられたこと、本薬40mg投与時の有害事象の発現状況は許容可能なものと考えられたことから、40mgを最大用量とすることは適切と考えます。また、開始用量については、国内第II相試験の成績などを踏まえますと、本薬10mgでも降圧効果は期待できるものの、現時点で特定の集団に一律に適用すべき開始用量として10mgという用量を「用法・用量」として設定するよりも、先ほど臨床的位置付けの項で申し上げましたように、本薬の降圧効果を踏まえて、本剤の適用を判断するという注意喚起をした上で、年齢、症状により適宜増減という規定を設けることで、医師の裁量に応じて低用量からの投与の開始も選択可能とするという用法・用量とすることが適切と判断しました。以上を踏まえて、資料1.8の添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」という項を設け、こちらに「本剤の降圧効果を考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断するとともに、低用量からの開始も考慮すること。」と記載した上で、用法・用量は「通常、成人にはアジルサルタンとして20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は40mgとする。」とすることが妥当と判断いたしました。
製造販売後調査については、審査報告書の78ページを御覧ください。本調査においては、使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的として、高血圧症患者3,000例を対象とした製造販売後調査を実施し、腎機能障害患者、肝機能障害患者及び高齢者における安全性や有効性、また実臨床では様々な降圧薬との併用が想定されますので、本薬と他の降圧薬との併用時の安全性、並びに本剤で懸念される特徴的な有害事象として、低血圧関連の有害事象、腎機能障害関連の有害事象、また高カリウム血症などの発現状況を情報収集する予定です。先ほど、「本薬の臨床的位置付けについて」で御説明いたしましたとおり、本薬は20mgよりも低用量で投与すべき患者も一定数存在すると考えられます。この点について、申請者はこの製造販売後調査において、本薬10mgが1日1回投与されたという使用状況、この場合は半錠投与が基本になると思われますが、そうした10mgが投与された状況についても情報収集し、現時点で20mg錠と40mg錠しか今回は申請されておりませんが、10mgの製剤も必要と判断した場合には、10mg製剤の剤形追加の申請も速やかに行うことを検討しております。
以上のような検討を行った結果、本薬は承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。
本日、この場にはいらっしゃいませんが、事前に鈴木委員より御質問をいただいております。「本薬の降圧作用の強さについて、カンデサルタンの最大用量12mgが、およそ本薬の何mgに該当すると言えるのか」という御質問でした。
この点については、国内第III相試験では、本薬の40mgがカンデサルタンの12mgと直接比較して、カンデサルタンに対する有意な降圧効果が認められたことから、少なくともカンデサルタンの12mgに相当する本薬の用量は40mgよりも低い用量であるといえます。また、国内の第II相試験や第III相試験で見られた血圧変化量を考慮すると、恐らくカンデサルタン12mgに該当する本薬の用量は10~20mg程度ではないかと推察されますが、試験のデザイン上カンデサルタン12mgと厳密に比較された用量というのは、本薬では40mgのみであったため、実際明確にカンデサルタン12mgに相当する本薬の用量をお示しするのは困難と考えております。以上の御質問に対する医薬品医療機器総合機構の回答は、事前に鈴木委員にもお示しし、了解を得ております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 専門外ですが、少し教えてください。アジルサルタンについては、本薬と言わせていただきますが、開発の経緯の3ページに書いてある、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、欧州や米国ではプロドラッグのものが既に承認されて使われているということで、今度はまた戻ってきて、日本国内でプロドラッグ体の開発を行ってみたけれど、□□□□□□□□□□□□、また元のものに戻ったということは、専門ではないものからすると、かなり降圧作用が強いということです。先ほど鈴木委員からの御質問にもあったのですが、強いという言葉がいいのかどうか分かりませんが、効果が高いというのか、悪く言えばかなり弊害があると、有害作用が多いことも予想されながら出してきた薬のように思います。何か危険性をはらんでいるような強さのものなのでしょうか。開発の経緯からまた戻って、それが出てきたというところについては、少し不思議な感じがするので教えてください。
○機構 開発の経緯について十分な御説明ができずに申し訳ありませんでした。特に本薬、あるいは本薬のプロドラッグについて、有効性・安全性に差があって、国内外で出されている医薬品が違うといった経緯ではありません。こちらは、ほぼ並行してプロドラック体と本薬の開発が進められており、元々国内外いずれもプロドラッグの方の開発がなされておりました。一旦、そのプロドラッグ体の方で、□□を日本でも作製していたのですけれども、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということで、日本では本薬のプロドラッグではなくて、本薬の方の開発が進められました。
ただ、海外ではカプセル剤でも比較的受け入れられるという土壌があったので、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、プロドラッグのカプセル剤を用いて、海外ではそのまま並行して開発が進められ、日本では□□□□□□□□□、本薬への開発がスイッチされたという経緯があります。そのような経緯があって、日本だけ本薬が開発されるという状況になっているのですが、有効性・安全性自体に何か差があるというわけではないということは申し上げたとおりです。
強力な薬剤であるということで、安全性上の問題を御懸念されているということでしたが、少なくとも臨床試験において、先ほど御説明させていただきましたように、カンデサルタン、既存のものと比較して、何か本薬が特に危ないという有害事象を示す結果は得られておりません。ただ、臨床試験というのは限られた集団ですので、実際にはいろいろな背景を持った患者さん、あるいはいろいろな薬剤との併用が想定されますので、単に試験で安全性上問題無かったから、一律に20mgが安全に投与できる薬剤とも考えておりませんので、「少量からの投与も考慮する」という記載を添付文書でも注意喚起させていただいております。
○佐藤(田)委員 プロドラッグの□□□□□□□□□□□□□開発は中断されたというのですが、並行して行われていて、まもなくそれが□□□□□□□□□□□□□□□□が出てくる可能性はあるのでしょうか。それとも先にこれだけ出しておこうというものなのでしょうか。
○機構 プロドラッグについても、少しタイミングが悪かったというか、最終的には□□□□□□□、海外の方ではプロドラッグの錠剤が承認されています。特にこの薬に関してプロドラッグにする、あるいは活性体のみとすることについて、特段メリットがあるわけではありません。この後、日本でまたプロドラッグが新たに開発される予定は無く、どちらかをより早く提供するために、最善の手段をとった結果、今回は少しずれてしまったということになっています。
○宗林委員 単純なことを伺います。今、錠剤を見ると割線が付いているようなのですが、低用量からの開始ということに関しては、先ほど10mgのものも出すかもしれないというお話もありましたが、お医者さんの裁量で10mgからも開始するという意味ですね。
○機構 はい。こちらの用法・用量にも適宜増減という減のところで、10mgからの投与も考慮できることになっております。また添付文書の臨床成績の項に、本薬10mg、20mg、40mgの3用量の有効性をお示ししておりますので、それを踏まえて10mgで使用されたい場合は半錠に割って使っていただくという使い方になると思います。
○宗林委員 その場合は患者さんが、自分で割って使用するような感じなのですか。それと、1日1回というのは、特にいつでもいいということなのでしょうか。就寝前等と特定しないという意味ですか。
○機構 患者さん自身が割るかどうかということなのですが、恐らく処方される時点で10mgである場合は、そのように処方されると思いますので、交付の時点で薬局などで割ってお渡しすることになると思います。1日1回の投与タイミングにつきましては、この薬はある程度持続時間も長いということで、基本的にどの時間帯に飲んでも問題は無いと考えられます。
○松井部会長 患者さんによって血圧の高い時期が違う可能性がありますからね。
○宗林委員 添付文書の薬物動態を見ると、やはり時間によっての血中濃度はだいぶ違うと思ったのでお聞きしたのですが、それも含めて持続性はトータルで長いので、いつでもいいというか、お医者様の判断で決めるということでしょうか。
○機構 そうです。添付文書の6ページに「(3)血圧日内変動」という項があります。こちらの方で、○がアジルサルタン14週を投与した時の血圧の日内変動になります。こちらの方は比較的1日を通して、血圧の低下が持続しているという点と、もう一つは本薬の薬理作用的な機序を検討した成績において、本薬をウォッシュアウトした後でも、ARBに対する拮抗作用が持続しているという特性がありますので、血中濃度がなくなった途端に、阻害作用が無くなるというわけでもないところが、持続する一つのポイントと考えております。
○成冨委員 ここで今さら言っても仕方がないことかもしれませんが、既にARBは6品目が市販されており降圧薬品市場の販売競争でしのぎを削っています。臨床医はその6品目の薬剤がどのように異なるのかを十分理解できておらず、これらをどのようにして使い分ければ良いのか判断に苦しんでいるのが実情です。降圧作用の強さが異なるという点をあげるならばカンデサルタンよりも優れている薬剤もあります。そのような状況のところに、さらに新たなARBを加えなければいけないほどの特徴がこの薬剤にはあるのでしょうか。
○機構 本薬の意義として一つ特徴的なことは、基本的に2剤目、3剤目になると、既存のものに対して非劣性を示すということが、審査における最低条件になっております。今回の試験成績で御紹介いたしましたように、既存のカンデサルタンの最高用量よりもある程度強い降圧作用を示すということが、実際の比較検証試験で検証されましたので、強すぎる薬剤が常に良いとは限らないのですが、一つの意義としてはそこにあるのかと考えております。
○松木委員 今のお話と少し関係するかもしれないのですが、添付文書の書き方で、使用上の注意の項に、本剤の降圧効果を考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断するという時に、そのような判断をする材料がこれでは少し足りないというか、今の議論を聞いていれば分かるのですが、この添付文書の臨床成績のみから、その議論を読み取って判断するというのも、それから用量も考慮するというところが、少しこれだけでは分かりにくいと思いました。強く出すぎると言うと少し言いすぎなのかもしれないのですが、だから慎重にしてください等、今の議論で、ほかのに比べてこれが駄目という理由が無いから認めるけれども、使う時には慎重に行ってくださいというように、丸投げしてしまっているような雰囲気なのですが、そこはもう少し判断の材料を示さなければ、この文章は非常に無責任のようにも感じるのですが、いかがでしょうか。
○機構 ここの注意喚起は、専門協議等も経て、こちらでもかなり悩んだところなのですが、ほかの薬剤より、例えば降圧効果が強いなどと記載してしまうと、今度はそれが非常に良いことに取られて独り歩きしてしまわないかというところも懸念しております。実際に対象にされたのは、カンデサルタンのみであって、ほかのARBと比べての位置関係も不明ですので、余り他剤に比べて降圧効果が強いというところも強調できずに、少し遠回しな記載になってしまいました。
○松井部会長 今のがお答えの完遂でしょうか。
○機構 余り、安全性上何の問題も無く、効果だけが強いというお薬で宣伝されては困ります。もちろん情報提供資材や説明などでは臨床成績の項の意味をきちんと説明して、カンデサルタンと比較して、本薬10mg、20mg、40mgの位置関係はこのようになっているため、それを踏まえて判断してくださいというところは補足的に説明していただくように指導するつもりです。
○松木委員 余り納得できません。
○機構 やはり、すべての情報を添付文書に盛り込むというのは非常に限界がありますので、御指摘の点を踏まえ、申請者の方にもきちんと補足の情報提供資材を充実させて、きちんとした形の情報を医療現場に提供して、適切な患者さんに適切に使っていただくようにということを指導していきたいと思います。ありがとうございました。
○松井部会長 是非そのようにお願いいたします。
○鈴木委員 遅れてしまいましたので、もう話が出ているのかもしれませんが、この薬は武田薬品とのことです。武田薬品からは、商品名でいうとブロプレスが出ています。参考までにブロプレスの特許はいつごろ切れるのでしょうか。
○松井部会長 どなたかお答えいただけますか。手元に資料は無いのでしょうか。鈴木委員がお聞きになった真意はどこにあるのでしょうか。
○鈴木委員 特許が切れると、薬価が下がるから次の新薬をということで、余り深い意味も無くARBは売れていますから、売れ筋なので出してきたのかという気も少ししないわけではないのです。特許の期間を確認できればと思いました。
○審査第二部長 世の中で言われている2012年問題等の代表になっていると思いますので、2012年かそれより後ぐらいで、そんなに遠くない世界には恐らく特許が切れると思います。開発については説明させていただきましたけれども、かなり前から行っていますので、その特許切れであるいいタイミングを見込んでということで考えたわけではなく、どちらかというと、本当はもっと早く出したかったのではないかという気がします。
○松井部会長 その辺の詮索はこれぐらいにしてはどうかと思います。
○清水委員 降圧効果の話が出ているところで、添付文書に使っている文言なのですが、「低用量」という言葉が何か所かに出てくるのですが、今の議論の中で使われている低用量は10mgの使用を意味しています。アジルバ錠は20mg錠と40mg錠の二つの発売です。「低用量」という言葉が書かれていると、その低用量は20mgという読み方がされることの危惧はないでしょうか。低用量のところを10mgと書くことは難しいのでしょうか。
○機構 既存のARBの添付文書を見てみますと、大体通常用量よりも少し低めの用量から製剤がありますので、恐らく低用量というと、通常用量よりも低用量から使えるような書きぶりになっています。それに合わせたような書き方で、こちらとしては確かに20mgよりも低用量の10mgが、現在の製剤でしたら割線が入っていますので使えるというところを念頭に置いています。
ただ、実際はそれを10mgと書いてしまうのがいいのか、もしかしたら40mgぐらい使いたい人だったら、20mgでいいかもしれないしというような、少し相対的な意味合いもありますので、その辺りを必ずしも10mgなら安全とも言い切れませんので、このような書き方になっている背景があります。ほかの類薬と同じような形で書いていると思います。
○清水委員 今ここでの議論において、低用量という言葉は100%、10mgという意味で使っていたと思います。
○松井部会長 そちらをはっきり書いた方がいいという御意見でしょうか。
○清水委員 はい。
○機構 現時点で、その10mgの製剤はありません。製剤が無い用量を添付文書にどこまで明記できるかということについては、もう一度整理させていただきたいと思います。もし、それである程度可能であると考えられれば、20mgよりももう少し下の用量であるということが分かるようなニュアンスにできないかということを検討させていただきたいと思いますが、それでいかがでしょうか。
○清水委員 是非検討してください。
○松井部会長 そこのところは、はっきりした方がいいという御意見だったと思いますので、検討していただきたいと思います。
ほかに御意見が無いようでしたら、議決に入らせていただきます。なお、加藤委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
野田委員は引き続き別室で待機していただき、議題7に移ります。議題7について医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用、同皮下注用100μg/0.5mL用、同皮下注用150μg/0.5mL及びレベトールカプセル200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
C型代償性肝硬変は、C型肝炎ウイルス(以下HCVと略す)の持続感染によるC型慢性肝炎の経過の中で、肝組織の線維化が進展して、肝機能が低下した状態を指し、最終的に肝不全・肝細胞がんに至る重篤な転帰を辿る疾患です。C型代償性肝硬変に対する治療としては、HCVの駆除を目的としたインターフェロン療法と肝機能異常の改善を目的とした肝庇護療法が行われており、インターフェロン療法についてはHCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除いた患者への適応を有するインターフェロン単独療法に加え、本年5月の当部会において、ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)とリバビリンとの併用療法について、すべてのウイルスタイプ及びウイルス量のC型代償性肝硬変に対する効能追加が審議され、7月に承認を取得したところです。
本日の審議品目であるペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は、メトキシポリエチレングリコールを結合した持続型のインターフェロン製剤の一種であり、また、リバビリンは抗ウイルス活性を示すプリンヌクレオシド類似体で、インターフェロン製剤との併用により、ウイルス駆除効果を向上させることが確認されております。
ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)とリバビリンの併用療法は、2004年10月に本邦において承認され、2005年12月の効能拡大を経て、現在、血中HCV-RNA量が高値のC型慢性肝炎及びインターフェロン製剤単独療法で無効の患者、又はインターフェロン製剤単独療法後再燃したC型慢性肝炎に対する適応を有していますが、今般、申請者は、C型代償性肝硬変患者を対象に、本併用療法による臨床試験を実施し、承認申請に至りました。
なお、海外では本併用療法は、C型代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎に対して適応を有しており、2001年3月に欧州、2001年8月に米国でそれぞれ承認されたのをはじめ、2011年9月現在、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は107、リバビリンは89の国と地域で承認されております。
また、本申請品目は、優先審査品目に指定されております。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本併用療法の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
国内臨床試験として二つの試験が実施されております。はじめに実施された34試験は、C型慢性肝炎と同一の用法・用量で抗ウイルス療法を行わない観察群を対照とした比較臨床試験として実施されましたが、血球数減少等による投与中止率が予想よりも高かったことから、目標症例数90例に対し、50例が登録された段階で治験が中止され、その後、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)及びリバビリンの用量を変更し、対照群を置かない1群の試験として35試験が実施されました。
有効性に関してですが、報告書の11ページの下から2行目に35試験の結果を記載しております。
ウイルスタイプ及びウイルス量を問わないC型代償性肝硬変患者を対象に、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)1.0μg/kgを週1回皮下投与、リバビリンをスクリーニング時の体重及びヘモグロビン濃度により400~1,000mg連日経口投与で併用し、48週間投与した結果、主要評価項目である投与終了後24週時のHCV-RNA持続陰性化率は40.2%であり、95%信頼区間の下限は事前に設定された10.0%を上回りました。医薬品医療機器総合機構は、この事前に設定された閾値が自然経過によるHCV-RNA持続陰性化率を基に設定されたものであったことについて、本併用療法がインターフェロンに対し、リバビリンを併用するものであることから、インターフェロン単独療法での有効率も考慮すべきであったとは考えるものの、本邦でのC型代償性肝硬変に対するインターフェロン療法の試験成績が極めて限られており、特にジェノタイプ1、かつ高ウイルス量患者に対する試験成績は存在しなかったことを考慮し、得られたHCV-RNA持続陰性化率及びジェノタイプ及びウイルス量によるサブグループ毎の持続陰性化率も踏まえ、本併用療法の有効性は示されていると判断いたしました。
また、安全性に関してですが、報告書12ページの表10、並びに報告書20ページの表17を御覧ください。表10の方には、35試験において認められた主な有害事象をお示ししております。また、20ページの表17には、これらの有害事象を34試験及びC型慢性肝炎患者を対象に実施した国内臨床試験における発現頻度と比較してお示ししております。34試験及び35試験で認められた主な有害事象は、C型慢性肝炎でも既知の事象でしたが、C型代償性肝硬変患者では血小板減少、体重減少等、C型慢性肝炎と比べて発現率の高い有害事象が認められ、34試験では重篤な有害事象として血小板数減少1例が認められました。血小板数減少に関しては、C型代償性肝硬変患者では、ベースラインの血小板数がC型慢性肝炎患者に比べて低いことがその一因として考えられました。
以上より、医薬品医療機器総合機構は、血球系の減少の発現頻度がC型慢性肝炎と比べて高く、注意が必要と考えますが、発現した有害事象は既知の事象であり、より病態の進んだC型代償性肝硬変患者に対しても、十分な注意喚起と適切な用量調節を行うことで、本併用療法の安全性は許容可能と考えました。
また、本併用療法の用法・用量については、審査報告書の21ページの表18を御覧ください。こちらに34試験及び35試験において、有害事象により減量等の措置が必要となった患者の割合をお示ししております。C型慢性肝炎と同一の用法・用量で実施した34試験では、半数近くの48.5%が投与中止に至っておりましたが、ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)の用量を1.0μg/kgとし、リバビリンの用量をスクリーニング時の体重及びヘモグロビン濃度を考慮して設定した35試験では、投与中止率が低減されており、用量の変更によりC型代償性肝硬変の患者においても、一定の忍容性は得られたものと判断いたしました。また、有効性についても、35試験で一定のHCV-RNA持続陰性化率が認められていることから、35試験における用法・用量を認めることは可能と考えました。ただし、安全性の観点から、血球系検査値に応じた用量調節を行うことは必須であり、また、C型慢性肝炎とは開始用量及び用量調節基準が異なることが十分周知されるよう、添付文書での注意喚起及び資材による情報提供が重要であると判断いたしました。
以上、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、C型代償性肝硬変に対する本併用療法の有効性は認められ、安全性についてはC型慢性肝炎に対する本併用療法適用時以上に、慎重な観察と用量調整を行うことで、許容可能と考えられたことから、適切な注意喚起を行った上で承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本併用療法は、C型代償性肝硬変に対する効能・効果、及び用法・用量を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 参考までに教えていただきたいのですが、C型肝炎に対して、インターフェロンがペグを使うことによって治療効果がグンと上がってきたということは既知の事実です。添付文書でもどちらでも結構なのですが、副作用の項に、インターフェロンの副作用はかなりいろいろあります。それから、ペグ自体も高分子物質ですから、これ自体のアレルギーもあろうかと思います。ペグに関しては、特にこの症状がペグに関するアレルギーだということは分かっているのでしょうか。臨床的な副作用ということです。
○機構 ペグインターフェロンが本邦で承認になってから、確かにC型慢性肝炎に対する治療効果が高くなったということがあります。正直申しまして、ペグイントロンとイントロンでは、治療効果は同一期間投与した場合には変わりません。そのことはペグイントロンの初回承認の時に、イントロンに対する非劣性ということで確認がされております。ペグイントロンにおいては、投与間隔が通常型のインターフェロンですと2日に一遍という頻度なのですが、これが週に1回で済むことから、利便性が高くなったということで、広く使われるようになったものと認識しております。
また、ペグに由来する副作用ということでの御質問なのですけれども、これはインターフェロンにペグが共有結合しておりますので、バラバラに身体の中で挙動しているということではありません。ただ、投与した際には、やはり徐々に身体の中で分解を受けて遊離をすることは確認されております。ただ、その遊離されてくるペグの量に関しては、体内で毒性を発現する量ではないということは確認されておりますし、現時点までに、ペグインターフェロンは2種類ありますけれども、ペグであるがゆえに発現している、ペグに由来すると考えられる副作用というものが特に指摘されている事実はありません。
○佐藤(田)委員 全然別な領域で、再生的な骨を作る部分のところでペグを使ったり、いろいろ行ったことがあります。どれが副作用が起こっているのか、これは動物だったので構わないのですが、ヒトの場合にどのように考えるのかと思いましたので質問させていただきました。ありがとうございました。
○加藤委員 非常に細かいところですけれども、添付文書の薬物動態のところは、一般的にこの製剤の薬物動態を全般的に説明していると思われます。血中濃度段階投与、反復投与等すべてのところに、高齢者など様々なところに、本剤の承認より高用量の1.5μg/kgを週1回皮下投与したということが、繰り返し書かれています。ところが今回の承認だと、1μg/kgになっていて、これらの薬物動態のところは、特に慢性肝炎だけに限った記述ではないわけですので、誤解を招かないでしょうかということを伺います。
○機構 確かに、今般の承認用法・用量が1.0μgということになると、この記載は誤解を招く恐れがあります。特に健康成人の部分のところは適切ではないと考えます。C型慢性肝炎の患者さんに関しては、確かに承認用量としては1.5μgですので、そこの部分に関しては適切に整理させていただきます。
○松井部会長 書き方を指導するということですね。
○機構 はい、そのようにさせていただきます。
○松井部会長 ほかには、ございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、林委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品イグザレルト錠10mg及び同錠15mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるリバロキサバンは、ドイツBayer社が創製した、経口投与可能な活性型血液凝固第X因子(Xa)の阻害薬であり、Xaを選択的かつ可逆的に阻害することにより、血液凝固反応を抑制し、血栓形成を抑制します。
本邦では、20□年より本薬の非弁膜症性心房細動患者を対象とした臨床開発が開始され、今般、国内外の臨床試験成績を基に製造販売承認申請されました。なお、本剤は、海外において「待機的股関節全置換術施行患者又は待機的膝関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓性イベントの抑制」、「深部静脈血栓症の治療並びに深部静脈血栓症及び肺塞栓症の再発抑制」の効能・効果で既に承認されており、今回の申請効能・効果についても世界各国で承認申請され、本年6月にウクライナで、11月に米国で、それぞれ承認されております。
本品目の審査に関して、専門委員として、資料15に記載されている委員が指名されました。
審査の概略について、国際共同の国外第III相試験及び国内第III相試験の成績を中心に御説明します。なお、外国人非弁膜症性心房細動患者に比べ、日本人非弁膜症性心房細動患者では本薬の曝露量が約20%高くなること、70歳以上の患者に対するワルファリンの目標PT-INR値が海外に比べ本邦では低く設定されているという医療実態があることを踏まえ、国際共同試験として実施された国外第III相試験に日本が参加するのではなく、日本人非弁膜症性心房細動患者における本薬の用法・用量を選択した上で、国内第III相試験を実施するという開発がなされました。
審査報告書71ページを御覧ください。こちらは、外国人非弁膜症性心房細動患者を対象とした国際共同国外第III相試験の成績ですが、本薬の用法・用量は通常用量が20mg1日1回、クレアチニンクリアランスが30~49mL/minの中等度腎機能障害患者に対する用量が15mg1日1回とされ、対照薬のワルファリンはPT-INRが2.0~3.0となるように投与量が調節されました。
審査報告書72ページ下を御覧ください。有効性の主要評価項目は、脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の発現とされ、その発現率は、本薬群1.71/100患者年、ワルファリン群2.16/100患者年でした。ワルファリン群に対する本薬群のハザード比は0.79であり、ワルファリンに対する本薬の非劣性が検証されました。
審査報告書74ページ、表14を御覧ください。安全性の主要評価項目は、「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」とされ、その発現率は、本薬群14.91/100患者年、ワルファリン群で14.45/100患者年でした。
審査報告書65ページ下を御覧ください。日本人非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第III相試験では、本薬の用法・用量は通常用量が15mg1日1回、クレアチニンクリアランスが30~49mL/minの中等度腎機能障害患者に対する用量が10mg1日1回とされ、対照薬のワルファリンは、PT-INRが2.0~3.0、75歳以上の患者では2.0~2.6となるように投与量が調節されました。国内第III相試験は、本剤の安全性について、国外第III相試験と同じように「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」を主要評価項目とし、ワルファリンに対する本薬の非劣性を検証することを目的とした二重盲検並行群間比較試験です。
審査報告書68ページ、表10を御覧ください。「重大な出血事象」及び「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」の発現率は、本薬群で18.04/100患者年、ワルファリン群では16.42/100患者年であり、ワルファリン群に対する本薬群のハザード比は1.11であり、ワルファリンに対する本薬の非劣性が検証されました。
続いて、審査報告書67ページ、表9を御覧ください。有効性については、十分な検出力は確保されませんでしたが、主要評価項目とされた脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の発現率は、本薬群で1.26/100患者年、ワルファリン群で2.61/100患者年でした。
以上の国内外の第III相試験の有効性の成績の比較に加え、非弁膜症性心房細動患者に対する抗凝固療法は国内外共に臨床的に確立していること、本薬の検討用法・用量の設定根拠に一定の妥当性があると考えられることを踏まえ、国外第III相試験において認められた本薬の有効性は、日本人非弁膜症性心房細動患者においても期待でき、本薬が日本人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に用いる抗凝固薬の選択肢の一つとなる可能性はあるものと判断しました。
効能・効果については、審査報告書102ページの「(2)本薬の効能・効果及び投与対象について」を御覧ください。国内外の第III相試験のいずれでも、心房細動による塞栓症リスクを0~6点までで評価するCHADS2スコアが2点以上の非弁膜症性心房細動患者が対象とされました。しかし、非弁膜症性心房細動患者に対する抗凝固療法は、CHADS2スコアには含まれていない塞栓症のリスク要因や他の患者背景も考慮して患者毎に判断されること、国内外の第III相試験におけるワルファリン群と比較した本薬群の成績を踏まえると、ワルファリン投与が推奨あるいは考慮可能とされている非弁膜症性心房細動患者であれば、CHADS2スコア2点未満の患者を本薬の投与対象に含めないことは望ましくないと判断しました。以上より、本剤の効能・効果は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」とすることが妥当と判断しました。
本薬の出血リスクについては、審査報告書104ページの「1)出血リスクについて」を御覧ください。本薬には、薬効をモニタリングする適切な指標が無く、抗凝固作用を中和する薬剤も無いことから、本薬投与開始後は診察時に各種の出血症状の発現に注意すると共に、定期的な診察及び血液検査等により、出血を示唆する徴候の有無や腎機能を確認することが重要であり、出血発現時には、速やかに投与薬中止の判断をすることが必要と考えました。また、以上の注意喚起については、本薬の特徴、本薬投与中の出血の発現により死亡を含む重大な転帰に至る可能性が否定できないことを踏まえ、また、先般、同様の注意を喚起する警告欄が同効薬で設けられた実態も考慮し、患者の安全確保と本薬の適正使用のために、本薬でも警告欄に記載することが妥当と判断しました。
製造販売後の調査計画等については、審査報告書108ページの「(7)製造販売後調査等について」を御覧ください。製造販売後調査において、実際の医療現場で本剤を使用した時の出血リスク及び低用量投与患者の安全性及び有効性イベントの発現状況の情報を収集する必要があると考えました。また、臨床試験では情報が少なかったワルファリンからの切替え症例及びワルファリンへの切替え症例の切替え後の安全性及び有効性イベントの発現状況、抗血小板剤併用時の安全性に関する情報、突然死に関する情報、CYP3A4阻害剤、P糖タンパク阻害剤等が併用された場合の安全性に関する情報をそれぞれ収集する必要があると考えました。申請者は、これらの情報を収集するために、調査予定例数1万例の使用成績調査の計画を提出しており、まずはこの調査で安全性及び有効性に関する問題が見られないか検討することが妥当と判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。
本剤の再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。それでは、本議題について、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○成冨委員 ダビガトランの時も問題になりましたが、これを投与している時に出血が起きてしまった場合、何か適当な対処方法はあるのでしょうか。ワルファリンの場合は作用を中和できる薬剤がありますが、ダビガトランは血中濃度が落ちてくるのを待つしかないことになっています。この薬剤の作用を中和するような薬剤は何かありますか。
○機構 本薬につきましても、ダビガトランと同様に中和するような薬剤が無いので、まずは投与を中止して待っていただくことが基本にはなるかと思います。その他の基本的な出血に対する処置は同じです。
○成冨委員 血中半減期は大体どのぐらいなのでしょうか。
○機構 こちらの半減期については、添付文書にも記載されておりますが、通常用量である15mgについては8.7時間となっております。
○佐藤(田)委員 単純な質問ですが、先日、類薬というか同じような薬で、確か5、6名の方が既に出血死をされていると新聞に出ていました。世の中に出すにあたって、その薬物よりもこちらは、どの辺りがどのようにベターなのでしょうか。
○機構 先生がおっしゃるベターというのは、恐らく安全性ということだと思います。これは直接比較した成績が無いので、どちらが良いかは本当のところは分からないのですが、まず機序の面から御説明しますと、先生がおっしゃったのはプラザキサですが、これは血液凝固の第II因子であるトロンビンを直接阻害するものです。この薬は、血液凝固のカスケードのやや上流にある第X因子を阻害するということで、若干阻害する部分が違っているということです。
最終的に止血に働くのはトロンビンなので、できているトロンビンそのものを阻害するという前の薬と、その前段階の第X因子を阻害するけども、すべてを阻害し切るわけではないので、第II因子の出てくる部分をまだ残しているというところが違います。 第II因子もすべてを阻害するわけではないので、ある程度血液凝固の部分を残しているというところで、いずれにしても完全に阻害するわけではなくて、少しずつ違う感じで凝固を阻害するということですので、恐らくいろいろな考え方があって、どちらかが機序の面から安全だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際ヒトに投与してこの対象患者でどちらが出血しにくいかとなると、分からないということです。
○松井部会長 今のお答えでよろしいでしょうか。作用機序が違うというのは確かだということです。
○佐藤(田)委員 どちらを選ぶかは分からないということですね。
○松井部会長 ほかに御質問、御意見はありませんか。
○鈴木委員 プラザキサが重篤な出血を起こしているのに、同じような薬がまた出たということで注目されるのではないかと思います。日本の場合ワルファリンが今まで用いられてきました。PT-INRの測定などの手間がありますが、日本の場合は受診が気軽にできるので、むしろそれが安全性を確認できるという機会にもなっていたわけです。それが、もし長期投与のような形で大病院等で出されると、費用対効果の観点から見ても、却ってリスクが高まる可能性があるのではないかと思います。新しい薬なので、プラザキサの薬価を見ると非常に高いですが、ワルファリンはものすごく安いわけです。PT-INRなどの測定の手間は確かにあって、外国でアクセスの悪い国だとそういった測定がなかなかできないので、経口薬でということになるのかもしれませんが、我が国の場合は気軽に受診ができるという恵まれた環境にありますので、その意味ではこういった薬が日本においては費用対効果の観点からも、そのリスクも含めて広く使われることが果たして望ましいのかどうか、あって悪いということではないと思いますが、私は疑問に思います。
○松井部会長 それはコメントということでしょうか。
○鈴木委員 その辺りについてはどのようにお考えなのでしょうか。
○機構 先ほどいただいた御質問にも関連しますが、類薬で出血死があったという件に関しては、ブルーレターにも記載しましたように、本来であれば投与してはいけない腎機能の患者に投与された方が多かったわけです。恐らく、国際共同試験や事前の情報がいろいろありましたので、現場ではワルファリンより安全な薬だと捉えられていた部分があったということで、あのようなことが起こってしまったのかと思っております。現在はメーカーにもお願いして、ワルファリンより安全な薬というわけではなく、患者の背景やパーソナリティを判断して、どれかを選択していただくうちの一つだと。先生がおっしゃったように、もしかして日本の中でもアクセスできない患者がいる可能性もあり、ワルファリンは御存じのように相互作用が非常に多い薬で、食品との相互作用もありますが、そのようなところを管理できない患者もいらっしゃいますし、いろいろなことを判断して選択していただくものがあるということで、意義があると思っています。
繰り返しになりますが、前回もそうですが、この薬は決して安全ではなく、出血の危険がある薬だということの情報提供を今回もきちんと添付文書も含め、改めて先ほど来出ている現場への情報提供資材も用意しますので、そういったことで対処できるのではないかと考えております。
○松井部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 それでは、議題1に移ります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品レグナイト錠300mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるガバペンチンエナカルビルは、本邦で既に抗てんかん薬として承認されているガバペンチンの消化管吸収の改善を目的に開発されたガバペンチンのプロドラッグであり、吸収後エステラーゼにより速やかにガバペンチンに変換されると考えられております。海外では、2004年6月から臨床試験が開始され、2011年4月に米国において承認されております。本邦においては、2007年9月から臨床試験が開始され、今般、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦において同様の効能・効果を有する薬剤として、プラミペキソール塩酸塩水和物製剤(ビ・シフロール錠)が承認されております。以降、レストレスレッグス症候群につきましては、RLSと省略させていただきます。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されている9名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書37ページの表を御覧ください。本申請は、ブリッジングコンセプトに基づき開発が行われており、海外で実施された第III相試験をブリッジング対象として、国内で第II/III相試験が実施されました。国内外臨床試験における主要評価項目である最終評価時のベースラインからのIRLS合計スコア、こちらはRLSの症状をスコア化したものになりますが、その変化量において国内外臨床試験共に本剤1,200mgのプラセボに対する優越性が示されております。また、審査報告書38ページ上の図を御覧ください。最終評価時のIRLS合計スコアのベースラインからの変化量は、国内臨床試験において600mgよりも900mg群で変化量が小さかったものの、その要因については900mg群で偶発的な脱落例が多かったためと考えられること、600mg群とプラセボ群との対比較において群間差の信頼区間の上限値は0を下回っていることから、視覚的な用量反応関係に国内外で大きな差異は無いと考えており、海外臨床試験成績を外挿することは可能と判断しました。
次に、安全性についてですが、審査報告書43ページ下の表を御覧ください。本剤の投与により傾眠、浮動性めまい等の中枢神経系の有害事象が認められますが、その多くが投与初期に認められること、また、ほとんどが軽度又は中等度の事象であることから、適切な注意喚起を行うことにより、臨床上大きな問題にはならないと判断しております。また、審査報告書45ページ下の表及び46ページ上の表を御覧ください。特発性RLSの効能・効果を有するドパミンアゴニスト、先ほどお話したビ・シフロール錠については、長期投与によりRLS症状の発現時間の早期化又は重症化が認められるAugmentationと呼ばれる事象が発現する場合があります。そのため、添付文書上での注意喚起を行っておりますが、本剤については600mg投与においてはAugmentationを疑わせる有害事象の発現状況はプラセボ群と同程度であったことから、現時点においては特段の注意喚起は必要ないと判断しております。その他の安全性については、本剤がガバペンチンのプロドラッグであるということを踏まえ、添付文書上においてはガバペンチン製剤と同様の注意喚起を行うことが適切と判断しております。
本剤の用法・用量についてですが、審査報告書37ページの表を御覧ください。国内外臨床試験共に主要評価は1,200mg群とプラセボ群との比較となっておりますが、600mg群についても信頼区間の上限値は0を下回っており、有効性は期待できると考えております。また、審査報告書49ページ上の表を御覧ください。600mgより高用量を設定した海外臨床試験において、用量の増加に伴った有効性の向上は認められておりません。さらに、毒性試験(非臨床試験)においては、ラットにおいて、高用量の投与により膵臓腫瘍が認められており、ヒトへの外挿性を完全に否定することは困難であること等を踏まえると、本剤の曝露量は可能な限り低く抑えるべきと考えております。審査報告書55ページの審査報告(2)の「(1)用法・用量について」の項を御覧ください。現在、600mgの有効性は厳密には検証されているとは言い難いと考えておりますが、RLS治療に使用可能な薬剤が限られている状況を勘案して、現在得られているデータより、600mgの有効性は示唆されていること、安全性に大きな問題は無いと判断できることから、本剤の承認は可能と判断し、承認用量は600mgのみとすることが適切と判断しました。なお、国内外臨床試験においては、600mgの有効性は検証されたとは言い難いこと、600mgより低用量の検討を行うべきと考えることから、製造販売後にこれらの検討を行うよう申請者に指示し、申請者より、臨床試験を実施する旨の回答を得ております。
以上の審査を踏まえ、本剤の中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
また、事前に林委員、檜山委員より御質問をいただいております。林委員からは、「海外第III相試験の検定結果のp値について、審査報告書37ページ下から7行目には、『いずれも本剤1,200mg群とプラセボ群との対比較において、統計学的な有意差が認められており』とありますが、600mgとの対比較についてのp値は、37ページ、49ページにも同様の表があるのですが、そのいずれにもありません。海外第III相試験でプラセボ群との対比較を行っているのであれば、本剤600mg群とプラセボ群との対比較の結果を教えていただけますでしょうか。」との御質問です。
御指摘いただいた海外第III相試験につきましては、主目的として本剤1,200mgの有効性の検証と設定されており、本剤600mgの有効性については副次目的として設定されておりました。また、検定の多重性等も考慮された計画とはなっておりませんでしたので、審査報告書においては本剤600mgのプラセボとの対比較の検定しか記載しておりませんが、p値として0.0001未満という検定結果が得られております。
檜山委員からの御質問ですが、「本剤は□□□□□による徐放性製剤で、グリセリン脂肪酸エステルが基剤として選択されております。製造工程における溶出性への影響は検討され、管理されているようですが、一方でグリセリン脂肪酸エステルの規格又はグレードについて記述が無いようですが、検討されているのでしょうか。」という御質問をいただいております。
檜山委員より御指摘いただいたグリセリン脂肪酸エステルにつきましては、□□□□□□□□□が使用されており、実際には□□□□□及び□□□□□□□□に基づき管理されておりますが、本邦での承認申請に際しては本邦での公定書規格へ適合させるという観点から、□□□□□□□□適合の「グリセリン脂肪酸エステル」と記載されております。ですが、檜山委員からいただいた御指摘を踏まえて、「グリセリン脂肪酸エステル」の管理項目及び管理値が製剤の品質に影響を与えると考えられることから、□□□□□□□だけでなく、必要な管理項目と管理値を承認申請書上に別紙規格として追記するよう申請者に指示したいと考えております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 今の最後の御説明については、林先生と檜山先生、よろしいですか。
○林委員 私は37ページの表についてお聞きしたのですが、質問をした意図は、国内試験のp値のところで、多重比較の方法としてウィリアムズの方法を使っていらっしゃるのですが、その結果の600mgでの斜線の意味と海外第III相試験の600mgでの斜線、つまりp値を書いていないことの意味が違います。今御説明があったように、海外の方はセカンダリーの項目だったので記載していないが、ウィリアムズの検定、つまり国内の方は、1,200mgでは有意にプラセボ群に勝るが、残りの二つはそうではないという結果を示していることを確認したかったという趣旨でした。
○檜山委員 私の質問は、徐放性製剤のように添加剤に特別な機能を持たせるとした場合に、必ずしも公定書で決められている基準の中に入っていればそれが満たされるということについてですが、そうである時もあるのですが、そうでない時もありますので、特にここは注目して検討されたのでしょうかということを質問したわけです。回答されたように、徐放性の機能に影響がある可能性が高いので、規格に入れるという回答をいただきましたので、少なくとも検討されて入れるという回答をいただきましたので、了承しております。
○松井部会長 ありがとうございました。そのほかに委員の先生方から、御質問等はございますか。
○佐藤(田)委員 ガバペンチンはてんかんの部分発作にかなり前から使われていて、効果があるということでそのプロドラッグが出てきて、かつ適応も通って効果があるのだろうと思いますが、今回は本症候群がてんかんの部分発作の発症機序というか、病態と似ているので使われるのですか。それとも、たまたまガバ誘導体のものに効果があるので使われるのでしょうか。基本的なところですが、教えてください。
○機構 てんかんに対するこの薬の作用機序とRLSに対する作用機序は、審査報告書6~7ページにRLSに関する作用機序について書いておりますが、まだ完全に解明されてはいないのですが、神経伝達抑制するというかなり大まかなところで言えば、薬物の作用なので同じような機序にはなりますが、実際てんかんの患者にRLSの症状が出るとか、そういったことは特に言われておりません。作用機序が大きなところで同じということになります。
○佐藤(田)委員 小さい病院でしたら同じかもしれませんが、専門病院ですと、多分臨床の科が違ってくると思いますので、精神科で多くてんかんを扱っており、神経内科ではこちらの症候群がかかっているのではないかと思います。精神科にかかっているわけではないと思いますので聞かせていただきました。
○成冨委員 この薬剤は当然抗けいれん作用があるはずですが、この薬剤600mgの抗けいれん作用はガバペンチンの600mgとほぼ同等と考えていいのでしょうか。
○機構 分子量的には、ガバペンチンエナカルビルになっていて、エナカルビル分が重くなっておりますので、それが大体1.924倍、約2倍なのですが、一番最初に御説明したように、ガバペンチンの場合は消化管での吸収が飽和しますので、高用量にいくとだんだん血中濃度が頭打ちになってきます。この薬はそこを改善したプロドラッグですので、用量を上げていくと線形に上がっていくので、ある一定のところでガバペンチンと大体同じ分子量換算のところで同じぐらいになるのですが、そこからずれていくような形になっております。
○成冨委員 レストレスレッグス症候群というのは、神経内科医以外の医師が付けることは殆どない判断名だと思います。神経内科医でもかなり関心のある人が、根掘り葉掘り聞かなければ分からない症候群であり、レストレスレッグス症候群という判断名の下に治療薬が投与されるケースは余り多くはありません。これに較べると、てんかん、痙攣という診断名の下に治療薬が投与される機会ははるかに多いといえます。薬価がどの程度に決まるかによっては、この薬剤はレストレスレッグス症候群治療薬としてよりも抗痙攣薬として使われる可能性があるのではないかと考えます。
○機構 薬価のことは、私たちは専門外なので御容赦いただければと思いますが、今あるガバペンチンとの相互利用に関しては、先ほど血中濃度が大体これぐらいで同じになるというAUCベースでのお話をしましたが、そこでお互いに変えて使った時の有効性・安全性は全く確認されておりませんので、そこは逆にして使わないようにということを情報提供の資材等で徹底するようにしたいと考えております。
○鈴木委員 薬価は関係無いというか、ここで決めることではないとは思いますが、既存の現在使われている薬ですから、薬価を決める時にてんかんで使われている薬の薬価を参考にすると、それに影響されて高くなってしまうという気がしますし、逆に薬が同じだとすれば、どちらか安い方を使うという使われ方も起こり得るのではないかという気もします。
また、これは一般的には「むずむず脚症候群」と呼ばれている疾患ですね。そうすると、それは正式な病名ではないのでしょうか。「レストレスレッグス」というのは日本語でも言いにくいですね。試験の時はこのような病名でもよいと思いますが、もう少し分かりやすく、保険収載などに向けて工夫するようなことはお考えではないのでしょうか。
○機構 これ以前にビ・シフロール錠が同じ適応を有しており、それをこの部会で御審議いただいたのですが、その際に専門協議を医薬品医療機器総合機構で開催する時に、むずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群という病名について、睡眠の関係で発現してくるということで、睡眠学会の先生方に効能・効果の病名は日本ではどうしたらいいでしょうかという話を伺いました。そうした場合に、「レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)」がいいだろうというお話をいただいて、以前ビ・シフロールの時にそのような設定をしたという背景があります。今回も同じ対象ですので同じような病名にさせていただきましたが、確かに巷ではむずむず脚というのも多く言われておりますので、情報資材等ではそのように言われている病名のところは併記し、先生方にも伝えるようにするということになっております。
○加藤委員 ガバペンチンの関連製剤で、以前ここでも質問したのですが、日本では鎮痛剤としてはプレギャバリンで、ガバペンチンは抗てんかんでというのが企業の戦略だということを伺ったように思いますが、いろいろデータを見ると、有痛性のレストレスレッグス症候群にも痛みを改善する効果があると記されていて、そうなると、例えば、ガバペンチンが慢性痛に有効だということで、適応外でもガバペンチンを処方することがケースとして出てくるような感じがするのですが、このような新しい製剤が出てきた時に、今後エナカルビルの適応に慢性疼痛に加えていくような新しい発展があるのかということを伺いたいと思います。
○機構 先生から御説明いただいたように、海外ではガバペンチンエナカルビルを持っている会社がFDAに糖尿病性の神経因性疼痛で先日承認申請をしたと聞いております。□□□□□□□□□□□□と聞いておりますので、今後どうなるかは分かりませんが、そのような方向にいく可能性はあると思います。
○清水委員 この薬剤の服用時期は夕食後という指定なのですが、今回の夕食後の指定というのは意味が大きいですね。この薬剤にとって夕食後は余りずらしてほしくないというところの書き具合と、米国の添付文書を見ると、飲み忘れた時には翌日までお休みするという項目が入っているのですが、日本の添付文書にはその記載は無いようですが、そこの御意見を伺いたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございました。夕食後のところは、確かに先生から御指摘いただいたように、この薬が徐放であるということを考えると、元々申請者としては夕食のタイミングであれば飲み忘れが少ないだろうから、そこに合わせて飲んで、徐放で寝入りばなにむずむずするのを抑えたいという意図があって、夕食後に規定して徐放化をしたという背景があるようです。そうは言っても、夕食を何時に食べるかは人によって様々ですし、寝入る直前に食べるような患者もいるかと思いますので、その辺りは臨床試験で実際どの辺りに食事を取っていたのか、この薬の薬物動態等を考えると、どれぐらいまでには飲んでおくべきなのかは調べて、情報提供の資材か何かで入れられないかと考えております。
海外の添付文書で、飲み忘れたら次の日にというところは、これは夜間に出る症状を抑えるものなので、飲み忘れて朝に飲んでも意味が無いということで書いているのだと思いますが、日本の添付文書では、飲み忘れてすぐに飲む飲まないというところは、対象疾患の重篤性や、すぐに飲んだら危ないというところがある場合には書いていると思うのですが、特にリスクが無い場合にはあえて書いていないところが背景としてはあるかと思います。ただ、そうは言っても患者に対する情報としては重要なことだと思いますので、それは何らかの情報提供資材で対応させていただければと思います。
○松井部会長 よろしいでしょうか。それでは、議論も十分出たと思いますので、議決に入ります。なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品エビリファイ錠3mg、同錠6mg、同錠12mg、同散1%及び同内服液0.1%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びに医薬品エビリファイOD錠3mg、同OD錠6mg、同OD錠12mg及び同OD錠24mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるアリピプラゾールは、大塚製薬株式会社において開発された非定型抗精神病薬であり、海外では2011年9月現在、74の国又は地域で承認されており、今回の申請効能・効果である双極性障害における躁症状の改善については56の国又は地域で承認されております。本邦では、統合失調症の効能・効果で2006年1月に錠剤及び散剤、2009年1月に内用液が承認されており、双極性障害における躁症状に対し、□□□□□より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更申請が行われました。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。有効性についてですが、審査報告書7ページの上の表を御覧ください。日本を含むアジア地域で実施した国際共同試験において、主要評価項目であるFASでの投与3週後におけるヤング躁病評価尺度(YMRS)の合計点のベースラインからの変化量は、本剤群で-12.0、プラセボ群で-6.0であり、本剤群とプラセボ群との群間差は-6.0と統計学的な有意差が認められました。また、審査報告書12ページの上の表を御覧ください。国際共同試験における地域別の有効性の結果について記載しておりますが、日本人集団での有効性について、YMRS合計点のベースラインからの変化量の群間差は全体集団での結果と類似しておりました。同ページの下の表を御覧ください。国際共同試験における安全性について、日本人集団での有害事象の発現状況は、日本以外の地域と大きく異なることはありませんでした。以上より、当該国際共同試験成績から、日本人双極性障害患者における本剤の有効性及び安全性を評価することは可能と判断しました。
次に、安全性についてですが、審査報告書16ページ上の表を御覧ください。本剤による有害事象として錐体外路症状がありますが、その発現率は統合失調症患者を対象とした臨床試験よりも高くなっております。その要因として、双極性障害の躁症状の患者を対象とした場合には、用量が高いためと考えられます。既に添付文書上においてこれらの副作用に関する記載を行っているところではありますが、双極性障害の躁症状に対する情報提供資材において十分な情報提供を図る予定としております。審査報告書17ページ下の表を御覧ください。長期投与試験において、本剤の投与により体重増加が認められております。なお、既承認効能・効果である統合失調症を対象とした臨床試験においては、対照的に体重減少が認められております。審査報告書18ページ上の表を御覧ください。双極性障害の躁症状の患者では、ベースラインのBMIが低い患者でBMIの増加傾向、統合失調症患者ではベースラインのBMIが高い患者でBMIの減少傾向が認められていることから、いずれの疾患においてもベースラインのBMI値が標準値から外れた患者において標準値方向への変動が認められたものと考えており、臨床上重要な問題とはならないものと考えられております。しかし、1.8の添付文書(案)の2ページの「2.重要な基本的注意」の(7)を御覧ください。本剤投与時の体重変動については、標準値を超える変動が生じる可能性も否定できないため、注意が必要と判断し、体重変動が起こるので注意深く観察すること、ということで注意喚起を図ることとしております。
以上の審査を踏まえ、本剤の双極性障害における躁症状の改善に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、エビリファイ錠、同散、同内用液については新効能及び新用量医薬品、エビリファイOD錠については新効能及び新用量医薬品並びに剤形追加に係る医薬品であり、再審査期間は統合失調症に係る再審査期間の残余期間である平成28年1月22日までとすることが適切であると判断しております。また、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 薬効について伺いたいのですが、1点は、バイポーラーの躁の状態の時に適応ということですが、モノポーラーには効果が無いのか、適応は申請していないので効かないのか、全く機序が違うので適応を取らないのでしょうか。これが1点です。 また、うつ転でDepressiveに変わった時に、危険性は半減期を見ても72時間ぐらいなのでしょうか。T1/2のところがかなり長いですが、服用を止めるということで、別に特別に中和する薬があるわけではないでしょうから、その2点を教えてください。
○機構 1点目のモノポーラの躁に対する影響はどうなのかという御質問ですが、モノポーラの躁とバイポーラーの躁が同じなのかというのは、持ち合わせていないので分かりませんが、患者に対して効く可能性はあると考えております。
2点目のうつ転した時の対応ですが、半減期の観点から薬は体の中から消えはするのですが、薬が消えたからと言ってうつになったものが戻るわけではないので、そこはこの薬を止めていただくと同時に、うつに対する治療をしていただくことになると思います。
○本橋委員 今の先生の御質問に少し補足した方がいいと思うのですが、躁だけを繰り返すタイプも双極性障害に入ってしまうのです。ですから、単極性の躁は双極性障害と捉えることになっております。非常に珍らしいのですが、それが一つです。
また、私から一つ質問があるのですが、初期用量が24mgというのは、問題にはなっていたと思うのですが、統合失調症で使う場合に比べてかなり多いので、欧米では15mgとなっています。日本の添付文書が海外よりも多いというのは非常に珍しいのではないかと思います。先ほど錐体外路症状とおっしゃっていましたが、アカシジアはレストレスレッグス症候群とよく似た非常に不快な副作用なのです。それが多いということは、注意していかなければいけないことだと思うのですが、その辺りについてはどのように御指導されるのでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございました。今御指摘いただいた用量のところは、審査の段階でもかなり悩みまして、先生からも御説明いただいたように、元々この試験を行う前のアメリカでの承認用量が開始用量30mgだったということもあって、日本で24mgを開始用量とするのは、その並びから見れば双極性障害の躁の患者はかなり症状が激しいということ、まず最初に症状を押さえたいということから、日本で24mgを開始用量とすることが妥当だろうと、申請者と医薬品医療機器総合機構で対面助言で議論しました。しかしながらその後、海外の開始用量が15mgまで下がってきてしまい、日本はどうするかという話になったのですが、実際臨床試験で行った24mgを開始用量とした結果の中で、確かに御指摘いただいたようにアカシジア等が見られているので、患者にとっては不快なところは当然あるのですが、そうは言っても患者は3週間の評価時期を完了できて、エビデンスとしては24mgで開始した時のエビデンスしかないので、今の承認開始用量としては24mgにするという判断をした次第です。
ですが、御指摘があったように、臨床試験の対象が双極性障害のI型の患者ですので、症状としてはかなり激しい患者もいるのですが、効能・効果が双極性障害のI型に限っておらず、II型などより軽度の患者にも投与される可能性がありますので、そのような時に本当に24mgのみでいいのかというところがありますので、そこは製販後調査等で情報を入手していただいて、もし低用量の開始用量が必要になるような患者がいるのであれば、そこは低用量から開始した時の有効性・安全性を検証するような試験を実施していただくということを申請者と議論しております。
今回24mgの開始用量を承認するということですので、臨床試験で起きたアカシジアやそのほかの錐体外路症状の発現状況等は、きちんと情報提供の資材の中に入れていただいて、統合失調症の場合と用法・用量がこれだけ違う、有害事象の出方もこれだけ違うというところは、きちんと情報提供するように申請者には指導しているところです。
○清水委員 剤形の名称について、ザイディスであったものを今回はODに変更してきているのですが、口腔内崩壊錠はすべてODの表記にするのが妥当なのかどうかという議論はありましたか。何が言いたいかというと、ODであっても、通常の錠剤と同じように調剤の上で扱えるものと、全く別の取扱いをしなければならないほど柔らかいものと、大きく分けてあろうかと思います。もしかしたら、そこは名前できちんと分かるようにしてしまった方がいいのかという感じもあるのですが、そこは何か御議論はありましたか。
○機構 今回、元々ザイディスとして申請されたものをODに変えさせた経緯としては、ザイディス錠は今既承認のものが出てしまっているものはあるのですが、それが剤形を表すものではなくて、ある会社の特許の技術を言っているものなので、いわゆる剤形がすぐに分かるものという今の名前の付け方の定義から言えば、それは不適切であろうというところで、口腔内崩壊錠として一般的なOD錠という用語に変えるという判断がありました。
OD錠のうち、柔らかくて、少し押すと欠けてしまうようなものと、溶かしても飲めるし、普通に扱うこともできる薬剤と、確かに御指摘のようにいろいろなパターンがあると思いますので、その辺りどのような区別ができるのかは、ここですぐにお答えすることはできませんが、今後の検討課題とさせていただければと思います。
○永井部会長代理 36ページの投与中止例を見ますと、プラセボでも53%、本剤でも46%中止されているのですが、この程度はやむを得ないのですか。何か問題が無いのか、その辺りの見解はいかがでしょうか。
○機構 審査報告書36ページの「(3)投与中止例の影響について」で、プラセボ群52.8%(66/125例)、本剤群45.9%(56/122例)というところの御指摘かと思います。この脱落理由は下に書いてあるのですが、有害事象による投与中止例が各12例、効果不十分による中止例がそれよりもかなり多いということになりますので、どうしてもプラセボ群の患者で効果不十分例というのは理解しやすいかと思いますが、本剤群でも二重盲検試験を行っているというところもありますので、この患者は治験よりも実際の治療に戻した方がいいという判断が働いてこのようになったかとは思います。類薬等の状況は今持ち合わせていないのですが、この試験で取り立てて多かったものではなかったと考えております。
○松木委員 バイポーラーの患者で、躁の時はなかなか受診しないというのが問題だと思うのですが、うつの時にフェーズに投与したらどうかということで、エビリファイについてはいろいろな報告があり、慢性のうつにも有効だという臨床報告があるのですが、本当にうつの時に使っても効かないのですか。
○機構 モノポーラーの難治性のうつに対しては、効果があるという報告は多数あるかと思います。バイポーラーのうつに関しては、余り効果がみられなかったという臨床試験成績が何報か論文になっていたかと認識しております。
○本橋委員 追加ですが、バイポーラーのDepressionに米国で行った臨床試験では効果が無かったのです。ほかの薬ではうつに効果を認められたりしているのですが、この薬については残念ながらうつでは効果が無かったとされています。
○松井部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、成冨委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品サーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg及び同錠0.75mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
腎移植における移植腎の生着には、移植後に発現する拒絶反応の抑制が最も重要とされています。本邦における腎移植の実施件数は2009年の1年間で1,312件であり、現在、腎移植後の拒絶反応の抑制に対する標準的な治療法として、カルシニューリン阻害剤(以下、CNIと略す)、核酸代謝拮抗剤、主にミコフェノール酸モフェチル(以下MMFと略す)、及びステロイド剤の3剤を併用し、加えて周術期には抗体導入療法(バシリキシマブ)が用いられています。一方で、これらの免疫抑制療法に伴う感染症、CNIの使用に伴う腎障害等の発現が、良好な移植腎機能を長期に維持する上で問題とされており、これらの問題点を解決するため、CNI投与量の最小化、早期離脱等の免疫抑制療法が検討されていますが、現在の標準的な治療法と比較して、拒絶反応が増加するといった報告がされています。以上より、拒絶反応の発現率を増加させることなく、既存の免疫抑制剤の副作用を軽減又は回避する新たな免疫抑制療法が求められています。なお、本邦において腎移植後の拒絶反応の抑制のためにCNIと併用する薬剤について、核酸代謝拮抗剤と異なる作用機序を持つ免疫抑制剤の選択肢は存在していません。
エベロリムス(以下、本薬と略す)は、マクロライド系免疫抑制剤であり、細胞の増殖及び血管新生に関連する哺乳類ラパマイシン標的たん白質(mTOR)に対する阻害作用を介して、細胞増殖抑制効果を発揮すると考えられています。臓器移植時の拒絶反応は、抗原を認識したT細胞の急速な増殖を伴うことから、本薬は主にインターロイキン2で刺激されたT細胞の増殖を抑制することにより、免疫抑制作用を発揮するものと考えられます。
今般、申請者は、腎移植における拒絶反応の抑制の治療法として、既存の核酸代謝拮抗剤の代わりに本薬を併用することで、拒絶反応の発現率を増加させることなく、併用するCNIの減量等により、既存の免疫抑制剤の副作用の軽減が期待できると考え、臨床試験を実施し、本薬の承認申請に至りました。なお本邦において、本薬は2007年1月に心移植における拒絶反応の抑制の効能・効果で承認を取得し、また、2011年10月現在、腎移植における拒絶反応に対して、85か国以上で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本薬の有効性、安全性について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内で実施された第III相A1202試験、海外で実施された第III相A2309試験の2試験の成績が提出されています。両試験では、新規の腎移植患者を対象に、減量シクロスポリンと併用した本薬と、標準量のシクロスポリンと併用したMMF又はミコフェノール酸の腸溶錠であるMyforticの有効性及び安全性が比較検討されました。
有効性に関してですが、報告書24ページの表25を御覧ください。主要評価項目であります、「移植後12ヵ月間の効果不十分の発現率」について、海外A2309試験では、本薬1.5mg群及び本薬3mg群のMyfortic群に対する非劣性がそれぞれ示され、国内のA1202試験では本薬1.5mg群のMMF群に対する非劣性が示され、また、A1202試験の結果はA2309試験の結果と比べて、遜色ない結果が得られていることから、本薬の日本人腎移植患者における有効性は示されたと考えました。
安全性に関してですが、報告書6ページの表3及び、報告書11ページの表11及び表12を御覧ください。国内A1202試験及び海外A2309試験において認められた有害事象の概略を示しています。
A1202試験及びA2309試験から、対照薬であるMMF/Myfortic投与時に比べて、本薬投与時に発現率が高くなる有害事象も認められており、また、脂質代謝異常、腎機能障害、血糖上昇等、本薬投与時には種々の有害事象の発現について注意する必要があると考えますが、本申請で得られた新たな安全性情報について、添付文書等で適切に注意喚起を行うことで、本薬の安全性は許容可能と考えました。ただし、今後も製造販売後調査において、十分な情報収集を行い、本薬の安全性プロファイルを確認していく必要があると考えました。
製造販売後調査に関してですが、報告書58ページの表42を御覧ください。
国内のA1202試験において、本薬は減量シクロスポリンと併用する規定とされていたにもかかわらず、投与初期においてはシクロスポリンの十分な減量がなされていなかったことから、製造販売後調査において併用するシクロスポリンのトラフ濃度を情報収集し、本薬と併用するシクロスポリンのトラフ濃度と有効性及び安全性の関連について検討できるようにする必要があると考えました。また、小児患者に本薬が投与された場合、又はCNIとしてタクロリムスが併用された場合については、使用状況を十分に確認し、医療現場への適切な情報提供、添付文書における記載内容の検討等の対応を行うことが望ましいと考えました。
以上、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、腎移植における拒絶反応の抑制に対する本薬の有効性は認められ、安全性については適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本薬は、既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての申請であるため、再審査期間は残余期間、平成29年1月25日までとすることが適当であると判断しています。薬事分科会では、報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方、御意見、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。特にありませんか。
私自身は、1989年から移植患者に免疫抑制剤カルシニューリンインヒビターを使ってきました。肝臓移植の子どもたちに使ってきました。この新しく付加する薬剤に大きな副作用が無いという条件の下ですが、カルシニューリンインヒビターは、少しでも少ない方が、腎臓に対する毒性から考えるとよろしいと思います。
○佐藤(田)委員 基本的なことを教えてください。私は、以前に抗菌薬にかかわっておりましたので、抗菌薬については割と情報があったのですが、国際的な抗菌薬ですと、ハーモナイゼーション、そのデータがそっくりではないけれど、日本で適用できるのですが、この系統の薬のハーモナイゼーションというのは、それと同じような考え方でよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。医薬品医療機器総合機構からお答えはありますか。
○機構 ハーモナイゼーションに関する話は、この移植領域の中では、特段上がってきているものではありません。実際、今回海外で設定されている用法・用量と、国内での承認用法・用量が、同じ用法・用量にはなりますが、結局これは海外での試験成績を踏まえて国内で計画されたところですので、この薬剤に関しては国内外共に同じ用法・用量になっているというところです。
○佐藤(田)委員 伺ったのは、ハーモナイゼーションのうちで、特に人種の差があるということでの有効性の問題や有害作用などで、大きく考えてそのような意味のハーモナイゼーションはあるのかということです。
○機構 医療現場、医療環境の観点からしますと、腎移植というものは、実際、日本では透析が十分普及していることもあって、あとは生体腎、死体腎というドナーの問題ですとか、そういった医療環境の観点では、いろいろと違いはあるのが事実です。ただ、実際の免疫抑制療法の仕方や使用されている薬剤に関しては、大きく異なるものではありませんので、実際に有効性の観点ではそれほど人種差は認められていないのではないかと考えられます。
○松井部会長 ほかにありますか。無いようですので、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品アイファガン点眼液0.1%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、アドレナリンα2受容体作動薬であるブリモニジン酒石酸塩を有効成分とする点眼液であり、2010年9月現在、米国、欧州等世界72か国で承認されています。引用箇所(メモ)の冒頭におきまして、表で提示させていただいているのですが、海外におきまして保存剤及びpHの違いにより、濃度が異なる0.2%製剤、0.15%製剤及び0.1%製剤が販売されています。海外臨床試験において、0.15%製剤及び0.1%製剤の眼圧下降作用は、0.2%製剤と同等であることが確認されています。なお、申請製剤は海外で承認されています0.15%製剤と有効成分濃度以外の処方は同一となっています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されています10名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性について、審査報告書30ページの表9を御覧ください。国内第III相試験において、単剤療法では、点眼4週後の平均眼圧変化値の本剤群とチモロール0.5%群との群間差は、0.7?Hgであり、その95%信頼区間の上限値1.3?Hgは、あらかじめ設定した非劣性限界値1.2?Hgを上回り、非劣性は検証されませんでした。審査報告書31ページの表11を御覧ください。プロスタグランジン関連薬との併用療法では、プロスタグランジン関連薬により十分な眼圧下降作用が得られていない患者において、点眼4週後の平均眼圧変化値は、本剤群-2.9±1.8?Hg、プラセボ群-2.1±1.8?Hgであり、統計学的な有意差が認められました。
安全性について、審査報告書38ページの表17及び表18を御覧ください。国内外の臨床試験において、主にアレルギー性結膜炎、点状角膜炎、結膜充血等の眼局所の有害事象が認められました。審査報告書39ページ、表19を御覧ください。海外臨床試験及び海外製造販売後の安全性情報において、アドレナリンα2受容体作動作用に関連する口内乾燥、傾眠、不動性めまい、低血圧、徐脈等の全身性の有害事象が認められています。少し戻っていただきまして、審査報告書27ページの表7を御覧ください。新生児及び乳児では、本薬の代謝酵素でありますアルデヒドオキシダーゼ活性が低いことが報告されており、特に2歳未満の乳幼児では無呼吸、傾眠、徐脈等の重篤な有害事象が報告されています。このため、本剤の添付文書では、全身投与時と同様の副作用が現れることがある旨を注意喚起すると共に、海外添付文書と同様に、2歳未満の乳幼児を禁忌としています。なお、眼局所及び全身性の有害事象については、製造販売後調査において引き続き検討する予定です。
臨床的位置付けについて、審査報告書35ページ、「(1)本剤の臨床的位置づけについて」の項を御覧ください。緑内障診療ガイドラインでは、プロスタグランジン関連薬及びβ遮断薬が第一選択薬とされていますが、プロスタグランジン関連薬は副作用のために使用を制限される患者やノンレスポンダーが存在し、β遮断薬は気管支喘息患者やコントロール不十分な心不全患者には禁忌である等の問題があります。審査報告書34ページの図3を御覧ください。心血管系又は呼吸器系疾患を有さない高齢者を対象とした国内臨床薬理試験において、本剤はチモロール0.5%と比較して、呼吸機能及び脈拍数への影響が小さいことが示されています。図3の(A)に記載されています1秒量というものが、呼吸機能を示しています。また前述のとおり、国内第III相試験において、プロスタグランジン関連薬により十分な眼圧下降が得られていない患者に対する有効性が示されていることを踏まえると、新規作用機序の緑内障治療薬として、他の緑内障治療薬で効果不十分又は使用できない緑内障、又は高眼圧症患者に新たな選択肢を与えるものと考えています。
以上の審査を踏まえ、本剤の「次の疾患で他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合、緑内障、高眼圧症」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、1-(1)新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は劇薬、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断いたしております。なお、薬事分科会には報告を予定しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○永井部会長代理 38ページの長期投与の場合の有害事象ですが、アレルギー性結膜炎が非常に多いですね。40%近く起こるのですが、これは問題にならないのでしょうか。
○機構 我々としましても、この長期投与時のアレルギー性結膜炎は非常に問題であると思い、どのような機序であるか等を確認しましたが、なかなか明確な機序ということは分からなかったのが現状です。これについては、日本人だけで起こっているわけではなく、海外でも同様のことが起きています。なお、臨床試験で認められたアレルギー性結膜炎については、本剤を中止することによって改善が認められていることを確認しています。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○加藤委員 32ページの表13について伺います。基本的にこのような薬剤は、併用療法が一つの狙い目で、まず第一選択で選ばれるのがプロスタグラジン関連薬だと思います。この図のデータの見方がよく分からないのですが、数値だけを見た範囲の単剤と併用療法ですと、併用の方が全体的な数字として、余り眼圧降下作用が無いように見えるのですが、これは何か有意差があるのでしょうか。あるいは意味は無いのでしょうか。何となく数字として比べると、プロスタグラジン関連薬と併用した場合のデータの数字は、効果が弱まるように見えるのですが、これはどのようなことか説明していただけますでしょうか。
○機構 32ページに示しましたのは、長期投与試験で主に安全性を併用時と本剤単剤とで比較して見たものになります。先ほど御説明させていただきました直接比較した第III相試験については、前のページに記載しています。基本的には、有効性については、この第III相試験の中で示されているものと考えています。
○機構 少し補足をさせていただきます。御指摘いただきました長期投与試験は、今コメントさせていただきましたように、主に安全性を見たものなのですが、プロスタグラジン関連薬との併用療法では、当然プロスタグランジン関連薬が効かなかった患者さんで、それに本剤が上乗せされているというような状況ですので、もともと単剤療法の患者さんと比べてレスポンスの悪い方が多かったということが予測されます。一方で、この試験結果からだけでは、有効性を評価することは難しいのではないかと思っており、国内臨床試験ではプロスタグランジン関連薬との併用であっても、単剤療法であっても、プラセボに対しての優越性は確認されています。
○加藤委員 資料から分からなかったのですが、表13のデータは、プロスタグランジン関連薬ではノンレスポンダーだと認められた人たちを対象にして併用したのでしょうか。それとも、そうではないのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○加藤委員 このデータだけを見ると、併用しない方がいいのではないかというような結論になってしまう気がするのですが、どうなのでしょうか。
○機構 変化量で見ていただいていると、単剤療法と併用療法で少し差があるように見えるかもしれないのですが、先ほど申し上げましたように、プロスタグランジンとの併用療法では、プロスタグラジンで臨床的に十分な眼圧下降が得られなかった患者さんを対象にしていますので、点眼開始日の眼圧値を御覧いただきますと、プロスタグランジン関連薬は18.7、単剤療法は22.0と、元々のベースラインの眼圧値も違います。ベースラインの眼圧が高ければ変化量は大きくなるというような結果が得られることになりますので、そういった意味での反応性の違いはあるかも知れませんが、いずれの場合でも有効性は認められていると考えられると思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。今の御説明は、私も少し理解できませんでした。これとは別に有効性が認められているからという御説明ですね。
○機構 眼圧の変化量は、ポピュレーションによって違いますので、そういった意味で、プロスタグランジンが効かなくて併用したような患者様と、初めて緑内障治療薬を点眼するような患者様では、反応性の違いはあると思います。患者背景が異なる結果をもとに一律に変化量だけで単剤の方がいいというディスカッションはできないのではないかと思います。
○松井部会長 よろしいでしょうか。
○加藤委員 状況としてはよく分かりました。前向きなメッセージとしては、今まで無かったα2アゴニストという薬は日本で初めてなので、今までの併用は大体プロスタグランジンとβブロッカーで行っていたと思うのですが、それに新しいものが加わることで、何か臨床へのデータとして三つの組み合わせがある時に、どのような可能性があるのかを指導できるような資材の準備は必要かと思いますので、よろしくお願いします。
○機構 ありがとうございます。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○松木委員 質問というよりはコメントなのですが、緑内障は中高年の失明の第1位になっていて、経済的、社会的損失が非常に高く、新しい薬の開発は重要だと思います。非臨床や臨床のデータも、全部眼圧を下げることをパラメーターとして行っているのですが、大部分の緑内障が正常眼圧で起こることが分かっていて、神経変性疾患として捉えるべきであるというような認識になってきているのですね。ですから、もし薬の開発を行うような所を指導する立場であるのならば、眼圧を下げれば進行は抑えられるのですが、神経変性疾患の抑制をしない限り、どうしても劇的な開発は期待できないので、臨床試験のパラメーターも眼圧の低下だけではなく、視野狭窄や物がかすんで見えなくなるというような別のパラメーターの新しい視点で開発し、眼圧を下げることだけをいつまでも行っていると、なかなか緑内障の治療では進展が無いような気がしますので、是非お願いしたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。
○宗林委員 直接この承認とは関係無いのですが、プロスタグランジンは睫毛が伸びるという有効性の承認が海外でありまして、これは目的外使用なのですが、日本でも美容外科などで、すごく沢山使われています。平常の何でもない人が使うので、充血してしまって困るというようなことが多々起きていて、本当の眼科ではなくて美容外科で沢山使われているということで、緑内障の薬は睫毛が伸びるというぐらいに思っていらっしゃる方は、結構いるかと思います。これは関係無いと思いますが、そのような意味での副作用は今回は無いのだろうと思いますが、総合的に少し情報発信をしていただけるとありがたいと思います。これは睫毛が伸びないと書いてもらいたいぐらいです。
○機構 主に、睫毛が伸びると言われている薬は、プロスタグランジン関連薬になると思いますが、本剤はα2作動薬で、そのような作用は持ち合わせていません。
○松井部会長 ほかにございますか。特に無ければ、議決に入ります。なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題9に移ります。議題9について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題9、資料9「エベロリムスを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
資料9の上から4枚目に、医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、これに沿って御説明申し上げます。名称はエベロリムス、予定される効能・効果は、結節性硬化症です。申請者は、ノバルティスファーマ株式会社です。
対象患者数について、結節性硬化症では多様な器管に良性腫瘍が形成されます。したがって、特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されています。本邦における患者数は、1万~1万5,000人と推定されていますので、希少疾病用医薬品の指定要件5万人未満を満たすものと判断します。
医療上の必要性について、結節性硬化症は腎の血管筋脂肪腫(AML)等の腎病変、上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)等の中枢神経系の病変、横紋筋腫等の心病変、肺のリンパ脈管筋腫症(LAM)、難治性てんかんなどの種々の障害がみられる疾患です。既存の治療法は、病変部位切除等の外科的な処置のほか、各臨床症状に対する対症療法が主なものとなっています。一方、本剤は腫瘍病変の発現に関する酵素に対する阻害作用を有していますので、結節性硬化症に対する新規の治療薬となる可能性があります。結節性硬化症は、一部の患者においては重篤で、予後不良となる疾患でありながら、適切な医薬品がありませんので、医療上の必要性は高いと考えています。
開発の可能性について、本邦ではAMLを有する結節性硬化症患者や孤発性のLAM患者を対象とした国際共同試験が実施されています。また、□□□□□□□を有する患者を対象とした国際共同試験の実施も検討されているところです。以上により、本剤の開発の可能性はあると考えられます。
以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えますと、本剤については希少疾病用医薬品の要件を満たすと判断しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。特に御意見はありませんか。
それでは、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本義題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「tafamidis meglumineを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
医薬品医療機器総合機構が取りまとめております評価報告書を御覧ください。本剤の予定される効能・効果は、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチー(家族性アミロイドポリニューロパチー)、申請者はファイザー株式会社です。
まず、対象患者数について説明します。厚生労働省の特定疾患治療研究事業による家族性アミロイドポリニューロパチー患者データから、国内における患者の推定有病率は、人口100万人辺り0.87~1.1人と推定され、国内における患者数は約110~140人と推定されたことから、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たすものと判断しています。
次に、医療上の必要性について説明します。現在、当該疾患の薬物療法は臨床症状に対する対症療法のみであり、疾患の進行を抑制する方法は肝移植のみとされていますが、ドナー不足等の問題があります。本剤は、アミロイド形成を抑制することで、疾患の進行を抑制することが期待されており、今後本剤の有効性及び安全性が検証されれば、医療上の必要性はあるものと判断しています。
最後に開発の可能性についてですが、EUにおいては本年7月に承認勧告を、米国においては現在審査中という状況であり、開発の可能性はあると判断しています。以上3点より、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。特にありませんか。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御意議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 以上で、審議事項10議題は終了です。それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1~3について、医薬品医療機器総合機構より報告させていただきます。
報告事項議題1、資料11「医薬品プラビックス錠25mg及び同錠75mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料を御覧ください。本剤は、チエノピリジン骨格を有する抗血小板薬でありますクロピドグレル硫酸塩を有効成分とする錠剤です。「虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制」及び「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)」の効能・効果で既に承認されています。
今般、サノフィ・アベンティス株式会社から、効能・効果に「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される安定狭心症、陳旧性心筋梗塞」を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料12「医薬品カイトリル細粒0.4%、同錠1mg、同錠2mg、同注1mg、同注3mg、同点滴静注バッグ3mg/50mL及び同点滴静注バッグ3mg/100mLの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、グラニセトロン塩酸塩を有効成分とする5-HT3受容体拮抗剤であり、現在、経口剤及び注射剤について「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果で承認されています。さらに、注射剤においては「造血幹細胞移植前処置時の放射線全身照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果でも承認されています。
本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられておりまして、本年7月29日に開催されました本部会において、事前評価を踏まえて、中外製薬株式会社より、「放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料13「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。
資料13、医薬品再審査確認等の結果通知書です。一般的名称は「エポプロステノールナトリウム」、販売名は「静注用フローラン0.5mg及び同1.5mg」のものです。
この品目について、製造販売後の使用成績調査の成績等に基づきまして、再審査申請が行われました。審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要は無い「カテゴリー1」と判断いたしたものです。
以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 資料13のフローランなのですが、報告書の10ページで、この薬剤は承認条件があっての市販後調査であって、担当からも確認がされて、そのディスカッションの内容はそこに書かれているとおりで、この内容がどうなのかということではないのですが、推定1,600人に使われていて全例調査で上がってきた症例が681例だったこと、これは、もう取り返しがつかないことなのですが、やはり全例調査は全例調査に近くあるべきだと思うので、今後何か考えていらっしゃること、あるいは全例を集められるような指導について検討されていることはありますか。
○機構 御指摘ありがとうございます。確かに全例調査ですので、それは理由としては患者さんの数が非常に少ないということで、できるだけ有効性・安全性の情報を収集するという意図ですので、できる限り収集すべきと考えています。この薬も、当初は再審査期間が終了した時に、やはりすべての症例が登録できていない状況もあり、できる限り継続して登録するというように指導し、行っているところです。実際は、医療機関の先生方が忙しい等ということで、企業は最大限努力をしても、1例も漏れなく収集するのは現実的に難しい状況もあります。ただ、できるだけこういった状況が無いように指導しているという現状は、確かにあります。ですので、この薬に限らず、再審査期間中できるだけ全例調査を行ってくださいというものについては、再審査期間に定期的に報告されている安全性定期報告で、登録されている患者数などを確認し、少しそこが滞っている時には、どのようなことになっているのかということを確認する等、そういったようなことは恒常的に行っているところです。その上での、こういった結果となると思います。特段ほかの全例調査に比べて、抽出率が非常に低いわけでもなく、残念ながら最大限行っても現状としてはこのぐらいということで、この薬に特別な問題があるとは考えていませんが、いかがでしょうか。
○松井部会長 よろしいですか。
○清水委員 全例がかかった調査の回収率のようなデータで、疫学的というか、過去の調査が公表されたものはあるのですか。
○機構 疫学調査としては無いのですが、現時点では再審査報告書が公開されていますので、そういった全例調査の承認条件が付いたもので、実際にどのぐらいの抽出率で調査が行われているかということは、今はその薬品ごとに知ることが可能な状況になっています。疾患ごとの特徴や全例調査をしなければいけない対象の医療機関の特性によって、若干抽出率は変わってくるのですが、そういったことを知ることができる現状にはあります。
○松井部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
それでは、ただいまの報告事項については御確認いただいたものといたします。事務局からほかに何か報告はありますか。
○事務局 部会の予定ですが、本日で本年の第一部会は最後です。次回は、来年1月27日(金)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いします。
○松井部会長 今年1年どうもお世話になりました。また来年も、よろしくお願いいたします。本日は終了といたします。どうもありがとうございました。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)