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2011年9月8日 第17回ILO懇談会議事要旨
大臣官房国際課
○日時
平成23年9月8日(木) 10:00~12:00
○場所
厚生労働省共用第9会議室(19階)
○出席者
(1)労働者側
桜田 高明 (日本労働組合総連合会国際顧問) |
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会総合労働局長) |
生澤 千裕 (日本労働組合総連合会総合国際局長) |
(2)使用者側
横尾 賢一郎 (日本経済団体連合会国際協力本部長) |
松井 博志 (日本経済団体連合会国際協力本部副本部長) |
高澤 滝夫 (日本経済団体連合会国際協力本部主幹) |
(3)政府側
妹尾 吉洋 (厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)) |
藤井 康弘 (厚生労働省大臣官房国際課長) |
井内 雅明 (厚生労働省大臣官房国際課統括調整官) |
○議題
○報告案件
議題1 第100回ILO総会について
1)政府からの報告
2) 意見交換
○協議案件
議題2 2011年 年次報告について
1)政府からの説明
2)意見交換
○議事
議題1:第100回ILO総会について
妹尾大臣官房総括審議官(国際担当)からの挨拶、藤井国際課長からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第100回ILO総会の概要報告がなされた。
(○家事労働者のディーセント・ワークに関する条約・勧告について)
(労働者側)
条約・勧告が誕生したことを歓迎したい。大切なのは次のステップである国会への報告である。なぜ家事労働者の基準作りが高まりを見せたのか、その背景も含めて国会の場で議論し、認識の共有化を行って欲しい。
(使用者側)
条約・勧告を日本政府が賛成した理由がよく分かるように国会報告を行って欲しい。
(政府側)
家事労働条約及び勧告については、条約の批准の難しさがある一方で、世界的に家事労働者のディーセント・ワークの確立が求められている重要性等を踏まえ、総合的に判断して、今回賛成票を投じた。国会報告という手続きと共に、条約・勧告の内容や背景について、適切な機会に説明を行っていきたい。
議題2:2011年 年次報告について
政府側より、2011年の日本政府年次報告案について資料2-1から資料2-9を用いて説明がなされた後、意見交換が行われた。
(○年次報告全体について)
(使用者側)
このILO懇談会は、日本の雇用・労働政策などのあるべき論を述べる場ではなく、日本が批准した条約の遵守状況に関する事実確認を行う場であると捉えており、その観点から、政府報告について特段意見はない。
(○81号条約)
(労働者側)
福島第一原発内での作業環境について、働いている方々のために、効果的な指導・監督を行って欲しい。労働基準監督官は、司法警察官で、逮捕権限を持っている重要な職務の国家公務員であり、再任用ではなく、現役の定数を増やしてほしい。
(政府側)
厳しい財政事情を踏まえ、再任用職員の活用を図るなどして、総合的な対応を図っていきたい。
(○87・98号条約)
(労働者側)
公務員制度関係は、全体的に、民主党政権になって大きく動いていると評価している。公務員制度改革関連法案は、法案審議を早め、早く成立してほしい。
(○100号条約)
(労働者側)
男女間賃金格差の是正のために、男女雇用機会均等法に性別を理由とする賃金差別の禁止を加えると共に、労働基準法第3条に性別を加える法改正をするべき。有期契約労働者の育児休業取得要件を見直すべき。すべてのパートタイム労働者に対して差別的取扱いを禁止するようパートタイム労働法の改正を行うべき。男女雇用機会均等法の指針から「雇用管理区分」を削除するべき。
(政府側)
男女間賃金格差の改善に向けて、様々な場面で指導を行っていきたい。
(○122号条約)
(労働者側)
高年齢者雇用確保措置の未実施企業が3.4%あるのは問題、強力に指導しているとは言い難い。労使が共に反対していた求職者支援制度の財源に関する労働政策審議会での議論に関連して、雇用・労働政策については、三者構成の労働政策審議会の議論が十分に尊重されるべきである。
(政府側)
高年齢者の雇用確保が全ての企業で実施されるよう、指導の徹底を図る必要があると考える。また、労働政策審議会において、高年齢者雇用政策全般について検討を行うことになっている。求職者支援制度に関する労働政策審議会の建議における御意見については真摯に受け止めたい。
(○131号条約)
(労働者側)
2007年の最低賃金法改正により生計費及び賃金について参照すべきグループが変更になったにもかかわらず、「賃金改定状況調査」が依然として常用労働者30人未満の企業を対象としているのは問題である。漁船員については、最低賃金法の対象とならない者がいるのが問題。目安制度の見直しについて年次報告に記載すべき。最低賃金審議会の公益委員の任命について事前協議を受けていない。最低賃金について、9都道府県で生活保護水準を下回っているのは問題であり、また比較方法についても問題がある。
(政府側)
漁船員については、4業種を除き、関係労使間でコンセンサスが得られておらず、国からも協議が促進されるよう、働きかけを行っている。最低賃金と生活保護水準の乖離については、平成23年度の改定により、相当程度の改善があったところ。また、比較方法については、関係協議会での労使の意見が整わず、当面は現行方法を維持することが適当であるとされたところ。
(○156号条約)
(労働者側)
育児介護休業制度が有期契約労働者にも適用されるように要件を緩和すべき。改正育介法の実施が、従業員100人未満の事業場に適用されていない状況を早く解消してほしい。待機児童の解消対策は、より一層の取組をお願いしたい。育休取得を理由とした解雇等の不利益取扱いの事案が急増しており、企業に対する指導を強化すべき。
(政府側)
有期契約労働者の取得要件の見直しについては、2009年の法改正時の附帯決議に基づいて、今後必要な検討を行ってまいりたい。改正育介法の適用範囲は、全面施行まで一年を切っており、改正内容の更なる周知・徹底を行っていきたい。待機児童については、関連施策を進め、その解消を図ってまいりたい。
(○159号条約)
(労働者側)
障害者の範囲の見直しについて、もう少し早く取り組んでほしい。障害者の雇用率が1.68%、法定雇用率を満たす企業の割合は全体の半数以下であるのは問題であり、障害者権利条約の早期批准に向けて、国内法整備を進めてほしい。
<照会先>
大臣官房国際課
国際労働機関第二係: 03-5253-1111(内線7310)
03-3595-2402