ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第6回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録




2011年12月13日 第6回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成23年12月13日
18:00~


○場所

厚生労働省 省議室


○議事

○椎葉労働衛生課長 本日もご多忙の中、委員の皆様方にはご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第6回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会を開催させていただきます。
 本日の出席者でございますが、中山委員から都合によりご欠席との連絡をいただいております。杉浦委員でございますが、少し遅れるとのご連絡をいただいております。また、本日のオブザーバーといたしまして、環境省から廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課の廣木課長と、水・大気環境局土壌環境課の永浜補佐にご出席をいただいております。
 本日の議題でございますが、前回12月9日に開催されました第5回の検討会では、ガイドラインの(案)と、特別教育のテキストの(案)につきまして、ご議論をいただきました。前回の議論から本当に短い期間ではございましたが、委員の皆様方にはこの週末にガイドラインやテキストのご確認をいただいた上で、多数のご意見をお寄せいただき、本当にありがとうございました。本日はいただいたご意見を踏まえて、改正いたしましたガイドライン(案)と、特別教育テキスト(案)につきまして、もう一度ご議論をいただきたいということで考えております。よろしくお願いいたします。
 それから、関連する動きにつきまして、この場を少しお借りいたしまして説明させていただきます。
 厚生労働省におきましては、この検討会の報告書を基に作成いたしました除染作業等に従事する者の放射線障害防止に関する新たな省令、通称「除染則」と言っておりますが、この要綱を、昨夜、労働政策審議会安全衛生分科会に諮問いたしまして、「妥当である」との答申を受けたところでございます。また、文部科学省所管の放射線審議会に対しましても、除染則の技術的な基準に関して諮問いたしまして、先ほど「妥当である」との答申をいただいたところでございます。厚生労働省におきましては、この答申を受けまして、来年1月1日の除染則の施行に向けて、公布の準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 今後の議事進行につきましては、森座長によろしくお願いいたします。
○森座長 ただ今ございましたように、本日もガイドライン(案)と教育テキスト(案)の2つの内容について、議論を進めていきたいと思います。毎回でございますが、円滑な議論のために、それぞれのテーマについてある程度時間を決めながら進めていきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をさせていただきます。最初の頁は次第です。1頁、資料1で開催要綱。3頁が資料2でガイドライン(案)です。31頁に資料3-1ということで、簡易濃度測定方法(案)があります。41頁に資料3-2で判別のマニュアル(案)、45頁に資料3-3です。47頁に資料3-4、57頁に資料3-5です。別刷りになっていますが、「除染等業務特別教育テキスト」の(案)を示しております。資料は以上でございます。
○森座長 資料のご確認をいただきましたが、不足等はございませんでしょうか。よろしければ早速、資料2のガイドライン(案)の審議に入りたいと思います。先ほどもございましたように、皆様方からたくさんのご意見・ご質問をいただきまして、事務局で修正いただいたものが案になっておりますので、本日は修正をいただいたところを中心に説明をいただき、確認をしていくといった審議の進め方にしたいと思います。また、技術的な事項といたしまして、「土壌等濃度の測定」と「粉じん濃度の測定」については、少し具体的な中身を慎重に確認する必要があるということですので、その2点は全体から切り離して、個別に検討していきたいと思っております。まず、事務局より変更点を中心に説明をお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 資料2につきまして、ご説明をさせていただきます。変更しました点について網掛けが掛かっておりますので、それで説明させていただきます。
 5頁、これはボランティアの点です。従来からボランティアあるいは住民、自営業者については、年間当たり1mSvを上回らないようにという記載になっていますが、住民の方については、自らの住まわれている所が2.5μSv/hを超えるようなエリアもありますので、そういった所の除染に従事されることは想定されるということは書いていたのですが、逆に1mSvを超えてもいいのかという議論が少しありましたので、この場合は作業頻度を落とすということで、住民の方でも1mSvを超えないようにしていただきたいというところを明確にしております。
 5頁の下のほうは粉じんの関係ですので、後ほど説明いたします。6頁の下のほうに、4「線量の測定結果の記録等」というところがあります。これについては(1)のア、イ、ウにありますように、3カ月ごと、1年ごと、5年ごとなどに記録をすることになっておりますので、有期契約労働者あるいは派遣労働者の場合、契約期間が3カ月を下回っている場合については、測定を行って、フィルムバッジは付けているけれども現像されないといった可能性がありますので、それについて(5)で留意点、ガイドラインによる指導事項を付け加えています。
 まずアとして、3月未満の期間を定めた労働契約又は派遣契約による労働者を使用する場合には、被ばく線量の測定は1カ月ごとに行ってください。これは1カ月ごとに現像してくださいということになります。もちろん、日々の線量管理を電子式線量計で行っている場合は、それでよいのです。
 イで、契約期間の満了時には、これも3カ月に達しない場合がありますので、その場合は、当該契約期間中に受けた実効線量を合計してその人に通知を渡してください。そうすれば1カ月半であれば、1カ月半分を調べた上で渡してあげる。「3カ月未満だから君には記録をあげない」ということはやめるようにと。
 ウですが、これは先ほど申し上げましたように、最低限1カ月に1回は線量の記録をすることになりますと、契約期間については1カ月以上が望ましいだろうということを、この中で入れております。
 8頁、(6)は、汚染検査場所に従来は除染のための設備しか書いてなかったのですが、当然、放射線測定機器を備え付けるという修正でした。
 9頁からですが、これは5「医師等による診察等」のイところで、「放射性物質を誤まって吸入摂取し、又は経口摂取した場合」について、具体例があったほうがよいのではないかというご指摘がございました。例えば、事故等で大量の土砂等に埋まった場合で、鼻スミアテスト等を実施して、その基準を超えた場合、大量の土砂を飲み込んだ場合等、一定程度の内部被ばくが見込まれるものに限るという例示を入れています。
 11頁、(3)持ち出し物品の汚染研査のところです。イとして、従来、汚染除去施設もしくは作業場所ということですが、当然、除去土壌等を保管もしくは処分をするための施設に運搬する場合がありますので、それを入れています。ウ、車両については、一般論として、洗車をするのがまず先だということでしたので、それを入れた上で、3として、運搬先で荷下ろしをした場合に、そこで基本的に除染・汚染検査を行うことは望ましいですが、それができない場合は、ビニールシート等で包んで荷台等から除去土壌等が飛散・流出することを防止した上で、汚染検査場所に戻って検査・除染をしてくださいという規定を入れています。
 12頁のいちばん下です。従来タイベックなどを着るわけですが、高圧洗浄等で水を使う場合は、水を被る場合がありますので、必要に応じて雨合羽等の防水具も着用させるという記述を追加しています。
 14頁、1「健康診断」の部分です。これにつきましても先ほどの短期間契約の問題でして、常時雇用する者に対して実施することになっています。6カ月未満の期間の定めのある場合には義務はかからないということになりますが、被ばく歴の有無、あるいは健康状態の最初の作業の前の確認は必要であるということなので、6カ月未満の期間の定めのある労働契約又は派遣契約を締結した労働者又は派遣労働者に対しても、雇い入れ時の健康診断はやってくださいということを入れています。
 15頁の第8「安全衛生管理体制等」です。ここは前回ご議論いただいたところでして、まず最初に「元方事業者による安全衛生管理体制の確立」を先に出しました。その上で16頁で2として「元方事業者による被ばく状況の一元管理」という形で入れております。ここで放射線管理者は前回の紙ですと、それぞれの事業者が置くということになっていましたが、これは必ずしも現実的ではないというご批判もございましたので、元方に最低限1人置いてくださいと。その方が全体の一元管理を行ってください。内容としては、例えば発注者と協議の上、汚染検査場所の設置、それから汚染検査の適切な実施を図る。あるいはこういった措置を適切に実施できるように、関係請負人の放射線管理担当者を指導してほしいということです。
 最後3番に、個々の事業場の安全衛生管理体制について書いています。ここは前回は放射線管理者との整理がされていないということもありましたので、まず(1)で、衛生管理者又は安全衛生推進者を事業場の規模に応じて選任すると法令上のことを述べた上で、(2)で放射線管理担当者を選任して、線量の測定といったものについては、衛生管理者の指揮の下に行うという形で直しました。
 19頁、別添2「内部被ばくスクリーニング検査の方法」というところです。これは(3)測定後の措置のところで、マスクの装着で漏れ率が多いと、防じんマスクの表面線量率がかえって落ちる傾向があるということなので、ほかと比較して著しく低いような労働者がいた場合には、マスクの装着方法を再指導しなさいという記述を入れています。
 26頁、別添5「作業指揮者に対する教育」です。まず教育の内容で指揮の方法に関することの中に、「保護具の適切な使用に係る指導方法」を入れた上で、時間が前回は空欄になっていましたが、労働安全衛生法で定めています職長教育という類似の教育がありますので、それとおおむね同じ長さで、2時間30分、2時間、1時間ということで、計5時間30分の教育を行う形にしています。これにつきましては、27頁以降にあります「労働者に対する特別教育」と基本的に科目の重なりはないので、作業指揮者については、これは両方とも受けなければならないという形の運用をしていきたいと考えております。説明は以上です。 
○森座長 ありがとうございます。ただ今変更点を主にご説明いただきましたので、それらの点を中心に議論をしていきたいのですが、全部まとめて「ご意見をどうぞ」と言うと、いろいろなところに飛んでしまいますので、まず第3、第4、第5といったように、範囲を括りながら少し検討していただきたいと思います。第3「被ばく線量管理の対象及び被ばく線量管理の方法」から第5、ガイドラインの2頁から11頁のところまでで、何かご意見・ご指摘がございましたらお願いいたします。
○古田委員 確認なのですが、2.5μSv/hを超える従来の管理区域の中で、被ばく管理をするというのはよくわかるのですが、それを下回る場所で被ばく管理をして、データを取った場合の取扱い方法は、もう2.5μSv/hの作業者と全く同じように取り扱うというように読めるのですが、それでよろしいでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 はい、測定のやり方につきましては、簡易な測定の方法を認めるのですが、実際はその高い地域と低い地域を行ったり来たりする労働者が多いと思いますので、線量管理の記録などの方法については、全労働者共通ということで考えておりす。
○古田委員 例えばよその県で低い所だけを除染しましたと、0.23μSv/hを超えて2.5以下の所での作業しかしないよという方についても、一応、代表者で被ばく管理とか、計算上被ばく管理はすることになるかと思うのですが、その結果の取扱いが、2.5μ以上の管理区域相当の所で作業をした人と全く同じように義務づけてしまうと。これはそういうことですよね。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。おっしゃるように、線量の低い所で除染を行う事業者の下で働いていたかもしれない。そこで例えば3mSvしか被ばくしなかったとしても、別な事業者に転職して高い所で除染することもございますし、あるいはその会社自体が、福島に出張して高い所で除染してくださいという可能性もありますので、被ばく管理の方法については、全員共通な形にせざるを得ないと考えております。
○森座長 よろしいですか。
○古田委員 少し大きな業者さんであれば、その辺は何でもないことかもしれないですが、小さい業者さんで低い所しかしなくて、5mSv/年を超える被ばくはあり得ない。場合によったら、1mSv/年も超えていない被ばくかもしれない。そういったのもすべて同じように管理して、過度な負担にならないのかなというのが気になりました。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。ただ3カ月、6カ月、1年とか、それほど高頻度でやるということでもありませんので、何とかできるのではないか。そこは十分に丁寧に、事業者の方にはご説明したいと考えています。
○古田委員 こういった事業に小さくても参入する方は、これぐらいの覚悟をもって参入しろという理解でよろしいですね。
○森座長 ほかにはいかがでしょうか。私から1点だけなのですが、少し違和感があるのが、5頁のところで、(5)有期契約労働者の最後のところのウなのです。被ばくの見知からすれば、無理に長い契約をしろと勧めるのはちょっと違和感があって、むしろ短い場合においてはこういう管理をしろというほうが、筋としてはいいのではないかなと思うのです。例えば先ほどフィルムバッジではなくてIC線量計を使ってその期間だけ測るとか、ほかの方法があるのであればいかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 従来の電離則が3カ月あるいは半年、1年という、ある程度期間に応じた形で被ばく管理、記録を義務づけることができたのは、やはり終身雇用とは呼ばないまでも、一定の常用の雇用を前提にしていたということは間違いないと思います。今回の場合、必ずしもそれが守れない状態になる可能性がございます。法律上の問題なのですが、例えば3カ月に1回しか記録の義務はございませんので、1カ月ごとに12の事業場を渡り歩いて丸1年間働いても、線量記録は全くないというのが合法になってしまいますので、そういったことがないような管理は最低限必要だという問題意識でございます。
○森座長 それはよく理解できるのですが、結局1カ月以上にしなければいけないという義務ではなくて、望ましいに過ぎないので、短い人は1カ月を超えていないから、このままではその通知をしなくてもいい、記録をしなくてもいいかという話になりませんか。
○安井中央労働衛生専門官 おそらく個人線量測定の委託サービスをすると、1カ月付けていなければ測ってもらえないかというとそうではなくて、2週間なら2週間測っていても、結果はそのほかの1カ月を測っていた方と同じような時期になるかもしれませんが、測ってはもらえるので、その2週間なら2週間もフィルムバッジではないので現像とは言わないかもしれませんが、そういうことをして記録を残すことにすれば、2週間の雇用でもできるのではないかなと思います。
○森座長 長いのは望ましいけれども、それ以下の場合にも同じことをやっていただくことを、少し書いていただいたらどうかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 イに、契約の満了時に、当該契約期間中に受けた実効線量を合計して渡すとなっていますので、これは期間にはとどまらず、例えば1週間であったとしても、そういうふうに読めるように考えています。
○森座長 それ以外にございませんか。よろしければ、続きまして11頁の第6「労働者に対する教育」、第7「健康管理のための措置」、第8「安全衛生管理体制等」、別添1より前の14頁までについて、何かご意見・ご質問がございましたらお願いいたします。
 よろしければ私から。14頁の3で「衛生管理者又は安全衛生推進者を選任し」ということは、基本的には労働安全衛生法に基づきということだと思うのですが、これは10人未満の場合においては、事業者が基本的に衛生管理は、もともともっている事業者の責任でやると考えればいいのでしょうか。除染等事業者が10人未満の事業場であるということはあり得ないとは言えないので、その点はいかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるように、法律上はその場合、事業者自ら行うということになってしまいますが、我々としてはやはり何らかの担当者は置いてほしいとは考えていまして、10人を切っても安全衛生推進者を置いてもらいたいとは思っているのですが、その辺りをどこまで書き込むかというのは、いまの記載では明確になっていません。
○森座長 その辺少し工夫をいただければと思います。もう1つ上のところですが、これを読むと確かに、今回、放射線管理者と放射線管理担当者の役割が明確になって、どうも放射線管理者はそれなりの知識がある人がやって、担当者はその指揮の下に必要な事項を行っていけばいいということはよくわかります。しかし、放射線管理者というのは、そもそも誰なのというのは、あまりこの辺のところの定義はしなくても、実態として元方レベルの事業者であればこれぐらいの知識のある管理者を選任できると考えてよろしいのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね。労働安全衛生法上、明確な仕切りがないため書いていないのです。実態論としては、例えば電力会社さんであれば独自の基準を決められているのと、例えば原子炉主任技術者とか、核燃料取扱主任者とか、あるいはアイソトープの取扱主任者とかいった資格をいままでは扱ってきたのですが、除染の場合に当てはまる資格が全くないのと、現時点でこういう研修を受けたらいいという研修自体もまだありません。先生の問題意識は、何らかの資格要件が要るではないかというのはよくわかるのですが、いま書きにくい状態にはなっておりまして、いまは書いてないのです。
○森座長 いずれにしても、放射線に関する一定の知識を持っている人を想定しているという理解ですよね。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。職務を適正に実施することができる者ということです。
○森座長 それ以外いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では続きまして、別添のところ、修正事項は17頁です。これはたしか前回、松村委員からご指摘があり、修正をいただいている部分がございます。別添4はこのあとの議論になってくるかと思います。作業指揮者に対する教育を5時間半に設定をしたということです。別添についていかがでしょうか。 
○松村委員 基本的な考え方として、作業環境測定基準第2条が引用されているのですね。第2条の中には粉じんはろ過捕集方法が正規の方法で、それに代って相対濃度指示方法でもいいということになっているのです。最初にこの検討会の議論でも、フィルターで捕集するだけで、そのフィルターの重量増加からそこの粉じん濃度を測るという方法だけを考えていたので、それは当然、基本的に入ってもいいのではないかというように思います。ここで相対濃度指示方法だけが書いてあるのですが、どっちみち相対濃度指示方法を使うためには、ろ過補集方法を同時併行でやらなければならないので、それを書くことが必要ではないかと思います。それから作業の近傍で測るのですが、そのときに風がある場合には風下で測るということを、やはり書いておく必要があるのではないかと思います。
○森座長 粉じん濃度の測定に関しては、このあと議論をしたいと思っていますので、いまの松村委員のご指摘は、少し預からせていただいて、そういうご指摘があったということで、次の議論の中に入れていきたいと思いますがよろしいでしょうか。
○松村委員 はい。 
○古田委員 19頁なのですが、表面線量率という言葉自身が内容からすると表面線量率ではありません。計数率か何かそのような言葉だと思うのです。また、低いから気をつけろというのが、何かすごい違和感を感じます。どちらかというと、きちんとその湿式で除染すれば、粉じんはそんなに出ないだろうし、先ほども、マスクに触って汚染の可能性、一般的にはこちらのほうが多いのではないか、そういう感じがするので。何か低いからおかしいではなくて、やはりマスクはきちんと装着しましょうということを、教育でしっかりやることが大事であって、マスクをサーベイして低いからこの人の装着がおかしいのではないのというのは、ちょっと違和感を感じたのですが、いかがでしょうか。
○松村委員 実際作業をする人は、マスクをきちんと着けた経験のない方が多いと思うのです。どういうマスクを使うか、使い捨て式防じんマスクが多いと思うのですが、着け方によっては非常に漏れやすいのです。ですから、マスクの表面に付いている量が何を意味するか。これを測るという考えそのものが、マスクの本来の中にはないのです。使い捨てマスクの場合には、吸った面と同じ面から今度は吐くわけですから、空気が常に両方向交互に通るわけです。ですから大きい粒子はそこからこぼれ落ちることもあります。でも、それを測るとおっしゃるので、測ってチェックするという意味ではいいかもしれないのですが、マスクは本当に着け方によっては50%漏れるということが、それほどあり得ないことではないので、同時に働いている人の中で、特にマスクへの付着が少ない人は、漏れてたくさん吸入しているという可能性が大いにあるのです。ですから、それはある意味で、マスクの装着方法のチェックにもなっている面もあります。
○森座長 これは集団の中で、一部の作業者の値だけが外れているときの話ということですね。
○松村委員 はい、そうです。
○森座長 全体で低いという話ではなくて。
○松村委員 はい。
○古田委員 では、全体が出ているような作業者集団で、1人だけ異常に低いというような場合ですか。
○松村委員 そうですね。けれどもこのマスクの値というのを、一人ひとりのばく露量の1つのインジケーターにするということなのか、あるいはその平均値を出して、その作業全体がこのぐらいの被ばくがあったということにするのか。そのデータの処理の方法にもよると思いますが、その辺は何も決まっていない。たぶんこれは個人データですね。
○古田委員 通常は湿式で作業をすれば、ほとんど粉じんは出ないだろうということは、マスクも汚染はないだろうという前提でスクリーニングをやると思うのです。マスクを測って出たということは、それは空気汚染があったということですから、そういう意味では内ばくの可能性がゼロではなかったよという、単なるそういうインジケーターには使える。そのときに何らかの基準ということで、50%くっ付いたよという基準でやったらどうかというレベルの話なので、実際にこれでもう内部被ばくがあったということまでは分からないわけですから、次のステップの鼻スミアだとかホールボディカウンタだとか、そこできちんと確定する。だからあくまでも、空気汚染があったかどうかだけのインジケーターというふうに考えたらいいかと思うのです。それよりはむしろ、マスクを作業中に汚染された手で触るなというような注意事項があったほうが、よりいいかなという気がします。
○森座長 いまのマスクのところについて、事務局からお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 いろいろご議論いただきましたので、表現ぶりとして、例えば同様の作業を行った作業者の中で1人だけ大幅に低い場合とか、その辺りが分かるように書きたいと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、少し修正もいただくことになりましたが、議論も基本的には出尽くしたということで、次の土壌等の濃度の測定と粉じん濃度の測定の点に行きたいと思います。これらについて事務局よりご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 ご説明いたします。まず5頁(4)で、高濃度粉じん作業に該当するかどうかの判断が出ています。ここで前回ご議論させていただいたときは、非常に簡易なデジタル粉じん測定が可能かどうかもご議論いただきましたが、それはなかなか難しい。いわゆる質量換算係数が、そんなに簡単に出ないという議論がありました。そうすると、現場ではなかなか測れない、測らないという状態になってしまいますので、法律の実効が図れないということがございます。
 実は過去のデータはあまりないのですが、57頁の最後の資料3-5にあります小林委員から提出していただいたような、かなり大きなトラクターなどを使って土を砕いたり、排土するような場合は、やはり10mg/m3を超えている数字があるのと、48頁の表1、これはT-R測定で石材を乾式研磨した場合の測定の総粉じん量を見ますと、30mg/m3を超えるものもありますので、乾燥した状態で土なり石なりを掘ったり削ったりする作業は、10mg/m3を超えるという前提で、まず適用関係を作るしかないのではないかということです。
 5頁の(4)のアでは、土壌等のはぎ取りやアスファルト・コンクリートの表面研削・はつり、除草作業、除去土壌等の袋詰め、建築・工作物の解体等を乾燥した状態、湿潤していない状態で行った場合は、10mg/m3を超えるとみなしてやってくださいと。もちろん粉じん測定により濃度を測定した場合で、10mgを下回ることが明らかになった場合は、もちろんそれで問題ないわけですが、測らないと分からない状態の場合は、安全側に取ってください。ただ、もちろん作業は限定列挙しますという整理にしています。
 具体的な測り方については、17頁の別添1です。ここはいつ測るのだという議論がございましたので、これは2の(1)、測定に当たっては同じ種類の作業については、初めて作業をする際に1回測定すれば足りるという、時期の問題を入れています。
 先ほど松村委員からご指摘のあった、ろ過方式があるのではないかということも、もちろんそれは当然ですのでやっておりました。これはあくまで簡易な測定の方法について書くという趣旨で書いていますので、簡易な測定方法、デジタル粉じん計を使った相対濃度指示方法を原則にして書いています。もちろんろ過方式を排除しているものではありません。
 濃度の測定の関係です。これにつきましては別添4です。いくつかご議論がございまして、まず3「試料採取」です。(1)のイで、1,000m2をはるかに超える農地のような場合もありますので、そういった所で1,000m2ごとに採取するのは、必ずしも現実的ではないということと、あまり意味もないということなので、基本的に農地のように濃度が比較的均一とみなされるような場合については、最低1点取っていただければいいという緩和規定を入れています。
 23頁ですが、これは簡易測定を行う場合の留意点を入れるべきだ、というご意見を踏まえて入れています。まず1については、簡易な方法であるので、余裕を見積もった判断をすべきだということです。例えばここは「●割以上」となっており、8割、9割の数字を想定していますが、例えば50万Bq/kgのうちの8割、9割、あるいは1万Bq/kgの8割、9割の数字が出たような場合は、もう基準値を超えると思って取り扱ってほしいという、より安全側の取扱いが必要ではないかということです。
 2ですが、これは前回ご議論いただきましたNaIのシンチレーターでは振り切ってしまうという問題で、これは確かにご指摘のとおり「V5容器」といういちばん小さい容器を使っても、30万Bq/kgぐらいしか測れないという実態があります。この振り切った場合、50万Bq/kgを超えるのだという扱いをするか、あるいはきちんとサンプリングされた土壌を持って帰って、きちんとゲルマニウム測定器で測るか、どちらかにしていただきたいということを入れています。
 24頁に簡易の濃度測定手順という形で、原子力災害対策本部からいただいたものをそのまま入れています。25頁には、その測定日に応じた係数値ということで、これは減衰係数に応じた係数を入れる形でやっています。24頁にはいわゆるV5容器と土のうの2つで入れることを考えています。これについては関連資料として31頁から資料3-1が提出されていますし、45頁から資料3-3が提出されています。事務局からは以上です。
○森座長 ありがとうございました。まず最初に5頁の作業を列挙して、これについては10m/m3を超えると考えてというところについて、何かご意見があればお願いします。
○名古屋委員 たぶん、乾燥した状態で行ったときに超えると判断するのだから、別段超えていなくてもそれを判断するので、問題ないと思います。要するにアスベストの1%と同じ、見なすの考えでですよね。だから、自分で1%を超えてとみなしたら、そうやりなさいということは問題ないと思います。次は問題だと思います。
○森座長 次というのは。
○名古屋委員 イです。「測定に当たっては、同じ種類の作業については、初めて作業する際に1回測定すれば足りること」。これを読み替えると、次に同じ作業を行うときは測定しないよと読まれるのですが、それはあり得ないですよね。そんなことは常識的に考えられないので、その作業のときに最初に測定するのは間違いなくそれはするけれども、次の作業に移ったら、当然同じ様な作業であっても初めから作業を測定しなかったら粉じんの測定になりません。粉じんというのは作業環境測定においても同じ様な作業であっても結果の違うことが多々あるからこそ、1回で足りることとせずに必ず同じ単位作業場で繰り返し測定しているわけです。ましてや、これだけ環境条件の違う自然の環境の中だったらなおさら違う条件なのに、1回測ったからといってそれを容認することはあり得ませんよね。
○森座長 いまのご指摘はいかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 正直なところ、作業の対応が非常にある中で、作業環境測定レベルの測定をずっとやり続けるのはかなり難しい実態がある中で、どこまで現実的な判断をするかだと思います。
○名古屋委員 そのときは、まず最初に1カ月か2カ月測定してみて、その結果を集めてから決めればいいので、初めからここに決めているのはおかしと思うのです。状況が何もわかっていないときに決めるのではなくて、1カ月か2カ月である程度の状況がわかり、そのときは同じ作業だとしたらそれはいいよとか、K値がある程度集まるからいいよ。それなら分かるのですが初めから何もわからない闇雲の中で頭の中で考えたときに、同じ作業だから1回で足りることと当てはめることはとても危険だと思います。そうしないと、たぶん粉じん測定をやる人が見たら、「こんな測定するの」と。粉じんの測定では考えられない発想だなと思います。
○森座長 これは、毎回測るのは非常に大変だという話の中で、アを入れたことによって、高いとみなしてやれば測らなくてもいいという逃げ道を持っているということですね。
○名古屋委員 それは間違いなくいいです。
○森座長 毎回測らないといけないことも含めて、もしそれが大変であればアのように高いとみなしなさいというのでスタートするというのが、いまのお話をまとめた考え方になるかと思いますが、どうでしょうか。
○名古屋委員 当初は、大変だから1回は測っておいたほうがいいですよ、ということだと思います。
○安井中央労働衛生専門官 名古屋先生のご指摘は、学術的に正しいと思います。あとは、実際にそれだけのデータをどれだけ収集できるかと、それをどう評価するかということだろうとは思います。専門機関なりにお願いをして一定のデータを集めた上で、またこういった記載ができるかどうかを改めて判断することになろうかと思います。
○名古屋委員 そのほうがいいと思います。これだと、次の作業は同じ作業をしているから、前のデータがそのまま生きるからやらなくていいねという話になってしまう。そうすると、かなり高いところでばく露しているのに、見逃してしまう可能性があるのはいちばん危険なので。ましてやこれは内部被ばくを判断するために測定している方法ですから、そこはきちんとしたほうがいいのかなと思います。
○松村委員 もう1つ測定についてはっきりしておきたいことは、1つの作業について1日単位なのかもしれませんし、場所単位なのかもしれませんが、1回サンプリングすればいいと取れます。その区域の空間線量率は5点以上を測ることに決めたのですが、この場合には1点測定でいいと考えてよろしいですか。
○名古屋委員 粉じんも測るのでしょう。
○松村委員 空間線量率は5点で測りますが、粉じんの測定については5点とは文章上では決めていないと思います。
○名古屋委員 私が思っているのは、当然同じふうな形で、相対濃度計を使って測定するのだと思います。
○松村委員 でも、そこで作業をしていないときに測ってもしょうがないです。だから作業をしている直近の風下で測ることだと、1つの作業について1点だけ高いと思われるときに、1回だけ測るというように読めます。その濃度というのは平均値でも何でもなくて、1回測定値です。作業環境測定でいえばB測定に相当するような値です。そう思ってよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 基本的に個人サンプラーを使うことを前提に考えていますので、一義的にはB測定というイメージで我々としては考えています。屋外ですから平均というのはなかなか成り立たない世界ですので、もちろん1点1回だけでいいのかという議論はあると思いますが、概念的にはB測定に近いと考えています。
○名古屋委員 そうすると、当然1,000m2のところで質量濃度を測るのは1点しか測れないから大変なので、そこで併行測定して、そのK値を相対濃度計で測定した5点に掛けて5点の質量濃度を求めるから、相対濃度計で測るよと思ったのです。では、私の誤解なのですね。要するに、1点を測ればいいということなのですね。粉じんの場合、作業をしている所というのは、1,000m2で決められたときに併行測定してK値を求める。そうしておくとその作業に関して、デジタル粉じん計で相対濃度を求めればそれが使えるけど、1点であったら相対濃度計を使う意味は何もないではないですか。K値を求める必要は何もないではないですか。5点測るからこそK値が必要だと思ってK値を求めなさいという話になったのだけれども、それがなかったとしたら別段相対濃度計を作る意味は何もないですよ。質量で測ればいいだけだもん、1点測ればいいだけだったら。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおり、同じような作業を同時併行的に複数の場所でやる場合は、1点でいいのかという議論は十分にあろうと思いますので、労働者が5人も10人もいるような場合はサンプラーをいくつか使うというのは、十分に考えられることだとは考えています。
 質量濃度換算係数については先ほどの議論に返りますが、ある程度データが蓄積されれば、大体こういう作業についてのK値というのがもし明らかになれば、それを使ってデジタル粉じん計で、そのままダイレクトに質量濃度を測れるようになるということも含めて測ることにはしていました。
○名古屋委員 このK値を求める目的というのは、場の管理をするためとかではなくて、後々環境を測定するために併行測定でK値を求めておいたらいいという測定なのですね。そう理解していいのですね。
○安井中央労働衛生専門官 それもありますし、もう1点。先ほど申し上げましたが、例えば5人が似たような作業をやっているときには併行測定は1個だけで、あと5点はデジタル粉じん計というやり方はできると思っています。ただ、おっしゃる場の管理という概念ではないです。個人ばく露測定を複数回やっているだけなので、場の管理ではないです。
○森座長 1点ではなくて、結局1人ということですよね。
○松村委員 ですから全体のガイドラインが、発生し得るいちばん高い濃度、いちばん危険な濃度で測っておけば安全だという考え方だと思いますので、いちばん高いと思われる所で測って、その値を求めればいいと理解しています。ただ、実際に1,000m2単位の区域がどういうふうに作業が行われるかわからないです。全面で同時に作業が進むのか、片隅から徐々に作業が進むのかにもよると思いますが、たぶん全面同時ということはあり得ないのではないかなという気はするので、作業者が作業をしている直近で測ることになるような気がしています。
○森座長 いまのは作業者に直近というか、そういう意味では作業者そのものを想定しているのですよね。
○松村委員 個人サンプリングならそうですが、できない場合には近くの定点にサンプラーを置くということです。
○名古屋委員 誤解していたのだと思います。いいです。
○森座長 1点確認です。作業列挙をしたわけですが、この作業に当たらない場合には高濃度粉じん作業以外の作業とほぼみなされるという理解でよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 環境省さんのガイドライン等を見て、粉じんが出そうな作業というのは大体列挙しています。もちろん思いもよらない作業というのはあるかもしれませんので、そこは作業の進捗を見ながら考えることになろうとは思います。
○森座長 同等の作業があれば、それにまた加えるということです。
○古田委員 いま、粉じん関係のほうに話が行っていますが、例えば電離則だとサンプリングした試料を放射能測定することによって、空気中の放射性物質濃度測定というのが認められているわけですが、それについて今回ここでは全然言及がないのです。一方で、その辺は電離則としては認められていますから、そちらの測定もダイレクトに現場で取って、何らかの形で測定ができる。取ったすぐはラドン・トロンとか多少ノイズが入っていますが、それはある程度減衰させて測定する方法もあっていいのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおり、あっていいと思います。ただ、そうなると専門機関しかできない形になりますので、できるだけ現場で作業環境測定士でなくてもできるものをここでは書きたいという意図で書いてきましたので、それは電離則で定められているやり方でできます。ただ、それは作業環境測定業者に委託しないとできないのかなとは思います。
○古田委員 例えば3立米ぐらいをフィルターに吸引して、そこにサーベイメーターで測定して何cpm出るかとか、そういった手法で濃度も大体は見当がつくと思います。その場のバックグラウンドが高くて測定できない可能性もありますが、低い所へ持っていって、もし1,000cpmぐらいが測定できるようであれば、ずっと継続で作業をやっていても年間1mSvを超えることはないとか、それぐらいのレベルにはなります。そういう意味では測りたいのは放射能でしょうから、そういったものも読めるようにしていただけないかなと思います。
○松村委員 空気の採取量が3立米なら可能性はありますか。一般的にはそんなにたくさん吸引しないと思います。
○古田委員 例えば100L/分ぐらいで30分の吸引です。
○杉浦委員 5頁の議論は、表のマトリクスを決めているのだから、いまは10mg/m3を超えるか否かの議論で、古田さんが言ったことは少し違う話で、これを決めてしまっているから、そのことは私もホロゴデではないですよと前のところで確認しているので、そこはスルーではないかなと思います。
○森座長 いまおっしゃったのは、もう一度枠組みを変えないと、マトリクスを使わないということになるわけですね。どうでしょうか。
○古田委員 マトリクスに当てはめることもできるのではないかという話です。
○杉浦委員 いまは高濃度粉じんかどうかの判断をするところの基準を話しているので、放射能濃度の話をしてもそれは違う話ではないのですかと申し上げています。
○古田委員 では、またあとで。
○森座長 それでは、粉じんの話を進めたいと思います。その技術的な部分で判断方法というのが17頁の別添1でありますが、ろ過方式はどうかという提案がありましたが、先ほどの事務局の回答で松村委員、よろしいですか。
○松村委員 はい。それは文章の中に、きちんと書いていただきたいと思います。作業環境測定基準第2条の中には、ろ過捕集が基本的に入っていて、相対濃度指示方法はその補助法として入っているので、そのように書いたほうがいいと思います。
○森座長 つまり第2条と書かずに、2条の中身を書いたほうがよいということですか。
○松村委員 第2条と書くならば、それを全部反映するように書いたほうがいいと思います。
○森座長 事務局いかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 繰り返しになりますが、これは、もともとの発想がいかに現場で測れる簡易な方法ということですので、ろ過方式というとポンプにしても何にしても、技術的にもそれなりにかなり専門的な方法です。
○松村委員 併行測定というのは、まさにろ過捕集とデジタル粉じん計による測定を同時に行うことですよね。
○安井中央労働衛生専門官 もちろんそうです。
○松村委員 同じです。
○安井中央労働衛生専門官 ここは先ほど名古屋先生にもご説明したとおり、いずれK値ができてくるであろうという楽観的前提に立ってはいますので、ろ過方式を原則とするのではなくて、一定の時間が経ってくればK値というのはある程度わかってくる前提の上で、デジタル粉じん計にしたいなという意図で書いています。
○松村委員 その場合には、各除染作業ごとの測定結果というのをきちんと収集するというか、記録を蓄積するシステムがあると思っていいのですか。除染作業ごとの報告が上がってくるのですか。
○安井中央労働衛生専門官 そのようなものはありませんので、何らかの調査機関なりにお願いして、測定をやってもらうことはいま考えていました。
○名古屋委員 もう1件聞かせてほしいのですが、そこで例えば6人が働いたら、6人を測るのですか。除染作業で働いている人が個人ばく露を測るということは、8人働いたら8人を測るのですか。私が考えたのは、1人の所で併行測定してK値を求めておけば、ほかの作業者の所に相対濃度計を持っていって測っておけば、ある程度の状況把握ができますよね。そうすると、ほかの人のばく露はどうかなということは、それで換算できるということはあるのかなと思ったのです。
 でも、もしそうでなかったとしたら、作業対応になったら、そこに50人いたら50人を測らなくてはいけないことになるので、そこはこれを読む限り明確になっていないのです。いままでだったら粉じん計を使って、内部被ばくのときはどうしましょうかという議論だったけれども、現場で測定するときにどういう測定をして、何を基本にしてかかるのかがここから読み取れないのです。8人いたら8人全部測るのですか。それとも、何人いたら何人代表していいですよということをするのかどうかという、人数によって、ばく露濃度の測定は何人するかがここには何も書いていないのです。
 相対濃度計を使うのは、私が思うのは、そこで併行測定してその時点ではわからないけれども、作業員5人いたら、10分間あればその人達の作業時の大体の濃度は測れますよね。そうすると、この人は高いねということができると思う。ここのところで書かなくてはいけないのは、高濃度作業のときは全員を測るのかどうか。あるいは何人のときに何人測ったらいいのかなと書かないと、測定が行い難い様に思います。
○松村委員 実際には、最初は高濃度粉じん作業かどうかもわからないところから始まるわけですから。B測定というのは一般の作業場でもいちばん濃度が高いと思われる所で測るわけですから、その作業でいちばん濃度が高いと思われる所で測る。やはりいちばん高い所を押さえて、その場所はそれ以下だという議論で進んでいるのだと理解しています。
○名古屋委員 でも、それは目で見たときの粒子の大きさと粉じんは違うので、相対濃度計を持っていってそれぞれ測ってみれば、ある程度どのぐらいの濃度かというのがわかる。そこで初めて、曝露がいちばん高いとわかるわけです。そうすると、個人サンプラーを用いるというのは、何人にも用いることは所詮無理な話なので、ましてや費用は全然違います、個人サンプルは違いますので。
 そこで1つはきちんと決めてほしいのは、作業の人たちの何人を測らせるのか、全員測らせるのかどうかだけでも、せめて決めておかないとまずいのではないですか。除染する人をすべて測るのですかというところ。除染する作業者は何人測って、代表として10人だったら5人は代表者として差ができるよ。ブルドーザーの運転とほかの人は違うはずですから、作業の違う人が協働するわけですよね。そのときに、どの人に対して測るのですかということを決めておかないと、測り方はこれでいいけれども、その先が見えてこないように今頃になって申し訳ないのですが。
○松村委員 いまの名古屋先生のご意見を取ると、結局、デジタル粉じん計で作業場を数点測る。5点以上としてもいいです。高濃度と思われる所を5点以上測って、いちばん濃度の高い所で併行測定をするということならいいです。相対的に、どこが濃度が高いかということはその場でわかるわけです。絶対値はわからないけれども、相対値はデジタル粉じん計でわかるわけです。それで濃度の高い所で併行測定をすれば、その他の4点についてもmg/m3単位の数値が換算で出るわけですから、とりあえず5点以上ぐらいの値をデジタル粉じん計で測りなさいということは、わりに簡単にできると思います。
○森座長 事務局に対してですが、5点なのか何人なのかはありますが、何らかの数字を示さないと結果的にこれは運用できないのではないかというご指摘と理解しますが、いかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 現実問題としては、全員というのはないかなと思います。作業環境測定は、5点というのが最低の測定点という考え方がありますので、松村先生のおっしゃったような5人を測るというのが妥当なのかなと思います。そういった方向で、ここを改訂させていただければと思います。
○名古屋委員 5点というのは、場の測定をしたときに統計処理をするために、5点ないと統計処理ができないから5点という話であって、個人ばく露のときは当然全員測りなさい、これが基本的な考え方です。ただし、同じ単位作業場の中にいたときに、8人を8人測らせるのは大変だから、そのときは7人にしていいですよ。10人だったらと、統計的に決まっていて、その指標はNIOSHが決めている方法があるので、ばく露と場は全然考え方が違いますので、ばく露を測るのだったら、そこはものすごくきちんとしておかないとまずいでしょうということを言いたい。場の測定だったら結構簡単だけれども、ばく露だったら大変ですねという。
○杉浦委員 先ほどの表の横の50万Bq/kgを決めたときに、松村先生がお出しいただいている今日も資料3-4に付いていますが、これも粉じんの粒径はある程度仮定をして、その結果この線量まで持ってきていると思います。私は粉じんの測定については全くわかりませんが、いまのお話を聞いていると、そこまで状況によって違うのだったら、その横軸だってOKと言えなくなるぐらい聞いていて不安になってきたのですが。そうではなくて、ある程度の仮定を置いて、超えたら本当に測りたいのは内部被ばく線量だということで、それぞれどちらに回しますかというクライテリアを決めているところなので、そこまでリジットに粉じんの測定が利くのか、利かないのかの観点で、もう少し教えていただければと思います。
○松村委員 47頁にグラフが2つあります。左上のほうは、各作業場の幾何平均値です。全部で約2,500作業場の幾何平均値を集めてきて、分布を見たらこうなった。2,500ぐらいの作業場のうち最高濃度区分に相当する少数の事業場が5~10mg/m3ぐらいの値になって、これは非常に悪い作業場です。でも、これはあくまでもその工場の中の平均濃度です。その工場の中で平均濃度が10mg/m3であった場合には、その中の特定の点はもっと濃度が高い可能性があります。
 各事業場の中で最高濃度と思われる場所で1点測定をしたものの分布が、右下のグラフです。この場合には、発生源の直近の一箇所で100mg/m3までの値があります。ですから、1つの工場の中で発生源に近い所は100mg/m3まで発生する所があっても、工場の中で平均すれば10mg/m3ぐらいになるという意味です。これは建家の中の工場です。その対象の粒子というのは100μm以下ではなくて、この時点では7μm以下ぐらいです。吸入性粒子です。インハラブルではなくて、その時代のレスピラブルの定義によりますが、いまは4.5μmですが、当時はもう少し大きかったのですかね。
○名古屋委員 粒径は大きいです。
○森座長 いまの杉浦委員の話を聞いていて、結局我々が使いたいのは10mg/m3を超えるか超えないかであって、作業管理そのものが困難なので、保護対策が湿式と保護具しかないので、何人ぐらい測って仮に1人でも高ければ、これを超えていればもう高いとみなそうという判断をするための測定ということですね。おそらく作業環境測定という考え方とも少し違うし、個人ばく露で個々で個人の健康管理とか管理をやっていこうとも違っているものなので、ここで割り切るしかないだろうと思います。5点なら5点と決めたときに、どの5点を選ぶかというのが、意図して低い所を選ばないという注意はもちろん必要でしょうけれども、それを統計的に分析においてどれが正しいということが出てこないのであれば、そういう割切りをするしかないのかなと思いますが、いかがですか。
○松村委員 高濃度粉じんというようにガイドラインで決めた作業でも、マスクの対策としては95%以上、DS2クラスのマスクを使えば足りるという計算になる。土壌の汚染が50万Bq/kgの所は多くはないと思いますので、それを防じんマスクでカバーしようと思っても特別に困難なことではないので、粉じん濃度として過剰に評価しておいてもいいかなという気がしています。
○森座長 そういう意味では松村委員がおっしゃったように、ここはB測定だと決めても、見ただけではそこが本当にいちばん高いかどうかはわからないので、安全を見積もって数点を取ることによって、1人でも高ければこれを超えるという判断をしようということで十分安全なのかなと思いますが、どうでしょうか。それでいいですか。
○安井中央労働衛生専門官 森先生のおっしゃるように、50頁にある試算は10mg/m3という、基本的には長時間持続しないことを前提にしているようなB測定の数字を、週40時間、52週ずっと浴び続けるという前提で計算していますので、ものすごく保守的です。杉浦先生のおっしゃるように、正直なところあまり厳密な議論をする意味はないです。ただ、さはさりながら、どういう状態になればどの規制を適用するかということは、明確に決める必要があるということですので、我々のリクエストとしては、とにかく簡易にわかりやすく測れるものが必要だということで、そういった形で提案をしているということです。森先生のおっしゃったように、高いものと思われる方から、数人から5人を選んでいただいて、その中で10mg/m3を1人でも超えたら、こちらのほうのより厳しい側の規制をかけるという、1つのインジケーターとして使う割切りなのかなと考えています。
○森座長 その辺は、少し具体化していただくということでよろしいですか。
 それでは次に、22~25頁にかけての「土壌等除染対象物の濃度の測定方法」、別添の4についてご意見をいただきたいと思います。最低限、23頁に何割以上という数字があって、これも何割なら絶対大丈夫かとわからないものです。これについては8割なのか9割なのかという例示がありましたが、いかがでしょうか。杉浦委員、何かございますか。
○杉浦委員 記憶が定かではないのですが、1万Bq/kgを超える超えないで何か厳しいことがその判断基準になるのでしょうか。大きく行く道が変わるのだとすれば、これは安全側にとって7割、8割だし、どちらに行くかなというのが大まかでしたら9割でもいいかなという趣旨の質問です。
○安井中央労働衛生専門官 これは収集、運搬、保管するときの基準ですが、1万Bq/kgを下回ってしまうと規則の適用そのものがなくなってしまうという、かなり大きな数字です。ですから、これを下回ってしまうと、収集、運搬、保管をする人は線量管理が不要になるという形になります。
○杉浦委員 それでしたら、7割、8割ぐらいの安全誘導を持った値のほうが、安全ではないでしょうか。
○森座長 古田委員、何かございますか。これはもともと中山委員からのご指摘で出てきた議論だと思いますが。
○古田委員 今日は中山委員はお休みなので、私が話を聞いてきたのですが、添付の資料3-1を説明していいですか。前回と若干変わっています。指摘を受けて、前回が実効線量で計算をしていたという話だったので、1cm線量当量で計算をし直しています。あと、表面からの距離も本当にペッタリくっ付いた0cmで計算してあったので、2cmと3cmで計算しています。2cmはNaIのサーベイメーターの表面から実効中心までの距離、3cmが小型のタイプの電離箱の実効中心までの距離ということで、NaIでも3cmを使っておけば、1cm離して測定した値を使っておけば安全側かなということで、計算をされています。そういう意味では3cmで数値を出しておけば、基準としては安全側かなという気はします。その辺が前回と変わっている数値です。以上です。
○森座長 23頁のイの1で、このような簡易の方法でやって、測定値が基準値の何割以上の場合は基準値を超えていると認めるというのを決める場合、7割または8割程度といった案が杉浦委員からありましたが、これについては意見は何かありますか。
○古田委員 そういう意味では計算のところで、例えば3cmということで1cm離したところで基準を設けておいて、実際には直付けでもいいですよということであれば、あまり基準値の何割というのは要らないかもしれないです。
○杉浦委員 そちらの換算係数のほうで既に安全誘導が入っているからということでしたら、それで結構だと思います。
○安井中央労働衛生専門官 ということは、24頁にある別添4-1で、表面の放射線量率の測定は3cmと書いたほうがいいということでしょうか。表面から3cmの所で測ると。
○古田委員 測定の場合は、くっ付けてもらっていいのですが、換算係数は3cmの換算係数で計算しておくということです。実際にサーベイメーターは直付けでも、サーベイメーターは大きさがありますから、その中心までは2cmあります。そういう意味では、そこからまた1cm離した所で計算しておけば安全ということになります。
○安井中央労働衛生専門官 むしろ3cmということではなくて、くっ付けて測ってくださいといったほうが安全であると。
○古田委員 測定値が大きくなりますから。
○安井中央労働衛生専門官 今日は、この内容を放射線審議会でご説明したときには、裕度を見てほしいというリクエストもあったのですが、これは十分保守的に計算しているので、極端な話ですが9,900とかの数字が出ても大丈夫だということでしょうか。
○古田委員 密度も高く取って余裕を持っていると。それと、計算の配置でも余裕を見ているということですから、変に7割とか8割とかのファクターを設けても同じような問題が出るかと思います。9,900とかの問題はファクターを何歩に決めても出るかと思います。○森座長 そういう意味では、簡易測定だからなんとなく安全係数を掛けたいところだけれども、ほかのファクターですでに十分に安全係数が掛かっているから、その数字のままでいきましょうという提案ですね。
○杉浦委員 裕度はほしいけれども、それはこちらで密度にしても密度3ないし、ある程度離れた所で計算をしておいて直付けで測ってくださいということで、そこで安全裕度だと思っていますという説明でよろしいのか。基準値があってそれから何割かで判断しなさいというのは、現場では運用しにくいかもしれませんよね。それと比べてくださいという値で、自信を持って出すということでいかがでしょうか。
○森座長 それでよろしいでしょうか。
○金子委員 いまの話ですが、それで簡易測定については問題ないと思っています。ただ、実際に事業を行う業者にとって、50万Bq/kg以上か以下かということが非常に負担になる境目になっています。仮に簡易測定で50万Bq/kgを超える可能性があると出た場合には、測定をすることになると思います。その結果、50万Bq/kg以下であることを確認すれば、先ほど言った議論をしなくても済むわけです。そうなると、どういうふうに測定するかというところをしっかり書き込んでおいていただいたほうがよいと思います。実際この測定を、先ほどゲルマニウム半導体検出器で測るという話でしたが、そのほかにもNaIのシンチレーションでもいいのかと思いますが、もう少し具体的にどの方法でやるかをはっきり書いておいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○森座長 簡易ではない方法。
○安井中央労働衛生専門官 それについては22頁の作業環境測定基準第9条第1項第2号。これはスペクトロメトリまで含めて、ものすごく正式な測定方法が法令上決まっていますので、もちろんそれで結構です。それをやらない場合は簡易な方法ということで、いま議論しているものとなっています。法令の引用になっていますのでわかりにくいですが、ゲルマニウム測定器といったもの、いわゆるスペクトロメトリを使った測定は既に書き込まれているということです。
○森座長 おそらく測るとしたら、きちんとした作業環境測定機関が測らないといけない話なので、この文書でわかるだろうということですね、前提は。
○安井中央労働衛生専門官 もう少しここに方法ですね。
○金子委員 何箇所か作業環境測定基準というのが出てきて、素人の目から見ると、これは何だろうと。もう少し最初のところにでも、注で詳しい説明をしてほしいなと思いました。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。もう少し基準の中身を書き下して、少なくとも方法の名前は入れるようにしたいと思います。
○古田委員 この作業環境測定基準の中に、土壌みたいな固体のものの測定手法が書いてあるのですか。
○安井中央労働衛生専門官 空気中濃度のサンプリングのときに、サンプリングされたものを測るやり方として、全ガンマのものとスペクトロメトリの両方とも載っています。
○古田委員 それは体積を持った固体試料ではなくて、フィルターみたいなものを測定するということですか。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。ただ、もちろんサンプリングの大きさとか測定の機器の入る大きさとかありますが、方法はたぶん同じで、広い意味でスペクトロメトリは変わらないので、それは書けると思います。
○古田委員 それは効率とかその辺で、きちんと同じような効率があるとか、プラスアルファの注意事項が要るかなという気はします。
 それと50万Bq/kgぐらいになってくると、測定器自身が普通の測定ではかなり難しくなると思います。高すぎて測れないということで、遮蔽体の中にポンと置いて測れるかというと、もうパイルアップしてしまって測れないとか、場合によったら遮蔽体を開けて数メートル離して測定とか、普通と違うようなことをしないと測れないぐらいの量のような気がします。
○杉浦委員 いま古田さんがおっしゃられたとおり、また松村先生からの最大限あってもという濃度が50万Bq/kgなので、そんな所に5人未満が行って、濃度が高いというのはなく、そういった所は本当の汚染地域ですので、それなりの除染作業の体制を組める人しか行かない。たぶん外部被ばくですら何十μSv/hという立入制限、時間の管理もしなければいけないような状況かもしれないので、できる人が行くのが前提だと考えてよろしいのではないかと思います。
○森座長 よろしいですか。ここは、少し具体性を持たせて書いていただくということでお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 方法の名前は少なくとも書きたい。留意事項はどこまで書けるかというか、むしろ書かないほうがいいかもしれませんが、一般的にリストで使われている名称を記載したいと思います。
○森座長 これで、こちらのガイドラインについては、論点として特にご説明があったところはすべて終わりましたが、何か追加でご意見はありますか。
○名古屋委員 よろしいですか。先ほど少しお話したところですが、いま、こうしたらどうかなと考えたのは、このばく露の作業の判定は、作業中に作業者全員に個人ばく露を用いるか、もしくは作業時に各作業者近傍で相対濃度を測定し、最も高い相対濃度を示した作業者の近傍で併行測定する、という形にしたほうが間違いないのかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 後段をもう1回お願いします。
○名古屋委員 作業時に各作業者の近傍で相対濃度を測りますよね。そうすると、どの作業がいちばん高いかはある程度推測がつきますよね。そのときに、その作業者の所で併行測定して質量濃度を求めてK値を求めれば、あとで換算すれば各作業者がどんな作業のときにばく露したかがわかる。個人ばく露を8人なら8人するということは、ものすごく費用がかかるし大変ですが、数人の時、いまと同じ方法で行えばある程度相対濃度を使って推測することはできるので、そうされたら何人にしなくても、全員の所の濃度が難しくなく測れると思います。検討してみてください。
○安井中央労働衛生専門官 いまのお話ですと、相対濃度は全員測る。
○名古屋委員 相対濃度は1分がいいか2分がいいかはわかりませんが測れば、1時間かからないうちに全員のある程度の濃度の作業の状況がわかりますよね。ばく露している濃度というのは近傍で測りますから。
○安井中央労働衛生専門官 作業者を集団として捉えての近傍でということですね。
○名古屋委員 そういうことです。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○小林委員 例えば農地の除染の場合ですと、トラクタオペレーターの周囲と土を土のう袋に移す所では明らかに濃度が違います。その場合、作業の代表値としては袋に移す場所で測定を行うけれども、オペレーターはほとんどキャビンの中で作業を行っていますので、明らかに差があるということで2つに仕分けて対応するということでよろしいのですか。
○名古屋委員 それはいいと思います。単位作業場の考え方は、そういう考えです。分けるのだったら分けて。
○小林委員 当然、違う作業と考えて、そっちはそっちで分けて。
○松村委員 キャビンというのは、粉じんが入ってこないのですか。
○小林委員 全くということはありませんが、自動車の中にいるような感じになります。ですから濃度レベルが全く違うような形になります。
○森座長 その場合は、明らかに10mg/m3を切ってきたと考えてよろしいですか。これでガイドラインについては、全体について済んだということで、いくつかまた宿題が出てしまいますが、その辺りは事務局に対応いただきたいと思います。
 残りの時間は、資料4の特別教育のテキストについて議論をしたいと思います。第1章からご説明いただいて、その都度ポイントを議論していく形にしたいと思います。事務局お願いします。
○安井中央労働衛生専門官 テキストについてご説明します。これもいろいろご意見をいただきまして、修正した部分を網掛けにしていますので、そこだけピックアップしてご説明します。
 5頁は、下の図でセシウムはいったいどれなのかというところで、β線とγ線が多いという記載が入っている。7頁は放射線防護の一般論として、距離の二乗に反比例するとか、時間に正比例するといったことを述べた上で、放射線源の除去、遮蔽、距離を取る、作業時間を短くするというごく一般的な放射線防護の考えを述べています。イでは取り込みの関係で、作業環境のクリーン化、保護具、飲食・喫煙の禁止という一般論を入れています。8頁の下はcpmとは何かということを付け加えています。
 10頁の中ほどに100mSv未満のところを述べて、どこまで書くのかがわかりませんが、被ばく限度はそもそもどういう根拠で設定されているのか、という説明を入れたほうがいいというご指摘がありましたので、若干付け加えています。余計にわかりにくくなった気もしますが、入れています。12頁は、外部被ばくと内部被ばくとはどんなのだという説明を入れています。13頁はガラスバッジ、ルクセルバッジというものもあるということです。
 14頁の下にガイドラインが改訂になりましたので、その改訂を反映した形で修正をしています。15頁は、まずは平均空間線量から1日の評価被ばく線量を計算する方法をごく簡単に入れているのと、代表値の測定の場合は男女で測定器の付ける場所が異なりますので、男女入り混じって行われる場合は、男女1人ずつは最低測ってくださいということを入れています。その下は、これもガイドラインが改訂されたことに伴って入れているものです。
 17頁の5は、ガイドラインの改訂に伴って入れている。(3)は健康診断の項目等が入っていたほうがいいということですので、それを入れているのと、短期間の契約の場合の関係のガイドラインの記述をそのままコピーしています。20頁は、作業指揮者の教育の内容を入れています。21頁のいちばん下は、誤って吸入摂取の例示をガイドラインに合わせて入れています。
 27頁は少し見にくいですが、サーベイメーターの取扱いということで、校正済みの機器を使ってくださいといったことを入れています。29頁に測定点の時間平均がわかりにくいということがありましたので、計算例を1つ入れています。
 30頁はポケット線量計とガラスバッジ、ルクセルバッジの例示を入れています。31頁も二度書きになっていますが、平均空間線量の計算方法等を入れています。それから従来のホールボディしか書いていなかったのですが、バイオアッセイとか空気中の放射性物質濃度測定による評価等といった方法もあるというのを入れています。33頁は先ほどご議論があったところですが、粉じんの濃度測定の関係を入れています。これは当然、今日の議論を踏まえて修正をします。35頁に濃度の測定方法というのを入れていますので、これは修正なくそのまま使えるという認識をしています。39頁は、型式検定合格章とはどういうものかということと、マスクの種類をできるだけたくさん書きました。41頁にフィットテストを入れています。
 42頁はガイドライン上に書いていましたが、ゴム手袋のアレルギーの話とか雨合羽の話を入れたということです。44頁もガイドラインで付け加えた、荷台の運搬のときの話を入れています。45頁はご指摘のありました異常な事態が発生した場合における応急の措置の方法ですが、だいぶ改訂して一般的な事故とそんなに変わらないですが、汚染の程度の測定などが必要ですという事項を入れました。第1章と第2章をまとめて説明しました。
○森座長 よかったです。いま、今日、特に議論しなければいけない第2章まで併せてご説明いただきましたが、第1章の範囲についてご意見があればお願いします。皆さんのご要望を取り込んだら、特別教育のテキストというのは作業指揮者にも全部使えてしまうようなテキストができてしまったという感想ですが、これから上手に本当に作業者がわかるように、どうお話をいただくのかというところがポイントになってくるだろうなと思います。全体的な項目では大体このような枠組みで、細かいところについては後日にご指摘いただいてもいいですよね。その場合、いつまでにという期限はありますか。
○安井中央労働衛生専門官 労働局がこれを使った研修を予定していて、印刷等の関係上15日に電子媒体で渡すことを約束していますので、もし何かあれば明日中にお願いしたいと思います。
○森座長 明日の5時までということで。大枠これで問題なければ、細かいところについては、明日の5時までにご指摘いただくことにしたいと思います。
 続いて第2章を各自ご覧いただいて、何か気になったところがあればご指摘いただきたいと思います。
○杉浦委員 細かいことで申し訳ないですが、30頁の上のガラスバッジ、ルクセルバッジはフィルムバッジから変わったのですが、下の注意書きの左側がフィルムバッジのままです。漫画のところです。安井さんが気がついていないみたいですが。
○安井中央労働衛生専門官 フィルムバッジというところでしょうか。
○杉浦委員 はい。「個人線量計のケースを開ける、水に濡らす、高温多湿の」ということで直していただければと思います。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○森座長 ほかにいかがですか。
○古田委員 同じ頁ですが、ポケット線量計で(APD)と書いてありますが、PDはポケット線量計ですが、APDはアラーム付きのポケット線量計ということでイコールではない気がするので、電子式線量計とか一般的な用語を使われたほうがいいのではないかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。電子式線量計にさせていただきます。
○森座長 ただ、第一原発の現場ではAPDと一般に呼ばれていて、そのフルネームを理解しないままずみんなでAPDと言っているような部分もあります。それが相当する、それが一部であることも記載していただきたいなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 両方ということですか。
○森座長 例えば、APDもそれに当たります、といったような表現で。
○金子委員 29頁に「具体的な計算方法」と書いてあって、28頁に2つのばらつきが少ない場合と大きい場合と書いてありますが、この具体的な計算方法というのは両方に対応したものですか。
○安井中央労働衛生専門官 1ではばらつきが少ない計算方法で、これはばらつきがある場合だけに限定しています。ばらつきがない場合には5点なら5点測って、単純な平均ですので。
○金子委員 では、下の「具体的な」の前に一言入れて、「ばらつきが大きい場合の具体的な計算方法」とかと書いていただけるといいかと思います。
○森座長 お願いします。ほかにいかがですか。第2章についてもこのあと何かご指摘事項、特に明らかに違っているというところも含めてありましたら、明日の5時までにお願いしたいと思います。
 第3章の確認も少ししていただいておいたほうがいいので、第3章についてご説明いただけますか。
○安井中央労働衛生専門官 第3章については、もともと厚生労働省で書いたものではないということもありまして、幸いというか残念ながらというか、指摘はありません。いまのところ、修正は前回と比べてはしていません。
○森座長 ありがとうございます。第3章についてはよろしいですか。ここについても、前回の検討会でも指摘がなかったので、いま時間を取りましたが、ここでまた新たに出てくることはないようです。もう一度確認しますと第1章、第2章について、大枠については確認いただいて、これで大丈夫だと。ただ、詳細な書きぶり事項については十分な時間がなかったこともあると思いますので、明日の5時までにご指摘いただいて、それをあとは事務局で判断いただいて、必要な修正を加えてなんとか間に合わせていただくということでお願いします。このテキストについても、本日の範囲においては議論が出尽くしたことにさせていただきます。6回にわたる本検討会は、これでもう宿題は出ないだろうと信じていますが、一区切りになる予定ですので、最後に安全衛生部長よりご挨拶をいただきたいと思います。
○大迫委員 途中から廃棄物の処理に関しては電離則のほうになったものですから、この除染則ということでは特にないのですが、教育の面で最後にお尋ねします。除染等の作業の業務ということは、除染則に従って今後運用されていく部分に関しては、こういう教育をやっていくということでお話があったと思います。事故由来の放射性物質は、この電離則がかかる廃棄物処離施設にも、今後管理をしなければならない場所がたくさんあるわけです。特に、一般廃棄物の市町村が関わる所だけではなくて、産業廃棄物の処理施設はさまざまな業種のレベルがある世界です。そういったところに関しては、今回、教育というのはプログラムとしては考えておられないのか、ということを最後にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 いわゆる処分施設については、中間処理施設から埋立てまで多様であることと、オペレーションが施設の運転になりますので内容が高度だということもありますので、厚生労働省の立場で教育を仕切るというのはかなり難しいというのが正直なところです。ただ、被ばく管理とかごく基本的な部分については、ある程度できるとは思いますので、これについては今回の規則とは離れた世界ですが、何らかのことができないかを検討させていただきたいと思います。
○大迫委員 最後に、前々回に、あまり計画被ばく、現存被ばくにこだわらず、今回の新しく起こった問題に対して対応するような枠組みを、国は示すべきではないかという趣旨で、そうならないとどうしても漏れが出てしまうのではないかということで、発言させていただいたこともあるので、是非そこは環境省と、十分従事者に対して安全確保されるような教育をお願いしたいと思います。以上です。
○森座長 ありがとうございます。
○古田委員 先ほど言いかけたことですが、放射性物質の測定によっても一応管理ができます。本来、電離則はそういう趣旨でできていると思いますので、放射性物質でも管理できるよというのが読めるよといったことも配慮していただきたいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 省令上、マトリクスを仕組んでしまったので、どうはめるかについてはかなり難しいです。
○古田委員 例えば、1mSv/年を十分に下回る状況であることが放射能測定とかで確認されれば、粉じんのレベルと大体似てきますから、そういったこともどこかに1行でも入れていただくと、実施主体が放射能測定が得意な組織であれば、それでも十分管理ができていますということができるかと思います。粉じんだけでこれはマトリクスができていますが、それ相当の今回の基準だと0.1mSv/年ぐらいですよね。だから、1mSv/年を十分に下回るぐらいのレベルで放射性物質による確認ができれば同等とみなすとか、そういったこともよろしいのではないかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 試算では1mSv/年でやっていますが、確かに理屈の上ではできますので、どこまで書けるかはわかりませんが検討させていただきます。
○古田委員 例えば、作業者の濃度限度は50mSv/年と言われているので、それの50分の1ぐらいの濃度がきちんと確認されていれば同等とみなすとか、それでもよろしいのではないかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 検討させていただきます。
○小林委員 お礼というとおかしいですが、第3章の部分は修正がなかったというお話でしたが、私どもがメモとして提出したところが反映されていました、ありがとうございました。
○森座長 というご発言があったので、その箇所についても確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 1,000m2のところですか。
○小林委員 82頁の「農用地の除染」というところです。
○森座長 小林委員、ご説明いただけますか。
○小林委員 当初の原案「なお、現在」というところですが82頁の上から4行目ですね。
○森座長 その結果は、順次公表されることになっていますと。
○小林委員 そこに「農作物への」という文言が追加されました。また、農用地のところの「樹皮の洗浄」のあとに、「及び剪定を行う」が付け加わっています。あとは、全てケースで表土除去を行うのではなく、最後の部分に「これらの対策を実施しても効果が不十分な場合には、表土の全面的な削り取りを検討します」というのを付け加えていただいています。
○森座長 より文言を加えてわかりやすくしたとともに、実態に合わせてということですね。
○小林委員 そうです。
○安井中央労働衛生専門官 申し訳ありませんでした。修正されています。
○森座長 それ以外に何か。
○古田委員 今回は、例えば表面汚染密度は40Bq/cm2をベースにいろいろ考えていますが、除染が進んできてもう少しきれいになってくると、40Bq/cm2が見直される可能性がありますので、そういったときにはタイムリーにこういったテキスト関係も見直しをお願いしたいと思います。そういう意味ではこれを作りっぱなしではなくて、メンテナンスもお願いしたいと思います。
○森座長 ガイドラインも、もともとデータが揃えばという話が見直す必要があるという話でした。ここまで皆さんには本当に情報のない中まとめていただいたことから考えると、逆にデータが得られたり、変化が生じたら見直し作業がこれからも必要になってくると私も認識していますし、事務局も同じだと思います。ほかにいかがですか。よろしいですか。
 最後に、宮野安全衛生部長にご挨拶をお願いしたいと思います。
○宮野安全衛生部長 最後に一言ご挨拶を申し上げたいと思います。最後の最後まで本当にご熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございました。当初この検討会を立ち上げた時点では、報告書を取りまとめるところまでお願いをして終了と考えていましたが、ガイドラインとテキストもご審議をいただくことになりまして、心よくご協力をいただきまして改めてお礼を申し上げたいと思います。
 ご案内のとおり、特措法も1月1日から施行される。20?圏内での除染のモデル事業も始まっている中で、ご議論いただいたような作業員の安全確保あるいは養成というのは喫緊の課題になっていると考えています。先ほど話に出ましたように、私どもでは福島県あるいは環境省とも連携をして、12月19日から除染作業を実施する8県において、作業員向けの研修会を実施する予定でおります。そこで、本日ご審議をいただいたガイドラインとテキストを使用する予定になっております。したがいまして、修正等々がさらにあれば明日までにいただければということですが、ご覧いただいてそれ以降でも何かありましたら、ご連絡をいただければと思います。また、あとから修正等々もできると思います。
 これも最後に古田委員からもお話がありましたが、今回でこの検討会はとりあえず一区切りではありますが、今後も測定に関する新たな知見があったり、作業内容についての新な知見があった場合には、再度お集まりをいただいてガイドラインの改訂等々についてもまたご審議をいただければと考えています。大変お忙しいところ恐縮ではありますが、そうした機会があれば是非お願いをしたいと思っております。したがいまして、今後ともこれまで以上のご協力をいただきたいということをお願いをいたしまして、とりあえず一区切りということで私の挨拶とさせていただきます。本当にお忙しい中、ありがとうございました。
○椎葉労働衛生課長 以上で、第6回の検討会を閉会します。本当にありがとうございました。
○安井中央労働衛生専門官 予備日を取っていましたが、予備日は開催しませんのでよろしくお願いします。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第6回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

ページの先頭へ戻る